JP2004023705A - コンデンサマイクロホン - Google Patents

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Abstract

【課題】交換カプセルタイプのコンデンサマイクロホンにおいて、マイクロホンカプセル交換時の感度調整を容易に行えるようにする。
【解決手段】振動板と背極とを対向させてなるマイクユニット21を含むマイクロホンカプセル20を、音声信号出力用の電気回路が内蔵されたグリップ部に対して交換可能としたコンデンサマイクロホンにおいて、マイクロホンカプセル20内に、例えば2つのパッド用コンデンサを設け、切替スイッチ25によりマイクユニット21の有効静電容量に対してパッド用コンデンサを選択的に並列接続可能とすることにより、別部品としてのパッドリングなどを必要とすることなく、マイクロホンカプセルをグリップ部に取り付けたままの状態で、パッド用コンデンサによる減衰率を適宜選択することができるようにする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交換カプセルタイプのコンデンサマイクロホンに関し、さらに詳しく言えば、感度調整用のパッド(PAD)用コンデンサを備えたコンデンサマイクロホンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンデンサマイクロホンにおいて、減衰器(PAD)は過大な音圧が加えられたときに発生する音の歪みを防止するために用いられている。この過大な音圧による音の歪みは、主としてインピーダンス変換器や音声信号出力回路などの電気回路によって発生する。
【0003】
この音の歪みは、マイクロホンの電気回路への入力を小さくすることにより防止できる。そのため、振動板と背極とを対向させてなるマイクユニットの有効静電容量に対してコンデンサを並列に接続して、電気回路の入力端子に加わる信号電圧を小さくするようにしている。このコンデンサがパッド(PAD)用コンデンサである。
【0004】
ところで、マイクロホンカプセルは、あらかじめ特定の指向性を示すように設計されている。一部の機種には、一つのマイクロホンカプセルで指向性を切り替えられるようにしたものがあるが、マイクロホンの指向性を変えたい場合、通常では、グリップ部(マイクロホン本体)を共通として、そのグリップ部に対して複数のマイクロホンカプセルを交換可能とした交換カプセルタイプのマイクロホンが用いられている。
【0005】
マイクロホンの指向性には、カージオイド,オムニ,ハイパーカージオイド,双方向性それに無指向性などがあり、指向性が異なることによって設計上静電容量も異なった値となる。これは、それぞれの指向性での制御方式が異なることに起因している。
【0006】
例えば、オムニは弾性制御であり、双方性は抵抗制御である。また、カージオイドは弾性制御と抵抗制御の両方の性質を有し、ハイパーカージオイドはカージオイドより抵抗制御的性質を有する。
【0007】
このため、指向周波数応答を良好とし、マイクロホンカプセルを交換しても感度が同じになるように設計すると、それぞれの指向性で静電容量が異なることになる。パッド用コンデンサによる適正な減衰率は、マイクロホンカプセルの静電容量との関係で決められるため、各マイクロホンカプセルごとにパッド用コンデンサも変える必要がある。
【0008】
そこで従来では、マイクロホンカプセルを交換する際には、そのカプセルに合った減衰率を有するパッドリングと呼ばれる減衰器を選択し、そのパッドリングを介してマイクロホンカプセルをグリップ部内の音声信号出力回路など接続するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パッドリングはマイクロホンのアクセサリー部品で、別途に購入しなくてはならないし、また、比較的小さな部品であるため紛失しやすい。そればかりでなく、例えば−10dB用と−20dB用とがある場合、いずれが最適かを知るには、実際にパッドリングを取り替えてみる必要があるため、その操作が煩わしい。
【0010】
したがって、本発明の課題は、別部品としてのパッドリングなどを必要とすることなく、マイクロホンカプセルをグリップ部に取り付けたままの状態で、パッド用コンデンサによる減衰率を適宜選択できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、振動板と背極とを対向させてなるマイクユニットを含むマイクロホンカプセルと、上記マイクユニットからの信号を処理して出力する音声信号出力用の電気回路が内蔵されたグリップ部とを備え、上記グリップ部に対して上記マイクロホンカプセルが交換可能であるコンデンサマイクロホンにおいて、上記マイクロホンカプセル内には、少なくとも一つのパッド用コンデンサと、上記マイクユニットの有効静電容量に対して上記パッド用コンデンサを選択的に並列接続する切替スイッチとが設けられていることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、マイクロホンカプセルをパッドリングなどを介することなく直接グリップ部に取り付けた状態で、切替スイッチを操作するだけで所定の減衰率を選択することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、図1ないし図4により、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明によるコンデンサマイクロホンのグリップ部とマイクロホンカプセルとを分離した状態の正面図で、図2はマイクロホンカプセルの図1におけるA−A線断面図である。
【0014】
このコンデンサマイクロホンは交換カプセルタイプであって、グリップ部10と、グリップ部10に対して着脱可能なマイクロホンカプセル20とを備えている。図示されていないが、グリップ部10内には、マイクロホンカプセル20からの信号を処理して出力する音声信号出力用の電気回路や電源回路などが設けられている。
【0015】
なお、グリップ部10は、いゆわるマイクロホン本体のことであって、その外形形状などは任意に設計されてよい。また、グリップ部10とマイクロホンカプセル20との連結手段は、ねじ結合やバヨネット結合などであってよく、特に制限はない。
