JP2003523504A - 認知に影響する因子の検出のためのアッセイ - Google Patents

認知に影響する因子の検出のためのアッセイ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、精神活性特性について因子(例えば、薬物)を効果的にスクリーニングし、特徴付けるためのアッセイおよびデバイスを提供する。このアッセイは、機能的なネットワーク特性を示すインタクトなニューロン回路を利用して、神経学的機能のわずかな変化の効率的な増幅を提供する。好ましい実施形態において、このアッセイは、哺乳動物の脳の一部(例えば、海馬組織スライス、解離性海馬ニューロン培養物、または中隔および海馬スライスの同時培養物)とインターフェースする新規な複数要素電極アレイを利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (連邦政府の援助による研究および開発のもとでなされた本発明の権利に関す
る声明) 本研究は、一部は、Office of Naval Researchによ
って、助成金番号N−00014−89−J−1255として援助された。アメ
リカ合衆国政府は、本発明に対して一定の権利を有し得る。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、種々の化学的試薬に応答する認知機能の変化を検出および特徴づけ
する新規なバイオセンサーに関する。これによって、このバイオセンサーは、精
神活性特性について、およびこれらの特性の特徴づけについて、化合物(例えば
、薬物)の迅速なスクリーニングのためのアッセイツールを提供する。
【0003】 (発明の背景) 今日まで、認知機能に対する種々の因子の効果についての、高感度(敏感)で
、迅速で、かつ反復可能なアッセイは存在しなかった。神経学的活性に対する因
子(例えば、薬物)活性の主なアッセイは代表的に、行動変化(生存動物の)に
依存するか、または組織に基づくバイオセンサーを利用する。しかし、行動的ア
ッセイは、高価であり、時間を浪費し、定量が困難で、かつ反復することに限界
がある。組織に基づくバイオアッセイは代表的に、これらの限界のいくつかを克
服し、そしてより定量的な出力(結果)を提供する。しかし、このようなバイオ
センサーは、感度に限界があり、そして認知機能のわずかな変化を検出すること
はできない。神経機能を障害するかさもなければ変更する試薬を検出しうる組織
バイオセンサーは代表的に、一連の電極上に維持される培養ニューロンからなる
。このニューロンが、受動的膜電位(例えば、入力インピーダンス)または自然
な活動電位活性をモニターする。せいぜい、これらのタイプのバイオセンサーは
、比較的高い濃度の毒性因子に対する曝露の破局的な結末(すなわち、急性の細
胞死につながる状態)を検出するくらいである。さらに、ほとんどのバイオセン
サーは、短時間のデータしか提供しない。
【0004】 いくつかの調製物は、比較的長い生存期間を有するが、それらの安定性、再現
性、感度または選択性に関する利用可能なデータはほとんどない。いくつかのア
プローチを追跡して、培養されたニューロンと記録部位の空間的分布の間で一致
を最大にしたが、今のところまだ、記録部位の動的な再構成の至適な解答を提供
するシステムはない。結局、培養システムは、インタクトな脳の特徴である機能
的ネットワーク特性(すなわち、集団動態学)を示すこと、および高度な認知機
能(例えば、記憶、表現能力、および論理的思考)における、非破滅的な減少、
または他の変化を検出するのに必須であること、が実証された。
【0005】 従って、精神活性因子のセンサーは、以下の主な欠点の1つ以上を受ける:1
)特定の因子または既に既知のクラスの因子についての検出器が存在しても、こ
の検出器は、疑われていない因子または新規な因子(精神活性であり得る)の存
在を検出できない。2)迅速に作用する因子は、検出され得るが、その効果を得
るために数時間以上必要とする因子は、代表的に公知の方法では検出できない。
結局、3)全てのニューロンの挙動に活性が影響する因子は、単一ニューロン検
出デバイスで検出され得るが、いくつかのニューロンのみが影響される場合は、
インタクトな成体ニューロン回路から構成されないアッセイで、この効果を検出
することは難しいかまたは不可能かもしれない。
【0006】 (発明の要旨) 本発明は、精神活性特性についての因子(例えば、薬物)の有効なスクリーニ
ングおよび特徴付けのためのアッセイおよびデバイスを提供する。このアッセイ
は、機能的なネットワーク特性を示すインタクトなニューロン回路を利用して、
神経学的機能のわずかな変化の効率的な増幅を提供する。好ましい実施形態にお
いて、このアッセイは、哺乳動物の脳の一部(例えば、海馬ニューロンスライス
、解離性海馬ニューロン培養物、または中隔および海馬スライスの同時培養物)
とインターフェースする新規な複数要素電極アレイ(multi−elemen
t electrode arrays)を利用する。
【0007】 従って、1つの実施形態において、本発明は、脳機能を変化する(例えば、傷
害するか、または増強する)因子をスクリーニングする方法を提供する。この方
法は代表的に、多電極アレイと接触した哺乳動物脳の一部を提供する工程を包含
する。1つ以上の電極(好ましくは、2以上、4以上、または8、16、もしく
は32以上でさえ)は、少なくとも2つの濃度の「試験」因子の存在下で、時間
依存性入力信号で、哺乳動物の脳のこの部分の領域を刺激する。時間依存性の出
力信号は好ましくは、多電極アレイを含む2つ以上の電極を通じて哺乳動物の脳
から検出される。出力信号は代表的に、入力信号の関数である。その因子の少な
くとも2つの異なる濃度において、所定の入力信号によって生成された出力信号
における差異によって、この因子が脳機能を変更するように作用することが示さ
れる。この因子の2つ以上の濃度は、陰性コントロール(因子の濃度ゼロ)を含
み得る。この陰性コントロールは、同時にも、そして同じ神経組織サンプルでも
測定される必要はない。従って、1つの好ましい実施形態において、出力信号は
、分析および/または同定、および/または分類の目的のためこのような信号の
「ライブラリー」と比較される。
【0008】 哺乳動物脳の部分は、培養中の哺乳動物脳の一部であり得る(例えば、海馬脳
スライス(中隔入力ありまたはなし)、解離性(dissociated)海馬
ニューロン調製物、中隔および海馬の同時培養、新皮質のスライス、視床皮質ス
ライス、基底核(線条体)スライス、および/または皮質線条体スライス)。哺
乳動物脳の部分はまた、急性調製物であり得る。好ましい海馬脳スライスは、髄
鞘形成、および/または樹状突起棘、および/または長期増強(長期電位)の能
力を示す。哺乳動物脳の好ましい部分は、機能的なネットワーク特性を示す哺乳
動物脳である。哺乳動物脳の部分は、その中に1つ以上のさらなるニューロン組
織を移植され得る。ニューロン組織は、起源において異種であっても同種であっ
てもよく、そして成体でも、若年でも、乳児でも、または胎児の動物に由来して
もよい。神経組織移植が存在する場合、神経組織移植物は、それ自体が因子であ
り得る(すなわち、認知能の組織誘導性変化)か、またはこの組織は、因子(例
えば、神経伝達物質、増殖因子など)を放出し得る。
【0009】 時間依存性入力信号はまた、空間依存性入力信号であり得る。好ましい入力信
号は、シナプス可塑性を誘導することが公知の空間的−時間的(spatio−
temporal)パターンを有する。特に好ましい入力信号は、シータパター
ンを有する。入力信号は、好ましくは、以下の1つ以上に送達される:歯状回の
細胞層、CA3の細胞層、CA1の細胞層、嗅内皮質の表面的細胞層、嗅内皮質
の深部細胞層、海馬台(鉤状回)の細胞層、前鉤状回の細胞層、傍鉤状回の細胞
層、歯状回の樹状野、CA3の樹状野、CA1の樹状野、嗅内皮質の樹状野、鉤
状回の樹状野、前鉤状回の樹状野、または傍鉤状回の樹状野。
【0010】 好ましい実施形態において、出力信号(好ましくは、シータ活性パターン)を
、顆粒細胞、CA3の線条体細胞、内側嗅領のCA1深部層細胞の線条体細胞、
海馬台(鉤状回)の細胞、前海馬台の細胞、傍海馬台の細胞、CA3の樹状野、
CA1の樹状野、内側嗅領の深部細胞層の樹状野、海馬台の樹状野、傍海馬台の
樹状野、または前海馬台の樹状野を含むがこれに限定されない、1つ以上の領域
から記録する。
【0011】 本発明のアッセイを用いて、実質的に任意の因子が、精神活性特性についてア
ッセイされ得る。1つの好ましい実施形態において、この因子は、精神活性特性
を有することが以前に公知である。別の実施形態において、この因子は、精神活
性であることが公知であり、そしてこの因子は、哺乳動物脳の部分において、閾
値濃度(例えば、約100mM未満、より好ましくは、約10mM未満、最も好
ましくは約1mM未満)で存在する。特に好ましい因子としては、抗コリン作動
性因子が挙げられる。
【0012】 この方法はさらに、この因子についての活性サインを同定する工程、およびこ
の活性サインを、活性サインのライブラリーのメンバーに対して比較する工程を
包含し得る。1つの実施形態において、多電極アレイは、好ましくは、少なくと
も1つの64電極を備え、この電極は好ましくは、隣接する電極の間に、約30
0μm未満、より好ましくは約200μm未満、そして最も好ましくは、約10
0μm未満の間隔をあけて最大の内部電極を備える。特に好ましいアレイは、シ
リコンベースから製造される。このシリコンは、金属(例えば、金、プラチナ、
銅、または銀)でプレートされ得る。
【0013】 信号検出および/または分析は、隠し(hidden)Markovモデル(
HMM)入力もしくはウェーブレット、または信号プロセシングの神経ネットワ
ーク方法を用いて、入力信号と出力信号との間の関係をモデル化する工程を包含
し得る。
【0014】 別の実施形態において、本発明は、本明細書において記載される1つ以上のア
ッセイ(例えば、脳機能を変更する因子についてのスクリーニング)を実施する
ためのハイブリッド生物学的電気的バイオセンサーを提供する。好ましいバイオ
センサーは、本明細書において記載されるような、多電極アレイと接触した、本
明細書に記載の哺乳動物脳の一部(例えば、インビトロ培養または急性調製物)
、多電極アレイを備える1つ以上の電極を通じる時間依存性入力信号を用いて哺
乳動物脳を刺激するためのデバイス(出力信号がこの入力信号の関数である場合
、多電極アレイを備える2つ以上の電極を通じて哺乳動物脳から時間依存性出力
信号を検出するためのデバイス)を含む。このデバイスはさらに、活性サインの
ライブラリーを含む、記録媒体(例えば、コンピューターおよび読み取り可能媒
体)を備え得る。1つの実施形態において、時間依存性入力信号を提供する、こ
のデバイス(例えば、信号発生器)はまた、この電極アレイにおいて、空間依存
性の入力信号を提供する。このデバイスは、シナプス可塑性を誘導することが公
知の空間−時間パターンを有する入力信号を提供し得る。特定の実施形態におい
て、時間依存性入力信号を提供するデバイスは、シータパターンを提供する。
【0015】 このデバイスにおける電極アレイは、このような時間依存性入力信号が、歯状
回の細胞層、CA3の細胞層、CA1の細胞層、嗅内皮質の表面的細胞層、嗅内
皮質の深部細胞層、海馬台(鉤状回)の細胞層、前鉤状回の細胞層、傍鉤状回の
細胞層、歯状回の樹状野、CA3の樹状野、CA1の樹状野、嗅内皮質の樹状野
、鉤状回の樹状野、前鉤状回の樹状野、または傍海馬台の樹状野に送達されるよ
うに配置され得る。
【0016】 1つの特に好ましい実施形態において、時間依存性出力信号を検出するための
デバイスは、シータ活性パターンを認識する。このデバイスは、この出力信号が
、顆粒細胞、CA3の線条体細胞、内側嗅領のCA1深部層細胞の線条体細胞、
海馬台(鉤状回)の細胞、前海馬台の細胞、傍海馬台の細胞、CA3の樹状野、
CA1の樹状野、内側嗅領の深部細胞層の樹状野、海馬台の樹状野、傍海馬台の
樹状野、または前海馬台の樹状野を含むがこれに限定されない、1つ以上の領域
から記録されるように配置され得る。本発明はまた、神経組織(哺乳動物の脳の
一部)が、未知の精神活性の因子、または精神活性であることが公知の因子のい
ずれかに接触される(ここで、この因子は閾値濃度で存在する)、バイオセンサ
ーを提供する。
【0017】 なお別の実施形態において、本発明は、活性サインライブラリーを提供する。
このライブラリーは、複数の化合物についての活性サインを含む記録媒体を備え
る。ここで各活性サインは、このライブラリーの各化合物を特有に特徴づけおよ
び識別する。好ましい実施形態において、各々の活性サインは、このサインが生
成された化合物と接触した哺乳動物脳の培養部分における4つ以上の部位で電位
の少なくとも0.5秒の記録を含む。この活性サインはさらに、このサインが生
成された化合物の非存在下で哺乳動物脳の一部における同じ4つ以上の部位での
電位の少なくとも0.5秒の記録を含み得る。この活性サインは、本明細書にお
いて記載される、任意の培養された神経組織調製物または急性調製物を用いて誘
導され得る。
【0018】 信号ライブラリーは、好ましくは、このライブラリーの1つ以上の活性サイン
メンバーのソート、検索(searching)および検索(retrieva
l)を可能にするコンピューターシステムの成分である。このライブラリーは、
本明細書に記載されるバイオセンサーに対する連絡をさらに備え得、種々の因子
のオンライン分析、新しい活性サインのアップロード、またはこのバイオンセン
サーの神経組織を駆動/刺激するための活性サイン成分のダウンロードを容易に
する。
【0019】 (定義) 用語、「因子(agent)」または「試験因子(test agent)」
は、本明細書において用いる場合、本発明の方法において精神活性についてアッ
セイされる化合物を意味する。この試験因子は、精神活性特性を有することが知
られていない化合物であり得る。この場合、このアッセイは、この化合物の特性
を同定および特徴付けの両方をする。あるいは、試験因子は、精神活性特性を有
することが公知の因子であり得る。この場合、このアッセイはさらにこの因子の
活性サインを特徴付け得る。この因子は、実質的に任意の要素、分子または化合
物であり得る。好ましい因子は、生物学的分子(例えば、タンパク質、糖タンパ
ク質、脂質、炭水化物、核酸など)、または有機低分子のいずれかである。この
因子は、環境(例えば、汚染物質、破壊産物、汚染など)に由来し、種々の植物
もしくは動物に由来し得るか、化学的に合成され得る(例えば、新規に)か、ま
たはヒトおよび/もしくは動物の使用のための公知の製剤であり得る。試験因子
は、好ましくは、公知の細胞毒素、組織培養培地の成分として代表的に提供され
る物質、緩衝液などを含まない。
【0020】 「精神活性因子または化合物」または「精神活性特性」を有する因子または化
合物とは、神経組織と接触した場合、特に哺乳動物の脳の一部と接触した場合、
その神経組織の神経学的活性を変化する化合物または因子である。好ましい精神
活性因子または化合物は、神経組織の「認知能(cognitive acit
ivity)」を変化する。
【0021】 用語「認知能」とは、本明細書において用いる場合、その自然な作用(ope
ration)の一部として、インタクトかつ健常な脳回路内で、およびこれに
またがって生じる空間−時間パターンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】 用語「認知混乱(cognitive derangement)」とは、認
知機能の障害または衰弱をいう。このような障害または衰弱は、正常な認知機能
の間にみられる正常な変化の外に、正常な空間−時間パターンを変化するように
生じる。好ましい認知機能は、ネットワーク特性である。
