JP2004008211A - 紙巻タバコのフィルター並びに該フィルターを装着した紙巻きタバコ - Google Patents
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Abstract
【課題】タバコの煙に含まれているタールやニコチンを低減することにより、喫煙者の健康被害を防ぐと共にタバコの喫味を軽く均一にする。
【解決手段】片面に凹みを有し、その凹みの底に通気孔を設けた2枚の円板を、夫々の凹みを外側に向けてリングの両側に接着する。この積層した円板を繊維ロッドの間に挟み、外側を紙で巻いて一体化する。タバコ本体にこのフィルターを接続することにより、タバコの煙は積層円板内で一服毎に凝縮作用を受けて、一定量のヤニを発生し、円板内に堆積する。このヤニの中にタールやニコチンが含まれている。タバコの喫味はタールによる辛さが取れて軽くて均一な味になる。
【選択図】 図5
【解決手段】片面に凹みを有し、その凹みの底に通気孔を設けた2枚の円板を、夫々の凹みを外側に向けてリングの両側に接着する。この積層した円板を繊維ロッドの間に挟み、外側を紙で巻いて一体化する。タバコ本体にこのフィルターを接続することにより、タバコの煙は積層円板内で一服毎に凝縮作用を受けて、一定量のヤニを発生し、円板内に堆積する。このヤニの中にタールやニコチンが含まれている。タバコの喫味はタールによる辛さが取れて軽くて均一な味になる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙巻タバコの煙に含まれるタールなどの有害物質を除去するためのフィルターとこのフィルターを装着した紙巻きタバコに関する。
【0002】
【従来の技術】
タバコの煙に含まれる有害物質を、体内に取り込むことによって発生する健康被害は今日大きな社会問題になっている。タバコは気分をリラックスするために嗜むものであり、この作用をするのはニコチンである。しかしこの摂取量が多いと人体にとって有害となる。タバコ煙に含まれている有害物質は多数発見されているが、特にタールは、タバコ煙による健康被害の元凶であり、タールによる発癌性や癌発症の促進性について研究が行われてきた。タバコ煙のタール分は徹底的に除去すべきものと考える。
タバコ煙中の有害物質を除去する方法としては、タバコ本体に接続した2本の繊維ロッドのうち上流側に粒状活性炭を混入したものや、2本の繊維ロッドの間に活性炭の層を挟んだものが紙巻タバコのフィルターとして使用されている。
しかし、このフィルターではタールなどの有害物質を十分に除去することはできないことがわかっている。
ニコチンやタールを除去するためのフィルターとして、今日まで種々のアイデアが提案されているが、効果の疑わしいものや製作が難しく高コストになってしまうものが多い。本発明のように繊維ロッドの間に円板を挟む方法として、以下のような提案がある。
(i) 微細繊維層よりなる円板を従来の繊維ロッドの間に、若干の隙間を持たせて挟んだフィルター。(例えば、米国特許第3,882,877号)
(ii) 中心に孔を設けた微細繊維層の円板を、粗大な繊維ロッドの間に挟んだフィルター。(例えば、特公平2−200174号公報)
また、近年では健康意識の向上からタールやニコチンの量を少なくしたタバコが好まれるようになった。そこでタバコ本体と繊維ロッドを接続する外側の巻紙に、多数の微小孔を円周上に1〜3列設け、その孔から繊維ロッドに外気を導入して煙を薄め、体内に入るタールやニコチンの量を減らすようにしたフィルターが主流になっている。(例えば、特開平11−69965)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の提案(i)、(ii)のフィルターは、喫煙の初期には有効であるが、喫煙の服数が進むと微細繊維層の円板に吸着するタールの量が増え、円板自体の目詰まりによる通気低下と共に濾過効率が急速に低下する。
タバコの煙はガスの中に液体粒子が分散している状態といわれる。タールそのものは液体であるから、これを微細な繊維層に吸着して、タール分を減らそうとすれば繊維層の目詰まりによる通気低下は避けられない。そこで、繊維層の密度を粗くすると、目詰まりによる通気低下を防ぐことはできるが、喫煙の服数が進むにつれて濾過効率が著しく低下し、煙中のタール量が増えてしまう。その結果、タバコの味は漸次辛くなっていくのである。結局、タバコ煙に含まれるタールのうち繊維層が吸着する量はごく少量で、大部分のタールは人体に入ってしまう。従って、タール除去の方法として、繊維層による吸着だけでは効果が少ないと言える。
また、フィルター外側の巻紙に設けた微小孔から繊維ロッドに外気を導入して煙を薄め、体内に吸い込む有害物質の量を減らす方法は、導入する外気の量が多いとタバコとしての喫応えがなくなるだけでなく、味も損なうという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、タバコの喫煙において健康被害の元凶と考えられているタールやニコチンを、一服毎にほぼ一定量を除去しつつ、タバコの味を損なうことなく最後まで均一な味を保つフィルターを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
タバコ煙中のタール分を除去する方法として粒状活性炭や繊維層で構成されるフィルターをタバコ本体に接続し、そのなかにタール分を吸着させるという手段が長年にわたって用いられてきた。しかし濾過効率を上げようとして繊維層の密度を大にすると、タールによる目詰まりのため通気低下が発生し、喫煙に満足感を得られなくなる。即ち、紙巻タバコに用いる繊維フィルターにおいては、タール除去量と通気抵抗の間に相反する関係があり、通気抵抗を上げずに、タール除去量を増やすことは困難である。
そこで従来の吸着技術に、新しく凝縮という手段を加えて、通気低下を防ぎつつ、またタバコの味を変えることなく、タール除去の向上を図ることにした。
なお、凝縮とは飽和蒸気の温度を下げるか、圧縮するとその一部が液化する現象と定義される。
【0006】
次に、タバコの煙を凝縮することによってヤニを分離する積層円板の特性について記す。
片面に凹みを形成し、その凹みの底に1〜4個の通気孔を設けた2枚の円板を、夫々の凹みを外向きにしてリング(中心に孔をあけた円板)の両側に接着する。タバコの煙がこの積層した円板内を通過するとき、煙は上流側円板の通気孔で加速され、リングの孔を直進して、下流側円板の内側に衝突して圧縮される。その結果、煙の一部が液化して褐色のヤニを発生し、有害物質の大半を分離したタバコ煙は下流側円板の通気孔を抜けて外に出ていく。ヤニはタバコの服数毎に、量を増やしながら積層した円板の内部に堆積する。このヤニの中に健康被害をもたらすタールやニコチンが含まれているのである。
ここでヤニとはタバコ煙の粒子相のことである。文献には、通常タバコ煙の成分はガス相と粒子相から成っており、ガス相はほとんどが大気の成分と同じものであり、粒子相は煙の約8%を占め、タール(約6.7%)、ニコチン(約0.5%)、水分(約0.8%)で構成されていると記されている。(高橋市郎著 タバコ博士の本地球社版、P9)
【0007】
