JP2003512074A - 腫瘍血管の細胞に結合する修飾ウイルス表面タンパク質 - Google Patents

腫瘍血管の細胞に結合する修飾ウイルス表面タンパク質

Info

Publication number
JP2003512074A
JP2003512074A JP2001533171A JP2001533171A JP2003512074A JP 2003512074 A JP2003512074 A JP 2003512074A JP 2001533171 A JP2001533171 A JP 2001533171A JP 2001533171 A JP2001533171 A JP 2001533171A JP 2003512074 A JP2003512074 A JP 2003512074A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tvtm
modified
peptide
vector
viral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001533171A
Other languages
English (en)
Inventor
フレデリック・エル・ホール
アーリンダ・マリア・ゴードン
ダブリュー・フレンチ・アンダーソン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Southern California USC
Original Assignee
University of Southern California USC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Southern California USC filed Critical University of Southern California USC
Publication of JP2003512074A publication Critical patent/JP2003512074A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/85Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
    • C12N15/86Viral vectors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/13011Gammaretrovirus, e.g. murine leukeamia virus
    • C12N2740/13041Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
    • C12N2740/13043Use of virus, viral particle or viral elements as a vector viral genome or elements thereof as genetic vector
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/13011Gammaretrovirus, e.g. murine leukeamia virus
    • C12N2740/13041Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
    • C12N2740/13045Special targeting system for viral vectors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2810/00Vectors comprising a targeting moiety
    • C12N2810/40Vectors comprising a peptide as targeting moiety, e.g. a synthetic peptide, from undefined source

