JP2003525959A - 固相重合によるコポリカーボネートの製造 - Google Patents

固相重合によるコポリカーボネートの製造

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Abstract

(57)【要約】 前駆体ポリカーボネートと、他の構造単位の原料であるモノマー、ポリカーボネートオリゴマー又は高分子量ポリカーボネートとの間の溶融重合又は平衡化のような反応を実施することによって、複屈折低減又は「ソフトブロック」単位のような構造単位を含有するコポリカーボネートを製造する。得られた前駆体コポリカーボネート又はその製造の際に用いた試薬のひとつの結晶化度を高め、前駆体コポリカーボネートを固相重合に付す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術的背景】
本発明はコポリカーボネートの製造に関するものであり、さらに具体的には固
相重合を含むその製造方法に関する。
【0002】 固相重合は、例えば米国特許第4948871号、同第5204377号及び
同第5717056号(それらの開示内容は文献の援用によって本明細書に取り
込まれる)に開示されている。固相重合は、典型的には2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)のようなジヒドロキシ芳香族化
合物とジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートとの溶融重合(
すなわちエステル交換)によってプレポリマーを形成する第一段階、プレポリマ
ーを結晶化させる第二段階、及び結晶化プレポリマーをそのガラス転移温度から
融解温度までの間の温度に加熱して分子量を増大させる第三段階を含む。その有
効性及び環境面での利点から、この方法の使用について関心が高まっている。
【0003】 ポリカーボネートの全体的特性のため特に適した最終用途には、芳香族ポリカ
ーボネートが全般には有していない、特にビスフェノールAポリカーボネートが
有していない特異的な性質が必要とされる多くの用途が潜在的に含まれる。例え
ば、ポリカーボネートは、オーディオ用コンパクトディスクやコンピューター用
のCD−ROMディスクのような光ディスクを始めとする光データ記録媒体の製
造に広く用いられている。かかるディスク(特に読み書き可能なもの)の光学的
要件のため、それらは複屈折が低いことが必須であるか又は少なくとも極めて好
ましい。複屈折は偏光の直交方向における屈折率の差である。複屈折は、光ディ
スクの読取りに使われるレーザービームの異なる偏光成分間で位相リターデーシ
ョンを生じ、読取性を低下させる。ビスフェノールAから製造したポリカーボネ
ートは複屈折が比較的高く、光学用途には典型的には6,6′−ジヒドロキシ−
3,3,3′,3′−テトラメチル−1,1′−スピロ(ビス)インダン(以下
「SBI」という)又は1,1,3−トリメチル−3−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−5−ヒドロキシインダン(「CD−1」)のような単量体を組込んで複屈
折を低下させる。
【0004】 また、例えばアルカン二酸やポリオキシアルキレングリコールのような脂肪族
化合物から誘導される「ソフトブロック」を組込んでポリカーボネートの加工性
を改良するのが望まれることも多々ある。これは光ディスクの製造において特に
重要である。SBIやCD−1のような単量体が存在すると、ガラス転移温度の
上昇のような要因のため、概して加工性が損なわれるからである。
【0005】 水−有機混合系中アルカリ性条件下で1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物と
ホスゲンとの反応によってポリカーボネートを合成する典型的な界面法は、アル
カリ環境がソフトブロック単量体を分解しかねないので、「ソフトブロック」ポ
リカーボネートの製造には向かないことが多い。同様に、ジヒドロキシ芳香族化
合物とジアリールカーボネートとの反応による溶融(エステル交換)法も、高分
子量ポリマーの合成に必要とされる高温(300℃程度)のためソフトブロック
の熱分解が起こりかねないので使用が限られている。
【0006】 固相重合(以下「SSP」と呼ぶこともある)条件は、溶融重合よりも穏和で
必要とされる重合温度が低く、ソフトブロック及び/又は複屈折を下げる単位を
含むコポリカーボネートの製造に使用できるはずである。しかし、数多くの単量
