JP2003531177A - マダニセメントタンパク質を含むワクチン - Google Patents

マダニセメントタンパク質を含むワクチン

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、吸血外寄生生物の咬傷、ならびにウイルス、細菌、および外寄生生物による他の病原体の伝染から、動物を保護するためのワクチンの産生におけるマダニセメントタンパク質の利用に関する。本発明に従って、薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて、免疫原性ダニセメントタンパク質、そのフラグメント、またはその機能的等価物を含むワクチン組成物が提供される。本発明のマダニセメントタンパク質がワクチン成分として用いられる場合、外寄生生物の様々な種に対する広範な交差反応性が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、吸血外寄生生物の咬傷に対して、ならびにウイルス、細菌およびこ
のような外寄生生物による他の病原因子の伝播に対して動物を防御するためのワ
クチンの生成におけるダニセメントタンパク質(tick cement pr
otein)の使用に関する。
【0002】 吸血外寄生生物(例えば、蚊およびダニ)は、疾患の伝達者として非常に有効
である。例えば、ダニ種であるR.appendiculatusは、致死的な
東海岸熱を通常引き起こす原虫寄生生物であるTheileria parva
を伝播して、いくつかのサハラ周辺の地域で家畜の成育に対して主な障害を示す
。この疾患はしばしば、ウシの最も重要な疾患であると考えられる(Norva
lら、1992a;Norvalら、1992b)。このダニはまた、ナイロビ
病(ヒツジおよびヤギを無力化し、そしてしばしば致死的な疾患である)を生じ
るウイルスの主要なベクターである(Davies、1988)。さらに、R.
appendiculatusおよび他のダニ害虫はまた、動物の皮膚にかなり
の傷害を生じ、これによって皮革産業に悪影響を及ぼす。
【0003】 慣習的に、ダニ集団をコントロールするための技術は、ダニ駆除薬(acar
acide)のような化学物質による動物の処置を用いてきた。このストラテジ
ーは、耐性ダニの発生を生じる。すなわち、新しいクラスの化学物質が導入され
なければならない。さらに、化学物質は、残留効果が乏しく、すなわち、頻繁に
適用しなければならない。第二のアプローチは、ダニ耐性の動物を産むことであ
るが、生じる耐性の程度は理想とはかけ離れている。
【0004】 寄生生物伝達疾患と戦う労力において、ダニ全体またはダニの腸の抽出物を用
いて、ダニに対して動物を免疫するために多数の試みがなされてきた。ある報告
では、組み換えダニタンパク質を用いていた(例えば、国際特許出願 WO88
/03929を参照のこと)。しかし、このような開発にかかわらず、市販され
ている唯一のダニワクチンは、B.microplusダニの成体段階に対して
しか活性でなく、そしてこの種の地理学的位置に依存して有効性の変化が見られ
る。
【0005】 ワクチン接種された動物の集団全体にわたって、またはそれらの動物の生活サ
イクルのあらゆる段階の寄生生物体に対して耐性を提供するワクチンはまだ開発
されていない。従って、吸血外寄生生物によって伝達される疾患と戦うための有
効なワクチンの必要性は大きい。驚くべきことに、ダニセメントタンパク質はワ
クチン成分として有用であることが、この度発見された。
【0006】 (発明の要旨) 本発明に従って、薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて、免疫原性ダニセ
メントタンパク質、そのフラグメント、またはその機能的等価物を含むワクチン
組成物が提供される。このようなワクチンを用いた動物の免疫は、広範な種々の
外寄生生物種に対して有効である抗体の生成を生じることが本明細書において示
されている。
【0007】 世界の様々な地方に多数の外寄生生物種が存在するが、それらの頻度は、熱帯
および亜熱帯に集中される傾向である。そこでは、外寄生生物種およびそれによ
って運ばれる疾患は固有である。これらの種は、タイプが非常に様々であり、そ
して広く異なる摂食戦略に適合し、ヒルおよびダニにいたるまで、一過性の摂食
者(例えば、蚊、アブ(ウマバエ)、ツェツェバエ、ノミ、シラミおよびダニ(
mite))にわたり、そのいくつかは長期間摂食する。これらの外寄生生物の
全てが、本発明のワクチンの適切な標的である。
【0008】 本発明のワクチンは、ダニ種に対して特に有効である。このような標的された
ダニ種の例は、以下:
【0009】
【化1】 である。
【0010】 上記の外寄生生物の全ての間で共通のものは、それらの寄生生物が血液、リン
パを摂取するか、またはそれらが宿主皮膚産物上で摂食する、すなわち、その宿
主に存在する任意の抗体がその外寄生生物内に自動的に内在化されるということ
のいずれかである。これによって抗体の投与の有利でかつ自動的な経路が提供さ
れる。そして抗体が外寄生生物のタンパク質に対して反応性であれば、このこと
は、十分組織化された免疫レジメンが、意図される領域内で寄生生物の完全な根
絶を生じ得ることを意味する。血液を摂食する外寄生生物は、本発明のワクチン
の特に好ましい標的である。
【0011】 本発明は、多数の異なるダニセメントタンパク質を発見した。そして多くの場
合、そのコード遺伝子をクローニングした。例えば、国際特許出願PCT/GB
98/03397(その内容は本明細書において参考として援用されている)は
、多数の組織セメントタンパク質の単離を記載しており、そして皮膚手術および
創傷治癒における使用のための組織セメントの成分としての医薬におけるそのタ
ンパク質の使用、ならびにお互いに対するまたは他の生体物質に対するヒトまた
は動物組織の一過性または永続的な結合について考察している。
【0012】 マダニ(硬性)ダニは、ダニ唾液腺のII型腺房およびIII型腺房に起源す
る、「セメント円錐体(セメントコーン)(cement cone)」によっ
て、自分自体を脊椎動物宿主に付着させる吸血性寄生生物である(Kempら、
1982;Walkerら、1985)。
【0013】 円錐(コーン)(cone)を形成するセメントは、乳白色の分泌物であり、
これはこれらの寄生生物が摂食する動物の皮膚中に注入される。このセメントは
多数の相互作用するタンパク質および炭水化物成分を含む。このセメントは咬傷
部位に広がり、そして皮膚にまたがり、そして硬化の際、口器が摂食期間(これ
は代表的には4〜8日続く)の間、宿主に固く固定されたままであることを確実
にする。このセメント円錐(セメントコーン)は、さらにガスケットとして機能
して、摂食の間、咬傷部位からの液体の漏出を防ぐ。
【0014】 マダニのセメント円錐は、2つの主要な型のセメントからなる、層状構造であ
る。セメントの第1の型は、咬傷部位の樹立のほんの数分後に生成され、そして
迅速に固化して、円錐の剛性の「コア」を形成する。セメントの第2の型は、後
に(付着の約24時間後)分泌され、そしてよりゆっくりと固化して、より可撓
性の「皮質」を形成する。成虫のマダニにおいて、セメントの生成は、代表的に
、付着の3日後または4日後まで継続する(Kempら、1982;Sonne
nshineら、1991)。
【0015】 マダニセメントの組成は、異なるマダニ(Ixodid)のマダニ種の間で類
似するようである。例えば、ブラウンイヤーマダニ(brown ear ti
ck)(Rhipicephalus appendiculatus)の90
kDの唾液タンパク質に対して惹起される抗血清は、唾液腺由来のポリペプチド
、ならびにアメリカイヌカクマダニ(American dog tick)(
Dermacenter variabilis)、ローンスターマダニ(lo
ne star tick)(Amblyomma americanum)、
およびクリイロコイタマダニ(brown dog tick)(R.sang
uineus)のセメントタンパク質を認識することが示された(Jawors
kiら、1992)。
【0016】 精製されていないセメント成分は、宿主耐性の誘発因子として以前に試験され
た(Brownら、1986;Shapiroら、1989)が、これらのタン
パク質に基づく信頼性のあるワクチンは、開発されていない。ある意味では、こ
のことは驚くことではない。なぜなら、配列の関係は、最もありそうには宿主の
天然の免疫防御機構による皮膚のマダニの付着に対する拒絶を回避する目的で、
セメントタンパク質が宿主の皮膚タンパク質に類似して設計されたことを示すか
らである。特定のマダニタンパク質の、それらの周囲の組織との組成的類似はま
た、セメント円錐と周囲の皮膚組織との間の密接な結合を容易にし得る。
【0017】 本発明のワクチンへの組み込みに適切なマダニセメントタンパク質は、任意の
適切なマダニ種(例えば、Rhipicephalus appendicul
atus、I.ricinus、Dermacenter reticulat
us、Dermacenter variabilis、Amblyomma
americanum、Rhipicephalus sanguineus、
Amblyomma variegatum、Boophilus micro
plus、およびHaemaphysalis leachii種)由来であり
得る。好ましい実施形態において、マダニセメントタンパク質は、マダニR.a
ppendiculatus由来である。
【0018】 本発明のワクチンへの含有に特に適したマダニセメントタンパク質の例は、本
明細書中およびまた特許出願PCT/GB98/03397に与えられる。これ
らのセメントタンパク質としては、クローン21、クローン33、CemA、ク
ローン24、クローン68、クローン64、およびクローンIと称されるタンパ
ク質が挙げられる。これらのタンパク質の推定アミノ酸配列を、本明細書中の図
1に同定する。
【0019】 好ましくは、本発明のワクチン組成物において使用されるマダニセメントタン
パク質、そのフラグメントまたはその機能的等価物は、免疫原性セメントタンパ
ク質、フラグメントまたは機能的等価物が由来するマダニ種以外の吸血性(bl
ood−feeding)外寄生生物種の1つ以上の定向進化タンパク質に存在
する、免疫原性エピトープを含むべきである。このことは、単一のワクチン組成
物が、共通のエピトープを含むタンパク質を産生する外寄生生物種の全てに対す
る広範なスペクトルのワクチンとして有効であり得ることを意味する。例えば、
特定の地域においては、多数の異なるマダニ種が地方病性であり、そして農産業
に対して重大なペストの問題を引き起こす。多数の異なるマダニ種に対して有効
な単一のワクチンのアベイラビリティは、そのワクチンを投与する費用を削減し
、従って、現在利用可能なワクチンより有利である。
【0020】 従って、本発明のこの局面のワクチンは、特に有利である。なぜなら、炎症応
答が刺激され、これは、ワクチン接種された動物の免疫状態をブーストし、そし
てさらに、隠蔽された抗原を標的化し、これによってマダニ自体の損傷を生じる
からである。
【0021】 特定のマダニセメントタンパク質、およびこれらのタンパク質のフラグメント
は、本発明の1つの局面に従って、外寄生生物種の腸および血液リンパに存在す
るタンパク質にもまた存在するエピトープを含むことが発見された。この交差反
応性は、本発明のこの実施形態のワクチンを特に有利にする。なぜなら、血液、
および従って宿主抗体の、外寄生生物への摂取は、この寄生生物への活性薬剤の
送達を保証するからである。この様式で、本発明のワクチンは、一時的に食餌す
る種(例えば、カおよびウマバエ)を、それらの宿主に十分な時間付着したまま
である種(例えば、マダニ)と同程度に効率的に標的化する。
【0022】 本発明によるワクチンへの含有に特に適切なタンパク質は、例えば、R.ap
pendiculatus以外の種から単離された、クローン64タンパク質(
本明細書中以下において64P)、そのフラグメント、またはその機能的等価物
である。このタンパク質は、構造的タンパク質に代表的な配列を有し、そしてマ
ダニの唾液中に分泌されるようである。このセメントタンパク質の最初の40ア
ミノ酸を含む配列は、非常にコラーゲン様であり、一方でこの配列の残りの部分
は、ケラチンに類似する。このタンパク質の配列に対して実施された相同性検索
は、Genbankデータベース(http://www.ncbi.nlm.
