JP2003512435A - 予防及び治療方法 - Google Patents

予防及び治療方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は一般的に、自己免疫疾患状態の予防及び治療方法並びにそのために有用な物質に関する。関連する一つの実施態様において、本発明は粘膜の抗原、及び/又は細胞障害性Tリンパ球(CTL)により媒介される自己免疫疾患の起こり易さ若しくは危険を防止し若しくは少なくとも低減させるためCTLの誘導及び/又は成熟を阻止若しくは他の方法で遅延させることができる物質の使用を意図する。より具体的には、本発明は自己免疫病状と関連のある症状を保護し若しくは緩和するための粘膜により媒介される耐性を意図する。さらに具体的には本発明は、IDDM関連の自己抗原又はCTLの誘導及び/又は成熟を阻止する物質を粘膜表面にエーロゾル投与することにより臨床的インスリン依存性真正糖尿病(IDDM)を防止又は臨床的IDDMの効果を防止若しくは低減若しくは緩和する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は一般的に自己免疫疾患状態の予防及び治療方法並びにそのために有用
な物質に関する。関連する一つの実施態様において、本発明は、細胞障害性Tリ
ンパ球(CTL)により媒介される自己免疫疾患の起こり易さ若しくはその危険
を防止し又は少なくとも低減させるために、CTLの誘導及び/又は成熟を阻止
又は他の方法で遅延させることができる粘膜抗原及び/又は物質の使用を意図す
る。より具体的には、本発明は自己免疫病理と関連する症状から護るため又は該
症状を緩和させるための粘膜により媒介される耐性を意図する。さらに一層具体
的には本発明は、IDDM関連の自己抗原を粘膜表面にエーロゾル投与により又
はCTLの誘導及び/又は成熟を阻止する物質により、臨床的インスリン依存性
真正糖尿病(IDDM)を防止する方法又は臨床的IDDMの効果を防止若しく
は低減若しくは緩和する方法を提供する。
【0002】 発明の背景 本明細書におけるいかなる先行技術への言及も、この先行技術がオーストラリ
ア国又は他の国で一般常識の一部となっているとの認識又は如何なる意味での示
唆でもなく、そしてそう解釈すべきでもない。
【0003】 本明細書で数値により言及した刊行物の書誌的詳細は明細書の末尾に収録して
ある。
【0004】 免疫系一般そしてとりわけ細胞の免疫機構についての知識の増加により、治療
薬の設計及びその投与の代替的経路が大きく促進されつつある。研究の一つの重
要な領域は、自己免疫疾患状態における特定抗原により誘導される細胞免疫低応
答性を支配する機構である。
【0005】 自己抗原は、その投与が自己免疫疾患の通常の履歴を改変するときは病原性で
あると考えることができる。免疫耐性誘導のための自己抗原に特異的な戦術がゲ
ッ歯類における実験的自己免疫疾患の通常の履歴を有利に改変することが示され
た(1〜6)。古典的な経口投与による可溶性タンパク質抗原の粘膜表面への提
示は抗原特異的なT細胞により媒介される遅延型の過剰感作(DTH)及びIg
E応答の選択的抑制を結果として生ずる(1,7,8)。「経口耐性」はT細胞
(Th1)応答から抗体(Th2)応答までの免疫の分化と、調節T細胞の誘導
と、そして高抗原用量でT細胞アネルギー及びT細胞欠失の両方と関連させられ
てきた(1,9)。
【0006】 特に衰弱している自己免疫状態は、自己免疫炎症性「インスリン炎」病巣内の
、膵臓の島におけるインスリン生産性β細胞の選択的破壊から生ずるインスリン
依存性の真正糖尿病(IDDM)である(10,11)。β細胞破壊を媒介する
際の自己反応性T細胞の第一の役割は二つのIDDMの自然発生動物モデル、即
ちバイオ−ブリーディング(BB)ラット(12)と非肥満糖尿病(NOD)マ
ウス(2)で直接示された。β細胞への免疫反応の引金となり又はそれを駆動す
る標的自己抗原は診断的適用を有するだけでなく特異的免疫治療のための薬物候
補でもある(3〜6)。病原性を持つと思われる幾つかの島/β細胞自己抗原が
、ゲッ歯類で還流する抗体又はT細胞との反応性により、そしてヒトで準臨床的
若しくは臨床的IDDM、とりわけインスリン、グルタミン酸デカルボキシラー
ゼ(GAD)及びIA−2クラスのチロシンホスファターゼとの反応性により同
定されてきた(13)。しかしながら、インスリン及びその前駆体であるプリ−
プロインスリンはβ細胞特異的な唯一のIDDM自己抗原である。
【0007】 ヒトでは、インスリン自己抗体(IAA)は臨床的IDDMの発症の危険マー
カーであり(14)、そして糖尿病の母親の子孫における他の島抗原に対する自
己抗体の前に検出された(15)。準臨床IDDM主体及び最近診断されたID
DM主体の半数までに、ヒトインスリンへの末梢血T細胞の増殖の増加が証明で
きる(16)が、応答は比較的低い。これはおそらく優勢なヒトT細胞エピトー
プがプロインスリン中にあるからである。インスリンのB鎖とプロインスリン中
の連結(C)ぺプチドの間の天然の開裂部位にまたがるぺプチドがIDDMの危
険性のある親類の大部分でT細胞の増殖を誘導すると報告された(17)。NO
Dマウスでは、IAAは糖尿病の発症の危険マーカーであると報告されており(
18)、そしてインスリン炎病巣から生じたT細胞クローンの大部分はインスリ
ンB鎖、アミノ酸9〜23と反応した(19)。
【0008】 幾つかの研究がNODマウスモデルにおいて粘膜により媒介されるインスリン
への耐性を評価した。例えば、ザングら(20)はブタインスリンの経口投与(
1mg週2回)が糖尿病の発症を遅延させそしてその発症率を低下させること、
そして糖尿病マウス由来の脾臓細胞により若い非糖尿病マウスへの糖尿病の移転
を部分的に阻止する脾臓T細胞と関連があることを見出した。続いてベルゲロッ
トら(21)は経口インスリンによる誘導された調節細胞がCD4+T細胞であ
ったことを報告した。しかしながら、実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)のルイ
スラットモデルにおけるモルモットのミエリン塩基性タンパク質(MBP)に対
する経口耐性の初期の研究(1)では、IL−4、IL−10及びTGF−βを
分泌し且つCD4及びCD8の両方を調節するT細胞が記述された。
【0009】 細胞により媒介される自己免疫状態の抑制を誘導するための抗原の送達のため
の有効な投与戦術を開発する必要がある。この投与戦術は免疫学的に効果的でな
ければならないだけでなく、便利で直接的で且つ安全でなければならない。本発
明に至る研究において、本発明者らは自然発生IDDMの動物モデルである非肥
満糖尿病(NOD)マウスで、インスリン及びその前駆体(プロインスリン)の
エーロゾル吸入及び鼻孔内投与を研究し、これが膵臓島病状及び糖尿病の発症率
を低減させるのに有効であることを明らかにした。さらに、エーロゾルインスリ
ンは糖尿病の防止に寄与する調節的CD8γδT細胞を誘導した。代わりの戦術
として、又は前述の方法と組み合わせて使用できる戦術として、本発明は、例え
ば、CD40とCD40リガンド(CD40L)の間の相互作用を阻止すること
によりCTLの誘導及び/又は成熟を阻止若しくは他の方法で遅延させる方法を
さらに提供する。
【0010】 発明の概要 本明細書を通じ、文脈が他の意を要求しない限り、「含む(comprise) 」とい
う用語、又は「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」などのその変形は
、述べられた要素若しくは整数又は要素群若しくは整数群を含むことを意味する
が、如何なる他の要素若しくは整数又は要素群若しくは整数群を排除するもので
はないことを意味すると理解すべきである。
【0011】 本発明の一つの側面は、粘膜抗原への応答としてのCTL免疫を実質的に回避
しながら、細胞障害性Tリンパ球(CTL)耐性を含む免疫耐性を誘導する方法
を意図する。この方法は該粘膜抗原を選択する工程、又はMHCクラスIに限定
されたエピトープの機能を発揮できないように粘膜抗原を改変する工程、及び次
いで該粘膜抗原に対するCTL免疫を阻止又は低減させるのに十分な時間及び条
件の下で該選択され又は改変された抗原を投与する工程を含む。
【0012】 本発明の別の一側面は、実質的に粘膜自己抗原への応答としてのCTL免疫を
回避しながら細胞により媒介される自己免疫疾患を抑制する方法を意図する。こ
の方法は該自己抗原を選択する工程、又はMHCクラスIに限定されたエピトー
プの機能を発揮できないように粘膜自己抗原を改変する工程、及び次いで該自己
抗原に対する耐性を誘導するが該抗原に対するCTL免疫を阻止又は低減するの
に十分な時間及び条件の下で該選択され又は改変された自己抗原を投与する工程
を含む。
【0013】 本発明のさらなる一側面は、主体における細胞により媒介される自己免疫疾患
を抑制する方法であって、自己免疫の病状を防止し、低減し若しくは他の方法で
緩和するのに十分な時間及び条件の下で該自己免疫疾患と関連する抗原の有効量
をエーロゾルとして投与する工程を含み、該抗原が機能性のMHCクラスIの相
互作用領域を実質的に欠失しているものである方法を意図する。
【0014】 本発明のさらに別の一側面は、主体における自己免疫疾患状態を防止し、低減
し若しくは他の方法で緩和する方法であって、細胞により媒介される自己免疫の
病状から護る免疫調節機構を誘導若しくは刺激するのに十分な時間及び条件の下
で該自己免疫疾患と関連する抗原の有効量を該主体にエーロゾルとして投与する
工程を含み、該抗原がMHCクラスIの相互作用領域を実質的に欠失しているも
のである方法を提供する。
【0015】 本発明のなお一層別の一側面は、主体におけるIDDM、徐々に進行する(S
P)IDDM若しくは妊娠中のタイプI糖尿病を防止、低減若しくは他の方法で
緩和する方法であって、調節的T細胞を誘導するのに及び/又はIDDMと関連
する細胞媒介性の自己免疫病状を抑制するために十分な他の適切な機構を誘導す
るのに十分な時間及び条件の下で、IDDMと関連する自己抗原の有効量を該主
体にエーロゾルとして若しくは他の機能的に同等な手段により投与する工程を含
み、該自己抗原が機能性のMHCクラスIの相互作用エピトープを実質的に欠失
しているものである方法を意図する。
【0016】 本発明のさらに別の一側面は、主体におけるIDDMを誘導し、抑制し若しく
は他の方法で緩和し若しくは防止する方法であって、CTL免疫を阻止若しくは
低減し、且つ、他の方法でCTL耐性を含む免疫耐性を誘導するのに十分な時間
及び条件の下で、MHCクラスIに限定された任意のエピトープの機能を発揮で
きないようにそのC末端で先端を切断されたプロインスリンぺプチド抗原を投与
する工程を含む方法を意図する。
【0017】 本発明のさらに別の一側面は、一つ以上の薬学的に許容しうる担体及び/又は
希釈剤を含むエーロゾル製剤中に自己免疫疾患と関連する抗原を含む組成物を提
供する。
【0018】 本発明の別の一側面は、粘膜抗原への応答としてのCTL免疫を実質的に回避
しながらCTL耐性を誘導する方法であって、CTL免疫の誘導を阻止若しくは
低減するのに十分な時間及び条件の下で、機能性のMHCクラスIに限定された
エピトープを実質的に欠失している該粘膜抗原をコードする核酸分子若しくはそ
の類縁物質を主体に投与する工程を含む方法を意図する。
【0019】 本発明のさらなる側面はCTL免疫を実質的に回避しながらIDDMを防止又
は抑制する方法であって、IDDMの効果を防止又は低減するのに十分な時間及
び条件の下で機能性のMHCクラスIに限定されたエピトープを実質的に欠失す
るIDDM関連粘膜抗原をコードする核酸分子又はその類縁物質を主体に投与す
る工程を含む方法を意図する。
【0020】 本発明の別の一側面は、従って、該抗原に対するCTL免疫を実質的に回避し
ながら粘膜抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTL免疫を阻止又は低
減するのに十分な時間及び条件の下で、該粘膜抗原又はそれをコードする核酸を
投与し、その前、同時若しくは後にCTLの誘導及び/又は成熟のアンタゴニス
トを投与する工程を含む方法を意図する。
【0021】 より具体的には、本発明は、粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避しな
がら該抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTL免疫を阻止又は低減す
るのに十分な時間及び条件の下で、該粘膜抗原又はそれをコードする核酸を投与
し、その前、同時若しくは後にCD40L−CD4相互作用のアンタゴニストを
投与する工程を含む方法を意図する。
【0022】 本発明のさらに別の一側面は、粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避し
ながら該抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTL誘導及び/又は成熟
を阻止若しくは他の方法で遅延させるのに十分な時間及び条件の下である物質を
投与する工程を含む方法を提供する。
【0023】 より具体的には、本発明は粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避しなが
ら該抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTL誘導及び/又は成熟を阻
止し若しくは他の方法で遅延させるのに十分な時間及び条件の下である物質を投
与する工程を含み、該物質がCD40−CD40L相互作用を阻止又は他の方法
で破壊するものである方法を提供する。
【0024】 本発明の別の一側面は、主体における疾患状態の治療又は予防のための医薬の