Abstract

(57)【要約】 腫瘍血管ターゲティングモチーフ、あるいはTVTM、ペプチドを含むように修飾されている表面タンパク質を有するベクター粒子。そのようなペプチドにより、ベクター粒子は内皮細胞、特に腫瘍の血管の内皮細胞にターゲティングすることが可能となり、これにより、そのような細胞の成長を阻害、防止、または破壊する物質をその細胞に送達し、それにより腫瘍への血液供給を終了させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、修飾ウイルス表面タンパク質または修飾ウイルス誘導性表面タンパ
ク質、例えば、修飾レトロウイルスエンベロープポリペプチド、修飾アデノウイ
ルスヘキソンタンパク質、修飾アデノウイルスファイバータンパク質、アデノ随
伴ウイルス裸タンパク質コート、または修飾ヘルペスウイルスエンベロープタン
パク質である、タンパク質またはポリペプチドに関する。本発明は、「ターゲテ
ィング性」(targeted)ウイルスまたは非ウイルスベクター粒子(レトロウイル
スベクター粒子、アデノウイルスベクター粒子、アデノ随伴ウイルスベクター粒
子、ヘルペスウイルスベクター粒子、および偽型ウイルスを含む)に、および非
ウイルスベクターであってビロソームまたは他のプロテオリポソーム遺伝子移入
ベクターの一部としてウイルスタンパク質を含むものにさらに関する。
【0002】 特に、本発明は、ウイルスおよび非ウイルスベクター粒子(レトロウイルスベ
クター粒子、アデノウイルスベクター粒子、アデノ随伴ウイルスベクター粒子、
ヘルペスウイルスベクター粒子、偽型ウイルス、および非ウイルスベクターであ
って修飾、またはキメラウイルス表面タンパク質、例えば、キメラウイルスエン
ベロープポリペプチドを有するものを含む)に関し、ここで、そのような修飾ウ
イルス表面タンパク質、例えば、修飾ウイルスエンベロープポリペプチドは、腫
瘍血管(tumor vasculature)ターゲティング(targeting)モチーフまたはTV
TMであるペプチドを含む。TVTMペプチドは、ウイルス表面タンパク質の2
つの連続アミノ酸残基の間に位置し、またはウイルス表面タンパク質から除去さ
れたアミノ酸残基を置換し得る。ここで使用する用語「ポリペプチド」は、アミ
ノ酸のポリマーを意味し、そして何らの特定の長さのポリマーを意味しない。そ
のような用語は、また、翻訳後修飾ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、グ
リコシル化、アセチル化、ホスホリル化等)を含む。
【0003】 発明の背景 充実性腫瘍内の新生物細胞は、非新生物組織(血管内皮細胞、間質細胞、およ
び細胞外マトリクスを含む)と緊密で複雑な関連性を示す(1)。すべてのヒト
の癌の90%より多くをなしている、充実性腫瘍のこれらの組織学的特徴は、腫
瘍成長および転移を伴う血管形成のメカニズムを明らかにすることとあわせて(
1、2)、これらは、必然的な治療戦略としての腫瘍血管系のターゲティングの
概念を促進した。それに応じて、腫瘍床に補給する微小血管内皮細胞に対して指
向する抗血管形成遺伝子治療が開発され(5)そしてかなり首尾よく(8)使用
された(6、7)。
【0004】 血管内皮成長因子(VEGF)は、選択的内皮細胞細胞分裂促進(9−11)
および血管透過因子(12、13)であり、それは充実性腫瘍の成長駆動、転移
、および血管形成(14、15)における重要な因子である。腫瘍微小環境内で
、腫瘍血管内皮のVEGFとその対応する(cognate)レセプター(複数含む)
の両方の上方調節が報告されている(16)。ほとんどの充実性腫瘍に見出され
る腫瘍形成トランスフォーメーションと低酸素状態の両方は、共同的に作用しV
EGF発現を調節する(17、18)。さらに、腫瘍細胞に対する腫瘍間質のV
EGF発現の最近の研究は、またVEGFのソース、それゆえに、腫瘍血管形成
の貢献者としての間質繊維芽細胞の重要性に焦点をおく(19)。さらに、FG
F曝露(20)と低酸素(21、22)の両方は、内皮細胞上のVEGFレセプ
ター(複数含む)の発現を上方調節するために役立つ。したがって、VEGF/
レセプター複合体は、腫瘍血管のターゲティングおよび/またはイメージ化(1
6)のために利用することができる、腫瘍内皮細胞の高度に特異的なマーカー(
23、24)である。
【0005】 血管成長因子の発現に加えて、充実性腫瘍の活性化微小血管内の内皮細胞は、
αインテグリン(それは確立された血管の細胞には実質的に不存在である)を
発現する(25−27)。実際、血管形成の誘導可能インテグリンレセプターお
よび細胞外マトリクス(ECM)タンパク質の基本的な役割は、よく確認されて
いる(28)。例えば、インテグリンαβは、血管形成の増殖性および侵襲
性相の間の血管細胞に優先的に発現され、そして多くのEGMタンパク質であっ
て典型的には仮マトリクス(provisional matrix)(コラーゲン、フィブロネク
チン、ビトロネクチン、およびフィブリノーゲンを含む)を構成し、そして細胞
増殖を促進すると報告されているもの(29、30)に結合する多機能接着レセ
プターとして作用する。
【0006】 通常は、静止血管に検出されないが、αβは血管成長因子または腫瘍細胞
上清(25)によって刺激すると高度に発現されるようになる。逆に、特異的抗
体またはペプチドアンタゴニストによるαβ機能の遮断は、増殖している内
皮細胞の予定されないアポトーシスを生じ(25)、これはαβレセプター
システムが、血管細胞増殖を促進する重要な生存シグナルを提供することを示唆
している(28)。内皮細胞アポトーシスは、p53に仲介され、そして細胞周
期インヒビターp21WAF1/CIP1の誘導を伴うようである(28)。し
たがって誘導可能αβ接着レセプターと仮のECMの間の相互作用は、成長
停止シグナルを直接的に調節し、そして内皮細胞生存を促進する(28)。
【0007】 活性化内皮細胞の表面上に選択的に発現されている成長因子および/または接
着レセプターは、血管形成組織へのターゲティング薬物および遺伝子治療ベクタ
ーのために有利な場所(locus)を提供する。高い親和性のターゲティングモチ
ーフのための分子スクリーニングは、mABsの命名されたパネル(31)およ
びランダムファージディスプレイペプチドライブラリー(32)を使用して開発
された。ランダムファージディスプレイ技術((i)インビトロのインテグリンα
β(33、34)またはαβ(35)を結合するペプチドのパンニング
により、または(ii)インビボの腫瘍血管へのホーミング特異性を有するペプチド
を単離すること(36)による)によって単離された多くのペプチドリガンドは
、フィブロネクチンの一次構造内の同定可能リガンド−レセプター接触点に対応
する配列を示す。
【0008】 特に、インビトロおよびインビボで同定されるAsn−Gly−Arg(NG
R)を含む配列は、第9のフィブロネクチンのIII型リピートと顕著な類似性
を有し、一方、Arg−Gly−Asp(RGD)配列は、第10のフィブロネ
クチンのIII型リピートと緊密に対応する(33、34、36)。これらの腫
瘍血管ターゲティングモチーフ(TVTM)を区別する観点から、NGRモチー
フは、定義されたインテグリンについてのディファレンシャルな親和性およびペ
プチド競合動態力学に加えて、対応するRGDモチーフよりもより大きいホーミ
ング率(腫瘍/コントロール臓器)を示し、このことは、NGRおよびRGDペ
プチドが異なる細胞性レセプターへ結合することを示唆している(36)。
【0009】 本発明のある実施態様では、出願人は、モロニー(マウス)白血病ウイルス(
MLV)エンベロープ「エスコート」タンパク質のコンテクスト(context)内
にディスプレイされる、多くのNGRを有するペプチド同類(cogener)を構築
し、一連のキメラレトロウイルスベクターにこれらの修飾エンベロープタンパク
質を取りこませ、そして活性化内細胞をターゲティングし、そして形質導入する
ことにおけるこれらのベクターの成績を試験した。
【0010】 発明の要約 本発明はウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイル
スベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、および
偽型ウイルス、および合成ベクター、例えば、ビロソームまたはプロテオリポソ
ームおよび他の非ウイルスベクターであって修飾表面タンパク質を有するものを
含むベクター粒子を指向し、ここで、表面タンパク質、例えば、ウイルスエンベ
ロープポリペプチドは、内皮細胞のレセプターに、および特に腫瘍の血管の細胞
のレセプターに結合するTVTMペプチドを含む。 ここで使用する用語「ベクター粒子」は、細胞にポリヌクレオチドを送達する
粒子を意味する。そのような粒子は、ウイルスベクター、非ウイルスベクター、
および合成ベクター、例えば、前記のようなものを含むがこれらに限定されない
【0011】 本発明は、また、TVTMペプチドを含むように修飾されている、エンベロー
プポリペプチドを有するレトロウイルスベクター粒子を生成するためのプロデュ
ーサー細胞を指向する。 本発明は、また、ある種の新規TVTMペプチドを、およびそのようなTVT
Mペプチドをコードしているポリヌクレオチドを指向する。 本発明は、また、本発明のベクター粒子を使用する宿主の腫瘍を処置する方法
、医薬としてのそのベクター粒子の使用、およびその腫瘍処置のための医薬の製
造におけるそのベクター粒子の使用を指向する。
【0012】 図面の簡単な説明 ここで本発明を図面について説明する。 図1 レトロウイルスエスコートタンパク質の腫瘍血管ターゲティングモチー
フ(TVTM)シリーズの概略図。TVTMは、腫瘍血管へレトロウイルスベク
ターをターゲティングさせるように設計した。TVTM−1、TVTM−2およ
びTVTM−3はインビトロパンニングアッセイで上方調節インテグリンに選択
的に結合し、そしてインビボで腫瘍血管で選択的に蓄積することが示された。T
VTM−4、TVTM−5およびTVTM−6は新規ペプチドである。
【0013】 図2 修飾エンベロープタンパク質の発現および腫瘍血管ターゲティングモチ
ーフをディスプレイするレトロウイルスベクターへの取り込み。A、C)293
T細胞ライセートのWT CEE、WT CAE、TVTM単独、WT CEE
+TVTMおよびWT CAE+TVTMのenvタンパク質発現レベルの比較
。B、D)WT CEE、WT CAE、TVTM単独、WT CEE+TVT
M、およびWT CAE+TVTMを有するレトロウイルスベクターのビリオン
取り込みのレベルの比較。gp70およびgagタンパク質のウェスタン分析を
、gp70envのC末端に対して、ラットモノクローナル抗体である83A2
5、およびp30に対してポリクローナル抗体を使用して実施した。
【0014】 図3 自己向性(CEE)エンベロープタンパク質と共発現されるTVTMエ
スコートタンパク質を有するレトロウイルスベクターのKSY1細胞結合親和性
。TVTMをディスプレイするベクターに対してWTenv(CEE*またはC
AE+)を有するベクターの結合親和性の比較を、ELISAウェル(A)の暗
黒化の程度の変化として示し、次いで、Rainbow Spectra ELISAリーダー(B)のO
DA650の読みとして表現する。*=p<.05;***=p<.001;+
=p<.05。
【0015】 図4 KSY1細胞のTVTMレセプターの密度依存性VEGF誘導性下方調
節。VEGFによる処置に続き、低または高密度KSY1細胞に対する、TVT
Mをディスプレイするベクターに対するWTenvを有するベクターの結合親和
性の比較を、ELISAウェル(A)の暗黒化の程度の変化として示し、次いで
、Rainbow Spectra ELISAリーダー(B)のODA650の読みとして表現する。
VEGFによる処置に続き、低または高密度HUVE細胞に対する、TVTMを
ディスプレイするベクターに対するWTenvを有するベクターの結合親和性の
比較を、ELISAウェル(C)の暗黒化の程度の変化として示し、次いで、Ra
inbow Spectra ELISAリーダー(D)のODA650の読みとして表現する。*p
<.05、VEGFの不存在と比較;***p<.001、VEGFの不存在と
比較。
【0016】 発明の詳細な記載 本発明のある側面に従い、ベクター粒子を内皮細胞、例えば、腫瘍の血管の細
胞へターゲティングさせるための、修飾ウイルス表面タンパク質、例えば、修飾
ウイルスエンベロープポリペプチドを有するベクター粒子を提供する。該ウイル
ス表面タンパク質は、TVTMペプチドを含むよう修飾される。
【0017】 TVTMペプチドの代表例は、TVTM−1、TVTM−2、TVTM−3、
TVTM−4、TVTM−5、およびTVTM−6を含むがこれらに限定されず
、それらは、以下の配列を有する;
【0018】
【表1】
【0019】 そのようなペプチドおよびそのようなペプチドをコードしているポリペプチド
を図1に示す。
【0020】 そのようなペプチドTVTM−4、TVTM−5、およびTVTM−6および
そのようなペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、新規であり、そして
出願人は、腫瘍血管の細胞に結合するそのようなペプチドを発見し、すなわち、
そのようなペプチドは、腫瘍に見出される血管の細胞に結合する。
【0021】 TVTMペプチドを含む修飾表面タンパク質を有するベクター粒子は、インビ
ボ、エキソビボ、またはインビトロの細胞への遺伝子移入のため、または遺伝子
治療のためのに使用され得る、任意のウイルスまたは非ウイルスベクター粒子を
含む。そのよなベクター粒子は、レトロウイルスベクター粒子、アデノウイルス
ベクター粒子、アデノ随伴ウイルス粒子、ヘルペスウイルス粒子、偽型ウイルス
、および非ウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。TVTMペプチド
は、任意のウイルス表面タンパク質の任意の領域に位置し得る。ある実施態様で
は、TVTMペプチドは、ウイルス表面タンパク質の2つの連続アミノ酸残基の
間に位置し得る。あるいは、ウイルス表面タンパク質のアミノ酸残基は除去され
、そしてTVTMペプチドで置換される。
【0022】 修飾され得るウイルス表面タンパク質は、レトロウイルスエンベロープタンパ
ク質、アデノウイルスヘキソンタンパク質、アデノウイルスファイバータンパク
質、アデノウイルスペントン、アデノ随伴ウイルスキャプシドタンパク質および
ヘルペスウイルスエンベロープタンパク質を含むがこれらに限定されない。しか
し、本発明の範囲は特定の修飾ウイルス表面タンパク質に限定されないべきであ
ることが理解されるべきである。
【0023】 ある実施態様では、ベクター粒子は、ウイルスベクター粒子であり、そしてあ
る実施態様では、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスベクター粒子である
。レトロウイルスエンベロープの任意の部分が、ターゲティング性ポリペプチド
を含むように修飾され得る。ある実施態様では、レトロウイルスエンベロープの
レセプター結合領域を、TVTMペプチドを含むように修飾する。ある好ましい
実施態様では、TVTMペプチドは、TVTM6である。さらなる好ましい実施
態様では、1コピーのTVTMペプチドが、ウイルス表面タンパク質に含まれる
【0024】 ある実施態様では、TVTMペプチドを、レトロウイルスエンベロープのネイ
ティブ(すなわち非修飾)レセプター結合領域の2つの連続的に数を付されたア
ミノ酸残基の間に挿入する。ある好ましい実施態様では、ウイルス表面タンパク
質は、ウイルス表面タンパク質のN末端付近にTVTMペプチドを含む。好まし
くは、TVTMペプチドが挿入される部位は、レトロウイルスエンベロープのN
末端から20アミノ酸を超えない、好ましくは10アミノ酸を超えない位置に、
そして最も好ましくはレトロウイルスエンベロープのN末端からアミノ酸第6と
7の間の位置する。TVTMペプチドは、リンカーの側方に有り得、好ましくは
グリシンリンカーの側方にあり得る。 ある好ましい実施態様では、レトロウイルスエンベロープタンパク質は、両種
向性エンベロープタンパク質である。 別の実施態様では、レセプター結合領域のアミノ酸残基を除去し、そしてTV
TMペプチドで置換し得る。
【0025】 本発明の修飾表面タンパク質を、野生型エンベロープタンパク質に加えて、(
「デュアルエンベロープコンフィギュレーション(dual envelope configuratio
n)」例えば、実施例1参照)、または「シングルエンベロープコンフィギュレ
ーション(single envelope configuration)」すなわち野生型エンベロープタン
パク質の不存在で(実施例2参照)ベクター粒子に取り込ませ得る。デュアルエ
ンベロープコンフィギュレーションを選択するならば、例えば、ベクター粒子の
表面上に存在するエンベロープタンパク質の間の立体障害(stearic hindrances
)を避けるために、野生型エンベロープタンパク質のレセプター結合ドメインの
一部または全部を、TVTMペプチド(「エンベロープエスコートタンパク質」
実施例1参照)で置換することが有利であり得る。
【0026】 したがって、ある実施態様では、第1のレトロウイルスエンベロープタンパク
質および少なくとも1つの修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質を含む、
レトロウイルスベクターを提供する。第1のレトロウイルスエンベロープタンパ
ク質は、表面タンパク質を含む。その表面タンパク質は、(i)レセプター結合領
域;(ii)超可変ポリプロリン、または「ヒンジ」領域、および(iii)ボディ部分
を含む。その修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質は、修飾前は、(i)レ
セプター結合領域;(ii)超可変ポリプロリン、または「ヒンジ」領域;および(i
ii)ボディ部分を含む、表面タンパク質を含む。その修飾レトロウイルスエンベ
ロープタンパク質は修飾されることができ、その結果、修飾レトロウイルスエン
ベロープタンパク質の表面タンパク質のレセプター結合領域の少なくとも90%
