JP2004015092A - 福祉器具及び杖 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な操作を必要とせず障害物の認識能力が高い杖を提供する。
【解決手段】杖1は、圧電素子を有し予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサー11と、圧電素子21を有し超音波センサー11の検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(ステータ)23と、圧電素子を有し超音波センサー11の検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザー13と、圧電素子21を有し杖長さを調節するための超音波モータ12とを備える。杖長さを調節するための超音波モータ12におけるステータ23(その圧電素子21)は、情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(その圧電素子)と共用される。
【選択図】 図1
【解決手段】杖1は、圧電素子を有し予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサー11と、圧電素子21を有し超音波センサー11の検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(ステータ)23と、圧電素子を有し超音波センサー11の検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザー13と、圧電素子21を有し杖長さを調節するための超音波モータ12とを備える。杖長さを調節するための超音波モータ12におけるステータ23(その圧電素子21)は、情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(その圧電素子)と共用される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、視覚障害者等が携帯する福祉器具に関し、特に杖に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、視覚障害者(弱視や盲目を含む目の不自由な人)等は、歩行の際に前方の障害物の認識ができなかったり認識するのが遅かったりするため、他人や盲導犬や何らかの(福祉)器具等の助けを得て歩行している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、他人の助けを得る場合、人件費がかかったり気兼ねすることになる。又、盲導犬の助けを得る場合、入手が困難であったり世話がかかることになる。
【0004】
又、白杖(杖)等の福祉器具は、他人や盲導犬の助けを得る場合に比べて安価であり気兼ねや世話といった煩わしさがなく、手軽に扱うことができるが、複雑な操作を要したり障害物の認識能力が低い(杖においては操作して探った足下だけ認識可能)という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、複雑な操作を必要とせず障害物の認識能力が高い福祉器具及び杖を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、圧電素子を有し予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサーと、圧電素子を有し前記超音波センサーの検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材とを備えた福祉器具を要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の福祉器具において、圧電素子を有し前記超音波センサーの検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザーを備えた。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の福祉器具は杖であって、圧電素子を有し杖長さを調節するための超音波モータを備えた。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の杖において、前記超音波モータの圧電素子を、前記圧電振動部材の圧電素子と共用した。
【0009】
請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の杖において、前記超音波モータは、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータであって、その軸方向が杖長さ方向に平行に内蔵される。
【0010】
請求項6に記載の発明では、予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサーと、圧電素子を有し前記超音波センサーの検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザーとを備えた。
【0011】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、圧電素子を有する超音波センサーにて予め設定された所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電振動部材にて前記検知結果に基づいた情報が振動で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した機器を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等(機器)を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、圧電素子を有する圧電ブザーにて前記検知結果に基づいた情報が音で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した圧電ブザーを用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、使用者の使い勝手に応じて圧電素子を有する超音波モータにて杖長さを調節することができる。しかも、圧電素子を利用した超音波モータを用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。更に、超音波モータは、非通電時に保持トルクを有するので、別途杖長さを保持する機構を設けなくても、非通電時に杖長さが変化してしまうことは防止される。