nih.gov)において検索された全ての配列に対する相同性の最高のレベル
が、マウス表皮ケラチンサブユニットIに対する51%であったことを明らかに
する。
【0023】 このタンパク質はグリシンリッチであり、そしてDrosophila me
lanogaster(クチクラタンパク質)および他の昆虫卵殻由来の構造的
タンパク質、ならびに脊椎動物サイトケラチン(哺乳動物ケラチン複合体2基本
タンパク質、マウスケラチン、ヒトケラチン、コラーゲンIVα型、およびIP
IB2前駆体が挙げられる)に類似のモチーフ(C/S)1−4(Y/F)のい
くつかの反復を含む。
【0024】 本発明の1つの実施形態において、マダニタンパク質の機能的等価物は、ワク
チン組成物に含まれ得る。用語「機能的等価物」とは、本明細書中において、ク
ローン21、クローン33、CemA、クローン24、クローン68、クローン
64、およびクローンIと称されるセメントタンパク質に類似の機能を有するタ
ンパク質を記載するために使用される。機能的に等価なタンパク質は、これらの
タンパク質と同じタンパク質ファミリーに属し得る。タンパク質ファミリーとは
、共通の機能を共有し、そしてポリペプチド配列に存在するモチーフ間で共通の
配列相同性を示す、ポリペプチドの群を意味する。
【0025】 「配列相同性」とは、ポリペプチド配列が共通の祖先からの発散によって関連
することを意味する。特に、本明細書中において同定されるタンパク質および部
分タンパク質はこのタンパク質の配列にわたって数回反復される特定の配列を、
共通して有する。好ましくは、同じタンパク質ファミリーにおけるポリペプチド
配列間の相同性は、このタンパク質のアミノ酸配列全体にわたって少なくとも3
0%である。より好ましくは、相同性は、このタンパク質のアミノ酸配列全体に
わたって、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%であ
る。なおより好ましくは、相同性は、このタンパク質配列全体にわたって、80
%より大きく、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99
%である。
【0026】 「類似の機能」とは、第1に、少なくとも他のセメントタンパク質と共に存在
する場合に、タンパク質がセメントを形成する能力を維持していることを意味す
る。従って、他の必要なセメント構築物と組み合わせると、このようなタンパク
質は、経時的に硬化して、固体の塊または接着剤を形成し得る。第2に、この用
語は、セメントタンパク質に構造的に類似しており、従って類似かまたは同一の
エピトープを含む、タンパク質をいい得る。
【0027】 組織セメントタンパク質の機能的等価物は、野生型配列からのアミノ酸の置換
、挿入、または欠失を含む(但し、免疫原性は維持される)、変異を含む。野生
型タンパク質配列の免疫原性から改善された免疫原性を有する機能的等価物はま
た、タンパク質配列における特定の残基の合成または指向された変異を介して設
計され得る。
【0028】 機能的等価物としては、タンパク質の機能または活性に不利な様式で影響を及
ぼさない、保存的アミノ酸置換を含むタンパク質が挙げられる。この用語はまた
、天然の生物学的改変体(例えば、組織セメントタンパク質が由来する種におけ
る対立遺伝子改変体または地理的な改変体)を含むことが意図される。
【0029】 本発明によれば、マダニセメントタンパク質のフラグメントもまた、ワクチン
組成物への含有に適した成分として意図される。例えば、マダニセメントタンパ
ク質の免疫原性部分由来のペプチドの短い伸長は、免疫原として特に有用であり
得る。このようなポリペプチド配列の短い伸長は、合成的にかまたは組換え手段
を介してかのいずれかで、多量に産生することが簡単である。タンパク質フラグ
メントは、多くの例において、本発明のワクチンにおける使用に適切であり得る
。なぜなら、これらのフラグメントは、全長野生型配列によって採用されないコ
ンホメーションに折り畳まれるようであるからである。いくらかのセメントタン
パク質は、宿主の皮膚の組織に類似するように、従ってマダニに対する宿主の免
疫応答を誘発することを回避するように、進化したようであるので、このような
マダニセメントタンパク質の非天然の形態は、本発明のワクチンにおいて特に有
用であるようである。
【0030】 本発明のワクチン組成物における封入のために有用なマダニセメントタンパク
質のフラグメントの例としては、本発明者らによって組換え産生された64Pタ
ンパク質の種々のフラグメント、およびこれらのフラグメントの機能的等価物(
例えば、上に議論される種類の密接なホモログおよび変異体)が挙げられる。当
業者に明らかなように、本明細書中に明確に開示されるタンパク質に類似のフラ
グメントは、マダニ種R.appendiculatus以外の外寄生生物種か
ら調製され得る。
【0031】 本明細書中に記載されるR.appendiculatusフラグメントの詳
細は、以下の通りである。
【0032】 64trp1と呼ばれるフラグメントは、約30kDaの分子量を有するグル
タチオン−s−タランスフェラーゼ(GST)/ヒスチジンタグ融合タンパク質
としてクローン化される29アミノ酸からなる64Pタンパク質の小さなC末端
フラグメントである。
【0033】 64trp2と呼ばれるフラグメントとは、約33kDaの分子量を有するグ
ルタチオン−s−タランスフェラーゼ(GST)/ヒスチジンタグ融合タンパク
質としてクローン化される51アミノ酸からなる64Pタンパク質の小さなN末
端フラグメントをいう。
【0034】 64trp3と呼ばれるフラグメントとは、約36kDaの分子量を有するグ
ルタチオン−s−タランスフェラーゼ(GST)/ヒスチジンタグ融合タンパク
質としてクローン化される70アミノ酸からなる64Pタンパク質のより大きな
N末端フラグメントをいう。
【0035】 64trp6と呼ばれるフラグメントとは、グルタチオン−s−タランスフェ
ラーゼ(GST)/ヒスチジンタグ融合タンパク質としてクローン化される13
3アミノ酸からなる64Pタンパク質の全長クローンをいう。このフラグメント
は、約42kDaの分子量を有する。
【0036】 64trp4と呼ばれるフラグメントとは、約35kDaの分子量を有するグ
ルタチオン−s−タランスフェラーゼ(GST)/ヒスチジンタグ融合タンパク
質としてクローン化される63アミノ酸からなる64Pタンパク質のC末端フラ
グメントをいう。
【0037】 64trp5と呼ばれるフラグメントとは、GST融合タンパク質(すなわち
、ヒスチジンタグを欠く)としてクローン化される133アミノ酸からなる64
Pタンパク質の全長クローンをいう。このタンパク質は、41kDaの分子量を
有する。
【0038】 これらのタンパク質フラグメント、およその機能的等価物は、本発明のワクチ
ンに組み込むために特に好ましい成分である。これらのフラグメントは、可溶性
タンパク質として発現され得るか、あるいは、封入体において発現され得、そし
て変性条件下で精製され得る。例えば、R.appendiculatusから
単離されるような構築物64trp6は、封入体において発現される変性タンパ
ク質として調製されており、この形態で免疫原性であることが実証されている。
【0039】 これらのタンパク質フラグメントを用いる免疫化、続く外寄生生物の付着は、
付着部位での炎症を生じ、続いて、外寄生生物の死を生じる。当業者は、異種G
STおよびHIS tag配列の存在が、純粋にタンパク質産生の便宜のためで
あることを理解する。これらの配列のストレッチ(stretch)は、本発明
のこの局面に対して必須であるとは考えられない。
【0040】 便利には、本発明に従うワクチンは、組換え形態で発現される、マダニセメン
トタンパク質、そのフラグメントまたはその機能的等価体を含む。組換え的に発
現されるタンパク質は、産生が安価であり、遺伝子工学の現在の標準技術を使用
して、遺伝子配列の単純な操作により所望のタンパク質産物を与えることを可能
にする。
【0041】 本発明のワクチンが、外寄生生物の成体形態および未熟形態の両方に対して効
果的であることが好ましい。用語「未熟」とは、外寄生生物の若虫形態および幼
虫形態の両方を含むことを意味する。これは、外寄生生物集団全体がワクチンを
使用して標的化され得、外寄生生物根絶の効率を増加することを意味する。
【0042】 ワクチンは、外寄生生物の成体形態または未熟形態を特異的に標的化し得るが
、好ましくは、ライフサイクルの全ての寄生的段階を標的化する。従って、本明
細書中に具体的に例示されるフラグメントのうち、マダニの種類およびこれらの
フラグメントに依存して、マダニ若虫または成体マダニあるいは若虫および成体
の両方において有意な死亡率をもたらす、64trp2−、64trp3−、6
4trp5−、および64trp6−免疫動物は、特に好ましい。64trp2
+64trp6のカクテルは、マダニ外寄生生物の成体形態および未熟形態の両
方に対して効果的であった;従って、組み合わせて使用される特定のフラグメン
トは、本発明に従ってワクチンに封入するために特に好ましい。
【0043】 本発明のさらなる実施形態に従って、2つ以上のマダニセメントタンパク質、
フラグメント、または機能的等価体、を必要に応じてアジュバントと組み合わせ
て含む、カクテルワクチンが提供される。任意の2つの免疫原性マダニセメント
タンパク質、タンパク質フラグメントまたは機能的等価体は、カクテルワクチン
のような成分として使用され得、そして異なるかマダニ種由来かまたは同じマダ
ニ種由来であり得る。例えば、1つより多くの外寄生生物を特異的に標的化する
か、または同じ外寄生生物由来の異なるタンパク質を標的化するワクチンを作製
することが望ましくあり得る。この様式において、より広い種の範囲を有するよ
り効率的なワクチンを作製することが可能であり得る。成分の特に好ましい組み
合わせとしては、64trp2、64trp3、64trp5、および64tr
p6の組み合わせ、64trp2および64trp6の組み合わせ、ならびに6
4trp3および64trp6の組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせ
は、成体マダニおよび未熟マダニの両方を標的化する際、および交差種耐性を与
える際に特定の効力を有することが本明細書中において実証される。
【0044】 本発明に従うワクチン組成物はまた、さらなる因子(例えば、外寄生生物が、
病原体伝達を促進するために使用する分子(例えば、インターフェロン調節因子
、補体インヒビター、ケモカイン調節因子および免疫グロブリン結合タンパク質
))を含み得る。このように、外寄生生物の唾液腺から放出される他の生物活性
な分子は、宿主免疫系によって外来として認識され得、免疫応答が生じ得る。
【0045】 本発明のさらなる局面は、別の分子(例えば、標識、毒素または他の生物活性
分子または免疫原性分子)に融合されたマダニセメントタンパク質を含むワクチ
ンを含む。融合のための特に適切な候補は、グルタチオン−s−トランスフェラ
ーゼまたはヒスチジンタグのような分子であり得るが、ルシフェラーゼ、緑色蛍
光タンパク質または西洋ワサビペルオキシダーゼがまた適切であり得る。ストレ
プトアビジンまたはビオチンのようなリンカー分子もまた、例えば、セメントタ
ンパク質の精製を促進するために使用され得る。
【0046】 融合タンパク質は、化学的架橋のような方法を使用して化学的に作製され得る
。このような方法は、当業者に周知であり、例えば、システイン残基のチオール
基の架橋を含み得る。化学的架橋は、ほとんどの場合、組織セメントタンパク質
を非タンパク質分子(例えば、標識)に融合するために使用される。
【0047】 組織セメントタンパク質を別のタンパク質分子に融合することが望ましい場合
、選択方法は、一般的に、分子を遺伝的に融合することである。組換え融合タン
パク質を産生するために、目的のタンパク質またはタンパク質フラグメントをコ
ードする遺伝子または遺伝子部分は、2つの遺伝子配列がインフレームで転写さ
れるように配置された1つの連続した遺伝子を形成するように、操作される。
【0048】 特定の抗原をコードする裸のプラスミドDNAを用いる免疫化は、最近、哺乳
動物の免疫系に抗原を提示し、強力な体液性免疫応答および細胞免疫応答を生じ
る有効な方法として認識されている(Ulmerら、Science、1993
、259、1745〜1749)。この技術(DNAワクチン化(vaccin
ation)とも呼ばれる)は、以下のウイルス、寄生虫、および細菌由来の数
種のタンパク質に対して指向される抗体を産生するために首尾良く適用されてい
る:ウイルス(Ulmerら、loc cit.;Coxら、J.Virol.
