JP2003521350A - クモの糸を含む外科用縫合糸 - Google Patents

クモの糸を含む外科用縫合糸

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コスタス エヌ. カラタザス
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ネクシア バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 単独または非クモの糸構造要素と組み合わせた、クモの糸から形成された外科用縫合糸、フィルム、接着剤、およびシーラントを開示する。このような外科用縫合糸、フィルム、接着剤、およびシーラントは、組換え系により作成され、優れた特性を有し、様々な医療用途において有用なものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 外科用縫合糸、シーラント、および外科用癒着障壁(adhesion barrier)は、大
手術から小さい創傷の修復まで、医学の多くの局面において重要な役割を果たし
ている。特定の用途のための縫合糸の必要要件は、その用途によって決まる。例
えば、眼科手術には極細の縫合糸が必要であるのに対し、胸部手術は一般に引張
り強度が高いより強力で直径が太い縫合糸が必要である。例えば手術または外傷
後の漏出を防ぐためには、外科用シーラントまたはフィルムが使用される。皮膚
が弱く裂ける傾向がある老人症例においては、接着剤が好ましい。縫合糸は、例
えば心臓または血管の手技において、シーラントと組合わせて使用することがで
きる。多くの利用可能な縫合糸は、所望の特性を提供するような材料で構成され
ているが、引張り強度、弾性、および生分解性などの優れた特性を伴う改善され
た縫合糸が必要とされている。
【0002】発明の概要 本発明は、例えばクモの巣の構築のためにクモにより生成された多くのタンパ
ク質のひとつを包含する用語であるようなクモの糸を、唯一の構造要素として、
または2種以上の構造要素のひとつとしてのいずれかで有することにより、優れ
た特性を有する外科用縫合糸を特徴としている。これらの多くのクモの糸タンパ
ク質は、以下により詳細に説明されるような、哺乳類の細胞培養物並びにトラン
スジェニック哺乳類の尿および乳汁を含む、組換え系により製造されている。
【0003】 本発明の好ましい縫合糸において、縫合糸は、クモの糸モノマー溶液から紡糸
したクモの糸のモノフィラメントである。これらの縫合糸は、創傷閉鎖に使用さ
れるので、無菌であることが好ましい。これらの縫合糸は、クモの糸のみ、また
はクモの糸と他の非クモの糸構造要素、例えばコラーゲンまたはエラスチンなど
との組合せを含むことができる。
【0004】 本発明の縫合糸において使用されるクモの糸は、天然のアミノ酸配列を有する
ことができるか、もしくは、ヒト患者生体において例えば患者のタンパク質分解
酵素により切断可能であるような部位を含むように操作することができる。これ
らの生分解性縫合糸は、縫合糸が、抜糸されるよりもむしろ再吸収されるような
状況で使用される。
【0005】 縫合糸がモノフィラメントにより実現されるものよりも大きいような一部の状
況においては、この縫合糸は共に編組または加撚された複数のモノフィラメント
を含む。カイコから得た絹糸縫合糸が外科用材料として使用されている。絹糸は
、その良好な「結紮の固さ(knot security)」および比較的低い「縛りつけ抵抗
性(tie down resistance)」のために、他の編組された縫合糸材料よりも優れて
いる(Tomitaら、J. Appl. Biomater.、4:61〜65(1993))。しかし、カイコを基に
した縫合糸は、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリ乳酸/ポリグリコール
酸などの合成材料と比較した場合に、破損につながる歪み、引張り強度、結紮の
引張り強度などの点で、物理特性が劣っているように見える(Charbitら、Biomed
. Instrum. Technol.、33:71〜75(1999))。従って本発明者らは、代りの優れた
材料として組換え(rc)クモの糸を提唱する。これらのマルチフィラメント縫合糸
におけるフィラメントの一部は、クモの糸以外の材料、例えば、常用の縫合糸材
料(コラーゲンまたはエラスチン)などのフィラメントであることができる。
【0006】 本発明の縫合糸は、抗菌物質などの治療物質に含浸またはコーティングするこ
とができる。これは、縫合糸が共に加撚または編組されたマルチフィラメントで
構成される場合に、特に有利であり、その理由は、このような縫合糸は、感染経
路となる可能性があるからである。本発明のマルチフィラメント縫合糸は、更に
、縫合糸のマルチフィラメントの性質上生じた間隙を充填するために、熱可塑性
エラストマーなどの生体適合性材料で処理することができ;この処理は、感染を
最小化し、かつ縫合糸をより滑らかにし、外科医により容易に使用できるように
する。これらのフィラメントは更に、血清アルブミンまたはフィブリノゲンなど
の他のタンパク質でコーティングすることもできる。
【0007】 別の局面において、本発明は、それ単独で、またはヒアルロン酸、ポリエステ
ル、コラーゲン、またはエラスチンなどの生体適合性ポリマーとの組合せのいず
れかによる、クモの糸モノマーで構成された、ヒト医療用の固形フィルム、接着
剤、またはシーラントを特徴としている。これらのフィルム、接着剤、またはシ
ーラントは、例えば術後の臓器間の癒着を防ぐために、手術において使用するこ
とができ、かつ更に抗菌物質を含有することができる。
【0008】 本発明は更に、例えば、接着剤またはシーラントおよび非接着剤創傷被覆パッ
ドまたは帯具などの、固形の外科用包帯も特徴としている。
【0009】 本発明は更に、クモの糸モノマーを含有する、ヒトの治療用途のための生体適
合性ゲルを特徴としている。これらのゲルは、更にその他の成分を含むことがで
き、これは例えばヒアルロン酸、コラーゲン、またはエラスチンを含む。本発明
のゲルは、癒着を防ぐための外科用器具および臓器のコーティングとして、並び
に眼科手術における房水の代替物質として使用することができる。
【0010】 本発明は更に、クモの糸の複数の繊維および生体適合性ポリマー、例えば、コ
ラーゲンまたはエラスチンの繊維を含む合成靱帯および腱を特徴としている。
【0011】 本発明の縫合糸および他の商品は、広範な用途に適合することができ;弾性、
引張り強度、および生分解性、更には他の特性を、適当なクモの糸を選択し、フ
ィラメントの厚さを変更し、適当な追加成分を選択し、かつクモの糸モノマーが
紡糸もしくは製織されるかまたはゲルもしくはシーラントに成形されるような条
件を変更することにより制御することができる。
【0012】 他の特徴および利点は、下記の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らか
であると思われる。
【0013】 「糸」とは、通常様々な昆虫または蛛形類のいずれかひとつから生成または分
泌されるような繊維性タンパク質を意味する。糸は、交互の結晶領域および非結
晶領域で構成される。糸の例は、クモの糸、様々な蛛形類(例えば、アメリカジ
ョロウグモ(Nephila clavipes))において認められる外側に吐糸された繊維性
タンパク質の分泌、およびフィブロイン、様々な昆虫(例えば、カイコガ(Bomby
x mori))において認められる外側に吐糸された繊維性タンパク質の分泌を含む
。好ましい糸は、分泌が剪断力および力学的伸長を受けるように分泌される場合
は、ポリ-アラニンセグメントを含み、結晶形成ドメインを形成し、これはヘリ
ックスのβ-シート転移を受け、その構造を安定化するβ-結晶を形成する。好ま
しくは、糸の非結晶ドメインは、内部βシートの間隔が、3Å〜8Å、好ましくは
3.5Å〜7.5Åのサイズであるような、β-プリーツシートを形成する。
【0014】 好ましくは、糸は、アミノ酸反復モチーフのC末端部分を有する。より好まし
くは、糸は、少なくとも50%は配列番号:25の配列と同じである、より好ましく
は少なくとも70%は同じ、および最も好ましくは少なくとも90%が配列番号:25
と同じであるような配列を有する、アミノ酸反復モチーフ(非結晶ドメインおよ
び結晶形成ドメインの両方を形成する)を有する。好ましくは、糸は、少なくと
も50%は配列番号:26の配列と同じ、より好ましくは少なくとも70%は同じ、お
よび最も好ましくは少なくとも90%は配列番号:26と同じようなコンセンサス配
列を有する。
【0015】 「プロモーター」とは、転写を指示するのに十分な核酸配列を意味する。更に
、細胞種特異的、組織特異的に制御可能なまたは外部シグナルもしくは物質によ
り誘導可能なプロモーター依存型遺伝子発現を行うのに十分であるようなプロモ
ーター要素も本発明に含まれ;このような要素は、天然の遺伝子の5'または3'領
域に位置することができる。本発明の好ましいプロモーターは、乳汁産生細胞に
おいてタンパク質の転写を指示し;このようなプロモーターは、下記の遺伝子由
来のプロモーターを含むが、これらに限定されるものではない:乳漿酸性タンパ
ク質、αS1-カゼイン、αS2-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼイン、β-ラクト
