JP2003515324A - カスパーゼ−7を含む結晶化可能な組成物 - Google Patents

カスパーゼ−7を含む結晶化可能な組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、カスパーゼ−7の活性部位結合ポケットを含む結晶化された分子および分子複合体の構造座標でコード化される、データ保存媒体に関する。このようなデータ保存材料は、このような分子および分子複合体、またはこれらの構造的なホモログを、図形的な三次元表示としてコンピュータースクリーン上で表示し得る。本発明はまた、この構造座標を用いて類似またはホモログのタンパク質またはタンパク質複合体の構造を解明する方法に関する。さらに、本発明は、この構造座標を使用して、カスパーゼ−7またはそのホモログに結合する化合物(阻害化合物を含む)をスクリーニングおよび設計する方法に関する。本発明はまた、カスパーゼ−7の活性部位結合ポケットを含む分子もしくは分子複合体、またはこの活性部位結合ポケットの近接した構造ホモログに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の技術分野) 本発明は、カスパーゼ−7の活性部位結合ポケットを含む結晶化した分子およ
び分子複合体の構造座標でコードされたデータ保存媒体に関する。このようなデ
ータ保存材料は、コンピュータースクリーン上の図形的な三次元表示のように、
このような分子および分子複合体、またはそれらの構造相同体を表示し得る。本
発明はまた、同様または相同のタンパク質またはタンパク質複合体の構造を解析
するために構造座標を使用する方法に関する。さらに、本発明は、カスパーゼ−
7またはそれらの相同体に会合する化合物(インヒビター化合物を含む)をスク
リーンおよび設計するために構造座標を使用する方法に関する。本発明はまた、
カスパーゼ−7の活性部位結合ポケットまたはその活性部位結合ポケットの近接
した構造的相同体を含む分子または分子複合体に関する。本発明はまた、カスパ
ーゼインヒビターと複合体化したカスパーゼ−7の組成物および結晶に関する。
【0002】 (発明の背景) アポトーシスまたはプログラムされた細胞死は、所望されない細胞を排除する
生物による主な機構である。アポトーシスの自由化(deregulation
)、すなわち、過剰なアポトーシスまたはそれを引き起こすのに失敗すること、
は、癌、急性炎症および自己免疫障害、虚血疾患および特定の神経変性障害のよ
うな多数の疾患に関係する[一般に、Science、281、1283−13
12頁(1998);Ellisら、Ann.Rev.Cell.Biol.,
7、663頁(1991)]。
【0003】 カスパーゼは、アポトーシスおよび細胞分解のためのシグナル経路における重
要なメディエーターであるシステインプロテアーゼ酵素のファミリーである[N
.A.Thornberry、Chem.Biol.,5,R97−R103(
1998)]。これらのシグナル経路は、細胞型および刺激に非常に依存するが
、全てのアポトーシス経路は、キータンパク質のタンパク質分解を導く共通のエ
フェクター経路に集中すると考えられる。カスパーゼは、シグナル経路のエフェ
クター相およびその初期におけるさらなる上流の両方に含まれる。初期事象に含
まれるこの上流カスパーゼは、活性化され、次いで、アポトーシスの後発相に含
まれる他のカスパーゼを活性化する。
【0004】 カスパーゼは、それらの優位な機能的役割およびそれらの基質特異性に依存し
て3つの群に分類されている[N.A.Thornberry、Chem.Bi
ol.,5、R97−R103頁(1998);N.A.Thornberry
& Y.Lazebnik、Science、281、1312−1316頁
(1998);M.Garcia−Calvoら、J.Biol.Chem.,
273、32608−32613頁(1998)]。
【0005】 第1のサブファミリーは、カスパーゼ−1(ICE)、4、および5からなる
。これらのカスパーゼは、プロ炎症性サイトカインプロセシングに関与し、それ
故に、炎症の際に重要な役割を担うことが示されている。カスパーゼ−1、すな
わちこのクラスで最も研究された酵素は、タンパク質分解切断によってIL−1
β前駆体を活性化する。それ故に、この酵素は、炎症性応答において重要な役割
を担う。カスパーゼ−1はまた、インターフェロンγの産生を刺激するインター
フェロンγ誘発因子(IGIFまたはIL−18)、すなわち、抗原提示、T細
胞活性化および細胞癒着を調節するキー免疫調節剤のプロセシングに関する。
【0006】 残りのカスパーゼは、第2および第3のサブファミリーを構成する。これらの
酵素は、アポトーシスを導く細胞内シグナル経路において中心的重要性を有する
。1つのサブファミリーは、アポトーシス経路における事象の開始(血漿膜から
のシグナルの伝達を含む)に関する酵素からなる。このサブファミリーのメンバ
ーは、カスパーゼ−2、8、9、および10を含む。エフェクターカスパーゼ3
、6、および7からなる他のサブファミリーは、アポトーシスによる細胞の体系
的な分解および死を生じる最終的な下流切断事象に関する。上流シグナル伝達に
関するカスパーゼは、下流カスパーゼを活性化し、次いで、DNA修復機構を無
効にし、DNAを断片化し、細胞骨格を分解し、そして最終的に細胞を断片化す
る。
【0007】 細胞アポトーシスの増加に関連する種々の哺乳動物疾患状態を処置するための
カスパーゼインヒビターの有用性は、ペプチドカスパーゼインヒビターを使用し
て証明されている。例えば、齧歯動物モデルにおいて、カスパーゼインヒビター
は、梗塞サイズを減少し、心筋梗塞後の心筋細胞アポトーシスを阻害し、これに
よって、発作から生じる損傷容量および神経学的欠損を低減し、外傷脳傷害にお
ける外傷後アポトーシスおよび神経学的欠損を低減し、劇症性肝臓破壊の処置に
有効であり、そして内毒素ショック後の生存を改善する[H.Yaoitaら、
Circulation、97、276−281頁(1998);M.Endr
esら、J.Cerebral Blood Flow and Metabo
lism、18、238−247頁(1998);Y.Chengら、J.Cl
in.Invest.,101、1992−1999頁(1998);A.G.
Yakovlevら、J.Neurosci.,17、7415−7424頁(
1997);I.Rodriquezら、J.Exp.Med.184、206
7−2072頁(1996);Grobmyerら、Mol.Med.,5、5
85頁(1999)]。
【0008】 カスパーゼ−7は、治療用薬剤のための潜在的標的と考えられる。しかし、カ
スパーゼ−7の現在の理解は、カスパーゼ−7媒介疾患に対する十分な処置を導
かない。従って、より有効なカスパーゼ−7インヒビターが必要とされる。カス
パーゼ−7を選択的に阻害するか、またはカスパーゼ−7および他のカスパーゼ
を阻害するインヒビターが必要とされる。
【0009】 カスパーゼ−7に関する薬物発見の試みが、カスパーゼ−7についての構造的
情報の欠損によって妨害されてきた。このような構造的情報は、選択的カスパー
ゼ−7インヒビターおよびパン−カスパーゼインヒビターの発見において有用で
ある。しかし、カスパーゼ−7の構造を決定しようとする試みは、カスパーゼ−
7を結晶化する際の困難性によって妨害されてきた。カスパーゼ−7タンパク質
の結晶について報告されていない。従って、このようなタンパク質のX線結晶学
的分析が可能でなかった。
【0010】 (発明の要旨) 出願人は、まず、カスパーゼ−7インヒビターと複合体化したカスパーゼ−7
の結晶化およびその複合体の構造座標を提供することによって、この課題を解決
した。その複合体の三次元結晶構造を解析することにより、出願人は、カスパー
ゼ−7の重要な構造的特徴、特に、その活性部位結合ポケットの形状を決定する
ことができた。
【0011】 従って、本発明は、これらの結合ポケットの全てまたは一部を含む分子または
分子複合体、あるいは同様の三次元形状を有するこれらの結合ポケットの相同体
を提供する。
【0012】 本発明は、カスパーゼ−7(カスパーゼ−7活性部位結合ポケットの全てまた
は任意の部分を含む)を含む結晶化した分子および分子複合体の構造座標を含む
、データ保存媒体に関する。このデータ保存媒体は、コンピュータースクリーン
上の図形的な三次元表示のように、このような分子および分子複合体、またはそ
れらの構造相同体を表示し得る。
【0013】 本発明はまた、カスパーゼ−7に対して少なくとも幾らか構造的に同様の特徴
を含む分子または分子複合体の三次元構造の少なくとも一部を決定するための方
法を提供する。これは、カスパーゼ−7について得られる構造座標の少なくとも
幾つかを使用することによって達成される。
【0014】 さらに、本発明は、化合物(カスパーゼ−7に会合する阻害化合物またはそれ
らの相同体を含む)をスクリーンおよび設計するために構造座標を使用する方法
に関する。
【0015】 本発明はまた、カスパーゼ−7/インヒビター複合体の結晶可能な組成物およ
び結晶ならびにこのような結晶を作製するための方法を提供する。
【0016】 (発明の詳細な説明) 以下の略語は、本出願全体にわたって使用される: A=Ala=アラニン T=Thr=トレオニン V=Val=バリン C=Cys=システイン L=Leu=ロイシン Y=Tyr=チロシン I=Ile=イソロイシン N=Asn=アスパラギン P=Pro=プロリン Q=Gln=グルタミン F=Phe=フェニルアラニン D=Asp=アスパラギン酸 W=Trp=トリプトファン E=Glu=グルタミン酸 M=Met=メチオニン K=Lys=リジン G=Gly=グリシン R=Arg=アルギニン S=Ser=セリン H=His=ヒスチジン。
【0017】 さらなる定義は、必要な場合、明細書中に記載される。
【0018】 本明細書中に記載される本発明をより十分に理解するために、以下の詳細な説
明が、記載される。
【0019】 出願人は、第1に、カスパーゼ−7インヒビターと複合体形成するカスパーゼ
−7を含む、結晶可能な組成物を提供することによって、上記問題を解決した。
【0020】 従って、本発明の1つの実施形態において、テトラペプチドアルデヒドインヒ
ビター(アセチル−Asp−Glu−Val−Asp−CHO(AC−DEVD
−CHO))と複合体形成するカスパーゼ−7を含む、結晶可能な組成物が提供
される。好ましくは、カスパーゼ−7は、Y.Guら、J.Biol.Chem
.,271,第10816〜10820(1996)に従ってアミノ酸1〜30
3を有する。
【0021】 この複合体のカスパーゼ−7ポリペプチド部分は、天然に存在するカスパーゼ
−7のシステインプロテアーゼ活性を有する、任意のポリペプチドである。
【0022】 好ましくは、本発明の組成物中のカスパーゼ−7ポリペプチドは、本明細書中
に記載されるように調製される、組換えにより産生されたカスパーゼ−7タンパ
ク質である。
【0023】 カスパーゼ−7ポリペプチドおよびAc−DEVD−CHOは、任意の周知の
方法によって産生され得、この方法としては、合成方法(例えば、固相合成、液
相合成および固相/液相合成の組合せ);組換えDNA方法(部位特異的変異誘
発と必要に応じて組合せた、cDNAクローニングを含む);および/または酵
素学的切断方法と必要に応じて組合せた、天然産物の精製が挙げられれ、これに
より、天然に存在するカスパーゼ−7ポリペプチドのフラグメントを産生する。
このインヒビターAc−DEVD−CHOは、市販(Peptides Int
ernational)されているか、または任意の周知の方法(例えば、固相
合成、液相合成および固相/液相合成の組合せ)によって産生され得る。
【0024】 本発明の別の実施形態は、テトラペプチドアルデヒドインヒビター(アセチル
−Asp−Glu−Val−Asp−CHO(Ac−DEVD−CHO))と複
合体形成するカスパーゼ−7を含む、結晶が提供される。好ましくは、このカス
パーゼ−7は、Y.Guら、J.Biol.Chem.,271,10816〜
10820頁(1996)に従って、アミノ酸1〜303を有する。好ましくは
、この結晶は、単位細胞寸法(88.2Å、88.2Å、186.2Å、α=9
0.0°、β=90.0°、γ=120.0°)を有し、そして空間群P322
1に属する。より好ましくは、この結晶化酵素は、四量体である。
【0025】 重要なことに、出願人の発明は、第1に、カスパーゼ−7活性部位の結合ポケ
ットの形状および構造に関する情報を提供した。
【0026】 結合ポケットは、薬物発見のような分野で有意に有用である。天然のリガンド
または基質と、それらの対応するレセプターまたは酵素の結合ポケットとの結合
は、活性の多くの生物学的機構の基礎である。同様に、多くの薬物は、レセプタ
ーおよび酵素の結合ポケットとの結合を介して、それらの生物学的効果を及ぼす
。このような結合は、結合ポケットの全ての部分または任意の部分で生じ得る。
このような結合の理解は、それらの標的レセプターまたは酵素とのより有利な結
合を有する薬物の設計、従って、改良された生物学的効果に導くのを助ける。従
って、この情報は、カスパーゼ−7様結合ポケットの強力なインヒビターを設計
する際に価値がある。
【0027】 本明細書中で使用される場合、用語「結合ポケット」とは、その形態の結果と
して、別の化学実体または化合物との好ましく会合する、分子または分子複合体
の領域をいう。
【0028】 用語「カスパーゼ−7様結合ポケット」とは、形態が共通のリガンドを結合す
るようにカスパーゼ−7活性部位結合ポケットの全てまたは任意の部分と十分類
似する、分子または分子複合体の一部分をいう。この形態の共通点は、1.5Å
以下の、カスパーゼ−7中の結合ポケットを構成するアミノ酸の骨格原子の構造
座標(図1に示すように)から根平均二乗偏差により規定される。この計算を実
行する方法は以下に記載される。
【0029】 カスパーゼ−7の「活性部位結合ポケット」または「活性部位」は、カスパー
ゼ−7酵素表面上の領域をいい、ここで基質の切断が起こり、そしてここでAc
−DEVD−CHOは、その阻害効果を発揮する。
【0030】 用語「P結合ポケット」、「Sポケット」、「S領域」などは、結合基質、ま
たはカスパーゼ分子上の基質結合部位の一部分をいう。基質のアミノ酸残基は、
これらの相対的に切れやすい結合(すなわち、プロテアーゼにより壊される結合
)位置に従って命名される。この残基は、これらが基質のN末端の方へ伸びてい
る場合に、P1またはP2などと命名され、そしてこれらが基質のC末端の方へ
伸びている場合に、P1’またはP2’などと命名される。基質のP残基または
P’残基に対応するインヒビターの一部分はまた、基質との類似性によりP1、
P1’などと標識される。P1、P1’などと標識された残基を受け取るカスパ
ーゼ分子の結合サブサイトは、S1、S1’などと命名され、あるいは、「P1
結合ポケット」、「P1’結合ポケット」などと命名され得る(I.Schec
hterおよびA.Berger、Biochem.Biophys.Res.