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、超音波モータの圧電素子が、圧電振動部材の圧電素子と共用されるため、圧電素子の数を少なくすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、前記超音波モータは、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータであって、その軸方向が杖長さ方向に平行に内蔵されるため、杖長さ直交方向への突出を抑制することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、圧電素子を有する超音波センサーにて予め設定された所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電ブザーにて前記検知結果に基づいた情報が音で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した機器を用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を福祉器具としての杖に具体化した一実施の形態を図1に従って説明する。杖1は、杖本体2と取っ手部材3とを備える。
【0017】
杖本体2は、細長い略円筒形状に形成されている(先端側は図示省略)。杖本体2の上端部(図1中、上端部)の内周には雌ねじ2aが形成されている。又、杖本体2の上端部の外周において、周方向の一部には軸線方向(図1中、上下方向)に延びる案内溝2bが凹設されている。
【0018】
取っ手部材3は、略円筒形状の筒部3aと、筒部3aの上端部(図1中、上端部)から筒部3aの略軸直交方向に延びる取っ手3bとを備える。
筒部3aは、その内径が杖本体2の外径と略同じに設定され、杖本体2を内嵌可能とされている。筒部3aの下端部(図1中、下端部)の内周において、周方向の一部には、軸線方向に延び前記案内溝2bに嵌合可能なピン部3cが凸設されている。又、筒部3aの中間部において、周方向の一部には、径方向に貫通する貫通窓3dが形成されている。
【0019】
取っ手3bは、筒部3aの上端部(図1中、上端部)から筒部3aの略軸直交方向の一方(図1中、左方向)に延びる長延設部3eと、他方(長延設部3eの180°反対側であって、図1中、右方向)に延びる短延設部3fとを備える。長延設部3eは、前記貫通窓3dの貫通する方向と同方向に延設されている。長延設部3eは短延設部3fより長く延設されている。長延設部3eと短延設部3fとは、使用者の手に把持し易いように、湾曲して形成されている。
【0020】
そして、杖1(取っ手部材3)には、超音波センサー11と、超音波モータ12と、圧電ブザー13と、スイッチ14と、制御回路部15とが設けられている。
【0021】
超音波センサー11は、図示しない圧電素子を有し、所定方向に超音波パルスを送信し被測定物からはね返った信号を受信するまでの時間から距離を測定することで、所定方向の障害物を検知するためのものである。この超音波センサー11は、筒部3aの中間部に内蔵され、前記貫通窓3dから外部(貫通窓3dの貫通する方向であって、長延設部3eの延設方向)に前記超音波パルス(図1中、破線矢印で示す)を送信する。そして、超音波センサー11は、図示しない配線等を介して制御回路部15に接続され、はね返ってきた信号を受信すると、その旨を含む信号を制御回路部15に出力する。尚、本実施の形態では、長延設部3eの延設方向であって、貫通窓3dの貫通する方向が前方(進行方向)に設定されている。即ち、この杖1は「使用者は長延設部3eの延設方向が進行方向となるように把持する」という旨の使用方法が定められている。
【0022】
超音波モータ12は、略円柱形状の所謂ボルト締めランジュバン型超音波モータである。超音波モータ12は、圧電素子21を金属ブロック22で挟んで図示しないボルトにて締結されたステータ23と、ステータ23の一端に摺動回転可能に押圧接触されたロータ24とを備える。尚、本実施の形態ではステータ23が圧電振動部材を構成している。圧電素子21は図示しない電極等を介して制御回路部15に接続され、制御回路部15からの高周波電圧に応じて振動する。尚、ステータ23は、種々のモードの共振周波数を有し、押圧接触されるロータ24を正回転されるための正回転モード共振周波数、同ロータ24を逆回転されるための逆回転モード共振周波数、及び同ロータ24を回転させず自身が振動するのみの無回転モード共振周波数を有する。
【0023】
この超音波モータ12は、前記筒部3aの下端側に内蔵されて固定されている。このとき、超音波モータ12は、その略円柱形状の軸方向が杖1の長さ方向(図1中、上下方向)に平行に内蔵される。そして、ロータ24には下方に突出する出力軸25が連結されている。この出力軸25には、前記杖本体2の雌ねじ2aに螺合可能な雄ねじ25aが形成されている。そして、杖本体2は、その上端部が筒部3aに内嵌されるとともにその案内溝2bにピン部3cが嵌合され、更にその雌ねじ2aに雄ねじ25aが螺合されることで、取っ手部材3に対して連結されている。
【0024】
圧電ブザー13は、図示しない圧電素子を有し、入力されるブザー信号(高周波電圧)に応じて圧電素子が振動し(正逆の反りを繰り返し)、その振動により音(ブザー音)を発生する。圧電ブザー13は、前記筒部3aの上端部に内蔵され、図示しない配線を介して制御回路部15に接続され、該制御回路部15からのブザー信号(高周波電圧)に応じて音(ブザー音)を発生する。
【0025】
スイッチ14は、前記筒部3aの中間部に露出して設けられている。スイッチ14は、上下(図1中、上下であって、杖1の長手方向)に対応したシーソースイッチであって、上側スイッチ14aと下側スイッチ14bとを備える。このスイッチ14は、図示しない配線を介して制御回路部15に接続され、上側スイッチ14a又は下側スイッチ14bが押圧されると、その旨を含む信号を制御回路部15に出力する。
【0026】
制御回路部15は、前記筒部3aの上側に内蔵されている。制御回路部15は、超音波センサー11からの信号に応じて所定方向に障害物があるか否かを判定し、障害物があると判定すると、超音波モータ12のステータ23の圧電素子21に無回転モード共振周波数の高周波電圧を供給するとともに、圧電ブザー13にブザー信号を出力する。又、制御回路部15は、スイッチ14(上側スイッチ14a又は下側スイッチ14b)からの信号に応じて、超音波モータ12のステータ23の圧電素子21に正回転モード共振周波数、又は逆回転モード共振周波数の高周波電圧を供給する。
【0027】
このように構成された杖1では、使用者にて上側スイッチ14a又は下側スイッチ14bが押圧されると、超音波モータ12のステータ23の圧電素子21に正回転モード共振周波数、又は逆回転モード共振周波数の高周波電圧が供給され、ロータ24とともに出力軸25が正回転又は逆回転される。すると、案内溝2bにピン部3cが嵌合されることで取っ手部材3に対する杖本体2の回転が規制されていることと、出力軸25の雄ねじ25aが杖本体2の雌ねじ2aに螺合されていることから、取っ手部材3に対して杖本体2が軸線方向(図1中、上下方向)に移動される。これにより、杖1は、使用者の使い勝手に応じた杖長さに調節される。
