JP2003520594A - 精子特異的タンパク質 - Google Patents

精子特異的タンパク質

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Abstract

(57)【要約】 本発明は精子特異的表面タンパク質、それらのタンパク質をコードする核酸配列及びそれらのタンパク質に対する抗体に関する。該精子特異的タンパク質又は該タンパク質の阻害剤を含む組成物は避妊用途に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、2-Dゲル解析を用いて単離される精子特異的タンパク質と該単離タ
ンパク質のマイクロシーケンシングに関する。これらのタンパク質は、避妊組成
物(避妊ワクチン組成物など)用の卓越した候補物質である。
【0002】 発明の背景 改良避妊法の開発にはかなり継続的な関心が向けられている。広く普及してい
る一技術に殺精子剤の使用、特に子宮または卵子への精子の侵入を妨げ又は精子
の活性を阻害して、受精を不可能にするような化学的障害の使用がある。最も広
く使用されている殺精子剤には洗剤のノノキシノール9があるが、種々の報告に
よればこの洗浄性殺精子剤を使用する女性では泌尿生殖器感染症や頸膣炎の発病
率が高まるようである。McGroarty et al, Journal of Urology, 152(3): 831-8
33(1994).
【0003】 専門家は、安全である可能性が高い有効成分として化学洗剤の代りに単クロー
ン抗体を局所用途たとえば局所用殺精子剤などに使用することを提案してきた。
たとえばCone et al, Am. J. Reprod. Immunol., 32:114-131 (1994). 種々の研
究報告の結論によれば、ヒト単クローン抗体は望ましくない免疫反応の抑制又は
一掃だけでなく、安全な殺精子剤の提供にもつながるはずである、なぜならばそ
れらの用量又は使用期間は容易に調節できるし、全身的な曝露は局所使用により
緩和され、また単クローン抗体は安全性と有効性を考慮して選択することができ
るからである。
【0004】 よって、局所用殺精子剤として使用される精子活性単クローン抗体は、洗浄性
殺精子剤に付随するような副作用のない望ましい避妊効果を生み出すであろう。
一般にAlexander, Scientific American, September: 136-141 (1995)を参照。
そのため、単クローン抗体を使用する安全で効果的な殺精子剤の提供が引き続き
この技術分野の目標となっている。
【0005】 世界中の多数の研究者が精子抗原系の避妊ワクチンについて開発の可能性を調
べている。たとえばAitken et al, British Medical Journal, 49:88-99 (1993)
; Freemerman et al, Biol. Reprod., 50: 615-621 (1994); 及びHerr, Fertili
ty Control, pp. 431-452 (Second Edition 1994)を参照。これとの関連で、女
性用避妊ワクチンとしてのヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)についての研究が続
いている。Talwar, Current Opinion in Immunology, 6:698-704 (1994)及び欧
州特許第86304274.3号。この潜在ワクチンは臨床試験が進んでいるものの、使用
hCG免疫原は妊娠中絶薬として機能する。すなわち、このワクチンの接種によっ
て誘発される免疫反応は初期胚又は胎児の流産を誘発する。これは避妊薬として
は多くの個人には許容しがたいであろう。
【0006】 代替法として、多様な精子表面抗原が霊長類及びげっ歯類モデルによる研究に
使用されてきた。そこでは実験動物への精子表面抗原たとえばLDH-C4 [O’Hern
et al, Biol. Reprod., 52:331-339(1995)]、PH-20 [Primakoff et al, Nature,
335:543, 546(1988)]、RSA-1 [O’Rand et al, J. Reprod. Immunol., 25:89-1
02 (1993)]及びファーチリン[Romarao et al, Mol. Reprod. Dev., 43:70-75(19
95)]の接種により受精率の低下という結果が得られた。あいにく霊長類では精子
抗原で観測された最高避妊率は約75%である(O’Hern et al, supra)。よって、
これまでのところ経口避妊に匹敵する有効率の避妊ワクチンとして機能するよう
なヒト精子抗原はまだ同定されていない。したがって、経口避妊薬並みの高避妊
率を示す安全で効果的な避妊ワクチンを提供することが引き続き当業者の目標と
なっている。
【0007】 また、避妊ワクチンの投与対象者は血清抗体の定期検査により「安全」を確認
する必要があろうから、ワクチン投与対象者の抗体濃度を測定する検査では精子
特異抗原を標的としての使用することが望ましい。
【0008】 妊娠関連のホルモン(hCGなど)を検出するための「医師の処方がいらない」検
診キットは、潜在的に決まりの悪い、不便な、しかも費用のかさむ外来検診に取
って代わるものとして、またはそのための第一歩として、市場で広範な成功を収
めてきた。近年、ユーザーの精液中の精子の有無、さらには濃度を調べるための
検査が注目されるようになった。不妊治療の見地やレイプの場合の臨床診断の見
地からも、又は輸精管切除術の有無や効果を調べるためにも、家庭で安全に使用
できる信頼性の高い簡便な検査キットへの要望がますます増大している。本発明
によれば、本書で開示される任意の精子抗原に対する単クローン抗体を使用する
検査キットもまた本発明の範囲に包含される。
【0009】 精子特異抗原の精製は効果的なワクチンの調製への第一歩である。精製抗原は
製薬上許容しうる担体と混ぜて避妊ワクチンの接種を望む患者に投与することが
できる。ワクチン接種を繰り返せば精子に対する抗体が形成され、精子との結合
能が高まる結果となる。有効レベルの抗体形成をモニターする意味で、慣用の診
断法により、精製抗原を試験標準試薬として使用して患者体内の抗体の有無及び
存在量を調べてもよい。
【0010】 用語の意味 本書で使用する用語の意味は次のとおりとする。 「核酸」、「DNA」及び類似の用語は核酸類縁物質、すなわちリン酸ジエステ
ル結合以外の骨格をもつ類縁物質をも含む。たとえば、リン酸ジエステル結合で
はなくペプチド結合を骨格にもつ技術上周知のいわゆる「ペプチド核酸」は本発
明の範囲に包含されるものとする。
【0011】 「ペプチド」は、天然、合成(非天然)を問わず3個以上のアミノ酸からなる配
列を包含する。ペプチドミメチックスは次の修飾を1以上有するペプチドを含む
: 1. 1以上のペプチジル-C(O)NR結合が非ペプチジル結合たとえば-CH2-カルバ
メート結合(-CH2OC(O)NR-)、ホスホネート結合、-CH2-スルホンアミド結合(-CH2 -S(O)2NR-)、尿素結合(-NHC(O)NH-)、-CH2-第二級アミン結合で、又はアルキル
化ペプチジル結合(-C(O)NR-)で置換されているペプチド(RはC1-C4アルキル); 2. N末端が-NRR1基へと、-NRC(O)R基へと、-NRC(O)OR基へと、-NRS(O)2R基へ
と、-NHC(O)NHR基へと誘導体化されているペプチド(RとR1は水素又はC1-C4アル
キルである。ただし、両方が水素であることはない); 3. C末端が-C(O)R2へと誘導体化されているペプチド(R2はC1-C4アルコキシ及
び-NR3R4からなる群より選択されるが、その場合R3とR4は独立に水素とC1-C4
ルキルからなる群より選択される)。
【0012】 ペプチド中の天然アミノ酸残基を表わす記号はIUPAC-IUB生化学命名委員会の
勧告に沿って次のとおりとする: フェニルアラニンはPhe又はF; ロイシンはLeu
又はL; イソロイシンはIle又はI; メチオニンはMet又はM; ノルロイシンはNle;
バリンはVat又はV; セリンはSer又はS; プロリンはPro又はP; トレオニンはThr
又はT; アラニンはAla又はA; チロシンはTyr又はY; ヒスチジンはHis又はH; グ
ルタミンはGln又はQ; アスパラギンはAsn又はN; リシンはLys又はK; アスパラギ
ン酸はAsp又はD; グルタミン酸はGlu又はE; システインはCys又はC; トリプトフ
ァンはTrp又はW; アルギニンはArg又はR; グリシンはGly又はG、またXは任意の
アミノ酸。天然アミノ酸には他に4-ヒドロキシプロリン、5-ヒドロキシリシンな
どがある。
【0013】 合成または非天然アミノ酸は生体中に天然には存在しないが、それにもかかわ
らず本書で開示するペプチド中に組み込むことができるアミノ酸をいう。これに
よって得られる「合成ペプチド」は20種の遺伝子的にコード化された天然アミノ
酸以外のアミノ酸を、該ペプチドの1つ、2つ又は3つ以上の位置に含む。たとえ
ばナフチルアラニンをトリプトファンの代用にすれば、合成が容易になる。ペプ
チド中での置換が可能な他の合成アミノ酸はL-ヒドロキシプロピ-ル、L-3,4-ジ
ヒドロキシフェニルアラニル、α-アミノ酸 (L-α-ヒドロキシリシル、D-α-メ
チルアラニル、L-α-メチルアラニルなど)、β-アミノ酸、及びイソキノリルな
どである。D-アミノ酸と非天然の合成アミノ酸もまたペプチドに組み込むことが
できる。誘導体には他に、20種の遺伝子コード化アミノ酸(又は任意のL-又はD-
アミノ酸)の天然型側鎖を他側鎖で置換したものもある。
【0014】 「同類アミノ酸置換」は次の5群のうちの1群内の交換をいう: I. 小さな脂肪族非極性又は弱極性残基: Ala, Ser, Thr, Pro, Gly; II. 極性負荷電残基及びそのアミド: Asp, Asn, Glu, Gln; III . 極性正荷電残基: His, Arg, Lys; IV. 大きな脂肪族非極性残基: Met, Leu, Lle, Val, Cys; V. 大きな芳香族残基: Phe, Tyr, Trp.