この積層円板に於いては、上流側と下流側円板の通気孔の配置により、下流側の円板に発生したヤニが通気孔の近辺に堆積することがある。タバコの服数が進むにつれてヤニの量が増え、タール含有量の多いタバコでは、それが通気孔に流れ込む。タバコは連続的に喫煙されるから、孔に流入したヤニは煙と共に孔裏側に吸いだされ、そこに堆積して通気抵抗が幾分か上昇する。また、同一仕様の円板を積層するとき、両円板の通気孔が煙流方向に重なって、煙の凝縮効果を低下させることもある。
【0008】
次にこの積層円板フィルターの代表的な2種のタイプについてその特徴を説明する。
同一仕様の円板を積層したフィルターがコスト的に最も低い。この円板をリングの両側に接着するときは、平面上で見て両円板の通気孔が重ならないように、上流側円板の通気孔の中間に下流側円板の孔が位置するように円板の位相をずらす。しかし、円板の通気孔が3〜4個になると、円板の位相を変えても、隣り合う円板の通気孔は平面上近すぎる。そのためヤニの堆積が増えると、このヤニが下流側円板の通気孔に流れ込んで通気低下を起こすようになる。従って、同一仕様の円板より成る積層円板の通気孔は1〜2個が適当である。
円板の通気孔が1個の場合は、孔は円板の中心ではなく凹みの外側寄りにあけ、上流側と下流側円板の位相を180°変えて積層するとよいが、このタイプの積層円板は通気抵抗が大きく実用的ではない。よって、同一仕様の円板を積層するには通気孔2個が最も良い。孔は円板の中心に対称で、且つ凹みの壁近傍に設け、さらに両円板の平面上で見た通気孔の位置を離すために、孔位相を約90°ずらす。このようにすると下流側円板に発生するヤニが孔の近辺に堆積して通気低下を起こすのを防ぐことができる。また、この積層円板を後述するように繊維ロッドに接続して一体化するとき、積層円板に方向性がないので作業が容易になる利点もある。
【0009】
次に、通気孔の径や個数及びその配置を異にする2枚の円板をリングの両側に接着してなる積層円板について記す。
上流側の円板は中心に1個または中心近傍に2個の孔を設け、下流側の円板は凹みの外側寄りに2〜4個の孔をあけて、平面上で見た孔の重なりを防ぐ。このようにすると、下流側円板の通気孔至近の位置にヤニが堆積するのを防ぐことが出来る。上流側円板に設ける通気孔は1〜2個が適当で、3個以上になると孔1個あたりの吸引力が低下して、凝縮により発生するヤニの量は少なくなる。即ち、上流側円板の孔には出来るだけ強い吸引力を作用させる必要があり、下流側円板の通気孔で上流側円板の吸引力を減殺してはならない。従って下流側円板の通気孔の数は2個以上とし、場合によっては通気孔の径を上流側円板より大きくする。
上流側円板の通気穴を中心に1個とする場合、下流側円板の通気孔は凹み壁近傍に2個以上設ける。この場合上流側円板の通気孔にはもっとも強い吸引力が働いて発生するヤニの量は最大となるが、通気抵抗も大きくなる。また、上流側の通気孔を円板の中心近傍に2個設けた場合、ヤニの発生量は前記の通気孔1個に比較して少し減るが、通気抵抗は感じないほどになる。
このタイプの積層円板は平面上で見た両側の円板通気穴の距離が近いため、下流側円板の通気孔から円板の外側に少量のヤニが吸い出される。発生するヤニの量が多いと、その一部が下流側円板に直結する繊維ロッドの端面に堆積することがある。
またこのタイプの積層円板は方向性を有する。従って、この積層円板をタバコ本体に逆に装着すると、両円板の通気孔が各2個の場合を除き、上流側円板の吸引力が低下して凝縮効果は小さくなるので注意を要する。
【0010】
次に、リングの両側に接着して積層円板を構成する片面凹みの円板について、その特性と仕様を詳細に説明する。
(イ)円板の材料
円板は板厚に比して深い凹みを形成しなければならないので、圧縮性の大きい材料が必要である。また孔を通過した煙の衝突する面は非通気性であることが望ましい。煙にかかる圧縮力が弱いと凝縮効果が低下し、ヤニの発生が少なくなるからである。
円板の材料はこれらの条件に加えて、廃棄したときの環境負荷、価格などを考慮すると紙が最適である。紙は植物繊維から作られたもので、圧縮率が50〜65%あることが望ましい。
【0011】
(ロ)円板の板厚
円板の片面に形成する凹みの深さから板厚を決定する。紙の圧縮率を50〜65%に設定すると、円板の凹み深さを0.4〜0.7mmにするために板厚を0.8〜1.2mmにする。現在市場にある材料を用いる場合、板紙が適当である。
【0012】
(ハ)円板に形成する凹みの広さ
この積層円板においては、下流側円板に堆積するヤニが通気孔に流入しないように、両円板の平面上の孔位置を離す必要がある。特にタール含有量の多いタバコでは、下流側円板に発生させたヤニの近くに通気穴があると、その孔からヤニが吸い出されて、後続の繊維ロッド端面に広くヤニを堆積して通気低下を引き起こすことがある。そのためにも凹みの広さは可能な限り大きくすることが望ましい。
円板に形成する凹みの平面形状は、加工の容易さを考慮すれば円形が最良である。この凹み径は凹みの深さを考慮して決定する必要があるが、円板の外縁から凹みの縁まで、少なくとも使用する材料の板厚分は必要である。よって、この円板の凹み直径は4.5〜5.5mmとする。
【0013】
(二)凹みの深さ
積層円板を繊維ロッドの間に挟んで用いるとき、積層円板の端面がフラットであると、円板外側の通気孔の周りにヤニが発生して通気低下を起こす。この現象は積層円板の両端で起こるが、とくに下流側円板においては、円板の内側に発生させたヤニの量が多いと、近くの通気孔から吸い出されて、後続の繊維ロッド端面にヤニを堆積し、通気低下を引き起こす。その防止策として繊維ロッドに接触する円板の表面に凹みを形成する。この凹みを出来るだけ広くしておけば、繊維ロッドと円板の隙間は最低でも0.4mmあれば良い。下流側円板の通気孔から吸い出されたヤニが、後続の繊維ロッドに堆積しても、円板の凹みが広ければ、タバコの煙はその部分を迂回してヤニの堆積していない所から出て行く。また、凹み深さを必要以上に深くすると、円板の板厚も大きくしなければならず、コストが上がる。従って、円板の凹み深さは0.4〜0.7mmでよい。
【0014】
(ホ)通気孔の径
円板の凹み底面に設ける穴の直径は0.5〜0.7mmとする。両円板の距離(即ちリングの厚さ)にもよるが、孔径が小さいほど煙の凝縮効果は大きくなる。しかし、反面通気抵抗も大となる。直径0.5mmより小さい孔では通気抵抗が上がるため、人によっては喫煙の満足感が得られないかもしれない。また孔の加工も難しい。一方直径0.7mmを超える孔では凝縮効果が著しく低下する。従って、煙を凝縮するための孔径としては0.5〜0.7mmが適当である。
【0015】
(ヘ)通気孔の個数
上流側円板に設ける通気孔数が多いと、孔を通過する煙の量が分散し、下流側円板に衝突する力も弱くなって凝縮効果が低下する。また、両円板の通気孔が平面上で見て重なったり、距離が近すぎたりすると、下流側円板に発生したヤニがその円板の通気孔に流入して通気低下を起こす。従って、円板に設ける通気孔の数は上流側円板で1〜2個、下流側円板で2〜4個が適当である。
