JP2003534297A - 造影剤 - Google Patents

造影剤

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JP2003534297A
JP2003534297A JP2001585825A JP2001585825A JP2003534297A JP 2003534297 A JP2003534297 A JP 2003534297A JP 2001585825 A JP2001585825 A JP 2001585825A JP 2001585825 A JP2001585825 A JP 2001585825A JP 2003534297 A JP2003534297 A JP 2003534297A
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クラベネス、ヨー
トレスハウグ、ヘルゲ
クスバートソン、アラン
クルセス、アン・マリ
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アメルシャム ヘルス アクスイェ セルスカプ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 【解決手段】本発明は、代謝活性のマッピングに基づいた、ヒト及び動物の疾病を診断するための造影剤及びこれらの造影剤の使用に関する。該造影剤は、正常な活性から外れた代謝活性又は酵素活性を有する組織又は細胞を同定するために使用することができる。造影剤基質は、特異的な酵素的変換において、造影剤基質が造影剤生成物に化学的に改変される際に、薬力学的及び/又は薬物動態学的特性が変化することによって、酵素活性が正常な活性から外れている場合に、疾病の領域を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、造影剤、及び代謝活性のマッピングに基づくヒト及び動物の疾病の
診断におけるこれらの造影剤の使用に関する。
【0002】 該造影剤は、代謝又は酵素活性が低下した組織又は細胞を特定するために、あ
るいはより好ましくは、代謝又は酵素活性が増大した組織又は細胞を特定するた
めに使用することができる。
【0003】 該新規造影剤は1以上の酵素の基質であり、酵素活性の結果、該造影基質(co
ntrast substrate)とは異なる造影効力を有する、及び/又は該造影基質とは異
なる薬物動態学的及び/又は薬力学的特性を有する造影剤生成物がもたらされる
。図1及び2は、酵素の影響下での造影剤基質の造影剤生成物への転換を模式的
に示している。
【0004】
【従来の技術】
疾病を診断するためには、画像化技術及び非画像化技術の両者を含む幾つかの
インビボ法を使用することができる。典型的な非画像化技術には、簡単な血圧測
定、それぞれ心筋及び脳内の電流を検出する心電図記録法及び脳波記録法(elec
trocephalography)、及び疾病診断のために医院/病院で行なわれる他の簡単な
検査が含まれる。画像化技術を用いれば、空間的な情報を含むさらに多くの情報
が得られる。最も頻繁に使用される方法には、様々なX線ベースの技法、MRI
、超音波、及び放射性材料に基づく診断方法が含まれる。他の画像診断法には、
光学的画像診断法、オーバーハウザーMR(OMRI)、OMRIに基づく酸素
画像化(OXI)、磁気信号源画像化(MSI)、応用電位断層法(APT)、
及びマイクロ波に基づく電位画像化法が含まれる。
【0005】 X線法において得られる画像は、患者の体内の構造/器官/組織の異なる密度
を反映する。造影剤は、今日、軟部組織の検査の際に画像のコントラストを向上
させるために使用されている。このような造影剤の例には、ガス(組織に対して
ネガティブな造影効果)、硫酸バリウム懸濁液及びヨウ化剤;イオン性モノマー
剤、非イオン性モノマー、イオン性ダイマー、及び非イオン性ダイマーが含まれ
る。典型的な市販のX線造影剤は、Omnipaque(R)及びVisipa
que(R)である。
【0006】 MRI画像化は、磁場中の電波と体組織の水のプロトンとの相互作用に基づく
画像化法である。その造影パラメータ又はシグナル強度は、水のプロトンのプロ
トン密度、スピン/格子(T)及びスピン/スピン(T)緩和時間を含むい
くつかの因子に依存する。
【0007】 超音波は、電離放射線を使用しない画像診断において価値のあるもう一つの診
断技術である。超音波検査では、患者は1〜10MHzの周波数範囲の音波に曝
される。これらの音波(又は超音波)は、組織を透過するか、又は組織から反射
される。これらの音の反射は、変換器によって検出され、超音波画像を作るため
の基礎を形成する。超音波画像化は、妊娠検査、受胎調節、並びに心血管系疾病
及び肝疾患の診断において好んで選択される方法のひとつである。
【0008】 実用的な超音波造影剤は全て封入された気体を基本としており、それは液体−
気体界面からの音の反射が極めて効率的であるためである。典型的な超音波造影
剤は、糖のマトリックス中、変性アルブミン若しくは部分変性アルブミンのシェ
ル中、ポリマー中、又はリン脂質を含む界面活性剤中に封入された気体である。
高い造影効力を有する典型的な超音波造影剤は、1層又は複数層のリン脂質によ
って被覆されたパーフルオロカーボンの気泡(例えば、パーフルオロプロパン又
はパーフルオロブタン)からなる。粒子のサイズは、直径が約4μmであり、1
0μmを超える粒子はほとんどない。このような典型的な製品の主な適応例は、
将来的には心臓画像化(心臓灌流検査)及び肝臓画像化になるであろう。
【0009】 核医学画像診断法は、放射性同位体の投与と、その後のガンマ線カメラ又はポ
ジトロン放射型断層撮影法(PET)を用いた該同位体の検出に基礎を置く。最
も頻繁に使用される検査法は、キレートの形をした99m−テクネチウム(例え
ば骨のシンチグラフィー用テクネチウムホスホネートキレート)のガンマ線カメ
ラによる検出である。 光学画像化法は、光(例えば、近赤外光)を吸収し、その後再放出(蛍光/リ
ン光)を伴う、又は伴わない造影剤を用いて実施される。 MSI法は、造影剤なしで実施される(ヒトの体内の自然磁場を検出)が、磁
性材料に基づく造影剤はこの技法を大いに改善するかもしれない。 APTベースの方法は、同様に、造影剤を使用せずに実施される(例としては
タリウムスキャン)が、伝導性に効果がある生理学的に許容されるイオン又は他
の薬剤に基づく造影剤は、APTの診断上の有用性を向上させる。
【0010】 これらの異なる診断法はすべて、形態学/解剖学に基づく診断に関して互いに
補完するものである。しかし、生理学的パラメーターに基づく診断に対しては、
機能、例えば、血液の灌流(血液の供給)、血流、及び能動的な細胞取り込み(
心臓のストレスa.s.o.におけるタリウムスキャン)の研究を除いて、今日
使用されているこれらの診断法はいずれも有用ではない。
【0011】 以前は、様々な生理学的パラメーターの測定と定量化に対して大いに興味がも
たれていたが、造影剤を投与して2D又は3D画像内における造影剤の効果を直
接観測することを含むものは、前記方法のなかにはほとんど存在しない。これら
の方法のほとんどは、温度、pH、酸素分圧、及びカルシウムのような生理学的
パラメーターを測定するか、又は測定しようと試みるものである。
【0012】 国際公開第99/51994号(Jenkins他)は、精神病の疑いのある
又はすでに精神病と診断された精神障害患者の診断的処置又は治療に対する代謝
応答として、神経伝達物質及び神経受容体活性の変化を検出するためにMRIを
用いる方法を記述している。この適用例は酵素活性には無関係である。
【0013】 Calvo等は、「Surg. Oncol. Clin. North.
Am.」, 1999, 8, 171〜183の中で、解剖学を越えた分子診
断ツールとしてMR影像法を扱っており、その考察には遺伝子発現のMR影像法
が含まれている。Caravan等「Chem. Rev.」 1999, 9
9, 2293〜2352及び国際公開第97/36619号(Lauffer
他)によれば、造影剤前駆体は、酵素的に造影剤へと変換されると、タンパク質
に対する結合特性が変化する。タンパク質は、例えば血漿タンパク質又は他の体
液中に存在するタンパク質である。
【0014】 国際公開第99/17809号(Lauffer他)は、画像増強部分及び状
態依存性の組織結合用部分を含む造影剤を請求している。Lauffer他は、
介入治療を監視することに焦点を向け、画像化を酵素活性と関係付けてはいない
【0015】 代謝プロセス、又はさらに具体的には酵素活性のマッピング用薬剤は、文献に
散見される。Weissleder等は、最近、タンパク質分解酵素によって活
性化される腫瘍画像化用近赤外プローブを記述した。Weisslederは、
「Nature Biotechnology」 1999, 17, 375
〜378の中で、さらには論説記事「Radiology」 1999, 21
2, 609〜614の中で、「molecular imaging: ex
ploring the next frontier」について考察した。こ
の出版物では、唯一のMR造影用酵素標的はβ−ガラクトシダーゼである。Mo
ats RA等は、「Angew Chem. Int Ed Engl.」
1997, 36, 726〜728の中で、β−ガラクトシダーゼ用MR造影
剤基質について記述した。この酵素はガラクトピラノースの切断を活性化し、ガ
ドリニウムの配位数の変化は緩和度に比較的小さな変化をもたらす。緩和度の変
化がこの程度の場合、酵素活性の差異に基づいて信頼できる診断結果を得るため
には、正常組織と異常組織内の造影剤の局所濃度は同じでなければならない(又
は定量化されなければならない)。
【0016】 米国特許第5,707,605号、米国特許第5,980,862号、国際公
開第96/38184号、国際公開第99/25389号(Meade他)は、
常磁性金属イオンとキレート剤からなる錯体を含むMR造影剤を記述しており、
このキレート剤は該キレート剤に共有結合で付着した部分を含み、この部分は1
つの配位部位を占有し、かつその部分中の結合が酵素的に切断されることによっ
て除去され得る。この開示された発明の欠点は、酵素的に活性化された変換によ
って起こる緩和度の変化が比較的小さいことである。内在する濃度の差異が、造
影剤の酵素的変換によって起こる緩和度の変化の効果を無効にする恐れがある。
Meada他によって開示された造影剤とは逆に、本発明による造影剤は、切断
除去されるブロッキング剤を有していない。
【0017】 国際公開第99/58161号(Weissleder他)は、ポリマー鎖骨
格と、蛍光消光相互作用が許容される位置で前記ポリマー鎖骨格に共有結合的に
連結されており、且つ蛍光活性部位が酵素的に切断されることによって分離可能
な複数の近赤外蛍光色素とを含む分子内で消光される蛍光プローブを請求してい
る。 国際公開第98/33809号(Bogdanow他)は、遺伝子発現の画像
化用組成物及び方法を提案している。
【0018】 Anelli等は、「Eur. J. Inorg. Chem.」 200
0, 625〜630の中で、炭酸脱水酵素を標的にしたガドリニウムキレート
を記述している。このキレートは、該酵素の基質ではない。
【0019】 PET映像法における18F標識グルコース(〔18F〕FDG)のように同
位体で標識された分子の有用性は、ここ10年の間に注目されるようになった。
18F〕FDGが注目されるのは、多機能性放射性医薬品としてのその特性に
関係しており、亢進されたグルコース代謝をマッピングするために使用できるか
らである。グルコース及び〔18F〕FDGの代謝は、第一ステップの間は極め
て類似しており、細胞内に取込まれて、2−デオキシ−2−〔18F〕フルオロ
−D−グルコース−6−リン酸塩を生成する。しかし、後者は、2位のフッ素原
子によるブロッキング効果のため、代謝経路の次のステップ、すなわちグルコー
ス−6−ホスファターゼによる脱リン酸化の基質ではない。この結果、2−デオ
キシ−2−〔18F〕フルオロ−D−グルコース−6−リン酸塩の形で造影剤が
細胞内に捕捉されることになる。例えば、B. Beuthien−Bauma
nn等「Carbohydrate Res.」 327 (2000) 10
7〜118、又はA Saleem等「Advanced Drug Deli
very Reviews」 41 (2000) 21〜39を参照されたい
。したがって、例えば腫瘍中のグルコース代謝が亢進されるので、異なる形態の
癌を視覚化するために〔18F〕FDGを使用することができる。たとえFDG
がグルコースフルオロ−デオキシ−6−リン酸塩に変換されるとしても、この造
影機序は薬力学的又は薬物動態学的特性の変化に基づくものではない。むしろこ
の造影機序は、FGDが高度の代謝によって細胞膜を通過して細胞の中へ能動的
に輸送されるということに基づいているにすぎない。しかし、本発明は、輸送機
構自体や単純なターゲティング機構に基づいて検出される造影剤に関するもので
はなく、造影剤基質と造影剤生成物との薬力学的又は薬物動態学的特性の変化を
必要とする。
【0020】 Pinnaduwage等「Clin. Chem.」 34/2, (19
88) 268〜272は、ガングリオシドGMによって安定化された不飽和
ホスファチジルエタノールアミンを用いて調製されたグルコース−6−リン酸塩
脱水素酵素を取り込んだ安定なリポソームを記述している。β−ガラクトシダー
ゼを添加すると、リポソームは迅速に溶解した。Pinnaduwageは、造
影剤を開示していない。
【0021】 しかし、疾病を初期段階で信頼性良く診断することができる造影剤が依然とし
て要望されている。本発明者らは、酵素又は酵素系によって活性化された化学的
改変において薬力学的又は薬物動態学的特性が変化する造影剤を用いると、これ
らの要望が実現されることを予期せず発見した。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、特許請求の範囲にも記述されている。
【0023】 以下の定義を本明細書を通して使用する。
【0024】 造影剤:画像のコントラストを向上させるためにインビボで使用される分子成
分であり、少なくとも1つの造影活性要素を含む。造影剤は、さらに酵素基質を
含むことができる。 造影剤基質:少なくとも1つの酵素基質と少なくとも1つの造影活性要素とを
含む造影剤。 酵素基質:酵素が作用する分子成分。酵素基質がより大きな分子成分の一部で
あるときには、酵素基質は化学的改変(chemical modification)が起こる該成
分の一部を成す。 造影活性要素:画像診断において、画像のコントラストを向上させる分子成分
。 造影剤生成物:1以上の酵素によって処理された造影剤基質からの生成物。
【0025】 本発明は、酵素活性の影響によって、薬力学的及び/又は薬物動態学的特性が
変化し易い造影剤基質を提供する。
【0026】 したがって、本発明は、特異的な酵素変換において該造影剤基質が造影剤生成
物へと化学的に改変されると薬力学的及び/又は薬物動態学的特性を変化させる
造影剤基質であって、これにより、酵素活性が正常値から逸脱しているときに疾
病領域を検出することを可能とする造影剤基質を提供する。
【0027】 本発明の一側面は、異常な代謝活性(増大又は低下した)を有する組織又は細
胞の特定及び/又は診断用造影剤であって、特異的な酵素変換により造影剤基質
が造影剤生成物へと化学的に改変されると薬力学的及び/又は薬物動態学的特性
を変化させる造影剤基質を含む造影剤を提供する。
【0028】 本発明の別の側面は、癌、心血管疾病、又は炎症若しくは感染症の特定/診断
用造影剤基質であって、特異的な酵素変換により造影剤基質が造影剤生成物に化
学的へと改変されると薬力学的及び/又は薬物動態学的特性を変化させ、疾病領
域には異常な酵素活性が見られる造影剤基質である。
【0029】 該造影剤は、代謝活性の変化のマッピングに基づいてヒト及び動物の疾病を診
断するために製造し、使用することができる。前記新規造影剤は酵素に対する基
質である。該造影剤基質は、酵素によって活性化される反応において造影剤生成
物に変換され、画像化技術において検出される。
【0030】 本発明の一側面は、代謝活性の結果として薬力学的特性を変化させる造影剤基
質である。本発明の側面の1つによれば、該造影剤は薬力学的特性の変化の結果
として効力を変化させ、生物学的構成成分に対する結合特性を変化させるMR造
影剤がその例である。
【0031】 本発明の別の側面は、酵素的改変により薬物動態学的特性を変化させる造影剤
基質である。
【0032】 本発明の一実施態様は、代謝活性/酵素活性の変化のマッピングに基づく癌又
は癌関連疾病を診断するための造影剤基質である。
【0033】 本発明の別の態様は、代謝/酵素活性の変化のマッピングに基づく心血管系に
関する疾病を診断するための造影剤基質である。
【0034】 本発明のさらに別の態様は、炎症及び感染症診断用の代謝/酵素特異的造影剤
基質である。
【0035】 本発明のさらに別の態様は、代謝活性の変化に基づく中枢神経系疾病の診断に
関する。
【0036】 代謝活性/酵素活性の変化のマッピングに基づく癌又は癌関連疾病の診断用造
影剤は、本出願の好ましい実施態様である。
【0037】 本発明の好ましい態様は、MR造影剤基質又はシンチグラフィー造影剤基質で
あって、特異的な酵素変換において酵素活性が変化すると前記造影剤基質が造影
剤生成物へ化学的に改変して、薬力学的特性及び/又は薬物動態学的特性を変化
させる造影剤基質である。MR造影剤が特に好ましい。
【0038】 本発明の造影剤は、特異的な酵素に対する基質である。これらの造影剤基質は
、少なくとも1つの酵素、すなわち1つの酵素又は1つの酵素系によって活性化
される化学的改変を通して、造影剤生成物に変換される。該造影剤は代謝又は酵
素活性が低下した組織/細胞の特定において、あるいは好ましくは健常な組織/
細胞と比較して代謝又は酵素活性が増大した組織又は細胞を特定するために使用
することができる。
【0039】 本発明の一側面は、特異的な酵素変換によって造影剤基質が造影剤生成物へ化
学的に改変されると薬力学的特性及び/又は薬物動態学的特性を変化させる造影
剤基質を用いて、異常な代謝活性を有する組織又は細胞を特定/診断するための
方法である。
【0040】 本発明の別の側面は、特異的な酵素変換によって造影剤基質が造影剤生成物へ
と化学的に改変されると薬力学的及び/又は薬物動態学的特性を変化させる造影
