JP2003505057A - rhPBGDの製造及び急性間欠性ポルフィリン症(AIP)及び他のポルフィリン症の患者を処置するための新規な治療方法 - Google Patents

rhPBGDの製造及び急性間欠性ポルフィリン症(AIP)及び他のポルフィリン症の患者を処置するための新規な治療方法

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Abstract

(57)【要約】 rhPBGDの大規模な生産方法及びヘム生合成経路に属する酵素の欠乏によって被験者に引き起こされる疾患を治療又は予防する方法におけるrhPBGDの使用。方法は、該酵素、又はその酵素学的に等価な部分もしくは類似体である1以上の触媒の有効量を、好ましくは触媒に関連する突然変異の遺伝子治療と組み合わせて、被験者に投与することからなる。疾患は、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、ALA欠乏性ポルフィリン症(ADP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、ハーダーポルフィリン症(HDP)、異型ポルフィリン症(VP)、先天性造血性ポルフィリン症(CEP)、造血性プロトポルフィリン症(EPP)及び肝造血性ポルフィリン症(HEP)からなる群から選択される。触媒は、デルタ-アミノレブリン酸シンセターゼ、デルタ-アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、ウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼ、ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ、コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ及びフェロキラターゼ、又はそれらの酵素学的に等価な部分もしくは類似体からなる群から選択される1以上の酵素である。さらに、本発明は、rhPBGDの使用に関する。また、本発明は、大腸菌で発現されるrhPBGDを生産するためのhemC破壊ストラテジで形質転換に用いられる、発現プラスミドpExp1-M2-BB(seq.ID No.1)及びDNAフラグメント、EcoR I − Hind III線状フラグメント(seq. ID No.2)の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、ヘム生合成経路に属する酵素活性の不在又は欠乏によって引き起こ
される疾患の治療及び予防の新規な方法に関する。さらに詳細には、本発明は、
ある種のポルフィリン症状、特に急性間欠性ポルフィリン症を緩和する方法、酵
素的な活性物質の組合わせを用いる治療及びPBGDならびにALADのような組換え産
生された酵素での治療に関する。さらに、この発明は、rhPBGDの生産に用いるた
めの発現プラスミド及び線状のDNAフラグメントに関する。
【0002】 発明の背景急性間欠性ポルフィリン症 急性間欠性ポルフィリン症(AIP)は、ヘム生合成経路の第三酵素、ポルフォビ
リノーゲンデアミナーゼ(ポルフォビリノーゲンアンモニアリアーゼ(重合化)と
しても公知)、E.C.4.3.1.8.の欠失(活性の50%低下)によって引き起こされるヒ
トにおける常染色体の優性疾患である [Waldenstrom J. Acta.Med.Scand. 1937
補稿82]。以下では、この酵素及びヒト型組換え体それぞれを「PBGD」ならびに
「rhPBGD」と称する。 ヘム生合成経路の重要な制御は、代謝経路の目的生成物、つまりヘムによって
伝えられる。これは、ヘム生合成経路で最初の律速的な酵素段階(デルタ-アミノ
レブリニックシンセターゼによって行われる)において負の阻害を発揮する[Stra
ndら、1970, Proc. Natl. Acad. Sci. 67, 1315-1320]。ヘム生合成酵素の欠乏
は、集約的にポルフィリン症と称される一群の疾患をもたらすことが報告されて
いる。第三酵素段階の不足は、急性間欠性ポルフィリン症、AIPをもたらす。PBG
Dの酵素活性の低下により、この酵素がヘム生合成経路で律速段階となり、同時
に尿ならびに血清中でのデルタ-アミノレブリン酸(ALA)とポルフォビリノーゲン
(PBG)のレベルが増加する。
【0003】AIPの臨床上の発現 AIPの臨床上の発現は、腹痛及び種々の神経精神医学的な循環機能障害を伴う
。酵素ブロックの結果、PBG及びALAのようなヘム前駆体は、過剰量で尿と便に排
出される。急性発作では、高レベルのPBGとALAも血清に認められる。これらの前
駆体は、通常健康な個体の血清には認められない。これらの患者に認められる神
経精神医学障害は、前駆体の神経系への干渉によるか、又はヘムの欠失によるも
のと考えられている。例えば、ALAは抑制性の神経伝達物質4-アミノブチル酸(GA
BA)に極めて類似しており、神経毒であることが示唆されている[Jeans J.ら、19
96, American J. of Medical Genetics. 65, 269-273]。 AIPは終生の疾患で、通常、思春期に発現する。大部分の促進因子(precipitat
ing factors)は、経路の最終生成物であるヘムを介してヘム生合成経路の最初の
律速段階の酵素との結合を示す。ヘム濃度が低下すればするほど、ALA-シンセタ
ーゼの割合はすぐに上昇する。次に、ALAの過剰生産により、部分的に欠乏して
いるPBGD酵素(活性50%)が、ヘム前駆体ALA及びPBGの蓄積を伴って、今や律速段
階となる。シトクロムP450を誘導する薬剤、例えばバルビツレート、エストロゲ
ン、スルホンアミド、プロゲステロン、カルバミアゼピン及びフェニトインは、
全て急性発作を促進することができる [Wetterberg L. 1976, In Doss M. Nowro
cki P.編集、Porphyrias in Human Disease. Reports of the discussion. Matg
urg an der Lahn, 191-202]。
【0004】AIPの現在の治療 AIPならびに他のタイプのポルフィリン症、例えば異型性、遺伝性のコプロポ
ルフィリン症、ハーダーポルフィリン症(harderoporphylia)、及びアミノレブリ
ン酸デヒドラターゼ欠乏症の治療は、基本的に同じである。AIPの既存治療は、
すべて、最初の律速段階酵素工程ALA-シンセターゼを阻害することにより循環し
ているPBGとALAを減少さすことを目的としている。ALA-シンセターゼのこの阻害
は、循環しているヘムを増加させてなされる。というのは、ヘムはALA-シンセタ
ーゼの負のフィードバック調節体であるためである。ヘマチン処理、高度なカロ
リー摂取又はSn-メソポルフィリン投与によるヘム崩壊の阻害が、今日現存して
いる治療である。これらの治療は、効果が限られていることが分かっている。 症候性AIPの患者の尿中にみられるALAとPBGのレベルは、それぞれ1〜203mg/日
及び4〜782mg/日の範囲である。通常のALAとPBGの排出は、非常に少量である(0
〜4mg/日)。これらの患者もALAとPBGの血清中でのレベルを増しているとの知見
は、重要である。AIP患者は、急性発作と関連して著しく上昇したレベルのALA(9
6μg%)とPBG(334μg%)を血清中に有していること、及び発作の激しさが、高レ
ベルのALAとPBGに相関していることが、研究で示された。このため、臨床的な症
状を除いてヘムプールを正常化するために、循環しているALAとPBGのレベルを減
じることが重要である。
【0005】 発明の開示 この発明は、PBGを、反応の通常の生成物であるヒドロキシメチルビラン(HMB)
に(酵素転化で)代謝することによって血清に循環している高レベルのPBGを低下
さすために、PBGD、好ましくは組換え体のヒトPBGD (rhPBGD)及び/又はALAD(rhA
LAD)のような触媒を用いることに基づく。この代替治療は、血清中のPBGの正常
化のみならず、ヘムプールの正常化も導くであろう。また、それは、ヘム前駆体
は互いに平衡であるので、血清中のALAの正常化をもたらすであろう。血清ALAが
少量になるほど、PBGは共動して症状を軽減するものと推測される。反応生成物(
HMB)は、細胞に広まって正常なヘム生合成経路に入り、その後ヘムに代謝される
であろう。 このため、注射で投与されるPBGDは、血清中(細胞外、細胞内ではない)でPBG
をHMBに変えることで通常の触媒機能を実行する。新規な治療の構想は、ALA、PB
G及びHMBは細胞膜を透過する、又はこれらは細胞膜を横切って特異的に輸送され
るとの仮説に基づいている。この代わりにPBGDの形態の投与がある。これは、処
方の結果か、又はPBGDの修飾の結果として細胞内で作用でき、細胞外分画から細
胞に入るのを容易にするであろう。
【0006】 AIP患者が血清中にこれらのヘム前駆体を大量に有しているとの知見は、PBGは
細胞内に蓄積しないが、PBGD酵素ブロックのために細胞内濃度が上昇すると細胞
から血清に放出されるとの構想を支持している。 用語「触媒」によれば、そのまま置換される関連酵素又はそれらの酵素学的に
等価な部分もしくは類似体のいずれかがここで意味される。酵素の酵素学的に等
価な部分の一例は、酵素の全長と同じ酵素活性を実質的に発揮できるドメイン、
又は酵素の全長と同じ酵素活性を実質的に発揮でき、必要な触媒部位を含む酵素
のサブ配列、又は触媒をコードする遺伝子である。 酵素の酵素学的に等価な類似体の例は、機能形態の酵素の触媒部位を含む融合
タンパク質であってもよいが、これは、別種由来の酵素の同種変異体であっても
よい。また、関連酵素の特異的な酵素活性を模倣する完全な合成分子は、「酵素
学的に等価な類似体」も構成する。
【0007】 用語「ヘム生合成経路」は、グリシンとスクシニル-CoAをヘムに導く周知の酵
素工程[例えば、Sassa S. 1996, Blood Review, 10, 53-58参照]を意味し、この
生合成経路に属する酵素は、デルタ-アミノレブリン酸シンセターゼ、デルタ-ア
ミノレブリン酸デヒドラターゼ、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ、ウロポル
フィリノーゲンIIIコシンセターゼ、ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラー
ゼ、コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ、プロトポルフィリノーゲンオキシ
ダーゼ及びフェロキラターゼである。したがって、上記によれば、本発明で用い
られる触媒は、このような酵素又はそれらの酵素学的に等価な部分もしくは類似
体である。 これらの酵素の活性低下に関連する疾患は、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)
、ALA欠乏性ポルフィリン症(ADP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、遺伝性コ
プロポルフィリン症(HCP)、ハーダーポルフィリン症(HDP)、異型ポルフィリン症
(VP)、先天性造血性ポルフィリン症(CEP)、造血性プロトポルフィリン症(EPP)及
び肝造血性ポルフィリン症(HEP)である。
【0008】 用語「有効量」によって、上記酵素の1つの活性の低下によって引き起こされ
るポルフィリン症の患者における酵素活性の欠失又は欠乏を補足する触媒の用量
がここで意味される。有効量を構成する正確な用量は、触媒の血清半減期、触媒
の比活性などのような幾つかの因子によるが、当業者は、標準的な手法(例えば
、血液濃度と酵素活性の相関関係を決定するためのトランスジェニック動物のよ
うな適当な動物モデルで実験の開始)によって所定の場合に正確な用量を決定で
きるであろう。 本発明の方法に好ましい対象である疾患はAIPであり、それ故、好ましい触媒
はrhPBGD又はそれらの酵素学的に等価な部分もしくは類似体である。本発明は、
さらに大規模でのrhPBGDの生産に関する。
【0009】 触媒の好ましい処方及び用量は、以下で詳細に記載するPBGDが挙げられるが、
限定されない。これらの処方も、請求項から明らかである。これらの処方と服用
形態は、本発明で用いられる全ての触媒に適用可能であることが好ましい。 本発明の1つの重要な観点は、PBGD及びALADの組合せ、ならびに個々に開示さ
れる触媒の他の組合せの使用に関する。 本発明の方法の1つの重要な具体例は、投与によって、触媒が、細胞内分画で
酵素活性の少なくとも一部を発揮するものである。これは、例えば触媒が酵素の
酵素学的に等価な部分又は類似体である場合に、酵素のこのような変異体が、細
胞膜を透過するようにつくられているために、成し遂げられる。したがって、触
媒が、ポルフォビリノーゲンをヒドロキシメチルビランに重合できる小さい人工
酵素か有機性触媒である場合には、当業者は、細胞内分画へ入るのを容易にする
関連側鎖を導入することができる。また、触媒は酵素であるが、患者への投与に
よってその酵素活性の少なくとも一部を細胞内で発揮するように処方される。こ
れは、特異的な肝臓での取り込みのため、特異的な炭水化物又は他の肝細胞に特
異的な構造物で酵素を標識(tagging)してなされる。つまり、酵素(又は類似体)
は、例えば肝細胞への活性な輸送を容易にするように修飾される。
【0010】 上記の例は興味あるものであるが、本発明の通常の実際的な例は、血流中で細
胞外に、その酵素活性の全てを実質的に発揮する触媒の使用に関すると考えられ
る。これは、関与しているヘム前駆体の酵素転換の代謝産物が細胞内分画へ自由
に浸透し、そこで残りのヘム生合成経路の転換が生じると考えられるためである
。また、代謝産物は、少なくともある程度までは尿及び/又は便を介して患者か
ら排出されてもよい。 組み換え体の生産方法は、 a) 触媒をエンコードする核酸配列を含む核酸フラグメントを適当なベクターに
導入し; b) ベクターで適合性の宿主細胞を形質転換し; c) 核酸配列の発現を容易にする条件下で、形質転換した宿主細胞を培養し;か
つ d) 培養物から発現産物を回収し、 任意に発現産物を翻訳後プロセシング、例えばインビトロでのタンパク質の再生
(refolding)、融合パートナーの酵素的な除去、アミノ酸残基のアルキル化及び
脱グリコシル化に付し、触媒を得ること からなる。
【0011】 比較的小さい触媒(例えば酵素の活性部位から主に構成される触媒)については
、触媒は、液相又は固相のペプチド合成によっても製造することができる。 モデル酵素PBGDの組換え生産に関するより詳細な説明は詳述する以下に示すが
、上記のとおり本発明の全ての他のペプチド触媒について同じ考察が当てはまる
。組換え手段又は合成手段によって触媒を製造することの主な利点の1つは、ヒ
ト以外の細胞で製造されれば、触媒はヒト由来の他のいかなる生体物質もなく、
このためにウイルスなどのような既知又は未知の病原体に関する問題が減じられ
るという点にある。 用量の管理は、通常、少なくとも1日当たり1回の触媒の服用(好ましくは静脈
注射、皮下注射、腹腔内注射、経皮又は鼻及び口腔投与をはじめとする経粘膜経
路)からなる。通常は、一日当たり2、3、4又は5回の服用が必要であるが、持続
放出組成物、又は例えば皮膚下注射剤が用いられる際には、服用は一日当たり1
回以下で十分であると推測される。
【0012】 一日当たりの用量は、当業者によってケースごとに決定すべきであるが、概し
て、一日当たりの用量は触媒0.01〜1.0mg/体重kg/日である。より多くの場合に
は、用量は0.05〜0.5mg/体重kg/日である。しかし、正確な用量は投与形態と触
媒活性ならびに関連酵素の欠乏の程度又は酵素の組合わせ及び個々の治療に依存
しており、用量は患者の血清と尿前駆体のレベルを正常化するように調整するこ
とを忘れるべきではない。 正確な用量を決定するもっとも正確な方法は、患者の特異的な前駆体レベルを
基本にすることである。前駆体は、酵素反応生成物である。 PBGDについては、一日当たりの用量は約0.08〜0.2mg/体重kg/日であり、より
多くの場合には0.1mg/体重kg/日が任意の用量である。他の全長の酵素又は酵素
の組合せについては、同等の用量が当てはまると考えられる。 また、本発明は、医薬として用いるための、ここに定義するような触媒に関す
る。さらに、上記疾患の治療用医薬組成物を製造するためのかかる触媒又は種々
の触媒の組合せの使用も、本発明の一部である。
【0013】 図面の説明: 図1: プラスミドpPBGD1.1の環状地図 図 2: プラスミドpExp0の構築についてのフローチャート 図 3: プラスミドpExp0の環状地図 図 4: プラスミドpExp1の構築についてのフローチャート 図 5: プラスミドpExp1の環状地図 図 6: pExp1-M2の構築についてのフローチャート 図 7: プラスミドpExp1-M2の環状地図 図 8: rhPBGD発現プラスミドpExp1-M2-BBの構築についてのフローチャート 図 9: rhPBGD発現プラスミドpExp1-M2-BBの環状地図 図 10: EcoR I-Hind III直線状DNA-フラグメントの構築についてのPCRストラテ
【0014】 図 11: 形質転換に用いるEcoR I-Hind III直線状DNA-フラグメントの構造 図 12: 株PBGD-2を用いる発酵PD14からの呼吸及び成長データ 図 13: 株PBGD-2を用いる発酵PD14でのrhPBGD発現 図 14: DEAE-セファロースFF (DEAE1)でのクロマトグラフィー 図 15: DEAE-セファロースFF (DEAE2)でのクロマトグラフィー 図 16: ブチル-セファロース4 FFでのクロマトグラフィー 図 17: rhPBGD-His 発現プラスミドpExp2の環状地図 図 18: PBGD反応機序 図 19: DEAE クロマトグラフィー溶出プロフィル 図 20: DEAE溶出物のSDS-PAGEゲル
【0015】 図 21: コバルトクロマトグラフィー溶出プロフィル 図 22: コバルト溶出物のSDS-PAGEゲルの結果 図 23 及び図 24: 図に番号を表示(表19)。ヒーラ細胞でのPBGDの発現は、基底
活性から475倍まで、NIH 3T3細胞で11倍まで増加した。 図 25: 株PBGD-2を用いる発酵PD05 と PD06の比較 図 26: 発酵PD09、PD11 及び PD12の比較 図 27: 株PBGD-1を用いる発酵PD09、PD11 及び PD12の比較 図 28: 株PBGD-2を用いる発酵PD14、 PD16 及びPD19の比較 図 29: 株PBGD-2を用いる発酵 PD14、 PD16 及びPD19の比較 図 30: 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、PD21 及び PD22の比較
【0016】 図 31: 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、 PD21 及び PD22の比較 図 32: 発酵PD19、PD1501 及び PD1502の比較 図 33:: 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、PD1501 及び PD1502 の比較 図 34: 図 35: 安定性研究: 1回使用の抽出物のアリコートを通常どおり冷凍庫 (-20℃)
から取り出し、時間中、rhPBGD-活性を測定し、プロットした。 図 36. PCR増幅に用いたオリゴの説明 図 37 A 及び B: ALADのPCRクローニングストラテジ 図 38: マウスに50μgのrhPBGD (2,3-2,8 mg/kg)を投与した後の rhPBGDの血漿
レベル 図 39: マウスにrhPBGD を投与した後の血漿中のPBGD酵素活性 図 40: フェノバルビタルで処理したAIP-マウスにおけるPBG及びALAの尿中の含
【0017】 図. 41は、フェノバルビタルとrhPBGD で処理したAIP-マウスにおけるPBG及びAL
Aの尿中の含量を示す 図 42: 対照及びAIP-マウスにおけるグリップ強度の分析を示す 図 43: 対照及びAIP-マウスにおけるロタロッド(Rotarod)分析。ロタロッド分
析は、野生型の対照(対照、n=5)とAIP-トランスジェニックマウス(AIP, n=7)で
ロタロッドトレッドミル(Ugo Basile)を用いて測定した。 図 44. HPLCによって測定した40℃で8週間にわたる酵素濃度。2 mg/mlから0,5
mg/ml 及び 8 mg/mlから2,5 への低下が認められた。 図 46. 40℃で8週間のあいだ測定した酵素の比活性。活性は、酵素活性アッセ
イを用いて測定し、タンパク質濃度はHPLCを用いて測定した。 図 45. 40℃で8週間にわたって測定した酵素活性。高濃度の試料、1bについて第
1週目のあいだに有意な低下が認められた。2週間後には、全ての試料についての
低下率が同じであった。 図 47. 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解した各試
料でのrhPBGD濃度。測定は、HPLCを用いて行った
【0018】 図 48. 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解した各試
料でのrhPBGD活性。 図 49. 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解した各試
料でのrhPBGD比活性。測定は、酵素活性アッセイとHPLCを用いて行った。 図 51. rhPBGD活性を8週間にわたって測定した。安定性研究は、窒素下、-20
℃±5℃、5℃±3℃及び25℃±2℃で行った。 図 51. rhPBGD活性を8週間にわたって測定した。安定性研究は、窒素下、-20
℃±5℃、5℃±3℃及び25℃±2℃で行った。 図 52. 酵素活性アッセイ及びBCAタンパク質濃度アッセイを用いて測定したrh
PBGD比活性。安定性研究は、窒素下、-20℃±5℃、5℃±3℃及び25℃±2℃で行
った。
【0019】 配列リスト: Seq. ID NO 1: 発現プラスミドpExp1-M2-BBの配列 Seq. ID NO 2: hemC崩壊ストラテジで形質転換に用いるEcoR I - Hind IIIの直
線状フラグメントの配列 Seq. ID NO 3: 赤血球造血型の配列(PBGD 1.1) Seq. ID NO 4: 非赤血球造血型の配列(PBGD 1.1.1) Seq. ID NO 5: 脾臓由来PDGBの配列(PBGD 1.3) Seq. ID NO 6: 骨髄由来PDGBの配列(PBGD 2.1) Seq. ID NO 7: 骨髄由来PDGBの配列(PBGD 2.2) Seq. ID NO 8: リンパ節由来PDGBの配列(PBGD 3.1) Seq. ID NO 9: リンパ節由来PDGBの配列(PBGD 3.3) Seq. ID NO 10: 脳全体由来PDGBの配列(PBGD 5.3) Seq. ID NO 11: 脳全体由来PDGBの配列(PBGD 6.1) Seq. ID NO 12: PDGBの配列、図1 Seq. ID NO 13: (PBGD)の配列 Seq. ID NO 14: ICO 549と称されるプライマー Seq. ID NO 15: ICO 550と称されるプライマー Seq. ID NO 16: ICO 383と称されるプライマー Seq. ID NO 17: ICO 384と称されるプライマー Seq. ID NO 18: ICO 618と称されるプライマー Seq. ID NO 19: ICO 616と称されるプライマー Seq. ID NO 20: ICO 617と称されるプライマー Seq. ID NO 21: pBlueAalD-2のALADコード化領域の配列 Seq. ID NO 21: pBlueAalD-2のALADコード化領域のタンパク質配列
【0020】 発明の詳細な説明 最初の具体例において、本発明は、ヘム生合成経路に属する1以上の酵素の欠
乏によって患者に引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、該酵素
又は酵素の組合せ又はそれらの酵素学的に等価な部分もしくは類似体である触媒
の有効量を患者に投与することからなる方法に関している。疾患は、ポルフィリ
ン症の群から選択することができ、触媒は、デルタ-アミノレブリン酸シンセタ
ーゼ、デルタ-アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)、ポルフォビリノーゲン
デアミナーゼ(PBGD)、ウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼ、ウロポルフ
ィリノーゲンデカルボキシラーゼ、コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ、プ
ロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ及びフェロキラターゼ、又はそれらの酵素
学的に等価な部分もしくは類似体からなる群から選択される酵素であってもよい
。 また、本発明は、上記酵素のいずれかの組合せに関する。というのは、ある酵
素の欠乏は、かかる代替経路に対する酵素の通常の生産が不十分で、代替的な酵
素反応を要する経路の変更を引起こしかねないからである。あるいは、ヘム生合
成経路に関する疾患は、ほんの1個以上の酵素の欠乏にも起因している可能性が
ある。したがって、この明細書で、触媒の用語は、触媒の組合せとしても考慮さ
れ、酵素の用語は種々の酵素の組合せを含んでもよい。
【0021】 好ましい例において、疾患はAIPであり、酵素は、ALADと任意に組み合わさっ
たPBGD又はそれらの酵素学的に等価な部分もしくは類似体である。さらなる例に
おいて、触媒は、ヘム生合成経路に属する酵素又はそれらの酵素学的に等価な部
分もしくは類似体の組換え型である。 触媒は、静脈経路、関節内経路、皮内経路、皮下経路、経口経路、口腔経路、
筋肉内経路、肛門経路、経皮経路、内皮経路及び鞘内経路からなる群から選択さ
れる経路で投与することができる。 触媒は、NaCl 0.9%及びpH 7.0 +/- 0.5、pH 8.0までのリン酸ナトリウム10〜
50 mM又はリン酸ナトリウム、グリシン、マンニトール又は相当するカリウム塩
のような等張液中で処方することが好ましい。触媒は凍結乾燥、滅菌ろ過してい
てもよく、さらなる例では、ホスファチジルコリン又はホスファチジルエタノー
ルアミンもしくはそれらの組み合わせからなる脂質性の小胞として処方されても
よい。さらに別の例では、触媒は赤血球ゴーストに組み込まれる。
【0022】 また、生物分解性ミクロスフェア、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこ
れらの混合物からなるミクロスフェアを含む持続放出の処方が、行われてもよい
。 本発明の別の方法では、触媒は、前方の分画に触媒があり、後方の分画に再構
成用の水がある2分画のカートリッジで凍結乾燥される。2分画のカートリッジは
、針又は針のない(高圧)装置のいずれかによって触媒を投与するための注入装置
と組み合わさっていてもよい。 また、経鼻投与用のエンハンサーを含む生理緩衝液の処方で触媒を投与するの
が非常に便利である。 触媒の他の処方は、脂質性小胞、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン又はスフィンゴミエリン又はデキストランミクロスフェアか
らなる小胞を含有する経口製剤を含む。
【0023】 処方は、患者の血流中で触媒の半減期を増強できるものが好ましい。これは、
触媒がポリエチレングリコールコーティングを有している製剤の使用によるもの
であってもよい。 触媒は、重金属と複合されていてもよい。 別の態様において、触媒は、酵素の酵素学的に等価な部分もしくは類似体であ
り、患者への投与によって細胞内で酵素活性の少なくとも一部を発揮する。これ
は、触媒がポルフォビリノーゲンをヒドロキシメチルビランに重合できる小さな
人工酵素又は有機触媒である場合であってもよい。
【0024】 さらに、触媒は、患者への投与によって細胞内でその酵素活性の少なくとも一
部を発揮するように処方された酵素であってもよい。 加えて、触媒は、特異的な肝臓での取り込みのため、特異的な炭水化物又は他
の肝細胞に特異的な構造物で標識されていてもよい。 別の態様において、触媒は、血流中で細胞外に酵素活性の全てを実質的に発揮
する。 さらに別の態様において、関連するヘム前駆体に対する触媒の酵素活性により
、1)代謝産物が細胞内分画へ移動して、残りのヘム生合成経路の工程を介してさ
らに転換されるか、又は2)代謝産物が尿及び/又は便を介して患者から排出され
る。
【0025】 本発明の主たる具体例は、触媒が a) 触媒をエンコードする核酸配列を含む核酸フラグメントを適当なベクターに
導入し; b) ベクターで適合性の宿主細胞を形質転換し; c) 核酸配列の発現を容易にする条件下で、形質転換した宿主細胞を培養し;か
つ d) 培養物から発現産物を回収し、 任意に発現産物を翻訳後プロセシング、例えばインビトロでのタンパク質の再生
、融合パートナーの酵素的除去、アミノ酸残基のアルキル化及び脱グリコシル化
に付し、触媒を得ること からなる方法によって製造される方法に関する。 さらに、組み合わさった触媒は、液相又は固相のペプチド合成によって製造で
き、ヒト由来のいかなる他の生体物質もないことが好ましい。
【0026】 上記のとおり、触媒は、患者に対して概説される特別な治療管理(各患者ごと
の前駆体レベルは特定用量の評価治療前及び/又はその間に測定する)にしたがっ
て、少なくとも一日に1回、例えば一日当たり2、3、4及び5回投与することができ
る。 したがって、一日当たりの用量は、0.01〜1.0mg/体重kg/日、例えば0.05〜0.5
mg/体重kg/日の範囲であってもよい。また、本発明は、医薬組成物を製造するた
めの触媒の使用にも関している。 用量は、しばしば約0.1mg/体重kg/日であるものと考えられる。 したがって、本発明は、薬物として用いるための、ヘム生合成経路の酵素又は
その酵素学的に等価な部分もしくは類似体である触媒にも関する。そこで、さら
なる実施態様において、発明は、当該酵素の欠乏によって引き起こされる疾患の
治療または予防用医薬組成物を製造するための、ヘム生合成経路の酵素又はその
酵素学的に等価な部分もしくは類似体である触媒に関する。
【0027】 当然、この触媒は酵素の組換え型であってもよい。一例は、Seq.ID NO.3及びS
eq.ID NO.4のいずれかに基づく組換えヒトPBGDである。 好ましい実施態様において及び下記の詳細で開示されるように、本発明は、酵
素の欠乏を引き起こすPBGD遺伝子中の1以上の突然変異を有する患者を治療する
方法に関し、この方法は、PBGDが発現される組織によって非赤血球造血型あるい
は赤血球造血型のいずれかのヒトPBGD cDNA配列を使用し、患者へ関連 cDNAをト
ランスフェクトすることからなる。好ましくは、酵素の欠乏は、急性間欠性ポル
フィリン症(AIP)、ALA欠乏性ポルフィリン症(ADP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(
PCT)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、ハーダーポルフィリン症(HDP)、異型
ポルフィリン症(VP)、先天性造血性ポルフィリン症(CEP)、造血性プロトポルフ
ィリン症(EPP)及び肝造血性ポルフィリン症(HEP)から選択される疾患を生じる酵
素欠乏から選択される。さらに好ましい実施態様では、遺伝子治療が、本発明に
よる組換え酵素の投与と組合わせられる。 好ましい実施態様において、ヒトPBGD cDNA配列は、Seq.ID NO.3及びSeq.ID N
O.4から選択される。
【0028】 トランスフェクションは、アデノウィルス、レトロウィルス及び伴生(associa
ted)アデノウイルスから選択されるベクターの使用によってもよい。ヒト細胞へ
のPBGD遺伝子転移ベクター(赤血球造血性及び/又は非赤血球造血性)は、正常
なPBGD活性または患者に疾患の症状がなくなる活性を生ずるのが好ましい。 急性間欠性ポルフィリン症(AIP)患者のさらなる遺伝子治療法は、キメラ形
成(chimeraplastic)遺伝子修復を利用してAIPを生じると同定された特定の点
突然変異の1つを修正することによる。これは、特別にデザインされたオリゴヌ
クレオチドと、修復すべき突然変異及び突然変異の両側の配列についての詳細な
知識とを必要とする。キメラ形成遺伝子修復の具体例は、カチオン性リン脂質類
、リン脂質類、中性脂質類の混じったリン脂質類、リクトシレート(lictosylate
)PEI、リポソーム類、天然リン脂質類と中性脂質類の混合物を含むリポソーム類
から選択される1以上の成分を含む賦形製剤に処方した非ウィルス性ベクターの
使用によるトランスフェクション用デリバリーシステムの使用による。 突然変異は、表Aに示す突然変異から選択することができる。 発明の好ましい実施態様についての下記の記載は、PBGDの組換え産生及びその
処方と使用に焦点を当てている。しかしながら、このポリペプチドに関するすべ
ての開示は、他の上記の酵素にも適用されることが理解されるであろう。従って
、PBGDの産生及び使用のみにより発明を例示するが、ヘム生合成経路の他の酵素
はすべて、下記の実施態様においてPBGDに換えることができる。
【0029】組換え体ヒトPBGD(rhPBGD)の産生 上記のように、ヘム生合成経路の様々な酵素のヒト型組換え体を投与するのが
好ましい。下記においては、これらの酵素の1つ、即ちPBGDの組換え産生を説明
する。 赤血球造血性PBGDの遺伝子は、ヒトゲノムにおいて染色体領域11q24に位置し
、10kbのDNAにわたる15のエキソンからなり、Grandchamp B.ら1996. J. of Gast
roenerology and Hepatology 11, 1046-1052に示されている。 赤血球造血性PBGD酵素をコードする遺伝子(344アミノ酸)(Raich N. ら、198
6, Nucleic. Acid. Res, 14, 5955-5968)は、ネスト型(nested)PCR(ポリメラー
ゼ連鎖反応)ストラテジを用いてヒトの赤血球造血組織からクローン化される。 PBGDコード化領域は、プラスミドに挿入され、適切な宿主細胞(大腸菌及び枯
草菌のような細菌、又はサッカロマイセスのような真菌類)に形質転換される。
PBGD遺伝子の発現は、選択した宿主細胞に適合性のプロモータによって調節され
る。
【0030】 細菌の産生について: 内在性ATG配列は、翻訳の開始と細胞質発現のためにPBGD構造遺伝子のNH2−末
端に位置する。あるいは、PBGDコーディング領域の前に細菌のシグナル配列、例
えば大腸菌のペリプラズム酵素シグナルペプチドまたは大腸菌中の分泌されたエ
ンテロトキシンもしくはエンドトキシン由来のシグナルペプチドを挿入し、大腸
菌中で分泌させる。 大腸菌中でのrhPBGDの産生に用いたプラスミドは、次のようにして構築した。
【0031】ヒト野生型PBGDのコード化領域を有するプラスミドの構築(pBPGD1.1) 序文: 赤血球造血性発現型のポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)[Raich N.
