JP2004021513A - 入力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置筐体の形状に関わらず、操作者の操作指から回転式操作部材への力の伝達損失を可及的に減少させ、入力装置の迅速かつ多様な操作を実現する。
【解決手段】入力装置10の第3の入力機構は、掌握部12に隣接して筐体16から部分的に露出するホイール状の回転式操作部材22を備える。操作部材22は、筐体16から一部分を露出させた状態で操作部材22の回転に伴って移動する全体として一様でない外面領域を有する。この外面領域は、回転軸線22aに交差する方向へ延びる凹曲面状の第1側面26を含み、この第1側面26が、操作者の所望の操作指を当接させる触接操作面として機能する。操作者は、操作指を押下部材24に接触させたまま僅かに移動させて、操作部材22の第1側面26に当接させ、その状態で操作部材22を回転動作させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】入力装置10の第3の入力機構は、掌握部12に隣接して筐体16から部分的に露出するホイール状の回転式操作部材22を備える。操作部材22は、筐体16から一部分を露出させた状態で操作部材22の回転に伴って移動する全体として一様でない外面領域を有する。この外面領域は、回転軸線22aに交差する方向へ延びる凹曲面状の第1側面26を含み、この第1側面26が、操作者の所望の操作指を当接させる触接操作面として機能する。操作者は、操作指を押下部材24に接触させたまま僅かに移動させて、操作部材22の第1側面26に当接させ、その状態で操作部材22を回転動作させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ処理装置に接続して使用される入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータやワークステーション等のデジタルデータ処理装置に接続して使用される入力装置は、様々な操作方法を要するものが知られている。中でも、操作者の手操作に伴うアナログ的な情報入力により、ディスプレイ画面上のカーソル移動データ等の座標データを指示する小型入力装置(一般にマウスと称する)は、操作方法が単純であることから、操作者の年齢や性別といった属性を問わずに快適に使用できるよう、人間工学的な観点で操作性を改善することが望まれている。
【0003】
この種の小型入力装置(マウス)において、座標データ指示用の自己移動検出機構(ボール式、光学式等)と、押しボタン操作(いわゆるクリック操作)用のスイッチ機構とに加えて、ディスプレイ画面上での表示移動操作(いわゆるスクロール操作)を行なうための第3の入力機構を有するものが知られている。従来、この第3の入力機構は、回転軸線を有して入力装置の筐体から部分的に露出するホイール状の操作部材と、筐体に内蔵され、操作部材の回転を検出する回転検出部と、操作部材の回転動作への断続的抗力を生じさせる(すなわちクリック感を生じる)抵抗部とを備えて構成される。操作部材は一般に、自動車のタイヤに似た外形を有し、タイヤの接地面に対応する凸曲面状の外周面が、操作者の操作指を当接させる触接操作面として機能する。また操作部材は、入力装置の筐体上面に配設されるスイッチ機構の左右一対の押下部材の間で、筐体の実質的中心線上に配置される。
【0004】
上記した入力装置の操作者は、通常の座標データ指示操作時には、筐体上面の掌握部に掌を載せるとともに、所望の操作指(例えば人差指と中指)をスイッチ機構の両押下部材に載せた状態で、入力装置を適当な搭載平面上で水平移動させる。そして、第3の入力機構によりスクロール操作を行なう際には、両押下部材に載せたいずれかの操作指を操作部材の触接操作面に載せ換えて、操作部材を回転動作させる。このとき操作者には、抵抗部による断続的抗力を受けつつ操作部材を正確に回転動作させることが要求されるので、操作指から操作部材への力の伝達損失を可及的に減少させることが望ましい。その目的で従来、ゴム製の操作部材を用いたり、プラスチック製操作部材の触接操作面(外周面)に凹凸を設けたりする方策が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した第3の入力機構を有する従来の入力装置では、操作部材は、その凸曲面状の外周面が、力の伝達損失の少ない効率的操作を可能にする触接操作面として構成されているので、操作者は、スクロール操作を行なう都度、所望の操作指を、スイッチ機構の押下部材から操作部材の触接操作面(外周面)に載せ換えなければならない。このことにより、入力装置の迅速な操作が妨げられる傾向がある。特に、入力装置の操作性を向上させる目的で、握り易さを主眼とした人間工学的な非対称形状を筐体に付与した場合には、操作部材自体が筐体の握り易さを考慮しないタイヤ状の対称形状(すなわち回転軸線に直交する対称面を有する形状)を備えていることから、筐体に掌を載せた状態で操作指を触接操作面に正確に載せて操作部材を効率良く回転動作させることが、却って困難になる懸念がある。
【0006】
また、この種の入力装置でゴム製の操作部材を用いた場合には、経時でのゴムの劣化や汚損により、入力装置の外観や操作部材の操作性が悪化することが危惧される。この場合、入力装置を分解して操作部材を取り外すことは、一般のエンドユーザには困難な作業であるから、外観や操作性の悪化が著しいときには、入力装置全体の交換が必要となる懸念がある。
【0007】
