JP2003508127A - リポソームで被包された治療薬を含むヒドロゲル傷被覆用品 - Google Patents

リポソームで被包された治療薬を含むヒドロゲル傷被覆用品

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シーク、パング
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ディコズモ、フランク
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、長期間に亘り、効果的に治療薬を放出するヒドロゲル傷被覆用品を対象とする。抗生物質、及び、防腐剤のようなリポソーム治療薬が、ヒドロゲルに取り込まれ、ヒドロゲル/リポソーム基質はシート状に形成される。このヒドロゲル/リポソーム・シートは、(オプションとして、医薬用接着剤で覆われる)外層上に配置され、創傷に貼り付けられる。本発明は、特に創傷を治療し、感染を防ぐことに役立つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、長時間に亘り、効果的な量の治療薬を放出する多層傷被覆用品(
multi-layer wound dressing)に関する。 本発明の多層傷被覆用品は、外層と、ヒドロゲル基質に収容される任意の支持
物質(support material)を有する架橋ヒドロゲル基質層と、ヒドロゲル層に取
り込まれるリポソームで被包された治療薬と、オプションとして、保護用放出シ
ートと、からなる。 本発明は、更に、皮膚の創傷からの感染を治療するか、又は軽減するための手
段を提供する。 本発明は、傷被覆用品の製造方法をも提供する。
【0002】 (背景技術) 火傷、外科切開術、負傷を含む様々な形の創傷に使用される被覆用品は、理想
的に治癒を進め、感染に対する保護を提供し、創傷からの滲出液の貯留を防ぐ。 更に、被覆用品はできる限り快適であるべきであり、褥瘡のような付属的な問
題を起こすべきでなく、又、そのような問題に寄与すべきでもない。 更に言えば、創傷が容易に目に見えるようにされても、観察されてもよいよう
に、被覆用品は半透明であるべきである。
【0003】 現在、傷被覆用品に利用できる製品は、ヒドロゲルを含む。 ヒドロゲルは、親水性の架橋ポリマー(例えばポリエチレンオキシド、ポリア
クリルアミド、及び、ポリビニルピロリドン)の複合製剤(complex formulatio
n)である。 それらの高い水分含量(最高96%)にも関わらず、ヒドロゲルは、創傷から
の滲出液量を調節するために、多少、吸収することができ、これにより創傷から
の滲出液の貯留を防ぐ。 それらは、特に、多くの不完全な厚さの皮膚欠陥(例えば浅い擦過傷、表面的
な創傷)、水疱、褥瘡性潰瘍、二次性火傷、健康な肉芽組織用の被覆用品として
有効である。 ヒドロゲルは、ウエハー状又はシート状のみでなく、アモルファス状のゲルと
しても利用できる。 ヒドロゲル・シートは、接着性の縁(border)を含んでもよく、又、二次的な
被覆用品(例えば伸縮性ガーゼ、管状の包帯、大きなフィルム状被覆用品)を使
用することによって固定されてもよい。 市販のヒドロゲル・シートの例は、ゲリペルム(Geliperm)(商標)(ガイス
トリッヒ・ファルマ/フーゲラ(Geistlich-Pharma/Fougera)社)、ゲリペルム
(Geliperm)(商標)(ガイストリッヒ・ファルマ/フーゲラ社)、ビギロン(
Vigilon)(商標)(バード(Bard)社)、バード・アブソープション・ドレッ
シング(Bard Absorption Dressing)(商標)(バード社)、カチノバ・ゲルフ
ィルム(Cutinova Gelfilm)(商標)(バイエルスドルフ(Biersdorf)社)、
エラストゲル(Elasto-gel)(商標)(サウスウェスト・テクノロジーズ(Sout
hwest Technologies)社)、アクアソーブ(AQUASORB)(商標)(デローヤル(
DeRoyal)社)、キャラドレス(CarraDres)(商標)(キャリントン・ラボラト
リーズ・インコーポレーション(Carrington Laboratories Inc.)社)、セカン
ド・スキン(2nd Skin)(商標)(スペンコ・メディカル・リミッテド(Spenco
Medical Ltd)社)、ダーマゲル(Derma-Gel)(商標)(メッドライン・イン
ダストリーズ(Medline Industries)社、フレックスダーム(FLEXDERM)(商標
)(ダウ・ヒックマン・ファーマシューティカルズ・インコーポレーション(DO
W Hickman Pharmaceuticals Inc.)社)、アクリダーム(AcryDerm)(商標)(
アクリメッド(AcryMed)社)、シンサイト・トランソーベント(THINSite Tran
sorbent)(商標)(ビー・ブラウン(B. Braun)社)、クリアサイト(ClearSi
te)(商標)(コンメッド・コーポレーション(Conmed Corporation)社)、キ
ュラゲル(CURAGEL)(商標)(ケンドル(Kendall)社)、ヌーゲル(NU-GEL)
(商標)(ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)社)を含む
【0004】 様々な特許が、ヒドロゲル内でのリポソームの使用を記載してきた。 例えば、米国特許第5,064,655号は局所適用(topical application;塗布)に
適しているリポソーム・ゲル組成を記載している。 米国特許第5,094,819号は、ヒドロゲルに固定される蛍光団を含む(fluoropho
re-containing)リポソームを対象とする。 米国特許第5,843,647号は、オプションとしてデオキシリボ核酸(DNA)を
含むリポソームからなるヒドロゲルで被覆されたステント(stent;制限、鋳型
)を開示する。 米国特許第5,879,713号は、放出部位で生体に作用する分子を固定するために
ヒドロゲルを利用する、生物学的に活性な分子の改良された送達(delivery)を
対象とする。 米国特許第5,942,245号は、SOD酵素(超酸化物不均化酵素)を被包するリ
ポソームを開示し、該リポソームはヒドロゲルのような担体に取り込まれる。 米国特許第6,048,546号は、重合されたリポソームのような脂質二重層物質を
調製する方法を開示し、該脂質二重層物質は、ゲルに被包される。 米国特許第4,897,269号は、リポソームを含む薬剤の組成を記載し、該リポソ
ームは局所適用のために、ゲルに分散される活性体を被包する。 しかしながら、これらの参照された特許のいずれもが、リポソームからなるゲ
ルからなる傷被覆用品を開示、又は提案していない。
【0005】 (保護用の外層なしで)リポソームからなるヒドロゲルの局所適用の結果、ゲ
ルが速やかに干上がる(dry up;完全に乾燥する)ので、長期の医薬(drug)の
放出が得られない。 乾燥せずに、長期間に亘り制御された速度で治療薬を放出するリポソーム・ヒ
ドロゲル傷被覆用品用の技術の必要性がある。
【0006】 多様なヒドロゲル傷被覆用品に関する特許文献が多くある。 例えば、米国特許第5,489,262号及び第5,106,629号(透明なヒドロゲル傷被覆
用品)、並びに米国特許第4,909,244号(創傷からの滲出液の貯留を防ぐために
利用されるヒドロゲル傷被覆用品)である。 現在利用できるヒドロゲル傷被覆用品の特に不利な点は、それらが創傷感染に
対して障壁(barrier)を供給しないということである。 この課題を解決する試みにおいて、市販の殺菌性の被覆用品は、創傷からの滲
出液によって活性化されるチャコール(charcoal)を含む(アクチソーブ(Acti
sorb)(商標)及びアクチソーブ・プラス(Actisorb Plus)(商標)、ジョン
ソン・アンド・ジョンソン社;オウダー・アブソーベント・ドレッシング(Odor
Absorbent Dressing)(商標)、ホリスター(Hollister)社;ライオフォーム
・シー(Lyofoam C)(商標)、シートン・ヘルスケア・リミッテド(Seton Hea
lthcare Ltd.)社)。 最近では、銀で被覆された抗微生物性の障壁被覆用品(barrier dressing)が
、熱傷、移植及び供血者部位、(圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍等を含む)慢性の創傷
、及び、手術後の創傷の治療のために開発された(アクチコート(Acticoat)(
商標)、ウェステイム・バイオメディカル・コーポレーション( Westaim Biome
dical Corp.)社;アーグラーズ(Aerglaes)(商標)、マースク(Maersk)社
