JP2003530822A - 電子的核酸検出の増幅 - Google Patents

電子的核酸検出の増幅

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、シグナル増幅および標的増幅の両方が含まれる種々の増幅技術を用いる核酸検出に有用な組成物および方法に関する。検出は、直接的かまたは間接的の何れかで核酸に付随し、電極を用いて電子伝達部(ETM)の電子的検出を可能とする、ETMの使用を介して行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、1999年7月20日付け米国特許出願番号60/144,698
、1998年1月27日付け09/014,304、1998年1月29日付け
60/073,011、1998年3月16日付け60/028,102、19
98年5月6日付け60/084,425、1998年5月6日付け60/08
4,509、および1998年8月17日付け09/135,183の継続出願
であり、それらはすべてそのまま加えて、本明細書の一部とする。
【0002】 本発明の分野 本発明は、シグナル増幅および標的増幅の両方が含まれる種々の増幅技術を用
いる核酸検出に有用な組成物および方法に関する。検出は、直接的かまたは間接
的の何れかで核酸に付随し、電極を用いて電子伝達部(ETM)の電子的検出を可
能とする、ETMの使用を介して行う。
【0003】 本発明の背景 特定核酸の検出は、診断医学および分子生物学研究にとって重要なツールであ
る。遺伝子プローブアッセイは、最近、細菌およびウイルスのような感染生物の
同定、通常遺伝子の発現探索および癌遺伝子のような変異遺伝子の同定、組織移
植の実施に適する組織の検査、法医学用の組織または血液サンプルの適合におい
て、そして異なる種の遺伝子間の相同性の探索に役割を担う。
【0004】 理想的には、遺伝子プローブアッセイは、感度が高く、特異的であり、容易に
自動化され得る(概論として、Nickerson, Current Opinion in Biotechnology 4
:48-51(1993))。必要とされる感度(すなわち、下方検出限界)が、下記に概略す
るように分析前に特定核酸配列を研究者が指数関数的に増幅し得るポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)および他の増幅技術の発達により、非常に解決された。
【0005】 感度、すなわち検出限界は、核酸検出システムにおいて重大な傷害を残したま
まであり、種々の技術が開発され刊行物に掲載された。簡単にいうと、これらの
技術は標的増幅またはシグナル増幅の何れかとして分類できる。標的増幅は、検
出する標的核酸の増幅(すなわち、複製)を含み、標的分子の有意な増加を生ずる
。標的増幅ストラテジーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(stran
d displacement amplification)(SDA)、増幅に基づく核酸配列(nucleic acid
sequence based amplification)(NASBA)および転写介在増幅(transcript
ion mediated amplification)(TMA)を含む。
【0006】 他に、標的の増幅以外に、他の技術は、鋳型として標的を用いシグナルプロー
ブを複製し、多数のシグナルプローブを生ずる小数の標的分子を生じ、次いで、
これらを検出し得る。シグナル増幅ストラテジーには、リガーゼ連鎖反応(ligas
e chain reaction)(LCR)、サイクリングプローブテクノロジー(cycling prob
e technology)(CTP)、Invader(登録商標)、Q−ベータレプリカーゼ(Q-be
ta replicase)およびシグナル標的配列に結合する多標識プローブを生ずる「分
枝状DNA」のような「増幅プローブ」の使用を含む。
【0007】 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、広く用いられ、述べられており、温度サイ
クリングと組合せるプライマー伸張の使用を含み、標的配列を増幅する(米国特
許番号4,863,195および4,683,202およびPCR Essential Data
, J. W. Wiley & sons, Ed. C. R. Newton, 1995、すべて引用によりこの文書に
加える)。さらに、「定量競合的PCR」または「QC−PCR」、「不定プラ
イマー(arbitrarily primed)PCR」または「AP−PCR」、「イムノPC
R」、「Alu−PCR」、「PCR1本鎖配座多形性」または「PCR−SS
CP」、「逆転写酵素PCR」または「RT−PCR」、「ビオチン捕獲PCR
」「ベクタレットPCR」、「パンハンドルPCR」および「PCRセレクトc
DNAサブストレーション(substration)」など、本発明で有用性を認める数
々のPCRの変法がある。
【0008】 鎖置換増幅(SDA)は、通常、Molecular Methods for Virus Detection, Aca
demic Press, Inc.,1995中のWalkerらにより、そして米国特許番号5,455,
166および5,130,238に記載されており、それらはすべて引用により
この文書に加える。
【0009】 増幅に基く核酸配列(NASBA)は、通常、米国特許番号5,409,818
、Molecular Methods for Virus Detection, Academic Press, 1995のSooknanan
et al., Nucleic Acid Sequence-Based Amplification, Ch. 12 (pp. 261-285)
および“Profiting from Gene-based Diagnostics” CTB International Publi
shing Inc., N, J., 1996に記載されており、それらは引用によりこの文書に加
える。
【0010】 転写介在増幅(TMA)は、米国特許番号5,399,491、5,888,
779、5,705,365、5,710,029に一般的に記載されており、
それらは引用によりこの文書に加える。
【0011】 サイクリングプローブテクノロジー(CPT)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)において行うような標的増幅以外のシグナルまたはプローブ増幅に基づく核
酸検出システムである。サイクリングプローブテクノロジーは、RNAの切断容
易連結を含むモーラー過剰の標識プローブに基く。プローブによる標的へのハイ
ブリダイゼーションにおいて、生じたハイブリッドは、一部のRNA:DNAを
含む。このRNA:DNA2本鎖の領域は、RNAseHで認識され、RNAを
切除し、プローブの切断を生ずる。この度のプローブは、2つのより小さい配列
からなり、それは放出され得、そのため、反応の繰り返しラウンドに標的未処理
物が残る。非反応プローブが除去され、次いで標識が検出される。CPTは、通
常、米国特許番号5,011,769、5,403,711、5,660,98
8および4,876,187およびPCT公開出願WO95/05480、WO
95/1416およびWO95/00667に記載されており、それらはすべて
引用によりこの文書に加える。
【0012】 ライゲーション連鎖反応(LCR)には、リガーゼの鋳型として標的配列を用い
る単一の長いプローブ中への2つのより小さいプローブのライゲーションが含ま
れる。一般的に、米国特許番号5,185,243および5,573,907、
EP 0 320 308 B1、EP 0 336 731 B1、EP 0 439
182 B1、WO90/01069、WO89/12696、およびWO89
/09835参照。それらは引用によりこの文書に加える。
【0013】 Q−ベータレプリカーゼ(QBR)はmRNAの増幅技術であり、NASBA
およびTMAと同様に、1本の鋳型から100万鎖にのぼる産物を合成できる、
バクテリオファージQ−ベータ由来のRNA依存性RNAポリメラーゼによって
行う。
【0014】 Invader(登録商標)技術は、部位特異的に核酸を切断する構造特異的
ポリメラーゼに基づく。2本のプローブ、すなわち、「インベーダー」プローブ
および非相補的重複を含んで標的配列に隣接してハイブリダイズする「シグナル
」プローブを使用する。この酵素はその「テイル」認識によって重複を切断し、
「テイル」をラベルと共に放出する。これが認識できる。Invader(登録
商標)技術は、米国特許番号5,846,717、5,614,402、5,7
19,028、5,541,311、および5,843,669に記載されてお
り、それらはすべて引用によりこの文書に加える。
【0015】 「ローリングサークル増幅(Rolling circle amplification)」は、標的配列
にハイブリダイズした環状プローブの伸長に基づく。プローブ配列を伸長するポ
リメラーゼが加えられる。環状プローブには終末がないので、ポリメラーゼは繰
り返し環状プローブを伸長し、環状プローブのコンカテマー(concatemer)を生
じる。このようにして、プローブが増幅される。ローリングサークル増幅は、Ba
ner et al. (1998) Nuc. Acids Res. 26:5073-5078; Barany, F. (1991) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193; Lizardi et al. (1998) Nat. Genet. 19:22
5-232; Zhang et al., Gene 211:277 (1998);およびDaubendiek et al., Nature
Biotech. 15:273 (1997) に一般的に記載されており、それらはすべて引用によ
りこの文書に加える。
【0016】 「分枝DNA」シグナル増幅は、あるプローブに付け得る標識の量を増加する
機能を有する核酸「アーム」の多様性を含む、分枝核酸の合成に依存する。この
技術は、通常、米国特許番号5,681,702、5,597,909、5,5
45,730、5,594,117、5,591,584、5,571,670
、5,580,731、5,571,670、5,591,584、5,624
,802、5,635,352、5,594,118、5,359,100、5
,124,246および5,681,697に記載されており、それらはすべて
引用によりこの文書に加える。
【0017】 同様に、核酸のデンドライマー(dendrimer)は、別の組成物であるが同様な概
念を用い、単一の分子に加え得る標識の量を非常に増大させる役割を担う。この
技術は、米国特許番号5,175,270およびNilsen et al., J. Theor. Bio
l. 187:273(1997)に記載されており、それらは両方とも引用によりこの文書に加
える。
【0018】 最終的に米国特許番号5,591,578、5,824,473、5,770
,369、5,705,348および5,780,234およびPCT出願WO
98/20162は、電極を含む、電子伝達部を含む核酸含有新規化合物につい
て記載しており、それにより核酸ハイブリダイゼーションの新規検出方法を行い
得る。
【0019】 本発明の要旨 上記の略述した目的に従い、本発明は、標的核酸配列を検出する方法を提供す
る。当該方法は、少なくとも第1プライマー核酸を標的配列にハイブリダイズさ
せ、第1ハイブリダイゼーション複合体を形成させること、および第1ハイブリ
ダイゼーション複合体を第1酵素に接触させ、修飾した第1プライマー核酸を形
成させることを含む。次いで、第1ハイブリダイゼーション複合体を解離させる
。これらのステップは、複数回繰り返し得る。次いで、少なくとも1つのETM
および修飾した第1プライマー核酸を含む第1アッセイ複合体を形成させる。こ
のアッセイ複合体は、電極と共有結合している。次いで、電子伝達を、標的配列
の存在の指標としてETMと電極との間で検出する。当該方法は、第1標的配列
に実質的に相補的な第2標的配列において同じ方法を含み得る。
【0020】 更なる実施態様では、当該方法は、DNAポリメラーゼを使用し、プライマー
への修飾は、そのようにしてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が生ずるプライマー
の伸張である。
【0021】 更なる実施態様では、当該方法はリガーゼを利用し、プライマーへの修飾には
、第1標的配列の第1ドメインにハイブリダイズする第1プライマーによる、第
1標的配列の第2隣接ドメインにハイブリダイズする第3プライマーへのライゲ
ーションを含む。そのようにして、リガーゼ連鎖反応(LCR)が生ずる。
【0022】 更なる実施態様では、本発明は、第1プローブ配列、第1切断容易連結および
第2プローブ配列を含む第1プライマーを利用する。酵素は、第1切断容易連結
を切断し、第1標的配列が未処理のままとなる一方、第1および第2プローブ配
列の分離ならびにハイブリダイゼーション複合体の解離を生じ、そのようにして
、サイクリングプローブテクノロジー(CPT)反応が生ずる。
【0023】 更なる実施態様では、当該方法は、第1プライマーを伸張して、第1新規合成
鎖を含む修飾第1プライマーを形成させるポリメラーゼである第1酵素を利用し
、当該方法は、さらに、伸張した第1プライマーに、第1標的配列をそのまま残
してニックを入れるニッキング酵素を含む第2酵素の添加を含む。この方法は、
ポリメラーゼを用いるニックからの伸張を更に含み、それによって、第1新規合
成鎖を置換し、そして第2新規合成鎖を生成する。そのようにして、鎖置換増幅
(SDA)が生ずる。
【0024】 更なる実施態様では、当該方法は、RNA標的配列である第1標的配列、RN
Aポリメラーゼプロモーターを含むDNAプライマーである第1プライマー核酸
を利用し、そして、第1酵素は第1プライマーを伸張して、第1新規合成DNA
鎖を形成する逆転写酵素である。当該方法は、更に、第1標的配列を分解するR
NA分解酵素を含む第2酵素の添加を含む。次いで、第3プライマーを加え、第
1新規合成DNA鎖にハイブリダイズする。第3プライマーを伸張して第2新規
合成DNA鎖を形成させるDNAポリメラーゼを含む第3酵素を加え、新規合成
DNAハイブリッドを形成させる。次いで、RNAポリメラーゼプロモーターを
認識しDNAハイブリッドから少なくとも1つの新規合成RNA鎖を生成するR
NAポリメラーゼを含む第4酵素を加える。そのようにして、核酸配列に基く増
幅(NASBA)が生ずる。
【0025】 更なる実施態様では、本発明は、増幅プローブおよび標的配列を含む第1ハイ
ブリダイゼーション複合体の形成を含む標的核酸配列を検出する方法を提供する
。当該増幅プローブは、少なくとも2つの増幅配列を含み、少なくとも1つの標
識プローブの第1部分を少なくとも1つの増幅配列のすべてまたは一部にハイブ
リダイズすることを含む。次いで、標識プローブの第2部分を、導電性オリゴマ
ーを介し電極に共有結合した検出プローブにハイブリダイズさせ、少なくとも第
1電子伝達部(ETM)を含む第2ハイブリダイゼーション複合体を形成する。次
いで、標識プローブを、当該第1ETMと当該電極との間の電子伝達を測定する
ことにより検出する。
【0026】 更なる実施態様では、本発明は、増幅プローブおよび標的配列を含む第1ハイ
ブリダイゼーション複合体の形成を含む標的核酸配列を検出する方法を提供する
。当該増幅プローブは、少なくとも2つの増幅配列を含み、そして、当該第1ハ
イブリダイゼーション複合体は、導電性オリゴマーを含む単層を含む電極に共有
結合する。少なくとも1つの電子伝達部(ETM)を含む少なくとも1つの標識プ
ローブを、少なくとも1つの増幅配列のすべてまたは一部にハイブリダイズさせ
、そして標識プローブを、当該第1ETMと当該電極の間の電子伝達を測定する
ことにより検出する。
【0027】 更なる実施態様では、本発明は、標的配列の少なくとも第1ドメインに実質的
に相補的な少なくとも第1核酸プライマーおよび第1核酸プライマーを修飾する
少なくとも第1酵素を含む第1標的核酸配列の検出用のキットを提供する。キッ
トは、更に、導電性オリゴマーを介して電極に共有結合する少なくとも1つの検
出プローブを含む電極を含む。
【0028】 更なる実施態様では、本発明は、標的配列の第1ドメインと実質的に相補的な
第1ライゲーション配列、標的配列の第2ドメインと実質的に相補的な第2ライ
ゲーション配列、および開始配列を有するローリングサークルプローブ(RCP
)を提供することを含む、標的配列の検出法を提供する。該方法はさらに、第1
ライゲーション配列を該第1ドメインに、第2ライゲーション配列を第2ドメイ
ンにハイブリダイズさせて、第1ハイブリダイゼーション複合体を形成させ、そ
して第1および第2ライゲーション配列をライゲーションすることを含む。該開
始配列と実質的に相補的なプライマー、ポリメラーゼ、dNTP(デオキシヌク
レオチド)群およびETMを、ローリングサークルコンカテマー(concatamer)
が形成される条件下に、第1ハイブリダイゼーション複合体に加え、ETMを標
的配列の存在を示す指標として検出する。該RCPは、場合によりさらに切断部
位および捕獲配列を含んでもよい。
【0029】 更なる実施態様では、本発明は、第1ハイブリダイゼーション複合体を形成す
るためにインベーダープライマーとシグナルプライマーをハイブリダイズさせる
ことを含む、第1標的核酸配列の検出法を提供する。該シグナルプライマーは、
標的配列の第1部分にハイブリダイズする配列を含む第1部分、切断部位、およ
び標的配列とハイブリダイズしない検出配列を含む。第1ハイブリダイゼーショ
ン複合体を、シグナルプライマーが切断されて検出配列が放出されるように、構
造特異的切断酵素に接触させる。放出された検出配列を、捕獲プローブを含む電
極に接触させ、第2ハイブリダイゼーション複合体を形成させる。この場合、第
2ハイブリダイゼーション複合体は少なくとも1つのETMを含む。該ETMは
、該標的配列の存在の指標として検出される。
【0030】 図1A-1Oは、本発明の多くの種々の組成物を示す。その結果は、実施例1
および2に示す。図1Aは、P290としても言及しているIを示す。図1Bは
、P291としても言及しているIIを示す。図1CはW31としても言及して
いるIIIを示す。図1DはN6としても言及しているIVを示す。図1Eは、P
292としても言及しているVを示す。図1Fは、C23としても言及している
IIを示す。図1Gは、C15としても言及しているVIIを示す。図1Hは、
C95としても言及しているVIIIを示す。図1Iは、Y63を示す。図1Jは
、本発明の他の化合物を示す。図1Kは、N11を示す。図1Lは、ホスホラミ
ダイト基およびDMT保護基を有するC131を示す。図1Mは、ホスホラミダ
イト基およびDMT保護基をも有するW38を示す。図1Nは、伸張オリゴヌク
レオチド鎖へそれを組込むと、DMT保護された酸素の両方の位置での付加が生
じ、「枝分かれ」を生じさせ得る商業的に利用可能な成分を示す。図1Oは、非
核酸リンカーとして役割をするホスホラミダイト基およびDMT保護基をも有す
るglenを示す。図1Aから1Gおよび1Jは、容易に添加されるホスホラミ
ダイトおよび保護基(すなわち、DMT)なしに示している。
【0031】 図2は、フェロセンの場合に、ETMによるヌクレオシド(アデノシンの場合)
への、リボースへのオキソ連結を介する好ましい結合であり、本発明のN6化合
物を形成する合成スキームを示す。 図3は、図2と同様である。但し、ヌクレオシドは、シチジンであり、本発明
のW38化合物を形成する。
【0032】 図4は、このフェロセンの場合におけるETMによるリン酸を介するヌクレオ
シドへの好ましい結合の合成スキームであり、本発明のY63化合物を形成する
。 図5は、このアデノシンの場合における三リン酸ヌクレオチドの合成スキーム
であり、このフェロセンの場合オキソ連結を介しリボースへのETMの結合を伴
う。
【0033】 図6は、一級アミンを用い官能化した核酸を事前形成のSAMへの添加のため
の活性化カルボン酸の使用を示す。 図7は、制限酵素エンドヌクレアーゼ部位を利用する、「普遍」型遺伝子チッ
プの使用のスキームを示す。 図8Aおよび図8Bは、5’位または任意の位置に導電性オリゴマーの添加に
使用し得る導電性オリゴマーの2つのリン酸結合を示す。
【0034】 図9は、電極への結合用ヌクレオシドのリボースに対する絶縁体(C109)の
合成を示す。 図10は、エチレングリコール末端化導電性オリゴマーの合成スキームを示す
【0035】 図11A、11Bおよび11Cは、ETMポリマーを加え得る3種の「分枝」
点(塩基としてアデノシンを用いる各場合)の合成を示す。図11Aは、本発明の
N17化合物の合成を示す。図11Bは、W90化合物の合成を示し、図11C
はN38化合物の合成を示す。
【0036】 図12は、N17「分枝」点ヌクレオシドを用い、核酸中への多数のETMの
同時組込みの合成スキームである。 図13は、当分野に既知の3つの分枝点(2つの分枝点も可能である。例えば
図1N参照。)を用いる場合、「分枝」点ホスホラミダイトを用い、多数のET
Mの核酸への同時供与の別法のスキームを示す。
【0037】 図14は、典型的なヘアピン構造を示す。500は、標的結合配列であり、5
10はループ配列であり、520は自己相補領域(self complementary region
)であり、530は、検出プローブに実質的に相補的であり、そして530は「
接着末端」であり、すなわち、プローブの任意の他の部分とはハイブリダイズし
ない、ETMを含む部分である。
【0038】 図15A、15Bおよび15Cは、電極に結合する標的配列の3つの好ましい
実施態様を示す。図15Aは、結合リンカー106を介して連結する捕獲プロー
ブ100にハイブリダイズする標的配列120を示す。それは本明細書で概略す
る通り、導電性オリゴマーか絶縁体の何れかとなり得る。電極105は、不動態
化剤107の単層を含み、それは導電性オリゴマー(本明細書中では108とし
て示す)および/または絶縁体(本明細書中では109として示す)を含み得る。
図に示した全実施態様に関するかぎり、当業者には明らかであるが、nは少なく
とも1である整数であり、通常好ましくはないが、そのシステムは捕獲プローブ
として全く使用できない(すなわち、nは0である)。nの上限は、標的配列の長
さおよび必要な感度に依存する。図15Bは、標的配列120の第1部分にハイ
ブリダイズする第1部分111および捕獲プローブ100にハイブリダイズする
第2部分を有する単一捕獲エクステンダープローブ110の使用を示す。図15
Cは、2つの捕獲エクステンダープローブ110および130の使用を示す。第
1捕獲エクステンダープローブ110は、標的配列120の第1部分にハイブリ
ダイズする第1部分111および補足プローブ100の第1部分102にハイブ
リダイズする第2部分112を有する。第2捕獲エクステンダープローブ130
は、標的配列120の第2部分にハイブリダイズする第1部分132および捕獲
プローブ100の第2部分101にハイブリダイズする第2部分131を有する
。当業者に明らかなように、任意のこれら結合配置は、図16の実施態様を含む
任意の他のシステムを用い使用し得る。
【0039】 図16A、16B、16C、16D、16E、16Fおよび16Gは、本発明
の幾つかの実施態様を示す。本明細書中で考察するように両者を種々異なる割合
で用い得るし、また絶縁体は完全に欠失していてもよいのであるが、本明細書中
に示したすべての単層では、導電性オリゴマー108と絶縁体107の両方が、
おおよそ1:1の割合で存在するように示している。加えて、当業者には明らか
なように、これらのどの構造も、特定の標的配列を繰り返し得、すなわち、長い
標的配列の場合、形成された多アッセイ複合体が存在し得る。加えて、図15の
任意の電極結合実施態様は、任意のこれらシステムに使用され得る。
【0040】 図16A、16Bおよび16Dは、ETM135を含む標的配列120を有し
、本明細書において考察するように、これらは、例えば、ETMで修飾したヌク
レオチドを用いるPCR反応の間に酵素学的添加され得、標的配列を通して実質
的にランダムに組込まれるか、または標的配列の末端に加えられる。図16Cは
、標的配列120の種々の部分にハイブリダイズする2種の捕獲プローブ100
および100'の使用を示す。当業者には明らかなように、この実施態様で2つ
の捕獲プローブの5'-3'方向は異なる。
【0041】 図16Cは、標的配列120に直接ハイブリダイズする標識プローブ145の
使用を示す。図16Cは、標的配列120の部分にハイブリダイズする第1部分
141、ETM135を含む第2部分142を含む標識プローブ145の使用を
示す。
【0042】 図16E、16Fおよび16Gは、標的には直接ハイブリダイズしないが、む
しろ、直接的(図16E)または間接的(図16Fおよび16G)に標的配列にハイ
ブリダイズする増幅プローブにハイブリダイズする標識プローブ145を用いる
システムを示す。増幅プローブ150を用いる図16Eは、標的配列120にハ
イブリダイズする第1部分151および標識プローブの第1部分141にハイブ
リダイズする少なくとも1つの第2部分152、すなわち、増幅配列を有する。
図16Fは同じである。但し、標的配列120にハイブリダイズする第1部分1
61および増幅プローブ150の第1部分151にハイブリダイズする第2部分
162を含む第1標識エクステンダープローブ160を用いる。増幅プローブ1
50の第2部分152は、標識プローブ140の第1部分141にハイブリダイ
ズし、それはETM135を含むリクルートリンカー142をも含む。図16G
は、第2標識エクステンダープローブ170を加え、標的配列120の部分にハ
イブリダイズする第1部分171および増幅プローブの部分にハイブリダイズす
る第2部分を有する。
【0043】 図16Hは、多標識プローブを利用するシステムを示す。標識プローブ140
の第1部分141は、リクルートリンカー142のすべてまたは一部にハイブリ
ダイズし得る。
【0044】 図17A、17B、17Dおよび17Eは、標識プローブの種々の可能な配置
およびETMの結合を示す。図17A-Cでは、リクルートリンカーは核酸であ
り、図17Dおよび17Eでは、そうではない。A=ヌクレオチド置換;B=塩
基への結合;C=リボースへの結合;D=リン酸への結合;E=塩基、リボース
またはリン酸(または他のバックボーン類似体)に結合したメタロセンポリマー(
本明細書に記載の通り、同様にこれは他のETMのポリマーであり得る。);F
=塩基、リボースまたはリン酸(または他のバックボーン)を介して結合するデン
ドライマー構造;G=「枝分かれ」構造を介する、塩基、リボースまたはリン酸
(他のバックボーン類似体)を通しての結合;H=メタロセン(または他のETM)
ポリマーの結合;I=デンドライマー構造を介する結合;J=標準リンカーを用
いる結合。
【0045】 図18は、ステムループプローブを用いる改良を示す。表面結合プローブ上に
トーショナルストレイン(torsional strain)を作成するため、これが望ましく
、それは、結合効率およびある場合には熱力学的安定性の増加が見られる。この
場合、表面結合プローブは、捕獲プローブ100、第1ステムループ配列550
、標的結合配列560、および第1ステムループ配列に実質的に相補的である第
2ステムループ配列570を含む。直接または間接的に何れかで標識プローブ1
45を用いETM135を含み得る標的配列120の添加において、表面の標的
の有効濃度が増加する。
【0046】 図19A-19AAは、実施例1に用いる幾つかの配列を示す。 図20A-20Oは、実施例1に示す実験の典型的な走査を示す。特記しなけ
れば、全走査は、開始電圧-0.11Vで、最終電圧0.5Vであり、10mV
ごとに点をとり、0.025の振幅、10Hzの頻度、サンプル時間1秒、静置
時間2秒である。図20Aは、ピークポテンシャル0.160V、ピーク電流1
.092×10-8A、およびピークA7.563×10-10VAを有する。図2
0Cは、ピークポテンシャル0.190V、ピーク電流2.046×10-7Aお
よびピーク面積2.046×10-8VAを有する。図20dは、ピークポテンシ
ャル0.190V、ピーク電流3.552×10-8AおよびピークA3.568
×10-9VAを有する。図20Eは、ピークポテンシャル0.190V、ピーク
電流2.3762×10-7Aおよびピーク面積2.594×10-8Aを有する。
図20Fは、ピークポテンシャル0.180V、ピーク電流2.992×10-8 Aおよびピーク面積2.709×10-9VAを有する。図20Gは、ピークポテ
ンシャル0.150V、ピーク電流1.494×10-7Aおよびピーク面積1.
1×10-8VAを有する。図20Hは、ピークポテンシャル0.160V、ピー
ク電流1.967×10-8Aおよびピーク面積1.443×10-9VAを有する
。図20Iは、ピークポテンシャル0.150V、ピーク電流8.031×10-8 Aおよびピーク面積6.033×10-9VAを有する。図20Jは、ピークポ
テンシャル0.150V、ピーク電流8.871×10-9Aおよびピーク面積5
.51×10-10VAを有する。図20Lは、ピークポテンシャル0.140V
、ピーク電流2.449×10-8Aおよびピーク面積1.706×10-9VAを
有する。図20Mは、ピークポテンシャル0.150V、ピーク電流6.637
×10-8Aおよびピーク面積7.335×10-9VAを有する。図20Nは、ピ
ークポテンシャル0.140V、ピーク電流2.877×10-9Aおよびピーク
面積2.056×10-10Aを有する。
【0047】 図21は、実施例13のライゲーション連鎖反応(LCR)実験を示す。 図22Aおよび22Bは、実施例12の結果を示す。「ハイブリッドコード」
はシステム番号について言及し、+および−はrRNA標的の存在または非存在
について言及する。 図23A、23B、23C、23D、23Eおよび23Fは、実施例13の組
成物および結果を示す。 図24Aおよび図24Bは、実施例13の組成物および結果を示す。
【0048】 図25Aおよび25Bは、実施例8の2つの実験のセットアップを示す。 図26は、実施例9に解説するPCR実験の結果を示している。
【0049】 図27A、27B、27C、27D、27Eおよび27Fは、幾つかの「メカ
ニズム−1」検出システムを示す。図27Aは、導電性オリゴマーを介して電極
105に連結する検出プローブ300にハイブリダイズする標的配列120の部
分を示す。ハイブリダイゼーション複合体は、標的配列または検出プローブ30
0の何れかに共有結合するか、または非共有結合(すなわち、ハイブリダイゼー
ションインディケーター)し得るETM135を含む。本明細書中で解説するよ
うに任意の形の不動化剤を使用し得るけれども、単層は絶縁体107で示される
。明らかなように、標識プローブ145が検出プローブ300にハイブリダイズ
するため、これは捕獲プローブとしての役割をし得るが、図27Bは、電極10
5に結合リンカー106を介して連結する捕獲プローブ100の使用を示す。標
識プローブ145は、標的配列120の部分にハイブリダイズする第1部分14
1および検出プローブ300にハイブリダイズする第2部分142を含む。図2
7Cは、標的配列120にハイブリダイズする第1部分151(標識エクステン
ダープローブを同様に用い得る)および検出プローブ300に直接ハイブリダイ
ズする増幅配列152を含む分枝状増幅プローブ150の使用を示す。標的配列
は、図15に示すような捕獲プローブを用いる電極に付加的に結合し得る。図2
7Dは、直線状増幅プローブ150を用いる同様の場合を示す。図27Eは同様
のシステムを示すが、増幅配列152にハイブリダイズする第1部分141およ
び検出プローブ300にハイブリダイズする第2部分142を含む標識プローブ
145を使用する。図27Fは、直線状増幅プローブ150を用いる以外は同じ
であるものを示す。
【0050】 図28は、本発明のLCR実施態様を示す。第1プローブ核酸200および第
2プローブ核酸210を、一本鎖標的配列120の第1および第2標的ドメイン
にハイブリダイズする。プローブを、通常ライゲーションを介して結合し、連結
プローブ220を形成する。第1ハイブリダイゼーション複合体225を変性さ
せ、その方法を繰り返し、連結プローブ220のプールを生ずる。連結していな
いプローブ200および210を当分野に知られているように除去し、次いで、
連結プローブ220を検出プローブ300にハイブリダイズし、本明細書中に示
したように検出した。当業者には明らかなように、示した標的ドメインは直接隣
接し、すなわち連続するが、次いでヌクレオチドおよびポリメラーゼを用い埋め
るギャップをも用い得る。加えて、プローブは、明らかなように非共有結合もま
た用い得るけれども、結合ETM135で示される。
【0051】 図29は、本発明の他のLCR実施態様を示す。第1プローブ核酸200およ
び第2プローブ核酸210を、一本鎖標的配列120の第1および第2標的ドメ
インにハイブリダイズする。第3プローブ核酸200および第4プローブ核酸2
10を、相補的一本鎖標的配列125の第3および第4標的ドメインにハイブリ
ダイズする。プローブを、通常ライゲーションで結合し、結合プローブ220お
よび221を形成する。ハイブリダイゼーション複合体225および226を変
性し、当該方法を繰り返し、連結プローブ220および221のプールを作成す
る。非連結プローブ200、201、210および211を当分野に既知のよう
に除去し、次いで、連結プローブ220および221を検出プローブ300にハ
イブリダイズし、本明細書に記載するように検出した。当業者には明らかなよう
に、示した標的ドメインは直接隣接し、すなわち連続するが、次いでヌクレオチ
ドおよびポリメラーゼを用い埋めるギャップをも用い得る。加えて、プローブは
、明らかなように非共有結合ETMもまた用い得るけれども、結合ETMで示さ
れる。
【0052】 図30は、本発明の好ましいCPT実施態様を示す;図30は、「メカニズム
−1」検出システムを示すが、当業者には明らかなように、「メカニズム−2」
システムを同様に用い得る。第1プローブ配列10、切断容易連結11および第
2プローブ配列12を含み、ETM13と2つ供給結合するプライマリープロー
ブ1を、標的配列120に加え、ハイブリダイゼーション複合体6を形成する。
図30は、2つのETMを示す一方、あるプローブ配列のみが、ETMに共有結
合的に標識され得る。更に、付加的プローブ配列および付加的切断容易連結をも
また用い得る。用いる結合条件に応じて、切断容易連結11を、結合し、標的配
列120にハイブリダイズする2つのプローブ配列10および12を残す。次い
で、これらのプローブ配列を解離し、プローブ配列10および12および標的配
列120を残す。次いで、標的配列を遊離化し、付加的プライマリープローブ1
とハイブリダイズし、反応を繰り返し、プローブ配列のプールを作成する。非切
断プライマリープローブを本明細書に記載のように除去し、プローブ配列のプー
ルを、所望の不動化剤107の層ならびに導電性オリゴマー108を介して共有
結合する検出プローブ300および302と共に電極105に加える。検出プロ
ーブおよびプローブ配列によりハイブリダイゼーション複合体30を形成する。
検出プローブを電極において混合するか、または分離アドレス101および10
2となり得る。ハイブリダイゼーションインディケーター形の付加的ETMを所
望により加え得る。次いで、電子伝達が、本明細書中において示したように開始
される。加えて、この図は、可溶性反応を示す一方、プライマリープローブが本
明細書に示すように固体支持体に結合し得る。
【0053】 図31は、一本鎖捕獲配列を用いる付加的CPT実施態様を示す。第1捕獲配
列14、第1プローブ配列10、切断容易連結11および第2プローブ配列12
を含み、ETM135と共有結合するプライマリープローブ1を、標的配列12
4に加え、ハイブリダイゼーション複合物6を形成する。好ましくは、捕獲配列
14は、可能であるが標的にハイブリダイズしない。図31は、1つのみの供給
結合ETMを示す一方、他のプローブ配列12は、ETMと共有結合的に標識さ
れ得る。更に、付加的なプローブ配列および付加的な切断容易連結をもまた使用
し得る。用いる切断条件に応じて、切断容易連結11を切断し、標的配列120
にハイブリダイズする2つのプローブ配列10および12を残す。次いで、これ
ら配列を解離し、プローブ14-10および12ならびに標的配列5を残す。次
いで、標的配列を遊離化し、付加的プライマリープローブ1とハイブリダイズし
、反応を繰り返し、プローブ配列のプールを作成する。非切断プライマリープロ
ーブを本明細書に記載のように除去し、プローブ配列のプールを、所望の不動化
剤107の層ならびに導電性オリゴマー108を介して共有結合する実質的に相
補的な捕獲配列24および実質的に相補的な第1プローブ配列20を含む検出プ
ローブと共に電極105に加える。捕獲配列用のプローブを含むのみの検出プロ
ーブ304をも示す。検出プローブおよびプローブ配列によりハイブリダイゼー
ション複合体30を形成する。ハイブリダイゼーションインディケーター形の付
加的ETMを所望により加え得る。次いで、電子伝達が、本明細書中において示
したように開始される。加えて、この図は、可溶性反応を示す一方、プライマリ
ープローブが本明細書に示すように固体支持体に結合し得る。
【0054】 図32は、CPT適用の2つの捕獲配列の使用を示す。第1捕獲配列14、第
1プローブ配列10、切断容易連結11、第2プローブ配列12、および第2捕
獲配列15を含み、ETM135と2つ共有結合するプライマリープローブ1を
、標的配列120に加え、ハイブリダイゼーション複合物6を形成する。好まし
くは、捕獲配列14は、可能であるが標的にハイブリダイズしない。図32は、
2つの供給結合ETMを示す一方、1つのみか、または全くない。更に、付加的
なプローブ配列および付加的な切断容易連結をもまた使用し得る。用いる切断条
件に応じて、切断容易連結11を切断し、標的配列120にハイブリダイズする
付随捕獲配列14-10および12-15を有する2つのプローブ配列を残す。次
いで、これら配列を解離し、プローブ/捕獲配列14-10および12-15なら
びに標的配列120を残す。次いで、標的配列を遊離化し、付加的プライマリー
プローブ1とハイブリダイズし、反応を繰り返し、プローブ配列のプールを作成
する。非切断プライマリープローブを、実質的に相補的な、第1捕獲配列24、
第1プローブ配列20、切断容易連結25、第2プローブ配列22および第2捕
獲配列26である配列を含む実質的に相補的中和プローブ40の添加により中性
化する。当業者には明らかなように、相補的な切断容易連結25は、核酸である
切断容易連結を利用する実施態様において必要とされるのみである。示したよう
に、中和プローブ40はまた電極に結合し得る。プローブ配列のプールを、所望
の不動化剤107の層ならびに導電性オリゴマー108を介して共有結合する実
質的に相補的な捕獲配列24および実質的に相補的な第1プローブ配列20、お
よび実質的に相補的な捕獲配列22および実質的に相補的な第1プローブ配列2
6を含む検出プローブと共に電極105に加える。検出プローブおよびプローブ
配列によりハイブリダイゼーション複合体30を形成する。ハイブリダイゼーシ
ョンインディケーター形の付加的ETMを所望により加え得る。次いで、電子伝
達が、本明細書中において示したように開始される。加えて、この図は、可溶性
反応を示す一方、プライマリープローブが本明細書に示すように固体支持体に結
合し得る。
【0055】 図33は同様の反応を示し、プライマリープローブ1の場合、分離配列210
を用い切断されていない切断容易プローブを除去する。第1プローブ配列10、
第1切断容易連結11、分離配列210、第2切断容易連結11および第2プロ
ーブ配列12を含み、ETM13と2つ共有結合するプライマリープローブ1を
標的配列12に加え、ハイブリダイゼーション複合体6を形成する。他の配置は
、示したこれらのものを含む。図33は2つのETMを示す一方、1つのみのプ
ローブ配列はETMに共有結合的に標識される。更に、付加的プローブ配列およ
び付加的切断容易連結をもまた用い得る。用いる切断条件に応じて、切断容易連
結11を切断し、標的配列120にハイブリダイズする2つのプローブ配列10
および12ならびに分離配列210を残す。他の実施態様では、分離配列は、標
的とハイブリダイズせず、例えば、プローブの末端のときであり、これは、好ま
しくのは遺伝的「分離ビーズ」を任意の標的と使用し得る場合である。次いで、
これらプローブ配列を解離し、プローブ10および12ならびに分離配列210
および標的配列120を残す。次いで、標的配列を遊離化し、付加的プライマリ
ープローブ1とハイブリダイズし、反応を繰り返し、プローブ配列のプールを作
成する。非切断プライマリープローブを、固体支持体ビーズ200をリンカーを
通常介して結合する実質的に相補的な分離配列212に加えることにより除去す
る。次いで、このビーズを切断されていないプローブ1および切断された分離配
列210に結合し、溶液中に切断されたプローブ配列のみを残す。プローブ配列
のプールを、所望の不動化剤107の層ならびに導電性オリゴマー108を介し
て共有結合する検出プローブ300および302と共に電極105に加える。検
出プローブおよびプローブ配列によりハイブリダイゼーション複合体を形成する
。検出プローブを電極において混合するか、または分離アドレス101および1
02となり得る。ハイブリダイゼーションインディケーター形の付加的ETMを
所望により加え得る。次いで、電子伝達が、本明細書中において示したように開
始される。
【0056】 図34は、固体支持体結合プライマリー切断容易プローブの使用を示す。プラ
イマリープローブ1に結合した固体支持体ビーズ2000を標的配列120に加
え、ハイブリダイゼージョン複合体6を形成する。プライマリープローブは、所
望の付加的配列16(必要ならば第1切断容易連結ハイブリッドの安定化に使用
し得る。)、第1切断容易連結11、第1プローブ配列10、第2切断容易連結
11および第2プローブ配列12を含み得る。図34は、共有結合ETMを利用
しない一方、1つまたはそれ以上のプローブ配列を標識し得る。更に、付加的プ
ローブ配列および付加的切断容易連結をも使用し得る。用いる切断条件に応じて
、切断容易連結11を切断し、標的配列120にハイブリダイズする2つのプロ
ーブ配列10および12を残す。次いで、これら配列を解離し、プローブ配列1
0および12ならびに標的配列120を残す。次いで、標的配列を遊離化し、付
加的プライマリープローブ1とハイブリダイズし、反応を繰り返し、プローブ配
列のプールを作成する。非切断プライマリープローブを、ビーズを除去すること
により除去し、プローブ配列のプールを、所望の不動化剤107の層ならびに導
電性オリゴマー108を介して共有結合する検出プローブ300および302と
共に電極105に加える。検出プローブおよびプローブ配列によりハイブリダイ
ゼーション複合体30を形成する。検出プローブを電極において混合するか、ま
たは分離アドレス101および102となり得る。次いで、ハイブリダイゼーシ
ョンインディケーター形態のETMを加え、次いで、電子伝達が、本明細書中に
おいて示したように開始される。
【0057】 図35は、ビーズ結合プライマリーおよびセカンダリープローブの使用を示す
。2つ(またはそれ以上)の形のビーズを用いる。第1の形は、第1切断容易連結
11、第1セカンダリープローブ配列60、第2切断容易連結11および第2セ
カンダリープローブ配列70を含み、セカンダリー切断容易プローブ2に結合す
る固体支持体250である。更に、示すように、第1切断容易連結11、第1セ
カンダリープローブ配列80、第2切断容易連結11および第2セカンダリープ
ローブ配列90を含む第2セカンダリー切断用プローブを好ましくは用い得る。
2セットのビーズが好ましくは用いられ得るが、同じビーズ上であると図35は
示している。プライマリープローブビーズ260は、第1切断容易連結11、第
1プローブ配列10、第2切断容易連結11および第2プローブ配列12を含む
プライマリープローブ1に結合する。上記したように、プローブは、所望の付加
的配列(本明細書中では16として示す)か、または付加的プローブ配列もしくは
切断容易連結を含み得る。ビーズ250および260を標的配列120に加える
。プライマリープローブにより、標的120を有するハイブリダイゼーション複
合体6を形成する。図35は、共有結合ETMを利用しない一方、任意またはす
べてのプローブ配列を標識し得る。用いる切断条件に応じて、切断容易連結11
を切断し、標的配列120にハイブリダイズする2つのプローブ配列10および
12を残す。次いで、これら配列を解離し、プローブ配列10および12ならび
に標的配列120を残す。次いで、標的配列を遊離化し、付加的プライマリープ
ローブ1とハイブリダイズし、反応を繰り返し、プローブ配列のプールを作成す
る。次いで、プライマリープローブ配列を遊離化し、セカンダリービーズ250
に分散させる。それらは、セカンダリープローブにハイブリダイズする次の「標
的」としての役割をし得、付加的ハイブリダイゼーション複合体7および8形成
する。切断、その後の、第1プローブ配列「標的」からセカンダリープローブ配
列を解離することにより、検出され得るセカンダリープローブのプールを生ずる
。非切断プローブを、ビーズを除去することにより除去し、プローブ配列のプー
ルを、所望の不動化剤107の層ならびに導電性オリゴマー108を介して共有
結合する検出プローブ62、72、82および92と共に電極105に加える。
図35はこれを示さないが、同様にプライマリープローブ配列用の検出プローブ
となり得る。検出プローブおよびプローブ配列によりハイブリダイセ-ション複
合体を形成する。検出プローブを電極において混合するか、または分離アドレス
となり得る。次いで、ハイブリダイゼーションインディケーター形態のETMを
加え、次いで、電子伝達が、本明細書中において示したように開始される。
【0058】 発明の詳細な記載 本発明は、シグナル増幅および標的増幅を含む、各種の増幅技術を用いる核酸
の検出に有用な組成物および方法に関するものである。一旦増幅が行われると、
検出は下記で説明するように電子伝達に基いて行うが、また総括的には米国特許
第5,591,578、5,824,473、5,770,369、5,705
,348および5,780,234号およびPCT出願WO98/20162に
概略が示されており、これらをそのまま引用して説明の一部とする。
【0059】 したがって、好ましい実施態様において、本発明は、増幅を利用した標的核酸
の検出方法を提供する。ここで「標的核酸」または「標的配列」または文法的に
これと均等内容の語は、核酸の1本鎖における核酸配列を指す。標的配列は、遺
伝子の一部、調節配列、ゲノムDNA、cDNA、mRNAおよびrRNAを含
むRNAなどであり得る。それらはいかなる長さでもあり得るが、配列が長いと
より特異的である。実施態様によっては、試料核酸を100〜10000塩基対
のフラグメントへ断片化または開裂するのが望ましい場合もあり得、ほぼ500
塩基対のフラグメントが好ましい場合もあり得る。当業者は認めるであろうが、
相補的標的配列は多くの形態をとり得る。例えば、それはより大きな核酸配列内
、すなわち遺伝子またはmRNAの全部または一部、プラスミドまたはゲノムD
NAの制限断片などの内に含まれ得る。標的配列を含む試料は、事実上いかなる
生物体からのいかなる組織でもあり得、例えば血液、骨髄、リンパ、硬組織(例
、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、肺などの器官)、唾液、膣および肛門分泌物、尿、
糞、汗、涙および他の体液、並びにウイルスを含む細菌および病原体の細胞ライ
セートであり得る。
【0060】 好ましい実施態様、特に細菌のような病原体の検出が求められる場合では、標
的核酸はrRNAの全部または一部を含む。細菌中のrRNAは高いレベルなた
め、rRNAは特に好適な標的配列である。したがって、多くの実施態様では、
増幅反応を行う必要がない。適するrRNA標的は、以下すべてを出典明示によ
り本明細書の一部とする米国特許番号第4,851,330、5,288,611、5,723,597、6,6
41,632、5,738,987、5,830,654、5,763,163、5,738,989、5,738,988、5,723,597
、5,714,324、5,582,975、5,747,252、5,567,587、5,558,990、5,622,827、5,51
4,551、5,501,951、5,656,427、5,352,579、5,683,870、5,374,718、5,292,874
、5,780,219、5,030,557および5,541,308に概説されているものを含むが、それ
らに限定されるものではない。
【0061】 rRNAが標的配列として用いられる場合、好適な実施態様では、出典明示に
より本明細書の一部とするWO89/04876に概説されているように、「ヘ
ルパー」配列を利用する。当業者に知られているように、rRNAは、本発明の
プローブとのハイブリダイゼーション複合体の形成を妨げ得る特異的な二次およ
び三次構造をとる。したがって、ヘルパー配列はrRNA配列に結合し、異なる
二次または三次構造を強制し、こうして標的rRNAへのプローブの結合を容易
にする。
【0062】 ある実施態様、例えばrRNAが標的配列として用いられる場合では、大きい
標的を周期的に「鋲打ちする」ために、複数の捕獲プローブまたは捕獲プローブ
エクステンダーの利用が望ましくなり得る。捕獲プローブが単一型の場合、それ
ぞれが捕獲プローブとハイブリダイズする第1部分および標的配列の独特の部分
にハイブリダイズする第2部分を有する多数の捕獲プローブエクステンダーとと
もに使用する。
【0063】 特に好ましい本発明の実施態様は、rRNA標的配列、捕獲プローブおよび標
識プローブを含むアッセイ複合体の形成である。
【0064】 さらに下記で概説している通り、プローブ(プライマーを含む)を、標的配列
とハイブリダイズさせることにより、試料中における標的配列の存在または非存
在を測定する。概して、この語は、当業界の専門技術者であれば理解できるもの
である。
【0065】 標的配列はまた、異なる標的ドメインにより構成され得る。例えば、下記で概
説されている「サンドイッチ」型検定において、試料標的配列の第1標的ドメイ
ンは、捕獲プローブまたは捕獲エクステンダープローブの一部にハイブリダイズ
し得、第2標的ドメインは、アンプリファイアプローブの一部、標識プローブ、
または異なる捕獲または捕獲エクステンダープローブなどにハイブリダイズし得
る。さらに、標的ドメインは近接(すなわち隣接)していてもよくまたは離れて
いてもよい。例えば、LCR技術を使用する場合、第1プライマーは第1標的ド
メインにハイブリダイズし得、第2プライマーは第2標的ドメインにハイブリダ
イズし得る。さらに下記で概説されているように、ドメインは隣接していてもよ
く、またはそれらは、ポリメラーゼおよびdNTP群の使用により結合された、
1個またはそれ以上のヌクレオチドにより分離されていてもよい。
【0066】 異なると特記しない限り、「第1」および「第2」の語は、標的配列の5'−
3'方向に関して配列の配向を与えるものではない。例えば、相補的標的配列の
5'−3'配向を仮定すると、第1標的ドメインは第2ドメインに対して5'、ま
たは第2ドメインに対して3'に位置し得る。
【0067】 必要ならば、標的配列は、公知技術を用いて製造される。当業界の専門技術者
が認めるところによると、例えば、試料を処理することにより、公知溶解緩衝液
、音波処理、電気穿孔などを用いて細胞を溶解し、必要に応じて精製する。さら
に、ここで概説されている反応は、当業界の専門技術者が認めるように様々な方
法で達成され得る。反応の成分は、同時に、または連続的に適当な順序で加えら
れ得るが、好ましい実施態様については下記で概説されている。さらに、反応に
は、検定に含まれ得る様々な他の試薬も含まれ得る。これらには、試薬、例えば
塩類、緩衝液、中性タンパク質(例えばアルブミン)、界面活性剤などがあり、
これらを用いることにより、最適なハイブリダイゼーションおよび検出が簡易化
され、および/または非特異的またはバックグラウンド相互作用が低減化され得
る。また、試料製造方法および標的純度によっては、別の点で検定効率を改善す
る試薬、例えばプロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌剤なども使用さ
れ得る。
【0068】 さらに、殆どの実施態様において、2本鎖標的核酸を変性させて、それらを1
本鎖にすることにより、本発明によるプライマーおよび他のプローブのハイブリ
ダイゼーションが行われ得る。好ましい実施態様の場合、一般に反応温度を約9
5℃に上昇させることによる熱処理段階を利用するが、pH変化および他の技術
も使用され得る。
【0069】 次いで、プライマー核酸を標的配列と接触させることにより、ハイブリダイゼ
ーション複合体を形成させる。ここで「プライマー核酸」とは、標的配列のある
部分、すなわちドメインとハイブリダイズするプローブ核酸を意味する。本発明
の標的配列およびプローブのハイブリダイゼーションが行われるように、本発明
のプローブは、標的配列(後述されているように、試料の標的配列または他のプ
ローブ配列に対し)と相補的になるように設計されている。下記で概説されてい
る通り、この相補性は完全である必要はない。本発明の標的配列および1本鎖核
酸間のハイブリダイゼーションを阻む塩基対の誤対合がかなり多数存在し得る。
しかしながら、突然変異の数が大きすぎるため最低のストリンジェンシーのハイ
ブリダイゼーション条件下でさえハイブリダイゼーションが全く起こり得ない場
合、配列は相補的標的配列ではない。すなわち、ここで「実質的に相補的」とは
、プローブが、標的配列と十分に相補的であるため通常の反応条件下でハイブリ
ダイズすることを意味する。
【0070】 高度、中度および低度ストリンジェンシー条件を含め、様々なハイブリダイゼ
ーション条件が本発明では使用され得る。例えば、Maniatisら、Molecular Clon
ing: A Laboratory Manual 第2版、1989、および Short Protocols in Mol
ecular Biology、 Ausubelら編参照、これらを引用して説明の一部とする。スト
リンジェント条件は、配列依存的であり、環境によって異なる。配列が長いとき
、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関
する十分な指針は、Tijssen、Techniques in Biochemistry and Molecular Biol
ogyHybridization with Nucleic Acid Probes、“Overview of principles of h
ybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に記載
されている。一般に、選択されるストリンジェント条件は、特定されたイオン強
度pHでの特異配列に関する熱融解点(Tm)より約5−10℃低い。Tmは、
標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列とハイブリダイズする
温度(特定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度で)である(標的配列はTm
で過剰に存在するため、プローブの50%は平衡状態で占拠される)。ストリン
ジェント条件は、pH7.0〜8.3で塩濃度が約1.0未満のナトリウムイオン
、典型的には約0.01〜1.0モルのナトリウムイオン濃度(または他の塩類)
であり、温度は、短いプローブ(例、10〜50ヌクレオチド)の場合少なくと
も約30℃であり、長いプローブ(例、50ヌクレオチドより大)の場合少なく
とも約60℃である。またストリンジェント条件は、脱安定(destabilizing)
剤、例えばホルムアミドを添加することにより達成され得る。当業界で公知のよ
うに、非イオン性バックボーン、すなわちPNAを使用する場合は、ハイブリダ
イゼーション条件もまた変化し得る。さらに、架橋剤は、標的結合後に加えられ
ることにより、ハイブリダイゼーション複合体の2本鎖を架橋、すなわち共有結
合させ得る。
【0071】 すなわち、検定は、一般に標的の存在下でのみハイブリダイゼーション複合体
を形成させ得るストリンジェンシー条件下で行われる。ストリンジェンシーは、
限定的ではないが、温度、ホルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピック塩濃度、
pH、有機溶媒濃度などを含む熱力学的変数である段階パラメーターを改変する
ことにより制御され得る。
【0072】 米国特許第5681697号で全般的に概説されているように、これらのパラ
メーターはまた、非特異的結合の制御にも使用され得る。すなわち、非特異的結
合を低減化するため高いストリンジェンシー条件である種の段階を遂行するのが
望ましい場合もあり得る。
【0073】 プローブ(プライマーを含む)は核酸を含む。本明細書で「核酸」または「オ
リゴヌクレオチド」またはそれらと均等内容の語は、一緒に共有結合されている
少なくとも2個のヌクレオチドを意味する。本発明の核酸は一般にホスホジエス
テル結合を含むが、場合によっては、下記で概説されている通り、交互のバック
ボーンを有し得る核酸類似体が含まれ、例えばホスホルアミド(Beaucageら、Te
trahedoron 49(10):1925(1993)およびそれに記載された参考
文献、Letsinger, J. Org. Chem. 35:3800(1970)、Sprinzlら、Eu
r. J. Biochem. 81:579(1977)、Letsingerら、Nucl. Acids Res.
