JP2004007242A - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents

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Kuniaki Ito
伊藤 晋朗
Osamu Shibata
柴田 治
Shuichi Obayashi
尾林 秀一
Hiroki Shiyouki
庄木 裕樹
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Abstract

【課題】盗聴や盗用などを防止し、セキュリティ性の高いデータ送信が可能となる無線通信方法およびそれを用いた無線通信装置を提供する。
【解決手段】複数のアンテナビームパターンを用いて通信を行う第1の無線通信装置は、通信相手の第2の無線通信装置への送信データを送信する際には、当該送信データを複数のパケットに分割し、各パケットを前記複数のアンテナビームパターンのうちの少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンに振り分けて送信する。前記第2の無線通信装置は、当該複数のアンテナビームパターンのそれぞれから送信されたパケットを受信し、受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、無線通信システムに関し、特に、複数のアンテナビームパターン、あるいは、指向性の異なる複数のアンテナを用いて、盗聴や盗用などを防止し、セキュリティ性の高いデータ送信を可能にした無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、有線の通信に代わって、無線LANや携帯電話、PHSなどの無線通信が脚光を浴びている。無線通信機器が普及し、伝送速度が向上するにつれ、無線通信の用途も多岐に渡っている。個人情報やその他のセキュリティ性の高いデータを送受信する際にも無線通信が利用されてきているのである。
【0003】
無線通信はケーブルを使わないので、電波が届くところならどこでも使えるという利点がある。しかし、便利な反面、勝手に電波を使われたり、電波の中身を盗み見される危険性と隣り合わせといえる。そこで、無線通信機器にセキュリティ機能を備えるのは不可欠である。
【0004】
従来の無線通信システムでは、電波を勝手に使われないように、事前にユーザを認証して電波の不正利用を防止たり、送受信するデータを暗号化して盗聴を防止する仕組みが取り入れられている。例えば、IEEE802.11規格には、ESS−IDと呼ばれる認証方式と、WEPと呼ばれる暗号化方式が用いられている。
【0005】
【課題を解決するための課題】
しかし、不正ユーザが電波を不正利用できないように、また、盗聴しにくいように、認証機能や暗号化機能をいくら強化して、正当なユーザとの間で暗号化されたデータを送受信したところで、その電波が届くところにいれば、その電波は傍受できてしまう。
【0006】
電波を傍受でき、しかも何らかの方法で、伝送されているデータを復号するための鍵情報を得ることができれば、当該データは容易に盗聴されてしまう。
【0007】
このように、従来は、送信データが暗号化されていても、1つの無線経路が傍受できれば、当該送信データは盗聴される危険性があるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、たとえ1つの無線経路の電波が傍受できたとしても、盗聴することが困難な、セキュリティ性の高い無線通信方法およびそれを用いた無線通信装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る、複数のアンテナビームパターンを用いて通信を行う第1の無線通信装置は、通信相手の第2の無線通信装置への送信データを送信する際には、当該送信データを複数のパケットに分割し、各パケットを前記複数のアンテナビームパターンのうちの少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンに振り分けて送信し、本発明に係る前記第2の無線通信装置は、当該複数のアンテナビームパターンのそれぞれから送信されたパケットを受信し、受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元する。本発明によれば、受信側では、上記複数のアンテナビームパターンのそれぞれから送信される無線信号を受信できなければ元の送信データは復元することはできない。従って、盗聴や盗用などを防止し、セキュリティ性の高いデータ送信が可能となる。
【0010】
好ましくは、前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンの指向方向を調節する。
【0011】
好ましくは、前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナビームで互いに異なる。
【0012】
好ましくは、前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナビームで同期している。
【0013】
本発明に係る、指向性の異なる複数のアンテナを用いて通信を行う第1の無線通信装置は、通信相手の第2の無線通信装置への送信データを送信する際には、当該送信データを複数のパケットに分割し、各パケットを前記複数のアンテナのうちの少なくとも2つの複数のアンテナに振り分けて送信し、本発明に係る前記第2の無線通信装置は、当該複数のアンテナのそれぞれから送信されたパケットを受信し、受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元する。本発明によれば、受信側では、上記複数のアンテナのそれぞれから送信される無線信号を受信できなければ元の送信データは復元することはできない。従って、盗聴や盗用などを防止し、セキュリティ性の高いデータ送信が可能となる。
【0014】
好ましくは、前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記複数のアンテナの中から前記少なくとも2つの複数のアンテナを選択する。
【0015】
好ましくは、前記少なくとも2つの複数のアンテナのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナで互いに異なる。