グロブリン、およびα-ラクトアルブミン。その他の好ましい本発明のプロモー
ターは、尿産生細胞(例えば、尿路上皮細胞または腎細胞)におけるタンパク質の
転写を指示し;このようなプロモーターは、ウロプラキン(uroplakin)遺伝子ま
たはウロモジュリン遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない。更に他
の本発明の好ましいプロモーターは、胚的細胞(embryonal cell)におけるタンパ
ク質の転写を指示する。
【0016】 「リーダー配列」または「シグナル配列」とは、核酸分子に機能的に連結され
た場合に、核酸分子の産物の分泌を可能にするような核酸配列を意味する。リー
ダー配列は、好ましくは核酸分子の5'側に位置する。リーダー配列は、核酸分子
の転写を指示するために使用されるプロモーターと同じ遺伝子から得られるか、
もしくは核酸分子が由来した遺伝子から得られることが好ましい。
【0017】 「培養培地」とは、その中で細胞が生存しているような、細胞を取り囲んでい
る培地を意味する。細胞がタンパク質(例えば、糸モノマー)を分泌するならば、
この細胞の培養培地は、その細胞により分泌されたタンパク質を含むであろう。
【0018】 「トランスフェクションされた細胞」または「形質転換された細胞」とは、組
換えDNA技術により、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子がそれ(または
その祖先に)導入されているような細胞を意味する。好ましくは、この細胞は、
多細胞動物(例えば、哺乳類)由来の真核細胞である。
【0019】 「胚的細胞」とは、生物の全ての体細胞および生殖細胞に対する前駆細胞であ
ることが可能であるような細胞を意味する。胚的細胞の例は、胚性幹細胞(ES細
胞)および受精した卵母細胞である。好ましい本発明の胚的細胞は、哺乳類の胚
的細胞である。
【0020】 「機能的に連結された」とは、適当な分子(例えば、転写アクチベータータン
パク質)が調節配列に結合された場合に、核酸分子および1種以上の調節配列(例
えばプロモーター)が、核酸分子の産物(すなわちポリペプチド)の発現および/
または分泌を可能にするような方法で連結されていることを意味する。
【0021】 「導入遺伝子」とは、技巧を用いて細胞に挿入されるような核酸、またはそれ
らの祖先のいずれかの断片を意味し、かつこれはその細胞から発生する動物のゲ
ノムの一部となる。このような導入遺伝子は、トランスジェニック動物に対して
一部または全部が異種(すなわち異物)であるような遺伝子を含むことができるか
、もしくは動物の内在性遺伝子に対して相同な遺伝子を表すことができる。
【0022】 「トランスジェニック」とは、技巧を用いて細胞に挿入されている核酸配列を
含むようないずれかの細胞、またはそれらの祖先を意味し、かつこれはその細胞
から発生する動物のゲノムの一部となる。好ましくは、トランスジェニック動物
は、トランスジェニック哺乳類(例えば、齧歯類または反芻類)である。好ましく
は核酸(導入遺伝子)は、技巧を用いて核ゲノムに挿入される。
【0023】詳細な説明 クモの糸のようなバイオフィラメントは、「スーパー-フィラメント」であるS
pectra(登録商標)(AlliedSignal社から市販されている)またはKevlar(登録商標)
(DuPont社から市販されている)に匹敵するものとなる多くの高性能の力学的特性
を有する。特に重要なことは、バイオフィラメントの破壊エネルギーであり、こ
れはバイオフィラメントが伸長される際にはエネルギーを吸収し、応力が取除か
れた際にはそのエネルギーを熱として発散し得ることを意味する。更にバイオフ
ィラメントは、タンパク質分解酵素による消化に対して抵抗性があり、かつ希酸
および希塩基には不溶性である。
【0024】 バイオフィラメントは、再生可能な材料の天然の給源である。本明細書に記さ
れた動物のような、バイオフィラメントを発現しているトランスジェニック動物
は、入手できる飼料を用い、通常の家畜として管理することができる。従ってこ
の商品(commodity)の製造は、家畜により(domestic)かつ再生可能である。残念
ながら、真の天然の給源であるクモ自身は、この材料を相当量生産するにはあま
りにも小型である。加えて、クモは縄張り行動をとるので、これらを大量生産の
ために狭い所で飼うことはできない。
【0025】円網張り(Orb-web weaving) クモは、最大7本の異なる糸を生成し、その各々は特定の用途に合わせ造られ
ている。各クモの糸は、独自のアミノ酸組成を有し、糸に応じて、例えばしおり
糸はグリシンが豊富であるような配列(非結晶または弾性ドメイン)に挟まれたポ
リアラニン領域(結晶ドメイン)を伴う反復配列からなる。
【0026】 本発明のバイオフィラメントは、大瓶状腺(しおり糸を生成)、および小瓶状腺
(低い引張り強度、および弾性を示すが、濡れた時には超収縮の不足も示す小瓶
状糸(ampullate silk)を生成)、鞭状腺(非常に高い弾性を伴うが、靭性は大瓶状
腺または小瓶状腺から生成された糸のわずかに約25%を示す糸を生成)、または
管状腺(cylindrical gland)(繭糸を生成)から分泌されたクモの糸を扱う。
【0027】I.縫合糸の種類 縫合糸の特性は、縫合糸が使用される用途に応じて様々でありうる。例えば、
極細紡絹糸繊維は、眼科手術、美容整形手術、または神経再建において使用する
ために製造することができる。このような極細紡糸繊維は、理想としては直径0.
1μM〜100μM;弾性5%〜300%;および、引張り強度0.1g/デニール〜30g/デニ
ールを有する。デニールは、繊維の長さ9,000メートルの質量と定義され、直径
測定値の代わりに使用されることが多い。縫合糸は、サイズ、デザイン、材料、
および性質別に分類されている。吸収性または非吸収性の材料は、更に、編組形
および/またはモノフィラメント形であることができる天然品および合成品に分
類される(Greenwaldら、J. Surg. Res.、56:372〜373(1994))。
【0028】II.糸モノマーの生成 糸は、非常に特異的な解剖学的適合性および遺伝子の進化を有するある種の昆
虫および蛛形類において進化してきた。クモにおいて、糸は、一連の腹部の絹糸
腺により生成される。このモノマーの構造およびサイズは、とりわけ、第一級ア
ミノ酸配列組成によって左右される。主要な糸の生成および分泌は、大瓶状腺、
小瓶状腺、鞭状腺および管状腺において生じ、これらは各々、しおり糸、小瓶状
糸、フラッグ糸(flag silk)、および繭糸を生成する。本明細書において説明さ
れたトランスジェニック動物、およびそのような動物を作出するために用いた構
築物は、これらの糸のいずれか、またはそれらの変形を形成することができ、そ
の結果3.5〜7.5Åの内部β-シート間隙を有する糸が生成されることは理解され
ると思われる。本発明に関連した様々な糸の例およびそれらの各特性を表1に示
す。
【0029】
【表1】 様々な糸タンパク質の特性
【0030】 A.しおり糸 大瓶状腺は、グリシン、アラニン、およびプロリンが豊富な2種のタンパク質
を3:2の比で生成する。これらのタンパク質は、命綱であるしおり糸、足場糸、
およびクモの巣の枠を形成する。しおり糸は、高い剛性の繊維であり、かつナイ
ロンに類似した特性を有する。しおり糸は、20〜30容量%の結晶を含み、かつ下
記の特性を有する:剛性(初期ヤング率が10GPa)、強力(引張り強度が1.5GPa)、
および強靱(破壊に必要なエネルギーが150MJm-3)。
【0031】 B.小瓶状糸 小瓶状腺は、比較的低い引張り強度および弾性を示すが、更に湿った際には超
収縮の不足を示すような糸を形成する。
【0032】 C.フラッグ糸 鞭状腺から形成されたフラッグ糸は、クモの巣の粘着性の螺旋の中心部の繊維
を形成する。他の糸と同様に、鞭状腺タンパク質は、以下のような主要部の繰り
返された反復から構成される:Gly-Pro-Gly-Gly-X(X:AlaまたはSerまたはTyrま
たはVal;配列番号:34)(HayashiおよびLewis、J. Molecular Biology、275:773
〜784(1998))。粘着糸は、5容量%未満の結晶を含み、その天然の状態で弾性が
あり、かつLycraに似た特性を有する。これは下記の特性を有する:わずかに架
橋したゴム(例えばスパンデックス)に力学的に類似している、低い剛性(初期ヤ
ング率が3MPa)、および高い延伸性。
【0033】 D.繭糸 管状腺は、カイコガ(B. mori)により生成される繭糸に類似しているような繭
糸を生成する。
【0034】 クモの糸をコードする遺伝子 天然のしおり糸タンパク質のサイズは、最終的には決定されてはいないが、27
4kDa〜750kDaの範囲であることは認められている。アメリカジョロウグモ(Neph
ilia clavipes)(ブラジルおよび南フロリダにおいて発見されたコガネグモ類(g
olden orb weaver))およびニワオニグモ(Araneus diadematus)(Gueretteら、Sc
ience、272:112〜115(1996))由来の部分的cDNAクローン(スパイドロイン(spidro
in)1および2)が単離されている。例えばニワオニグモから単離されたこれらのク