1993、67、5664−5667;Fynanら、Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 1993、90、11478−11482;Robi
nsonら、Vaccine 1993、11、957−960;Wangら、
1993、DNA、Cell Biol.1993、12、799−805;D
avisら、Hum.Mol.Genet.1993、2、1847−1851
;Xiangら、Virology 1994、199、132−140;Xi
angら、Virology 1995、209、569−579;およびJu
stewiczら、J.Virol.1995、69、7712−7717);
寄生虫(Sedegahら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
1994、91、9866−9870;Morら、J.Immunol.199
5、155、2039−2046;およびYangら、Biochem.Bio
ph.Res.Comm.1995、212、1029−1039)、ならびに
細菌(Andersonら、Infect.Immun.1996、64、31
68−3173)。いくつかの場合において、有意な保護応答は、宿主によって
惹起される。これらのDNAワクチンは、連続的に、免疫応答を刺激し、免疫を
増幅し、これにより、追加免疫注入を必要としないので、産生および送達の費用
が抑えられる。
【0049】 利用可能な証拠に基づいて、ウイルスマダニセメントタンパク質をコードする
プラスミドDNAを用いる刺激は、それらの抗マダニワクチン効果をさらに改善
するための有用な技術であるようである。この方法は、真核生物発現ベクターを
含む宿主の直接的な注入を包含し、1種以上のセメントタンパク質は、ワクチン
化した宿主(ヒト、家畜、または他の動物)内の対応する配列のインビボ転写、
続く翻訳により発現される。
【0050】 本発明の上記の局面のいずれか一つのワクチンは、さらにアジュバンドを含み
得る。本発明に従う免疫原性タンパク質の効果を増強するための適切なアジュバ
ンドとしては、例えば、(a)PCT公開番号WO90/14837に記載され
る処方物のような、水中油エマルジョン処方物(必要に応じて、ムラミルペプチ
ドまたは細菌の細胞壁の成分のような他の特定の免疫刺激因子を含む)が挙げら
れるが、これらに限定されない。他の適切なアジュバンドは、当該分野で公知で
あり、Saponinアジュバンド(例えば、StimulonTM(Camb
ridge Bioscience、Worcester、MA))、ISA
Montanide 50、サイトカイン(例えば、インターロイキン、インタ
ーフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)または腫瘍壊死因
子(TNF))を含む。
【0051】 本発明にさらなる実施形態に従って、マダニセメントタンパク質と反応性であ
るモノクローナル抗体を提供する。「反応性(の)」とは、少なくとも10−8 M、好ましくは、少なくとも10−9M、より好ましくは、少なくとも10−1 Mの親和性で、抗体が1以上のマダニエピトープと結合することを意味する。
本発明のこの局面の好ましい実施形態に従って、抗体または抗血清は、具体的に
上に記載されている、セメントタンパク質、フラグメント、または機能的等価物
の任意の1以上に対して反応性である。本発明のこの局面は、抗体または抗血清
を産生する方法を含み、この方法は、本発明の上記の局面のいずれか1つに列挙
されるような、マダニセメントタンパク質、そのフラグメント、またはその機能
的等価物を用いて動物を刺激する工程を包含する。
【0052】 本発明のなおさらなる局面に従って、ワクチン組成物の処方のためのプロセス
を提供し、このプロセスは、マダニタンパク質、そのフラグメント、またはその
機能的等価物を、必要に応じてアジュバンドと共に薬学的キャリアと会合させる
工程を包含する。
【0053】 本発明のなおさらなる局面に従って、外寄生生物伝達疾患、または血液供給外
寄生生物に対して哺乳動物を免疫化する方法を提供し、この方法は、本発明の上
記の局面のいずれか1つに従うワクチンを動物に投与する工程を包含する。
【0054】 本発明はまた、マダニセメントタンパク質、そのフラグメント、またはその機
能的等価物を、ワクチンの使用のために提供する。本発明は、ワクチンの成分と
して、マダニセメントタンパク質の使用をさらに提供する。
【0055】 ここで、本発明の種々の局面および実施形態を、特に、マダニから単離された
マダニセメントタンパク質、そして特に、Rhipicephalus app
endiculatusから単離されたマダニセメントタンパク質に関して、例
示によってより詳細に記載している。細部の改変は、本発明の範囲から逸脱する
ことなく達成され得ることが、理解される。
【0056】 (実施例) (実施例1:細菌中での短縮セメントタンパク質(64TRP)の発現) バキュロウイルス系での64Pの全長クローンを発現するための試みが失敗し
たので、Escherichia coli細菌細胞中での64Pの短縮バージ
ョンの発現のために、いくつかの戦略を研究した。
【0057】 E.coli AD494細胞(Novagen)中でのこのタンパク質の発
現のために、pET23a(+)(Novagen)およびpGEX−2T(P
hamarcia)原核生物発現ベクター中にセメントタンパク質(シグナル配
列を含まない、すなわち144アミノ酸長)(64Pと名付ける)の全コード領
域を挿入するための、いくつかの失敗した試みがなされた。この構築物の構造が
、細菌細胞に対して毒性であり得ると結論付けられた。
【0058】 従って、N末端領域で開始する、64Pクローンの短縮領域の連続的クローニ
ングを含むクローニング戦略を採用した(図2)。オリゴヌクレオチドを、この
cDNA由来の64Pの異なるフラグメントのPCRクローニングを可能にする
ように、適切な制限酵素部位と共に設計した。これらの構築物は、以下の通りで
ある: 64trp1=29アミノ酸C末端フラグメント 64trp2=51アミノ酸N末端フラグメント 64trp3=70アミノ酸N末端フラグメント 64trp4=63アミノ酸C末端フラグメント 64trp5=9XHIS.TAGを有さない133アミノ酸フラグメント この配列の末端の3アミノ酸を含まない全長64Pクローン 64trp6=9XHIS.TAGを有する133アミノ酸。
【0059】 製造者の指示に従って、E.coli XL1−BLUE細胞(Strata
gene)にこのプラスミドを形質転換した。GST−融合/ヒスチジン−タグ
化された発現された64TRPタンパク質を、製造者の指示に従って、GST精
製方法(Pharmacia)によって精製した。封入体として発現され得る6
4TRPタンパク質の精製の容易さのために、この9XHIS.TAGを含めた
(なぜなら、このGST精製方法は、溶解性タンパク質のみに適用可能であるた
めである)。
【0060】 他のGST/9XHIS.TAG化された短縮64Pタンパク質(すなわち、
64trp1、64trp2、64trp3および64trp4)とは異なり、
64trp6タンパク質(9XHIS.TAGを有する133アミノ酸)は、溶
解性タンパク質の代わりに封入体の形成を生じた。従って、64trp6タンパ
ク質を、製造者の推奨に従って、TALON金属親和性ビーズ(Clontec
h)を使用して、変性条件下で精製した。
【0061】 64TRPタンパク質を、NuPAGE Tris.Bis4〜12%勾配の
クマシーブルー染色ゲル(Novex)によって、製造者の推奨に従って分析し
た(図3A)。図3Bおよび3Cは、製造者の指示に従って、1:500希釈の
GSTモノクローナル抗体(GST mAb−Pharmacia)および1:
2,000希釈の6XHIS.TAGモノクローナル抗体(6XHIS.TAG mAb/APC−Clontech)を使用する、図3Aからの同様のゲルの
ウエスタンブロットである。
【0062】 推定64TRPタンパク質バンドを、以下の分子量で、クマシーブルー染色ゲ
ル(図3A)において観察した:64trp1=30kDa;64trp2=3
3kDa;64trp3=36kDa;64trp4=35kDa;64trp
5=41kDa;64trp6=42kDa。
【0063】 発現を、ウエスタンブロットで確認した(図3Bおよび3C)。26kDaの
GSTタンパク質バンドを、コントロールマーカーとして使用した。
【0064】 予期されるように、各々が9XHIS.TAGを欠いた64trp5およびG
STタンパク質のバンドは、6XHIS.TAG mAbとの反応物を与えなか
った(図3C、それぞれレーン7および2)。
【0065】 64Pクローンのフラグメントまたは完全N末端配列のいずれかを含む64T
RP構築物(すなわち、64trp2、64trp3および64trp5)は、
E.coli XL1−BLUE細胞中で発現される場合、分解産物を生じる(
図3A、レーン4、5および7)。これを、分解したタンパク質バンドのアミノ
末端配列分析(Matsudaira,(1987)Journal of B
iological Chemistry 262:10035−10038)
によって確認した。産物の分解の問題を試みそして解決するために、この構築物
を、プロテアーゼをコードするompT遺伝子が欠失したE.coli BL2
1菌株に形質転換した。
【0066】 予想したように、64trp6タンパク質の分解は、64trp5タンパク質
と比較して、より少なかった。なぜなら、64trp6タンパク質は、封入体と
して発現され、それによって、細胞性プロテアーゼによる分解から保護されたか
らである。
【0067】 (実施例2:64TRPに対する抗血清を用いた免疫組織化学的研究) 個々の精製組換え64trpタンパク質を用いて、Dunkin Hartl
eyモルモットへの等容量の各タンパク質およびMontanide ISA
50の皮下注射によってポリクローナル抗血清を惹起させた。
【0068】 6つの異なる抗64trp抗血清を用いて免疫組織化学的研究を行った。この
抗血清を、正常なハムスターの皮膚の切片(マダニに暴露されていない動物由来
)およびR.appendiculatusマダニに感染させたハムスターのセ
メントコーン(cement cone)および周囲の皮膚を通った切片の両方
と反応させた。免疫組織化学的方法は、以前(Coliganら,1991)に
記載された通りであった。
【0069】 これらの研究のうちの2つ(抗64trp2血清および抗64trp3血清を
用いた場合)の結果は、以下を示す。
【0070】 (2.1 正常な皮膚) 抗64trp2血清または抗64trp3血清のいずれかで処理した正常な皮
膚切片の比較は、抗64trp3血清が、表皮組織および真皮組織(特に、表皮
のケラチノサイトおよび角質層ならびに真皮の膠原線維)と強く反応することを
明らかにした(図4A)。比較によって、抗64trp2血清で処理した切片は
、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で処理したコントロール切片と区別できな
かった(それぞれ、図4Bおよび図4C)。
【0071】 64trp2タンパク質配列および64trp3タンパク質配列は両方とも、
64Pタンパク質のコラーゲン様領域を含む。しかし、64trp3タンパク質
はまた、64Pタンパク質のケラチン様配列のうちのいくつかを含む。従って、
抗64trp3抗血清と抗64trp2抗血清との間での、ハムスター皮膚切片
との免疫反応性の差は、それぞれのタンパク質配列フラグメント内の反応性エピ
トープの利用可能性におそらく関連する。このことはさらに、64Pセメントタ
ンパク質が、特定のその宿主組織(例えば、表皮および真皮のコラーゲン、特に
ケラチン様タンパク質)の構造を模倣するという仮説を確認する。
【0072】 (2.2 マダニ感染皮膚) R.appendiculatusマダニを飼育したハムスターの皮膚におい
て、個々のセメントコーンの切片は、抗64trp3血清と反応した。この反応
は主に、表皮に付着したセメントコーンの最も外側の層および内層との反応であ
った(図5A)。反応は、抗64trp2血清で処理した切片(図5C)におい
ても、一次抗体の代わりにコントロールとしてPBSを用いた切片(図5B)に
おいても、観察されなかった。
【0073】 セメントコーンとの抗64trp3血清の反応パターンは、64Pが、おそら
く、セメントコーンを周囲の表皮組織および真皮組織へと付着させる接着剤とし
て作用する、セメントコーンを並べるセメントタンパク質であることを示し得る
。セメントコーン内に染色が存在しないことは、抗64trp3血清(およびお
そらく抗64trp2抗血清)によって認識されるエピトープが、セメントコー
ン内に露出していないことを示し得る。このことは、64Pタンパク質が重合し
てセメントコーンを形成する場合に生じ得る。
【0074】 宿主の皮膚に埋め込まれるのと同様に、セメントコーンの最も外側の層もまた
、先細りになり、そして宿主皮膚の表皮に融合し(データは示さず)、その結果
、マダニセメントコーンがどこで終わるかおよび宿主組織がどこで始まるかを識
別することは困難である。この観察はさらに、セメントタンパク質が、宿主の皮
膚上の付着セメントコーンを介したマダニの拒絶を回避するために、宿主の真皮
および表皮の皮膚タンパク質(すなわち、コラーゲンおよびケラチン)に似るよ
うに設計されているという仮説を支持する。
【0075】 (実施例3:ワクチン接種試行) Dunkin−Hartleyモルモットを、免疫および抗原投与(chal
lenge)試行のために用いた。使用した10匹のモルモットのうち、各々2
匹を、64trp1、64trp2、64trp3および64trp6で免疫し
、そして2匹をコントロールタンパク質GSTで免疫した。各群の免疫モルモッ
トをさらに、R.appendiculatusマダニの成虫飼育段階および若
虫飼育段階当り、各々1匹のモルモットに分けた。約50ミリグラムの各64T
RPタンパク質(依然としてGSTビーズに付着している、すなわち、溶出して
いない)またはコントロールのGSTタンパク質を、ISA Montanid
eアジュバントと混合し、そして皮下注射した;第一および第二の追加免疫注射
をそれぞれ、2週間の間隔で与えた。
【0076】 免疫に対する宿主の免疫応答を、GSTタンパク質および個々の64TRPタ
ンパク質の免疫ブロットに対する、64TRPおよびGST免疫モルモット抗血
清の反応性によって決定した。
【0077】 抗血清力価が1:5,000に到達した場合、モルモットに成虫段階または若
虫段階のR.appendiculatusマダニで抗原投与した。抗原投与感
染のために、所定数のマダニ(1匹のモルモットあたり、50〜200匹の若虫
マダニまたは20匹の成虫マダニ)を、各モルモットの背中上の保持チャンバ内
に入れ(図7)、1週間後、二回目の追加免疫注射を行った。
【0078】 64TRP誘導免疫の効果を分析するために、毎日の目視試験を、モルモット
のマダニ感染の24時間後に開始して行った。付着率、飼育持続期間、付着部位
での炎症反応、および取り外した満腹雌性マダニの卵の孵化能力(hatcha
bility)を記録した。成虫雌性マダニの満腹重量(engorgemen
t weight)、ならびに成虫段階および若虫段階の両方のマダニの死亡率
を、実験の終了後に決定した。
【0079】 表1は、モルモットにおけるマダニ飼育に対する64TRPタンパク質のワク
チン効果の結果をまとめる。コントロールのGST免疫群および64TRP免疫
群の付着率に差は存在しなかった;同様に、飼育持続期間は、成虫段階および若
虫段階の両方のマダニについて同様であった。
【0080】 沈静化前に24時間〜48時間持続した炎症反応が、飼育の後期段階(6日目
〜7日目)の間に、64TRP免疫モルモットの皮膚上の、若虫が付着した部位
で観察された。この反応は、紅斑、浮腫、リンパ節腫脹および嗜眠を含んでいた
(図6)。
【0081】
【表1】 (表1の注) i=炎症−および+は、それぞれ、炎症がマダニの付着部位に存在しないこと
または存在することを示す;炎症の程度は、以下によって示される:+=軽度、
++=中程度および+++=重度;および=外寄生前および外寄生後の抗体
力価;nd=行わず;n/a=該当なし;h=孵化した;は、64trp2タ
ンパク質で免疫したモルモットで飼育したR.appendiculatusマ
ダニ群由来の2匹の成虫雌性マダニによって産卵された、孵化しなかった2/9
バッチの卵をいう;δは、一元分割表を用いるχ二乗検定によって決定され、6
4trp6免疫モルモットで飼育したR.appendiculatus若虫マ
ダニの群からの、より高い死亡率を示す(χ=96.5、p<0.001
);§は、G検定によって決定され、64trp2タンパク質、64trp3タ
ンパク質および64trp5タンパク質で免疫されたモルモットで飼育したR.