【0016】
好ましくは、前記少なくとも2つの複数のアンテナのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナで同期している。
【0017】
本発明は、複数のアンテナビームパターンを用いて通信を行う複数の第1の無線通信装置を介して、第2の無線通信装置への送信データを送信するものであって、前記送信データを前記複数の第1の無線通信装置の数に応じて分割し、そのそれぞれを前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれに分配し、前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれは、当該分配された送信データを複数のパケットに分割して前記第2の無線通信装置へ送信し、前記第2の無線通信装置は、前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれから送信されたパケットを受信し、受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元することにより、受信側では、上記複数のアンテナビームパターンのそれぞれから送信される無線信号を受信できなければ元の送信データは復元することはできない。従って、盗聴や盗用などを防止し、セキュリティ性の高いデータ送信が可能となる。
【0018】
好ましくは、前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれは、各パケットを前記複数のアンテナビームパターンのうちの少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンに振り分けて送信するとともに、前記第2の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンの指向方向を調節する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、例えば、室内において、第1の無線通信装置1から第2の無線通信装置2へ、データパケットを送信する場合を示している。
【0021】
第1の無線通信装置1は、複数(例えば、ここでは3つ)のアンテナビームパターン(以下、ビームパターンと呼ぶ)3−1〜3−3を用いて通信を行う。このビームパターン3−1〜3−3は、空間的に分離された、指向性が異なる複数(例えば、ここでは3つ)のアンテナのそれそれにより形成される場合であってもよいし、例えば、アダプティブアレイアンテナのように、最大利得方向あるいは通信可能な程度に利得の高い方向(ここでは、これらを指向方向と呼ぶ)が制御可能なアンテナにより形成される場合であってもよい。第2の無線通信装置2との通信に用いる複数のビームパターン3−1〜3−3の指向方向はそれぞれ異なるようになっている。
【0022】
第2の無線通信装置2は、例えば、ここでは、1つの無指向性アンテナあるいは指向性アンテナを有している。
【0023】
第1の無線通信装置1は、第2の無線通信装置2へ送信するデータ(送信データ)を複数のパケットに分割して送信する。各パケットは別々に複数(例えば、ここでは3つ)のビームパターン3−1〜3−3のそれぞれを用いて無線信号として第2の無線通信装置2へ送信される。すなわち、各パケットは、ビームパターン3−1〜3−3のそれぞれに振り分けられて送信されるのであって、各パケットは全て同じビームパターンを通じて送信するのではなく、(同じパケットが複数のビームパターンのそれぞれから送信されないように、)各パケットをビームパターン3−1〜3−3のそれぞれに振り分けて送信する。
【0024】
第2の無線通信装置2では、ビームパターン3−1〜3−3のそれぞれから送信された上記各パケットを伝送する無線信号を例えば異なる複数のパスを通じて受信し、受信した各パケットから分割された送信データ(分割データ)を取り出して、それらを順番に結合することにより、第1の無線通信装置1からの送信データを復元する。
【0025】
第1の無線通信装置1の複数のビームパターン3−1〜3−3のそれぞれを通じて送信された無線信号の、第2の無線通信装置2が受信するまでの当該無線信号の通る経路を、ここではパスと呼ぶ。
【0026】
各パケットを送信する複数のビームパターンは、それぞれ指向方向が異なるため、各ビームパターンを通じて送信される無線信号の通るパスは空間的に異なる場所を通る確立が高い。
【0027】
このように、第1の無線通信装置1では、第2の無線通信装置2への送信データを複数のパケットに分割し、当該複数のパケットを異なる指向方向の複数のビームパターンに振り分けて送信する。全てのパケットは同じビームパターンを用いて送信されることがない。従って、第2の無線通信装置2では、送信データを復元するためには、空間的に異なる場所を通る複数のパスを通じてパケットを受信する必要がある。また、第2の無線通信装置2では、各パスを通じて受信した分割データを結合することにより、上記送信データを復元する。よって、受信側では、上記3つのビームパターンのそれぞれから送信される無線信号を受信できなければ元の送信データは復元することはできない。
【0028】
例えば、上記送信データを受信できる正当な受信装置である第2の無線通信装置2以外の他の無線通信装置が上記3つのビームパターンのうちの1つあるいは上記3つのビームパターンのうちの一部の複数のビームパターンを通じて送信された無線信号を傍受して盗聴できたとしても、当該他の無線通信装置では、全ての分割データを受信することができないので、送信データを復元することは不可能となる。従って、上記手法によれば、盗聴防止を実現することができるのである。
【0029】
分割された送信データ(分割データ)は、第2の無線通信装置2が全ての分割データを受信することのできるように、指向方向の異なる複数のビームパターンの中から第2の無線通信装置2の存在する方向に適した指向方向をもつビームパターンを形成するアンテナを選択したり、あるいは、第2の無線通信装置2の存在する方向に適するように、複数のビームパターンの指向方向を制御して、第1の無線通信装置1から送信される。具体的には、第1の無線通信装置1は、例えば、第2の無線通信装置2から送信される無線信号の到来方向に基づき、複数のアンテナの中から少なくとも2つの複数のアンテナを選択する。あるいは、第1の無線通信装置1は、例えば、第2の無線通信装置2から送信される無線信号の到来方向に基づき、少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンの指向方向を調節する。従って、第1の無線通信装置1からみて第2の無線通信装置2が存在している位置とは異なる位置に存在する他の無線通信装置が、上記分割データを全て受信することは不可能に近い。
