JP2004023159A - 電子撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より確実かつ迅速に防塵部材の表面に付着した塵埃を除去できる電子撮像装置を提供すること。
【解決手段】撮像光学系と光電変換素子と、これらの間に配される光学素子(防塵フィルタ)と、この光学素子を設定周波数で振動させる圧電素子からカメラ(電子撮像装置)を構成し、その圧電素子を、少なくとも光電変換素子の撮像動作中(露光中の早い段階)に振動を開始させる。即ち、実質的な露光中にも振動させるが、露光中のみだと、撮影の秒時が短い設定のときに塵除去効果が少ないので、撮像動作よりも早めに塵除去動作を開始させる(#021)。例えば、露出準備動作から露出動作までの間(#021〜#026)に塵除去動作して完了させることで、従来よりも確実かつ迅速にその付着した埃を除去し、埃の影が撮像画像に写り込まないようにする。
【選択図】 図14
【解決手段】撮像光学系と光電変換素子と、これらの間に配される光学素子(防塵フィルタ)と、この光学素子を設定周波数で振動させる圧電素子からカメラ(電子撮像装置)を構成し、その圧電素子を、少なくとも光電変換素子の撮像動作中(露光中の早い段階)に振動を開始させる。即ち、実質的な露光中にも振動させるが、露光中のみだと、撮影の秒時が短い設定のときに塵除去効果が少ないので、撮像動作よりも早めに塵除去動作を開始させる(#021)。例えば、露出準備動作から露出動作までの間(#021〜#026)に塵除去動作して完了させることで、従来よりも確実かつ迅速にその付着した埃を除去し、埃の影が撮像画像に写り込まないようにする。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像素子を用いた電子撮像装置の撮像素子の防塵技術に関わる。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子撮像装置の中には、撮影光学系を透過した被写体からの光束(以下「被写体光束」と称す)に基づいて形成される被写体像を所定の位置に配置した固体撮像素子等、例えば電荷結合素子(CCD(Charge Coupled Device)以下単に「撮像素子」と称す)等の光電変換面上に結像させ、当該撮像素子等の光電変換作用を利用して所望の被写体像を表わす電気的な画像信号等を生成し、この画像信号等に基づく信号を、例えば液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))等の所定の表示装置等へと出力して画像等を表示させたり、撮像素子等によって生成した画像信号等を所定の形態の画像データとして所定の記録媒体の所定の記録領域に記録し、更にこの記録媒体に記録された画像データを読み出して、その画像データを表示装置に表示するのに最適な画像信号となるように変換処理した後、処理済の画像信号に基づいて、これに対応する画像を表示させ得るように構成した、いわゆる「デジタルスチルカメラ」や「デジタルビデオカメラ」等の電子カメラ(以下「デジタルカメラ」又は単に「カメラ」と称す)が一般的に実用化され広く普及している。
【0003】
また、一般的なデジタルカメラにおいては、撮影動作に先立って撮影対象となる所望の被写体を観察し、当該被写体を含む撮影範囲を設定する等の目的で光学ファインダ装置を備えている形態がふつうである。
この光学ファインダ装置としては、撮影光学系の光軸上に配設した反射部材等を用いて撮影光学系を透過した被写体光束の進行方向を折り曲げて観察用の被写体像を所定の位置に結像させる一方、撮影動作時には、撮影光学系の光軸上から反射部材を退避させることにより、被写体光束を撮像素子の受光面、即ち光電変換面へと導き、当該光電変換面上に撮影用の被写体像を形成させるように構成したいわゆる「一眼レフレックス方式」のファインダ装置等が一般的に利用されている。
【0004】
そして近年では、一眼レフレックス方式のファインダ装置を具備すると共に、カメラ本体に対して撮影光学系を着脱自在となるように構成し、使用者が所望する際に所望の撮影光学系を任意に着脱し交換する事で、単一のカメラ本体にて複数種類の撮影光学系を選択的に使用し得るように構成したいわゆる「レンズ交換可能な」形態のデジタルカメラが一般に実用化されつつある。
【0005】
このようなレンズ交換可能な形態のデジタルカメラにおいては、当該撮影光学系をカメラ本体から取り外した際、カメラ本体の内部に空気中に浮遊する塵埃等が侵入する可能性がある。またカメラ本体内部には、例えばシャッタ・絞り機構等の機械的に動作する各種の機構が配設されているので、これらの機構等からその動作中にゴミ等が発生する場合もある。
そこで、従来の一眼レフレックス方式のデジタルカメラ等においては、帯電作用等に起因して撮像素子の受光面上に塵埃等が付着するのを抑制するための技術が、例えば特開2000−29132号公報等によって提案されている。
【0006】
当該公報に開示されている手段は、レンズ交換可能な形態の一眼レフレックス方式のデジタルカメラにおいて、カメラ内部に設けられる撮像素子の受光面を覆うカバー部材の表面に透明電極を設け、この電極に対して直流電圧若しくは数kHz〜20kHz程度の周波数の交流電圧を印加することで、帯電作用によって撮像素子の受光面上に塵埃等が付着するのを抑制するようにしたものである。 そして、当該公報の手段によれば、撮像素子に生起する電荷を中和することで、静電気等に起因して撮像素子の受光面に塵埃等が付着するのを抑制できるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開2000−29132号公報に開示されている手段では、帯電した撮像素子の電荷を中和させることで塵等が付着するのを抑制するようにしていることから、例えば静電気に因らずに撮像素子の光電変換面上に単に付着したり、推積した状態の塵埃等を除去する手段としては、最適なものではないと考えられる。
【0008】
一方、本出願人は特願2000−401291号において、撮像素子の光電変換面の側を封止ないし保護する防塵部材を備えることで、当該撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の表面に付着する塵埃等に対しては、所定の加振手段によって防塵部材に所定の振幅の振動を与えることによって、これを除去する手段を提案している。
この手段によれば、小型でかつ簡単な機構によって撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の表面に付着する塵埃等を容易に除去し得るレンズ交換可能な形態のデジタルカメラを構成することができるというものである。
この場合において、防塵部材の表面に付着する塵埃等の大きさや重量には、様様なものがあり、一様な振動を加えるだけでなく、加振時の振動周波数や振幅等について種々の工夫を施すことによって、より一層の塵埃除去効果を得ることができるものと考えられる。
【0009】
そこで本発明の目的とするところは、撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑えると同時に、防塵部材の表面に付着する塵埃等を除去する手段を備えた電子撮像装置(例えばカメラ)において、より確実かつ迅速に防塵部材の表面に付着した塵埃を除去することができるような電子撮像装置(例えばカメラ)を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、上記課題を解決し目的を達成するため、本発明では次のような手段を講じている。
画像素子の前面に設けられた光学素子に付着した埃を、被写体撮像中にも除去すべく塵除去動作を行なって、埃の影が撮像画像に写り込まないよう構成された電子撮像装置を提案するもので、一つの実施態様によれば、被写体の光学像を結像する撮像光学系と、その光学像を電気信号に変換する光電変換素子と、上記撮像光学系と上記光電変換素子との間に配される光学素子と、この光学素子を設定周波数で振動させる加振手段とを具備し、この加振手段が少なくとも上記光電変換素子の撮像動作中にその光学素子を振動させるように構成された電子撮像装置を提案する。
【0011】
また、被写体の光学像を電気信号に変換するための撮像手段を具備する電子撮像装置において、上記撮像手段の光電変換面上に被写体光束を導く撮像光学系と、上記撮像手段の光電変換面の前方に配置された防塵フィルタ手段と、上記防塵フィルタ手段を振動させる加振手段と、少なくとも上記撮像手段による撮像動作の実行中に、上記加振手段を駆動して上記防塵フィルタ上に付着した塵埃を除去するように制御する制御手段とを有するような電子撮像装置を提案する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下例示する本発明の電子撮像装置は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子ユニットの防塵機能を有する装置であり、ここでは一例として電子カメラの防塵に係わる改良技術として説明する。特にレンズ交換可能な一眼レフレックス式電子カメラ(デジタルカメラ)に関して、複数の実施形態を挙げて図1〜図15に基づき説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態のカメラについて、その概略的な構成を詳しく説明する。図1及び図2には、本発明の一実施形態のカメラの概略的な構成を示している。図1は、カメラの一部を切断してその機械的な内部構造を概略的に示す斜視図であり、図2は、このカメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図である。最初に機械的な構造について説明する。
【0013】
本実施形態のカメラ1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体部11及びレンズ鏡筒12とから成り、それぞれは互いに着脱自在に構成されている。
レンズ鏡筒12は複数のレンズやその駆動機構等から成る撮影光学系12aを内部に保持して構成され、この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させることで当該被写光束により形成される被写体の像を所定の位置(後述する撮像素子27の光電変換面(受光面)上)に結像せしめるように例えば複数の光学レンズ等によって構成されるものである。そしてこのレンズ鏡筒12は、カメラ本体部11の前面に向けて突出するように配設される。
なお、このレンズ鏡筒12については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用される。したがって、その詳細な構成についての説明は省略する。
【0014】
カメラ本体部11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズ鏡筒12を着脱自在となるように配設するための連結部材である撮影光学系装着部11aをその前面に備えて構成された、いわゆる「一眼レフレックス方式」のカメラである。
つまり、カメラ本体部11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体部11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成され、この露光用開口の周縁部に撮影光学系装着部11aが形成されている。
【0015】
カメラ本体部11の外面側には、その前面に上述の撮影光学系装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体部11を動作させるための各種の操作部材、例えば撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。これらの操作部材については、本発明とは直接関連しない部分であるので、図面の煩雑化を避けるために、レリーズボタン17以外の操作部材については、その図示及び説明を省略する。
【0016】
カメラ本体部11の内部には、図1に示す如くの各種の構成部材、例えば撮影光学系12aによって形成される所望の被写体像を撮像素子27の光電変換面上とは異なる所定位置に形成させるために設けられ、いわゆる「観察光学系」を成すファインダ装置13と、撮像素子27の光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ機構等を備えたシャッタ部14と、このシャッタ部14を含み撮影光学系12aを透過した被写体光束に基づき形成される被写体像に対応した画像信号を得る撮像手段であり、光電変換素子である撮像素子27及びこの撮像素子27の光電変換面の前面側の所定位置に配設され当該光電変換面への塵埃等の付着を防止する光学素子であり防塵部材であって、フィルタ手段である防塵フィルタ21(詳細後述)等から成る撮像ユニット15と、撮像素子27により取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路等の電気回路を成す各種の電気部材が実装された主回路基板16を始めとする複数の回路基板(図1では主回路基板16のみを図示)等が、それぞれ所定位置に配設されている。
【0017】
ファインダ装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導くように構成された反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するに最適な形態の像を結像させる接眼レンズ13c等によって構成されている。
反射鏡13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で移動自在に構成され、通常状態は、撮影光学系12aの光軸上にて当該光軸に対して所定角度、例えば角度45°に配置されている。これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、当該カメラ1が通常状態にある際は、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられて、当該反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
【0018】
一方、カメラ1が撮影動作の実行中において、その実際の露光動作中には、当該反射鏡13bが撮影光学系12aの光軸から退避する所定位置に移動するようになっている。これによって被写体光束は、撮像素子27の側へと導かれ、その光電変換面を照射するようになっている。
シャッタ部14は、例えばフォーカルプレーン方式のシャッタ機構や、このシャッタ機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等で一般的に利用されているものと同様のものが適用される。従ってその詳細な構成についての説明は省略する。
【0019】
図2に基づく電気的な説明は後に詳しく述べるとして、続いて、本実施形態のカメラ1における撮像ユニット15の詳細構造について以下に説明する。
図3、図4及び図5は、本実施形態のカメラ1における撮像ユニットの一部を取り出して示しており、図3は、当該撮像ユニットを分解して示す要部分解斜視図である。図4は組立状態の当該撮像ユニットの一部を切断して示す斜視図であり、図5は図4の切断面に沿う断面図である。
【0020】
なお、本実施形態のカメラ1の撮像ユニット15は、上述したようにシャッタ部14を含む複数の部材で構成されるユニットであるが、図3〜図5では、その主要部を図示するに留め、シャッタ部14の図示は省略している。また、各構成部材の位置関係を示すため図3〜図5では、当該撮像ユニット15の近傍に設けられ撮像素子27が実装されると共に、画像信号処理回路やワークメモリ等から成る撮像系の電気回路が実装される主回路基板16を合わせて図示している。尚、この主回路基板16それ自体の詳細については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものが適用されるものとして、その説明は省略する。
【0021】
撮像ユニット15はCCD等から成り、撮影光学系12aを透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子27と、この撮像素子27を固定支持する薄板状の部材から成る撮像素子固定板28と、撮像素子27の光電変換面の側に配設され、撮影光学系12aを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学的ローパスフィルタ(Low Pass Filter;以下「光学LPF」と称す)25と、この光学LPF25と撮像素子27との間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26と、撮像素子27を収納し固定保持すると共に光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持し且つ所定の部位を後述する防塵フィルタ受け部材23(後述する第1の部材)に密に接触するように配設される撮像素子収納ケース部材24(後述する第2の部材;以下「CCDケース24」と称す)と、このCCDケース24の前面側に配置され防塵フィルタ21(防塵部材)をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と、この防塵フィルタ受け部材23によって支持されて撮像素子27の光電変換面の側であって光学LPF25の前面側において当該光学LPF25との間に所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される防塵部材である防塵フィルタ21と、この防塵フィルタ21の周縁部に配設され当該防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えるための加振手段であり加振用部材であって、例えば電気機械変換素子等から成る圧電素子22と、この圧電素子22を駆動する駆動回路である防塵フィルタ駆動部48(図3〜図5には図示せず。図2参照)と、防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合させ固定保持する弾性体から成る押圧部材20等によって構成されている。
