JP2004006399A - 蛍光ランプ - Google Patents

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Abstract

 【課題】 ガラスバルブ内に封入される水銀量を低減して、環境保護の点で問題のある水銀の使用量を少なくし、安全性の高い蛍光ランプを得ること。
 【解決手段】 ガラスバルブ2の内面に蛍光体と金属酸化物、例えば酸化イットリウムの連結体6を有する混合膜3が形成されており、この混合膜3の連結体6が蛍光体粒子7間に配設され粒子間を強固に連結している。ガラスバルブ2と混合膜3との間には金属酸化物からなる第1の薄膜4が形成されており、さらに混合膜3の管中心に近い面である内面には金属酸化物からなる第2の薄膜5が形成されている。
【選択図】 図2

Description

 本発明は低圧水銀蒸気の放電を用いるランプである蛍光ランプに関するものである。
 一般に、蛍光ランプは、ガラスバルブ等からなるランプ容器の内面に被着された蛍光体を発光させるために、ランプ容器の中に水銀が封入されており、水銀の励起波長254nmの光が用いられている。
 近年、環境保護の観点から、蛍光ランプに使用されている水銀量を削減する要求が高まっており、ランプ容器内の水銀消費量を抑制する技術の開発が求められている。
 従来の蛍光ランプにおける水銀は、水銀がガラスバルブ内へ拡散したり、ガラスバルブから拡散したナトリウム(Na)が水銀と反応してアマルガムを生成したり、水銀が蛍光体に吸着すること等により、使用時間の経過とともに次第に消費される。
 水銀がガラスバルブ内へ拡散したり、ガラスバルブからのナトリウムイオンと反応することを防止するために、従来の蛍光ランプにはガラスバルブの内面にアルミナ保護膜層を形成していた。
 本発明者らは、従来の蛍光ランプにおける水銀の消費について考察するために、二次イオン質量分析計を用いて従来の蛍光ランプにおける水銀のイオンカウント数を測定した。図15は、その分析結果であり、従来の三波長域発光形蛍光ランプの蛍光体層、アルミナ保護膜層、ガラスバルブにおける水銀の二次イオン強度を示すグラフである。図15に示すように、従来の蛍光ランプにおいては、多くの水銀が蛍光体層に吸着され消費されていた。
 以上のように、従来の蛍光ランプにおいて、ランプ容器内に封入された水銀とガラスバルブのナトリウムイオンとの反応は抑制されているものの、相当量の水銀が蛍光体層に吸着され消費されていた。しかもこの水銀の消費量は蛍光ランプの使用時間の経過とともに増大する。
 このため、従来の蛍光ランプのランプ容器内には、地球環境に対して有害な物質で使用量をできるだけ少なくすることが望ましいところの水銀が、発光に必要な量を大きく上回り、多く使用されていた。
 水銀の蛍光体層の表面への吸着を防止する従来の技術としては、特開平4−245162号公報に開示されたものがある。この公報に開示された従来の技術は、蛍光ランプにおいて水銀によりランプ容器が黒ずむ、いわゆる黒化現象を抑制し、光束の低下を防止することを目的とするものである。この公報に開示された蛍光ランプは、上記目的を達成するため、蛍光体層の内面に被膜を形成して、その被膜により水銀の蛍光体層への吸着を少なくし、黒化現象を抑制しようとするものであった。
 上記のように構成された従来の蛍光ランプ(特開平4−245162号)において、蛍光体層の内面に形成された被膜は、いわば砂地のような隙間を有するものである。このため、蛍光体層等への水銀の侵入を確実に防止することが困難であった。従って、この従来技術において、蛍光ランプの水銀消費量を大幅に減少させ、ランプ容器内に封入すべき水銀量を少なくすることはできなかった。
 本発明は、水銀の蛍光体層等への吸着を防止するとともに、ガラスバルブのナトリウムと水銀との反応を防止して、予め封入すべき水銀量を発光に必要な最小限に設定することができる蛍光ランプ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