製造における、不活性なMHCクラスIエピトープを持つ粘膜抗原の使用を意図
する。
【0025】 本発明のさらに別の一側面は、疾患状態の治療又は予防のための医薬の製造に
おける、CTL誘導及び/又は成熟を阻止できる物質の使用を意図する。
【0026】 本発明は、上に意図した方法のいずれかの組合せにおける使用をさらに提供す
る。
【0027】 好ましい実施態様の詳細な説明 本発明はインスリン又はその前駆体が免疫耐性を誘導するために使用されうる
という驚くべき発見に基づいている。
【0028】 従って、本発明の一つの側面は、主体における粘膜抗原に対する応答としての
CTL免疫を実質的に回避しながら免疫耐性を誘導する方法であって、該粘膜抗
原を選択する工程又はMHCクラスIに限定されたエピトープの機能を発揮でき
ないように粘膜抗原を改変する工程、及び次いで該粘膜抗原に対するCTL免疫
を阻止若しくは低減するのに十分な時間及び条件の下で該選択され又は改変され
た抗原を投与する工程を含む方法を意図する。
【0029】 一般に、粘膜抗原はCTLにより媒介される糖尿病そして取り分けIDDMな
どの、これらに限定されるわけではないが、自己免疫疾患を防止するために用い
られる。
【0030】 従って、本発明の別の一側面は、粘膜自己抗原への応答として生ずるCTL免
疫を実質的に回避しながら細胞により媒介される自己免疫疾患を抑制する方法で
あって、自己抗原を選択する工程又はMHCクラスIに限定されるエピトープの
機能を発揮できないように該粘膜自己抗原を改変する工程、及び次に該選択され
又は改変された自己抗原を、該自己抗原に対する耐性を誘導するが該自己抗原に
対するCTL免疫を阻止又は低減するのに十分な時間及び条件の下で、投与する
工程を含む方法を意図する。
【0031】 この自己抗原の投与はDNA又はポリペプチド/ぺプチドの送達によるもので
も、任意の適当な手段によるものでもよいが、好ましい投与経路は経口、経鼻、
経咽頭又は経気管支管を含む粘膜表面を経るものであり、そして鼻孔内エーロゾ
ルを含むエーロゾル経由である。
【0032】 本発明のさらに別の一側面は主体の細胞により媒介される自己免疫疾患を抑制
する方法であって、自己免疫病状を阻止し、低減し若しくは他の方法で緩和する
のに十分な時間及び条件の下で該自己免疫疾患と関連する抗原の有効量をエーロ
ゾルとして投与する工程を含み、該抗原が機能性MHCクラスI相互作用領域を
実質的に欠失しているものである方法を意図する。
【0033】 より具体的には、本発明は主体の自己免疫疾患状態を阻止し、低減し若しくは
他の方法で緩和する方法であって、細胞により媒介される自己免疫病状から護る
免疫調節機構を誘導し又は刺激するのに十分な時間及び条件の下で該自己免疫疾
患と関連する抗原の有効量を該主体にエーロゾルとして投与する工程を含み、該
抗原がMHCクラスI相互作用領域を実質的に欠失しているものである方法を提
供する。
【0034】 本明細書で「免疫調節機構」というときは、細胞により媒介される免疫応答を
調節する全ての機構に対する言及であると理解されるべきであり、例えば、T細
胞の機能的活性の調節、一つ以上のサプレッサーCD4T細胞、Th1、Th2
又はγδT細胞(本明細書で「調節性T細胞」と呼ぶ)を含むCD8T細胞によ
る調節、又はリンパ球、骨髄細胞又はストローマ細胞によるサイトカイン生産の
調節を経由するものなどであるが、これらに限定されない。
【0035】 本発明は、本発明者らによる一部の粘膜自己抗原がMHCクラスIに限定され
たCTLに対するエピトープを含むという認識に一部基礎を置く。結果として、
これらの抗原の投与はCTL免疫及びCTL耐性を結果とし生じうる。従って、
本発明は、機能性のMHCクラスIで相互作用するエピトープを欠失している抗
原の選択又はこのエピトープを除去するように抗原を改変することを必要とする
【0036】 特に好ましい実施態様では、MHCクラスIエピトープはMHCクラスI(K d )に限定されるエピトープである。
【0037】 本発明は以降にIDDM、成人における潜在性自己免疫糖尿病〔LADA〕と
も呼ばれる徐々に進行するIDDM(SPIDDM)及びIDDMが根底にある
ことによる妊娠中の糖尿病の防止、低減若しくは他の方法での緩和に関して記述
する。これは、しかしながら、本発明が細胞により媒介されるある範囲の自己免
疫状態に及ぶという理解の下でなされる。
【0038】 従って、本発明の別の一側面は、主体のIDDM、SPIDDM若しくは妊娠
糖尿病を防止し、低減し若しくは他の方法で緩和する方法であって、調節T細胞
の誘導、及び/又はIDDMと関連する細胞媒介性の自己免疫病状を抑制するの
に十分な他の適切な機構の誘導に十分な時間及び条件の下で、IDDMと関連す
る自己抗原の有効量をエーロゾルとして若しくは他の機能的に同等な手段により
該主体に投与する工程を含み、該自己抗原が機能性MHCクラスI相互作用エピ
トープを実質的に欠失しているものである方法を意図する。
【0039】 本明細書で以降における「IDDM」への言及には、IDDM、SPIDDM
及び妊娠IDDMが含まれる。
【0040】 誘導される調節T細胞は抗原の形及びその投与経路に依存する。例えば、分解
されていない、立体構造的に完全なポリペプチド若しくはタンパク質分子全体(
例えばインスリン)を投与するときは、CD8T細胞がそしてより具体的にはC
D8γδT細胞が誘導される。プロインスリンぺプチド(例えば、プロインスリ
ンぺプチド24〜36)などのより小さなぺプチドは一般的にCD4T細胞、そ
してより具体的にはCD4αβT細胞を誘導する。特に経口ルートで投与すると
きCD4調節T細胞を優勢に形成するように、タンパク質全体を複数のぺプチド
に分解してもよい。
【0041】 機能性のMHCクラスI相互作用エピトープの不存在には、このエピトープ領
域の全部若しくは一部を含む1個若しくは複数のアミノ酸の欠失が含まれる。ま
た、このエピトープは抗体又は他の分子と相互作用によるなどの他の手段により
阻止されうる。
【0042】 特に好ましい投与剤形はエーロゾルスプレー、液の滴下、又は蒸気を経る鼻孔
内投与である。
【0043】 鼻孔内投与又は他の投与経路のために用いられるIDDMと関連する好ましい
抗原は、インスリン及びプレプロインスリン若しくはプロインスリン、及びそれ
らの免疫応答刺激性誘導体、例えばプロインスリン、プレプロインスリン若しく
はインスリンのぺプチド断片であるが、これらに限定されない。ただし、これら
の抗原はCTL免疫の誘導に関与する機能性のMHCクラスI関連領域を欠失し
ているか又は実質的に欠失していることが条件である。免疫応答刺激には、調節
性T細胞刺激が含まれることが好ましい。しかしながら、種々のイソ型(例えば
、GAD65及びGAD67)におけるグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GA
D)若しくはその誘導体及びチロシンホスファターゼIA−2若しくはその誘導
体など、これらに限定されないが、のいずれの島抗原も使用することができる。
これらの抗原はヒト由来のものであってもマウスなどの任意の非−ヒト種由来の
ものであってもよい。最も好ましい抗原は、アミノ酸24〜33により定義され
たMHCクラスI相互作用領域を不活性化するように改変されたプロインスリン
ぺプチドである。この相互作用領域を改変して、重要なMHCクラスIアンカー
残基の一つ以上を欠失しているぺプチド又はMHCクラスIの結合が低減するよ
うに改変された残基を含むぺプチドを形成させてもよい。このプロインスリンぺ
プチドはMHCクラスIエピトープを不活性化するためにC末端の先端切断を受
けさせることが好ましい。その結果として、CTL免疫の誘導はCTL耐性を含
む耐性の誘導から切り離される。
【0044】 従って、本明細書の別の一側面は、主体におけるIDDMを誘導し、抑制し、
若しくは他の方法により緩和し若しくは防止する方法であって、CTL免疫を阻
止若しくは低減させ、且つ、他の方法でCTL耐性を含む免疫耐性を誘導するの
に十分な時間及び条件の下で、MHCクラスIに限定されたいかなるエピトープ
の機能をも発揮できないようにするためそのC末端抗原で先端切断したプロイン
スリンぺプチドを投与する工程を含む方法を意図する。
【0045】 さらに以下に論ずるように、本発明の方法は、CTLの誘導及び/又は成熟を
阻止するための戦術と組み合わせて用いてもよい。一つのアプローチでは、例え
ば、CD40−CD40リガンド(CD40L)の相互作用が阻止される。
【0046】 用語「誘導体」には、抗原の断片、一部、部分、化学的等価物、突然変異体、
同族体及び類縁物質が含まれる。類縁物質は天然起源のものでも、合成又は組換
え起源のものでもよく、融合タンパク質も含まれる。抗原の化学的等価物は抗原
の機能的類縁物質として作用できる。化学的等価物は必ずしも抗原から誘導され
る必要はなく、ある種の立体構造的類似性を共有すればよい。また、化学的等価
物は抗原のある種の物理化学的特性を模倣するように特異的に設計されてもよい
。化学的等価物は化学的に合成してもよく、例えば天然生産物のスクリーニング
の後に検出してもよい。
【0047】 本発明で意図される抗原の同族体は、ヒト由来の抗原又はマウスなどの任意の
非ヒト種由来の抗原を含むが、必ずしもこれらに限定される必要はない。
【0048】 誘導体には、一つ以上のアミノ酸の挿入、欠失又は置換が含まれる。アミノ酸
の挿入誘導体は、1個又は複数のアミノ酸の配列内挿入並びにアミノ末端及び/
又はカルボキシル末端の融合を含む。挿入アミノ酸配列変異型は一つ以上のアミ
ノ酸残基が該ぺプチド中の予め定められた部位に導入されるものである、もっと
も、得られる生産物の適切なスクリーニングを伴う無差別挿入も可能である。欠
失変異型は該配列から一つ以上のアミノ酸の除去が特徴である。置換アミノ酸変
異型は該配列中の少なくとも一つの残基が除去され異なる残基がその位置に挿入
されたものである。アミノ酸配列への付加には、他のぺプチド又はポリペプチド
との融合が含まれる。例えば、好ましい主体のぺプチドを他のぺプチド又は機能
性同族体若しくは類縁物質により置換することも可能である。ハイブリッドぺプ
チドはぺプチドの組合せを含みうる。
【0049】 用語「エーロゾル」はその最も一般的な意味て用いられ、鼻、咽喉、気管支又
は経口の経路を経て投与できるいかなる製剤をも含む。エーロゾルは一般に気体
又は蒸気中に懸濁された液体又は固体の粒子を含む。このエーロゾルは分散媒体
が気体である霧のようなコロイド系であるのが便利である。エーロゾル製剤を投
与する方法はいかなる手段でもよく、手動ポンプ、電動ポンプ、加圧ディスペン
サー、点鼻薬、若しくは他の便利な手段を用いて達成してもよい。さらに、液滴
の大きさは肺の浸透を決定しうる、そして液滴の大きさは投与の効率を最大にす
るように操作する必要がある。本発明の方法は鼻孔内表面に該製剤の直接適用に
まで及ぶことが理解されるべきである。
【0050】 特に好ましい実施態様では、エーロゾルは約1から約20リットル/分の速度
、好ましくは約2から約15リットル/分の速度で、そして液滴の大きさが約0
.1から約10μm、より好ましくは約0.1から約6μmで送達される。抗原
の貯蔵溶液は約0.5から約20mg/mlの濃度で、又はより好ましくは約1
.0から約10mg/mlの担体溶液で調製されるのが便利である。市販されて
いるインスリンは約4mg/mlであるのが特に有用である。有用な用量は貯蔵
溶液から約50μlから1000μlであり、好ましくは100μlから500
μlである。
【0051】 抗原はアジュバントの中で又はアジュバントと共に単独で又は製剤により投与
されうる。このアジュバントは、コレラ毒素B、大腸菌の熱不安定毒素、サポニ
ン、クィルA抽出物及び他のサポニン誘導体、DEAE−デキストラン、硫酸デ
キストラン、アルミニウム塩、及び非イオン性ブロック・コポリマーを含む免疫
調節応答を増強するある範囲のアジュバントから選択される。アジュバントはサ
イトカイン(例えば、IL−4又はIL−13)、ムラミル−ジぺプチド及び誘
導体、及び細胞壁成分、例えば大腸菌などのグラム陰性細菌由来の細胞壁リポタ
ンパク質、ミコバクテリウム若しくはコリネバクテリウムの種由来の細胞壁成分
などの他の免疫調節因子を含んでもよい。アジュバント製剤はリストしたアジュ
バントの二つ以上の組合せを含んでもよい。これらのリストは網羅的と解すべき
ではない。アジュバントの選択は、標的とされる種に部分的に依存し、求められ
る免疫応答のレベル及び期間及び反応原性(即ち、組織適合性)の欠如に基づく
。活性成分及びアジュバントのレベルは必要なレベル及び免疫応答の期間を達成
するように選択される。
【0052】 抗原は治療的に有効な量で投与される。治療的に有効な量とは所望の効果を達
成するため、又は治療されるべき特定の状態の開始を遅延させるため、進行を阻
止するため、又は両者合わせて開始又は進行を遅延又は阻止するために少なくと
も部分的に必要な量を意味する。このような量は、勿論治療されるべき特定の状
態、その状態の重篤度、及び年齢、肉体状態、大きさ、体重及び同時に行なわれ
る治療を含む個々の患者のパラメータに基づくものである。これらの因子は当業
者には良く知られており、単なる機械的実験で取り組むことができる。最高用量
が使用されるのが一般に好ましい、即ち健全な医学的判断に従った最高の安全な
用量である。しかしながら、より低い用量又は耐用可能な用量が医学的な理由、
生理学的理由又は事実上の他の任意の理由のため投与されうることは当業者には
理解されることである。
【0053】 一般に、抗原の毎日の経口用量は約0.01mg/用量/主体/日から100
0mg/用量/主体/日である。初めに小用量(0.01〜1mg)が投与され
、その後用量を約1000mg/Kg/日まで増加させてもよい。このような投