のアミノ酸残基が除去され、そしてTVTMペプチドで置換される。
【0027】 ある実施態様では、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質の表面タンパ
ク質のレセプター結合領域の少なくとも92%のアミノ酸残基を除去し、そして
TVTMペプチドで置換した。別の実施態様では、修飾レトロウイルスエンベロ
ープタンパク質の表面タンパク質のレセプター結合領域のすべてのアミノ酸残基
を除去し、そしてTVTMペプチドで置換した。
【0028】 なお別の実施態様では、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質の表面タ
ンパク質のレセプター結合領域の少なくとも90%アミノ酸残基を除去し、そし
てTVTMペプチドで置換し、そして修飾レトロウイルスエンベロープタンパク
質の表面タンパク質の超可変ポリプロリン領域の少なくとも一部のアミノ酸残基
を除去し、そしてTVTMペプチドで置換した。ある実施態様では、修飾レトロ
ウイルスエンベロープタンパク質の超可変ポリプロリン領域のすべてのアミノ酸
残基を除去した。
【0029】 さらなる実施態様では、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質(複数含
む)のレセプター結合領域(複数含む)は、その修飾の前に、配列(配列番号7
)を有する。修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質(複数含む)では、(
配列番号7)のアミノ酸残基19ないし229を除去し、そして非レトロウイウ
ルスタンパク質またはペプチドで置換した。ある実施態様では、(配列番号7)
のアミノ酸残基19ないし229および修飾レトロウイルスエンベロープタンパ
ク質(複数含む)の表面タンパク質の超可変ポリプロリン領域のアミノ酸残基の
少なくとも一部を除去し、そしてTVTMペプチドで置換した。
【0030】 一般に、レトロウイルスエンベロープタンパク質(複数含む)は、表面(SU
)ドメインまたは表面タンパク質、および膜貫通(TM)ドメインまたはタンパ
ク質を含む。一般に、表面タンパク質は、N末端ないしC末端の方向で以下の領
域を含む:(i)レセプター結合領域;(ii)超可変ポリプロリン領域;および(iii)
ボディ部分、これは、膜貫通ドメインと会合する。
【0031】 第1のレトロウイルスエンベロープタンパク質は、表面ドメインおよび膜貫通
ドメインを含む。一般にそのようなエンベロープタンパク質は、非レトロウイル
スペプチド・フリーである。第1のレトロウイルスエンベロープタンパク質は、
ある実施態様では、異なる向性の領域を含み得る。例えば、ある実施態様では、
第1のレトロウイルスエンベロープタンパク質は表面タンパク質であって(i)自
己向性レセプター結合領域;(ii)両種向性超可変ポリプロリン領域;および(iii
)自己向性ボディ部分を含むものを含み得る。
【0032】 前記の様に、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質は、表面タンパク質
のレセプター結合領域の少なくとも90%のアミノ酸残基が除去され、そしてT
VTMで置換されるように修飾されているレトロウイルスエンベロープタンパク
質であってよい。モロニー(マウス)白血病ウイルスの自己向性エンベロープの
レセプター結合領域を(配列番号7)に示す。TVTMペプチドは、1または2
以上のさらなる機能、例えば、腫瘍の血管に見出される細胞上の望まれる標的分
子へレトロウイルスベクターを「ターゲティング」させるような機能を、レトロ
ウイルスベクターに提供する「エスコート」タンパク質として働き得る。そのよ
うなレトロウイルスベクターは、そのような付加的な機能を保有しつつ、野生型
レトロウイルスの感染性を保持する。
【0033】 ある実施態様では、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質(複数含む)
は、TVTMペプチドを含むように少なくともレセプター結合領域を修飾する前
に、異なる向性の領域を含むエンベロープであり得る。例えば、修飾レトロウイ
ルスエンベロープタンパク質(複数含む)は、自己向性部分および両種向性部分
および/または異種向性部分を有する表面タンパク質(またgp70タンパク質
として知られる)を含むモロニー(マウス)白血病ウイルスエンベロープタンパ
ク質(複数含む)であってよい。
【0034】 さらなる実施態様では、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質は、修飾
の前に、gp70タンパク質を有し、それは、以下のものを含む:(i)自己向性
レセプター結合領域、すなわち(配列番号7);(ii)両種向性超可変ポリプロリ
ン領域、(配列番号8);および(iii)自己向性ボディ部分。自己向性レセプタ
ー結合領域(配列番号7)の少なくとも90%のアミノ酸を除去し、そして前記
の様にTVTMペプチドで置換した。さらなる実施態様では、両種向性超可変ポ
リプロリン領域(配列番号8)の少なくとも一部をなお除去した。ある実施態様
では、(配列番号8)のアミノ酸残基1ないし35を除去した。さらなる実施態
様では、(配列番号8)のアミノ酸残基1ないし48を除去した。なおさらなる
実施態様では、(配列番号8)のすべての60のアミノ酸残基を除去した。
【0035】 本発明のさらなる側面に従って、修飾レトロウイルスエンベロープポリペプチ
ド(すなわち修飾レトロウイルスエンベロープまたは「エスコート」タンパク質
、これらは前記した)をコードしている修飾ポリヌクレオチドを提供する。レト
ロウイルスエンベロープポリペプチドはレセプター結合領域を含む。修飾ポリヌ
クレオチドでは、レセプター結合領域の少なくとも90%のアミノ酸残基をコー
ドしているポリヌクレオチドが前記の様に除去され、そしてTVTMペプチドを
コードしているポリヌクレオチドで置換されている。
【0036】 ある好ましい実施態様では、TVTMペプチドをコードしているポリヌクレオ
チドは、TVTM6をコードしているポリヌクレオチドである。さらなる好まし
い実施態様では、TVTMペプチドをコードしている1コピーのポリヌクレオチ
ドが、ウイルス表面タンパク質をコードしている修飾ポリヌクレオチドに含まれ
る。さらなる好ましい実施態様では、ウイルス表面タンパク質をコードしている
修飾ポリヌクレオチドは、5’末端付近にTVTMペプチドをコードしているポ
リヌクレオチドを含む。好ましくは、TVTMペプチドをコードしているポリヌ
クレオチドが挿入される部位は、レトロウイルスエンベロープのN末端から20
コドンを超えない、好ましくは10コドンを超えない位置に、そして最も好まし
くはレトロウイルスエンベロープをコードしているポリヌクレオチドの5’末端
から第6と第7コドンの間に位置する。
【0037】 ある実施態様では、修飾の前に、レセプター結合領域をコードしているポリヌ
クレオチドは、(配列番号7)の配列をコードしている。修飾ポリヌクレオチド
では、(配列番号7)のアミノ酸残基19ないし229をコードしているコドン
を含むポリヌクレオチドを除去し、そしてTVTMペプチドをコードしているポ
リヌクレオチドで置換した。さらなる実施態様では、超可変ポリプロリン領域の
少なくとも一部をコードしているポリヌクレオチドを、また、なお除去した。あ
る実施態様では、超可変ポリプロリン領域は、配列(配列番号8)を有する。配
列(配列番号7)を有するレセプター結合領域は、(配列番号9)またはその縮
重性(degenerative)誘導体またはアナログを有するポリヌクレオチドによって
コードされている。配列(配列番号8)を有する超可変ポリプロリン領域は、(
配列番号10)またはその縮重性誘導体またはアナログを有するポリヌクレオチ
ドによってコードされている。
【0038】 ここで使用する用語「その誘導体またはアナログ」は、ポリペプチド(配列番
号7)および(配列番号8)をコードしているポリヌクレオチドがポリヌクレオ
チド(配列番号9)および(配列番号10)と異なる配列を有し、なお同じポリ
ペプチドをコードし得ることを意味する。ポリヌクレオチド配列のそのような相
違は、例えば、遺伝コードの縮重のためであり得る。(配列番号8)または(配
列番号10)をTVTMペプチドをコードしているポリヌクレオチドで修飾する
前に、(配列番号8)または(配列番号10)を、1または2以上のコドンが非
修飾配列と異なるアミノ酸残基をコードするように修飾し得ることが、また本発
明の範囲内であることを意図する。そのような修飾は、リガンドをコードしてい
るポリヌクレオチドの挿入を容易化し得る。
【0039】 前記ポリヌクレオチドを、当業者に既知の遺伝子工学技術によって構築し得る
。例えば、第1発現プラスミドを、非修飾エンベロープタンパク質をコードして
いるポリヌクレオチドを含むように構築し得る。次いで、プラスミドを、レセプ
ター結合領域の少なくとも90%のアミノ酸残基をコードしているポリヌクレオ
チド(そしてある実施態様では、また、超可変ポリプロリン領域の少なくとも一
部をコードし得る)を除去し、それによって、そのようなポリヌクレオチドを、
TVTMペプチドをコードしているポリヌクレオチドで置換するように改変する
【0040】 TVTMペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、第2発現プラスミド
に含まれ得、または裸ポリヌクレオチド配列として存在し得る。TVTMペプチ
ドをコードしているポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドを含む
プラスミドを適当な制限酵素部位で切断し、そしてまた適当な制限酵素部位で切
断された第1発現プラスミドにクローニングする。こうして、得られる発現プラ
スミドは、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質を含むポリヌクレオチド
を含む。そのようなプラスミドは、また、レトロウイルスエンベロープタンパク
質の最小シグナルペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む。
【0041】 ここで使用するように用語「ポリヌクレオチド」は、任意の長さのヌクレオチ
ドの重合性形態を意味し、そしてリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオ
チドを含む。そのような用語は、また、一本鎖または二本鎖DNA、ならびに一
本鎖および二本鎖RNAを含む。該用語は、また、修飾ポリヌクレオチド、例え
ば、メチル化またはキャップされたポリヌクレオチドを含む。
【0042】 好ましい実施態様では、本発明に従う第1エンベロープタンパク質および修飾
エンベロープタンパク質を有するレトロウイルスベクター粒子は、腫瘍の血管の
細胞の阻害、防止、または破壊をもたらすことのできる物質をコードしているポ
リヌクレオチドを含む。
【0043】 しかし、本発明の範囲は、何らの特定の物質に限定されるべきでないことが理
解されるべきである。 該物質をコードしているポリヌクレオチドは、適当なプロモーターの制御下に
ある。しかし、本発明の範囲は特異的外来性遺伝子またはプロモーターに限定さ
れるべきではないことが理解されるべきである。 該物質をコードしているポリヌクレオチドを、当業者に既知の遺伝子工学技術
によって適当なレトロウイルスプラスミドベクターに置き得る。
【0044】 ある実施態様では、レトロウイルスプラスミドベクターは、モリネー(マウス
)白血病ウイルスに由来し得、そしてLNシリーズのベクターのものであり、そ
れらは、Bender, et al., J. Virol., Vol. 61, pgs. 1639-1649(1987) and Mil
ler, et al., Biotechniques, Vol. 7, pgs 980-990 (1989)にさらに記載されて
いる。そのようなベクターは、マウス肉腫ウイルスに由来するパッケージングシ
グナルの一部、および突然変異性gag開始コドンを有する。ここで使用する用
語「突然変異性」は、gag開始コドンが削除され、または変化させられ、その
結果gagタンパク質またはそのフラグメントまたはトランケーションが、発現
されないことを意味する。
【0045】 さらなる実施態様では、レトロウイルスプラスミドベクターは、少なくとも4
つのクローニング、または制限酵素認識部位を含み得、ここで、少なくとも2つ
の部位が、10000塩基対に1回より少ない、真核細胞遺伝子での出現の平均
頻度を有し;すなわち、制限産物は、少なくとも10000塩基対の平均DNA
サイズを有する。好ましいクローニング部位は、NotI、SnaBI、Sal
I、およびXhoIからなる群より選択される。好ましい実施態様では、レトロ
ウイルスプラスミドベクターは、これらのクローニング部位のそれぞれを含む。
そのようなベクターは、米国特許番号5672510にさらに記載され、それを
引用によりその全体をここに含ませる。
【0046】 そのようなクローニング部位を含むレトロウイルスプラスミドベクターを使用
するとき、レトロウイルスプラスミドベクターに位置するNotI、SnaBI
、SalI、およびXhoIからなる群より選択される少なくとも2つのクロー
ニング部位と両立する、少なくとも2つのクローニング部位を含む、シャトルク
ローニングベクターをまた提供し得る。シャトルクローニングベクターは、シャ
トルクローニングベクターからレトロウイルスプラスミドベクターへ移入される
ことのできる物質をコードしている少なくとも1つの望まれるポリヌクレオチド
をまた含む。
【0047】 シャトルクローニングベクターを、クローニングまたは制限酵素認識部位を含
む1または2以上のリンカーにライゲートされているベーシック「バックボーン
」ベクターまたはフラグメントから構築し得る。クローニング部位には、両立す
る、または前記の相補的クローニング部位が含まれる。シャトルベクターの制限
部位に対応する末端を有する遺伝子および/またはプロモーターを、当業界で既
知の技術によってシャトルベクターにライゲートし得る。
【0048】 シャトルクローニングベクターを使用して、原核生物系のDAN配列を増幅す
ることができる。シャトルクローニングベクターは、原核細胞系、そして特に細
菌で一般に使用されるプラスミドから調製し得る。このように、例えば、シャト
ルクローニングベクターを、プラスミド、例えば、pBR322;pUC18等
から誘導し得る。
【0049】 レトロウイルスプラスミドベクターは、ベクターに含まれる遺伝子のための1
または2以上のプロモーターを含む。使用され得る適当なプロモーターは、レト
ロウイルスLTR;SV40プロモーター;およびMiller, et al., Biotechniq
ues, Vol. 7, No. 9, 980-990 (1989)に記載されているヒトサイトメガロウイル
ス(CMV)プロモーター、または任意の他のプロモーター(例えば、細胞性プ
ロモーター、例えば、真核細胞性プロモーターであってヒストン、polIII
、およびβアクチンプロモーターを含むがこれらに限定されないもの)を含むが
これらに限定されない。使用され得る他のウイルスプロモーターは、アデノウイ
ルスプロモーター、TKプロモーター、およびB19パルボウイルスプロモータ
ーを含むがこれらに限定されない。適当なプロモーターの選択は、ここで含まれ
る技術から当業者に自明である。
【0050】 ある実施態様では、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質をコードして
いるポリヌクレオチドは、別の発現媒体、例えば発現プラスミドに含まれる。あ
るいは、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質をコードしているポリヌク
レオチドは、プロデユーサー細胞株における修飾レトロウイルスエンベロープタ
ンパク質の形質導入および発現のためのレトロウイルスプラスミドベクターに含
まれ得る。
【0051】 ある実施態様では、物質をコードしているポリヌクレオチドを含むレトロウイ
ルスプラスミドベクター、および本発明に従う修飾レトロウイルスエンベロープ
タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを含む発現媒体を、gag、po
l、および野生型(すなわち非修飾)envレトロウイルスタンパク質をコード
している核酸配列を含むパッケージング細胞株に形質導入する。そのようなパッ
ケージング細胞株の例は、PE501、PA317(ATCC No.CRL9
078)、Ψ−2、Ψ−AM、PA12、T19−14X、VT−19−17−
H2、ΨCRE、ΨCRIP、CP+E−86、GP+envAm12、および
Miller, Human Gene Therapy, Vol. 1, pgs. 5-14(1990)(引用によってここに
そのすべてを含ませる)に記載されるDNA細胞株、または293T細胞株(米
国特許番号5952225)を含むがこれらに限定されない。
【0052】 ベクターは、当業者に既知の任意の手段によってパッケージング細胞に形質導
入し得る。そのような手段は、エレクトロポレーション、およびリポソームの使
用、例えば、前記のようなもの、およびCaPO沈降を含むがこれらに限定さ
れない。そのようなプロデューサー細胞は、第1、または非修飾野生型レトロウ
イルスエンベロープタンパク質、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質、
および物質をコードしているポリヌクレオチドを含む感染性レトロウイルスベク
ター粒子を生成する。
【0053】 さらなる実施態様では、gagおよびpolタンパク質をコードしているポリ
ヌクレオチド、非レトロウイルスペプチド・フリーの第1レトロウイルスエンベ
ロープタンパク質(ある実施態様では、野生型レトロウイルスエンベロープタン
パク質であってよい)をコードしているポリヌクレオチド、および修飾レトロウ
イルスエンベロープタンパク質をコードしているポリヌクレオチドを含むパーケ
ージング細胞を提供する。第1および修飾エンベロープタンパク質を含むレトロ
ウイルスベクター粒子を生成するためのプロデューサー細胞を、そのようなパッ