【0030】
図1の第1の無線通信装置1の構成例を図2に示す。
【0031】
図2に示した第1の無線通信装置1は、空間的に分離された、指向性が異なる複数(例えば、ここでは3つ)のアンテナ113−1〜113−3を有し、それらにより、図1に示すように、異なる指向方向の複数(例えば、ここでは3つ)のビームパターン3−1〜3−3が形成される。
【0032】
受信部111−1〜111−3は、アンテナ113−1〜113−3の各アンテナビーム3−1〜3−3を介して、通信相手などの他の無線通信装置から送信された無線信号を受信し、復調及び復号を含む処理によって受信信号RS1〜RS3を生成する。
【0033】
一方、送信部112−1〜112−3は、アンテナ113−1〜113−3の各アンテナビーム3−1〜3−3を介して、通信相手などの他の無線通信装置へ送信すべき送信信号TS1〜TS3を無線信号としてアンテナ113−1〜113−3から送信する。
【0034】
受信部111−1〜111−3からの受信信号RS1〜RS3は、受信制御部101に入力し、所定の受信処理が行われる。
【0035】
方向推定部105は、受信部111−1〜111−3で受信信号RS1〜RS3を受信したときの受信電力や、遅延拡がりなどの電波の伝搬状況を測定することにより、当該受信信号の異なる複数の到来方向(例えば、ここでは、当該受信信号の送信元の無線通信装置である、図1の第2の無線通信装置2から送信された無線信号の到来方向)を推定する。
【0036】
例えば、図1の第2の無線通信装置2のような、1つの無指向性アンテナあるいは指向性アンテナを有している無線通信装置から送信された無線信号を複数のアンテナ113−1〜113−3で受信したとき、方向推定部105では、そのときの受信電力が所定値以上であった、少なくとも2つの複数のアンテナにより形成されるビームパターンの指向方向から、当該第2の無線通信装置2から送信された無線信号の到来方向を推定するようにしてもよいし、例えば、MUSICやESPRIなどの到来方向推定アルゴリズムを用いて、第2の無線通信装置2から送信される無線信号の到来方向を推定してもよい。
【0037】
ビーム選択部106は、方向推定部105で推定された到来方向を基に、アンテナ113−1〜113−3のそれぞれで形成される複数のビームパターンの中から、当該推定された複数の異なる到来方向に指向方向をもつ複数のビームパターン(を形成するアンテナ)を選択する。
【0038】
すなわち、方向推定部105とビーム選択部106とにより、アンテナ113−1〜113−3のそれぞれで形成される複数のビームパターンの中から、例えば、第2の無線通信装置2に反射、錯乱、回折などなしに直接到達するパスを通じて分割データを送信することのできるような指向性をもつビームパターンや、反射、錯乱、回折などで第2の無線通信装置2へ到達するパスを通じて分割データを送信することのできるような指向方向をもつビームパターンが選択される。
【0039】
ビーム選択部106は、ビームパターン3−1〜3−3と、そのそれぞれのもつ指向方向との対応関係を登録したテーブルを予め記憶し、このテーブルを参照して、方向推定部105で推定された到来方向に対応する複数のアンテナを選択するようにしてもよい。
【0040】
なお、アンテナ113−1〜113−3のそれぞれで形成されるビームパターン3−1〜3−3が互いに直交しているのであれば、それぞれのビームパターン3−1〜3−3は異なるパスで無線信号を送受信することが可能である。また、ビームパターン3−1〜3−3が互いに直交していなくとも、各ビームパターン3−1〜3−3が異なる指向性を有していれば、異なるパスの無線信号を送受信することが可能である。
【0041】
ビーム選択部105で選択される複数のビームパターンの全部または一部の複数のビームパターンは、互いに一部重なり合っていてもよい。
【0042】
データ分割部104は、例えば、一続きの送信データを固定長あるいは可変長のデータに分割する。送信データを分割することにより、当該一続きの送信データから複数の分割データが得られる。
【0043】
送信制御部102は、通信相手などの他の無線通信装置へ送信するパケット(フレームであってもよい)データの生成等の送信処理を行う。ここで生成されたデータは、送信部112−1〜112−3を通じて無線信号として送信される。
【0044】
送信制御部102は、データ分割部104で送信データを分割することにより得た複数の分割データをそれぞれ1送信単位として送信するために、各分割データをパケット化する。そして、この生成されたパケットデータを、送信部112−1〜112−3のうち、ビーム選択部106で選択されたビームパターン(を形成するアンテナ)に対応する送信部を通じて無線信号として送信すべく、当該選択された複数のビームパターンのそれぞれに対応する複数の送信部へ供給する。その結果、各分割データのパケットはそれぞれ別々に当該選択された複数のビームパターンを通じて、図1の第1の無線通信装置2へ送信される。
【0045】
図1では、第1の無線通信装置1は、第2の無線通信装置2への送信データを分割し、分割された送信データ(分割データ)を別々に異なる指向方向の複数のビームパターンを用いて送信するようになっているが、逆に、図2と同様な構成の無線通信装置から、複数のビームパターンに振り分けて送信される、複数のパケットに分割された送信データ(分割データ)をそれぞれ異なるパスを通じて受信して、当該送信データを復元するために、図2に示した構成では、受信制御部101にデータ結合部103が接続されている。
【0046】
受信制御部101で、異なる複数のパスを通じて受信した各パケットから分割データが取り出されると、データ結合部103で、それらを結合して、通信相手から送信されてきた送信データを復元する。
【0047】
次に、図1の第2の無線通信装置2の構成例について、図3を参照して説明する。
【0048】
図3に示した第2の無線通信装置2は、1つの無指向性アンテナあるいは指向性アンテナ205を有している。