appendiculatusマダニの群からの成虫雌性マダニにおいて観察さ
れた死亡率は、他の群由来のマダニについてよりも有意に高かった(G,,=
33、p<0.001);εは、F比によって決定され、64trp2、64t
rp4および64trp5で免疫されたモルモットで飼育したR.append
iculatusマダニ群由来の成虫雌性マダニについての平均満腹重量は、他
の群由来のマダニについての満腹重量によりも有意に少なかった(F,l,62 =15.88、p<0.001);は、F比によって決定され、他の群由来の
雌性マダニと比較して、64trp5免疫モルモットで飼育した雌性R.app
endiculatusマダニについての有意に低い平均卵塊重量を示す(F,l,44 =5.646、p<0.022)。
【0082】 (3.1 若虫マダニ) 分離された若虫は、みかけは正常であった。炎症は、GST免疫モルモットの
皮膚の若虫接着部位において明らかではなかった。
【0083】 分離された若虫を、Jonesら(1988)Animal Technol
ogy 39,99−106に従って、培養した。コントロールタンパク質免疫
モルモット(6.7%)と比較した場合、18%および48%の比較的高い死亡
率が、64trp2および64trp6で免疫したモルモットを摂食した分離さ
れた若虫について観察された。これらの結果は、2×2分割表を使用するカイ2
乗試験によって決定されるように、それぞれ統計学的に有意なp<0.01およ
びp<0.001であった。
【0084】 64trp2および64trp6免疫モルモットを摂食した若虫の死は、若虫
段階のR.appendiculatusダニが64TRP免疫モルモットを摂
食した場合に、免疫応答が刺激されたことを示唆する。この応答は、摂食には直
接影響しないが、若虫の生存に影響する。免疫保護エピトープが、64trp2
タンパク質(64Pタンパク質の小さいN末端フラグメント)ならびに64tr
p6タンパク質(64Pタンパク質の133アミノ酸フラグメント、変性された
抗原のような)(これらは、若虫の関連したセメントタンパク質において保存さ
れ得る)中に存在することは可能である。このことは、若虫組織抽出物に対する
抗64trp抗血清を使用する免疫ブロッティングによってさらに調査される。
【0085】 (3.2 成虫ダニ) 死亡率はまた、64trp2(死亡率55.5%)タンパク質および64tr
p3(死亡率70%)タンパク質で免疫したモルモットを摂食した成虫雌性ダニ
の間で、有意であった。図7A(1)は、64trp2免疫モルモットを摂食し
た成虫ダニのいくつかを示す。これらは、他の64trpおよびGST免疫モル
モットと比較してより低いうっ積重量を有した(表2;平均重量=336mg)
。さらに、この群由来の二匹のダニは、孵化しない少量の卵を産み;そして摂食
の後期の間に、充分摂食した分離された成虫ダニのいくつかは、分離の2日後に
死亡した。
【0086】 同様に、64trp3免疫モルモット由来の十分にうっ積した摂食後の成体ダ
ニは、分離後最初の週内に死亡した(図7B)。これらのダニは、コントロール
のダニと比較して、血粉で膨張し、色が暗く、そして死亡において強い一貫性を
発生する。ダニに対するこのワクチン効果は、ダニの腸に対する損傷ならびにダ
ニ唾液腺の機能である浸透圧調整の妨害を示す。
【0087】 コントロールタンパク質免疫モルモット由来の全ての正常な成虫ダニは、正常
のようであり、そして生存して卵を産んだ(図7C)。
【0088】 剖検研究を、R.appendiculatus成体ダニでの摂食後に、64
TRPタンパク質で免疫したモルモット由来の皮膚生検から行なった。コントロ
ールタンパク質免疫モルモット由来の皮膚生検(図8DおよびE)と比較して、
紅斑性丘疹状外傷を、ダニ接着部位において観察した(図8A、BおよびC、番
号3)。
【0089】 皮膚および壊死外傷の肥厚によって示されるように、64trp2免疫モルモ
ット由来の生検中に、外傷を標識した(図8C)。
【0090】 これらの結果は、64TRP免疫モルモットに対する摂食後の成虫ダニにおい
て観察される高い死亡率と相関する。従って、ダニ摂食は、成虫ダニの摂食の後
期段階に対する64TRPワクチン接種モルモットによる免疫応答を刺激したよ
うである。
【0091】 これらの知見を確かめるために、組織学的研究を、ヘマトキシリンおよびエオ
シン染色を使用する皮膚生検由来の切片に関して行なった(Bancroft
J.D.およびStevens,A.編(1990).Theory and
Practice of Histological Techniques.
第3版)。結果は、コントロールタンパク質免疫モルモットの成虫ダニの摂食後
由来の皮膚生検切片で予期された正常な組織学的プロフィールを示す(図9.1
)。
【0092】 対照的に、64TRP免疫モルモット由来の皮膚生検切片の組織学的研究は、
特に、表皮の以前のダニ接着部位に近い真皮における白血球浸潤の存在(これは
、低い拡大率(図9.2および9.3)ならびに高い拡大率(図9.7および9
.8)の両方において観察された)によって見られるように、成虫ダニの摂食に
対する免疫学的応答を確かめる。慢性炎症反応の証拠である表皮の肥厚もまた、
存在する。
【0093】 さらなる組織学的研究を、製造業者の指示に従って、Hema「Gurr」R
apid Blood Smear染料(BDH)(すなわち、ライト染料)を
使用して、これらの同一の切片ならびにコントロールサンプルに対して行なった
。結果は、64trp免疫モルモット由来の皮膚生検切片における好酸球および
好塩基球多型である白血球浸潤(図9.5および9.6)(これは、コントロー
ルサンプルにおいて存在しない(図9.4))を確認した。
【0094】 (3.3 卵生産および生存度) F比によって決定される卵生産の統計学的分析は、他の群の雌性ダニと比較し
て、64trp5免疫モルモットを節食した雌性R.appendiculat
usダニについて有意に低い平均卵重量(F,1,44=5.646,p<0.
022)を示した。さらに、9分の2の卵が孵化しなかった。これらは、64t
rp2タンパク質で免疫したモルモットを節食したR.appendicula
tusダニの群由来の二匹の雌性成虫ダニによって産まれた。この結果により、
特定の構築物が、免疫動物を節食する雌性成虫ダニの生殖生産量に有意な影響を
与えたことが示される。これは、所望されるワクチン効果である。
【0095】 ワクチン試験の結果により、成虫および若虫のR.appendiculat
usダニに対するワクチンとしての64trp2、64trp3、64trp5
および64trp6タンパク質の使用が支持される。
【0096】 観察された免疫炎症性応答は、放棄されたダニ摂食部位において激しい紅斑、
浮腫(eodema)、壊死、肥厚および紅斑性丘疹を含む二次ダニ侵襲(Br
ownおよびAskenase,1981 J.Immunol.127:21
63−2167;BrownおよびAskenase,1983 Federa
l Proceedings 42,1744−1749)と共に検出される免
疫応答を思い起こさせる。二次侵襲における局在化した細胞応答(好塩基球およ
び好酸球多型)および組織応答は、細胞媒介性免疫として公知であり、そしてダ
ニ免疫動物における拒絶の主要な機構であると広範に見なされている。従って、
接着部位における局在化した細胞媒介性応答ならびに体液性エフェクター機構お
よび補体依存エフェクター機構を含む、複雑な免疫機構が存在する。
【0097】 抗体の力価を、それぞれ64trpまたはGST抗原で免疫したモルモット由
来の抗64trp血清または抗GST血清を用いて、ELISAにより決定した
(Desai et al.,(1994)J.Neurol.Sci.122
,109−116)。マダニ外寄生の前後の力価の比較は、64trp1、64
trp2、64trp3、64trp5、または64trp6で免疫したモルモ
ットの抗体力価において一貫した増加を示した。観察された増加は、免疫された
動物のマダニ侵入がブースター効果を有しており、既往性応答を誘導することを
示す。この応答は、天然のマダニ侵入がさらなる免疫に対する必要性を取り除く
ことを示す。なぜならば、マダニの摂食は、ワクチン防御を維持するために必要
な免疫刺激を提供するからである。従って、1度の免疫のみを必要とする単発ワ
クチン(single−shot vaccine)が、適切なアジュバントお
よび単一64trp構築物またはそれらのカクテルを用いて調製され得る。
【0098】 (64Pセメントタンパク質についての研究の要旨) Rhipicephalus appendiculatusにより産生され
るセメントコーンは、アンカーとして作用し、その宿主の皮膚の表皮および真皮
にマダニの口部(mouthpart)を固定する。セメントコーンと周囲の宿
主組織との間の連結は、漏出耐性シール(leak−proof seal)を
形成する。マダニに対する宿主の拒絶応答を引き起こすことを回避するために、
セメントタンパク質は、コラーゲンおよびケラチンの構造に類似する構造を取り
入れている。セメントタンパク質(64P)の短縮形態は、E.coliにおい
て発現され、そして抗血清がこのタンパク質に対して惹起された。この結果の要
約を、以下の表2に示す。
【0099】 (表2:64TRPタンパク質の性質の要約)
【0100】
【表2】 ワクチン効果:+=64trp1免疫モルモットでの摂食後のRhipicep
halus appendiculatus若虫マダニに対する穏やかな強度の
効果;+++=64trp2免疫モルモットでの摂食後のRhipicepha
lus appendiculatus若虫マダニおよび成虫マダニに対する非
常に強力な効果;++=64trp3免疫モルモットでの摂食後のRhipi
cephalus appendiculatus成虫マダニに対する非常に強
力な効果;++=64trp6免疫モルモットでの摂食後のRhipicep
halus appendiculatus若虫マダニに対する非常に強力な効
果;64trp4免疫モルモットでの摂食後のRhipicephalus a
ppendiculatus成虫マダニおよび若虫マダニに対して効果なし 融合タンパク質の分子量(すなわち、26kD GSTタンパク質+1kD
9XHIS.TAGを含む) φ融合タンパク質の分子量(すなわち、26kD GSTタンパク質を含む) (実施例4:Rhipicephalus appendiculatusセ
メントタンパク質64trpに対して惹起された抗血清の交差反応性) (4.1 マダニセメントワクチンの作用機構) 実施例3で試みられたように、R.appendiculatus 64tr
pの特定のフラグメントを用いたモルモットの免疫は、マダニが摂食を完了した
後に成虫雌マダニおよび若年マダニにおいて高い死亡率を生じた。マダニは黒変
し、硬直したが、これはマダニの内臓に対する損傷および内臓から体腔への乾燥
血液(bloodmeal)の漏出を示す。
【0101】 この仮説を試験するために、免疫ブロットを実施して、マダニセメントフラグ
メントに対する抗体が内臓の中の抗原および成虫マダニの血リンパと交差反応す
るか否か、ならびに若虫および幼虫の全体抽出物中の抗原と交差反応するか否か
を決定した。
【0102】 (4.2 結果) 抗64trp2血清は、セメントコーン抽出物中の22kDおよび25kDの
タンパク質バンドと反応した(図10A)。この抗血清は、唾液腺(22、25
kD)、血リンパ(22、52kD)、若虫抽出物(52、98kD)および幼
虫抽出物(52kD)(図10A)、ならびに中腸抽出物(52kD)(図11
B)におけるタンパク質バンドと交差反応性を示した。
【0103】 抗64trp5血清は、セメントコーン抽出物中の31kDおよび48〜70
kDのタンパク質バンドと反応した(図11D)。この抗血清は、食事を与えら
れていないマダニの唾液腺抽出物(15、22、および31;図11C)および
2日間食事を与えられたマダニの唾液腺抽出物(25、31kD;図11D)中
のタンパク質バンドと交差反応した。交差反応性はまた、中腸(52〜70kD
;図11C)および血リンパ(31、48kD;図11D)のタンパク質バンド
を用いても検出されたが、若虫および幼虫抽出物を用いて検出されなかった(図
11D)。同様の交差反応が、抗64trp3血清を用いて観察された(示して
いない)。
【0104】 抗64trp6血清は、セメントコーン抽出物中の22、25kDおよび48
〜70kDのタンパク質バンドと反応した(図10B)。この抗血清は、唾液腺
(22、25kD)、血リンパ(22、48kD)、および幼虫抽出物(120
kD)におけるタンパク質バンド(図10B)と、および中腸抽出物(65〜7
0kD;図10A)と交差反応したが、若虫抽出物との明らかな交差反応は示さ
なかった(図10B)。
【0105】 (4.3 結論) ケラチン様タンパク質、64trp、のR.appendiculatusマ
ダニセメントフラグメントに対して惹起された抗体は、成虫雌R.append
iculatusの唾液腺、中腸、および血リンパ中の抗原性エピトープと明ら
かな交差反応をする。免疫された動物に対して摂取されたマダニの乾燥血液中の
抗体によるこれらのエピトープとの反応は、おそらく、中腸に対する損傷を引き
起こし、マダニの死の原因となる。冒された雌マダニの中の1匹の解剖は、体腔
内に分散した凝血を明らかにした(これは中腸の破裂に一致する)。従って、こ
のワクチンは、マダニの分泌タンパク質(すなわち、「曝露された」抗原)を含
むが、中腸(ならびに血リンパおよび唾液腺も可能性がある)における「潜伏し
た」抗原を標的化する(すなわち、正常な生理学的機能に影響をおよぼす)こと
により、高い死亡率を引き起こす。従って、このセメントフラグメントは: (i)ワクチン接種した動物の免疫状態をブーストする炎症応答を刺激し、そ
して (ii)潜伏性の抗原を標的化してマダニに対する損傷を引き起こす 二重作用ワクチンを提供する。
【0106】 (実施例5:免疫ブロットを用いた他のマダニ種との交差反応性) R.appendiculatusセメントタンパク質に対して惹起された抗
体が、他のマダニ種の抗原性エピトープと反応するか否かを決定するために、R
hipicephalus sanguineus(イヌのマダニ)、Ambl
yomma variegatum(アフリカ、南アメリカ、およびカリブのウ
シの経済的に重要なペスト)およびIxodes ricinus(欧州におい
てヒトにライム病およびダニ性脳炎を伝染するヒツジまたは木のマダニ)の組織
抽出物を用いて免疫ブロットを実施した。
【0107】 (5.1 結果) 抗4trp5血清は、A.variegatum唾液腺(180kD)および
中腸(25、52kD)抽出物ならびに血リンパ(85kD)のタンパク質バン