剤基質を用いて、癌、心血管疾病、又は炎症若しくは感染症を特定/診断するた
めの方法であって、疾病領域に異常な酵素活性が見られる方法である。
【0041】 本発明のさらに別の側面は、代謝変換の結果として薬力学的特性を変化させる
造影剤基質である。この薬力学的特性の変化は、代謝的な変換が前記造影剤基質
の生物学的表面への特異的又は非特異的結合特性に変化、例えば ・レセプター親和性の変化、及び/又は ・細胞表面の結合特性の変化、及び/又は ・巨大分子への細胞内結合の変化、及び/又は ・任意の内在性化合物又は生物構造体に対する結合性/親和性の変化 ・細胞内蓄積量又は濃度の変化 をもたらすということでもよい。
【0042】 好ましくはレセプターの親和性は少なくとも0.5倍、より好ましくは少なく
とも1倍、最も好ましくは少なくとも3倍変化し、及び/又は非特異的細胞表面
結合特性は少なくとも0.5倍、より好ましくは少なくとも1倍、最も好ましく
は少なくとも3倍変化し、及び/又は細胞内巨大分子への結合は少なくとも0.5
倍、より好ましくは少なくとも1倍、最も好ましくは少なくとも4倍変化し、及
び/又は内在性化合物又は生物構造体に対する結合性/親和性の変化は少なくと
も0.5倍、より好ましくは少なくとも1倍、最も好ましくは少なくとも3倍変
化し、及び/又は細胞内蓄積量又は濃度は少なくとも0.5倍、より好ましくは少
なくとも1倍、最も好ましくは少なくとも3倍変化する。
【0043】 本発明の別の側面は、代謝変換の結果として薬物動態学的特性を有意に変化さ
せる造影剤基質である。この薬物動態学的特性の変化は、代謝的な変換が: ・血漿クリアランスの変化、及び/又は ・腎クリアランスの変化、及び/又は ・肝クリアランスの変化、及び/又は ・生体膜透過速度の変化、及び/又は ・輸送タンパク質に対する膜透過性又は親和性の変化、及び/又は ・分布の体積の変化 をもたらすということでもよい。
【0044】 好ましくは血漿クリアランスは少なくとも0.5倍、より好ましくは少なくと
も1倍、最も好ましくは少なくとも3倍変化し、及び/又は腎クリアランスの変
化は少なくとも0.5倍、より好ましくは少なくとも1倍、最も好ましくは少な
くとも3倍変化し、及び/又は肝クリアランスの変化は少なくとも0.5倍、より
好ましくは少なくとも1倍、最も好ましくは少なくとも3倍変化し、及び/又は
生体膜の透過速度の変化は少なくとも0.5倍、より好ましくは少なくとも1倍
、最も好ましくは少なくとも3e倍変化し、及び/又は分布の体積の変化は少な
くとも0.5倍、より好ましくは少なくとも1倍、最も好ましくは少なくとも2
倍変化する。
【0045】 本発明の別の側面によれば、前記造影剤生成物は前記造影剤基質とは効力、特
にMRIにおけるr緩和度が異なる。好ましい緩和度の変化は、好ましくは少
なくとも30%であり、造影剤生成物と造影剤基質との緩和度の比は最も好まし
くは少なくとも2又は0.5未満である。前記常磁性キレートの配位数は、酵素
によって活性化された変換の前後で同じである。緩和度の変化は、例えば生物学
的表面又は巨大分子に対する異なる親和性に基づく前記造影剤基質及び前記造影
剤生成物の異なる反転速度の結果であってもよい。
【0046】 酵素活性による造影剤基質の造影剤生成物への前記変換は、好ましくはその薬
力学的特性に変化をもたらす。前記代謝上の変化はレセプターの親和性に変化を
もたらすことが好ましく、例えば、造影剤生成物がレセプター、例えば細胞表面
又は巨大分子に対して、対応する造影剤基質よりも強い結合を有するということ
である。
【0047】 ターゲティング効果を有する造影剤は周知である。酵素基質を含むターゲティ
ング造影剤の考えられる欠点は、この酵素基質の代謝回転速度が速いことかもし
れない。このことは、酵素の活性部位中の基質が標的組織上に滞在する時間が短
いことを意味し、その結果、切断生成物、すなわち造影活性要素は血流中に流し
去られてしまう。この問題に対する解決策が探究されてきた。
【0048】 したがって、本発明のさらに別の態様は、さらにターゲティングベクターを備
えた前述の造影剤基質である。
【0049】 本発明のこの態様による造影剤基質は、したがって、酵素活性を検出するため
の造影剤基質であって、特異的な酵素的変換により前記造影剤基質から造影剤生
成物へと化学的に変化することによって、薬力学的特性及び/又は薬物動態学的
特性を変化させることを特徴とし、造影活性要素、ターゲティングベクター、及
び酵素基質を含む造影剤基質であろう。
【0050】 滞在時間を延ばす機序としては以下の機序が提案される。 a)酵素基質が酵素によって処理される b)該酵素基質がターゲティングベクターに付着した造影活性要素を遊離する c)該造影活性要素に付着した該ターゲティングベクターが疾病領域内又は疾病
領域周囲の標的/レセプターに結合する その結果、前記造影活性要素は疾病域内又は周囲に保持され、したがって前記
造影活性要素の結合/取込みを増強し、かくして滞在時間を延長する。
【0051】 この機構のステップの順序は変更してもよい。さらに、前記酵素基質は酵素に
よって処理される前に疾病特異的な酵素に結合することが好ましい。
【0052】 本発明のこの側面による造影剤基質は、好ましくはMR又は核医学用造影剤で
あり、典型的にはガドリニウム又はテクネチウムのキレートということになる。
該酵素基質は、疾病に特異的な酵素又は酵素系に対する任意の基質であり得るが
、リスト1に挙げた酵素などの腫瘍に特異的な酵素の基質が好ましいであろう。
AMP−N及びカテプシンDの基質が特に好ましい。
【0053】 ターゲティングベクターは文献に記載されている任意のターゲティングベクタ
ーであり得るが、腫瘍特異的なレセプターに対して親和性を有するベクターが好
ましい。
【0054】 ステップb)に記載のプロセスは、本明細書中に言及する任意の化学的改変で
あり得るが、このプロセスはターゲティングベクターと前記酵素基質との結合の
切断を含むことが好ましい。
【0055】 より具体的には、本発明のこの側面による造影剤は、酵素ターゲティング/切
断をプロテオグリカンターゲティングのpH依存性スイッチと併用することによ
って、滞在時間が短いという問題を解決することができるであろう。本発明のこ
の分野は癌の特定及び/又は診断を対象とする。
【0056】 プロテオグリカンは、タンパク質コアに共有結合的に連結されたグリコサミノ
グリカン鎖を主として含む高分子量のポリイオン性物質である。この巨大分子の
高電荷と構造は、結合組織及び細胞外マトリックス内の重要な支持成分としての
それらの役割にとって必須である。腫瘍細胞は増殖と転移の間に各種の酵素を生
成し、それらは分解を促進し、周囲の組織の構造を改変する。腫瘍の成長におけ
るこの段階では、プロテオグリカンは血液由来の因子によるターゲティングに利
用可能であるとともに、より重大なことには、正常な健常組織におけるよりも低
いpH環境に直面する。
【0057】 His−Proが豊富な糖タンパク質として知られる糖タンパク質類は、グリ
コサミノグリカンに対してpHに依存する親和性を有する。そのイオン電荷は、
5.5〜7の範囲のpHに対して極めて敏感であり、複数のヒスチジン残基がプ
ロトン化されて結合する。ほとんどの腫瘍組織は健常組織に比べて低いpHを有
しているので、この機構を腫瘍のターゲティングに使用することができる。
【0058】 腫瘍ターゲティングの場合、前記造影剤基質は、好ましくは、 1)腫瘍に特異的な酵素の酵素基質 2)ペプチド配列 3)造影活性要素 を含む。
【0059】 前記酵素基質は、好ましくはAMP−N又はカテプシンDである。前記ペプチ
ド配列は、生理的pHではプロトン化されないが、pHが低い腫瘍部位に保留さ
れるとプロトン化されて、酵素的な切断の後にプロテオグリカンを結合する任意
のペプチド配列であり得る。前記ペプチド配列は、好ましくは一連の(GHHP
H)nペプチド配列であり、ここでnは1〜20、より好ましくは5〜15の数
値である。前記ペプチド配列は、切断後に前記成分の造影活性要素部分に陽イオ
ン電荷を付与する任意の成分と交換することもできる。前記造影活性要素は、好
ましくはMR影像法用放射性核種又は金属を導入するのに適したキレート又は成
分である。
【0060】 該酵素基質が腫瘍に結合した酵素と結合すると、切断前に薬剤を短時間保持さ
せることになる。これは、通常、速度論的に速い。前記基質酵素とペプチドとの
結合の切断反応は素早く起こるが、結合部位のpHが低いために、このステップ
の間にHis−Pro配列はプロトン化された形に変わる。切断が起こり、その
時点でプロトン化されている遊離のHis−Proリッチペプチドが放出され、
該ペプチドは腫瘍内又は周囲のプロテオグリカンに結合することによってさらに
保持される。この最後のステップは通常は速度論的に遅く、取込み、保持を増大
させ、背景とのコントラストを腫瘍に付与する。
【0061】 それぞれ例1及び2に、本発明のこの部分によるMR及び放射性映像用造影剤
を示す。
【0062】 これらの造影剤に対する標的酵素は、適応症に応じて変わる。該標的酵素は、
通常、疾病領域において変化する活性を示す酵素である。その活性は、他の領域
に比べて疾病領域において増大するのが通常であるが、減少することもある。増
大した活性は、通常、遺伝子の過剰発現に起因すると考え得るが、他の機構も活
性に影響を与え得る。リスト1〜5には、癌、心血管疾病、中枢神経系(CNS
)、骨疾病、及び感染症に関連したいくつかの酵素を列記する。癌に関連した酵
素は、Sakurai,Y等によって「Surg.Today」, 1998, 28, 247〜57に概説されている。
【0063】 リスト1 癌に関連したいくつかの酵素の例 アルカリホスファターゼ、アロマターゼ、N−アセチルグルコサミニル転移酵
素、17−α−水酸化酵素/17,20−リアーゼ(lysae)(CYP17)、
カテプシン D、シクロオキシゲナーゼ、システインプロテアーゼ、ジヒドロピ
リミジン脱水素酵素(DPD)、ファルネシル転移酵素、フコシル転移酵素、グ
ルタミルヒドロラーゼ、グルタチオンS−転移酵素、グリコゲンホスホリラーゼ
(GP)、リポキシゲナーゼ、12−リポキシゲナーゼ、マトリックスメタロプ
ロテイナーゼ、一酸化窒素合成酵素、エストラジオール 17β−ヒドロキシス
テロイド脱水素酵素、タンパク質分解酵素一般、ホスファターゼ、ホスホリパー
ゼ C、ホスホジエステラーゼ(PDE 1)、ホスホリピドホスファターゼ、
タンパク質キナーゼ C、ピルビン酸キナーゼ、リボヌクレアーゼ(酸性Rna
se)、ステロイドスルファターゼ、ステアロイル−CoAデサチュラーゼ、テ
ストステロン5−α−還元酵素、チミジルシンセターゼ、トポイソメラーゼ、テ
ロメラーゼ、チロシンキナーゼ。
【0064】 リスト2 心血管疾病に関連するいくつかの酵素の例 アンギオテンシン変換酵素(ACE)、Ca(2+)輸送ATPアーゼ、ヒド
ロキシメチルグルタリル−CoA還元酵素、サイクリックAMP依存性タンパク
質キナーゼ、エンドペプチダーゼ、内皮型構成的一酸化窒素合成酵素、誘導性一
酸化窒素合成酵素、一酸化窒素合成酵素、シクロオキシゲナーゼ 2、プロスタ
グランジンエンドペルオキシド合成酵素、アスパラギン酸エンドペプチダーゼ、
エンドセリン変換酵素、β−アドレナリン作動性レセプターキナーゼ、Gタンパ
ク質共役型レセプターキナーゼ−3、G−タンパク質共役型レセプターキナーゼ
−5、タンパク質−セリン−スレオニンキナーゼ、ペプチジル−ジペプチダーゼ A、3’,5’−サイクリック−GMPホスホジエステラーゼ、タンパク質キ
ナーゼ C,エステラーゼ、アリールジアルキルホスファターゼ、クレアチンキ
ナーゼ、ドーパミンβ−水酸化酵素、脂肪酸デサチュラーゼ、セリンエンドペプ
チダーゼ、リンタンパク質ホスファターゼ、アセチルCoAカルボキシラーゼ、
シスタチオニンベータ合成酵素、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素、スーパー
オキシドジスムターゼ、パラオキソナーゼ、トロンビン、プラスミン、VIIa
因子、IXa因子、Xa因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プラスミノ
ゲン活性化因子。
【0065】 リスト3 中枢神経系(CNS)に関連するいくつかの酵素の例 タンパク質キナーゼ、ホスホピルビン酸ヒドラターゼ、Ca(2+)輸送AT
Pアーゼ、アミノヒドロラーゼ(Amonihydrolases)、アスパルトシクラーゼ、
一酸化窒素合成酵素、コリンO−アセチル転移酵素、モノアミン酸化酵素、β−
1,4−ガラクトシル転移酵素、ミエリン塩基性タンパク質キナーゼ、シクロオ
キシゲナーゼ−2、内皮型構成的一酸化窒素合成酵素、アミノ酸神経伝達物質、
リンタンパク質ホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、ヌクレオチダーゼ、
カテコールO−メチル転移酵素、グルタミルカルボキシラーゼ、グルタミン酸ト
ランスロカーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、アセチルコリンエステラー
ゼ、チロシン3−モノオキシゲナーゼ、ペプチドヒドロラーゼ、アミノペプチダ
ーゼ、ヒドロラーゼ。
【0066】 リスト3a アルツハイマー病に特異的な重要性を有するいくつかの酵素の例 コリンO−アセチル転移酵素、シクロオキシゲナーゼ−2、マトリックスメタ
ロプロテイナーゼ、プロテアーゼ、一酸化窒素合成酵素、ホスホリパーゼ A2
、アセチルコリンエステラーゼ、カルパイン、エンドペプチダーゼ。 リスト3b 多発性硬化症(MS)に関係する特異的酵素の例 マトリックスメタロプロテイナーゼ、ホスホジエステラーゼ 4、一酸化窒素
合成酵素、ゼラチナーゼ B。
【0067】 リスト4 骨疾病に関係する特異的酵素の例 アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、酒石酸耐性酸性ホスファター
ゼ、メタロエンドペプチダーゼ、コラゲナーゼ、一酸化窒素合成酵素、アロマタ
ーゼ。
【0068】 リスト5a ウイルス感染症に関連するいくつかのウイルス酵素の例 α−グルコシダーゼ(glocosidase)、RNAレプリカーゼ(Repliase)、エ
ンドペプチダーゼ、システインエンドペプチダーゼ、DNAヘリカーゼ、単純ヘ
ルペスチミジンキナーゼ(HSV-TK)、セリンエンドペプチダーゼ、インフ
ルエンザA及びBウイルスノイラミニダーゼ(neuramidase)、C型肝炎ウイル
スヘリカーゼ、ウイルスNS3セリン、プロテアーゼ、RNAヘリカーゼ、RN
A依存性RNAポリメラーゼ、リボヌクレオチド還元酵素、ウイルスプロテアー
ゼ、ウイルスキナーゼ、HIV逆転写酵素、ウイルスインテグラーゼ、RNA指
向性DNAポリメラーゼ(RNA-directed DNA polymerase)、アラニントランス
アミナーゼ。
【0069】 リスト5b 細菌感染症に関連するいくつかの酵素の例 β−ラクタマーゼ、炭水化物脱水素酵素、アリール及びアルキル転移酵素、ペ
プチド合成酵素、セリンエンドペプチダーゼ、トポイソメラーゼ、ムラミダーゼ
、アセチル転移酵素、リン酸転移酵素、MASP−2プロテアーゼ、NBP関連
セリンプロテアーゼ、アミドヒドロラーゼ。
【0070】 リスト5c 真菌感染症に関連するいくつかの酵素の例 TORキナーゼ、1,3−ベータ−グルカン合成酵素、リゾホスホリパーゼ、
カルシニュリン、キチン合成酵素、ホスホリパーゼ、β−N−アセチルヘキソサ
ミニダーゼ(Beta-N-acetylhexoaminidase)、H−ATPアーゼ、グリシルペ
プチド−N−ミリストイル転移酵素、メチル転移酵素。
【0071】 本発明の造影剤は、基本的には任意の画像診断法と共に使用することができる
。本発明の造影剤は、磁気共鳴影像法、超音波、光学画像化、核医学技法、又は
X線に基づくヒトの身体の画像化に使用するのが好ましい。最も好ましい画像化
法は、MRI及び核医学に基づく技法である。MRIが特に好ましい。
【0072】 本発明による造影剤基質のMR造影活性要素は、常磁性化合物、磁性(超常磁
性)化合物、フェリ磁性又は強磁性化合物、及び/又はフッ化化合物である。本
発明のMR造影活性要素は、超分極化合物(hyperpolarized compounds)、例え
ば、13C、15N、19F、31P、H、29SiなどのNMR活性な核も
含むことができる。最も好ましい造影活性要素は、常磁性キレート及び鉄ベース
の超常磁性化合物である。好ましい常磁性キレートには、遷移金属又はランタニ
ド金属のキレート、例えばマンガン、ガドリニウム、イッテルビウム及びジスプ
ロシウムが含まれる。最も好ましい常磁性元素は、ガドリニウムである。好まし
い磁性(超常磁性)化合物には、磁性酸化鉄及びγ−酸化鉄及び高い磁化率を有
する他の鉄/金属酸化物の被覆されていない及び被覆された粒子が含まれる。好
ましいフッ化化合物は、比較的短い19F T1緩和時間を有する化合物である
。本発明による他の好ましいフッ化化合物は、フッ素化されたpHプローブであ
る。本発明によるMR造影剤基質は、典型的には、上述の任意の造影活性要素を
含むことになり、酵素的に代謝を変化させるための造影剤基質ということになる
。この造影剤基質は、例えば、必要に応じてスペーサーを介して、特異的な酵素
基質に連結される造影活性要素を含むことができる。
【0073】 本発明による超音波造影活性成分は、一般には、気体を含有する泡又はそのよ
うな気泡の前駆体であろう。正常なヒトの体温である37℃で実質的に又は完全
にガス状(蒸気を含む)の任意の物質(混合物を含む)を含む任意の生体適合性
気体を本発明の造影剤に適用することができる。好ましいガスは、ハロゲン化炭
化水素ガス、特にフッ化炭化水素ガス、例えばパーフルオロブタンである。使用
可能な気体のリストは、国際公開第97/29782に掲載されており、参照に
より本明細書に組み込む。気体で満たされた小胞では、膜は任意の生理的に許容
される膜形成材料、特に、リン脂質から形成されることができ、架橋されていて
もよいし、架橋されていなくてもよい。帯電及び非帯電ホスホリピドの混合物か
ら形成される膜が特に好ましく、前記は正味表面電荷、好ましくは負電荷を保有
すべきことが特に好ましい。別の膜形成材料が国際公開第97/29783号に
掲載されており、参照により本明細書に組み込む。本発明の超音波造影剤基質は
、2つの主要なグループ、すなわち、酵素の影響によってカプセル化材料が変化
を受け、物理的/化学的性質が変化(例えばサイズや安定性の変化)するものと
