JP2004027762A - 建物の耐震診断方法及びシステム - Google Patents

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Abstract

【目的】地震を受けた建物に対して建物の損傷状況を適切に把握する。
【構成】本発明に係る建物の耐震診断方法においては、まず、耐震診断の対象となる建物を微少変形レベルで振動させ、その振動を計測することで該建物のX,Y方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出する(101)。一方、建物が健全な状態にあるときのX,Y方向における固有振動数を初期固有振動数f1x,f1yとしてそれぞれ評価する(102)。次に、経年固有振動数f2x,f2yを初期固有振動数f1x,f1yで除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率として各方向ごとに算出する(103)。次に、建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yから建物の損傷状況をX,Y方向ごとにそれぞれ推定する(104)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として木造住宅における建物の耐震診断方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
建物を耐震設計する手法としては、建物規模や構造形式に応じてさまざまな方法に分類されるが、概ね、立地される地盤の性状や想定される地震の規模などに応じて地震時水平荷重を定め、かかる地震時水平荷重を設計荷重として断面設計を行うのが一般的である。
【0003】
ここで、地震力を受けたとき、建物は、主として耐力壁あるいは耐震壁と呼ばれる壁の水平剛性や水平耐力で地震力に抵抗するが、受けた地震の規模や回数によっては、耐震性が徐々に損なわれることがある。
【0004】
すなわち、水平荷重を支持する壁は、それぞれ固有の復元力特性あるいは履歴減衰特性を有しており、地震荷重のように繰り返し荷重を受けたとき、耐震壁や耐力壁は、該復元力特性あるいは履歴減衰特性に沿って変形し、地震外力が小さい場合には、耐震壁等は弾性範囲内で変形するため、剛性や耐力が低下することはない。
【0005】
一方、降伏点を越えるような大きな地震荷重が作用すると、耐震壁等は、履歴ループを描きながら変形するとともに、その履歴ループも徐々に変化し、降伏点を越える荷重を受ける時間や回数が長ければ長いほど、剛性が徐々に低下しそれに伴って変形量が大きくなる傾向にある。
【0006】
このような弾塑性挙動は、小規模な地震に対しては建物の振動を弾性範囲内にとどめることで該建物にひび割れ等の損傷を発生させないようにするとともに、大規模な地震に対しては、耐震壁や耐力壁の履歴減衰によって地震エネルギーを吸収しながら、建物を倒壊させることなくねばり強く変形させる設計思想に基づくものであり、大規模な地震を受けたことで建物、特に耐震壁や耐力壁が損傷を受けて剛性や耐力が低下すること自体は、かかる設計思想が本来的に予定しているものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ある建物がある時点でどの程度の耐震性を保有しているのかを知ることは実際には困難であり、それゆえ、例えば、大地震に遭遇した後、耐震補強あるいは耐震補修によって地震に対する建物の安全性を確保しようとしても、建物の損傷程度を把握することができず、該建物に対して適切な耐震補強を行うことが難しいという問題を生じていた。
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、地震を受けた建物に対して建物の損傷状況を適切に把握することが可能な建物の耐震診断方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物の耐震診断方法は請求項1に記載したように、耐震診断の対象となる建物を微少変形レベルで振動させ、その振動を計測することで該建物のX,Y方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出する一方、前記建物が健全な状態にあるときのX,Y方向における固有振動数を初期固有振動数f1x,f1yとしてそれぞれ評価し、前記経年固有振動数f2x,f2yを前記初期固有振動数f1x,f1yで除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率として前記各方向ごとに算出し、該建物固有振動数低下率から前記建物の損傷状況を前記各方向ごとにそれぞれ推定するものである。
【0010】
また、本発明に係る建物の耐震診断方法は、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁に対し、弾性範囲におさまる変形レベルから破壊に至る変形レベルまでの間で複数の強制加振をそれぞれ行いながら前記標準仕様壁の加速度と変位を計測することによって層せん断力と層間変形角を算出するとともに、前記各強制加振前又は後に微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の固有振動数を壁固有振動数として前記強制加振ごとに計測し、前記層せん断力と前記層間変形角を用いて前記標準仕様壁ごとに履歴減衰特性を評価するとともに、損傷が生じる限界の変形レベルとして定義された損傷限界まで変形する際の保有エネルギー量と倒壊が生じる限界の変形レベルとして定義された安全限界まで変形する際の保有エネルギー量とを保有損傷限界エネルギーEy、保有安全限界エネルギーEuとして前記標準仕様壁ごとに前記履歴減衰特性から評価し、前記損傷限界まで変形する際の残存エネルギー量と前記安全限界まで変形する際の残存エネルギー量とを残存損傷限界エネルギーEy′、残存安全限界エネルギーEu′として前記標準仕様壁ごとにかつ前記各強制加振ごとに前記履歴減衰特性を用いて評価し、Ey′/Ey及びEu′/Euを損傷限界エネルギー低下率、安全限界エネルギー低下率として前記標準仕様壁ごとにかつ前記各強制加振ごとに算出し、該損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率を前記標準仕様壁ごとに前記壁固有振動数の低下率に関連付けするとともに前記層間変形角を経験変形角として前記標準仕様壁ごとに前記壁固有振動数の低下率に関連付けし、前記建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yを該関連付けに照合することによって前記建物を構成する壁ごとに損傷限界エネルギー低下率、安全限界エネルギー低下率及び経験変形角の少なくともいずれかを算出するものである。
