JP2004003646A - 補償装置およびこのような装置を始動するための方法 - Google Patents

補償装置およびこのような装置を始動するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータ配置構成部の駆動モータを比較的小さな寸法にできる補償装置ならびに斯かる装置を始動する方法を提供する。
【解決手段】ピストン機関1の運転の際に、慣性力に起因する振動を、固有の駆動モータ5によって駆動可能なロータ配置構成部4によって補償する場合、駆動モータ5が始動する際に反転可能とされ、これによりロータ配置構成部4がブランコのように往復揺動方式で始動するように構成されることで比較的小型の駆動モータ5を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補償装置、及びこのような装置を始動するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピストン機関、特に船舶用駆動装置等として用いられる二サイクル大型ディーゼル・エンジンを運転するときに、慣性力、特に二次慣性力に起因する振動を補償する場合、補償装置のロータ配置構成部をピストン機関の構造の中に統合せず、またピストン機関によるロータ配置構成部の直接的な駆動部を設けず、ピストン機関とロータ配置構成部の間を構造的に分離して、これらに対して固有の駆動モータを設けることが好ましい。ただし、この場合には、比較的重いロータ配置構成部を停止状態から始動するために駆動モータを比較的大きな寸法にしなければならないというリスクがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このことから、本発明の課題は、ロータ配置構成部の駆動モータを比較的小さな寸法にできる補償装置ならびに斯かる装置を始動する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題は、独立請求項1および7によって解決される。これによれば、ピストン機関、特に船舶用エンジンとして動作する二サイクル大型ディーゼル・エンジンの運転の際に、慣性力、特に二次慣性力に起因する振動を補償するための装置、ならびにこの種の補償装置を始動する方法が提案される。このとき、補償のために、ピストン機関の回転数と位相に所定比に従って依存するような回転数ならびに位相で駆動可能なロータ配置構成部が用いられ、このロータ配置構成部は、固有の駆動モータによって駆動され、この駆動モータは、始動の際に反転され、これにより、ロータ配置構成部がブランコのように往復運動しながら始動するようにる。
【0005】
これによって、上述の課題は最も簡単かつ安価な方式で解決される。往ったり来たりしながら始動する運動のおかげで、比較的小型の駆動モータで十分である。この駆動モータは、液圧媒体によって一定圧力を付与することができてトルクの制御が可能な液圧モータ(油圧モータ)として形成することができ、好ましくは、傾斜円板と共に動作するピストンを有したアキシャルピストン・モータとして構成された液圧モータとして形成することができる。この液圧モータの回転数は、トルクを変更することによって変更可能である。また、この液圧モータは、トルクを制御する操作部を有し、この操作部が制御装置によって調節可能とされている。この類の液圧モータでは、逆転が非常に簡単かつ迅速に行われなければならない。その点に関しては、上述のアキシャルピストン・モータでは、ピストンと共に動作する円板が他の側に傾斜するだけでよい。
【0006】
ロータ配置構成部をピストン機関に所定比で同期させるための制御装置が駆動モータに対して設けられることが好ましい。このとき、この制御装置は、プログラム記憶装置を備え、このプログラム記憶装置は、該制御装置によって処理可能な、ロータ配置構成部の往復揺動式始動のための始動プログラムを有し、この始動プログラムは、スタート信号によって実行開始可能とされている。この構成によって、自動的な始動工程が実現される。
【0007】
優位な構成のさらなる発展形態では、ロータ配置構成部の角度振幅が前進揺動ごとに検出され、この結果から、ロータ配置構成部が上死点を越えるまでに必要とする往復揺動の回数が計算される。この計算に応じて、後退方向への反転が起こり得ない場合に限ってロータ配置構成部が前進方向および後退方向に駆動される。これにより、ロータ配置構成部が所望の前進方向に始動することが自動的に保証される。
