JP2004023778A - データ転送システム - Google Patents

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齋藤 勲
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Abstract

【課題】従来は複数のデジタルデータの転送には電源電位の変化を用いていたため、データ転送の速度と正確さを両立させることが難しかった。
【解決手段】データ転送の手段に送受信間の二点間の通信に電源電位を用いず、送信側ではデータに対応する、値の高い電気抵抗器を用い、受信側にて送信側の電気抵抗器の値を読み取りその電気抵抗に対応するデータを復号するものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路の入出力回路および複数の半導体間を接続するインターフェースに関する1本の信号線で複数のデータを制御するシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1本の信号線で複数のデータを送受信する従来の技術は、入力されたデジタルデータである複数の信号をデータ信号送信回路上で複数の論理回路を通り論理上の組み合わせの電圧を生成し、アナログデータとして伝送線路を通した後、データ受信回路上で伝達された伝送電位を複数の比較器によって電位判定を行い、その判定結果を論理回路によってデジタル信号に復号するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電源電位を用いたデータ転送は、電源電位をそのまま伝送線路に通すことにより伝送線路の電気抵抗により電圧降下現象などが発生し、複数のデジタルデータを送信する場合どうしても必要となる伝送電位の極小単位のステップ分けを行った場合、送信機側の電圧設定と受信機側の電圧設定とが正しく符合しなくなる現象が起こる。
【0004】
また、それを解決するために伝送電位のステップ単位を大きくすると、高い電圧での半導体のスイッチング速度が遅くなる現象が起こる。
【0005】
さらに伝送線路上の電圧が高くなると、伝送線路によって発生するインダクタンスが受信側でのデータ伝送速度の低下を招くこととなる
【0006】
そのため離れた二点間の電位を安定して高速で通信させる事が難しい。
【0007】
そのため、これらの問題を解決し、さらに信号伝達速度の向上を可能とする技術が必要となっている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は送受信の二点間の通信に電源電位を用いず、送信側ではデータに対応する、値の高い電気抵抗器を用い、受信側にて送信側の電気抵抗器の値を読み取りその電気抵抗に対応するデータを復号するものである。
【0009】
つまり、デジタルデータを伝送する伝送線路のループ上に常に低い電圧をかけることによって、伝送線路により発生するインダクタンスの影響を最小にし、そのループ上に、送信するデータに符合する複数の、値の高い電気抵抗器を用いて伝送線路の電圧降下現象の影響を最小にしてデータの送信をし、データを復号する部分では、電圧自動制御機を用いて伝送線路上の電気抵抗器の電気抵抗に対応した電圧を生成し、そのまま複数の比較器によって電圧の電位判定を行い、その判定結果を論理回路によってデジタル信号に復号することによって前記した従来技術の問題を解決するものである。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明のデータ送信回路、データ受信回路、データ受信システムの実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は本発明のデータ送信回路、データ受信回路及びデータ送受信システムの一実施の形態における構成を示している。同時に送信するデータはいくつでも可能だが、以下、データを同時に2つ送信する場合を例として説明する。
【0012】
101はデータ送信回路(TX1)であり、106はデータ受信回路(RX1)である。102、115は論理回路、103〜105はnMOS、112〜114は電圧比較器、116は伝送線路である。なお、各MOSの半導体自体のオン抵抗は受信側の電圧自動制御器にて、それ自体が電圧増幅率の影響を受けるので、出来るだけ値の低い抵抗値であるほうがよいが、すべてそろっている必要は無い。
