JP2003504304A - 小ペプチドならびに喘息および炎症の治療方法 - Google Patents

小ペプチドならびに喘息および炎症の治療方法

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Abstract

(57)【要約】 アレルギー、皮膚炎症、関節炎、慢性閉塞性肺疾患の処置、および慢性炎症性腸疾患の処置のための方法について記載する。患者の気道への好酸球の侵入を阻止する方法、患者の気道への粘液の放出を阻止する方法、リンパ球のIgE活性化を遮断する方法、リンパ球の細胞膜を安定化し、それによりIgE抗原の対抗に対する炎症性応答がさらに増強されることを防御するする方法、Tセルの遊走を阻止する方法についても記載する。かかる方法は該患者に治療上有効量のf−Met−Leu−X(ここでXはTyr、Tyr−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選択される)の式で表されるペプチドを投与することを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、肥満細胞性顆粒減少阻害活性を有する小ペプチドならびに炎症の治
療方法に関するものであり、詳細にはアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アナフィラキ
シー、薬物感受性、食物感受性などのアレルギー、皮膚炎、湿疹、乾癬、接触皮
膚炎、日焼け、加齢などの皮膚炎症、骨関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、脊椎関節
炎などの関節炎の治療に有用なN−ホルミル−メチオニルペプチド類に関する。
これらのペプチド類はまた、慢性閉塞性肺疾患および慢性炎症性腸疾患の治療に
も有用である。さらに詳細にはこれらペプチドは、移植における免疫抑制および
癌治療など、コルチコステロイド類が使用されるあらゆる用途でコルチコステロ
イドに代えて使用することができる。
【0002】 (背景技術) 喘息は複雑な障害である。遺伝的および環境的要素(アレルギー、ウィルス感
染、刺激物)が、喘息発症および炎症性増悪に関与している。喘息患者(成人お
よび小児)の半数以上がアレルギーを有しており、実際には、その疾患の発症お
よび増悪発生における主要因子はイエダニ糞に対するアレルギーである。幼児期
における呼吸合胞体ウイルス感染も喘息発症とかなり関連があり、呼吸系のウィ
ルス感染が急性発症を誘発する場合が多い。
【0003】 30年前に気管支拡張β−作働薬(β受容体に対して選択的なアドレナリ
ン作働薬)が導入されることで、喘息治療に革命が起こった。その薬剤は、α−
およびβ−の両方のアドレナリン受容体を刺激するイソプロテレノールなどの非
選択的アドレナリン受容体作働薬より強力かつ長期作用性(4〜6時間)である
ことが明らかになった。β−作働薬は急速に症状を緩和し、運動や酷寒空気吸
入などの刺激によって引き起こされる急性気管支収縮に対して保護を与えるもの
でもある。使用頻度は喘息抑制の指標としても役立ち得る。最近米国で、極めて
長期作用性のβ−作働薬であるサルメテロール(12時間以下の期間)が導入
された。サルメテロールは非常に強力であって、炎症徴候を鎮めることができる
ことから、抗炎症剤とともに使用しなければならない。
【0004】 テオフィリンは、治療マージンが狭く(毒性を回避するには血中レベルのモニ
タリングが必要)、薬剤相互作用の傾向性(肝臓チトクロムP450薬剤代謝酵
素についての競合によって、同じ系によって代謝されるいくつかの重要な薬剤の
血漿レベルが変わる)のある気管支拡張薬である。
【0005】 中等度の喘息は、抗炎症性コルチコステロイドまたは肥満細胞阻害剤(クロモ
リンナトリウムまたはネドクロミル(nedocromil))の1日1回吸入と破綻症状
またはアレルゲンもしくは運動誘発性喘息を緩和する上での必要に応じてのβ −作働薬吸入(1日3〜4回)によって治療される。クロモリンナトリウムおよ
びネドクロミルは気管支痙攣および炎症を遮断するが、通常はアレルゲンや運動
に関連する喘息のみに有効であり、そこで若年性喘息のみに有効である。コルチ
コステロイド吸入によって、炎症、気道過敏反応および閉塞が改善され、急性増
悪の数が減少する。しかしながらそれは、効果が認められるまでに1ヶ月を要し
、顕著な改善が起こるには1年もかかる。最も高頻度で生じる副作用は嗄れ声お
よび口腔カンジダ症である。比較的重篤な副作用が報告されており、それには部
分的副腎抑制、成長阻害および骨形成低下などがあるが、これらは比較的高用量
を用いた場合のみである。ベクロメタゾン、トリアムシノロンおよびフルニソリ
ドが恐らく、mg単位で(mg-for-mg)同様の効力を有する。さらに新しい承認
薬であるブデソニドおよびフルチカゾン(fluticasone)はより強力であって、
報告によると全身性の副作用が相対的に少ない。
【0006】 軽度の疾患を有する患者であっても、活性化T細胞、肥満細胞および好酸球に
よる粘膜および上皮の浸潤などの気道の炎症を示す。T細胞および肥満細胞は、
好酸球の成長および成熟ならびにIgE抗体の産生を促進するサイトカイン類を
放出し、それらが次に微小血管透過性を高め、上皮を破壊し、神経緩和および粘
液分泌腺を刺激する。結果的に、気道の過反応、気管支収縮および分泌過多が生
じて、喘鳴、咳および呼吸困難として発現する。
【0007】 従来、喘息は経口および吸入での気管支拡張薬によって治療されてきた。その
薬剤は喘息の症状には役立つが、基礎となる炎症に対しては効果がない。喘息の
病因において炎症が重要であることが最近10年間で認められるようになったこ
とで、コルチコステロイド類の使用が増加してきたが、多くの患者がなおも、喘
息を抑制できずに苦しんでいる。
【0008】 科学者らは、喘息においてロイコトリエン類(A、B、C、DおよびEのサブ
タイプがある)が非常に重要な役割を果たしていることを認めている。これらは
気道平滑筋痙攣、血管透過性向上、浮腫、粘液産生促進、粘膜破壊輸送低下およ
び白血球走化性を引き起こす。
【0009】 関連するプロスタグランジン化合物同様、ロイコトリエン類は細胞膜において
アラキドン酸から合成される。肥満細胞、好酸球、大食球、単核球および好塩基
球中のアラキドン酸は、ホスホリパーゼA2の活性化によって、膜リン脂質から
形成される。それが形成されるとアラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ経路(
各種のプロスタグランジン類およびトロンボキサン類を産生)および5−リポキ
シゲナーゼ経路(ロイコトリエン類を産生)という2つの主要な経路を経由して
代謝を受ける。アラキドン酸代謝の概略を図4に示してある。プロスタグランジ
ン類、トロンボキサン類およびロイコトリエン類はエイコサノイドと総称される
【0010】 抗ロイコトリエン類は、炎症カスケードの初期段階を妨害する可能性のある多