)。 いくつかの傷被覆用品は、抗生物質又は抗菌剤をも浸み込まされる。 例えば、いくつかのガーゼ被覆用品は、クロルヘキシジン(バクチグラス(Ba
ctigras)(商標)、スミス・アンド・ネヒュー(Smith & Nephew)社; セロチ
ュール(SEROTULLE)(商標)、レオ・ラボラトリーズ・リミッテド(Leo Labor
atories Ltd.)社;クロレキシチュール(Clorhexitulle)(商標)、ヘキスト
(Hoescht)社)、フラメシチン(framecytin) (フシジンインターチュール(F
ucidin-Intertulle)(商標)、 レオ・ラボラトリーズ・リミッテド社;ソフラ
チュール(Sofra-Tulle)(商標)、ヘキスト・ルセル(Hoechst-Roussel)社)
、ビスマストリブロモフェネート(ゼロフォーム(Xeroform)(商標)、チーズ
ブローポンズ(Chesebrough-Pond's)社)、スカーレットレッド(スカーレット
・レッド・ドレッシング(Scarlet Red Dressing)(商標)、チズブローポンズ
社)、又はポビドンヨード(イナダイン(Inadine)(商標)、ジョンソン・ア
ンド・ジョンソン;ポビダーム(Poviderm)(商標)、シートン・ヘルスケア・
リミッテド社)を浸み込まされる。
【0007】 それらの医薬用パラフィン・ガーゼは、低い粘着性を有する傷被覆用品として
勧められるが、それらは乾燥する傾向を有する。 もしそれらの被覆用品を非常に頻繁に取り替えなければ、それらが新しく形成
された肉芽組織に取り込まれるので、取り替え時に、治癒しつつある損傷部位に
望ましくない損傷を与える。 更に、いくつかの研究は、これらの医薬用ガーゼの繰り返しの使用が、接触性
皮膚炎、及び、耐抗生物質の菌の発生と関連したことを示した。
【0008】 現在、ヒドロゲル基質内に治療薬を含む市販のヒドロゲル傷被覆用シートがな
い。 しかしながら、抗微生物剤をヒドロゲル被覆用品の下に貼り付けるか又はアモ
ルファス状のヒドロゲルに混合することが、臨床上、度々勧められる。 この方法が細菌の成長のある程度の制御を確実にする一方、創傷治療技術にお
いて別の段階を導入するので、必ずしも実際的ではない。 治療用物質が、更なる細菌の制御及び他の治療効果を提供するために、ゲル・
パッド(pad;当て物)又は包帯に添加されている。 医薬用のヒドロゲル製品の例は、米国特許第5,753,257号(熱傷被覆用品)、
米国特許第5,260,066号(治療薬を含むクリオゲル(cryogel)包帯)、米国特許
第5,695,777号(創傷治癒促進のための吸収性傷被覆用品)、米国特許第4,552,1
38号(ヒドロゲルをベースとした被覆用品物質、及び、その製造のためのプロセ
ス)、及び、国際公開番号9820916A1(抗微生物性被覆をされたヒドロゲルを形
成する吸収性ポリマー)に開示される。
【0009】 ワコール−ドレウェック(Wachol-Drewek)らは、1996年発行のバイオマ
テリアルズ(Biomaterials)第17巻、1733〜1738頁で、抗生物質溶液
内に配置され、化合物を吸収できるようにされた多様な構造のコラーゲン移植片
、及び、ゼラチン・スポンジの使用を開示する。 彼らは、「24〜48時間に亘って創傷感染に対する防護効果を有する移植片が
必要とされる場合、ここに記載されている物質は適切である。 しかしながら、感染範囲の治療が、抗生物質による保護を5〜10日間、確保
するべきである場合に、抗生物質に浸されるコラーゲン物質も、ゲンタマイシン
を含むコラーゲン・スポンジも適切ではない。」という結論を下した。
【0010】 上述した傷被覆用品に含まれる治療薬は、ヒドロゲル基質内に固定されない。 従って、当業者は、創傷滲出液がある場合において、医薬が傷ついた部位で速
やかに放出されるので、長期間の局所の治療効果は成し遂げられない、と認める
。 近年、この課題を軽減する新しい医薬送達システムとして、リポソームが次第
に調査されてきている。
【0011】 リポソームは、リン脂質薄膜が特定の状態の下に水和する場合に生成される微
細な球体である。 100ナノメートルの細孔径の薄膜を経由する脂質溶液の押し出し(extrusio
n)の間に生成される高い剪断状態は、典型的には100ナノメートルの直径の
リポソームを生じさせる。 リポソームは、生物学的適合性があり、非免疫原性であり、非毒性であり、水
溶性及び疎水性の医薬を等しく十分に被包することを可能にし、不応性の医薬を
可溶化し、特定の医薬の毒性を減少させ、比較的長い期間に亘るそれらの成分の
ゆっくりとした持続性の放出を可能にするので、長年医薬送達システムとして利
用されてきた。 典型的には、リポソームは7〜14日の間、必要ならばより長い間、それらの
医薬成分を放出できる。 リポソームは、脂質の種類、脂質とコレステロールとの比、表面電荷、表面電
荷密度、生成物の大きさ及び態様を変更することによって、求めに応じて生成さ
れ得る。 緩効性の医薬保有体(drug reserver)を生成するために、リポソームの調合
及び医薬被包効率(drug encapsulation efficiency)に、慎重な注意を払わな
ければならない。 本質的に、リポソームは優れた医薬送達媒体である。
【0012】 更に、ある研究では、創傷の防腐治療のために、モイスチャライザー(moistu
rizer;保湿剤)と結合した局所のリポソーム・ポビドンヨード・ヒドロゲルの
使用を記載している(Reiner, K.ら、ポビドンヨード・リポソーム−概要(Povi
done-iodine liposomes-an overview)、ダーマトロジー(Dermatology)、19
97年刊、195号(増補2)、93〜99頁)。 ルカート(Ruckert)らに発行された米国特許第5,863,556号は、ゲル、傷薬、
ローションに添加され得る有効作用物質(例えば防腐剤、麻酔薬又は創傷治癒薬
)を取り込むリポソーム薬剤の調合を開示した。
【0013】 上記のように、ヒドロゲル傷被覆用品の利点は、創傷部位の水分補給を可能に
する一方、同時に、過剰の水分を除去し、外部の汚染物質に対する障壁を提供す
ることである。 しかしながら、従来技術では、一様で、制御された方法で、ヒドロゲルの全体
に亘って分散する複数のリポソームに入り込む一つ以上の治療薬の、治療として
効果のある量を送達するヒドロゲル傷被覆用シートを開示していなかった。 創傷部位に送達される治療薬を有する利点は、治療薬が更に創傷の治癒を進め
、感染を防ぐことができるということである。 従って、効果的に創傷に水分を補給し続ける一方で、同時に、創傷から過剰水
分を除去するヒドロゲル傷被覆用品の必要性があり、該創傷において、該ヒドロ
ゲル傷被覆用品は、創傷の治癒を進め、感染を防ぐために、一定期間に亘り、該
創傷部位に治療薬を放出する。
【0014】 (発明の開示) 本発明は、外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、ヒドロゲル基質内に収容される
任意のヒドロゲル支持物質と、ヒドロゲル基質に取り込まれるリポソームで被包
された治療薬と、任意の保護用放出シートと、からなる治療用傷被覆用品を供給
する。 ヒドロゲル基質物質は、好ましくはポリエチレングリコール又はカルボジイミ
ドと架橋されて、創傷上に位置するため、外層の下に配置される。
【0015】 架橋ヒドロゲル基質は、生物学的適合性があり、且つ、生体分解性があり(即
ち、潜在的に有毒な分解生成物を放出しない)、生体内で傷被覆用品を取り扱う
間に経験する薄膜を分裂させる剪断力からの、及び、リポソームの速やかな劣化
からの、リポソームの保護を確実にする。 ヒドロゲル基質内での架橋の量を調整することによって、治療薬の放出の速度
を制御することが可能である。 例えば、より高い架橋性のレベルでは、治療薬のよりゆっくりとした放出を得
る。 架橋が減少するにつれ、治療薬のより速やかな放出を得る。
【0016】 ヒドロゲル基質内でのリポソームの保持は、医薬拡散速度を制御する機会を作
り出す。 医薬の放出及び分布概要(profile;プロフィール)を最適化するために、使
用されるリポソームの種類を変更してもよい。 その結果、架橋の量、及び、利用されるリポソームの種類を調整することによ
って、出願人は、放出の速度を最適化することができることを見出し、このこと
により、数日間に亘り医薬を放出する余裕を持った。
【0017】 本発明において利用されるリポソームは、単一層又は多重層であってもよい。 リポソームと、ミクロスフェアと、ナノスフェア(nanosphere)と、生体分解
性ポリマーと、他のシステムとは優れた医薬送達媒体であり、リポソーム、その
他の調製及び医薬充填操作の方法は公知技術である(例えば、ディコズモ(DiCo
smo)らによる米国特許出願番号08/843,342を参照のこと)。 リポソームはそれぞれ、生物学的適合性があり生体分解性がある脂質二重層と
