JP2003530844A - 呼吸器疾患における医薬応答アッセイ - Google Patents

呼吸器疾患における医薬応答アッセイ

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Abstract

(57)【要約】 5-リポキシゲナーゼ遺伝子の多型又はロイコトリエンC4シンターゼ遺伝子の多型と、呼吸器疾患のためのロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する被験者の表現型応答との相関を説明する。治療を補助するための被験者のスクリーニング方法、治療用化合物のスクリーニング方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、スルフィドペプチドであるロイコトリエンの生合成において機能す
る遺伝子における多型、並びにこれと関連又は相関する表現型に関する。さらに
具体的には、本発明は、こうした多型と、医療処置に対する呼吸器疾患(喘息な
ど)を患う被験者の応答との相関に関する。本発明はさらに、化合物を医薬活性
についてスクリーニングする方法に関する。また本研究は推測を目的とした被験
者の遺伝子型タイピングの方法にも関する。
【0002】発明の背景 喘息は全通院者の1〜3%の割合を占め、1年間に50万人の入院者があり、そ
して小児病院ではどの単発疾病よりも入院者が多い、極めて一般的な疾患である
。喘息はもはや単純に可逆性気道閉塞又は過敏性気道とみなされるものではなく
、むしろ根本的には気管支反応亢進及びその結果としての気管支痙攣を伴う炎症
性疾患とみなされる。この疾患の基礎をなす喘息性炎症を、糖質コルチコイドな
どの抗炎症薬を用いた治療により、又は炎症過程でのロイコトリエンの機能を標
的とする薬物によって処置することができる。
【0003】 ロイコトリエンはアラキドン酸から誘導されるエイコサテトラエン酸の1ファ
ミリーであって、気管支収縮及び前炎症活性を含む広範囲の薬理学的及び生理学
的活性を示す。細胞膜からアラキドン酸が切断され、5-リポキシゲナーゼなどの
周辺核膜に局在する酵素群のカスケード作用を受けて不安定なエポキシドLTC4を
形成し、次にLTC4シンターゼ(LTC4S)によってグルタチオンが付加され、細胞
内LTC4を形成する。LTC4は細胞外に輸送され、そこでアミノ酸が順次切断されて
、シスチニルロイコトリエンLTD4及びLTE4を形成する。このシスチニルロイコト
リエンLTD4及びLTE4がCYS-LT1受容体を介して作用する。この経路をモジュレー
トするために2つのクラスの薬物、ALOX5インヒビター及びCYSLT1受容体アンタ
ゴニストが存在する。
【0004】 ALOX5遺伝子のプロモーター領域内の多型がこの遺伝子の転写に影響を与える
ことが証明されている。Sp-1結合モチーフ(GGGCGG)の5回以外のランダム反復
配列を含有するヒト細胞はin vitroで活性が低下する。したがって変異型遺伝子
を持つ喘息患者はこの経路を改変する薬物を用いた治療上の介入に対して応答性
が低い可能性があると考えられる。ALOX5インヒビター化合物ABT-761を用いた先
行臨床試験によって、この化合物の効力が遺伝子型によって影響を受けることが
わかっている(Drazen,J.M.ら、ALOX5プロモーター遺伝子型と抗喘息治療に対す
る応答の間の薬理遺伝学的連関、Nature Genetics 22; 168-170, 1999)。野生
型対立遺伝子についてホモ接合性(Sp-1モチーフの5回直列反復配列)であるか
ヘテロ接合性(5回/それ以外の数の直列反復配列)である患者には同様の効力
があった。しかし、非野生型対立遺伝子(変異型)についてホモ接合性である患
者はこの化合物に対する応答が非常に低下していた。図1を参照されたい(この
グラフのデータはDrazenら(1999)の168ページ、第2欄の最終段落から169ページ
にかけて提供されている)。図1中、野生型対立遺伝子のホモ接合性は5,5で表
し;野生型及び変異型対立遺伝子のヘテロ接合性は5,Xで表し;変異型対立遺伝
子のホモ接合性はX,Xで表している。
【0005】 所定の喘息患者がロイコトリエン経路のモジュレーターを用いた治療のための
良好な候補者となるかならないかを決定するための方法が必要とされている。し
たがって、本発明の目的は、薬理学的治療の最適臨床結果と個々の集団の遺伝子
型との連関を提供することである。本発明の別の目的は、患者の集団を、他の薬
理学的治療と比較して所定の薬理学的治療に対する応答が高いか低い部分集団に
層別化するのを可能にすることである。本発明の別の目的は、所定の薬理学的治
療に対する患者の応答をその患者の遺伝子型に基づいて推測し得ることである。
また本発明の別の目的は、薬理学的治療に対する患者の応答を推測するための商
業用の方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、患者若しくは患
者集団の遺伝子型に基づいて、患者若しくは患者集団への将来の好適な投与のた
めの候補薬物化合物のスクリーニング方法を提供することである。これには喘息
患者の遺伝的部分母集団間での測定し得る表現型への作用の相違について、候補
薬物化合物をスクリーニングする方法が必要である。
【0006】発明の概要 本発明者らは、ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いて治療可能な呼吸
器不全症(respiratory disorder)を患う被験者において、5-リポキシゲナーゼ
(ALOX5)遺伝子の多型及び/又はロイコトリエンC4シンターゼ遺伝子(LTC4S)
の多型が、ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いた薬理学的治療に対する
被験者の応答と相関することを確認した。さらに具体的には、本発明者らは、LT
C4S遺伝子のプロモーター領域におけるトランスバージョン多型がCysLT1ロイコ
トリエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する喘息患者の応答に関する推
測因子であること、またALOX5遺伝子のプロモーター領域におけるSp-1結合モチ
ーフの直列反復配列の数の多型性変異がその他のトランスバージョン多型ととも
に、同様にCysLT1ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する喘
息を患う患者の応答に関する推測因子であることを見出した。その上、ロイコト
リエン受容体アンタゴストを用いて治療した場合に、その他の薬理学的治療と比
較して、喘息症状の軽減度合が低い患者の遺伝的サブセットを同定した。
【0007】 本発明の第1の態様は、ロイコトリエンアンタゴニストを用いた喘息などの呼
吸器疾患(respiratory disease)の治療に対する良好な応答の可能性が低い被
験者を同定するための、患者集団のスクリーニング方法である。被験者を呼吸器
疾患についてあらかじめ診断しておいてもよいし、診断作業と連動させてスクリ
ーニング方法を使用してもよい。
【0008】 本発明の別の態様は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いて治療可能
な呼吸器疾患(喘息など)を患う被験者のスクリーニング方法であって、ロイコ
トリエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する被験者の応答の推測を補助
するためのものである。この方法は、被験者のDNAサンプルを得るステップ、並
びにALOX5遺伝子若しくはLTC4S遺伝子の一方又は両方の多型性対立遺伝子部位に
おける被験者の遺伝子型を判定するステップであって、上記部位における遺伝子
型の相違がロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する表現型応
答の発生度合の相違と関連するものである上記ステップを含む。
【0009】 本発明の別の態様は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストリガンドを用いて
治療可能な喘息を患う被験者のスクリーニング方法であって、ロイコトリエン受
容体アンタゴニストを用いた治療に対する被験者の応答の推測を補助するための
ものである。この方法は、被験者のDNAサンプルを得るステップ、並びにALOX5遺
伝子及びLTC4S遺伝子の一方又は両方の多型性対立遺伝子部位における被験者の
遺伝子型を判定するステップであって、上記部位における遺伝子型の相違がロイ
コトリエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する表現型応答の発生度合の
相違と関連するものである上記ステップを含む。サンプル中で検出される遺伝子
型は、その被験者がこの遺伝子型と関連する表現型応答を有する可能性があるこ
とを示している。
【0010】 本発明の別の態様は、呼吸器不全症の被験者の遺伝的部分母集団間で測定し得
る表現型の影響の相違(variation)についてリガンドをスクリーニングする方
法である。その方法は、呼吸器不全症を患う被験者の集団に候補リガンドを投与
するステップ、並びに各被験者からDNAサンプルを得るステップを含む。そのDNA
サンプルをALOX5遺伝子及び/又はLTC4S遺伝子の多型性対立遺伝子について遺伝
子型をタイピングし、その多型性対立遺伝子の遺伝子型と上記被験者集団におけ
る表現型応答の発生頻度との間の相関を判定する。(他の遺伝子型を有する被験
