JP2003535606A - Cyk−4ポリぺプチド、それらをコードするDNA及びスクリーニング方法におけるそれらの使用 - Google Patents

Cyk−4ポリぺプチド、それらをコードするDNA及びスクリーニング方法におけるそれらの使用

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JP2003535606A JP2002503094A JP2002503094A JP2003535606A JP 2003535606 A JP2003535606 A JP 2003535606A JP 2002503094 A JP2002503094 A JP 2002503094A JP 2002503094 A JP2002503094 A JP 2002503094A JP 2003535606 A JP2003535606 A JP 2003535606A
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プルンガー フェレナ ヤンチュ
アルパー ロマノ
将紀 三嶋
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ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
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Abstract

(57)【要約】 細胞分裂に必要なキー分子である、哺乳類CYK-4ポリペプチド、およびそれをコードするDNA分子。細胞分裂に干渉する化合物を同定するためにCYK-4の機能と関連した生化学的反応に基づくスクリーニング方法を使用することができる。そのような化合物は腫瘍治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、細胞質分裂に関係する新規なタンパク質Cyk-4、スクリーニング分
析におけるその使用、及び細胞分裂を妨害する治療、特に腫瘍治療に関する。 細胞質分裂の過程は、1個の親細胞から2個の娘細胞を生じ、細胞分裂周期産物
を永続的に分離する。細胞質分裂は、微小管とアクチンフィラメントとの間の協
調を必要とすることが知られる、生物学ではまれな過程の1つである。実際に動
物細胞では細胞質分裂に2つの段階があり、微小管とアクチン系収縮管との間の
相互作用に依存している(総説として(Field et al., 1999; Glotzer, 1997)を参
照されたい)。最初の段階では、微小管系紡鐘体が収縮管の位置を特定する。こ
れにより分裂面を位置づけることが可能になるので分離した染色体は2個の娘細
胞に均等に分けられる。引き続き、分裂溝が進入した後に微小管と収縮管双方に
依存する第2段階がある。細胞質分裂の完了には、束化した逆平行微小管を含む
中央紡鐘体が必要である。細胞質分裂におけるこれらの2つの微小管依存段階の
基礎にある分子メカニズムは不明である。
【0002】 細胞質分裂の進行が中央紡鐘体に依存している程度は、種々の実験生物で幾分
異なる。無脊椎動物の胚においては、分裂紡鐘体の星状微小管と細胞皮質との間
の一時的な相互作用によって分裂溝が十分位置づけられる(Rappaport, 1985)。
この方法で特定された溝が進入し、紡鐘体が除去された場合には、これらの溝は
細胞質分裂を普通は完了させない(Rappaport, 1985)。対照的に、ショウジョウ
バエ(Drosophila)の精母細胞では、収縮管形成には中央紡鐘体が必要である(Gia
nsanti et al., 1998)。同様に、培養した哺乳動物細胞においては、星状微小管
は溝進入を誘導するには不十分のようであり、代わりに中央紡鐘体の有無により
分裂溝が生じるか否かが決められる(Cao & Wang, 1996; Eckley et al., 1997;
Rieder et al., 1997; Savoian et al., 1999; Wheatley & Wang, 1996)。更に
、培養した細胞においては、細胞質分裂の完了に中央紡鐘体が必要である(Wheat
ley & Wang, 1996)。C.エレガンス(線虫)の胚においては、無脊椎動物の胚の
ように、細胞質分裂の後期のみが中央紡鐘体に依存しているようである。キネシ
ン様タンパク質、ZEN-4/CeMK1p1の消失した胚は、中央紡鐘体をアセンブリする
ことができないが、分裂溝が生じ、進入する。しかし、細胞質分裂は完全に進行
しない(Powers et al., 1998; Raich et al., 1998)。要するに、細胞質分裂の
開始はすべての生物ではないが一部の生物においては中央紡鐘体に依存し、動物
細胞での細胞質分裂の完了には中央紡鐘体が一般に要求されるらしい。細胞質分
裂に中央紡鐘体が重要な役割を果たしていることは明らかであるが、基礎にある
メカニズムは依然として理解しにくいものである。
【0003】 分裂溝の進入は、アクチン系収縮管によって駆動される。多くのアクチン系構
造のように、収縮管にはそのアセンブリのためにRhoA GTPアーゼが必要である。
RhoファミリーGTPアーゼは、不活性GDP結合形と活性GTP結合形の間で行き来する
分子スイッチとして働くと考えられる。GTPを交換し加水分解する能力は、追加
因子、いわゆるグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)とGTPアーゼ活性化タンパク
質(GAP)によって調節される。エキソ酵素C3(Aktories & Hall, 1989)によりRhoA
を不活性化すると、皮質アクチン構造や収縮管の分解を引き起こすことにより様
々な実験設定における細胞質分裂が阻止される(Drechsel et al., 1997; Kishi
et al., 1993; Mabuchi et al., 1993; Moorman et al., 1996; O'Connell et a
l., 1999)。更に、Rho GEFは細胞質分裂に不可欠なものである(Prokopenko et a
l., 1999; Tatsumoto et al., 1999)。GTP結合RhoAは、ホルミン、Rhoキナーゼ
、シトロンキナーゼ、又はミオシンホスファターゼの調節サブユニットを含む多
くの推定エフェクターと相互作用する(総説として(Van Aelst & D'Souza-Schore
y, 1997)を参照されたい)。細胞質分裂におけるRhoAの要求は、ホルミン遺伝子
ファミリーの種類が出芽酵母(BNI1/BNR1)(Imamura et al., 1997)、分裂酵母(Cd
c12)(Chang et al., 1997)、ショウジョウバエ(dia)(Castrillon & Wasserman,
1994)又はC.エレガンス(cyk-1)(Swan et al., 1998)における細胞質分裂に必要
とされるのでホルミンを調節する能力を反映しているのかもしれない。いくつか
のホルミンもプロフィリン(Chang et al., 1997; Evangelista et al., 1997; I
mamura et al., 1997; Watanabe et al., 1997)、アクチン重合の鍵となるレギ
ュレーターに結合する。GTP結合RhoAがホルミンによりアクチン重合を活性化す
るとともにミオシン運動活性を活性化することにより収縮管アセンブリを促進さ
せることはありそうなことである。
【0004】 微小管系中央紡鐘体とアクチン系分裂溝が共に細胞質分裂に不可欠であること
はうむを言わさぬ証拠がある。次に、これらの2つの細胞骨格ポリマーがどのよ
うに相互作用するかという疑問が生じる。微小管システムとアクチン細胞骨格シ
ステムの間の相互作用が確認された数例がある。例としては、出芽酵母における
核の位置づけ(Carminati & Stearns, 1997; Fujiwara et al., 1999; Miller et
al., 1999)、上皮細胞(Busson et al., 1998)又は2つの細胞のC.エレガンス胚
の後割球のようなある種の非対称に分裂する細胞(Goenczy et al., 1999a; Hyma
n & White, 1987; Skop & White, 1998; Waddle et al., 1994)における紡鐘体
配向が挙げられる。これらの例においては、ダイニン/ダイナクチン微小管モー
ター複合体が微小管と細胞皮質との相互作用を仲介することができるという証拠
がある。 本発明の目的は、細胞質分裂において微小管依存段階を解明することであった
。特に、新しい治療方法、特にがん治療を与える、この過程、つまり、細胞質分
裂を妨害することができるように、この過程における中央紡鐘体の役割を特定す
ることが探究された。
【0005】 従って、本発明の基礎にある問題を解決するために、中央紡鐘体がどのように
アセンブリされるか、また細胞質分裂においてどのように機能するかを調べた。 本発明においては、cyk-4と称する新規な遺伝子が同定され、クローン化され
、C.エレガンスの初期分裂における役割が確認された。Cyk-4が細胞質分裂の後
期に必要であることがわかった。面白いことに、cyk-4突然変異胚は中央紡鐘体
をアセンブリすることができない。ポジショナルクローニングや局在性研究から
cyk-4遺伝子が中央紡鐘体に局在するGTPアーゼのRhoファミリーに対する新規なG
TPアーゼ活性化タンパク質(GAP)をコードしていることがわかった。cyk-4(t1689
ts)対立遺伝子におけるミスセンス突然変異がGAP活性に不必要なドメインに見ら
れ、Cyk-4がRhoファミリータンパク質によるGTP加水分解を活性化するほかに他
の機能をもつことができることを示唆している。従って、Cyk-4とキネシン様タ
ンパク質Zen-4/CeMK1p1が適切に配置されるために相互依存していることがわか
った。これらのデータに基づき、Cyk-4がZen-4/CeMK1p1に呼応して作用し、中央
紡鐘体をアセンブリするモデルが提唱されている。そのとき、中央紡鐘体に対す
るCyk-4の集中は、GAPドメインを十分に移入した収縮管に向けさせ、そこでRhoA
によるGTP加水分解が促進され、よって細胞質分裂の完了を促進する。
【0006】 更なる実験において、CYK-4とZEN-4の生化学状態を調べ、in vivoで実際に会
合していることがわかった。これらのタンパク質はin vitroで効率よく会合し、
in vitro結合分析を用いてこの相互作用に必要かつ有効な両タンパク質の領域を
分子的に分析した。ts対立遺伝子cyk-4(t1689)によってコードされたタンパク質
がZEN-4と会合できないことがわかった。cyk-4(t1689)を部分的にレスキューす
る変異を同定し、それをCYK-4結合領域にマッピングすることは、細胞質分裂を
進行させるためにCYK-4とZEN-4との間の相互作用の重要性の強力な証明を与える
。また、CYK-4とZEN-4のヒト相同分子種、HsCYK-4/MgcRacGAPとMKLP1は複合体と
して存在していることが分かっており、精製されている。複合体は、HsCYK-4とM
KLP1のほぼ化学量論量を含有している。ヒト複合体は、線虫タンパク質のように
中央紡鐘体や分裂レムナントに局在する。このように、本発明においては、中央
紡鐘体アセンブリに不可欠な進化的に保存された複合体が同定される。
【0007】 細胞の2個の娘細胞への分裂には、微小管系分裂紡鐘体とアクチン系収縮管と
の間の動的相互作用が必要である。動物細胞においては、分裂溝、アクトミオシ
ン系構造の位置が分裂紡鐘体によりはっきり理解されていない方法で決定される
。最近では、後期に生じる微小管束の配列の中央紡鐘体が細胞質分裂に重要な役
割を果たしていることが明らかになった。この基本的な細胞に関する過程への洞
察を得るために、細胞質分裂欠損突然変異体のcyk-4を分析した。細胞学的分析
により、cyk-4突然変異胚は中央紡鐘体をアセンブリすることができないことが
明らかになった。中央紡鐘体を欠いているものの、cyk-4突然変異胚には広範囲
に溝がつけられが、細胞質分裂を完了することはできない。cyk-4表現型に関与
する突然変異は、in vitroでRho、Rac、又はCdc42によるGTP加水分解を促進させ
るRhoファミリーGAPをコードしている遺伝子のにミスセンス突然変異であること
がわかった。CYK-4は、中央紡鐘体や細胞分裂レムナントに局在している。CYK-4
は、ZEN-4/CeMKLP1キネシン様タンパク質と共存している。更に、CYK-4とZEN-4/
CeMKLP1はそれらの局在に相互依存している。結論として、CYK-4 GAPとZEN-4/Ce
MKLP1キネシン様タンパク質は中央紡鐘体をアセンブリするために協力している
ということである。更に、中央紡鐘体に対するCYK-4 GAP濃縮供給源によってRho
A GTPアーゼがダウンレギュレートされ、よって細胞質分裂の後期を促進させる
ことができることが提唱される。本発明の知見により、中央紡鐘体のCYK-4依存
性アセンブリのモデルが提供される。
【0008】 cyk-4突然変異胚においては、中央紡鐘体を構成する強固な微小管束は生じな
い。代わりに、紡鐘体は2個の分裂星状体がいくつかの重なっている無秩序な微
小管で分離されたものになる。同様の表現型がzen-4突然変異胚にも見られる(Po
wers et al., 1998; Raich et al., 1998)。従って、ZEN-4/CeMKLP1キネシン様
タンパク質もCYK-4 GAPも共にこの微小管束化に不可欠である。ZEN-4/CeMKLP1の
ショウジョウバエ相同分子種も細胞質分裂に必要であるが、溝進入のすべての側
面に必要らしい(Adams et al., 1998)。キネシン様タンパク質のMKLP1サブファ
ミリーの種類はin vitroで微小管束化活性を有する(Kuriyama et al., 1994; Ni
slow et al., 1992)。しかしながら、in vivoではZEN-4仲介微小管束化にはCYK-
4が必要である。 CYK-4とZEN-4がどのように協力して中央紡鐘体をアセンブリすることができる
かという質問に答える際に、多重モータータンパク質を有する複合体が重なって
いる逆平行微小管に特異的に局在し得ることが提唱される(図10)。そのようなモ
ーター複合体が微小管に沿って移行するのであれば、末端まで進み、解離するか
もしれない。しかしながら、そのようなモーター複合体が微小管に沿って逆平行
微小管の近くに移行した場合には、複合体は両方の微小管に同時に結合すること
ができ、反対方向に交互に移動するように試みることができ、最終結果としては
微小管の重なり領域に複合体が濃縮される。CYK-4は微小管モータードメインを
もたないが中央紡鐘体の形成に不可欠であるので、CYK-4が多重ZEN-4ホモ二量体
と複合体を形成し、それが重なっている逆平行微小管に局在し安定化することが
提唱される(図10)。
【0009】 CYK-4のRhoGAP活性がZEN-4による微小管束化に必要であるかを知ることは興味
深いことである。中央紡鐘体アセンブリがCYK-4 GAP活性を必要としないらしい
ことが提唱される。このことは2つの証拠によって示唆される。まず、中央紡鐘
体アセンブリは、アミノ酸15にミスセンス突然変異をもつcyk-4(t1689ts)対立遺
伝子においては欠損している。この置換はC末端GAPドメインから離れており、in
vitroでCYK-4のアミノ末端はGAP活性に不必要である。従って、この対立遺伝子
は、in vivoで触媒活性を保持すると考えられるので、GAP活性は中央紡鐘体アセ
ンブリに十分ではない。更に、Rho RNAi実験から、中央紡鐘体アセンブリがRho
に依存しないことがわかり、Rho GAP活性がこのプロセスに必要でないことを意
味している。従って、CYK-4は、GAP活性とは無関係に中央紡鐘体アセンブリを促
進させるように働くことができる。 本発明においては、CYK-4 gapドメインの機能を分析した。 中央紡鐘体アセンブリにおけるCYK-4機能がRho GTPアーゼから独立しているの
であれば、CYK-4 GAPドメインの機能を求めることは興味深いことである。CYK-4
は二機能性のようであり、第1の機能は中央紡鐘体のアセンブリを促進させるも
のであり、第2の機能はRhoファミリーメンバーによるGTP加水分解を促進させる
ものである。これらの2つの機能は、第1の機能が、GAP活性を必要とする部位にC
YK-4を濃縮する働きをするという点で互いに関連するものかもしれない。Rhoフ
ァミリーGTPアーゼによるGTP加水分解を促進させ、そのダウンレギュレーション
が収縮管の分解や細胞分離を引き起こすために、CYK-4 GAP活性が細胞質分裂の
後期に必要とされることは推測されてもよい(図10)。
【0010】 どのGTPアーゼがCYK-4に作用して細胞質分裂を促進させることができるのかを
決定した。CYK-4 GAPドメインはRhoファミリーGAPのすべての特徴をもっている
ので、GTPアーゼスーパーファミリーのサブファミリーに作用すると考えること