【0015】 用語「精製(された)」及び類似の用語は、本来の又は天然の環境においてある
分子又は化合物に通常付随するような汚染物質を実質的に含まない形での該分子
又化合物の単離に関連する。 用語「C7/8ポリペプチド」及び類似の用語は配列番号2を含むポリペプチド及
びその生物活性断片をいう。 用語「SAMP32ポリペプチド」及び類似の用語は配列番号9を含むポリペプチド
及びその生物活性断片をいう。 用語「C58ポリペプチド」及び類似の用語は配列番号16を含むポリペプチド及
びその生物活性断片をいう。
【0016】 C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドの「生物活性断片」は、天然ポリペプチド
の1以上の天然リガンドと特異的に結合することができる、それらのポリペプチ
ドの天然又は合成部分をいう。 「作用可能に連結された」は、構成要素がそれらの通常の機能を果たすように
編成されている並列をいう。したがって、コード配列に対して作用可能に連結さ
れた調節配列又はプロモーターはコード配列を発現させることができる。 「製薬上許容しうる担体」は任意の標準製薬担体たとえばリン酸緩衝生理食塩
水、水及び水中油型又は油中水型などのエマルション、それに各種湿潤剤を包含
する。
【0017】 発明の要約 本発明は、新規の精巣及び精子表面で発現する精子特異的タンパク質の単離と
特性解明に関する。特に本発明は3種類の精子特異的タンパク質、C7/8、SAMP32
及びC58について説明する。これらのタンパク質及びその断片は避妊ワクチン組
成物に使用される。本願はまた、これらのタンパク質に対する抗体に関する。
【0018】 発明の詳細な説明 本発明は精子特異的タンパク質を基礎にした治療診断方法及び組成物、それに
それらのタンパク質をコードする核酸に関する。特に本発明は3種類の新規タン
パク質、すなわちヒト精子細胞中で発現するC7/8、SAMP32及びC58の単離と特性
解明について説明する。C7/8、SAMP32及びC58ポリペプチド機能の拮抗薬を使用
すれば精子と卵子の結合及び融合を妨げることができるので、そうした拮抗薬は
避妊薬として使用しうる。さらにC7/8、SAMP32及びC58ポリペプチドに対する抗
体は、C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドの発現又は過剰発現を特徴とする状態
又は疾患の診断に、又はC7/8、SAMP32又はC58作動薬、拮抗薬又は阻害剤で治療
中の患者をモニターするための検査に、使用することができる。
【0019】 本発明は一実施態様において、配列番号2、配列番号9、配列番号16及び1以上
の同類アミノ酸置換を有する点で配列番号2、配列番号9又は配列番号16と異なる
アミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む精製ポリペプチドに
関する。該精製ポリペプチドはより好ましくは、20以下の同類アミノ酸置換を有
する点で、さらになお好ましくは10以下の同類アミノ酸置換を有する点で、配列
番号2、配列番号9又は配列番号16と異なるアミノ酸配列を含む。あるいは、該ポ
リペプチドは1〜5個の変異を有する点で配列番号2、配列番号9又は配列番号16と
異なるアミノ酸配列を含んでもよい。それらの変異は独立に、アミノ酸1個の欠
失、挿入又は置換から選択される。
【0020】 本発明は一実施態様において、C7/8、SAMP32又はC58と相互作用する薬物、小
分子又はタンパク質のスクリーニング方法を提供する。本発明は、C7/8、SAMP32
又はC58に結合するか又はその活性を調節するような、したがって受精能に関す
る治療診断マーカーとして有用であるような、小分子、化合物、組換えタンパク
質、ペプチド、核酸、抗体などをスクリーニングするためのin vivo、in vitro
両検査法を包含する。
【0021】 一実施態様ではC7/8ポリペプチド又はその生物活性断片を使用して、生理的条
件の下でC7/8ポリペプチドに結合するリガンドを単離する。この方法は、生理的
条件の下でC7/8ポリペプチドを化合物類の混合物と接触させる、未結合及び非特
異的結合物質を除去する、及びC7/8ポリペプチドと結合を保っている化合物を単
離する、の各ステップを含む。
【0022】 別の実施態様ではSAMP32ポリペプチド又はその生物活性断片を使用して、生理
的条件の下でSAMP32ポリペプチドに結合するリガンドを単離する。この方法は、
生理的条件の下でSAMP32ポリペプチドを化合物類の混合物と接触させる、未結合
及び非特異的結合物質を除去する、及びSAMP32ポリペプチドと結合を保っている
化合物を単離する、の各ステップを含む。
【0023】 一実施態様ではC58ポリペプチド又はその生物活性断片を使用して、生理的条
件の下でC58ポリペプチドに結合するリガンドを単離する。この方法は、生理的
条件の下でC58ポリペプチドを化合物類の混合物と接触させる、未結合及び非特
異的結合物質を除去する、及びC58ポリペプチドと結合を保っている化合物を単
離するの各ステップを含む。
【0024】 一般に、C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドは、化合物類の迅速なスクリーニ
ングを可能にするために、標準技法を用いて固形担体と結合させることになろう
。固形担体は生物化合物の固定化に使用されてきた任意の表面から選択すること
が可能であり、非限定的に例示すればポリスチレン、アガロース、シリカ又はニ
トロセルロースなどである。一実施態様では、固形物表面は官能化シリカ又はア
ガロースビーズを含む。そうした化合物のスクリーニングは技術上周知の種々の
薬剤や標準技法を用いて行うことができる。
【0025】 一実施態様では配列番号2、配列番号9、配列番号16、それに配列番号2、配列
番号9又は配列番号16ポリペプチドの抗原性断片からなる群より選択される抗原
性組成物を提供する。該組成物は製薬上許容しうる担体と混合し患者に投与して
、免疫反応を誘発させることができる。一実施態様では、配列番号2、配列番号9
、配列番号16ポリペプチド又はその断片に対する抗体を投与して受動免疫を与え
、もって避妊効果を及ぼすことができる。
【0026】 本発明は避妊に有効なワクチンを包含する。本発明の一態様では、配列番号2
、配列番号9又は配列番号16ポリペプチド、又はその抗原性断片を対象者に投与
して能動免疫反応を誘発する。該ワクチンは本発明の精子表面タンパク質機能の
一時的、可逆的な拮抗薬として作用する。そうしたワクチンは、たとえば対象者
の能動免疫に使用して精子の卵子との結合又は融合能を一時的に阻害するような
抗体反応を誘発することができよう。
【0027】 本発明の別の態様では、配列番号2、配列番号9又は配列番号16ポリペプチド、
又はその抗原性断片をワクチンとして使用して対象者を恒久的に不妊化する。そ
うしたワクチンは対象個体の精子細胞に対するT細胞性攻撃の誘発を目的に使用
することができる。T細胞特異的反応を引き起こす方法たとえば養子免疫療法な
どは技術上周知である(たとえばVaccine Design, Michael F. Powell and Mark
J. Newman Eds., Plenum Press, New York, 1995, pp. 847-867を参照)。そうし
た技法は1回のワクチン投与が望ましい動物の避妊又は不妊処置に特に有効であ
ろう。
【0028】 免疫原性ポリペプチドを有効成分として含むワクチンの調製は技術上周知であ
る(たとえばVaccine Design, Michaek F. Powell and Mark J. Newman Eds., Pl
enum Press, New York, 1995, pp. 821-902を参照)。本発明のワクチンは多価で
も一価でもよい。ワクチン導入方法には経口、膣内、皮内、筋内、腹腔内、静脈
内、皮下、鼻内、及び乱切法(皮膚の表皮層を、たとえば二股針を用いて引掻く)
又は他の任意の標準接種法があろう。配列番号2、配列番号9及び配列番号16ポリ
ペプチド抗原の免疫効力は、これらのタンパク質抗原による免疫後に実験動物の
免疫反応をモニターすることにより、又は技術上周知の免疫検定法の使用により
、決定することができる。液性(抗体)反応及び/又は細胞性免疫の生成は免疫反
応のしるしとして受け取られよう。実験動物にはマウス、ハムスター、イヌ、ネ
コ、サル、ウサギ、チンパンジー、そして最終的にはヒトが含まれよう。
【0029】 好適なワクチン製剤は溶液又は懸濁液の注射剤であるが、注射の前に溶液又は
懸濁液とするのに適した固形剤でもよい。製剤はまた乳剤でも、あるいはポリペ
プチドをリポソームに封入したものでもよい。免疫原性の有効成分は製薬上許容
しうる、また有効成分と適合しうる賦形剤としばしば混合される。好適な賦形剤
はたとえば水、生理食塩水、デキストロース、グリセリン、エタノールなど、及
びそれらの混合物である。さらにワクチン製剤には、望むなら、湿潤剤または乳
化剤、pH緩衝剤、及び/又はワクチンの効果を増進するアジュバントなどのよう
な少量の補助物質を加えてもよい。
【0030】 効果的と思われるアジュバントの非限定的な例は水酸化アルミニウム、N-アセ
チルムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチルノルムラ
ミル-L-アラニル-D-イソグルタミン、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグ
ルタミル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホ
スホリルオキシ)-エチルアミンである。アジュバントの効果は、C7/8、SAMP32又
はC58ポリペプチドエピトープを含む免疫原性ポリペプチドに対する抗体類の誘
発を測定することによって決定されようが、その抗体類はやはり種々のアジュバ
ントを含むワクチンとして同ポリペプチドを投与したことに由来する。
【0031】 ポリペプチドは中性又は塩の形でワクチンへと調製されよう。製薬上許容しう
る塩には、(ペプチドの遊離アミノ基とたとえば塩酸又は硫酸などのような無機
酸又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸などのような有機酸とによって形成
される)酸付加塩がある。遊離カルボキシル基とで形成される塩を、たとえば水
酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は第二鉄などのような
無機塩基又はイソプロピルアラニン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノ
ール、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基から誘導してもよい。 ワクチン投与を受ける対象は好ましくは哺乳動物、最も好ましくは人間である
が、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、家禽(たとえばニワトリ)、ヤギ、ネコ、イヌ、
ハムスター、マウス、ラットなどを非限定的に含む人間以外の動物もよい。
【0032】 本発明のワクチン製剤は有効免疫量の、本発明の1以上の精子表面タンパク質
を、特にC7/8、SAMP32及びC58ポリペプチドからなる群より選択されるポリペプ
チド又はその抗原性断片を、製薬上許容しうる担体と共に含む。製薬上許容しう
る担体は技術上周知であり、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水
、グリセリン、滅菌等張緩衝液、及びそれの混合液を非限定的に含む。そうした
許容しうる担体の一例は、安定化・加水分解タンパク質、ラクトースなどのよう
な1以上の分解防止剤を混ぜた生理的平衡培地である。担体は好ましくは滅菌担
体とする。製剤は投与形態に適合させるのがよい。該組成物は、もしも望ましい
なら、少量の湿潤又は乳化剤、あるいはpH緩衝剤を含んでもよい。
【0033】 一般に、これらの成分は別個に、又は単位剤型として混和して、たとえば有効
成分量を明記したアンプル又は小袋などのような密封容器入り凍結乾燥ドライパ
ウダー又は無水濃縮物として供給する。組成物を注射で投与する場合には、滅菌
希釈液アンプルを提供して投与前に成分をそれに溶かすようにすることができる
。厳密なワクチン製剤用量は投与法や投与対象の種類にもよるので、標準臨床技
法に基づく医師の判断や個別対象の事情に応じて決めるのがよい。有効免疫量は
ワクチン製剤投与の対象となる宿主に免疫反応を誘発するに足る量である。本発
明のワクチンの有効量(免疫量)はまた、動物実験系由来の用量−反応曲線から外
挿してもよい。
【0034】 組換え抗原がハプテン(すなわち対応する抗体と選択的に反応することができ
るという点で抗原性であるが免疫反応を誘発することはできないという点で免疫
原性ではない分子)である場合には、該ハプテンを担体又は免疫原性分子に共有
結合させてもよい。たとえば血清アルブミンなどのような大きなタンパク質はそ
れと結合したハプテンに免疫原性を付与することになろう。このハプテン−担体
複合体をワクチンとしての使用を目的に調製してもよい。
【0035】 こうして本発明は動物を免疫にする方法を提供するが、該免疫法は該動物に有
効免疫量の本発明ワクチンを投与することを含む。 本発明の別の実施態様は、C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドから選択される
抗原に対して形成される抗体を含む。これらの抗体は治療用又は診断用の組成物
の調製を目的に標準担体と調合し、また随意に標識することができる。C7/8、SA
MP32又はC58抗原に対して形成される抗体は避妊ワクチン接種、不妊処置、診断
的免疫検定法、受動免疫療法、及び抗イディオタイプ抗体の形成を潜在用途とす
る。
【0036】 C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドに対する抗体は技術上周知の方法を用いて
形成させてよい。そうした抗体の非限定的な例は多クローン、単クローン、キメ
ラ(すなわち「ヒト化」抗体)、単鎖(組換え)、Fabフラグメント、及びFab発現ラ
イブラリーによって生成されるフラグメントの各抗体である。これらの抗体は、
C7/8、SAMP32又はC58の発現又は過剰発現を特徴とする状態又は疾患の診断を目
的とした診断薬として、又はC7/8、SAMP32又はC58受容体の作動薬、拮抗薬又は
阻害剤による処置を受けている患者をモニターするための検査に、使用すること
ができる。診断目的に有用な抗体は前述の治療用抗体と同じ要領で調製されよう
