JP2004024371A - フロス一体型歯間ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】1つの器具で歯間隣接面の清掃と歯周ポケットの清掃とを行うことが可能なフロス一体型歯間ブラシを提供する。
【解決手段】このフロス一体型歯間ブラシは、互いに対向するように設けられた一対の分岐部を含み、その一対の分岐部の対向部分にそれぞれ挿通孔2fを有するアーム部2と、アーム部2と連続するように形成された把持部1と、挿通孔2fを介して、一対の分岐部間を移動可能な糸状のフロス部4aと、その一端がフロス部4aの一端と連結されるとともに、挿通孔2fを介して、一対の分岐部間を移動可能な歯間ブラシ部4bとを備えている。
【選択図】図2
【解決手段】このフロス一体型歯間ブラシは、互いに対向するように設けられた一対の分岐部を含み、その一対の分岐部の対向部分にそれぞれ挿通孔2fを有するアーム部2と、アーム部2と連続するように形成された把持部1と、挿通孔2fを介して、一対の分岐部間を移動可能な糸状のフロス部4aと、その一端がフロス部4aの一端と連結されるとともに、挿通孔2fを介して、一対の分岐部間を移動可能な歯間ブラシ部4bとを備えている。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロス一体型歯間ブラシに関し、特に、フロスの機能と歯間ブラシの機能とを有するフロス一体型歯間ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯の清掃は歯ブラシを用いて行うのが一般的である。しかし、歯ブラシの毛先が局所的な領域に入り込みにくいとともに、局所的な領域での歯ブラシによる刷掃能力が不足しているため、歯と歯との隣接面(歯間隣接面)および歯周ポケットといった局所的な領域を歯ブラシにより十分に清掃することは困難である。このため、歯ブラシによる清掃だけでは、歯間隣接面および歯周ポケットに食物残渣が生じやすいため、食物残渣を栄養源とする細菌(嫌気性菌)が繁殖しやすい。この嫌気性菌の毒素などによって歯周組織が破壊されて歯周病になりやすいと考えられている。このため、歯周病予防には、歯間隣接面および歯周ポケットの十分な清掃が不可欠である。
【0003】
そこで、従来、歯間隣接面の食物残渣を清掃する器具として、ひも状のフロスが提案されている。また、従来、歯周ポケットの食物残渣を清掃する器具として、歯間ブラシが提案されている。従来では、歯周病予防を徹底するためには、フロスと歯間ブラシとを併用する必要がある。
【0004】
図32は、従来のフロスまたは歯間ブラシによる清掃可能領域を示した歯の正面図である。図33は、従来のフロスによる歯間隣接面の清掃方法を説明するための歯の斜視図である。図34は、従来の歯間ブラシによる歯周ポケットの清掃方法を説明するための歯の上面図である。以下、図32〜図34を参照して、従来のフロスおよび歯間ブラシによる歯間隣接面および歯周ポケットの清掃方法について説明する。
【0005】
まず、図32および図33を参照して、従来では、歯101aと歯101bとの歯間隣接面102は、ひも状のフロス110により清掃される。具体的には、図33に示すように、ひも状のフロス110を引っ張った状態で、歯間隣接面102の上方から歯周ポケット103に向かってフロス110を上下に往復移動することによって、歯間隣接面102の食物残渣を除去する。
【0006】
次に、図32および図34を参照して、歯周ポケット103は、歯間ブラシ120により清掃される。この歯間ブラシ120は、図34に示すように、ホルダ120aと、ホルダ120aの先端に取り付けられた金属製の針金120bと、針金120bの周辺に巻き付けられたブラシとなるナイロン糸120cとから構成されている。具体的な清掃作業としては、歯間ブラシ120を、歯101aと歯101bとの間の隙間に横から矢印C方向に挿入する。そして、歯間ブラシ120を矢印Cおよびその反対方向に往復移動することによって、歯周ポケット103の食物残渣を除去する。これにより、歯周ポケット103と、歯101aと歯101bとの間の凹部104とを清掃する。
【0007】
このように、従来では、フロス110と歯間ブラシ120とを用いて、歯ブラシによる清掃が困難である歯間隣接面102、歯周ポケット103および凹部104の清掃を行うことにより、歯周病の予防を図っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来では、歯周病を有効に予防するために、フロス110と歯間ブラシ120との2つの器具を用いる必要があるため、歯の清掃作業が煩雑になるという問題点があった。また、清掃しようとする歯101aと歯101bとの隙間の大きさに合わせて針金120bの径が異なる複数の歯間ブラシ120を用意する必要があるので、清掃部分に応じて複数の歯間ブラシ120を準備して使い分ける必要があった。これによっても、歯の清掃作業が煩雑になるという問題点があった。
【0009】
また、図34に示した従来の歯間ブラシ120では、歯間ブラシ120を歯101aと歯101bとの隙間に横方向(矢印C方向)から挿入する必要があるため、針金120bの先端を歯茎に突き刺したり、うまく平行に入らず歯周ポケット103を損傷するなどの不都合があった。また、清掃中に、歯間ブラシ120の針金120bが折れてしまった場合、口腔内を傷付ける場合があるという問題点もあった。
【0010】
また、従来では、歯間ブラシ120により奥歯の清掃を行う場合、二本の指を口腔内の奥深くに挿入する必要があるので、口を大きく開く(約4cm以上)必要がある。この場合、たとえば、顎関節症のような開口障害などを有する人では、口を大きく開くことが困難であるので、歯間ブラシ120を奥歯の歯間に挿入するのが困難であるという問題点もあった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、煩雑な清掃作業を行うことなく、容易に、1つの器具で歯間隣接面の清掃と歯周ポケットの清掃とを行うことが可能なフロス一体型歯間ブラシを提供することである。
【0012】
この発明のもう1つの目的は、上記のフロス一体型歯間ブラシにおいて、簡単な操作で歯間ブラシ部を使用することである。
【0013】
この発明のさらにもう1つの目的は、上記フロス一体型歯間ブラシにおいて、顎関節症などの開口障害などを有する人による奥歯の清掃を容易に行うことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1におけるフロス一体型歯間ブラシは、互いに対向するように設けられた一対の分岐部を含み、その一対の分岐部の対向部分にそれぞれ挿通孔を有するアーム部と、アーム部と連続するように形成された把持部と、挿通孔を介して、一対の分岐部間を移動可能な糸状のフロス部と、その一端がフロス部の一端と連結されるとともに、挿通孔を介して、一対の分岐部間を移動可能な歯間ブラシ部とを備えている。
【0015】
請求項1によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記のように、アーム部の一対の分岐部の挿通孔を介して一対の分岐部間を移動可能な糸状のフロス部と、その一端がフロス部の一端と連結されるとともに、挿通孔を介して一対の分岐部間を移動可能な歯間ブラシ部とを設けることによって、まず、フロス部を一対の分岐部間に位置させた状態で、フロス部を歯間隣接面に挿入して歯間隣接面を清掃した後、フロス部が歯周ポケットの位置まで移動したときに、フロス部の他端を引っ張ることにより、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置させることができる。そして、この状態で、歯間ブラシ部の他端とフロス部の他端とを交互に引っ張ることにより、歯間ブラシを一対の分岐部間で左右に移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0016】
このように請求項1では、フロス部と歯間ブラシ部とを同時に使用することができるので、容易に、1つの器具で歯間隣接面の清掃と歯周ポケットの清掃とを行うことができる。その結果、1つの器具で歯周病を有効に予防することができる。また、フロス部を歯間隣接面に上から挿入した後、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に移動させるだけでよいので、従来の歯間ブラシのように、歯と歯との隙間に横から挿入するという煩雑な作業を行う必要がない。これにより、簡単な操作で、歯間ブラシ部を使用することができる。
【0017】
また、請求項1では、従来の歯間ブラシと異なり、歯間ブラシの針金の先端部を歯と歯との隙間に横から挿入する必要がないので、歯間ブラシの先端を歯茎に突き刺したり、歯間ブラシが隙間にうまく平行に入らず歯周ポケットを損傷するなどの不都合が生じない。
【0018】
また、請求項1では、把持部を手で持った状態でアーム部のみを口腔内に挿入して清掃を行うことができるので、従来の歯間ブラシと異なり、二本の指を口腔内の奥深くに入れる必要がない。これにより、口を大きく開くことなしに、奥歯を清掃することができるので、たとえば、顎関節症などの開口障害などを有する人も奥歯の清掃を容易に行うことができる。
【0019】
請求項2におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1の構成において、フロス部が一対の分岐部間に位置するとともに、歯間ブラシ部がアーム部内に位置するように、歯間ブラシ部の一端を付勢するための付勢手段と、フロス部の他端に直接または間接的に接続され、付勢手段の付勢力に抗して、歯間ブラシ部が、一対の分岐部間に位置するように、フロス部を移動させるためのレバー部材とをさらに備える。このように構成すれば、通常の状態では、付勢手段によりフロス部を一対の分岐部間に位置させることができるので、容易に、フロス部を歯間隣接面に挿入して歯間隣接面を清掃することができる。また、フロス部による歯間隣接面の清掃後は、レバー部材により、歯間ブラシ部が一対の分岐部間に位置するように、フロス部を移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0020】
請求項3におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1または2の構成において、アーム部の挿通孔は、歯間ブラシ部の外径よりも小さい内径を有するとともに、歯間ブラシ部が挿通孔を通過することにより、歯間ブラシ部に付着した食物残渣を除去する機能を有する。このように構成すれば、歯間ブラシにより歯周ポケットを清掃する際に、歯間ブラシをアーム部の挿通孔を通過するように移動させるだけで、歯間ブラシ部に付着した食物残渣(歯垢)を除去することができる。これにより、別途、歯間ブラシを洗浄する必要がない。
【0021】
請求項4におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜3のいずれかの構成において、アーム部は、内部を露出させるように複数の部分に分解可能である。このように構成すれば、アーム部の内部にフロス部および歯間ブラシ部を配置することにより、容易に、フロス部および歯間ブラシ部を交換することができる。
【0022】
請求項5におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜4のいずれかの構成において、付勢手段は、引張りコイルバネを含む。このように構成すれば、引張りコイルバネを用いて、容易に、フロス部が一対の分岐部間に位置するとともに、歯間ブラシ部がアーム部内に位置するように、歯間ブラシ部の一端を付勢することができる。
【0023】
請求項6におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部に設けられた穴に移動可能に挿入され、引張り方向に移動することによって、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのプルレバー部材を含む。このように構成すれば、プルレバー部材を引っ張る方向に移動させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0024】
