JP2003508015A - アダプター分子を用いる標的分子の電気泳動分析 - Google Patents

アダプター分子を用いる標的分子の電気泳動分析

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ボールズ,ティー.,クリスチャン
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Abstract

(57)【要約】 汎用ゲル、ならびに汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体の形成を含み、その際、アダプター分子が標的分子と汎用捕捉プローブにハイブリダイズする、試験試料中の1または複数の標的分子の有無の検出における使用方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 核酸の塩基対形成は極めて親和性が高く特異的な相互作用である。そのため、
様々な診断用途に、核酸ハイブリダイゼーションアッセイが考案されてきた。
【0002】 研究室的条件では、ハイブリダイゼーションアッセイは桁外れに高い感度を持
ち、フェムトグラム量の特定分子を検出できる。しかし、業務用の診断技術にお
けるハイブリダイゼーションアッセイの広範な使用は、いくつかの技術的制約に
よって妨げられてきた。
【0003】 第1に、高活性ハイブリダイゼーションプローブの使用には、ハイブリダイズ
していない(または不適切にハイブリダイズした)プローブとハイブリダイズし
たプローブとを分離するために、ストリンジェントな手順が必要である。この分
離は、所望の標的に相補的なプローブまたは試料核酸が固形支持体上に固定化さ
れる固相ハイブリダイゼーションフォーマットを用いることによって容易にする
ことができる。ハイブリダイズした分子種とハイブリダイズしていない分子種は
、その支持体を洗浄することによって分離できる。
【0004】 ハイブリダイゼーションアッセイの第2の制約は、低濃度の標的核酸を含有す
る試料の効率のよいハイブリダイゼーションには、往々にして、注意深く制御さ
れた条件下で(数時間に及ぶ)長々しいインキュベーションが必要なことである
。固定化された核酸は必ずといっていいほど、固定化されていない核酸よりも遅
い速度でハイブリダイズするので、固相アッセイの使用は、残念ながらこの問題
を悪化させる。
【0005】 これらの理由から、固相ハイブリダイゼーションをより良い速度と効率で行な
うための方法が、多くの研究者によって探求されてきた。いくつかのグループは
、硫酸デキストランまたはポリエチレングリコールなどの高分子量ポリマーの包
含によって固相アッセイの性能がわずかながらも改善することを見出している
(WiederおよびWetmur,Biopolymers20:1537
(1981);Wetmur,Biopolymers14:2517(19
75);YokotaおよびOishi,Proc.Natl.Acad Sc
i.USA,87:6398(1990))。またいくつかのグループは、改善
が認められるクロマトグラフィー固相ハイブリダイゼーション法を開発した。一
般に、固定化核酸鎖を担持する固形支持体の上に(またはその中に)溶液相核酸
鎖を流すと、ハイブリダイゼーションの速度と効率がどちらも改善されることが
見出されている。MacMahonおよびGordonの米国特許第5,310
,650号には、ニトロセルロースフィルターに固定化された標的分子が記載さ
れており、標識されたプローブは毛管作用によってその固定化標的領域を貫流す
る。同様の実験で、Reinhartzら(Gene,136:221−226
(1993))は、ろ紙上に捕捉プローブを固定化し、やはり毛管作用を利用し
て、その捕捉プローブ領域に標識一本鎖PCR産物を流した。また別の研究者ら
は、捕捉プローブで共有結合的に修飾したでシリカ粒子を含有するHPLCカラ
ムに試料を通すことにより、ハイブリダイゼーションアッセイが改善されること
を実証している(Tsuruiら,Gene,88:233−239(1990
))。通例、これらの固相法は所定の標的分子にしか使用できず、新規に構築し
なければならない。したがって、ハイブリダイゼーションゲルとしてのそれらの
汎用性は、ゲルそのものが所定の標的分子の捕捉に特化されているため、特定の
アッセイに限定される。
【0006】 汎用性のある固相ハイブリダイゼーションの方法、すなわち電気泳動媒体での
ハイブリダイゼーションに適したあらゆる標的分子の捕捉に使用できる方法が必
要とされている。
【0007】 発明の概要 本発明は、核酸、修飾核酸および核酸類似体を電気泳動媒体に固定化する(例
えば共有結合させる)ことができ、その固定化核酸、修飾核酸または核酸類似体
に特異的に結合(例えば会合)する標的分子、またはその固定化核酸、修飾核酸
または核酸類似体によって特異的に結合される標的分子を分離、精製または分析
するために電気泳動を利用できるという発見に関する。上記固定化核酸、修飾核
酸または核酸類似体を本明細書では汎用捕捉プローブという(本明細書では「捕
捉プローブ」ともいう)。通例、これらの捕捉プローブは1種類のアダプター分
子にだけ特異的である。したがって特定種類の1または複数の捕捉プローブを保
持するゲルは、その捕捉プローブを設計する際に参照した特定分子にだけ使用で
きる。
【0008】 特に本発明は「汎用捕捉」電気泳動ゲルに基づいて標的分子の有無を検出する
ための固相ハイブリダイゼーション系に関する。汎用捕捉ゲル(本明細書では
「汎用ゲル」ともいう)は、捕捉プローブがその内部に固定化された電気泳動媒
体(本明細書では電気泳動マトリックスともいう)からなる。より具体的に述べ
ると、本明細書に記載する汎用捕捉ゲルは、ゲル内で共重合された汎用捕捉プロ
ーブを含んでなる電気泳動ゲルである。捕捉プローブはゲルの全体にわたって固
定化することも、ゲルの不連続な層に固定化する(例えば捕捉層を形成させる)
こともできる。汎用捕捉ゲルは、使用に先立って、スラブゲルまたはキャピラリ
ーゲルなどの様々な形態にプレキャストし、調製し、保存することができる。
【0009】 本発明の汎用捕捉ゲル系は3つの成分を有する。第1の成分は汎用捕捉プロー
ブである。捕捉プローブはアダプター分子に相補的なヌクレオチド配列領域を含
む。捕捉プローブは、ゲル内に例えば共有結合などによって固定化される通常約
18〜約24ヌクレオチド長の核酸分子(DNAまたはRNA)である。第2の
成分はアダプター分子である。通例、アダプター分子は通常約15〜約40ヌク
レオチド長の核酸分子である。通常、アダプター分子は、つなぎ合わされて後述
するように2つのヌクレオチド配列領域を形成する2つのヌクレオチド配列を含
む。第3の成分は電気泳動の実施に適した(例えばアクリルアミドゲルなどの)
電気泳動媒体である。
【0010】 本発明のキー成分はアダプター分子である。本発明が包含するアダプター分子
は少なくとも2つのヌクレオチド配列領域を持つ。一方の領域は捕捉プローブヌ
クレオチド配列に相補的であり、それゆえ捕捉プローブと特異的にハイブリダイ
ズする。本明細書ではこの領域を「捕捉プローブ特異的」ヌクレオチド配列領域
という。他方の領域は標的分子ヌクレオチド配列(例えば細菌rRNA)に相補
的であり、それゆえ標的分子内に含まれるヌクレオチド配列領域と特異的にハイ
ブリダイズする。本明細書ではこの領域を「標的特異的」ヌクレオチド配列領域
という。本発明の汎用捕捉ゲルは、捕捉プローブに相補的なヌクレオチド配列領
域を有する任意のアダプター分子とハイブリダイズできる、電気泳動媒体内に固
定化された少なくとも1種類の捕捉プローブを持つように構築される。本発明の
一態様では、電気泳動媒体内の複数の不連続な領域がそれぞれ異なる種類の捕捉
プローブを含有し、電気泳動媒体のこれら不連続な領域内に複数の標的分子を捕
捉し単離することができるように、特定の種類に特異的なアダプター分子が使用
される。アダプター分子は試験試料に含まれるヌクレオチド配列を含む任意の標
的分子、例えば細菌、ウイルス、真菌、植物、動物(哺乳動物(ヒト)のような
脊椎動物を含むが、これに限らない)の標的分子およびそれらの組み合わせを分
析するように設計できる。
【0011】 また、標的分子にハイブリダイズしたアダプター分子からなる汎用ゲルハイブ
リダイゼーション複合体も、本発明に包含される。アダプター分子は、ある捕捉
プローブに相補的な捕捉プローブ特異的ヌクレオチド配列領域と、標的分子に相
補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域とを含む。本明細書に記載するこのアダ
プター/標的ハイブリダイゼーション複合体は、通例、汎用捕捉ゲルへの導入に
先立って、溶液相で形成される。
【0012】 さらに本発明は本明細書に記載する汎用捕捉ゲルの使用方法を包含する。本発
明の一態様として、汎用捕捉ゲルを用いて試験試料中の標的分子の有無を検出す
る方法を説明する。電気泳動媒体の全体にわたって固定化された1種類の捕捉プ
ローブを含んでなる汎用捕捉ゲルを使用する。標的分子の有無について分析され
る試験試料を、検出対象の標的分子に相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配
列領域を持つアダプター分子と接触させる(例えば混合する)。アダプター/標
的複合体(本明細書では汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体ともいう)は、
標的分子に特異的なアダプター分子のヌクレオチド配列領域が標的分子とハイブ
リダイズして安定な複合体を形成するのに適した条件で形成される。このアダプ
ター/標的複合体を、汎用捕捉ゲルを通した電気泳動にかける。上記複合体は、
上記複合体がそのアダプター分子に特異的な固定化捕捉プローブと接触するまで
、ゲル内を移動する。アダプター/標的複合体と相補的捕捉プローブとがハイブ
リダイズすると、捕捉プローブとアダプター/標的複合体とからなる三元(trip
artite)ハイブリダイゼーション複合体が形成され、それが汎用捕捉ゲル内に固
定化される。この固定化三元複合体の検出は、元の試験試料中に標的分子が存在
したことを示す。
【0013】 もう一つの態様では、1種類の固定化捕捉プローブを持つ汎用捕捉ゲルが、試
験試料中の1または複数の標的分子を検出するために使用される。この態様では
、様々な標的分子自体を同定(例えば特異的に検出)することが望まれるのでは
なく、試験試料内に含まれる任意の標的分子の存在を定性的に検出することだけ
が望まれるだろう。複数種類のアダプター分子であって、どのアダプター分子も
電気泳動媒体内に固定化された捕捉プローブに相補的な1つの共通するヌクレオ
チド配列領域を持つが、標的ヌクレオチド配列相補性領域は互いに異なっている
アダプター分子を使用する。標的分子の有無について分析される試験試料を、検
出対象の標的分子に相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配列領域を持つアダ
プター分子と接触させる(例えば混合する)。汎用ゲルハイブリダイゼーション
複合体は、標的分子に特異的なアダプター分子のヌクレオチド配列領域が標的分