与で主体の応答が不十分である場合は、より高い用量(又は異なる経路、より局
部的送達経路による効果的なより高い用量)さえも、患者の耐性が許す程度まで
用いてもよい。1個の用量が投与されてもよく、複数の用量が毎時、毎日、毎週
若しくは毎月の基準で投与されてもよい。抗原の効果的な量は個体により変わる
が、主体当たりの用量当たりで、約0.1μgから約100mgまでの範囲であ
り、好ましくは約1μgから約10mgまで、より好ましくは約5μgから20
mgの範囲である。特により低い用量はエーロゾル投与又は鼻孔内投与用に意図
されており、例えばng〜μg用量が最適である。
【0054】 本発明の関連する側面では、治療を受ける主体は治療又は予防の処置が必要な
いかなるヒト又は動物であってもよい。
【0055】 一般的に免疫状態そして特異的には調節T細胞及びサイトカインプロファイル
のレベルは当業者に知られた通常の方法を用いて任意の治療計画を通じて容易に
決定することができる。例えば、調節T細胞レベルはT細胞サブセットに特異的
な市販の抗体で標識化した後サイトメトリー分析によりモニターすることができ
る。主体の状態を決定する適切な方法の他の例としては、密度遠心分離により末
梢血の単核細胞の精製の後GAD、IA−2ファミリー構成員、プレプロインス
リン、プロインスリン又はインスリン又はこれらの抗原由来のぺプチド配列など
の周知の抗原とインキュベートすることによる刺激が挙げられる。その結果得ら
れる増殖を 3Hチミジンの取込みを検定することにより定量できる。サイトカイ
ンプロファイルは抗原で刺激した後約24〜72時間で測定できる。該サイトカ
インは、例えば、サイトカイン特異的抗体を用いて検出できる。抗原で刺激した
後約24時間以内に、刺激した細胞を、例えば活性化マーカー発現のフローサイ
トメトリー分析により表現型として特徴付けることができる(例えば、CD69
、CD44、CTLA4、CD25)。活性化細胞の細胞表面標識化の後、該細
胞をさらに固定しサイトカインに特異的な蛍光色素標識化抗体と共にインキュベ
ートして細胞内のサイトカインレベルを測定する。特に、例えば、二重標識化検
定により細胞をさらに評価してもよい。この二重標識化細胞はフローサイトメト
リー分析又は蛍光顕微鏡法を用いて分析してもよい。
【0056】 本発明の別の一側面は、一つ以上の薬学的に許容しうる担体及び/又は希釈剤
を含むエーロゾル製剤に自己免疫疾患と関連する抗原を含む組成物を提供する。
【0057】 自己免疫疾患はIDDMであることが好ましい。
【0058】 この抗原はインスリン、又はプレプロインスリン、プロインスリンなどのその
前駆体の改変型又はそれらの誘導体(例えば、プロインスリンぺプチド24〜3
6)又はGAD又はチロシンホスファターゼIA−2若しくはその誘導体の改変
型などの島抗原であることが好ましく、該抗原はMHCクラスIエピトープの機
能を妨げるように改変されているものである。
【0059】 該抗原及び投与経路は、インスリンCD8T細胞などの分子全体に関しては調
節T細胞そして最も好ましくはCD8γδT細胞、又はプロインスリンぺプチド
24〜36などのより小さな分子に関してはCD4T細胞そして最も好ましくは
CD4αβT細胞を誘導するものであることが好ましい。
【0060】 代替的実施態様では、IDDM関連自己抗原をコードする核酸分子が投与され
る。一般に、この実施態様によれば、プロインスリン又はその改変型をコードす
るDNAなどの核酸分子の鼻孔内若しくは他の適切な投与が糖尿病の発症を抑制
するCD4T細胞の集団を誘導する。
【0061】 該核酸分子は機能性MHCクラスI相互作用分子を欠失しているぺプチドをコ
ードすることが好ましい。
【0062】 該核酸分子は好ましくはcDNAなどのDNA又はゲノムDNAであり、DN
A:RNAハイブリッドである。該核酸分子はプラスミド又はベクターの形であ
ることがとりわけ好ましい。該核酸分子は安定性を増強するためにヌクレオチド
塩基の付加又は置換類似体を含んでもよい。
【0063】 従って、本発明の別の一側面は、粘膜抗原への応答としてのCTL免疫を実質
的に回避しながらCTL耐性を含む免疫耐性を誘導する方法であって、機能性M
HCクラスIに限定されたエピトープを実質的に欠失している粘膜抗原をコード
する核酸分子又はその類縁物質を、CTL免疫の誘導を阻止又は低減するのに十
分な時間及び条件の下で、主体に投与する工程を含む方法を意図する。
【0064】 より具体的には、本発明はCTL免疫を実質的に回避しながらIDDMを防止
又は抑制する方法であって、機能性MHCクラスIに限定されたエピトープを実
質的に欠いているIDDM関連自己抗原をコードする核酸分子又はその類縁物質
を、IDDMの効果を防止又は低減するのに十分な時間及び条件の下で、主体に
投与する工程を含む方法を意図する。
【0065】 本発明のさらに別の一側面はCTL耐性からCTL免疫を切り離すための他の
方法を意図する。特に、CTLのエフェクターである「キラー」細胞への成熟は
樹状細胞などの抗原提示細胞によるプライミングを要求する。この樹状細胞は該
抗原ぺプチド(即ち、エピトープ)をMHCクラスI分子との複合体としてCD
8CTLのT細胞受容体に提示する。樹状細胞それ自体は、T細胞上のCD40
リガンド(CD40L)と樹状細胞上のCD40の間の相互作用を通じて「ヘル
パー」CD4T細胞との先立つ相互作用によりこの機能を発揮するようにプライ
ムされる(図11参照)。CD8T細胞自体もCD40Lを発現することが示さ
れた。従って、別の実施態様では、粘膜抗原の投与と連結してCD40L−CD
40相互作用のアンタゴニストを投与することが提唱される。このようなアンタ
ゴニストの1例はモノクローナル抗体などのCD40L抗体である。CD40L
−CD40相互作用のアンタゴニストは粘膜抗原の投与の前、同時又はその後に
投与されうる。逐次投与には、数秒以内、数分以内、数時間以内、数日以内又は
数週間以内が含まれる。同時には実質的な同時が含まれる。この余分の処理は粘
膜抗原又は粘膜抗原をコードする核酸分子の投与と一緒でもよい。
【0066】 本発明の別の一側面は、従って、粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避
しながら該抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTL免疫を阻止又は低
減するのに十分な時間及び条件の下で、CTLの誘導及び/又は成熟のアンタゴ
ニストの投与の前、同時若しくは後に、該粘膜抗原又はそれをコードする核酸を
投与する工程を含む方法を意図する。
【0067】 より具体的には、本発明は、粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避しな
がら該抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTL免疫を阻止又は低減す
るのに十分な時間及び条件の下で、CD40L−CD40相互作用のアンタゴニ
ストの投与の前、同時若しくは後に、該粘膜抗原又はそれをコードする核酸を投
与する工程を含む方法を意図する。
【0068】 本発明のさらに別の一側面は、粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避し
ながら該抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTLの誘導及び/又は成
熟を阻止若しくは他の方法で遅延させるのに十分な時間及び条件の下で、ある物
質を投与する工程を含む方法を提供する。
【0069】 より具体的には、本発明は粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避しなが
ら該抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTLの誘導及び/又は成熟を
阻止若しくは他の方法で遅延させるのに十分な時間及び条件の下で、ある物質を
投与する工程を含み、該物質がCD40−CD40L相互作用を阻止若しくは他
の方法で妨害するものである方法を提供する。
【0070】 本発明の一層別の一側面は、ある疾患状態の治療又は予防のための医薬の製造
におけるCTLの誘導及び/又は成熟を阻止できる物質の使用を意図する。
【0071】 本発明は下記の非限定的な実施例によりさらに説明する。
【0072】 実施例1 エーロゾル治療と糖尿病評価 8匹の雌NODマウスを入れた準密封箱のそれぞれを、標準的な患者用電動ポ
ンプ(メイメッド・エーロゾルMKV,アネステティック・サプライズ,シドニ
ー,オーストラリア)及びアエロフロ・ネブライザー(ウエイト・アンド・コウ
.,シドニー)に連結することによりエーロゾル化した。4mg/mlの組換え
ヒトインスリン(ヒュームリンR,イーライ・リリー)又は対照オボアルブミン
タンパク質を、24〜32マウスの群に、流速12リットル/分、定格液滴サイ
ズ<5.8μmで10分間以上送達した。すべての処置は0900及び1100
時間の間に行なわれた。治療計画とマウスの世話は、インスティチューショナル
・アニマル・エチック・コミティーにより承認され監督された。100日齢から
少なくとも28日毎に後眼窩の静脈血を採取し、マウスは反復テストにより確認
されたその血中グルコースが11mMより多いときは糖尿病であると判断された
。グルコースは、麻酔をかけていないマウスの後眼窩の静脈叢からガラス毛細管
を介して吸引した血液滴について、BM−Test Glycemie(登録商
標)ストリップ及びReflolux(登録商標)IIメーター(ベーリンガー−
マンハイム)を用いて測定した。
【0073】 実施例2 組織学 マウスをCO2 吸入により殺し、膵臓及び唾液腺を直ちにブインの定着液中に
摘出し、パラフィン中に包埋した。島浸潤の重篤度の尺度であるインスリン炎評
点は、ヘマトキシリンとエオシンで染色した一連の6μmの膵臓切片中の最小で
も15の別々の島の等級付けとその平均をとることにより二人の独立の研究者に
よりブラインドで決定された。等級付けのスケールは、0,浸潤なし,島は無傷
、1,島周辺に10未満のリンパ細胞,島は無傷、2.島周辺及び島内に10〜
20個のリンパ細胞,島は無傷、3,島周辺及び島内に20より多くのリンパ細
胞,島の50%未満が置換又は破壊、4,大量のリンパ細胞浸潤,50%以上の
島が置換又は破壊、である。唾液腺の浸潤はクラスターにおけるリンパ細胞の数
により等級付けされた。0,細胞なし、1,細胞が10未満、2,細胞が10〜
50、3,細胞が50より大。
【0074】 実施例3 免疫応答 個々の正常血糖マウス由来の脾臓細胞を赤血球溶解緩衝液で処理し、示された
濃度の抗原を含む丸底ウェル中の4連の50μモルの2−メルカプトエタノール
を含む2×105 /200μlの無血清HL−1培地(ハイコール,アーヴィン
,CA)に再懸濁し、インキュベートした。5%v/vCO2 /空気中、37℃
で3日間の後、それぞれのレプリカ上清から100μlの部分標本をとり、サイ
トカイン検定のため−70℃で貯蔵した。次いで、細胞に3H−チミジンを加え
、16時間後に収穫し、Topcount(商標)ミクロ−シンチレーション・
カウンター(パッカード,メリデン,CT)で計数した。インスリンは、エーロ
ゾル治療に用いたと同様の組換え体ヒト(ヒュームリンR,イーライ・リリー)
であった。マウスインスリンIIのアミノ酸9〜23に対応するインスリンB鎖ぺ
プチド(ぺプチド・エクスプレス,フォート・コリンズ,CO)はHPLC分析
により90%を越える純度であった。GAD65はバキュロウイルス系でC末端
ヘキサヒスチジンを持って発現された組換え体ヒトであり、Ni2 + キレーショ
ンアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。それはSDS−PAGEで
1本のバンドとして分離され、定量的リムルス・ライゼート検定(バイオ・ホイ
タッカー,ウォーカースヴィル,MD)により、内毒素フリーであった。
【0075】 IL−2、IL−4、IL−10及びIFN−γはモノクローナル抗体の対(
ファーミンゲン)を用いてELISAにより測定した。検出の最低限界はそれぞ
れ、62、16、16及び55pg/mlであった。TGF−β1はELISA
キット(プロメガ)を用いて最低検出限界16pg/mlで測定した。
【0076】 インスリン抗体を検出するため、 125I標識化ヒトインスリン(約100,0
00cpm,比活性120μCi/μg)を、プロテアーゼ阻害剤と逐次対数希
釈したマウス血清の混合物を含むリン酸塩緩衝化食塩水中で、過剰の無標識イン
スリン(10μg/ml)を含め又は含めずに、4℃で5日間インキュベートし
た。次いで、複合体をウサギ抗マウスグロブリン抗血清を用いて沈殿させ、洗浄
し、ガンマカウンターで計数した。ポジティブの対照の血清(モルモットの抗ブ
タインスリン血清、ヒトのIDDM血清)は、総放射活性のうちの37〜54%
が最大沈殿した。過剰の非標識化インスリンの存在下での非特異的結合は3%以
下であった。
【0077】 実施例4 糖尿病の養子免疫細胞移入 6〜9週齢の雄NODマウス(16/群)にコバルト線源から照射し(800
R)、次いで3〜6時間後に最近糖尿病を発症した14〜19週齢の雌NODマ
ウス由来の脾臓細胞プールの2×107 及びエーロゾルのインスリンかオブアル
ブミンで処理されたマウス由来の脾臓細胞の2×107 (又はこの数から分画さ
れた細胞)を200μl中に一緒に懸濁させ、尾の静脈経由で与えた。次いで、
移入後2週間に血中グルコースの測定を開始することにより、糖尿病の発症を追
跡監視した。
【0078】 実施例5 脾臓細胞集団の分画 脾臓細胞は赤血球溶解緩衝液で処理し、マウス等張リン酸塩緩衝化食塩水中に
再懸濁した。全てのT細胞をナイロンウールへの非吸着により精製した。CD4