【0011】
また、本発明に係る建物の耐震診断方法は、前記初期固有振動数f1x,f1yを微少変形レベルでの振動を計測することによって評価するものである。
【0012】
また、本発明に係る建物の耐震診断方法は、常時微動による前記建物の振動を前記微少変形レベルでの振動とするものである。
【0013】
また、本発明に係る建物の耐震診断方法は、人力加振による前記建物の振動を前記微少変形レベルでの振動とするものである。
【0014】
また、本発明に係る建物の耐震診断方法は、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁に対し、微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の水平剛性を微動剛性として予め算出する一方、前記建物を構成する壁の仕様を前記標準仕様壁の中から特定するとともに特定された標準仕様壁の微動剛性を用いて前記各壁の微動剛性を評価し、評価された前記各壁の微動剛性を前記建物のX,Y方向についてそれぞれ総和して前記建物のX,Y方向水平剛性とし、該X,Y方向水平剛性をバネとした振動系モデルとして前記建物をそれぞれモデル化し、モデル化された各振動系モデルをそれぞれ固有値解析して固有振動数を算出し、これらをX,Y方向における前記初期固有振動数f1x,f1yとしたものである。
【0015】
また、本発明に係る建物の耐震診断システムは請求項7に記載したように、耐震診断の対象となる建物を微少変形レベルで振動させたときの振動を計測するとともに該計測結果から前記建物のX,Y方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出する振動計測手段と、前記建物が健全な状態にあるときのX,Y方向における固有振動数である初期固有振動数f1x,f1yで前記経年固有振動数f2x,f2yを除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率として前記各方向ごとに算出する演算処理手段と、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁に対し、弾性範囲におさまる変形レベルから破壊に至る変形レベルまでの間で複数の強制加振をそれぞれ行うことで該標準仕様壁ごとに得られた履歴減衰特性を用いて、損傷が生じる限界の変形レベルとして定義された損傷限界まで変形する際の保有エネルギー量と倒壊が生じる限界の変形レベルとして定義された安全限界まで変形する際の保有エネルギー量とを保有損傷限界エネルギーEy、保有安全限界エネルギーEuとして前記標準仕様壁ごとに評価するとともに、前記損傷限界まで変形する際の残存エネルギー量と前記安全限界まで変形する際の残存エネルギー量とを、残存損傷限界エネルギーEy′、残存安全限界エネルギーEu′として前記標準仕様壁ごとにかつ前記各強制加振ごとに前記履歴減衰特性を用いて評価し、これらから算出される損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Eu並びに前記強制加振で得られた層間変形角を経験変形角として前記標準仕様壁ごとにかつ前記強制加振の前又は後で得られた微少変形レベルにおける壁固有振動数の低下率に関連付けて記憶されてなる記憶手段とを備え、前記演算処理手段は、前記建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yを前記壁固有振動数の低下率に照合することによって、該建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yに対応する損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率並びに経験変形角を前記建物を構成する壁ごとに前記記憶手段から読み出すようになっているものである。
【0016】
本発明に係る建物の耐震診断方法においては、まず、耐震診断の対象となる建物を微少変形レベルで振動させ、その振動を計測することで該建物のX,Y方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出する。
【0017】
建物を微少変形レベルで振動させて振動を計測する、言い換えれば微動計測する方法は任意であるが、例えば、常時微動を利用する方法や、人力加振による方法が考えられる。
【0018】
一方、建物が健全な状態にあるときのX,Y方向における固有振動数を初期固有振動数f1x,f1yとしてそれぞれ評価する。
【0019】
初期固有振動数f1x,f1yは、経年固有振動数f2x,f2yと同様、微少変形レベルでの振動を計測することによって評価することができる。これは、新築時に振動計測しておく場合が該当する。
【0020】
これに対し、新築時に微動計測を行っていない場合には、次の方法によって初期固有振動数f1x,f1yを求めることができる。
【0021】
すなわち、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁に対し、微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の水平剛性を微動剛性として予め算出する一方、建物を構成する壁の仕様を標準仕様壁の中から特定するとともに特定された標準仕様壁の微動剛性を用いて各壁の微動剛性を評価し、評価された各壁の微動剛性を建物のX,Y方向についてそれぞれ総和して該建物のX,Y方向水平剛性とし、該X,Y方向水平剛性をバネとした振動系モデルとして建物をそれぞれモデル化し、モデル化された各振動系モデルをそれぞれ固有値解析して固有振動数を算出し、これらをX,Y方向における初期固有振動数f1x,f1yとすればよい。
【0022】
通常、建物を振動させたときの計測結果から得られる固有振動数と建物を振動解析して得られる固有振動数とは一致しないが、これは、建物をモデル化するにあたって、剛性の評価がきわめて難しいからに他ならない。すなわち、建物が振動する際、該建物の各壁が全体の剛性にどの程度寄与しているのかを判断するのがきわめて難しいのである。
【0023】
出願人は、この点を踏まえ、どのようにすれば計測結果とシミュレーション結果とを一致させることができるかについて研究開発を重ね、その結果、微少変形レベルにおいては、耐力壁として機能するはずの筋かい等の壁要素は必ずしも全体の剛性に影響を及ぼす度合いが小さく、逆に耐力壁以外の壁要素が全体の剛性に大きな影響を及ぼすことを見いだした。
【0024】