ケージング細胞に、レトロウイルスベクター粒子またはレトロウイルスプラスミ
ドベクターのいずれかであって、それぞれの場合に、物質をコードしているポリ
ヌクレオチドを含むものを導入することによって生成する。こうして、プロデュ
ーサー細胞株は第1レトロウイルスエンベロープタンパク質および修飾レトロウ
イルスエンベロープタンパク質および物質をコードしているポリヌクレオチドを
含む感染性レトロウイルスベクター粒子を生成する。
【0054】 第1レトロウイルスエンベロープタンパク質および修飾レトロウイルスエンベ
ロープタンパク質、および物質をコードしているポリヌクレオチドを含む、レト
ロウイルスベクター粒子を、宿主で物質を発現させるために宿主に投与し得る。
ある実施態様では、レトロウイルスベクター粒子を、腫瘍の血管の細胞の成長を
阻害、防止、または破壊するのに有効な量で宿主に投与する。宿主は、ヒトまた
は非ヒト霊長類宿主であってよい、哺乳動物宿主であってよい。
【0055】 レトロウイルスベクター粒子は、宿主に投与すると、腫瘍の血管の細胞に移行
し、そして形質導入し、それによって、形質導入された細胞はインビボで物質を
発現する。投与され得るレトロウイルスベクター粒子の正確な用量は、患者の年
齢、性別、および体重、形質導入されるべき細胞、投与されるべき物質、および
処置されるべき腫瘍の型およびサイズを含む種々の要因に依存する。
【0056】 したがって、本発明のある側面では、本発明のベクター粒子の医薬としての使
用を意図する。特に、本発明のベクター粒子の腫瘍の処置のための医薬の製造に
おける使用を提供する。さらに、腫瘍の血管の細胞の成長の阻害、防止、または
破壊に有用である、医薬の製造における本発明のベクター粒子の使用を提供する
【0057】 レトロウイルスベクター粒子を、例えば、静脈内および動脈内投与を含む、血
管内投与によって全身的に投与し得る。
【0058】 本発明のレトロウイルスベクター粒子で形質導入され得る細胞は、腫瘍の血管
内に見出される血管細胞を含むがこれに限定されない。そのような細胞は、腫瘍
の血管に見出される内皮細胞を含むがこれに限定されない。
【0059】 加えて、前記修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質を含むレトロウイル
スベクター粒子を、悪性および非悪性腫瘍を含む、腫瘍の処置で使用し、ここで
該修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質はTVTMペプチドを含む。腫瘍
の血管へレトロウイルスベクター粒子細胞をターゲティングさせることによって
、レトロウイルスベクター粒子は、そのような細胞に感染する。腫瘍は、すべて
の充実性腫瘍であって、癌腫;肉腫(カポジ肉腫、骨肉腫、および軟組織肉腫を
含む);結腸癌、卵巣癌、肺癌、脳腫瘍、血管腫、内皮腫、血管肉腫、および肝
細胞癌を含むものを含むがこれらに限定されない。
【0060】 例えば、レトロウイルスベクター粒子であって、前記のような修飾レトロウイ
ルスエンベロープタンパク質を含み、そしてTVTMペプチド、およびネガティ
ブな選択的マーカーまたは「自殺」遺伝子、例えば、ヘルペスシンプレックスウ
イルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子、またはシトシンデアミナーゼ遺伝子を
コードしているポリヌクレオチドを含むものを、患者に投与し得、これによって
レトロウイルスベクター粒子を腫瘍血管の細胞に形質導入させる。細胞のレトロ
ウイルスベクター粒子による形質導入の後、相互作用物質またはプロドラッグ、
例えば、ガンシクロビルまたはアシクロビルを患者に投与し、これによって腫瘍
の血管の形質導入された細胞を殺す。こうして、腫瘍への血液供給を終了させ、
そして腫瘍の成長を阻害、防止、または破壊する。しかし、本発明の範囲は、何
らの特定の腫瘍の処置に限定されるべきでないことが理解されるべきである。
【0061】 レトロウイルスベクターを、また、使用して、虚血の処置のための治療物質を
コードしているポリヌクレオチドを送達し得、これによってレトロウイルスベク
ターは虚血性細胞に形質導入する。処置され得る虚血は、心筋虚血、腎臓虚血、
壊死性小腸結腸炎、および発作を含むがこれらに限定されない。しかし、本発明
の範囲は、何らの特定の虚血の処置に限定されるべきではないことが理解される
べきである。
【0062】 レトロウイルスベクターを使用し、活性血管形成の部位へ抗血管形成物質をコ
ードしているポリヌクレオチドを送達し得る。こうして、そのようなベクターを
例えば、糖尿病性網膜症および角膜血管新生の処置に使用し得る。
【0063】 前記の第1レトロウイルスエンベロープタンパク質および修飾レトロウイルス
エンベロープタンパク質および物質をコードしているポリヌクレオチドを含む、
レトロウイルスベクター粒子を、遺伝子治療処置の有効性の研究のための動物モ
デルの一部としてインビボで動物に投与し得る。レトロウイルスベクター粒子を
同じ種の異なる動物に種々の用量で投与し得、これによりレトロウイルスベクタ
ー粒子は動物の腫瘍の血管の望まれる細胞に、または虚血または活性血管形成の
部位に位置する細胞に形質導入する。次いで、動物を動物のインビボでの望まれ
る物質の発現について評価する。そのような評価から取得したデータから、ヒト
患者に投与されるべきレトロウイルスベクター粒子の量を決定し得る。
【0064】 加えて、修飾レトロウイルスエンベロープタンパク質を形成する「エスコート
」タンパク質を使用し、プロテオリポソームを形成し得る;すなわち、「エスコ
ート」タンパク質は、リポソーム壁の一部を形成する。そのようのプロテオリポ
ソームを、腫瘍の血管の望まれる細胞への、または虚血または活性血管形成の部
位への遺伝子移入のために、または薬物送達のために使用し得る。
【0065】 あるいは、修飾レトロウイルスベクターは、TVTMペプチド(「シングルエ
ンベロープコンフィグレーション」)を含む修飾エンベロープタンパク質のみを
含み得る。そのような修飾エンベロープを前記し、そして実施例2にさらに例示
するように構築し得る。一般に、唯一のエンベロープタンパク質としてそのよう
な修飾エンベロープタンパク質を含むレトロウイルスベクターを、前記のような
プレパッケージングおよびパッケージング細胞から当業者に既知である技術によ
って生成し得る。TVTMペプチドは、レトロウイルスベクターに1または2以
上のさらなる機能、例えば、レトロウイルスベクターを腫瘍の血管に見出される
細胞上の望まれる標的分子に「ターゲティング」させる機能を提供する。そのよ
うなレトロウイルスベクターは、そのようなさらなる機能を保有しつつ、野生型
レトロウイルスに匹敵する感染性を保持する。
【0066】 TVTMペプチドを、また、腫瘍の血管の細胞、例えばそのような血管の内皮
細胞の成長を阻害、防止、または破壊する物質にコンジュゲートし得る。次いで
、TVTMペプチド−物質コンジュゲートを、哺乳動物、宿主であって、ヒトお
よび非ヒト霊長類宿主を含むものを含む、動物宿主へ全身的に投与し得る。コン
ジュゲートは腫瘍の血管の細胞へ移行し、これによってTVTMペプチドは細胞
に結合し、そして細胞に物質を送達する。TVTMペプチドは、また、抗虚血物
質または抗血管形成物質にコンジュゲートし得る。次いで、コンジュゲートを宿
主に全身的に投与し得、これによって、TVTMペプチドは虚血性部位または血
管形成部位に移行し、これによってTVTMペプチドはそのような部位の細胞に
結合し、抗虚血物質または抗血管形成物質をそのような部位に送達する。
【0067】 さらなる実施態様では、TVTMペプチドは、アデノウイルスベクターの一部
とし含まれ得、ここでアデノウイルスベクターのファイバータンパク質は修飾さ
れ、TVTMペプチドを含む。そのようなアデノウイルスベクターの例は、米国
特許番号5543328および5756086に記載されている。
【0068】 実施例1 ここで本発明を以下の実施例について説明する。しかし、本発明の範囲はこれ
によって限定されるべきであると意図されていないことが理解されるべきである
【0069】 材料および方法 腫瘍血管ターゲティングモチーフをディスプレイしているMLVに基づくエスコ
ートタンパク質の分子クローニング(図1参照)。粘着末端を有するTVTMイ
ンサートを、CEE+(自己向性)−デルタヒンジエンベロープ(env)構築
物(37)であって、CEECと命名され、両種向性プロリンリッチヒンジ領域
(PRR)の置換によってCEE+から修飾されたものにクローニングし、ここ
で3つの独特な制限部位(AvrII、PstI、StuI)およびNgoMI
制限部位を含む(37)。MLVに基づくenv構築物をBstEIIおよびA
vrIIによって切断し、そして直鎖状envプラスミドをアガロースゲル上の
制限分析によって確認し、そしてGene Clean方法(Bio 101, Vista, CA)によっ
て精製し、次いでそれぞれのTVTMインサートおよびT4DNAリガーゼ(Ne
w England Biolabs, Beverly, MA)でRTで3時間または4℃で終夜のいずれか
でライゲートした。
【0070】 得られる「エスコート」構築物において、グリシンリンカーの側方のTVTM
ペプチドは、アミノ末端のBstEII部位と膜貫通(TM)ドメインに隣接し
て位置するAvrII部位の間で、MLV自己向性env表面(SU)タンパク
質の全レセプター結合領域を置換した。ライゲーションの後、プラスミドDNA
の種々の構築物をE. coliのXL1 Blue株に形質転換し、そしてアンピシリン
選択下、LBアガープレート上で成長させた。プラスミドDNAを、QIAprep
Miniprep Kits(Qiagen, Valencia, CA)を使用して選択された形質転換クローン
から抽出した。それぞれの構築物を、それぞれのインサートの酵素消化および分
析、次いでT7 Sequenase配列決定キット(Amersham Life Science, Inc., Cleve
land, Ohio)を使用する直接的DNA配列分析によって確認した。
【0071】 レトロウイルスベクターストックの作成。WTenvを有するレトロウイルスベ
クターおよび/またはTVTMを有する「エスコート」タンパク質構築物を、野
生型(WT)両種向性または自己向性envタンパク質を共発現した、3または
4つのプラスミド一過性トランスフェクションシステム(38)を使用してアセ
ンブルした。パッケージングコンポーネントgag−pol、WTenv、キメ
ラenv、およびCMVプロモーターから発現される核ターゲティング性βガラ
クトシダーゼ発現構築物を有するレトロウイルスベクターを、それぞれがSV4
0複製開始点を含む、別個のプラスミド上に置いた。10μgのそれぞれのプラ
スミド(pcgp、pCAE、pCEE+またはpCEECのいずれか、pES
CORTおよび、pcnBg)を、カルシウムフォスフェート方法によって、S
V40ラージT抗原を発現している、293T細胞(米国特許番号595222
5)に共トランスフェクションさせた。プロデューサー細胞をその後、10mM
のナトリウムブチレートで8ないし12時間処理し、ビリオン生成を容易化し、
次いでレトロウイルス上清をトランスフェクション後t=48時間に収集した。
【0072】 ウイルスプロセッシングおよびキメラenvタンパク質のレトロウイルスベクタ
ーへの取り込み。293T細胞ライセート中の発生しようとしているWTenv
タンパク質gp70および/またはキメラenv「エスコート」タンパク質の発
現レベルを、以前記載の様に(39)、gp70のSUドメインのC末端に対す
るラットモノクローナル83A25抗体を使用する、ウェスタン分析によって評
価した。ビリオンへのenv取り込みを評価するために、ウイルス粒子を可溶性
タンパク質および細胞残骸から20%スクロース勾配(PBSにおける)で精製
し、そしてビリオン会合性タンパク質を、抗gp70および抗p30抗体を使用
するウェスタン分析に付した(39)。
【0073】 ウイルス力価の決定。テストレトロウイルス上清の感染性力価を標準化し、そし
て核ターゲティング性βガラクトシダーゼレポーター遺伝子(40)の発現にも
とづいて定量し、これは偏向顕微鏡によって決定された。簡単には、DMEM−
10% FBS(D10)中の2.5×10のNIH3T3細胞を、形質導入
の1日前に6ウェルのプレートのそれぞれのウェルに置いた。1mlの新鮮D1
0培地を培養物に添加した後、培地を、2時間、8μg/mlポリブレンを有す
るそれぞれのレトロウイルス上清の1mlの連続希釈物で置換し、これを5%C
で37℃で終夜維持した。次いで、それぞれの培養物をX−Gal組織化学
的染色剤によって形質導入の48時間後に染色し、形質導入細胞(青緑色の核を
有する細胞)における核ターゲティング性βガラクトシダーゼの存在を検出した
。ウイルス力価を、ベクター上清のmlあたりのβガラクトシダーゼポジティブ
コロニー形成単位の数として表現した(cfu/ml)。
【0074】 ヒト内皮細胞へのウイルス結合。KSY1ヒトカポジ肉腫細胞(CRL−114
48)およびHUVEヒト臍静脈内皮細胞(CC−2517)を、それぞれAmer
ican Type Cell Culture COllection(ATCC, Bethesda Md)およびClonetics(San
Diego, CA)から入手した。ウイルス結合の定量のために、1×10KSY1ま
たはHUVE細胞を微量遠心管中のD10に懸濁し、そして1mlのテストベク
ター上清を添加した(ウイルス力価を1×10cfu/mlで標準化した)後
、15秒間スピンダウンした。混合物をRTで30分間穏やかに振とうしながら
インキュベーションした。細胞をD10で2回洗浄し、それからgp70MLV
envタンパク質のC末端に対して指向されたラットモノクローナル83A25
Abの存在下で300μl中で再懸濁し(41)、そしてRTで1時間インキュ
ベーションした。細胞を再びD10培地で2回洗浄し、それから500μlの1
:2500HRP−ヤギ抗ラットIgG(Zymed Laboratories Inc.)中でRT
で30分間インキュベーションした。
【0075】 洗浄後、細胞を500μlの1:1000ラットペルオキシダーゼ抗ペルオキ
シダーゼ抗体(Sternberger Monoclonals, Inc)中でRTで30分インキュベー
ションした。洗浄後、細胞を100μlのTMBシングル溶液(Zymed Laborato
ries Inc.)中に再懸濁し、そして96ウェルELISAプレートに移し、ここ
で呈色反応(青)の強度をRainbow Spectra ELISAリーダー(TECAN, Inc., NC)
でOD650nmで読んだ。
【0076】 ヒト内皮細胞の形質導入。KSY1またはHUVE細胞を、1%ゼラチンコート
皿上で、KSY1培地(2%のFCS、1%のピルビン酸ナトリウム、1%の必
須アミノ酸、1%の非必須アミノ酸、1mMのグルタミン、および1%のペニシ
リン−ストレプトマイシンからなる)、またはHUVE培地(Iscove's修飾Dulb
eccos's/Ham F-12培地からなり、15%のFCS、1%のペニシリン/ストレ
プトマイシン、45μg/mlのヘパリンおよび10μg/mlのECGSで補
足した)のいずれかで補足したPRMI1640中で培養した。形質導入実験の
ために、3mlのKSY1培地またはHUVE培地における0.5ないし1.0
×10のKSY1またはHUVE細胞を6ウェルプレートのそれぞれのゼラチ
ンコートウェルに置き、そして37℃で終夜付着させた。続く朝、培地を1ml
の新鮮KSY1またはHUVE培地と置換した。培養物をウイルス力価を等価と
するため標準化した1mlのそれぞれのテストベクター上清で、37℃で30分
間ポリブレン(8μg/ml)の存在下で形質導入させた。
【0077】 その後、2.5mlの新鮮培地を培養物に添加し、次いでそれを37℃で終夜
インキュベーションした。次いで培地を新鮮培地と置換し、そして培養物をさら
に37℃で48時間インキュベーションした。次いで細胞をX−Gal染色剤で
染色し、核ターゲティング性βガラクトシダーゼ活性の存在を偏向顕微鏡下で視
覚化した。得られる形質導入効率を定量するために、KSY1細胞についてそれ
ぞれのテスト群の5低力(10×)フィールドを(〜1500細胞/フィールド
)、そしてHUVE細胞について10低力フィールド(〜500細胞/フィール
ド)を写真撮影した。形質導入効率を、ポジティブ細胞(青色染色核を有する細
胞)の数を、低力フィールドあたりの細胞の総数で割って100をかけることに
よって%として表現した。
【0078】 結果 6種のNGRを有するTVTMモチーフを比較評価のために選択した(図1)
。2種の推定環状ペプチド(TVTM−1およびTVTM−2)および1種の線
状ペプチド(TVTM−3)は、以前、線状ファージ(filamentous phage)の
表面上に発現されたとき、インビボで腫瘍血管について選択性を示した(36)
。残りの3種のTVTM(TVTM−4、TVTM−5、およびTVTM−6)
は新規ペプチドである。TVTM−4は、コアNGRモチーフに疎水性残基(L
eu)N末端および極性残基(Ser)C末端を含ませるようなTVTM−3の
特異的修飾を導入する。TVTM−5およびTVTM−6は、第9のフィブロネ
クチンIII型リピートに存在する、隣接C末端残基(Glu−Glu−Ser−
Pro)の影響を試験するために設計された、NGRモチーフの同類(cogener
)を構成する(42)。
【0079】 グリシン残基は二次構造に柔軟性を付加し、そしてキメラレトロウイルスエン
ベロープタンパク質の折り畳みを容易化させるための努力中に、それぞれのTV
TMの側方のリンカーとして含まれた。それぞれの6種のTVTMをcDNA配
列中にコード化し、二本鎖オリゴヌクレオチドとして調製し、そして修飾CEE
Cベクターにクローニングし(材料および方法参照)、ここに独特のクローニン
グ部位(特異的にAvrII)をgp70表面タンパク質のプロリンリッチヒン
ジ領域付近に付加した。それぞれのターゲティング自己向性envであって「エ
スコート」タンパク質と称され、WTenvを伴うように特別に設計したものを
、TVTMインサートをBstEIIおよびAvrIIクローニング部位にライ
ゲートすることによって調製し、こうして自己向性envタンパク質の全レセプ