子とハイブリダイズして安定な複合体を形成するのに適した条件で形成される。
このアダプター/標的複合体を、汎用捕捉ゲルを通した電気泳動にかける。上記
複合体は、上記複合体がそのアダプター分子に特異的な固定化捕捉プローブと接
触するまで、ゲル内を移動する。アダプター/標的複合体と相補的捕捉プローブ
とがハイブリダイズすると、捕捉プローブとアダプター/標的複合体とからなる
三元ハイブリダイゼーション複合体が形成され、それが汎用捕捉ゲル内に固定化
される。この固定化三元複合体の検出は、元の試験試料中に標的分子が存在した
ことを示す。
【0014】 さらにもう一つの態様では、汎用捕捉ゲルを使って様々な標的分子を特異的に
検出することが望まれるだろう。この態様では、複数種類の捕捉プローブが電気
泳動媒体内の不連続な領域に固定化され、各不連続領域は特定種類のアダプター
分子のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む1種類の捕捉プロー
ブだけを保持する。そして、各種類のアダプター分子は特定の標的分子または特
定種類の標的分子(例えば細菌に共通するrRNA)に相補的なヌクレオチド配
列を含む。そのアダプター分子と標的分子をハイブリダイゼーションに適した条
件で互いに接触させる。次に様々なアダプター/標的複合体を上記汎用捕捉ゲル
を通した電気泳動にかける。個々のアダプター/標的複合体が適当な固定化捕捉
プローブと接触すると、その複合体は捕捉プローブにハイブリダイズして三元ハ
イブリダイゼーション複合体を形成し、それがゲル内に固定化される。
【0015】 アダプター分子の1成分を変えることにより(すなわちアダプター分子の標的
特異的ヌクレオチド領域を変えることにより)、本明細書に記載する汎用捕捉ゲ
ルフォーマットを用いて、任意のDNAまたはRNAの捕捉および検出を達成す
ることができる。したがって本明細書に記載する研究の結果として、汎用捕捉ゲ
ルおよびその使用法を、アダプター/標的複合体に特異的に結合する固定化捕捉
プローブを含んでなる汎用捕捉ゲルを使った迅速、高効率かつ正確な標的分子の
電気泳動分析に利用できるようになった。
【0016】 本発明のもう一つの態様として、試験試料から少なくとも1つの標的分子を精
製する方法を開示する。少なくとも1つの標的分子をそこから精製しようとする
試験試料を、検出対象の標的分子に相補的な少なくとも1つのヌクレオチド配列
領域を持つアダプター分子と接触させる(例えば混合する)。汎用ゲルハイブリ
ダイゼーション複合体は、標的分子に特異的なアダプター分子のヌクレオチド配
列領域が標的分子とハイブリダイズして安定な複合体を形成するのに適した条件
で形成される。このアダプター/標的複合体を、汎用捕捉ゲルを通した電気泳動
にかける。上記複合体は、上記複合体がそのアダプター分子に特異的な固定化捕
捉プローブと接触するまで、ゲル内を移動する。アダプター/標的複合体と相補
的捕捉プローブとがハイブリダイズすると、捕捉プローブとアダプター/標的複
合体とからなる三元ハイブリダイゼーション複合体が形成され、それが汎用捕捉
ゲル内に固定化される。固定化捕捉プローブから標的分子のみまたは標的/アダ
プター複合体を解離(displace)させるには、修飾アダプター分子を使用するこ
とができる。
【0017】 発明の詳細な説明 本発明は汎用捕捉ゲル系に関する。この汎用捕捉ゲル系は3成分から構成され
る。本汎用捕捉ゲル系の第1成分は汎用捕捉プローブ(単に捕捉プローブともい
う)である。捕捉プローブは通常約5〜約100ヌクレオチド長の核酸、修飾核
酸または核酸類似体の短い配列であり、電気泳動媒体内に固定化されて、全体と
して汎用ゲルを形成する。ゲルの不連続な1または複数の層内に捕捉プローブを
固定化して、1または複数の捕捉層を形成させることができる。もう一つの選択
肢として、捕捉プローブを電気泳動媒体の全体にわたって固定化することもでき
る。捕捉プローブは、捕捉プローブヌクレオチド配列に相補的な少なくとも1つ
のヌクレオチド配列領域を含んでいるアダプター分子とハイブリダイズする。し
たがって、異なる標的分子に特異的な、不均一なアダプター分子のセットは、そ
の不均一なアダプター分子のセットが、単一種類の捕捉プローブに相補的な少な
くとも1つの共通するヌクレオチド配列領域を持つ場合には、全てただ1種類の
捕捉プローブに結合することができる。
【0018】 捕捉プローブは通例、アダプター分子と安定な複合体を形成する。ここに定義
する「安定な複合体」とは、電気泳動の継続時間と比較して長い結合寿命を持つ
複合体である。十分な安定性を達成するのに必要な捕捉プローブとアダプターの
適切な長さと配列は、アダプターおよび捕捉プローブの化学的性質、それらによ
って形成されうる二重鎖の長さおよび配列、ならびに電気泳動条件の関数である
。例えば、1×TBE(89mMトリス−ホウ酸(pH8.3)、2mM ED
TA)中、25℃および10V/cmでの電気泳動を用いるDNAアダプターお
よび捕捉プローブの場合、最小有効二重鎖長は15塩基対程度である。しかし2
’−O−メチル捕捉プローブおよびRNAアダプターを使用すれば、最小有効二
重鎖長は9塩基対程度である。PNA捕捉プローブをDNAアダプターと共に使
用すると、さらに短い二重鎖でも安定である。ただし、そのように短い二重鎖の
場合、安定性は著しく配列依存的である。所定の安定性レベルを持つ捕捉プロー
ブとアダプターの組み合わせを設計する方法は、文献でよく知られている(We
rtmur,Critical Reviews in Biochemist ry and Molecular Biology ,26:227−259
(1991);WertmurおよびSninsky、PCR Strateg
ies(Innis,M.A.ら編、Academic Press、カリフォ
ルニア州サンディエゴ)の第6章、69〜83頁(1995);Freierお
よびAltman,Nucleic Acid Res.,25:4429−4
3(1997);米国特許出願第09/188,086号)。
【0019】 汎用捕捉ゲル系の第2成分はアダプター分子である。アダプター分子は通例、
約10〜約100ヌクレオチド長のポリヌクレオチドであり、2つのヌクレオチ
ド配列領域を含んでいる。それら2つのヌクレオチド配列領域は互いに直接隣り
合っていてもよいし、2つの領域間に介在ヌクレオチドの短い領域が存在しても
よい。これら2つの領域は、より大きい1つの核酸内の小領域を構成することが
できる。アダプター内の2領域は、より大きい核酸分子内で連続していてもよい
し、不連続であってもよい。これらの2領域は異なる化学組成または化学修飾を
持つことできる。例えば一方の領域はDNAであり、他方の領域はPNAである
ことができる。一方の領域は捕捉プローブのヌクレオチド配列領域に相補的な捕
捉プローブ特異的ヌクレオチド配列領域である。もう一つの領域は標的分子のヌ
クレオチド配列領域に相補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域である。したが
って本発明のアダプター分子は捕捉プローブおよび標的分子の両方と特異的にハ
イブリダイズする。
【0020】 汎用捕捉ゲルの第3成分は、電気泳動に適したマトリックス内に固定化された
1もしくは複数の捕捉プローブまたは1もしくは複数種類の捕捉プローブからな
る。
【0021】 試料 試験試料は核酸を含有する任意の供給源に由来することができ、捕捉プローブ
とハイブリダイゼーション複合体を形成できるヌクレオチド配列を含んでなる任
意の分子を含有できる。特に本発明は、既知の技術を使って体組織(例えば皮膚
、毛髪、内臓)、体液(例えば血液(血小板、赤血球など)、血漿、尿、精液、
汗)または細胞および/または組織培養系から採取された細胞を含有する生物学
的供給源由来の試料を包含する。本発明の方法による分析に適した試料の他の供
給源は、細菌、ウイルスおよび酵母などの微生物学的試料、プラスミド、単離さ
れた核酸、ならびに組換え植物および植物細胞などの農芸または食品試料である
【0022】 試料調製 試験試料は、試験試料中に含まれる標的分子がハイブリダイゼーションに利用
できる状態になるように、当業者に知られている方法で処理される。例えば、標
的分子が細菌細胞中に存在する核酸である場合は、溶菌液を調製し、粗製溶菌液
(例えば標的核酸だけでなくタンパク質および脂質などの他の細胞成分も含むも
の)を分析することができる。もう一つの選択肢として、標的核酸を分析に先立
って単離する(標的核酸が他の細胞成分を実質上含まないようにする)こともで
きる。単離は既知の実験技術を使って達成できる。分析に先立って標的核酸を
(例えばポリメラーゼ連鎖反応法またはリガーゼ連鎖反応法によって)増幅する
こともできる。
【0023】 適切な試料調製には、1または複数の細胞を溶解し、それによってそれらの核
酸を放出させるためにとられる処置が含まれる。細菌標的の場合は、RNAを細
胞壁および細胞膜の束縛から解放することが好ましい。標的がウイルス、真菌、
寄生虫、植物または動物の分子である場合は、DNAまたはRNAを標的分子と
することができ、それらをその生物の内部区画から放出させなければならない。
任意に、溶解後の細胞残渣などの夾雑分子から目的の標的核酸をさらに精製する
ために、追加の処置をとることができる。核酸分子の精製方法は当業者にはよく
知られている(Ausubel,F.M.ら編、Current Protoc
ols in Molecular Biology(John Wiley
& Sons発行)の第1巻、第2〜4章(1991)。この文献の教示内容は
参照により、完全な形で本明細書に組み込まれるものとする)。
【0024】 標的分子 本発明の一態様では、一本鎖標的分子、一本鎖アダプター分子および一本鎖固
定化プローブを使用する。この態様はRNA標的の分析にとりわけ有用である。
またこれは、標的の再生が迅速でない場合に複雑な試料から特定の標的を捕捉す
るためにも役立つ。PCR産物などの高濃度の標的は迅速に再生するので、電気
泳動の直前に変性する必要があるかもしれない。例えば、100〜250塩基対
の長さであるPCR産物の分析には、試料を75%ホルムアミド(体積/体積)
にし、電気泳動の直前に75°より高い温度で5分間加熱するとよい。標的分子
は約10〜約100,000ヌクレオチド長のサイズを持つことができる。
【0025】 本発明のもう一つの態様では、二本鎖標的が一本鎖アダプター分子との複合体
中に置かれる。例えば、二本鎖核酸と会合して三本鎖構造を形成するであろうア
ダプター分子を設計することができる。この第3鎖は二重鎖の主溝に位置し、二
重鎖の塩基とフーグスティーン型(Hoogsteen )塩基対形成相互作用を形成する
(HoganおよびKesslerの米国特許第5,176,966号ならびに
Cantorらの米国特許第5,482,836号)。したがってアダプター分
子の設計はこれらの化学的相互作用を支配する制約を受ける。しかし、天然に存
在する核酸において三重鎖構造を形成できる配列の頻度は十分に高いので、多く
の標的核酸はこのアダプター分子設計戦略を使って特異的に捕捉できる。
【0026】 もう一つの選択肢として、置換ループ構造の形成によって二本鎖核酸と会合す