ローン、およびそれらが由来した腺の概要は、下記の表2に示す。
【0035】
【表2】 ニワオニグモ遺伝子(アメリカジョロウグモ由来のスパイドロイン-1
、2を用いてスクリーニングされたライブラリー) 特定の糸型の発現分布(ノーザンブロット法により決定)
【0036】 配列ADF-1(ニワオニグモフィブロイン)は、68%ポリ(A)5(すなわち、AAAAA;
配列番号:1)または(GA)2-7(配列番号:2〜7)であり、かつ32% である; ADF-2は、19%ポリ(A)8(配列番号:9)および81% である; ADF-3は、21% ならびに79%[(GPGQQ)n(ただしn=1〜8)(配列番号:13〜20)]および である;並びに ADF-4は、27% および73% である。
【0037】 当技術分野において周知の様々な方法のいずれかを用いて、アメリカジョロウ
グモおよびニワオニグモ由来の周知の核酸配列を用い、別の糸をコードする遺伝
子をクローニングすることができ、かつ当業者は、所望の遺伝子を得るために日
常的にこれらの方法のひとつを採用すると思われる。アメリカジョロウグモおよ
びニワオニグモ遺伝子の完全長クローンも同様に単離することができる。
【0038】 このような糸をコードする遺伝子配列を得る方法のひとつは、アメリカジョロ
ウグモスパイドロイン1遺伝子配列により作成されたオリゴヌクレオチドプロー
ブを使用し、プローブにハイブリダイズする配列について蛛形類または昆虫のcD
NAまたはゲノムDNAライブラリーを検索することである(Arcidiaconoら、Appl. M
icrobiol. Biotechnol.、49:31〜38(1998))。ハイブリダイゼーション技術は、
当業者には周知であり、例えば、前掲のAusubelらの著書およびSambrookらの著
書に記されている。cDNAまたはゲノムDNAライブラリーの作成も、当技術分野に
おいて周知である。様々な種から調製された非常に多数の核酸ライブラリーは、
市販もされている。オリゴヌクレオチドプローブは、本明細書に説明された配列
および標準技法を用いて容易にデザインされる。オリゴヌクレオチドプローブは
、スパイドロイン1遺伝子産物をコードするDNAのいずれかの鎖の配列を基にする
ことができる。オリゴヌクレオチドプローブの例は、縮重プローブである(すな
わち、アメリカジョロウグモスパイドロイン1タンパク質についての全ての可能
性のあるコード配列の混合物)。
【0039】 糸遺伝子の合成 クモの糸遺伝子は、様々な技術を用いて、クローニングしかつ発現することが
できる。今日までにクローニングされたクモの糸cDNA配列は、全般的組織および
配列の保存領域について類似性を共有している。コンセンサス反復は、グリシン
およびグルタミンが豊富であり、ポリ(Ala)領域がより大きい反復ユニットに組
込まれている。発現され得る糸遺伝子配列の例は、例えば欧州特許第EPO 045292
5 A2号、米国特許第5,733,771号、米国特許第5,728,810号、米国特許第5,756,67
7号、米国特許第5,989,894号、および米国特許第5,994,099号に開示されており
、これらは全て本明細書に参照として組入れられており、更に当技術分野におい
て公知の他の糸遺伝子も含み得る。好ましくは、これらの遺伝子からコードされ
た糸モノマーおよびそれらのマルチマー(すなわち、同じまたはハイブリッド遺
伝子の1、2、または3個以上のコピー)並びに組織培養細胞またはトランスジェニ
ック動物細胞からの組換え発現により形成された糸モノマーのサイズは、50kDa
〜500kDaであり、より好ましくは50kDa〜300kDaである。
【0040】 アメリカジョロウグモにおいて、大瓶状腺は、下記の代表的配列を有する、し
おり糸(スパイドロイン1およびスパイドロイン2)を生成する:34個のアミノ酸長
の反復モチーフ(非結晶ドメインおよび結晶形成ドメインの両方を形成する);お
よび、47個のアミノ酸長のコンセンサス配列(XuおよびLewis、Proc. Natl. Acad
. Sci. U.S.A.、87:7120〜7124(1990);BeckwittおよびArcidiacono、J. Biol.
Chem.、269:6661〜6663(1994))。
【0041】 アメリカジョロウグモスパイドロイン1の34個のアミノ酸長の反復モチーフは
、下記の配列を有する: 配列番号:2のC末端のポリ-アラニン領域(AAAAAAA))に加え、多くのグリシンブ
ロックが非結晶ドメインを形成する(2個のグリシン残基は、3個のアミノ酸で分
離されている;例えば、GGLGG)ことに注意されたい。天然の遺伝子の一部である
これらの配列は、本発明の方法に従い糸タンパク質を形成するために使用するこ
とができる。
【0042】 アメリカジョロウグモスパイドロイン2の47個のアミノ酸長のコンセンサス配
列は、下記の配列を有する: 天然の遺伝子の一部であるこれらの配列も、本発明の方法に従い糸タンパク質を
形成するために使用することができる。
【0043】 考察を目的として、候補遺伝子は、アメリカジョロウグモスパイドロイン1由
来の主要しおり糸遺伝子のひとつにより表されると思われる(Arcidiaconoら、Ap
pl. Microbiol. Biotechnol.、49:31〜38(1998))。これらの遺伝子の反復頻度が
高いという性質は、これらの遺伝子の安定性および組換えの可能性に関する懸念
を生じる。これらの反復は、例えばArcidiaconoら(Appl. Microbiol. Biotechno
l.、49:31〜38(1998));FahnestockおよびIrwin(FahnestockおよびIrwin、Appl.
Microbiol. Biotechnol.、47:23〜32(1997))により示された提案を基に避ける
ことができる。更に、一連の構築物は、同様の戦略(前掲)を用いて作成すること
ができ、4〜20個(またはそれ以上)の連続的反復を生じ、かつトランスジェニッ
ク動物を作出するよりも前に細胞株で試験することができる。コードされた糸の
転写を促進しかつ発現を増強するために、合成反復のブロックは、これらが異な
るサイズを有しかつ非コード配列(例えば、カゼインまたは免疫グロブリン遺伝
子由来のイントロン)を含むように構築される。これらのブロックは、代わりに
頭部-尾部(head-to-tail)構築戦略を用いることができる(McGrath, K. P.、Ph.D
. Dissertation、University of Massachusetts at Amherst、1991;Ferrariら
、米国特許第5,243,038号)。
【0044】 遺伝子が、細胞中においてより少ない量で存在するtRNA種によって見分けられ
るより多数のコドンを含む場合に、中途な終結が生じる可能性があるため、コド
ン選択も発現を最大化するようにデザインされる(Rosenbergら、J. Bacteriol.
、175:716〜722(1993)、Manley、J. Mol. Biol.、125:407〜432(1978))。発現さ
れる遺伝子は、発現される組織において好ましいコドンを用いてデザインおよび
合成される(すなわち、乳腺中のカゼイン遺伝子、膀胱内のウロプラキン)。
【0045】 糸タンパク質中のアラニン残基の頻度が高いならば、細胞培養系を糸タンパク
質生成に使用する際、Ala tRNAおよび/またはGly tRNAプールの涸渇が糸タンパ
ク質生成の律速工程となることを防ぐために、細胞株の細胞培養培地にAlaおよ
び/またはGlyアミノ酸を追加補充することが望ましい。
【0046】 発現ベクターの構築 タンパク質(例えば糸タンパク質)をコードする核酸分子についてトランスジェ
ニックとした動物の乳汁または尿中へのこのようなタンパク質の合成および分泌
を起動する真核生物発現ベクターを作出することができる。これらのベクターは
、標準の分子生物学技術に従って調製される。
【0047】 合成された核酸分子は、コードされたポリペプチドの同定および/または精製
を容易にするために結合したエピトープタグをコードする配列を有することがで
きる。このような精製は、例えば、エピトープタグのアフィニティークロマトグ
ラフィーにより達成することができる。エピトープ-タグ付きクモの糸モノマー
の精製後にエピトープタグの除去を促進するために、位置指定タンパク質分解部
位または化学物質認識部位を、この配列に追加することができる(Saitoら、J. B
iochem.、101:123〜134(1987))。好ましくは、位置および位置指定タンパク質分
解物質は、エピトープタグおよび糸タンパク質モノマーの結合部位またはその近
傍で切断する。
【0048】 様々な化学切断物質およびそれらの認識部位(1文字コード)は、当技術分野に
おいて公知であり、下記を含む:ヒドロキシルアミン(NまたはG);ギ酸(Dまたは
P)、臭化シアン(M);または酢酸(DまたはP)。例えば、臭化シアン(CNBr)は、エ
ピトープタグと糸タンパク質の間に導入されたMet(M)残基を切断するために使用
することができる。
【0049】 あるいは、天然または合成のプロテアーゼを使用することができる。これら(
およびそれらの認識部位)の例は、エンテロキナーゼ(DDDK;配列番号:27);フ
ァクターXa(IEGR;配列番号:28);キモトリプシン(WおよびYおよびF);レニン(
YIHPFHLL;配列番号:29);トリプシン(登録商標)およびK);並びに、トロンビ