体、特にソフトブロック単量体は、それから誘導された構造単位はSSP条件下
で安定であっても、同じ条件下で分解しかねない。そこで、最終的にSSPで製
造されるポリマーに共重合単位を組込む代替法が必要とされている。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、様々な方法で共重合単位を前駆体コポリカーボネートに組込むこと
ができ、その前駆体コポリカーボネートをSSP条件に付せばよいという発見に
基づく。生成物は所望の特性を有する高分子量コポリカーボネートであり、その
特性として高い加工性と低い複屈折を含めることができる。
【0008】 本発明は、コポリカーボネートの製造方法であって、 (I)前駆体ポリカーボネート(A)を、成分Aに存在するもの以外の構造単
位でコポリカーボネート中に組込むべき構造単位のモノマー又はポリマー原料(
B)と接触させる段階であって、当該接触を、成分Aと成分Bの反応を促進する
条件下で行って、上記構造単位を組込んで前駆体コポリカーボネートを形成する
段階、 (II)段階Iの前又は後に、成分A、成分B又は前駆体コポリカーボネートを
結晶化度の向上したポリカーボネートへと変換する段階、及び (III)段階IIの後、段階Iと同時又は段階Iの後に、結晶化度の向上したコ
ポリカーボネートを固相重合に付す段階 を含んでなる方法に係る。
【0009】
【好ましい実施の形態】
本発明の方法に用いられる必須成分は、当該方法の実施に際して反応を起こす
か起こさないかにかかわらず、「成分」ということがある。
【0010】 成分Aは前駆体ポリカーボネートである。本明細書中でいう「ポリカーボネー
ト」には、コポリカーボネート及びポリエステルカーボネートも包含される。好
適な前駆体ポリカーボネートは、第一段階の溶融ポリカーボネートプロセスによ
って或いはビスクロロホルメートオリゴマーを製造した後加水分解及び/又は末
端封鎖し単離することによって製造し得る。かかるオリゴマーは大抵は0.06
〜0.30dl/gの固有粘度を有する。なお、本明細書中における固有粘度値
はすべて25℃のクロロホルム中で求めたものである。
【0011】 前駆体ポリカーボネートは高分子量ホモポリカーボネート又はコポリカーボネ
ート、すなわち固有粘度が0.30dl/gを超えるものであってもよい。未使
用の慣用線状ポリカーボネートを始めとする数多くの種類の適当な高分子量ホモ
ポリカーボネート及びコポリカーボネートが適している。これらは、ビスフェノ
ールA、SBI、その他米国特許第4217438号に名称又は構造式(一般式
又は特定式)で示されている化合物のようなジヒドロキシ芳香族化合物を始め、
単量体として有用なあらゆる公知のジヒドロキシ化合物から製造し得る。米国特
許第4217438号の開示内容は文献の援用によって本明細書に取り込まれる
【0012】 また、線状ポリカーボネート又はその前駆体と1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンのような枝分れ剤との反応で形成される枝分れポリカー
ボネートも包含される。コポリカーボネート、特に耐溶剤性を最大にするための
単位を含むコポリカーボネートオリゴマー及び高分子量コポリカーボネートであ
ってもよい。かかる単位は、通例、ポリマー中の全カーボネート単位の約25〜
50%を占める。
【0013】 リサイクルポリカーボネート、例えばコンパクトディスクからリサイクルした
ポリカーボネートも使用し得る。かかるリサイクル材料は、通例、約0.25〜
1.0dl/gの固有粘度で示される通り、当初の重合材料よりも分子量が減少
している。リサイクルポリカーボネートは、スクラップポリカーボネートを、ク
ロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような塩素化有機溶剤に
溶解し、次いで不溶性物質の濾別その他当技術分野で公知の非ポリカーボネート
成分の分離操作を行うことによって得ることができる。その他のタイプのポリカ
ーボネート(例えば界面法で製造したポリカーボネート及びポリカーボネート押
出屑など)も前駆体として使用し得る。
【0014】 成分Bは、成分Aに存在するもの以外の構造単位の原料であって、当該他の構
造単位は生成物に組込むべきものである。当該他の単位は成分Aに存在する単位
との組合せで存在し得る。例えば、成分Bは単量体化合物であってもよい。こう
した化合物には、ジヒドロキシ化合物、好ましくはジヒドロキシ芳香族化合物が
ある。かかる化合物には、構造上ポリマーではあるが、本発明の目的からは単量
