JP2004022851A - 透光性電磁波シールド材及びその製造方法 - Google Patents

透光性電磁波シールド材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シールドパターン層を持つ透光性電磁波シールド材を、外観良好且つ安価に提供する。
【解決手段】シールドパターン層のパターンを、格子柄等の細線2のパターンとしてスクリーン印刷で形成時に、スキージ移動方向dsに対する直交軸dxからの紗22の角度α°と、細線2の角度β°とを、α−20≦β≦α+20としてパターン形成する。これにて、モアレ発生を防げ外観良好にできる。例えば、透明基材に銅箔等の金属層を積層した導電性基材に、カーボン含有の紫外線硬化型インキをスクリーン印刷してレジスト層を形成後、エッチングしてシールドパターン層を形成し透光性電磁波シールド材とする。スクリーン印刷でパターン状に導電性インキ層を形成後、電気めっきで金属めっき層を形成してこれらをシールドパターン層としても良い。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の窓ガラス面等の建材分野、或いは、PDP(プラズマディスプレイパネル)の前面光学フィルター等の電気機器分野等にて、高透光性を必要とする電磁波シールド材として利用可能な、透光性電磁波シールド材と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電気機器から放出される電磁波、或いは電気機器に外部から進入する電磁波の悪影響を防ぐ為に、電気機器のハウジングに、導電性塗料、金属蒸着、めっき等によって、金属層を設けて電磁波シールドを施す事が適宜行われている。
更に近年では、電気機器から放出される電磁波が人体に与える影響について種々の報告がなさてれおり、それに伴いPDPや携帯電話等から放出される電磁波を遮断する電磁波シールド技術について関心が高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電磁波シールド技術は、例えば前記した窓やPDP等、シールド部分を透かして物が見える様な用途に対しては、透光性の点で適したものが無かった。例えば、透明基材上に形成された金属膜を、フォトリソグラフィー的手法により部分的にエッチングして開口してシールドパターン層とすることで、透光性を出す場合では工程が複雑となり、コストが非常にかかる上、歩留まりも悪かった(特開平2000−137441号公報等参照)。
【0004】
すなわち、本発明の課題は、高透光性が可能な透光性電磁波シールド材の製造方法として、パターン状のシールドパターン層をフォトリソグラフィー的手法によらずに容易に且つ外観良好に形成できる方法を提供することである。また、それによる透光性電磁波シールド材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題を解決すべく、本発明の透光性電磁波シールド材の製造方法では、透明基材の表面に、パターン状のシールドパターン層を有する透光性電磁波シール材の製造方法において、シールドパターン層のパターンを、格子柄、ストライプ柄等の細線からなるパターンとしてスクリーン印刷にて形成する際に、スキージ移動方向に対する直交軸を基準として、スクリーン版の紗の成す角度α°と、前記細線の成す角度β°とを、α−20≦β≦α+20 なる関係としてパターン形成する様にした。
【0006】
この様な製造方法とすることで、高透光性を得る為の細線からなるシールドパターン層を、スクリーン印刷で容易に形成できる。しかも、スクリーン印刷時にスクリーン版の紗と細線パターンとによるモアレ発生も防げ、視覚的にも高品質で外観良好なシールドパターン層を容易に形成できる。従って、フォトリソグラフィ的手法による場合に比べて、安価な透光性電磁波シールド材を提供できる。
【0007】