【0022】
撮像手段である撮像素子27は、撮影光学系12aを透過した被写体光束を自己の光電変換面に受けて光電変換処理を行なうことで、当該光電変換面に形成される被写体像に対応した画像信号を取得するものであり、例えば電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)が適用される。
撮像素子27は、撮像素子固定板28を介して主回路基板16上の所定の位置に実装されている。この主回路基板16(不図示)には、上述の如くに画像信号処理回路及びワークメモリ等が共に実装され、撮像素子27からの出力信号、即ち光電変換処理により得られた画像信号が処理される。
【0023】
この撮像素子27の前面側には、ローパスフィルタ受け部材26を挟持して光学LPF25が配設されている。そしてこれを覆う如くにCCDケース24が配設されている。
つまり、CCDケース24には、略中央部分に矩形状から成る開口24cが設けられ、この開口24cには、その後方側から光学LPF25及び撮像素子27が配設されている。この開口24cの後方側の内周縁部には、図4及び図5に示すような断面が略L字形状から成る段部24aが形成されている。
【0024】
上述の如く、光学LPF25と撮像素子27との間には、弾性部材等から成るローパスフィルタ受け部材26が配設されている。このローパスフィルタ受け部材26は、撮像素子27の前面側の周縁部にてその光電変換面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF25の背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。そして光学LPF25と撮像素子27との間を略気密性が保持されるように構成している。これにより、光学LPF25にはローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働く。
【0025】
そこで、光学LPF25の前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密的に接触させるように配置することで、当該光学LPF25をその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF25の光軸方向における位置を規制するようにしている。換言すれば、CCDケース24の開口24cの内部に背面側より挿入された光学LPF25は、段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。これにより、当該光学LPF25は、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。
【0026】
このようにして、CCDケース24の開口24cの内部に背面側から光学LPF25が挿入された後、光学LPF25の背面側には、撮像素子27が配設されるようになっている。この場合、光学LPF25と撮像素子27との間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持される。
また、撮像素子27は、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16に実装されている。そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。また、撮像素子固定板28には、主回路基板16がスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。
【0027】
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23がCCDケース24のネジ孔24bに対してネジ23bによって固定されている。この場合において、CCDケース24の周縁側であって前面側の所定の位置には、図4及び図5に詳細に示すように、周溝24dが略環状に形成されている。その一方で、防塵フィルタ受け部材23の周縁側であって背面側の所定の位置には、CCDケース24の周溝24dに対応させた環状凸部23d(図3には不図示)が全周にわたって略環状に形成されている。したがって、環状凸部23dと周溝24dとが嵌合することによりCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23とは、環状の領域、即ち周溝24dと環状凸部23dとが形成される領域において相互に略気密的に嵌合するようになっている。
【0028】
防塵フィルタ21は、全体として円形ないし多角形の板状を成し、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部を成しており、この透明部が光学LPF25の前面側に所定の間隔をもって対向配置されている。 また、防塵フィルタ21の一方の面(本実施形態では背面側)の周縁部には、当該防塵フィルタ21に対して振動を与えるための所定の加振用部材であり、電気機械変換素子等によって形成される圧電素子22が一体となるように、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。この圧電素子22は図示しない防塵フィルタ駆動部によって所定周期を有する駆動電圧を印加することで、防塵フィルタ21に所定の振動、即ち定在波振動を発生させることができるように構成されている。そして、防塵フィルタ21は、防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように板ばね等の弾性体から成る押圧部材20によって固定保持されている。
【0029】
防塵フィルタ受け部材23の略中央部近傍には、円形状又は多角形状から成る開口23fが設けられている。この開口23fは、撮影光学系12aを透過した被写体光束を透過させて、当該光束が後方に配置される撮像素子27の光電変換面を照射するのに充分な大きさとなるように設定されている。
この開口23fの周縁部には、前面側に突出する壁部23e(図4、図5参照)が略環状に形成されており、この壁部23eの先端側には、さらに前面側に向けて突出するように受け部23cが形成されている。
【0030】
一方、防塵フィルタ受け部材23の前面側の外周縁部近傍には、所定位置に複数(本実施形態では三箇所)の突状部23aが前面側に向けて突出するように形成されている。突状部23aは、防塵フィルタ21を固定保持する押圧部材20を固設するために形成され、当該押圧部材20は、突状部23aの先端部に対してネジ20a等により固設されている。
押圧部材20は、上述の如くに板ばね等の弾性体によって形成される部材であって、その基端部が突状部23aに固定され、自由端部が防塵フィルタ21の外周縁部に当接することで、当該防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23の側、即ち光軸方向に向けて押圧するようになっている。
【0031】
この場合、防塵フィルタ21の背面側の外周縁部に配設される圧電素子22の所定の部位が、受け部23cに当接することで、防塵フィルタ21及び圧電素子22の光軸方向における位置が規制されるようになっている。したがって、これにより防塵フィルタ21は、圧電素子22を介して防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように固定保持される。
換言すれば、防塵フィルタ受け部材23は、押圧部材20による附勢力によって防塵フィルタ21と圧電素子22を介して気密的に接合するように構成されている。
【0032】
ところで、上述したように、防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、周溝24dと環状凸部23d(図4、図5参照)とが相互に略気密的に嵌合するように設定さていると同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とは、押圧部材20の附勢力により圧電素子22を介して気密的に接合するように設定されている。また、CCDケース24に配設される光学LPF25は、光学LPF25の前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密的となるように配設されている。さらに、光学LPF25の背面側には、撮像素子27がローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF25と撮像素子27との間でも、略気密性が保持されるようになっている。
【0033】
したがって、光学LPF25と防塵フィルタ21とが対向する間の空間には、所定の空隙部51aが形成される。また、光学LPF25の周縁部、即ちCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とによって、空間部51bが形成される。この空間部51bは、光学LPF25の外側に張り出すようにして形成されている封止された空間である(図4、図5参照)。またこの空間部51bは、空隙部51aよりも広い空間となるように設定されている。そして、空隙部51aと空間部51bとから成る空間は、上述の如くCCDケース24、防塵フィルタ受け部材23、防塵フィルタ21および光学LPF25によって、略気密的に封止される封止空間51となっている。
【0034】
このように、第1実施形態のカメラ1における撮像ユニット15では、光学LPF25及び防塵フィルタ21の周縁に形成され空隙部51aを含む略密閉された封止空間51を形成する封止構造部が構成されている。そして、この封止構造部は、光学LPF25の周縁ないしその近傍から外側の位置に設けられるようになっている。
【0035】
さらにこの第1実施形態においては、防塵フィルタ21をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する第1の部材である防塵フィルタ受け部材23と、光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍位置に密着して支持すると共に、自己の所定部位で防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と密に接触するように配設される第2の部材であるCCDケース24等によって、封止構造部が構成されている。
【0036】
上述の如くに構成された第1実施形態のカメラ1においては、撮像素子27の前面側の所定位置に防塵フィルタ21を対向配置し、撮像素子27の光電変換面と防塵フィルタ21との周縁に形成される封止空間51を封止するように構成したことによって、撮像素子27の光電変換面に塵埃等が付着するのを予防している。
そしてこの場合、防塵フィルタ21の前面側の露出面に付着する塵埃等については、当該防塵フィルタ21の周縁部に一体となるように配設される圧電素子22に周期電圧を印加して防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えることで、除去することができるようになっている。
【0037】
ここで、防塵フィルタ21の埃除去動作としての振動について説明する。 図6は、カメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21及びこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
また、図7及び図8は、図6の圧電素子22に対して周期的な駆動電圧を印加した際の防塵フィルタ21及び圧電素子22の状態変化を示し、図7は図6のA−A線に沿う断面図、図8は、図6のB−B線に沿う断面図である。
【0038】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、図7、図8において実線で示すように変形する一方、圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図において点線で示すように変形することになる。
この場合において、図6〜図8の符号21aで示すような振動の節の位置では、実質的に振幅は零になることから、この節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させるように設定する。これにより、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を効率的に支持し得ることになる。そしてこの状態において、圧電素子22に対して周期的な電圧を印加することで防塵フィルタ21は振動し、当該防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃等は除去される。
なお、このときの共振周波数は、防塵フィルタ21の形状や板厚・材質等により決まるものである。上述の図6〜図8に示す例では、一次振動を発生させた場合を示している。
【0039】
また、図9〜図11に図示する別の例では、図6〜図8に示す例と全く同じ構成の防塵フィルタに対して二次振動を発生させた場合の様子を示している。 この場合、図9は、図6と同様にカメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21及びこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
図10及び図11は、図9の圧電素子22に対して二次振動を発生させるための周期的な電圧を印加した際の防塵フィルタ21及び圧電素子22の状態変化を示し、図10は、図9のA−A線に沿う断面図、図11は図9のB−B線に沿う断面図である。
【0040】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、図10及び図11において実線で示すように変形する一方、圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図において点線で示すように変形することになる。
この場合においては、図9〜図11に示す符号21a・21bようにこの振動では二対の節が存在することになるが、節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させるように設定することで、上述の図6〜図8に示す例と同様に、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を効率的に支持し得ることになる。
したがって、このような防塵機構において、所定の時期に圧電素子22に対して周期的な電圧を印加することで防塵フィルタ21は振動し、当該防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃等は除去できる。
【0041】
ここで、第1実施形態のカメラのシステム構成について詳しく説明する。 図2に示すブロック構成図の如く、このカメラのシステムは、カメラ本体としてのボディユニット100と、アクセサリ装置(以下「アクセサリ」と略称する)として例えば、交換レンズとしてのレンズユニット(即ちレンズ鏡筒)12と、撮影した画像データを記録しておく記録メディア39、外部電源70および外付けのストロボユニット80などから主にシステム構成されている。
【0042】
ユーザが所望するレンズユニット12は、ボディユニット100の前面に設けられたレンズマウント(不図示)を介して着脱自在に設定されている。
記録メディア39は、各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、通信コネクタ35を介してカメラ本体と通信可能かつ交換可能に装着される。
【0043】
外部電源70はAC/DCコンバータ機能を内蔵し、付属するコネクタ71とプラグ72を介して、例えば家庭用電源コンセントからカメラ本体側のジャック37へ、プラグ72を差し込むことで必要な電力が供給可能になっている。
またストロボユニット80は、閃光電球81、DC/DCコンバータ82、ストロボ制御マイクロコンピュータ83および電池84から成り、ストロボ通信コネクタ85を介してカメラ本体と通信可能に装着できる。
【0044】