ができる。他の多くのRhoGAPのように、CYK-4のGAPドメインはRho、Rac、又はCd
c42によるGTP加水分解を促進させることができるという点で乱雑である(Lamarch
e & Hall, 1994)。CYK-4がRhoに作用する最も強力な証拠は、試験したGTPアーゼ
のうちでRhoは細胞質分裂に明らかに不可欠である唯一のものであるという所見
に基づくものである。細胞分裂におけるRhoに対する要求性は、種々の実験シス
テムで十分に証明されている。いままでにRacが細胞質分裂に必要であるという
証拠はなく、RNAiを用いてRacを消失させたデータからもこのプロセスにおけるG
TPアーゼの役割を検出することはできなかった。更に、アポトーシスに続く死体
飲込み(corpse engulfment)に続いてや遠位先端細胞の移動が欠損しているced-1
0突然変異体はrac遺伝子中に突然変異を有することが最近報告された(Reddien &
Horvitz, 2000)。ced-10突然変異体は、細胞質分裂での役割を示す顕著な表現
型をもっていない。更に、Rac1欠損マウスは嚢胚形成異常であるが、胚は細胞分
裂を示す多核細胞を有していない(Sugihara et al., 1998)。これらのデータの
すべてからRacが細胞質分裂の際にCYK-4の不可欠な標的でないことが主張される
。Cdc42に関する以前の研究では細胞質分裂においてこのGTPアーゼが関係してい
ることが暗示されている(Drechsel et al., 1997; Dutartere et al., 1996)。
表面的には、Cdc42(RNAi)胚に見られる弱い貫通細胞分裂表現型はこれらの初期
のデータと一致している。しかしながら、細胞質分裂異常のCdc42(RNAi)胚は浸
透圧的に膨潤するので、細胞質分裂異常は間接的なものである。従って、ここで
は、RhoAがCYK-4 GAP活性の鍵となる基質であると思われる。
【0011】 細胞質分裂の完了がCYK-4によるRhoAのダウンレギュレーションを必要とする
という仮説は、更に、Cyk-4表現型が加水分解欠損のあるRhoA突然変異体によっ
て表現型模写されるという実験によって支持される。しかしながら、初期C.エレ
ガンス胚においてそのような支配的な突然変異体を発現させるのに必要な遺伝子
ツールは現在入手不可能である。RhoAが実際にGAP活性の適切な標的であるので
あれば、CYK-4 GAPドメインがRac又はCdc42と比べてRhoAに対して活性が小さい
ことは驚くべきことである。1つの可能な説明は、完全長CYK-4のの活性プロファ
イルが分離したGAPドメインと比べて異なるということである。更に興味深い可
能性は、CYK-4の局在がCYK-4 GAP活性に重要であることである。Cyk-4突然変異
胚の表現型は、収縮環が中央紡鐘体に近接しているときにCYK-4が作用する必要
があることを示している。そのときにCYK-4が中央紡鐘体上で濃縮されるので、
その局部的高濃度がRhoAに対して低い活性を克服することができるのかもしれな
い。 本発明においては、中央紡鐘体は細胞質分裂の中央にあることがわかった。 細胞質分裂において少なくとも2つの微小管依存段階、収縮管の位置づけと細
胞質分裂の完了があると思われる。一部の細胞においては、いずれのプロセスも
中央紡鐘体に依存している。重要な未解決の問題は、これらの2つの反応が機構
的に同じであるかである。収縮管のアセンブリにはRhoAの活性化が必要であり、
収縮管の位置がRhoA依存方式でアフリカツメガエル(Xenopus)胚に特定されるこ
とが以前にわかっていた(Drechsel et al., 1997)。そこでは、Rho GAPが細胞質
分裂の後期に必要であることが示されており、第2プロセスの細胞質分裂の完了
がRhoAを必要としていることを意味している。それ故、細胞質分裂において2つ
の微小管依存段階は異なっていると考えられる。
【0012】 CYK-4とZEN-4だけが中央紡鐘体の成分ではなく、細胞質分裂に必要されるもの
の一部がこの部位に存在する。PoloキナーゼはMKLP1と結合し中央紡鐘体中で濃
縮することが既知であり(Adams et al., 1998; Lee et al., 1995)、このキナー
ゼは細胞質分裂に不可欠である。Rho関連キナーゼもこの部位に局在する(Kosako
et al., 1999)。AIR-2のオーロラ状キナーゼは中央紡鐘体に局在する(Schumach
er et al., 1998)。このキナーゼは主として染色体分離に必要であるらしく(Woo
llard & Hodgkin, 1999)、細胞質分裂におけるその直接の関係は更に分析が必要
である。INCENPとTD-60抗原は、中央紡鐘体に局在し、細胞質分裂に役割を果た
すことができることが証明されている(Eckley et al., 1997; Mackay et al., 1
998; Martineau-Thuillier et al., 1998; Savoian et al., 1999)。面白いこと
に、細胞質分裂に必要とされるRho GEF、ECT2は中央紡鐘体に蓄積する(Tatsumot
o et al., 1999)が、ショウジョウバエ相同分子種、Pebbleはこの様式では局在
しない(Prokopenko et al., 1999)。
【0013】 これらの細胞質分裂レギュレーターのすべての個々の機能の分析は、更に、こ
れらのタンパク質のどれがCyk-4とZen-4/CeMK1p1について示されたように相互依
存しているかを決定する基礎となる。 更に、中央紡鐘体が細胞質分裂の完了に不可欠な構造であることがわかった。
中央紡鐘体アセンブリに必要とされる2つのタンパク質、CYK-4とZEN-4は、中央
紡鐘体に共局在するとともにどうやら相互に協同して作用することがわかった。
本発明の実験においては、in vivoではCYK-4とZEN-4が進化的に保存されたタン
パク質複合体中に存在することが明らかにされ、C.エレガンス胚やヒト細胞中の
この複合体の性質が詳しく確認された。これらのデータは、セントラルスピンド
リンと名付けられたCYK-4/ZEN-4複合体がCYK-4とZEN-4のそれぞれの2つの分子か
らなることを示している。CYK-4はZEN-4キネシンのくび領域に結合するので、ZE
N-4のモーター活性がCYK-4 RhoGAPによって直接レギュレートされる可能性を生
じさせている。
【0014】 C.エレガンス胚から分離した未変性セントラルスピンドリン複合体の分析生化
学により、ZEN-4キネシンとCYK-4 RhoGAPを有する複合体の存在が証明される。i
n vitro結合実験を用いてこの相互作用の重要な決定因子を特定するとともに2つ
のサブユニットが自己会合することができることが証明された。ZEN-4における
第2部位突然変異によるCYK-4 S15L突然変異の遺伝的及び生化学的サプレッショ
ンは、CYK-4とZEN-4との相互作用がCYK-4機能に重要であることを強く主張して
いる。実際に、in vivoではZEN-4の大多数がCYK-4と複合体になっている。更に
、3系統の証拠がHsCYK-4とMKLP1が四量体の複合体にあることを意味している。
第1には、HsCYK-4とMKLP1の免疫精製により同量の2つのタンパク質が示されてい
る。第2には、これらの2つのタンパク質はC.エレガンスタンパク質に見られたの
と同じS値でスクロース密度勾配により共移動している。第3には、2つのタンパ
ク質はゲルろ過カラムにより共移動し、それらの分画挙動から〜300 kDaの未変
性分子量が示されている。MKLP1の未変性分子量の以前の定量が報告されており
、その値はここでの本発明で得られたものと同じである(Chui et al., 2000; Ku
riyama et al., 1994)。以前の研究はCYK-4の存在を考慮していないので、これ
らのデータをMKLP1がホモ四量体として存在することを示していると解釈された
ものである。しかしながら、本発明の実験で得られたデータは、この解釈と適合
せず、むしろセントラルスピンドリン複合体が2つの分子のキネシンZEN-4/MKLP1
と2つの分子のRhoGAP CYK-4を有する四量体であることを示している。
【0015】 CYK-4は、このキネシンファミリー種の特に興味深い領域でZEN-4に結合してい
る。Rice et al., 1999は、キネシン分子の重要な断片がちょうど触媒中心のC末
端側、ネックリンカー領域にあることを明らかにした。一方の触媒中心へのATP
結合がネックリンカー領域で大規模なコンホメーションの変化を誘発し、もう一
方の触媒中心を初期微小管接触の+側に位置する隣接のチューブリン二量体の方
に伸長させる(Rice et al., 1999)。本発明においては、CYK-4がネックリンカー
領域を含むZEN-4領域に結合することがわかった。従来のキネシンでは、ネック
リンカー領域は、キネシンの触媒中心を高次コイル(coiled coil)軸ドメイン
に接続している15アミノ酸長の領域に相当する。KIN-Nモーターのファミリーの
中で、MKLP1サブファミリーは異なる分岐ネックリンカー領域をもち、ほとんど
変わらないいくつかの残基を欠き、触媒中心と高次コイル領域の間のリンカーは
KIN-Nファミリーの他のメンバーより約5倍長い。キネシンのこの重要な領域の多
様性は、MKLP1仲介微小管運動性が他のキネシンと異なるかもしれないことを示
している。更に、CYK-4がZEN-4のネックリンカー領域に結合するので、CYK-4結
合が実際にZEN-4モーター活性をレギュレートすることができることは可能であ
る。
【0016】 以前の研究ではMKLP1が4つのモータードメインを有する四量体として存在し得
ることが示された(Chui et al., 2000; Kuriyama et al., 1994)。2つの二量体
が逆平行の向きに配列される場合には、この複合体がどのように逆平行微小管を
架橋することができかをこの配列は簡単に説明することができた。しかしながら
、本発明で得られたデータは、この提唱された構造と一致していない。確認され
た複合体は2つのキネシンモーターと2つのRhoGAP分子を含むと思われる。ほとん
どのキネシンモーターが二量体であって、その中で両方の触媒中心が単一の微小
管プロトフィラメントと相互作用しているので、ここに記載されたアーキテクチ
ャは微小管束化がどのように達成されたかを簡単に説明することができない。セ
ントラルスピンドリンの2つのキネシンサブユニットが同じ微小管プロフィラメ
ントに結合する場合には、微小管の架橋はどのように起こるか? この点で、少
なくとも3つの起こり得るメカニズムを考えることができる(図18)。
【0017】 第1の可能性は、CYK-4/ZEN-4複合体のとこかにさらなる微小管結合部位がある
ことである。更なる結合部位はCYK-4ではまだ同定されてなく、MKLP1、ZEN-4、
又はPavも更なる微小管結合部位をもっていることが明らかになってはいない。
しかしながら、MKLP1がほとんどのキネシン様タンパク質とは異なった相互作用
を微小管と行うことが示されており、これは本発明者らによって確認された。詳
しくは、ATPは通常はほとんどのキネシンを微小管から溶離するのに十分である
が、MKLP1の場合にはATPと多量の塩の双方を必要とする(Kuriyama et al., 1994
; Nislow et al., 1992)。従って、MKLP1は2つの微小管、1つはモータードメイ
ンにより、1つは異なる相互作用面により相互作用することが可能である。Rab6K
IFLキネシンが一次構造及びその局在と提唱された機能においてMKLP1と非常によ
く似ており(Fontijn et al., 2001; Hill et al., 2000)、分子のC末端側半分に
おいて第2微小管結合活性を有する(Echard et al., 1998)ことが報告された知見
はこの可能性と一致している。しかしながら、この可能性は、CYK-4が中央紡鐘
体アセンブリになぜ必要であるかを説明していない。
【0018】 第2の可能性は、MKLP1が高次構造を形成すること及び本発明で解析された四量
体が単にビルディングブロックであることである。この可能性は、局在実験から
いくらかの支持を得ている。C.エレガンスにおいても哺乳動物細胞においても、
分裂後に細胞皮質に残っている分裂レムナントと呼ばれる環状構造が見られる。
これらのレムナントは、微小管と直接会合していないセントラルスピンドリンの
大きな集合体であると思われる。高次オリゴマーがおそらく後期の始めに形成さ
され、微小管束化を促進させることができる。 第3の可能性は、ほとんどのN末端キネシンと異なり、セントラルスピンドリン
複合体中のキネシンサブユニットの2つの触媒中心が異なる微小管に結合し得る
ことである。このことは、KIN-N KIF1Aが単一の頭部を用いて微小管に沿って前
進的に移動するという点で先例のないものではない(Okada & Hirokawa, 2000)。
MKLP1の2つの触媒中心と異なる微小管との会合は、触媒中心と高次コイルドメイ
ンとの間のリンカー領域がほとんどのN末端キネシンに存在するものより非常に
長いという事実によって実行可能である。恐らく、CYK-4は、そのような方法で2
つのモータードメインを配向させて逆並行微小管に結合させることを確実にする
(図18)。セントラルスピンドリンの構造解析と精製した成分からの生化学的再構
成は、逆平行微小管束化メカニズムへの洞察を更に可能にするであろう。
【0019】 いままで厳密に調べられていなかった重要な疑問は、細胞質分裂プロセスでの
中央紡鐘体の機能である。得られたデータは、この疑問に新たな光を投げかけて
いない。しかしながら、CYK-4のRhoGAPドメインが一次配列レベルで高度に保存
されていることは留意されてもよい。面白いことに、CYK-4はRacとCdc42と比べ
てRhoAによるGTP加水分解を誘導する点で活性が有意に低く (Jantsch-Plunger e
t al., 2000)、CYK-4のこの特徴はHsCYK-4に保存されている(Toure et al., 199
8)。中央紡鐘体の機能の一つは、細胞質分裂の後期にRhoAの不活性化を促進させ
ることができる細胞内の位置にCYK-4を集中することであることが本発明者らに
よって提唱された。このモデルと一致して、RhoAのRNAiによる不活性化は、CYK-
4局在を妨げず、中央紡鐘体アセンブリも損なわない。更に、RhoGAPドメインに
突然変異をもつHsCYK-4/MgcRacGAPの過剰発現が細胞質分裂異常を引き起こすの
で、RhoGAPドメインが細胞質分裂のあるステージで必要とされると思われる(Hir
ose et al., 2001)。このモデルを更に試験するためにCYK-4の構造-機能分析が
更に必要である。しかしながら、そのような分析は、CYK-4が二量体化又はオリ
ゴマー化することができることを考慮しなければならない。それ故、そのような
分析は内在CYK-4のないときに行うことが最善である。
【0020】 セントラルスピンドリンは単純な三量体複合体のようであるが、少なくとも2
つの異なるキナーゼによる制御を受けるかも指令ことを示唆するいくつかの証拠
がある。ショウジョウバエにおけるPoloキナーゼの遺伝分析によりPav局在性はP
olo依存性であることが示され(Carmena et al., 1998)、更にPoloとMKLP1相同分
子種との生化学的相互作用が哺乳動物細胞とショウジョウバエの胚双方由来の抽
出液に示された(Adams et al., 1998; Lee et al., 1995)。更に、Aurora-B/Inc
enp複合体はC.エレガンス胚においてセントラルスピンドリンの安定な局在に必
要であり(Kaitna et al., 2000; Schumacher et al., 1998; Severson et al.,
2000)、in vitro生化学的相互作用がAurora-B(AIR-2)とZEN-4との間で検出され
た(Severson et al., 2000)。 poloキナーゼ又はAurora-Bキナーゼとセントラルスピンドリンとの間の安定な
結合は見られなかった。中央紡鐘体アセンブリのin vitro再構成により、分析す
べきセントラルスピンドリンのこれらの及び他の制御因子の役割を可能にする。 要するに、本発明の実験は、cyk-4遺伝子の初期の表現型分析と、分子分析と
、生化学分析と、細胞生物分析とを含んでいる。更に、各CYK-4とZEN-4の2つの
分子からなるCYK-4/ZEN-4複合体(セントラルスピンドリン)の分析を含んでいる
【0021】 本発明の実験(実施例1〜5)から、Cyk-4は、おそらくはRhoA GTPアーゼを調節
する能力の故に、細胞質分裂に必要とされる活性GTPアーゼ活性化タンパク質で
あることが示される。非常に驚くべきことに、このタンパク質のさらなる機能の
一つは、中央紡鐘体のアセンブリを促進させることである。Cyk-4は、後期分裂
紡鐘体の構造と収縮管の機能双方をレギュレートする細胞質分裂に必要とされる
鍵となる分子である。 従って、第1の側面においては、本発明は、一般的にはCyk-4ポリぺプチドに関
