JP2004020159A - 排ガス処理方法と排ガス処理設備とストーカ式焼却炉 - Google Patents

排ガス処理方法と排ガス処理設備とストーカ式焼却炉 Download PDF

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Abstract

【課題】炉内でのNOxの生成を確実に低減可能にし、下流側に触媒脱硝塔を用いることなく排ガスを浄化可能にする排ガス処理方法と排ガス処理設備とストーカ式焼却炉を提供する。
【解決手段】ストーカ式焼却炉内の一次燃焼ゾーン34の直上かつ排ガスの排出流路途中で水酸化ナトリウム水溶液を供給すると共に、炉内に導入されて還元性ガスとなるガスを導入することにより、炉内から排出される排ガス中の窒素酸化物量を低減する排ガス処理方法。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は排ガス処理方法と排ガス処理設備とストーカ式焼却炉に関し、詳しくは、触媒脱硝塔を用いることなく排ガス中の窒素酸化物を低減可能な排ガス処理方法と排ガス処理設備とこれを備えたストーカ式焼却炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物を燃焼する焼却炉などから発生する排ガスは、一般に、図2に示すような工程を経て、その中に含まれるNOxなどの有害ガスを無害化してから大気に放出される。すなわち、焼却炉41から発生した高温の排ガスは、ボイラ42等の動力源に送給されて熱回収され、熱回収された排ガスは更にエコノマイザー(節炭器)43に送給され、排ガス中の粉塵などを除去するバグフィルター44などの集塵機に送られてある程度清浄化される。排ガスは、バグフィルター44に送給される前に減温塔に送られて温度調整される場合もある。バグフィルター44で清浄化された排ガスは、触媒脱硝塔46に送給される前に、触媒反応の効率を高めるため、再加熱器45に送られて所定温度に加熱される。触媒脱硝塔46で、NOxなどが除去されて清浄化された排ガスは、煙突47に送給されてから大気に放出される。
【0003】
炉内から発生したNOxは、以下のような方式によって無害化されている。
【0004】
(1) 排ガス工程における触媒脱硝塔の上流側からNH を注入することにより、下記の反応式に従い分解する。
【0005】
4NO+4NH +O →4N +6H O
触媒脱硝塔を用いない方式としては、以下の方式がある。
【0006】
(2) 炉内を還元雰囲気とし、NOxの生成を抑制して、排ガスを無害化する。
【0007】
(3) 炉内に、尿素またはアンモニアを吹き込む(無触媒脱硝)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)の方式では、NH の注入により、下記式のように排ガス中のSOxと反応して、酸性硫安(NH HSO )が生成し、触媒脱硝塔の触媒が被毒するため、脱硝性能が低下するという問題がある。
【0009】
NH +O +H O→NH HSO
そのため、定期的に触媒を再生する必要があり、そのための生産性の低下と費用を必要とすることにもなる。
【0010】
(2)の方式では、N からNOに変化する途中の中間生成物であるHCNは、還元雰囲気ではNOとならないため、NOxの生成を抑制することができるが、HCNが存在する限り、その後の炉内の完全燃焼ゾーンで最終的にはNOxを生成するため、NOxの生成を確実に低減することはできない。
【0011】
(3)の方式では、触媒を使用しないため、触媒被毒の問題などは生じないが、吹込み部においてNOと中間生成物であるHCNが混在しており、吹き込んだ尿素またはアンモニアはNOとのみ反応し、HCNが下流側ではNOとなる、という問題がある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、炉内でのNOxの生成を確実に低減可能にし、下流側に触媒脱硝塔を用いることなく排ガスを浄化可能にする、排ガス処理方法と排ガス処理設備とこれを備えたストーカ式焼却炉を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る排ガス処理方法の特徴構成は、
ストーカ式焼却炉内の一次燃焼ゾーンの直上かつ排ガスの排出流路途中でナトリウム系化合物の水溶液を供給すると共に、炉内に導入されて還元性ガスとなるガスを導入することにより、炉内から排出される排ガス中の窒素酸化物量を低減することにある。
【0014】
この構成によれば、炉内での窒素酸化物を大幅に低減できるため、下流側に触媒脱硝塔を設ける必要がなくなり、省スペースを達成できると共に、触媒脱硝塔の操業に基づくランニングコスト、メンテナンスコストが不要になって、排ガス処理コストを効果的に低減できる。
【0015】
すなわち、排ガス中のNOxのような窒素酸化物は、廃棄物中の窒素分と空気中の窒素分子の酸化に起因するもの等が考えられるが、廃棄物を焼却する炉内では大部分の窒素酸化物は廃棄物中の窒素分に由来する。この廃棄物中の窒素分は、生成過程でラジカル反応を繰り返し、HCN,CN,HCNO,HCO,NH等の中間生成物を経て、窒素酸化物となることが判明している。そこで、炉内に導入されて還元性ガスとなるガスを導入すると、このことによってHCN等は低減されず、一時的に増える可能性があるが、少なくとも炉内での酸化による窒素酸化物の発生が確実に抑制され、しかも一時的に増加したHCN等は、ナトリウム系化合物の水溶液を供給することにより効果的に除去され、その結果、下流側の完全燃焼ゾーンでのNOxの生成を極めて少なくできる。この場合、ナトリウム系化合物水溶液のナトリウム系化合物濃度は1〜10%程度でよく、3〜5%程度であることがより好ましい。ナトリウム系化合物水溶液炉内への供給は、噴霧方式が好ましい。反応効率が効果的に高められ、窒素酸化物の除去に優れるからである。
【0016】
前記ナトリウム系化合物として、排ガスの酸性中和処理後の生成物である塩化ナトリウムを利用すると共に、前記還元ガスとして、炭化水素燃料、排出口から排出された排ガス、後燃焼ゾーンから抽出されたガス、のいずれか又はこれらの混合ガスを利用することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、下流側では、排ガス中の塩化水素などの酸性成分を中和すべく、炭酸水素ナトリウムなどの薬剤を供給して中和処理が行われるが、その際に生じた中和生成物である塩化ナトリウムを回収して利用することにより、コストの低減を図れ、同様に炭化水素燃料、排出口から排出された排ガス、後燃焼ゾーンから抽出されたガス等も処理設備から流用あるいは生成するものを利用することから、処理設備全体の処理効率を高くできると共に、排出量を少なくできて都合がよい。
【0018】