レンズユニット12の制御はレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下”Lucom”と称する)5が行なう。ボディユニット100の制御はボディ制御用マイクロコンピュータ(以下“Bucom”と称する)50が行なう。尚、これらLucom5とBucom50とは、合体時において通信コネクタ6を介して通信可能に電気的接続がなされる。そしてカメラシステムとしてLucom5がBucom50に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
【0045】
レンズユニット12内には撮影レンズ12aと絞り3が設けられている。撮影レンズ12aはレンズ駆動機構2内に在る図示しないDCモータによって駆動される。絞り3は絞り駆動機構4内に在る図示しないステッピングモータによって駆動される。Lucom5はBucom50の指令に従ってこれら各モータを制御する。
【0046】
ボディユニット100内には次の構成部材が図示のように配設されている。例えば、光学系としての一眼レフ方式の構成部材(ペンタプリズム13a、クイックリターンミラー13b、接眼レンズ13c、サブミラー13d)と、光軸上のフォーカスプレーン式のシャッタ部14と、上記サブミラー13dからの反射光束を受けて自動測距する為のAFセンサユニット30aが設けられている。
【0047】
また、このAFセンサユニット30aを駆動制御するAFセンサ駆動回路30bと、上記クイックリターンミラー13bを駆動制御するミラー駆動機構18と、上記シャッタ部14の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構19と、それら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路31と、上記ペンタプリズム13aからの光束に基づき測光処理する測光回路32が設けられている。
【0048】
光軸上には、上記光学系を通過した被写体像を光電変換するためのCCDユニット27が光電変換素子として設けられ、更にこのCCDユニット27と撮影レンズ12aとの間に配された光学素子としての防塵フィルタ21によって保護されている。そして、この防塵フィルタ21を所定の周波数で振動させる加振手段の一部として例えば圧電素子22がその防塵フィルタ21の周縁部に取り付けられている。
また、圧電素子22は2つの電極(詳細後述)を有しており、この圧電素子22が加振手段の一部としての防塵フィルタ駆動回路48によって防塵フィルタ21を振動させ、そのフィルタ表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。よって、このカメラシステムはいわゆる「防塵機能付きカメラ」に属する基本構造をもつ電子カメラである。
なお、CCDユニット27の周辺の温度を測定するために、防塵フィルタ21の近傍には、温度測定回路33が設けられている。
【0049】
このカメラシステムにはまた、CCDユニット27に接続したCCDインターフェイス回路34、液晶モニタ36、記憶領域として設けられたSDRAM38a、FlashROM38bおよび記録メディア39などを利用して画像処理する画像処理コントローラ40とが設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性記憶手段として例えばEEPROMから成る不揮発性メモリ29が、Bucom50からアクセス可能に設けられている。
【0050】
Bucom50には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD57と、カメラ操作SW52とが設けられている。上記カメラ操作SW52は、例えばレリーズSW、モード変更SWおよびパワーSWなど、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。さらに、電源としての電池54と、この電源の電圧を当該カメラシステムを構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53aが設けられ、外部電源70からジャック71を介して電流が供給されたときの電圧変化を検知する電圧検出回路53bが併設されている。
【0051】
上述した如くに構成されたカメラシステムの各部は次のように稼動する。 まず画像処理コントローラ40は、Bucom50の指令に従ってCCDインターフェイス回路34を制御してCCDユニット27から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ40でビデオ信号に変換され、液晶モニタ36にて出力表示される。ユーザはこの液晶モニタ36の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。
【0052】
SDRAM38aは画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。またこの画像データはJPEGデータに変換された後には記録メディア39に保管されるように設定されている。
【0053】
CCDユニット27は、透明な防塵フィルタ21によって保護されている。この防塵フィルタ21の周縁部にはそのフィルタ面を加振するための圧電素子22が配置され、この圧電素子22は、前述の如くこの為の駆動手段としても働く防塵フィルタ駆動回路48によって駆動される。
CCDユニット34および圧電素子22は、防塵フィルタ21を一面とし且つ破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
【0054】
通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つであるため、運用時にその温度を計測してその固有振動数を変化を考慮しなければならない。稼動中に温度上昇が激しいCCDユニット27の前面を保護するため設けられた防塵フィルタ21の温度変化を測定してその時の固有振動数を予想するほうがよい。
したがってこの例の場合、上記温度測定回路33に接続されたセンサ(不図示)が、CCDユニット27の周辺温度を測定するため設けられている。尚、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵フィルタ21の振動面の極近傍に設定されるのが好ましい。
【0055】
ミラー駆動機構18は、クイックリターンミラー13bをUP位置とDOWN位置へ駆動するための機構であり、このクイックリターンミラー13bがDOWN位置にある時、撮影レンズ12aからの光束はAFセンサユニット30a側とペンタプリズム13a側へと分割されて導かれる。
AFセンサユニット30a内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路30bを介してBucom50へ送信されて周知の測距処理が行われる。
また、ペンタプリズム13aに隣接する接眼レンズ13cからはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム13aを通過した光束の一部は測光回路32内のホトセンサ(不図示)へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0056】
次に、図12に示す防塵フィルタ駆動回路48の回路図と、図13に示すタイムチャートに基づいて、この第1実施形態における防塵機能付きカメラの防塵フィルタ21の駆動およびその動作について説明する。
ここに例示した防塵フィルタ駆動回路48は図12に示す如くの回路構成を有し、その各部において、図13のタイムチャートで表わす波形の信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
【0057】
防塵フィルタ駆動回路48は図12に例示の如く、N進カウンタ41、1/2分周回路42、インバータ43、複数のMOSトランジスタ(Q00.Q01.Q02)44a、44b、44c、トランス45および抵抗(R00)46から構成されている。
上記トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bおよびトランジスタ(Q02)44cのON/OFF切替え動作によって、そのトランス45の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電素子22を駆動させ、防塵フィルタ21を共振させるようになっている。
【0058】
Bucom50は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、このBucom50内部に存在するクロックジェネレータ55を介して防塵フィルタ駆動回路48を次のように制御する。クロックジェネレータ55は、圧電素子22へ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ41へ出力する。この出力信号が図13中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ41へ入力される。
【0059】
N進カウンタ41は、当該パルス信号をカウントし所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が図13中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。
この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路42を通してデューティ比を1:1へ変換する。尚、この変換されたパルス信号は図13中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0060】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタ(Q01)44bがONする。一方、トランジスタ(Q02)44cへはインバータ43を経由してこのパルス信号が印加される。したがって、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたトランジスタ(Q02)44cがONする。トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bとトランジスタ(Q02)44cが交互にONすると、2次側には図13中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
トランス45の巻き線比は、電源回路53のユニットの出力電圧と圧電素子22の駆動に必要な電圧から決定される。尚、抵抗(R00)46はトランス45に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
【0061】
圧電素子22を駆動するに際しては、トランジスタ(Q00)44aがON状態にあり、電源回路53ユニットからトランス45のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。図中トランジスタ(Q00)44aのON/O制御はIOポートのP_PwContを介して行われる。N進カウンタ41の設定値“N”はIOポートD_NCntから設定でき、よって、Bucom50は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電素子22の駆動周波数を任意に変更可能である。
【0062】
このとき、次式によって周波数は算出可能である。
N:カウンタへの設定値、
fpls:クロックジェネレータの出力パルスの周波数、
fdrv:圧電素子へ印加される信号の周波数、
fdrv = fpls/2N …(式)
尚、この式に基づいた演算は、Bucom50のCPU(制御手段)で行われる。
【0063】
電極B61は、ガラス板の振動状態を検出するための圧電素子の電極である。この電極B61からそのガラス板の振動状態に応じた交流電圧(モニタ信号)が発生する。これが図13のタイムチャート上のSig5である。
電極B61に接続するダイオード(D00)62はそのモニタ信号を半波整流するために設けられている。また、このダイオード(D00)62に続く抵抗(R01,R02)63,64およびコンデンサ(C00)65によって、そのモニタ信号の包絡線が形成されている。これら抵抗(R01,R02)63,64およびコンデンサ(C00)65から成る検出回路によって決定される時定数は、ガラスの振動周波数によって最適値が異なる。この第1実施形態のガラス板は2つの共振モード(第1、第2の駆動モード)で駆動される。この2つの共振モードにおける駆動周波数が大きく異なるときは、時定数を変更できるように回路構成を採用する必要がある。抵抗(R01,R02)63,64でモニタ信号は、A/Dコンバータ60へ入力可能なレベルまで減圧される。この信号が図3のタイムチャート上のSig6である。
【0064】
この信号はA/Dコンバータ60でデジタルデータに変換され、Bucom50のIOポートD_DACinから読み取られる。Bucom50は、モニタ信号が最大レベルになるようにN進カウンタ41に設定する値を変化させればよい。最大レベルを示すN進カウンタ41の値(共振周波数)でガラスを駆動するとき、効率よく塵を払うことができる。
【0065】
上述のカメラボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom)50が行なう制御について具体的に順序をおって説明する。
図14には、第1実施形態のカメラの動作制御を表わし、カメラボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom50)が行なうカメラシーケンスの手順をフローチャートで例示している。
【0066】
Bucom50で稼動可能な制御プログラムは、カメラ1の電源SW(不図示)がON操作されると、その稼動を開始する。
まず#000では、当該カメラシステムを起動するための処理が実行される。電源回路53aを制御してこのカメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また各回路の初期設定を行なう。
【0067】
#001では、本発明の特徴的な防塵フィルタ21を振動させるための駆動時間(Tosc)と駆動周波数(共振周波数:Nosc)に関するデータを、EEPROM29の所定領域に記憶されている中から読み出す。
次の#002では、Bucom50の出力ポートD_NCntから、駆動周波数Noscを、防塵フィルタ駆動回路48のN進カウンタ41へ出力する。
【0068】
続く#003〜#005では、次のように塵除去動作が行なわれる。すなわち、
まず塵除去動作を開始させ実行する。その為、制御フラグP_pwContをHi(High value)にセットすると、圧電素子22は所定の駆動周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振し、フィルタ面に付着した塵を振り払う(#003)。これによって、まだカメラ1を撮影に使用しないこの期間に、ユーザが意図せずに、付着した塵を除去できる。
所定駆動時間(Tosc)、防塵フィルタ21を振動させた状態で待機し(#004)、その所定駆動時間(Tosc)経過後、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで、塵除去動作を停止させる(#005)。
【0069】
続く#006〜#030までは、周期的に実行されるステップ群である。 #006は、Lucom5と通信動作を行なうことでレンズユニット12の状態を検出するための着脱検出動作ステップである。
そして#007にて、レンズユニット12がボディユニット50に装着されたことを検出すると、#010へ移行する。一方、#008でレンズユニット12がボディユニット50から外されたことを検出した場合は#009へ移行して、制御フラグF_Lensを“0”にセットする。その後、#014へ移行する。
【0070】
#010では、制御フラグF_Lensを“1”にセットする。尚、この制御フラグは、当該カメラのボディユニット100にレンズユニット12が装着されている期間は“1”を示し、レンズユニット12が外されている期間は“0”を示す。
【0071】
ここでは、レンズユニット12が装着されているので、#011〜#013では、上述同様にして塵除去動作が行なわれる。即ち、制御フラグP_pwContをHi(High value)にセットすると塵除去動作が開始され実行される。圧電素子22は、所定の周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振してフィルタ面に付着した塵を振り払う(#011)。
所定駆動時間(Tosc)、防塵フィルタ21を振動させた状態で待機し(#012)、その所定駆動時間(Tosc)経過後、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで塵除去動作が停止される(#013)。このようにして、ここでも撮影に使用しない期間に、ユーザが意図せずに、付着した塵を除去できるようになっている。
【0072】
このように、カメラ本体であるボディユニット100にレンズユニット12が装着されていない期間には通常、各レンズや防塵フィルタ21等に塵が付着する可能性が高い。したがって、レンズユニット12の装着を検出したタイミングで塵を払う動作を実行することが望ましい。また、レンズ交換するとカメラ内部に外部の空気が循環して塵が付着する可能性が高いので、このレンズ交換時にも塵除去することは有意義である。