【0023】 用語「機能的ネットワーク特性」とは、神経組織サンプルが、インタクトで、
好ましくは成体、哺乳動物の脳で、その神経組織の電気活性(応答)特徴を示す
能力をいう。従って、ネットワーク特性は、個々のニューロンではなく、インタ
クトな回路内でおよびインタクトな回路間で集団動態的特徴である。
【0024】 「インタクトな、または完全な、または実質的に完全なニューロン回路」とは
、機能的ネットワーク特性を示す神経組織の培養物をいう。好ましいニューロン
回路は、例えば、長期増強(長期電位)によって例示されるように、シナプス可
塑性を示し得る。
【0025】 用語「シナプス可塑性(synaptic plasticity)」とは、
細胞間連絡の有効性における変化をいう。ここで、1つ以上のニューロンがシナ
プスで連絡されている標的ニューロンを活性化する能力は増大するかまたは減少
するかのいずれかである。
【0026】 用語、「長期増強(長期電位)(long−term potentiati
on)」(「LTP」)とは、特定の種類のシナプス可塑性を裏付ける機構、代
表的には、迅速に生じ、そして正常な長期記憶において見られるように、変化し
た永続的またはほぼ永続的に残る機構をいう。異なるタイプおよび期間の記憶機
構を裏付けるLTPの異なる形態が存在する。(1例は、求心性軸索に対する、
短い、生理学的に関連する刺激が、NMDA型グルタミン酸レセプターを通じた
シナプス後膜へのカルシウムの流入を介して標的ニューロンとのシナプス接合の
有効性における長期増大を生じる形態である)。
【0027】 句、「培養中の哺乳動物脳の一部」とは、組織培養(エキソビボ)中における
脳由来の神経組織をいう。哺乳動物脳の好ましい部分は、ネットワーク特性を示
す部分であり、そしてより好ましくは、特に長期電位において、シナプス可塑性
を可能にする部分である。最も好ましい実施形態において、哺乳動物の脳の部分
は、脳スライス(例えば、海馬スライス調製物)、または中隔および海馬の同時
培養物である。
【0028】 用語「シータ」は、動物が調査または学習に能動的に従事している場合、代表
的にではないが、睡眠のような非調査的または喚起されていない状態である場合
、海馬を含む多くの終脳領域において現われる約4〜8Hzの自然に存在する脳
リズムをいう。この学習依存性リズムは、LTPを誘導するために至適の生理学
的刺激であることが見出されていることに注目すべきである。
【0029】 用語「閾値濃度」は、試験因子について、特に薬物である、試験因子について
、言及する場合、最小処置レジメン下で(すなわち、薬理学的組成物については
、動物またはヒトについて最低の代表的に規定された治療投薬量下で)、神経組
織において、最も好ましくは中枢神経組織(脳)において、見出されたこの因子
の濃度をいう。好ましい閾値濃度は、約100mM未満、好ましくは、約10μ
m未満、より好ましくは、約1μm未満、そして最も好ましくは約0.1μm未
満である。
【0030】 「生理学的に代表的な」濃度とは、神経組織において、最も好ましくは中枢神
経組織(脳)において、正常な健常生物体(動物またはヒト)において、または
標準的(例えば、規定された)治療処置レジメン下で、見出される(例えば、試
験因子)の濃度をいう。
【0031】 用語「入力信号(input signal)」および「刺激」は、互換可能
に用いられて、神経組織に対して付与される電気信号をいう。電気信号(例えば
、電圧および/または電流)は、時間依存性および/または空間依存性であり得
る。「時間依存性(time−varying)」信号は、この信号の振幅(電
圧)が時間とともに変化する信号である。信号のバリエーションは、連続的また
は段階的関数であり得る。同様に、空間依存性信号は、神経組織に対して加えら
れる1つ以上の位置が時間とともに変化する信号である。
【0032】 「出力信号(output signal)」または「応答」とは、1つ以上
の位置で神経組織で検出される電気活性をいう。出力信号はまた、時間依存性お
よび/または空間依存性であり得る。
【0033】 出力信号は、出力信号が、入力信号の変更および/または存在もしくは非存在
に応答して変化する場合、「入力信号の関数」であるといわれる。
【0034】 用語、因子の「活性サイン(activity signature)」「認
知サイン(cognitive signature)」、「活性プロフィール
」とは、神経組織とその因子との接触によってもたらされる、神経組織、好まし
くは脳の一部の電位の変化をいう。この変化は、1つ以上の刺激(例えば、化学
的または電気的)に応答した神経組織活性の変化、または神経組織の内因性もし
くは自発性電位活性の変化であり得る。好ましい活性サインは、比較測定値(例
えば、1つ以上の因子の2つの異なる濃度で、またはこの因子の存在対非存在に
おける)である。特に好ましい活性サインは、異なる因子の活性サインの群の中
の因子を固有に特徴付けるかまたは識別する。このようなサインは、組織サンプ
ルにおいて、異なる位置でおよび異なる条件下で生じるサインの組み合わせであ
り得、その結果、因子の完全な特徴づけは、異なる刺激条件、異なる培地条件な
どで実施された複数の試験に依存し得る。
【0035】 「活性サインライブラリー(activity signature lib
rary)」とは、異なる因子の多重度(例えば、2以上、より好ましくは10
以上、より好ましくは100以上、最も好ましくは1000、10,000以上
、または1,000,000以上でさえ)についての活性サインの収集物(コレ
クション)である。好ましいライブラリーにおいて、任意の2つの異なる因子の
活性サインは、識別可能であり、それにより、このライブラリー中の他の因子に
関して、この因子を固有に同定する。
【0036】 用語「記録媒体」とは、活性サインまたは活性サインライブラリーについて用
いる場合、1つ以上の活性サインをソートしうる任意の情報記録媒体をいう。記
録媒体は、手書きの物、印刷物、電気的および/または磁気的記録物(例えば、
コンピューターメモリー、磁気ディスク)、光学記録物(例えば、ホログラフィ
ックストラージ、および/またはCD ROMS および/またはDVD記録媒
体)、論理装置(例えば、プログラム可能なアレー理論、フラッシュROM、ま
たは他のチップベースの記録形態)、または任意の他の媒体(ここではサインが
長時間保持され、そして引き続き回収される)が挙げられる。
【0037】 「多電極(multi−electrode)」アレイは、アレイ中の全ての
電極をグループとして一緒に操作可能な様式でお互いに結合した電極の集合をい
う。「シリコンベースの多電極アレイ」とは、微小電極工学の代表的な微小製造
技術(例えば、マイクロリソグラフィー、マイクロ蒸着など)を用いて基板上に
作製したアレイをいう。シリコンベースのアレイは、シリコン基板上で製造され
得るが、それに限定される必要はない。他の基質(例えば、マイクロエレクトロ
ニクスの当業者に周知のガリウムヒ素、石英、種々のポリマーなど)が、本明細
書によって包含されることが意図される。また、リソグラフィー以外の技術(例
えば、他の固体状態技術(例えば、真空蒸着、マイクロ蒸着、分子ビームアッチ
ング、レーザーエッチングなど))によって作製されたアレイも含まれる。
【0038】 句「少なくとも2つの異なる濃度で」とは、本発明のアッセイにおける異なる
レベルの試験因子について言及する場合、また、ゼロ濃度(すなわち、試験因子
の非存在)を含む。従って、このアッセイは、2つ以上の異なる濃度の試験因子
で実施され得る。ここで、この試験因子は、両方の濃度で存在するか、および/
または1方の濃度は陰性コントロール(試験因子の非存在)である。2つ以上の
濃度が同時に、または同じ個体神経組織上でさえも、測定される必要はないこと
がまた認識される。従って、同じ実施形態では、2つの異なる濃度は、初期にな
された測定値との測定値の比較を含み得る。すなわち、検出された差異は、それ
(現在の測定値)と、既知のもしくは以前に記録されたパターンとの間であり、
これによって、以前に記録されたパターンは、本発明のアッセイを用いて同時に
測定されていなければならないことが認識される。
【0039】 用語「急性調整物(acute preparation)」とは、神経組織
(好ましくは脳)の「新鮮に」切り出されたサンプルをいい、これは代表的には
脊髄液中に保持されており、そして好ましくは酸素化に曝露されている。急性調
製物は代表的に、8〜10時間生きたまま保持され得る。用語「急性調製物」は
、培養培地中で保持されていたものから新鮮調製物を区別するために用いられる
【0040】 (詳細な説明) (I.認知機能を変化させる精神活性因子の検出) (A)精神活性因子のスクリーニングおよび特徴付け) 本発明は、脳に作用して脳の活性を変化させ得る、薬理学的因子、環境因子、
および他の物質を検出および/または特徴付けするためのアッセイを提供する。
1つの実施形態において、本発明は、同定の方法が現在存在しない、脳の電気回
路の作動の障害を誘導する因子の存在を同定するための、新規方法を提供する。
【0041】 この方法は、好ましくは、自発的にと人工的刺激に応答してとの両方で作動し
、そしてアッセイされるべき物質の存在下と非存在下との両方で、電気回路の作
動の観察を可能にする、哺乳動物脳由来のインタクトな電気回路を使用する。こ
れらの方法において、認知障害を示す回路の作動パターンの誘導は、正常な、障
害を受けていないパターンから区別され得る。さらに、または代替的に、正常な
パターンの変更によって、種々の因子が特徴付けられ、そしてまたは比較され得
る。このことは、試験因子の活性サインを提供し、かつこの因子の作用の詳細な
様式に関する情報を明らかにする。本発明の方法によって提供されるデータは、
さらに、種々の精神活性化学物質の作用の特定の様式の説明を可能にする。例え
ば、実施例2に記載されるように、ジアゼパムに応答して得られる活性パターン
または「サイン」は、ジアゼパムの効果が、興奮とフィードバック阻害との間の
相互作用を介して応答を同調させることであり、その結果、ジアゼパムの存在下
において、より小さな興奮応答が、それにもかかわらず、よりコヒーレントな、
従ってより大きな場ポテンシャルを惹起することを示唆する。
【0042】 1つの実施形態において、本発明のアッセイは、インタクトな電気回路を哺乳
動物脳から抽出し、そしてこれらが正常な成体の特性を達成し、かつ長期間(例
えば、数ヶ月まで)生存可能なままであるように、培養中に維持することによっ
て達成される。認知障害または認知活性の「サイン」に関して疑われる因子のス
クリーニングは、一般に、インタクトな(好ましくは成体の)電気回路なしでは
達成され得ない。なぜならこれら(個々のニューロンまたは他の非成体神経回路
ではない)は、正常な認知機能の基質であるからである。
【0043】 他の利点のうちでもとりわけ、本発明の方法およびシステムは、機能的ネット
ワーク特性に対する種々の因子の微妙な、比較的長期間の効果(例えば、インタ
クトな脳において見出されるもののような、より高い認知特性)の検出を可能に
する。本発明の方法の実際的な利点としては、以下が挙げられるが、それらに限
定されない:1)行動の予測;2)改善された感度;3)試験された因子の副作
用の検出;および4)以前には利用不可能であった因子活性の様式の説明が豊富
であること。
【0044】 行動の予測に関して、単一のユニットではなくネットワークが、行動を発生さ
せることが注目される。従って、神経ネットワークの応答を決定するアッセイは
、本来、被験脳の行動に対する種々の因子の効果を外挿する際の個々のシナプス
効果の情報を、より多く与える。
【0045】 感度に関して、神経学的活性のパターンは、多数のニューロンの協調した活性
から生じ、従って、容易に改変または妨害されることが、認識される。従って、
ごく最近の薬物効果さえも、大きな影響を有し得る。しかし、本明細書中に記載
される方法を使用して、精神活性因子の効果が、以前の方法によって可能であっ
た濃度よりずっと低い濃度で同定され得ることは、本発明の驚くべき発見であっ
た。
【0046】 ネットワークは、いくつかの型の細胞、レセプターおよび伝達物質を含むので
、これらは長時間にわたって、そして種々のレベルの複雑性で作用する。この複
雑性は、種々の因子の潜在的な所望でない副作用が現れる十分な機会を提供する
。これによって、本発明のアッセイは、長期間にわたって出現する副作用の高感
度な検出を可能にする。
【0047】 さらに、ネットワークに存在する種々のエレメントは、関連する薬物または他
の化合物間の広範な種々の差異を示す、多数の部位を提供する。このネットワー
クの複雑性の組み合わせは、多くの部位からの同時の記録によって可能となる濃
密なサンプリングとともに、以前にはなかった特異性の「薬物プロフィール」ま
たは「活性サイン」を発生させることを可能にする。このことは、以前に可能で
あったよりさらに正確な因子の分類を可能にする。
【0048】 (B)好ましいアッセイ) 本発明の方法は、一般に、培養物に適用された因子の急な効果または低レベル
の効果に起因する、認知機能の衰弱または他の変化を検出および評価するための
、多電極入力源および/または出力に統合された、記憶機能の組織培養物モデル
からなる、ハイブリッド生物学的−電子的バイオセンサーを包含する。試験装置
を、一般的に図1に示す。その最も単純な観点において、本発明は、機能的ネッ
トワーク特性を有する培養された神経組織(例えば、1つ以上の完全神経電気回
路を含む)へと入力(例えば、時間変化電位および/または空間変化電位、すな
わち刺激)を提供する信号源を利用する。1つの好ましい実施形態において、神
経組織は、哺乳動物脳の一部であり得る。次いで、応答(すなわち、入力信号へ
の神経組織の電気信号)が、1つの部位または複数の部位においてモニタリング
され、そして種々の入力信号への神経組織の応答が、検出される。神経組織は、
刺激の特定の入力パターンに応答して、特徴的な応答パターン(すなわち、時間
変化電位および/または空間変化電位)を生じる。
【0049】 神経組織は、1つ以上の因子(例えば、薬物、治療誘導化合物、化学ライブラ
リーのメンバー、潜在的な毒素、環境汚染物質、食品汚染物質など)と接触し得
、そして入力信号へのこの組織の応答に対するこの因子の効果が、決定され得る
。この因子の適用の結果としての、入力信号に対する神経組織による電気応答の
パターンの変化は、この因子が精神活性特性を有することを示す。
【0050】 入力信号または信号パターンは、常に必要とされるわけではないことが、理解
される。本発明のアッセイにおいて利用される哺乳動物脳の電気回路はまた、自
発的および/または内因性活性を示す。この自発的/内因性活性に対する因子の
効果もまた、アッセイされ得る。
【0051】 (1)潜在的な因子のスクリーニング) 本発明のアッセイは、広範な種々の関連において使用され得る。1つの主要な
用途は、潜在的な薬物を迅速かつ高感度にスクリーニングするためである。製薬
会社による、「迅速なスクリーニング」に対する定常的な必要性が存在する。こ
れらは代表的に、労力がかかる(そしてさほど啓発的ではない)行動試験によっ
てしばしばスクリーニングされる、潜在的な治療剤のライブラリーである。生理
学的に重要な濃度(例えば、処方された投薬レジメンのもとで特定の組織におい
て存在する量)の薬物(例えば、バリウム(valium))は、認識可能かま
たは特徴的な「サイン」によって、アッセイにおいて目立つことが、本発明の発
見であった。この結果は、以前には決して達成されなかったと考えられる。バリ
ウムのような精神活性因子の効果を、これらの正常な低用量において検出するイ
ンビトロアッセイは、存在しない。
【0052】 従って、1つの実施形態において、本発明のアッセイ方法は、既知かまたは潜