 本発明に係る蛍光ランプは、ランプ容器の内面に蛍光体と金属酸化物の連結体との混合膜が形成され、ランプ容器の内部に水銀が封入されており、前記混合膜の連結体が前記蛍光体の粒子の隙間に配設され、かつ前記蛍光体の粒子に隙間(図8に示す)を有して接続されている。
 本発明に係る蛍光ランプの製造方法は、蛍光体材料をランプ容器の内面に塗布し、乾燥して蛍光体層を形成し、その蛍光体層に金属アルコキシド溶液を塗布し、加水分解させる。次に、前記蛍光体層を加熱処理をすることにより、前記蛍光体層の蛍光体粒子間に金属酸化物の橋掛け状態の連結体を有する混合膜を形成する。
 以上のように、本発明の蛍光ランプによれば、ランプ容器の内面に励起波長254nmの光を透過する連結体と蛍光体とを有する混合膜を形成することにより、蛍光体に対する水銀の吸着を防止することができる。またそれにより蛍光ランプ内に封入すべき水銀量を発光に必要な最低量に抑えることができる。このため、本発明によれば、環境保護の観点から問題となっている水銀の使用量を著しく低減することが可能となり、安全性の高い蛍光ランプを提供することができる。
 また、本発明の蛍光ランプは、ガラス容器と混合膜との間に第1の薄膜を形成し、混合膜の管中心に近い面である内面に第2の薄膜を形成した。このため、ガラス容器内に封入された水銀がガラス容器及び蛍光体から確実に隔離され、水銀のガラス容器及び蛍光体への拡散、吸着等が防止され、水銀の消費量が大幅に低減される。この結果、本発明によれば、無駄な水銀の使用をなくすことができ、公害上問題となっている水銀の使用量を著しく低減することが可能となる。
 以下に本発明の蛍光ランプにおける実施の形態を記載する。
 本発明の蛍光ランプでは、内部に水銀を封入したランプ容器の内面に、蛍光体と金属酸化物との混合膜が形成されており、前記混合膜が前記蛍光体の粒子の隙間に形成された前記金属酸化物の連結体を有し、前記連結体により前記蛍光体の粒子間が連続した橋掛け状態になっている。このため、本発明の蛍光ランプでは、蛍光体粒子が金属酸化物により強固に連結され、蛍光ランプ内の水銀がガラス容器から隔離されている。この結果、水銀がガラス容器のナトリウムと反応せず、ランプ容器内に封入された水銀の消費は抑制される。
 本発明の蛍光ランプでは、前記ランプ容器の内面と前記混合膜との間に連続した金属酸化物の第1の薄膜が形成されている。このため、本発明の蛍光ランプは、蛍光ランプ内の水銀がランプ容器から確実に隔離されており、ランプ容器内の水銀の消費が抑制されている。
 本発明の蛍光ランプでは、前記混合膜の管中心に近い面である内面に連続した金属酸化物の第2の薄膜が形成されている。このため、本発明によれば、蛍光体が金属酸化物により水銀から隔離され、水銀吸着による蛍光体の化学的な劣化が抑制され、また水銀の蛍光体へ吸着及び酸化による水銀の消費が防止される。
 本発明の蛍光ランプでは、前記ランプ容器の内面と前記混合膜との間に連続した金属酸化物の第1の薄膜が形成され、かつ前記混合膜の管中心に近い面である内面に連続した金属酸化物の第2の薄膜が形成されている。このため、本発明の蛍光ランプでは、ランプ容器及び蛍光体が金属酸化物により水銀から隔離され、水銀吸着による蛍光体の化学的な劣化が防止されている。また、本発明によれば、水銀の蛍光体及びランプ容器への吸着と拡散及び酸化による水銀の消費が防止される。
 本発明の蛍光ランプでは、前記金属酸化物が波長254nmの光を透過する物質からなる。このため、本発明の蛍光ランプでは、水銀の励起波長254nmの光が蛍光体にほぼ確実に到達して、蛍光体を発光させる。
 本発明の蛍光ランプでは、前記金属酸化物が二酸化硅素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ及び酸化イットリウムの群から選ばれた少なくとも一種から構成されている。このため、本発明の蛍光ランプでは、水銀との化学的親和力の低い元素を構成物質とする金属酸化物を用いて、水銀との化学反応が防止されている。