【0013】
101はデータ送信回路であり、複数のデータを送信する。106はデータ受信回路であり、伝送線路116を介してデータを受信する。
【0014】
データ受信回路101において、論理回路102は2つの入力端子A、Bと3つの出力端子を備え、入力端子A、Bから入力される二値データに応じて、3つのnMOS(103〜105)のうち、1つをON状態となるよう3つの出力端子をコントロールするように構成されている。それぞれのnMOSは、ゲートが102論理回路の1つの出力端子に接続され、ドレインが伝送線路の先にあるデータ受信機の電圧自動制御器の電圧増幅率を決定するそれぞれの電気抵抗器であるRm1〜Rm4を接続する所につながれ、ソースはグランドに接続されている。それぞれの電気抵抗器は102論理回路によって決定された構成によって伝送線路116に接続されている。
【0015】
一方、データ受信機106において電圧自動制御器107は、入力される制御基準電圧108と負帰還入力109の電圧との比較を常に行い、負帰還入力109の電圧を制御基準電圧108に保つように電位出力110を調節する制御器である。電圧比較器112〜114は電圧自動制御器より生成された電位と異なる3つの参照電位(REF1、REF2、REF3)との比較を行うものである。論理回路115は比較器112〜114の比較結果に応じて2つの出力端子C、Dに二値のデータを出力するように構成されている。電圧自動制御器107は伝送線路116に接続され、伝送線路先の電気抵抗器の値が電圧自動制御器の電圧増幅率を決定し、基準電圧に対しての電圧増幅率の電位である電位出力110が比較器112〜114に接続され、比較結果が論理回路115に伝えられる。論理回路115は論理回路102の構成に基づいた構成を持ち比較器112〜114の比較結果から二値データを複合する。本実施の形態においては、入力端子A、Bから入力されるデータおよび出力端子C、Dから出力されるデータは二値データである。
【0016】
データ伝送回路部分の電気抵抗器Rm1〜Rm5までの電気抵抗器の値を、Rm1=150KΩ、Rm2=50KΩ、Rm3=100KΩ、Rm4=300KΩ、Rm5=600KΩとした場合の具体例について以降説明する。デジタルデータをアナログデータに変換する論理回路の過程は、従来の技術とほぼ変わりは無い。アナログデータに変換する場合に、電源電位に変化させるか、電気抵抗値に変化させるかの違いだけである。なお入力端子A、Bから入力される二値データおよび出力端子C、Dより出力される二値データはそれぞれ、データA、データB、データC、データDとする。データ送信回路101において、論理回路102はデータA、データBがともにHIGHの場合、nMOS105、データAがHIGHでデータBがLOWの場合はnMOS104、データAがLOWでデータBがHIGHの場合はnMOS103がONとなるように構成し、データA、データBがともにLOWの場合、全てのnMOSはOFFとなるように構成している。
【0017】
データ受信回路において、制御基準電圧108は、データ受信回路の入力電源VCCを電気抵抗器Rv1とRv2の電圧降下現象を利用することによって作成する。データ受信回路の入力電圧を9Vとし、制御基準電圧108を1Vとした場合、Rv1=80KΩ、Rv2=10KΩとすれば制御基準電圧108は電気抵抗の法則により電圧降下によって1Vに作成される。電圧自動制御器107の負帰還入力109は常に制御基準電圧108になるように制御されている。このとき電位出力110はRm1〜Rm5の電気抵抗器および、nMOS103〜105の状態により変化することになる。変化した電位出力は電圧比較回路111にそのまま入力され、以下は、従来技術と同じ処理を行う。比較器112〜114の3つの比較器は、入力される出力電位110と参照電位REF1〜3の電圧と比較を行いデジタルデータに複合するものである。この具体的な事例において参照電位REF1〜3は、制御基準電圧108と電圧自動制御器107の電圧増幅率の関係より妥当な数値と考えられる、REF1=4.5V、REF2=3.5V、REF3=2.5Vとする。すなわち、この参照電位もデータ受信回路の入力電源VCCを電気抵抗器Rv3〜Rv6の電圧降下現象を利用することによって作成する場合、前記した法則により、Rv3=45KΩ、Rv4=10KΩ、Rv5=10KΩ、Rv6=25KΩとなる。
【0018】