在的な治療剤に対して、「活性プロフィール」または「認知効果サイン」(本明
細書中においてサインともまた呼ばれる)を同定するために使用される。この方
法は、一般に、刺激された神経組織および/または刺激されていない神経組織を
、試験/特徴付けされる因子と接触させる工程、ならびに神経組織の活性に対す
るこの因子の効果(例えば、内因性活性の変化および/または特定の刺激に対す
る応答の変化)を決定する工程を包含する。神経活性の変化の要約(例えば、特
定の刺激に対する応答)は、その因子の生理学的活性に対するサインを提供する
(例えば、実施例2を参照のこと)。
【0053】 次いで、因子のサインが、既知の因子の効果のサイン(「回路プリント」)の
予め存在するコンパイル(「ライブラリー」)に対して比較され得る。このこと
は、この因子を、実際の調合薬または潜在的な調合薬の1つ以上のファミリーに
分類することを可能にする。さらに、類似の薬物(例えば、バリウムTM(ジア
ゼパム)対HalcionTM(トリアゾラム))のサインは、わずかな、そし
て時々有意な差異を示す。このことは、当業者が特定の調合薬を区別し、これに
よってこの調合薬の処置レジメンを最適化することを可能にする。さらに、この
アッセイは、新たな薬物または既知の薬物の潜在的な副作用(すなわち、所望の
プロフィール以外のこれらの薬物のサインの部分)の同定を可能にする。
【0054】 (2.治療化合物または治療誘導化合物のスクリーニングのための標準的なサ
イン) 別の実施形態において、本発明の方法は、活性サインのライブラリーを調製す
るために使用され得る。プロフィールライブラリーは、基本的に、精神活性特性
を有する複数の因子の活性サインの集合である。
【0055】 このようなライブラリーのメンバーの比較は、種々のクラスの因子の活性のパ
ターンを明らかにし、そして/または類似かもしくは異なるサイン(活性のパタ
ーン)を有する化合物の群に因子を分類するために使用され得る。
【0056】 次いで、所望の生理学的活性を有する因子のサインを、類似かまたは異なる活
性プロフィールを有する他の因子のスクリーニングのための基準として使用し得
る。
【0057】 あるいは、所望のサインは、新規に作製され得、そしてその活性プロフィール
を示す化合物に対する検索において、基準として働き得る。
【0058】 (3.毒性因子のスクリーニング) 1つの実施形態において、このアッセイは、種々の因子によって引き起こされ
る認知障害(例えば、正常な認知機能の衰弱、収差、または欠陥)を検出するた
めに使用される。これらのアッセイにおいて、試験化合物(例えば、特定の環境
において見出される化学物質)は、主として、それが正常な認知機能を損なわせ
る能力に関してアッセイされる。しかし、試験される因子の活性が欠陥自体では
ない場合でさえも、神経学的組織に対する任意の活性、または逆に、このような
活性の欠損の同定は、有用な結果であることが理解される。
【0059】 (4.認知エンハンサーのスクリーニング) 本発明のアッセイはまた、認知エンハンサーをスクリーニングするために使用
され得る。このようなエンハンサーは、長期増強のために必要とされる刺激の減
少、シナプス可塑性の増加などが挙げられるがこれらに限定されない、広範な種
々の効果を示し得る。
【0060】 (5.神経組織移植治療の評価) 別の実施形態において、本発明は、神経移植の効果および/または神経移植物
に対する種々の因子の効果を評価するためのアッセイを提供する。神経移植は、
最初には、損傷した脳の潜在的な臨床的処置を与える。特に、神経組織の自己由
来移植および異種移植が、パーキンソン病の処置において使用されてきた。しか
し、パーキンソン病は、主として、「細胞置換による修復」のより一般的なスト
ラテジーのためのモデルとして働いた。パーキンソン病は、脳の大部分に対する
必須の神経調節因子であるドパミンを産生する細胞の小さな集団の損失から生じ
ることが公知である。初期の研究は、中枢神経組織または末梢神経組織の異種移
植および自己由来移植が、少なくとも一時的に、ドパミンの損失を相殺し得るこ
とを示唆する。しかし、認知活性に対するこのような移植物の効果は、有意な詳
細においては分析されていない。
【0061】 従って、1つの実施形態において、本発明の脳培養物は、移植された神経組織
をさらに含み得る。この神経組織は、中枢神経組織または末梢神経組織由来であ
り得、そして源が自己由来または異種であり得る。好ましい神経組織は、供給源
が胚である。脳の培養された部分(例えば、培養されたスライス)は、神経組織
移植物が「脳」の効果(例えば、電気活性を変化させる)を現すに十分な長い時
間、容易に生存して維持され得る。神経組織移植を実施する方法は、当業者に周
知である(例えば、Redmondら(1993)Ann N Y Acad
Sci 695:258−266ならびにZagerおよびBlack(198
8)Surg.Neurol.29(5):350−366、ならびにこれらに
引用される参考文献を参照のこと)。
【0062】 従って、1つの実施形態において、本明細書中に記載されるアッセイは、神経
組織移植に供された「培養された脳の部分」を用いて実施される。この培養され
た脳の部分は、「健常な」脳の部分または1つ以上の病理(例えば、パーキンソ
ン病またはアルツハイマー病のような変性疾患など)を示す脳由来のものであり
得る。
【0063】 活性の変化は、このような移植物を欠くコントロール培養物を用いて、神経組
織移植の前に、同じ培養物に関して確認され得るか、「絶対的な」変化(例えば
、比較なし)を単に測定され得るか、または活性サインのライブラリーにおいて
1つ以上のプロフィールと比較され得る。
【0064】 さらに、このような移植物培養物を使用して、神経組織移植物の効果に対する
種々の因子(例えば、精神活性薬物)の活性を評価し得る。
【0065】 (C)アッセイの他の利点) アッセイは、比較的長時間(例えば、3〜6時間まで、好ましくは1日まで、
より好ましくは1日〜1週間まで、最も好ましくは3週間、4週間、または5週
間もしくは6週間までさえ、あるいは数ヶ月までさえ)にわたって実施され得る
。このことは、因子が作用を有するための多くの作用時間を必要とする因子の検
出を可能にする。さらに、活性は神経網において測定されるので、ほんのいくら
かのニューロンのみを生じ、そして主としてインタクトな成熟神経回路において
作用する因子が、検出され得る。従って、例えば、本発明のアッセイ方法は、明
らかに、生理学的に重要な濃度において、バリウムおよびHalcionの活性
パターンを区別した。
【0066】 (II.生物学的調製物) (A)好ましい調製物) 上で説明したように、好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物脳由来
のインタクトな電気回路を利用する。従って、生物学的調製物は、神経細胞およ
び/または神経学的組織(例えば、哺乳動物脳の一部)を含む。神経学的細胞お
よび/または組織は、事実上任意の動物(げっ歯類、ウサギ、有蹄類、クマ、ウ
シ、ヒトを含む霊長類、イヌ、ネコなどが挙げられるが、これらに限定されない
)から得られ得る。しかし、好ましい実施形態において、神経学的細胞および/
または組織は、げっ歯類、ウサギ、ネコ、イヌ、または非ヒト哺乳動物から得ら
れる。
【0067】 哺乳動物脳の皮質系(例えば、海馬)は、ノイズ、変換、および部分的完了に
対して顕著に強い、高次元表現のための大きな容量を有する。海馬の認知機能は
、短時間の記憶(環境的刺激および/または行動に関する情報)の内容を暗号化
することであり、その結果、これは、既存の長期間の記憶の階層に対する妨害を
最小にする様式で、長期間の記憶に格納され得る。海馬への入力は、より高い次
元の新皮質脳領域由来であり、そして進行中の環境刺激および/または行動を表
す特徴の複数のセットからなる。海馬は、新皮質の出力である複数の特徴の表現
を変換し、そしてシナプス可塑性の機構(例えば、長期増強(LTP))を介し
て、これらの特徴の異なるサブセットを会合させて(単一の目的に組み合わせて
)新たな表現にする。従って、海馬調製物は、本発明の方法のための特に適切な
神経学的基質を提供する。
【0068】 従って、好ましい生物学的調製物は、以下を含むがそれらに限定されない:1
)細胞および培養された海馬スライス;2)培養された海馬ニューロン;ならび
に3)中隔および海馬の同時培養物。各培養系は、その独自の利点を有する。
【0069】 (B)海馬解離細胞培養物) 1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、海馬解離細胞を利用する
。解離した海馬ニューロン調製物は、いくつかの利点を有する。これらの利点の
うちの1つは、プロセシングニューロンの出力を、複数部位電極アレイ内の同定
可能な部位に指向する能力である。解離されたニューロン調製物は、インビボお
よび海馬スライス培養調製物において見られる内因性の細胞配置を欠くが、シナ
プス接触および神経回路は、解離されたニューロン培養調製物において、豊かに
発生する。
【0070】 本発明者らの予備的なデータは、高密度の培養物が、金メッキおよびアルミニ
ウムメッキした電極、ならびに多数のシリコンベースの基質に対して、強い接着
性を示すことを示す。さらに、ニューロンプロセスの伸長が拡大性であり;明ら
かな神経ネットワークを作製する。低密度の培養物において、細胞の本体および
ニューロンプロセスは、容易に観察される。他の低密度の培養物では、単一のニ
ューロンの広範な軸索樹が、単一の電極表面に封じ込められた。本発明者らの予
備的なデータおよび他の研究者らのデータ(Kleinfeidら(1988)
J.Neurosci.,8:4098−4120)は、神経電気回路が、ニュ
ーロン数、ハードウェア要素ならびにシリコンおよび電極基板の接着特性を操作
することによって調節され得ることを示す。好ましい培養チャンバは、単層ニュ
ーロンネットワークからの微視的モニタリングおよび電気生理学的記録を可能に
するよう改変された、GrossおよびSchwalm(1994)Neuro
sci.,52:815−827の改変である。
【0071】 (1.解離した細胞培養物の調製) 海馬ニューロンの培養物を、好ましくは、Brintonら(1997)Ne
urochem.Res.,22:1339−1351に記載される方法に従っ
て調製する。海馬を、18日胚(E18:出生日をE0とする)Sprague
−Dawleyラット胎仔の脳から解剖する。次いで、この組織を、ハンクス平
衡化塩溶液(50mM KCl、3mM KHPO、80mM NaCl、
0.9mM NaHPO・7HO、10mMブドウ糖、0.3M HEP
ES)中0.05%のトリプシンで、37℃で5分間処理する。インキュベーシ
ョンに続いて、トリプシンを、フェノールレッドを含まない、10mM NaH
CO、10%ウシ胎仔血清、5μg/mlペニシリンおよび5μg/mlスト
レプトマイシン、ならびに10% F12栄養培地を補充した冷ダルベッコ改変
イーグル培地(DMEM;Gibco)で3分間不活化する。次いで、組織をハ
ンクス緩衝化塩溶液(2×)で洗浄し、そして一連の火炎ポリッシュしたくびれ
たパスツールピペットに繰り返し通過させることによって、解離する。
【0072】 細胞を、高密度の1×10細胞/mlまたは低密度の20,000〜30,
000細胞/mlのいずれかで、以下に記載のようにマスクされた二酸化ケイ素
に埋没した複数部位電極にプレートする。ニューロンを、Neurobasal
培地(これは、神経膠細胞の増殖を促進しない;Gibco)、B27培地補充
物(Gibco)、25μMグルタミン酸、0.5mMグルタミン、5μg/m
lペニシリン、および5μg/mlストレプトマイシンを含むフェノールレッド
の存在下で増殖させ、そして37℃の5%COインキュベータ中で維持する。
【0073】 (C)海馬スライス調製物) (1.海馬電気回路) 海馬スライス調製物は、好ましくは、複雑なニューロンネットワークからなり
、入力の約90%が、内嗅皮質から生じる線維によって運ばれる。この海馬スラ
イス調製物は、複雑なニューロンネットワークからなるが、十分に分離した層を
有する(図3)。これらは、敏感であるかまたは培養された調製物のいずれかで
あり得る;後者は、有意な程度のニューロン損失なしに数週間にわたって生存し
て維持され得、そしてニューロン結合性を良好に示す。
【0074】 代表的な脳スライスにおいて提供される海馬電気回路において利用可能なネッ
トワークの複雑性を、図2に示す。図2の大まかな観察さえも、ネットワークの
統合が複雑であることを明らかにする。例えば、歯状回(dg)における各顆粒
細胞は、約10,000のシナプス接触を有し、そして穿孔性経路の軸索(例え
ば、内嗅皮質の層から)のサブセットにおける活性の空間−時間パターン(「入
力信号」)は、顆粒細胞のサブセットの活性の空間−時間パターンを発生させる
。顆粒細胞は、次に、軸索系である苔状線維を生じ、これは、海馬固有のCA3
領域の錐体細胞の近位セグメントを神経支配する。さらに、顆粒細胞軸索はまた
、顆粒細胞上に戻って突出する歯状回の門における多型ニューロンを神経支配し
、従って、強力な反回の興奮性ループを提供する。
【0075】 1つの三シナプスネットワーク回路の説明を、図4に提供する。苔状線維によ
ってCA3錐体細胞上に形成される末端は非常に大きく、そして比較的少数の苔
状線維の末端の同期された活性化は、CA3錐体ニューロンを興奮させるに十分
である。従って、顆粒細胞における活性の空間−時間パターンは、少数のCA3
錐体ニューロンにおける活性の空間−時間パターンを生じる。CA3錐体ニュー
ロンまたはシャファー側副枝の軸索は、海馬のCA1の錐体ニューロンに突出す
るのみでなく、CA3内の高度に反回の興奮ネットワークをもまた形成する。従
って、CS3錐体ニューロンにおける活性の空間−時間パターンは、CA1錐体
ニューロンにおける活性の新たな空間−時間パターンに変換される。さらに、穿
孔性の経路の軸索もまた、CA3とCA1との両方の錐体ニューロンの遠位尖ド
メインに突出する;この様式で、顆粒細胞への同じ入力信号が、三シナプスネッ
トワークの連続的な段階に送達される。
【0076】 全体として、説明される海馬回路は、入力信号の出力信号への3つの連続した
変換を実施し、回路の各段階が、シナプス改変を介してプロセスされた信号の異
なる型の計算および格納を実施する。代表的な培養されたスライス調製物は、海
馬の約1/40を占め、従って、約15,000の顆粒細胞、5,000のCA
3錐体ニューロン、および10,000のCA1錐体ニューロン、ならびに全て
の局所的回路ニューロンを有する。これらの調製物は、ニューロンの有意な程度
の損失なしに、そしてニューロン接続性を良好に保存して、数週間にわたって生
存して維持された(Bahrら(1995)Hippocampus,5:42
5−439)。さらに、このような調製物は、以下の理由により、多数のクラス
の薬物の薬理学的効果を調査するために理想的に適切である:1)多数かつ種々
のシナプスが、大部分のチャネル、神経伝達物質レセプター、および取り込みシ
ステムが培養物を代表することを保証すること;2)電気回路の異なるレベルに
おいて起こる入力信号の連続的な変換が、薬物効果の大きな増幅を生じ、これに
よって検出の増加した感度を提供すること;ならびに3)異なるシナプスにおい
て作用する多数の可塑性機構もまた、認知プロセスに対する種々の効果を検出す
る能力を提供すること(以下を参照のこと)。
【0077】 (2.好ましい海馬スライス調製物) 特に好ましい実施形態において、培養された海馬スライスの2つの異なる調製
物が使用され得る。1つは、中隔入力がなく(H調製物)、そして1つは、中隔
入力を有する(H/S調製物)。両方の調製物において、入力信号は、好ましく
は、歯状回の顆粒細胞に送達される。両方の場合において、出力信号は、好まし