する。Cyk-4ポリぺプチドはこの第2微小管依存段階に不可欠であることが明らか
にされ、それにより中央紡鐘体と収縮官とのあいだの機能的結合を規定するもの
である。 好適実施態様においては、本発明は、哺乳動物Cyk-4ポリぺプチド、特にマウ
スとヒトのCyk-4に関する。 第1の側面においては、本発明は、配列番号4に示されたアミノ酸配列又は配列
番号3に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに対してストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる
アミノ酸配列を有するマウスCyk-4ポリぺプチドに関する。
【0022】 好適態様においては、本発明は、配列番号2に示されたアミノ酸配列又は配列
番号1に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに対してストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる
アミノ酸配列を有するヒトCyk-4ポリぺプチドに関する。 さらなる側面においては、更に、本発明は、ヒトCyk-4ポリぺプチドをコード
する配列番号1に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む単
離したDNA分子、又は配列番号1に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレ
オチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチ
ドを含むヒトCyk-4ポリぺプチドをコードしている単離したDNA分子に関する。 更なる態様においては、本発明は、マウスCyk-4ポリぺプチドをコードする配
列番号3に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含んでいる単
離したDNA分子、又は配列番号3に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレ
オチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチ
ドを含むマウスCyk-4ポリぺプチドをコードする単離したDNA分子に関する。
【0023】 本明細書に用いられる“ストリンジェントなハイブリダイゼイション条件”と
は、50%ホルムアミド、5×SSC(1×SSC=150 mM NaCl、15 mMクエン酸三ナトリウ
ム)、50 mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%硫酸デキスト
ラン、及び20μg/ml変性せん断サケ精子DNAを含んでいる溶液中で42℃にて一晩
インキュベートし、次にフィルターを0.1×SSC中約65℃で洗浄すること、又はこ
れと等価な条件を意味する。 特にことわらない限り、次の“Cyk-4”という用語はマウスCyk-4とヒトCyk-4
の双方を意味する。 本Cyk-4ポリぺプチドの相同体には、翻訳後修飾に耐性がある、またはタンパ
ク質の活性を変化させているポリぺプチドの変異体が含まれている。Cyk-4ポリ
ぺプチドは、配列番号2又は4で表されるような完全長タンパク質を含んでもよく
、その断片又は変異体を含んでもよい。 DNA分子のほかに、本発明は、mRNAのようなRNAの形の核酸分子に関する。DNA
分子には、クローニングにより得られた又は合成で作製したcDNA又はゲノムDNA
が含まれている。DNAは、二本鎖又は一本鎖であってもよい。一本鎖DNA又はRNA
は、センス(又は+)鎖として知られるコーディング鎖でもよく、アンチセンス(
又は−)鎖と呼ばれる非コーディング鎖であってもよい。本発明は、Fireら1998
に記載され、Fire, 1999; Bosher & Labouesse, 2000; Sharp, 1999に総説がか
かれているds-RNA仲介遺伝子干渉により遺伝子発現を妨害するために二本鎖Cyk-
4 RNA又はその誘導体の調製に関する。
【0024】 “単離した”核酸分子とは、天然環境から取り出した核酸分子、DNA又はRNAを
意味する。ベクターに含まれている組換えDNA分子は、本発明のために単離され
たとみなされる。単離したDNA分子の例としては、更に、異種ホスト細胞に維持
された組換えDNA分子、又は組換えDNAで作製されたとしても合成化学法で作製さ
れたとしても溶液から精製(部分的に又はかなりの部分)されたDNA分子が挙げら
れる。単離したRNA分子には、本発明のDNA分子のin vivo又はin vitro RNA転写
物が含まれている。しかしながら、本明細書に用いられる“単離した”とは、Cy
k-4遺伝子またはその一部が他のcDNA分子又はDNA断片と一緒に混合されて存在す
るcDNAライブラリー中若しくは単離したゲノムDNA調製物中に存在するCyk-4 cDN
Aが含まれないことを意味する。
【0025】 本発明の核酸分子には、更に、下記のプロモーター又はエンハンサーのような
DNA調節配列(異種の調節配列であってもよい)に作用可能に結合した1種以上のCy
k-4 DNA配列を含んでいる遺伝子構築物が含まれ、ここで、これらのDNA配列がホ
スト細胞、好ましくは細菌、真菌(酵母を含む)、植物又は動物(昆虫又は哺乳動
物を含む)細胞中で発現するときに、1種以上のCyk-4ポリぺプチドが作製される
。その設計が実験マニュアル(例えば、Sambrook et al., 2000)に記載されかつ
当業者には通常のものであるそのような構築物においては、調節配列は成熟Cyk-
4ポリぺプチド又は本明細書に記載されるその変異体、前駆体、断片又は誘導体
のいずれかをコードしているCyk-4ポリヌクレオチドに作用可能に結合してして
よく、配列番号1又は3に示された核酸配列を有する核酸分子のほとんど全部又は
一部に相補的な核酸配列を有する1種以上のポリヌクレオチドが含まれてもよい
。本明細書に用いられる核酸分子又はポリぺプチドの“部分”又は“断片”とい
う用語は、参照ポリヌクレオチド又はポリぺプチド(例えば、下で特に特定され
なければ配列番号1又は3に示されるそれぞれポリヌクレオチドとポリぺプチド)
の少なくとも15、更に好ましくは少なくとも20の隣接するヌクレオチド又はアミ
ノ酸を含んでいるポリヌクレオチド又はポリぺプチドのセグメントを意味する。
【0026】 配列番号1又は3を示したものに対応するヌクレオチド配列を有するDNA分子の
ほかに、本発明は、上記のものとかなり異なる配列を含んでいるが、遺伝暗号の
縮重のためになおCyk-4マウス又はヒトポリぺプチドをコードしているDNA分子に
関する。遺伝暗号が当該技術において周知であるので、当業者が過度に実験せず
に上記縮重変異体を作製することは通常のことである。 更に、本発明は、治療又はスクリーニング分析に用いるのに望ましい性質をも
つCyk-4誘導体又は断片又はぺプチドである場合には、アミノ酸の同類置換によ
る、配列番号2又は4に示された配列からずれたCyk-4ポリぺプチド、又は配列番
号1又は3から配列が変化しているポリヌクレオチド配列を有する誘導体又は断片
をコードしている分離したDNA分子に関する。
【0027】 Cyk-4ポリぺプチドをコードしている本発明の核酸分子又はその誘導体又は断
片には、転写(例えば、リボソーム結合部位又は転写因子結合部位によって)、mR
NAプロセシング(例えば、スプライシングシグナルやポリアデニル化シグナル)又
はmRNAの安定性に役割を果たすことができる転写された非翻訳領域(UTR)又は他
の5' フランキング配列のような、例えば、イントロン又は非コード5' 及び3'
配列を含む追加の非コード配列と共に、ポリぺプチドのアミノ酸配列自体をコー
ドしているもの、調節DNA配列、特にプロモーター又はエンハンサーのような異
種の調節DNA配列に作用可能に結合したCyk-4ポリぺプチドのコード配列、又は追
加の機能を付与するアミノ酸をコードする1種以上のコード配列に結合したCyk-4
ポリぺプチドのコード配列が含まれてもよいが、これらに限定されない。従って
、ポリぺプチドをコードしている配列は、融合ポリぺプチドの精製を容易にする
ぺプチドをコードしている配列のようなマーカー配列に融合することができる。
本発明のこの態様のある実施態様においては、マーカーアミノ酸配列は、特に、
その多くが市販されているpQEベクター(キアゲン社)に付けられたタグのような
ヘキサヒスチジンぺプチドであってもよい。例えば、Gentz et al., 1989に記載
されている。“HA”タグは、Wilson et al., 1984に記載されたインフルエンザ
赤血球凝集素タンパク質から得られたエピトープに対応する精製に用いられる他
のぺプチドである。Cyk-4の精製の促進に用いられる他のマーカーぺプチドは、p
GEX融合ベクターによってコードされたグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)
である(例えば、Winnacker, From Genes to Clones, New York: VCH Pub., pp.
451-481(1987)を参照されたい)。後述される他の融合タンパク質には、N末端又
はC末端で免疫グロブリンFcに融合したCyk-4が含まれる。
【0028】 本発明の他の態様は、更に、Cyk-4ポリぺプチドのエピトープと特異的に反応
する抗体又は抗体調製物に関する。 ポリクローナル抗体は、慣習的には、動物、特にウサギを抗原又はその断片を
注入することにより免疫し、続いて免疫グロブリンを精製することにより得られ
る。 モノクローナル抗Cyk-4抗体は、Koehler & Milstein, 1975に記載された原理
に従って行われる標準法により、動物、特にマウスを免疫し、次に免疫した動物
からの抗体産生細胞を、例えば、ミエローマ細胞と融合することにより不死化し
、得られたハイブリドーマの上清をモノクローナル抗Cyk-4抗体の免疫学的標準
分析によってスクリーニングすることにより得ることができる。ヒトにおける治
療又は診断用には、これらの動物抗体は、慣用的方法でキメラ化(Neuberger et
al., 1984, Boulianne et al., 1984)、又は人間化(Riechmann et al., 1988, G
raziano et al., 1995)されてもよい。 Cyk-4特異抗体は、診断にもスクリーニングにも両方の用途に使用し得る。 Cyk-4特異抗体は、CYK-4の過剰発現又は発現不足を決定することが予測的価値
をもつ臨床状態に用いられる。抗CYK-4抗体は、種々の疾患状態において発現レ
ベル又は細胞内局在性の変化を評価するために細胞試料の組織に対して使用し得
る。更に、抗CYK-4抗体は、以下の項に記載したように、CYK-4と他のタンパク質
の相互作用に影響する化合物を見出すことに関連した固相結合分析においてCYK-
4の存在を検出するために使用し得る。
【0029】 さらなる側面において、本発明は、CYK-4の機能を調節、特に阻害することに
より細胞質分裂を調節、特に阻害することができる化合物を同定するスクリーニ
ング方法を提供する。 第1の態様においては、本発明のスクリーニング法は、RhoファミリーGTPアー
ゼによるGTP加水分解を促進させる機能CYK-4を調節する化合物を同定するために
用いられる。(GTPアーゼドメインの進化的保存と細胞質分裂におけるRhoの要求
性により、本発明の知見からRhoによるGTP加水分解を促進させるCYK-4の能力はC
YK-4機能に極めて重要であることが結論し得る。) 本発明のこの実施態様においては、RhoファミリーGTPアーゼの種類より選ばれ
た基質とGTPとを基質のGTP結合部位の飽和を可能にするのに十分な時間インキュ
ベートし、Cyk-4を添加して試験化合物の存在又は不在下に反応させ、加水分解
したGTPの量を定量することにより、RhoファミリーGTPアーゼによるGTP加水分解
を促進させる化合物の能力が決定される。 このタイプの分析は、標準プロトコールに従って、特に、Self et al., 1995
、又はSettleman & Foster, 1995に記載されたように行われる生化学分析である
いわゆる“GTP加水分解分析”に基づいて行うことができる。一例として、この
分析は次のように行うことができる。第1段階においては、基質と、放射性標識
されたGTP(例えば、市販のγ-32P-GTP)、又は他の方法で測定できる標識、例え
ば、特に、Hazlett et al., 1993に記載されている蛍光標識をもつGTPとをGTP結
合部位の飽和を可能にするのに十分な条件と時間インキュベートする。続いて、
CYK-4を任意により0から、例えば、1μMの種々の濃度で試験化合物の存在下又は
不在下に添加する。適当な時間(例えば、5分)後、加水分解したGTPの量を求める
【0030】 対照反応(試験化合物の存在しない)においてRhoによるGTP加水分解を促進させ
るCYK-4に必要とされる時間後、反応を生じさせた元のマイクロタイタープレー
トと同じ幾何学的パターンに配列した蛋白質結合マトリックス、例えばニトロセ
ルロースを通して反応溶液を濾過することができる、フィルターに保持された放
射能又は遊離した遊離リン酸(又は適切な他の標識)を定量する。 スクリーニング分析を簡単にするために、Rhoタンパク質を固体マトリックス
上、或いは適切に修飾された固体支持体に結合することを可能にするタグによっ
て、例えば、ビオチニル化Rhoタンパク質とストレプトアビジン被覆マイクロタ
イタープレートを用いることにより固定化することができ、固体マトリックスは
ビーズの形でもよい。GTP加水分解を測定する上記分析においては、Rhoタンパク
質は好ましくはヒトのタンパク質である。 一例として、分析は次のように行うことができる。RhoファミリーGTPアーゼの
メンバーを固体支持体、例えば、SPA(近接シンチレーションアッセイビーズ)にH
is6のようなエピトープタグか又は他の類似のタグを用いて固定化する。EDTAの
存在下でRhoタンパク質に放射性32P-γ-GTPをロードする。マグネシウムとCyk-4
を試験化合物の不在又は存在下で添加し、種々の時間インキュベートし、各時点
でビーズと結合した残存放射能又は他の適切な標識の量を測定する。分析の他の
実施態様には、蛍光GTP又は他の放射性同位元素のような代替的標識を用いるこ
と又は上記のように遊離した遊離32Pの量を測定するようなGTP加水分解の代替的
尺度を用いることが含まれる。
【0031】 完全長Rhoタンパク質を用いる代わりに、GTPアーゼ活性が維持される限り、短
縮した形、例えば、膜ターゲッティングに必要とされるC末端のCaaxボックスに
重要なシステイン残基を欠いている断片を用いることができる。 基質としてGTP加水分解分析に用いるのに適切な多くのRhoタンパク質が利用で
き、様々な種からクローン化されてきた。好ましくはそれらは組換えタンパク質
として用いられる。 用いることができるRho基質の例は、ヒトRhoA(スイスプロットプライマリー受
託番号P06749)、ヒトRhoB(スイスプロットプライマリー受託番号P01121)、ヒトR
hoC(スイスプロットプライマリー受託番号P08134)、ヒトRAC1(スイスプロットプ
ライマリー受託番号P15154)、ヒトRAC2(スイスプロットプライマリー受託番号P1
5153)、ヒトRAC3(スイスプロットプライマリー受託番号O14658)又はヒトGB25(ス
イスプロットプライマリー受託番号P21181)である。 配列情報に基づき、Rho基質や潜在的に存在する補因子は適切なホスト細胞、
例えば、大腸菌中又は昆虫細胞中のバキュロウイルスによって標準法にしたがっ
て組換え的に産生することができる。
【0032】 次に、RhoファミリーGAPドメインをもつ他のタンパク質、例えば、p190又はRh
oGAPを用いた類似のアッセイ方式で、RhoファミリーGTPアーゼによるCYK-4促進G
TP加水分解を阻止する能力を有する化合物についてその特異性が試験される(Lam
arche & Hall, 1994)。 スクリーニング方法の代替的実施態様においては、Cyk-4機能を阻害する化合
物の能力が、CYK-4とMKLP1サブファミリーのメンバーとの生化学的相互作用を妨
害する化合物の能力を測定することにより測定される。 細胞質分裂におけるCYK-4の機能は、MKLP1、中央紡鐘体アセンブリにも必要と
されるキネシン様タンパク質、と相互作用する能力と密接に結びついている。従
って、この相互作用を阻止する化合物は、細胞質分裂を妨げ、細胞増殖を阻止す
ると期待される。 MKLP1ファミリーのメンバーの例は、CeM03D4.1b(C.エレガンス; GenBank ID U
61955, Protein ID 1397342)又はHsMKLP1(ヒト; GenBank ID X67155; SwissProt
Q02241)。好ましくは、HsMKLP1が用いられる。 C.エレガンス抽出物においては、CYK-4とCeMKLP1はタンパク質複合体に存在し