【0073】
#014では、カメラ操作スイッチの1つである1st.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを、当該スイッチのON/OFF状態で判定する。その状態を読み出し、もし1st.レリーズSWが所定時間以上ON操作されない場合には、後述の#031へ移行して終了処理(スリープ等)となる。
1st.レリーズSWがON操作された場合には、#016において、測光回路32から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報からCCDユニット27の露光時間(Tv値)とレンズユニット12の絞り設定値(Av値)を算出する。
【0074】
#017では、AFセンサ駆動回路30bを経由してAFセンサユニット30aの検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。 ここで#018にて、制御フラグF_Lensの状態を判定する。“0”ならばレンズユニット12が存在しないことを意味するので、次の#019以降の撮影動作は実行できない。そこでこの場合は,#031へ移行して終了処理となる。
【0075】
#019では、Lucom5に対してピントのズレ量を送信して、このズレ量に基づく撮影レンズ12aの駆動を指令する。
#020では、カメラ操作スイッチの1つである2nd.レリーズSW(不図示)がON操作されたか否かを判定する。この2nd.レリーズSWがONしているときは続く#021へ移行して所定の撮影動作を行なうが、OFFのときは#031へ移行して終了処理となる。
【0076】
#021においては、本発明の特徴として、撮影動作に先立って塵を除くための塵除去動作が上述同様な手続きにて実行される。即ち、制御フラグP_pwContをHi(High value)にセットすると、塵除去動作が実行開始される。圧電素子22は所定の周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振し、フィルタ面に付着した塵を振り払う。
【0077】
その直後の#022からは、まずLucom5へAv値を送信し、絞り3の駆動を指令し、#023にてクイックリターンミラー13bをUP位置へ移動させる。#024にて、シャッタ部14の先幕走行を開始させてOPEN制御し、#025にて、画像処理コントローラ40に対して「撮像動作」の実行を指令する(詳細はサブルーチン化されている)。Tv値で示された時間だけのCCDユニット27への露光(撮像)が終了すると、#026において、シャッタ部14の後幕走行を開始させてCLOSE制御する。
【0078】
ここで#027にて、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで、塵除去動作が停止される。
尚、サブルーチン「撮像動作」中では、通常の如く、露出の為に設定された秒時(露出秒時)に対応した時間の電子撮像動作を制御している(詳細省略)。
このようにして、撮像動作中であっても、ユーザが意図せずに、付着した塵を除去できるようになっている。
【0079】
その後は、#028にてクイックリターンミラー13bをDown位置へ駆動すると共に、シャッタ部14のチャージ動作を行なう。
そして#029では、Lucom5に対して絞り3を開放位置へ復帰させるように指令し、#030では、画像処理コントローラ40に対して、撮影した画像データを記録メディア39へ記録するように指令する。その画像データの記録動作が終了すると、再び、上述した#006へ移行して、同様な一連の処理を繰り返す。
最後の#031では、カメラ1は終了処理として例えばスリープ状態となる。そして、稼動状態を休止する。
【0080】
以上説明したように、本発明の第1実施形態としてのカメラ1(電子撮像装置)は、防塵フィルタ21が圧電素子22(加振手段)によって振動可能に撮像手段(撮像素子)の前方に配置され、絞り機構の絞り3と、シャッタ部14(シャッタ手段)で光電素子表面への被写体光束の照射時間を調整するような構造の電子カメラであって、カメラ1のBucom50(制御手段)の制御に基づき、上述した如く、少なくとも撮像動作の実行中にも圧電素子22を駆動することで防塵フィルタ21上に付着した塵埃を除去するように制御される。
【0081】
詳しくは、その塵除去を行なうタイミングの制御に特徴があり、Bucom50は、撮像動作に先立って(例えば、測光、測距、シャッタ駆動、クイックリターンミラー13bの退避動作、および絞り3の絞り込み動作など)を行なうこれら準備手段の準備動作中の早い段階に塵埃除去動作を開始させている。
尚、上記「準備手段」とは、撮像動作前のこれら種々の手続きを実行する部位を総称して呼んでいる。
【0082】
このように、電子撮像装置の一例である第1実施形態のカメラ1によれば、塵除去動作をそのカメラ1の電源起動時やレンズ交換時のみならず、撮像動作中にも行なうというタイミング制御を採用する。また、例えば1000分の1秒などの極めて短い露出秒時が設定されている場合でも、露光(撮像)動作に先がけて撮影準備中に塵除去動作が開始されているので、必要な塵除去時間は確保され易くなる。その結果、従来の塵除去方式に比べて、より確実かつ迅速に防塵部材の表面に付着した塵埃を除去することができるようになる。
【0083】
また、このようにカメラ1の撮像動作の開始に先立つタイミング、すなわち、撮影動作の開始前のタイミングに塵除去動作を行なう理由は、撮影準備動作中の最大電力消費のタイミングを避けたタイミングであることで、通常でも電力消費のピークとなりやすいシャッタ動作開始時や、クイックリターンミラーの駆動開始時に重ならないようにする故である。
【0084】
なお、上述の如き光電変換素子の撮像動作中(撮影中)において、その前面に配設した光学素子(防塵フィルタ21)を振動させることで埃の除去をする場合は、例示の周波数を適用する限りは、撮像された画像に影響を及ぼさない。よって、その防塵フィルタ21の振動による画像そのものへの悪影響は、本出願人の実験の結果でみる限り実質的に生じないことが確認されている。
【0085】
また、確実に塵を払う為の工夫、例えば、防塵フィルタ21の温度変化や、それに伴うフィルタ面の共振周波数の変化などを測定する処理は、時間がかかって撮影タイミングのズレが生じる可能性があることを考慮した故に、この第1実施形態ではあえて行なわず、撮像動作の中の前段において、効果的と思われる所定の周波数(Nosc)を使って、塵除去動作を行なう方式で実施している。
よって、撮影タイミングのズレが生じない例えば、カメラの電源起動時やレンズ交換時、あるいはCCDの画素欠陥検出動作時などにおいて、それらの変化を測定することで塵除去効果をより向上させることは望ましい。
【0086】
(第2実施形態)
つづいて、本発明の第2実施形態としてのカメラについて説明する。但し、前述した第1実施形態のものと同じ事項は省略し、主に特徴的な事項についてのみ以下説明する。
この第2実施形態としてのカメラ1が有する塵埃除去動作は、撮像動作が例えば2秒〜3秒のように「長秒時」に設定された場合においては、その圧電素子22を駆動する時間は、あらかじめ塵除去の為に設定された所定時間(例えば200ms)だけ行なった後は、それ以上は行なわず終了させるように制御するものである。
【0087】
すなわち、サブルーチン「撮像動作」中では、露出の為に設定された秒時(露出秒時)と、その制限された所定時間(200ms)との比較判定を行なっており、この所定時間を優先して判定することで、塵除去時間を適宜制御している。よって、この所定時間よりも長い露出秒時が設定されても、その途中で塵除去動作が停止されるように制御される。
【0088】
図15には、この特徴的な動作制御についての第2実施形態として、「撮像動作」ルーチンをフローチャートで表わしている。但しこのルーチンは、図14に示したカメラシーケンスのメインルーチンのサブルーチン「撮像動作」であるものとする。また、このサブルーチンの実行前には既に塵除去動作が開始されており、進行中であるものとする。即ち、Bucom50が防塵フィルタ駆動回路48に指令して圧電素子22を駆動させて塵除去動作を行なわせており、制御フラグP_pwContがHi(High value)にセットされている(図14参照)。
【0089】
図15の#040にて、まず、制御手段としてのBucom50は、シャッタ制御回路31やCCDインターフェイス回路34等に対して、設定された露出秒時(長秒時を含む)の撮像動作の開始を指令する。
#041において、Bucom50はその撮像動作に係わる露出秒時時間の経過を判定する。ここで、もしその露出秒時が早くも経過したならば、上記のメインルーチンへリターンする。
一方、その露出秒時が長秒時間である故にまだ経過しない場合は、#042においては、既にこの時点では塵除去動作が進行中であるので、Bucom50は、その塵除去動作が行なわれてから所定時間(200ms)が経過したか否かを判定する。まだ経過していなければ上記#041へ戻って、その塵除去動作を継続させる。もし、上記所定時間が経過すると、#043において、露出秒時(長秒時)に達していない場合でも、Bucom50は防塵フィルタ駆動回路48に指令して防塵動作を停止させる。即ち、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで、塵除去動作を停止させる。そして上記#041へ戻る。
【0090】
本発明の第2実施形態としての電子撮像装置(カメラ1)では、制御手段としてのボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom50)は、シャッタ手段としてのシャッタ制御回路31に設定されたシャッタ秒時(露出秒時が所定時間よりも長い場合(長秒時)には、そのシャッタ部14の閉動作が実行されるよりも前に、塵埃除去動作が終了されるように制御する。
そしてBucom50は、そのシャッタ制御回路31の閉動作が行なわれるよりも前に、その塵除去動作が所定時間継続して行なわれた場合には、その塵除去動作を停止させるように制御する。
【0091】
具体的には、撮影時にユーザが撮影の為に例えば2秒〜3秒のような露光の「長秒時」を設定した場合、カメラ1の圧電素子22は、予め設定された例えば200msという比較的短い所定時間ではあるが塵除去には充分な時間だけ継続的に塵除去の為の振動を行なった後、その振動が停止される。
【0092】
以上説明したように、この第2実施形態によれば、予め設定した所定時間だけに限って塵除去動作を行なわせるというタイミング制御を採用することで、シャッタ開状態に関する長秒時モードの設定がされたとしても、必要以上に長く塵除去動作する事なく、またその塵除去動作による電気エネルギーの浪費することなく、さらには、撮影動作中のミラーアップやシャッタ開動作の為に消費される電力のピークを高くすることのないようなタイミング制御を適用することが可能となる。
【0093】
(変形例)
上述の第2実施形態はさらに次のように変形実施してもよい。例えばこれは、長秒時の延長とも言えるいわゆる「開放モード」や「バルブ撮影モード」を有しているカメラにおいて特に有効なものである。
すなわち、バルブ撮影モードが設定されている場合には、2nd.レリーズSWがOFF操作される前に、所定時間(駆動時間Tosc)が経過したら、塵除去動作を停止させるように実施するものである。
【0094】
詳しくは、サブルーチン「撮像動作」は前述の第1実施形態のものと同様とし、第2実施形態のような露出秒時と所定時間(例えば200ms)との比較判定を行なうことなく、当該バルブ撮影モードが設定されていることに基づき、その所定時間の経過監視のみで塵除去動作を制御すればよい。
【0095】
尚、ここで例示した塵除去の為の駆動時間Toscは、撮影タイミングに影響せず、しかも塵除去に最も効果的な時間値(例えば200〜250ms)に設定されている。但しこの値は、防塵フィルタ21の仕様と使用時の環境条件などによって異なる。
この変形例によれば、バルブ撮影モードの場合は特に、必要最低限の時間だけの塵除去動作のみで済むので、塵除去動作に要する電気エネルギーの節約に寄与する。
【0096】
(その他の変形例)
第1、第2実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの例に限定されず、またここに例示した電子カメラ以外の電子撮像装置においても同様に適用することができる。
このほかにも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0097】
【発明の効果】
以上説明の如く、本発明によれば、撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑えると同時に、防塵部材の表面に付着する塵埃等を除去する手段を備えた電子撮像装置(カメラ)において、より確実かつ迅速に防塵部材の表面に付着した塵埃を除去することができる電子撮像装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のカメラの一部を切断し、その内部の機械的な構造を概略的に示す斜視図。
【図2】該カメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図。
【図3】該カメラにおける撮像ユニットを分解して示す要部分解斜視図。
【図4】組み立てた状態の当該撮像ユニットの一部を切断して示す斜視図。
【図5】該カメラの図4の切断面に沿う断面図。
【図6】該カメラにおける撮像ユニットのうち防塵フィルタ及びこれに一体に設けられる圧電素子のみを取り出して示す正面図。
【図7】周期的な駆動電圧を印加した際の防塵フィルタ及び圧電素子の状態変化を示し、その圧電素子の図6のA−A線に沿う断面図。
【図8】同じくその圧電素子の図6のB−B線に沿う断面図。
【図9】図6と同じ構成の防塵フィルタに対して二次振動を発生させた場合の様子を示し、図6と同様に該カメラにおける撮像ユニットのうち防塵フィルタ及びこれに一体に設けられる圧電素子のみを取り出して示す正面図。
【図10】二次振動を発生させるための周期的な電圧を印加した際の防塵フィルタ及び圧電素子の状態変化を示し、その圧電素子の図9のA−A線に沿う断面図。
【図11】同じく図9のB−B線に沿う断面図。
【図12】防塵フィルタ駆動回路の構成を示す回路図。
【図13】防塵フィルタの駆動とその動作に係わる波形信号を表わすタイムチャート。
【図14】該カメラの制御用マイクロコンピュータが実行するカメラシーケンスにおける塵除去のタイミング制御を表わすフローチャート。
【図15】本発明の第2実施形態のカメラの動作制御としての「撮像動作」ルーチンを表わすフローチャート。
【符号の説明】
1…カメラ(カメラシステム)、
2…レンズ駆動機構、
3…絞り、 4…絞り駆動機構、
5…レンズ制御用マイクロコンピュータ、
11…カメラ本体部、
12…レンズ鏡筒(レンズユニット:交換レンズ)、
12a…撮影光学系、
13…ファインダ装置、 13a…ペンタプリズム、
13b…反射鏡(クイックリターンミラー)、
13c…接眼レンズ、 13d…サブミラー、
14…シャッタ部(前幕、後幕)、
15…撮像ユニット、
17…レリーズボタン、
18…ミラー駆動機構、
19…シャッタチャージ機構、
21…防塵フィルタ(防塵フィルタ:光学素子)、
22…圧電素子(加振手段)、
23…防塵フィルタ受け部材、
24…撮像素子収納ケース部材(CCDケース)、
25…光学的ローパスフィルタ(LPF)、
27…撮像素子(CCDユニット:光電変換素子)、
28…撮像素子固定板、
29…不揮発性メモリ(EEPROM)、
30a…AFセンサ、 30b…AFセンサ駆動回路、
31…シャッタ制御回路(シャッタ手段)、
32…測光回路、 33…温度測定回路、
34…CCDインターフェイス回路、
38a…SDRAM、 38b…FlashROM、
39…記録メディア(アクセサリ)、
40…画像処理コントローラ、
41…N進カウンタ、 42…1/2分周回路、
43…インバータ、 44…トランジスタ、
44a,44b,44c…MOSトランジスタ、
48…防塵フィルタ駆動回路(加振、駆動手段)、
50…ボディ制御用マイクロコンピュータ(制御手段)、
52…カメラ操作SW、
53a…電源回路、 53b…電圧検出回路、
54…電池、 55…クロックジェネレータ、
56…VCO(電圧制御発振器)、
70…外部電源(アクセサリ)、
80…ストロボユニット(アクセサリ)、
100…ボディユニット(カメラ本体)。
#000〜#031…第1実施形態の防塵制御手順、
#040〜#043…第2実施形態の防塵制御手順。
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像素子を用いた電子撮像装置の撮像素子の防塵技術に関わる。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子撮像装置の中には、撮影光学系を透過した被写体からの光束(以下「被写体光束」と称す)に基づいて形成される被写体像を所定の位置に配置した固体撮像素子等、例えば電荷結合素子(CCD(Charge Coupled Device)以下単に「撮像素子」と称す)等の光電変換面上に結像させ、当該撮像素子等の光電変換作用を利用して所望の被写体像を表わす電気的な画像信号等を生成し、この画像信号等に基づく信号を、例えば液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))等の所定の表示装置等へと出力して画像等を表示させたり、撮像素子等によって生成した画像信号等を所定の形態の画像データとして所定の記録媒体の所定の記録領域に記録し、更にこの記録媒体に記録された画像データを読み出して、その画像データを表示装置に表示するのに最適な画像信号となるように変換処理した後、処理済の画像信号に基づいて、これに対応する画像を表示させ得るように構成した、いわゆる「デジタルスチルカメラ」や「デジタルビデオカメラ」等の電子カメラ(以下「デジタルカメラ」又は単に「カメラ」と称す)が一般的に実用化され広く普及している。