くは、ネットワークの異なるレベル(すなわち、顆粒細胞、CA3の錐体細胞、
およびCA1の錐体細胞)で記録される。
【0078】 他のサンプル調製物としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:
歯状回、CA3およびCA1を含む敏感であるかまたは培養された海馬スライス
調製物であって、歯状回からCA3への苔状線維の突出平面を含むように切断さ
れたもの(Staubliら(1990)Synapse 5:333−335
);海馬と海馬傍領域(例えば、鉤状回、前鉤状回、傍鉤状回、および内嗅皮質
)との両方を含む、培養されたスライス調製物;または皮質スライス調製物(例
えば、新皮質または嗅覚皮質(例えば、Jungら(1990)Synapse
6:279−283を参照のこと))。脳スライス培養物を調製する方法は、
当業者に周知である(例えば、Staubliら(1990)前出、およびJu
ngら(1990)前出を参照のこと)。
【0079】 (3.脳スライス培養物の調製) 海馬スライスの器官型培養物を、Stoppiniら(1991)Neuro
sci.Meth.,37:173−182によって記載される方法に従って調
製する。簡単にいえば、海馬を、滅菌条件下で、11〜12日齢のSpragu
e−Dawleyラット脳から、HEPES(25mM)、Tris−塩基(1
0mM)、D−グルコース(10mM)およびMgCl(3mM)を含む冷却
した最小必須培地(MEM)(Gibco Corp.no.61100−06
1)中に採取し、そしてMcIllwain組織チョッパーのテフロン(登録商
標)ステージ上に置く。脳スライス(例えば、約100μm〜600μm、より
好ましくは約200μm〜約500μm、そして最も好ましくは約400μm)
を切断し、そして組織培養培地を含むウェル内の多電極アレイ(例えば、本明細
書中に記載のシリコンベースの多電極アレイ)に移した。
【0080】 神経学的組織のために適切な任意の培養培地を使用し得る。このような培地は
、当業者に周知である(例えば、Bahrら(1995).Hippocamp
us,5:425−39を参照のこと)。特に好ましい培養培地は、グルタミン
(3mM)、HEPES(30mM)、NaHCO(5mM)、D−グルコー
ス(30mM)、L−アスコルビン酸(0.5mM)、CaCl(2)、Mg
SO(2.5mM)、1μgインスリン、ペニシリン(pH7.2)を含む2
0%ウマ血清を含むMEM培地(Gibco Corp.no.41200−0
72)からなる。
【0081】 次いで、脳組織を、標準的な方法に従って培養し得る(例えば、米国特許第5
,766,948号、Bahrら(1995)前出を参照のこと)。好ましい実
施形態において、脳スライスは、インキュベータ内で35℃で5%CO富化雰
囲気中で維持され、培地は、1週間に2回交換される。培養の最初の10日間の
間に、スライスは、種々の成体特徴(髄鞘形成、十分に発生した樹状突起棘、お
よび長期増強の能力を含む)を発生させる。スライスは、アッセイの開始前に、
好ましくは少なくとも5日間、より好ましくは少なくとも10日間、そして最も
好ましくは少なくとも14日間培養を維持される。
【0082】 (D)中隔および海馬の同時培養) 中隔および海馬の同時培養は、前脳活性パターン(例えば、θ)(これは、一
般に情報のコード化のために重要であると考えられ、そしてシナプスの可塑性(
plasticity)と関連することが公知である)の試験を可能にする。さ
らに、同時培養は、試験因子が、脳のリズム(おそらく、多くの破壊的化学物質
の最初の標的)にどのように影響するかの評価を提供する。さらに、リズムに対
するスライスのポジティブな結果は、インタクトな動物における影響を予想する
ために使用され得;第三に、この同時培養は、この海馬には見出されない伝達物
質系を導入し、そしてこれは特定のクラスの毒素に感受性であることが公知であ
る。例として、中隔海馬突出の大部分がコリン作動性であり、従って、コリンエ
ステラーゼインヒビターに感受性である。この連結はまた、GABA細胞を、脳
の運動系の全体にわたって見出されるが海馬には非存在の型のGABA細胞連結
に取り込む。全体で、この同時培養は、提案されるバイオセンサーのインサイチ
ュの脳に対する類似度を増加させ、そしてより高いオーダーの終脳プロセシング
に直接関連する生理学的な活性を提供する。
【0083】 (1.中隔海馬回路網) この中隔海馬系は、上行性調節系が、皮質網の生理学を調節する方法の最も良
く理解された例である。内側中隔、および密接に関連する対角帯(DBB)の垂
直の肢は、コリン作動性およびGABA作動性の突出を、海馬の3つの細区画へ
と送る。これらの線維によって果たされる役割を考慮すると、これらは多数であ
るが、皮質から到達し、そして海馬内経路によって生成されるグルタミン酸作動
性の連結よりも数が非常に少ないことを認識することが必須である。経路追跡研
究からの結果は、最初に、中隔の入力が、抑制性の介在ニューロン(これらの各
々は、数百の錐体細胞を神経支配する)を標的することによって、その相対的な
サイズに対して不相応な影響を与えるということを示唆した(Baisdenら
(1984)Brain Res.,290:146−151;Brashea
rら(1986)Neurosci.,17:439−451;Freund(
1989)Brain Res.,478:375−381;Kissら(19
90)J.Comp.Neurol.,298:362−372;Nyakas
ら(1987)Brain Res.Bull.,18:533−545)。G
ABA作動性細胞は、この点で選択的であるようだが、コリン作動性中隔突出も
また、錐体ニューロンと連絡する。(皮質性終脳の他の場所として)海馬におけ
る介在ニューロンがGABA作動性であると仮定すると、中隔突出の1つの成分
は、脳幹神経節に共通の型の阻害−阻害(GABA細胞−>GABA細胞)回路
を構築する。このようにして、内側中隔/DBB系は、錐体細胞集団から強力な
抑制性作用を除去(脱抑制)し得る。コリン作動性線維の寄与は、明確ではない
。これらが、海馬におけるシナプス前介在ニューロン末端で、ならびに介在ニュ
ーロンおよび錐体細胞の細胞体および樹状突起で作用するという証拠が存在する
(Valentino&Dingledine(1981)J.Neurosc
i.,1:784−792;Ben−Ariら(1981)Neurosci.
,6:2475−2484;Krnjevicら(1981)Can.J.Ph
yusiol.Pharmacol.,59:911−914)。これらの構成
の正味の作用が、GABAの放出を減少させ、そして錐体ニューロンを(カリウ
ムコンダクタンスの抑制を介して)直接刺激するということが提案されている(
Doddら(1981)Brain Res.,207:109−127;Be
mardoおよびPrince,(1982)Brain Res.,249:
333−344;Cole&Nicoll(1984)Brain Res.,
283−290)。これらの2つの作用は、錐体ニューロンの興奮性の増加にお
いて、互いに、ならびに中隔GABA作動性突出と相乗的である。
【0084】 (2.中隔海馬スライスの調製) 以前の研究は、生後のラットから収集した中隔のスライスが海馬を神経支配し
、そしてコリン作動性線維がこの連結に含まれることを証明した(Heimri
chら(1993)Neurosci.,52:815−827;Baratt
aら(1996)Brain Res.Dev.Brain Res.,97:
143−147;Barattaら(1996)Neurosci.,72:1
117−1132)。好ましい培養方法は、これらの刊行物に要約される一般的
な方法に従う。
【0085】 解剖は成功するスライスの調製における重要な工程であり、そしてこのような
方法は文献中に十分に記載される(例えば、Bahrら(1995)前出を参照
のこと)。中隔および海馬のスライスの同時培養は、記載されている(例えば、
Barattaら(1996)Brain Res.Dev.Brain Re
s.,97:143−147;Barattaら(1996)Neurosci
.,72:1117−1132を参照のこと)。
【0086】 この同時培養の目的は、成熟した中隔海馬系の特徴を示す同時培養を達成する
ことであることに注意すべきである。従って、海馬のスライスが中隔スライスと
は異なる生後年齢から収集されることは可能である。
【0087】 (E)他の培養物の調製) 本発明のアッセイに適切な脳組織の他の部分としては、以下の急性調製物また
は培養調製物が挙げられるがこれらに限定されない:新皮質調製物(5つの一次
細胞層および表皮性線維層を含む)、一次視覚皮質スライス;一次聴覚皮質スラ
イス;急性または培養した一次体性感覚スライス;急性または培養した二次およ
び連合性の皮質領域;一次および二次領域を含む急性または培養したスライス;
視床皮質スライス、視床および皮質の同時培養、複数の皮質領域の同時培養、線
条体、尾状核および被殻を含む;黒質および腹側被蓋領域のようなドパミン作動
性核を含む;淡蒼球領域(pallidalareas)(GPe,GPi)を
含む;視床標的核を含む;皮質線条体系のスライス、皮質および線条体の同時培
養;線条体およびドパミン作動性入力の同時培養など。
【0088】 (F)内臓型培養装置) 1つの特に好ましい実施形態において、上記の基本的なアッセイデバイスの生
物学的成分は、内臓型培養装置である。このような培養装置は、好ましくは1つ
以上の電極または電極アレイを組み込み、これらは培養される組織に持続的に添
付されたままであり得る。この装置は、培養培地がそこに無期限に保持され得る
ように流体漏れしない。特に好ましい実施形態において、この培養装置は、刺激
および検出装置への迅速な連絡を可能にするための電気的コネクタ、ならびに/
または灌流ポンプ、ガスキャニスター(cannister)などの好都合かつ
迅速な取り付けおよび除去のためのポートを備える。
【0089】 この培養装置は、好ましくは、これがこのアッセイ装置の残りから迅速かつ用
意に分離され得、保管され得(例えば、培養設備中に)、そして使用のために離
れた場所まで容易に輸送され得るように、組立式かつ密閉可能である。本発明の
使用のための1つの内臓型培養装置は、図5に概略的に図示される。
【0090】 (III.アッセイ入力) 神経回路網(例えば、脳スライス培養物)は、自発性または内因性の活性を用
いてアッセイされ得るが、好ましい実施形態において、信号は、神経組織に適用
される。この信号供給源は、好ましくは、このニューロン組織の別々の位置に適
用される1つ以上の電位である。この電位は、静的(すなわち、一定の電圧)で
あるが、好ましい実施形態において、この電位は時間変化する。さらに、この電
位は、固定された位置または変化し得る位置(例えば、代替的な電極を選択する
ことによって)へと適用され、空間的に変化する信号を提供し得る。さらに、こ
の信号は、時間依存性および/または空間的依存性の両方であり得る。
【0091】 (A)入力信号源) 広範な種々の信号源のいずれかが、本発明の方法における入力信号源として使
用され得る。1〜約200μAで1nV〜20mV、より好ましくは約10nV
〜約5mVの範囲の電圧を送達し得る本質的に任意のデバイスが、適切である。
好ましい信号源は、時間依存性信号を提供し得る。特に好ましい信号源は、規則
的または完全にプログラム可能な時間依存性信号を提供し得る。最も現代的な信
号発生装置は、刺激プロフィール(これは、デジタル変換器の類似物を使用して
必要に応じてアナログ信号へと変換され、次いでこれが電極へと送達される)を
生成するためにコンピューターを使用する。信号発生能力は、しばしば電気生理
学的データ取得システム内に構築される。電気生理学的研究において使用するた
めの市販の信号発生装置は、この方法について十分に適している。このような信
号発生装置は、当業者に周知であり、そして多くの(a wise numbe
r of)商業供給業者から入手可能である(例えば、Grass Instr
uments,Matsushita Electric Corp.など)。
この信号発生装置は、手動で制御され得、コンピューターによって制御され得、
そしてコンピュータコントローラが神経組織からの出力信号に応答して入力信号
の周波数および/または振幅および/または位置を変化するコンピューターによ
って制御され得る。
【0092】 1つの実施形態において、多数の入力信号が、本発明のアッセイにおいて神経
組織へと送達される。この場合、各信号は、別々の信号発生装置によって提供さ
れ得る。あるいは、単一の信号が分割または倍増され得、そして得られた複数の
信号が異なる入力に適用される。しかし、複数の「独立」した信号を送達し得る
信号発生装置(例えば、マルチチャネル信号発生装置)を使用することが、より
好都合である。ここでも、このような信号発生装置は、当業者に周知である。
【0093】 実質的にかなり多数の入力信号が、神経組織へと送達され得る。この数は、こ
の信号処理に利用可能な電極の数によってのみ制限される。好ましい実施形態に
おいて、入力信号の数は、1〜8、より好ましくは約8〜約64で変化する。特
定の場合、より大きな数(例えば、256、512、1024まで、またはより
多く)の入力信号が使用される。
【0094】 (B)入力信号の型) 広範な種々の入力信号が、神経学的組織に適用され得る。確かに実質的に任意
の信号がこのように適用され得る。しかし、好ましい実施形態において、適用さ
れる信号は、神経学的活性に特徴的であることが公知の信号が含まれる。このよ
うな信号としては、α、γおよびθが挙げられるがこれらに限定されない。好ま
しい入力は、シナプスの可塑性を誘導することが公知の時間空間的なパターンで
あり、4つの100Hzのパルスの群からなる「θバースト(thetabur
st)刺激」(TBS)が挙げられるがこれらに限定されず、この群は、この群
が5Hzθのリズムで発生するように、200ミリ秒の間隔で分離される。特に
好ましい実施形態において、この適用される信号は、θ波信号である。
【0095】 (1.好ましいθ入力) θは、多種の行動の間およびREM睡眠の間に海馬において見出される5〜1
0Hzの律動性パターンである。これは、正常なEEGにおいて記録され得る最
も大きな同調細胞外活性であるといわれる(Vertes&Kocsis(19
97)Neurosci.,81:893−926)。Petscheら(19
62)Electroenceph.Clin.Neurophysiol.,
14:202−211による先駆的研究は、θが、内側中隔/対角帯におけるニ
ューロンの同調バースト活性を反映することを証明した。引き続く研究は、GA
BA作動性およびコリン作動性の中隔ニューロンの両方が、間にθ波の周期に対
応するバースト間隔を伴う高周波数バーストを生じることを示した。さらに、θ
周波数での中隔の刺激は、海馬における正常のようなθを生じる(Aposto
lおよびCreutzfeldt,(1974)Brain Res.,15:
65−75;Wetzelら(1977)Behav.Biol.,19:53
4−542;KramisおよびRouttenberg,(1977)Bra
in Res.,125:37−49)。これらの点は、海馬内の中隔突出の生
理学的作用についての証拠と合わせて、θが、中隔ニューロンのバースト/バー
スト内活性の間に生成される抑制/脱抑制サイクルから生じるという仮説を導く
(総説について、VertesおよびKocsis(1997)前出を参照のこ
と)。
【0096】 GreenおよびArduini(1952)J.Neurophysiol
.,17:533−557が、最初に、このリズムが海馬覚醒の付随物であると
同定して以来、どのθが海馬のプロセシングに寄与しているかについてのかなり