者における発生度合と比較して)所望の治療応答又は副作用の発生度合の高低と
相関がある遺伝子型の検出は、呼吸器疾患の治療におけるこのリガンドの有効性
が遺伝的部分母集団間で変動することを意味している。
【0011】 本方法の適用において記載した種類の臨床試験から各種のデータが作成される
が、それらは電子的に読取り可能な媒体に格納するのが好都合である。このよう
な媒体として、限定するわけではないが、磁気テープ、磁気ディスク、半導体式
メモリー及び記憶装置、光学読取り用ディスク並びにこれらの任意の組合せが挙
げられる。こうしたデータはまた、金属若しくは光ファイバー線などの電気通信
手段、又は無線電磁周波数装置によって良好に送信又は通信される。その上、こ
うしたデータは少なくとも2つ又はそれ以上の電子計算装置、例えばパーソナル
コンピュータ、コンピュータワークステーション、コンピュータサービス、メイ
ンフレームコンピュータ、スーパーコンピュータなど、を介して良好に通信され
る。こうした通信は、装置から装置へ直接に、又は送信者からその通信の目的の
受信者へこうした通信がどのような経路をとるかを電子的に指示しておいた複数
の装置を経由して行うことができる。このような通信として限定するわけではな
いが、組織イントラネット及びインターネット若しくはワールドワイドウェブな
どが挙げられる。上記のように格納し通信することができるデータとして、限定
するわけではないが、上記の臨床試験によって作成されたあらゆるヌクレオチド
配列データ、アミノ酸配列データ、タンパク質−タンパク質相互作用データ、臨
床診断データ若しくは統計学的データが挙げられる。前述のこうした電子装置の
使用は、特に商業上の使用において、特許請求の範囲に示した本発明の別の1実
施形態である。
【0012】 さらに、本発明は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストに応答しない患者に
ついて、こうした非応答患者のための治療法発見の可能性を高めるように計算さ
れた手段でその集団を再試験することによって、その患者にとって有利になるよ
うな方法で臨床試験を計画し、また実施する方法を提供する。現在のところ、新
規な医薬の市販化にはその候補医薬の効力及び安全性を証明するために実施する
膨大な臨床試験が必要である。所定のどの臨床試験においても、その試験に登録
した患者について観察することにより、期待したようにその候補医薬に応答する
か、それほど強く応答しないか、全く応答しない、の患者の割合(%)が得られ
る。また、3種の可能な有害副作用結果、すなわち有害副作用がない、許容され
る程度の有害副作用、及び許容されない有害副作用、がある。現在入手可能なデ
ータから、部分的応答者若しくは非応答者の集団の大部分は、複数の病因の結果
として認識された表現型が導かれることが示唆される。こうした臨床研究におい
て相違する医薬応答性に関連があるグループの一塩基多型(SNP)プロフィルを
作成することによって、その疾患の異なる形態に寄与する遺伝子の所在位置をも
同定することができ、これによって別の疾患の発生度合(感受性)の標的の発見
が導かれることを意味している。
【0013】 所定の医薬に応答する患者の集団の系統的な研究は、逆の研究、すなわち当初
研究した医薬に対して効力及び許容される安全性の結果をともなって応答しなか
った患者の部分群の系統的研究によって補足される。こうした部分的応答者若し
くは非応答者は、医薬が市場に出された後に機能を発揮する現行の試行錯誤シス
テムではなく、リアルタイムで同定することもできる。現状では、恩恵を受けな
いはずの有害反応を被るかもしれない多くの患者に、薬物が広く販売されている
。製品のラベルへの使用上の広範な警告以外には、こうした患者からの使用上の
情報は現在ほとんど得られない。
【0014】 このように、1)有害作用の可能性を最小にし、2)治療に対し応答する可能
性を最大にし、そして3)応答者であるか非応答者であるかによって、すべての
先行データを利用することができる、その次の臨床試験を容易に示唆するデータ
プールを提供することによって、利用し得る患者集団に利益をもたらす様式での
ヒトの臨床薬物試験を設計する方法が当該技術分野において要望されている。し
たがって、本発明はさらに、患者集団の薬理遺伝学的層別化によって臨床薬物試
験を実施する方法を包含し、該方法には、患者集団において第1の臨床薬物試験
を実施し、その薬物試験により、表現型(ロイコトリエンアンタゴニストに対し
て応答若しくは非応答)と遺伝子型との連関を同定するステップ;上記臨床薬物
試験における患者集団を応答群と非応答群の部分母集団に分類するステップ;非
応答群の患者集団に対し第2の臨床薬物試験を実施し、その第2の薬物試験によ
り、第2の表現型と遺伝子型との連関を同定するステップ;ステップ(c)の患者
集団を第2の応答群と代2の非応答群の患者集団に分類するステップ;並びにス
テップ(c)〜(d)を所望の反復回数で繰り返し行うステップ、が含まれる。
【0015】発明の詳細な説明 本発明者らは、ALOX5遺伝子及び/又はLTC4S遺伝子の多型性変化が、薬理学的
処置(治療)、具体的にはロイコトリエン受容体アンタゴニスト、特にCysLT1ロ
イコトリエン受容体アンタゴニスト、また特に糖質コルチコイドを用いた治療に
対する応答と相関し得ることを見出した。本発明者らは、酵素LTC4シンターゼの
プロモーター領域内に、一塩基多型;第1コドンから444ヌクレオチド上流にア
デニンからシトシンへのトランスバージョンが存在し、これが喘息を患う被験者
の、ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する応答と相関する
ことを同定した。患者の応答と相関するALOX5遺伝子内の多型もさらに同定した
。こうしたALOX5多型の1つはプロモーター領域内にあり、Sp-1結合モチーフGGG
CGGの3〜6回の直列反復配列を含有し、最も一般的に出現する対立遺伝子(5
回直列Sp-1結合モチーフ)についてホモ接合性の個体が野生型であり、Sp-1結合
モチーフの3、4若しくは6回直列反復配列は変異型(すなわち非野生型)と考
えられる(その他の数の直列反復配列は変異型と考えられる)。究明したその他
のALOX5多型として、ALOX5遺伝子の第1コドンから1708塩基上流のGからAへの
トランスバージョン多型(G-1708A)、及びALOX5遺伝子の第1コドンから1728塩
基下流(エキソン13内)の一塩基トランスバージョン多型(A1728G若しくはPro5
76Pro)が含まれる。ALOX5多型もまた喘息を患う被験者のロイコトリエン受容体
アンタゴニストを用いた治療に対する応答と相関することがわかった。
【0016】 LTC4シンターゼプロモーター多型の機能性については、この対立遺伝子とアス
ピリン不寛容性喘息との関連性が報告されてはいる(Sanak,Mら、ロイコトリエ
ンC4シンターゼプロモーター多型及びアスピリン誘発性喘息の危険、The Lancet
350; 1599-1600,1997)が、ほとんど知られていない。本出願人はこのLTC4シン
ターゼプロモーター多型について、57.6%のホモ接合性野生型、34.7%のヘテロ
接合性及び7.6%のホモ接合性変異型の頻度を見出だした。これらの頻度はALOX5
プロモーター多型について見出されたものと類似しているが、これらの酵素のた
めの遺伝子は別の染色体上に存在するのである。
【0017】 本明細書で使用する、特定の化合物を用いて「治療可能な呼吸器疾患(disease
)(又は呼吸器不全症(disease))」とは、こうした治療が有意な数の当該呼吸器
疾患を患う被験者に有益であることが示されたものである。当業者には明らかな
ことであるが、特定の化合物若しくは化合物系を用いて治療可能な症状とはこの
治療をしたすべての患者に有益であることを意味するものではない。
【0018】 多型は、ある遺伝子のコード領域内、又は5'若しくは3'非コード領域内に存在
しうる。5'非コード領域としては、転写調節において重要な配列、例えばプロモ
ーター、負の調節領域及び正の調節領域などが挙げられる。
【0019】 遺伝子サンプルは喘息治療のための臨床試験に登録した被験者から取得した。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を利用して、最初にその遺伝子サンプルをロ
イコトリエンC4シンターゼ遺伝子(LTC4S遺伝子)内の第1コドンから444ヌクレ
オチド上流のアデニンからシトシンへのトランスバージョン多型についてスクリ
ーニングした。この対立遺伝子を「A」(アデニン)又は「C」(シトシン)と
して表すことにより、3つの可能性ある遺伝子型が考えられた(A/A、A/C、及び
C/C)。
【0020】 ヒトロイコトリエンC4シンターゼ(LTC4S)のヌクレオチド配列がGenBankでア
クセッション番号U50136として提供される(配列番号1)。
【0021】
【0022】 上記配列によってコードされるタンパク質を配列番号2として提供する。
【0023】 アデニンからシトシンへのトランスバージョン多型(A-444C)は第1コドン(
下線付き、上記)から444ヌクレオチド上流の位置(下線付き太字)にあること
が知られている。したがって、本明細書で定義する「A」対立遺伝子は配列CTGG
ATGGGG ACAGGGAACA(配列番号3)(配列番号1の第991-1010番のヌクレオチド
に相当する)を含むことになる。これに対して、本明細書で定義する「C」対立
遺伝子は配列CTGGATGGGG ACCGGGAACA(配列番号4)(配列番号1の第991-1010
番のヌクレオチドに相当する)を含むことになる。