したがって本発明の目的は、回転式の操作部材を有する第3の入力機構を備えた入力装置において、装置筐体の形状に関わらず、操作者の操作指から操作部材への力の伝達損失を可及的に減少させることができ、しかも入力装置の迅速かつ多様な操作を実現可能な、極めて優れた操作性を有する入力装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、回転式の操作部材を有する第3の入力機構を備えた入力装置において、操作部材の材料の劣化や汚損を容易に処置して、入力装置の外観や操作部材の操作性の悪化を防止できる入力装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、掌握部を有する手持可能な筐体と、筐体に収容される入力機構とを具備し、入力機構が、掌握部に隣接して部分的に露出する回転式の操作部材を備える入力装置において、操作部材は、筐体から一部分を露出させた状態で操作部材の回転に伴って移動する全体として一様でない外面領域を有し、外面領域に触接操作面が形成されることを特徴とする入力装置を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、操作部材の外面領域が、操作部材の回転軸線の方向に見て互いに離背する一対の側面を含み、それら一対の側面が互いに異なる表面形状を有するとともに、一方の側面に触接操作面が形成される入力装置を提供する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の入力装置において、触接操作面が、回転軸線を中心に環状に延びる凹面輪郭を有する入力装置を提供する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の入力装置において、触接操作面に複数の突起が形成される入力装置を提供する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の入力装置において、操作部材の外面領域が、操作部材の回転方向に隣り合う複数種類の分割面を含み、それら分割面に触接操作面が形成される入力装置を提供する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の入力装置において、複数種類の分割面が互いに異なる表面粗さを有する入力装置を提供する。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の入力装置において、複数種類の分割面が互いに異なる材料から形成される入力装置を提供する。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の入力装置において、少なくとも1つの種類の分割面が操作部材に着脱自在に備えられる入力装置を提供する。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の入力装置において、操作部材が、その回転軸線を入力装置搭載平面に対し傾斜させて筐体に設置され、触接操作面が、傾斜した回転軸線の方向に見て上側に配置される入力装置を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は本発明の一実施形態による入力装置10の図、図2は入力装置10を使用状態で示す図である。入力装置10は、パーソナルコンピュータやワークステーション等のデジタルデータ処理装置に電気的又は光学的に接続して、操作者の手操作に伴うアナログ的な情報入力により、ディスプレイ画面上のカーソル移動データ等の座標データを指示する小型入力装置(一般にマウスと称する)として使用できるものである。
【0014】
入力装置10は、掌握部12及び掌握部12の反対側の基部14を有する手持可能な筐体16と、筐体16に収容され、掌握部12に隣接して配置される押下操作部18を有するスイッチ機構と、スイッチ機構から独立して筐体16に収容され、基部14に隣接して配置される検出部20を有する自己移動検出機構と、スイッチ機構及び自己移動検出機構から独立して筐体に収容され、回転式の操作部材22を有する第3の入力機構とを備える。なお、本明細書では便宜的に、操作者の右手による通常操作時の指先側を入力装置10の前側、手首側を後側、親指側を左側、小指側を右側とし、前後方向を縦方向、左右方向を横方向として記述する。また、入力装置10の掌握部12側を上側、基部14側を下側とし、上下方向を高さ方向として記述する。
【0015】
筐体16の掌握部12は、通常操作時に操作者が掌を載せる領域であって、掌で包み込むように持ち易い卵形の湾曲面部分を有する。また基部14は、通常操作時に入力装置10を置く適当な物体表面(すなわち搭載平面)に対向支持される領域であって、筐体16を搭載平面に安定的に載せ得る略平坦面部分を有する。掌握部12と基部14とは、例えば、それぞれを別部材として樹脂材料から一体成形し、互いに組み合わせて筐体16を形成するように構成できる。なお、筐体16の掌握部12は、図1に示すように縦方向へ延びる中心線に関して対称形状としてもよいし、図2に示すように同中心線に関して握り易さを考慮した人間工学的な非対称形状としてもよい。
【0016】
押下操作部18を有するスイッチ機構は、いわゆる左クリック操作及び右クリック操作を実行するための一対の押ボタン式スイッチ(図示せず)を備え、それらスイッチの各々を互いに独立して開閉動作させる一対の押下部材24が、掌握部12に隣接して筐体16上に設置される。各押下部材24は、例えば樹脂材料から一体成形され、通常操作時に操作者が所望の操作指(例えば人差指と中指)を載せるべく、掌握部12に円滑に連続する卵形の湾曲面部分を有する。各押下部材24は、筐体16上で高さ方向へ僅かな範囲に渡って変位できる。
【0017】
検出部20を有する自己移動検出機構は、図示しないが、発光素子、受光素子及び両素子間の光学系を含む光学式検出構造、又はボール及びボール転動検出素子を含む機械式検出構造を備えることができる。自己移動検出機構は、操作者の手持操作による搭載平面上での入力装置10の移動方向及び移動距離を検出し、二次元座標系におけるアナログデータ信号として出力する。それにより入力装置10は、ディスプレイ画面上のカーソル移動データ等の座標データを指示できる。なお、本発明に係る入力装置は、スイッチ機構及び自己移動検出機構の構成を限定するものではない。
【0018】
回転式の操作部材22を有する第3の入力機構は、いわゆるスクロール操作を実行するためのものであり、掌握部12に隣接して筐体16から部分的に露出するホイール状の操作部材22と、筐体16に内蔵され、操作部材22の回転を検出する回転検出部(図示せず)と、操作部材22の回転動作への断続的抗力(クリック感)を生じさせる抵抗部(図示せず)とを備える。操作部材22は、それ自体の回転軸線22aを、入力装置搭載平面に略平行にかつ筐体16の縦方向中心線に略直交して位置決めし、図示しない軸を介して筐体16内に回転自在に支持される。また操作部材22は、筐体16上面に配設される左右一対の押下部材24の間で、その円環状の外周面22bを筐体16の縦方向中心線に実質的に沿わせて配置される。なお、第3の入力機構は、操作部材22の押下動作に伴い開閉する押しボタン式のスイッチを補足的に有することもできる。