。それらの抗体は修飾してから使用しても無修飾で使用してもよいし、またそれ
らの抗体にレポーター分子を共有又は非共有結合させて標識してもよい。
【0037】 一実施態様では、C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドに対する抗体は能動免疫
療法に使用されるが、その場合には異種生物に対して予め形成されている抗体の
投与により宿主の短期防護が実現される。本発明のワクチン組成物によって形成
される抗体はまた、抗イディオタイプ抗体の産生にも使用することができる。産
生された抗イディオタイプ抗体は、該病原性微生物の原始抗原に結合する小群の
抗体を産生することを目的に、免疫法に使用することができる(Jerne, 1974, An
n. Immunol. (Paris) 125c:373; Jerne et al., 1982, EMBO J. 1:234)。
【0038】 一実施態様では、配列番号2、配列番号9及び配列番号16からなる群より選択さ
れるタンパク質へと特異的に結合するような抗体が提供される。好ましい一実施
態様では、該抗体は単クローン抗体である。本発明によれば、C7/8、SAMP32又は
C58上に存在するエピトープに対する1以上の抗体と製薬上許容しうる担体とを含
む組成物を調製することができる。一実施態様では、該抗体は単クローン抗体で
ある。
【0039】 本発明はまた、C7/8、SAMP32又はC58遺伝子の発現を阻害する化合物又はヌク
レオチドコンストラクト(転写因子阻害物質、アンチセンス及びリボザイム分子
、又は遺伝子又は調節配列交換用コンストラクト)と同様に、抗イディオタイプ
抗体、拮抗薬及び作動薬をも包含する。本発明はまた、C7/8、SAMP32又はC58タ
ンパク質の機能を阻害する(すなわち、C7/8、SAMP32又はC58タンパク質の発現を
阻害する、又は該タンパク質の機能を妨げる)ために精子細胞と接触させるよう
にすることができる組成物を包含する。
【0040】 特に該組成物は各C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドのペプチド断片を、又は
その類縁物質であって精子細胞によって取り込まれ該天然ポリペプチドの天然リ
ガンドとの結合を競い合うような類縁物質を含んでもよい。そうした阻害ペプチ
ドは、該ペプチドの精子細胞膜への侵入を容易にするために、脂肪酸側鎖を含む
ように修飾することができる。C7/8、SAMP32又はC58機能を阻害する物質を含有
する組成物は個体の受精能の調節に使用することができるし、また一実施態様で
は該阻害物質は男性用避妊薬として機能する。一実施態様によれば、配列番号2
、配列番号9又は配列番号16の8〜15アミノ酸連続配列と同一である8〜15アミノ
酸配列と製薬上許容しうる担体とを含有する組成物が提供される。
【0041】 本発明はまた、C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチド、並びにその生物活性断片
又は誘導体をコードする核酸配列を包含する。本発明は特に、配列番号1、配列
番号8、配列番号14及び配列番号15又はその断片からなる群より選択される配列
を含む核酸配列に関する。一実施態様では、配列番号1の任意の25連続ヌクレオ
チドと同一の25連続ヌクレオチドを少なくとも含む精製核酸が提供される。別の
実施態様では、配列番号8の任意の25連続ヌクレオチドと同一の25連続ヌクレオ
チドを少なくとも含む精製核酸が提供される。
【0042】 別の実施態様では、配列番号14の任意の25連続ヌクレオチドと同一の25連続ヌ
クレオチドを少なくとも含む精製核酸が提供される。他実施態様では、核酸配列
は配列番号1、配列番号8、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される
配列の少なくとも50(連続)ヌクレオチド、100ヌクレオチド、200ヌクレオチド又
は500ヌクレオチドを含む。
【0043】 本発明はまた、配列番号1、配列番号8又は配列番号14によって表わされるヌク
レオチド配列もしくはそれらの相補配列の全部又は一部と(本書で定義する条件
下で)ハイブリダイズする核酸を包含する。ハイブリダイズする核酸のハイブリ
ダイズする部分は一般に長さが15ヌクレオチド以上(たとえば20、25、30又は50
ヌクレオチド)である。本書で開示する種類のハイブリダイズする核酸はたとえ
ばクローニングプローブ、プライマー(PCRプライマーなど)又は診断用プローブ
として使用することができる。配列番号1、配列番号8又は配列番号14もしくはそ
れらの断片からなる群より選択されるDNA配列はC7/8、SAMP32又はC58ファミリー
の各追加メンバーを検出するための、また他脊椎動物種に由来する相同遺伝子を
検出するためのプローブとして使用できるものと見込まれる。
【0044】 核酸二本鎖又はハイブリッドの安定性は、核酸二本鎖がその構成要素の一本鎖
DNAへと解離する温度である融解温度又はTmで表わされる。この融解温度は要求
されるストリンジェント条件の定義に使用される。一般に1%のミスマッチはTmの
1℃低下に相当するのでハイブリダイゼーション反応の最終洗浄温度はそれに基
づいて引き下げられる(たとえば同一性が>95%の2配列の場合、最終洗浄温度はTm
−5℃となる)。実際には、Tmの変化はミスマッチ1%当たり0.5℃〜1.5℃の範囲内
である。
【0045】 本発明は配列番号1、配列番号8、配列番号14及び配列番号15の核酸配列及び該
配列(又はその断片)とストリンジェント又は高ストリンジェント条件下でハイブ
リダイズする核酸配列に関する。本発明によれば、高ストリンジェント条件はTm
−5℃以上のハイブリダイゼーション及び洗浄条件をいう。ストリンジェント条
件は5x SSC/5x Denhardt’s溶液/1.0% SDS中での68℃でのハイブリダイゼーショ
ンと0.2x SSC/0.1% SDSによる68℃での洗浄に関連する。
【0046】 中ストリンジェント条件は5x SSC/5x Denhardt’s溶液/1.0% SDS中でのハイブ
リダイゼーションと3x SSC/0.1% SDSによる42℃での洗浄に関連する。この種の
条件に関する追加の手引きは、たとえばSambrook et al., 1998, Molecular Clo
ning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, N.Y.; Ausubel et al
. (eds.), 1995, Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Son
s, N.Y.), at Unit 2.10から容易に求められる。
【0047】 本発明の別の実施態様では、C7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドをコードする
核酸配列を発現ベクターに挿入して、これらの各タンパク質を標的細胞中で発現
させるためのトランスフェクションに使用することができる。一実施態様によれ
ば、C7/8、SAMP32又はC58もしくはそれらの断片又は誘導体をコードする核酸配
列は真核発現ベクターに挿入されるが、挿入に際しては遺伝子配列が適正な調節
配列と作動可能に連結され、もって該ペプチドが真核宿主細胞中で発現されるよ
うにする。
【0048】 好適な真核宿主細胞及びベクターは技術上周知である。特に、C7/8、SAMP32又
はC58ポリペプチドをコードする核酸配列は、リポソーム、ウィルス系ベクター
又はマイクロインジェクションなどのような導入機構を用いてin vitro又はin v
ivoで単数又は複数の細胞に導入することができよう。そこで本発明の一態様は
、C7/8、SAMP32又はC58からなる群より選択されるポリペプチドを発現するよう
な組換え遺伝子を含むトランスジェニック細胞系に関する。
【0049】 一実施態様によれば、組換えC7/8、SAMP32又はC58ポリペプチドがワクチン製
剤用に大量に生産、精製される。あるいは、本発明の組換えC7/8、SAMP32又はC5
8ポリペプチドは、たとえば体液試料中の、該抗原に対する抗体の存在を検出し
測定し、もってワクチン接種後の対象者の反応を診断及び/又はモニターするこ
とを目的とした免疫検定法に使用される。
【0050】 オステオグリシン様の精子糖タンパク質C7/8 2-D電気泳動法で分離した全精子タンパク質のウェスタンブロットをペルオキ
シダーゼ結合Con-Aと接触させることによりCon-A結合タンパク質の検出を行った
。その後、Con-AをDAB対比染色により視覚化すると、30、40、45、75及び90 kDa
で多数の陽性領域を示した。もっと重要なことに、陽性反応を示した30〜36 kDa
及び5.0〜5.0 pIの領域が明白であった。Con-Aの陽性染色は、この2-D領域がグ
リコシル化した(したがっておそらく分泌又は表面起源と見られる)タンパク質を
含んでいることを示した。
【0051】 男女各5人に由来する受精能及び不妊血清でプローブした2-D電気泳動分離精子
タンパク質のウェスタンブロットも調べた。ペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgGと
のインキュベーション及びDABによる対比染色の後で、不妊の男女に由来する種
々のタンパク質と受精能のある男女に由来するコントロール血清の対比が明らか
になった。男性の受精能血清及び不妊血清の両方で、90 kDa周辺の幅広いpI領域
、pI 5.5〜6.0の60〜90 kDa間の一連のタンパク質などのような多数の領域が高
度に免疫原性であった。同様に、女性の不妊血清も同じ領域のいくつかと他領域
を認識した。興味深いことに、34〜38 kDa及びpI 5.1周辺領域は男性血清では弱
免疫原性であると判明したが、両性いずれの受精能血清によっても認識されなか
った。この領域では前のCon-A試験結果との顕著な相関が認められたため、この
領域のタンパク質をさらに調べることにした。
【0052】 Coomassie染色2-Dゲルから、相対分子量がそれぞれ33及び35 kDa、推定pIがそ
れぞれ5.0及び5.1である2つのタンパク質スポットを切り出した。両タンパク質
スポットのトリプシン消化に由来するペプチドのマイクロシーケンシングをEdma
n分解法とタンデム質量分析によって行い、一組のペプチド配列を得た。各タン
パク質スポットに由来する多数のペプチドが両タンパク質スポットによって共有
されていることが判明した(C7のペプチド4、6及び7はそれぞれC8のペプチド7、9
及び10に対応する)。
【0053】 これらのタンパク質断片を非冗長及びEST(発現配列タグ) NCBIデータベースと
の対照により解析すると、両タンパク質に共通する3種すべてのペプチドとかな
りマッチする若干のESTsが判明した(登録番号: AA913806、AI33709、AI123225、
AA432186、AI027115、AA782995、AA431165)。さらに、3種のペプチドはこれらの
ESTs中の同じオープンリーディングフレーム(ORF)に収まっていることが判明し
たが、それはこれらのペプチドがいずれも何らかの共通タンパク質の一部分であ
るという仮説の裏付けになる。これらのESTsについてさらにデータベースを調べ
ても、いかなる既知タンパク質ともマッチしないことが判明した。そのため、こ
のタンパク質は新しく独特であり、したがって我々の研究所には重要であるとみ
なされた。
【0054】 ESTの両末端にオリゴヌクレオチドを作り込み、逆転写ヒト精巣cDNAを用いてP
CRを行った。適正電気泳動度のPCR産物を回収し配列を決定してから32Pで標識し
、ヒト精巣λDR2 cDNAライブラリーのプローブとして使用した。いくつかの陽性
ファージ分離株を精製した後、最大クローンを両方向に配列解析した。該cDNAラ
イブラリークローンの核酸配列(配列番号1)は長さが1337 bpであり、2つの開始
コドンを、いずれも同じ連続ORFのbp 41とbp 59の開始部に収めていた。
【0055】 該ORFはbp 59のメチオニンを開始コドンとして用いて、長さ350アミノ酸のタ
ンパク質(配列番号2)を予言しているが、その分子量はシグナルペプチドが切断
された状態では37.0 kDa、この翻訳後修飾がない状態では39.6 kDaである。これ
らの予言はどちらも、このタンパク質スポットの由来元である2-Dゲル領域とう
まく合致する。開裂及び非開裂タンパク質ではそれぞれ5.4又は5.44のpIもまた
予言されたが、それもまた2-Dゲル系の本来の位置とうまく合致する。
【0056】 予言されたタンパク質をさらに調べると、アミノ酸134から始まるコンセンサ
スN-グリコシル化部位、NVSI (Miletich and Broze, 1990)が明らかとなった。
グリコシル化部位の存在は適正なタンパク質スポットがクローニングされたとの
前提に信憑性を与える。多数のcAMP (アミノ酸119及び347から開始。Glass et a
l., 1983)、PKC (アミノ酸66、129、182、296、339及び346から開始。Woodget e
t al., 1986)及びカゼインキナーゼ2 (アミノ酸32、85、91、188、194、200及び
212から開始。Pinna, 1990)コンセンサスリン酸化部位も見つかった。最後に、E
STの同定に使用された元の3種のペプチドの配列はアミノ酸位置264〜274、310〜
317及び328〜335から始まる形で存在していた。元のEST翻訳ORFには含まれてい
ないアミノ酸179〜186では別のペプチドマイクロ配列が発見されたが、これも適
正なcDNAクローンが2-Dタンパク質スポットに割り当てられたとの結論を補強し
た。
【0057】 全長ORFをデータベース検索により解析した。Blastを利用すると、マウスオス
テオグリシン(Ujita et al., 1995)の一部分との29%の同一性と59%の相同性が確
認された。オステオグリシンは糖タンパク質であり(Bentz et al., 1990)、その
単離元は本来、ウシ骨芽細胞(Madisen et al., 1990)、ヒト骨がん源及び血管平
滑筋細胞(Shanahan et al., 1997)であった。オステオグリシンは、多数の細胞
外基質プロテオグリカンを含む、より大きなタンパク質(ロイシンリッチリピー
ト)ファミリーに属する(Kajava, 1998; Matsushima et al., 2000)。
【0058】 マウスオステオグリシン(Ujita et al., 1995)の残基67〜134にまたがる68ア
ミノ酸領域とC7/8のC末端領域のアミノ酸272〜337との間ではアラインメントが