上記構成において、データ送信回路101(TX1)からデータ受信回路106(RX1)にデータA、の値がLOW(0)データBの値がHIGH(1)を送信した場合の具体例について説明する。
【0019】
論理回路の変換過程は従来技術とほぼ同じである。データ送信回路に入力された二値データにより、nMOS103がONとなり、nMOS104、105はOFFとなる。これによりデータ受信回路106の電圧自動制御器107に加えられる電気抵抗の値は、Rm1〜Rm3までを加算した値
【0020】
150+50+100=300
【0021】
の300KΩとなる。電圧自動制御器107は制御基準電圧108と負帰還入力109を常に同じ電圧になるように電位出力110を調整する為、電位出力110は電気抵抗の法則により、
【0022】
電位出力110=(Rm1+Rm2+Rm3+Rm5)÷(Rm1+Rm2+Rm3)×制御基準電圧108
【0023】
となる。この式に具体的な数値を当てはめると、
【0024】
(300+600)÷300×1=3
【0025】
となり、これにより電位出力110は3Vとなる。電圧比較回路111において、入力された電位出力110は、比較器114においては入力された参照電位より高い電圧の為その出力はHIGH(1)となり、比較器112、113においては参照電位より低い電圧である為、比較器112、113の出力はLOW(0)を出力し論理回路115に入力される。論理回路115は、データ出力CにLOW(0)を出力しデータ出力DにHIGH(1)を出力する。図1の構成において、入力されたデータA、データB及び、出力されたデータC、データDの値と伝送線路107に入力される合算された電気抵抗器の値と、その電気抵抗値による電位出力110から制御基準電圧108に対しての電圧増幅率の関係と、電位出力110から入力された比較器112〜114の出力の関係を図2で示す。図2のようにデータの伝送は電気抵抗値の変化によって、データAの値がデータCへ、データBの値がデータDへそれぞれ正しく伝送されることになる。
【0026】
なお、この説明において使用した電気抵抗器の値や参照電位の値、入力電源の値、制御基準電圧の値などは、説明のために簡略化した値の一例であり、この通りである必要は無い。前記の説明は1本の信号線に2個の信号を伝送する例である。1本の信号線にn個の信号を伝送する場合、2のn乗個の信号判定が必要となる。すなわち論理回路より2のn乗個の種類の電気抵抗値を作り出し、その作り出した電気抵抗値よりそれぞれの種類の電位を作り出し、電圧比較器にて判定後、論理回路にて復号すると言う過程を経ればよい。一度に送信するデータ量を増やしたい場合、伝送使用される電気抵抗値は、電圧自動制御器や伝送線路のノイズ対策が許される範囲において高い値が望まれ、制御基準電圧も同じ理由から出来るだけ低い電圧が理想である。そして参照電位と伝送された電気抵抗値により電圧自動制御器より出力される電位出力の関係は、比較器がその電位差を識別できる範囲であればよく、先に説明された値である必要は無い。
【0027】
以上説明したことの特に、入力電源VCCの値の変化についてさらに説明をしたい。それは、前記した回路の一例については、制御基準電圧108及び電圧比較回路111内のそれぞれの比較器に入力される参照電位は、入力電源VCCの電圧を電気抵抗器の電圧降下現象を利用し、電圧を変化させただけのものだからである。すなわち、入力電源VCCの電圧が回路動作中にもし変化した場合、データ受信機内における制御基準電圧108の値が変化し、さらに電圧比較回路111内のそれぞれの比較器に入力される参照電位の値も変化するからである。
【0028】
そのようなわけで、入力電源VCCの電圧が前記した条件の9Vより4.5Vに変化した場合の例について説明する。
【0029】
入力電源VCCが4.5Vになった場合、制御基準電圧108に入力される電圧は電気抵抗の法則により、
【0030】
4.5÷(80+10)×10=0.5
【0031】
の0.5Vとなる。同じように制御基準電圧REF3は、
4.5÷(45+10+10+25)×25=1.25
【0032】
の1.25Vとなり、REF2は、
【0033】
4.5÷(45+10+10+25)×(25+10)=1.75
【0034】
の1.75Vとなり、REF1は、
【0035】
4.5÷(45+10+10+25)×(25+10+10)=2.25
【0036】
の2.25Vとなる。
【0037】