、共免疫沈降および共精製することができる。このタンパク質相互作用の性質は
、特にさらなるタンパク質もこの複合体と相互作用するかを決定することにより
確認することができる。
【0033】 この相互作用に関係する追加的タンパク質成分を用いるアッセイにおいては、
前記タンパク質とCyk-4/MKLP1複合体との相互作用に対する影響を測定すること
により、Cyk-4機能を調節する化合物の能力が測定される。 Cyk-4/MKLP1相互作用に基づいてアッセイを行う際に、安定な複合体を形成す
るのに必要なタンパク質の最小のセット、即ち、Cyk-4、MKLP1、及び追加の可能
性のあるタンパク質補因子は組換え形として作製される。 Cyk-4とMKLP1の相互作用に必要とされるドメインは、本発明者らによって同定
された。 本発明の実施態様においては、MKLP1と相互作用するCyk-4のドメイン(即ち、
少なくともアミノ酸1〜120を有するN末端Cyk-4領域)、又はCyk-4タンパク質全体
が下記のように固体支持体に固定化される。急速な検出を可能にする適切な標識
(即ち、下記のように放射能標識、蛍光標識、ハプテン標識等)で修飾された、CY
K-4と相互作用するMKLP1ドメイン(即ち、少なくともアミノ酸503-603を有する中
央のMKLP1ドメイン)又はMKLP1タンパク質全体全と相互作用するMKLP1のドメイン
が試験化合物の存在又は不在下でインキュベーションされる。
【0034】 タンパク質の相互作用を可能にするインキュベーション時間、例えば、25℃で
約20分間後、固定化したCYK-4に結合したMKLP1の量は上記標識の使用により又は
適切な抗体を使用してELISA型アッセイにて測定される。このアッセイは、逆に
、例えば、標識されているCyk-4又は固定化されたMKLP1を用いて、又は溶液中で
結合反応を行ってから成分の一方を固体支持体に捕捉し、共固定化されるもう一
方の量を測定することによりつくられることもできる。 他の態様によれば、本発明は、一方でCYK-4の生化学的多量体化を利用し、他
方ではキネシン様タンパク質スーパーファミリーのMKLP1サブファミリーの生化
学的多量体化を利用するスクリーニング方法に関する。この方法は、MKLP1との
相互作用に必要とされるCYK-4のドメインが自己会合を仲介する高次コイルドメ
インを含んでいるという知見に基づいている。同様に、CYK-4と相互作用するの
に必要とされるMKLP1のドメインは、自己会合を仲介する高次コイルドメインを
含んでいる。 これらのタンパク質が自己会合できることがin vivoの機能に必要であると考
えられるので、相互作用のパートナーCyk-4とMKLP1の一方か又は双方の自己会合
を阻害する化合物は細胞質分裂を撹乱する候補物質である。
【0035】 試験化合物がCyk-4の自己会合を阻害する能力があるかどうかを決定すること
に基づく本発明の実施態様においては、CYK-4のN-末端ドメイン(少なくともアミ
ノ酸1-120を有する)、又はCyk-4タンパク質全体が固体支持体に直接か又はタグ
によって固定化される。(適切なタグは市販されている、例えば、FLAG、HA、MYC
、HISタグ等)。本発明に用いられる固体支持体の例は、相互作用するタンパク質
に融合した上記タグの1つに対して特異的な抗体で被覆されている市販のイムノ
ビーズ又はイムノプレート、例えば、96ウェルイムノプレート、又はマイクロチ
ップである。 CYK-4のN末端ドメインからなる又はこれを含む第2のCYK-4断片、即ち、アミノ
酸1-120、又は、Cyk-4タンパク質全体は、迅速な検出を可能にする適切な標識で
修飾される。(固定化されかつ標識されたCyk-4タンパク質(断片)は同じであって
も異なってもよい。) 適切な標識の例は、市販の放射性又は蛍光標識、ハプテン標識、又はぺプチド
標識、例えば、ユウロピウム又は緑色蛍光タンパク質(GFP)、酵素標識、例えば
、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ等である。
【0036】 標識Cyk-4(断片)は、固定されたCYK-4と試験化合物の存在又は不在下でインキ
ュベーションされる。 タンパク質の相互作用を可能にするインキュベーション時間、例えば、約20分
間後、固定化されたCYK-4に結合したCYK-4の量は、標識のシグナルを測定するこ
とにより又は適切な抗体を使用してELISA型アッセイにて測定される。 本発明の更なる実施態様において、Cyk-4機能の調節院試を同定するスクリー
ニング方法は、試験化合物がMKLP1の自己会合を妨害する能力をもっているかを
決定することに基づいている。この実施態様においては、MKLP1の中央ドメイン(
少なくともアミノ酸503-603を有する)又はMKLP1タンパク質全体が固体支持体に
固定される。 上で定義したMKLP1の中央ドメインからなる又はそれを含む第2のMKLP1断片、
又は全MKLP1タンパク質は、迅速な検出を可能にする適切な標識で修飾される。(
固定化されかつ標識されたMKLP1タンパク質(断片)は同じであっても異なっても
よい。) MKLP1自己アセンブリのインヒビターを同定するアッセイは、上記Cyk-4自己ア
センブリのインヒビターを同定するのと同じ方法で行うことができる。
【0037】 本発明のスクリーニング法のすべての実施態様は、反応段階を自動化すること
により高スループット方式で行うことができる。この場合、多数の化合物、例え
ば、化合物ライブラリー又は天然産物ライブラリーからの化合物が反応に必要な
成分を含んでいるマイクロタイタープレートに加えられる。 RhoファミリーGTPアーゼによるGTP加水分解を促進させるCyk-4の機能を阻害す
る能力、Cyk-4とMKLP1と間の相互作用を妨害する能力、又はCyk-4及び/又はMKLP
1の自己アセンブリをそれぞれ妨害する能力があるために、上記スクリーニング
で同定された化合物は細胞質分裂を撹乱する可能性がある。腫瘍細胞においては
、この効果は腫瘍増殖の減少又は停止をもたらすことができる。更に、細胞質分
裂の阻害により、腫瘍細胞のアポトーシスの引き金となる細胞周期停止チェック
ポイントの活性化を引き起こすかもしれない。 マウスCYK-4が脳のプルキンエ細胞、特に(中央紡鐘体におけるように)微小管
の逆平行束の量の多い細胞中で高度に発現されるという最近の所見(Van de Putt
e et al., 2001)に照らして、細胞質分裂においてCYK-4機能を阻害する化合物は
ニューロン細胞におけるCYK-4機能を損なうこともできると推測することができ
る。これらの細胞においてCYK-4機能の阻害剤は、神経疾患、例えば、ニューロ
ン機能亢進の治療に効用があるかもしれない。
【0038】 上記アッセイにおいてCYK-4機能に特異的に働くとして同定された化合物は、
例えば第1段階として、構造-機能解析により更に開発することができる薬剤候補
である。 薬剤として化合物の可能性を更に評価するために、候補化合物について正常細
胞又は形質転換細胞の組織培養における細胞質分裂や他の細胞に関する過程に対
する影響をアッセイすることができる。腫瘍細胞増殖の阻止を試験するために、
初代ヒト腫瘍細胞をスクリーニングで同定した化合物とインキュベートし、慣用
的方法、例えば、ブロモデスオキシウリジン又は3Hチミジン取込みにより腫瘍
細胞増殖の阻止が試験される。 これらの分析において高増殖作用を示す化合物は、腫瘍動物モデルで更に試験
することができ、腫瘍治療に用いることもできる。 従って、更なる態様において、本発明は、上記スクリーニングして同定された
、腫瘍の治療や細胞過剰増殖が認められる他の疾病状態のための化合物に関する
。 本発明の方法により薬剤候補として同定された化合物の毒性と治療効果は、IC50 、LD50、ED50を求めるために細胞培養実験や動物実験を行うことが含まれる標
準医薬手順によって決定し得る。得られたデータは、剤形(錠剤、カプセル剤、
エアゾールスプレー剤、アンプル剤等)や投与経路(経口、バッカル、経鼻、非経
口又は直腸に左右されるヒト投与量範囲を求めるために用いられる。有効成分と
して化合物を含む医薬組成物は、1種以上の生理学的に活性なキャリヤや賦形剤
を用いて慣用的方法で処方することができる。そのような製剤の製造方法は、手
引き書、例えば、Remington Pharmaceutical Sciences, 1980; Remington: The
Science and Practice of Pharmacy, 2000に見ることができる。
【0039】 実施例1〜5において、特にことわらない限り、次の材料と方法を用いた。 a) 株と対立遺伝子 染色体IIIについての母性効果致死突然変異の探索においてcyk-4(t1689ts)対
立遺伝子が同定された(詳しくは(Goenczy et al., 1999b)を参照されたい)。株D
R104、BW1535、BW1369、及びRW7000はCGC(C. elegans Genetics Center)より得
た。zen-4(or153ts)対立遺伝子を有する株EU699は、Severson et al., 2000に記
載されたものである。欠失tDf10(Heinke Schnabel, 未公開データ)の終点は、分
子的に特定されないが、cyk-4、lit-1、及びbli-5をアンカバーし、unc-64をア
ンカバーしていない。
【0040】 b) 抗血清 免疫原(cyk-4のアミノ酸407-613を有する)としてHis6-Cyk-4融合タンパク質を
用いてCyk-4特異抗血清をウサギにおいて産生した。Cyk-4のアミノ酸407-681を
有するGST-Cyk-4融合物をHi-Trap NHS樹脂(アマシャムファルマシア)に結合し、
抗Cyk-4抗体をアフィニティ精製するために用いた。抗Cyk-4抗体は最終濃度1:30
0で用いた。染色が抗原で阻止し得るので、実験に用いた抗体はCyk-4に特異的で
あり、抗GFP抗体を用いてCyk-4:GFP融合構築物を検出する場合に同様のパターン
が見られ、cyk-4突然変異胚では染色パターンが破壊される。ラットモノクロー
ナルYOL 1/34抗チューブリン抗体を1:200-500の希釈度で用いた。抗GFP抗体(ロ
ッシュ)を1:500の希釈度で用いた。Zen-4/MK1p1に特異的な抗血清をBill Saxton
& Susan Strome(インディアナ大学)から恵与され、1:4000の希釈度で用いた。A
ir-2に特異的な抗血清は、Andy Golden(NIH)から恵与され、1:1000の希釈度で用
いた。
【0041】 c) Cyk-4の遺伝子マッピング cyk-4座は、LGIIIの端部右腕の大部分を欠失する欠損tDf6の下にマッピングさ
れる。unc-32(e189)cyk-4(t1689ts)/dpy-18(e364)unc-25(e156)を用いた組換え
マッピングにより、unc-25(cyk-4突然変異をもつ23/23 Dpy non Unc)の遠位に(
又は非常に近接して)cyk-4が配置された。コスミドF14F7上にその1つを含むい
くつかのTc1要素を有するdpy-18 cyk-4/RW7000間の組換えにより45のDpy non-Ts
動物を生じ、そのうちの3つがF14F7上のTC1挿入を欠き、cyk-4遺伝子がこのコス
ミドの遠位にあることを示している。欠損ctDf3、ctDf2、tDf10をもつ株に対す
る交差から、cyk-4(t1689ts)がctDf3でアンカバーされず、ctDf2とctDf10の双方
でアンカバーされていることがわかった。ctDf10はunc-64をアンカバーしないの
で、cyk-4(t1689ts)はunc-64の遠位でなければならない。
【0042】 d) 経時的記録 以前に記載されているように低速度ノマルスキーイメージングを行った(Jants
ch-Plunger & Glotzer, 1999)。Cyk-4:GFPの低速度イメージングは、100×/1.3
ネオフルアー(neofluar)対物レンズを用いたツァイスアキシオバート顕微鏡で行
った。照射源、Atto-arc HBO-103を50%の強さに下げた。増感した冷却CCDカメ
ラ(GenIVペンタマックス、プリンストンインスツルメント)を画像収集に用いた
。カメラと他のエレクトロニクスをメタモルフソフトウェア(ユニバーサルイメ
ージング)で制御した。典型的な収集時間は40〜80 msecであった。各々10秒間、
4〜5の蛍光画像を異なる焦点面で得、ノマルスキー画像を得た。蛍光画像を画像
の積み重ねから最大強度を用いて単一のフレームに投影した。これらの条件下で
胚を細胞周期のタイミング又は細胞分裂のパターンに影響を与えずに1時間を超
えるフィルムに記録することができた。
【0043】 e) レスキュー実験 この領域内のcyk-4遺伝子を同定するために、コスミドDNA(Alan Coulson、サ
ンガーセンターから恵与された保存株から)をrol-6(su1006)優性マーカー(Mello
et al., 1991)とともにunc-32 cyk-4/qc1ぜん虫の生殖腺に共注入した。rol-6
優性マーカーをもつヘテロ接合F1雌雄同株を個々のプレートに25℃でクローン化
し、cyk-4突然変異の接合体レスキューを示すUnc後代の存在を評価した。染色体
外配列を有する個々のunc-32、cyk-4ぜん虫を個々のプレートにクローン化して
生殖系レスキューの程度を評価した。cyk-4ゲノムレスキュー構築物MP17は、K08
E3から切除されPBS-KS+に挿入された4.9 kbゲノムXbaI断片を有する。
【0044】 f) RNA干渉 Rho(Y51H4A.B)、Rac-1(C09G12.8B)、Cdc42(R07G3.1)、F22E12.2、Y32F6B.3、K
08D3.9、K08E3.2、K08E3.3、K08E3.4、K08E3.6、K08E3.7、K08E3.8の予想コード
領域に対応する約500 bpのDNAをPCRで増幅し、pGEM-T(プロメガ)中にクローン化
した。二本鎖RNAを転写(アンビオン)し、アニールし、記載されているように野
生型N2雌雄同株の生殖腺の中に注入した(Fire et al., 1998)。
【0045】 g) Cyk-4:GFP導入遺伝子の作製 ベクターpPD119.16からのGEPカセットをBspLUIIIで切り出し、MP17のユニーク
なNcoI部位に挿入した(上を参照されたい)。この構築物をXbaIで線状にし、線状
にしたゲノムDNAと線状にしたrol-6(su1006)DNAを有する複合体配列を1:100:1の
比で混合し、unc-32(e189)cyk-4(t1689ts)/qC1雌雄同株に注入した。ローリング
Unc F2動物を選んだ。cyk-4(t1689ts)突然変異の安定なレスキューを得る系列MG
110を得た。 サンガーセンターと国立遺伝学研究所で配列データベースに用いうる多数のES
T配列を分析し、クローンyk63D6とyk104g12(Yuji Koharaから提供された腎)をシ
ークエンシングすることにより、cyk-4遺伝子の構造を決定した。この遺伝子の
構造は線虫ゲノム協会によって予測された構造と同一である。
【0046】 h) 免疫局在化 以前に記載されているように免疫局在化実験を行った(Jantsch-Plunger & Glo
tzer, 1999)。概略としては、受精雌雄同株をアミノプロピルシラン処理スライ
ド上に置き、カバーグラスを載せ、胚を押出すのに十分な圧力を加えた。スライ
ドを液体窒素の中へ入れた。カバーグラスを取り除いたが試料はなお凍結してお
り、標品を-20℃メタノールで固定し、次に標準の手順に従って抗体染色を行っ
た。
【0047】 i) Cyk-4の生化学分析 Rho、Rac、及びCdc42のコード領域をPCR増殖し、C末端ポリヒスチジンタグを
有するpET28b中へクローン化した。GTPアーゼを25℃で発現させ、Ni2+-NTA-アガ
ロース(QIAGEN)を用いて精製した。タンパク質を50 mMトリスpH7.5、50 mM NaC
l、5 mM MgCl2の中へ透析し、急速凍結させた。Cyk-4のGAPドメイン(アミノ酸40
7-681)をpGEX4T-1中へクローン化した。タンパク質を25℃で発現させ、GSHアガ
ロース(シグマ)を用いて精製した。タンパク質を50 mMトリスpH7.5、50 mM NaC
l、5 mM MgCl2、1 mM DTTの中へ透析し、急速凍結させた。GAP活性を評価するた
めに、15ピコモルのGTPアーゼを20 mMトリスpH7.6、4 mM EDTA、25 mM NaCl、1
mM DTT、1 mM ATP、0.1 mg/ml BSA中の1ピコモル32P-α-GTPと共に室温でロー
ドした。試料を氷上に置き、MgCl2を17 mMになるように添加した。GST-Cyk-4-GA
Pを指示した濃度で添加し、ときどき試料を取り、2%SDS、20 mMで希釈した。ア
リコートをTLCプレート(PEIセルロース、マチェリー・ナゲル)上にスポットし、1
M LiClで展開した。プレートを乾燥し、ストームホスホイメージャー(モレキュ
ラーダイナミクス)を用いて露光し、パブリックドメインプログラムNIHイメージ
(米国保健機構で開発された; http://rsb.info.nih.gov/nih-image/)を用いて
