JP2003517140A - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 特に内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射するための燃料噴射弁（１）は、有利には円板状の弁閉鎖体（８）を有している。この弁閉鎖体（８）は閉塞体（１０）と共にシール座を形成している。燃料噴射弁（１）は、電動モータ（２）を用いて弁閉鎖体（８）の回転によって開閉される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念部に記載した形式の燃料噴射弁から出発する。

【０００２】 通常、内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射するための燃料噴射弁は、電磁石
でまたは圧電式のアクチュエータまたは磁気ひずみ式のアクチュエータによって
操作される。

【０００３】 たとえば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６２６５７６号明細書に基づ
き、電磁石で操作可能な燃料噴射弁が公知である。この燃料噴射弁では、電磁的
な操作のために、アーマチュアが、電気的に励磁可能なソレノイドコイルと協働
し、アーマチュアの行程が弁ニードルを介して弁閉鎖体に伝達される。この弁閉
鎖体は弁座面と協働してシール座を形成している。弁ニードルと弁閉鎖体との戻
り運動は戻しばねによって行われる。

【０００４】 燃料噴射弁を操作するためには、励磁電流がソレノイドコイルに印加される。
これによって、アーマチュアがソレノイドコイル内に引き込まれ、燃料噴射弁が
、弁座からの弁閉鎖体の持上りによって開放される。

【０００５】 特に、前記ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６２６５７６号明細書に基づ
き公知の燃料噴射弁における欠点は比較的長い閉鎖時間である。アーマチュアと
ソレノイドコイルコアとの間に作用する粘着力と、即座には行われない、励磁電
流の遮断時における磁界の減少とによって、燃料噴射弁の閉鎖時における遅延が
生ぜしめられる。したがって、戻しばねは、大きなばね定数もしくは大きな予荷
重またはプレロードを有していなければならない。短い閉鎖時間を達成するため
には、戻し力が、燃料圧に対してシールするために必要となる場合よりも著しく
大きく設定されなければならない。このことは、電子式の制御回路の大きな出力
要求を招いてしまう。

【０００６】 ドイツ連邦共和国特許第１９５３４４４５号明細書に基づき、内燃機関のため
の燃料噴射弁が公知である。この燃料噴射弁は圧電式のアクチュエータによって
操作可能である。燃料噴射弁は、ケーシングボディ内で軸方向に運動可能な弁ニ
ードルを有している。この弁ニードルは圧電式のアクチュエータによって操作可
能であり、圧縮ばねによって閉鎖方向で保持される。ケーシングボディは中央孔
を有している。この中央孔内には圧電式のアクチュエータが配置されているので
、アクチュエータも同様に弁ニードルを同心的に取り囲んでいて、シール面によ
って燃料圧に対してシールされている。

【０００７】 燃料噴射弁を操作するためには、電圧が圧電式のアクチュエータに印加される
。これによって、このアクチュエータは長さ変化を被る。この長さ変化は、弁ニ
ードルを介して弁閉鎖体に伝達され、これによって、燃料噴射弁を開放する。

【０００８】 特に、前記ドイツ連邦共和国特許第１９５３４４４５号明細書に基づき公知の
燃料噴射弁における欠点は高い製造費用である。圧電式のアクチュエータは、剪
断力に対する高い感度によって特徴付けられているので、この構成部分の製造お
よび組付けは手間がかかると同時に高価となってしまう。

【０００９】 さらに、圧電式にまたは電磁式に操作可能な燃料噴射弁における欠点は高いノ
イズ発生である。このノイズ発生は、シール座に対する弁ニードルの機械的な当
接もしくはコアに対するアーマチュアの当接に起因している。さらに、行程調整
が必要となる。

【００１０】 発明の利点 請求項１の特徴部に記載の特徴を備えた本発明による燃料噴射弁は従来のもの
に比べて、燃料の調量が軸方向の弁ニードル運動とは無関係であるという利点を
有している。むしろ、燃料は、弁閉鎖体が電動モータによって閉塞体上で回転ま
たは場合によっては回動させられることによって調量される。

【００１１】 これによって、弁ニードルの慣性、シール座に対する弁ニードルの衝突もしく
はコアに対するアーマチュアの衝突に起因する公知の遅延効果と部分的に不正確
な調量量とが省略される。さらに、僅かなノイズ発生しか生ぜしめられず、行程
調整は不要となる。