るであろうアダプター分子を設計することもできる。そのようなアダプター分子
は二重鎖核酸の一方の鎖にのみ結合し、二重鎖のアダプターポリヌクレオチド相
同二重鎖部分を局所的に置換する。この置換は、アダプター分子−標的鎖間の相
互作用が標的鎖同士の相互作用よりもはるかに有利な場合にのみ達成できる。そ
のようなアダプター分子は、Wetmur,Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biolo gy ,第26巻,227〜259頁(1991)に記載されている技術および修
飾塩基、主鎖修飾(Moodyら,Nucleic Acids Res.,第
17巻,4769〜4782頁(1989))ならびに核酸類似体(Niels
onら,Science,254:1497−1500(1991))を使って
作製できる。天然に存在する核酸と並外れて強固にかつ特異的に塩基対形成する
ペプチド核酸(PNA)プローブの使用も、この態様では有用だろう。
【0027】 アダプター分子 本発明が開示する方法では様々なアダプター分子を使用できる。アダプター分
子は通例約10〜約100ヌクレオチド長である。アダプター分子は約10〜約
50のヌクレオチドを含有することが好ましい。アダプター分子は少なくとも2
つの異なるヌクレオチド配列領域を含む。約5〜約50ヌクレオチド長の捕捉プ
ローブ特異的ヌクレオチド配列領域は、捕捉しようとする標的分子によって定義
されるヌクレオチド配列に相補的である。アダプター分子の約5〜約50ヌクレ
オチド長の標的特異的ヌクレオチド配列領域は、捕捉プローブ内に含まれるヌク
レオチド配列に相補的である。アダプターの各領域の長さは、使用する特定の核
酸の相対的塩基対形成強度に依存する。例えば化学組成が異なる同じ二重鎖につ
いて考えると、相対的二重鎖安定性はDNA:DNA=2’−O−メチルRNA
:DNA<DNA:RNA<2’−O−メチルRNA:RNA<PNA:DNA
<PNA:RNAになるだろう。したがって安定なDNA:DNA二重鎖の形成
に必要な二重鎖の長さは、PNA:DNA二重鎖の場合よりかなり長い。両方の
配列領域が1本の長いアダプター分子の一部を形成する場合、アダプターは、標
準的な自動オリゴヌクレオチドまたはペプチド(PNAの場合)合成法を用いて
合成することが好ましい。もう一つの選択肢として、2つの配列領域を別々に合
成した後、当業者に周知の化学架橋剤を使ってそれらを連結することもできる
(Wong、Chemistry of Protein Conjugati
on and Cross−linking(CRC Press、フロリダ州
ボカラトン、1991年)。後者の戦略は、2つの領域が化学的に異なるキメラ
アダプター(すなわちPNA捕捉プローブ特異的ドメインとDNA標的特異的ド
メインとの組み合わせ)にとりわけ有用である。通例、アダプター分子はDNA
分子である。しかしアダプター分子はRNA分子であることもできる。アダプタ
ー分子は一本鎖、二本鎖または部分的二本鎖核酸のいずれであってもよい。アダ
プター分子は一本鎖核酸であることが好ましい。
【0028】 アダプター分子は標的分子と捕捉プローブとを一つのハイブリダイゼーション
複合体に集合させる。すなわちアダプター分子は、図1に示すように標的分子と
捕捉プローブの間で連結子として働く。アダプター分子のヌクレオチド配列の全
部または一部に相補的なヌクレオチド配列を持つ標的分子だけが、汎用捕捉ゲル
を通した電気泳動中に捕捉されるだろう。夾雑分子(例えばアダプター分子に相
補的なヌクレオチド配列を含まない分子)はいずれもゲルの捕捉層を通過し、検
出されないだろう。したがってこのアダプター技術は精製スキームにも役立ちう
る。
【0029】 アダプター分子はアダプター/捕捉プローブ複合体に汎用性を与える。アダプ
ター分子により、同じ捕捉プローブを使って多数の試験分子を検出することがで
きる。特定の捕捉プローブにハイブリダイズするアダプター分子のヌクレオチド
配列領域を一定に保ったまま(すなわち非可変ヌクレオチド配列)、特定の標的
分子にハイブリダイズするアダプター分子のヌクレオチド配列領域を、捕捉しよ
うとする特定の標的分子に応じて変化させることができる(すなわち可変ヌクレ
オチド配列)。したがって、異なる標的分子に対する特異性を保持しつつ、同じ
捕捉プローブに結合する能力を持つ、一組のアダプター分子を製造することがで
きる。したがって、汎用捕捉ゲルを使って1または多数の標的分子を検出するに
は、1種類の捕捉プローブしか必要でない。さらに、様々な標的分子に同じ種類
の捕捉プローブを使用することができるとすれば、複数の標的分子を個別に分析
するために1タイプの電気泳動媒体を製造するだけでよい。例えば、分析対象の
標的分子が10個あったとすると、従業者は10個の同じ電気泳動ゲル(すなわ
ちゲル内に同じ捕捉プローブが固定化されている10個の電気泳動ゲル)を使用
することができる。1種類の捕捉プローブを含んでなる1タイプのゲルを使用す
るだけでよいという標的分子分析のこの汎用性をもたらすのは、アダプター分子
である。
【0030】 アダプター/標的ハイブリダイゼーション 試験試料由来の標的分子をハイブリダイゼーションに適した条件下に溶解状態
で適当なアダプター分子と接触させると、試験試料の標的分子はそのアダプター
分子とハイブリダイズして、汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体(すなわち
アダプター/標的複合体)を形成するだろう。例えば、ハイブリダイゼーション
は、アダプター分子および標的分子を含有する溶液を90℃に加熱し、室温まで
冷ますことによって達成できる。
【0031】 標的分子へのアダプター分子のハイブリダイゼーションは、いくつかの方法で
達成できる。第1に、標的分子とアダプター分子は、電気泳動に先立って互いに
ハイブリダイズさせることができる。例えば、約0.05M〜約1Mの一価の塩
の存在下に、RNA標的を溶解状態でDNAアダプター分子と混合し(アダプタ
ー濃度は約0.05μM〜約1μMである)、約90℃に加熱し、室温まで(約
30分〜約1時間かけて)徐冷する。
【0032】 第2に、アダプターは、汎用ゲルに標的を負荷する前に、捕捉プローブにハイ
ブリダイズさせることができる。この態様では、ゲル(またはゲルのレーン)内
に固定化されている捕捉プローブの量に対して約2倍モル過剰のアダプター分子
を負荷し、アダプターが固定化捕捉プローブにハイブリダイズするのに適した条
件で、汎用ゲルを通した電気泳動にかける。したがって捕捉プローブはアダプタ
ーで飽和された状態になり、捕捉層に安定に固定化され続ける。次に標的分子を
そのゲルに負荷し、捕捉層を通した電気泳動にかけることができ、その捕捉層で
は標的分子がアダプター分子の一本鎖標的特異的領域にハイブリダイズできる。
要するに、過剰量のアダプターを使った汎用ゲルの予備電気泳動は、捕捉層の特
異性をアダプター特異的配列から標的特異的配列に変化させる。異なるアダプタ
ーをゲルの異なるレーンで予備電気泳動すれば、同じ汎用捕捉層に隣合ったレー
ン間で異なる標的特異性を持たせることができる。
【0033】 第3に、アダプターと標的の間のハイブリダイゼーションは、標的とアダプタ
ーの逐次的負荷を用いてゲル電気泳動中に行なうこともできる。通例、標的はア
ダプターよりも低い電気泳動移動度を持つ。標的をアダプター分子の前に負荷す
れば、電気泳動中に、濃縮されたアダプター層が、アダプターよりゆっくり移動
する標的に追いつき、それを追い越すだろう。アダプターは、アダプターが標的
バンドを追い越す際に、標的にハイブリダイズすることができる。続いてその標
的−アダプター複合体は汎用捕捉層に捕捉されることができる。
【0034】 核酸結合タンパク質分析用の一本鎖および二本鎖アダプター分子ならびに標的 本発明の方法は核酸結合タンパク質の分析にも有用である。これらの場合は、
そのタンパク質の天然の結合基質を何らかの形で模倣する(mimic)アダプター
分子が選択される。
【0035】 配列特異的核酸結合タンパク質と非配列特異的核酸結合タンパク質の両方を分
析できる。配列特異的結合タンパク質を分析する場合、アダプター分子は、その
標的結合タンパク質によって認識される配列を含有するように設計される。非特
異的相互作用を分析する場合は、観察された結合がどの特定の核酸配列にも依存
しないことを保証するために、アダプター分子の混合物を使用できる。
【0036】 電気泳動分析は、タンパク質がその未変性の構造を保ちうる条件、したがって
そのタンパク質が電気泳動中にアダプター分子に結合できる条件で行なわれる。
電気泳動に続いて、有色色素、蛍光色素、オートラジオグラフィー(試料を放射
能標識した場合)、銀染色ならびにタンパク質電気泳動の技術分野の当業者には
よく知られている他の様々な標準的方法を用いて染色することによって、アダプ
ター分子に特異的な固定化捕捉プローブを含有するゲル領域(アダプター/標的
複合体が結合する領域)におけるタンパク質の存在を検出することができる。
【0037】 転写調節に重要な配列特異的DNA結合タンパク質の検出および分析には、二
本鎖アダプター分子を使用することがとりわけ有益である。この実施態様では、
そのタンパク質標的によって認識されることがわかっている(またはそのように
推測される)配列を含有する二本鎖アダプター分子(または部分的二本鎖)を使
用する。試験試料は、そのアダプター分子に特異的な捕捉プローブを含有する領
域を通した電気泳動にかけられる。電気泳動後に、ゲル内のタンパク質の位置を
決定する。アダプター/標的/捕捉プローブ複合体を含有するゲル領域における
タンパク質の存在は、試料中にDNA結合タンパク質が存在することを示す。結
合の配列特異性を立証するには、問題にしている特定配列を持たないDNAアダ
プター分子では結合が起こらないことを示す対照実験を用いることができる。
【0038】 一本鎖アダプター分子も役立ちうる。例えば一本鎖RNAアダプター分子は、
特定のRNA配列に結合するタンパク質の検出および精製に使用できる。一本鎖
DNAアダプター分子は、一本鎖DNAゲノムを含有するウイルスの調節タンパ
ク質の検出または複製起点内の一本鎖DNAセグメントに特異的に結合するタン
パク質の検出に役立ちうる。
【0039】 電気泳動マトリックス 本発明の方法には電気泳動に適した任意のマトリックスを使用できる。適切な
マトリックスとしては、核酸電気泳動によく使用されているアクリルアミドおよ
びアガロースが挙げられる。しかし他の物質も同様に使用できる。例えば化学修
飾アクリルアミド、デンプン、デキストランおよびセルロース系ポリマーなどが
挙げられる。その他の例には、修飾アクリルアミドおよびアクリル酸エステル
(例えばPolysciences,Inc.(ペンシルベニア州ウォリントン
)の1996−1997年版ポリマー/モノマーカタログを参照されたい)、デ
ンプン(Smithies,Biochem.J.,71:585(1959)
;Sigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)の製品番
号S5651)、デキストラン(例えばPolysciences,Inc.