請求項7におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部に設けられた穴に移動可能に挿入され、押す方向に移動することによって、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのプッシュレバー部材を含む。このように構成すれば、プッシュレバー部材を押す方向に移動させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0025】
請求項8におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部の外側面にスライド移動可能に装着され、把持部の外側面に沿ってスライド移動させることによって歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのスライドレバー部材を含む。このように構成すれば、スライドレバー部材をスライド移動させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0026】
請求項9におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部の外側面に回転可能に装着され、把持部の外側面の回りに回転させることによって、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのロールレバー部材を含む。このように構成すれば、ロールレバー部材を回転させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示した斜視図である。図2は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図3は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。図4は、図3に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを分解した状態の側面図である。図5〜図16は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図、側面図、斜視図および断面図である。
【0029】
まず、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図1および図2に示すように、把持部1と、アーム部2と、プルレバー3と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bと、引張りコイルバネ5と、ガイド部6a〜6cと、フック固定部7とを備えている。なお、プルレバー3は、本発明の「レバー部材」および「プルレバー部材」の一例である。
【0030】
把持部1は、ポリエチレンからなるとともに、円筒形状を有する。この円筒形状の把持部1は、図1に示すように、約7mmの直径d1と約40mmの長さL1とを有する。
【0031】
また、アーム部2は、把持部1と一体的に設けられた約30mmの長さL2を有する裏部分2aと、裏部分2aに対して脱着可能(分解可能)に設けられた表部分2bとを含んでいる。具体的には、図3および図4に示すように、アーム部2の裏部分2aに、爪部2dが外向きに形成されている。この爪部2dと表部分2bの内側面に形成された溝部2eとを係合させることにより、表部分2bが裏部分2aに脱着可能に固定されている。なお、図3に示すように、アーム部2の先端部(分岐部)は、把持部1に対して、約5mm〜約10mmの幅L3分だけ折り曲げるように形成されている。また、アーム部2の分岐部は、約4mmの直径を有する円柱形状に形成されている。
【0032】
また、アーム部2は、図2に示すように、約10mm〜約15mmの間隔W1と、約4mmの幅W2とを有する2股に分かれた一対の分岐部を有する。その一対の分岐部の対向部分には、それぞれ、リング部2cが設けられている。また、一対のリング部2cには、図5および図6に示すように、約1mmの内径d3を有する挿通孔2fが形成されている。このように、挿通孔2fの内径d3を、歯間ブラシ部4bの外径よりも小さくすることにより、図7および図8に示すように、歯間ブラシ部4bが挿通孔2fを通過する際に、歯間ブラシ部4bに付着した食物残渣(歯垢)を除去することができる。これにより、別途、歯間ブラシ部4bを洗浄する必要がない。
【0033】
また、プルレバー3は、図1および図2に示すように、把持部1の端部に設けられた穴に、矢印A方向および矢印B方向に移動可能に挿入されている。このプルレバー3は、ポリエチレンからなるとともに、約5mmの直径d2の円柱形状を有し、かつ、下端に球状部を含む。
【0034】
また、把持部1の内部に挿入されたプルレバー3の先端部には、図2に示すように、つば状のストッパー3aが形成されている。このプルレバー3のストッパー3aの中心には、フロス部4aが接続されるフロス接続部3bが形成されている。また、フロス部4aのフック部4cは、プルレバー3のフロス接続部3bの先端に形成されたリング部(図示せず)と係合させることによって固定されている。また、把持部1内には、リング状のレバーストッパー1aが形成されている。このレバーストッパー1aにより、ストッパー3aの移動範囲を制限することによって、プルレバー3が一定以上把持部1内に挿入されるのが防止されている。なお、プルレバー3を移動させない状態(初期状態)では、把持部1の下端と、プルレバー3の球状部との間隔L3(図2参照)は、約20mm〜約25mmとなる。
【0035】
また、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bは、図2および図9に示すように、互いに一体的に連結されているとともに、約0.02mm〜約0.1mmの直径を有する生体親和性ガラス線維もしくはナイロン線維から構成されている。フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bの端部には、それぞれ、フック部4cおよび4dが設けられている。
【0036】
また、引張りコイルバネ5は、図2および図10に示すように、歯間ブラシ部4bの一端を付勢するために設けられており、フック部5aおよび5bを有する。引張りコイルバネ5のフック部5aは、歯間ブラシ部4bのフック部4dと連結されている。また、フック固定部7は、図2、図11〜図14に示すように、引張りコイルバネ5のフック部5bを固定するために設けられており、溝部7aを有する円柱形状に形成されている。また、ガイド部6a〜6cは、図2、図15および図16に示すように、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを所定の経路に沿って移動させるために設けられている。ガイド部6a〜6cは、図15に示すように、中央にくびれ部を含む円柱形状を有している。このくびれ部に、図16に示すように、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを引っかけることによって、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bが所定の経路に沿うようにガイドされる。
【0037】
なお、プルレバー3を移動させない状態では、図2に示すように、引張りコイルバネ5によって、歯間ブラシ部4bの端部が付勢されることにより、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように調整されている。また、引張りコイルバネ5の付勢力に抗して、プルレバー3をA方向(引張り方向)に移動させた状態では、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。
【0038】
第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記のように、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bのフック部4cおよび4dが、それぞれ、引張りコイルバネ5のフック部5aおよびプルレバー3のリング部と係合されることによって固定されているので、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを簡単に取り外すことができる。また、第1実施形態では、アーム部2の表部分2bをアーム部2の裏部分2aから取り外すことによって、アーム部2の内部に配置されたフロス部4aおよび歯間ブラシ部4bが露出されるように構成されている。これにより、表部分2bを取り外すことによって、容易に、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを交換することができる。
【0039】
図17および図18は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法を説明するための歯の正面図である。図19は、図18に示した歯の斜視図である。次に、図1、図17〜図19を参照して、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法について説明する。
【0040】
まず、プルレバー3を移動させない状態(初期状態)では、図1に示すように、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置している。この状態で、図17に示すように、アーム部2の一対の分岐部間のフロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下に往復移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。
【0041】
次に、図18に示すように、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、プルレバー3を矢印Aの引張り方向(図19参照)に移動することにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に移動させる。そして、この状態で、図19に示すように、プルレバー3を矢印Aおよび矢印Bの方向に往復移動させることにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間で往復移動させる。これにより、歯周ポケット10dと、歯10aと歯10bとの間の凹部10eとの清掃が行われる。
【0042】
第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、フロス部4aと歯間ブラシ部4bとを同時に使用することができるので、容易に、1つの器具で歯間隣接面10cの清掃と歯周ポケット10dの清掃とを行うことができる。これにより、1つの器具で歯周病を有効に予防することができる。また、歯間ブラシ部4bにより、歯周ポケット10dの清掃を行う際には、フロス部4aを、歯間隣接面10cの上方から挿入した後、歯間ブラシ部4bを、一対の分岐部間で移動させるだけでよいので、従来の歯間ブラシのように、歯10aと歯10bとの隙間に歯間ブラシを横から挿入するという煩雑な作業を行う必要がない。これにより、簡単な操作で、歯間ブラシ部4bを使用することができる。
【0043】
また、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、従来の歯間ブラシ(図34参照)と異なり、歯間ブラシの針金の先端部を、歯10aと歯10bとの隙間に横から挿入する必要がないので、歯間ブラシの先端を歯茎に突き刺したり、歯間ブラシが隙間にうまく平行に入らず歯周ポケット10dを損傷するなどの不都合が生じない。
【0044】
また、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、把持部1を手で持った状態でアーム部2のみを口腔内に挿入して洗浄を行うことができるので、従来の歯間ブラシと異なり、二本の指を口腔内の奥深くに入れる必要がない。これにより、口を大きく開くことなしに、奥歯を清掃することができるので、たとえば、顎関節症などの開口障害などを有する人も奥歯の清掃を容易に行うことができる。
【0045】
また、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてプルレバー3を用いることによって、プルレバー3を矢印Aの方向(引張り方向)に移動させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0046】
(第2実施形態)
