JP2004026528A - 生体高分子の結晶育成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、生体高分子の単結晶を効率的に作製することができる装置および方法を提供することを課題とする。
【解決手段】結晶化させるべき目的の生体高分子の溶液中濃度および結晶化剤の溶液中濃度を連続的に変化させることにより、溶解度曲線を含む結晶相図を作成し、その結晶相図に基づいて結晶化の最適条件を探索し、結晶を効率的に育成できる方法を見いだし、あわせてその方法を実施することができる装置を作製することにより、上述した課題を解決できることを明らかにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質、核酸などの生体高分子の結晶を、効率的に作製する装置に関する。本発明はまた、タンパク質、核酸などの生体高分子の溶液中濃度および結晶化剤濃度をリアルタイムに調節して、当該生体高分子の結晶相図を作成し、あわせてその結晶相図に基づいて、当該生体高分子溶液の過飽和領域と準安定領域との間を移行させて、結晶の核形成および結晶の成長を行わせる、生体高分子の結晶を作製するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒトゲノム解読に引き続き、全てのタンパク質の構造ファミリーの立体構造(約1万種類)を5年間で決める国際プロジェクトが始まり、日本はそのうちの3000種類を主としてX線、NMRにより決める、いわゆるタンパク質3000プロジェクトがスタートした。X線結晶構造解析でそのうちのいくつを決定するのか定かでないが、2000種類以上にはなるだろうと考えられる。
【0003】
X線結晶構造解析では、結晶構造解析を行うための単結晶が必須であり、その単結晶を作製することがこの分野のボトルネックとなっていた。
従来から利用されている単結晶作製のための一般的な方法は、蒸気拡散法である。この方法は、その結晶化させる分子の相図中の未飽和領域にある溶液の水分を蒸発させることにより、結晶化させる分子の濃度および結晶化剤の濃度を増加させ、溶液の状態を相図中の過飽和領域に移行させることにより、結晶成長を開始させ、そして育成していた。この方法では、結晶化させる分子の濃度および結晶化剤の濃度を人為的に調節するわけではないので、ある分子について結晶構造解析を行うための単結晶を作製するために、非常に多数の条件でその分子の溶液を作製し、そのそれぞれについて結晶化を行わせなければならなかった。
【0004】
また、この方法では、溶液が蒸発するにつれて、結晶化させる分子の濃度および結晶化剤の濃度はともに増加する方向にしか変化しないため、結晶の核を形成するためにいったん過飽和領域に移行してしまうと、結晶成長のためにより好ましい条件を与える準安定領域にその溶液の条件を移行させることは困難であった。
【0005】
これらの問題点が存在したため、蒸気拡散法により単結晶を作製するためには、時間的、経済的に非常に無駄が多く存在していた。
蒸気拡散法において従来から存在していた上述した問題を解決するため、ロボットによるハイスループット結晶育成法なるものも考案された(WO 01/92293;Wilding P. and Kricka L.J., TIBTECH, 17, 465−468 (1999))。しかしながら、これは、蒸気拡散法において従来から人間が行ってきたタンパク質溶液の取り扱いを、単に機械化しただけであり、新しい結晶育成手法を提供するわけではないので、この結晶育成法によっても、上述した問題は、未だ解決されていないのが現状である。
【0006】
そして、現在においても、分解能が1Å近傍となることを目指した高分解能構造解析や中性子回折法で水素原子や水和構造を決定して、生理機能を原子レベルで解明するのが、構造生物学の基本であることに変わりはなく、そこでは良質な単結晶や1 mm以上の大きさの単結晶が必要となる。
【0007】
かかる現在要求されている単結晶のレベルからして、従来のような機械的な試行錯誤の繰り返しだけで要求されているレベルの単結晶を得ることは困難であり、より要求されているレベルの単結晶を得ることができる生体高分子の結晶の製造方法や製造装置の開発が要望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、生体高分子の単結晶を効率的に作製することができる装置および方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、合理的な結晶育成技術の開発を鋭意続けてきた。その結果、結晶化させるべき目的の生体高分子の溶液中濃度および結晶化剤の溶液中濃度を連続的に変化させることにより、溶解度曲線を含む結晶相図を作成し、その結晶相図に基づいて結晶化の最適条件を探索し、結晶を効率的に育成できる方法を見いだし、あわせてその方法を実施することができる装置を作製することにより、本発明を完成するに至った。