【0019】
操作部材22は、筐体16から一部分を露出させた状態で操作部材22の回転に伴って移動する全体として一様でない外面領域を有する。この外面領域は、回転軸線22aの方向に見て互いに離背して、回転軸線22aに交差する方向へ延びる一対の側面26、28を含む。これら側面26、28は、互いに異なる表面形状を有し、第1側面26が、操作者の所望の操作指(図では右手人差指)を当接させる触接操作面として機能する。具体的には、図3(a)及び(b)に示すように、第1側面26は、回転軸線22aを中心に環状に延びる凹曲面状の輪郭を有し、第2側面28は、平坦面又は僅かな凸曲面状の輪郭を有する。ここで、第1側面26の凹曲面形状は、操作指の指先横腹の膨出表面を違和感無く追従させ得るものである。
【0020】
入力装置10の操作者は、通常の座標データ指示操作時には、筐体16の掌握部12に掌を載せるとともに、所望の操作指(例えば人差指と中指)をスイッチ機構の両押下部材24に載せた状態で、入力装置10を適当な搭載平面上で水平移動させる。この状態で操作者は適宜、いずれか一方の押下部材24をそれに載せた操作指で押下して、クリック操作を行なうことができる。そして、第3の入力機構によりスクロール操作を行なう際には、図2に示すように、左側の押下部材24に載せた操作指(図では人差指)を押下部材24に接触させたまま僅かに移動させて、操作部材22の触接操作面すなわち第1側面26に当接させ、その状態で操作部材22を回転動作させることができる。
【0021】
このように入力装置10では、操作部材22は、回転軸線22aに交差する方向へ延びる第1側面26が、力の伝達損失の少ない効率的操作を可能にする触接操作面として構成されているので、操作者は、座標データ指示操作やクリック操作からスクロール操作に移行する際に、操作指を押下部材24上で僅かに摺動させて、指先横腹を操作部材22の第1側面26に当接させればよい。この状態で操作者は、操作指の指先横腹の膨出表面に対応する操作部材22の凹曲面状の第1側面26に、操作指から効率良く力を伝達して、操作部材22を円滑に回動させることができる。したがって入力装置10によれば、操作者の操作指から操作部材22への力の伝達損失を可及的に減少させるだけでなく、従来の入力装置のように操作指を押下部材から操作部材の外周面に載せ換える必要が無いから、入力装置10の迅速かつ多様な操作を実現することができる。
【0022】
また図2に示すように、入力装置10の操作性を向上させる目的で、握り易さを考慮した人間工学的な非対称形状を筐体16に付与した場合であっても、操作指の位置を通常の座標データ指示操作時と殆ど変えずに操作部材22を効率良く回動操作できるから、人間工学的形状の筐体16による疲労軽減効果が低下することはない。したがって入力装置10は、筐体16の形状に関わらず、上記したような極めて優れた操作性を有するものとなる。
【0023】
入力装置10では、操作者が、第3の入力機構における抵抗部による断続的抗力(クリック感)を受けつつ操作部材22を正確に回転動作させることができるように、操作指から操作部材22の第1側面26への力の伝達損失を可及的に減少させることが望ましい。その目的で、操作部材22の第1側面26には、操作指に対する滑り止め構造を設けることが有利である。滑り止め構造としては、例えば図3(b)に示すように、回転軸線22aを中心として放射状に延びる複数の突条30を採用できる。或いは、操作部材22の第1側面26に他の様々な形状の凹凸構造を設けたり、第1側面26の表面材料にゴムを用いたりすることもできる。
【0024】
また入力装置10は、上記実施形態の操作部材22とは異なる様々な形状を有する操作部材を採用できる。例えば図4に示すように、全体として一様でない外面領域を有するホイール状の操作部材32であって、その外面領域が、回転軸線32aの方向に見て互いに離背する一対の側面34、36を含むとともに、第1側面34が触接操作面として、回転軸線32aを中心に環状に延びる凸曲面状の輪郭を有する操作部材32を採用できる。この場合、第1側面34の凸曲面形状は、第2側面36の平坦面又は僅かな凸曲面形状に比べて、回転軸線方向へ大きく膨出するように形成できる。また所望により、この第1側面34に複数の突起38を設けることもできる。
【0025】
また、図5に示すように、全体として一様でない外面領域を有するホイール状の操作部材40であって、その外面領域が、操作部材40の回転方向に隣り合う複数種類の分割面42、44を含み、それら分割面42、44に触接操作面が形成される操作部材40を採用することもできる。図5の例では、自動車のタイヤに似た対称形状(すなわち回転軸線40aに直交する対称面を有する形状)の操作部材40の、タイヤの接地面に対応する凸曲面状の外周面を含む表面領域が、操作者の操作指を当接させる触接操作面を構成し、この触接操作面が、周方向へ交互に配置される2種類の分割面42、44に分割されている。
【0026】
このような構成を有する操作部材40では例えば、種類の異なる分割面42、44に、それぞれ他とは異なる触感及び摩擦係数を付与することができる。それにより、操作者が操作部材40を回動操作する際に、それら分割面42、44に対する操作指の滑り性の差異を実感でき、その結果、より滑り難い方の分割面42、44で操作部材40を正確に操作していることを触感認知できる効果が奏される。このような作用効果を実現するために、2種類の分割面42、44には、互いに異なる表面粗さを付与することができる。或いは、これら分割面42、44を、互いに異なる材料から形成することもできる。
【0027】
上記観点で、操作部材40は、例えば樹脂製の分割面42とゴム製の分割面44とを備えることができる。この場合、図6及び図7に示すように、操作部材40の複数の分割面42と両側面46とを含む本体部分48を樹脂材料から一体的に形成する一方で、各々に分割面44を含む複数のゴム製の滑り止め部材50を本体部分48に着脱自在に装備した構成とすることができる。このような構成によれば、滑り止め部材50のゴム材料が経時で劣化や汚損を生じた場合にも、個々の滑り止め部材50を適宜新しいものに交換できるので、入力装置10の外観や操作部材40の操作性の悪化を未然にかつ容易に防止することができる。