【0028】
又、上記杖1では、超音波センサー11の信号に応じて所定方向(図1中、左方向であって、使用者の前方(進行方向))に障害物があると判定されると、前記ステータ23の圧電素子21に無回転モード共振周波数の高周波電圧が供給され、ロータ24が回転せずにステータ23が振動する。すると、その振動は取っ手部材3(取っ手3b)を把持した使用者に伝達される。又、このとき、圧電ブザー13にブザー信号が入力され、該ブザー信号に応じて音(ブザー音)が発生される。すると、その音は使用者に伝達される。よって、主に視覚障害者(弱視や盲目を含む目の不自由な人)である使用者が、前方(進行方向)に障害物があると判定されたことを知ることができる。
【0029】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)圧電素子を有する超音波センサー11にて予め設定された所定方向(図1中、左方向であって、使用者の前方(進行方向))の障害物が検知されると、圧電素子21を有するステータ23にて検知結果に基づいた情報が振動で使用者に伝達される。よって、従来技術の杖のように手で操作して足下を探るといった複雑(面倒)な操作を必要としない。しかも、従来技術の杖のように足下のみならず、予め設定された所定方向の障害物を認識することができる。又、このように圧電素子21を利用した機器(超音波センサー11や超音波モータ12)を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等(機器)を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。又、情報が振動で使用者に伝達されるため、騒音の激しい場所や聴覚障害者であっても前記情報を認識することができる。
【0030】
(2)圧電素子を有する圧電ブザー13にて前記検知結果に基づいた情報が音で使用者に伝達される。よって、前記情報が振動及び音の双方で使用者に伝達され、非伝達となることが防止される。又、このように圧電素子を利用した圧電ブザー13を用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。
【0031】
(3)使用者の使い勝手に応じて超音波モータ12にて杖長さを調節することができる。しかも、圧電素子21を利用した超音波モータ12を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。更に、超音波モータ12は、ステータ23とロータ24が押圧接触されることで高周波電圧が供給されていないとき(非通電時)に保持トルクを有する。よって、別途、杖長さを保持する機構を設けなくても、非通電時に杖長さが変化してしまうことは防止される。
【0032】
(4)杖長さを調節するための超音波モータ12におけるステータ23(その圧電素子21)は、前記情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(その圧電素子)と共用される。よって、圧電素子21の数を少なくすることができる。その結果、装置全体の小型化が可能となり、配置が容易となり、又、部品管理が容易となり、更に低コスト化を図ることができる。
【0033】
(5)超音波モータ12は、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータであって、その軸方向が杖長さ方向に平行に内蔵されるため、杖長さ直交方向への突出を抑制することができる。言い換えると、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータを用い、その軸方向を杖長さ方向に平行に内蔵したため、超音波モータ12を設けるために杖から杖長さ直交方向への突出部(収容部)を設けたり、杖の直径を大幅に太くしなくてもよくなる(極力細くすることができる)。
【0034】
(6)杖1(取っ手部材3)は、杖長さ直交方向における一方(図1中、左方向)を触感で認識可能な取っ手3b(長延設部3e)を備える。そして、その一方(図1中、左方向)に超音波センサー11が測定する所定方向(超音波パルスを送信する方向であって、貫通窓3dが形成される方向)が対応されている。よって、使用者は取っ手3b(長延設部3e)にて触感で容易に(普通に把持しているだけで)障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0035】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、杖1は、圧電ブザー13を備えるとしたが、圧電ブザー13を除いた構成としてもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(3)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0036】
・上記実施の形態では、杖長さを調節するための超音波モータ12を備えるとしたが、超音波モータ12を除いた構成としてもよい。この場合、超音波モータ12に換えて、圧電素子を有し前記検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材を設ける必要がある。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(2)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0037】
・上記実施の形態では、杖長さを調節するための超音波モータ12におけるステータ23(その圧電素子21)を、前記情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(その圧電素子)と共用したが、ステータ23(その圧電素子21)と圧電振動部材(その圧電素子)とを別体でそれぞれ設けてもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(3)、(5)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0038】
・上記実施の形態では、超音波モータ12を、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータとし、その軸方向を杖長さ方向に平行に内蔵したが、他の超音波モータ(例えば進行波扁平型超音波モータ)に変更してもよいし、他の方向を向けて内蔵してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(4)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0039】