ら、Nucleic Acids Research 1986 14(15): 5955-67]をクローンし、配列を決定
した。2つの型のPBGDが公知である。赤血球造血型は赤血球始原細胞で特異的に
発現され、構成型はすべての細胞に発現される[Grandchamp B.ら、1987, Eur J
Biochem. 162(1):105-10]。この2つは同じ遺伝子から発現され、選択的なエキソ
ンの使用による構成型アミノ末端での17アミノ酸の追加を除いて同じである。赤
血球造血型をクローンし発現させることを決定した。ジーンバンクにはPBGDにつ
いて3つの配列、上記の2つのイソ型とゲノム配列がある[Yoo HW.ら、1993, Geno
mics. 15(1):21-9]。これらすべては、アミノ酸変化への翻訳に際し、ヌクレオ
チド差異を有する。従って、ヒトの治療用に発現させる特定の配列を選択する前
に、野生型対立遺伝子が何かを決定することが必要であった。このために、PBGD
cDNAクローンを幾つかの源から単離して配列決定し、最も一般的なアミノ酸使
用を決定した。オリゴヌクレオチドプライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR
)によってcDNAからコーディング領域を増幅するようにデザインした[Saiki R.K
.ら、1985, Science 230(4732):1350-4]。これらは5つのmRNA源からcDNAを単離
するのに用い、次いでプラスミドベクターにクローンした。これらのクローンの
うち8つの配列が決定され、公表された配列に加えて個体群の中で最も普通のア
ミノ酸配列であるべき野生型対立遺伝子を定義した。この野生型対立遺伝子をタ
ンパク質発現のために用いる。
【0032】 ストラテジ: PBGDをクローンするために、ネスト型PCRストラテジを考案した。第1のプライ
マーセット(表1参照)Ico379とIco382は、コーディング領域の外側の配列に結合
する20マーである。Ico379は、赤血球造血型PBGDのmRNA(cDNA)の5'非翻訳領域
に特異的である。結合部位は、酵素の構造型では発現されないエキソン領域にあ
る。Ico382は、両方の型のPBGDの3'非翻訳領域に結合する。これらの内部に、PB
GDコーディング領域の遠端にデザインされた、PCRの第2ラウンドに用いるオリゴ
ヌクレオチドプライマー第2セット、Ico375とIco376がある。Ico375は、赤血球
造血型PBGDのコーディング領域の5'末端に相同の22塩基配列を有し、ATG開始コ
ドンに続いてPCR産物のクローニングのためのEcoRIエンドヌクレアーゼ切断部位
と効率的な制限を確実にする4塩基配列とをもつ。Ico376は、PBGDコーディング
領域の3'末端に相同の33塩基を有し、サイレント突然変異によってMunl/Mfelエ
ンドヌクレアーゼ切断部位を導入するよう内部で変化した3塩基を持ちTAA停止コ
ドンで終わる。この制限部位は、His−Tagをエンコードする配列をオリゴヌクレ
オチドアダプタ−を持つDNAに導入しやすくするか、または他の3'修飾を可能に
するのに用いられる。停止コドンに続いて、翻訳を確実に終わるための第2の停
止コドン、PCR産物のクローニングのためのHindIIIエンドヌクレアーゼ切断部位
があり、これに効率的な制限を確実にする4塩基が続く。PBGD PCR産物の末端に
導入したEcoRI及びHindIIIエンドヌクレアーゼ切断部位は、シーケンシング用の
高コピー数ベクターpBluescriptII SK-(Stratagene)中のそれぞれのユニークな
制限部位に連結し、次いで、組換えヒトポルフォビリノーゲンデアミナーゼrh-P
BGDの産生用の大腸菌発現ベクターにPBGD DNAを移動させるのに用いられる。
【0033】 PCR: 6つのcDNAをPCR源として用いた;それぞれ異なるヒトのドナーのプールからの
脾臓、骨髄、リンパ節、肺、全脳及び脂肪組織(脂肪を1人のドナー由来のClont
ech 全RNA 5μgから調製した以外は、製造者の指示によって、反応量20μl中Clo
ntech ポリ-A RNA 500ngとBRL Superscript IIを用いるDonald Raoにより製造)
。使用した装置及び供給品のリスト(下記のリスト参照)。各cDNA 1μl(約25ng)
を、Advantage cDNAポリメラーゼミックス(Clontech)を用いて、50μl反応
量中0.2mM dNTP(PE/ABI)及び各0.3μM のIco379とIco382を用いて増幅した。2
サイクルのPCRは、94℃で1分40秒、次いで、96℃で16秒及び68℃で2分の28サイ
クルの初期熱変性工程で用いた。74℃で6分の最終伸長によって、伸長産物をい
っぱいにした。反応物の1/5を、0.5xTBE緩衝液中の6 x ficolローディングダイ2
μlを用いて1.2%アガロースゲル上に流した(Maniatis T., E.F. Fritsch, J.
Sambrook. Molecular Cloning (A laboratory Manual) Cold Spring Harbor Lab
oratory 1982)。1.1kbの予期されたバンドが、肺組織cDNA以外のすべての源で
臭化エチジウム染色によって観察された。これらのバンドを切り出し、製造者の
指示に従ってマイクロピュアインサートを有するMicrocon-30 (Amicon/Millipor
e)とdH2Oで交換した緩衝液を用いてDNAを単離した。回収したDNAの1/10を、Adva
ntage cDNAポリメラーゼミックス(Clontech)で、50μl反応量中0.2mM dNTP(PE
/ABI)及び内ネスト型オリゴヌクレオチド(Ico375とIco376)各0.3μMを用いて
増幅した。再度、初期熱変性工程94℃で1分40秒、次いで96℃で16秒及び68℃で2
分の2サイクル、96℃で16秒及び72℃で2分の13サイクル、74℃で6分の最終伸長
で2サイクルPCRを用いた。50μl反応物の10μlを、6xローディングダイ2μlを用
いて1.2%アガロースゲル上に流した。その結果生じたバンドは予期された大き
さ、1.05kbであった。PCR反応物の残りを製造者の指示に従ってChromaspin-400
カラム(Clontech)に通し、反応成分を除去し、緩衝液をTE (10mM Tris-HCl pH
8.0/1mM EDTA)と交換した。DNA含有溶出液をdH2Oで洗浄し、製造者の指示に記載
されるようにMicrocon-100 スピンフィルター (Amicon/Millipore)で濃縮した。
【0034】 クローニング: 精製したPBGD DNAを、37℃で50μlの反応物にEcoRI"U"緩衝液(New England B
iolabs (NEB))中のEcoRI及びHidIII各40ユニットを用いて6時間消化した。酵素
は68℃20分で加熱失活させ、反応物はMicrocon 100 スピンフィルターにかけて
小さなDNA末端小片を除去し、dH2Oで洗浄し、濃縮した。得られたDNAの1/5を、E
coRI及びHindIIIで消化し2度ゲル精製したpBluescriptII SK- (Stratagene) 約5
0ng及びT4 DNA リガーゼ(NEB 付着末端ユニット)200ユニットを用いて16℃で15
時間連結させた。リガーゼは、75℃10分間で熱失活させた。反応物は次いでdH2O
と緩衝液交換をし、Microcon-100 スピンフィルター中で濃縮し、dH2Oで5μlの
量まで取った。各1μlを、BioRadエレクトロポレーターを用いて0.1cmキュベッ
ト中の25μl DH10B Electromax 細胞 (Gibco/BRL)に2.5Kv/200Ohms/25μFでエレ
クトロポレーションさせた。SOC培地(Gibco/BRL) 1mlを加え、細胞を37℃、250r
pmで1時間成長させた。細胞を、150μg/mlのアンピシリンを有するLBプレート(M
aniatis T., E.F. Fritsch, J. Sambrook. Molecular Cloning (A laboratory M
anual) Cold Spring Harbor Laboratory. 1982)上にプレートアウトした。5つす
べての効率は、バックグランド(インサートなしで連結させたベクター)の約2倍
であった。コロニーPCRを用いて、各エレクトロポレーションの18個の形質転換
についてPBGDの有無を分析した。内部PBGD特異性プライマー(Ico381)をpBlues
cript特異性プライマー(Ico385)と用いて、ベクター中での同一性と適切な方向
づけを確かめた。25μlの反応物を氷上に設置し、プライマー濃度0.4μM、0.125
U Taq ポリメラーゼ (Fisher)及び0.2mM dNTP(PE/ABI)でプロテアーゼを失活さ
せた。初期熱変性工程94℃で1分40秒、さらなる変性工程96℃で20秒、次いで96
℃で16秒及び68℃で1分の30サイクル、74℃で4分の最終伸長で、2サイクルPCR
を用いた。5μlの6xローディングダイを添加し、各12.5μlを1.2%アガロースゲ
ル上に流した。結果は下記の通りである:脾臓については、12/18が陽性コロニ
ー;骨髄については10/18;リンパ節については8/18;脳については9/18;脂肪
組織については10/18。最初の3つについてはそれぞれ2つの陽性コロニー、後の2
つについてはそれぞれ1 つを、150μg/mlのアンピシリン含有25ml液体LB倍地で3
7℃250rpmで一晩成長させた。プラスミドDNAを、Qiagen's Tip-100 DNA 精製キ
ットで製造者の指示に従って培地から精製した。260nmのUV吸収を用いてプラス
ミド収量を測定したところ、純度の高いDNAは131〜169μgであった。
【0035】 シーケンシング: ビッグダイターミネーターサイクルシーケンシングを用いる2本鎖プラスミドD
NAのシーケンシング反応を、9700 サーモサイクラー(Perkin Elmer/Applied Bi
osystems)で行った。2つのベクタープライマー(Ico383及びIco384)と2つのPB
GD特異性内部プライマー(Ico380及びIco381)を、8つのプラスミドすべてに用
いた。さらに第5ベクタープライマー(Ico385)を、脳及び脂肪由来のクローン
に用いた。反応条件は、下記のように製造者のプロトコールに従った:20μl量
中8μlのレディーミックスと混合物500ngプラスミドDNA及び4pmolオリゴヌクレ
オチドプライマー、96℃で12秒及び60℃で4分の30サイクル。伸長生成物は、イ
ソプロパノール沈殿で精製した。各反応物に、20μlのdH2Oと60μlのイソプロパ
ノールを加えた。これらを反転させて混合し、15分間室温で放置し、次いでGH3
ローターとマイクロプレートとキャリアを備えたBeckman GS-6KR遠心機で3250rp
mで40分回転した。反応物を反転して1680rpmで1分回転し、ペレット化DNAから液
体を除去した。DNA配列分析は、University of Washington Biochemistry Depar
tment sequencing LaboratoryでApplied Biosystems 377 シークエンサーを用い
て行った。
【0036】 分析: 8つのクローンすべてのインサートは、完全な2本鎖配列分析によってPBGDと確
認された(配列1〜8参照)。それぞれ、公表された配列と多少の違いがある。違い
にはユニークなものもあれば、他のクローンと共通のものもあった(表2及び表
3参照)。1つのクローンにのみ見出された差異については、追加試料がなけれ
ばPCR即ちクローニング人工物と実際の対立的変異とを見分けにくい。しかしな
がら、複数の配列に同じ塩基差が認められる時、それがクローニングエラーで生
じたとは考えにくい。11のPBGD配列すべてのアラインメントから、一連の共通の
塩基、共通または野生型対立遺伝子配列が現れた。8つのクローンのうち5つ(1.
1、1.3、2.1、3.3及び 5.3.)は、野生型アミノ酸配列を有する。野生型アミノ
酸配列を有するこの組には、核酸レベルでたった1つの相違がある。555位置で、
5つの配列のうち4つがdGTPを有するが、1つは公表された赤血球造血性ゲノムPBG
Dと共にdTTPを有する。これらは2つの共通の対立遺伝子と思われるが、アミノ酸
差は生じない。クローン番号1.1と公表された赤血球造血性PBGDの間には、2つの
塩基変化がある。塩基513(Leu 171)でのアデニンからグアニンへの変化はサイ
レント突然変異で、11の配列のうち9つに存在した。第二の相違は、塩基995(Th
r 332)でのシトシンからアデニンへの置換である。これはサイレントな変化で
はなく、トレオニンからアスパラギンへの非保守的突然変異を伴う。しかしなが
ら、他の10個の配列はすべてこの位置にアデニンを有するため、この差は公表さ
れた赤血球造血性PBGD配列での誤りと考えられる。これらの天然の変異に加えて
、さらなる操作用のMun-I部位を作り出すために位置1017、1018及び1020でクロ
ーニング中に導入された別の3つのサイレント突然変異がある。PBGD遺伝子はpBl
uescript SKプラスミドに連結してpSK-PBGD 3988 bpプラスミドとし、これをシ
ークエンスした。
【0037】 結論: 治療用組換えタンパク質のいずれについても、免疫原性の可能性を減少させる
ために野生型対立遺伝子を用いることが大切である。文献の調査及び異なる個体
由来のPBGD配列の分析から、クローン番号1.1がアミノ酸配列に関して個体群の
中で最も有力な「野生型」対立遺伝子を示すことが確信される。クローン番号1.
1は共通の野生型アミノ酸配列を含み、ただ1つのアミノ酸によって公表の赤血球
造血性PBGDとは異なっている。この相違は、赤血球造血性PBGD配列以外の他のす
べてのPBGDクローンに見られることから、公表の赤血球造血性配列よりむしろ、
それは有力な野生型配列であると思われる。このことから、クローン番号1.1に
よってエンコードされたPBGDを、組換えヒトポルフォビリノーゲンデアミナーゼ
(rh-PBGD)の産生のために選択した。以降、クローン番号1.1のヒト野生型PBGD
をエンコードするプラスミドを「pPBGD1.1」と称する。 装置及び供給品を、それぞれ付表1及び2に示す。
【0038】
【付表1】
【0039】
【付表2】
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】 表2: 我々が配列決定したPBGDクローンと構成性及びゲノムPBGDについて登録してい
るジーンバンクのクローンのアミノ酸配列における公表赤血球造血性PBGD配列と
の差異の数のまとめ。対応するアミノ酸変化を生じないDNA塩基変化を持つサイ
レント突然変異の全数、アミノ酸差異を生じるDNA変化を持つ非サイレント突然
変異の数及びこの2種類の突然変異の合計を、異なる欄に示す。この表には、内
部Mun-Iエンドヌクレアーゼ切断部位を生じるようにクローンに導入された3つの
サイレント突然変異は含まれていない。組換えヒトポルフォビリノーゲンデアミ
ナーゼ(rh-PBGD)の産生のために用いられるクローン番号1.1は各タイプの差異
を1つだけ有し、全差異の数が最も少ないことに注意のこと。
【0043】
【表3】
【0044】 表3: 我々が配列決定したPBGDクローン及び構成性及びゲノムPBGDについてのジーン
バンク登録と公表赤血球造血性PBGD配列との、対立遺伝子配列のアラインメント
による遺伝子的差異のまとめ。アミノ酸、ATG開始コドンからの塩基数、実際の
遺伝子的差異と、もし対応するアミノ酸変化があればその変化及びXで示す差異
を有するクローンのリストを、異なる欄に示す。最後の欄に、突然変異が異なる
クローンの全数を示す。位置1017、1018及び1020での3つの突然変異は、PCR増幅
中にICO376で導入し、MunIエンドヌクレアーゼ切断部位を生じる。rh-PBGDの産
生のためにのみ用いられるクローン番号1.1は、他のクローン数によって表され
る遺伝的差異を有することに注意のこと。
【0045】 発現プラスミド基本の発現プラスミドpExp0の構築 基本の発現プラスミドpExp0は、プラスミドpPBGD1.1 (図1参照)由来のPBGDコ
ード化配列(cDNA)をEcoR I及びHind IIIで切り出し、それを、同じ酵素で切断し
たベクターpKK223-3 (Pharmacia, カタログ# 27-4935)に挿入し、こうしてそれ
をIPTG-誘導性tacプロモーターに操作可能に連結することにより構築した(Amann
E.ら、1983, Gene 25(2-3):167-178)。図1は、構築の詳細を示している。プラ
スミドpExp0は、発現レベルの予備評価のために構築し、直接には最終的な発現
プラスミドの構築に至らない。最終的な発現プラスミドの構築 最終的な発現プラスミドpExp1-M2-BB (図9)を、多段階処理で構築した。用い
た個々の工程及び全ての中間的なプラスミドを以下に概説する。
【0046】プラスミドpExp1の構築 プラスミドpExp1は、まず、翻訳効率の向上を目的として、5'非翻訳領域とコ
ード化配列の開始部分を修飾して構築した[Gold L. 及び Stormo G.D. 1990, Me
thods Enzymol 185:89-93]。変更を以下に示す。変更には、第二リボソーム結合
部位の挿入、ATGに先行するAT-リッチな配列及び太字で示す3つのサイレントな
塩基置換が含まれる。
【化1】
【0047】 この目的のために、PBGDに対するヒトcDNAのコード化配列(pPBGD1.1)中の天然
に存在するKpn I部位6アミノ酸残基を利用した。オリゴヌクレオチドICO386及び
ICO387は、互いのアニーリングで5' EcoR I 接着端と3' Kpn I 粘着端、及び示
したように最初の6アミノ酸残基のコドンを含む上記要素を生じるようデザイン
した。オリゴヌクレオチドICO386 及びICO387をアニールし、Kpn I-Hind III、p
PBGD1.1 由来のPBGDフラグメントを用いてEcoR I -Hind IIIで線状化したpBlues
cript II SK- (Stratagene, カタログ # 212206)に連結し、プラスミドpPBGD1.1
Traを得る。第二工程で、pPBGD1.1Tra由来のEcoR I-Hind IIIフラグメントを、
同じ酵素で切断した pKK223-3に連結し、プラスミドpExp1 を生じる(図4及び5)
プラスミドpExp1-M2の構築 次に、以下のストラテジを用いて、テトラサイクリン耐性遺伝子を回復させた
。プラスミドpExp1をSal I とBamH Iで切断し、テトラサイクリンコード化配列
の一部を含む5349塩基対のフラグメントと大量のプラスミドを単離した。これに
、残りのコード化配列を含むpBR322(New England BioLabs, カタログ# 303-3S)
由来のSal I-Hind IIIフラグメント、及びオリゴヌクレオチドICO424及びICO425
を互いにアニーリングして形成されるアダプターを連結した。アダプターは、テ
トラサイクリンプロモーターの一部を含み、連結用のHind IIIとBamH Iのオーバ
ーハング(overhang)を生じるが、Hind III とBamH Iの制限部位を破壊する。得
られたプラスミドをpExp1-M2と称する(図6 及び7)。
【0048】プラスミドpExp1-M2-BBの構築 最終工程で、BsaA IとBsaBIのあいだに含まれるrop遺伝子を欠失させ、コピー
数を増す(Makrides S.C. 1996, Microbiol.Rev. 60(3):512- 538)。このため、B
saB Iの制限が、damメチル化を重複させることにより阻害されるので、プラスミ
ドpExp1-M2 をdamマイナス株、JM110 (F' [traD36 proA+ proB+ lacIq Δ(lacZ)
M15] dam dcm supE44 hsdR17 thi leu thr rpsL lacY galK galT ara tonA tsx
Δ (lac-proAB) ラムダ-)により循環させた。次いで、それをBsaA I及びBsaB I
で切断してrop遺伝子を切り出し、5446塩基対長の線状フラグメントを平滑末端
連結により環状化し、生産プラスミドpExp1-M2-BBを得た(図8及び9)。hemC-欠失宿主の構築及び最終的な発現株 大腸菌K12の誘導体である親株 JM105 (F' [traD36 proA+ proB+ lacIq Δ(lac
Z)M15] Δ(pro-lac) hsdR4 sbcB15 rpsL thi endA1 ラムダ-)は、 Parmacia, カ
タログ# 27-1550-01から得た。内因性の大腸菌ポルフォビリノーゲンデアミナー
ゼをコードするhemC遺伝子を部分的に欠失させた。これにより、大腸菌とヒトの
酵素は性質上極めて類似しているが、精製産物(rhPBGD)が大腸菌のPBGDを確実に
含まないようにし、同時に精製(co-purify)する必要があった(Jordan P.M. 1994
, Wiley, Chichester (Ciba Found Symp 180), p70-96)。hemC-欠失宿主は、ス
キームAによってJM105から誘導した。最初のへミン-透過性突然変異体は、3段階
処理によって得られた。これは、hemC-欠失突然変異体が良好な成長にヘミンを
要し、大腸菌K12株がへミンに自由に透過できないことから、必須であった。
【0049】
【化2】
【0050】 突然変異の単離は、全て自発であった。選択培地に、約5x10-8〜5x10-9個の細
胞をプレートした。培地組成を付表1として含める。 * 線状DNA-フラグメントの詳細については、図11参照 最初の工程で、ヘムの形成をもたらす生合成工程のいずれかで欠失を有するヘ
ム-マイナス突然変異体を単離した。Heme- 株は、積極的な運搬を欠き、このた
めにゲンタマイシンのようなアミノグリコシドファミリーの抗生物質に対する耐
性レベルが低い、呼吸欠失突然変異体の包括的な群に含まれる(Lewis L.A.ら、1
991, Microbiol.Immunol. 35(4):289- 301)。幾つかの自発的な突然変異体が、L
B+グルコース+G-418 (ゲンタマイシン)-含有プレート上で小さなコロニーとして
単離された(Lewis L.A.ら、1991, Microbiol.Immunol. 35(4):289-301)。これら
をへミンに対して弱く応答する能力についてスクリーンしたところ、(へミンに
全く応答しない他の呼吸欠失突然変異体とは対照的に)heme-であることが分かっ
た。LB上での強い成長に自発的に戻り得るようなヘム-株(JM105-2-4、スキームA
参照)を選択した(というのは、これが第三工程に必須であるためである、後述参
照)。次いで、へミン存在下でより良く成長させるために、この株をLB+へミンに
プレートし、JM105-Hと称した。へミン存在下でのみ成長の改善がみられ、この
ことから、それは依然としてheme- であるが、へミン-透過性になっていること
が示された。ヘム生合成経路の機能をJM105-Hで復活するために、自発的な復帰
突然変異体をLBプレート上で単離し、発現プラスミドでの形質転換前後の双方に
、成長中の原料株JM105に似たもののみを保有した。この研究で用いたそのよう
な株を JM105-H-R6と称した。これは、その親株のヘム-透過特性を保持するはず
である。
【0051】 株JM105-H-R6は、EcoR I-Hind IIIフラグメントで形質転換し(スキームA参照)
、同種遺伝子置換によりJM105-H-R6-Cと称されるhemC-欠失宿主を得た。この株
は、遺伝子型、F'[traD36 proA+ proB+ lacIq Δ(lacZ)M15] Δ(pro-lac) hsdR4
sbcB15 rpsL thi endA1 ラムダ- hemC:CAT へミン-透過性を有する。それを発
現プラスミドpExp1-M2-BBで形質転換し、最終的な生産株PBGD-2を得た(PBGD-2は
、アクセスNo. DSM 12915でDSMZ (Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und
Zellkulturen, GmbH, Mascheroder Weg 1b, D-38124 Braunschweig,ドイツ)に1
999年7月9日にブダペスト条約の下、寄託された)。 EcoR I-Hind IIIフラグメントを得るために、マルチプルPCRストラテジを用い
た。オリゴヌクレオチド対ICO437、ICO438 及びICO505、ICO440を用いて、hemC
遺伝子にフランクしている大腸菌JM105のゲノムDNAセグメントの一部を個々に増
幅した(図10参照)。これらの増幅した遺伝子産物を、酵素対EcoR I、Xho I 及び
Xho I、Hind IIIでそれぞれ消化し、本質においてpUC19のEcoR I 及びHind III
部位間にともに集め、プラスミドphemCdを得た。次いで、クロラムフェニコール
-耐性遺伝子を含むフラグメントを、オリゴヌクレオチドICO510及びICO511を用
いて、プラスミドpBC SK+ (Stratagene, カタログ # 212215)からPCR増幅した。
この生成物をXho Iで切断し、Xho I部位でプラスミドphemCd に挿入した。本質
的に、Cam遺伝子を示した方向に有するプラスミドをphemCdCmと称し、図11に示
されるEcoR I-Hind III線状DNA-フラグメントの源とした。
【0052】 形質転換に用いる線状DNA-フラグメントの構造を、図11に示す。灰色の矢印で
示した大腸菌のポリペプチドの遺伝的組成(cyaA, hemC-5', hemC-3', hemX 及び
hemD)は、GenBankレポートのアクセス番号AE000456から誘導される。黒色の矢印
は、クロラムフェニコール-耐性遺伝子(Cam)を有し、クロラムフェニコールアセ
チルトランスフェラーゼ(CAT)をエンコードし、hemC コード化配列の806塩基対
を置換している、767塩基対長のPCRフラグメントを示す。HemC-5'及びhemC-3'は
、分解されたhemC遺伝子のコード化配列の149及び16塩基対にそれぞれ相当する
。EcoR I、Xho I 及びHind IIIは、設計された制限部位である。 この3225塩基
対長のフラグメントの配列を、Seq. ID NO 2に示す。2つのXho I部位は、それぞ
れ配列中、1072 及び1839の位置にある。
【0053】
【表4】
【0054】 したがって、rhPBGDの発現に用いたcDNAを、プラスミドpPBGD1.1から誘導した
。原料の宿主株はJM105から誘導し、JM105-H-R6-Cと称した。その構築物におけ
る遺伝子型と詳細は、上述している。hemC遺伝子のコード化領域の大部分を、ク
ロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをエンコードするCam遺伝子で
置換した。この遺伝子置換は、大腸菌ゲノムのセグメントのPCR増幅、次いで増
幅生成物の制限分析によって確認した。遺伝子置換の結果として、株はクロラム
フェニコール耐性で、LB培地上であまり成長しない。LB培地にヘミンを補足した
際に、成長が改善する。発現生成物 最終生産株中の発現プラスミドは、pExp1-M2-BBである。その構築は、上述し
ている。オープンリーディングフレーム及び機能的に関連している領域を示すプ
ラスミドの詳細な地図を、図9に示す。完全なDNA配列をSeq. ID NO 1に含める。
構築のあいだに用いた全ての合成アダプター及びリンカーを、クローン遺伝子の
発現に直接影響を与える、連結のあいだに生じた全ての接合とともにシークエン
スした。
【0055】産生株 最終的な産生株を、PBGD-2と称する。それは、本質的に、発現プラスミドpExp
1-M2-BBを宿主株JM105-H-R6-Cに導入し、100mM CaCl2で細胞を受容性にし[Morri
son D.A. 1979, Methods.Enzymol. 68:326- 331]、形質転換体をLB + アンピシ
リン培地で30℃で選択することによって得られた。プラスミドは、rop遺伝子の
ないpBR322の誘導体であり、30℃では適当なコピー数であり、上昇した温度の37
℃以上でコピー数をわずかに高め、染色体外的に存在するはずである[Makrides
S.C. 1996, Microbiol.Rev. 60(3):512-538]。それは、選択マーカーとしてアン
ピシリン及びテトラサイクリンの耐性遺伝子の双方を有する。また、それは、宿
主株のhemC欠失を補足できるrhPBGDを発現する。結果として、産生株は、通常LB
/M9培地で成長し、抗生物質アンピシリン及びテトラサイクリンに耐性であり、(
ゲノム中にCam遺伝子が存在するため)抗生物質クロラムフェニコールにも耐性で
あるはずである。それは、全てこれらの特徴を有することが確認された。
【0056】発 現 rhPBGDの発現は、宿主中に存在するlacIq遺伝子のコピーによって制御されるt
acプロモーターによって駆動される。研究計画に記載されるようにシステムを変
更したために、発現の非誘導レベルは1.8 ユニット/mg (アッセイの詳細につい
ては付表3参照)であり、これは全可溶性タンパク質の約10%に達する。培養物を
30℃ですっかり成長させる。発現を増大するための誘導工程は、用いない。評価及び結論 大腸菌におけるrhPBGDの生産に開発された発現系は、細胞を30℃で成長させる
際に、構造的な方法で確実な量のrhPBGDを産生する安定的な系である。用いた宿
主株は、内因性の大腸菌ポルフォビリノーゲンデアミナーゼの産生遺伝子を部分
的に欠失している。発現プラスミドでの形質転換後、得られた産生株PBGD-2が成
長し、ならびに株PBGD-1 (同じ発現プラスミドを有するJM105である)が同量の r
hPBGDを生じる。
【0057】 代替的な発現構築物: 発現プラスミドpExp1-M2-Puc-BB 及びrhPBGDの大腸菌での発現 プラスミドpExp1-M2をPvu I及びAfl IIIで消化し、2つの断片のうち4745塩基
対の大きさに相当する大きい方を単離した。これを、複製起点とアンピシリン耐
性遺伝子の一部を含むpUC19 由来の1257塩基対長のPvu I-AflIII断片に連結し、
プラスミドpExp1-M2-Pucを得た。これをJM110にパッセージしてBsaA1及びBsaB1
で切断し、この2つの部位の間に含まれるrom遺伝子を取り出して平滑末端化し、
最終発現プラスミドpExp1-M2-Puc-BBを得た。pExp1-M2-Puc-BB プラスミドを完
全にシーケンシングしたところ、位置2769でのCがpExp1-M2-Puc-BBでTである点
のみがpExp1-M2-BBと異なっている。
【0058】 rhPBGDの大腸菌中での発現 発現プラスミドpExp1-M2-Puc-BBを含む大腸菌 K12宿主株JM105遺伝子型endA t
hi rpsL sbcB15 hsdR4Δ(lac-proAB)[F'traD36 proAB lacIqΔ(lacZ)M15]を、10
0μg/mlのアンピシリンを含むLB培養液中で中期対数(mig-log)期まで30℃で1〜4
0希釈の一晩培養物から成長させた。培養物は3つに分け、それぞれ30℃、37℃及
び42℃でさらに4時間成長させた。細胞を1mlの試料からスピンダウンし、-20℃
で冷凍した。解凍した細胞ペレットを200〜300μlのB-PER試薬PIERCE Cat. # 78
243に再懸濁し、室温で10分間インキュベートし、16,000で10分間回転し、上清
中のPBGD活性を測定した。全タンパク質を、BioRad試薬Cat # 500-0006とウシ血
清アルブミンを基準として用いるBradford法で評価した。3つの成育温度で得ら
れた粗溶解物中での比活性を、下記に表で表す。結果は、30〜40℃の範囲での温
度上昇に伴うPBGD単位/mgの増加を明らかに示している。 温度 PBGD単位/mg 30℃ 363 37℃ 573 42℃ 1080
【0059】 その他のrhPBGD産生システム 酵母の生産には、PBGDコーディング配列を、例えば酵母中での高度な発現用の
2uの環状DNA(Ori)起点を含むYEP型プラスミドベクターに挿入することができる
。YEPプラスミドは、trp1‐、ura3‐酵母株中に選択性を維持するためのマーカ
ーとしてTRP1及びURA3を含有する。 また、PBGD遺伝子は、マウス細胞系C‐127での高度な発現用のウシ乳頭腫ウイ
ルスベクターBPV(Stephens P. E.ら、Biochem J. 248, 1-11, 1987)又はCHO細
胞もしくはCOS細胞での発現に適合性のベクターに挿入することができる。 PBGDは、細胞内で発現させることができる。 サッカロミセスの分泌シグナル、例えばα‐交配因子プレシークエンスは、rh
PBGD構造遺伝子の前に加えて酵母中で効果的に分泌させることができる。 同様に、rhPBGD分泌のために、哺乳動物シグナルペプチドをエンコードする配
列を培養培地に加え、例えばCHO細胞またはCOS細胞中で発現させることができる
【0060】 大腸菌などの原核生物に効果的に転写するために、例えばトリプトファン(trp
)プロモーター又はlacプロモーターあるいはアルカリホスファターゼプロモータ
ーのような細菌プロモーターを、PBGDコーディング領域の前に挿入すべきである
。 サッカロミセス・セレビジエまたはサッカロミセス・ポンベなどの酵母で効果