 本発明の蛍光ランプでは、前記金属酸化物が波長185nm付近の光を50%以上遮断する物質から構成されている。このため、本発明によれば、蛍光ランプの蛍光体の劣化が防止されている。
 本発明の蛍光ランプは、前記混合膜が不純物としてリンまたはボロンを有している。このため、本発明によれば、ガラス容器のナトリウムの移動を禁止して、水銀とナトリウムとの反応を抑制することができる。
 以下、本発明の蛍光ランプの好適な実施例について、図面を用いて説明する。
 図1は、本発明の好適な実施例である蛍光ランプを一部破断して示した側面断面図であり、その一部を拡大して示している。図1の拡大図に示されている各層は理想化して平坦に描いている。
 図1に示すように、本実施例の蛍光ランプは、ランプ容器となる直管形状のガラスバルブ2と、このガラスバルブ2の両端に設けられた電極1とを有している。ガラスバルブ2の内面には蛍光体を有する混合膜3が形成されている。また、ガラスバルブ2内には、希ガスとともに水銀が封入されている。
 なお、本実施例の蛍光ランプは、高負荷でなく低負荷の直管形状の蛍光ランプや環形状の蛍光ランプであり、負荷0.35W/cmと同程度のものを用いた。
 図2は、本実施例の蛍光ランプにおける蛍光体を有する混合膜3等を拡大して示した断面図である。図2に示すように、混合膜3には、蛍光体粒子7間の隙間を埋めるように、ガラス化した化学的に安定な金属酸化物、本実施例では酸化イットリウムからなる連結体6が形成されている。また、ガラスバルブ2と混合膜3との間には、ガラスバルブ2の内面を被覆するように、前記連結体6と同じ金属酸化物である酸化イットリウムからなる第1の薄膜4が形成されている。さらに、混合膜3の内面(図2における上面)は、前記連結体6と同じ金属酸化物である酸化イットリウムからなる第2の薄膜5により被覆されている。ガラス化した上記金属酸化物は、酸化イットリウムにより形成されているため、水銀の励起波長である254nmの光を透過する。このため、混合膜3内の蛍光体粒子7は、水銀の励起波長である254nmの光を受けて発光する。
 なお、発明者らは本実施例の蛍光ランプにおける前述の混合膜3の連結体6、第1の薄膜4及び第2の薄膜5について、SEM(走査型電子顕微鏡)及びXMA(X線マイクロアナライザー)等の分析装置によりその存在を確認した。
 上記実施例においては、金属酸化物として酸化イットリウムを用いたが、その他に二酸化硅素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム及び酸化ニオブを用いても同様の結果が得られた。
 次に、本実施例において、第1の薄膜4、第2の薄膜5及び連結体6に用いた金属酸化物の光の透過率について説明する。図3から図9は、上記各種の金属酸化物の膜体(厚み約0.5μm)における紫外光の透過率を示すグラフである。
 図3は二酸化硅素(SiO2)、図4は酸化アルミニウム(Al23)、図5は酸化ハフニウム(HfO2)の場合におけるそれぞれの透過率を示している。
図3から図5に示すように、これらの金属酸化物による膜体は水銀の励起波長である254nmの光をほぼ100%透過する。このため、二酸化硅素、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウムにより形成された第1の薄膜4、第2の薄膜5及び連結体6は、蛍光体粒子7の発光に対して悪影響を及ぼさない。
 図6は酸化ジルコニウム(ZrO2)、図7は酸化バナジウム(V25)、図8は酸化ニオブ(Nb25)、図9は酸化イットリウム(Y23)の場合におけるそれぞれの透過率を示している。
 図6に示すように、酸化ジルコニウムは水銀の励起波長である254nmの光をほぼ95%透過する。このため、酸化ジルコニウムにより形成された第1の薄膜4、第2の薄膜5及び連結体6は、蛍光体粒子7の発光に対して悪影響を及ぼさない。なお、酸化ジルコニウムの膜体は、波長が200nm以下の光に対して透過率が低く、80%以上の遮断作用を有する。