・上記実施の形態では、杖1に杖長さ直交方向における一方(図1中、左方向)を触感で認識可能な取っ手3b(長延設部3e)を備え、その一方(図1中、左方向)に超音波センサー11が測定する所定方向を対応させたが、前記所定方向を何らかの構成により触感で認識可能とすれば他の構成に変更してもよい。例えば、取っ手部材3の筒部3aに前記所定方向と対応した突起を設けてもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(5)と同様の効果を得ることができ、使用者は突起にて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0040】
・上記実施の形態では、杖1は、検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達する(ステータ23を備える)としたが、振動では伝達せずに音(圧電ブザー13)のみで伝達するようにしてもよい。このようにしても、従来技術の杖のように手で操作して足下を探るといった複雑(面倒)な操作を必要としない。しかも、従来技術の杖のように足下のみならず、予め設定された所定方向の障害物を認識することができる。又、このように圧電素子21を利用した機器(超音波センサー11や圧電ブザー13)を用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。
【0041】
・上記実施の形態では、杖1に具体化したが、圧電素子を有し予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサーと、圧電素子を有し超音波センサーの検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材とを備えた他の福祉器具に具体化してもよい。
【0042】
例えば、図2に示すように、帽子31に具体化してもよい。帽子31は、超音波センサー32と、圧電振動部材33と、制御回路部34とを備える。帽子31には、使用者の被り方向(帽子31を被る方向であって、図2中、上下方向)直交方向における一方を触感で認識可能な鍔部31aが形成されている。超音波センサー32は、図示しない圧電素子を有し、所定方向に超音波パルスを送信し被測定物からはね返った信号を受信するまでの時間から距離を測定することで、所定方向の障害物を検知するためのものである。そして、超音波センサー32は、前記一方(鍔部31aの延出方向)に前記所定方向が対応するように、帽子31に内蔵されている。圧電振動部材33は、図示しない圧電素子を有し超音波センサーの検知結果(詳しくは制御回路部34での検知(判定)結果)に基づいた情報を振動で使用者に伝達するためのものである。
【0043】
このように構成された帽子31では、超音波センサー32の信号に応じて所定方向(図2中、紙面手前方向であって、使用者の前方(進行方向))に障害物があると判定されると、圧電振動部材33の圧電素子に高周波電圧が供給され、該圧電振動部材33が振動する。すると、その振動は帽子31を被った使用者に伝達される。よって、主に視覚障害者(弱視や盲目を含む目の不自由な人)である使用者が、前方(進行方向)に障害物があると判定されたことを知ることができる。
【0044】
このようにしても、予め設定された所定方向の障害物を認識することができる。又、このように圧電素子を利用した機器(超音波センサー32や圧電振動部材33)を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等(機器)を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。又、情報が振動で使用者に伝達されるため、騒音の激しい場所や聴覚障害者であっても前記情報を認識することができる。又、使用者は鍔部31aにて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0045】
・上記実施の形態では、予め設定された所定方向の障害物を検知するために超音波センサー11,32を備えるとしたが、超音波センサー11,32をCCDカメラに変更してもよい。又、超音波センサー11,32とCCDカメラを共に備えて実施してもよい。尚、この場合、CCDカメラで得た画像データから障害物であるか否かを判定するための画像認識手段(回路)等を設ける必要がある。このようにしても、CCDカメラにて所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電振動部材(圧電ブザー)にて前記検知結果に基づいた情報が振動(音)で使用者に伝達される。
【0046】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項3乃至5のいずれかに記載の杖において、杖長さ直交方向における一方を触感で認識可能な取っ手を備え、その一方に前記所定方向を対応させたことを特徴とする杖。このようにすると、使用者は取っ手にて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0047】
(ロ)請求項1、2、6のいずれかに記載の福祉器具は帽子であって、被り方向の直交方向における一方を触感で認識可能な鍔部を備え、その一方に前記所定方向を対応させたことを特徴とする帽子。このようにすると、使用者は鍔部にて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0048】
(ハ)予め設定された所定方向の障害物を検知するためのCCDカメラと、圧電素子を有し前記CCDカメラの検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材とを備えたことを特徴とする福祉器具。このようにすると、CCDカメラにて予め設定された所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電振動部材にて前記検知結果に基づいた情報が振動で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した圧電振動部材を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1及び2に記載の発明によれば、複雑な操作を必要とせず障害物の認識能力が高い福祉器具を提供することができる。
【0050】
又、請求項3〜6に記載の発明によれば、複雑な操作を必要とせず障害物の認識能力が高い杖を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における杖の要部断面図。
【図2】別例における帽子を説明するための説明図。
【符号の説明】
