JP2004020416A - 無充電検相器 - Google Patents

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Masahiko Watanabe
渡辺 正彦
Setsuo Idokawa
井戸川 節夫
Koichi Yamadera
山寺 浩一
Yoshihiro Kato
加藤 吉浩
Makoto Nikaido
二階堂 信
Katsuyuki Komiya
小宮 克幸
Takayuki Sekine
関根 貴幸
Hiroshi Hasegawa
長谷川 弘
Yasuhiro Kaneda
金田 安弘
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Abstract

【課題】3相交流電源回路の配線張替前後の相順を、無充電状態で、高低圧回路の如何にかかわらず検出する。
【解決手段】高圧3相交流電源回路1の配線張替区間2の一端に接続され、無充電状態の該配線張替区間の単相線間に相を順次切り換えながら微小な交流信号を張替工事前後に送信する送信器5と、前記配線張替区間の他端と前記配線張替区間に設置された変圧器8の2次側の少なくとも一方に接続され、前記送信器より順次送信される微小な交流信号を受信し、最大信号受信レベルが得られた相順を張替工事前後で比較することによって検相する受信器6,10とから成っている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3相交流電源回路の配線張替前後の相順を確認する無充電検相器の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3相交流電源を供給する3相交流電源回路の配線を張り替える際には、張替箇所を停電させて工事した後、従来は一旦試送電を行い、充電状態でのみ使用可能な検相器により検相( 相順の確認) を行っていた。
【0003】
また、特公平6−8837号公報や特開平11−326420号公報に示されるように、一部特別高圧回路の送電線では、無充電状態で各相線と大地との間に直流または低周波数の交流信号を送信して、検相する場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
検相が試送電による充電状態で行われる場合に、3相交流電源回路に接続されるモータ負荷などによっては、3相の相順が異なると、機器の故障につながることがあるので、工事後の試送電が相順の異なった状態で実施された時には、需要家の負荷機器を損傷させる恐れがあった。
【0005】
そして、相順の修正のため、試送電した後に再度停電が発生するので、需要家への電源供給に対する信頼度を低下させる要因ともなっていた。
【0006】
また、検相が無充電状態で行われる場合に、例えば、6.6kV高圧配電線を張り替える時、その間に設置される変圧器により3相交流電源が供給される低圧回路の相順も同時に異なることから、送電線で使用している一線大地間に検相用信号を送信して検相を行う方法では、変圧器を検相用信号が通過せず、高低圧回路一括で、或いは低圧回路で検相を行うことができなかった。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、3相交流電源回路の配線張替前後の相順を、無充電状態で、高低圧回路の如何にかかわらず検出することができる無充電検相器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、高圧3相交流電源回路の配線張替区間の一端に接続され、無充電状態の該配線張替区間の単相線間に相を順次切り換えながら微小な交流信号を張替工事前後に送信する送信器と、前記配線張替区間の他端と前記配線張替区間に設置された変圧器の2次側の少なくとも一方に接続され、前記送信器より順次送信される微小な交流信号を受信し、最大信号受信レベルが得られた相順を張替工事前後で比較することによって検相する受信器とから成る無充電検相器というものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態である無充電検相器が高低圧回路を一括して検相する状態を示す配置図である。
【0010】
高圧配電線1(高圧3相交流電源回路)の配線張替区間2は開閉器3,4によって区切られ、配線張替区間2は、配線張替工事中及び検相中には開閉器3,4が切の状態になることによって無充電状態(停電)となる。配線張替区間2の一方の端には検相のための送信器5が接続され、他方の端に検相のための受信器6が接続される。高圧配電線1と低圧配電線7(低圧3相交流電源回路)を一括して検相する場合には、柱上変圧器8を介した低圧配電線7の3相電源端子(図1の場合は3相電力量計9の電源端子)にも低圧回路の検相のための受信器10が設置される。11は配電線負荷、12は高圧需要家への電源の入り切りを行う開閉器である。
【0011】
図2は、送信器5の内部回路構成例を示すブロック図である。
【0012】