また、本発明の透光性電磁波シールド材の製造方法は、上記製造方法の好ましい一具体例として、そのシールドパターン層の形成を、透明基材の表面全面に金属層を有する導電性基材の該金属層側の表面に、カーボン顔料を含有する電離放射線硬化型インキを所望のパターン状にスクリーン印刷後、電離放射線照射してインキを硬化させてレジスト層とし、次いで、エッチングによりレジスト非形成部の金属層を除去することで、レジスト形成部分の金属層としてシールドパターン層を形成する様にした。
【0008】
この様な製造方法とすることで、シールドパターン層の上にはレジスト層が残りシールドパターン層を覆う為に、シールドパターン層となる金属層が酸化して錆びるの防げる。また、レジスト層はそのカーボン顔料にて黒色となる為に、金属層が金属色であってもレジスト層で隠蔽され、視覚的なギラツキを防げる。この為、追加的工程として、ニッケルめっき等による黒化処理が不要となる。
【0009】
また、本発明の透光性電磁波シールド材の製造方法は、前記製造方法の別の好ましい一具体例として、そのシールドパターン層の形成を、透明基材の表面に、導電性インキをスクリーン印刷して所望のパターン状に導電性インキ層を形成した後、電気めっきによって該導電性インキ層上にパターン状に金属めっき層を形成することで、前記導電性インキ層及び該金属めっき層としてシールドパターン層を形成する様にした。
【0010】
この様な製造方法とすることで、エッチング工程を介さずに、直接的にシールドパターン層を容易に形成できる。
【0011】
また、本発明の透光性電磁波シールド材は、上記いずれかの製造方法によって製造されて成るシールド材である。
この様な透光性電磁波シールド材とすることで、透光性を有するシールド材であっても、容易に製造でき且つモアレも無く外観良好で安価なシールド材となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、実施の形態を説明する。
【0013】
〔紗の角度αと細線の角度βの関係〕
本発明では、透光性を出す為に、基材上にシールドパターン層を細線でパターン状に形成してシールドパターン層とする。シールドパターン層は、それ自体を直接的にスクリーン印刷によって形成しても良いし、スクリーン印刷によるレジスト層形成、及びエッチングにて、間接的に形成しても良い。但し、シールドパターン層の細線からなるパターンを最初に形造る手段として、本発明ではスクリーン印刷を採用する。
【0014】
ただ、スクリーン印刷の際に、形成された細線のパターンに、予期せぬ縞模様(モアレ)が生じると、透光性電磁波シールド材の外観品質を損ない、透光性であるが故に製品不良となってしまう。従って、スクリーン印刷によって細線パターンを形成して実用的な透光性電磁波シールド材を製造する為には、このモアレを確実に防止しなくては、製品歩留まりは向上せず、実用的に外観良好な透光性電磁波シールド材は得られない。
【0015】
そこで、本発明では、図1で概念的に説明する如く、上記のモアレ防止の為に、スクリーン印刷時に、スキージ移動方向dsに対する直交軸を基準軸dxとして、該基準軸dxに対するスクリーン版21の紗22の成す角度α°と、該基準軸dxに対する細線2の成す角度β°とを、次の式1で表される特定の角度関係とする。
【0016】
α−20≦β≦α+20  〔式1〕
【0017】
上記式1の角度関係を、満足する条件でスクリーン印刷することで、スクリーン版の紗と細線との相互作用で発生するモアレを防ぐ事が出来る。具体例を挙げれば、紗の角度αを45°としたスクリーン版を用いた場合、細線の角度βは、25〜65°の範囲内に設定してスクリーン印刷すれば良い。
【0018】
なお、図1中、図1(A)は紗22が張られたスクリーン版21の平面図、図1(B)はスクリーン版21の断面図、図1(C)はスクリーン版21の紗22の拡大図(平面図)、図1(D)は印刷形成する細線2の拡大図(平面図)について、各々概念的に示す説明図である。なお、図1(C)に於ける紗22の角度α、図1(D)に於ける細線2のパターン及びその角度βは、一例であり、その他の場合もあり、本発明はこれに限定されるものでは無い。