【0003】
また、一般的なデジタルカメラにおいては、撮影動作に先立って撮影対象となる所望の被写体を観察し、当該被写体を含む撮影範囲を設定する等の目的で光学ファインダ装置を備えている形態がふつうである。
この光学ファインダ装置としては、撮影光学系の光軸上に配設した反射部材等を用いて撮影光学系を透過した被写体光束の進行方向を折り曲げて観察用の被写体像を所定の位置に結像させる一方、撮影動作時には、撮影光学系の光軸上から反射部材を退避させることにより、被写体光束を撮像素子の受光面、即ち光電変換面へと導き、当該光電変換面上に撮影用の被写体像を形成させるように構成したいわゆる「一眼レフレックス方式」のファインダ装置等が一般的に利用されている。
【0004】
そして近年では、一眼レフレックス方式のファインダ装置を具備すると共に、カメラ本体に対して撮影光学系を着脱自在となるように構成し、使用者が所望する際に所望の撮影光学系を任意に着脱し交換する事で、単一のカメラ本体にて複数種類の撮影光学系を選択的に使用し得るように構成したいわゆる「レンズ交換可能な」形態のデジタルカメラが一般に実用化されつつある。
【0005】
このようなレンズ交換可能な形態のデジタルカメラにおいては、当該撮影光学系をカメラ本体から取り外した際、カメラ本体の内部に空気中に浮遊する塵埃等が侵入する可能性がある。またカメラ本体内部には、例えばシャッタ・絞り機構等の機械的に動作する各種の機構が配設されているので、これらの機構等からその動作中にゴミ等が発生する場合もある。
そこで、従来の一眼レフレックス方式のデジタルカメラ等においては、帯電作用等に起因して撮像素子の受光面上に塵埃等が付着するのを抑制するための技術が、例えば特開2000−29132号公報等によって提案されている。
【0006】
当該公報に開示されている手段は、レンズ交換可能な形態の一眼レフレックス方式のデジタルカメラにおいて、カメラ内部に設けられる撮像素子の受光面を覆うカバー部材の表面に透明電極を設け、この電極に対して直流電圧若しくは数kHz〜20kHz程度の周波数の交流電圧を印加することで、帯電作用によって撮像素子の受光面上に塵埃等が付着するのを抑制するようにしたものである。 そして、当該公報の手段によれば、撮像素子に生起する電荷を中和することで、静電気等に起因して撮像素子の受光面に塵埃等が付着するのを抑制できるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開2000−29132号公報に開示されている手段では、帯電した撮像素子の電荷を中和させることで塵等が付着するのを抑制するようにしていることから、例えば静電気に因らずに撮像素子の光電変換面上に単に付着したり、推積した状態の塵埃等を除去する手段としては、最適なものではないと考えられる。
【0008】
一方、本出願人は特願2000−401291号において、撮像素子の光電変換面の側を封止ないし保護する防塵部材を備えることで、当該撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の表面に付着する塵埃等に対しては、所定の加振手段によって防塵部材に所定の振幅の振動を与えることによって、これを除去する手段を提案している。
この手段によれば、小型でかつ簡単な機構によって撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の表面に付着する塵埃等を容易に除去し得るレンズ交換可能な形態のデジタルカメラを構成することができるというものである。
この場合において、防塵部材の表面に付着する塵埃等の大きさや重量には、様様なものがあり、一様な振動を加えるだけでなく、加振時の振動周波数や振幅等について種々の工夫を施すことによって、より一層の塵埃除去効果を得ることができるものと考えられる。
【0009】
そこで本発明の目的とするところは、撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑えると同時に、防塵部材の表面に付着する塵埃等を除去する手段を備えた電子撮像装置(例えばカメラ)において、より確実かつ迅速に防塵部材の表面に付着した塵埃を除去することができるような電子撮像装置(例えばカメラ)を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、上記課題を解決し目的を達成するため、本発明では次のような手段を講じている。
画像素子の前面に設けられた光学素子に付着した埃を、被写体撮像中にも除去すべく塵除去動作を行なって、埃の影が撮像画像に写り込まないよう構成された電子撮像装置を提案するもので、一つの実施態様によれば、被写体の光学像を結像する撮像光学系と、その光学像を電気信号に変換する光電変換素子と、上記撮像光学系と上記光電変換素子との間に配される光学素子と、この光学素子を設定周波数で振動させる加振手段とを具備し、この加振手段が少なくとも上記光電変換素子の撮像動作中にその光学素子を振動させるように構成された電子撮像装置を提案する。
【0011】
また、被写体の光学像を電気信号に変換するための撮像手段を具備する電子撮像装置において、上記撮像手段の光電変換面上に被写体光束を導く撮像光学系と、上記撮像手段の光電変換面の前方に配置された防塵フィルタ手段と、上記防塵フィルタ手段を振動させる加振手段と、少なくとも上記撮像手段による撮像動作の実行中に、上記加振手段を駆動して上記防塵フィルタ上に付着した塵埃を除去するように制御する制御手段とを有するような電子撮像装置を提案する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下例示する本発明の電子撮像装置は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子ユニットの防塵機能を有する装置であり、ここでは一例として電子カメラの防塵に係わる改良技術として説明する。特にレンズ交換可能な一眼レフレックス式電子カメラ(デジタルカメラ)に関して、複数の実施形態を挙げて図1〜図15に基づき説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態のカメラについて、その概略的な構成を詳しく説明する。図1及び図2には、本発明の一実施形態のカメラの概略的な構成を示している。図1は、カメラの一部を切断してその機械的な内部構造を概略的に示す斜視図であり、図2は、このカメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図である。最初に機械的な構造について説明する。
【0013】
本実施形態のカメラ1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体部11及びレンズ鏡筒12とから成り、それぞれは互いに着脱自在に構成されている。
レンズ鏡筒12は複数のレンズやその駆動機構等から成る撮影光学系12aを内部に保持して構成され、この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させることで当該被写光束により形成される被写体の像を所定の位置(後述する撮像素子27の光電変換面(受光面)上)に結像せしめるように例えば複数の光学レンズ等によって構成されるものである。そしてこのレンズ鏡筒12は、カメラ本体部11の前面に向けて突出するように配設される。
なお、このレンズ鏡筒12については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用される。したがって、その詳細な構成についての説明は省略する。
【0014】
カメラ本体部11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズ鏡筒12を着脱自在となるように配設するための連結部材である撮影光学系装着部11aをその前面に備えて構成された、いわゆる「一眼レフレックス方式」のカメラである。
つまり、カメラ本体部11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体部11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成され、この露光用開口の周縁部に撮影光学系装着部11aが形成されている。
【0015】
カメラ本体部11の外面側には、その前面に上述の撮影光学系装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体部11を動作させるための各種の操作部材、例えば撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。これらの操作部材については、本発明とは直接関連しない部分であるので、図面の煩雑化を避けるために、レリーズボタン17以外の操作部材については、その図示及び説明を省略する。
【0016】
カメラ本体部11の内部には、図1に示す如くの各種の構成部材、例えば撮影光学系12aによって形成される所望の被写体像を撮像素子27の光電変換面上とは異なる所定位置に形成させるために設けられ、いわゆる「観察光学系」を成すファインダ装置13と、撮像素子27の光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ機構等を備えたシャッタ部14と、このシャッタ部14を含み撮影光学系12aを透過した被写体光束に基づき形成される被写体像に対応した画像信号を得る撮像手段であり、光電変換素子である撮像素子27及びこの撮像素子27の光電変換面の前面側の所定位置に配設され当該光電変換面への塵埃等の付着を防止する光学素子であり防塵部材であって、フィルタ手段である防塵フィルタ21(詳細後述)等から成る撮像ユニット15と、撮像素子27により取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路等の電気回路を成す各種の電気部材が実装された主回路基板16を始めとする複数の回路基板(図1では主回路基板16のみを図示)等が、それぞれ所定位置に配設されている。
【0017】
ファインダ装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導くように構成された反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するに最適な形態の像を結像させる接眼レンズ13c等によって構成されている。
反射鏡13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で移動自在に構成され、通常状態は、撮影光学系12aの光軸上にて当該光軸に対して所定角度、例えば角度45°に配置されている。これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、当該カメラ1が通常状態にある際は、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられて、当該反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
【0018】
一方、カメラ1が撮影動作の実行中において、その実際の露光動作中には、当該反射鏡13bが撮影光学系12aの光軸から退避する所定位置に移動するようになっている。これによって被写体光束は、撮像素子27の側へと導かれ、その光電変換面を照射するようになっている。
シャッタ部14は、例えばフォーカルプレーン方式のシャッタ機構や、このシャッタ機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等で一般的に利用されているものと同様のものが適用される。従ってその詳細な構成についての説明は省略する。
【0019】
図2に基づく電気的な説明は後に詳しく述べるとして、続いて、本実施形態のカメラ1における撮像ユニット15の詳細構造について以下に説明する。
図3、図4及び図5は、本実施形態のカメラ1における撮像ユニットの一部を取り出して示しており、図3は、当該撮像ユニットを分解して示す要部分解斜視図である。図4は組立状態の当該撮像ユニットの一部を切断して示す斜視図であり、図5は図4の切断面に沿う断面図である。
【0020】
なお、本実施形態のカメラ1の撮像ユニット15は、上述したようにシャッタ部14を含む複数の部材で構成されるユニットであるが、図3〜図5では、その主要部を図示するに留め、シャッタ部14の図示は省略している。また、各構成部材の位置関係を示すため図3〜図5では、当該撮像ユニット15の近傍に設けられ撮像素子27が実装されると共に、画像信号処理回路やワークメモリ等から成る撮像系の電気回路が実装される主回路基板16を合わせて図示している。尚、この主回路基板16それ自体の詳細については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものが適用されるものとして、その説明は省略する。
【0021】
撮像ユニット15はCCD等から成り、撮影光学系12aを透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子27と、この撮像素子27を固定支持する薄板状の部材から成る撮像素子固定板28と、撮像素子27の光電変換面の側に配設され、撮影光学系12aを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学的ローパスフィルタ(Low Pass Filter;以下「光学LPF」と称す)25と、この光学LPF25と撮像素子27との間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26と、撮像素子27を収納し固定保持すると共に光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持し且つ所定の部位を後述する防塵フィルタ受け部材23(後述する第1の部材)に密に接触するように配設される撮像素子収納ケース部材24(後述する第2の部材;以下「CCDケース24」と称す)と、このCCDケース24の前面側に配置され防塵フィルタ21(防塵部材)をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と、この防塵フィルタ受け部材23によって支持されて撮像素子27の光電変換面の側であって光学LPF25の前面側において当該光学LPF25との間に所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される防塵部材である防塵フィルタ21と、この防塵フィルタ21の周縁部に配設され当該防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えるための加振手段であり加振用部材であって、例えば電気機械変換素子等から成る圧電素子22と、この圧電素子22を駆動する駆動回路である防塵フィルタ駆動部48(図3〜図5には図示せず。図2参照)と、防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合させ固定保持する弾性体から成る押圧部材20等によって構成されている。
【0022】
撮像手段である撮像素子27は、撮影光学系12aを透過した被写体光束を自己の光電変換面に受けて光電変換処理を行なうことで、当該光電変換面に形成される被写体像に対応した画像信号を取得するものであり、例えば電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)が適用される。
撮像素子27は、撮像素子固定板28を介して主回路基板16上の所定の位置に実装されている。この主回路基板16(不図示)には、上述の如くに画像信号処理回路及びワークメモリ等が共に実装され、撮像素子27からの出力信号、即ち光電変換処理により得られた画像信号が処理される。
【0023】
この撮像素子27の前面側には、ローパスフィルタ受け部材26を挟持して光学LPF25が配設されている。そしてこれを覆う如くにCCDケース24が配設されている。
つまり、CCDケース24には、略中央部分に矩形状から成る開口24cが設けられ、この開口24cには、その後方側から光学LPF25及び撮像素子27が配設されている。この開口24cの後方側の内周縁部には、図4及び図5に示すような断面が略L字形状から成る段部24aが形成されている。
【0024】