体とみなされるポリアルキレングリコール(例えば、通例約150〜50000
の数平均分子量Mnを有するポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコ
ール)又はアルカン二酸のようなソフトブロックモノマー原料も包含される。ア
ルカン二酸は、後述の方法での組込みが容易であるため概してジアリールエステ
ルの形態で使用される。成分Aとして使用するものと同様のオリゴマー又は高分
子量ホモポリカーボネート又はコポリカーボネートも、それらが成分Aに存在し
ない単位を含んでいることを条件として、使用し得る。例えば、成分Aがビスフ
ェノールAホモポリカーボネートであれば、成分BはSBI、ポリオキシアルキ
レングリコール又はジフェニルドデカン二酸であってもよいし、或いはこれらの
いずれかから誘導された単位を含む任意の分子量のポリカーボネート又はコポリ
エステルカーボネートであってもよい。
【0015】 本発明の方法の段階Iでは、成分Aと成分Bをそれらの反応を促進する条件下
で接触させる。かかる条件には一般に約170〜250℃の範囲内の温度が含ま
れ、温度を漸次上昇させる段階式加熱が含まれることが多い。この条件は、オリ
ゴマー合成のための溶融重合、又は反応性押出又は再分配に適用し得る当技術分
野で公知の条件とし得る。かかる条件には、大気圧から約100torr又はさ
らに低圧へと次第に減圧することを含み得るが、圧力の低下は必ずしも必要なわ
けでも好ましいわけでもない。
【0016】 段階Iで起こる反応は本質的に平衡化反応であるので、成分Bとしてジヒドロ
キシ化合物を単独で使用すると不都合なほどの分子量の低下を招くことがある。
かかる分子量低下は最初だけ低下して後は増加に転ずることもあるし、場合によ
っては低下し続けることもある。これは、成分BがSBIのような単量体ビスフ
ェノールで最初に両成分を全部導入したときに特に顕著である。さらに、最初の
低下が大きすぎてその回復にひどく長い時間を要することさえある。
【0017】 かかる低下を避けるため、2つのプロセス変量を個々に又は組合せて使用し得
る。特に成分Bが単量体ビスフェノールの場合、成分Bを反応時に漸増的に導入
するとともに各増分の添加後に段階的加熱すれば、初期低下を避けることができ
る。単量体ビスフェノールと共にジフェニルカーボネートのようなジアリールカ
ーボネートを加えれば、両者が反応して追加のカーボネート構造単位を形成する
ことで、長期低下を補うことができる。この段階で加えるジアリールカーボネー
トと単量体ビスフェノールのモル比は通常約0.5〜1.2:1の範囲にあり、
好ましくは1:1である。
【0018】 段階Iでは触媒を使用するのが通常好ましく、必要なこともある。好適な触媒
には、溶融重合、再分配、平衡化及び固相重合のようなポリカーボネート反応に
有効なものが包含される。
【0019】 この目的には、多種多様な塩基及びルイス酸が有用である。その中には、米国
特許第5414057号及び上述の米国特許第5717056号に開示されてい
る触媒があり、その例は、アルカリ金属の水酸化物及びアルコキシド;金属、特
にアルカリ金属の水素化物及びホウ水素化物;有機スズ及び有機チタン化合物;
脂肪族アミン及び複素環式アミン;ホスフィン;並びにテトラアルキルアンモニ
ウム及びテトラアルキルホスホニウムの水酸化物、アルコキシド、カルボキシレ
ート及びテトラフェニルボレートである。本願出願人に譲渡された係属中の米国
特許出願第08/768871号に開示されているような第四ビスフェノラート
も含まれる。上記の米国特許及び米国特許出願の開示内容は文献の援用によって
本明細書に取り込まれる。第四ビスフェノラートは次式で表すことができる。
【0020】 H3Q[(OA)2Y]2 式中、Aは非置換p−フェニレンであり、Qは9〜34の原子を含むモノカチオ
ン性炭素及び窒素含有部分であり、YはA基を炭素原子1個又は2個で隔てる橋
かけ基である。特に好適な第四ビスフェノラートは、Yがイソプロピリデンで、
Qがヘキサアルキルグアニジニウムカチオン、特にヘキサエチルグアニジニウム
であるものである。
【0021】 次の例で第四級ビスフェノラートの製造を例示する。この例で「触媒溶液」は
28.54(重量)%の塩化ヘキサエチルグアニジニウムと10.09%の塩化
ナトリウムの水溶液である。
【0022】 例1 5リットル丸底フラスコを窒素でパージし、228.29g(1モル)のビス
フェノールA、20.29g(0.5モル)の水酸化ナトリウム、及び300m
