JP2004001012A - スライドゲートプレート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プレート耐火物の長手方向に進退させて用いられるスライドゲートプレートにおいて、プレート耐火物には長手方向の両端部に円弧部が設けられ、かつ、一側の摺動面側の端部に面取り部が形成されたスライドゲートプレートである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は溶融金属容器の出湯口用耐火物として使用するスライドゲートプレートに係わり、特にプレート耐火物の形状を特定したスライドゲートプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に連続鋳造設備における溶融金属の注出口部には、その流出量を調整するためのスライドゲートプレートが設けられる。
【0003】
近年、スライドゲートプレートは材料低減による経済性及び亀裂発生防止を目的とした形状が開発されている。図7(a)に示すように、従来のスライドゲートプレート21は、同一形状のものを2個一対、各々方向を反対にして設置され、扁平、変形長円形状の耐火物22の一側に偏倚して設けられ溶融金属が流れるノズル孔23を有しており、さらに、その外周面部には枠状鉄皮(フープ)24が嵌挿されている。また、耐火物22は枠状鉄皮24の拘束力を均一にするために、長手方向の一側の端部には円弧部22aが、他側の端部には円弧部22bが、短手方向の端部には円弧部が各々形成されている。
【0004】
従って、従来のスライドゲートプレート21は、ノズル孔23の周囲より発生した亀裂の拡大の抑制が図られるとともに、低コスト化が図られている。
【0005】
しかしながら、従来のスライドゲートプレート21は、使用を繰返すと、図7(b)に示すように、一側端部の円弧部22aの側面に欠損が発生し、さらに、他側の平面部22B1に亀裂が発生することがある。
【0006】
この欠損と亀裂は、図7(a)に示すように、応力が円弧部22a及び平面部22B1に集中して加わるために発生するものと考えられる。これらの欠損と亀裂のために、スライドゲートプレートの耐用寿命が短かった。
【0007】
なお、一側端部及び他側端部に各々傾斜面を設けたスライドゲートプレートが実公平6−49420号公報に記載されているが、この公報記載のスライドゲートプレートは、単にスライドゲートプレートの摺動抵抗を減じるためのものであり、上記のような欠損と亀裂を抑制する効果は期待できない。また、他側端部に傾斜面を設け、当該端部に亀裂が発生するのを防止したスライドゲートプレートが特開2001−138035公報に記載されているが、このこの公報記載のスライドゲートプレートは、当該端部の欠損防止と他側端部の平面部に亀裂が発生するのを抑制することができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、端部の欠損及び平面部の亀裂の発生がなく、長寿命なスライドゲートプレートが要望されていた。
【0009】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、端部の欠損及び平面部の亀裂の発生がなく、長寿命なスライドゲートプレートを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様によれば、溶融金属の流出量を制御し長手方向の一側に偏倚して形成されたノズル孔が設けられたプレート耐火物と、このプレート耐火物の周面部に嵌挿された枠状鉄皮とを有し、前記プレート耐火物の長手方向に進退させて用いられるスライドゲートプレートにおいて、前記プレート耐火物には長手方向の両端部に円弧部が設けられ、かつ、一側の摺動面側の端部に面取り部が形成されたことを特徴とするスライドゲートプレートが提供される。これにより、端部の欠損及び平面部の亀裂の発生がなく、長寿命なスライドゲートプレートが実現される。
【0011】
好適な一例では、上記面取り部は、その幅wがw≧30mmであり、プレート耐火物の幅をWとしたときに、w/W=0.15〜0.8の関係にあり、かつ、その高さが2mm以上で枠状鉄皮の上端部までの大きさである。これにより、面取り部に加わる応力は確実に分散され、面取り部の欠損、横(幅方向)亀裂の発生が確実に防止される。
【0012】