的に転写するためには、例えば3‐ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、ケラチン
(chelatin)あるいはα-交配因子のような酵母プロモーターを、PBGDコーディン
グ領域の前に挿入すべきである。 CHO細胞又はCOS細胞などの哺乳動物細胞系で効果的に転写するためには、例え
ばメタロチオニン‐1(MT‐1)またはアスパラギン酸トランスカルバミラーゼある
いはジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)などの哺乳動物プロモーターを、PB
GDコーディング領域の前に挿入すべきである。
【0061】 PBGDコーディング領域の前に酵母プロモーター、シグナル及び/又はATGコドン
(メチオニン)を含有する酵母プラスミド(Y-G&F-PBGD)、及びURA3またはTRP1な
どの選択可能なマーカーを含む酵母ベクターとを、例えばサッカロミセス・セレ
ビジエまたはサッカロミセス・ポンベのような酵母宿主細胞に形質転換して、rh
PBGDが生産されるであろう。 哺乳動物プラスミド(M-G&F‐PBGD)は、PBGDコーディング領域の前にメタロチ
オニン‐1またはジヒドロフォレートレダクターゼなどの哺乳動物プロモーター
及び哺乳動物シグナル配列又はATGコドンを、ベクターpATまたはpSV2を含有する
。プラスミド(M-G&F‐PBGD)は、rhPBGD生産のためCHO細胞などの哺乳動物細胞
系に形質転換してもよい。
【0062】 プラスミド(pExp1又はpExp1-M2 Puc-BB)を含む大腸菌細胞は、カゼイン加水分
解物、又は酵母抽出物、グルコース、ビタミン及び塩を含有する培地で定常期ま
で24〜48時間発酵させてもよい。発酵の間、pH酸素を電極で監視する。発酵中の
温度は、37+/−2℃に維持する。 プラスミド(Y-G&F-PBGD)を含む酵母細胞は、酵母抽出物、グルコース、塩及
びビタミンを含有する培地で、後期対数期まで20〜40時間発酵させてもよい。発
酵中、pH及び温度は特定の電極でモニターする。発酵中の温度は、30+/−2℃に
維持する。 プラスミド(M-G&F-PBGD)を含む哺乳動物細胞系は、ウシ胎児血清(又は無血
清)、ビタミン、グルコース、抗生物質、成長因子を含む培地で発酵させてもよ
い。発酵中、pH及び温度は特定の電極で連続的にモニターする。
【0063】 発酵及び精製 発酵後、リビプレス(ribipress)、超音波処理、浸透圧ショックまたはツイン8
0、トリトンX−100またはブリッジ(Brij)などの界面活性剤による全可溶化を伴
う抽出法により、rhPBGDを大腸菌から回収できる。酵母中で生産した後の発酵培
地、またはトリトンX−100、ツイン80またはブリッジなどの界面活性剤を用いた
全細胞抽出物から、rhPBGDが回収されるであろう。哺乳動物培養培地、またはイ
オン交換クロマトグラフィーあるいはアフィニティクロマトグラフィーによる全
細胞抽出物から、rhPBGDが回収されるであろう。 rhPBGDは、大腸菌抽出物、酵母培地又は全細胞抽出物、あるいは哺乳動物培養
培地又は全哺乳動物細胞抽出物から、DEAE-セファロースもしくはMonoQ-セファ
ロースなどのイオン交換カラムに結合させることにより精製し、NaCl及びリン酸
ナトリウム緩衝液pH7〜8または相当するカリウム塩などで溶出することができる
。 または、rhPBGDは、抗-PBGDアフィニティカラムなどのアフィニティクロマト
グラフィーカラムに結合させることによって抽出物から回収することができる。
rhPBGDはpHを4〜2に下げるか、またはチオール特異性アフィニティカラムによっ
て溶出される。チオールアフィニティカラム工程を使用する場合には、rhPBGDを
チオール残基で標識する。チオールは、確実なrhPBGDを生成するために特定の酵
素的切断工程によって除去される。
【0064】 イオン交換又はアフィニティで精製したrhPBGDは、例えばTSK フェニル 5 PW
カラムまたはオクチル-セファロースカラム、あるいはフェニル-セファロースカ
ラムを用いた疎水性相互クロマトグラフィーでさらに精製されるであろう。 rhPBGDの結合は、例えば10〜50 mMのトリス-HCl pH 7〜8、1MのNaClまたは10
〜15 mMのリン酸ナトリウムpH 7〜8、0.5 MのMgSO4 中で高イオン強度で行うこ
とができ、例えば10〜50 mMのトリス-HCl pH 7〜8または10〜50 mMのリン酸ナト
リウムpH 7〜8でイオン強度を下げることによって溶出することができる。 3回の疎水性相互作用工程が、連続的に行われる。 rhPBGDは、C12又はC18マトリクスなどの分取RP-HPLCでさらに精製される。rhP
BGDは、10〜50 mMのリン酸ナトリウム及び1〜10%アセトニトリル緩衝液の勾配
によってカラムから溶出される。 rhPBGDの製剤化は、酵素をG-100セファデックスカラムに流し、これを例えば0
.9%NaCl及び10〜50mMのリン酸ナトリウムpH7.0 +/- 0.5またはリン酸ナトリウ
ム、グリシン、マンニトールまたは相当するカリウム塩などの等張性溶液中で溶
出することによって行う。 薬剤の製造には、rhPBGDの製剤溶液を滅菌ろ過し、無菌状態でガラスバイアル
に充填して凍結乾燥してもよい。 または、滅菌ろ過したrhPBGD溶液は、例えばホスファチジルコリンまたはホス
ファチジルエタノールアミンあるいはこれらの組み合わせからなる脂質性小胞に
処方するか、あるいは赤血球ゴーストに組み込まれる。
【0065】 凍結乾燥rhPBGDの復元は、注射用水で行うことができる。 または、rhPBGDは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸またはこれらの混合物などの
生物分解性ミクロスフェアを含む放出持続性製剤に処方される。 または、rhPBGDは、rhPBGDを前の分画に、再構成用の水を後の分画に入れた2
分画のカートリッジで凍結乾燥される。この2分画カートリッジは、針または針
のない(高圧による)装置のいずれかでrhPBGDを投与する注入装置と組み合わせて
もよい。 または、rhPBGDは、経鼻投与用のエンハンサーを含有する生理緩衝液に処方し
てもよい。 または、rhPBGDは、例えば脂質性小胞(ホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、スフィンゴミエリン)またはデキストランミクロスフェア
を含む経口製剤に処方される。
【0066】 PBGDの組換え産物はAIP治療に好ましいが、これをヒトの赤血球細胞から生産
することもできる。 組換えPBGDの一般的な生産及び製造は、以下のようにして行うことができる:
組換えPBGD生産工程;概要 A: 発酵 1. マスター細胞バンク 2. 活動細胞バンク 3. 種培養物の生産 4. 大型発酵槽(250 L より大きい)での発酵 B. 精製 1. 濾過/遠心分離による細胞濃縮 2. 細胞破壊 3. 限外濾過 4. イオン交換クロマトグラフィ、DEAE-セファロース、MonoQ-セファロース 5. 疎水性相互クロマトグラフィ (オクチル/フェニル-セファロース、TSK フ
ェニル、5PW、フェニル-セファロース 6. イオン交換クロマトグラフィ(MonoQ) 7. ゲル濾過セファデックス G-100による処方 C. 製造 1. 滅菌ろ過 2. 無菌充填 3. 凍結乾燥
【0067】 その他のポルフィリン症治療 (組換え)PBGDを用いたAIP患者の新しい治療方法と同様に、ALA欠乏性ポルフィ
リン症(ADP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、遺伝性コプロポルフィリン症(H
CP)及び異型ポルフィリン症(VP)などの肝ポルフィリン症は、それぞれrALAデヒ
ドラターゼ、rウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ、rコプロポルフィリ
ノーゲンオキシダーゼ及びrプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼによる代替
治療が有益である。 先天性造血性ポルフィリン症(CEP)または造血性プロトポルフィリン症(EPP)な
どの造血性ポルフィリン症患者は、それぞれrウロポルフィリノーゲンIIIシンセ
ターゼ及びrフェロキラターゼを用いる代替治療が有益であろう。 肝造血性ポルフィリン症、例えば肝造血性ポルフィリン症(HEP)は、rウロポル
フィリノーゲンデカルボキシラーゼを用いて治療することができる。 全てのポルフィリン症は、上記のヘム生合成経路中8つの工程のいずれかにお
いて欠乏または減少している(通常は50%)酵素活性を投与することによって治療
することができる。 酵素活性の代替は、欠失している酵素活性を生ずる相当する組換え酵素または
他の分子を加えることによって行うことができる。
【0068】 急性間欠性ポルフィリン症(AIP)患者のための代替治療法としての遺伝子治療 ヒト酵素ポルフォビリノーゲンデアミナーゼPBGDは、染色体11q 24に位置する
1つの遺伝子でコードされる。 この遺伝子中の変異により、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)の疾患が引き起
こされる。この疾患は、常染色体優性型で遺伝することが分かっている。 今日では、PBGD遺伝子において100以上の変異が同定されており(Grandchamp B
. J. Ganstroenterology and Hepathology, 11, 1046-1052, 1996, 表A)、この
数は、スクリーニングプログラムに基づいた現代的な診断システムがより慣例的
に病院で適用されれば、増加すると思われる。これら変異の数を、表Aに示す。
【0069】
【表A】
【0070】
【表A(続き)】
【0071】
【表A(続き)】
【0072】 さらにひとつの観点において、本発明は、遺伝子治療、好ましくはこの発明に
よる触媒の投与と組み合わさった治療に基づいたAIP患者の治療方法に関する。
この遺伝子治療は、以下の工程を伴ってもよい。 1. ヒトにAIPをもたらすPBGD遺伝子における突然変異の同定 2. 遺伝子治療のためのヒトPBGD cDNA配列の選択 3. PBGD遺伝子治療ベクターの構築 4. PBGD遺伝子転移ベクターの生産 5. PBGD遺伝子転移ベクターのデリバリーシステム
【0073】1. ヒトにAIPをもたらすPBGD遺伝子における突然変異の同定 593位のエクソン10で TGG>TAG点突然変異を有する患者は、W198X(停止コドン
)からのPBGD酵素のアミノ酸配列が変化している。この突然変異は、スウェーデ
ンにおけるAIP患者の約50%が有するものである(Lee JS.ら. Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 88, 10912-10915、及び 1991)。遺伝子治療が有益であると思われる
W198X以外の突然変異を持つAIP患者を表Aに示す。2. 遺伝子治療のためのヒトPBGD cDNA配列の選択 ヒトPBGDには、2つのイソ酵素形態、例えば赤血球造血性及び非赤血球造血性
形態があり、これらは代替的なスプライシング機序によって形成される。非赤血
球造血形態は、赤血球造血性形態のPBGDのN-末端に17アミノ酸を伸長している。
【0074】
【化3】 遺伝子治療に用いられるヒトPBGDのヌクレオチド及びアミノ酸配列は、位置33
2のアミノ酸残査がThrであるよりもむしろAsn残基であるとのRaich N. ら. Nucl
. Acid. Res. 14, 5955-5968, 1986に公表されたものとは異なる。「野生型酵素」
を生産し、抗体の形成を避けるため、PBGD配列は位置 332にAsn残基を含有しな
ければならない。赤血球造血性PBGD形態に使用されるcDNA配列を、上記に示す。 赤血球造血性PBGD酵素を欠失している患者は、赤血球造血性PBGD cDNA配列で
トランスフェクトされ、非赤血球造血型を欠失している患者は非赤血球造血性cD
NA配列でトランスフェクトされるであろう。
【0075】3. PBGD遺伝子治療ベクターの構築 アデノウイルスベクター系 ベクターはアデノウイルス型 5 (Ad5)を基礎とし、重要な調節タンパク質をエ
ンコードする、例えばE1、E2、E4などの3つの必須遺伝子座及びウイルス成長に
必須でない1つの遺伝子座E3を含む。E1A及びE1B領域の欠失は、インビボでのウ
イルス複製を不完全にする。E1の機能(組換えウイルス株)の効果的な相補は、例
えばヒト293-細胞系などのE1発現細胞系において得ることができる。 ヒトPBGD cDNAは、アデノウイルスベクター系に挿入されるだろう。 PBGD導入遺伝子は、内因性PBGDプロモーターまたはサイトメガロウイルスプロ
モーター(CMV)によって駆動されるであろう。
【0076】 レトロウイルスベクター レトロウイルスベクターは、いくつかの理由から遺伝子のデリバリーに非常に
好適である: 1. 簡便性 2. 8kbpまでのDNAインサートを組込む能力 3. 安全性、ヒトに非病原性 4. 改良及び操作の平易性 5. 明らかにされた遺伝子組込み部位 6. 長期にわたる発現の制御
【0077】 しかし、レトロウイルスベクターの1つの主要な欠点は、ベクターが分割細胞(
dividing cells)しか形質導入できないことである。 遺伝子治療において考えられる最も一般的なレトロウイルスは、レンチウイル
ス及び哺乳動物C-型ウイルスである。他の型のレトロウイルスもまた考えられる
。そのような例のひとつは、モロニー-マウス白血病レトロウイルス(Mo-MLV)で
ある。これは、マウスとヒトの線維芽細胞をウロポルフィリノーゲンIIIシンセ
ターゼ(UROIIIS)を用いて形質導入するのに成功裏に使用されている(Moreau-Gau
dry ら. Human Gene Therapy 6, 13-20,1995)。 UROIIIS遺伝子の発現は、長末端反復(LTR)によって駆動された。UROIIIS cDNA
もまた、レトロウイルスベクターによってヒト末梢血液始原細胞に成功裏に形質
導入された。 赤血球造血性PBGD cDNA配列は、レトロウイルスベクターLXSN (Miller ら、Bi
oTechniques 7, 980-990, 1989)及びpMFG (Dranoffら、Proc. Natl. Acad.Sci.
USA. 90,3539-3543, 1993) に挿入することができる。これにより、以下の構築
物、例えばLePSN及びpMFG-ePBGDそれぞれがもたらされる。
【0078】
【化4】
【0079】 非赤血球造血性組織の形質導入には、非赤血球造血性cDNA (配列12参照)がLSX
Nベクター及びpMFGベクターに挿入され、それぞれLSnPNベクター及びpMFG-nPBGD
ベクターとなる。
【0080】
【化5】
【0081】 LePSNベクター及びLnPSNベクターは、例えばDanos ら. Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA. 85, 6460-6464, 1988に記載のような ΨCREなどの適当な宿主細胞系に
転移することにより、対応するウイルスに転換することができる。ポリブレンの
存在下で、異所性ウイルス産生細胞から濾過した上清を両種性細胞 ( CRIPに加
えた。クローンを単離して、ウイルスについて試験することができる。1.000.00
0 cfu/ml以上のタイターを示すクローンを取っておく(G418耐性)。LnPSNベクタ
ーは、パッケージ細胞系 ΨCRIPにpMCl-ネオプラスミド(Pharmacia, Sweden)を
用いて同時にトランスフェクションする。プロウイルスの組み込みと高度なメッ
セージ発現レベルを示すクローンを選択する。
【0082】 ウイルス産生細胞の上清からの濾液(赤血球造血性PBGD形態)をポリブレンと混
合し、AIP患者の末梢血液始原細胞(骨髄移植組織)と数時間インキュベートする
ことができる。その後、形質導入された始原細胞をAIP患者に再移植することが
できる。 この治療の成功は、赤血球中のPBGD活性増加と尿中のALA及びPBG排出の減少に
よって測定される。臨床上の治療の成功は、自発性急性発作または薬物誘発性発
作の頻度の減少として評価することができる。これは、組換えPBGD酵素の投与に
関し、通常の注入法よりも簡便な方法である。この治療法の効力は、血液中のPB
GD活性及び尿中のPBG及びALA排出の減少を測定して評価することができる。臨床
的に、成功した治療は急性発作の回数を減少させるか、または好ましくは発作が
起きないようにする。
【0083】 アデノウイルス伴生ウイルス系(AAV) AAVは、全ての人の80%以上が保持している非病原性ヒトウイルス(パルボウイ
ルス)である。レトロウイルス系と比較したAAVの利点は、AAVは分割細胞及び非
分割細胞のどちらも形質導入できることである。ウイルスゲノムは小さく、2つ
の逆方向反復末端(ITR)と、REP及びCAP機能を含む。REP及びCAP機能は除くこと
ができ、外因性cDNAを挿入できる。赤血球造血性PBGD cDNAを含有するAAVベクタ
ーを構築することができる。このAAV/PBGDベクターは、AIP患者の骨筋細胞をPBG
D酵素生産のための「筋肉工場」として形質導入するのに好適である。PBGD cDNAは
、分泌用のシグナル配列をcDNAの5'-末端に加えるようにして設計される。これ
により、赤血球造血性PBGD酵素を筋細胞から血流中に分泌することができる。こ
のシステムによって、患者は血流中に活性PBGD酵素の放出を絶えず受けることと
なり、PBGを代謝することによって急性発作を回避する。
【0084】 - 非赤血球造血性 また、肝細胞を、非赤血球造血性PBGD cDNA含有AAVで形質導入することができ
る。この構築物は、例えばPBGD酵素のN-末端にMet残基を含み、哺乳動物細胞中
で分泌のためのシグナル配列を持たない翻訳PBGD酵素を細胞内に残すようにして
設計される。PBGD導入遺伝子は転写されて新しいPBGD酵素に翻訳され、細胞内に
残留する。肝臓で作られた新しいPBGD酵素レベルは、PBGD活性を100%まで正常
化する。AIP患者は、突然変異及び個々の差異によるが、通常、肝臓でPBGD活性
を低下させる(50〜80%)。 この治療は、例えば腹痛を伴う急性発作等の臨床症状を軽減し、尿中のPBG及
びALA排出を減ずる。また、非赤血球造血性PBGD形態を含有するAAVは、ニューロ
ン組織、膵臓、脾臓などの他の細胞型、例えば非赤血球造血性組織などでの遺伝
的欠陥を同様の機構で修正するために使用することができる。 -赤血球造血性 赤血球造血性PBGD cDNAをAAVベクターに挿入して用い、赤血球造血型PBGDに影
響を及ぼす突然変異を有するAIP患者に赤血球細胞と基幹細胞を形質導入するこ
とができる。
【0085】4. PBGD遺伝子転移ベクターの生産 アデノウイルスは約36 kbp の二本鎖DNAを有し、重要な調節タンパク質をエン
コードする3つの不可欠な初期遺伝子座(E1、E2及びE4)を含有する。遺伝子座E3
は、インビボでウイルス感染細胞への免疫応答を阻害する遺伝子生成物をコード
する。PBGD遺伝子転移アデノウイルスベクターは、E1及びE3遺伝子座を除くこと
によって生産することができる。PBGD遺伝子カセットは、その代わりとしてその
位置に挿入される。ウイルスは、E1遺伝子座が除かれると複製を不完全にするで
あろう。組換えウイルスベクター (PBGD)の有効なE1相補性、それによる高い収
率は、ヒトの293細胞系のようなE1発現細胞系において得ることができる(Graham
, F.ら、1977, Characteristics of a human cell line transformed by DNA fr
om human adenovirus 5. J. Gen. Virol. 36, 59-72)。5. PBGD遺伝子転移ベクターのデリバリーシステム ウイルスベクターのデリバリーは、インビボでヒト細胞を導入するウイルス粒
子を患者に注射することに基づく。
【0086】 AIPの原因となる点突然変異のキメラ形成遺伝子修復による修正 基本的手法は、キメラ(RNA-DNA)オリゴヌクレオチドの合成を伴う。オリゴヌ
クレオチドは、突然変異部位に結合して染色体上で点突然変異を修復し、不対合
を生じる。全ての生体細胞に存在する内因性「不対合修復システム」は、突然変
異を修正する。 キメラオリゴヌクレオチドは、以下の一般的な特性を有する: a. 68マー (65〜70が許容可能な大きさである)、 b. 25塩基DNAが、遺伝子の通常配列に相同する5'-末端でストレッチしてい
る、 c. 変更すべき突然変異が位置13にある場合、25塩基のDNAが、突然変異の
両側にある12bpが「野生型DNA」に相補的であるように設計されている、 d. 25マーが、染色体DNAの他の鎖に相同する25塩基配列で他のDNA鎖にオリ
ゴをループバックするように、一端に4 T塩基を含む、 e. 第2の鎖がキメラであり、2'O メチルRNA について10の相同塩基、その
後に5塩基のDNA(中心不対合、例えば不対合修復によるヒト点突然変異の修正を
含む)、その後に2'O メチルRNAに相同な別の10塩基のストレッチを含む。DNA/RN
Aのこのストレッチには、5塩基のGCクランプと、第2のループを形成する4 T塩基
、最後に他方に相補的な5塩基のCGクランプが続く。
【0087】実施例A :W198Xを生じる位置593でのPBGD突然変異 TGG>TAGの修正
【化6】
【0088】 キメラオリゴヌクレオチド (Heme593W/X)配列:
【化7】
【0089】 キメラオリゴヌクレオチドの同様の成分は、表Aに示したAIPを引き起こすいか
なる突然変異も修正するように構築することができる。 キメラオリゴヌクレオチドは、上記のようにして、8つの公知のいずれかのポ
ルフィリン症を引き起こす他のいかなる点突然変異も修正するように使用するこ
とができる。
【0090】非ウイルスベクターのヒトへのPBGD遺伝子転移のデリバリー キメラオリゴヌクレオチドは、アニオンまたはカチオンリン脂質あるいは中性
脂質の混じったリン脂質またはリクトシレートPEIを含む賦形製剤に処方するこ
とができる。 あるいは非ウイルスベクターは、中性リン脂質と中性脂質の混合物を含有する
リポソームに処方することができる。 特異的なタンパク質配列は、リポソーム膜に組み込むことができる。この膜は
、肝臓、ニューロン組織または赤血球造血性組織などの特異な細胞型に非ウイル
スベクターを特異的に標的化する細胞受容体を認識する。あるいは、特異な細胞
表面抗原を認識する特異的な抗体を、標的化に用いることができる。第三に、リ
ポソーム膜上の炭水化物は、キメラオリゴヌクレオチドの肝臓への取り込みに使
用することができる。 処方したキメラオリゴヌクレオチド (HemeBiotech 595 W/X) は、皮下注射ま
たは静脈注射によってAIP患者に投与されるであろう。 この治療の効力は、上記のように評価することができる。
【0091】 遺伝子治療は、他のポルフィリン症疾患の代替的な治療法でもある。 ここに概説した遺伝子治療のストラテジは、他のポルフィリン症疾患にも使用
することができる。一般的な原理は、疾患の原因となる特定の欠乏酵素の細胞含
量または全身含量を増加させることである。以下のポルフィリン症を、このスト
ラテジに含めることができる: ALA欠乏性ポルフィリン症(ADP) 晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT) 遺伝性コプロポルフィリン症(HCP) ハーダーポルフィリン症(HDP) 異型ポルフィリン症(VP) 先天性造血性ポルフィリン症(CEP) 造血性プロトポルフィリン症(EPP) 肝造血性ポルフィリン症(HEP) 以下に、この発明の好ましい具体例を、主にrhPBGDに関して開示する。
【0092】 実施例1ヒト組換え体ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(rhPBGD)の発酵 株PBGD-1は、発現プラスミドpExp1-M2-BB を含む大腸菌K12宿主株JM105遺伝子
型endA thi rpsL sbcB15 hsdR4 Δ(lac-proAB) [F'traD36 proAB lacIq Δ(lacZ
)M15 ]である。株PBGD-2は同じ発現プラスミド pExp1-M2-BBを有するが、宿主細
胞はhemC遺伝子を欠失しており、rhPBGD精製を容易にする。株PBGD-2は研究の開
始に間に合わなかったので、株PBGD-1を用いて研究を開始することを決定した。
株はいずれもテトラサイクリンとアンピシリンの双方に耐性であるが、利点の規
則性から、選択圧(selection pressure)としてオキシテトラサイクリンを使用す
ることを決定した。rhPBGDの発現レベルについての研究の最初の部分に集中し、
株の安定性には焦点を絞らないために、発酵槽で選択圧を用いて成育を開始する
ことを決定した。発現レベルが十分であった際は、発酵槽中の株の安定性を選択
圧不在下で研究すべきである。行われた予備試験は、rhPBGDの発現レベルが30℃
での発現と比較して37℃で1.5倍高かったことを示した。42℃で、レベルはほぼ3
倍高かった。この知見に基づけば、rhPBGDを高める発酵のあいだに、37又は42℃
のいずれかへ温度を誘導することが示唆される。しかし、より高い発酵温度では
、株の安定性は問題になり得る。時間枠が狭すぎるために、3つの温度の全てで
はrhPBGD発現を研究することができない。このため、温度を誘導せずに研究を開
始し、全工程中に30℃で温度を維持することを決定した。
【0093】 作業についての短い説明 最初の2ヶ月間、株PBGD-1を寒天プレートと振盪フラスコで培養し、株の特徴
についての情報を得た。これと同時に、研究に供される薬品の購入、文書化シス
テムの構築及び分析方法の技術移転を行った。PBGD-1の介在セルバンク(interme
diary cell bank)を用意した際に、実際の発酵作業を開始した。株PBGD-1につい
ての最初の2つの「簡単な」1-L バッチ発酵を用いて、新たにデザインした基質
を試験し、株についての最大成長速度を算出した。その後、株PBGD-1の10 L 供
給バッチ発酵を行った。 株PBGD-2を入手したらすぐに、介在セルバンクを用意し、この株を、株PBGD-1
用に開発した発酵手法で実施した。現在、株PBGD-2の2つの10-L発酵を行なった
。発酵の一般的な概要は、M9-tc寒天プレートと振盪フラスコに接種物を用いて
開始する。細胞を30℃で24時間 M9-tc寒天プレートで培養し、次いでM9-tc 振盪
フラスコに移す。振盪フラスコは、12-14時間30℃で培養する。1〜2個の振盪フ
ラスコ中の培養液を用いて、酵母抽出物、微量元素及びチアミンを補充した最少
培地と選択圧としてのオキシテトラサイクリンを含む10Lの発酵槽に接種する。
発酵を14時間バッチ相で開始し、細胞を最大成長速度で成長させる。グルコース
の供給を14時間後に開始し、供給速度のプロフィルを600 gl-1 のグルコース溶
液について25-75 ml/hで変化させる。
【0094】 振盪フラスコから取り出した培養液及び発酵物を用いて、下方流(down stream
)処理に発展させ、提供された分析方法を試験して調整する。下方流処理の一般
的な概要は、0.22μmのクロスフロー(cross flow)メンブレンでの発酵培養液の
濃縮、続いて、基質の90〜95%を緩衝液で交換するための緩衝液でのダイアフィ
ルトレーション(洗浄)である。ダイアフィルトレートした細胞濃縮物をホモジナ
イザーで均質化し、そこで圧を600〜1000barsに変えた。細胞の残がいを、上記
と同じ膜での濾過又は遠心分離のいずれかによりホモジネートから除く。最後に
、抽出物を滅菌容器に滅菌濾過する。
【0095】 結 果発 酵 株PBGD-1の最大成長速度は、振盪フラスコの実験及び1-Lのバッチ発酵で測定
した。結果を以下の表5に要約する。発酵媒体を有する振盪フラスコ中で値が低
くなる理由は、おそらく酢酸が生産され、この結果、pHが制御されないためにpH
がより低下するためである。株PBGD-2の最大成長速度を算出する実験は行わなか
ったが、バッチ相がPBGD-1の場合と同じ持続期間を有するという事実から、最大
成長速度はほぼ同じであるとの結論に達することができる。
【0096】
【表5】
【0097】 発酵用に開発した基質を、次頁の表6に示す。株PBGD-2を実施する際、株は、
基質中の酵母抽出物の量又はチアミン濃度のいずれかに異なる要件を有すると考
えられる。PBGD-1株用に開発した基質を用いる場合、成長は、発酵中に停止する
か、遅れる(PD14)。過剰な酵母抽出物とチアミンを加えると、成長は再開する。
このパターンは、発酵中少なくとも 2回繰り返される。
【0098】
【表6】
【0099】 株は、連続的な順序で、酵母抽出物中の種々の成分を利用するものと考えられ
る。代謝及び呼吸は、化合物によって異なる。これにより、発酵中の呼吸群にお
いて相違点、例えばCO2及びO2の出口分析及び溶存酸素応力(tension)(DOT)シグ
ナルの大きな不規則的な発酵が生じる(図12参照)。 発酵が進むにつれて、発酵培地は徐々に鮮やかな桃色に着色される。乾燥重量
分析のために培地を遠心分離する際には、それが実際の細胞であり、上清は桃色
ではないことが認められる。振盪フラスコの接種に用いられるM9-tc寒天プレー
ト上のコロニーは桃色に着色しておらず、「正常な」大腸菌細胞のようにかなり
黄色であるか、又は白色である。
【0100】 発酵からコロニー形成単位(CFU)分析に用いられる寒天プレート上のコロニー
も桃色である。しかし、PD14からのCFUプレート、新しいPBGD-2株での第一発酵
では、少量の黄色又は白色コロニーが認められた。この知見は、接種振盪フラス
コからの培地を播いたプレートからすでに行われた。黄白色の細胞の割合は、発
酵中2〜8%の範囲であった。白色のコロニーと赤色のコロニーはともに抗生物質
オキシテトラサイクリンに耐性であった。顕微鏡で白色コロニーと赤色コロニー
を観察した際には、いずれも大腸菌の桿菌様細胞と思われた。何らかの明らかな
違いは認識し難かったが、おそらく、白色細胞は赤色細胞よりもわずかに短かか
った。このことを研究するために、1個の赤色コロニーと1個の黄色コロニーを
用いてさらに振盪フラスコ培養を開始した。CFU分析により、赤色コロニーで接
種した振盪フラスコからは赤色コロニーのみがあったが、白色コロニーは、約70
%の白色細胞と30%の赤色細胞を生じることが示された。rhPBGD活性とタンパク
質濃度は、これらの振盪フラスコの培養液で測定した。結果を以下の表7に示す
。タンパク質濃度とrhPBGD活性の相違は、振盪フラスコ中で達したOD620の相違
と一致している。これは、おそらく接種コロニーの大きさが異なることに起因し
ている。
【0101】
【表7】
【0102】 以下の表8には、発酵の最終的な値の要約を示す。発酵PD12でのOD620及びDw
(乾燥重量)値がより低かったのは、この発酵で発酵槽に完全に供給されたグルコ
ースの量が低かった結果である(PD11及びPD14で約850 mlに比較して600 ml)。発
酵の初期と比較して発酵PD14のrhPBGDについて発現及び比活性が極めて高いこと
にも、留意されたい。
【0103】
【表8】
【0104】 これまで、発酵PD14では最善の発酵結果に達している。図12及び13に、新しい
PBGD-2株を用いるこの発酵からの発酵結果を示す。14時間のバッチ相の後、グル
コースの供給を、供給速度を3段階に変更するスケジュールにしたがって開始す
る。しかし、16時間後には、何か他のものが成長を制限するために、グルコース
が発酵槽で蓄積し始める。次に、グルコースの供給を止め、グルコース濃度が再
度限界になった際に、再開する。 呼吸パターン(つまりCO2、O2 及びDOTシグナル)は、基質中の何らかが、14.5
、22.3及び26.3時間後に涸渇したことを示した(図12参照)。 過剰な酵母抽出物
及びチアミンを発酵槽に加えると、しばらくの間、成長呼吸が劇的に増加した。
発酵のあいだ中、OD620 と Dwは安定的に増加し、最終値はかなり高い。rhPBGD
生産量の増加は、バイオマスの増加ときわめて良く相関している。これは、他の
発酵でも認められる事柄である。しかし、発酵PD14では、生産されるrhPBGDの比
活性も安定的に増していると思われる。多くみられた何物かは、他の発酵ではあ
まり著しくなかった。
【0105】 下方流処理 種々の培養液を1.9〜6.9倍に濃縮した。種々の値は、膜の目詰まりを伴う問題
を反映している。この問題は、培養液を過度に濃縮しないことによっておそらく
回避できる。代わりに、幾分長いダイアフィルトレーションを行う必要がある。
均質化により、超音波処理と比較して放出される酵素について良い収率が得られ
る。細胞の残がいの除去は、研究室規模では遠心分離によりかなり簡単に行われ
る。生産規模については、濾過が試験されるので、膜濾過を用いることが好まし
い。しかし、これまでのところ、膜をとおした酵素の透過は低く、低い収率を生
じる。この収率は、より良く制御されたろ過パラメータまたは延長したダイアフ
ィルトレーションによって改善され得る。他の点では、分離器を生産に用いるこ
とができる。 表9に、下方流処理からのデータを幾つか示す。
【0106】
【表9】
【0107】 結論 株PBGD-2は、発酵の基質において約0,4 h-1の最大成長速度を有する。これは