 図7から図9に示すように、酸化バナジウム、酸化ニオブ及び酸化イットリウムのそれぞれは、水銀の励起波長である254nmの光をほぼ85%透過する。このため、酸化バナジウム、酸化ニオブ又は酸化イットリウムにより形成された第1の薄膜4、第2の薄膜5及び連結体6は、蛍光体粒子7の発光に対して悪影響を及ぼさない。なお、酸化イットリウムの膜体は、波長が200nm以下の光に対して透過率が低く、70%以上の遮断作用を有する。
 次に、本実施例の蛍光ランプにおける水銀の蛍光体への付着防止作用について図10を用いて説明する。図10は、本実施例の蛍光ランプを一部破断して示した概念図である。
 図10において、電極1から放出された電子21(電子21の動きを矢印aで示す)は水銀原子22を励起する。励起された水銀原子22(水銀原子22の動きを矢印bで示す)からの励起波長254nmの紫外光cが第2の薄膜5及び連結体6を透過して、蛍光体粒子7に衝突する。この蛍光体粒子7がストークスの法則より水銀原子22の励起波長254nmの光により長波長の可視光を発光して、蛍光ランプは点灯状態となる。
 なお、本実施例の第1の薄膜4、第2の薄膜5及び連結体6が酸化イットリウム又は酸化ジルコニウムにより形成されている場合には、波長185nm付近の水銀の励起波長の光は実質的に遮断される。このように、酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムにより形成された第1の薄膜4、第2の薄膜5及び連結体6を有する蛍光ランプにおいては、蛍光体粒子7を特に劣化させる波長185nmの光が金属酸化物により遮断されているため、蛍光体粒子7の劣化が大幅に抑制される。
 本実施例の混合膜3の内側面は、蛍光体粒子7を覆うように形成された、ガラス化した平坦な第2の薄膜5で覆われている。このため、水銀原子22がブラウン運動により移動しても、混合膜3内の蛍光体粒子7に衝突することはなく、水銀原子22が蛍光体粒子7に吸着して、酸化水銀を作るおそれがない。
 さらに、本実施例においては、混合膜3とガラスバルブ2との間には第1の薄膜4が形成されているため、水銀原子22がガラスバルブ2まで達するおそれがない。従って、ガラスバルブ2に含有されているナトリウム原子23が水銀原子22と反応してアマルガムを生成することがない。
 上記のように、本実施例の蛍光ランプは、水銀原子22が蛍光体粒子7に吸着して、酸化されることがない。またガラスバルブのナトリウム原子23と反応することがない。これらのため、ガラスバルブ2内の水銀の消費量を大幅に抑制でき、蛍光ランプの封入水銀量を発光に必要な最少量にとどめることができる。
 次に、本実施例の第1の薄膜4、第2の薄膜5及び連結体6として用いられる金属酸化物材料における水銀の侵入状態について図11を用いて説明する。
 図11は、各種材料における水銀の深さ方向への拡散量を示すグラフである。図11において、水銀の拡散量として、SIMS(2次イオン質量分析装置)を用いて水銀イオンのカウント数を測定した。
 この測定において用いたランプは、(a)ソーダガラスからなるクリアバルブのみのランプと、(b)同じクリアバルブの内面上に酸化アルミニウム膜体を約0.5μmの厚みで作成したランプと、(c)同じクリアバルブの内面上に酸化イットリウム膜体を約0.5μmの厚みで作成したランプである。これらのランプを2000時間点灯した後、各ランプにおける水銀の深さ方向への拡散量を分析した。その結果を図11に示す。
 図11において、曲線Aはソーダガラスのみからなるクリアバルブにおける水銀の拡散曲線を示し、曲線Bはクリアバルブ上の酸化アルミニウム膜体への水銀の拡散曲線を示している。また、曲線Cはクリアバルブ上の酸化イットリウム膜体への水銀の拡散曲線を示している。
 なお、図11において、横軸は深さ(μm)を通常の10進数目盛で示し、縦軸は水銀イオンのカウント数(個数)を対数目盛で示した。