Communi.、27、pp.157〜162(1967))。
【0031】 カスパーゼ−7の結晶構造解析において、出願人は、カスパーゼ−7アミノ酸
234、235、237、276、278、281および284が、カスパーゼ
3のS4結合領域よりもより親水性であるカスパーゼ−7のS4結合領域に起因
することを決定した。
【0032】 出願人は、アミノ酸85、86、87、88、144、145、184、18
6,191、223、230、231、232、233、234、235、23
7,240、278、278、281、282および284が、このリガンドと
相互作用するAc−DEVD―CHOインヒビターと十分に密接した位置にある
ことを決定した。
【0033】 出願人はまた、アミノ酸残基87,184、および233が、カスパーゼ−7
のP1結合ポケットにおいて重要であること;アミノ酸残基191、230、2
32、および282が、カスパーゼ−7のP2結合ポケットにおいて重要である
こと;アミノ酸残基86,88,233が、カスパーゼ−7のP3結合ポケット
において重要であること;およびアミノ酸残基234,235,237,240
、および276が、カスパーゼ−7のP3結合ポケットにおいて重要であること
を決定した。
【0034】 当業者は、カスパーゼ−7の他のアイソフォームにおけるアミノ酸の番号が、
本明細書中に記載されたものと異なり得ることを容易に理解する。
【0035】 有利には、本発明により提供される結晶は、x線結晶学に従う。従って、本発
明はまた、カスパーゼ−7複合体、詳細にはカスパーゼ−7/Ac−DEVD−
CHO複合体の三次元構造を2.35Åの解像度で提供する。重要なことには、
これは、カスパーゼ−7の形態および構造についての最初の情報であった。
【0036】 本発明のカスパーゼ−7/インヒビター複合体の三次元構造は、図7に示され
るような構造座標のセットにより規定される。用語「構造座標」は、結晶形態の
カスパーゼ−7/インヒビター複合体の原子(散在中心)によるx線単色ビーム
の回折について得られたパターンに関する数学的方程式から誘導されるデカルト
座標をいう。回折データを使用して、結晶の繰り返し単位の電子濃度マップを計
算する。次に、電子濃度マップを使用して、カスパーゼ−7またはカスパーゼ−
7/インヒビター複合体の個々の原子の位置を確立した。
【0037】 当業者は、酵素または酵素複合体またはこれらの一部分についての構造座標の
セットが、三次元形態を規定する点のセットに関することを理解する。従って、
完全に異なる座標のセットが、類似の形態または同一の形態を規定しうることが
起こり得る。さらに、個々の座標における少しの変化は、全形態に対してほとん
ど影響を有さない。
【0038】 上記座標の変化は、構造座標の数学的操作に起因して生じ得る。例えば、図7
に示す構造座標は、構造座標の結晶学的順列、構造座標の分割、構造座標のセッ
トへの整数値の付加または挿入、構造座標の反転または上記の任意の組み合わせ
により操作され得る。
【0039】 あるいは、アミノ酸の変異、付加、置換、および/もしくは欠失に起因する結
晶構造の改変、または結晶を構成する成分のいずれかにおけるその他の変化もま
た、構造座標の変化の原因であり得る。このような変化が、元の座標と比較した
場合に許容誤差範囲内である場合は、得られた三次元形態は、同一と考えられる
【0040】 従って、種々のコンピュータ解析は、分子または分子複合体またはこれらの部
分が、上記同一と考えられるようなカスパーゼ−7/インヒビター構造の全部ま
たは一部と十分に類似しているか否かを決定する必要がある。このような解析は
、現在のソフトウエアアプリケーション(例えば、QUANTA(Molecu
lar Simulations Inc.、San Diego,CA)ve
rsion 4.1のMolecular Similarityアプリケーシ
ョン)において添付の使用者ガイドに記載されるように実行され得る。
【0041】 Molecular Similarityアプリケーションは、異なる構造
、同一の構造の異なる立体配座、および同一の構造の異なる部分間の比較を可能
にする。構造を比較するためにMolecular Similarityにお
いて使用される手順は、以下の4つの工程に分けられる:1)比較すべき構造を
ロードする工程;2)これらの構造における原子当量を規定する工程;3)適応
する操作を実施する工程;および4)結果を解析する工程。
【0042】 各構造は、名称によって同定される。ある構造が、標的(すなわち、固定され
た構造)として同定され;残りの全ての構造は、作業構造(working s
trucre)(すなわち、可動構造(moving structure))
である。QUANTA中の原子当量は、使用者のインプットにより規定されるた
め、本発明の目的のために、我々は比較される2つの構造間の全ての保存された
残基についてタンパク質骨格原子(N、Cα、CおよびO)のような原子当量を
規定する。我々はまた、強固に適合した(rigid fitting)操作の
みを考慮する。
【0043】 強固に適合した方法が使用される場合、作業構造は、標的構造と最適な適合が
得られるように翻訳および回転される。この適合操作は、可動構造に適用される
べき最適翻訳および回転を、等価な原子の特定の対にわたる適合の根平均二乗偏
差が絶対最小値であるように計算するアルゴリズムを使用する。この数は、オン
グストロームで規定され、QUANTAにより報告される。
【0044】 本発明の目的のために、任意の分子または分子複合体(これは、図7に列挙さ
れた構造座標により記載された関連の骨格原子で重ね合せた場合、1.5Å未満
の保存された残基の骨格原子(N、Cα、C、O)の根平均二乗偏差を有する)
は、同一であると考えられる。より好ましくは、根平均二乗偏差は、1.0Å未
満である。
【0045】 用語「根平均二乗偏差」とは、平均からの偏差の二乗の平均の二乗根を意味す
る。傾向または対象からの偏差または変動を表す方法である。本発明の目的のた
めに、この「根平均二乗偏差」は、本明細書中に記載される構造座標により規定
されるようなタンパク質の骨格または複合体のカスパーゼ−7ポリペプチドの一
部分の骨格に関連する部分に由来するタンパク質複合体の骨格における変動を規
定する。
【0046】 一旦、タンパク質結晶の構造座標が決定されると、これらは種々の目的で有用
である(例えば、薬物の発見および関連するタンパク質の結晶学的決定)。
【0047】 従って、本発明に従って、カスパーゼ−7ポリペプチド/インヒビター複合体
、およびこれらの部分の構造座標が提供される。このようなデータは、例えば、
薬物設計および分子置換の目的で使用され得る。
【0048】 従って、本発明の1つの実施形態は、図7によるカスパーゼ−7のアミノ酸2
34、235、237、276、278、281、および284、またはこの分
子または分子複合体のホモログの構造座標により規定される結合ポケットの全て
または任意の部分を含む分子または分子複合体を提供する。ここで、このホモロ
グは、1.5Åを超えないこのアミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏差を有す
る結合ポケット含み、そしてここでこの分子または分子複合体は、カスパーゼ3
のS4結合領域よりもより親水性であるS4結合領域を有する。
【0049】 本発明の別の実施形態は、カスパーゼ−7のアミノ酸85、86、87、88
、144、145、184、186、191、223、230、231、232
、233、234、235、237、240、276、278、281、282
、および284、またはこの分子または分子複合体のホモログの構造座標により
規定された結合ポケット全てまたは任意の一部分を含む分子または分子複合体を
提供する。ここで、このホモログは、1.5Åを超えないこのアミノ酸の骨格原
子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケットを含み、そしてここでこの分子ま
たは分子複合体は、カスパーゼ3のS4結合領域よりもより親水性であるS4結
合領域を有する。
【0050】 本発明のなお別の実施形態は、図7に記載の構造座標の全てまたは一部により
規定される分子もしくは分子複合体、またはこの分子もしくは分子複合体のホモ
ログを提供し、ここでこのホモログは、このアミノ酸の保存性骨格原子から1.
5Å以下の根平均二乗偏差を有し、そしてここで、この分子または分子複合体は
、カスパーゼ−3のS4結合領域よりも親水性であるS4結合領域を有する。好
ましくは、分子または分子複合体は、図7に記載の構造座標の全てまたはそのホ
モログによって規定される。
【0051】 本発明のなお別の実施形態は、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸58〜3
02の構造座標の全てまたは一部により規定される分子もしくは分子複合体、ま
たはこの分子もしくは分子複合体のホモログを提供し、ここでこのホモログは、
このアミノ酸の保存性骨格原子から1.5Å以下の根平均二乗偏差を有し、そし
てここで、この分子または分子複合体は、カスパーゼ−3のS4結合領域よりも
親水性であるS4結合領域を有する。好ましくは、分子または分子複合体は、図
7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸58〜302の構造座標の全てまたはそのホ
モログによって規定される。
【0052】 好ましくは、これらの実施形態の任意において、このホモログは、このアミノ
酸の保存性骨格原子から1.0Å以下の根平均二乗偏差を有する。
【0053】 より好ましい実施形態において、分子または分子複合体は、図7に記載のカス
パーゼ−7アミノ酸58〜302の構造座標によって規定される。
【0054】 本発明はまた、機械読取り可能なデータ記憶媒体を提供し、これは、機械読取
り可能なデータをコード化するデータ記憶材料を含み、ここで、このデータは、
図7に記載のカスパーゼ−7複合体の構造座標の全てまたは一部、あるいはこの
複合体のホモログにより規定され、ここで、このホモログは、この複合体の骨格
原子から1.5Å以下の根平均二乗偏差を有する骨格原子を含む。
【0055】 好ましくは、データは、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸234、235
、237、276、278、281、および284の構造座標、またはこの複合
体のホモログの構造座標によって規定され、ここで、このホモログは、骨格原子
から1.5Å以下の根平均二乗偏差を有する骨格原子を含む。
【0056】 より好ましくは、データは、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸85、86
、87、88、144、145、184、186、191、223、230、2
31、232、233、234、235、237、240、276、278、2
81、282および284の構造座標、またはこの複合体のホモログの構造座標
によって規定され、ここで、このホモログは、この複合体の骨格原子から1.5
Å以下の根平均二乗偏差を有する骨格原子を含む。
【0057】 なおより好ましくは、データは、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸58〜
302の構造座標、あるいはこの分子または複合体のホモログの構造座標によっ
て規定され、このホモログは、骨格原子から1.5Å以下の根平均二乗偏差を有
する。
【0058】 好ましくは、これらの実施形態の任意において、このホモログは、このアミノ
酸の保存性骨格原子から1.0Å以下の根平均二乗偏差を有する。
【0059】 より好ましくは、データは、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸58〜30
2の構造座標によって規定される。
【0060】 本発明に従って、これらのカスパーゼ−7複合体およびそのホモログは、カス
パーゼ−3のS4結合領域よりも親水性であるS4結合領域を有する。
【0061】 カスパーゼ−7複合体またはその結合ポケットの1つあるいはそのホモログに
ついて生成される構造座標を使用するために、これらを三次元形状に変換するこ
とが時々必要である。これは、1セットの構造座標から分子またはその一部の三
次元表示を生成し得る市販のソフトウェアの使用によって達成される。三次元表
示は、図形的な表示で表示され得る。
【0062】 従って、本発明の別の実施形態に従って、機械読取り可能なデータ記憶媒体が
提供され、これは、機械読取り可能なデータをコード化するデータ記憶材料を含
み、このデータを使用するための指示書とともにプログラムされた機械を使用す
る場合、任意の分子または分子複合体あるいはそのホモログの三次元表示を作製
し得、これらは、本明細書中に記載される。
【0063】 本発明はまた、以下: a.分子または分子複合体であって、図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸
234、235、237、276、278、281、および284の構造座標に
よって規定される結合ポケットを含む、分子または分子複合体;あるいは b.この分子もしくは分子複合体のホモログであって、1.5Å以下のアミノ
酸の骨格原子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含む、ホモログ、 の三次元表示を作製するためのコンピュータを提供し、ここで、このコンピュー
タは: i.機械読みとり可能データでコード化されたデータ記憶材料を含む機械読み
とり可能なデータ記憶媒体であって、ここでデータが、図7に記載のカスパーゼ
−7のアミノ酸234、235、237、276、278、281、および28
4の構造座標を含む、データ記憶媒体; ii.機械読みとり可能データを三次元表示へと処理するための指示書 を備える。
【0064】 好ましくは、コンピュータは、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸85、8
6、87、88、144、145、184、186、191、223、230、
231、232、233、234、235、237、240、276、278、
281、282および284の構造座標のセットによって規定される分子または
分子複合体の三次元表示を作製するためにあるか、あるいは三次元表示は、この
分子または分子複合体のホモログの三次元表示であり、このホモログは、このア
ミノ酸の骨格原子から1.5Å以下の根平均二乗偏差を有する。
【0065】 より好ましくは、コンピュータは、図7に記載の構造座標のセットの全てまた
は一部によって規定される分子または分子複合体、あるいはこの分子または分子
複合体のホモログの三次元表示を作製するためにあり、このホモログは、このア
ミノ酸の骨格原子から1.5Å以下の根平均二乗偏差を有する。
【0066】 最も好ましくは、コンピュータは、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸58
〜302、あるいはこの分子または分子複合体のホモログ、あるいはこのホモロ
グの構造座標のセットによって規定される三次元を作製するためにあり、ホモロ
グは、このアミノ酸の骨格原子から1.5Å以下の根平均二乗偏差を有する。
【0067】 好ましくは、これらの実施形態の任意において、このホモログは、このアミノ
酸の保存性骨格原子から1.0Å以下の根平均二乗偏差を有する。
【0068】 最も好ましくは、コンピュータは、図7に記載のカスパーゼ−7アミノ酸58
〜302の構造座標のセットによって規定される三次元を作製するためにある。
【0069】 好ましい実施形態において、本発明に従うコンピュータはまた、機械読み取り
可能なデータを処理するための指令を記憶するためのワーキングメモリ、ワーキ
ングメモリおよび三次元表示にこの読み取り可能なデータを処理するための読み
取り可能データ記憶媒体に連結された中央処理装置、または三次元表示を表示す
るためのディスプレイを備える。より好ましくは、本発明に従うコンピュータは
、ディスプレイを備える。最も好ましくは、本発明に従うコンピュータは、上記
ワーキングメモリ、中央処理装置およびディスプレイを備える。
【0070】 図8は、3つの実施形態の1つのバージョンを示す。システム10は、中央処
理装置(「CPU」)20、ワーキングメモリ22、例えば、RAM(ランダム
アクセスメモリ)または「コア」メモリ、大容量記憶装置24(例えば、1つ以
上のディスクドライブまたはCD−ROMドライブ)、1つ以上の陰極線チュー
ブ(「CRT」)ディスプレイ端末26、1つ以上のキーボード28、1つ以上