、酵素の影響によって表面特性、例えば結合特性が変化を受けるものとにに分け
ることができる。前記造影剤基質は、インビボでの酵素的改変を受け易い微小気
泡であってもよく、疾病関連酵素の基質である分子からなる壁材を少なくとも部
分的に有することが好ましい。該酵素反応の生成物は、電荷、疎水性、露出した
リガンドなどに関してその基質とは異なることが好ましい。造影剤基質から造影
剤生成物への反応であって、前記膜内のペプチドの加水分解を含む反応は、本明
細書に後述する。
【0074】 前記微小気泡は、露出したアミノ基によって作ることができる。例えば、ヒア
ルロニダーゼ用の微小気泡基質は、例えば水溶性のカルボジイミド(cardodiimi
de)によって限られた数の箇所で前記微小気泡に連結されているヒアルロン酸(
グルクロン酸とN−アセチル−グルコサミンの高分子量コポリマー)を含むこと
ができる。ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸を加水分解し、実質的に、アミド結
合によって結合したオリゴ糖を残す。前記微小気泡の表面特性は、この時点で元
の状態に戻るであろう。
【0075】 前記生成物微小気泡上には正味電荷が存在することが望ましいかもしれない。
これは、改変不能な荷電化合物を含ませることによって達成し得る。例えば、ス
テアリルアミンとパルミチルリン酸を1:2の比で含む微小気泡は負に帯電する
ことになる。アルカリホスファターゼによってリン酸基が取り除かれた後には、
ステアリルアミンの正電荷が残ることになる。
【0076】 プロテアーゼを検出する場合には、Nがブロックされたペプチド(例えば、N
−アセチル−)基質を前記小球体に付着させることができる。生じたアミノ末端
上には、ペプチドの切断によって正電荷が残ることになる。あるいは、ペプチド
基質はそのアミノ末端によって付着させることができ、カルボキシ末端はエステ
ル化されるか又はアミド化される。この場合、切断により負電荷が1単位増加す
ることになる。
【0077】 細胞表面レセプターのリガンドは、同時にレセプターの結合をブロックする化
学的改変によって酵素基質にすることができる。例えば、1個のヒドロキシル基
上でエステル化される末端(非還元の)ガラクトース残基は、肝アシアロ糖タン
パク質レセプターによって認識されないが、リン酸基はホスファターゼによって
除去され得る。
【0078】 上述の基質は、リポソームの特性を診断用又は薬物送達用に変化させるのに等
しく十分に作用するであろう。本発明による酵素感受性のリポソーム造影剤、例
えばMR用のものも、酵素的な変換の結果としてそれらの表面特性を変化させ得
る。酵素切断可能な結合を頭部基に含む常磁性両親媒性リポソームを生成させ得
る。酵素切断可能な結合の切断がリポソームを非層状の構造体に分解し、続いて
カプセル化された造影剤をその周囲に放出するように前記頭部基を調製すること
ができる。酵素変換後の新しい構造は切断後の前記頭部基のサイズに依存するで
あろう。
【0079】 本発明による放射性医薬造影剤活性要素は、画像化に有用な同位体を含む放射
性標識化合物である。これらの化合物は、共有結合で結合した(例えば18−F
及び11C)又はキレートの形態の(例えばテクネチウム)放射性同位体を有す
ることができる。本発明に使用するための核医学造影剤中の造影発生種は、診断
核医学におけるタイプの任意の放射性化合物であり得、例えばシンチグラフィー
、SPECT、及びPETに有用な既知の化合物でもよい。典型的な化合物には
、放射ヨウ素標識化合物、111インジウム標識材料、及び99mTc標識化合
物(例えば、99mTcDTPA、99mTcHIDA及び99mTc標識ポリ
ホスホネート(polyphophonates)、及び51CrEDTAが含まれる。核医学
用造影剤基質は、典型的には、上述の放射性医薬造影剤を含んでおり、酵素的に
代謝を変化させるための造影剤基質である。該造影剤基質は、例えば、必要に応
じてスペーサーを介して、特異的酵素基質に連結される造影活性要素を含むこと
ができる。
【0080】 本発明の光学的画像化造影剤は、典型的には、光エネルギーを吸収し、続いて
より低いエネルギーで再放出を行う(蛍光/リン光)又は再放出を行わない、あ
るいは入射光子を散乱する造影活性要素を含むであろう。光学プローブは、それ
らの局所的な物理的及び/又は化学的環境の結果として、それらの光学特性を変
化させる能力を有する。さらに具体的には、酵素活性はこれらの光学特性を変化
させてもよい。
【0081】 本発明の光学的画像化造影剤基質は、色素を消光剤から分離させる酵素的切断
が励起蛍光を有する該染料を結果として脱消光するまで、付随する消光剤の基に
よって消光され得る(蛍光を発しない)蛍光色素(フルオロフォア、蛍光色素、
蛍光プローブ)を含んでもよい。
【0082】 本発明の一態様において、前記造影剤基質は、ストークスシフト、量子収率、
又は寿命/減衰速度などの、酵素活性によって変化を受ける蛍光特性を有するこ
とができる蛍光色素を含む。
【0083】 別の態様においては、その吸収スペクトルがシフト(「色」の変化)するよう
に、吸収性(非蛍光)色素を酵素活性によって変化させてもよい。
【0084】 さらに別の態様では、前記造影剤基質は、そのサイズが原因で入射光子を散乱
し、且つそのサイズが増減することによって光子を入射波長で散乱させる能力を
変化させるように酵素活性によって変化させ得る粒子である。このような変化は
、溶解(消失)、膨潤、又は収縮に起因するものであり得る。
【0085】 本発明の造影剤の主な臨床上の利点の一つは、これらの代謝的に敏感な造影剤
が形態学的な造影剤よりも病理に対する感受性が高いということである。異常な
酵素活性は疾病/症状の初期兆候であるので、この新規造影剤は初期段階の疾病
を診断できる潜在的能力を有し、それは多くの臨床状況において治療の成果をあ
げるために非常に重要である。従来の薬剤と比較してこれらの新規造影剤を使用
する別の臨床上の利点は、これが治療に対する感受性が極めて高く、したがって
治療の経過を観察するために使用できるということである。初期診断、及び経過
観察治療が可能であることは、癌の診断や治療を含む多くの疾病において臨床的
に重要である。
【0086】 本発明の好ましい態様は、組織内の代謝活性/酵素活性のマッピングに基づく
癌及び癌関連疾病を診断するための新規造影剤に関する。癌診断用の本発明によ
る造影剤は、癌に関連した任意の酵素を標的にすることができる。癌診断用の好
ましい酵素標的はリスト1に列記されている。癌診断用の最も好ましい酵素標的
はシクロオキシゲナーゼ、ファルネシル転移酵素、マトリックスメタロプロテイ
ナーゼ、トポイソメラーゼ、及びテロメラーゼである。
【0087】 本発明の別の態様は、酵素活性のマッピングに基づく心血管疾病診断用の新規
造影剤に関する。この新規造影剤は、心不全、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化
症、血栓症、塞栓症、動脈瘤、発作、及び出血の診断に有用であろう。好ましい
疾病は、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、及び血栓症である。好ましい酵素
標的はリスト2に列記されている。心血管疾病診断用の最も好ましい酵素標的は
、アンギオテンシン変換酵素(ACE)、ヒドロキシメチルグルタリル−CoA
還元酵素、内皮型構成的一酸化窒素合成酵素、誘導性一酸化窒素合成酵素、一酸
化窒素合成酵素、エンドセリン変換酵素、タンパク質セリン−スレオニンキナー
ゼ、リンタンパク質ホスファターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、トロンビ
ン、プラスミン、プラスミノゲンアクチベーター及びリポタンパク質リパーゼで
ある。
【0088】 本発明の別の態様は、中枢神経系(CNS)における疾病診断用の新規造影剤
に関する。好ましい酵素標的はリスト3に列記されている。最も好ましい酵素標
的は、タンパク質キナーゼ、一酸化窒素合成酵素、モノアミン酸化酵素、ミエリ
ン塩基性タンパク質キナーゼ、リンタンパク質ホスファターゼ、グルタミン酸ト
ランスロカーゼ、チロシン3−モノオキシゲナーゼ、ヒドロラーゼである。
【0089】 CNSにおける1つの好ましい疾病はアルツハイマー病である。アルツハイマ
ー病診断用の好ましい酵素標的はリスト3aに列記されている。最も好ましい酵
素標的は、マトリックスメタロプロテイナーゼ、プロテアーゼ、及びカルパイン
である。CNSにおける別の好ましい疾病は、多発性硬化症(MS)である。M
Sの診断用の好ましい酵素標的はリスト3bに列記されている。最も好ましい酵
素標的はマトリックスメタロプロテイナーゼである。
【0090】 本発明の別の態様は、骨疾病診断用の新規造影剤に関する。好ましい疾病は、
溶骨性疾病、例えば骨粗鬆症、並びに骨化石症及び骨硬化症である。このような
疾病の診断用の好ましい酵素標的はリスト4に列記されている。最も好ましい酵
素標的は、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、及びコラゲナーゼで
ある。
【0091】 本発明のさらに別の特異的な態様は、感染症の診断に関する。感染症診断用の
好ましい酵素標的はリスト5a(ウイルス感染症)、リスト5b(細菌感染症)
、及びリスト5c(真菌感染症)に列記されている。ウイルス感染症の最も好ま
しい酵素標的は、RNAレプリカーゼ、エンドペプチダーゼ、DNAヘリカーゼ
、ウイルスノイラミニダーゼ、〔HIV〕逆転写酵素、ウイルスインテグラーゼ
、及びプロテアーゼである。最も好ましい細菌感染症用酵素標的は、β−ラクタ
マーゼ、セリンエンドペプチダーゼ、ムラミダーゼである。最も好ましい真菌感
染症用酵素標的は、1,3−β−グルカン合成酵素、カルシニュリン、キチン合
成酵素、グリシルペプチド−N−ミリストイル転移酵素である。
【0092】 ある造影剤基質は、アポトーシス及び壊死の同定に使用することもできる。し
たがって、アポトーシス及び壊死の同定に基づく疾病診断に新規造影剤を使用す
ることができる。アポトーシスは、遺伝物質及び代謝機構の重大な部分を失活さ
せる内部的にプログラムされた細胞死のプロセスである。壊死は、外部傷害のた
めに組織が破壊される病理学的プロセスであるが、アポトーシスと壊死の間の境
界線はない。
【0093】 成熟した個体では、小体積の組織内での多数の細胞のアポトーシスは疾病の兆
候であることが多いが、単細胞(例えば、老化顆粒球)のアポトーシスは絶え間
なく起こる。アポトーシスは、外的(すなわち、腫瘍壊死因子−α又はFasリ
ガンド)又は内的シグナルによって開始される。内的シグナルは、DNA損傷の
修復機構(例えばp53)の不全、基質への接着力の喪失、又は低pH、低エネ
ルギー供給、若しくは紫外光などのストレス因子によって発生するかもしれない
。このプロセスは、ミトコンドリア膜電位の損失、ミトコンドリアからのシグナ
ルタンパク質の放出、あるクラスの特異的細胞内プロテイナーゼ、カスパーゼの
活性化、及びDNAの断片化を含む、いくつかの特有のステップを経て進行する
。アポトーシスの結果、脂質二重層の外層上に存在するホスファチジルセリンの
頭部基の露出及び新たな抗原の出現を含む形質膜の構造変化が起こる。これらの
変化は、マクロファージ又は他の細胞によるアポトーシス体の食作用に対するシ
グナルとして働く。
【0094】 アポトーシスは、新生物の発生にとって極めて重要である。腫瘍が発生する間
に、腫瘍の環境によりよく適応する他の突然変異細胞と競合する結果、細胞にエ
ネルギーが供給されなくなって細胞は死滅する。アポトーシス細胞は心筋梗塞で
も見られ、アテローム硬化性の病変部では特に顕著である。アポトーシスは、傷
害の発生、特にその安定又は不安定な状態への進行に影響を与える可能性がある
。不安定なアテローム硬化型(atheroclerotic)プラ−クには、プラークが細分
化するリスクの増大が伴い、その結果、身体の他の部分での血栓が生じているこ
とを示唆する。
【0095】 アポトーシス及び/又は壊死は、脳虚血並びにアルツハイマー病及び多発性硬
化症などの中枢神経系の変性疾患による障害にも関与している。さらにこれらの
プロセスは炎症においても重要である。
【0096】 アポトーシスプロセスの間、酵素トランスグルタミナーゼ(タンパク質−グル
タミン−γ−グルタミル転移酵素)が活性化される。この酵素は、グルタミンの
−NH基とリシンの6−アミノ基との交換を触媒して、アンモニアを遊離し、
タンパク質架橋を形成し、最終的に稠密に架橋されたタンパク質のネットワーク
を形成する。アポトーシスにおけるこの酵素の機能は完全には明らかとなってい
ないが、細胞の内容物を一定に保って、アポトーシスの後期段階に際して内容物
が放出されるのを防ぐのに役立っているのかもしれない。壊死では、カルシウム
イオンの流入に次いで細胞内トランスグルタミナーゼが活性化される。
【0097】 トランスグルタミナーゼには、一群の酵素が含まれる。最も知られた酵素はX
IIIa因子であり、これは血餅を形成する際にフィブリン分子間に架橋を作る。
他のトランスグルタミナーゼは、「組織トランスグルタミナーゼ」として通常ひ
とまとめにされる。XIIIa因子と同様に、これらの活性にはミリモルの範囲の
カルシウム濃度が必要である。正常な細胞においては、「高い細胞内カルシウム
濃度」は、10−5Mのオーダーであり、トランスグルタミナーゼを活性化する
ために必要な最低量よりもはるかに低い。いくつかの組織トランスグルタミナー
ゼ、例えばケラチノサイトは、カルシウムに対して透過性のある死滅した細胞内
で活性を有する。他の組織トランスグルタミナーゼは分泌されて細胞接着又は基
質の改変の際に機能する。
【0098】 トランスグルタミナーゼは、2個の基質、リシン側鎖及びグルタミン側鎖に作
用すると考えなければならない。リシン側鎖の類縁体は極めて簡単であり得(例
えば、直鎖ジアミンのプトレシン及びカダベリン)、加えて広範囲のモノ置換誘
導体、特にダンシルカダベリンである。ほとんどのアッセイでは、グルタミン側
鎖はタンパク質の一部であり、ジペプチドベンジルオキシカルボニル−L−グル
タミルグリシンはアクセプターとしても働くであろう。様々なトランスグルタミ
ナーゼの間には特異性に顕著な相違がある。デカペプチドアミド、Leu−Gl
y−Leu−Gly−GIN−Gly−Lys−Val−Leu−GlyNH は、ブタの肝臓からの組織トランスグルタミナーゼに対すると同様にVIIIa因
子に対しても良好な基質であることが判明したが、Val−Leu配列を逆にす
るとVIIIa因子に対する活性が失われた。
【0099】 驚くべきことに、酵素トランスグルタミナーゼの基質は、アポトーシス及び壊
死の画像化における造影剤基質に有用であることが今回判明した。問題の細胞又
は組織に局在化し、及び/又は前記造影剤基質とは異なる造影効率を有する造影
剤生成物を前記酵素活性はもたらす。関連する疾病には、悪性と非悪性の腫瘍を
含む新生物疾病、梗塞及び血栓症を含む心血管疾病、及びアルツハイマー病など
の中枢神経系の変性疾患が含まれる。
【0100】 体内では、トランスグルタミナーゼはタンパク質の2つの異なる側鎖であるリ
シンとグルタミンを結合し、イソペプチド結合を形成する。したがって、アポト
ーシスと壊死の画像化に有用な基質は、概ね「擬リシン(lysine mimics)」と
「グルタミン含有ペプチド」と称し得る2つの異なるクラスに分類される。「擬
リシン」は、単純に、4個以上、好ましくは5個以上の炭素原子を有する直鎖炭
化水素鎖の末端にあり、もう一端にレポーター基を有する一級アミノ基であり得
る。2個以上のアルキルアミノ基を有する多価の基質を含むさらに大きな基質も
与えられる。アルキルアミノ基をリシンとして、好ましくはペプチドの部分とし
て含ませることには、様々なトランスグルタミナーゼに対して異なるペプチドが
異なる活性を示し得るという点において、利点が存在するかもしれない。例えば
、XIIIa因子に対しては低活性が望ましいかもしれない。本明細書においては
、「リシン」は、アミノ酸であるリシンに加え、2,4−ジアミノ酪酸、オルニ
チン、ヒドロキシリシン、N(6)−メチル−リシン、N(2)−メチル−リシ
ン、2,7−ジアミノヘプタン酸など、4以上の炭素の直鎖を有する関連アミノ
酸とを意味すると理解される。D−及びL−鏡像異性体が含まれる。
【0101】 グルタミン含有ペプチドは、アミノ酸グルタミン及び/又は4個以上の炭素原
子を有するグルタミンの同族体、例えばアスパラギン、2−アミノ−アジピン酸
−6−アミド、1個以上の窒素上にアルキル(例えばメチル)置換されたグルタ
ミン酸類縁体、例えばグルタミン酸5−メチルアミドを常に含む。前記ペプチド
は少なくとも1個のジペプチド、例えばN末端がブロックされたGIN−Gly
でなければならないことが一般に認められる。ブロッキング基は、核画像化法又
はMRI造影用キレートなどのレポーター基、又はMRI造影用19F含有基、
又はPETスキャンのための、18F原子を含むように容易に改変できる成分で
あり得る。前記基質の選択性は、さらに長いペプチドを使用することにより向上
させることができる。
【0102】 カスパーゼは、アポトーシスプロセスの間に活性化される細胞内プロテアーゼ
である。カスパーゼはアスパラギン酸によって誘導されるプロテアーゼのファミ
リーである。カスパーゼの活性化はカスケード機構によって進行する。最後に活
性化されるべきものの一つはカスパーゼ−3であり、したがって、このプロテイ
ナーゼがアポトーシスプロセスが生じていることの信頼できる指標となるはずで
ある。カスパーゼは、いくつかのタンパク質キナーゼ、DNA修復機構の構成成
分、及び細胞質と核の構造要素を含む数多くの重要な細胞内タンパク質を切断す
る。
【0103】 すべてではないがほとんどのカスパーゼは、アスパラギン酸残基のカルボキシ
末端を切断する。この残基は各カスパーゼの特異性を決定する一連の4〜5個の
アミノ酸に前置されている(Talanian RV等 (1997), 「J
. Biol Chem.」 272, 9677〜9682)。これらの配列
の多くが他のアスパラギン酸又はグルタミン酸残基を含有し、それらを酸性にす
る。バリン又は脂肪族疎水性側鎖を含む他のアミノ酸にも遭遇することが多い。
培養された細胞中のカスパーゼ−3の蛍光定量又は比色定量(colorime
ric)検出用基質が作成されている(Gurtu V.等 (1997) 「
Anal. Biochem.」 251, 98−102)。本発明によれば
、カスパーゼに対する基質は、アポトーシスを同定するために使用することがで