【0049】
受信部203では、アンテナ205を通じて受信された無線信号に対し、復調及び復号を含む処理を行って、受信信号を生成する。送信部204は、アンテナ204を介して送信すべき送信信号を生成してアンテナ205に供給する。
【0050】
受信部203からの受信信号は、受信制御部201に入力し、ここで、所定の受信処理などが行われる。
【0051】
第2の無線通信装置2は、図2に示した構成の第1の無線通信装置1から、異なる指向方向の複数のビームパターンを用いて送信された分割された送信データ(分割データ)を異なる複数のパスを通じて受信し、送信データを復元するために、受信制御部201にデータ結合部106が接続されている。
【0052】
受信制御部201で、異なる複数のパスを通じて受信した各パケットから分割データが取り出されると、データ結合部206で、それらを結合して、第1の無線通信装置1から送信されてきた送信データを復元する。
【0053】
送信制御部14は、通信相手の無線通信装置へ送信するパケット(フレームであってもよい)データの生成等の送信処理などを行う。ここで生成されたデータは、送信部204を通じて送信信号として送信される。
【0054】
次に、図1の第1の無線通信装置1の他の構成例について、図4を参照して説明する。
【0055】
図4に示した第1の無線通信装置1は、ビームパターンの指向方向が制御可能なアダプティブアンテナ123を有し、それらにより、異なる指向方向の複数(例えば、ここでは3つ)のビームパターン3−1〜3−3が形成される。
【0056】
受信部121−1〜121−3では、アダプティブアレイアンテナ123の各アンテナビーム3−1〜3−3を介して、通信相手などの他の無線端末装置から送信された無線信号を受信し、復調及び復号を含む処理によって受信信号RS1〜RS3を生成する。
【0057】
一方、送信部122−1〜122−3では、アダプティブアレイアンテナ123の各アンテナビーム3−1〜3−3を介して、通信相手などの他の無線通信装置へそれぞれ送信すべき送信信号TS1〜TS3が生成され、これらの送信信号TS1〜TS3はアダプティブアレイアンテナ123に供給される。
【0058】
受信部121−1〜121−3からの受信信号RS1〜RS3は、受信制御部101に入力され、所定の受信処理が行われる。
【0059】
送信制御部14は、通信相手などの他の無線通信装置へ送信するパケット(フレームであってもよい)データの生成等の送信処理を行う。ここで生成されたデータは、送信部122−1〜122−3を通じて無線信号として送信される。
【0060】
方向推定部124は、図2の方向推定部105と同様に、受信部121−1〜121−3で受信信号RS1〜RS3を受信したときの受信電力や、遅延拡がりなどの電波の伝搬状況を測定することにより、当該受信信号の異なる複数の到来方向(例えば、ここでは、当該受信信号の送信元の無線通信装置である、図1の第2の無線通信装置2から送信された無線信号の到来方向)を推定する。
【0061】
例えば、図1の第2の無線通信装置2のような、1つの無指向性アンテナあるいは指向性アンテナを有している無線通信装置から送信された無線信号をアダプティブアレイアンテナ123で受信したとき、方向推定部124では、そのときの受信電力が所定値以上であった、少なくとも2つのビームパターンの指向方向から、当該第2の無線通信装置2から送信された無線信号の到来方向を推定するようにしてもよいし、例えば、MUSICやESPRIなどの到来方向推定アルゴリズムを用いて、第2の無線通信装置2から送信される無線信号の到来方向を推定してもよい。
【0062】
アダプティブアレイアンテナ123では、方向推定部124で推定された、異なる複数の到来方向のそれぞれを指向方向とする複数のビームパターンを形成する。すなわち、アダプティブアレイアンテナ124により、例えば、第2の無線通信装置2に反射、錯乱、回折などなしに直接到達するパスを通じて分割データを送信することのできるような指向方向のビームパターンや、反射、錯乱、回折などで第2の無線通信装置2へ到達するパスを通じて分割データを送信することのできるような指向方向のビームパターンが形成される。
【0063】
ここで形成される複数のビームパターンの全部または一部の複数のビームパターンは、互いに一部重なり合っていてもよいし、互いに全く重なることがいないように、複数のビームパターンを形成するようにしてもよい。また、各ビームパターンは、当該ビームパターンに割り当てられた、方向推定部124で求めた複数の到来方向のうちの1つに対応する方向に対しては高利得であり、その他の方向には低サイドローブであってもよい。
【0064】
データ分割部104は、例えば、一続きの送信データを固定長あるいは可変長のデータに分割する。送信データを分割することにより、当該一続きの送信データから複数の分割データが得られる。
【0065】
送信制御部102は、通信相手などの他の無線通信装置へ送信するパケット(フレームであってもよい)データの生成等の送信処理を行う。ここで生成されたデータは、送信部122−1〜122−3を通じて無線信号として送信される。
【0066】
送信制御部102は、データ分割部104で送信データを分割することにより得た複数の分割データをそれぞれ1送信単位として送信するために、各分割データをパケット化する。そして、この生成されたパケットデータを、送信部122−1〜122−3へ振り分けながら供給する。その結果、各分割データのパケットはそれぞれ別々に複数のビームパターンを通じて、図1の第1の無線通信装置2へ送信される。
【0067】
図4に示した構成の第1の無線通信装置1では、図2と同様に、図2や図4と同様な構成の無線通信装置から、複数のビームパターンを用いて送信された分割された送信データ(分割データ)をそれぞれ異なるパスを通じて受信し、送信データを復元するために、受信制御部101にデータ結合部103が接続されている。
【0068】
受信制御部101で、異なる複数のパスを通じて受信した各パケットから分割データが取り出されると、データ結合部103で、それらを結合して、通信相手から送信されてきた送信データを復元する。
【0069】
ここで、図4のアダプティブアレイアンテナ123について、図5を参照して説明する。
【0070】