タバコの吸引力には個人差があるものの、上流側円板に設ける孔の個数が3個以上になると、各孔に作用する吸引力が弱くなり積層円板全体の凝縮効果が低下する。また、上流側円板の孔を中心に1個、下流側円板の通気孔を2個以上にすると、第1円板に大きな吸引力が働いて最大の凝縮効果が得られるが、一方で通気抵抗が高くなる。上流側円板の孔が2個の場合は、前記1個の円板に比べて凝縮効果が少し下がり、発生するヤニも減るが、通気抵抗は無視できる程度である。従って、上流側円板に設ける孔の個数は2個が最良と言える。また、下流側円板の孔数は上流側円板と同数以上でないと、上流側円板に作用する吸引力が低下する。そこで下流側円板の孔数は2〜4個とし、孔の配置や孔径を変えて、発生したヤニが孔に流入することによって起こる通気抵抗の上昇や上流側円板の孔に作用する吸引力の低下を防ぐ。
【0016】
(ト)円板外径
円板の外径はタバコロッドとほぼ同じにする。通常、国内で作られている紙巻タバコは普通巻きと細巻きとあり、夫々の巻きの円周は普通巻きが約25〜26mm、細巻きは22.5〜24mmになっている。(前記文献による)
従って、円板の外径は外側の巻紙の厚さを考慮して直径7.0〜8.1mmとする。
【0017】
続いて、積層円板を構成するリングについて、その特性と仕様を説明する。
(イ)リングの材料
現在市場にある材料を用いて、リングを製作するには板紙が適当である。
しかし、厚さが1.0mmを超える1枚ものの板紙は入手困難であるから、厚さ0.6〜1.0mmの材料を2枚貼り合わせたものを用いるとよい。
【0018】
(ロ)リングの厚さ
本発明に於ける積層円板において、上流側円板と下流側円板間の距離は通気孔と共にタバコ煙の凝縮に重要な作用をする。両円板間の距離はリングの厚さそのものであり、この厚さは通気孔の径や個数及びヤニの発生量によって最適の値を求めるのが望ましいが、煙の凝縮に係る距離は1.0〜2.0mmが適当である。上流側円板の通気孔径が0.5〜0.7mm、孔数1〜2個の場合、この距離が2.0mmを超えると煙の衝突する力が弱くなって凝縮効果が低下する。また、距離が1.0mm以下になるとタール含有量の多いタバコでは、下流側円板に堆積したヤニが上流側円板に到達して通気の流れを妨げることもある。よって、リングの厚さは1.0〜2.0mmとする。
【0019】
(ロ)リングの内径
リング内径はこの両側に接着する円板の凹み径と同等以上とし、直進する煙の流れを妨げないように凹み径より小さくしてはならない。よって、リング内径は4.5〜5.5mmに設定する。
【0020】
(ハ)リングの外径
リング外径は積層円板を構成する両側の円板外径と同一とし、その数値を円板と同じ7.0〜8.1mmとする。
【0021】
次に、フィルター円板の製作について説明する。
この円板を製作するにはプレス加工が最も効率的である。円板単体は基本的にコイニング(凹み成形)、ピアス(穴あけ)、ブランク(外形抜き)の3工程で製作できるが、工程別に金型を用いて加工すると、コストは極めて高いものになってしまう。そこで、3工程を1セットの金型内に集約し、多数個取りとした順送り型を用いる。また、同様にリングも多数個取りの順送り型にする。これらの金型を円板の積層まで考慮して、材料採りのレイアウトを設定すれば、積層円板のコストは低く抑えることができる。
【0022】
フィルターとして積層円板のみを装着した紙巻きタバコでは、以下の不具合が生じる。先ず上流側円板の通気孔がタバコの細片で塞がれる恐れのあること。次に下流側円板の孔からヤニが吸い出されて口に入ることである。従って、円板フィルターを紙巻タバコに使用するときは、繊維フィルターと組み合わせて用いなければならない。円板フィルターは2〜3本の繊維ロッドの間に挟み、これらの外側を通気性のある紙で巻いて一体化する。積層円板の上流側に接続する繊維ロッドは1本とし、長さ5mm以下でよい。この繊維ロッドを使用することにより、円板の通気孔が細かく刻んだタバコ葉で塞がれることを防止する。尚、繊維ロッドに代えて、通気性のある紙または布で製作した円板を上流側円板の凹み外縁に貼り付けても同じ目的を達することができる。
円板の下流側に接続する繊維ロッドは1〜2本とするが、積層円板で除去するタールの量を多くすることによって繊維層を通過するタール分を減らす。この結果、繊維ロッドの密度を高くしても、タールによる喫煙早期の目詰まりを避けることができる。このフィルターでは積層円板内でタバコ煙に含まれるタール分の大半を除き、さらに残ったタール分は繊維ロッドによる吸着によってフィルター全体の濾過効率を上げることができる。
【0023】
積層円板の上流側には前段で述べた目的で短い繊維ロッドを接続し、該円板の下流側に接続する繊維ロッドを2本として、積層円板に直結する方の繊維ロッドの中には粒状活性炭を混入し、後続の繊維ロッドは高密度にする。これらを紙で巻いて一体化し、1本のフィルターとする。タバコロッドにこのフィルターを接続した紙巻きタバコは、積層円板によってタバコ煙の約8%を占める粒子相からタールやニコチンを取り除き、約92%のガス相からはアセトアルデヒドなどの悪臭原因物質を活性炭に吸着させる。
ヤニそのものは強烈な臭気を持つ。積層円板でヤニを除去することは、タバコの煙に含まれている悪臭を発する物質を除去することを意味する。積層円板と活性炭で悪臭の原因物質を除去した煙は、従来のタバコに比べその発する臭いが薄くなっている。
【0024】
平面上で見て、両円板の通気孔が接近したフィルターでは、ヤニの堆積量が増えるとその一部が下流側円板の孔に流入して通気抵抗が上昇する。この点を改善するため、タバコ本体とフィルターを接続する巻紙の外周部に、多数の微小孔を1〜2列設け、その孔から繊維ロッドの中に外気を導入して通気抵抗を緩和するとよい。また、有害物質を含んだ煙を薄める効果もある。
【0025】
【発明の実施の形態】
図面を使って、発明の実施の形態を説明する。
図1は片面に凹み4を有し、この凹みの底に2個の通気孔3を設けた同一仕様の2枚の円板1を、凹みを外向きにしてリング2の両側に接着して成る積層円板を示す。円板の通気孔3は円板中心に対称で、且つ円板の凹み壁近傍に設け、2個の通気孔をできるだけ離す。さらに、上流側円板の穴を通過した煙は、下流側円板に衝突してヤニを発生するが、このヤニが下流側円板の通気孔に流入して、通気低下を起こさないようにしなければならない。従って、上流側と下流側円板における通気孔の平面上の距離を大きくするために、両円板の孔位相を90°ずらして接着する。
【0026】
この紙製の円板においては、凹みの径を4.5〜5.5mm、凹みの深さを0.5〜0.7mmとし、通気孔の径は0.5〜0.7mmから選び、円板外径はタバコロッドと同じ径にする。また、板厚は凹みの深さに応じて0.8〜1.2mmの範囲から決定する。
【0027】
次に、積層円板を構成する紙製のリング2においては、リングの内径を4.5〜5.5mmの範囲から決定し、円板の凹み径と同等以上にする。リング外径は両側に接着する円板と同じにする。また、リングの板厚は紙巻きタバコのタール含有量や上流側円板の通気孔の数によって1.0〜2.0mmの範囲から決定する。
【0028】
図2はリング2aの上流側に通気穴3aが1個の円板1a、下流側に通気孔3bが4個の円板1bを接着して成る積層円板を示す。この積層円板に於いては、上流側円板の通気孔に強い吸引力を作用させ、凝縮効果を上げることができる。
【0029】
図3は2本の繊維ロッドの間に図1に示す積層円板を挟み、外側を通気性のある紙6で巻いて一体化したフィルターを示す。上流側の繊維ロッド5は細かく刻んだタバコ片で通気孔が塞がれないようにするためのもので、長さは5mm以下でよい。また、下流側の繊維ロッド5aは積層円板を通過した煙にもう一段の濾過を加えるものであり、この繊維ロッドは積層円板の内部に発生したヤニが、下流側円板の通気孔から吸い出されたとき、このヤニを吸着する機能も持つ。この繊維ロッドの長さは10〜15mmとする。