(ペンシルベニア州ウォリントン)の1996−1997年版ポリマー/モノマ
ーカタログを参照されたい)、およびセルロース系ポリマー(例えばQuesa
da,Current Opin. in Biotechnology
82−93(1997)を参照されたい)などがある。上に挙げたこれらのポリ
マーはいずれも、本発明における使用のための捕捉プローブの特異的な結合が可
能なように化学修飾することができる。
【0040】 特に本発明は、捕捉プローブとしての核酸、修飾核酸または核酸類似体の使用
を包含する。核酸含有ゲルを作製するために核酸をカップリングする方法は当業
者に知られている。核酸、修飾核酸および核酸類似体は、臭化シアンまたは塩化
シアヌル(cyanuric chloride )活性化を用いて、アガロース、デキストラン、
セルロースおよびデンプンポリマーにカップリングすることができる。カルボキ
シル基を含有するポリマーは、1級アミン基を持つ合成捕捉プローブにカルボジ
イミドカップリング法を用いてカップリングすることができる。1級アミンを持
つポリマーは、グルタルアルデヒドまたは塩化シアヌルを使ってアミン含有プロ
ーブにカップリングすることができる。多くのポリマーは、チオール含有合成プ
ローブにカップリングすることができるチオール反応性基で修飾でき、他の適切
な方法は文献に見出すことができる(概観するにはWong著「Chemist
ry of Protein Conjugation and Cross−
linking」(CRC Press,フロリダ州ボカラトン、1993)を
参照されたい)。
【0041】 本明細書に記載の捕捉プローブを重合性化学基に共有結合する方法も開発され
ている。重合性モノマー化合物の適切な混合物と共重合させると、高濃度の固定
化核酸を含有するマトリックスを製造することができる。核酸を重合性化学基に
共有結合する方法の例は、「Nucleic Acid−Containing
Polymerizable Complex(核酸含有重合性複合体)」と
題する米国特許出願第08/812,105号およびRehmanら,Nucl eic Acid Res. ,27:649−655(1999)に見ることが
でき、これらの文献の教示内容は参照により完全な形で本明細書に組み込まれる
ものとする。
【0042】 一部の方法では、2以上のマトリックス形成物質の混合物を含有する複合マト
リックスを使用することが有益だろう。複合アクリルアミド−アガロースゲルは
その一例である。これらのゲルは通例2〜5%のアクリルアミドと0.5%〜1
%のアガロースを含有する。これらのゲルではアクリルアミドが主な篩機能を提
供するが、アガロースがないと、このような低濃度のアクリルアミドゲルは取り
扱いやすい機械的強度に欠ける。アガロースはアクリルアミドの篩特性を有意に
変化させることなく機械的支持を提供する。このような場合は、ゲルに篩機能を
付与する成分に核酸が結合されうる。なぜならその成分が溶液相の核酸標的と最
も密接に(intimate)接触するからである。
【0043】 多くの用途にはアガロースおよび架橋ポリアクリルアミドなどのゲル形成性マ
トリックスが好ましいだろう。しかし、キャピラリー電気泳動(CE)用途には
、可溶性ポリマーを電気泳動マトリックスとして使用すると好都合であり、再現
性が得られる。CE分析に有用であることがわかっている可溶性ポリマーの例は
、Quesada(Current Opinion in Biotechn ology ,第8巻、82〜93頁(1997))に記載されているように、ポ
リアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキ
シエチルセルロース)、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(ビニルアルコー
ル)の線状ポリマーである。これらの可溶性マトリックスは本発明の方法を実施
するためにも使用できる。「Nucleic Acid−Containing
Polymerizable Complex(核酸含有重合性複合体)」と
題する米国特許出願第08/812,105号に記載されている、固定化捕捉プ
ローブを含有する可溶性ポリマーマトリックスの製造方法を使用すると、とりわ
け便利である。予め重合されている可溶性線状ポリアクリルアミドに捕捉プロー
ブを取り付けるには、Timofeevら,Nucleic Acids Re s. ,24,3142−3148(1996)に記載されている、予め形成され
たポリアクリルアミドゲルにポリヌクレオチドプローブを結合するもう一つの方
法も使用できる。
【0044】 電気泳動マトリックス中に組み込むことができる粒子に核酸を結合してもよい
。この粒子は巨視的でも微視的でもコロイド性でもよい(Polycience
s,Inc.(ペンシルベニア州ウォリントン)の1995−1996年版粒子
カタログを参照されたい)。Cantorらの米国特許第5,482,863号
には、懸濁液または粒子を含有する電気泳動ゲルのキャスティング方法が記載さ
れている。上記の方法と同様の方法を使って粒子を核酸に結合し、ゲル形成性化
合物と混合し、所望のマトリックス形状に懸濁液としてキャストする。
【0045】 マトリックスフォーマットおよびマトリックスの製造方法 マトリックスは様々なフォーマットで作製できる。例えば直線状ゲルは、溝
(through )または管などの直線状の支持体内での形成(この場合、ゲルはその
支持体内での重合によって形成される)、あるいは仕切りまたはチャンネルの形
成によって2次元的ゲルをいくつかのストリップに細分することを含む技術によ
って形成させることができる。溝、ストリップまたはチャンネルフォーマットで
は、重合したゲル内に1または複数の捕捉プローブを供給するために、ゲル重合
前またはゲル重合中に、多量の1または複数の共重合性捕捉プローブを、要すれ
ば空間的に定められた位置に、例えば空間的に配置される滴下装置を用いた方法
などによって、ゲル材料に加えることができる。管フォーマットでは、一連のゲ
ルモノマーおよびゲルモノマーと重合性捕捉プローブとの混合物を、空間的に区
別された一組の成分および濃度が得られるように管内に逐次導入し、次にその場
で(in situ )重合させて各成分の空間的関係を保存することができる。重合が
誘発する収縮中にゲルの完全性を維持するには、ゲルの収縮中に横方向に収縮す
る弾性材料で管壁を作ることができる。もう一つの選択肢として、収縮分を補う
ために他端から液体材料を追加しながら、管の一端から漸進的重合を誘発しても
よい。このような漸進的重合は、重合触媒剤の拡散を含む手段によって、または
重合を誘発する電磁気または他の放射線を(例えば放射線源の移動または放射線
源への漸進的ばく露などによって)管の一端から他端に向けて漸進的に適用する
ことによって誘発することができる。もう一つの選択肢として、2次元的ゲルか
ら直線状の切片を採取するか、後述するように製造される3次元的ゲルから直線
状のコアを採取することによって、直線状フォーマットゲルを製造することがで
きる。
【0046】 2次元的ゲルは、支持体表面での形成または2つの支持体表面間での形成を含
む技術によって形成させることができる。一層のゲルモノマーを塗布し、その層
に多量の共重合性捕捉プローブを、要すれば空間的に意味のある形で、重合前ま
たは重合中に適用し、次にそれをその場で重合させてゲル内でのそれらの空間的
位置を保存する。多量の重合性捕捉プローブの適用は、位置的にプログラム可能
な滴下(positional programmable dropper)技術による方法を含む既知の手段
によって達成できる。重合中に起こるゲルの収縮は、支持体表面間の間隙を収縮
させることを含む手段および収縮を補うための材料を側面から追加して横方向の
収縮を許すことによって調整できる。2次元的ゲルはゲル形成前、ゲル形成中ま
たはゲル形成後に仕切りを使用することによって、またはチャンネル内での形成
によって、または形成後により細い切片に切り分けることによって、いくつかの
ストリップに細分してもよい。
【0047】 3次元的ゲルはいくつかの方法によって形成できる。要すればそれぞれが局在
化した捕捉プローブを含有する複数の直線状ストリップまたは2次元的な層を上
述のように繰返し構築し、各ストリップまたは各層を3次元的な嵩が生じるよう
に土台となる層の上に重合させることができる。もう一つの選択肢として、要す
れば所定の位置に捕捉プローブを局在化させたいくつかの2次元的ゲルを上述の
ように形成し、それらを一つに組み合わせて3次元的構造にしてもよい。
【0048】 本明細書に記載の方法に有用な電気泳動マトリックスは、いくつかの異なるフ
ォーマットで提供できる。例えばマトリックスは、その物理的長さがその幅また
は奥行きよりもかなり大きく、例えば管内に含まれているか、細いストリップと
して整形されているフォーマットで提供することができる。あるいは、その長さ
および幅がその奥行きよりもかなり大きい、例えば面上の比較的薄い層として、
またはスラブとして整形されたフォーマットで、マトリックスを提供することも
できる。またマトリックスは基本的に、長さ、幅および奥行きが同じ程度である
固形物として、例えば真にまたは近似的に直線状(rectilinear )、多角形、球
形、長円形の固体として、または同様の物理的形状で提供することもできる。電
気泳動マトリックス(電気泳動媒体)は均一なマトリックス材料または不均一な
マトリックス材料からなることができる。適切なマトリックス材料の例には、架
橋ポリアクリルアミド、アガロース、デンプンおよびそれらの組み合わせなどと
いったゲル形成性ポリマーが含まれる。キャピラリー電気泳動用途に一般に使用
されているような線状ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルア
ミド)、ポリ(ヒドロキシエチルセルロース)、ポリ(エチレンオキシド)およ
びポリ(ビニルアルコール)などの非ゲル形成性ポリマーも適切なマトリックス
として役立ちうる。
【0049】 ハイブリダイゼーション結合反応分析用の固定化プローブ 本発明の方法では様々な捕捉プローブを使用できる。通例、本発明の捕捉プロ
ーブは、その捕捉プローブにハイブリダイズする1または複数種類のアダプター
分子の少なくとも1つのヌクレオチド配列領域に実質上相補的なポリヌクレオチ
ド配列を持つ核酸を含む。核酸捕捉プローブの相補性は、アダプター分子を特異
的に結合するのに十分でさえあればよい。本発明での使用に適したプローブは、
RNA、DNA、核酸類似体、および核酸と別の有機成分とを含む混成のキメラ
プローブ(例えばペプチド核酸)からなる。捕捉プローブは一本鎖核酸であって
も二本鎖核酸であってもよい。捕捉プローブは、例えば5’末端をアクリルアミ
ド部分(AcryditeTM、Mosaic Technologies、マサ
チューセッツ州ボストン)で修飾するなど、電気泳動媒体内への固定化を可能に
するような形で修飾されることが好ましい。
【0050】 ここに定義する用語「核酸」は、DNA(デオキシリボ核酸)またはRNA
(リボ核酸)を包含する。本明細書にいう「単離された」核酸とは、その起源
(例えば細胞中またはライブラリーなどの核酸混合物中に存在する時)の成分か
ら分離された核酸であり、さらなるプロセシングを受けていてもよい。単離され
た核酸には、当業者に知られている方法によって得られる核酸が包含される(A
usubel,F.M.ら編,Current Protocols in M olecular Biology (John Wiley & Sons発行
)の第1巻、第2〜4章(1991))。これらの単離された核酸には、生物学
的方法、化学的方法および組換え法の1つまたは組み合わせによって単離源から
精製された、実質的に純粋な核酸が包含される。
【0051】 本明細書で使用する「修飾(Modified)核酸」という用語は、修飾糖基、リン
酸基または修飾塩基を含有する核酸を包含する。修飾塩基を持つ核酸の例には、
例えばアセチル化、カルボキシル化またはメチル化された塩基(4−アセチルシ
チジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、1−メチルイノシン、ノ
ルバリンまたはアロイソロイシンなど)がある。修飾ポリヌクレオチドを含有す
るプローブも有用だろう。例えば、ハイブリダイズしたプローブの熱的安定性を
低下させるために、グアニンおよびチミン含有ポリヌクレオチドの代わりに、デ
アザグアニンおよびウラシル塩基を含有するポリヌクレオチドを使用することが
できる(Wetmur,Critical reviews in Bioch emistry and Molecular Biology ,第26巻、2
27〜259頁(1991))。同様に、熱的安定性の増大したハイブリッドが
望ましい場合は、5−メチルシトシンをシトシンの代わりに使用することができ