図20は、本発明の第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示した斜視図である。図21は、図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図22は、図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態のプルレバーと異なり、フロス部と歯間ブラシ部との切り替えにプッシュレバーを用いた場合の例について説明する。
【0047】
すなわち、第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図20および図21に示すように、把持部21と、アーム部2と、プッシュレバー23と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bとを備えている。なお、プッシュレバー23は、本発明の「レバー部材」および「プッシュレバー部材」の一例である。また、アーム部2の構造と、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bの構造とは、第1実施形態と同様である。
【0048】
ここで、第2実施形態では、把持部21の一端に、つば状のフィンガーレスト21aが設けられている。プッシュレバー23は、フィンガーレスト21aの中心に設けられた穴部から把持部21内に挿入されるとともに、矢印Aの方向(押す方向)および矢印Bの方向に移動可能に構成されている。また、把持部21およびプッシュレバー23は、ポリエチレンから形成されている。
【0049】
また、図21に示すように、把持部21およびアーム部2の内部には、一体的に連結されたフロス部4aおよび歯間ブラシ部4bに加えて、歯間ブラシ部4bの一端に一体的に連結される連結線部24cが配置されている。なお、フロス部4aと歯間ブラシ部4bと連結線部24cとは、生体親和性ガラス線維もしくはナイロン線維によって一体的に形成されている。また、フロス部4aと歯間ブラシ部4bと連結線部24cとを所定の経路に沿って移動させるためのガイド部26a〜26dと、プッシュレバー23を介して、歯間ブラシ部4bを引っ張る方向に付勢するための引張りコイルバネ25とが設けられている。なお、ガイド部26a〜26dの構造は、図15および図16に示した第1実施形態のガイド部6a〜6cと同様である。
【0050】
また、図21に示すように、プッシュレバー23は、つば状のバネストッパー23aと、先端にリング部(図示せず)を有する接続部23bおよび23cとを含んでいる。接続部23bのリング部には、連結線部24cに設けられたフック部(図示せず)が接続されている。また、接続部23cのリング部には、フロス部4a側のフック部4c(図9参照)が接続されている。
【0051】
また、把持部21内のフィンガーレスト21aとバネストッパー23aとの間に装着された引張りコイルバネ25の両端は、フィンガーレスト21aおよびバネストッパー23aにそれぞれ固定されている。第2実施形態では、図21に示すように、プッシュレバー23が矢印Aの方向に移動されていない状態(初期状態)では、引張りコイルバネ25の付勢力によって、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように調整されている。また、引張りコイルバネ25の付勢力に抗して、プッシュレバー23を矢印Aの方向(押す方向)に移動させた状態では、図22に示すように、接続部23cに接続されたフロス部4aが、ガイド部26cを介して、矢印Cの方向に移動されるとともに、接続部23bに接続された歯間ブラシ部4b側の連結線部24cが、矢印Dの方向に移動される。第2実施形態では、この状態で、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。
【0052】
なお、第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法としては、図17〜図19に示した第1実施形態と同様、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置する初期状態で、フロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下に往復移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。そして、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、プッシュレバー23を矢印Aの方向(押す方向)に移動させることにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に移動させることができる。この状態で、プッシュレバー23を矢印Aおよび矢印Bの方向に往復移動させることにより、歯周ポケット10dの清掃を行う。
【0053】
第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてプッシュレバー23を用いることによって、プッシュレバー23を矢印Aの方向(押す方向)に移動させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0054】
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0055】
(第3実施形態)
図23は、本発明の第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示した斜視図である。図24は、図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。図25は、図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図26は、図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の正面図である。図27は、図23に示したフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の断面図である。この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態と異なり、フロス部と歯間ブラシ部との切り替えにスライド移動可能なスライドレバーを用いた場合の例について説明する。
【0056】
この第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図23〜図25に示すように、アーム部2と、把持部31と、スライドレバー33と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bと、引張りコイルバネ5と、ガイド部6a〜6cと、フック固定部7とを含んでいる。なお、アーム部2、フロス部4a、歯間ブラシ部4b、引張りコイルバネ5、ガイド部6a〜6cおよびフック固定部7の構成および接続関係は、図2に示した第1実施形態と同様である。
【0057】
ここで、第3実施形態では、レバー部33aを有するスライドレバー33が、把持部31内に矢印Aの方向および矢印Bの方向に移動可能に挿入されている。スライドレバー33のレバー部33aは、図23および図24に示すように、把持部31の一部の領域を除去することにより形成された切り抜き部31cを介して外部に突出するように配置されているとともに、表面に滑り止めのための溝部が形成されている。また、把持部31およびスライドレバー33は、ポリエチレンから形成されている。なお、スライドレバー33は、本発明の「レバー部材」および「スライドレバー部材」の一例である。
【0058】
また、図25〜図27に示すように、スライドレバー33の端部には、先端部にリング部33cを有する接続部33bが設けられている。このリング部33cと、フロス部4a側のフック部4cとが係合されることによって、フロス部4aと、スライドレバー33とが接続されている。なお、歯間ブラシ部4b側のフック部4dは、第1実施形態と同様、引張りコイルバネ5のフック部5aと係合されている。
【0059】
また、第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、図25に示すように、把持部31には、リング状のストッパー31aと円板状のストッパー31bとが設けられている。そして、スライドレバー33が矢印Aの方向にスライド移動されていない状態(初期状態)では、引張りコイルバネ5の付勢力によって、歯間ブラシ部4bが引っ張られることにより、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように、リング状のストッパー31aの位置が調整されている。また、引張りコイルバネ5の付勢力に抗して、スライドレバー33を矢印Aの方向にスライド移動させた状態では、フロス部4aが、矢印Aの方向に移動することによって、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。また、ストッパー31bは、スライドレバー33が矢印A方向に過剰に移動するのを防止するために設けられている。
【0060】
なお、第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法としては、図17〜図19に示した第1実施形態と同様、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置する初期状態で、フロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下方向に移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。そして、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、スライドレバー33を矢印Aの方向にスライド移動させることにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に移動させる。この状態で、スライドレバー33を矢印Aおよび矢印Bの方向に交互にスライド移動させることにより、歯周ポケット10dの清掃を行う。
【0061】
第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてスライドレバー33を用いることによって、スライドレバー33を矢印Aの方向にスライド移動させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0062】
なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0063】
(第4実施形態)
図28は、本発明の第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。図29は、図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図30は、図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大正面図である。図31は、図30に示したレバー部周辺の巻き付き糸を巻き付けた状態を示した拡大正面図である。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なり、フロス部と歯間ブラシ部との切り替えに回転可能なロールレバーを用いた場合の例について説明する。
【0064】
この第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図28および図29に示すように、アーム部2と、把持部41と、ロールレバー43と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bと、引張りコイルバネ5と、ガイド部6a〜6cと、フック固定部7とを含んでいる。なお、アーム部2、フロス部4a、歯間ブラシ部4b、引張りコイルバネ5、ガイド部6a〜6cおよびフック固定部7の構成および接続関係は、図2に示した第1実施形態と同様である。
【0065】