、株PBGD-1の最大成長速度と似ているが、基質の要件は株PBGD-2に対しては異な
っていると思われる。それぞれ20 gl-1 及び10 mgl-1 への基質中の最初の酵母
抽出物及びチアミンの濃度増加は、古い株PBGD-1を用いて達成されたものと似た
バイオマスへの成長を支持している。 一般的な発酵処理の概要は、14時間のバッチ相、続く16時間の供給相であり、
グルコースの供給速度は3段階で増加する。rhPBGDの生産は、バイオマスの生産
に極めて良く相関しており、rhPBGDの比活性も発酵中に増加すると思われる。こ
れまで、株PBGD-2での最善の結果は、30時間発酵後の濃度39 U/mlかつ比活性3,1
U/mgタンパク質のrhPBGDである。最終的な乾燥重量とOD620は、それぞれ32 gl- 1 及び87であった。プラスミドの安定性は、オキシテトラサイクリンが選択圧と
して存在する場合に、発酵中良好である。
【0108】 実施例2ヒト組み換え体ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(rhPBGD)の精製工程の開発 序文 補足工程のため、弱いアニオン交換(DEAE-セファロースFF)マトリクスを最初
に試験した。というのは、これが、PBGDの精製に最も一般的な初期工程であった
ためである。アニオン交換での欠点は、内毒素及びDNAがこのタイプのゲルに吸
着することである。これらの不純物は、rhPBGDと同時に溶出される危険性がある
。rhPBGDに対するpIが極めて低いために、この計画にはカチオン交換を使用する
ことはできない。この理由のため、疎水性ゲルも補足工程として試験した。
【0109】 材料及び方法細胞抽出物 細胞抽出物(PD12、実施例1参照)は、Biogaiaから供給された凍結物(8x50 ml)で
あった。最初の融解後、試料中に沈澱が認められた。抽出物を遠心分離し、翌日
新たな沈澱を認めた。これは、抽出物が、クロマトグラフィー実験に関連して遠
心分離される必要のあることを意味している。抽出物(BCA)中のタンパク質含量
は29 mg/mlと見積もられ、酵素活性は63 U/mlであることが分かった。pH及び 導
電率は、それぞれ7.0 及び6 mS/cmと見積もった。イオン-交換 DEAE-セファロースFF hitrap (1 ml)カラムを用いた。ゲルは、Tris-HCl 25
mM, pH 8.5で平衡化した。抽出物のpHをNaOH 5 M を用いてpH 8.5に調整した。
ゲルに用いた試料の容量は1.4又は2.0 mlであった。試料を用いた後、ゲルを平
衡緩衝液を用いて15カラム容量で洗浄した。ゲルの脱着のために、以下のKCl濃
縮物を試験した: 40、120、150 及び 300 mM。最後に、各実験後に、ゲルをNaOH
1 Mで清浄化した。
【0110】疎水性相互クロマトグラフィー ブチル-セファロース4 FF hitrap (1 ml)カラムを用いた。ゲルは、リン酸カ
リウム1.0-1.3 M pH 7.5で平衡化した。抽出物に、リン酸カリウム(2.5 M)を目
的濃度1.0-1.3 Mまで加えた。ゲルに用いた試料の容量は、2.0 mlであった。試
料を用いた後、ゲルを平衡緩衝液を用いて15カラム容量で洗浄した。ゲルの脱着
のために、500 mM、20 mMのリン酸カリウム及び水を試験した。最後に、各実験
後に、ゲルをNaOH 1 Mで清浄化した。 結果イオン-交換 図14 及び15に、2つのDEAE操作からのクロマトグラムを示す。表10に、これら
の操作結果を示す。これらの実験の相違は、最初の操作でのピークbが二回目に
は120 mM KCl 及び150 mMで脱着されたことである。さらに、最初の操作では使
用された試料は少量であり、ゲルは300 mM KClでも脱着された。回収は、最善の
実験で、75 %かつ収率47 %であることが分かった。この回収及び収率を得るため
には、300 mM KClを使用しなければならない。ピークb (DEAE2)でのrhPBGDの純
度は、31 %と見積もられた(RPC)。
【0111】疎水性相互クロマトグラフィー 図16に、ブチル操作からのクロマトグラムを示す。表11に、操作結果を示す。
この実験で、1.3 Mのリン酸カリウムを用い、脱着を水で行った。ピークbの導電
率は、60 mS/cmであることが分かった。回収は78 %に、収率は75 %に算出された
。研究で、沈澱は、1.5M濃度のリン酸カリウムで抽出物中に形成されることが見
出された。ピークbにおけるrhPBGDの純度は、40 %と見積もられた(RPC)。
【0112】コメント及び結論 実験結果から、全実験での質量バランスはどちらにも決まっていないことが分
かった。これは、全ての分析の場合に確かであると思われる。このことについて
の主な理由は、おそらく分析が不安定で、全てのタンパク質がゲルから溶出され
ないためである。最初の理由は、高濃度のリン酸カリウムを加える際に、抽出物
中であまりにも高いと思われる酵素活性によって確認されている。第二の理由は
、イオン-交換実験でNaOHでの溶出ピークによって確認されている。このピーク
は分析されていない。疎水性マトリクスについては、有機溶液での清浄化が必要
であっても良い。これまでの結果の結論は、ブチル-セファロース4 FFが補足工
程の最も良い代替物と考えられることである。その主たる理由は、rhPBGDの収率
がより高いことである。ブチル-セファロース4 FFを用いる別の利点は、DEAE-セ
ファロースFF操作での大きなピークと比較して、NaOH 1Mでの清浄化後のピーク
が小さいことである。これは、おそらくブチルマトリクスに粘着性の不純物がほ
とんどないことを意味している。他方、リン酸カリウムを加えると、沈殿物が形
成される危険性がある。生成ピーク中の高いイオン強度によって引起こされるの
で、次のクロマトグラフィー工程前に脱塩が必要な可能性がある。
【0113】
【表10】
【0114】
【表11】
【0115】 実施例3"His-Tag"を有するヒト組換え体ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(rhPBGD-His )の精製方法の開発 研究の性質と目的 多くのグループが、大腸菌及びヒトの赤血球をはじめとする種々の由来源のポ
ルフォビリノーゲンデアミナーゼの精製について文献に報告している(Anderson
P. M. 及びR. J. Desnick, 1979, The Journal of Biological Chemistry 255(5
): 1993-99, Awan S.J.ら、1997, Biochemistry 36(30): 9273-82, Grandchamp
B.ら、1987, Eur.J.Biochem. 162(1): 105-10, Jordan P.M. 1994, Wiley, Chic
hester (Ciba Found Symp 180), p70-96, Jordan P.M.ら、1988, Biochhem.J. 2
54:427-435, Lambert R.ら、Wiley, Chichester (Ciba Found Symp 180), p97-1
10, Louie G.V. ら、1996, Proteins 25(1): 48-78, Maniatis T., E.F. Fritsc
h, J. Sambrook. Molecular Cloning (A laboratory Manual) Cold Spring Harb
or Laboratory. 1982, Miyagi K.ら、1979, Proc.Natl.Acad.Sci. 76(12):6172-
76, Racich N. 1986, Nucleic Acids Research 14(15): 5955-67, Shoolingin-J
ordan P.M.ら、1997, Methods in Enzymology, 281:317-327)。多くは、イオン
交換の組合せ、疎水性相互作用及びサイズ排除クロマトグラフィーの組合せを用
いて、かなり純粋なタンパク質調製物を得ている。ヒト組換え体ポルフォビリノ
ーゲンデアミナーゼ、rhPBGDのC-末端に5個の追加的なヒスチジン残基を設計す
ることにより、精製で助けとなる簡便な"Tag"が得られる。ヒスチジンは、ニッ
ケル、銅、亜鉛及びコバルトのような正に帯電した遷移金属に親和性を有する。
6以上の電子リッチな一連のヒスチジン残基が目的タンパク質で発現されると、
それらは金属イオンで被覆した固体の支持体にタンパク質をしっかりと付着する
ので、アンカーとして機能することができる。結合分子を除かないで、極めて徹
底的な洗浄を行うことができる。溶出は、2つの方法の1つ、pHを低下させてヒス
チジンのイミジゾール窒素に陽子を加えるか(pKa 5.97)、又はtagタンパク質を
支持体から拮抗して取り除く溶出緩衝液にイミジゾール、ヒスチジン側鎖と同一
の分子を含めることによって行うことができる。この研究の目的は、抗体生産及
びアッセイならびにタンパク質精製における基準として用いるために、純粋なrh
PBGD-Hisを得ることである。
【0116】 研究目的 この研究の目的は、高純度の活性rhPBGD-His 10mgを得ることである。 研究計画計画の概要 発現系及び溶解のための誘導時間の最適化 抗体生産及び基準のためのrhPBGD-His 10mgの精製 2L規模の誘導及び株の溶解 DEAEイオン交換クロマトグラフィー 固定化金属アフィニティクロマトグラフィー rhPBGD-Hisの特徴づけ SDS-PAGE アミノ酸解析 比活性 HPLC 質量分析 アミノ末端シーケンシング
【0117】計画の内容 rhPBGD-Hisの発現は、IPTGで誘導可能なlacプロモーターの誘導体である細菌
性のTaqプロモーターによって制御される(プラスミド地図については図17参照)
。種々のタンパク質が、誘導により大腸菌において種々の速度で生産される。こ
れは、誘導による最適なrhPBGD-His収率に必要な時間の最適化を要する。こうす
るために、中期対数期の培養物は、過剰なIPTG、活性を有する時点での発現及び
タンパク質濃度測定で誘導されるであろう。誘導後、細胞を溶解して、rhPBGD-H
isを放出しなければならない。利用できる選択肢としては、超音波処理がこの精
製規模には最善である。それは、いずれの緩衝系にも適合し、タンパク質を損傷
しないはずである。溶解の効率を追行するには、各サイクル後に600nmでの吸光
度を測定する。 基準として用い、抗体を生産するためには、少なくとも 10mgの rhPBGD-Hisが
精製されるであろう。
【0118】 タンパク質の精製には、rhPBGD-His生産株の2Lのフラスコ培養物で十分である
。培養物は、一晩の新鮮な細胞培養物を用いて接種され、中期対数期に成長して
、次いでIPTGで誘導されるであろう。 計画は、2工程の精製処理を利用するものである。溶解後、遠心分離で残がい
を除き、上清をDEAEイオン交換カラムに充填する。これにより、溶解物から大多
数の汚染物が除かれ、rhPBGD-His含有溶出フラクションには限られた数のタンパ
ク質汚染物が残されるであろう。タンパク質を高いpHかつ低イオン強度緩衝液中
に充填し、弱く帯電したrhPBGD-Hisを確実に結合させる。広範囲に及ぶ洗浄を用
いて、カラムにしっかり結合していない物質を除く。極めて浅いKCl勾配工程を
用いて、rhPBGD-Hisを溶出する。これは、互いに帯電特性の異なる種々の形態の
rhPBGD-Hisを分離するはずである。イオン交換クロマトグラフィーによる種々の
帯電型PBGDの分離は、他者によって報告されている(Anderson P. M. 及び R. J.
Desnick, 1979, The Journal of Biological Chemistry 255(5): 1993-99, Jor
dan P.M.ら、1988, Biochhem.J. 254:427-435, Miyagi K.ら、1979, Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 76(12):6172-76)。
【0119】 計画された第二クロマトグラフ工程は、タロンファストフロー(Talon fast fl
ow)固定化コバルト金属アフィニティ樹脂を含むカラム(Clontech)である。これ
は、組換えタンパク質のアミノ末端に6残基のヒスチジン系(tract)を利用する。
最初に、ニッケル(Sigma)で帯電した金属キレート樹脂(Pharmacia)をrhPBGD-His
の精製に試みたが、rhPBGD-Hisと同時に溶出される溶解物中の他のタンパク質に
も結合することが分かった。このコバルト樹脂はニッケルよりもHis tagタンパ
ク質に対する結合親和性が少ないが、高い結合能を保持し、結合すべきタンパク
質をかなり識別する。これにより、濃度のより低いイミダゾール又はより高いpH
で金属からの溶出がもたらされ、高い純度レベルが達せられる。また、コバルト
は、精製中に固体支持体からの金属イオンの浸出を効果的に除くので、テトラデ
ンテート(tetradentate)の金属キレートによってマトリクスにかなりしっかりと
結合される。溶出中の反応性金属イオンの損失は、ニッケルベースのアフィニテ
ィカラムで一般的な問題(特定の関係)であり、これは精製タンパク質に望ましく
ない沈澱をもたらす。 rhPBGD-Hisは以下の方法により特徴づけられるであろう:タンパク質純度の最
初の測定は、SDS-PAGE (ポリアクリルアミドゲル電気泳動)によるであろう。こ
の方法は、生産されるタンパク質の分子量も示すであろう。
【0120】 調製物中のrhPBGD-Hisの比活性を測定するために、まず溶液の中のタンパク質
濃度を正確に測定する必要がある。アミノ酸解析が、正確な方法として用いられ
るであろう。また、方法により、タンパク質のアミノ酸組成が提供される。濃度
を用いて、rhPBGD-Hisの吸光度係数を設定することができる。酵素活性は、酵素
の正確な構造に関する重要な手段である。ヒトで生産されるものと等価な適当な
構造は、治療剤として用いられる rhPBGD-Hisに必須である。天然構造からの何
らかのずれは、患者の免疫系の活性化を引起こすことができる。歴史的には、ポ
ルフォビリノーゲンデアミナーゼの活性は、ポルフォビリノーゲン基質の代謝又
はプレウロポルフィリノーゲン生成物の形成のいずれかによる2つの方法の1つで
測定された。PBGDによって触媒される反応において、ポリフォビリノーゲンモノ
マーは、ジピロメタン補足因子の遊離のα位置から始まって一度に共有結合され
る。4つの分子を加えた後、PBGの線状テトラマー、プレウロポルフィリノーゲン
が、別の反応用に共有結合した補助因子を有する活性なハロ酵素を再生しながら
、補助因子からの加水分解によって自発的に放出される(図18参照)。放出後、テ
トラピロールをヘム経路の次の酵素、ウロポルフィリノーゲンIII(ヘムの中心環
及び動物のビタミンB12及び植物の葉緑素)を形成するウロポルフィリノーゲンII
Iシンセターゼにより循環する。線状のプレウロポルフィリノーゲン分子は、405
nmで光を吸収する分子を生じるベンゾキノンでウロポルフィリンに代わって酸化
され得る。これは、PBGD活性の測定に用いられる活性アッセイの基本である。
【0121】 rhPBGD-His調製は、質量分析によってさらに特徴づけられるであろう。それに
より、rhPBGD-Hisの分子量が正確に測定され、調製物中の分子の不均一性が潜在
的に同定される。rhPBGD-Hisは、それに結合する1、2、3及び4個の基質分子とと
もに存在しうる。ハロ酵素に加えられた各基質分子は、質量分析により検出可能
な約209ダルトンを質量に追加するであろう。逆相HPLCによる特徴づけは、純度
のデータを生じるであろう。rhPBGD-Hisのアミノ末端シーケンシングは、正確な
アミノ末端を確保するために用いられるであろう。
【0122】 材料と方法誘導と溶解: 新たに接種したコロニーから、500mlのバッフルフラスコ中100 ml LB (10g/l
バクト-トリプトン、5g/l バクト-酵母抽出物、10 g/l NaCl pH 7.0) + 100 μg
/ml アンピシリンで37℃で350rpmで、JM105におけるpExp-2の培養物を13.5時間
成長させた。600nmで測定した光学密度は、1.6に達した。この培養物を用いて、
100μg/mlアンピシリンを有する2Lのテリフィック(terrific)培地(12g/l バクト
-トリプトン、24g/l バクト-酵母抽出物、4ml/lグリセロール、2.31g/l KH2PO4
、12.54g/l K2HPO4 (Maniatis T., E.F. Fritsch, J. Sambrook. Molecular Clo
ning (A laboratory Manual) Cold Spring Harbor Laboratory. 1982)を接種し
、各400mlの2Lのバッフルフラスコと各200ml培養液の2つの1Lバッフルフラスコ
に分ける。これらを、New Brunswick Scientific Innova 4000インキュベーター
で350rpmで37℃で成長させた。600nmで0.7の光学密度に達したら、Taqプロモー
ターを4 mM IPTGで誘導し、rhPBGD-Hisタンパク質を生じさせる。成長は、600nm
での吸光度を1時間ごとに読み取って追跡した。9時間後に、1.93の吸光度に達し
た後、0℃に冷却して培養を停止した。培養液を、JLA-16.250ローターを有するB
eckman Avanti J25I遠心分離器で10分4,000xgで一度に4 X 250ml遠心分離した。
上清を捨て、培養液の残りを細胞ペレットに加え、さらに10分回転させた。ペレ
ットを各250mlの 50 mM Tris/HCl pH 8.5 (予備冷却済み)の2つの貯留に再懸濁
し、氷上で8時間保存した。細胞を10分4,000xgで遠心分離し、液体を捨て、得ら
れたペレットをボトル中で計量し、湿重量を測定する。細胞を400 mlの氷冷50 m
M Tris/HCl pH 8.5に再懸濁し、直径1/2インチのステップ-タップホーン(steppe
d tapped horn)を有するBranson Sonifier 450での超音波処理により溶解した。
各ラウンドは、氷上のPyrex 150 mlガラスビーカー中、一定の効率(duty)サイク
ルを有する最大力で30秒であった。溶解物を50mlのピペットに数回抜き取るか、
又は氷上のビーカー間に注ぐことによって、サイクル間で混合した。超音波処理
中の溶解物の進行は、600nmでの溶解物の吸光度を読み取ることにより確認した
。各100mlのアリコートの細胞を6ラウンド超音波処理した後、30分4℃での16,00
0xgの遠心分離により残がいを除いた。次いで、溶解物を貯留し、0.22μm Durap
ore膜 (Millipore)で真空濾過し、あらゆる残留粒子物を除いた。
【0123】 DEAEセファロースクロマトグラフィー: rhPBGD-His精製における最初のクロマトグラフィー工程は、DEAE セファロー
スファストフローカラム(Pharmacia)でのイオン交換クロマトグラフィーによっ
た。脱気した樹脂を有する2.5 X 50 cm のSpectrum LCカラムを、脱気した25 mM
Tris/HCl pH 8.5緩衝液で徹底的に洗浄した。濾過した溶解物(380 ml)を、5 ml
/minでカラムに用いた。次に、カラムを720 ml の25 mM Tris/HCl pH 8.5で洗浄
した。結合rhPBGD-Hisの溶出は、25 mM Tris/HCl pH 8.5 中50mMから120mM KCl
の10 mM増加の浅い勾配工程を用い、脱気した。各工程の容量は、溶出プロフィ
ルにしたがって150〜470mlにわたった(表12参照)。
【表12】
【0124】 フラクションは、約50mlごとに回収した。280 nmでの吸光度は、溶出のあいだ
に密接に追跡した。吸光度がピークのあとに下降した後にのみ、次の工程を用い
た。マイクロタイターフォーマットのBioRad's protein assay II を製造者のプ
ロトコルに従って用い、各フラクション中のタンパク質量をアッセイした。クマ
シー染色10%アクリルアミドビス/Trisゲル(Novex)を、次いで各レーン中5μgの
タンパク質を用いて調製し、各ピークの純度を特徴付けた。
【0125】コバルトアフィニティクロマトグラフィー 2.5 X 30 cmの Spectrum LCカラムに注ぐ前に、樹脂スラリーを脱気した。次
いで、それを流速5 ml/minで脱気した25 mM Tris/HCl pH 8.5/ 150 mM NaClを用
いて徹底的に洗浄した。塩化ナトリウムを含めて、タンパク質のイオン性相互作
用に対するタンパク質を低下させ、カラムマトリクス自体を用いてイオン交換作
用を低減させた。比較的高い8.5のpHを用いてrhPBGD-Hisを上記のpI、したがっ
て負の帯電に維持し、精製中の高い溶解度を維持した。2つの連続的なrhPBGD-Hi
s アフィニティ精製を、次いでカラム中で行った。充填した第一試料は、9〜12
フラクションを含むDEADセファロースカラムからの活性溶出物の完全な最初のピ
ークの滅菌濾過貯留物であった。カラムを2Lの25mM Tris pH8.5/150mM NaClを用
いて3 ml/minで洗浄した。結合汚染物を溶出するために、次にカラムを100 mlの
25mM Tris pH8.5/150mM NaCl/5mM イミジゾールを用いて5 ml/min、次いで100 m
lの10mMイミジゾール緩衝溶液を用いて洗浄した。 his tag タンパク質の溶出は
、5ml/minで25mM Tris pH 8.5/150mM NaCl/50mM イミジゾールを用いた。100 mM
イミジゾールでの最終的な溶出を含め、全てのrhPBGD-Hisを溶出した。第二の充
填用カラムを調製するために、それを単に100 mlまでの 25mM Tris pH8.5/150mM
NaClで洗浄した。rhPBGD-Hisがカラムに結合したイミジゾールを置換すること
が望まれた (これにより、該当することが分かった)。カラムの第二の充填は、D
EAEセファロースカラムからの900mlまでの全ての活性残留ピークを有する滅菌濾
過貯留を流速5ml/minで用いた。カラムを、次いで2Lの 25mM Tris pH8.5/150mM
NaClを用いて5 ml/minで、次いで上記の最初の操作でのようなイミジゾール含有
緩衝液により、洗浄した。
【0126】ポリアクリルアミドゲル電気泳動: (SDS-PAGE) ゲル電気泳動は、還元剤の存在又は不在下、Nupage 10% Bis/Trisゲルを用い
るNovexシステムで125V、2時間であった。染色は、50%メタノール/ 10% 酢酸/ 0
.25% クマシーブリリアントブルーR-250を2〜4時間用いた。脱染色は、a Bio-Ra
d ゲル脱染色器で30% メタノール / 10%酢酸であった。アミノ酸解析: アミノ酸解析は、AAA ラボラトリー(6206 89th Avenue Southeast, Mercer Is
land, Washington 98040)で行った。rhPBGD-Hiを20時間 6N-HCl / 0.05% メルカ
プトエタノール/ 0.02%フェノールを用いて115℃で加水分解した。セリンを10%
まで、トレオニンを5%まで増し、加水分解中の個々の酸の破壊について競合させ
た。Beckman 7300 アミノ酸解析機をSystem Gold ソフトウエアと結合させた。
解析は、Moore及びSteinによって開発されたイオン交換クロマトグラフィー法を
用いてニンヒドリンでのカラム後のデリビティゼーション(derivitization)によ
って行った。
【0127】PBGD活性アッセイ: キュベットで有効な96ウェルのマイクロタイターフォーマットでアッセイを行
った。方法は、発表された方法から誘導した (Awan S.J.ら、1997, Biochemistr
y 36(30): 9273-82, Shoolingin-Jordan P.M.ら、1997, Methods in Enzymology
, 281:317-327)。ウェル当たり0.125〜8μgの精製rhPBGD-His タンパク質を用い
て、酵素活性を測定する。アッセイ緩衝液は、1.0 mg/ml BSA (Sigma フラクシ
ョン5)及び10 mM DTTを有する50 mM Tris/HCl pH 8.2である。Perkin Elmer 970
0 PCR 機器を熱制御に用い、温度及び反応時間の緊密な制御を可能にする。アッ
セイは、2つの方法で開始した。1つの方法は、PCRブロックで予め温めた基質を
用いて37℃で反応を開始することであった。熱サイクルプログラムでの停止に関
する戦略上の置換は、基質の追加と反応の停止の双方に所定の間隔で信号音をな
らしながら用いた。10、20、40及び60分にわたる反応時間でのサイクルプログラ
ムの一例を表13に示す。
【0128】 反応ブロックは、8x12マトリクスでチューブを配列した96ウェルブロックであ
る。それを37℃ですっかり維持した。8-チャンネルのピペッターを用いる最初の
並び(row)でPBGを8本のチューブに加えて反応を開始する。追加を部分的にずら
し、30秒ごとにPBGを各並びに与える。10秒の停止と信号音の間隔を20秒ごとに
設定し、期間の最後に各添加を表示する。この方法で、全96反応を開始すると、
全部で6分を要する。次の4分のインキュベーションの最後に、最初の3つの並び
を時間差で止め、全部で10分の培養時間とする。この方法を次の10分後に次の3
つの並びについて繰り返し、全部で20分の反応時間に増す。このスキームを表13
に示す。p@37は、停止+信号音の間隔としてサーモサイクラーで作られる10秒の
信号音期間を示す。
【0129】
【表13】
【0130】 反応は、HCl / p-ベンゾキノリン溶液を用いる酸性化により停止した。用いた
HClの最終濃度は、1モルであった。ウロポルフィリノーゲンをウロポルフィリン
に酸化するベンゾキノンは、(メタノール中 0.2%ストック溶液から) 0.002% w/v
の最終濃度で用いた。所定の間隔で、試料150μlを反応チューブから除き、氷
上96ウェルX2mlのプレートのウェル中の850μl HCl / p-ベンゾキノン溶液に加
えた。アッセイを開始する第二の方法は、氷上の基質を用いて完全な反応を開始
し、37℃での培養用にPCRブロックを移すことであった。反応後、ブロックを4℃
まで上げて、反応を止め、その後試料を除き、HCl / p-ベンゾキノン溶液に加え
た。いずれの方法についても、反応溶液の最後の追加後、氷上かつ暗所で20分培
養を進めることができた。次に、ローターが揺れる(swing out) GS-6KR遠心分離
器でプレートを10分3750rpmで遠心分離し、沈澱したタンパク質(大部分BSA)をペ
レット化した。250μlを、Corning 96ウェルのアッセイプレートに除いた。BioT
ek FL-600プレートリーダーで、波長基準605nmを用いて吸光度を405 nmで測定し
た。選択した試料(通常、標準曲線)を1M HClを用いて10倍に希釈し、Beckman DU
640B 分光光度計の水晶キュベットで405.5 nmで読み取る。605 nmの基準波長は
、バックグランドの吸光度を控除するのに用いた。キュベットでのこれらの測定
は、1cmのパスレングス(pathlength)からプレートデータまでの転化因子を生じ
た。分析は、プレートリーダーとエクセルスプレッドシート(spreadsheet)を含
めた KC4 ソフトウエアを用いて行った。548 M-1cm-1の吸光度係数は、酸化反応
生成物を定量するのに用いた(Shoolingin-Jordan P.M.ら、 1997, Methods in E
nzymology, 281:317-327)。
【0131】HPLC: HPLC分析は、HPLCについてのUniversity of Washington Mass Spectrometry A
nalysis Facilityで行った。試料は、C4カラムでのHPLCについての質量分析用に
塩を含まないものを調製し、アセトニトリルの勾配を増して溶出した。用いた装
置は、Applied Biosystems (ABI) 785A プログラム可能な吸光度検出器を有す
るABI 140A 溶媒デリバリーシステムであった。質量分析計: 質量分析は、University of Washington Mass Spectrometry Analysis Facili
tyで行った。主要な溶出ピーク内で作動させた1/10のHPLCを、吸光度検出器の前
に、電子スプレー質量分析用のPerikin Elmer SCIEX AP13 生体分子質量解析機
に流用した。分析は、HyperMass法によれば平均16ピークであった(コバルト操作
について#1溶出物)。アミノ末端シーケンシング: アミノ末端配列解析は、University of Washington Mass Spectrometry Analy
sis Facilityで行った。ABI 477A Protein SequencerをABI 120A PTH Analyzer
とともに用いた。
【0132】 結果精製: 誘導及び溶解: 2Lの細菌培養物の成長は、1時間後に減速したが、依然として9時間成長し続け
た(表14参照)。
【表14】
【0133】 誘導の約3時間後、細胞は、ほぼ1時間で重力により培地に沈降する大部分の濁
度を伴って凝集する傾向にある。細胞の最終密度は、テリフィック培地のような
リッチな培地での成長を低くとどめるが、ペレットの最終重量は十分であった。
全湿重量は、17.7g/L培養液に相当する35.3gであった。興味深いことに、細胞は
オレンジ/ピンク色だった。これはおそらく、ヘム生合成経路の種々の媒介物の
ためであると思われる。達成された成長速度が遅いこと、及び最終密度から、培
養が利用可能な酸素の量によって制限されたことが明らかである。 超音波処理による溶解は、以下の吸光度の読み取りによって認められるように
5サイクル後に本質的に完全であった(表15)。
【0134】
【表15】
【0135】 光学密度の低下%から、最初の5ラウンドの超音波処理のそれぞれについて、
細胞はほぼ同じ割合が溶解したものと思われる。この後、新たに溶解した細胞の
%が急に低下した。最初の4ラウンドのそれぞれについて、溶解物の粘度は非フ
ラグメント化DNAがあるために比較的高かったが、これは、DNAをより小さなフラ
グメントに剪断するさらなるラウンドの後に著しく低下した。 DEAEセファロース: DEAEイオン交換カラムからのタンパク質の溶出は、図19の溶出プロフィルに見
られるように、かつ表16のタンパク質アッセイによるように4つの異なるピーク
で現れた。溶出フラクションのSDS-PAGE分析は、これらのピークがKClの段階勾
配で溶出されるrhPBGD-Hisの4つの個々のピークを含むことを示している(図20)
。最初及び主要なピークは、9〜13フラクションで50〜70 mM KClを用いて溶出さ
れた。ゲル分析から分かるように(図20参照)、純度は、精製の最初の工程、特に
10〜13フラクションではかなり良好であった。第二のピークは、15〜18フラクシ
ョンで80 mM KClを用いて溶出した。このピークの主要汚染物は、所望生成物に
ほぼ等しいモル比で、rhPBGD-Hisより約5kDa小さいタンパク質であった。フラク
ション20〜23の第三ピークは90〜100 mM KClで溶出し、第二ピークよりも目に見
える汚染物が少なかった。第四及び最後のピークは、26〜29+フラクションで110
〜120 mM KClを用いて溶出した。フラクションをさらなる精製のため、2つの貯
留に分けた。rhPBGD-His溶出の主要ピークからなる最初の貯留は、9〜12フラク
ションを含んだ。第二貯留は、次の120 mM KCl溶出緩衝液50mlとともに13〜29フ
ラクションを含んだ。イオン交換により溶出されたこれらの2つの貯留は、充填
した3253mgのうち877mgのタンパク質を含んだ。それは、全タンパク質中3.7倍の
低下に相当する(表16参照)。
【0136】コバルトアフィニティ: 最初のコバルトの操作から、大部分のrhPBGD-Hisを、50mMイミジゾールを加え
た30ml容量 を用いる鋭いピークで溶出した(タンパク質アッセイについては表17
、SDS-PAGEの結果については図22参照)。100 mM イミジゾールでの最終的な溶出
は、280nmで吸収する検出可能なタンパク質を放出しなかった。第二のコバルト
操作(図21)では、驚くべきことに、5mMの最初のイミジゾール洗浄が、約50ml量
の吸光度の小さな非着色ピークを溶出した。次に、10mMイミジゾールでの第二の
洗浄が、約150mlのやや大きく広いオレンジ/ピンク色のピークを溶出した。さら
なる50mMイミジゾールでの溶出が、23mlの大きな鋭い非着色ピークを生じた。 特徴アミノ酸解析: フラクションの3つのアミノ酸解析(コバルト操作#1 50 mM イミジゾール溶出(
2回) コバルト操作 #2 10 及び50 mMイミジゾール溶出)により、rhPBGD-His が
精製されるとの決定的なデータを得た。分析結果は、個々のアミノ酸濃度から算
出されるタンパク質濃度について極めて正確な測定を可能にした(表18参照)。
【0137】比活性 : コバルトカラムからのrhPBGD-Hisの最初の50mMイミジゾール溶出物の比活性は
、約24 U/mgで高いことがわかった(単位は1時間でのタンパク質mg当たり消費さ
れるμmol PBG)。rhPBGD-Hisの活性はpHに強く依存し、プラトーに達せられる7.