る(Wetmur,Critical reviews in Biochem istry and Molecular Biology ,第26巻、227
〜259頁(1991))。リボース糖基の修飾、例えば2’−O−メチル基の
付加などによって、固定化RNAプローブのヌクレアーゼ感受性を低下させるこ
とができる(Wagner,Nature,第372巻,333〜335頁(1
994))。リン酸ジエステル主鎖から負電荷を除去する修飾により、ハイブリ
ッドの熱的安定性を増大させることができる(Moodyら,Nucleic Acids Res. ,第17巻,4769〜4782頁(1989);Iye
rら,J.Biol.Chem.,第270巻,14712〜14717頁(1
995))。
【0052】 ここに定義する「実質上相補的」とは、捕捉プローブのポリヌクレオチド配列
がアダプター分子のポリヌクレオチド配列を正確に反映する必要はないが、特定
の条件でアダプター分子とハイブリダイズするために十分に相補的でなければな
らないことを意味する。例えば、捕捉プローブの配列がアダプター分子とハイブ
リダイズするのに十分な相補塩基を持つという条件の下に、非相補的塩基または
追加のポリヌクレオチドを配列中に散在させることができる。一般に、要求され
る相補性の程度は、約90〜約100%である。
【0053】 特定のハイブリダイゼーション条件は当業者が実験的に決定できる。例えば非
特異的ハイブリダイゼーション反応を有意に減少させるストリンジェンシーの条
件を選択すべきである。核酸ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー条件
は、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel,F.M.ら編,第1巻,増補26,1991
)などに説明されており、その教示内容は参照により完全な形で本明細書に組み
込まれるものとする。プローブの長さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列間の
ミスマッチ率、温度およびイオン強度などの要因が核酸ハイブリッドの安定性に
影響する。ストリンジェントな条件、例えば中または高ストリンジェンシーは実
験的に決定でき、プローブおよびアダプター分子の特徴に部分的に依存する。
【0054】 捕捉プローブの長さは少なくとも5ヌクレオチド長、通常は約5〜50ヌクレ
オチドになるだろうが、数1000塩基もの長さであることもできる。通例、汎
用捕捉ゲル中に固定化される捕捉プローブは約18〜約24ヌクレオチド長であ
る。
【0055】 本明細書で使用する「核酸類似体」という用語は、糖−リン酸主鎖を持たない
が塩基対形成による複合体形成能を保っている分子を包含する。そのような核酸
類似体は当業者に知られている。核酸類似体も固定化プローブとして役立ちうる
。有用な核酸類似体の一例は、普通のDNA塩基がN−(2−アミノエチル)グ
リシン単位の反復からなる修飾ペプチド主鎖に結合しているペプチド核酸(PN
A)である(Nielsenら,Science,第254巻,1497〜15
00頁(1991))。このペプチド主鎖は、普通のDNAおよびRNA一本鎖
と塩基対形成するのに適した距離に塩基を保持することができる。PNA−DN
Aハイブリッド二重鎖は、対応するDNA−DNA二重鎖よりもはるかに強い。
これはおそらく、負に荷電したリン酸ジエステル結合がPNA鎖にはないためだ
ろう。またPNAは変わった構造を持つので、ヌクレアーゼ分解に対して極めて
耐性である。これらの理由からPNA核酸類似体は固定化プローブアッセイに有
用である。固定化プローブアッセイにとって有用な特性を持つであろう他の核酸
類似体を構築するために同様の設計戦略を使用できることは、当業者には明らか
だろう。
【0056】 検出スキーム 特異的結合反応の検出、例えば捕捉プローブに結合した固定化アダプター/標
的複合体の検出は、多くの異なる方法で達成できる。
【0057】 標的分子は、アダプター分子とのハイブリダイゼーション反応に先立って検出
可能に標識できる。直接標的標識に適した標識は、高吸光性(例えば鮮やかな色
を持つもの)、放射活性、蛍光性、燐光性、化学発光性または触媒性であること
ができる。修飾ポリヌクレオチドを用いた核酸試料の直接標的標識は、当業者に
よく知られている多くの酵素法によって達成できる(Sambrookら著「M
olecular Cloning:A Laboratory Manual
」(第2版、Cold Spring Harbor Press、ニューヨー
ク州コールドスプリングハーバー、1989)に概説されている)。
【0058】 もう一つの選択肢として、それ自体が標識されているか検出可能なシグナルを
生成することのできる第2の特異的結合体によって認識されうるリガンドを使っ
て、標的分子を間接的に標識することもできる。
【0059】 そのような間接系の一例は、ビオチン化ポリヌクレオチドを使って標識するこ
とである。この系では、標準的な核酸標識技術とビオチン化ポリヌクレオチドを
使って試料を酵素的に標識する。得られたビオチン修飾核酸は、ストレプトアビ
ジンまたはアビジンタンパク質分子のビオチン特異的結合によって検出できる。
ストレプトアビジン分子またはアビジン分子は、フルオレセインなどの蛍光標識
に結合するか、適当な基質を用いて化学発光シグナルまたは比色シグナルを生成
するために使用できるアルカリホスファターゼもしくはセイヨウワサビペルオキ
シダーゼなどのレポーター酵素に結合することができる(概観するにはKell
erおよびManak著「DNA Probes」(第2版、Macmilla
n Publishers、ロンドン、1993年)、Pershingら編
「Diagnostic Molecular Microbiology:P
rinciples and Applications」(アメリカ微生物学
会、ワシントンD.C.、1993年)を参照されたい)。
【0060】 もう一つの有用な検出系は、核酸内に組み込まれたジゴキシゲニン−dUTP
を認識する抗ジゴキシゲニン抗体(アルカリ性ホスファターゼに結合したもの)
を使用するジゴキシゲニン系である(Current Protocols i n Molecular Biology (Ausubel,F.M.編)、第
1巻の3.18.1〜3.19.6節(1995)(この文献の教示内容は参照
により完全な形で本明細書に組み込まれるものとする)。
【0061】 検出可能に標識したハイブリダイゼーションプローブも、間接的標的標識とし
て使用できる。例えば電気泳動に先立って検出可能に標識されたプローブ(以下
「サンドイッチ」プローブという)とのハイブリダイゼーションによって標的核
酸を間接的に標識することができる。サンドイッチプローブは、適当なアダプタ
ー分子によって認識される領域とは重なり合わない標的の一領域とハイブリダイ
ズするように設計される。サンドイッチプローブは電気泳動中にも標的との会合
を保つように設計され、捕捉プローブにもアダプター分子にも直接的には結合で
きない。
【0062】 サンドイッチプローブは、電気泳動による捕捉後に標的分子を標識するために
も使用できる。この標識戦略では、未標識の標的分子を適当なアダプター分子と
の複合体として電気泳動にかけ、そのアダプター/標的がまず捕捉プローブにハ
イブリダイズする。次にサンドイッチプローブを、その捕捉層を通した電気泳動
にかける。要するに、捕捉されたアダプター/標的複合体は、サンドイッチプロ
ーブにとって新しい「捕捉」プローブとして作用する。捕捉された標的サンドイ
ッチプローブ複合体はサンドイッチプローブ標識によって検出できる。
【0063】 ブロッティング技術を、標的と結合した捕捉プローブの検出に適合させること
もできる。例えば、試料成分が結合している分離媒体に検出面を並置し、次に、
任意に例えば溶媒または試薬交換などの化学的手段によって試料成分を検出面に
移動させ、転写された試料成分をインターカレート色素の光学的検出などといっ
た既知の手段によって、またはハイブリダイズした放射性分子種の放射能の検出
によって、または他の既知手段によって検出する。
【0064】 捕捉プローブに結合した試料成分の存在は、様々な光学的技術を使って検出で
きる。例えば捕捉プローブが直線的アレイとして配置されている場合、各シグナ
ルの位置と強度は、一つの検出器を、検出可能なシグナルのアレイに沿って機械
的または光学的に走査することによって測定できる。もう一つの選択肢として、
検出可能なシグナルの直線的アレイは、直線的アレイ検出器により、例えば検出
可能なシグナルのアレイにアレイ検出器を並置するか、シグナルアレイの全部ま
たは一部をアレイ検出器に光学的に結像させることなどによって検出することも
できる。
【0065】 検出可能なシグナルを持つ捕捉プローブが2次元的アレイとして配置される場
合は、多くの検出スキームを使用できる。一つの検出器を使って、機械的または
光学的走査によって、または任意の組み合わせによって、各点でのシグナルを測
定することができる。もう一つの選択肢として、直線的な光学検出アレイを使っ
て並置または光学的結像によって一セットのシグナルを検出し、検出器またはシ
グナルアレイを機械的または光学的に走査することによって複数セットのそのよ
うなシグナルを検出することもできる。もう一つの選択肢として、固定化捕捉プ
ローブからの光学的シグナルのアレイに並置するか、固定化捕捉プローブからの
光学的シグナルのアレイを光学的に結像させることにより、2次元的光学エリア
検出器によって、捕捉プローブの2次元的アレイの全体または一部を光学的に検
出することもできる。
【0066】 捕捉プローブが3次元的アレイとして配置される場合は、上記の技術により、
要すれば最初にアレイの1または複数の小部分を物理的に取り出すことによって
補助して、個々のシグナルの検出をアレンジすることができる。もう一つの選択
肢として、共焦点顕微鏡法などの光学的スキームを使用することにより、他のシ
グナルからの干渉を最小限にして1つまたはいくつかの検出可能なシグナルを結
像させ、次いで他のシグナルを光学的調節後に検出することもできる。
【0067】 汎用捕捉ゲルの使用方法 本発明の方法は、電気泳動にかけることができ(例えば電気泳動の場に置いた
ときに検出できる移動度を示す荷電分子)、かつ核酸に結合するか核酸によって
結合される任意の化学物質の分析に適用できる。このような物質には、例えばD
NAまたはRNA試料、核酸結合タンパク質、核酸類似体、修飾核酸およびアプ
タマー結合パートナー(アプタマーは、ペプチド、タンパク質、薬物、多糖およ
び小さい有機分子(例えばテオフィリンおよびカフェイン)などの特異的結合パ
ートナーに結合するように選択された核酸である;Jenisonら,Scie nce ,263:1425−1429(1994))などが含まれる。例えば本
明細書に記載の方法は、固定化捕捉プローブを用いた標的核酸の分析および精製
に使用でき、ここでは核酸ハイブリダイゼーションと同様に、特異的結合には試
料核酸と捕捉プローブとの塩基対形成相互作用が伴なう。また、タンパク質電気
泳動に一般に使用されるマトリックス中に所定の配列を持つ合成核酸を固定化す
ることができるので、本明細書に記載の方法は配列特異的核酸結合タンパク質の
精製にも使用される。
【0068】 アダプター/標的複合体を含有する試料は、電気泳動段階の前、電気泳動段階
中または電気泳動段階後に検出可能に標識することができる。アダプターは標的
分子とハイブリダイズさせる前に標識することができる。もう一つの選択肢とし
て、標的分子をアダプター分子とのハイブリダイゼーションの前に標識すること
もできる。また両者を、互いにハイブリダイズさせる前に標識することもできる
。マトリックス内に固定化されたアダプター/標的/捕捉プローブ複合体の存在
の検出は、アダプター分子を介して捕捉プローブによって結合される標的分子の
存在を示す。次にこれは、例えば試験試料中に何らかの微生物が存在すること、
例えば特定の細菌またはウイルス株におけるある核酸分子中の1または複数の突
然変異の同定、また例えば培養物中の1または複数の特定細菌種の同定などと解
釈することができる。アダプター/標的複合体を含有する試験試料を電気泳動媒
体に導入したら、試験試料中にアダプター/標的複合体が存在するならそのアダ
プター/標的複合体が1または複数の捕捉プローブに結合してマトリックス中に
固定化されたアダプター/標的/捕捉プローブ複合体を生成するのに十分な条件
で十分な時間にわたって電場をかけて、マトリックスを通した試験試料の電気泳
動的移動を生じさせる。核酸電気泳動法に使用される典型的な電圧勾配は約1V
/cm〜100V/cmの範囲である。高度に特化した特定の応用には他の電場
の強さも役立ちうる。
【0069】 本発明の一態様として、汎用捕捉ゲルを使って試験試料に含まれる標的分子を