ドと交差反応した(図12A)。R.sanguineus唾液腺、血リンパま
たは中腸を用いて検出された交差反応はなかった(示されていない)。
【0108】 抗65trp6血清は、A.variegatum血リンパの50kDバンド
と交差反応したが、唾液腺および中腸調製物との活性は示さなかった(図12B
)。R.sanguineusを用いると、数種の唾液腺タンパク質バンド(5
1、53〜55、65、120kD)および中腸(25、52、および55kD
)と交差反応が生じたが、血リンパとは交差反応を生じなかった(図12C)。
不鮮明に現れた交差反応するバンドはおそらくグリコシル化タンパク質である。
【0109】 64trp3抗血清(図13A)を使用して、2つの明白なバンド(aおよび
b)および1つのかすかなバンド(c)を、若虫(nymphal)抽出物中で
検出し、そして成熟血リンパ、中腸および唾液腺との交差反応性もまた存在した
【0110】 64trp2に対する抗血清(図13B)は、R.sanguineus抽出
物中でいくらかのバンド(全抽出物中に存在する1つの強力なバンド(j)を含
む)を検出した。
【0111】 GSTに対して惹起されるコントロール抗血清は、セメントコーンおよび唾液
腺において交差反応バンドを検出した(図14)。唾液腺における交差反応は、
Boophilus microplusについて報告されるように、R.sa
nguineus GSTを示し得、そしてセメントコーンにおける交差反応は
、部分的に食物を与えられたマダニから得られた宿主タンパク質ヘモグロビン/
IgG汚染セメントコーン抽出物との非特異的反応におそらく起因する。
【0112】 64trp2および64trp5の各々に対する抗血清は、セメントコーン、
腸およびI.ricinusの全若虫抽出物と交差反応した。対照的に、非交差
反応は、抗64trp3を用いて検出された。この観察は、R.sanguin
eusおよびA.variegatumの組織抽出物を用いて観察された交差反
応とは異なった。抗64trp6血清のI.ricinusの腸および若虫との
交差反応もまた存在した。
【0113】 これらの結果を、表3に要約する。
【0114】 (5.2 結論) R.appendiculatusセメントタンパク質64trp構築物に対
して惹起される抗体は、3つの他のマダニ種の唾液腺、中腸および血リンパ中で
抗原性エピトープと交差反応した。これらの結果は、R.appendicul
atusセメント由来の候補ワクチンが、多数の異なるマダニ種に対して有効な
広範なスペクトルワクチンを提供することを示唆する。
【0115】 観察された高さ反応に基づいて、R.appendiculatusの64t
rp6を、ワクチン試行のための免疫原として選択した。上記のように、R.a
ppendiculatusを用いたワクチン試行において(表2を参照のこと
)、64trp6は、R.appendiculatus若虫に対して有効であ
ったが、成熟に対しては有効でなかった。従って、R.sanguineusを
用いたワクチン試行において、成熟R.appendiculatusに対して
有効な2つの構築物のうちの一方(64trp3または64trp2のいずれか
)は、以下の節に記載されるように、64trp6と共に含まれた。 表3:64trp組換え抗原で免疫化されたモルモット由来の血清を用いた、R
.appendiculatusとR.sanguineusとAmblyom
ma variegatumとIxodes ricinusマダニ抗原との間
の交差反応についての結果の要約。
【0116】
【表3】 (表3について使用されるコード) CC=マダニセメントコーン抽出物、SG=(食物を与えられていないマダニ
由来の)唾液腺抽出物、gut=中腸抽出物、H=血リンパ、N=若虫マダニ抽
出物、L=幼生マダニ抽出物。
【0117】 免疫ブロットにおいて使用される抗血清に対して、それぞれ、+=陽性反応、
および−=陰性反応、ab’=抗血清;nd=なされない。
【0118】 +および+δ=100℃でSDSサンプル緩衝液中に溶解したCC抽出物お
よびSG抽出物の不溶性画分由来の抗GST抗血清に対する陽性反応。
【0119】 +(部分的に食物を与えられたマダニ由来のCC)=免疫陽性バンドは、抗
GSTab’のセメントコーンに結合された宿主IgG/ヘモグロビン(hae
moglobulin)画分との非特異的結合におそらく起因する。+δ=(食
物を与えられていないマダニ由来のSG)=免疫陽性バンドは、抗GSTab’
の等価GSTタンパク質との特異的結合におそらく起因する(Ref.Boop
hilus microplus GSTタンパク質)。
【0120】 + SDS/2メルカプトエタノールサンプル緩衝液中に可溶化された、A
.variegatum不溶性腸抽出物、− 若虫マダニ抽出物抗原のGST
抗血清との非特異的結合に起因する非常にかすかな免疫陽性バンド。
【0121】 (実施例6:交差保護性ワクチン試行:Rhipicephalus app
endiculatusセメントタンパク質64trp構築物で免疫化され、か
つR.sanguineus成熟でチャレンジされたモルモット) (6.1 ワクチン試行のための処置) 1群:組換え64trp6+64trp2+Montanide ISA(4
匹のモルモット) 2群:組換え64trp6+64trp3+Montanide ISA(4
匹のモルモット) 3群:GST(コントロール)(2匹のモルモット) 全動物数=10 経路および用量: 抗原を単一部位内へか、または各抗原を異なる部位内へかのいずれかに結合さ
せるような前肩甲骨領域における皮下接種。
【0122】 用量:50μg抗原/動物 ワクチン接種スキーム: 1.プライマー接種 2.第一ブースト 3.接種後10〜12日後に試験出血 4.2回目のブースト(抗体力価が1/5000未満の場合) 5.接種後10〜12日後に試験出血 6.抗体力価が1/5000より大きい:10対のR.sanguineus
成体でチャレンジ 7.マダニの摂食効率、生存、生殖結果を評価。
【0123】 (6.2 結果) この結果を表4にまとめる。全体的に、この結果は、R.appendicu
latusのセメントタンパク質64trpに対して誘導された推定ワクチンは
、R.sanguineusの成体および若虫と交差保護性であったことを示す
。以前のR.appendiculatusの観察とは著しい差異があった。
【0124】
【表4】 表4注 *は、64trpタンパク質カクテル(すなわち、64trp2/6または6
4trp3/6の組合わせ)のいずれかを組合わせた抗原として、単一の皮下部
位(C)か、または別々の皮下部位(S)へ、個々に免疫したモルモットを示す
。Iは、マダニ摂食部位での、紅斑、浮腫、引っかき、およびリンパ節腫脹とし
て観察された局所炎症皮膚反応(一過性、2〜3日)事象をいう。ndは、行っ
ていないことをいう。MおよびFは、それぞれオス成体マダニおよびメス成体マ
ダニをいう。Eは、孵化した卵を示す。†は、この群において生存していた、産
卵しなかった2匹のメスを示す。
【0125】 ((i)付着に対する効果) R.appendiculatusとは違って、試験(しかし、コントロール
ではない)R.sanguineusの成虫の付着速度は影響を受けた。外寄生
の24時間後、4つの試験動物上のこのマダニの殆どが、付着しておらず、そし
て保持しているガーゼ上を宿主から離れるように這うところを観察した。続いて
、飼育の初期(第1日目〜第5日目)の間、81のうちの16体の死んだ成虫(
12体のメスと4体のオス)の全体を、この試験動物から取り除いた;これらの
マダニのうち1体を除いた全ては、食物を与えられていないようであった(図1
5)。コントロール動物上にいる、18のマダニの全ては、外寄生から24時間
以内に付着した。
【0126】 ((ii)オスに対する効果) 再度、R.appendiculatusとは違って、オスの生存に関する効
果を観察した。上述のように、4体の死んだオスを飼育の初期で除去した。
【0127】 ((iii) 炎症応答) 全ての8匹の試験モルモットが、抗原播種部位において炎症応答を示し、そし
てまたマダニの生息領域において炎症応答を示した。炎症を、外寄生後6〜7日
間で初めて観察し、そして飼育の第9〜10日目までには小康状態となった。コ
ントロール動物において、炎症は、観察されなかった。
【0128】 ((iv)飼育後の致死率) R.appendiculatusで観察されるように、殆どのメス(29/
41)は充血を完遂した。しかし、これらのうちで、7体は離れてから2日以内
で死んだ。これらは、腸に対する損傷および破裂と相反しない、R.appen
diculatusに対する類似の効果(過度の膨張および黒色化)を示した(
図16)。試験動物からの若虫で観察される、中程度の致死率は、コントロール
の場合に匹敵した。
【0129】 ((v)再現的な出力) 試験動物からの、22体の生き残った充血したメスのうち、19体は産卵した
。これらの統計的な解析が、目下決定される。
【0130】 (6.3 結論) 1.64trpタンパク質に対して惹起された抗体は、R.sanguine
us マダニの唾液腺および中腸中の、免疫原性エピトープとイムノブロットに
おいて、交差反応する。
【0131】 2.マダニR.appendiculatus由来の分泌されたセメントタン
パク質(すなわち、「露出された」抗原)から構築された異なった64trpタ
ンパク質を含むワクチンのカクテルは、別のマダニの種 R.sanguine
usに対する交差保護(cross−protection)を、高い致死率を
生じる、成虫のマダニの中腸および唾液腺に「潜伏した(concealed)
」抗原を標的化することによって、提供した。
【0132】 3.カクテルワクチンは、ワクチン接種した動物の免疫状態をブーストする局
所的な炎症性免疫応答を刺激する。
【0133】 (実施例7:R.appendiculatus セメントタンパク質64t
rp構築物に対する抗血清を使用した、イムノブロットによって検出された、R
hipicephalus appendiculatusとBoophilu
s miroplusとの間の抗原性交差反応性) (7.1 B.microplus マダニ抽出物の調製) Boophilus microplusの成虫および若虫を、ウシから採取
した。若虫を飼育し、従って、宿主タンパク質に起因する非特異的交差反応性の
増大したレベルを示し得る。
【0134】 (7.2 結果) (7.2.1 64trp2抗血清および64trp3抗血清との交差反応性
) イムノブロッティングを使用した64trp3抗血清との交差反応研究(図1
7A)は、いくつかのB.microplus セメントコーンタンパク質(および)を検出した;類似サイズの2つのバンド(および
を、中腸および唾液腺で検出した。多くのバンドを、飼育した若虫の抽出物中で
検出し、そのいくつかは、おそらく非特異的であった(以下を参照のこと)。
【0135】 64trp2抗血清(図17B)を使用して、1つの明確なバンド()を、
全ての抽出物中で検出した。このバンドは、64trp3抗血清を用いる全ての
サンプル中で検出されたバンドと類似のサイズ(62kD)であるが、バンド は明確ではなかった。バンドを、Coomassie Blue染色ゲ
ル(図17C)中で僅かに検出可能であった。このことは、64trp2抗血清
または64trp3抗血清との交差反応性が特異的である可能性があり、そして
非特異的結合に起因しないことを示す。また、この解釈と一貫性があるのは、6
4trp2タンパク質および64trp3タンパク質が、重複したN末端配列を
伴う関連した構築物であるという事実である(図2を参照のこと)。
【0136】 64trp2抗血清を用いて、淡いバンド()を全てのサンプルで検出した
。セメントコーン(レーン5)および若虫抽出物(レーン2)は、共通の明確な
バンド(および)を有し、一方でバンドを、全ての成虫抽出物中で検出し
た。
【0137】 として記されるイムノポジティブバンドは、マダニ組織抽出物中に存在する
、宿主タンパク質(ヘモグロビン/IgG)との、抗GST抗血清の非特異的結
合に最も起因しやすい。イムノポジティブバンドは、中腸、唾液腺、およびマ
ダニの組織抽出物の全体の中にあるタンパク質バンド(これは、Boophil
us microplus 幼虫26kD GSTタンパク質を表す)との、抗
GST抗血清の特異的結合(図18Cを参照のこと)におそらく起因する(He
ら、(1999)、Inscect−Biochem−Mol−Biol.29
(80):737〜43を参照のこと)。
【0138】 (7.2.2 64trp5抗血清および64trp6抗血清との交差反応性
) 64trp5抗血清および64trp6抗血清の両方を、若虫抽出物中でいく
つかのバンドで検出したが、成虫マダニ抽出物との明確な交差反応性は無かった
(図18Aおよび18B)。64trp5抗血清は、セメントコーンとの優勢な
バンド()を生成するが、交差反応性は、64trp6とセメントコーン抽出
物との間に検出されなかった。
【0139】 およびとして記されるイムノポジティブバンドは、セメントコーン抽出物
および飼育したマダニの若虫抽出物全体の中にそれぞれ存在する、宿主タンパク
質(ヘモグロビン/IgG)との、抗GST抗血清の非特異的結合に、おそらく
起因する(図18C)。イムノポジティブバンドは、中腸、唾液腺、およびマ
ダニの組織抽出物の全体の中にあるタンパク質バンド(おそらく、Boophi
lus microplus 幼虫の26kDであるGSTタンパク質)との、
抗GST抗血清の特異的結合に、おそらく起因する。
【0140】 (7.3 結論) 結果を、表5に要約した。
【0141】 R.appendiculatus、R.sanguineusおよびIxo
des ricinusを用いた本発明者らのワクチン試験は、免疫ブロッティ
ングのデータが、効果的なワクチン免疫原の良い指標を提供することを示した。
このことに基づいて、この実施例に表されるこの結果は、以下を示唆する: (i) 64trp2および64trp3は、B.micorplus成体お
よびB.micorplus若虫を制御するための候補ワクチン免疫原である; (ii) 64trp5構築物は、B.micorplus若虫に対して効果
的であり得、そして成体に対して少なくとも部分的に効果的であり得る; (iii) 64trp6は、B.micorplus若虫に対して効果的で
あり得るが、成体に対して効果的であり得ない; (iv) 免疫原のカクテル(64trp2+64trp5または64trp
3+64trp5のいずれか)は、B.micorplusを制御するための最
も効果的な戦略であり得る。
【0142】 (表5:64trp組換え抗原で免疫したモルモット由来の血清を使用したR
.appendiculatusマイクロカプセルマダニ抗原とBoophil