ここで、第4実施形態では、ロールレバー43は、把持部41の外側面に矢印Aの方向および矢印Bの方向に回転可能に装着されている。なお、ロールレバー43は、本発明の「レバー部材」および「ロールレバー部材」の一例である。また、図29に示すように、ロールレバー43の内側面の所定の位置43aに一端が固定された巻き付き糸44の他端と、フロス部4a側のフック部4cとが接続されている。具体的には、図30に示すように、ロールレバー43の内側面の位置43aに一端が固定された巻き付き糸44の他端は、ロールレバー43が取り付けられた領域の把持部41に形成された穴部41aを通って、把持部41内を通過するように構成されている。そして、巻き付き糸44の他端に形成されたリング部44aと、フロス部4a側のフック部4cとを係合させることによって、フロス部4aとロールレバー43とが、巻き付き糸44を介して接続されている。これにより、ロールレバー43を矢印Aの方向および矢印Bの方向に回転させることによって、フロス部4aが移動される。
【0066】
すなわち、図31に示すように、スライドレバー43を矢印Aの方向に回転させることによって、把持部41に形成された穴部41aを通して巻き付き糸44を外部に引き出すとともに、巻き付き糸44を把持部41の胴体部に巻き付ける。これにより、リング部44aに接続されたフロス部4bが矢印Cの方向に移動される。
【0067】
また、第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、図29に示すように、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させない状態(初期状態)では、引張りコイルバネ5によって、歯間ブラシ部4bが付勢されることにより、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように調整されている。また、引張りコイルバネ5の付勢力に抗して、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させた状態では、フロス部4aが、ロールレバー43の回転によって、矢印cの方向に移動する。第4実施形態では、この状態で、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。
【0068】
なお、第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法としては、図17〜図19に示した第1実施形態と同様、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置する初期状態で、フロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下に往復移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。そして、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させることにより、歯間ブラシ部4bを、一対の分岐部間に移動させる。この状態で、ロールレバー43を矢印Aおよび矢印Bの方向に交互に回転させることにより、歯周ポケット10dの清掃を行う。
【0069】
第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてロールレバー43を用いることによって、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0070】
なお、第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。すなわち、第4実施形態では、第1実施形態と同様、フロス部4aと歯間ブラシ部4bとを同時に使用することができるので、容易に、1つの器具で歯間隣接面10cの清掃と歯周ポケット10dの清掃とを行うことができる。また、第4実施形態では、従来の歯間ブラシのように、歯と歯との隙間に横から挿入するという煩雑な作業を行う必要がないので、簡単な操作で、歯間ブラシ部4bを使用することができる。また、第4実施形態では、従来の歯間ブラシと異なり、把持部41を手で持った状態でアーム部2のみを口腔内に挿入して歯の清掃を行うことができるので、二本の指を口腔内の奥深くに入れる必要がない。これにより、口を大きく開くことなしに、奥歯を清掃することができるので、たとえば、顎関節症などの開口障害などを有する人も奥歯の清掃を容易に行うことができる。
【0071】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0072】
たとえば、上記実施形態では、把持部、アーム部およびレバー部材(プルレバー3、プッシュレバー23、スライドレバー33、ロールレバー43)をポリエチレンにより形成する場合の例について説明したが、本発明はこれに限らず、他の材料を用いて形成する場合であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、アーム部の一対の分岐部に対向するように形成されたリング部の挿通孔の内径を約1mmにしたが、本発明はこれに限らず、挿通孔の内径は、歯間ブラシ部が挿通孔を移動する際に、歯間ブラシ部に付着した食物残渣を除去することのできる内径であればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、付勢手段としての引張りコイルバネによって、フロス部および歯間ブラシ部を付勢する例を示したが、本発明はこれに限らず、引張りコイルバネ以外の他の付勢手段を用いてフロス部および歯間ブラシ部を付勢するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、アーム部を表部分と裏部分との2つの部分に分解可能な構造について例示したが、本発明はこれに限らず、アーム部が3つ以上の部分に分解できるような構造であってもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、煩雑な清掃作業を行うことなく、容易に、1つの器具で歯間隣接面の清掃と歯周ポケットの清掃とを行うことが可能なフロス一体型歯間ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図3】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。
【図4】図3に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを分解した状態の側面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図6】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図7】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した斜視図である。
【図8】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した斜視図である。
【図9】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図11】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図12】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図13】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図14】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図15】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図16】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した斜視図である。
【図17】図1に示した第1実施形態による第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法を説明するための歯の正面図である。
【図18】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法を説明するための歯の正面図である。
【図19】図18に示した歯の斜視図である。
【図20】本発明の第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。
【図21】図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図22】図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大図である。
【図23】本発明の第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。
【図24】図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。
【図25】図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図26】図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の正面図である。
【図27】図23に示したフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の断面図である。
【図28】本発明の第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。
【図29】図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図30】図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大正面図である。
【図31】図30に示したレバー部周辺の巻き付き糸を巻き付けた状態を示した拡大正面図である。
【図32】従来のフロスまたは歯間ブラシによる清掃可能領域を示した歯の正面図である。
【図33】従来のフロスによる歯間隣接面の清掃方法を説明するための歯の斜視図である。
【図34】従来の歯間ブラシによる歯周ポケットの清掃方法を説明するための歯の上面図である。
【符号の説明】
1、21、31、41 把持部
2f 挿通孔
3 プルレバー(レバー部材、プルレバー部材)
4a フロス部
4b 歯間ブラシ部
5、25 引張りコイルバネ(付勢手段)
23 プッシュレバー(レバー部材、プッシュレバー部材)
33 スライドレバー(レバー部材、スライドレバー部材)
43 ロールレバー(レバー部材、ロールレバー部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロス一体型歯間ブラシに関し、特に、フロスの機能と歯間ブラシの機能とを有するフロス一体型歯間ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯の清掃は歯ブラシを用いて行うのが一般的である。しかし、歯ブラシの毛先が局所的な領域に入り込みにくいとともに、局所的な領域での歯ブラシによる刷掃能力が不足しているため、歯と歯との隣接面(歯間隣接面)および歯周ポケットといった局所的な領域を歯ブラシにより十分に清掃することは困難である。このため、歯ブラシによる清掃だけでは、歯間隣接面および歯周ポケットに食物残渣が生じやすいため、食物残渣を栄養源とする細菌(嫌気性菌)が繁殖しやすい。この嫌気性菌の毒素などによって歯周組織が破壊されて歯周病になりやすいと考えられている。このため、歯周病予防には、歯間隣接面および歯周ポケットの十分な清掃が不可欠である。
【0003】
そこで、従来、歯間隣接面の食物残渣を清掃する器具として、ひも状のフロスが提案されている。また、従来、歯周ポケットの食物残渣を清掃する器具として、歯間ブラシが提案されている。従来では、歯周病予防を徹底するためには、フロスと歯間ブラシとを併用する必要がある。
【0004】
図32は、従来のフロスまたは歯間ブラシによる清掃可能領域を示した歯の正面図である。図33は、従来のフロスによる歯間隣接面の清掃方法を説明するための歯の斜視図である。図34は、従来の歯間ブラシによる歯周ポケットの清掃方法を説明するための歯の上面図である。以下、図32〜図34を参照して、従来のフロスおよび歯間ブラシによる歯間隣接面および歯周ポケットの清掃方法について説明する。
【0005】