そして、その着眼の下、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素の各剛性を単に加算して全体剛性を求めるのではなく、これらの壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁を想定し、該標準仕様壁に対して微少変形レベルにおける固有振動数(これを、建物全体の固有振動数と区別するため、特に壁固有振動数と呼ぶこととする)を求めるとともにその固有振動数と載荷重量とから該標準仕様壁の剛性を微動剛性として実験で求めておくことにより、実際の建物の各壁がこれらの標準仕様壁のどれに該当するかを特定して該壁の微動剛性を知り、それらをX,Y方向でそれぞれ総和することで、従来のやり方よりもはるかに高い精度で実際の建物の固有振動数を推定することを見いだしたものである。
【0025】
X,Y方向における初期固有振動数f1x,f1yを評価したならば、次に、経年固有振動数f2x,f2yを初期固有振動数f1x,f1yで除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率として各方向ごとに算出する。
【0026】
次に、該建物固有振動数低下率から建物の損傷状況を前記各方向ごとにそれぞれ推定する。
【0027】
このようにすると、建物に何ら手を加えずとも、建物の損傷状況を知ることが可能となる。また、初期固有振動数f1x,f1yがわからない場合であっても、上述した方法で初期固有振動数f1x,f1yを求めることにより、従来よりもはるかに高い精度で初期固有振動数f1x,f1yを算定することができる。
【0028】
また、本発明に係る建物の耐震診断方法及びシステムにおいては、加速度計、微動計測器等で構成される振動計測手段で経年固有振動数f2x,f2yを算出するとともに、かかる計測値を用いて上述した建物固有振動数低下率を同様の方法で演算処理手段で算出する一方、以下の手順で建物の壁ごとに損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率並びに経験変形角を演算処理手段で算出する。
【0029】
なお、損傷限界エネルギー低下率とは、壁に損傷を与えない変形レベル、いわば損傷限界まで変形が進むまでにその壁がどれだけのエネルギーを履歴減衰として吸収し得るかを、建物が未だ地震力を受けていない健全な場合に対する比率として表した指標であり、本明細書にてあらたに定義するものである。
【0030】
また、安全限界エネルギー低下率とは、建物を倒壊させない変形レベル、いわば安全限界まで変形が進むまでにその壁がどれだけのエネルギーを履歴減衰として吸収し得るかを、建物が未だ地震力を受けていない健全な場合に対する比率として表した指標であり、やはり本明細書にてあらたに定義するものである。
【0031】
また、経験変形角とは、建物が地震力を受けたことによってその壁が過去にどれだけ変形を受けたかを表す指標である。
【0032】
これらの指標を建物の壁ごとに算出するには、まず、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁を想定し、それらの標準仕様壁に対し、弾性範囲におさまる変形レベルから破壊に至る変形レベルまでの間で複数の強制加振をそれぞれ行いながら、標準仕様壁の加速度と変位を計測することによって層せん断力と層間変形角を算出するとともに、各強制加振前又は後に微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の固有振動数を壁固有振動数として強制加振ごとに計測する。
【0033】
かかる強制加振及びそれに伴う計測は、建物の耐震診断とは関係なく、例えば研究室内で実物大の標準仕様壁を多数製作し、該各標準仕様壁を振動台で強制加振することによって加速度及び変位を計測するとともに、加振前又は加振後に微少変形レベルでの固有振動数を計測すればよい。
【0034】
次に、層せん断力と層間変形角を用いて標準仕様壁ごとに履歴減衰特性を評価する。履歴減衰特性は、実験で得られた履歴ループを包絡する包絡線として得ることができる。
【0035】
次に、損傷限界まで変形する際の保有エネルギー量と、安全限界まで変形する際の保有エネルギー量とを、それぞれ保有損傷限界エネルギーEy、保有安全限界エネルギーEuとして標準仕様壁ごとに上述した履歴減衰特性から評価する。
【0036】
次に、損傷限界まで変形する際の残存エネルギー量と安全限界まで変形する際の残存エネルギー量とを残存損傷限界エネルギーEy′、残存安全限界エネルギーEu′として標準仕様壁ごとにかつ各強制加振ごとに評価する。
【0037】
つまり、保有損傷限界エネルギーEy及び保有安全限界エネルギーEuは、各標準仕様壁を破壊に至るまで強制加振したときに得られた履歴減衰特性から評価されたものであって、該標準仕様壁が変形性能あるいはエネルギー吸収能として本来的に保有しているいわば固有の指標であるのに対し、残存損傷限界エネルギーEy′及び残存安全限界エネルギーEu′は、強制加振の進行度合いに応じて変化するものであって、言い換えれば、それまでに受けた強制加振(地震)の影響が反映される指標であり、過去に強制加振を受けていればいるほど、残存するエネルギー吸収能は低下し、過去に強制加振を全く受けていない場合は、上述した保有損傷限界エネルギーEy及び保有安全限界エネルギーEuにそれぞれ一致する。
【0038】
次に、上述した各指標から損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Euを標準仕様壁ごとにかつ各強制加振ごとに算出するとともに、該損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率を標準仕様壁ごとに壁固有振動数の低下率に関連付ける。
【0039】
すなわち、各強制加振の前後に微少変形レベルにおける壁固有振動数を計測しているので、強制加振を未だ行わない最初の壁固有振動数を基準とした場合の比率を壁固有振動数の低下率として算出する。
【0040】
同様に、層間変形角を経験変形角として標準仕様壁ごとに壁固有振動数の低下率に関連付ける。
【0041】
このように壁固有振動数の低下率に関連付けられた損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率並びに経験変形角については、標準仕様壁ごとにかつ各強制加振ごとにデータベース化して記憶手段に格納しておく。
【0042】
次に、建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1y及び標準仕様壁の種類を検索キーとして記憶手段に記憶されたデータを演算手段で検索することにより、建物を構成する壁ごとに損傷限界エネルギー低下率、安全限界エネルギー低下率及び経験変形角の少なくともいずれかを算出する。