の推測が存在している。この問題についての最近の意見は、θと長期の相乗作用
(LTP)との間の深い関連性の発見によって強く影響されており、シナプスの
可塑性の形態は、記憶のコード化に決定的であると広く保持されている。最初の
研究は、バーストがθ周波数で反復して与えられる場合に、相乗作用を誘導する
ためには4つの刺激パスルの30ミリ秒の刺激バーストで十分であることを示し
た(LarsonおよびLynch(1986)Science,232:98
5−988;StaubliおよびLynch(1987)Brain Res
.,435:227−234)。著しく、バースト間の間隔を外側に動かすと、
θ周期は進行的に少ないLTPを生じた(Larsonら(1986)Brai
n Res.,368:347−350)。長期の記録研究は、LTPの誘導に
理想的な型のθバーストが、学習を含む複雑な行動の間に海馬のニューロンによ
って示されることを確認した(Eichenbaumら(1992)Behav
.Neural.Biol.,57:2−36;O’Keefe(1993)C
urr.Opin.Neurobiol.,3:917−924;Vander
wolf(1969)Electroencephalogr.Clin.Ne
urophysiol.,26:407−418;Winson(1972)B
ehav.Biol.,7:479−487;Winson(1974)Ele
ctroencephalogr.Clin.Neurophysiol.,3
6:291−301)。
【0097】 θパターン(patterning)がLTPの誘導を促進する機構は、記載
されている。手短に言うと、海馬内の急進性バーストが、フィードフォワード抑
制性介在ニューロン上のシナプス、ならびに標的錐体細胞を活性化する。従って
、後者は、単シナプスの興奮性入力を受け、すぐ後に二シナプスのIPSPを受
ける。抑制は、細胞を過分極化しそして内向きの興奮性電流を短絡することによ
って、最初のEPSPを相殺する;従って、この配合(composition
)応答は、2または3ミリ秒の脱分極、続いてはるかに長く残る過分極からなる
。LTPの誘導は、十分な持続時間の脱分極および電圧依存性NMDA型グルタ
ミン酸レセプターから障害を取り除く(unblock)ための程度が要求され
る。これらの条件は、単一バーストに対する応答によっては満たされない。しか
し、フィードフォワード抑制性シナプスは、一旦活性化されると不応期に入り、
これは150〜200ミリ秒後にピークに達し、次いで次の瞬間で散逸する。不
応期のピークの間に到達するバーストは、複合性の応答(これは、大部分はIP
SPを含まない)を生じ、従って測定可能な程度のLTPを生じる。薬理学的研
究は、不応期の原因としてのシナプス前のGABAb型オートレセプターに向け
られる(MottおよびLewis(1991)Science,252:17
18−1720)。
【0098】 (2.空間依存性信号) 時間における変化に加えて、適用される信号は、これらが適用される位置にお
いて変化し得る。信号適用の位置は、特定の信号源に接続される特定の電極を切
り替えることによって、簡単に切り替えられ得る。あるいは、信号源は、種々の
電極に接続され、そして通電または遮断されるか、または振幅が増加または減少
され得、これによって空間的に異なる分布の信号が生じる。この電極は、個別に
切り替えられ得るか、または同調的パターンで切り替えられ得る。この切り替え
は、当業者に周知の種々の電気的切り替え技術によって、機械的に接続または接
続を切断することによって達成され得る。
【0099】 信号処理の好ましいパターンとしては、以下が挙げられるがこれらに限定され
ない:10〜100ミリ秒の間隔での、刺激の対のパルス;10〜100Hzで
の反復性刺激;2つ以上の異なる部位での交代性の刺激。
【0100】 (C)入力/出力アレイおよび変化) 種々の好ましい実施形態において、多数の入力信号が神経組織に適用され、そ
して/または多数の出力信号(組織応答信号)が検出され、そして必要に応じて
分析される。
【0101】 一般に、各(異なる)信号(入力または出力)が、単一の電極に与えられるか
、または単一の電極から検出される。多数の単一の電極は、神経組織に適用され
得る。しかし、アッセイの調製は、1つ以上の電極アレイの使用によって単純化
される。
【0102】 「電極アレイ」は、一般的な装置、バンドル、または表面に接続される多数の
電極(少なくとも2つ、好ましくは4、8、16、64、256、512、さら
に1024までの電極、あるいはそれ以上)である。電極の会合は、各個々の電
極の別々の操作(適用)を必要とすることなく、神経組織への容易な適用を容易
にする。
【0103】 特に好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上のケイ素ベースの多電極
アレイ(例えば、Matsushita Electric Co.から市販の
もの(複数チャネル細胞外記録(MED)システム))を利用する。
【0104】 (1)電極アレイの設計) 好ましい多電極アレイは、少なくとも8つの異なる電極を含む。しかし、電極
の数は、通常、16、64、128、256、512、1024以上、およびな
おより多くの範囲であり得る。この電極アレイは、広範な種々の電極密度(単位
面積当たりの個々の電極の数)で提供され得る。好ましい実施形態において、「
密な」または「高密度な」アレイは、好ましくは約300μm未満の電極間の間
隔、より好ましくは約200μm未満の電極間の間隔、そして最も好ましくは約
150μm未満またはさらに100μm未満の電極間の間隔を有する。広い(低
密度)アレイは、約300μmより大きい電極間の間隔、好ましくは約300μ
m〜約1mmの範囲、より好ましくは約300μm〜約750μm、そして最も
好ましくは約300μm〜約450μmまたは500μmの間隔を有する。
【0105】 広範な種々の電極のジオメトリは、本発明のアッセイに適切である。1つの好
ましい実施形態において、この電極は、基本的に均一なアレイで規則正しく分布
する(例えば、図6Aおよび6Bを参照のこと)。他の実施形態において、この
電極アレイは、単一の基板において、そしてマルチチップモジュールパッケージ
ング構成で提供される。これらのアレイは、一次元および二次元の電極アレイを
含み得る。マルチチップモジュールの統合は、高密度のインジウムバンプベース
のフリップチップボンディングを使用して達成され得る。
【0106】 他の好ましい電極ジオメトリは、入力層と出力層のニューロンアレイの間の重
要な立体配置的関連性を組み込む組織培養物の等角写像を含む。例えば、海馬シ
ナプスの亜集団(これは、3シナプス(trisynaptic)回路を介して
シナプス後ニューロンの通常の亜集団に集中する)を活性化するために、入力(
刺激)経路は、好ましくは海馬スライスの比較的狭い領域に集中(拘束)され、
これはこの経路の組織分布的突出と一貫性である。これは、高密度の電極部位を
備え、そして内因性の神経回路と整合した空間的分布を有するプローブを使用す
ることによって達成される。同様に、入力側の刺激に応答して、CA3およびC
A1における電気的活性を記録するマイクロプローブ要素のサイズは、最適化さ
れ得る。従って、いくつかの実施形態において、ニューロンの空間的に分離した
グループの個々の活性ではなく、隣接するニューロンのグループの活性を記録し
得る、より少数の幅広い(例えば、約50μm〜約100μの範囲)要素を使用
することが好ましい。
【0107】 この電極アレイは、さらに、各活性チャネルに、切り替え(電極選択)回路な
らびに前置増幅器(好ましくは単離された)を組み込み得る。この電極アレイへ
の入力ラインは、局所信号の条件付け/増幅、ならびに電極選択のための命令セ
ットを、このアレイにダウンロードするために提供され得る。
【0108】 (2)アレイの製造) 本発明のアッセイにおいて使用される多電極アレイは、当業者に周知の広範な
種々の方法のいずれかに従って構築され得る。例えば、アレイに結合していない
複数の個々の電極が使用され得る。あるいは、複数の個々の電極は、機械的支持
(例えば、電極のための複数の「レセプタクル」を備える機械化されたかさもな
くば製造された支持ブロック)を使用してバンドルへと一緒に結合され得る。こ
の電極は、単に一緒に結合され得る(例えば、にかわ、エポキシ、液体プラスチ
ック/樹脂などを使用して)。ガラス電極が使用される場合、これらは、このガ
ラスを熱融合することによって結合され得る。
【0109】 いくつかの実施形態において、この電極は、単一の「統合」装置として製造さ
れる。この場合(特に、高いプローブ密度(小さな空間的分解能)が所望される
場合)、好ましい製造技術としては、集積回路製造方法が挙げられるがこれらに
限定されない。電極アレイを生成するためにこのような方法を使用する詳細な説
明は、Hubbard(米国特許第5,388,577号)に記載される。この
Hubbardの特許は、1つの実施形態において、CMOS技術を使用して製
造した電極アレイマイクロチップを記載する。そこに記載される多電極アレイは
、標準的な製造ライン技術を使用し、そして基板上に金属領域を含み、この上に
オーバーガラスした(overglassing)材料が適用される。このオー
バーガラスを切断して金属を露出させ、これによって電極を形成する。この電極
は、ワイヤーボンディングまたはプローブパッド、あるいはこのマイクロチップ
中の集積回路網へと電気的に連絡される。
【0110】 多電極アレイはまた、市販されていることが注目される(例えば、Matsu
shita Electric Corp.,SAGC−5およびSAGC−1
0多電極皿(MED)を参照のこと)。これらの電極アレイは、ガラスプレート
の中心の約1mmの面積を覆う8×8のアレイで配列された64の微小電極を
提供し、電極の間の極間距離は150μmである。各微小電極は、50×50μ
mであり、そして50キロオーム以下のインピーダンスを有する。
【0111】 (D)スライス上のアレイの位置) (1.電極アレイの物理的位置) この電極アレイ上の神経組織(例えば、脳スライス)の所在(または逆も同様
)は、好ましくは、神経組織における目的の領域に接触したアレイにおける適切
な数の電極の可能性が最大になるように最適化される。密な電極アレイは、減少
した適用範囲面積でのより正確な位置決め/整列を提供する。この場合において
、この適用範囲面積は、より大きなアレイまたは複数のアレイの使用によって増
加され得る。逆に、低密度のアレイは、より大きな領域を記録するために使用さ
れ得る。
【0112】 密な(例えば、1mm×1mm)アレイ上の多くのスライスの配置は、可能で
ある。例えば、密なアレイは、領域CA3の大部分が歯状回および領域CA1の
部分と共にこのアレイに含まれるように配置され得るか、または、CA1の大部
分がCA3の部分と共に存在するように配置され得る。広いアレイ(例えば、3
mm×3mm)はまた、海馬の3つ全ての一次領域(DG,CA3,CA1)が
、このアレイ、ならびに嗅内皮質および3つ全ての鉤状回領域(これらがこのス
ライスに存在する場合)に接触するような最適な配置で使用され得る。一般に、
アレイの面積、電極密度、および電極アレイの形状が、特定の神経組織調製物と
の接触を最適化するために慣用的に変更され得ることが理解される。
【0113】 (2.刺激および/または記録の部位の選択) 上記に示されるように、入力(刺激)および/または記録の部位は、神経組織
に接触する電極の1つ以上によって簡単にリアルタイムで選択され得る。電極の
選択は、「外部配電箱」の使用またはこの電極アレイを搭載する微小回路網への
命令によって達成され得る。電極の選択は、アッセイを通して固定され得るか、
または動力学的に再構成され得る(例えば、手動で、プログラムされたシステム
によって、または特定の神経の出力信号に対する応答において)。
【0114】 市販の多電極記録デバイスは、実験の間の任意の時間で、異なる電極のリアル
タイムの再選択を可能にする配電箱を提供することが注目される(例えば、Ma
tsushita ElectricCorp.,SACC−1 MED(多電
極皿)容器(各64の微小電極について30ミリオーム未満の接触抵抗を有する
、十分に遮蔽された切り替え可能な連絡を提供する)を参照のこと)。
【0115】 (IV.出力信号) 本発明のアッセイにおいて、神経組織(脳の部分、インタクトな脳回路網など
)の電気的出力は、1つ以上の位置で検出される。この出力信号は、以下に記載
されるような引き続く分析のために、必要に応じて、直ちに増幅、条件付け、解
釈され、そして/または保存される。
【0116】 (A)出力連絡の配向/性質(アレイなど)) 出力信号が1つまたは少数(例えば、2〜4)のみで検出される場合、別個の
電気的プローブを使用することは比較的簡単である。しかし、好ましい実施形態
(特に、この信号が多数の位置で検出される場合)において、出力信号は、上記
のような電極(微小電極)アレイを使用して検出される。この電極アレイは、入
力信号(刺激)を与えるのに使用したアレイと同じアレイであり得るか、または
別個のアレイであり得る。刺激および応答の検出の用途のために同じアレイが使
用される場合、好ましい実施形態において、アレイにおける異なる電極が、刺激
および検出のために利用される。しかし、両方の活性について同じ電極を利用す
ることは可能である(特に、刺激と信号生成との間に予測される遅れが存在する
場合)。記録電極は、このアレイ内に固定され得るか、またはこのアレイが動力
学的に再構成されるにときに、断続的にかまたは頻繁に変化され得る。
【0117】 種々の好ましい実施形態において、入力信号が送達される場合、出力信号は、
以下からなる群から選択される1つ以上の領域から記録される:顆粒細胞、CA
3の錐体細胞、嗅内のCA1深層細胞の錐体細胞、鉤状回の細胞、前方または横
側鉤状回の細胞、およびこれらの領域の任意の樹状領域。好ましい実施形態にお
いて、出力信号は、CA3および/またはCA1の樹状領域において検出される
【0118】 (B)出力信号の増幅およびノイズの抑制) 前置増幅、増幅、および信号ノイズの抑制は、電気生理学的分野で周知の標準
的な方法に従って達成される。代表的には、各信号チャネルは、前置増幅段階を
伴って提供され、この前置増幅器は、可能な限りこの記録電極に接近して位置す
る。従って、1つの実施形態において、前置増幅器は、この電極アレイを搭載す
る回路網に組み込まれる。ノイズの抑制は、適切なフィルタを用いて電気的に達
成され得、そして/または獲得した信号の分析の間にアルゴリズム的に達成され
得る。代表的に、ノイズの抑制は、1つ以上の信号調節器の使用によって達成さ
れる。信号調節器は、代表的にはコンピューター制御され、そして任意の実験室
A/Dシステムと共に使用され得る。信号調節器は、種々のフィルタおよびノイ
ズ抑制操作を提供し、これらとしては以下が挙げられるがこれらに限定されない
:4または8極のBessel低域通過フィルタリング、高域通過フィルタリン
グ、AC/DCカップリング、ノッチフィルタリング、可変ゲイン、ベースライ
ンの補正など。適切な前置増幅器、増幅器、デジタル変換器の類似物、データ取
得システム、信号調節器などは、市販されている(例えば、Matsushit
a Electric Corp.,Multi−channel Extra
cellular Recording System,およびAxon In
struments Inc.,Foster City,,前置増幅器、増幅
器、および信号調節器などを参照のこと)。
【0119】 多電極皿(MED)、配電箱、増幅器、A/DおよびD/A変換器、ならびに
信号および分析コンピューターの概略図は、図8A、8B、および8Cに示され
る。