【0010】
より具体的には、本発明は、生体高分子を結晶化剤により結晶化させて生体高分子の結晶を得る生体高分子の結晶育成装置であって、
(i) 結晶化させるべき生体高分子を含む第一液を収容するための第一室;
(ii) 結晶化剤を含む第二液を収容するための第二室;
(iii) 前記第一液中の生体高分子濃度および前記第二液中の結晶化剤濃度を調節する濃度調節手段;および
(iv) 前記第一室中の第一液内における前記生体高分子の結晶成長を、連続的に検出するための検出手段;
を具備する、生体高分子の結晶育成装置(以下、単に「結晶育成装置」という場合には、この装置を指す)を提供することにより、上述した課題を解決する。
【0011】
このように構成された本発明の結晶育成装置は、第一室に結晶化させるべき生体高分子を含む第一液を収容し、該第一液中で連続的に生体高分子の結晶の形成・成長をモニターしながら、効率的に生体高分子の結晶を育成するための装置である。
【0012】
また、本発明の結晶育成装置は、前記濃度調節手段が、前記第一室と前記第二室との境界に設けられ、前記第一液と前記第二液とを溶液連通させる透析手段を備えることができる。
【0013】
前記透析手段は、第一液中の生体高分子は透過させないが、第二液中の結晶化剤や第一液および第二液に用いられている溶媒は透過させることができる、半透性を有した半透膜により形成されていることが好ましい。
【0014】
この際用いることができる半透膜としては、たとえば生体高分子と結晶化剤および溶媒との選別を、分子量などの指標に基づいて行うことができる半透膜、具体的には、マイクロコン(Millipore Corporation, MA, USA)、Molecular/Por(Spectrum Laboratories, CA, USA)、等を挙げることができる。
【0015】
また、本発明においては、分子量により生体高分子と結晶化剤および溶媒との選別を行うことが好ましい。分子量により生体高分子と結晶化剤および溶媒との選別を行う場合の半透膜の孔サイズは、結晶化させるべき生体高分子の分子量と結晶化剤の分子量との関係から、当業者が容易に決定することができる。
【0016】
このような性質の透析手段を、濃度調節手段として備えることにより、第一液中に含まれる生体高分子は、第一液から第二液中へは拡散することができず、一方、第二液中に含まれる結晶化剤および第一液および第二液中の溶媒は、自由に第一液と第二液とを相互に拡散できる。このように、第一液中の溶媒量を変化させることにより、第一液中の生体高分子濃度を適宜調節できるとともに、第二液中の結晶化剤を第一液中に移動させたり、第一および第二液中の溶媒を相互に移動させることで第二液中の結晶化剤濃度を変えることができる。
【0017】
また、本発明においては、第一液と第二液とは、第一室と第二室の境界に設けられた透析手段においてのみ、両液の連通が行われ、上記透析手段以外では一切の溶液の連通は行われないのが好ましい。本発明において「溶液」という場合、溶質が溶媒中に溶解した液体のことをいい、液体中に沈殿が生じている場合には、その沈殿を除く部分のことをいう。
【0018】
上述した透析手段の特性に基づくと、第一液に対してかかる圧力を上昇させることにより、第一液中の溶媒や結晶化剤が第二液に拡散して第一液の体積が減少し、結果的に第一液中の生体高分子の濃度を上昇させることができる。逆に、第一液にかかる圧力を低下させることにより、第二液中の溶媒や結晶化剤が第一液中に流入して第一液の体積が増加し、結果的に第一液中の生体高分子の濃度を低下させることができる。
【0019】
したがって、本発明においては、前記濃度調節手段の構成要素として、第一液に対してかかる圧力を調節してその体積を変化させ、結果として第一液中の生体高分子の濃度を調節するため、第一室に圧力調節手段を設けるのが好ましい。これにより、第一液中の生体高分子の濃度を自由に変化させることができる。該圧力調節手段としては、たとえば可動制御を行うことができるシリンジ、ジャバラ、などがあげられるが、これらのものには限定されない。本発明においては、可動制御を行うことができるシリンジを使用することが好ましい。
【0020】
また、第二液中の結晶化剤の濃度を上昇させればそれに伴って第一液中の結晶化剤の濃度も上昇させることができ、一方第二液中の結晶化剤の濃度を低下させればそれに伴って第一液中の結晶化剤の濃度も低下させることができる。
【0021】