細胞及びCD8細胞は製造者の説明書に従ってMACS・ミクロビーズ(ミルテ
ニ・ビオテク,GmbH,ドイツ)に直接結合したモノクローナル抗体で磁気的
にポジティブに選択/除去し、生存細胞(トリパン・ブルー染色が負)として計
数した。フローサイトメトリーにより、CD4細胞又はCD8細胞の95%除去
が明らかになり、それぞれの回収率は約80%及び約50%であった。
【0079】 γδT細胞は、エーロゾル処理マウス由来のT細胞を、まずビオチン化GL3
−1A抗体(ファルマシア,サンジエゴ,CA)と、次いでストレプトアビジン
−MACSミクロビーズとインキュベートし、その後磁気分離することにより、
ポジティブに選択/除去した。フローサイトメトリーにより、γδ細胞は1〜2
%のNOD脾臓細胞を含み、GL3−1A抗体でその全てを除去した。CD8γ
δT細胞を精製するために、CD8T細胞をまず抗CD8−FITC抱合体及び
抗FITCミクロビーズを持つ全てのT細胞から磁気的に選択した。このミクロ
ビーズを次にミルテニル・バイオテク・プロトコルに従って放出し、ついでCD
8細胞をγδ陽性画分とγδ欠如画分とに磁気的に分離した。二重染色及びFA
CS分析により、γδ細胞の完全な欠如とCD8集団を表す高及び低GL3−1
Aとしてのその回収が示された。
【0080】 実施例6 糖尿病とインスリン エーロゾル・ヒトインスリン又はエーロゾル・オブアルブミンを28日齢の雌
NODマウスに異なる計画で投与し、インスリン炎がマウス集団で検出可能とな
る最も早い時、及び糖尿病の発症率及びインスリン炎の重篤度を続いて測定する
【0081】 糖尿病の発症率は28日齢での1回のエーロゾルインスリン処理では僅かしか
影響されず、エーロゾル・オブアルブミン投与後の88%に比べ240日齢まで
で75%である。しかしながら、3又は10連続日の間の処理及びその後毎週1
回の処理により、糖尿病の発症は有意に遅延しそしてその発症率は有意に低下し
た。5回の別々の実験で、156日齢における糖尿病の発症率は、オブアルブミ
ン処理マウスにおける47%の中央値からインスリン処理マウスにおける23%
まで低下し、糖尿病の累積発症率が最高に達する240日齢で、その値はそれぞ
れ79%及び49%であった(p=0.005、カプラン−マイアー生存統計)
。最初の処理が3又は10日間であったときは相違はなかった。処理が10連続
日次いで毎週1回なされたがインスリン炎が十分に確立された49日齢まで処理
が開始されなかった別の実験では、エーロゾルインスリンは156日での糖尿病
発症率を、58%から25%までなお有意に低下させた(p=0.001)。イ
ンスリン処理は、「インスリン炎評点」により判断すると、島病巣の重篤度の有
意の低下と関連した。これは糖尿病発症率の減少と平行した(表1)。NODマ
ウスでも起こった唾液腺のリンパ細胞による浸潤(シアリティス,sialitis)は
エーロゾルインスリンにより影響を受けなかった。
【0082】 吸収促進物質の不存在下で、ヒトの鼻咽喉粘膜からのインスリンの全身取込み
は微々たるものであった(22)。NODマウスでは、血中グルコースはエーロ
ゾルインスリンにより短期間では変わらなかった。10%エバンス・ブルー色素
で標識したインスリン溶液は鼻咽喉、気管、及び主要気管支部分並びに食道に沈
着することが観察された。可溶性タンパク質のエーロゾル送達又は鼻孔内送達の
後に一部の胃腸管への接触を避けることは、不可能ではないにしても、困難であ
るが、鼻咽喉のみへの送達で耐性を誘導するのに十分である(7、23、24)
【0083】
【表1】
【0084】 マウス(32/群)に28日齢から10連続日の間エーロゾル・インスリンか
又はエーロゾル・オブアルブミンを投与し、ついで毎週1回投与した。105日
齢の時に、各群からの5匹の非糖尿病マウスを殺して膵臓の組織検討を行なった
。インスリン炎評点は平均値±SDとして表す。1 インスリン処理マウスのインスリン炎評点は有意に低下した(p<0.01
、マン−ホイットニーUテスト)。2 インスリン処理マウスの糖尿病発症率は有意に低下した(p=0.04、フ
ィッシャーのエグザクトテスト)。
【0085】 実施例7 免疫応答
【0086】 本発明者らは、エーロゾル・インスリン処理がインスリンに対する免疫応答を
変えるか否かを研究した。プライムしていないT細胞の、インスリンを含む島抗
原に対する増殖性の応答がNODマウスで報告された(25)が、必ずしも再現
性がなかった(26)。インスリンか又はオブアルブミンで処理された56〜1
05日齢のマウス由来の脾臓細胞(0.5〜2.5×106 /ml)のヒトイン
スリン又はヒトオブアルブミン(0.2、2.0、20及び40μg/ml)に
対する異なる血清補充培地若しくは無血清培地における増殖性応答は、基礎レベ
ルの2倍未満まで変化し、通常はインスリンの最高濃度での基礎レベル未満に抑
制された。高濃度のインスリンはT細胞の応答を阻害すると報告された(27)
。対照的に、オブアルブミン処理の対照マウスでは、インスリンB鎖ぺプチドa
9〜23、即ちNODマウス島由来のT鎖クローン(19)に対する優勢エピト
ープに対する応答は有意であった(表2)が、インスリン処理マウスではそうで
なかった。さらに、オブアルブミンマウスはNODマウスで脾臓T鎖を刺激する
と先に報告された(25)ヒトグルタミン酸デカルボキシラーゼ65(GAD6
5)に対しインスリンマウスよりも有意に高い応答を示した。両処理群からのマ
ウスで、コンカナバリンA又はT細胞受容体CD3モノクローナル抗体である1
45−2C11による非抗原特異的刺激への増殖性応答は同様であり(表2)、
そして無処理マウスとの相違もなかった。このことはエーロゾル処理が一般的免
疫抑制を惹起したのではなかったことを示す。インスリンB鎖9〜23への応答
としてのIL−2、IFN−γ及びTGF−β1の分泌はインスリン処理マウス
とオブアルブミン処理マウスの間で有意差はなかった。しかしながら、IL−4
そしてとりわけIL−10のレベルはインスリン処理マウスの細胞の場合、より
高かった(表3)。
【0087】
【表2】
【0088】 群当たり3匹のマウスからの脾臓細胞を4連でHL−1無血清培地中で検定し
た。統計学的比較(マン−ホイットニーUテスト)は各群について12回の結果
の間で行なった。
【0089】
【表3】
【0090】 複製培養ウェルから得た上清(表2)を3日培養した後に試料とし、サイトカ
インについて検定した。
【0091】 インスリン抗体は、インスリン処理及びオブアルブミン処理の70〜105日
齢のマウス(n=12/群)から得た血清について標準的免疫沈降検定法により
測定した。インスリン処理マウスから得た血清中の抗体による 125I−インスリ
ン放射活性の沈降(12.7±3.6%、沈降したcpmの平均値±SD)はオ
ブアルブミン処理マウス(6.9±2.5%)よりも有意に高かった(p<0.
01、マン−ホイットニーUテスト)。エーロゾルインスリン後のT細胞増殖の
抑制及びインスリンB鎖ぺプチドへのIL−4及びIL−10の応答の増加と共
にインスリン抗体の「レベル」の増加は、ルイスラットにおける経口MBP(1
)及びNODマウスにおける鼻孔内GADぺプチド(28)の後に記述されたよ
うな、免疫偏向の現象と一致する。IDDMのDTH病巣内でのβ細胞の崩壊は
Th1により媒介されるプロセスの1例であり(10,11)、エーロゾルイン
スリンによるその阻害は、重要な島抗原に対する応答としてTh1/Th2のバ
ランスをTh2へとシフトさせると予想されるかも知れない。欠陥のあるサプレ
ッサーT細胞の機能はIDDMにおいてこのバランスをTh1へシフトすること
だと仮定された(11)。T細胞のGADに対する増殖性応答の減少はインスリ
ンエーロゾルにより誘導された調節性細胞によるTh2サイトカインであるIL
−4及びIL−10(1)の分泌の結果の「傍観者」抑制を反映するものであろ
うとは思われない。何故なら、GADを含む培養物中にインスリンを添加しなか
ったことを除いては、コンA及び抗CD−3への応答は損なわれなかったからで
ある。直接的説明は、GADへの応答の減少はインスリン炎及びβ細胞破壊に及
ぼすエーロゾルインスリンの保護効果を反映するというものである。このことは
少なくとも一部のGAD免疫が二次的であり、(プロ)インスリンに対する免疫
がβ細胞破壊においてより近接した役割を持ちうることを意味する。ヒトGAD
65に対するNODマウスのT細胞の応答はより強力であり、天然のヒトインス
リンに対する応答よりもより早いように見えると報告されてきた(25)が、N
ODマウスの抗原提示細胞におけるマウスプロインスリンIIのトランスジェニッ
ク発現はインスリン炎及び糖尿病を完全に阻止することが見出された(29)。
【0092】 実施例8 調節性CD8γδT細胞 本発明者らは、エーロゾルインスリンが病原性のエフェクターT細胞による糖
尿病の養子免疫細胞移入を阻害できるであろう調節性細胞を誘導したか否かを研
究した。古典的な養子免疫細胞移入モデル(30)(図6参照)においては、若
齢の放射線照射された非糖尿病の同系の雄又は雌のレシピエントへ静脈注射され
た糖尿病のNOD雌マウス由来の脾臓細胞は、4週間以内に大部分に臨床的糖尿
病を惹起する。老齢の糖尿病マウス由来の2×107 個の脾臓細胞をエーロゾル
オブアルブミンマウス由来の同数の脾臓細胞と共に共注射すると、若齢のレシピ
エントの大部分が4〜5週間以内に糖尿病を発症した、対照的に、エーロゾルイ
ンスリンマウス由来の脾臓細胞との共注射後には、少数しか糖尿病を発症しなか
った(図4A)。糖尿病の発症率は、エーロゾルインスリンマウス由来の脾臓細
胞か又はナイロンウール非吸着性脾臓細胞(T細胞が濃縮)のいずれかを用いた
六つの独立実験において75%以上抑制された。
【0093】 次に、脾臓細胞を、分画し、糖尿病移入の抑制の原因となる該調節性細胞を同
定した。CD4細胞及びCD8細胞の涸渇選択並びにポジティブ選択は、CD8
細胞が専ら移入の抑制の原因であることを明白に示した(図4B)。CD4細胞
の涸渇は、エーロゾルインスリンマウス由来の残りの脾臓細胞の移入抑制能力を
変えなかった(図4B)、そしてポジティブ選択されたCD4細胞は移入を抑制
しなかった(図4C)。他方で、エーロゾルインスリンマウス由来のCD8の涸
渇した脾臓細胞による抑制は存在しなかった(図4D)のに対して、ポジティブ
選択されたCD8細胞は移入を抑制した(図4E)。ポジティブ選択されたCD
8細胞による部分抑制は、これらの涸渇後の糖尿病の急速な進行と対比して、多
分CD8細胞の非効率的な回収によるものである。この実験では、7x105
の精製されたCD8細胞が糖尿病マウス由来の2x107 個の脾臓細胞とともに
各レシピエント内に共注射されたのである。
【0094】 γδ受容体をもつT細胞は免疫調節の役割を果たすことが示されてきた(31
〜36)。興味深いことに、全末梢血のγδ細胞は準臨床的IDDMのヒトにお
けるβ細胞機能の喪失と同時に減少することが報告されている(37)。観察さ
れた糖尿病移入の抑制がγδT細胞によるものであったか否かを決定するために
、本発明者らは抗γδT細胞モノクローナル抗体であるGL3−1Aを用いて脾
臓細胞を分画した(38)。CD8細胞の涸渇と同様に、γδT細胞の涸渇によ
り、インスリンエーロゾル処理されたマウスに由来するナイロンウール非吸着性
脾臓細胞は糖尿病の養子免疫細胞移入を抑制する能力を完全に失った(図5A)
。逆に、インスリンエーロゾル処理されたマウスに由来する比較的少数のγδT
細胞は移入を抑制できた。移入後の糖尿病の発症率は、1.4x105 γδT細
胞が糖尿病マウス由来の2x107 個の脾臓細胞と共に注射されると、少なくと
も70日間で50%まで低下した(図5A)。糖尿病移入を抑制した脾臓のCD
8及びγδT細胞は、同一物であり、二つの相互依存集団ではなかった。従って
、それらがまずγδT細胞を涸渇させた場合、インスリンエーロゾル処理された
マウスに由来するCD8細胞の移入を抑制する能力は喪失したが、一方、該CD
8細胞から精製された少数のγδ細胞は移入を防止した(図5B)。11の異な
る共移入実験から得られた結果の概要は図6に提示する。
【0095】 FACS分析は、GL3抗体と反応するγδ細胞が12〜16週齢の雌NOD
マウスの脾臓における全細胞の1.6〜2.4%及びCD8+ 細胞の約1%を構
成することを明らかにした。これらの値はインスリン又はオブアルブミンのエー
ロゾルで処理されたマウス群間で差異は無かった。しかしながら、それらの低い
産出量のため、抗原に特異的なCD8γδT細胞の異なる亜集団はこの方法で識
別するのは難しいであろう。分画された細胞、例えば逐次精製されたCD8γδ
細胞を用いたより高い保護(図6)は、定量的であり未分画細胞のそれと比較し
てより高い絶対数を反映している。
【0096】 実施例9 インスリンのエーロゾル化 粘膜へのインスリン送達の様式としてのエーロゾル吸入は、NODマウスの糖
尿病の発症率を減少させる際に経口インスリン(22、23)と同じく効果的で
あった。これがインスリン炎の発症後の治療であったという事実は、循環する島
の抗原に反応する抗体及びT細胞の存在が潜在的なインスリン炎を反映すると解
釈される、準臨床的疾患の危険性のあるヒトのIDDMの予防に特に重要である
。実際、最近診断されたIDDMのヒトと比較して、NODマウスはより重いイ
ンスリン炎を患い、雌の大部分が糖尿病に進行する(10、11、24)。エー
ロゾルインスリンは明白な代謝効果を有しなかったが、調節性CD8γδT細胞
の集団を誘導し、その少数は、病原性のエフェクターT細胞の糖尿病を養子免疫
細胞移入する能力を抑制した。細胞に媒介された自己免疫病状から防御するこれ
らの抗原に誘導された「サプレッサー」T細胞はこれまでに記載されたことはな
かった。
【0097】 経口耐性は、細胞性の抗原特異的免疫の低減並びに時折体液性の抗原特異的免