【0043】
このようにすると、建物の壁ごとに損傷の程度を把握することが可能となり、かかる損傷の程度を用いてさまざまな耐震補強や耐震補修の対策を講じることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る建物の耐震診断方法及びシステムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
(第1実施形態)
【0046】
図1は、第1実施形態に係る建物の耐震診断方法のフローチャートである。同図に示すように、本実施形態に係る建物の耐震診断方法においては、まず、耐震診断の対象となる建物を微少変形レベルで振動させ、その振動を計測することで該建物のX,Y方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出する(ステップ101)。
【0047】
耐震診断の対象となる建物は、例えば築15年程度を経過して耐震補修が必要になると思われる建物や、築年数が浅くても大規模な地震を受けた直後の建物等が該当する。
【0048】
建物を微少変形レベルで振動させるには、例えば、常時微動を利用する方法や、人力加振による方法が考えられる。ここで、人力加振の場合には、建物中心近くの柱や壁に作業員がぶつかるようにして建物全体を揺らせばよいが、X,Y二方向で建物を振動させる必要があるので、かかる加振作業は二度に分けて行う。
【0049】
振動を計測するには、例えば一階と二階にX、Y二方向の加速度を計測できるよう、所定数の加速度計を設置すればよい。
【0050】
計測された振動のデータから建物のX,Y方向における固有振動数を求めるには、スペクトル解析を行えばよい。
【0051】
一方、建物が健全な状態にあるときのX,Y方向における固有振動数を初期固有振動数f1x,f1yとしてそれぞれ評価する(ステップ102)。
【0052】
初期固有振動数f1x,f1yは、経年固有振動数f2x,f2yと同様、新築時に計測しておけばよい。
【0053】
X,Y方向における初期固有振動数f1x,f1yを評価したならば、次に、経年固有振動数f2x,f2yを初期固有振動数f1x,f1yで除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率として各方向ごとに算出する(ステップ103)。
【0054】
次に、建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yから建物の損傷状況をX,Y方向ごとにそれぞれ推定する(ステップ104)。
【0055】
建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yだけをもって客観的で正確な耐震診断を行うには自ずと限度はあるが、経験的な知識をもってすれば、かかる建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yからだけでも、どの壁がどの程度損傷しているかを推定するとともに、その推定に基づいて適切な耐震改修を行うことは可能である。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る建物の耐震診断方法によれば、建物に何ら手を加えずとも、初期固有振動数f1x,f1y及び経年固有振動数f2x,f2yを計測ないしは評価するだけで、建物の損傷状況を推定することが可能となる。
【0057】
そのため、建物の耐震診断を迅速に行うことが可能となるとともに、耐震補修や耐震補強の具体的方策についても迅速に講じることが可能となる。
【0058】
本実施形態では、初期固有振動数f1x,f1yを経年固有振動数f2x,f2yと同様、微少変形レベルでの振動による計測から求めるようにしたが、新築時に微動計測を行っていない場合には、以下の手順に従って初期固有振動数f1x,f1yを求めることができる。
【0059】
すなわち、まず、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁を想定し、かかる標準仕様壁に対し、微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の水平剛性を微動剛性として予め算出しておく。
【0060】
かかる計測作業は例えば研究室内において実物大の標準仕様壁を製作し、該標準仕様壁に対して微動計測を行えばよい。
【0061】
次に、建物を構成する壁の仕様を標準仕様壁の中から選び出して特定するとともに、特定された標準仕様壁の微動剛性を用いて各壁の微動剛性を評価する。
【0062】
次に、評価された各壁の微動剛性を建物のX,Y方向についてそれぞれ総和して該建物のX,Y方向水平剛性とする。なお、各方向に平行に配置された壁の長さが、標準仕様壁の壁長に一致しない場合には、適宜、長さの比率で微動剛性の値を換算すればよいが、通常使用されるであろう壁のバリエーション(壁要素の組み合わせや幅)ができるだけ網羅されるように標準仕様壁を想定して微動計測しておくのが望ましい。
【0063】
次に、X,Y方向水平剛性をバネとした振動系モデルとして建物をそれぞれモデル化し、モデル化された各振動系モデルをそれぞれ固有値解析して固有振動数を算出し、これらをX,Y方向における初期固有振動数f1x,f1yとすればよい。
【0064】
かかる変形例によれば、初期固有振動数f1x,f1yを新築時に計測していない場合であっても、上述した方法で初期固有振動数f1x,f1yを求めることにより、従来よりもはるかに高い精度で初期固有振動数f1x,f1yを算定することが可能となる。
【0065】
なお、振動系モデルを作成するにあたっては、標準仕様壁ごとの微動剛性のデータや建物に使用されている部材ごとの質量データをデータベースサーバー等に蓄積しておき、該データベースサーバー等から適宜読み出してモデル化を行うようにすればよい。また、建物の自由度をどのように考えるかは任意であり、二階建て建物を二質点系モデルと考えてもよいし、一質点系モデルと考えてもかまわない。但し、各モデル化に適した形で質量評価を行う必要があるとともに、二階建て建物を二質点系モデルと考える場合には、一階と二階の水平剛性をそれぞれ個別に評価する必要があることは言うまでもない。
【0066】
(第2実施形態)
【0067】
次に、第2実施形態について説明する。
【0068】