したがって、本発明においては、前記濃度調節手段の構成要素として、第二液中の結晶化剤の濃度を調節するため、第二室に、第二室中に結晶化剤を投入しおよび第二室から結晶化剤を排出させる、結晶化剤投入排出手段を設けるのが好ましい。これにより、上述した第一液と第二液の境界部に存在する透析手段を介して、結果として第一液中に所望量の結晶化剤を適宜供給または排出することができる。該結晶化剤投入排出手段は、第二室内の第二液を、より結晶化剤の濃度が高い溶液に置換するか、またはより結晶化剤の濃度が低い溶液に置換することができる手段等であればよく、たとえば、第二液に対して溶液を添加したり除去したりすることができる1または複数のポンプ、などを使用することができる。本発明においては、第二液に対して溶液を添加したり除去したりすることができる1または複数のポンプを使用することが好ましい。この際用いるポンプとしては、具体的には、液体クロマトグラフィー用送液ポンプなどが用いられる。
【0022】
このように、本発明においては、前記濃度調節手段を使用することにより、第一液中の生体高分子の濃度のみを増加または減少させることができ、もしくは第一液および第二液中の結晶化剤の濃度のみを増加または減少させることができ、または第一液中の生体高分子の濃度および第一液および第二液中の結晶化剤の濃度を同時に独立的に増加または減少させることもできる。
【0023】
また、本発明において用いられる前記第一液および前記第二液は、それぞれ、第一室中に存在する液および第二室中に存在する液を便宜的に称したものであり、両者共に結晶育成の段階において組成が変化しうるものであるが、初期状態の第一液および第二液の組成について説明する。
【0024】
初期状態の第一液は、溶媒と生体高分子とを主成分とし、この他に必要に応じて、添加剤等が包含されていてもよい。結晶化させる生体高分子の濃度は、その生体高分子によって、当業者により適宜変更される。
【0025】
初期状態の第二液は、溶媒と結晶化剤とを主成分とし、この他に必要に応じて、添加剤等が包含されていてもよい。結晶化剤は、結晶化させる生体高分子の種類に応じて当業者により適宜選択されるものであり、その使用される結晶化剤に応じて、その濃度を、当業者であれば適宜変更することができる。
【0026】
本発明において結晶化させるべき生体高分子には、タンパク質および核酸が含まれるが、その他の物質であっても結晶化させることを目的とする生体高分子もまた含まれうる。
【0027】
本発明において使用する結晶化剤としては、核酸を結晶化させる場合には、たとえば、硫酸アンモニウム((NHSO)、リン酸カリウム(KPO)、リン酸ナトリウム(NaPO)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化ニッケル(NiCl)などの無機塩類、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ジオキサン、ブタノール等の有機溶媒、ポリエチレングリコール、などを使用することができ、タンパク質を結晶化させる場合には、たとえば、硫酸アンモニウム((NHSO)、塩化ナトリウム(NaCl)などを使用することができるが、これらには限定されない。
【0028】
また、第一液および第二液に用いられる溶媒として、同一のものを使用する。具体的には、水等が挙げられる。
本発明の結晶育成装置において用いられる前記検出手段は、第一液中で育成される生体高分子の結晶成長を連続的にモニターするためのものである。本発明において「連続的に」という場合、必ずしも常時モニターすることまでは要求されず、たとえば1日間隔以下の間隔で、より好ましくは12時間間隔以下の間隔で、最も好ましくは1時間間隔以下の間隔で、定期的にモニターするこという。
【0029】
本発明の結晶育成装置においては、前記検出手段として、視覚的な検出手段であって、前記第一室に、該第一室を光が透過して該第一室内の結晶成長を視覚的に検出可能なように設けられた光透過窓を備えるのが好ましい。なお、前記検出手段は視覚的なものに制限されず、動的光散乱など、分光学的な検出手段であってもよい。
【0030】
また、一般的に、溶液中の結晶は透明であることが多く、単に透過光を視覚的にモニターしようとしても、その実体を十分に検出することができない場合が多い。しかし、前記偏光フィルターを使用することにより、溶液中の結晶を位相差画像としてモニターすることが可能になる。したがって、前記検出手段が視覚的な検出手段である場合、前記光透過窓への光路上に偏光フィルターを具備することが好ましい。
【0031】
