JP2003510832A - 変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 変圧器が、第１フランジ（３）及び第２フランジ（４）を持つコイルチューブ（２）を備えるコイル担体（１）と、第１フランジ（３）及び第２フランジ（４）の間の一次コイル（２１）及び二次コイル（２２）と、高圧接点（６）と、低圧接点（５）と、コイルチューブ（２）の内側、側方及び横切るように存する磁束導体（２５）とを持ち、磁束導体（２５）の、コイルチューブ（２）を横切るように延在する第１部分（８）が、端部を備える樋状ホルダ（９）で囲まれ、樋状ホルダ（９）は、第１フランジ（３）と一体的であり、低圧接点（５）は、コイルチューブ（２）及び樋状ホルダ（９）を横切るように延在する変圧器に関する。第１フランジ（３）は、コイルチューブ（２）の低圧接点（５）が位置する側において、該コイルチューブ（２）の前記側と反対側におけるよりも該コイルチューブ（２）から遠くまで、低圧接点（５）に沿って延在する。斯くして、分離が、当該変圧器の磁束導体（２５）と低圧接点（５）との間にもたらされ、これにより、比較的長い漏れ経路及び比較的長い逃げ距離が、当該変圧器の低圧側及び高圧側の間に実現される。これは、突発的な高電源電圧が生じた場合にも、高電圧が磁束導体（２５）を介して低圧接点（５）に及ぶことを防止するであろう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、第１フランジ及び第２フランジを持つ中空コイルチューブを備える
コイル担体と、 前記第１フランジ及び前記第２フランジの間で前記コイルチューブの周囲に存
する一次コイル及び二次コイルと、 前記一次コイルと接続される前記第２フランジにおける高圧接点と、 前記二次コイルと接続される前記第１フランジにおける低圧接点と、 前記コイルチューブの内側、側方及び横切るように存する磁束導体とを有し、 前記磁束導体の、前記コイルチューブを横切るように延在する第１部分が、端
部を備える樋状ホルダ内に収容され、 前記樋状ホルダは、前記第１フランジと一体的であり、 前記低圧接点は、前記コイルチューブを横切るように及び前記樋状ホルダを横
切るように延在する変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

そのような変圧器は国際特許出願公開第WO97/05632号から既知である。

【０００３】 既知の変圧器においては、磁束導体が、コイルチューブの内側及び側方に存し
、Ｉ字状コアと協働するＥ字状コアにより形成される。Ｉ字状コアは、コイルチ
ューブを横切るように延在し、樋状ホルダ内に存する。一次コイルの周囲の又は
二次コイルの周囲の比較的厚い絶縁層が、一般で受け入れられる安全基準に応じ
た一次コイル及び二次コイルの間の絶縁破壊に対する安全措置を執るために必要
である。通例、それら変圧器においては、低圧側に存する、二次コイルの周囲に
この比較的厚い絶縁層が設けられる。この場合、二次コイルは、例えば、三重に
絶縁されたワイアからなる。この二次コイルの巻き数は一次コイルの巻き数より
も少なく、故に、この絶縁層のコストを限定的なままにすることができる。一次
コイルはこの状況において比較的低い絶縁値を持ち、故に、当該変圧器の高圧側
における高圧接点に過電圧が生じた場合に、絶縁破壊が一次コイルとこれらコア
との間に生じるであろう。これらコアは、従って、いかなる絶縁破壊の場合にも
高圧側の部分を形成する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

既知の変圧器の不利な点は、高圧側が低圧側と安全に隔離されていないことで
ある。一次コイルからそれらコアへの絶縁破壊は、高圧側から低圧側への絶縁破
壊の危険を伴う。なぜなら、低圧側に属する低圧接点が、高圧側に属するコアに
隣接して存在するからである。それ故、それら変圧器がある回路内で用いられる
場合、変圧器を備えるこの回路を取り扱うオペレータの安全が保障されない。更
に、高電圧が当該変圧器の低圧側におよぶ恐れがあるので、前記回路内の、前記
低圧接点と接続される他の電気部品に損傷を来す危険がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本発明の目的は、高圧側と低圧側とがかなりの安全性をもって隔離された、冒
頭段落に述べた種類の変圧器を提供することにある。