【0008】
優位な構成のさらに他の好ましい実施形態および目的に適った発展形態は、残りの従属請求項に記載されており、また図面に基づいた以下の具体的な説明からさらに詳しく理解することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明を図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、概略的に画いたピストン機関1を示しており、このピストン機関1は、船舶用駆動装置として用いられる二サイクル大型ディーゼル・エンジンとすることができる。図1からさらに、構造的にピストン機関1から分離された補償装置2が認められるが、この補償装置2は、ピストン機関1の領域で生ずる慣性力が原因となって設置用プラットフォーム3(本明細書中、船体とすることができる)に作用するモーメントと、これによって発生する振動とを均衡化し補償するための装置である。図1には、ピストン機関1に設けられた1つだけの補償装置2が示されている。しかしながら、ピストン機関1に対して複数の補償装置2を設けることもできよう。
【0011】
補償装置2は、図3に見られるような、不平衡おもりを形成するロータ配置構成部4を備え、このロータ配置構成部4は、ピストン機関1の回転数ならびに位相に対して既知の比に従って依存する回転数ならびに位相によって駆動することができる。二次慣性力を補償して均衡化する場合、この比は1:2であり、本明細書において説明されることになる。二次慣性力を均衡化する場合、補償装置2には、ピストン機関1の縦軸(Laengsachse)に対して直角に延びかつ水平なロータ軸部が設けられ、こうしてロータ配置構成部4は、ピストン機関の軸線に対して直角をなして延在する垂直な平面内で回転することになる。
【0012】
補償装置2のロータ配置構成部4を駆動するために、固有の駆動モータ5が補償装置2に設けられている。この駆動モータ5は、対応して設けられた制御装置6によって制御可能とされ、ロータ配置構成部4の回転数ならびに位相が所望の比、ここでは2:1の比でピストン機関1の回転数ならびに位相に合致するようになっている。これは同期運転と称される。複数の補償装置が設けられている場合には、制御装置6は、全ての補償装置が制御可能になるように好適に構成されている。もちろん、ここでは詳しく示さない手動式制御装置を備えることもでき、これを使えば自動制御の代りに手動による制御が可能になる。
【0013】
駆動モータ5は、トルクの制御が可能な液圧モータ(油圧モータ)として構成され、つまりは、一定圧力においてトルクを変更することによってモータの回転数が変更される液圧モータとして構成されている。それゆえに、駆動モータ5を構成する液圧モータには、トルクを制御する操作部が相応に設けられ、この操作部による操作は、制御装置6の信号によって制御することができる。
【0014】
これについては、駆動モータ5を構成する液圧モータは、一定圧力を付与することができる液圧アキシャルピストン・モータ(油圧アキシャルピストン・モータ)として簡単に構成することができる。この液圧アキシャルピストン・モータは、複数のピストンを備え、これらのピストンは、傾斜した円板と共に動作し、このとき円板の傾斜は、制御装置6において相応に設定された初期値に応じて調節可能とされている。円板は、相応に該円板の平面に共面の軸の周りに揺動可能に配置されている。ピストンは、液圧モータのシャフトに接続することができる。この場合には、傾斜可能な円板は、回転方向に固定されている。しかしながら、傾斜可能な円板をシャフトに接続し、ピストンを回転方向に固定することも可能であろう。
【0015】
液圧モータに対してポンプが設けられていてもよい。カムシャフトのないピストン機関、例えば液圧作動バルブ(油圧作動バルブ)を有する二サイクル大型ディーゼル・エンジンでは、通常、一定圧力を付与することができるコモンレールが設けられている。図1には、この種のコモンレール7が1本示されている。このコモンレールには、対応して設けられたポンプ8によって例えば210バールの圧力で作動液(作動油)が供給される。ポンプ8は、対応して設けられたモータによって、またはピストン機関1から分岐した、図1においては一点鎖線で概略的にのみ示されている駆動系9によって駆動することができる。コモンレール7からは、詳しくは示されていないさまざまな供給分岐路やそれに類似のものがバルブに向かって延出しており、さらに、圧力平衡タンク10´が設けられた、駆動モータ5に通じる供給分岐路10が延出している。