きる。
【0104】 造影剤基質は、必要に応じてリンカー/スペーサーによって、酵素基質に連結
された造影活性要素を含むことができる。このような造影剤基質の場合、造影剤
生成物への化学的改変は加水分解を含むことができる。以下の反応例には、対応
する加水分解酵素に対する異なる酵素基質の加水分解が示されている。これらの
反応において、アルキル基は脂肪族、脂環族、芳香族、置換されており又は置換
されておらず、直鎖又は分枝とすることができ、1〜50の原子を含み得る。ア
ルキル基は、この反応には示されてはいない造影活性元素に連結することができ
る。 ホスファターゼ反応(塩基性又は酸性): アルキル−O−PO 2− −> アルキル−OH + PO 2− アミノペプチダーゼA反応: アルキル−(NH)(Glu) −> アルキル−NH + nGlu
. アミノペプチダーゼ反応: 4−アルキル−(C)NH−アミノ酸−NH −> 4
−アルキル−(C)NH + アミノ酸 ここでR〜Rは、生理的pHにおけるアミノ基のプロトン化を確実に最低限
にするのに十分な数の電気陰性基(F、Cl、NOなど)である。電荷の変化
は、アミノ酸残基の電荷に依存するであろう(例えば、Lys又はArgは2個
の正電荷を喪失させることになろう)。 カルボキシペプチダーゼ反応: 4−アルキル−(C)−CO−アミノ酸−COH −> 4−アルキ
ル−(C)−CO + アミノ酸 モノアミン酸化酵素反応: 4−アルキル−C−CH−NH + HO + O −>
4−アルキル−C−CHO + H + NH β−グルクロニダーゼ反応: 1−アルキル−β−O−グルクロン酸 −> アルキル−OH + グルクロ
ン酸 ガラクツロニダーゼ又はイズロニダーゼなどの他の酵素に対しても同様の反応
を考案することができる。
【0105】 上記概念は、例えば、疾病関連酵素の基質である分子を少なくとも部分的に含
む壁材料(wall material)を有する微小気泡を含む造影剤を用いた超音波画像
化に適用することができ、このために、造影剤基質から造影剤生成物への化学的
な改変は壁材料中のペプチドの加水分解を含む。このとき、アルキル基は好まし
くはミリスチル、セチル又はステアリルなどの約12〜24の炭素原子を含む脂
肪族成分であろう。ある場合には、アルキル基はフェニル基上の置換基であって
もよく、それ自身が置換されていてもよいであろう(例えば4−アルキルフェニ
ル−)。この改変は、ある加水分解酵素に対してはさらに良好な基質をもたらす
かもしれない。
【0106】 加水分解切断に加え、酵素的な変換により造影剤基質が造影剤生成物に変わる
ときに起こり得る化学的改変は極めて数多く存在する。以下の化学的改変が含ま
れる。
【0107】 加水分解による切断: タンパク質加水分解 細胞外:メタロプロテイナーゼ、前立腺特異性抗原、コラゲナーゼ 細胞内:リソソーム酵素、プロテアソーム、カルパイン、カスパーゼ、
ペプチダーゼ(カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ) リン酸エステルの加水分解(ホスホリパーゼC及びD、ホスファターゼ) エステルの加水分解(リパーゼ、エステラーゼ、ホスホリパーゼA及びB、
コリンエステラーゼ) アミラーゼ:グリコゲンの加水分解 グリコシダーゼ:グルクロニダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、
ガラクツロニダーゼ、マンノシダーゼ、シアリダーゼ、ラクターゼ 硫酸エステルの加水分解:アリールスルファターゼ 核酸の加水分解:RNアーゼ、DNアーゼ 中間代謝の化学反応 乳酸脱水素酵素、グリコゲンホスホリラーゼ、メチルマロニル−CoAムタ
ーゼ、レシチン:コレステロールアシル転移酵素、ポルフォビリノーゲンデアミ
ナーゼ及びその他によって触媒される反応 生合成 アラキドン酸(arachinonic acid)からのプロスタグランジン及びトロンボ
キサンの生成 テロマー(telomer)の合成(染色体末端) ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化、ミリストイル化、パルミトイル化、
GPIアンカーリング及びタンパク質の他の疎水性改変 DNA修復酵素 ユビキチン結合 タンパク質のグリコシル化、通常アスパラギン又はセリン/スレオニンにお
ける 糖質成分の転移、通常リン酸エステル誘導体から:グルコシル転移酵素、フ
コシル転移酵素、ガラクトシル転移酵素 チオエーテル結合の形成:グルタチオン(Gluthathione)S−転移酵素 硫酸エステル及びスルホンアミドの生成:スルホ転移酵素 シグナル伝達経路に含まれる反応 一酸化窒素合成酵素 タンパク質中のセリン、スレオニン、又はチロシンへのリン酸エステルの生
成:タンパク質キナーゼ タンパク質中のリン酸エステルの加水分解:タンパク質ホスファターゼ アンギオテンシン変換酵素 エンドセリン変換酵素 神経伝達物質の脱アミノ化:モノアミン酸化酵素 ATPの環化:アデニル酸シクラーゼ その他 トポイソメラーゼ(DNA巻戻し酵素) 解毒反応を含むステロイド及び芳香族化合物のヒドロキシル化:CYP17
、チトクロムP−450 いくつかの酵素は多くの様々な疾病と関連している。以下に、いくつかの酵素
標的、それらのリガンド及び、造影剤基質の例を幾つか記載する。
【0108】 シクロオキシゲナーゼ(COX)は、アラキドン酸の代謝及びプロスタグラン
ジンの生成に重要な酵素である。COXには、少なくとも2つの異なるアイソフ
ォーム、COX1及びCOX2が存在する。非ステロイド抗炎症薬(NSAID
)はCOXを阻害する。NSAIDは、世界中で広く処方される薬である。最近
、選択的COX−2阻害剤が市販された。これらの新規薬剤は、インドメタシン
(indometacin)等のこれより古いNSAIDに比べて好ましくない
副作用(例えば胃の出血)が少ない。COX−2を含むCOXは、炎症において
重要な役割を果たす。アルツハイマー病のようなCNS疾病及びいくつかの癌に
おいてCOX(COX−2)が発現されることに基づけば、COX−2の阻害剤
はこれらの症状の予防又は治療に有用かもしれない。COX−2の酵素活性は、
換言すれば、組織の状態に依存しており、このため、疾病を診断するためにマッ
ピングすべき興味深い酵素である。下記の化学式には、COX活性をマッピング
するための造影剤基質に関する例が幾つか示されている。これらの造影剤基質は
シクロペンタノイド中間体を生成し、続いてプロスタグランジン及びトロンボキ
サンを生成するCOXファミリー酵素の基質であろう。該造影剤は、ロイコトリ
エン及び関連化合物を生成する酸化的酵素(oxidative enzyme
)の基質でもある。
【化1】 COX−2活性を含むシクロオキシゲナーゼ活性(COX)などの 酸化的酵素をマッピングするための造影剤基質のいくつかの例: アラキドン酸は、内在性酵素基質である。
【0109】 テロメラーゼは、細胞分裂中の染色体末端を維持するために必要とされる重要
な酵素である。テロメラーゼは、脊椎動物の染色体末端においてTTAGGGで
現されるテロリピート(telo repeat)の形成を触媒するリボ核タンパク質であ
る。テロメラーゼの活性は、多数の新生物疾病において増加する。このように腫
瘍中でテロメラーゼが上昇していることに基づいて、癌マーカーの候補として、
及び将来的な抗癌治療の標的として、この酵素は関心を集めてきた。テロメラー
ゼ活性に基づく癌診断用造影剤は、造影ラベルされた核酸でもよい。
【0110】 ファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素に加え、他のいくつかの
酵素は、疎水性残基がタンパク質へ移動するのを、又はそのような残基をミリス
チン酸若しくはパルミチン酸として除去するのを媒介する。その例は、パルミト
イルタンパク質転移酵素、ミリストイルタンパク質転移酵素、グリコシルホスフ
ァチジルイノシトール転移酵素、及びパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ
である。これらの活性は特異的な疾病において変化し得る。ミリストイルタンパ
ク質転移酵素活性は大腸癌において増加し、グリコシルホスファチジルイノシト
ール転移酵素はある種の原生動物感染症において増加し、中枢神経系のプリオン
病に関与しているかもしれない。表1に、タンパク質の疎水性改変を媒介する酵
素、その関係する疾病/症状、及び関与するプロセスを列記する。
【0111】 表1 タンパク質の疎水性改変に関係する疾病又は症状
【表1】
【0112】 Rasタンパク質は、正常な細胞増殖を制御する際に重要な役割を果たすグア
ニンヌクレオチド結合タンパク質である。これらのRasタンパク質の活性化は
、制御されていない細胞増殖及び癌をもたらすかもしれない。Rasタンパク質
は、膵臓及び大腸内の癌を含むヒトの癌の約30%の発生において重要な役割を
果たす。Rasタンパク質はタンパク質を活性化するためにいくつかの改変を行
なう。Rasタンパク質の活性化は、形質膜内面に該タンパク質が付着して開始
する。形質膜に付着することができるためには、Rasたんぱく質はより親油性
にならなければならない。最初の改変は、イソプレノイド部分、C−15基(フ
ァルネシル二リン酸、FDP)がRasに共有結合的に連結される改変である。
このプロセスは、ファルネシル転移酵素(FTアーゼ)によって触媒される。こ
の酵素は、近年、抗癌剤候補のポピュラーな標的となった。いくつかのFTアー
ゼ阻害剤が同定されてきた。FTアーゼの高活性を検出するための造影剤は、癌
を診断/特定(adentify)するために極めて初期の段階で使用され得るかもしれ
ない。高いFTアーゼ活性を検出するための典型的な造影剤及びFTアーゼ活性
に関連する癌を診断するための典型的な造影剤は、造影標識されたイソプレン誘
導体のようなもの、例えば下記に示されるようなファルネシル二リン酸類縁体、
又は他の基質類縁体であり得る。FTアーゼ活性用造影剤は、PET用11C標
識又は18F標識FDP、シンチグラフフィー用99mTc標識、MRI用F標
識、又はMRI用ガドリニウム標識/超常磁性標識であり得るであろう。
【0113】 密接に関係している酵素はゲラニルゲラニル転移酵素である。これらの酵素は
特異的アミノ酸配列を認識するので、ファルネシル化又はゲラニルゲラニル化を
細胞内のペプチド又はタンパク質を捕捉するために使用することができる。
【化2】 ファルネシル転移酵素(FTアーゼ)活性マッピング用造影剤基質の いくつかの例 多くのホスホリパーゼがシグナル伝達の際に重要である。ホスホリパーゼA はリン脂質からアラキドン酸を遊離させ、炎症の媒介物質であるプロスタグラン
ジン及びトロンボキサンの合成に対する基質を提供する。ホスホリパーゼA
興味深い形態であるリポタンパク質関連ホスホリパーゼA(lipoprotein-asso
ciated phospholipase A2)は、強力な媒介物質である血小板活性化因子を分解
し、アテローム硬化型傷害の際に多量に発現される。このホスホリパーゼは、H
akkinen等によって「Arteriosclerosis Thromb
osis and Vascular Biology」 19 (12):
2909〜2917に記載された。別のホスホリパーゼ、ホスホリパーゼCβ
、2つの重要な細胞内メッセンジャーであるジアシルグリセロール及びイノシト
ール1,4,5−三リン酸をホスファチジルイノシトール二リン酸塩から生成す
る。
【0114】 ゲノムは、DNA修復酵素が完全に補完されないと機能を維持することができ
ない(例えば、塩基とデオキシリボースとの間の約1万のN−グリコシド結合は
、自然に又は損傷によって毎日破壊される)。これらのDNA修復酵素は、変質
した塩基の除去、損傷したヌクレオチドの切除、ヌクレオチド配列中の間隙の補
充、及びヌクレオチドミスマッチの修復などの異質な組合せの活性を備えた酵素
である。最後に述べた活性は、遺伝性の非ポリープ性大腸癌には欠けている。ヌ
クレオチド切除修復は色素性乾皮症には欠けており、紫外光に曝されると皮膚癌
の頻度を2000倍に増加させる。
【0115】 DNA修復酵素の突然変異は癌の発生には極めて重要である。合成基質、好ま
しくは変質されたポリ又はオリゴヌクレオチドを考案してもよい。例えば、3−
メチルアデニンDNAグリコシラーゼは、3位が標識されたアデニンをポリ又は
オリゴヌクレオチドから放出させるであろう。その変質された塩基はおそらく細
胞を離れるか又は分解されて、その結果薬物動態学的特性を変化させることにな
る。切除酵素に対する類縁基質を考案してもよい。ポリ又はオリゴヌクレオチド
用送達システム、例えばカチオン性リポソームは、当業者には周知である。
【0116】 DNA修復酵素の活性変動を画像化することは、癌の診断においては価値があ
る。細胞毒性薬物の中には、主として特異的DNA修復酵素が無傷である細胞に
対して有毒なものがある(例えば、トリアゼンは、正常細胞を含む、ヌクレオチ
ドミスマッチ修復システムを有する細胞には有毒である)ので、それは重要な治
療ガイドでもある。逆に、アルキル化剤のように、DNA内の塩基を改質するこ
とによって作用する薬物は、改質された塩基を除去するための酵素を欠いている
細胞に対しては有効であることが予想されるかもしれない。腫瘍細胞集団は不安
定なため、DNA修復酵素に関するそれらの特性を通常予想できない。Cass
iman等は、「Introduction to Tumor Biolog
y」 (I. De Wever編), Leuven University
Press, Leuven 1999の中でDNA修復システムを記述して
いる。
【0117】 トポイソメラーゼは、トランジエントDNA鎖の切断を触媒し、細胞にDNA
のトポロジーを操作させる核酵素である。トポイソメラーゼ酵素は、DNAの複
製、転写及び細胞内の他の重要な核プロセスにとって必須である。トポイソメラ
ーゼI及びIIという2つの酵素形態がある。これらの酵素はすべての細胞中に
存在する。トポイソメラーゼI及びIIの両方とも抗新生物薬及び市販されている
幾つかの抗癌剤の標的となってきた。トポイソメラーゼ活性のマッピングに基づ
く癌の診断用造影剤は、例えば造影標識された核酸、核酸フラグメント、又はそ
の類似物である。
【0118】 細胞内タンパク質の代謝回転は、2つの異なるクラスの細胞小器官、リソソー
ム及びプロテアソームにおいて主に行なわれる。細胞質の全セクションは自食作
用プロセスによってリソソーム内に入り、その構成成分はカテプシンなどのリソ
ソーム酵素の作用によって分解される。脂質及びオリゴ糖はそれぞれリパーゼ及
びグリコシダーゼによって分解される。これらの酵素の多くでは、合成基質は周
知であり、画像化に使用するために改変することができる。自食リソソーム経路
の活性は多くの腫瘍を含む新生細胞において増大する。
【0119】 プロテアソーム(大きな多タンパク質複合体)におけるタンパク質加水分解は
、さらにより選択的である。しばしば、分解すべきタンパク質と他のタンパク質
(ユビキチン)とが、イソペプチド結合を形成するユビキチン結合酵素によって
結合されることによってこのプロセスは開始される。ユビキチン化認識配列を含
むペプチドと常磁性キレート(MRI造影剤)はユビキチンに固着され、その結
果その反転速度を下げることによってその緩和度を増加させるかもしれない。逆
に、あるいは脱ユビキチン化酵素のひとつによるユビキチンの除去を含むキレー
ト標識化タンパク質−ユビキチン複合体の分解によって緩和度が減少するかもし
れない。
【0120】 ユビキチン−プロテアソーム経路の活性は、神経変性病、癌、及び代謝性アシ
ドーシスにおいて増大する。後者の状態は、多くの固形腫瘍に存在する低pH条
件も含むかもしれない。
【0121】 マトリックスメタロプロテイナーゼ、MMPは、癌を含む異なる病理状態にお
いて中心的な役割を果たす重要な酵素である。細胞外マトリックスタンパク質の
分解は、局所的な腫瘍の成長にとって重要であり、マトリックスプロテイナーゼ
はこのプロセスを触媒する。MMPは、17亜鉛依存性エンドペプチダーゼの1
ファミリーであり、このエンドペプチダーゼは基本的にすべての細胞外マトリッ
クス成分を分解する。転移を含む腫瘍の侵入には、しばしばMMPの発現の増加
が伴う。そのためこの酵素ファミリーは新しい抗癌剤候補のポピュラーな標的で
あり、いくつかのMMP阻害剤が確認されてきた。MMP活性をマッピングする
ための造影剤は、MMPの任意の造影標識された基質とすることができる。MM
Pは構造が変化して極めて多様な基質を切断する。造影剤で標識することができ
る典型的な基質をリスト6に列記する。造影剤は十分記述されている技法を使用
してこれらの巨大分子に共有結合的に連結させることができる。
【0122】 リスト6 ヒトマトリックスメタロプロテイナーゼ用基質 コラーゲン、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、ゼラチン、エ
ラスチン、ペルラカン(Perlacan)、エンタクチン、ビトロネクチン、テネイシ
ン、ナイドジェン、デルマタン硫酸、pro TNF−α、ビトロネクチン、ア
グリカン、トランシン(Transin)、デコリン、糖タンパク質 MMPも、脆弱なアテローム硬化型プラーク対する標的として、本発明によれ
ば使用できる可能性がある。脆弱なアテローム硬化型プラークを標的にするため
の信頼できる方法は現在不明である。脆弱なプラークは破断し易く血栓症を招き
、それは血管を閉塞し急性心筋梗塞に至ることがある。本発明の別な側面として
、安定なアテローム硬化型プラークと不安定/脆弱(vulnerable)なアテローム
硬化型プラークとを区別するための標的としてMMP活性を検出することが提案
される。
【0123】 MMPによってアテローム硬化型プラーク中の繊維状のキャップが分解される
と、プラークが不安定化してその脆弱性が増加する。これらのMMPの活性、又
はメタロプロテイナーゼ消化後に露出する新しいエピトープは、造影剤の標的に
なり得る。
【0124】 アテローム硬化型傷害は、当初はマクロファージの内皮下への蓄積からなり、
続いて細胞外マトリックスが蓄積した繊維増殖性傷害へと発展する。平滑筋細胞
及び細胞外マトリックス中に多い繊維状キャップは、泡沫状マクロファージ、コ
レステロール結晶などを含む中心核の上に横たわる。病理学的研究は、プラーク
が破断した部位にマクロファージの激しい湿潤があることを述べている。これら
のマクロファージは、多彩なタンパク質分解酵素を合成し分泌する。MMPは細