得られる。この領域で注目に値するのは、オステオグリシンの細胞外基質成分と
の共有結合に関連する保存セリン残基である。同様に、ProDomoアルゴリズム(Al
tshul et al., 1990)により、C7/8のアミノ酸154〜206の範囲にわたりCDC24グア
ニンヌクレオチド放出因子ファミリーとの50%相同性が、またアミノ酸274〜304
ではタイプII膜結合タンパク質との50%相同性が、それぞれ確認された。
【0059】 該遺伝子転写産物の組織特異性を確認するために、多様なヒト組織に由来する
mRNAを収めたノーザンブロットを放射性標識C7/8 cDNAでプローブした(図1)。約
1.5 Kbの際立った単一バンドが精巣mRNAを含むレーンでだけ観察された。オート
ラジオグラム中のmRNA転写産物のサイズもまた、全長に近いcDNAが単離されたこ
とはほぼ確実であることを立証した。放射性標識β-アクチンによるブロットの
プロービング(図示せず)も、膜上のmRNAに関する品質コントロールとして実行し
た。
【0060】 精子特異的オステオグリシン様cDNAによるこれらのプロービング結果とは反対
に、ノーザンブロットに対して適用されたウシオステオグリシンcDNAはサイズが
1.9及び2.4 Kbの2つの転写産物を示し、またウシ系統の細胞に限定される(Madis
en et al., 1990)。次いでもっと多数の組織を調べるため、76種からなる一群の
ヒト組織mRNAsをドットブロット上で放射性標識C7/8へとハイブリダイズした。
その結果から、C7/8は確かに成人精巣中で転写されていることが確認された。
【0061】 ヒトC7/8 (h-C7/8)の定位と特性解明を目的に、単一特異的多クローン血清を
免疫研究用に生成した。pET28プラスミド(Novagen)を用いてh-C7/8 ORFをE. col
i中で発現させた。ORFを囲い込むオリゴヌクレオチドを設計し、実施例1の要領
でクローニングを行った。プラスミドを収めたE. coliの1 mM IPTGによる誘導を
20 ml振とうフラスコ中で、OD600=0.7程度で実施し、1.0 OD-ml試料を3時間にわ
たり1時間間隔で取り出した。h-C7/8を発現する培地は3時間でOD600が倍増した
のに対して、誘導前はこの倍増所要時間が30分であった。
【0062】 精製組換えヒトC7/8(rec-h-C7/8)を用いて、メスのバージンLewisラットに単
一特異的多クローン抗血清を生成させた。一次及び二次抗体(それぞれレーン1及
び2)単独ではrec-h-tekB1を認識できなかったが、一次及び二次抗体が一緒にな
るとこの組換え免疫原と反応した。ヒト精子タンパク質の抽出物を2-Dゲル上で
分離し、ニトロセルロース膜に転写し、ラットrec-h-tekB1で金染色、免疫染色
を順次行うと、3種のh-tekB1イソフォームが特異的に免疫染色された。これら3
種のh-tekB1イソフォームは電気泳動では分子量が同じ(53.5 kDa)でありながら
、荷電量に若干の差があり、pIも5.25〜5.35の幅があった。こうした所見は、ヒ
ト精子には3種類の修飾型h-tekB1が存在することを示唆する。
【0063】 ラットα-rec-h-C7/8血清を使用して、ヒト精子中のC7/8タンパク質の免疫組
織化学的局在を調べた。ヒト精子の生きたままの染色は陰性であったが、これは
C7/8タンパク質がヒト精子の接触可能領域には位置しないことを示唆する。しか
し、マウントし透過性をもたせる処理をしたヒト精子をラットα-rec-h-C7/8血
清でプローブし、対比染色して調べると、別の結果が得られた。コントロールと
して使用した免疫前血清は蛍光をまったく示さなかったが、免疫血清はヒト精子
の先体の基部に局在する縞状領域と陽性反応した。この染色パターンは観察した
すべての精子で一貫していた。ただし、点状の顆粒状局在を示す精子も時おり存
在した。ヒトC7/8タンパク質がヒト精子の赤道部に局在することはほぼ確実であ
る。
【0064】 ヒトC7/8タンパク質の局在を確証するために、ヒト精子を電子顕微鏡検査にか
けた。染色はラットα-rec-h-C7/8血清で行ったが、データは免疫金ビーズが主
にヒト精子の赤道部に存在することを示した。ヒト精子の赤道部は分化した先体
領域であり、精子の卵子との、単なる結合事象に対立するものとしての融合事象
に関与していることがすでに判明している。したがって、C7/8タンパク質は精子
の卵子との結合及び融合に関与するものと見込まれる。よって、C7/8の機能を妨
げる化合物は効果的な避妊薬となろう。
【0065】 精子先体膜タンパク質32 (SAMP32) 精子先体膜タンパク質32 (SAMP32)は当初、2-Dゲルから単離され、当初はC71
と命名されていた。特に、Triton X-114洗剤相の中に分配されたヒト精子タンパ
ク質は一次元等電点電気泳動法(IEF)により、また二次元SDS-PAGEにより、分離
された。次にCoomassie染色ゲルに由来するタンパク質スポットが切り取られ、
質量分析による配列決定にかけられた。配列決定にかけられた数ダースにのぼる
精子タンパク質のなかには、C71、72、74及び75と命名された4つのスポットがあ
った。質量分析によれば、これらのスポットは同じペプチド配列を共有していた
(ASTPEVQSEQSSVRの配列番号7が最長であった)。しかし興味深いことに、それら
の見掛け分子量は30〜34 kDa、pIは4.5〜5.5と異なっていた。4スポットのうち
少なくとも1スポット(C74)はビオチンを使用して標識しうることがベクトル標識
により判明した。
【0066】 配列番号7のペプチド配列をデータベース検索に使用しても、非冗長タンパク
質データベースからは既知の遺伝子がまったく見つからなかった。このことは、
それが新規タンパク質であることを示唆した。しかし、EST(発現配列タグ)デー
タベースには2つの厳密な対応物があった(登録番号AI419884及びAI809484)。両
者は互いに重複しあっている。そこで、AI419884をベースに2つのオリゴDNAプラ
イマーを設計して、PCRによりヒト精巣cDNAライブラリーからcDNAを増幅し、次
いでDNA配列決定により確認した。
【0067】 プローブとしてのcDNA断片でλDR2ヒト精巣cDNAライブラリーをスクリーニン
グすることにより、16個のクローンを第2ラウンドで拾い上げた。そのうちクロ
ーン1-4-1(1050bp)のサイズが最大であった。その後のDNA配列決定により、AI41
9884がその中にはめ込まれていることが確認された。ESTデータベース検索とノ
ーザンブロットによりクローン1-4-1の3’UTRは400bp不足しているらしと判明し
たので、3’RACEにより全長クローン(1455bp)を増幅した。この全長クローンは1
455 bpヌクレオチド長(配列番号8)であり、294アミノ酸の連続ORF (配列番号9)
を含んでいる。その予言分子量及びpIはそれぞれ32 kDa、4.57である。全長OFR
を用いて、同データベースのFASTA検索を行うと、異なる種に由来する2つの遺伝
子に対する相同性が明らかになった。
【0068】 それらはマラリアのスポロゾイト周囲タンパク質CSP及び分裂酵母のKRP1であ
った。スポロゾイト周囲タンパク質はスポロゾイト上の免疫支配表面抗原である
。スポロゾイトは蚊から脊椎動物宿主へと伝染するマラリア原虫の感染期相であ
る。CSPは358アミノ酸からなり、最初の19アミノ酸はシグナルペプチドを含み、
またアミノ酸98〜277は該タンパク質を膜に固定化するうえで重要であると考え
られる反復配列を含む。これらの反復単位はSAMP32には見られない。SAMP32のア
ミノ基末端は113アミノ酸領域において30.088%の同一性と53.09%の類似性を示す
(SAMP32のアミノ酸22〜131とCSPのアミノ酸259〜366を比較)。
【0069】 二塩基プロセッシングエンドプロテアーゼ前駆物質(KRP1)は分裂酵母の細胞生
存能に必要とされる。それは、P因子前駆物質及び他前駆物質を開裂させるスブ
チリシン様セリンプロテアーゼである。このタンパク質はタイプI膜タンパク質
に、またペプチダーゼファミリーS8に属する。SAMP32のカルボキシル基末端は16
2アミノ酸領域において25.309%の同一性と51.85%の類似性を示す(SAMP32のアミ
ノ酸123〜263とKRP1のアミノ酸551〜707を比較)。
【0070】 SAMP32: in vivoでリン酸化され、膜貫通型と予言される PredictProteinプログラム中のアルゴリズムを実行することにより、カゼイン
キナーゼIIによるリン酸化候補部位3箇所が明らかになった。そのうちの少なく
とも一部位すなわちアミノ酸位置256のセリン残基は、ペプチド配列のスペクト
ル分析によりin vivoでリン酸化されることが証明された。さらに、該タンパク
質の構造がSimple Modular Archtecture Research Tool中のアルゴリズムにより
ExPASyサーバー上で解析された。この解析から、アミノ酸1〜29のシグナルペプ
チド、アミノ酸39〜61の低複雑度領域及びアミノ酸222〜242の膜貫通ドメインが
明らかになった。低複雑度量域は主にグルタミン酸からなる(35%)。さらに、aa3
1、54及び155の3アミノ酸残基のN-グリコシル化も予言された。
【0071】 SAMP32の発現はもっぱら精巣で 種々の組織におけるSAMP32の発現を調べるために、まず多組織ノーザンブロッ
トを行った。SAMP32の全ORFを収めたDNA断片をプローブとして使用した。SAMP32
が検出されたのは、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸、抹消血白血
球の合計8組織のうち精巣だけであった。これはSAMP32が精巣特異的であること
を示唆する。この特異性はRNAドットブロットハイブリダイゼーションによって
再確認された。この実験では、32P標識SAMP32を使用して、67ヒト組織から抽出
したRNA試料でドットした膜をプローブした。多組織ノーザンブロットの結果と
符合する形で、精巣だけがハイブリダイゼーションシグナルを出した。
【0072】 SAMP32の全cDNA配列をヒトゲノムデータベースで検索するとSAMP32は第6染色
体6q15-16.2(ジーンバンク登録番号AL136090)に定位された。該cDNA配列を対応
するゲノム配列と比較すると、SAMP32は長さ60 bp〜650 bpにわたる合計7つのエ
キソンからなることが判明した。それらは第6染色体上の19 kb領域に分散してい
た。いずれの場合にも、イントロンの5’及び3’末端中にほぼ不変のスプライシ
ングコンセンサスGU及びAGが発見された。
【0073】 タンパク質レベルでのSAMP32の発現を研究するために、組換えSMARC32に対す
る抗血清を生成させた。SAMP32のORFの一部分をPCRで増幅し、pET28b発現ベクタ
ーに挿入し、E. coliで発現させた。SDS-PAGE上の単一バンドとしての精製タン
パク質をラットへの注射に用いた。産生された抗血清を、TritonX-114で抽出し
たヒト全精子タンパク質のブロッティングに使用した。該抗血清は主に3つのバ
ンドを検出したが、それぞれの見掛け分子量は54、48及び41 Kdであり、数量的
には48 Kdバンドが最も多かった。
【0074】 この分子量と組換えタンパク質を使用したウェスタンブロットの結果から、高
分子量バンドは二量体である可能性が高いとみられた。この抗血清が2-Dゲルか
ら切り出されたタンパク質スポットを認識するかどうかを見極めるために、Trit
onX-114で抽出されTritonX-114中に分配されたタンパク質を2-Dゲル上に添加し
た。ニトロセルロース膜に転写後、同じ抗血清を使用して前述の要領でタンパク
質スポットを検出した。
【0075】 SAMP32は推定上の膜貫通リンタンパク質であるとの仮設を考慮して、SAMP32に
対する抗体を用いてヒト精子上のその位置を定位した。該抗血清はヒト精子の全
先体帽及び赤道帯を染色した。同じ抗血清は主に内及び外先体膜だけを染色し、
基質を若干染色した。これはSAMP32が精子先体内に局在する先体関連タンパク質
であることを強く示唆した。精子先体膜結合タンパク質(SAMP32)と命名されるに
至ったのはそのためである。
【0076】 先体発生時のSAMP32のin situ発現を追跡するために、臨床患者からヒト精巣
組織の提供を受けた。該組織をトリプシン、ミクロコッカルヌクレアーゼ及びコ
ラゲナーゼで消化した。次いでスライド上の解離細胞スミアをラット抗rSMARC抗
血清で染色した。それと同時に、定位し易くするために精核をDAPIで対比染色し
た。SAMP32はGolgi期、丸い精子細胞内の帽状期、伸長途上の精子細胞の先体及
び細長い成熟精子を含むすべての先体発生段階に存在した。そのパターンは周知
の先体結合分子であるSP10に見られるものとそっくりである。
【0077】 先体反応後のSAMP32の運命を調べるために、新鮮精子を洗浄しインキュベーシ
ョンプロゲステロンにより先体反応を誘発させた。先体反応後の精子はまず第一
抗体としてのSAMP32を用いて、次いで第二抗体としてのTRITC結合ロバ抗ラットI
gを用いて、それぞれ染色した。次いで、FITC結合Con-Aで染色した。先体反応後
の精子中のSAMP32を染色することにより、SAMP32は受精能獲得及び先体反応後も
なお赤道部に結合していることが示された。したがって、SAMP32は精子−卵子相
互作用において、またしたがって避妊ワクチンの然るべき免疫標的において、重
要な役割を果たすものと期待される。
【0078】 精子膜タンパク質C58 TX-114使用の差別的可溶化及び相分配、それに続く2-Dゲル電気泳動により新
規、疎水性の推定ヒト精子膜タンパク質を同定し、それをC58と命名した。該タ
ンパク質のcDNAを、ヒト精巣ESTを用いてクローニングした。C58の顕著な特徴は
、1)19 aaのアミノ基末端シグナルペプチド、2)Ly-6/ウロキナーゼプラスミノ
ーゲンアクチベーター受容体様ドメイン(aa 22〜112)、3)カルボキシル基末端付
近の潜在膜貫通ドメイン(aa 101〜124)、及び4)トランスアミダーゼに対応する
カルボキシル基末端開裂部位(aa 97〜99)であり、これはC58がグリコシルホスフ
ァチジルイノシトール(GPI)アンカー型であることを示唆する。C58に対応する転
写産物は、ヒト組織8種のノーザンブロット及び76のヒト組織RNAのドットブロッ
ト解析で判明したように、精巣でだけ発現した。
【0079】 pET28bベクターを用いてE. coliに組換えC58を産生させた。該組換えタンパク
質に対する抗体はラットで首尾よく生成させた。該抗体は1-Dゲル上で分子量12.