図2は、第2実施形態に係る建物の耐震診断システムを示したブロック図である。同図でわかるように、本実施形態に係る建物の耐震診断システム1は、振動計測手段である加速度計2及び微動計測器3と、所定の演算処理を行う演算処理手段としてのクライアントパソコン4と、該クライアントパソコンにLAN接続された記憶手段としてのデータベースサーバー5とから構成してある。
【0069】
加速度計2は、耐震診断の対象となる建物6を微少変形レベルで振動させたときの振動を計測することができるよう、例えば一階床、二階床及び小屋裏に設置するのがよい。なお、加速度計2は、水平面内における建物6のX,Y二方向の振動を計測できるよう、所定数を適宜配置する。
【0070】
微動計測器3は、加速度計2による計測結果からスペクトル解析を行うことによって建物6のX,Y二方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出するすることができるようになっている。
【0071】
クライアントパソコン4は、微動計測器3で算出された経年固有振動数f2x,f2yを初期固有振動数f1x,f1yで除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率としてX,Y方向ごとに算出することができるようになっている。なお、本実施形態では、初期固有振動数f1x,f1yは、建物6の新築時に既に計測してあったものとする。
【0072】
データベースサーバー5は、想定される標準仕様壁ごとの損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Eu並びに該標準仕様壁の強制加振で得られた経験変形角を、該標準仕様壁ごとにかつ強制加振の前又は後で得られた微少変形レベルにおける壁固有振動数の低下率に関連付けて記憶してある。
【0073】
そして、上述したクライアントパソコン4は、建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yを壁固有振動数の低下率に照合することによって、該建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yに対応する損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率並びに経験変形角を、建物6を構成する壁ごとにデータベースサーバー5から読み出すようになっている。
【0074】
本実施形態に係る建物の耐震診断方法においては、事前作業として、損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Eu並びに経験変形角を、壁固有振動数の低下率に関連付けた形でデータベースを作成し、これらをデータベースサーバー5に蓄積しておく。
【0075】
すなわち、まず、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁を想定し、それらの標準仕様壁を試験体として製作して弾性範囲におさまる変形レベルから破壊に至る変形レベルまでの間で複数の強制加振をそれぞれ行いながら、標準仕様壁の加速度と変位を計測することによって層せん断力と層間変形角をクライアントパソコン4で算出するとともに、各強制加振前又は後に微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の固有振動数を壁固有振動数として強制加振ごとに計測する。
【0076】
表1は、試験体として製作した標準仕様壁の例である。
【0077】
【表1】
Figure 2004027762
【0078】
同表に示した試験体は、いずれも内壁及び外壁を模した壁要素が対面配置できるよう、一対の土台を並設するとともに該土台の各端に計4本の柱を立設して該柱の頂部に一対の梁を並列に架け渡してなり、頂部に重りを載荷する関係上、一対の土台及び一対の梁の離間距離を確保するとともに対面する一対の柱にはその側方にて振れ止めを取り付けた箱状をなす箱型試験体である。ここで、表中、「筋かい」、「石膏ボード」等と記してあるが、それ自体の微動剛性を示すものではなく、いずれの試験体も、上述したように柱、梁、土台で囲まれた軸組の構面内に間柱が配置してあり、実際の建物の壁に近い状態で製作してある。
【0079】
強制加振の手順としては、まず、実地震波の振幅を10%に調整したものを入力地震動として振動台に入力し、該振動台に設置された標準仕様壁の試験体を加振した。ちなみに、加振時間は、実地震波と同じ地震継続時間とした。加振中は、加速度計により試験体の加速度を計測するとともに、レーザー変位計により試験体の変位を計測した。加振が終了した後、試験体の微動計測を行い、固有振動数の低下率を計測した。以下、基準波の振幅を20%、30%・・・・と10%ずつ上げながら、110〜130%まで、上述の加振および計測を繰り返し行った。
【0080】
強制加振及びそれに伴う計測は、建物6の耐震診断とは関係なく、例えば研究室内で実物大の標準仕様壁を試験体として多数製作し、該各標準仕様壁を振動台で強制加振することによって加速度及び変位を計測するとともに、加振前又は加振後に微少変形レベルでの固有振動数を計測すればよい。
【0081】
なお、微少変形レベルでの振動計測は、建物6の微動計測と同様、加速度計2及び微動計測器3を用いて行うことができる。
【0082】
次に、層せん断力と層間変形角を用いて標準仕様壁ごとに履歴減衰特性を評価する。履歴減衰特性は、実験で得られた履歴ループを包絡する包絡線として得ることができる。
【0083】
図3は、外壁をサイディング、内壁を石膏ボード、耐力壁を合板パネルで構成してなる標準仕様壁に対し、各強制加振中の履歴ループを包絡する包絡線を履歴減衰特性として描いたものである。すなわち、左端の包絡線は、実地震波の振幅を10%に調整して強制加振したときの履歴ループの包絡線であり、以下、20%、30%・・・・に調整して強制加振したときの履歴ループの包絡線が右側に順次描かれている。
【0084】
次に、損傷限界まで変形する際の保有エネルギー量と、安全限界まで変形する際の保有エネルギー量とを、それぞれ保有損傷限界エネルギーEy、保有安全限界エネルギーEuとして標準仕様壁ごとに上述した履歴減衰特性から評価する。
【0085】
図4は、図3で描かれている各包絡線をさらに包絡する曲線として描いたものであり、上述した標準仕様壁の履歴減衰特性をさらに一般化して示したものと言える。
【0086】
図5(a)は、保有損傷限界エネルギーEyの算定領域をハッチングで示したもの、図5(b)は、保有安全限界エネルギーEuの算定領域を同じくハッチングで示したものである。
【0087】
次に、損傷限界まで変形する際の残存エネルギー量と安全限界まで変形する際の残存エネルギー量とを残存損傷限界エネルギーEy′、残存安全限界エネルギーEu′として標準仕様壁ごとにかつ各強制加振ごとに評価する。