の相互作用、又は水性の中核(aqueous core)内の区画化との相互作用を通じて
、極性化合物及び無極性化合物の両方を貯蔵することができる。
【0018】 本発明のリポソーム・ヒドロゲルは、様々なゲル医薬の組み合わせを含む。 通常、ヒドロゲル及び医薬の選択又は組合せは、所望の利用及び関連する指示
のみによって決定される。 即ち、リポソーム、ミクロスフェア、ナノスフェア又はその他の適切な被包媒
体において合成され得るいかなる有効作用物質も、本発明のヒドロゲル基質内に
収容され得、それらは、その後、本発明の傷被覆用品を製造するために利用され
る。
【0019】 従って、ヒドロゲル基質は、高い濃度の治療薬、例えば一つ以上の抗生物質、
防腐剤、ホルモン、ステロイド、成長因子、抗ヒスタミン剤、コロニー形成刺激
因子、インターロイキン等、及び/又は、それらの組み合わせを保持するための
媒体を構成する。 本発明の治療用ヒドロゲルは、創傷感染の治療技術のための、及び、創傷治癒
を促進するための、傷被覆用品に利用され得る。 ヒドロゲル内に取り込まれ、且つ、治療薬を被包するリポソームは、数日に亘
り医薬を放出することによって、制御された医薬送達貯留物(drug delivery de
pot)として作用する。 本発明のヒドロゲル傷被覆用品は創傷に利用され、その後、医薬は、ヒドロゲ
ルからヒドロゲル傷被覆用品が利用される創傷部位まで、拡散によって放出され
る。
【0020】 ヒドロゲル基質は、従来のヒドロゲル(例えばゼラチン、ペクチン等)、タン
パク質(例えばコラーゲン等)又は他の補助薬であってもよい。 本発明のヒドロゲル基質は架橋され、好ましくは、剪断力に対する耐性を与え
るために、ある構造的支持物質(structual support)を有する。 上記のように、ヒドロゲル基質内の架橋の量を調整することによって、効果的
に医薬の拡散速度を制御することができる。 好ましいヒドロゲルは、ゼラチンを炭酸ニトロフェニルポリエチレングリコー
ル(nitrophenylcarbonate-PEG)又は炭酸ジコハク酸イミジルポリエチレングリ
コール(disuccinimidylcarbonate-PEG)と反応させることにより得られるポリ
エチレングリコールと架橋したゼラチンである。 好ましい別のヒドロゲルは、カルボジイミドと架橋したゼラチンである。
【0021】 本発明の治療用ヒドロゲルは、様々なリポソーム治療のための支持物質として
役立つ。 リポソーム、ミクロスフェア、ナノスフェア等の被包に適しているいかなる治
療薬も、本発明で利用され得る。 本発明において役立つ治療薬は、例えば、抗生物質、防腐剤、抗ヒスタミン剤
、ホルモン、ステロイド、治療用タンパク質等を含む。
【0022】 ヒドロゲル内の治療薬の所望の濃度が、選択された治療薬の特性によって変化
することは、この技術分野における当業者によって認められる。 例えば、抗生物質と治療用タンパク質との間では、通常マイクログラム範囲で
活性である必要な濃度の抗生物質は、その多くがナノグラム範囲で活性である治
療用タンパク質の濃度より恐らく高い。
【0023】 本発明は、外層と、ヒドロゲル基質内に収容される任意のヒドロゲル支持物質
を有する架橋ヒドロゲル基質層と、架橋ヒドロゲル基質に取り込まれる少なくと
も一つのリポソームで被包された治療薬と、任意の保護用放出シートと、からな
る多重層傷被覆用品を供給する。
【0024】 本発明は更に、少なくとも一つの治療に有効な量の治療薬の、長期間の安定な
放出を供給する多重層傷被覆用品を供給し、前記傷被覆用品は、外層と、架橋ヒ
ドロゲル基質層と、リポソームに被包され、且つ、前記ヒドロゲル基質層に取り
込まれる治療薬と、からなる。
【0025】 長期間の安定な放出とは、少なくとも約24時間、好ましくは最高約14日間
に亘る安定な治療薬の放出を意味する。 治療に有効な量の治療薬とは、使用される作用物質に依存する、所望の治療効
果を達成するための適量を意味する。 例えば、抗生物質の治療として有効な量は、臨床感染と考えられる限界値(即
ち、組織1g当たり10コロニー形成単位)よりかなり低い値まで、創傷中の
細菌数を減少させることができる量である。 治療に有効な治療薬の量が、使用される治療薬、及び治療を必要とする状態に
従い変化することは、認識されるだろう 確立された医学原理に依存するこの技術分野における当業者は、容易に、必要
とされる適切な治療薬、及び治療として有効な量を決定することが可能であろう
【0026】 本発明は、治療薬の有効な分布を提供する多重層傷被覆用品をも供給し、前記
傷被覆用品は、外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、リポソームに被包され、且つ
、前記ヒドロゲル基質層に取り込まれる治療薬と、からなる。
【0027】 本発明は、このような多重層傷被覆用品を調合する方法をも提供する。 本発明は、皮膚の創傷感染を治療するか又は軽減する手段をも提供する。 リポソームに被包される治療薬の種類は、いずれかの単一の治療薬に制限され
ない。 本発明において利用され得る治療薬は、抗生物質、ホルモン、成長因子、及び
、健全な医学的診断に従って管理されている健康状態に有益な他の因子を含むが
、これらに限定されるものではない。
【0028】 本発明は、本発明の傷被覆用品を創傷に利用することからなる創傷治療方法を
も提供する。
【0029】 本発明は更に、本発明の傷被覆用品を創傷に利用することからなる感染から創
傷を保護する方法を提供することをも目的とする。
【0030】 本発明の好ましい実施例は、ポリエチレングリコール(PEG)に架橋される
ゼラチン・ヒドロゲルからなる傷被覆用品であり、該ヒドロゲル内で分散するの
は、リポソーム抗生物質又はリポソーム防腐剤である。
【0031】 定義 ヒドロゲル又はゲルとは、典型的には水若しくは極性溶媒である溶媒に懸濁さ
れる時に、ゼリーのような生成物を多様に形成するあらゆる物質を意味する。 これらのゲルは、コラーゲン若しくはヘモグロビンのようなタンパク質、又は
ゼラチン、ペクチンのような従来のヒドロゲル、及び、それらの分留物(fracti
on;分屑)、誘導体であってもよい。
【0032】 リポソーム治療薬(liposomal therapeutic agent)とは、医薬のような治療
薬を包囲するか又は被包するあらゆる物理的な構造を意味する。 従って、リポソーム治療薬は、単層若しくは二重層のリポソーム、又はマイク
ロスフェア若しくはナノスフェア等のような構造内に収容若しくは被包される抗
生物質、防腐剤、抗ヒスタミン剤、ホルモン、ステロイド、成長因子、コロニー
形成刺激因子、インターロイキン等のような多様な薬若しくは生物活性物質を含
むだろう。
【0033】 (発明を実施するための最良な形態) 本発明の主な目的は、外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、ヒドロゲル基質に取
り込まれるヒドロゲル基質と、リポソームで被包された治療薬中に収容される任
意のゲル支持物質と、任意の保護用放出シートと、からなることを特徴とする治
療用傷被覆用品を供給することである。 本発明のヒドロゲル基質は、ヒドロゲル(例えばゼラチン、ペクチン等)、タ
ンパク質(例えばコラーゲン、ヘモグロビン等)、又は他の補助薬であってもよ
い。 本発明の傷被覆用品は、オプションとして半透明であってもよい。 更に、外層へのヒドロゲル基質の結合を容易にするために、傷被覆用品の外層
は、オプションとして医薬用接着剤で覆われてもよい。 加えて、外層は、オプションとして穿孔されてもよく、蒸気浸透性であっても
よく、防水性であってもよい。
【0034】 本発明の更なる目的は、本発明のヒドロゲル傷被覆用品を利用することにより
、創傷を治療する方法である。 本発明のヒドロゲル傷被覆用品は、熱傷、全層創傷を含む広範囲に亘る応用の
ための、改善されたレベルの創傷治療技術を提供する。
【0035】 治療薬の放出速度を調整することは、可能である。 例えば、架橋の量を増加させることによって、治療薬の放出速度を遅くするこ
とができる。 逆に、架橋の量を減少させることによって、治療薬の放出速度を速くすること
ができる。 治療薬の放出を制御する別の手段は、適切なリポソームの選択による。 異なる治療薬は異なる特性を有するが、この技術分野における当業者なら、例
えば治療薬の放出速度のような所望の特性に達するために、特定の治療薬を特定
のリポソームに適合させる方法を知っているだろう。 従って、ヒドロゲル基質における架橋の量、及び、利用されるリポソームの種
類を調整することによって、効果的に治療薬の放出速度を制御することができる
【0036】 更に、ヒドロゲル基質の上面に外層を供給することにより、治療薬が放出され
る時間を延ばすことができることを見出した。 これは、外層がない場合では、ヒドロゲル基質が速やかに干上がるからであり