【0024】 再びPCR技術を利用して、遺伝子サンプルを5-リポキシゲナーゼ(ALOX5)内の
ATG開始部位から上流176〜147塩基対の領域にある多型について二次スクリーニ
ングした。ここでSp1結合モチーフ(GGGCGG;配列番号12)の5回直列反復配列
が存在するのが野生型、その3、4若しくは6回直列反復配列が存在するのは変
異型である。対立遺伝子を「5」(5回直列反復配列)又は「X」(3、4若し
くは6回直列反復配列)として表し、その結果3種の可能性ある遺伝子型(5/5
、5/X及びX/X)が考えられた。変異型ALOX5対立遺伝子にはこの領域内にSp1結合
モチーフの数個の直列反復配列があり、それは5回反復より多いか又は少ない。
すなわち、ALOX5内のATG開始部位の上流約200〜約125ヌクレオチドの領域内に、
1〜4、又は6以上のSp1結合モチーフの反復配列がある。本研究では、変異型A
LOX5対立遺伝子(「X」)はこの領域内に3、4若しくは6回直列反復配列を持
つものとした。
【0025】 ALOX5遺伝子の第1コドンから1708塩基上流のGからAへのトランスバージョン
多型(G-1708A)及びAlOX5遺伝子の第1コドンから1728塩基下流(エキソン13内
)の一塩基トランスバージョン多型(A-1728G)についても、スクリーニングを
実施した。
【0026】 Sp1結合モチーフの5回反復配列及びG-1708A多型を含有するヒト5-リポキシゲ
ナーゼ(ALOX5)の5'領域のヌクレオチド配列及び部分コード配列がGenBankでア
クセッション番号M38191として提供される(配列番号5)。
【0027】
【0028】 第1コドンに下線を付している。Sp1結合モチーフ(GGGCGG)の反復配列を含
む領域を下線付き太字で示し、G-1708A位置も下線付き太字で示している。
【0029】 5-リポキシゲナーゼ遺伝子はcDNA(Matsumotoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85
:3406(1988))及びゲノムクローン(Hoshikoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:90
73(1990))としてクローニングされている。5-リポキシゲナーゼ遺伝子はサイズ
が約85キロベースで、14個のエキソンと15個のイントロンを持つ。
【0030】 2つのALOX5 mRNA配列がGenBankでアクセッション番号NM000698及びXM005818
として提供される。NM000698で提供される配列は674アミノ酸のタンパク質をコ
ードするが、これを以下に示す。
【0031】
【0032】 1728多型部位を下線付き太字で示す。A1728G多型はそのコードされるアミノ酸
を変更するものではない(アミノ酸位置576のプロリン;配列番号14)。
【0033】 XM005818の配列を以下に提供する(配列番号15)が、これはNM000698にコード
されるものと最初のアミノ酸が異なっているアミノ酸配列(配列番号16)をコー
ドする。A1728G多型の部位(番号はNM000698参照)を下線付き太字で示している
【0034】
【0035】 本発明者らは、LTC4SのA-444C部位のC/C遺伝子型、ALOX5内のX/X Sp1遺伝子型
、及びALOX5のA1728G部位の多型が、CysLT1ロイコトリエン受容体アンタゴニス
トであるザフィルルカストへの応答の低下に独立して関係するものと判定した。
【0036】 本方法にしたがって、抗炎症用に吸入させた糖質コルチコイド又はロイコトリ
エンアンタゴニストを用いて治療可能な喘息を患う被験者をスクリーニングする
ことによって、一般的にはこうした治療に対するその応答の推測を補助する。こ
のスクリーニングは、その被験者からDNAサンプルを取得するステップ、DNAをス
クリーニングして対象の遺伝子内の所定の多型部位(この場合上記のALOX5及び
/又はLTC4S多型)における遺伝子型(多型性対立遺伝子の存在/不在)を判定
するステップを含むものであり、この場合この部位における遺伝子型の相違が、
以前からこの治療に対する表現型応答の発生度合の相違と関連するとされている
ものである。したがって、特定の遺伝子型の存在は、個々の被験者が関連する表
現型を呈示するという可能性が高いことを意味している。遺伝子型から完全に推
測可能であることは稀である。すなわち一定の遺伝子型を持つ集団が特定の表現
型を高い度合で示す場合でも、その遺伝子型を持つすべての個体がその表現型を
示すのではない。しかし、当業者にとって、本明細書に記載する被験者の遺伝子
型のタイピングは、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト若しくは糖質コルチコ
イドを用いた治療に対して被験者が示すと考えられる応答を推測する補助となり
、したがってその治療の決断を補助することになることが明らかである。
【0037】 本明細書で使用する「特定の遺伝子座における多型性対立遺伝子について被験
者(若しくはDNAサンプル)の遺伝子型をタイピングする」又は「多型性対立遺
伝子部位の遺伝子型を決定する」とは、被験者(若しくは生物学的サンプル)中
にどの形態の対立遺伝子が存在するかを検出することを意味する。当技術分野で
周知のように、個体は特定の対立遺伝子に対してヘテロ接合性又はホモ接合性で
ある。マイクロサテライトマーカーの場合のように、1つの対立遺伝子について
2つよりも多い形態が存在する場合があるので、可能性のある遺伝子型が3つよ
りも多いこともある。
【0038】 本明細書で使用する、多型性対立遺伝子の遺伝子型タイピングに基づいて特定
の表現型応答の「素因がある」被験者とは、その多型性対立遺伝子において別の
遺伝子型を持つ個体よりもその表現型を示す可能性が高いものである。その表現
型応答が二対立遺伝子多型に基づく場合は、その応答は3つの可能性ある遺伝子
型の間で異なる可能性がある(例えばLTC4SについてA,A;A,C及びC,C)。
【0039】 本明細書で使用する、集団の「遺伝的部分集団(subset)」は、特定の遺伝子
型を持つ集団のメンバーで構成される。二対立遺伝子多型の場合、集団は、可能
性として次の3つの部分集団に分けることができる:対立遺伝子1についてホモ
接合性、ヘテロ接合性、及び対立遺伝子2についてホモ接合性。複数の非野生型
多型が存在する場合、集団はまた次の3つの部分集団に分けることができる:ホ
モ接合性野生型、ヘテロ接合性野生型、及びホモ接合性非野生型。
【0040】 本明細書で使用する、抗炎症性糖質コルチコイドを用いて治療可能、又はロイ
コトリエン受容体アンタゴニストを用いて治療可能な喘息とは、(適切な医薬製
剤として、かつ治療上有効な量での)こうした薬物の投与が許容し得ない副作用
の原因とならずに症状を軽減又は緩和することが示されている疾患である。こう
した治療の有効性は、典型的には医薬調製品の規制当局(例えばFDA、EMEA)の
承認によるか、医師監視医療雑誌における臨床試験の結果の公表によって証明さ
れる。こうした化合物の治療上有効な量は、例えば用量応答試験を使用して当業
者であれば容易に決定することができる。
【0041】 既知のロイコトリエン受容体アンタゴニストとしては、ザフィルルカスト、モ
ンテルカスト(montelukast)、プランルカスト(pranlukast)若しくはイラルカス
ト(iralukast)が挙げられる。
【0042】 本明細書で使用する「副作用」とは、治療用化合物の投与に対する望ましくな
い応答、例えば治療対象の疾患の症候又は病因を緩和する方に向かわない効果で
ある。副作用の範囲は些細な不都合からそれ以上の重篤な状態まである。
【0043】 本明細書で使用する、治療用化合物を用いた処置(治療)に対する「応答」と
は、その化合物の投与に対する望ましい応答、例えば疾患の症候、又はその症候
の根源である病因の緩和である。当業者には明らかなことであるが、治療処置に
対する被験者の応答の各種の指標を評価することができる。1例として、当業者
には明らかなことであるが、喘息のための治療に対する応答の指標として、努力
呼気容量(FEV;FEV1=1秒間のFEV)の変化を使用することができる。
【0044】 本発明の方法にしたがって、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト作用を持つ
化合物を、喘息の被験者の遺伝的部分母集団間でのその効果の相違(変動)につ
いてスクリーニングすることができる。かかる方法には、喘息を患う被験者集団
にその化合物を単独で、又は別の抗喘息化合物(糖質コルチコイドなど)と併用
して投与するステップ、その被験者からDNAサンプルを取得するステップ(これ
は上記化合物の投与前でも投与後でもよい)、対象の遺伝子内の多型性対立遺伝
子部位の遺伝子型をタイピングするステップ、並びに被験者の遺伝子型とこの治
療に対するその表現型の応答(有利なものと不利なものの両方)を相関させるス
テップが含まれる。その多型性対立遺伝子部位のいいて別の遺伝子型を持つ被験
者と比較して所望の治療応答の発生度合の増大と相関する遺伝子型は、喘息の治
療におけるその化合物の有効性が遺伝的部分母集団間で相違(変動)することを
意味するものとなる。
【0045】 別の言い方をすると、本発明の方法を使用して、既知の多型性対立遺伝子とロ
イコトリエン受容体アンタゴニスト若しくは糖質コルチコイドを用いた治療に対
する被験者の応答との相関を判定することができる。対象の疾患を患う被験者の
集団を特定の多型性対立遺伝子に関する遺伝子型にしたがって層別化し、ある治
療薬に対するその応答を(先見的若しくは遡及的に)評価し、遺伝子型間で比較