【0016】
仕事を行なった後に駆動モータ5を離れる作動液は、駆動モータ5から出る戻り管10aを通って、ポンプ8に設けられた容器に戻される。戻り管10aも、ロータ配置構成部4の制動の場合に好都合な圧力平衡タンク10a´を同じように備えることができる。ロータ配置構成部4を制動する場合には、駆動モータ5を構成する液圧モータは、ポンプとして機能する。この場合、傾斜円板は、中立位置を越えて他方の側へ傾斜することができ、これにより、駆動モータ5を構成する液圧モータの回転方向は同じままで、駆動モータ5を通る作動液の貫流方向が、図1において両方向矢印で示すように逆転する。
【0017】
上述の制御装置6は、調節器11を備えており、この調節器11は、上記の駆動モータ5の操作部に対して与えられる操作信号を生成し、信号回線12を介して上記操作部に設けられた作動機構に接続されている。調節器11には、比較器13が前置され、この比較器13は、ピストン機関1およびロータ配置構成部4の回転数ならびに位相に対応した信号のための入力部を備えている。ピストン機関1の回転数を検出するために、ピストン機関のクランクシャフト14は、本実施形態では歯車15の構成とされたインクレメンタル素子を備えている。すなわち、この歯車の歯がセンサ16によって走査され、このセンサ16が、信号回線17によって示されるように、対応するパルスを比較器13に送る。クランクシャフト14の位相を検出するために、クランクシャフトは、パルス送信器18を備え、このパルス送信器は、対応して設けられたセンサ19によって走査され、このセンサ19が、信号回線20によって示されているように、対応するパルスを比較器13に送る。
【0018】
ロータ配置構成部4の回転数は、駆動モータ5の回転数に対応する。駆動モータ5は、それに対応して、ロータ配置構成部4の回転数を検出するためにパルス発生器21を備え、パルス発生器21は、符号22で示す種類の回転角に応じたパルスを発生させる。同様なパルスがセンサ16からも出される。パルス発生器21から出される信号は、調節器11および比較器13に向う。これに対応して、パルス発生器21から出る信号回線23には、分岐部24が設けられ、この分岐部24から調節器11および比較器13へと達する分岐路23a,23bが延出している。ロータ配置構成部4の位相を検出するために、ロータ配置構成部に設けられたセンサ25が備えられ、このセンサは、信号回線26によって示されているように、対応する信号を比較器13に供給する。
【0019】
ピストン機関1から出て信号回線17,20を通って比較器13へ送られる信号は、実際には目標値である。補償装置2から出て信号回線23,26を通って比較器13へ送られる信号は、瞬時値である。比較器13は、これらの目標値と瞬時値の比較を行い、差が存在すればこの差(偏差)からエラー信号を算出する。このエラー信号は、信号回線27を介して調節器11へ送られる。比較器は、受信したエラー信号と、同じく受信した回転数瞬時値信号とから、上述の信号回線12を介して駆動モータ5の上記操作部を調節するための操作信号を計算する。
【0020】
補償装置2は、図2に示すように、ピストン機関1の台に置くかまたはこれから分離して設けることができる円筒状のケーシング28を有する。本実施形態では、すなわち二次慣性力を均衡化する場合には、ケーシング28は、この中に収容されたロータ配置構成部4の軸線が水平となりしかもピストン機関1のクランクシャフト14の軸線に対して直角に延びるように設けられている。駆動モータ5は、ケーシング28の外側、本実施形態では外周部の領域に取り付けられており、後で述べるような仕方で、トランスミッションを介して、ケーシング28の中に設けられたロータ配置構成部4と共に動作する。
【0021】
ケーシング28は、図3から分かるように、貫通して動かない軸部29を有し、この軸部29の上にロータ配置構成部4が回転可能に支えられている。ロータ配置構成部4は、軸部29の上に回転可能に支承されたスリーブ30を有し、このスリーブに、不平衡おもりを形成する(つまり回転対称ではなく偏心して配置された)カウンタウェイト構成部が固定されている。カウンタウェイト構成部は、図示された実施形態では、互いに隣接して配置された2つのカウンタウェイト31,32を有している。ロータ配置構成部4は、さらに、軸部29に同心に回転するリングギヤ33(駆動歯車)を有し、このリングギヤ33と一緒になって、ケーシング28内に配置されて外部から駆動可能な歯車34(組み合わせ歯車)が共に動作する。リングギヤ33は、カウンタウェイト、本実施形態ではカウンタウェイト32、の外側を向いた側面に固定されている。このカウンタウェイト32は、リングギヤ33と歯車34とに設けられた側凹部35を有している。