さらには、前記検出手段は、さらに、光源および光源から発せられた光を検出する検出装置を具備し、前記偏光フィルターが、前記光透過窓に光が照射される前に光源からの光を偏光する第一偏光フィルターと、前記光透過窓から第一室外部に向けて透過された光源からの光偏光する第二偏光フィルターとからなり、前記検出手段は、前記光源から照射された光を、前記第一偏光フィルターを通過させた後に前記第一室の前記光透過窓に入射し、該第一室を透過して該光透過窓から出射される出射光をさらに第二偏光フィルターを通過させた後に検出することができるように形成されているのが好ましい。
【0032】
本発明の検出手段は、視覚的に生体高分子の結晶成長をモニターするためには、検出装置として写真、ビデオなどの記録装置、光学顕微鏡などの観察装置、などを検出装置として使用することができる。連続的にモニターすることができ、記録が容易であることなどの条件を考慮すると、本発明においては、検出装置として、CCDを使用した写真、ビデオなどの記録装置、光学顕微鏡などの観察装置を使用することが好ましい。
【0033】
また、本発明の結晶育成装置においては、第一液および第二液の温度を所望の温度に維持し、結晶の育成条件を一定に調節するため、装置全体の温度制御手段をさらに含んでもよい。この際、第一液および第二液の温度は、4〜30℃とするのが好ましく、6〜22℃とするのがさらに好ましく、18〜20℃とするのが最も好ましい。
【0034】
次に、生体高分子の結晶製造方法について説明する。
本発明は、前記生体高分子の結晶育成装置を用いた生体高分子の結晶製造方法であって、前記検出手段により生体高分子の結晶成長を、経時的に検出して、結晶化剤の濃度、生体高分子の濃度および育成された生体高分子の結晶間の相関関係を求め、グラフ化して基本となる結晶相図を作成し、得られた結晶相図に基づいて、最適な結晶化条件で生体高分子の結晶育成を行うことを特徴とする生体高分子の結晶製造方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【0035】
本発明において相図という場合、固相と液相からなる二相系において出現するそれぞれの相が、熱力学的に平衡にある領域を示す図のことを意味し、溶解度曲線により固相領域と液相領域とに分けられる。一般的に相図中の相安定領域は、温度、濃度、圧力などから選択される2種の変数の関数として表される。たとえば本発明の場合には、結晶化させるべき生体高分子の濃度および結晶化剤の濃度を2種の変数とする。
【0036】
本発明のような固相と液相とからなる二相系においては、溶解度曲線を境界として、単に固相領域と液相領域とが存在しているわけではなく、固相領域にさらに、結晶の核が形成されかつ結晶が成長することができる「過飽和領域」と、結晶の成長は行われるが結晶の核は形成されない「準安定領域」とが存在する。すなわち、「過飽和領域」においては、結晶の核が相次いで形成されるため、「過飽和領域」が長く維持されてしまうと必然的に形成される結晶の数は多くなりかつ結晶の大きさが小さくなる。一方、「過飽和領域」で所望の数の結晶核を形成した後「準安定領域」へと移行すれば結晶の数を所望の数にコントロールしかつ結晶の大きさも所望の大きさとすることができる。
【0037】
そして、本発明の製造方法のように、本発明の生体高分子の結晶育成装置を用いると、上述したように結晶化させるべき生体高分子の濃度および結晶化剤の濃度を、自由にかつ独立に、増加または減少させることができるため、第一室内を「過飽和領域」にしたり「準安定領域」にすることを自在にコントロールすることができる。このため、従来はどのような条件のもとで相転位するかについては、様々な条件のもとで多数の実験を行い、実際に結晶が形成される条件を見つけだしていかなければならなかったのに対して、本発明の方法によれば、1回の結晶化を行うだけで、溶解度曲線を得て相図を描くことができるだけでなく、上述した過飽和領域と準安定領域とを決定することもできる。すなわち、本発明の生体高分子の結晶育成装置は、結晶の育成を行うことができるだけでなく、同時に結晶相図を作成することもできるものである。
【0038】
また、本発明は、上述したように結晶化させるべき生体高分子の濃度および結晶化剤の濃度を、自由にかつ独立に、増加または減少させることができるため、結晶化させる生体高分子の濃度と結晶化剤の濃度とを連続的に変化させることにより、当該生体高分子の結晶化に最適な条件下で当該生体高分子の結晶を育成するための方法であって、以下の工程:
(a) 生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を上昇させることにより、当該生体高分子を含有する溶液を、その生体高分子の相図中の過飽和領域に移行させて、結晶の核形成を行わせること;および
(b) その後、生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を調節することにより、当該生体高分子を含有する溶液を、その生体高分子の相図中の準安定領域に移行させて、工程(a)において形成させた結晶の核を成長させること;