【０００６】 本発明によれば、上述の目的は、前記第１フランジが、前記コイルチューブの
前記低圧接点が存在する側において、該コイルチューブの前記側と反対側におけ
るよりも該コイルチューブ２から遠くまで、前記低圧接点に沿って延在すること
を特徴とする変圧器により達成される。斯くして、第１フランジが、磁束導体と
低圧接点との間に付加的な電気的隔離(electrical separation)をもたらす。一
方においては、第１フランジは、磁束導体と低圧接点との間に、空気を介して弧
を描く比較的長い距離、いわゆる逃げ距離(clearance distance)を構築し、他方
においては、磁束導体と低圧接点との間の比較的長い漏れ経路が形成される。漏
れ経路は、電流、いわゆる漏れ電流が磁束導体と低圧接点との間に存在する材料
に沿って流れ得る最短経路である。漏れ電流は、例えば、汚染物質や水分が前記
材料上に存する結果として該材料の表面に沿って流れ、該材料をなす合成樹脂の
タイプに依存する。第１フランジが比較的長い逃げ距離をもたらすので、通常の
値の過電圧がかかっても、空気を介した弧は磁束導体と低圧接点との間に生じな
いであろう。更に、延長されたフランジは、磁束導体から、該フランジの一方の
側における表面に沿って、縁を越えて、該フランジの他方の側における表面に沿
って、ホルダの表面に沿って、そして当該変圧器の低圧接点に延在するような比
較的長い漏れ経路をもたらす。

【０００７】 更に、前記第１フランジを横切るような壁が、前記樋状ホルダの各端部におい
て及び前記第１フランジにおいて存在し、該壁は、前記低圧接点に沿って延在す
る場合好ましい。これにより、低圧接点から磁束導体への比較的短い漏れ経路が
もたらされることなく、低電圧接点をこれら端部に近接して存在させることがで
きる。

【０００８】 更に、この目的のために、前記壁が、前記第１フランジを横切るように見て、
前記樋状ホルダを越えて延在する場合好ましい。

【０００９】 本発明による変圧器の一実施例は、前記コイルチューブが、二つの相互に対向
する側の各々において開口を持つ矩形断面を持つことを特徴とする。コイルチュ
ーブの周囲に巻回される各コイルと磁束導体のコイルチューブ内に存する部分と
の間のより良好な熱接触が開口を介して得られる。これは、上記磁束導体のコイ
ルチューブ内に存する部分に対するコイル内で発生した熱を除去するのに好まし
い。

【００１０】 本発明による変圧器を以下図面を参照してより詳細に述べる。

【００１１】

【発明の実施の形態】

図１及び２に示される本発明による変圧器は、第１フランジ３及び第２フラン
ジ４を備える中空コイルチューブ２を持つコイル担体１を有する。図１に見られ
るように、一次コイル２１及び二次コイル２２がコイルチューブ２の周囲に存在
する。この図においては、二次コイル２２の一部が、該二次コイル２２の下方に
位置する一次コイル２１を示すために取り除かれている。図２、３、４及び５に
おいては、一次コイル２１及び二次コイル２２が、コイルチューブ２を見せるた
めに取り除かれている。低圧接点５が第１フランジ３に隣接して存在し、高圧接
点６が第２フランジ４に隣接して存在する。図２及び３に示される実施例におい
ては、開口端１０を備える樋状ホルダ９内にコイルチューブ２を横切るように存
在するＩ字状コア８と協働する、Ｅ字状コア７により形成される磁束導体２５が
、コイルチューブ２の内側及び側方に存在する。低圧接点５は、コイルチューブ
２を横切るように及びＩ字状コア８を横切るように延在し、この実施例において
はピンにより形成される。図２及び３に見られるように、第１フランジ３は、コ
イルチューブ２の低圧接点５が存在する側において、該コイルチューブ２の反対
側におけるよりも該コイルチューブ２から遠くまで、該低圧接点５に沿って延在
する。これは、図２において、コイルチューブ２の低圧接点５が存在する側にお
いて第１フランジ３上に距離ａとして示されている。距離ａは、コイルチューブ
２の前記反対側における距離ｂよりも長い。このようにして、第１フランジ３は
、協働するコア７及び８と低圧接点５との間に付加的な電気的隔離をもたらす。
この隔離は、図１において破線の矢印で示されている比較的長い漏れ経路を作り
出す。この漏れ経路は、協働するコア７及び８から、該フランジ３の一方の側に
おける表面に沿って、縁を越えて、該フランジ３の他方の側における表面に沿っ
て、ホルダ９の表面に沿って、そして当該変圧器の低圧接点５に延在する。更に
は、このようにして、比較的長い漏れ経路が、三重の絶縁が大抵劣化を受ける低
圧接点５に対する二次コイル２２の固定点３０から高圧側の一次コイルにも実現
される。これは、高圧側と低圧側との間の高い安全性をもった隔離に利する。更
に、図２及び３において、第１フランジ３を横切るような壁１１が、樋状ホルダ
９の各端部において及び第１フランジ３においても存在していることが分かる。
この壁は、図２において距離ｃとして示されるように、低圧接点５に沿って延在
する。更に、壁１１は、第１フランジ３を横切るように見て、樋状ホルダ９を越
えて延在している。これは、図２において距離ｄとして示されている。斯くして
、更に付加的な電気的隔離が、一方における協働するコア７及び８と他方におけ
る低圧接点５との間にもたらされ、故に、該低圧接点５から磁束導体２５への比
較的短い漏れ経路がもたらされることなく、該低圧接点５を前記端部近傍に存在
させることができる。