する。その治療薬に対する応答としては、所望の治療応答(例えば徴候若しくは
症状の緩和)及び望ましくない副作用のいずれか又は両方がある。この方法によ
って、治療効力の発生度合の増加(若しくは減少)、又は特定の副作用の発生度
合の増加(若しくは減少)と関連する遺伝子型を同定することができる。応答の
高低(増加若しくは減少)は、その他の遺伝子型又は母集団全体に対して比較す
るものである。
【0046】 多型性は、機能的影響を伴うことも伴わないこともあるヒトゲノム内の変異配
列である。これらの変異は、遺伝的疾患の分析及び診断、法医学、進化並びに個
体群の研究を含む遺伝子解明のすべての状況において使用することができる。典
型的には2つのタイプの遺伝子分析、連鎖及び連関分析を実施する。
【0047】 連鎖研究は、遺伝子の機能に関して事前の知識若しくは仮定を含まない遺伝子
マップ情報を提供する。連鎖研究においては、DNA多型性を利用し、染色体上の
位置が疾患対立遺伝子の位置と近接しているマーカー(多型マーカー)について
は対立遺伝子が共通する頻度が高くなるものと予測して、罹患した近縁者間で同
一である染色体領域を同定する。連鎖領域の物理的クローニングによって、候補
疾患遺伝子を保有する可能性のあるDNA配列を狭くすることができる。連鎖分析
により疾患遺伝子座の特定の染色体若しくは染色体領域上の位置を決定するが、
その遺伝子について検索しなければならないDNAの領域は典型的には大きく、数
百万塩基対の次数である。
【0048】 連鎖とは対照的に、連関とは、集団内での多型と疾患表現型との共存を示すも
のである。連関分析は、連鎖の不均衡、すなわち、異なる遺伝子座の2つの対立
遺伝子の存在頻度がその対立遺伝子の頻度の積よりも大きい場合に、マーカーと
疾患遺伝子座間で発生する現象、を基礎とする。そのマーカー及び疾患原因とな
る変異は近接しているので、集団内でそれを分離するには何世代もの組換えを必
要とする。したがってそれらは同一の染色体上に予測されるよりも高い頻度で共
存する傾向がある。1つの表現型のグループ内でのマーカー(多型マーカー)の
頻度が別のグループの頻度よりも有意に高い場合、そのマーカーは特定の表現型
と関連しているとみなすべきである。一般的に、機能的多型部位にマーカーが近
接しているほど、その連関は強くなる。
【0049】 連関分析は、連鎖領域を精密にマッピングし、連鎖分析に感応しない遺伝子座
をマッピングし、また未知の疾病素因遺伝子座をマッピングする機会を提供する
。互いに連鎖不均衡である多型は、広い領域にわたることがある。連鎖不均衡は
小さければ1kb、大きければ500kbの範囲にもなることが報告されている。1つ
の遺伝子全体にわたる多型が互いに連鎖不均衡となる可能性もあるため、イント
ロン、エキソン、プロモーター及び転写調節領域、並びに3'及び5'非翻訳領域、
の全ゲノム構造を研究することが有益となることもある。ある機能的多型と連鎖
不均衡であるマーカーを、ある表現型との相関について試験することができる。
【0050】 本明細書で使用する用語、多型には、一塩基多型(SNP)、インサーション/
デリーション多型、トランスバージョン多型、マイクロサテライト多型、及び直
列反復配列の数の違いによる多型(VNTR)が含まれる。
【0051】 多型性対立遺伝子は典型的には、当技術分野で公知の任意の好適な技法を使用
して、被験者からのポリヌクレオチド若しくはタンパク質中の多型性配列の存在
を直接判定することによって検出する。こうしたポリヌクレオチドは、典型的に
はゲノムDNA、又はこのポリヌクレオチドから誘導されるポリヌクレオチド、例
えば個体からのゲノム物質を使用して作製したライブラリー(例えばcDNAライブ
ラリー)中にあるものなど、である。本発明の方法を実施する前のポリヌクレオ
チド若しくはタンパク質の処理工程をさらに以下に記載する。典型的には、個体
のポリヌクレオチド若しくはタンパク質を、多型について特異的な結合性物質と
接触させ、その物質がこのポリヌクレオチド若しくはタンパク質に結合するかど
うかを判定することを含むものであって、この場合、この結合がその多型の存在
を示すものである、という方法によって、多型の存在を判定する。結合性物質は
、多型の一方の側又は両側のフランキングヌクレオチド及びアミノ酸、例えば合
計で又は各側で少なくとも2、5、10、15若しくはそれ以上のフランキングヌク
レオチド若しくはアミノ酸とも結合することがある。1実施形態において、上記
物質が多型位置のフランキングヌクレオチド若しくはアミノ酸に結合することに
よって、対応する野生型配列に結合することができるが、その結合様式は多型性
ポリヌクレオチド若しくはタンパク質の結合とは相違しているので、この相違を
検出し得るものである(例えばこれは以下に記載する配列特異的PCRにおいて生
じることがある)。
【0052】 多型の存在をポリヌクレオチドにおいて判定する場合、二本鎖形態で検出して
もよいが、典型的には一本鎖形態で検出する。
【0053】 結合性物質は、典型的には長さが少なくとも10ヌクレオチドのポリヌクレオチ
ド(一本鎖若しくは二本鎖)、例えば少なくとも15、20、30又はそれ以上のポリ
ヌクレオチドとしうる。この物質は、Watson-Crick型塩基対合に参画することが
できる単位(プリン若しくはピリミジンなど)を含む、構造的に類似するポリヌ
クレオチドの分子でもよい。またこの物質は、典型的には長さが少なくとも10ア
ミノ酸、例えば少なくとも20、30、50、100アミノ酸など、のタンパク質であっ
てもよい。この物質は、抗体(多型に結合する能力がある抗体のフラグメントな
ど)であってもよい。
【0054】 本方法で使用するポリヌクレオチド物質は、一般的には配列特異的に対象の多
型及びそのフランキング配列に結合(例えばWatson-Crick型塩基対合によりハイ
ブリダイズ)するので、典型的にはその多型及びフランキング領域の配列に完全
に又は部分的に相補的な配列を持つ。
【0055】 本方法の1実施形態においては、結合性物質をプローブとして使用する。その
プローブは、標識してもよいし、又は間接的に標識することができるものであっ
てもよい。その標識の検出を利用して、個体のポリヌクレオチド若しくはタンパ
ク質上にある(したがってこれに結合している)プローブの存在を検出すること
ができる。ポリヌクレオチド若しくはタンパク質へのプローブの結合は、プロー
ブ又はポリヌクレオチド若しくはタンパク質のいずれかを固定化して利用するこ
とも可能である(これによって1つの組成物若しくは溶液からこれを分離するこ
とができる)。
【0056】 本発明の別の実施形態においては、個体のポリヌクレオチド若しくはタンパク
質を固相支持体に固定化し、その後プローブと接触させる。次に固相支持体に(
多型への結合を介して)固定化されたプローブの存在を、そのプローブ上の標識
を検出することによって直接、又はプローブに結合する部分分子とプローブとを
接触させることによって間接的に検出する。ポリヌクレオチドの多型を検出する
場合は、固相支持体は一般的にニトロセルロース若しくはナイロン製である。タ
ンパク質の多型の場合は、その方法としてELISA系を基礎とするものがある。
【0057】 本方法は、2つのオリゴヌクレオチドプローブを使用するオリゴヌクレオチド
連結アッセイに基づくものであってもよい。これらのプローブは、多型を含むポ
リヌクレオチド上の近接する区域に結合し、(結合後)適切なリガーゼ酵素によ
って2つのプローブ同士が連結できるようになる。しかし、この2つのプローブ
は多型を含むポリヌクレオチドにのみ(連結が可能となるように)結合するので
、連結産物の検出を使用して多型の存在を判定することができる。
【0058】 1実施形態において、多型を検出するために、プローブをヘテロ二本鎖分析に
基づく系において使用することができる。プローブが多型を含むポリヌクレオチ
ド配列に結合する場合のこうした系では、多型が存在する(すなわち二本鎖構造
を形成しない)部位でプローブがヘテロ二本鎖を形成する。一本鎖若しくは二本
鎖に特異的な酵素の使用によって、こうしたヘテロ二本鎖構造を検出することが
できる。典型的には、プローブはRNAプローブであり、使用する酵素はヘテロ二
本鎖領域を切断するRNAアーゼHで、こうしてその切断産物の検出によって多型を
検出することが可能になる。
【0059】 本方法は、例えばPCR Methods and Applications 3:268-71(1994)及びProc.Na
tl.Acad.Sci.85:4397-4401(1998)に記載されている蛍光化学剤切断ミスマッチ分
析に基づいて行ってもよい。
【0060】 1実施形態において、ポリヌクレオチド物質は、多型を含有するポリヌクレオ
チドと結合する場合にのみ、PCR反応においてこれがプライマーとして作用する
ことができる(すなわち配列若しくは対立遺伝子特異的PCR系)。ここでは、個
体のポリヌクレオチド内に多型が存在する場合にのみ、PCR産物が生成すること
になる。こうして、PCR産物の検出によって、多型の存在を判定することができ
る。好ましくは、多型に相補的なプライマーの領域はプライマーの3'末端若しく
はその近辺にある。この系の1実施形態において、ポリヌクレオチド物質は野生
型配列に結合するが、PCR反応のプライマーとして作用しないものとする。
【0061】 本方法は、制限断片長多型(RFLP)に基づく系であってもよい。ポリヌクレオ
チド内の多型の存在が、ある制限酵素によって認識される制限部位を形成するか
破壊する場合に、これを利用することができる。ここでは、こうした多型を持つ
ポリヌクレオチドの処理(制限酵素処理)によって、対応する野生型配列と比較