前記ナトリウム系化合物の水溶液を供給する箇所より下流側の炉内に、尿素またはアンモニアを導入することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、窒素酸化物の処理効率を一層高くすることができて都合がよい。炉内下流側の導入箇所としては、例えば二次燃焼空気供給設備の供給口より下流側である約800℃程度の温度域が好ましい。
【0020】
又、本発明に係る排ガス処理設備の特徴構成は、ストーカ式焼却炉内の一次燃焼ゾーンの直上かつ排ガスの排出流路途中でナトリウム系化合物の水溶液を供給可能な水溶液供給手段と、炉内に導入されて還元性ガスとなるガスを導入可能なガス導入手段とを有することにある。
【0021】
この構成によれば、炉内でのNOxの生成を確実に低減可能にし、下流側に触媒脱硝塔を用いることなく排ガスを浄化可能にする排ガス処理設備を提供することができる。
【0022】
更に又、本発明に係るストーカ式焼却炉の特徴構成は、請求項4の排ガス処理設備を装着したことにある。
【0023】
この構成によれば、炉内でのNOxの生成を確実に低減可能にし、下流側に触媒脱硝塔を用いることなく排ガスを浄化可能にするストーカ式焼却炉を提供できる。
【0024】
水溶液供給手段より下流側の炉内に、尿素またはアンモニアを導入する導入手段を備えることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、窒素酸化物の処理効率を一層高くすることができる。導入手段の装着箇所としては、例えば二次燃焼空気供給設備の供給口より下流側である約800℃程度の温度域が好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る排ガス処理方法を実施するために用いるストーカ式焼却炉の概略全体構成を示す。
【0027】
このストーカ式焼却炉は、ごみ等の廃棄物を貯留するホッパー1と、このホッパー1内の廃棄物を送るプッシャー4とを設けると共に、プッシャー4により送られてくる廃棄物を燃焼させるストーカ3を炉本体2に設け、一次燃焼ゾーン34に空気を供給する一次燃焼空気供給装置5と、二次燃焼ゾーン35に二次燃焼空気を供給して未燃物または不完全燃焼物を完全燃焼させる二次燃焼空気供給装置6と、灰を排出する灰排出口7とを設けて構成されている。
【0028】
ストーカ3は乾燥ストーカ3Aと燃焼ストーカ3Bと後燃焼ストーカ3Cとからなり、一次燃焼空気供給装置5の送風機30からの一次燃焼空気を通す一次空気ダクト8が、各ストーカ3A,3B,3Cの下方側に連通接続されている。
【0029】
ホッパー1に投入された廃棄物は、乾燥ストーカ3A・燃焼ストーカ3B・後燃焼ストーカ3Cの順に送られながら一次燃焼空気によって一次燃焼する。
【0030】
乾燥ストーカ3Aでは、後段の燃焼ストーカ3B・後燃焼ストーカ3Cでの燃焼により生じる高温燃焼ガスによって主として廃棄物が乾燥し、一部燃焼が始まる。乾燥ストーカ3A上の廃棄物から発生するガスは、水分の蒸発による水蒸気、乾留によって生じる炭化水素ガス、不完全燃焼によって生じる一酸化炭素(CO)などである。
【0031】
燃焼ストーカ3Bでは、一次燃焼空気により主として廃棄物が燃焼する。燃焼ストーカ3Bに供給される一次燃焼空気は、廃棄物の燃焼に必要十分な量であり、燃焼ストーカ3B上の廃棄物から発生するガスは高濃度のNO を含んでいる。
【0032】
後燃焼ストーカ3Cでは、焼却灰中の未燃分の燃え切りを図る。後燃焼ストーカ3Cの上方の後燃焼ゾーン11における燃焼ガスには15〜19%程度の酸素が残っており酸化性雰囲気になっている。
【0033】
後燃焼ガス供給手段16により、ガスの酸素濃度が比較的高い状態にある後燃焼ゾーン11から、高温・高酸素濃度のガスを炉本体2外に抽出すると共に、二次燃焼ゾーン35に噴射し、これにより二次燃焼ゾーン35のガスと混合させ撹拌して、二次燃焼を促進させるよう構成してある。
【0034】
後燃焼ガス供給手段16は、後燃焼ゾーン11側の炉本体2の天井壁にガス抽出口26を形成し、このガス抽出口26と、炉本体2の側壁に形成した複数のガス供給口24A、24Bとをガス管路18で連通接続し、ガス管路18に熱交換器27と送風機28とを設けて構成してある。熱交換器27はガスを冷却する。
【0035】
後燃焼ゾーン11から炉内に導入された抽出ガスは、二次燃焼を促進させるように消費されると共に、残余の還元ガスにより還元ゾーンが形成され、排ガス中の窒素酸化物の生成が確実に抑制される。
【0036】
更に、このストーカ式焼却炉は、ガス供給口24Aの近傍から水酸化ナトリウムや塩化ナトリウム等のナトリウム系化合物の水溶液を炉内に噴霧するようになっている。すなわち、ナトリウム系化合物の水溶液10を圧縮空気などと共に、ガス供給口24Aのやや下方位置の噴出口9から炉内に導入・噴霧する。この噴霧により、炉内に存在するHCNがナトリウム系化合物と反応して効果的に除去されるのである。ここに、ナトリウム系化合物の水溶液10と噴出口9などは、水溶液供給手段を構成する。
【0037】
【実施例】
HCNガスを加熱炉内に導入し、ナトリウム系化合物の水溶液である水酸化ナトリウム水溶液を噴霧して、その除去効果を調べた。1200℃に加熱した炉内の一方側からHCNガスを導入しつつ、その導入口近傍から3%水酸化ナトリウム水溶液をネブライザを用いて炉内に噴霧した。その試験結果を、比較例(水酸化ナトリウム水溶液を噴霧しない)と共に表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004020159
NOx発生量*は、NOとしての値を示し、NO生成率は[NOx発生量(Nとして)/HCNガス導入量(Nとして)]×100として表した。
【0039】
表1から、炉内にHCNガスを導入するとNOx(NOとして)が20%程度発生するが、水酸化ナトリウム水溶液を導入することにより、NOxの生成は著しく低減し、ほぼ確実に抑制されることが分かる。
【0040】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、後燃焼ガス供給手段16により、後燃焼ゾーン11から抽出されたガスを炉内に供給するようにしたが、これに代えて、あるいはこれに加えて、同様な箇所から炭化水素燃料を導入してもよく、更には、本ストーカ式焼却炉の下流側の排出口から排出された排ガスを供給するようにしてもよい。このようにしても、窒素酸化物の低減に関して同様な効果が得られる。
【0041】
(2)ストーカ式焼却炉の下流側での排ガス処理は、湿式、あるいは乾式のいずれで行われてもよく、形式には特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に排ガス処理設備の概略全体構成図
【図2】従来技術に係る排ガス処理方法を説明するブロック図
【符号の説明】
9,10     水溶液供給手段
11       後燃焼ゾーン
24A、24B  ガス導入手段
34       一次燃焼ゾーン