【００１２】 本発明は、スイッチモード変圧器等の小型変圧器においても高い安全性をもっ
て高圧側と低圧側とを隔離する可能性を提供することに注意されたい。

【００１３】 また、延長されたフランジが、当該変圧器をうっかり落としてしまった場合に
磁束導体の損傷に対する付加的な保護を提供することにも注意されたい。

【００１４】 図４及び５は、本発明による変圧器の第２実施例を示している。この実施例に
おいては、コイルチューブ２が、二つの相互に対向する側の各々において開口１
２を持つ矩形断面を持つ。更に、本発明による変圧器の第２実施例は、第１実施
例と実質的に同一の部品を有する。第１実施例及び第２実施例で対応する部品は
、図４及び５において前記と同一の参照番号が与えられている。一方における図
１に見られるコイルチューブ２の周囲に巻回されるコイル２１及び２２と、他方
における磁束導体２５の該コイルチューブの内側に存在する部分、この実施例に
おいてはＥ字状コア７の一部との間のより良好な熱接触が開口１２を介して達成
される。これは、Ｅ字状コア７に対するコイル２２及び２３において発生した熱
を除去するのに好ましい。当該変圧器は、コア７の冷却をなす比較的大きな表面
積に起因して比較的冷たいままであろう。これは、当該変圧器の電力容量に利す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による変圧器の第１実施例を一部が破断された側面図で示
す。

【図２】 図１の変圧器をII線に沿う斜視図で示す。

【図３】 図２の変圧器を展開図で示す。

【図４】 本発明による変圧器の第２実施例を展開図で示す。

【図５】 図４のV-V線に沿って切断された断面図である。

【符号の説明】 １…コイル担体 ２…中空コイルチューブ ３…第１フランジ ４…第２フランジ ５…低圧接点 ６…高圧接点 ７…Ｅ字状コア ８…Ｉ字状コア ９…樋状ホルダ １０…端部 １１…壁 １２…開口 ２１…一次コイル ２２…二次コイル ２５…磁束導体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クラウス パトリック エイ エフ オランダ国 5656 アーアー アインドー フェン プロフ ホルストラーン ６ Ｆターム(参考） 5E043 AB01 EB03 5E044 BA01 BB02 【要約の続き】 実現される。これは、突発的な高電源電圧が生じた場合 にも、高電圧が磁束導体（２５）を介して低圧接点 （５）に及ぶことを防止するであろう。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１フランジ及び第２フランジを持つ中空コイルチューブを
   備えるコイル担体と、 前記第１フランジ及び前記第２フランジの間で前記コイルチューブの周囲に存
   する一次コイル及び二次コイルと、 前記一次コイルと接続される前記第２フランジにおける高圧接点と、 前記二次コイルと接続される前記第１フランジにおける低圧接点と、 前記コイルチューブの内側、側方及び横切るように存する磁束導体とを有し、 前記磁束導体の、前記コイルチューブを横切るように延在する第１部分が、端
   部を備える樋状ホルダ内に収容され、 前記樋状ホルダは、前記第１フランジと一体的であり、 前記低圧接点は、前記コイルチューブを横切るように及び前記樋状ホルダを横
   切るように延在する変圧器において、 前記第１フランジは、前記コイルチューブの前記低圧接点が存在する側におい
   て、該コイルチューブの前記側と反対側におけるよりも該コイルチューブから遠
   くまで、前記低圧接点に沿って延在することを特徴とする変圧器。
2. 【請求項２】 前記第１フランジを横切るような壁が、前記樋状ホルダの各
   端部において及び前記第１フランジにおいて存在し、該壁は、前記低圧接点に沿
   って延在することを特徴とする請求項１に記載の変圧器。
3. 【請求項３】 前記壁が、前記第１フランジを横切るように見て、前記樋状
   ホルダを越えて延在することを特徴とする請求項２に記載の変圧器。
4. 【請求項４】 前記コイルチューブが、二つの相互に対向する側の各々にお
   いて開口を持つ矩形断面を持つことを特徴とする請求項１に記載の変圧器。