JP2004024682A - 放射線検出装置及び放射線検出システム - Google Patents

放射線検出装置及び放射線検出システム Download PDF

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Abstract

【課題】突発的な外因性のノイズ混入により、撮影をやり直すこと、すなわちその患者にとって被爆線量を増加するといった事態を避けるようにした放射線検出装置及び放射線検出システムを提供すること。
【解決手段】放射線を電気信号として検出する放射線検出部と、前記放射線検出部を駆動するためのタイミング発生部913とを有する放射線検出装置において、前記放射線検出部からの出力を監視する出力監視部912備え、放射線が出射する直前まで、前記出力監視部で前記放射線検出部からの暗出力を監視し、その暗出力に外因性のノイズ成分が混入していると判断する場合に、放射線の出射を禁止する信号を放射線発生装置側へ出力している。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線を電気信号として検出する装置及び放射線検出システム、特に、病院内での診断や工業用の非破壊検査に用いられる放射線検出装置及び放射線検出システムに関する。
【0002】
なお、本明細書では、α線、β線、γ線、X線なども放射線の範疇に含むものとして説明する。
【0003】
【従来の技術】
従来、病院内で行われているX線撮影システムは、患者にX線を照射させ、その透過X線像をフィルムに露光するフィルム方式が主流になっている。
【0004】
図7は、従来のフィルム方式のX線撮影システムを示す概略図である。図7において、901はX線を照射するX線源、902は被写体すなわち患者、903はX線を可視光に変換するX線可視変換蛍光体、904は蛍光体903面で変換された可視光の強度を感知し患者の像を形成するフィルムである。905は、X線技師が操作するスイッチ、906は、電源である。フィルム方式は、フィルムそのもので、患者のX線像を検出する機能やX線情報を表示する階調機能、そして情報を記憶する機能を有する、優れた媒体であり、今でも広く使われている。
【0005】
しかしながら、最近ではディジタル化の要求が高まりつつあり、フィルムの変わりに固体撮像素子を2次元アレー状に配置させた光電変換部914が使われ出してきている。X線画像をディジタル情報に置き換えることにより、画像情報を遠方にしかも瞬時に伝送することが可能になるため、地方にいながら都心にある大学病院なみの診断が受けられるメリットがある。フィルムを用いなくなれば、病院内ではフィルムの保管スペースが省けるメリットがある。そして将来的には優れた画像処理技術を取り入れ直接放射線科の医師を介さずコンピュータによる自動診断も期待されている。
【0006】
最近、固体撮像素子にアモルファスシリコン薄膜半導体を用いた放射線検出システムが実用化されている。アモルファスシリコン薄膜半導体は近年の技術では、人体の胸部をカバーする40cm□の大面積化が可能であり、しかも作成プロセスが比較的容易であるため、将来的には安価な検出装置が期待される。
【0007】
図8は、従来の固体撮像素子を用いたX線撮像システムを示す概略図である。図7と異なるのは、フィルムの変わりに絶縁基板910上に光電変換素子911を多数配置し、X線可視変換蛍光体903からの可視光を光電変換素子911で電気信号に変換するものである。図8では、光電変換部914を断面的に表現しているが、実際は、光電変換素子911が絶縁基板910上に2次元アレー状に多数個、配置されている。この場合、光電変換部914を駆動するためのタイミング発生部913が具備される。X線は、X線技師により、患者の姿勢や光電変換部914との位置関係を整え、X線発生の準備が出来たときに爆射スイッチ905が押され(爆射意思信号)、X線源より出射する。
【0008】