【0030】
図4は前記の図3に示すフィルターに於いて、下流側の繊維ロッドを2本とし、積層円板に直結する方の繊維ロッド5bに粒状活性炭7を混入して、主としてタバコ煙に含まれる悪臭の原因物質を吸着させる。この繊維ロッドの長さは10mm位とする。
【0031】
図5はタバコロッド8の末端に図3に示すフィルターを接続した紙巻きタバコを示す。この紙巻きタバコに於いては、タバコとフィルターをつなぐ外側の巻紙9に円周上一列にあいた孔10から外気を導入する。本発明の積層円板では両側の円板に設ける通気孔の平面上の配置が近いと、喫煙が進んだとき下流側円板の通気孔の近傍にヤニが堆積して通気低下を起こすことがある。紙巻きタバコの巻紙にあけた孔から外気を導入することにより、この問題に対処できる。
【0032】
【実施例1】
紙巻きタバコのフィルター部を切り離し、図4に示す構造のフィルターを接続して、喫煙後のヤニの発生状態を観察した。
積層円板における両側の円板は外径が7.7mm、板厚が1.2mm、凹みは直径が5.2mm、深さは0.5mmである。一方、リングは外形7.7mm、内径5.2mm,板厚1.8mmとした。
最初に、請求項2で表す積層円板をフィルターに用いた。図1のように通気孔を夫々2個とし、両円板の孔位相を90°ずらした。通気孔の径は0.5mm、孔のピッチは中心を挟んで4mmとした。
実験に使用した紙巻きタバコは国産品で、タールとニコチンの含有量は夫々10mg、0.8mgと記されていた。
この紙巻きタバコをタバコロッドの半分まで喫煙した後、フィルターとして使用した積層円板内のヤニの状態を観察したところ、下流側円盤の内側に2個のドーナツ状に堆積したヤニが認められた。そのヤニは内径1〜1.5mm、外径2.5〜3mm、高さ約0.5mmであった。また、下流側円板の外側に通気孔からのヤニの流出はなかった。尚、タバコロッド半分までの喫煙の服数は8回で、通気抵抗は無視できるほどであった。
【0033】
【実施例2】
次に、請求項3に記した積層円板でヤニの状態を確認した。前記実施例1で使用した積層円板の仕様を上流側円板の通気穴のみ変更して、円板中心に直径0.5mmの穴1個として図4に示す構造のフィルターをタバコロッドに接続した。紙巻きタバコは実施例1と同じものを使用し、タバコロッドの半分まで喫煙した。この結果、下流側円板の中心にドーナツ状のヤニの堆積が1個確認できた。ヤニは内径1.5〜2mm、外径3〜4mm、高さは約1mmであった。さらに、下流側円板の外側に通気孔から流出した2個のヤニが認められた。そのヤニは外形約1mm、高さ0.5〜1mmであった。このフィルターでは通気抵抗が大きいと感じられた。
そこで、上流側円板の通気孔径を0.6mmに変更して再度実験を試みた。
その結果、通気抵抗は無視できるところまで低下した。積層円板内に堆積したヤニは内径2〜3mm、外径4〜5mm、高さ0.5〜1mm、通気孔の所で分断したドーナツ状となった。
また、下流側円板の外側に通気孔からのヤニの流出が認められ、そのヤニは外径約1.5mm、高さ約0.5mmであった。
尚、タバコロッド半分までの喫煙服数はどちらも10回であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の積層円板を繊維ロッドに挟んで一体化したフィルターは、タバコロッドに装着すると以下の効果を奏する。
【0035】
タバコの煙は積層円板内で一服毎に凝縮をうけて、ほぼ一定量のヤニを分離した後、フィルター末端の繊維ロッドで吸着による濾過を経て口に入る。その結果、このフィルターをつけた紙巻きタバコの喫味はタールによる辛さがとれて、軽く、まろやかになると共に、味を損なうことなく喫煙の最後までほぼ均一な喫味が得られる。
【0036】
また、ヤニの主成分はタールとニコチンであり、これが呼吸器疾患や心臓病を引き起こすと考えられている。従って、積層円板によるヤニの除去は喫煙者の健康被害を防止するのに有効である。
【0037】
さらに、積層円板によるヤニの除去は、喫煙者が吐き出す煙による室内汚染や刺激臭を低減する効果もある。
【0038】
この積層円板は円板に設ける通気孔の径や個数及びリングの厚さによって、タバコ1本あたりのタールやニコチンの除去量を定量的にコントロールできるので、喫煙者の好みに応じた紙巻きタバコを提供できる。
【0039】
積層円板を構成する要素は単純な形状をしており、しかも安価な材料を用いて大量に生産すること可能である。従って、積層円板のコストを低く抑えることができるので、このフィルターを用いた紙巻きタバコのコストが大幅に上昇することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は同一仕様の円板をリングの両側に接着した積層円板を、上流側から見た平面図を示す。(ロ)はそのA−A断面図である。
【図2】(イ)は通気孔の異なる2枚の円板をリングの両側に接着した積層円板を、上流側から見た平面図を示す。(ロ)はそのB−B断面図である。
【図3】2個の繊維ロッドの間に積層円板を挟んだフィルターの断面図である。
【図4】積層円板の下流側に2個の繊維ロッドを接続し、積層円板に直結する繊維ロッドの中に粒状活性炭を混入したフィルターの断面図である。
【図5】2個の繊維ロッドの間に積層円板を挟んだフィルターをタバコロッドに接続し、その巻紙に外気導入孔を設けた紙巻きタバコの断面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b 円板単体
2、2a リング
3、3a、3b 通気孔
4 凹み
5、5a、5b 繊維ロッド
6 通気性のある巻紙
7 粒状活性炭
8 タバコロッド
9 巻紙
10 外気導入孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙巻タバコの煙に含まれるタールなどの有害物質を除去するためのフィルターとこのフィルターを装着した紙巻きタバコに関する。
【0002】
【従来の技術】
タバコの煙に含まれる有害物質を、体内に取り込むことによって発生する健康被害は今日大きな社会問題になっている。タバコは気分をリラックスするために嗜むものであり、この作用をするのはニコチンである。しかしこの摂取量が多いと人体にとって有害となる。タバコ煙に含まれている有害物質は多数発見されているが、特にタールは、タバコ煙による健康被害の元凶であり、タールによる発癌性や癌発症の促進性について研究が行われてきた。タバコ煙のタール分は徹底的に除去すべきものと考える。
タバコ煙中の有害物質を除去する方法としては、タバコ本体に接続した2本の繊維ロッドのうち上流側に粒状活性炭を混入したものや、2本の繊維ロッドの間に活性炭の層を挟んだものが紙巻タバコのフィルターとして使用されている。
しかし、このフィルターではタールなどの有害物質を十分に除去することはできないことがわかっている。
ニコチンやタールを除去するためのフィルターとして、今日まで種々のアイデアが提案されているが、効果の疑わしいものや製作が難しく高コストになってしまうものが多い。本発明のように繊維ロッドの間に円板を挟む方法として、以下のような提案がある。