【0022】
歯車34は、軸受ケーシング37内に軸受けされたシャフト36上に支持され、軸受ケーシング37は、歯車34に隣接するケーシング28の側壁を貫通している。シャフト36は、軸受ケーシング37を通じて外側に導かれ、その外側端部に、コグドベルト39と共に動作するコグドベルト・プーリー38を保持している。コグドベルトは、図2からわかるように、対応して設けられた駆動モータ5の従動歯車40に導かれる。従動歯車40をリングギヤ33に接続する駆動系は、コグドベルト39の形態、ならびにコグドベルト・プーリー38と歯車34とを備えたスライディングギヤホイールの形態とされ、上述のトランスミッションを構成している。本実施形態においては、直径を適切に選択することによって、所望の減速比を得ることができる。
【0023】
軸受ケーシング37は、図2からわかるように、コグドベルト39をぴんと張るために移動可能に設けられている。移動させて張設状態にするために、ここでは調整ねじの形態に設けられた調整装置41が設けられている。軸受ケーシング37が動かされる軌道は、軸部29の中心からの距離に相当する半径で湾曲されることが好ましく、こうすることによって、軸受ケーシング37を調整する場合に、リングギヤ33と歯車34の間の相互の係合に影響がない。
【0024】
ロータ配置構成部4の2つのカウンタウェイト31,32は、図3に示すように、重さが異なっている。重い方のカウンタウェイト31は、両カウンタウェイト31,32の合計重量の65%を占める。従って、もう一方のカウンタウェイト32の重量は、35%となる。また、両カウンタウェイト31,32は、軸部29に関して相互に回転可能とされている。重さが異なるカウンタウェイト31,32を相互にひねるように回転させることによって、必要な不平衡おもりを正確に調節することができる。
【0025】
カウンタウェイト31,32は、それぞれ、スリーブ30が貫通するハブ42,43を有している。重い方のカウンタウェイト31のハブ42は、収縮ばめによってスリーブ30に固定され、解除可能なクランプジョイントによって、隣接するカウンタウェイト32のハブ43に接続可能とされている。解除可能なクランプジョイントを構成するために、カウンタウェイト31,32は、図3に示すように、これらの互いに向かい合う側の部分に、相互に係合可能な円錐部材を備えている。ハブ42は、一周にわたって、隣接するハブ43の方に向かって拡径する円錐状溝44を備えている。ハブ43は、一周にわたって、隣接するハブ42の方に向かって先細になる円錐状結合部45を備え、この結合部45が円錐状溝44と係合する。摩擦等によって力が伝達できる状態の接続を得るために、カウンタウェイト32は、該カウンタウェイト32のハブ43の部分で隣接カウンタウェイト31に当接させられ、その際対向する円錐面が面同志互いに押し付け合わされる。
【0026】
そのために、図4から最もよくわかるように、ケーシング28に隣接する側壁の凹部46を通じて外側から操作できる少なくとも1つの調整ねじ47が設けられ、この調整ねじ47は、一方ではスリーブ30のラジアルフランジ48(放射状フランジ)に支えられ、他方では隣接するカウンタウェイトのハブ43に支えられている。図示された実施形態では、フランジ48の中に差し込まれ、内側のラジアルフランジによって支えられたねじスリーブ49が設けられ、このねじスリーブに調整ねじ47が螺合している。図4では、1つの調整ねじ47のみが示されているが、もちろん、円錐構成部の領域においてできるだけ一様に締めの力を加えることを保証するために、フランジ48の周囲に複数の調整ねじを備えることができる。
【0027】
駆動モータ5の組み立て寸法をできるだけ小さく保つために、ロータ配置構成部4の始動を一方向だけに一貫して行なうのではなく、ブランコのようにして往ったり来たりさせながら往復揺動式に行う。そのために、制御装置6は、図1に示される始動プログラム記憶装置50を備え、このメモリの出力部は、対応して設けられた調節器11の入力部側に置かれている。スタート信号が来ると、この入力部のロックが外され、これにより、調節器11がメモリ50に記憶された始動プログラムを受け取って、このプログラムに従って動作するようになっている。
【0028】