図9は、図8で示されるX線撮像システムの動作のフローチャートを示している。開始後、光電変換部914はタイミング発生部913により空読み動作を行う。空読み動作とは、詳細は後述するが、X線を照射させる前にスキャンを行っている動作状態、すなわち光電変換部914からは暗出力が出力されている状態であり、いわば準備期間である。その状態でX線技師により爆射指令が出されることにより、X線源からX線が出射され、患者を透過したX線が光電変換部914に照射される。その後、光電変換部914は本読み動作に移行する。本読み動作は、空読み動作と基本的には同じ動作であるが、その出力は、X線が照射された後の動作でるため、暗出力ではなく患者の画像情報が含まれた出力である。本読み動作の詳細は後述する。
【0009】
図10は、光電変換部914における光電変換回路101の2次元的回路図である。説明を簡単化するために3×3=9画素分で記載してある。
【0010】
S1−1〜S3−3は、光電変換素子911、T1−1〜T3−3は、スイッチ素子であるTFT、G1〜G3はTFTをオンオフさせるためのゲート配線、M1〜M3は、信号配線である。光電変換素子911は、ホトダイオードと容量を並列接続で表記しており、逆方向バイアスが印加される。すなわち、ホトダイオードのカソード電極側は+(プラス)にバイアスされる。バイアス配線は、通常共通の配線であるが、図10中では共通の配線としては省略している。光電変換された電荷は容量に蓄積される。S1−1〜S3−3、T1−1〜T3−3、G1〜G3、M1〜M3、Vs線、これらを総じて光電変換回路101又は光電変換基板と称する。102はゲート配線にパルスを印加するシフトレジスタ、107は光電変換回路101内のM1〜M3の並列信号出力を増幅し、直列変換して出力するための読み出し用回路である。
【0011】
図11は、図10の読み出し用回路107の内部を示す電気回路図である。
【0012】
RES1〜RES3はM1〜M3をリセットするスイッチ、A1〜A3はM1〜M3の信号を増幅するアンプ、CL1〜CL3はA1〜A3で増幅された信号を一時的に記憶するサンプルホールド容量、Sn1〜Sn3はサンプルホールドするためのスイッチ、B1〜B3はバッファアンプ、Sr1〜Sr3は並列信号を直列変換するためのスイッチ、103は、Sr1〜Sr3に直列変換するためのパルスを与えるシフトレジスタ、104は直列変換された信号を出力するバッファアンプである。
【0013】
図12は、図10、図11からなる光電変換部914の動作を示すタイミングチャートである。光電変換部914を駆動するためのタイミング信号が、タイミング発生部913から出力される。
【0014】
まず、光電変換期間(X線照射期間)について説明する。
【0015】
TFTは全てオフ状態において、光源(X線)がパルス的にオンすると、それぞれの光電変換素子911に光が照射され、光の量に対応した信号電荷が素子容量に蓄積される。X線可視変換用の蛍光体903を用いる場合、X線の量に対応した可視光を光電変換素子911側に導光するような部材を用いるか、蛍光体を光電変換素子の極近傍に配置すればよい。光源がオフした後も、素子容量に光電変換された信号電荷は保持される。
【0016】
次に読み出し期間について説明する。
【0017】
読み出し動作は、S1−1〜S1−3の1行目、次にS2−1〜S2−3の2行目、次にS3−1〜S3−3の3行目の順で行われる。まず、S1−1〜S1−3の1行目を読み出しするためにT1−1〜T1−3のスイッチ素子(TFT)のゲート配線G1にシフトレジスタ102からゲートパルスを与える。これにより、T1−1〜T1−3がオン状態になり、S1−1〜S1−3に蓄積されていた信号電荷が、信号配線M1〜M3に転送される。M1〜M3の信号配線には、図10に記載してある読み出し容量CM1〜CM3が付加されており、信号電荷はTFTを介し、読み出し容量CM1〜CM3に転送されることになる。例えば信号配線M1の付加されている読み出し容量CM1は、M1に接続されているT1−1〜T3−1の各TFTにおけるゲート−ソース間の電極間容量(Cgs)の総和(3個分)である。M1〜M3に転送された信号電荷は、アンプA1〜A3で増幅される。そしてSMPL信号をオンさせることにより、サンプルホールド容量CL1〜CL3に転送され、SMPL信号をオフするとともにホールドされる。次にシフトレジスタ103からスイッチSr1、Sr2、Sr3の順番で、パルスを印加することにより、CL1〜CL3にホールドされていた信号が、CL1、CL2、CL3の順でアンプ104から出力される。結果としてS1−1、S1−2、S1−3の1行分の光電変換信号が順次出力される。S2−1〜S2−3の2行目の読み出し動作、S3−1〜S3−3の3行目の読み出し動作も同様に行われる。