【0088】
つまり、保有損傷限界エネルギーEy及び保有安全限界エネルギーEuは、各標準仕様壁を破壊に至るまで強制加振したときに得られた履歴減衰特性から評価されたものであって、該標準仕様壁が変形性能あるいはエネルギー吸収能として本来的に保有しているいわば固有の指標であるのに対し、残存損傷限界エネルギーEy′及び残存安全限界エネルギーEu′は、強制加振の進行度合いに応じて変化するものであって、言い換えれば、それまでに受けた強制加振(地震荷重)の影響が反映される指標であり、過去に強制加振を受けていればいるほど、残存するエネルギー吸収能は低下し、過去に強制加振を全く受けていない場合は、上述した保有損傷限界エネルギーEy及び保有安全限界エネルギーEuにそれぞれ一致する。
【0089】
図6(a)、(b)は、それぞれ上述の標準仕様壁が実地震波と同じ振幅で強制加振された後における残存損傷限界エネルギーEy′と残存安全限界エネルギーEu′を算定する領域をハッチングで示したものである。
【0090】
次に、上述した各指標から損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Euを標準仕様壁ごとにかつ各強制加振ごとに算出する。ちなみに、上述した例の場合、Ey′/Eyは38%、Eu′/Euは90%となった。
【0091】
次に、損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率を標準仕様壁ごとに壁固有振動数の低下率に関連付ける。
【0092】
すなわち、各強制加振の前後に微少変形レベルにおける壁固有振動数を計測しているので、強制加振を未だ行わない最初の壁固有振動数を基準とした場合の比率を壁固有振動数の低下率として算出する。
【0093】
図7(a)は、上述した標準仕様壁において、損傷限界エネルギー低下率と壁固有振動数の低下率との関係を示したグラフ、同図(b)は、安全限界エネルギー低下率と壁固有振動数の低下率との関係を示したグラフである。同図から、損傷限界エネルギー低下率、安全限界エネルギー低下率とも、壁固有振動数の低下率に大きく依存しており、逆に言えば、壁固有振動数の低下率がわかれば、損傷限界エネルギー低下率や安全限界エネルギー低下率、いわば建物の劣化度を容易に知ることができることがわかる。
【0094】
同様に、層間変形角を経験変形角として標準仕様壁ごとに壁固有振動数の低下率に関連付ける。
【0095】
図8は、外壁をサイディング、内壁を石膏ボード、耐力壁を合板パネルで構成してなる上述したと同様の標準仕様壁を模して製作された実大の試験体に対して行われた強制加振試験の結果を示したグラフである。
【0096】
同図でわかるように、経験変形角が大きくなるにつれて固有振動数は徐々に低下するとともに、損傷限界エネルギー低下率は急激に低下し、安全限界エネルギー低下率は緩やかに低下していることがわかる。例えば、固有振動数が6Hzから4.6Hzになったとき(図中、A点)、損傷限界エネルギー低下率は40%、安全限界エネルギー低下率は90%に低下している。これは、上述した図7(a)、(b)でも同様に読み取ることができる。
【0097】
壁固有振動数の低下率に関連付けられた損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率並びに経験変形角については、標準仕様壁ごとにかつ各強制加振ごとにデータベース化し、データベースサーバー5に格納しておく。
【0098】
このように、壁固有振動数の低下率と損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率並びに経験変形角との関連付けをさまざまな標準仕様壁に対して行い、その結果をデータベースサーバー5に蓄積したならば、その後は、その蓄積内容を任意の建物に対する耐震診断に用いることができる。
【0099】
すなわち、まず、加速度計2及び微動計測器3で経年固有振動数f2x,f2yを計測し、かかる計測値を用いて上述した建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yを算出する。
【0100】
次に、建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1y及び標準仕様壁の種類を検索キーとしてデータベースサーバー5に記憶されたデータをクライアントパソコン4で検索することにより、建物6を構成する壁ごとに損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Eu並びに経験変形角を算出する。
【0101】
例えば、建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yが80%である場合、図7でわかるように、上述した標準仕様壁においては、損傷限界エネルギー低下率Ey′/Eyは60%、安全限界エネルギー低下率Eu′/Euは90%強と算出することができる。
【0102】
また、このように算出された結果を用いて耐震改修を行う場合、その対策の適否についても判断することができる。
【0103】
具体例としては、建物6を構成する壁ごとに算出された損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Euが建物全体としていずれも90%以上であれば、耐震性能ランクをAランクと位置づけて「安全」であると判断し、いずれかが60〜90%であれば、Bランクで「やや危険で小規模な耐震改修が必要」であると判断し、いずれかが60%未満であれば「危険で大規模な耐震改修が必要」であると判断するといった耐震改修の基準を設定することができる。
【0104】
さらに、Bランク又はCランクと判断された場合には、まず、経年固有振動数f2x,f2yと建物質量から建物の微動剛性を逆算し、次いで、所定の耐震改修を建物に講じるものとして該微動剛性を修正する。
【0105】
次に、修正された微動剛性を用いて固有値解析を行い、固有振動数を求める。
【0106】
次に、解析結果の固有振動数と初期固有振動数f1x,f1yとを比較し、解析結果の固有振動数が初期固有振動数f1x,f1yを上回っていれば、講じられた耐震改修は適切であると判断できる。
【0107】
一方、解析結果の固有振動数が初期固有振動数f1x,f1yを下回っていれば、講じられた耐震改修が不適切であるとして、耐震改修のやり方を見直し、次いで、見直された状態で微動剛性を再度修正する。
【0108】
以下、解析結果の固有振動数が初期固有振動数f1x,f1yを上回るまで、耐震改修の見直しを繰り返し行う。
【0109】