0〜8.0に鋭く上昇することが分かった。最適条件は、ほぼpH 8.2であった。最適
なPBG基質濃度は約 1 mMであることが分かった。rhPBGD-HisはPBGの全濃度で活
性を有したが、1mM未満の量では、反応は利用可能な基質によって制限され、基
質が涸渇される時間中、Vmaxと線型性(linearity)ともにを低下させる。発表さ
れたアッセイで用いられるようなメタビスルファイトナトリウムを用いて残留ベ
ンゾキノンを脱色する必要は見当たらなかった(Shoolingin-Jordan P.M.ら、199
7, Methods in Enzymology, 281:317-327)。奇妙なことに、たとえ酸性化と酸化
が、この研究グループによってなされたより少量の全量(240μl vs 1ml)でなさ
れても、氷上でのインキュベーション中に高度に発色した生成物が次に生じる。
この生成物は、正確な反応吸光度を得るために、メタビスルファイトナトリウム
の飽和溶液を用いて脱色されなければならない。これらの2つの変法によって測
定されるように、認められる酵素活性に有意な相違はなかった。
【0138】 一般に、アッセイは、変数として時間及び酵素濃度の双方を用いて開始した。
これにより、確認を伴って結果をより詳細に分析することができる。活性がいず
れかの酵素濃度で種々の時点からかなり直線状であれば、基質が制限的でなく、
反応手段がその範囲にわたって有効であることが推論され得る。1つの時点しか
測定されなければ、酵素が依然としてV-maxで機能的であるかどうかは示唆され
ない。 96ウェルフォーマットでの反応容量は、150μlまでのPCRチューブの大きさに
よって制限される。50〜150μlの容量は、時間中の直線上の顕著な増加及びより
多い量で認められる酵素量の増加を伴って試みられた。容量のさらなる増加は、
より多数の基質を利用可能にし、タンパク質をさらに希釈し、それにより、時間
中の直線及び酵素濃度を増す。しかし、PBG基質からのアッセイの費用増加が実
質的であろう。 同様の濃度での同様のタンパク質調製の通常分析には、アッセイを標準化し、
はるかに少数のデータポイントを使用し、PBGD活性についての正確な測定を依然
として得ることができるはずである。最適には、活性が既知のrhPBGD-His の標
準曲線が、結果を確認し、分析を単純化するために含められるであろう。基本的
には、時間を含む多くの変数が内部で制御されるであろう。正確な活性手段を得
るために、基準のロジスティック曲線が、4つのパラメータを用いて、いずれか
の時点及び広範囲な試料濃度を使用しうる。高純度のrhPBGD-His の1つの使用ア
リコートを、基準として用いるために凍結保存する。
【0139】質量分析: 2つのコバルトの操作からの50 mMイミジゾール溶出ピークの質量分析により、
以下の分子量が得られた: 第一コバルト操作溶出: 38,816.8, 基準偏差 = 3.68 第二コバルト操作溶出: 38,814.6, 基準偏差 = 4.70 抗体に対して透析した第一コバルト溶出: 38,817.1, STD 偏差 = 3.33 これらの重量は、結合される基質分子を全く加えていないハロ酵素に相当する
【0140】 評価及び結論 イオン交換を伴う単純な2段階精製工程及びコバルトアフィニティクロマトグ
ラフィーを用いて、細菌の粗溶解物を原料として、98%より高い純度を有する17
3 mg/lの rhPBGD-Hisの収率を達成できることが、分かった。酵素中間複合体の
それぞれは安定で、独立して単離され得る(Anderson P. M. 及びR. J. Desnick,
1979, The Journal of Biological Chemistry 255(5): 1993-99, Jordan P.M.
ら、1988, Biochhem.J. 254:427-435, Miyagi K.ら、1979, Proc.Natl. Acad.Sc
i.USA 76(12):6172-76)。これは、DEAEイオン交換マトリクスに対する種々の酵
素フラクションの異なる結合に寄与する主要な因子である可能性がある。ポルフ
ォビリノーゲン分子の伸長鎖に対してアセテート及びプロピオネート側基により
負の帯電が付されるため、イオン交換樹脂に対する結合アフィニティはE<ES<ES2
<ES3の順序であることが理論付けられる。それは、最初のピークがハロ酵素で、
反応の進行において同順序の他のものにより追行されることを意味している。ま
た、コバルトカラムは、第二の操作中、種々フラクションにrhPBGD-Hisを溶出し
た。第二の操作からの溶出プロフィルが最初のものと異なっていたことは奇妙で
ある。his-tagを有する全ての密接に関連したタンパク質が、同じ親和性でコバ
ルトに結合することが予想される。これは、タンパク質の構造的な変更又は帯電
相互作用により、His-tagが部分的に消化されるか、又は部分的に覆い隠される(
obscure)ことを意味する。また、溶出特徴の相違は、10mM溶出ピークでの色の相
違によって暗示されるような種々の酵素-基質中間複合体間の違いに起因してい
る。Jordan P.M. 1994, Wiley, Chichester (Ciba Found Symp 180), p70-96に
よる文献での報告によれば、ES2中間複合体はピンク色の発色団を有している。
第二コバルトカラム操作からの10 mMイミジゾールフラクションは、他のフラク
ションがそうではないのに対し、ピンク色である。これは、種々のフラクション
における種々の酵素基質中間体の分離を意味している。着色タンパク質のピーク
がES2中間体から優先的になる際には、5 mMでのピークがES3であることが推定さ
れる。帯電であれ、関連構造であれ、コバルトに対するES2の結合をESに比較し
て低下させるものであれば、全てES3中間体を用いて増強されるであろう。イミ
ジゾール50mMで放出され、DEAEに対して結合の強いピークは、次いでES型であり
得る。ハロ酵素自体は、pIがより高いためにDEAEにあまりしっかりと結合されず
、50mMイミジゾールでニッケルから溶出するので、第一コバルト操作中に精製さ
れる残留形態であってもよい。しかし、2つの50mMコバルト溶出物の質量を比較
すると、検出に有意な相違はなかった。いずれも、ハロ酵素のみについて予想さ
れる重量に相当する。不幸にも、沈澱の問題に対する可能性があるために、より
低いrhPBGD-Hisタンパク質濃度を用いては、10mM溶出物についての質量測定に信
頼性が得られなかった。種々の酵素基質中間体の溶出特性が相違しているならば
、EからES4までの反応経路中に生じる大きな構造変化に起因している可能性が高
いと思われる(Jordan P.M. 1994, Wiley, Chichester (Ciba Found Symp 180),
p70-96, Louie G.V.ら、1996, Proteins 25(1): 48-78)。タンパク質の第三ドメ
インの C-末端His-tagは部分的に隠れ、反応が以前のES1型に進む際には、立体
的にあまりアクセスできない。his-tag及び成長する基質鎖間の直接的な相互作
用は、あまりないものと思われる。pH 8.5で、ヒスチジンは電子リッチな非プロ
トン化状態であり、また酸性側鎖が触媒の割れ目(cleft)で塩基性アミノ酸によ
って中和されても、基質複合体は電子リッチな状態のはずである(Jordan P.M. 1
994, Wiley, Chichester (Ciba Found Symp 180), p70-96, Louie G.V.ら、1996
, Proteins 25(1): 48-78)。反応中に生じるrhPBGD-Hisの構造的な変更は、表面
上のhis-tagとの相互作用のための他の帯電基、又はおそらくは、割れ目で成長
している基質ポリマーから帯電が低下することを意図した同じ基にアクセスでき
ると考えられる。 装置及び供給品リストをそれぞれ付表4及び5に示す。
【0141】
【付表4】
【0142】
【付表5】
【0143】
【表16】
【0144】
【表17】
【0145】
【表18】
【0146】 組合せ治療rhALAD 及び rhPBGDの組合せ治療 AIPの背景にある病因論は、十分には理解されていない。しかし、2つのへム-
前駆体デルタ-アミノレブリン酸(ALA)及びポルフォビリノーゲン(PBG)の蓄積が
関わっていると考えられる。ALA 及び PBGは、急性発作中に認められる周知の症
状、例えば腹痛、筋肉の弱化、感覚機能の損失ならびに癲癇発作、呼吸麻痺、幻
覚及び精神病を引起こすので、中枢神経及び末梢神経に毒性であることが示唆さ
れている。 AIP患者の酵素代用治療に対する原理は、より低い血清及び細胞内PBGレベルへ
の皮下注射によるrhPBGDの投与に基づいている。PBGは、プレウロポルフィリノ
ーゲンに代謝されるであろう。プレウロポルフィリノーゲンは、正常なヘム生合
成経路に次いで入り、ヘムに代謝されるであろう。つまり、rhPBGD酵素置換治療
は二重の作用を有し、i)毒性PBGの循環レベルを低下し、ii)ヘム生産を回復する
であろう。
【0147】 疾患の病因論において、ALAはPBGよりもかなり大きな毒性作用を有することが
示唆されている。したがって、ALA 及びPBG双方の低下が望ましい。ALA とPBGは
結合した酵素反応、例えばデルタ-アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)及び
ポルフォビリノーゲンデアミナーゼPBGDを介して互いに平衡であるので、rhPBGD
でのAIP患者の治療は、i)PBGならびにALAの循環レベルを低下し、かつii)ヘム生
産を回復するであろう。PBGD酵素の阻害は、PBG及びALAの双方の蓄積を生じるで
あろう。rhPBGDの投与は、ALAD酵素反応の平衡における変化を介して、迅速にPB
G及びより低レベルのALAを代謝するであろう。 ALAについて促進された低下は、AIP患者に有効であり得る。したがって、rhPB
GD 及びrhALADの双方の同時投与は、迅速にヘム前駆体を低減するであろう。rhA
LAD と rhPBGDの混合と投与は、2つの方法: i)固定比の両酵素含有生成物又はii
) 2つの個別の皮下注射によるrhPBGD及びrhALADの投与のいずれかで行うことが
できる。後者の場合、2つの酵素の用量は、個体治療を最適にするために調整さ
れうる。個別の酵素投与は、最適な一時的な投与順序についての可能性を生じ、
個体の治療効果を最善にするであろう。 PBGDとALADの上記組合せは、これらの患者がPBGとALAの酵素レベルを上昇する
ので、HCPとVPの治療に関しても有用であると考えられる。
【0148】rhPBGD 及びrhウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼの組合せ治療 rhPBGD とrhウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼのあるAIP患者に対す
る同時投与は、IイソマーよりむしろウロポルフィリノーゲンIIIイソマーにプレ
ウロポルフィリノーゲンの転化を改善することにより、有用であると考えられる
。Iイソマーは自発的にプレウロポルフィリノーゲンから生じ、さらにヘムに代
謝されない。つまり、 rhPBGDとウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼの同
時投与は、ウロポルフィリノーゲンIイソマーが少量形成される正常なヘム合成
を確実により良く回復するであろう。rhALAD、rhPBGD 及びrhウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼの組合せ治療 rhPBGDコシンセターゼは、特定の患者にrhPBGD及びrhALADの双方と同時投与し
、有用なヘム生合成を回復することができる。 組合せ治療をここに記載する他の酵素及び他のポルフィリン症の治療に拡大す
ることは、この発明の範囲内である。
【0149】 実施例5 他のポルフィリン症の治療 AIP患者の(組換え)PBGDでの新たな治療と同様に、肝臓のポルフィリン症、例
えばALA欠損ポルフィリン症(ADP)、ポルフィリン晩発性ポルフィリン症(PCT)、
遺伝性コポルフィリン症(HCP)及び異型ポルフィリン症(VP)は、それぞれrhALAデ
ヒドラターゼ、rhウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ、rhコプロポルフ
ィリノーゲンオキシダーゼ及び rhプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼによ
る代用治療から利益を得ることができる。 先天性造血性ポルフィリン症(CEP)又は造血性プロトポルフィリン症(EPP)のよ
うな造血性ポルフィリン症の患者は、それぞれrhウロポルフィリノーゲンIIIシ
ンセターゼ及びrhフェロキラターゼでの代用治療から利益を得るであろう。 肝造血性ポルフィリン症、例えば肝造血性ポルフィリン症(HEP)は、rhウロポ
ルフィリノーゲンデカルボキシラーゼで治療することができる。 全てのポルフィリン症は、上記のヘム生合成経路のいずれかの8工程で活性を
欠くか、又は低減している(通常は50%)酵素の投与によって治療することができ
る。 酵素活性の代用は、欠いている酵素活性を生じる相当する組換え酵素又は他の
分子を加えることにより、達成することができる。酵素の組合せが有用な状況で
は、このような治療を上記と同様の方法で用いることができる。
【0150】 実施例6 ヒーラ細胞とNIH 3T3細胞におけるマウス由来のハウスキーピングポルフォビリ
ノーゲンデアミナーゼの発現 実験手法 組換えプラスミドpNGVL3-GTC1-PBGDの構築 健康なマウスの肝臓をホモジナイズし、全RNAを抽出した。マウスの白血病ウ
イルス由来逆転写酵素及びランダムプライミングを用いて、全RNAから相補DNAを
合成した(第一鎖cDNA 合成キット、Amersham Pharmacia Biotech)。PBGD cDNAハ
ウスキーピング形態を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でネスト型プライマーを用
いて増幅した。最初のプライマー対で、前進プライマーは 5'- GGAGTCATGTCCGGT
AACG −3'かつ後方プライマーは 5'- CAGACCAGTTAGCGCACATC −3'であった。第
二プライマー対で、前進プライマーは5'- CGCGGGGTCGACGCCACCATGTCCGGTAACGGCG
GC −3'で、最適な翻訳に必要な制限部位SalI 及びKozak部位を含み、後方プラ
イマーは5'- CCCGGGGGTACCTTAGCGCACATCATTAAG −3'で、KpnI制限部位を含んだ
。増幅したPBGDをSalI とKpnIで消化し、同じ制限酵素で消化したプラスミドpNG
VL3-GTC1に連結した。ベクターpNGVL3-GTC1 は、National Gene Vector Laborat
ory (University of Michigan)から得られるサイトメガロウイルス(CMV)プロモ
ーター及びカナマイシン耐性遺伝子を含む。大腸菌を組換えベクターで形質転換
し、形質転換した細菌を抗生物質カナマイシンで選択した。組換えプラスミドpN
GVL3-GTC1-PBGDを、選択したクローンから単離し、PBGD cDNA挿入断片を制限酵
素分析及びシーケンシングにより確認した。
【0151】 細胞培養 ヒーラ細胞とNIH 3T3細胞を、10%ウシ胎児血清及びゲンタマイシンを最終濃
度50ng/mlまで補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で維持した。 トランスフェクション トランスフェクション前に、細胞を3 cmの 6-ウェルプレートに100 000 細胞/
ウェルで接種し、60〜70%の融合まで、5%CO2を含むインキュベーターで+37℃
で24時間成長させた。各ウェルの細胞を以下のポリエチレンイミン(PEI)ベース
のトランスフェクションプロトコルにしたがってトランスフェクトした(最終容
量20μl): ・ 5 μlの1μg/μLプラスミド (pNGVL3-GTC1-PBGD、ハウスキーピング型
、又はpNGVL3-GTC1) ・ 7.6 μL H2O ・ 5μLの20%グルコース ・ 2.4μlの0.1 mol/L 25 kD PEI溶液
【0152】 全ての試薬を上記の順序で試験管に加え、完全に混合し、10分室温で放置する
。ウェルから200μl容量のDMEMを除き、20μlのトランスフェクション混合物と
混合し、ウェルに戻す。トランスフェクションから24時間後に、細胞をリン酸緩
衝液(PBS)で1回洗浄し、500μlの受動性溶解緩衝液(PLB)/ウェルで溶解し(PLBは
Promegaから入手される)、プレートを15分軌道シェーカーに置いた。細胞溶解物
を-20℃で冷凍機に保持した。 PBGD活性アッセイ PBGD活性アッセイは、幾らかの変更をして、Magnussen ら、Blood, 44 , 857-
868, 1974 にしたがう。細胞溶解物300μlを1.15 mL Tris-HCl 緩衝液(50 mmol/
L, pH 8.2)と混合した。50μlの3 mmol/L ポリフォビリノーゲン(PBG)を加えて
、反応を開始した。混合物を浸透しながらウォーターバス中で暗所で60分+37℃
で培養し、1.50 mLの25 % トリクロロ酢酸(TCA)を加えて反応を終了した。試料
をHeraeus Megafuge で10分3509gで遠心分離し、粒子と沈澱したタンパク質を
除き、上清を清潔な試験管に移した。試料を2.5時間暗所に置き、上清中の生成
物ウロポルフィリンIの 蛍光性を、励起波長405μm及び放射波長596μmで測定し
た。組織のブランクをアッセイに含めた。それは、ヒーラ細胞由来の細胞溶解物
であった。300μl用量の細胞溶解物を1.15 mL Tris-HCl緩衝液(50 mmol/L, pH 8
.2)と混合し、インキュベーション前に試料に1.5 mLの25 % TCAを加えることに
より、PBGDを沈澱させた。生成物の形成は見られなかった。 ウロポルフィリンIは、0〜33.3 ng/mLの濃度範囲で基準として用いた。正の対
照として2人の異なる急性間欠性(AIP)患者由来の血液試料を用いた。一方は赤血
球に極めて高いPBGD活性を有し(赤血球型)、他方は低いレベルであった。第三の
対照は、正常な健康な個体由来の赤血球におけるPBGD活性であった。
【0153】 タンパク質アッセイ 細胞溶解物中のタンパク質濃度は、色素-結合反応、Bio-Rad DC Protein Assa
yにより測定した。ウシ血清アルブミンは基準として用い、 Seronorm(登録商標)
タンパク質を対照とした。 結果 2つの異なる細胞系の基底活性を測定した(ヒーラで4回及び NIH 3T3で5回)。
各細胞系由来の3つの試料をpNGVL3-GTC1-PBGDでトランスフェクトし、それぞれ
由来の試料をPBGD挿入断片のないプラスミド pNGVL3-GTC1 でトランスフェクト
した。表19 は、PBGD活性分析及びタンパク質アッセイから得た結果を示してい
る。
【0154】
【表19】
【0155】 図23 及び24は、図にこれらの数を示している。ヒーラ細胞でのPBGDの発現は
、基底活性から475倍まで増加し、NIH 3T3細胞では11倍まで増加した。上記方法
によれは、PBGDの発現は、基底活性から少なくとも 100倍、例えば少なくとも 2
00倍、好ましくは300倍、より好ましくは400倍で増加することができ、例えばよ
り高い増加での約500倍ですら生じることができる。 NIH 3T3細胞での少なくとも 3倍、例えば少なくとも 6倍、好ましくは少なく
とも 10倍、例えば11倍の増加は、この方法にしたがって得ることができ、それ
はさらに増加し得ると考えられる。 実施例7 P-9808: 活性なヒト組み換え体ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(rhPBGD)を含
む抽出物を産生するための大腸菌及び下方流処理を用いる大規模な発酵処理の要
約及び方法 方法についての大部分の重要な事実を、以下の表20に要約する。
【0156】
【表20】
【0157】
【表20(続き)】
【0158】
【表20(続き)】
【0159】 rhPBGDの精製方法 序文 この明細書の目的は、粗rhPBGDの現在の精製方法の全体像を示すことである。
細胞抽出物は、10Lに充填した20Lのフレクスボディバッグに凍結したBioGaia AB
により供給される。融解後、精製は、ストリームライン(streamline )フェニルF
FセファロースでのHIC工程で開始し、DEAE FFセファロースでのIEC工程を続け、
最後にCibacrone Blue FF セファロースでのアフィニティ工程を用いる3段階で
達成される。 アフィニティ精製工程の主要なフラクションは、凍結前に調製緩衝液でダイア
フィルトレートする。
【0160】 工程1: HIC、ストリームラインフェニルFFセファロース Pharmacia BPG-200カラムを、ゲルで10,8 L(h=310 mm、直径200 mm)容量まで
充填する。流れは、0,5 L/minである。 粗抽出物(例えば50-100L)を室温で一晩融解し、次いで約20〜45LのK2HPO4(aq)
, pH 7,5を用いて、カラムへの充填直前に希釈する。 カラムを0,75 M K2HPO4(aq), pH 7,5で平衡化する。試料の充填及び 0,75 M K 2 HPO4(aq), pH 7,5での洗浄後、溶出を水を用いて行う。 主要なフラクション(23-28L、pH 7,2-7,8、導電率15-20 mS/cm)を冷却室で一
晩貯蔵する。
【0161】
【表】
【0162】 工程2: IEC、DEAE FFセファロース Pharmacia BPG-300カラムをゲルで12,5L容量(h=180 mm、直径300 mm)まで充填
する。流れは、0,5 L/minである。 工程1からの主要なフラクションを4-5 mS/cmの導電率まで水で希釈し(4-6 容
量の水)、2つに等分に分ける。工程2は、互いに以下にしたがって2回操作する:
カラムを10 mM K2HPO4(aq)、pH 7,5で平衡化する。試料をカラムに充填する。洗
浄は、まず10 mM K2HPO4(aq)、pH 7,5 (約2 カラム容量)、次いで10 mM K2HPO4(
aq)、6 Mウレア、pH 7,5 (ECPの除去目的には、約2カラム容量)で行う。 溶出は
、10 mM K2HPO4(aq)、100 mM KCl(aq)、pH 7,5で行う。カラムは10 mM K2HPO4(a
q)、1,5 M KCl(aq)、pH 7,5で洗浄する。工程2のそれぞれからの主要なフラクシ
ョン(20-25L, pH 7,2-8,0、導電率10-15 mS/cm)を貯留し、一晩冷却室に保存す
る。
【0163】
【表】
【0164】 工程3: アフィニティクロマトグラフィー、CIBACRONE BLUE FFセファロース Pharmacia BPG-300カラムをゲルで12,5L容量(h=180 mm、直径300 mm)まで充填
する。流れは、467 mL/minである。 2つの工程2の操作から貯留したフラクションを10 mM 容量のK2HPO4(aq), pH 7
,5で希釈する。カラムを10 mM K2HPO4(aq)、pH 7,5で平衡化する。試料を充填し
、10 mM K2HPO4(aq)、pH 7,5で洗浄後、カラムを10 mM K2HPO4(aq)、300 mM KCl
(aq)、pH 7,5で洗浄し、次いで 生成物を10 mM K2HPO4(aq)、450 mM KCl(aq)、p
H 7,5で溶出する。カラムを次いで10 mM K2HPO4(aq)、pH 7,5で洗浄する。 主要なフラクション(10-15L、pH 7,0-8,0、導電率約35 mS/cm)を、冷却室で一
晩保存する。 市場規模での活性なヒト組換え体ポリフォビリノーゲンデアミナーゼ(rhPBGD)
を含む無菌抽出物の生産のための大腸菌及び下方流処理を用いる発酵処理。活性
なバルク生成物の生産のための次の精製処理。
【0165】 研究目的 研究目的は、研究プロトコルの3.1章に述べ、以下に示している。 - 600L規模までのcGMP 大腸菌発酵処理及び細胞抽出処理の開発 - 処理中の分析試験、rhPBGD試験及び内訳についての開発及び定量化。処理中
の分析試験の確認 −結果、発酵収率が少なくとも 100 mgl-1 rhPBGD であり、
最終精製処理の収率が全体に50%であった。 - 確認及び許容基準用の小規模な試料を含む適当な許容される容器における、
活性なrhPBGDを含む凍結無菌大腸菌抽出物の、BioGaiaからBioInventへの配送。
- 無菌rhPBGD抽出物は、後述するように、組換えヒトポルフォビリノーゲンデ
アミナーゼ(rhPBGD)の精製用無菌抽出物についての内訳の基準に合致しなければ
ならない。
【0166】 組換えヒトポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(rhPBGD)の精製用無菌抽出物の内
訳 分析試験は、濾過抽出物について行う。 解説: 抽出物は、50 mMリン酸ナトリウム、1.3 mM EDTA, pH 7,4で緩衝剤処理
し、0,22 μmろ紙で濾過する。
【表】
【0167】 材料と方法 7.1 材料 この研究に用いた媒体/基質を後述する。 以下の表21-26に、最終的に開発された処理用の媒体組成を示す。最初から実
験PD14まで、基質 MM5YTc 中のチアミン濃度は1 mg/lにすぎなかったが、その後
実験PD16で開始して10 mg/lまで増加した。 1. M9H-Tc (6 mgl-1)、M9H-Amp (100 mgl-1) 及び M9H-Chl (25 mgl-1) 寒天プ
レート M9H-Tc (6 mgl-1)寒天プレートを接種方法に用いるが、M9H-Amp (100 mgl-1)
及び M9H-Chl (25 mgl-1)は株の同定の対照に用いた。
【0168】
【表21】
【0169】 M9H-Tc (6 mgl-1) 振盪フラスコ M9H-Tc (6 mgl-1) 振盪フラスコは、最初のバッチ実験と全実験の接種物調製
に用いた。
【0170】
【表22】
【0171】 MM5Y-Tc (6 mgl-1) 振盪フラスコ及び発酵媒体 MM5Y-Tc (6 mgl-1)媒体は、株PBGD-1を用いる全ての発酵に、株PBGD-2を用い
る際は方法のスケールアップで接種発酵槽に用いた。株PBGD-1 及び PBGD-2の双
方の振盪フラスコ培養は、この基質を用いて行った。
【0172】
【表23】
【0173】 MM20Y 発酵媒体 MM20Y発酵媒体は、バッチPD14を除いて、株PBGD-1を用いる主要な発酵の全て
で用いた。
【0174】
【表24】
【0175】 LB / TSA 寒天プレート LB 又はTSA 寒天プレートは、コロニー形成単位(CFU)の測定及びプラスミド安
定性制御における基準として用いた。
【0176】
【表25】
【0177】
【表26】
【0178】 7.2 方法 6.2.1 IIに用いた方法、研究室規模での発酵処理の開発 各培養/発酵を、超冷凍庫で-70℃未満に保存した、PBGD-1 (PDWS1:1-80) (7)
又はPBGD-2株(PDWS2:1-80) (7)いずれか用の介在セルバンク(ICB)の凍結バイア
ル由来物を用いて開始した。これらの凍結バイアル由来物を、滅菌プラチナルー
プを用いてM9H-Tc (6 mgl-1)寒天プレート(付表2、表1)に移した。これらのプレ
ートを次いでひっくりかえして23-33時間30℃で培養した。 250 mlの M9H-Tc (6 mgl-1) 基質又はMM5Y-Tc (6 mgl-1)基質を含む1Lのバッ
フル振盪フラスコ(付表2、表2及び3)を、実験デザインにしたがって1- 1 1/2 寒
天プレート由来のコロニーそれぞれを用いて接種した。移動は、滅菌プラチナル
ープを用いて、又は9.9mlの滅菌0.9%(w/v)NaCl溶液を含む試験管を介して、振
盪フラスコに直接行った。後者の場合、接種前に溶液を攪拌し、細胞の「ペレッ
ト」を適当に溶解する。
【0179】 実験デザインに応じて、M9H-Tc (6 mgl-1) 振盪フラスコを9-14時間エアイン
キュベーター中で135 rpmかつ30℃で培養した。これらの実験のインキュベーシ
ョンの最後のOD620は、0,8-1,8のあいだであった。実験がM9H-Tc (6 mgl-1) 又
はMM5Y-Tc (6 mgl-1)基質のいずれかでの振盪フラスコ培養のみを伴う場合、培
養時間は12-55 hにわたり、最終OD620は0,3-4,0であった。 実験デザイン及びその後の下方流処理の進行に必要な容量に応じて、3つの異
なる発酵槽(2 L、14 L 及び20 L)を用いた。発酵はM9H-Tc (6 mgl-1) 振盪フラ
スコ由来培養液250-500 mlを用いて培養し、これを発酵槽中の種々の基質及び容
量と組合わせて、接種後のOD620が 0,05-2,0の範囲になるようにした。初期グル
コース濃度は常に10 gl-1であったので、これにより、バッチ相は8,5-15,2 hの
長さとした。初期グルコースが消費されたら(バッチ相の最後)、種々のグルコー
ス供給プロフィルを研究し、発酵を制御する。研究室規模の発酵の進行中の一般
的な発酵条件を以下の表1に示す。
【0180】
【表27】
【0181】 7.2.2 IIIに用いた方法、発酵規模のスケールアップ 7.2.2.1 模擬的な大規模発酵 模擬的な大規模発酵で、余分の9 L接種発酵を主要な発酵前に行い、全処理に
余分の5-6世代を導入する。接種発酵及び主要発酵を同じ発酵槽で行った。M9H-T
c (6 mgl-1)寒天プレート及び 250 mlのM9H-Tc (6 mgl-1)基質を含む1L振盪フラ
スコでの接種物の調製手法は、6.2.1章と同じようにした。9 L MM5Y-Tc (6 mgl- 1 ) 基質(付表2、表3)を含む接種発酵槽を2つの振盪フラスコからの培養液500 ml
で接種し、初期OD620を0,1-0,2とした。OD620が9Lの接種発酵槽中で7- 8に達し
たら(9,5-13,0 h)、培養液130-150 mlを回収し、0-8℃に冷却した。回収した培
養液の容量を算出し、主要な発行槽において初期OD620を0,1-0,2とした。発酵槽
中の残りの培養液を除き、発酵槽を7Lの滅菌水で一度洗浄し、7Lの滅菌MM20Y基
質(付表2、表4)を発酵槽に移した。発酵槽を適当な発酵条件に達しさせ、発酵槽
を保存した冷培養液で接種した。この手法は、約1.5時間を要した。接種後、最
近開発された研究室規模の方法にしたがって発酵を行った。
【0182】 7.2.2.2 850 Lの発酵のスケールアップ 4つのM9H-Tc (6 mgl-1)寒天プレートを、株PBGD-2の凍結バイアル由来物を用
いて接種し、30℃で23,2-27,2時間培養した。2つの1 L振盪フラスコ(それぞれ25
0 mlの M9H-Tc (6 mgl-1)基質を含む)を、1 1/2寒天プレート由来の成長物を用
いて接種した。振盪フラスコを、エアインキュベータで30℃かつ135 rpmで12-13
,2時間培養した。2つの振盪フラスコ由来の培養液を、発酵槽への滅菌移動に適
した連結を有する滅菌ボトルに貯留した。次に、9 L MM5Y-Tc (6 mgl-1)基質を
含む14Lの発酵槽を、OD620 1.7の培養液500 mlを用いて接種した。14 Lの接種発
酵槽の条件を、以下の表28に要約する。
【0183】
【表28】
【0184】 8.5〜9.2時間後に14 L発酵槽中の OD620が7,4〜8,6に達したら、 培養液を、8
50 Lの MM20Y基質を含む1500Lの発酵槽に移すのに適した滅菌プラスチック容器
に移した。1500Lの発酵槽の初期OD620は、0,17-0,18であった。研究室規模の進
行及び模擬的な大規模発酵に基づいて、以下の発酵ストラテジを850 L発酵に仮
定した。初期10 gl-1 グルコースを消費したら(グルコース濃度< 0,5 gl-1)、
グルコース供給(600 gl-1)プロフィルを増しながら、ステップワイズを開始した