【0016】
マイクロホンカプセル20には、振動板と背極とを対向的に組み合わせてなるマイクユニット21が収納されている。本発明において、マイクユニット21は公知の構成であってよい。
【0017】
マイクロホンカプセル20内において、マイクユニット21は合成樹脂などの非磁性体からなる支持体22にて支持されており、マイクユニット21の背極に取り付けられた信号検出電極23が支持体22を貫通して下方に引き出されている。
【0018】
マイクロホンカプセル20の底部側には回路基板24が配置されており、信号検出電極23の下端は、グリップ部10側の図示しない接続端子と接続可能とするため、回路基板24の底面側に露出されている。この回路基板24の部品実装面側の平面図を図3に模式的に示す。
【0019】
本発明にとって必要なところだけを説明すると、回路基板24には、例えば2つのパッド用コンデンサC1,C2と、このパッド用コンデンサC1,C2のいずれか一方をマイクユニット21に対して並列的に接続するか、もしくは双方ともマイクユニット21に接続しない3接点の切替態様を有する切替スイッチ25とが実装されている。
【0020】
この例において、切替スイッチ25はスライド式であって、その切替操作を容易とするため、切替スイッチ25の摘み251はマイクロホンカプセル20の周面の一部に露出するように配置されている。
【0021】
図4の結線図に示すように、マイクユニット21から上記信号検出電極23に含まれる信号ライン23aとアース側のコモンライン23bとが引き出されているとして、この例において、パッド用コンデンサC1,C2の一端はいずれもコモンライン23b側に接続されている。
【0022】
切替スイッチ25は、共通端子25aと、共通端子25aに対して摘み251によって択一的に接続される3つの切替端子25b〜25dとを備え、共通端子25aは信号ライン23aに接続されている。
【0023】
切替端子25bには、一方のパッド用コンデンサC1の他端が接続され、切替端子25dには、他方のパッド用コンデンサC2の他端が接続されている。中間の切替端子25cは、中性端子で電気的に浮いた端子とされている。
【0024】
一例として、マイクユニット21の有効静電容量Cbが20pF,一方のパッド用コンデンサC1の静電容量が200pF,他方のパッド用コンデンサC2の静電容量が60pFであるとする。
【0025】
切替スイッチ25の摘み251を図1の中立位置から例えば右側にスライドさせて、切替スイッチ25を切替端子25b側に切り替えると、マイクユニット21の有効静電容量Cbに対して、一方のパッド用コンデンサC1が並列的に接続され、−20dBの減衰率が得られる。
【0026】
これに対して、切替スイッチ25の摘み251を図1の中立位置から例えば左側にスライドさせて、切替スイッチ25を切替端子25d側に切り替えると、マイクユニット21の有効静電容量Cbに対して、他方のパッド用コンデンサC2が並列的に接続され、−10dBの減衰率が得られることになる。
【0027】
なお、切替スイッチ25の摘み251を図1の中立位置とした状態では、切替端子25cが選択され、マイクユニット21の有効静電容量Cbに対して、パッド用コンデンサC1,C2いずれも接続されず減衰率0dBである。
【0028】
このように、本発明においては、交換可能とされるマイクロホンカプセル20自体にパッド用コンデンサを持たせ、その減衰率を切替スイッチにて選択できるようにしたことにより、別部品としてのパッドリングなどを用いることなく感度調整を行うことができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、マイクロホンカプセル20に2つのパッド用コンデンサをC1,C2を搭載しているが、パッド用コンデンサの数は適宜選択することができる。また、切替スイッチ25を機械式スイッチとしているが、電子スイッチに代えることも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、振動板と背極とを対向させてなるマイクユニットを含むマイクロホンカプセルを、音声信号出力用の電気回路が内蔵されたグリップ部に対して交換可能としたコンデンサマイクロホンにおいて、マイクロホンカプセル内に、少なくとも一つのパッド用コンデンサと、マイクユニットの有効静電容量に対してパッド用コンデンサを選択的に並列接続する切替スイッチとを設けたことにより、別部品としてのパッドリングなどを必要とすることなく、マイクロホンカプセルをグリップ部に取り付けたままの状態で、パッド用コンデンサによる減衰率を適宜選択することができ、マイクロホンカプセル交換時の感度調整が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコンデンサマイクロホンのグリップ部とマイクロホンカプセルとを分離した状態の正面図。
【図2】上記マイクロホンカプセルの図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】上記マイクロホンカプセルが備える回路基板の概略的な平面図。
【図4】上記マイクロホンカプセルのマイクユニットに対するパッド用コンデンサの接続状態を説明するための結線図。
【符号の説明】
10 グリップ部
20 マイクロホンカプセル
21 マイクユニット
22 支持体
23 検出電極
24 回路基板
25 切替スイッチ
251 摘み
C1,C2 パッド用コンデンサ

Claims (1)

  1. 振動板と背極とを対向させてなるマイクユニットを含むマイクロホンカプセルと、上記マイクユニットからの信号を処理して出力する音声信号出力用の電気回路が内蔵されたグリップ部とを備え、上記グリップ部に対して上記マイクロホンカプセルが交換可能であるコンデンサマイクロホンにおいて、
    上記マイクロホンカプセル内には、少なくとも一つのパッド用コンデンサと、上記マイクユニットの有効静電容量に対して上記パッド用コンデンサを選択的に並列接続する切替スイッチとが設けられていることを特徴とするコンデンサマイクロホン。
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