胞外マトリックスのすべての高分子成分を分解することができるそのようなタン
パク質分解酵素ファミリーのひとつで、これはプラークの繊維状キャップを不安
定化してその脆弱性を増加させる。MMPの活発な合成と分泌は、不安定な狭心
症の患者からのアテローム硬化型冠状動脈中に確認される。安定な狭心症の患者
から採取した試料でははるかに低レベルであることが判明した。メタロプロテイ
ナーゼは、アテローム硬化型プラークの安定なものと不安定/脆弱なものとを区
別することができる標的の代表例であることが判明した。したがって、本発明の
他の態様は、MMPのこの活性を本発明の造影剤の標的として使用することであ
る。MMPの活性を測定するひとつのアプローチには、メタロプロテイナーゼの
基質に結合した造影剤が関与する。MMP造影剤基質は、化学的改変によって造
影剤生成物へと変化する。その酵素活性は前記造影剤の移動性を変えるか、又は
好ましくは薬力学的及び/又は薬物動態学的特性を変化させる。メタロプロテイ
ナーゼは細胞外マトリックス成分を特異的部位にて消化し、新しいエピトープを
露出させ、それは核画像化用の標的となる可能性があり得る。
【0125】 アテローム硬化型プラーク内のMMP活性の画像化は、例えば、磁気共鳴画像
化又は核画像化を使用して行なうことができ、ここで造影剤はMMPによって切
断できるペプチドに連結されている。切断後は、前記造影剤がアテローム硬化型
プラーク内に捕捉されていることが重要である。これを解決する方法の1つは、
ペプチドの切断が泡沫状マクロファージ上に発現されるレセプター、例えばスカ
ベンジャーレセプターのリガンドを露出させることである。活性なMMPに曝さ
れた造影剤は、次いで、そこに存在するマクロファージによるエンドサイトーシ
スのためにアテローム硬化型プラーク内に捕捉されることになる。ターゲティン
グ領域内に分子造影剤を捕捉するための上述の解決策は、他の病態生理学的プロ
セスに関係する他の酵素活性に対しても使用することができよう。
【0126】 破断し易いアテローム硬化型プラークは、繊維状キャップを分解することがで
きるMMPを生成するマクロファージの流入が増加することを特徴とする。泡沫
状マクロファージは不安定なアテローム硬化型プラークに対して特異的ではなく
、泡沫状マクロファージ上に確認されるレセプターの多くは、体内の他の場所で
、マクロファージによっても発現される。MMP活性は、腫瘍の成長及びアテロ
ーム硬化型プラークの破壊のような組織の再構築が起こっている生理的プロセス
において見られる。Peng等、1999 「Gene Therapy」 6
:1552〜1557は、レトロウイルスベクターをMMPが豊富な腫瘍異種移
植片にインビボで選択的に形質導入するためにMMP活性を使用した。腫瘍細胞
(CD40又はEGFレセプター)上のレセプターのリガンドに融合したMMP
切断可能なリンカーからなるキメラエンベロープ構成体が、ウイルスの外被中に
導入された。類似のアプローチを磁気共鳴又は核影像法に対して使用することが
できる。いくつかの切断可能なMMP用ペプチドが記述されており、スカベンジ
ャーレセプターのようなマクロファージ露出レセプターのペプチドリガンドをフ
ァージディスプレイを用いて見ることができる。
【0127】 酸性ホスファターゼ酵素活性の活性増加が前立腺癌腫、血小板減少症(thromb
ocytoperia)、及びいくつかの肝臓疾病のような異なる病理状態において観察さ
れてきた。酸性ホスファターゼに基づく疾病診断用造影剤は、この酵素の任意の
造影標識基質である。下記の化学式は、酸性ホスファターゼ用造影剤基質のいく
つかの例を示している。
【化3】
【0128】
【化4】 酸性ホスファターゼ用造影剤基質 アルカリホスファターゼの活性増進は、いくつかの肝臓疾病及び骨疾病並びに
心不全及び細菌感染のようないくつかの他の疾病に見られる。アルカリホスファ
ターゼの基質は酸性ホスファターゼの基質に類似している。(上記化学式を参照
)。好ましい診断法は、これらの造影剤基質に対してはMRI及び核医学である
。これらの造影剤基質内のリン酸基はヒドロキシル基に変換されるであろう。
【0129】 α−アミラーゼレベルの増加は、膵炎、腹腔内疾病、及び細菌性耳下腺炎に随
伴する。異常なα−アミラーゼ活性に基づく疾病診断用造影剤は、P. Ron
gved等によって「Carbohydrate Research」 214 (1991) 325〜330に記載された、常磁性標識された架橋スターチ
マイクロスフェアのようなものとすることができる。
【0130】 β−グルクロニダーゼレベルの増加は、糖尿病、腎疾患、膵癌及び肝疾患を含
むいくつかの疾病に随伴する。β−グルクロニダーゼの異常活性に基づく典型的
な疾病診断用造影剤は、造影活性成分とグルクロン酸との直接又はスペーサーを
介した抱合体である。
【0131】 リパーゼはトリグリセライドを脂肪酸とジグリセライドに切断させる。リパー
ゼレベルの増加は、急性膵炎及び腹部に位置するいくつかの他の疾病と関連する
。リパーゼ活性をマッピングするための造影剤は、造影標識されたトリグリセラ
イドとすることができる。基質の例は造影標識されたトリグリセライドである。
【0132】 CYP17又は17α−水酸化酵素/17、20−リアーゼは、プレグナン前
駆体からのアンドロゲンの生合成を触媒する酵素である。この酵素を阻害してア
ンドロゲンの生成を防止することは前立腺癌の効果的治療を提供するかも知れず
、現在、新しい抗癌剤が開発されている魅力的な研究分野である。下記の化学式
には、CYP17活性に基づく数例の疾病診断用造影剤基質を列記した。これら
の造影剤基質に対する適切な診断法は、それぞれMRI及び核医学である。17
位のヒドロキシル化は、酵素的変換の間にインビボで起こるであろう。
【化5】 CYP17造影剤基質のいくつかの例 酵素分子の遺伝的欠陥は、遺伝性疾病の非常に大きなカテゴリーである。予期
されるように、この疾病の種類と重症度は大きく変動する。いくつかの個体群で
は、100人に1人が特異的な遺伝性の酵素欠損症に冒されていることもあり得
る。リスト7に挙げた酵素の多くが詳細に研究されてきた。Scriver等「
The metabolic basis of inherited dis
ease」, 6th Edn., McGrawHill, New Yor
k 1989を参照のこと。これらの酵素の合成基質は入手可能であり、画像化
目的用に改変することができる。その患者は神経性の症状を示すかもしれないが
、冒された主たる器官は肝臓であろう。したがって、酵素が発現されなかった範
囲を突き止めることが重要であることが多い。
【0133】 リスト7 様々な遺伝性疾病において欠陥であることが既知の酵素 1.薬物性障害を起こす酵素 イソニアジドアセチラーゼ 擬コリンエステラーゼ グルコース6−リン酸脱水素酵素 2.炭水化物代謝疾患 フルクトキナーゼ フルクトース1,6−二リン酸アルドラーゼB フルクトース1,6−ジホスファターゼ グルコース6−ホスファターゼ グルコース6−ホスフェートトランスロカーゼ α−グルコシダーゼ(リソソーム) アミロ−1,6−グルコシダーゼ アミロ−1,4:1,6−グルカン転移酵素 グリコゲンホスホリラーゼ ホスホリラーゼb−キナーゼ ホスホフルクトキナーゼ グリコゲン合成酵素 ホスホグリセレートキナーゼ ホスホグリセレートムターゼ 乳酸脱水素酵素 グルコースホスフェートイソメラーゼ ガラクトース−1−ホスフェートウリジル転移酵素 ガラクトキナーゼ ウリジン二リン酸ガラクトース4−エピメラーゼ L−キシルロース還元酵素 3.アミノ酸代謝疾患 フェニルアラニン水酸化酵素 ジヒドロプテリジン還元酵素 グアノシン三リン酸シクロヒドロラーゼ 6−ピルボイルテトラヒドロプテリン合成酵素 フマリルアセトアセテートヒドロリアーゼ マレイルアセトアセテートイソメラーゼ チロシンアミノ転移酵素 ウロカナーゼ ヒスチダーゼ プロリン酸化酵素 Δ−ピロリジン−5−カルボキシレート脱水素酵素 4−ヒドロキシ−L−プロリン酸化酵素 ペプチダーゼD オルニチン−δ−アミノ転移酵素 カルバミルリン酸合成酵素 オルニチントランスカルバモイラーゼ アルギニノコハク酸合成酵素 アルギニノコハク酸合成酵素 アルギナーゼ α−アミノアジピン酸セミアルデヒド合成酵素 シスタチオニンβ−合成酵素 α−シスタチオナーゼ メチオニンアデノシル転移酵素 サルコシン脱水素酵素 ジヒドロピリミジン脱水素酵素 β−アラニン−ピルビン酸トランスアミナーゼ R−β−アミノイソ酪酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ グルタミン酸デカルボキシラーゼ GABA−α−ケトグルタル酸トランスアミナーゼ コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素 カルノシナーゼ 4.有機酸代謝疾患 ホモゲンチジン酸酸化酵素 イソバレリル−CoA脱水素酵素 3−メチルクロトニル(crotononyl)−CoAカルボキシラーゼ 3-メチルグルタコニル−CoAヒドラターゼ メバロン酸キナーゼ 2−メチルアセトアセチル−CoAチオラーゼ 3−ヒドロキシイソブチリル−CoAデアシラーゼ プロピオニル−CoAカルボキシラーゼ メチルマロニル−CoAムターゼ ATP:コバラミンアデノシル転移酵素 グルタリル−CoA脱水素酵素 2−ケトアジピン酸脱水素酵素 グルタチオンシンセターゼ 5−Xxoプロリナーゼ(5-Xxoprolinase) γ−グルタミルシステインシンセターゼ δ−グルタミルトランスペプチダーゼ チトクロム酸化酵素 フマラーゼ ピルビン酸カルボキシラーゼ 長鎖アシル−CoA脱水素酵素 中鎖アシル−CoA脱水素酵素 短鎖アシル−CoA脱水素酵素 電子伝達フラビンタンパク質:ユビキノン酸化還元酵素 アラニン:グリオキシル酸アミノ転移酵素 D−グリセラート脱水素酵素 グリセロールキナーゼ 5.プリン及びピリミジンの代謝疾患 PP−リボース−Pシンセターゼ ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシル転移酵素 アデニンホスホリボシル転移酵素 アデノシンデアミナーゼ プリンヌクレオシドホスホリラーゼ 筋アデニル酸デアミナーゼ キサンチン脱水素酵素 UMP合成酵素 ピリミジン5’ヌクレオチダーゼ ジヒドロピリミジン脱水素酵素 6.脂質代謝疾患 リポタンパク質リパーゼ レシチン:コレステロールアシル転移酵素 26−水酸化酵素(コレステロール) 7.ポルフィリン及びヘムの代謝疾患 δ−アミノレブリン酸デヒドラターゼ ポルフォビリノゲンデアミナーゼ ウロポルフィリノーゲンコシンターゼ ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ コプロポルフィリノーゲン酸化酵素 プロトポルフィリノーゲン酸化酵素 フェロケラターゼ ビリルビンUDPグルクロニル転移酵素 フィタン酸α−水酸化酵素 カタラーゼ 8.リソソーム酵素疾患 α−L−イズロニダーゼ イズロネートスルファターゼ ヘパラン−N−スルファターゼ α−N−アセチルグルコサミニダーゼ アセチル−CoA−α−グルコサミニドアセチル転移酵素 アセチルグルコサミン6−スルファターゼ ガラクトース6−スルファターゼ β−ガラクトシダーゼ N−アセチルガラクトサミン4−スルファターゼ β−グルクロニダーゼ UDP:N−アセチルグルコサミン:リソソーム酵素N−アセチルグルコサミ
ニル−1−リン酸転移酵素 α−マンノシダーゼ α−ノイラミニダーゼ アスパルチルグルコサミニダーゼ α−L−フコシダーゼ 酸性リパーゼ 酸性セラミダーゼ スフィンゴミエリナーゼ グルコセレブロシダーゼ ガラクトシルセラミダーゼ ステロイドスルファターゼ アリールスルファターゼ α−ガラクトシダーゼ α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ 酸性β−ガラクトシダーゼ β−ヘキソサミニダーゼ 9.ホルモン代謝の疾患 ステロイド21−水酸化酵素 ステロイド5α−還元酵素 3−β−ヒドロキシステロイドスルファターゼ 25(OH)D−1−α−水酸化酵素 10.ビタミン代謝の疾患 メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素 グルタミン酸ホルムイミノ転移酵素 ホロカルボキシラーゼシンセターゼ ビオチニダーゼ 11.血液の疾患 チトクロムb還元酵素 ピルビン酸キナーゼ ヘキソキナーゼ グルコースリン酸イソメラーゼ アルドラーゼ トリオースリン酸イソメラーゼ ホスホグリセリン酸キナーゼ 2,3−ジホスホグリセロムターゼ 6−ホスホグルコン酸脱水素酵素 グルタチオンペルオキシダーゼ グルタチオン還元酵素 グルタチオンシンセターゼ γ−グルタミルシステインシンセターゼ 12.免疫系の疾患 アデノシンデアミナーゼ ピリミジンヌクレオチダーゼ ミエロペルオキシダーゼ NADPH酸化酵素 13.結合組織の疾患 リシル水酸化酵素 コラゲナーゼ アルカリホスファターゼ 炭酸脱水酵素 14.皮膚疾患 チロシナーゼ 15.消化障害 ラクターゼ トレハラーゼ。
【0134】 様々な遺伝性疾病で欠損していることが知られている好ましい酵素は、グルコ
ース6−リン酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、L−キシルロース還元酵素、フェ
ニルアラニン水酸化酵素、フマリルアセトアセテートヒドロリアーゼ、ヒスチダ
ーゼ、ペプチダーゼD(プロリダーゼ)、カルバミルリン酸合成酵素、オルニチ
ントランスカルバモイラーゼ、アルギニノコハク酸合成酵素、アルギニノスクシ
ナーゼ、アルギナーゼ、カルバミルリン酸合成酵素、オルニチントランスカルバ
モイラーゼ、アルギニノコハク酸合成酵素、アルギナーゼ、メチルマロニル−C
oAムターゼ、ATP:コバラミンアデノシル転移酵素、2−ケトアジピン酸脱
水素酵素、中鎖アシル−CoA脱水素酵素、ヒポキサンチン−グアニンホスホリ
ボシル転移酵素、筋アデニル酸デアミナーゼ、キサンチン脱水素酵素、ポルフォ
ビリノゲンデアミナーゼ、カタラーゼ、α−L−イズロニダーゼ、イズロネート
スルファターゼ、ヘパラン−N−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミ
ニダーゼ、アセチル−CoA−α−グルコサミニドアセチル転移酵素、アセチル
グルコサミン6−スルファターゼ、グルコセレブロシダーゼ、アリールスルファ
ターゼ、α−ガラクトシダーゼ、酸性β−ガラクトシダーゼ、β−ヘキソサミニ
ダーゼ、ステロイド21−水酸化酵素、3−β−ヒドロキシステロイドスルファ
ターゼ、ビオチニダーゼ、ピルビン酸キナーゼ、及びミエロペルオキシダーゼで
ある。最も好ましい酵素は、グルコース6−リン酸脱水素酵素、フェニルアラニ
ン水酸化酵素、アルギニノスクシナーゼ、中鎖アシル−CoA脱水素酵素、ヒポ
キサンチン−グアニンホスホリボシル転移酵素、リポタンパク質リパーゼ、ステ
ロイド21−水酸化酵素、及びミエロペルオキシダーゼである。
【0135】 本発明の造影剤基質は、水溶性又は非水溶性の分子、例えば、水への溶解度が
限られており、粉又は懸濁液として投与しなければならない化合物であり得る。
【0136】 前記造影剤の分子量は、疾病及び疾病に伴う酵素によって変動する。前記造影
剤の分子量は、低分子量(50〜2000)又は高分子量(2000超)とする
ことができる。
【0137】 本発明の造影剤基質は、合成有機化合物、天然に存在する化合物、又は少なく
とも1つの造影活性要素で標識された半合成化合物である。最も好ましい化合物
では、前記造影活性要素は酵素的な変換に関与しない。前記造影剤は、周知の合
成変換を用いて合成的/半合成的に、又は周知の方法を用いて酵素基質に前記造
影活性要素を結合(conjugation)させることによって調製される。
後者の場合、前記造影活性部分は、例えば既知の酵素基質に直接結合させるか、
又はスペーサーアーム、例えばジアミノアルキルスペーサー及びPEGスペーサ
ーを介して基質に結合させることができる。結合法は文献、例えば、J.Bio
conjugate Chemistryの出版物に周知である。
【0138】 本発明の造影剤は、例えばペプチド、ペプチド模倣物、脂肪酸、タンパク質、
炭水化物、又はそれらの生物学的前駆体由来の要素を有することができる。本発
明の造影剤は、通常、1以上の以下の官能基を含有する:アルコール、フェノー
ル、カルボン酸(carboxyxclic acid)以外の酸とのエステルを含むエステル、
アミド、アミン、メルカプト基、芳香環、及び複素環式環系。前記造影剤の全体
構造は環状又は直鎖とすることができる。前記造影剤又はその成分が全体として
電荷を帯びる場合、生理学的に許容される対イオン、例えばアンモニウム、置換
アンモニウム、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属カチオン、又は無機若し
くは有機酸から誘導されるアニオンを有する塩の形態で使用してもよい。
【0139】 本発明の診断薬は、従来の医薬又は獣医の非経口投与形式、例えば注射用水な
どの水性溶媒中の例えば懸濁液、分散液などにて処方することができる。
【0140】 このような組成物は、薬学的に許容される稀釈剤及び賦形剤及び製剤助剤、例
えば、安定剤、抗酸化物、浸透圧重量モル濃度調整剤、緩衝剤、pH調整剤など
をさらに含有することができる。
【0141】 最も好ましい処方は、血管内投与用又は対象域への直接注射用の懸濁液の無菌
液である。
【0142】 非経口投与のためにすぐ使用できる形態に前記薬剤が処方されている場合、分
散媒は等張性又はやや高張性であることが好ましい。
【0143】 前記粒状薬剤が、キレート又は塩にしないと毒性を示す金属種(例えば重金属
イオン)のキレート又は塩を含む場合、例えばScheringによってDE−
A−3640708号に考察されているように僅かに過剰のキレート剤、又はよ
り好ましくは僅かに過剰のこのようなキレート剤のカルシウム塩を前記処方内に
含めることが望ましいかもしれない。
【0144】 本発明の診断薬の投与量は、画像化診断法、造影生成種、及び造影を増強させ
る手段に依存するであろう。
【0145】 しかしながら、一般に、投与量は、同じ画像化診断法において選択される造影
生成種又はこれに類する種に対して慣用的に使用される投与量の1/10〜10
倍の間におさまるであろう。さらに低い薬用量でも用いてもよい。
【0146】 本発明は、例えば脈管構造の中に、又は直接臓器若しくは筋組織の中に粒状材
料を非経口投与すること(特に好ましくは血管内投与すること)を含む方法に特