(供給開始後から0-7時間後3,0 lh-1、供給開始から7-14時間後6,0 lh-1 及び最
後に、残りの発酵について9,0 lh-1まで増加)。2M MgSO4 x 7H2O供給の一定供給
(490 mlh-1)は、グルコース供給と同時に開始した。1500 L 発酵槽における発酵
条件を以下の表29に要約する。
【0185】
【表29】
【0186】 7.2.3 IVで用いる方法、下方流処理の進行及びスケールアップ 7.2.3.1 下方流の処理 下方流処理の研究室規模の進行のあいだ、培養液1-15 Lを処理した(PD07-PD22
)。培養液300 L(PD1501 及びPD1502)の処理に対する20倍のスケールアップは、
毒性研究及び臨床研究のための物質を調製するために行った。 7.2. 3.2 細胞濃縮 全実験で、クロスフローメンブレン、次いで基質の90-95%を交換する緩衝液
を用いるダイアフィルトレーション(洗浄)により、培養液を1,5-6,9倍に濃縮し
た。透過-フラックス(つまり、膜をとおした流速)を、透過ポンプを用いて7-15
lm-2 h-1 に制御した。実験に用いたろ紙は、0,2μm Sartocon ろ紙(Sartorius)
及び1000 K Biomaxろ紙、v-screen (Millipore)、(表30)であった。
【0187】
【表30】
【0188】 濃縮後、細胞濃縮物を、濃縮に用いたのと同じろ紙及びパラメータを用いる緩
衝液でダイアフィルトレートした。試験した種々の緩衝液を下記の表5に示す。
膜濾過は、研究室規模で環境温度で行い、スケールアップ中15-25℃に制御した
【0189】
【表31】
【0190】 7.2.3.3 均質化 濃縮し洗浄した細胞を、研究室ホモジナイザー(Niro Soavi Panda (10 lh-1))
又は生産規模ホモジナイザー(Rannie Type LAB 10-51 VH (100 lh-1), APV)を用
いて均質化した。試験条件は、環境温度で600-1000 bar、 1-3 パッセージであ
った。パッセージ間の温度は、生産規模で15-25℃に設定した。以下の表32は、
各実験に用いた条件を要約している。ホモジネートは、rhPBGD-活性及びタンパ
ク質濃縮について分析した(方法 E001 及び P001)。
【0191】
【表32】
【0192】 7.2.3.4 膜濾過による細胞残がいの除去 膜濾過で細胞の残がいを除く前に、細胞濃縮工程に用いたのと同じ緩衝液で、
ホモジネートを2-3倍に希釈した。 細胞残がいの除去に試験したろ紙は、0,2μm Sartoconfilter、1000 K Biomax
ろ紙(v-screen)及び500 K Biomax filter (v-Screen)であった。ホモジネートを
1,5-2,5倍に濃縮し、ダイアフィルトレートし、下記の表33に示す緩衝液を用い
てrhPBGD について80-99 % の理論収量を得た。理論収量は、ろ紙の表面とrhPBG
D間に相互作用がない(つまり100 %透過)との仮定に基づいて算出される収量であ
る(算出は示していない)。実際は、多くの相互作用 (例えばフォールディング、
静電気力)があるので、現実の収量は当然により低い。理論収量は、種々の濾過
操作の結果を比較し得る手段として主に用いられる。
【0193】
【表33】
【0194】 膜濾過中の透過-フラックスは、透過ポンプを用いて7-15 lm-2 h-1に制御した
。攪拌した保持タンク中の抽出物の酸化を妨げるために、窒素流を透過表面にわ
たってフラッシュした(PD1502のみ)。膜濾過を研究室規模で環境温度で行い、生
産規模で15-25℃に制御した。透過は、rhPBGD活性、タンパク質濃度及びSDS-Pag
eでアッセイした(方法: E001、P001 及び S001)。 7.2.3.5 遠心分離による細胞残がいの除去 細胞残がいの除去方法の進行中、遠心分離を研究室規模で最初に用い、別の下
方流実験用の物質を製造した。均質化した物質をSorvall 遠心分離器(Beckman)
で10 000 x g で20 分遠心分離した。上清を回収し、保存し、rhPBGD-活性、タ
ンパク質濃度及びSDS-Pageについてアッセイした(方法: E001, P001 及びS001)
。 7.2.3.6 最終濾過 膜濾過したホモジネートからの透過及び遠心分離したホモジネートからの上清
を、オートクレーブした容器に、0,22μm 保持ろ紙(Sartobran又はDurapore)を
介してそれぞれろ過した。ろ紙を完全に試験し、CFU、rhPBGD-活性、タンパク質
濃度及びSDS-Pageについて抽出物をアッセイした(方法: K-M50、E001、P001及び
S001)。
【0195】 7.2.3.7 安定性研究、rhPBGD-活性 種々のバッチPD22 及びPD1501から膜濾過した抽出物を、数ヶ月-20℃で維持し
た。1回使用のアリコートを冷凍庫から従来どおり取り出し、rhPBGD-活性を測定
し、時間中プロットした(方法: E001)。 7.3.1 分析方法 分析用の非分解細胞の調製、方法K-M45 分析用の細胞は、方法K-M45にしたがって調製し、溶解した。方法は、主にPiete
r Jan Oort, Icogen (4)によって成された報告に基づいている。 試料(10 ml)を10分7700 x gで遠心分離した。上清を注ぎ、ペレットを5 mlの2
5 mMリン酸ナトリウム、0,9 % NaCl、pH 7,4に再懸濁した。新たな細胞懸濁液を
さらに10 分7700 x gで遠心分離し、ペレットを50 mM リン酸ナトリウム、1,34
mM EDTA, pH 7,4に再懸濁した。この細胞懸濁液を、Soniprep 150 Sonicator で
3 x 45秒超音波処理し、次いで10分7700 x gで遠心分離した。上清を保存し、容
量を測定した。ペレットは、50 mM リン酸ナトリウム、1,34 mM EDTA, pH 7,4で
1回以上再懸濁し、3 x 45秒再超音波処理し、7700 x gで10分遠心分離した。上
清の容量を測定し、最初の上清とともに貯留した。最後に、全タンパク質濃度及
びrhPBGD活性を、それぞれ方法 P 001 及び E 001にしたがって分析した。これ
らの分析から、rhPBGDの比活性を算出した。
【0196】 ポリフォビリノーゲンデアミナーゼ、rhPBGDアッセイ、方法E001 rhPBGD-活性は、方法E001にしたがって測定した。方法は、Jordanら (1988, 1
997) (1) 及ヒ゛ (6)に発表される方法に基づく。 タンパク質測定、方法P001 タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce)を用いる方法P001
により測定した。ウシ血清アルブミンを、参考基準として用いた (Pierce Instr
uctions, 1997) (5)。 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、方法S001 rhPBGDは、方法S001にしたがってNovex NuPAGE ゲルでのSDS-PAGEにより分析
した。NuPAGE 4-12 % ゲルでの電気泳動システムを分析に用いた(Novex, 1997,
Laemmli 1970) (2)
【0197】 7.A.I 方法の開始 最終的な株は、研究開始時(1/2/99)には Icogen Inc.により十分に開発されて
いなかった。したがって、開発は、PBGD-1と称される介在株、発現プラスミドpE
xp1-M2-BB (8)を含む遺伝子型endA thi rpsL sbcB15 hsdR4 Δ(lac-proAB) [F't
raD36 proAB lacIq Δ(lacZ)M15 ]を有する大腸菌K12宿主株JM105を用いて開始
した。最終的な株PBGD-2を誘導する際に、介在株PBGD-1についてこれまでに開発
された方法をこの株について実施した。PBGD-1 及び 2 の株はいずれもrhPBGDを
エンコードする発現プラスミドpExp1-M2-BBを含み、株間の相違点はhem C遺伝子
(内因性PBGDをエンコードする)がPBGD-2株で欠失しており、rhPBGDの精製が容易
であることのみである。株の遺伝子型及び寒天プレートについての情報及びIcog
enからの振盪フラスコ培養は、BioGaia Fermentationでの最初の実験の基礎とな
った。HemeBiotechでの製品及び論議は、設定された分析方法の基礎となった。
【0198】 7.A II. 研究室規模の発酵の進行 発酵処理の進行についての全体的なストラテジを以下のとおり概説した。接種
工程での最少培地の使用は宿主の安定性を容易にするはずであり、酵母抽出物及
びペプトンで補足した最少培地は主要な発酵における成長と生産を容易にするは
ずである。高い細胞密度に達するために、濃縮したグルコース供給を用いて、供
給相で成長速度を制御する。発現プラスミドpExp1-M2-BBにおいて、rop遺伝子は
欠失している(8)。これは、rhPBGDの発現が温度制御され得ることを意味してい
る。最初に、発酵温度30℃で開始することが決定された。これは、温度の誘導を
用いなかったことを意味している。この温度での生産性が不十分であれば、生産
性を増すためには温度を37℃又は42℃に上げてもよい。オキシテトラサイクリン
を選択圧として選択した。しかし、プラスミド安定性に関して可能であれば、主
要な発酵は、選択圧を全く用いずに行われるべきである。
【0199】 7.A.1 初期バッチ実験 研究は1/2/99に開始し、介在株PBGD-1は4/2/99に誘導した。最初の M9H-Tc (6
mgl-1)(付表2、表2)振盪フラスコ培養(PD03)は、Icogen Incによって推奨され
るM9H-Tc (6 mgl-1)接種培地での成長を研究するために行った。MM5Y-Tc (6 mgl -1 )と称される発酵媒体は、他の組換え大腸菌発酵からの方法を知っているBioGa
ia Fermentationsに基づいて設計した。この媒体は、振盪フラスコ培養(PD04)で
最初に試験し、その後、2つの媒体変異体を用いて2つの1Lバッチ発酵(PD05 及び
PD06)を行った。PD06は、トリプトンが成長を促進するかどうかを研究するため
に、2 gl-1 トリプトンを補足したMM5Y-Tc (6 mgl-1) 基質(表8)中で行った。 バッチ培養では、栄養素が涸渇するか又は毒性生成物が蓄積されるまで、比較
的数世代間、指数的生長が持続する。このため、成長はゆっくりと始まり、その
後、微生物が定常期に入り、安定状態の細胞数が達せられる。
【0200】 これらのバッチ実験全てで、初期グルコース濃度は10 gl-1であった。後述の
パラメータを分析又は算出した。結果を以下の表34に要約する。 最大成長速度(μmax) dX / dt = μ x X (ここでX = 細胞乾燥重量) 光学密度 (OD620) 細胞懸濁液の光学密度は、細胞を通過する光伝達によって測定した。吸光
度は、基準として水を用いて620 nmで測定した。 細胞乾燥重量(Dw) 細胞乾燥重量は、外来性物質から洗浄され、オーブンで乾燥され、次い
で計量された細胞懸濁液中の既知の容量から測定する。 コロニー形成単位(CFU) CFU技術は、LB又はTSA寒天培地上における懸濁液からの微生物の成長を
伴う(付表2、表 5及び6)。1つの微生物が寒天培地上で分裂したら、肉眼で認め
られる細胞コロニーが形成される。 グルコース濃度 YSI 2000装置での酵素分析
【0201】
【表34】
【0202】 振盪フラスコ培養において、成長は、グルコースが消費される前に止める。成
長速度とOD620、Dw 及び CFUについての定常期値は、制御された発酵より低かっ
た。その理由は、振盪フラスコ培養中の酢酸の形成によって培養液中のpHが低下
するためである(pH は制御されなかった)。「リッチ」な発酵媒体MM5Y-Tcにおけ
る振盪フラスコ培養により、M9H-Tc 媒体での振盪フラスコ培養と比較して、よ
り高い定常期値に成長することができた。発酵では、pHの低下のためではなく、
グルコースが涸渇したために成長が止まる。これは、pHが7.0で制御されたため
である。発酵PD05及びPD06の比較は、2 gl-1ペプトンのMM5Y-Tc媒体への添加は
成長速度に積極的な影響を及ぼさなかったことを示している(付表3、図1)。した
がって、ペプトンを加えないで、MM5Y-Tc媒体を用いることを決定した。 振盪フラスコ実験でOD620、Dw 及び CFUがあまり相関していないことは、以下
の事実の組合せによって説明し得る。乾燥重量の測定は、そのような低い細胞密
度で実施しにくく、細胞の生存能力(CFU)は、培養条件があまり制御されないた
めに、極めて多岐にわたっている。生存能力は、複雑な方法で多くのパラメータ
によって影響されるパラメータであり、このために、特に細胞密度の低い非制御
振盪フラスコでは、OD620、Dw 及び CFU 間の相関関係を良好にすることが極め
て難しい。
【0203】 最終的な解説: PBGD-1株は、M9H-Tc (6 mgl-1)又はMM5Y-Tc (6 mgl-1)基質を用
いる振盪フラスコ中で同じ成長速度(0,3 h-1)を有する。MM5Y-Tc (6 mgl-1)基質
の成長速度は、株が発酵槽中、制御条件下で成長する際に0,4 h-1まで増加する
。MM5Y-Tc (6 mgl-1)基質は、少なくとも、それぞれ約10 及び4 gl-1の OD620
ならびにDwまで成長を補足する。 7.A.2 供給バッチ発酵 7.A.2.1 PBGD-1株を用いる供給バッチ発酵 最初のバッチ実験中の幾つかの一般的な株の特徴について知見を得た後、次の
工程を供給バッチ発酵に進め、より高い細胞密度と生成物濃度に達しさせる。供
給バッチ発酵において、制限となる基質の濃縮供給を、呼吸及び熱放出が処理を
意図されている発酵槽の能力を確実に超えない速度で発酵槽に供給する。つまり
、いずれかの他の基質成分が涸渇するか、又は生成物の蓄積による毒性が成長を
制限するまで、成長は進み、定常期が回避される。最終的には、(バイオマスの
増加による)制限基質の飢餓の増加が、発酵がいずれにせよ定常期に達すること
を意味する。しかし、これは、バッチ相よりもかなり高い細胞密度で生じる。こ
の研究で、定常期は供給バッチ発酵では達成されない。したがって、ここで、代
わりに最終的な値に言及する。
【0204】 ストラテジは、最初10 gl-1のグルコースが0.5 gl-1未満に低下した際に、濃
縮グルコース供給(600 gl-1)を開始することであった。3つの供給バッチ発酵は
、BioGaia Fermentations1500 L生産発酵槽での酸素の移動に適合し、培養液中
でグルコースの蓄積を生じないグルコース供給プロフィルを確立するために行っ
た。グルコースの蓄積は、培養液中の実際の時間のグルコース測定に対する低い
方の検出限界であったので、>0,1 gl-1グルコースをグルコース濃度として定義
した。酵母抽出物中の種々の化合物が細胞によって利用されるために成長相度が
変わる際、グルコースの蓄積が生じる。成長速度の一時的な低下は、グルコース
供給速度が以前のより高い成長速度に基づいていいる場合に、グルコースの蓄積
をもたらす。グルコースが培養液中で蓄積すると、代謝が充満するために酢酸の
生産が生じると考えられる。これは、低い収率を意味するが、より重要なことに
は、これは、酢酸蓄積の結果として成長阻害を引き起こし得る。つまり、供給プ
ロフィルは株の実際の成長プロフィルにしたがって調製される必要がある。PBGD
-1株を用いて行われる3つの供給バッチ発酵を以下の表35に要約する。発酵時間
に対するrhPBGDの成長と生産のグラフを図26及び図27に示す。
【0205】
【表35】
【0206】 発酵PD09での目的は、75 mlh-1 の一定のグルコース供給(600 gl-1)を用いて
、高い細胞密度と良好なrhPBGDの生産に達することだった。不幸にも、実際上の
制限により、バッチ相中には全く測定できなかった。しかし、供給バッチ相中の
呼吸(データ示さず)は、グルコース供給速度に比較して低いと考えられ、したが
ってグルコースの蓄積が生じた可能性があった。 ストラテジは、発酵PD11で同じ一定のグルコース供給速度(75 mlh-1)を使用し
、グルコースが確実に蓄積しないように1時間ごとにグルコース濃度をモニター
することであった。グルコース分析により、供給開始後(13,9 h)に直接グルコー
スの蓄積(3,4 gl-1)が示され、このため、細胞が過剰なグルコースを消費するま
で、グルコースの供給を停止した。グルコース濃度が0,1 gl-1 未満に低下した
ら(16,1 h)、グルコースの供給を再度、しかし、より低い供給速度(43 mlh-1)で
開始した。グルコース供給速度は、72 mlh-1の最終的な供給速度に達するまで、
グルコースを蓄積させずに段階的に増した。
【0207】 PD11からの実験に基づいて、より低い一定供給速度(40 mlh-1) でグルコース
の供給(600 gl-1)を開始し、供給開始後に、直接グルコースの蓄積を回避するこ
とを決定した。4時間後、グルコース供給速度が75 mlh-1に増加されるはずであ
る。初期グルコース供給速度がより低いにもかかわらず、グルコース供給開始時
(13,1 h)にゆっくりとしたグルコースの蓄積が生じた。オペレーターの誤りのた
めに、供給速度は減速せず、計画に従って17.5時間後でも増加した。オペレータ
ーが誤りに気が付いてすぐに、グルコースの供給速度を低下させ(18,2 h)、19,2
時間後に止めた。23,3時間後にグルコースの供給を75 ml/hで開始したが、グル
コースの蓄積を避けるため、1時間後に28 mlh-1まで低下しなければならなかっ
た。グルコースの供給は、次いで残りの発酵のために28 mlh-1で維持した。 表35から、異なるグルコース供給プロフィルは発酵の結果を決定していること
が分かる。予期されたように、最終的な OD620とDwの値は、発酵槽に加えたグル
コース全量に極めて相関している。また、生活力のある細胞の数(CFU)は複雑な
方法で発酵条件によって影響を及ぼされることが分かる。生活力のある細胞の数
は、OD620とDwの双方の値がPD11で約50%高くても、PD12よりもPD11で低い。PD1
1とPD12でのrhPBGD発現の相違も説明し難いが、これは、rhPBGDの生産が、細胞
密度に関連しているのみならず、細胞の生理状態に依存していることを示してい
る。
【0208】 最終的な解説: 発酵媒体 MM5Y-Tc (6 mgl-1)は、OD620とDwの値がそれぞれ約80
及び30 gl-1までの成長を補足した。rhPBGDの発現レベルは、発酵段階のこの時
点で許容されるレベルに既に達していた。最初のバッチ相の後、グルコース供給
の初期供給速度(600 gl-1)が40 mlh-1未満であり、グルコースの蓄積を生じなこ
とを見出す必要があった。 7.A.2.2 PBGD-2株を用いる供給バッチ発酵 最終的な株PBGD-2は、PBGD-1株と同じく、rhPBGDをエンコードする発現プラス
ミドpExp1-M2-BBを有するが、宿主細胞はhemC遺伝子を欠失しており、rhPBGD精
製を促進する。PBGD-1株と比較したPBGD-2株の特性上の相違についての報告があ
るので、ストラテジは、これまでにPBGD-1株について開発された方法でこの株を
実施することであった。1つの相違は、新しい接種方法が最初のバッチ相の省略
化に導入されたことであった。主要発酵槽は、10時間培養した250mlの代わりに
、12時間培養した2つの振盪フラスコ250mlからの培養液500mlを用いて接種した
。3つの供給バッチ発酵を行い、発酵基質を調製し、グルコース供給プロフィル
を新しい株に調整した。これらの発酵の結果を表36に要約する。発酵時間に対す
るrhPBGD の成長と生産のグラフを図28及び図29に示す。
【0209】
【表36】
【0210】 PD12からの結果に基づいて、グルコース供給プロフィルを増すステップワイズ
を実施し(供給開始から0-4時間後25 mlh-1、供給開始から4-8時間後50 mlh-1
、最後に残りの発酵について75 mlh-1)、発酵PD14でのグルコースの蓄積を回避
することを決定した。しかし、バッチ相の最後のあいだ、成長速度の劇的な低下
(OD620、pO2(溶存酸素応力)、CO2 及びO2傾向によって認められる)が認められた
(データ示さず)。グルコース分析は、グルコースの制限がなかったことを示した
ので(グルコース濃度は5,7-0,7 gl-1)、初期の酵母抽出物又はチアミンは涸渇し
たことが仮定された。14,5時間後、酵母抽出物35 gとチアミン21 mgが添加され
、再度成長した。したがって、この試験により、仮定した仮説が確認された。16
時間後、成長において別の低下が認められ、酵母抽出物35 gとチアミン21 mgの
二回目の添加が行われた(20,3 h)。再度、成長させ、成長が低下する弱い傾向が
再度認められるまで、24時間続行した。成長パターンはこの段階で解釈難しかっ
たので、酵母抽出物4gのみを添加の応答の研究に加えた。明らかな反応がなかっ
たので、残りの発酵中により多くの添加が必要だったが添加しなかった。グルコ
ースの蓄積を避けるため、酵母抽出物及び/又はチアミンの涸渇により、意図し
たグルコース供給プロフィルを変更する必要があった。
【0211】 発酵PD14からの結果に基づいて、新しい発酵基質MM20Y-Tc (付表2、表 4)をデ
ザインし、発酵PD16での酵母抽出物又はチアミンの涸渇を避ける。新しい基質で
、酵母抽出物及びチアミンの濃度は、それぞれ5 gl-1 及び 1 mgl-1 を20 gl-1
及び10 mgl-1まで増した。主要発酵槽で選択圧としてオキシテトラサイクリンの
ない場合のプラスミド安定性及びrhPBGDの生産は、PD16でも試験した。しかし、
接種振盪フラスコ中のオキシテトラサイクリン濃度(6 mgl-1)は、初期実験と同
様に維持された。新しいMM20Y基質への変更は、全発酵中に滑らかな成長パター
ンを生じた。発酵PD14について最初に計画したのと同じグルコース供給プロフィ
ルを維持することを意図した。このため、グルコース供給を10.8時間後に25 mlh -1 で開始した。15時間後にグルコース供給速度が50 mlh-1に増すと、グルコース
が培地に蓄積し始めた。グルコース供給速度を16時間後に低下し(0,7 g/l)、17
時間後に停止した。これは、培養液中のグルコース濃度が依然として増加したた
めである(1,8 gl-1)。18時間後に、蓄積したグルコースが消費されたら(< 0,1 g
l-1)、グルコース供給を50 mlh-1で開始し、再度グルコースの蓄積を認めた(0,3
gl-1)。供給速度をここで低下させ、過剰なグルコースが消費され、グルコース
を蓄積することなく安定な状況が確立されるまで、34 mlh-1で維持した。最後に
、グルコース供給速度を、上記の表36にしたがって75 mlh-1の最終値まで段階的
に増した。
【0212】 PD16で認められるグルコースの蓄積を回避するために、グルコース供給プロフ
ィルをPD19について、供給開始から0-7時間後 25 mlh-1、供給開始から7-14時間
後50 mlh-1、残りの発酵中75 mlh-1に変更した。PD16においてプラスミドの損失
の徴候又はrhPBGD生産の低下がなかったので、実験PD19でも主要発酵槽からオキ
シテトラサイクリンを除くことを決定した。 PD19で、新しいグルコース供給プロフィルはグルコース蓄積を全く生じなかっ
た。したがって、計画したグルコースプロフィルで変更は必要なかった。PD16で
プラスミドの損失が認められなかったので、rhPBGD生産がPD16でより高い値に達
した。また、これらの発酵で、最終的なOD620値は、発酵槽に添加したグルコー
スの全量に極めて相関している。測定エラーにより、乾燥重量測定の結果は比較
できない。生活力のある細胞数(CFU)は、新たな基質組成MM20Yに変更する際に大
きく改善され、PD16とPD19とでかなり良好な再現性を示す。rhPBGD生産に明らか
な傾向はないが、rhPBGDの生産は、細胞密度の増加及び発酵 PD16及びPD19での
生活力の双方によって積極的に影響を及ぼされる傾向にあると考えられる。
【0213】 最終的な解説: 発酵媒体 MM5Y-Tc (6 mgl-1)は、PBGD-1株を用いて達せられたOD 620 及びDw値まで株PBGD-2を補足できなかった。酵母抽出物及びチアミンの濃度
増加を伴う新たにデザインされた発酵媒体MM20Yは、それぞれ約90及び30gl-1のO
D620 及びDwまで成長を補足できた。rhPBGDの発現は、これらの発酵で極めて良
好なレベルであった。初期バッチ相の後、7L発酵に対する最終的なグルコース供
給(600 gl-1)プロフィルは、以下のようにデザインした:供給開始から0-7時間後
25 mlh-1 、供給開始から7-14時間後50 mlh-1及び供給開始から14-21時間後75
mlh-1 。主要発酵槽における選択圧としてオキシテトラサイクリンを除いた際に
は、プラスミドの安定性及びrhPBGD発現に負の影響がなかった。
【0214】 7.A.3 III. 発酵のスケールアップ 開発のスケールアップ部分を2つの部分に分けた。最初の模擬的な大規模発酵
は、研究室発酵で行い、プラスミドの安定性と生成物の量に対する世代数の増加
の影響を研究した。これらの試験は、プラスミド安定性と生成物の量に対する発
酵規模の増大による影響を研究するため、実際の850L発酵槽で追行した。 BioGaia Fermentations 1500 L生産発酵は、1つの14L発酵槽からの培養液を用
いて通常どおり接種した。発酵PD14-PD19を模倣するために、接種後のOD620
約0,1であるべきである。14L発酵槽で9Lの作動容量を用いる際、850Lで同じ接種
条件を達成するのに必要な最終的なOD620 は以下のように算出できる OD620 x 9 L = 0,1 x 850 L → OD620 = 9,4
【0215】 OD620 が約1.0の培養液500ml (2つの1L振盪フラスコ)を有する基質9Lを含む14
Lの発酵槽を接種し、約0.1-0.2の初期OD620 を生じる。成長速度0,4 h-1 で、約
9のOD620 に達するには9-11 h要するであろう。成長速度0,4 h-1は1,7 h の世代
時間に等しいので(ln2/0,4)、これは初期の研究室規模の発酵に比較して5-6個余
分な世代に相当する。 処理全体の種々の工程における世代数の見積りを以下の表11に示す。余分な接
種発酵は、15-25%で処理中の全世代数を増し、その増加はプラスミドの安定性
と生成物の量に影響する。
【0216】
【表37】
【0217】 7.A.3.1 模擬的な大規模発酵の結果 2つの理由のために、接種発酵槽中でリッチな基質MM5Y-Tc (6 mgl-1)を使用す
ることを決定した。第1の理由は、0,3 h-1〜0,4 h-1の生長速度の増加は、約5時
間工程時間を減少するであろうことであった。第2の理由は、M9H-Tc (6 mgl-1)
基質が、7〜10 の範囲のOD620 値まで成長を支持できるかどうかが不明であると
いことであった。下記の表38は、模擬的な大規模発酵の結果を開発した研究室規
模の処理と比較している。時間に対する成長及びrhPBGDの産生を図30及び31に示
す。
【0218】
【表38】
【0219】
【表38(続き)】
【0220】 発酵物に添加したグルコース量(容量の相違に合わせて調節した場合)と最終的
なDw 及びOD620値とには、依然としてかなり良好な相関関係が存在した。発酵PD
21及びPD22の結果をPD19と比較した場合、測定された全てのパラメーターに非常
に良好な再現性がみられる。PD19以降、最終的なグルコースの供給プロフィルを
固定した際に、CFU値における再現性が極めて改善された。これは現在、発酵中
の条件がより制御され、類似しているためである。rhPBGDの発現レベル及びプラ
スミドの安定性は、非常によい。SDS Pageアッセイに基づくと、PD19と比較した
場合、PD21及びPD22から産生されたrhPBGDには相違が全く見られなかった。 最終的な解説: 接種手順に導入した5〜6のさらなる世代は、成長パターン、生産
性又は産生されたrhPBGDの質に全く影響しない。発酵工程は、常に再現性である
と思われる。
【0221】 7.A.3.2 850 Lスケールアップ発酵 模擬的な大規模発酵の概要に従って、2スケールアップ発酵を行った。唯一の
相違は、接種発酵槽からの9 Lの培養液全てを接種に使用し、模擬的な大規模発
酵のようにを0〜8℃で約1.5時間貯蔵する代わりに、培養液を接種に直接用いた
点である。スケールアップの発酵の結果を表39に要約する。時間に対する成長及
びrhPBGDの産生は図32に示す。
【0222】
【表39】
【0223】 下流処理でバッチPD1501と類似した条件を得るために、発酵PD1501の最終値に
近いOD620で発酵を止めることを決定した。従って、30時間の代わりに28時間後、
PD1502を止めた。 成長パターンにおけるこの種の相違に関する一般的な説明は、
同じ製造業者からでさえも、酵母抽出物の異なるバッチで本質的に相違する。 PD1501及びPD1502の発酵とPD19とを比較した場合、CFU値以外の測定された全
てのパラメーターに非常に良好な再現性がみられる。発酵量が増加する (即ち、
研究室規模の発酵における均質な混合条件から、細胞が常に彷徨(fluctuate)条
件にあう不均質な産生発酵槽に変える)場合、生活力のある細胞の量が劇的に増
すと思われる。これは他の発酵工程についても報告された現象であるが、他方で
逆の例も存在する。細胞の生存群は複雑な方法で多くのパラメーターによって影
響され、この研究中に行われたこれらの非常に限定された実験に基づく変化を説
明することはできない。SDS Pageゲル上でパターンに変化がないということは、
産生されたrhPBGDの質におけるあらゆる変化を示した。PD22 (13 L)、PD1501(850
L)及びPF1502 (850 L)のSDS-Pageゲルの比較を、図34に示す。また、プラスミ
ドの安定性及びrhPBGD の産生性は、規模の増加に影響されなかった。 最終的な解説: 7〜13 Lの研究室発酵からの850 L産生発酵のスケールアップは、
成長パターン、産生性又は産生されたrhPBGD の質に全く影響しない。研究室規
模と大規模発酵とを比較した場合でも、開発された工程は非常に再現性がある。
【0224】 7.A.4 IVの結果、下流処理の開発及びスケールアップ 7.A.4.1 細胞の濃縮 一連の実験で、培養液を1,9〜6,9 倍に濃縮した。より低い濃縮係数は、膜表
面の目詰まりを伴う問題をもたらした。最適な濃縮係数はほぼ2であった。そのよ
うな低い濃縮因子は、ダイアフィルトレーションに多量の緩衝液を要する。ダイ
アフィルトレーションの容量は、培養液中のおよそ90%の基質を交換するために
少なくとも2倍の濃度でなければならない。異なる緩衝液を用いたダイアフィル
トレーションの結果に相違は見られなかった(表31)。 最終的な解説: 1000 Kのろ紙を細胞残がい除去に選択したため(7.4.3参照)、同
じろ紙を、産生規模をスケールアップする場合、実用的な理由のために細胞濃縮
に用いた。次いで、培養液を、50 mMのリン酸ナトリウム、1,34 mMのEDTA、pH 7,4
からなる緩衝液で2回濃縮した容量のダイアフィルトレーションの容量によって
、約2回濃縮した。透過-フラックスを15 l m-2h-1 に設定し、温度を15〜25℃に
調節した(PD1501〜PD1502)。
【0225】 7.A.4.2 均質化 異なる圧力及びパッセージ数を用いるタンパク質の濃度及びrhPBGD-活性に著
しい相違はなかった。しかしながら、800barで3パッセージ後、細胞崩壊は、粘
性に基づいて最適であると考えられ、結果として細胞残がい除去した。1パッセ
ージ後、非フラグメント化ゲノムDNAが存在するため、ホモジネートは非常に高
い粘性であった。DNAをより小さな部分に剪断することから、さらなるパッセー
ジ後には粘性が著しく減少する。これは、膜表面の目詰まりを防ぐために重要で
ある。パッセージ数の増加により、ホモジネートの粘性は低下する(表40)。 最終的な解説:細胞の崩壊が最大であったため、産生規模をスケールアップする
ために選ばれたパラメーターは800barかつ3パッセージであった。パッセージ間