(i) 微細繊維層よりなる円板を従来の繊維ロッドの間に、若干の隙間を持たせて挟んだフィルター。(例えば、米国特許第3,882,877号)
(ii) 中心に孔を設けた微細繊維層の円板を、粗大な繊維ロッドの間に挟んだフィルター。(例えば、特公平2−200174号公報)
また、近年では健康意識の向上からタールやニコチンの量を少なくしたタバコが好まれるようになった。そこでタバコ本体と繊維ロッドを接続する外側の巻紙に、多数の微小孔を円周上に1〜3列設け、その孔から繊維ロッドに外気を導入して煙を薄め、体内に入るタールやニコチンの量を減らすようにしたフィルターが主流になっている。(例えば、特開平11−69965)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の提案(i)、(ii)のフィルターは、喫煙の初期には有効であるが、喫煙の服数が進むと微細繊維層の円板に吸着するタールの量が増え、円板自体の目詰まりによる通気低下と共に濾過効率が急速に低下する。
タバコの煙はガスの中に液体粒子が分散している状態といわれる。タールそのものは液体であるから、これを微細な繊維層に吸着して、タール分を減らそうとすれば繊維層の目詰まりによる通気低下は避けられない。そこで、繊維層の密度を粗くすると、目詰まりによる通気低下を防ぐことはできるが、喫煙の服数が進むにつれて濾過効率が著しく低下し、煙中のタール量が増えてしまう。その結果、タバコの味は漸次辛くなっていくのである。結局、タバコ煙に含まれるタールのうち繊維層が吸着する量はごく少量で、大部分のタールは人体に入ってしまう。従って、タール除去の方法として、繊維層による吸着だけでは効果が少ないと言える。
また、フィルター外側の巻紙に設けた微小孔から繊維ロッドに外気を導入して煙を薄め、体内に吸い込む有害物質の量を減らす方法は、導入する外気の量が多いとタバコとしての喫応えがなくなるだけでなく、味も損なうという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、タバコの喫煙において健康被害の元凶と考えられているタールやニコチンを、一服毎にほぼ一定量を除去しつつ、タバコの味を損なうことなく最後まで均一な味を保つフィルターを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
タバコ煙中のタール分を除去する方法として粒状活性炭や繊維層で構成されるフィルターをタバコ本体に接続し、そのなかにタール分を吸着させるという手段が長年にわたって用いられてきた。しかし濾過効率を上げようとして繊維層の密度を大にすると、タールによる目詰まりのため通気低下が発生し、喫煙に満足感を得られなくなる。即ち、紙巻タバコに用いる繊維フィルターにおいては、タール除去量と通気抵抗の間に相反する関係があり、通気抵抗を上げずに、タール除去量を増やすことは困難である。
そこで従来の吸着技術に、新しく凝縮という手段を加えて、通気低下を防ぎつつ、またタバコの味を変えることなく、タール除去の向上を図ることにした。
なお、凝縮とは飽和蒸気の温度を下げるか、圧縮するとその一部が液化する現象と定義される。
【0006】
次に、タバコの煙を凝縮することによってヤニを分離する積層円板の特性について記す。
片面に凹みを形成し、その凹みの底に1〜4個の通気孔を設けた2枚の円板を、夫々の凹みを外向きにしてリング(中心に孔をあけた円板)の両側に接着する。タバコの煙がこの積層した円板内を通過するとき、煙は上流側円板の通気孔で加速され、リングの孔を直進して、下流側円板の内側に衝突して圧縮される。その結果、煙の一部が液化して褐色のヤニを発生し、有害物質の大半を分離したタバコ煙は下流側円板の通気孔を抜けて外に出ていく。ヤニはタバコの服数毎に、量を増やしながら積層した円板の内部に堆積する。このヤニの中に健康被害をもたらすタールやニコチンが含まれているのである。
ここでヤニとはタバコ煙の粒子相のことである。文献には、通常タバコ煙の成分はガス相と粒子相から成っており、ガス相はほとんどが大気の成分と同じものであり、粒子相は煙の約8%を占め、タール(約6.7%)、ニコチン(約0.5%)、水分(約0.8%)で構成されていると記されている。(高橋市郎著 タバコ博士の本地球社版、P9)
【0007】
この積層円板に於いては、上流側と下流側円板の通気孔の配置により、下流側の円板に発生したヤニが通気孔の近辺に堆積することがある。タバコの服数が進むにつれてヤニの量が増え、タール含有量の多いタバコでは、それが通気孔に流れ込む。タバコは連続的に喫煙されるから、孔に流入したヤニは煙と共に孔裏側に吸いだされ、そこに堆積して通気抵抗が幾分か上昇する。また、同一仕様の円板を積層するとき、両円板の通気孔が煙流方向に重なって、煙の凝縮効果を低下させることもある。
【0008】
次にこの積層円板フィルターの代表的な2種のタイプについてその特徴を説明する。
同一仕様の円板を積層したフィルターがコスト的に最も低い。この円板をリングの両側に接着するときは、平面上で見て両円板の通気孔が重ならないように、上流側円板の通気孔の中間に下流側円板の孔が位置するように円板の位相をずらす。しかし、円板の通気孔が3〜4個になると、円板の位相を変えても、隣り合う円板の通気孔は平面上近すぎる。そのためヤニの堆積が増えると、このヤニが下流側円板の通気孔に流れ込んで通気低下を起こすようになる。従って、同一仕様の円板より成る積層円板の通気孔は1〜2個が適当である。
円板の通気孔が1個の場合は、孔は円板の中心ではなく凹みの外側寄りにあけ、上流側と下流側円板の位相を180°変えて積層するとよいが、このタイプの積層円板は通気抵抗が大きく実用的ではない。よって、同一仕様の円板を積層するには通気孔2個が最も良い。孔は円板の中心に対称で、且つ凹みの壁近傍に設け、さらに両円板の平面上で見た通気孔の位置を離すために、孔位相を約90°ずらす。このようにすると下流側円板に発生するヤニが孔の近辺に堆積して通気低下を起こすのを防ぐことができる。また、この積層円板を後述するように繊維ロッドに接続して一体化するとき、積層円板に方向性がないので作業が容易になる利点もある。
【0009】
次に、通気孔の径や個数及びその配置を異にする2枚の円板をリングの両側に接着してなる積層円板について記す。
上流側の円板は中心に1個または中心近傍に2個の孔を設け、下流側の円板は凹みの外側寄りに2〜4個の孔をあけて、平面上で見た孔の重なりを防ぐ。このようにすると、下流側円板の通気孔至近の位置にヤニが堆積するのを防ぐことが出来る。上流側円板に設ける通気孔は1〜2個が適当で、3個以上になると孔1個あたりの吸引力が低下して、凝縮により発生するヤニの量は少なくなる。即ち、上流側円板の孔には出来るだけ強い吸引力を作用させる必要があり、下流側円板の通気孔で上流側円板の吸引力を減殺してはならない。従って下流側円板の通気孔の数は2個以上とし、場合によっては通気孔の径を上流側円板より大きくする。
上流側円板の通気穴を中心に1個とする場合、下流側円板の通気孔は凹み壁近傍に2個以上設ける。この場合上流側円板の通気孔にはもっとも強い吸引力が働いて発生するヤニの量は最大となるが、通気抵抗も大きくなる。また、上流側の通気孔を円板の中心近傍に2個設けた場合、ヤニの発生量は前記の通気孔1個に比較して少し減るが、通気抵抗は感じないほどになる。