まず、図32および図33を参照して、従来では、歯101aと歯101bとの歯間隣接面102は、ひも状のフロス110により清掃される。具体的には、図33に示すように、ひも状のフロス110を引っ張った状態で、歯間隣接面102の上方から歯周ポケット103に向かってフロス110を上下に往復移動することによって、歯間隣接面102の食物残渣を除去する。
【0006】
次に、図32および図34を参照して、歯周ポケット103は、歯間ブラシ120により清掃される。この歯間ブラシ120は、図34に示すように、ホルダ120aと、ホルダ120aの先端に取り付けられた金属製の針金120bと、針金120bの周辺に巻き付けられたブラシとなるナイロン糸120cとから構成されている。具体的な清掃作業としては、歯間ブラシ120を、歯101aと歯101bとの間の隙間に横から矢印C方向に挿入する。そして、歯間ブラシ120を矢印Cおよびその反対方向に往復移動することによって、歯周ポケット103の食物残渣を除去する。これにより、歯周ポケット103と、歯101aと歯101bとの間の凹部104とを清掃する。
【0007】
このように、従来では、フロス110と歯間ブラシ120とを用いて、歯ブラシによる清掃が困難である歯間隣接面102、歯周ポケット103および凹部104の清掃を行うことにより、歯周病の予防を図っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来では、歯周病を有効に予防するために、フロス110と歯間ブラシ120との2つの器具を用いる必要があるため、歯の清掃作業が煩雑になるという問題点があった。また、清掃しようとする歯101aと歯101bとの隙間の大きさに合わせて針金120bの径が異なる複数の歯間ブラシ120を用意する必要があるので、清掃部分に応じて複数の歯間ブラシ120を準備して使い分ける必要があった。これによっても、歯の清掃作業が煩雑になるという問題点があった。
【0009】
また、図34に示した従来の歯間ブラシ120では、歯間ブラシ120を歯101aと歯101bとの隙間に横方向(矢印C方向)から挿入する必要があるため、針金120bの先端を歯茎に突き刺したり、うまく平行に入らず歯周ポケット103を損傷するなどの不都合があった。また、清掃中に、歯間ブラシ120の針金120bが折れてしまった場合、口腔内を傷付ける場合があるという問題点もあった。
【0010】
また、従来では、歯間ブラシ120により奥歯の清掃を行う場合、二本の指を口腔内の奥深くに挿入する必要があるので、口を大きく開く(約4cm以上)必要がある。この場合、たとえば、顎関節症のような開口障害などを有する人では、口を大きく開くことが困難であるので、歯間ブラシ120を奥歯の歯間に挿入するのが困難であるという問題点もあった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、煩雑な清掃作業を行うことなく、容易に、1つの器具で歯間隣接面の清掃と歯周ポケットの清掃とを行うことが可能なフロス一体型歯間ブラシを提供することである。
【0012】
この発明のもう1つの目的は、上記のフロス一体型歯間ブラシにおいて、簡単な操作で歯間ブラシ部を使用することである。
【0013】
この発明のさらにもう1つの目的は、上記フロス一体型歯間ブラシにおいて、顎関節症などの開口障害などを有する人による奥歯の清掃を容易に行うことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1におけるフロス一体型歯間ブラシは、互いに対向するように設けられた一対の分岐部を含み、その一対の分岐部の対向部分にそれぞれ挿通孔を有するアーム部と、アーム部と連続するように形成された把持部と、挿通孔を介して、一対の分岐部間を移動可能な糸状のフロス部と、その一端がフロス部の一端と連結されるとともに、挿通孔を介して、一対の分岐部間を移動可能な歯間ブラシ部とを備えている。
【0015】
請求項1によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記のように、アーム部の一対の分岐部の挿通孔を介して一対の分岐部間を移動可能な糸状のフロス部と、その一端がフロス部の一端と連結されるとともに、挿通孔を介して一対の分岐部間を移動可能な歯間ブラシ部とを設けることによって、まず、フロス部を一対の分岐部間に位置させた状態で、フロス部を歯間隣接面に挿入して歯間隣接面を清掃した後、フロス部が歯周ポケットの位置まで移動したときに、フロス部の他端を引っ張ることにより、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置させることができる。そして、この状態で、歯間ブラシ部の他端とフロス部の他端とを交互に引っ張ることにより、歯間ブラシを一対の分岐部間で左右に移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0016】
このように請求項1では、フロス部と歯間ブラシ部とを同時に使用することができるので、容易に、1つの器具で歯間隣接面の清掃と歯周ポケットの清掃とを行うことができる。その結果、1つの器具で歯周病を有効に予防することができる。また、フロス部を歯間隣接面に上から挿入した後、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に移動させるだけでよいので、従来の歯間ブラシのように、歯と歯との隙間に横から挿入するという煩雑な作業を行う必要がない。これにより、簡単な操作で、歯間ブラシ部を使用することができる。
【0017】
また、請求項1では、従来の歯間ブラシと異なり、歯間ブラシの針金の先端部を歯と歯との隙間に横から挿入する必要がないので、歯間ブラシの先端を歯茎に突き刺したり、歯間ブラシが隙間にうまく平行に入らず歯周ポケットを損傷するなどの不都合が生じない。
【0018】
また、請求項1では、把持部を手で持った状態でアーム部のみを口腔内に挿入して清掃を行うことができるので、従来の歯間ブラシと異なり、二本の指を口腔内の奥深くに入れる必要がない。これにより、口を大きく開くことなしに、奥歯を清掃することができるので、たとえば、顎関節症などの開口障害などを有する人も奥歯の清掃を容易に行うことができる。
【0019】
請求項2におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1の構成において、フロス部が一対の分岐部間に位置するとともに、歯間ブラシ部がアーム部内に位置するように、歯間ブラシ部の一端を付勢するための付勢手段と、フロス部の他端に直接または間接的に接続され、付勢手段の付勢力に抗して、歯間ブラシ部が、一対の分岐部間に位置するように、フロス部を移動させるためのレバー部材とをさらに備える。このように構成すれば、通常の状態では、付勢手段によりフロス部を一対の分岐部間に位置させることができるので、容易に、フロス部を歯間隣接面に挿入して歯間隣接面を清掃することができる。また、フロス部による歯間隣接面の清掃後は、レバー部材により、歯間ブラシ部が一対の分岐部間に位置するように、フロス部を移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0020】
請求項3におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1または2の構成において、アーム部の挿通孔は、歯間ブラシ部の外径よりも小さい内径を有するとともに、歯間ブラシ部が挿通孔を通過することにより、歯間ブラシ部に付着した食物残渣を除去する機能を有する。このように構成すれば、歯間ブラシにより歯周ポケットを清掃する際に、歯間ブラシをアーム部の挿通孔を通過するように移動させるだけで、歯間ブラシ部に付着した食物残渣(歯垢)を除去することができる。これにより、別途、歯間ブラシを洗浄する必要がない。
【0021】
請求項4におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜3のいずれかの構成において、アーム部は、内部を露出させるように複数の部分に分解可能である。このように構成すれば、アーム部の内部にフロス部および歯間ブラシ部を配置することにより、容易に、フロス部および歯間ブラシ部を交換することができる。
【0022】
請求項5におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜4のいずれかの構成において、付勢手段は、引張りコイルバネを含む。このように構成すれば、引張りコイルバネを用いて、容易に、フロス部が一対の分岐部間に位置するとともに、歯間ブラシ部がアーム部内に位置するように、歯間ブラシ部の一端を付勢することができる。
【0023】
請求項6におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部に設けられた穴に移動可能に挿入され、引張り方向に移動することによって、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのプルレバー部材を含む。このように構成すれば、プルレバー部材を引っ張る方向に移動させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0024】
請求項7におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部に設けられた穴に移動可能に挿入され、押す方向に移動することによって、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのプッシュレバー部材を含む。このように構成すれば、プッシュレバー部材を押す方向に移動させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0025】
請求項8におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部の外側面にスライド移動可能に装着され、把持部の外側面に沿ってスライド移動させることによって歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのスライドレバー部材を含む。このように構成すれば、スライドレバー部材をスライド移動させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0026】
請求項9におけるフロス一体型歯間ブラシは、請求項1〜5のいずれかの構成において、レバー部材は、把持部の外側面に回転可能に装着され、把持部の外側面の回りに回転させることによって、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させるためのロールレバー部材を含む。このように構成すれば、ロールレバー部材を回転させるだけで、歯間ブラシ部を一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケットの清掃を行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示した斜視図である。図2は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図3は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。図4は、図3に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを分解した状態の側面図である。図5〜図16は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図、側面図、斜視図および断面図である。
【0029】
まず、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図1および図2に示すように、把持部1と、アーム部2と、プルレバー3と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bと、引張りコイルバネ5と、ガイド部6a〜6cと、フック固定部7とを備えている。なお、プルレバー3は、本発明の「レバー部材」および「プルレバー部材」の一例である。
【0030】
把持部1は、ポリエチレンからなるとともに、円筒形状を有する。この円筒形状の把持部1は、図1に示すように、約7mmの直径d1と約40mmの長さL1とを有する。
【0031】