14:3487(1986)、Sawaiら、Chem. Lett. 805(1984)、Let
singerら、J. Am. Chem. Soc. 110:4470(1988)、およびPauwels
ら、Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチオエート(Mag
ら、Nucleic Acids Res. 19:1437(1991)、および米国特許第56
44048号)、ホスホロジチオエート(Briuら、J. Am. Chem. Soc. 111:
2321(1989)、O−メチルホスホルアミダイト連鎖(Eckstein、Oligon
ucleotides and Analogues: A Practical Approach、オクスフォード・ユニバー
シティー・プレス参照)、およびペプチド核酸バックボーンおよび連鎖(Egholm
、J. Am. Chem. Soc. 114:1895(1992)、Meierら、Chem. Int. Ed
. Engl.、31:1008(1992)、Nielsen、Nature、365:566(1
993)、Carissonら、Nature 380:207(1996)参照、これら全て
を引用して説明の一部とする)が含まれる。他の類似核酸には、正のバックボー
ン(Denpcyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、92:6097(1995))、
非イオン性バックボーン(米国特許第5386023,5637684,5602
240,5216141および4469863号、Kiedrowshiら、Angew. Chem.
Intl. Ed. English、30:423(1991)、Letsingerら、J. Am. Chem. S
oc.、110:4470(1988)、Letsingerら、Nucleoside & Nucleotide
、13:1597(1994)、2および3章、ASCシンポジウムシリーズ5
80、“Carbohydrate Modifications in Antisense Research”、Y.S. Sanghui
およびP. Dan Cook編、Mesmaekerら、Bioorganic & Medicinal Chem. Lett.、4
:395(1994)、Jeffsら、J. Biomolecular NMR、34:17(1994
)、Tetrahedron Lett.37:743(1996))および非リボースバックボ
ーンを伴うもの、例えば米国特許第5235033および5034506号、お
よび6および7章、ASCシンポジウムシリーズ580、“Carbohydrate Modif
ications in Antisense Research”、Y.S. SanghuiおよびP. Dan Cook編記載の
ものがある。また、1個またはそれ以上の炭素環状糖類を含む核酸も核酸の定義
内に含まれる(Jenkinsら、Chem. Soc. Rev.(1995)169−176頁参照
)。幾つかの核酸類似体は、Rawls、C & E News 1997年6月2日号、35頁
に報告されている。これらの参考文献は全て特に引用して説明の一部とする。リ
ボース−リン酸バックボーンにこれらの修飾を加えることにより、ETMの付加
が簡易化され、または生理学的環境における上記分子の安定性および半減期が増
加され得る。さらに、「DNA」および「RNA」の語の使用は、当然核酸類似
体を含むものとする。
【0074】 当業界の技術者が認めるように、これらの核酸類似体は全て本発明で使用され
得る。さらに、天然に存する核酸および類似体の混合物が製造され得る。例えば
、伝達性オリゴマーまたはETM結合部位では、類似構造が使用され得る。別法
として、異なる核酸類似体の混合物、および天然核酸および類似体の混合物も製
造され得る。
【0075】 特に好ましいのは、ペプチド核酸類似体を含むペプチド核酸(PNA)である
。天然に存する核酸の高荷電ホスホジエステルバックボーンとは対照的に、これ
らのバックボーンは中性条件下では実質的に非イオン性である。これによって、
2つの利点が得られる。まず、PNAバックボーンは、改善されたハイブリダイ
ゼーション速度論を呈する。PNAは、誤対合対完全適合塩基対において融解温
度(Tm)のより大きな変化を有する。DNAおよびRNAは、内部誤対合の場
合典型的にはTmの2−4℃降下を呈する。非イオン性PNAバックボーンの場
合、降下は7−9℃に近い。これによって、誤対合が検出され易くなる。同様に
、それらの非イオン的性質故に、これらのバックボーンに結合された塩基のハイ
ブリダイゼーションは、塩濃度に対して比較的非感受性である。還元塩ハイブリ
ダイゼーション溶液は、生理学的塩溶液よりも(150ミリモルの範囲で)低い
ファラデー電流を有するため、これは本発明のシステムでは特に有利である。
【0076】 核酸は、明記されている通り1本または2本鎖であるか、または2本鎖または
1本鎖の両配列の一部を含み得る。核酸は、DNA、ゲノム性およびcDNAの
両方、RNAまたはハイブリッドであり得、その場合核酸はデオキシリボ−およ
びリボ−ヌクレオチドの任意の組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン
、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン
、イソグアニンなどを含む塩基の任意の組み合わせを含む。好ましい実施態様は
、米国特許第5681702号で総括的に記載されている通り、非特異的ハイブ
リダイゼーションを低減化するために、標的配列ではなく、他のプローブと相補
的になるように設計された核酸においてイソシトシンおよびイソグアニンを用い
る。ここで使用されている、「ヌクレオシド」の語は、ヌクレオチド並びにヌク
レオシドおよびヌクレオチド類似体、および修飾ヌクレオシド、例えばアミノ修
飾ヌクレオシドを包含する。さらに、「ヌクレオシド」は、非天然的類似構造を
包含する。すなわち、例えば各々塩基を含む、ペプチド核酸の個々の単位は、こ
こではヌクレオシドと称される。
【0077】 プライマー核酸の大きさは、当業界の技術者が認めるように、一般に5〜50
0ヌクレオチド長の範囲で変化し得、使用および増幅技術によって、10および
100間のプライマーが好ましく、15および50間が特に好ましく、さらに1
0〜35が特に好ましい。
【0078】 さらに、異なる増幅技術は、下記で詳述されているように、プライマーのさら
に別の必要条件を有し得る。
【0079】 一旦プライマーおよび標的配列間でハイブリダイゼーション複合体が形成され
ると、「増幅酵素」と呼ばれることもある、一酵素を用いてプライマーを修飾す
る。ここで概略が示された全方法に関する限りでは、酵素は、プライマーを加え
る前、間または後の、検定中におけるいずれの時点で加えられてもよい。酵素の
同定は、下記でさらに十分概説されている通り、使用される増幅技術により異な
る。同様に、修飾は、下記で概説されている通り、増幅技術により異なるが、一
般にここでの全反応の第1段階はプライマーの伸長であり、すなわちヌクレオチ
ドはプライマーに付加されてその長さを延長する。
【0080】 一旦酵素がプライマーに修飾を加えることにより修飾プライマーが形成される
と、ハイブリダイゼーション複合体は解離される。一般に、増幅段階を一定期間
反復することにより、元の標的配列のコピー数および検出感度によって多数の周
期が可能となり、その場合周期は1〜1000の範囲であって、10〜100周
期が好ましく、20〜50の周期が特に好ましい。
【0081】 適当な時間または増幅後、下記でさらに十分に概説されている通り、修飾プラ
イマーは検定複合体に組込まれる。検定複合体は電極に共有結合され、後述され
ている、少なくとも1個の電子伝達部分(ETM)を含む。次いで、ETMおよ
び電極間の電子伝達が検出されることにより、後述されている通り、元の標的配
列の存在または非存在が示される。
【0082】 好ましい実施態様において、増幅は標的増幅である。標的増幅は、標的配列の
コピー数が増加されるように、検出される標的配列の増幅(複製)を含む。適当
な標的増幅技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)
、核酸配列に基く増幅(NASBA)および転写介在増幅(TMA)があるが、
これらに限定はされない。
【0083】 好ましい実施態様において、標的増幅技術はPCRである。ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)については、広範に使用および報告されており、熱サイクリング
と組み合わせてプライマー伸長を使用することにより標的配列が増幅される。米
国特許第4683195および4683202号、並びに PCR Essential Data
、J.W.Wiley & sons、C.R. Newton編、1995(これらを全て引用して説明の
一部とする)参照。さらに、本発明でも使用されるPCRの変形法が若干存在し
、特に、「定量競合的PCR」または「QC−PCR」、「不定プライマー(ar
bitrarily primed)PCR」または「AP−PCR」、「イムノ−PCR」、「
Alu−PCR」、「PCR1本鎖配座多形性」または「PCR−SSCP」、
「逆転写酵素PCR」または「RT−PCR」、「ビオチン捕獲PCR」、「ベ
クトレットPCR」、「パンハンドルPCR」および「PCRセレクトcDNA
サブトレーション(subtration)」がある。一実施態様の場合、増幅技術はPC
Rではない。
【0084】 一般に、PCRは、簡単に述べると次のように記載され得る。一般的には温度
を上げることにより2本鎖標的核酸を変性させ、次いで過剰のPCRプライマー
の存在下で冷却し、次いでこれを第1標的鎖とハイブリダイズさせる。次に、D
NAポリメラーゼの作用によりプライマーが伸長され、ハイブリダイゼーション
複合体を形成する新しい鎖が合成される。次いで、試料を再加熱してハイブリダ
イゼーション複合体を解離し、このプロセスを反復する。相補的標的鎖に関する
第2PCRプライマーを用いることにより、迅速な指数的増幅が行われる。すな
わち、PCR段階は、変性、アニーリングおよび伸長である。PCRの詳細は公
知であり、耐熱性ポリメラーゼ、例えばTaqIポリメラーゼの使用および熱サ
イクリングが含まれる。
【0085】 したがって、PCR反応は、少なくとも1つのPCRプライマーおよびポリメ
ラーゼを必要とする。
【0086】 好ましい実施態様において、標的増幅技術はSDAである。鎖置換増幅(SD
A)は、Walkerら、Molecular Methods for Virus Detection、アカデミック・
プレス、インコーポレイテッド(1995)、および米国特許第5455166
および5130238号に記載されており、これらを特にそのまま引用して説明
の一部とする。
【0087】 一般に、SDAは次のように記載され得る。1本鎖標的核酸、通常DNA標的
配列を、SDAプライマーと接触させる。「SDAプライマー」は、一般に25
−100ヌクレオチドを有し、約35ヌクレオチドのSDAプライマーが好まし
い。SDAプライマーは、標的配列の3'末端にある領域と実質的に相補的であ
り、プライマーは、下記で概説されている通り、その5'末端(標的に相補的で
ある領域の外側)に、ここで「ニッキング酵素」または「ニッキングエンドヌク
レアーゼ」と称されることもある制限エンドヌクレアーゼに関する認識配列であ
る配列を有する。次いで、SDAプライマーは、標的配列にハイブリダイズする
。SDA反応混合物はまた、ポリメラーゼ(下記で概説されている「SDAポリ
メラーゼ」)および4種の全デオキシヌクレオシド−三リン酸(デオキシヌクレ
オチドまたはdNTP群とも呼ばれる、すなわちdATP、dTTP、dCTP
およびdGTP)の混合物を含み、後者のうちの少なくとも1種は置換または修
飾dNTPである。すなわち、SDAプライマーは修飾される、すなわち伸長さ
れることにより、ここで「新規合成鎖」と称されることもある修飾プライマーを
形成する。置換dNTPは、置換dNTPを含む鎖における開裂を阻止するが、
他の鎖における開裂については阻止しないように修飾される。適当な置換dNT
P群の例には、2'デオキシアデノシン5'−O−(1−チオ三リン酸)、5−メ
チルデオキシシチジン5'−三リン酸、2'−デオキシウリジン5'−三リン酸、
および7−デアザ−2'−デオキシグアノシン5'−三リン酸があるが、これらに
限定はされない。さらに、dNTPの置換は新規合成鎖への組込み後に行われ得
る。例えば、メチラーゼを使用することにより、メチル基が合成鎖に付加され得
る。さらに、ヌクレオチド全てが置換されている場合、ポリメラーゼは、5'−
3'エキソヌクレアーゼ活性を有し得る。しかしながら、全部ではないヌクレオ
チドが置換されている場合、ポリメラーゼは、好ましくは5'−3'エキソヌクレ
アーゼ活性を欠いている。
【0088】 当業界の専門技術者が認めるところによると、認識部位/エンドヌクレアーゼ
対は、広く多様な公知組み合わせのいずれかであり得る。エンドヌクレアーゼは
、認識部位またはそれに対する3'もしくは5'のいずれかにおいて鎖を開裂する
ように選択されるが、酵素が1本鎖を開裂するだけであるためか、または置換ヌ
クレオチドが組込まれているため、相補的配列を開裂することはない。適当な認
識部位/エンドヌクレアーゼ対は、当業界では公知である。適当なエンドヌクレ
アーゼには、HincII、HindII、AvaI、Fnu4HI、Tthlll
l、Ncll、BstXI、BamIなどがあるが、これらに限定されるわけで
はない。適当な酵素、およびそれらの対応する認識部位および使用すべき修飾d
NTPを描くチャートは、米国特許第5455166号に記載されており、これ
を特に引用して説明の一部とする。
【0089】 一旦ニッキングされると、ポリメラーゼ(「SDAポリメラーゼ」)を用いて
、新規にニッキングされた鎖を伸長することにより、別の新規合成鎖が作成され
る。選択されたポリメラーゼは、ニック部位で5'−3'重合を開始させ得るべき
であり、また、ニックから下流の重合鎖を置換すべきであり、5'−3'エキソヌ
クレアーゼ活性を欠くべきである(これはさらに遮断剤の添加により達成され得
る)。すなわち、SDAにおける適当なポリメラーゼには、DNAポリメラーゼ
Iのクレノウ断片、シークエナーゼ1.0およびシークエナーゼ2.0(USバイ
オケミカル)、T5 DNAポリメラーゼおよびPhi29DNAポリメラーゼ
があるが、これらに限定はされない。
【0090】 したがって、SDA反応は、特定順序ではなく、SDAプライマー、SDAポ
リメラーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼおよびdNTP群を必要とし、後者
のうちの少なくとも1種は修飾されている。
【0091】 一般に、SDAは熱サイクリングを必要とはしない。反応温度は、一般に非特
異的ハイブリダイゼーションを阻止するのには十分な程度高いが、特異的ハイブ
リダイゼーションを行わせるのに十分な程度低く設定される。これは、酵素によ
って異なるが、一般に約37℃〜約42℃である。
【0092】 好ましい実施態様において、ここに記載されている増幅技術の大部分に関する
限りでは、相補的標的配列を用いて第2増幅反応が行われることにより、設定期
間の間に増幅が実質的に増加され得る。すなわち、第2プライマー核酸を、実質
的に第1標的配列と相補的である第2標的配列へハイブリダイズすることにより
、第2ハイブリダイゼーション複合体が形成される。酵素を添加した後、第2ハ
イブリダイゼーション複合体が解離されると、若干の新規合成第2鎖が生成され
る。
【0093】 こうして、若干の標的分子が製造される。下記でより詳しく概説されているよ
うに、これらの反応(すなわち、これらの反応の生成物)は、若干の方法で検出
され得る。一般に、標的産物の直接的または間接的検出のいずれかが行われ得る
。この明細書で使用されている「直接」検出は、ここで概説された他の増幅戦略
の場合と同様、標的配列への標識、この場合は電子伝達部分(ETM)の組込み
を必要し、下記で概説されている「メカニズム−1」または「メカニズム−2」
に従い検出が行われる。この実施態様では、ETM(複数可)は、3つの方法で
組込まれ得る。すなわち、(1)プライマーが、例えば塩基、リボース、燐酸ま
たは核酸類似体における類似構造に結合されたETM(複数可)を含むか、(2
)ETM(複数可)により塩基またはリボースが(または核酸類似体における類
似構造に)修飾された修飾ヌクレオシドが使用され、次いでこれらのETM修飾
ヌクレオシドが三リン酸形態に変換され、ポリメラーゼにより新規合成鎖へ組込
まれるか、または(3)ETMの「テイル」が下記で概説されているように付加
され得る。これらの方法のいずれかにより、ETMを含む新規合成鎖が生成され
、下記で概説されているように直接検出され得る。
【0094】 別法として、間接的検出は、ETMを殆どまたは全く含まない新規合成鎖との
、サンドイッチ検定として行われる。次いで、検出は、ETM(複数可)を含む
標識プローブの使用により行われる。これらの標識プローブは、下記でより詳述
されているように、直接新規合成鎖または中間体プローブ、例えば増幅プローブ
とハイブリダイズする。この場合、下記で概説されている検出に使用されるのは
、標識プローブにおけるETMである。
【0095】 好ましい実施態様において、標的増幅技術は、核酸配列に基く増幅法(NAS
BA)である。NASBAは、全般的に米国特許第5409818号、Molecula
r Methods for Virus Detection, Academic Press, 1995のSooknanan et al., N
ucleic Acid Sequence-Based Amplification, Ch. 12 (pp. 261-285)および“Pr
ofiting from Gene-based Diagnostics”、CTBインターナショナル・パブリ
ッシング・インコーポレイテッド、ニュージャージー(1996)に記載されて
おり、これらすべてを出典明示により本明細書の一部とする。NASBAはTM
AおよびQBRの両者に非常によく似ている。転写介在増幅(TMA)は一般的
に米国特許番号第5,399,491号、第5,888,779号、第5,705,365号、第5,710,029号
に記載されており、これらすべてを出典明示により本明細書の一部とする。NA
SBAとTMAとの間の主要な差異は、NASBAがRNAの分解を行うために
RNAse Hの付加を利用し、TMAは逆転写酵素に内在するRNAse H活
性に依存することである。
【0096】 一般に、これらの技術は次のように説明され得る。1本鎖標的核酸、通常RN
A標的配列(ここでは「第1標的配列」または「第1鋳型」と称されることもあ
る)を、ここでは一般に「NASDAプライマー」(TMAプライマーもまた適
しているが)として表わされる第1プライマーと接触させる。DNA標的配列か
らの開始を、以下に記載する。これらのプライマーは、一般に25−100ヌク
レオチドの長さを有し、約50−75ヌクレオチドのNASBAプライマーが好
ましい。第1プライマーは、好ましくはその3'末端に第1鋳型の3'末端と実質
的に相補的である配列を有するDNAプライマーである。第1プライマーは、そ
の5'末端(またはその相補鎖(アンチセンス)、システムの配置による)にR
NAポリメラーゼプロモーターも有する。次いで、第1プライマーを第1鋳型と
ハイブリダイズさせると、第1ハイブリダイゼーション複合体が形成される。第
1プライマーが修飾、すなわち伸長されることにより、RNA(第1鋳型)およ
びDNA(新規合成鎖)のハイブリダイゼーション複合体を含む、修飾第1プラ
イマーが形成されるように、NASBA反応混合物はまた、逆転写酵素(「NA
SBA逆転写酵素」)および4種のdNTP群の混合物を含んでいる。
【0097】 ここで「逆転写酵素」または「RNA−依存性DNAポリメラーゼ」とは、D
NAプライマーおよびRNA鋳型からDNAを合成し得る酵素を意味する。適当
なRNA−依存性DNAポリメラーゼには、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素
(「AMVRT」)およびモロニーネズミ白血病ウイルスRTがあるが、これら
に限定はされない。増幅反応がTMAである場合、逆転写酵素はさらに、以下に
概説するようにRNA分解活性を含む。
【0098】 上記で列挙された成分に加えて、NASBA反応はまた、ここではリボヌクレ
アーゼと称されることもあるRNA分解酵素を含み、それは1本または2本鎖R
NAまたはDNAを加水分解せずにRNA:DNAハイブリッドのRNAを加水
分解する。適当なリボヌクレアーゼには、エシェリキア・コリ(E.coli)および
子牛胸腺からのリボヌクレアーゼHがあるが、これらに限定はされない。
【0099】 リボヌクレアーゼ活性が、ハイブリダイゼーション複合体における第1RNA
鋳型を分解することにより、ハイブリダイゼーション複合体が解離され、ここで
「第2鋳型」と称されることもある、第1の1本鎖新規合成DNA鎖が脱離する
【0100】 さらに、NASBA反応はまた、一般にDNA(プライマーを含め、ここでの
プローブ全てに関する限り、核酸類似体も使用され得る)を含む第2NASBA
プライマーを含む。この第2NASBAプライマーは、第2鋳型の3'末端と実
質的に相補的である配列をその3'末端に有し、また機能的プロモーターに関す
るアンチセンス配列および転写開始部位のアンチセンス配列を含む。すなわち、
このプライマー配列は、第3DNA鋳型の合成用鋳型として使用されるとき、R
NAポリメラーゼの特異的で有効な結合および所望の部位における転写開始を可
能にするだけの情報を含んでいる。好ましい実施態様では、T7 RNAポリメ
ラーゼのものであるアンチセンスプロモーターおよび転写開始部位を使用するが
、他のRNAポリメラーゼプロモーターおよび開始部位も下記で概説されている
通り同様に使用され得る。
【0101】 第2プライマーは第2鋳型とハイブリダイズし、反応にも存在する「DNA依
存性DNAポリメラーゼ」とも呼ばれるDNAポリメラーゼが第3鋳型(第2新
規合成DNA鎖)を合成することにより、2本の新規合成DNA鎖を含む第2ハ
イブリダイゼーション複合体が生成される。
【0102】 最後に、RNAポリメラーゼおよび必要とされる4種のリボヌクレオシド三リ
ン酸(リボヌクレオチドまたはNTP群)を封入すると、RNA鎖(第1鋳型と
本質的には同じである第3新規合成鎖)が合成される。ここでは「DNA依存性
RNAポリメラーゼ」と称されることもあるRNAポリメラーゼは、プロモータ
ーを認識し、開始部位でのRNA合成を特異的に開始させる。さらに、RNAポ
リメラーゼは、好ましくは1つのDNAデュプレックス(二重らせん)につきR
NAの幾つかのコピーを合成する。好ましいRNAポリメラーゼには、T7 R
NAポリメラーゼ、およびファージT3、ファージφll、サルモネラ(Salmon
ella)ファージsp6、またはシュードモナス(Pseudomonase)ファージgh−
1のものを含む他のバクテリオファージRNAポリメラーゼがあるが、これらに
限定はされない。
【0103】 いくつかの実施態様では、TMAおよびNASBAが、DNA標的配列で開始
されて用いられる。この実施態様では、プロモーター配列を含む新規合成鎖を有
する2本鎖DNAハイブリットを生成するために、RNAポリメラーゼのプロモ
ーターを含む第1プライマーおよびDNAポリメラーゼ酵素を利用することが必
要である。該ハイブリットは、その後変性され、第2プライマーが加えられる。
【0104】 したがって、NASBA反応は、特定順序ではなく、下記で概説されている検
出成分に加えて、第1NASBAプライマー、RNAポリメラーゼプロモーター
のアンチセンス配列を含む第2NASBAプライマー、プロモーターを認識する
RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、RNA分解酵素、NT
P群およびdNTP群を必要とする。
【0105】 これらの成分により、単一DNAデュプレックスを生成する単一出発RNA鋳
型が得られる。しかしながら、このDNAデュプレックスにより多RNA鎖が作
製され、次いでこれらが再び反応開始に使用され得るため、増幅が迅速に行われ
る。
【0106】 したがって、TMA反応は、特定順序ではなく、下記で概説されている検出成
分に加えて、第1TMAプライマー、RNAポリメラーゼプロモーターのアンチ
センス配列を含む第2TMAプライマー、該プロモーターを認識するRNAポリ
メラーゼ、RNA分解活性を有する逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、NTP群
およびdNTP群を必要とする。
【0107】 これらの構成要素からは、2本鎖DNAを生成する一本の開始RNA鋳型が生
じる。しかし、このDNA2本鎖が多数のRNA鎖を生じるので、それらが次い
で再び反応を開始するのに用いられ、増幅は急速に進む。
【0108】 ここで概説されている通り、新規合成鎖の検出は幾つかの方法で行われ得る。
プライマーへの組込みまたは増大している鎖への修飾標識ヌクレオチドの組込み
により、新規合成鎖がETM標識を含むとき、直接的検出が行われ得る。別法と
して、下記でより詳しく概説されている通り、非標識鎖(この場合検出モードに
おける「標的」として用いられる)の間接的検出は、様々なサンドイッチ検定立
体配置を用いて行われ得る。当業界の専門技術者が認めるように、新規合成鎖の
いずれもが、表面上で捕獲プローブとアッセイ複合体を形成する「標的」として
働き得る。NASBAおよびTMAでは、顕著な増幅が起こる場であるので、新
規に形成されたRNA鎖を標的として用いるのが好ましい。
【0109】 好ましい実施態様において、増幅技術はシグナル増幅である。シグナル増幅で
は、鋳型として限られた数の標的分子を使用することにより、多重シグナル送信
プローブを生成するかまたは多重シグナル送信プローブの使用を可能にする。シ
グナル増幅戦略は、LCR、CPT、インベーダー(登録商標)およびサンドイ
ッチ検定における増幅プローブの使用を含む。
【0110】 好ましい実施態様において、全般的に図21、28および29に描かれている
通り、シグナル増幅技術はLCRである。この方法は、2つの異なる方法で実施
され得る。第1の実施態様では、標的配列の唯一の鎖を連結反応用の鋳型として
使用する(図28)。別法として、両鎖が使用され得る(図29)。全般的には
米国特許第5185243および5573907号、EP0320308B1、
EP0336731B1、EP0439182B1、WO90/01069、W
O89/12696およびWO89/09835およびU.S.S.N.60/07
8102および60/073011参照、ただし、これら全てを引用して説明の
一部とする。
【0111】 好ましい実施態様において、1本鎖標的配列は第1標的ドメインおよび第2標
的ドメインを含み、そして第1LCRプライマーおよび第2LCRプライマー核
酸が加えられ、それらはその各標的ドメインと実質的に相補的であるため、標的
ドメインとハイブリダイズする。これらの標的ドメインは直接隣接、すなわち連
続しているか、または若干のヌクレオチドにより分離され得る。それらが非連続
的である場合、ヌクレオチドはヌクレオチド連結手段、例えばポリメラーゼを随
伴して付加され、プライマーの1つにヌクレオチドが加えられる。次いで、2つ
のLCRプライマーは、例えばリガーゼ酵素、例えば当業界で公知のものを用い
て共有結合される。これによって、連結されたプローブおよび標的配列を含む第
1ハイブリダイゼーション複合体が形成される。次いで、このハイブリダイゼー
ション複合体を変性(解離)させ、プロセスを反復すると、連結されたプローブ
のプールが生成される。さらに、下記の通り、検出プローブを有し、検出プロー
ブが連結反応用鋳型として使用され得ないように、プローブ連結部位に誤対合を
含むのが望ましい場合もあり得る。
【0112】 好ましい実施態様において、LCRは2本鎖標的配列の2本鎖に関して行われ
る。標的配列を変性し、2セットのプローブ、すなわち標的の1鎖に関して上記
で概説された1セット、および標的の他方の鎖に関する別のセット(すなわち、
第3および第4プライマープローブ(robe)核酸)を加える。好ましい実施態様
では、増幅が行われ得るように、第1および第3プローブがハイブリダイズし、
第2および第4プローブがハイブリダイズする。すなわち、第1および第2プロ
ーブが結合されたとき、連結されたプローブは、第3および第4プローブの結合
用に、第2標的配列に加えて、鋳型として使用され得る。同様に、連結された第
3および第4プローブは、第1標的鎖に加えて、第1および第2プローブの結合
用鋳型として使用される。こうして、直線的ではなく、指数的増幅が行われ得る
【0113】 また、上記で概説した通り、LCR反応の検出は、プライマーの一方または両
方が少なくとも1つのETMを含む場合、直接的に、または追加プローブの使用
を介するサンドイッチ検定法を用いて間接的に行われ得る。すなわち、連結され
たプローブは標的配列として用いられ得、検出は増幅プローブ、捕獲プローブ、
捕獲伸長プローブ、標識プローブおよび標識伸長プローブなどを利用し得る。
【0114】 LCRの変形法は、米国特許第5616464および5767259号で総括
的に概説されているように(両方を特にそのまま引用して説明の一部とする)、
ある種の「化学的連結反応」を利用する。この実施態様では、LCRと同様、一
対のプライマーを使用し、その場合、第1プライマーは標的の第1ドメインと実
質的に相補的であり、第2プライマーは標的の隣接第2ドメインと実質的に相補
的である(ただし、LCRに関する限りでは、「ギャップ」が存在する場合、ポ
リメラーゼおよびdNTP群はギャップを「埋める」ために加えられ得る)。各
プライマーは、標的配列とは結合しない「側鎖」として作用し、水素結合、塩架
橋、フンデルワールス力などを通して非共有結合的に相互作用する幹構造の半分
に作用する一部分を有する。好ましい実施態様は、側鎖として実質的に相補的な
核酸を利用する。すなわち、プライマーが標的配列とハイブリダイゼーションす
ると、プライマーの側鎖は空間的近位になり、側鎖が核酸も含む場合、同じく側
鎖ハイブリダイゼーション複合体を形成し得る。
【0115】 プライマーの側鎖の少なくとも1つは、一般的には側鎖に共有結合した活性化
可能な架橋剤を含み、活性化されると、化学的架橋または化学的連結反応が行わ
れる。活性化可能基は側鎖の架橋を行わせ得る部分を含み、化学的、光的および
熱的に活性化された基が含まれ、その場合光活性化可能な基が好ましい。実施態
様によっては、側鎖の1つに単一活性化可能基があれば、他の側鎖にある官能基
に対する相互作用による架橋形成には十分である。別の実施態様において、活性
化可能基は各側鎖に必要とされる。
【0116】 一旦ハイブリダイゼーション複合体が形成され、プライマーが共有結合される
ように架橋剤が活性化されると、ハイブリダイゼーション複合体を解離させ得る
条件に反応を付すことによって、標的は自由化されて次の連結反応または架橋用
の鋳型として用いられる。こうして、シグナル増幅が行われ、ここに概説されて
いる要領で検出され得る。
【0117】 好ましい実施態様では、シグナル増幅技術はRCAである。ローリングサーク
ル増幅は、以下すべてを出典明示により本明細書の一部とするBaner et al. (19
98) Nuc. Acids Res. 26:5073-5078; Barany, F. (1991) Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 88:189-193; Lizardi et al. (1998) Nat. Genet. 19:225-232; Zhang e
t al., Gene 211:277 (1998)およびDaubendiek et al., Nature Biotech. 15:27
3 (1997)に一般的に記載されている。
【0118】 一般的に、RCAは次のように説明される。まず、以下により詳細に概説され
るように、1本のRCAプローブが標的配列にハイブリダイズする。プローブの
それぞれの末端が隣接して標的核酸にハイブリダイズし(または、以下に概説す
るように、ポリメラーゼとdNTP群を用いて「埋める」ことができる挿入核酸
がある)、上記のOLAアッセイが起こる。ライゲーションされると、プローブ
は、標的核酸とハイブリダイズしたまま環状になる。プライマー、ポリメラーゼ
およびdNTP群を加えると、環状プローブの伸長が起こる。しかし、プローブ
には末端が無いので、ポリメラーゼはプローブを繰り返し伸長し続ける。こうし
て環状プローブの増幅が起こる。この非常に大きいコンカテマーは、下記のよう
にそのままで検出でき、または本明細書中で概説されるような検出のためにより
小さい単位複製配列を形成するように、様々な方法で切断できる。
【0119】 したがって、好ましい実施態様では、1本のオリゴヌクレオチドが、OLAお
よびRCAの環状鋳型(本明細書中では「南京錠(padlock)プローブ」または
「RCAプローブ」と表わされる)の両者に用いられる。つまり、オリゴヌクレ
オチドのそれぞれの終末は、標的核酸と相補的な配列を含み、また上記のように
OLAプライマーとして機能する。すなわち、RCAプローブの第1の末端は、
実質的に第1標的領域と相補的であり、RCAプローブの第2末端は、第1領域
と(本明細書中に概説するように、直接または間接に)隣接する第2標的領域と
実質的に相補鎖を形成する。標的核酸へのプローブのハイブリダイゼーションは
、ハイブリダイゼーション複合体の形成につながる。「プライマー群」(1本の
オリゴヌクレオチドの不連続な末端群、すなわちRCAプローブである)のライ
ゲーションにより、環状プローブを含有する改変されたハイブリダイゼーション
複合体、すなわちRCA鋳型複合体が生じる。つまり、オリゴヌクレオチドは、
依然として標的配列とハイブリダイズしたままで、環状になる。これは、RCA
の環状鋳型として役立つ。ポリメラーゼおよび必要なdNTP群をRCA鋳型複
合体に加えると、増幅された核酸産物の形成が起こる。RCAに続いて、本明細
書で概説するように、増幅された核酸産物が検出される。このことは、様々な方
法で達成される。例えば、ポリメラーゼが標識されたヌクレオチドを組み込んで
もよく、標識されたプライマーを用いてもよく、または実質的にRCAプローブ
の一部と相補的な、少なくとも1つの標識を含有する標識プローブを使用する。
【0120】 したがって、本発明はRCAプローブ(時には本明細書中で「ローリングサー
クルプローブ(RCPs)」または「南京錠プローブ(PPs)」と表わされる
)を提供する。該RCPは、第1および第2ライゲーション配列、切断部位、プ
ライミング部位、捕獲配列、ヌクレオチド類似体、および標識配列を含むいくつ
の要素を含んでもよい。
【0121】 好ましい実施態様では、該RCPは第1および第2ライゲーション配列を含む
。OLAについてすでに概説したように、ライゲーション配列は標的配列に隣接
する領域と実質的に相補的である。これらの領域は、直接隣接してもよく(すな
わち、第1配列の3’末端と第2配列の5’末端との間に挿入塩基がない)、こ
れらの間に1から100またはそれ以上までの塩基をおいて間接的に隣接しても
よい。
【0122】 好ましい実施態様では、RCPは、ローリングサークル増幅後または増幅中に
RCPコンカテマーが切断されて単位複製配列になり得るように、切断部位を含
む。いくつかの実施態様では、このことは検出を容易にする。なぜなら単位複製
配列は一般により小さく、表面上での好適なハイブリダイゼーション反応速度を
示すからである。当業者に認知され得るように、切断部位は、プローブ中の制限
酵素部位の使用、リボザイム配列の使用、核酸切断成分の使用または組み込みを
通じて、を含むがこれらに限定されるものではない、数々の形態を取り得る。
【0123】 好ましい実施態様では、南京錠プローブは制限酵素部位を含む。制限エンドヌ
クレアーゼ部位は、典型的にRCAの結果である長いコンカテマーを、表面に結
合した捕獲プローブに、もっと効率的にまたは速くハイブリダイズする、より小
さな個々の単位に切断することを可能にする。このように、RCAに続いて(ま
たはいくつかの場合では、反応中に)、核酸産物を、適切な制限エンドヌクレア
ーゼに接触させる。このことは、核酸産物のより小さい断片への切断を引き起こ
す。該断片は次いで固定された捕獲プローブとハイブリダイズし、検出電極上へ
の産物断片の濃縮を生じる。また、本明細書で概説されるように、これらの断片
は2方法のうち1つで検出される。すなわち、標識されたヌクレオチドが複製段
階中で組み込まれる(例えば、標識された個々のdNTP群または標識されたプ
ライマーの使用を通じて、のどちらか)か、またはさらなる標識プローブを加え
るかのどちらかである。
【0124】 好ましい実施態様では、制限酵素部位は、その相補鎖形成がRCP中で1度し
か生じないように選択される、1本鎖制限酵素部位である。
【0125】 好ましい実施態様では、切断部位は、出典明示により本明細書の一部とするDa
ubendiek et al., Nature Biotech. 15:273 (1997)に一般的に記載されている
リボザイム切断部位である。この実施態様では、触媒RNAをコードするRCP
、NTP群およびRNAポリメラーゼを用いることにより、生じるコンカテマー
は、自己切断でき、最終的には単量体の単位複製配列を形成する。
【0126】 好ましい実施態様では、切断部位は、1またはそれ以上の、UTPまたはdU
TPのような不安定な塩基を含み、切断は化学的に(例えば、塩基性条件を用い
る)か、または酵素的にかのどちらかで行われる。例えば、ウラシル−N−グリ
コシラーゼはウラシル基で切断する。同様に、RNAseHはRNA/DNAハ
イブリッド中のリボース含有塩基を切断する。
【0127】 好ましい実施態様では、切断はDNA切断物質を用いて成される。例えば、当
業者に知られるように、例えば光を用いて、切断を実行できる数々の挿入部分が
ある。
【0128】 好ましい実施態様では、RCPは切断部位を含まない。代わりに、RCPの大
きさを、表面上で多数の捕獲プローブに「滑らかに」ハイブリダイズするように
デザインする。もしくは、非常に長いコンカテマーが形成されないように反応を
進める。
【0129】 好ましい実施態様では、RCPは、DNAポリメラーゼプライマーが結合でき
るように、プライミング部位を含む。当該分野で知られるように、多くのDNA
ポリメラーゼは、核酸の合成を可能にするために、2本鎖核酸と遊離末端を要す
る。しかし、ある場合、例えばRNAポリメラーゼが用いられる場合では、プラ
イマーは要求されなくてもよい(Daubendiek参照、前出)。同様に、標的鎖の大
きさと方向によって、標的配列の遊離末端がプライマーとして働くことが可能で
ある(Baner et al.参照、前出)。
【0130】 ゆえに、好適な実施態様では、南京錠プローブは、RCA反応を開始するため
の開始部位も含有する。つまり、それぞれの南京錠プローブは、プライマー核酸
がハイブリダイズしてポリメラーゼの鋳型を作る配列を含む。プライマーは、環
状プローブの任意の位置で見出し得る。好ましい実施態様では、プライマーは、
プローブ中の分離した部位に配置される。この実施態様では、それぞれの別個の
南京錠プローブ中でプライマーの部位は同一であるが、このことは必要ではない
。同一配列のプライマー部位を用いる利点には、複数の異なるハイブリダイゼー
ション複合体を用いるRCAアッセイを開始するために、ただ1種類のプライマ
ーオリゴヌクレオチドを使用できることが含まれる。つまり、南京錠プローブは
、プローブを設計した対象である核酸に唯一ハイブリダイズする。1種類のプラ
イマーがすべての独特なハイブリダイゼーション複合体にハイブリダイズして、
ポリメラーゼの開始部位を形成する。次いでRCAは、ハイブリダイゼーション
複合体のそれぞれの独特な南京錠プローブの中の同一の遺伝子座から進む。
【0131】 別の実施態様では、プライマー部位は、南京錠プローブの上記のいかなる要素
を覆っても、囲んでも、その中に属してもよい。つまり、プライマーを、例えば
制限酵素部位もしくは同一の配列と重なって、またはそれらの中に見出し得る。
この実施態様では、プライマー核酸を、選択されたプライマー部位の塩基対に対
して設計することが必要である。
【0132】 好ましい実施態様では、標的配列の一部およびRCPの開始部位の両方にハイ
ブリダイズするプライマーが用いられる。このことはシステムの特異性を増し、
そしてより高いハイブリダイゼーション温度の使用を可能にするために行われ得
る。 好ましい実施態様では、プライマーは、共有結合により付着したETMを含ん
でもよい。
【0133】 好ましい実施態様では、RCPは捕獲配列を含む。本明細書で概説するように
、捕獲配列は、捕獲プローブと本明細書で概説するように実質的に相補的である
【0134】 好ましい実施態様では、RCPは標識配列、すなわち、標識プローブと結合す
るために用いられ得、標識配列と実質的に相補的な配列を含む。ある実施態様で
は、同一の標識配列および標識プローブをアレイ上のすべての南京錠プローブに
用いることが可能である。もしくは、それぞれの南京錠プローブは、異なる標識
配列を有することができる。
【0135】 好ましい実施態様では、RCPは核酸類似体を含む。例えば、単位複製配列中
の特異的な場所で取り込まれることを望み得るので(例えば、20−30塩基対
長中の8−10本のETMの集まりにおいて、検出ハイブリダイゼーション複合
体の最適なシグナル発生と配置をもたらすため)、独特の塩基をRCPに組み込
んでもよい。当分野で知られるように、イソシトシンは、イソグアニンとのみ塩
基対を形成するヌクレオシド類似体である(出典明示により本明細書の一部とす
る米国特許第5,681,702号に一般的に記載されている)。RCP中でイソCまた
はイソGのどちらかを利用することにより、ETMで標識したデオキシ-イソC
またはデオキシ-イソGをヌクレオチドのプール中に加えることができ、その結
果ETMは、先に決定された特異的な位置で組み込まれる。
【0136】 好ましい実施態様では、RCP/プライマーのセットは、「過分枝」または「
カスケード増幅」と呼ばれることもある、さらなるレベルの増幅をもたらすよう
に設計される。前出のZhang et al. で説明されるように、いくつかの開始配列
とプライマーを用いることによって、最初のコンカテマーが、さらなるコンカテ
マーの鋳型として働き得る。この実施態様では、高い置換活性を有するポリメラ
ーゼが、好んで用いられる。この実施態様では、最初の逆行プライマーが用いら
れ、次に順行プライマーが使用され、多数のコンカテマーおよび、切断が使われ
るときには単位複製配列が生成する。
【0137】 ゆえに、本明細書に記載のように、本発明は、RCPを用いる検出方法を提供
する。一度RCPのライゲーション配列が標的にハイブリダイズして最初のハイ
ブリダイゼーション複合体を形成すると、OLAについて上述したように、RC
Pの末端が一緒にライゲーションされる。ポリメラーゼおよびdNTP群(また
は必要ならNTP群)と一緒に、必要ならRCPプライマーを加える。
【0138】 ポリメラーゼは、本明細書で概説するようにいずれのポリメラーゼでもあり得
るが、好ましくは3'エキソヌクレアーゼ活性(3'exo-)を欠くものである。適
するポリメラーゼの例には、DNAポリメラーゼIラージ(Klenow)フラ
グメント、Phi29 DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼなどが含まれる
が、れらに限定されるものではない。さらに、いくつかの実施態様では、1本鎖
DNAを複製する(すなわち、2本鎖の部分を形成するプライマーなしで)ポリ
メラーゼを用いることができる。
【0139】 ゆえに、好ましい実施態様では、OLA/RCAは溶液中で行われ、続いてR
CA産物の制限エンドヌクレアーゼ切断を行う。切断された産物は本明細書に記
載のように、アレイに適用される。エンドヌクレアーゼ部位の組み込みによって
、短く、容易にハイブリダイズできる配列の生成ができるようになる。さらに、
それぞれのローリングサークル南京錠プローブ配列中の独特の捕獲配列によって
、核酸配列の多様なセットをアレイ上で平行して分析できるようになる。なぜな
ら、それぞれの配列は、ハイブリダイゼーションの特異性に基づいて解明される
からである。
【0140】 また、これらのコピーは、続いて2方法のうち1つで検出される。すなわち、
環状の標的と相補的なETMを含む標識プローブとハイブリダイズさせるか、ま
たは増幅反応中にETM標識したヌクレオチドを組み込むことを介する。標識は
、本明細書に記載のように検出される。
【0141】 好ましい実施態様では、ポリメラーゼは100コピー以上の環状DNAを作り
出す。より好ましい実施態様では、ポリメラーゼは1,000コピー以上の環状
DNAを作り出す。最も好ましい実施態様では、ポリメラーゼは鋳型の10,0
00コピー以上または50,000コピー以上を作り出す。
【0142】 増幅された環状DNA配列は、次いで、本明細書に記載のように、当分野で周
知の方法で検出される。検出は、標識プローブとのハイブリダイゼーションによ
って達成される。プローブは、直接的または間接的に標識される。もしくは、標
識されたヌクレオチドが、増幅された環状DNA産物に組み込まれる。ヌクレオ
チドは、本明細書でさらに記載するように、直接的に、または間接的に標識でき
る。
【0143】 本明細書に記載のように、RCAは、核酸標的配列の高度に特異的かつ高度に
敏感な検出を可能にする中で有用である。特に、該方法は、DNAアレイの多重
処理能力を改善し、高価なサンプルまたは標的の調合を排するときに有用である
。例として、中間的なPCR増幅の段階を採用するよりも、むしろアレイ上でゲ
ノムDNAを直接分析することにより、実質的な費用の節約が認識され得る。該
方法は、ゲノムDNAおよびmRNAを含む他のサンプルを調べる場合に有用で
ある。
【0144】 さらに、RCAは、ローリングサークル増幅産物を固相の形式でプローブにハ
イブリダイゼーションすることにより容易に検出されるようにする場合に有用で
ある。さらなるRCAの有利な点は、多数の配列を平行して分析するように、多
重分析能をもたらすことである。RCAの敏感さとアレイ上での同時進行的な検
出を組み合わせることによって、多くの配列をゲノムDNAから直接分析できる
【0145】 好ましい実施態様において、シグナル増幅技術はCPTである。CPT技術は
、米国特許第5,011,769、5,403,711、5,660,988お
よび4,876,187号、およびPCT公開出願WO95/05480、WO
95/1416およびWO95/00667、およびU.S.S.N.09/014
,304を含む若干の特許および特許出願に記載されており、特にこれら全てを
そのまま引用して説明の一部とする。
【0146】 一般に、CPTは次のように説明され得る。CPTプライマー(ここでは「切
断可能プライマー」と称されることもある)は、切断可能な連鎖により分離され
た2つのプローブ配列を含む。CPTプライマーは、標的配列と実質的に相補的
であるため、それとハイブリダイズすることにより、ハイブリダイゼーション複
合体を形成する。標的配列を開裂せずに、切断可能な連鎖を開裂することにより
、2つのプローブ配列が分離される。すなわち、2つのプローブ配列は、標的か
らさらに解離され易くなり得、反応は何回か反復され得る。次いで、ここに概説
されている通り、開裂されたプライマーが検出される。
【0147】 ここで「切断可能な連鎖」とは、プローブがハイブリダイゼーション複合体の
一部であるとき、すなわち2本鎖複合体が形成されるときに開裂され得る切断容
易プローブ内にある連鎖を意味する。標的配列がシグナル増幅の反応において再
利用され得るように、切断可能な連鎖が、ハイブリダイズする相手の配列(すな
わち標的配列またはプローブ配列のいずれか)ではなく切断容易プローブのみを
開裂することは重要である。ここで使用されている、切断可能な連鎖は、2つの
プローブ配列を連結し、プローブ配列または切断容易プローブがハイブリダイズ
される配列のいずれも開裂することなく、選択的に開裂され得る結合的化学構造
を包含する。切断可能な連鎖は単結合または多重ユニット配列であり得る。当業
界の専門技術者が認めるところでは、若干の可能な切断可能な連鎖が使用され得
る。
【0148】 好ましい実施態様において、切断可能な連鎖はRNAを含む。このシステムは
、先に上記概説で報告されたように、ある種の2本鎖ヌクレアーゼ、特にリボヌ
クレアーゼがRNA:DNAハイブリダイゼーション複合体からRNAヌクレオ
シドをニックまたは切除するという事実に基づいている。この実施態様で特に有
用なのは、リボヌクレアーゼH、ExoIIIおよび逆転写酵素である。
【0149】 一実施態様では、切断容易プローブは全てRNAから成り、特に2本鎖リボヌ
クレアーゼ、例えばリボヌクレアーゼHまたはExoIIIにより実施されるとき
ニッキングは容易になる。完全にRNA配列から成るRNAプローブは、第1に
、それらが酵素的により容易に製造され得るため、および第2に、ニッキング剤
、例えばリボヌクレアーゼによるニッキングまたは開裂を受け易い開裂部位をよ
り多く有するため、特に有用である。すなわち、切断可能な連鎖はプローブ固有
であるため、完全にRNAから成る切断容易プローブは、切断可能な連鎖に左右
されるものではない。
【0150】 好ましい実施態様において、切断可能な連鎖が核酸、例えばRNAである場合
、米国特許第5660988号およびWO95/14106(これらを特に引用
して説明の一部とする)に総括的に記載されている通り、本発明方法は誤対合の
検出に使用され得る。これらの誤対合検出方法は、配列に誤対合が存在する場合
、リボヌクレアーゼHがRNA:DNA2本鎖に結合および/またはこれを開裂
し得ないという事実に基づいている。すなわち、NA1−R−NA2実施態様では
、NA1およびNA2は非RNA核酸、好ましくはDNAである。好ましくは、誤
対合はRNA:DNA2本鎖内にあるが、実施態様によっては、誤対合は、リボ
ヌクレアーゼHに影響し得るほど十分近く、目的配列に非常に近い隣接配列に存
在する場合もある(一般的には1個または2個の塩基内)。すなわち、この実施
態様では、核酸の切断可能な連鎖は、切断可能な連鎖の配列が検出される特定配
列、すなわち推定的誤対合の領域を反映するように設計される。
【0151】 誤対合検出の実施態様によっては、放出フラグメントの発生速度が、これらの
方法によって本質的にイエス/ノーの結果が提供される程度のものであるため、
それによって、実際に放出フラグメントがあるとすればその検出が目的標的配列
の存在を示す場合もある。しかしながら、典型的には、ごく僅かの誤対合(例え
ば1−、2−または3−塩基誤対合、または3−塩基欠失)しか存在しないとき
、標的配列が存在しないとしても、開裂された配列がある程度は生成される。す
なわち、開裂フラグメントの発生速度および/または開裂フラグメントの最終量
を定量すると、標的の存在または非存在が示される。さらに、2次的および3次
的な切断容易プローブの使用は、これが完全対合および誤対合間の差異を増幅し
得るため、この実施態様では特に有用であり得る。これらの方法は、患者の同型
接合または異型接合状態の測定に特に有用であり得る。
【0152】 この実施態様では、標的とプローブとの間で疑われる差異によりその長さが測
定されることは、切断可能な連鎖の重要な特徴である。特に、これは、切断可能
な連鎖が疑われる差異を包含するのに十分な長さを有していなくてはならないが
、疑われる差異が存在するとき、切断可能な連鎖が選択された核酸分子と不適当
に「特異的に」ハイブリダイズし得ない程度には短くなければならないことを意
味する。上記の不適当なハイブリダイゼーションは、選択された核酸分子が核酸
プローブと十分には相補的でない場合でも、切断可能な連鎖の削除、すなわち開
裂を行わせる。すなわち好ましい実施態様では、1ヌクレオチド〜3ヌクレオチ
ドの疑われるヌクレオチド差異が切断可能な連鎖に包含されるように、切断可能
な連鎖は3〜5ヌクレオチド長であり、0、1または2ヌクレオチドは差異のい
ずれかの側にある。
【0153】 すなわち、切断可能な連鎖が核酸であるとき、好ましい実施態様は1〜約10
0ヌクレオチドを利用し、約2〜約20が好ましく、約5〜約10が特に好まし
い。
【0154】 CPTは酵素的または化学的に行われ得る。すなわち、RNAseHに加えて
、RNA(または他の核酸)の切断可能な結合を開裂するのに有用であり得る幾
つかの他の開裂剤が存在する。例えば、幾つかの化学的ヌクレアーゼが報告され
ている。例えば、Sigmanら、Annu. Rev. Biochem. 1990、59、207−2
36、Sigmanら、Chem. Rev. 1993、93、2295−2316、Bashkinら
、J. Org. Chem. 1990、55、5125−5132、およびSigmanら、Nucl
eic Acids and Molecular Biology、第3巻、F.Ecksteinおよび D.M.J.Lilley(
編)、スプリンガー‐フェルラーク、ハイデルベルク1989、13−27頁(
これらを全て特に引用して説明の一部とする)参照。
【0155】 特異的RNA加水分解もまた、活発な分野である。例えばChin, Acc. Chem. R
es.1991、24、145−152、Breslowら、Tetrahedron、1991、4
7、2365−2376、Anslynら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl.、1997
、36、432−450、およびそこに記載されている参考文献参照、これら全
てを特に引用して説明の一部とする。反応性リン酸中心はまた、切断可能な連鎖
の開発における興味の対象でもある。Hendryら、Prog. Inorg.Chem.:Bioinorgan
ic Chem.1990、31、201−258参照、これもまた特に引用して説明の
一部とする。
【0156】 部位指定RNA加水分解に関する現行方法には、RNAと配列特異的ハイブリ
ダイズし得る認識エレメントへのホスホジエステル結合を開裂し得る反応性部分
のコンジュゲーションがある。殆どの場合、金属錯体は、安定したヘテロ2本鎖
を形成するDNA鎖に共有結合により付着される。ハイブリダイゼーション後、
ルイス酸はRNAバックボーンのごく近位に配置されることにより加水分解を行
う。Magdaら、J. Am. Chem. Soc. 1994、116、7439、Hallら、Chem.