【0018】
1行目のSMPL信号によりM1〜M3の信号をCL1〜CL3にサンプルホールドすれば、M1〜M3をCRES信号によりGND電位にリセットしその後G2のゲートパルスを印加することができる。すなわち1行目の信号をSR2により直列変換動作をする間に、同時に光電変換素子S2−1〜S2−3の2行目の信号電荷をSR1により転送することができる。
【0019】
以上の動作により、第1行から第3行全ての光電変換素子911の電荷を出力することができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
固体撮像素子を用いた放射線検出装置は、読み取り動作時に外因性のノイズ源の影響を受ける場合がある。外因性のノイズ源とは放射線検出装置の外部に存在するノイズ源であり、例えば、放射線検出装置が設置されている撮影室に隣接した他の放射線源から壁越しでやってくる磁界性のノイズや落雷によるノイズで、主に空間を伝わってくるノイズがあげられる。また、病院内外での何かしらの大電力機器が稼動中に、放射線検出装置の電源ラインまたはGNDラインが交流的にふらつくことにより、読み取り動作時に影響を与えるような、空間や電源配線を伝わってくるノイズもあげられる。病院で使用される放射線検出装置は、事務機や家電製品に比べより高い階調性が必要とされるために撮像装置として高い感度が要求される。反面そういった外因性のノイズ源に対して敏感に影響されやすい傾向にある。
【0021】
特に、図10、図11で示されるような光電変換部914を有する撮像装置では、その読み取り動作において、行単位で転送動作、リセット動作、サンプルホールド動作を行うため、それらの動作の直前に、何らかの経路で信号ラインに外因性ノイズが混入した場合、画像上、横スジ状のノイズになりやすい性質がある。それらのノイズをラインノイズと称する。ラインノイズは、横の1ラインの情報が丸ごとノイズ成分になってしまうため、情報量の損失が大きい。ラインノイズが発生した場合の画像を一例として図13に示す。
【0022】
外因性のノイズ源は、常時、飛来、漂流しているわけではない。放射線検出装置の読み取り動作過程に、たまたま混入した場合、取得したX線画像に、画像の乱れが生ずるものである。外因性ノイズが混入した場合、再度撮影行為を行うため、患者にとってX線被爆線量の増加が余儀なくされるといった課題を有している。病院にとっても撮影するための時間が増加するために運用効率が低下するといった課題を有する。
【0023】
また、完全に撮影室を外因性のノイズ源から遮蔽する対策もあるが、例えば撮影室に既にある壁やドアを壊し、新たに作りなおすことは費用の面でも現実的ではない。
【0024】
本発明では、以上述べたような突発的な外因性のノイズ混入により、撮像をやり直すこと、すなわちその患者にとって被爆線量を増加するといった事態を避けねばならないという課題を解決することを主たる目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、放射線を電気信号として検出する放射線検出部と、前記放射線検出部を駆動するためのタイミング発生部とを有する放射線検出装置において、前記放射線検出部からの出力を監視する出力監視部を備え、前記放射線検出部からの暗出力を前記出力監視部で放射線が出射する直前まで監視し、その暗出力に外因性のノイズ成分が混入していると判断する場合に、放射線の出射を禁止する信号を放射線発生装置側へ出力している。
【0026】
また、被写体に対して放射線を出射する放射線源と、前記前記放射線源から出射され前記被写体を透過した放射線を電気信号として検出する放射線検出部と、前記放射線検出部を駆動するためのタイミング発生部とを有する放射線検出システムにおいて、前記放射線検出部からの出力を監視する出力監視部を備え、前記放射線検出部からの暗出力を前記出力監視部で監視することにより、その暗出力に外因性のノイズ成分が混入していると判断する場合に、放射線の出射を禁止している。
【0027】