lのメタノールを投入した。得られた溶液を窒素下で磁気攪拌した。462.2
6gの触媒溶液(塩化ヘキサエチルグアニジニウム0.5モル)と約175ml
のメタノールのブレンドを素早く加えたところ、直ちに固体が沈殿した。攪拌し
ながらメタノール900mlを加えて固体をすべて再溶解した。
【0023】 攪拌を15分間続けた後、水1100mlを加えて固体を再度沈殿させた。フ
ラスコを氷中で20℃に冷却し、減圧濾過した。濾過ケークを1200mlの水
で洗浄し、75℃の真空オーブンで乾燥して、335.44g(粗収率98.1
%)の白色固体を得た。メタノールで再結晶した後、減圧乾燥して、融点208
〜210℃の無色結晶の精製物244.14g(理論量の71.4%)を得た。
この精製物は、元素分析、原子吸光分析及びプロトン核磁気共鳴分光法で、水素
原子3個、ヘキサエチルグアニジニウムカチオン残基1個及びビスフェノールA
ジアニオン残基2個という化学量論比をもつ所望のヘキサエチルグアニジニウム
ビスフェノラートであることが確認された。
【0024】 触媒として有用な化合物は単独で又は組合せて使用し得る。典型的な組合せに
は、アルカリ金属水酸化物のような無機成分と水酸化テトラアルキルアンモニウ
ムのような有機成分がある。合計触媒濃度は大抵は成分Aを基準にして約1〜1
000(重量)ppmである。
【0025】 段階Iの生成物は、成分A及び成分Bに存在する構造単位からなる前駆体コポ
リカーボネートであり、平衡化によって形成される。構造単位の比率は、大抵は
、成分Aと成分Bの組合せにおける比率と同じである。そこで、平衡化反応混合
物中の成分の比率は、生成物における各構造単位の所望の比率に対応させるべき
である。この比率は、コポリカーボネート生成物の意図する用途に応じて広い範
囲で変更させることができ、本発明の目的には何ら臨界的意義をもたない。ただ
し、大抵は、他の構造単位の比率は、生成物の全単位を基準にして約1〜50モ
ル%の範囲内にある。
【0026】 段階IIは結晶化度を高める段階である。この段階は、段階Iで生成した前駆体
コポリカーボネートで実施してもよく、そうすることが最も多い。ただし、段階
Iの実施に先だって、成分A又は成分Bいずれかの結晶化度を高めることも本発
明の技術的範囲に属する。例えば、成分AがSBIポリカーボネートオリゴマー
、成分BがビスフェノールAポリカーボネートオリゴマーの場合、これらのいず
れかで結晶化度を高め、しかる後に両者を反応させれて前駆体コポリカーボネー
トを生成させれば、その前駆体コポリカーボネートは本来向上した結晶化度をも
つ。
【0027】 結晶化度の向上は、上述の米国特許第4948871号に開示された溶媒処理
又は熱処理、及び/又は上述の米国特許第5717056号に開示された1種以
上の触媒との通例約110℃を超える温度での接触のような公知の方法で達成し
得る。使用し得る触媒には、段階Iで用いられるもののある種のもの、特にアル
カリ金属の水酸化物及びアルコキシド;第四級ビスフェノラート;テトラアルキ
ルアンモニウムの水酸化物、アルコキシド及びカルボン酸塩;並びにテトラアル
キルホスホニウムの水酸化物、アルコキシド及びカルボン酸塩がある。
【0028】 段階Iで製造した前駆体コポリカーボネートが必要な向上した結晶化度を本質
的に有している場合もある。そこで、本発明は、結晶化度の向上が段階Iに内在
し、段階Iと同時に起こる状況も包含する。
【0029】 段階IIIは固相重合段階であり、結晶化度の向上したポリカーボネート前駆体
のガラス転移温度から融解温度までの温度で実施され、大抵はその融解温度より
も約10〜50℃低い温度で実施される。一般に、約150〜270℃の範囲内
の温度、特に約180〜250℃の温度が好適である。
【0030】 上述の米国特許第4948871号、同第5204377号及び同第5717
056号に開示されているように、固相重合段階は触媒の不在下でも又は存在下
でも達成できる。触媒が存在するときは、触媒は大抵は段階Iで用いたものと同
じものでよく、触媒を改めて添加しなくても両段階で機能し得る。
【0031】 固相重合は、固定床、流動床、パドルミキサーのような緊密な気−固接触を生
じ得るミキサで実施でき、流動床を用いるときは流動用ガスとして作用する窒素
やアルゴンのような不活性ガスと接触させる。かかる不活性ガスは、混合物の流
動化、並びに水、前駆体コポリカーボネートの合成に使用したカーボネートに対
応するヒドロキシ芳香族化合物(フェノール等)及び副生物として生じた揮発性
カーボネートを始めとする副生物の揮発と除去のいずれか又は両方に役立つ。プ