なお、図1(C)の紗の拡大図、図1(D)の細線の拡大図では、夫々注目する紗及び細線に対して直交する別の紗及び細線が存在するが、それらは、互いに角度的に近いそれら同士の関係に注目すれば良いので、そこでも上記したと同一の角度関係が成立することになる。具体的には、紗の角度αは45°が(45+90)°となるのに対して、細線の角度βは25〜65°が、{(25〜65)+90}°となる。
従って、細線のパターンとしては、該パターンを成すどの細線に注目して見ても、それに最も近い角度を成す紗との間で、上記した式1の角度関係を満たす様なパターンが好ましい。
【0019】
〔シールドパターン層のパターン〕
ところで、シールドパターン層は細線からなるパターンとして形成するが、該パターンの形状について更に説明する。シールドパターン層のパターンは、透光性電磁波シールド材に良好なる透光性を付与する為には、シールドパターン層以外の領域が高開口率となる様な形状であれば良く、細線から成るパターンで、上記した紗と細線との角度関係を満足できる様なものであれば、その形状(パターン)は任意である。具体的には、格子柄、ストライプ柄、煉瓦積み模様、幾何学模様、その他の柄等のパターン等である。この様な細線からなるパターンとすることで、シールドパターン層の非形成部分について高開口率を実現して、透光性をシールド性を維持しつつ良くする事が出来る。
【0020】
シールドパターン層のパターンとしては、格子柄でも、図1(D)で例示の如く正方格子の他に、その格子形状が長方形のもの、或いは斜め形状の等も可能である。なお、細線で囲われる領域、つまり開口領域Aが、その全周囲で細線によって囲繞されているパターンの他、囲繞されていない部分があるパターンでも良い。その極端な例がストライプ柄である。
【0021】
なお、格子柄は、全ての開口領域Aがその形状及びサイズ共に同一で且つ二次元的に規則的に配置されている場合のパターンの他に、不揃いな要素があっても良い。例えば、格子柄は、開口領域の形状、サイズのいずれか一方或いは両方が全ての開口領域において同一では無いか、開口領域の形状及びサイズが同一であっても二次元的に不規則配置された部分を有するか(シールドパターン層部分の線幅が同一でないことになる)、或いはこれら両方の要素を有するパターンでも良い。
なお、格子柄の格子周期は、用途、要求される透光性、及び細線の線幅等にもよるが、100μm〜2mm程度であるが、柄が目立ち難くなる点でより好ましくは、100〜400μm程度である。格子周期は、柄の視認性の許容度、シールド性能等に応じて決めれば良い。視認性の許容度が厳しい場合は、格子周期を小さ目にして柄を目立ち難くすれば良い。
【0022】
なお、細線の線幅Wは〔図2参照〕、要求される透光性及び電磁波シールド性能を損なわない線幅とすれば良い。細い線である細線の線幅としては、細線が目立ち難くする為には、用途にもよるが、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。具体的には、例えば、線幅は20〜80μm程度が好ましい。但し、線幅は全て均一な太さで無くても良い。
【0023】
〔開口領域の面積比〕
また、開口領域(透明となる領域)の面積比Orは、基本的には、要求される透光性及び電磁波シールド性能を勘案して適宜比率とすれば良い。例えば、ここで、開口領域の面積比Orを、シールドパターン層が形成されている不透明領域の全面積Saに対する、シールドパターン層が形成されていない透明領域の全面積Sbの比率、すなわち、〔Sb/Sa〕で表せば〔図2参照〕、開口領域の面積比Or=〔Sb/Sa〕は、1≦〔Sb/Sa〕≦9とすると、高透光性と高シールド性を良好に両立できる点で好ましい。開口領域の面積比が、上記範囲より小さすぎると透光性が損なわれ、上記範囲よりも大きすぎると、細線の線幅は狭くなり、シールド性能低下や印刷時の欠陥が目立つ様になる。
【0024】
〔シールドパターン層〕