の入力ライン30、および1つ以上の出力ライン40を備えるコンピュータ11
を含み、この全てが、従来の二方向性システムバス50によって相互接続される
【0071】 入力ハードウェア36は、入力ライン30によってコンピュータ11に接続さ
れ、種々の方法で実施され得る。本発明の機械読み取り可能なデータは、電話線
または専用データライン34によって接続されるモデム32の使用によって入力
され得る。あるいは、またはこれらに加えて、入力ハードウェア36は、CD−
ROMドライブまたはディスクドライブ24を備え得る。ディスプレイ端末26
と組み合わせて、キーボード28はまた、入力デバイスとして使用され得る。
【0072】 出力ハードウェア46は、出力ライン40によってコンピュータ11に接続さ
れ、同時に従来のデバイスによって実行され得る。例として、出力ハードウェア
46は、本明細書中に記載されるような、QUANTAのようなプログラムを使
用して、本発明の結合ポケットの図形的な表示を表示するために、CRTディス
プレイ端末26を備え得る。出力ハードウェアはまた、プリンター42を備え得
、その結果、ハードコピー出力が、作製され得るか、ディスクドライブ24を備
え得、後の使用のためにシステムの出力を記憶し得る。
【0073】 操作において、CPU20は、種々の入力および出力デバイス36、46の使
用を調整し、大容量記憶装置24からのデータアクセスおよびワーキングメモリ
22へのまたはワーキングメモリ22からのアクセスを調整し、そしてデータ処
理工程の順序を決定する。多くのプログラムが、本発明の機械読み取り可能なデ
ータを処理するために使用され得る。このようなプログラムは、本明細書中に記
載される薬物発見のコンピュータ方法を参照して議論される。ハードウェアシス
テム10の成分に対する特定の参照は、データ記憶媒体についての以下の記載全
体を通じて適切に含まれる。
【0074】 図9は、図8のシステム10のようなシステムによって実行され得る機械読み
取り可能なデータでコード化され得る磁気データ記憶媒体100の断面を示す。
媒体100は、従来のフロッピー(登録商標)ディスケットまたはハードディス
クであり得、これは、片面または両面に、適切な基板101(従来のものであり
得る)および適切なコーティング102(従来のものであり得る)を有し、極性
または配向が磁気的に変化され得る磁気ドメイン(見えない)を含む。媒体10
0はまた、ディスクドライブまたは他のデータ記憶デバイス24のスピンドルを
受容するための開口部(図示しない)を有し得る。
【0075】 媒体100のコーティング102の磁気ドメインは、図8のシステム10のよ
うなシステムによって実行するために、本明細書中に記載されるような従来の機
械読み取り可能データであり得る様式でコード化されるように、極性があるかま
たは配向する。
【0076】 図10は、図8のシステム10のようなシステムによって実行され得る、機械
読み取り可能なデータまたは指令のセットでまたコード化され得る光学読み取り
可能データ記憶媒体110の断面を示す。媒体110は、従来のコンパクトディ
スク読み取り専用メモリ(CD−ROM)または光学的に読み取り可能であり、
磁気光学的に書き込み可能である磁気光学ディスクのような書き換え可能媒体で
あり得る。媒体110は、通常、基板111の片面の、適切な基板111(従来
のものであり得る)および適切なコーティング112(従来のものであり得る)
を有する。
【0077】 CD−ROMの場合、周知なように、コーティング112は、反射性であり、
複数のピット113で印加(impress)されて、機械的読み取り可能デー
タをコード化する。ピットの配置は、コーティング112の表面からのレーザー
光の反射によって読まれる。保護コーティング114(好ましくは、実質的に透
明である)は、コーティング112の上部に提供される。
【0078】 磁気光学ディスクの場合、周知なように、コーティング112は、ピット11
3を有さないが、極性または配向が、レーザー(図示しない)によるように、特
定の温度より上に加熱される場合、磁気的に変化し得る複数の磁気ドメインを有
する。ドメインの配向は、コーティング112から反射されるレーザー光の極性
を測定することによって読み出され得る。ドメインの配置は、上記のようにデー
タをコード化する。
【0079】 初めて、本発明は、化学実体(カスパーゼ−7に結合し得る阻害性化合物また
はその任意の部分を含む)を設計、選択および/または合成するための薬物発見
技術(構造ベースの合理的な薬物設計を含む)、またはデータベーススクリーニ
ング技術の使用を可能にする。
【0080】 例えば、このデータによってコードされる構造は、化学実体と会合するその能
力についてコンピュータにより評価され得る。カスパーゼ−7と関連する化学実
体は、カスパーゼ−7を阻害し得、潜在的な薬物候補である。あるいは、このデ
ータによってコードされる構造は、コンピュータスクリーン上で図形的な三次元
表示で表示され得る。これによって、構造の視覚的検査、ならびに化学実体と構
造の関連についての視覚的検査が可能になる。
【0081】 従って、別の実施形態に従って、本発明は、上記の分子または分子複合体の任
意と会合する化学実体の潜在性または可能性を評価するための方法に関連する。
この方法は、以下の工程:a)化学実体と分子もしくは分子複合体の結合ポケッ
トとの間の一致操作を実行するためのコンピュータ手段を使用する工程;および
b)化学実体と結合ポケットとの間の結合を定量するための一致操作の結果を分
析する工程を包含する。用語「化学実体」は、本明細書中で使用される場合、化
合物、少なくとも2つの化合物の複合体、およびこのような化合物または複合体
のフラグメントをいう。
【0082】 初めて、本発明は、カスパーゼ−7様結合ポケットに結合し得る阻害性化合物
を含む化学実体を同定、選択および設計するための分子設計技術の使用を可能に
する。
【0083】 カスパーゼ−7結合部位の出願人の解明は、カスパーゼ−7結合ポケットと相
互作用し得る新規な化学実体および化合物を設計するための必要な情報を全体ま
たは一部で提供する。この解明はまた、カスパーゼ−7結合ポケットに結合する
化合物についての構造−機能活性データの評価を可能にする。カスパーゼ−7結
合部位の出願人の解明はまた、カスパーゼ−7結合ポケットと相互作用するため
の要件を、選択的にまたは加えて、他のカスパーゼ結合ポケットと比較するため
の重要な構造情報もまた提供する。
【0084】 従って、別の実施形態に従って、本発明は、上記の任意の分子または分子複合
体の潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを同定するための方法に関する。
この方法は、以下の工程:a.分子もしくは分子複合体の三次元構造を作製する
工程;b.三次元構造を使用して、潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを
設計または選択する工程;c.潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを提供
する工程;およびd.潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを分子と接触さ
せて相互作用させる工程を包含する。
【0085】 このセクション全体を通じて、カスパーゼ−7結合ポケットと結合するか、会
合するか、または阻害する物質の能力についての議論は、その物質のみの特徴を
いう。化合物がカスパーゼに結合するか否かを決定するためのアッセイは、当該
分野において周知である[例えば、WO97/22619に記載されるアッセイ
を参照のこと]。
【0086】 本発明に従うカスパーゼ−7に結合するかまたは阻害する化合物の設計は、一
般的に、2つの因子についての考慮を含む。最初に、この物質は、カスパーゼ−
7結合ポケットの一部または全てと物理的および構造的に会合し得なければなら
ない。この会合において重要な非共有結合分子相互作用としては、水素結合、フ
ァンデルワールス相互作用、疎水性相互作用および静電的相互作用が挙げられる
【0087】 第2に、この物質は、その物質がカスパーゼ−7結合ポケットに直接会合し得
るコンフォメーションを想定し得なければならない。この物質の特定の部分は、
これらの会合に直接関与しないが、この物質のこれらの部分は、この分子の全体
的なコンフォメーション全体になお影響し得る。次いで、これは、効力に対して
有意な影響を有し得る。このようなコンフォメーションの要件としては、結合ポ
ケットの全てまたは一部に関連した化学実体の全体的な三次元構造および配向、
またはカスパーゼ−7結合ポケットまたはそのホモログと直接相互作用するいく
つかの化学実体を含む物質の官能基間の間隔が挙げられる。
【0088】 カスパーゼ−7結合ポケットに対する化学実体の強力な阻害効果または結合効
果は、その実際の合成およびコンピューターモデリング技術の使用による試験の
前に分析され得る。所定の実体の理論構造が所定の実体とカスパーゼ−7結合ポ
ケットとの間の不十分な相互作用および会合を示唆する場合、この実体の試験は
除去される。しかし、コンピューターモデリングが強力な相互作用を示す場合、
この分子は提供されるかまたは合成され、そしてカスパーゼ−7結合ポケットに
結合する能力について試験される。これは、当業者に公知のアッセイを使用して
、カスパーゼ−7を阻害するその分子の能力を試験することによって達成され得
る。このようにして、効力のない分子を得ることおよび効力ない分子を試験する
ことは回避され得る。
【0089】 カスパーゼ−7の強力なインヒビターは、一連の工程の手段によってコンピュ
ーターで評価され得、ここで化学実体またはフラグメントは、カスパーゼ−7結
合ポケットと会合するそれらの能力についてスクリーニングおよび選択される。
【0090】 当業者は、化学実体またはフラグメントを、カスパーゼ−7結合ポケットに会
合するそれらの能力についてスクリーニングするためのいくつかの方法のうちの
1つを使用し得る。このプロセスは、例えば、図7におけるカスパーゼ−7構造
座標、または機械読み取り可能記憶媒体から生成した類似の形状を規定する他の
座標に基づいて、コンピュータースクリーン上でカスパーゼ−7結合ポケットを
目視検査することによって、始められ得る。選択されたフラグメントまたは化学
実体は、次いで、様々な配向に配置されるか、またはドッキングされて、ここで
、結合ポケットは前出のように規定される。ドッキングは、Quantaおよび
Sybylのようなソフトウェア、次いで、エネルギー最小化およびCHARM
MおよびAMBERのような標準的な分子力学的力場を使用する分子動力学によ
って達成され得る。
【0091】 専用のコンピュータープログラムはまた、フラグメントまたは化学実体を選択
するプロセスを援助し得る。これらには、以下が挙げられる: 1.GRID(P.J.Goodford,「A Computational
Procedure for Determining Energetic
ally Favorable Binding Sites on Biol
ogically Important Macromoecules」,J.
Med.Chem.,28,849−857頁(1985))。GRIDは、O
xford University,Oxford,UKから入手可能である。 2.MCSS(A.Mirankerら、「Functionality Ma
ps of Binding Sites:A Multiple Copy
Simultaneous Search Method」、Proteins
:Structure,Function and Genetics,11,
29−34頁(1991))。MCSSは、Molecular Simula
tions,San Diego,CAから入手可能である。 3.AUTODOCK(D.S.Goodsellら、「Automated
Docking of Substrates to Proteins by
Simulated Annealing」、Proteins:Struc
ture,Function,and Genetics,8,195−202
頁(1990))。AUTODOCKは、Scripps Research
Institute,La Jolla,CAから入手可能である。 4.DOCK(I.D.Kuntzら、「A Geometric Appro
ach to Macromolecule−Ligand Interact
ions」、J.Mol.Biol.,161,269−288頁(1982)
)。DOCKは、University of California,San
Francisco,CAから入手可能である。
【0092】 一旦、適切な化学実体またはフラグメントが選択されると、これらは単一の化
合物または結合体に構築され得る。構築は、これらのフラグメントの互いの関係
を、カスパーゼ−7の構造座標に関して、コンピュータースクリーンに表示され
る三次元画像を目視検査することによって先行され得る。これは、Quanta
またはSybyl[Tripos Associates,St.Louis,
MO]のようなソフトウェアを使用する手動モデル構築に従う。
【0093】 当業者が個々の化学実体またはフラグメントを連結するのを援助するために有
用なプログラムとしては、以下が挙げられる: 1.CAVEAT(P.A.Barrlettら、「CAVEAT:A Pro
gram to Facilitate the Structure−Der
ived Design of Biologically Active M
olecules」、Molecular Recognition in C
hemical and Biological Problems」、Spe
cial Pub.,Royal Chem.Soc.,78,182−196
頁(1989);G.LauriおよびP.A.Barrlett,「CAVE
AT:a Program to Facilitate the Desig
n of Organic Molecules」、J.Comput.Aid
ed Mol.Des.,8,51−66頁(1994))。CAVEATは、
University of California,Berkeley,CA
から入手可能である。 2.ISIS(MDL Information Systems,San L
eandro,CA)のような3Dデータベースシステム。この分野は、Y.C
.Martin、「3D Database Searching in Dr
ug Design」、J.Med.Chem.,35,2145−2154頁
(1992)に論評される。 3.HOOK(M.B.Eisenら、「HOOK:A Program fo
r Finding Novel Molecular Architectu
res that Satisfy the Chemical and St
eric Requirements of a Macromolecule
Binding Site」、Proteins:Struct.,Func
t.,Genet.,19,199−221頁(1994)。HOOKは、Mo
lecular Simulations,San Diego,CAから入手
可能である。
【0094】 上記のように、1つのフラグメントまたは化学実体を同時に、カスパーゼ−7
結合ポケットのインヒビターに段階的様式で構築する処理にもかかわらず、阻害
または他のカスパーゼ−7結合化合物は、空の結合部位を使用してかまたは必要
に応じて既知のインヒビターのいくつかの部分を含んで、全体としてまたは「新
規」として設計され得る。多くの新規のリガンド設計方法があり、これには以下
が挙げられる: 1.LUDI(H.J.Bohm,「The Computer Progra
m LUDI:A New Method for the DE Novo
Design of Enzyme Inhibitors」,J.Comp.
Aid.Molec.Design,6,61−78頁(1992))。LUD
Iは、Molecular Simulations Incorporate
d,San Diego,CAから入手可能である。 2.LEGEND(Y.Nishibataら、Tetrahedron,47
,8985頁(1991))。LEGENDは、Molecular Simu
lations Incorporated,San Diego,CAから入
手可能である。 3.LeapFrog(Tripos Associates,St.Loui
s,MOから入手可能である)。 4.SPROUT(V.Gilletら、「SPROUT:A Program
for Structure Generation」,J.Comput.