ター結合ドメインをそれぞれのTVTM/リンカー構築物で置換した。CEE+
ベクター内の特定されたクローニング部位の一次構造は、フィブロネクチン内に
見出される、第9および第10のIII型リピートの、コア細胞結合モチーフ(
NGRおよびRGD)の側方の一次構造に大雑把に近似していることが注目され
る(図1参照)。
【0080】 一過性トランスフェクションすると、すべての6種のTVTMenvタンパク
質をヒト293Tレトロウイルスベクタープロデューサー細胞で発現させ、それ
ぞれは、〜66kDaの明かな分子量を示した。図2に見られるように(パネル
AおよびC)、6種のenv「エスコート」タンパク質の発現は、WTenvタ
ンパク質(これはベクター向性および感染性(すなわち、自己向性、CEEまた
は両種向性、CAE)を付与する)の共発現によって障害を受けなかった。それ
ぞれのTVTM「エスコート」タンパク質は、精製ウイルス粒子で検出されない
かもしれない;しかし、取り込み効率の顕著な相違は観察されなかった(図2、
パネルBおよびD参照)。6種のうち5種のTVTMタンパク質は、WT CE
EまたはCAEenvの不存在下でウイルス粒子に安定的に取り込まれ、例外は
TVTM2であり、これは取り込み効率の点で一貫してより低い。
【0081】 TVTM3およびTVTM6の場合は、野生型エンベロープの共発現が、修飾
「エスコート」タンパク質の取り込みを促進することとが観察され、これはおそ
らく四次構造の構造的相補性のためである(43、44)。線状ペプチド配列(
TVTM3−6)のみがWTenvによって化学量論的に取り込まれることが注
目され、これは、適当なアセンブリー、プロセッシング、およびウイルス粒子へ
の安定的取り込みを示している。NIH 3T3細胞における対応するウイルス
力価の試験によって(これは零(TVTMenv単独について)からTVTM2
+WT CEEベクターについての1.6×10までの範囲である(表1参照
))、観察される融合および感染性は、野生型(CEEまたはCAE)エンベロ
ープパートナーの共発現および融合誘導特性のみによってもたらされることが確
認される。
【0082】 TVTMを有するレトロウイウルスベクターのインビトロでの活性化内皮細胞
への結合を試験するために、我々は、ヒトカポジ肉腫内皮細胞(KSY1、AT
CC)を利用した。これは、VEGFおよびVEGFレセプターの両方の一貫性
のある(自己分泌性の)発現を示している(45)。テストベクターを自己向性
CEE(齧歯動物特異的)エンベロープパートナーと共発現させた。これは、ヒ
ト細胞を認識/感染しない。図3Aおよび3Bは、WT CEEenvを有する
ベクターと比較して、TVTM2、4、5および6を有するウイルス粒子の、K
SY1細胞への高い親和性の結合を示しており(p<0.05)、これはCAE
(自己向性)エンベロープを有する(ポジティブコントロール)ベクターのそれ
と同じかより大きかった(TVTM6+CEEについて、p<.05)。これに
対して、TVTM1およびTVTM3を有するベクターの細胞結合親和性は、T
VTM2、4、5または6を有するベクターよりも実質的により低いことが注目
された。最小の結合を、WT CEE(自己向性)envのみを有するベクター
で観察した。
【0083】 次に、我々は、VEGFによる予備処理の前および後の通常のヒト内皮(HU
VE)細胞上でのTVTMを有するレトロウイルスベクターの細胞結合特性を試
験した。以前の結合研究におけるように、WT CEEenvを、WT CAE
envのかわりにTVTMエスコートタンパク質と共発現させ、ベクター融合お
よび侵入(これは、結果の解釈を混乱させている)を防止した。細胞結合の顕著
な増加が、WT CEEenv単独と比較して、選択されたTVTM5エスコー
トタンパク質の共発現によってもたらされた(p<.01);しかし、細胞結合
の観察される増加は、48時間のHUVE細胞へのVEGFの曝露によって有意
に減少した(p<.01)。さらなる研究を細胞密度、ならびにVEGF予備処
理が、ヒト内皮細胞におけるTVTMレセプター発現に及ぼす影響について試験
するために計画した。
【0084】 これらの研究の結果は(図4A−4B参照)、低密度条件下で培養されたとき
のVEGFへ曝露されたKSY1細胞上でのTVTMレセプター発現の有意な下
方調節(p<.05)、および高密度で培養された細胞におけるより低い程度を
表した。HUVE細胞で取得された、同様の結果により(図4Cおよび4D参照
)、TVTMレセプター発現および/またはTVTM6をディスプレイしている
ベクターへの結合は、低密度条件下で成長した細胞で最高であったことが示され
、これはVEGFによる予備処理によって再び減少した(p<0.001)。
【0085】 前記の細胞結合の研究でのように、テストベクター上清を細胞性形質導入の研
究のために調製し、例外として、ヒト細胞の形質導入を可能とするために両種向
性envパートナー(WT CAE)を利用した。得られるベクターを次いで、
NIH 3T3細胞の形質導入に基づいて(表1参照)、力価の等価性のために
標準化した(1×10cfu/ml)。これらの比較条件下で、TVTMエス
コートタンパク質をディスプレイしているベクターは、WT CAEベクター単
独についておよそ12.2±SEM1.4%からWT CAE+TVTM5ベク
ターについて37.4±1.7%(p<0.001)、およびWT CAE+T
VTM6ベクターについて31.0±2.5%(p<0.001)に形質導入効
率を有意に増強した。さらに、形質導入効率の10倍の増加をHUVE細胞で観
察した(WT CAEベクター単独について0.4%、WT CAE+TVTM
−6ベクターについて4.2%まで;p<0.001;表2)。これらの結果は
、TVTMについて、なお同定されない活発な内皮細胞レセプターへのウイルス
結合の増強による、細胞特異的ターゲティングおよび形質導入を示している。
【0086】 考察 血漿並びに細胞外マトリクス(ECM)に比較的高濃度で見出される遍在する
接着性糖タンパク質であるフィブロネクチンは、発育、傷治癒、および止血のと
きの細胞とECM相互作用を仲介するように機能する。可溶性フィブロネクチン
は一般に、1対のジスルフィド結合によって共有的に連結された、2つの同一で
はない(あるいはスプライシングされた)サブユニトから構成されるダイマーで
あり、一方、フィブロネクチンの不溶性マトリクス形態は、オリゴマーおよびフ
ィブリルとして配列される(46)。フィブロネクチン分子の一次構造はモザイ
ク性であり、ECMコンポーネントまたは細胞膜レセプターのいずれかと相互作
用する一連の構造的に明瞭なドメインからなり、そして柔軟性のあるペプチドセ
グメントによって連結されている(42、46)。接着性細胞のインテグリンレ
セプターによって認識される、中央の細胞結合ドメインが特に興味深い(47、
48)。
【0087】 これらのドメイン内で同定された活性部位(49)には、第10のIII型リ
ピート(50、51)のRGDモチーフおよび第9のIII型リピート(33−
35)のNGRモチーフが含まれる。αβおよびαβインテグリンのR
GDを有するタンパク質への結合が決定的に示されたが(33−35、52)、
NGR細胞結合モチーフについて選択性である細胞性レセプター(複数含む)が
、いまだ同定されなかった(36)。フィブロネクチンの徹底的な欠失研究によ
って、第10のIII型リピート内のRGD細胞結合ドメインの重要性が示され
た(53);しかし、さらなるドメインが全体的結合親和性に寄与しており、そ
して特に隣接するIII型リピートとの共働的相互作用が報告されている(54
、55)。
【0088】 線状ファージ(filamentous phage)がディスプレイしているNGRモチーフ
は、RGDモチーフと比較して非類似のインテグリン結合親和性および置換力学
を示し、このことは、NGRモチーフについての細胞性レセプター(複数含む)
がRGDのそれと同一ではないことを示している(35、36)。さらに、イン
ビボでの通常血管に対する腫瘍会合性血管への接着性の観点から、NGRを有す
るファージの腫瘍ホーミング比率は、RGDを有するファージよりも数倍大きく
(36)、したがって、RGDとNGR細胞結合モチーフは実際、機能的に明瞭
に区別できることが確認される。
【0089】 この研究では、腫瘍血管ターゲティングモチーフ(TVTM)と称する、一連
のNGRを有するペプチド同類(congener)の成績を、腫瘍血管および/または
転移性癌を追跡するばあいに散開しているレトロウイルスベクターのプレリュー
トとして試験した。TVTMを、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)en
v「エスコート」タンパク質のコンテクスト(context)内にディスプレイし、
これはコンポジットベクターに機能を獲得している表現型(gain-in-function-p
henotype)をもたらすための感染性WTenvを伴う非感染性envタンパク質
として定義される。類似モチーフを可溶性ペプチド(56−58)または線状フ
ァージの表面タンパク質(59、33−35)のいずれかのコンテクスト内でデ
ィスプレイしたとき、環状コンフィギュレーションが有利であると見出されたの
に対して、環状NGR同類(TVTM1およびTVTM2)をヒトプロデューサ
ー細胞で容易に発現させたが(図2A)、ビリオンにほとんど取りこまれず(T
VTM2、図2B参照)、予測された高親和性結合特性を示すことはなかった(
TVTM1、図3参照)。
【0090】 例えば、TVTM5に非常に類似しているコアNGRモチーフの側方の配列を
示す、環状TVTM2は、ウイルス粒子にほとんど取りこまれなかったが(図2
B参照)、標的細胞に比較的よく結合した(図3Aおよび図3B)。これに対し
、線状TVTMはウイルス粒子により容易に取りこまれ(図2Bおよび2D)、
そして遊離ペプチドまたは線状ファージと異なり、線状TVTM設計を有するキ
メラベクターの内皮細胞結合特性は優れていた(図3)。タンパク質折り畳みに
よる環状モチーフ、ジスルフィド結合形成、および修飾エンベロープタンパク質
の分泌を生ずる、付加的なシステイン残基の一般的な妨害を除くことはできない
が、MLVエンベロープタンパク質の二次および三次構造は線状ファージまたは
遊離ペプチドよりもより抑制されているようである。いずれかの事象で、レトロ
ウイルスエンベロープタンパク質のウイルス粒子への取り込みがレトロウイルス
ベクター生成の重要な特徴であるから、線状ペプチドモチーフはこの目的のため
により好ましいと考えられる。
【0091】 この研究の結果は、コアNGRモチーフの側方のアミノ酸残基の付加および置
換の両方が、標的細胞結合へ深遠な影響を有することを示している。TVTM4
の細胞結合親和性はTVTM3のそれよりも有意により大きく、これにより、第
1にNGRモチーフへのC末端に近いSer残基の付加、そして第2にN末端の
近くのLeu残基の付加が注目される。興味深いことに、C末端Ser残基はフ
ィブロネクチンの第9のIII型リピート(NGR)上に存在せず、これはさら
に、第10のIII型リピートのランダムな変化から明白であり(34、35)
、そしてフィブロネクチンのRGD細胞付着促進性配列に類似する配列を有する
、広いスペクトルのタンパク質に保存されている(50)。
【0092】 TVTM4、並びにTVTM5およびTVTM6のNGRモチーフの側方のN
末端Leu残基が、ネイティブフィブロネクチンの第9のIII型リピートに(
図1)、そして再びランダムファージディスプレイライブラリーのスクリーンに
見出される(34)。TVTM5およびTVTM6は、レトロウイルス粒子への
安定的取り込みおよび比較的大きい細胞結合形質を示す。これらの構築物は、側
方残基がフィブロネクチンの第9のIII型リピートに緊密に近似している線状
ペプチドを表し、(i)N末端Ala−Leuリーダー配列、(ii)コアNGRモチ
ーフのC末端側の1つ(TVTM5)または2つ(TVTM6)の負に荷電した
Glu残基;次いで(iii)ネイティブフィブロネクチンの第9および第10のI
II型リピートの両方に存在する、I型βターンであるようであるものを構成し
ている、Ser−Pro配列(60)を含む。
【0093】 フィブロネクチン細胞結合ドメインの構造および機能を考察すると(48、3
4)、ランダムファージディスプレイライブラリーから確認される(36)、よ
り大きいホーミング比率(腫瘍/コントロール臓器)の原因となる、活性部位と
してのC−NGR−Cモチーフ(CNGRCVSGCAGRCファージ内)の同
定が注目される。概念的には、腫瘍微小環境の影響下では、非悪性であるが活性
化されている内皮細胞が、静止内皮細胞上で高度に発現されていない、接着性分
子および/またはレセプター複合体を発現し、そしてこのレセプターが、保存さ
れそして天然選択によって高親和性相互作用へ導かれているフィブロネクチンの
特異的モチーフ(すなわちNGR)を認識することがもっともらしい。
【0094】 実際、もし機能し得る選択性が、未定義の「TVTMレセプター」の発現によ
るものであり、そして結合ペプチド(それは遍在フィブロネクチン分子の一次構
造内に固有である)の精密な配列選択性によらないものならば、そのときはフィ
ブロネクチン様配列それ自体を利用することが、TVTM5およびTVTM6に
おけるように有利であるかもしれない。実際、TVTM4、5および6は、レト
ロウイルスベクター生成、レトロウイルス粒子の膜タンパク質の安定性、および
得られるTVTMを有するビリオンの、増殖中の内皮細胞およびトランスフォー
メーションしたKSY1細胞への結合相互作用の観点から最も好適であるべきだ
と決定される。推定TNTMレセプターに関して、培養における通常およびKS
Y1内皮細胞の両方のTNTM結合特性が、低密度条件で成長した細胞で最高で
あり、そして長時間(48時間)のVEGFでの予備処理によって有意に減少し
たように、TVTMを有するベクターの細胞結合特性の薬理学的調節が、また、
これらの研究で観察されたことが注目されるのが妥当である。VEGF、並びに
高い細胞密度による、観察された、TVTMが標的細胞へ結合することの下方調
節は、他の成長調節分子が推定TVTM細胞性レセプターの生理学的上方調節に
おいて企図され得ることを示唆している。
【0095】 レトロウイルスベクターターゲティングおよび将来の遺伝子治療の観点から、
好適な親和性、選択性、およびインビボ適用への安定性を示す、ターゲティング
性注射可能ベクターの開発が、重要な目的として残っている(61)。ターゲテ
ィングレトロウイルスベクターのための多くの創造的システムが設計されたが(
62)、今日のほとんどの成功したアプローチは、ECMコンポーネントをML
V表面(SU)タンパク質の一部と認識し、ベクターを標的細胞の付近のECM
に集中させる、リガンドの挿入に関係する(63)。同様に、レトロウイルス粒
子および標的細胞の特異的フィブロネクチンフラグメント上での共局在化が、イ
ンビトロの培養細胞の形質導入を増加させることが示された(64)。
【0096】 腫瘍血管へ特異的にホーミングする、ランダムファージディスプレイ技術によ
り決定される最小/最適ペプチド配列を利用して、ターゲティング性抗がん薬物
−ペプチドコンジュゲートを開発し、それはヒト乳癌異種移植片を有するヌード
マウスの循環へ注射したとき、高い効験および低い毒性を示す(36)。本研究
はこれらの腫瘍血管ターゲティングモチーフ(TVTM)そしてこれらのコグネ
イトレセプターの我々の理解を広げ、そしてターゲティング性レトロウイルスベ
クターを含むTVTMの定義されたサブセットの可能性のある利用性を拡大する
【0097】 要するに、フィブロネクチンの第9のIII型リピートに近似する一連の線状
ペプチドを含む、設計された一連のNGRを有するペプチド同類の成績を試験す
るための改変アプローチを利用し、そして戦略的リンカーおよびクローニング部
位を含む、MLVenv「エスコート」タンパク質のコンテクストに提示される
、3種の新規設計物(TVTM4、TVTM5およびTVTM6)が、タンパク
質発現、レトロウイルスベクター生成、および細胞結合親和性の観点から、最も
好適であることを決定した。これらの最適化されたTVTMを有するenv「エ
スコート」タンパク質は、ヒト内皮細胞でのレトロウイルス細胞結合親和性およ
び形質導入効率を増加させるのに役立つターゲティングエレメントとして機能す
ることがさらに示され、このことは、治療血管形成および/または抗血管形成/
抗癌戦略での遺伝子送達を改良するための可能性のある有用性を示している。
【0098】 表1 レトロウイルスベクターのウイルス力価 腫瘍血管ターゲティングモチーフをディスプレイする
【表2】 CEE=野生型エンベロープを有する、自己向性レトロウイルスベクター CEE+TVTM(1−6)=エスコートenvタンパク質としてTVTM(1
−6)をディスプレイする、自己向性レトロウイルスベクター CAE=野生型エンベロープを有する、両種向性レトロウイルスベクター CAE−+TVTM(1−6)=エスコートenvタンパク質としてTVTMを
ディスプレイする、両種向性レトロウイルスベクター 表の結果を2反復測定の算術平均として表す。
【0099】 表2 レトロウイルスベクターの形質導入効率 腫瘍血管ターゲティングモチーフをディスプレイする
【表3】 CAE=野生型エンベロープを有する、両種向性レトロウイルスベクター CAE+TVTM5=エスコートenvタンパク質としてTVTM−5をディス
プレイする、両種向性レトロウイルスベクター CAE+TVTM6=エスコートenvタンパク質としてTVTM−6をディス
プレイする、両種向性レトロウイルスベクター 表の結果を算術平均±SEMとして表す。 ND=検出せず p値=CAE(野生型エンベロープを有するベクター)と比較したときの有意水
【0100】 実施例2 本実施例では、我々は選択したTVTMを、シングル両種向性エンベロープコ
ンフィグレーションで取り込ませ、そして得られるベクターを活性化微小血管内
皮細胞への結合親和性について評価した。最適のTVTMを有するベクターを、
次の癌の動物モデルのインビボでの使用のために、インビトロの形質導入アッセ
イでさらに試験した。
【0101】 材料および方法 細胞株、細胞培養条件およびプラスミド。マウスラス活性化微小血管内皮細胞(
SVR)をClonetics(San Diego, CA, USA)から入手した。マウスNIH3T3