アダプティブアレイアンテナ123は、図5に示すようにアンテナ素子30−1〜30−3、送受切り替えスイッチ31−1〜31−3、低雑音増幅器(LNA)32−1〜32−3、ダウンコンバータ33−1〜33−3、分配器34−1〜34−3、受信ビーム形成回路35−1〜35−3、送信ビーム形成回路36−1〜36−3、合成器37−1〜37−3、アップコンバータ38−1〜38−3、高周波電力増幅器(HPA)39−1〜39−3及びビーム制御部40を有する。
【0071】
送受切り替えスイッチ31−1〜31−3、LNA32−1〜32−3、ダウンコンバータ33−1〜33−3、分配器34−1〜34−3、合成器37−1〜37−3、アップコンバータ38−1〜38−3及びHPA39−1〜39−3は、各アンテナ素子30−1〜30−3に対応してアンテナ素子30−1〜30−3の個数(この例では3個)と同数個設けられる。一方、受信ビーム形成回路35−1〜35−3及び送信ビーム形成回路36−1〜36−3は、アダプティブアレイアンテナ25が形成するアンテナビームの数(この例では3ビーム)と同数個設けられる。アンテナビームの数は、アンテナ素子30−1〜30−3の個数より少なくても多くても構わない。
【0072】
アダプティブアレイアンテナ123の動作を説明すると、アンテナ素子30−1〜30−3によって受信されたRF信号は、送受切り替えスイッチ31−1〜31−3をそれぞれ介してLNA32−1〜32−3に入力され、所定レベルに増幅される。LNA32−1〜32−3で増幅されたRF信号は、ダウンコンバータ33−1〜33−3にそれぞれ入力され、周波数帯が電波周波数(RF)から中間周波数(IF)もしくはベースバンド(BB)へ変換された後、分配器34−1〜34−3に入力される。
【0073】
分配器34−1によってダウンコンバータ33−1からの出力信号が受信ビーム形成回路35−1〜35−3に分配され、分配器34−2によってダウンコンバータ33−2からの出力信号が受信ビーム形成回路35−1〜35−3に分配され、分配器34−3によってダウンコンバータ33−3からの出力信号が受信ビーム形成回路35−1〜35−3に分配される。
【0074】
受信ビーム形成回路35−1〜35−3においては、入力された信号がビーム制御部40によって設定された受信用複素重み係数に従って重み付け合成されることにより、複数の受信アンテナビームが形成される。受信ビーム形成回路35−1〜35−3からの各受信アンテナビームに対応した信号は、図4中の受信部121−1〜121−3にそれぞれ供給される。
【0075】
一方、送信ビーム形成回路36−1〜36−3には、図4中の送信部122−1〜122−3からの送信信号TS1〜TS3がそれぞれ入力される。送信ビーム形成回路36−1〜36−3においては、それぞれに入力された送信信号に対してビーム制御部40によって設定された複数の送信用複素重み係数が乗じられる。
【0076】
送信ビーム形成回路36−1からの複数の出力信号は合成器37−1〜37−3に入力され、送信ビーム形成回路36−2からの複数の出力信号も合成器37−1〜37−3に入力され、送信ビーム形成回路36−3からの複数の出力信号も合成器37−1〜37−3に入力される。合成器37−1〜37−3では、それぞれに入力された複数の信号が一つの信号に合成される。
【0077】
合成器37−1〜37−3からの出力信号は、アップコンバータ38−1〜38−3にそれぞれ入力され、周波数帯が中間周波数(IF)もしくはベースバンド(BB)から電波周波数(RF)へ変換された後、HPA39−1〜39−3に入力される。HPA39−1〜39−3により増幅された送信信号は、スイッチ31−1〜31−3をそれぞれ介してアンテナ素子30−1〜30−3に供給され、通信相手などの他の無線通信装置へ送信される。
【0078】
ビーム制御部40においては、前述したように受信ビーム形成回路35−1〜35−3に対しては受信用複素重み係数が設定され、送信ビーム形成回路36−1〜36−3に対しては送信用複素重み係数が設定されるが、送受で互いに対応するビーム形成回路(例えば、受信ビーム形成回路35−1と送信ビーム形成回路36−3)に対しては、同一の端末装置と通信を行うための重み係数が設定される。
【0079】
ビーム制御部40は、方向推定部124で求められた、異なる複数の指向方向を基に、受信用複素重み係数や送信用複素重み係数を設定する。
【0080】
なお、図1の第2の無線通信装置2は、必ずしも図3に示すような構成のものである必要はなく、図2あるいは図4に示したような構成のものであってもよい。
【0081】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、図2や図4に示した第1の無線通信装置1の動作について説明する。
【0082】
第1の無線通信装置1は、第2の無線通信装置2へ、上記のようにして、複数のパケットに分割して複数のビームパターンを用いて送信すべき例えばセキュリティ性の高い送信データを送信するのに先立って、第2の通信装置2との間で、例えば、所定のプロトコルに従った制御パケットなどの送受信を行う。このとき第1の無線通信装置1は、第2の無線通信装置2から送信された無線信号を複数のビームパターンで受信することにより(ステップS1)、図2の方向推定部105、図4の方向推定部124では、当該受信した無線信号の到来方向を推定する(ステップS2)。このとき異なる複数の到来方向を推定する。
【0083】
第1の無線通信装置1では、上記送信データを第2の無線通信装置2へ送信する際には、当該送信データを複数のパケットに分割し、各パケットを推定された異なる複数の到来方向のそれぞれに対応する異なる指向方向の複数のビームパターンに振り分けて第2の無線通信装置へ送信する(ステップS3)。
【0084】
第2の無線通信装置2が、第1の無線通信装置1から送信されたパケットを受信した際に、その応答パケット(例えば、正常受信を通知するACKパケットなど)を送信する場合には、第2の無線通信装置2は、送信データのパケットを送信開始後も、当該応答パケットを受信した際には(ステップS4)、例えば、それまでの到来方向とは異なる到来方向から複数の異なる応答パケットを受信したときなど、到来方向を推定するたび度に、上記送信データを確実に第2の無線通信装置2へ送信するために、図2に示した構成の場合には上記パケットを送信するアンテナを変更したり、図4に示した構成の場合にはビームパターンの指向方向を調節(変更)したりするようにしてもよい(ステップS5)。