Aided Mol.Design,7,127−153頁(1993))。S
PROUTは、University of Leeds,UKから入手可能で
ある。
【0095】 他の分子モデリング技術もまた、本発明に従って用いられ得る[例えば、N.
C.Cohenら、「Molecular Modeling Softwar
e and Methods for Medicinal Chemistr
y,J.Med.Chem.,33,883−894(1990)を参照のこと
。M.A.NaviaおよびM.A.Murcko,「The Use of
Structural Information in Drug Desig
n」、Current Opinions in Structural Bi
ology,2,202−210頁(1992);L.M.Balbesら、「
A Perspective of Modern Methods in C
omputer−Aided Drug Design」、Reviews i
n Computational Chemistry,第5巻、K.B.Li
pkowitzおよびD.B.Boyd編、VCH,New York,337
−380頁(1994)もまた参照のこと。W.C.Guida,「Softw
are For Structure−Based Drug Design」
、Curr.Opin.Struct.Biology,4,777−781頁
(1994)もまた参照のこと]。
【0096】 一旦、化合物が上記の方法によって設計または選択されると、カスパーゼ−7
結合ポケットに結合し得る有効性を有する化合物は、コンピューター評価によっ
て試験および最適化され得る。例えば、有効なカスパーゼ−7結合ポケットイン
ヒビターは、好ましくは、その結合状態と遊離状態との間のエネルギーの比較的
小さな差(すなわち、小さな結合変形エネルギー)を示すべきである。従って、
最も有効なカスパーゼ−7結合ポケットインヒビターは、好ましくは、約10k
cal/mol以下、より好ましくは7kcal/mol以下の結合変形エネル
ギーを有するように設計されるべきである。カスパーゼ−7結合ポケットインヒ
ビターは、結合エネルギー全体において同様の1つ以上の配置で結合ポケットと
相互作用し得る。これらの場合において、結合の変形エネルギーは、遊離実体の
エネルギーとインヒビターがタンパク質に結合する場合に観察される配置の平均
エネルギーとの間の差異となるようにとられる。
【0097】 カスパーゼ−7結合ポケットへの結合するように設計または選択された実体は
、その結合状態で、その実体が好ましくは標的酵素および周りの水分子との反発
静電相互作用を欠くように、さらにコンピューターで最適化され得る。このよう
な、非相補的静電相互作用としては、反発電荷−電荷相互作用、双極子−双極子
相互作用、および電荷−双極子相互作用が挙げられる。
【0098】 特定のコンピューターソフトウェアは、化合物の変形エネルギーおよび静電相
互作用を評価するために当該分野で利用可能である。このような用途のために設
計されるプログラムの例としては、以下が挙げらる:Gaussian 94,
改訂版C(M.J.Frisch,Gaussian,Inc.,Pittsb
urgh,PA,1995);AMBER,バージョン4.1(P.A.Kol
lman,University of California、San Fr
ancisco,1995);QUANTA/CHARMM(Molecula
r Simulations,Inc.,San Diego,CA、1995
);Insight II/Discover(Molecular Simu
lations,Inc.,San Diego,CA、1995);DelP
hi(molecular Simulations,Inc.,San Di
ego,CA,1995);およびAMSOL(Quantum Chemis
try Program Exchange,Indiana Univers
ity)。これらのプログラムは、例えば、Silicon Graphics
ワークステーション(例えば、Indigo2)を「IMPACT」グラフィク
スと共に使用して実行され得る。他のハードウェアシステムおよびソフトウェア
パッケージは、当業者に公知である。
【0099】 本発明によって可能になる別のアプローチは、カスパーゼ−7結合ポケットに
全体的または部分的に結合し得る化学実体または化合物についての低分子データ
ベースのコンピュータースクリーニングである。このスクリーニングにおいて、
この結合部位へのこのような実体のフィットの量は、形状相補性または予測相互
作用エネルギーのいずれかによって判断され得る[E.C.Mengら、J.C
omp.Chem.13,505−524頁(1992)]。
【0100】 従って、本発明によって、化合物は、カスパーゼ−7活性部位に直接会合する
ことによって、カスパーゼ−7を阻害し得る。好ましくは、このような化合物は
、10kcal/mol以下のひずみエネルギーを有する。より好ましくは、こ
れらの化合物は、3個以下の2級アミド結合を含む。さらにより好ましくは、こ
れらの化合物は、1000未満の分子量を有する。
【0101】 当業者は、天然リガンドまたは置換基と、それらの対応するレセプターまたは
酵素の結合ポケットとの会合は、作用の多くの生物学的機構の基礎であることを
理解する。同様に、多くの薬剤は、レセプターおよび酵素の結合ポケットとの会
合によって、それらの生物学的効果を発揮する。このような会合は、結合ポケッ
トの全てまたは任意の部分で生じ得る。このような会合の理解は、それらの標的
レセプターまたは酵素とのより有利な会合、従って改善された生物学的効果を有
する薬剤の設計を助ける。従って、この情報は、レセプターまたは酵素の強力な
リガンドまたはインヒビター(例えば、カスパーゼ−7のインヒビター)を設計
する際に役立つ。
【0102】 用語「会合する」は、化学的要素または化合物、あるいはその一部の間の近接
した状態をいう。この会合は、非共有結合(この近位が水素結合またはファンデ
ルワールス力または静電気的な相互作用によって強力に好まれる)であり得るか
、または共有結合であり得る。
【0103】 本発明によって可能になる、別の特に有用な薬物設計技術は、相互作用的な設
計である。相互作用的な薬物設計は、タンパク質/化合物複合体の連続的なセッ
トの三次元構造を決定および評価することによって、タンパク質と化合物の間の
会合を最適化するための方法である。
【0104】 相互作用的な薬物設計において、タンパク質またはタンパク質複合体の一連の
結晶が獲得され、次いで、各結晶構造の三次元構造が解析される。このようなア
プローチは、各複合体のタンパク質と化合物との間の会合についての洞察を提供
する。阻害的な活性を有する化合物を選択すること、この新しいタンパク質/化
合物複合体の結晶を獲得すること、この複合体の三次元構造を解析すること、お
よび新しいタンパク質/化合物複合体と以前に解析されたタンパク質/化合物複
合体との間の会合を比較することによって、この方法は達成され得る。化合物に
おける変化が、どれくらいタンパク質/化合物会合に影響するかを観察すること
によって、これらの会合は最適化され得る。
【0105】 いくつかの場合において、相互作用的な薬物設計は、連続的なタンパク質/化
合物複合体を形成することによって実施され、次いで、新しい複合体の各々を結
晶化する。あるいは、以前に形成されたタンパク質結晶が、インヒビターの存在
下で、浸漬され、それによって、タンパク質/化合物複合体を形成し、そして個
々のタンパク質/化合物複合体の各々を結晶化する必要を軽減する。有利なこと
に、本発明によって提供されるカスパーゼ−7/インヒビター結晶は、化合物(
単数または複数)の存在下で浸漬され得、他の結晶複合体を提供する。
【0106】 本明細書で使用される場合、用語「浸漬される(た)」は、結晶が目的の化合
物を含む溶液に移されるプロセスをいう。
【0107】 本発明の別の実施形態において、実施例1および2に記載される工程を包含す
る、カスパーゼ−7を含む組成物を調製するための方法が提供される。好ましく
は、この組成物は、Ac−DEVD−CHOとの複合体中にカスパーゼ−7を含
む。
【0108】 一旦タンパク質結晶の構造座標が決定されると、それらは、他の結晶構造を解
析する際に有用である。従って、図7に開示される構造座標はまた、別の結晶化
分子または分子複合体についての構造的な情報を獲得する際、補助するために使
用され得る。これは、分子置換を含む、多数の周知の技術のいずれかによって達
成され得る。
【0109】 第1のセットの機械読み取り可能データを用いてコード化されたデータ保存材
料を含む機械読み取り可能データ保存媒体は、前記第1のセットのデータおよび
前記第2のセットのデータを使用するための指示を用いてプログラムされた機械
を使用する第2のセットの機械読み取り可能データと組み合わせる場合、第2の
セットの機械読み取り可能データに対応する構造座標の少なくとも一部を決定し
得、ここで:前記第1のセットのデータおよび前記第2のセットのデータは、図
7に従って、カスパーゼ−7についての構造座標の少なくとも一部のフーリエ変
換を含む;前記第2のセットのデータは、未知の構造の分子または分子複合体の
X線解析パターンを含む。
【0110】 図7において開示される構造座標はまた、カスパーゼ−7に対する少なくとも
いくらか構造的に類似した特徴を含む分子または分子複合体の三次元構造の少な
くとも一部を決定するために使用され得る。特に、別の結晶化分子または分子複
合体についての構造情報が獲得され得る。これは、分子置換を含む多数の周知の
技術のいずれかによって達成され得る。
【0111】 従って、別の実施形態において、本発明は、その構造が未知である結晶体化分
子または分子複合体についての構造情報を獲得するために分子置換を利用する方
法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する: a)前記結晶化分子または分子複合体からX線解析パターンを作成する工程; b)図7に開示される構造座標の少なくとも一部をX線解析パターンに適用す
ることによって、その構造が未知である分子または分子複合体の三次元電子密度
マップを作成する工程。
【0112】 好ましくは、結晶化分子または分子複合体は、カスパーゼ−7を含む。さらに
好ましくは、結晶化分子または分子複合体は、本発明の結晶を溶液中に浸漬する
ことによって獲得される。
【0113】 分子置換を使用することによって、本発明によって提供される(そして図7に
おいて開示される)カスパーゼ−7複合体のすべてまたは一部の構造座標を使用
して、最初からこのような情報を決定する試みよりも、その構造が未知である結
晶化分子または分子複合体の構造をより迅速にそして効率的に決定し得る。
【0114】 分子置換は、未知の構造についての相の正確な推定を提供する。相は、直接決
定され得ない結晶構造を解析するために使用される式における因子である。分子
置換以外の方法によってこの相についての正確な値を得ることは、近似および精
製の相互作用的なサイクルを包含する時間を浪費するプロセスであり、結晶構造
の解析を大いに妨げる。しかし、少なくとも相同な部分を含むタンパク質の結晶
構造が解析される場合、公知の構造由来の相は、未知の構造についての相の良好
な推定を提供する。
【0115】 従って、この方法は、その構造が未知である分子または分子複合体の結晶の観
察されたX線解析パターンを最も上手に説明するように、未知の分子または分子
複合体の結晶の単位細胞内で、図7に従ってカスパーゼ−7複合体の関連部分を
方向付けそして位置決めることによって、その構造座標が未知である分子または
分子複合体の予備的なモデルを作成する工程を包含する。次いで、相がこのモデ
ルから計算され、そして観察されたX線解析パターン振幅と組み合わされ、その
座標が未知である構造の電子密度マップを作成する。これは、次いで、周知モデ
ル構築および構造精製技術のいずれかに供され得、未知の結晶化分子または分子
複合体の最終的な正確な分子構造を提供する[E.Lattman,Meth.