暗出力は、本来、放射線が照射されていないため信号レベルはほぼゼロであるが、暗出力に何かしらの外因性のノイズ成分が混入した場合、暗出力の信号レベルが変化する。出力監視部の役割は、撮影する直前の撮影環境すなわち外因性のノイズ源の影響度が、X線撮影に適しているか否か判断することにある。本発明では、出力監視部により、前記暗出力に外因性のノイズが混入していると判断する場合に前記放射線源からの放射線の出射を禁止する。逆に、前記暗出力に外因性のノイズ成分が混入していないと判断する場合に、前記放射線源から放射線を出射させることにより、被写体を透過した放射線を検出する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の放射線検出装置及び放射線検出システムの実施形態におけるX線撮像システムについて図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態におけるX線撮像システムを示す概略図である。図8と同一部材については同一の符号を付けている。
【0030】
901は、X線を照射するX線源、902は、被写体すなわち患者、903は、本発明の波長変換体としてのX線を可視光に変換するX線可視変換蛍光体である。914は、本発明の放射線検出部としての光電変換部であり、蛍光体903と、その直下に近接して配置された光電変換素子911を含んでいる。光電変換素子911は、蛍光体903からの可視光を電気信号に変換するためのもので、絶縁基板910上に2次元アレー状に配列されている。913は、光電変換部914を駆動するためのタイミング発生部であり、例えば、図12で示されるようなタイミング信号が出力される。912は、本発明の特徴の1つである出力監視部であり、光電変換部914からの暗出力を監視する部分である。出力監視部912は、光電変換部914の暗出力を監視し、撮影環境をとりまく外因性のノイズ源によるノイズ成分が暗出力に含まれるかどうかを判断する部分である。外因性のノイズが含まれてない場合に、爆射許可信号を出力する。
【0031】
907は、X線技師が、患者の撮影部位と光電変換部914との位置関係や、患者の姿勢、X線の位置や管球の条件を予め整えて、爆射の意思を装置に伝えるためのスイッチである。カメラのシャッターボタンのようなものである。908は、912からの爆射許可信号と、X線技師からの爆射意思信号が両方とも発生した場合に、X線源からX線を出射させる信号を生成する装置であり、機能を簡単化するために論理回路のANDゲートの記号を用いて表記している。表1に、908の論理表を示しておく。
【0032】
【表1】
Figure 2004024682
次に、光電変換部914の動作で、空読み動作を行う空読み期間、X線が照射され蓄積動作を行うX線照射期間、本読み動作を行う本読み期間の3つの期間について説明する。
【0033】
図2は、「空読み期間」の動作を示すタイミングチャートである。なお、光電変換部914の回路図は、図10の光電変換回路101の2次元的回路と図11の読みだし用回路とで構成され、タイミングはタイミング発生部913で作られる。また、図10では3×3の計9画素分で表記されているが、実際のX線撮像装置ではさらに多数の画素で構成されている。図3では、ゲート配線をN本で表記している。たとえば、医療用の胸部X線撮像装置の場合、有効領域で40cm□以上、画素数としては画素ピッチ200μmで、2000×2000画素以上が求められている。
【0034】
光電変換素子911の光情報は、素子内の電極間容量(素子容量)に蓄積される。しかし、空読み期間においては、まだX線が照射されていないために、光情報は全くない。ここでは、患者のX線透過情報とは無関係の光電変換素子911の暗電流による電荷が蓄積されている。シフトレジスタよりゲート駆動用配線Vg1に転送用のパルスを与え、1行目に付加している転送用スイッチ素子がオン状態に切り変わる。これにより、光電変換素子911内の電極間容量に蓄えられていた暗電流による電荷が、マトリクス信号配線を通って転送される。その後、SMPLパルスにより、読み出し様回路部へ一括転送され、さらにシリアル変換することにより1行目の出力が読み出される。以下N行までその動作を繰り返し、1フレーム分のスキャンを終了する。空読み期間は、X線照射がないため信号電荷による出力成分Voutを図3では表していない。空読み動作とは以上の説明にあるように、いわばX線を照射せずに1フレーム分のスキャン動作を行うことである。実際の撮影では、X線が照射されるまでに数フレーム分の空読み動作が行われる。