のホモジネートを、冷却ジャケットを有するタンクに保存した。細胞残がい除去
を促進するため、3パッセージ後、ホモジネートを2,5 倍希釈することを決定し
た。50 mMのリン酸ナトリウム、1,34 mMのEDTA、pH 7,4からなる緩衝液を希釈に
用いた。 パッセージ間、タンク中のホモジネートの温度を15〜25℃に調節した(P
D1501〜PD1502)。
【0226】
【表40】
【0227】 7.A.4.3 細胞残がいの除去 遠心分離した抽出物が10 mgタンパク質ml-1を越えると、沈殿による問題及びp
H の著しい低下が生じた。膜濾過した抽出物は、遠心分離した抽出物と同じ沈殿
による問題は生じなかった。細胞残がい除去中にpHの異なる種々の緩衝液を試験
すると、緩衝液のイオン強度は、後のpHの低下を避けるため約7,4のpHかつ少な
くとも50 mMでなければならないことが明らかであった。また、rhPBGDは緩衝液
中約pH 8,2よりも約7,4でより安定することが推断された。 最終的に選択された
緩衝液は、50 mMのリン酸酸ナトリウム、1,34 mMのEDTA、pH 7,4.であった。 産生された抽出物は、暗いピンク色であった。激しく攪拌しながら室温に置く
と、抽出物は数時間で茶色がかった赤色になった。これはおそらく、抽出物に加
わる酸化工程に起因していた。 0,2 μmのろ紙を用いて膜を通るタンパク質の透過は遅かった。rhPBGD 活性の
収率は、約20%にすぎなかった。しかし、収率は、1〜3パッセージの均質化パ
ラメーターを変化することによって明らかに影響を受けた(表41)。
【0228】
【表41】
【0229】 限外濾過(500 K及び1000 K)用のマイクロろ紙(0,2 μm)の交換により、ろ紙表
面の付着は少なく、タンパク質濃度は許容な収率まで増大した(表16)。より小
さな膜領域及びより平らな表面は、産生物の停留ならびに吸着を最小化し、この
場合に収率を増す。さらに、全タンパク質の透過は、限外ろ紙(1000 K)を使用す
る場合、rhPBGDの透過よりも低いように思われ、その結果より高い比活性となっ
た(表16)。全ての実験で、結果を比較できるように、ホモジネートを同じ理論
収率(90%)にダイアフィルトレーションした。 最終的な解説: 産生規模にスケールアップするため、1000 Kのろ紙を細胞残がい
除去用に選択した。これは、このろ紙が、比活性の高いrhPBGDを良好な収率で生
じるためである。希釈したホモジネートを約2,5倍に濃縮し、次いで50 mMのリン
酸ナトリウム、1,34 mMのEDTA、pH 7,4でダイアフィルターし、理論収率約95%
のrhPBGDとすることを決定した。酸化を防ぐために、窒素を透過表面にフラッシ
ュした(PD1502)。透過-フラックスを15 l m-2h-1に設定し、温度を15〜25℃に設
定した(PD1501〜PD1502)。
【0230】
【表42】
【0231】 7.A.4.4 最終濾過 膜濾過抽出物はあまり粒子を含まず、それによってろ紙表面の目詰まりという
問題を引起こす遠心分離抽出物よりも容易に濾過された。目詰まりのため、完全
な試験(integrity test)は実施し難かった。最終濾過の前、白いつるつるした沈
殿物が抽出物中にいつも認められた。分光光度的に2に近い比を生じるOD260 /OD 280 で溶解された沈殿物を分析すると、それが核酸を含んでいたことが推断され
た。 7.A.4.5 下流処理のスケールアップ (PD22、PD1501及びPD1502) 全体的な最終工程をまず、75%のrhPBGDの収率で終わる15 L規模で試験した(
バッチPD22)。300 L(PD1501)にスケールアップしたとき、培養液中に沈殿すると
いう問題が生じ、rhPBGDの収率は46 %に減少した。バッチPD1502を処理すると、
沈殿は見られず、rhPBGDの収率は77 %に増大した。結果は、表43及び44に要約す
る。
【0232】 バッチPD1501からのrhPBGDが低収率であるのは、おそらくいくつかの要因によ
るためであろう:細胞濃縮及び細胞残がい除去で同じ濾過装置を使用することは
、一般に費用と時間の両方を節約するが、培養液中に白い沈殿物が生じると、細
胞濃縮と細胞残がい除去とのあいだにろ紙の洗浄という問題が生じた。不溶性の
白色沈殿物の組成を分析し、結果を表19に示す。PD1502で沈殿物の生成を避ける
ため、 基質の調製を注意深くモニターした。先の成分が完全に溶解するまで、新
しい成分を添加しなかった。バッチPD1502では、沈殿が生じなかった。 ろ紙の面積は、処理量と比較して小さかったため、フィルター表面上で詰まる
機会が増した。理論収率90%のrhPBGDに達するためにのみ、ダイアフィルトレー
ションを行った。
【0233】 バッチPD1502で、抽出物中のrhPBGDの濃度はバッチPD22と比較して低かったが
、収率はわずかに高かった。より低い濃度は、PD1502の処理中、細胞残がい除去
でダイアフィルトレーション容量を増したオペレーターの誤りによるものだった
。バッチPD1502での細胞残がい除去中により少量のダイアフィルトレーションを
使いたならば、より高いrhPBGD濃度になったであろうが、続いて収率は減少して
いただろう。 また、rhPBGD の濃度は、バッチPD1502よりもPD22及びPD1501由来の原料(ホ
モジネート)においてより高かった。さらに、バッチPD22及びPD1501由来抽出物
における比活性は、PD1502由来抽出物よりも高い。 rhPBGD-タンパク質の量とrhPBGD-活性を比較するため、工程中の種々の段階の
試料を、手順S001にしたがってSDS-PAGEで分析した。試験されたバッチ全て(PD22
、PD1501及びPD1502)で、主なバンドは約40kDの分子量に相当し、rhPBGD −His
基準とほとんど同じ可動性を有する位置で見られた。 従って、このバンドがrhPB
GDに相当し、試料34で測定されたrhPBGD-活性の原因であることが結論付けられ
た。
【0234】
【表43】
【0235】
【表44】
【0236】
【表45】
【0237】 最終的な解説: 15 L の研究室規模から300 Lの生産規模までの抽出工程のスケー
ルアップは、生成物の長い停留を伴い、産生された抽出物の質になんら重要な影
響はないと思われる。しかしながら、安定性の研究において、生産規模のバッチ
PD1501からの抽出物は、研究室のバッチPD22よりも冷凍器中で長期間にわたって
安定であったことを言及すべきである(7.A.4.6を参照)。 7.A.4.6 安定性の研究、rhPBGD-活性 最終抽出物を冷凍器(-20℃)に貯蔵した場合、最終的な研究室のバッチ(PD22)
からの抽出物は月ごとに約10%活性を低下し、一方、生産バッチ(PD1501) から
の抽出物は、同じ期間にわたって3%の活性低下を生じた(図35)。
【0238】 評価及び結論 我々は、ヒト組換え型ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ (rhPBGD)を含む滅
菌濾過透過物の市場規模での製造のため、発酵及び下方流処理を開発した。工程
を、以下のように簡潔に概説する。 発酵工程を、-70℃未満の温度で超冷凍器に貯蔵された凍結バイアル由来細胞
で開始する。全ての接種工程(寒天プレート、振盪フラスコ及び接種発酵) で、6
mgl-1のオキシテトラサイクリンを、プラスミドの優れた安定性を確証するため
の選択圧として使用する。全ての処理工程において、温度は30℃である。最少培
地の寒天プレートに凍結バイアル由来細胞を接種し、24±4時間培養する。1 Lの
振盪フラスコ2つに1 1/2の各寒天プレートの成長物を接種し、13±1時間培養し
、培養液を貯留し、14 Lの接種発酵に接種するために用いる。9 L の最少培地を
含む接種発酵槽を5 gl-1 の酵母抽出物で補足した。OD620 が7〜10の時(約9時間
後)に、培養液を20 gl-1 の酵母抽出物及び10 mgl-1 チアミンで補足した850 L
の最少培地を含む1500 L の生産発酵槽に移した。選択圧は、生産発酵槽では用い
ない。初期バッチ相(およそ8時間)後、段階的に増加するグルコース供給(600
gl-1)プロフィルによって成長を制御する。総計約120 Lのグルコース (600 gl-1 ) 溶液をNH3 (25% w/w)とともに発酵槽に入れ、MgSO4 *7H2Oもまた発酵槽に入れ
、こうして約1000Lの最終発酵容量とする。OD620 が100 ±20である時(約30時間)
に発酵を止め、培養液を20〜25℃に冷却し、下方流処理を開始する。発酵の最後
で、乾燥細胞の重量は約40 gl-1 かつrhPBGD 活性は約60 Uml-1である。
【0239】 大腸菌細胞のPBGD-2株からのrhPBGD抽出について記載した処理は、大部分、細
胞濃縮と細胞残がい除去の双方のための1000 K限外ろ紙を用いる膜濾過の使用に
基づいている。細胞濃縮及び細胞残がい除去のあいだに、温度を15〜25℃に制御
する。細胞の崩壊は、環境温度で3パッセージ間800バールの均質化により成し遂
げられる。パッセージのあいだ、ホモジネートを調整タンク(15〜25℃)中に保
存する。最後に、抽出物を0,22 μm の保持(retentive)ろ紙でオートクレーブ容
器中に濾過する。 開発した工程により、約75 %の全収率かつ約25〜30 U/ mlの抽出物濃度で、rh
PBGD を300 Lの培養液から30時間以内で抽出してもよい。 開発した850 L の発酵工程は、温度による誘導なしに、非常に優れ、かつ再現
性のある発現をrhPBGDについて生じる。プラスミドの安定性は、1500 L の生産
発酵槽に選択圧がなくとも良好である。スケールアップ中に、陰性のスケールア
ップ効果は生じなかった。300 Lの下方流処理は再現性があり、全収率を良好に
する。下方流処理はさらなるスケールアップに容易であることが予測されており
、発酵で生じた1000 Lの全ての培養液を処理する工程である。従って、開発され
た工程は、rhBPGDの大規模生産に適することがこの段階で分かる。
【0240】 図のリスト 図25 PBGD-2株を用いる発酵PD05及びPD06の比較 図 26 PD09、PD11及びPD12の発酵の比較 図 27 PBGD-1株を用いる発酵PD09、PD11及びPD12の比較 図 28 PBGD-2株を用いる発酵PD14、PD16及びPD19の比較 図 29 PBGD-2株を用いる発酵PD14、PD16及びPD19の比較 図 30 PBGD-2株を用いる発酵PD19、PD21及びPD22の比較 図 31 PBGD-2株を用いる発酵PD19、PD21及びPD22の比較 図 32 PD19、PD1501及びPD1502の発酵の比較 図 33 PBGD-2株を用いる発酵PD19、PD1501及びPD1502の比較 図34 SDS-Pageで可視化された発酵及び下流処理の要約 異なる試料間の比較 図 35 安定性の研究: 1回使用の抽出物のアリコートを通常どおり冷凍器(-20
℃)から取り出し、rhPBGD-活性を長い期間かけて測定かつプロットした。
【0241】 実施例8 rhALADのクローンニング 研究の目的は、造血型ヒト酵素デルタ-アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD
)をエンコードするcDNAをクローンし、シークエンスすることである。この研究
は、大腸菌(E. coli)中のヒトの組換え型デルタ-アミノレブリン酸デヒドラター
ゼ(rhALAD) を産生する発現系を開発するため、長期間にわたって行われてきた
。 ALADはヘム生合成経路の2番目の酵素である。ヒトALADは、染色体9q34 部位に
局在する1つの遺伝子によってエンコードされる(1)。代わりのスプライシングに
より造血-特異的かつハウスキーピングの転写物が生じるが、相違点は5*の非翻
訳配列に限定され、転写物はいずれも全細胞型に同一のポリペプチドをエンコー
ドする(1)。ヒトALADのcDNA配列は公表されており(2)、この研究の目的は、適当
な由来源のヒトALADについてのcDNAをクローンし、発表された配列に対するその
同一性を確認することである。
【0242】 研究の目標 PCR増幅による、適当な由来源から330 残基のヒトALAD ポリペプチド(2) をエ
ンコードするcDNAのクローン 公表された配列に合致するクローンを発見するための双方向への少なくとも3つ
の独立クローンのシークエンス PCR 増幅のストラテジを用いて、ヒト脾臓cDNA 由来ALADをクローンする。プ
ライマーICO549及びICO550(図36)を用いることにより得られた増幅生成物をEc
oR I及びHind IIIで消化し、同じ酵素で切断したpBluescript II SK-にクローン
した(図37)。連結から得られる4つのクローン(pBlueAlaD-1-4)をシークエンス
した。
【0243】 材料及び方法8.1 PCR及びクローニング 同じALADポリペプチドは全ての細胞型で発現するので(1)、どんな組織もクロ
ーンニングの由来源として役立ち得る。脾臓cDNA (製造業者の指示にしたがって
20 l の反応量中で、異なるドナーのプールからの500 ngのClontech ポリ-A RNA
を有するBRL Superscript II を用いてDonald Raoにより製造、カタログ# 6542
-1) を使用した。 1lのcDNA (約25 g) を、50lの反応量中0.2mMのdNTP 及び各0.4
MのICO549 (5' ATCCATGAATTCCACGCAATGC AGCCCCAGTC 3')ならびにICO550 (5' AG
TCGTAAGCTTGCCTGGCA CTGTCCTCCATC 3')を有するAdvantage cDNA ポリメラーゼミ
ックス (Clontech カタログ# 8417-1)を用いて増幅した。2つのPCRサイクルは、
94℃で100秒間、次いで96℃で20秒間及び72℃で2分間の28 サイクルの最初の熱
変性工程で使用した。 72℃で7分間の最終伸長を最後に用い、伸長生成物が増加
されたことを確かめる。1lのこのPCR混合物を上記のように再度正確に増幅し、精
製後にEcoR I及びHind IIIで線状(BIO 101 カタログ# 1001〜600からのGEANECLE
AN IIIを使用)にしたpBluescript II SK- (Stratagene, カタログ# 212206)にク
ローンし、同じ2つの酵素で消化した(図37、A及びBを参照)。
【0244】 8.2 シーケンシング 上記の連結反応、即ち pBlueAlaD-1-4 からの4つのプラスミドクローンを、PE
/ABI カタログ# 4303152からのビッグダイ(Big Dye)ターミネーターサイクルシ
ーケンシングキットを用いてシークエンスした。3つのベクタープライマー、ICO3
83 (5' GTAATACGACTCACTATA GGGC 3')、ICO384 (5' CTAAAGGGAACAAAAGCTGGAG 3'
)及びIC0618 (5- GCGCGTAATACGACTCACTA 3) ならびに2つのALAD-特異性プライ
マー、ICO616 (5' CCTACGCTGTGTCTTGATCT 3')及びICO617 (5' GGCTT CACCATGAGC
ATGTC 3') を用いた。結果は表46に表す。
【0245】
【表46】
【0246】 報告及び結果 4つの全てのクローン中の挿入断片はALADであることが、シークエンス解析に
より確認された。 結果を表1に示す。見て分かるように、クローンのうち2つは、
完全に公表された配列(2)と合致する。他の2つは変化し、それらの大部分がサイ
レントである。より多量の試料がなければ、アレリック変異とPCR/クローニング
人工産物とは識別し難い。pBlueAlaD-2からのALAD挿入断片を発現目的のために
使用し、その配列を配列14に示す。 評価及び結論 用いたPCR増幅のストラテジは、公表された配列に合致するALAD cDNAを生じた
。それは、ATGのちょうど上流に設計されたBsrD I部位を含み、発現ベクターに
操作を容易にする目的で便利な制限部位を有する。
【0247】 実施例9 rhPBGDについての投与、動物研究 ヒト組換え型ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ (rhPBGD) は、急性間欠性ポ
ルフィリン症 (AIP)と診断された患者に酵素代用治療として投与されるであろう
。rhPBGDは、皮下注射または静脈注射により投与されるであろう。治療の効能、
例えば毒性前駆体ポルフォビリノーゲン(PBG)及びδ-アミノレブリン酸 (ALA)の
還元には、rhPBGD が血流に入り、生物活性を維持できることが必須である。 rhPBGDの薬物動力学 薬物動力学を研究するために、健康な野生型のB6マウスにrhPBGD を注射した。
rhPBGD の含量及び酵素活性は、異なる時点(0、15、30、45及び60分)の後、動物
由来の血漿で追跡した。各動物は、50μgのrhPBGDの注射を1回受け、3つの異な
る投与ルート;静脈、腹腔内または皮下を用いた。ELISA により分析されたrhPBG
Dの血漿レベルを図1に示す。このデータからの結論によれば、静脈注射後のrhPB
GDの半減期は20〜30分である。腹腔内注射の後、rhPBGDの最大レベルは約30分後
に見られた。 また、rhPBGDの皮下注射は血漿中で検出可能なレベルのPBGDを生じ
、投与にこの経路を使用できることが示された。また、皮下注射は、分析される
最後の時点(60分)に認められる血漿の最大レベルまで、rhPBGDをゆっくり放出
した。
【0248】 38 はマウスへの投与後のrhPBGD血漿レベルを示す。50μgのrhPBGD (2,3〜2,8
mg/kg) を野生型のB6マウスに静脈、腹腔内または皮下注射した。異なる時点(そ
れぞれ0、15、30、45または60分) の後にマウスを殺し、心臓穿刺によって得た
血液から血漿を調製した。rhPBGDレベルは、ELISA法を用いて分析した。データは
、μg rhPBGD /ml血漿として示す。各ポイントは動物1匹を表す。 図39で、同じ血漿試料を、血漿中で認められたrhPBGDが活性であるかどうかと
いう疑問に答えるためPBGD 酵素活性アッセイを用いて分析した。酵素活性パター
ンは図38に極めて類似しており、ELISAで検出されたrhPBGDも酵素的に活性であ
ることを示している。
【0249】 結論として、rhPBGD を静脈、腹腔内又は皮下注射を用いてマウスに投与する
と、活性酵素がこれらの動物の血液に見られることが観察されている。また、静
脈投与後のrhPBGDの半減期は約20〜30分であることが分かった。 図39は、マウスへのrhPBGD 投与後の血漿中のPBGD 酵素活性を示す。50μgの
rhPBGD (2,3〜2,8 mg/kg)を野生型のB6マウスに静脈、腹腔内又は皮下注射した。
異なる時点(それぞれ0、15、30、45又は60分)の後、マウスを殺し、心臓穿刺に
よって得た血液から血漿を調製した。酵素活性は試料中で測定し、14U/mgのrhPB
GD比活性を用いて算出されるμg rhPBGD/ml血漿として表す。各ポイントは、動
物1匹を表す。
【0250】 概念研究の証明 多くのAIP患者は急性ポリフィリン症の発作を経験する。これらのあいだ中、
彼らは尿中に多量のヘム前駆体PBG及びALA を排出する。これらの前駆体は、疾
患の病態生理学における必須要因であると考えられる。rhPBGDを用いる酵素代用
療法での本質的な原則は、循環するPBG及びALAレベルを代謝させ、より低くする
ことである。 rhPBGD が生体内でPBG及びALAのレベルに影響を及ぼすかどうかを分析するた
めに、PBGD 遺伝子が部分的にノックアウトされているトランジェニックマウス
を使用した (Lindberg, R. L. P.ら、Nature Genetics 12:195-199、1996)。 こ
のマウスの系統は、肝臓中わずか30%のPBGD残余活性を示す。これらのマウスを
フェノバルビタールで治療することによって、ヒトのAIP の形態に非常に類似し
た症候群を引き起こすことができる。AIPの発作は、尿中のALA及びPBGの分泌を
分析することにより動物においても追跡できる(図40及び41参照)。
【0251】 この研究では、全ての動物を、4日間フェノバルビタール用量を増して治療し
た(0〜4日、腹腔内に1日及び1kgにつき75〜90 mg )。同時に、動物の1群に7日間
rhPBGDを与えた(0〜7日、腹腔内に1日及び1kgにつき1,7〜2,3 mg)。 PBG及びALA
の含量を24時間の尿試料中で分析し、レベルをmmol/mol クレアチニンとして示
す。図4に見られるように、rhPBGDの治療により、フェノバルビタールのみで治療
した動物と比較して尿のPBG及びALA含量が低下する(図40)。このデータは、血
清中のPBG及びALAが高レベルのマウスにrhPBGDを与えると、rhPBGDはこの代謝物
の尿量で分析されるようなこれらのレベルを低下させ得ることを示している。rh
PBGDの治療を止めてから11日後又は2週間後に分析すると、rhPBGDに対する抗体
の生成はこれらの動物では見られなかった。 このデータからの結論によれば、rhPBGDは、ポリフィリン症の急性発作中にマ
ウス中のPBG及びALA のレベルを低下することができる。これはまた、PBG及びAL
Aの高い血清レベルによりおそらく誘発されるであろうAIP患者に見られる臨床症
状を、この治療により解消できることを示している。さらなる研究により、現在
このデータを確証している途中である。抗体の生成が見られなかったため、マウ
スでrhPBGDを用いる治療期間を延長することもまた可能である。
【0252】 図40はフェノバルビタールで治療されたAIPマウスにおける尿のPBG及びALAの
含量を示す。マウスは、4日間フェノバルビタールの用量を増して治療した (0〜
4日、腹腔内に1日及び1kgにつき75〜90 mg/kg)。PBG及びALA レベルは24時間の
尿の試料で分析され、mmol/molクレアチニンとして表される。代表する1種の動物
のデータを示す。 図41はフェノバルビタール及びrhPBGD で治療されたAIPマウスでの尿のPBG及
びALAの含量を示す。マウスを増用量のフェノバルビタールで4日間(0〜4日、腹
腔内に1日及び1kgにつき75〜90 mg)及びrhPBGDで7日間(0〜7日、腹腔内に1日
及び1kgにつき1,7〜2,3 mg)治療した。PBG及びALA のレベルは24時間、尿試料で
分析し、mmol/mol クレアチニンとして示した。代表的な1匹の動物のデータを示
す。
【0253】 マウスにおける進行中の研究 AIP患者における公知の臨床症状は、胃及び/又は手足の痛みならびに筋衰弱の
ような神経症状とは異なる。トランスジェニックマウスでこれらの症状を研究す
るため、ロタロッド及びグリップ強度のような種々の挙動試験により運動神経の
機能も分析した。データは、AIP-トランスジェニックマウスが、野生型の対照と比
較して全ての挙動試験に著しく低い活性を有することを示している。グリップ強
度(図5)及びロタロッド(図6)からのそのようなデータ例を参照のこと。運動
性神経障害は、Lindberg、R. L. P.ら、Journal of Clinical Investigation 10
3:1127〜1134、1999によってAIP-マウスにも記載されている。患者に対する可能
な長期治療として、AIP-マウスにおける神経疾患をrhPBGDの治療によって解消で
きるかどうか、現在分析中である。
【0254】 図42は、対照及びAIP-マウスにおけるグリップ強度の分析を示す。グリップ強
度は、異型接合性の対照動物(対照1、n=5)、野生型の対照(対照2、n=5) 及びA
IP-トランスジェニックマウス (AIP、n=5)でグリップ強度メーター(Ugo Basile)
を用いて測定した。 図46は、対照及びAIP-マウスにおけるロタロッドの分析を示す。ロタロッドの
分析は、野生型の対照 (対照、n=5) 及びAIP-トランスジェニックマウス (AIP、
n=7)でロタロッドトレッドミル(Ugo Basile)を用いて測定した。
【0255】 実施例10 rhPBGDについての安定性データ 安定性の研究1 − 処方緩衝液の選択 rhPBGD-Hisに最も適した処方条件を見出すため、酵素を、タンパク質安定剤と
してマンニトール及びグリシンを含むリン酸緩衝液中で処方した。異なるpH、イ
オン強度及び酵素濃度を調べた、表47。研究は、40℃かつ75%の相対湿度で8週
間行った。
【0256】
【表47】
【0257】 試料を滅菌濾過し、170μlのアリコートをテフロン(登録商標)/シリコンク リンプキャップを有する300μlのガラスバイアルに分配した。試料を0、1、2、 4及び8週で分析用に回収し、酵素活性(酵素活性アッセイ)、タンパク質濃度(H PLC)及び分解/凝集(HPLC、SDS-PAGE 及びIEF)について分析した。 酵素は、試料番号2e (pH 8,5)以外の全ての試料中で沈殿した。試料番号1b (8
mg/ml) は、酵素濃度がより低い試料よりもむしろ多い沈殿を示した。この試料は
1週間後に黄色に変化し、他の全ての試料が2週間後に黄色に変化した。HPLCクロ
マトグラムは、rhPBGD-His ピークに対するプレピークが40℃で貯蔵中に生じ、
このプレピークが時間にともなって増すことを示した。純粋なrhPBGD-Hisに対す
るピークは、時間にともなって減少した。図1は、HPLCクロマトグラムでのピーク
をもとにその区域から算出された酵素量を示している。 試料番号1bについて、酵素活性(図45)は8週で16単位/ml (U/ml) から2 U/ml
に低下し、酵素活性は第1週に40 U/ml から10 U/mlに著しく低下し、図44に見ら
れる沈殿に相当した。 酵素の比活性は図3に示す。酵素活性に高濃度のタンパク
質は有害であったと思われる(試料番号1b)。
【0258】 SDS-PAGE ゲルは、全ての試料について1週間後、凝集及び切り取り(scissorin
g)によりバンドを示した。 等電点電気泳動(IEF)で、酵素の4つの触媒形態(E、E1、E2及びE3)に相当す
る4つのゲルバンドが0日で認められた。 40℃で貯蔵する間、第1のバンド(E)は弱
化され、より酸性である第2のバンド (E1)は徐々に強化されたように思われる。 より酸性なバンドの数は長期間かけて増加した。これはおそらくアミド分解のた
めであろう。 結論 rhPBGD-His は、40℃で安定しなかった。しかしながら、認識可能な酵素の沈殿
が認められない処方緩衝液は番号2e (pH 8,5)のみであった。高濃度の酵素は、
沈殿及び酵素活性の双方に重要であったと思われる。単に黄色に変化した番号2e
以外の全ての試料は沈殿しただけでなく黄色に変化した。 酵素活性の低下は、例
えば酵素の凝集、切り取り及び/又はアミド分解による結果であろう。
【0259】 安定性の研究2 - 貯蔵温度 この研究は、5つのヒスチジンがないrhPBGDについて行った。 安定性の研究1
は、rhPBGD-His がpH 8,5で最高の安定性を有することを示した。rhPBGD がヒス
チジンタグ酵素よりも約0.5 pH 単位低い等電点を有するため、この研究ではpH
8,0の処方緩衝液を選択した。処方緩衝液は表48に記載する。
【0260】
【表48】
【0261】 試料は、安定性研究1に記載されるように調製した。研究を12週にわたりrhPBG
Dの2つの濃度、10 mg/ml及び2 mg/ml を用いて行った。調べた温度は、−20℃±
5℃、5℃±3℃及び25℃±2℃であった。また、凍結/融解した際の安定性につい
ても、物質を試験した。アッセイは、安定性研究1と同じであった。 酵素濃度は、安定性研究1と比較してこの研究では比較的安定していた(図47
)。沈殿は、25℃でのみ、かつ高濃度処方のみについて見られた。1週間後、黄色
になるのと同時に沈澱が生じた。8週間後、5℃で貯蔵した高濃度の処方が黄色に
変化した。2 mg/ml の処方については、貯蔵の8週間後になってはじめて25℃での
み黄色が現れた(図47に見られる変動は、おそらく試料の希釈及びHPLC クロマト
グラムの統合(integration)における変数に起因しているであろう)。 酵素活性に関して、2つの濃度又は-20℃及び5℃の温度、図48及び49とに有意
な相違はなかった。25℃で貯蔵した試料は、最終的により低い酵素活性を示した
【0262】 SDS-PAGEゲル上で、この研究に使用された材料は、純粋なrhPBGD よりも高分
子量で2つのバンドを、より低い分子量で1つのバンドを0時で示した。このパター
ンは12週のあいだ、いずれの試料についても変わらなかった。 IEF ゲル上では、もとのバンドよりも低いpHで5℃及び25℃で貯蔵された試料
についてさらに2つのバンドが存在した。これらのバンドは10 mg/mlの試料でさら
に明確であった。5℃で貯蔵した試料については、これらのバンドが4週間後に現
れ、25℃で貯蔵した試料については1週間後にバンドが生じた。これはアミド分
解のためであろう。 結論 rhPBGDの処方は、12週にわたって-20℃で最も良く保存された。 5℃で貯蔵し
た試料は4週間後IEFゲル上で変化を示したが、-20試料については記録されなか
った。この5℃以外は、12週にわたってrhPBGDの製剤を貯蔵するのに許容可能であ
ると思われる。
【0263】 安定性研究3 −毒物学の選択研究の模擬 この12 週の研究は、安定性研究2と同じ処方緩衝液を用いて行った(表48)。
この研究の目的は、rhPBGDが動物の選択研究中に安定しているはずであることを
証明することであった。58日の長い選択研究のための処方は、使用する前日まで
冷凍(-20℃)され得るであろう。この時点で、それは一晩かけて5℃で解凍され
るだろう。使用中には、それはおそらく室温(25℃)で貯蔵されるであろう。こ
の研究では、10 mg/ml濃度のrhPBGDを有する処方が使用されるであろう。 試料を滅菌濾過し、400μlの試料のアリコートを、ゴム栓を有する3 ml のガ
ラスバイアルに分配した。バイアルを窒素でフラッシュし、続いてプラスチック
シールでケープ(cape)した。10 mg/mlのrhPBGDを有する処方を用い、12週間-20
℃±5℃で、4週間5℃±3℃で、かつ2週間25℃±2℃でその安定性を調べた。この
研究では、試料中のタンパク質濃度をBCAを用いて測定した(図50)。 HPLC測定に見られるタンパク質濃度の変動は、この方法を用いて低減させた。
しかしながら、図50に見られるデータの変動は、おそらく試料の希釈の変動によ
るものであろう。 この高濃度の処方は、黄色がかったものに由来した。8週間後、処方は黄色にな
った。8週間後、沈殿は見られなかった(研究は完了していない)。
【0264】 酵素活性は、各温度で調べた時間のあいだは安定していた(図51)。これは、
酵素の比活性についても当てはまる(図52)。いくらか変動はあるけれども、こ
れらはおそらく関連したアッセイであった。 SDS-PAGEゲル上で、この研究に使用された物質は、起点から、純粋なrhPBGD
より高い分子量で2つのバンドを、より低い分子量で1つのバンドを示した。より
低い分子量ですら、別の弱い1つのバンドが、2週間後25℃及び4週間後5℃で生じ
た。このバンドは、8週間後-20℃では生じなかった。 試料は、IEFゲル上で0時に2つの余分なバンドを示した。これらはE3バンドより
も酸性であったが、非常に弱かった。5℃及び25℃で貯蔵された試料について、こ
れらのバンドの強度が長い期間をかけて増加した。 結論 rhPBGDは、記載されるように処理した場合、選択研究中は安定したままであろ
う。従って、rhPBGDは、5℃で4週間及び25℃で2週間でアミド分解される以外は
、-20℃で8週間安定する。この研究は試験バイアル中で窒素を用いて行行ったこ
とに留意されたい。
【0265】 引用文献: Anderson P. M.及び R. J. Desnick. 1979、Purification and Properties of U
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cDNA for human delta-aminolevulinate dehydratase. Gene 43[1〜2]、 123〜1
30. 1986.