Enzymol.,115、55−77頁(1985);M.G.Rossma
nn編、Int.Sci.Rev.Ser.,No.13,Gordonおよび
Breach,New York(1972)]。
【0116】 カスパーゼ−7のいずれか一部に十分相同な結晶化分子または分子複合体のい
ずれかのいずれか一部の構造は、この方法によって解析され得る。
【0117】 好ましい実施形態において、分子置換の方法は、複合体がカスパーゼ−7を含
む分子または分子複合体についての構造情報を獲得するために利用される。好ま
しくは、カスパーゼ−7は、インヒビターAc−DEVD−CHOと複合体化す
る、本明細書中に記載されるカスパーゼ−7である。
【0118】 本発明によって提供されるカスパーゼ−7の構造座標は、カスパーゼ−7、ま
たはその複合体の他の結晶形態の構造を解析する際に特に有用である。
【0119】 この構造座標はまた、カスパーゼ−7複合体、特に、種々の化学的要素と共同
複合体化されたカスパーゼ−7の構造を解析するために特に有用であり得る。こ
のアプローチは、カスパーゼ−7と候補カスパーゼ−7インヒビターとの相互作
用を含む、化学的要素間の相互作用のための最適な部位の決定を可能にする。例
えば、異なった型の溶媒に曝露された結晶から回収された高分解能X線解析デー
タは、溶媒分子の各々の型が存在する場所の決定を可能にする。次いで、これら
の部位に密接に結合する低分子が設計および合成され、それらのカスパーゼ−7
阻害活性について試験される。
【0120】 上記参照されるすべての複合体は、周知のX線分析技術を使用して研究され得
、そしてコンピューターソフトウェア(例えば、X−PLOR)を使用する約0
.20以下のR値に対する1.5〜3Å分解X線データに対して精製され得る[
Yale University,1992,Molecular Simul
ations,Inc.によって配給される;例えば、Blundellおよび
Johnson、前出、Meth.Enzymol.,第114巻および第11
5巻、H.W.Wyckoffら編、Academic Press(1985
)]。この情報は、従って、公知のカスパーゼインヒビターを最適化するために
、そして、さらに重要なことに、新しいカスパーゼインヒビターを設計するため
に使用され得る。
【0121】 本発明をさらに十分に理解するために、以下の実施例が開示される。これらの
実施例は、例示的な目的のみであって、いずれの点においても、本発明の範囲を
制限するために構築されるのではない。
【0122】 (実施例1) (結晶化のためのカスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、および
カスパーゼ−8の発現および精製) 組換えヒトカスパーゼ−1をp45前駆体の残基120−404にわたる不溶
性p32タンパク質として、Escherichia coli中で発現した[
N.A.Thornberryら、Nature,356,768−774頁(
1992)]。不溶性p32タンパク質をカオトロピズム条件下で可溶化および
精製し、次いで再び折り畳まれ、そしてインビトロで自己プロセシングし、p2
0およびp10活性サブユニットを産生する。以前のX線結晶学的分析を含む詳
細が他に記載されている[K.P.Wilsonら、Nature,370、2
70−275頁(1994);N.Margolinら、J.Biol.Che
m.,272,7223−7228頁(1997)]。N末端(His)6アフ
ィニティータグおよびトロンビン切断部位を含む、カスパーゼ−3(残基29−
277)およびカスパーゼ−7(残基1−303)をEscherichia
coli中で発現した[Y.Guら、J.Biol.Chem.271,108
16−10820頁(1996);J.A.Lippkeら、J.Biol.C
hem.271,1825−1828頁(1996)]。両方のカスパーゼが可
溶性であり、そして、それらのp20/p10サブユニットとして活性であり、
それぞれ0.05および1mg/gm細胞のカスパーゼ−3およびカスパーゼ−
7を生成した。いずれかのタンパク質の精製のために、細胞ペーストを10%(
v/v)グリセロール、300mM NaCl、5mM β−メルカプトエタノ
ール(β−ME)、0.05%(w/v)β−OG、25mMイミダゾール、0
.1mM PMSF、pH 8.0を含む10倍容量の50mM HEPES緩
衝液で再懸濁した。細胞の機械的破壊の後、可溶性画分を4℃30分間、30,
000×gでの遠心分離によって収集した。上清を推定カスパーゼ−3またはカ
スパーゼ−7の5〜10mgあたり1mlのNi−アフィニティー樹脂(Qia
gen)を使用して一晩バッチ式にインキュベートした。この樹脂を50カラム
容量の抽出緩衝液で洗浄し、pH 7.0に調整された50カラム容量の抽出緩
衝液が後に続いた。カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7を、それぞれ、10%
(v/v)グリセロール、100mM NaCl、5mM β−MEを含む、5
0mM HEPES,pH7.0中で、50および300mMイミダゾールを用
いて溶出した。
【0123】 組換えカスパーゼ−8(残基233−479)を従来の方法によるバキュロウ
イルス発現ベクター系を使用するハイファイブ(High−five)昆虫細胞
におけるN末端Hisタグ融合体として発現した[W.Chenら、Prote
in Expression and Purificaiton,9,69−
75頁(1997)]。カスパーゼ−8/Ac−DEVD−CHOの結晶化は、
3つのLys→Arg点変異(残基246、250および253における)、お
よびPro370およびVal371の除去(これは、配列整列中で他のカスパ
ーゼには存在していないようである)によって増強された。カスパーゼ−8を細
胞内でプロセシングし、そして、発現中に培地に分泌した。この細胞培養培地を
1,600×gで遠心分離して細胞を除去し、そして、上清(pH 6.4)は
、50%(w/v)硫酸アンモニウムに調整され、そして氷上で60分間、穏や
かに撹拌した。4℃45分間、54,000×gで遠心分離した後、上清をデカ
ントし、0.2μMのろ液および硫酸アンモニウム濃度を85%(w/v)に増
加させそして氷上でさらに60分間撹拌した。4℃45分間、54,000×g
での遠心分離は、カスパーゼ−8の沈殿を生じた。ペレットを100mM Na
Cl、10% グリセロール(v/v)および5mM β−MEを含む100m
M HEPS、pH 8.0を使用する培地の撹拌容量の2%で再懸濁した。こ
の溶液を、5〜10mgの推定カスパーゼ−8あたり1mlのTalonアフィ
ニティー樹脂(Clontech)を用いてインキュベートし、4℃で一晩穏や
かに撹拌した。この樹脂を100mM NaCl、10%グリセロール(v/v
)および5mM β−MEを含む、150カラム容量の20mM HEPES,
pH 7.0を用いて洗浄した。25mMイミダゾールを用いる同じ緩衝液を使
用する50カラム容量の二回目の洗浄を行なった。カスパーゼ−8を350mM
イミダゾールに調整した洗浄緩衝液を用いて溶出した。
【0124】 (三重変異カスパーゼ−8の特徴付け) 野生型および変異型カスパーゼ−8酵素を蛍光発生基質Ac−DEVD−AM
C(Alexis Biochemicals,San Diego,CA)を
使用して特徴付けた。活性酵素の濃度をAc−DEVD−CHO(Peptid
es International,Louisville,KY)を用いる活
性部位滴定によって決定した。すべてのアッセイを96ウェルFmaxプレート
リーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)
を使用して、37℃で、100mM NaCl、5mM DTTおよび0.1%
(w/v)CHAPSを含む100mM HEPES,pH 8中で行なった。
Ac−DEVD−AMC基質濃度は2μMと100μMの間で変化し、そして反
応を2nM酵素の添加によって開始した。酵素速度データをプログラムEZ−F
it(Perrella Scientific,Amjurst,NH)中で
非線形回帰によって分析した。
【0125】 (実施例2) (Ac−DEVD−CHOとの複合体におけるカスパーゼ−1、カスパーゼ−
3、カスパーゼ−7、およびカスパーゼ−8の特徴付け) カスパーゼ−1/Ac−DEVD−CHO複合体のタンパク質精製および結晶
化の詳細が報告されている[N.Margolinら、J.Biol.Chem
.,272、7223−7228頁(1997)]。金属アフィニティー精製カ
スパーゼ−3、カスパーゼ−7またはカスパーゼ−8を2倍モル濃度の過剰のA
c−DEVD−CHO(Peptides International)の添
加によって阻害した。次いで、N末端(His)6タグを37℃で60分間のト
ロンビン切断(20ユニットのトロンビン/mgカスパーゼ)によってカスパー
ゼ−3、カスパーゼ−7またはカスパーゼ−8から除去した。トロンビンを10
0μlのベンズアミジンセファロースを用いて5分間のインキュベートによって
除去した。遊離(His)6タグおよび凝集したカスパーゼを、Superde
x−75樹脂(Pharmacia)を用いて充填したカラム(60×1.5c
m)を使用するサイズ除外クロマトグラフィーによって除去した。このカラムを
、1ml/分の流速で、10%グリセロール(v/v)、100mM NaCl
、5mM β−MEを含む20mM HEPES、pH 7.0中で4℃で平衡
化した。サイズ除外クロマトグラフィーの間にLight−scatterin
g(PD−2000,PresicionDetectors,Frankli
n,MA)分析は、凝集したタンパク質を同定した(これは、プールされた画分
から除外された)。2mM DTT緩衝液を含む50mMクエン酸、pH 6.
5が使用されたことを除いて、同じサイズ除外カラム上で、カスパーゼ−1/A
c−DEVD−CHOを精製した。サイズ除外の後、結晶化のためのカスパーゼ
/Ac−DEVD−CHO共同複合体の濃縮の前に、等モルのAc−DEVD−
CHOを添加した。すべてのタンパク質サンプルを−70℃で貯蔵した。
【0126】 阻害されたカスパーゼ−3の結晶を蒸気拡散およびマクロ接種によって成長す
る。タンパク質(20mM Na HEPES,2.0mM DTT,0.1M
NaCl,10%グリセロール、pH7.0中で4.6mg/ml)を、3μ
l:2μlタンパク質溶液対リザーバ率で、リザーバ(0.2M酢酸アンモニウ
ム、0.1Mクエン酸ナトリウム、30% w/v PEG4000)と混合さ
せ、そして室温で静置させた場合、最初に12時間で数千の微小結晶を獲得した
。2%(v/v)メチル−ピロリジノン(MeP)をリザーバに添加した以外は
、同じ方法で、セットアップした結晶化液滴は、結晶を生成しなかった。次いで
、微小結晶この第2の液滴に移し、そしてこのシード結晶は、0.4mm×0.
3mm×0.25mmのサイズに10日にわたって成長した。
【0127】 Ac−DEVD−CHOをタンパク質サンブル中に滴定することによって、自
己タンパク分解する活性形態カスパーゼ−7を阻害した。この複合体をさらにサ
イズ除外クロマトグラフィーによってさらに精製した。プールされた画分を結晶
化のために約5mg/mlに濃縮した。ゆっくりとした蒸気拡散を使用して、4
℃で数週間にわたって、カスパーゼ−7/Ac−DEVD−CHO複合体のX線
の良質な結晶を得た。
【0128】 カスパーゼ−8をAc−DEVD−CHO(12.0mg/ml、20mM
HEPES pH7.0,0.1M NaCl,5.0mM β−ME)を使用
して滴定し、そして引き続き、2μl:2μlの割合でリザーバ溶液(0.1M
リン酸カリウム、pH6.0、5%t−ブタノール、40%(w/v)硫酸ア
ンモニウム)に添加し、そして室温で1.0mlのリザーバ上に懸濁した。単一
の結晶が二週間以内に収集され、そして0.40×0.20×0.10mmの寸
法を有する。同じ結晶を、データ収集の前にN2気体蒸気中170Kにフラッ
シュ冷却した。
【0129】 (実施例3) (結晶構造決定) カスパーゼ−1−Ac−DEVD−CHOおよびカスパーゼ−3−Ac−DE
VD−CHOの結晶を、それぞれ−7℃および−4℃で、X線データ収集のため
にキャピラリーガラスに取りつけた。カスパーゼ−1/Ac−DEVD−CHO
およびカスパーゼ−3複合体の両方のX線データを、Rigaku回転アノード
発生器を備えたRaxis IICイメージプレートで収集し、そして製造者(
Molecular Structures Corp.,Woodlands
,Texas)によって提供されたソフトウェアを使用して処理した。このデー
タのRマージ(merge)は、2.2Åの分解能で6.1%であった。単位セ
ルの寸法の分析は、各非対称性単位が、2つのカスパーゼ−3ヘテロダイマーを
含むことを示唆した。単一のカスパーゼ−1へテロダイマーのポリアラニンモデ
ルを、プログラムAMoRe[J.Navaza, Acta Crystal
lography,A50,pp.157−163(1994)]を使用するカ
スパーゼ−3ヘテロダイマーのための、成功する回転および転換機能溶液を得る
ために使用した。次いで、第2のポリアラニンモデルの回転および転換機能を試
みる間に、最初の溶液を固定したまま保持した。この2つの溶液の組み合わせは
、ヘテロダイマーのカスパーゼ−3ダイマーのポリアラニンモデルを生成し、8
Åと2.8Åとの間の分解能で観測された全ての反射について45.1%のR因
子を有し、そして洗練の開始時に取っておいた反射の10%について47.5%
のR−遊離を有した。このマップおよびモデルの分解能を、モデル形成、位置の
洗練および熱的因子の洗練のサイクルによって2.2Åの分解能まで次第に増加
させ、ねじり動力学作動によって分散した。全てのモデルの洗練を、XPLOR
パッケージプログラム[A.Brunger,「X−PLOR,A syste
m for X−ray crystallography and NMR」
New Haven,Yale University Press(1996
)]を使用して実施した。
【0130】 カスパーゼ−7−Ac−DEVD−CHO複合体の結晶を、凍結防止器に移し
、そしてデータ収集の前にN2気体流中で100Kまで瞬間冷却した。回折像を
、Brookhaven National Laboratories(BN
L),Brookhaven,NY.で、CCD 2X2K検出器によって記録
した。このデータを、DENZOおよびSCALPACKソフトウェア[Z.O
twinowski&W.Minor,Methods In Enzymol
ogy(Macromolecular Crystallography,P
art A),276,pp.307−326(1997)]を使用して処理し
た。この結晶は、88.2Å、88.2Å、186.2Å、α=90.0°、β
=90.0°、γ=120.0°の単位セル寸法を有し、空間群P3221に属
する。非対称性単位中に1つのテトラマーが存在すると仮定すると、算出される
Matthewの比体積は、2.6Å3/dである。この構造は、調査テンプレ
ートとして短縮型カスパーゼ−3テトラマー分子を使用する分子置換法によって
解析する。最初のR因子および相関計数因子は、それぞれ44%および65%で
ある。この溶液からのポリアラニンモデルを、最初に、8.0Å〜3.0Åの間
のデータについて洗練した。個々のアミノ酸の側鎖を、タンパク質配列に従って
電子密度マップにモデル化した。このモデルを、XPLORを使用して洗練し、
そしてQUANTA(QUANTA97,Molecular Simulat
ions,Inc.)を使用して手動で補正した。最終モデルは、654残基、
2つの硫酸アニオン、および374の水分子の完全なテトラマー集合体を有する
【0131】 カスパーゼ−8−Ac−DEVD−CHO複合体の単一の結晶を、BNLでの
シンクロトロンデータ収集の前に、N2冷却気体流中で瞬間冷却した。データを
、X25ビームライン上に取り付けられた2X2K CCDイメージプレート上
に記録した。この結晶の空間群はC2221であり、単位セルは、62.12Å
、344.33Å、190.99Å、α=90.0、β=90.0、γ=90.
0を有することが決定された。Matthewの比体積計算は、この非対称単位
中に3つの独立したテトラマー分子が存在し、54%の計算された溶媒含有量を
与えることを示唆する[B.W.Matthews,Journal of M
olecular Biology,33,pp.491−497(1968)
]。この結晶は、a*、b*、およびc*軸に沿って、それぞれ2.35Å、2.