疫の増大と関連させられ、TGF−β又はIL−4、IL−10及びTGF−β
1をそれぞれ分泌するCD8T細胞又はCD4T細胞のいずれかと関連させられ
てきた(8)。しかしながら、これらの調節性細胞はγδ受容体を担うものとし
て同定されてこなかった。NODマウスでは、インスリンに対する経口耐性は調
節性CD4T細胞に帰せられた(21)。本発明によれば、CD8γδT細胞が
エーロゾルインスリンにより誘導される該調節性細胞である。
【0098】 実施例10 鼻腔内のインスリン(図1)、プロインスリン(図2) 又はプロインスリンペプチド24〜36(図3) インスリン担体溶液又はマウス等張リン酸塩緩衝化食塩水のいずれかに溶解し
た4mg/mlの市販のインスリン、又は同液に溶解した1〜4mg/mlのプ
ロインスリン若しくはプロインスリンペプチド24〜36を、28日齢又は56
日齢のいずれかの麻酔をかけずに拘束したNOD雌マウスの鼻孔に10〜20μ
lの容量で適用した。56日齢までに全マウスは潜在的な島の炎症(インスリン
炎)を呈することに留意せよ。
【0099】 28日齢又は56日齢のいずれかでのインスリン、プロインスリン又はプロイン
スリンペプチド24〜36の1回投与はそれぞれ、対照タンパク質のオブアルブ
ミン又は鶏卵リゾチームと比較して、NOD雌マウスにおける糖尿病の発症を有
意に遅延させた。比較用量のベースで、プロインスリン及びプロインスリンペプ
チド24〜36はインスリンより効果があった。これらの効果は該タンパク質又
はペプチドの反復用量を用いるとより大きくなる。プロインスリン24〜36の
1回鼻孔内投与(40μg)で前処理された雌のマウスにおいて、全脾臓細胞、
及びCD8T細胞を涸渇させたがCD4T細胞は涸渇していない全脾臓細胞は、
糖尿病マウス由来の脾臓細胞による糖尿病の養子免疫細胞移入を有意に抑制した
(図7)。雌のマウスを28日齢で処理した後、屠殺し、それらの脾臓細胞を5
6日齢で養子免疫細胞共移入のために採取した。
【0100】 実施例11 危険性のある個体における鼻孔内インスリンの臨床試行 この鼻孔内インスリン試行(INIT)は、島の自己抗原と反応する循環する
抗体及びT細胞を含むIDDMの免疫マーカーと共に、危険性があるが他方で健
康な一親等の親類への鼻孔内インスリンの投与を含む。本発明者らの主体は、イ
ンスリン、GAD又はチロシンホスファターゼIA−2に対する少なくとも二つ
の抗体を有し、末梢血のT細胞はインスリン、プロインスリンペプチド24〜3
6に応答し、時々GAD及びIA−2ペプチドに応答する。この実験の理由は、
インスリンに対する粘膜媒介性免疫耐性を誘導することであり、NODマウスの
本アプローチの成功に基づいて、安全性を証明することである。市販のヒトの組
換えインスリンを使用する。これは通常IDDMの人達への皮下注射又は静脈注
射により日常的に投与される。この試行に参加した4〜30歳(平均11.4歳
)の38人の危険性の高い主体において、有意な副作用は観察されなかった。粘
膜刺激の可能性は存在するが、これはごく稀であり、その上大したことでなく一
過性であった。エーロゾル又は鼻孔内のインスリンで処理されたNODマウスは
臨床的合併症又は生検でも異常を示さなかった。
【0101】 このINIT試行はIDDMの代用免疫マーカーへの鼻孔内インスリンの影響
を調べる。この計画は、無作為化された、二重盲検及びプラシーボ対照であり、
6カ月で交差させた。プラシーボはインスリン用に通常使用される担体溶液であ
る。本目的はインスリン及び他のベータ細胞の抗原に対する抗体及びT細胞のレ
ベルに及ぼす有意な効果を証明することである。更に、グルコースの静脈注射へ
の応答としての第一段階のインスリン放出(FPIR)、即ちベータ細胞の機能
の測定は、開始時、6ヶ月及び12ヶ月に監視される。該交差の設計は、治療の
機会を全主体に与え(危険性のある親類にとって重要な問題)、何らかの治療効
果があれば測定は維持され、群内及び群間の分析を可能にする。治療は最初に1
0日連続で毎日、次いで一週間に二日連続で投与される。6ヶ月後、治療は交差
される(インスリンからプラシーボへ、又は逆に)。
【0102】 鼻孔を通じたインスリンの投与用量は市販の4mg/ml溶液を約200μL
(800μg)である。該プラシーボはインスリンが通常溶かされる担体溶液で
ある。
【0103】結果 鼻孔内インスリンは、インスリン抗体全長の有意な増加(p=0.01)、並
びに変性したヒトのインスリンに対する末梢血の単核(T細胞)増殖の相伴う減
少と関連しており、インスリン抗体のレベル及び変性したインスリンに対するT
細胞の増殖性応答は第一期(p=0.05)及び第二期(p=0.01)で反比
例の関係にあった。これらの結果はNODマウスで見られたものと一致している
。FPIRが初期に第一のパーセンタイルより上で測定可能であったどの主体に
もFPIRに変化は無かった。免疫パラメータの変化はFPIRの変化と関連し
ておらず、例えば、インスリンについてのインスリン抗体の増加は、第一のパー
センタイルよりFPIRが大きな主体でのベータ細胞機能の低下と関連していな
かった。鼻孔内インスリンの副作用は明白でなかった。この結果は、長期FPI
R及び糖尿病の発症率に対する鼻孔内インスリンの効果を決定するために更なる
試行を勇気づける。
【0104】 実施例12 機能性MHCクラスIに相互作用するエピトープを除去するための プロインスリンペプチド24〜36の改変 プロインスリンペプチド24〜36の投与後、糖尿病の養子免疫細胞移入をほ
とんど完全に阻止したCD4調節性T細胞が誘導されたが(単離され、エフェク
ター「糖尿病誘発性」T細胞を用いて若齢の放射線照射されたNODマウス中に
トランスフェクトされた場合)、自然発生糖尿病の発症は遅延されたが防止され
ることはなかった。本発明者らは、該プロインスリンペプチドがMHCクラスI
(H2−Kd )に限定されたCTL、即ちアミノ酸26〜34及びアミノ酸25
〜34の推定エピトープを有することを観察した。従って、プロインスリンペプ
チド24〜36の投与により、CTL免疫及びCTL耐性の同時誘導が結果とし
て生ずるであろう。まず、この投与は、26〜34及び特に25〜34がKd
結合でき(図8)そしてNODマウスにCTLを誘発できることを示した(図9
にアミノ酸26〜34を示す)。次に、これらは、該プロインスリンアミノ酸2
4〜36ペプチドの一連のC末端の先端切断の効果を証明した(図10)。位置
9のアンカー残基(アミノ酸34)の欠失によるMHCクラスI結合ペプチドの
不活性化は、中核のMHCクラスII(I−Ag7)結合配列が鼻腔内投与後に
糖尿病を防止する能力を有意に増強した。位置(p)9のC末端アミノ酸は、M
HCクラスI分子への結合に必要とされる重要な「アンカー」残基である。
【0105】 実施例13 CD40L−CD40シグナル発信を標的化することによる 経口耐性からの細胞障害性Tリンパ球(CTL)免疫の切り離し 材料及び方法 マウス マウスはザ・ウォルター・アンド・イライザ・ホール・インスティチュート・
オブ・メディカル・リサーチで飼育し維持した。経口耐性及びCTL活性は、6
から8週齢の雌のC57B1/6マウスで決定した。MHCクラスIに限定され
たOVA257-264 ペプチドに対するトランスジェニックCD8T細胞受容体(T
CR)を保持するトランスジェニックOT−1/ラッグ(Rag)- / - マウス
及びMHCクラスIIに限定されたOVA323-339 ペプチドに対するトランスジェ
ニックCD4TCRを保持するOT−IIマウスは、Ly5.1/CD45.2同
系C57B1/6マウス(OT−I細胞)内及びRIP−OVAトランスジェニ
ックマウス(OT−I細胞及びOTII細胞)中への養子免疫細胞移入用にOVA
に反応するT細胞のドナーとして6から12週間の間使用した。
【0106】耐性の誘導 経口耐性は、報告された高用量及び低用量のOVAに対応する二つのプロトコ
ルを用いて誘導された。
【0107】 OVA(V等級、シグマ社、セントルイス、ミズーリ州)は、弱いメトキシフ
ルラン(Penthrane (商標))麻酔の下で胃内挿管を介して20mgを1日おき
に3日間(高用量)又は0.5mgを1日おきに5日間(低用量)のいずれかで
雌のC57B1/6マウスに投与した。リムルス・ライゼート検定(バイオ・ホ
イタッカー、ウォーカースヴィル、メリーランド州)で測定されたOVA溶液(
10mg/ml)の内毒素濃度は0.5ng/ml以下であった。CD40Lの
シグナル発信はハムスターIgG1抗マウスCD40LmAbMR−1(ATC
C、ロックビル、メリーランド州)の投与により阻止され、その対照はヒトBc
l−2に特異的なハムスターmAb6C8であった。両mAbを、Gタンパク質
−セファロース(ファルマシア社、ウップサラ、スウェーデン)上でアフィニテ
ィークロマトグラフィーによりハイブリドーマ細胞培養液から精製し、記載した
ように250μgの用量で腹腔内投与(i.p.)した。
【0108】細胞障害性Tリンパ球(CTL)検定 CTLは下記のように検定した。
【0109】 マウスは、20x106 個のOVA被覆H−2Kbm-1脾臓細胞(CD4T細胞
の援助に依存している)を用いて静脈注射でプライムされ、又は200μgのO
VAペプチド257〜264のCFA100μl(CD4T細胞の援助に依存し
ない)を用いて尾の基部に皮下注射(s.c.)でプライムされた。実験に応じ
て、マウスはmAb及び経口OVAを受容した2週間後又は3週間後にプライム
された。マウスはプライミングの7日後に屠殺され、その脾臓細胞は51Cr放出
検定でエフェクターとして使用する前に更に6日間インビトロで刺激された。溶
血ユニットは、各脾臓から生成したエフェクターの総数を30%のOVAに特異
的な溶解に必要なエフェクターの総数で割ることにより算出した。
【0110】CTL前駆体の経口OVA±抗CD40L処理の効果 経口OVAに対するOVAに特異的なCTL前駆体の応答並びにCD40L阻
害の効果を決定するために、3×106 個のOT−I細胞をLy5.1同系雌マ
ウス内に移入した後、該マウスに0日目及び3日目にMR−1又は対照の6C8
mAbのいずれかを与えた。経口OVA20mgは1〜3日目に毎日与えた。マ
ウスは14日目に屠殺され、脾臓OT−I細胞の数並びにそれらのCD44及び
CD62L(L−セレクチン活性マーカー)の発現を Lysys2(商標)ソフトウ
ェア(ベクトン・ディッキンソン、サンノゼ、カリフォルニア州)を用いてFA
CScanにより分析した。細胞は、FITC結合抗CD44及び抗L−セレク
チンmAb(ファーミンゲン社、サンノゼ、カリフォルニア州)とともにビオチ
ン化抗Ly5.2mAb(ファーミンゲン社)及びPE結合抗CD8mAb(シ
グマ社)とインキュベートした後、ストレプトアビジン結合PerCp(ファー
ミンゲン社)と第二段階のインキュベーションを行いLy5.2を検出した。
【0111】RIP−OVAloマウスの糖尿病誘導に及ぼす経口OVA±抗CD40L処理の 効果 CTLの経口OVAのインビボ活性化へのCD40L阻害の効果が経口OVA
であることを調べるために、膵臓のβ細胞上でOVAを発現するRIP−OVA
マウスに、0.3x106個のOT−1細胞及び0.2x106 個のOT−1細
胞を養子免疫細胞移入し、移入日(0日目)にMR−1及び対照の6C8mAb
を与えた。次に、マウスに一日目から始めて0.5mgを1日おきに5日間の経
口OVAで処理した。血中グルコースは、14日目及び21日目に後眼窩の静脈
血滴についてグルコメーターを用いて測定し、14mmol/lを上回る値は糖
尿病の徴候とみなした。
【0112】経口耐性の評価 全身プライミングに対するCTL耐性を評価するため、経口OVAの最終投与
の14日後又は21日後に、マウスに20x106 個のOVA被覆H−2Kbm-1 脾臓細胞を用いて静脈注射し又はCFA中0.1mgのOVAタンパク質を用い
て皮下注射した。続いて、これらの脾臓CTL活性を上記のように測定した。粘
膜耐性の通常のインデックスを評価するため、経口OVAの最終投与の7日後に
、マウスにCFA中のOVA(0.1mg)を尾の基部に皮下注射により免疫化
した。10日後、マウスに麻酔をかけ、後眼窩の静脈叢からガラスの毛細管を用
いて給餌し、CO2 窒息により屠殺し、これらの脾臓及び鼠蹊リンパ節を摘出し
た。血清を回収しOVA抗体の検定用に−20℃で保存した。細胞懸濁液を、ス
テンレス鋼網を用いて機械的破壊により脾臓及び節から調製し、洗浄し、計数し
、そしてOVAに対する増殖応答及びサイトカイン応答の検定用に2mMのグル
タミン、5x10-5の2−メルカプトエタノール及び5%v/vの胎児牛血清を含
有するRPMI−1640培地に再懸濁した。
【0113】 OVAに対するIgGサブクラス抗体は、前述したようにペルオキシダーゼ結
合抗マウスIgG1、IgG2a、IgG2b又はIgG3抗体(サザン・バイ
オテクノロジー・アソシエイツ)を用いてELISAにより測定した。
【0114】 200μLの培地中での脾臓細胞(1x106 )又は鼠蹊リンパ節細胞(5x
105 )のOVAに対する増殖応答は、5%CO2 /大気中37℃で96時間0
.1mg/mlのOVAの存在下又は非存在下でインキュベーションした後、9
6穴リンブロプレート(フローラブズ社、マックリーン、バージニア州)の丸底
ウェルで8回反復して測定した。 3H−チミジン(1μCi)を細胞回収前10
〜16時間に各ウェルに添加し、該細胞を回収し、洗浄し、トップカウントシン
チレーションカウンターで計数した。OVAに対する脾臓細胞又は鼠蹊リンパ節
細胞のIFN−γ及びIL−4の応答はELISPOT検定により測定した。細
胞(5x105 /200μl)は、5μg/mlPBSのモノクローナルラット
抗マウスIFNγ(クローンR4−6A2)又はIL−4(クローン11B11
)抗体で一晩予め被覆したマルチスクリーン・インモビロン−P膜96穴プレー