【0120】 (V.出力信号分析) (A)認知機能の変更の単純な認識) 1実施形態において、出力信号分析は、各出力サイトでの出力信号の記録およ
び/または表示のように単純であり得る。このように提供された出力信号の視覚
的分析は、全く有益であり得、そして以下のために十分である:1)認知活性を
変更する化合物を同定すること;2)このような化合物の作用の種々の様式を同
定すること;3)このような化合物に対する特徴的なサインを提供すること;お
よび4)このような化合物の比較を容易にすること(例えば、本明細書中に提供
される実施例)。
【0121】 1実施形態において、適用された因子に起因する認知活性の変更は、広範な種
々の指標によって認識される。これらは、信号振幅、持続時間、周波数、または
特定の入力に対応する波形における変化、神経組織の異なる位置での入力信号の
間の相関の変化、入力信号と出力信号との間の相関の変化などを含む。
【0122】 従って、例えば、緊急の海馬スライス調製に対するジアゼパムの影響を試験す
る1つの研究において、細胞層の応答(図10のd、e、およびfとして示され
る)が、CA3野の基底細胞層領域における刺激の関数として、記録された。加
えて、第一の細胞層における活性に対する別の細胞層の活性(a−c、およびg
−hとして示される)の依存性がモニターされる。CA3野の基底細胞層領域の
刺激部位は、その細胞層の3つの部位での応答を開始し、次いで、この細胞層は
、反復性の接触を介してさらなる活性を引き起こす(図10、A−c、g−h)
。場のポテンシャルは、ジアゼパムの存在下でより大きく、ジアゼパムのGAB
A増強効果の観点から驚くべき結果である。本発明のアッセイによって提供され
る出力シグナルはまた、以下に記載されるようなかなり洗練された分析に影響を
受けやすい。
【0123】 (B)進んだ分析方法) 培養されたスライスから生じる活性パターンのような連続的な時間変化信号は
、伝統的に、隠れマルコフモデル(HMM)を使用して分析される;実際、この
ような分析は、遍在性なので、全ての政府の支援を受けたプログラムが、時間変
化信号の分析のための代替の方法を同定および開発する単独の目的で開始されて
いる。1つのこのような方法が、聴覚系のモデル化の結果とし開発されている(
Aleksandrovskyら,(1996)Proc.Intl.Conf
.Pattern Recog.IEEE Comp.Soc.Press,4
:550−554;Aleksandrovskyら,(1997) Page
s 104−115、Biological and Artificial
Computation:From Neuroscience to Tec
hnology.,IWANN’971nt’7 Conf. on Arti
ficial and Natural Neural Networks,B
erlin:Springer Verlag.;Garzottoら(199
7)Proc.Intl.Conf.Neural Networks,IEE
E Press,1:564−568)。HMMは、時系列の進行として遭遇す
るようである特徴の配列の統計的モデルの構築によって操作する。例えば、声に
ついて、単語(「Bill」または「ball」または「bald」)の発音は
、時間セグメントに分解され、これらの各々は、主要な周波数の特定のセットを
含む(例えば、a、aなどと標識される)。各々の可能な特徴(a、a など)の起こる確率は、各期間について、各発声のサンプルのセットに対して計
算され、そして状態転移モデルが、次に対する特徴の合成の1つの確率密度関数
(PDF)から、時間に対する転移の確率に対応するように構築される。
【0124】 HMMは、ソナーおよび音声のように変化する信号の分析のために価値がある
が、2つの周知で費用のかかる欠点を被る:i)特徴合成PDFおよび状態転移
モデルを構築するために、各々の可能な発声またはトレースの統計学的に有意な
サンプルを得ることが必要である;そしてii)この生じたモデルは、引く続く
時点に対する転移の確率を計算するために、直前の時点のみを使用する;以前の
情報または事象は使用され得ない。このことは、可能な予測的転移の数の潜在的
な組合せの急増を回避する利点を有するが、特に、過去の事象に感受性なデータ
について、この方法の予測的な力を制限する。Aleksandrovskyら
(1996および1997)前出によって記載される代替のシークエンスプロセ
ッシングモデルを、臭覚系および聴覚系のモデルから構築した。
【0125】 ネットワークの入力段階に提供される特徴の流れに応答するモデルの保存およ
び検索作動が研究されている。例えば、特徴の配列は、記述数「3」のバージョ
ンを含む。この配列は、2つのインクスポット、次いで、3つのインクスポット
、次いでもう2つのインクスポットからなり、これらは、隣接した場合に、それ
らが1つのバージョンの「3」を形成するような距離および厚みで整列される。
このネットワークは、2つの別個の入力経路を有する:1つは、組織分布的経路
および1つは非組織分布的経路。この組織分布的経路は、ネットワークの「中間
層」に第一の特徴的なベクトル(2つの垂直方向に整列されたスポット)を通し
、特徴的なベクトルの特定のクラスに捧げられたネットワークの組織分布的領域
を選択的に活性化する。
【0126】 この入力は、ネットワークの「浅層」において、記載されるクラスター化方法
(Ambros−Ingersonら(1990)Science,247:1
344−1348;Kilbornら(1996)J.Cog.Neurosc
i.,8:338−353)を介して学習される。得られた学習クラスターパタ
ーンは、「深層」に垂直に通される。この層は、第二の入力が読まれるにつれて
、その入力構造に対するその応答をフィードバックする。次の入力(3つの垂直
方向に整列されたスポット)と第一の入力に対する深層の応答からのフィードバ
ックとの間の共通部分が浅層で学習され、そして第一のクラスターから第二のク
ラスターへの転移が、深層で学習される(Grangerら(1994)J.N
europhysiol.,17:533−55に記載される配列学習則を介し
て)。このプロセスは、1つの特徴から保存される次の特徴への連続的な転移と
共に、入力が到着するたびに繰り返される。この全機構は、本質的に、その前の
ものから生成される各々の連続的なパターンとともに、標識された認識ネットワ
ークの回収と共にランダムなパターンの配列をコード化する。
【0127】 階層的に組織された一連のネットワークにおいて、記載されるネットワークが
最初であり、その結果、このネットワークの出力は、次のネットワークへの入力
であり、その出力は、次いで、続くネットワークへの入力となる。1次、2次、
3次などのネットワークのこのカスケードは、入力から特徴の一般化を連続的に
抽出し、「前後関係」処理の形態を可能にし、ここで、より長い配列(例えば、
単語)に対しての情報がより短い配列(例えば、その単語の文字)の明確化を支
持するために利用可能である。
【0128】 この階層的カスケードの実施は、音声処理および手で書かれた文字の認識にお
いて使用される(Aleksandrovskyら(1996および1997)
前出;Garzottoら(1996)前出)。近年、このネットラークは、ヒ
ト被験体からの誘発反応電位(ERP)の分析のために、そしてそれらのERP
から、正常な被験体、分裂病被験体およびアルツハイマー被験体を分類するため
に使用されている。この研究において、28−電極ERPデータが24の正常被
験体および分裂病の被験体から、「聴覚異常者」パラダイムにおけるトーン音の
提示の間に回収した。ここで、被験体は、稀な高周波数トーンが一連の低周波数
トーンに現れた場合に応答するように求められた。このネットワークは、このデ
ータの50%に対して訓練され、そして残りの50%に対して試験された。HM
Mは、ちょうど記載されたモデルと比較された。このデータは、HMMがほぼ7
0%の正確さの予測で行われるほど十分に困難であるが、聴覚モデルは90%の
正確さのレベルを達成した。
【0129】 これらの有望な初期結果は、このモデルが、EEGおよびERPの予測的診断
のために有用であることを示唆する。スライス調製物における誘発されたシナプ
ス応答に対するこのような信号の顕著な類似性は、このアルゴリズムが、これら
の信号を分類するために有用であることを示した。
【0130】 (VI.脳スライスへの因子の適用) (A)代表的な種類の因子) 実質的に任意の種類の因子が、本発明の方法を使用して試験および/または特
徴付けされ得る。このような因子としては、以下が挙げられるが、これらに限定
されない:精神活性薬物(その活性が、分類されることが望まれる)(例えば、
GABAレセプターの陽性調節因子(例えば、ベンゾジアゼピン)、グルタミン
酸レセプターの調節因子(例えば、アンパカイン)、抗コリン作用剤またはコリ
ンエステラーゼインヒビター)、炭水化物、タンパク質、核酸、脂質、または小
さな有機ライブラリー由来の化合物、環境因子、種々の製造プロセスで利用され
る因子、種々の処分プロセスにおける分解副産物など。因子としてはまた、特定
の病的状態(精神分裂病、パーキンソン病、アルツハイマー病、鬱病、不安、種
々の薬物中毒などを含むがこれらに限定されない)に推奨されるかまたは実際に
使用される治療剤および/または重要な化合物が挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0131】 好ましい実施形態において、この因子は、既知の細胞毒、代表的な緩衝液、塩
、および組織培養培地中に通常見出される成分などを含まない。
【0132】 近年、新規な化学化合物の生成を誘導することを補助するために、コンビナト
リアル化学ライブラリーを使用することに注意が集中する。コンビナトリアル化
学ライブラリーは、多くの化学的「ビルディングブロック」(例えば、試薬)を
組合せることによる化学合成または生物学的合成のいずれかによって生成された
多様な化学化合物の集合である。例えば、ポリペプチドライブラリーのような線
状コンビナトリアル化学ライブラリーは、所定の化合物長(すなわち、ポリペプ
チド化合物中のアミノ酸の数)に、可能な全ての方法で、アミノ酸と呼ばれる化
学的なビルディングブロックの組を組合せることによって形成される。数百万の
化学化合物が、化学的なビルディングブロックのこのような組合せ的な混合によ
って合成され得る。例えば、1人の業界関係者は、100個の互換可能な化学ビ
ルディングブロックの系統的な組合せ混合により、1臆個のテトラマー化合物ま
たは100臆個のペンタマーの理論的合成が生じることを観察した(Gallo
pら(1994)37(9):1233−1250)。
【0133】 コンビナトリアル化学ライブラリーの調製およびスクリーニングは、当業者に
周知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーは、ペプチドライブ
ラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka(1991)I
nt.J.Pept.Prot.Res.,37:487−493、Hough
tonら(1991)Nature,354:84−88を参照のこと)を含む
が、これに限定されない。ペプチド合成は、決して、本発明と共に使用されるこ
とが想像されそして意図される単なるアプローチではない。化学的に多様なライ
ブラリーを生成するための他の化学もまた使用され得る。このような化学として
は、以下を含むがこれらに限定されない:ペプトイド(PCT公開番号WO 9
1/19735、1991年12月26日)、コードされたペプチド(PCT公
開WO 93/20242、1993年10月14日)、ランダムな生体オリゴ
マー(PCT公開WO 92/00091、1992年1月9日)、ベンゾジア
ゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン
およびジペプチドのような多様体(diversomer)(Hobbsら(1
993) Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:6909−6
913)、ビニル様ポリペプチド(Hagiharaら(1992) J.Am
er.Chem.Soc.114:6568)、非ペプチドペプチド模倣物(β
−D−グルコース足場を有する)(Hirschmannら、(1992)J.
Amer.Chem.Soc.114:9217−9218)、小化合物ライブ
ラリーの類似の有機合成(Chenら(1994)J.Amer.Chem.S
oc.116:2661)、オリゴカルバメート(Cho,ら,(1993)S
cience 261:1303)、および/またはペプチジルホスホネート(
Campbellら,(1994)J.Org.Chem.59:658)。一
般には、Gordonら,(1994)J.Med.Chem.37:1385
、核酸ライブラリー(例えば、Strategene, Corp.を参照のこ
と)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号を
参照のこと)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら(1996)Nat
ure Biotechnology,14(3):309−314を参照のこ
と)、およびCT/US96/10287)、炭水化物ライブラリー(例えば、
Liangら(1996)Science,274:1520−1522、およ
び米国特許第5,593,853号を参照のこと)、ならびに小有機分子ライブ
ラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum(1993)C & EN,Ja
n 18, page 33、イソプレノイド米国特許第5,569,588号
、チアゾリジノンおよびメタチアザノン米国特許第5,549,974号、ピロ
リジン米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号、モル
ホリノ化合物米国特許第5,506,337号、ベンゾジアゼピン米国特許第5
,288,514号など)を参照のこと。
【0134】 コンビナトリアルライブラリーの調製のためのデバイスは、市販されている(
例えば、357 MPS,390 MPS,Advanced Chem Te
ch,Louisville KY,Symphony,Rainin,Wob
urn,MA,433A Applied Biosystems,Foste
r City,CA,9050 Plus,Millipore,Bedfor
d,MAを参照のこと)。
【0135】 多くの周知のロボットシステムがまた、溶液相化学のために開発されている。
これらのシステムは、Takeda Chemical Industries
,LTD.(Osaka,Japan)によって開発された自動合成装置のよう
な自動ワークステーション、およびロボットアームを使用する多くのロボットシ
ステム(Zymate II,Zymark Corporation, Ho
pkinton,Mass.;Orca,Hewlett−Packard,P
alo Alto,Calif.)(これは、化学者によって実施される手動の
合成操作を模倣する)を備える。上記のデバイスのいずれも、本発明と共に使用
されるために適する。(存在するならば)これらのデバイスが本明細書中に議論
されるように作動し得るようなこれらのデバイスに対する改変の性質および企図
は、当業者に明らかである。さらに、種々のコンビナトリアルライブラリーは、
それ自体市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,N
.J.,Asinex,Moscow,Ru,Tripos,Inc.,St.