に適しているが、投与が非経口ルートを経ない、例えば、経皮、経鼻、舌下、又
は体外の空隙に面した体腔内、例えば、胃腸管、膀胱、子宮、又は膣内へ投与す
る場合でも適用できる。本発明は、このような投与を包含するように拡張される
と見なされる。
【0147】 本明細書に述べられたすべての文献の開示内容を参照により本明細書に組み込
む。
【0148】 以下の実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものと解釈してはならない。
本発明の他の特徴及び利点は、この詳細な記述及び特許請求の範囲から明らかで
あろう。
【0149】 例1: MRI用のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)基質。MMP‐7活性
のマッピング a)1,4,7−トリス(カルボキシメチル−tert−ブチルエステル)−1,
4,7,10−テトラアザシクロドデカンの合成。
【0150】 L. SchulzeとA. R. Buls (WO 96/28433の
例13;PCT/GB96/00464)の手順に従って、以下DO3A‐TB
Eと称する1,4,7−トリス(カルボキシメチル−tert−ブチルエステル
)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンの合成を行った。H−NMR
及びC−NMR分析方法に基づいて、N10がプロトン化されたDO3A−TB
Eのモノ臭化水素酸塩として、DO3A−TBEを単離した。 b)(4,7,10−トリス−カルボキシメチル−1,4,7,10−テトラア
ザ−シクロドデク−1−イル)−アセチル−Cys−Gly−Pro−Leu−
Gly−Leu−Leu−Ala−Arg−OHの合成
【化6】
【0151】 1mmolのアミノ酸カートリッジを用い、0.1mmolのスケールで、F
moc−Arg(Pmc)−Wang−Resinから開始し、自動ペプチド合
成機ABI433A上でペプチド成分を合成した。カップリング前にHBTUを
用いて、アミノ酸を予め活性化させておいた。次に、ペプチド樹脂のアリコート
をきれいな丸底フラスコに移し、DMF(5ml)中のN−メチルモルフォリン
1mmolを加えた後、1mmolのクロロアセチルクロリドを加えた。前Ka
iserテストが陰性になるまで前記混合物を静かに振った。DMFを用いて前
記樹脂を十分洗浄した後に、再度DMF(5ml)に懸濁して、1mmolのトリ
エチルアミンを含有する5mlのDMFに事前に溶解しておいた1mmolのD
O3A-TBEを加えた。16時間の間、前記混合物を50℃まで加熱し、その
後、過剰な試薬を濾過して除去した。DMF、DCM、及びジエチルエーテルで
十分洗浄した後に風乾し、2時間にわたり、TIS(5%)、HO(5%)及
びフェノール(2.5%)を含むTFAの中に前記ペプチドと側鎖保護基を同時
に除去した。
【0152】 過剰なTFAを真空中で除去し、ジエチルエーテルを加えて前記ペプチドを沈
殿させた。ジエチルエーテルによる倍散と風乾の後に、40mgの未精製ペプチ
ドを得た。10−50%のBというグラジエントを用い(ここで、A=HO/
0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA)、9ml/分の流速で40
分にわたって、調製用HPLC(Luna C18 250x21.2mmカラ
ム)によって前記未精製ペプチドを精製した。凍結乾燥後、12mgの純粋な物
質を得た(分析用HPLC:グラジエント、5−50%B(ここで、A=H
/0.1%TFA、B=CHCN/0.1%TFA);カラム、Luna C
18 50 X 4.6mm;検出、UV214nm;生成物保持時間、5.8
分)。生成物のさらなる性質決定は、ESMS分光計を用いて行った:予想値、
1285にM+H、実測値、1285)。
【0153】 上記生成物のGdキレートは、従来の方法で容易に製造することができるであ
ろう。このような生成物は、MRIにおいて、マトリックスメタロプロテナーゼ
7(MMP−7)の造影剤基質として使用することができるであろう。 1,4,7−トリス(カルボキシメチル−tert−ブチルエステル)−1,4
,7,10−テトラアザシクロドデカンのMMP−7との反応 組み換えマトリックスメタロプロテイナーゼ−7(MMP−7)は、R&D
Labs(Abingdon、UK)から購入した。10mMのCaCl及び
150mMのNaClを含む100μlの50mMトリス緩衝液、pH7.4の
中に、10μgの前記酵素を溶解した。50mMのアミノフェニル第二水銀アセ
テート(AMPA)2μlを加え、37℃で1時間の間インキュベートすること
によって、前記酵素を活性化させた。0.97mgの1,4,7−トリス(カル
ボキシメチル−tert−ブチルエステル)−1,4,7,10−テトラアザシ
クロドデカンを、同一のバッファー100μl中に溶解した。この溶液の半分を
活性化させた前記MMP−7に加え、残りの半分を0.1mlの緩衝液(対照イ
ンキュベーション)に加えた。前記サンプルを37℃で1時間の間インキュベー
トした。アセトニトリル/水/0.1%ギ酸で溶出されたC18カラム及び狭い
質量範囲でのフルスキャン検出を用いたLC‐MSによって、前記反応混合物中
に予想反応生成物(ペプチドLeu−Ala−Arg)が存在することを確定し
た。
【0154】 例2: Pn216−スクシニル−Gly−His−His−Pro−His−Gly−
Pro−Ile−Cys(Et)−Phe−Phe−Arg−Leu−OHの合成
。核医学影像法用のカテプシンDの基質。
【化7】
【0155】 ここで、Pn216=ビス[(1,1−ジメチル−2−N−ヒドロキシイミン
プロピル)アミノエチル]−2−アミノエチルアミン 1mmolのアミノ酸カートリッジを用い、0.1mmolのスケールで、F
moc−Leu−Wang−Resinから開始し、自動ペプチド合成機ABI
433A上でペプチド成分を合成した。カップリング前にHBTUを用いて、ア
ミノ酸を予め活性化させておき、無水コハク酸を用いて樹脂をキャップし、樹脂
が結合した酸性官能基を得た。3当量のPyAOP、HOAt及びN‐メチルモ
ルフォリンを用いて、DMF(10ml)中で10分間、樹脂上での活性化を行い
、その後、Pn216−ビス[(1,1−ジメチル−2−N−ヒドロキシイミン
プロピル)アミノエチル]−2−アミノエチルアミンのDMF(5ml)溶液を
添加した。カップリング反応を4時間の間進行させた後、風乾の前に、DMF、
DCM及びジエチルエーテルで前記樹脂を洗浄した。TIS(5%)、HO(
5%)及びフェノール(2.5%)を含有するTFA中で2時間にわたり、前記
ペプチド及び側鎖保護基を同時に除去した。過剰なTFAを真空中で除去し、ジ
エチルエーテルを加えて前記ペプチドを沈殿させた。
【0156】 5−50%のBというグラジエントを用い(ここで、A=HO/0.1%T
FA、B=CHCN/0.1%TFA)、5ml/分の流速で30分にわたっ
て、調製用HPLC(Luna C18 250x10mmカラム)によって前
記未精製ペプチドを精製した。凍結乾燥後、3mgの純粋な物質を得た(分析用
HPLC:グラジエント、5−50%B(ここで、A=HO/0.1%TFA
、B=CHCN/0.1%TFA);カラム、Luna C18 50 X
4.6mm;検出、UV214nm;生成物保持時間、8.6分)。生成物のさ
らなる性質決定は、ESMS分光計を用いて行った:予想値、1973にM+H
、実測値、1973)。
【0157】 上記生成物のTcキレートは、従来の方法で容易に製造することができるであ
ろう。前記キレートは、核医学影像法において、カテプシンDに対する造影剤基
質として使用することができるであろう。
【0158】 例3: ガドリニウム1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(ベンジル)カ
ルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(4a) 上記表題化合物を以下の工程によって調製した。 1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−10−(ベンジル
)カルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(2a) DMF(100ml)中のベンジルイソシアナート(1.33g、10mmol
)を、DMF(30ml)に溶解した1,4,7−トリス(tert−ブチルカ
ルボニルメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(5.15g
、10mmol)及びトリエチラミン(5.06g、50mmol)に加えた。
前記反応混合物を室温で一晩攪拌し、真空中で蒸発乾固させた。フラッシュクロ
マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン、7:3:1)に残
留物をかけて、オイルとして生成物を得た。収率:4.32g(67%)。 H NMR(CDCl): 7.88(broad s, 1H),7.3
5−7.13(m,5H),4.34(s,2H),3.35−3.25(m,
4H),3.17(s,6H),3.00‐2.85(m,4H),2.75−
2.58(m,8H),1.42(s,9H),1.39(s,18H)。 1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(ベンジル)カルバモイル−
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(3a) 1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−10−(ベンジ
ル)カルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(1.29g
、2mmol)をトリフルオロ酢酸(10ml)に加え、該反応混合物を真空中
で蒸発乾固させる前に、室温で6時間、アルゴンガス雰囲気の下で攪拌した。残
留物を水(5ml)に加え、真空中で蒸発乾固させた。前記残留物を再度水に溶
解させ、さらに2度、乾燥状態になるまで蒸発乾固した。ポリ(4‐ビニルピリ
ジン)マクロレティキュラー型(Reillex 425)樹脂を用いて、該未
精製物質をカラムクロマトグラフィーによって精製した。前記カラムを水で溶出
し、前記生成物を含む画分を集めて、真空中で濃縮した。残留物をメタノール(
2ml)中に溶かした後、ジエチルエーテルで沈殿させ、50℃で真空中にて一
晩乾燥させることによって、白色の固形物を得た。収率:0.89g(93%)
H NMR(DO): 7.31‐7.20(s, 5H),4.20(s
,2H),3.85(broad s,4H),3.61(broad s,4
H),3.41(broad s,6H),3.27(broad s,4H)
,2.83(broad s,4H)。 ガドリニウム1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(ベンジル)カ
ルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(4a) 酸化ガドリウム(III)(0.27g、0.75mmol)及び1,4,7
−トリス(カルボキシメチル)−10−(ベンジル)カルバモイル−1,4,7
,10−テトラアザシクロドデカン(0.97g、1.50mmol)の水中懸
濁液を90℃まで5時間加熱した。得られた溶液を室温まで冷やして、陽イオン
交換樹脂(Amberlite IR 120/H型)及び陰イオン交換樹脂
(Amberlite IRA 67/OH型)を加えた。30分間攪拌した
後、前記樹脂を濾過(Millipore HAWP 0.45μm)によって
集め、該濾液を真空中で蒸発乾固して、白色の結晶性物質として前記生成物を得
た。収率:0.55g(58%)。
【0159】 例4: ガドリニウム1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(p−トリル)
カルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(4b) 上記表題化合物を以下の工程によって調製した。 1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−10−(p−トリ
ル)カルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(2b) DMF(50ml)中のp‐トリルイソシナート(0.67g、5mmol)
を、DMF(20ml)中に溶解した1,4,7−トリス(tert−ブチルカ
ルボニルメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(2.57g
、5mmol)、及びトリエチルアミン(2.53g、25mmol)に加えた
。前記反応混合物を室温で一晩攪拌して、真空中で蒸発乾固させた。フラッシュ
クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル/トリエチラミン、7:3:1)に
残留物をかけて、オイルとして前記生成物を得た。収率:2.63g(81%)
H NMR(MeOD): 9.72(s,1H),7.30‐7.04(q
,J=8.4Hz,4H),3.55‐3.42(m,4H),3.39(s,
6H),3.26(s,2H),3.20‐3.08(m,4H),2.93‐
2.75(m,8H),2.30(s,3H),1.48(s,9H),1,4
6(s,18H)。 1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(p−トリル)カルバモイル
−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(3b) 1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−10−(p−ト
リル)カルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(1.02
g、1,57mmol)をトリフルオロ酢酸(5ml)に加え、反応混合物を真
空中で蒸発乾固させる前に、室温で6時間、アルゴンガス雰囲気の下で攪拌した
。前記残留物を水(5ml)に加え、真空中で蒸発乾固させた。残留物を再度水
に溶解し、乾燥状態になるまで、さらに2度蒸発乾固させた。ポリ(4‐ビニル
ピリジン)マクロレティキュラー型(Reillex 425)樹脂を用いて、
該未精製物質をカラムクロマトグラフィーで精製した。前記カラムを水で溶出し
、前記生成物を含む画分を集めて、真空中で濃縮した。残留物をメタノール(2
ml)中に溶解した後、ジエチルエーテルで沈殿させ、50℃で真空中にて一晩
乾燥させることによって、白色の固形物を得た。収率:0.70g(94%)。
H NMR(DO): 7.13(s,4H),4.02(broad s
,4H),3.52‐3.26(broad m,14H),3.07(bro
ad s,4H),2.22(s,3H)。 ガドリニウム1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(p−トリル)
カルバモイル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(4b) 酸化ガドリウム(III)(0.27g、0.75mmol)及び1,4,7
−トリス(カルボキシメチル)−10−(p−トリル)カルバモイル−1,4,
7,10−テトラアザシクロドデカン(0.97g、1.50mmol)の水中
懸濁液を、5時間の間、90℃まで加熱した。得られた溶液を室温まで冷やして
、陽イオン交換樹脂(Amberlite IR 120/H型)及び陰イオ
ン交換樹脂(Amberlite IRA 67/OH型)を加えた。30分
間攪拌した後、前記樹脂を濾過(Millipore HAWP 0.45μm
)によって集め、該濾液を真空中で蒸発乾固して、白色の結晶物質として前記生
成物を得た。収率:0.45g(47%)。
【0160】 例5: 代謝実験/緩和時間測定。Gdキレートの酸化的変換 1、10又は50%(v/w)のホモジナイズしたウシの肝臓と共に、例3及
び4に記載した各Gdキレート4a及び4bの生理的食塩水溶液(2mM)を3
7℃でインキュベートした。0、1、24、36、及び60時間後に、20MH
z(37℃)でT−緩和時間を測定し、これを表2に示した。T−緩和時間
は、全てのホモジネートで指数関数的に増加した。Gdキレートを除くと、肝臓
ホモジネート(50、10又は1%(肝臓/生理的食塩液 w/v))のT
緩和時間は全く変化しなかった。 表2 インキュベーション時間の関数としての、Gdキレートを含有する異なる
肝臓ホモジネートのT緩和時間
【表2】
【0161】 前記キレートは、酸化的な変換の結果、造影剤の効力(T−緩和時間)を変
化させる。
【0162】 例6: 1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−((4−メチル)ベンズアミ
ドフェニルアラニントリエチレングリコールモノメチルエーテルエステル)−1
,4,7,10−テトラアザシクロドデカン。エステラーゼ活性のマッピング。
上記表題の化合物を以下の工程によって調製した。 4−(クロロメチル)ベンズアミドフェニルアラニンtert−ブチルエステル ジクロロメタン(22ml)に溶解した4−(クロロメチル)ベンゾイルクロ
リド(1.89g、10mmol)及びトリエチルアミン(2.02g、20m
mol)を、0℃で4時間にわたって、フェニルアラニンtert‐ブチルエス
テル塩酸塩(2.58g、10mmol)に加えた。前記反応混合物を一晩攪拌
して、HCl水溶液(5%、2x50ml)及びNaCO水溶液(5%、2
x50ml)で抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO)、真空中で蒸発乾固
させた。フラッシュクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム、1:20
0)によって、白色の固形物として前記生成物を得た。収率:1.99g(76
%)。 H NMR(CDCl): 7.77(d、J=8.3Hz,2H),7.