また、好適な一例では、上記面取り部の内側端部からノズル孔の面取り部側ノズル壁面までの距離Lとノズル孔の直径Dの関係が、L/D=1.0〜5.0である。これにより、漏鋼が生じるおそれがなく、安全であり、かつ、経済的である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるスライドゲートプレートの実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明に係わるスライドゲートプレートの平面図、図2はその縦断面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、スライドゲートプレート1は、平板状のプレート耐火物2と、このプレート耐火物2の周面部に嵌挿された枠状鉄皮3とを有しており、プレート耐火物2には、溶融金属の流出量を制御するノズル孔4が設けられている。
【0016】
上記プレート耐火物2は、耐火物製でほぼ変形長円形状をなし、その長手方向の一側2Aの端部には円弧部2aが、他側2Bの端部には円弧部2bが、短手方向の端部には円弧部2c、2cが各々形成されている。
【0017】
また、プレート耐火物2には、上記ノズル孔4が一側2Aに偏倚して設けられており、さらに、ノズル孔4側で一側2Aの端部の円弧部2aには、その摺動面側に面取り部5が形成されている。
【0018】
この面取り部5は、例えば、傾斜面で形成され、その幅wがw≧30mmであるのが好ましい。幅wが30mm未満であると、面取り部に加わる応力を分散できず、面取り部が欠損したり、横(幅方向)亀裂が発生する。また、プレート耐火物2の幅をWとしたときに、w/W=0.15〜0.8の関係が成立するように形成されるのが好ましく、より好ましくはw/W=0.3〜0.5である。w/Wが0.15未満であると、面取り部に加わる応力を分散できず、面取り部が欠損したり、横亀裂が発生する。w/Wが0.8を超えると、面取り部が大きくなり過ぎ、また、ノズル孔との距離が短くなり、漏鋼が生じるおそれがある。
【0019】
さらに、図3に拡大して示すように、面取り部5の高さhが、2mm以上で枠状鉄皮3の上端部3aまでの大きさに形成されるのが好ましい。高さhが、2mm未満であると、応力により端部角部が欠損し、枠状鉄皮の上端部までより大きいと、枠状鉄皮の拘束力が低下し、枠状鉄皮が応力により変形するため、横亀裂が発生する。
【0020】
また、図1に示すように、面取り部5の内側端部5aからノズル孔4の面取り部側ノズル壁面4aまでの距離Lとノズル孔4の直径Dの関係は、L/D=1.0〜5.0の関係が成立するように形成されるのが好ましく、より好ましくは、L/D=1.2〜3.0である。L/D<1.0であると、ノズル孔から面取り部までの距離が短くなり、漏鋼が生じるおそれがある。L/D>5.0であると、材料の体積が大きくなり、経済的でない。
【0021】
なお、面取り部は、上記のような傾斜面に限らず、R面取り部、段付き面取り等、応力が集中する部分が線状になっていればよい。
【0022】
また、符号6は、補強用鉄板であり、支持部材から応力を受ける。
【0023】
次に本発明に係わるスライドゲートプレートの使用方法について説明する。
【0024】
図4に示すように、図1に示すスライドゲートプレート1は、例えば、同一形状を有する2個が、固定プレート1fと可動プレート1sとして一対をなし、摺動方向に対して反対向きに設置されて連続鋳造設備に組込んで用いられる。この組込みは、タンデイッシュまたは取鍋11の底部に固定されたゲート装置本体12に設けられた固定プレート耐火物支持部材13およびこれに重なる可動プレート支持部材14を用いて行なわれ、これら支持部材13、14内に、補強用鉄板6を介して上記固定プレート1f、可動プレート1sがボルト等15、16により固定され収納される。
【0025】
従って、可動プレート支持部材14は、ゲート装置本体12の外部に支持されたシリンダ17の作動によりスライドし、可動プレート1sの長手方向の一側2Aに偏倚して穿設されたノズル孔4と、固定プレート1fに穿設されたノズル孔4との整合位置を変化させて溶融金属の流出量を制御するようになっている。
【0026】
上記のようなスライドゲートプレート1(1f、1s)を用いた溶融金属の流出制御過程において、円弧部2a、2bを介して枠状鉄皮3による締付け応力が十分かかっており、ノズル孔4を流れる溶鋼からの熱応力、流速によって生じる衝撃力により、例え亀裂が発生しても、亀裂の拡大は抑制され、また、スライドゲートプレート1(1f、1s)には、面取り部5が設けられているので、一側端面に応力が点集中するのが避けられ、一側端面の欠損が防止され、さらに、平面部1A1に曲げ応力がかかるにも拘わらず、平面部1B1に横亀裂が発生することがない。
【0027】