ン(RGPR;配列番号:30)を含む。例えば、エピトープタグは、トロンビン認識部
位を介して糸に結合することができる。エピトープタグ含有タンパク質のアフィ
ニティー精製後、概して糸はタンパク質分解に対し抵抗性となるので、このエピ
トープタグは、トロンビンによるタンパク質分解時に容易に取り外すことができ
る。
【0050】 前述の発現カセットは、所望の真核細胞における適当な転写、翻訳、および分
泌に必要な要素(すなわち、プロモーター、分泌のシグナル配列、イントロン配
列、およびポリアデニル化シグナル)からなる。多くの乳汁または尿に特異的な
プロモーターを、それらのシグナル配列と共に、もしくは糸および/またはフィ
ブロイン遺伝子シグナル配列と共に使用することができる。前者の場合、糸をコ
ードする核酸分子は、それ自身の翻訳開始コドンを含まなければならないが、し
かしむしろシグナル配列の3'末端にインフレームでなければならない。この糸を
コードする核酸分子の3'末端は、それ自身のポリアデニル化シグナルを含むか、
もしくは通常プロモーターおよび/またはシグナル配列に使用される遺伝子上に
認められる3'非翻訳配列を含むことができる。例えば、糸をコードする核酸分子
は、発現ベクターカセット内に全ての同じカゼイン遺伝子に由来したプロモータ
ー、シグナル配列、および3'非翻訳配列を伴うことができる。
【0051】 使用される真核細胞発現構築物は、1個以上の下記の基本的成分を含むことが
できる。
【0052】 A)転写開始調節領域のプロモーター これらの配列は、修飾される細胞と異種であることができ、かつ機能的に連結
された核酸分子の強力なレベルの転写を付与する合成および天然のウイルス配列
(例えば、ヒトサイトメガロウイルス極初期プロモーター(CMV);シアミンウイル
ス40初期プロモーター(SV40);ラウス肉腫ウイルス(RSV);または、アデノウイ
ルス主要後期プロモーター)を含むことができる。このプロモーターは更に、重
要でない配列の欠失および/またはエンハンサーのような配列(例えば、CMV、SV
40、またはRSVのエンハンサー要素)の追加、またはこのような配列の縦列反復の
追加により、修飾することができる。強力なエンハンサー要素の追加は、転写を
10〜100倍に増強することができる。前述の確定されたウイルスプロモーターに
よる発現は構成的である(すなわち、発現は、見かけの外部刺激の非存在下で生
じる。)。
【0053】 あるいは、乳汁における発現について、例えば、プロモーター領域は、反芻類
の乳腺に特異的な遺伝子に対して天然であることができる。例として以下を含む
:αS1-カゼイン(国際公開公報第91/08216号および国際公開公報第93/25567号)
、αS2-カゼイン、β-カゼイン(Rosen、米国特許第5,304,489号;Leeら、Nuclei
c Acids Res.、16:1027〜1041(1988))、κ-カゼイン、β-ラクトグロブリン、お
よびα-ラクトアルブミン(Vilotteら、Eur. J. Biochem.、186:43〜48(1989);
国際公開公報第88/01648号)。これらのプロモーターは、組織および乳汁分泌に
特異的な方法で様々なタンパク質の高レベルの発現を起動することができる。
【0054】 B)イントロン封入 イントロンを含む遺伝子(すなわち、ゲノムクローン)は、イントロンがより少
ない遺伝子よりもより高レベルで発現される。従って、転写開始部位と翻訳開始
コドンの間、翻訳停止コドンの3'側、または糸をコードする遺伝子のコード領域
の内側に配置されたイントロンの封入は、より高いレベルの発現を生じ得る。
【0055】 イントロン配列は、5'スプライス部位(供与部位)および3'スプライス部位(受
容部位)を含む。少なくとも100塩基対の配列が、これらのふたつの部位の間に認
められる。これらのイントロン配列の起源は、使用されるプロモーター、または
天然の遺伝子に由来し(IchimuraおよびMita、J. Mol. Evol.、35:123〜130(1992
))、糸またはフィブロイン遺伝子のコード配列の5'側に位置する。この構築物の
反復頻度が高いという性質によりその反復配列に起因した遺伝子の安定性および
組換えの可能性について懸念を生じるので、これらはプロモーターが使用される
遺伝子のイントロンを挿入することにより妨害することができる。これらのイン
トロンは、カイコガ(Bombyx mori)のフィブロイン遺伝子に存在するものに類似
した方法で配置することができる(TsujimotoおよびSuzuki、Cell、18:591〜600(
1979);TsujimotoおよびSuzuki、Cell、16:425〜436(1979))。この戦略は、遺伝
子の安定性の増大に加え、発現レベルの増加を可能にするであろう。
【0056】 C)シグナル(リーダー)配列 各発現ベクターは、発現された遺伝子産物が乳腺細胞または尿路上皮細胞から
分泌されることを指示するシグナル配列を含むであろう。このシグナル配列は、
自然に分泌される如何なる遺伝子にも存在する。シグナル配列で相対的フィブロ
イン遺伝子に由来するもの(例えば、カイコガ(B. mori)の重フィブロイン遺伝子
および軽フィブロイン遺伝子、P25およびssp160)、発現組織に特異的な遺伝子に
由来するもの(例えば、カゼインまたはウロプラキン遺伝子)、または、一般的シ
グナル配列(例えば、ヒトアルカリホスファターゼ、メリチン、およびCD33シグ
ナルペプチド)を使用することができる。更に、分泌のためのシグナル配列は、
哺乳類遺伝子/昆虫遺伝子間で交換することができ;例えば、メリチン、カゼイ
ン由来のシグナル配列、または天然の糸(クモ由来)もしくはフィブロイン(昆虫
由来)の遺伝子からの配列を使用することができる。
【0057】 D)終結領域 核酸構築物の転写終結領域は、3'末端および5'プロモーター領域が由来するポ
リアデニル化シグナルに関係している。例えば、ウシαS1カゼイン遺伝子である
。あるいは、核酸構築物の3'末端は、転写終結シグナルおよび転写後mRNA安定性
を調節することが知られているポリアデニル化シグナル、例えばウシ成長ホルモ
ン、β-グロブリン遺伝子、またはSV40初期領域に由来するものなどが含まれる
【0058】 E)発現ベクターの他の特徴 遺伝子導入のためにデザインされた発現ベクターは更に、大腸菌(E. coli)に
おける増殖のための複製起点、SV40複製起点、対象となる遺伝子と共に優性選択
可能なマーカーを増幅する真核細胞および/または遺伝子における選択のための
アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子(すなわち、ジヒドロ葉酸還
元酵素)を含む。加えて、発現ベクターは、それらの5'および3'末端に、形質導
入された細胞における組込みの割合を増加させるような適当な隣接する配列を含
むことができる(ITR配列;Lebkowskiら、Mol. Cell. Biol.、8:3988〜3996(1988
))。更に、インビトロにおける糸またはフィブロインタンパク質の持続性の発現
は、自律複製(形質導入された環状核酸は、哺乳類細胞においてプラスミドとし
て複製する)を可能にする配列(すなわち、エプスタイン・バーウイルス由来のEB
NA-1およびoriP)の使用により可能である。
【0059】 DNAの大きいセグメントをクローニングおよび増殖するために、コスミドを、
ベクターとして選択する。理論的にはプラスミドベクターは大きい挿入物を運搬
することができるが、得られる組換え形質転換体である大腸菌は、非常に非効率
である。コスミドは、外来DNAの大きい断片を増殖する能力を有する(Royalら、N
ature、279:125(1979))。
【0060】 トランスジェニック動物の作出に使用される発現ベクターは、細胞の形質転換
に先立ち、制限エンドヌクレアーゼ消化により線状とすることができる。この方
法の変法において、コード配列、例えばウシのカゼイン配列または成長ホルモン
に由来する5'末端調節配列(例えばプロモーター)、および3'末端調節配列(例え
ば3'非翻訳領域)を含む消化断片のみが、細胞の形質転換に使用されるであろう
。このような断片により形質転換された細胞は、結果的に、細菌におけるプラス
ミド増殖のみに必要であるような配列は含まないであろう(例えば、この細胞は
大腸菌複製起点または原核細胞の選択に有用である抗生物質耐性タンパク質(例
えばアンピシリン耐性タンパク質)をコードする核酸分子は含まないであろう。)
。別のこの方法の変法において、細胞の形質転換に使用される消化断片は、コー
ド領域、5'および3'調節配列、並びに真核細胞の選択に有用である抗生物質(例
えばネオマイシンまたはピューロマイシン)に対する耐性を付与することが可能
なタンパク質をコードする核酸分子(プロモーターおよび3'非翻訳領域)を含むで
あろう。
【0061】 対象となる糸遺伝子は、発現を優先的に改善するために、その5'非翻訳領域(U
TR)、その3'UTR、および/またはそのN末端をコードする領域において修飾する
ことができる。あるいは、例えば、小胞体(ER)残留シグナルまたは他の選別阻害
シグナルの存在に起因した、細胞内の遺伝子産物の分泌を増大しおよび/または
残留を避けるために、糸をコードする核酸分子のコード配列内の配列を、欠失ま
たは変異誘発することができる。更に、このトランスジェニック構築物は、クロ