データ分析を行った。
【0048】 実施例1 cyk-4突然変異体は細胞質分裂を開始させるが完結させない cyk-4(t1689ts)アレルは、染色体III上の母性効果胚致死突然変異に関するス
クリーニングにおいて分離された(Goenczy et al., 1999b)。cyk-4座は単一の温
度感受性(ts)対立遺伝子によって規定されている。第1分裂中の制限温度でのホ
モ接合cyk-4雌雄同株に由来する胚の表現型(以後cyk-4突然変異胚と呼ぶ)を図1B
に示す。極体放出の異常がしばしば見られる以外は、細胞質分裂までcyk-4突然
変異胚は正常に見える(データは示されていない)。第1分裂溝が正しい時間と場
所に生じ、広範囲に進入するが、不可避的に退行する。cyk-4突然変異胚の溝進
入の程度の定量から、平均して溝が卵径の73+/-13%(n=14)まで侵入することが
わかる。多極紡鐘体は第2細胞周期で発生し、再び溝進入と退行の過程が生じる
。胚が顕著に無秩序化するまでこのパターンを繰り返す。(図1はcyk-4(t1689ts)
突然変異胚が細胞質分裂を完結できないことを示している。野生型胚(A)とcyk-4
突然変異雌雄同株由来胚(B)を若い成体から切り離し、アガロースパッドに取り
付け、経時的ノマルスキー顕微鏡で観察した。増大する分裂溝を示している(矢
印)。スケールバー10μm。)
【0049】 ぜん虫発生の細胞分裂の大部分は胚形成の初期に起こり、生殖細胞系の細胞と
神経系の多くの細胞は胚性発生後につくられる(Sulston & Horvitz, 1977)。細
胞質分裂に必要とされる遺伝子の多くの突然変異はぜん虫を不稔にし、組織だっ
ていないものにする(O'Connell et al., 1998; Woollard & Hodgkin, 1999)。cy
k-4が胚後に必要であるかを求めるために、cyk-4(t1689ts)対立遺伝子について
ホモ接合である虫を用いて、温度シフト実験を行った(表1)。16℃で発育したホ
モ接合動物は生存可能であり不稔である。L4期に25℃までシフトさせたホモ接合
cyk-4動物は、上記細胞質分裂異常のある胚をつくる。より初期のステージで25
℃までシフトさせたホモ接合動物は、温度シフトの時間依存して、ふ化すること
ができなくなる、または不稔で協同性を欠く。従って、cyk-4は、おそらくは細
胞分裂に役割を果たすため、後胚的に必要であると思われる。予想外に、L2/L3
期にシフトさせた動物は、ほとんどの運動ニューロンがシフト時点で分裂をすべ
て完了したと考えられにも関わらず、非常に非協同的成体になる。このことは、
CYK-4が細胞質分裂での役割のほかに更に役割をもつことを示しているのかも知
れない。しかしながら、腹側神経索中の細胞の一部は後にcyk-4突然変異体に分
裂する可能性を除外できない。
【0050】 cyk-4突然変異胚が細胞質分裂をなぜ完了することができないかを調べるため
に、アクチンとチューブリンを野生型とcyk-4突然変異胚において局在性を調べ
た。野生型と突然変異胚は共に抗アクチン抗体で染色される深く増大している分
裂溝を有した。結果を図2に示す。図2A、Bは、cyk-4突然変異胚が深く増大して
いる分裂溝を生じるが目立った中央紡鐘体をつくらないことを示している。野生
型(A、C)とcyk-4突然変異胚(B、D)を固定し、アクチン(緑色)とDNA(青色)(A、B)
; チューブリン(緑色)とDNA(青色)(c、D)について染色した。スケールバー10μm
。 cyk-4突然変異胚の中期紡鐘体は正常に見えた。しかしながら、後期の初期の
紡鐘体形態は、野生型と比べて突然変異胚が著しく異なっていた。野生型胚(20/
20)においては、分離しているクロマチン集団の間顕著な微小管束が形成され、
中央紡鐘体を形成している(図2C)。cyk-4突然変異胚(9/10)においては、そのよ
うな束はほとんどなくなり、無秩序化した(図2D)。結論としては、CYK-4が後期
中の中央紡鐘体の体制形成に必要であることである。中央紡鐘体が細胞質分裂に
必要であるので、cyk-4突然変異胚は、それらが中央紡鐘体をアセンブリするこ
とができないために細胞質分裂を完了することができない可能性がある。
【0051】 実施例2 cyk-4遺伝子のクローニング 上記表現型の分子的背景を調べるために、まずcyk-4座をマッピングするとと
もに影響した遺伝子をクローン化することにした(詳しくは方法を参照されたい)
。cyk-4遺伝子は、LG IIIの右腕の端のunc-64に対して遠位にマッピングされる
。図3は、cyk-4座のポジショナルクローニングを示す図である。(A)種々の遺伝
子座の位置と欠失の程度を示しているLGIIIの概略図。cyk-4はtDf10、tDf6、及
びctDf2でアンカバーされ、ctDf3でアンカバーされていない。(B)unc-64座からL
GIII端までの物理的地図の拡大。cyk-4をレスキューする種々のコスミドプール
の能力が示されている。(C)K08E3の予想遺伝子の地図。K08E3.1とK08E3.5を除く
予想遺伝子すべてがRNAiで失活し、K08E3.6のRNAiだけが多核胚を生じた。(D)CY
K-4とそのヒトオーソログのドメイン構造の概略図。cyk-4(t1689ts)で同定され
た点突然変異の位置が示されている。
【0052】 次に、コスミドのプールを用いてcyk-4に関する接合性要求の機能レスキュー
によりcyk-4遺伝子を同定した。3つのコスミド (ZK520、W06F12、及びK08E3)の
プールがcyk-4ホモ接合体を25℃でふ化し成体に発育させることができた。これ
らのコスミドを個別に注入したところ、コスミドK08E3がレスキュー活性を有し
た。更なるサブクローニングにより、完全なK08E3.6遺伝子を含み他の無傷遺伝
子を含まないと予想される4.9 kbのゲノム断片がcyk-4接合体および生殖細胞系
列表現型をレスキューし得ることがわかった。最後に、cyk-4(t1689)ホモ接合体
に由来するDNAからコード領域を増幅させ、シークエンシングし、ゲノムプロジ
ェクトから提供された配列と異なる単一の点突然変異を同定した。この突然変異
は同じ親系統に由来する他の系統には見られなかった。これらのデータは、cyk-
4(t1689ts)胚の欠失がK08E3.6遺伝子の点突然変異によるものであることを示し
ている。
【0053】 cyk-4遺伝子の予想タンパク質産物は、Rhoファミリー実施例のGTPアーゼ活性
化タンパク質のコンセンサスモチーフを有するC末端ドメインをもっている(図3)
。ジアシルグリセロール又はホルボールエステルへの結合が予想されるC1ドメイ
ンは、C末端GAPドメインに隣接している。高次コイルドメインの形成が予想され
る90アミノ酸領域はタンパク質のアミノ末端にある。cyk-4(t1689ts)に見られる
S15L点突然変異は、高次コイルドメインに対してすぐアミノ末端側に位置する。
cyk-4と構造類似性を有するヒトタンパク質やマウスタンパク質が記載されてい
る(Toure et al., 1998; Wooltorton et al., 1999)。これらの遺伝子は、種々
の増殖組織において発現される。更に、ショウジョウバエ配列データベースは、
CYK-4と前述のヒト遺伝子と合わせて、約650アミノ酸、NH2末端高次コイル及びC
1ドメインとGAPドメインを有する保存C末端からなる共通構造を共有しているエ
ントリー(受託番号AC005977(CLOT94))を含んでいる。CYK-4の構造保存は、その
機能が後生動物の中に保存されていることを示している。 本発明においては、C. elegans CYK-4タンパク質配列を有するDNAデータベー
スを探索することによりヒト及びマウスcDNAを同定した。
【0054】 cyk-4(t1689ts)突然変異が残存活性を有するかも知れないので、RNA仲介干渉(
RNAi)を用いて胚からCYK-4タンパク質を消失させた。 図4は、cyk-4(RNAi)が近位生殖腺の無秩序化を引き起こし、中央紡鐘体の形成
に影響することを示している図である。若い成体にcyk-4 dsRNAを注入し、注入
した動物を注入30時間後に分析した(B)。比較のために注入していない線虫の生
殖腺を示す(A)。野生型胚(C)とcyk-4(RNAi)注入動物(D)からの胚を固定し、チュ
ーブリンに対して染色した。スケールバー10μm。 予想したオープンリーディングフレームK08E3.6のRNAiにより、中央紡鐘体(図
4D)と不完全細胞質分裂(示されていない)の消失を含むcyk-4変異体と同様の表現
型を示す多核胚がつくられた。面白いことに、cyk-4(RNAi)動物の生殖腺は注入
後30時間に組織崩壊し(図4B)、不規則なサイズの胚が生産され、胚発生や接合体
発生中だけでなく、雌性生殖細胞系でもCYK-4が作用することを示している。
【0055】 実施例3 Cyk-4 GAPドメインの生化学的活性 RhoファミリーGAPドメインの存在は、CYK-4がGTPアーゼスーパーファミリーの
Rho分岐の1種以上のGTPアーゼを調節することができることを示している。CYK-4
がGAPとして活性であるか、また、そのGAP活性がRhoサブファミリーの特定のメ
ンバーに制限されるかを求めるために、GSTとCYK-4 GAPドメインを有する組換え
融合タンパク質を調製し、組換えC. elegans Rho、Rac、及びCdc42によるGTP加
水分解アッセイを行った。CYK-4のGAPドメインは、3種の試験GTPアーゼ全部によ
るGTP加水分解を促進させる。図5は、CYK-4がRho、Rac、及びCdc42によるGTP加
水分解を促進させることを示している。GTPアーゼに32P-α-GTPを予備装荷し、
次にGST-CYK-4-GAP又はGSTを指定した濃度で添加した。試料を2分間隔で取り、
標識ヌクレオチドを薄層クロマトグラフィーで分割し、GTPとGDPの画分を定量し
た。このグラフは、CYK-4濃度の関数として2分の時点でGTP加水分解した画分を
示すものである。これらのデータは、少なくとも3回の独立した実験の代表であ
る。
【0056】 しかしながら、動力学的差異が見られた。アッセイに用いた条件ではRhoよりR
acとCdc42に対して活性であることがわかった。ヒトオーソログはin vitroで同
様の活性プロファイルを有する(Toure et al., 1998)。しかしながら、CYK-4は3
種のGTPアーゼすべてに対して活性を有するので、これらのデータはCYK-4 GAPド
メインの生体内標的を決定するのに十分ではない。 次に、RNAiを用いて、あるとすればどのRhoファミリーGTPアーゼがC. elegans
胚での細胞質分裂に必要であるかを決定した。RNAi実験をRhoA、Rac1、Cdc42及
びRhoサブファミリーに入るゲノムに見られる更に3種のGTPアーゼにより行った
。約90%のRho(RNAi)胚が第1及び/又は第2細胞周期に細胞質分裂異常を示してい
る(表2及び図6)。 図6は、Rho(RNAi)が細胞質分裂異常を引き起こし、cdc42(RNAi)が紡鐘体位置
での欠失を引き起こすことを示している図である。若い成体に指定したdsRNAを
注入し(表2を参照されたい)、注入した線虫によって産生された胚を経時的ノル
マルスキー顕微鏡で分析した。野生型(A)、Rho(RNAi)(B)及びcdc42(RNAi)(C)胚
からの画像を示す。スケールバー10μm。
【0057】 ほとんどの胚においては、溝進入が阻止された。面白いことに、中央紡鐘体は
RhoA(RNAi)胚においてはアセンブリする(データは示されていない)。対照的に、
88%のCdc42(RNAi)胚は細胞質分裂を正常に完了する。しかしながら、初期胚に
おいて明白な欠損が54%のCdc42(RNAi)胚に見られ、紡鐘体位置の欠損がP0及び/
又はP1に見られる。少し(12%)のCdc42(RNAi)胚が細胞質分裂を開始することが
できず、ほとんどの場合には、これらの胚は浸透圧支援を与えた場合でさえ浸透
圧的に膨潤したように見える。Rac(RNAi)胚は高効率でふ化し、初期胚において
検出可能な表現型を示さなかった。追加のGTPアーゼによる単独か又は組合わせ
たRNA干渉実験は、初期胚における追加の欠損を示さなかった。従って、RhoAは
、細胞質分裂に必要であることが明らかな、Rhoファミリーの唯一のメンバーで
あり、それ故CYK-4 GAPドメインの重要な標的であると思われる。
【0058】 実施例4 Cyk-4の細胞内局在化性 次にCYK-4タンパク質の細胞内局在化を求めた。CYK-4局在性は、細胞周期依存
性である。 図7は、CYK-4が中央紡鐘体と分裂レムナントに局在することを示す図である。
(A-F) 野生型胚を固定し、CYK-4(緑色)、チューブリン(赤色)及びDNA(青色)に対
して染色した。1つの細胞胚(D)と2つの細胞胚(F)では中央紡鐘体(矢印)へのCYK-
4の局在性が示されている。極体(A)と、ABとP1との割球間からの分裂レムナント
へのCYK-4の局在性は、矢印で示されている。(E)。(G)CYK-4:GFPを発現している
系統からの胚は抗GFP抗体で染色されている。CYK-4抗体と同じ構造が見られる(
矢印)。(H) CYK-4:GFPを発現している線虫の生殖腺の内在蛍光。CYK-4は、合胞
性生殖腺(矢印)の不完全膜と卵母細胞核に見られる。スケールバー10μm。 間期細胞においては、CYK-4は細胞質に存在し、核でわずかに濃縮されている
。CYK-4は胚の前方のスポットで非常に濃縮され、DNA標識からこの局在が極体放
出部位に対応することがわかる。胚が有糸分裂に入るにつれて、CYK-4タンパク
質が分裂紡鐘体の周りに濃縮される。後期の始めには、CYK-4は中央紡鐘体まで
濃縮する。分裂溝が進入するにつれて、CYK-4は中央紡鐘体上で非常に濃縮し、
環状にしばしば見える構造になる(示されていない)。細胞質分裂の完了時に、CY
K-4染色は分裂レムナントに残っている。直径が平均1.2μmの環状構造に形成さ
れたCYK-4は、細胞質にしばしば見られる(示されていない)。
【0059】 分裂溝の進入の起こる前にCYK-4が中央紡鐘体に局在するかを求めるために、
生きている胚におけるCYK-4局在性の動態を調べた。この目標を達成するために
、CYK-4:GFP融合物を発現するトランスジェニック系をつくり、その局在を経時
的顕微鏡で追跡する。親のcyk-4系統は25℃で生存不能であるがcyk-4 xsEx1[cyk
-4:GFP]動物は25℃で生存可能であり、稔性であるので、CYK-4:GFP融合物は部分
的に機能している。しかしながら、この系統で生産された約40%の胚がふ化する
ことができないので、融合構築物は十分に突然変異をレスキューしない(表1)。 低光レベルの蛍光顕微鏡を用いて生きている胚におけるCYK-4:GFPを可視化し
た。胚をマルチモードイメージングシステムを用いて画像処理し、それにより一
連のz切片とノマルスキー画像を10秒毎に記録した。各時点での蛍光画像を投影
して単一の画像を形成した。 図8は、CYK-4:GFPの経時分析を示す図である。CYK-4:GFPを発現する系統から
の胚を低光レベルの顕微鏡を用いて画像処理した。溝進入の前にCYK-4の中央紡
鐘体局在が見られた。スケールバー10μm。 これらの記録から、くびれこみが始まる前に中央紡鐘体上にCYK-4が蓄積する
ことがわかる(図8; 3:40)。中央紡鐘体に局在するCYK-4は、分裂レムナントに残
っている明るいスポットの中に圧縮されていく。レムナントは数細胞周期持続す
るが、レムナント(しばしば極体から)が皮質から離れ、細胞質で離れているスポ
ットとして見られることによる例が観察された。この分裂レムナントからのCYK-
4の解離は、固定標本に見られるCYK-4環を説明するものと思われる。中央紡鐘体
に対するCYK-4局在の前に溝が進入すると結論される。
【0060】 実施例5 Cyk-4及びzen-4/CeMk1p1は機能的に相互依存性である CYK-4とキネシン様タンパク質ZEN-4/CeMKLP1との間に著しい類似性がある(Pow
ers et al., 1998; Raich et al., 1998)。zen-4突然変異胚も細胞分裂を開始す
るが、完結することができない。後期の初めに強い中央紡鐘体をアセンブリする
ことができない。更に、ZEN-4は中央紡鐘体に局在し、細胞質分裂の完了後に分
裂レムナントに残っている。これらのタンパク質が機能的に相互作用するかを試
験するために、まずCYK-4とZEN-4/CeMk1p1が共局在するかを評価した。 CYK-4:GFPを発現する胚を固定し、CYK-4とZEN-4を同時に局在性を調べた(CYK-
4:GFPを検出するために抗GFP抗体を用いた)。2つのタンパク質は中央紡鐘体構造
にも分裂レムナントにも共局在した(図9A-C)。次に、ZEN-4局在が機能性CYK-4タ
ンパク質を必要とするかを調べた。cyk-4突然変異胚のZEN-4染色から中央紡鐘体
へのZEN-4局在がないことがわかった(図9E)が、AIR-2抗体を用いて紡鐘体中間帯
に微小管束の染色が多少検出することができた(図9G)。従って、中央紡鐘体に対
するZEN-4のリクルートはCYK-4依存性である。
