JP2004014364A - 電磁継電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】接点同士の溶着や消耗を防止することができる電磁継電器の提供。
【解決手段】(1)固定接点11と可動接点12とからなる接点対を2対直列に有する両切りの電磁継電器10において、2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料Aとした。(2)2対の接点対とも、固定接点11と可動接点の12うちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料Bとした。
【選択図】 図1
【解決手段】(1)固定接点11と可動接点12とからなる接点対を2対直列に有する両切りの電磁継電器10において、2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料Aとした。(2)2対の接点対とも、固定接点11と可動接点の12うちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料Bとした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁継電器に関し、とくに接点の溶着や消耗防止をはかった電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すような、固定接点と可動接点とからなる接点対を2対直列に配した構造の電磁継電器1は、従来、知られている。従来の電磁継電器1では、消耗溶着を回避するため、すべての接点をタングステンとした場合、接触抵抗が増加してしまうので、固定接点の材料Aと可動接点の材料Bを互いに異ならせてある。ただし、図3中、左右の固定接点同士は同じ材料Aとされ、左右の可動接点同士は同じ材料Bとされている。たとえば、固定接点の材料Aはタングステン、可動接点の材料Bは銅・タングステンである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電磁継電器にはつぎの問題点(課題)がある。
2対の接点対のうち片方の接点対では、アーク発生時に、固定接点と可動接点との溶着や消耗の問題が生じる。すなわち、マイナス側の接点対では、アーク発生時、固定接点から電子が飛び出し、電子を受ける側の可動接点からは金属イオンが飛び出し(スパッタリング現象)、飛び出した金属イオンが固定接点表面に付着して、固定接点の表面と可動接点が同じ材料になって溶着しやすくなる。また、一部は周辺に飛散するため消耗が起きる。そして、電磁継電器入り時のバウンド時などにおいて、アークによる高温と接触抵抗発熱による温度上昇とにより、表面が同じ材料となった両接点の表面が溶けた時に、接点同士が溶着を起こしてしまう。
本発明の目的は、従来よりも、接点同士の溶着や消耗を防止することができる電磁継電器を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定接点と可動接点とからなる接点対を2対直列に有する両切りの電磁継電器において、
前記2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料としたことを特徴とする電磁継電器。
(2) 前記2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料とした(1)記載の電磁継電器。
【0005】
上記(1)の電磁継電器では、2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料(電子陽イオンを受けた時に金属イオンを出しにくい材料、硬い材料で、たとえば、タングステン)としたので(従来、2対の接点対のうち溶着を起こしやすい側の接点対の、固定接点と可動接点の材料を従来と逆にしたので)、アーク発生時においても、電子を放出する接点側への接点材料Aの転移が従来に比べて起こりにくくなり、転移によって固定接点の表面と可動接点とが同じ材料Aになることが防止され、接点同士の溶着が起こりにくくなる。
上記(2)の電磁継電器では、電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料B(上記材料Aより柔らかい材料を含む材料、たとえば、柔らかい材料である銅を含んだタングステン)としたので、接触抵抗による発熱を小にでき、アーク発生時の接点同士の溶着はさらに起こりにくくなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の電磁継電器の実施例を図1、図2を参照して、説明する。
まず、本発明実施例の電磁継電器の全体構造を説明する。
本発明実施例の電磁継電器10は、図1に示すように、固定接点11と可動接点12とからなる接点対を2対(図1のように電流が流れる時の、プラス側の接点対と−側の接点対との2対)直列に有する両切りの電磁継電器からなる。
【0007】
電磁継電器10は、図2に示すように、接点室アッセンブリ10aとコイルアッセンブリ10bとを有する。
接点室アッセンブリ10aは、熱伝達の良好なガス(たとえば、水素、炭酸ガスなど)を密封したカプセル13と、カプセル13内に配置された左右の固定接点11と、左右の固定接点11が取り付けられる固定接点台座14と、左右の固定接点11に対して接近・離反可能な左右の可動接点12と、可動接点12を支持し可動接点12を固定接点11に対して接近・離反させる可動接点支持体15を、有する。
【0008】
コイルアッセンブリ10bは、コアを励磁するコイル21と、固定コア22と、固定コア22に対して進退される可動コア23と、可動コア23の動きを可動接点支持体15に伝えるプランジャロッド24と、可動コア23を、常時、可動接点12を固定接点12から離す方向に付勢するバネ25を、有する。