マチンオープニング(chromatin opening)ドメイン活性を有する配列を含むこと
ができ、その結果これらは連結された導入遺伝子の組織特異的発現の再現性のあ
る活性化をもたらす(Ellisら、国際公開公報第95/33841号;ChungおよびFelsenf
ield、国際公開公報第96/04390号)。
【0062】 発現ベクターの試験および特徴決定 集成された構築物は、DNAの2個の小片がライゲーションにより互いに融合され
た領域の配列を決定することにより部分的に特徴決定される。部分的制限エンド
ヌクレアーゼ地図は、糸をコードする核酸分子に関するライゲーションされた調
節配列の正確な配向に関する情報を提供するであろう。
【0063】 更に集成された構築物の機能の特徴決定は、確立された乳腺上皮細胞株(例え
ばMAC-Ts)へのそれらのトランスフェクション(TurnerおよびHuynh、米国特許第5
,227,301号;Huynhら、Exp. Cell. Res.、197:191〜199(1991);Stampferら、米
国特許第4,423,145号参照)および分泌された産物の同定を含む。
【0064】 本発明の実践に使用される組換えDNA法は、分子生物学の分野の業者には周知
の標準手法であり、かつ例えばSambrook、FritschおよびManiatisの「分子クロ
ーニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」(第2版
、Cold Spring Harbor Press、1989年);Ausubelらの「分子生物学の最新プロト
コール(Current Protocols in Molecular Biology)」(John Wiley & Sons社, Ne
w York, NY, 1994年);および、Perbal, B.V.の分子クローニングの実践的ガイ
ド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」(第2版、John Wiley & Sons社
、New York、NY、1988年)に、詳細に説明されている。説明のみを目的として下
記の実施例において使用した糸遺伝子は、Arcidiaconoらの論文(Appl. Microbia
l. Biotechnol.、49:31〜38(1998))に説明されかつクローニングされた、1.5kb
NcDS-1挿入物である。
【0065】 糸タンパク質モノマーを産生するトランスジェニック動物の作出 前述の糸タンパク質モノマー発現構築物は、受精した卵母細胞の前核へ導入し
、かつ所望の糸モノマーを産生するトランスジェニック動物を作出することがで
きる。マウスのような一部の動物については、受精をインビボにおいて行うこと
ができ、かつ受精卵を手術により採取した。他の動物においては、卵細胞を生体
から、または新に殺した(例えば、屠殺した)動物から取り出し、インビトロで受
精させた。導入遺伝子は通常、微量注入法により導入される(Ogataら、米国特許
第4,873,292号)。微量注入された接合子は、適当な雌に移され、導入遺伝子が組
込まれた発生段階に応じて、トランスジェニックまたはキメラ動物が出生する。
キメラ動物は、真の生殖系列(true germline)のトランスジェニック動物を生じ
るように繁殖することができる。
【0066】 あるいは、導入遺伝子は、胚性幹細胞(例えば、マウスのES細胞)または体細胞
もしくは胚的細胞に導入することができる。導入遺伝子は、このような細胞に、
リポフェクション法、電気穿孔法、微量注入法、または細胞のトランスフェクシ
ョンに使用される当業者に公知のいずれか他の技術により、導入することができ
る。形質転換された細胞は、例えばマウスの場合、核移植法を用いそれらの起源
となるような動物由来の胚盤胞と一緒にする。これらの細胞は、胚をコロニー化
し、かつ一部の胚については、これらの細胞は、得られるキメラ動物の生殖系列
を形成する(Jaenisch, R.、Science、240:1468〜1474(1988))。あるいは、ES細
胞は、脱核された受精された卵母細胞への移植用の核の給源として使用すること
ができ、従ってトランスジェニック動物を生じる。
【0067】 この糸タンパク質導入遺伝子は、所望のタンパク質の発現を指示するような組
織特異的調節要素の転写制御下にある。好ましくは、このタンパク質は、タンパ
ク質を例えば乳汁または尿のような体液中に分泌する細胞により生成される。例
えば、糸遺伝子の発現は、ウロプラキンプロモーターにより指示され、これは尿
中に生成された糸タンパク質を生じるであろう。トランスジェニック動物は、所
望の糸タンパク質モノマーを生成しかつ分泌する。別の例において、糸タンパク
質は、乳腺特異的酸性乳漿タンパク質(WAP)プロモーターの制御下で発現するこ
とができ、この場合糸タンパク質は、乳汁中に生成されるであろう。一旦所望の
糸タンパク質モノマーが、トランスジェニック動物の尿または乳汁中に分泌され
たならば、その後これは精製され、かつ縫合糸として使用することができるよう
な繊維またはフィラメントを形成することができる。
【0068】 細胞培養系を使用する糸モノマーの生成 あるいは、糸タンパク質モノマーは、細胞培養系を用いて生成することができ
る。好ましくは、これらのタンパク質モノマーは、生物学的に関連した細胞培養
において生成される。例えば、乳腺上皮細胞または他の細胞株(BHK、COS-7など)
に、所望の糸モノマーをコードする発現構築物をトランスフェクションすること
ができる。このタンパク質の発現は、適当な調節要素(例えば、前述のウイルス
プロモーター)により起動されることが好ましい。所望の糸タンパク質モノマー
は、組織培養培地へと分泌され、次に精製されかつ縫合糸として使用することが
できる繊維/フィラメントが形成される。糸モノマーの精製は、標準のクロマト
グラフィー技術を用いて行うことができる。
【0069】III.紡糸/押出法によるRc糸モノマーからの繊維/フィラメントの形成 繊維は、糸モノマー(しおり糸、小瓶状糸、またはフラッグ糸のモノマーのい
ずれかに類似している)が液晶相を形成しているような溶液から紡糸されること
が好ましい。溶液中のタンパク質濃度は好ましくは、0.1%〜50%であり、より
好ましくは4%〜30%である。溶液のpHは好ましくは4〜5である。
【0070】 あるいは、繊維は、水性緩衝液中のモノマー溶液から紡糸される。これらの繊
維は、緩衝液にpH4〜5で滴下することにより押出される。この繊維は、直径が小
さい針(例えば、22 1/2ゲージ針)を用いて、メタノールもしくはアセトン浴また
は酢酸/メタノールもしくは酢酸/アセトン浴(凝固浴と称される)へと糸モノマ
ー溶液から押出すことができる。形成された繊維はより強い繊維を形成するため
に、溶媒熟成するか、または引き出して伸ばす前に一定期間熟成する。
【0071】 糸モノマーは、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸、または乾式ジェット湿式紡糸
により押出すことができ、例えば、本明細書に参照として組入れられている欧州
特許第EPO 0488687 A2号、米国特許第5,252,285号に開示されたような、当技術
分野において公知のいくつかの方法を用いて縫合糸として使用することができる
ような繊維が形成される。紡糸法において変更することができるパラメータは、
温度、pH、タンパク質濃度、緩衝液組成、前述のような変性剤、凝固浴、糸モノ
マー、繊維形成用「成核エフェクター」として作用するために既に一部繊維化さ
れたモノマー、引張り速度、および浴中での熟成を含む。このようなパラメータ
の変更は、直径、弾性、および引張り強度に影響を及ぼすであろう。あるいは、
このモノマー溶液は、粉末にまで乾燥し、例えばHFIPのような溶媒に可溶化し、
および次に前述と同様の方法で押出すことができる。
【0072】 好ましくは、形成された繊維またはフィラメントは、直径0.1μM〜100μMであ
り、かつより好ましくは直径0.5μM〜50μMである。加えて、繊維またはフィラ
メントの弾性は、5%〜300%であり、より好ましくは5%〜200%である。更に好
ましくは、繊維またはフィラメントは、引張り強度0.1〜30g/デニールを有する
【0073】 Rc糸の繊維またはフィラメントを基にした縫合糸の製造 本発明の繊維またはフィラメントは、モノフィラメント縫合糸として使用する
ことができる。場合によっては、その他の通常使用される加撚または編組したヤ
ーン糸は感染経路となることがあるので、非常に強いモノフィラメント縫合糸が
望ましい場合がある。
【0074】 本発明のモノフィラメントは、加撚および絡み法を用いヤーン糸を形成するこ
とにより、より強力な縫合糸を製造することができる。次にこのヤーン糸は、製
織、編成または編組により織物へ絡み合わせられる。このようなヤーン糸は、同
じモノフィラメント、または各々異なる糸タンパク質モノマーに由来している2
種以上の異なるモノフィラメントで構成されている(表1参照)。例えば、ヤーン
糸は、高い靭性を有する1本のフィラメント、および高い弾性を有する別のフィ
ラメントを含むことができる。
【0075】 本発明の繊維は、縫合糸において単独で使用することができ、または繊維の形
状をとることができるような他の生体材料、例えばコラーゲンまたはエラスチン