【0035】
次に「X線照射期間」について説明する。図3は「X線照射期間」の動作を示すタイミングチャートである。「X線照射期間」は「空読み期間」の後に行われる。タイミングについて、CRES、Vg1〜VgN、SMPLは、「Lo」状態で、X線だけがパルス的に照射される。この期間は、X線による患者のX線透過情報がそれぞれの光電変換素子911に蓄積するための蓄積期間である。
【0036】
最後に「本読み期間」について説明する。図4は「本読み期間」の動作を示すタイミングチャートである。「本読み期間」は「X線照射期間」の後に行われる。図4と図2を比較するとわかるように、タイミング上、本読み動作は、先の空読み動作と何ら違いはない。本読み期間は、その前のX線照射期間で光電変換素子911にX線情報を蓄えているため、出力Voutは、空読み期間のものとは異なる。
【0037】
図5は、X線撮像システムの動作を示すフローチャートである。開始後、空読み動作を行いX線技師の意思を示す爆射指令(爆射意思信号)を待っている。爆射意思信号がない時は、空読み動作を繰り返している。X線技師により爆射意思信号が発生すれば、空読み動作の過程で、その暗出力にノイズがあったかどうかを判断する。空読み動作は複数回行われるため、どの時点での空読み動作の出力を判断の対象にするかは、出力監視部912で予め定義すればよい。例えば、爆射意思信号が入力された直前の空読み出力を対象としてもよいし、直前の2フレーム分の空読み出力を対象としてもよい。あるいは複数通りの選択肢を備え持って、適時選択してもよい。いずれにしても、対象とした空読み動作の暗出力に異常があると判断された場合X線の爆射を禁止する。表1で例えるならば、爆射許可信号が発生せず、X線は照射されることはない。逆に、対象とした空読み動作の暗出力が正常であると判断された場合、X線許可信号が発生し、X線が照射される。その後、本読み動作を行い1フレーム分のX線情報が得られる。
【0038】
爆射の禁止とは,X線技師により爆射指令(爆射意思信号)があったその時に、禁止するだけであって、その後長時間にわたり禁止し続けるわけではない。すなわち、すぐに再撮影を開始し、暗出力に所定のノイズがなくなっていればX線が照射され本読み動作が行われる。
【0039】
図5のフローチャートからわかるように、空読み動作を終えた後に、過去の空読み動作の暗出力を出力監視部912で判断するため、出力監視部912には、記憶手段(メモリ)を持っている。出力監視部912は、例えば、ADコンバータ、メモリ、CPU等を含んでおり、空読み動作時の暗出力をディジタル化しメモリに格納しておく。
【0040】
図6は、実施形態におけるX線撮像システムにおける光電変換部914のアナログ出力の事例を示している。説明の簡単化のため3×3の9画素分の出力で示している。
【0041】
(a)は、X線を照射した時の明出力の例である。すなわち、本読み動作の出力である。凸凹しているのは患者の透過X線の体内情報と光電変換素子911の感度のばらつき等による。(b)は、X線を照射しない時の暗出力の例である。すなわち、空読み動作時の出力例である。凸凹しているのは、光電変換素子911の暗電流のばらつきや、読み出し用回路部におけるアンプのオフセット成分のばらつき等による。(c)は、出力監視部912から爆射許可信号が出力される場合の暗出力の例である。図中、爆射許可信号が発令されない場合の閾値を+側と−側と両方示しており、暗出力がこの範囲内に入っていれば、爆者許可信号が発令される。(d)は、爆射許可信号が発令されない場合の暗出力の例である。1画素の出力が+側の閾値を超えたために、爆射許可信号が出力されない。(e)は、爆射許可信号が発令されない場合の暗出力の例で、(d)とは別の例である。1行分の暗出力が+側の閾値を超えたために、爆射許可信号が出力されない。図10と図11で説明される光電変換部914は、行単位での転送、リセット、サンプルホールドを行うために、外因性ノイズ源によるこの種類のノイズ(ラインノイズ)が多く発生する傾向にある。(f)は、爆射許可信号が発令されない場合の暗出力の例である。この場合、1行分の暗出力が−側の閾値を超えたために、爆射許可信号が出力されない。