【００１２】 従属請求項に記載した手段によって、請求項１に記載した燃料噴射弁の有利な
改良形が可能となる。

【００１３】 閉塞体に対して相対的な弁閉鎖体の正確な角度調整のために必要となる、駆動
軸に配置されている角度送信器は、たとえば誘導型の単純な構成部分として形成
可能である。

【００１４】 噴射開口の可変な大きさと数とによって、弁閉鎖体は、調量したい燃料量に課
される要求に簡単に適合することができる。噴射される燃料量のさらなる調整は
回転速度に関して可能となる。

【００１５】 弁閉鎖体が、鉄・ベリリウム合金および／またはケイ素・ベリリウム合金およ
び／または銅・ベリリウム合金から製造されていると有利である。このれらの合
金は極めて硬質であり、良好な摩擦特性を有しているので、閉塞体と弁閉鎖体と
はほぼ摩耗なしに相対的に回転することができる。有利には円板状の弁閉鎖体に
流出開口の他に、重量補償のための切欠きが設けられているとさらに有利である
。

【００１６】 実施例の説明 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

【００１７】 図１には、軸方向の断面図で本発明による燃料噴射弁１の１つの実施例が示し
てある。この燃料噴射弁１は、混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関の燃焼室（
図示せず）内に燃料を直接噴射するために特に適している。

【００１８】 燃料噴射弁１は操作装置として電動モータ２を有している。この電動モータ２
は、たとえばステッピングモータ、かご形誘導モータ、交流モータまたは周波数
制御されるモータとして形成することができる。本実施例では、電動モータ２は
ステッピングモータとして形成されている。電動モータ２は、ロータとしての永
久磁石２２と、巻線２４とから形成されている。ロータは複数の磁極を有してい
る。これらの磁極は、中央の孔２３を中心として対称的に配置されていて、磁極
の極性を変化させる。電動モータ２は、燃料噴射弁１の組付け時に完成構成部分
としてスリーブ状の弁ケーシング３内に組み付けられる。

【００１９】 電動モータ２は駆動軸４を駆動する。この駆動軸４は電動モータ２の中央の孔
２３を貫通している。駆動軸４は燃料噴射弁１の中央の切欠き５内に配置されて
いて、案内エレメント６ａ，６ｂ，６ｃによって中央の位置で保持される。

【００２０】 駆動軸４はその噴射側の端部で、有利には円板状の弁閉鎖体８の連行器溝７内
に係合している。駆動軸４はその流入側の端部で圧縮ばね９によって負荷される
。この圧縮ばね９は駆動軸４ひいては弁閉鎖体８を、噴射孔ディスクとして形成
された閉塞体１０に接触させて保持している。この閉塞体１０は弁ケーシング３
を噴射方向で塞いでいる。圧縮ばね９には、特に燃料噴射弁１の中央の切欠き５
内に圧入することができる予荷重スリーブ１１もしくはプレロードスリーブによ
って予荷重もしくはプレロードがかけられている。

【００２１】 駆動軸４には、電動モータ２の下方で角度送信器２１が配置されている。この
角度送信器２１は、駆動軸４の種々異なる位置の間の正確な切換に役立つ。この
ことは、電動モータ２がステッピングモータとして形成されていない場合に特に
重要である。この場合、角度送信器２１は誘導センサとして、内側の永久磁石２
５と外側の巻線２６とから形成されていて、電動モータ２と同様に燃料噴射弁１
の切欠き５内に配置されている。

【００２２】 燃料は中央で燃料供給部１２と、予荷重スリーブ１１に設けられた燃料通路１
３ａとを介して供給される。燃料は引き続き、案内エレメント６ａ，６ｂ，６ｃ
に設けられた燃料通路１３ｂ，１３ｃ，１３ｄを介して燃料噴射弁１の中央の切
欠き５を通って閉塞体１０にまで流れる。この場合、燃料は、燃料噴射弁１の中
央の切欠き５内に配置された電動モータ２と角度送信器２１との外面を取り囲む
ように流れる。この場合、電動モータ２と角度送信器２１とが燃料に対してカプ
セル封入されていると有利である。なぜならば、さもないと、燃料の化学的な侵
食性によって場合によっては電気的な構成要素が損傷を受ける恐れがあるからで
ある。燃料は、弁閉鎖体８に設けられた少なくとも１つの流出開口１４と、閉塞
体１０に設けられた噴射開口１５とを通流し、そこから内燃機関の燃焼室（図示
せず）内に直接噴射される。内燃機関の吸気管内への燃料の噴射も本発明による
燃料噴射弁によって同じく可能となる。