様な種類の抗喘息薬である。ロイコトリエン類は、プロスタグランジン類に関係
する炎症物質である。いずれも細胞膜でアラキドン酸から形成される。肥満細胞
、好酸球、大食球、単核球および好塩基球でアラキドン酸が形成されると、それ
は(1)シクロオキシゲナーゼ経路(プロスタグランジン類およびトロンボキサ
ン類を産生)および(2)5−リポキシゲナーゼ経路(細胞質でロイコトリエン
類を産生)という2つの主要な経路を経由して代謝される。ロイコトリエン類は
医学において、アナフィラキシーの遅反応性物質(「SRS−A」)として知ら
れている。ロイコトリエン類は、気管支炎症において重要な役割を果たす。それ
は、各種白血球(例:好中球、好酸球および単核球)の血管中への移動、付着お
よび凝集を誘発し、気管支および血管平滑筋収縮を引き起こす。結果的に肺にお
いて、浮腫、白血球走化性、粘液産生、粘膜破壊機能不全および気管支痙攣が起
こる。ある種のロイコトリエン類、例えばシステイニルロイコトリエン類(LT
D)は特に強力な気管支収縮薬であり、ヒスタミンと比較して活性が約100〜
1000倍である。システイニルロイコトリエン類などのロイコトリエン類は、
顆粒消失時に肥満細胞から放出される。
【0011】 ロイコトリエン受容体を遮断するかまたは酵素5−リポキシゲナーゼを遮断す
ることでロイコトリエン合成を防止する多くの抗ロイコトリエン類が研究中であ
ったり、商業的に使用されている。ロイコトリエン阻害薬は作用において類似し
ていない。一部のものは5−リポキシゲナーゼを直接遮断し、一部のものは蛋白
活性化5−リポキシゲナーゼを阻害し、一部のものは蛋白上の結合部位からアラ
キドン酸を転位させる。対照的にロイコトリエン拮抗薬は、気道機能亢進、気管
支収縮および分泌過多に介在する受容体自体を遮断する。
【0012】 ヒト肺肥満細胞は、in vitroでのIgE刺激によって腫瘍壊死因子(INF)
IL−4およびIL−5を産生する(Chest 1997; 112: 523-29)。気管支内生
検試料における免疫組織化学的分析から、IL−6産生を伴うそれの産生が確認
されている。さらに肥満細胞数およびTNFは、正常被験者と比較して喘息患者
においては統計的に有意に大きい。TNFおよびIL−4は、気管支血管系の内
皮層における血管細胞接着分子−1(VCAM−1)(免疫グロブリンスーパー
ファミリーの接着分子)発現亢進を強化し得る。好酸球、好塩基球および単核球
は、細胞表面上で超後期活性化抗原4(VLA−4)インテグリンを示し、それ
はVCAM−1と相互作用する。従って、相互作用VLA−4/VCAM−1を
介して、TNFおよびIL−4は循環白血球の補充を促進する。IgE介在刺激
に対して前形成サイトカインを放出したり、あるいは他のもの(IL−4、IL
−5)を迅速に合成する肥満細胞の能力が、気管支炎症につながる初期事象であ
ると考えられる。実際、サイトカイン類のさらなる産生によるTH2クローンの
誘導および活性化が好酸球の活性化および補充を促進し、その好酸球が炎症反応
の最終的エフェクターとして作用する。次に、白血球(特にはTH2細胞)によ
って産生されるサイトカイン類は、粘膜肥満細胞の発達、活性化およびプライミ
ングに大きく影響することから、陽性の催炎ループを促進する。最近、ヒト肥満
細胞がIL−8を産生し、マウス肺由来の肥満細胞が単核球化学誘引物質蛋白−
1および大食球炎症蛋白−1という両方のケモカイン類を発現するという所見が
得られている。これは、白血球補充に従来のように関与するサイトカイン類(I
L−4、IL−5、TNF)以外に肥満細胞も、好酸球および多形核白血球に対
して作用する気道でのさらに別の強力な化学誘引物質(IL−8)を産生するこ
とを示唆している。さらに、ヒスタミン放出因子として作用するケモカイン類が
肥満細胞顆粒減少を誘発することから、それはさらに自己分泌活性化ループを維
持し得るものである。
【0013】 肥満細胞はまた、B細胞成長において重要な役割を果たして、IgE合成にお
いてIL−4とともに必要とされる細胞接触(好塩基球のように)を提供するも
のである。それは、肥満細胞が、T−細胞とは独立にIgEの産生を直接調節し
得ることを示唆し、そしてIgE架橋が生じると、アトピー性喘息において中心
的役割を果たすと考えられているT−細胞の小群である局所TH2応答を開始す
るだけの量のIL−4を形成し得ることを示唆している。さらに肥満細胞は、T
−リンパ球に対する抗原提供細胞としても作用し得るものであり、喘息の免疫ネ
ットワークにおいて肥満細胞がかなり大きい役割を果たすことが示唆される。
【0014】 文献に(Inflammation, Vol.5, No.1, pp.13-16 (1981))、N−ホルミル−メ
チオニル−ロイシル−フェニルアラニンによる肥満細胞顆粒減少の阻害が報告さ
れている。その文献では、2種類の構造的に異なる走化性ペプチド、すなわちペ
プスタチンおよびN−ホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニンが、
ラット皮膚での40/80、抗ラットIgE血清または仔ウシ肺から単離された
巨大分子アニオン浸透性因子の経皮注射によって生じる血管浸透性向上を阻害す
ることが報告されている。さらには、それらのペプチドが肥満細胞に対して直接
作用するように思われることも報告されている。
【0015】 ヒトにおける炎症疾患、特に例えば喘息、関節炎およびアナフィラキシーの治
療は重要であることから、副作用が相対的に少ない新たな生理活性化合物が現在
もなお求められている。喘息炎症プロセスの文脈の範囲内での本発明の新規ペプ
チドの介入による肥満細胞顆粒減少の阻害を図4に視覚的に描いてある。
【0016】 (発明の要旨) 本発明は、適当な医薬担体中にマスト細胞顆粒消失抑制活性を有するN−ホル
ミル−メチオニル−ロイシル(“f−Met−Leu”)ペプチドを含む新規な
医薬組成物を用いる各種適応症の治療方法を提供する。特に有用なペプチドは、
式f−Met−Leu−X(式中、XはTyr、Tyr−Phe、Phe−Ph
e及びPhe−Tyrからなる群から選択される)を有するものである。前記ペ
プチドは、アレルギー(例えば、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アナフィラキシー
、薬物過敏症、食物過敏症等)、皮膚炎症(例えば、皮膚炎、湿疹、乾せん、接
触皮膚炎、日焼け、老化等)、及び関節炎(例えば、骨関節症、乾せん性関節炎
、狼瘡、脊椎関節炎等)を治療するのに有用である。前記ペプチドは、慢性閉塞
性肺疾患及び慢性炎症性腸疾患の治療にも有用である。本発明のペプチドは、移
植の際の免疫抑制やガン治療を含めたコルチコステロイドを使用する適応症にお
いてコルチコステロイドの代わりに使用することができる。
【0017】 本発明によれば、哺乳動物におけるアレルギー反応を治療する方法は、抗アレ
ルギー有効量の式f−Met−Leu−X(式中、XはTyr、Tyr−Phe