5 kDaの精子タンパク質と反応し、また当初C58のマイクロシーケンシングを目的
に切り出された天然2-Dスポットを認識した。該タンパク質の間接免疫蛍光定位
に関する予備実験により、該タンパク質はヒト精子の全表面に存在することが明
らかになった。該cDNA誘導アミノ酸配列のバイオインフォマチック研究から、そ
れはLy-6ファミリーに属する推定GPIアンカー型タンパク質であることが判明し
た。
【0080】 C58のヒト精子全表面上の遍在及び該タンパク質は精子でだけ発現するという
事実は、該タンパク質を避妊薬の理想的な標的にする。一実施態様では、配列番
号16又はその断片からなる群より選択される抗原を含有する抗原性組成物が提供
される。さらに、配列番号18の核酸配列を含む核酸を含有する組成物もまた提供
される。
【0081】 実施例1C7/8の単離と特性解明 2-D電気泳動、標準タンパク質ゲル及びウェスタンブロッティング Naaby-Hansen et al.(1997)がすでに説明している要領で、2-Dゲル電気泳動用
のヒト精子タンパク質を可溶化し、分離した。簡単に言えば、新鮮な精子試料を
最長3時間で液体化させてから、2層(80%と55%のHam s F-10溶媒)Percoll密度勾
配遠心分離にかけた。
【0082】 80%勾配の底から回収した精子ペレットをHam s F-10溶媒で3回洗ってから、2%
(v:v)NP-40、9.8M尿素、100mM DTT、2%両性担体(pH 3.5-10)及びプロテアーゼイ
ンヒビター・カクテルからなる溶解緩衝液中で可溶化し、次いで前述のゲル組成
物(Naaby-Hansen et al., 1997)に溶かした28% pH 3.5-5、20% pH 5-7、7% pH 7
-9及び45% pH 3.5-10の両性担体(Pharmacia)組成物を含有する15×0.15cmアクリ
ルアミドロッド中で0.15mg精子タンパク質の等電点電気泳動を実施した。
【0083】 電気泳動に先立ち、精子タンパク質抽出物を含むチューブに5% NP-40、1%両性
担体(pH 3.5-10)、8M尿素及び100mM DTTを含有する緩衝液をかぶせた。等電点電
気泳動は次のステップで行った: 200Vで2時間、500Vで5時間、800Vで4時間、12
00Vで6時間及び2000Vで3時間。第二次元電気泳動はProteanIIxi Multi-Cell装置
(Bio-Rad)内の0.15×20cmリニア(9〜15%アクリルアミド)スラブゲル上に等電点
チューブゲルを重ねて行った。
【0084】 組換えタンパク質及び原核細胞溶解物用の標準SDS-PAGE電気泳動(Coligan et
al., 1995)は分離用12%ポリアクリルアミドゲルを使用した0.15mmスペーサー付
き16×18cmゲル電気泳動装置(Bio-Rad)で行った。タンパク質又は細胞試料は標
準Laemmli緩衝液に懸濁させて10分間煮沸してからゲルに添加するか、又はCrest
field et al. (1963)の方法によりヨード酢酸で処理した。標準E. coli溶解物は
1 OD-mlの培養菌からなり、ペレット化してからローディングバッファーに懸濁
させた。
【0085】 電気泳動で分離されたタンパク質のニトロセルロース膜への転写はTransblot
Buffer [25mM Tris(pH 8.3)、192mMグリシン及び20%メタノール]中で1A-Hrの間
行う。膜は2-Dゲルではそのまま、標準タンパク質ゲルではストリップに条切り
にして使用し、PBS-Tween [1×PBS(pH 7.4)、0.05% Tween]に溶かした5%脱脂粉
乳でブロッキングし、またラット抗血清か又は5個人に由来する受精能又は不妊
血清プールとブロッキング液中で1時間インキュベートさせた。ブロッキング液
で1:5000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ラットIgG(Jackson
ImmunoResearch)を用いて免疫検出を行い、H2O2又はTMB (KPL)に溶かしたジアミ
ノベンジジン(Sigma)で視覚化した。
【0086】 Con-Aによる2-Dブロットのスクリーニングは、ウェスタン転写した2-Dゲルの
ヒト精子タンパク質をまずTBS[10mM Tris-HCl(pH 8.0)、150mM NaCl]で、次いで
1%ゼラチン含有TBS (TBSG)で1時間インキュベートして行った(Auer et al., 199
5)。膜はTBSですすいだ後、1mM MnCl2及び1mM CaCl2カチオンを含むTBSG中でペ
ルオキシダーゼ結合Con-A(5 μg/ml)と室温で1時間インキュベートし、次いでTB
SGでざっと2回すすいだ。膜をTBSG/カチオンで15分間ずつ4回洗った後、H2O2
溶かしたジアミノベンジジン(Sigma)で染色した。2-D分離ヒト精子タンパク質を
含むウェスタンブロットの受精能及び不妊血清によるスクリーニングを前述の要
領でのブロッキングと洗浄により行い、次いで5個人の血清プールとインキュベ
ートした。
【0087】 タンパク質のマイクロシーケンシング 配列決定はW.M. Meck Foundation Center for Biomedical Mass Spectrometry
で行った。簡単に言えば、ポリアクリルアミドゲルからタンパク質スポットをで
きるだけ正確に切り取り、50%メタノール中で細かく砕き、洗浄し乾燥させてか
ら、アセトニトリル中で脱水し、さらに10mMジチオスレイトールの0.1M重炭酸ア
ンモニウム溶液50μl中、1時間、55℃で再水和した。
【0088】 この試料を暗所におき室温で1時間、50μlの50mMヨードアセトアミド及び0.1M
重炭酸アンモニウム中でアルキル化してから、0.1M重炭酸アンモニウムで2回洗
いアセトニトリル中で脱水し、次に真空デシケーターにかけ、さらに50mM重炭酸
アンモニウムに溶かしたトリプシン12.5 ng/μlにより氷上で数分間処理した。
過剰トリプシン溶液を除去した後、20μlの重炭酸アンモニウムを加えて、試料
を一晩37℃で消化してから50%アセトニトリル/5%ギ酸でペプチドを抽出しLC-MS
分析にかけた。Edman分解法はPE BiosytemsのModel 494を使用してメーカーの説
明書に従って実施した。
【0089】 RT-PCR ESTとcDNAライブラリークローンから設計されたオリゴヌクレオチドはGibcoBR
Lが合成した。EST(AA913806)に対応するオリゴヌクレオチド[ESTフォワードプラ
イマー: 5’-CTTGCTCTAGCAGCA GCAGAAC-3’ (配列番号3); ESTリバースプライマ
ー: 5’-TCA TAA CACATGACACATAAAGATGTTGGC-3’ (配列番号4)]を使用してヒト
精巣RNA(Clontech)の逆転写により430bpのプローブを生成した。PCRは、0.5μg
オリゴ-d(T)12-18RNAとピロ炭酸ジエチル(DEPC)処理H2Oを混ぜ65℃に5分間加熱
することにより20μl反応液中で0.05μgポリ-(A)+RNAを逆転写して行った。次に
、2μl 10×RT緩衝液、0.5μl胎盤性リボヌクレアーゼインヒビター(36 U/μl;
Promega)、1μl 10mM 4dNTPs及び1μl AMV逆転写酵素(23 U/μl; Stratagene)を
加え、ボルテックスし、混合液を42℃で60分間インキュベートした。
【0090】 80μlのDEPC処理H2Oを加えてから、1μl分取量のcDNA溶液を、組換えThermoph
ilus thermophilus (rTth)ポリメラーゼ・メーカー(Perkin Elmer)の指示に沿っ
て、94℃での変性処理、60℃での30秒間のアニーリング及び68℃での3分間の重
合を伴う40サイクルで増幅した。PCR産物は1×TAE(40mM Tris-アセテート、1mM
EDTA)を含む1.5%アガロースゲル中で反応液分取量を電気泳動して分離、単離し
、次いで臭化エチジウムによる染色、UVによる視覚化、写真撮影を行った。特異
的RT-PCR断片の回収はアガロースゲルからの電気溶出により行い、次いで沈降、
アガロースゲル上での標準との対比による定量、メーカー(InVitrogen)の指示に
基づくpCR2.1-TOPOクローニングベクターへのライゲーションを行った。配列決
定はバージニア大学Biomolecular Research Facilityによって実施された。
【0091】 cDNAライブラリーのスクリーニングとノーザンブロット法 RT-PCRにより得られた配列決定済み430bpインサートは、pCR2.1-TOPOクローニ
ングベクターをEco RI標識しアガロースゲル分離後のバンド切り出しによる解放
cDNA断片を回収することにより精製した。50ngの精製断片を煮沸処理により変性
させ、次いでFeinberg and Vogelstein (1984)のランダムプライミング法で前述
の2つのデジェネレートオリゴヌクレオチドを含めることにより(α-32P)-dCTPで
放射性標識した。放射性標識断片はElutip-Dカラム(Schleicher and Schuell)上
で精製し、ヒト精巣λDR2 5’-ストレッチcDNAライブラリー(Clontech)に由来す
る合計240,000ファージを収めた6個の137mmプラークリフト(Magna Nylon Transf
er Membranes, MSI)へと、50%ホルムアミド、5×SSC、5×Denhardt’s溶液、0.2
5μg/ml酵母RNA、0.5% SDS及び0.05Mリン酸ナトリウムを含む溶液(pH 7.0)中で
、42℃でハイブリダイズさせた。
【0092】 一晩のハイブリダイゼーション後、フィルターを0.2×SSC/0.2% SDSの最終溶
液により52℃で洗ってから、マウンティング、XAR-5フィルム(Kodak)への焼き付
け、現像を行った。20個の一次単離体を2回再スクリーニングし、残りの8個の陽
性体をAM1セル内でメーカーの指示に従いλDR2からpDR2へとコンバートした。配
列決定はバージニア大学Biomolecular Research Facilityが双方向に実施し、ま
たヌクレオチド及びアミノ酸データはGenetics Computer Group及びSEQWeb (Mad
ison, WI)のプログラムパッケージを用いて解析した。
【0093】 組織特異性解析用のプローブを生成するために、50 ngの精製全長1337bp C7/8
cDNAを前述の要領で、ただしESTオリゴヌクレオチドは含めずに、放射性標識し
た。放射性標識cDNAを単離し、ExpressHyb (Clontech)中でHuman Multiple Tiss
ue Northern (Clontech)か又はHuman RNA Master Blot (Clontech)にハイブリダ
イズさせた。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション及び洗浄は
すべてメーカーの指示に従って実施した。Human Multiple Tissue Northernは脾
臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸粘膜及び抹消血白血球に由来するポ
リ-(A)+RNAをレーン当たり2μg含み、またHuman RNA Master Blotは種々のハウ
スキーピング遺伝子へと正規化された76種類の組織に由来する多様な量(100〜50
0ng)のポリ-(A)+RNAを含んでいた。
【0094】 組換えヒトC7/8の発現と単離 インフレームNcoI及びXhoI部位をそれぞれ5’-及び3’-プライマー中に含む
アダプタープライマーを設計して、リーダーペプチド抜きのC7/8 ORFをpET-28b+
へのライゲーション用に適合させた。5’-UTRと3’-UTRの両方を含む全長1337bp
cDNAをPCR(前述)にかけた。このPCRではrTth DNAポリメラーゼをメーカー(Perk
in-Elmer)の指示に従って用い、またC7/8/pET-28b+/フォワードプライマー(5
’-CATGCATGCCATGGATCCGAGCATAACTGT GACACCTGATGAA-3’)(配列番号5)及びC7/8