11,32…超音波センサー、12…超音波モータ、13…圧電ブザー、21…圧電素子、23…圧電振動部材としてのステータ、33…圧電振動部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、視覚障害者等が携帯する福祉器具に関し、特に杖に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、視覚障害者(弱視や盲目を含む目の不自由な人)等は、歩行の際に前方の障害物の認識ができなかったり認識するのが遅かったりするため、他人や盲導犬や何らかの(福祉)器具等の助けを得て歩行している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、他人の助けを得る場合、人件費がかかったり気兼ねすることになる。又、盲導犬の助けを得る場合、入手が困難であったり世話がかかることになる。
【0004】
又、白杖(杖)等の福祉器具は、他人や盲導犬の助けを得る場合に比べて安価であり気兼ねや世話といった煩わしさがなく、手軽に扱うことができるが、複雑な操作を要したり障害物の認識能力が低い(杖においては操作して探った足下だけ認識可能)という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、複雑な操作を必要とせず障害物の認識能力が高い福祉器具及び杖を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、圧電素子を有し予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサーと、圧電素子を有し前記超音波センサーの検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材とを備えた福祉器具を要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の福祉器具において、圧電素子を有し前記超音波センサーの検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザーを備えた。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の福祉器具は杖であって、圧電素子を有し杖長さを調節するための超音波モータを備えた。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の杖において、前記超音波モータの圧電素子を、前記圧電振動部材の圧電素子と共用した。
【0009】
請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の杖において、前記超音波モータは、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータであって、その軸方向が杖長さ方向に平行に内蔵される。
【0010】
請求項6に記載の発明では、予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサーと、圧電素子を有し前記超音波センサーの検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザーとを備えた。
【0011】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、圧電素子を有する超音波センサーにて予め設定された所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電振動部材にて前記検知結果に基づいた情報が振動で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した機器を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等(機器)を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、圧電素子を有する圧電ブザーにて前記検知結果に基づいた情報が音で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した圧電ブザーを用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、使用者の使い勝手に応じて圧電素子を有する超音波モータにて杖長さを調節することができる。しかも、圧電素子を利用した超音波モータを用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。更に、超音波モータは、非通電時に保持トルクを有するので、別途杖長さを保持する機構を設けなくても、非通電時に杖長さが変化してしまうことは防止される。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、超音波モータの圧電素子が、圧電振動部材の圧電素子と共用されるため、圧電素子の数を少なくすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、前記超音波モータは、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータであって、その軸方向が杖長さ方向に平行に内蔵されるため、杖長さ直交方向への突出を抑制することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、圧電素子を有する超音波センサーにて予め設定された所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電ブザーにて前記検知結果に基づいた情報が音で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した機器を用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を福祉器具としての杖に具体化した一実施の形態を図1に従って説明する。杖1は、杖本体2と取っ手部材3とを備える。
【0017】
杖本体2は、細長い略円筒形状に形成されている(先端側は図示省略)。杖本体2の上端部(図1中、上端部)の内周には雌ねじ2aが形成されている。又、杖本体2の上端部の外周において、周方向の一部には軸線方向(図1中、上下方向)に延びる案内溝2bが凹設されている。
【0018】
取っ手部材3は、略円筒形状の筒部3aと、筒部3aの上端部(図1中、上端部)から筒部3aの略軸直交方向に延びる取っ手3bとを備える。
筒部3aは、その内径が杖本体2の外径と略同じに設定され、杖本体2を内嵌可能とされている。筒部3aの下端部(図1中、下端部)の内周において、周方向の一部には、軸線方向に延び前記案内溝2bに嵌合可能なピン部3cが凸設されている。又、筒部3aの中間部において、周方向の一部には、径方向に貫通する貫通窓3dが形成されている。
【0019】