、一旦これが起こると、リポソームは最早、治療薬を放出しなかった。 本発明において利用される外層は、(ヒドロゲル基質から過剰の水分を放出す
る間、同時に)ヒドロゲル基質が干上がることを防ぎ、このことにより、治療薬
の放出時間を延長できる。
【0037】 図2に表される本発明の好ましい一実施例において、リポソーム(d)によっ
て被包される医薬が分散するポリエチレングリコール又はカルボジイミド(c)
と架橋したゼラチン・ヒドロゲル基質(b)は、公知技術であり、ここに開示さ
れる操作により、薄くて弾力的なシートを形成するために生成される。 図1に示すように、ヒドロゲル・シート(2)は、より大きな直径を持つ接着
性の外層(1)の中心部に配置される。 薄い膜である外層(1)は、好ましくはポリウレタン、ポリエチレン、ビニル
、ポリ塩化ビニル又は他の適切な材料を含む物質群から選択されるが、これらに
限定されない。 外層(1)の周辺部は、医薬用接着剤で覆われ、患者の皮膚が呼吸できるよう
に、好ましくは穿孔される。 当業者は、この外層(1)が、過剰水分の放出を可能にすることによって、創
傷の浸軟(maceration)を防ぐために必要とされるのと同様に、ヒドロゲル基質
の適切な水分補給レベルを維持するために必要とされることを認識するだろう。 創傷の簡単な測定及び確認を可能にするべく、外層(1)及びヒドロゲル・シ
ート(2)は、オプションとして半透明であってもよく、オプションとして外層
(1)が、その表面に置換される格子パターンを有してもよい。 医薬用のヒドロゲル・シートは、いかなる形、及び、大きさにも製造され得る
【0038】 本発明の別の好ましい実施例(図1)において、二枚の重なり合う放出シート
(3)が供給される。 例えば、放出シートは、非接着性の、可塑的な材料から製造され得る。 各々の放出シート(3)は、外層(1)の接着性の周辺部に張り付けられ、ヒ
ドロゲル基質(2)の半分を覆うために、被覆用品の中央の方へ伸びる。 一方の放出シート(3)の固定されていない端部は、被覆用品の中央で折り返
される一方、もう一方の放出シート(3)の固定されていない端部は、その折り
返された端部の上に平らな状態で配置される。 放出シート(3)の端部が被覆を剥がされると、被覆用品の中央に位置するヒ
ドロゲル創傷基質(2)が創傷と接触するように配置され、外層(1)の接着部
が、その後に続く。 当業者は、この放出システムが、本質的にヒドロゲル基質(2)との接触を最
小にすることによって、傷被覆用品の無菌性を維持すると認識するだろう。 それから、このすぐに使用可能な傷被覆用品は、好ましくは、水蒸気を浸透さ
せない袋内に密封され、(例えばY線照射によって)殺菌され得る。
【0039】 リポソーム(図2(d))に取り込まれる医薬は、好ましくは、抗生物質、抗
微生物物質、抗病原性ペプチド、防腐性の、抗菌の、及び、抗真菌性の薬剤、抗
炎症薬、局所麻酔薬、中枢神経系に作用する薬剤、並びに、創傷治癒促進物質(
例えば成長因子)を含む一群の医薬から選択されるが、これらに限定されない。 リポソームに医薬を充填する方法の選択は、目標化合物の化学的性質によって
決定される。 当業者は、リポソームに入り込む医薬の濃度が、治療薬の固有活性の関数(fu
nction;機能)であると認識するだろう。 更に、当業者は、リポソームの組成(例えば脂質の種類、脂質とコレステロー
ルとの比率、表面電荷等)が、適切な緩効性の医薬保有体を製造するために、被
包される医薬により、特別注文で決められてもよいとも認識するだろう。 典型的に、ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylc
holine)/ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(dipalmitoylphosp
hatidylethanolamine)−ポリエチレングリコール/コレステロール・リポソー
ム、又はジパルミトイルホスファチジルコリン/コレステロール・リポソームを
含むポリエチレングリコール架橋ゲルは、ゲル基質安定性、リポソームの発散性
、及び、医薬充填効率について最適な調合を構成する。
【0040】 当業者は、接着性の縁を含む傷被覆用品が、必ずしも非常に広い範囲(例えば
胴全体又は背中全体)、又は凸凹な表面範囲を覆うことに適しているというわけ
ではないとも認識するだろう。 従って、本発明の第二の好ましい実施例(図3)において、リポソーム医薬を
取り込む独自の(proprietary)ヒドロゲル基質(2)は、流動性のヒドロゲル
混合物を適切な型に注入することにより、薄くて弾力的なシートを形成すべく生
成される。 そして、接着性の外層(1)は、その外形寸法に適合するように、ヒドロゲル
基質シート(2)に貼り付けられる。 この第二の好ましい実施例において、薄膜の外層(1)は、好ましくはポリウ
レタン、ポリエチレン、ビニル、ポリ塩化ビニル又は他の適切な材料を含む一群
の物質から選択されるが、これらに限定されない。 この本発明の第二の好ましい実施例において、ヒドロゲル傷被覆用品シートは
、二次的な被覆用品(例えば、包帯、管状被覆用品)を利用して、創傷上に固定
される。
【0041】 当業者は、大きなヒドロゲル・シートが、その取り扱いを容易にし、ヒドロゲ
ル基質の破断の危険を減少させるために、支持物質を含む必要があるとも認識す
るだろう。 従って、本発明の第二の好ましい実施例(図3)において、任意の支持物質(
3)が、ヒドロゲル基質層(2)に強度を与えるために、被覆用品に含まれる。 支持物質の浸透可能な性質により、ヒドロゲル基質は、完全に該支持物質を浸
み込ませることが可能になるので、ヒドロゲル基質は、支持物質の外端部で完全
に露出される。 このようにして、支持物質は創傷に接着しない。 被覆用品が新しく形成された肉芽組織に接着する場合、創傷治癒の障害となる
ので、このことは非常に望ましい。 支持物質は、天然繊維の撚り糸(strand;ストランド)、合成線維の撚り糸、
メリヤス、医薬用織布若しくはメッシュ織物、医薬用不織布若しくは不織メッシ
ュ、又はそれらのいかなる組み合わせを含む物質群から選択されてもよい。
【0042】 以下の例は、制限としてではなく、説明としての、本発明の実施を示す。 本発明は、以下の実施例で利用されるヒドロゲル又はリポソームの種類にも、
又、本発明の架橋ヒドロゲルを形成する方法にも決して限定されていない。 先に述べたように、リポソーム内に取り込まれる治療薬の種類は、どんなリポ
ソームが利用されるか、どんなヒドロゲルが利用されるか、及び、どんな本発明
のヒドロゲル傷被覆用品を調合する方法が利用されるか、を決定する。 これらの例は、確立された全層創傷感染(例1)を治療する際の、又は汚染創
(例2)の感染の進行を防ぐ際の、リポソーム・シプロフロキサシンを充填した
ヒドロゲル傷被覆用品の有効性を示すデータを提示する。
【0043】 当業者は、シプロフロキサシンが例示される唯一の抗微生物剤であるが、多く
の他のリポソーム医薬(例えば、抗微生物性で抗真菌性の作用物質だけでなく、
抗生物質、防腐剤、成長因子)も、治療用効果を出すために首尾よくゲル傷被覆
用品シートに取り込まれてもよいと認識するだろう。
【0044】 例1 リポソーム、及び、PEG−ゼラチンゲル調製 ヒドロゲルに取り込まれるリポソームは、様々な脂質からなり得る。 典型的には、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/コレステロ
ール(1:1)が使用される。 例えば、1:1:0.05:0.001の比率であるDPPC/コレステロー
ル/PEG−DSPE(distearoylphosphatidylethanolamine;ジステアロイル
ホスファチジルエタノールアミン)/ローダミン−DPPE(dipalmitoylphosp
hatidylethanolamine)からなるリポソームを調製した。 利用される調合には制限がなく、効果的に本発明の実施例を達成するために、
どんな脂質と他成分との比の値が使用されてもよい。 リポソーム合成のための通常の操作は、得られる脂質を少量のクロロホルム(
即ち4mL)に溶解させることから始め、続いて減圧下で約2時間溶媒を除去する
。 得られた脂質膜は、シプロフロキサシンを充填したリポソームを得るために適
量の300ミリモル(mM)の硫酸アンモニウムと、又はクロルヘキシジンを充填
したリポソームを得るために適量の20%のクロルヘキシジン・ジグルコネート
と150ミリモルのグルコースとの混合物と、45℃で水和する。 それからリポソームは、液体窒素で凍結され、45℃の水浴で解凍され(5X
)、続いて二枚の100ナノメートルの孔を有する薄膜から、高圧で押し出され
た(10X)。 この操作は、平均直径100ナノメートルで、リポソーム薄膜の内側と外側と
で等しい溶質分布を有する単層リポソームを製造するために示された。 エム.ジェイ.ホープ、エム.ビー.バレイ、ジー.ウェブ、ピー.アール.