 図11に示すように、金属酸化物の膜体を形成したランプは、水銀の侵入量が極めて少なく、水銀の蛍光体粒子への吸着を防止する効果を有する。このため、本実施例の金属酸化物の膜体等を有する蛍光ランプは水銀の消費を抑制することが実験的に確認された。
 次に、本実施例の蛍光ランプ内に封入する水銀の使用量について説明する。
 以下の説明において、金属酸化物の膜体として酸化イットリウムを用いた実施例の蛍光ランプ(直管形状の20W;FL20SS・EX−N/18)を例にとり、図12を用いて説明する。
 図12は、蛍光体層のみの蛍光ランプと、金属酸化物として酸化イットリウムを用いた蛍光ランプとにおける、光束と点灯時間との関係を解析したグラフである。
 従来の蛍光ランプにおける水銀使用量は直管形状20Wの場合、約10mgであるが、この解析において用いた直管形状20Wの本実施例の蛍光ランプは水銀使用量を0.5mgときわめて少量に制限した。
 図12において、曲線Dは蛍光体層のみの比較例の蛍光ランプの光束変化曲線を示し、曲線Eは酸化イットリウムの金属酸化物を有する本実施例の蛍光ランプの光束変化曲線を示している。
 図12のグラフから明らかなように、蛍光体層のみの蛍光ランプ(曲線D)は、約2000時間で水銀が消失して、点灯しなくなった。これに対して、酸化イットリウムの金属酸化物を有する蛍光ランプ(曲線E)は、5000時間経過した時点で光束維持率90%を維持していた。
 図12に示したグラフの結果から、本実施例の蛍光ランプは金属酸化物を有する混合膜3や、金属酸化物からなる第1の薄膜4及び第2の薄膜5を有している。このため、本実施例の蛍光ランプは水銀使用量を大幅に削減する効果があることが確認された。
 次に、蛍光ランプ内に封入される水銀の消費量について説明する。蛍光ランプ内の水銀消費量を計測するために、非破壊で蛍光ランプ中の水銀量を定量分析できるカタホレシス法(Cataphoresis-analysis)を用いた。図13は水銀の消費量と点灯時間との関係を解析したグラフである。
 この解析において用いた蛍光ランプは、直管形状の20Wの蛍光ランプ(FL20SS・EX−N/18)に3.0mgの水銀を封入した。図13において、曲線Fは蛍光体層のみの蛍光ランプの水銀消費曲線を示し、曲線Gは酸化イットリウムの金属酸化物を有する蛍光ランプの水銀消費曲線を示している。
 図13のグラフから明らかなように、金属酸化物を有する蛍光ランプは蛍光体層のみの蛍光ランプに比べて水銀消費量が極めて少ない。図13のグラフから、金属酸化物を有する蛍光ランプは、蛍光体層のみの蛍光ランプに比べて、5000時間点灯時において約65%の水銀消費量が低減できることが理解できる。
 次に、本発明の蛍光ランプの製造方法について、図14に示すフローチャートに従って説明する。
 ステップ1において、蛍光体材料、例えば三波長域発光形の発光体材料を調合する。次に、この蛍光体材料をガラスバルブ2の内面に塗布し、乾燥して、蛍光体層を形成する(ステップ2)。その後、ステップ3において、前記蛍光体層の上に金属アルコキシド、例えばイットリウムイソプロポキシドを酢酸ブチルに溶解して、塗布し、約100℃で約15分間乾燥するとともに、金属アルコキシドを加水分解させる。さらに、金属アルコキシドの重合反応が進むにつれてアルコールが発生するため、このアルコールを気化除去する。
 その後、ステップ4において、前記蛍光体層をシンター炉で適時加熱処理(約500℃、約2分間)を施し、混合膜3、第1の薄膜4及び第2の薄膜5を形成する。
 以降、通常のとおりの次のステップからなる蛍光ランプの製造方法を経て、本実施例の蛍光ランプが製造される:すなわちガラスバルブを排気処理し(ステップ5)、そのガラスバルブ中に希ガス及び水銀を封入し(ステップ6)、ガラスバルブを封止する(ステップ7)の各工程である。