を含む、生体高分子の結晶を育成するための前記方法を提供することにより、上述した課題を解決することもできる。
【0039】
本発明において「濃度を調節する」とは、濃度を上昇させる場合および低下させる場合のいずれの場合も含むことを意味する。したがって、工程(b)においては、生体高分子の濃度および結晶化剤の濃度ともに、自由にかつ独立に、場合によっては上昇させることもあり、別の場合には低下させる場合もあり得る。前記工程(a)および(b)を適宜行うことにより、「過飽和領域」で所望の数の結晶核を形成した後「準安定領域」へと移行して結晶の数を所望の数にコントロールしかつ結晶の大きさも所望の大きさとすることができる。
【0040】
本発明の一態様において、上述した工程(a)と工程(b)との間に、以下の工程(c):
(c) 結晶の核を1個のみ選抜すること;
をさらに含んでもよい。
【0041】
工程(a)において溶液を過飽和領域に移行させ、そこで形成された結晶の核が複数存在する場合、それら複数の結晶の核のうち、最も大型の1個のみを選抜することにより、より効率的に結晶を育成することができ、かつ、試料中の限られた量の生体高分子を、一つの結晶を育成するために集中的に使用することができる。
【0042】
本発明において溶液中に形成された複数の結晶核のうち1個のみを選抜する方法としては、生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を調節して溶液を未飽和領域に移行させ、溶液中の結晶の核が1個のみになるまで他の結晶核を溶解させる方法、物理的に1個の結晶核のみを残して他の結晶核を全て取り除く方法、結晶核を1つだけ隔離する方法、などの方法があげられる。本発明においては、生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を調節して溶液を未飽和領域に移行させ、溶液中の結晶の核が1個のみになるまで他の結晶核を溶解させる方法を使用することが好ましい。この方法においては、一般的には溶液中に存在していた複数の結晶核のうち、最も大型のものが溶解しきらずに残存することになるので、この残存した結晶核のみを含む溶液を再び準安定領域に移行させて、再び結晶の育成を進行させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい一実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0044】
ここで、図1は、本発明の生体高分子の結晶育成装置の好ましい一実施形態を示す模式図である。
図1に示す本実施形態の結晶育成装置1は、生体高分子を結晶化剤により結晶化させて生体高分子の結晶を得る生体高分子の結晶育成装置であって、結晶化させるべき生体高分子を含む第一液を収容するための第一室10;結晶化剤を含む第二液を収容するための第二室20;第一液中の生体高分子濃度および前記第二液中の結晶化剤濃度を調節する濃度調節手段30;および第一室中の第一液内における生体高分子の結晶成長を、連続的に検出するための検出手段40;を具備する。
【0045】
さらに詳細に説明すると、濃度調節手段30は、第一室10と第二室20との境界に設けられ、第一液と第二液とを溶液連通させる透析手段としての透析膜32を備える。本実施形態において、透析膜32は、上述した半透膜からなる。
【0046】
ここで、第一室10は、円筒形状であり、その一端に透析膜32が設けられている。第一室の他端側には、第一室10内部を加圧・減圧することにより、第一室10内部の第一液中の溶媒などを第一室10から第二室20側に拡散させたり逆に第二室20から第一室10に引き込んだりして、第一液中の生体高分子濃度を調節する濃度調節手段30を構成するシリンジ31が設けられている。シリンジ31の細部の構成については特に図示しないが、第一室10の内壁に密着し第一液が外部に漏出しないように構成されている。
【0047】
また、第二室20は、中央部に凹部があり、全体として断面形状がI字状となされた、中空の円柱であり、その先端側と後端側とにそれぞれ投入口33aおよび排出口33bとが設けられている。投入口33aおよび排出口33bは、いずれも第二液を構成する溶媒や結晶化剤を第二室内に投入または排出するためのものであり、これらも濃度調節手段30を構成する。すなわち、本実施形態において、濃度調節手段30は、シリンジ31、透析膜32、投入口33aおよび排出口33bからなる。第二室20の凹部21は、その内径がほぼ第一室の径よりも若干大きくなるように形成されている。
【0048】