Biology 1994、1、185−190、Bashkinら、J. Am. Chem. Soc. 19
94、116、5981−5982、Hallら、Nucleic Acids Res.1996、2
4、3522、Magdaら、J. Am. Chem. Soc. 1997、119、2293、お
よびMagdaら、J. Am. Chem. Soc. 1997、119、6947参照、これら全
てを特に引用して説明の一部とする。
【0157】 同様の方法で、DNAポリメラーゼコンジュゲートは、部位指定RNA鎖切断
を誘導することが立証された。例えば、Yoshinariら、J. Am. Chem. Soc. 19
91、113、5899−5901、Endoら、J. Org. Chem. 1997、62、
846、および Barbierら、J. Am. Chem. Soc. 1992、114、3511−
3515参照、これら全てを特に引用して説明の一部とする。
【0158】 好ましい実施態様では、切断可能な連鎖は必ずしもRNAではない。例えば、
化学的開裂部分は、核酸における塩基性部位を開裂するのに使用され得る。Belm
ontら、New J. Chem. 1997、21、47−54、およびそこに記載された参
考文献参照、これらの全てを特に引用して説明の一部とする。同様に、例えば遷
移金属を用いると、光開裂性部分も使用され得る。Moucheronら、Inorg. Chem.
1997、36,584−592参照、これを特に引用して説明の一部とする。
【0159】 他の方法は、化学的部分または酵素によるものである。例えばKeckら、Bioche
mistry、1995、34、12029−12037、Kirkら、Chem. Commun. 1
998(投稿中)参照。金属錯体によるG−U塩基対の開裂、Biochemistry、1
992、31、5423−5429参照、RNAの開裂用ジアミン錯体、Komiya
maら、J. Org. Chem. 1997、62、2155−2160、およびChowら、Ch
em. Rev. 1997、97、1489−1513、およびそこに記載された参考
文献参照、これら全てを特に引用して説明の一部とする。
【0160】 CPT方法の第1段階は、標的への1次切断可能プライマー(1次切断容易プ
ローブとも呼ばれる)のハイブリダイズを必要とする。これは、当業界の専門技
術者が認める通り、好ましくはより長い1次プローブの結合および1次プローブ
の短い開裂部分の解離の両方を可能にする温度で行われる。ここで概説されてい
る通り、これは溶液中で行われ得るか、または標的または切断容易プローブの1
つまたはそれ以上が固体支持体に結合され得る。例えば、固体支持体または電極
において標的配列の一部、好ましくは切断容易プローブが結合する同じ配列では
ない配列と実質的に相補的である「アンカープローブ」を使用することが可能で
ある。
【0161】 同様に、ここで概説されている通り、好ましい実施態様は、固体支持体、例え
ばビーズに結合した1つまたはそれ以上の切断容易プローブを有する。この実施
態様では、可溶性標的が拡散することにより、可溶性標的配列と支持体結合切断
容易プローブとの間にハイブリダイゼーション複合体が形成され得る。この実施
態様では、下記で概説されている通り、シグナルを最大限にするため、1切断容
易プローブ当たり複数のプローブ配列が検出され得るように、切断容易プローブ
に追加の切断可能な連鎖を含ませることにより2つまたはそれ以上のプローブ配
列を放出させるのが望ましいことがあり得る。上記実施態様は、総括的に図34
および35に描かれている。
【0162】 この実施態様において(およびここに記載された他の増幅技術において)、好
ましい方法では、切断またはせん断技術を用いることにより、標的配列を含む核
酸試料を、ビーズ表面に標的配列を十分に拡散させ得るサイズに切断する。これ
は、機械的な力(例、音波処理)を通して核酸をせん断することによりまたは制
限エンドヌクレアーゼを用いて核酸を開裂することにより達成され得る。別法と
して、標的含有フラグメントは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の場合と同様
ポリメラーゼ、プライマーおよび試料を鋳型として用いることにより生成され得
る。さらに、PCRまたはLCRまたは関連方法を用いる標的の増幅も行われ得
る。これは、標的配列が非常に低いコピー数で試料中に存在する場合特に有用で
あり得る。同様に、攪拌、加熱、全体濃度を高める技術、例えば沈降、乾燥、透
析、遠心分離、電気泳動、磁気ビーズ濃縮などを含む混合およびハイブリダイゼ
ーションの速度を増加させる多様な技術が当業界では知られている。
【0163】 一般に、切断容易プローブは、それらの標的へモル過剰で導入され(標的配列
または他の切断容易プローブの両方を含む、例えば2次または3次切断容易プロ
ーブが使用される場合)、少なくとも約100:1の切断容易プローブ:標的比
が好ましく、少なくとも約1000:1が特に好ましく、そして少なくとも約1
0000:1がさらに好ましい。実施態様によっては、過剰のプローブ:標的は
さらに大きくなる場合もある。さらに、例えばこれらの割合はここに概説されて
いる全増幅技術に使用され得る。
【0164】 一旦切断容易プローブと標的との間にハイブリダイゼーション複合体が形成さ
れると、複合体は開裂条件に付される。当然のことであるが、これは切断容易プ
ローブの組成により異なる。それがRNAである場合、リボヌクレアーゼHが導
入される。ある種の環境下で、例えばWO95/00666およびWO95/0
0667(ここに引用して説明の一部とする)で総括的に概説されている場合、
2本鎖結合剤、例えばリボヌクレアーゼHを用いることにより、1次プローブ:
標的ハイブリダイゼーション複合体のTmより高温でも反応が続行されることに
注意すべきである。従って、まず切断容易プローブが標的に加えられ、次いで開
裂剤または開裂条件が導入され得るか、またはプローブが開裂剤または条件の存
在下で加えられ得る。
【0165】 開裂条件により、1次切断容易プローブの2つ(またはそれ以上)のプローブ
配列が分離される。その結果として、短い方のプローブ配列は標的配列とハイブ
リダイズした状態ではないため、ハイブリダイゼーション複合体は解離し、標的
配列は無傷で脱離される。CPT反応の実施に最適な温度は、一般にプローブ:
標的ハイブリダイゼーション複合体の融解温度より低い約5℃〜約25℃である
。これによって、迅速なハイブリダイゼーション速度および標的配列に関する高
度な特異性が達成される。当業界では公知のように、特定ハイブリダイゼーショ
ン複合体のTmは、塩濃度、G−C含有量、および複合体の長さにより異なる。
【0166】 反応の間、ここに記載された他の増幅技術の場合と同様、非特異的ヌクレアー
ゼによりプローブおよび標的配列の開裂を抑制することが必要であり得る。上記
ヌクレアーゼは、一般に加熱または抽出処理によるDNAの分離中に試料から除
去される。若干の1本鎖ヌクレアーゼ阻害剤、例えばバナデート、インヒビター
ズit−ACEおよびRNAシン、胎盤タンパクは、リボヌクレアーゼHの活性
に影響を及ぼさない。これは、リボヌクレアーゼおよび/または標的試料の純度
によって必要ではない場合もあり得る。
【0167】 ある一定期間反応を進行させることにより、これらの段階を反復する。反応は
、通常約15分〜約1時間行われる。一般に、標的配列の各分子は、プローブの
長さおよび配列、特異的反応条件および開裂方法により、この期間に100ない
し1000回代謝回転する。例えば、試験試料中に存在する標的配列の各コピー
の場合、100〜1000分子がリボヌクレアーゼHにより開裂される。ここで
概説されている通り、反応をさらに長く続行させるか、または2次、3次または
4次プローブを用いることにより、さらに高レベルの増幅が達成され得る。
【0168】 一般には開裂の時間または量により決定される反応完了時、未開裂プローブが
検出プローブと結合して誤った正のシグナルを誘発しないように、未開裂切断容
易プローブは検出前に除去または中和されなければならない。これは、総括的に
下記で検討されているように様々な方法で行われ得る。
【0169】 好ましい実施態様では、1次プローブを含むビーズの使用により分離が簡易化
される。すなわち、切断容易プローブをビーズに結合させるとき、濾過、遠心分
離、磁場の適用、荷電ビーズに関する静電的相互作用、接着などによってビーズ
を除去することにより、未開裂プローブが除去される。
【0170】 好ましい実施態様において、分離は、当業界では公知であるように反応生成物
のゲル電気泳動に基いており、短い開裂プローブ配列から長い未開裂プローブを
分離する。
【0171】 好ましい実施態様では、分離は強酸沈殿に基く。これは小さいフラグメント(
一般に約10ヌクレオチド)から長いもの(一般に50ヌクレオチドより大)を
分離するのに有用である。強酸、例えばトリクロロ酢酸を溶液に導入すると、長
いプローブの沈殿が誘発され、開裂した小フラグメントは溶液中に残存している
。この溶液を遠心分離または濾過すると、沈殿物が除去され、開裂されたプロー
ブ配列が定量され得る。
【0172】 好ましい実施態様において、親和性支持体を用いて分離を実施するため、切断
容易プローブは、ETMおよび親和性結合リガンドまたは部分の両方を含む。こ
の実施態様では、未開裂プローブ、および親和性部分を含む開裂プローブの除去
により、検出可能なETMが全て除去されることのないように、検出に使用され
るETMは親和性部分を含む同じプローブ配列上にはないことが重要である。別
法として、切断容易プローブは、共有結合したETMではなく、親和性標識を含
み得る。適当な親和性部分には、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、レ
クチン、ハプテン、抗体などがあるが、これらに限定はされない。当業界で公知
の通り、親和性部分の結合相手を固体支持体、例えばガラスビーズ、ラテックス
ビーズ、デキストランなどに結合させ、これを用いて未開裂プローブを取り出す
。親和性部分を含まない開裂プローブ配列は、溶液中に残存したままであり、次
いで下記で概説された要領で検出され得る。
【0173】 好ましい実施態様において、上記実施態様と同様、核酸の分離配列を切断容易
プローブに含ませると、反応中に開裂されることはない。分離配列に相補的な核
酸を固体支持体例えばビーズに結合させ、キャッチャー配列として用いる。好ま
しくは、普遍キャッチャー配列が様々な検定で利用され得るように、分離配列を
切断容易プローブに付加すると、標的配列により認識されることはない。
【0174】 好ましい実施態様では、図32で総括的に描かれているように、実質的に相補
的な中和核酸を加えることにより、未開裂プローブを中和する。捕獲配列を含む
プローブに対する相補体が、開裂プローブ配列:検出プローブ複合体よりもその
長さ故により安定したハイブリダイゼーション複合体を形成するため、この方法
は、捕獲配列、分離配列、および1段階システムを用いる実施態様では特に有用
である。当業界の専門技術者が認めるように、検出は核酸を通る電子伝達に基い
ているため、未開裂プローブの完全除去は要求されない。むしろ重要なのは、開
裂配列に特異的な検出電極プローブへの結合に、未開裂プローブが利用できない
ことである。すなわち、一実施態様において、中和ハイブリダイゼーション複合
体からのシグナルは開裂フラグメントのシグナルに加担しないため、中和核酸は
、離れた「アドレス」にある電極表面における検出プローブである。別法として
、中和核酸は、ビーズに結合され得る。中和ビーズが加えられると、反応はクエ
ンチングされ、次いで検出前に除去される。
【0175】 未開裂プローブの除去または中和後、下記で概説されている通り、開裂プロー
ブ配列を検出組成物に加えることにより検出が続行され、この場合「メカニズム
−1」または「メカニズム−2」システムが利用され得る。メカニズム−1シス
テムは、次のように説明され得る。開裂されたプローブ配列が、導電性オリゴマ
ーを介して電極に共有結合により付着した第1検出1本鎖プローブにハイブリダ
イズすることにより、第2ハイブリダイゼーション複合体が形成される。検出プ
ローブ:プローブ配列を含む、第2のハイブリダイゼーション複合体は、少なく
とも1つの第1ETMを含む。ここで概説されている通り、このETMはプロー
ブ(プライマー)配列または検出プローブに共有結合されるか、またはハイブリ
ダイゼーション指標として非共有結合的に付加されるか、またはその両方であり
得る。上記で概説された通り、好ましい実施態様は、検出用に1ハイブリダイゼ
ーション複合体につき複数のETMを使用する。
【0176】 好ましい実施態様では、高いオーダーのプローブは全く使用されず、検出は1
次プライマーのプローブ配列(複数可)に基いている。すなわち、好ましい実施
態様では、電極は、1次切断容易プローブの開裂部分の全部または一部と実質的
に相補的である少なくとも1つの第1検出プローブを含む。一実施態様では、1
タイプのみの検出プローブが使用され、それは1次プローブのプローブ配列の全
部または一部と実質的に相補的であり得る。好ましい実施態様では、複数タイプ
の検出プローブが使用され、各検出プローブは1次プローブの各プローブ配列の
全部または一部と実質的に相補的である。すなわち、1次プローブが2つのプロ
ーブ配列を含むとき、2つの検出プローブが使用される。3つのプローブ配列は
、3つの検出プローブを使用する。ここに記載されている通り、プローブがビー
ズに結合されているとき、これは追加の切断可能な連鎖の使用を必要とし得る。
次いで、検出プローブおよび1次プローブ配列はハイブリダイゼーション複合体
を形成し、それらは共有結合ETMを含むか、またはハイブリダイゼーション指
標形態のETMがシステムに加えられ(または両方)、次いでここで概説されて
いる通り検出される。好ましい実施態様では、ハイブリダイゼーション指標を使
用する場合、それらを反応完了時にシステムに加えるだけで、ハイブリダイゼー
ション指標とプローブ:標的複合体の会合は回避されるが、実施態様によっては
、反応中にハイブリダイゼーション指標を存在させることが可能な場合もあり得
る。
【0177】 好ましい実施態様において、各々からのシグナルが合わされるように、検出プ
ローブは電極表面で混合される。標的配列が低コピー数で存在する場合これは特
に好ましいものであり得る。別法として、検出プローブは、各々表面上の異なる
「アドレス」に存在し得る。このためシステムからの可能なシグナルが低減化さ
れ、各々からのシグナルが均等であるべきという点で内部制御として有用である
。さらに、異なるアドレスは異なる密度のプローブを有するため、標的配列に対
する様々な感受性をもつアドレスが作製され得る。ビーズに結合された各々1次
プローブのプローブ配列に対する、2つの検出プローブを用いるシステムについ
ては、総括的に図30で描かれており、結合ETMが使用されている。
【0178】 好ましい実施態様では、少なくとも1つ、および好ましくはそれ以上の2次プ
ローブ(ここでは2次プライマーとも称される)を使用する。2次切断容易プロ
ーブは、幾つかの方法で反応に加えられ得る。誤った正のシグナルが発生するこ
とになるため、2次切断容易プローブが未開裂1次プローブとハイブリダイズし
ないようにすることは重要である。これらの方法は、ビーズ結合プローブが使用
されるか否かによって幾つかの方法で報告され得る。 好ましい実施態様では、1次および2次プローブを固体支持体に結合する。好
ましい実施態様では、一般に支持体結合2次プローブはビーズ表面の未開裂1次
プローブに結合し得ないため、1次および2次プローブを一緒に加える。それは
標的による1次プローブのハイブリダイゼーション時のみであるため、ビーズか
らの1次プローブ配列の開裂および放出が行われ、現時点で拡散可能な1次プロ
ーブ配列は2次プローブに結合し得る。一方、1次プローブ配列が2次切断容易
プローブに関する標的として用いられることにより、2次プローブ配列の開裂お
よび放出が行われる。
【0179】 別の実施態様では、1次プローブを含むビーズを加え、ある一定期間反応を進
行させ、次いで2次プローブを含むビーズを加え、1次ビーズについては除去す
る場合としない場合がある。別法として、1次プローブを含むビーズを除去し、
可溶性2次切断容易プローブを加える。
【0180】 別の実施態様では、完全反応が溶液中で行われる。この実施態様では、上記で
概説されているように、1次プローブを加え、反応をある一定期間進行させ、そ
して未開裂1次切断容易プローブを除去する。次いで、2次プローブを加え、反
応を進行させる。次いで2次未開裂プローブを除去し、総括的にここで概説され
ているように開裂した配列が検出される。
【0181】 上記のように、可能な限り多くの2次プローブ配列を検出するのが一般的に好
ましく、さらに1次プローブ配列も同様に検出され得る。すなわち、好ましい実
施態様は、切断容易プローブの各プローブ配列の全部または一部と実質的に相補
的な検出プローブを使用する。別法として、「高いオーダー」プローブ配列に関
する検出プローブのみが使用される。さらに、実施態様によっては、切断容易プ
ローブのプローブ配列の1つのみに関する検出プローブが使用され得る場合もあ
る。さらに、上記で概説されている通り、これらの実施態様では、他の場合と同
様、検出プローブは、所望の結果次第で、配列により分離されるか、または混合
され得る。
【0182】 好適な実施態様においては、少なくとも1種の、好ましくはそれ以上の三級プ
ローブを使用する。三級の開裂可能なプローブを数種の方法で反応に添加するこ
とが可能である。三級の開裂可能なプローブは、偽陽性シグナルを生成すること
となるので、未切断の二級プローブにハイブリッド形成するのを防止することが
重要である。これらの方法はビーズに結合したプローブを使用しているかどうか
により、幾つかの方法で説明することが可能である。
【0183】 好適な実施態様において、一級、二級および三級のプローブは固形の支持体に
結合させる。好適な実施態様において、一級、二級および三級のプローブは共に
添加するが、その理由は一般に支持体に結合した二級プローブはビーズ表面上の
未切断一級プローブに結合し得ないからであり、また、支持体に結合した三級プ
ローブはビーズ表面上の未切断二級プローブに結合し得ないからである。ビーズ
からプローブ配列の切断と放出が起こり、そこで拡散可能となったプローブ配列
がより高次のプローブに結合し得るのは、その標的(すなわち、一級プローブ用
サンプルの標的配列、または二級および三級プローブそれぞれのプローブ配列)
と開裂可能なプローブのハイブリッド形成によってのみである。
【0184】 代り得る実施態様においては、ビーズと溶液プローブの組合わせが用いられ、
その可能な組合わせは:一級プローブビーズ、可溶性二級プローブ、三級ビーズ
;可溶性一級プローブ、可溶性二級プローブ、三級ビーズ;一級プローブビーズ
、二級プローブビーズ、可溶性三級プローブ;などである。重要なことは、可溶
性プローブを使用する場合、それらを次の高次プローブを添加する前に除去しな
ければならないことである。
【0185】 代り得る実施態様において、完全な反応は溶液中で実施する。この実施態様に
おいては、一級プローブを加え、一定時間反応を進行させ、未切断の一級開裂可
能プローブを上に概略したように除去する。二級プローブを次いで添加し、反応
を進行させる。二級未切断のプローブを次いで除去し、次いで三級プローブを添
加し、反応を進行させる。未切断の三級プローブを次いで除去し、切断された配
列を本明細書に一般的に概説するように検出する。
【0186】 上記のように、可能な限り多くの三級プローブ配列を同定することが一般に好
ましく、二級および一級のプローブ配列を同様にさらに検出することができる。
このように、好適な実施態様では、開裂可能なプローブの各プローブ配列の全部
または一部に実質的に相補的な検出プローブを利用する。再び、検出配列は電極
上分離するか、あるいは混合して最大のシグナル増幅を可能とする。
【0187】 好適な実施態様において、少なくとも1種の、好ましくはそれ以上の四級プロ
ーブを使用する。このものは三級プローブについて上に概説したように進める。
【0188】 このように、CPTは、再び特定の順序なしに、第1のプローブ配列、開裂可
能な結合および第2のプローブ配列を含む第1のCPTプライマー、および切断
剤を必要とする。
【0189】 この方法において、CPTは大量の切断されたプライマーを生成するに至り、
それを次いで以下に概説するように検出することができる。
【0190】 好ましい実施態様では、Invader(登録商標)技術が用いられる。In
vader(登録商標)技術は、部位特異的に核酸を切断する構造特異的ポリメ
ラーゼに基づく。2本のプローブ、すなわち、「インベーダー」プローブおよび
非相補的重複を含んで標的配列に隣接してハイブリダイズする「シグナル」プロ
ーブを使用する。この酵素はその「テイル」認識によって重複を切断し、「テイ
ル」を標識と共に放出する。これが認識できる。Invader(登録商標)技
術は、米国特許番号5,846,717、5,614,402、5,719,0
28、5,541,311、および5,843,669に記載されており、それ
らはすべて引用によりこの文書に加える。
【0191】 したがって、本発明は、本明細書中で「インベーダープライマー」と表わされ
ることもある、標的配列の第1ドメインとハイブリダイズする第1プライマー、
および本明細書中で「シグナルプライマー」と表わされることもある、標的配列
の第2ドメインとハイブリダイズする第2プライマーを提供する。第1および第
2標的ドメインは隣接する。シグナルプライマーはさらに、第1標的ドメインの
少なくとも1ヌクレオチドと完全に相補的な少なくとも1ヌクレオチド、および
非相補的な「テイル」領域を含む重複配列を有する。切断酵素は重複構造および
非相補的テイルを認識し、テイルを第2プライマーから切り離す。適する切断酵
素は上記の特許に記載されており、Thermus aquaticus、Thermus flavusおよびT
hermus thermophilusを含むThermus種由来の熱安定性5’ヌクレーゼを含むがこ
れらに限定されるものではない。全体の反応は、切断に際して、インベーダープ
ローブおよび切断されたシグナルプローブが標的配列から離れ、そして新しいプ
ライマーが結合できるような温度で、一定温度で行われる。こうして多量の切断
されたシグナルプローブ(すなわち、テイル)が作られる。切断されないシグナ
ルプローブは除去される(例えば、配列に基づくか、または標的にハイブリダイ
ズするシグナルプローブの一部に付着した結合リガンドの使用を介するかして、
ビーズのような固体支持体に結合させることによる)。切断されたシグナルプロ
ーブは、次いで、標的として切断されたプローブ(テイル)、捕獲プローブおよ
び少なくとも1つのETMを含む電極上のアッセイ複合体を形成することにより
検出される。ETMは、テイルまたはアッセイ複合体に直接的もしくは間接的に
ハイブリダイズする(例えば、増幅プローブの使用を介する)標識プローブに、
共有結合により付着してもよい。
【0192】 好適な実施態様において、シグナル増幅技術は「サンドイッチ」アッセイで
あるが、本方法は一般的にはUSSN60/073,011に、また、US特許
番号5,681,702、5,597,909、5,545,730、5,59
4,117、5,591,584、5,571,670、5,580,731、
5,571,670、5,591,584、5,624,802、5,635,
352、5,594,118、5,359,100、5,124,246および
5,681,697などに記載されており、これらのすべてを参照により本明細
書に取込む。サンドイッチアッセイはプライマーを変更させるようなものではな
いが、サンドイッチアッセイでは、多重シグナル(すなわち、標識プローブ)が
単一の標的に結合し、シグナルを増幅させるために、シグナル増幅技法と考える
ことができる。サンドイッチアッセイは、標的配列が殆どまたは全くETM標識
を含んでいない場合に使用される;すなわち、ETM標識を含む第2プローブを
用いシグナルを生成させる場合に使用される。
【0193】 本明細書で検討するように、留意すべきことはサンドイッチアッセイが一級標
的配列(例えば、患者サンプルからの)の検出のために、あるいは上述の増幅反
応の産物を検出する方法として使用し得ることである;このように、例えば、P
CR、LCR、NASBA、SDAなどを用いて上記のように新たに合成した鎖
をサンドイッチアッセイの「標的配列」として使用することができる。
【0194】 一般に、サンドイッチ・シグナル増幅技法は以下のように説明し得る。好適な
実施態様において、これは要求されるものではないが、標的配列は電極の表面に
固定化する。これは、好ましくは、捕獲プローブを用い、任意には1種以上の捕
獲エクステンダープローブを用い実施する;図15参照。捕獲プローブのみを利
用する場合、それぞれの標的配列に対しユニーク捕獲プローブを得ることが必要
である;すなわち、その表面はユニーク捕獲プローブを含むように設計しなけれ
ばならない。あるいは、捕獲エクステンダープローブを用いることができるが、
それは「普遍的」表面、すなわち、標的配列を検出するのに使用し得る単一型の
捕獲プローブを含む表面を可能とする。「捕獲エクステンダー」プローブは図1
5およびその他の図に一般的に図示されるが、捕獲プローブの全部または一部に
ハイブリッド形成する第1の部分および標的配列の第1部分にハイブリッド形成
する第2の部分をもつ。これは次いで設計された可溶性プローブの生成を可能と
し、それは当業者が認識するように、一般にはより簡単で費用もかさまない。本
明細書に示すように、2つの捕獲エクステンダープローブが使用し得る。これは
一般にアッセイ複合体を安定化するために、例えば、標的配列が大きい場合に、
あるいは大きな増幅プローブ(特に、分枝したまたは樹状プローブ)を用いる場
合に実施されている。
【0195】 好適な実施態様において、核酸は以下に検討するSAMの形成後に加えられる
。これは、当業者が認識するように種々の方法で実施し得る。一実施態様におい
て、末端官能基を有する導電性オリゴマーは、活性化されたカルボン酸エステル
とイソチオシアン酸エステルを利用する好適な実施態様により調製されるが、該
エステルは、活性化されたカルボン酸エステルを用いる図6に一般的に図示した
ように、核酸に取付けた一級アミンと反応する。これら二種類の試薬は水溶液中
で安定であるという利点をもち、さらに一級アルキルアミンと反応する。しかし
、塩基の一級芳香族アミンと二級および三級アミンは反応せず、それによって核
酸がその表面に部位特異的に付加するのを可能とする。これがその表面上に既知
方法(インクジェット、スポッティングなど)によるプローブ(捕獲プローブま
たは検出プローブのいずれか、または両方)のスポッティングを可能とする。
【0196】 さらに、核酸を表面上に固相化するために用い得る多くの非核酸方法がある。
例えば、結合パートナー対が利用し得る;すなわち、一方の結合パートナーは下
記に説明するように付着リンカーの末端に付着し、他方は核酸末端に付着する。
これはまた核酸捕獲プローブを使用せずに実施し得る;すなわち、一方の結合パ
ートナーは捕獲プローブとして作用し、他方は標的配列または捕獲エクステンダ
ープローブのいずれかに付着する。すなわち、標的配列が結合パートナーを含む
か、または標的配列にハイブリッド形成する捕獲エクステンダープローブが結合
パートナーを含むかのいずれかである。適切な結合パートナー対は、ビオチン/
ストレプトアビジンなどのハプテン対、抗原/抗体、NTA/ヒスチジンタグな
どであるが、これらに限定されるものではない。一般に、より小型の結合パート
ナーが好ましく、それにより電子が核酸から導電性オリゴマーに渡り、検出を可
能とする。
【0197】 好適な実施態様において、標的配列それ自体が修飾され結合パートナーを含む
場合、結合パートナーは標的配列に酵素的に付着し得る修飾ヌクレオチドを介し
て、例えば、PCR標的増幅工程に際して付着する。あるいは、結合パートナー
は標的配列に容易に付着する。
【0198】 あるいは、標的にハイブリッド形成するための核酸部分並びに結合パートナー
を有する捕獲エクステンダープローブを利用してもよい(例えば、捕獲エクステ
ンダープローブは結合パートナーに付着するのに使用されるアルキルリンカーな
どの非核酸部分を含んでいてもよい)。この実施態様においては、安定のために
標的の2本鎖核酸と捕獲エクステンダープローブとを、例えば、技術上既知のプ
ソラレンを用い架橋することが望ましい。
【0199】 一実施態様において、該標的は捕獲プローブを用いる電極表面に結合しない。
この実施態様において重要なことは、本明細書のすべてのアッセイについて、過
剰の標識プローブは検出前に除去すべきであり、アッセイ複合体は表面に接近さ
せるべきことである。当業者が認識するように、これは他の方法で実施するのが
よい。例えば、ETMを含むアッセイ複合体は、単層を含む電極に付加されるビ
ーズ上に存在してもよく、次いで該ビーズを、表面上ビーズの重量沈降、ビーズ
成分と表面間の静電気的または磁気的相互作用などの技術上周知の技法を用い、
上述の結合パートナー付着を用いて電極表面に接近せしめることができる。ある
いは、過剰の標識プローブなどの過剰の試薬を除去した後、アッセイ複合体を、
例えば、アッセイ複合体を表面に押し込むのに充分な電圧をもつシステムにパル
ス送達することにより、表面に送り込むことが可能である。
【0200】 しかし、好適な実施態様では、核酸捕獲プローブを介して付着したアッセイ複
合体を利用する。
【0201】 標的配列が電極に好適に固定されたところで、増幅プローブを直接にまたは1
種以上の標識エクステンダープローブを使用して標的配列にハイブリッド形成さ
せるが、該増幅プローブは「一般の」増幅プローブが形成されるように作用する
。好ましくは、該増幅プローブは多様な増幅配列を含むが、下記のようにある実
施態様においては単一の増幅配列または少なくとも2つの増幅配列を含むことも
ある。増幅プローブは多くの異なる形状をとることができる;分枝したコンホメ
ーション、樹状のコンホメーション、または増幅配列の線状の「糸」などである
。ETMを含む標識プローブは次いで増幅配列にハイブリッド形成し(またはあ
る場合には標識プローブが直接標的配列にハイブリッド形成する)、ETMは下
記により詳しく説明するように、電極を用いて検出する。
【0202】 当業者が認識するように、本発明のシステムは、図15、16、27などに一
般的に図示するように、多数の異なる構成を採ることが可能である。一般に、使
用し得るシステムには3つのタイプがある:(1)「非サンドイッチ」システム
(本明細書では「直接」検出ともいう)であり、そこでは標的配列それ自体がE
TMにより標識される(再度、プライマーがETMを含んでいることによるか、
またはETMが新たに合成された鎖に組込まれることによる);(2)標識プロ
ーブが標的の分析対象に直接結合するシステム;および(3)標識プローブが標
的の分析対象に、例えば、増幅プローブの使用により間接的に結合するシステム
【0203】 したがって、本発明は増幅プローブを含む組成物を提供する。本明細書におい
て「増幅プローブ」または「核酸マルチマー」または「増幅マルチマー」または
文法上の等価物とは、シグナルの増幅を容易にするために使用する核酸プローブ
を意味する。増幅プローブは、少なくとも、下記定義の第1一本鎖核酸プローブ
配列と、少なくとも1つの一本鎖核酸増幅配列を含み、好適な多様な増幅配列を
もつ。
【0204】 増幅プローブは標的配列にハイブリッド形成するのに直接または間接的に使用
される第1プローブ配列を含む。すなわち、増幅プローブはそれ自体標的配列に
対し実質的に相補的な第1プローブ配列を有してもよく、あるいはさらなるプロ
ーブの一部に実質的に相補的な第1プローブ配列を有するが、この場合、さらな
るプローブは標識エクステンダープローブと称して、標的配列に対し実質的に相
補的な第1部分を有する。好適な実施態様において、増幅プローブの第1プロー
ブ配列は標的配列に対し実質的に相補的である。
【0205】 一般に、本明細書におけるプローブのすべてにおいて、第1プローブ配列は特
異性と安定性を与えるのに充分な長さのものである。かくして一般に、他の核酸
(すなわち、プローブ配列、増幅配列、より大きなプローブの部分またはドメイ
ン)にハイブリッド形成するように設計されている本発明のプローブ配列は少な
くとも約5個のヌクレオシド長のものであり、少なくとも約10個をもつものが
好ましく、少なくとも約15個のものが特に好ましい。
【0206】 好適な実施態様においては、図18に図示するように、該増幅プローブまたは
本発明の他のプローブのいずれかは、その標的が存在しない場合、ヘアピン・ス
テム−ループ構造を形成してもよい。ステム2本鎖配列の長さは、ヘアピン構造
が標的の存在に有利にならないように選択される。これらのタイプのプローブの
使用は、本発明のシステムにおいて、またはいずれかの核酸検出システムにおい
て、非特異的結合の有意な減少とそれによるシグナル・ノイズ比の増大をもたら
す。
【0207】 一般に、これらのヘアピン構造は4つの成分を含む。第1の成分は標的結合配
列、すなわち、標的に相補的な領域(この標的は結合を必要とするサンプル標的
配列または他のプローブ配列であってもよい)であって、約10個のヌクレオシ
ド長であり、好ましくは約15個である。第2の成分はループ配列であり、核酸
ループの形成を容易にすることができる。この点で好ましいのは、GTCの繰返
し体であるが、GTCは脆弱X染色体症候群に折り返しを形成するものとして同
定された。(PNA類似体を使用する場合、プロリン残基からなる折り返しが好
ましい)。一般に、3個から5個の繰返しが用いられるが、4個ないし5個が好
ましい。第3の成分は自己相補性領域であり、標的配列領域の一部に相補的であ
る第1部分と標識プローブ結合配列の第1部分を含む第2部分を有する。第4の
成分は標識プローブ(または、場合により他のプローブ)に実質的に相補的であ
る。第4成分はさらに「付着末端」、すなわち、該プローブの他の部分にはハイ
ブリッド形成しない部分を含み、好ましくは、すべてではないとしてもETMの
殆どを含んでいる。一般的な構造を図18に図示する。当業者が認識するように
、本明細書に記載のプローブのあるものまたはすべてが、その標的不在の場合に
はヘアピンを形成するように形状化するが、その例としてはアンプリファイアー
、捕獲、捕獲エクステンダー、標識および標識エクステンダープローブを包含す
る。
【0208】 好適な実施態様においては、数種の異なる増幅プローブが用いられるが、その
それぞれが標的配列の異なる部分にハイブリッド形成する第1プローブ配列を有
する。すなわち、1より大きな増幅レベルがある;増幅プローブは多様な標識化
事象によるシグナルの増幅を提供し、数種の異なる増幅プローブがそれぞれ標識
の多様性をもち、それぞれの標的配列に対して使用される。このように、好適な
実施態様では少なくとも2つの異なる増幅プローブのプールを利用するが、各プ
ールは標的配列の異なる部分にハイブリッド形成するための異なるプローブ配列
を有する;異なる増幅プローブの数に唯一実際に制限となるのは当初の標的配列
の長さである。さらに、異なる増幅プローブは、一般に好ましいことではないが
、異なる増幅配列を含むことも可能である。
【0209】 好適な実施態様においては、増幅プローブはサンプルの標的配列にハイブリッ
ド形成しないが、その代りに標識エクステンダープローブの第1部分にハイブリ
ッド形成する。このことは「一般的な」増幅プローブ、すなわち、様々な異なる
標的と使用し得る増幅プローブの使用を可能とするために特に有用である。これ
は増幅プローブの幾つかが特別の合成技術を必要とするので望ましい。このよう
に、標識エクステンダープローブとして比較的短いプローブを加えることが好ま
しい。このように、増幅プローブの第1プローブ配列は、第1標識エクスデンダ
ー一本鎖核酸プローブの第1部分またはドメインに実質的に相補的である。標識
エクステンダープローブはまた標的配列の一部に実質的に相補的な第2部分また
はドメインを含む。これらの部分は両方ともその長さが好ましくは少なくとも約
10ないし約50個のヌクレオチドからなり、約15ないし約30個の範囲であ
ることが好ましい。「第1」および「第2」という用語は、標的またはプローブ
配列の5'−3'方向に関し配列の方向を付与することを意味するものではない。
例えば、相補的標的配列の5'−3'方向を仮定すると、第1部分は第2部分に対
し5'側に位置してもよく、あるいは第2部分に対し3'側に位置してもよい。本
明細書では便宜上、プローブ配列の順序は一般に左から右に示す。
【0210】 好適な実施態様においては、1個より多い標識エクステンダープローブ−増幅
プローブ対、すなわち、nが1より大きい対を使用し得る。すなわち、複数の標
識エクステンダープローブを使用し得るが、それぞれが標的配列の異なる部分に
実質的に相補的である部分をもつ;これは増幅のもう一つのレベルとして働く。
このように、好適な実施態様では、標的配列の長さにより決まる上限をもつ少な
くとも2つの標識エクステンダープローブのプールを利用する。
【0211】 好適な実施態様においては、1つより多い標識エクステンダープローブを単一
の増幅プローブとともに用い、非特異結合を減少させるが、このことはUS特許
番号5,681,697に一般的に概説されており、この特許を参照により本明
細書に取込む。この実施態様においては、第1標識エクステンダープローブの第
1部分が標的配列の第1部分にハイブリッド形成し、第1標識エクステンダープ
ローブの第2部分が増幅プローブの第1プローブ配列にハイブリッド形成する。
第2標識エクステンダープローブの第1部分が標的配列の第2部分にハイブリッ
ド形成し、第2標識エクステンダープローブの第2部分が増幅プローブの第2プ
ローブ配列にハイブリッド形成する。これらは場合により「十字形」構造または
構成と言われる構造を形成し、一般には、大型の分枝または樹状の増幅プローブ
を用いる場合に安定性を付与するために実施される。
【0212】 さらに、当業者が認識するように、標識エクステンダープローブは増幅プロー
ブと直接反応するよりもむしろ下記のようにプレ増幅プローブと相互作用する。
【0213】 同様に、上に概説したように、好適な実施態様では、それぞれ標識エクステン
ダープローブの異なる部分にハイブリッド形成する第1プローブ配列をもつ数種
の異なる増幅プローブを利用する。さらに、上に概説したように、異なる増幅プ
ローブは、一般に好ましいことではないが、異なる増幅配列を含むことも可能で
ある。
【0214】 第1プローブ配列に加えて、増幅プローブはまた少なくとも1つの増幅配列を
含む。本明細書での「増幅配列」または「増幅セグメント」または文法上の等価
物は、以下により詳細に記載しているように、標識プローブの第1部分に、直接
または間接的に結合するのに用いる配列を意味する(ただし、ある場合には増幅
配列が検出プローブに結合してもよい;図27C参照)。好ましくは、増幅プロ
ーブは多様な増幅配列を含み、好ましくは約3ないし約1000個、特に好まし
くは約10ないし約100個、そしてとりわけ好ましいのは約50個を有する。
ある場合には、例えば、線状の増幅プローブを使用する場合、約1ないし約20
個が好ましく、特に約5ないし約10個が好ましい。
【0215】 増幅配列は、当業者が認識するように、様々な様式で互いに結合し得る。それ
らは互いに直接、または介在配列もしくは化学部分に、リン酸ジエステル結合、
PNA結合などを介して、またはアミノ酸、炭水化物もしくはポリオール架橋な
どの介入結合剤を介して、または他の架橋剤もしくは結合パートナーを介して共
有結合してもよい。結合部位はセグメントの末端、および/または鎖内の1つ以
上の内部ヌクレオチドであってもよい。好適な実施態様においては、増幅配列は
核酸結合を介して付着する。
【0216】 好適な実施態様においては、一般的にUS特許番号5,124,246に記載
されているように分枝した増幅プローブを使用するが、この特許を参照により本
明細書に取り込む。分枝した増幅プローブは「フォーク様」または「櫛様」のコ
ンホメーションを採ることができる。「フォーク様」分枝した増幅プローブは一
般に分枝構造を形成する開始点から広がる3個以上のオリゴヌクレオチドセグメ
ントを有する。開始点は少なくとも3個のセグメントが共有結合によりまたは堅
固に結合し得るもう一つのヌクレオチドセグメントまたは多機能分子である。「
櫛様」の分枝した増幅プローブは線状のバックボーンをもち、そのバックボーン
から多様な側鎖オリゴヌクレオチドが伸びている。いずれのコンホメーションに
おいても、垂れ飾りとなるセグメントは通常、オリゴヌクレオチド付着用の適切
な官能基をもつ修飾ヌクレオチドまたは他の有機部分に左右される。さらに、い
ずれのコンホメーションにおいても、多数の増幅配列が直接または間接的に検出
プローブに結合させるために利用可能である。一般に、これらの構造は修飾した
多機能ヌクレオチドを用いて、技術上既知であるように、例えば、とりわけUS
特許番号5,635,352および5,124,246に記載のように調製され
る。
【0217】 好適な実施態様においては、樹状の増幅プローブが使用されるが、これは一般
的にUS特許番号5,175,270に記載されており、本特許を特に参照によ
り本明細書に取り込む。樹状の増幅プローブはハイブリッド形成により付着して
いる増幅配列をもち、結果としてそれら構造の成分として2本鎖核酸の部分をも
つ。樹状増幅プローブの外表面は多様な増幅配列をもつ。
【0218】 好適な実施態様においては、線状の増幅プローブを使用するが、そこでは個々
の増幅配列が末端同士直接または短い介入配列と結合してポリマーを形成してい
る。他のアンプリファイアー配置では、増幅配列間にさらなる配列または部分が
存在することがある。さらに、本明細書に概説するように、線状の増幅プローブ
は、図18に図示するようにヘアピン・ステム−ループ構造を形成することも可
能である。
【0219】 一実施態様において、線状の増幅プローブは単一の増幅配列を有する。これは
、標的にハイブリッド形成し、次いで除去されてさらなるプローブが結合するよ
うにする増幅プローブのプールを形成させるハイブリッド形成/解離のサイクル
が起こる場合に、あるいは大量のETMを各標識プローブに対し用いる場合に有
用である。しかし、好適な実施態様において、線状の増幅プローブは多様な増幅
配列を含む。
【0220】 さらに、該増幅プローブは全体として線状、全体として分枝、全体として樹枝
状、またはそのいずれかの組み合わせであってもよい。
【0221】 該増幅プローブの増幅配列は、検出を可能とする標識プローブに結合するため
に、直接または間接的に使用する。好適な実施態様において、増幅プローブの増
幅配列は、標識プローブの第1部分に実質的に相補的である。別法として、アン
プリファイアーエクステンダープローブを使用するが、これは増幅配列に結合す
る第1部分と標識プローブの第1プローブに結合する第2部分を有する。
【0222】 さらに、本発明の組成物は「プレアンプリファイアー」分子を含んでもよく、
これは標識エクステンダー分子と増幅プローブとの間の架橋部分として働く。こ
の様式において、さらなるアンプリファイアーおよびさらなるETMは最終的に
検出プローブに結合する。プレアンプリファイアー分子は線状であっても分枝状
であってもよく、典型的には約30〜3000個の範囲のヌクレオチドを含む。
【0223】 このように、標識プローブは増幅配列に、または標的配列の一部に実質的に相
補的である。したがって、標識プローブは本明細書に一般的に記載しているよう
に様々な方法で、下記に説明するように「メカニズム−1」の検出システムを利
用するのか、または「メカニズム−2」の検出システムを利用するのかにしたが
い、設定することができる。
【0224】 本発明の増幅反応の検出は、増幅産物の直接検出および標識プローブを利用す
る間接検出(すなわち、サンドイッチアッセイ)を包含し、下記により詳しく説
明するように、様々な様式でアッセイ複合体に付着し得る、ETMを含むアッセ
イ複合体を検出することにより実施する。一般に、基本的な検出メカニズムは2
つある。好適な実施態様において、ETMの検出は、2本鎖核酸の積み重なった
π−軌道を経る電子移動に基づいている。この基本的メカニズムはUS特許番号
5,591,578、5,770,369、5,705,348、5,824,
473および5,780,234、およびWO98/20162に記載されてい
るが、これらのすべてを参照により特に本明細書に取込み、「メカニズム−1」
と称する。簡単に説明すると、以前の研究では、電子の移動は2本鎖核酸の積み
重なったπ−軌道を経るときは急速に進むが、一本鎖核酸を経るときは有意によ
りゆっくりと進む。したがって、このことがアッセイの基礎として役割を果たし
ている。このように、導電性オリゴマーを介して検出電極に付着する核酸にET
Mを(下記のように、ハイブリッド形成指標の使用を介して、鎖の一方には共有
結合により、またはハイブリッド形成複合体には非共有結合により)付加するこ
とにより、核酸と導電性オリゴマーを介してETMと電極間の電子移動を検出す
ることができる。この一般的な概念を図27に図示する。
【0225】 あるいは、ETMは必ずしも核酸を介する電子移動に限って検出できるもので
はなく、むしろ電極表面で直接検出することができる。上記のように、この実施
態様では、検出電極は、電極をサンプル中のレドックス的に活性な種から隔てる
のに役立つ自己集合単層(SAM)を含むのが好ましい。この実施態様では、わ
ずかな「欠損」(本明細書中では時に「微小管路」、「ナノ管路」または「電気
管路」と表わされる)を含むように作られたSAM表面上のETMの存在は、直
接検出できる。この基本概念を本明細書では「メカニズム−2」と称する。本質
的に、電気管路は、特定のETMが表面に近づくのを可能にする。理論によって
制限を受けないが、電気管路の配置は、選択されるETMに部分的に依存するこ
とに留意すべきである。例えば、比較的疎水性のETMでは、親水性または荷電
のあるETMを効果的に排除する疎水性電気管路形成種を使用できる。同様に、
より親水性または荷電のある種をSAM中で使用することは、疎水性ETMを排
除するのに役立ち得る。
【0226】 これらの欠損は、検出電極とサンプルの構成要素の直接的な接触を可能にする
「孔」とは区別されることに留意すべきである。後により詳しく概説するように
、電気管路は、いくつかの一般的方法で生成できる。これらの方法には、PC回
路板で用いられる金電極のような粗い電極表面を使用すること、または単層中に
少なくとも2種の異なる種を含有し(すなわち、「混成単層」の使用)、それら
の種の少なくとも1つは電気管路形成種(EFS)であることが含まれるが、こ
れらに限定されるものではない。ゆえに、標的非検体を結合する際に、ETMを
含む溶解性の結合リガンドが表面にもたらされ、おそらく電極への「電気管路」
を通じて、ETMの検出が進行できる。本質的には、欠損を含むSAMの役割は
、溶液の構成物から電極を隔て、電極への非特異的結合の量を減らす利点を提供
したまま、ETMを電極の電気的表面に接触させることである。見方を変えれば
、結合リガンドの役割は、ETMが直接検出される場である表面へETMを補充
するための特異性をもたらすことである。
【0227】 ゆえに、本発明は、一般的にSAMを含むアッセイ複合体を電極上に形成する
ことに向けられている。一度アッセイ複合体が形成されると、ETMの有無は、
下記および米国特許番号5,591,578、5,824,473、5,770,369、5,705,348および5,
780,234、U. S. S. N. s 08/911,589、09/135,183、09/306,653、09/134,058、0
9/295,691、09/238,351、09/245,105および09/338,726、PCT出願W098/20162、PC
T US99/01705、 PCT US99/01703、PCT US99/10104に記載のように検出される。
以上すべてを出典明示により本明細書の一部とする。
【0228】 このように、いずれかの実施態様において、ETMを含むアッセイ複合体が形
成されるが、次いでそれを検出電極により検出する。本発明はこのように最少の
標的配列を含むアッセイ複合体を提供する。本明細書の「アッセイ複合体」は、
プローブおよび標的などの核酸を含むハイブリッド形成複合体の集積物を意味し
、少なくとも1つのETMを含み、検出を可能とするものである。アッセイ複合
体の組成物は本明細書に概説した異なるプローブ成分を使用することに依存する
。かくして、 6Aと16Bのアッセイ複合体は捕獲プローブと標的配列を含む。該アッセイ複
合体はまた、本明細書に概説するように、使用する構成に依存して、標識プロー
ブ、捕獲エクステンダープローブ、標識エクステンダープローブ、および増幅プ
ローブを包含する。
【0229】 アッセイ複合体は少なくとも1つのETMを含むが、ETMは本明細書に説明
するようにアッセイ複合体の成分または下記の「ハイブリッド形成指標」に共有
結合により付着することができる。本明細書での「電子供与体部分」「電子受容
体部分」および「ETM」または文法上の等価物という用語は、特定の条件下で
電子移動し得る分子をいう。電子供与体および受容体の能力は相対的であること
を理解すべきである;すなわち、ある実験条件下で電子を失い得る分子は異なる
実験条件下で電子を受容し得ることである。理解されるべきことは、可能な電子
供与体部分と電子受容体部分の数は非常に大きいこと、電子移動化合物の当業者
は本発明における多くの化合物を利用し得ることである。好適なETMは遷移金
属複合体、有機ETM類、および電極などであるが、これらに限定されるもので
はない。
【0230】 好適な実施態様において、ETMは遷移金属複合体である。遷移金属とはその
原子が一部または全部のd殻電子を有するもののことである。本発明に使用する
のに適した遷移金属はカドミウム(Cd)、銅(Cu)、コバルト(Co)、パ
ラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、ロジウム
(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、白金(Pt)、スカンジウ
ム(Sc)、チタニウム(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガ
ン(Mn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、
タングステン(W)、およびイリジウム(Ir)などであるが、これらに限定さ
れるものではない。すなわち、遷移金属の第1シリーズ、白金族(Ru、Rh、
Pd、Os、IrおよびPt)並びにFe、Re、W、MoおよびTcが好まし
い。特に好ましいのはルテニウム、レニウム、オスミウム、白金、コバルトおよ
び鉄である。
【0231】 遷移金属は種々のリガンドとキレート化し、技術上周知の適切な遷移金属複合
体を形成する。Lは補助リガンドであり、金属イオン結合のための配位原子を提
供する。当業者が認識するように、補助リガンドの数と性質は金属イオンの配位
数に依存する。単座、二座または多座補助リガンドはどの位置で使用してもよい
【0232】 技術的に認識されるように、補助リガンドは同一であっても異なってもよい。
適切なリガンドは2つの範疇に入る:配位原子(一般的には文献上、シグマ(σ
)供与体という)として(金属イオンに依存して)、窒素、酸素、イオウ、炭素
またはリン原子を用いるリガンド、およびメタロセンリガンドなどの有機金属リ
ガンド(一般的には文献上、パイ(π)供与体といい、本明細書ではLmで図示
する)である。適切な窒素供与リガンドは技術上周知であり、以下のものを包含
するがこれらに限定されるものではない:NH2;NHR;NRR';ピリジン;
ピラジン;イソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジンおよびビピリジンの
置換誘導体;テルピリジンおよび置換誘導体;フェナントロリン、特に1,10
−フェナントロリン(phenと略記)およびフェナントロリンの置換誘導体、
例えば、4,7−ジメチルフェナントロリンおよびジピリド[3,2−a:2'
,3'−c]フェナジン(dppzと略記);ジピリドフェナジン;1,4,5
,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(hatと略記);9,10−フェ
ナントレンキノン・ジイミン(phiと略記);1,4,5,8−テトラアザフ
ェナントレン(tapと略記);1,4,8,11−テトラ−アザシクロテトラ
デカン(cyclamと略記)、EDTA、EGTAおよびイソシアニド。融合
した誘導体を包含する置換誘導体も使用することができる。ある実施態様におい
ては、ポルフィリンおよびポルフィリンファミリーの置換誘導体を使用してもよ
い。例えば、Comprehensive Coordination Chemistry, Ed. Wilkinson et al.,
Pergammon Press, 1987, Chapters 13.2 (pp 73-98), 21.1 (pp 813-898) and 2
1.3 (pp 915-957)参照。この文献の全部を特に参照により本明細書に取込む。
【0233】 炭素、酸素、イオウおよびリンを用いる適切なシグマ供与リガンドは技術上既
知である。例えば、適切なシグマ炭素供与体はCotton and Wilkenson, Advanced
Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, 1988に見出されるが、
この文献を参照により本明細書に取込む;例えば、38ページ参照。同様に、適
切な酸素リガンドは、クラウンエーテル、水、および技術上既知の他のものを包
含する。ホスフィンおよび置換ホスフィンも適切である;Cotton and Wilkenson
の38ページ参照。
【0234】 酸素、イオウ、リンおよび窒素−供与リガンドは、ヘテロ原子が配位原子とし
て作動するような様式で付着する。
【0235】 好適な実施態様においては、有機金属リガンドを用いる。レドックス部分とし
て使用する純有機化合物、およびヘテロ環状またはエキソ環状置換基として供与
原子をもつδ−結合有機リガンドとの種々の遷移金属配位複合体に加えて、π−
結合有機リガンドをもつ多様な遷移金属有機金属化合物が入手可能である(Adva
nced Inorganic Chemistry, 5th Ed., Cotton & Wilkinson, John Wiley & Sons
, 1988, Chapter 26; Organometallics, A Concise Introduction, Elschenbroi
ch et al., 2nd Ed., 1992, VCH; およびComprehensive Organometallic Chemis
try II, A Review of the Literature 1982-1994, Abel et al. Ed., Vol. 7, C
hapters 7, 8, 10 & 11, Pergamon Press, 特に参照により本明細書に取込む)
。かかる有機金属リガンドは、シクロペンタジエニド・イオン[C55(−1)
]などの環状芳香族化合物および種々の環置換および環融合誘導体、例えば、イ
ンデニリド(−1)イオンなどであって、一群のビス(シクロペンタジエニル)
金属化合物(すなわち、メタロセン)を産生する;例えば、Robins et al., J.