上述の如く、光学LPF25と撮像素子27との間には、弾性部材等から成るローパスフィルタ受け部材26が配設されている。このローパスフィルタ受け部材26は、撮像素子27の前面側の周縁部にてその光電変換面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF25の背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。そして光学LPF25と撮像素子27との間を略気密性が保持されるように構成している。これにより、光学LPF25にはローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働く。
【0025】
そこで、光学LPF25の前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密的に接触させるように配置することで、当該光学LPF25をその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF25の光軸方向における位置を規制するようにしている。換言すれば、CCDケース24の開口24cの内部に背面側より挿入された光学LPF25は、段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。これにより、当該光学LPF25は、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。
【0026】
このようにして、CCDケース24の開口24cの内部に背面側から光学LPF25が挿入された後、光学LPF25の背面側には、撮像素子27が配設されるようになっている。この場合、光学LPF25と撮像素子27との間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持される。
また、撮像素子27は、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16に実装されている。そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。また、撮像素子固定板28には、主回路基板16がスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。
【0027】
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23がCCDケース24のネジ孔24bに対してネジ23bによって固定されている。この場合において、CCDケース24の周縁側であって前面側の所定の位置には、図4及び図5に詳細に示すように、周溝24dが略環状に形成されている。その一方で、防塵フィルタ受け部材23の周縁側であって背面側の所定の位置には、CCDケース24の周溝24dに対応させた環状凸部23d(図3には不図示)が全周にわたって略環状に形成されている。したがって、環状凸部23dと周溝24dとが嵌合することによりCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23とは、環状の領域、即ち周溝24dと環状凸部23dとが形成される領域において相互に略気密的に嵌合するようになっている。
【0028】
防塵フィルタ21は、全体として円形ないし多角形の板状を成し、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部を成しており、この透明部が光学LPF25の前面側に所定の間隔をもって対向配置されている。 また、防塵フィルタ21の一方の面(本実施形態では背面側)の周縁部には、当該防塵フィルタ21に対して振動を与えるための所定の加振用部材であり、電気機械変換素子等によって形成される圧電素子22が一体となるように、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。この圧電素子22は図示しない防塵フィルタ駆動部によって所定周期を有する駆動電圧を印加することで、防塵フィルタ21に所定の振動、即ち定在波振動を発生させることができるように構成されている。そして、防塵フィルタ21は、防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように板ばね等の弾性体から成る押圧部材20によって固定保持されている。
【0029】
防塵フィルタ受け部材23の略中央部近傍には、円形状又は多角形状から成る開口23fが設けられている。この開口23fは、撮影光学系12aを透過した被写体光束を透過させて、当該光束が後方に配置される撮像素子27の光電変換面を照射するのに充分な大きさとなるように設定されている。
この開口23fの周縁部には、前面側に突出する壁部23e(図4、図5参照)が略環状に形成されており、この壁部23eの先端側には、さらに前面側に向けて突出するように受け部23cが形成されている。
【0030】
一方、防塵フィルタ受け部材23の前面側の外周縁部近傍には、所定位置に複数(本実施形態では三箇所)の突状部23aが前面側に向けて突出するように形成されている。突状部23aは、防塵フィルタ21を固定保持する押圧部材20を固設するために形成され、当該押圧部材20は、突状部23aの先端部に対してネジ20a等により固設されている。
押圧部材20は、上述の如くに板ばね等の弾性体によって形成される部材であって、その基端部が突状部23aに固定され、自由端部が防塵フィルタ21の外周縁部に当接することで、当該防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23の側、即ち光軸方向に向けて押圧するようになっている。
【0031】
この場合、防塵フィルタ21の背面側の外周縁部に配設される圧電素子22の所定の部位が、受け部23cに当接することで、防塵フィルタ21及び圧電素子22の光軸方向における位置が規制されるようになっている。したがって、これにより防塵フィルタ21は、圧電素子22を介して防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように固定保持される。
換言すれば、防塵フィルタ受け部材23は、押圧部材20による附勢力によって防塵フィルタ21と圧電素子22を介して気密的に接合するように構成されている。
【0032】
ところで、上述したように、防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、周溝24dと環状凸部23d(図4、図5参照)とが相互に略気密的に嵌合するように設定さていると同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とは、押圧部材20の附勢力により圧電素子22を介して気密的に接合するように設定されている。また、CCDケース24に配設される光学LPF25は、光学LPF25の前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密的となるように配設されている。さらに、光学LPF25の背面側には、撮像素子27がローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF25と撮像素子27との間でも、略気密性が保持されるようになっている。
【0033】
したがって、光学LPF25と防塵フィルタ21とが対向する間の空間には、所定の空隙部51aが形成される。また、光学LPF25の周縁部、即ちCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とによって、空間部51bが形成される。この空間部51bは、光学LPF25の外側に張り出すようにして形成されている封止された空間である(図4、図5参照)。またこの空間部51bは、空隙部51aよりも広い空間となるように設定されている。そして、空隙部51aと空間部51bとから成る空間は、上述の如くCCDケース24、防塵フィルタ受け部材23、防塵フィルタ21および光学LPF25によって、略気密的に封止される封止空間51となっている。
【0034】
このように、第1実施形態のカメラ1における撮像ユニット15では、光学LPF25及び防塵フィルタ21の周縁に形成され空隙部51aを含む略密閉された封止空間51を形成する封止構造部が構成されている。そして、この封止構造部は、光学LPF25の周縁ないしその近傍から外側の位置に設けられるようになっている。
【0035】
さらにこの第1実施形態においては、防塵フィルタ21をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する第1の部材である防塵フィルタ受け部材23と、光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍位置に密着して支持すると共に、自己の所定部位で防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と密に接触するように配設される第2の部材であるCCDケース24等によって、封止構造部が構成されている。
【0036】
上述の如くに構成された第1実施形態のカメラ1においては、撮像素子27の前面側の所定位置に防塵フィルタ21を対向配置し、撮像素子27の光電変換面と防塵フィルタ21との周縁に形成される封止空間51を封止するように構成したことによって、撮像素子27の光電変換面に塵埃等が付着するのを予防している。
そしてこの場合、防塵フィルタ21の前面側の露出面に付着する塵埃等については、当該防塵フィルタ21の周縁部に一体となるように配設される圧電素子22に周期電圧を印加して防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えることで、除去することができるようになっている。
【0037】
ここで、防塵フィルタ21の埃除去動作としての振動について説明する。 図6は、カメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21及びこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
また、図7及び図8は、図6の圧電素子22に対して周期的な駆動電圧を印加した際の防塵フィルタ21及び圧電素子22の状態変化を示し、図7は図6のA−A線に沿う断面図、図8は、図6のB−B線に沿う断面図である。
【0038】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、図7、図8において実線で示すように変形する一方、圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図において点線で示すように変形することになる。
この場合において、図6〜図8の符号21aで示すような振動の節の位置では、実質的に振幅は零になることから、この節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させるように設定する。これにより、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を効率的に支持し得ることになる。そしてこの状態において、圧電素子22に対して周期的な電圧を印加することで防塵フィルタ21は振動し、当該防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃等は除去される。
なお、このときの共振周波数は、防塵フィルタ21の形状や板厚・材質等により決まるものである。上述の図6〜図8に示す例では、一次振動を発生させた場合を示している。
【0039】
また、図9〜図11に図示する別の例では、図6〜図8に示す例と全く同じ構成の防塵フィルタに対して二次振動を発生させた場合の様子を示している。 この場合、図9は、図6と同様にカメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21及びこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
図10及び図11は、図9の圧電素子22に対して二次振動を発生させるための周期的な電圧を印加した際の防塵フィルタ21及び圧電素子22の状態変化を示し、図10は、図9のA−A線に沿う断面図、図11は図9のB−B線に沿う断面図である。
【0040】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、図10及び図11において実線で示すように変形する一方、圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図において点線で示すように変形することになる。
この場合においては、図9〜図11に示す符号21a・21bようにこの振動では二対の節が存在することになるが、節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させるように設定することで、上述の図6〜図8に示す例と同様に、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を効率的に支持し得ることになる。
したがって、このような防塵機構において、所定の時期に圧電素子22に対して周期的な電圧を印加することで防塵フィルタ21は振動し、当該防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃等は除去できる。
【0041】
ここで、第1実施形態のカメラのシステム構成について詳しく説明する。 図2に示すブロック構成図の如く、このカメラのシステムは、カメラ本体としてのボディユニット100と、アクセサリ装置(以下「アクセサリ」と略称する)として例えば、交換レンズとしてのレンズユニット(即ちレンズ鏡筒)12と、撮影した画像データを記録しておく記録メディア39、外部電源70および外付けのストロボユニット80などから主にシステム構成されている。
【0042】
ユーザが所望するレンズユニット12は、ボディユニット100の前面に設けられたレンズマウント(不図示)を介して着脱自在に設定されている。
記録メディア39は、各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、通信コネクタ35を介してカメラ本体と通信可能かつ交換可能に装着される。
【0043】
外部電源70はAC/DCコンバータ機能を内蔵し、付属するコネクタ71とプラグ72を介して、例えば家庭用電源コンセントからカメラ本体側のジャック37へ、プラグ72を差し込むことで必要な電力が供給可能になっている。
またストロボユニット80は、閃光電球81、DC/DCコンバータ82、ストロボ制御マイクロコンピュータ83および電池84から成り、ストロボ通信コネクタ85を介してカメラ本体と通信可能に装着できる。
【0044】
レンズユニット12の制御はレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下”Lucom”と称する)5が行なう。ボディユニット100の制御はボディ制御用マイクロコンピュータ(以下“Bucom”と称する)50が行なう。尚、これらLucom5とBucom50とは、合体時において通信コネクタ6を介して通信可能に電気的接続がなされる。そしてカメラシステムとしてLucom5がBucom50に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
【0045】
レンズユニット12内には撮影レンズ12aと絞り3が設けられている。撮影レンズ12aはレンズ駆動機構2内に在る図示しないDCモータによって駆動される。絞り3は絞り駆動機構4内に在る図示しないステッピングモータによって駆動される。Lucom5はBucom50の指令に従ってこれら各モータを制御する。
【0046】
ボディユニット100内には次の構成部材が図示のように配設されている。例えば、光学系としての一眼レフ方式の構成部材(ペンタプリズム13a、クイックリターンミラー13b、接眼レンズ13c、サブミラー13d)と、光軸上のフォーカスプレーン式のシャッタ部14と、上記サブミラー13dからの反射光束を受けて自動測距する為のAFセンサユニット30aが設けられている。
【0047】
また、このAFセンサユニット30aを駆動制御するAFセンサ駆動回路30bと、上記クイックリターンミラー13bを駆動制御するミラー駆動機構18と、上記シャッタ部14の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構19と、それら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路31と、上記ペンタプリズム13aからの光束に基づき測光処理する測光回路32が設けられている。
【0048】
光軸上には、上記光学系を通過した被写体像を光電変換するためのCCDユニット27が光電変換素子として設けられ、更にこのCCDユニット27と撮影レンズ12aとの間に配された光学素子としての防塵フィルタ21によって保護されている。そして、この防塵フィルタ21を所定の周波数で振動させる加振手段の一部として例えば圧電素子22がその防塵フィルタ21の周縁部に取り付けられている。
また、圧電素子22は2つの電極(詳細後述)を有しており、この圧電素子22が加振手段の一部としての防塵フィルタ駆動回路48によって防塵フィルタ21を振動させ、そのフィルタ表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。よって、このカメラシステムはいわゆる「防塵機能付きカメラ」に属する基本構造をもつ電子カメラである。