検出手段40は、視覚的な検出手段であり、第一室10に、第一室10を光が透過して第一室10内の結晶成長を視覚的に検出可能なように設けられた光透過窓41を備える。本実施形態においては、第一室10の周壁は、全て光透過性の部材、具体的には、透明コルツからなっており、第一室10の周壁全体が光透過窓41となっている。また、第二室20の凹部分21も光透過性の材料、具体的には透明コルツからなっている。すなわち、第二室20にも光透過窓41’が設けられている。
【0049】
また、本実施形態において検出手段40は、光透過窓41、41’への光路上に偏光フィルターを具備し、さらに、光源43および光源43から発せられた光を検出する検出装置44を具備し、偏光フィルターが、光透過窓41、41’に光が照射される前に光源43からの光を偏光する第一偏光フィルター42aと、光透過窓41、41’から第一室10外部に向けて透過された光源43からの光を偏光する第二偏光フィルター42bとからなる。そして、検出手段40は、光源43から照射された光を、第一偏光フィルター42aを通過させた後に第一室10の光透過窓41に入射し、第一室10を透過して光透過窓41から出射される出射光をさらに第二偏光フィルター42bを通過させた後に検出することができるように形成されている。本実施形態においては、第一および第二偏光フィルター42a、42bは、それぞれ第二室20の外壁に設けられている。
【0050】
また、本実施形態においては、第二偏光フィルター42bを通過した光を検出装置としてのCCDカメラ45に導入するためのミラー44が設けられている。
また、本実施形態においては、装置全体の温度制御手段として、ヒーターおよび保温外装が設けられている(図示せず)。本実施形態においては、この温度制御手段により、第一液および第二液の温度は、6〜22℃に制御されている。
【0051】
上述した生体高分子の結晶育成装置を用いることにより、前記検出手段により生体高分子の結晶成長を、経時的に検出して、結晶化剤の濃度、生体高分子の濃度および育成された生体高分子の結晶管の相関関係を求め、グラフ化して基本となる結晶相図を作成し、得られた結晶相図に基づいて、最適な結晶化条件で生体高分子の結晶育成を行うができる。
【0052】
この際、工程(a)生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を上昇させることにより、当該生体高分子を含有する溶液を、その生体高分子の相図中の過飽和領域に移行させて、結晶の核形成を行わせること;および工程(b)その後、生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を調節することにより、当該生体高分子を含有する溶液を、その生体高分子の相図中の準安定領域に移行させて、工程(a)において作製した結晶の核を成長させること;を行うことにより、所望の大きさの生体高分子の結晶を、効率良く得ることができる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、同一の口径を有する2個の円筒状容器を、内部に収容される液体が漏出しないようにして、両円筒状容器間に半透膜を設けた状態で連結する。その円筒状容器の一方を第一室として、他方を第二室として使用する。第一室には第一液を収容した後に、上述したようなシリンジを設け、一方、第二室には投入口および排出口を設け、また第二液を収容する。この場合、視覚的な検出手段は上述したような検出手段と同様の構成を有しており、ただし第一室のみに光透過窓が存在すればよく、第二室には光透過窓は不要である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
実施例 :結晶化剤濃度の変化と結晶形成
緩衝溶液(50 mM酢酸ナトリウム/酢酸、pH 4.7)中、59.0 mg/mlのニワトリ卵白リゾチームを結晶化させる生体高分子として、緩衝溶液(50 mM酢酸ナトリウム/酢酸、pH 4.7)中の塩化ナトリウムを結晶化剤として使用して、22℃の恒温インキュベーター中にてニワトリ卵白リゾチームの結晶化を行った。透析膜としては、Spectra/Por MWCO=3500(Spectrum Laboratories, CA, USA)を使用した。第一室として、マイクロ透析用ボタン(10μL用)(Hampton Research, CA,USA)を使用し、第二室としてスクリュー管ビン(50 mL用)を使用した。
【0056】
この実施例においては、溶液中ニワトリ卵白リゾチーム濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウムの濃度のみを、初期状態である0%から1%に上昇させて26時間静置した後、結晶化剤である塩化ナトリウムを3%にして、19時間静置した。その後、塩化ナトリウムの濃度を1%に戻し、20時間静置した。この塩化ナトリウム濃度の変化を、図2および図3の相図中に示す。第一液および第二液の温度は、インキュベーター(MIR153;三洋電機株式会社)を使用して、調節した。