Am. Chem. Soc., 104: 1882-1893 (1982); およびGassman et al., J. Am. Chem
. Soc., 108: 4228-4229 (1986)参照;これらを参照により取込む。これらの内
、フェロセン[(C552Fe]およびその誘導体が多様な化学的(Connelly
e al., Chem. Rev. 96: 877-910 (1996), 参照により取込む)および電子化学的
(Geiger et al., Advances in Organometallic Chemistry 23: 1-93; およびGe
iger et al., Advances in Organometallic Chemistry 24: 87, 参照により取込
む)電子移動または「レドックス」反応に使用されているプロトタイプの例であ
る。様々な第1、第2および第3列遷移金属のメタロセン誘導体は、核酸に共有
結合により付着するレドックス部分としての有力な候補である。他の潜在的に適
切な有機金属リガンドは、ベンゼンなどの環状アレンなどを包含し、ビス(アレ
ン)金属化合物とその環置換および環融合誘導体を産生するが、そのビス(ベン
ゼン)クロミウムはプロトタイプの例である。アリル(−1)イオンなどの他の
非環状π−結合リガンドまたはブタジエンは潜在的に適切な有機金属化合物を産
生し、かかるリガンドはすべて他のπ−結合およびδ−結合リガンドと連携して
、金属−炭素結合をもつ一般クラスの有機金属化合物を構成する。架橋有機リガ
ンドおよびさらなる非架橋リガンドを有し、同様に金属−金属結合を有し、また
有さない、かかる化合物の種々のダイマーおよびオリゴマーの電気化学的研究は
、核酸分析における有力な候補レドックス部分である。
【0236】 1種以上の補助リガンドが有機金属リガンドである場合、該リガンドは一般に
有機金属リガンドの炭素原子の一つを介して付着するが、ただし付着はヘテロ環
状リガンドに対し他の原子を介してであってもよい。好適な有機金属リガンドは
、置換誘導体およびメタロセンオファンを含むメタロセンリガンドを包含する(
上記Cotton and Wilkensonの1174ページ参照)。例えば、メチルシクロペン
タジエニルなどのメタロセンリガンドの誘導体、好ましくは複数のメチル基を有
する例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルなどを用い、メタロセンの安定
性を増大させることができる。好適な実施態様において、メタロセンの2つのメ
タロセンリガンドの1つのみが誘導化される。
【0237】 本明細書に記載するように、リガンドはどのような組合わせで用いてもよい。
好適な組合わせは以下のとおりである:a)すべてのリガンドが窒素供与リガン
ドである;b)すべてのリガンドが有機金属リガンドである;そしてc)1つの
リガンドがメタロセンリガンドであり、もう一つが窒素供与リガンドであり、他
のリガンドについては、要すれば、窒素供与リガンドであるか、メタロセンリガ
ンドであるか、またはその混合体である。
【0238】 遷移金属複合体に加えて、他の有機電子供与体および受容体は、本発明に使用
する核酸に共有結合により付着していてもよい。これらの有機分子は、リボフラ
ビン、キサンテン色素、アジン色素、アクリジンオレンジ、N,N−ジメチル−
2,7−ジアザピレニウム・ジクロリド(DAP2+)、メチルビオロジェン、臭
化エチジウム、キノン類、例えば、N,N'−ジメチルアントラ(2,1,9−
def.6,5,10−d'e'f’)ジイソキノリン・ジクロリド(ADIQ2+ );ポルフィリン([メソ−テトラキス(N−メチル−x−ピリジニウム)ポル
フィリン・テトラクロリド])、ベルラミン・ブルーB塩酸塩、ビンドシェドラ
ー(Bindschedler)グリーン;2,6−ジクロロインドフェノール、2,6−ジ
ブロモフェノールインドフェノール;ブリリアント・クレストブルー(塩化3−
アミノ−9−ジメチルアミノ−10−メチルフェノキシアジン)、メチレンブル
ー; ナイルブルーA(アミノアフトジエチルアミノフェノキサジン硫酸塩)、
インジゴ−5,5',7,7'−テトラスルホン酸、インジゴ−5,5',7−ト
リスルホン酸;フェノサフラニン、インジゴ−5−モノスルホン酸;サフラニン
T;塩化ビス(ジメチルグリオキシマト)鉄(II);インデュリンスカーレッ
ト、ニュートラルレッド、アントラセン、コロネン、ピレン、9−フェニルアン
トラセン、ルブレン、ビナフチル、DPA、フェノチアジン、フルオランテン、
フェナントレン、クリセン、1,8−ジフェニル−1,3,5,7−オクタテト
ラセン、ナフタレン、アセナフタレン、ペリレン、TMPDおよびこれら化合物
の類似体と置換誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
【0239】 一実施態様において、電子供与体および受容体は技術上既知のレドックスタン
パク質である。しかし、多くの実施態様においてレドックスタンパク質は好まし
くない。
【0240】 特異ETMの選択は、下に一般的に概説するように、使用した電子移動検出の
タイプに影響される。好適なETMはメタロセンであり、フェロセンが特に好ま
しい。
【0241】 理論によって制限を受けないが、「メカニズム−2」システムでは、ETMが
ある程度単層に貫通(「擦り寄り」)できるとき、電子伝達が助長されるように
思われる。つまり、一般的に、疎水性SAMとともに用いられる疎水性ETMは
、荷電のある、またはより親水性のETMよりも良好な(大きい)シグナルをも
たらす。ゆえに、たとえば、溶液中のフェロセンは、例に挙げた単層を貫通し、
電気管路が存在する時にシグナルを発生させるが、溶液中のフェロシアニドは、
ほとんどまたは全くシグナルを発生させない。ゆえに、一般に、疎水性ETMは
メカニズム−2システムで好まれる。しかし、1またはそれ以上の疎水性リガン
ドを有する、RuおよびOs複合体のような遷移金属複合体は、荷電があるが、
良好なシグナルを発生させる。同様に、ETMと電極との間の電子伝達は、ET
Mに単層貫通へのいくらかの柔軟性を与えるリンカーまたはスペーサーの使用に
より容易になる。ゆえに、本発明のN6組成物は、ETMを核酸に付着させる4
本の炭素リンカーを有する。
【0242】 好適な実施態様においては、複数のETMが使用される。多数のETMを使用
することはシグナルの増幅を提供し、その結果、より感度のよい検出限度を可能
とする。相補鎖にハイブリッド形成する核酸上の多数ETMの使用(すなわち、
メカニズム−1のシステム)は、付着の数、部位、および複数ETM間の空間に
依存してハイブリッド形成複合体のTm減少を引起す一方、ETMがリクルート
リンカー上にある場合、これは相補配列にハイブリッド形成しないので、ファク
ターではない。したがって、複数のETMが好ましく、アッセイ複合体当たり少
なくとも約2ETMが好ましく、少なくとも約10個が特に好ましく、少なくと
も約20ないし50個がとりわけ好ましい。ある場合には、非常に多数のETM
(100ないし10,000個以上)を使用することができる。
【0243】 アッセイ複合体に対するETMの付着は様々な方法で実施し得るが、検出のメ
カニズムに依存し、また、検出が直接になされるのか間接になされるのかに依存
する。一般にはWO98/20162(その全文を参照により本明細書に取込む
)に概説されている方法と組成物が使用できる。
【0244】 好適な実施態様において、それはETMを含んでなるラベルプローブである。
好適な実施態様において、ラベルプローブはメカニズム−2のシステムにおいて
使用される。このように、当業者が認識するように、ETMを含んでなるラベル
プローブ(またはある実施態様においては標的)の部分(本明細書においては「
リクルートリンカー」または「シグナル担体」と呼称する)は核酸であるか、ま
たはそれはETMにラベルプローブの第1ハイブリッド形成可能な部分を結合す
る非核酸リンカーであってもよい。すなわち、ラベルプローブのこの部分はメカ
ニズム−2システムを用いる場合ハイブリッド形成を必要としないので、容易に
合成がなし得るとしても、それが核酸である必要はない。ある実施態様において
、以下により詳細に説明するように、リクルートリンカーは2本鎖部分を含むこ
とができる。
【0245】 このように、当業者が認めるように、使用し得る多様な構成が存在し得る。好
適な実施態様において、リクルート・リンカーは核酸(類似体も含む)であり、
ETMの付着は、下記に示すように、(1)塩基;(2)バックボーン、例えば
、リボース、リン酸エステル、または核酸類似体の相当する構造;(3)下記の
ヌクレオシド置換;または(4)下記のごときメタロセンポリマー;を介在する
。好適な実施態様において、リクルート・リンカーは非核酸であり、メタロセン
ポリマーまたはETM置換基を含むアルキル型ポリマー(以下により詳細に説明
するように、ヘテロアルキルを含む)であってもよい。これらの選択肢は図に一
般的に描出する。
【0246】 標識プローブを検出するためにメカニズム−1の検出システムが用いられる場
合、本明細書に概説するように、標識プローブの検出プローブへのハイブリダイ
ゼーションは、ハイブリダイゼーション複合体の形成を要するので、ETMは一
般的に上記の(1)または(2)を通して付着される。
【0247】 好適な実施態様において、リクルートリンカーは核酸であり、共有結合により
付着したETMを含んでいる。ETMは様々な位置で核酸内のヌクレオシドに付
着していてもよい。好適な実施態様は、(1)ヌクレオシド塩基への付着、(2
)塩基置換体としてのETMの付着、(3)リボース−リン酸バックボーンのリ
ボースまたはリン酸部分への、または核酸類似体の類似構造へなどの核酸バック
ボーンへの付着、および(4)メタロセンポリマーを介しての付着、などである
が、これらに限定されるものではなく、最後のものがより好ましい。
【0248】 さらに、下記のように、リクルートリンカーが核酸である場合、第2の標識プ
ローブを用いることが望ましく、該プローブは本明細書に定義のように第1標識
プローブの一部にハイブリダイズする第1部分とリクルートリンカーを含む第2
部分を有する。これは一般的に図16Hに図示される;これはアンプリファイア
ープローブの使用に似ているが、第1および第2標識プローブの両者がETMを
含む場合は例外である。
【0249】 好適な実施態様において、導電性オリゴマーの付着のために、出典明示により
本明細書に組み込まれているWO98/20162に一般的に概説されているよ
うにヌクレオシドの塩基に付着する。付着は内部ヌクレオシドまたは末端ヌクレ
オシドに対してなされる。
【0250】 共有結合による塩基への付着は選定されたETM上の部分に依存するが、一般
にはWO98/20162に記述されているように、導電性オリゴマーが塩基に
付着するのに似ている。付着は、一般には、塩基のどの部位になされてもよい。
好適な実施態様において、ETMは遷移金属複合体であり、かくして、適切な金
属リガンドの塩基への付着がETMの共有結合による付着に導く。あるいは、当
業者が認識するように、同様のタイプの結合を有機ETMの付着に使用してもよ
い。
【0251】 一実施態様において、シトシンのC4付着アミノ基、アデニンのC6付着アミ
ノ基、またはグアニンのC2付着アミノ基が遷移金属リガンドとして使用し得る
【0252】 芳香族基を含むリガンドは技術上既知のようにアセチレン結合を介して付着す
ることができる(Comprehensive Organic Synthesis, Trost et al., Ed., Perg
amon Press, Chapter 2.4; Coupling Reactions Between sp2 and sp Carbon Ce
nters, Sonogashira, pp 521-549, and pp 950-953参照; 出典明示により本明細
書に組込まれている)。構造1は金属イオンと他の必要なリガンド存在下での代
表的な構造を図示する;構造1ではウリジンを図示しているが、本明細書全体に
ついて、他の塩基を使用することも可能である。
【0253】
【化1】 aはリガンドであり、窒素、酸素、イオウまたはリン供与リガンドまたはメ
タロセンリガンドなどの有機金属リガンドを包含する。適切なリガンドLaはフ
ェナントロリン、イミダゾール、bpyおよびterpyなどであるが、これら
に限定されるものではない。LrおよびMは上記定義のとおりである。再度、当
業者が認識するように、リンカー(「Z」)はヌクレオシドとETMの間に含ま
れる。
【0254】 同様に、導電性オリゴマーとしては、その結合がリンカーを用いてなされるが
、リンカーはアミド結合を利用することができる(一般的に、Telser et al., J
. Am. Chem. Soc. 111: 7221-7226 (1989); Telser et al., J. Am. Chem. Soc.
111: 7226-7232 (1989)参照;両文献は特に出典明示により本明細書に組込まれ
ている)。これらの構造は下記構造2に一般的に図示する。再度ここではウリジ
ンを塩基として使用しているが、上記同様、他の塩基も使用し得る。
【化2】
【0255】 この実施態様において、Lは上記定義のリガンドであり、LrおよびMも上記
定義のとおりである。好ましくは、Lはアミノ、phen、bypおよびter
pyである。
【0256】 好適な実施態様において、ヌクレオシドに付着したETMはメタロセンである
;すなわち、構造2のLおよびLrは両者ともメタロセンリガンドであり、上記
のLm'である。構造3は好適な実施態様を図示するものであり、この場合メタロ
センはフェロセン、塩基はウリジンであるが、他の塩基も使用可能である。
【化3】
【0257】 予備データが示唆するところでは、構造3は環化可能であって、第2アセチレ
ン炭素原子がカルボニル酸素を攻撃し、フラン様構造を形成する。好適なメタロ
センはフェロセン、コバルトセンおよびオスミウムオセンなどである。
【0258】 好適な実施態様において、ETMは核酸のリボース−リン酸バックボーンのい
ずれかの位置、すなわち、5'または3'末端またはいずれかの内部ヌクレオシド
でリボースに付着している。この場合のリボースはリボース類似体を包含する。
技術的に知られているように、リボースの2'または3'位置のいずれかで修飾さ
れているヌクレオシドは、窒素、酸素、イオウおよびリン−含有修飾により可能
となし得る。アミノ−修飾および酸素−修飾リボースが好ましい。一般的には、
WO95/15971およびWO98/20162(出典明示により本明細書に
組込まれている)を参照されたい。これらの修飾基は遷移金属リガンドとして、
または他の遷移金属リガンドおよび有機金属リガンド付着のための化学的に官能
性の部分、または当業者認知の有機電子供与体部分として使用することができる
。この実施態様において、本明細書において「Z」として図示したようなリンカ
ーも同様に、またはリボースとETM間の導電性オリゴマーも使用可能である。
好適な実施態様では、リボースの2'または3'位での付着を利用するが、2'位
置が好ましい。このように例えば、WO98/20162の構造13、14およ
び15に図示された導電性オリゴマーはETMに置換えることができる;あるい
は、ETMは導電性オリゴマーの遊離末端に加えてもよい。
【0259】 好適な実施態様において、メタロセンはETMとして作動し、下記構造4に図
示するようにアミド結合を介して付着する。例示ではメタロセンがフェロセンで
ある場合の好適な化合物につきその合成を概説する。
【化4】
【0260】 好適な実施態様においては、アミンの結合が構造5に一般的に図示するように
使用される。
【化5】 Zは本明細書に定義のごときリンカーであり、1〜16原子のものが好ましく
、2〜4原子がとりわけ好ましい。tは1または0である。
【0261】 好適な実施態様においては、オキソ結合が構造6に一般的に図示するように使
用される。
【化6】 構造6において、Zは本明細書に定義のとおりのリンカーであり、tは1また
は0である。好適なZリンカーは、(CH2nおよび(CH2CH2O)nなどの
ヘテロアルキル基を含むアルキル基を包含し、nは1ないし10が好ましく、n
=1ないし4がとりわけ好ましく、n=4が特に好ましい。
【0262】 他のヘテロ原子を利用する結合も可能である。ETMの核酸への様々な連結を
図1に示す。
【0263】 好適な実施態様において、ETMは核酸のリボース−リン酸バックボーンのい
ずれかの位置でリン酸エステルに付着する。これは様々な様式でなされる。一実
施態様において、ホスホジエステル結合類似体、例えば、ホスホラミドまたはホ
スホラミダイト結合は核酸中に取込まれていてもよく、その場合、ヘテロ原子(
すなわち、窒素)が遷移金属リガンドとして作動する(PCT公開WO95/1
5971およびWO98/20162参照;出典明示により本明細書に組込まれ
ている)。あるいは、WO98/20162の構造23および24に図示されて
いる導電性オリゴマーをETMに置換えてもよい。好適な実施態様において、組
成物は構造7に示した構造を有する。
【化7】
【0264】 構造7において、ETMはリン酸エステル結合を介して、一般にはリンカーZ
を使用することにより付着する。好適なZリンカーは、(CH2n、(CH2
2O)nなどのヘテロアルキル基を含むアルキル基を包含し、nは1ないし10
が好ましく、n=1ないし4がとりわけ好ましく、n=4が特に好ましい。
【0265】 ETMがヌクレオシドの塩基またはバックボーンに付着している場合、より詳
しく下に概説するように、「デンドライマー」構造を介してETMを付着させる
ことが可能である。図に一般的に示すように、アルキルベースのリンカーを用い
、各枝の末端に1個以上のETMを含む多数の分枝構造を創り出すことができる
。一般に、これは多数のヒドロキシ基を含む分枝点を創り出すことにより実施さ
れるが、このヒドロキシ基を用いてさらなる分枝点を加えることができる。末端
のヒドロキシ基は次いでホスホラミダイト反応に用い、一般的にはヌクレオシド
置換およびメタロセンポリマー反応のために以下に実施するように、ETMに加
えることができる。
【0266】 好適な実施態様において、メタロセンなどのETMは、ETMとして作動する
ように「ヌクレオシド置換体」として使用する。例えば、フェロセンの2つのシ
クロペンタジエン環の間の距離は、2本鎖核酸中の2つの塩基間の直交距離に類
似している。フェロセンに加え、他のメタロセン、例えば、コバルトまたはルテ
ニウムなどを含むメタロセンなどの空気安定性メタロセンを使用することができ
る。このように、メタロセン部分は、構造8(リボース−リン酸バックボーンを
有する核酸)および構造9(ペプチド核酸バックボーン)に一般的に図示するよ
うに、核酸のバックボーンに取込んでもよい。構造8および9ではフェロセンを
図示しているが、当業者が認識するように、他のメタロセンも同様に使用し得る
。一般に、空気に安定なメタロセンが好ましく、金属としてルテニウムおよびコ
バルトを利用するメタロセンが包含される。
【0267】
【化8】 構造8において、Zは上記定義のリンカーであり、一般的には短いアルキル基
をもち、酸素などのヘテロ原子を含むものが好ましい。一般に、重要なことはリ
ンカーの長さであり、より詳しく以下に説明するように、2本鎖核酸の最少の摂
動がもたらされるようにする。このように、メチレン、エチレン、エチレングリ
コール、プロピレンおよびブチレンがすべて好適であり、エチレンおよびエチレ
ングリコールが特に好ましい。さらに、各Zリンカーは同一であっても、異なっ
てもよい。構造8はリボース−リン酸バックボーンを表示しているが、当業者が
認識するように、リボース類似体およびリン酸エステル結合類似体などの核酸類
似体を使用してもよい。
【0268】
【化9】 構造9において、好適なZ基は上記掲載のとおりであるが、再度、各Zリンカ
ーは同一または異なってもよい。上述のように、他の核酸類似体も同様に使用し
得る。
【0269】 さらに、上記の構造と検討ではメタロセン、特にフェロセンを描出しているが
、同じ一般的な着想を用い、下記のように、メタロセンに加えヌクレオシドの置
換体として、またはポリマーの実施態様において、ETMを付加することができ
る。このように、例えば、1、2または3個(またはそれ以上)のリガンドを含
む、メタロセン以外の遷移金属複合体である場合、該リガンドをフェロセンにつ
いて表現したように機能化し、ホスホラミダイト基の付加を可能とすることがで
きる。特に、この実施態様において好ましいのは、少なくとも2つの環(例えば
、アリールおよび置換アリール)リガンドを含む複合体であり、その場合、各リ
ガンドはホスホラミダイト化学による付着のための官能基を含む。当業者が認識
するように、このタイプの反応は、ここで生じるシグナルの増幅を可能とするた
めに、核酸バックボーンの一部としてまたは核酸の「側鎖基」としてETMのポ
リマーを創出するが、正しい化学基を含むように官能化し得る実質的にいずれの
ETMによっても実施することができる。
【0270】 このように、フェロセンなどのメタロセン(または他のETM)を核酸のバッ
クボーンに挿入することにより、核酸類似体が調製される;すなわち、本発明は
少なくとも1個のメタロセンを含むバックボーンをもつ核酸を提供する。このこ
とはバックボーンに付着した、すなわち、リボース、リン酸エステルなどを介し
て、メタロセンを有する核酸から識別される。すなわち、伝統的な核酸または類
似体から造られた2つの核酸(この場合の核酸は単一のヌクレオシドを包含する
)それぞれは、メタロセンを介して互いに共有結合により付着することができる
。異なる観点で、メタロセン誘導体または置換メタロセンが提供されるが、その
場合は、メタロセンの2つの芳香環それぞれが核酸置換基を有する。
【0271】 さらに、より詳しく以下に説明するように、間にヌクレオチドをもつか、およ
び/または隣接するメタロセンをもつ1個より多いメタロセンをバックボーンに
取込ませることが可能である。隣接するメタロセンをバックボーンに付加する場
合、これは「メタロセンポリマー」としての下記の工程と同じである;すなわち
、バックボーン内にメタロセンポリマーの領域が存在する。
【0272】 核酸置換基に加え、ある場合には、メタロセン(またはETM)の芳香環の一
方または双方にさらなる置換基を付加することが望ましい。例えば、これらのヌ
クレオシド置換体は一般に実質的に相補的な核酸、例えば、標的配列またはもう
一つのプローブ配列とハイブリダイズすべきプローブ配列の部分なので、置換基
をメタロセン環に付加して、反対鎖上の1個または複数個の塩基に水素結合形成
するのを容易にすることが可能である。これらはメタロセン環上のどの位置に付
加してもよい。適切な置換基は、アミド基、アミン基、カルボン酸、および置換
アルコールを含むアルコール類であるが、これらに限定されるものではない。さ
らに、これらの置換基は同様にリンカーを介して付着させることができるが、一
般的には好ましくない。
【0273】 さらに、ETM、特にフェロセンなどのメタロセン上に置換基を付加してET
Mのレドックス性を変化させてもよい。このように、例えばある実施態様では、
より詳しく以下に記載するように、異なる様式で(すなわち、塩基またはリボー
ス付着)、異なるプローブ上、または異なる目的で(例えば、校正または内部基
準として)付着した異なるETMを有することが望ましい。このように、メタロ
セン上に置換基を付加することは、2つの異なるETMの識別を可能とする。
【0274】 これらのメタロセン−バックボーン核酸類似体を生成させるために、中間成分
も提供される。このように、好適な実施態様において、本発明は構造10に一般
的に表示するように、ホスホラミダイト・メタロセンを提供する。
【化10】
【0275】 構造10において、PGは保護基であり、一般に核酸の合成に適した基でああ
て、DMT、MMTおよびTMTなどがすべて好適である。芳香環はメタロセン
の環であるか、または遷移金属複合体もしくは他の有機ETM用リガンドの芳香
環であることができる。芳香環は同一または異なってもよく、また、本明細書に
検討するように置換されていてもよい。構造11はフェロセン誘導体を図示する
【化11】
【0276】 これらのホスホラミダイト類似体は技術上既知の標準的オリゴヌクレオチド合
成に追加することができる。
【0277】 構造12はフェロセンペプチド核酸(PNA)モノマーを図示し、技術上既知
であり、図および実施例に記されているPNAの合成に追加することができる。
【化12】 構造12において、PG保護基はペプチド核酸合成に使用するのに適しており
、MMT、boc、およびFmocなどが好ましい。
【0278】 これら同一の中間化合物を用いてETMまたはメタロセンポリマーを形成する
ことが可能であり、これらは、より詳しく以下に説明するように、バックボーン
置換体としてよりもむしろ核酸に付加される。
【0279】 好適な実施態様において、ETMはポリマーとして、例えば、メタロセンポリ
マーとして、本明細書およびUS特許番号5,124,246に概説されている
ように、「分枝DNA」実施態様と同様の「分枝した」構成で、修飾した機能化
ヌクレオチドを用い付着させる。一般的な着想は以下のとおりである。修飾され
たホスホラミダイトヌクレオチドが生成されるが、それはメタロセンなどのホス
ホラミダイトETMの付着に使用し得る遊離のヒドロキシ基を最終的に含むこと
ができる。この遊離のヒドロキシ基は塩基またはリボースもしくはリン酸エステ
ルなどのバックボーン上に存在し得る(当業者も認識するであろうが、他の構造
を含む核酸類似体も使用し得る)。修飾されたヌクレオチドを核酸に取込み、ヒ
ドロキシ保護基を除去し、遊離のヒドロキシを生じる。構造10および1におい
て上述したように、メタロセンなどのホスホラミダイトETMの付加に基づき、
メタロセンETMなどのETMを付加する。メタロセンなどのさらなるホスホラ
ミダイトETMを付加し、本明細書中で特にフェロセンについて描写したように
「メタロセンポリマー」を含む「ETMポリマー」を形成することができる。さ
らに、ある実施態様においては、図12に一般的に描出したように、「キャッピ
ング」基をポリマー中の末端ETMに、例えば、最終リン酸エステル基をメタロ
センに付加することによりポリマーの溶解性を上昇させることが望ましい。他の
適切な溶解度上昇性「キャッピング」基は当業者が認識するであろう。留意すべ
きことは、これらの溶解度上昇性基は、リガンド環、例えば、本明細書で検討し
たメタロセンの他の位置でポリマーに付加させることができることである。
【0280】 この一般的な着想の好適な実施態様を図面に概説する。この実施態様において
、ホスホラミダイトヌクレオチドのリボースの2'位置は、この場合はオキソ結
合を介して保護されたヒドロキシ基を含むように先ず官能化するが、リンカーの
数については、Zリンカーについて本明細書で一般的に記載するようにいずれの
数も使用し得る。保護修飾されたヌクレオチドは、次いで標準的なホスホラミダ
イトの化学により伸長する核酸中に取込む。保護基を除去し、遊離のヒドロキシ
基を用い、再び標準的なホスホラミダイトの化学を用い、フェロセンなどのホス
ホラミダイトメタロセンを付加させる。同様の反応は核酸の類似体についても可
能である。例えば、構造12に示したペプチド核酸とメタロセンモノマーを用い
、メタロセンポリマーを含むペプチド核酸構造を生成させることができた。
【0281】 このように、本発明は図12および13に一般的に図示したように、メタロセ
ンポリマーの「分枝」を含む核酸のリクルートリンカーを提供する。好適な実施
態様ではメタロセンの長さが1ないし約50個、好ましくは約5ないし約20個
、とりわけ好ましくは約5ないし約10個のメタロセンポリマーを利用する。
【0282】 さらに、リクルートリンカーが核酸である場合、任意の組合わせでETMの付
着がなされる。
【0283】 好ましい実施態様では、リクルートリンカーは核酸ではなく、その代わりに如
何なる種類のリンカーまたはポリマーであってもよい。当業者が認めるであろう
ように、通常、修飾されETMを含み得る何れのリンカーまたはポリマーを使用
することもできる。一般に、これらのポリマーまたはリンカーは適度に溶解性を
有し、ETM付着に適切な官能基を含むのがよい。
【0284】 本明細書にて用いる場合、「リクルートポリマー」とは少なくとも2または3
個のサブユニットを含み、共有結合により付着している。モノマーサブユニット
の少なくともある部分はETMの共有結合による付着のための官能基を含む。あ
る実施態様において、カップリング部分はサブユニットとETMとを共有結合さ
せるために用いる。付着のための好適な官能基は、アミノ基、カルボキシ基、オ
キソ基およびチオール基などであって、アミノ基が特に好ましい。当業者が認識
するように、多様なリクルートポリマーが可能である。
【0285】 適切なリンカーとしては、アルキルリンカー(ヘテロアルキル((ポリ)エチ
レングリコール型構造を含む)、置換アルキル、アリールアルキルリンカーを含
む)を包含するが、これらに限定されるものではない。ポリマーについては上記
のごとく、リンカーはETM付着のための1個以上の官能基を含み、付着は当業
者認識のとおりに、例えば、周知のホモ−またはヘテロ−二官能性リンカーを使
用することによって実施される(1994年Pierce Chemical Companyのカタロ
グ、架橋剤に関する技術のセクション、155〜200ページ参照。出典明示に
より本明細書の一部とする)。
【0286】 適切なリクルートポリマーは、機能化したスチレン、例えば、アミノスチレン
、機能化したデキストラン、およびポリアミノ酸などを包含するが、これらに限
定されるものではない。好適なポリマーは、ポリリジンなどのポリアミノ酸(ポ
リ−D−アミノ酸およびポリ−L−アミノ酸両方)、およびリジンと特に好適な
他のアミノ酸を含むポリマーなどである。他の適切なポリアミノ酸は、ポリグル
タミン酸、ポリアスパラギン酸、リジンとグルタミン酸またはアスパラギン酸と
の共重合体、リジンとアラニン、チロシン、フェニルアラニン、セリン、トリプ
トファン、および/またはプロリンとの共重合体などである。
【0287】 好適な実施態様において、リクルートリンカーは上記のようにメタロセンポリ
マーが含まれる。
【0288】 標識プローブ第1部分へのリクルートリンカーの付着は、当業者が認識するよ
うに、リクルートリンカーの組成に依存する。リクルートリンカーが核酸である
場合、これは、一般に、要求されるETM含有ヌクレオシドの取込みとともに、
標識プローブの第1部分の合成の際に形成される。あるいは、標識プローブの第
1部分とリクルートリンカーが別個に造られ、次いで付着してもよい。例えば、
相補性の重なり合う区分があって、例えば、技術的に既知のプソラレンを使用す
ることにより、化学的に架橋し得る2本鎖核酸の区分を形成させてもよい。
【0289】 非核酸リクルートリンカーを使用する場合、リクルートリンカーのリンカー/
ポリマー付着は一般に、当業者が認識するような標準的化学技法を用いて実施さ
れる。例えば、アルキル−ベースのリンカーを使用する場合、付着は核酸への絶
縁体付着と同様である。
【0290】 さらに、核酸と非核酸の混合物であるリクルートリンカーを、線状形態(すな
わち、核酸セグメントがアルキルリンカーとともに結合している)または分枝形
態(ETMを含み、かつ、さらに分枝していてもよいアルキル「分枝」をもつ核
酸)で入手することが可能である。
【0291】 好適な実施態様では、プライマーへの組み込みまたは標的配列の新規合成部分
への組み込みによって、ETMを標的配列に付着させる。共有結合により結合し
ているETMを含む標的配列を、図に示すように、メカニズム−1またはメカニ
ズム−2を用いて直接的に検出できる。
【0292】 この実施態様では、ETMを担持するのは、標識プローブのリクルートリンカ
ーよりもむしろ標的配列それ自体である。本明細書中で詳述しているように、こ
のことは、プライマー中または新規合成鎖中を含む任意数の位置で組み込まれて
いるETM、および本明細書中で概説するように、様々な位置で核酸に付着し得
るETMを有する標的配列を使用することによって行われ得る。この実施態様で
は、該システムの他のもののように、できるだけ単層の表面に近く、正しい方向
のETM含有構造(すなわち、標識プローブ、リクルートリンカーまたは標的配
列)を得るために、3’−5’方向のプローブおよび標的配列が選択される。こ
のことは、図に一般的に示すように、絶縁体または導電性オリゴマーを介した付
着を用いてなし得、またどのメカニズムが用いられるかによって変わり得る。さ
らに、当業者に認知されるように、捕獲プローブの5’−3’方向が異なる配置
でも、または多数の捕獲プローブが用いられるときに標的の「ループ」が形成さ
れる場合でも、多数の捕獲プローブが利用できる。
【0293】 ETMによる標的配列の標識はまた、新しい標的鎖の合成中に起こり得る。例
えば、本明細書中に説明するように、本発明の各ETMを含むヌクレオチド三リ
ン酸を、例えば、上記の増幅技術に際し、増殖する核酸に酵素的に加えることが
可能である。当業者が認めるであろうように、幾つかの酵素は修飾したヌクレオ
チドに対し一般に寛容(tolerate)であることが示されているが、本発明の修飾
ヌクレオチドの一部、例えば、「ヌクレオシド置換」の実施態様および恐らく一
部リン酸エステルの付着は、増殖する核酸への取込みを可能とする酵素により認
識されることもあり、されないこともある。したがって、この実施態様での好適
な付着はヌクレオチドの塩基またはリボースに対するものである。
【0294】 別法として、以下により詳細に概説するように、ETMを含むヌクレオチドを
核酸の末端、例えば、標的核酸に酵素的に付加することが可能である。この実施
態様においては、有効な「リクルートリンカー」を標的配列の末端に付加させ、
それを検出に使用することができる。このように、本発明は、導電性オリゴマー
の単層と捕獲プローブを含む電極を利用する組成物、およびアッセイ複合体の成
分にハイブリダイズすることの可能な第1部分と、アッセイ複合体の成分にハイ
ブリダイズせず、少なくとも1つの共有結合により付着した電子移動部分を含む
第2部分とを含む標的配列を提供する。同様に、これらの組成物を利用する方法
も提供する。
【0295】 プローブ配列、すなわち、相補的配列にハイブリダイズするように設計された
配列にETMを連接させることも可能である。このように、ETMは非リクルー
トリンカーにも同様に付加させることができる。例えば、アッセイ複合体の成分
にハイブリダイズする標識プローブ断片、例えば、第1部分に、または上記の標
的配列に付加したETMが存在してもよい。これらのETMは一部の実施態様に
おいて電子移動検出に使用してもよく、あるいはその位置とシステムによっては
使用することができない。例えば、ある実施態様において、例えば、図16Aに
図示したように、無作為に取込ませたETMを含有する標的配列が捕獲プローブ
に直接ハイブリダイズする場合には、捕獲プローブにハイブリダイズする部分に
ETMが存在する。もし捕獲プローブが導電性オリゴマーを用いる電極に付着す
るならば、これらのETMはすでに説明したように電子移動を検出するのに使用
することができる。あるいは、これらのETMは特異的に検出し得ない可能性も
ある。
【0296】 同様に、ある実施態様においては、リクルートリンカーが核酸である場合、リ
クルートリンカーの一部またはすべてが2本鎖であることが、ある実施態様では
望ましい。一実施態様においては、第2リクルートリンカーが存在し、それが実
質的に第1リクルートリンカーに相補的であり、第1リクルートリンカーにハイ
ブリダイズし得ることがある。好適な実施態様において、第1リクルートリンカ
ーは共有結合により付着したETMを含む。別の実施態様において、第2リクル
ートリンカーはETMを含み、第1リクルートリンカーは含まず、ETMは第2
リクルートリンカーが第1に対してハイブリダイズすることによりその表面に集
められる。さらにもう一つの実施態様においては、第1および第2リクルートリ
ンカー双方がETMを含む。留意すべきことは、上記のように、大量数のETM
を含む核酸は、同様にはハイブリダイズしない、すなわち、ETMの付着部位と
特性に依存してTmが低下することがある。かくして、一般に、多数のETMが
鎖のハイブリダイズに用いられるとき、すなわちメカニズム−1システムでは、
一般には約5より小さく、好ましくは約3より小さくする。あるいはETMは、
介在するヌクレオチドが充分にハイブリダイズして良好な反応速度が可能となる
ように十分な空間距離をとるべきである。
【0297】 ある実施態様では、非共有的に付着したETMを使用することができる。ある
実施態様では、ETMはハイブリダイゼーションインディケーターである。ハイ
ブリダイゼーションインディケーターは、ETM(加えると二重鎖核酸と選択的
に通常は可逆的に会合する)として働き、これはMillan et al., Anal. Chem. 65
:2317-2323 (1993); Millan et al., Anal. Chem. 662943-2948 (1994)と同様の
方法であり、両方とも引用して明示的に本明細書の一部とする。この実施態様で
は、ETMの局部濃度の増加(ETMハイブリダイゼーションインディケーター
と二重鎖核酸との表面での会合による)を、導電性オリゴマーを含む単層を使用
してモニターすることができる。ハイブリダイゼーションインディケーターは、
インターカレーターとマイナーおよび/またはメジャーなグルーブ結合分子を含
む。好ましい実施態様では、インターカレーターを使用してもよい;インターカ
レーションは、一般的に、二重鎖核酸の存在下でのみ起こるので、二重鎖核酸の
存在下でのみETMは濃縮される。遷移金属錯体ETMのインターカレーション
は、当業者に知られている。同様に、メチレンブルーなどのメジャーまたはマイ
ナーなグルーブ結合分子を本実施に使用してもよい。
【0298】 同様に、出典明示により本明細書の一部とするNapier et al. Bioconj. Chem.