以上説明したように、本実施形態に係る建物の耐震診断方法及びシステムによれば、建物に何ら手を加えずとも、初期固有振動数f1x,f1y及び経年固有振動数f2x,f2yを計測ないしは評価するだけで、建物の損傷状況を推定することが可能となるのみならず、該建物の損傷状況を建物の壁が履歴減衰として保有しているエネルギー吸収能の劣化度という観点で定量的に評価するようにしたので、建物の損傷状況をより適切にしかも目視できない部分も含めて把握することが可能となる。
【0110】
なお、本実施形態に係る建物の耐震診断方法を耐震改修の前後に適用することにより、該耐震改修の効果判定にも利用することができる。
【0111】
本実施形態では、壁固有振動数の低下率を、損傷限界エネルギー低下率、安全限界エネルギー低下率及び経験変形角のすべてに関連付けるようにしたが、必ずしもかかる3つの指標すべてに関連付ける必要はなく、いずれか一つだけでも関連付けがあれば、建物の耐震診断を行うことは可能である。
【0112】
例えば、壁固有振動数の低下率を経験変形角だけに関連付けてデータベースサーバー5に記憶させておいてもよい。
【0113】
かかる構成においては、建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1y及び標準仕様壁の種類を検索キーとしてデータベースサーバー5に記憶されたデータをクライアントパソコン4で検索することにより、建物6を構成する壁ごとに経験変形角を算出することとなる。
【0114】
かかる場合においても、履歴減衰に基づく保有エネルギーの劣化を定量的に把握することはできないものの、建物内に配置された壁が過去にどれだけ地震を受けて履歴減衰特性が変化しているかについては、経験変形角から定性的に把握することは可能であり、かかる把握に基づいて所定の耐震診断及び耐震改修を行うことができる。
【0115】
なお、かかる構成の場合には、損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率を評価する必要はないし、その評価の前提となる全てのステップ、すなわち、層せん断力を用いた履歴減衰特性の評価、該履歴減衰特性を用いた保有損傷限界エネルギーEyや保有安全限界エネルギーEuの評価を省略することができることは言うまでもない。
【0116】
また、本実施形態では、初期固有振動数f1x,f1yを、建物6の新築時に経年固有振動数f2x,f2yと同様、微少変形レベルでの振動による計測から求めるようにしたが、新築時に微動計測を行っていない場合には、以下の手順に従って初期固有振動数f1x,f1yを求めることができる。
【0117】
すなわち、まず、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁を想定し、かかる標準仕様壁に対し、微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の水平剛性を微動剛性として予め算出しておく。
【0118】
かかる計測作業は例えば研究室内において実物大の標準仕様壁を製作し、該標準仕様壁に対して微動計測を行えばよい。
【0119】
また、算出された標準仕様壁ごとの微動剛性については建物に使用されている部材ごとの質量データとともに、データベースサーバー5に蓄積しておくのが望ましい。このようにすれば、剛性データ及び質量データをクライアントパソコン4で適宜読み出して振動系モデルを容易に作成することが可能となる。
【0120】
次に、建物を構成する壁の仕様を標準仕様壁の中から選び出して特定するとともに、特定された標準仕様壁の微動剛性を用いて各壁の微動剛性を評価する。
【0121】
次に、評価された各壁の微動剛性を建物のX,Y方向についてそれぞれ総和して該建物のX,Y方向水平剛性とする。なお、各方向に平行に配置された壁の長さが、標準仕様壁の壁長に一致しない場合には、適宜、長さの比率で微動剛性の値を換算すればよいが、通常使用されるであろう壁のバリエーション(壁要素の組み合わせや幅)ができるだけ網羅されるように標準仕様壁を想定して微動計測しておくのが望ましい。
【0122】
次に、X,Y方向水平剛性をバネとした振動系モデルとして建物をそれぞれモデル化し、モデル化された各振動系モデルをそれぞれ固有値解析して固有振動数を算出し、これらをX,Y方向における初期固有振動数f1x,f1yとすればよい。
【0123】
かかる変形例によれば、初期固有振動数f1x,f1yを新築時に計測していない場合であっても、上述した方法で初期固有振動数f1x,f1yを求めることにより、従来よりもはるかに高い精度で初期固有振動数f1x,f1yを算定することが可能となる。
【0124】
なお、建物の自由度をどのように考えるかは任意であり、二階建て建物を二質点系モデルと考えてもよいし、一質点系モデルと考えてもかまわない。但し、各モデル化に適した形で質量評価を行う必要があるとともに、二階建て建物を二質点系モデルと考える場合には、一階と二階の水平剛性をそれぞれ個別に評価する必要があることは言うまでもない。
【0125】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る建物の耐震診断方法及びシステムによれば、建物に何ら手を加えずとも、初期固有振動数f1x,f1y及び経年固有振動数f2x,f2yを計測ないしは評価するだけで、建物の損傷状況を推定することが可能となるのみならず、該建物の損傷状況を建物の壁が履歴減衰として保有しているエネルギー吸収能の劣化度という観点で定量的に評価するようにしたので、建物の損傷状況をより適切にしかも目視できない部分も含めて把握することが可能となる。
【0126】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る建物の耐震診断方法のフローチャート。
【図2】第2実施形態に係る建物の耐震診断システムの概略図。
【図3】標準仕様壁を強制加振した場合における各加振ごとの履歴ループの包絡線を示したグラフ。
【図4】図3の包絡線をさらに全体的に包絡する包絡線を示したグラフ。
【図5】保有損傷限界エネルギーEy及び保有安全限界エネルギーEuを算定した領域を示したグラフ。
【図6】残存損傷限界エネルギーEy′及び残存安全限界エネルギーEu′を算定した領域を示したグラフ。
【図7】損傷限界エネルギー低下率と壁固有振動数の低下率との関係、及び安全限界エネルギー低下率と壁固有振動数の低下率との関係を示したグラフ。
【図8】強制加振試験の結果を示したグラフ。
【符号の説明】
1             建物の耐震診断システム
2             加速度計(振動計測手段)
3             微動計測器(振動計測手段)
4             クライアントパソコン(演算処理手段)