Louis,MO,ChemStar,Ltd,Moscow,RU,3D P
harmaceuticals,Exton,PA,Martek Biosc
iences,Columbia,MDなどを参照のこと)。
【0136】 (B)神経組織への因子の候補(applicant)) この因子は、当業者に周知の多くの標準的な方法のいずれかに従って神経組織
に適用可能である。最も簡単な実施形態において、特に因子が水溶性である場合
、因子は、培養培地に単に添加され得る。因子が可溶性でない場合、因子は、1
つ以上の物質と複合体化されて、溶液に適合され得る(例えば、エマルジョンま
たは分散系として)。化合物を可溶化する方法は、当業者に周知である(例えば
、Remington’s Pharmaceutical Science,
第15版,Mack Publishing Company,Easton,
Pennsylvania(1980))。
【0137】 上記に加え、またはあるいは、因子は、神経組織の任意の曝露表面に直接適用
される(接触される)。この因子はまた、組織、特に長期の投与が所望される場
所に注射され得、そしてこの組織は、カニューレ挿入され得、そしてこの因子は
、標準的な方法を使用して組織に灌流され得る。
【0138】 別の実施形態において、この因子は、それ自体組織(例えば、神経組織)であ
る。この組織は、本発明のアッセイにおいて利用される哺乳動物脳の一部分に移
植される。この組織は、元来自己由来であってもよく、または異種であってもよ
く、そして成体、若年、乳児、または胎児の哺乳動物細胞源由来であり得る。こ
の移植された組織は、それ自体、単に細胞接触を介して認知機能を変更し得るか
、またはより代表的に、1つ以上の精神活性因子(例えば、セロトニン、ドーパ
ミンなど)の放出によって認知機能を変更し得る。
【0139】 (C)他のアッセイ様式(例えば、ハイスループット様式)) 本明細書中に記載されるような認知機能を変更する化合物についてのアッセイ
のいずれかは、ハイスループットスクリーニングに従う。ハイスループットシス
テムは、代表的に、ロボット工学、情報収集システム、実験プロトコルのコンピ
ューター制御、および化学ライブラリーの自動合成と試験因子スループットを最
大にするためのスクリーニングシステムとの間のインタラクションを利用する。
【0140】 ハイスループットスクリーニングを容易にするためのシステムは、市販されて
いる(例えば、Zymark Corp.,Hopkinton,MA;Air
Technical Industries,Mentor,OH;Beck
man Instruments,Inc.Fullerton,CA;Pre
cision Systems,Inc.,Natick,MAなどを参照のこ
と)。これらのシステムは、代表的に、全手順(全てのサンプルおよび試薬のピ
ペッティング、液体分配、時間を決められたインキュベーション、およびそのア
ッセイに適切な検出器の最終読み)を自動化する。これらの構成可能なシステム
は、高いスループットおよび迅速なスタートアップ、ならびに高い程度の多様性
およびカスタマイズ化を提供する。このようなシステムの製造業者は、種々のハ
イスループット様式のための詳細なプロトコルを提供する。
【0141】 (VII.サイン(signature)ライブラリー) なお別の実施形態において、本発明は、「活性サインライブラリー」を提供す
る。「活性サインライブラリー」は、異なる活性サインの多重度(2以上、より
好ましくは10より大きい、より好ましくは100より大きい、最も好ましくは
1000、10,000、またはさらに1,000,000より大きい)につい
ての活性サインの集合である。好ましいライブラリーにおいて、任意の2つの異
なる因子の活性サインは、区別可能であり、そしてそれによってライブラリーに
おける他の因子に対してこの因子を固有に同定する。
【0142】 ライブラリーの各サインは、好ましくは、特定の位置での出力信号を、試験化
合物の非存在下でのその位置での出力信号から区別するために十分な長さの記録
で含む(ここで、この試験因子は、出力信号における差異を生成する)。好まし
いサインは、化合物(この化合物Bに対して、このサインが生成された)と接触
した哺乳動物脳の培養部分における2つ以上、好ましくは4つ以上、より好まし
くは8つ以上、そして最も好ましくは16、64、128、256またはさらに
512以上の部位での電気電位の、少なくとも約0.1秒、より好ましくは少な
くとも約0.5秒、そして最も好ましくは少なくとも約1秒、10秒、またはさ
らに1分以上の継続時間記録を含む。このサインは、必要に応じて、さらに、化
合物(このサインが、この化合物について記録される)の非存在下で、これらの
部位の各々での電気電位の対応する記録を含み得る。そのサインがライブラリー
に存在する全ての化合物を固有に同定するサインが、選択される。
【0143】 活性サインライブラリーは、因子を分類および/または特徴付けするための価
値あるリソースを提供する。活性の類似の様式を有する因子は、類似する活性サ
インを有する。同時に、生物に対する類似または同一の生理学的効果を有するよ
うである因子は、微妙にまたはかなり異なる様式の作用を有するそれらのサイン
によって、明らかにされ得る。従って、活性プロフィールは、異なる因子につい
ての相補的または種々の治療レジメンを同定するために使用され得る。
【0144】 この活性サインライブラリーは、特に、新規な精神活性因子の特徴付け、潜在
的なバイオハザードの評価、または治療に重要な化合物についての検索に、有用
である。例えば、因子が、精神活性特性を有すると同定された場合、この因子の
活性サインと活性サインのライブラリーとの比較は、単に作用の様式によって、
他の化合物の中でのこの化合物の分類を可能にする。さらに、特定の因子の同一
性が未知である場合(すなわち、植物由来の複雑な抽出物において)、類似の活
性プロフィールを有する因子を同定するための、ライブラリーにおける活性化合
物の分類は、この因子の化学組成の指標を提供し得、それによって引き続く精製
を容易にし得る。
【0145】 精神活性因子が環境(例えば、天然の環境、作業環境、廃棄物処理環境など)
の成分である場合、活性サインによる因子の分類は、その特定の因子によって引
き起こされる危険の評価を補助する。
【0146】 治療レジメンにおいて提供される生理学的効果または副作用と関連した既知の
化合物のこの活性サインは、所望の精神活性因子の活性サインの予測を可能にす
る。次いで、複雑な化学ライブラリーは、所望の活性サインを有するかまたはそ
れに近い因子についてスクリーニングされ得る。この活性サインライブラリーの
これらの使用は、例示でありそして完全ではないことが意図される。
【0147】 この活性サインライブラリーは、活性サインが容易に収集され、ソートされ(
sort)、分類され、そして/またはそうでなければ組織化され得る場合に最
も有用である。従って、好ましい実施形態において、本発明のサインライブラリ
ーは、データベース、最も好ましくは電子(例えば、コンピュータベースの)デ
ータベースを含む。従って、これらのライブラリーは、代表的に、コンピュータ
ーシステムの構成要素である。データベースの記憶および操作のための使用のた
めのコンピューターシステムは、当業者に周知であり、そして「パーソナルコン
ピュータシステム」、メインフレームシステム、インターネットまたはイントラ
ネット上に分布したノード、特化したハードウェア(例えば、マイクロチップ中
に)に記憶されたデータまたはデータベースなどを含むがこれらに限定されない
【0148】 (VII.キット) 別の実施形態において、本発明はまた、本明細書中に記載されるアッセイ方法
の実施のためのキットを提供する。好ましいキットは、以下の1つ以上を含む容
器を含む:電極アレイ、電極アレイを含む培養デバイス、紙の因子「活性サイン
」のライブラリー、電子または光記憶形態、培養された神経組織、脳波律動機器
(信号発生器、前置増幅器、増幅器、データ収集システムなど)、緩衝液、神経
組織調製物への電極アレイの配向および適用のためのテンプレート、微調整装置
、後処理または分析のためのVLSIロジック成分など。
【0149】 さらに、このキットは、本発明のアッセイ方法の実施のための指示(すなわち
、プロトコル)を含む説明書を含み得る。この説明書は、代表的に、書かれたま
たは印刷されたものを含むが、これらは、そのようなものに限らない。このよう
な説明書を記憶し、そして一般使用者にそれらを通信し得る任意の媒体が、本発
明によって考慮される。このような媒体としては、電子記憶媒体(例えば、磁気
ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM
)などが挙げられるがこれらに限定されない。このような媒体は、このような説
明書を提供するインターネットサイトへのアドレスを含み得る。このキットは、
必要に応じて、任意の他の物質、デバイスまたは本発明の方法の実施のための説
明書を含み得る。
【0150】 (実施例) 以下の実施例は、特許請求された発明の例示するために提供されるが、本発明
を限定はしない。
【0151】 (実施例1:培養された海馬スライス) 培養された海馬スライスの2つの異なる調製物を使用し、一方は、隔壁入力が
なく(H調製物)、もう一方は、隔壁入力を有さなかった(H/S調製物)。両
方の調製物において、入力信号は、歯状回の顆粒細胞に送達された。両方の場合
において、この出力信号は、ネットワーク(すなわち、顆粒細胞、CA3の錐体
細胞およびCA1の錐体細胞)の異なるレベルで記録された。
【0152】 (A)培養調製物) 海馬スライスの器官型場培養物を、Stoppiniら(1991)Neur
osci.Meth.,37:173−182によって記載される方法に従って
調製した。簡単には、海馬を、11〜12日齢のSprague−Dawley
ラットの脳から、滅菌条件下で冷却された最小必須培地(MEM)(Gibco
Corp.no.61100−061)に収集した。この必須培地は、以下を
含む(mMで):HEPES(25)、Tris−塩基(10)、D−グルコー
ス(10)およびMgCl(3)。そしてMcIllwain組織チョッパー
のTeflon(登録商標)ステージ上に置かれる。脳スライス(400μm)
を切出し、そして以下を含むMEM培地(Gibco Corp.no.412
00−072)からなる組織培養培地を含むウェル内のシリコンベースの多電極
アレイ(以下を参照のこと)上に移動させた:グルタミン(3mM)、HEPE
S(30mM)、NaHCO(5mM)、D−グルコース(30mM)、L−
アスコルビン酸(0.5mM)、CaCl(2mM)、MgSO(2.5m
M)、1μgのインスリン、20%ウマ血清(ペニシリンを含む、pH7.2)
。次いで、脳スライスを5%CO富化雰囲気の、35℃のインキュベータに維
持し、培地を週に2回交換した。培養の最初の10日の間、スライスは、種々の
成体特徴が発達し、この特徴としては、髄鞘形成、十分に発達した樹状突起棘、
および長期相乗作用についての能力が挙げられる。スライスは、実験の開始の少
なくとも10日前に培養物中に維持される。
【0153】 (B)長期海馬スライスは、活性の複雑な空間−時間パターンを生成する) 多電極ディッシュ(MED;Matsushita Electronics
)に維持された培養された海馬スライスに対する初期実験は、これらのスライス
が、簡潔な(ミリ秒)入力刺激に応答して拡張した活性(秒)を生成する強力な
能力を示す。海馬スライス(これは、Sprague−Dawleyラット(出
生後11〜13日)から調製された)を、MEDデバイス上に置き、そして酸素
富化雰囲気と以下を含む人工脳脊髄液(ACSF)との界面に維持した:NaC
l(124mM)、KCl(3mM)、KHPO(1.25mM)、MgS
(1mM)、CaCl(4mM)、NaHCO(26mM)およびグル
コース(10mM)。全ての実験は、室温で行った。
【0154】 代表的な誘発されたシナプス応答を、Schaffer−commissur
al線維の活性化に応答する、CA1野中の4つの異なる位置から記録した。単
一および反復的な求心性刺激の応答プロフィールは、従来の記録方法で得られた
プロフィールと類似した。対パルス促通が、40〜80msのパルス間隔で観察
された。
【0155】 (C 培養されたスライスにおけるパターン化された活性が低用量の興奮毒に
感受性である) この実験において、AMPA型グルタミン酸レセプターの2つの異なる種類の
アップモジュレーター(upmodulator)が海馬のスライスに適用され
た。海馬のスライスを、8×8電極アレイがCA3野の大部分をカバーするよう
に配置した。非同期型シナプス活性が、CA3a−b野における錐体細胞の活性
化によって誘導され、そして、CA3cにおける細胞体層から記録された。電場
電位を、穏やかな刺激(50μA)を20秒間隔で与えた後に、300m秒間記
録した。20の連続的な応答の標準偏差を、ニューロンの活性の強度および可変
性の程度として、薬物添加の前、50μM GR120(アンパカイン(amp
akine))または100μMシクロチアジド(ベンゾサイアジアザイド)の
注入後に、各チャネルについて計算し、そしてプロットした。GR120とシク
ロチアジドとの両方が、AMPA型グルタミン酸レセプターに結合し、そしてこ
れらのレセプターによって生成する電流をアロステリックに増加する。
【0156】 両方の化合物が、8つの電極位置のうち6つでニューロン活性を増加した。異
なる電極におけるこれらの異なる効果は、AMPAレセプターが、阻害性ニュー
ロンおよび興奮性ニューロン上に配置され、従って、AMPAレセプターの活性
を増強する薬物は、記録される局所的な回路網に依存して測定されるニューロン
活性を増強し得るかまたは抑制し得るという事実に注意を向けさせる。
【0157】 観測される効果が使用されるアップモジュレーターの濃度に対して予想外に大
きいことが注目される。シクロチアジドの100μMの濃度は、せいぜい、単シ
ナプス応答に影響するための閾値用量である。報告される実験において観測され
る効果の大きさは、多シナプス回路網の増加効果に起因するようである;測定さ
れる多シナプス応答における各段階が、薬物の存在によって影響し、そして組み
合わせ効果が少なくとも相加的であり、おそらく非線形的であるようである。
【0158】 この効果はまた、単一記録電極を用いた急性スライスにおいて報告されている
。図4は、単シナプス応答対多シナプス応答に対するAMPAレセプターアップ
モジュレーターの効果が明白に比較される実験を示す。海馬CA1野に対するS
haffer交連求心性線維の刺激は、標準的な単シナプス応答を誘発した。5
0μM GR120の注入に対する単シナプス応答における増加は、わずかに認
知できた。同じ実験において、海馬に対する貫通経路求心性線維を刺激し、CA
1における下流多シナプス応答を測定した。これらの応答は、介在性のシナプス
において薬物の相加的効果に起因して、50μM GR120によって大きく増
加されることが観測された(Sirvioら、(1990)Neurosci.