なお、CCDユニット27の周辺の温度を測定するために、防塵フィルタ21の近傍には、温度測定回路33が設けられている。
【0049】
このカメラシステムにはまた、CCDユニット27に接続したCCDインターフェイス回路34、液晶モニタ36、記憶領域として設けられたSDRAM38a、FlashROM38bおよび記録メディア39などを利用して画像処理する画像処理コントローラ40とが設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性記憶手段として例えばEEPROMから成る不揮発性メモリ29が、Bucom50からアクセス可能に設けられている。
【0050】
Bucom50には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD57と、カメラ操作SW52とが設けられている。上記カメラ操作SW52は、例えばレリーズSW、モード変更SWおよびパワーSWなど、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。さらに、電源としての電池54と、この電源の電圧を当該カメラシステムを構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53aが設けられ、外部電源70からジャック71を介して電流が供給されたときの電圧変化を検知する電圧検出回路53bが併設されている。
【0051】
上述した如くに構成されたカメラシステムの各部は次のように稼動する。 まず画像処理コントローラ40は、Bucom50の指令に従ってCCDインターフェイス回路34を制御してCCDユニット27から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ40でビデオ信号に変換され、液晶モニタ36にて出力表示される。ユーザはこの液晶モニタ36の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。
【0052】
SDRAM38aは画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。またこの画像データはJPEGデータに変換された後には記録メディア39に保管されるように設定されている。
【0053】
CCDユニット27は、透明な防塵フィルタ21によって保護されている。この防塵フィルタ21の周縁部にはそのフィルタ面を加振するための圧電素子22が配置され、この圧電素子22は、前述の如くこの為の駆動手段としても働く防塵フィルタ駆動回路48によって駆動される。
CCDユニット34および圧電素子22は、防塵フィルタ21を一面とし且つ破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
【0054】
通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つであるため、運用時にその温度を計測してその固有振動数を変化を考慮しなければならない。稼動中に温度上昇が激しいCCDユニット27の前面を保護するため設けられた防塵フィルタ21の温度変化を測定してその時の固有振動数を予想するほうがよい。
したがってこの例の場合、上記温度測定回路33に接続されたセンサ(不図示)が、CCDユニット27の周辺温度を測定するため設けられている。尚、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵フィルタ21の振動面の極近傍に設定されるのが好ましい。
【0055】
ミラー駆動機構18は、クイックリターンミラー13bをUP位置とDOWN位置へ駆動するための機構であり、このクイックリターンミラー13bがDOWN位置にある時、撮影レンズ12aからの光束はAFセンサユニット30a側とペンタプリズム13a側へと分割されて導かれる。
AFセンサユニット30a内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路30bを介してBucom50へ送信されて周知の測距処理が行われる。
また、ペンタプリズム13aに隣接する接眼レンズ13cからはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム13aを通過した光束の一部は測光回路32内のホトセンサ(不図示)へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0056】
次に、図12に示す防塵フィルタ駆動回路48の回路図と、図13に示すタイムチャートに基づいて、この第1実施形態における防塵機能付きカメラの防塵フィルタ21の駆動およびその動作について説明する。
ここに例示した防塵フィルタ駆動回路48は図12に示す如くの回路構成を有し、その各部において、図13のタイムチャートで表わす波形の信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
【0057】
防塵フィルタ駆動回路48は図12に例示の如く、N進カウンタ41、1/2分周回路42、インバータ43、複数のMOSトランジスタ(Q00.Q01.Q02)44a、44b、44c、トランス45および抵抗(R00)46から構成されている。
上記トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bおよびトランジスタ(Q02)44cのON/OFF切替え動作によって、そのトランス45の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電素子22を駆動させ、防塵フィルタ21を共振させるようになっている。
【0058】
Bucom50は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、このBucom50内部に存在するクロックジェネレータ55を介して防塵フィルタ駆動回路48を次のように制御する。クロックジェネレータ55は、圧電素子22へ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ41へ出力する。この出力信号が図13中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ41へ入力される。
【0059】
N進カウンタ41は、当該パルス信号をカウントし所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が図13中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。
この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路42を通してデューティ比を1:1へ変換する。尚、この変換されたパルス信号は図13中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0060】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタ(Q01)44bがONする。一方、トランジスタ(Q02)44cへはインバータ43を経由してこのパルス信号が印加される。したがって、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたトランジスタ(Q02)44cがONする。トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bとトランジスタ(Q02)44cが交互にONすると、2次側には図13中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
トランス45の巻き線比は、電源回路53のユニットの出力電圧と圧電素子22の駆動に必要な電圧から決定される。尚、抵抗(R00)46はトランス45に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
【0061】
圧電素子22を駆動するに際しては、トランジスタ(Q00)44aがON状態にあり、電源回路53ユニットからトランス45のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。図中トランジスタ(Q00)44aのON/O制御はIOポートのP_PwContを介して行われる。N進カウンタ41の設定値“N”はIOポートD_NCntから設定でき、よって、Bucom50は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電素子22の駆動周波数を任意に変更可能である。
【0062】
このとき、次式によって周波数は算出可能である。
N:カウンタへの設定値、
fpls:クロックジェネレータの出力パルスの周波数、
fdrv:圧電素子へ印加される信号の周波数、
fdrv = fpls/2N …(式)
尚、この式に基づいた演算は、Bucom50のCPU(制御手段)で行われる。
【0063】
電極B61は、ガラス板の振動状態を検出するための圧電素子の電極である。この電極B61からそのガラス板の振動状態に応じた交流電圧(モニタ信号)が発生する。これが図13のタイムチャート上のSig5である。
電極B61に接続するダイオード(D00)62はそのモニタ信号を半波整流するために設けられている。また、このダイオード(D00)62に続く抵抗(R01,R02)63,64およびコンデンサ(C00)65によって、そのモニタ信号の包絡線が形成されている。これら抵抗(R01,R02)63,64およびコンデンサ(C00)65から成る検出回路によって決定される時定数は、ガラスの振動周波数によって最適値が異なる。この第1実施形態のガラス板は2つの共振モード(第1、第2の駆動モード)で駆動される。この2つの共振モードにおける駆動周波数が大きく異なるときは、時定数を変更できるように回路構成を採用する必要がある。抵抗(R01,R02)63,64でモニタ信号は、A/Dコンバータ60へ入力可能なレベルまで減圧される。この信号が図3のタイムチャート上のSig6である。
【0064】
この信号はA/Dコンバータ60でデジタルデータに変換され、Bucom50のIOポートD_DACinから読み取られる。Bucom50は、モニタ信号が最大レベルになるようにN進カウンタ41に設定する値を変化させればよい。最大レベルを示すN進カウンタ41の値(共振周波数)でガラスを駆動するとき、効率よく塵を払うことができる。
【0065】
上述のカメラボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom)50が行なう制御について具体的に順序をおって説明する。
図14には、第1実施形態のカメラの動作制御を表わし、カメラボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom50)が行なうカメラシーケンスの手順をフローチャートで例示している。
【0066】
Bucom50で稼動可能な制御プログラムは、カメラ1の電源SW(不図示)がON操作されると、その稼動を開始する。
まず#000では、当該カメラシステムを起動するための処理が実行される。電源回路53aを制御してこのカメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また各回路の初期設定を行なう。
【0067】
#001では、本発明の特徴的な防塵フィルタ21を振動させるための駆動時間(Tosc)と駆動周波数(共振周波数:Nosc)に関するデータを、EEPROM29の所定領域に記憶されている中から読み出す。
次の#002では、Bucom50の出力ポートD_NCntから、駆動周波数Noscを、防塵フィルタ駆動回路48のN進カウンタ41へ出力する。
【0068】
続く#003〜#005では、次のように塵除去動作が行なわれる。すなわち、
まず塵除去動作を開始させ実行する。その為、制御フラグP_pwContをHi(High value)にセットすると、圧電素子22は所定の駆動周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振し、フィルタ面に付着した塵を振り払う(#003)。これによって、まだカメラ1を撮影に使用しないこの期間に、ユーザが意図せずに、付着した塵を除去できる。
所定駆動時間(Tosc)、防塵フィルタ21を振動させた状態で待機し(#004)、その所定駆動時間(Tosc)経過後、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで、塵除去動作を停止させる(#005)。
【0069】
続く#006〜#030までは、周期的に実行されるステップ群である。 #006は、Lucom5と通信動作を行なうことでレンズユニット12の状態を検出するための着脱検出動作ステップである。
そして#007にて、レンズユニット12がボディユニット50に装着されたことを検出すると、#010へ移行する。一方、#008でレンズユニット12がボディユニット50から外されたことを検出した場合は#009へ移行して、制御フラグF_Lensを“0”にセットする。その後、#014へ移行する。
【0070】
#010では、制御フラグF_Lensを“1”にセットする。尚、この制御フラグは、当該カメラのボディユニット100にレンズユニット12が装着されている期間は“1”を示し、レンズユニット12が外されている期間は“0”を示す。
【0071】
ここでは、レンズユニット12が装着されているので、#011〜#013では、上述同様にして塵除去動作が行なわれる。即ち、制御フラグP_pwContをHi(High value)にセットすると塵除去動作が開始され実行される。圧電素子22は、所定の周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振してフィルタ面に付着した塵を振り払う(#011)。
所定駆動時間(Tosc)、防塵フィルタ21を振動させた状態で待機し(#012)、その所定駆動時間(Tosc)経過後、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで塵除去動作が停止される(#013)。このようにして、ここでも撮影に使用しない期間に、ユーザが意図せずに、付着した塵を除去できるようになっている。
【0072】
このように、カメラ本体であるボディユニット100にレンズユニット12が装着されていない期間には通常、各レンズや防塵フィルタ21等に塵が付着する可能性が高い。したがって、レンズユニット12の装着を検出したタイミングで塵を払う動作を実行することが望ましい。また、レンズ交換するとカメラ内部に外部の空気が循環して塵が付着する可能性が高いので、このレンズ交換時にも塵除去することは有意義である。
【0073】
#014では、カメラ操作スイッチの1つである1st.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを、当該スイッチのON/OFF状態で判定する。その状態を読み出し、もし1st.レリーズSWが所定時間以上ON操作されない場合には、後述の#031へ移行して終了処理(スリープ等)となる。
1st.レリーズSWがON操作された場合には、#016において、測光回路32から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報からCCDユニット27の露光時間(Tv値)とレンズユニット12の絞り設定値(Av値)を算出する。
【0074】
#017では、AFセンサ駆動回路30bを経由してAFセンサユニット30aの検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。 ここで#018にて、制御フラグF_Lensの状態を判定する。“0”ならばレンズユニット12が存在しないことを意味するので、次の#019以降の撮影動作は実行できない。そこでこの場合は,#031へ移行して終了処理となる。
【0075】
#019では、Lucom5に対してピントのズレ量を送信して、このズレ量に基づく撮影レンズ12aの駆動を指令する。
#020では、カメラ操作スイッチの1つである2nd.レリーズSW(不図示)がON操作されたか否かを判定する。この2nd.レリーズSWがONしているときは続く#021へ移行して所定の撮影動作を行なうが、OFFのときは#031へ移行して終了処理となる。
【0076】
#021においては、本発明の特徴として、撮影動作に先立って塵を除くための塵除去動作が上述同様な手続きにて実行される。即ち、制御フラグP_pwContをHi(High value)にセットすると、塵除去動作が実行開始される。圧電素子22は所定の周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振し、フィルタ面に付着した塵を振り払う。
【0077】
その直後の#022からは、まずLucom5へAv値を送信し、絞り3の駆動を指令し、#023にてクイックリターンミラー13bをUP位置へ移動させる。#024にて、シャッタ部14の先幕走行を開始させてOPEN制御し、#025にて、画像処理コントローラ40に対して「撮像動作」の実行を指令する(詳細はサブルーチン化されている)。Tv値で示された時間だけのCCDユニット27への露光(撮像)が終了すると、#026において、シャッタ部14の後幕走行を開始させてCLOSE制御する。