usマイクロカプセルマダニ抗原との間の交差反応性)
【0143】
【表5】 CC=マダニセメントコーン抽出物(tick cement cone)、
SG=唾液腺抽出物、gut=中腸抽出物、H=血液リンパ、N=若虫マダニ抽
出物、L=幼生マダニ抽出物 それぞれ、免疫ブロットにおいて使用した抗血清に対する、+=陽性反応およ
び−=陰性反応。ab’=抗血清;nd=測定せず +および+δ=SDSサンプル緩衝液に100℃で可溶化したマダニ組織抽
出物の不溶性画分由来の抗GST抗血清に対する陽性反応。
【0144】 +(部分的に肥育されたマダニ由来のCC)免疫陽性バンドは、おそらくセ
メントコーンに結合する宿主IgG/ヘモグロビン画分および肥育されたマダニ
の全若虫由来の宿主IgG/ヘモグロビン画分との抗GST ab’の非特異的
結合が原因である +δ(肥育されていないマダニ由来のSG)免疫陽性バンドは、おそらく等価
のGSTタンパク質との抗GST ab’の特異的な結合が原因である。
【0145】 (実施例8:交差反応性ワクチン試験:Rhipicephalus.app
endiculatusセメントタンパク質64trp構築物で免疫され、そし
てI.ricinus若虫でチャレンジされたモルモット) (8.1 免疫原の選択) R.appendiculatus64trpのセメント構築の要約を、図2
に示す。候補の免疫原を、構築物に対する抗血清が、I.ricinusサンプ
ルの抽出物における特異的な交差反応抗原を検出したかどうかの根拠において同
定した。
【0146】 64trp抗血清を用いた免疫ブロッティングを使用した交差反応研究は、幾
つかのI.ricius全若虫抽出タンパク質および幼虫抽出タンパク質(図1
9)ならびにセメントコーンの成体調製物および中腸抽出物(示さず)の検出を
示した。
【0147】 64trp2抗血清(図19A(iii))を使用して、2つの主要なバンド
(aおよびb)を、若虫抽出物において検出し、そしてまた、成体セメントコー
ンおよび中腸抽出物と交差反応を示した(表3を参照のこと)。
【0148】 64trp5および64trp6に対する抗血清(それぞれ、図19A(iv
)および(v))は、I.ricinus全若虫抽出物において幾つかのバンド
を検出した。64trp6に対する抗血清はまた、全幼虫抽出物において5つの
優性なバンドを検出した(図19B(ii))。
【0149】 GSTに対して惹起されたコントロール抗血清は、おそらく宿主タンパク質ヘ
モグロビン/IgGを使用する非特異的反応の原因である、全若虫抽出物、セメ
ントコーン抽出物および中腸抽出物において非常に弱いバンドを検出した。
【0150】 観察した交差反応に基づいて、R.appendiculatusの64tr
p2、64trp5および64trp6を、ワクチン試験のための免疫原とし選
択した。これらを、単独でまたはカクテルとして使用した。
【0151】 (8.2 ワクチン試験のための処置) ・群1:組換え体64trp6+64trp2+Montanide ISA(
1匹のハムスター) ・群2:組換え体64trp6+64trp5+Montanide ISA(
1匹のハムスター) ・群3:GST(コントロール)(1ハムスター) ・群4:組換え体64trp2+Montanide ISA(1匹のハムスタ
ー) ・群5:組換え体64trp5+Montanide ISA(1匹のハムスタ
ー) ・群6:組換え体64trp6+Montanide ISA(1匹のハムスタ
ー) 総動物数=6匹。
【0152】 (8.3 経路および用量) 肩甲骨前(prescapular)領域における、単一の部位への単一の抗
原または組み合わせとしての抗原のいずれかの皮下接種。 1匹の動物当たり、用量25μg抗原。
【0153】 (8.4 ワクチン接種スキーム) 1.プライマー接種 2.最初のブースト 3.接種後10〜12日目での試験採血 4.第二のブースト(抗体力価<1/5000の場合) 5.接種後10〜12日目での試験採血 6.抗体力価>1/5000:50〜100のI.ricinus若虫でのチャ
レンジ 7.ダニの食餌成績、ダニの食餌に対する局所的な炎症性免疫応答、生存および
成虫への成功した脱皮の評価。
【0154】 (8.5 結果) 結果を表6に要約する。全体的に、これらは、R.appendiculat
usのセメント質に対して誘導された推定ワクチンが、I.ricinus若虫
に対して交差反応することを示す。
【0155】 ((i)付着に対する効果) R.appendiculatusのように、I.ricinus若虫の試験
動物に対する付着の割合は、影響されなかった。
【0156】 ((ii)炎症性応答) 4匹のハムスターは、ダニの食餌の部位での炎症性応答を示し、3匹のハムス
ターは、重篤な反応を有した(図20)。この結果は、インビトロのアッセイ(
すなわち、ウェスタンブロット)と相関する。炎症は、外寄生後3〜5日目に観
察され、そしてダニの離脱の時点にまだ存在した(食餌の5日目)。コントロー
ルの動物では、炎症は観察されなかった。
【0157】 ((iii)食餌後の死亡率) インビトロアッセイとの関係における交差防御を、食餌した若虫が脱皮して成
虫になったときに評価する。
【0158】 (8.6 結論) 1.64trpタンパク質に対して惹起された抗体は、イムノブロットにおいて
、I.ricinusマダニの若虫、幼虫および成虫のセメントコーンならびに
中腸における抗原性エピトープと交差反応する。 2.宿主応答は、64trp免疫原で免疫したハムスターにおいて観察された(
以前はモルモットにおいてのみ観察された)。 3.種々の程度の炎症性応答が、64trp構築物で免疫された動物上のI.r
icinus若虫マダニ食餌部位で観察され、最も重篤な応答は、64trp6
/5のカクテルで免疫されたハムスターにおいて観察された。 4.免疫原は、免疫応答をブーストする局所的炎症性免疫応答を刺激する。
【0159】 (表6.64TRPタンパク質およびGSTタンパク質で免疫したハムスター
上のIxodes ricinusマダニ食餌についての、食餌パラメーターの
比較)
【0160】
【表6】 i=炎症:−および+は、それぞれ、食餌の間のマダニ付着部位での炎症の非存
在または存在を意味する;炎症の程度は、以下によって示される:+=軽度、+
+=中程度、および+++=重篤。は、若虫I.ricinusマダニのコン
トロールハムスター上のダニ食餌をいい、64trp免疫ハムスター上で食餌し
たマダニ食餌と比較して、6時間延長された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、推定セメントタンパク質の7種のクローンのヌクレオチドおよび推定
アミノ酸配列である。 クローン21:クローン21の部分cDNA配列および転写産物。cDNA推定
タンパク質は、セメントタンパク質であると予測される:可能であれば、シグナ
ル配列、代表的に、分泌産物を構築する疎水性N末端領域を含み、そして構造タ
ンパク質、特に、ケラチンと非常に類似している。グリコサミノグリカン基の翻
訳後結合のための認識配列に、下線を付す。 クローン33:融合タンパク質発現ベクター(pGEX−2T(Pharmac
ia))へのPCR−クローン化産物(cDNAライブラリ由来)の推定タンパ
ク質配列。推定シグナル配列を、太字で示す。多くの構造タンパク質と同様に、
このタンパク質は、グリシンリッチおよびプロリンリッチである。このタンパク
質は、ケラチンといくらか類似性を有する。は、停止コドンを示す。 クローンcemA:cemA cDNAおよびタンパク質(推定リーディングフ
レーム)の部分的な配列。このタンパク質は、非常に反復性であり、配列KGA
LLQQQQASQVKGALKAIまたはそのわずかな改変体を有し、数回繰
り返される。 クローン24:クローン24の不完全なcDNAおよびcDNA推定配列。この
タンパク質は、構造タンパク質(特に、コラーゲン)に対して類似性を有し、そ
して繰り返し配列を含む。多くの関連のクローンは、このライブラリー中に見出
される。このcDNAはまた、グルテニン(自己アセンブリタンパク質)との共
通の領域を含む。 クローン68:クローン68の部分的なcDNAおよびcDNA推定配列。この
ライブラリーは、類似のクローンのファミリーを含む。このコードされたタンパ
ク質は、構造タンパク質(例えば、ケラチン)と類似している。一連の可能なグ
リコサミノグリカン結合部位に、下線を付す。 クローン64:クローン64の不完全cDNA配列およびcDNA推定タンパク
質配列。この推定シグナル配列を、太字で示す。可能なグリコサミノグリカン結
合部位に下線を付す。成熟タンパク質の最初の40個のアミノ酸断片は、コラー
ゲン様であり、この配列の残りは、ケラチンに類似している。このタンパク質は
、グリシンリッチであり、そしてモチーフ(C/S)1−4(Y/F)の数回繰
り返しを含み、これはまた、昆虫の卵の殻由来の構造タンパク質において見出さ
れる。このチロシンは、フェノロキシダーゼによるジチロシン−架橋の形成によ
る架橋に関与し得る。類似のタンパク質は、クローンI(以下を参照のこと)に
よりコードされる。は、停止コドンを示す。 クローンI:クローンIの不完全なcDNA配列およびcDNA推定タンパク質
配列。この推定タンパク質は、グリシンリッチおよびチロシンリッチであり、そ
してリーフ構築物(reef−buiding)の多毛類Pragmatopo
ma californicaのセメントタンパク質(これらの海洋寄生虫によ
って構築された管中のキノン黄渇色セメントの成分)に類似している。
【図2】 図2は、Escherichia coliにおいて発現される64Pタンパ
ク質フラグメント(64TRP)のアミノ酸配列。P1/P2、P1/P3、P
4/P5、P6/P5、P1/P5およびP7/P5は、64Pタンパク質の短
縮型バージョン(すなわち、それぞれ、64trp2(51アミノ酸)、64t
rp3(70アミノ酸)、64trp1(29アミノ酸)、64trp4(63
アミノ酸)、64trp5(133アミノ酸(HISタグを含まない))、およ
び64trp6(133アミノ酸(HISタグを含む)))としてのEsche
richia coli細胞における発現について、64Pアミノ酸配列からプ
ラスミドpGEX−2TへPCR産物をサブクローニングするために使用される
プライマーを表す。予測される可能な切断シグナルペプチド(アミノ酸1〜18
)は、緑色の下線が付されている。
【図3】 図3は、SDS−PAGEである:(A)Coomassie Blueで染
色した、4〜12%の勾配のNuPAGE Bis−Trisゲルであり、(B
)および(C)は、それぞれ、マダニ構造タンパク質ならびにベクター−GST
タンパク質、64Pの組換え短縮型バージョン(trp)(すなわち、trp1
、trp2、trp3およびtrp4)を発現するIPTG誘導性E.coli
細胞の、GSTモノクローナル抗体(1:500希釈)およびHIS−タグモノ
クローナル抗体アルカリホスファターゼ結合体(1:2000希釈)を使用する
、ウエスタンブロットである。レーン:1=分子量マーカー、2=26kDベク
ター−GSTタンパク質、3=30kDのtrp1タンパク質、4=33kDの
trp2タンパク質、および5=36kDのtrp3タンパク質、6=35kD
のtrp4タンパク質、7=41kDのtrp5タンパク質(HISタグなし)
、および8=42kDのtrp6タンパク質(HISタグ化)。サンプルは、ゲ
ルを充填する前に、SDS中100℃で可溶化した。矢印:a=42kDのtr
p6タンパク質、b=35kDのtrp4タンパク質、c=33kDのtrp2
タンパク質、d=30kDのtrp1タンパク質、およびe=26kDのベクタ
ーGST−タンパク質。
【図4】 図4は、ハムスターの薄い皮膚部分についての抗64trp抗血清を使用する
免疫ペルオキシダーゼの研究である。AおよびC=一次抗体として、それぞれ抗
64trp抗血清:64trp3および64trp2と共にインキュベートした
ハムスターの薄い皮膚部分;B=一次抗体として、すなわちコントロールサンプ
ルとしてPBS(生理食塩溶液)と共にインキュベートしたハムスターの薄い皮
膚部分。1=表皮の角質化層(角質層)、2=表皮および3=真皮;K=ケラチ
ノサイトおよびCF=コラーゲン繊維は、抗64trp3抗血清とのポジティブ
な反応(黄色/褐色)を与えた。倍率=20×。
【図5】 図5は、Rhipicephalus appendiculatusを供給
した後のハムスターの薄い皮膚部分についての、抗64trp抗血清を使用する
免疫ペルオキシダーゼ研究である。AおよびC=一次抗体として、それぞれ、抗
64trp抗血清:64trp3および64trp2と共にインキュベートした
ハムスターの薄い皮膚部分;およびB=一次抗体の代わりに、すなわちコントロ
ールサンプルとしてPBS(生理食塩溶液)と共にインキュベートしたハムスタ
ーの皮膚部分。矢印:1=表皮;2=真皮;3=浅在筋膜;4=マダニセメント
錐体;および*=抗64trp3抗血清と共にインキュベートした場合、ポジテ
ィブな反応を与えるセメント錐体およびハムスター皮膚の部分。倍率=10×。
【図6】 図6は、64Pタンパク質の短縮型バージョン(64TRP)で免疫したモル
モットを摂食するRhipicephalus appendiculatus
若虫の影響を示す。A=GSTで免役したコントロールモルモットを摂食するR
hipicephalus appendiculatus若虫を含む細胞;B
、CおよびD=64trpタンパク質で免役したモルモットを摂食するRhip
icephalus appendiculatus若虫を含む細胞。*=Rh
ipicephalus appendiculatus若虫が摂食した免役し
たモルモットB、CおよびDの皮膚上の炎症(すなわち、紅斑、浮腫、リンパ節
腫脹、および接触すると熱い)の部位を示す矢印。
【図7】 図7は、64trpタンパク質で免疫したモルモットを摂食した後の、Rhi
picephalus appendiculatus雌性成体マダニに対する
効果を示す。AおよびB=それぞれ、64trpタンパク質および64trp3
タンパク質で免役したモルモットを摂食した後の、Rhipicephalus
appendiculatus雌性マダニ;およびC=GSTで免役したコン
トロールモルモットを摂食した後の、Rhipicephalus appen
diculatus雌性マダニ。1=生きた雌性マダニ、2=卵、および3=死
亡した雌性マダニ。
【図8】 図8は、Rhipicephalus appendiculatusマダニ
を供給した後の、64trpタンパク質で免役したモルモットの皮膚生検の剖検
研究を示す。A、BおよびC=それぞれ、64trp1タンパク質、64trp
6タンパク質および64trp2タンパク質で免役したモルモットの皮膚生検、