ト(MAIPS4510;ミリポア社、ノースライド、オーストラリア)の穴に
添加した。細胞は、5%CO2/大気中37℃で24時間0.1mgのOVAの
存在下又は非存在下でインキュベーションした後、洗浄して得た。膜に結合した
サイトカインは、4μg/mlのビオチン複合モノクローナルラット抗マウスI
FN−γ(クローンXMG1.2)又はIL−4(クローンBVD6−24G2
)と4℃で一晩反応させた。洗浄後、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ、
次いで3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC;ダコ社、カルピンテリア
、カリフォルニア州)を用いて発色させた。全てのモノクローナル抗体はファー
ミンゲン社、サンディエゴ、カリフォルニア州から購入した。
【0115】統計 治療群間の差異はフィッシャーの正確検定又はマン−ホイットニー試験により
分析した。
【0116】結果 CD40Lの阻害は経口OVAによるCTL誘導を損なう CD4T細胞の援助に依存する経路(図12A)によるCTLプライミングを
阻害するMR−1mAbの用量(250μg、腹腔内注射)を決定した後、同様
の用量の対照のmAb6C8又はMR−1mAbのいずれかをC57B1/6マ
ウスに与えた後、1日おきに3日間該マウスに20mgのOVAを給餌した。経
口OVAは、6C8で処理したマウスでは75%(9/12)にCTL応答を誘
導したが、MR−1で処理したマウスでは25%(3/12)しか誘導しなかっ
た(図12B)。
【0117】経口OVAによるCTLの活性化及び増加はCD40Lを必要とする 経口OVAによるCTL誘導がCTL前駆体の活性化及び増加と関連したこと
を証明するため、養子免疫細胞移入されたOVAに特異的なトランスジェニック
CTL(OT−I細胞)を実験未使用のLy5.1同系レシピエント内に移入し
、OVAを給餌した。経口OVAに対するOT−I細胞の応答におけるCD40
Lの役割は、対照のmAb6C8又は抗CD40LmAbMR1のいずれかでレ
シピエントマウスを前処理することにより調べた。最終結果を分析する前に活性
化、増殖、再循環そしておそらくは細胞死を生じさせるために、本発明者らは経
口OVAの最終投与の14日後に該脾臓から得たOT−I細胞を調べた。この部
位及び時間は、例えばOVAに誘導されたCTLを測定するために用いた他のプ
ロトコルに相当するものであった。経口OVA及び6C8に応答して、脾臓のO
T−I細胞が非常に増加し(図13B)CD44の発現を増大させ(図13A、
13C)並びにCD62Lの発現を減少させた(図13A、13D)。このこと
は多数が活性化/記憶表現型を獲得したことを示している。しかしながら、MR
1の存在下で、OT−I細胞の増加(図13B)及び活性化(図13A、13C
、13D)を誘導する経口OVAの能力は著しく損なわれた。
【0118】抗CD40L処理はRIP−OVAloマウスにおける経口OVAによる糖尿病の 誘導を防止する 予備実験で、本発明者らは、0.3x106 個のOT−II細胞及び0.2x
106 個のOT−I細胞の最少量の移入がOVA被覆脾臓細胞でレシピエントの
RIP−OVAloマウスを全身プライミングした後の糖尿病の発症に必要である
ことを見出した。従って、これらの数のOT−II細胞及びOT−I細胞をRI
P−OVAloマウスに移入し、その翌日に該マウスに対照のmAb6C8又は抗
CD40LmAbMR1を与え、次いで1日おきに5日間0.5mgのOVAを
給餌した。経口OVAの後、6C8を与えられたマウスの60%(9/15)が
糖尿病を発症したのに対し、MR1を与えられたマウスではわずか14%(2/
14)しか発症しなかった(p=0.02)(図14)。
【0119】抗CD40L処理は経口耐性の誘導を防止しない CD40L遺伝子を標的とするマウスの実験は、CD40Lシグナル発信が経
口耐性の誘導に必要であることを示した(39)。しかしながら、この突然変異
はパイアー斑(39)の発症及び胚中心(40)の発達に影響する。従って、抗
CD40LmAbで短期処理され且つ遺伝子操作されていないマウスにおいて経
口耐性が誘導できるか否かを決定することが重要であった。以前、CTL免疫を
誘導しながら、経口OVAが全身OVAによる強力なCTL免疫の更なるプライ
ミングを逆に抑制することが示された(41)。抗CD40L処理がCTLへの
経口OVAのこの耐性原効果に影響するか否かを決定するために、C57B1/
6マウスに250μgの対照mAb6C8又は抗CD40LmAbMR1を腹腔
内投与し、次いでPBS又はPBS中のOVAを給餌した。14日後又は21日
後、これらを、CD4T細胞に依存する様式で、OVA被覆脾臓細胞を静脈注射
で(図15A)又は完全フロイントアジュバント(CFA)中100μgのOV
Aを皮下注射で(図15B)プライムした。後者の方法はCD4T細胞の援助と
関わりなく直接的にCTLをプライムする。これらの実験は、MR1による抗C
D40L処理がいずれかの方法によるCTLの全身プライミングへの経口OVA
の該耐性原効果を改変しないことを証明した。これは、マウスが高用量(20m
gを1日おきに3日間)又は低用量(0.5mgを1日おきに5日間)の経口O
VAの14日後又は21日後にチャレンジされたかどうかを問わず、全実験で一
致した(図15C、15D)。
【0120】 次に、抗CD40L処理が経口耐性の通常パラメータに影響するか否かを決定
するための実験を行った。経口OVA(20mgを1日おきに3日間)の最初の
投与前におけるMR1の1回注射は、全身OVAでプライムしたT細胞増殖又は
IFN−γ生産(図16A及び図16Bに脾臓細胞をそれぞれ示す)又は血清抗
OVA抗体(図16C)の抑制を限定しなかった。増殖の平均刺激インデックス
は、6C8投与後3.50(経口PBS)から1.96(経口OVA)に低減し
(p<0.05)、MR1投与後3.21から2.04に低減した(p<0.0
5)(図16A)。経口OVA後のプライムされたIFN−γELISPOT応
答の抑制は、より劇的で抗CD40L処理により影響されなかった(図16B)
。いずれの条件下でもIL−4ELISPOTS(4/穴以下)はほとんど検出
されなかった。
【0121】 抗原の粘膜投与は、自己抗原の場合、該抗原に対する次の免疫応答に耐性とな
ることができ、自己免疫抗原の場合には、自己免疫疾患の発症を抑制できる。し
かしながら、該モデルタンパク質抗原のオブアルブミン(OVA)の粘膜投与も
細胞障害性T細胞(CTL)免疫を誘導し、これは疾患を惹起しうる。本発明者
らは、経口OVAに誘導された耐性とCTL免疫が、CD40LとCD40の間
の相互作用を標的化することにより切り離すことができることを示す。CD40
Lのモノクローナル抗体阻害はCTLの同時誘導を妨げることにより耐性を強化
した。これは、経口OVAへの応答としての養子免疫細胞移入されたOVAに特
異的なCTL(OT−1−CD8細胞)の活性化及び増大の阻害により反映され
た。更に、膵臓β細胞上でOVAをトランスジェニック発現するマウスにおいて
、CD40Lの阻害は、OVAの経口投与に続くCTL(OT−1細胞)媒介性
自己免疫糖尿病の発症を有意に阻害した。これらの結果は、CTLに対する粘膜
耐性がCTLプライミングのためのCD40Lシグナル発信の要件とは無関係に
誘導されることを示している。従って、CD40Lシグナル発信の阻害はCTL
媒介性自己免疫疾患を予防するための粘膜抗原の有効性(及び安全性)を改良で
きるであろう。これを証明するために、8週齢の雌NODマウスに、1日目、3
日目、10日目、24日目及び38日目にエーロゾルインスリン(4mg/ml
、10分間)又は希釈対照の投与直前に抗CD40Lモノクローナル抗体である
MR−1又は対照抗体の6C8を用いて処理された(300μg、腹腔内注射)
。エーロゾルインスリンによる抗CD40L抗体の処理は、希釈剤又は対照抗体
並びにエーロゾルインスリン又は希釈剤のいずれかによる抗CD40L抗体処理
と比較して糖尿病の発症率を著しく低減した(図17)。
【0122】 実施例14 鼻腔内プロインスリンDNAは糖尿病を予防するCD4T細胞を誘導する 材料及び方法 DNA マウスのプロインスリンIIcDNA又はオブアルブミンゲノムDNAを、CM
V初期プロモーターの制御下で哺乳動物発現ベクターのpCIに由来するプラス
ミドベクター内にサブクローニングした。該ベクターを改変し、CIGHと名付
ける。プラスミドを、大腸菌から調製し、PEG沈降及びトリトンX114相分
配により精製し、1mlのPBSに2mgのDNAを希釈し、−20℃で凍結し
た。
【0123】マウス及び処理 マウスはザ・ウォルター・アンド・イライザ・ホール・インスティチュート・
オブ・メディカル・リサーチで飼育し維持した。3週齢及び5週齢で、50μg
のDNAを含む25μlのPBSを麻酔をかけていない雌マウスに5μlずつ繰
り返し鼻腔内投与した。他の実験においては、マウスを開始時3週齢で4週間連
続して25μgのDNAを鼻腔内投与した。
【0124】糖尿病の決定 血中グルコースは、後眼窩の静脈叢から微細なガラスの毛細管を介して得られ
た血液滴についてアドバンテージモニター(ベーリンガーマンハイム社)を用い
て測定した。これらの血中グルコースが連続した日で11mMを上回る場合、マ
ウスは糖尿病とみなされた。養子免疫細胞移入研究で用いた糖尿病のドナーマウ
スは1週間未満で高い血中グルコースを示した。
【0125】結果 初期の実験では、10週齢の鼻腔内DNA処理されたマウスから得られた脾臓
細胞を、ナイロンウールを経る経路によりT細胞(以下の本明細書で脾臓T細胞
と呼ぶ)について濃縮し、次いで、糖尿病になったばかりのNODマウスからの
脾臓細胞と共に放射線照射した6週齢の雄NODマウスに静脈注射で共移入する
か又はシクロホスファミド処理したNOD雌内に静脈注射で移入した。シクロホ
スファミド処理はNODマウスにおける糖尿病の発症を早めた。両実験モデルに
おいて、プロインスリンDNA処理されたドナーからの細胞を受容したレシピエ
ントマウスに糖尿病発症率の有意な低下が観察された。5x106 個の脾臓T細
胞が2x107 個の「糖尿病」脾臓細胞とともに共移入された3つの実験におい
て、移入4週間後のレシピエントにおける糖尿病の合計発症率は、オブアルブミ
ンDNA処理されたドナーからの細胞のレシピエントの64%と比較してプロイ
ンスリンDNA処理されたドナーからの細胞のレシピエントでは14%であった
(p=0.003)(表4)。平行して、5x106 個の脾臓T細胞を、300
mg/kgのシクロホスファミドを腹腔内注射で受容した2日後の8〜10週齢
の雌NODマウス内に移入した。シクロホスファミドの17日後に観察された糖
尿病の最大発症率は、プロインスリンDNA処理されたドナーからの細胞のレシ
ピエントの12.5%と比較してオブアルブミンDNA処理されたドナーからの
細胞のレシピエントでは56%であった(p=0.02)(表5)。プロインス
リンDNAの筋内注射を二回受けたマウスから得た5x106 個の脾臓T細胞を
シクロホスファミド処理されたレシピエント内に注射した場合、防御は観察され
なかった(表5)。
【0126】 鼻腔内プロインスリンIIDNAを投与されたNODマウスの脾臓CD4T細胞は
糖尿病の養子免疫細胞移入を抑制する
【0127】
【表4】
【0128】 *p=0.003、**p=0.02は、オブアルブミンDNA対照と比較して
のもの、フィッシャーの正確検定
【0129】 鼻腔内プロインスリンIIDNAを投与されたNODマウスの脾臓CD4T細胞は
シクロホスファミド誘導性糖尿病を抑制する
【0130】
【表5】
【0131】 *p=0.002、**p=0.04は、オブアルブミンDNA対照と比較して
のもの、フィッシャーの正確検定
【0132】 本発明者らは、次に、分画した脾臓T細胞集団を移入することにより防御の原
因となるT細胞の表現型を同定することに努めた。脾臓T細胞を、磁気MACS
マイクロビーズと結合させた抗マウスCD4モノクローナル抗体又は抗マウスC
D8モノクローナル抗体のいずれかとインキュベートし、ポジティブ選択カラム
(ミルテニー社)上で精製した。FACS分析によるCD4T細胞及びCD8T
細胞の純度はそれぞれ>95%及び>85%であった。次に、4x106 個のC
D4T細胞又は1x106 個のCD8T細胞のいずれかを2x107 個の糖尿病
脾臓細胞と共に6週齢の放射線照射された雄内に共移入された。移入4週間後の
糖尿病の発症率は、オブアルブミンDNA処理された対照からのCD4T細胞の
レシピエントの71%と比較してプロインスリンDNA処理されたドナーからの
CD4T細胞のレシピエントでは36%であった(p=0.02)(表4)。対
照的に、プロインスリンDNA又はオブアルブミンDNAのいずれかで処理され
たマウスからのCD8細胞を共移入されたレシピエントでは糖尿病の発症率(9
4%対83%)に差異はなかった(表4)。4x106 個のCD4T細胞又は2
.5x106 個のCD4涸渇(CD8T細胞が濃縮された)脾臓T細胞を、シク
ロホスファミド処理された10週齢の雌マウス内に注射した場合に同様の結果が
得られた。従って、プロインスリンDNA処理されたドナーからのCD4T細胞
を受容したマウスの糖尿病発症率(17%)は、オブアルブミンDNA処理され
たドナーからCD4T細胞を受容したマウス(56%)と比較して有意に低下し
(p=0.04)、一方、プロインスリンDNA又はオブアルブミンDNAで処
理されたドナーからのCD4涸渇脾臓T細胞を受容したマウスでは糖尿病発症率
の差異はなかった(表5及び表6)。
【0133】
【表6】
【0134】 *p=0.007、**p=0.4は、オブアルブミンDNA対照と比較しての
もの、フィッシャーの正確検定
【0135】 ヒト及びNODマウスの両方で、高血糖症の発症は「インスリン炎」の後に起