取っ手3bは、筒部3aの上端部(図1中、上端部)から筒部3aの略軸直交方向の一方(図1中、左方向)に延びる長延設部3eと、他方(長延設部3eの180°反対側であって、図1中、右方向)に延びる短延設部3fとを備える。長延設部3eは、前記貫通窓3dの貫通する方向と同方向に延設されている。長延設部3eは短延設部3fより長く延設されている。長延設部3eと短延設部3fとは、使用者の手に把持し易いように、湾曲して形成されている。
【0020】
そして、杖1(取っ手部材3)には、超音波センサー11と、超音波モータ12と、圧電ブザー13と、スイッチ14と、制御回路部15とが設けられている。
【0021】
超音波センサー11は、図示しない圧電素子を有し、所定方向に超音波パルスを送信し被測定物からはね返った信号を受信するまでの時間から距離を測定することで、所定方向の障害物を検知するためのものである。この超音波センサー11は、筒部3aの中間部に内蔵され、前記貫通窓3dから外部(貫通窓3dの貫通する方向であって、長延設部3eの延設方向)に前記超音波パルス(図1中、破線矢印で示す)を送信する。そして、超音波センサー11は、図示しない配線等を介して制御回路部15に接続され、はね返ってきた信号を受信すると、その旨を含む信号を制御回路部15に出力する。尚、本実施の形態では、長延設部3eの延設方向であって、貫通窓3dの貫通する方向が前方(進行方向)に設定されている。即ち、この杖1は「使用者は長延設部3eの延設方向が進行方向となるように把持する」という旨の使用方法が定められている。
【0022】
超音波モータ12は、略円柱形状の所謂ボルト締めランジュバン型超音波モータである。超音波モータ12は、圧電素子21を金属ブロック22で挟んで図示しないボルトにて締結されたステータ23と、ステータ23の一端に摺動回転可能に押圧接触されたロータ24とを備える。尚、本実施の形態ではステータ23が圧電振動部材を構成している。圧電素子21は図示しない電極等を介して制御回路部15に接続され、制御回路部15からの高周波電圧に応じて振動する。尚、ステータ23は、種々のモードの共振周波数を有し、押圧接触されるロータ24を正回転されるための正回転モード共振周波数、同ロータ24を逆回転されるための逆回転モード共振周波数、及び同ロータ24を回転させず自身が振動するのみの無回転モード共振周波数を有する。
【0023】
この超音波モータ12は、前記筒部3aの下端側に内蔵されて固定されている。このとき、超音波モータ12は、その略円柱形状の軸方向が杖1の長さ方向(図1中、上下方向)に平行に内蔵される。そして、ロータ24には下方に突出する出力軸25が連結されている。この出力軸25には、前記杖本体2の雌ねじ2aに螺合可能な雄ねじ25aが形成されている。そして、杖本体2は、その上端部が筒部3aに内嵌されるとともにその案内溝2bにピン部3cが嵌合され、更にその雌ねじ2aに雄ねじ25aが螺合されることで、取っ手部材3に対して連結されている。
【0024】
圧電ブザー13は、図示しない圧電素子を有し、入力されるブザー信号(高周波電圧)に応じて圧電素子が振動し(正逆の反りを繰り返し)、その振動により音(ブザー音)を発生する。圧電ブザー13は、前記筒部3aの上端部に内蔵され、図示しない配線を介して制御回路部15に接続され、該制御回路部15からのブザー信号(高周波電圧)に応じて音(ブザー音)を発生する。
【0025】
スイッチ14は、前記筒部3aの中間部に露出して設けられている。スイッチ14は、上下(図1中、上下であって、杖1の長手方向)に対応したシーソースイッチであって、上側スイッチ14aと下側スイッチ14bとを備える。このスイッチ14は、図示しない配線を介して制御回路部15に接続され、上側スイッチ14a又は下側スイッチ14bが押圧されると、その旨を含む信号を制御回路部15に出力する。
【0026】
制御回路部15は、前記筒部3aの上側に内蔵されている。制御回路部15は、超音波センサー11からの信号に応じて所定方向に障害物があるか否かを判定し、障害物があると判定すると、超音波モータ12のステータ23の圧電素子21に無回転モード共振周波数の高周波電圧を供給するとともに、圧電ブザー13にブザー信号を出力する。又、制御回路部15は、スイッチ14(上側スイッチ14a又は下側スイッチ14b)からの信号に応じて、超音波モータ12のステータ23の圧電素子21に正回転モード共振周波数、又は逆回転モード共振周波数の高周波電圧を供給する。
【0027】
このように構成された杖1では、使用者にて上側スイッチ14a又は下側スイッチ14bが押圧されると、超音波モータ12のステータ23の圧電素子21に正回転モード共振周波数、又は逆回転モード共振周波数の高周波電圧が供給され、ロータ24とともに出力軸25が正回転又は逆回転される。すると、案内溝2bにピン部3cが嵌合されることで取っ手部材3に対する杖本体2の回転が規制されていることと、出力軸25の雄ねじ25aが杖本体2の雌ねじ2aに螺合されていることから、取っ手部材3に対して杖本体2が軸線方向(図1中、上下方向)に移動される。これにより、杖1は、使用者の使い勝手に応じた杖長さに調節される。
【0028】
又、上記杖1では、超音波センサー11の信号に応じて所定方向(図1中、左方向であって、使用者の前方(進行方向))に障害物があると判定されると、前記ステータ23の圧電素子21に無回転モード共振周波数の高周波電圧が供給され、ロータ24が回転せずにステータ23が振動する。すると、その振動は取っ手部材3(取っ手3b)を把持した使用者に伝達される。又、このとき、圧電ブザー13にブザー信号が入力され、該ブザー信号に応じて音(ブザー音)が発生される。すると、その音は使用者に伝達される。よって、主に視覚障害者(弱視や盲目を含む目の不自由な人)である使用者が、前方(進行方向)に障害物があると判定されたことを知ることができる。
【0029】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)圧電素子を有する超音波センサー11にて予め設定された所定方向(図1中、左方向であって、使用者の前方(進行方向))の障害物が検知されると、圧電素子21を有するステータ23にて検知結果に基づいた情報が振動で使用者に伝達される。よって、従来技術の杖のように手で操作して足下を探るといった複雑(面倒)な操作を必要としない。しかも、従来技術の杖のように足下のみならず、予め設定された所定方向の障害物を認識することができる。又、このように圧電素子21を利用した機器(超音波センサー11や超音波モータ12)を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等(機器)を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。又、情報が振動で使用者に伝達されるため、騒音の激しい場所や聴覚障害者であっても前記情報を認識することができる。
【0030】