、Phe−Phe及びPhe−Tyrからなる群から選択される)を有するペプ
チドを哺乳動物に投与することを含む。例えば鼻粘膜に関連したアレルギーの治
療のための好ましい投与モードは吸入による。接触アレルギーの治療のための好
ましい投与モードは適当な医薬担体を用いる局所投与である。全身治療のために
は皮内注射または錠剤を使用することができる。
【0018】 本発明はまた、哺乳動物における皮膚炎症の治療方法を提供する。この方法は
、抗炎症有効量の式f−Met−Leu−X(式中、XはTyr、Tyr−Ph
e、Phe−Phe及びPhe−Tyrからなる群から選択される)を有するペ
プチドを哺乳動物に投与することを含む。
【0019】 本発明は更に、哺乳動物における骨関節症、乾せん性関節炎、狼瘡、脊椎関節
炎等からなる群から選択される関節炎の治療方法を提供する。この方法は、抗関
節炎有効量の式f−Met−Leu−X(式中、XはTyr、Tyr−Phe、
Phe−Phe及びPhe−Tyrからなる群から選択される)を有するペプチ
ドを哺乳動物に投与することを含む。
【0020】 別の実施態様によれば、本発明は、好酸球の患者気道への浸潤を抑制する方法
を提供する。この方法は、気道への好酸球浸潤を抑制するのに有効な量の式f−
Met−Leu−X(式中、XはTyr、Tyr−Phe、Phe−Phe及び
Phe−Tyrからなる群から選択される)を有するペプチドを患者に投与する
ことを含む。
【0021】 別の実施態様によれば、本発明は、患者の気道における粘液放出を抑制する方
法を提供する。この方法は、気道粘液放出を抑制するのに有効な量の式f−Me
t−Leu−X(式中、XはTyr、Tyr−Phe、Phe−Phe及びPh
e−Tyrからなる群から選択される)を有するペプチドを患者に投与すること
を含む。
【0022】 更に、本発明は、患者における慢性閉塞性肺疾患の治療方法を提供する。この
方法は、慢性閉塞性肺疾患の治療に有効な量の式f−Met−Leu−X(式中
、XはTyr、Tyr−Phe、Phe−Phe及びPhe−Tyrからなる群
から選択される)を有するペプチドを患者に投与することを含む。
【0023】 加えて、本発明は、患者における慢性炎症性腸疾患の治療方法を提供する。こ
の方法は、慢性炎症性腸疾患の治療に有効な量の式f−Met−Leu−X(式
中、XはTyr、Tyr−Phe、Phe−Phe及びPhe−Tyrからなる
群から選択される)を有するペプチドを患者に投与することを含む。
【0024】 本発明は更に、リンパ球(例えば、マクロファージ、単核細胞、好酸球、好中
球、TNF等)のIgE活性化を阻止する方法を提供する。この方法は、前記リ
ンパ球をIgE活性化の阻止に有効な量の式f−Met−Leu−X(式中、X
はTyr、Tyr−Phe、Phe−Phe及びPhe−Tyrからなる群から
選択される)を有するペプチドと接触させることを含む。
【0025】 本発明はまた、IgE抗原攻撃に対する高い炎症性応答への更なる関与を妨げ
るべくリンパ球(例えば、マクロファージ、単核細胞、好酸球、好中球、TNF
等)の細胞膜を安定化させる方法を提供する。この方法は、前記リンパ球を細胞
安定化に有効な量の式f−Met−Leu−X(式中、XはTyr、Tyr−P
he、Phe−Phe及びPhe−Tyrからなる群から選択される)を有する
ペプチドと接触させることを含む。
【0026】 更に、本発明は、IL−4及びIL−5の産生への関与を妨げるべくT細胞(
例えば、CD4−細胞)及び他のケモキンの遊走を抑制する方法を提供する。こ
の方法は、前記T細胞を該T細胞の遊走抑制に有効な量の式f−Met−Leu
−X(式中、XはTyr、Tyr−Phe、Phe−Phe及びPhe−Tyr
からなる群から選択される)を有するペプチドと接触させることを含む。
【0027】 本発明の特定の好ましい実施態様では、本発明のペプチドを第2活性成分と組
合せて投与することが患者にとって有利であり得る。本発明の前記組合せのため
に特に有用な他の活性成分は、例えば抗ロイコトリエン、β−アゴニスト、コ
ルチコステロイド等である。
【0028】 (図面の簡単な説明) 図1は、化合物78/80の各種濃度についての毛細管透過性の面積を示すl
og用量−反応曲線である。
【0029】 図2は、各種濃度のf−Met−Leu−Pheによる毛細管透過性の抑制に
ついての用量−反応曲線である。
【0030】 図3は、各種濃度の本発明の好ましいペプチドによる毛細管透過性の抑制につ
いての用量−反応曲線である。
【0031】 図4は、更にマスト細胞顆粒消失の抑制を示すアラキドン酸代謝の主要経路の
概略図である。
【0032】 図5A及び5Bは、OVA誘発気管支喘息マウスモデルで使用した標準(5A
)及び分解(5B)の異なるプロトコルの概略図である。
【0033】 図6A〜6Dは、処置マウス及び対照マウスにおけるOVA誘発喘息を抑制す
る本発明化合物の処置の比較組織検査を示す顕微鏡写真である。
【0034】 図7は、マウス喘息マデルにおける粘液プラグの形成に対する本発明の治療結
果を示すヒストグラムである。
【0035】 図8A〜8Cは、喘息を誘発後本発明に従って処置したマウスの肺組織の組織
検査を示す。
【0036】 図9A〜9Dは、喘息を誘発後本発明に従って処置した第2群のマウスの肺組
織の組織検査を示す。
【0037】 図10A〜10Dは、喘息を誘発後本発明に従って処置した第3群のマウスの
肺組織の組織検査を示す。
【0038】 図11は、OVA誘発喘息マウスから回収した肺胞中の炎症細胞の分布を示す
グラフである。
【0039】 図12は、OVA誘発喘息マウスの気道中の気道プラグスコアを示すグラフで
ある。
【0040】 図13は、OVA誘発喘息マウスの気道中の白血球遊走を示すグラフである。
【0041】 図14は、OVA誘発喘息マウスの肺洗浄から回収した全細胞を示すグラフで
ある。
【0042】 (詳細な説明) 本発明によれば、式−Met−Leu−X〔式中、XはTyr、Tyr−Ph
e、Phe−Phe及びPhe−Tyrから成るグループから選択される〕を有
しているある種の小ペプチドは、マスト細胞の脱顆粒反応を阻害するという予想
外の活性を有していることが知見された。その結果としてこのようなペプチドは
、サイトカイン(例えば、TNF)、ヒスタミン及びロイコトリエンの放出を阻
害し、様々な病気、例えば喘息、アレルギー性鼻炎、uticaria、アナフ
ィラキシー、薬物過敏症、食物過敏症のようなアレルギーなどで生じる炎症の治
療、また、皮膚炎、湿疹、乾癬、接触皮膚炎、日焼け、老化のような皮膚炎症の
治療、また、骨関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡、海綿状関節炎のような関節炎の治
療、などに有用である。これらのペプチドはまた、慢性の閉塞性肺疾患及び慢性
の炎症性腸疾患に有用である。本発明のペプチドは、移植組織の免疫抑制及び癌
治療のようなコルチコステロイドが使用される任意の用途でコルチコステロイド
に代替して使用され得る。