Claims (6)

  1. ストーカ式焼却炉内の一次燃焼ゾーンの直上かつ排ガスの排出流路途中でナトリウム系化合物の水溶液を供給すると共に、炉内に導入されて還元性ガスとなるガスを導入することにより、炉内から排出される排ガス中の窒素酸化物量を低減する排ガス処理方法。
  2. 前記ナトリウム系化合物として、排ガスの酸性中和処理後の生成物である塩化ナトリウムを利用すると共に、炉内に導入される前記ガスとして、炭化水素燃料、排出口から排出された排ガス、後燃焼ゾーンから抽出されたガス、のいずれか又はこれらの混合ガスを利用する請求項1の排ガス処理方法。
  3. 前記ナトリウム系化合物の水溶液を供給する箇所より下流側の炉内に、尿素またはアンモニアを導入する請求項1又は2の排ガス処理方法。
  4. ストーカ式焼却炉内の一次燃焼ゾーンの直上かつ排ガスの排出流路途中でナトリウム系化合物の水溶液を供給可能な水溶液供給手段と、炉内に導入されて還元性ガスとなるガスを導入可能なガス導入手段とを有する排ガス処理設備。
  5. 請求項4の排ガス処理設備を装着したストーカ式焼却炉。
  6. 水溶液供給手段より下流側の炉内に、尿素またはアンモニアを導入する導入手段を備える請求項5のストーカ式焼却炉。
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