8:906(1997)に一般的に説明されているように、本発明のシステムは非共有的に
結合したETMを利用してもよい。この実施態様では、DNAの存在の結果とし
てのある分子のレドックス状態の変化を、導電性オリゴマーを含むSAMを同様
に用いて検出できる。
【0299】 また、システムの配置は、検出に用いるメカニズムに依存する。様々なメカニ
ズム−1のシステムを、直接的な検出(すなわち、ETMを含む標的配列)およ
び間接的な検出(標識プローブを用いる)を示す図27に記載する。
【0300】 様々なメカニズム−2のシステムを、直接的な検出(すなわち、ETMを含む
標的配列)および間接的な検出(標識プローブを用いる)を再度示す図16に記
載する。
【0301】 好ましい実施態様として、図に一般的に描出したように、標識プローブが標的
配列に直接ハイブリダイズする。これらの実施態様において、標的配列は、好ま
しくは、捕獲伸長プローブを含む捕獲プローブにより表面に固定するが、必ずし
も必要ではない。次いで、標識プローブを用い、導電性オリゴマーからなる単層
の表面近傍にETMをもってくる。好適な実施態様においては、複数の標識プロ
ーブを用いる;すなわち、標識プローブは標的配列にハイブリダイズする部分が
多数の異なる標識プローブに対して異なり得るように設計し、その結果、シグナ
ルの増幅が起こるが、その理由は複数の標識プローブがそれぞれの標識配列に結
合し得るからである。このように、図に描出したように、nは少なくとも1の整
数である。所望の感度、標的配列の長さ、標識プローブ当たりのETM数により
、nの好適な範囲は1〜50、特に好ましくは約1ないし約20、そしてとりわ
け好ましいのは約2ないし約5である。さらに、もし「一般の」標識プローブが
望ましいのであれば、増幅プローブの使用について一般的に下に説明したように
、標識伸長プローブを用いることができる。
【0302】 上記のように、この実施態様においては一般に、システムの形状と標識プロー
ブの配置は単層表面に可能な限り近接してETMが集まるように設計する。
【0303】 好適な実施態様において、標識プローブは間接的に標的配列にハイブリダイズ
させる。すなわち、本発明はシグナル増幅技術と電極上での電子伝達検出との新
規な組合わせに用途を見出だすが、これは核酸実施態様について図に一般的に描
出したように、サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイにとりわけ有用で
ある。これらの実施態様において、本発明の増幅プローブはサンプル中の標的配
列に直接または間接的に結合する。増幅プローブは、好ましくは標識プローブの
結合に利用し得る比較的多数の増幅配列を含むので、検出可能なシグナルが有意
に増加し、標的の検出限界が有意に改善され得る。これらの標識と増幅プローブ
、および本明細書に記載の検出方法は、本質的に既知の核酸ハイブリダイゼーシ
ョンによるいずれかの方式、例えば、標的を直接固相に結合する方式で、または
標的が1つ以上の核酸に結合し、それが次いで固相に結合するサンドイッチハイ
ブリダイゼーションアッセイにて、使用可能である。
【0304】 本発明のアッセイ複合体は、電極を用いて検出される。 本明細書での「電極」は、電子装置に接続したとき、電流または電位を感知し
、それをシグナルに変換し得る構成物を意味する。あるいは、電極を、電位を電
子に適用し得る、および/または、溶液中の種へまたは種から電子を移し得る構
成物として定義することができる。このように、電極とは本明細書に記載のET
Mである。好適な電極は技術上既知であり、これらに限定されるものではないが
、ある種の金属およびその酸化物、例えば、金、白金、パラジウム、シリコン、
アルミニウム;金属酸化物電極、例えば、酸化白金、酸化チタン、酸化スズ、酸
化スズインジウム、酸化パラジウム、酸化けい素、酸化アルミニウム、酸化モリ
ブデン(Mo26)、酸化タングステン(WO3)および酸化ルテニウム;およ
び炭素(ガラス状電極、黒鉛およびカーボンペースト)などを包含する。好適な
電極は金、シリコン、白金、炭素および金属酸化物電極などであり、金が特に好
ましい。
【0305】 本明細書に記載の電極は平らな表面として図示しているが、これは電極の可能
な一形状であって、図式化を目的とするのみのものである。電極の形状は使用さ
れる検出法により変わる。例えば、平面状の電極は光検出法に好適であり、ある
いは合成および検出のために処理可能な位置を必要として連なった核酸を調製す
る場合に好適である。あるいは、導電性オリゴマーと内部表面に結合した核酸を
含むSAMの場合には、単一プローブ分析のために、電極をチューブの形状とす
ることができる。電極コイルも、幾つかの実施態様では同様に好ましい。これは
少容量のサンプルに露出すべき核酸の表面積を最大とするのを可能にする。
【0306】 好適な実施態様において、検出電極は基板上に形成する。さらに、本明細書に
おける検討は一般的に金電極の形成に向けられているが、当業者も認めるように
、他の電極も同様に使用し得る。基板は、当業者も認めるように、多様な材料を
含むが、プリント回路基板(PCB)材料がとりわけ好ましい。このように、一
般的に、適切な基板はこれらに限定されるものではないが、ファイバーグラス、
テフロン、セラミック、ガラス、シリコン、雲母、プラスティック(アクリル、
スチレンと他の物質とのポリスチレンおよびコポリマー、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、テフロン(登録商
標)、およびその誘導体など)、ゲテック(GETEK)(プロピレンオキシド
とファイバーグラスの混合物)などである。
【0307】 一般に、好適な材料はプリント回路基板材料である。プリント回路基板材料は
電導層で被覆されている絶縁基板を含む材料であり、リトグラフィー技法、特に
露光リトグラフィーにより処理加工して、電極と相互接続体の型を形成する(場
合により技術上、相互接続またはリード線という)。絶縁基板はすべてというわ
けではないが、一般にポリマーである。技術上知られているように、1層または
複数層を使用し、「二次元」基板(例えば、すべての電極および相互接続体が同
一平面にある)または「三次元」基板(この場合、電極は1方の表面にあり、相
互接続体が基板を貫通して他側へ出てもよい)を作製する。三次元系は多くの場
合、穿孔またはエッチングを使用し、次いで、銅などの金属で電気メッキし、「
貫通基板」相互接続を作製するようにする。回路基板材料はしばしば基板にすで
に付着した銅箔などの箔を備えており、必要により(例えば、相互接続のために
)、例えば、電気メッキによりさらに銅が加えられる。銅の表面は、次いで、粘
着層の付着を可能とするために、例えば、エッチングによりざらつかせる必要が
ある。
【0308】 一部の実施態様において、ガラスは基板として好ましくない場合がある。 従って、好適な実施態様において、本発明は複数の電極、好ましくは金電極を
含む基板を含むバイオチップ(場合により本明細書では「チップ」という)を提
供する。電極数はアレイについて概説したとおりとする。各電極は、好ましくは
、本明細書に概説したように自己集合した単層を含む。好適な実施態様において
、単層形成種の1つは本明細書に概説したように捕獲リガンドを含む。さらに、
各電極は相互接続をもち、それが一端で電極に付着し、最終的に電極を制御し得
る装置に付着している。すなわち、各電極は独立してアドレス参照可能である。
【0309】 該基板はより大きな装置の部分であってもよく、該装置は検出電極に一定容量
のサンプルを暴露する検出チャンバーを含む。一般に、検出チャンバーは約1n
Lないし1mlの範囲であり、好ましくは約10μLないし500μLである。
当業者が認めるように、実験条件およびアッセイによっては、より少量またはよ
り大量を用いてもよい。
【0310】 一部の実施態様において、検出チャンバーと電極は電極構成要素(AC/DC
電圧源、電流計、プロセッサ、読み出しディスプレー、温度制御器、光源など)
を含む装置内に配設し得るカートリッジの部分である。この実施態様において、
各電極からの相互接続は、装置内にカートリッジを挿入することにより、電極と
電子組成間の接続が確立するような位置に配置する。
【0311】 回路基板材料(または他の基板)上の検出電極は一般に多様な方法で調製され
る。一般に、高純度の金を用い、真空蒸着法(スパッタリングおよび蒸発)また
は溶液析出(電気メッキまたは無電解方法)により被覆してもよい。電気メッキ
を実施する場合には、基板は先ず電導性物質を含まねばならない;ファイバーグ
ラスの回路基板は多くの場合銅箔を備えている。多くの場合、基板によっては、
良好な機械的安定性を保証するために、基板と金の間に粘着層が用いられる。こ
のように、好適な実施態様では、粘着金属、例えば、クロム、チタン、チタン/
タングステン、タンタル、ニッケルまたはパラジウムなどの析出層を利用するが
、これらの金属は上記金同様に析出させ得る。電気メッキ金属(粘着金属または
電極金属)を使用する場合、粒状精製添加物(多くの場合、業界では光沢剤とい
う)を任意に加えて、表面析出性を変化させる。好適な光沢剤は有機物および無
機物の混合物であり、コバルトとニッケルが好ましい。
【0312】 一般に、粘着層は約100Åから約25ミクロン(1,000マイクロインチ
)の厚さである。もし粘着金属が電気化学的に活性であるならば、電極金属は「
染み出し」を防止する厚さで被覆しなければならない;もし粘着金属が電気化学
的に不活性であるならば、電極金属は薄くてもよい。一般に、電極金属(好まし
くは金)は約500Åから約5ミクロン(200マイクロインチ)の範囲の厚さ
で、好ましくは約30マイクロインチないし約50マイクロインチの厚さで析出
させる。一般には、金を析出させて、直径約5ミクロンないし約5mmの範囲、
好ましくは約100ないし250ミクロンのサイズの電極とする。このようにし
て形成される検出電極は、好ましくは次いで清浄にし、以下に検討するようにS
AMを付加する。
【0313】 このように、本発明は複数の金電極を含む基板の作製法を提供する。この方法
は先ず基板上に、ニッケルまたはパラジウムなどの粘着金属を(選択肢として光
沢剤と共に)被覆することを含む。電気メッキが好ましい。次いで、電極金属、
好ましくは金を粘着金属上に(好ましくは再度電気メッキにより)被覆する。次
いで、電極とそれに繋がる相互接続を含む装置の型をリトグラフ技法、特に技術
上既知の露光リトグラフィー技法、および湿式化学エッチングにより作製する。
多くの場合、非電導性化学抵抗性絶縁材料、例えば、蝋マスクまたはプラスティ
ックを露光リトグラフィー技法により敷き、露光した電極とリード線への接続点
のみを残す;リード線はそれ自体一般に被覆されている。
【0314】 本方法では、下記のように、SAMの付加が続く。好適な実施態様においては
、点滴析出技法を用い、必要な化学物質、すなわち、単層形成種であって、その
一つは、好ましくは捕獲リガンド含有種である、などを付加する。点滴析出技法
は「スポット」アレイ作製について周知である。これは各電極に異なる構成物を
付加するために、すなわち、異なる捕獲リガンドを含む配列を作製するために実
施する。あるいは、SAM種は各電極について同一であってもよく、この場合は
点滴析出技法またはその溶液に基板全体もしくは基板表面を浸漬する方法により
実施してもよい。
【0315】 ゆえに、好適な実施態様では、電極は電気管路形成種(EFS)を有する単層
を含む。本明細書に概説するように、検体が電極から少し離れているとき、標的
被検体結合(例えば、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション)の有効性は
増加し得る。同様に、単層が存在すると、生体分子(標的被検体を含む)の電極
への非特定結合は、一般に減少する。このように、単層は電極表面から離れてい
る被検体の維持を容易にする。さらに、単層は荷電種を電極表面から離れている
ようにするのに役立つ。このように、この層は、溶媒内で各電極と溶媒内で各E
TM間または電極と荷電種間の電気的接触を防止するのに役立つ。かかる接触は
、直接の「短絡」またはサンプル内に存在する可能性のある荷電種を介した間接
の短絡となり得る。したがって、この単層は、好ましくは電極表面上の均一層に
きっちりと詰込み、「孔」の存在が最少になるようにする。単層はこのように電
極への溶媒接近をブロックする物理的障壁として作用する。
【0316】 検出電極は、導電性オリゴマーを含む自己集合単層(SAM)を含む。本明細書
での「単層」または「自己集合単層」または「SAM」とは、表面上に自動的に
化学吸着した分子の比較的秩序だった集合体を意味し、そこでは分子が互いに略
平行に方向づけられており、かつ、表面に対し大まかに垂直に方向づけられてい
る。分子それぞれは官能基を含み、それが表面に接着し、また、一部が単層中の
隣接する分子と相互作用し、比較的秩序だった配列を形成する。「まじりあった
」単層は不均質の単層からなるが、すなわち、そこでは少なくとも2つの異なる
分子が単層を作り上げている。SAMは導電性オリゴマーのみであっても、ある
いは導電性オリゴマーと絶縁体の混合物であってもよい。本明細書に概説するよ
うに、検体が電極から少し離れているとき、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼ
ーションの有効性は増加し得る。同様に、単層が存在すると、生体分子(標的被
検体を含む)の電極への非特定結合は、一般に減少する。このように、単層は電
極表面から離れている核酸の維持を容易にする。さらに、単層は荷電種を電極表
面から離れているようにするのに役立つ。このように、この層は、溶媒内で各電
極と溶媒内で各ETM間または電極と荷電種間の電気的接触を防止するのに役立
つ。かかる接触は、直接の「短絡」またはサンプル内に存在する可能性のある荷
電種を介した間接の短絡となり得る。したがって、この単層は、好ましくは電極
表面上の均一層にきっちりと詰込まれ、「孔」が存在するのを最少にする。この
ように、単層は電極への溶媒接近をブロックする物理的障壁として作用する。
【0317】 一般に、本発明のSAMは、用いる電極表面とシステムに応じて、多数の方法
で生成させることができ、かつ多数の異なる構成要素を含み得る。「メカニズム
−1」の実施態様では、好適な実施態様は2つの単層形成種、すなわち1つの単
層形成種(絶縁体および導電性オリゴマーを含む)および捕獲結合リガンドを含
む1つの導電性オリゴマー種、を利用するが、当業者には了知されるように、別
の単層形成種をも同時に含ませ得る。「メカニズム−2」システムでは、SAM
の構成は検出電極表面に依存する。一般に、2つの基本的「メカニズム−2」シ
ステムを記述する。すなわち、金ボール電極のような「滑らかな」表面を含む検
出電極、およびPC回路板についての商業的製法を用いて作成される電極のよう
な「粗い」表面を含む電極である。理論によって制限されないが、一般に、不完
全な表面(すなわち、「粗い」表面)上に作成された単層は、EFSの非存在下
でも、十分な電気管路を有する単層を自然に形成するように思われる。これは、
おそらく粗い表面上での均一な単層の形成は困難だという事実に起因する。しか
し、均一な表面は、より均一な単層の形成をもたらすので、「より滑らかな」表
面は、電気管路を生成するために、十分な数のEFS含有を要する。さらに、理
論によって制限されないが、単層の均一性を乱す種の含有(例えば硬質な分子を
より軟質な分子の背景に含ませることによる)は、電気管路の成因となる。ゆえ
に、「滑らかな」表面は、3つの構成要素を含む単層を含む。すなわち、絶縁体
種、EFS、および捕獲リガンドを含む種、である。ただし、ある環境(例えば
捕獲リガンドが高濃度で含まれる場合)では、捕獲リガンドはEFSとして働き
得る。この文脈での「滑らかさ」は、物理的には計測されず、むしろEFSが含
まれる場合に計測されるシグナルの増加の関数として計測される。つまり、単層
形成種に包まれた検出電極からのシグナルが、EFSを含む単層形成種に包まれ
た検出電極からのシグナルと比較される。増加は、該表面が相対的に滑らかであ
ることを示す。なぜなら、EFSの含有はETMの電極への接近を容易にするの
に役立ったからである。ここでの議論は主に金電極およびチオール含有単層形成
種に向けられたものであるが、他のタイプの電極および単層形成種を用い得ると
いうことにも留意すべきである。
【0318】 メカニズム−2システムの「電気管路」は、サンプルの構成要素が電極の表面
と直接触れる結果をもたらさないことに留意すべきである。つまり、電気管路は
、電極への物理的接近を可能にする大きい穴または孔ではない。むしろ、理論に
よって制限されないが、電気管路は、あるタイプ群のETM、特に疎水性ETM
が、単層中に十分貫通し、検出されるようになるのを可能にすると思われる。し
かし、いくつかの親水性の種を含む他のタイプ群のレドックス的に活性な種は、
電気管路が存在しても単層を貫通しない。ゆえに、一般に、サンプル中に存在し
得るレドックス的に活性な種は、電気管路による実質的なシグナルをもたらさな
い。的確なシステムはSAMの構成とETMの選択によって変化するが、一般的
に、非特異的結合を減らし、ETM検出のための十分な電気管路も有する適切な
SAMの試験は、SAMにフェロセンまたはフェロシアニド;前者はシグナルを
発すべきであり、後者は発すべきではない、を加えることである。
【0319】 したがって、メカニズム−1のシステムでは、該単層は、下記に詳しく概説す
るように、捕獲結合リガンドを含む導電性オリゴマーを含む第1の種、および絶
縁体または導電性オリゴマーのどちらかまたは両者を含む単層形成種を含む第2
の種を含有する。
【0320】 好適な実施態様では、該単層は、電気管路形成種を含む。本明細書中では、「
電気管路形成種」または「EFS」は、表面でのETMの検出を可能にする、単
層中に十分な電気管路を生成させる能力のある分子、一般的にはアルキル基のよ
うな絶縁体の分子、を意味する。一般に、EFSは以下の特質を1またはそれ以
上有する。すなわち、例えばアルキル鎖に匹敵するような、比較的硬質な分子で
ある;他の単層形成種と結晶構造的に異なる形態で電極表面に付着する(例えば
、チオール基を有する金表面に付着したアルキル鎖は大体45°の角度で付着す
ると考えられ、チオールを介して金に付着したフェニル-アセチレン鎖は90°
の角度で下がると考えられる);例えばアルキル基のような分岐基の含有、また
はポリエチレングリコール単体のような高度に柔軟な種の含有により、きっちり
と詰まった単層の形成を立体配置的に妨害するか阻害する構造を有する;または
電気管路を形成するように活性化される能力がある(例えば、光活性化によって
選択的に表面から除外されて電気管路を残す、光活性化し得る種)。
【0321】 好適なEFSは下記に定義される導電性オリゴマー、およびフェニルアセチレ
ンポリエチレングリコール種を含む。しかし、いくつかの実施態様では、EFS
は導電性オリゴマーではない。
【0322】 好適な実施態様において、単層は導電性オリゴマーを含む。本明細書において
「導電性オリゴマー」は実質的に導電性のオリゴマーを意味し、好ましくは線状
であり、そのある実施態様では文献上「分子線」という。本明細書において「実
質的に導電性」とは該オリゴマーが100Hzで電子を移動し得ることを意味す
る。一般に、導電性オリゴマーは、導電性オリゴマーの単量体単位間のように、
実質的に重なり合うπ−軌道、すなわち、共役π−軌道を有するが、導電性オリ
ゴマーは1つ以上のシグマ(σ)結合をも含んでいる。さらに、導電性オリゴマ
ーは会合したETMへの電子の注入またはETMからの受け入れ能力によって機
能的に定義することもできる。さらに、導電性オリゴマーは本明細書に定義した
絶縁体よりもより導電性である。さらに、本発明の導電性オリゴマーは電気活性
ポリマーとは区別すべきもので、これはそれ自体で電子を供与または受容できる
ものである。
【0323】 好適な実施態様において、導電性オリゴマーは約10-6ないし104Ω-1cm- 1 の導電性Sを有し、好ましくは約10-5ないし103Ω-1cm-1であって、これ
らのS値は約20Åないし約200Åの範囲の分子から計算される。以下に記載
するように、絶縁体は約10-7Ω-1cm-1以下の導電性S、好ましくは10-8Ω-1 cm-1より低い値を有する。一般的には、Gardner et al., Sensors and Actu
ators A51 (1995) 57-66 (参照により本明細書に取込む) を参照されたい。
【0324】 導電性オリゴマーの所望の性質は、高い導電性、本発明の構成物の合成と使用
のために有機溶媒および/または水への十分な溶解性、および反応に対する好適
な化学的抵抗などであるが、該反応が起こるのは、1)結合リガンド合成の際(
すなわち核酸合成であり、本発明の構成物合成に際し、導電性オリゴマーを含む
ヌクレオシドを核酸シンセサイザーに加えることができる)、2)導電性オリゴ
マーが電極に付着する際、または3)結合アッセイの際、である。さらに、自己
集合単層の形成を促進する導電性オリゴマーが好ましい。
【0325】 本発明のオリゴマーは、本明細書に記載のように、少なくとも2つの単量体サ
ブユニットを含む。下記に詳しく説明するが、オリゴマーには、ホモおよびヘテ
ロオリゴマーがあり、ポリマーも含む。
【0326】 好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、構造13に示した構造を持つ:
【化13】 当業者には理解されるとおり、ここに示した構造は全て、更なる原子または構
造を有し得る。即ち、構造13の導電性オリゴマーは、電極、遷移金属錯体、有
機ETM、およびメタロセンなどのETMに、および核酸などの結合リガンドに
、またはこれら数種に結合させることができる。特記しない限り、ここに示した
導電性オリゴマーは、その左側で電極に結合させる。つまり、構造13に記載の
ように、左側の「Y」を本明細書に記載の電極につなげる。導電性オリゴマーを
結合リガンドに結合させるとき、右側の「Y」は、存在するならば、直接的にま
たは本発明に記載のリンカーを用いて、核酸などの結合リガンドに結合させる。
【0327】 本実施態様では、Yは芳香族基であり、nは1から50の整数であり、gは1
または0のいずれかであり、eは0から10の整数であり、mは0または1であ
る。gが1のとき、B−Dは隣接した結合と共有し得る結合であり(本明細書中で
A共役結合@とよぶ)、好ましくは、アセチレン(B−Dは、好ましくはアセチ
レンから選択される共有結合である)、アルケン、置換アルケン、アミド、アゾ
、−C=N−(−N=C−、−CR=N−および−N=CR−を含む)、−Si=
Si−および−Si=C−(−C=Si−、−Si=CR−および−CR=Si−を含
む)から選択される。gが0のとき、eは好ましくは1であり、Dは好ましくはカ
ルボニルまたはヘテロ原子部であり、このヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素、ケ
イ素またはリンから選択される。そのため、適切なヘテロ原子部には、−NHお
よび−NR、式中、Rは本明細書に定義のとおりである;置換硫黄;スルホニル
(−SO2−)スルホキシド(−SO−);酸化ホスフィン(−PO−および−RPO
−);およびチオホスフィン(−PS−および−RPS−)があるが、これらに限
定されない。しかしながら、下記に概略説明するとおり、導電性オリゴマーを金
電極に結合させるような場合、硫黄誘導体は好ましくない。
【0328】 「芳香族基」またはその均等物とは、本書では、一般に5から14の炭素原子
を含む芳香族単環式または多環式炭化水素部(より大きい多環式環構造を作るこ
ともできるが)およびそれらの炭素環式ケトンまたはチオケトン誘導体で、その
遊離の原子価を持つ炭素原子が芳香族環の一員であるものを意味する。芳香族環
には、アリーレン基および2つ以上の原子を除いた芳香族基がある。本願の目的
には、芳香族は複素環を含む。「複素環」または「ヘテロアリール」とは、1か
ら5個の指定炭素原子を、窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選
択されるヘテロ原子で置換した、そしてその遊離の原子価を持つ原子が芳香族環
の一員である芳香族基、およびそれらの複素環式ケトンおよびチオケトン誘導体
を意味する。従って、複素環には、チエニル、フリル、ピロリル、ピリミジニル
、オキサリル、インドリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、チアゾリル、
イミドジル等がある。
【0329】 重要なのは、導電性オリゴマーのY芳香族基が異なっていてもよいこと、即ち
、導電性オリゴマーがヘテロオリゴマーであり得ることである。つまり、導電性
オリゴマーは、単一型のY基または複数型のY基のオリゴマーを含むことができ
る。
【0330】 芳香族基は、本書中で一般にRで表す置換基で置換できる。R基は、必要に応
じて加え、導電性オリゴマーのパッキングに影響を及ぼすことができる、即ち、
R基を用いて単層におけるオリゴマーの会合を変化させることができる。R基を
加えて、1)オリゴマーまたはオリゴマーを含む組成物の溶解度を変える;2)シ
ステムの共役または電子化学電位を変える;および3)単層表面の電荷または特
性を変えることもできる。
【0331】 好ましい実施態様では、導電性オリゴマーが3つのサブユニットより大きいと
き、R基は、溶液合成を行う場合の溶解度を高めるのに好ましい。しかしながら
、R基およびその位置は、下記のように、表面上、特に単層内での導電性オリゴ
マーのパッキングへの影響を最小限にするよう選択される。一般に、単層内では
小さいR基のみが使用され、大きいR基は一般に単層表面上にある。そのため、
例えば、単層内の導電性オリゴマー部分にメチル基を付けて溶解度を高めるのが
好ましく、例えば、C3からC10のより長いアルコキシ基を単層表面上に付け
るのが好ましい。一般に、本明細書に記載のシステムでは、このことは、一般に
、立体的に重要なR基は、単層を形成する分子の平均の長さによるが、最初の2
つまたは3つのオリゴマーサブユニットのいずれにも結合させないことを意味す
る。
【0332】 適切なR基には、水素、アルキル、アルコール、芳香族、アミノ、アミド、ニ
トロ、エーテル、エステル、アルデヒド、スルホニル、ケイ素部、ハロゲン、硫
黄含有部、リン含有部、およびエチレングリコールがあるが、これらに限定され
ない。本明細書に示した構造では、Rは、その位置が置換されていない場合は水
素である。ある位置では、2つの置換基、RおよびR'が可能であり、その場合
、RおよびR'基は同一であるかまたは異なっているかのいずれかでよい。
【0333】 「アルキル基」またはその均等物とは、直鎖状または分枝状アルキル基を意味
し、直鎖アルキル基が好ましい。分枝状ならば、1箇所以上の、特記しなければ
任意の位置で枝分かれしている。このアルキル基は、約1から約30の炭素原子
(C1−C30)の範囲であり得、好ましい実施態様では、約1から約20の炭素
原子(C1−C20)を利用し、約C1から約C12ないしC15が好ましく、C
1ないしC5が特に好ましいが、ある実施態様では、アルキル基は、もっと大き
くてもよい。アルキル基の定義の中に含まれるものには、C5およびC6環など
のシクロアルキル基や、窒素、酸素、硫黄、またはリンを持つ複素環式環もある
。アルキルはまた、好ましくは硫黄、酸素、窒素およびケイ素のヘテロ原子を持
つヘテロアルキルも含む。アルキルは、置換アルキル基も含む。「置換アルキル
基」とは、更に上記定義の1以上の置換基部「R」を含むアルキル基を意味する
【0334】 「アミノ基」またはその均等物とは、−NH2、−NHRおよび−NR2基を意
味し、Rは本明細書に定義のとおりである。
【0335】 「ニトロ基」とは、−NO2基を意味する。
【0336】 「硫黄含有部」とは、硫黄原子を含有する化合物を意味し、チア−、チオ−お
よびスルホ−化合物、チオール(−SHおよび−SR)、スルフィド(−RSR−)
、スルホキシド(−R−SO−R−)、スルフォン(−R−SO2−R−)、ジスル
フィド(−R−S−S−R−)およびスルフォニルエステル(−R−SO2−O−R
−)、があるが、これらに限定されない。「リン含有部」は、リンを含有する化
合物を意味し、ホスフィンおよびホスフェートがあるが、これらに限定されない
。「シリコン含有部」とは、シリコン含有化合物を意味する。
【0337】 「エーテル」とは、−O−R−基を意味する。好ましいエーテルはアルコキシ
基であり、−O−(CH2) 2CH3および−O−(CH2)4CH3が好ましい。
【0338】 「エステル」とは、−COOR基を意味する。
【0339】 「ハロゲン」とは、臭素、ヨウ素、塩素またはフッ素を意味する。好ましい置
換アルキルは、部分的にまたは全体的にハロゲン化したアルキル、例えばCF3
等である。
【0340】 「アルデヒド」とは、−RCOH基を意味する。
【0341】 「アルコール」とは、−OH基およびアルキルアルコール−ROHを意味する
【0342】 「アミド」とは、−RCONH−またはRCONR−基を意味する。
【0343】 「エチレングリコール」または「(ポリ)エチレングリコール」とは、−(O−
CH2−CH2)n−基を意味するが、エチレン基の各炭素原子は、一重にまたは二
重に置換されていてもよく、即ち、−(O−CR2−CR2)n−、但しRは上記定
義のとおりである、であってよい。酸素の位置に他のヘテロ原子を持つエチレン
グリコール誘導体(即ち、−(N−CH2−CH2)n−または−(S−CH2−CH2)n −または置換基を持つ)も好ましい。
【0344】 好ましい置換基には、メチル、エチル、プロピル、−O−(CH2)2CH3およ
び−O−(CH2)4CH3などのアルコキシ基およびエチレングリコールおよびそ
れらの誘導体があるが、これらに限定されない。
【0345】 好ましい芳香族基には、フェニル、ナフチル、ナフタレン、アントラセン、フ
ェナントロリン、ピロール、ピリジン、チオフェン、ポルフィリンおよび縮合環
誘導体を含むこれらそれぞれの誘導体があるが、これらに限定されない。
【0346】 本明細書に示した導電性オリゴマーでは、gが1のとき、B−Dは2つの原子
または化学部分をつなげる結合である。好ましい実施態様では、B−Dは、重複
または共役π軌道を含有する共役結合である。
【0347】 好ましいB−D結合は、アセチレン(−C≡C−、アルキンまたはエチンとも
呼ばれる)、アルケン(−CH=CH−、エチレンとも呼ばれる)、置換アルケン(
−CR=CR−、−CH=CR−および−CR=CH−)、アミド(−NH−CO
−および−NR−CO−または−CO−NH−および−CO−NR−)、アゾ(−
N=N−)、エステルおよびチオエステル(−CO−O−、−O−CO−、CS−
O−および−O−CS−)および他の共役結合(−CH=N−、−CR=N−、−
N=CH−および−N=CR−)、(−SiH=SiH−、−SiR=SiH−、−S
iH=SiR−、およびSiR=SiR−)、(−SiH=CH−、−SiR=CH−、
−SiH=CR−、−SiR=CR−、−CH=SiH−、−CR=SiH−、−C
H=SiR−および−CR=SiR−)などから選択される。特に好ましいB−D
結合は、アセチレン、アルケン、アミドおよびこれら3種の置換誘導体およびア
ゾである。とりわけ好ましいB−D結合は、アセチレン、アルケンおよびアミド
である。二重結合に結合させたオリゴマー成分は、トランスまたはシス配置、ま
たは混合型であってよい。そのため、BまたはDのいずれかは、炭素、窒素また
はケイ素を含むことができる。置換基は、上記Rのところで定義したとおりであ
る。
【0348】 構造1導電性オリゴマーでg=0のとき、eは好ましくは1であり、D部分は
上記定義のカルボニルまたはヘテロ原子部分であり得る。
【0349】 上記Y環のように、どの単一導電性オリゴマー内でも、B−D結合(またはg=
0のときD部分)は、全て同じでもよく、または少なくとも1つが異なっていて
もよい。例えば、mが0のとき、末端B−D結合は、アミド結合であることがで
き、残りのB−D結合はアセチレン結合であることができる。一般に、アミド結
合が存在するとき、アミド結合はできるだけ少ない方が好ましいが、ある実施態
様では、全てのB−D結合がアミド結合である。よって、上記Y環のところで概
略説明したとおり、単層内ではある一つの型のB−D結合が導電性オリゴマー中
に下記のように存在でき、そして、単層レベル上に別の型のB−D結合、例えば
核酸が導電性オリゴマーを介して結合している場合核酸ハイブリダイゼーション
により大きな柔軟性を与えるために存在できる。
【0350】 本明細書に示した構造中、nは1から50の整数であるが、より長いオリゴマ
ーもまた使用できる(例えば、Schumm et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 19
94 33(13): 1360参照)。理論に縛られることなく、表面上での効率のよい核酸ハ
イブリダイゼーションのためには、ハイブリダイゼーションが表面から少し離れ
て起こるべきであり、ハイブリダイゼーション速度は、特に200から300塩
基対の長いオリゴヌクレオチドの場合、表面からの距離の関数として上昇すると
思われる。従って、核酸が導電性オリゴマーを介して結合しているとき、以下で
より詳しく記すように、導電性オリゴマーの長さは、その核酸の最も近いヌクレ
オチドが電極表面から約6Åから約100Å(但し、500Åまでの距離が使用
できる)に位置するような長さであり、約15Åから約60Åが好ましく、約2
5Åから約60Åも好ましい。従って、nは芳香族基のサイズ応じて変わるが、
一般に、約1から約20であって、約2から約15が好ましく、約3から約10
が特に好ましい。
【0351】 本明細書に示した構造中、mは0または1のいずれかである。つまり、mが0
のとき、導電性オリゴマーの末端には、B−D結合またはD部分があり、即ち、
D原子が直接的かまたはリンカーを介するかのいずれかで核酸に結合している。
ある実施態様では、例えば、導電性オリゴマーを核酸のリボース−ホスフェート
主鎖のホスフェートに結合させるとき、導電性オリゴマーと核酸の間に結合させ
たリンカーなどの別の原子があってもよい。更に、下記に概略説明するとおり、
D原子は、アミノ修飾リボースの窒素原子であり得る。あるいは、mが1のとき
、導電性オリゴマーの末端にはY、芳香族基があり、即ち、その芳香族基は、核
酸またはリンカーに結合している。
【0352】 当業者には明らかなように、多数の導電性オリゴマーが利用できる。これらは
、例えば、縮合芳香族環または、−(CF2)n−、−(CHF)n−および−(CFR
)n−などのテフロン(登録商標)様オリゴマーを含む化合物などの当分野で知ら
れている他の導電性オリゴマーと同じく、構造1や構造8式の範囲内にある導電
性オリゴマーを含む。例えば、Schumm et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 3
3: 1361 (1994); Grosshenny et al., Platinum Metals Rev. 40 (1): 26-35 (1
996); Tour, Chem. Rev. 96: 537-553 (1996); Hsung et al., Organometallics
14: 4808-4815 (1995);およびここに引用されている文献参照、これらは全ては
っきりと出典明示により本明細書に組込まれている。
【0353】 本実施態様の特に好ましい導電性オリゴマーは、下記である:
【化14】 構造14は、gが1のときの構造13である。構造14の好ましい実施態様に
は、eが0であり、Yがピロールまたは置換ピロールであるもの;eが0であり
、Yがチオフェンまたは置換チオフェンであるもの;eが0であり、Yがフラン
または置換フランであるもの;eが0であり、Yがフェニルまたは置換フェニル
であるもの;eが0であり、Yがピリジンまたは置換ピリジンであるもの;eが
1であり、B−Dがアセチレンであり、Yがフェニルまたは置換フェニルである
もの(例えば、下記構造16参照)がある。構造14の好ましい実施態様はまた、
下記構造15に示した、eが1である場合のものである:
【0354】 構造15
【化15】 構造15の好ましい実施態様は、Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B
−Dがアゾであるもの;Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−Dがアセ
チレンであるもの;Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−Dがアルケン
であるもの;Yがピリジンまたは置換ピリジンであり、B−Dがアセチレンであ
るもの;Yがチオフェンまたは置換チオフェンであり、B−Dがアセチレンであ
るもの;Yがフランまたは置換フランであり、B−Dがアセチレンであるもの;
Yがチオフェンまたはフラン(または置換チオフェンまたはフラン)であり、B−
Dがアルケンおよびアセチレン交互の結合であるものである。
【0355】 本明細書に示した構造の殆どが構造15の導電性オリゴマーを利用している。
しかしながら、どの構造15オリゴマーも、本明細書中の他の構造、即ち構造1
3または20オリゴマー、または他の導電性オリゴマーで置換でき、かかる構造
15の使用は、本発明の範囲を限定する意味を持たない。
【0356】 構造15の特に好ましい実施態様は、下記の構造16、17、18および19
を含む: 構造16
【化16】
【0357】 構造16の特に好ましい実施態様には、nが2であり、mが1であり、Rが水
素であるもの;nが3であり、mが0であり、Rが水素であるもの、および溶解
度を高めるためのR基の使用がある。
【0358】 構造17
【化17】 構造17のようにB−D結合がアミド結合であるとき、導電性オリゴマーは、
擬似ペプチドオリゴマーである。構造17中のアミド結合は、カルボニルを左側
にして、即ち、CONH−で示すが、逆、即ち−NHCO−も使用できる。構造
17の特に好ましい実施態様には、nが2であり、mが1であり、Rが水素であ
るもの;nが3であり、mが0であり、Rが水素であるもの(この実施態様では
、末端窒素(D原子)はアミノ修飾リボースの窒素であり得る)、および溶解度を
高めるためのR基の使用がある。
【0359】 構造18
【化18】 構造18の好ましい実施態様には、第1のnが2であり、第2のnが1であり
、mが0であり、全てのR基が水素であるもの、または溶解度を高めるためのR
基の使用がある。
【0360】 構造19
【化19】 構造19の好ましい実施態様には、第1のnが3であり、第2のnが1−3で
あり、mが0または1のいずれかであるもの、および溶解度を高めるためのR基
の使用がある。
【0361】 好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、構造20で示した構造を持つ:
構造20
【化20】
【0362】 この実施態様では、Cは炭素原子であり、nは1から50の整数であり、mは
0または1であり、Jは酸素、窒素、ケイ素、リン、硫黄、カルボニルまたはス
ルホキシドからなる群から選択されるヘテロ原子であり、Gはアルカン、アルケ
ンまたはアセチレンから選択される結合であって、2つの炭素原子と一緒になっ
てC−G−C基がアルケン(−CH=CH−)、置換アルケン(−CR=CR−)ま
たはそれらの混合物(−CH=CRまたは−CR=CH−)、アセチレン(−C≡
C−)またはアルカン(−CR2−CR2−、Rは水素または本明細書に記載の置換
基のいずれかである)であるようにする。各サブユニットのG結合は、他のサブ
ユニットのG結合と同一かまたは異なっていてもよく、つまり、アルケンとアセ
チレン結合が交互にあるオリゴマーが使用できる。しかしながら、Gがアルカン
結合であるとき、オリゴマー中のアルカン結合数は最小に維持すべきであり、導
電性オリゴマー当りシグマ結合約6以下が好ましい。アルケン結合が好ましく、
本明細書に総括的に示しているが、アルカンおよびアセチレン結合は、当業者に
は明らかなように、本明細書に記載したどの構造または実施態様でも置換できる
【0363】 ある実施態様では、例えば、ETMが存在しないとき、m=0ならば少なくと
も1つのG結合はアルカン結合である。
【0364】 好ましい実施態様では、構造20のmは0である。特に好ましい実施態様では
、構造21に示したように、mは0であり、Gはアルケン結合である: 構造21
【化21】
【0365】 構造21のアルケンオリゴマーおよび本明細書に示した別のものは、一般に、
好ましいトランス配置で示しているが、シスまたはトランスとシスの混合したオ
リゴマーも使用できる。上記のように、R基を加えて、電極上での組成物のパッ
キング、オリゴマーの親水性または疎水性、およびオリゴマーの柔軟性、即ち、
回転、ねじれ、または縦の柔軟性を変えることができる。nは上記定義のとおり
である。
【0366】 好ましい実施態様では、Rは水素であるが、Rはアルキル基およびポリエチレ
ングリコールまたは誘導体であってもよい。
【0367】 別の実施態様では、導電性オリゴマーは、異なる型のオリゴマー、例えば、構
造13や20の混合物であってもよい。
【0368】 さらに、特にメカニズム−2システムと共に使用するためには、該単層は導電
性オリゴマーを含み、少なくともいくつかの導電性オリゴマーの末端は、電気的
に露出している。本明細書中で「電気的に露出している」とは、末端にETMを
極めて近接して配置し、適切なシグナルで起動すると、ETMの存在に依存する
シグナルが検出され得ることを意味する。導電性オリゴマーは末端基を有してい
ても有していなくてもよい。従って、好ましい実施態様では、余分な末端基がな
く、導電性オリゴマーはその末端が、例えばアセチレン結合などのB−D結合の
ような基の1つで終る構造を示す。あるいは、好ましい実施態様では、本明細書
中でしばしば「Q」として示す末端基を加える。末端基はいくつかの理由、例え
ば、ETMの検出用の導電性オリゴマーの電子的利用可能性を改善するために、
またはSAMの表面を例えば非特異的結合を防ぐなどの他の事由によって変える
ために、使用することができる。例えば、標的被検体が核酸である場合、ハイブ
リダイゼーションを促進するために、末端で陰性に荷電した基として陰性荷電表
面を形成させ、核酸がDNAまたはRNAである場合、核酸が表面上に着地する
のに反発するか、妨げるようにし得る。好ましい不動態化剤末端基は、−NH2
、−OH、−COOH、−CH3等のアルキル基、および、(ポリ)エチレングリ
コールのような(ポリ)アルキルオキサイドを含み、−OCH2CH2OH、−(O
CH2CH2O)2H、−(OCH2CH2O)3H、および−(OCH2CH2O)4Hが好
ましい。
【0369】 一実施態様において、異なるタイプの末端基を有する導電性オリゴマーの混合
物を使用することが可能である。従って、例えば、いくつかの末端基は検出を容
易にし、いくつかは非特異的結合を防止し得る。
【0370】 単層は異なる導電性オリゴマー種を含み得るが、適度に同一なSAMが形成さ
れ得るように、異なる種を選択するのが好ましいことが、理解されるであろう。
従って、例えば、核酸などの捕獲結合リガンドを導電性オリゴマーを用いて電極
に共有結合させるとき、核酸を付着するのに使われる1つのタイプの導電性オリ
ゴマーと、ETMを検出するために機能する別のタイプを用いることが可能であ
る。同様に、異なる長さの導電性オリゴマーの混合物を単層に有して、非特異的
シグナルの減少を促進するのが望ましい。従って、例えば、好ましい実施態様は
、単層の残部の表面下、つまり使用されているなら、絶縁層の下で、または他の
導電性オリゴマーの特定のフラクション下で終わる導電性オリゴマーを利用する
。同様に、異なる導電性オリゴマーを使用して、単層の形成を容易にしたり、別
の特性を持つ単層をつくることもできる。
【0371】 好ましい実施態様において、単層はさらに絶縁部を含み得る。本明細書におけ
る「絶縁体」とは、実質的に非導電性オリゴマーを意味し、好ましくは線状であ
る。本明細書において、「実質的に非導電性」とは、絶縁体が100Hzで電子
を伝達しないことを意味する。絶縁体を介した電子伝達の比率は、好ましくは本
明細書に記載の導電性オリゴマーを介した比率よりも遅い。
【0372】 好ましい実施態様において、絶縁体は、約10-7Ω-1cm-1以下の導電率Sを有
し、約10-8Ω-1cm-1より低いのが好ましい。一般にGardner et al.(前掲)を
参照。
【0373】 通常、絶縁体はシグマ結合を有する、アルキルまたはヘテロアルキルオリゴマ
ーまたは部分であるが、いずれの具体的な絶縁体分子も芳香族基または1以上の
共役結合を含み得る。本明細書において「ヘテロアルキル」とは、少なくとも1
つのヘテロ原子、つまり鎖に含まれた窒素、酸素、硫黄、リン、シリコンまたは
ホウ素を有するアルキル基を意味する。あるいは、絶縁体は、好ましくは電子伝
達を実質的に阻害するかまたは遅らせる1以上のヘテロ原子または結合を添加し
た導電性オリゴマーと非常に類似であり得る。
【0374】 適切な絶縁体は当業者に既知であり、−(CH2)n−、−(CRH)n−および
−(CR2)n−、エチレングリコールまたは酸素の代わりの他のヘテロ原子、つ
まり窒素または硫黄(電極が金のとき、硫黄誘導体は好ましくない)を用いる誘導
体を含むが、これらに限定しない。
【0375】 導電性オリゴマーについて、絶縁体は本明細書に定義のR基で置換され得、電
極でのその部分または導電性オリゴマーのパッキング、絶縁体の親水性または疎
水性、および絶縁体の柔軟性、すなわち回転の、捩れのまたは縦の柔軟性を変え
る。例えば、分枝アルキル基を使用し得る。同様に、上記概説のように絶縁体は
特に単層の表面に作用する末端基を含み得る。
【0376】 単層をつくる種の長さは必要に応じて変化する。上記に概説のように、標的被
検体の結合(例えば核酸のハイブリダイゼーション)は、表面から離れてより有効
であるように見える。核酸が結合する種(下記に概説のように、これらは絶縁体
または導電性オリゴマーのいずれかであり得る)は、基本的に単層を形成する種
と同じ長さかそれらより長く、捕獲結合リガンドがハイブリダイゼーションのた
めの溶媒により接近可能となる。いくつかの実施態様において、捕獲結合リガン
ドが結合する導電性オリゴマーは単層より短い。
【0377】 当業者には明らかなように、単層をつくる異なる種の実際の組合せと比率は、
非常に広範に変化し得、そしてメカニズム−1またはメカニズム−2のどちらが
使用されているかに依存する。これらを以下で詳記する。一般に、メカニズム−
2システムでは3成分システムが好ましく、第1の種は、種を含有する捕獲結合
リガンド(標的被検体が核酸である場合、捕獲プローブという)を含み、絶縁体ま
たは導電性オリゴマーのいずれかを介して電極に結合している。第2の種は導電
性オリゴマーであり、第3の種は絶縁体である。この実施態様において、第1の
種は約90%から約1%を含み得、約20%から約40%が好ましい。標的被検
体が核酸である場合、約30%から約40%が短いオリゴヌクレオチド標的に特
に好ましく、約10%から約20%が長い標的に好ましい。第2の種は約1%か
ら約90%を含み得、約20%から約90%が好ましく、約40%から約60%
が特に好ましい。第3の種は約1%から約90%を含み得、約20%から約40
%が好ましく、約15%から約30%が特に好ましい。第1:第2:第3の種の
好ましい比率は、短い標的については2:2:1、長い標的については1:3:
1であり、全チオール濃度(これらの種との結合に使用する場合、以下で詳記)は
、500μMから1mMの範囲および833μMが好ましい。
【0378】 あるいは、第1種および第2種を含む2成分システムを使用することができる
。ある実施態様では、メカニズム−1またはメカニズム−2のシステムのどちら
かでの使用のために、2成分は、第1および第2の種である。この実施態様にお
いて、第1の種は約1%から約90%を含み得、約10%から約40%が好まし
く、約10%から約40%が特に好ましい。第2の種は約1%から約90%を含
み得、約10%から約60%が好ましく、約20%から約40%が特に好ましい
。あるいは、メカニズム−1システムでは、2成分は第1および第3の種である
。この実施態様において、第1の種は約1%から約90%を含み得、約10%か
ら約40%が好ましく、約10%から約40%が特に好ましい。第2の種は約1
%から約90%を含み得、約10%から約60%が好ましく、約20%から約4
0%が特に好ましい。
【0379】 導電性オリゴマーと絶縁体の電極への共有結合は、様々な方法で達成され、使
用する電極、および絶縁体と導電性オリゴマーの組成に依存する。核酸種(捕獲
および検出プローブ)を電極に共有結合により付着するために用いられる付着リ
ンカー(これは絶縁体および導電性オリゴマーを含み得る)は、同様に取り付け
られる。従って、付着リンカーの一方の端または末端がヌクレオシドまたは核酸
に付着しており、もう一方が電極に付着している。ある実施態様では末端以外の
位置で付着する付着リンカーを用いるか、またはさらに、一方の末端で電極に付
着し、他の末端で2またはそれ以上のヌクレオシドに付着する分枝付着リンカー
を用いることを望み得るが、これは好ましくない。同様に、一般に構造23−2
5に記載されるように、付着リンカーは2つの部位で電極に付着し得る。一般に
構造22でAとして下記に示すように、あるタイプのリンカーが使用される。構
造22において、「X」は導電性オリゴマー、「I」は絶縁体であり、斜線の表
面は電極である:
【化22】
【0380】 本実施態様において、Aはリンカーまたは原子である。「A」の選択は、電極
の特徴に一部依存する。従って、例えば、金電極を使用する場合、Aは硫黄部で
ある。あるいは、酸化金属電極を使用するとき、Aはオキサイドの酸素に付着し
たシリコン(シラン)部である(例えば、Chen et al., Langmuir 10: 3332-3337 (
1994); Lenhard et al., J. Electroanal. Chem. 78: 195-201 (1977)参照、両
方とも出典明示により本明細書の一部とする)。炭素ベースの電極を使用すると
き、Aはアミノ部である(好ましくは、1級アミン;例えば、Deinhammer et al.