送信釦13が押されると、制御回路14は注入相切替回路15を制御して信号注入回路16を1番目の単相線間(例えばRS相)に接続させる。その後、制御回路14がRS相を示すデータを信号発生回路17に与えると、信号発生回路17は、該データにより変調された(例えば位相変調)微小な交流信号を検相用信号として発生し、信号注入回路16を介してRS相に注入する。一定時間が経過すると、制御回路14は注入相切替回路15を2番目の単相線間(例えばST相)に切り替え、同様にST相にST相を示すデータで変調された微小な交流信号を送信させる。さらに、信号注入相をTR相に切り替えて、TR相を示すデータで変調された微小な交流信号を送信することで、微小な交流信号である検相用信号の送信を完了する。表示部18は既に送信した単相線間と現在送信中の単相線間などを表示する。19は各部に直流電源を供給するバッテリー、20は100V交流電源によりバッテリー19を充電する充電回路である。
【0013】
図3は、微小な交流信号である検相用信号が高圧配電線1及び低圧配電線7の3相交流電源回路上をどのように伝達されるかを表わした図である。この図はRS相にて検相用信号が送信される場合を表わしている。
【0014】
配線張替区間2に配電線負荷11がなく、開閉器12が切の状態である場合には、単相線間に注入された検相用信号は他相に漏洩することはないが、配線張替区間2内に柱上変圧器8や配電線負荷11が存在する場合は、それらの機器のインピーダンスを介して他相にも検相用信号が漏洩することになる。この漏洩信号21は、一般的に信号注入相にて伝達される検相用信号22に比べて小さく、受信信号レベルの最も大きい相が検相用信号22を送信した相と判断できる。このため、配線張替工事前後で同様の手順で順次3つの単相線間に検相用信号22を送信することで、工事前後の相順が合致していることが判断できる。
【0015】
また、図3では、単相線間に検相用信号22を送信することにより、柱上変圧器8を介して低圧配電線7(低圧回路)にも検相用信号22が伝達されることを表わしている。
【0016】
図4は、受信器6,10の内部回路構成例を示すブロック図である。
【0017】
受信器6,10は、単相線間に注入された検相用信号を相ごとに判別するための△−Y変換を△−Y変換回路23にて行い(RS相の検相用信号は△−Y変換されるとR相のみの検相用信号に変換される)、その後は3相同時にバンドパスフィルタ24〜26による信号成分の抽出、ゲイン切替回路27によるレベル切替、A/D変換回路28〜30によるA/D変換を行い、CPU31により受信信号レベルの大小判定、最大受信信号レベルの相順の不揮発性メモリ32への記憶、工事前後の相順の判定などを行い、相順判定などを表示部33により表示させている。記憶釦34は工事前の相順を記憶させるためのもの、判定釦35は工事前後の相順を照合し、判定させるためのもの、36,37は送信器5におけるのと同様のバッテリー及び充電回路である。
【0018】
図1に示される無充電状態で配線張替前に、送信側操作員が受信側操作員に無線連絡などにより検相用信号の送信開始を連絡した後、送信器5から単相線間( 例えばRS相) に検相用信号を送信し、その後順次、相を切り替えながら( 例えばRS相→ST相→TR相)検相用信号を送信する。受信器6,10は、△−Y変換された3相の検相用信号のうち、最大受信信号レベルを受信した相を受信した順に不揮発性メモリ32に記憶しておく。
【0019】
さらに、配線張替後には、送信側操作員が受信側操作員に無線連絡などにより検相用信号の送信開始を連絡した後、停電復旧前に配線張替前と同様の手順で検相相信号の送受信を行い、この時に最大受信信号レベルを受信した相順と、配線張替前に受信して記憶した相順とを比較することで、無充電状態のままで検相が完了し、工事前の相順状態と同じ相順の配線を確保することができる。
【0020】
なお、単相線間の相を切り替えながら検相用信号を送信するのは、検相用信号が柱上変圧器8を通過でき、低圧配電線7(低圧回路)でも検相することができるからである。
【0021】
受信器6,10の動作を図5のフローチャートを参照しながらさらに詳細に説明する。なお、低圧配電線7に接続される受信器10における受信信号レベルは、高圧配電線1に接続される受信器6における受信信号レベルより柱上変圧器8の変圧比だけ小さくなるので、受信器10ではその分ゲイン切替回路27によりゲインを上げるようレベル切替を行う。
【0022】
配線張替前に検相用信号を受信する際には、CPU31は、ステップ1では、△−Y変換され、A/D変換された検相用信号の取込処理を3相同時に行い、ステップ2ではコムフィルタ(櫛形フィルタ)処理を行う。このコムフィルタ処理については後で詳細に説明する。ステップ3では検相用信号の検出処理を行い、ステップ4にてR,S,Tの3相のいずれか1相で検相用信号を検出したことを判別すると、ステップ5で信号レベル判定処理を行う。この処理は3相のうちのどの1相が最大レベルかを判定すると共に、検相用信号の受信中は表示部33の受信灯(発光ダイオード)を点灯させる。
【0023】
ステップ6では検相用信号の誤りチェックを行うと共に、検相用信号の電文中に含まれる信号注入相のデータを復調して、判定処理する。ステップ7で電文が正常か否かを判別し、正常であれば、ステップ8で最大レベルの相をCPU31内のバッファメモリ或いはレジスタなどに記憶する。そして、今の状態は、記憶釦34、判定釦35のいずれも押されていないので、このフローを終了する。また、ステップ4で検相用信号が検出されていない場合と、ステップ7で電文が正常でない場合には、ごのフローを終了する。