検出する方法を開示する。適当なアダプター分子を、標的分子を含有する試験試
料と、ハイブリダイゼーションに適した条件で混合することによって、アダプタ
ー/標的ハイブリダイゼーション複合体を形成させる。適当なアダプター分子は
、標的分子内に含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列領域に相補的な少な
くとも1つのヌクレオチド配列領域を含むアダプター分子である。アダプター分
子は少なくとも2つの所定のヌクレオチド配列領域を含む。第1に標的特異的領
域は標的分子内に含まれるヌクレオチド配列領域に相補的である。このハイブリ
ダイゼーションの産物、すなわちアダプター/標的複合体は、次いで汎用捕捉ゲ
ルに導入することができる。汎用捕捉ゲルは媒体内に固定化された捕捉プローブ
を含有する。汎用捕捉ゲルに電場をかけて、上で形成させたハイブリダイゼーシ
ョン複合体(アダプター/標的複合体)の電気泳動的移動を生じさせる。アダプ
ター/標的複合体が適当な捕捉プローブ、すなわちアダプタープローブの捕捉プ
ローブ特異的ヌクレオチド配列領域(アダプター分子の第2の所定のヌクレオチ
ド配列領域)に相補的な捕捉プローブと接触すると、アダプター/標的複合体は
、固定化捕捉プローブへのアダプター分子の結合によって媒体内に固定化された
状態になる。アダプター/標的/捕捉プローブ複合体によって形成された新しい
三元複合体の検出は、試験試料中に標的分子が存在することを示す。
【0070】 もう一つの態様として、1種類の固定化捕捉プローブだけを含む汎用捕捉ゲル
を使って試験試料中の1または複数の標的分子を検出する方法を開示する。この
汎用捕捉ゲルを用いて複数の標的分子を検出することができる。電気泳動媒体内
に固定化された捕捉プローブに相補的な共通する1つのヌクレオチド配列領域を
持つ複数種類のアダプター分子を使用できる。種類の異なるアダプター分子は、
試験試料内に含まれる特定標的分子に特異的な標的特異的ヌクレオチド配列領域
が相違する。この態様では、ゲルの不連続な領域で異なる標的分子の単離を必要
とするのではなく、試験試料中にこれら特定標的分子のいずれかが存在すること
を定性的に検出することのみを必要としうるので、捕捉プローブはゲルの全体に
わたって固定化することができる。
【0071】 もう一つの選択肢として、固定化捕捉プローブは電気泳動媒体の不連続な領域
内に固定化することもできる。まず、使用するアダプター分子を試験試料に由来
する標的分子とハイブリダイゼーションに適した条件で混合する。この際、特定
の標的分子に特異的なアダプター分子は、その標的分子にハイブリダイズするだ
ろう。このハイブリダイゼーション段階は通例、全ての標的分子または所望する
数の標的分子がその相補的アダプター分子にハイブリダイズするまで行なわれる
。次に、1または複数のアダプター/標的複合体を含有するハイブリダイゼーシ
ョン複合体調製物を、汎用捕捉ゲルを通した電気泳動にかける。アダプター/標
的複合体は電気泳動媒体中を、それらがアダプター分子に特異的な固定化捕捉プ
ローブと接触するまで移動するだろう。アダプター/標的複合体が固定化捕捉プ
ローブと接触すると、アダプター/標的複合体と固定化プローブとの間に第2の
複合体が形成されて、アダプター/標的/捕捉プローブ三元複合体を生成する。
この三元複合体は固定化捕捉プローブによって電気泳動媒体に固定化される。こ
の三元複合体の検出は、試験試料中に1または複数の標的分子が存在することを
示す。
【0072】 さらにもう一つの態様として、複数種類の捕捉プローブを用いた汎用捕捉ゲル
を使って試験試料から1または複数の標的分子を検出する方法を開示する。この
態様では、複数種類の捕捉プローブを電気泳動媒体内の不連続な領域に固定化す
ることが好ましい。これにより、標的分子の一つを、この態様で捕捉された別の
標的分子から単離し同定することができる。もう一つの選択肢として、捕捉プロ
ーブを電気泳動媒体全体に固定化することもできる。しかし好ましくは1または
複数種類の捕捉プローブをゲルの不連続な領域に固定化する。好ましくは、ゲル
内のどの不連続捕捉層にも、1種類の捕捉プローブだけを固定化する。捕捉層は
電気泳動媒体内の固定化捕捉プローブを含む層である。電気泳動媒体に固定化さ
れた特定種類の捕捉プローブに相補的なヌクレオチド配列領域を持つ複数のアダ
プター分子を使用する。特定種類の固定化捕捉プローブに対応するアダプター分
子は、特定の標的分子に相補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域を持つ。まず
アダプター分子と標的分子を、ハイブリダイゼーションに適した条件で互いに混
合する。この第1段階は、全ての標的分子または所望の数の標的分子が対応する
相補的アダプター分子にハイブリダイズするまで続けられる。次にこれらのアダ
プター/標的複合体を電気泳動にかける。個々のアダプター/標的複合体が適当
な固定化捕捉プローブと接触すると、その複合体はゲルに固定化された状態にな
る。アダプター/標的/固定化プローブの固定化三元複合体の位置は、アダプタ
ー分子(特定の標的分子と複合体を形成したもの)と、ゲルの特定の不連続領域
に固定化された捕捉プローブとの特異性に依存する。
【0073】 例えば、1つの汎用捕捉ゲルを使って分析対象の標的分子が5つある場合が考
えられる。この汎用捕捉ゲルは、それぞれ特定のアダプター分子に特異的な独立
した5種類の固定化捕捉プローブを含有する5つの不連続な捕捉層を含みうる。
それぞれ特定の種類の捕捉プローブに特異的であり、かつ特定の標的分子に特異
的な5種類のアダプター分子を使用する。アダプター分子を試験試料の標的分子
と混合すると、5種類のアダプター/標的複合体が形成され、それらを電気泳動
にかけることができる。各アダプター/標的複合体は、それが適当な固定化捕捉
プローブと接触して固定化された三元複合体を形成するまで、電気泳動媒体中を
移動するだろう。したがって5種類の異なる三元複合体を含む5つの独立した捕
捉層が存在しうることは、試験試料が少なくとも5種類の異なる標的分子を持つ
ことを示す。
【0074】 標的分子分析用の1次元アレイ 本発明のこの態様では、標的分子を含有する試料を、それぞれの層が少なくと
も1種類の捕捉プローブを含有する一連の不連続なマトリックス層を通した電気
泳動にかける。もう一つの選択肢として、捕捉プローブはマトリックス全体にわ
たってもよい。例えばハイブリダイゼーション結合反応では、捕捉プローブに相
補的なアダプター分子に結合している標的核酸は、あるゲル層に含まれているそ
の捕捉プローブにハイブリダイズすることができ、したがってそのゲル層(すな
わち捕捉層)に保持される。非相補的試料核酸は捕捉層を通過する。捕捉プロー
ブと相補的アダプター/標的複合体とのハイブリッドの存在は、本明細書に記載
する適当な標識戦略により、捕捉層内で検出される。
【0075】 この1次元フォーマットにはいくつの重要な利点がある。第1に、1または複
数のアダプター/標的分子複合体を含有する試料の全てが捕捉層を通過し、した
がってハイブリダイゼーションに参加できる。これは、たいていの他の固相ハイ
ブリダイゼーション法に対して主な利点である。高濃度の固定化プローブを使用
することで、小さいゲルバンドに、ハイブリダイズ可能なアダプター/標識複合
体を全て捕捉することができる。
【0076】 第2に、この方法による分析には、別個の電気泳動移動度を持つ無傷の核酸分
子種は必要ない。特異的アダプターポリヌクレオチドの使用が標的分子に関する
特異性を伝達するからである。従来のゾーン電気泳動では、検出のために、全て
の標的分子が分離したバンドとして移動しなければならない。
【0077】 第3に、試料の体積は重要でない。本発明では、たとえ使用する試料体積が大
きくても、それぞれ適当なアダプター分子と複合体を形成している全ての標的分
子が捕捉層を通過する。これは、検出感度と分離能を最大にするために試料体積
をできる限り小さくする必要がある従来のゾーン電気泳動に対して有意な利点で
ある。
【0078】 この態様では、捕捉層が1種類または複数種類の捕捉プローブを含有できる。
複数の捕捉プローブを1つの層に使用することは、いくつかの異なる生物のいず
れか一つを検出する必要があるアッセイに有用である。
【0079】 この態様では複数の捕捉層を使用することもできる。複数の捕捉層を同じゲル
装置に逐次的にキャストして多重ハイブリダイゼーションアッセイをもたらすこ
とは簡単である。アッセイ中は、適当なアダプター分子との複合体中の標的分子
が全ての層を通した電気泳動にかけられ、相補的アダプター分子はその特定種類
のアダプター分子に特異的な固定化捕捉プローブによって各層に捕捉される。各
層におけるハイブリッドの量は、使用した捕捉プローブに関する試料組成を直接
反映する。
【0080】 適正にハイブリダイズしたアダプター/標的分子複合体だけが各層に保持され
ることを保証するための条件を確認することができる。20塩基もの長さの捕捉
プローブによる電気泳動的ハイブリダイゼーションは、従来の非変性ゲルと緩衝
液系を使って室温で行なうことができる。このサイズの完全に相補的なハイブリ
ッドは長時間にわたって安定なようである。しかし、尿素またはホルムアミドな
どの変性剤をゲルに添加するか、ゲルを高温で泳動させることによって、さらな
るストリンジェンシーを達成できる。
【0081】 2次元プローブアレイ 1次元プローブアレイは限られた数の捕捉プローブを使用する分析に使用でき
る。より多数の配列を分析するには、固定化プローブの2次元アレイを使用する
ことができる。これらのアレイはいくつかの方法で形成させることができる。簡
単な2次元アレイは、例えば通常のスラブゲル装置で、整列した複数の垂直なス
ペーサーを使ってキャストすることができる(要するに1次元アレイのアレイを
作製する)。
【0082】 より複雑な2次元アレイは、まず1枚のプレート上に捕捉プローブ領域をマト
リックス(例えばポリアクリルアミドゲル)ドットのアレイとして重合し、次に
、そのアレイの上に上側ゲルプレートをのせることによってそれらのドットを
「サンドイッチ」して、プローブドット間の空間を未修飾のゲルで満たすという
2段階で作製することができる。
【0083】 いずれの場合も、アダプター/標的複合体を含有する試料を、マトリックスの
全長を横切るバンドとして、例えばマトリックスの上端に負荷する。この態様で
は試験試料全体が捕捉プローブの全てと接触するわけではない。しかし、ライブ
ラリースクリーニングや遺伝子発現解析などの、2次元分析が望ましいほとんど
の用途では、試料核酸が高コピー数で存在するので、この問題は有意な障害には
ならない。
【0084】 3次元プローブアレイ 本明細書に記載のハイブリダイゼーション法は、例えばハイスループットおよ
び/または対費用効果の高い多重並行アッセイにとりわけ役立ちうる3次元アレ
イも包含する。そのようなアッセイは、アダプター/標的複合体を含有する多数
の試料を表面または側面に適用した後、捕捉プローブの1または複数の領域と出
会うようにその固体の内部を通して(through the volume)移動させるという3
次元固体のフォーマットで提供できる。アレイは各試料がそのアレイを通って移
動する際に同じ配列の捕捉プローブに出会うように作製することができ、あるい
は、異なる試験試料混合物を解析するためまたは1もしくは複数の試験試料混合
物内の異なる成分セットを分析するためなどの目的で、異なる配列の捕捉プロー
ブを配置してもよい。
【0085】 固定化プローブとのハイブリダイゼーションによる試料の精製/濃縮 本明細書に記載の電気泳動方法は、粗製または半粗製混合物から特定の標的分
子を選択的に精製するのにとりわけ有用である。例えば適当な1または複数のア
ダプターと混合した細胞抽出物の半精製混合物(おそらく上清調製物を使用)を
、固定化捕捉プローブを含有するゲル上に置く。その混合物はゲルを通した電気
泳動を受ける。標的分子は、適当なアダプター分子との結合により、捕捉プロー
ブを含有する層に固定化される。標的と同じ電荷を持つ非標的分子は、反対の電
気的極性を持つ電極(本明細書ではこれを「求引(attracting)電極」という)
に求引され、捕捉プローブ層を通過し、最終的にはゲルの外に電気泳動される。
反対の電荷を持つ非標的分子は、試料ウェルから出て非求引電極に向かって移動
する。荷電していない試料分子は、試料ウェル中に留まり、ゲルに入らない。全
ての荷電非標的分子がゲルから除去されていることを確実にするために、十分な
電気泳動時間を経た後、捕捉された標的分子を次の2つの方法のうちの1つによ
ってゲルから溶出する: 1)(例えばマトリックスの温度を上昇させるか、電気泳動電圧を増加すること
によって)変性条件下で電気泳動を続ける。 2)捕捉プローブとマトリックスの間の化学結合の化学的または光化学的切断後
に電気泳動を続ける。 溶出した標的分子は、求引電極チャンバからいくつかの方法で濃縮し、回収する