, Langmuir 10: 1306-1313 (1994)参照)。従って、好ましいA部は、シラン部、
硫黄部(アルキル硫黄部を含む)およびアミノ部を含むが、これらに限定されない
。好ましい実施態様において、当分野で既知のようなレドックスポリマーとのエ
ポキシドタイプ結合は使用しない。
【0381】 本明細書には一つの部分としてしか記載していないが、絶縁体および導電性オ
リゴマーは、1個以上の「A」部で電極と付着し得る;「A」部は同一または異
なり得る。従って、例えば、電極が金電極であり、「A」が硫黄原子または部分
であるとき、一般に下記構造構造23、24および25に記載のように、複数の
硫黄原子が、電極に導電性オリゴマーを付着させるのに使用し得る。当業者に認
められるように、このような他の構造が製造できる。構造23、24および25
において、A部は硫黄原子だけであるが、置換硫黄部も使用し得る。
【0382】
【化23】
【0383】
【化24】
【0384】
【化25】
【0385】 構造25と同様に、3つの硫黄部が電極に付着している一つの炭素原子で終了
する導電性オリゴマーを有することが可能であることも留意すべきである。さら
に本明細書に必ずしも記載されていないが、導電性オリゴマーと絶縁体はまた「
Q」末端基を含み得る。
【0386】 好ましい実施態様において、電極は金電極であり、付着は当分野で既知のよう
に硫黄結合を介しており、すなわち、A部は硫黄原子または部分である。金−硫
黄結合の正確な特徴は知られていないが、この結合は本発明のためには、共有結
合と考える。代表的な構造は構造15の導電性オリゴマーを用いて構造26に記
載するが、本明細書に記載のすべての構造について、いずれの導電性オリゴマー
または導電性オリゴマーの組合せも使用し得る。同様にいずれの導電性オリゴマ
ーまたは絶縁体も本明細書に記載の末端基を含み得る。構造26は、「A」リン
カーが硫黄原子のみを含むように記載しているが、他の原子も存在し得る(すな
わち、硫黄から導電性オリゴマーへのまたは置換基へのリンカー)。さらに、構
造26は、Y芳香族基に付着した硫黄原子を表わしているが、当業者に明らかで
あろうように、B−D基(すなわち、アセチレン)と同様に付着したものであって
もよい。
【0387】
【化26】
【0388】 一般的に、チオール結合は2組の電極を両方共使用する場合に好ましく(すな
わち、SAMを含む検出電極は高い電気泳動電圧(すなわち、800または90
0mVより高い)ではチオール結合が酸化されてSAMが失われるため、使用さ
れない)、1組の電極を使用する場合は、下に概略説明するように低い電気泳動
電圧を使用する。
【0389】 好ましい実施態様において、電極は炭素電極、すなわち、ガラス状炭素電極で
あり、付着はアミン基の窒素原子を介している。代表的な構造を構造27に示す
。また別の原子が存在し得、すなわち、ZタイプリンカーおよびXまたは末端基
であり得る。
【化27】
【0390】
【化28】
【0391】 構造28において、酸素原子は金属酸化物電極の酸化物からのものである。S
i原子は他の原子を含んでもよく、すなわち、置換基含有のケイ素部分であって
もよい。他の電極に対するSAMの他の付着は技術上既知である;例えば、イン
ジウム酸化スズ電極に対する付着、およびインジウム酸化スズ電極に対するリン
酸エステルの化学吸着についてはNapier et al., Langmuir, 1997参照(CHI
会議(1998年5月4〜5日)でのH. Holden Thorpeの講演)。
【0392】 好ましい実施態様では、電極はアッセイ複合体を電極につなぎとめるための捕
獲プローブ(メカニズム−1またはメカニズム−2のどちらかに使用される)か
、検出プローブ(メカニズム−1システム用)かのどちらでも含む。捕獲プロー
ブは検出に使われないため、捕獲プローブは、下記のように、導電性オリゴマー
または絶縁体を含有し得る付着リンカーを用いて付着させてもよい。メカニズム
−1システムの検出プローブは、導電性オリゴマーを用いて付着させる。
【0393】 捕獲プローブ核酸は、導電性オリゴマー(メカニズム−1システム)であるか、
または絶縁体を介している「付着リンカー」を介して電極に共有結合により付着
している。本明細書において「共有結合により付着する」とは、2つの部分が少
なくとも1つの結合により付着していることを意味し、該結合はシグマ結合、パ
イ結合および配位結合を包含する。
【0394】 このようにして、付着リンカーの一端を核酸(あるいは他の結合リガンド)に付
着させ、他端(当業者が認めるところであるが、いずれの場合にも正確な末端で
ある必要はない)を電極に付着させる。このように、本明細書中に描出した構造
のいずれも、さらに末端基として有効な核酸を含み得る。このように、本発明は
、下記構造29に一般的に描出したように、電極に共有結合により付着した核酸
を含む組成物を提供する。
【0395】
【化29】
【0396】 構造29において、左側の斜線記号は、電極を表す。本明細書に定義するよう
に、Xは導電性オリゴマーであり、Iは絶縁体である。F1は、電極および導電
性オリゴマーまたは絶縁体の共有結合をもたらす結合であり、本明細書に記載さ
れ、例えば下記に「A」と定義されるように、結合、原子またはリンカーを含む
。F2は、核酸に導電性オリゴマーまたは絶縁体を共有結合させる結合であり、
本明細書に記載のように結合、原子または結合であり得る。F2は、例えば本明
細書で「Z」について定義するように、導電性オリゴマーの一部、絶縁体の一部
、核酸の一部であり得、または両方に外来性であり得る。
【0397】 本発明のSAMは種々の方法、例えば、有機溶液からの析出および水性溶液か
らの析出などにより作製し得る。本明細書にて概説した方法では、例として金電
極を使用するが、当業者が認めるように、他の金属および方法も同様に使用し得
る。好適な一実施態様においては、インジウム−スズ−酸化物(ITO)が電極
として用いられる。
【0398】 好適な実施態様において、金表面は先ず洗浄する。様々な洗浄手法が採用可能
であり、例えば、これらに限定されるものではないが、化学的洗浄またはエッチ
ング用試薬(ピランハ(Piranha)溶液(過酸化水素/硫酸)または王水(塩酸
/硝酸))、電気化学的方法、火炎処理、プラズマ処理またはそれらの併用など
である。
【0399】 洗浄に続いて、金基板をSAM種に露呈する。電極がITOである場合、SA
M種はリン酸エステル含有種である。この処理も様々な方法で実施し得るもので
あり、例えば、溶液析出、気相析出、微小接触プリンティング、スプレー析出、
ニート成分を用いる析出などであるが、これらに限定されるものではない。好適
な実施態様では、溶液中で種々のSAM種、一般にはチオール含有種の混合物を
含む析出溶液を利用する。核酸を含む混合単層は通常2工程手法を用い調製する
。チオール化核酸は(一般に少なくとも1種の他の単層形成種の存在下)最初の
析出工程に際し析出し、混合単層形成はDNAを含まない第2チオール溶液を加
える第2工程の間に完結する。第2工程は多くの場合、単層再構成を促進するた
めの緩和な加熱を含む。
【0400】 好適な実施態様において、析出溶液は有機析出溶液である。この実施態様にお
いて、清浄金表面は清浄バイアル中に入れる。有機溶媒中の結合リガンド析出溶
液は、総チオール濃度がマイクロモルと飽和の間にあるように調製する;好適な
範囲は約1μMないし10mMであり、特に好ましくは約400μMないし1.
0mMである。好適な実施態様において、析出溶液はチオール修飾DNA(すな
わち、付着リンカーに付着した核酸)およびチオール希釈分子(電導性オリゴマ
ーまたは絶縁体であるが、後者が好ましい)を含有する。核酸と希釈剤(もしあ
るとすれば)との比は通常1000:1と1:1000との間であり、好ましく
は約10:1ないし約1:10であり、特に好ましいのは1:1である。好適な
溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド
(DMF)、エタノール、またはその混合物である;一般に、捕獲リガンドを溶
解するのに十分な極性の溶媒であれば、その溶媒が表面と反応するような官能基
をもたない限り、使用可能である。十分な核酸析出溶液をバイアルに加えて電極
の表面を完全に蔽うようにする。この金基板は外界温度または外界温度より少し
高い温度で、数秒ないし数時間、好ましくは5分ないし30分間インキュベート
する。最初のインキュベーション後、析出溶液を取出し、希釈分子のみの有機溶
媒溶液(約1μMないし10mM,好ましくは約100μMないし約1.0mM)
を添加する。金基板は室温または室温以上の温度で所定時間(数秒ないし数日、
好ましくは約10分ないし約24時間)インキュベートする。金サンプルを溶液
から取出し、清浄な溶媒にすすいで使用する。
【0401】 好適な実施態様においては、水性析出溶液を用いる。上記のように、清浄金表
面を清浄バイアル内に入れる。核酸の析出水性溶液は総チオール濃度が約1μM
と10mMの間、好ましくは約1μMないし200μMであるように調製する。
水性溶液は多くの場合、塩を存在させている(飽和まで、好ましくは約1Mであ
る)が、精製水が使用し得る。析出溶液はチオール修飾核酸およびしばしばチオ
ール希釈分子を含有する。核酸と希釈剤との比は通常1000:1と1:100
0との間であり、好ましくは約10:1ないし約1:10であり、特に好ましい
のは1:1である。核酸析出溶液は電極の表面を完全に蔽うような容量でバイア
ルに加える。この金基板を外界温度または外界温度より少し高い温度で1〜30
分間インキュベートするが、通常5分で十分である。最初のインキュベーション
後、析出溶液を取出し、希釈分子のみ(10μMないし1.0mM)の水性溶液
または有機溶媒溶液を添加する。金基板は室温または室温以上の温度で、完全な
単層が形成されるまで(10分〜24時間)インキュベートする。金サンプルを
溶液から取出し、清浄な溶媒にすすいで使用する。
【0402】 好適な実施態様においては、本明細書に説明するように、回路基板が金電極用
の基板として使用される。金表面上SAMの形成は、先ず基板を、本明細書に記
載のように、例えば、10%硫酸溶液中30秒間、界面活性剤溶液、王水、プラ
ズマなどで清浄とすることにより一般に実施する。硫酸処理に続いて、基板は、
例えば、2個のミリ−Q水浴にそれぞれ1分間浸漬することにより洗浄する。こ
の基板を次いで、例えば、窒素気流下に乾燥する。基板上に析出溶液をスポット
するには、相当数の既知スポット・システムを用い、一般には基板をX−Yテー
ブル上に置き、調湿チャンバー中で実施する。スポット滴のサイズは基板上の電
極サイズと溶液送達に使用する器具により変わる;例えば、250μMサイズの
電極では、30ナノリットルの液滴が用いられる。この容量は電極表面を完全に
蔽うのに十分でなければならない。液滴は室温で所定時間(秒ないし一夜である
が、5分間が好適)インキュベートし、次いでミリ−Q水浴中ですすぐことによ
り液滴を除去する。基板は次いで、好ましくは、第2析出溶液、一般に有機溶媒
、好ましくはアセトニトリル中に絶縁体を含む溶液により、45℃の浴に浸漬す
ることによって処理する。30分後、基板を取出し、アセトニトリル浴に30秒
間浸漬し、次いでミリ−Q水浴中30秒間浸漬する。基板を窒素気流下に乾燥す
る。
【0403】 好ましい実施態様では、電極は、核酸捕獲プローブをさらに有する導電性オリ
ゴマーを包含する単層を含む。捕獲プローブ核酸は電極に共有結合により付着さ
せる。この付着は導電性オリゴマーを介するか、または絶縁体を介することがで
きる。本明細書中の「捕獲プローブ」または「アンカープローブ」は、本明細書
中で定義されるように、検出のために標的配列を電極に付着させることを可能に
する、アッセイ複合体の構成要素を意味する。以下に詳しく概説するように、捕
獲プローブへの標的配列の付着は直接的(すなわち、標的配列が捕獲プローブに
ハイブリダイズする)でも間接的(1またはそれ以上の捕獲エクステンダープロ
ーブが使用される)でもよい。本明細書中では、「共有結合により付着している
」は、2つの部分が、シグマ結合、pi結合および配位結合を含む少なくとも1
つの結合により付着していることを意味する。さらに、以下により詳しく概説す
るように、捕獲プローブは、核酸および非核酸部分の両方を有してもよい。ゆえ
に、例えば、ポリエチレングリコールリンカーを含む、アルキル基のような柔軟
なリンカーが、核酸部分を電極表面から離しておくために使われ得る。これは標
的核酸が大きいとき、例えばゲノムDNAまたはrRNAが標的のときに、特に
有用である。
【0404】 好適な実施態様において、捕獲プローブ核酸は、導電性オリゴマーを介して電
極に共有結合により付着している。核酸と導電性オリゴマーの共有結合付着は、
幾つかの方法で達成することができる。好適な実施態様において、その付着は下
記説明のように、ヌクレオシド塩基への付着によるか、核酸の主鎖(リボース、
リン酸エステル、または核酸類似体主鎖の類似基)への付着によるか、または遷
移金属リガンドへの付着による。下に概説する技法は一般に天然に存在する核酸
について説明しているが、当業者も認めるように、同様の技法は核酸類似体にも
使用し得、そして幾つかの場合では他の結合リガンドを使用することができる。
【0405】 好適な実施態様において、導電性オリゴマーは核酸のヌクレオシド塩基に付着
させる。これは下記説明のように、オリゴマーの種類に応じて幾つかの方法で実
施し得る。一実施態様において、オリゴマーは末端のヌクレオシド、すなわち、
核酸の3’または5’ヌクレオシドに付着させる。あるいは、導電性オリゴマー
を内部ヌクレオシドに付着させる。
【0406】 塩基への付着点は塩基により異なる。一般に、いずれの位置での付着も可能で
ある。一部の実施態様では、例えば、ETMを含むプローブがハイブリダイゼー
ション(すなわち、メカニズム−1システム)に使用される場合、相補塩基の水素
結合に関与しない位置に付着させるのが好ましい。このように、例えば、一般に
付着はウリジン、シトシンおよびチミンなどのピリミジン類の5または6位置に
対するものである。アデニンおよびグアニンなどのプリン類については、結合は
、好ましくは8位置を介する。非標準の塩基に対する付着は、相当する位置で好
適になされる。
【0407】 一実施態様において、付着は直接的である;すなわち、導電性オリゴマーと塩
基の間に介在する原子はない。この実施態様において、例えば、末端アセチレン
結合を有する導電性オリゴマーを塩基に直接付着させる。構造30はこの結合の
一例であり、ここでは構造15の導電性オリゴマーと塩基としてウリジンを使用
しているが、当業者も認めるように、他の塩基と導電性オリゴマーを使用するこ
ともできる。
【化30】
【0408】 本明細書に示したペントース構造には、水素、ヒドロキシ、ホスフェートまた
はアミノ基などの他の基が付着していることに留意すべきである。更に、本明細
書に示したこのペントースおよびヌクレオシド構造は、通常表現の鏡像として非
慣用的に示す。更に、ペントースおよびヌクレオシド構造はまた、任意の位置に
、例えば、合成中に必要に応じて、保護基などの新たな基を含有できる。
【0409】 加えて、塩基は、必要に応じて更なる修飾を含むこともあり、即ち、カルボニ
ルまたはアミン基を変更したり、保護することもできる。
【0410】 別の実施態様では、付着は、一般に、塩基としてウリジンおよび構造15のオ
リゴマーを用いる構造31に示したように、アミドおよびアミン結合を含む、多
くの異なるZ−リンカーを介する:
【化31】
【0411】 この実施態様では、Zはリンカーである。好ましくは、Zは約1から約10原
子の短いリンカーであり、1から5原子が好ましく、アルケン、アルキニル、ア
ミン、アミド、アゾ、イミンなどの結合を含有してもよく、含有しなくてもよい
。リンカーは当分野では知られており、例えば、よく知られているとおり、ホモ
またはヘテロ二官能性リンカーである(1994 Pierce Chemical Company catalog,
technical section on cross-linker, pages 155-200参照、出典明示により本
明細書の一部とする)。好ましいZリンカーには、アルキル基(置換アルキル基
およびヘテロ原子部分を含有するアルキル基を含む)があるが、これらに限定さ
れず、好ましいのは、短いアルキル基、エステル、アミド、アミン、エポキシ基
およびエチレングリコールおよび誘導体であり、特に好ましいのは、プロピル、
アセチレンおよびC2アルケンである。Zはまた、スルホン基であってもよく、
下記のようにスルホンアミド結合を形成する。
【0412】 好ましい実施態様では、核酸と導電性オリゴマーの付着は、核酸主鎖への付着
を介して行う。これは、リボース−ホスフェート主鎖のリボースへの付着または
主鎖のホスフェートへの付着、または類似主鎖の他の基への付着を含む多くの方
法で実施できる。
【0413】 予備事項として、下記に十分説明するように、本実施態様における結合部位は
、3'または5'末端ヌクレオチド、または内部ヌクレオチドであると理解される
べきである。
【0414】 好ましい実施態様では、導電性オリゴマーをリボース−ホスフェート主鎖のリ
ボースへ付着させる。これは、幾つかの方法で実施できる。当分野では知られて
いるように、リボースの2'または3'位のいずれかにアミノ基、硫黄基、ケイ素
基、リン基またはオキソ基で修飾したヌクレオシドを作成できる(Imazawa et al
., J. Org. Chem., 44: 2039 (1979); Hobbs et al., J. Org. Chem. 42 (4): 7
14 (1977); Verheyden et al., J. Org. Chem. 36 (2): 250 (1971); McGee et
al., J. Org. Chem. 61: 781-785 (199); Mikhailopulo et al., Liebigs. Ann.
Chem. 513-519 (1993); McGee et al., Nucleosides & Nucleotides 14 (6): 1
329 (1995)、全て出典明示により本明細書の一部とする)。次いで、導電性オリ
ゴマーを加えるために、これらの修飾ヌクレオシドを用いる。
【0415】 好ましい実施態様は、アミノ修飾ヌクレオシドを利用する。このとき、これら
のアミノ修飾リボースを用いて、導電性オリゴマーに対してアミドまたはアミン
結合を形成できる。好ましい実施態様では、アミノ基を直接リボースに付着させ
るが、当業者には明らかであるように、「Z」について記載したような短いリン
カーをアミノ基とリボースとの間に与えることができる。
【0416】 好ましい実施態様では、リボースに付着させるためにアミド結合を使用する。
好ましくは、構造13−15の導電性オリゴマーを用いるならば、mが0である
ので、導電性オリゴマーの末端はアミド結合である。この実施態様では、アミノ
修飾リボースのアミノ基の窒素は、導電性オリゴマーの「D」原子である。よっ
て、本実施態様の好ましい付着を、構造32に示す(構造13の導電性オリゴマ
ーを用いる)。
【化32】 当業者には明らかなように、構造32は、アミド結合として固定された末端結
合を有する。
【0417】 好ましい実施態様では、ヘテロ原子結合、即ち、オキソ、アミン、硫黄等を用
いる。好ましい実施態様はアミン結合を利用する。また、アミド結合について上
記で概説したとおり、アミン結合の場合も構造3の導電性オリゴマーを用いると
、アミノ修飾リボースの窒素が導電性オリゴマーの「D」原子であり得る。よっ
て、例えば、構造33および34は、それぞれ構造13および21の導電性オリ
ゴマーを持つヌクレオシドを示し、ヘテロ原子として窒素を用いているが、他の
ヘテロ原子を使用することもできる:
【化33】
【0418】 構造33では、好ましくは、mもtも0ではない。ここで好ましいZはメチレ
ン基またはその他の脂肪族アルキルリンカーである。この位置にある1、2また
は3つの炭素は特に合成の際に有用である。
【0419】
【化34】 構造34では、Zは上記定義のとおりである。適切なリンカーには、メチレン
およびエチレンがある。
【0420】 別の実施態様では、導電性オリゴマーを、核酸のリボース−ホスフェート主鎖
(または類似体)のホスフェートを介して核酸に共有結合させる。この実施態様で
は、結合は直接的か、またはリンカーまたはアミド結合を利用する。構造35は
、直接結合を示しており、構造36は、アミド結合を介した結合を示している(
両方とも、構造13の導電性オリゴマーを利用しているが、構造20の導電性オ
リゴマーも可能である)。構造35および36は、3'位の導電性オリゴマーを示
しているが、5'位も可能である。更に、構造35および36とも、天然のホス
ホジエステル結合を示しているが、当業者には明らかなように、ホスホジエステ
ル結合の非標準類似体も使用できる。
【0421】
【化35】 構造35中、末端にYが存在する(即ちm=1)場合、Zは存在しない(即ち、
t=0)のが好ましい。末端にYが存在しない場合、Zは存在するのが好ましい
【0422】 構造36は、末端B−D結合がアミド結合であり、末端にYが存在せず、Zが
上記定義のリンカーである好ましい実施態様を示す。
【化36】
【0423】 好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、遷移金属リガンドを介して核酸
に共有結合する。本実施態様では、導電性オリゴマーを遷移金属に1以上の配位
原子を提供するリガンドに共有結合させる。一実施態様では、下記構造37に総
括的に示したように、導電性オリゴマーが付着するリガンドには、核酸も付着し
ている。あるいは、下記構造38に総括的に示したように、導電性オリゴマーは
1つのリガンドに付着しており、核酸は別のリガンドに付着している。よって、
遷移金属の存在下で導電性オリゴマーは核酸に共有結合する。これらの構造はい
ずれも構造13の導電性オリゴマーを示しているが、その他のオリゴマーを利用
することもできる。構造37および38は、核酸用の2つの代表的な構造を示す
【化37】
【化38】
【0424】 核酸を連結するための金属イオンの使用は、表面上で利用可能な核酸の数を求
めるための、システムの内在性対照または目盛として働き得る。しかし、当業者
に了知されるであろうように、核酸を導電性オリゴマーに連結するのに金属イオ
ンを使う場合、下記のように、該金属イオン複合体は、システムのそれ以外の部
分で用いられるETMとは異なるレドックス位を有することが一般的に望ましい
。このことは、捕獲プローブの存在を標的配列の存在と見分けることを可能にす
るために、一般的に正しい。このことは、同定、測定および/または定量に有用
でありうる。ゆえに、サンプル中の標的配列の量を定量するために、電極上の捕
獲プローブの量を、ハイブリダイズした2本鎖核酸の量と比較し得る。センサー
またはシステムの内在性対照として作用するために、このことは極めて重要であ
る。このことは、標的を加える前または後のどちらでも、似ているが異なる対照
システムに依存するよりも、むしろ検出に使われる同一の分子上での測定を可能
にする。ゆえに、検出に使われるであろう実際の分子を、いかなる実験にも先立
ち定量できる。このことは、従来の方法よりも大いに有利な点である。
【0425】 好ましい実施態様では、捕獲プローブは、絶縁体を介して共有結合により電極
に付着させる。アルキル基のような絶縁体への核酸の付着は、よく知られており
、塩基または主鎖(リボースまたはホスフェートを含有する主鎖には、これらの
部分を含める)に対して、もしくは核酸類似体の改変された主鎖に対してなされ
る。
【0426】 好ましい実施態様では、表面上に1またはそれ以上の異なる捕獲プローブ種が
あってもよい。ある実施態様では、下記詳述のように、捕獲プローブが1タイプ
、または捕獲プローブエクステンダーが1タイプあるようにしてもよい。もしく
は、異なる捕獲プローブ群、または複数の異なる捕獲エクステンダープローブを
有する1つの捕獲プローブを使用できる。同様に、システムの構成要素を「鋲打
ち」するのに使われる、比較的短いプローブ配列を含む補助的捕獲プローブ、例
えばリクルートリンカー、を表面上のETMの濃縮を増進するために使用するの
が望ましい(特にメカニズム−2システムでの核酸被検体および結合リガンドの
場合)。
【0427】 こうして、本発明は、標的被検体の検出システムにおいて有用な、単層並びに
捕獲および/または検出プローブを含む少なくとも1つの検出電極を有する基質
を提供する。
【0428】 本発明の組成物は、一般に、下記に記載したように、一般に当分野で既知の方
法を使用して合成する。当業者に認められるように、下記に概説の多くの方法は
、リボース−ホスフェート主鎖を含む核酸に関する。しかしながら、上記に概説
のように、多くの別の核酸類似体を使用することが可能であり、そのいくつかは
主鎖にリボースまたはホスフェートを含まない。これらの実施態様において、塩
基以外の位置での結合に関して、結合は、主鎖に依存して、当業者に認められる
ように行う。従って、例えば、結合はPNA主鎖の炭素原子で、下記に記載のよ
うに、またはPNAのいずれかの末端で行うことができる。
【0429】 本組成物はいくつかの方法で製造し得る。好ましい方法は、最初にヌクレオシ
ドに結合した導電性オリゴマーを、更にヌクレオシドを添加して捕獲プローブを
形成し、続いて電極へ結合させて、合成する。あるいは、全捕獲プローブを製造
し、次いで、完全な導電性オリゴマーを添加し、続いて電極に結合する。あるい
は、導電性オリゴマーの単層(そのいくつかは、捕獲プローブの結合のための官
能基を有する)を最初に電極に結合し、続いて捕獲プローブを結合する。後者の
二つの方法は、使用する導電性オリゴマーが、溶媒中でおよび慣用的核酸合成の
条件下で安定でないとき、好ましいことがある。
【0430】 好ましい実施態様において、本発明の組成物は、最初に、ヌクレオシドに共有
結合した導電性オリゴマーを形成し、続いて、さらにヌクレオシドを添加して捕
獲プローブ核酸を形成し、導電性オリゴマーを電極へ添加することを含む最後の
工程により製造される。
【0431】 導電性オリゴマーのヌクレオシドへの結合はいくつかの方法で行い得る。好ま
しい実施態様において、全てまたは一部の導電性オリゴマーを、最初に合成し(
一般に、電極への結合のために官能基を末端に有する)、これを次いでヌクレオ
シドに結合させる。次いで、さらにヌクレオシドを必要に応じて添加し、最後の
工程で一般に電極へ結合させる。あるいは、オリゴマー単位を一度にヌクレオシ
ドに添加し、さらにヌクレオシドを添加し電極へ結合させる。多くの代表的な合
成をWO98/20162の図面に示し、これら全ては出典明示により本明細書
の一部とする。
【0432】 次いで、導電性オリゴマーを、本明細書に記載のように結合した、1個(また
はそれ以上の)オリゴマー単位を含み得るヌクレオシドに結合させる。
【0433】 好ましい実施態様においては、リボース−ホスフェート主鎖のリボースに対す
る結合がある。即ち、アミドおよびアミン結合を介する結合が可能である(WO
98/20162の図1および2を参照)。好ましい実施態様において、リボー
スに結合した窒素と導電性オリゴマーの芳香族環との間に、少なくとも一つのメ
チレン基または他の短い脂肪族アルキル基(Z基として)が存在する。代表的な合
成はWO98/20162の図16に示す。
【0434】 あるいは、リボース−ホスフェート主鎖のホスフェートを介した結合がある。
2つの合成スキームの例は、WO98/20162の図4および図5に示す。両
図面では、リボースの3'位での結合を示すが、この結合は2'位を介して結合す
ることも可能である。図5において、Zはエチレンリンカーであるが、当業者に
認められているような、別のリンカーを用いてもよい。
【0435】 好ましい実施態様において、塩基を介した結合がある。一般的なスキームはW
O98/20162の図3に示し、ヌクレオシドとしてウリジンおよびフェニレ
ン−アセチレン導電性オリゴマーを使用する。当業者に知られているが、この分
野での周知技術を使用すると、アミド結合も可能である。好ましい実施態様にお
いて、WO98/20162の図10および11に一般的に記載したように、保
護基を導電性オリゴマーの付加前の塩基に添加してもよい。加えて、二量体化問
題、即ち、二つの導電性オリゴマーが、塩基に結合するよりもむしろ二量体化す
るのを防止するためにパラジウム交差結合反応を変えてもよい。
【0436】 あるいは、塩基への結合を、一単位のオリゴマーを有するヌクレオシドを製造
し、続いて他のものを添加することによりなし得る。
【0437】 修飾ヌクレオシドを製造し、保護して活性化したら、電極への結合の前に、標
準合成法(Gait, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Pres
s, Oxford, UK 1984; Eckstein)により、成長しているオリゴヌクレオチドに、
幾通りかの方法でそれらを包含させ得る。
【0438】 一実施態様において、1またはそれ以上の修飾ヌクレオシドをトリフェート形
態に変形させ、成長しているオリゴヌクレオチド鎖に、酵素DNAポリメラーゼ
I、T4DNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラ
ーゼ、逆転写酵素およびRNAポリメラーゼを用いるなど、標準分子生物学手法
を用いて包含させる。3'修飾ヌクレオシドの核酸への包含には、末端デオキシ
ヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用し得る(Ratliff, Terminal deoxynucl
eotidyltransferase.In The Enzymes, Vol. 14A. P. D. Boyer ed. pp 105-118.
Academic Press, San Diego, CA 1981)。このようにして、本発明は、共有結合
したETMを含むデオキシリボヌクレオシドトリホスフェートを提供する。好ま
しい実施態様は、一般に下記構造40および41に示すように、リボース(好ま
しくは2'位で)などの塩基または主鎖へのETM結合を利用する。
【0439】
【化39】
【0440】
【化40】
【0441】 従って、いくつかの実施態様において、ETMを含む核酸をその場で産生させ
ることができる。例えば、標的配列の末端をさらす、すなわち非ハイブリダイズ
するように、標的配列は捕獲プローブ(例えば、表面上の)にハイブリダイズし得
る。酵素とETMで標識したトリホスフェートヌクレオチドの添加により、その
場での標識の製造が可能となる。同様にポリメラーゼにより認識される標識ヌク
レオチドを用いると、増幅と検出とを同時に行い得る;つまりその場で標的配列
が生成する。
【0442】 好ましい実施態様において、修飾ヌクレオシドをホスホルアミデイトまたはH
−ホスホネート形に変換し、これを次いでオリゴヌクレオチド合成の固相または
溶液合成に使用する。この方法で、リボースでの(すなわち、アミノ−またはチ
オール−修飾ヌクレオシド)または塩基での結合用の、修飾ヌクレオチドをオリ
ゴヌクレオチドに内部位置または5'末端で包含させる。これは、一般に、二つ
の方法の一つで行う。第1に、リボースの5'位を4',4−ジメトキシトリチル(
DMT)で保護し、続いて2−シアノエトキシ−ビス−ジイソプロピルアミノホ
スフィンとジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド存在下で反応させるか、ま
たは2'−シアノエトキシホスフィンクロロジイソプロピルアミノと反応させ、
当分野で既知のようにホスホルアミデイトを得る;しかしながら、他の方法を当
業者に認められるように使用し得る。Gait 前掲; Caruthers, Science 230: 281
(1985)参照、両方とも出典明示により本明細書の一部とする。
【0443】 基の3'末端への結合のために、好ましい方法は制御孔ガラス(CPG)または
他のオリゴマー支持体への修飾ヌクレオシド(またはヌクレオシド代替物)の結
合を使用する。この実施態様において、修飾ヌクレオシドを5'末端でDMTで
保護し、次いで、無水コハク酸と活性化しながら反応させる。得られるスクシニ
ル化合物をCPGまたは当分野で既知の他のオリゴマー支持体に結合させる。更
に、修飾しているか、またはしていないホスホルアミデイトヌクレオシドを、脱
保護後に5'末端に結合させる。従って、本発明はCPGのような固体オリゴマ
ー支持体に結合したヌクレオシドに共有結合した導電性オリゴマーまたは絶縁体
、および本発明のヌクレオシドのホスホルアミデイト誘導体を提供する。
【0444】 本発明はさらにETMを含むリクルートリンカーを有する標識プローブの製造
方法を提供する。当業者には明らかなように、これらの合成反応はリクルートリ
ンカーの特徴とETMの結合方法に依存する。核酸リクルートリンカーについて
、標識プローブは、本明細書で概説したように、1以上の位置でETMを包含さ
せて一般につくられる。遷移金属錯体をETMとして使用する場合、合成はいく
つかの方法で行われる。好ましい実施態様において、リガンド、続いて遷移金属
イオンをヌクレオシドに添加し、次いで、遷移金属錯体が結合しているヌクレオ
シドをオリゴヌクレオチドに添加する、つまり、核酸合成機に添加する。あるい
は、リガンドを結合させ、続いて成長しているオリゴヌクレオチド鎖に包含させ
、金属イオンを添加する。
【0445】 好ましい実施態様において、ETMをリボース−ホスフェート主鎖のリボース
に結合させる。これは、導電性オリゴマーについて本明細書に概説したように通
常行われ、本明細書およびPCT公開WO95/15971に記載のように、ア
ミノ−修飾またはオキソ−修飾ヌクレオシドを使用して、リボースの2'または
3'位に行う。次いで、リガンドとして、例えば金属イオンの結合のための遷移
金属リガンドとして、または、例えばアミド結合を介した、他のリガンドまたは
有機ETMの結合に使用できる化学的官能基として、当分野で認められるように
、アミノ基を使用し得る。例えば、例として、リボースを介して結合した種々の
ETMを有するヌクレオシドの合成を記載する。
【0446】 好ましい実施態様において、ETMはリボース−ホスフェート主鎖のホスフェ
ートに結合する。本明細書に概説のように、これは、ホスホルアミデイト結合の
ようなホスホジエステル類似体を使用して行われてもよく(一般に、PCT公開
WO95/15971参照)、またはPCT US97/20014の図4およ
び5に記載したものと同様の方法を使用し、但し、実施例に記載したように、導
電性オリゴマーを遷移金属リガンドまたは錯体または有機ETMと置きかえて行
なうこともできる。
【0447】 別の主鎖、例えば、ペプチド核酸または別のホスフェート結合への結合は、当
業者に認められるように行う。
【0448】 好ましい実施態様において、ETMはヌクレオシドの塩基に結合する。これは
、種々の方法でなし得る。一実施態様において、天然に存在するか、または本明
細書に記載のように添加した(例えば、図を参照)塩基のアミノ基を、遷移金属錯
体のリガンドとして、または例えば、アミド結合を介して他のリガンドをまたは
有機ETMを添加するのに使用できる化学的官能基として使用する。これは、当
業者に認められるように行う。あるいは、ヘテロ環式環に結合したハロゲン原子
を含むヌクレオシドは商品として入手可能である。アセチレン結合リガンドは、
一般的に既知のように、ハロゲン化塩基を使用して添加し得る;例えば、Tzalis
et al., Tetrahedron Lett. 36(34): 6017-6020 (1995); Tzalis et al., Tetr
ahedron Lett. 36(2): 3489-3490 (1995); およびTzalis et al., Chem. Commun
ications (投稿中) 1996参照、全て出典明示により本明細書の一部とする。また
、塩基へのアセチレン結合を介して結合したメタロセン(この場合では、フェロ
セン)の合成を記載した図面および実施例も参照。
【0449】 一実施態様において、ヌクレオシドを、核酸に包含させた遷移金属リガンドを
有して製造し、次いで、遷移金属イオンおよび残りの必要なリガンドを当分野で
既知のように添加する。別の実施態様において、遷移金属イオンおよび付加的リ
ガンドを、核酸への包含前に添加する。
【0450】 本発明の核酸を、共有結合した結合リンカー(つまり、絶縁体または導電性オ
リゴマーのいずれか)を有して製造し、結合リンカーを電極に結合させる。本方
法は、使用する電極のタイプによって変化する。本明細書に記載のように、結合
リンカーは一般に末端「A」リンカーを有して製造され、電極への結合を促進す
る。本適用の目的のために、硫黄−金結合は共有結合とみなす。
【0451】 好ましい実施態様において、導電性オリゴマー、絶縁体および結合リンカーは
硫黄結合を介して電極に共有結合する。しかしながら、驚くべきことに、分子の
金電極への結合に使用する慣用的保護基は、一般に、本明細書に記載の組成物の
合成およびオリゴヌクレオチド合成反応への包含の両方への使用に理想的でない
。従って、本発明は、図に記載のようなエチルピリジンおよびトリメチルシリル
エチルを含む、普通でない保護保護基を使用した、導電性オリゴマーの金電極へ
の結合の新規方法を提供する。しかしながら、当業者が理解するように、導電性
オリゴマーが核酸を含まないとき、アセチル基などの慣用的保護基およびその他
の基を使用し得る。参照、Greene et al.、前掲。
【0452】 これは、いくつかの方法でなし得る。好ましい実施態様において、電極への結
合のために硫黄原子を含む導電性オリゴマーのサブユニットをエチル−ピリジン
またはトリメチルシリルエチル基で保護する。前者に関して、これは一般に硫黄
原子(好ましくはスルフヒドリルの形で)を含むサブユニットをビニルピリジン基
またはビニルトリメチルシリルエチル基と、エチルピリジン基またはトリメチル
シリルエチル基が硫黄原子に添加されるような条件下で接触させることにより行
う。
【0453】 このサブユニットはまた、一般に、付加的サブユニットの結合のために官能部
を含み、従って、付加的サブユニットが結合して導電性オリゴマーを形成する。
次いで、導電性オリゴマーをヌクレオシドに結合させ、付加的ヌクレオシドが結
合する。保護基を次いで除去し、硫黄−金共有結合を行う。あるいは、導電性オ
リゴマーの全てまたは一部を製造し、次いで、保護硫黄原子を含むサブユニット
を添加するか、硫黄原子を添加して、保護する。導電性オリゴマーを次いでヌク
レオシドに結合させ、付加的ヌクレオチドを結合させる。あるいは、核酸に結合
した導電性オリゴマーを製造し、次いで保護硫黄原子を含むサブユニットを添加
するか、硫黄原子を添加して、保護する。あるいは、エチルピリジン保護基を上
記のように使用してもよいが、1以上の工程の後に除去し、ジスルフィドのよう
な標準的な保護基に置き換える。このように、エチルピリジンまたはトリメチル
シリルエチル基は、合成反応のいくつかで保護基として作用し得、次いで、除去
して慣用的保護基に置き換えられる。
【0454】 本明細書の導電性ポリマーの「サブユニット」は、硫黄原子が結合する導電性
オリゴマーの少なくとも一部を意味するが、導電性オリゴマーの付加的成分の添
加を可能にする官能基、または導電性オリゴマーの付加的成分を含む付加的原子
も存在し得る。従って、例えば、構造13のオリゴマーを使用するとき、サブユ
ニットは少なくとも第1Y基を含む。
【0455】 好ましい方法は、1)一般に、ビニルピリジンまたはトリメチルシリルエチル
基をスルフヒドリルに添加して行う、導電性オリゴマーの第1サブユニットに結
合した硫黄原子への、エチルピリジンまたはトリメチルシリルエチル保護基の添
加;2)導電性オリゴマー形成のための付加的サブユニットの添加;3)少なくと
も第1ヌクレオシドの導電性オリゴマーへの添加;4)核酸を形成するための付
加的ヌクレオシドの第1ヌクレオシドへの添加;5)導電性オリゴマーの金電極
への結合からなる。これはまた実施例に記載のように、ヌクレオシドの不存在下
でも行い得る。
【0456】 上記の方法は、金電極への絶縁分子の結合にも使用し得る。
【0457】 好ましい実施態様において、導電性オリゴマー(および所望により絶縁体)を
含む単層を電極に添加する。一般に、添加の化学は、導電性オリゴマーの電極へ
の添加と類似か同じであり、即ち、金電極への結合に硫黄原子を使用するなどで
ある。核酸に共有結合した導電性オリゴマーに加えて、単層を含む組成物を、少
なくとも5つの方法の少なくとも一つでなし得る:(1)単層の添加、続く結合リ
ンカー−核酸錯体の二次添加;(2)結合リンカー−核酸錯体の添加、続く単層の
添加;(3)単層と結合リンカー−核酸錯体の同時添加;(4)完全な核酸の結合に
適した官能部で終了している結合リンカーを含む単層の形成(1,2または3のい
ずれかを使用した);または(5)核酸合成に適した官能部で終了している結合リ
ンカーを含む単層の形成、即ち、核酸を当分野で既知のように単層表面で合成す
る。このような適当な官能部は、ホスホルアミデイト添加のためのヌクレオシド
、アミノ基、カルボキシル基、保護硫黄部、またはヒドロキシル基を含むが、こ
れらに限定されない。例としては、好ましい方法(1)を用いた金電極上の単層の
形成を記載する。
【0458】 好ましい実施態様において、核酸はペプチド核酸または類似体である。 この実施態様において、本発明は、少なくとも一つの共有結合したETMまたは
結合リンカーを有するペプチド核酸を提供する。好ましい実施態様において、こ
れらの部分はPNAの単量体サブユニットに共有結合する。本明細書の「PNA
の単量体サブユニット」は、−NH−CH2CH2−N(COCH2−塩基)−CH2 −CO−単量体またはPNAの誘導体(ここでは「ヌクレオシド」の定義内に含
まれる)を意味する。例えば、PNA主鎖の炭素原子の数を変え得る;一般に、
PNA誘導体の数を記載したNielsen et al., Chem. Soc. Rev. 1997, 73頁参照
、出典明示により本明細書の一部とする。同様に、塩基を主鎖に結合させるアミ
ド結合を変え得る;ホスホロアミドおよびスルファーアミド結合を使用し得る。
あるいは部分を内部単量体サブユニットに結合する。本明細書で「内部」は、単
量体サブユニットがN−末端単量体サブユニットまたはC−末端単量体サブユニ
ットでないことを意味する。本実施態様において、部分を単量体サブユニットの
塩基または主鎖に結合できる。塩基の結合は、本明細書に概説のように、または
文献から既知のように行う。一般に、部分を塩基に添加し、これを次いで本明細
書に概説のようにPNAに包含させる。塩基は、化学置換基の添加前またはその
後に、PNA合成反応への包含に必要なように保護されているか、包含されるよ
うに誘導体化されている。塩基の保護および誘導体化をPCT US97/20
014の図24−27に示す。WO98/20162の図28に示すように単量
体サブユニットにその塩基を包含できる。WO98/20162の図29および
30は、塩基に結合した2つの異なる化学置換基、ETMおよび導電性オリゴマ
ーを示す。図29は、ウラシル塩基に結合したフェロセンとPNA単量体サブユ
ニットの代表的な合成を示す。図30は、ウラシル塩基に結合した3ユニットの
導電性オリゴマーの合成を示す。
【0459】 好ましい実施態様において、その部分はPNA単量体の主鎖に共有結合する。
結合は、一般に、単量体サブユニットの非置換炭素原子の一つ、好ましくは主鎖
のα−炭素に行われるが、1または2位の炭素、または塩基を主鎖に結合させる
アミド結合のα−炭素での結合もなし得る。PNA類似体の場合、他の炭素また
は原子も同様に置換し得る。好ましい実施態様において、部分を、α−炭素原子
に末端単量体サブユニットまたは内部の末端単量体サブユニットへ添加する。
【0460】 この実施態様において、修飾された単量体サブユニットを、ETM、結合リン
カーまたはその結合のための官能基で合成し、次いでその塩基を添加し、修飾さ
れた単量体を成長しているPNA鎖に包含させ得る。WO98/20162の図
31は、PNA単量体サブユニットの主鎖に共有結合した導電性オリゴマーを示
し、WO98/20162の図32は、単量体サブユニットの主鎖に結合したフ
ェロセンの合成を示す。
【0461】 製造した共有結合部分を有する単量体サブユニットを、Will et al., Tetrahe
dron 51(44): 12069-12082 (1995)およびVanderlaan et al., Tett. Let. 38: 2
249-2252 (1987)(両方ともその全体を出典明示により本明細書の一部とする)
に概説のような方法を使用して、PNAに包含させる。これらの方法は、ペプチ
ド核酸への化学置換基の添加を、化学置換基を破壊させることなく可能にする。
【0462】 当業者に認められるように、電極は、核酸、導電性オリゴマーおよび絶縁体の
任意の組み合わせを有するように製造し得る。
【0463】 本発明の組成物は、更に、一個以上の標識を任意の位置で含み得る。本明細書
での「標識」は、化合物の検出を可能にするために結合した元素(例えば、アイ
ソトープ)または化学化合物を意味する。好ましい標識は放射活性同位体標識、
着色または蛍光色素である。標識は、任意の位置で化合物に包含し得る。加えて
、本発明の組成物は、架橋剤のような他の部分も含み得、標的−プローブ錯体の
架橋を促進する。例えば、Lukhtanov et al., Nucl. Acids. Res. 24(4): 683 (
1996)およびTabone et al., Biochem. 33: 375 (1994)参照、両方とも出典明示
により本明細書の一部とする。
【0464】 メカニズム−1のシステムを使用する場合、検出プローブは、捕獲プローブに
対して上記のように電極に共有結合している。該検出プローブは、図に示したよ
うに、標的配列(直接検出)部分、もしくは標識プローブ部分(サンドイッチア
ッセイ)に実質的に相補的である。
【0465】 明細書中に記載した全方法に関して、使用した方法に応じて、未反応のプライ
マーを除くか、もしくは未反応のプライマーが検出されないような検出システム
を形成する必要がある。たとえば、そのシステムの全てについて、サイズの差異
を基にした反応しないプライマーの除去を行うか、いくつかの場合では、分離タ
グを用いてビーズのような固相支持体に結合することで行うことが可能である。
さらに、PCR、SDAおよびNASBAについて、たとえば、伸張していない
プライマーが、電極上の捕獲プローブによって結合しないように、検出特異性は
プライマーでない新規に合成したストランドの部分を利用する。もしくは、たと
えばCPTにおいて、第1プローブ配列は、分離タグ(例えば、ビオチン)もしく
は未反応のプライマーと開裂した第1プローブ配列の結合する配列(例えば、固
有の配列)を包含している;第2プローブ配列(直接検出用)における標識の使
用、または電極上での捕獲または検出プローブの結合に関して基となる第2プロ
ーブ配列の使用は、未反応のプローブを検出しないことを確証する。同様にして
、LCRにおいて、捕獲用の1つのプライマー、および標識導入(直接検出)も
しくは検出特異性に対する別のプライマーの使用により、検出が修飾プライマー
についてのみ進行することを可能にする。
【0466】 一旦製造されると、組成物は本明細書に記載のように、多くに適用されて使用
される。特に、本発明の組成物は、ハイブリダイゼーションアッセイで使用され
る。当業者には明らかなように、電極は、核酸の単一の種(すなわち、単一核酸
)を有するようにつくられ得る。
【0467】 さらに、本明細書に概説のように、電極のような固体支持体の使用は、配列形
成においてこれらの遺伝子プローブの使用を可能にする。オリゴヌクレオチド配
列の使用は、当分野で既知である。加えて、電極内に位置を「アドレッシング」
するため、および電極の表面修飾のための方法は既知である。従って、好ましい
実施態様において、異なる核酸の配列は、電極の下に置かれ、その各々は導電性
リンカーを介して電極に共有結合する。この実施態様において、多くの異なるプ
ローブの種は、1から数千に広く変化し得、好ましくは約4から約100,00
0、および特に好ましくは約10から約10,000である。
【0468】 少なくとも1つの標的被検体と1つのETMと標的配列を含む本発明のアッセ
イ複合体が形成されると、検出が電子的イニシエーションにより進行する。メカ
ニズムまたは理論に制限されなければ、検出は、ETMから電極への電子伝達に
基づいている。
【0469】 電子伝達の検出、すなわち、ETMの存在は一般に好適な電圧により電子的に
開始される。電位はアッセイ複合体に適用する。加えられる電位の正確な制御と
変化はポテンショスタットおよび3つの電極システム(1つは参照用、1つはサ
ンプル用(または作業用)、1つは対向電極用)または2つの電極システム(1
つはサンプル用、1つは対向電極用)による。これは、ETMの選択に部分的に
左右されるシステム、また使用した導電性オリゴマー、単層の組成と整合性、お
よびどのタイプの対照電極を使用したかに部分的に左右されるシステムのピーク
電位に、印加した電位がマッチすることを可能とする。
【0470】 好ましい態様においては、共還元体または共酸化体(統合して、共酸化還元体
)を追加の電子源またはシンクとして用いる。一般的には、Sato et al., Bull.