また、アーム部2は、把持部1と一体的に設けられた約30mmの長さL2を有する裏部分2aと、裏部分2aに対して脱着可能(分解可能)に設けられた表部分2bとを含んでいる。具体的には、図3および図4に示すように、アーム部2の裏部分2aに、爪部2dが外向きに形成されている。この爪部2dと表部分2bの内側面に形成された溝部2eとを係合させることにより、表部分2bが裏部分2aに脱着可能に固定されている。なお、図3に示すように、アーム部2の先端部(分岐部)は、把持部1に対して、約5mm〜約10mmの幅L3分だけ折り曲げるように形成されている。また、アーム部2の分岐部は、約4mmの直径を有する円柱形状に形成されている。
【0032】
また、アーム部2は、図2に示すように、約10mm〜約15mmの間隔W1と、約4mmの幅W2とを有する2股に分かれた一対の分岐部を有する。その一対の分岐部の対向部分には、それぞれ、リング部2cが設けられている。また、一対のリング部2cには、図5および図6に示すように、約1mmの内径d3を有する挿通孔2fが形成されている。このように、挿通孔2fの内径d3を、歯間ブラシ部4bの外径よりも小さくすることにより、図7および図8に示すように、歯間ブラシ部4bが挿通孔2fを通過する際に、歯間ブラシ部4bに付着した食物残渣(歯垢)を除去することができる。これにより、別途、歯間ブラシ部4bを洗浄する必要がない。
【0033】
また、プルレバー3は、図1および図2に示すように、把持部1の端部に設けられた穴に、矢印A方向および矢印B方向に移動可能に挿入されている。このプルレバー3は、ポリエチレンからなるとともに、約5mmの直径d2の円柱形状を有し、かつ、下端に球状部を含む。
【0034】
また、把持部1の内部に挿入されたプルレバー3の先端部には、図2に示すように、つば状のストッパー3aが形成されている。このプルレバー3のストッパー3aの中心には、フロス部4aが接続されるフロス接続部3bが形成されている。また、フロス部4aのフック部4cは、プルレバー3のフロス接続部3bの先端に形成されたリング部(図示せず)と係合させることによって固定されている。また、把持部1内には、リング状のレバーストッパー1aが形成されている。このレバーストッパー1aにより、ストッパー3aの移動範囲を制限することによって、プルレバー3が一定以上把持部1内に挿入されるのが防止されている。なお、プルレバー3を移動させない状態(初期状態)では、把持部1の下端と、プルレバー3の球状部との間隔L3(図2参照)は、約20mm〜約25mmとなる。
【0035】
また、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bは、図2および図9に示すように、互いに一体的に連結されているとともに、約0.02mm〜約0.1mmの直径を有する生体親和性ガラス線維もしくはナイロン線維から構成されている。フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bの端部には、それぞれ、フック部4cおよび4dが設けられている。
【0036】
また、引張りコイルバネ5は、図2および図10に示すように、歯間ブラシ部4bの一端を付勢するために設けられており、フック部5aおよび5bを有する。引張りコイルバネ5のフック部5aは、歯間ブラシ部4bのフック部4dと連結されている。また、フック固定部7は、図2、図11〜図14に示すように、引張りコイルバネ5のフック部5bを固定するために設けられており、溝部7aを有する円柱形状に形成されている。また、ガイド部6a〜6cは、図2、図15および図16に示すように、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを所定の経路に沿って移動させるために設けられている。ガイド部6a〜6cは、図15に示すように、中央にくびれ部を含む円柱形状を有している。このくびれ部に、図16に示すように、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを引っかけることによって、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bが所定の経路に沿うようにガイドされる。
【0037】
なお、プルレバー3を移動させない状態では、図2に示すように、引張りコイルバネ5によって、歯間ブラシ部4bの端部が付勢されることにより、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように調整されている。また、引張りコイルバネ5の付勢力に抗して、プルレバー3をA方向(引張り方向)に移動させた状態では、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。
【0038】
第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記のように、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bのフック部4cおよび4dが、それぞれ、引張りコイルバネ5のフック部5aおよびプルレバー3のリング部と係合されることによって固定されているので、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを簡単に取り外すことができる。また、第1実施形態では、アーム部2の表部分2bをアーム部2の裏部分2aから取り外すことによって、アーム部2の内部に配置されたフロス部4aおよび歯間ブラシ部4bが露出されるように構成されている。これにより、表部分2bを取り外すことによって、容易に、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bを交換することができる。
【0039】
図17および図18は、図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法を説明するための歯の正面図である。図19は、図18に示した歯の斜視図である。次に、図1、図17〜図19を参照して、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法について説明する。
【0040】
まず、プルレバー3を移動させない状態(初期状態)では、図1に示すように、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置している。この状態で、図17に示すように、アーム部2の一対の分岐部間のフロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下に往復移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。
【0041】
次に、図18に示すように、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、プルレバー3を矢印Aの引張り方向(図19参照)に移動することにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に移動させる。そして、この状態で、図19に示すように、プルレバー3を矢印Aおよび矢印Bの方向に往復移動させることにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間で往復移動させる。これにより、歯周ポケット10dと、歯10aと歯10bとの間の凹部10eとの清掃が行われる。
【0042】
第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、フロス部4aと歯間ブラシ部4bとを同時に使用することができるので、容易に、1つの器具で歯間隣接面10cの清掃と歯周ポケット10dの清掃とを行うことができる。これにより、1つの器具で歯周病を有効に予防することができる。また、歯間ブラシ部4bにより、歯周ポケット10dの清掃を行う際には、フロス部4aを、歯間隣接面10cの上方から挿入した後、歯間ブラシ部4bを、一対の分岐部間で移動させるだけでよいので、従来の歯間ブラシのように、歯10aと歯10bとの隙間に歯間ブラシを横から挿入するという煩雑な作業を行う必要がない。これにより、簡単な操作で、歯間ブラシ部4bを使用することができる。
【0043】
また、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、従来の歯間ブラシ(図34参照)と異なり、歯間ブラシの針金の先端部を、歯10aと歯10bとの隙間に横から挿入する必要がないので、歯間ブラシの先端を歯茎に突き刺したり、歯間ブラシが隙間にうまく平行に入らず歯周ポケット10dを損傷するなどの不都合が生じない。
【0044】
また、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、把持部1を手で持った状態でアーム部2のみを口腔内に挿入して洗浄を行うことができるので、従来の歯間ブラシと異なり、二本の指を口腔内の奥深くに入れる必要がない。これにより、口を大きく開くことなしに、奥歯を清掃することができるので、たとえば、顎関節症などの開口障害などを有する人も奥歯の清掃を容易に行うことができる。
【0045】
また、第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてプルレバー3を用いることによって、プルレバー3を矢印Aの方向(引張り方向)に移動させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0046】
(第2実施形態)
図20は、本発明の第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示した斜視図である。図21は、図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図22は、図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態のプルレバーと異なり、フロス部と歯間ブラシ部との切り替えにプッシュレバーを用いた場合の例について説明する。
【0047】
すなわち、第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図20および図21に示すように、把持部21と、アーム部2と、プッシュレバー23と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bとを備えている。なお、プッシュレバー23は、本発明の「レバー部材」および「プッシュレバー部材」の一例である。また、アーム部2の構造と、フロス部4aおよび歯間ブラシ部4bの構造とは、第1実施形態と同様である。
【0048】
ここで、第2実施形態では、把持部21の一端に、つば状のフィンガーレスト21aが設けられている。プッシュレバー23は、フィンガーレスト21aの中心に設けられた穴部から把持部21内に挿入されるとともに、矢印Aの方向(押す方向)および矢印Bの方向に移動可能に構成されている。また、把持部21およびプッシュレバー23は、ポリエチレンから形成されている。
【0049】
また、図21に示すように、把持部21およびアーム部2の内部には、一体的に連結されたフロス部4aおよび歯間ブラシ部4bに加えて、歯間ブラシ部4bの一端に一体的に連結される連結線部24cが配置されている。なお、フロス部4aと歯間ブラシ部4bと連結線部24cとは、生体親和性ガラス線維もしくはナイロン線維によって一体的に形成されている。また、フロス部4aと歯間ブラシ部4bと連結線部24cとを所定の経路に沿って移動させるためのガイド部26a〜26dと、プッシュレバー23を介して、歯間ブラシ部4bを引っ張る方向に付勢するための引張りコイルバネ25とが設けられている。なお、ガイド部26a〜26dの構造は、図15および図16に示した第1実施形態のガイド部6a〜6cと同様である。
【0050】
また、図21に示すように、プッシュレバー23は、つば状のバネストッパー23aと、先端にリング部(図示せず)を有する接続部23bおよび23cとを含んでいる。接続部23bのリング部には、連結線部24cに設けられたフック部(図示せず)が接続されている。また、接続部23cのリング部には、フロス部4a側のフック部4c(図9参照)が接続されている。
【0051】