【0061】 図9はGFP(A)、ZEN-4/CeMKLP1(B)及び組合わせ画像(C)に染色したCYK-4:GFPを
発現する胚を示す図である。CYK-4とZEN-4/CeMKLP1は、分裂レムナント(矢印)と
中央紡鐘体(矢じり)構造で共局在する。中央紡鐘体に対するZEN-4局在はCYK-4依
存性である(矢印)。野生型(D)とcyk-4(t1689ts)胚(E)を固定し、ZEN-4/CeMKLP1(
緑色)、チューブリン(赤色)及びDNA(青色)に対して染色した。中央紡鐘体に対す
るAIR-2局在はCYK-4とは独立である(矢印)。野生型(F)とcyk-4(t1689ts)胚(G)を
固定し、AIR-2(緑色)、チューブリン(赤色)及びDNA(青色)に対して染色した。分
裂レミナント(矢じり)に対するCYK-4維持はZEN-4/CeMKLP1依存性である。zen-4(
or153ts)線虫を16℃で維持し、直ちに固定する(H)か又は18分間25℃にシフトし
た(I)。胚を固定し、CYK-4(緑色)、チューブリン(赤色)及びDNA(青色)に対して
染色した。スケールバー10μm。
【0062】 次に、分裂レムナントにおけるZEN-4の維持には機能性CYK-4が必要であるか試
験した。16℃で発育したcyk-4突然変異胚を25℃に15分間シフトし、固定し抗ZEN
-4抗体で染色した。抗ZEN-4抗体で標識した細胞数と分裂レムナント数を計数し
た。許容温度で維持した胚は多数のZEN-4染色分裂レムナントを有し(表3)、非許
容温度にシフトした胚は分裂レムナントの特定の染色を欠いた。従って、中央紡
鐘体に対するZEN-4のリクルートも分裂レムナントにおける維持もともにCYK-4依
存性である。zen-4(or153ts)の温度感受性対立遺伝子で逆実験を行った。この場
合、分裂レムナントにおけるCYK-4染色は許容温度のzen-4突然変異胚に見られた
が、この染色は非許容温度への短時間シフトで消失した(図9H、I及び表3)。従っ
て、分裂レムナントにおけるCYK-4の維持はZEN-4依存性である。結論としては、
CYK-4とZEN-4/CeMKLP1は共局在すること及び2つのタンパク質がその局在に相互
依存することである。 次に、cyk-4とzen-4のどちらにも突然変異を有する胚が単一突然変異から区別
できるかを決定した。2つの系統を構築した。第1系統はzen-4(or153ts)について
ホモ接合であり、cyk-4(t1689ts)についてヘテロ接合であり、第2系統はcyk-4(t
1689ts)についてホモ接合であり、zen-4(or153ts)についてヘテロ接合であった
。両株とも16℃で生存可能であるが、二重ホモ接合幼虫を産生することができな
かった。遺伝子型unc-32(e189) cyk-4(t1689ts)/qC1 III、zen-4(or153ts)の線
虫には胚発生中、典型的にはコンマステージ前の停止した胚の一部があることが
わかった。従って、cyk-4(t1689ts)とzen-4(or153ts)は合成的に致死的である。
【0063】 次の実施例においては、次の材料と方法を用いた。 i) 線虫系統及び対立遺伝子 次の対立遺伝子: N2(ブリストル)、CB4856、cyk-4(t1689ts)、unc-64、bli-6(
sc16)、unc-24(e138)、unc-44(e1260)、lag-1(q385)、及びmIs11 IVを用いた。
いくつかの系統はC. elegans遺伝センターから入手した。
【0064】 ii) cyk-4サプレッサー対立遺伝子の単離とマッピング cyk-4(t1689ts)動物を30〜40 mM EMS又は0.5 mM ENUで変異誘発することによ
りcyk-4(t1689ts)突然変異のサプレッサーを得た。PO動物は許容温度で2世代に
ついて自己受精させることができた。F2動物が初期成体に到達したとき、個体群
を20℃にシフトし、稔性動物を選んだ。約110,000の F1ゲノムをスクリーニング
し、あいまいな2つ以外は、独立である、18のサプレッサー突然変異を単離した
。サプレッサー系統の全部が20℃で生存可能で稔性であるが、25℃で発育するこ
とができず、いずれも元の突然変異を厳密に復帰させなかった。いくつかの遺伝
子内サプレッサー突然変異を同定した。残りの突然変異体のZEN-4コード領域を
シークエンシングし、7系統がZEN-4のCYK-4結合領域内に置換を有することがわ
かり、1系統は触媒ドメイン内に置換を有することが分かった。1つのサプレッサ
ー系統、xs82を詳しく確認した。単一ヌクレオチド多型性(SNP)を用いて、サプ
レッサー活性は染色体IVの中央領域にマッピングされた(方法を参照されたい)。
この系統のZEN-4コード領域をシークエンシングし、502位のリシンをグルタミン
酸に置換させる点突然変異が明らかになった(図15A)。
【0065】 iii) 細胞培養 HeLa細胞を、10%ウシ胎児血清、2 mM L-グルタミン、100 U/mlペニシリン、1
00 mg/mlストレプトマイシンで補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で通
常通りに増殖させた。
【0066】 iv) 抗体 ウサギCYK-4特異抗血清とZEN-4特異抗血清は以前に報告されている(Jantsch-P
lunger et al., 2000)。CYK-4抗体とZEN-4抗体をNHS-セファロース(ファルマシ
ア)で固定化したHis6-CYK-4(407-613)又はHis6-ZEN-4(578-775)でアフィニティ
精製した。 MKLP1特異抗血清とHsCYK-4特異抗血清を、免疫原としてキーホールリンペット
ヘモシアニンに結合したC末端(それぞれQLGPGYQHHAQPKRKKPとSKSKSATNLGRQGNFFA
SPMLK)を用いてウサギとマウス(グラムッシュラボラトリーズ、シュワブハウゼ
ン、ドイツ)において生産した。ウサギ抗体をポロスエポキシド樹脂上に固定化
したぺプチドを用いてアフィニティ精製した。
【0067】 v) プラスミド pBluescript(yk391b3)中のZEN-4のコード領域の5' の13ntを欠いているcDNAク
ローンはPCRによって導入されたものである。キチン結合ドメイン(CBD)とTEVプ
ロテアーゼ部位をコードしている配列をpET28a(ノバジェン)に挿入することによ
りpCBD-TEVベクターを構築した。ZEN-4断片をPCRで増幅し、pCBD-TEVの中へクロ
ーン化した。
【0068】 vi) in vitro結合アッセイ TNT(登録商標)結合網状赤血球ライセートシステム(プロメガ)又はPROTEINscri
pt(登録商標)II(アンビオン)キットを用いて、典型的には20μlの反応液中で網
状赤血球ライセートによるin vitro転写翻訳システムによりCYK-4とZEN-4の全長
と断片を発現させた。タグを含まない完全長タンパク質はpBluescript SK(-)のT
3プロモーターから発現させた。N末端にキチン結合ドメイン(CBD)でタグを付け
たCYK-4とZEN-4の断片はpET-CBDのT7プロモーターから発現させた。一部の実験
においては(図12C、13C及び16)、CYK-4とZEN-4を同じ反応において同時発現させ
た。他の実験においては、別個に発現させ混合した。0.5%(w/v)トライトンX-10
0を含む100μlの緩衝液A(20 mMヘペス、150 mM NaCl、2 mM MgCl2、10 mM EDTA
、1 mM DTT、1 mM PMSF、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlペプスタチン、10μg
/mlキモスタチン)中で20℃で30分間インキュベートした後、ZEN-4又はCYK-4タン
パク質を特異抗体で免疫沈降させるか或いはキチンビーズでアフィニティ精製し
た。免疫沈降の場合、0.5μg抗体を反応液に添加し、氷上で1時間インキュベー
トし、5μlのプロテインA-セファロースビーズと4℃で1時間インキュベートした
。CBD-アフィニティ精製の場合、5μlのキチンビーズ(ニューイングランドバイ
オラボス)を添加した。いずれの場合も、ビーズを0.5%(w/v)トライトンX-100を
含有する緩衝液Aで3回洗浄した。ビーズに結合したタンパク質をSDS-PAGE、続い
てホスホイメージャーによるオートラジオグラフィーで分析した。
【0069】 vii) 細胞ライセートの調製 C. elegans胚を、記載されている“卵プレート”上で増殖した成体線虫の同調
培養物をブリーチングすることにより調製した(Lewis & Fleming, 1995)。胚を
トライトン-X 100を含まない緩衝液Aで洗浄し、液体窒素で凍結させ、使用する
まで-80℃に保った。胚を液体窒素中で乳鉢と乳棒で摩砕することにより粉砕し
た。 HeLa細胞を0.1μg/mlのノコダゾールで16時間処理することにより同調させた
。細胞を冷PBSで2回洗浄し、液体窒素で凍結させ、使用するまで-80℃に保った
。細胞を溶解し、0.5%(w/v)トライトンX-100を含む10容量の緩衝液Aに懸濁する
ことにより解凍した。
【0070】 viii) 微小管結合画分の調製 ノコダゾール停止M期細胞の凍結した沈降物(0.5 ml)を解凍し、0.1%(w/v)ト
ライトンX-100を含む5 mlの氷冷BRB80(80 mM K-ピペス、1 mM MgCl2、1 mM EGTA
、pH6.8)に溶解した。溶解物を10,000×gで15分間遠心分離することにより澄明
にした。得られた上清をS100AT6ローター(日立)において25,000×g、4℃で20分
間遠心分離した。グリセロールとタキソールで重合した微小管上清に添加した。
20℃で20分間インキュベートした後、25,000×g、20℃で20分間遠心分離するこ
とにより微小管を沈降させた。0.5 M NaCl、BRB80中の5 mM ATP中20℃で20分間
インキュベートし、続いて25,000×g、20℃で20分間遠心分離することにより結
合したタンパク質を微小管から遊離した。
【0071】 ix) 質量分析 流体力学 S55Sローター(日立)を用いてトライトンX-100を含まない緩衝液A中で5〜20%(
w/v)スクロースの2 mlの直線勾配による超遠心分離により沈降係数を測った。15
0μlの細胞溶解物又は微小管結合各部を加えた。標準としてニワトリオボアルブ
ミン(3.4 S)、ウシγグロブリン(7.1 S)、ウシカタラーゼ(11 S)及びウシチログ
ロブリン(19 S)を用いた。FPLCシステム(ファルマシア)においてスーパーデック
ス200カラム(30 ml)を用いたゲルろ過により拡散係数を測った。 免疫沈降及びウェスタンブロッティング ライセート(500μl)を50μlのプロテインA-セファロースビーズで予備清澄化
した。線虫胚から免疫沈降する場合、1μgのアフィニティ精製抗体をライセート
に添加した。氷上で1時間インキュベートした後、5μlのプロテインA-セファロ
ース(ファルマシア)と4℃で1時間インキュベートすることにより免疫複合体を回
収した。HeLa細胞から免疫沈降する場合、抗体をジメチルピメリミデートと共に
プロテインA-ビーズ(1μlビーズにつき1μg)上に共有結合で固定化した。予備清
澄化したライセートを抗体-ビーズと4℃で1〜4時間インキュベートした。ビーズ
を緩衝液A+0.5%トライトンX-100で3回簡単に洗浄した。 ウェスタンブロッティングの場合、試料を7.5% SDS-PAGEゲルにより行い、ニ
トロセルロース膜(ハイボンドECL、アマシャム)に電気転写した。
【0072】 x) 免疫局在化 線虫胚における免疫局在化実験を以前に記載された文献のように行った。概要
としては、受精雌雄同株をアミノプロピルシラン処理スライド上に置き、カバー
ガラスを加え、胚を押出すのに十分な圧力をかけた(Jantsch-Plunger et al., 2
000)。スライドを液体窒素の中に入れた。試料が凍結したままカバーガラスを取
り除き、標品を-20℃のメタノールで固定し、抗体染色を標準手順に従って行っ
た。HeLa細胞を用いた免疫局在化実験を-20℃のメタノールに固定した後に標準
手順に従って行った。
【0073】 実施例6 中央紡鐘体アセンブリはRhoAとは独立である 中央紡鐘体アセンブリの過程はRhoGAPタンパク質CYK-4に依存している。以前
の実施例では、RhoAが細胞質分裂に不可欠であり、RacとCdc42は不可欠でないこ
とがわかった(Jantsch-Plunger et al., 2000)。RhoAが細胞質分裂に必要とされ
るので、そのGTPアーゼも中央紡鐘体アセンブリに必要とされるかを試験した。R
hoAを不活性化するために、線虫を遺伝子のコード領域からdsRNAを発現する細菌
上で発育させた(Timmons & Fire, 1998)。胚を固定し、抗CYK-4抗体、抗-α-チ
ューブリン抗体及びヘキスト33342でCYK-4、微小管及びDNAに対して免疫蛍光染
色した。対照胚とRhoA(RNAi)胚共に、中央紡鐘体が形成され、抗CYK-4抗体で顕
著に標識された。 RhoA dsRNAiは細胞質分裂の完全な貫通阻止を引き起こすが、中央紡鐘体は正
常に起こり、CYK-4は中央紡鐘体に局在する(図11)。従って、細胞質分裂におい
てRhoAが必要であることは、中央紡鐘体アセンブリにおいてRhoAがひつようであ
るということによって説明することができない。これらのデータは、中央紡鐘体
アセンブリにおいてCYK-4が必要であるということは、RhoAを調節するその能力
とは独立であることを示す。
【0074】 実施例7 CYK-4とZEN-4はin vivoやin vitroで複合体を形成する 中央紡鐘体アセンブリと細胞質分裂がCYK-4とZEN-4を共に必要とし、これらの
2つのタンパク質が適切な局在化に相互依存しているので、これらの因子が安定
な生化学複合体として存在していることはあり得ることである。この可能性を試
験するために、初期C. elegans胚から調製した抽出液を用いて免疫沈降実験を行
った。胚抽出液を抗CYK-4抗体を用いて免疫沈降した場合、十分な量のZEN-4が共
免疫沈降することがわかった。これにより、CYK-4とZEN-4を含有する安定な複合
体のin vivoでの存在が示される(図12A)。 CYK-4とZEN-4が、他のネマトーダタンパク質の非存在下で相互作用可能である
かを決定するために、2つのタンパク質をin vitro翻訳により生産し、免疫沈降
に供した。CYK-4とZEN-4(キチン結合ドメイン(CBD)に融合した)をin vitroで翻
訳し、引き続き混合した場合、いずれのタンパク質もキチンビーズにより高収量
で回収することができた(図12B)。CYK-4の共沈降はZEN-4に依存した。ZEN-4をCB
D単独に置き換えた場合には、CYK-4はキチンビーズに回収されなかった。更に、
CYK-4をルシフェラーゼに置き換えた場合、ZEN-4と共沈降しなかった。抗CYK-4
抗体を用いて複合体を回収した場合にCYK-4とZEN-4の間の結合は検出できなかっ
た(図12C)。
【0075】 図12は、CYK-4とZEN-4がin vivo(A)とin vitro(B及びC)で相互に結合している
ことを示す図である。(A) CYK-4とZEN-4は線虫胚抽出液から抗CYK-4抗体、抗ZEN
-4抗体、又は対照として非特異ウサギIgGにより免疫沈降した。免疫沈降物をSDS
-PAGEゲルに続いて抗ZEN-4抗体によるウェスタンブロッティングで分割した。抽
出液を含まない偽免疫沈降を抗体との交差反応性の対照に含めた。ZEN-4がCYK-4
と特異的に共免疫沈降した。(B) 35S標識CYK-4(又はルシフェラーゼ、LUC)とキ
チン結合ドメイン(CBD)タグ付きZEN-4(又はCBDのみ)をin vitro翻訳により別個
に発現させた(左のパネル)。翻訳反応物を混合し、指定した組合わせでインキュ
ベートし、CBD-ZEN-4又はCBD単独をキチンビーズで回収した(右のパネル)。この
ゲルおよび本書のすべてのゲルにおいて、インプットレーンは沈降に用いられる
ビーズに添加したのと同量の翻訳産物を含有している。沈降物をSDS-PAGEゲルで
分離し、ホスホイメージャーを用いて標識産物を検出した。CYK-4はCBD-ZEN-4と
同時精製されたが、ルシフェラーゼ対照はされなかった。(C) CYK-4(又はルシフ
ェラーゼ)とCBD-ZEN-4(又はCBDのみ)を指定した組合わせで35S標識タンパク質と
して共発現させた(左のパネル)。CYK-4を抗CYK-4抗体により免疫沈降させた(右
のパネル)。ZEN-4がCYK-4と共免疫沈降した。
【0076】 実施例8 ZEN-4に結合するのに必要なCyk-4の領域の記述 CYK-4とZEN-4間の結合はin vitro翻訳タンパク質を用いて容易に再構成され得
るので、この簡単なアッセイを用いてこの相互作用を仲介する2つのタンパク質
の領域を詳細に分析した。実験はまずCYK-4に注目した。CYK-4のN末端30アミノ
酸はあまりよく保存されておらず、高次コイルをつくると予想される90アミノ酸
領域が続いている(概略図13Dを参照されたい)。C末端250アミノ酸は、RhoA、Rac