Chem. Soc. Jpn 66: 1032 (1993); Uosaki et al., Electrochimica Acta 36:
1799 (1991);and Alleman et al., J. Phys. Chem. 100: 17050 (1996)(これら
すべてを出典明示により本明細書の一部とする)参照。
【0471】 好ましい実施態様において、溶液中の入力電子源が電子伝達の開始に用いられ
る。好ましくは、直流電流を用いてまたは拡散が制限されない交流周波数で開始
および検出がなされるときである。一般に、当業者はよくわかるように、好まし
い実施態様で「孔」含有の単層を用いると、システムの短絡が回避できる。これ
はいくつかの一般的な方法で行うことができる。好ましい実施態様において、入
力電子源は、標識プローブのETMよりも低いか同じレドックス電位を有する。
このように、入力電子源のレドックス電位以上の電圧において、ETMおよび入
力電子源の両方が酸化されて電子を与え得る;ETMは電極に電子を与え、入力
源がETMに与える。例えば、実施例中に記載した本発明の組成物に結合したE
TMとして、フェロセンは、水溶液中で約200mVのレドックス電位を有する
(フェロセンが結合したもの、結合の方法およびなんらかの置換基の存在によっ
て非常に変化する)。電子源のフェロシアニドは、同様に約200mVのレドッ
クス電位を有する。従って、約200mVまたはそれ以上の電圧において、フェ
ロセンはフェリセニウムの変わり、電子を電極に伝達する。フェリシアニドを酸
化して電子をETMに伝達することができる。この方法において、電子源(また
は同時還元剤)はシステムに生じたシグナルを増幅するために働き、電子源分子
が核酸に結合したETMに電子を迅速に、かつ繰り返して伝達する。電子の供与
・受容の速度は、同時還元剤の拡散の速度すなわち同時還元剤とETMとの間の
電子伝達に制限される。電子伝達は濃度および大きさなどの影響を受ける。
【0472】 もしくは、ETMよりも低いレドックス電位を有する入力電子源が用いられる
。ETMのレドックス電位よりも低いが、電子源のレドックスよりも高い電圧に
おいて、フェロシアニドなどの入力源は酸化され得ず、ETMに電子を与え得な
い。すなわち電子伝達が起きない。フェロセンが酸化されると、電子の伝達経路
ができる。
【0473】 他の好ましい実施態様において、入力電子源は、標識プローブのETMよりも
高いレドックス電位を有するものを使用する。例えば、電子源のルミノールは約
720mVのレドックス電位を有する。ETMのレドックス電位よりも高い電圧
で、電子源のレドックス電位よりも低い電圧、すなわち200−720mVにお
いては、フェロセンは酸化され、導電性オリゴマーを介して電極に1つの電子を
移す。しかし、電圧がルミノールのレドックス電位よりも低いので、ETMはル
ミノール電子源から電子を受けることができない。しかし、ルミノールのレドッ
クス電位またはそれ以上で、ルミノールはETMに電子を伝達し、迅速かつ反復
の電子伝達を可能とする。この方法において、電子源(または同時還元剤)はシ
ステムで生じたシグナルを増幅するのに働き、電子源分子は標識プローブのET
Mに迅速にかつ反復して電子を供与する。
【0474】 ルミノールは酸化に際して化学的発光種になるという別の利点もあり(参照Ji
rka et al.,Analytica Chemica Acta 284:345(1993))、ETMから電極への電子
伝達の光学的検出が可能となる。ルミノールが電極に直接接触しない限り、すな
わち電極への効率的な電子伝達経路がないようなETMの存在において、標識プ
ローブ上のETMに電子を伝達することのみによりルミノールは酸化される。E
TMが存在していない(即ち、標的配列が本発明の組成物をハイブリダイズしな
い場合)と、ルミナールは顕著に酸化されないで、ルミノールからの低い光子放
出および低い(もしあれば)シグナル放出をもたらす。標的の存在で非常に大き
いシグナルが生じる。このように光子放出によるルミノール酸化の測定は、電極
に電子を与えるETMの能力についての間接的な測定となる。さらに、光子検出
は一般的に電子検出よりも感度がよいので、システムの感度が増大する。最初の
結果から、発光が過酸化水素濃度、pHおよびルミノール濃度(これは直線的で
はない)に依存していることが示唆される。
【0475】 適切な電子源分子は周知であり、フェリシアニドやルミノールが含まれるが、
これらに限定されない。
【0476】 他方、出力電子受容体もしくはシンクを用いることができる。すなわち上記反
応を逆に行う。電極から電子を受けるメタロセンなどのETMを用いる。電子を
迅速に繰り返し受ける出力電子受容体でメタロセンをメタリセニウムに変える。
この実施態様で、コバルトイセニウムが好ましいETMである。
【0477】 単層の表面のETMの存在は、種々の方法によって検出することができる。光
学的検出には、これらに限定されるものではないが、例えばフルオレッセンス、
ホスホレッセンス、ルミニセンス、ケミルミニセンス、エレクトロルミニセンス
および屈折率がある。電子的検出には、これらに限定されるものではないが、ア
ンペロメトリー、ボルタメトリー、キャパシタンス、インピーダンスがある。こ
れらの方法には、交流または直流の電流に基づく時間・周波数依存法、パルス法
、ロックイン法、フィルター法(高パス、低パス、バンドパス)および時間分解
フルオレセンスなどの時間分解法がある。
【0478】 1つの実施態様において、ETMから電極への電子の効率的な伝達は、ETM
のレドックス状態での定型的変化をもたらす。ビピリジン、ピリジンおよびイミ
ダゾール環含有のルテニウム複合体を含む多くのETMでもって、レドックス状
態におけるこれらの変化はスペクトルの変化に関連している。吸収の顕著な相違
がこれらの分子について還元状態と酸化状態の間にみられる。例えば、参照、Fa
bbrizzi et al.,Chem.Soc.Rev.1995 pp192-202。これらの相違は、分子光度計あ
るいは光電子増倍管を用いて監視することができる。
【0479】 この実施態様において、電子供与体および受容体には、光学活性化すなわち開
始について上記したすべての誘導体が含まれる。好ましい電子供与体および受容
体は電子伝達を高感度で監視し得る酸化および還元について大きいスペクトルの
変化を特徴としている。好ましい例に、Ru(NH3)4pyおよびRu(bpy)imがある。
吸収によって監視される供与体または受容体のみが理想のスペクトル特性を有し
ていることが理解されるべきである。
【0480】 好ましい実施態様において、電子伝達は蛍光定量で検出される。ルテニウムな
どの遷移金属複合体の多くが明白な蛍光性を有する。従って、核酸に結合した電
子供与体と受容体とのレドックス状態の電荷は、Ru(4,7−ビフェニル2
フェナントロリン)3 2+などによる蛍光を用いて、感度よく監視することができ
る。この化合物の生成は、標準的蛍光検出法によって容易に測定することができ
る。例えば、レーザー誘発蛍光は、標準的細胞蛍光定量、「オンライン」蛍光定
量でのフロー(例えばクロマトグラフィーに結合したもの)あるいは96ウエル
・イムノアッセイについて市販されているものに類似のマルチサンプル「プレー
トリーダー」で記録することができる。
【0481】 他方、蛍光は、溶液中の核酸プローブをもつ、または光学繊維に結合した光学
結合センサーを用いて測定することができる。蛍光は光学繊維に結合した光学増
倍管または他の光検出器を用いて追跡することができる。このシステムについて
の有利な点は、検出に用いられるサンプル量が極めて少量でよいことである。
【0482】 さらに、Molecular Dynamicから販売されているFluorlmagerなどの走査蛍光検
出器が固体表面に並んだ修飾核酸分子の蛍光を監視するのに非常に適している。
このシステムの利点は、多数の別個の核酸プローブでカバーされたチップを使用
して、一度に多数の電子伝達プローブを走査できることである。
【0483】 多くの遷移金属複合体は大きなStokesシフトでもって蛍光を示す。適当な例と
して、ルテニウムなどの遷移金属のビス−およびトリスフェナントロリン複合体
、およびビス−およびトリスビピリジン複合体がある(参照、Juris, A., Balza
ni, V., et al. Coord. Chem. Rev., V.84, p.85-277, 1988)。好ましい例では
、効率的な蛍光(合理的に高い量子収量)および低い再構築エネルギーを示す。
これらには、Ru(4,7−ビフェニル2−フェナントロリン)3 2+、Ru(4,
4’−ジフェニル2,2’−ビピリジン)3 2+および白金複合体がある(参照、C
ummings et al., J. Am. Chem. Soc. 118:1949-1960(1996)、出典明示により本
明細書の一部とする)。他方、ハイブリダイゼーションに関連する蛍光の低下は
、これらのシステムを用いて測定できる。
【0484】 別の実施態様において、電子化学発光が電子伝達検出の基礎として用いられる
。Ru2+(bpy)3などのETMのいくつかで直接発光に励起状態の低下がおきる。
この性質の変化は、核酸ハイブリダイゼーションに関連しており、簡単な光学増
倍管で測定することができる。(参照、Blackburn, G.F. Clin. Chem. 37:1534-
1539(1991);および Juris et al., 上記)。
【0485】 好ましい実施態様において、電子検出に、アンペロメトリー、ボルタメトリー
、キャパシタンスおよびインピーダンスなどが用いられる。好ましい技法として
、これらに限定されるものでないが、電解重量分析、クーロメトリー(制御電位
クーロメトリーおよび一定カレント・クーロメトリーを含む)、ボルタメトリー
(サイクルボルタメトリー、パルスボルタメトリー(正常パルスボルタメトリー
、スクエア波ボルタメトリー、示差パルスボルタメトリー、オステリオウング・
スクエア波ボルタメトリー、静電量パルス法)、ストリッピング分析(アニオン
ストリッピング、カチオンストリッピング、スクエア波ストリッピングボルタメ
トリー)、伝導分析(電子的伝導、直接分析)、時間依存電子化学分析(クロノ
アンペロメトリー、クロノポテンショメトリー、サイクルクロノアンペロメトリ
ー、サイクルクロノポテンショメトリー、交流ポログラフィー、クロノガルバメ
トリー、クロノクロメトリー)、交流インピーダンス法、キャパシタンス法、交
流ボランタメトリー、光学電子化学法がある。
【0486】 好ましい実施態様において、電子伝達の監視はアンペロメトリー検出で行われ
る。この検出法において、望む標的遺伝子を含有するサンプル中で、核酸結合電
極と対照(逆)電極との間の電位(単離された対照電極と比較して)が利用され
る。異なる効率の電子伝達が標的核酸の存在または不存在によって生じる。すな
わち標的核酸の存在また不存在、およびそのような標識プローブが異なる電流に
帰着し得る。
【0487】 アンペロメトリーで電子伝達を測定する装置は、感度のよい電流検出器からな
り、電圧電位を調節する手段、通常はポテンシオスタットを含む。この電圧は標
識プローブ上の電子供与複合体の電位を参照することにより最適化される。電子
供与複合体には、鉄、オスミウム、白金、コバルト、レニウム、レテニウムの複
合体について上記のものが含まれ、鉄複合体が最も好ましい。
【0488】 好ましい実施態様において、他の電子検出法が用いられる。例えばポテンシオ
メトリー(すなわちボルタメトリー)には、非ファラデー法(正味の電流のない
)が含まれ、pHや他のイオン検出器において通常用いられる。同様のセンサー
がETMと電極との間の電子伝達を監視するために用いられる。さらに、絶縁体
(抵抗など)および導電体(導電、インピーダンス、キャピシタンス)などの他
の性質を使用し、ETMと電極との間の電子伝達を監視することが可能である。
また、電流を生じるいかなるシステム(電子伝達など)も小さい磁場を生じ、あ
る実施態様で監視され得る。
【0489】 本発明の組成物で見られる電子伝達の速い速度がもたらす一つの利点は、時間
分解が吸収、蛍光あるいは電子流などによるモニターのシグナル対ノイズ結果を
一般的に高め得ることである。本発明の電子伝達の速い速度は、高度のシグナル
と電子伝達開始・完了間の定型的遅延とをもたらす。特定の遅延シグナルを増幅
することにより、電子伝達のパルス開始および「ロックイン」増幅検出およびフ
ェーリエ変換がなされる。
【0490】 好ましい実施態様において、電子伝達は交流電流(AC)法を用いて始められ
る。理論に拘束されることなく、電極に連結したETMは、つながっている抵抗
とコンデンサーを流れる交流電圧に同様に反応する。基本的に、これらの抵抗と
コンデンサーとして働く複合体の性質を測定し得る方法は、検出の基本とするこ
とができる。驚くべきことに、従来からの電気化学理論、例えば、Laviron et a
l., J. Electroanal. Chem. 97:135(1979) および Laviron et al., J. Electro
anal. Chem. 105:35(1979)(出典明示により本明細書の一部とする)は、非常に
小さいEAC(10mV以下)および比較的多数の分子を除き、本明細書に記載の
システムのモデルとはならない。すなわち、交流電流(I)は、Lavironの式に
正確には記載されていない。このことは、この理論が電子の限界のない源とシン
クを想定していることに部分的には由来するものであり、これは本発明のシステ
ムには当てはまらない。
【0491】 これらのシステムのよいモデルとなるAC電圧理論は、O' Connor et al., J.
Electroanal. Chem. 466(2):197-202 (1999)(出典明示により本明細書の一部と
する)に概略説明されている。これらのシステムを予測する式を、式1として下
に示す: 式1
【数1】 式1中で、nはレドックス分子毎の酸化または還元電子数、fは適用周波数、
Fはファラデー定数、Nはレドックス分子の総数、E0はレドックス分子の形
式的電位、Rはガス定数、TはKelvin度数での温度、そしてEDCは電極電位であ
る。このモデルは実験データと非常によく適合している。ある場合に、電流が予
測より小さくなるが、これは、フェロセンの減少によるものであり、多くの方法
で回復させ得る。
【0492】 加えて、ファラデー電流も、式2に示すとおり、時間の関数として表わすこと
ができる: 式2
【数2】 Fはファラデー電流であり、qeは電気素量である。
【0493】 しかし、電子伝達速度の影響も機器による因子も、式1に組み入れられてない
。電子伝達速度は、適用周波数に近いか、それより低い場合に重要である。この
ように真のiACは下記の式3に示すような3因子の関数である。 式3 iAC=f(Nernst因子)f(kET)f(機器因子)
【0494】 これらの式は、交流素子および直流素子を含む入力シグナルを使用するシステ
ムにおける期待交流電流をモデル化し、予測できる。上記したように、驚くべき
ことに従来の理論は、非常に低電圧の場合以外は、これらのシステムをまったく
モデル化しない。
【0495】 一般に、非特異的結合標識プローブ/ETMは、ETMを含む標識プローブが
正確な方向に特異的に結合したときよりも、インピーダンスに相違を示す(すな
わち、高いインピーダンス)。好ましい実施態様において、非特異的結合物質を
洗い落とすと、無限大の効果的なインピーダンスをもたらす。このように、一般
的に下記に示すように交流検出はいくつかの利点があり、それには、感受性の増
加およびバックグラウンドのノイズを拙除する能力が含まれる。特に、インピー
ダンスの変化(例えばバルクインピーダンスを含む)を、ETM含有プローブの
非特異的結合と標的特異的アッセイ複合体形成の差として監視できる。
【0496】 従って、AC開始および検出方法を用いると、システムの周波数応答がETM
存在の結果として変化する。「周波数応答」は、電極とETMとの間の電子伝達
の結果としてのシグナル修飾を意味する。この修飾はシグナル周波数に従って相
違する。周波数応答には、1以上の周波数での交流電流、位相シフト、直流オフ
セット電圧、ファラデーインピーダンス等が含まれる。
【0497】 標的配列および標識プローブを含むアッセイ複合体がつくられると、第1入力
電子シグナルはシステムに用いられ、好ましくは少なくともサンプル電極(本発
明の複合体を含む)および逆電極を介してシステムに用いられ、電極とETMと
の電子伝達が開始される。3つの電極システムも対照および実施電極に適用され
る電圧で用いられる。第1入力シグナルは少なくとも1つの交流素子を含む。交
流素子は変化し得る振幅と周波数である。一般的に、本発明の方法での使用に関
して、交流振幅は約1mV−1.1Vであり、約10mV−800mVが好まし
く、特に約10−500mVが好ましい。交流周波数は約0.01Hz−100
KHzであり、約10Hz−10MHzが好ましく、約100Hz−20MHz
が特に好ましい。
【0498】 交流と直流シグナルとの併用は、驚くべき感受性とシグナル最大化を含む種々
の利点がある。
【0499】 好ましい実施態様において第1入力シグナルは交流素子および直流素子を含む
。すなわち、サンプルと逆電極直流オフセット電圧は、ETM(例えば、フェロ
センを用いると、掃引は一般に0から500mV)(あるいは、作動電極をグラ
ウンドすると、対照電極は0から−500mVで掃引される)の電子化学的電位
を介して掃引される。この掃引はシステムの最大応答が見られる直流電圧を同定
するのに用いられる。これは一般にETMの電子化学的電位かその周辺である。
この電圧が測定されると、掃引または1以上の一定の直流オフセット電圧が用い
られる。直流オフセット電圧は約−1Vから+1.1Vであり、約−500mV
から+800mVが望ましく、約−300から500mVが特に望ましい。好ま
しい実施態様において直流オフセット電圧はゼロではない。直流オフセット電圧
のトップで、変化し得る振幅および周波数のシグナル交流素子が適用される。も
しETMが存在して交流摂動に応答し得ると、電極とETMとの間の電子伝達に
よって、交流電流が生じる。
【0500】 確立したシステムにおいて、ETM(即ち標的配列の存在する)核酸の有無を
識別するのに、単一の入力シグナルを用いて十分である。他方、複数の入力シグ
ナルも適応される。これには、多くの種類があり、多重周波数、多重交流振幅あ
るいはこれらの組合せが用いられる。
【0501】 このように好ましい実施態様において、多重直流オフセット電圧を用いると、
直流電圧掃引が好ましい。これは単一の周波数または2以上の周波数で行われる
【0502】 好ましい実施態様において、交流振幅は様々である。理論にとらわれることな
く、振幅を上げると推進力が増すようである。高い振幅は高い過電位をもたらし
、電子伝達に速い速度を与える。即ち、一般的に同じシステムがその周波数での
高い過電位の使用を介して任意の単一の周波数での応答を改善する(すなわち、
より早い出力シグナル)。振幅が高周波数で増すと、システムを通しての電子伝
達の速度が増し、感受性が大きくなる。さらに、例えば、これは、適当な空間の
ある配置を有さないような遅いシステムでの応答を惹起するのに用いられる。
【0503】 好ましい実施態様において、システムの測定は、少なくとも2つの単離した振
幅または過電位でなされる。複数の振幅での測定が好ましい。上記したように、
振幅変化の結果としての応答の変化は、システムの同定、校正および定量の基礎
を形成する。さらに1以上の交流周波数が同様に用いることができる。
【0504】 好ましい実施態様において、交流周波数は様々である。相違する周波数におい
て、異なる分子が異なる方法で応答する。当業者は分かるように、周波数が増す
と出力電流は一般に増加する。しかし、電極とETMに電子が行き来する速度よ
りも周波数が大きいときは、高い周波数は出力シグナルの喪失または低下をもた
らす。ある時点で周波数がETMと電極との間の電子伝達の速度よりも大きくな
り、出力シグナルも低下する。
【0505】 ある実施態様において、検出に単一周波数における出力シグナルの単一測定を
用いる。すなわち、標的配列の不存在、即ちETMを含む標識プローブの不存在
下でのシステムの周波数応答はあらかじめ測定でき、特定の高周波数で非常に低
い。この情報を用いると、特定の周波数応答での全てのアッセイ複合体の存在を
示す。すなわち、特定の周波数でのすべての応答はアッセイ複合体を特徴付ける
。単一入力高周波数を用いることのみが必要であり、すべての周波数応答のなん
らかの変化は、ETMが存在すること、標的配列が存在することを示す。
【0506】 さらに交流技法を用いると、ETM以外の物質によるすべての単一周波数での
バックグラウンドシグナルの顕著な低下をもたらす。すなわち、望まないシグナ
ルの「ロッキング・アウト」または「濾去」である。溶液中の電荷キャリヤーす
なわちレドックス活性分子の周波数応答が、その拡散係数および電荷伝達係数に
よって制限される。従って、高周波数では、電荷キャリヤーはその電荷を電極に
伝達するのに十分速く拡散し得ず、および/または電荷伝達速度が十分に速くな
い。このことは、適切な単層を用いない場合あるいは部分的または不完全な単層
を用いる場合、すなわち溶媒が電極に到達し得ない場合に著しい。すでに概記し
たように、直流技法において、溶媒が電極に到達し得る「孔」の存在は、システ
ムの「短絡」溶媒電荷キャリヤーをもたらすことがある。すなわち、電極への到
達およびバックグラウンドシグナルの生成である。しかし、現在の交流技法を利
用すると、1以上の周波数が選択でき、単層の存在・不存在にかかわらず溶液中
の1以上の電荷キャリアーの周波数応答を防ぐことができる。このことは血液な
どの多くの生物体液が、アンペロメトリー検出を妨害し得るレドックス活性分子
を顕著な量で含有しているので、特に意味がある。
【0507】 好ましい実施態様において、システムの測定は少なくとも2つの単離された周
波数で行われ、複数の周波数の測定が好ましい。複数の周波数には走査を含む。
例えば交流電流は、1−20Hzなどの低い入力周波数で、10−100kHz
などの高い周波数での出力シグナルに対する応答と比較すると、ETMの存在の
有無による周波数応答の相違を示す。好ましい実施態様において、周波数は少な
くとも2、好ましくは約5、さらに好ましくは少なくとも約10周波数で測定さ
れる。
【0508】 電子伝達を開始するために入力シグナルを伝達した後に、出力シグナルが受け
とられ、すなわち検出される。出力シグナルの存在および増大は多くの因子に依
存する。すなわち、入力シグナルの過電位/振幅;入力交流シグナルの周波数;
介在媒体の組成物;直流オフセット;システムの環境;ETMの性質;溶媒;塩
の種類と濃度である。1つの与えられた入力シグナルにおいて、出力シグナルの
存在および増大は、一般的にETMの存在の有無、単層表面からのETMの位置
と距離および入力シグナルの性質に依存する。いくつかの実施態様において、標
識プローブの非特異的結合と標識プローブを含む標的特異的アッセイ複合体の形
成との相違をインピーダンスに基づき識別することは、可能である。
【0509】 好ましい実施態様において、出力シグナルは交流電流を含む。上記したように
、出力電流の大きさはパラメーターの数に依存する。これらのパラメーターを変
えると、数においてシステムが最適化される。
【0510】 本発明で生じる交流電流は一般的に、約1femptoamp−約1milliampにあり、
約50femptoamp−約100microampが好ましく、約1picoamp−約1microampが
特に好ましい。
【0511】 好ましい実施態様において、出力シグナルは入力シグナルに比較すると交流素
子でシフトする位相である。理論にとらわれないで、本発明のシステムを充分に
一定にすると、位相シフトの検出が可能となるようである。すなわち、本発明の
電子伝達が起きるバイオ複合体は、均質に交流入力と反応し、これは標準の電子
素子と同じであり、位相シフトが測定できる。このことは、ETMの存在の有無
の検出の基礎として、および/または標識プローブを含む標的特異的アッセイ複
合体の存在とシステム成分に対する物質の非特異的結合との差異として働く。
【0512】 出力シグナルはETMの存在を特徴とする。すなわち出力シグナルは、標識プ
ローブとETMを含む標的特異的アッセイ複合体の存在を特徴とする。好ましい
実施態様において、検出の基礎は、アッセイ複合体の形成の結果としてのシステ
ムのファラデーインピーダンスの相違にある。ファラデーインピーダンスは、電
極とETMの系のインピーダンスである。ファラデーインピーダンスはバルクす
なわち2電子インピーダンスとまったく異なり、バルクインピーダンスは電極間
のバルク溶液のインピーダンスである。多くの因子がバルクインピーダンスに作
用しないファラデーインピーダンスを変えることができ、その逆も可能である。
このように核酸を含む本系のアッセイ複合体は一定のファラデーインピーダンス
を有し、これはETMと電極の距離、その電子的性質、介在媒体の組成物などに
依存している。本発明の方法で重要なことは、ETMと電極との間のファラデー
インピーダンスが、ETMを含む標識プローブが電極に特異的または非特異的に
結合するかどうかにより著しく異なることである。
【0513】 従って、本発明はさらに、交流検出方法を用いて核酸を検出するための装置を
提供する。この装置は、少なくとも1つの第1測定すなわちサンプル電極および
第2測定または逆電極を有する試験室を含む。3つの電極系も有用である。第1
および第2測定電極は試験サンプル受け領域に接触し、液体試験サンプルの存在
下で、2つの電気泳動電極は電子的に接触していてもよい。
【0514】 好ましい実施態様において、第1測定電極は、付着リンカー、および上述の導
電性オリゴマーを含む単層を介して共有結合した一本鎖核酸捕獲プローブを含む
【0515】 装置は、試験室すなわち測定電極に電気的に連結した交流電圧源を含む。好ま
しくは、交流電圧源は直流オフセット電圧も同様に伝達し得る。
【0516】 好ましい実施態様において、装置はさらに、入力シグナルと出力シグナルとを
比較し得るプロセッサーを含む。プロセッサーは電極に結合しており、出力シグ
ナルを受けるように配置され、そのようにして表面ヌクレオシドの存在を検出す
る。
【0517】 従って本発明の組成物は、種々の研究、臨床、品質管理、野外試験などに用い
られる。
【0518】 好ましい実施態様において、これらのプローブは遺伝子診断に使用される。例
えば、本明細書中に開示した技術を使用して、プローブを、例えば、非茸腫結腸
癌遺伝子、BRCA1胸部癌遺伝子、各種の癌関連遺伝子であるP53、アルツ
ハイマー病の最大リスク指標であるアポE4遺伝子、などの標的配列を検出する
ために調製し、患者の前駆症状スクリーニング、全身性繊維症遺伝子変異、ある
いはその他の当技術分野で周知のすべてを容易になし得る。
【0519】 別の実施態様では、ウイルスおよびバクテリアの検出は、本発明の複合体を使
用して実施できる。この実施態様では、プローブは、各種ウイルスおよびバクテ
リアから標的配列を検出するためにデザインされる。例えば、現今の血液スクリ
ーニングは坑HIV抗体の検出に依存している。本明細書中に開示した方法は、
臨床サンプルのHIV核酸配列、殊に保存性の高いHIV配列を検出する直接ス
クリーニングを可能とする。さらにこれは、抗ウイルス治療の効果を評価する改
良方法として、患者の体内を循環しているウイルスを直接モニターすることを可
能とする。同様に、白血病関連ウイルス、HLTV−IやHLTV−IIをこの方
法で検出することができる。バクテリア感染症、例えば、結核、クリミディアお
よび他の性的伝染症も検出できる。
【0520】 好ましいある実施態様では、本発明の各核酸は、水あるいは食品サンプルのス
クリーニングにおいて毒性バクテリア用プローブとしても使用される。例えば、
各サンプルは、バクテリアを溶解処理してその核酸(特にrRNA)を遊離させ
、次いでバクテリア株を認識するようにプローブをデザインする。但し、該バク
テリアは、Salmonella, Campylobacter, Vibrio cholerae, Leishmania, 腸毒
性のE. Coli株、およびレジオネア病バクテリア、などの病原性株を含むが、そ
れらに限定はされない。同様にして、本発明の組成物を使用して生体治癒戦術を
評価できる。
【0521】 さらなる実施態様では、犠牲者や容疑者から採取したサンプルについて、犯罪
−現場を照合させる法医学的「DNA指紋鑑定」に使用される。
【0522】 さらなる実施態様では、あるアレイ配列のプローブは、ハイブリダイゼーショ
ンによる配列決定に使用される。
【0523】 このように、本発明は、ある実施態様においては、ハイブリダイズしていない
プローブを除去することなく標的配列を検出し得る、極めて特異的かつ感受性の
高いプローブを提供するものである。これは、自動化遺伝子プローブアッセイの
形成に有用である。
【0524】 あるいは、本発明の組成物は、PCRにおける成功した遺伝子増幅を検出する
のに有用であり、かくして成功したPCR反応を標的配列の存在または不存在の
指標とすることができる。PCRはこのような手法で数種の方法に使用される。
例えば、ある実施態様では、このPCR反応は当技術分野で知られているように
して実施され、次いで、標的核酸とETMとを含む本発明の組成物に加え、導電
性オリゴマーを介して電極に共有結合させ、続いて標的配列を検出する。あるい
は、ETMで標識化したヌクレオチドを用い、電極の存在下にまたは続いて電極
を加えるかのいずれかで、導電性オリゴマー及び標的核酸とともにPCRを実施
する。ETMを含有するPCR生成物の電極組成物との結合は、電子移動により
検出される。最終的に、導電性ポリマーを介して電極に結合した核酸は、ETM
で標識化した第2プライマーの添加により、PCRプライマーの1種となるだろ
う。伸長させると、ETMおよび共有結合した電極を有する2本鎖核酸を生じる
。このような方法で、本発明は各標的配列のPCR検出に使用される。
【0525】 好ましいある実施態様では、これらの配列はmRNA検出に使用される。好ま
しいある実施態様は、これらのmRNAの3’ポリアデニル化末端近くにハイブ
リダイズする捕獲プローブまたは捕獲伸長プローブのいずれかを利用するもので
ある。これにより、標的結合プローブの1種、即ち、mRNA標的のポリ−A末
端と結合するポリ−T部分を含有するプローブ、を標的に使用することが可能と
なる。一般的に、このプローブは、好ましくは非ポリ−Tであり、検出プローブ
(または他のプローブ)と結合する第2部分、を含有する。これにより、1種標
的結合プローブの調製し、かくして異種プローブ合成実施量の減少が可能となる
【0526】 好ましいある実施態様では、制限酵素およびライゲーション手法を使用するこ
とにより、「ユニバーサル」アレイ配列の生成が可能となる。この実施態様では
、図7に一般的に示し、制限エンドヌクレアーゼ末端を含む捕獲プローブを含む
単層である。核酸の相補的部分を利用することにより、「粘着性末端」を残しつ
つ、制限エンドヌクレアーゼ部位のすべてを含むアレイ配列が調製される。これ
らの制限エンドヌクレアーゼの1種またはそれ以上で標的サンプルを処理するこ
とにより、それらの標的をアレイ配列に結合させることが可能となる。これは、
標的の配列を知らなくても実施できる。それらの標的配列は、所望により、標準
的手法例えばリガーゼを用いてライゲートでき、そして標準的標識または本発明
方法のいずれかを使用して標的配列を検出できる。
【0527】 本発明は、核酸類を感受性よく検出し得る方法を提供するものである。好まし
い実施態様では、約10×106以下、好ましくは約10×105以下、より好ま
しくは約10×104以下、特に好ましくは約10×103以下、最も好ましくは
約10×102以下の分子が検出される。これは標的配列とレポーター分子との
1:1の相関を推認するものであり、もし各標的配列に対して1以上のレポータ
ー分子(即ち、電子伝達部分)を使用すれば、感受性がより高くなるはずである
ことは、当業者には明かであろう。
【0528】 現今、検出限界は刊行物発表されたDNAを介しての電子伝達率に基づいて評
価されており、それは大まかに言って、8塩基対の分離につき1×106電子/
秒/デュープレックスであり(Meade et al., Angw. Chem. Eng. Ed., 34:352 (
1995)参照) 、高い推進力、約100kHzのAC周波数を可能とするものであ
る。予試験結果が示しているように、これらのシステムを介しての電子伝達は、
極めて効率的であり、ほぼ100×103電子/秒に達し、非常に僅かの分子に
対しても有力でフェムトアンプな感受性をもたらす。
【0529】 本明細書に記載した方法に加えて、本発明は、さらに本発明の実施において有
用な組成物、一般的にはキットを提供する。該キットには、追加の酵素およびプ
ライマー、dNTP群および/またはNTP群(置換したヌクレオチドを含む)
、緩衝液、塩、阻害剤などを含有する多くの試薬もしくは緩衝液と共に、プライ
マーおよび酵素を含有する組成物を含んでいる。
【0530】 以下の実施例は、本発明を用いる方法をより完全に説明するのに役立ち、さら
に本発明の多様な態様を実施するための最良のモデルを示すものである。これら
実施例は、本発明の範囲を制限するものではなく、むしろ説明の目的で示されて
いると解されるべきである。本明細書中で引用したすべての刊行物は、出典明示
により本明細書の一部とする。
【0531】 実施例 実施例1 フェロセンで2'位を修飾したヌクレオシドの合成
【0532】 N6の製造を記載する。
【0533】 化合物N1. フェロセン(20g、108mmol)および4−ブロモブチルクロリ
ド(20g、108mmol)をジクロロメタン450mLに溶解し、続いて、無水Al
Cl(14.7g、11mmol)を加えた。その反応混合物を室温で1時間40分攪
拌した後、氷600mLの添加により急冷した。有機層を分離して、水層がほぼ中
性(pH=5)となるまで水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させて、濃縮
した。粗製の生成物を、50/50 ヘキサン/ジクロロメタン、その後、30
/70 ヘキサン/ジクロロメタンで溶出する、シリカゲル300gでのフラッ
シュクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物26.4gm(73%)を得た
【0534】 化合物N2. 丸底フラスコ中、化合物N1(6g、18mmol)をトルエン120
mLに溶解した。亜鉛(35.9g、55mmol)、塩化第二水銀(3.3g、12mmol)
および水(100mL)を連続的に加えた。次いで、HCl溶液(12M、80mL)を
滴加した。その反応混合物を室温で16時間攪拌した。有機層を分離し、水(2
×100mL)で洗浄して、濃縮した。さらにシリカゲル270gmでのフラッシュ
クロマトグラフィー(ヘキサン)により精製して、所望の生成物(3.3g、58%
)を褐色の固形物質として得た。
【0535】 化合物N3. 氷水浴中、無水DMF400mL中のアデノシン13.6gm(51mm
ol)の混合物を10分間冷却した後、NaH(60%)3.0gm(76mmol)を加えた
。その反応混合物を0℃で1時間攪拌した後、化合物N2(16.4g、51mmol
)を加えた。次いで、温度を30℃まで徐々に上昇させて、その反応混合物をこ
の温度で4時間保持した後、氷100mLで急冷した。溶媒を減圧下に除去した。
その結果得られたガム状物質を水300mLおよび酢酸エチル300mLに溶解した
。水層を完全に抽出した(酢酸エチル3×300mL)。合わせた有機抽出物を濃縮
して、粗製の生成物をシリカゲル270gでのフラッシュクロマトグラフィーに
より精製した。そのカラムを、20% 酢酸エチル/ジクロロメタン、50% 酢
酸エチル/ジクロロメタン、70% 酢酸エチル/ジクロロメタン、酢酸エチル
、1% メタノール/酢酸エチル、3% メタノール/酢酸エチル、および5%
メタノール/酢酸エチルで溶出した。所望の画分を濃縮して、最終生成物(6.5
g、25%)を得た。
【0536】 化合物N4. 化合物N3(6.5g、12.8mmol)を乾燥ピリジン150mL中に
溶解し、TMSCl(5.6g、51.2mmol)を加える。反応混合物を室温で1.5
時間攪拌する。次いで、フェノキシアセチルクロリド(3.3g、19.2mmol)を
0℃で加える。次いで、反応混合物を室温で4時間攪拌し、0℃で水100mLを
加えて急冷する。溶媒を減圧下に除去し、粗製ゴム状物をさらに90gのシリカ
ゲル上でフラッシュクロマトグラフィー精製する。(1%メタノール/ジクロロ
メタン)(2.3g、28%)
【0537】 化合物N5. 化合物N4(2.2g、3.4mmol)およびDMAP(200mg、1.
6mmol)を無水ピリジン150mLに溶解し、続いて、DMTCl(1.4g、4.1m
mol)を加えた。その反応物をアルゴン下に室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下に
除去して、残留物をジクロロメタン250mLに溶解した。有機溶液を5% NaH
CO溶液(3×250mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて、濃縮した。さ
らにシリカゲル55gでのフラッシュクロマトグラフィー(1% TEA/50% ヘキサン/ジクロロメタン)により精製して、所望の生成物(1.3g、41%)
を得た。
【0538】 化合物N6. ジクロロメタン150mL中のN5(3.30gm、3.50mmol)の溶
液に、ジイソプロピルエチルアミン(4.87mL、8.0当量)および触媒量のDM
AP(200mg)を加えた。その混合物を0℃で保持して、N,N−ジイソプロピ
ルアミノシアノエチルホスホンアミジン酸クロリド(2.34mL、10.48mmol)
を加えた。その反応混合物を温めて、室温で一晩攪拌した。ジクロロメタン15
0mLおよび5% NaHCO水溶液250mLを加えることにより希釈した後、有
機層を分離し、5% NaHCO(250mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ
て、濃縮した。粗製の生成物をヘキサン中の1% TEAで充填したシリカゲル
66gのフラッシュカラムで精製した。溶出溶媒は、ヘキサン中の1% TEA(
500mL)、ヘキサン中の1% TEAおよび10% ジクロロメタン(500mL)
、ヘキサン中の1% TEAおよび20% ジクロロメタン(500mL)、ヘキサン
中の1% TEAおよび50% ジクロロメタン(500mL)であった。所望の生成
物を含む画分を集め、濃縮して、最終生成物(3gm、75%)を得た。
【0539】 実施例2 「分枝した」ヌクレオシドの合成
【0540】 図11Aに図示するN17の合成を記載する。
【0541】 N14の合成. ジクロロメタン300mL中のtert−ブチルジメチルシリルクロ
リド(33.38g、0.22mol)の溶液に、イミダゾール(37.69g、0.55
mol)を加えた。直ちに多量の沈殿が形成された。2−ブロモエタノール(27.6
8g、0.22mol)を室温で徐々に加えた。その反応混合物をこの温度で3時間
攪拌した。有機層を、水(200mL)、5% NaHCO(2×250mL)および水
(200mL)で洗浄した。溶媒を除去して、標記生成物52.52g(99%)を得
た。
【0542】 N15の合成. 0℃でのDMF1.0L中のアデノシン(40g、0.15mol)
の懸濁液に、NaH(鉱油中の60%の8.98gm、0.22mol)を加えた。その混
合物を0℃で1時間攪拌して、N14(35.79gm、0.15mol)を加えた。そ
の反応物を30℃で一晩攪拌した。それを氷水100mLで急冷した。溶媒を高真
空下に除去した。その結果得られた泡状物質を酢酸エチル800mLおよび水70
0mLの混合物に溶解した。水層をさらに酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。
合わせた有機層をNaSOで乾燥させて、濃縮した。粗製の生成物をジクロ
ロメタン中の1% TEAで充填したシリカゲル300gのフラッシュカラムで
さらに精製した。溶出溶媒は、ジクロロメタン(500mL)、ジクロロメタン中の
3% MeOH(500mL)、ジクロロメタン中の5% MeOH(500mL)およびジ
クロロメタン中の8% MeOH(2000mL)であった。所望の画分を集め、濃縮
して、標記生成物11.70g(19%)を得た。
【0543】 N16の合成. 0℃で冷却した無水ピリジン300mL中のN15(11.50gm
、27.17mmol)の溶液に、塩化トリメチルシリル(13.71mL、0.11mol、
4.0)を加えた。その混合物を0℃で40分間攪拌した。塩化フェノキシアセチ
ル(9.38mL、67.93mmol)を加えた。その反応物を0℃で2.5時間攪拌し
た。次いで、その混合物をジクロロメタン700mLおよび水500mLの混合物に
移した。その混合物を十分振盪して、有機層を分離した。5% NaHCO(2
×300mL)で2回洗浄した後、ジクロロメタンを回転式蒸発機(rotovapor)で除
去した。その残留物に、水200mLを加えて、その結果得られたピリジン混合物
を室温で2時間攪拌した。次いで、溶媒を高真空下に除去した。ガム状生成物を
ピリジン100mLと共に蒸発させた。残留物を無水ピリジン250mLに0℃で溶
解して、4,4'−ジメトキシトリチルクロリド(11.02gm、32.60mmol)
を加えた。その反応物を室温で一晩攪拌した。その溶液をジクロロメタン700
mLおよび5% NaHCO500mLの混合物に移した。十分振盪した後、有機層
を分離し、5% NaHCO(2×200mL)でさらに洗浄した後、濃縮した。粗
製の生成物を1% TEA/30% CHCl/ヘキサンで充填したシリカゲ
ル270gmのフラッシュカラムで精製した。溶出溶媒は、1% TEA/50%
CHCl/ヘキサン(1000mL)および1% TEA/CHCl(2000
mL)であった。所望の生成物を含む画分を集め、濃縮して、標記生成物10.0g
(43%)を得た。
【0544】 N17の合成. ジクロロメタン300mL中のN16(10.0gm、11.60mmo
l)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(16.2mL)および触媒量のN,N−ジ
メチルアミノピリジン(200mg)を加えた。氷水浴中、その混合物を冷却して、
N,N−ジイソプロピルアミノシアノエチルホスホンアミジン酸クロリド(7.7
8mL、34.82mmol)を加えた。その反応物を室温で一晩攪拌した。ジクロロメ
タン250mLおよび5% NaHCO250mLを加えることにより、その反応混
合物を希釈した。十分振盪した後、有機層を分離し、同量の5% NaHCO
溶液でもう一度洗浄し、NaSOで乾燥させて、濃縮した。粗製の生成物を
ヘキサン中の1% TEAおよび10% ジクロロメタンで充填したシリカゲル1
20gmのフラッシュカラムで精製した。溶出溶媒は、ヘキサン中の1% TEA
および10% ジクロロメタン(500mL)、ヘキサン中の1% TEAおよび20
% ジクロロメタン(500mL)並びにヘキサン中の1% TEAおよび40% ジ
クロロメタン(1500mL)であった。適切な画分を集め、濃縮して、最終生成物
(7.37gm、60%)を得た。
【0545】 分枝に使用する他の2つのヌクレオチドの合成を、Lev保護基を用いて、図1
1Bおよび11Cに示す。これらの分枝ヌクレオチドは、リボース(N17)より
むしろホスフェートから分枝すると、幾分良好な結果を与えるようである。
【0546】 実施例3 ETMを含むトリホスフェートヌクレオチドの合成
【0547】 AFTPの合成を記載する。
【0548】 N3(1.00g、1.97mmol)をリン酸トリエチル15mLに溶解し、続いて、
ジイソプロピルエチルアミン(0.69mL、3.9mmol)を加えた。その混合物を0
℃で保ちながら、オキシ塩化ホスフェロウス(phospherous oxychloride)(0.4
5g、2.93mmol)を加えた。その反応混合物を、0℃で4時間、次いで、4℃
で一晩攪拌した。ビス(トリブチル)アンモニウムホスフェート(3.24g、5.