【0043】 本発明のペプチドによる治療後に、マスト細胞の連続的脱顆粒反応が低下し、
マスト細胞によるロイコトリエン、ヒスタミン及びその他のサイトカインの放出
が減少するかまたは好ましい実施態様では完全に停止する。本発明の好ましい実
施態様によれば、ペプチドはまた、好酸球、好塩基球及び好中球が炎症組織に浸
潤することを抑制し得る。本発明の好ましいペプチドに反応してリンパ球、好酸
球及び好中球が走化性を示さない。その結果として、炎症部位に対するリンパ球
、好酸球及び好中球の走化性的接着、泳動及び凝集が有意に減少し、また、炎症
部位の血管透過性も低下する。更に、本発明の好ましい化合物は、心臓、肝臓及
び肺などのような生命器官に対して毒性を示さない。
【0044】 本発明の好ましいペプチドは、例えば、マクロファージ、単球、好酸球、好中
球、TNFのようなリンパ球のIgE活性化をin vitro及びin vi
voでブロックするレセプターリンクを提供する。ペプチドはこのようなリンパ
球の細胞膜を安定化し、IgE抗原刺激に対する炎症応答の増加にリンパ球が関
与することを阻止する。ペプチドはまた、慢性炎症の場合に異種細胞間、例えば
マスト細胞と好酸球との間のIgE結合をブロックする。
【0045】 本発明のペプチドは慣用の小ペプチド化学技術によって調製され得る。投与に
使用されるペプチドは、医薬として許容される担体または希釈剤と共に無菌条件
下で調製される。
【0046】 医薬組成物の用量は患者次第で、及び、使用される特定の投与経路次第で異な
るであろう。1日あたり0.1−100,000μg/kgの範囲、より好まし
くは1−10,000μg/kgの範囲の用量を投与し得る。体重1kgあたり
約1−100μg/kg、より好ましくは約1−10μ/kg、最も好ましくは
1.0−2.0μg/kgの用量を投与するのが極めて好ましい。病気の重篤度
に応じてこれらの用量を典型的には1日1回または4−6時間おきに投与する。
急病の場合は、ペプチドを4−6時間おきに投与するのが好ましい。維持目的ま
たは治療目的で使用する場合には、1日1回だけまたは2回の投与が好ましい。
投与経路及び病気の重篤度次第では、1日あたり約0.18−約16mgのペプ
チドを投与するのが好ましい。特定化合物を分割用量でデリバリーするために望
ましい時間間隔は平均的な当業者が常套的な実験方法で決定できる。
【0047】 投与経路には、経口、非経口、直腸内、膣内、外用、鼻孔内、眼内、直接注入
、などがある。好ましい実施態様では、本発明のペプチドを、抗炎症有効量また
はマスト細胞の脱顆粒反応を阻害する用量で患者に投与する。代表的な医薬組成
物は、典型的には医薬として許容される担体に含まれており、抗炎症効果を与え
るかまたはマスト細胞の脱顆粒反応を阻害する治療有効量の本発明のペプチドで
ある。
【0048】 本文中に使用されておりかつより詳細に後述される“医薬として許容される担
体”という用語は、ヒトまたは他の動物への投与に好適な1種または複数の固体
状または液体状の増量希釈剤または封入用物質を意味する。従って本発明におけ
る“担体”なる用語は、投与を容易にするために本発明の分子に組合せる天然ま
たは合成の有機または無機の成分を意味する。“治療有効量”という用語は、所
望の効果を生じるかまたは治療される特定疾患に所望の作用を与える本発明の医
薬組成物の量を意味する。治療される患者の年齢、病気の重篤度、治療期間及び
投与形態などの種々の違いに対応できるように、同じ成分を種々の濃度で含む組
成物を調製する。
【0049】 担体はまた、相溶性でなければならない。本文中で使用される“相溶性”とい
う用語は、所望の薬効を実質的に損なうことなく医薬組成物の諸成分が互いにか
つ本発明の小ペプチドと混合できることを意味する。
【0050】 本発明のペプチドは典型的にはper se(原形)で投与される。しかしな
がら、医薬として許容される塩の形態で投与されてもよい。このような医薬とし
て許容される塩の非限定例は、以下の酸から製造される塩である:塩酸、臭化水
素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスル
ホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナ
フタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸。医薬として許容される塩はま
た、カルボン酸基のナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩のようなアルカリ
金属塩またはアルカリ土類金属塩として調製されてもよい。従って本発明は、本
発明のペプチドを1種または複数の医薬として許容される担体及び他の任意の治
療用成分と共に含む医療用の医薬組成物を提供する。
【0051】 組成物は、経口、直腸内、膣内、外用、鼻孔内、眼内または非経口などの投与
経路に適した組成物を包含し、本発明物質を使用するために上記の全部の投与経
路を使用し得る。本発明のペプチドを含有する医薬組成物はまた、医薬として許
容される1種または複数の担体を含有してもよく、担体は、安定剤(長期保存を
補助)、乳化剤、結合剤、増粘剤、塩、保存剤、溶媒、分散媒、コーティング剤
、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤、などの賦形剤を含有し得る。医
薬活性物質にこのような媒体及び薬剤を使用することは当業界で公知である。慣
用の媒体または薬剤が本発明のペプチドに不相溶性でない限り、本発明の医薬組
成物に使用し得る。また、補助有効成分を本発明の医薬組成物に混在させてもよ
い。
【0052】 喘息の治療には経口投与に適した組成物が好ましい。典型的にはこのような組
成物を、吸入エアロゾル、吸入噴霧剤、シロップまたは錠剤として調製される。
関節炎の治療には外用投与に適した組成物が好ましいが、経口組成物も便利であ
る。典型的にはこのような外用組成物は、クリーム、軟膏または溶液として調製
される。このような組成物中のペプチド有効成分の濃度は典型的には50μg/
ml未満、より好ましくは30μg/ml未満、最も好ましくは約5−10μg
/ml未満である。
【0053】 組成物は単位剤形の形態で提供されるのが便利であり、製薬業界で公知の任意
の方法によって調製され得る。典型的な方法は、本発明の有効成分を、1種また
は複数の補助成分を含む担体に会合させる段階を含む。
【0054】 吸入投与に適した本発明の組成物は例えばエアロゾルまたは吸入溶液の形態で
提供される。典型的なエアロゾル組成物の一例は、トリクロロ−モノフルオロメ
タン及びジクロロジフルオロメタンにオレイン酸を加えた混合物に懸濁した所望
量の微晶質ペプチドから成る。典型的な溶液の一例は、無菌の生理食塩水(溶解
度を上げるために約5%v/vのジメチルスルホキシド(“DMSO”)を任意
に添加)に溶解または懸濁させた所望量のペプチドとベンズアルコニウムクロリ
ドと硫酸(pH調整用)とから成る。