と組合わせて使用することができる。例えばこの縫合糸は、糸フィラメントおよ
びエラスチンフィラメントを含むヤーン糸であることができる。
【0076】 フィラメントの生体吸収性 例えば生体吸収可能な縫合糸において、繊維またはフィラメントの吸収または
崩壊が望ましい特性である場合、酵素による切断に対し感受性があるような操作
された糸モノマーを製造することができる。例えば、酵素感受性部位は、糸モノ
マーおよび酵素感受性部位をコードする核酸配列を含む発現ベクターを形成する
ことにより、糸タンパク質モノマーを操作することができる。
【0077】 クモの糸配列に組込むことができる配列は、生体の酵素により認識され、これ
により糸の選択的攻撃が可能になる。これらの部位は、モノマーのクモの糸タン
パク質内に、および特異的部位、例えば非結晶ドメインまたは結晶ドメインなど
に組込むことができる。場合によっては、認識部位は、2種以上のモノマーを分
離するペプチド結合であることが好ましく、モノマーは、互いに縦列反復で(頭
部-尾部)連結されている。このような部位の数および特異性は、吸収が生じる速
度を決定することができる。多数の位置特異性酵素およびそれらの認識モチーフ
は公知であり、かつ本発明を実行するために使用することができる。このような
位置特異性部位の例は、下記を含むが、これらに限定されるものではない: キモトリプシン:W↓Y↓F↓ コラーゲナーゼ:PX↓GP エンドプロテイナーゼ:K↓ エンテロキナーゼ:DDDK↓ ファクターXa:IEGR↓ カリクレイン:PFR↓ レニン:YIHPFHL↓L トロンビン:RGPR↓ トリプシン:R↓K↓(配列番号:27〜31)。
【0078】 位置認識の効率は隣接するポリGlyペプチドの存在により増強されるので、Gly
残基が豊富な糸は、提案された修飾について良い基質であると思われる。本明細
書に参照として組入れられている欧州特許第EPO 699752 A2号は、コラーゲンの
吸収がこのような部位の追加により修飾され得るような類似の方法を開示してい
る。
【0079】 糸タンパク質は、反復した間隔のあいた結晶ドメイン(ポリAla)および非結晶
ドメイン(Gly)を含むアミノ末端部分、並びにCOOH非反復ドメインで構成される
。COOHドメインとは対照的に、アミノ末端の位置は、酵素(例えば、トリプシン)
消化に対して感受性はない。例えばLewisら(米国特許第5,728,10号)は、しおり
糸の2種の成分のひとつであるMaSp2を開示しており、ここでは非反復COOH末端は
、タンパク質分解的崩壊に対し感受性があるように見える。本発明者らは、哺乳
類細胞においておよそ60kDaの組換えMaSp2タンパク質を生成しかつ精製し、かつ
これにトリプシン消化を施した。予想されるように、SDS-PAGEおよびウェスタン
ブロット分析における消化された60kDaタンパク質のより迅速な移動度を基に、
分子量のおよそ6kDaのシフトが認められた。従ってMaSp2モノマーから製造され
た繊維またはフィラメントは、他の糸を基にした繊維よりもより迅速に吸収する
ことができる。所望の吸収特性を有するハイブリッド糸を、タンパク質分解性崩
壊に対してより感受性とするために、MaSp2糸タンパク質のCOOH部分を組込むか
、または2種以上の糸モノマーの融合体を製造するために使用することができる
【0080】 これらの糸モノマーは、同じ糸種または異なる糸種(すなわち、フラッグ糸モ
ノマーに融合されたしおり糸MaSp2)であることができる。これらの糸の繊維また
はフィラメントは、前述のように押出された糸およびヒアルロン酸、またはポリ
エステル、または糸およびコラーゲン、または糸およびエラスチンの混合物のよ
うな、変更された物理学的および生物学的特性を有する配合された混合物を生成
するために、他の材料を混合することもできる。
【0081】 モノフィラメント縫合糸としての糸タンパク質の使用 糸は、モノフィラメント縫合糸(例えば眼科手術、再建手術、神経再建、血管
吻合および美容整形手術用)として、または編組または加撚した繊維を含むマル
チフィラメントとして使用することができる。これらの繊維は、糸フィラメント
間の間隙を充填するために、例えば熱可塑性エラストマーにより、コーティング
することができる(米国特許第4,461,298号に開示されている)。このような処理
した縫合糸は、低下した組織反応性を誘発することがあり、かつ細胞浸潤を遅ら
せることがある。マルチフィラメント繊維の間隙は、米国特許第3,642,003号が
示したように、米国特許第3,665,927号に開示された方法を用い、殺菌化合物で
充填することができ、これらの特許は両方とも本明細書に参照として組入れられ
ている。
【0082】 更に別の抗菌物質、例えば銀を、繊維/フィラメントまたはヤーン糸に組込む
ことができ、これにより殺菌特性を外用のための縫合糸に施すことができる。例
えば硝酸銀またはスルファジアジン銀をこの目的を達成するために使用すること
ができる。この用途は、火傷の感染または治療のために、物質がフィルム接着剤
用途に組込まれる場合に特に有用である。
【0083】 クモのRc糸モノマーのフィルム形成 クモのRc糸モノマーのフィルムは、例えば溶媒蒸発法により、例えば5%〜50
%モノマー溶液(w/v)を使用することにより形成することができる。フィルム注
型装置内、および/または溶媒を除去するために真空および/または高温(空気
または窒素大気中で50℃〜60℃)を組合せて(米国特許第5,252,285号参照)、HFIP
のような溶媒を使用することができる。
【0084】 このようにして製造されたフィルムの引張り強度(あるいは、例えば、Rcクモ
の糸モノマーのタンパク質濃度)は、常法を用い測定することができる。例えば
、得られるフィルムの15MPa〜30Mpaと低い引張り強度は、様々な創傷治癒または
外科的用途にとっては十分であろう。
【0085】 これらのフィルムまたは接着剤は、創傷閉鎖のための縫合糸の代わりに有用で
あることができ、針および縫合糸それ自身による創傷上の外傷を伴うことなく創
傷を閉鎖することができる。場合によっては、これらの糸モノマーは、ヒアルロ
ン酸と様々な割合で混合し、100%ヒアルロン酸ゲルと比較した場合に、減少し
た吸収速度および増加した力学的特性(強度、剛性)を示すようなフィルムを調製
することができる。同様に、糸モノマーは、エラスチン、コラーゲン、またはフ
ィブリノーゲンと混合することができ、かつフィルムを形成することができる。
【0086】 下記実施例は、本発明を例証することを意図するものであって、限定するため
のものではない。
【0087】実施例1:カゼインプロモーターを使用する糸タンパク質発現ベクターの構築 下記実施例において、構築物のデザインは、ヤギβ-カゼインプロモーター(Eb
ertら、Bio/Technology、12:699〜701(1993))、それに続く発現のためのそれ自
身のシグナル配列、それに続く糸クローンを含む1.5kbの挿入物(Arcidiaconoら
、前掲、並びにXuおよびLewis、Proc. Natl. Acad. Sci.、87:7120〜7124(1990)
)を、カゼイン遺伝子の5'末端および3'末端と共にインフレームで含む。この構
築物の概略図は図1Aに示す。
【0088】 糸をコードする核酸分子(例えば、糸もしくはフィブロイン遺伝子、またはそ
れらの断片)は、カゼインプロモーターに融合され、かつ糸タンパク質の分泌が
、プロモーターが由来している遺伝子に由来した、または発現される糸核酸分子
に由来したシグナル配列により起動される。終結配列は、糸遺伝子それ自身に由
来するか、またはプロモーター遺伝子に由来することができる。更に、ハイブリ
ッド遺伝子は、発現レベルを増加するために作成することができる。この目的の
ために、糸またはフィブロイン遺伝子(またはそれらの断片)を、ヤギβ-カゼイ
ン遺伝子のエキソン2(ATGのすぐ上流)およびエキソン7(停止コドンの下流)の間
に挿入することができる(Ebertら、Bio/Technology、12:699〜701(1993))。この
構築物の反復頻度が高いという性質は、反復配列に起因した遺伝子の安定性およ
び組換えの可能性に関する懸念を生じるので、これらはカゼイン遺伝子由来のイ
ントロン(イントロン3から7)の挿入により分断することができる。最終構築物の
サイズが大きくまたはプラスミドのバックボーンが大腸菌宿主におけるその増幅
に必要な配列を含むようないずれか公知の細菌ベクター(好ましくは大きいDNAサ
イズを容認できるもの)からなることから、ベクターの構築は、コスミドベクタ
ー(supercos)において行うことができる(Sambrookら、前掲)。
【0089】実施例2:乳漿酸性タンパク質(WAP)プロモーターを用いる糸タンパク質発現ベク ターの構築 本実施例では、WAP遺伝子プロモーター、そのシグナル配列、しおり糸をコー
ドする1.5kb cDNA(Arcidiaconoら、前掲)、それに続くWAP遺伝子の3'末端で構成
されたハイブリッド遺伝子の作成を開示する(Velanderら、Proc. Natl. Acad. S
ci. U.S.A.、89:12003〜12007(1992))。その構築の詳細は、下記に説明しかつ図
1Bに示す。
【0090】 乳漿酸性タンパク質(WAP)は、齧歯類の主要乳漿タンパク質であり、これは、
妊娠後期および授乳期に専ら乳腺において高レベルで発現される(Hobbesら、J.