ならびにDおよびE=Rhipicephalus appendiculat
usマダニを供給した後の、GSTで免役したコントロールモルモットの皮膚生
検;1=表皮、2=真皮/浅在筋膜、3=以前のマダニ付着部位、4=壊死外傷
【図9】 図9は、Rhipicephalus appendiculatusマダニ
を供給した後の、64trpタンパク質で免役したモルモットの皮膚部分(ヘマ
トキシリンおよびエオシン、ならびにライト染料で染色)の組織学的研究を示す
。1=GSTで免役したコントロールモルモットの皮膚の組織学的部分、ならび
に2、3、4、5、6、7および8=Rhipicephalus appen
diculatus成体マダニを供給した後の、64trpタンパク質で免役し
たモルモットの皮膚の組織学的部分、染色:ヘマトキシリンおよびエオシン染色
=部分1、2、3、7および8、ならびにライト染色=部分4、5および6;部
分1、2および3の倍率=10×;部分7および8の倍率=20×;部分4、5
および6の倍率=100×。矢印:A=表皮、B=真皮、cc=Rhipice
phalus appendiculatusマダニセメント錐体が以前に付着
した領域、CF=コラーゲン繊維、D=デンドロサイト(dendrocyte
)、F=線維芽細胞、EP=好酸球多型、BP=好塩基球多型。
【図10】 図10は、64trp組換えタンパク質で免役したモルモット由来の血清を使
用する、R.appendiculatusマダニ抗原の可溶性画分間の交差反
応性を示す。 図10A:抗64trp2血清でプローブしたR.appendiculatu
sマダニ抗原の免疫ブロット。レーンA/1およびA/2 セメント錐体;レー
ンA/3およびA/4 唾液腺;レーンA/5およびA/6 血リンパ;レーン
A/7 若虫;レーンA/8 幼生;レーンA/9 分子量マーカー。 図10B:抗64trp6血清でプローブしたR.appendiculatu
sマダニ抗原の免疫ブロット。レーンB/1およびB/2 セメント錐体;レー
ンB/3およびB/4 唾液腺;レーンB/5およびB/6 血リンパ;レーン
B/7 若虫;レーンB/8 幼生;レーンB/9 分子量マーカー。 図10C:R.appendiculatusマダニ抗原(雌性および雄性)の
クマシーブルーで染色した4〜12%勾配のゲル。レーンC/1 分子量マーカ
**;レーンC/2およびC/3 セメント錐体;レーンC/4およびC/5 唾液腺抽出物;レーンC/6およびC/7 血リンパ;レーンC/8およびC
/9 中腸;レーンC/10 若虫;レーンC/11 幼生。 図10D:抗64trp6抗血清でプローブしたR.appendiculat
usマダニ抗原の免疫ブロット。レーンA/1 分子量マーカー;レーンA/
2およびA/3 給餌されていないマダニの唾液腺;レーンA/4、A/5 中
腸。 図10E:抗64trp2抗血清でプローブしたR.appendiculat
usマダニ抗原の免疫ブロット。レーンB/1およびB/2 給餌されていない
マダニの唾液腺;レーンB/3およびB/4 中腸;レーン5 分子量マーカー 。 図10F:抗64trp5を使用するR.appendiculatusマダニ
抗原の免疫ブロット。レーンC/1 分子量マーカー;レーンC/2およびC
/3 給餌されていないマダニの唾液腺;レーンC/4およびC/5 中腸。 図10G:抗64trp5抗血清を使用するR.appendiculatus
マダニ抗原の免疫ブロット。レーンD/1およびC/2 セメント錐体;レーン
D/3およびD/4 部分的に給餌された(2日目)マダニの唾液腺;レーンD
/5およびD/6 血リンパ;レーンD/7 若虫;レーンD/8 幼生;レー
ンD/9 分子量マーカー
【図11】 図11は、64trp組換えタンパク質で免役したモルモット由来の血清を使
用するR.appendiculatusマダニ抗原の不溶性画分間の交差反応
性を示す。 図11A:抗64trp3血清でプローブした成体雌性組織抽出物由来のR.a
ppendiculatusマダニ抗原の免疫ブロット。レーンA/1 マーカ
***;レーンA/2 セメント錐体(モルモットを部分的に摂食した雌性由
来);レーンA/3 給餌していないマダニ唾液腺;レーンA/4 給餌してい
ないマダニ血リンパ;レーンA/5 給餌していないマダニ中腸。 図11B:抗64trp2血清でプローブした成体雌性組織抽出物由来のR.a
ppendiculatusマダニ抗原の免疫ブロット。レーンB/1、B/2
、B/3およびB/4は、レーンA/2〜5の通り。 図11C:抗64trp6血清でプローブしたR.appendiculatu
sマダニ抗原の免疫ブロット。レーンC/1 全若虫;レーンC/2 全幼生。
図11D:抗64trp2血清でプローブしたR.appendiculatu
sマダニ抗原の免疫ブロット。レーンD/1 全若虫;レーンD/2 全幼生;
レーンD/3 マーカー***。 図11E:コントロール抗GST血清でプローブしたR.appendicul
atusマダニ抗原の免疫ブロット。レーンE/1 マーカー***;レーンE
/2 セメント錐体(レーンA/2と同様);レーンE/3 唾液腺(レーンA
/3と同様);レーンE/4 血リンパ(レーンA/4と同様)、レーンE/5 中腸(レーンA/5と同様);レーンE/6 若虫(レーンC/2およびD/
2と同様);レーンE/7 幼生(レーンC/1、C/2と同様)。 図11A〜Eのマーカー*** SeeBlueTM Plus2タンパク質
分子量マーカー:188kD=ミオシン、98kD=ホスホリラーゼB、62k
D=ウシ血清アルブミン、49kD=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、38kD
=アルコールデヒドロゲナーゼ、28kD=カルボニックアンヒドラーゼ、17
kD=ミオグロビンレッドおよび14kD=リゾチーム。 図11F R. appendiculatusマダニ抗原のCoomass
ie Blue染色4〜12%勾配ゲル。 レーンF/1マーカー**、レーンF/2 部分的に飼育された雄性のセメン
トコーン、レーンF/3 部分的に飼育された雌性のセメントコーン、レーンF
/4 飼育されていない雄性の唾液腺、レーンF/5 飼育されていない雌性の
唾液腺、レーンF/6 雄性血リンパ、レーンF/7雌性血リンパ、レーンF/
8雄性中腸、レーンF/9 雌性中腸、レーンF/10 全若虫、レーンF/1
1 全幼虫。26kDのバンドf(これは、唾液線における交差反応)は、Bo
ophilus microplus について報告されたものに等しいR.a
ppendiculatus GSTを表し得る(Heら,(1999).In
sect Biochem.Mol.Biol.29:737−743)。 図11A〜F。標識されたバンドの分子量:a=200kD、b=120〜1
88kD、c=80〜98kD、d=55〜62kD、e=49〜55kD、f
=26kD、g=17kD、h=15Kd、i=120kD、j=60〜62k
D、k=36kD、1=14kD、m=188kD、n=98〜120kD、o
=55〜62kD、p=200kD、q=188kD、r=150kDおよびs
=50〜62kD。
【図12】 図12は、組換えR.appendiculatus 64trpタンパク質
で免疫されたモルモット由来の抗血清と、Amblyomma variega
tumおよびRhipicephalus sanguineusマダニ抗原と
の交差反応性を示す。 A 抗64trp5血清を用いてプローブされたA.variegatumマ
ダニ抗原の免疫ブロット。レーンA/1 血リンパ;レーンA/2 中腸;レー
ンA/3 唾液腺;レーンA/4 分子量マーカー。 B 抗64trp6血清でプローブされたA.variegatumマダニ抗
原の免疫ブロット。レーンA/1 分子量マーカー;レーンA/2 唾液腺;
レーンA/3 中腸;レーンA/4 血リンパ。 C 抗64trp6血清でプローブされたR.sanguineusマダニ抗
原の免疫ブロット。レーンA/1 分子量マーカー;レーンA/2 唾液腺;
レーンA/3 中腸;レーンA/4 血リンパ。 図10〜12について、は、MultiMarkTMタンパク質分子量マー
カー(NOVEX)を表す:98kDa=ホスホリラーゼB、52kDa=グル
タミン酸デヒドロゲナーゼ、31kDa=カルボニックアンヒドラーゼ、19/
17kDa=ミオグロビンRed/Blue、11kDa=リゾチーム、6kD
a=アプロチニン、3kDa=インスリン。 **は、Mark 12TMタンパク質分子量マーカー(NOVEX)を表す
:200kDa=ミオシン、116.3kDa=βカラクトシダーゼ、97.4
kDa=ホスホリラーゼ b、66.3kDa=ウシ血清アルブミン、55.4
kDa=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、36.5kDa=乳酸デヒドロゲナー
ゼ、31kDa=カルボニックアンヒドラーゼ、21.5kDa=トリプシンイ
ンヒビター、14.4kDa=リゾチーム、6kDa=アプロチニン、3.5k
Da=インスリンB鎖および2.5kDa=インスリンA鎖。
【図13】 図13は、組換えR.appendiculatus 64trpタンパク質
で免疫されたモルモット由来の抗血清を使用するRhipicephalus
sanguineusマダニ抗原間の交差反応性を示す。 AおよびB 各々、抗64trp3抗血清および抗64trp2抗血清を使用
するR.sanguineusマダニ抗原の免疫ブロット。C Coomass
ie Blue染色された4−12% Bis−Tris勾配ゲル(NuPAG
E−NOVEX)。 レーンA/1およびB/1:SeeBlueTM Plus2タンパク質分子
量マーカー(NOVEX) 188kD=ミオシン;98kDa=ホスホリラー
ゼB;62kD=BSA;49kD=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ;38kD
=アルコールデヒドロゲナーゼ;28kD=カルボニックアンヒドラーゼ;17
kD=ミオグロビンレッド;14kD=リゾチーム;6kD=アプロチニン。 レーンC/1:Mark12TMタンパク質分子量マーカー(NOVEX)
200kD=ミオシン; 116.3kD=β−ガラクトシダーゼ;97.4k
D=ホスホリラーゼb;66.3kD=ウシ血清アルブミン;55.4kD=グ
ルタミン酸デヒドロゲナーゼ;36.5kD=乳酸デヒドロゲナーゼ;31kD
=カルボニックアンヒドラーゼ;21.5kD=トリプシンインヒビター;14
.4kD=リゾチーム;6kD=アプロチニン。 レーン:A/2、A/3、A/4、A/5、A/6、A/7およびA/8:各
々、R.sanguineus全若虫抽出物、血リンパ、雄性中腸抽出物、雌性
中腸抽出物、雄性唾液腺抽出物、雌性唾液腺抽出物、ならびに組み合わせた雄性
および雌性セメントコーン抽出物(モルモットの部分的に存在するマダニ由来)
であり、これらの免疫陽性バンドは、抗64trp3抗血清を使用して、a=6
kD、b=17kD、c=188kD、d=26kD、e=28kD、f=60
kDおよびg=80kDとして観察された。 レーン:B/2、B/3、B/4、B/5、B/6、B/7およびB/8:A
と同様に、これらの免疫陽性バンドを、抗64trp2抗血清を使用して、h=
120kD、i=62kDおよびj=60kDとして観察した。 レーン:C/2、C/3、C/4、C/5、C/6、C/7およびC/8:A
におけるように、タンパク質バンドa〜jは、免疫ブロットAおよびBからの免
疫陽性バンドに対応する。矢印=抗GST血清と結合するバックグラウンドに
起因する免疫陽性バンド−図14を参照のこと。
【図14】 図14は、抗GST抗血清を使用するR.sanguineusマダニ抗原の
免疫ブロットを示す。 レーン8:Mark2TM タンパク質分子量マーカー(NOVEX) 200
kD=ミオシン;116.3kD=β−ガラクトシダーゼ;97.4kD=ホス
ホリラーゼb;66.3kD=ウシ血清アルブミン;55.4kD=グルタミン
酸デヒドロゲナーゼ;36.5kD=乳酸デヒドロゲナーゼ;31kD=カルボ
ニックアンヒドラーゼ;21.5kD=トリプシンインヒビター;14.4kD
=リゾチーム;6kD=アプロチニン。レーン7、6、5、4、3、2および1
:各々、R.sanguineus全若虫抽出物、血リンパ、雄性中腸抽出物、
雌性中腸抽出物、雄性唾液腺抽出物、雌性唾液腺抽出物、および組み合わせた雄
性および雌性セメントコーン抽出物(モルモットの部分的に存在するマダニ由来
)である。免疫陽性バンドIおよびK1およびK2は、各々、雄性唾液線抽
出物、雌性唾液腺抽出物およびセメントコーン抽出物に存在するタンパク質バン
ド(25kD、48kDおよび26kD)を有する抗GST抗血清との非特異的
結合をいう。
【図15】 図15は、64trpタンパク質の異なるカクテルで免疫されたモルモットで
の初期飼育の間の、Rhipicephalus sanguineusの雄性
および雌性の成虫マダニに対する効果を示す。 (A)64trp6/3免疫モルモット(異なる部位に注射された)からのの
死亡した雌性マダニ; (B)64trp6/3免疫モルモット(1つの部位に組み合わせて注射した
)からの死亡した雌性マダニ; (C)64trp6/2免疫モルモット(異なる部位に注射した)からの死亡
した雌性(n=3)および雄性(n=2)マダニ; (D)64trp6/2免疫モルモット(1つの部位に組み合わせて注射した
)からの死亡した雌性マダニ
【図16】 図16は、64trp免疫モルモットで後飼育されたRhipicephal
us sanguineus成虫マダニに対する64trpタンパク質のワクチ
ン効果を示す。 (A):生存する成虫雌性R.sanguineusマダニ(免疫原としての
64trp2/6タンパク質カクテルで免疫されたモルモット上で後飼育された
)。2/10マダニのみが生存した;マダニは、卵を産まず、そして完全には充
血しなかった (B):死亡した成虫雌性R.sanguineusマダニ(免疫原としての
64trp2/6および64trp3/6カクテルで免疫されたモルモットで後
飼育された)。このマダニは、茶色/黒に変わり、そして脱離後2〜5日間乾燥
一貫性を発展させた。 (C):正常な成虫R.sanguineus雌性マダニ(このマダニは、産
卵し、そしてGST調節タンパク質で免疫されたモルモット上で、その後飼育さ
れた(post−feeding))。
【図17】 図17は、組換えR.appendiculatus 64trp2および6
4trp3タンパク質で免疫されたモルモット由来の抗血清を使用するBoop
hilus microplusマダニ抗原間の交差反応性を示す。 AおよびB 各々、64trp2および64trp3抗血清を使用するBoo
philus microplusマダニ抗原の免疫ブロット;C Cooma