ログラム加熱を好適に使用し得る。緊密な気−固接触という条件の代替法として
、減圧下(通例約100torr未満)で、好ましくは効果的に混合しながら、
重合を実施してもよい。
【0032】 段階IIIは段階Iと同時に行ってもよいし、或いは段階Iが段階IIの後であれ
ば段階Iの後に行ってもよい。そこで、場合によっては、成分A又は成分Bのい
ずれかで段階IIを用いてその結晶化度を高めた後、オリゴマー合成の中間段階を
別途行うことなく、SSP段階を実施してもよい。これは、例えば成分Bが、S
SP段階でポリマーに組込むことのできるポリエチレングリコールのようなソフ
トブロックモノマーであるときに適用し得る。
【0033】 以下の実施例で本発明の方法を例示する。パーセント及び割合は特記しない限
り重量を基準にしたものである。分子量は、ポリスチレンを標準とするゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーで測定した。
【0034】 実施例2 1リットルのガラス製溶融重合反応器を酸洗浄して不動態化し、脱イオン水で
濯ぎ、70℃で一晩乾燥した。この反応器に、130.4g(608.6ミリモ
ル)のジフェニルカーボネート及び120g(525.6ミリモル)のビスフェ
ノールAを投入した。中実ニッケル攪拌機を混合物中に懸架し、反応器を窒素で
パージし、108℃に加熱して反応混合物を融解させた。完全に融解してから攪
拌しながら5〜10分間平衡化させた。次いで、攪拌しながら、0.221Mの
マレイン酸テトラメチルアンモニウム水溶液600μl及び0.01M水酸化ナ
トリウム水溶液500μlを加えた。180℃での加熱及び攪拌を5分間続けた
後、温度を210℃に上げ、圧力を180torrに下げたところ、フェノール
が留出し始めた。10分後に、ビスフェノールAポリカーボネートオリゴマーが
生じた。
【0035】 オリゴマーを大気圧に戻し、Mn400のポリエチレングリコール11g(2
7.6ミリモル)を注射器で加えた。フェノールを留出させながら温度と圧力を
60分間210℃/100torrにした。次に、温度を約15分間240℃に
上げたが、それまでに理論量の約80%のフェノールが除去された。生成物をア
ルミニウムトレイに注いだ。得られた前駆体コポリカーボネートオリゴマーの重
量平均分子量Mwは2180であった。
【0036】 前駆体コポリカーボネートを粉砕して微粉末とし、水酸化テトラメチルアンモ
ニウムを100ppm含有する70/30(体積)のジメチルカーボネート/メ
タノール混合物に2時間懸濁した。この懸濁液を濾過し、得られた結晶化度の向
上したコポリカーボネートを110℃の真空オーブン中で12時間乾燥した。
【0037】 結晶化度の向上したコポリカーボネートのSSPを、8リットル/分の窒素気
流下流動床中で150℃で1時間、190℃で1時間、210℃で1.5時間、
次いで230℃で1.5時間実施し、各温度増分後の生成コポリカーボネートを
分析した。結果を表Iに示す。
【0038】
【表1】
【0039】 実施例3 Mw約32000の溶融合成ビスフェノールAポリカーボネートの試料9gを
塩化メチレン30mlに溶解し、酢酸メチル50mlを加えて沈殿させた後、分
析したところ効果的にSSPを行うのに十分な結晶化度をもつことが分かった。
1g(3.16ミリモル)のSBI及び750mg(3.50ミリモル)のジフ
ェニルカーボネートを加え、この混合物を、100ppmのマレイン酸テトラメ
チルアンモニウムを含有するメタノール100mlに懸濁し、しかる後にメタノ
ールをストリッピングし、結晶化度の向上した固体コポリカーボネートを110
℃の真空オーブン中で12時間乾燥した。
【0040】 実施例2と同様にしてコポリカーボネートの試料5gでSSPを実施した。結
果を表IIに示す。
【0041】
【表2】
【0042】 実施例4 実施例3で使用したポリカーボネート試料9gを同じように処理して結晶化度
を高めた。重合中1gのSBIを3回、2.16ミリモルのジフェニルカーボネ
ートを3回導入した点を除き、SSPを実施例3と同様に実施した。結果を表II
Iに示す。
【0043】
【表3】
【0044】 比較的大量のSBIを段階的に導入することができ、各添加に起因する分子量
の低下を妥当に制御できることが明らかである。
【0045】 実施例5 100mlの三口フラスコに、15.4g(50ミリモル)のSBI、11.
23g(52.5ミリモル)のジフェニルカーボネート及び0.2268g(0
.0012ミリモル)のマレイン酸テトラメチルアンモニウムを投入した。混合