して別の産物が生成される。したがって、特定の制限消化産物の存在の検出を利
用して、多型の存在を判定することができる。
【0062】 ゲル電気泳動中のポリヌクレオチド若しくはタンパク質の移動度に対して多型
の存在がもたらす変化に基づいて多型の存在を判定することができる。ポリヌク
レオチドの場合、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)分析を利用することがで
きる。これは変性ゲル上での一本鎖ポリヌクレオチドの移動度について対応する
野生型ポリヌクレオチドと比較して測定し、移動度の差異の検出が多型の存在を
示すものである。変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)は、変性勾配を持つゲル中でポ
リヌクレオチドを電気泳動させ、対応する野生型ポリヌクレオチドと比較した移
動度の差異が多型の存在を示す、同様の系である。
【0063】 TaqmanPCR検出系などの蛍光色素及びクエンチャー物質に基づくPCRアッセイを
利用して、多型の存在を判定することができる。簡単に説明すると、このアッセ
イは、多型の周囲の配列及び多型を含む、対立遺伝子に特異的なプライマーを使
用する。この特異的プライマーは、5'末端に蛍光色素、3'末端にクエンチャー物
質、及びヌクレオチドが付加されるのを防止する3'リン酸基、で標識される。正
常の場合は、色素の蛍光は同一のプライマー内に存在するクエンチャー物質によ
ってクエンチされる。対立遺伝子特異的プライマーは、多型のいずれかの対立遺
伝子の5'にハイブリダイズすることができる第2のプライマーと共に使用する。
【0064】 上記アッセイにおいて、多型を含む対立遺伝子が存在する場合、Taq DNAポリ
メラーゼは特異的プライマーに到達するまで、非特異的プライマーにヌクレオチ
ドを付加する。次に、そのエンドヌクレアーゼ活性によって、その特異的プライ
マーからポリヌクレオチド、蛍光色素及びクエンチャー物質が解放される。した
がって蛍光色素はクエンチャー物質の近傍に存在しなくなるため、蛍光を発する
。多型を含まない対立遺伝子が存在する場合、特異的プライマーと鋳型とのミス
マッチによって、Taqのエンドヌクレアーゼ活性が阻害され、蛍光色素はクエン
チャー物質から解放されない。したがって、放出される蛍光を測定することによ
って、多型の存在若しくは不在を判定することができる。
【0065】 多型を検出するための別の方法において、多型領域を含むポリヌクレオチドに
ついてその多型を含有する領域にわたって配列決定を行って、多型の存在を判定
する。
【0066】 したがって、当技術分野で公知のように、遺伝子型タイピングのための本方法
において、以下の技法のいずれをも利用することができる: ・一般法:DNA配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列解析; ・スキャニング法:PTT(タンパク質末端切断法)、SSCP(一本鎖コンホメー
ション分析)、DGGE(変性勾配ゲル電気泳動)、TGGE(温度勾配ゲル電気泳動)
、クリーバーゼ(Cleavase)、ヘテロ二本鎖分析、CMC(化学剤ミスマッチ切断
)、酵素ミスマッチ切断; ・ハイブリダイゼーションに基づく方法:固相ハイブリダイゼーション(ドッ
トブロット、MASDA、リバースドットブロット、オリゴヌクレオチドアレイ(チッ
プ));液相ハイブリダイゼーション(Taqman、モレキュラービーコン); ・伸長に基づく方法:ARMS(増幅非反応性突然変異系)、ALEX(増幅非反応性
突然変異系線状伸長)、SBCE(一本塩基鎖伸長); ・組み込みに基づく方法:ミニ配列決定、APEX(アレイ化プライマー伸長); ・制限酵素に基づく方法:RFLP(制限断片長多型); ・連鎖に基づく方法:OLA(オリゴヌクレオチド伸長アッセイ); ・その他:インベーダー法(Third Wave Technologies)。
【0067】 本発明は、推測(患者のケア)試験若しくは試験キットをも提供する。この推
測試験は、遺伝子型と喘息治療におけるロイコトリエン受容体アンタゴニストに
対する表現型応答との間のあらかじめ判定した連関に基づいて、喘息の疾患管理
の補助となる、製品及び/又はサービスとしうる。こうした試験は以下の2種類
のフォーマットをとり得る。
【0068】 A) 事前判定した多型の存在についてDNA若しくはRNAを分析する、分子試験
。適切な試験キットには、1種以上の以下の試薬若しくは器具が含まれる:多型
への物質の結合を検出するための手段、ポリヌクレオチドに対し作用することが
可能な酵素(典型的にはポリメラーゼ若しくは制限酵素)、酵素試薬のための好
適なバッファー、多型のフランキング領域に結合するPCRプライマー、正若しく
は負の対照(又はその両方)、ゲル電気泳動装置、及びサンプルからDNAを単離
するための手段。この製品は、当技術分野で現段階において記載されているよう
なチップ技術の1つを利用することもできる。試験キットには、特定の多型若し
くは遺伝子型の存在と、喘息を患う被験者がロイコトリエン受容体アンタゴニス
トを用いた治療に良好に応答する可能性(傾向)との相関を示す、印刷又は機械
読取りが可能な指示書が含まれうる。あるいは、 B) 事前判定した多型の存在を指示する、被験者の身体から得られた物質(
タンパク質若しくは代謝物など)を分析する、生化学的試験。適切な試験キット
には、事前判定した多型領域(若しくはその多型の特定のフランキング領域)に
特異的に結合する分子、アプタマー(aptamer)、ペプチド若しくは抗体、又は本
明細書で定義する結合性物質が含まれる。製品には、その他1種以上の別の(当
技術分野で知られている)試薬若しくは器具が含まれてもよい。試験キットには
、特定の多型若しくは遺伝子型の存在と、喘息を患う被験者がロイコトリエン受
容体アンタゴニストを用いた治療に良好に応答する可能性との相関を示す、印刷
又は機械読取りが可能な指示書が含まれうる。
【0069】 本発明は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストによって治療できる可能性が
ある喘息と診断された被験者をスクリーニングして、こうした薬物、より具体的
にはCysLT1ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、さらに特定するとザフィルル
カストを用いた治療に対して特定の経過で応答する可能性を判定するための方法
を提供する。この方法は、特に望ましい治療結果について、(他の遺伝子型を持
つ被験者のその発生度合と比較して)以前からその発生度合の高低と関連性があ
るとされているALOX5遺伝子及び/又はLTC4S遺伝子中の多型について、被験者を
スクリーニングすることを含む。被験者は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0070】 ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いた被験者の治療は、これを必要と
する被験者への有効量の医薬の投与を含む。薬物の用量は医薬分野において既知
でかつ容認されている方法にしたがって決定するが、これは当業者であれば決定
し得るものである。ザフィルルカストについて好適な用量範囲は、Physician's
Desk Referenceの開示中に示されており、その開示全体を本明細書に参照として
組み入れる。
【0071】 遺伝子試験(遺伝子スクリーニング若しくは遺伝子型のタイピングとも称され
る)とは、(a) 特定の臨床表現型と連関するか又はその原因となるか、あるいは
(b) 特定の臨床表現型と連関するか又はその原因となる突然変異、対立遺伝子又
は多型と「連鎖不均衡」である、突然変異(又は対立遺伝子若しくは多型)を被
験者が保有するかどうかを判定するために、被験者の核酸を分析することと広く
定義することができる。こうした臨床表現型の1つは、被験者が所定の治療的処
置に良好に応答する可能性である。
【0072】 連鎖不均衡とは、特定の対立遺伝子群が偶然性として期待されるよりも頻度が
高く一緒に出現する傾向を指す。所定の遺伝子座の対立遺伝子群は、任意の特定
の1組の対立遺伝子(若しくはハプロタイプ)の頻度がそれらの個々の集団内頻
度の積である場合に、均衡している。不均衡は、一定の対立遺伝子の組合せの選
択、又は遺伝的に異種の集団の混合直後などの、各種の影響力により生じる。マ
ーカーが疾患原因遺伝子と密に連鎖している場合、直近の染色体領域での組換え
事象によって達成される程度には平衡のために十分な時間が経過していない、過
去の最近の歴史において疾患変異が出現した場合には、対立遺伝子(若しくは連
鎖した対立遺伝子群)と疾患遺伝子との連関が推測される。
【0073】 本明細書で使用する用語「マーカー」とは、個体間で配列の相違を表すゲノム
内の特定の部位を指す。
【0074】 用語「対立遺伝子」とは、所定のマーカー位置に見られる異なる配列変異体を
指す。配列変異体は、挿入、欠失若しくは置換を含む1つ又は複数の塩基の変化
である場合もあるし、又は配列の繰り返し数(反復回数)の相違などの場合もあ
る。
【0075】 用語「連鎖不均衡」とは、所定の対照集団内の各対立遺伝子の個々の発生頻度
から予測されるよりも大きい頻度の2つの対立遺伝子の共遺伝を指す。独立して
遺伝した2つの対立遺伝子の予測発生頻度は、第1対立遺伝子の頻度に第2対立
遺伝子の頻度を乗じたものである。予測された頻度で共に発生する対立遺伝子を
「連鎖均衡」にあるという。当業者にとって、本方法を、本明細書において同定
された特定の多型と連鎖不均衡にある多型について実施することができることは