【0055】 経口投与に適した本発明の組成物はまた、各々が所定量の本発明のペプチドを
含むカプセル、カシェ剤、錠剤またはドロップのような個別単体でもよく、ある
いは、リポソームに収容されていてもよくまたはシロップ、エリキシル剤もしく
はエマルジョンのように水性液体または非水性液体に懸濁液として含まれていて
もよい。錠剤配合基剤の一例は、コーンスターチ、ラクトース及びステアリン酸
マグネシウムなどの不活性成分である。シロップ配合基剤の一例は、クエン酸、
着色剤、香味剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、サッカリン、安息香酸
ナトリウム、クエン酸ナトリウム及び純水である。
【0056】 非経口投与に適した組成物は好ましくは本発明分子の無菌水性調製物から成る
。調製物はレシピエントの血液に等張性であるのが好ましい。この水性調製物を
適当な分散剤または湿潤剤と懸濁化剤とを使用して公知の方法に従って製剤化し
得る。無菌の注射用調製物はまた、非経口的に許容される無毒性の希釈剤または
溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール溶液で
もよい。使用が許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液、等張塩化ナト
リウム溶液である。幾つかのペプチドでは溶解度を維持するために水溶液中に約
10%v/vまでのDMSOまたはTrappsolを使用し得る。また、慣用
の無菌性不揮発油を溶媒または懸濁媒体として使用してもよい。この目的で、合
成モノ−またはジグリセリドのような多くの不揮発性油を使用し得る。更に、脂
肪酸(例えばオレイン酸または中性脂肪酸)を注射剤の調製に使用し得る。更に
、固体形態から37℃で数週間または数カ月にわたって徐放性に化合物を注入す
るためにプルロニックブロックコポリマーを4℃で脂質に配合し得る。
【0057】 外用投与に適した組成物はTrappsolもしくはDMSO中のペプチドの
溶液、または、クリーム、軟膏またはローションの形態で提供され得る。典型的
には、約0.1−約2.5%の有効成分を基剤または担体に組込む。クリーム配
合基剤の一例は、純水、ワセリン、ベンジルアルコール、ステアリルアルコール
、プロピレングリコール、イソプロピルミリステート、ポリオキシル40ステア
レート、carbomer 934、ラウリル硫酸ナトリウム、酢酸二ナトリウ
ム、水酸化ナトリウム、及び任意にDMSOである。軟膏配合基剤の一例は、白
色ワセリン、及び、任意に鉱油、ソルビタンセスキオレエート及びDMSOであ
る。ローション配合基剤の一例はcarbomer 940、プロピレングリコ
ール、polysorbate 40、プロピレングリコールステアレート、コ
レステロール及び近縁ステロール、イソプロピルミリステート、ソルビタンパル
ミテート、アセチルアルコール、トリエタノールアミン、アスコルビン酸、シメ
チコーン及び純水である。
【0058】 マスト細胞脱顆粒の抑制を測定するためのラット皮膚モデル アレルギーにより誘導される喘息は、生物が過感作状態になっている物質(ア
レルゲン)の暴露から生じる。アレルゲンに対する暴露は肺内のマスト細胞の脱
顆粒を引き起こして、ロイコトリエンおよびヒスタミンを放出させる。ロイコト
リエンおよびヒスタミンの放出に応答して、毛細血管の透過性が劇的に増加し、
血漿が該毛細管から周辺組織内に漏出する。そのような暴露から生じる呼吸症状
は、軽度なもの(かゆみおよびくしゃみ)から、致命的となる可能性のもの(喘
息)(極度に慢性の場合にはアナフィラキシーによる死を含む)まで様々である
【0059】 この現象を実験的に示すために、ラットの皮膚を肺の代わりに使用する。この
モデルにおいては、該実験的ラットの血漿を色素トリパンブルーで標識する。こ
の可溶性色素は、血漿自体の受動的マーカーとして血流中で運ばれ、肝細胞から
除かれる。毛細血管系を含む無傷血管は、通常の状況下でこの色素を保持する。
マスト細胞の脱顆粒(ロイコトリエンおよびヒスタミンの放出を引き起こす)を
誘導する化合物を該皮膚内に注射して、アレルゲン誘導性脱顆粒を刺激する。こ
れらの実験においては、この目的に化合物48/80を使用した。ロイコトリエンお
よびヒスタミンの放出後の事象において、毛細血管の透過性が増加し、青く染ま
った血漿が毛細血管から漏出し、該注射部位の周囲の皮膚を青く染める。青くな
った(青変)面積が、注射した化合物48/80の量の尺度となる。
【0060】 注射前に試験化合物を化合物48/80と混合することにより、「抗ロイコトリエ
ン」および/または「抗ヒスタミン」活性に関して該試験化合物を試験すること
ができる。該試験化合物がロイコトリエンまたはヒスタミンの放出を抑制する場
合には、該試験化合物の不存在下で化合物48/80が注射された同一ラットの注射
部位より小さな直径の青変領域が観察される。高い抗ロイコトリエンおよび抗ヒ
スタミン活性の場合には、該青変は事実上完全に抑制されうる。
【0061】 実験 ラット皮膚モデルを用い、有効性を確認した。種々のペプチドを、抗ロイコト
リエンおよび/または抗ヒスタミン活性に関して所定用量で試験した。選択した
用量は、比較のための標準化合物であるMet-Leu-Pheに対する全般的な比較を可
能にした。
【0062】 いくつかの化合物に関して「用量反応」力価測定を行ない、該標準化合物と比
較した。連続的に減少する用量の推定抑制化合物を使用した場合の、毛細血管透
過性領域の面積の連続的な減少は、初期所定用量試験において認められたロイコ
トリエンおよび/またはヒスタミンの放出の抑制を示すものである。
【0063】 材料および方法 試薬はSigmaまたはAldrichから入手した。ただし、獣医学用麻酔剤ケタミンは
種々の獣医学的供給業者から入手した。使用したラットは、B&K International
から購入した時点で220〜240gであった雄のSprague-Dawley品種であった。
【0064】 ラット皮膚反応のために、0.25mlの10mg/mlケタミンでラットを麻酔した。食
塩水(滅菌濾過したもの)中の1.0mlのトリパンブルーを尾静脈内に投与し、該
ラットの背部を剃毛した。試験および対照注射のために、ラット1匹当たり4個の
皮内注射部位を用いた。
【0065】 化合物48/80は、食塩水中の1.5mg/mlのストック溶液として調製した。この物
質は水溶液中で不安定となる可能性があることが判明し、毎日新たに調製した。
各ラットに注射する直前に、使用レベルまでの食塩水中の系列希釈液を調製した
【0066】 ペプチドは、DMSO中の23mMストック溶液として調製し、実験の合間は-20℃で
保存した。使用時に、該凍結ストック溶液を融解し、0.1mlの水性・化合物48/80
に対して5μlのDMSOの割合になるよう、適量のDMSOと共に適当なアリコートを化
合物48/80の希釈液に加えた。これにより、ある種のペプチドの溶解性を維持す