シールドパターン層3は、そのパターンの形成を、基本的には上述の如き角度関係下でスクリーン印刷して形成すれば良く、いわゆる導電パターンに対する公知各種形成手法を適宜採用すれば良い。但し、本発明では、製造容易性等の点から、次の2形態のシールドパターン層の形成方法を採用する。すなわち、第一の形態は、全面の金属層にレジスト層をスクリーン印刷でパターン状に形成してからエッチングして、シールドパターン層とする方法である。また、第二の形態は、スクリーン印刷で形成したパターン状の導電性インキ層上に更に金属めっき層を形成し、これら両層をシールドパターン層とする方法である。
なお、形成するシールドパターン層の厚みは、その材料、及びシールド性能等によるが、通常0.5〜50μm程度とするのが好ましい。厚みが薄すぎると、シールド性能が十分に得られず、厚みが厚すぎるとシールド性能は十分に得られたとしても、生産性が低下する。
【0025】
図3は、第一の形態を概念的に説明する説明図である。第一の形態では、先ず、図3(A)の如く、透明基材1の表面全面に、銅等からなる金属層4を有する導電性基材5に対して、カーボン顔料を含有する電離放射線硬化型インキを使用したスクリーン印刷でパターン状にレジスト層6を形成する。パターン状に形成されるレジスト層6のパターンは、例えば、図3(A)の右側部分(この部分では断面図では無く平面図で示す)で例示の様な、細線2からなる正方格子柄である。
次いで、図3(B)の如く、金属層4をエッチングして、レジスト層6直下に残った金属層4部分をシールドパターン層3として形成して、透光性電磁波シールド材10とする。
なお、エッチングには、金属層の金属に応じて、公知のエッチング液を適宜使用すれば良い。例えば、金属層が銅である場合には、塩化第二鉄系のエッチング液を使用する等である。
【0026】
次に、図4は、第二の形態の概念的に説明する説明図である。第二の形態では、先ず、図4(A)の如く、透明基材1の表面に、導電性インキのスクリーン印刷でパターン状に導電性インキ層7を形成する。パターン状に形成される導電性インキ層7のパターンは、例えば、図4(A)の右側部分(この部分では断面図では無く平面図で示す)で例示の様な、細線2からなる正方格子柄である。
次いで、図4(B)の如く、該導電性インキ層7の上に更に電気めっきによって金属めっき層8を積層して、これら導電性インキ層7及び金属めっき層8の両層をシールドパターン層3として形成して、透光性電磁波シールド材10とする。
なお、電気めっきには、金属めっき層の金属に応じて、公知の電気めっき浴を適宜使用すれば良い。例えば、金属めっき層が銅である場合には、硫酸銅系の電気めっき浴を使用する等である。
【0027】
〔透明基材〕
なお、透明基材1としては、透明なものであれば良く、例えば、基材の材質としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、或いは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂等の樹脂材料、或いはガラス等の無機材料が使用される。なお、基材の形状は、通常はシート(フィルム)、平板等である。シートや平板の厚さは特に制限は無いが、用途により、例えばシートでは50〜500μm、板では1〜10mm等である。なお、透明基材の表面には、必要に応じて適宜、コロナ放電処理、オゾン吹付処理、プラズマ処理、プライマー層形成等の易接着処理を施す。
【0028】
〔金属層〕
また、金属層4は、透明基材1の表面全面に積層される層であり、透明基材1に金属層4が積層されたものが、導電性基材5である。この金属層は、スクリーン印刷による細線からなるパターン形成(例えばレジスト層)を利用して、最終的にはパターン状となり、シールドパターン層3を構成する層となる。
【0029】
金属層4としては、金、銀、銅、アルミニウム等の金属が用いられ、これら金属の箔の接着剤等による積層、或いはこれら金属の真空蒸着やスパッタリング等の物理的膜形成法で、透明基材上に積層される。
【0030】
〔レジスト層〕