【0028】
さらに、操作部材40においては、各分割面42、44を両側面46の近傍まで延長することが、入力装置10の迅速かつ多様な操作を実現可能にする点で好ましい。このような構成によれば、前述した操作部材22と同様に、操作者は操作指の指先横腹を操作部材40の一側面46に当接させた状態で、操作指から分割面42、44(すなわち触接操作面)に効率良く力を伝達して、操作部材40を円滑に回動させることができる。
【0029】
このような観点では、図8〜図10に示すように、図3の操作部材22の構成と図5の操作部材40の構成とを併せ持つ操作部材52を採用することが有利である。すなわち操作部材52は、その全体として一様でない外面領域が、回転軸線52aの方向に見て互いに離背して、回転軸線52aに交差する方向へ延びる凹曲面状の第1側面54と平坦面状の第2側面56とを含むとともに、操作部材52の回転方向に隣り合う複数種類の分割面58、60を含み、それら分割面58、60の中で第1側面54側に位置する部分が触接操作面を構成するものである。この場合、操作部材52の複数の分割面58と両側面54、56とを含む本体部分62を樹脂材料から一体的に形成する一方で、各々に分割面60を含む複数のゴム製の滑り止め部材64を本体部分62に着脱自在に装備した構成とすることができる。
【0030】
上記構成を有する操作部材52によれば、ゴム製の滑り止め部材64を適宜交換できる利点に加えて、操作者の操作指の指先横腹から操作部材52の分割面58、60(すなわち触接操作面)への力の伝達損失を一層減少させる利点が得られる。したがって特に、人間工学的形状の筐体16を有する入力装置10において、疲労軽減効果を低下させることなく、多様でかつ極めて優れた操作性を実現することができる。
【0031】
このように、本発明に係る入力装置は、握り易さを考慮した人間工学的な非対称形状の筐体を備える場合に、第3の入力機構における回転式の操作部材の操作性を著しく向上させることができる。例えば図11及び図12に示すように、繭形の非対称湾曲面部分を含む掌握部66を有する筐体68と、筐体68の前端側に設置される互いに異なる形状の一対の押下部材70、72と、一方(図で右側)の押下部材72から部分的に露出するホイール状の操作部材74とを備えた入力装置76に、本発明を適用することができる。この構成では、押下部材72の表面の傾斜に適合させて、操作部材74はその回転軸線74aを、入力装置搭載平面Pに対し傾斜させて筐体68に設置される。そして、前述した種々の操作部材22、32、40、52における触接操作面と同様の構成を有する触接操作面78が、傾斜した回転軸線74aの方向に見て上側に配置されている。
【0032】
入力装置76の操作者は、通常の座標データ指示操作時には、筐体68の掌握部66に掌を載せるとともに、所望の操作指(例えば親指と他の全ての指)を両押下部材70、72に載せた状態、すなわち実質的に掌を立てて筐体68を握った状態で、入力装置76を適当な搭載平面P上で水平移動させる。この状態で操作者は適宜、いずれか一方の押下部材70、72をそれに載せた操作指で押下して、クリック操作を行なうことができる。そして、第3の入力機構によりスクロール操作を行なう際には、図12に示すように、右側の押下部材72に載せた1本の操作指(図では人差指)を押下部材72に接触させたまま僅かに移動させて、操作部材74の触接操作面78に当接させ、その状態で操作部材74を回転動作させることができる。このように入力装置76では、筐体68の人間工学的な非対称形状に適合した傾斜配置を有する操作部材74に対し、操作指の位置を通常の座標データ指示操作時と殆ど変えずに効率の良い回動操作を実施できるから、疲労軽減効果を促進できるとともに、極めて優れた操作性を確保できる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、回転式の操作部材を有する第3の入力機構を備えた入力装置において、装置筐体の形状に関わらず、操作者の操作指から操作部材への力の伝達損失を可及的に減少できるとともに、入力装置の迅速かつ多様な操作を実現でき、以って極めて優れた操作性を入力装置に付与することができる。また、操作部材の外面領域が回転方向に隣り合う複数種類の分割面を含み、それら分割面に触接操作面を形成した構成では、操作部材の材料の劣化や汚損を容易に処置して、入力装置の外観や操作部材の操作性の悪化を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による入力装置の斜視図である。
【図2】図1の入力装置を入力操作時の状態で示す正面図である。
【図3】図1の入力装置に搭載できる回転式の操作部材の図で、(a)一方向からの斜視図、及び(b)他方向からの斜視図である。
【図4】図1の入力装置に搭載できる他の操作部材の斜視図である。
【図5】図1の入力装置に搭載できるさらに他の操作部材の斜視図である。
【図6】図5の操作部材の断面図である。
【図7】図5の操作部材の分解斜視図である。
【図8】図1の入力装置に搭載できるさらに他の操作部材の斜視図である。
【図9】図8の操作部材の断面図である。
【図10】図8の操作部材の分解斜視図である。
【図11】本発明に係る人間工学的形状の筐体を備えた入力装置の図で、(a)平面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。
【図12】図11の入力装置を入力操作時の状態で示す正面図である。
【符号の説明】
12、66…掌握部
16、68…筐体
18…操作部
22、32、40、52、74…操作部材
24、70、72…押下部材
26、34、54…第1側面
30…突条
38…突起
42、44、58、60…分割面
50、64…滑り止め部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ処理装置に接続して使用される入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータやワークステーション等のデジタルデータ処理装置に接続して使用される入力装置は、様々な操作方法を要するものが知られている。中でも、操作者の手操作に伴うアナログ的な情報入力により、ディスプレイ画面上のカーソル移動データ等の座標データを指示する小型入力装置(一般にマウスと称する)は、操作方法が単純であることから、操作者の年齢や性別といった属性を問わずに快適に使用できるよう、人間工学的な観点で操作性を改善することが望まれている。