物を窒素下180℃で60分間加熱し、しかる後、圧力を100torrに下げ
、次いで140分かけて段階的に1torrまで下げた。温度を20分間200
℃に上げたところフェノールが留出し始めた。温度をさらに230℃(20分)
、250℃(20分)、次いで270℃(30分)に上げた。理論量の約80%
のフェノールが除去された時点で反応を止めたところ、Mw1150のSBIポ
リカーボネートオリゴマーが単離された。
【0046】 溶融重合で製造されたMw約8000のビスフェノールAポリカーボネートオ
リゴマーの9g部分を、マレイン酸テトラメチルアンモニウム100ppmを含
有するジメチルカーボネートに溶解し、5分間攪拌し、真空ストリッピングし、
真空オーブン中で乾燥することによって、結晶化度を高めた。結晶化度の向上し
たビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー9部とSBIポリカーボネート
オリゴマー1部の混合物を、3リットル/分の窒素気流下、流動床反応器中で、
180℃で1時間、210℃で1時間、220℃で2時間、次いで230℃で2
時間のSSPに付した。コポリカーボネート生成物のMwは39600、Tgは
142℃であった。
【0047】 実施例6 Mw57800のビスフェノールAポリカーボネート97.5ミリモルとMn
200のポリエチレングリコール2.5ミリモルの混合物を、シリンダー設定温
度240℃でスクリュー速度250〜300rpmで15.4〜33.0kg/
時で押出した。こうして平衡化反応で得られた前駆体コポリカーボネートを、例
1の第四級ビスフェノラート100ppmと共に例1のジメチルカーボネート/
メタノール混合物に溶解した後乾燥して、結晶化度を高めた。
【0048】 向上した結晶化度の前駆体ポリカーボネートを、8リットル/分の窒素気流下
流動床反応器中で、180℃の温度で2時間、190℃で1時間、200℃で1
時間、210℃で1時間、220時で2時間、次いで230℃で1時間のSSP
に付した。コポリカーボネート生成物のMwは43700、Tgは139℃であ
った。
【0049】 実施例7 Mn400のポリエチレングリコールを用いて実施例6の手順を繰り返した。
コポリカーボネート生成物のMwは47100、Tgは139℃であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ディ,ジェームズ アメリカ合衆国、12302、ニューヨーク州、 スコウシャ、スプリング・ロード、136番 (72)発明者 マクロスキー,パトリック・ジョセフ アメリカ合衆国、12189、ニューヨーク州、 ウォーターヴリー、メドウブルック・ロー ド、10番 (72)発明者 イダジ,ブハスカル・ブハイラヴナス インド、411027、プーン、サンガヴィ、ド ホレナガル、320/23番 (72)発明者 キング,ジョセフ・アンソニー,ジュニア アメリカ合衆国、23113、バージニア州、 ミドロシアン、ケントフォード・ロード、 2531番 (72)発明者 ジャドハヴ,アルン・サバララム インド、411008、プーン、パシャン、ディ ーアール・ホミ・ブハバ・ロード、エヌシ ーエル・コロニー、イー−80番 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB04 AC01 AC02 AC03 AC04 AD01 BB13A BD10 BF07 BF17 BF25 HA01 HC05A KC02 KD01 KE09 KE12 KF02 KF07 KF09 KJ02

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コポリカーボネートの製造方法であって、 (I)前駆体ポリカーボネート(A)を、成分Aに存在するもの以外の構造単
    位でコポリカーボネート中に組込むべき構造単位のモノマー又はポリマー原料(
    B)と接触させる段階であって、当該接触を、成分Aと成分Bの反応を促進する
    条件下で行って、上記構造単位を組込んで前駆体コポリカーボネートを形成する
    段階、 (II)段階Iの前又は後に、成分A、成分B又は前駆体コポリカーボネートを
    結晶化度の向上したポリカーボネートへと変換する段階、及び (III)段階IIの後、段階Iと同時又は段階Iの後に、結晶化度の向上したコ
    ポリカーボネートを固相重合に付す段階 を含んでなる方法。