ことができる。例えば電気泳動を受けた後、一部の非標的試料分子はゲルの外に
移動し、一部の非標的分子は求引電極チャンバに移動するが、それは適当な洗浄
溶液で洗い流すことができる。最後に標的分子を元の求引電極チャンバ中に直接
溶出することができる。もう一つの選択肢として、電気泳動装置は2つの求引電
極を持つことができ、一方は非標的成分を試料から取り除くために使い、他方は
標的分子を溶出するために使用するようにする。もう一つの選択肢として、取替
え可能な求引電極チャンバを持つ電気泳動装置を構築し、その結果、非標的成分
を除去した後、標的の溶出を行なうために求引電極チャンバをきれいなチャンバ
と交換することができる。
【0086】 この態様は、半粗製生物学的試料からハイブリダイゼーション法によって特定
の核酸を精製するのにとりわけ適している。適当なアダプター分子を使用するこ
とにより、特定の標的分子を半粗製調製物から単離することができる。第1に、
これらの方法では所望の配列を持つ実質的に全ての試料核酸が捕捉される。なぜ
なら、アダプター/標的複合体を含む試験試料全体が捕捉ゾーンを通過しなけれ
ばならず、また捕捉プローブの濃度は捕捉の成功を保証する任意の高さに設定で
きるからである。
【0087】 第2に、これらの方法では標的核酸が1工程で実質的に精製される。なぜなら
、荷電試料夾雑物は電気泳動中に除去され、非荷電夾雑物はそれらがマトリック
スに入らないために除去されるからである。
【0088】 第3に、極めて大量の試料を使用できる。核酸は、それらがポリマーマトリッ
クス中にある時と事実上同じように遊離溶解状態で電気泳動を受ける。したがっ
て大量の試料を使用できる。マトリックス層は選択性の高いフィルターのように
作用して、所望の核酸(適当なアダプター分子と複合体を形成しているもの)だ
けを試料から選択する。
【0089】 第4に、本明細書に記載の方法を使用すると、極めて希薄な大量の試料を定量
的に濃縮することができる。
【0090】 本発明の一態様では、修飾アダプター分子を使って標的分子を精製する。アダ
プター分子/標的分子/汎用捕捉プローブからなる三元ハイブリダイゼーション
複合体が形成されたら、修飾アダプター分子を使って、標的分子のみまたは標的
/アダプター複合体をゲルマトリックスへの固定化から遊離させることができる
。標的分子を三元複合体から遊離させるには、未修飾アダプターの標的特異的ヌ
クレオチド配列領域に相補的なヌクレオチド配列領域を含む修飾アダプター分子
を使用する。約2〜約5倍モル過剰の修飾アダプター分子を使用すれば、その修
飾アダプター分子を電気泳動にかけることによって、複合体からの標的分子の遊
離を達成することができる。修飾アダプター分子が三元複合体と接触すると、修
飾アダプター分子は標的分子を三元複合体から遊離させ、固定化捕捉プローブに
ハイブリダイズしたアダプター分子に結合するだろう。標的分子はゲル内を移動
しつづけ、回収することができる。
【0091】 もう一つの態様として、修飾アダプター分子は、未修飾アダプターの捕捉プロ
ーブ特異的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレオチド配列領域を含むことも
できる。この修飾アダプター分子を、既に三元ハイブリダイゼーション複合体
(アダプター分子/標的分子/汎用捕捉プローブからなるもの)を含有している
電気泳動媒体に入れることができる。修飾アダプター分子を電気泳動にかけ、そ
れが上記三元複合体と接触するまで移動させることができる。修飾アダプターは
固定化捕捉プローブ フォーム(form) アダプター/標的複合体を遊離させ、
捕捉プローブにハイブリダイズすることができる。放出されたアダプター/標的
複合体はゲル内を移動しつづけることができる。
【0092】 以下の実施例では本発明の特徴および他の詳細をより具体的に説明し、示す。
本発明の特定の態様は例示を目的として記載されるのであって、本発明の限定と
して記載されるのでないことは理解されるだろう。本発明の原理的特徴は、本発
明の範囲から逸脱することなく様々な態様で使用することができる。
【0093】 実施例 アダプター分子を用いた標的RNAの検出 実験は、RNA1およびRNA2と呼ぶ2種類の異なる無関係なRNA標的分
子(標識として蛍光ヌクレオチドであるフルオレセイン−rUTP(Boehr
inger Mannheim、インディアナ州インディアナポリス)を補充し
たPromega Corp.(ウィスコンシン州マディソン)のT7 RNA
ポリメラーゼに基づくインビトロ転写キットを使って製造)を使って行なった。
この実験では、RNA分子をフルオレセインで標識する。RNA1およびRNA
2(約0.5〜2ピコモル)をそれぞれ独立に特異的アダプター分子と混合した
。高度に折りたたまれてより高次の構造を形成している、RNA1用のアダプタ
ーは、AdRNP13V−128:5’−CGG TTT GCT CTC T
GT TGC ACT GTG AAT ACG TTC CCG GGC C
T−3’[配列番号:1]とした。RNA2用のアダプターはUNMB2:5’
−CTT AGG TGG GTT CAT CTT CTG GTG AAT
ACG TTC CCG GGC C−3’[配列番号:2]とした。RNA
1は大腸菌M1 RNA遺伝子を含有するPCR産物から転写した(図4、配列
番号:3参照)。RNA2はpGEM3Zf(−)(Promege、ウィスコ
ンシン州マディソン)中にクローン化されたヒト非筋肉ミソシン(mysosin)B
遺伝子由来の遺伝子断片を含有するプラスミドから転写した(図5、配列番号:
4参照)。このベクターはT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含有してお
り、そのプロモーターを使ってRNA1について上述したようにインビトロ転写
反応でRNA2を製造した。最終体積が0.1M NaCl中、20μLになる
ように、個々の反応バイアルに増加する一連の量の適当なアダプター分子を加え
た。試料を90℃に加熱し、室温に冷ました。キシレンシアノールおよびブロモ
フェノールブルーを含有するフィコール試料ローディング緩衝液約4μLを各試
料に加えた後、12μLをゲルに負荷した。
【0094】 ゲルは5%ポリアクリルアミド(29:1、アクリルアミド:bis)および
0.5×TBEとした。13Vアクリダイト(acrydite)ポリヌクレオ
チド捕捉プローブ(10μM、総液量600μL)を含有する捕捉層をゲル中、
試料ウェルの約1cm下に置いた。使用した捕捉プローブ配列は5’−アクリル
アミド−AGG CCC GGG AAC GTA TTC AC−3’[配列
番号:5]であった。試料を室温、200Vで35分間の電気泳動にかけた。
【0095】 次にそのゲルをMolecular Dynamics fluorimag
er(Molecular Dynamics)を使って分析した。図2にこの
実験の結果を示す。この結果は、上記の反応混合物中にアダプターが存在しない
場合は標的RNAの捕捉が起こらないこと、すなわち標的RNAはすべて捕捉層
(固定化捕捉プローブが存在する部分)を通過し、ゲルの下側にバンドを与える
ことを示している。これに対し、アダプターが存在する場合は、鮮明な蛍光バン
ドが捕捉層の上面に検出される。アダプターの量を増やすにつれて、捕捉される
標的RNAの相対率も増加する。またこれらの結果は、標的分子の不均一集団を
本発明に供することができ、その結果、各アダプターが、その捕捉プローブに対
して特異的である一つの均一な層または複数の層に、それら標的分子が捕捉され
ることも実証している(個々のアダプター分子に特異的な複数の捕捉層が存在し
てもよい)。
【0096】 本発明をその好ましい態様に関して具体的に示し、記載したが、特許請求の範
囲に規定する本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明において形態と
詳細に様々な変更を施しうることは、当業者には理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、固定化捕捉プローブ、アダプター分子および標的分子から構成される
捕捉複合体の概略図である。
【図2】 図2は、汎用捕捉ゲルを使って2種類のRNA標的分子を検出する実験の結果
を示すゲルの写真である。
【図3】 図3は、アダプター分子を使ったミオシンmRNA捕捉の概略図である。
【図4】 図4は、RNA1のヌクレオチド配列である。
【図5】 図5は、RNA2のヌクレオチド配列である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/58 C12N 15/00 ZNAF 37/00 102 G01N 27/26 315F 315H (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ボールズ,ティー.,クリスチャン アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02420 レキシントン,バートウェル ロ ード 76 (72)発明者 エイブラムス,エズラ,エス. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02465 ニュートン,コルベール ロード 4 Fターム(参考) 2G045 AA25 BA13 BB01 BB03 BB20 CA02 CA24 CA25 CA26 CB01 CB03 CB09 CB14 CB16 CB21 CB26 DA12 DA13 DA14 DA77 FB02 FB05 FB07 FB08 FB12 FB13 FB15 4B024 AA20 CA09 HA19 4B063 QA13 QQ42 QR32 QR55 QS03 QS16 QS25 QS34

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アダプター分子内に含まれる捕捉プローブ特異的ヌクレオチ
    ド配列領域に相補的なヌクレオチド配列領域を含有し、かつ電気泳動に適した媒
    体内に共有結合により固定化された汎用捕捉プローブを含有してなる、汎用ゲル
  2. 【請求項2】 汎用捕捉プローブが配列番号:5を含有する請求項1記載の
    汎用ゲル。
  3. 【請求項3】 アダプター分子が、配列番号:1および配列番号:2からな
    る群より選ばれる請求項2記載の汎用ゲル。
  4. 【請求項4】 (a)アダプター分子に相補的なヌクレオチド配列領域を含
    有する汎用捕捉プローブ; (b)汎用捕捉プローブ内に含まれるヌクレオチド配列領域に相補的な捕捉プロ
    ーブ特異的ヌクレオチド配列領域と、標的分子内に含まれるヌクレオチド配列領
    域に相補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域とを含有してなるアダプター分子
    ;および (c)前記汎用捕捉プローブがその内部に共有結合により固定化されている電気
    泳動に適した媒体 を含有してなる汎用捕捉ゲル系。
  5. 【請求項5】 (a)汎用捕捉プローブ内に含まれるヌクレオチド配列領域
    に相補的な捕捉プローブ特異的ヌクレオチド配列領域と、少なくとも1種の標的
    分子のヌクレオチド配列領域に相補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域とを含
    有してなる少なくとも1種のアダプター分子;および (b)(a)のアダプターの標的特異的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレ
    オチド配列を含有してなる少なくとも1種の標的分子、ここで(a)のアダプタ
    ー分子は(b)の標的分子とハイブリダイズし、それによりハイブリダイゼーシ
    ョン複合体を形成する、 を含有してなる汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体。
  6. 【請求項6】 汎用捕捉プローブが配列番号:5である請求項5記載の方法
  7. 【請求項7】 アダプター分子が約10個〜約100個のヌクレオチドを含
    有する請求項5記載の汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体。
  8. 【請求項8】 アダプター分子が一本鎖核酸または二本鎖核酸のいずれかで
    ある請求項5記載の汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体。
  9. 【請求項9】 核酸がDNAまたはRNAのいずれかである請求項8記載の
    アダプター分子。
  10. 【請求項10】 アダプター分子がアプタマーである請求項5記載の汎用ゲ