明らかであろう。
【0076】 用語「ハプロタイプ」とは、1グループとして共に遺伝した(すなわち連鎖不
均衡にある)1組の対立遺伝子を称する。当業者にとって、本方法を、本明細書
に記載の多型を包含するハプロタイプについて試験する一手法として利用するこ
とができることが明らかであろう。
【0077】実施例 実施例1 ザフィルルカスト及びフルチカゾンへの臨床応答(表現型応答)に対する5-リポ キシゲナーゼ及びLTC4シンターゼのプロモーター領域内の多型の影響 5-リポキシゲナーゼ(ALOX5)及びLTC4シンターゼ(LTC4S)遺伝子のプロモー
ター領域における2つの特徴的な多型によって、喘息被験者の遺伝子型をタイピ
ングした。その多型は以下のものである:ALOX5内のATG開始部位から上流約176
〜147塩基対の領域(Sp1)におけるSp1反復配列の数(3、4、5若しくは6)
、及びLTC4S内の第1コドンから444ヌクレオチド上流のアデニンからシトシンへ
のトランスバージョン(A-444C)。吸入フルチカゾン(88 mcg BID)及び経口ザ
フィルルカスト(20 mg BID)を比較する、12週間の多機能施設での無作為化、
二重盲検、二重ダミー、並行試験に参加することを承諾した被験者から取得した
血液サンプルからゲノムDNAを単離した。標準的操作法(自動化抽出若しくはキ
ットフォーマットの利用)を使用してゲノムDNAを抽出した。ALOX5若しくはLTC4
S遺伝子配列内の多型について被験者及び利用した任意の対照個人の遺伝子型を
判定した。多型は、PCR、PCR-RFLP、Taqman対立遺伝子識別アッセイ、又は当技
術分野で公知のその他の任意の好適な技法を使用して同定することが可能である
。十分な物理的サイズの増幅産物中に特定の多型(例えば複数の塩基のインサー
ション/デリーション多型)が存在する場合には、単純なサイズ識別アッセイを
利用して個人の遺伝子型を判定することができる。この場合、2つのプライマー
を利用して、多型の部位の周囲の領域にある対象の遺伝子を特異的に増幅するこ
とができる。PCR増幅を実施して、保有する遺伝子型(インサーション若しくは
デリーション)に応じて長さが相違する産物を生成させる。ゲル電気泳動にかけ
ると、サイズが異なる産物が分離され、可視化され、特異的遺伝子型が直接解明
される。
【0078】 多型を検出するために、当技術分野で公知のPCR-RFLP(ポリメラーゼ連鎖反応
-制限断片長多型)アッセイを利用することもできる。各多型部位について、PCR
-RFLPアッセイは、目的の多型部位の周囲のゲノムDNAの1セグメントにアニーリ
ングして特異的に増幅させるための、2つの遺伝子特異的プライマーを使用する
。PCR増幅後、特異的制限エンドヌクレアーゼ酵素を使用して、生成したPCR産物
を消化する。アッセイに利用する酵素は、多型の存在/不在中でPCR産物に結合
し、それを切断して、その多型部位に存在する特異的な塩基に特徴的な断片を生
成させるために必要な特定の認識配列に応じて選択される。制限酵素による切断
後、ゲル電気泳動を利用して、生成した断片を分離及び可視化する。
【0079】 当技術分野で知られているように、多型を同定するためにTaqmanアッセイも利
用することができる。各多型部位について、対立遺伝子識別アッセイでは、その
5'末端は異なる蛍光色素で、しかし3'末端では共通のクエンチャー物質で標識し
た2つの対立遺伝子特異的プローブを使用する。両プローブは3'リン酸基を持つ
ので、Taqポリメラーゼはこれらにヌクレオチドを付加することができない。こ
の2つの対立遺伝子特異的プローブは、多型部位を包含する領域の配列を含み、
この部位の配列のみが相違しているものとする(これは必ずしも事実ではなく、
対立遺伝子特異的プローブが互いに相対的に変化して長さ若しくは組成が同一で
ないこともあり得る。しかし、これらが同一のDNA領域を含む場合には、対象の
多型部位以外は同一である)。対立遺伝子特異的プローブはミスマッチがなく適
切な部位にのみハイブリダイズすることができる。
【0080】 この対立遺伝子特異的プローブは2つのプライマー(1つは2つの特異的プロ
ーブの5'鋳型にハイブリダイズし、もう1つは2つのプローブの3'鋳型にハイブ
リダイズするもの)と共に使用する。特異的プローブの1つに対応する対立遺伝
子が存在するならば、特異的プローブはその鋳型に完全にハイブリダイズする。
その後5'プライマーを伸長させたTaqポリメラーゼが特異的プローブからヌクレ
オチドを切り離し、蛍光色素及びクエンチャー物質の両方を遊離させる。この結
果、クエンチャー物質に近接しなくなった色素からの蛍光が増大する。
【0081】 対立遺伝子特異的プローブが他の対立遺伝子とハイブリダイズする場合には、
多型部位でのミスマッチによってTaqの5'-3'エンドヌクレアーゼ活性が阻害され
、そのため蛍光色素の遊離が抑制される。
【0082】 熱サイクルPCRの終了時に直接PCR反応チューブ内で各特異的色素からの蛍光の
増大を測定するために、ABI7700配列検定システムを使用する。次にこの反応か
らの情報を分析する。個体が特定の対立遺伝子をホモ接合性で有する場合には、
その特異的プローブからの色素に対応する蛍光のみを放出するが、その個体がヘ
テロ接合性である場合には、両方の色素が蛍光を発する。
【0083】 本研究において使用するプライマー及びプローブを以下のものとした: ALOX5フォワードプライマー:AGGAACAGAC ACCTCGCTGA GGAGAG(配列番号6) ALOX5リバースプライマー:GAGCAGCGAG CGCCGGGAGC CTCGGC(配列番号7) LTC4S-444Aプローブ:CCTGGATGGG GACAGGGAAC AG(配列番号8) LTC4S-444Cプローブ:TGGATGGGGA CCGGGAACAG(配列番号9) LTC4Sフォワードプライマー:TCCGCAGAGG AGGGTTTG(配列番号10) LTC4Sリバースプライマー:GCTAACTCCT CCACCCACCT T(配列番号11)
【0084】 すべての患者がATS American Thoracic Societyの喘息基準に適合し、予測量
の50〜80%の基準努力呼気容量(FEV1)を示し、180 mcgの吸入アルブテロール
後にFEV1が12%以上増大し、スクリーニングの6ヵ月以内に吸入若しくは経口ス
テロイドを使用していなかった。遺伝子型及び治療による終点投与前a.m.FEV1
結果(以下の表に基準値からの予測量変化%で示す)を下記表1に示す(ALOX5
については図2;LTC4Sについては図3も参照されたい)。
【0085】
【表1】
【0086】 表中: ・Aは、LTC4S遺伝子プロモーター領域の野生型多型、 ・Cは、本明細書中上述したLTC4S遺伝子プロモーター領域の変異型多型、 ・5は、ALOX5遺伝子プロモーター領域の野生型多型、 ・Xは、本明細書中上述したALOX5遺伝子プロモーター領域の変異型多型、 ・nは、試験被験者の数。
【0087】 ALOX5についてホモ接合性変異型の被験者(X/X)のいずれもLTC4Sについては
ホモ接合性変異型(C/C)でなかった。被験者の中には1つの遺伝子についてホ
モ接合性変異型で他方の遺伝子についてヘテロ接合性変異型であるものもあり、
その他の被験者は両方の遺伝子についてヘテロ接合性変異型だった。
【0088】 この結果は、ALOX5(X/X)若しくはLTC4X(C/C)のいずれかのプロモーター領
域内の変異型がホモ接合性の被験者が、その他の遺伝子型と比較してロイコトリ
エン受容体アンタゴニストであるザフィルルカストに対する応答が非常に低いこ
とを示している。これらの遺伝子はスルフィドペプチドであるロイコトリエンの
生合成において活性を有する酵素をコードする。すべての遺伝子型について、フ
ルチカゾン 88 mcg BIDに対する応答はザフィルルカスト 20 mcg BIDに対する応
答よりも大きかった。これらの結果は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストで
あるザフィルルカストの臨床的効力において観察される変動性に何らかの遺伝的
根拠があることを示している。
【0089】 ALOX5については、患者の59.5%がホモ接合性野生型、33.8%がヘテロ接合性
、6.8%がホモ接合性変異型であることがわかった。これらの数値は、ALOS5のホ
モ接合性野生型、ヘテロ接合性及びホモ接合性変異型のそれぞれについて56.1%
、35.1%及び8.8%の頻度を発見したDrazenらの結果と一致している。LTC4S遺伝
子についての頻度は、ホモ接合性野生型、ヘテロ接合性及びホモ接合性変異型の
それぞれについて50.0%、44.1%及び5.90%であった。これらの数値は、報告さ
れている数値のそれぞれ43.2%、50.5%及び6.3%に類似している(Sanar,M.ら
、The Lancet 1997;350:1599-1600)。
【0090】実施例2 ALOX5のヌクレオチド位置1728及び1708における多型のザフィルルカスト及びフ
ルチカゾンに対する応答 糖質コルチコイドであるフルチカゾンの吸入と比較した場合のザフィルルカス
トに対するFEV1応答との何らかの連関について、ALOX5遺伝子のエキソン13内の
位置1728におけるAからGへのトランスバージョン多型、及び位置-1708におけ
るGからAへのトランスバージョン多型を研究した。両多型が、In, KHら、J.Cl
in.Investigation 99 (5):1130(1997)に示されており、この全開示を参照により
本明細書に組み入れる。