 上記製造方法においては、蛍光体材料により蛍光体層を形成した後、金属化合物を塗布したが、本発明の蛍光ランプの製造方法は上記製造方法に限定するものではない。即ち、金属化合物と蛍光体材料とを予め混合して、ガラスバルブ内面に混合膜3を形成することも可能である。ただし、金属化合物と蛍光体材料とを予め混合して混合膜を形成する場合には、上記製造方法におけるステップ3及びステップ4は不要となり、ステップ1における乾燥時間及び温度の設定変更が必要である。
 本実施例の金属アルコキシドの金属化合物は、金属酸化物からなる膜体等の分子構造が低分子構造の酸化物(MOx)でなく、高分子構造の酸化物(M−O−M−O−・・・)が得られる金属アルコキシドを用いて、強固な膜体等を形成している。
 金属酸化物の膜体の一例として、金属元素をイットリウム(Y)としたときのイットリウムイソプロポキシドを例にとり、蛍光体粒子間等に形成される金属酸化物の生成プロセスを金属アルコキシドの化学反応の流れに基づいて示すと、次のとおりとなる。
Figure 2004006399
 イットリウムイソプロポキシドは、加水分解によりイットリウムイソプロポキシドのイソプロピル基(−OC37)が水酸基(−OH)に置換され、プロパノールが生成される。このイットリウム化合物がさらに脱水して重合する。この反応を繰り返し、約500℃のアニール処理を行うことにより、酸化イットリウム(Y23)の連続した金属酸化物が形成される。
 なお、本発明の製造方法は、アルキル基に代表されるような有機金属化合物を出発材料としても酸化イットリウム(Y23)の連続した金属酸化物の膜体等が形成される。その一般的な化学反応を次に示す。
Figure 2004006399
 金属酸化物の膜体の他の一例として、金属元素をシリコン(Si)としたときのテトラエトキシシラン(TEOS)を例にとり、蛍光体粒子間等に形成される金属酸化物の生成プロセスを金属アルコキシドの化学反応の流れに基づいて示す次のとおりとなる。
Figure 2004006399
 テトラエトキシシランは、加水分解によりテトラエトキシシランのエトキシ基(−OC25)が水酸基(−OH)に置換され、シラノールへと変化して、エタノールが生成される。シラノールがさらに脱水して重合する。この反応を繰り返し、約500℃のアニール処理を行うことでSiO2の強固な金属酸化物の膜体等が形成される。
 さらに、本発明の蛍光ランプの製造方法では、金属酸化物を形成するための出発材料を金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属カルボン酸塩、金属β−ジケトナート錯体などの無機金属化合物及び有機金属化合物を用いることができる。このような金属化合物を用いた場合には、加水分解反応過程を経ずに熱分解反応により有機金属化合物が酸化され、最終生成物として前述の金属酸化物と同様の膜体等が形成されることが確認された。
 なお、前述のいずれの無機金属化合物及び有機金属化合物についても、熱分解反応と酸化反応を経て膜体等を作成するためには、300℃〜800℃の範囲の温度でアニール処理することが好ましい。この温度範囲は示差熱分析により確認した。
 なお、前述の実施例では、ランプ容器内に少なくとも一対の電極を有する場合について説明したが、本発明の蛍光ランプは無電極の蛍光ランプについても実施することができる。
 また、本発明の蛍光ランプにおいては、前述の酸化イットリウム及び二酸化硅素の他に次の金属酸化物も同様に用い得る。その例を示せば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム及び酸化ニオブの単体、またはそれらの中から選ばれた二種以上からなるものを用いた場合である。この場合も前述の酸化イットリウム及び二酸化硅素と同様に実施することができる。
 なお、本発明の蛍光ランプでは、金属アルコキシド溶液に酸化防止剤を添加して、混合膜を形成することにより、水銀の酸化を防止し、蛍光ランプ内に酸化水銀の発生を抑制することができる。
 また、本発明の蛍光ランプは、金属アルコキシド溶液に不純物としてリンまたはボロンを添加して、混合膜を形成することにより、ガラスバルブからのナトリウムの移動を禁止し、ナトリウムと水銀との反応を確実に抑制することができる。