【0085】
そして、随時変更される複数のアンテナビームを用いて、未送信のパケットを第2の無線通信装置2へ送信する(ステップS5〜ステップS7)。
【0086】
なお、図2、図4に示した構成の第1の無線通信装置1では、第2の無線通信装置2からの無線信号の到来方向がビームパターンの指向方向としていたが、第2の無線通信装置2が空間的に異なるパスを通じてパケットを受信することができるようなビームパターンでも可能である。つまり、第1の無線通信装置1と第2の無線通信装置との間に複数のパスが存在したときに、そのうちの選択した少なくとも2つの複数のパス以外のパスにはビームパターンのヌルを向けたり、低利得化したりすることによって、無線信号が選択したパスの方向にのみ送信されるようにしてもよい。
【0087】
次に、図7、8を参照して、図2や図4に示したような第1の無線通信装置1が、例えば、図5のステップS3やステップS6において、複数のパケットに分割された送信データを指向方向の異なる複数のビームパターンを用いて第2の無線通信装置へ送信する方法について説明する。
【0088】
この送信方法としては、例えば、図7に示したように、複数のパケット(ここでは、例えば3つのパケットA〜B)を指向方向の異なる複数のビームパターン(ここでは、例えば3つのビームパターンA〜B)のそれぞれに振り分けて、互いに時間をずらして送信する場合と、図8に示したように、複数のパケット(ここでは、例えば3つのパケットA〜B)を指向方向の異なる複数のビームパターン(ここでは、例えば3つのビームパターンA〜B)のそれぞれに振り分けて、同時に3つのパケットを送信する場合とがある。すなわち、図7の場合は、複数のビームパターンA〜Bのそれぞれからパケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナビームで互いに異なり、図8の場合は、複数のビームパターンA〜Bのそれぞれからパケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナビームで同期している。
【0089】
図7において、第1の無線通信装置1は、パケットAをビームパターンAで送信する。パケットAの送信終了後、パケットBをビームパターンBで送信する。パケットBの送信終了後、パケットCをビームパターンCで送信する。このように分割された送信データを異なる複数のビームパターンで順番に時間をずらしながら別々に送信するようにしてもよい。その送信タイミングは、第1の無線通信装置1が任意に決定するようにしてもよい。なお、この場合には第2の無線通信装置2は、図3に示したような、1つの無指向性アンテナあるいは指向性アンテナを有した構成のものであっても適用可能である。
【0090】
また、図8に示したように、複数のパケットを同時に異なる複数のビームパターンを用いて並列伝送してもよい。なお、図8に示した送信方法では、第2の無線通信装置2は、並列伝送された、異なる無線信号を別々に受信する機能を有している必要がある。すなわち、第2の無線通信装置2は、図2に示したように、例えば、空間的に分離された複数の無指向性アンテナあるいは指向性アンテナを有し、そのそれぞれで別個に無線信号を送受信可能な構成であっってもよい。また、図4に示したように、アダプティブアレイアンテナのように、複数のビームパターンの指向方向をそれぞれ制御可能な構成のものであってもよい。
【0091】
図1の第1の無線通信装置1が図2あるいは図4に示した構成であると同時に、図1の第2の無線通信装置2が、図2あるいは図4に示した構成であるとき、第2の無線通信装置2は、図6に示したような動作を行って、前述した第1の無線通信装置1の場合と同様に、第1の無線通信装置1に対する送信データを複数のパケットに分割し、各パケットを指向方向が異なる複数のビームパターンに振り分けて送信することができる。パケットを送信するときは、図7や図8に示したように、各パケットを少しずつ時間をずらしながら送信するようにしてもよいし、複数のビームパターンで同時に複数のパケットを送信するようにしてもよい。
【0092】
以上説明したように、上記実施形態によれば、送信データを送信する際には、それを複数のパケットに分割して、各パケットを異なる指向方向の複数のビームパターンのそれぞれに振り分けて目的の無線通信装置に送信し、当該目的の無線通信装置では、複数のビームパターンのそれぞれから送信されたパケットを異なる複数のパスを通じて受信すると、受信した各パケット中のデータを結合して当該送信データを復元する。このように、送信データは、複数のパケットに分割され、各パケットは、複数のビームパターンのそれぞれに振り分けて送信されるので、当該パケットを送信する当該複数のビームパターン全ての無線信号を受信できなければ、当該送信データを復元することはできない。従って、盗聴や盗用などを防止し、セキュリティ性の高いデータ送信が可能となる。
【0093】
次に、本発明の他の実施形態について、図9を参照して説明する。図1では、第1の無線通信装置1が送信データを複数のパケットに分割して複数のビームパターンを用いて第2の無線通信装置2へ送信する場合を示したが、上記複数のパケットを複数の無線通信装置に振り分けて送信する場合も上記同様の効果が得られる。
【0094】
図9において、無線通信装置251,252、253があり、無線通信装置251から無線通信装置252へ無線信号が送信されるパス261と、無線通信装置252から無線通信装置253へ無線信号が送信されるパス262は、空間的に異なるものとする。
【0095】
この場合、無線通信装置253への送信データの一部を複数のパケットに分割して無線通信装置251からパス261を通じて無線通信装置253へ送信し、残りの送信データも複数のパケットに分割して無線通信装置252からパス262を通じて無線通信装置253へ送信すると、送信データは、当該送信データを送信する無線通信装置の数に応じて分割されて(ここでは、大きく2つに分割されて)、空間的に異なるパスから送信されるために、無線通信装置251、252が送信する無線信号のうちのいずれか一方を受信できない位置にいる他の無線通信装置は盗聴することが不可能となる。
【0096】