始動プログラムは、駆動モータ5がまず前進方向に全モーメントを出力して、ロータ配置構成部4の振れにある一定の回転角をつけるように組まれている。ロータ配置構成部4が停止状態になると、すなわち折り返し点に達するとすぐに、モータ5が反対方向に全モーメントを出してロータ配置構成部4を反対方向に動かすようにモータ5の反転操作が行われる。ここで、ロータ配置構成部4の運動は、重力によって促進される。モータ5の反転操作は、本明細書における類のトルク制御可能な液圧モータの場合には、特に簡単な方法で行なうことができる。そのため、傾斜円板と共に動作するピストンを有する上述のアキシャルピストン・モータの場合、円板は、中立位置を越えて容易に他方の側へ傾けられる。
【0029】
ロータ配置構成部4の往復揺動は、ロータ配置構成部4が駆動モータ5から前進方向に上死点を越えて動かされるまで繰り返される。好適な方法で折り返し点までのロータ配置構成部4の角度振幅が検出される。この結果から、どれだけの往復動作が上死点を越えるまで必要であるかが計算される。ロータ配置構成部4が後退運動の際に上死点を越えるかもしれないという危険性がある場合には、ロータ配置構成部4の後退運動の際にモータ5によるトルク供給は行なわれない。このような場合、モータは、前進運動のときだけスイッチ・オンされる。
【0030】
ロータ配置構成部4が上死点を越えるとすぐ、それ以上モータ5の反転操作は行われなくなる。ロータ配置構成部4は、この時点で前進方向に連続的に駆動される。このとき、ロータ配置構成部4は、まず所望の同期回転数に近い回転数まで加速され、特に、二次慣性力を均衡化して補償する際には、ピストン機関1の2倍の回転数に近い回転数にまで加速される。加速段階中、モータ5は、該モータ5が全モーメントで動作するように供給を受ける。続いて、ロータ配置構成部4の回転数ならびに位相が、同期位相近くの狭い角度範囲内で、同期回転数および同期位相に細かく精確に合わせられる。この目的のために、モータ5は、ロータ配置構成部に作用する漸次増加または減少するモーメントが出力されるように供給を受ける。位相ずれが15°を超える場合には、モータ5は全力の最大トルクで動作する。位相角の誤差が減少すればトルクも減少する。ロータ配置構成部4およびピストン機関1の同期運転が達成されると、始動過程は終了し、制御は上述したような通常運転に入る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピストン機関に設けられた本発明による補償装置における信号の流れを示す図である。
【図2】本発明による補償装置の側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図3の部分IVを図3よりも拡大して示す図である。
【符号の説明】
1・・・ピストン機関
2・・・補償装置
3・・・設置用プラットフォーム
4・・・ロータ配置構成部
5・・・駆動モータ
6・・・制御装置
7・・・コモンレール
8・・・ポンプ
9・・・駆動系
10・・・供給分岐路
10´,10a´・・・圧力平衡タンク
10a・・・戻り管
11・・・調節器
12,17,20,23,26,27・・・信号回線
13・・・比較器
14・・・クランクシャフト
15,34・・・歯車
16,19,25・・・センサ
18・・・パルス送信器
21・・・パルス発生器
22・・・パルス
23a,23b・・・分岐路
24・・・分岐部
28・・・円筒状ケーシング
29・・・定置軸
30・・・スリーブ
31,32・・・カウンタウェイト
33・・・リングギヤ(駆動歯車)
35・・・側凹部
36・・・軸
37・・・軸受ケーシング
38・・・コグドベルト・プーリー
39・・・コグドベルト
40・・・従動歯車
41・・・調整装置
42,43・・・ハブ
44・・・円錐状溝
45・・・結合部
46・・・凹部
47・・・調整ねじ
48・・・ラジアルフランジ
49・・・ねじスリーブ
50・・・始動プログラム記憶装置

Claims (10)

  1. ピストン機関(1)、特に船舶用エンジンとして動作する二サイクル大型ディーゼル・エンジンの運転の際に、慣性力、特に二次慣性力に起因する振動を補償するための、前記ピストン機関(1)の回転数ならびに位相に所定比に従って依存する回転数ならびに位相で駆動可能なロータ配置構成部(4)を有する装置であって、
    前記ロータ配置構成部(4)は、固有の駆動モータ(5)によって駆動可能とされ、前記駆動モータ(5)は、始動の際に反転可能とされ、これにより、前記ロータ配置構成部(4)がブランコのように往復揺動しながら始動するように構成されている装置。