るのに必要な5% DMSO溶液が得られた。5% DMSOの影響は皆無であることが対照
実験により示された。
【0067】 注射のために、0.1mlの化合物40/80、+/-試験化合物を、麻酔され色素処理さ
れ剃毛されたラットに皮内注射した。15分間のインキュベーションの後、該ラッ
トを頚部脱臼により犠牲にし、背部の皮膚を剥ぎ取り、ライトボックス上に配置
した。背後から光を当てられた皮膚のイメージを、CCDビデオ捕獲カメラおよび
適当なハードウェア/ソフトウェアを使用してデジタル化した。科学的グラフィ
ックス解析ソフトウェアを使用して該デジタル化イメージを解析し、毛細血管透
過性(青変)領域の面積について積分して、さらなる解析のためのデジタル値を
得た。
【0068】 化合物48/80を約0.01μg〜約15μgの種々の用量で使用して、用量反応曲線を
作成した。その結果を図1に示す。ラット間のばらつき(例えば、皮膚の厚さ)
に基づく、化合物48/80の与えられた用量に関する毛細血管透過性領域の直径に
おける広範なばらつきが認められた。さらなる試験を行なうために、0.15μgの
用量の化合物48/80を選択した。
【0069】 実施例1 選択した用量0.15μgの化合物48/80を用いて標準化合物f−Met
−Leu−Pheの用量反応曲線を作成した。0ないし約230nMのf−Me
t−Leu−Pheを試験し、結果を図2に示す。化合物18/80に誘起され
る脱顆粒の阻害が明白に示された。
【0070】 実施例2から11 100ナノモルおよび0.15μgの用量の化合物48/80を用いて、ラッ
ト皮膚モデルにおいて誘起された脱顆粒の阻害に関して試験ペプチドおよびいく
つかのf−Met−Leuペプチドを試験した。各試験の各ラットにおいて内在
性ペプチド用量がゼロの48/80対照を含め、阻害%をこの対照(0%阻害)
に対する相対的な値として表した。48/80により生じる肥満細胞の脱顆粒の
%をも決定した。この結果を以下の表にまとめる。
【0071】
【表1】
【0072】 実施例12 選択した用量0.15μgの化合物48/80を用いてf−Met−Leu−
Phe−Pheの用量反応曲線を作成した。0ないし約230nMのf−Met
−Leu−Phe−Pheを試験し、結果を図3に示す。化合物18/80に誘
起される脱顆粒の驚くべき顕著な阻害が明白に示された。f−Met−Leu−
Phe−Pheにより誘起された脱顆粒の阻害は予期しないことに標準化合物f
−Met−Leu−Pheによる阻害よりも実質的に良好であった。
【0073】 肥満細胞の脱顆粒阻害のためのOVA誘起気管支喘息マウスモデル 喘息は複合的な疾患であり、気道閉塞および持続的な気管支過敏反応の自発的
な悪化により特徴づけられる。気道粘膜下組織のTリンパ球、好酸球およびマク
ロファージ/単球の活性化はもうひとつの確立された特徴である。サイトカイン
の発現および炎症性の媒介物質を伴う炎症メカニズムは気管支収縮および気管支
過敏反応の病因の基盤である。しかしながら、病因メカニズムの多く、例えば持
続的な症状および慢性炎症および疾患を調節および防御するために必要な介在に
ついては明らかにされていない。
【0074】 単一の対抗性アレルゲンが吸入されるとある個体および動物モデルにおいて気
道の反応性が急激に増強されることは長く認識されている。しかしながら、アレ
ルゲン吸入を繰り返すと、より顕著で、一貫した、持続的な気道反応性の増強が
認められた。このアレルゲン吸入を長時間繰り返したマウスモデルを用いて肺に
おけるアレルギー性疾患の長期影響を研究し、ヒトの肺における気道過敏反応の
誘導に関与する細胞、メカニズム、分子および媒介物質について表した。
【0075】 材料および方法 試薬:ピアース・ケム・コーポレーション(ロックフォールド、イリノイ州)
から結晶性OVAを、シグマ・ケム・コーポレーション(セントルイス、ミズー
リー州)から硫酸カリウムアルミニウム(アルム)を、バクスター・ヘルスケア
・コーポレーション(ディアフィールド、イリノイ州)からパイロジェン不含蒸
留水を、リンフォムド(ディアフィールド、イリノイ州)から0.9%塩化ナト
リウム(通常のセイライン)を、およびシクロデキストリン・テクノロジーズ・
デベロプメント・インコーポレーティッド(ガイネスヴィル、フロリダ州)から
トラップソル(商標)HPB−L100(水性ヒドロキシプロピルβシクロデキ
ストリン;45重量/容量%水溶液)を入手した。OVA(通常のセイライン中
500μg/ml)を等容量の蒸留水中10重量/容量%アルムと混合した。混
合物(10N NaOHを用いてpH6.5にする)を室温で60分インキュベ
ートした後、750gで5分間遠心し;ペレットを蒸留水で元の容量に再懸濁し
、1時間以内に使用した。
【0076】 選択した5−リポキシゲナーゼインヒビター、ジロイトン(1−[1−ベンゾ
[b]チエン−2−イルエチル]−N−ヒドロキシウレア;J.Pharmco
l.Exp.Ther.256:929−937(1991))は親切にもDr
.BellおよびDr.George,W.Carter(アボット・ラボラト
リーズ、アボットパート、イリノイ州)より提供された。ジロイトンをトラポソ
ル(商標)に溶解した。肥満細胞脱顆粒インヒビター、f−Met−Leu−P
he−Phe(「HK−X」)はヒスタテック・インコーポレーティッド(シア
トル、ワシントン州)により提供された。
【0077】 雌BALB/cワンス(6ないし8週齢で購入;ディー・アンド・ケイ、シア
トル、ワシントン州)を研究に慣用される条件下で飼育した。
【0078】 アレルゲン免疫/対抗プロトコル:標準(図5A)および解析(図5B)(J
.Exp.Med.184:1483−1494(1996))の異なるプロト
コルでマウスにi.p.注射によりアルムを伴うOVA0.2ml(100μg
)を投与した。異なるプロトコルに従って、通常のセイライン中ケタミン(0.
44mg/ml)/キシラジン(6.3mg/ml)0.2mlのi.p.によ
りマウスを麻酔し、その後通常のセイライン0.05ml中OVA100μgの
用量で鼻腔内(i.n.)におよび通常のセイライン0.05ml中OVA50
μgの用量で鼻腔内(i.n.)に投与した。二つの対照群を用いた。従って、
第1群にはアルムを含む通常のセイラインをi.p.およびアルムを含まない通
常のセイラインをi.n.投与し;第2群にはアルムを含むOVAをi.p.お
よびアルムを含まないOVAをi.n.投与および通常のセイライン単独を投与
した。
【0079】 組織学 気管および左肺(右肺は気管支肺胞洗浄に用いる)を得、10%中性ホルムア
ルデヒド溶液で室温で6ないし15時間固定した。パラフィンに包埋した後、組
織を5μm切片に切断し、さらに異なる染色または免疫標識で処理した。細胞数
を計数するためにディスクーム好酸球染色を用い、対比染色にメチレンブルーを
用いた。気道面積(2200μm)あたりの好酸球数を形態計測により決定し
た(J.Pathol.166;395−404(1992);Am.Rev.