図9に示した通信システムの構成をより具体的に示したものが図10である。図10は、図9に示した手法を例えば、PHS(Personal Handyphone System)や携帯電話網などの各種移動通信網に適用した場合を示したものである。図9の無線通信装置251、252が、それぞれ図10の基地局301、302に対応し、図9の無線通信装置253が、図10の無線通信端末320に対応する。無線通信端末(以下、簡単に無線端末と呼ぶ)320は携帯可能な、いわゆるモバイル通信装置である。
【0097】
図10において、基地局301,302、303は、制御装置311に接続されている。制御装置311は、所定のネットワーク300を介して、他の制御装置312などに接続されている。制御装置311や312は、複数の基地局を接続するとともに、図2や図4のデータ分割部104と、方向推定部105、124などを有していてもよい。
【0098】
基地局301あるいは基地局302を通じて、無線端末320の存在位置が制御装置311に通知される。制御装置311は、基地局301〜303のうち、無線端末302の存在位置から、当該無線端末302が無線信号を受信可能な複数の基地局(この場合、例えば、基地局301,302)を選択するとともに、無線端末320への送信データをこの選択した基地局の数に応じて分割し(ここでは、例えば2つに分割し)、一方を基地局301へ他方を基地局302へ、それぞれ無線端末320の位置情報とともに送信する。
【0099】
基地局301や302などは、例えば、図2や図4に示した構成の無線通信装置である。
【0100】
基地局301、302のそれぞれでは、制御装置311から受け取った送信データの一部を複数のパケットに分割して、各パケットを無線端末320の存在する方向に向けて、1または複数のビームパターンを用いて送信する。このとき、各基地局からは互いに時間をずらしながらパケットを送信するようにしてもよいし、同時に送信してもよい。前者の場合、無線端末320は、図3に示したような構成であっても図2や図4に示したような構成であっても適用可能であるが、後者の場合は、無線端末320は、図2や図4に示したような構成である必要がある。いずれの場合であっても、無線端末320は、少なくとも図2〜図4で説明したデータ結合部を有し、基地局301、302のそれぞれから送信された上記パケットを受信すると、それらから分割された送信データを取り出して、順番に結合することにより、送信データを復元する。
【0101】
基地局310、302は、無線端末320から送信される応答信号などの無線信号を受信した際には、そのときの方向推定部105、124により、当該受信信号の到来方向を推定して、図6に示したようにして、各パケットを、推定した異なる複数の到来方向のそれぞれに対応する、異なる指向方向の複数のビームパターンに振り分けて無線端末320へ送信するようにしてもよい。
【0102】
基地局301、302のそれぞれは、制御装置311により割り振られた送信データの一部を無線端末320へ送信する際に、さらに、その送信データを複数のパケットに分割して、各パケットを図6に示したようにして、異なる指向方向の複数のビームパターンに振り分けて無線端末320へ送信することにより、分割したデータを受信することのできる場所が限定されるので、さらに盗聴防止の機能を強化することができる。
【0103】
このように、目的の無線通信装置(例えば、図10の無線端末320や図9の無線通信装置253)への送信データを、当該送信データを送信するための複数のアンテナビームパターンを用いて通信を行う複数の無線通信装置(例えば、図10の基地局311,312や図9の無線通信装置251,252)の数に応じて分割し、そのそれぞれを当該複数の無線通信装置のそれぞれに分配し、当該複数の無線通信装置のそれぞれは、当該分配されたデータを複数のパケットに分割して、当該目的の無線通信装置へ送信するようにしても、前述同様に、当該パケットを送信する当該複数の無線通信装置全ての無線信号を受信できなければ、当該送信データを復元することはできない。従って、盗聴や盗用などを防止し、セキュリティ性の高いデータ送信が可能となる。
【0104】
本発明の実施の形態に記載した本発明の手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピーディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0105】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明は含まれており、開示される複数の構成用件における適宜な組み合わせにより、種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも1つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(のなくとも1つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、セキュリティの高い無線通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体構成を概略的に示した図。
【図2】図1の第1の無線通信装置の構成例を示した図。
【図3】図1の第2の無線通信装置の構成例を示した図。
【図4】図1の第1の無線通信装置の他の構成例を示した図。
【図5】アダプティブアレイアンテナの構成例を示した図。
【図6】図1の第1の無線通信装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】複数のビームパターンを用いてパケットを送信する際の送信タイミングについて説明するための図で、パケットの送信タイミングが複数のアンテナビームで互いに異なる場合を示している。
【図8】複数のビームパターンを用いてパケットを送信する際の送信タイミングについて説明するための図で、パケットの送信するタイミングが複数のアンテナビームで同期している場合を示している。
【図9】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムの構成例を概略的に示した図。
【図10】図9に示した無線通信システムをより具体的に示した図。
【符号の説明】
1…第1の無線通信装置
2…第2の無線通信装置
101…受信制御部
102…送信制御部
103…データ結合部
104…データ分割部
105、124…方向推定部
106…ビーム選択部
111−1〜111−3…受信部
112−1〜112−3…送信部
113−1〜113−3…アンテナ
121−1〜121−3…受信部