【0091】 フルチカゾン(88 mcg BID)及びロイコトリエン受容体アンタゴニストである
ザフィルルカスト(20 mg BID)の12週間の無作為化、二重盲検、並行試験に参
加した喘息被験者について遺伝子型タイピングを実施した。投与前FEV1の結果(
基準値からの予測量変化%で示す)を下記表3に示す。
【0092】
【表2】
【0093】 上記の結果は、1708位でA対立遺伝子がホモ接合性の被験者(G1708A)、又は
1728位で1若しくは2つのG対立遺伝子を持つ被験者(A1728G)が、その他の遺
伝子型と比較してザフィルルカストに対する応答が低下していたことを示唆して
いる。この結果は、おそらくサンプル数が小さいためと思われるが、統計的有意
には達しなかった。
【0094】 G1708Aプロモーター多型は、効力を変更するSp1プロモーターマーカーと有意
な連鎖不均衡(LD)にあった。A1728G多型は、Sp1部位とLDではなく、したがっ
て独立して臨床応答に影響している可能性がある。1708位がG及びA対立遺伝子
である頻度はそれぞれ0.82及び0.18であり、1728位がA及びG対立遺伝子である
頻度はそれぞれ0.93及び0.07である。両方ともハーディ・ワインベルクの平衡に
ある。これらの結果は、ザフィルルカストに対する臨床応答の変動がロイコトリ
エン経路中の複数の遺伝子多型と連関していることを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ALOX5遺伝子におけるSp1多型単独とロイコトリエン合成のインヒビター化合物
ABT-761(Abbott Laboratories Inc., North Chicago, Illinois)に対する低い
応答性との相関の以前の研究の結果を示すグラフである。この研究はFEV1が予測
量の40%〜75%の臨床的に安定な患者の無作為化、二重盲検、並行グループ試験
(n=221)である。150及び300 mg/日のABT-761を与えた。縦軸に薬物処置後の
基準FEV1の変化率(%)、横軸に遺伝子型(5,5=ホモ接合性野生型;5,X=ヘテ
ロ接合性野生型;X,X=2種の非野生型対立遺伝子)を示す。被験者の約6%が
野生型対立遺伝子を持たなかった。変異型グループにおける変化は、5,5グルー
プの変化と有意な差があった(*p<0.0001)。
【図2】 ALOX5遺伝子におけるSp1多型とロイコトリエンインヒビター化合物ザフィルル
カストに対する応答との相関、並びにプロピオン酸フルチカゾン(FP88)と比較
した応答の相対的な差を示すグラフである。縦軸に薬物処置後の基準FEV1(基準
からの予測量変化率(%))、横軸に遺伝子型(5,5=ホモ接合性野生型;5,X=
ヘテロ接合性野生型;X,X=2種の非野生型対立遺伝子)を示し、白抜き棒はプ
ロピオン酸フルチカゾンを表し、斜線棒はザフィルルカストを表す。被験者の中
で、88名(59.5%)の遺伝子型が5,5で、それぞれ44名ずつをFP88及びザフィル
ルカストで処置し、50名(33.8%)が5,X(31名をFP88で処置し、19名をザフィ
ルルカストで処置)、10名(6.8%)がX,X(5名をFP88で処置し、5名をザフィ
ルルカストで処置)であった。
【図3】 LTC4シンターゼ遺伝子内のA-444C部位の多型とロイコトリエンインヒビター化
合物ザフィルルカストに対する応答との相関、並びにプロピオン酸フルチカゾン
(FP88)に対する応答を示すグラフである。縦軸に薬物処置後の基準FEV1(基準
からの予測量変化率(%))、横軸に遺伝子型(A/A=ホモ接合性野生型;A/C=
ヘテロ接合性野生型;C/C=アデニンからシトシンへのトランスバージョン多型
についてホモ接合性)を示し、白抜き棒はプロピオン酸フルチカゾンを表し、斜
線棒はザフィルルカストを表す。星印(*)は1つの遺伝子型内でFP88とザフィ
ルルカストの結果間の有意な差(p0.05)を示す。被験者の中で、82名(57.8
%)がA,A(48名をFP88で処置し、34名をザフィルルカストで処置)、50名(35.
2%)がA,C(20名をFP88で処置し、30名をザフィルルカストで処置)、10名(7
%)がC,C(6名をFP88で処置し、4名をザフィルルカストで処置)であった。
【図4】 ALOX5遺伝子内のA1728Gの多型とプロピオン酸フルチカゾン(FP88)及びザフ
ィルルカストに対する応答との相関を示すグラフである。縦軸に薬物処置後の基
準FEV1(基準からの予測量変化率(%))、横軸に遺伝子型(A/A=ホモ接合性
野生型;A/G=ヘテロ接合性野生型;G/G=アデニンからグアニンへのトランスバ
ージョン多型についてホモ接合性)を示し、白抜き棒はプロピオン酸フルチカゾ
ンを表し、斜線棒はザフィルルカストを表す。被験者の中で、130名がA,A(72名
をFP88で処置し、58名をザフィルルカストで処置)、18名がA,G(8名をFP88で
処置し、10名をザフィルルカストで処置)、1名がG,G(ザフィルルカストで処
置)であった。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 アンダーソン,ウェイン,エイチ. アメリカ合衆国 27709 ノースカロライ ナ州,リサーチ トライアングル パー ク,ピー.オー.ボックス 13398,ファ イブ ムーア ドライブ,グラクソスミス クライン (72)発明者 エドワーズ,リサ,ディー. アメリカ合衆国 27709 ノースカロライ ナ州,リサーチ トライアングル パー ク,ピー.オー.ボックス 13398,ファ イブ ムーア ドライブ,グラクソスミス クライン (72)発明者 エメット,アマンダ,エイチ. アメリカ合衆国 27709 ノースカロライ ナ州,リサーチ トライアングル パー ク,ピー.オー.ボックス 13398,ファ イブ ムーア ドライブ,グラクソスミス クライン (72)発明者 ピライ,スリークマール アメリカ合衆国 27709 ノースカロライ ナ州,リサーチ トライアングル パー ク,ピー.オー.ボックス 13398,ファ イブ ムーア ドライブ,グラクソスミス クライン (72)発明者 スプランケル,キャサリン,エス. アメリカ合衆国 27709 ノースカロライ ナ州,リサーチ トライアングル パー ク,ピー.オー.ボックス 13398,ファ イブ ムーア ドライブ,グラクソスミス クライン Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA20 BA08 CA04 CA09 HA14 4B063 QA19 QQ08 QQ43 QQ44 QR32 QR55 QS34

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いて治療可能な呼
    吸器疾患を患う被験者のスクリーニング方法であって、上記治療に対する被験者
    の応答の推測を補助するためのものであり、以下のステップ: (a)被験者からDNAサンプルを得るステップ;並びに (b)5-リポキシゲナーゼ遺伝子の多型性対立遺伝子部位及びLTC4シンターゼ遺
    伝子の多型性対立遺伝子部位における上記DNAの遺伝子型を判定するステップで
    あって、上記部位における遺伝子型の相違が上記治療に対する表現型応答の発生
    度合の相違と関連するものである、上記ステップ; を含み、検出された遺伝子型は、上記被験者が該遺伝子型と関連する表現型応答
    を有する可能性があることを示すものである、上記方法。
  2. 【請求項2】 DNAサンプルがゲノムDNAである、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 DNAサンプルがcDNAである、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 被験者が喘息を患っている、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 ロイコトリエン受容体アンタゴニストがCysLT1ロイコトリエ
    ン受容体アンタゴニストである、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 多型性対立遺伝子がLTC4S遺伝子の5'非コード領域内に存在
    する、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 多型性対立遺伝子がLTC4S遺伝子の転写調節領域におけるト
    ランスバージョン多型である、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 多型性対立遺伝子が配列番号3及び配列番号4より選択され
    る配列を含むものである、請求項6記載の方法。
  9. 【請求項9】 配列番号4を含む対立遺伝子のホモ接合性は、配列番号3を
    含む対立遺伝子を有する被験者と比較して、該ホモ接合性の被験者がロイコトリ
    エン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する応答が低い可能性があることを
    示す、請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 多型性対立遺伝子がALOX5遺伝子の5'非コード領域内に存
    在する、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 多型性対立遺伝子がALOX5遺伝子の5'非コード領域におけ
    るSp-1結合モチーフの直列反復配列の数の相違である、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 多型性対立遺伝子が、配列番号8の3回、4回、5回又は