    ルハイブリダイゼーション複合体。
  11. 【請求項11】 標的分子が、核酸、核酸類似体、修飾核酸、アプタマー結
    合パートナーおよび核酸結合タンパク質からなる群より選ばれる請求項5記載の
    汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体。
  12. 【請求項12】 標的分子が、一本鎖もしくは二本鎖の核酸、修飾核酸また
    は核酸類似体分子のいずれかである請求項5記載の汎用ゲルハイブリダイゼーシ
    ョン複合体。
  13. 【請求項13】 標的分子がリボ核酸である請求項5記載の汎用ゲルハイブ
    リダイゼーション複合体。
  14. 【請求項14】 標的分子がデオキシリボ核酸である請求項5記載の汎用ゲ
    ルハイブリダイゼーション複合体。
  15. 【請求項15】 標的分子が約10個〜約100000個のヌクレオチドを
    含有してなる請求項5記載の汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体。
  16. 【請求項16】 試験試料が、細菌分子、ウイルス分子、真菌分子、寄生虫
    分子、植物分子、動物分子およびその組み合わせからなる群より選ばれる標的分
    子を含有してなる請求項5記載の汎用ゲルハイブリダイゼーション複合体。
  17. 【請求項17】 以下の工程: (a)(i)電気泳動媒体内に固定化された少なくとも1種の汎用捕捉プローブ
    ポリヌクレオチド内に含まれるヌクレオチド配列領域に相補的な捕捉プローブ特
    異的ヌクレオチド配列領域と、少なくとも1種の標的分子内に含まれるヌクレオ
    チド配列領域に相補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域とを含有してなるアダ
    プター分子;および (ii)前記アダプターの標的特異的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレオ
    チド配列を含有する標的分子を含む試験試料 を前記アダプター分子と前記標的分子とのハイブリダイゼーションに適した条件
    下で接触させることによりハイブリダイゼーション複合体を形成する工程; (b)(a)のハイブリダイゼーション複合体を、固定化された汎用捕捉プロー
    ブを含有する電気泳動媒体に導入する工程、ここで前記捕捉プローブは、前記ア
    ダプターの捕捉プローブ特異的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレオチド配
    列領域を含有する;ならびに (c)前記電気泳動媒体を電界に供し、少なくとも1種の固定化された汎用捕捉
    プローブを含む前記媒体の少なくとも1つの領域に(a)で形成されたハイブリ
    ダイゼーション複合体の電気泳動移動をもたらし、それにより、アダプター/標
    的/汎用捕捉プローブ複合体を形成する工程;ならびに (d)アダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体を検出する工程を含み、 前記アダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体の検出が、前記試験試料中にお
    ける少なくとも1種の標的分子の存在を示す、 試験試料中の標的分子の有無の検出方法。
  18. 【請求項18】 汎用ゲルにおいて使用される電気泳動媒体が、ポリアクリ
    ルアミドポリマー、アガロースポリマー、澱粉ポリマーおよびその組み合わせか
    らなる群より選ばれる請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 標的分子が標識されている請求項17記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記標識が、放射活性、触媒性、化学発光、燐光、蛍光お
    よび発光からなる群より選ばれる請求項17記載の方法。
  21. 【請求項21】 汎用捕捉プローブが、電気泳動媒体の少なくとも1箇所の
    不連続な領域内に固定化されている請求項17記載の方法。
  22. 【請求項22】 汎用捕捉プローブが、電気泳動媒体の全体にわたって固定
    化されている請求項17記載の方法。
  23. 【請求項23】 汎用捕捉プローブが、核酸、核酸類似体および修飾核酸か
    らなる群より選ばれる請求項17記載の方法。
  24. 【請求項24】 汎用捕捉プローブが配列番号:5である請求項17記載の
    方法。
  25. 【請求項25】 汎用捕捉プローブが約5個〜約100個のヌクレオチドを
    含有する請求項17記載の方法。
  26. 【請求項26】 標的分子が、核酸、核酸類似体、修飾核酸、アプタマー結
    合パートナーおよび核酸結合タンパク質からなる群より選ばれる請求項17記載
    の方法。
  27. 【請求項27】 標的分子が、一本鎖もしくは二本鎖の核酸、修飾核酸また
    は核酸類似体分子のいずれかである請求項17記載の方法。
  28. 【請求項28】 標的分子がリボ核酸である請求項17記載の方法。
  29. 【請求項29】 標的分子がデオキシリボ核酸である請求項17記載の方法
  30. 【請求項30】 標的分子が約10個〜約10000個のヌクレオチドを含
    有する請求項17記載の方法。
  31. 【請求項31】 試験試料が、細菌分子、ウイルス分子、真菌分子、寄生虫
    分子、植物分子、動物分子およびその組み合わせからなる群より選ばれる標的分
    子を含有する請求項17記載の方法。
  32. 【請求項32】 以下の工程: (a)固定化された捕捉プローブを含む電気泳動媒体内に試験試料を導入する工
    程; (b)(a)の電気泳動媒体を電界に供し、前記電気泳動媒体への試験試料の標
    的分子の電気泳動移動をもたらす工程; (c)(a)の電気泳動媒体内にアダプター分子を導入する工程、ここで、前記
    アダプターは前記電気泳動媒体を介する電気泳動移動に供され、前記アダプター
    分子は、前記標的分子よりも大きな電気泳動移動度を含む; (d)前記アダプターを、前記電気泳動媒体内の前記標的分子に接触させ、それ
    によりアダプター/標的複合体を形成する工程; (e)(d)のアダプター/標的複合体を前記固定化された捕捉プローブと接触
    させ、それによりアダプター/標的/捕捉プローブ複合体を形成する工程;なら
    びに (f)(e)のアダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体を検出する工程、 ここで、前記アダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体の検出は、前記試験試
    料中における少なくとも1種の標的分子の存在を示す、 を含む、試験試料中の標的分子の有無の検出方法。
  33. 【請求項33】 以下の工程: (a)固定化された捕捉プローブを含む電気泳動媒体内にアダプター分子を導入
    する工程; (b)電気泳動媒体を電界に供し、固定化された捕捉プローブを含有する前記媒
    体内へのアダプター分子の電気泳動移動をもたらし、それによりアダプター/捕
    捉プローブ複合体を形成する工程; (c)試験試料を(b)の電気泳動媒体内に導入する工程、ここで、前記試験試
    料の標的分子は前記電気泳動媒体への電気泳動移動に供され、それによりアダプ
    ター/標的/捕捉プローブ複合体を形成する工程;ならびに (d)(c)のアダプター/標的/捕捉プローブ複合体を検出する工程、 ここで、前記アダプター/標的/捕捉プローブ複合体の検出は、前記試験試料中
    における少なくとも1種の標的分子の存在を示す、 を含む、試験試料中の標的分子の有無の検出方法。
  34. 【請求項34】 以下の工程: (a)(i)適切なアダプター分子群、ここで各アダプター分子は、電気泳動媒
    体内に固定化された汎用捕捉プローブ内に含まれる核酸配列領域に相補的な捕捉
    プローブ特異的ヌクレオチド配列領域と、特異的標的分子内に含まれるヌクレオ
    チド配列領域に相補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域とを含む;および (ii)1種以上の標的分子群、ここで、各標的分子は、アダプターの標的特異
    的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレオチド配列を含有する、 を前記アダプター分子と前記標的分子とのハイブリダイゼーションに適した条件
    下で接触させることにより多数のハイブリダイゼーション複合体を形成する工程
    ; (b)(a)のハイブリダイゼーション複合体を、汎用捕捉プローブが1箇所以
    上のその不連続な領域内に固定化された電気泳動媒体に導入する工程; (c)前記電気泳動媒体を電界に供し、1つ以上の不連続な領域内に固定化され
    た1種類のみの汎用捕捉プローブを含む汎用ゲルの少なくとも1つの領域に(a
    )で形成されたハイブリダイゼーション複合体の電気泳動移動をもたらし、それ
    により、アダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体を形成する工程;ならびに (d)前記アダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体を検出する工程、 ここで、前記アダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体の検出は、前記試験試
    料中における少なくとも1種の標的分子の存在を示す、 を含む、試験試料中の1種以上の標的分子の有無の検出方法。
  35. 【請求項35】 以下の工程: (a)(i)電気泳動媒体内に固定化された少なくとも1種の汎用捕捉プローブ
    ポリヌクレオチド内に含まれるヌクレオチド配列領域に相補的な捕捉プローブ特
    異的ヌクレオチド配列と、少なくとも1種の標的分子内に含まれるヌクレオチド
    配列領域に相補的な標的特異的ヌクレオチド配列領域とを含有する少なくとも1
    種のアダプター分子;および (ii)アダプターの標的特異的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレオチド
    配列を含有する標的分子を含む試験試料 を前記アダプター分子と前記標的分子とのハイブリダイゼーションに適した条件
    下で接触させることによりハイブリダイゼーション複合体を形成する工程; (b)(a)のハイブリダイゼーション複合体を、アダプターの捕捉プローブ特
    異的ヌクレオチド配列領域に相補的なヌクレオチド配列領域を含有する汎用捕捉
    プローブが固定化された電気泳動媒体に導入する工程; (c)前記電気泳動媒体を電界に供し、少なくとも1種の固定化された汎用捕捉
    プローブを含む前記媒体の少なくとも1つの領域に(a)で形成されたハイブリ
    ダイゼーション複合体の電気泳動移動をもたらし、それにより、アダプター/標
    的/汎用捕捉プローブ複合体を形成する工程; (d)修飾されたアダプター分子を電気泳動媒体に導入する工程、ここで、修飾
    されたアダプター分子は非修飾アダプターの標的特異的ヌクレオチド領域に相補
    的なヌクレオチド配列領域を含有する; (e)電界を前記電気泳動媒体に負荷することにより、前記修飾されたアダプタ
    ー分子を電気泳動に供する工程;ならびに (f)非修飾アダプターを前記アダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体と接
    触させることにより、前記標的分子を前記アダプター/標的/汎用捕捉プローブ
    複合体から分離させる工程、ここで、前記修飾されたアダプターは、前記標的を
    分離させ、かつ前記アダプター分子にハイブリダイズする、 を含む、試験試料からの1種以上の標的分子の精製方法。
  36. 【請求項36】 工程(d)において、修飾されたアダプターが、非修飾ア
    ダプターの捕捉プローブ特異的ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列領
    域を含有し、工程(f)において、ハイブリダイゼーションに適した条件下で前
    記修飾されたアダプターを接触させることにより、標的/アダプター複合体がア
    ダプター/標的/汎用捕捉プローブ複合体から分離される、請求項35記載の方
    法。
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