,74:1025−1035)。MEDデバイスの使用によって、スライスにお
ける多シナプス応答を感知する可能性を増加する複数の記録電極の存在に起因し
て、この困難な実験がずっとより実行可能になり、そして長期の培養スライスの
使用によって、即時よりもむしろ長期に渡ってのみ破壊効果を及ぼし得る因子を
検出し得る。
【0159】 1つの実験において、海馬スライスにおける反響活性に対するカイネート(k
ainate)およびジアゼパムの効果を、多電極アレイの単一電極を介して測
定した。このスライスを20秒毎に50μAで刺激し、そして20個の連続した
応答は、増加する垂直変位とともに示された。
【0160】 カイネートは、スライスにおいて有意に反復活性を増加し、刺激に対する初期
応答の大きさと続く反響活性の寿命との両方を増加する。ジアゼパムは、効果を
妨げ、そして活性を、カイネートなしでの培地における活性よりも低いレベルの
活性に弱める。
【0161】 図7は、多チャンネルアレイを使用して記録されたカイネートおよびジアゼパ
ムの効果を示す。20の連続した応答の標準偏差を取り、そして300〜400
m秒の時間セグメントを、パネルの右下に時点によって示されるように分析した
。薬物添加の前、10μMカイネートの注入後、および10μMカイネートおよ
び10μMジアゼパムの注入後に、多電極アレイの8つのチャネルにおけるこれ
らの活性の測定を示す。カイネート(興奮性グルタミン酸レセプターを活性化す
る)は、アップモジュレーターGR120およびシクロチアジドでの実験のよう
に、最大記録位置で記録されたニューロン活性を増加した。抗不安薬ジアゼパム
(GABAレセプターに作用することによって阻害性回路を増強する)は、全て
の8つの記録する部位におけるニューロン活性を大きく抑制した。
【0162】 (実施例2:さらなる薬学的調査) 海馬のCA3野は、皮質の終脳の至る所に見出される特徴を有する。その最初
の特定化は、別の部位で開始する事象が迅速にさらなるニューロンを補充する非
常に高密度な関連性のフィードバック系である(図9左)。活性化および補充の
プロセスは、同調化した出力に導くいくつかのサイクルを介して続き得る。阻害
性の介在ニューロンは、調和した応答に向かってネットワーク細胞を駆動する反
復性の興奮を形作る際に重要な役割を演じる。あまりに大きい阻害が存在する場
合、ネットワークは、「弱まる」。あまりに小さい阻害が存在する場合、ネット
ワークは、てんかん性になる。次いで、フィードフォワードおよび/またはフィ
ードバックのGABA作用性介在ニューロンの多様な集団の挙動(図9右)にお
いて、任意の変化が、個々のシナプスにおける変化に関して拡大される凝集活性
に対する効果を有するようである。上記の点は、薬学研究において興味が持たれ
る。なぜなら、多くの精神活性の薬物が、介在ニューロンに対して直接的(ベン
ゾジアゼピン)または間接的(セロトニン再取り込み阻害剤)効果を有するから
である。
【0163】 従って、第2の実験において、急性海馬半薄スライスに対するジアゼパム(V
aliumTM)の効果を調査した。図10は、10μMのジアゼパムの存在(
下のトレース)および非存在(上のトレース)における64個の電極のうちの8
個からの記録を示す。CA3野の基底細胞層領域における刺激部位は、細胞層に
おける三つの部位で応答し(d、e、f)、次いで、これは反復性の接触を介し
てさらに活性を誘発する(c、g〜h)。電場電位は、ジアゼパムの存在下でよ
り大きく、GABA増強効果のジアゼパムを考慮すると驚くべき結果である。分
析は、ジアゼパムの効果が、興奮とフィードバック阻害との間の相互作用を介し
て応答を同調させ、その結果、それにもかかわらず、ジアゼパムの存在下での小
さい興奮性の応答がよりコヒーレントであり、従って、より大きな電場電位を誘
発することを示唆する。
【0164】 本明細書中に記載される実施例および実施形態が、例示のみの目的であり、そ
れらを考慮した種々の改変または変更が、当業者に示唆され、本発明の精神およ
び範囲ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることが理解される。本明細書中
に引用されるすべての出願、特許、および特許出願が、すべての目的についてそ
の全体で本明細書によって援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の試験装置を図示する。一般的に、この装置は脳の一部(例え
ば、培養中)に対して、1つ以上の時間依存性および/または空間依存性信号を
付与する信号発生器を備える。脳の一部は、試験因子に接触しており、そしてこ
の信号は、一方で、またはより好ましくは、脳のこの部分の複数の位置で検出さ
れる。精神活性特性を有する1つ以上の因子の適用に起因する信号の変化が検出
される。
【図2】 図2は、代表的な海馬スライスにおいて利用可能な複合ネットワークニューロ
ン(入力および出力)回路を表示する。DG:歯状回、SUB:海馬台、PRE
:前海馬台、PARA:傍海馬台、II、III、IV、V、VI:嗅内皮質の
それぞれの層。
【図3】 図3は、複合ニューロンネットワーク(十分分離した層を有する)からなる
海馬スライス調製物の模式図である。
【図4】 図4は、単シナプス性対多シナプス性応答に対するAMPAレセプター上方調
節因子(アップモジュレーター)の効果が、多シナプス性応答の有意に高い感度
と比べて明白に比較される実験を示す。上部の真ん中のグラフは、2つの異なる
AMPAレセプター上方調節因子薬物に対する応答を示す。ここでは、この組織
は、CA3で刺激され、そしてCA1で記録される。これは、刺激および出力が
本質的にシグナルシナプスによって分離される、単シナプス回路を示す。この場
合、両方の薬物に対する応答は本質的に同一である。上部の右のグラフは、同時
の同じ調製物からの記録を示す。しかし、この刺激は、嗅内皮質からの貫通線維
に存在し、そして測定値は、同じCA1細胞からなされる。これが、3シナプス
性回路を形成し、そして例示されているように、2つの薬物に対する応答は広範
に異なる。従って、ネットワークレベル特性は、単純なニューロン回路では本質
的に検出不能な差異を示す。
【図5】 図5は、本発明の方法において用いるための自己含有培養装置を模式的に示す
。この装置は代表的に、(1)急性または培養した神経組織の支持のための、1
つ以上の保持チャンバを備える。I/Oの線は、神経組織に対して電気的連絡を
なすためである。ガス(例えば、O、CO、および大気(ATOMOS))
、流体(例えば、試験因子溶液)、維持液(例えば、脊髄液(CSF)、人工脊
髄液(ACSF)、または培養培地など)のための入り口および出口、ならびに
固定液のための入力ポートが、使用後に組織を保存するために所望されなければ
ならない。信号源およびデータ獲得デバイスは、別々に示されているが、2つの
機能が1つのデバイスに取り込まれ得ることが理解される。
【図6】 図6Aおよび図6Bは、海馬スライス調製物における電極アレイの配向を示す
。図6Aは、低密度(450μm電極間隔)アレイ上での培養した海馬スライス
を示し、一方、図6Bは、高密度(150μm電極間隔)アレイ上での培養した
海馬スライスを示す。
【図7】 図7は、海馬スライスにおけるネットワーク特性に対するケタミンおよびジア
ゼパムの効果を示す:20の連続した応答の標準偏差をとり、そして300〜4
00msec期間の時間セグメントをこのパネルの下部右側で時間ポイントによ
って示すように分析した。8つのチャネル上のこれらの活性測定値を示している
【図8】 図8A、8Bおよび8Cは、本発明のアッセイシステムの構成要素を示す。図
8Aは、多電極皿(MED)、測定ユニット(電極選択用のスイッチボックスお
よび増幅器およびアイソレーターを備える)、および制御ユニット(コンピュー
ターおよび/またはA/DおよびD/A変換機を備える)を示す。1つの好まし
い実施形態において、多電極アレイは、端子コネクターとともに培養皿に提供さ
れ、関連する電気製品の接続を容易にする(図8B)。図8Cは、多電極アレイ
を備える微小電極の拡大図である。
【図9】 図9は、さらなるニューロンを急速に補充するために別の部位で事象が開始す
ることを可能にする海馬野CA3の非常に高密度な連合性フィードバックシステ
ムである(左図)。右の図示は、フィードフォワードおよび/またはフィードバ
ックのGABA作動性インターニューロンの別の集団の役割を示す。この活性は
、個々のシナプスでの変化に対して悪化された悪化活性に対して効果を有するこ
とが期待される。
【図10】 図10は、10μMのジアゼパムの存在下(上の線)および非存在した(上の
線)における64電極のうち8つからの記録を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA40 BB20

Claims (61)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脳機能を変化させる因子をスクリーニングするための方法で
    あって、以下: 多電極アレイと接触した哺乳動物の脳の一部を提供し;少なくとも2つの異な
    る濃度の該因子の存在下で、該複数の電極アレイを構成する1つ以上の電極を介
    する時間依存性入力信号で該哺乳動物の脳を刺激する工程; 該多電極アレイを構成する2つ以上の電極を介して、該哺乳動物の脳からの時
    間依存性出力信号を検出する工程であって、ここで、該出力信号が、該入力信号
    の関数である、工程; 該少なくとも2つの異なる濃度の該因子の少なくとも2つの濃度において所与
    の入力信号によって生成される該出力信号における差を検出し、これによって、
    該因子の異なる濃度における出力信号における差が、該因子が脳の機能を変化さ
    せるように作用することを示す、工程、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記哺乳動物の脳
    の一部が、培養された哺乳動物の脳の一部である、方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記哺乳動物の脳
    の一部が、急性調製物である、方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記因子が、精神
    活性特性を有することが知られていない、方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記因子が、神経
    活性であることが知られており、そして該因子が、前記哺乳動物の脳の一部に多
    くて閾値濃度で存在する、方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法であって、ここで、前記閾値濃度が、
    前記哺乳動物の脳の一部において約10μM未満である、方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の方法であって、さらに、該因子についての
    活性サインを同定する工程および該活性サインを活性サインのライブラリーと比
    較する工程を包含する、方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記時間依存性入
    力信号がまた、空間依存性入力信号である、方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記入力信号が、
    シナプス可塑性を誘導することが公知の空間−時間パターンを有する、方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記時間依存性
    入力信号が、シータパターンである、方法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記時間依存性
    入力信号が、歯状回、CA3の細胞層、CA1の細胞層、嗅内皮質の表面的細胞
    層、嗅内皮質の深部細胞層、海馬台(鉤状回)の細胞層、前鉤状回の細胞層、傍
    鉤状回の細胞層、歯状回の樹状野、CA3の樹状野、CA1の樹状野、嗅内皮質
    の樹状野、鉤状回の樹状野、前鉤状回の樹状野、および傍鉤状回の樹状野からな
    る群より選択される細胞層に送達される、方法。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記因子の少な
    くとも2つの異なる濃度が、該因子の存在および非存在からなる、方法。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記因子が、抗
    コリン作用性因子である、方法。
  14. 【請求項14】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記接触が、神
    経組織移植片による接触であり、そして、前記因子が該神経移植片によって放出
    される、方法。
  15. 【請求項15】 請求項2に記載の方法であって、ここで、前記培養された
    哺乳動物の脳の一部が、機能性ネットワークの性質を示す哺乳動物の脳のスライ
    スである、方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法であって、ここで、前記哺乳動物
    の脳のスライスが、海馬の脳スライスである、方法。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載の方法であって、ここで、前記哺乳動物
    の脳のスライスが、新皮質のスライス、視床皮質スライス、基底核(線条体)ス
    ライス、および皮質線条体スライスからなる群より選択される、方法。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記海馬の脳
    スライスが、中隔入力を伴わない、方法。
  19. 【請求項19】 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記海馬の脳
    スライスが、中隔入力を伴う、方法。
  20. 【請求項20】 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記海馬の脳
    スライスが、髄鞘形成、樹状突起棘、および長期増強の能力を示す、方法。
  21. 【請求項21】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記培養された
    哺乳動物の脳の一部が、解離性海馬ニューロン調製物である、方法。
  22. 【請求項22】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記培養された
    哺乳動物の脳の一部が、中隔および海馬の同時培養物である、方法。
  23. 【請求項23】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記出力信号が
    、シータ活性パターンである、方法。
  24. 【請求項24】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記出力信号が
    、顆粒細胞、CA3の錐体細胞、CA1の錐体細胞、嗅内皮質の表面的細胞層、
    嗅内皮質の深部細胞層、海馬台(鉤状回)の細胞、前鉤状回の細胞、傍鉤状回の
    細胞、CA3の樹状野、CA1の樹状野、嗅内皮質の表面的細胞層または深部細
    胞層の樹状野、鉤状回の樹状野、傍鉤状回の樹状野、および前鉤状回の樹状野か
    らなる群より選択される、一つ以上の領域から記録される、方法。
  25. 【請求項25】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記多電極アレ
    イが、少なくとも64個の電極を含む、方法。
  26. 【請求項26】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記多電極アレ
    イの電極が、約300μm未満の隣接電極間の最大電極間間隔を有する、方法。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の方法であって、ここで、前記多電極ア
    レイが、約100μm未満の隣接電極間の最大電極間間隔を有する、方法。
  28. 【請求項28】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記多電極アレ
    イが、シリコン基板から製作される、方法。
  29. 【請求項29】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記多電極アレ
    イの電極が、金、白金、銅、および銀からなる群より選択される金属がメッキさ
    れたシリコーンを含む、方法。
  30. 【請求項30】 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記検出が、隠
    れマルコフモデル(HMM)またはウェーブレットを使用して、前記入力信号と
    前記出力信号との間の関係をモデル化する工程を包含する、方法。
  31. 【請求項31】 脳の機能を変化させる因子をスクリーニングするためのハ
    イブリッド生物−電気バイオセンサーであって、以下: 多電極アレイと接触したインビトロ培養物中の哺乳動物の脳の一部; 該多電極アレイを構成する1つ以上の電極を介して時間依存性入力信号で該哺
    乳動物の脳を刺激するためのデバイス; 該多電極アレイを構成する2つ以上の電極を介して該哺乳動物の脳からの時間
    依存性出力信号を検出するためのデバイスであって、該出力信号が、該入力信号
    の関数であるデバイス、 を含む、バイオセンサー。
  32. 【請求項32】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記デバイスが、さらに、活性サインのライブラリーを含む記憶媒体を含む、バイ
    オセンサー。
  33. 【請求項33】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記時間依存性入力信号を提供するデバイスがまた、前記電極アレイ内に空間依存
    性入力信号を提供し得る、バイオセンサー。
  34. 【請求項34】 請求項33に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記時間依存性入力信号を提供するデバイスが、シナプス可塑性を誘導することが
    公知の空間−時間パターンを有する入力信号を提供する、バイオセンサー。
  35. 【請求項35】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記時間依存性入力信号を提供するデバイスが、シータパターンを提供する、バイ
    オセンサー。
  36. 【請求項36】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記時間依存性入力信号が、歯状回の細胞層、CA3の細胞層、CA1の細胞層、
    嗅内皮質の表面的細胞層、嗅内皮質の深部細胞層、海馬台(鉤状回)の細胞層、
    前鉤状回の細胞層、傍鉤状回の細胞層、歯状回の樹状野、CA3の樹状野、CA
    1の樹状野、嗅内皮質の樹状野、鉤状回の樹状野、前鉤状回の樹状野、および傍
    鉤状回の樹状野に送達されるように、前記電極アレイが位置付けられる、バイオ
    センサー。
  37. 【請求項37】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記培養された哺乳動物の脳の一部が、機能性ネットワークの特性を示す哺乳動物
    の脳のスライスである、バイオセンサー。
  38. 【請求項38】 請求項37に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記哺乳動物の脳のスライスが、海馬の脳のスライスである、バイオセンサー。
  39. 【請求項39】 請求項38に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記海馬の脳のスライスが、中隔入力を伴わない、バイオセンサー。
  40. 【請求項40】 請求項38に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記海馬の脳のスライスが、中隔入力を伴う、バイオセンサー。
  41. 【請求項41】 請求項38に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記海馬の脳のスライスが、髄鞘形成、樹状突起棘、および長期増強の能力を示す
    、バイオセンサー。
  42. 【請求項42】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記培養された哺乳動物の脳の一部が、解離性海馬ニューロン調製物である、バイ
    オセンサー。
  43. 【請求項43】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記培養された哺乳動物の脳の一部が、中隔および海馬の同時培養物である、バイ
    オセンサー。
  44. 【請求項44】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記時間依存性出力信号を検出するためのデバイスが、シータ活性パターンを認識
    する、バイオセンサー。
  45. 【請求項45】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記出力信号が、顆粒細胞、CA3の錐体細胞、CA1の錐体細胞、嗅内皮質の表
    面的細胞層、嗅内皮質の深部細胞層、海馬台(鉤状回)の細胞、前鉤状回の細胞
    、傍鉤状回の細胞、CA3の樹状野、CA1の樹状野、嗅内皮質の表面的細胞層
    または深部細胞層の樹状野、鉤状回の樹状野、傍鉤状回の樹状野、および前鉤状
    回の樹状野からなる群より選択される、一つ以上の領域から記録される、バイオ
    センサー。
  46. 【請求項46】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記多電極アレイが、少なくとも64個の電極を含む、バイオセンサー。
  47. 【請求項47】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記多電極アレイの電極が、約100μm未満の隣接電極間の最大電極間間隔を有
    する、バイオセンサー。
  48. 【請求項48】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記多電極アレイが、シリコン基板から作製される、バイオセンサー。
  49. 【請求項49】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記多電極アレイが、金、白金、銅、および銀からなる群より選択される金属がメ
    ッキされたシリコーンを含む、バイオセンサー。
  50. 【請求項50】 請求項31に記載のバイオセンサーであって、ここで、前
    記培養物中の脳の一部が、納められ、そして携帯可能である、バイオセンサー。
  51. 【請求項51】 活性サインライブラリーであって、該ライブラリーが、記
    憶媒体を備え、該記憶媒体が、複数の化合物に対する活性サインを含み、ここで
    、各活性サインが、該ライブラリー内における各化合物を独特に特徴付けかつ区
    別する、活性サインライブラリー。
  52. 【請求項52】 請求項51に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記活性サインのそれぞれが、サインが発生した化合物と接触した培養した哺
    乳動物の脳の一部の4つ以上の部位における電気電位の少なくとも0.5秒間の
    記録を含む、サインライブラリー。
  53. 【請求項53】 請求項52に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記活性サインのそれぞれが、さらに、サインが発生した前記化合物の非存在
    下での、哺乳動物の脳の一部の前記4つ以上の部位における電気電位の少なくと
    も0.5秒間の記録を含む、サインライブラリー。
  54. 【請求項54】 請求項52に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記培養された哺乳動物の脳の一部が、機能的ネットワークの特性を示す哺乳
    動物の脳のスライスである、サインライブラリー。
  55. 【請求項55】 請求項54に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記哺乳動物の脳のスライスが、海馬の脳スライスである、サインライブラリ
    ー。
  56. 【請求項56】 請求項55に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記海馬の脳のスライスが、中隔入力を伴わない、サインライブラリー。
  57. 【請求項57】 請求項55に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記海馬の脳のスライスが、中隔入力を伴う、サインライブラリー。
  58. 【請求項58】 請求項55に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記海馬の脳のスライスが、髄鞘形成、樹状突起棘、および長期増強の能力を
    示す、サインライブラリー。
  59. 【請求項59】 請求項52に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記培養された哺乳動物の脳の一部が、解離性海馬ニューロン調製物である、
    サインライブラリー。
  60. 【請求項60】 請求項52に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記培養された哺乳動物の脳の一部が、中隔および海馬の同時培養物である、
    サインライブラリー。
  61. 【請求項61】 請求項51に記載のサインライブラリーであって、ここで
    、前記記憶媒体が、コンピューターシステムの構成要素である、サインライブラ
    リー。
JP2001556543A 2000-02-03 2000-02-03 認知に影響する因子の検出のためのアッセイ Withdrawn JP2003523504A (ja)

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