(CRL 1658)およびヒト臍静脈内皮(HUVE)細胞(CRL1126
8)は、American Type Cluture Collection(Rockville, MD, USA)によって供給
された。SV40ラージT抗原(293T)でトランスフォーメーションされた
、ヒト胚性腎臓細胞株は、Dr. Michele Calos, Stanforf University, Palo Alt
o, CAの好意により提供された。NIH3T3、293TおよびSVR細胞を、
10%胎児ウシ血清で補足したDulbecco's修飾Eagle's培地(D10;Gibco BRL
, Gaithersburg, MD, USA)で維持した。
【0102】 HUVE細胞を1%ゼラチンコート皿上で、10%の胎児ウシ血清、1%のピ
ルビン酸ナトリウム、1%の必須アミノ酸、1%の非必須アミノ酸、1mMのグ
ルタミン、および1%のペニシリン−ストレプトマイシンで補足した、RPMI
1640で培養した。ウイルスgag pol遺伝子を含むプラスミドpcgp
、および核ターゲティング性βガラクトシダーゼ構築物を発現している、pcn
Bgである、レトロウイルスベクターは、それぞれDrs. Paula CannonおよびLin
g Li(USC Gene THerapy Laboratories, Los Angeles, CA)の好意によって提供
された。gp70envタンパク質のC末端に対して指向される、83A25と
いうラットモノクローナル抗体は、Dr. Leonard Evans(Rocky Mountain Laborat
ories, MT)によって提供された。
【0103】 腫瘍血管ターゲティングモチーフをディスプレイしている、MLVに基づく両種
向性エンベロープタンパク質の分子クローニング。粘着末端を有するTVTMイ
ンサートを、引用文献のHall et al., 2000(66)に記載のように、N末端付近に
独特なpst1制限部位を含むように改変された修飾エンベロープ構築物(CA
E−P)にクローニングした。簡単には、MLVに基づくenv構築物をPst
−1で切断し、直鎖状envプラスミドをアガロースゲル上で制限分析によって
確認し、そしてGene Clean 方法(Bio 101, Vista, CA)によって精製し、次い
で室温3時間または4℃終夜のいずれかでそれぞれのTVTMインサートおよび
T4 DNA リガーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)でライゲートし
た。
【0104】 得られる構築物では、グリシンリンカーの側方のTVTMペプチドを、CAE
−Pエンベロープ糖タンパク質のa.a.6と7の間の改変Pst−1部位に挿
入した。ライゲーションの後、種々のプラスミドDNAの構築物を、E. coliの
KL1 Blue株に形質転換させ、そしてアンピシリン選択下でLBアガープ
レート上で成長させた。プラスミドDNAを、QIAprep Miniprep Kits(Qiagen,
Valencia, CA)を使用して選択された形質転換クローンから抽出した。それぞれ
の構築物を、それぞれのインサートの酵素消化および分析、次いで直接的DNA
配列分析によって確認した。
【0105】 レトロウイルスベクターストックの作成。WTenvを有するレトロウイルスベ
クターおよび/またはTVTMを有する構築物を、3種のプラスミド一過性トラ
ンスフェクションシステム(38)を使用してアセンブルした。パッケージング
コンポーネントgag−pol、WTenvまたはキメラenv、およびCMV
プロモーターから発現される核ターゲティング性βガラクトシダーゼ発現構築物
を有するレトロウイルスベクターを、別のプラスミドであってそれぞれがSV4
0複製開始点を含むものに置いた。10μgのそれぞれのプラスミド(pCgp
、pCAE、pTVTM−4、pTVTM−5またはpTVTM−6、およびp
CnBg)を、カルシウムフォスフェート方法によって、SV40ラージT抗原
を発現する293T細胞に共トランスフェクションさせた。プロデューサー細胞
を、次に、10mMのナトリウムブチレートで8ないし12時間処理し、ビリオ
ン生成を促進し、そしてレトロウイルス上清をトランスフェクション後t=24
時間で収集した。
【0106】 ウイルスプロセッシングおよびキメラenvタンパク質のレトロウイルスベクタ
ーへの取り込み。293T細胞ライセートでの発生期のWTenvタンパク質g
p70および/またはキメラenvタンパク質の発現レベルを、以前記載のよう
に(39)、gp70のSUドメインのC末端に対するラットモノクローナル8
3A25抗体を使用して、ウェスタン分析によって評価した。ビリオンへのen
v取り込みを評価するために、ウイルス粒子を可溶性タンパク質および細胞残骸
から20%スクロース勾配(PBSにおける)で精製し、そしてビリオン会合性
タンパク質を抗gp70および抗p30抗体(39)を使用するウェスタン分析
に付した。
【0107】 ウイルス力価の決定。マウスNIH3T3細胞でのウイルス力価を、βガラクト
シダーゼ導入遺伝子の発現に基づいて、以前記載のように決定した(40)。ウ
イルス力価を、βガラクトシダーゼポジティブコロニー形成単位、(cfu)/
ml培地の数として表した(表3)。
【0108】 表3 レトロウイルスベクターの形質導入効率 腫瘍血管ターゲティングモチーフをディスプレイする
【表4】 CAE=野生型エンベロープを有する両種向性レトロウイルスベクター CAE+TVTM−5=TVTM−5をディスプレイする、両種向性レトロウイ
ルスベクター CAE+TVTM−6=TVTM−6をディスプレイする、両種向性レトロウイ
ルスベクター 表の結果は算術平均+SEMとして表す ND=検出せず p値=CAE(野生型エンベロープを有するベクター)と比較したときの有意水
【0109】 ヒト内皮細胞へのウイルスの結合。ウイルスの結合の定量のために、5×10 HUVE細胞を微小遠心管中のRPMI1640に懸濁し、そして1mlのテス
トベクター上清を添加した後(ウイルス力価を〜1×10cfu/mlに標準
化した)、15秒間スピンダウンした。混合物を室温で30分間穏やかに振とう
しながらインキュベーションした。細胞をD10(DMEM−10%FBS)培
地で2回洗浄し、それからgp70MLVenvタンパク質(41)のC末端に
対して指向されるラットモノクローナル83A25Abの存在下で300μlに
再懸濁し、そして室温で1時間インキュベーションした。細胞をD10で再び2
回洗浄し、それから500μlの1:2500HRP−ヤギ抗ラットIgG(Zy
med Laboratories Inc.)中で室温で30分インキュベーションした。洗浄後、
細胞を500μlの1:1000ラットペルオキシダーゼ抗ペルオキシダーゼ抗
体(Sternberger Monoclonals, Inc.)で室温で30分間インキュベーションし
た。洗浄後、細胞を100μlのTMBシングル溶液(Zymed Laboratories Inc
.)中に懸濁し、そして96ウェルELISAプレートに移し、ここで、呈色反
応(青色)の強度を、Rainbow Spectra ELISA リーダー(TECAN US, Inc., NC)
によって読んだ。
【0110】 活性化微小血管内皮(SVR)およびHUVE細胞の形質導入。形質導入実験の
ために、3mlのD10中の5×10のSVR細胞を、それぞれの未コートの
プラスチックウェルに置き、そして3mlのRPMI−2%(RPMI 164
0中の2%FBS)中の2.5×10のHUVE細胞を、6ウェルプレートの
それぞれのゼラチンコートウェルに置き、そして終夜37℃で付着させた。培養
物を、ポリブレン(8μg/ml)の存在下、ウイルス力価の等価性のために標
準化した1mlのそれぞれのテストベクター上清で、37℃30分間形質導入さ
せた(Liu et al., 2000)。その後、2.5mlのそれぞれの新鮮な培地を培養
物に添加し、次いで48−72時間37℃でインキュベーションした。次いで、
細胞をX−Gal染色剤で染色し、偏向顕微鏡下で核ターゲティング性βガラク
トシダーゼ活性の存在を検出した。3反復の実験で、βガラクトシダーゼポジテ
ィブ細胞(青色染色核を有する細胞)の数を各テスト群の3ないし4低力(10
X)フィールドでカウントし(〜1000総SVR細胞/フィールド;〜500
HUVE細胞/フィールド)、そして形質導入効率を%βガラクトシダーゼ発現
細胞として表した。
【0111】 結果 3種のNGRを有するTVTMモチーフを、比較評価のために選択した。TV
TM−4は、コアNGRモチーフに疎水性残基(Leu)N末端および極性残基
(Ser)C末端を含む、TVTM−3の特異的修飾を導入する(65)。TV
TM−5およびTVTM−6は、第9のフィブロネクチンIII型リピートに存
在する、隣接C末端残基(Glu−Glu−Ser−Pro)の影響を試験する
ために設計されるNGRモチーフの同類を構成する(42;65)。グリシン残
基は、二次構造の柔軟性を付加し、そしてキメラレトロウイルスエンベロープタ
ンパク質の折り畳みを促進する努力中に、TVTMのそれぞれの側方のリンカー
としての構築物に含まれた。3または5つの連続性TVTM−6を組みこんでい
るさらなる構築物を、これらの比較研究のために調製した。
【0112】 我々は、293T細胞のライセート(lysate)におけるWT CAEおよびT
VTMenvタンパク質のenvタンパク質発現レベルの比較評価をした。本実
施例の材料および方法に記載のように、レトロウイルス上清を20%スクロース
勾配で精製し、そしてウイルスペレットを抗gp70および抗p30抗体を使用
してウェスタン分析に付した。一過性トランスフェクションすると、すべての3
種のTVTMエンベロープタンパク質が発現され、そしてヒト293Tレトロウ
イルスベクタープロデューサー細胞で正確にプロセッシングされ、それぞれは、
ウェスタン分析によって確認されるように、明かに分子量〜60kDaを示した
。3種の修飾エンベロープタンパク質の発現は、WTenvタンパク質の不存在
によって障害を受けず、そしてWT CAEまたはキメラTVTMenvタンパ
ク質を有するレトロウイルスベクターのビリオン取り込みのレベルは、比較的で
ある。しかし、TVTM−4のウイルス粒子への取り込みは、TVTM−5また
はTVTM−6より相当に小さかった。TVTM−5およびTVTM−6をディ
スプレイしているベクターのウイルス力価は、106ないし108の範囲であっ
た。このことは、効率的なアセンブリー、プロセッシング、およびウイルス粒子
への安定的な取り込みを指摘している。複数のTVTMは、また、有意な力価の
喪失なくビリオンへ組込まれた。
【0113】 TVTMを有するレトロウイルスベクターのインビトロでの活性化内皮細胞へ
の結合を試験するために、我々は、増殖性ヒト臍静脈内皮HUVE細胞を利用し
た。これらの結合研究の結果は、TVTM−5およびTVTM−6を有するウイ
ルス粒子のHUVE細胞への高い親和性結合を実証し、これらはWTエンベロー
プを有する(CAE)ベクターのそれよりも有意に大きかった。これに対して、
3つのTVTM−6および5つのTVTM−6を有するベクターの細胞結合親和
性は、実質的により低く、このことは、複数のTVTMインサートの付与(pres
entation)は、基本的なターゲティングモチーフの成績を向上させないことを指
摘している。
【0114】 前記の細胞結合研究のように、テストベクター上清を細胞性形質導入研究のた
めに調製し、そしてNIH3T3細胞の形質導入に基づいて力価を等価とするた
めに標準化した。 これらの比較条件下で、TVTMをディスプレイしているベクターは、WTe
nvを有するベクターと比較して、SVR細胞での形質導入効率を有意に向上さ
せた。形質導入効率の平行的な増加が、また、HUVE細胞で観察された(表2
)。これらの結果は、なお未同定の力学的内皮細胞レセプターに対する補助的な
ウイルス結合の向上によって、細胞特異的にターゲティングし、そして形質導入
することを実証している。
【0115】 実施例2で我々は、シングルエンベロープコンフィグレーションでTVTMを
取りこんでいる一連の修飾4070A両種向性レトロウイルスベクターを構築し
、そして最適な構築物が、インビボの腫瘍微小環境をシミュレーションする条件
下で、高いウイルスと細胞の結合および活性化微小血管内皮細胞の8倍の高い形
質導入(すなわち、短いインキュベーション時間および希薄非濃縮ベクターの使
用)を示すことを実証した。両種向性envのN末端付近に取りこまれた1コピ
ーのTVTM−6は、レトロウイウルスベクター生成、レトロウイルス粒子のエ
ンベロープ安定性、および結合相互作用並びに活性化微小血管内皮細胞の形質導
入の観点から、最適なターゲティングモチーフであるべきであることが、決定さ
れた。
【0116】 要するに、我々は、最適な腫瘍血管ターゲティングモチーフをディスプレイす
るレトロウイルスベクターであって、WTenvの共発現なくWT感染性を示し
、優先的に内皮細胞に結合し、そしてインビトロの活性化微小血管内皮細胞にお
いて高い形質導入効率を示すものを生成した。あわせて、本ベクターは、ターゲ
ティング性注射可能ベクターとしてのインビボでのさらなる使用のための大きな
可能性を示す。
【0117】 ここで同定した、特許、刊行物(公開された特許出願を含む)、データベース
入力物、および寄託アクセッションナンバーのすべての開示は、あたかもそれぞ
れのそのような特許、刊行物、データベース入力物、および寄託アクセッション
ナンバーが引用により特別に、そして個々にここに取りこまれているかのように
、引用によりここに含まれる。 しかし、本発明の範囲は、前記の特定の実施態様に限定されるべきではないこ
とが、理解されるべきである。本発明は、特に記載の他にも実施され、そしてな
お添付クレームの範囲内であり得る。
【0118】 引用文献
【表5】
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
【表10】
【0124】
【表11】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 レトロウイルスエスコートタンパク質の腫瘍血管ターゲティング
モチーフ(TVTM)シリーズの概略図。TVTMは、腫瘍血管へレトロウイル
スベクターをターゲティングさせるように設計した。TVTM−1、TVTM−
2およびTVTM−3はインビトロパンニングアッセイで上方調節インテグリン
に選択的に結合し、そしてインビボで腫瘍血管で選択的に蓄積することが示され
た。TVTM−4、TVTM−5およびTVTM−6は新規ペプチドである。
【図2】 修飾エンベロープタンパク質の発現および腫瘍血管ターゲティン
グモチーフをディスプレイするレトロウイルスベクターへの取り込み。A、C)
293T細胞ライセートのWT CEE、WT CAE、TVTM単独、WT
CEE+TVTMおよびWT CAE+TVTMのenvタンパク質発現レベル
の比較。B、D)WT CEE、WT CAE、TVTM単独、WT CEE+
TVTM、およびWT CAE+TVTMを有するレトロウイルスベクターのビ
リオン取り込みのレベルの比較。gp70およびgagタンパク質のウェスタン
分析を、gp70envのC末端に対して、ラットモノクローナル抗体である8
3A25、およびp30に対してポリクローナル抗体を使用して実施した。
【図3】 自己向性(CEE)エンベロープタンパク質と共発現されるTV
TMエスコートタンパク質を有するレトロウイルスベクターのKSY1細胞結合
親和性。TVTMをディスプレイするベクターに対してWTenv(CEE*ま
たはCAE+)を有するベクターの結合親和性の比較を、ELISAウェル(A
)の暗黒化の程度の変化として示し、次いで、Rainbow Spectra ELISAリーダー(
B)のODA650の読みとして表現する。*=p<.05;***=p<.00
1;+=p<.05。
【図4A】 KSY1細胞のTVTMレセプターの密度依存性VEGF誘導
性下方調節。VEGFによる処置に続き、低または高密度KSY1細胞に対する
、TVTMをディスプレイするベクターに対するWTenvを有するベクターの
結合親和性の比較を、ELISAウェル(A)の暗黒化の程度の変化として示す
【図4B】 次いで、Rainbow Spectra ELISAリーダー(B)のODA650
の読みとして表現する。
【図4C】 VEGFによる処置に続き、低または高密度HUVE細胞に対
する、TVTMをディスプレイするベクターに対するWTenvを有するベクタ
ーの結合親和性の比較を、ELISAウェル(C)の暗黒化の程度の変化として
示す。
【図4D】 次いで、Rainbow Spectra ELISAリーダー(D)のODA650
の読みとして表現する。*p<.05、VEGFの不存在と比較;***p<.
001、VEGFの不存在と比較。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C07K 14/15 C07K 7/06 C12N 1/15 14/15 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 15/00 ZNAA 1/21 5/00 A 5/10 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 アーリンダ・マリア・ゴードン アメリカ合衆国91203カリフォルニア州グ レンデイル、パイオニア・ドライブ345番、 スウィート1803ダブリュー (72)発明者 ダブリュー・フレンチ・アンダーソン アメリカ合衆国91108カリフォルニア州サ ン・マリーノ、オックスフォード・ロード 960番 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA04 DA02 EA02 EA04 FA02 FA20 GA11 HA17 4B065 AA90X AA97Y AB01 BA01 CA44 4C084 AA02 AA13 BA44 CA53 NA14 ZA362 ZB212 ZB262 4C087 AA02 BC83 NA14 ZA36 ZB21 ZB26 4H045 AA10 AA30 BA15 BA54 CA01 DA50 EA20 FA72 FA74