/pET-28b+/リバースプライマー(5’-GAGTCGCTCGAGATAAACTTTTAATAAGGC TGTGAC
TCTCCTTG-3’) (配列番号6)を用いた。
【0095】 pETへの適合をはかった後、C7/8 cDNA断片に対してPCRを実施し、得られた産
物を0.1%アガロースゲル上で分離し、990bpバンドを回収し、NcoIとXhoIでpET
-28b+ベクターごと制限し、アガロースゲル上で再分離し、制限ベクター中にラ
イゲーションしNovablue(DE3)宿主細胞に導入した。制限プラスミド調製品の直
接臭化エチジウム視覚化(データ非表示)により組換え体をスクリーニングし、ク
ローンを選択してバージニア大学Biomolecular Research Facilityでの配列決定
に回した。配列決定はpET-28b+ベクターのクローニング部位を囲むプライマーを
使用して行い、pET-28b+発現ベクター中にインサートが適正に挿入されているこ
と、またリーダーレスC7/8リーディングフレームが保持されていることの確認を
目的とした。
【0096】 C末端(His)6-タグを含む組換えヒトC7/8(rec-h-C7/8)の単離を目的に、細菌細
胞ペレットを結合緩衝液[5mMイミダゾール、0.5M NaCl、20mM Tris (pH 7.9)]中
に再懸濁させてから超音波処理、遠心分離した。不溶性タンパク質画分と封入体
を含むペレットを次に、6M尿素を含む結合緩衝液に再懸濁させ、氷上で1時間イ
ンキュベートし、再超音波処理、再遠心分離を経て、得られた上清を0.45mフィ
ルターでろ過した。
【0097】 ろ過処理後の細菌性タンパク質溶解物を次に、メーカーの指示に従って作製し
た5mlベッド容量のHis-Bind Resin (Novagen)カラムに結合させ、6M尿素を含む
結合緩衝液でOD280がベースラインに近づくまで洗い、次いで洗浄緩衝液[40mMイ
ミダゾール、0.5M NaCl、20mM Tris (pH 7.9)及び6M尿素]でカラムをベースライ
ンまで洗った。rec-h-C7/8の最終精製は溶離緩衝液[300mMイミダゾール、0.5M N
aCl、20mM Tris (pH 7.9)]によるカラムからの溶出と1×PBS中への透析、それに
続くPrep-Cell電気泳動によって行った。
【0098】 精製組換えヒトC7/8(rec-h-C7/8)の大規模調製を行い、該タンパク質を調製、
可溶化した。His-Bind(Novagen)樹脂によるrec-h-C7/8の結合と溶出をメーカー
の指示に従って行った。組換え物質のカラム精製によって得られるカラム溶出画
分は純度が99%超である。この半精製rec-h-C7/8をPrep-Cell電気泳動にかけて、
最終生成物とした。精製組換えh-tekB1の単位収量はSDS-PAGE電気泳動により約1
.7mg(rec-h-tekB1)/リットル(発酵液)と判定された。
【0099】 ラット単一特異的単クローン血清の生成 9匹の若い成熟メス、バージンLewisラットを3群に分けて、フロイント完全ア
ジュバント、ミョウバン又はスクアレンモノオレエートに溶かした100μgの精製
rec-h-C7/8で免疫した。1か月後に、各群の3匹に2週間間隔で2回、50μgのrec-h
-C7/8を対応するアジュバントと共に追加投与し、各追加投与の1週間後に採血し
た。rec-h-C7/8に対応するラット抗血清(α-rec-h-C7/8)の特異性を、rec-h-C7/
8に対する、またポリアクリルアミド上で分離しウェスタンブロットしたヒト精
子タンパク質のSDS溶解物に対するウェスタンブロッティングでテストした。
【0100】 実施例2SAMP32の単離 TritonX-114相分配と2-Dゲル電気泳動、並びにビオチンによる ベクトル標識 ヒト精子試料をMandel et al., 1999の説明にある要領で健康なドナーから入
手した。Bordier, 1981に従ってTritonX-114相分配を行った。2-Dゲル電気泳動
は実施例1の要領で実施した。タンパク質は標準手法によりビオチン標識した。
【0101】 SDA-PAGEとウェスタンブロット Bio-Radミニゲル装置(Bio-Rad, California)を用いて不連続ポリアクリルアミ
ドゲル(4%重層用ゲル、15%分離用ゲル)、100ボルトの定電圧でまずタンパク質を
分離した。次いでゲルをCoomassieブルーで染色するか、又はウェスタンブロッ
トの膜転写に回した。ウェスタンブロットでは、冷却しながら100ボルトの定電
圧で1時間にわたりタンパク質をニトロセルロース膜(0.2μm)に転写した。完了
後、5%脱脂乳と1%正常ヤギ血清を混ぜたPBST中で、室温、1時間にわたり揺動し
ながら膜をブロッキングした。次いで、5%脱脂乳、1%正常ヤギ血清及び希釈比1:
2000〜1:4000の一次抗体を混ぜたPBST中で、膜をさらに1時間インキュベートし
た。膜をPBSTで3回、各15分間洗った後、5%脱脂乳、1%正常ヤギ血清及びHRPと結
合させた希釈比1:4000の二次ヤギ抗体を混ぜたPBSTとさらにインキュベートした
。PBSTで膜を3回洗った後、室温でTMB基質を加えて発色させた。
【0102】 λ cDNAライブラリーのスクリーニング ヒト精巣由来のλDR2 cDNAライブラリーをClontech Inc. (Palo Alto, CA)求
め、ユーザーマニュアルに従ってスクリーニングした。簡単に言えば、合計2.5
×105個のクローンをバクテリアローン上の6個の150mm寒天プレート上にまいた
。ナイロン膜へのレプリカプレート後、ファージ粒子を0.5M NaOH、1.5M NaCl中
で変性させ、さらに0.5M Tris (pH 7.5)、1.5M NaCl中で中和した。UV架橋後、
フィルターを2×SSC、0.2% SDSにより室温で20分間洗浄し、プローブを使用せず
にハイブリダイゼーション液中で、4時間、42℃でプレハイブリダイズし、次い
で50%ホルムアミドの存在下、42℃で一晩ハイブリダイズした。ヒト精巣cDNAラ
イブラリーから増幅しクローニングした3’ 420bp cDNA断片を、ランダムプライ
マー法により32P-dCTPで標識後にプローブとして使用した。
【0103】 洗浄を2×SSC、0.2% SDSにより室温で20分間1回、0.2×SSC、0.2% SDSにより4
2℃で20分間1回、さらに0.2×SSC、0.2% SDSにより50℃で20分間1回、それぞれ
実施した。洗浄終了後、フィルターをX線フィルム上に−80℃で24〜48時間焼き
付けてから現像した。二次スクリーニングを前と同じ要領で実施し、単一の純粋
なファージプラークを単離するようにした。最後に、Creレコンビナーゼを発現
するE. coli AM1株を形質転換することにより、cDNAインサートをファージ粒子
からpDR2ベクター中のプラスミドとして再生した。この方法はcDNAインサートの
両末端に2つのファージP1由来lox-P組換え部位が存在することによって可能とな
った。
【0104】 PCRとRACE (Rapid Amplification of cDNA Ends) 次の標準条件(Hao et al., 1997)でPCRを行った。ライブラリーテンプレート
使用の、またRACE用のホットスタートPCRを、Perkin-ElmerのAmp-Taq DNAポリメ
ラーゼを使用して実施した。使用パラメーターは94℃10分、94℃30秒、及び72℃
2~4分の35〜40サイクルであった。プラスミドテンプレート使用のPCRはクローン
pfu DNAポリメラーゼ(Startagene)を使用して実施した(パラメーターは、サイク
リング前に5分間の変性処理を行うこととサイクル数が30である点を除けば、前
と同じであった)。
【0105】 プラーク及びノーザンブロットハイブリダイゼーション用のプローブの増幅に
使用したプライマーはHao1 (AGTCACCCCTTGGCTTTCGAGT; 配列番号11)とHao2 (AAT
ATTCTGTAATATCCTTTGGTT; 配列番号11)であった。SAMP32 3’増幅用のプライマー
は、Hao39 (CTTTGTATGTCACATTCCCTGAAG; 配列番号12)とHao41 (GAGGTACAATCCGAG
CAGAGTTCT; 配列番号13)又はMarathon ready cDNAキット(Clontech)に含まれるH
ao41及びAP1プライマーであった。
【0106】 ノーザンブロットとドットブロット 8組織を収めたヒト多組織ノーザン膜と67組織を収めた多組織アレイRNAドット
をClontech Inc.から求めた。前述と同じ3’ 420bp cDANをプローブとして使用
した。ハイブリダイゼーションをExpressHyb(登録商標)液中で、68℃で1時間実
施し、2×SSC、0.1% SDSにより室温で2回、各20分間洗浄し、次いで0.1×SSC、0
.1% SDSにより65℃で3回、各20分間洗浄した。フィルムを−80℃で24〜72時間焼
き付けた。同じ膜を、前のプローブを剥ぎ取ってからキット中のβ-アクチンで
プローブした。 多組織アレイRNAドットをプローブするために、同じ420bpのDNAを標識し、メ
ーカーの指示に従ってハイブリダイゼーションをサケ精子ssDNAとCot-1 DNAを含
むExpressHyb液中で、68℃で一晩実施した。フィルムは−80℃で96時間焼き付け
た。
【0107】 E. coli中での組換えタンパク質の発現及び抗血清の産生 SAMP32をE. coli中で発現させるために、ORFのアミノ酸30〜221を含む断片をP
CRで増幅した。次いでそれを、NheI及びXhoI部位を用いてpET28Bの両末端でHi
sタグとインフレームで融合した。コンストラクトはDNA配列解析によって確認し
た。コドンに変更があるため、通常のBL21 DE3の代わりにEpicurian Coli BL21-
CodonPlus(登録商標)細胞(Stratagene)を宿主株として使用した。個の宿主株に
プラスミドを導入し、単一コロニーに由来する大きな菌株を、50μg/mlカナマイ
シン添加LB中で、37℃でOD600=1.0まで増殖させた。
【0108】 次に、イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド(ITPG)を加えてその最
終濃度を1Mとし、発現を誘発するようにした。さらに3〜4時間増殖させた後、組
換えタンパク質のプロセッシングを目的に菌を遠心で回収した。組換えタンパク
質は変性条件のNi-NTAカラムによりアフィニティー精製した。予備電気泳動をEl
utip(登録商標)カラムを組み合せて使用し、小さな汚染タンパク質をE. coliか
ら除去した。
【0109】 メスのバージンLewisラット(体重160〜200g)を抗血清の産生に使用した。PBS
に溶かした精製組換えタンパク質を等量のフロイント完全アジュバントで乳化し
、各ラットにまず0.3ml s.c.に溶かした100μgのタンパク質を皮下注射した。そ
の後の2週間間隔のブースター注射では、同量のタンパク質を等量のフロイント
不完全アジュバントで乳化して同じ経路で投与した。各ブースター注射の10日後
にウェスタンブロット解析により抗体のタイターをチェックした。チェックによ
り、全精子抽出物のウェスタンでタイターが1:2000を超えたら、ただちに動物を
犠牲にした。
【0110】 酵素解離組織の免疫蛍光検査 ヒト精巣組織片を切り取り、コラゲナーゼ、ミクロコッカルヌクレアーゼ及び
トリプシンで解離した。解離細胞をスライド上に薄く塗り広げ、乾かした。スラ
イドをPBSで3回洗い、メタノールで透過性にし、再びPBSで洗った。スライドを1
0%正常ロバ血清中で1時間ブロッキング処理した。次いで、1%正常ロバ血清と1:1
00〜1:200希釈比のラット抗SAMP32抗血清を含む抗体溶液により4℃で一晩インキ
ュベートした。
【0111】 1%正常ロバ血清を含むPBSTで3回洗ってから、スライドを二次抗体溶液(TRITC
を結合させたロバ抗ラット抗体をPBSTで1:200に希釈したものと1%正常ロバ血清)