【００２３】 電動モータ２を運転するためには、燃料噴射弁１が電気的な線路１６を有して
いる。この線路１６は差込みコンタクト１７に通じている。この差込みコンタク
ト１７は、角度送信器２１を接触接続させるための別のコンタクトを有していて
よい。この別のコンタクトには電気的な線路２８が通じている。差込みコンタク
ト１７と、電気的な線路１６と、燃料噴射弁１の流入側の部分とはプラスチック
被覆体１８によって取り囲まれている。このプラスチック被覆体１８は、有利に
は射出成形によって前記構成部分を取り囲むように形成することができる。燃料
噴射弁１はシールエレメント２７によってシールされる。

【００２４】 図２には、抜粋した断面図で図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った半径方向の断面が示
してある。この場合、同一の構成部分には同じ符号が付してある。

【００２５】 弁閉鎖体８の高さにおける弁ケーシング３の断面図には、弁閉鎖体８に設けら
れた流出開口１４と連行器溝７と切欠き２０との配置形式のための１つの実施例
が示してある。たとえば扇形の切欠き２０は、重量補償によって閉塞体１０上で
の弁閉鎖体８の一様な面状の運動のために働く。切欠き２０は、円板状の弁閉鎖
体８を完全には貫通していないので、切欠き２０を通る燃料通流は行われない。

【００２６】 流入側から供給されて、案内エレメント６ｃに設けられた燃料通路１３ｄを通
流する燃料は、流出開口１４を介して弁閉鎖体８を通流し、閉塞体１０に形成さ
れた噴射開口１５を介して内燃機関の燃焼室内に噴射される。

【００２７】 本実施例では、弁閉鎖体８は、１つの流出開口１４と、これに相応して、重量
補償のための１つの切欠き２０とを有している。調量したい燃料に課せられる要
求に応じて、複数の流出開口１４が弁閉鎖体８に設けられていてもよい。流出開
口１４が２つ設けられている場合には、第２の流出開口１４を、重量補償のため
の切欠き２０の箇所に設けることができ、３つ以上の流出開口１４は相応に対称
的に配置される。

【００２８】 燃料噴射弁１を操作するためには、運転電圧が差込みコンタクト１７に印加さ
れ、電気的な線路１６を介して電動モータ２に供給される。

【００２９】 燃料噴射弁１を運転するためには２つの運転モードが可能である。内燃機関の
、いわゆる「均等燃焼運転」における約４，５００ｒｐｍを上回る回転数では、
燃料噴射弁１は弁閉鎖体８の回転によって運転される。このことは、電動モータ
２が駆動軸４を中断なしに駆動し、これによって、弁閉鎖体８も同じく中断なし
に回転するということを意味している。これによって、弁閉鎖体８のその都度の
回転時に、弁閉鎖体８の流出開口１４が閉塞体１０の噴射開口１５の上方に合致
して位置すると、規定された量の燃料が燃焼室内へ噴射される。したがって、燃
料量は、弁閉鎖体８の回転速度ならびに流出開口１４と噴射開口１５との大きさ
に関連している。

【００３０】 たとえば内燃機関の「成層燃焼運転」における約４，５００ｒｐｍを下回る回
転数範囲でより少ない燃料量を調量したい場合には、燃料噴射弁１は往復回動に
よって運転される。この場合、電動モータ２は、回転数に適合された切換周波数
で弁閉鎖体８を２つの位置の間で切り換える。こうして、弁閉鎖体８は、流出開
口１４が噴射開口１５の上方に合致して位置しかつ燃料が内燃機関の燃焼室内に
噴射される開放位置を占めるかまたは弁閉鎖体８の流出開口１４と閉塞体１０の
噴射開口１５とが重なっておらず、したがって、燃料が流出することができない
閉鎖位置を占める。これによって、少ない燃料は、弁閉鎖体８に設けられた流出
開口１４と、閉塞体１０に設けられた噴射開口１５とを通って、規定された時間
でしか供給されない。この場合、調量される燃料量は、流出開口１４と噴射開口
１５との大きさと、切換え周波数とにしか関連していない。弁閉鎖体８に設けら
れた流出開口１４の数が二倍にされると、切換え周波数もしくは回転速度を半分
にすることができる。