122−1〜122−3…送信部
123…アダプティブアレイアンテナ
201…受信制御部
202…送信制御部
203…受信部
204…送信部
205…アンテナ
206…データ結合部
251〜253…無線通信装置
261、262…パス
300…ネットワーク
311、312…制御装置
301〜303…基地局装置
320…無線通信端末
331、332…パス

Claims (11)

  1. 複数のアンテナビームパターンを用いて通信を行う無線通信装置であって、
    通信相手の他の無線通信装置への送信データを複数のパケットに分割する手段と、
    前記複数のパケットを前記複数のアンテナビームパターンのうちの少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンに振り分けて送信する手段と、
    前記他の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンの指向方向を調節する手段と、
    を具備したことを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナビームで互いに異なることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナビームで同期していることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  4. 指向性の異なる複数のアンテナを用いて通信を行う無線通信装置であって、
    通信相手の他の無線通信装置への送信データを複数のパケットに分割する手段と、
    前記複数のパケットを前記複数のアンテナのうちの少なくとも2つの複数のアンテナに振り分けて送信する手段と、
    前記他の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記複数のアンテナの中から前記少なくとも2つの複数のアンテナを選択する手段と、
    を具備したことを特徴とする無線通信装置。
  5. 前記少なくとも2つの複数のアンテナのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナで互いに異なることを特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
  6. 前記少なくとも2つの複数のアンテナのそれぞれから前記パケットを送信するタイミングは、当該複数のアンテナで同期していることを特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
  7. 複数のアンテナビームパターンに振り分けて送信される、複数のパケットに分割された送信データを受信する無線通信装置であって、
    前記複数のアンテナビームパターンのそれぞれから送信されたパケットを受信する手段と、
    前記受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元する手段と、
    を具備したことを特徴とする無線通信装置。
  8. 複数のアンテナビームパターンを用いて通信を行う第1の無線通信装置は、通信相手の第2の無線通信装置への送信データを送信する際には、当該送信データを複数のパケットに分割し、各パケットを前記複数のアンテナビームパターンのうちの少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンに振り分けて送信し、その際、前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンの指向方向を調節し、前記第2の無線通信装置は、当該複数のアンテナビームパターンのそれぞれから送信されたパケットを受信し、受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元することを特徴とする無線通信方法。
  9. 指向性の異なる複数のアンテナを用いて通信を行う第1の無線通信装置は、通信相手の第2の無線通信装置への送信データを送信する際には、当該送信データを複数のパケットに分割し、各パケットを前記複数のアンテナのうちの少なくとも2つの複数のアンテナに振り分けて送信し、その際、前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記複数のアンテナの中から前記少なくとも2つの複数のアンテナを選択し、前記第2の無線通信装置は、当該複数のアンテナのそれぞれから送信されたパケットを受信し、受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元することを特徴とする無線通信方法。
  10. 複数のアンテナビームパターンを用いて通信を行う複数の第1の無線通信装置を介して、第2の無線通信装置への送信データを送信する無線通信方法であって、
    前記送信データを前記複数の第1の無線通信装置の数に応じて分割し、そのそれぞれを前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれに分配し、前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれは、当該分配された送信データを複数のパケットに分割して前記第2の無線通信装置へ送信し、前記第2の無線通信装置は、前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれから送信されたパケットを受信し、受信した各パケット中のデータを結合して前記送信データを復元することを特徴とする無線通信方法。
  11. 前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれは、各パケットを前記複数のアンテナビームパターンのうちの少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンに振り分けて送信するとともに、前記第2の無線通信装置から送信される無線信号の到来方向に基づき、前記少なくとも2つの複数のアンテナビームパターンの指向方向を調節することを特徴とする請求項10記載の無線通信方法。
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