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウイルス表面タンパク質を有するベクター粒子であって、当
    該ウイルス表面タンパク質がTVTMペプチドを含む、ベクター粒子。
  2. 【請求項2】 当該ベクター粒子がレトロウイルスベクター粒子であり、そ
    して該修飾ウイルス表面タンパク質が修飾レトロウイルスエンベロープである、
    請求項1に記載のベクター粒子。
  3. 【請求項3】 当該レトロウイルスエンベロープがレセプター結合領域を含
    み、当該レセプター結合領域が修飾され、TVTMペプチドを含むものである、
    請求項2に記載のレトロウイルスベクター粒子。
  4. 【請求項4】 当該TVTMペプチドがTVTM6である、請求項1ないし
    3のいずれかに記載のベクター粒子。
  5. 【請求項5】 1コピーのTVTMペプチドがウイルス表面タンパク質に含
    まれるものである、請求項1ないし4のいずれかに記載のベクター粒子。
  6. 【請求項6】 ウイルス表面タンパク質が、ウイルス表面タンパク質のN末
    端付近にTVTMペプチドを含むものである、請求項1ないし5のいずれかに記
    載のベクター粒子。
  7. 【請求項7】 修飾ポリヌクレオチドがTVTMペプチドをコードしている
    ポリヌクレオチドを含むものである、修飾ウイルス表面タンパク質をコードして
    いる修飾ポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 当該修飾ポリヌクレオチドが、修飾レトロウイルスエンベロ
    ープポリペプチドをコードするものである、請求項7に記載の修飾ポリヌクレオ
    チド。
  9. 【請求項9】 当該レトロウイウルスエンベロープポリペプチドがレセプタ
    ー結合領域を含み、ここで修飾ポリヌクレオチド中で、レセプター結合領域をコ
    ードしているポリヌクレオチドが修飾され、TVTMペプチドをコードしている
    ポリヌクレオチドを含むものである、請求項8に記載の修飾ポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 TVTMペプチドをコードしているポリヌクレオチドがT
    VTM6をコードしているポリヌクレオチドである、請求項7ないし9のいずれ
    かに記載の修飾ポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 TVTMペプチドをコードしている1コピーのポリヌクレ
    オチドが、ウイルス表面タンパク質をコードしている修飾ポリヌクレオチドに含
    まれるものである、請求項7ないし10のいずれかに記載の修飾ポリヌクレオチ
    ド。
  12. 【請求項12】 ウイルス表面タンパク質をコードしている修飾ポリヌクレ
    オチドが、5’末端付近にTVTMペプチドをコードしているポリヌクレオチド
    含むものである、請求項7ないし11のいずれかに記載の修飾ポリヌクレオチド
  13. 【請求項13】 修飾エンベロープポリペプチドを有するレトロウイルスベ
    クター粒子を生成するためのプロデューサー細胞であって、当該プロデューサー
    細胞が請求項7ないし12のいずれかに記載の修飾ポリヌクレオチドを含むもの
    である、プロデューサー細胞。
  14. 【請求項14】 Ala Leu Asn Gly Arg Ser Hi
    s Ala; Ala Leu Asn Gly Arg Met Glu Ser Pro ;および Ala Leu Asn Gly Arg Glu Glu Ser Pro:
    からなる群より選択されるペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載のペプチドをコードしているポリヌクレ
    オチド。
  16. 【請求項16】 壁を含むプロテオリポソームであって、当該プロテオリポ
    ソームの当該壁がTVTMペプチドを含む修飾レトロウイルスエンベロープポリ
    ペプチドを含むものである、プロテオリポソーム。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし6のいずれかに記載のベクター粒子であっ
    て、腫瘍の血管の細胞の成長を阻害、防止、または破壊することのできる物質を
    コードしているポリヌクレオチドをさらに含むものである、ベクター粒子。
  18. 【請求項18】 宿主の腫瘍を処置する方法であって、当該宿主に請求項1
    7に記載のベクター粒子を投与し、当該ベクター粒子が当該宿主の腫瘍の血管の
    細胞の成長を阻害、防止、または破壊するのに有効な量で投与されるものである
    、方法。
  19. 【請求項19】 医薬としての請求項17に記載のベクター粒子の使用。
  20. 【請求項20】 腫瘍処置のための医薬の製造における請求項17に記載の
    ベクター粒子の使用。
  21. 【請求項21】 腫瘍の血管の細胞の成長を阻害、防止、または破壊するの
    に有用な医薬の製造における請求項17に記載のベクター粒子の使用。
JP2001533171A 1999-10-29 2000-10-27 腫瘍血管の細胞に結合する修飾ウイルス表面タンパク質 Pending JP2003512074A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US42927399A 1999-10-29 1999-10-29
US09/429,273 1999-10-29
PCT/IB2000/001567 WO2001031036A2 (en) 1999-10-29 2000-10-27 Modified viral surface proteins which bind to cells of tumor vasculature