、及びCdc42に対してin vitroで活性なRhoAドメインを有する(Jantsch-Plunger
et al., 2000)。RhoGAPドメインの前にClドメイン、ジアシルグリセロールと相
互作用を仲介するシステインに富むドメインが存在する(Hurley & Meyer, 2001)
他の文献。CYK-4のC末端の短縮化により、ZEN-4結合領域がN末端232アミノ酸内
に存在することがわかった(図13A)。この領域内の短縮により、更に、残基1-120
(N末端から高次コイル領域の末端まで)がZEN-4に効率よく結合するのに十分であ
ることが示された。CYK-4のN末端35アミノ酸の欠失によりZEN-4との相互作用が
阻止された。N末端35アミノ酸のみを欠くCYK-4のほぼ全長型はZEN-4と結合しな
い(図13C)。従って、ZEN-4と相互作用するCYK-4の能力は、CYK-4のN末端120残基
に依存する(図13D)。
【0077】 図13は、CYK-4のZEN-4結合領域を特定するために用いたin vitro結合アッセ
イの結果を示す図である。 (A)全長ZEN-4とCYK-4のC末端欠失断片(1-232、1-373及び1-468)をin vitro翻
訳により35S標識タンパク質として別個に発現させた(左の2つのパネル)。反応産
物を混合し、インキュベートした後にZEN-4を抗ZEN-4抗体で免疫沈降させた(右
のパネル)。CYK-4の3つの断片がZEN-4と共免疫沈降した。(B)全長CYK-4(1-681)
とN末端欠失をもつCYK-4(35-681)を35S標識タンパク質として発現させ、非標識C
BD-ZEN-4と混合した(左のパネル)。インキュベートした後、CBD-ZEN-4をキチン
ビーズ上でアフィニティ精製した(右のパネル)。CYK-4(35-681)はCBD-ZEN-4と同
時精製されず、全長CYK-4は同時精製された。(C)CBD-CYK-4断片(1-232、35-232
、121-232、1-120及び35-120)と全長ZEN-4(又は対照としてルシフェラーゼ)をin
vitro翻訳により35S標識タンパク質として同時発現させた(左のパネル)。CBD-C
YK-4断片をアフィニティ精製した(右のパネル)。ZEN-4はCYK-4(1-232)及び(1-12
0)と同時精製されたが、CYK-4(35-232)、(121-232)又は(35-120)とは同時精製さ
れなかった。(D)試験したCYK-4誘導体の概要。ZEN-4結合領域がCYK-4の残基1-12
0として特定された。この領域は、高次コイル領域とN末端拡張部分を有する。
【0078】 実施例9 CYK-4を結合するために必要とされるZEN-4領域の描写 次に、in vitroアッセイを用いてCYK-4のN末端結合に結合するZEN-4の領域を
特定した。最初に完全長ZEN-4のCYK-4結合活性を、ZEN-4の3つのC末端欠失断片:
N末端触媒中心のみ(1-434)、触媒中心ドメインとリンカー領域(1-507)、及び高
次コイル領域を含む長い誘導体(1-603)の活性と比較した。完全長タンパク質は
高親和性でCYK-4に結合し、次に長い断片(1-603)も結合したが、2つのより小さ
な断片はCYK-4と相互作用しなかった(図14A)。次に、結合活性の位置をZEN-4の
中央領域内で更に特定し得るかどうかを調べた。169アミノ酸からなる最小結合
ドメインが特定された(図14B)。この領域は2つの要素、リンカー領域と高次コイ
ルからなるようである。これらの個々の要素のどちらも、それ自体は検出可能な
結合活性を持っていなかった。 CYK-4とZEN-4のネックリンカー/高次コイル領域との相互作用は、慣用のキネ
シンにおいてネックリンカー領域が化学エネルギーを機械的エネルギーに変換す
るのに重要であることを示している最近の研究の見地から特に興味深い(Case et
al., 2000; Rice et al., 1999)(考察を参照されたい)。
【0079】 図14は、ZEN-4の中央領域がCYK-4に結合するのに必要十分であることを示すた
めに用いられたin vitro結合アッセイの結果を示す図である。 完全長ZEN-4(1-775)とZEN-4のC末端欠失断片(1-603、1-507及び1-434)をin vi
tro翻訳により35S標識し、非標識CYK-4(又は対照としてルシフェラーゼ)とイン
キュベートした(左のパネル)。CYK-4が抗CYK-4抗体で沈降した(右のパネル)。完
全長ZEN-4およびZEN-4(1-603)はCYK-4と共沈降したが、短い断片(1-507、1-434)
は共沈降しなかった。(B)ZEN-4のCBDタグ付き断片(1-603、1-434、435-603、435
-507及び503-603)が非標識形態で発現させ、35S標識CYK-4(1-232)とインキュベ
ートした(左のパネル)。ZEN-4断片は、キチンビーズを用いたアフィニティクロ
マトグラフィーにより引き寄せられた(右のパネル)。CYK-4(1-232)はZEN-4(1-60
3)および(435-603)で同時精製されたが、ZEN-4(1-434)、(435-507)又は(503-603
)とは同時精製されなかった。(C)試験したZEN-4誘導体の概要。残基(435-603)を
有するZEN-4断片はCYK-4と結合したが、この領域を欠く断片は結合しなかった。
この領域は、“ネック”領域C末端からキネシン触媒中心と高次コイル領域を有
する。
【0080】 実施例10 a) cyk-4(t1689ts)の産物はZEN-4と相互作用しない。 CYK-4のアミノ末端領域は一次配列レベルではあまり配列保存性が無いが、初
期の研究によりcyk-4遺伝子を同定するために用いた突然変異対立遺伝子が位置1
5においてSerからLeuへの置換を有していたのでこの領域が機能に極めて重要で
あることが示されていた。この点突然変異はZEN-4結合決定基の中にマッピング
され、in vivoにおいてこの突然変異がCYK-4とZEN-4との共局在能力に影響する
と思われるので、この突然変異がこれらの2つのタンパク質の相互作用能力に影
響するかをin vitroで試験した。S15L突然変異をCYK-4のアミノ末端断片に導入
し、ZEN-4結合分析に用いた。CYK-4のN末端ドメインとZEN-4の中央領域との間の
相互作用は容易に検出され得るが、S15L突然変異はZEN-4と相互作用しない(図15
B)。この実験は、cyk-4(t1689ts)での欠失の主要な原因がZEN-4との相互作用の
欠失であることを示している。
【0081】 b) in vivoでZEN-4はCyk-4との化学量論複合体にある CYK-4/ZEN-4複合体の分子アーキテクチュアの洞察を得るために、また、大多
数のZEN-4がin vivoでCYK-4との複合体として存在しているいかを決定するため
に、C. elegans胚から調製した抽出物でスクロース密度勾配遠心分離実験を行っ
た。野生型抽出物を0.6 M NaClの存在下で調製した場合、ZEN-4は対称9 Sピーク
として移動する(図15C)。CYK-4は同じS値で移動する(データは示されていない)
。スクロース勾配上のZEN-4の移動がCYK-4との会合に依存するかを決定するため
に、cyk-4(t1689)対立遺伝子がZEN-4に結合する能力に特異的に欠損があるとい
う知見を利用した。抽出物をcyk-4突然変異胚から調製し、スクロース密度遠心
分離に供した場合、ZEN-4は沈降値が6 Sの対称ピークとして移動するが、これは
野生型抽出物中のZEN-4沈降物より著しく密度が低い(図15C)。これらのデータは
、in vivoで大多数のZEN-4がCYK-4と複合体として存在することを示している。
【0082】 c) CYK-4/ZEN-4相互作用ドメインのin vivo証拠 in vivoCYK-4機能のメカニズムの洞察を得るために、cyk-4(t1689ts)突然変異
の遺伝子外サプレッサーを同定することを探究した。ホモ接合cyk-4(t1689ts)動
物を突然変異誘発し、許容温度で2世代の間自己受精することができた。F2動物
が初期の成体に達したとき、温度を20℃にシフトして推定サプレッサーをもつ稔
性動物の選択を課した。約100000 のF1ゲノムをスクリーニングすることにより
、18のサプレッサー突然変異が同定された(方法を参照されたい)。遺伝子内サプ
レッサーは、サプレッサー系統からPCR増幅したcyk-4座をシークエンシングする
ことにより同定した。6のサプレッサー系統はCYK-4のN末端に追加の点突然変異
を有する。突然変異のすべてが生化学的に特定されたZEN-4結合領域内にアミノ
酸置換をコードしている。
【0083】 cyk-4遺伝子自体の中に見られる突然変異のほかに、遺伝子外サプレッサー突
然変異を同定した。cyk-4遺伝子に全く突然変異を含まない1つのサプレッサー系
統を詳しく確認した。単一ヌクレオチド多型性(SNP)を用いてサプレッサー活性
を染色体IVの中央領域にマッピングした(方法を参照されたい)。zen-4遺伝子が
この領域にマッピングされているので、zen-4遺伝子のコード領域をシークエン
シングした。この系統、xs82は、位置502のリシンをグルタミン酸に置換する点
突然変異を有することがわかった(図15A)。重要なことに、この置換は、in vitr
oでCYK-4との相互作用を仲介することがわかっているZEN-4の領域に直接マッピ
ングされる。zen-4(xs82)の置換がサプレッション活性に関与することを確認す
るために、サプレッサーの位置をzen-4座を囲む1 cM未満までマッピングした。
配列多型性がCYK-4結合領域にマッピングされるという事実と合わせたこのマッ
ピングデータは、これらの点突然変異がサプレッサー活性に関与することを強く
示している。 cyk-4(t1689)対立遺伝子が存在しない場合に置換、E502Kがそれ自体で表現型
を有するかを決定するために、cyk-4(t1689)を消失させ、zen-4(xs82)について
ホモ接合の線虫を調べた。これらの線虫は16℃、20℃、及び25℃で正常に発育し
た。
【0084】 d) ZEN-4(xs82)はin vitroでCYK-4への結合を部分的に回復させる 上記のように、in vitro結合アッセイにおいてCYK-4 S15LはZEN-4と相互作用
することができない。CYK-4のN末端におけるS15L置換の直接の結果が欠ZEN-4結
合欠損である場合には、cyk-4(t1689)をレスキューするzen-4における遺伝子外
サプレッサー突然変異がCYK-4 S15Lへの結合を回復させると期待できるかも知れ
ない。この可能性を試験するために、S15L点突然変異をもつCYK-4のN断片を翻訳
し、この産物を位置502の野生型グルタミン酸か又はリシン置換対立遺伝子をも
つZEN-4のC末端断片と混合した。野生型CYK-4断片は、ZEN-4の野生型とE502K誘
導体に十分よく結合した。上記のように、CYK-4 S15Lは野生型ZEN-4に結合する
ことができない。しかしながら、相互作用は野生型タンパク質に見られるものよ
り弱いものではあったが、CYK-4 S15LはZEN-4 E502Kに結合することができた (
図15A)。これらのデータから、遺伝子サプレッションとともに、in vivo におい
てCYK-4のN末端とZEN-4の中央領域との間の相互作用がその機能に極めて重要で
あることが明らかである。
【0085】 図15は、CYK-4とZEN-4の複合体がin vivoで機能するために必要であることを
示す図である。 (A)cyk-4(t1689ts)のサプレッサーのスクリーニングによりzen-4(xs82)の点突
然変異が同定された。この対立遺伝子はG→A点突然変異を有し、結果として残基
502のグルタミン酸をリシンに置換する。(B)E502K突然変異はCYK-4への結合を部
分的に回復させる。CYK-4断片(1-232、1-232と点突然変異S15L、35-232)を35S標
識タンパク質として発現させ、非標識ZEN-4断片(435-775、435-775とE502K突然
変異、609-775)とインキュベートした。ZEN-4断片を抗ZEN-4抗体により沈降させ
た。CYK-4(1-232)はZEN-4(435-775)と共沈降したが、図13に示されるようにZEN-
4(609-775)と共沈降しなかった。CYK-4のS15L突然変異はZEN-4(CYK-4 1-232 S15
LとZEN-4 435-775 wt)への結合能を消滅させる。しかしながら、ZEN-4(E502K)の
サプレッサー突然変異は、この相互作用(CYK-4 1-232 S15LとZEN-4 435-775 E50
2K)を部分的に回復させた。ZEN-4 E502K突然変異は野生型CYK-4への結合に影響
しない。(C)大多数のZEN-4はin vivoでCYK-4との複合体として存在する。抽出物
を野生型(N2)胚又はcyk-4(t1689ts)胚から作製した。ZEN-4の沈降を、スクロー
ス密度勾配遠心分離、続いてウェスタンブロッティングにより分析した。試料を
指定した標準でスパイクし、2つの勾配で等しく行った。野生型胚からのZEN-4は
8 Sで沈降するが、cyk-4突然変異胚からのZEN-4は7Sで沈降する。
【0086】 実施例11 CYK-4とZEN-4の自己会合 ここまでで、中央紡鐘体アセンブリがCYK-4とZEN-4との間の相互作用に依存す
ることが明らかにされ、この相互作用に必要とされる両タンパク質の領域が同定
された。面白いことに、両結合ドメインは高次コイル領域を有し、これらの領域
は結合活性に必要である。高次コイルはしばしば二量体化モチーフであるので、
また、キネシンモーターがしばしば高次コイルを介して共につながれた2つのモ
ータードメインから構成されるので、CYK-4とZEN-4が個々に自己会合することが
できるかを調べた。 CYK-4が自己会合するかを評価するために、完全長CYK-4とCYK-4誘導体1-232を
同時発現させた。対照として、完全長タンパク質をN末端120アミノ酸を欠く、短
縮型で置換した。長い方のCYK-4断片をCYK-4のC末端に対する抗体により免疫沈
降させ、短いN末端断片の共免疫沈降を評価した。N末端断片は完全長CYK-4に結
合したが、N末端ドメインを欠くCYK-4に結合しなかった(図16A)。これらのデー
タから、CYK-4が自己会合することが証明される。この結合は、高次コイルドメ
インによって仲介されると思われる。
【0087】 ZEN-4の自己会合能を類似の戦略を用いて調べた。完全長ZEN-4を、ZEN-4のア
フィニティタグした欠失誘導体と同時発現させた。ZEN-4のN末端領域(1-507)もC
末端領域(604-775)も完全長ZEN-4に評価できるほど結合しなかったが、ZEN-4の2
つの内部断片(503-775; 435-603)は全長ZEN-4に結合した(図16B)。これらの2つ
の断片に共通する領域は、高次コイルドメインを形成すると考えられる領域であ
る残基503-603からなっている。 CYK-4およびZEN-4がin vitroで自己会合する能力を有することは、in vivoでC
YK-4/ZEN-4複合体が最少限でCYK-4とZEN-4のそれぞれ2つの分子を含む可能性を
生じさせる。 図16は、CYK-4とZEN-4双方の自己会合を示す図である。 (A)抗CYK-4抗体で認識されるエピトープを含まないCYK-4(1-232)を、その抗体の
エピトープを含まないCYK-4(1-681)又は(121-681)を有する35S標識タンパク質と
して同時発現させた(左のパネル)。CYK-4(1-681)および(121-681)を免疫沈降さ
せた。CYK-4(1-232)はCYK-4(1-681)と共免疫沈降したが、CYK-4(121-681)とはし
なかった。(B)ZEN-4のCBDタグ付き断片(1-507、503-775、435-603又は604-775)
を非タグ無しZEN-4(1-775)と同時発現させた(左のパネル)。CBDタグ付き断片を
キチンビーズによるアフィニティクロマトグラフィーで精製した(右のパネル)。
タグ無しZEN-4(1-775)はCBD-ZEN-4(503-775)および(435-603)と同時精製された
が、ZEN-4(1-507)又は(604-775)とはされなかった。435-603と比べて604-775の
標識程度が低いのは、C末端断片の低いシステイン及びメチオニン含量に起因す
る。
【0088】 実施例12 CYK-4およびZEN-4のヒトオーソロガス、HsCYK-4およびMKLP1はin vivoで相互作
用し、共局在する C. elegansにおいては、CYK-4およびZEN-4はin vivo及びin vitroで会合し、
この複合体は中央紡鐘体アセンブリと細胞質分裂に重要である。これらの知見を
拡大するために、哺乳動物細胞がこれらのタンパク質のヒトオーソログ、それぞ
れHsCYK-4/MgcRacGAP(Hirose et al., 2001; Toure et al., 1998; Wooltorton
et al., 1999)およびMKLP1、を有する安定な複合体を有するかを評価した。有糸