48(d、J=8.4Hz,2H),7.34‐7.20(m,5H),5.0
0(q、J=7.4Hz,1H),4.64(s,2H),3.27(d、J=
5.7Hz,2H),1.49(s,9H)。 4−(クロロメチル)ベンズアミドフェニルアラニン 4−(クロロメチル)ベンズアミドフェニルアラニンtert‐ブチルエステ
ル(0.87g,2.3mmol)をトリフルオロ酢酸(10ml)中で、室温
にて30分間攪拌した後、該混合物を真空中で蒸発乾固した。残留物を水(20
ml)に溶解し、乾燥状態になるまで真空中で蒸発乾固した。最後のプロセスを
再度繰り返し、白色の固形物を得た。収率:0.67g(92%)。 H NMR(CDCl): 7.71(d,J=8.3Hz,2H),7.
46(d,J=8.3Hz,2H),7.37‐7.21(m,5H),6.7
8(d,J=7.4Hz,1H),5.12(q,J=7.3Hz,1H),4
.62(s,2H),3.35(m,2H)。 4−(クロロメチル)ベンズアミドフェニルアラニントリエチレングリコールモ
ノメチルエーテルエステル 4−(クロロメチル)ベンズアミドフェニルアラニン(0.62g,1.95
mmol)をトリエチレングリコールモノメチルエーテル(7.5ml)及びH
Cl水溶液(37%、0.1ml)に加えた。該混合物を60℃まで加熱して、
一晩攪拌した。該反応混合物をクロロホルム(10ml)及び水(10ml)に
加え、相を分離した。この有機相を水(2x10ml)で抽出し、真空中で蒸発
乾固させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーに供し(メタノール/クロ
ロフォルム、5:300)、乾燥させると固体となる無色のオイルとして前記生
成物を得た。収率:0.89g(99%)。 H NMR(CDCl): 7.62(d,J=8.3Hz,2H),7.
30(d,J=8.3Hz,2H),7.19‐7.06(m,5H),4.9
8(q,J=5.6Hz,1H),4.48(s,2H),4.19(m,2H
),3.40(m,15H)。 1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−10−((4−メ
チル)ベンズアミドフェニルアラニントリエチレングリコールモノメチルエーテ
ルエステル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(y) DMF(10ml)中の1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメ
チル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(0.85g、1.42
mmol)、(4−クロロメチル)ベンズアミドフェニルアラニントリエチレン
グリコールモノメチルエーテルエステル(0.66g、1.42mmol)及び
CO(1.96g、14.2mmol)を60℃まで加熱し、2時間攪拌
した。反応混合物を濾過し、真空中で蒸発乾固させた。フラッシュクロマトグラ
フィー(メタノール/クロロホルム/アンモニア25%、2:8:0.1)によ
って、無色の物質として前記生成物を得た。収率:0.48g(36%)。 H NMR(MeOD): 7.95(s,1H),7.80(d,J=7.
8Hz,2H),7.62(d,J=7.8Hz,2H),7.31‐7.22
(m,5H),4.89(q,J=5.3及び3.4Hz,1H),4.78(
s,4H),4.28(t,J=1.4Hz,2H),3.70‐2.75(m
,37H)1.52‐1.47(s,27H)。 1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−((4−メチル)ベンズアミ
ドフェニルアラニントリエチレングリコールモノメチルエーテルエステル)−1
,4,7,10−テトラアザシクロドデカン 1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−10−((4−
メチル)ベンズアミドフェニルアラニントリエチレングリコールモノメチルエー
テルエステル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(0.48g、
0.5mmol)を、トリフルオロ酢酸(6.5ml)に加えて、室温で1時間
攪拌した。前記反応混合物を真空中で蒸発乾固した。残留物を水(5ml)に溶
解して、乾燥状態になるまで真空中で蒸発乾固した。最後のプロセスをもう一度
繰り返した。未精製生成物をメタノール(1.5mL)中に溶解して、ジエチル
エーテルで沈殿させて、白色の固形物として生成物を得た。収率:200mg H NMR(DO): 8.13(t,J=8.2Hz,2H),8.04
−7.99(m,3H),7.80−7.72(m,5H),5.32(q,J
=6.3Hz,1H),4.74−4.71(m,5H)4.33−3.43(
m,37H)。
【0163】 上記化合物のGdキレートは、従来の方法によって、容易に作製できるであろ
う。 エステラーゼの基質である1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(
(4−メチル)ベンズアミドフェニルアラニントリエチレングリコールモノメチ
ルエーテルエステル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンのカルボ
キシルエステラーゼとの反応 エステラーゼ基質10mgを50μlの0.1M HEPES緩衝液、pH8
.0に溶解した。10μlの該溶液を、総量100μlで、4ユニットのカルボ
キシルエステラーゼ(EC.3.1.1.1.、ウサギの肝臓由来)とともにイ
ンキュベートした(Sigma E‐2884)。該サンプルを37℃で1時間
インキュベートした。アセトニトリル/水/0.1%ギ酸で溶出したC18カラ
ム及び狭い質量範囲のフルスキャン検出を用いたLC−MSによって、前記反応
混合物中に予想生成物(トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル)が存
在することを確定した。
【0164】 例7 1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−(4−メチル)ベンズアミド
−3−フェノキシホスフェートエステル)−1,4,7,10−テトラアザシク
ロドデカン 上記表題の生成物は、以下の工程によって調製される。 3−ヒドロキシベンゼン−(4−(クロロメチル))ベンズアミド DMF(40ml)に溶解した4−(クロロメチル)−ベンゾイルクロライド
(1.89g、10mmol)及びトリエチルアミン(2.02g、20mm
ol)を、3時間にわたり、室温にて、3−ヒドロキシアニリン(1.09g、
10mmol)に添加した。反応混合液を一晩撹拌し、ろ過した。その反応混合
液を真空下で蒸発乾固させ、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エ
チル,1:1)に供して、表題の化合物を得た。収率は、1.51g(61%)
であった。 MS(EI):262(9)、[M]。 ジエチル 3−フェノキシホスフェート−(4−(クロロメチル))ベンズアミ
ド THF(30ml)に溶解した3−ヒドロキシベンゼン−(4−(クロロメチ
ル))ベンズアミド(1.05g、4mmol)及びトリエチルアミン(1.2
1g、12mmol) に、ジエチルクロロホスフェート(2.07g,12m
mol)を添加し、72時間、室温にて撹拌した。反応混合液を真空下で蒸発乾
固させ、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、1:1)によ
り精製した。収率は、0.32g(20%)であった。 MS(EI):399(15)、397(49)[M]。 1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−10−((4−メ
チル)ベンズアミド−3−フェノキシホスフェート ジエチル エステル)−1
,4,7,10−テトラアザシクロドデカン 表題の化合物を高収率で得る方法(y)に従い、ジエチル 3−フェノキシホ
スフェート(4−(クロロメチル))ベンズアミド(1eq.)を、1,4,7−
トリス(tert−ブチルカルボニルメチル)−1,4,7,10−テトラアザ
シクロドデカン(1eq.)と反応させる。 1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−10−((4−メチル)ベンズアミ
ド−3−フェノキシホスフェート エステル)−1,4,7,10−テトラアザ
シクロドデカン エチルエステルを選択的に加水分解するために臭化トリメチルシリル法を使用
する前に、先述したように、1,4,7−トリス(tert−ブチルカルボニル
メチル)−10−((4−メチル)ベンズアミド−3−フェノキシホスフェート
ジエチル エステル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンに、ト
リフルオロ酢酸を添加し、tert−ブチル基を除去する。
【0165】 従来法により、上記生成物のGdキレートを容易に生成させ得るであろう。該
生成物は、MRIにおけるホスファターゼ活性のマッピングに使用し得るであろ
う。
【0166】 例8 ポジトロン放射型断層撮影法(PET、position emission
tomography)を用いた、薬物代謝におけるカイネティクスのマッピン
グ トポテカンは、DNA構造を完全に保ち、従って細胞機能に関して中心的な酵
素であるトポイソメラーゼIの阻害剤である。トポテカンは、癌治療、特に卵巣
癌及び肺癌の治療に使用される。11C−ヨウ化メチルでメチル化を行うことに
より、N−デスメチルトポテカンから、11C N−メチル放射線標識されたト
ポテカンを調製することができる。 Rao,P.N.等、Steroids,
64,205−212(1999)と同様の方法を用いて、トポテカンからN−
デスメチルトポテカンを調製する。WO01/21249(Collins,J
.M.等)に記述されている方法に従って、100℃にて約4分間、ジメチルホ
ルムアミド中で11C−ヨウ化メチルにより、N−デスメチルトポテカンをアル
キル化することによって放射線標識されたトポテカンを調製する。PETにより
、インビボにおける酸化的脱メチル化をマッピングして、標的組織における放射
性トレーサー濃度の減少、及び/又はホルムアルデヒド、ギ酸またはその誘導体
としてのラジオトレーサーの再分布/排出を追跡する。
【0167】 例913 C−標識薬物、及びインビボでの13C MR分光法及び/又は13C M
R映像法を使用した薬物代謝におけるカイネティクスのマッピング 代謝的変換の結果NMRにおける13Cの化学シフトが変化する位置に(代謝
的変換の位置に近接した13C)、又は13C−含有代謝産物が元の薬物とは異
なる薬力学的/薬物動態学的特性を有するように、様々な薬物を13Cで標識す
ることが可能である。インビボでの13C MR分光法及び/又は13C MR
影像法を用いて、代謝産物のカイネティクスを追跡することができる。
【0168】 フッ素含有化合物及び、インビボ 19F MR分光法及び/又は19F−影
像法によってもまた、代謝物のカイネティクスを実行することができる。
【0169】 過分極化技術を用いることによって、シグナルを増強することも可能である。
【0170】 例10 トランスグルタミナーゼに対する基質である、キレート剤を含有する化合物 わずかにアルカリ性のpHにて、水中で、1,6−ジアミノヘキサンのモノ−
ベンジルオキシカルボニル誘導体の過剰量を用いて、ジエチレン−トリアミン−
ペンタ酢酸(DTPA)のビス−無水物を処理する。過剰量のベンジルオキシカ
ルボニルクロライドを添加して、1,6−ジアミノヘキサンのモノ−ベンジルオ
キシカルボニル誘導体を除去する。これにより、非水溶性の1,6−ジアミノヘ
キサンのbis−ベンジルオキシカルボニル誘導体が得られる。過剰なベンジル
オキシカルボニルクロライドを分解した後、その反応混合物をろ過する。水素化
によりベンジルオキシカルボニル基を除去し、イオン交換クロマトグラフィーに
よりDTPA誘導体(化合物I)をさらに精製する。
【0171】 例11 MRIにおいて使用するトランスグルタミナーゼ基質 ガドリニウムイオンを上記化合物Iと錯体化させる。アポトーシスを伴った症
状を有する実験動物に得られたキレートを注入する。該動物は、例えば、授乳停
止後に乳腺を再構築しているもの、又は腫瘍を有するものであり得る。アポトー
シス細胞におけるトランスグルタミナーゼは、前記キレートのアミノヘキサン側
鎖によって、前記キレートをタンパク質に共有結合させて、緩和度を著しく増大
させ、またガドリニウム錯体が組織から流出するのを妨げるであろう。MRIに
より動物アポトーシス組織のイメージングを行う。
【0172】 例12 シンチグラフィーにおいて使用するトランスグルタミナーゼ基質 99mTcイオンを前記化合物Iと錯体化させる。アポトーシスを伴った症状
を有する実験動物に得られたキレートを注入する。該動物は、例えば、授乳停止
後に乳腺を再構築しているもの、又は腫瘍を有するものであり得る。アポトーシ
ス細胞中のトランスグルタミナーゼは、前記キレートのアミノヘキサン側鎖によ
り前記キレートをタンパク質に共有結合させて、テクネチウム錯体の組織からの
流出を妨げるであろう。シンチグラフィーにより動物アポトーシス組織のイメー
ジングを行う。
【0173】 例13 トランスグルタミナーゼに対する基質である、キレート剤を含有する化合物 わずかにアルカリ性のpHにて、ジエチレン−トリアミン−ペンタ酢酸(DT
PA)のビス−無水物を、過剰量のペプチド、Gly−GlN−Glyで処理す
る。イオン交換クロマトグラフィーにより、DTPA誘導体(化合物II)をさ
らに精製する。
【0174】 例14 MRIにおいて使用するためのトランスグルタミナーゼ基質 ガドリニウムイオンを上記化合物IIと錯体化させる。アポトーシスを伴った
症状を有する実験動物に、得られたキレートを注入する(上記のとおり)。アポ
トーシス細胞中のトランスグルタミナーゼは、前記キレートのグルタミン側鎖に
より前記キレートをタンパク質に共有結合させて、緩和度を著しく増大させ、ガ
ドリニウム錯体の組織からの流出を妨げるであろう。MRIにより動物のアポト
ーシス組織のイメージングを行う。
【0175】 例15 シンチグラフィーにおいて使用するためのトランスグルタミナーゼ基質 99mTcイオンを上記化合物IIと錯体化させる。アポトーシスを伴った症
状を有する実験動物に、得られたキレートを注入する(上記のとおり)。アポト
ーシス細胞中のトランスグルタミナーゼは、前記キレートのグルタミン側鎖によ
り前記キレートをタンパク質に共有結合させて、ガドリニウム錯体の組織からの
流出を妨げるであろう。シンチグラフィーにより動物のアポトーシス組織のイメ
ージングを行う。
【0176】 例16 酵素の作用により電荷が変化する、キレート剤を含むカスパーゼ3に対する基質 ペプチド化学で用いられる従来法によって、ペプチドAsp−Glu−Val
−AspのN−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを合成する。pH8の水溶
液中で、2.5倍過剰量を化合物Iに添加する。イオン交換クロマトグラフィー
によって、得られた化合物Iのビス−ペプチジル誘導体を精製する(化合物II
I)。
【0177】 例17 MRIにおいて使用するためのカスパーゼ3に対する基質 ガドリニウムイオンを上記化合物IIIと錯体化させる。アポトーシスを伴っ
た症状を有する実験動物に、得られたキレートを注入する(上記のとおり)。ア
ポトーシス細胞中のカスパーゼ3は、前記アミノへキシル側鎖から酸性ペプチド
を切断して、ほぼ中性pHの前記生成物において、約−4から約+2まで基質の
電荷を変化させるであろう。これにより、前記生成物と、その殆どが負に帯電し
ている細胞内タンパク質との結合が促進される。その結果、緩和度が増大し、ま
たガドリニウム錯体の組織からの流出も妨げる。MRIによって、動物のアポト
ーシス組織のイメージングを行う。
【0178】 例18 シンチグラフィーにおいて使用するためのカスパーゼ3基質 99mTcイオンを上記化合物IIIと錯体化させる。アポトーシスを伴った
症状を有する実験動物に、得られたキレートを注入する(上記のとおり)。アポ
トーシス細胞中のカスパーゼ3は、前記アミノへキシル側鎖から酸性ペプチドを
切断して、中性pHの前記生成物において、約−4から約+2まで基質の電荷を
変化させるであろう。これにより、前記生成物と、その殆どが負に帯電している
細胞内タンパク質との結合が促進される。その結果、前記テクネチウム錯体の組
織からの流出も妨げる。MRIによって、動物のアポトーシス組織のイメージン
グを行う。
【0179】 例19 MRIにおいて使用するためのトランスグルタミナーゼ基質 pH5にて、水中で、1.5モル等量の1−(3−ジメチルアミノプロピル)
−3−エチルカルボジイミド存在下で、化合物1,4,8,11−テトラアザシ
クロテトラデカン−1,4,8,11−テトラ酢酸のカルボン酸基を、5倍モル
過剰量の1,6−ジアミノヘキサンと反応させる。イオン交換クロマトグラフィ
ーにより、過剰な1,6−ジアミノヘキサン、1−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)エチル尿素、及び残存しているカルボジイミドを除去する(化合物IV)。 ガドリニウムイオンを上記化合物IVと錯体化させる。アポトーシスを伴った
症状を有する実験動物に、得られたキレートを注入する(上記のとおり)。アポ
トーシス細胞中のトランスグルタミナーゼは、前記キレートのグルタミン側鎖に
より前記キレートをタンパク質に共有結合させて、緩和度を著しく増大させ、ガ
ドリニウム錯体の組織からの流出を妨げるであろう。MRIにより動物のアポト
ーシス組織のイメージングを行う。
【0180】 例20 MRIにおいて使用するためのトランスグルタミナーゼ基質 pH5にて、水中で、N−ヒドロキシスクシンイミド及び1−(3−ジメチル
アミノプロピル)−3エチルカルボジイミドと反応させることによって、N−ヒ
ドロキシスクシニミド エステルとして、化合物、1,4,8,11−テトラア
ザシクロテトラデカン−1,4,8,11−テトラ酢酸のカルボン酸基を活性化
する(化合物V)。活性化されたカルボキシル基を、ペプチドGly−GlN−
Glyと反応させる(化合物VI)。
【0181】 ガドリニウムイオンを上記化合物VIと錯体化させる。アポトーシスを伴った
症状を有する実験動物に、得られたキレートを注入する(上記のとおり)。アポ
トーシス細胞中のトランスグルタミナーゼは、前記キレートのグルタミン側鎖に
より前記キレートをタンパク質に共有結合させて、緩和度を著しく増大させ、ガ
ドリニウム錯体の組織からの流出を妨げるであろう。MRIにより動物のアポト
ーシス組織のイメージングを行う。
【0182】 例21 MRIにおいて使用するためのカスパーゼ3基質 化合物Vの活性化されたカルボキシル基をエチレンジアミンと反応させる。過
剰なエチレンジアミンを除去した後、ペプチドAsp−Glu−Val−Asp
のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、前記化合物に添加する。最後に、
水素化により保護基を除去する(化合物VI)。 ガドリニウムイオンを上記化合物VIと錯体化させる。アポトーシスを伴った
症状を有する実験動物に、得られたキレートを注入する(上記のとおり)。アポ
トーシス細胞中のカスパーゼ3は、前記アミノエチル側鎖から酸性ペプチドを切
断させ、前記基質中ではほぼ中性であった電荷を、前記生成物では、ほぼ中性の
pHで強く正に帯電するように変化させる。これにより、殆どが負に帯電してい
る細胞内タンパク質と前記生成物との結合を促進する。これにより、緩和度が増
大し、ガドリニウム複合体の組織からの流出をも妨げる。MRIにより動物アポ
トーシス組織のイメージングを行う。
【0183】 例22 マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP−7)に対する基質である微小気
泡調製物 MMP−7の切断部位を含有するウンデカ−脂質−誘導体化ペプチドの調製 固相合成法により、ペプチドBzlGlu−BzlGlu−BzlGlu−A
la−Pro−Leu−Gly−Leu−Leu−Ala−Arg(「BzlG
lu」は、5−カルボキシル基がベンジルアルコールでエステル化されたグルタ
ミン酸である)を得る。N−ヒドロキシスクシンイミド及びジシクロヘキシルカ
ルボジイミドとの反応により、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとして、
カルボキシル末端を活性化する。活性化させたペプチドをジステアロイルホスフ
ァチジルエタノールアミンと反応させ、水素化分解によりベンジル保護基を除去
する。反応生成物を精製する(化合物A)。 ローターステ−ター混合による微小気泡分散系の調製 プロピレングリコールとグリセロールとの混合物(3:10、W/W)を5.