【0003】
この種の小型入力装置(マウス)において、座標データ指示用の自己移動検出機構(ボール式、光学式等)と、押しボタン操作(いわゆるクリック操作)用のスイッチ機構とに加えて、ディスプレイ画面上での表示移動操作(いわゆるスクロール操作)を行なうための第3の入力機構を有するものが知られている。従来、この第3の入力機構は、回転軸線を有して入力装置の筐体から部分的に露出するホイール状の操作部材と、筐体に内蔵され、操作部材の回転を検出する回転検出部と、操作部材の回転動作への断続的抗力を生じさせる(すなわちクリック感を生じる)抵抗部とを備えて構成される。操作部材は一般に、自動車のタイヤに似た外形を有し、タイヤの接地面に対応する凸曲面状の外周面が、操作者の操作指を当接させる触接操作面として機能する。また操作部材は、入力装置の筐体上面に配設されるスイッチ機構の左右一対の押下部材の間で、筐体の実質的中心線上に配置される。
【0004】
上記した入力装置の操作者は、通常の座標データ指示操作時には、筐体上面の掌握部に掌を載せるとともに、所望の操作指(例えば人差指と中指)をスイッチ機構の両押下部材に載せた状態で、入力装置を適当な搭載平面上で水平移動させる。そして、第3の入力機構によりスクロール操作を行なう際には、両押下部材に載せたいずれかの操作指を操作部材の触接操作面に載せ換えて、操作部材を回転動作させる。このとき操作者には、抵抗部による断続的抗力を受けつつ操作部材を正確に回転動作させることが要求されるので、操作指から操作部材への力の伝達損失を可及的に減少させることが望ましい。その目的で従来、ゴム製の操作部材を用いたり、プラスチック製操作部材の触接操作面(外周面)に凹凸を設けたりする方策が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した第3の入力機構を有する従来の入力装置では、操作部材は、その凸曲面状の外周面が、力の伝達損失の少ない効率的操作を可能にする触接操作面として構成されているので、操作者は、スクロール操作を行なう都度、所望の操作指を、スイッチ機構の押下部材から操作部材の触接操作面(外周面)に載せ換えなければならない。このことにより、入力装置の迅速な操作が妨げられる傾向がある。特に、入力装置の操作性を向上させる目的で、握り易さを主眼とした人間工学的な非対称形状を筐体に付与した場合には、操作部材自体が筐体の握り易さを考慮しないタイヤ状の対称形状(すなわち回転軸線に直交する対称面を有する形状)を備えていることから、筐体に掌を載せた状態で操作指を触接操作面に正確に載せて操作部材を効率良く回転動作させることが、却って困難になる懸念がある。
【0006】
また、この種の入力装置でゴム製の操作部材を用いた場合には、経時でのゴムの劣化や汚損により、入力装置の外観や操作部材の操作性が悪化することが危惧される。この場合、入力装置を分解して操作部材を取り外すことは、一般のエンドユーザには困難な作業であるから、外観や操作性の悪化が著しいときには、入力装置全体の交換が必要となる懸念がある。
【0007】
したがって本発明の目的は、回転式の操作部材を有する第3の入力機構を備えた入力装置において、装置筐体の形状に関わらず、操作者の操作指から操作部材への力の伝達損失を可及的に減少させることができ、しかも入力装置の迅速かつ多様な操作を実現可能な、極めて優れた操作性を有する入力装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、回転式の操作部材を有する第3の入力機構を備えた入力装置において、操作部材の材料の劣化や汚損を容易に処置して、入力装置の外観や操作部材の操作性の悪化を防止できる入力装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、掌握部を有する手持可能な筐体と、筐体に収容される入力機構とを具備し、入力機構が、掌握部に隣接して部分的に露出する回転式の操作部材を備える入力装置において、操作部材は、筐体から一部分を露出させた状態で操作部材の回転に伴って移動する全体として一様でない外面領域を有し、外面領域に触接操作面が形成されることを特徴とする入力装置を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、操作部材の外面領域が、操作部材の回転軸線の方向に見て互いに離背する一対の側面を含み、それら一対の側面が互いに異なる表面形状を有するとともに、一方の側面に触接操作面が形成される入力装置を提供する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の入力装置において、触接操作面が、回転軸線を中心に環状に延びる凹面輪郭を有する入力装置を提供する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の入力装置において、触接操作面に複数の突起が形成される入力装置を提供する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の入力装置において、操作部材の外面領域が、操作部材の回転方向に隣り合う複数種類の分割面を含み、それら分割面に触接操作面が形成される入力装置を提供する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の入力装置において、複数種類の分割面が互いに異なる表面粗さを有する入力装置を提供する。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の入力装置において、複数種類の分割面が互いに異なる材料から形成される入力装置を提供する。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の入力装置において、少なくとも1つの種類の分割面が操作部材に着脱自在に備えられる入力装置を提供する。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の入力装置において、操作部材が、その回転軸線を入力装置搭載平面に対し傾斜させて筐体に設置され、触接操作面が、傾斜した回転軸線の方向に見て上側に配置される入力装置を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は本発明の一実施形態による入力装置10の図、図2は入力装置10を使用状態で示す図である。入力装置10は、パーソナルコンピュータやワークステーション等のデジタルデータ処理装置に電気的又は光学的に接続して、操作者の手操作に伴うアナログ的な情報入力により、ディスプレイ画面上のカーソル移動データ等の座標データを指示する小型入力装置(一般にマウスと称する)として使用できるものである。