カリス(M. J. Hope、M. B. Bally、G. Webb、P. R. Cullis)の「速やかな押出
し操作による大きな単層小胞の製造 粒度分布、閉じ込められた(trapped)容
量、薄膜のポテンシャルを維持する能力のキャラクタリゼーション(characteri
zation;特性評価)」、バイオキム・バイオフィズ・アクタ(Biochim. Biophys
. Acta)、第812号、55頁〜65頁、1985年刊。 エル.ディー.メイアー、エム.ジェイ.ホープ、ピー.アール.カリス、エ
ー.エス.ジャノフ(L. D. Mayer、M. J. Hope、P. R. Cullis、A. S. Janoff
)の「凍解した(freeze-thawed)多重層小胞において観測される溶質分布とト
ラッピング効率」、バイオキム・バイオフィズ・アクタ、第817号、193頁
〜196頁、1986年刊。 クロルヘキシジン・リポソーム懸濁液は、被包されていない医薬の除去の前に
、5倍に希釈される。 シプロフロキサシンを充填したリポソームを得るために、表面の(external)
硫酸アンモニウムは、10ミリモルのMES(2-(N-Morpholino)ethanefonic ac
id)緩衝剤及び150ミリモルのNaCl(pH 4.5)の1000容量に対して
、夜通しの透析によって除去され、被包されていないクロルヘキシジンは、ME
S/生理食塩水に再懸濁して、超遠心分離法によって100,000xgで1時
間、除去される(3X)。 表面の硫酸アンモニウムは、懸濁液にG−50カラム(1×10cm)を通過さ
せ、10%のしょ糖液(pH 4.0)で溶出することによって除去され得る。
【0045】 治療薬は、ワイ.ケイ.オウ(Y.K. Oh)らの「細胞内のミコバクテリウム・
アビウム(mycobacterium avium;非定型抗酸菌)感染の治療のためのリポソー
ムで被包された抗生物質の調合及び効力」、アンチミクロブ・エージェント・ケ
ムアザー(Antimicrob. Agents Chemother.)、第39号、2104頁〜211
1頁、1995年刊に記載されている遠隔充填技術に従い、リポソームに取り込
まれていた。
【0046】 表面の充填されていない医薬の除去の後、クロルヘキシジンを含むリポソーム
は、ヒドロゲル形成を開始するために、直ちにPEGとゼラチンに混合される。 硫酸アンモニウム・リポソームは、ヒドロゲル基質内に取り込まれた後、50
℃で1時間、典型的には2〜10mg/mLの抗生物質溶液中でのリポソーム・ヒド
ロゲルの培養により、シプロフロキサシンを充填され得る。
【0047】 PEGと架橋した場合のヒドロゲル基質(PEGXL)は、pH 4.0で1
0%のゼラチン、6%のNPC−PEG、及び、10%のスクロースを含み、自
己架橋ヒドロゲル(SelfXL)は10重量/容量%のゼラチンを含む。 両ヒドロゲルの調合は、45℃で約15分間、100ナノメートルのリポソー
ム懸濁液に成分を溶かすことによって調製される得る。 200ミリモル、pH 9のホウ酸塩緩衝溶液へのゲルの液浸(immersion;浸
漬)を含む架橋開始の前に、ヒドロゲルは少なくとも10分間、4℃で維持され
る。 しかしながら、自己架橋ゲルは、1時間、水溶性のカルボジイミド(5mg/mL
)との反応によって、最初に活性化されなければならない。 架橋性添加剤は、24時間、緩衝剤で継続的に洗浄することにより、ゲルから
除去される。 リポソームが必要とされる場合、それらは純リポソーム懸濁液から添加された
。 PEG−ゼラチン溶液のリポソームの濃度は、DPPCに関して15ミリモル
であった。 全ての溶液は、ゼラチンを溶かすために15分間、45℃で加熱された。
【0048】 調合選択 満足なリポソーム・ヒドロゲル調合の選択は、三つの主要な基準の最適な組み
合わせに基づく。 (1)生理学的条件下の架橋ゼラチンゲルの安定性(+/−リポソーム)。 (2)リポソーム医薬の充填効率と放出速度論。 (3)ゼラチンベースのゲルのためのリポソーム親和性。
【0049】 最初の研究は、37℃でのゲル基質の安定性を確実にするのに十分な架橋性を
達成するために必要とされる活性化されたPEGの量を決定することから着手さ
れた。 活性化されたPEGのレベルを変化させるに際し、ゲルは、37℃で維持され
る緩衝生理食塩水(pH 7.4)に配置された。 通常の間隔で、280ナノメートルでの媒質の吸光度が、ゲル劣化の指標とし
て観察された。 ゼラチンのアミノ基に対する活性化されたPEG末端の1:1又は1.5:1
の出発比率が、37℃で長期間、ゲルの完全性を維持するのに必要だった(30
日後には出発物質の10〜15%が損失)。 価格/性能を考慮して、1:1のPEG−ゼラチンゲルが、それ以降の全ての
研究において利用された。 カルボジイミドと架橋したゲルは更に安定しており、37℃で30日後、出発
物質の5%のみが損失した。 リポソームを含むPEGと架橋した(PEGXL)ゼラチンゲル、及び、自己
架橋(SelfXL)ゼラチンゲルの安定性は、PBS(リン酸緩衝生理食塩水
)若しくは50%仔ウシ血清中での37℃、7日間の培養によっても決定された
。 実験終了時の架橋リポゲルの乾燥重量は、開始時の乾燥重量とそれほど差異が
なく、このことは、この架橋方法が両方とも、ゲル基質中でのリポソームの存在
と適合することを示す。 引張強度検査でも、リポソームを含むことで架橋ゼラチン基質の完全性に影響
を及ぼさないことを確認した。 架橋PEGゼラチンゲルは、(DPPC/コレステロール・リポソームを有す
る場合、有しない場合とも)破壊するまで、元の長さの約2倍まで伸び得るが、
架橋されていないゲルは、破断するまで、元の長さの約4/3倍しか伸びなかっ
た。
【0050】 医薬は、しばしば能動充填(active loading)及び受動充填(passive loadin
g)と呼ばれる二つの一般的な医薬充填方策のどちらかによって、リポソームに
取り込まれてもよい。 例えばシプロフロキサシンのような弱アミンは、リポソーム中核内にプロトン
化された化合物を閉じ込める二重層間(trans-bilayer)のpH勾配(酸性の内
部)の生成を通して、高い濃度で、予め形成されたリポソームに能動的に充填さ
れ得る。 多くの他の化合物、特に親油性のものは、有機溶媒に溶解された脂質と共に調
合されること(co-formulation)を通じて、又は、脂質膜を水和するために使用
される溶媒に含まれることによって、リポソームと関連する。 充填する方策の選択は、通常、目標化合物の化学的性質によって決定されるが
、シプロフロキサシンの場合、いずれの方策を利用されてもよい。 脂質組成及び医薬充填方法の関数としての多様なリポソーム調合のシプロフロ
キサシン被包効率が、測定された。 受動充填の実験計画が利用された場合、50モル%のコレステロールを含む卵P
C(Egg PC;卵フォスファチジルコリン)リポソームは、DPPC/コレステロ
ール・リポソームよりかなり多くの医薬を保持し得る(168μg/umolリン脂質
対40μg/umol)。 しかしながら、37℃で、緩衝食塩水中で培養される卵PCリポソームからの
医薬の放出は、DPPCリポソームと比較して、より速やかである。 DPPC/コレステロール・リポソームに関する能動充填方法の利用は、それ
らの被包効率を、約180μg/μmolリン脂質まで増加させ、そのゆっくりとし
た放出特性(4℃で6週間後に、初めに被包された医薬の10%未満の放出)と
併せて、DPPC/コレステロール・リポソームへのシプロフロキサシンの能動
充填は、医薬充填を最大にすることと医薬漏れ(drug leakage)を最小にするこ
ととの間の、最良の妥協点を供給する。
【0051】 ゼラチンゲルのDPPC/コレステロール・リポソームを分離することは、明
らかでない理由により、能動的に充填されたシプロフロキサシンの被包効率を、
約100μg/μmolリン脂質まで減少させる。 しかしながら、興味深いことには、PEG脂質を含むリポソーム調合は、この
効果を無効にすることから、PEGと結合させられた(pegylated)リポソーム
を利用しなかったので、PEGと結合させられたステルス(STEALTH)(商標)
リポソームとのいかなる抵触をも回避する。 リポソーム調合において荷電された脂質を含むことによっても、シプロフロキ
サシンの被包効率を激烈には変化させなかった。
【0052】 中性でPEGと結合させられたリポソームの、PEGXL及びSelfXLゲ
ルでの親和性(DPPQについては27ミリモル)は、7日間に亘り(37℃の
)PBSに浸漬されたゲルからのリポソームの放出を観察することによって検査