き、「インスリン炎」は、該島の血管の極又は境界でのリンパ球の島周囲の蓄積
からβ細胞破壊に関連した該島内への重度の浸潤まで及ぶ。次に、本発明者らは
、NODマウスの島を調べ、インスリン炎の程度が70日齢及び100日齢の両
方でオブアルブミンDNA処理されたマウスと比べてプロインスリンDNA処理
されたマウスで有意に低いことを見出した(0.89±0.08対1.6±0.
12、p<0.01、マンーホイットニー試験)。
【0136】 当業者は本明細書に記載された本発明が具体的に記載されたもの以外の変形及
び修飾を受け入れる余地があることを理解するであろう。本発明はこのようなあ
らゆる変形及び修飾を包含することが理解されるべきである。本発明は、この明
細書中で言及し又は示した段階、特徴、組成物及び化合物の全てを個別に又は集
合的に包含し、並びに任意の二つ以上の該段階若しくは特徴の任意の組合わせ又
は全ての組合わせも包含する。
【0137】 引用文献 1.ヴァイナー,エイチ.エル.ら、Annu. Rev. Immunol. 12: 809-837, 1994
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【0138】 6.ハリソン, エル. シー.、Mol. Med. 1: 722-727,1995。 7.ホルトら、Immunol. Today 8: 14-15, 1987 。 8.ウェル,H.G.、J. Infect. Dis. 9: 147-151, 1911。 9.チェンら、Science 265: 1237-1239, 1994。 10.ハニーマンら、Springer Semin. Immunopathol. 14: 253-274, 1993 。
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【0141】 21.ベルゲロットら、J. Autoimmunity 7: 655-663, 1994。 22.モーゼスら、Diabetes 32: 1040-1047, 1983。 23.メッツラーら、Inter. Immunol. 5: 1159-1165, 1993。 24.ヴァルドら、Clin. Immunol. Immunopathol. 3: 30-34, 1994 。 25.カウフマン,ディー.エル.、Nature 366: 69-72, 1993 。
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【0145】 41.ブラナスら、Science 274: 1707-1709, 1996。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、日齢56日におけるヒトインスリン(80μg)の経鼻投与が雌NO
Dマウスにおける糖尿病発症開始を遅延させることを示すグラフ表示である。
【図2】 図2は、日齢56日におけるヒトプロインスリン(40μg)の経鼻投与が糖
尿病開始を遅延させることを示すグラフ表示である。
【図3】 図3は、ヒトプロインスリンアミノ酸24〜36の経鼻投与(日齢56日に4
0μg)が糖尿病開始を遅延させることを示すグラフ表示である。
【図4】 図4は、エーロゾルインスリンが糖尿病の移入を抑制するCD8T細胞を誘導
することを示すグラフ表示である。週齢6〜9週のNOD雄マウス(n=16/
群)に、エーロゾルインスリン処理又はオバルブミン処理したNOD雌マウス由
来の分画していない(A)又は分画した(B〜E)脾臓細胞と共に、最近糖尿病
にかかった14〜19週齢の雌マウス由来のプールした脾臓細胞を注射し、それ
らの糖尿病発症率をその後追跡監視した。示した実験では、エーロゾル供与マウ
スは10連続日の間次いで49日齢からは毎週1回処理されたが、156日齢で
犠牲にしたときは正常血糖値であった。
【図5】 図5は、エーロゾルインスリンが糖尿病移入を抑制するCD8γδT細胞を誘
導することを示すグラフ表示である。若い雄NODマウスに「糖尿病」脾臓細胞
(2×107 )と図4の説明のようにエーロゾル処理されたマウス由来の総又は
分画した脾臓T細胞とを同時注射した。注射した分画細胞の数は、A)で、エー
ロゾルインスリンマウス由来であり、約107 総T細胞であり、約107 のγδ
欠失T細胞又は1.4×105 γδT細胞であり、B)では、エーロゾルインス
リンマウス由来であり、約107 総T細胞、2×106 CD8T細胞、2×10 6 γδ欠失CD8T細胞又は1.5×105 CD8γδ陽性T細胞であった。
【図6】 図6は、糖尿病の養子免疫細胞移入はエーロゾルインスリンにより誘導された
CD8γδT細胞により抑制されることを示す図式的表示である。11の実験の
要約である。
【図7】 図7は、ヒトプロインスリンアミノ酸24〜36(日齢56日に40μg)の
経鼻投与がNODマウスにおいて糖尿病の養子免疫細胞移入を抑制するCD4T
細胞を誘導することを示すグラフ表示である。
【図8】 図8は、マウスのプロインスリンアミノ酸26〜34及びある程度までマウス
プロインスリンアミノ酸25〜34がMHCクラスI分子Kd に結合することを
示すグラフ表示である。この検定では、RMA−S細胞の表面でのKd の発現が
フローサイトメーター中での蛍光により検出されるモノクローナル抗Kd 抗体の
結合によって監視される。該細胞へのKd 結合ぺプチドの付加はKd を安定化し
、シグナル応答における右側シフトにより示されるように細胞表面でのその発現
を増加させる。イソ型対照=対照のモノクローナル抗体、ぺプチドなし=構成的
d 発現、HAP及びLLO=Kd に結合することが知られており、陽性対照と
して用いられたフル・ヘマグルチニン及びリステリア由来のぺプチド。
【図9】 図9は、マウスプロインスリンアミノ酸25〜34がNODマウスにおいてK d に限定された細胞障害性Tリンパ球(CTL)を誘導することを示すグラフ表
示である。6週齢の雌マウスを、完全フロイントアジュバント中のぺプチド50
μgで皮下に免疫化した。14日後にその脾臓を摘出し、脾臓細胞をイン・ビト
ロで10μg/mlのぺプチドで6日間、再刺激した。脾臓細胞を次に51Cr及
びぺプチド負荷RMA−S標的細胞に対するCTL活性についてテストした。
【図10】 図10A及び図10Bは、C−末端切断が経鼻投与のプロインスリンB−Cぺ
プチドの糖尿病抑制効果を増強することを示す図式的表示である。
【図11】 図11は、CD8T細胞を活性化してCTLとするCD40L−CD40相互
作用の役割を含む、I型糖尿病におけるβ細胞破壊の仮定された機構を示す図式
的表示である。
【図12】 図12は、CTLの全身プライミング(A)及び経口プライミング(B)がC
D40Lのシグナル発信を要求することを示すグラフ表示である。(A)対照m
Abである6C8(白抜き四角)又は抗CD40LmAbであるMR1(白丸)
の250μgを、CTLをプライムするためにOVA被覆H−2Kbm-1脾臓細胞
の20×106 個を静脈注射でチャレンジする1日前にC57B1/6マウスに
1回腹腔内注射した。14日後にマウスを殺し、その脾臓細胞をCTL活性につ
いてテストし、代表的個々のマウスについてOVA特異的溶解として表した。(
B)6C8又はMR1の同じ用量をマウスに給餌し、次いで1日おきに3日間2
0mgのOVAを給餌した。14日後にさらにプライミングすることなく、マウ
スを殺し、その脾臓細胞をCTL活性についてテストし、今度は個々のマウスの
脾臓当たりの溶解ユニットとして表した(n=12/群)。
【図13】 図13は、経口OVAによるOVA特異的CTLの活性化及び拡大がCD40
Lを要求することを示すグラフ表示である。Ly5.1に対して類遺伝子的なレ
シピエントマウスC57B1/6を、3×106 トランスジェニックOT−I細
胞(Ly5.2)で養子免疫細胞移入し、次いで対照mAbである6C8又は抗
CD40LmAbであるMR1の250μgを腹腔内投与した。各処理群からの
マウスを次に二つの群に分け、PBSか又はPBS中の20mgOVAのいずれ
かを1日おきに3日間に給餌した。mAb処理は第3回目の給餌の前に繰り返し
た。給餌開始から14日目にマウスを殺し、それらの脾臓中のOT−I細胞の数
及び表現型をフローサイトメトリーにより分析した。(A)個々のマウスのドッ
ト−プロットは、OT−I細胞上でのCD44発現(左)及びCD62L(L−
セレクチン)発現(右)を示す。高レベルのCD44又は低レベルのCD62L
を発現する細胞の百分率は対応する四半分に示してある。6C8又はMR1で処
理され次いでPBS又はOVAを給餌された個々のレシピエントマウスにおける
脾臓当たりのOT−I細胞の数(B)、CD44の発現(C)及びCD62Llo (D)OT−I細胞の%は1回の実験について示されるが、類似の結果が3回の
実験で得られた。
【図14】 図14は、抗CD40L処理がRIP−OVAloマウスの経口OVAによる糖
尿病の誘導を防止することを示すグラフ表示である。OT−I細胞及びOT−II
細胞を保持するRIP−OVAloマウスに、対照mAbである6C8又は抗CD
40LmAbであるMR1を250μg腹腔内注射した。低用量経口耐性計画を
模倣するため、次に1日おきに5日間0.5mgのOVAをマウスに給餌した。
給餌の開始後12日目に血中グルコースを測定し、13ミリモル/lを越える価
を糖尿病の診断と考えた。データは2回の実験からプールする。
【図15】 図1は、抗CD40L処理がCTLの全身プライミングに対する経口耐性を制
限しないことを示すグラフ表示である。OVA被覆脾臓細胞での静脈内プライミ
ング(A)又はCFAにおけるOVAでの皮下プライミング(B)への応答とし
てのCTL活性は、対照mAbである6C8及び抗CD40LmAbであるMR
1で処理されたマウスにおける経口OVAによって同じ様に減弱されない。マウ
スを6C8又はMR1の250μgで腹腔内注射し、次いで1日おきに3日間P
BS(黒四角)又はPBS中の20mgOVA(白丸)のいずれかを給餌した。
14日又は21日(示していない)の後に、マウスを全身的にプライムし、7日
後に殺し、それらの脾臓細胞を、CTL活性の標準的なイン・ビトロ51Cr放出
検定のために回収した。エフェクター(E)としてプライムした脾臓細胞を、標
的(T)としての51Cr負荷細胞に対してテストした。それぞれのプロットは個
々のマウスを表す。個々のマウスに対するCTL活性プロットを、(A)におけ
るようにプライミング後の4回の実験(C)からそして(B)におけるようなプ
ライミング後の2回の実験(D)からの溶解性ユニットに変換した。これらの実
験では、マウスはPBSか又は20mgの経口OVAのいずれかを1日おきに3
日(C)又はPBSか0.5mgの経口OVAのいずれかを1日おきに5日間(
D)投与された。
【図16】 図16は、抗CD40L処理が、T細胞増殖応答(A)及びIFN−γ応答(
B)、又は抗体生産(C)の全身プライミングに対する経口耐性を制限しないこ
とを示すグラフ表示である。マウス(n=3/群)に、対照mAbである6C8
又は抗CD40LmAbであるMR1の250μgを腹腔内注射した。次いでそ
れらにPBSか又はPBS中の20mgOVAのいずれかを1日おきに3日間給
餌した。7日後に、尾の基部にCFA中のOVA(0.1mg)を皮下注射して
マウスを免疫化した。10日後に脾臓及び鼠蹊部のリンパ節及び血清を採取して
、0.1mg/mlのOVA(平均値及び標準偏差は脾臓に対するもの)及び抗
OVA抗体の非存在下(黒線)又は存在下(縞模様)におけるT細胞増殖及びサ
イトカイン生産の測定を、方法の部で記載したように行なった。
【図17】 図17は、エーロゾルインスリンを投与されたNODマウスにおける糖尿病発
症率に及ぼす抗CD40Lモノクローナル抗体(MR−1)による処理の効果を
示すグラフ表示である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年12月28日(2001.12.28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図9】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10A
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図10A】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13B
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図13B】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13C
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図13C】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13D
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図13D】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16A
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図16A】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16C