80Å、および2.65Åに、非常に異方的に回折する。このデータセットを、
2.65Åの分解能についてDENZOおよびSCALPACKソフトウェアを
使用して、処理した。この構造物の溶液を、AMoReを使用し、そして調査テ
ンプレートとして短縮型カスパーゼ−3テトラマー分子を使用することによって
得た。このポリアラニンモデルの剛体および位置の洗練を、最初にXPLORを
使用して行った。この分子の側鎖、挿入および欠失を、手動でQUANTAプロ
グラムを使用して電子密度マップにモデル化した。最終モデルは、1454のア
ミノ酸、316の溶媒分子および活性部位システイン残基に共有結合した6のA
c−DEVD−CHO化合物を含む。
【0132】 カスパーゼ−7−Ac−DEVD−CHO構造の座標を、登録コード1F1J
でProtein Data Bankに寄託した。
【0133】 (実施例4) (結晶学) 4つ全ての構造のモデルの質を、PROCHECKを使用して評価し、そして
この結晶学的統計値を、表1に示した[R.A.Laskowski,Jour
nal of Applied Crystallography,26,pp
.283−291(1993)]。
【0134】
【表1】 *sym=Σ|Ii−<I>|/ΣIi ここで、Iiおよび<I>は、それぞれ、
この観測の強度および反射の平均である。# R因子=Σ|Fobs−Fcal|/Σ|Fobs| ここで、FobsおよびFcalは、観
測されたモデル構造因子および算出されたモデル構造因子である。
【0135】 (カスパーゼ−3/Ac−DEVD−CHO複合体に対するカスパーゼ−7/
Ac−DEVD−CHO複合体の比較) カスパーゼ−7−Ac−DEVD−CHO複合体は、カスパーゼ−3−Ac−
DEVD−CHO複合体と同様である。カスパーゼ−7の洗練モデルは、2つの
p20−p10へテロダイマーを含む完全な触媒単位を含む。このp20および
p10ポリペプチド鎖は、それぞれ残基57〜196および212〜302から
なる。この2つの互いに入り込むヘテロダイマーは、会合して球状の形態のテト
ラマーを形成する。カスパーゼ−7複合体のリボン状立体図を図1に図示する。
予期されるように、カスパーゼ−7の全体的な折り畳みは、カスパーゼ−1、カ
スパーゼ−3、およびカスパーゼ−8の折り畳みと非常に類似している。4つの
サブユニットの全ては、中心のβシートを含む合計12の鎖に寄与する。これは
、酵素の核を形成し、これはこのβ鎖にほぼ平行な10のαへリックスに隣接す
る。詳細には、p20ドメインのβシート構造(これは、触媒的なHis285
およびCys186残基を含む)は、Richardsonの定義[J.S.R
ichardson,Adv.Protein Chem.,34,pp.16
7−338(1981)]に従って、交差−1X、+2X、+1X連結トポロジ
ーを有する。このモチーフは、セリンヒドロラーゼにおいて広範に観察され、最
も著しくはこのα/βヒドロラーゼスーパーファミリーにおいて観察される[D
.L.Ollisら,Protein Eng.,5,pp.599−611(
1992)]。
【0136】 カスパーゼの3つのサブファミリーのうち、カスパーゼ−7は、カスパーゼ−
2およびカスパーゼ−3を含む第2の群に属する。プロペプチドおよびリンカー
領域に存在する差異を除いて、カスパーゼ−7は、構造的かつ機能的にカスパー
ゼ−3に非常に類似している。実際、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−3は、
ポリペプチド鎖に沿った任意のアミノ酸欠失または挿入なしで、重ね合わされ得
(図2a)、骨格Ca原子について0.37Åの平方自乗平均(RMS)偏差を
有する。3つ全てのカスパーゼサブファミリーにまたがるカスパーゼ−1、カス
パーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−8の配列整列およびCa原子の
重ね合わせ(図2aおよび3)は、その折り畳み間の主な差異が、3つの領域に
あることを実証した。これらの差異は、プライムサイド(prime side
)上の2つのループおよびS4結合部位の近位の第3のループで生じる(図2a
)。
【0137】 カスパーゼ−3と同様に、カスパーゼ−7もまた、鎖C290〜M294内に
単一残基欠損を有し(図3)、これはその対称的に関連する均等物と対を形成し
、酵素のテトラマー集合体を形成する。カスパーゼ−1および群1の他のカスパ
ーゼにおいて、アルギニン残基(カスパーゼ−1においてはR391)が存在し
、これはβ鎖において隆起を生じ、そして結果的に、1つのヘテロダイマーの、
他のダイマーに対する相対的な回転を誘導する。カスパーゼ−3[P.R.E.
Mittlら,J.Biol.Chem.,272,pp.6539−6547
(1997)]およびカスパーゼ−7において、これらの2つのダイマーサブユ
ニットは、有意に捻れが少ない。カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7における
この単一欠損およびより高い疎水性特定の組み合わせは、これらの酵素の4次構
造を変化するだけでなく、この2つのヘテロダイマーの境界面で形成される中心
空洞を新形態にする。カスパーゼ−7テトラマーの中心空洞は、24個の水分子
によって占められた。この中心空洞は基質結合部位のプライムサイドに隣接する
ので、これは、カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7への基質の結合に直接影響
しないかもしれない。しかし、カスパーゼの間の中心空洞における変化は、アポ
トーシスカスケードにおける巨大分子の基質認識の重要な決定因子であり得る。
【0138】 (保存された折り畳みおよびトポロジー) カスパーゼ−1およびカスパーゼ−3のように、成熟形態のカスパーゼ−7お
よびカスパーゼ−8は、2つのp20/p10のヘテロダイマーからなるテトラ
マーである。このヘテロダイマーは、構造的および機能的の両方で会合して単一
のドメインとして現れる。すべての4つのカスパーゼについて、そのタンパク質
コアは、6本のストランド(βストランドにほぼ平行に存在する5または6のα
ヘリックスに囲まれたβシート)である。N末端ヘリックスについての弱い電子
密度は、Csplについて観察されている[K.P.Wilson&D.J.L
ivingston,Nature,370,pp.270−275(1994
)]が、カスパーゼ3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ8においてこのヘリッ
クスについては、ほとんどまたはまったく電子密度が観察され得なかった。p1
0およびp20の両方のサブユニットは、4つすべてのカスパーゼ構造について
のリガンド結合部位に寄与する。カスパーゼ1、3、7および8についての折り
たたみの間の主な相違は、2つのループ領域において生じる:一方は、プライム
側であり、そして他方は、S4結合部位の近位である(図2A)。
【0139】 プライム側において、カスパーゼ−8は、残基245−253の範囲のヘリッ
クス−ターン−ヘリックスの挿入の存在によって他とは異なる(図2C)。これ
は、Escherichia coliにおいて発現される、最近報告されたカ
スパーゼ−8と合致する。このカスパーゼ−8はまた、この挿入ループに対する
いくつかのヘリックス内容物を有する[H.Blanchard et al.
,Structure(London),7,pp.1125−1133(19
99);W.Watt et al.,Structure(London),
7,pp.1135−1143(1999)]。4つのカスパーゼ構造の重ねあ
わせに由来する配列整列の分析(図3)は、この挿入物がカスパーゼ−8に特有
であることを示唆する。この領域のリジンのうち3つ(Lys246、Lys2
50、Lys253)を、回折品質の結晶を得るためにアルギニンに変異した。
野生型結晶構造を決定するために用いられたカスパーゼ−8の変異形態は、両方
の酵素が識別できないようであることを示し、1×105Ml−sllのkca
t/Kmを、Ac−DEVD−アミノメチルクマリン(Ac−DEVD−AMC
)加水分解について得た。これらの変異されたアルギニンのうち2つは、近くの
グルタミン残基で塩架橋により安定化する(Arg250とGlu249、Ar
g253とGlu330、Arg246と対称性に関連する近隣からのグルタミ
ン酸)。これらの変異された残基のいずれも、プライム側領域に向いておらず、
しかもテトラペプチドインヒビターの非常に近くにあるということもない。この
ヘリックス−ターン−ヘリックス挿入物からのLeu254は、プライム側領域
に向けて内向きに向いているようである。カスパーゼ−8についてのこのヘリッ
クス−ターン−ヘリックス挿入物の空間位置は、カスパーゼ−1の短い挿入ルー
プにもっとも密接に類似する(図2C:残基239−254)。これは、カスパ
ーゼ−1ファミリーのメンバーの中で保存されている。
【0140】 この研究における4つのカスパーゼの中のS4ループの大きさにおける相違は
、驚くべきことである。これらのループは、以下の残基を包含する: カスパー
ゼ−1(378386)、カスパーゼ−3(244−262)、カスパーゼ−7
(270−288)、カスパーゼ−8(451−463)。図2Bは、このルー
プがカスパーゼ−3およびカスパーゼ−7について最大であることを例示する。
このループがこれら2つの密接に関連するカスパーゼについて長さが同一である
という事実にもかかわらず、これらは、組成において63%しか同一ではない。
同じループは、カスパーゼ−8についてより短く、カスパーゼ−1についてはな
お短い。おのおのの場合において、Ac−DEVD−CHOのインヒビターのP
4アスパラギン酸と、このループにおけるある残基との間の相互作用が存在する
【0141】 (すべての3つのファミリーからのカスパーゼに対するAc−DEVD−CH
Oの結合) 本願において包含される4つのカスパーゼは、3つの異なる機能的および系統
発生的な群のカスパーゼにわたり、そしておのおのAc−DEVD−CHOに結
合する方法においてわずかな相違を示す。Ac−DEVD−CHOの結合に寄与
するおのおののカスパーゼからタンパク質アミノ酸のいくつかにおける相違が存
在するが、このインヒビターの立体配置全体は非常に保存されている。このペプ
チドインヒビターは、すべての4つの複合体における伸張した立体構造に適合さ
れている。触媒性二分しおよびP1位におけるアスパラギン酸残基を固定する2
つの残基は、p20ドメイン由来であり、初期の接触のほとんどは、テトラペプ
チドと、p10サブユニットからの基との間で存在する。Ac−DEVD−CH
Oの結合に寄与するおのおののカスパーゼからタンパク質アミノ酸のいくつかに
おける相違が存在するが、このインヒビターの立体配置全体は非常に保存されて
いる。Ac−DEVD−CHO結合と、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カス
パーゼ−7およびカスパーゼ−8に対するAc−DEVD−CHOの結合の模式
的な比較は図4に示され、他方、図5は、それぞれの結合部位の表面特性を示す
【0142】 (カスパーゼ−1、カスパーゼ−2、カスパーゼ−3およびカスパーゼ−4の
P1−P4残基への結合の比較) カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−8に対
するAc−DEVD−CHOの模式的比較が図4に示される。図5は、それぞれ
の結合部位の表面特性を示す。
【0143】 P1部位において、この複合体の4つすべては、インヒビターが活性部位にお
いて求核性しステインに共有結合していることを示す(図4)。しかし、古典的
オキシ化(oxyation)の穴への結合は観察されなかった。おのおのの場
合において、アルデヒドカルボニルにおける求核性チオール攻撃からのチオヘミ
アセタール酸素は、酵素のシステイン−ヒスチジン二分子を含む隣接するヒスチ
ジンと水素結合を形成する。さらに、4つすべての複合体におけるチオヘミアセ
タール酸素は、求核性システイン骨格窒素および保存されたグリシン骨格の窒素
に対する種々の強度の水素結合を生成する。以前の研究により、いくつかの不可
逆性インヒビターがカスパーゼ−1およびカスパーゼ−3への古典的オキシ化穴
を示すことが示された[N.P.C.Walker et al.,Cell,
78,pp.343−352(1994);P.R.E.Mittl et a
l.,J.Biol.Chem.,272,pp.6539−6547(199
7)]。P1における他の相互作用もまた、4つの構造の間で驚くほど保存され
ている。すべての場合において、P1アスパラギン酸側鎖と2つのアルギニン残
基との間の荷電−荷電相互作用が存在し、そして保存グルタミンとに水素結合が
存在するからである。図5は、この驚くほど電気的に陽性の部位の保存された特
性およびP1アスパラギン酸の埋め込まれた性質を示す。さらに、おのおのの複
合体は、P1骨格窒素と、保存されたセリンの骨格カルボニルとの間の水素結合
を保持する。
【0144】 Ac−DEVD−CHOのP2値について、疎水性相互作用の全体の性質は、
保存されているが、S2ポケットを含む残基に依存してバリン側鎖についてX1
値においてわずかな相違があるだけである。興味深いことに、カスパーゼ−3お
よびカスパーゼ−7は、S2部位に寄与し、そしてまたS4ループの部分である
、残余の残基(ファニルアラニン)を有する。カスパーゼ−8はまた、カスパー
ゼ−3のPhe256およびカスパーゼ−7のPhe282とほぼ同一の空間位
置において芳香族(Tyr365)を有する。しかし、このチロシン残基は、p
20サブユニットのC末端付近の伸張されたストランドの一部である。カスパー
ゼ−8のTyr365に対応する慙愧は、Pro290(カスパーゼ−1)、L
eu(カスパーゼ−3)およびLeu191(カスパーゼ−7)である。これら
のいずれもが、Ac−DEVD−CHOとのこれらの複合体におけるS2部位の
直接寄与する。
【0145】 テトラペプチドインヒビターのP3グルタミン酸は、4つすべてのカスパーゼ
複合体における保存されたアルギニンとの少なくとも荷電−荷電相互作用を生成
する(図4)。さらに、P3グルタミン酸のP3骨格の窒素およびカルボニルの
酸素は、表面電荷相互作用に関与する同じアルギニンの、それぞれのカルボニル
酸素および窒素と強力な水素結合を生成する。カスパーゼ−8はまた、第二のア
ルギニン(Arg258)からのさらなる荷電−荷電相互作用を有する。このア
ルギニンには、ヘリックス−ターン−ヘリックス挿入ループが続く。これは、カ
スパーゼとの複合体を類似のペプチドインヒビターが形成するという最近の知見
に合致する [H.Blanchard et al.,Structure(
London),7,pp.1125−1133(1999)]。図3において
提示される配列整列は、カスパーゼ−6、カスパーゼ−9、カスパーゼ−10お
よびカスパーゼ−14もまた、この位置において残余の塩基性アミノ酸を提供し
得ることを示唆する。図5の分析により、Ac−DEVD−CHOインヒビター
のP3グルタミン酸がカスパーゼ−8のタンパク質表面におけるこの第二の(す
なわちArg258)アルギニンに向けて配向されることが示される。結晶解析
用の水は、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−8についての保
存されたアルギニンと結合して観察される。
【0146】 カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−8に対
するAc−DEVD−CHOの結合についての主な相違は、テトラペプチドのP
4アスパラギン酸およびアセチル化アミノ末端において生じる。この研究におい
て含まれるカスパーゼのすべては、S4ループによって直接または間接的にかの
いずれかでの結合を包含する。図4は、Arg383との相互作用を通じて直接
カスパーゼ−1がP4アスパラギン酸の側鎖と相互作用することを示す。カスパ
ーゼ−3は、Phe250の骨格窒素およびAsn208の側鎖を介して相互作
用する。この場合において、水媒介性水素結合を通じたTrp214とP4アス
パラギン酸の相互作用もまた存在する。さらに、P4骨格の窒素およびカルボニ
ル酸素は、2つの異なる水分子と水素結合を形成し、これらの水分子の両方は、
Phe250のカルボニルに対して水素結合を形成する。カスパーゼ−7は、P
4アスパラギン酸と、Gln276の骨格および側鎖の両方の関与を介して結合
する。このP4骨格窒素は、Gln276の骨格カルボニルとさらなる水素結合
を形成し、他方、P4骨格カルボニル酸素は、P2骨格窒素との別の水素結合に
関与する同じ結晶解析用の水分子とに水素結合を形成する。カスパーゼ−3およ
びカスパーゼ−7の配列は、57%の同一性および67%の類似性を有するが(
図3)、S4結合領域の中および周りには顕著な相違が存在することに留意する
ことは面白い。カスパーゼ−3残基(Asn208、Ser209、Asp21
1、Phe250、he252、Thr255およびAla258)のそのそれ
ぞれのカスパーゼ−7残基(Ser234、Pro235、Arg237、Gl
n276、Asp278、His281およびGlu284)への置き換えは、
S4結合領域における化学的含有量(図5)をより疎水性へと変化させる。
【0147】 カスパーゼ−8は、S4ループの一部ではないAsn414およびTrp42
0の側鎖窒素を介してP4アスパラギン酸残基と直接相互作用する。しかし、P
4アスパラギン酸カルボニル酸素は、水媒介性の水素結合を介してD455と相
互作用する。
【0148】 NアセチルP4捕捉基もまた、水素結合および疎水性相互作用において相違を
呈する。カスパーゼ−1、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−8はすべて、Nア
セチル末端メチルとプロリンとの間の疎水性作用を生成する(図4)。カスパー
ゼ−3は、この疎水性相互作用を欠如するが、S209との2つの水素結合を生
成し、このうち一方は、S209骨格窒素を含有し、そして他方は、S209側
鎖を伴う。カスパーゼ−7は、Asp278の骨格窒素および側鎖の両方と水媒
介性の水素結合を形成する。カスパーゼ−8について、N−アセチルカルボニル
酸素は、Ans414の側鎖に結合する水素を形成する。非水素結合は、カスパ
ーゼ−1とN−アセチル基との間で観察される。N−アセチル基を結合する再の
差異に関する1つの最終的な知見は、カスパーゼ−3と本研究に含まれる他の3
つのカスパーゼとの間で生じる。上記のように、カスパーゼ−3について、N−
アセチル基とS209との間に2つの強力な水素結合が存在する。しかし、カス
パーゼ−1、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−8(およびカスパーゼ−9)に
おいて、Ser209に対応する残基は、プロリンであり;N−アセチル基の任
意の水素結合相互作用は、異なる残基を含む。プロリン環は水素結合を形成でき
ないことから、P4 N−アセチル基は、約2.5Å移される。図6は、カスパ
ーゼ−3とカスパーゼ−7との間のこのシフトを例示する。そこには、同じカス
パーゼサブファミリーのメンバーが存在する。
【0149】 P4の水素結合における差異および随伴カスパーゼ残基を有するN−アセチル
基は、S4部位の可変的な幅を生じ、カスパーゼ−8は、カスパーゼ−1よりも
最も幅広いS4部位を有し(図5):カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7はよ
り狭いS4部位を有する。カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7について、S4
部位の減少した幅は、テトラペプチドのこの部分とS4基に向けてS4ポケット
の壁を「押す」ように機能するS4部位との間の水素結合ネットワークのより大
きな範囲に直接連結され得る。この点において、図5に例示される静電気的な表
面電位は、情報を与える。カスパーゼ−7の表面電位は、独特である。なぜなら
、これは、P4Aspの近くの非対塩基性残基(Arg237)を有する、研究
された4つのカスパーゼのみであるからである。カスパーゼ−1およびカスパー
ゼ−8はまた、この領域における表面電位の静電部分に寄与する塩基性残基を有
するが、これらはまた、近くに釣り合う負荷電を有する。カスパーゼ−3は、中
性のS4領域を有する。これらの知見は、構造および関連する表面電位に関して
、P4における負に荷電した基に対する絶対的な必要性がないことを示唆する。
【0150】 (構造的洞察および結合特異性) コンビナトリアル基質ライブラリーの位置的スキャニングに基づいて、Thr
nberryらは、10のヒトカスパーゼについて最適なテトラペプチド基質配
列を決定することができた[N.A.Thornberry,J.Biol.C
hem.,272,17907〜17911(1977)]。この研究において
、切断可能なAsp−AMCは、P1において一定に保持され、そしてP2〜P
4におけるアミノ酸は変更された。彼らは、I群カスパーゼ(カスパーゼ−1、
カスパーゼ−4およびカスパーゼ−5)が、配列WEHDを漠然と好み、一方、
II群カスパーゼ(カスパーゼ−2、カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7)は
、モチーフDEXDを非常に好む。III群カスパーゼ(カスパーゼ−6、カス
パーゼ−7、カスパーゼ−9およびカスパーゼ−10)は、モチーフ(L/V)
EXDを好んだ。この情報は、引き続き、テトラペプチドアルデヒドインヒビタ
ーを設計しそして発明するために使用された[M.Garcia−Calvoら
,J.Biol.Chem.,273,32608〜32613(1998)]
。いくつかの伝統的な可逆的インヒビターおよび不可逆的なインヒビター(例え
ば、Z−VAD−FMK)も、この研究に含まれた。
【0151】 カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−8に対
するAc−DEVD−CHOについての参照配列から、報告されたKi値(nM
)は、各々以下のとおりであった:18nM、0.23nM、1.6nM、0.