    6回反復配列を含むものである、請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 配列番号8の5回反復配列を有する対立遺伝子の存在は、
    配列番号8の5回より少ない又は5回より多い反復配列を有する対立遺伝子がホ
    モ接合性の被験者と比較して、該5回反復配列の被験者がロイコトリエン受容体
    アンタゴニストを用いた治療に対する応答が高い可能性があることを示す、請求
    項10記載の方法。
  14. 【請求項14】 喘息を患う被験者のスクリーニング方法であって、ロイコ
    トリエン受容体アンタゴニストのリガンドを用いた治療に対する応答の推測を補
    助するためのものであり、以下のステップ: (a)被験者からDNAサンプルを得るステップ;並びに (b)5-リポキシゲナーゼ遺伝子の多型性対立遺伝子部位及びLTC4シンターゼ遺
    伝子の多型性対立遺伝子部位における上記DNAサンプルの遺伝子型をタイピング
    するステップであって、上記部位における遺伝子型の相違が上記治療に対する表
    現型応答の発生度合の相違と関連するものである、上記ステップ; を含み、検出された遺伝子型は、上記被験者が該遺伝子型と関連する表現型応答
    を有する可能性があることを示すものである、上記方法。
  15. 【請求項15】 ロイコトリエン受容体アンタゴニストのリガンドがCysLT1
    ロイコトリエン受容体アンタゴニストである、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 ロイコトリエン受容体アンタゴニストのリガンドが、ザフ
    ィルルカスト、プランルカスト、イラルカスト及びモンテルカストからなる群よ
    り選択されるものである、請求項14記載の方法。
  17. 【請求項17】 多型性対立遺伝子がLTC4S遺伝子の5'非コード領域内に存
    在する、請求項14記載の方法。
  18. 【請求項18】 多型性対立遺伝子がLTC4S遺伝子の転写調節領域における
    トランスバージョン多型である、請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 多型性対立遺伝子が配列番号3及び配列番号4より選択さ
    れる配列を含むものである、請求項17記載の方法。
  20. 【請求項20】 配列番号4を含む対立遺伝子のホモ接合性は、配列番号3
    を含む対立遺伝子を有する被験者と比較して、該ホモ接合性の被験者がロイコト
    リエン受容体アンタゴニストを用いた治療に対する応答が低い可能性があること
    を示す、請求項17記載の方法。
  21. 【請求項21】 多型性対立遺伝子がALOX5遺伝子の5'非コード領域内に存
    在する、請求項14記載の方法。
  22. 【請求項22】 多型性対立遺伝子がALOX5遺伝子の5'非コード領域におけ
    るSp-1結合モチーフの直列反復配列の数の相違である、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 多型性対立遺伝子が、配列番号8の3回、4回、5回又は
    6回反復配列を含むものである、請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 配列番号8の5回反復配列を有する対立遺伝子の存在は、
    配列番号8の5回より少ない又は5回より多い反復配列を有するホモ接合性対立
    遺伝子を有する被験者と比較して、該5回反復配列の被験者がロイコトリエン受
    容体アンタゴニストを用いた治療に対する応答が高い可能性があることを示す、
    請求項21記載の方法。
  25. 【請求項25】 検出された遺伝子型は、他の遺伝子型を有する被験者と比
    較して、該遺伝子型を有する被験者がロイコトリエン受容体アンタゴニストを用
    いて治療した場合に喘息の症状が軽減しにくい素因があることを示す、請求項1
    4記載の方法。
  26. 【請求項26】 検出された遺伝子型は、他の遺伝子型を有する被験者と比
    較して、該遺伝子型を有する被験者がロイコトリエン受容体アンタゴニストを用
    いて治療した場合に喘息の症状が軽減しやすい素因があることを示す、請求項1
    4記載の方法。
  27. 【請求項27】 喘息を患う被験者の遺伝的部分母集団における表現型への
    影響についてロイコトリエン受容体アンタゴニスト化合物をスクリーニングする
    方法であって、以下のステップ: (a)上記化合物を喘息を患う被験者の集団に投与するステップ; (b)上記被験者の各々からDNAサンプルを得、ALOX5遺伝子の多型性対立遺伝子
    及びLTC4S遺伝子の多型性対立遺伝子について遺伝子型をタイピングするステッ
    プ;並びに (c)ステップ(b)において得られた多型性対立遺伝子の遺伝子型と、上記被
    験者集団における表現型応答の発生頻度との間の何らかの相関を検出するステッ
    プ; を含み、他の遺伝子型を有する被験者における発生度合と比較して、所望の治療
    的応答の発生度合の高低と相関がある遺伝子型の検出は、喘息の治療における上
    記化合物の有効性が上記集団の遺伝的部分母集団において変動することを示す、
    上記方法。
  28. 【請求項28】 ロイコトリエン受容体アンタゴニストを用いて治療可能な
    呼吸器疾患を患う被験者をスクリーニングするための商業用の方法であって、該
    治療に対する被験者の応答の推測を補助するためのものであり、以下のステップ
    : (a)被験者からDNAサンプルを得るステップ;並びに (b)5-リポキシゲナーゼ遺伝子の多型性対立遺伝子部位及びLTC4シンターゼ遺
    伝子の多型性対立遺伝子部位における上記DNAの遺伝子型を判定するステップで
    あって、上記部位における遺伝子型の相違が上記治療に対する表現型応答の発生
    度合の相違と関連するものである、上記ステップ; を含み、検出された遺伝子型は、上記被験者が該遺伝子型と関連する表現型応答
    を有する可能性があることを示し、さらに、上記手順により作成されたヌクレオ
    チド配列データ、アミノ酸配列データ、タンパク質−タンパク質相互作用データ
    、臨床診断データ又は統計学的データのいずれかを電子的に読み取り可能な媒体
    に格納し、少なくとも2つの電子計算装置間で電気通信手段により通信するもの
    である、上記方法。
  29. 【請求項29】 喘息患者の集団内でロイコトリエン受容体アンタゴニスト
    を用いた治療に対し応答すると推測される喘息患者の部分母集団を同定する方法
    であって、以下のステップ: (a)各被験者からDNAサンプルを得、ALOX5の多型性対立遺伝子及びLTC4Sの多
    型性対立遺伝子の遺伝子型をタイピングするステップ;並びに (b)前記ロイコトリエン受容体アンタゴニストに対する所望の治療応答の発生
    度合が、他の遺伝子型を有する被験者の該発生度合と比較して増大していること
    と相関する遺伝子型の検出により、上記部分母集団に含まれる被験者を同定する
    ステップ、 を含む、上記方法。
  30. 【請求項30】 患者集団の薬理遺伝学的層別化により喘息患者の治療のた
    めの新規な治療用薬物を設計する方法であって、以下のステップ: (a)患者集団において第1の臨床薬物試験を実施し、その薬物試験により、ロ
    イコトリエン受容体アンタゴニストに対する所望の治療応答の発生度合の増大と
    ALOX5の多型性対立遺伝子及びLTC4Sの多型性対立遺伝子との連関を同定するステ
    ップ; (b)上記臨床薬物試験における患者集団を応答群及び非応答群の部分母集団に
    分類するステップ; (c)非応答群の患者集団に対し第2の臨床薬物試験を実施し、その第2の薬物
    試験により、表現型と遺伝子型との連関を同定するステップ; (d)ステップ(c)の患者集団を第2の応答群及び第2の非応答群の患者集団
    に分類するステップ;並びに (e)ステップ(c)〜(d)を所望の反復回数で繰り返し行うステップ; を含む、上記方法。
  31. 【請求項31】 ロイコトリエン受容体アンタゴニスト又は糖質コルチコイ
    ドのいずれかにより治療可能な呼吸器疾患を患う被験者のスクリーニング方法で
    あって、該被験者を適当な治療応答を達成する可能性が最も高い治療剤を用いて
    治療することを補助するためのものであり、以下のステップ: (a)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト又は糖質コルチコイドのいずれかを
    用いて治療可能な呼吸器疾患を患う被験者からDNAサンプルを得るステップ; (b)5-リポキシゲナーゼ遺伝子の多型性対立遺伝子部位及びLTC4シンターゼ遺
    伝子の多型性対立遺伝子部位における上記DNAの遺伝子型を判定するステップで
    あって、上記部位における特定の遺伝子型がロイコトリエン受容体アンタゴニス
    トに対する治療応答の低減と関連するものである、上記ステップ;並びに (c)上記DNAがロイコトリエン受容体アンタゴニストに対する治療応答の低減
    と関連する遺伝子型を含む場合に、上記被験者を糖質コルチコイドを用いて処置
    するステップ; を含む、上記方法。
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