コイル21に電流を流すと、可動コア23が固定コア22に吸着され、可動接点12が固定接点11に当接され、電磁継電器は入りとなる。この時、可動接点12が固定接点11に対してバウンドすると、バウンドの離反時にアークを引くことがある。
コイル21の電流をオフにすると、可動コア23が固定コア22からバネ25力で離れ、可動接点12が固定接点11から離れ、電磁継電器は遮断される。可動接点12が固定接点11から離れる時にアークを引くことがある。
【0009】
アーク発生時の接点溶着を防止するために、本発明では、2対の接点対(図1の左右の接点対)とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点(電流の流れCで見ると、接点対の固定接点11と可動接点12のうち上流側の接点で、電子を受ける側の接点)の材料をスパッタリングに強い材料Aとしてある。
スパッタリングに強い材料Aは、電子を受けた時に、イオンを放出しにくい金属材料であり、高融点で、硬い金属材料である。スパッタリングに強い材料Aの一例として、タングステンがある。
【0010】
また、2対の接点対とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点(電流の流れCで見ると、接点対の固定接点11と可動接点12のうち下流側の接点)の材料を接触抵抗小の材料Bとしてある。
接触抵抗小の材料Bは、材料Aより柔らかく低融点の材料を含む材料であり、材料Aより柔らかく低融点の材料の一例として銅、銀、カドミウム、インジューム等があり、材料Bの一例として銅を含むタングステン、または銅、銀、カドミウム、インジューム等がある。
【0011】
2対の接点対とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点をスパッタリングに強い材料Aとするとともに、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料Bとした場合、電流の流れCで見て下流側の接点対では、固定接点が材料B、可動接点が材料Aとなり、電流の流れCで見て上流側の接点対では、固定接点が材料A、可動接点が材料Bとなる。ただし、電流の流れCで見て上流側の接点対の固定接点の材料Aと、電流の流れCで見て下流側の接点対の可動接点の材料Aとは、同一種類の材料であっても、あるいは非同一種類の材料であってもよい。また、電流の流れCで見て上流側の接点対の可動接点の材料Bと、電流の流れCで見て下流側の接点対の固定接点の材料Bとは、同一種類の材料であっても、あるいは非同一種類の材料であってもよい。
【0012】
一例として、電流の流れCで見て上流側の接点対の固定接点の材料Aと、電流の流れCで見て下流側の接点対の可動接点の材料Aとは、同一種類の材料で、タングステンであり、電流の流れCで見て上流側の接点対の可動接点の材料Bと、電流の流れCで見て下流側の接点対の固定接点の材料Bとは、同一種類の材料で、銅・タングステンである。これは、従来例(図3の例)において、電流の流れCで見て上流側の接点対の可動接点の材料と固定接点の材料をそのままにして、電流の流れCで見て下流側の接点対の可動接点の材料と固定接点の材料を逆にしたものに相当する。
【0013】
つぎに、本発明の作用を説明する。
継電器をON(通電)からOFF(遮断)にした時、またはOFFからONにして可動接点が固定接点に当たってバウンドして離れる時、可動接点と固定接点間にアークを引くことがある。このアーク発生時に、電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対(図1の右側の接点対、マイナス側の接点対)では電子が固定接点11から可動接点12に飛び出し、電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対(図1の左側の接点対、プラス側の接点対)では電子が可動接点12から固定接点11に飛び出す。そして、電子を受ける側の接点(電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対の可動接点12、および電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対の固定接点11)では、金属原子がイオン化して飛び出そうとするが、電子を受ける側の接点が、両接点対とも、スパッタリングに強い材料Aからなるので、金属イオンを飛び出させにくく、電子を受ける側の接点から電子を放出する側の接点への金属イオンの転移は生じにくい。したがって、両接点対とも、接点対の固定接点の表面と可動接点とが同一種類材料になることがなく、同一種類材料の場合に起こりやすい接点の溶着が起こりにくい。
【0014】
たとえば、電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対の固定接点11が銅・タングステンからなり可動接点12がタングステンからなり、電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対の固定接点11がタングステンからなり可動接点12が銅・タングステンからなる場合、アーク発生時に、電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対の電子を受ける側の接点(可動接点)12はタングステンからなるので、タングステンイオンを飛び出させにくく、電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対の電子を受ける側の接点(固定接点)11はタングステンからなるので、タングステンイオンを飛び出させにくい。その結果、電子を受ける側の接点から電子を放出する側の接点への金属イオンの転移は生じにくく、接点の溶着が生じにくい。
【0015】