4%(W/W)含有する100mlの水に、化合物Aとジステアロイルホスファ
チジルコリンの混合物(モル比2:8)500mgを添加する。本混合物を振盪
し、80℃で、5分間加熱して室温になるまで冷やし、再び振盪して使用前まで
一晩静置する。得られた溶液50mlを、円錐首部を有する丸底フラスコに移す
。25℃に維持した水槽と連結した温度制御入口及び出口を有するガラスジャケ
ットを、前記フラスコに取り付ける。ローターステイター混合シャフトを溶液中
に入れ、ガス漏れを防ぐために、ガス含量調節及び圧力制御用の入口/出口接続
部を取り付けた、特別に設計した金属栓で、首部の壁と混合シャフトとの間の空
間を封止する。真空ポンプにガス出口を連結し、本溶液を一分間脱気する。次い
で、パーフルオロn−ブタンガス雰囲気をガス入口から入れる。
【0184】 隙間が液面の僅かに上になるように、ローターステイター混合シャフトを維持
しながら、23000rpmで10分間、本溶液をホモジェナイズする。白色で
クリーム状の分散液が得られ、これを密封可能な容器に移し、パーフルオロn−
ブタンを流した。次に、本分散液を分離漏斗に移し、12000rpmで30分
間遠心を行い、上部に存在する気泡のクリーム状の層と濁った下部浮遊層を得る
。該下部浮遊層を除去し、水に置換する。遠心を二回繰り返すが、今回は、12
000rpmで15分間行う。最後の遠心後、上清を10%(w/w)ショ糖と
置換する。得られた分散液を2mlずつ、凍結乾燥用に特に設計された10ml
の平底ガラス瓶に分注し、該ガラス瓶を−47℃まで冷やして、約48時間凍結
乾燥を行い、白色の綿毛状の固形物質を得る。ここで、前記ガラス瓶を真空チャ
ンバーに移し、真空ポンプにより空気を除去し、パーフルオロn−ブタンガスに
置換する。使用前に、水を添加し、数秒間、ガラス瓶を穏やかに手で振盪して、
超音波造影剤として適切な微小気泡分散液を得る。 特性決定 1−30μmの測定範囲を有する、50μmの孔を備えたCoulter C
ounter MarkII装置を用いて、前記微小気泡のサイズ分布及び体積
濃度を測定する。気体を飽和させた200mlの生理食塩水の中に、室温で、2
0μlの試料を希釈し、測定前に3分間平衡化を行う。
【0185】 de Jong, N. 及びHoff, L. により記載された「Ult
rasound scattering properties of Alb
unex microspheres」, Ultrasonics 31(3
), pp. 175−181 (1993)を若干改変した実験装置を用いて
超音波特性を調べる。この器具類は、造影剤の希釈懸濁液の2−8MHzの周波
数範囲における超音波減衰効力を測定するものである。減衰測定中、試料を90
秒間、120mmHgで過圧して圧力安定性試験を行う。典型的には、2−3μ
lの試料を55mlのIsotonIIで希釈し、分析前に、希釈試料懸濁液を
3分間攪拌する。主要な反応パラメーターとして、過圧を除去した後の3.5M
Hzでの回復減衰値(recovery attenuation value
)とともに、3.5MHzの減衰を使用する。 陽性電荷の酵素的生成 10mM CaClと150mM NaClとを含有する50mM トリス
−HCl緩衝液pH7.4中で、前記微小気泡懸濁液を10μgの組換えMMP
−7と共にインキュベートした。この酵素は、二個の隣り合うロイシンの近傍で
ペプチドを切断させ、全体の負電荷が2であるペプチドを遊離させ、全体の電荷
を正とする。全体の電荷が正となることによって、酵素による電荷の変化部位の
近くで、細胞表面又は細胞外マトリクスに前記微小気泡が結合できるようになる
【0186】 電気泳動セルを備え付けたMalvern Zetasizer 3000
HSのゼータ電位測定を用いて、分散液中に存在する微小気泡の電荷の変化をモ
ニターする。負に帯電したラテックススタンダード DTSO050を用いて本
装置を検査する。測定を行うために、100mlの0.01% NaCl溶液に
より、50μlの微小気泡懸濁液を希釈する。
【0187】 例23 マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP−7)に対する基質である微小気
泡調製物 MMP−7の分裂部位を含有するヘプタ脂質−誘導体化ペプチドの調製 固相合成により、ペプチド、Pro−Leu−Gly−Leu−Leu−Al
a−Argを合成する。N−ヒドロキシスクシンイミド及びジシクロへキシルカ
ルボジイミドとの反応により、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとして、
カルボキシル末端を活性化する。活性化ペプチドをジステアロイル−ホスファチ
ジルエタノールアミンと反応させる。最後に、誘導体化ペプチドを過剰量の1,
2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物と反応させる。該反応生成物を精製する
。次の工程は、上記の例と同様であり、最も不可欠な点は、ペプチド切断により
二個の負電荷が除去されて、生成物中に正味正電荷が残されるということである
【0188】 例24 アミノペプチダーゼAに対する基質である微小気泡調製物 アミノペプチダーゼAに対する脂質−誘導体化基質の調製 化学合成により、ペプチド、N−BzBzlGlu−Alaを合成する(「N
−BzBzlGlu」は、アミノ基がベンジルオキシカルボニル基で保護され、
5−カルボキシル基がベンジルアルコールでエステル化されているグルタミン酸
である)。N−ヒドロキシスクシンミド及びジシクロへキシルカルボジイミドと
反応させることにより、N−ヒドロキシスクシンイミド エステルとして、カル
ボキシル末端を活性化する。活性化されたペプチドを、ジステアロイル ホスフ
ァチジルエタノールアミンと反応させ、水素化分解により保護基を除去する。本
反応生成物を精製する(化合物B)。 ローターステ−ター混合による微小気泡分散物の調製 プロピレングリコールとグリセロールとの混合物(3:10、W/W)を5.
4%(W/W)含有する100mlの水に、化合物Bとジステアロイルホスファ
チジルグリセロールとジステアロイルホスファチジルコリンとのモル比1.5:
0.5:8の混合物500mgを添加する(全体として僅かな電荷が存在するこ
とによって、微小気泡が凝集するのを防ぐためにジステアロイルホスファチジル
グリセロールを添加する。)。微小気泡分散物を調製する残りの操作は上記と同
様である。 陽イオン電荷の酵素的生成 体積1の前記微小気泡懸濁液を、体積10の新鮮な血清とともにインキュベー
トする。アミノペプチダーゼAにより、N−末端のグルタミン酸が除去され、1
の正味正電荷が残る(アミノ末端)。この正味正電荷により、微小気泡が細胞表面
又は細胞外マトリックスに結合することが可能となる。
【0189】 電気泳動セルを取り付けたMalvem Zetasizer 3000 H
SのZ−電位測定を用いて、分散液中に存在する微小気泡の電荷の変化をモニタ
ーする。負に帯電したラテックススタンダードDTSO050を用いて本装置を
テストする。測定を行うために、血清とのインキュベーション液から一部を採取
する。妨害するタンパク質を除去するために、短時間の遠心によって前記微小気
泡を浮揚させ、同じ体積の0.01% NaCl溶液中に再懸濁する。500μ
lの微小気泡懸濁液を100mlの0.01% NaCl溶液で希釈する。
【0190】 例25 アテローム性動脈硬化プラークを画像化するためのゼラチナーゼ結合ペプチド。
MRI及びシンチグラフィーによるアテローム性動脈硬化プラークを画像化する
ための造影剤 ゼラチナーゼは、不安定なアテローム性動脈硬化プラーク中に発現されるメタ
ロプロテイナーゼである。ゼラチナーゼ阻害剤として、環状ペプチドであるCy
s−Thr−Thr−His−Trp−Gly−Phe−Thr−Leu−Cy
sが同定された(Koivunen等(1999)Nature Biotec
hnol.17,768−74)。
【0191】 固相技術により、該ペプチドを合成し、環状化させる。わずかにアルカリ性の
pHで、水中にて、約2.5モル当量の該ペプチドを、1当量のジエチレン−ト
リアミン−ペンタ酢酸(DTPA)のビス無水物と反応させる(化合物C)。
【0192】 ガドリニウムイオンを化合物Cと錯体化させる。得られたキレートを、実験的
にアテローム性動脈硬化症を発生させた実験動物(例えば、コレステロールを摂
取させたウサギ、又は幾つかの系統のトランスジェニックマウスのうちの何れか
)に注入する。ペプチド−キレートはアテローム性動脈硬化のプラーク中のゼラ
チナーゼと結合し、MRIによって、これを画像化し得るであろう。
【0193】 99mTcイオンを上記化合物Cと錯体化させる。得られたキレートを、実験
的にアテローム性動脈硬化症を発生させた実験動物(例えば、コレステロールを
摂取させたウサギ、又は幾つかの系統のトランスジェニックマウスのうちの何れ
か)に注入する。ペプチド−キレートはアテローム性動脈硬化のプラーク中のゼ
ラチナーゼと結合し、MRIによって、これを画像化し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、酵素の影響下での造影剤基質の造影剤生成物への転換を模式的に示し
た説明図である。
【図2】 図2は、酵素の影響下での造影剤基質の造影剤生成物への転換を模式的に示し
た説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 トレスハウグ、ヘルゲ ノルウェー国、エヌ−0401 オスロ、ニイ ダレン、ピー・オー・ボックス 4220、ニ イコベイエン 1−2、アマシャム・ヘル ス・エーエス内 (72)発明者 クスバートソン、アラン ノルウェー国、エヌ−0401 オスロ、ニイ ダレン、ピー・オー・ボックス 4220、ニ イコベイエン 1−2、アマシャム・ヘル ス・エーエス内 (72)発明者 クルセス、アン・マリ ノルウェー国、エヌ−0401 オスロ、ニイ ダレン、ピー・オー・ボックス 4220、ニ イコベイエン 1−2、アマシャム・ヘル ス・エーエス内 Fターム(参考) 4C085 HH03 HH05 HH07 HH09 JJ03 KA28 KA29 KA30 KB07 KB09 KB12 KB56 KB82 LL01 LL13 LL18 LL20

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素活性の影響に応じて、薬力学的及び/又は薬物動態学的
    特性が変化し得る造影剤基質。
  2. 【請求項2】 前記特性の変化が前記造影剤基質から造影剤生成物への変化
    を含む、請求項1に記載の造影剤基質。
  3. 【請求項3】 前記造影剤基質から造影剤生成物への前記変化が化学的改変
    を含む、請求項1または2に記載の造影剤基質。
  4. 【請求項4】 酵素活性を検出するための請求項1から3に記載の造影剤基
    質であって、特異的な酵素変換による前記造影剤基質から造影剤生成物への化学
    的改変に際して、前記造影剤基質が薬力学的特性及び/又は薬物動態学的特性を
    変化させることを特徴とする造影剤基質。
  5. 【請求項5】 異常な酵素活性の疾病領域を検出するための、請求項1から
    4に記載の造影剤基質。
  6. 【請求項6】 異常な代謝活性を有する組織又は細胞を検出するための、請
    求項1から5に記載の造影剤基質。
  7. 【請求項7】 癌、心血管疾患、中枢神経系疾患、炎症、又は感染症を同定
    及び/又は診断するための、請求項1から6のいずれかに記載の造影剤基質。
  8. 【請求項8】 前記造影剤基質が、MRI造影剤、放射性医薬造影剤、超音
    波造影剤、光学画像化造影剤、又はX線造影剤である、請求項1から7のいずれ
    かに記載の造影剤基質。
  9. 【請求項9】 前記造影剤基質がMRI又は放射性医薬造影剤である、請求
    項1から7のいずれかに記載の造影剤基質。
  10. 【請求項10】 前記造影剤基質がMRI造影剤である、請求項1から7の
    いずれかに記載の造影剤基質。
  11. 【請求項11】 前記造影剤基質が、酵素基質に結合した造影活性要素を含
    み、必要に応じて、前記造影活性要素と前記基質がスペーサーによって連結され
    ることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の造影剤基質。
  12. 【請求項12】 前記造影剤基質がターゲティングベクターをさらに含む、
    請求項11に記載の造影剤基質。
  13. 【請求項13】 請求項11及び12に記載の造影剤基質であって、前記酵
    素基質が、 a)前記酵素によって処理され、 b)前記ターゲティングベクターに付着した前記造影活性要素を遊離し、 前記造影活性要素に付着された前記ターゲティングベクターが前記疾病領域内
    又は周囲のターゲット/レセプターに結合し、それによって前記造影活性要素の
    結合を増強する造影剤基質。
  14. 【請求項14】 前記造影剤基質が、酵素変換に際して、生物学的表面に対
    する結合特性を変化させることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記
    載の造影剤基質。
  15. 【請求項15】 前記造影剤基質が、酵素変換に際して、生体膜の透過速度
    の変化、及び/又は輸送タンパク質に対する膜の透過性及び/又は親和性の変化
    をもたらすことを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の造影剤基質
  16. 【請求項16】 請求項1から15のいずれかに記載の造影剤基質であって
    、前記造影剤基質を造影剤生成物に改変する前記酵素変換が、1以上の以下の酵
    素;シクロオキシゲナーゼ、ファルネシル転移酵素、マトリックスメタロプロテ
    イナーゼ、トポイソメラーゼ、テロメラーゼ、アンギオテンシン変換酵素(AC
    E)、ヒドロキシメチルグルタリル−CoA還元酵素、内皮型構成的一酸化窒素
    合成酵素、誘導性一酸化窒素合成酵素、一酸化窒素合成酵素、エンドセリン変換
    酵素、タンパク質セリン−スレオニンキナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ
    、トロンビン、プラスミン、プラスミノゲンアクチベーター、及びリポタンパク
    質リパーゼ、タンパク質キナーゼ、モノアミン酸化酵素、ミエリン塩基性タンパ
    ク質キナーゼ、グルタミン酸トランスロカーゼ、チロシン3−モノオキシゲナー
    ゼ、加水分解酵素、マトリックスプロテアーゼ、及びカルパイン、コラゲナーゼ
    、RNAレプリカーゼ、エンドペプチダーゼ、DNAヘリカーゼ、ウイルスノイ
    ラミニダーゼ、[HIV]逆転写酵素、ウイルスインテグラーゼ及びプロテアー
    ゼ、β−ラクタマーゼ、セリンエンドペプチダーゼ、ムラミダーゼ、1,3−β
    −グルカン合成酵素、カルシニュリン、キチン合成酵素、グリシルペプチド−N
    −ミリストイル転位酵素、ホスファターゼ、エステラーゼ、又はグルコシダーゼ
    を含むことを特徴とする造影剤基質。
  17. 【請求項17】 請求項1から15のいずれかに記載の造影剤基質であっ
    て、前記造影剤基質を造影剤生成物に改変する前記酵素変換が1以上の以下の酵
    素;シクロオキシゲナーゼ、ファルネシル転移酵素、マトリックスメタロプロテ
    イナーゼ、トポイソメラーゼ、テロメラーゼを含むことを特徴とする造影剤基質
  18. 【請求項18】 異常な酵素活性の疾病領域を検出するための、請求項1
    から16のいずれかに記載の造影剤基質の使用。
  19. 【請求項19】 異常な酵素活性の疾病領域を検出する医薬を製造するた
    めの、請求項1から17のいずれかに記載の造影剤基質の使用。
  20. 【請求項20】 異常な酵素活性を検出する方法であって、造影剤基質を
    ヒト又は動物の体に投与し、酵素活性の影響に応じて前記造影剤が薬力学的及び
    /又は薬物動態学的特性を変化させる結果、造影剤シグナルを検出することを特
    徴とする方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007512302A (ja) * 2003-11-26 2007-05-17 ジーイー・ヘルスケア・リミテッド カスパーゼ−3阻害剤を含む新規な造影剤
JP2012522549A (ja) * 2009-04-02 2012-09-27 ジーイー・ヘルスケア・リミテッド 炎症又は感染の検出のための過分極13cピルビン酸塩を含む磁気共鳴造影媒体の使用
JP2013180959A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Kanazawa Univ 分子イメージングにより代謝機能を測定するための検査薬

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