  2. 前記ロータ配置構成部(4)を前記ピストン機関(1)に所定比で同期させるための制御装置(6)が、前記駆動モータ(5)に対して設けられ、前記制御装置(6)は、プログラム記憶装置(50)を備え、該プログラム記憶装置(50)は、前記ロータ配置構成部(4)を往復揺動式に始動するため、前記制御装置(6)によって処理可能な始動プログラムを有し、該始動プログラムは、スタート信号によって実行開始可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 往復揺動式始動過程に続いて前記ピストン機関の回転数領域にまで前記ロータ配置構成部(4)が加速され、さらに前記ロータ配置構成部(4)の回転数ならびに位相が、前記ピストン機関(1)の回転数ならびに位相に細かく近づけられていくように前記始動プログラムが組まれていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記ロータ配置構成部(4)に対して設けられた前記駆動モータ(5)は、トルクの制御が可能な液圧モータとして形成され、該液圧モータは、液圧媒体による一定圧力が付与可能とされ、前記駆動モータの回転数は、トルクの変更によって変更可能とされ、前記駆動モータ(5)は、トルクを制御する操作部を有し、該操作部は、前記制御装置(6)の作用によって調節可能とされていることを特徴とする請求項3に記載の補償装置。
  5. 前記ロータ配置構成部(4)に対して設けられた前記駆動モータ(5)を構成する前記液圧モータは、液圧媒体による一定圧力が付与可能とされ、かつピストンと傾斜円板とが共に動作する液圧アキシャルピストン・モータとして形成され、前記円板の傾斜が前記制御装置(6)の設定された出力値に応じて調整可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
  6. 前記駆動モータ(5)に対して設けられた前記制御装置(6)は、調節器(11)およびこれに対応して設けられた比較器(13)を有し、該比較器(13)は、前記ロータ配置構成部(4)および前記ピストン機関(1)の回転数ならびに位相のための入力部と、入力信号の差から形成されるエラー信号のための出力部とを有し、前記調節器(11)は、前記エラー信号、前記プログラム記憶装置(50)、および前記ロータ配置構成部(4)の回転角に対応する信号、のための入力部と、前記駆動モータ(5)の操作部を制御する操作信号のための出力部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
  7. ピストン機関(1)、特に船舶用エンジンとして動作する二サイクル大型ディーゼル・エンジンの運転の際に、慣性力、特に二次慣性力に起因する振動を、ピストン機関(1)の回転数ならびに位相に所定比に従って依存する回転数ならびに位相で駆動可能なロータ配置構成部(4)によって補償するための装置を始動する方法であって、
    前記ロータ配置構成部(4)を、固有の駆動モータ(5)によって駆動できるようにし、前記駆動モータ(5)を始動の際に反転できるようにし、これにより、前記ロータ配置構成部(4)をブランコのように往復揺動させながら始動する方法。
  8. 始動の際に、前記ロータ配置構成部(4)を、後退方向への反転が起こる可能性が無い間に限って前進方向および後退方向に駆動することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前進方向に振れるたびに前記ロータ配置構成部(4)の角度振幅を検出し、この結果に基づき、前記ロータ配置構成部(4)が上死点を越えるまでに必要とする往復揺動の回数を計算し、この計算に応じて、前記ロータ配置構成部(4)が前進方向においてのみ上死点を越えるように前記駆動モータ(5)を動作させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 往復揺動式始動過程に続いてピストン機関の回転数領域にまでロータ配置構成部を加速し、さらにロータ配置構成部(4)の回転数ならびに位相を、ピストン機関(1)の回転数ならびに位相に細かく近づけていくことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
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