【0024】
CPU31は常時信号取込処理を行っているので、以上のステップ1〜8のルーチンをR,S,Tの3相について受信した順に行う。
【0025】
表示部33の受信灯の点灯状況により工事前の検相用信号の受信が終了したことを受信側操作員が判別すると、受信側操作員は記憶釦34を押す。これにより、CPU31は、ステップ9からステップ10へ進み、CPU31内のバッファメモリ或いはレジスタなどに記憶されたデータ、すなわち、信号注入相と最大レベルの相を不揮発性メモリ32に記憶させる。
【0026】
配線張替後に検相用信号を受信する際には、CPU31は、配線張替前と同様に3相についてステップ1〜8の動作を行う。表示部33の受信灯の点灯状況により工事後の検相用信号の受信が終了したことを受信側操作員が判別すると、受信側操作員は判定釦35を押す。これにより、CPU31は、ステップ9からステップ11を経てステップ12に進み、不揮発性メモリ32から配線張替前の相順を読み出し、それと配線張替後の相順とを照合する。一致していれば、ステップ13にて判定良とし、ステップ14にて表示部33の判定良表示灯を点灯して、判定良表示を行い、一致していなければ、ステップ13にて判定不良とし、ステップ15にて表示部33の判定不良表示灯を点灯して、判定不良表示を行う。
【0027】
本発明による無充電検相器は、停電状態で使用されるが、通常、図1に示されるように、配線張替区間2を充電区間から切り離す開閉器3,4の近傍に設置して使用されることが多い。したがって、隣接する充電区間からの誘導電圧が検相用信号に与える影響を考慮する必要がある。
【0028】
このため、受信器6,10内のCPU31のソフトウェア処理として、コムフィルタ処理(ステップ2)を付加して、商用周波数及びその整数倍の高調波を除去するようにしている。
【0029】
図6は、コムフィルタ処理を示す図である。
【0030】
図6(a)はコムフィルタの等価回路を示し、商用周波数が50Hzの場合は、その1周期である20ms前のA/D変換後のサンプリングデータを引き算することで、図6(b)に示されるように、50Hzの商用周波及びその整数倍の高調波は除去される。
【0031】
ここで、検相用信号の周波数を商用周波数の(N+1/2)倍の周波数(N:整数)とすると、その信号周波数成分はコムフィルタ処理によって逆に約2倍に増幅され、誘導電圧との差が明確となる。例えば、図6(c)に示されるように、検相用信号の周波数に275Hz(商用周波数の5.5倍)を使用した場合には、20ms前と現時点のサンプリングデータは絶対値が等しく、符号が反対であるので、引き算すると、2倍のレベルとなる。
【0032】
本発明による無充電検相器は、主に電力会社が需要家に3相交流電源を供給する場合に、配線ケーブルの劣化や、電流容量の増加のために配線を張り替える工事の際に使用されるが、電力会社に限らず、企業の工場内やオフィスビルなど、3相交流電源を使用している場所の全てに使用可能である。
【0033】
なお、以上の実施形態では、検相用信号は信号注入相のデータによって変調されているものとして説明されているが、信号注入相の順番を予め送信側と受信側とで取り決めておいたり、信号注入相のデータを無線連絡などにより送信側より受信側に連絡したりすれば、検相用信号を変調する必要はない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、3相交流電源回路の配線張替前後の相順を、無充電状態で、高低圧回路の如何にかかわらず検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である無充電検相器が高低圧回路を一括して検相する状態を示す配置図である。
【図2】図1の送信器の内部回路構成例を示すブロック図である。
【図3】図1において、検相用信号が高圧配電線及び低圧配電線の3相交流電源回路上をどのように伝達されるかを表わした図である。
【図4】図1の受信器の内部回路構成例を示すブロック図である。
【図5】図4のCPUの動作例を示すフローチャートである。
【図6】図4のCPUが行うコムフィルタ処理を示す図である。
【符号の説明】
1 高圧配電線(高圧3相交流電源回路)
2 配線張替区間
3,4,12 開閉器
5 送信器
6,10 受信器
7 低圧配電線(低圧3相交流電源回路)
8 柱上変圧器
14 制御回路
15 注入相切替回路
17 信号発生回路
23 △−Y変換回路
24〜26 バンドパスフィルタ
31 CPU
32 不揮発性メモリ

Claims (2)

  1. 高圧3相交流電源回路の配線張替区間の一端に接続され、無充電状態の該配線張替区間の単相線間に相を順次切り換えながら微小な交流信号を張替工事前後に送信する送信器と、前記配線張替区間の他端と前記配線張替区間に設置された変圧器の2次側の少なくとも一方に接続され、前記送信器より順次送信される微小な交流信号を受信し、最大信号受信レベルが得られた相順を張替工事前後で比較することによって検相する受信器とから成る無充電検相器。
  2. 前記微小な交流信号は、該交流信号が送信される相を示すデータによって変調されている請求項1記載の無充電検相器。
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