分裂HeLa細胞から抽出物を調製し、HsCYK-4又はMKLP1に対する抗体を免疫沈降、
続いてウェスタンブロッティングに用いた。MKLP1は抗HsCYK-4抗体により共免疫
沈降することができ、逆もまた同じであった(図17a)。免疫ブロットにより、少
量のHsCYK-4とMKLP1が低移動度で移動することが示され、これはリン酸化による
と思われる。
【0089】 これらのタンパク質が以前にネマトーダタンパク質に示されたようにヒトタン
パク質においても同様の役割を果たすという証拠を得るために、培養(HeLa)ヒト
細胞においてHsCYK-4とMKLP1の局在性を調べた。細胞周期の全ステージで2つの
タンパク質が厳密に共局在する(図17bのインセット)。後期の初めに2つのタンパ
ク質が中央紡鐘体の明確な中央領域に局在している。光学的に切片化された後期
細胞の3次元再構築により、中央紡鐘体中の微小管の各束がMKLP1抗体により遠位
端で標識されていることが明らかにされた。後期の中〜後期の間、MKLP1染色領
域は長さが0.93±0.25μm(n=56)である。これはチューブリン染色が欠損してい
ると思われる領域とおおむね対応しているが、エピトープマスキングによる既知
の人為産物である(Saxton & McIntosh, 1987)。染色の程度は、従来の微小管の
重なり程度の超微細構造分析によるものより幾分狭い(> 2μM)(Mastronarde et
al., 1993)。その後、両タンパク質が中央体の分離している中央部分に局在する
。間期に、ある細胞は核内にHsCYK-4とMKLP1を有するが、ある細胞にはない。こ
れは、G2停止時にHsCYK-4およびMKLP1はすべての細胞の核内に蓄積するので、こ
れらの因子の細胞周期調節蓄積によると思われる(データは示されていない)。更
に、ほとんどの細胞が明るく染色される皮質環状構造を有する。これらの構造は
分裂レムナントに対応すると思われる。ネマトーダ胚におけるGFPタグCYK-4とZE
N-4による以前の経時顕微鏡から、中央紡鐘体が中央体へと成熟し、後に細胞皮
質において持続性スポット或いはリングへ発達することがわかった。このように
、C. elegans胚のCYK-4/ZEN-4とヒト細胞におけるHsCYK-4/MKLP1の生化学的性質
と細胞内局在性との間の一致は驚くべきことである。個々のタンパク質の名前が
種間で異なるので、この複合体を“セントラルスピンドリン”と呼ぶことを提案
する。セントラルスピンドリンがこれらの2つの系で同様の機能を遂行すると考
えることは合理的なことである。
【0090】 セントラルスピンドリンのアーキテクチュアの洞察を得るために、その成分の
流体力学的性質を調べた。有糸分裂HeLa細胞からライセートを調製し、スクロー
ス密度勾配にかけた。勾配画分のウェスタンブロッティングは、HsCYK-4とMKLP1
がS値が8 Sの勾配で厳密に同時移動することを示している(図17b)。この沈降挙
動は、C. elegans胚から分離したセントラルスピンドリンと同様である。2つの
タンパク質はゲルろ過カラムによっても同時移動し、見掛け上の分子量が800 kD
である(データは示されていない)。ゲルろ過クロマトグラフィーは非対称粒子の
未変性分子量を正確に定量することができないが、S値の測定と組合わせたゲル
ろ過データは未変性分子量の正確な定量を可能にする。このようにセントラルス
ピンドリンの実験値を組合わせた場合、複合体の未変性分子量は〜300 kDaであ
ると推定される。 等モル量のHsCYK-4とMKLP1がセントラルスピンドリンに存在するか、また、他
のタンパク質が存在するか否かを決定するために、ATPと500 mM NaClで溶離した
分裂MAP(微小管結合タンパク質)画分から免疫精製した。HsCYK-4とMKLP1に特異
的な抗体を免疫沈降に同時に用いた。いずれの免疫沈降物のクーマシーブルー染
色からも2つの主バンドと1つのマイナーバンドが示された(図17C)。質量分析か
ら、ゆっくりと移動する主バンドとマイナーバンドがMKLP1であり、速く移動す
る主バンドがHsCYK-4であることがわかった。再現性をもってHsCYK-4又はMKLP1
と共沈降する更なるバンドはなかった。セントラルスピンドリンの未変性分子量
が300 kDaであること、また、HsCYK-4(70 kD)とMKLP1(100 kD)のほかにいずれの
タンパク質も含んでいないらしいことを考えれば、また、どちらのの成分も自己
会合することができることを考えれば、2つの分子HsCYK-4とMKLP1のそれぞれを
含む四量体であることが結論づけられる。
【0091】 図17は、HeLa細胞中にMKLP-1とHsCYK-4の複合体が存在することを示す図であ
る。 それぞれCYK-4とZEN-4のヒトオーソログであるHsCYK-4/MgcRacGAPとMKLP-1、
は有糸分裂HeLa細胞において複合体として存在する。(A)HsCYK-4とMKLP-1をHeLa
細胞ラセートから特異ウサギ抗体(IP:HsCYK-4又はMKLP-1)により免疫沈降し、特
異的マウス抗体でブロットした(ブロット: HsCYK-4又はMKLP-1)。HsCYK-4はMKLP
-1と共免疫沈降し、逆もまた同じであった。(B)HsCYK-4とMKLP1は中央紡鐘体と
中央体に共局在する。HeLa細胞を固定し、抗CYK-4、抗MKLP1、抗チューブリン抗
体で免疫染色し、DNAをヘキストで染色した。細胞質分裂の間期(a)と種々のステ
ージ(b-f)の細胞が示されている。主パネルには、CYK-4(緑色)、微小管(赤色)及
びDNA(青色)の染色を示した。インセットには、CYK-4(緑色)とMKLP1(赤色)の染
色を示した。(C)HeLa細胞ライセートをスクロース密度勾配遠心分離、続いて抗M
KLP-1抗体又は抗HsCYK-4抗体によるブロッティングにより分析した。HsCYK-4とM
KLP-1は8Sで共沈降する。CYK-4抗体と反応する最も下のバンドはN末端のタンパ
ク質分解によるものである。(D)MKLP-1とHsCYK-4の複合体は有糸分裂HeLa細胞の
微小管結合画分(MTfr.)から特異抗体により免疫沈降された。110 kDaと75 kDaの
主バンドが質量分析によりそれぞれMKLP-1とHsCYK-4として同定された。115 kDa
のマイナーバンドはMKLP1に対応する。約50 kDaの幅広いバンドとゲル底部近く
のバンドは抗体ビーズから外れた免疫グロブリンの重(IgGH)鎖と軽(IgGL)鎖であ
る。
【0092】
【表1】 表1
【0093】 N2対照を除いて系統のの完全遺伝子型はunc-32(e189)cyk-4(t1689ts)であった
。受精雌雄同系統を許容温度で2時間の間胚を生ませるようにし、次に成体を取
り除き、胚の数を計数した。指定した温度で2時間後、ふ化していない胚の数を
計数した。
【0094】
【表2】 表2
【0095】 若い成体の雌雄同体系統に示したdsRNAを注入し、同腹の死んだ胚について胚
の致死性を評価した。胚を切り裂いて多核胚を評価し、経時的記録を行って細胞
質分裂、単細胞胚の紡鐘体の向き(対称又は非対称第1分裂)、及びP1とAB割球に
おける紡鐘体配置を評価することにより、胚の致死性を誘発したdsRNAを特性解
析した。
【0096】
【表3】 表3
【0097】 示した温度で発育させた野生型およびzen-4(or153ts)胚を固定し、Cyk-4につ
いて染色した。同様に、示した温度で発育させた野生型およびcyk-4(t1689ts)を
固定し、Zen-4/CeMK1p1について染色した。各胚中の細胞数とCyk-4又はZen-4抗
体で染色したレムナントの数を計数した。
【0098】 参考文献 Adams, R. R., Tavares, A. A., Salzberg, A., Bellen, H. J., and Glover, D
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【図面の簡単な説明】
【図1】 cyk-4(t1689ts)突然変異胚は細胞質分裂を完了することができない。
【図2】 cyk-4突然変異胚は、深く進入している分裂溝を生じるが、目立った中央紡鐘
体を生じない。
【図3A、B、C】 cyk-4遺伝子座のポジショナルクローニング。
【図3D】 cyk-4遺伝子座のポジショナルクローニング。
【図4】 cyk-4(RNAi)は生殖腺基部の組織崩壊を引き起こし、中央紡鐘体の形成に影響
する。
【図5】 CYK-4はRho、Rac、又はCdc42によるGTP加水分解を高める。
【図6】 Rho(RNAi)は細胞質分裂異常を引き起こし、cdc42(RNAi)は紡鐘体位置の異常を
引き起こす。
【図7】 CYK-4は中央紡鐘体と分裂レムナントに局在する。
【図8】 CYK-4:GFPの経時分析。
【図9】 CYK-4とZEN-4/CeMKLP1は共局在し、それらの局在性に関して相互依存している
【図10】 中央紡鐘体形成及び細胞質分裂におけるCYK-4の機能モデル。
【図11】 RhoAは中央紡鐘体の形成に役割をもたない。
【図12A】 CYK-4とZEN-4はin vivo及びin vitroで会合する。
【図12B】 CYK-4とZEN-4はin vivo及びin vitroで会合する。
【図12C】 CYK-4とZEN-4はin vivo及びin vitroで会合する。
【図13A】 CYK-4のN末端はZEN-4に結合するために必要かつ十分である。
【図13B】 CYK-4のN末端はZEN-4に結合するために必要かつ十分である。
【図13C】 CYK-4のN末端はZEN-4に結合するために必要かつ十分である。
【図13D】 CYK-4のN末端はZEN-4に結合するために必要かつ十分である。
【図14A】 ZEN-4の中央領域はCYK-4に結合するために必要かつ十分である。
【図14B】 ZEN-4の中央領域はCYK-4に結合するために必要かつ十分である。
【図14C】 ZEN-4の中央領域はCYK-4に結合するために必要かつ十分である。
【図15A】 CYK-4とZEN-4との複合体はin vivoでの機能に必要である。
【図15B】 CYK-4とZEN-4との複合体はin vivoでの機能に必要である。
【図15C】 CYK-4とZEN-4との複合体はin vivoでの機能に必要である。
【図16A】 CYK-4とZEN-4の自己結合。
【図16B】 CYK-4とZEN-4の自己結合。
【図17A】 HeLa細胞中のMKLP-1とHsCYK-4の複合体。
【図17B】 HeLa細胞中のMKLP-1とHsCYK-4の複合体。
【図17C】 HeLa細胞中のMKLP-1とHsCYK-4の複合体。
【図17D】 HeLa細胞中のMKLP-1とHsCYK-4の複合体。
【図18】 セントラルスピンドリンと中央紡鐘体の形成におけるその役割。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C07K 16/18 4H045 16/18 C12Q 1/34 C12Q 1/34 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AE,AU,BG,BR,CA,CN,CO,CZ, EE,HR,HU,ID,IL,IN,JP,KR,M X,NO,NZ,PL,RO,SG,SK,UA,US ,UZ,VN,YU,ZA (72)発明者 ロマノ アルパー オーストリア アー1030 ヴィーン ゲー ルガッセ 22/2/45 (72)発明者 三嶋 将紀 オーストリア アー1130 ヴィーン アウ フホフシュトラーセ 194/1/8 (72)発明者 カイトナー スザンヌ オーストリア アー1230 ヴィーン アン トン バウムガートナーシュトラーセ 44 ツェー3/16/1 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA14 BB24 CB01 DA12 DA13 DA20 DA36 DA37 FA16 FB02 FB03 FB12 JA04 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 DA02 EA02 EA04 GA11 HA01 4B063 QA18 QQ08 QQ30 QR41 QS02 QS33 4C084 AA19 NA14 ZB262 4C085 AA13 AA14 BB01 BB11 CC03 CC05 EE01 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA40 DA01 EA28 FA74

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2に示されたアミノ酸配列又は配列番号1に示された
    ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされたアミノ酸配列を有
    する、GTPアーゼのRhoファミリーに対するGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)であ
    るCyk-4と称するヒトポリぺプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号4に示されたアミノ酸配列又は配列番号3に示された
    ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされたアミノ酸配列を有
    する、GTPアーゼのRhoファミリーに対するGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)であ
    るCyk-4と称するマウスポリぺプチド。
  3. 【請求項3】 ヒトCyk-4ポリぺプチドをコードする配列番号1に示されたヌ
    クレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む単離したDNA分子、又は配列番
    号1に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジ
    ェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むヒトCyk-4ポリぺ
    プチドをコードする単離したDNA分子。
  4. 【請求項4】 マウスCyk-4ポリぺプチドをコードする配列番号3に示された
    ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む単離したDNA分子、又は配列
    番号3に示されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに対してストリン
    ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むマウスCyk-4ポ
    リぺプチドをコードする単離したDNA分子。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のヒトCyk-4ポリぺプチドのエピトープと特異的
    に反応する抗体。
  6. 【請求項6】 請求項2記載のマウスCyk-4ポリぺプチドのエピトープと特異
    的に反応する抗体。
  7. 【請求項7】 細胞質分裂を調節することができる化合物を同定する方法で
    あって、CYK-4の機能を調節する化合物の能力が測定される、前記方法。
  8. 【請求項8】 RhoファミリーGTPアーゼによるGTP加水分解を促進させる該
    化合物の能力が、該RhoファミリーGTPアーゼのメンバーより選ばれる基質とGTP
    とを前記基質のGTP結合部位を飽和させるのに十分な時間インキュベートするこ
    と、Cyk-4を添加して試験化合物の存在下又は不在下に反応させること、および
    、加水分解されたGTPの量を測定すること、により決定される、請求項7記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 Cyk-4機能を阻害する該化合物の能力が、CYK-4とMKLP1サブ
    ファミリーのメンバーとの生化学的相互作用を妨害する該化合物の能力を測定す
    ることにより決定される、請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 CYK-4機能を阻害する該化合物の能力が、CYK-4の生化学的
    多量体化を妨害する該化合物の能力を測定することにより決定される、請求項7
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 MKLP1機能を阻害する該化合物の能力が、MKLP1サブファミ
    リーのメンバーの生化学的多量体化を妨害する該化合物の能力を測定することに
    より決定される、請求項7記載の方法。
  12. 【請求項12】 がん治療に用いられる請求項7〜11のいずれか1項に記載の
    方法で同定された化合物。
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