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミドpPBGD1.1の環状地図
【図2】 プラスミドpExp0の構築についてのフローチャート
【図3】 プラスミドpExp0の環状地図
【図4】 プラスミドpExp1の構築についてのフローチャート
【図5】 プラスミドpExp1の環状地図
【図6】 pExp1-M2の構築についてのフローチャート
【図7】 プラスミドpExp1-M2の環状地図
【図8】 rhPBGD発現プラスミドpExp1-M2-BBの構築についてのフローチャ
ート
【図9】 rhPBGD発現プラスミドpExp1-M2-BBの環状地図
【図10】 EcoR I-Hind III直線状DNA-フラグメントの構築についてのPCR
ストラテジ
【図11】 形質転換に用いるEcoR I-Hind III直線状DNA-フラグメントの
構造
【図12】 株PBGD-2を用いる発酵PD14からの呼吸及び成長データ
【図13】 株PBGD-2を用いる発酵PD14でのrhPBGD発現
【図14】 DEAE-セファロースFF (DEAE1)でのクロマトグラフィー
【図15】 DEAE-セファロースFF (DEAE2)でのクロマトグラフィー
【図16】 ブチル-セファロース4 FFでのクロマトグラフィー
【図17】 rhPBGD-His 発現プラスミドpExp2の環状地図
【図18】 PBGD反応機序
【図19】 DEAE クロマトグラフィー溶出プロフィル
【図20】 DEAE溶出物のSDS-PAGEゲル
【図21】 コバルトクロマトグラフィー溶出プロフィル
【図22】 コバルト溶出物のSDS-PAGEゲルの結果
【図23】 図に番号を表示(表19)。ヒーラ細胞でのPBGDの発現は、基底活
性から475倍まで、NIH 3T3細胞で11倍まで増加した。
【図24】 図に番号を表示(表19)。ヒーラ細胞でのPBGDの発現は、基底活
性から475倍まで、NIH 3T3細胞で11倍まで増加した。
【図25】 株PBGD-2を用いる発酵PD05 と PD06の比較
【図26】 発酵PD09、PD11 及び PD12の比較
【図27】 株PBGD-1を用いる発酵PD09、PD11 及び PD12の比較
【図28】 株PBGD-2を用いる発酵PD14、 PD16 及びPD19の比較
【図29】 株PBGD-2を用いる発酵 PD14、 PD16 及びPD19の比較
【図30】 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、PD21 及び PD22の比較
【図31】 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、 PD21 及び PD22の比較
【図32】 発酵PD19、PD1501 及び PD1502の比較
【図33】 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、PD1501 及び PD1502 の比較
【図35】 安定性研究: 1回使用の抽出物のアリコートを通常どおり冷凍
庫 (-20℃)から取り出し、時間中、rhPBGD-活性を測定し、プロットした。
【図36】 PCR増幅に用いたオリゴの説明
【図37】 A 及び B: ALADのPCRクローニングストラテジ
【図38】 マウスに50μgのrhPBGD (2,3-2,8 mg/kg)を投与した後の rhPB
GDの血漿レベル
【図39】 マウスにrhPBGD を投与した後の血漿中のPBGD酵素活性
【図40】 フェノバルビタルで処理したAIP-マウスにおけるPBG及びALAの
尿中の含量
【図41】 フェノバルビタルとrhPBGD で処理したAIP-マウスにおけるPBG
及びALAの尿中の含量を示す
【図42】 対照及びAIP-マウスにおけるグリップ強度の分析を示す
【図43】 対照及びAIP-マウスにおけるロタロッド(Rotarod)分析。ロタ
ロッド分析は、野生型の対照(対照、n=5)とAIP-トランスジェニックマウス(AIP,
n=7)でロタロッドトレッドミル(Ugo Basile)を用いて測定した。
【図44】 HPLCによって測定した40℃で8週間にわたる酵素濃度。2 mg/ml
から0,5 mg/ml 及び 8 mg/mlから2,5 への低下が認められた。
【図45】 40℃で8週間にわたって測定した酵素活性。高濃度の試料、1b
について第1週目のあいだに有意な低下が認められた。2週間後には、全ての試料
についての低下率が同じであった。
【図46】 40℃で8週間のあいだ測定した酵素の比活性。活性は、酵素活
性アッセイを用いて測定し、タンパク質濃度はHPLCを用いて測定した。
【図47】 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解し
た各試料でのrhPBGD濃度。測定は、HPLCを用いて行った
【図48】 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解し
た各試料でのrhPBGD活性。
【図49】 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解し
た各試料でのrhPBGD比活性。測定は、酵素活性アッセイとHPLCを用いて行った。
【図50】 BCAを用いて8週間にわたって測定したrhPBGD濃度。
【図51】 rhPBGD活性を8週間にわたって測定した。安定性研究は、窒素
下、-20℃±5℃、5℃±3℃及び25℃±2℃で行った。
【図52】 酵素活性アッセイ及びBCAタンパク質濃度アッセイを用いて測
定したrhPBGD比活性。安定性研究は、窒素下、-20℃±5℃、5℃±3℃及び25℃±
2℃で行った。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年10月13日(2001.10.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】 図 31: 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、 PD21 及び PD22の比較 図 32: 発酵PD19、PD1501 及び PD1502の比較 図 33:: 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、PD1501 及び PD1502 の比較 図 34: 図 35: 安定性研究: 1回使用の抽出物のアリコートを通常どおり冷凍庫 (-20℃)
から取り出し、時間中、rhPBGD-活性を測定し、プロットした。 図 36. PCR増幅に用いたオリゴの説明 図 37 A 及び B: AlaDのPCRクローニングストラテジ 図37 C. pBlue AlaD Res+mc地図 図 38: マウスに50μgのrhPBGD (2,3-2,8 mg/kg)を投与した後の rhPBGDの血漿
レベル 図 39: マウスにrhPBGD を投与した後の血漿中のPBGD酵素活性 図 40: フェノバルビタルで処理したAIP-マウスにおけるPBG及びALAの尿中の含
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】 図. 41は、フェノバルビタルとrhPBGD で処理したAIP-マウスにおけるPBG及びAL
Aの尿中の含量を示す 図 42: 対照及びAIP-マウスにおけるグリップ強度の分析を示す 図 43: 対照及びAIP-マウスにおけるロタロッド(Rotarod)分析。ロタロッド分
析は、野生型の対照(対照、n=5)とAIP-トランスジェニックマウス(AIP, n=7)で
ロタロッドトレッドミル(Ugo Basile)を用いて測定した。 図 44. HPLCによって測定した40℃で8週間にわたる酵素濃度。2 mg/mlから0,5
mg/ml 及び 8 mg/mlから2,5 への低下が認められた。 図 45. 40℃で8週間にわたって測定した酵素活性。高濃度の試料、1bについて第
1週目のあいだに有意な低下が認められた。2週間後には、全ての試料についての
低下率が同じであった。 図 46. 40℃で8週間のあいだ測定した酵素の比活性。活性は、酵素活性アッセ
イを用いて測定し、タンパク質濃度はHPLCを用いて測定した。 図 47. 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解した各試
料でのrhPBGD濃度。測定は、HPLCを用いて行った
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】 図 48. 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解した各試
料でのrhPBGD活性。 図 49. 12週間、−20℃(冷凍)、5℃(冷蔵)、25℃(RT)及び凍結/融解した各試
料でのrhPBGD比活性。測定は、酵素活性アッセイとHPLCを用いて行った。 図 50. BCAを用いて8週間にわたって測定したrhPBGD濃度。 図 51. rhPBGD活性を8週間にわたって測定した。安定性研究は、窒素下、-20
℃±5℃、5℃±3℃及び25℃±2℃で行った。 図 52. 酵素活性アッセイ及びBCAタンパク質濃度アッセイを用いて測定したrh
PBGD比活性。安定性研究は、窒素下、-20℃±5℃、5℃±3℃及び25℃±2℃で行
った。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0199
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0199】 7.A.1 初期バッチ実験 研究は1/2/99に開始し、介在株PBGD-1は4/2/99に誘導した。最初の M9H-Tc (6
mgl-1)(付表2、表2)振盪フラスコ培養(PD03)は、Icogen Incによって推奨され
るM9H-Tc (6 mgl-1)接種培地での成長を研究するために行った。MM5Y-Tc (6 mgl -1 )と称される発酵媒体は、他の組換え大腸菌発酵からの方法を知っているBioGa
ia Fermentationsに基づいて設計した。この媒体は、振盪フラスコ培養(PD04)で
最初に試験し、その後、2つの媒体変異体を用いて2つの1Lバッチ発酵(PD05 及び
PD06)を行った。PD06は、トリプトンが成長を促進するかどうかを研究するため
に、2 gl-1 トリプトンを補足したMM5Y-Tc (6 mgl-1) 基質(表34)中で行った。 バッチ培養では、栄養素が涸渇するか又は毒性生成物が蓄積されるまで、比較
的数世代間、指数的生長が持続する。このため、成長はゆっくりと始まり、その
後、微生物が定常期に入り、安定状態の細胞数が達せられる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0215
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0215】 OD620 が約1.0の培養液500ml (2つの1L振盪フラスコ)を有する基質9Lを含む14
Lの発酵槽を接種し、約0.1-0.2の初期OD620 を生じる。成長速度0,4 h-1 で、約
9のOD620 に達するには9-11 h要するであろう。成長速度0,4 h-1は1,7 h の世代
時間に等しいので(ln2/0,4)、これは初期の研究室規模の発酵に比較して5-6個余
分な世代に相当する。 処理全体の種々の工程における世代数の見積りを以下の表37に示す。余分な接
種発酵は、15-25%で処理中の全世代数を増し、その増加はプラスミドの安定性
と生成物の量に影響する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0229
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0229】 限外濾過(500 K及び1000 K)用のマイクロろ紙(0,2 μm)の交換により、ろ紙表
面の付着は少なく、タンパク質濃度は許容な収率まで増大した(表42)。より小
さな膜領域及びより平らな表面は、産生物の停留ならびに吸着を最小化し、この
場合に収率を増す。さらに、全タンパク質の透過は、限外ろ紙(1000 K)を使用す
る場合、rhPBGDの透過よりも低いように思われ、その結果より高い比活性となっ
た(表42)。全ての実験で、結果を比較できるように、ホモジネートを同じ理論
収率(90%)にダイアフィルトレーションした。 最終的な解説: 産生規模にスケールアップするため、1000 Kのろ紙を細胞残がい
除去用に選択した。これは、このろ紙が、比活性の高いrhPBGDを良好な収率で生
じるためである。希釈したホモジネートを約2,5倍に濃縮し、次いで50 mMのリン
酸ナトリウム、1,34 mMのEDTA、pH 7,4でダイアフィルターし、理論収率約95%
のrhPBGDとすることを決定した。酸化を防ぐために、窒素を透過表面にフラッシ
ュした(PD1502)。透過-フラックスを15 l m-2h-1に設定し、温度を15〜25℃に設
定した(PD1501〜PD1502)。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0232
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0232】 バッチPD1501からのrhPBGDが低収率であるのは、おそらくいくつかの要因によ
るためであろう:細胞濃縮及び細胞残がい除去で同じ濾過装置を使用することは
、一般に費用と時間の両方を節約するが、培養液中に白い沈殿物が生じると、細
胞濃縮と細胞残がい除去とのあいだにろ紙の洗浄という問題が生じた。不溶性の
白色沈殿物の組成を分析し、結果を表43に示す。PD1502で沈殿物の生成を避ける
ため、 基質の調製を注意深くモニターした。先の成分が完全に溶解するまで、新
しい成分を添加しなかった。バッチPD1502では、沈殿が生じなかった。 ろ紙の面積は、処理量と比較して小さかったため、フィルター表面上で詰まる
機会が増した。理論収率90%のrhPBGDに達するためにのみ、ダイアフィルトレー
ションを行った。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0246
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0246】 報告及び結果 4つの全てのクローン中の挿入断片はALADであることが、シークエンス解析に
より確認された。 結果を表46に示す。見て分かるように、クローンのうち2つは
、完全に公表された配列(2)と合致する。他の2つは変化し、それらの大部分がサ
イレントである。より多量の試料がなければ、アレリック変異とPCR/クローニン
グ人工産物とは識別し難い。pBlueAlaD-2からのALAD挿入断片を発現目的のため
に使用し、その配列を配列14に示す。 評価及び結論 用いたPCR増幅のストラテジは、公表された配列に合致するALAD cDNAを生じた
。それは、ATGのちょうど上流に設計されたBsrD I部位を含み、発現ベクターに
操作を容易にする目的で便利な制限部位を有する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0248
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0248】 図38 はマウスへの投与後のrhPBGD血漿レベルを示す。50μgのrhPBGD (2,3〜2
,8 mg/kg) を野生型のB6マウスに静脈、腹腔内または皮下注射した。異なる時点(
それぞれ0、15、30、45または60分) の後にマウスを殺し、心臓穿刺によって得
た血液から血漿を調製した。rhPBGDレベルは、ELISA法を用いて分析した。データ
は、μg rhPBGD /ml血漿として示す。各ポイントは動物1匹を表す。 図39で、同じ血漿試料を、血漿中で認められたrhPBGDが活性であるかどうかと
いう疑問に答えるためPBGD 酵素活性アッセイを用いて分析した。酵素活性パター
ンは図38に極めて類似しており、ELISAで検出されたrhPBGDも酵素的に活性であ
ることを示している。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0251
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0251】 この研究では、全ての動物を、4日間フェノバルビタール用量を増して治療し
た(0〜4日、腹腔内に1日及び1kgにつき75〜90 mg )。同時に、動物の1群に7日間
rhPBGDを与えた(0〜7日、腹腔内に1日及び1kgにつき1,7〜2,3 mg)。 PBG及びALA
の含量を24時間の尿試料中で分析し、レベルをmmol/mol クレアチニンとして示
す。図41に見られるように、rhPBGDの治療により、フェノバルビタールのみで治
療した動物と比較して尿のPBG及びALA含量が低下する(図40)。このデータは、
血清中のPBG及びALAが高レベルのマウスにrhPBGDを与えると、rhPBGDはこの代謝
物の尿量で分析されるようなこれらのレベルを低下させ得ることを示している。
rhPBGDの治療を止めてから11日後又は2週間後に分析すると、rhPBGDに対する抗
体の生成はこれらの動物では見られなかった。 このデータからの結論によれば、rhPBGDは、ポリフィリン症の急性発作中にマ
ウス中のPBG及びALA のレベルを低下することができる。これはまた、PBG及びAL
Aの高い血清レベルによりおそらく誘発されるであろうAIP患者に見られる臨床症
状を、この治療により解消できることを示している。さらなる研究により、現在
このデータを確証している途中である。抗体の生成が見られなかったため、マウ
スでrhPBGDを用いる治療期間を延長することもまた可能である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0253
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0253】 マウスにおける進行中の研究 AIP患者における公知の臨床症状は、胃及び/又は手足の痛みならびに筋衰弱の
ような神経症状とは異なる。トランスジェニックマウスでこれらの症状を研究す
るため、ロタロッド及びグリップ強度のような種々の挙動試験により運動神経の
機能も分析した。データは、AIP-トランスジェニックマウスが、野生型の対照と比
較して全ての挙動試験に著しく低い活性を有することを示している。グリップ強
度(図42)及びロタロッド(図43)からのそのようなデータ例を参照のこと。運
動性神経障害は、Lindberg、R. L. P.ら、Journal of Clinical Investigation
103:1127〜1134、1999によってAIP-マウスにも記載されている。患者に対する可
能な長期治療として、AIP-マウスにおける神経疾患をrhPBGDの治療によって解消
できるかどうか、現在分析中である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0254
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0254】 図42は、対照及びAIP-マウスにおけるグリップ強度の分析を示す。グリップ強
度は、異型接合性の対照動物(対照1、n=5)、野生型の対照(対照2、n=5) 及びA
IP-トランスジェニックマウス (AIP、n=5)でグリップ強度メーター(Ugo Basile)
を用いて測定した。 図43は、対照及びAIP-マウスにおけるロタロッドの分析を示す。ロタロッドの
分析は、野生型の対照 (対照、n=5) 及びAIP-トランスジェニックマウス (AIP、
n=7)でロタロッドトレッドミル(Ugo Basile)を用いて測定した。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0257
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0257】 試料を滅菌濾過し、170μlのアリコートをテフロン/シリコンクリンプキャッ
プを有する300μlのガラスバイアルに分配した。試料を0、1、2、4及び8週で分
析用に回収し、酵素活性(酵素活性アッセイ)、タンパク質濃度(HPLC)及び分解
/凝集(HPLC、SDS-PAGE 及びIEF)について分析した。 酵素は、試料番号2e (pH 8,5)以外の全ての試料中で沈殿した。試料番号1b (8
mg/ml) は、酵素濃度がより低い試料よりもむしろ多い沈殿を示した。この試料は
1週間後に黄色に変化し、他の全ての試料が2週間後に黄色に変化した。HPLCクロ
マトグラムは、rhPBGD-His ピークに対するプレピークが40℃で貯蔵中に生じ、
このプレピークが時間にともなって増すことを示した。純粋なrhPBGD-Hisに対す
るピークは、時間にともなって減少した。図1は、HPLCクロマトグラムでのピーク
をもとにその区域から算出された酵素量を示している。 試料番号1bについて、酵素活性(図45)は8週で16単位/ml (U/ml) から2 U/ml
に低下し、酵素活性は第1週に40 U/ml から10 U/mlに著しく低下し、図44に見ら
れる沈殿に相当した。 酵素の比活性は図46に示す。酵素活性に高濃度のタンパク
質は有害であったと思われる(試料番号1b)。
【手続補正15】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図37c
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図37c】
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】 図 31: 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、 PD21 及び PD22の比較 図 32: 発酵PD19、PD1501 及び PD1502の比較 図 33:: 株PBGD-2を用いる発酵 PD19、PD1501 及び PD1502 の比較 図 34: 図 35: 安定性研究: 1回使用の抽出物のアリコートを通常どおり冷凍庫 (-20℃)
から取り出し、時間中、rhPBGD-活性を測定し、プロットした。 図 36. PCR増幅に用いたオリゴの説明 図 37 A 及び B: AlaDのPCRクローニングストラテジ 図37 C. pBlue AlaD 制限地図 図 38: マウスに50μgのrhPBGD (2,3-2,8 mg/kg)を投与した後の rhPBGDの血漿
レベル 図 39: マウスにrhPBGD を投与した後の血漿中のPBGD酵素活性 図 40: フェノバルビタルで処理したAIP-マウスにおけるPBG及びALAの尿中の含
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 33/24 A61K 35/12 4C086 35/12 35/76 4C087 35/76 47/04 38/43 47/18 38/44 47/24 47/04 47/26 47/18 48/00 47/24 A61P 7/00 47/26 43/00 111 48/00 C12N 1/15 A61P 7/00 1/19 43/00 111 1/21 C12N 1/15 9/88 1/19 15/00 ZNAA 1/21 5/00 A 5/10 A61K 37/48 9/88 37/50 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 BA07 CA04 DA06 HA17 4B050 CC03 DD11 FF11 FF14 KK01 4B065 AA26X AA93Y AB01 CA29 CA44 4C076 AA19 AA64 AA67 BB01 BB13 BB15 BB16 BB22 BB25 BB29 BB31 CC50 DD23 DD26 DD51 DD63 DD67 EE23 EE50 FF14 FF28 FF31 FF65 FF68 4C084 AA02 CA53 CA56 DC01 DC23 MA05 MA24 MA38 MA44 MA52 MA55 MA57 MA59 MA63 MA66 NA10 NA12 NA14 ZA512 4C086 AA01 AA02 HA30 MA01 MA04 MA24 MA38 MA44 MA52 MA55 MA57 MA59 MA63 MA66 NA10 NA12 NA14 ZA51 4C087 AA01 AA02 BC38 CA50 MA05 MA24 MA38 MA44 MA52 MA55 MA57 MA59 MA63 MA66 NA10 NA12 NA14 ZA51

Claims (53)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘム生合成経路に属する酵素の欠乏によって患者に引き起こ
    される疾患を治療又は予防する医薬組成物を製造するための、ヘム生合成経路に
    属する酵素、又はその酵素学的に等価な部分もしくはその類似体である1以上の
    触媒の有効量の、医薬的に許容される担体との使用。
  2. 【請求項2】 疾患が、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、ALA欠乏性ポルフ
    ィリン症(ADP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、遺伝性コプロポルフィリン症
    (HCP)、ハーダーポルフィリン症(HDP)、異型ポルフィリン症(VP)、先天性造血性
    ポルフィリン症(CEP)、造血性プロトポルフィリン症(EPP)及び肝造血性ポルフィ
    リン症(HEP)からなる群から選択される請求項1に記載の使用。
  3. 【請求項3】 触媒が、デルタ-アミノレブリン酸シンセターゼ、デルタ-ア
    ミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(PBG
    D)、ウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼ、ウロポルフィリノーゲンデカ
    ルボキシラーゼ、コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ、プロトポルフィリノ
    ーゲンオキシダーゼ及びフェロキラターゼ、又はそれらの酵素学的に等価な部分
    もしくは類似体からなる群から選択される1以上の酵素である請求項1に記載の
    使用。
  4. 【請求項4】 疾患がAIPであり、酵素が、好ましくはALADと組み合わさっ
    た、PBGD又はそれらの酵素学的に等価な部分もしくは類似体である請求項1に記
    載の使用。
  5. 【請求項5】 触媒が、ヘム生合成経路に属する酵素又はそれらの酵素学的
    に等価な部分もしくは類似体の組換え型である請求項1に記載の使用。
  6. 【請求項6】 医薬組成物が、静脈経路、関節内経路、皮内経路、皮下経路
    、経口経路、口腔経路、筋肉内経路、肛門経路、経皮経路、内皮経路及び鞘内経
    路からなる群から選択される経路によって投与されるように調製される前記請求
    項のいずれかに記載の使用。
  7. 【請求項7】 触媒が、NaCl 0.9%及びpH 6.50〜8のリン酸ナトリウム10〜
    50 mM又はリン酸ナトリウム、グリシン、マンニトール又は相当するカリウム塩
    のような等張液中で処方される前記請求項のいずれかに記載の使用。
  8. 【請求項8】 触媒が凍結乾燥されている請求項7に記載の使用。
  9. 【請求項9】 触媒が滅菌ろ過されている請求項8に記載の使用。
  10. 【請求項10】 触媒がホスファチジルコリン又はホスファチジルエタノー
    ルアミンもしくはそれらの組み合わせからなる脂質性の小胞として処方される前
    記請求項のいずれかに記載の使用。
  11. 【請求項11】 触媒が赤血球ゴーストに組み込まれる前記請求項のいずれ
    かに記載の使用。
  12. 【請求項12】 触媒が、生物分解性ミクロスフェア、例えばポリ乳酸、ポ
    リグリコール酸又はこれらの混合物からなるミクロスフェアを含む放出持続性製
    剤として処方される前記請求項のいずれかに記載の使用。
  13. 【請求項13】 触媒が、前方の分画に触媒があり、後方の分画に再構成用
    の水がある2分画のカートリッジで凍結乾燥される前記請求項のいずれかに記載
    の使用。
  14. 【請求項14】 2分画のカートリッジが、針又は針のない(高圧)装置のい
    ずれかによって触媒を投与する注入装置と組み合わさっている請求項13に記載
    の使用。
  15. 【請求項15】 触媒が、経鼻投与用のエンハンサーを含む生理緩衝液に処
    方される前記請求項のいずれかに記載の使用。
  16. 【請求項16】 触媒が、脂質性小胞、例えばホスファチジルコリン、ホ
    スファチジルエタノールアミン又はスフィンゴミエリン又はデキストランミクロ
    スフェアからなる小胞を含有する経口製剤として処方される請求項1に記載の使
    用。
  17. 【請求項17】 触媒が、患者の血流中でその半減期を増強するように処方
    される請求項1に記載の使用。
  18. 【請求項18】 触媒がポリエチレングリコールコーティングを有する請求
    項17に記載の使用。
  19. 【請求項19】 触媒が重金属と複合されている請求項17に記載の使用
  20. 【請求項20】 触媒が酵素の酵素学的に等価な部分もしくは類似体であり
    、患者への投与によって細胞内でその酵素活性の少なくとも一部を発揮する請求
    項1に記載の使用。
  21. 【請求項21】 触媒が、ポルフォビリノーゲンをヒドロキシメチルビラン
    に重合できる小さい人工酵素又は有機性触媒である請求項20に記載の使用。
  22. 【請求項22】 触媒が、患者への投与によって細胞内にその酵素活性の少
    なくとも一部を発揮するように処方された酵素である請求項1に記載の使用。
  23. 【請求項23】 触媒が、特異的な肝臓での取り込みのため、特異的な炭水
    化物又は他の肝細胞に特異的な構造物で標識されている請求項22に記載の使用
  24. 【請求項24】 触媒が、血流中で細胞外に、その酵素活性の全てを実質的
    に発揮する請求項1に記載の使用。
  25. 【請求項25】 関連するヘム前駆体に対する触媒の酵素活性により、1)代
    謝産物が細胞内分画へ移動して、残りのヘム生合成経路の工程を介してさらに転
    換されるか、又は2)代謝産物が尿及び/又は便を介して患者から排出される請求
    項24に記載の使用。
  26. 【請求項26】 触媒が、 a) 触媒をエンコードする核酸配列を含む核酸フラグメントを適当なベクターに
    導入し; b) ベクターで適合性の宿主細胞を形質転換し; c) 核酸配列の発現を容易にする条件下で、形質転換した宿主細胞を培養し;か
    つ d) 培養物から発現産物を回収し、 任意に発現産物を翻訳後プロセシング、例えばインビトロでのタンパク質の再生
    、融合パートナーの酵素的除去、アミノ酸残基のアルキル化及び脱グリコシル化
    に付し、触媒を得ること からなる方法によって製造される請求項1に記載の使用。
  27. 【請求項27】 触媒が、液相又は固相のペプチド合成によって製造される
    請求項1に記載の使用。
  28. 【請求項28】 触媒が、ヒト由来の他のいかなる生体物質も有しない前記
    請求項の請求項26に記載の使用。
  29. 【請求項29】 触媒が、少なくとも一日1回、例えば一日当たり2、3、4及
    び5回投与される請求項1のいずれかに記載の使用。
  30. 【請求項30】 一日当たりの用量が0.01〜1.0mg/体重kg/日、例えば0.05
    〜0.5mg/体重kg/日の範囲である請求項29に記載の使用。
  31. 【請求項31】 一日当たりの用量が約0.1mg/体重kg/日である請求項29
    に記載の使用。
  32. 【請求項32】 触媒が、酵素の組換え型である前記請求項のいずれかに記
    載の使用。
  33. 【請求項33】 触媒がSeq.ID NO.3(クローンPBGD1.1)及びSeq.ID NO.4
    (非エリトロPBGD1.1.1)のいずれかに基づく組換えヒトPBGDである請求項32
    に記載の使用。
  34. 【請求項34】 酵素の欠乏を引き起こすPBGD遺伝子の突然変異を有する患
    者の遺伝子治療に用いることのできる組成物を、単独又は適当な遺伝ベクター及
    び他の成分と組合わせて調製するための、非赤血球造血型あるいは赤血球造血型
    いずれかのヒトPBGD cDNA配列の使用。
  35. 【請求項35】 酵素欠乏症が、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、ALA欠乏
    性ポルフィリン症(ADP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、遺伝性コプロポルフ
    ィリン症(HCP)、ハーダーポルフィリン症(HDP)、異型ポルフィリン症(VP)、先天
    性造血性ポルフィリン症(CEP)、造血性プロトポルフィリン症(EPP)及び肝造血性
    ポルフィリン症(HEP)の群から選択される疾患を生じる酵素の欠乏から選択され
    る請求項34に記載の使用。
  36. 【請求項36】 疾患が、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)である請求項3
    5に記載の使用。
  37. 【請求項37】 ヒトPBGD cDNA配列が、Seq.ID NO.3(クローンPBGD1.1)
    又はSeq.ID NO.4(非エリトロPBGD1.1.1)の群から選択される請求項34〜36
    に記載の使用。
  38. 【請求項38】 遺伝ベクターが、プラスミド、アデノウィルス、レトロウ
    ィルス又は伴生アデノウィルスの群から選択される請求項34〜37のいずれか
    に記載の使用。
  39. 【請求項39】 処方の適用により、治療前のレベル又は症状の発作頻度の
    低下と比較して、デルタ-アミノレブリン酸(ALA)及びポルフォビリノーゲン(PBG
    )の尿及び/又は血清のレベルでの正常化として測定される実質的に正常なPBGD活
    性が生じる、請求項34〜38に記載の使用。
  40. 【請求項40】 遺伝子治療誘導したキメラ形成遺伝子修復で、急性間欠性
    ポルフィリン症(AIP)を生じると同定された特定の点突然変異の1つを修正するこ
    とによる、AIP患者の治療を促進する組成物を、単独又は適当な遺伝ベクターな
    らびに他の成分と組合わせて調製するための非赤血球造血型あるいは赤血球造血
    型いずれかのヒトPBGD cDNA配列の使用。
  41. 【請求項41】 トランスフェクション用デリバリーシステムが、カチオン
    性リン脂質類、リン脂質類、中性脂質類の混じったリン脂質類、リクトシレート
    PEI、リポソーム類、天然リン脂質類と中性脂質類の混合物を含むリポソーム類
    から選択される1以上の成分を含む賦形製剤に処方した非ウィルス性ベクターを
    用いることからなる、請求項40に記載の使用。
  42. 【請求項42】 突然変異が表Aから選択される請求項40に記載の使用。
  43. 【請求項43】 薬剤として用いるための、デルタ-アミノレブリン酸シン
    セターゼ、デルタ-アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)、ポルフォビリノー
    ゲンデアミナーゼ(PBGD)、ウロポルフィリノーゲンIIIコシンセターゼ、ウロポ
    ルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ、コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ
    、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ及びフェロキラターゼ、又はそれらの
    酵素学的に等価な部分もしくは類似体からなる群から選択されるヘム生合成経路
    の酵素である触媒。
  44. 【請求項44】 Seq.ID NO.3(クローンPBGD1.1)及びSeq.ID NO.4(非エ
    リトロPBGD1.1.1)のいずれかに基づくヒト組換え体PBGDである請求項43に記
    載の触媒。
  45. 【請求項45】 大腸菌でのrhPBGDの発現に用いるための、Seq.ID NO.1に
    示される発現プラスミドpExp1-M2-BB。
  46. 【請求項46】 宿主でhemC-欠失を生じることができる、Seq.ID NO.2に示
    されるDNAフラグメント、EcoR I-Hind III線状フラグメント。
  47. 【請求項47】 Seq.ID NO.2に示されるDNAフラグメント、EcoR I-Hind II
    I線状フラグメントを用いて、同種遺伝子置換により宿主JM105-H-R6-CでhemC-欠
    失体を得て、得られた株を発現プラスミドpExp1-M2-BBで形質転換し、非ヒト起
    源のPBGDを生産しない最終的な生産株PBGDを生じる、rhPBGDの生産株(アクセスN
    o.12915)。
  48. 【請求項48】 a) PBGDをエンコードする核酸配列を含む核酸フラグメン
    トを適当なベクターに導入し; b) ベクターで適合性の宿主細胞を形質転換し; c) 核酸配列の発現を容易にする条件下で、形質転換した宿主細胞を培養し; d) 培養物から発現産物を回収する ことからなる方法による、rhPBGDの製造方法。
  49. 【請求項49】 さらに発酵工程からなる、請求項48に記載の方法。
  50. 【請求項50】 さらに精製工程からなる、請求項48に記載の方法。
  51. 【請求項51】 精製が、His-Tag(rhPBGD-His)を用いて行われる請求項5
    0に記載の方法。
  52. 【請求項52】 20℃で少なくとも 6週間、例えば少なくとも 7週間、好ま
    しくは8週間の安定性を有するrhPBGD。
  53. 【請求項53】 1ヶ月当たり10%未満、例えば5%未満の活性低下を生じる
    安定性を有するrhPBGD。
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