91mmol)を加えて、その反応混合物を、0℃で6時間、そして4℃で一晩攪拌
した。その反応物中に生成した白色の沈殿を濾過により除去した。濾液を水(2
0mL)で処理すると、黄色の沈殿が形成された。その沈殿を濾過し、高真空下に
乾燥させて、標記生成物0.63gを黄色の固形物質として得た。
【0549】 実施例4 フェロセンがホスフェートによって結合したヌクレオシドの合成
【0550】 Y63の合成を記載する。
【0551】 C102の合成:N2 10.5gm(32.7mmol)、酢酸カリウム16gmおよびD
MF350mlよりなる反応混合物を、100℃で2.5時間攪拌した。その反応
混合物を室温まで冷却した後、エーテル400mlおよび水800mlの混合物へと
注ぎ入れた。その混合物を振盪して、有機層を分離した。水層をエーテルで2回
抽出した。合わせたエーテル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、カラムク
ロマトグラフィーのために濃縮した。シリカゲル(160gm)を1% TEA/ヘ
キサンで充填した。粗製物をロードして、そのカラムを1% TEA/0−10
0% CHCl/ヘキサンで溶出した。所望の生成物を含む画分を集め、濃縮
して、C102 5.8g(59.1%)を得た。
【0552】 Y61の合成:C102 5.1gm(17.0mmol)を含むフラスコに、ジオキサン
30mlを加えた。この溶液に、少量の1M NaOHを2.5時間かけて加えるか
、または加水分解が完了するまで加えた。加水分解後、ヘキサンを使用して、生
成物を抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させて、クロマトグラ
フィーのために濃縮した。シリカゲル(100gm)を10% EtOAc/ヘキサン
で充填した。粗製の生成物の溶液をロードして、そのカラムをヘキサン中の10
%−50% EtOAcで溶出した。所望の生成物を含む画分をプールし、濃縮し
て、Y61 4.20gm(96.1%)を得た。
【0553】 Y62の合成:Y61 4.10gm(15.9mmol)を含むフラスコに、ジクロロメ
タン200ml、DIPEA7.72mlおよびビス(ジイソプロピルアミノ)クロロ
ホスフィン4.24gm(15.9mmol)を加えた。この反応混合物をアルゴンの存在
下に一晩攪拌した。その反応混合物をその元の容積の1/3まで濃縮して、ヘキ
サン200mlを加えた後、その反応混合物を再び元の容積の1/3まで濃縮した
。この手順をもう一度繰り返した。沈殿した塩を濾過して取り除き、その溶液を
濃縮して、粗製のY62 8.24gmを得た。さらに精製することなく、生成物を
次の段階に使用した。
【0554】 Y63の合成:N−PAC デオキシ−アデノシン1.0gm(1.45mmol)、粗製
のY62 1.77g、およびN,N−ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド
125mg、およびジクロロメタン100mlの反応混合物。その反応混合物を室温
で一晩攪拌した。次いで、CHCl100mlおよび5% NaHCO溶液1
00mlを加えることにより、その反応混合物を希釈した。有機相を分離して、硫
酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、その溶液をカラムクロマトグラフィーのた
めに濃縮した。シリカゲル(35gm)を10% TEA/ヘキサンで充填した。粗
製の物質を1% TEA/10−40% CHCl/ヘキサンで溶出した。生
成物を含む画分をプールし、濃縮して、標記生成物0.25gmを得た。
【0555】 実施例5 エチレングリコール末端化ワイヤーW71の合成
【0556】 W55の合成:フラスコに、tert−ブチルジフェニルクロロシラン7.5gm(27
.3mmol)、トリ(エチレングリコール)25.0gm(166.5mmol)および無水DM
F50mlをアルゴン下に加えた。氷水浴中、その混合物を攪拌して、冷却した。
そのフラスコに、DMF80ml中のAgNO5.1gm(30.0mmol)の透明な溶
液を滴加漏斗によって滴加した。添加が完了した後、その混合物を室温まで温め
て、さらに30分間攪拌した。褐色のAgCl沈殿を濾過して取り出し、DMF(
3×10mL)で洗浄した。溶媒を減圧下に除去すると、濃厚なシロップ様の液状
生成物が形成され、これをCHCl約80mlに溶解した。その溶液を水(6×
100mL)で洗浄して、未反応の出発物質、すなわち、トリス(エチレングリコー
ル)を除去した後、NaSOで乾燥させた。CHClを除去して、粗製物
〜10.5gを得、これを50% CHCl/ヘキサンで充填したシリカゲル
104gを含むカラムで精製した。そのカラムを3−5% MeOH/CHCl
で溶出した。所望の生成物を含む画分をプールし、濃縮して、純粋な標記生成
物8.01gm(75.5%)を得た。
【0557】 W68の合成:W55 8.01gm(20.60mmol)を含むフラスコに、CBr
.56gm(25.8mmol)およびCHCl60mlを加えた。氷水浴中、その混合
物を攪拌した。その溶液に、CHCl15ml中のPPh8.11gm(31.0m
mol)を徐々に加えた。その混合物を0℃で約35分間攪拌して、室温まで温めた
。その混合物の容積を約10.0mlまで減少させて、エーテル75mlを加えた。
沈殿を濾過して取り出し、エーテル2×75mlで洗浄した。エーテルを除去して
、粗製の生成物約15gを得、これを精製に使用した。シリカゲル(105gm)を
ヘキサンで充填した。試料溶液をロードして、カラムを50% CHCl/ヘ
キサン、次いで、CHClで溶出した。所望の画分をプールし、濃縮して、
純粋な標記生成物8.56gm(72.0%)を得た。
【0558】 W69の合成:氷水浴中、無水DMF50ml中の4−ヨードフェノール5.2gm(
23.6mmol)の溶液をAr下に冷却した。その混合物に、NaH1.0gm(鉱油中の
60%、25.0mmol)を少しずつ加えた。その混合物を、同じ温度で約35分間
攪拌、そして室温で30分間攪拌した。そのフラスコに、DMF20ml中のW6
8 8.68gm(19.2mmol)の溶液をアルゴン下に加えた。フラスコをアルミニ
ウムホイルで覆い、その混合物を50℃で12時間攪拌した。DMFを減圧下に
除去した。残留物を酢酸エチル300mlに溶解して、その溶液をHO(6×5
0mL)で洗浄した。酢酸エチルを減圧下に除去して、精製のために、残留物を3
0% CHCl/ヘキサンで充填したシリカゲルカラム100gへとロードし
た。そのカラムを30−100% CHCl/ヘキサンで溶出した。所望の生
成物を含む画分をプールし、濃縮して、標記生成物9.5gm(84.0%)を得た。
【0559】 W70の合成:W69 6.89gm(11.6mmol)を含む100mlの丸底フラスコ
に、1M TBAF THF溶液30mlを加えた。その溶液を室温で5時間攪拌し
た。THFを除去して、残留物をCHCl150mlに溶解した。その溶液を
O(4×25mL)で洗浄した。溶媒を除去して、半固形物質10.5gmを得た
。シリカゲル(65gm)を50% CHCl/ヘキサンで充填し、試料溶液をロ
ードして、そのカラムを0−3% CHOH/CHClで溶出した。その画
分をTLC(CHOH:CHCl=5:95)により同定した。所望の生成
物を含む画分を集め、濃縮して、標記生成物4.10gm(99.0%)を得た。
【0560】 W71の合成:フラスコに、W70 1.12gm(3.18mmol)、PPh0.23
g(0.88mmol)、Pd(dba)110mg(0.19mmol)、Cul 110mg(0.57
mmol)およびY4(1ユニットワイヤー)0.75g(3.2mmol)を加えた。そのフ
ラスコをアルゴンでフラッシュした後、無水DMF65mlを導入し、続いて、ジ
イソプロピルアミン25mlを導入した。その混合物を55℃で2.5時間攪拌し
た。溶媒を全て減圧下に除去した。残留物をCHCl100mlに溶解して、
その溶液を飽和EDTA溶液(2×100mL)で完全に洗浄した。CHCl
除去して、粗製の生成物2.3gを得た。シリカゲル(30gm)を50% CH
l/ヘキサンで充填し、試料溶液をロードして、そのカラムを10% 酢酸エチ
ル/CHClで溶出した。所望の生成物を含む画分を濃縮して、標記生成物
1.35gm(2.94mmol)を得、これを熱時ヘキサン溶液からの再結晶化により無
色の結晶としてさらに精製した。
【0561】 実施例6 絶縁体に結合させたヌクレオシドの合成
【0562】 C108の合成:フラスコに、2'−アミノ−5'−O−DMT ウリジン2.0gm
(3.67mmol)、C44 1.63gm(3.81mmol)、TEA5mlおよびジクロロメ
タン100mlを加えた。この反応混合物を室温で72時間攪拌した。溶媒を除去
して、少量のCHClに溶解した。シリカゲル(35gm)を2% CHOH/
1% TEA/CHClで充填し、試料溶液をロードして、そのカラムを同じ
溶媒系で溶出した。所望の生成物を含む画分をプールし、濃縮して、標記生成物
2.5gm(80.4%)を得た。
【0563】 C109の合成:フラスコに、C108 2.4gm(2.80mmol)、ジイソプロピ
ルエチルアミン4mlおよびCHCl80mlをアルゴンの存在下に加えた。氷
水浴中、その反応混合物を冷却した。冷却したら、2−シアノエチルジイソプロ
ピルクロロ−ホスホルアミダイト(phosphoramidite)2.10gm(8.83mmol)を
加えた。次いで、その混合物を一晩攪拌した。メタノール10mlおよびCH
l150mlを加えることにより、その反応混合物を希釈した。この混合物を5
% NaHCO溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、カラムクロマト
グラフィーのために濃縮した。65gmのシリカゲルカラムを1% TEAおよび
ヘキサンで充填した。粗製の生成物をロードして、そのカラムを1% TEA/
0−20% CHCl/ヘキサンで溶出した。所望の生成物を含む画分をプー
ルし、濃縮して、標記生成物2.69gm(90.9%)を得た。
【0564】 実施例7 様々なETM結合物の比較
【0565】 図1に図示する様々な異なるETM結合物を比較した。表1に示すように、検
出プローブを電極表面に結合させた(表中、ワイヤーを含む配列)。ポジティブ(
すなわち、検出プローブに相補的なプローブ)およびネガティブ(すなわち、検出
プローブに相補的でないプローブ)コントロール標識プローブを加えた。
【0566】 本発明の様々な組成物を含む電極を作成して、AC検出法で使用した。次のよ
うに実験を操作した。ワーキング(試料)電極と参照電極との間のDCオフセット
電圧をフェロセンの電気化学的電位によって掃引し、典型的には、0−500m
Vであった。DCオフセットのトップでは、可変性の振幅および周波数のACシ
グナルを適用した。励起周波数でのAC電流をDCオフセットに対してプロット
した。
【0567】 その結果を表2に示すと、Y63、VIおよびIV化合物が最良の結果を示す。
【0568】
【表1】 不明:ポジティブコントロールとネガティブコントロールとの間に相違がない。
ND:測定せず。
【0569】 様々な金属錯体を含むオリゴヌクレオチドの表
【表2】
【表3】
【0570】 実施例8 本発明の好ましい態様
【0571】 以下に概説するように、様々な系を操作して、十分作動することを示した。化
合物は全て、図19で言及する。一般的には、次のように系を操作した。上に概
説したように、電極、結合リンカーをよって結合させた捕獲プローブ、導電性オ
リゴマー、および絶縁体を含んでなる表面を作成した。標的配列、捕獲エクステ
ンダープローブおよび標識プローブを含め、その系の他の構成要素を混合し、一
般的には、90℃で5分間アニールして、室温まで1時間冷却した。次いで、そ
の混合物を電極に加えて、AC検出を実施した。
【0572】 捕獲プローブ、捕獲エクステンダープローブ、非標識化標的配列および標識プロ
ーブの使用: 実施例16の方法を使用して、25塩基配列を含んでなる捕獲プローブD11
2を導電性オリゴマーY5および絶縁体M44と2:2:1の割合で混合した。
1塩基で分離された、捕獲プローブD112に完全に相補的な24塩基配列、お
よび標的2tarと完全に相補的な24塩基配列を含んでなる、捕獲エクステンダ
ープローブD179を、標的2tarと共に加えた。D179分子は、電極に最も
近い末端に(塩基に対するC15結合を使用して)フェロセンを持つ。結合リンカ
ーが導電性オリゴマーである場合、ETMの、この位置での、またはこの位置に
近くでの使用は、D179分子が存在することの確認を可能とする。この位置で
のフェロセンは、検出に使用するETMより様々なレドックス電位を有する。標
的配列のある部分に完全に相補的な18塩基配列、13塩基配列のリンカー、お
よび枝分かれ配置を使用して結合された4つのフェロセンを含んでなる、標識プ
ローブD309(デンドリマー)を加えた。代表的なスキャンを図20Aに示す。
標的2tarを加えなかった場合、代表的なスキャンを図20Bに示す。
【0573】 捕獲プローブおよび標識化標的配列の使用: 実施例A:上に概説したように、捕獲プローブD94を、Y5および導電性オリ
ゴマーM44と共に、2:2:1の割合で、全チオール濃度833μMで、電極
表面上に加えた。捕獲プローブD94に完全に相補的な15塩基配列、14塩基
のリンカー配列、およびN6化合物によって結合された6つのフェロセンを含ん
でなる標的配列(D336)を使用した。代表的なスキャンを図20Cに示す。標
的配列との相同性を有していない、様々な捕獲プローブD109の使用は、ネガ
ティブコントロールとして働き:代表的なスキャンを図20Dに示す。
【0574】 実施例B:上に概説したように、捕獲プローブD94を、Y5および導電性オリ
ゴマーM44と共に、2:2:1の割合で、全チオール濃度833μMで、電極
表面上に加えた。捕獲プローブD94と完全に相補的な15塩基配列、N6化合
物によって結合された6つのフェロセンにフックしたエチレングリコールリンカ
ーC131を含んでなる標的配列(D429)を使用した。代表的なスキャンを図
20Eに示す。標的配列との相同性を有していない、様々な捕獲プローブD10
9の使用は、ネガティブコントロールとして働き:代表的なスキャンを図20F
に示す。
【0575】 捕獲プローブ、捕獲エクステンダープローブ、非標識化標的配列、および標的結
合配列とETMとの間に長いリンカーをもつ2つの標識プローブの使用: 捕獲プローブD112、導電性オリゴマーY5、絶縁体M44および捕獲エク
ステンダープローブD179は、上に概説した通りであった。2つの標識プロー
ブを加えた:標的配列のある部分に完全に相補的な18塩基配列、15塩基配列
のリンカー、および図23に図示するN6結合を使用して結合させた6つのフェ
ロセンを含んでなるD295。D297は、その18塩基配列が標的配列の別の
部分にハイブリダイズすることを除き、同じである。代表的なスキャンを図20
Gに示す。標的2tarを加えなかった場合、代表的なスキャンを図20Hに示す
【0576】 捕獲プローブ、捕獲エクステンダープローブ、非標識化標的配列、および標的結
合配列とETMとの間に短いリンカーをもつ2つの標識プローブの使用: 捕獲プローブD112、導電性オリゴマーY5、絶縁体M44、および捕獲エ
クステンダープローブD179は、上に概説した通りであった。2つの標識プロ
ーブを加えた:標的配列のある部分に完全に相補的な18塩基配列、5塩基配列
のリンカー、および図23に図示するN6結合を使用して結合させた6つのフェ
ロセンを含んでなるD296。D298は、その18塩基配列が標的配列の別の
部分とハイブリダイズすることを除き、同じである。代表的なスキャンを図20
Iに示す。標的2tarを加えなかった場合、代表的なスキャンを図20Jに示す
【0577】 2つの捕獲プローブ、2つの捕獲エクステンダープローブ、大きな非標識化標的
配列、および標的結合配列とETMとの間に長いリンカーをもつ2つの標識プロ
ーブの使用: この試験は、rRNAの検出を目的とした。本明細書中に概説するように、導
電性オリゴマーY5、絶縁体M44、および2つの捕獲配列D417およびEU
1に相補的である1つの表面プローブD350を使用した。D350、Y5およ
びM44を0.5:4.5:1の割合で加えた。2つの捕獲エクステンダープロー
ブを使用した:捕獲プローブD350に相補的な16塩基および標的配列に相補
的な21塩基を有するD417、並びに捕獲プローブD350に相補的な16塩
基および標的配列の別の部分に相補的な23塩基を有するEU1。2つの標識プ
ローブを加えた:標的配列のある部分に完全に相補的な30塩基配列、図19に
示す3つのグレン(glen)リンカーを含んでなる(ポリエチレングリコールを含ん
でなる)リンカー、およびN6を使用して結合されている6つのフェロセンを含
んでなるD468。D449は、その28塩基配列が標的配列の別の部分にハイ
ブリダイズし、そして使用するポリエチレングリコールリンカー(C131)がよ
り短いことを除き、同じである。代表的なスキャンを図20Kに示す。
【0578】 捕獲プローブ、非標識化標的、および標識プローブの使用: 実施例A:捕獲プローブD112、導電性オリゴマーY5および絶縁体M44を
、2:2:1の割合で、全チオール濃度833μMで、電極上に置いた。D11
2に相補的な配列を含んでなる標的配列MT1を加えて、標識プローブD358
に相補的な20塩基配列を合わせた;この場合では、標識プローブD358を標
的配列に加えた後、電極に導入した。その標識プローブは、図23に図示するN
6結合を使用して結合された6つのフェロセンを含む。代表的なスキャンを図2
0Lに示す。MT1を、捕獲プローブに相補的ではないNC112で置き換える
と、シグナルは生じず;同様に、MT1を除くと、シグナルは生じなかった。
【0579】 実施例B:捕獲プローブD334、導電性オリゴマーY5および絶縁体M44を
、2:2:1の割合で、全チオール濃度833μMで、電極上に置いた。捕獲プ
ローブに相補的な配列を含んでなる標的配列LP280を加えて、標識プローブ
D335に相補的な20塩基配列を合わせた;この場合では、標識プローブD3
35を標的に加えた後、電極に導入した。その標識プローブは、図23に図示す
るN6結合を使用して結合された6つのフェロセンを含む。代表的なスキャンを
図20Mに示す。LP280を、LN280プローブ(標識プローブには相補的
であるが、捕獲プローブには相補的でない)で置き換えると、シグナルは生じな
かった。
【0580】 実施例9 本発明を使用するPCR反応のモニタリング HIV配列を標的配列として使用して、PCR反応のモニタリングを実施した
。複数の反応を操作して、0−30または50サイクルで停止させた。この場合
では、(本明細書中に記載するN6結合を使用して)ETMを含むセンスプライマ
ー、当業者には分かるであろうが、ETMを含むトリホスフェートヌクレオチド
を使用して、非プライマー配列を標識することができる。プライマー配列に直ぐ
隣接する非プライマー配列の16ヌクレオチドにハイブリダイズするよう、表面
プローブを設計した;換言すれば、標識化プライマー配列は、表面プローブには
結合しない。そこで、増幅配列が表面プローブに結合するような増幅が起こった
場合にのみ、隣接するETMの検出を行う。
【0581】 この場合での標的配列は、HIV−1ゲノム全体を含み、そしてpBluescript
II−KS(+)でのSstl部位へと挿入されたGenbank受託コード K03455
またはM38432を有する、HXB2クローンから誘導されたpBH10−R
3の8.9kbのSstlフラグメントを含むプラスミド pBKBH10S(NIH A
IDS Research and Reference Reagent プログラム − McKesson Biose
rvices,Rockville MD)であった。その挿入は、T7プロモーターからの転写
がセンスRNAをもたらすよう指向されている。
【0582】 「センス」プライマーD353は、次の通りであった:
【化41】 「アンチセンス」プライマーD351は、次の通りであった:
【化42】 次のものは、140bpを含んでなる、反応の推定PCR産物である:
【化43】
【0583】 表面捕獲プローブ(センスプライマーと全く重複しない)D459は、次の通り
であった:
【化44】
【0584】 PCR反応条件は標準であった:TAQ 10X 緩衝液でのTAQポリメラー
ゼ。テンプレートの6×10、6×10または6×10分子のいずれかに
、プライマー(1μM)を加えた。反応条件は、90℃で30秒間、57℃で30
秒間、および70℃で1分間であった。
【0585】 直径0.127mmの純金ワイヤーの一端を溶融して、球を形成することにより
、電極を製造した。その電極を王水に20秒間浸した後、水で濯いだ。その電極
を、50℃で5分間加熱した全チオール1mMでの37:39:24 THF:A
CN:水中の1.3:4.0:7 D459:H6:M44の析出溶液へと浸すこ
とにより、SAMを析出させた後、その電極を導入した。その電極を加えた後、
直ちに除去して、室温とし、15分間放置した。次いで、電極を(全チオール濃
度400μMでの37:39:24 THF:ACN:水中の)M44に移した。
その電極をM44に室温で5分間放置した後、次の加熱サイクルを適用した:7
0℃で1分間、続いて、55℃で30秒間、このサイクルをもう2回繰り返し、
続いて、室温で10分間浸漬しながら、0.3℃の勾配で室温まで下げた。その
電極をM44溶液から取出し、2XSSCですすぎ、次のようにハイブリダイズ
させた。PCR産物を6XSSC(FCSなし)まで調節した。コントロールもま
た6XSSCまで調節した。6XSSCで2回濯いだ後、ハイブリダイゼーショ
ンを室温で少なくとも1.5時間行った。ACV条件、次の通りであった:Ag/
AgCl参照電極およびPt補助電極を使用し、そしてNaClOを電解溶液とし
て使用した。ACV測定を次のように行った:v=10Hz,ε=25mV、スキ
ャン範囲−100mV−500mV。データを図26に示す。
【0586】 実施例10 電極表面でのライゲーション HIV配列の検出のために、実験設計を図21に示す。基本的には、表面プロ
ーブD368
【化45】 を、1:4:1のD368:H6:M44の割合で、全チオール濃度833μM
で、M44およびH6(H6は、アセチレン結合で末端化されている2つのユニ
ットワイヤーである。)を含んでなる電極に結合させた。ライゲーションプロー
ブHIVLIG
【化46】 および標的配列HIVCOMP
【化47】 をリガーゼと共に加えて、反応を進めた。反応条件は、次の通りであった:HI
VCOMPにアニールした10μM HIVLIGを電極表面(6XSSC中)に
80分間ハイブリダイズさせた。その表面をリガーゼ緩衝液中で濯いだ。リガー
ゼ(T4)および緩衝液を加えて、室温で2時間インキュベートした。10−4
でのTriton Xを70℃で加えて、新たに形成されたハイブリダイゼーション複
合体の変性を可能とし、新たに形成された長い表面プローブ(HIVLIGプロ
ーブにライゲートしたD368を含んでなる)を生じさせた。シグナリングプロ
ーブD456
【化48】 の添加は、検出を可能とした(結果は示していない)。プローブD456をHIV
LIGプローブにハイブリダイズするよう設計した;換言すれば、ライゲートし
なかった表面プローブは、検出を可能としなかった。
【0587】 実施例11 エチレングリコールリンカーを含んでなる捕獲プローブの使用 0、4および8つのエチレングリコール単位を含むrRNAアッセイのための
捕獲プローブを4つの別々の電極表面で試験した。表面1は、H6:M44を2
:1の割合で含み、全チオール濃度は500μMであった。表面2は、D568
/H6/M44を2:2:1の割合で含み、全チオール濃度は833μMであっ
た。表面3は、D570/H6/M44を2:2:1の割合で含み、全チオール
濃度は833μMであった。D568は、
【化49】 を含んでなる捕獲プローブであった。P282は、チオールであった。D569
は、4つのエチレングリコール単位:
【化50】 を含んでなる捕獲プローブであった。D570は、8つのエチレングリコール単
位:
【化51】 を含んでなる捕獲プローブであった。H6(保護型)は、次の通りであった:(C
)Si−(CH)−S−(C)−CC−(C)−CCH。M
44は、M43と同じであって、次の通りであった:HS−(CH)11−(O
CHCH)−OH。標識プローブD483は、rRNA標的のもう1つの部
分にハイブリダイズし、次の通りであった:
【化52】 。D495は、ネガティブコントロールであって、次の通りであった:
【化53】 。結果は、次の通りであった:
【0588】 表面1: D483 〜0(捕獲プローブは存在せず) D495 0 表面2: D483 126nA D495 1.29nA 表面3: D483 19.39nA D495 1.51nA 表面4: D483 84nA D495 1.97nA 示すように、システムは十分作動している。
【0589】 実施例12 rRNAの検出および様々な量のETMの比較 現在まで、最も感受性のrRNA検出は、833μM 全チオール濃度で析出す
る、1:3.5:1.5の割合で混合されたD350/H6/M44表面を使用し
ている。D350は、15mer DNAをもつ4つのユニットワイヤーであり;H
6は、2つのユニットワイヤーであって;M44は、エチレングリコール末端化
アルカン鎖である。標的分子をセンサー表面に1つ以上の箇所で拘束する場合、
より良好な検出限界が見られる。現在まで、2つの二つの拘束点が使用されてい
る。拘束配列D417(42mer)および捕獲配列EU1(62mer)は、16S rR
NAを表面上のD350に結合させた。rRNAに予めアニールしておいた一連
の9つの標識プローブ(D449、D469、D489、D490、D491、
D476、D475およびD477)は、電気化学的シグナルを与えた。これら
の標識プローブ(シグナリング分子)は、6つまたは8つのN6またはY63型フ
ェロセンを有する。タックダウン(tack-down)領域の側面に位置する標識プロー
ブを、20または40のフェロセンのいずれかを含む標識プローブで(一度に一
端を)置き換えた。加えて、タックダウン領域の中心にある領域に結合する標識
プローブを、20または40のフェロセンのいずれかを含む標識プローブで置き
換えた。2つの6−フェロセンを含む標識プローブを、2つの40−フェロセン
を含む標識プローブで置き換えた場合、ポジティブシグナルが12倍増大した。
非特異的なシグナルもまた増加し、シグナル対ノイズの割合において1.5倍の
増大を示した。現在利用されている最良のシステムは、rRNAを2箇所でタッ
クダウンし、3'タックダウンポイントの側面に位置する40−フェロセン標識
プローブを使用し、rRNA分子の残りの面を、6−フェロセンを含む標識プロ
ーブと結合させる。さらなるタックダウンポイントおよび複数の標識プローブを
意図する。
【0590】 典型的な実験プロトコールは、次の通りである: 表面誘導体化:密封した0.5ミリリットルのエッペンドルフ試験管中、析出溶
液20μL(43.2% THF、45.9% ACN、10.9% HO中、全チオ
ール濃度833μMで、1:3.5:1.5のD350:H6:M44)を50℃
で5分間加熱した。溶解した金球電極を溶液へと挿入した後、直ちに移動して、
室温とし、15分間インキュベートした。次いで、その電極を、37% TH、
39% ACN、24% HO中の400μM M44 〜200μLへと移し、
室温で5分間、40℃で2分間、30℃で2分間、次いで、さらに室温で15分
間インキュベートした。次いで、電極を2×SSC(水性緩衝化塩溶液)に短時間
浸して、以下のようにハイブリダイズさせた。
【0591】 70℃で30秒間加熱した後、22℃まで〜38秒間かけて冷却することによ
り、ハイブリダイゼーション溶液をアニールした。分子は全て、標的濃度の2倍
で、35 U.S.C. §μMでのrRNA、1.0μMでの捕獲配列、および3μ
Mでの標識プローブを含む、4×SSC中にあった。アニールした後、その溶液
をウシ胎児血清で1:1に希釈し、濃度を半分にして、溶媒を、50% FCS
を含む2×SSCに変えた。モデル化合物での最近の実験は、ウシ血清アルブミ
ンでの1.2倍の希釈が望ましくあり得ることを示唆していることに注目すべき
である:非特異的な結合の減少も同じであったが、試料濃度は希釈せず、そして
ポジティブシグナルは1.5の因数まで高められた。しかしながら、これは、rR
NA標的を使用して行わなかった。ハイブリダイゼーションのために、溶液を2
0μLの容積へと等分した。
【0592】 ハイブリダイゼーションを次の通り行った:上に記載したように、2×SSC
に浸した後、誘導体化電極を、ハイブリダイゼーション溶液20μLを含むエッ
ペンドルフ試験管に入れた。室温で10分間ハイブリダイズさせた。
【0593】 測定直前に、電極を2×SSCに室温で短時間浸した。次いで、それを1M
NaClO4電解質へと移して、変化する電流ボルタモグラムを、10Hzの周波数
および25mVの中心からピークへの振幅の電流を変えて適応させながら取った
【0594】 10の基本的な実験を操作した(括弧内のシステム構成要素): システム1. rRNAを1点のみでタックダウンする(D449+D417(E
U2)+D468。 システム2. rRNAを2点でタックダウンする。 システム3. 2点のタックダウンに加えて、第2のタックダウンポイントの側
面に位置する領域を各々指向する20のフェロセンを含んでなる2つの標識プロ
ーブ。 システム4. 2点のタックダウンに加えて、第2のタックダウンポイントの側
面に位置する領域を各々指向する40のフェロセンを含んでなる2つの標識プロ
ーブ。 システム5. 2点のタックダウンに加えて、第1のタックダウンポイントの側
面に位置する領域を各々指向する20のフェロセンを含んでなる2つの標識プロ
ーブ。 システム6. 2点のタックダウンに加えて、第1のタックダウンポイントの側
面に位置する領域を各々指向する40のフェロセンを含んでなる2つの標識プロ
ーブ。 システム7. 2点のタックダウンに加えて、20のフェロセンを含む中心領域
(すなわち、2つのタックダウンポイントの間の領域)に結合する25塩基を含ん
でなる標識プローブ。 システム8. 2点のタックダウンに加えて、40のフェロセンを含む中心領域
(すなわち、2つのタックダウンポイントの間の領域)に結合する25塩基を含ん
でなる標識プローブ。 システム9. 2点のタックダウンに加えて、20のフェロセンを含む中心領域
(すなわち、2つのタックダウンポイントの間の領域)に結合する40塩基を含ん
でなる標識プローブ。 システム10. 2点のタックダウンに加えて、40のフェロセンを含む中心領
域(すなわち、2つのタックダウンポイントの間の領域)に結合する40塩基を含
んでなる標識プローブ。
【0595】 結果を図22に示す。結果から、大きな標的の複数点の拘束が1点の拘束より
良好であることが明らかである。より多くのETMがより大きなシグナルを与え
るが、より結合エネルギーを必要とする;標的のための35塩基の認識。
【0596】 実施例13 様々な配置のフェロセンの直接比較 一般的には、図23に図示するように、様々な配置のフェロセンの比較を行っ
た。図23A、23B、23Cおよび23Dは、幾つかの標識プローブの配向を
概略図で図示する。D94は、次の通りであった:
【化54】 。D109は、次の通りであった:
【化55】 。「+」表面は、2:2:1の割合のD94:H6:M44であり、全チオール
濃度は833μMであった。「−」表面は、2:2:1の割合のD109:H6
:M44であり、全チオール濃度は833μMであった。D548構造は、次の
通りであった:
【化56】 。各々に関して、N38は、
【化57】 であった。構造D549は、次の通りであった:
【化58】 。各々に関して、N38は、
【化59】 であった。構造D550は、次の通りであった:
【化60】 。各々に関して、N38は、
【化61】 であった。構造D551は、次の通りであった:
【化62】 。各々に関して、N38は、
【化63】 であった。5' N38は、第2の修飾のために2つの部位を有する。代表的な概
略図を図23Eに示す。
【0597】 図に示す結果は、標識プローブD551が優れたシグナル対ノイズの割合で最
高のシグナルを与えることを示す。
【0598】 実施例17 補充リンカーおよびETMの両方としてのフェロセンポリマー このシステムを図25に示す。D405は、構造:
【化64】 を有する。そのシステムを2つの表面で操作した:「+」表面は、2:2:1の
割合のD94:H6:M44であり、全チオール濃度は833μMであった。「
−」表面は、2:2:1の割合のD109:H6:M44であり、全チオール濃
度は833μMであった。図25Bに示す結果は、そのシステムが相補的捕獲プ
ローブの存在下に良好なシグナルを与えることを示す。
【0599】 実施例18 rRNAの検出 その目的は、細菌性病原体からのrRNAの検出方法を開発することであった
。最初、精製RNAを使用して、ストラテジーを最適化した。その後、粗製のラ
イゼートを分析した。E. coliは、この試験での非感染性モデル細菌標的として
働いた。
【0600】 導入: 細胞でのrRNAの高い存在率は、それを電子検出のための有効(appealing)標
的とする。しかしながら、rRNAは、構造内の特異的な配列を捕捉を困難にす
る、高度に定義された二次および三次構造により特徴付けられる。E. Coliの
16S rRNA 転写産物は、長さが1542塩基であって、2×10コピー
/細胞で存在する。ヘルパー配列は、rRNAの特異的に折り返しのない部分に
作用して、プローブの隣接領域へのハイブリダイゼーションを促進することを特
徴としている。我々は、3つの表面捕獲プローブと2つのシグナリングプローブ
を設計した。捕獲プローブのうちの2つは、ヘルパープローブによって暴露され
るアクセスプローブを設計したが、3つ目は、転写産物の5’を標的とした。
【0601】 材料および方法: 表面プローブ配列:
【化65】 シグナリングオリゴ:
【化66】 ヘルパー配列:
【化67】 Qiagen RNeasy ミディキットを使用して、全てのRNAを一晩培養したE. c
oli 50mlから単離して精製した。これらの試料中の16S rRNAの濃度を2
つの方法で推定した。RNA試料全体の260ナノメーターでの光学密度を測定
すると、その画分は、16S RNAに属するものであった。次に、その試料を
ホルムアルデヒドゲル電気泳動によって分析した後、既知の組成および質量の標
準にのっとって、臭化エチジウムで染色した。16S rRNAの存在率を標準に
比してのその染色強度から推定した。2つの推定値は、一般的に一致した。1M NaClOおよび溶解血液中、50nMおよび10nMのrRNA溶液をヘルパー
配列AおよびB(2.5uM)並びにシグナリングプローブBおよびC(125nM)
の存在下に70℃まで3分間加熱した。冷却した後、その溶液を小さなカートリ
ッジチップに加えて、4時間ハイブリダイズさせた。次のパターンでは、そのチ
ップを0.9% TEA/6×SSC中の捕獲プローブ/H6/M44(2:2:
1)で沈積させた。
【0602】 捕獲プローブAは、さらなるタックダウンポイントとしてのみ作用し、捕獲プ
ローブBおよびCと関連のあるような、その位置に直接隣接するシグナリング分
子はなかった。次のグラフは、125nMで加えたシグナリングBおよびCの両
方で50nMおよび100nMのrRNA溶液から4時間後に発生したシグナルの
ピーク高さを示す。精製rRNAは、50nMおよび100nMの両方で明らかに
検出されたが、任意の捕獲プローブ(R)を含むコントロール表面は、検出可能な
シグナルを与えなかった。3つの捕獲プローブ(A、BおよびC)を有する電極が
最も大きなシグナルを生じさせ、概して、2つの捕獲プローブを有するパッドは
、捕獲プローブを1つしかもたないパッドより大きなシグナルを与えた。捕獲プ
ローブAに隣接するシグナリング分子はないが、シグナリング分子BおよびCに
極近い特別なタックダウンポイントは、幾つかの場合において、(C単独をAC
と比べて)シグナリングを増大させる。
【0603】 16S rRNAを検出するためのシステムの特異性を実証しようとする試みで
は、シグナリングプローブBおよびC(125nM)並びにヘルパープローブAお
よびB(2.5uM)を含む1M NaClO/溶解血液中の50nM 全ヒト心臓R
NAの溶液をカートリッジの電極上に置いた。ボルタモグラムの次のオーバーレ
イは、ヒトRNAで攻撃したアレイ由来の各々の電極より出力を生ずる。シグナ
ルは、いずれのパッドからもなかった。
【0604】 RNA精製の特別な段階なしに、細胞ライゼート中のE. Coli rRNAを直
接検出しようとする試みを行った。Qiagen RNeasy プロトコルに従って、細
胞ライゼートを作成した。一晩の培養物50mLを遠心分離し、ペレットをTris
−EDTA緩衝液中の1mg/ml リゾチーム500uLに再縣濁させて、室温で5
分間インキュベートした。0.145M β−メルカプトエタノール(B−Me、R
Naseを不活性化するため)を含む、溶解緩衝液である緩衝液RLTをベースとし
たイソチオシアン酸グアナジウム1.9mLを加えた。各々のチップに関して、最
初の50mLの培養物(細胞ライゼート141uL)の6%を全血(89%)/プロテア
ナーゼK溶液(11%)159uLに加えて、70℃で10分間加熱した。次いで、
上記の溶解血液/E. Coli溶液を、50nM シグナリングプローブBおよびC
並びに1uM ヘルパー配列AおよびBを含む2M NaClOに加えた。次いで
、その溶液を70℃まで3分間加熱して、二次および三次構造の破壊を助け、ヘ
ルパーおよびシグナリング配列のハイブリダイゼーションを促進した。0.14
5M B−Meも加えたイソチオシアン酸グアンジニウムの代わりに塩酸グアンジ
ニウムを使用して、上記の方法で調製した試料を別のハイブリダイゼーション溶
液と比較した。冷却した後、試料をアレイに加えて、一晩ハイブリダイズさせた
【0605】 ハイブリダイゼーション溶液、イソチオシアン酸グアンジニウムまたは塩酸グ
アナジニウムのいずれかの種類とハイブリダイズしたチップは、パッドまたは単
層崩壊の指標となる、計り知れないシグナルおよびボルタモグラムを与えた。
【0606】 我々は、昔から塩酸グアナジニウムをベースとした溶液を慣例的に使用してい
ることから、B−Meは、CMSセンサーでの電子検出に不利益ではないかと思
った。この理論を試験するために、標準的なNaClO/溶解血液ハイブリダイ
ゼーション緩衝液を使用し、溶解緩衝液RBT(イソチオシアン酸グアナジニウ
ム)または溶解緩衝液AL(塩酸グアナジニウム)のいずれかを取り込んで、B−
Meを含むまたは含まない溶解血液を作成した。5nM 精製E. coli RNAを加
える、標準的なプロトコルに従った。アレイを一晩ハイブリダイズさせた。B−
Meを含む、またはイソチオシアン酸グアナジニウム溶解緩衝液(緩衝液RBT)
を含む、全てのアレイは、計り知れないシグナルを与えたが、B−Meを含まな
い、塩酸グアナジニウム溶解緩衝液(緩衝液AL)にハイブリダイズしたアレイは
、標準的な大きさのピークを生じさせた。
【0607】 上記は、B−Meを含まない、溶解緩衝液AL(塩酸グアナジニウム)を含む緩
衝液にハイブリダイズしたアレイからのスキャンである。ピークは、E. Coli
rRNA 捕獲プローブを含むパッドで見られたが、任意の捕獲プローブを含むネ
ガティブコントロールパッドでは、ピークは全く見られなかった。B−Meを含
む緩衝液または緩衝液RLT(イソチオシアン酸グアナジニウム)にハイブリダイ
ズしたアレイからのスキャンで見られるようなパッド分解の徴候もなかった。
【0608】 次に、我々は、電子検出のB−Me阻害に対して濃度依存性があるという可能
性を試験した。我々は、HIVモデルオリゴ標的およびDEMO物質を使用して
、B−Me阻害に関して試験した。50nM 標的および125nM シグナリング
プローブをDEMOアレイにハイブリダイズさせた。B−Meをハイブリダイゼ
ーション緩衝液へと滴定して、電気化学シグナルを1時間ハイブリダイゼーショ
ンさせた後に測定し、次いで、4時間ハイブリダイゼーションさせた後に再び測
定した。濃度および時間依存性の両方を観察した。Qiagen 溶解緩衝液中で見出
される濃度である34mMでは、特異的な結合を検出することはできなかった。
17mMでは、弱いポジティブシグナルを1時間に検出し、4時間までには消失
した。B−Meでのインキュベーションを拡張した結果、8.5mM 溶液でより明
らかであった。最大の半分のシグナルが1時間後に観察され、最大の1/10が
4時間後に観察される。しかしながら、4.25mM 溶液は、1時間後に強いシ
グナルを与え、4時間までには僅かに増大させた。後者の観察は、1mM B−M
eがセンサーに耐え得ることを示唆する。低い標的濃度および延長されたハイブ
リダイゼーション時間での仮説を試験するための努力は続行されている。
【0609】 E. coliの粗製ライゼート中のrRNAの検出限界を試験するために、ライゼ
ートが最終溶液の6%から0.1875%までを含んでなるような細菌ライゼー
トの存在下、アレイをハイブリダイズさせた。B−Meを加えていない緩衝液A
L(塩酸グアナジニウム)に溶解したE. coliの一晩の培養物50mLを上記の方法
で調製した。試験するライゼートの範囲である6%〜0.1875%で見出され
た量に対応する量で精製RNAを含むNaClO/溶解血液溶液中、別のアレイ
セットをハイブリダイズさせた。ピークは、2時間ハイブリダイゼーションした
後、粗製のものと精製したものとの間には有意な大きさの相違なしに、6% 粗
製のライゼートを含むアレイおよび6% 精製RNAを含むアレイにて検出可能
であった。ピークは、一晩ハイブリダイゼーションした後、0.75%および0.
375%の培養物50mlでも検出可能であって、0.1875%の培養物50ml
ではかろうじて検出可能であった。
【0610】 精製RNAとハイブリダイズさせたアレイにおいて、6%の培養物より大きな
シグナルを生じさせる0.75%の培養物の不一致は、チップからチップへの可
変性により説明され得る。各々の棒グラフは、この実験での2つのチップしか表
していない。限定されている反復数では、アウトライアーパッド、または非常に
高いもしくは低い性能をもつチップが、傾向を劇的に変化させることができる。
上記の2つの指定したカラムは各々、非常に大きなアウトライアーを1つ除いて
、標準偏差を縮小しており、全てのデータがグラフに含まれる場合より6% 溶
液にずっと近い0.75% 溶液からのピークの大きさを導いた。上記の表現は、
最初の試みが、1.5% 溶液からのシグナルの大きさを与え、これは、3.0%
溶液からのシグナルより1/3以上大きく、そしてまた、大きなアウトライアー
の結果であったことから行った反復実験である。
【0611】 精製RNAおよび粗製のライゼートを調製するために使用する培養物中のE.
coli細胞濃度をプレーティング希釈シリーズにより測定すると、4.7×10
/mLであった。従って、培養物50mL中の0.1875%は、4×10のE.
Coli細胞に対応する。1細胞あたり1×10の16S rRNA分子と仮定し
て、我々は、4.4×1011の16S rRNA分子を検出した。それは、我々
の大きなカートリッジでは、200pMの濃度に対応する。そこで、純粋なRN
Aまたは粗製のライゼートからの16S rRNAに対する我々の検出限界は、十
分に研究されたオリゴおよび単離RNA(例えば、HIV 840)に対する我々
の現在の検出限界に近い。
【0612】 結論:この実験的研究を通じて、rRNA標的での最も大きなピークは、3つの
捕獲プローブをもつ表面で一貫して見られた。3つの捕獲プローブA、Bおよび
Cをもつパッドでのシグナルは、たとえ捕獲プローブAと関連のあるシグナリン
グ分子がなくても(BおよびCと関連のあるシグナリング分子しかもっていなく
とも)、2つの捕獲プローブBおよびCをもつパッドでのシグナルよりずっと高
かった。捕獲プローブAに隣接する位置でのさらなるタックダウンポイントは、
シグナリングオリゴを有利な望ましい位置に保つことにより、シグナルの大きさ
を増大させ得る。あるいはまた、3つの捕獲プローブは、標的分子が電極表面に
捕捉される割合を増大させるかもしれない。低い標的濃度では、3つの捕獲プロ
ーブA、BおよびCを露出するパッドが、測定可能なシグナルを与える唯一のパ
ッドであったが、表面上の2つおよび1つの捕獲プローブは、ネガティブパッド
に等しいシグナルを与えた(小さすぎて、測定できなかった)。そこで、rRNA
のような、長い標的での複数の捕獲およびシグナリング配列の取り込みは、シグ
ナルの大きさを増大させて、検出限界を低下させる。
【0613】 標準的なプロトコルに従って、β−メルカプトエタノールを両方の溶解緩衝液
に加えて、RNaseを不活性化し、それによって、RNAを細胞溶解後の分解か
ら保護した。このプロトコルにより推奨される濃度である34mMは、電気化学
的シグナリングの完全な阻害を結果的に引き起こした。8.5mM程度の低い濃度
で加えたβ−メルカプトエタノールは、時間中、シグナルの大きさの分解をもた
らした。しかしながら、B−Meを省くと、溶解緩衝液は単独で、細胞ライゼー
ト中のRNaseからの十分な保護を与えて、RNAの検出を可能とする。B−Me
の許容可能な量を設定して、粗製のライゼートをアッセイする場合に使用する。
【0614】 緩衝液RLT中のイソチオシアン酸グアナジニウムもまた、CMSセンサーで
の電気化学的シグナリングの阻害を引き起こす。緩衝液RLTは、イソチオシア
ン酸グアナジニウムが強い変性剤であって、RNaseを有効に不活性化すること
から、QiagenによりRNeasy Kitでの使用に関して推奨されている。この緩衝
液は、パッドまたはシグナル崩壊を引き起こすことから、我々の現在のシステム
とは適合しない。標準ハイブリダイゼーション緩衝液として現在使用されている
全血溶解緩衝液ALは、塩酸グアナジニウムを使用して、細胞を溶解する。イソ
チオシアン酸グアナジニウムほど強くはないが、それでもなお、E. coliの一晩
の培養物50mLのうちの93.75uLの検出を可能とするよう、RNaseを不活性
化するのに十分有効である。細胞ライゼート中に存在するRNaseをより有効に
不活性化することによって、検出限界を増大させることが可能である。
【0615】 実験内および実験間の大きな可変性と関連のある問題は、データの定量分析お
よび定性分析の両方を妨げる。同じ条件の平均より著しく大きいピークを生じさ
せるアレイ、さらにはまた、同じ条件の平均より著しく小さいピークを生じさせ
るアレイは、全く一般的である(アレイからアレイへの変化)。幾つかのパッドも
また、同じアレイでの複製に比べて非常に大きなピークまたは小さなピークを時
に与える(パッドからパッドへの変化)。可変性と関連のあるこれらの問題は、結
果の正確な分析を妨げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の多くの種々の組成物を示す。
【図2】 アデノシンフェロセンの合成スキームを示す。
【図3】 シチヂンフェロセンの合成スキームを示す。
【図4】 Y63の合成スキームを示す。
【図5】 アデノシンフェロセン三リン酸の合成を示す。
【図6】 一級アミンを用いて官能化した核酸を事前形成のSAMへ添加す
るための、活性化カルボン酸の使用を示す。
【図7】 制限酵素エンドヌクレアーゼ部位を利用する、「普遍」型遺伝子
チップの使用のスキームを示す。
【図8】 5’位または任意の位置に導電性オリゴマーの添加に使用し得る
導電性オリゴマーの2つのリン酸結合を示す。
【図9】 電極への結合用ヌクレオシドのリボースに対する絶縁体(C10
9)の合成を示す。
【図10】 エチレングリコール末端化導電性オリゴマーの合成スキームを
示す。
【図11】 ETMポリマーを加え得る3種の「分枝」点(塩基としてアデ
ノシンを用いる各場合)の合成を示す。
【図12】 N17「分枝」点ヌクレオシドを用い、核酸中への多数のET
Mの同時組込みの合成スキームを示す。
【図13】 「分枝」点ホスホラミダイトを用い、多数のETMの核酸への
同時供与の別法のスキームを示す。
【図14】 典型的なヘアピン構造を示す。
【図15】 電極に結合する標的配列の3つの好ましい実施態様を示す。
【図16】 本発明のある実施態様を示す。
【図17】 標識プローブの種々の可能な配置およびETMの結合を示す。
【図18】 ステムループプローブを用いる改良を示す。
【図19】 実施例1に用いるいくつかの配列を示す。
【図20】 実施例1に示す実験の典型的な走査を示す。
【図21】 実施例13のライゲーション連鎖反応(LCR)実験を示す。
【図22】 実施例12の結果を示す。
【図23】 実施例13の組成物および結果を示す。
【図24】 実施例13の組成物および結果を示す。
【図25】 実施例8の2つの実験のセットアップを示す。
【図26】 実施例9に解説するPCR実験の結果を示している。
【図27】 いくつかの「メカニズム−1」検出システムを示す。
【図28】 本発明のLCR実施態様を示す。
【図29】 本発明の他のLCR実施態様を示す。
【図30】 本発明の好ましいCPT実施態様を示す。
【図31】 一本鎖捕獲配列を用いる別のCPT実施態様を示す。
【図32】 CPT適用での2つの捕獲配列の使用を示す。
【図33】 分離配列210を用いて切断されていない切断容易プローブを
除去する場合の、同様の反応を示す。
【図34】 固体支持体結合プライマリー切断容易プローブの使用を示す。
【図35】 ビーズ結合プライマリーおよびセカンダリープローブの使用を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ゲイリー・ディ・ブラックバーン アメリカ合衆国91741カリフォルニア州グ レンドラ、ノース・ローン・ヒル・アベニ ュー261番 (72)発明者 ブルース・ディ・アーバイン アメリカ合衆国91741カリフォルニア州グ レンドラ、ビスタ・ボニータ・アベニュー 430番 (72)発明者 エドワード・ルイス・シェルドン・ザ・サ ード アメリカ合衆国91006カリフォルニア州ア ーカディア、ハンプトン・ロード650番 (72)発明者 ロバート・エイチ・ターブルーグジェン アメリカ合衆国90266カリフォルニア州マ ンハッタン・ビーチ、ザ・ストランド4413 ビー番 Fターム(参考) 4B024 AA20 CA02 CA09 CA11 CA12 HA19 4B063 QA13 QQ28 QQ43 QQ48 QQ50 QQ53 QQ54 QQ61 QQ62 QR08 QR32 QR35 QR41 QR42 QR55 QR62 QR82 QS25 QS34 QS36 QX05

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンプル中の標的配列の検出方法であって、 a)以下のものを含むローリングサークルプローブ(RCP)を提供すること: i)該標的配列の第1ドメインと実質的に相補的な第1ライゲーション配列; ii)該標的配列の第2ドメインと実質的に相補的な第2ライゲーション配列;
    および、 iii)開始配列; b)該第1ライゲーション配列を該第1ドメインに、そして該第2ライゲーショ
    ン配列を該第2ドメインにハイブリダイズさせて、第1ハイブリダイゼーション
    複合体を形成させること; c)該第1および第2ライゲーション配列を共にライゲーションさせること; d)該第1ハイブリダイゼーション複合体に、 i)該開始配列と実質的に相補的なプライマー; ii)ポリメラーゼ; iii)dNTP群;および、 iv)電子伝達部(ETM); を加えて、共有結合により付着している少なくとも1つのETMを含むローリン
    グサークルコンカテマーを形成させること; e)該ETMを該標的配列の存在の指標として検出すること、 を含む方法。
  2. 【請求項2】 該RCPがさらに、捕獲配列を含む第3ドメインを含み、該
    方法がさらに、該コンカテマーを、電極に共有結合により付着している捕獲プロ
    ーブにハイブリダイズさせることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 該RCPがさらに、捕獲プローブ配列を含む第3ドメインを
    含み、該方法がさらに、 a)該コンカテマーを切断して、それぞれが共有結合により付着しているETM
    および捕獲配列を含む、RCP単位複製配列群を形成させること; b)該捕獲配列を、電極に共有結合により付着している捕獲プローブにハイブリ
    ダイズさせること、 を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該ETMが、該dNTP群の少なくとも1つに共有結合によ
    り付着している、請求項1、請求項2または請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 該電極がさらに、自己集合単層を含む、請求項2に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 該自己集合単層が絶縁体を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 該ETMがフェロセンである、請求項1、請求項2、請求項
    3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 該第1および第2標的ドメインが、直接的に隣接している、
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 該第1および第2標的ドメインが、1またはそれ以上のヌク
    レオチドによって隔てられている、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、
    請求項5、請求項6または請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 該RCPが、少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含む
    、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、
    請求項8または請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 該プライマーが、該標的配列および該開始配列の両方にハ
    イブリダイズする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求
    項6、請求項7、請求項8、請求項9または請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 該切断部位が、ウラシルを含む、請求項1、請求項2、請
    求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求
    項10または請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 第1標的核酸配列の検出方法であって、 a)該第1標的配列に、 i)インベーダープライマー;および、 ii)1)該標的配列の第1部分にハイブリダイズする配列を含む、第1部分; 2)切断部位;および、 3)該標的配列にハイブリダイズしない、検出配列; を含む、シグナルプライマー; をハイブリダイズさせて、第1ハイブリダイゼーション複合体を形成させること
    ; b)該第1ハイブリダイゼーション複合体を、構造特異的切断酵素と接触させて
    、該シグナルプライマーが切断されて該検出配列が放出されるようにすること; c)該放出された検出配列を、捕獲プローブを含む電極に接触させて、第2ハイ
    ブリダイゼーション複合体を形成させること、但し該第2ハイブリダイゼーショ
    ン複合体は、少なくとも1つのETMを含む;および、 d)該標的配列の存在の指標として、該ETMを検出すること。 を含む方法。
  14. 【請求項14】 段階a)ないし段階c)を、段階d)に先立って繰り返す
    、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 該電極がさらに、自己集合単層を含む、請求項13または
    請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 該ETMがフェロセンである、請求項13、請求項14ま
    たは請求項15に記載の方法。
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