また、把持部21内のフィンガーレスト21aとバネストッパー23aとの間に装着された引張りコイルバネ25の両端は、フィンガーレスト21aおよびバネストッパー23aにそれぞれ固定されている。第2実施形態では、図21に示すように、プッシュレバー23が矢印Aの方向に移動されていない状態(初期状態)では、引張りコイルバネ25の付勢力によって、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように調整されている。また、引張りコイルバネ25の付勢力に抗して、プッシュレバー23を矢印Aの方向(押す方向)に移動させた状態では、図22に示すように、接続部23cに接続されたフロス部4aが、ガイド部26cを介して、矢印Cの方向に移動されるとともに、接続部23bに接続された歯間ブラシ部4b側の連結線部24cが、矢印Dの方向に移動される。第2実施形態では、この状態で、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。
【0052】
なお、第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法としては、図17〜図19に示した第1実施形態と同様、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置する初期状態で、フロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下に往復移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。そして、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、プッシュレバー23を矢印Aの方向(押す方向)に移動させることにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に移動させることができる。この状態で、プッシュレバー23を矢印Aおよび矢印Bの方向に往復移動させることにより、歯周ポケット10dの清掃を行う。
【0053】
第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてプッシュレバー23を用いることによって、プッシュレバー23を矢印Aの方向(押す方向)に移動させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0054】
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0055】
(第3実施形態)
図23は、本発明の第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示した斜視図である。図24は、図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。図25は、図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図26は、図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の正面図である。図27は、図23に示したフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の断面図である。この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態と異なり、フロス部と歯間ブラシ部との切り替えにスライド移動可能なスライドレバーを用いた場合の例について説明する。
【0056】
この第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図23〜図25に示すように、アーム部2と、把持部31と、スライドレバー33と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bと、引張りコイルバネ5と、ガイド部6a〜6cと、フック固定部7とを含んでいる。なお、アーム部2、フロス部4a、歯間ブラシ部4b、引張りコイルバネ5、ガイド部6a〜6cおよびフック固定部7の構成および接続関係は、図2に示した第1実施形態と同様である。
【0057】
ここで、第3実施形態では、レバー部33aを有するスライドレバー33が、把持部31内に矢印Aの方向および矢印Bの方向に移動可能に挿入されている。スライドレバー33のレバー部33aは、図23および図24に示すように、把持部31の一部の領域を除去することにより形成された切り抜き部31cを介して外部に突出するように配置されているとともに、表面に滑り止めのための溝部が形成されている。また、把持部31およびスライドレバー33は、ポリエチレンから形成されている。なお、スライドレバー33は、本発明の「レバー部材」および「スライドレバー部材」の一例である。
【0058】
また、図25〜図27に示すように、スライドレバー33の端部には、先端部にリング部33cを有する接続部33bが設けられている。このリング部33cと、フロス部4a側のフック部4cとが係合されることによって、フロス部4aと、スライドレバー33とが接続されている。なお、歯間ブラシ部4b側のフック部4dは、第1実施形態と同様、引張りコイルバネ5のフック部5aと係合されている。
【0059】
また、第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、図25に示すように、把持部31には、リング状のストッパー31aと円板状のストッパー31bとが設けられている。そして、スライドレバー33が矢印Aの方向にスライド移動されていない状態(初期状態)では、引張りコイルバネ5の付勢力によって、歯間ブラシ部4bが引っ張られることにより、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように、リング状のストッパー31aの位置が調整されている。また、引張りコイルバネ5の付勢力に抗して、スライドレバー33を矢印Aの方向にスライド移動させた状態では、フロス部4aが、矢印Aの方向に移動することによって、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。また、ストッパー31bは、スライドレバー33が矢印A方向に過剰に移動するのを防止するために設けられている。
【0060】
なお、第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法としては、図17〜図19に示した第1実施形態と同様、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置する初期状態で、フロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下方向に移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。そして、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、スライドレバー33を矢印Aの方向にスライド移動させることにより、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に移動させる。この状態で、スライドレバー33を矢印Aおよび矢印Bの方向に交互にスライド移動させることにより、歯周ポケット10dの清掃を行う。
【0061】
第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてスライドレバー33を用いることによって、スライドレバー33を矢印Aの方向にスライド移動させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0062】
なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0063】
(第4実施形態)
図28は、本発明の第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。図29は、図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。図30は、図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大正面図である。図31は、図30に示したレバー部周辺の巻き付き糸を巻き付けた状態を示した拡大正面図である。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なり、フロス部と歯間ブラシ部との切り替えに回転可能なロールレバーを用いた場合の例について説明する。
【0064】
この第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシは、図28および図29に示すように、アーム部2と、把持部41と、ロールレバー43と、フロス部4aと、歯間ブラシ部4bと、引張りコイルバネ5と、ガイド部6a〜6cと、フック固定部7とを含んでいる。なお、アーム部2、フロス部4a、歯間ブラシ部4b、引張りコイルバネ5、ガイド部6a〜6cおよびフック固定部7の構成および接続関係は、図2に示した第1実施形態と同様である。
【0065】
ここで、第4実施形態では、ロールレバー43は、把持部41の外側面に矢印Aの方向および矢印Bの方向に回転可能に装着されている。なお、ロールレバー43は、本発明の「レバー部材」および「ロールレバー部材」の一例である。また、図29に示すように、ロールレバー43の内側面の所定の位置43aに一端が固定された巻き付き糸44の他端と、フロス部4a側のフック部4cとが接続されている。具体的には、図30に示すように、ロールレバー43の内側面の位置43aに一端が固定された巻き付き糸44の他端は、ロールレバー43が取り付けられた領域の把持部41に形成された穴部41aを通って、把持部41内を通過するように構成されている。そして、巻き付き糸44の他端に形成されたリング部44aと、フロス部4a側のフック部4cとを係合させることによって、フロス部4aとロールレバー43とが、巻き付き糸44を介して接続されている。これにより、ロールレバー43を矢印Aの方向および矢印Bの方向に回転させることによって、フロス部4aが移動される。
【0066】
すなわち、図31に示すように、スライドレバー43を矢印Aの方向に回転させることによって、把持部41に形成された穴部41aを通して巻き付き糸44を外部に引き出すとともに、巻き付き糸44を把持部41の胴体部に巻き付ける。これにより、リング部44aに接続されたフロス部4bが矢印Cの方向に移動される。
【0067】
また、第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、図29に示すように、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させない状態(初期状態)では、引張りコイルバネ5によって、歯間ブラシ部4bが付勢されることにより、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置するとともに、歯間ブラシ部4bがアーム部2内に位置するように調整されている。また、引張りコイルバネ5の付勢力に抗して、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させた状態では、フロス部4aが、ロールレバー43の回転によって、矢印cの方向に移動する。第4実施形態では、この状態で、アーム部2の一対の分岐部間に歯間ブラシ部4bが移動するように調整されている。
【0068】
なお、第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法としては、図17〜図19に示した第1実施形態と同様、アーム部2の一対の分岐部間にフロス部4aが位置する初期状態で、フロス部4aを歯10aと歯10bとの歯間隣接面10cに上方から挿入するとともに、上下に往復移動することによって、歯間隣接面10cを清掃する。そして、フロス部4aを歯周ポケット10dの位置まで移動させた状態で、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させることにより、歯間ブラシ部4bを、一対の分岐部間に移動させる。この状態で、ロールレバー43を矢印Aおよび矢印Bの方向に交互に回転させることにより、歯周ポケット10dの清掃を行う。
【0069】