により60分間インキュベートした。スライドをPBSTで2回、次にPBSで2回、それ
ぞれ洗ってから、2%パラホルムアルデヒドで10分間固定化処理した。PBSで洗っ
た後、平衡緩衝液中でインキュベートした。核をDAPIで染色し、スライドをSlow
-Fade抗退色試薬(Molecular Probes)でマウントした。画像はOpen Labソフトウ
ェア(Improvision)使用のZeiss Axioplan2エピフルオレッセンス顕微鏡を用いて
とらえた。
【0112】 精子の準備と先体反応 ヒト精液試料を健康なドナーから入手し、スイムアップ精子を次の要領で準備
した。射精されたばかりの精液試料を室温で30分to時間かけて液化した。それを
等量のBWWで希釈し、500gで5分間遠心にかけて精奨を除去した。10mg/ml BSAを
添加したBWWで精子ペレットを2回洗った。上清を捨て、30mg/mlヒト血清アルブ
ミンを添加したBWWを精子ペレット上に慎重にかぶせた。この精子試料を次に37
℃で1時間インキュベートして精子をスイムアップさせた。次に精子をカルシマ
イシン添加BWW中で、37℃でインキュベートし先体反応を誘発するようにした。
【0113】 精子中のSAMP32の免疫蛍光法による定位と電子顕微鏡解析 ポリ-L-リシンをコートしたスライド(Polysciences, Warrington, PA)上で精
子を風乾した。次にメタノール処理して透過性をもたせ、風乾し、PBSTに溶かし
た10%正常ヤギ血清で30分間ブロッキングした。次に精子を1:100希釈した抗SAMP
32一次抗血清と37℃で2時間インキュベートした。1:100希釈したCy3結合二次ヤ
ギ抗ラットIgGと37℃で1時間インキュベートした後、スライドをPBSで洗いSlow-
Fadeでコートし、カバースリップの下にマウントした。
【0114】 免疫電子顕微鏡検査のために、プールした精子を3%スクロース添加Ham’s F-1
0で2回洗った。次に、4%パラホルムアルデヒドと0.2%グルタルアルデヒドを含む
洗浄緩衝液により22℃で15分間固定化処理した。固定剤を洗い流し、精子を40%
〜100%の勾配濃度エタノールに通して脱水処理した。Lowicryl K4Mで包埋後、−
20℃で72時間にわたりUV光を用いてブロック重合を起こさせ、極薄切片を切り出
した。極薄切片を染色するために、まず非希釈正常ヤギ血清により22℃で15分間
ブロッキングした。次に1%正常ヤギ血清、1% BSA及び0.1% Tweenを含む1:50希釈
した免疫前又はラット抗SAMP32抗血清と、4℃で16時間インキュベートした。切
片は洗浄後、1:100希釈した5nm金結合ヤギ抗IgG(Goldmark Biologicals, Philli
psburg, NJ)と、22℃で1.5時間インキュベートした。切片は蒸留水で洗い、酢酸
ウラニルで染色し、JOEL 100CX電子顕微鏡で観察した。
【0115】 実施例3C58の単離 TX-114相分配による疎水性の推定膜結合精子タンパク質の分離 疎水性の推定膜結合精子タンパク質を単離するために、TX-114相分配を実施し
た。特に、ヒト精子細胞を1.7% TX-114/TBSにより4℃で可溶化した。溶液を遠心
にかけ、可溶化タンパク質を含む上清を回収した。TBSを加えてTX-114濃度を1%
に調整した。30℃に加温すると、ミセルの凝集と水相からの洗剤相の分離が起き
た。両相を遠心で分離した。
【0116】 相分配精子タンパク質を解析するために2-D電気泳動を用いた。出発全抽出物
、水相抽出物及び洗剤相抽出物を2-D電気泳動で解析した。TX-114相分配により
、数種の疎水性タンパク質の洗剤相への選択的分配が可能になった。C58は疎水
性洗剤相抽出物が高濃度の2-Dタンパク質スポットの1つである。
【0117】 C58が表面タンパク質であるかどうかを見極めるために、採取したばかりのヒ
ト精子細胞をスルホ-NHS-LCビオチンでベクトル的に標識し、TX-114相分配にか
け、得られた洗剤相抽出物を2-Dゲル電気泳動で分離した。ビオチン標識したタ
ンパク質スポットを、アビジン-ECLで視覚化し、対の銀染色ゲルと対比してビオ
チニル化タンパク質スポットを特定するようにした。2-Dゲルは、C58がスルホ-N
HS-LCビオチンでベクトル的に標識されているので、おそらく精子表面上に位置
することを示唆した。
【0118】 Coomassie染色2-Dゲルから切り出したC58スポットを、タンデム質量分析によ
りマイクロシーケンシングした。4つのペプチド配列が単離された。トリプティ
ックペプチドを使用して行ったデータベース検索では、既知タンパク質とのマッ
チはまったく見られなかった。しかし、これらのペプチドのうち2つはヒト精巣E
STクローン(AC. No. AA778671; 配列番号17)とマッチした。
【0119】 EST cDNA配列を利用したC58 cDNAのクローニング スポットC58のマイクロシーケンシングから得られたトリプティックペプチド
とマッチするヒト精巣ESTクローン(AC. No. AA778671)をPCRで増幅した。PCR cD
NA断片を確認し、32Pで標識し、λ-DR2精巣cDNAライブラリーのスクリーニング
に使用した。陽性クローンを単離し、配列を解析した。C58の全長ORFに対応する
cDNAが得られた(配列番号14)。C58の全長ORFは372bpであり、予言分子量が13、
予言pIが5.5の124アミノ酸をコードしていた。
【0120】 切り取られた2-Dゲルスポットに由来するトリプティックペプチドのうちの1つ
の配列(ATSCGLEEPVSYR; 配列番号19)は該ORFに埋め込まれていることが判明した
。バイオインフォマチックプログラム‘Multialign’を用いてC58のアミノ酸配
列の、類似ドメインをもつ他タンパク質とのアラインメントを得ると、C58との
類似性を示すタンパク質群の間にはいくつかの保存システイン残基が認められる
ことが判明した。ジスルフィド架橋の形成にかかわっている可能性のある保存シ
ステイン残基位置は、これらのタンパク質には潜在的な機能二次及び三次構造が
備わっていることを示唆する。どのタンパク質の内部配列もLy-6/UPARスーパー
ファミリーのタンパク質との類似性を示していた。
【0121】 C58はLy6(E48 Antigen)Humanとの相同性を示す(図3参照)。Ly6Dタンパク質は
もっぱら、移行上皮の外細胞表面と重層扁平上皮がんのケラチン生成細胞で発現
する。Ly6DはGPIアンカーによって細胞膜に結合している。Ly6Dは1UPAR/Ly-6ド
メインを含んでおり、細胞−細胞接着やシグナル伝達に関与していると考えられ
る。
【0122】 C58がGPIアンカー型タンパク質であるという可能性を調べるために、そのアミ
ノ酸配列のバイオインフォマチック解析を行った。C58の構造は、それがGPIアン
カー型タンパク質であることを示唆している。特に、C58はGPIアンカー型タンパ
ク質の特色を示すC末端付近に膜貫通N末端シグナルペプチド(配列番号16のアミ
ノ酸1〜19)、膜貫通C末端疎水性ドメイン及びトランスアミダーゼ開裂部位(配列
番号16のアミノ酸97〜99に位置)をもつ。C58(配列番号16)のアミノ酸22〜112はL
y-6抗原/ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体様ドメインを含
む。
【0123】 組織特異性に関するノーザンブロット解析 Clontechの多組織ノーザンブロット解析パネル(8組織)(図4参照)を用いて標準
ノーザンブロット解析を行った。C58の全長ORFに由来するcDNAを(32Pで標識した
)プローブとして使用し、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸及び白
血球から単離されレーン1〜8にそれぞれ収められた2μgのポリ-(A)+mRNAsとハイ
ブリダイズさせた。標準ノーザンブロット解析では精巣レーンでだけ陽性シグナ
ルが得られた。76組織のMTEアレイノーザンブロット解析もC58の全長ORFに由来
するcDNAをプローブとして行った。同様に76ドットブロットノーザンブロット解
析でも精巣ボックスでだけ際立ったシグナルが得られた。したがって、C58に関
するメッセージは精巣でだけ転写される。
【0124】 C58の組換え発現 ベクターpET28bを使用して2種類のコンストラクトをC58組換え発現用に構築し
た。コンストラクト1(C58-1): aa 20〜124に対応するcDNAをC末端にヒスチジン
タグをつけてベクターに組み込んだ。コンストラクト2(C58-2): aa 20〜100に対
応するcDNAをC末端にヒスチジンタグをつけてベクターに組み込んだ。両コンス
トラクトをE. coli中に導入し、インサート付きとインサートなし(コントロール
)のベクターpET28bを収めた宿主細胞BL21-pLys S-DE3の小規模培養液を1mM IPTG
で誘導し、4時間後に収穫した。Laemmli緩衝液に溶かした菌溶解物を16% SDS-PA
GEにかけた。電気泳動で分離されたタンパク質はCoomassieで染色するか、又は
ニトロセルロース膜に転写しNi-NTA (1:2K)でプローブして発現タンパク質を視
覚化するようにした。
【0125】 誘導後に、追加のタンパク質バンドをCoomassie染色ゲルのC58-1及びC58-2に
対応する誘導レーン上で視覚化したが、それらはウェスタンブロットでもNi-NTA
と反応した。それらのバンドは9.5〜14 kDaの期待分子量範囲に出現した。 C58-1とC58-2を発現する宿主細胞の培養液を4リットルつくり1mM IPTGで誘導
した。発現タンパク質をHisカラムクロマトグラフィーで半精製した。発現タン
パク質はPrep Cell (BioRad)による電気泳動精製によりさらに精製した。諸々の
画分に由来する試料をSDS-PAGEで解析した。
【0126】 組換えC58及びヒト精子タンパク質の、組換えC58に対する抗ラット抗体による
ウェスタンブロッティング解析 ヒト精子タンパク質をCelis抽出緩衝液で可溶化した。上清を等量の2×Laemml
i緩衝液と混合した。組換えタンパク質試料は組換えC58[+膜貫通ドメイン(TM)]
とC58(-TM)の凍結乾燥粉末を1×Laemmli緩衝液で直接可溶化することにより調製
した。試料を16% SDS-PAGEにかけた。ニトロセルロース膜に転写したタンパク質
をC58(+TM)ではラット#2に、C58(-TM)ではラット#17にそれぞれ由来する免疫前(
PI)血清及び免疫(IM)血清でプローブした。ブロットを二次抗体(ヤギ抗ラットIg
G)でインキュベートし、TMB膜ペルオキダーゼ基質を使用して発色させた。スト
リップもまた二次抗体(sec. Ab con)で直接インキュベートして、二次抗体だけ
と反応する任意の非特異的タンパク質を視覚化するようにした。
【0127】 C58(+TM)とC58(-TM)のどちらに対応する抗体もそれぞれの組換えタンパク質を
認識した。両抗体は精子タンパク質ブロット上の約12.5 kDaの単一バンドを認識
したが、これは両抗体が天然C58タンパク質を認識していることを示唆する。
【0128】 抗ラット組換えC58抗体の使用による、2-Dゲル電気泳動で分離したヒト精子タ
ンパク質のウェスタンブロット解析 ヒト精子タンパク質をCelis抽出緩衝液で可溶化し、2-D電気泳動で分離し、ニ
トロセルロース膜に転写した。タンパク質をプロトゴールドで染色し、全分離タ
ンパク質を視覚化するようにした。ブロットは組換えC58(-TM)(ラット#17)に対
応する抗ラット抗体(1:4K)でプローブした。ブロットを二次抗体とインキュベー
トし、反応性スポットはTMB膜ペルオキシダーゼ基質を用いて視覚化した。 該抗体は、もともとマイクロシーケンシング用に切り取られた天然C58スポッ
トと反応した。それは切り取られたタンパク質を認識するだけでなく、同じ分子
量範囲の両側の2つの小さな追加スポットをも認識した。これは、該タンパク質
が荷電変異体をもつ可能性のあることを示唆する。
【0129】 抗ラット組換えC58(+TM)抗体の使用による風乾ヒト精子上のC58の間接免疫蛍