【0042】
なお、出力監視部912から爆射許可信号を発令させる基準は、例えば(d)のように、1画素でも閾値を超えた場合、あるいは(e)のように1行分の出力が閾値を超えた場合(ラインノイズ)、など幾種類かの選択肢を備え持って適時、所望のものを選択すればよい。また出力監視部912にマイクロコンピュータの機能を持たせれば、爆射許可信号を発令させる基準をソフト上で、多種多様に作成することが可能である。
【0043】
本実施形態では、図1において、波長変換体、すなわちX線を可視光に変換するX線可視変換蛍光体903を用いる光電変換部914の例を示したが、波長変換体を用いずに、光電変換部914が、入射した放射線を直接電気信号に変換するX線検出素子が1つの画素に含まれ、それらを2次元アレー状に配置させたものでもよい。この場合は、X線検出素子は、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、セレン、テルル化カドミウム、ガリウムヒ素、ガリウム燐、硫化亜鉛、又はシリコンのいずれかを材料として含むものである。
【0044】
また、空読み動作と本読み動作とを、全く同じにして説明した。同じ駆動方法であれば、外因性のノイズの受け方も同様になる。しかし、空読み動作の暗出力に外因性のノイズが含まれ、出力監視部912で検出できれば、必ずしも空読み動作と本読み動作とを同じにする必要はない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の放射線検出装置及び放射線検出システムによれば、外因性のノイズ源が突発的に混入し、再度X線撮影をやり直すこと、すなわちその患者にとって被曝線量が増加することがなくなる効果がある。また、再撮影がなくなれば、病院内の運用効率が向上し患者にとって待ち時間も短くできるため負担を軽減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるX線撮像システムの概略図
【図2】「空読み期間」の動作を示すタイミングチャート
【図3】「X線照射期間」の動作を示すタイミングチャート
【図4】「本読み期間」の動作を示すタイミングチャート
【図5】X線撮像システムの動作を示すフローチャート
【図6】X線撮像システムにおける光電変換部914のアナログ出力の事例
【図7】従来のフィルム方式のX線撮影システムを示す概略図
【図8】従来の固体撮像素子を用いたX線撮像システムを示す概略図
【図9】図8で示されるX線撮像システムの動作を示すフローチャート
【図10】光電変換回路101の2次元的回路図(3×3=9画素)
【図11】図10の読み出し用回路107の内部を示す電気回路図
【図12】図10、図11からなる光電変換部914の動作を示すタイミングチャート
【図13】ラインノイズが発生した場合の画像例
【符号の説明】
901 X線源
902 被写体(患者)
903 蛍光体
904 フィルム
905、907 スイッチ
906 X線源の電源
908 X線源からX線を出射させる信号を生成する装置(ANDゲート)
910 絶縁基板
911 光電変換素子
912 出力監視部
913 タイミング発生部
914 光電変換部
101 光電変換回路(光電変換基板)
102、103 シフトレジスタ
104 アンプ
107 読み出し用回路

Claims (16)

  1. 放射線を電気信号として検出する放射線検出部と、前記放射線検出部を駆動するためのタイミング発生部とを有する放射線検出装置において、
    前記放射線検出部からの出力を監視する出力監視部を備え、放射線が出射する直前まで、前記出力監視部で前記放射線検出部からの暗出力を監視し、その暗出力に外因性のノイズ成分が混入していると判断する場合に、放射線の出射を禁止する信号を放射線発生装置側へ出力することを特徴とする放射線検出装置。
  2. 前記放射線検出部は、可視波長領域に感度を有する固体撮像素子とスイッチ素子とを1つの画素として、それらを2次元アレー状に配置させた光電変換基板と、放射線が照射されることにより可視光を放射する波長変換体とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