【００３１】 本発明は、図示の実施例に制限されておらず、燃料噴射弁１の別の多数の構成
でも使用可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による燃料噴射弁の１つの実施例の軸方向の断面図である。

【図２】 図１に示した本発明による燃料噴射弁の噴出側の端部の、ＩＩ−ＩＩ線に沿っ
た断面図である。

【符号の説明】

１ 燃料噴射弁、 ２ 電動モータ、 ３ 弁ケーシング、 ４ 駆動軸、
５ 切欠き、 ６ａ，６ｂ，６ｃ 案内エレメント、 ７ 連行器溝、 ８ 弁
閉鎖体、 ９ 圧縮ばね、 １０ 閉塞体、 １１ 予荷重スリーブ、 １２
燃料供給部、 １３ａ，１３ｂ，１３ｃ，１３ｄ 燃料通路、 １４ 流出開口
、 １５ 噴射開口、 １６ 線路、 １７ 差込みコンタクト、 １８ プラ
スチック被覆体、 ２０ 切欠き、 ２１ 角度送信器、 ２２ 永久磁石、
２３ 孔、 ２４ 巻線、 ２６ 巻線、 ２７ シールエレメント、 ２８
線路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｍ 51/06 Ｆ０２Ｍ 51/06 Ｚ 61/18 ３５０ 61/18 ３５０Ｃ ３６０ ３６０Ｂ 61/20 61/20 Ｚ

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 特に内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射するための燃料噴
   射弁（１）であって、弁閉鎖体（８）が設けられており、該弁閉鎖体（８）が、
   閉塞体（１０）と共にシール座を形成しており、さらに、弁閉鎖体（８）を操作
   するための操作装置が設けられている形式のものにおいて、 操作装置が、電動モータ（２）であり、該電動モータ（２）が、弁閉鎖体（８
   ）の回転によって当該燃料噴射弁（１）を開閉するようになっていることを特徴
   とする、燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 閉塞体（１０）が、当該燃料噴射弁（１）を噴射方向で塞い
   でいて、少なくとも１つの噴射開口（１５）を有してる、請求項１記載の燃料噴
   射弁。
3. 【請求項３】 電動モータ（２）が、当該燃料噴射弁（１）の中央の切欠き
   （５）内に配置されている、請求項１または２記載の燃料噴射弁。
4. 【請求項４】 駆動軸（４）が、電動モータ（２）を弁閉鎖体（８）に力伝
   達式に連結している、請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
5. 【請求項５】 駆動軸（４）がその流入側の端部で圧縮ばね（９）によって
   負荷されている、請求項４記載の燃料噴射弁。
6. 【請求項６】 弁閉鎖体（８）が、円板状に形成されていて、中央の連行器
   溝（７）を有しており、該連行器溝（７）内に、駆動軸（４）がその噴射側の端
   部で係合している、請求項４または５記載の燃料噴射弁。
7. 【請求項７】 弁閉鎖体（８）が、少なくとも１つの流出開口（１４）と、
   重量補償のための、閉じられた少なくとも１つの切欠き（２０）とを有している
   、請求項６記載の燃料噴射弁。
8. 【請求項８】 流出開口（１４）と切欠き（２０）とが、中央の連行器溝（
   ７）に対して直径方向で対置して弁閉鎖体（８）に配置されている、請求項７記
   載の燃料噴射弁。
9. 【請求項９】 当該燃料噴射弁（１）の駆動軸（４）に角度送信器（２１）
   が配置されている、請求項４から８までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
10. 【請求項１０】 駆動軸（４）が、角度送信器（２１）を中央で貫通してい
    る、請求項９記載の燃料噴射弁。
11. 【請求項１１】 角度送信器（２１）が、誘導型の角度送信器（２１）であ
    り、巻線（２６）を有している、請求項１０記載の燃料噴射弁。
12. 【請求項１２】 弁閉鎖体（８）が、鉄・ベリリウム合金および／またはケ
    イ素・ベリリウム合金および／または銅・ベリリウム合金から製造されている、
    請求項１から１１までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
13. 【請求項１３】 電動モータ（２）が、ステッピングモータとして形成され
    ている、請求項１から１２までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。