5             データベースサーバー(記憶手段)

Claims (7)

  1. 耐震診断の対象となる建物を微少変形レベルで振動させ、その振動を計測することで該建物のX,Y方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出する一方、前記建物が健全な状態にあるときのX,Y方向における固有振動数を初期固有振動数f1x,f1yとしてそれぞれ評価し、前記経年固有振動数f2x,f2yを前記初期固有振動数f1x,f1yで除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率として前記各方向ごとに算出し、該建物固有振動数低下率から前記建物の損傷状況を前記各方向ごとにそれぞれ推定することを特徴とする建物の耐震診断方法。
  2. 石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁に対し、弾性範囲におさまる変形レベルから破壊に至る変形レベルまでの間で複数の強制加振をそれぞれ行いながら前記標準仕様壁の加速度と変位を計測することによって層せん断力と層間変形角を算出するとともに、前記各強制加振前又は後に微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の固有振動数を壁固有振動数として前記強制加振ごとに計測し、前記層せん断力と前記層間変形角を用いて前記標準仕様壁ごとに履歴減衰特性を評価するとともに、損傷が生じる限界の変形レベルとして定義された損傷限界まで変形する際の保有エネルギー量と倒壊が生じる限界の変形レベルとして定義された安全限界まで変形する際の保有エネルギー量とを保有損傷限界エネルギーEy、保有安全限界エネルギーEuとして前記標準仕様壁ごとに前記履歴減衰特性から評価し、前記損傷限界まで変形する際の残存エネルギー量と前記安全限界まで変形する際の残存エネルギー量とを残存損傷限界エネルギーEy′、残存安全限界エネルギーEu′として前記標準仕様壁ごとにかつ前記各強制加振ごとに前記履歴減衰特性を用いて評価し、Ey′/Ey及びEu′/Euを損傷限界エネルギー低下率、安全限界エネルギー低下率として前記標準仕様壁ごとにかつ前記各強制加振ごとに算出し、該損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率を前記標準仕様壁ごとに前記壁固有振動数の低下率に関連付けするとともに前記層間変形角を経験変形角として前記標準仕様壁ごとに前記壁固有振動数の低下率に関連付けし、前記建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yを該関連付けに照合することによって前記建物を構成する壁ごとに損傷限界エネルギー低下率、安全限界エネルギー低下率及び経験変形角の少なくともいずれかを算出する請求項1記載の建物の耐震診断方法。
  3. 前記初期固有振動数f1x,f1yを微少変形レベルでの振動を計測することによって評価する請求項1又は請求項2記載の建物の耐震診断方法。
  4. 常時微動による前記建物の振動を前記微少変形レベルでの振動とする請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の建物の耐震診断方法。
  5. 人力加振による前記建物の振動を前記微少変形レベルでの振動とする請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の建物の耐震診断方法。
  6. 石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁に対し、微少変形レベルでの振動を計測することによって該標準仕様壁の水平剛性を微動剛性として予め算出する一方、前記建物を構成する壁の仕様を前記標準仕様壁の中から特定するとともに特定された標準仕様壁の微動剛性を用いて前記各壁の微動剛性を評価し、評価された前記各壁の微動剛性を前記建物のX,Y方向についてそれぞれ総和して前記建物のX,Y方向水平剛性とし、該X,Y方向水平剛性をバネとした振動系モデルとして前記建物をそれぞれモデル化し、モデル化された各振動系モデルをそれぞれ固有値解析して固有振動数を算出し、これらをX,Y方向における前記初期固有振動数f1x,f1yとした請求項1又は請求項2記載の建物の耐震診断方法。
  7. 耐震診断の対象となる建物を微少変形レベルで振動させたときの振動を計測するとともに該計測結果から前記建物のX,Y方向における固有振動数を経年固有振動数f2x,f2yとしてそれぞれ算出する振動計測手段と、前記建物が健全な状態にあるときのX,Y方向における固有振動数である初期固有振動数f1x,f1yで前記経年固有振動数f2x,f2yを除した値f2x/f1x,f2y/f1yを建物固有振動数低下率として前記各方向ごとに算出する演算処理手段と、石膏ボード、耐力用合板、筋かい、モルタル、サイディング、間柱、軸組その他壁を構成する壁要素を任意に組み合わせてなる複数の標準仕様壁に対し、弾性範囲におさまる変形レベルから破壊に至る変形レベルまでの間で複数の強制加振をそれぞれ行うことで該標準仕様壁ごとに得られた履歴減衰特性を用いて、損傷が生じる限界の変形レベルとして定義された損傷限界まで変形する際の保有エネルギー量と倒壊が生じる限界の変形レベルとして定義された安全限界まで変形する際の保有エネルギー量とを保有損傷限界エネルギーEy、保有安全限界エネルギーEuとして前記標準仕様壁ごとに評価するとともに、前記損傷限界まで変形する際の残存エネルギー量と前記安全限界まで変形する際の残存エネルギー量とを、残存損傷限界エネルギーEy′、残存安全限界エネルギーEu′として前記標準仕様壁ごとにかつ前記各強制加振ごとに前記履歴減衰特性を用いて評価し、これらから算出される損傷限界エネルギー低下率Ey′/Ey及び安全限界エネルギー低下率Eu′/Eu並びに前記強制加振で得られた層間変形角を経験変形角として前記標準仕様壁ごとにかつ前記強制加振の前又は後で得られた微少変形レベルにおける壁固有振動数の低下率に関連付けて記憶されてなる記憶手段とを備え、前記演算処理手段は、前記建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yを前記壁固有振動数の低下率に照合することによって、該建物固有振動数低下率f2x/f1x,f2y/f1yに対応する損傷限界エネルギー低下率及び安全限界エネルギー低下率並びに経験変形角を前記建物を構成する壁ごとに前記記憶手段から読み出すようになっていることを特徴とする建物の耐震診断システム。
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