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図16C】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61K 48/00 A61P 3/10 A61P 3/10 37/02 37/02 37/06 37/06 (31)優先権主張番号 PQ 7621 (32)優先日 平成12年5月19日(2000.5.19) (33)優先権主張国 オーストラリア(AU) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ハニネン,アルノ フィンランド国、トゥルク FIN− 20520,ティキストカツ 6番地、ユニバ ーシティ オブ トゥルク、メディシティ 内 (72)発明者 マルティネス,ナタン,アール オーストラリア国、ビクトリア州 3057、 イースト ブルンズイック、ロード スト リート 20A番地 (72)発明者 クレイマー,デイヴィッド オーストラリア国、ビクトリア州 3031、 フレミントン,エジンバラ ストリート 80番地 Fターム(参考) 4C076 AA24 BB03 BB21 BB22 BB25 BB27 CC07 CC17 CC21 CC30 4C084 AA13 AA17 MA56 MA59 NA13 ZB081 ZC351 4C085 AA03 BB31 CC03 CC22 DD86 EE03 EE06 FF02 FF13 FF14 FF18 FF19 GG10

Claims (63)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主体において粘膜抗原への応答としてのCTL免疫を実質
    的に回避しながら、細胞障害性Tリンパ球(CTL)耐性を誘導する方法であっ
    て、該粘膜抗原を選択する工程、又はMHCクラスIに限定されたエピトープの
    機能を発揮できないように粘膜抗原を改変する工程、及び次いで該粘膜抗原に対
    するCTL免疫を阻止若しくは低減させるのに十分な時間及び条件の下で該選択
    され若しくは改変された抗原を投与する工程を含む方法。
  2. 【請求項2】 該粘膜抗原が粘膜自己抗原である、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該粘膜抗原がペプチド又はポリペプチドとして投与される
    ものである、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 該粘膜抗原が該粘膜抗原をコードするDNAとして投与さ
    れるものである、請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 該粘膜抗原又は該粘膜抗原をコードするDNAが粘膜表面
    に投与されるものである、請求項2又は請求項3又は請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 投与が口、鼻、咽頭及び/又は気管支管の経路の一つ以上
    を経るものである、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 投与がエーロゾル投与を経るものである、請求項6記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 主体における自己免疫疾患の状態を防止し、低減し若しく
    は他の方法で緩和する方法であって、細胞により媒介される自己免疫の病状から
    護る免疫調節機構を誘導若しくは刺激するのに十分な時間及び条件の下で該自己
    免疫疾患と関連する抗原の有効量を該主体にエーロゾル投与する工程を含み、該
    抗原がMHCクラスIの相互作用領域を実質的に欠失しているものである方法。
  9. 【請求項9】 該主体がヒトである、請求項1又は請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 該MHCクラスIエピトープがMHCクラスI(Kd )
    に限定されるエピトープである、請求項1又は請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 該抗原がインスリン依存性真正糖尿病(IDDM)、徐
    々に進行するIDDM(SPIDDM)及び/又は妊娠中の糖尿病に関連するも
    のである、請求項1又は請求項8又は請求項9又は請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 CTLの誘導及び/又は成熟を阻止若しくは他の方法で
    遅延させる工程と組合わせた、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 主体におけるIDDM、SPIDDM又は妊娠中の糖尿
    病を防止、低減若しくは他の方法で緩和する方法であって、調節性T細胞を誘導
    するのに及び/又はIDDMと関連する細胞媒介性の自己免疫病状を抑制するの
    に十分な他の適切な機構を誘導するのに十分な時間及び条件の下で、IDDMと
    関連する自己抗原の有効量を該主体にエーロゾルとして若しくは他の機能的に同
    等な手段により投与する工程を含み、該自己抗原が機能性のMHCクラスIの相
    互作用エピトープを実質的に欠失しているものである方法。
  14. 【請求項14】 該主体がヒトである、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 該MHCクラスIエピトープがMHCクラスI(Kd
    に限定されるエピトープである、請求項13記載の方法。
  16. 【請求項16】 該調節性T細胞がCD8T細胞である、請求項13記載
    の方法。
  17. 【請求項17】 該CD8T細胞がCD8γδT細胞である、請求項16
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 該調節性T細胞がCD4T細胞である、請求項15記載
    の方法。
  19. 【請求項19】 該CD4T細胞がCD4αβT細胞である、請求項18
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 該エーロゾル投与がスプレー、液の滴下、又は蒸気を経
    るものである、請求項13記載の方法。
  21. 【請求項21】 該抗原がプレプロインスリン又はプロインスリン又はそ
    れらの断片である、請求項13〜請求項20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 【請求項22】 該抗原がインスリン又はその断片である、請求項13〜
    請求項20のいずれか1項に記載の方法。
  23. 【請求項23】 該抗原がプロインスリンペプチド24〜36である、請
    求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 CTLの誘導及び/若しくは成熟を阻止する工程若しく
    は他の方法で遅延させる工程と組合わせた、請求項13〜請求項20のいずれか
    1項に記載の方法。
  25. 【請求項25】 主体におけるIDDMを誘導し、抑制し若しくは他の方
    法で緩和し若しくは防止する方法であって、CTL耐性を防止、低減又は他の方
    法で誘導するのに十分な時間及び条件の下で、MHCクラスIに限定された任意
    のエピトープの機能を発揮できないようにそのC末端で抗原の先端を切断された
    プロインスリンぺプチドを投与する工程を含む方法。
  26. 【請求項26】 該主体がヒトである、請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 該プロインスリンペプチドがヒト、ネズミ又はブタ起源
    のものである、請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 該プロインスリンペプチドがヒト起源のものである、請
    求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 該プロインスリンがエーロゾルを経て投与されるもので
    ある、請求項25記載の方法。
  30. 【請求項30】 該エーロゾル投与がスプレー、液の滴下、又は蒸気を経
    るものである、請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 該プロインスリンが約1〜約20リットル/分の速度で
    投与されるものである、請求項29又は請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 該プロインスリンがアジュバント内で投与されるもので
    ある、請求項29又は請求項30又は請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 該アジュバントがコレラ毒素13、大腸菌の熱不安定毒
    素、サポニカ若しくはその誘導体、クィルA抽出物、DEAE−デキストラン、
    硫酸デキストラン及びアルミニウム塩から選択されるものである、請求項32記
    載の方法。
  34. 【請求項34】 アジュバントがサイトカイン、ムラミル−ジぺプチド又
    は細胞壁成分である、請求項32記載の方法。
  35. 【請求項35】 CTLの誘導及び/若しくは成熟を阻止若しくは他の方
    法で遅延させる工程と組合わせた、請求項25〜請求項34のいずれか1項に記
    載の方法。
  36. 【請求項36】 粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避しながら該
    抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTL免疫を防止又は低減するのに
    十分な時間及び条件の下で、該粘膜抗原又はそれをコードする核酸を投与する工
    程を含み、それと同時若しくはその後にCTLの誘導及び/又は成熟のアンタゴ
    ニストを投与する工程を含む方法。
  37. 【請求項37】 該アンタゴニストがCD40又はCD40Lの相互作用
    のアンタゴニストである、請求項36記載の方法。
  38. 【請求項38】 該アンタゴニストが抗CD40L抗体である、請求項3
    7記載の方法。
  39. 【請求項39】 該主体がヒトである、請求項36記載の方法。
  40. 【請求項40】 該プロインスリンペプチドがヒト、ネズミ又はブタ起源
    のものである、請求項36記載の方法。
  41. 【請求項41】 該プロインスリンペプチドがヒト起源のものである、請
    求項36記載の方法。
  42. 【請求項42】 該プロインスリンがエーロゾルを経て投与されるもので
    ある、請求項36記載の方法。
  43. 【請求項43】 該エーロゾル投与がスプレー、液の滴下、又は蒸気を経
    るものである、請求項36記載の方法。
  44. 【請求項44】 粘膜抗原に対するCTL免疫を実質的に回避しながら該
    抗原に対する耐性を誘導する方法であって、CTLの誘導及び/又は成熟を阻止
    若しくは他の方法で遅延させるのに十分な時間及び条件の下で、ある物質を投与
    する工程を含む方法。
  45. 【請求項45】 該物質がCD40L−CD40の相互作用のアンタゴニ
    ストである、請求項44記載の方法。
  46. 【請求項46】 該アンタゴニストが抗CD40抗体である、請求項45
    記載の方法。
  47. 【請求項47】 主体における疾患状態の治療又は予防のための医薬の製
    造における、不活性なMHCクラスIエピトープを持つ粘膜抗原の使用。
  48. 【請求項48】 該主体がヒトである、請求項47記載の使用。
  49. 【請求項49】 該疾患状態がIDDM、SPIDDM又は妊娠中の糖尿
    病である、請求項47又は請求項48に記載の使用。
  50. 【請求項50】 該抗原が自己抗原である、請求項49記載の使用。
  51. 【請求項51】 該自己抗原がプロインスリンである、請求項49記載の
    使用。
  52. 【請求項52】 疾患状態の治療又は予防のための医薬の製造におけるC
    TLの誘導及び/又は成熟を阻止できる物質の使用。
  53. 【請求項53】 該物質がCD40L−CD40の相互作用を阻害するも
    のである、請求項52記載の使用。
  54. 【請求項54】 該物質が抗CD40L抗体である、請求項53記載の使
    用。
  55. 【請求項55】 自己免疫疾患の治療又は予防のための物質であって、該
    自己免疫疾患を引き起こす自己抗原を含み、且つ該自己抗原が機能性のMHCク
    ラスIに限定されたエピトープを欠失するよう改変されている物質。
  56. 【請求項56】 該自己免疫疾患がIDDM、SPIDDM又は妊娠中の
    IDDMである、請求項54記載の物質。
  57. 【請求項57】 該自己抗原がプロインスリン又はインスリンである、請
    求項56記載の物質。
  58. 【請求項58】 CTLの誘導及び/又は成熟を阻害する物質を更に含む
    、請求項55〜請求項57のいずれか1項に記載の物質。
  59. 【請求項59】 CD40L−CD40の相互作用を阻害する、請求項5
    8記載の物質。
  60. 【請求項60】 抗CD40L抗体である、請求項59記載の物質。
  61. 【請求項61】 自己免疫状態の治療及び/又は予防のために使用する物
    質であって、CTLの誘導及び/又は成熟のアンタゴニストを含む物質。
  62. 【請求項62】 CD40L−CD40の相互作用を阻害する、請求項6
    1記載の物質。
  63. 【請求項63】 抗CD40L抗体である、請求項62記載の物質。
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