また、レジスト層6には、カーボン顔料を含有する電離放射線硬化型インキを用いる。レジスト層にカーボン顔料を含有させることで、金属層4の上を被覆する様になるレジスト層が、金属層4の金属光沢を隠蔽して、シールドパターン層のギラツキを防げることになる。なお、電離放射線とは、紫外線、電子線等であり、紫外線硬化型インキを使用する場合には、紫外線の照射でインキを硬化させ、電子線硬化型インキを使用する場合には、電子線の照射でインキを硬化させれば良い。レジスト層は、最終的に透光性電磁波シールド材に於いて金属層からなるシールドパターン層上を被覆し、シールドパターン層の傷付き等を保護する効果も有するので、レジスト層のインキには皮膜強度を強くできる点で、電離放射線硬化型インキを好ましい。この様な電離放射線硬化型インキは、その電離放射線硬化性樹脂として、例えば、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系等の各種アクリレート系樹脂を使用することができる。
【0031】
〔導電性インキ層〕
次に、導電性インキ層7は、それ自体がシールドインキ層3を構成するものであるが、導電性インキ層7のみでは十分なシールド性能を発揮させる点で不十分なので、通常は、好ましくは更にその上に金属めっき層を形成して、これら両層でシールドパターン層とする。
導電性インキ層をスクリーン印刷で形成する為の導電性インキとしては、公知の導電性インキを適宜使用すれば良い。この様な導電性インキは、金属等の導電性粉末を樹脂バインダー中に分散させたインキを使用できる。導電性粉末としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属が使用できる。また導電性粉末としては、必要に応じカーボンブラック、黒鉛等の非金属粒子も適宜添加したインキも使用できる。一方、樹脂バインダーに使用する樹脂としては、透明基材の材質、要求物性等に応じた公知の樹脂を適宜選択使用すれば良い。例えば、該樹脂としては、ポリエステル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、或いは紫外線や電子線で硬化させる電離放射線硬化性樹脂等を、1種単独或いは2種以上の混合樹脂として用いる。
【0032】
〔金属めっき層〕
次に、金属めっき層8は、所望のパターン状に形成した導電性インキ層7を利用した電気めっきにより形成する。電気めっきを利用して金属めっき層を形成することで、金属めっき層は導電性インキ層7上のみに該導電性インキ層のパターン形状と同一形状に形成され、これら両層をシールドパターン層3とすることができる。
金属めっき層の金属としては、特に制限は無く、例えば、銅、鉄、ニッケル、クロム、銀、金、コバルト等を用途に応じて適宜選択使用すれば良い。但し、鉄、銅、銀等の錆び易い金属を採用する場合には、金属の酸化を防ぐために、更に、公知の防錆処理、或いは、全面に透明樹脂層を塗工形成する等しても良い。
【0033】
〔透光性電磁波シールド材の用途〕
本発明による透光性電磁波シールド材は、上述の如き製造方法で得られた透光性の電磁波シールド材であり、その層構成は、例えば図3(B)や図4(B)で説明した透光性電磁波シールド材10の如き構成である。
すなわち、図3(B)の断面図で例示される透光性電磁波シールド材10は、透明基材1上に、細線によるパターン状の金属層4がシールドパターン層3として前述特定の角度関係のスクリーン印刷で形成され、更に該シールドパターン層3上にのみ、カーボン顔料を含有した電離放射線硬化型インキの硬化物からなるレジスト層6が形成された構成の、透光性の電磁波シールド材である。
また、図4(B)の断面図で例示される透光性電磁波シールド材10は、透明基材1上に、前述特定の角度関係のスクリーン印刷で細線によるパターン状の導電性インキ層7が形成され、更に該導電性インキ層7上にのみ、金属めっき層8が形成され、これら導電性インキ層7及び金属めっき層8がシールドパターン層3となる構成の、透光性の電磁波シールド材である。
【0034】
〔透光性電磁波シールド材の用途〕
本発明による透光性電磁波シールド材の用途は、透光性(或いは透視性)が要求される用途が好適であり、例えば、電磁波を発生する各種電気機器のLCD、PDP、CRT等の表示部分、建築物の外壁や内壁の窓ガラス等である。
【0035】
【実施例】
次に実施例及び比較例により本発明を更に説明する。
【0036】