また、2対の接点対とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料B(材料Aよりも柔らかい金属材料を含む材料)としたので、対向接点がスパッタリングに強い硬い材料Aからなっていても、固定接点11と可動接点12が衝突した時に接触抵抗小の材料Bからなる接点が硬い材料Aからなる対向接点の形状に追従して変形してなじみ、接触面積が大きくなって、接触抵抗とその抵抗発熱が減り、衝突時、接触時の接点温度上昇が小さい。また、水素などの、空気に比べて熱伝達が良好なガスが接点室に密閉されているので、接点からガス、ガスからカプセル、カプセルから外気へと熱を円滑に逃がすことができ、接点温度の上昇と接点溶融、溶着の発生を、より一層抑制することができる。材料Bとしては、材料Aがタングステンの場合、材料Aより柔らかい材料として、銅、銀、カドミウム、インジュームなどがあるが、それに限るものではない。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の電磁継電器によれば、2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料としたので、アーク発生時においても、電子を放出する接点側への接点材料Aの転移が従来に比べて起こりにくくなり、消耗が低減され転移によって固定接点の表面と可動接点とが同じ材料Aになることが防止され、接点同士の溶着を起こりにくくすることができる。
請求項2の電磁継電器によれば、電子を放出する側の接点の材料を材料Aよりも接触抵抗小の材料Bとしたので、接触抵抗による発熱を小にでき、アーク発生時の接点同士の溶着は請求項1の場合のみの場合よりもさらに起こりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の電磁継電器の接点とその近傍の拡大概略断面図である。
【図2】本発明実施例の電磁継電器の概略断面図である。
【図3】従来の電磁継電器の接点とその近傍の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
10 電磁継電器
10a 接点室アッセンブリ
10b コイルアッセンブリ
11 固定接点
12 可動接点
13 カプセル
14 固定接点台座
15 可動接点支持体
21 コイル
22 固定コア
23 可動コア
24 プランジャロッド
25 バネ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁継電器に関し、とくに接点の溶着や消耗防止をはかった電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すような、固定接点と可動接点とからなる接点対を2対直列に配した構造の電磁継電器1は、従来、知られている。従来の電磁継電器1では、消耗溶着を回避するため、すべての接点をタングステンとした場合、接触抵抗が増加してしまうので、固定接点の材料Aと可動接点の材料Bを互いに異ならせてある。ただし、図3中、左右の固定接点同士は同じ材料Aとされ、左右の可動接点同士は同じ材料Bとされている。たとえば、固定接点の材料Aはタングステン、可動接点の材料Bは銅・タングステンである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電磁継電器にはつぎの問題点(課題)がある。
2対の接点対のうち片方の接点対では、アーク発生時に、固定接点と可動接点との溶着や消耗の問題が生じる。すなわち、マイナス側の接点対では、アーク発生時、固定接点から電子が飛び出し、電子を受ける側の可動接点からは金属イオンが飛び出し(スパッタリング現象)、飛び出した金属イオンが固定接点表面に付着して、固定接点の表面と可動接点が同じ材料になって溶着しやすくなる。また、一部は周辺に飛散するため消耗が起きる。そして、電磁継電器入り時のバウンド時などにおいて、アークによる高温と接触抵抗発熱による温度上昇とにより、表面が同じ材料となった両接点の表面が溶けた時に、接点同士が溶着を起こしてしまう。
本発明の目的は、従来よりも、接点同士の溶着や消耗を防止することができる電磁継電器を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定接点と可動接点とからなる接点対を2対直列に有する両切りの電磁継電器において、
前記2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料としたことを特徴とする電磁継電器。
(2) 前記2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料とした(1)記載の電磁継電器。
【0005】
上記(1)の電磁継電器では、2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料(電子陽イオンを受けた時に金属イオンを出しにくい材料、硬い材料で、たとえば、タングステン)としたので(従来、2対の接点対のうち溶着を起こしやすい側の接点対の、固定接点と可動接点の材料を従来と逆にしたので)、アーク発生時においても、電子を放出する接点側への接点材料Aの転移が従来に比べて起こりにくくなり、転移によって固定接点の表面と可動接点とが同じ材料Aになることが防止され、接点同士の溶着が起こりにくくなる。
上記(2)の電磁継電器では、電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料B(上記材料Aより柔らかい材料を含む材料、たとえば、柔らかい材料である銅を含んだタングステン)としたので、接触抵抗による発熱を小にでき、アーク発生時の接点同士の溶着はさらに起こりにくくなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の電磁継電器の実施例を図1、図2を参照して、説明する。