Biol. Chem.、257:3598〜3605(1982))。ゲノム海生(marine)WAP遺伝子は、5'に
隣接するプロモーター配列の2.6K.P.(キロベース対)、コード配列の3.0K.P.(エ
キソンおよびイントロン)、および3'に隣接するDNAの16K.P.を含む(図1A参照)(V
elanderら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、89:12003〜12007(1992);Velande
rら、Ann. N. Y. Acad Sci.、665:391〜403(1992))。
【0091】 一例において、WAP遺伝子プロモーターおよびしおり糸をコードするcDNAから
構成されたハイブリッド遺伝子を構築することができる。このハイブリッドのし
おり糸をコードする遺伝子は、対象となる遺伝子または核酸分子(この場合、し
おり糸をコードするcDNA)を、5'末端の海生WAPプロモーターおよび5'配列(ヌク
レオチド-949位から+33位)と3'末端のWAP 3'配列(843bp;エキソン3の一部、最
後の30塩基およびイントロンCの全て、エキソン4、および3'UTRの70bp)の間に挿
入することにより作成する(Campbellら、Nucleic Acids Res.、12:8685〜8697(1
984))。この例において、シグナル配列は天然の糸遺伝子に由来している。同じ
く、5'末端に追加の56bpを含むことにより(-949位から+89位)、WAP遺伝子シグナ
ル配列も使用することができる。
【0092】 別の例において、ハイブリッド遺伝子を、5'非翻訳領域の一部をコードするヌ
クレオチド配列および海生WAP遺伝子由来の19個のアミノ酸シグナル配列(ヌクレ
オチド+1位から+90位)を挿入し(Hennighausenら、Nucl. Acids Res.、10:3733〜
3744(1982))、およびKpnI制限エンドヌクレアーゼ認識部位に隣接しているシグ
ナル配列をコードする90bp(塩基対)配列を含む5'プライマーを用い1.5kb(キロベ
ース)の糸遺伝子(NsDS-1;Arcidiaconoら、前掲)を増幅することにより作成する
。この増幅は、正確なリーディングフレーム、および遺伝子の3'末端にKpnI制限
エンドヌクレアーゼ認識部位を作成する3'プライマーが維持されるように行われ
ることが好ましい。次にこのPCR産物は、WAPの最初のエキソンのKpnI部位に挿入
される。このハイブリッド遺伝子は、EcoRI制限エンドヌクレアーゼによる消化
によりベクターを切断し(図1B参照)、かつ微量注入法のために精製することがで
きる。
【0093】実施例3:ウロプラキンIIプロモーターを使用する糸タンパク質発現ベクターの
構築 これらの実験において、ウロプラキンIIプロモーター(Linら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A.、92:679〜683(1995);Sun, T.、国際公開公報第96/39494号)を
使用し、トランスジェニック動物の尿路上皮におけるフィブロインまたは糸遺伝
子の発現を誘導する。フィブロインまたは糸遺伝子は、マウスのウロプラキンII
(UPII)遺伝子の5'に隣接する配列(3.6kb)の下流に挿入する(Linら、Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A.、92:679〜683(1995))。マウスのプロタミン-1(Mp-1)遺伝子
のエキソン1および全てのイントロン1およびエキソン2を含む配列(Peschonら、P
roc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、84:5416(1987))を、遺伝子の3'末端に配置し、
エキソン/イントロンスプライシング部位およびポリアデニル化シグナルが提供
される。更にフィブロインまたは糸をコードする遺伝子、もしくはそれらの断片
(成熟タンパク質のみ)を、エキソン3のアミノ酸59へインフレームで挿入するこ
とにより、ウロプラキンII遺伝子のシグナル配列も使用することができる。この
構築物の概略を図1Cに示す。
【0094】実施例4:DNA混成(shuffling) 糸をコードする遺伝子カセットを作成する別法は、DNA混成である。DNA混成は
、関連遺伝子のプールのランダム断片化、それに続くこれらの断片のプライマー
を使用しないPCRによる再集成により行われる、組換えおよび変異誘発の方法で
ある(Stemmer, W. P.、Nature、370:389〜391(1994);Stemmer, W. P.、Proc. N
atl. Acad. Sci. U.S.A.、91:10747〜10751(1994))。DNA混成の目的は、どの遺
伝子産物が律速しているかを最初に決定せずに、遺伝子の機能を最適化すること
である。遺伝子それ自身を、「混成」するか、または異なる種(すなわち、スパ
イドロイン1および2並びにADF 1−4)から形成することができる。更に、ひとつ
の種内の異なる反復配列(例えば、ADF 3由来のGGAGQGGY(配列番号:32))を、「
混成」し(例えばADF 1、2、および4由来の反復配列と共に)、かつ発現し、どの
組合せが好ましい特性を生じたかを決定することができる。点突然変異誘発に加
え、ポリヌクレオチドの欠失、挿入および転座、更には組込みおよび切出しなど
の、多種態様な変異メカニズムを用い、多様性が形成される。従って一旦形成さ
れた場合には、この糸をコードする核酸分子を、乳汁または尿中に分泌するため
の発現カセットへと挿入し、かつ哺乳類細胞の形質転換に使用することができる
【0095】実施例5:2種の遺伝子を発現する構築物 2種の遺伝子を発現するために(例えば、しおり糸はADF3および4の比からなる)
、いずれか2種の個別の構築物を作成するか、もしくは介在リボソーム侵入部位(
intervening ribosomal entry site:IRES)の挿入により両方の遺伝子を同じ発
現カセットへクローニングすることができる(Jangら、J. Virol.、62:2636〜264
3(1988))。両方の遺伝子を同じ発現カセットにクローニングする利点は、トラン
スジェニック動物の作出にただひとつの構築物が必要とされる点である。
【0096】実施例6:キメラまたはハイブリッド糸の合成 架橋性、安定性、または弾性を増大することを可能にするような、コラーゲン
またはフィブリンの1個以上のドメインとインフレームに糸(結晶ドメインまたは
非結晶ドメインのいずれかを含む)の融合体を含むキメラ分子を合成する。この
ようなキメラは、外科用生体材料として特に有用である。
【0097】実施例7:乳腺上皮または尿路上皮細胞株における糸の生成 本発明の合成された糸をコードする核酸分子は、相同な生物学的に関係のある
細胞培養系において作成する。従って合成遺伝子の遺伝的安定性、分泌能、およ
び生成された糸の属性は、トランスジェニック動物試験を開始する前に、非常に
効果的に評価することができる。
【0098】 乳腺上皮細胞および尿生成細胞株は、常法に従いそれらの各々のプラスミドに
よりトランスフェクションする(例えば、発現構築物を含む乳汁特異性プロモー
ターを、乳腺上皮細胞へトランスフェクションする。)(例えばAusubelら、前掲
参照)。ある実施例において、生成されたクモの糸の分泌を明らかにするために
、培養培地を、安定した細胞株から収集し(乳腺上皮細胞について分化の24〜96
時間後)、かつ抗クモの糸抗体(Monsanto社(セントルイス、MO)から市販)または
カイコガ(Bombyx mori)(カイコ)において非結晶ドメインと交互の結晶形成ドメ
インである配列番号:25、26、32、もしくはGAGAGS(配列番号:33)と相同な配列
を有するペプチドに対して生じた抗体を用い、ウェスタンブロット分析のための
SDS-PAGEにより分解した。
【0099】実施例8:乳汁または尿中に糸を発現しているトランスジェニック動物の作出 形質導入のいくつかの方法において、導入遺伝子は、受精した卵母細胞の前核
に導入される。マウスのような一部の動物について、受精は、インビボで行い、
かつ受精卵は手術により採取する。別の動物において、卵は生体、または新に殺
した(例えば屠殺)動物から取り出し、インビトロで受精する。導入遺伝子は通常
、微量注入法により導入する(Ogataら、米国特許第4,873,292号)。微量注入した
接合子は、適当な雌に移し、導入遺伝子が組込まれた発生段階に応じて、トラン
スジェニックまたはキメラ動物の誕生をもたらす。キメラ動物は、真の生殖系列
のトランスジェニック動物を生じるよう繁殖することができる。
【0100】 あるいは、導入遺伝子は、胚性幹細胞(ES細胞)へ導入することができる。導入
遺伝子は、このような細胞へ、リポフェクション法、電気穿孔法、微量注入法、
または細胞のトランスフェクションに使用される当業者に公知のいずれか他の技
術により、導入することができる。形質転換された細胞は、それらの起源となる
ような動物由来の胚盤胞と一緒にする。これらの細胞は、胚をコロニー化し、か
つ一部の胚については、これらの細胞は、得られるキメラ動物の生殖系列を形成
する(Jaenisch, R.、Science、240:1468〜1474(1988))。あるいは、操作したES
細胞は、脱核された受精された卵母細胞への移植用の核の給源として使用するこ
とができ、従ってトランスジェニック動物を生じる。
【0101】 乳汁中への糸タンパク質の生成 ある実施例において、クモの糸遺伝子は、カゼイン遺伝子プロモーターを含む
発現ベクターへサブクローニングされ、その結果、クモの糸遺伝子の発現がカゼ
イン遺伝子プロモーターにより制御される。このような発現ベクターのひとつは
、Rosen, J. M.(米国特許第5,304,489号)並びにMeadeおよびLonberg(米国特許第