【0057】
塩化ナトリウム濃度を変化させながら、溶液中に形成されるニワトリ卵白リゾチームの結晶状態を顕微鏡(SZX;オリンパス光学工業株式会社、東京)、CCDカメラ(KP−C251;日立電子Ltd.)、コンピュータ(Macintosh Power PC 7600;Apple Computer Inc., CA, USA)を使用して観察した。その結果、結晶化剤の濃度を増加させることにより結晶が形成され(図4)、一方、結晶化剤の濃度を低下させることによりその結晶が再び溶液中に溶解した(図5)。
【0058】
実施例 :結晶化剤濃度および生体高分子濃度の変化と結晶形成
本実施例においては、生体高分子であるニワトリ卵白リゾチームの濃度および結晶化剤である塩化ナトリウムの濃度の連続的変化の条件が異なる以外は、実施例1において使用した条件と同一の条件下でニワトリ卵白リゾチームの結晶化を行った。
【0059】
この実施例においては、まず溶液中ニワトリ卵白リゾチーム濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウム濃度のみを、初期状態である1%で7日間静置した後、結晶化剤である塩化ナトリウム濃度を2%まで増加させた。次いで溶液中塩化ナトリウムの濃度を2%で一定に維持した。ニワトリ卵白リゾチーム濃度のみが、初期状態である59.0 mg/mlから、16日間かけて17.2 mg/mlまで低下した。塩化ナトリウム濃度の変化およびニワトリ卵白リゾチーム濃度の変化を、それぞれ図6および図7の相図中に示す。
【0060】
塩化ナトリウム濃度またはニワトリ卵白リゾチーム濃度を変化させながら、溶液中に形成されるニワトリ卵白リゾチームの結晶状態を、実施例1と同様に観察した。その結果、まず結晶化剤の濃度を増加させることにより結晶が形成され(図8)、その条件下で形成された結晶核が生体高分子の濃度が59.0 mg/mlから17.2 mg/mlまで低下した際に時間の経過とともに成長していくことが観察された(図9)。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の生体高分子の結晶育成装置の好ましい一実施形態を示す模式図である
【図2】図2は、ニワトリ卵白リゾチームの濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウムの濃度のみを1%から3%に増加させた際の溶液状態を、相図中に示した図である。
【図3】図3は、ニワトリ卵白リゾチームの濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウムの濃度のみを3%から1%に低下させた際の溶液状態を、相図中に示した図である。
【図4】図4は、ニワトリ卵白リゾチームの濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウムの濃度のみを1%から3%に増加させた際に、溶液中にニワトリ卵白リゾチームの単結晶が形成されることを示した顕微鏡写真である。この図において、左が1%塩化ナトリウムの溶液状態を、右が溶液中に結晶を含む3%塩化ナトリウムの溶液状態を示す。
【図5】図5は、ニワトリ卵白リゾチームの濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウムの濃度のみを3%から1%に減少させた際に、溶液中にニワトリ卵白リゾチームの単結晶が溶液中に溶解することを示した顕微鏡写真である。この図において、左が溶液中に結晶を含む3%塩化ナトリウムの溶液状態を、右が溶液中の結晶が溶解した1%塩化ナトリウムの溶液状態を示す。
【図6】図6は、ニワトリ卵白リゾチームの濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウムの濃度のみを1%から2%に増加させた際の溶液状態を、相図中に示した図である。
【図7】図7は、塩化ナトリウムの濃度を2%に維持し、ニワトリ卵白リゾチームの濃度のみを59.0 mg/mlから、17.2 mg/mlまで低下した際の溶液状態を、相図中に示した図である。
【図8】図8は、ニワトリ卵白リゾチームの濃度を一定に保ちながら、塩化ナトリウムの濃度のみを1%から2%に増加させた際に、溶液中にニワトリ卵白リゾチームの単結晶が形成されることを示した顕微鏡写真である。この図において、左が1%塩化ナトリウムの溶液状態を、右が溶液中に結晶を含む2%塩化ナトリウムの溶液状態を示す。