まず、本発明実施例の電磁継電器の全体構造を説明する。
本発明実施例の電磁継電器10は、図1に示すように、固定接点11と可動接点12とからなる接点対を2対(図1のように電流が流れる時の、プラス側の接点対と−側の接点対との2対)直列に有する両切りの電磁継電器からなる。
【0007】
電磁継電器10は、図2に示すように、接点室アッセンブリ10aとコイルアッセンブリ10bとを有する。
接点室アッセンブリ10aは、熱伝達の良好なガス(たとえば、水素、炭酸ガスなど)を密封したカプセル13と、カプセル13内に配置された左右の固定接点11と、左右の固定接点11が取り付けられる固定接点台座14と、左右の固定接点11に対して接近・離反可能な左右の可動接点12と、可動接点12を支持し可動接点12を固定接点11に対して接近・離反させる可動接点支持体15を、有する。
【0008】
コイルアッセンブリ10bは、コアを励磁するコイル21と、固定コア22と、固定コア22に対して進退される可動コア23と、可動コア23の動きを可動接点支持体15に伝えるプランジャロッド24と、可動コア23を、常時、可動接点12を固定接点12から離す方向に付勢するバネ25を、有する。
コイル21に電流を流すと、可動コア23が固定コア22に吸着され、可動接点12が固定接点11に当接され、電磁継電器は入りとなる。この時、可動接点12が固定接点11に対してバウンドすると、バウンドの離反時にアークを引くことがある。
コイル21の電流をオフにすると、可動コア23が固定コア22からバネ25力で離れ、可動接点12が固定接点11から離れ、電磁継電器は遮断される。可動接点12が固定接点11から離れる時にアークを引くことがある。
【0009】
アーク発生時の接点溶着を防止するために、本発明では、2対の接点対(図1の左右の接点対)とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点(電流の流れCで見ると、接点対の固定接点11と可動接点12のうち上流側の接点で、電子を受ける側の接点)の材料をスパッタリングに強い材料Aとしてある。
スパッタリングに強い材料Aは、電子を受けた時に、イオンを放出しにくい金属材料であり、高融点で、硬い金属材料である。スパッタリングに強い材料Aの一例として、タングステンがある。
【0010】
また、2対の接点対とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点(電流の流れCで見ると、接点対の固定接点11と可動接点12のうち下流側の接点)の材料を接触抵抗小の材料Bとしてある。
接触抵抗小の材料Bは、材料Aより柔らかく低融点の材料を含む材料であり、材料Aより柔らかく低融点の材料の一例として銅、銀、カドミウム、インジューム等があり、材料Bの一例として銅を含むタングステン、または銅、銀、カドミウム、インジューム等がある。
【0011】
2対の接点対とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点をスパッタリングに強い材料Aとするとともに、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料Bとした場合、電流の流れCで見て下流側の接点対では、固定接点が材料B、可動接点が材料Aとなり、電流の流れCで見て上流側の接点対では、固定接点が材料A、可動接点が材料Bとなる。ただし、電流の流れCで見て上流側の接点対の固定接点の材料Aと、電流の流れCで見て下流側の接点対の可動接点の材料Aとは、同一種類の材料であっても、あるいは非同一種類の材料であってもよい。また、電流の流れCで見て上流側の接点対の可動接点の材料Bと、電流の流れCで見て下流側の接点対の固定接点の材料Bとは、同一種類の材料であっても、あるいは非同一種類の材料であってもよい。
【0012】
一例として、電流の流れCで見て上流側の接点対の固定接点の材料Aと、電流の流れCで見て下流側の接点対の可動接点の材料Aとは、同一種類の材料で、タングステンであり、電流の流れCで見て上流側の接点対の可動接点の材料Bと、電流の流れCで見て下流側の接点対の固定接点の材料Bとは、同一種類の材料で、銅・タングステンである。これは、従来例(図3の例)において、電流の流れCで見て上流側の接点対の可動接点の材料と固定接点の材料をそのままにして、電流の流れCで見て下流側の接点対の可動接点の材料と固定接点の材料を逆にしたものに相当する。
【0013】
つぎに、本発明の作用を説明する。
継電器をON(通電)からOFF(遮断)にした時、またはOFFからONにして可動接点が固定接点に当たってバウンドして離れる時、可動接点と固定接点間にアークを引くことがある。このアーク発生時に、電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対(図1の右側の接点対、マイナス側の接点対)では電子が固定接点11から可動接点12に飛び出し、電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対(図1の左側の接点対、プラス側の接点対)では電子が可動接点12から固定接点11に飛び出す。そして、電子を受ける側の接点(電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対の可動接点12、および電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対の固定接点11)では、金属原子がイオン化して飛び出そうとするが、電子を受ける側の接点が、両接点対とも、スパッタリングに強い材料Aからなるので、金属イオンを飛び出させにくく、電子を受ける側の接点から電子を放出する側の接点への金属イオンの転移は生じにくい。したがって、両接点対とも、接点対の固定接点の表面と可動接点とが同一種類材料になることがなく、同一種類材料の場合に起こりやすい接点の溶着が起こりにくい。