4,873,316号)に開示されたベクターを基にしたカゼイン発現ベクターである。
【0102】 別の実施例において、WAP/糸遺伝子ハイブリッド断片(実施例2に説明したEcoR
I断片)を、精製し、受精したマウス卵に微量注入し、その後これを養母へ移植し
た。WAP/糸遺伝子の存在を、当技術分野において周知の方法に従い、尾部DNA(尾
組織から単離されたDNA)のサザンブロット分析により確定した。次に陽性始原動
物を、戻し交配し、半接合体の動物を作出し、これを導入遺伝子発現の試験に使
用した。
【0103】 尿中の糸タンパク質の生成 例えばクモの糸遺伝子を、発現ベクターにサブクローニングし、クモの糸遺伝
子をウロプラキンプロモーターの転写制御下においた(Linら、Proc. Natl. Acad
. Sci. U.S.A.、92:679〜683(1995)に記されている)。
【0104】 尿は、ほとんどの天然の構造の糸の形成に影響を及ぼし得る特定の成分の組込
みを可能にするように、そのpHおよび塩組成を変更することができるという更な
る利点を有する。
【0105】実施例9:乳汁および尿の両方に糸を生成する「二重トランスジェニック」動物
の作出 糸タンパク質(例えば、クモの糸)をその尿およびその乳汁の両方に生成するト
ランスジェニック動物を作出することができる。このような動物の構築のひとつ
の方法は、2種の構築物で動物の胚的細胞を形質転換することであり;ひとつの
構築物は、糸をコードする核酸分子の発現が、乳汁産生細胞からの糸の発現およ
び分泌が可能なプロモーターにより指示され;および、第二の構築物は、糸をコ
ードする核酸分子の発現が、尿産生細胞からの糸の発現および分泌が可能なプロ
モーターにより指示される。この方法において、二重に形質転換された細胞を使
用し、トランスジェニック動物を作出する。
【0106】 こうして、哺乳類(例えば、反芻動物)の接合子を、2種の核酸断片で微量注入(
または同時微量注入)し;ひとつは、乳汁プロモーターの制御下で糸タンパク質
を発現し、かつひとつは、尿特異的プロモーターの影響下で糸タンパク質を発現
する。作出されたトランスジェニック動物は、その乳汁およびその尿の両方に糸
を分泌/生成するであろう。これは、トランスジェニック動物ユニット1匹あた
りで生成される糸の総生産量を増加すると思われる。
【0107】 その乳汁およびその尿の両方への糸の生成が可能な動物を作出する第二の方法
は、乳汁生成細胞中への糸の発現および分泌が可能な構築物を保持する胚性幹細
胞または体細胞、並びに尿生成細胞中への糸の発現および分泌が可能な構築物を
保持する胚性幹細胞を個別に作成することである。次に形質転換された両方の細
胞型を、核移植法を用い、キメラ動物を作出するための起源となる動物由来の胚
盤胞と一緒にする。キメラ動物は、同型接合性に繁殖させることができる。
【0108】 この種の二重発現動物は、多くの利点を有する。第一に両性の動物が、誕生か
ら継続して尿中に糸を生成し、かつ雌動物は授乳成体としてそれらの乳汁中に追
加の糸タンパク質を生成することができると考えられる。また第二に、雌動物個
体から生成される糸の量は、糸の変化の必要に応じて、増大(授乳の誘導により)
するかまたは減少(授乳を誘導しないことにより)することができる。
【0109】実施例10:2種のモノマーから糸タンパク質を同時発現および集成するトランス
ジェニック動物の作出 乳汁、尿、または両方に糸タンパク質の正確な集成体を両方必要とするような
2種のタンパク質を生成するトランスジェニック動物を作出した。例えば、ニワ
オニグモしおり糸は、ADF3および4の比からなる。このような動物を構築するひ
とつの方法は、各々2種のタンパク質の一方を発現する、2種の構築物による動物
の胚的細胞の形質転換である。これらのタンパク質は、尿もしくは乳汁、または
両方に発現することができる。
【0110】 第二の方法は、ポリシストロニックなメッセージをコードする実施例5に記し
た構築物を使用することができる。この構築物は、その産物を乳汁、尿、または
両方へ分泌することができる。一旦これら2種のタンパク質が同じ液体中に存在
するならば(すなわち、乳汁中に両方または尿中に両方)、これらは正確に集成し
かつ精製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 β-カゼインプロモーターおよびシグナル配列、1.5kbのNcDS-1
cDNA、およびβ-カゼイン由来の3'UTRを含む、ヤギβ-カゼイン/NcDS-1構築物
の概略図である。
【図1B】 WAP遺伝子プロモーター、WAPシグナル配列、しおり糸(NcDS-1)
をコードする1.5kb cDNA、およびWAP遺伝子の3'末端を含む、乳漿酸性タンパク
質(WAP)/NcDS-1構築物の概略図である。
【図1C】 ウロプラキンII遺伝子由来のプロモーターおよびシグナル配列
、NcDS-1 cDNA挿入物、およびマウスのプロタミン-1(Mp-1)遺伝子由来の3'UTR領
域を含む、ウロプラキンII/NcDS-1構築物の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C058 AA12 AA14 AA28 BB07 JJ03 JJ04 JJ05 JJ21 4C081 AA12 AB18 AB19 AC02 BA16 CD081 CD111 CD121 CE01 DA02 DA04

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クモの糸を含む外科用縫合糸。
  2. 【請求項2】 クモの糸モノマーの溶液から紡糸されたクモの糸の繊維また
    はフィラメントを含む、請求項1記載の縫合糸。
  3. 【請求項3】 縫合糸の唯一の構造要素がクモの糸である、請求項1記載の
    縫合糸。
  4. 【請求項4】 非クモの糸の構造要素を含む複合体である、請求項1記載の
    縫合糸。
  5. 【請求項5】 ヒトの外科用途のために十分に無菌である、請求項1記載の
    縫合糸。
  6. 【請求項6】 クモの糸モノマーが組換え体である、請求項1記載の縫合糸
  7. 【請求項7】 クモの糸モノマーが、トランスジェニック動物の組織または
    体液中に生成される、請求項6記載の縫合糸。
  8. 【請求項8】 クモの糸が、トランスジェニック哺乳類の乳汁または尿中に
    生成される、請求項7記載の縫合糸。
  9. 【請求項9】 クモの糸が、クモの糸をコードする核酸をトランスフェクシ
    ョンされた真核生物培養細胞により生成される、請求項6記載の縫合糸。
  10. 【請求項10】 クモの糸が、ヒト患者生体において切断可能である遺伝子
    操作部位を含む、請求項6記載の縫合糸。
  11. 【請求項11】 前記部位が、患者のタンパク質分解酵素により認識されか
    つ切断される、請求項10記載の縫合糸。
  12. 【請求項12】 複数のモノフィラメントを含む、請求項1記載の縫合糸。
  13. 【請求項13】 複数のモノフィラメントが、共に編組または加撚されてい
    る、請求項12記載の縫合糸。
  14. 【請求項14】 治療物質を含む請求項1記載の縫合糸。
  15. 【請求項15】 治療物質が、抗菌物質である、請求項14記載の縫合糸。
  16. 【請求項16】 マルチフィラメントの性質により生じる縫合糸内の間隙が
    、生体適合性物質で充填される、請求項12記載の縫合糸。
  17. 【請求項17】 生体適合性物質が、熱可塑性エラストマーである、請求項
    16記載の縫合糸。
  18. 【請求項18】 組換えクモの糸モノマーを含む、ヒト医療用途のための固
    形フィルムまたはシーラント。
  19. 【請求項19】 生体適合性ポリマーをさらに含む、請求項18記載のフィル
    ム。
  20. 【請求項20】 前記ポリマーがヒアルロン酸、エラスチン、またはコラー
    ゲンである、請求項19記載のフィルム。
  21. 【請求項21】 前記ポリマーがポリエステルである、請求項19記載のフィ
    ルム。
  22. 【請求項22】 フィルムが、癒着を防ぐために手術における使用に適合さ
    れている、請求項18記載のフィルム。
  23. 【請求項23】 組換えクモの糸の繊維、モノマー、またはそれらの組合せ
    を含む、固形外科用包帯。
  24. 【請求項24】 クモの糸モノマーを含む、ヒトの治療的用途のための生体
    適合性ゲル。
  25. 【請求項25】 ヒアルロン酸、エラスチン、またはコラーゲンをさらに含
    む、請求項24記載のゲル。
  26. 【請求項26】 エラスチンを含む、請求項4記載の縫合糸。
  27. 【請求項27】 コラーゲンを含む、請求項4記載の縫合糸。
  28. 【請求項28】 全てのモノフィラメントが同じクモの糸である、請求項13
    記載の縫合糸。
  29. 【請求項29】 モノフィラメントの一部が、第一のクモの糸で構成され、
    かつモノフィラメントの一部が、第二の、異なるクモの糸、または非クモの糸組
    成物のいずれかで構成される、請求項13記載の縫合糸。
  30. 【請求項30】 非クモの糸組成物が、エラスチンまたはコラーゲンである
    、請求項29記載の縫合糸。
  31. 【請求項31】 抗菌物質をさらに含む、請求項18記載のフィルム。
  32. 【請求項32】 フィルムが、ヒト患者生体において使用される場合に、抗
    菌物質を放出する、請求項31記載のフィルム。
  33. 【請求項33】 クモの糸の複数の繊維および生体適合性ポリマーの繊維を
    含む、合成靱帯または腱。
  34. 【請求項34】 ポリマーが、コラーゲンまたはエラスチンである、請求項
    33記載の合成靱帯または腱。
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