【0014】
入力装置10は、掌握部12及び掌握部12の反対側の基部14を有する手持可能な筐体16と、筐体16に収容され、掌握部12に隣接して配置される押下操作部18を有するスイッチ機構と、スイッチ機構から独立して筐体16に収容され、基部14に隣接して配置される検出部20を有する自己移動検出機構と、スイッチ機構及び自己移動検出機構から独立して筐体に収容され、回転式の操作部材22を有する第3の入力機構とを備える。なお、本明細書では便宜的に、操作者の右手による通常操作時の指先側を入力装置10の前側、手首側を後側、親指側を左側、小指側を右側とし、前後方向を縦方向、左右方向を横方向として記述する。また、入力装置10の掌握部12側を上側、基部14側を下側とし、上下方向を高さ方向として記述する。
【0015】
筐体16の掌握部12は、通常操作時に操作者が掌を載せる領域であって、掌で包み込むように持ち易い卵形の湾曲面部分を有する。また基部14は、通常操作時に入力装置10を置く適当な物体表面(すなわち搭載平面)に対向支持される領域であって、筐体16を搭載平面に安定的に載せ得る略平坦面部分を有する。掌握部12と基部14とは、例えば、それぞれを別部材として樹脂材料から一体成形し、互いに組み合わせて筐体16を形成するように構成できる。なお、筐体16の掌握部12は、図1に示すように縦方向へ延びる中心線に関して対称形状としてもよいし、図2に示すように同中心線に関して握り易さを考慮した人間工学的な非対称形状としてもよい。
【0016】
押下操作部18を有するスイッチ機構は、いわゆる左クリック操作及び右クリック操作を実行するための一対の押ボタン式スイッチ(図示せず)を備え、それらスイッチの各々を互いに独立して開閉動作させる一対の押下部材24が、掌握部12に隣接して筐体16上に設置される。各押下部材24は、例えば樹脂材料から一体成形され、通常操作時に操作者が所望の操作指(例えば人差指と中指)を載せるべく、掌握部12に円滑に連続する卵形の湾曲面部分を有する。各押下部材24は、筐体16上で高さ方向へ僅かな範囲に渡って変位できる。
【0017】
検出部20を有する自己移動検出機構は、図示しないが、発光素子、受光素子及び両素子間の光学系を含む光学式検出構造、又はボール及びボール転動検出素子を含む機械式検出構造を備えることができる。自己移動検出機構は、操作者の手持操作による搭載平面上での入力装置10の移動方向及び移動距離を検出し、二次元座標系におけるアナログデータ信号として出力する。それにより入力装置10は、ディスプレイ画面上のカーソル移動データ等の座標データを指示できる。なお、本発明に係る入力装置は、スイッチ機構及び自己移動検出機構の構成を限定するものではない。
【0018】
回転式の操作部材22を有する第3の入力機構は、いわゆるスクロール操作を実行するためのものであり、掌握部12に隣接して筐体16から部分的に露出するホイール状の操作部材22と、筐体16に内蔵され、操作部材22の回転を検出する回転検出部(図示せず)と、操作部材22の回転動作への断続的抗力(クリック感)を生じさせる抵抗部(図示せず)とを備える。操作部材22は、それ自体の回転軸線22aを、入力装置搭載平面に略平行にかつ筐体16の縦方向中心線に略直交して位置決めし、図示しない軸を介して筐体16内に回転自在に支持される。また操作部材22は、筐体16上面に配設される左右一対の押下部材24の間で、その円環状の外周面22bを筐体16の縦方向中心線に実質的に沿わせて配置される。なお、第3の入力機構は、操作部材22の押下動作に伴い開閉する押しボタン式のスイッチを補足的に有することもできる。
【0019】
操作部材22は、筐体16から一部分を露出させた状態で操作部材22の回転に伴って移動する全体として一様でない外面領域を有する。この外面領域は、回転軸線22aの方向に見て互いに離背して、回転軸線22aに交差する方向へ延びる一対の側面26、28を含む。これら側面26、28は、互いに異なる表面形状を有し、第1側面26が、操作者の所望の操作指(図では右手人差指)を当接させる触接操作面として機能する。具体的には、図3(a)及び(b)に示すように、第1側面26は、回転軸線22aを中心に環状に延びる凹曲面状の輪郭を有し、第2側面28は、平坦面又は僅かな凸曲面状の輪郭を有する。ここで、第1側面26の凹曲面形状は、操作指の指先横腹の膨出表面を違和感無く追従させ得るものである。
【0020】
入力装置10の操作者は、通常の座標データ指示操作時には、筐体16の掌握部12に掌を載せるとともに、所望の操作指(例えば人差指と中指)をスイッチ機構の両押下部材24に載せた状態で、入力装置10を適当な搭載平面上で水平移動させる。この状態で操作者は適宜、いずれか一方の押下部材24をそれに載せた操作指で押下して、クリック操作を行なうことができる。そして、第3の入力機構によりスクロール操作を行なう際には、図2に示すように、左側の押下部材24に載せた操作指(図では人差指)を押下部材24に接触させたまま僅かに移動させて、操作部材22の触接操作面すなわち第1側面26に当接させ、その状態で操作部材22を回転動作させることができる。
【0021】