92nM[M.Garcia−Calvoら,J.Biol.Chem.,27
3.32608〜32613頁(1998)]。このテトラペプチドインヒビタ
ーは、II群およびIII群カスパーゼに対して最も強力であるが、これは、カ
スパーゼの3つ全ての群からの代表を有意に阻害する、報告されたテトラペプチ
ドアルデヒドだけである。ここで考慮される全てのカスパーゼがP2にバリンを
接続し得るという事実は、この位置における分岐アミノ酸についての一般的な耐
性を証明する。しかし、P2における分岐アミノ酸は、カスパーゼ−1、カスパ
ーゼ−4およびカスパーゼ−5に対するあまり最適でない基質を生成する傾向に
あり、そして代表的には、I群カスパーゼについての最も良好なインヒビターに
は存在しない[N.A.Thornberry,J.Biol.Chem.,2
72,17907〜17911(1977)]。一般に、大きな基は、3つ全て
のカスパーゼサブファミリーについての基質およびインヒビターの両方として許
容され、そして、トリプトファン、フェニルアラニンおよびチロシンをP2にお
いて含むテトラペプチド基質が次いで最適であるが、ヒスチジン含有テトラペプ
チド基質は、I群カスパーゼおよびII群カスパーゼに対して一般的に良好であ
った[N.A.Thornberry,J.Biol.Chem.,272,1
7907〜17911(1997)]。さらに、以前の結晶学的研究において、
ピリドン(pyridone)環上の大きな6−ベンジル環置換基を含有する非
ペプチド性ポリドンアルデヒドインヒビターが、カスパーゼ−1中のS2部位に
わたり、ベンジル基のフェニル環を配置することが見出された[J.M.C.G
olec,Bioorg.Med.Chem.Lett.,7,2181〜21
86頁(1997)]。
【0152】 3つ全ての群のカスパーゼのP3位におけるコンビナトリアルテトラペプチド
基質ライブラリーによって同定された最適な残基は、グルタミン酸である[N.
A.Thornberryら、J.Biol.Chem.、272、17907
−17911頁(1997)]。本研究における全て4つのカスパーゼは、P3
グルタミン酸で少なくとも1つの電荷−電荷相互作用を作製する。この相互作用
の性質は、完全に保存されたArgを含むが、この塩架橋は、タンパク質の表面
上であり、そして曝露される溶媒である。基質特異性に関して、このような相互
作用は、ペプチド骨格の認識および正確な配置に関して最適であり得るが、この
相互作用は、全体的な結合エネルギー特性に対して最小に寄与すると予想される
[S.Dao−Pin,Ciba Found.Symp.(Protein
Conform.)161,52−62頁(1991)]。これは、インヒビタ
ーAc−YVAD−CHOによって例証され、このインヒビターは、カスパーゼ
1に対して良好な阻害能力を示し、III群のカスパーゼに対して緩やかな阻害
能力を示す。表面電荷−電荷相互作用は失われるが、P3バリンは、必要とされ
る骨格水素結合およびいずれかのプロリン(カスパーゼ−1、カスパーゼ−7、
カスパーゼ−8)、セリンのP−炭素(カスパーゼ−3)と可能性のある疎水性
相互作用をなお作製すると予想される。分枝P3バリンはまた、伸張されたテト
ラペプチドインヒビターの剛性を維持するためにはたらき、そして分子上の、あ
るあまり正式でない電荷に起因して細胞能力を潜在的に改善し得る。ペプチド模
倣カスパーゼインヒビターの近年の報告は、保存されたS3アルギニンと電荷−
電荷相互作用を作製し得ない、化合物クラス中の複数カスパーゼの適度に強力な
阻害を示す[J.C.Wu & L.C.Fritz,Methods(Orl
ando,Fla.)17,320−328頁(1999)]。
【0153】 基質特異性およびインヒビター選択性の両方に関して、P4位は、最多数の変
動性を提供する。一般的に、疎水性基およびアニオン性アスパルテートの両方は
、P4位において基質およびインヒビターの両方に対して耐性である。II群お
よびIII群のカスパーゼに関して、トリプトファンは、S4ポケットの底部に
ある。I群のカスパーゼに関して、この同じ残基は、最も小さい疎水性アミノ酸
(例えば、カスパーゼ−1中のVal348を含むValまたはIle)である
。Ac−DEVD−CHOのCsp1への結合は、研究された他のカスパーゼに
対して、S4残基とのより少ない総水素結合を産生し、これは、より広いS4ポ
ケットを可能にする。結合部位のこの位置における中性の静電気的な電位を伴う
比較的少ない水素結合の組合せは、I群のカスパーゼがS4に比較的大きな疎水
性基を適応させ、それによってインヒビター設計における選択性を得るための達
成方法を提供し得ることを示唆する。コンビナトリアルテトラペプチド基質研究
は、WEHDがカスパーゼ−1に対する最適な基質であり、そして他のI群のカ
スパーゼ(カスパーゼ−4およびカスパーゼ−5)に対しても良好な基質であっ
たことを示した[N.A.Thornberry,J.Biol.Chem.,
272,17907−17911頁(1997)]。しかし、ロイシンは、P4
において、これら2つのカスパーゼに対する基質としてトリプトファンとおおよ
そ等しかった。II群のカスパーゼは、P4にアスパラギン酸を有する基質に関
する強力な優先度を有することが示された。上記に暗示したように、カスパーゼ
−3中の疎水性残基のカスパーゼ−7中の荷電残基または親水性残基による置換
は、これら2つの外見上同様なカスパーゼが、そのインビトロ基質優先度が同一
であるのにもかかわらず、異なる細胞型または細胞区画において異なる基質に対
して作用することを可能にし得る[J.M.Chandlerら、J.Biol
.Chem.,273,10815−10818(1998);T.Machl
eidt,Federation of European Biochemi
cal Studies,436,51−54頁(1998)]。III群のカ
スパーゼは、P4においてバリンまたはロイシンのいずれかを好む。興味深いこ
とに、インヒビターに関して、AcWEHD−CHOは、カスパーゼ−1に対し
て最も強力な阻害を示し、これは、S4ポケットの底部におけるバリンが、適用
されるP4トリプトファンのための十分な場所を残していることを示唆する[M
.Garcia−Calvoら、J.Biol.Chem.,273,3260
8−32613頁(1998)]。図3の配列アラインメントに基づいて、カス
パーゼ−4およびカスパーゼ−5は、S4ポケット底部の同じ位置にバリンの換
わりにイソロイシンを保有すると予想される。この1つの余分なメチル基は、A
cWEHD−CHO由来のP4トリプトファンが適応することをなお可能にする
が、完全に同様ではない(カスパーゼ−1、Ki=0.056nM;カスパーゼ
−4、Ki=97nM;カスパーゼ−5、Ki=43nM)。AcWEHD−C
HOは、全ての他のII群およびIII群のカスパーゼ(カスパーゼ−8(Ki
=21nM)以外)の、弱いインヒビターである。カスパーゼ−8は、S4ポケ
ット底部に大きなトリプトファン残基を有するが、この結合部位のこの部分は、
適切に幅があり、そしてAcWEHD−CHOのP4基を適用し得る。類似した
傾向が、チロシンまたはベンジルオキシカルボニル基をP4に含むインヒビター
に関して観察される。さらに、臨床試験を達成するための最初の選択的なCsp
1インヒビターであるVX−740は、P4にイソキノリン基を保有する。この
インヒビターのX線結晶構造は、S4ポケットにおける適合して納まったP4イ
ソキノリンを明確に示す(準備中の原稿)。従って、大きな疎水性基のP4にお
ける組込みによって選択的なCsp1インヒビターを設計することは可能である
が、他のカスパーゼの選択的なインヒビターを設計するためにP4位を有効に利
用し得るかは明らかではない。
【0154】 (実施例5) (インヒビター設計のためのカスパーゼ−7座標の使用) 図7の座標を使用して、カスパーゼ−7またはカスパーゼ−7のホモログと結
合する化合物(阻害化合物を含む)を設計する。このプロセスは、機械読み取り
可能指示書のセットでコード化される機械読み取り可能データ保存媒体のセット
でコード化される、機械読み取り可能データ保存媒体を使用することによって補
助され得、ここで、記録された指示書は、カスパーゼ−7複合体またはその一部
の三次元表示を表示し得る。図形的な表示を、本明細書中に記載される方法に従
って使用して、カスパーゼ−7に結合する化合物(阻害化合物を含む)を設計す
る。このような化合物は、活性部位の全体または一部でカスパーゼ−7と結合し
得る。
【0155】 本発明者らは、本発明の多数の実施形態を記載したが、本発明者らの基本的な
実施例が変更されて本発明の生成物および本発明のプロセスを使用する他の実施
形態を提供することは明らかである。従って、本発明の範囲は、例として示され
た特定の実施形態によってよりも、添付の特許請求の範囲によって規定されるこ
とが、理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aおよび1Bは、RIBBONS[M.Carson,J.Appl.C
ryst.,24,第958〜961頁(1991)]を使用して作製された、
カスパーゼ−7四量体アセンブリの立体図を示す。p20、p10およびそれら
の対称性に関連する等価物、p20’およびp10’は、それぞれ、図1Aおよ
び図1Bにおいて、左から右へずらして示される。このボール−およびスティッ
クモデル、各々の図の左上近くに、Ac−DEVD−CHOインヒビターを示す
【図2】 図2A、2B、および2Cは、カスパーゼ−1、カスパーゼ−2、カスパーゼ
−3、カスパーゼ−7、およびカスパーゼ−8の第2の構造エレメントを示す。
図2Aは、共有結合したテトラペプチドインヒビター(Ac−DEVD−CHO
)と重なり合ったカスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、カスパー
ゼ−8に関する、保存性折り畳みを示す。図2Bは、カスパーゼ−1(378−
386)、カスパーゼ−3(244−262)、カスパーゼ−7(270−28
8)、およびカスパーゼ−8(451−463)に関して、重なり合ったS4ル
ープを示す。図2Cは、近位の残基245−253からカスパーゼ−1(残基2
49−254)の重なり合った挿入ループまでの範囲のカスパーゼ−8中での、
プライム側鎖へリックス−ターン−へリックス挿入を示す。図2Bおよび2Cを
、図2Aに対してわずかに回転させた。
【図3】 図3は、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、およびカスパー
ゼ−8の配列アライメントを示す。このアライメントは、保存性第2構造エレメ
ントならびにカスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、およびカスパ
ーゼ−8の活性部位残基の重なりにおいて、かなり偏っていた。このアライメン
トは、MVPプログラムを用いて実施し、次いで手動で調製した[M.H.La
mbert,Pract.Appl.Comput.Aided Drug D
es.,第243〜303頁,P.S.Charfson編、Dekker,N
ew York.(1997)]。四角の中の残基は、図4に示されるような、
Ac−DEVD−CHOと直接的な相互作用または水媒介相互作用を示す。
【図4】 図4は、以下の結合部位残基と、共有結合したAc−DEVD−チオヘミアセ
タールとの水素結合およびファンデアワールス相互作用を示す:a)カスパーゼ
−1;b)カスパーゼ−3;c)カスパーゼ−7;およびd)カスパーゼ−8。
「Wat」は、水分子を示す。
【図5】 図5A〜5Dは、カスパーゼ−1、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、および
カスパーゼ−8の結合部位残基の分子表面上にマップされた、電位を示す。正電
位、負電位、および中性電位の領域が示される。この分子表面および電位を、G
RASPで計算した[A.Nichollsら、Proteins:Struc
ture Function,Genetics,11,第281〜296頁(
1991)]。
【図6】 図6は、RIBBONSによって生成されたカスパーゼ−7とカスパーゼ−3
との重なりを示す、立体図を示す。カスパーゼ−7に結合した、テトラペプチド
インヒビター、Ac−DEVD−CHOのN−アセチル基は、P4−結合部位の
同一の位置において、セリンの代わりのプロリン(235)の代用に起因して、
カスパーゼ−3と比較して約2.5Å平行移動される。
【図7】 図7は、この複合体の結晶からX線回折により誘導されるように、合成テトラ
ペプチドインヒビターとの複合体である、カスパーゼ−7に関する原子構造配座
を列挙する。この複合体の調製は、実施例1および2に記載される。以下の略語
は、図7において使用される。「原子型」は、配座が決定されたエレメントを言
及する。エレメントは、このコラム中の第1文字によって規定される。「X,Y
,Z」は、各原子に対して決定された原子位置を結晶学的に規定する。「Occ
」は、分子のフラクションを言及する占有因子であり、各原子がこの配座によっ
て特定された位置を占有する。「l」の値は、この結晶の全ての分子において、
各原子が同一のコンフォメーション(すなわち、同一の位置)を有することを示
す。「B」は、原子中心の周りの原子の動きを測定する熱因子である。
【図8】 図8は、図9および10の記憶媒体によってコードされた指示を実施するため
に使用されたシステムの図を示す。
【図9】 図9は、磁気記憶媒体の断面図を示す。
【図10】 図10は、光学的に読みとり可能データ記憶媒体の断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ウェイ, ユンイ アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02478, ベルモント, トロウブリッジ ストリート 65ビー Fターム(参考) 4B050 CC07 DD11 FF17 4B063 QA01 QA11 QA18 QQ36 QR16 QR48 QR57 QS36 QX01 4H045 AA10 AA30 BA13 DA56 EA50 5B046 AA00 JA07

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸234、235、2
    37、276、278、281、および284の構造座標によって規定される結
    合ポケットの全てまたは該ポケットの任意の部分を含む、分子もしくは分子複合
    体、または該分子もしくは分子複合体のホモログであって、ここで、該ホモログ
    は、1.5Åを超えない該アミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏差を有する結
    合ポケット含み、ここで、該分子もしくは分子複合体は、カスパーゼ−3のS4
    結合領域よりもより親水性であるS4結合領域を有する、 分子もしくは分子複合体、または該分子もしくは分子複合体のホモログ。