このタイプの積層円板は平面上で見た両側の円板通気穴の距離が近いため、下流側円板の通気孔から円板の外側に少量のヤニが吸い出される。発生するヤニの量が多いと、その一部が下流側円板に直結する繊維ロッドの端面に堆積することがある。
またこのタイプの積層円板は方向性を有する。従って、この積層円板をタバコ本体に逆に装着すると、両円板の通気孔が各2個の場合を除き、上流側円板の吸引力が低下して凝縮効果は小さくなるので注意を要する。
【0010】
次に、リングの両側に接着して積層円板を構成する片面凹みの円板について、その特性と仕様を詳細に説明する。
(イ)円板の材料
円板は板厚に比して深い凹みを形成しなければならないので、圧縮性の大きい材料が必要である。また孔を通過した煙の衝突する面は非通気性であることが望ましい。煙にかかる圧縮力が弱いと凝縮効果が低下し、ヤニの発生が少なくなるからである。
円板の材料はこれらの条件に加えて、廃棄したときの環境負荷、価格などを考慮すると紙が最適である。紙は植物繊維から作られたもので、圧縮率が50〜65%あることが望ましい。
【0011】
(ロ)円板の板厚
円板の片面に形成する凹みの深さから板厚を決定する。紙の圧縮率を50〜65%に設定すると、円板の凹み深さを0.4〜0.7mmにするために板厚を0.8〜1.2mmにする。現在市場にある材料を用いる場合、板紙が適当である。
【0012】
(ハ)円板に形成する凹みの広さ
この積層円板においては、下流側円板に堆積するヤニが通気孔に流入しないように、両円板の平面上の孔位置を離す必要がある。特にタール含有量の多いタバコでは、下流側円板に発生させたヤニの近くに通気穴があると、その孔からヤニが吸い出されて、後続の繊維ロッド端面に広くヤニを堆積して通気低下を引き起こすことがある。そのためにも凹みの広さは可能な限り大きくすることが望ましい。
円板に形成する凹みの平面形状は、加工の容易さを考慮すれば円形が最良である。この凹み径は凹みの深さを考慮して決定する必要があるが、円板の外縁から凹みの縁まで、少なくとも使用する材料の板厚分は必要である。よって、この円板の凹み直径は4.5〜5.5mmとする。
【0013】
(二)凹みの深さ
積層円板を繊維ロッドの間に挟んで用いるとき、積層円板の端面がフラットであると、円板外側の通気孔の周りにヤニが発生して通気低下を起こす。この現象は積層円板の両端で起こるが、とくに下流側円板においては、円板の内側に発生させたヤニの量が多いと、近くの通気孔から吸い出されて、後続の繊維ロッド端面にヤニを堆積し、通気低下を引き起こす。その防止策として繊維ロッドに接触する円板の表面に凹みを形成する。この凹みを出来るだけ広くしておけば、繊維ロッドと円板の隙間は最低でも0.4mmあれば良い。下流側円板の通気孔から吸い出されたヤニが、後続の繊維ロッドに堆積しても、円板の凹みが広ければ、タバコの煙はその部分を迂回してヤニの堆積していない所から出て行く。また、凹み深さを必要以上に深くすると、円板の板厚も大きくしなければならず、コストが上がる。従って、円板の凹み深さは0.4〜0.7mmでよい。
【0014】
(ホ)通気孔の径
円板の凹み底面に設ける穴の直径は0.5〜0.7mmとする。両円板の距離(即ちリングの厚さ)にもよるが、孔径が小さいほど煙の凝縮効果は大きくなる。しかし、反面通気抵抗も大となる。直径0.5mmより小さい孔では通気抵抗が上がるため、人によっては喫煙の満足感が得られないかもしれない。また孔の加工も難しい。一方直径0.7mmを超える孔では凝縮効果が著しく低下する。従って、煙を凝縮するための孔径としては0.5〜0.7mmが適当である。
【0015】
(ヘ)通気孔の個数
上流側円板に設ける通気孔数が多いと、孔を通過する煙の量が分散し、下流側円板に衝突する力も弱くなって凝縮効果が低下する。また、両円板の通気孔が平面上で見て重なったり、距離が近すぎたりすると、下流側円板に発生したヤニがその円板の通気孔に流入して通気低下を起こす。従って、円板に設ける通気孔の数は上流側円板で1〜2個、下流側円板で2〜4個が適当である。
タバコの吸引力には個人差があるものの、上流側円板に設ける孔の個数が3個以上になると、各孔に作用する吸引力が弱くなり積層円板全体の凝縮効果が低下する。また、上流側円板の孔を中心に1個、下流側円板の通気孔を2個以上にすると、第1円板に大きな吸引力が働いて最大の凝縮効果が得られるが、一方で通気抵抗が高くなる。上流側円板の孔が2個の場合は、前記1個の円板に比べて凝縮効果が少し下がり、発生するヤニも減るが、通気抵抗は無視できる程度である。従って、上流側円板に設ける孔の個数は2個が最良と言える。また、下流側円板の孔数は上流側円板と同数以上でないと、上流側円板に作用する吸引力が低下する。そこで下流側円板の孔数は2〜4個とし、孔の配置や孔径を変えて、発生したヤニが孔に流入することによって起こる通気抵抗の上昇や上流側円板の孔に作用する吸引力の低下を防ぐ。
【0016】
(ト)円板外径
円板の外径はタバコロッドとほぼ同じにする。通常、国内で作られている紙巻タバコは普通巻きと細巻きとあり、夫々の巻きの円周は普通巻きが約25〜26mm、細巻きは22.5〜24mmになっている。(前記文献による)
従って、円板の外径は外側の巻紙の厚さを考慮して直径7.0〜8.1mmとする。
【0017】
続いて、積層円板を構成するリングについて、その特性と仕様を説明する。
(イ)リングの材料
現在市場にある材料を用いて、リングを製作するには板紙が適当である。
しかし、厚さが1.0mmを超える1枚ものの板紙は入手困難であるから、厚さ0.6〜1.0mmの材料を2枚貼り合わせたものを用いるとよい。
【0018】
(ロ)リングの厚さ
本発明に於ける積層円板において、上流側円板と下流側円板間の距離は通気孔と共にタバコ煙の凝縮に重要な作用をする。両円板間の距離はリングの厚さそのものであり、この厚さは通気孔の径や個数及びヤニの発生量によって最適の値を求めるのが望ましいが、煙の凝縮に係る距離は1.0〜2.0mmが適当である。上流側円板の通気孔径が0.5〜0.7mm、孔数1〜2個の場合、この距離が2.0mmを超えると煙の衝突する力が弱くなって凝縮効果が低下する。また、距離が1.0mm以下になるとタール含有量の多いタバコでは、下流側円板に堆積したヤニが上流側円板に到達して通気の流れを妨げることもある。よって、リングの厚さは1.0〜2.0mmとする。
【0019】
(ロ)リングの内径
リング内径はこの両側に接着する円板の凹み径と同等以上とし、直進する煙の流れを妨げないように凹み径より小さくしてはならない。よって、リング内径は4.5〜5.5mmに設定する。
【0020】
(ハ)リングの外径
リング外径は積層円板を構成する両側の円板外径と同一とし、その数値を円板と同じ7.0〜8.1mmとする。
【0021】
次に、フィルター円板の製作について説明する。
この円板を製作するにはプレス加工が最も効率的である。円板単体は基本的にコイニング(凹み成形)、ピアス(穴あけ)、ブランク(外形抜き)の3工程で製作できるが、工程別に金型を用いて加工すると、コストは極めて高いものになってしまう。そこで、3工程を1セットの金型内に集約し、多数個取りとした順送り型を用いる。また、同様にリングも多数個取りの順送り型にする。これらの金型を円板の積層まで考慮して、材料採りのレイアウトを設定すれば、積層円板のコストは低く抑えることができる。
【0022】