  2. 【請求項2】 成分Bがモノマー原料である、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 成分Bがジヒドロキシ芳香族化合物である、請求項2記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 成分Bが6,6′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′−テ
    トラメチル−1,1′−スピロ(ビス)インダンである、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 成分Bがポリオキシアルキレングリコールである、請求項2
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 成分Bが約150〜50000の数平均分子量を有するポリ
    エチレングリコールである、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 成分Bが25℃のクロロホルム中で測定して約0.06〜0
    .30dl/gの固有粘度を有するオリゴマー状ホモポリカーボネート又はコポ
    リカーボネートである、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 成分Bが高分子量ホモポリカーボネート又はコポリカーボネ
    ートである、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 成分Aが25℃のクロロホルム中で測定して約0.06〜0
    .30dl/gの固有粘度を有するオリゴマー状ポリカーボネートであって、当
    該オリゴマー状ポリカーボネートがジヒドロキシ芳香族化合物及びポリオキシア
    ルキレングリコールの1種類以上から誘導された構造単位を含む、請求項1記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 成分AがビスフェノールAポリカーボネートである、請求
    項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 成分Aがジヒドロキシ芳香族化合物及びポリオキシアルキ
    レングリコールの1種類以上から誘導された構造単位を含む高分子量ホモポリカ
    ーボネート又はコポリカーボネートである、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 成分AがビスフェノールAポリカーボネートである、請求
    項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 段階Iの条件が約170〜250℃の温度を含む、請求項
    1記載の方法。
  14. 【請求項14】 段階Iで触媒を使用する、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記触媒が塩基又はルイス酸である、請求項14記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 段階Iの条件が溶融重合条件である、請求項13記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 段階Iの条件が平衡化条件である、請求項13記載の方法
  18. 【請求項18】 段階Iの間成分Bを漸増的に導入する、請求項13記載の
    方法。
  19. 【請求項19】 ジアリールカーボネートを成分Bと共に導入する、請求項
    13記載の方法。
  20. 【請求項20】 段階Iの前に段階IIを行い、段階IIで成分A又は成分Bを
    結晶化度の向上したポリカーボネートへと変換する、請求項13記載の方法。
  21. 【請求項21】 段階Iの後に段階IIを行い、段階IIで前駆体コポリカーボ
    ネートを結晶化度の向上したポリカーボネートへと変換する、請求項13記載の
    方法。
  22. 【請求項22】 段階IIを段階Iと同時に行う、請求項13記載の方法。
  23. 【請求項23】 段階IIIを段階Iに続いて行う、請求項13記載の方法。
  24. 【請求項24】 段階IIIで触媒を使用する、請求項13記載の方法。
  25. 【請求項25】 段階IIIの触媒が段階Iで使用した触媒と同じである、請
    求項24記載の方法。
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