された。 リポソームの最も高い初期の発散(efflux)(約28%)は、PEGXLゲル
中のPEGと結合させられたリポソームで観測されたが、7日後には、全ての試
料が、それらのリポソームの初期ロードと同様の量(約26〜34%)を放出し
た。
【0053】 上記のデータは、DPPC/DPPE−PEG/コレステロール・リポソーム
、又はDPPC/コレステロール・リポソームを含むPEGと架橋したゲルが、
ゲル基質安定性、リポソームの発散、及び、医薬充填効率に関して最適な調合を
構成することを示す。
【0054】 全層創傷のラット・モデル 実験日に、スプレーグ・ドーリー(Sprague-Dawley)ラットは麻酔をかけられ
、標準の操作で背部の毛を剃られ、脱毛され、洗浄された。 1cm2の窓を有するオーダーメードのプレキシガラステンプレートが、脱毛さ
れた範囲に配置された。 そして、創傷の位置がマークされた。 各々の動物の背部の当該範囲から1cm2の皮膚部分が外科的に除去され、脊椎
僧帽筋(spinotrapezius muscle)より上に位置する肉様層(panniculus carnos
us)を露出した。
【0055】 創傷汚染の後、直ちにヒドロゲル傷被覆用品が、創傷全体を覆うように貼り付
けられた。 そして、各々の傷被覆用品は、動物から保護すべく覆われた(具体例の詳細を
参照)。 全ての動物は、被覆用品を貼られて24時間後に犠牲になった。 感染した肉様層、及び、脊椎僧帽筋の一部は無菌状態の下に解剖され、それら
の細菌含有量は、標準の微生物学的操作を利用して評価された。
【0056】 細菌の攻撃 緑膿菌の臨床分離株が、創傷を感染させるために利用された。 細菌の懸濁液は、標準の微生物学的操作を利用して得られ、単位mL当たり約1
×10コロニー形成単位に希釈された。 創傷感染の臨床上の定義が、少なくとも組織1g当たり1×10生体数に属
するので、この細菌量が選択された。
【0057】 ヒドロゲル傷被覆用品 リポソーム・シプロフロキサシンを充填したヒドロゲル傷被覆用品、又はプレ
ーン・リポソームを充填したヒドロゲル傷被覆用品が、個々の小びん(2cmの円
板、厚さ1.25mm)に供給された。 与えられたバッチ(batch)のヒドロゲル被覆用品の無菌性は、創傷上でそれら
を利用するより前の2日間で評価された。
【0058】 例2 この研究は、確立された感染を治療する際のリポソーム・シプロフロキサシン
を充填したヒドロゲル傷被覆用品の殺菌効果を評価するために計画された。 ラットは麻酔をかけられ、前述したように、全層創傷を形成された。 (500μL中に)約5×10コロニー形成単位の緑膿菌の臨床用菌株が、
各々のラットの肉様層筋の筋膜の下部に注射された。 プレーン・リポソーム又はリポソーム・シプロフロキサシン(2mgのシプロフ
ロキサシン)を含むヒドロゲル被覆用品はいずれも、創傷全体を覆うように、直
ちに貼り付けられた。 そして、各々の被覆用品は、テガダーム(Tegaderm)(商標)(スリーエム(
3M)社)半透膜で覆われ、ガーゼ・パッドが、被覆用品と創傷との間の良好な接
触を確実にするために貼り付けられ、ラット束縛用ジャケット(rat tether jac
ket)のみでなく管状の伸縮自在の被覆用品保持装置が、各々のラットに取り付
けられた。 全ての動物は被覆用品を貼られて24時間後に犠牲になり、前述したように、
筋組織が切除され、処理された。
【0059】 24時間、リポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル被覆用品を貼り付け
た後、肉様層筋において測定された細菌数において、対照被覆用品(control dr
essing)と比較して、対数にして5の減少量が観測された(図4)。 対照的に、これら2つの実験群の間での脊椎僧帽筋において測定された細菌数
は、非常に小さい減少量の差(対数にして0.5)であった。 これらのデータは、24時間、リポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル
傷被覆用品を貼り付けることにより、かなりの数の皮相組織における細菌数を減
少させることを証明する。 しかしながら、この殺菌効果は、より深い組織においては著しく減少させられ
る。 24時間後に回収されたヒドロゲル傷被覆用品の幾つかが、多かれ少なかれ脱
水されていたことは注目すべきである。 これらのデータは、創傷からの滲出液のレベルにより、ヒドロゲル被覆用品の
水分補給を適切なレベルに維持するために、異なる種類の下地(backing)が必
要とされることを示唆した。 シプロフロキサシンの初期の量の少なくとも75%が24時間後、ヒドロゲル
円板(hydrogel disc)で回収されたことも注目すべきである。
【0060】 例3 この研究は、『新しい』全層創傷が細菌で汚染された場合の筋書きをシミュレ
ーションする(simulate)ために計画された。 しかしながら、直ちに創傷を洗浄したり清拭したりすることはできなかった。 そのような状況の下、応急処置治療は、皮相からより深い組織への感染の進行
を制限しようと試みるために、抗生物質の充填された傷被覆用品を貼り付けるこ
とを含んだ。
【0061】 ラットは麻酔をかけられ、前述したように、全層創傷が形成された。 (200μL中に)約2×10コロニー形成単位の緑膿菌の臨床上の菌株が
、皮膚を除去することによりできた腔に(即ち、直接肉様層筋上に)沈殿した。 プレーン・リポソーム(n=6)、又はリポソーム・シプロフロキサシン(n
=5;2mgのシプロフロキサシン)を含むヒドロゲル被覆用品はいずれも、全て
の創傷を覆うように貼り付けられた。 それから、各々の被覆用品は、小さな滅菌ガーゼ片と、エラストプラスト(El
astoplast)(商標)絆創膏で覆われた。 そしてガーゼ・パッドが、被覆用品と創傷との間の良好な接触を確実にするた
めに貼り付けられ、自己接着性の弾性包帯が、被覆用品を各々のラットに安全に
巻き付けるために使用された。 全ての動物は被覆用品を貼り付けて24時間後に犠牲になり、筋組織は前述し
たように切除され、処理された。
【0062】 回収された全てのヒドロゲル傷被覆用品は、完全だった(即ち、外見上、脱水
されていなかった)。 24時間、リポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル被覆用品を貼り付け
た後、肉様層及び脊椎僧帽筋における細菌数の検査により、これらの組織におい
て回収される細菌数は、対照被覆用品と比較して、それぞれ対数で約7及び3、
減少していたことが明らかになった(図5)。 これらのデータは、24時間、リポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル
被覆用品を貼り付けることは、汚染創における感染の進行を防ぐための有効な手
段であることを示唆する。 シプロフロキサシンの初期の量の少なくとも75%が24時間後、ヒドロゲル
円板において回収されたことも注目すべきである。
【0063】 例4 この研究は、リポソーム・シプロフロキサシンを充填したヒドロゲル被覆用品
の殺菌効果を、市販の銀で被覆された抗菌性の障壁傷被覆用品の殺菌効果と比較
するために計画された。 修正ウォーカー・メーソン熱傷モデル(modified Walker-Mason burn wound m
odel)が、利用された。 4匹の雄のスプレーグ・ドーリー・ラットが、少しの間、麻酔をかけられた。 それらの背部は剃られて、標準操作を利用して洗浄された。 全層の、死に至らない火傷を引き起こすべく、皮膚に40秒間加熱真鍮棒を貼
り付けることによって、6つの2cm×2cmの熱傷が、各々の動物の背部に形成さ
れた。 3枚の2cm×2cmの滅菌ガーゼ片、及び3枚の2cm×2cmの銀で被覆された傷
被覆用品が、2匹のラットの創傷を覆うように貼り付けられた。 その他の2匹のラットは各々、プレーン・リポソーム(n=3)又はリポソー
ム・シプロフロキサシン(n=3;2mgのシプロフロキサシン)を含むヒドロゲ
ル傷被覆用品を貼り付けられた。 それから、緑膿菌のユタ菌株の混合物(200μl中に約10コロニー形成
単位)が、各々の被覆用品に貼り付けられた。 動物は、植菌の後、30分後(n=2)若しくは120分後(n=2)に殺さ
れた。 その後、熱傷は無菌状態の下に切除された。 創傷は別々に超音波で破壊され、細菌数は標準の微生物学的操作を利用して評
価された。
【0064】 リポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル及び銀で被覆された傷被覆用品