光法定位 ヒト精子をスイムアップ法で準備し、濃度〜2×106の精子をスライド上で風乾
した。精子を10%正常ヤギ血清PBS溶液でブロッキングし、C58(+TM)に対応する1:
30希釈抗ラット抗体(ラット#2)でインキュベートした。スライドをPBSで洗い、F
ITC結合ヤギ抗ラットIgGでインキュベートした。次いで、PBSで洗い、抗退色剤
を用いてマウントした。 免疫血清でインキュベートした精子は精子の全表面でシグナルを示し、より強
い反応性が頭部に局在した。免疫前血清でインキュベートした精子スミアでは蛍
光シグナルが観察されなかった。以上の結果はC58が精子表面に存在することを
示唆した。
【0130】 実施例4無透明帯ハムスター卵子を使用するヒト精子結合及び融合検定法 精子の準備 運動性の精子をBronson and Fusi (1990)のスイムアップ法で収集した。簡単
に言えば、500mlの精子試料の上に、5mg/ml HASを添加した2mlのBWW溶媒をのせ
、精子を1.5〜2時間スイムアップさせる。スイムアップ精子を回収して8mlのBWW
+5mg/ml HASを加えた。その組成物を室温、600×gで8分間遠心にかけ、上清を捨
てて8mlの溶媒をペレットに加えた。この再懸濁ペレットを室温、600×gで8分間
遠心にかけた。上清を捨て50mlのBWW+30mg/ml HASをペレットに加えた。全精子
細胞を計数し、BWW+30mg/ml HAS中で精子濃度を20×106個/mlとして一晩インキ
ュベートした。
【0131】 卵子の回収 メスのハムスターにPMSGを30 IU腹腔内注射し、72時間後にhCGを30 IU注射し
た。hCG注射の14〜16時間後にハムスターを犠牲にし、輸卵管を5mg/ml HAS添加B
WW溶媒中に回収した。卵丘細胞を1mg/mlヒアルロニダーゼで除去し、卵子を洗浄
し、透明帯を1mg/mlトリプシンで除去した。次いで卵子を十分に洗浄し、インキ
ュベーター内に静置した。
【0132】 精子/抗体インキュベーション 精子を20×106個/mlへと希釈し、パラフィン油被覆マイクロドロップ中で、適
当な希釈度の免疫また及び免疫血清で1時間インキュベートした(当初は1:10及び
1:50希釈血清でテストする)。 精子+抗体を収めたドロップにハムスター卵子を加えた。次いで両配偶子を一
緒に3時間インキュベートした。
【0133】 結合及び融合の評価 卵子を5個の(50ml)ウォッシュドロップに順次通して洗浄し未結合及び緩結合
精子を除去した。個別実験で洗浄されるすべての卵子には同じピペットを使用す
る。次いで卵子をBSA/BWWに溶かした1mMアクリジンオレンジ-3% DMSO (30mg/ml)
に短時間(5〜15秒)接触させて染色し、4個の(40ml)ウォッシュドロップに通し洗
浄し、22×22mmカバースリップの下にマウントした。UV照射のもとに、卵細胞膜
接着性精子の非膨張頭部を計数したが、すでに卵質に侵入している精子は緑色の
膨張頭部を示した。すべての実験は3回繰り返した。
【0134】
【表1】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はC7/8 cDNAを32Pで放射性標識し2μgのポリ(A)+mRNAsとハイブリダイズさ
せた多組織ノーザンブロットのコピーであり、精巣RNAだけのメッセージを示し
ている。分子量マーカーのサイズは左側に示しており、レーン1〜8は脾臓、胸腺
、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸及び白血球からそれぞれ単離したポリ(A)+mR
NAを収める。
【図2】 図2はSAMP32 cDNAを32Pで放射性標識し2μgのポリ(A)+mRNAsとハイブリダイズ
させた多組織ノーザンブロットのコピーであり、精巣RNAだけのメッセージを示
している。分子量マーカーのサイズは左側に示しており、レーン1〜8は脾臓、胸
腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸及び白血球からそれぞれ単離したポリ(A)+
mRNAを収める。図2の下段パネルは、ポジティブコントロールとして、@-actin c
DNAで標識した同じブロットを示す。
【図3】 図3はC58及びLy6D(E48 Antigen)Humanアミノ酸配列のアラインメントである。
両アミノ酸配列は118 aa重複領域で28.8%の同一性を共有している。
【図4】 図4はC58 cDNAを32Pで放射性標識し2μgのポリ(A)+mRNAsとハイブリダイズさ
せた多組織ノーザンブロットのコピーであり、精巣RNAだけのメッセージを示し
ている。分子量マーカーのサイズは左側に示しており、レーン1〜8は脾臓、胸腺
、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸及び白血球からそれぞれ単離したポリ(A)+mR
NAを収める。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C12N 1/15 4C085 16/18 1/19 4H045 C12N 1/15 1/21 1/19 C12Q 1/02 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z C12Q 1/02 33/53 N G01N 33/15 33/566 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 A 33/566 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ヘール,ジョン シー. アメリカ合衆国,バージニア 22901,シ ャルロッツビル,シダー リッジ レーン 2545 (72)発明者 ヤイエス,フリーデリケ エル. アメリカ合衆国,ノースカロライナ 27502,エイペックス,パーク サミット ブールバード 2025 (72)発明者 シェティー,ジャガトパラ アメリカ合衆国,バージニア 22903,シ ャルロッツビル,ペイトン コート 287 −3 (72)発明者 ボルコビッツ,マイケル ジェイ. アメリカ合衆国,バージニア 22901,シ ャルロッツビル,ハイドローリック ロー ド 2607−イー Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB14 BB20 BB29 BB46 BB50 BB51 DA13 DA36 FA16 FB02 FB03 FB07 4B024 AA01 AA11 BA44 CA04 DA02 EA02 EA04 FA02 GA01 GA11 HA01 HA11 4B063 QA01 QA18 QQ08 QQ79 QR33 QR59 QR77 QR80 QS05 QS15 QS36 QX07 4B065 AA90X AA93Y AB01 AB02 BA01 BA08 CA24 CA25 CA45 4C084 AA02 AA06 AA07 AA17 BA01 BA08 BA18 BA20 BA22 BA23 MA01 NA14 ZA862 4C085 AA13 CC32 DD86 EE06 FF02 FF13 FF20 GG01 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA76 EA31 EA50 FA72 FA74

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次のアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド: 配列番号2のアミノ酸配列; 1以上の同類アミノ酸置換を有する点で配列番号2とは異なるアミノ酸配列; 又は
    単一アミノ酸の欠失、挿入又は置換を意味する単一突然変異を有する点で配列番
    号2とは異なるアミノ酸配列。
  2. 【請求項2】 配列番号2のアミノ酸配列を含む精製又は組換えポリペプチ
    ド。
  3. 【請求項3】 配列番号1の配列を含む核酸配列。
  4. 【請求項4】 請求項3のヌクレオチド配列を含むトランスジェニック宿主
    細胞。
  5. 【請求項5】 配列番号1の連続100bp配列と同一である100bp核酸配列を含
    む核酸配列。
  6. 【請求項6】 人間用の潜在的治療薬をスクリーニングする方法であって、
    C7/8ポリペプチドを候補化合物と接触させること、及び該候補化合物がC7/8ポリ
    ペプチドに対して選択的に結合するかどうかを判定することを含むスクリーニン
    グ方法。
  7. 【請求項7】 C7/8ポリペプチドが細胞表面上で発現する請求項6の方法。
  8. 【請求項8】 配列番号2のタンパク質に特異的に結合する抗体。
  9. 【請求項9】 C7/8ポリペプチドと製薬上許容しうる担体とを含む抗原性組
    成物。
  10. 【請求項10】 次のアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド: 配列番号9のアミノ酸配列; 1以上の同類アミノ酸置換を有する点で配列番号9とは異なるアミノ酸配列; 又は
    単一アミノ酸の欠失、挿入又は置換を意味する単一突然変異を有する点で配列番
    号9とは異なるアミノ酸配列。
  11. 【請求項11】 配列番号9のアミノ酸配列を含む精製又は組換えポリペプ
    チド。
  12. 【請求項12】 配列番号8の配列を含む核酸配列。
  13. 【請求項13】 請求項12のヌクレオチド配列を含むトランスジェニック宿
    主細胞。
  14. 【請求項14】 配列番号8の連続100bp配列と同一である100bp核酸配列を
    含む核酸配列。
  15. 【請求項15】 人間用の潜在的治療薬をスクリーニングする方法であって
    、SAMP32ポリペプチドを候補化合物と接触させること、及び該候補化合物がSAMP
    32ポリペプチドに対して選択的に結合するかどうかを判定することを含むスクリ
    ーニング方法。
  16. 【請求項16】 SAMP32ポリペプチドが細胞表面上で発現する請求項15の方
    法。
  17. 【請求項17】 配列番号9のタンパク質に特異的に結合する抗体。
  18. 【請求項18】 SAMP32ポリペプチドと製薬上許容しうる担体とを含む抗原
    性組成物。
  19. 【請求項19】 次のアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド: 配列番号16のアミノ酸配列; 1以上の同類アミノ酸置換を有する点で配列番号16とは異なるアミノ酸配列; 又
    は 単一アミノ酸の欠失、挿入又は置換を意味する単一突然変異を有する点で配列番
    号16とは異なるアミノ酸配列。
  20. 【請求項20】 配列番号16のアミノ酸配列を含む精製又は組換えポリペプ
    チド。
  21. 【請求項21】 配列番号14、配列番号15及び配列番号18からなる群より選
    択される配列を含む核酸配列。
  22. 【請求項22】 配列番号18を含む請求項21の核酸配列。
  23. 【請求項23】 請求項21のヌクレオチド配列を含むトランスジェニック宿
    主細胞。
  24. 【請求項24】 配列番号14の連続100bp配列と同一である100bp核酸配列を
    含む核酸配列。
  25. 【請求項25】 人間用の潜在的治療薬をスクリーニングする方法であって
    、C58ポリペプチドを候補化合物と接触させること、及び該候補化合物がC58ポリ
    ペプチドに対して選択的に結合するかどうかを判定することを含むスクリーニン
    グ方法。
  26. 【請求項26】 C58ポリペプチドが細胞表面上で発現する請求項25の方法
  27. 【請求項27】 配列番号16のタンパク質に特異的に結合する抗体。
  28. 【請求項28】 配列番号16のアミノ酸22〜112に結合する請求項27の抗体
  29. 【請求項29】 C58ポリペプチドと製薬上許容しうる担体とを含む抗原性
    組成物。
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