  3. 前記出力監視部は、暗出力の各行又は列単位の平均値において、少なくとも1つの行又は列の値が、予め決められた+側の基準値を上回った場合又は−側の基準値を下回った場合に、放射線の出射を禁止する信号を放射線発生装置側へ出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出装置。
  4. 前記出力監視部は、ADコンバータ、メモリ、及びCPUを含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
  5. 前記固体撮像素子及び前記スイッチ素子は、アモルファスシリコン半導体を主材に含むことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。
  6. 前記波長変換体と前記光電変換基板とは、透光性を有する接着剤で接着していることを特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。
  7. 前記放射線検出部は、入射した放射線を直接電気信号に変換する放射線検出素子が1つの画素に含まれ、それらを2次元アレー状に配置させたことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
  8. 前記放射線検出素子は、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、セレン、テルル化カドミウム、ガリウムヒ素、ガリウム燐、硫化亜鉛、又はシリコンのいずれかを材料として含むことを特徴とする請求項7に記載の放射線検出装置。
  9. 被写体に対して放射線を出射する放射線源と、前記前記放射線源から出射され前記被写体を透過した放射線を電気信号として検出する放射線検出部と、前記放射線検出部を駆動するためのタイミング発生部とを有する放射線検出システムにおいて、
    前記放射線検出部からの出力を監視する出力監視部を備え、前記放射線が出射する直前までの前記放射線検出部からの暗出力を前記出力監視部で監視することにより、その暗出力に外因性のノイズ成分が混入していると判断する場合に、放射線の出射を禁止することを特徴とする放射線検出システム。
  10. 放射線を検出する前記放射線検出部は、可視波長領域に感度を有する固体撮像素子とスイッチ素子とを1つの画素として、それらを2次元アレー状に配置させた光電変換基板と、放射線が照射されることにより可視光を放射する波長変換体とを備えたことを特徴とする請求項9に記載の放射線検出システム。
  11. 前記出力監視部は、暗出力の各行又は列単位の平均値において、少なくとも1つの行又は列の値が、予め決められた+側の基準値を上回った場合又は−側の基準値を下回った場合に、前記放射線源からの放射線の出射を禁止する信号を放射線源側へ出力することを特徴とする請求項9又は10に記載の放射線検出システム。
  12. 前記出力監視部は、ADコンバータ、メモリ、及びCPUを含むことを特徴とする請求項9に記載の放射線検出システム。
  13. 前記固体撮像素子及び前記スイッチ素子は、アモルファスシリコン半導体を主材に含むことを特徴とする請求項10に記載の放射線検出システム。
  14. 前記X線可視変換蛍光体と前記光電変換基板とは、透光性を有する接着剤で接着していることを特徴とする請求項10に記載の放射線検出システム。
  15. 前記放射線検出部は、入射した放射線を直接電気信号に変換する放射線検出素子が1つの画素に含まれ、それらを2次元アレー状に配置させたことを特徴とする請求項9に記載の放射線検出システム。
  16. 前記放射線検出素子は、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、セレン、テルル化カドミウム、ガリウムヒ素、ガリウム燐、硫化亜鉛、又はシリコンのいずれかを材料として含むことを特徴とする請求項15に記載の放射線検出システム。
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