第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシでは、上記したように、レバー部材としてロールレバー43を用いることによって、ロールレバー43を矢印Aの方向に回転させるだけで、歯間ブラシ部4bを、アーム部2の一対の分岐部間に位置するように移動させることができるので、容易に、歯周ポケット10dの清掃を行うことができる。
【0070】
なお、第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。すなわち、第4実施形態では、第1実施形態と同様、フロス部4aと歯間ブラシ部4bとを同時に使用することができるので、容易に、1つの器具で歯間隣接面10cの清掃と歯周ポケット10dの清掃とを行うことができる。また、第4実施形態では、従来の歯間ブラシのように、歯と歯との隙間に横から挿入するという煩雑な作業を行う必要がないので、簡単な操作で、歯間ブラシ部4bを使用することができる。また、第4実施形態では、従来の歯間ブラシと異なり、把持部41を手で持った状態でアーム部2のみを口腔内に挿入して歯の清掃を行うことができるので、二本の指を口腔内の奥深くに入れる必要がない。これにより、口を大きく開くことなしに、奥歯を清掃することができるので、たとえば、顎関節症などの開口障害などを有する人も奥歯の清掃を容易に行うことができる。
【0071】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0072】
たとえば、上記実施形態では、把持部、アーム部およびレバー部材(プルレバー3、プッシュレバー23、スライドレバー33、ロールレバー43)をポリエチレンにより形成する場合の例について説明したが、本発明はこれに限らず、他の材料を用いて形成する場合であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、アーム部の一対の分岐部に対向するように形成されたリング部の挿通孔の内径を約1mmにしたが、本発明はこれに限らず、挿通孔の内径は、歯間ブラシ部が挿通孔を移動する際に、歯間ブラシ部に付着した食物残渣を除去することのできる内径であればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、付勢手段としての引張りコイルバネによって、フロス部および歯間ブラシ部を付勢する例を示したが、本発明はこれに限らず、引張りコイルバネ以外の他の付勢手段を用いてフロス部および歯間ブラシ部を付勢するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、アーム部を表部分と裏部分との2つの部分に分解可能な構造について例示したが、本発明はこれに限らず、アーム部が3つ以上の部分に分解できるような構造であってもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、煩雑な清掃作業を行うことなく、容易に、1つの器具で歯間隣接面の清掃と歯周ポケットの清掃とを行うことが可能なフロス一体型歯間ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図3】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。
【図4】図3に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを分解した状態の側面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図6】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図7】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した斜視図である。
【図8】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した斜視図である。
【図9】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図11】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図12】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図13】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した正面図である。
【図14】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図15】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した側面図である。
【図16】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの構成部品を示した斜視図である。
【図17】図1に示した第1実施形態による第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法を説明するための歯の正面図である。
【図18】図1に示した第1実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの使用方法を説明するための歯の正面図である。
【図19】図18に示した歯の斜視図である。
【図20】本発明の第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。
【図21】図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図22】図20に示した第2実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大図である。
【図23】本発明の第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。
【図24】図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの側面図である。
【図25】図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図26】図23に示した第3実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の正面図である。
【図27】図23に示したフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の断面図である。
【図28】本発明の第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシを示す斜視図である。
【図29】図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシの透視図である。
【図30】図28に示した第4実施形態によるフロス一体型歯間ブラシのレバー部周辺の拡大正面図である。
【図31】図30に示したレバー部周辺の巻き付き糸を巻き付けた状態を示した拡大正面図である。
【図32】従来のフロスまたは歯間ブラシによる清掃可能領域を示した歯の正面図である。
【図33】従来のフロスによる歯間隣接面の清掃方法を説明するための歯の斜視図である。
【図34】従来の歯間ブラシによる歯周ポケットの清掃方法を説明するための歯の上面図である。
【符号の説明】
1、21、31、41 把持部
2f 挿通孔
3 プルレバー(レバー部材、プルレバー部材)
4a フロス部
4b 歯間ブラシ部
5、25 引張りコイルバネ(付勢手段)
23 プッシュレバー(レバー部材、プッシュレバー部材)
33 スライドレバー(レバー部材、スライドレバー部材)
43 ロールレバー(レバー部材、ロールレバー部材)
Claims (9)
- 互いに対向するように設けられた一対の分岐部を含み、前記一対の分岐部の対向部分にそれぞれ挿通孔を有するアーム部と、
前記アーム部と連続するように形成された把持部と、
前記挿通孔を介して、前記一対の分岐部間を移動可能な糸状のフロス部と、
その一端が前記フロス部の一端と連結されるとともに、前記挿通孔を介して、前記一対の分岐部間を移動可能な歯間ブラシ部とを備えた、フロス一体型歯間ブラシ。 - 前記フロス部が前記一対の分岐部間に位置するとともに、前記歯間ブラシ部が前記アーム部内に位置するように、前記歯間ブラシ部の一端を付勢するための付勢手段と、
前記フロス部の他端に直接または間接的に接続され、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記歯間ブラシ部が、前記一対の分岐部間に位置するように、前記フロス部を移動させるためのレバー部材とをさらに備えた、請求項1に記載のフロス一体型歯間ブラシ。 - 前記アーム部の挿通孔は、前記歯間ブラシ部の外径よりも小さい内径を有するとともに、前記歯間ブラシ部が前記挿通孔を通過することにより、前記歯間ブラシ部に付着した食物残渣を除去する機能を有する、請求項1または2に記載のフロス一体型歯間ブラシ。
- 前記アーム部は、内部を露出させるように複数の部分に分解可能である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロス一体型歯間ブラシ。
- 前記付勢手段は、引張りコイルバネを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフロス一体型歯間ブラシ。
- 前記レバー部材は、前記把持部に設けられた穴に移動可能に挿入され、引張り方向に移動することによって、前記歯間ブラシ部を前記一対の分岐部間に位置するように移動させるためのプルレバー部材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロス一体型歯間ブラシ。
- 前記レバー部材は、前記把持部に設けられた穴に移動可能に挿入され、押す方向に移動することによって、前記歯間ブラシ部を前記一対の分岐部間に位置するように移動させるためのプッシュレバー部材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロス一体型歯間ブラシ。
- 前記レバー部材は、前記把持部の外側面にスライド移動可能に装着され、前記把持部の外側面に沿ってスライド移動させることによって前記歯間ブラシ部を前記一対の分岐部間に位置するように移動させるためのスライドレバー部材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロス一体型歯間ブラシ。
- 前記レバー部材は、前記把持部の外側面に回転可能に装着され、前記把持部の外側面の回りに回転させることによって、前記歯間ブラシ部を前記一対の分岐部間に位置するように移動させるためのロールレバー部材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロス一体型歯間ブラシ。
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JP2002182307A JP2004024371A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | フロス一体型歯間ブラシ |
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JP2002182307A JP2004024371A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | フロス一体型歯間ブラシ |
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Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010076907A1 (ko) * | 2009-01-05 | 2010-07-08 | Kim Tae Jin | 코일형 치간 브러시 |
WO2011023831A2 (en) | 2009-11-24 | 2011-03-03 | Niels Madsen Holding Aps | Dental interproximal cleaning device |
-
2002
- 2002-06-24 JP JP2002182307A patent/JP2004024371A/ja active Pending
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