さらに、上記面取り部は、その幅wがw≧30mmであり、プレート耐火物の幅をWとしたときに、w/W=0.15〜0.8の関係にあり、かつ、その高さが2mm以上で枠状鉄皮の上端部までの大きさであるので、面取り部に加わる応力は確実に分散され、面取り部の欠損、横亀裂の発生が確実に防止される。また、上記面取り部の内側端部からノズル孔の面取り部側ノズル壁面までの距離Lとノズル孔の直径Dの関係が、L/D=1.0〜5.0であるので、漏鋼が生じるおそれがなく、安全であり、かつ、経済的である。
【0028】
【実施例】
本発明に係わるスライドゲートプレートを用い、下記条件により実機試験を行ない、従来例と比較した。
【0029】
(条件) 鋼種:SS材、
スライドゲートノズル直径:45mm、
鋳込み時間:65分、
取鍋容量:150トン
【0030】
(結果) 図5及び図6に示す。
【0031】
図5に示すように、実施例は円弧部の欠損、平面部の横(幅方向)に亀裂の発生がなかった。これに対して、図6に示すように、従来例では、円弧部(面取り部)に欠損、平面部に横(幅方向)亀裂が発生
した。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係わるスライドゲートプレートによれば、端部の欠損及び平面部の亀裂の発生がなく、長寿命なスライドゲートプレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるスライドゲートプレートの平面図。
【図2】本発明に係わるスライドゲートプレートの縦断面図。
【図3】図2A部の拡大図。
【図4】本発明に係わるスライドゲートプレートの使用状態を示す概念図。
【図5】本発明に係わる実施例の結果図(実施例)。
【図6】本発明に係わる実施例の結果図(従来例)。
【図7】(a)及び(b)は、従来のスライドゲートプレートの使用状態を示す概念図。
【符号の説明】
1 スライドゲートプレート
2 プレート耐火物
2a 円弧部
2A 一側
2b 円弧部
2B 他側
2c 円弧部
3 枠状鉄皮
3a 上端部
4 ノズル孔
4a 面取り部側ノズル壁面
5 面取り部
5a 内側端部
6 補強用鉄板
D ノズル孔の直径
h 面取り部の高さ
L 距離
w 面取り部の幅
W プレート耐火物の幅
Claims (3)
- 溶融金属の流出量を制御し、長手方向の一側に偏倚してノズル孔が設けられたプレート耐火物と、このプレート耐火物の周面部に嵌挿された枠状鉄皮とを有し、前記プレート耐火物の長手方向に進退させて用いられるスライドゲートプレートにおいて、前記プレート耐火物には長手方向の両端部に円弧部が設けられ、かつ、前記一側の摺動面側の端部に面取り部が形成されたことを特徴とするスライドゲートプレート。
- 請求項1に記載のスライドゲートプレートにおいて、上記面取り部は、その幅wがw≧30mmであり、プレート耐火物の幅をWとしたときに、w/W=0.15〜0.8の関係にあり、かつ、その高さが2mm以上で枠状鉄皮の上端部までの大きさであることを特徴とするスライドゲートプレート。
- 請求項1または2に記載のスライドゲートプレートにおいて、上記面取り部の内側端部からノズル孔の面取り部側ノズル壁面までの距離Lとノズル孔の直径Dの関係が、L/D=1.0〜5.0であることを特徴とするスライドゲートプレート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002157353A JP2004001012A (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | スライドゲートプレート |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002157353A JP2004001012A (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | スライドゲートプレート |
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JP2004001012A true JP2004001012A (ja) | 2004-01-08 |
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Cited By (1)
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KR100835998B1 (ko) * | 2006-11-06 | 2008-06-09 | 조선내화 주식회사 | 슬라이드 게이트용 밸브판 |
-
2002
- 2002-05-30 JP JP2002157353A patent/JP2004001012A/ja active Pending
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