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003512074A true JP2003512074A (ja) 2003-04-02

Family

ID=23702555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001533171A Pending JP2003512074A (ja) 1999-10-29 2000-10-27 腫瘍血管の細胞に結合する修飾ウイルス表面タンパク質

Country Status (9)

Country Link
EP (2) EP1854892B1 (ja)
JP (1) JP2003512074A (ja)
AT (2) ATE356879T1 (ja)
AU (1) AU1045701A (ja)
CA (1) CA2390081C (ja)
DE (2) DE60043958D1 (ja)
IL (2) IL149144A0 (ja)
NZ (1) NZ536851A (ja)
WO (1) WO2001031036A2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070178066A1 (en) 2003-04-21 2007-08-02 Hall Frederick L Pathotropic targeted gene delivery system for cancer and other disorders

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998044938A1 (en) * 1997-04-10 1998-10-15 University Of Southern California Modified proteins which bind extracellular matrix components
US5912234A (en) * 1993-09-27 1999-06-15 La Jolla Cancer Research Foundation Integrin-binding peptides

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5912234A (en) * 1993-09-27 1999-06-15 La Jolla Cancer Research Foundation Integrin-binding peptides
WO1998044938A1 (en) * 1997-04-10 1998-10-15 University Of Southern California Modified proteins which bind extracellular matrix components

Also Published As

Publication number Publication date
DE60033951D1 (de) 2007-04-26
WO2001031036A2 (en) 2001-05-03
EP1224302A2 (en) 2002-07-24
AU1045701A (en) 2001-05-08
DE60033951T2 (de) 2007-11-29
DE60043958D1 (de) 2010-04-15
EP1224302B1 (en) 2007-03-14
WO2001031036A9 (en) 2002-11-14
ATE356879T1 (de) 2007-04-15
IL149144A0 (en) 2002-11-10
CA2390081A1 (en) 2001-05-03
EP1854892B1 (en) 2010-03-03
NZ536851A (en) 2006-05-26
WO2001031036A3 (en) 2001-11-22
CA2390081C (en) 2011-07-05
IL149144A (en) 2010-12-30
ATE459722T1 (de) 2010-03-15
EP1854892A1 (en) 2007-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8148509B2 (en) Transgene delivering retrovirus targeting collagen exposed at site of tissue injury
JPH08504091A (ja) 外部表面に非ウィルス性ポリペプチドを提示する組換えウィルス
US5858743A (en) Delivery of nucleic acids
WO1999060110A2 (en) Stable envelope proteins for retroviral, viral and liposome vectors and use in gene and drug therapy
Piechaczyk Cell targeting by murine retroviral vectors
Gordon et al. Lesion-targeted injectable vectors for vascular restenosis
JP2003512074A (ja) 腫瘍血管の細胞に結合する修飾ウイルス表面タンパク質
CA2326407C (en) Retroviral vectors including modified envelope escort proteins
US6762031B2 (en) Targeting viral vectors to specific cells
US6673602B1 (en) Herpes simplex virus amplicon vector targeting system and method of using same
AU2004226933B2 (en) Modified viral surface proteins which bind to cells of tumor vasculature
JP2000511051A (ja) 細胞受容体に関してマスキングされているか又は非マスキング(unmasked)されたウイルス粒子
WO2000077167A2 (en) Herpes simplex virus amplicon vector targeting system and method of using same
WO2003087329A2 (en) Targeted cytocidal virionoids for antiangiogenesis

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070518

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070518

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070524

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070524

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110404