フィルターとして積層円板のみを装着した紙巻きタバコでは、以下の不具合が生じる。先ず上流側円板の通気孔がタバコの細片で塞がれる恐れのあること。次に下流側円板の孔からヤニが吸い出されて口に入ることである。従って、円板フィルターを紙巻タバコに使用するときは、繊維フィルターと組み合わせて用いなければならない。円板フィルターは2〜3本の繊維ロッドの間に挟み、これらの外側を通気性のある紙で巻いて一体化する。積層円板の上流側に接続する繊維ロッドは1本とし、長さ5mm以下でよい。この繊維ロッドを使用することにより、円板の通気孔が細かく刻んだタバコ葉で塞がれることを防止する。尚、繊維ロッドに代えて、通気性のある紙または布で製作した円板を上流側円板の凹み外縁に貼り付けても同じ目的を達することができる。
円板の下流側に接続する繊維ロッドは1〜2本とするが、積層円板で除去するタールの量を多くすることによって繊維層を通過するタール分を減らす。この結果、繊維ロッドの密度を高くしても、タールによる喫煙早期の目詰まりを避けることができる。このフィルターでは積層円板内でタバコ煙に含まれるタール分の大半を除き、さらに残ったタール分は繊維ロッドによる吸着によってフィルター全体の濾過効率を上げることができる。
【0023】
積層円板の上流側には前段で述べた目的で短い繊維ロッドを接続し、該円板の下流側に接続する繊維ロッドを2本として、積層円板に直結する方の繊維ロッドの中には粒状活性炭を混入し、後続の繊維ロッドは高密度にする。これらを紙で巻いて一体化し、1本のフィルターとする。タバコロッドにこのフィルターを接続した紙巻きタバコは、積層円板によってタバコ煙の約8%を占める粒子相からタールやニコチンを取り除き、約92%のガス相からはアセトアルデヒドなどの悪臭原因物質を活性炭に吸着させる。
ヤニそのものは強烈な臭気を持つ。積層円板でヤニを除去することは、タバコの煙に含まれている悪臭を発する物質を除去することを意味する。積層円板と活性炭で悪臭の原因物質を除去した煙は、従来のタバコに比べその発する臭いが薄くなっている。
【0024】
平面上で見て、両円板の通気孔が接近したフィルターでは、ヤニの堆積量が増えるとその一部が下流側円板の孔に流入して通気抵抗が上昇する。この点を改善するため、タバコ本体とフィルターを接続する巻紙の外周部に、多数の微小孔を1〜2列設け、その孔から繊維ロッドの中に外気を導入して通気抵抗を緩和するとよい。また、有害物質を含んだ煙を薄める効果もある。
【0025】
【発明の実施の形態】
図面を使って、発明の実施の形態を説明する。
図1は片面に凹み4を有し、この凹みの底に2個の通気孔3を設けた同一仕様の2枚の円板1を、凹みを外向きにしてリング2の両側に接着して成る積層円板を示す。円板の通気孔3は円板中心に対称で、且つ円板の凹み壁近傍に設け、2個の通気孔をできるだけ離す。さらに、上流側円板の穴を通過した煙は、下流側円板に衝突してヤニを発生するが、このヤニが下流側円板の通気孔に流入して、通気低下を起こさないようにしなければならない。従って、上流側と下流側円板における通気孔の平面上の距離を大きくするために、両円板の孔位相を90°ずらして接着する。
【0026】
この紙製の円板においては、凹みの径を4.5〜5.5mm、凹みの深さを0.5〜0.7mmとし、通気孔の径は0.5〜0.7mmから選び、円板外径はタバコロッドと同じ径にする。また、板厚は凹みの深さに応じて0.8〜1.2mmの範囲から決定する。
【0027】
次に、積層円板を構成する紙製のリング2においては、リングの内径を4.5〜5.5mmの範囲から決定し、円板の凹み径と同等以上にする。リング外径は両側に接着する円板と同じにする。また、リングの板厚は紙巻きタバコのタール含有量や上流側円板の通気孔の数によって1.0〜2.0mmの範囲から決定する。
【0028】
図2はリング2aの上流側に通気穴3aが1個の円板1a、下流側に通気孔3bが4個の円板1bを接着して成る積層円板を示す。この積層円板に於いては、上流側円板の通気孔に強い吸引力を作用させ、凝縮効果を上げることができる。
【0029】
図3は2本の繊維ロッドの間に図1に示す積層円板を挟み、外側を通気性のある紙6で巻いて一体化したフィルターを示す。上流側の繊維ロッド5は細かく刻んだタバコ片で通気孔が塞がれないようにするためのもので、長さは5mm以下でよい。また、下流側の繊維ロッド5aは積層円板を通過した煙にもう一段の濾過を加えるものであり、この繊維ロッドは積層円板の内部に発生したヤニが、下流側円板の通気孔から吸い出されたとき、このヤニを吸着する機能も持つ。この繊維ロッドの長さは10〜15mmとする。
【0030】
図4は前記の図3に示すフィルターに於いて、下流側の繊維ロッドを2本とし、積層円板に直結する方の繊維ロッド5bに粒状活性炭7を混入して、主としてタバコ煙に含まれる悪臭の原因物質を吸着させる。この繊維ロッドの長さは10mm位とする。
【0031】
図5はタバコロッド8の末端に図3に示すフィルターを接続した紙巻きタバコを示す。この紙巻きタバコに於いては、タバコとフィルターをつなぐ外側の巻紙9に円周上一列にあいた孔10から外気を導入する。本発明の積層円板では両側の円板に設ける通気孔の平面上の配置が近いと、喫煙が進んだとき下流側円板の通気孔の近傍にヤニが堆積して通気低下を起こすことがある。紙巻きタバコの巻紙にあけた孔から外気を導入することにより、この問題に対処できる。
【0032】
【実施例1】
紙巻きタバコのフィルター部を切り離し、図4に示す構造のフィルターを接続して、喫煙後のヤニの発生状態を観察した。
積層円板における両側の円板は外径が7.7mm、板厚が1.2mm、凹みは直径が5.2mm、深さは0.5mmである。一方、リングは外形7.7mm、内径5.2mm,板厚1.8mmとした。
最初に、請求項2で表す積層円板をフィルターに用いた。図1のように通気孔を夫々2個とし、両円板の孔位相を90°ずらした。通気孔の径は0.5mm、孔のピッチは中心を挟んで4mmとした。
実験に使用した紙巻きタバコは国産品で、タールとニコチンの含有量は夫々10mg、0.8mgと記されていた。
この紙巻きタバコをタバコロッドの半分まで喫煙した後、フィルターとして使用した積層円板内のヤニの状態を観察したところ、下流側円盤の内側に2個のドーナツ状に堆積したヤニが認められた。そのヤニは内径1〜1.5mm、外径2.5〜3mm、高さ約0.5mmであった。また、下流側円板の外側に通気孔からのヤニの流出はなかった。尚、タバコロッド半分までの喫煙の服数は8回で、通気抵抗は無視できるほどであった。
【0033】
【実施例2】
次に、請求項3に記した積層円板でヤニの状態を確認した。前記実施例1で使用した積層円板の仕様を上流側円板の通気穴のみ変更して、円板中心に直径0.5mmの穴1個として図4に示す構造のフィルターをタバコロッドに接続した。紙巻きタバコは実施例1と同じものを使用し、タバコロッドの半分まで喫煙した。この結果、下流側円板の中心にドーナツ状のヤニの堆積が1個確認できた。ヤニは内径1.5〜2mm、外径3〜4mm、高さは約1mmであった。さらに、下流側円板の外側に通気孔から流出した2個のヤニが認められた。そのヤニは外形約1mm、高さ0.5〜1mmであった。このフィルターでは通気抵抗が大きいと感じられた。
そこで、上流側円板の通気孔径を0.6mmに変更して再度実験を試みた。