Respir.Dis.147:448−456(1993))。メイソンのト
リクローム染色により繊維形成を決定した。染色法:メチレンーブルー、ヘモト
キシリンおよびエオシン、ムチカルミン、アルシアン・ブルー、並びにアルシア
ン・ブルー/過ヨウ素酸・シッフ(PAS)反応(Troyer,H.,Pri
nciple and Techniques of Histochemis
try(リトル・ブラウン・アンド・カンパニー、ボストン、マサチューセッツ
州)、「炭水化物」、89−121(1980);Sheehan,D.C.ら
、Theory and Practice of Histotechnol
ogy(バトル・プレス、コロンブス、オハイオ州)、「炭水化物」、159−
179(1980)、)の後気道粘液を決定した。ムチカルミン溶液でムチンを
染色し;メタニルイエローを対比染色に用いた。酸性ムチンおよび硫酸化粘液物
質をアルシアン・ブルー、pH2.5で染色し;ヌクレアファスト赤対比染色を
用いた。中性および酸性粘液物質をアルシアン・ブルー、pH2.5およびPA
S反応で同定した。気道(直径0.5ないし0.8mm)の閉塞の程度を形態学
的にも評価した。粘液による気道直径の閉塞%をフィギュア・レジェンドに記載
の0から4+の半定量スケールで分類した。個体にはプロトコル設計を伏せて形
態計測分析を実施した。
【0080】 肺機能試験 28日に、マウス、インビボで、前記の方法を修飾したプレチスモグラフィー
法(10、1958;192:364−368;J.Appl.Physiol
.64:2318−2323(1988);J.Exp.Med.184:14
83−1494(1996))により通常のセイラインかまたはOVAのいずれ
かを最後にi.n.投与した24時間後、メタコリンの静脈内注入に対する肺の
力学を決定した。肺機能試験の完了時に各マウスを心穿刺により放血し、さらな
る分析のために肺組織を気管と共に取り出した。
【0081】 気管支肺胞洗浄 主気管支で左肺を糸結びし、右肺を通常のセイライン0.4mlで3回洗浄し
た。プールしたサンプルの0.05mlアリコートから気管支肺胞洗浄(BAL
)液細胞をヘモサイトメーターで計数し、残った液体を4℃、200gで10分
間遠心した。エイコサノイド分析を実施するまで上澄を−70℃で保存した。1
0%ウシ血清アルブミン(「BSA」)を含有する通常のセイライン中細胞ペレ
ットを再懸濁した後、ガラススライド上にBAL細胞スメアを作った。好酸球を
染色するために乾燥したスライドをディスクーム希釈液(0.05%エオシン水
溶液および蒸留水中5容量/容量%アセトン;J.Exp.Med.131:1
271−1287(1970))で5ないし8分間染色し、0.5分間水ですす
ぎ、0.07%メチレン・ブルーで2分間対比染色した。
【0082】 気道粘液糖蛋白質のアッセイ BAL液中の粘液糖蛋白質をスロットブロット法及びPAS染色法によってア
ッセイした(Anal.Biochem.1989;182:160−164;
Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.1995;12:29
6−306)。ニトロセルロース膜(孔サイズ0.2μm;Schleiche
r & Schuell,Keene,NH)を蒸留水、次いで通常生理食塩溶
液で湿らせたあと、Minifold II 72穴スロットブロット装置(S
chleicher & Schuell)に入れた。BAL液のサンプル(0
.05ml)とヒト気道ムチン糖蛋白質の原液(2μm/ml)のアリコート(
0.05−0.75l)(Am.J.Respir.Cell Mol.Bio
l.1991;5:71−79)を水吸引真空によってニトロセルロース膜にブ
ロッティングし、粘液糖蛋白質をPAS反応によって視覚化した。PAS染色を
定量するために反射デンシトメトリーを実施した。その後下記に述べる画像処理
システムによって画像を分析した。BALサンプルのPAS反応性の面積強度を
、ヒト気道ムチンについての標準曲線と比較して定量した。
【0083】 免疫細胞化学 モノクローナル抗体:CD11c(DAB法)及びMac1(Behring
er Mannheim、Hitomouse KitによるABC法、Zym
ed)を使用して、血管系、気道及び線維症の領域内及びその周囲の炎症性細胞
型、例えば樹状細胞、マクロファージ及びリンパ球を同定した。
【0084】 形態測定及び画像分析 ScanJetIICX ScannerとHP DeckScan IIソ
フトウエア(Microsoft(登録商標)WindowsTMバージョン)
(Hewlett Packard,Palo Alto,CA)により、すべ
ての画像を捕捉してデジタル化した。Image−Pro(登録商標)Plus
、WindowsTMソフトウエア用1.1バージョン(Media Cybe
rnetics,Silver Spring,MD)を用いてこのシステムを
Dell Dimension XPS P90コンピュータ(Dell Co
rporation,Austin,TX)に接続した。Dell Ultra
scan 17ESモニターを超高解像力グラフィックモード(1.280×1
,024ピクセル、78.9kHz水平走査周波数、74Hz垂直走査周波数)
で使用して、256グレイレベルスケールで画像を評価した。
【0085】 ロイコトリエン阻害因子試験 気道炎症における5−リポキシゲナーゼ産物の役割を評価するため、図5に記
載されている日に、5−リポキシゲナーゼ阻害因子、Zileuton(35m
g/kg)を各々のi.n.攻撃誘発の30分前にi.p.投与した。1組の動
物では、i.p.OVAの前にもZileutonを投与した。35mg/kg
のZileutonは、BSA抗原をi.p.投与した受身感作ラットにおいて
システイニルロイコトリエンの放出を〜95%抑制する。(J.Pharmac
ol.Exp.1991;256:929−937)。
【0086】 本発明のHK−X化合物 上述したのと同じ手順を用いてHK−X化合物を5mg/kgと10mg/k
gで投与した。
【0087】 統計分析 保護最小有意差法(Statview II,Abacus Concept
s,Berkeley,CA)を用いて、肺機能データを分散分析(ANOVA
)によって評価した。この方法は、多数のt統計を用いて可能なすべての対応あ
る比較を評価するものであり、等しい対サイズと等しくない対サイズの両方に適
用できる。その他のデータは結合実験の平均±SEとして報告される。独立平均
についてのスチューデント両側t検定により、差を有意性(P<0.05)に関
して分析した。
【0088】 1.好酸球(表2A−2B) 1、2及び3ヵ月群のOVA処置マウスにおいて気道の好酸球数はそれぞれ4
4.83%から37.40%及び19.15%に有意に減少した(P<0.02
5)。同じ時間経過で、OVA処置群では他の2つの群よりも好酸球数がはるか
に高かったが(P<0.025)、Zileutonは概して1−3ヵ月間好酸