【0014】
たとえば、電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対の固定接点11が銅・タングステンからなり可動接点12がタングステンからなり、電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対の固定接点11がタングステンからなり可動接点12が銅・タングステンからなる場合、アーク発生時に、電流の流れ方向Cに見て下流側の接点対の電子を受ける側の接点(可動接点)12はタングステンからなるので、タングステンイオンを飛び出させにくく、電流の流れ方向Cに見て上流側の接点対の電子を受ける側の接点(固定接点)11はタングステンからなるので、タングステンイオンを飛び出させにくい。その結果、電子を受ける側の接点から電子を放出する側の接点への金属イオンの転移は生じにくく、接点の溶着が生じにくい。
【0015】
また、2対の接点対とも、固定接点11と可動接点12のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料B(材料Aよりも柔らかい金属材料を含む材料)としたので、対向接点がスパッタリングに強い硬い材料Aからなっていても、固定接点11と可動接点12が衝突した時に接触抵抗小の材料Bからなる接点が硬い材料Aからなる対向接点の形状に追従して変形してなじみ、接触面積が大きくなって、接触抵抗とその抵抗発熱が減り、衝突時、接触時の接点温度上昇が小さい。また、水素などの、空気に比べて熱伝達が良好なガスが接点室に密閉されているので、接点からガス、ガスからカプセル、カプセルから外気へと熱を円滑に逃がすことができ、接点温度の上昇と接点溶融、溶着の発生を、より一層抑制することができる。材料Bとしては、材料Aがタングステンの場合、材料Aより柔らかい材料として、銅、銀、カドミウム、インジュームなどがあるが、それに限るものではない。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の電磁継電器によれば、2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料としたので、アーク発生時においても、電子を放出する接点側への接点材料Aの転移が従来に比べて起こりにくくなり、消耗が低減され転移によって固定接点の表面と可動接点とが同じ材料Aになることが防止され、接点同士の溶着を起こりにくくすることができる。
請求項2の電磁継電器によれば、電子を放出する側の接点の材料を材料Aよりも接触抵抗小の材料Bとしたので、接触抵抗による発熱を小にでき、アーク発生時の接点同士の溶着は請求項1の場合のみの場合よりもさらに起こりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の電磁継電器の接点とその近傍の拡大概略断面図である。
【図2】本発明実施例の電磁継電器の概略断面図である。
【図3】従来の電磁継電器の接点とその近傍の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
10 電磁継電器
10a 接点室アッセンブリ
10b コイルアッセンブリ
11 固定接点
12 可動接点
13 カプセル
14 固定接点台座
15 可動接点支持体
21 コイル
22 固定コア
23 可動コア
24 プランジャロッド
25 バネ
Claims (2)
- 固定接点と可動接点とからなる接点対を2対直列に有する両切りの電磁継電器において、
前記2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の相手側の接点の材料をスパッタリングに強い材料としたことを特徴とする電磁継電器。 - 前記2対の接点対とも、固定接点と可動接点のうちアーク発生時に電子を放出する側の接点の材料を接触抵抗小の材料とした請求項1記載の電磁継電器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002167717A JP2004014364A (ja) | 2002-06-07 | 2002-06-07 | 電磁継電器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002167717A JP2004014364A (ja) | 2002-06-07 | 2002-06-07 | 電磁継電器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004014364A true JP2004014364A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30434883
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002167717A Withdrawn JP2004014364A (ja) | 2002-06-07 | 2002-06-07 | 電磁継電器 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004014364A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7434769B2 (ja) | 2019-09-13 | 2024-02-21 | オムロン株式会社 | 電磁継電器 |
-
2002
- 2002-06-07 JP JP2002167717A patent/JP2004014364A/ja not_active Withdrawn
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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