を貼り付けて0.5時間後及び2時間後の創傷における細菌数の減少が比較され
た(図6)。 これらのデータは、これらの傷被覆用品が、グラム陰性菌微生物(Gram-negat
ive organism)で汚染された熱傷において、比較的短期の殺菌効果を有すること
を示す。
【0065】 例5 この研究は、最高7日間、医薬用ヒドロゲル傷被覆用品を単一で貼り付けた後
の、ラットの創傷の細菌汚染度を決定するために計画された。 ラットは麻酔をかけられ、前述したように、全層創傷が形成された。 (500μL中に)約5×10コロニー形成単位の緑膿菌の臨床用菌株が、
各々のラットの肉様層筋の筋膜の下部に注射された。 プレーン・リポソーム、未固定シプロフロキサシン(1円板当たり1mg)、又
はリポソーム・シプロフロキサシン(1円板あたり1mg)を含む被覆用品が、創
傷全体を覆うように、直ちに貼り付けられた。 それから、各々の被覆用品は、小さな滅菌ガーゼ片、及び、エラストプラスト
(Elastoplast)(商標)絆創膏で覆われた。 そしてガーゼ・パッドが、被覆用品と創傷との間の良好な接触を確実にするた
めに貼り付けられ、自己接着性の弾性包帯が、被覆用品を各々のラットに安全に
巻き付けるために使用された。 動物は、実験用の傷被覆用品を貼り付けた後、1日後、3日後、又は7日後に
犠牲となった。 筋組織は切除され、前述したように、処理された。
【0066】 7日間の研究期間を通して、対照群における肉様層、及び脊椎僧帽筋の細菌汚
染は、一定の状態に維持されていた。 未固定シプロフロキサシンを含むヒドロゲル被覆用品を貼り付けて24時間後
、細菌数は、肉様層筋で70%減少し、これらのレベルは、最高7日間、被覆用
品を貼り付けることによっても、更に影響を受けなかった(図7)。 対照的に、リポソーム・シプロフロキサシンを含むヒドロゲル被覆用品を貼り
付けて7日の間、肉様層において測定される細菌数は、徐々に対数にして4まで
減少した(図7)。 1mgの未固定シプロフロキサシン又はリポソーム・シプロフロキサシンを含む
ヒドロゲル傷被覆用品を貼り付けた後、対照被覆用品と比較して、脊椎僧帽筋に
おいて測定される細菌数の減少は観測されなかった(図8)。 3日間、未固定シプロフロキサシンを含む被覆用品を貼り付けることにより、
細菌数が対数で1減少した一方、同じ期間、リポソーム・シプロフロキサシン・
ヒドロゲル被覆用品を貼り付けた後、対数にして2.5の減少が観測された(図
8)。 しかしながら、被覆用品を貼り付けて7日後では、脊椎僧帽筋において測定さ
れる2つの医薬処理した群の細菌数は、ほぼ同じである(図8)。 これらのデータは、最高7日間、リポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲ
ル傷被覆用品(1mgのシプロフロキサシン)を貼り付けることにより、固定され
ていない医薬と比較して、皮相組織の細菌数がかなり減少することを示す。 しかしながら、この強化された殺菌効果は、より深い組織においては維持され
ない。
【0067】 上に記載し、実施例において明らかにされた本発明の目的が、効率的に達成し
得ることは当業者にとって明らかであるだろう。 ここに記載されている実施例及び開示は、例示を目的としており、網羅的では
ない。 これらの実施例及び明細書は、当業者に多くの変更及び変形例を示唆するだろ
う。 これらの変形例及び変更の全ては、特許請求の範囲内で想到し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 傷被覆用品を形成する3つの層を例示する本発明の好ましい傷被覆用品の断面
図である。
【図2】 図1に図示したヒドロゲル基質(2)の拡大図である。
【図3】 ヒドロゲル傷被覆用製品の第二の好ましい実施例を形成する2つの層を例示す
る断面図である。
【図4】 ラットの全層創傷感染を治療する際のリポソーム・シプロフロキサシン(lipo
somal ciprofloxacin)を充填したヒドロゲル傷被覆用品の有効性を表す棒グラ
フである。 創傷は、プレーン(plain;単なる)リポソーム・ヒドロゲル傷被覆用品(黒
棒)又はリポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル傷被覆用品(斜線棒)の
どちらかで覆われた。 各々の実験群の動物の数は、括弧内に示される。 データは、平均値±標準誤差である。
【図5】 ラットの汚染された全層創傷における感染の進行を防ぐ際のリポソーム・シプ
ロフロキサシンを充填したヒドロゲル傷被覆用品の有効性を表す棒グラフである
。 創傷は、プレーン・リポソーム・ヒドロゲル傷被覆用品(黒棒)又はリポソー
ム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル傷被覆用品(斜線棒)のどちらかで覆われ
た。 各々の実験群の動物の数は、括弧内に示される。 データは、平均値±標準誤差である。
【図6】 汚染された全層熱傷のラット・モデルにおける、リポソーム・シプロフロキサ
シンを充填したヒドロゲル傷被覆用品と、市販の銀で被覆された障壁傷被覆用品
との殺菌性の効力を比較する棒グラフである。 創傷は、30分後(斜線棒)又は120分後(黒棒)に切除された。 各々の実験群において切除される創傷の数は、括弧内に示される。 データは、平均値±標準誤差である。
【図7】 ラットの表面的な筋肉の感染を治療する際のリポソーム・シプロフロキサシン
を充填したヒドロゲル傷被覆用品の有効性を表す棒グラフである。 創傷は、プレーン・リポソーム・ヒドロゲル傷被覆用品(黒棒)か、未固定(
free;固定されていない)シプロフロキサシン・ヒドロゲル傷被覆用品(白棒)
か、リポソーム・シプロフロキサシン・ヒドロゲル傷被覆用品(斜線棒)かで覆
われた。 各々の実験群の動物の数は、括弧内に示される。 データは、平均値±標準誤差である。
【図8】 ラットの深部の筋の感染を治療する際のリポソーム・シプロフロキサシンを充
填したヒドロゲル傷被覆用品の有効性を表す棒グラフである。 創傷は、プレーン・リポソーム・ヒドロゲル傷被覆用品(黒棒)か、未固定シ
プロフロキサシン・ヒドロゲル傷被覆用品(白棒)か、リポソーム・シプロフロ
キサシン・ヒドロゲル傷被覆用品(断続線)で覆われた。 各々の実験群の動物の数は、括弧内に示される。 データは、平均値±標準誤差である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 9/70 405 A61K 9/70 405 A61L 15/44 A61L 15/03 15/58 15/06 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 シーク、パング カナダ国 エム2エヌ 1ピー4 オンタ リオ、トロント、ハーランダレ アベニュ ー 180 (72)発明者 ディティジオ、バレリオ カナダ国 エム9エル 2エイチ9 オン タリオ、ウエストン、ミレディー ロード 43 (72)発明者 ディコズモ、フランク カナダ国 エル4シー 7エス4 オンタ リオ、リッチモンド ヒル、レディット コート 4 Fターム(参考) 4C076 AA19 AA73 AA74 AA75 AA76 AA78 AA80 AA81 AA82 AA94 BB31 CC01 CC04 CC18 CC19 CC31 CC32 DD31 DD43 DD59 DD63 DD67 DD70 EE03 EE05 EE23 EE30 EE42 EE43 EE45 EE47 FF31 FF34 FF35 FF36 FF39 FF57 GG16 4C081 AA02 AA03 AA12 BB06 BB08 CA021 CA041 CA191 CA211 CC05 CD011 CD121 CD151 CE01 CE02 CE05 DA02 DA12 DB03 DC02 DC03 DC04 EA03 EA06

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、リポソームに被包され、
    且つ、前記架橋ヒドロゲル基質層に取り込まれる少なくとも一つの治療薬と、か
    らなることを特徴とする傷被覆用品。
  2. 【請求項2】 前記架橋ヒドロゲル基質層が、更に、天然繊維の撚り糸と、
    合成線維の撚り糸と、メリヤスと、医薬用織布と、医薬用メッシュ織物と、医薬
    用不織布と、医薬用不織メッシュと、それらの組み合わせと、を含む群から選択
    される支持物質からなることを特徴とする請求項1記載の傷被覆用品。