  2. 【請求項2】 前記ホモログが、1.0Åを超えない前記アミノ酸の骨格原
    子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含む、請求項1に記載の分子もし
    くは分子複合体。
  3. 【請求項3】 図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸85、86、87、
    88、144、145、184、186、191、223、230、231、2
    32、233、234、235、237、240、276、278、281、2
    82および284の構造座標によって規定される結合ポケットの全てまたは該ポ
    ケットの任意の部分を含む、請求項1に記載の分子もしくは分子複合体、または
    該分子もしくは分子複合体のホモログであって、ここで、該ホモログは、1.5
    Åを超えない該アミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット
    含み、ここで、該分子もしくは分子複合体は、カスパーゼ−3のS4結合領域よ
    りもより親水性であるS4結合領域を有する、 分子もしくは分子複合体、または該分子もしくは分子複合体のホモログ。
  4. 【請求項4】 前記ホモログが、1.0Åを超えない前記アミノ酸の骨格原
    子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含む、請求項3に記載の分子もし
    くは分子複合体。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の分子もしくは分子複合体、または該分子も
    しくは分子複合体のホモログであって、該分子もしくは分子複合体は、図7に記
    載の構造座標によって規定され、該ホモログは、1.5Åを超えない該アミノ酸
    の保存的骨格原子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含み、ここで、該
    分子もしくは分子複合体は、カスパーゼ−3のS4結合領域よりもより親水性で
    あるS4結合領域を有する、 分子もしくは分子複合体、または該分子もしくは分子複合体のホモログ。
  6. 【請求項6】 前記ホモログが、1.0Åを超えない前記アミノ酸の骨格原
    子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含む、請求項5に記載の分子もし
    くは分子複合体。
  7. 【請求項7】 図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸58〜302の構造
    座標を含む、請求項1に記載の分子もしくは分子複合体。
  8. 【請求項8】 Ac−Asp−Glu−Val−Asp−CHOと複合体化
    したカスパーゼ−7またはそのホモログを含む、結晶化可能な組成物。
  9. 【請求項9】 前記カスパーゼ−7が、アミノ酸1〜303を有する、請求
    項8に記載の結晶化可能な組成物。
  10. 【請求項10】 Ac−Asp−Glu−Val−Asp−CHOと複合体
    化したカスパーゼ−7またはそのホモログを含む、結晶。
  11. 【請求項11】 前記カスパーゼ−7が、アミノ酸1〜303を有する、請
    求項10に記載の結晶。
  12. 【請求項12】 機械読みとり可能データでコード化されたデータ記憶材料
    を含む、機械読みとり可能データ記憶媒体であって、ここで該データが、図7に
    記載の分子もしくは分子複合体、または該分子もしくは分子複合体のホモログの
    、構造座標の全てまたは該構造座標の一部によって規定され、ここで、該ホモロ
    グは、1.5Åを超えない該複合体の骨格原子からの根平均二乗偏差を有する骨
    格原子を含み、ここで、該分子もしくは分子複合体は、カスパーゼ−3のS4結
    合領域よりもより親水性であるS4結合領域を有する、 データ記憶媒体。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の機械読みとり可能データ記憶媒体であ
    って、該データが、図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸58〜302または
    該カスパーゼ−7のホモログの、構造座標の全てまたは該構造座標の一部によっ
    て規定され、該ホモログは、1.5Åを超えない該アミノ酸の骨格原子からの根
    平均二乗偏差を有する、 データ記憶媒体。
  14. 【請求項14】 第1セットの機械読みとり可能データでコード化されたデ
    ータ記憶材料を含む、機械読みとり可能データの記憶媒体であって、該機械読み
    取り可能データの記憶媒体は、該第1セットのデータおよび第2セットの機械読
    みとり可能データを使用するための指示書を用いてプログラムされた機械を使用
    して該第2セットのデータと合わされた場合、該第2セットの機械読みとり可能
    データに対応する構造座標の少なくとも一部を決定し得、ここで:該第1セット
    のデータおよび該第2セットのデータは、図7に記載のカスパーゼ−7の構造座
    標の少なくとも一部のフーリエ変換を含み;該第2セットのデータは、未知構造
    の分子または分子複合体のX線回折パターンを含む、 データ記憶媒体。
  15. 【請求項15】 以下のa.またはb.の三次元表示を作製するためのコン
    ピュータであって、 a.図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸234、235、237、276
    、278、281、および284の構造座標によって規定される結合ポケッの全
    てまたは該結合ポケットの一部を含む、分子または分子複合体;または b.該分子または分子複合体のホモログであって、該ホモログは、1.5Åを
    超えない該アミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含み
    、ここで、該分子もしくは分子複合体は、カスパーゼ−3のS4結合領域よりも
    より親水性であるS4結合領域を有し、 ここで、該コンピューターは: i.機械読みとり可能データでコード化されたデータ記憶材料を含む機械読み
    とり可能なデータ記憶媒体であって、ここで該データが、図7に記載のカスパー
    ゼ−7のアミノ酸234、235、237、276、278、281、および2
    84の構造座標を含む、データ記憶媒体;および ii.該機械読みとり可能データを該三次元表示へと処理するための指示書 を備える、 コンピュータ。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載のコンピューターであって、ここで、前
    記ホモログは、1.0Åを超えない前記アミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏
    差を有する結合ポケットを含む、コンピューター。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載のコンピューターであって、 ここで: a.前記分子もしくは分子複合体が、図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸
    85、86、87、88、144、145、184、186、191、223、
    230、231、232、233、234、235、237、240、276、
    278、281、282および284の構造座標によって規定される結合ポケッ
    トの全てまたは該ポケットの任意の部分を含むか;または b.該分子もしくは分子複合体のホモログは、1.5Åを超えない該アミノ酸
    の骨格原子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含み、ここで、該分子も
    しくは分子複合体は、カスパーゼ−3のS4結合領域よりもより親水性であるS
    4結合領域を有し、 ここで、該コンピューターは: i.機械読みとり可能データでコード化されたデータ記憶材料を含む機械読み
    とり可能なデータ記憶媒体であって、ここで該データが、図7に記載のカスパー
    ゼ−7のアミノ酸85、86、87、88、144、145、184、186、
    191、223、230、231、232、233、234、235、237、
    240、276、278、281、282および284の構造座標を含む、デー
    タ記憶媒体;および ii.該機械読みとり可能データを該三次元表示へと処理するための指示書 を備える、 コンピュータ。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のコンピューターであって、ここで、前
    記ホモログは、1.0Åを超えない前記アミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏
    差を有する骨格原子を含む、コンピューター。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載のコンピューターであって、 ここで: a.前記分子もしくは分子複合体が、図7に記載の構造座標を含むか;または b.該分子もしくは分子複合体のホモログであって、該ホモログは、1.5Å
    を超えない該アミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏差を有する結合ポケット含
    み、ここで、該分子もしくは分子複合体は、カスパーゼ−3のS4結合領域より
    もより親水性であるS4結合領域を有し、 ここで、該コンピューターは: i.機械読みとり可能データでコード化されたデータ記憶材料を含む機械読み
    とり可能なデータ記憶媒体であって、ここで該データが、図7に記載の構造座標
    を含む、データ記憶媒体; ii.該機械読みとり可能データを該三次元表示へと処理するための指示書 を備える、 コンピュータ。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のコンピューターであって、ここで、前
    記ホモログは、1.0Åを超えない前記アミノ酸の骨格原子からの根平均二乗偏
    差を有する結合ポケットを含む、コンピューター。
  21. 【請求項21】 請求項17に記載のコンピューターであって、 ここで: a.前記分子もしくは分子複合体は、図7に記載のカスパーゼ−7のアミノ酸
    58〜302の構造座標によって規定される結合ポケットの全てまたは該ポケッ
    トの任意の部分を含み; ここで、該コンピューターは: i.機械読みとり可能データでコード化されたデータ記憶材料を含む機械読み
    とり可能なデータ記憶媒体であって、ここで該データが、図7に記載のカスパー
    ゼ−7のアミノ酸58〜302の構造座標を含む、データ記憶媒体; ii.該機械読みとり可能データを該三次元表示へと処理するための指示書 を備える、 コンピュータ。
  22. 【請求項22】 前記三次元表示を表示するためのディスプレイをさらに備
    える、請求項15〜21のいずれか1項に記載のコンピューター。
  23. 【請求項23】 分子または分子複合体から得られたX線回折データに対応
    する構造座標の少なくとも一部を決定するためのコンピューターであって、 ここで、該コンピューターは: a.機械読みとり可能データでコード化されたデータ記憶材料を含む機械読み
    とり可能なデータ記憶媒体であって、ここで該データが、図7に記載のカスパー
    ゼ−7の構造座標の少なくとも一部を含む、データ記憶媒体; b.機械読みとり可能なデータでコード化されたデータ記憶材料を含む機械読
    みとり可能なデータ記憶媒体であって、ここで該データは、該分子または分子複
    合体から得られたX線回折データを含む、データ記憶媒体;および c.(a)の機械読みとり可能データのフーリエ変換を実行するため、および
    (b)の該機械読みとり可能データを構造座標に処理するための指示書、 を備える、 コンピュータ。
  24. 【請求項24】 前記三次元表示を表示するためのディスプレイをさらに備
    える、請求項23に記載のコンピュータ。
  25. 【請求項25】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の分子もしくは分子複
    合体と会合する化学実体の能力を評価するための方法であって、 該方法は、以下の工程: a.該化学実体と該分子もしくは分子複合体の結合ポケットとの間の一致操作
    を実行するためのコンピュータ手段を使用する工程;および b.該化学実体と該結合ポケットとの間の会合を定量するための該一致操作の
    結果を分析する工程 を包含する、方法。
  26. 【請求項26】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の分子もしくは分子複
    合体の潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを同定するための方法であって
    、 該方法は、以下の工程: a.該分子もしくは分子複合体の三次元構造を作製する工程; b.該三次元構造を使用して、該潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを
    設計または選択する工程; c.該潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを提供する工程;および d.該潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを該分子と接触させて相互作
    用させる工程 を包含する、方法。
  27. 【請求項27】 図7に示される構造座標を用いることによって、未知構造
    の分子または分子複合体に関する構造情報を得るために分子置換を使用する方法
    であって、 該方法は、以下の工程: a.該分子または分子複合体を結晶化する工程; b.該結晶化された分子または分子複合体からの該X線回折パターンを生成す
    る工程;および c.図7に示される構造座標の少なくとも一部を、該X線回折パターンに適用
    して、その構造が未知である該分子または分子複合体の少なくとも一部の三次元
    電子密度マップを作製する工程、 を包含する、方法。
  28. 【請求項28】 前記未知構造の分子または分子複合体が、カスパーゼ−7
    サブユニットまたはカスパーゼ−7ホモログから選択されるポリペプチドを含む
    、請求項27に記載の方法。
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