〔実施例1〕
図3(B)の断面図で示す如き透光性電磁波シールド材10を、次の様な直接法にて作製した。
【0037】
導電性基材5として、厚み100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる透明基材1上に接着剤で厚み18μmの銅箔からなる金属層4を積層したものを用意した。そして、この導電性基材5の金属層4上に、カーボンブラックを着色顔料として含有する紫外線硬化型インキをスクリーン印刷した後、紫外線照射でインキを硬化させて、線幅50μmの細線からなり図1(D)の如き正方格子柄(縦横各方向の格子周期は320μm)のパターン状にレジスト層6をに形成した。
【0038】
なお、スクリーン印刷時には、そのスクリーン版の紗の角度αはバイアスの45°、前記細線の角度βは25°とした。従って、α−20=25、α+20=65であり、25≦β≦65なる角度関係を満たした印刷条件である。なお、角度α及びβは、他の実施例及び比較例と共に表1に纏めて示す。
【0039】
次に、塩化第二鉄系のエッチング液でエッチングして、レジスト層直下の金属層のみをシールドパターン層3として残して、図3(B)の断面図の如き、所望の透光性電磁波シールド材10を得た。
【0040】
〔実施例2〜4〕
実施例1に於いて、細線の角度βを、実施例2、実施例3、実施例4では、それぞれ、30°、60°、65°とした他は、実施例1と同様にして、透光性電磁波シールド材を得た。
【0041】
〔比較例1〜2〕
実施例1に於いて、細線の角度βを、比較例1、比較例2では、それぞれ、15°、75°とした他は、実施例1と同様にして、透光性電磁波シールド材を得た。
【0042】
〔実施例5〕
図4(B)の断面図で示す如き透光性電磁波シールド材10を、次の様な直接法にて作製した。
【0043】
透明基材1として、厚み100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。そして、この透明基材1上に、導電性インキとして銀ペーストをスクリーン印刷して、線幅50μmの細線からなり図1(D)の如き正方格子柄(縦横各方向の格子周期は320μm)のパターン状に導電性インキ層7を形成した。
なお、スクリーン印刷時には、実施例1の場合と同様に、スクリーン版の紗の角度αはバイアスの45°、前記細線の角度βは25°とした。
【0044】
次に、硫酸銅系の電気銅めっき浴で電流密度2A/dmで20分間めっきして、導電性インキ層7上のみ金属めっき層8を形成して、導電性インキ層7及び金属めっき層8からなるシールドパターン層3を形成し、図4(B)の断面図の如き所望の透光性電磁波シールド材10を得た。
【0045】
〔実施例6〜8〕
実施例2に於いて、細線の角度βを、実施例6、実施例7、実施例8では、それぞれ、30°、60°、65°とした他は、実施例2と同様にして、透光性電磁波シールド材を得た。
【0046】
〔比較例3〜4〕
実施例2に於いて、細線の角度βを、比較例3、比較例4では、それぞれ、15°、75°とした他は、実施例2と同様にして、透光性電磁波シールド材を得た。
【0047】
〔性能評価〕
各実施例及び各比較例で得られた透光性電磁波シールド材について、電磁波シールド性能を測定したところ、1GHz以下の周波数領域で40dB、1GHz以上の周波数領域では40dB以上が得られた。また、透光性も良好であった。しかしながら、(紗の角度αと細線の角度βと起因する)モアレについては、表1に示す如く、各実施例は全て発生しなかったが、αとβとが所定の角度関係を満たさない各比較例は全て発生した(表1参照)。
【0048】
【表1】
Figure 2004022851
【0049】
【発明の効果】
(1)本発明の透光性電磁波シールド材の製造方法によれば、高透光性を得る為の細線からなるシールドパターン層を、スクリーン印刷で容易に形成できる。しかも、スクリーン印刷時にスクリーン版の紗と細線パターンとによるモアレ発生も防げ、視覚的にも高品質で外観良好なシールドパターン層を容易に形成できる。従って、フォトリソグラフィー的手法による場合に比べて、安価な透光性電磁波シールド材を提供できる。