(2)圧電素子を有する圧電ブザー13にて前記検知結果に基づいた情報が音で使用者に伝達される。よって、前記情報が振動及び音の双方で使用者に伝達され、非伝達となることが防止される。又、このように圧電素子を利用した圧電ブザー13を用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。
【0031】
(3)使用者の使い勝手に応じて超音波モータ12にて杖長さを調節することができる。しかも、圧電素子21を利用した超音波モータ12を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。更に、超音波モータ12は、ステータ23とロータ24が押圧接触されることで高周波電圧が供給されていないとき(非通電時)に保持トルクを有する。よって、別途、杖長さを保持する機構を設けなくても、非通電時に杖長さが変化してしまうことは防止される。
【0032】
(4)杖長さを調節するための超音波モータ12におけるステータ23(その圧電素子21)は、前記情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(その圧電素子)と共用される。よって、圧電素子21の数を少なくすることができる。その結果、装置全体の小型化が可能となり、配置が容易となり、又、部品管理が容易となり、更に低コスト化を図ることができる。
【0033】
(5)超音波モータ12は、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータであって、その軸方向が杖長さ方向に平行に内蔵されるため、杖長さ直交方向への突出を抑制することができる。言い換えると、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータを用い、その軸方向を杖長さ方向に平行に内蔵したため、超音波モータ12を設けるために杖から杖長さ直交方向への突出部(収容部)を設けたり、杖の直径を大幅に太くしなくてもよくなる(極力細くすることができる)。
【0034】
(6)杖1(取っ手部材3)は、杖長さ直交方向における一方(図1中、左方向)を触感で認識可能な取っ手3b(長延設部3e)を備える。そして、その一方(図1中、左方向)に超音波センサー11が測定する所定方向(超音波パルスを送信する方向であって、貫通窓3dが形成される方向)が対応されている。よって、使用者は取っ手3b(長延設部3e)にて触感で容易に(普通に把持しているだけで)障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0035】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、杖1は、圧電ブザー13を備えるとしたが、圧電ブザー13を除いた構成としてもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(3)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0036】
・上記実施の形態では、杖長さを調節するための超音波モータ12を備えるとしたが、超音波モータ12を除いた構成としてもよい。この場合、超音波モータ12に換えて、圧電素子を有し前記検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材を設ける必要がある。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(2)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0037】
・上記実施の形態では、杖長さを調節するための超音波モータ12におけるステータ23(その圧電素子21)を、前記情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(その圧電素子)と共用したが、ステータ23(その圧電素子21)と圧電振動部材(その圧電素子)とを別体でそれぞれ設けてもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(3)、(5)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0038】
・上記実施の形態では、超音波モータ12を、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータとし、その軸方向を杖長さ方向に平行に内蔵したが、他の超音波モータ(例えば進行波扁平型超音波モータ)に変更してもよいし、他の方向を向けて内蔵してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(4)、(6)と同様の効果を得ることができる。
【0039】
・上記実施の形態では、杖1に杖長さ直交方向における一方(図1中、左方向)を触感で認識可能な取っ手3b(長延設部3e)を備え、その一方(図1中、左方向)に超音波センサー11が測定する所定方向を対応させたが、前記所定方向を何らかの構成により触感で認識可能とすれば他の構成に変更してもよい。例えば、取っ手部材3の筒部3aに前記所定方向と対応した突起を設けてもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(5)と同様の効果を得ることができ、使用者は突起にて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0040】
・上記実施の形態では、杖1は、検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達する(ステータ23を備える)としたが、振動では伝達せずに音(圧電ブザー13)のみで伝達するようにしてもよい。このようにしても、従来技術の杖のように手で操作して足下を探るといった複雑(面倒)な操作を必要としない。しかも、従来技術の杖のように足下のみならず、予め設定された所定方向の障害物を認識することができる。又、このように圧電素子21を利用した機器(超音波センサー11や圧電ブザー13)を用いたことにより、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。
【0041】
・上記実施の形態では、杖1に具体化したが、圧電素子を有し予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサーと、圧電素子を有し超音波センサーの検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材とを備えた他の福祉器具に具体化してもよい。
【0042】