このように入力装置10では、操作部材22は、回転軸線22aに交差する方向へ延びる第1側面26が、力の伝達損失の少ない効率的操作を可能にする触接操作面として構成されているので、操作者は、座標データ指示操作やクリック操作からスクロール操作に移行する際に、操作指を押下部材24上で僅かに摺動させて、指先横腹を操作部材22の第1側面26に当接させればよい。この状態で操作者は、操作指の指先横腹の膨出表面に対応する操作部材22の凹曲面状の第1側面26に、操作指から効率良く力を伝達して、操作部材22を円滑に回動させることができる。したがって入力装置10によれば、操作者の操作指から操作部材22への力の伝達損失を可及的に減少させるだけでなく、従来の入力装置のように操作指を押下部材から操作部材の外周面に載せ換える必要が無いから、入力装置10の迅速かつ多様な操作を実現することができる。
【0022】
また図2に示すように、入力装置10の操作性を向上させる目的で、握り易さを考慮した人間工学的な非対称形状を筐体16に付与した場合であっても、操作指の位置を通常の座標データ指示操作時と殆ど変えずに操作部材22を効率良く回動操作できるから、人間工学的形状の筐体16による疲労軽減効果が低下することはない。したがって入力装置10は、筐体16の形状に関わらず、上記したような極めて優れた操作性を有するものとなる。
【0023】
入力装置10では、操作者が、第3の入力機構における抵抗部による断続的抗力(クリック感)を受けつつ操作部材22を正確に回転動作させることができるように、操作指から操作部材22の第1側面26への力の伝達損失を可及的に減少させることが望ましい。その目的で、操作部材22の第1側面26には、操作指に対する滑り止め構造を設けることが有利である。滑り止め構造としては、例えば図3(b)に示すように、回転軸線22aを中心として放射状に延びる複数の突条30を採用できる。或いは、操作部材22の第1側面26に他の様々な形状の凹凸構造を設けたり、第1側面26の表面材料にゴムを用いたりすることもできる。
【0024】
また入力装置10は、上記実施形態の操作部材22とは異なる様々な形状を有する操作部材を採用できる。例えば図4に示すように、全体として一様でない外面領域を有するホイール状の操作部材32であって、その外面領域が、回転軸線32aの方向に見て互いに離背する一対の側面34、36を含むとともに、第1側面34が触接操作面として、回転軸線32aを中心に環状に延びる凸曲面状の輪郭を有する操作部材32を採用できる。この場合、第1側面34の凸曲面形状は、第2側面36の平坦面又は僅かな凸曲面形状に比べて、回転軸線方向へ大きく膨出するように形成できる。また所望により、この第1側面34に複数の突起38を設けることもできる。
【0025】
また、図5に示すように、全体として一様でない外面領域を有するホイール状の操作部材40であって、その外面領域が、操作部材40の回転方向に隣り合う複数種類の分割面42、44を含み、それら分割面42、44に触接操作面が形成される操作部材40を採用することもできる。図5の例では、自動車のタイヤに似た対称形状(すなわち回転軸線40aに直交する対称面を有する形状)の操作部材40の、タイヤの接地面に対応する凸曲面状の外周面を含む表面領域が、操作者の操作指を当接させる触接操作面を構成し、この触接操作面が、周方向へ交互に配置される2種類の分割面42、44に分割されている。
【0026】
このような構成を有する操作部材40では例えば、種類の異なる分割面42、44に、それぞれ他とは異なる触感及び摩擦係数を付与することができる。それにより、操作者が操作部材40を回動操作する際に、それら分割面42、44に対する操作指の滑り性の差異を実感でき、その結果、より滑り難い方の分割面42、44で操作部材40を正確に操作していることを触感認知できる効果が奏される。このような作用効果を実現するために、2種類の分割面42、44には、互いに異なる表面粗さを付与することができる。或いは、これら分割面42、44を、互いに異なる材料から形成することもできる。
【0027】
上記観点で、操作部材40は、例えば樹脂製の分割面42とゴム製の分割面44とを備えることができる。この場合、図6及び図7に示すように、操作部材40の複数の分割面42と両側面46とを含む本体部分48を樹脂材料から一体的に形成する一方で、各々に分割面44を含む複数のゴム製の滑り止め部材50を本体部分48に着脱自在に装備した構成とすることができる。このような構成によれば、滑り止め部材50のゴム材料が経時で劣化や汚損を生じた場合にも、個々の滑り止め部材50を適宜新しいものに交換できるので、入力装置10の外観や操作部材40の操作性の悪化を未然にかつ容易に防止することができる。
【0028】
さらに、操作部材40においては、各分割面42、44を両側面46の近傍まで延長することが、入力装置10の迅速かつ多様な操作を実現可能にする点で好ましい。このような構成によれば、前述した操作部材22と同様に、操作者は操作指の指先横腹を操作部材40の一側面46に当接させた状態で、操作指から分割面42、44(すなわち触接操作面)に効率良く力を伝達して、操作部材40を円滑に回動させることができる。
【0029】
このような観点では、図8〜図10に示すように、図3の操作部材22の構成と図5の操作部材40の構成とを併せ持つ操作部材52を採用することが有利である。すなわち操作部材52は、その全体として一様でない外面領域が、回転軸線52aの方向に見て互いに離背して、回転軸線52aに交差する方向へ延びる凹曲面状の第1側面54と平坦面状の第2側面56とを含むとともに、操作部材52の回転方向に隣り合う複数種類の分割面58、60を含み、それら分割面58、60の中で第1側面54側に位置する部分が触接操作面を構成するものである。この場合、操作部材52の複数の分割面58と両側面54、56とを含む本体部分62を樹脂材料から一体的に形成する一方で、各々に分割面60を含む複数のゴム製の滑り止め部材64を本体部分62に着脱自在に装備した構成とすることができる。
【0030】
上記構成を有する操作部材52によれば、ゴム製の滑り止め部材64を適宜交換できる利点に加えて、操作者の操作指の指先横腹から操作部材52の分割面58、60(すなわち触接操作面)への力の伝達損失を一層減少させる利点が得られる。したがって特に、人間工学的形状の筐体16を有する入力装置10において、疲労軽減効果を低下させることなく、多様でかつ極めて優れた操作性を実現することができる。
【0031】