その結果、通気抵抗は無視できるところまで低下した。積層円板内に堆積したヤニは内径2〜3mm、外径4〜5mm、高さ0.5〜1mm、通気孔の所で分断したドーナツ状となった。
また、下流側円板の外側に通気孔からのヤニの流出が認められ、そのヤニは外径約1.5mm、高さ約0.5mmであった。
尚、タバコロッド半分までの喫煙服数はどちらも10回であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の積層円板を繊維ロッドに挟んで一体化したフィルターは、タバコロッドに装着すると以下の効果を奏する。
【0035】
タバコの煙は積層円板内で一服毎に凝縮をうけて、ほぼ一定量のヤニを分離した後、フィルター末端の繊維ロッドで吸着による濾過を経て口に入る。その結果、このフィルターをつけた紙巻きタバコの喫味はタールによる辛さがとれて、軽く、まろやかになると共に、味を損なうことなく喫煙の最後までほぼ均一な喫味が得られる。
【0036】
また、ヤニの主成分はタールとニコチンであり、これが呼吸器疾患や心臓病を引き起こすと考えられている。従って、積層円板によるヤニの除去は喫煙者の健康被害を防止するのに有効である。
【0037】
さらに、積層円板によるヤニの除去は、喫煙者が吐き出す煙による室内汚染や刺激臭を低減する効果もある。
【0038】
この積層円板は円板に設ける通気孔の径や個数及びリングの厚さによって、タバコ1本あたりのタールやニコチンの除去量を定量的にコントロールできるので、喫煙者の好みに応じた紙巻きタバコを提供できる。
【0039】
積層円板を構成する要素は単純な形状をしており、しかも安価な材料を用いて大量に生産すること可能である。従って、積層円板のコストを低く抑えることができるので、このフィルターを用いた紙巻きタバコのコストが大幅に上昇することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は同一仕様の円板をリングの両側に接着した積層円板を、上流側から見た平面図を示す。(ロ)はそのA−A断面図である。
【図2】(イ)は通気孔の異なる2枚の円板をリングの両側に接着した積層円板を、上流側から見た平面図を示す。(ロ)はそのB−B断面図である。
【図3】2個の繊維ロッドの間に積層円板を挟んだフィルターの断面図である。
【図4】積層円板の下流側に2個の繊維ロッドを接続し、積層円板に直結する繊維ロッドの中に粒状活性炭を混入したフィルターの断面図である。
【図5】2個の繊維ロッドの間に積層円板を挟んだフィルターをタバコロッドに接続し、その巻紙に外気導入孔を設けた紙巻きタバコの断面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b 円板単体
2、2a リング
3、3a、3b 通気孔
4 凹み
5、5a、5b 繊維ロッド
6 通気性のある巻紙
7 粒状活性炭
8 タバコロッド
9 巻紙
10 外気導入孔
Claims (8)
- 片面に形成した凹みの底に通気孔を設けた2枚の円板を、夫々の凹みを外向きにして、リング(中心に孔をあけた円板)の両側に接着して成る積層円板であって、上流側円板の孔を通り抜けたタバコの煙がリングの孔を直進し、下流側円板の内側に衝突して発生するヤニを、積層円板の内部に貯留するようにした紙巻タバコのフィルター。
- 円板の凹みに設けた2個の通気孔が円板中心に対称で、且つ円板の凹み壁近傍にあいている同一仕様の2枚の円板とリングより成る積層円板であって、両円板の孔位相を略90°変えることにより、下流側円板に発生するヤニが、該円板の通気孔の近辺に堆積しないようにした請求項1に記載の紙巻きタバコのフィルター。
- 両円板の凹みに設けた通気孔が径や個数及びその配置を異にする積層円板であって、上流側円板の通気孔は円板の中心に1個または中心近傍に2個設け、下流側円板の通気孔は凹み壁の近傍に2〜4個設けることにより、上流側円板に作用する吸引力を大きくして凝縮効果を向上させ、且つ下流側円板の通気孔至近の位置にヤニを堆積しないようにした請求項1に記載の紙巻きタバコのフィルター。
- 片面凹みの円板が下記の仕様と工程で製作される請求項1〜3に記載の紙巻きタバコのフィルター。
(イ)板厚が0.8〜1.2mmの紙シートの上面に直径が4.5〜5.5mm、深さが0.4〜0.7mmの円柱状の凹みを形成する第1工程
(ロ)前記凹みの底面に直径0.5〜0.7mmの通気孔を1〜4個あける第2工程
(ハ)前記凹みの外側をタバコロッドと略同径のパンチでシートを打ち抜く第3工程 - リングが下記の仕様と工程で製作される請求項1〜3に記載の紙巻きタバコのフィルター。
(イ)板厚が1.0〜2.0mmの紙シートに直径4.5〜5.5mmの孔をあける第1工程
(ロ)前記孔の外側をタバコロッドと略同径のパンチでシートを打ち抜く第2工程 - 繊維ロッドの間に請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層円板を挟み、外側を通気性のある紙で巻いて一体化したフィルターをタバコロッドに接続し、円板上流側の繊維ロッドでタバコ片による円板孔の閉塞を防ぎ、下流側の繊維ロッドでは円板内の凝縮で除去できなかったタバコ煙中のタール等を吸着するようにした紙巻きタバコ。
- 積層円板の下流側に接続する繊維ロッドを2個とし、該円板に直結する繊維ロッドの中に粒状活性炭を混入して、円板内の凝縮で除去できなかったタバコ煙中の有害物質を吸着するようにした請求項6に記載の紙巻きタバコ。
- 請求項6〜7のいずれか1項に記載の紙巻きタバコにおいて、タバコロッドとフィルターを接続する外側の巻紙に円周上1〜2列に小孔を設けて、積層円板の下流側に接続した繊維ロッドの中に外気を導入し、上流側円板の穴に作用する通気抵抗や円板内に堆積したヤニによる通気低下を緩和するようにした紙巻きタバコ。
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---|---|---|---|
JP2002207598A JP2004008211A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 紙巻タバコのフィルター並びに該フィルターを装着した紙巻きタバコ |
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ID=30437498
Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009526540A (ja) * | 2006-02-16 | 2009-07-23 | ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド | 改良された喫煙品およびそのフィルター |
CN101933649A (zh) * | 2010-09-20 | 2011-01-05 | 湖北中烟工业有限责任公司 | 提高辊压法薄片抗碎性的工艺方法 |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002207598A patent/JP2004008211A/ja active Pending
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