【0078】
ここで#027にて、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで、塵除去動作が停止される。
尚、サブルーチン「撮像動作」中では、通常の如く、露出の為に設定された秒時(露出秒時)に対応した時間の電子撮像動作を制御している(詳細省略)。
このようにして、撮像動作中であっても、ユーザが意図せずに、付着した塵を除去できるようになっている。
【0079】
その後は、#028にてクイックリターンミラー13bをDown位置へ駆動すると共に、シャッタ部14のチャージ動作を行なう。
そして#029では、Lucom5に対して絞り3を開放位置へ復帰させるように指令し、#030では、画像処理コントローラ40に対して、撮影した画像データを記録メディア39へ記録するように指令する。その画像データの記録動作が終了すると、再び、上述した#006へ移行して、同様な一連の処理を繰り返す。
最後の#031では、カメラ1は終了処理として例えばスリープ状態となる。そして、稼動状態を休止する。
【0080】
以上説明したように、本発明の第1実施形態としてのカメラ1(電子撮像装置)は、防塵フィルタ21が圧電素子22(加振手段)によって振動可能に撮像手段(撮像素子)の前方に配置され、絞り機構の絞り3と、シャッタ部14(シャッタ手段)で光電素子表面への被写体光束の照射時間を調整するような構造の電子カメラであって、カメラ1のBucom50(制御手段)の制御に基づき、上述した如く、少なくとも撮像動作の実行中にも圧電素子22を駆動することで防塵フィルタ21上に付着した塵埃を除去するように制御される。
【0081】
詳しくは、その塵除去を行なうタイミングの制御に特徴があり、Bucom50は、撮像動作に先立って(例えば、測光、測距、シャッタ駆動、クイックリターンミラー13bの退避動作、および絞り3の絞り込み動作など)を行なうこれら準備手段の準備動作中の早い段階に塵埃除去動作を開始させている。
尚、上記「準備手段」とは、撮像動作前のこれら種々の手続きを実行する部位を総称して呼んでいる。
【0082】
このように、電子撮像装置の一例である第1実施形態のカメラ1によれば、塵除去動作をそのカメラ1の電源起動時やレンズ交換時のみならず、撮像動作中にも行なうというタイミング制御を採用する。また、例えば1000分の1秒などの極めて短い露出秒時が設定されている場合でも、露光(撮像)動作に先がけて撮影準備中に塵除去動作が開始されているので、必要な塵除去時間は確保され易くなる。その結果、従来の塵除去方式に比べて、より確実かつ迅速に防塵部材の表面に付着した塵埃を除去することができるようになる。
【0083】
また、このようにカメラ1の撮像動作の開始に先立つタイミング、すなわち、撮影動作の開始前のタイミングに塵除去動作を行なう理由は、撮影準備動作中の最大電力消費のタイミングを避けたタイミングであることで、通常でも電力消費のピークとなりやすいシャッタ動作開始時や、クイックリターンミラーの駆動開始時に重ならないようにする故である。
【0084】
なお、上述の如き光電変換素子の撮像動作中(撮影中)において、その前面に配設した光学素子(防塵フィルタ21)を振動させることで埃の除去をする場合は、例示の周波数を適用する限りは、撮像された画像に影響を及ぼさない。よって、その防塵フィルタ21の振動による画像そのものへの悪影響は、本出願人の実験の結果でみる限り実質的に生じないことが確認されている。
【0085】
また、確実に塵を払う為の工夫、例えば、防塵フィルタ21の温度変化や、それに伴うフィルタ面の共振周波数の変化などを測定する処理は、時間がかかって撮影タイミングのズレが生じる可能性があることを考慮した故に、この第1実施形態ではあえて行なわず、撮像動作の中の前段において、効果的と思われる所定の周波数(Nosc)を使って、塵除去動作を行なう方式で実施している。
よって、撮影タイミングのズレが生じない例えば、カメラの電源起動時やレンズ交換時、あるいはCCDの画素欠陥検出動作時などにおいて、それらの変化を測定することで塵除去効果をより向上させることは望ましい。
【0086】
(第2実施形態)
つづいて、本発明の第2実施形態としてのカメラについて説明する。但し、前述した第1実施形態のものと同じ事項は省略し、主に特徴的な事項についてのみ以下説明する。
この第2実施形態としてのカメラ1が有する塵埃除去動作は、撮像動作が例えば2秒〜3秒のように「長秒時」に設定された場合においては、その圧電素子22を駆動する時間は、あらかじめ塵除去の為に設定された所定時間(例えば200ms)だけ行なった後は、それ以上は行なわず終了させるように制御するものである。
【0087】
すなわち、サブルーチン「撮像動作」中では、露出の為に設定された秒時(露出秒時)と、その制限された所定時間(200ms)との比較判定を行なっており、この所定時間を優先して判定することで、塵除去時間を適宜制御している。よって、この所定時間よりも長い露出秒時が設定されても、その途中で塵除去動作が停止されるように制御される。
【0088】
図15には、この特徴的な動作制御についての第2実施形態として、「撮像動作」ルーチンをフローチャートで表わしている。但しこのルーチンは、図14に示したカメラシーケンスのメインルーチンのサブルーチン「撮像動作」であるものとする。また、このサブルーチンの実行前には既に塵除去動作が開始されており、進行中であるものとする。即ち、Bucom50が防塵フィルタ駆動回路48に指令して圧電素子22を駆動させて塵除去動作を行なわせており、制御フラグP_pwContがHi(High value)にセットされている(図14参照)。
【0089】
図15の#040にて、まず、制御手段としてのBucom50は、シャッタ制御回路31やCCDインターフェイス回路34等に対して、設定された露出秒時(長秒時を含む)の撮像動作の開始を指令する。
#041において、Bucom50はその撮像動作に係わる露出秒時時間の経過を判定する。ここで、もしその露出秒時が早くも経過したならば、上記のメインルーチンへリターンする。
一方、その露出秒時が長秒時間である故にまだ経過しない場合は、#042においては、既にこの時点では塵除去動作が進行中であるので、Bucom50は、その塵除去動作が行なわれてから所定時間(200ms)が経過したか否かを判定する。まだ経過していなければ上記#041へ戻って、その塵除去動作を継続させる。もし、上記所定時間が経過すると、#043において、露出秒時(長秒時)に達していない場合でも、Bucom50は防塵フィルタ駆動回路48に指令して防塵動作を停止させる。即ち、制御フラグP_pwContをLo(Low value)にセットすることで、塵除去動作を停止させる。そして上記#041へ戻る。
【0090】
本発明の第2実施形態としての電子撮像装置(カメラ1)では、制御手段としてのボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom50)は、シャッタ手段としてのシャッタ制御回路31に設定されたシャッタ秒時(露出秒時が所定時間よりも長い場合(長秒時)には、そのシャッタ部14の閉動作が実行されるよりも前に、塵埃除去動作が終了されるように制御する。
そしてBucom50は、そのシャッタ制御回路31の閉動作が行なわれるよりも前に、その塵除去動作が所定時間継続して行なわれた場合には、その塵除去動作を停止させるように制御する。
【0091】
具体的には、撮影時にユーザが撮影の為に例えば2秒〜3秒のような露光の「長秒時」を設定した場合、カメラ1の圧電素子22は、予め設定された例えば200msという比較的短い所定時間ではあるが塵除去には充分な時間だけ継続的に塵除去の為の振動を行なった後、その振動が停止される。
【0092】
以上説明したように、この第2実施形態によれば、予め設定した所定時間だけに限って塵除去動作を行なわせるというタイミング制御を採用することで、シャッタ開状態に関する長秒時モードの設定がされたとしても、必要以上に長く塵除去動作する事なく、またその塵除去動作による電気エネルギーの浪費することなく、さらには、撮影動作中のミラーアップやシャッタ開動作の為に消費される電力のピークを高くすることのないようなタイミング制御を適用することが可能となる。
【0093】
(変形例)
上述の第2実施形態はさらに次のように変形実施してもよい。例えばこれは、長秒時の延長とも言えるいわゆる「開放モード」や「バルブ撮影モード」を有しているカメラにおいて特に有効なものである。
すなわち、バルブ撮影モードが設定されている場合には、2nd.レリーズSWがOFF操作される前に、所定時間(駆動時間Tosc)が経過したら、塵除去動作を停止させるように実施するものである。
【0094】
詳しくは、サブルーチン「撮像動作」は前述の第1実施形態のものと同様とし、第2実施形態のような露出秒時と所定時間(例えば200ms)との比較判定を行なうことなく、当該バルブ撮影モードが設定されていることに基づき、その所定時間の経過監視のみで塵除去動作を制御すればよい。
【0095】
尚、ここで例示した塵除去の為の駆動時間Toscは、撮影タイミングに影響せず、しかも塵除去に最も効果的な時間値(例えば200〜250ms)に設定されている。但しこの値は、防塵フィルタ21の仕様と使用時の環境条件などによって異なる。
この変形例によれば、バルブ撮影モードの場合は特に、必要最低限の時間だけの塵除去動作のみで済むので、塵除去動作に要する電気エネルギーの節約に寄与する。
【0096】
(その他の変形例)
第1、第2実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの例に限定されず、またここに例示した電子カメラ以外の電子撮像装置においても同様に適用することができる。
このほかにも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0097】
【発明の効果】
以上説明の如く、本発明によれば、撮像素子の光電変換面に塵埃等が付着するのを抑えると同時に、防塵部材の表面に付着する塵埃等を除去する手段を備えた電子撮像装置(カメラ)において、より確実かつ迅速に防塵部材の表面に付着した塵埃を除去することができる電子撮像装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のカメラの一部を切断し、その内部の機械的な構造を概略的に示す斜視図。
【図2】該カメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック構成図。
【図3】該カメラにおける撮像ユニットを分解して示す要部分解斜視図。
【図4】組み立てた状態の当該撮像ユニットの一部を切断して示す斜視図。
【図5】該カメラの図4の切断面に沿う断面図。
【図6】該カメラにおける撮像ユニットのうち防塵フィルタ及びこれに一体に設けられる圧電素子のみを取り出して示す正面図。
【図7】周期的な駆動電圧を印加した際の防塵フィルタ及び圧電素子の状態変化を示し、その圧電素子の図6のA−A線に沿う断面図。
【図8】同じくその圧電素子の図6のB−B線に沿う断面図。
【図9】図6と同じ構成の防塵フィルタに対して二次振動を発生させた場合の様子を示し、図6と同様に該カメラにおける撮像ユニットのうち防塵フィルタ及びこれに一体に設けられる圧電素子のみを取り出して示す正面図。
【図10】二次振動を発生させるための周期的な電圧を印加した際の防塵フィルタ及び圧電素子の状態変化を示し、その圧電素子の図9のA−A線に沿う断面図。
【図11】同じく図9のB−B線に沿う断面図。
【図12】防塵フィルタ駆動回路の構成を示す回路図。
【図13】防塵フィルタの駆動とその動作に係わる波形信号を表わすタイムチャート。
【図14】該カメラの制御用マイクロコンピュータが実行するカメラシーケンスにおける塵除去のタイミング制御を表わすフローチャート。
【図15】本発明の第2実施形態のカメラの動作制御としての「撮像動作」ルーチンを表わすフローチャート。
【符号の説明】
1…カメラ(カメラシステム)、
2…レンズ駆動機構、
3…絞り、 4…絞り駆動機構、
5…レンズ制御用マイクロコンピュータ、
11…カメラ本体部、
12…レンズ鏡筒(レンズユニット:交換レンズ)、
12a…撮影光学系、
13…ファインダ装置、 13a…ペンタプリズム、
13b…反射鏡(クイックリターンミラー)、
13c…接眼レンズ、 13d…サブミラー、
14…シャッタ部(前幕、後幕)、
15…撮像ユニット、
17…レリーズボタン、
18…ミラー駆動機構、
19…シャッタチャージ機構、
21…防塵フィルタ(防塵フィルタ:光学素子)、
22…圧電素子(加振手段)、
23…防塵フィルタ受け部材、
24…撮像素子収納ケース部材(CCDケース)、
25…光学的ローパスフィルタ(LPF)、
27…撮像素子(CCDユニット:光電変換素子)、
28…撮像素子固定板、
29…不揮発性メモリ(EEPROM)、
30a…AFセンサ、 30b…AFセンサ駆動回路、
31…シャッタ制御回路(シャッタ手段)、
32…測光回路、 33…温度測定回路、
34…CCDインターフェイス回路、
38a…SDRAM、 38b…FlashROM、
39…記録メディア(アクセサリ)、
40…画像処理コントローラ、
41…N進カウンタ、 42…1/2分周回路、
43…インバータ、 44…トランジスタ、
44a,44b,44c…MOSトランジスタ、
48…防塵フィルタ駆動回路(加振、駆動手段)、
50…ボディ制御用マイクロコンピュータ(制御手段)、
52…カメラ操作SW、
53a…電源回路、 53b…電圧検出回路、
54…電池、 55…クロックジェネレータ、
56…VCO(電圧制御発振器)、
70…外部電源(アクセサリ)、
80…ストロボユニット(アクセサリ)、
100…ボディユニット(カメラ本体)。
#000〜#031…第1実施形態の防塵制御手順、
#040〜#043…第2実施形態の防塵制御手順。
Claims (12)
- 被写体の光学像を結像する撮像光学系と、
上記光学像を電気信号に変換する光電変換素子と、
上記撮像光学系と上記光電変換素子との間に配される光学素子と、
上記光学素子を設定周波数で振動させる加振手段と、
を具備して成り、
上記加振手段は、少なくとも上記光電変換素子の撮像動作中に上記光学素子を振動させることを特徴とする電子撮像装置。 - 被写体の光学像を電気信号に変換する撮像手段を有する電子撮像装置において、
上記撮像手段の前面に配置された光学素子と、
上記光学素子を振動させる加振手段と、
上記撮像手段による撮像動作の実行中に、上記加振手段を制御して上記光学素子を振動させる制御手段と、
を具備することを特徴とする電子撮像装置。 - 上記制御手段は、上記電子撮像装置の撮像動作の開始に先立つタイミングにおいて、上記加振手段への駆動制御信号の供給を開始するように制御することを特徴とする、請求項2に記載の電子撮像装置。
- 上記電子撮像装置の撮像動作の開始に先立つタイミングは、撮影準備動作の開始前のタイミングであることを特徴とする、請求項3に記載の電子撮像装置。
- 上記電子撮像装置の撮像動作に先立つタイミングは、この電子撮像装置による撮影準備動作中の最大電力消費のタイミングを避けたタイミングであることを特徴とする、請求項3に記載の電子撮像装置。
- 被写体の光学像を電気信号に変換するための撮像手段を具備する電子撮像装置において、
上記撮像手段の光電変換面上に被写体光束を導く撮像光学系と、
上記撮像手段の光電変換面の前方に配置された防塵フィルタ手段と、
上記防塵フィルタ手段を振動させる加振手段と、
少なくとも上記撮像手段による撮像動作の実行中に、上記加振手段を駆動して上記防塵フィルタ上に付着した塵埃を除去するよう制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする電子撮像装置。 - 上記電子撮像装置は、上記撮像手段による撮像動作に先立って準備動作を実行する準備手段を含み、上記制御手段は上記準備動作の開始に先立って上記塵埃除去動作を開始させることを特徴とする、請求項6に記載の電子撮像装置。
- 上記準備動作は、撮像光路中に設けられた可動ミラーの退避動作であることを特徴とする、請求項7に記載の電子撮像装置。
- 上記準備動作は、上記撮像光学系内に設けられた絞り機構の絞り込み動作であることを特徴とする、請求項7に記載の電子撮像装置。
- 上記電子撮像装置は、上記光電変換面への被写体光束の照射時間を調整するシャッタ手段を含んで成り、上記制御手段は上記シャッタ手段の開動作前に上記塵埃除去動作を開始させるように設定されていることを特徴とする、請求項6に記載の電子撮像装置。
- 上記制御手段は、上記シャッタ手段のシャッタ秒時が所定時間よりも長い場合には、上記シャッタ手段の閉動作が実行されるよりも前に上記塵埃除去動作を終了させることを特徴とする、請求項10に記載の電子撮像装置。
- 上記制御手段は、上記シャッタ手段の閉動作が行なわれるよりも前に、上記塵除去動作が所定時間継続して行なわれた場合には、上記塵除去動作を停止させることを特徴とする、請求項10に記載の電子撮像装置。
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-
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