このように、本発明に係る入力装置は、握り易さを考慮した人間工学的な非対称形状の筐体を備える場合に、第3の入力機構における回転式の操作部材の操作性を著しく向上させることができる。例えば図11及び図12に示すように、繭形の非対称湾曲面部分を含む掌握部66を有する筐体68と、筐体68の前端側に設置される互いに異なる形状の一対の押下部材70、72と、一方(図で右側)の押下部材72から部分的に露出するホイール状の操作部材74とを備えた入力装置76に、本発明を適用することができる。この構成では、押下部材72の表面の傾斜に適合させて、操作部材74はその回転軸線74aを、入力装置搭載平面Pに対し傾斜させて筐体68に設置される。そして、前述した種々の操作部材22、32、40、52における触接操作面と同様の構成を有する触接操作面78が、傾斜した回転軸線74aの方向に見て上側に配置されている。
【0032】
入力装置76の操作者は、通常の座標データ指示操作時には、筐体68の掌握部66に掌を載せるとともに、所望の操作指(例えば親指と他の全ての指)を両押下部材70、72に載せた状態、すなわち実質的に掌を立てて筐体68を握った状態で、入力装置76を適当な搭載平面P上で水平移動させる。この状態で操作者は適宜、いずれか一方の押下部材70、72をそれに載せた操作指で押下して、クリック操作を行なうことができる。そして、第3の入力機構によりスクロール操作を行なう際には、図12に示すように、右側の押下部材72に載せた1本の操作指(図では人差指)を押下部材72に接触させたまま僅かに移動させて、操作部材74の触接操作面78に当接させ、その状態で操作部材74を回転動作させることができる。このように入力装置76では、筐体68の人間工学的な非対称形状に適合した傾斜配置を有する操作部材74に対し、操作指の位置を通常の座標データ指示操作時と殆ど変えずに効率の良い回動操作を実施できるから、疲労軽減効果を促進できるとともに、極めて優れた操作性を確保できる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、回転式の操作部材を有する第3の入力機構を備えた入力装置において、装置筐体の形状に関わらず、操作者の操作指から操作部材への力の伝達損失を可及的に減少できるとともに、入力装置の迅速かつ多様な操作を実現でき、以って極めて優れた操作性を入力装置に付与することができる。また、操作部材の外面領域が回転方向に隣り合う複数種類の分割面を含み、それら分割面に触接操作面を形成した構成では、操作部材の材料の劣化や汚損を容易に処置して、入力装置の外観や操作部材の操作性の悪化を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による入力装置の斜視図である。
【図2】図1の入力装置を入力操作時の状態で示す正面図である。
【図3】図1の入力装置に搭載できる回転式の操作部材の図で、(a)一方向からの斜視図、及び(b)他方向からの斜視図である。
【図4】図1の入力装置に搭載できる他の操作部材の斜視図である。
【図5】図1の入力装置に搭載できるさらに他の操作部材の斜視図である。
【図6】図5の操作部材の断面図である。
【図7】図5の操作部材の分解斜視図である。
【図8】図1の入力装置に搭載できるさらに他の操作部材の斜視図である。
【図9】図8の操作部材の断面図である。
【図10】図8の操作部材の分解斜視図である。
【図11】本発明に係る人間工学的形状の筐体を備えた入力装置の図で、(a)平面図、(b)正面図、及び(c)側面図である。
【図12】図11の入力装置を入力操作時の状態で示す正面図である。
【符号の説明】
12、66…掌握部
16、68…筐体
18…操作部
22、32、40、52、74…操作部材
24、70、72…押下部材
26、34、54…第1側面
30…突条
38…突起
42、44、58、60…分割面
50、64…滑り止め部材
Claims (9)
- 掌握部を有する手持可能な筐体と、該筐体に収容される入力機構とを具備し、該入力機構が、該掌握部に隣接して部分的に露出する回転式の操作部材を備える入力装置において、
前記操作部材は、前記筐体から一部分を露出させた状態で該操作部材の回転に伴って移動する全体として一様でない外面領域を有し、該外面領域に触接操作面が形成されることを特徴とする入力装置。 - 前記操作部材の前記外面領域が、該操作部材の回転軸線の方向に見て互いに離背する一対の側面を含み、該一対の側面が互いに異なる表面形状を有するとともに、一方の該側面に前記触接操作面が形成される請求項1に記載の入力装置。
- 前記触接操作面が、前記回転軸線を中心に環状に延びる凹面輪郭を有する請求項2に記載の入力装置。
- 前記触接操作面に複数の突起が形成される請求項2又は3に記載の入力装置。
- 前記操作部材の前記外面領域が、該操作部材の回転方向に隣り合う複数種類の分割面を含み、それら分割面に前記触接操作面が形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の入力装置。
- 前記複数種類の分割面が互いに異なる表面粗さを有する請求項5に記載の入力装置。
- 前記複数種類の分割面が互いに異なる材料から形成される請求項5又は6に記載の入力装置。
- 少なくとも1つの種類の前記分割面が前記操作部材に着脱自在に備えられる請求項5〜7のいずれか1項に記載の入力装置。
- 前記操作部材が、その回転軸線を入力装置搭載平面に対し傾斜させて前記筐体に設置され、前記触接操作面が、傾斜した該回転軸線の方向に見て上側に配置される請求項1〜8のいずれか1項に記載の入力装置。
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Cited By (2)
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JP2011510384A (ja) * | 2008-01-22 | 2011-03-31 | 郭勇 | 人間工学的マウス |
CN102087545A (zh) * | 2009-12-07 | 2011-06-08 | 星电株式会社 | 复合操作型输入装置 |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002174327A patent/JP2004021513A/ja active Pending
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