 また、前記金属アルコキシド溶液の代わりに、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属カルボン酸塩、金属β−ジケトナート錯体を用いて、酸化防止剤及び、リン又はボタンを添加しても前述の効果と同様の効果を有する。
 また、本発明の蛍光ランプの技術は、通常のスタータ型蛍光ランプに適用できることはもちろんのこと、導電性膜を有するラピッドスタータ型蛍光ランプにも適用することができる。
本発明の一実施例である蛍光ランプの一部を破断して示した側面断面図と、その一部を拡大して示した拡大図 本発明の蛍光ランプにおける混合膜等を拡大して示した断面図 二酸化硅素膜の光の透過率を示す図 酸化アルミニウム膜の光の透過率を示す図 酸化ハフニウム膜の光の透過率を示す図 酸化ジルコニウム膜の光の透過率を示す図 酸化バナジウム膜の光の透過率を示す図 酸化ニオブ膜の光の透過率を示す図 酸化イットリウム膜の光の透過率を示す図 本発明の蛍光ランプの一部を破断して示した概念図 酸化イットリウム膜、酸化アルミニウム膜等における深さと水銀の拡散量との関係を示す図 本発明の蛍光ランプと従来の蛍光ランプの光束維持率と点灯時間との関係を示す図 本発明の蛍光ランプと従来の蛍光ランプにおける、水銀の消費量と点灯時間との関係を示す図 本発明の蛍光ランプの製造方法を説明するためのフローチャート 従来の蛍光ランプ(40W)における、水銀の拡散量を示す図
符号の説明
 2 ガラスバルブ
 3 混合膜
 4 第1の薄膜
 5 第2の薄膜
 6 連結体
 7 蛍光体粒子

Claims (8)

  1. 内部に水銀を封入したランプ容器の内面に、蛍光体と高分子構造の金属酸化物との混合膜が形成されており、前記混合膜が前記蛍光体の粒子の隙間に形成された前記金属酸化物の連結体を有し、前記連結体により前記蛍光体の粒子間が連続した橋掛け状態でかつ前記蛍光体の粒子に隙間を有して接続されていることを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 前記ランプ容器の内面と前記混合膜との間に連続した金属酸化物の第1の薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
  3. 前記混合膜の管中心に近い面である内面に連続した金属酸化物の第2の薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。 
  4. 前記ランプ容器の内面と前記混合膜との間に連続した金属酸化物の第1の薄膜が形成され、かつ前記混合膜の管中心に近い面である内面に連続した金属酸化物の第2の薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
  5. 前記金属酸化物が波長254nmの光を透過する物質からなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の蛍光ランプ。
  6. 前記金属酸化物が二酸化硅素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ及び酸化イットリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の蛍光ランプ。
  7. 前記金属酸化物が波長185nm付近の光を50%以上遮断する物質からなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の蛍光ランプ。
  8. 前記混合膜が不純物としてリンまたはボロンを有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の蛍光ランプ。
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