ssie Blue染色された4〜12% Bis−Tris勾配ゲル(NuP
AGE−NOVEX)。 レーン:A/1およびB/1:SeeBlueTM Plus 2タンパク質
分子量マーカー(NOVEX) 188kD=ミオシン、98kD=ホスホリラ
ーゼB、62kD=BSA、49kD=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、38k
D=アルコールデヒドロゲナーゼ、28kD=カルボニックアンヒドラーゼ、1
7kD=ミオグロビンレッド、14kD=リゾチーム、6kD=アプロチニン。
レーンC/1:Mark12TMタンパク質分子量マーカー(NOVEX):2
00kD=ミオシン、116.3kD=β−ガラクトシダーゼ、97.4kD=
ホスホリラーゼb、66.3kD=ウシ血清アルブミン、55.4kD=グルタ
ミン酸デヒドロゲナーゼ、36.5kD=乳酸デヒドロゲナーゼ、31kD=カ
ルボニックアンヒドラーゼ、21.5kD=トリプシンインヒビター、14.4
kD=リゾチームおよび6kD=アプロチニン。 レーンA/5、A/4、A/3およびA/2:各々、Boophilus m
icroplusセメントコーン抽出物、唾液線抽出物、中腸抽出物および全若
虫(飼育されたマダニ)抽出物であり、これらの免疫陽性バンドを、64trp
2抗血清を使用して、a=120〜200kD、b=80kD、c=62kD、
d=49kD、e=40kD、f=17kD、g=8kDおよびh=200kD
、I=60kD、j=55kD、k=49kDおよび1=18kDとして観察し
た。 レーンB/5、B/4、B/3およびB/2:各々、Boophilus m
icroplusセメントコーン抽出物、唾液線抽出物、中腸抽出物および全若
虫(飼育されたマダニ)抽出物であり、これらの免疫陽性バンドを、64trp
3抗血清を使用して、m=120kD、n=35kD、o=62kD、p=59
kD、q=49kDおよびr=26kDとして観察した。 レーンC/5、C/4、C/3およびC/2:それぞれ、Boophilus microplusセメントコーン抽出物、唾液腺抽出物、中腸抽出物および
全若虫抽出物(肥育したマダニ)であり、これらのタンパク質のバンドa〜rは
、免疫ブロットAおよびBからの免疫陽性バンドに対応する。
【図18】 図18は、組換えR.appendiculatus 64trp5および6
4trp6タンパク質で免疫したモルモット由来の抗血清を使用する、Boop
hilus microplusマダニ抗原間の交差反応性である。 AおよびB:それぞれ、抗64trp5おおよび抗64trp6抗血清を使用
する、Boophilus microplusマダニ抗原の免疫ブロット;C
:組換えGSTタンパク質で免疫したモルモット由来の抗血清を使用する、Bo
ophilus microplusマダニ抗原の免疫ブロット。 レーン:A/5、B/5およびC/5=SeeBlueTMおよび2つのタン
パク質分子量マーカー(NOVEX):188kD=ミオシン、98kD=ホス
ホリラーゼB、62kD=BSA、49kD=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、
38kD=アルコールデヒドロゲナーゼ、28kD=炭酸脱水酵素、17kD=
ミオグロビンレッド、14kD=リゾチーム、6kD=アプロチニン。 レーン:A/1、A/2、A/3およびA/4:それぞれ、Boophilu
s microplus セメントコーン抽出物、唾液腺抽出物、中腸抽出物お
よび全若虫(肥育したマダニ)抽出物であり、これらの免疫陽性バンドは、抗6
4trp5抗血清を使用して、a=50〜55kD、b=32kD、c=17k
D、d=70kD、e=48kD、f=26kD、g=40kDおよびh=30
kDであると観察された。 レーン:B/1、B/2、B/3およびB/4:それぞれ、Boophilu
s microplusセメントコーン抽出物、唾液腺抽出物、中腸抽出物およ
び全若虫(肥育したマダニ)抽出物であり、これらの免疫陽性バンドは、抗64
trp6抗血清を使用して、e=48kD、i=180kD、j=75kD、k
=12kDであると観察された。 レーン:C/1、C/2、C/3およびC/4:それぞれ、Boophilu
s microplusセメントコーン抽出物、唾液腺抽出物、中腸抽出物およ
び全若虫(肥育したマダニ)抽出物であり、これらの免疫陽性バンドは、a=5
0〜55kD、e=48であると観察された。
【図19】 図19は、組換えR.appenldiculatus 64trpタンパク
質で免疫したモルモット由来の抗血清を使用する、Ixodes ricinu
sマダニ抗原間の交差反応性である。 A(ii)、(iii)、(iv)および(v):それぞれGST、64tr
p2、64trp5および64trp6抗血清を使用する、Ixodes ri
cinus非肥育マダニの全若虫抽出物の免疫ブロット;A(i):同じ抽出物
の、クマシーブルー染色した4〜12%のBis−Tris勾配ゲル(NuPA
GE−Novex)。 B(i)および(ii):それぞれ、クマシーブルー染色した4〜12%のB
is−Tris勾配ゲル(NuPAGE−Novex)、および64trp6抗
血清を使用した、Ixodes ricinusマダニの全幼虫抽出物の免疫ブ
ロット。 レーン:A/(i)/1およびB/(i)/1:Mark12TMタンパク質
分子量マーカー(NOVEX):200kD=ミオシン、116.3kD=β−
ガラクトシダーゼ、97.4kD=ホスホリラーゼb、66.3kD=BSA、
55.4Kd=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、36.5kD=乳酸デヒドロゲ
ナーゼ、31kD=炭酸脱水酵素、21.5kD=トリプシンインヒビター、1
4.4kD=リゾチーム、および6kD=アプロチニン。レーン:A/(ii)
、(iii)、(iv)および(v)/3:See BlueTMおよび2つの
タンパク質分子量マーカー(Novex):98kD=ホスホリラーゼB、62
kD=BSA、49kD=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、38kD=アルコー
ルデヒドロゲナーゼ、28kD=炭酸脱水酵素、17kD=ミオグロビンレッド
、14kD=リゾチーム。レーン:B/(ii)/3:MultiMarkTM タンパク質分子量マーカー(Novex):98kD=ホスホリラーゼB、52
kD=グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、31kD=炭酸脱水酵素、19kD=ミ
オグロビンレッド、17kD=ミオグロビンブルー、および11kD=アプロチ
ニン。 レーン:A/(iii)、(iv)および(v)/4=I.ricinus全
若虫抽出物であり、この免疫陽性バンドは、それぞれ、a=150kDおよびb
=62kD、c=100Kd、d=98Kd、e=62Kd、f=50kDおよ
びg=42kD、h=190kD、i=150kD、j=80、k=62kD、
l=55kD、m=32kD、n=17kDならびにo=12kDであると観察
された。レーン:A/(ii)/4=I.ricinus全若虫抽出物であり、
*として観察されたこの非常わずかな免疫陽性バンドは、マダニ抗原とGST抗
血清との非特異的交差反応性に起因する。 レーン:B/(ii)/4=I.ricinus全幼虫抽出物であり、この免
疫陽性バンドは、a=116kD、b=80kD、c=62kD、d=34kD
、およびe=28kDであると観察された。
【図20】 図20は、64trpタンパク質の異なるカクテルで免疫したハムスターに対
する、Ixodes ricinusマダニの若虫への肥育の影響である。 GSTコントロールタンパク質(A)、64trp6タンパク質(B)、64
trp5タンパク質(C)、および64trp6/5のカクテル(D)で免疫し
たハムスター上のI.ricinusマダニの若虫の、肥育の間[(i)−解剖
前]および肥育後[(ii)−解剖後]のハムスターの皮膚の研究。 マダニ肥育後の発毛は、コントロールハムスターAにおいては正常であり、そ
して64trp免疫ハムスターにおいては非常に遅く、矢印aによって示される
脱毛領域を有する。これは、64trp免疫ハムスター上のI.ricinus
マダニの肥育の間に生じる局所的な炎症性免疫応答に起因し、これは矢印c、d
およびeによって示される;c=解剖された皮膚の皮下組織において紅斑として
見られる種々の程度の炎症を示す、放置されたマダニ肥育部位;d=拡大した前
肩甲骨リンパ節;e=放置されたマダニ肥育部位での血清の浸出;f=コントロ
ールハムスターの放置されたマダニ肥育部位であり、この皮下組織および前肩甲
骨リンパ節は、正常のようである。b=肥育したI.ricinusマダニの若
虫;コントロールハムスター上でのマダニの肥育は、64trp免疫ハムスター
での肥育と比較して、6時間延長した。
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Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて、免疫原性マダニ
    セメントタンパク質、該タンパク質のフラグメント、またはそれらの機能的等価
    物を含む、ワクチン組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物であって、ここで前記マダニセメン
    トタンパク質、該タンパク質のフラグメント、またはそれらの機能的等価物が、
    免疫原性エピトープを含み、該免疫原性エピトープが、該免疫原性セメントタン
    パク質、該フラグメント、または該機能的等価物が由来する、マダニ種以外の吸
    血外寄生生物種の1つ以上のオーソロガスセメントタンパク質に存在する、組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の組成物であって、ここで前記マダ
    ニセメントタンパク質が、免疫原性エピトープを含み、該免疫原性エピトープが
    また、吸血外寄生生物の腸タンパク質に存在する、組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物であって、ここ
    で前記吸血外寄生生物が、マダニ、蚊、ヒル、アブ、ツェツェバエ、ノミ、シラ
    ミ、またはダニである、組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物であって、該組
    成物が前記吸血外寄生生物の成体形態および未熟な形態の両方に対して効果的で
    ある、組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物であって、ここ
    で前記マダニセメントタンパク質が、マダニ種Rhipicephalus a
    ppendiculatus、R.sanguineus、Amblyomma
    variegatum、Boophilus microplus、B.an
    nulatus、Ixodes ricinus、I.persulcatus
    、およびI.scapularisのいずれか1つに由来する、組成物。
  7. 【請求項7】 前記マダニセメントタンパク質が、マダニR.append
    iculatusに由来する、請求項6に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物であって、該組
    成物が、クローン21、クローン33、CemA、クローン24、クローン68
    、クローン64、およびクローンIタンパク質、またはこれらのフラグメントの
    いずれか1つを活性成分として含む、組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物であって、該組
    成物が、64trpセメントタンパク質、または該タンパク質のフラグメント、
    またはこれらの機能的等価物を活性成分として含む、組成物。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の組成物であって、ここで前記フラグメン
    トが、64trp1、64trp2、64trp3、64trp4、64trp
    5、または64trp6、あるいはこれらの機能的等価物のいずれか1つである
    、組成物。
  11. 【請求項11】 前記フラグメントが、64trp2、64trp6、また
    はこれらの機能的等価物である、請求項10に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記マダニセメントタンパク質が、組換え形態において発
    現される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 【請求項13】 第2の活性因子をさらに含む、請求項1〜12のいずれか
    1項に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の組成物であって、ここで前記第2の活
    性因子が、吸血外寄生生物に由来する第2の免疫原性タンパク質、またはタンパ
    ク質フラグメントである、組成物。
  15. 【請求項15】 アジュバントをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1
    項に記載の組成物。
  16. 【請求項16】 マダニセメントタンパク質と反応する、抗体また抗血清。
  17. 【請求項17】 請求項13に記載の抗体また抗血清であって、ここで前記
    マダニセメントタンパク質が、請求項1〜12のいずれか1つに挙げられる、セ
    メントタンパク質、フラグメント、または機能的等価物のいずれかである、抗体
    また抗血清。
  18. 【請求項18】 請求項16または17のいずれかに記載の抗体また抗血清
    の産生方法であって、該方法が請求項1〜15のいずれか1つに挙げられるワク
    チン組成物で動物を免疫する工程を包含する、方法。
  19. 【請求項19】 吸血外寄生生物に対して動物を免疫する方法であって、請
    求項1〜15のいずれか1つに挙げられるワクチン組成物を前記動物に投与する
    工程を包含する、方法。
  20. 【請求項20】 ワクチンにおける使用のためのマダニセメントタンパク質
    、該タンパク質のフラグメント、またはこれらの機能的等価物。
  21. 【請求項21】 ワクチンの成分としてのマダニセメントタンパク質の使用
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