  3. 【請求項3】 前記架橋ヒドロゲル基質が、ゼラチンと、ペクチンと、コラ
    ーゲンと、からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の傷被覆用
    品。
  4. 【請求項4】 前記架橋ヒドロゲル基質が、ポリエチレングリコールと架橋
    されたゼラチンであることを特徴とする請求項1記載の傷被覆用品。
  5. 【請求項5】 前記架橋ヒドロゲル基質が、自己架橋ゼラチンであることを
    特徴とする請求項1記載の傷被覆用品。
  6. 【請求項6】 前記架橋ヒドロゲル基質が、カルボジイミドと架橋されたゼ
    ラチンであることを特徴とする請求項1記載の傷被覆用品。
  7. 【請求項7】 前記外層が、ポリウレタンと、ポリエチレンと、ビニルと、
    ポリ塩化ビニルと、からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の
    傷被覆用品。
  8. 【請求項8】 前記外層が、医薬用接着剤で覆われることを特徴とする請求
    項1記載の傷被覆用品。
  9. 【請求項9】 前記傷被覆用品が、半透明の傷被覆用品であることを特徴と
    する請求項1記載の傷被覆用品。
  10. 【請求項10】 前記外層が、その表面に置換される格子を有することを特
    徴とする請求項9記載の傷被覆用品。
  11. 【請求項11】 前記外層が、蒸気浸透性であることを特徴とする請求項1
    記載の傷被覆用品。
  12. 【請求項12】 前記外層が、穿孔されることを特徴とする請求項1記載の
    傷被覆用品。
  13. 【請求項13】 前記外層が、防水性であることを特徴とする請求項1記載
    の傷被覆用品。
  14. 【請求項14】 前記傷被覆用品が、更に、保護放出シートからなることを
    特徴とする請求項1記載の傷被覆用品。
  15. 【請求項15】 前記治療薬が、抗生物質と、抗微生物物質と、抗病原性ペ
    プチドと、防腐剤と、抗菌剤と、抗真菌剤と、抗炎症薬と、局所麻酔薬と、中枢
    神経系に作用する薬剤と、創傷治癒促進物質と、それらの組み合わせと、を含む
    群から選択されることを特徴とする請求項1記載の傷被覆用品。
  16. 【請求項16】 前記抗生物質が、フルオロキノロンであることを特徴とす
    る請求項15記載の傷被覆用品。
  17. 【請求項17】 前記フルオロキノロンが、シプロフロキサシンであること
    を特徴とする請求項16記載の傷被覆用品。
  18. 【請求項18】 前記傷被覆用品が、リポソームに被包され、且つ、前記ヒ
    ドロゲル基質層に取り込まれる少なくとも一つの治療薬からなることを特徴とす
    る請求項1記載の傷被覆用品。
  19. 【請求項19】 前記ヒドロゲルが、約10%のゼラチンと、約60%のN
    PC−PEGからなることを特徴とする請求項1記載の傷被覆用品。
  20. 【請求項20】 治療に有効な量の抗生物質の、長期間の安定な放出を供給
    する傷被覆用品であって、外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、リポソームに被包
    され、且つ、前記ヒドロゲル基質層に取り込まれる治療に有効な量の抗生物質と
    、からなることを特徴とする前記傷被覆用品。
  21. 【請求項21】 前記抗生物質がフルオロキノロンであることを特徴とする
    請求項20記載の傷被覆用品。
  22. 【請求項22】 前記フルオロキノロンがシプロフロキサシンであるという
    ことを特徴とする請求項21記載の傷被覆用品。
  23. 【請求項23】 防水性の外層と、支持物質からなる架橋ヒドロゲル基質層
    と、リポソームに被包され、且つ、前記ヒドロゲル基質層に取り込まれる治療薬
    と、からなることを特徴とする傷被覆用品。
  24. 【請求項24】 外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、リポソームに被包され
    、且つ、前記架橋ヒドロゲル基質層に取り込まれる少なくとも一つの治療薬と、
    からなることを特徴とする傷被覆用品を、創傷に貼り付けることからなる感染か
    ら創傷を保護する方法。
  25. 【請求項25】 前記治療薬が、抗生物質と、抗微生物物質と、抗病原性ペ
    プチドと、防腐剤と、抗菌剤と、抗真菌剤と、それらの組み合わせと、を含む群
    から選択されることを特徴とする請求項24記載の感染から創傷を保護する方法
  26. 【請求項26】 前記抗生物質がフルオロキノロンであることを特徴とする
    請求項25記載の感染から創傷を保護する方法。
  27. 【請求項27】 前記フルオロキノロンがシプロフロキサシンであることを
    特徴とする請求項26記載の感染から創傷を保護する方法。
  28. 【請求項28】 治療に有効な量の抗生物質の、長期間の安定な放出を供給
    する傷被覆用品を、創傷に貼り付けることからなる感染から前記創傷を保護する
    方法であって、前記傷被覆用品が、外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、リポソー
    ムに被包され、且つ、前記ヒドロゲル基質層に取り込まれる治療に有効な量の抗
    生物質と、からなることを特徴とする感染から創傷を保護する方法。
  29. 【請求項29】 前記抗生物質がフルオロキノロンであることを特徴とする
    請求項28記載の感染から創傷を保護する方法。
  30. 【請求項30】 前記フルオロキノロンがシプロフロキサシンであることを
    特徴とする請求項29記載の感染から創傷を保護する方法。
  31. 【請求項31】 外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、リポソームに被包され
    、且つ、前記架橋ヒドロゲル基質層に取り込まれる治療薬と、からなることを特
    徴とする傷被覆用品を、創傷に貼り付けることからなる創傷治療方法。
  32. 【請求項32】 前記治療薬が、抗生物質と、抗微生物物質と、抗病原性ペ
    プチドと、防腐剤と、抗菌剤と、抗真菌剤と、抗炎症薬と、局所麻酔薬と、中枢
    神経に作用する作用する薬剤と、それらの組み合わせと、からなる群から選択さ
    れることを特徴とする請求項31記載の創傷治療方法。
  33. 【請求項33】 前記抗生物質がフルオロキノロンであることを特徴とする
    請求項32記載の創傷治療方法。
  34. 【請求項34】 前記フルオロキノロンがシプロフロキサシンであることを
    特徴とする請求項33記載の創傷治療方法。
  35. 【請求項35】 治療に有効な量の抗生物質の、長期間の安定な放出を供給
    する傷被覆用品を、創傷に貼り付けることからなる創傷治療方法であって、前記
    傷被覆用品が、外層と、架橋ヒドロゲル基質層と、リポソームに被包され、且つ
    、前記ヒドロゲル基質層に取り込まれる治療に有効な量の抗生物質と、からなる
    ことを特徴とする創傷治療方法。
  36. 【請求項36】 前記抗生物質がフルオロキノロンであることを特徴とする
    請求項35記載の創傷治療方法。
  37. 【請求項37】 前記フルオロキノロンがシプロフロキサシンであることを
    特徴とする請求項36記載の創傷治療方法。
  38. 【請求項38】 治療薬からなるリポソームが、架橋ヒドロゲル基質内に取
    り込まれることを特徴とする、前記架橋ヒドロゲル基質シートを、より大きな外
    層上に配置することからなる傷被覆用品を調製する方法。
  39. 【請求項39】 前記外層が、医薬用接着剤で覆われることを特徴とする請
    求項38記載の傷被覆用品を調製する方法。
  40. 【請求項40】 前記傷被覆用品を調製する方法が更に、架橋ヒドロゲル基
    質の対向側の接着性の周辺部に2枚の放出シートを貼り付けること、被覆用品の
    中央の方へ放出シートを伸ばすこと、被覆用品の中央で第一の放出シートを折り
    返す一方で、前記第一の放出シートの折リ返された端部上に、第二の放出シート
    の固定されていない端部を、平らな状態で配置させること、からなることを特徴
    とする請求項39記載の傷被覆用品を調製する方法。
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