例えば、図2に示すように、帽子31に具体化してもよい。帽子31は、超音波センサー32と、圧電振動部材33と、制御回路部34とを備える。帽子31には、使用者の被り方向(帽子31を被る方向であって、図2中、上下方向)直交方向における一方を触感で認識可能な鍔部31aが形成されている。超音波センサー32は、図示しない圧電素子を有し、所定方向に超音波パルスを送信し被測定物からはね返った信号を受信するまでの時間から距離を測定することで、所定方向の障害物を検知するためのものである。そして、超音波センサー32は、前記一方(鍔部31aの延出方向)に前記所定方向が対応するように、帽子31に内蔵されている。圧電振動部材33は、図示しない圧電素子を有し超音波センサーの検知結果(詳しくは制御回路部34での検知(判定)結果)に基づいた情報を振動で使用者に伝達するためのものである。
【0043】
このように構成された帽子31では、超音波センサー32の信号に応じて所定方向(図2中、紙面手前方向であって、使用者の前方(進行方向))に障害物があると判定されると、圧電振動部材33の圧電素子に高周波電圧が供給され、該圧電振動部材33が振動する。すると、その振動は帽子31を被った使用者に伝達される。よって、主に視覚障害者(弱視や盲目を含む目の不自由な人)である使用者が、前方(進行方向)に障害物があると判定されたことを知ることができる。
【0044】
このようにしても、予め設定された所定方向の障害物を認識することができる。又、このように圧電素子を利用した機器(超音波センサー32や圧電振動部材33)を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等(機器)を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。その結果、病院等の医療施設での使用が制限され難くなる。又、情報が振動で使用者に伝達されるため、騒音の激しい場所や聴覚障害者であっても前記情報を認識することができる。又、使用者は鍔部31aにて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0045】
・上記実施の形態では、予め設定された所定方向の障害物を検知するために超音波センサー11,32を備えるとしたが、超音波センサー11,32をCCDカメラに変更してもよい。又、超音波センサー11,32とCCDカメラを共に備えて実施してもよい。尚、この場合、CCDカメラで得た画像データから障害物であるか否かを判定するための画像認識手段(回路)等を設ける必要がある。このようにしても、CCDカメラにて所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電振動部材(圧電ブザー)にて前記検知結果に基づいた情報が振動(音)で使用者に伝達される。
【0046】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項3乃至5のいずれかに記載の杖において、杖長さ直交方向における一方を触感で認識可能な取っ手を備え、その一方に前記所定方向を対応させたことを特徴とする杖。このようにすると、使用者は取っ手にて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0047】
(ロ)請求項1、2、6のいずれかに記載の福祉器具は帽子であって、被り方向の直交方向における一方を触感で認識可能な鍔部を備え、その一方に前記所定方向を対応させたことを特徴とする帽子。このようにすると、使用者は鍔部にて触感で容易に障害物を検知する方向である所定方向を認識することができる。
【0048】
(ハ)予め設定された所定方向の障害物を検知するためのCCDカメラと、圧電素子を有し前記CCDカメラの検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材とを備えたことを特徴とする福祉器具。このようにすると、CCDカメラにて予め設定された所定方向の障害物が検知されると、圧電素子を有する圧電振動部材にて前記検知結果に基づいた情報が振動で使用者に伝達される。このように圧電素子を利用した圧電振動部材を用いたことにより、例えば永久磁石とコイルを有するモータを利用した振動部材等を用いた場合に比べて、強い電磁波の発生を抑制することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1及び2に記載の発明によれば、複雑な操作を必要とせず障害物の認識能力が高い福祉器具を提供することができる。
【0050】
又、請求項3〜6に記載の発明によれば、複雑な操作を必要とせず障害物の認識能力が高い杖を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における杖の要部断面図。
【図2】別例における帽子を説明するための説明図。
【符号の説明】
11,32…超音波センサー、12…超音波モータ、13…圧電ブザー、21…圧電素子、23…圧電振動部材としてのステータ、33…圧電振動部材。
Claims (6)
- 圧電素子を有し予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサー(11,32)と、
圧電素子(21)を有し前記超音波センサー(11,32)の検知結果に基づいた情報を振動で使用者に伝達するための圧電振動部材(23,33)と
を備えたことを特徴とする福祉器具。 - 請求項1に記載の福祉器具において、
圧電素子を有し前記超音波センサー(11,32)の検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザー(13)を備えたことを特徴とする福祉器具。 - 請求項1又は2に記載の福祉器具は杖であって、
圧電素子(21)を有し杖長さを調節するための超音波モータ(12)を備えたことを特徴とする杖。 - 請求項3に記載の杖において、
前記超音波モータ(12)の圧電素子(21)を、前記圧電振動部材(23)の圧電素子と共用したことを特徴とする杖。 - 請求項3又は4に記載の杖において、
前記超音波モータ(12)は、略円柱形状のボルト締めランジュバン型超音波モータであって、その軸方向が杖長さ方向に平行に内蔵されることを特徴とする杖。 - 予め設定された所定方向の障害物を検知するための超音波センサー(11)と、
圧電素子を有し前記超音波センサー(11)の検知結果に基づいた情報を音で使用者に伝達するための圧電ブザー(13)と
を備えたことを特徴とする福祉器具。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017123715A (ja) * | 2016-01-06 | 2017-07-13 | セイコーエプソン株式会社 | 駆動装置、およびロボット |
-
2002
- 2002-06-03 JP JP2002161541A patent/JP2004015092A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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