【図9】図9は、溶液中塩化ナトリウムの濃度を2%に維持し、ニワトリ卵白リゾチーム濃度のみが、59.0 mg/mlから17.2 mg/mlまで低下した際に、溶液中のニワトリ卵白リゾチームの結晶が成長することを示した顕微鏡写真である。この図において、左が結晶を含む59.0 mg/mlニワトリ卵白リゾチームの溶液状態を、右が溶液中の結晶が成長した17.2 mg/mlのニワトリ卵白リゾチーム溶液状態を示す。

Claims (13)

  1. 生体高分子を結晶化剤により結晶化させて生体高分子の結晶を得る生体高分子の結晶育成装置であって、
    (i) 結晶化させるべき生体高分子を含む第一液を収容するための第一室;
    (ii) 結晶化剤を含む第二液を収容するための第二室;
    (iii) 前記第一液中の生体高分子濃度および前記第二液中の結晶化剤濃度を調節する濃度調節手段;および
    (iv) 前記第一室中の第一液内における前記生体高分子の結晶成長を、連続的に検出するための検出手段;
    を具備する、生体高分子の結晶育成装置。
  2. 前記濃度調節手段は、前記第一室と前記第二室との境界に設けられ、前記第一液と前記第二液とを溶液連通させる透析手段を備える、請求項1に記載の生体高分子の結晶育成装置。
  3. 前記検出手段が、視覚的な検出手段であり、前記第一室に、該第一室を光が透過して該第一室内の結晶成長を視覚的に検出可能なように設けられた光透過窓を備える、請求項1に記載の生体高分子の結晶育成装置。
  4. 前記検出手段が、前記光透過窓への光路上に偏光フィルターを具備する、請求項3に記載の生体高分子の結晶育成装置。
  5. 前記検出手段は、さらに、光源および光源から発せられた光を検出する検出装置を具備し、前記偏光フィルターが、前記光透過窓に光が照射される前に光源からの光を偏光させる第一偏光フィルターと、前記光透過窓から第一室外部に向けて透過された光源からの光を偏光させる第二偏光フィルターとからなり、
    前記検出手段は、前記光源から照射された光を、前記第一偏光フィルターを通過させた後に前記第一室の前記光透過窓に入射し、該第一室を透過して該光透過窓から出射される出射光をさらに第二偏光フィルターを通過させた後に検出することができるように形成されている、請求項4に記載の生体高分子の結晶育成装置。
  6. 前記検出装置が、光学顕微鏡、CCD、またはデジタルカメラである、請求項5に記載の生体高分子の結晶育成装置。
  7. 透析手段が、第一液中の結晶化させる生体高分子は通過させないが、第二液中の結晶化剤は通過させる特徴を有する半透膜である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体高分子の結晶育成装置。
  8. 装置全体の温度制御手段をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体高分子の結晶育成装置。
  9. 請求項1記載の生体高分子の結晶育成装置を用いた生体高分子の結晶製造方法であって、
    前記検出手段により生体高分子の結晶成長を、経時的に検出して、結晶化剤の濃度、生体高分子の濃度および育成された生体高分子の結晶間の相関関係を求め、グラフ化して基本となる結晶相図を作成し、得られた結晶相図に基づいて、最適な結晶化条件で生体高分子の結晶育成を行うことを特徴とする生体高分子の結晶製造方法。
  10. 結晶化させる生体高分子の濃度と結晶化剤の濃度とを連続的に変化させることにより、当該生体高分子の結晶化に最適な条件下で当該生体高分子の結晶を育成する生体高分子の結晶製造方法であって、以下の工程:
    (a) 生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を上昇させることにより、当該生体高分子を含有する溶液を、その生体高分子の相図中の過飽和領域に移行させて、結晶の核形成を行わせること;および
    (b) その後、生体高分子の濃度および/または結晶化剤の濃度を調節することにより、当該生体高分子を含有する溶液を、その生体高分子の相図中の準安定領域に移行させて、工程(a)において形成させた結晶の核を成長させること;
    を含む、生体高分子の結晶を育成するための前記方法。
  11. (c)結晶の核を1個のみ選抜すること;を工程(a)と工程(b)の間にさらに含む、請求項10に記載の生体高分子の結晶製造方法。
  12. 結晶化させる生体高分子がタンパク質である、請求項10または11に記載の生体高分子の結晶製造方法。
  13. 結晶化させる生体高分子が核酸である、請求項10または11に記載の生体高分子の結晶製造方法。
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