上記構成において、データ送信回路101(TX1)からデータ受信回路106(RX1)にデータA、の値がLOW(0)データBの値がHIGH(1)を送信した場合の具体例についてさらに説明する。
【0038】
電圧自動制御器107の電圧増幅率は図2より3倍となる。この場合電位出力110は、
【0039】
0.5×3=1.5
【0040】
の1.5Vとなる。比較器114においては入力された参照電位より高い電圧の為その出力はHIGH(1)となり、比較器112、113においては参照電位より低い電圧である為、比較器112、113の出力はLOW(0)を出力し論理回路115に入力される。論理回路115は、データ出力CにLOW(0)を出力しデータ出力DにHIGH(1)を出力する。すなわち図2の条件について全てが満たされるわけである。
【0041】
図2のような条件は、電圧自動制御器107及び電圧比較回路111のそれぞれの比較器が、電位判定可能な物理的な条件である場合適用される。
【0042】
【発明の効果】
本発明は以上説明した構成により以下のような効果が期待できる。
【0043】
複数のデジタルデータの伝送に、従来技術の電源電位を用いることなく、値の高い電気抵抗器を用いることにより、伝送線路上に時間によって変化の多い高い電圧をかける必要がなくなり、替わりに伝送線路上にはデータ受信側で決定した低い電圧の制御基準電圧が常にかけられており、伝送線路上のインダクタンスによって発生する伝送電位の速度上の低下を最小限に抑えることが出来る。
【0044】
さらに、伝送線路のインダクタンスによる伝送電位の速度上の低下により発生するデータ判定の電圧比較器の時間軸での誤動作を防ぐことが出来る。
【0045】
また、データの伝送手段に値の高い電気抵抗器を用いたことにより、伝送線路自体が持つ電気抵抗がデータ伝送に与える影響を最小に抑えることが出来る。
【0046】
従来技術ではデータの送信側の出力電位と、データの受信側の参照電位は、データの判定を行う為非常に高精度な電圧制御が必要であったが、本発明は、電位判定はデータ受信回路内の同一電源を利用する為、電気抵抗器による大変簡易な回路で十分となる。それは、電源電位自体がデータの判定材料となるのではなく、電気抵抗器によって変化する電位の増幅率が入力データの判定材料となるからである。
【0047】
従来技術では、電源電位の変化自体を伝送線路上に通すことによってデータ伝送を行っていた為、前記した不都合が発生していたのだが、本発明は、電圧自動制御器によって作成された電源電位は、同じ回路上の電気的な影響が少ない環境にて、入力データの判定を行うことが出来る為、データ伝送の判定率は従来技術より上がることが期待できる。
【0048】
また本発明は、伝送線路上には常に電圧をかける必要があるため、データ送信回路の接続と未接続の判定と伝送線路自体の不良確認がデータ受信回路の電位出力によって判定可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における構成例を示す図
【図2】本発明の実施の形態におけるデータの一例を示す図
【符号の説明】
101 データ送信回路
106 データ受信回路
107 電圧自動制御器
108 制御基準電圧
109 負帰還入力
110 電位出力
102,115 論理回路
111 電圧比較回路
112,113, 114 電圧比較器
103,104,105 nMOS
VCC 入力電源
Rm1,Rm2,Rm3,Rm4,Rm5 電気抵抗器
Rv1,Rv2,Rv3,Rv4,Rv5,Rv6 電気抵抗器
116 伝送線路

Claims (5)

  1. デジタルデータの転送に、送信側で複数の電気抵抗器を用い、受信側で送信側の電気抵抗値を読み取りデータの転送を行うシステム。
  2. データの伝送線路上に常に電圧をかけ続けることによって伝送線路のインダクタンスの影響を最小にするシステム。
  3. 電圧自動制御器を用いて送信側の電気抵抗に対応する電源電位を受信側で作成するシステム。
  4. データ受信側の電圧自動制御器によって作成された電源電位が、同じ回路上の電気的な影響が少ない環境にて入力データの判定を行うシステム。
  5. データの伝送手段に値の高い電気抵抗器を用いることにより、伝送線路自体が持つ電気抵抗がデータ伝送に与える影響を最小に抑えるシステム。
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