【0050】
(2)更に、シールドパターン層の形成を、透明基材上に金属層を有する導電性基材の表面に、カーボン含有の電離放射線硬化型インキをスクリーン印刷してレジスト層とした後、エッチングでシールドパターン層を形成する形態とすれば、シールドパターン層の上にはレジスト層が残りシールドパターン層を覆う為に、シールドパターン層となる金属層が酸化して錆びるの防げる。また、レジスト層はそのカーボン顔料にて黒色となる為に、金属層が金属色であってもレジスト層で隠蔽され、視覚的なギラツキを防げる。この為、追加的工程として、ニッケルめっき等による黒化処理が不要となる。
【0051】
(3)或いは、シールドパターン層の形成を、透明基材上に導電性インキをスクリーン印刷して導電性インキ層を形成後、更に電気めっきでその上に金属めっき層を形成して、これら導電性インキ層及び金属めっき層にてシールドパターン層を形成する様にすれば、エッチング工程を介さずに、直接的にシールドパターン層を容易に形成できる。
【0052】
(4)また、本発明の透光性電磁波シールド材によれば、透光性を有するシールド材であっても、容易に製造でき且つモアレも無く外観良好で安価なシールド材となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】紗の角度αと細線の角度βとの関係を説明する図。
【図2】開口領域の面積比の算出基礎となる、不透明領域の面積Saと透明領域(開口領域)の面積Sbを、格子柄の場合で説明する平面図。
【図3】本発明による透光性電磁波シールド材の製造方法の一形態を概念的に説明する説明図。
【図4】本発明による透光性電磁波シールド材の製造方法の別の一形態を概念的に説明する説明図。
【符号の説明】
1  透明基材
2  細線
3  シールドパターン層
4  金属層
5  導電性基材
6  レジスト層
7  導電性インキ層
8  金属めっき層
10 透光性電磁波シールド材
21 スクリーン版
22 紗
A  開口領域
ds スキージ移動方向
dx 基準軸
Or 開口領域の面積比
Sa 不透明領域の面積
Sb 透明領域(開口領域)の面積
W  細線の線幅
α  紗の角度
β  細線の角度

Claims (4)

  1. 透明基材の表面に、パターン状のシールドパターン層を有する透光性電磁波シール材の製造方法において、
    シールドパターン層のパターンを、格子柄、ストライプ柄等の細線からなるパターンとしてスクリーン印刷にて形成する際に、スキージ移動方向に対する直交軸を基準として、スクリーン版の紗の成す角度α°と、前記細線の成す角度β°とを、
    α−20≦β≦α+20
    なる関係としてパターン形成する、透光性電磁波シールド材の製造方法。
  2. 請求項1記載の透光性電磁波シールド材の製造方法であって、
    シールドパターン層の形成を、透明基材の表面全面に金属層を有する導電性基材の該金属層側の表面に、カーボン顔料を含有する電離放射線硬化型インキを所望のパターン状にスクリーン印刷後、電離放射線照射してインキを硬化させてレジスト層とし、次いで、エッチングによりレジスト非形成部の金属層を除去することで、レジスト形成部分の金属層としてシールドパターン層を形成する、透光性電磁波シールド材の製造方法。
  3. 請求項1記載の透光性電磁波シールド材の製造方法であって、
    シールドパターン層の形成を、透明基材の表面に、導電性インキをスクリーン印刷して所望のパターン状に導電性インキ層を形成した後、電気めっきによって該導電性インキ層上にパターン状に金属めっき層を形成することで、前記導電性インキ層及び該金属めっき層としてシールドパターン層を形成する、透光性電磁波シールド材の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の透光性電磁波シールド材の製造方法によって、製造されて成る透光性電磁波シールド材。
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