球を低下させることができた。しかし本発明のHK−X化合物は、1ヵ月で同等
に好酸球を低下させたが、2ヶ月目と3ヵ月目にははるかに有効に好酸球を低下
させた。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】 2.他の炎症細胞 他の炎症細胞は、気道内への異種蛋白の侵入後非特異的炎症応答を示す。リン
パ球が気道内に集積したが、対照群では実質的に存在しなかった。boot擬似
感作したマウスとOVA感作したマウスにおいてOVA攻撃誘発後好中球が集積
したが、OVA感作群の気道にはるかに多くの好中球が存在した。広い細胞質の
末梢付近に半月形の核を持つ独特の多核巨細胞(融合したマクロファージ)が時
として認められた。ランゲルハンス巨細胞と球状白血球の両方が、OVAで感作
し、攻撃誘発した動物においてのみ認められた。それらは通常、より大きな気道
に関連する結合組織中に存在した。気道の近くと局所的リンパ系組織において時
としてプラスマ細胞が認められた。
【0092】 3.気道栓(表3) ムチン:同じ処置を行った3群間で差はなかったが、時間経過には差があった
(P>0.05)。OVA処置群は、食塩溶液、Zileuton(P<0.0
5)及びHK−X化合物で処置した群よりも高いスコアを有していた。
【0093】
【表4】
【0094】 喘息は気道の慢性炎症状態である。ヒトでは、ひとたび確立されてしまうと、
気道の過敏症は何年も安定なままでありうる。アレルゲンの吸入、検出しうる気
道炎症あるいは上皮剥離が存在しなくても明らかに持続する。それ故、気道の超
微細構造の不可逆性(あるいは少なくとも緩慢な可逆性)変化により永続的とな
りうる。
【0095】 軽度の喘息患者では、これらのエピソードあるいは「発作」は比較的まれで、
気管支拡張薬の吸入によって良好に治療される(可逆性である)。基礎となる示
差的な慢性気道炎症の強度が、より頻繁で強く且つ持続的な、気管支拡張薬によ
ってあまり可逆性でない発作に関連し、見掛け上結びついている。この理由は近
年徐々に明らかになってきた。主としてTh2−リンパ球、好酸球、肥満細胞、
そしておそらく血小板の活性化された又は感作された浸潤物から成る炎症は、脈
管周囲(間質)腔の拡大とメディエイタ/成長因子の放出を引き起こし、基底膜
の肥厚、上皮の損傷と脱離、粘っこい粘液の産生、過形成、初回感作ならびに気
道平滑筋の部分的収縮を生じさせる。これらの結果はすべて気道反応性の上昇を
裏付けており、気道反応性の上昇は環境刺激に対する応答の閾値を低下させ、そ
れ故より頻繁で強い発作を引き起こす。
【0096】 上記の形態学的変化はすべて、肺機能に直接且つ強力に影響する。急性喘息マ
ウスモデルと長期的喘息マウスモデルに関する実験において、肺機能の有意の病
態生理学的変化が認められ、上記の形態学的変化を裏付けた。アレルゲンの吸入
は、気道と肺胞上皮での好酸球と肥満細胞の発現、ならびに気道上皮だけでの誘
導E選択発現、好酸球の浸潤と気道反応性の上昇、そしてその他の種類の炎症細
胞(球状白血球及びランゲルハンスが他の多核巨細胞(融合マクロファージ))
を増加させることが認められ、喘息肺内での非特異的炎症反応を示唆した。
【0097】 HK−X化合物は、OVA処置(OVA)マウスと対照マウスの気道における
粘液蓄積を抑制する。擬似感作したマウスと食塩溶液で攻撃誘発したマウス(食
塩溶液、n=4)及びHK−X処置なし(OVA、n=4)と処置あり(HK−
X/OVA、n=8)のOVA感作/攻撃誘発マウスから、気道の粘液閉塞の分
布を測定した。気道直径の粘液閉塞を次のような形態測定によって検定した:0
、粘液なし;+、〜10%閉塞;++、30%閉塞;+++、〜60%閉塞;+
+++、〜80%閉塞。各々のマウスの肺全体に無作為に分布する10の気道を
、形態測定により粘液閉塞に関して評価した。
【0098】 図6A−6Dは、HK−X化合物が、OVAを用いて喘息を誘発したラットに
おいて肥満細胞の脱顆粒を抑制する能力、そしてそれによりHK−X化合物で喘
息を治療する効果についての目に見える組織学的証拠を提供する。図6Aは、O
VA感作/攻撃誘発したマウスの気道(AW)内腔における多量の分泌された粘
液を示す。図6Bは、好酸球及び他の炎症細胞(矢印で示されている)による間
質組織の大量浸潤を示す。図6Cは、i.n.OVAの前に阻害因子であるHK
−X化合物を投与したとき、気道(AW)内腔での気道粘液放出が著明に低下す
ることを示している。OVA攻撃誘発だけと比較してHK−X化合物処置後には
好酸球による間質組織の浸潤も低下する(図6Cと図6A及び6Bの比較)。図
6Dは、食塩溶液処置マウスでは気道(AW)に粘液及び細胞が存在しないこと
を示す。気管支上皮に結合組織細胞が浸潤しているが、気管支周囲の間質腔には
白血球が存在しない。
【0099】 気道マクロファージは、喘息患者のアレルゲン抗原投与肺によるBAL液にて
回収されたマクロファージで報告された場合に似た、総活性化の徴候を示した(
Am.Rev.Respir.Dis.1987;135:433−440)。
マクロファージおよび樹状細胞は肺にて抗原提示細胞として機能し、気道上皮お
よび周辺部位の表現型変化を開始可能なサイトカインを分泌する、直接的または
間接的な原因となる場合がある。気道の慢性炎症の刺激は、気道上皮および繊維
芽細胞の増殖を直接引き起こすことがあり、結果としてこれらの領域周囲へのコ
ラーゲン沈着につながる。同領域におけるマクロファージおよび樹状細胞の活性
は、最終段階抗原投与中の他の炎症細胞と比較すると、高いままであった。
【0100】 気道上皮は、特に太い気道では、しかし細いおよび末端細気管支においてさえ
も、主として杯状細胞の著しい肥厚によって厚くなった。通常、円柱状の繊毛性
細胞に対する杯状細胞の比は、対照グループと比較すると著しく大きくなった。
対照の気道(細い気道と太い気道両方)には臨時杯状細胞のみがあったが、OV
A抗原投与肺による切片は、太い気道の100%と細い気道の一部が、気道上皮
細胞すべての88%までの杯状細胞を持つことを示した。洗浄されていない肺に
おいて、杯状細胞内および一部の気道内に粘液が見られ、場合によっては管腔を
完全に塞いでいた。細胞の破片がこのような粘液栓に絡まった。杯状細胞肥厚は
対照グループでは見られなかったため、OVAの「非アレルギー性」効果または
気管内投与手法によるものではなかった。細い気道内の杯状細胞の一部にはこの
ような特徴が見られなかったことは、おそらく、呼吸ツリー内のOVAの分布が
均一でなかったことを示している。
【0101】 図7は、このネズミ喘息モデルにおける粘液栓の形成に対する、化合物HK−
Xによる、投与量5μg/kgおよび10μg/kgでの治療の結果のヒストグ
ラムである。どちらの投与量も、細気道における粘液生成を低下させる。
【0102】 喘息は、気道好酸球増加症、浮腫、粘液過分泌、気管支上皮損傷、反応亢進な
どの複合炎症反応によって特徴付けられる。アレルギー喘息患者における吸入ア
レルゲン抗原投与は、即時型気道過敏症反応、数時間後に遅延気道反応が続くこ
とが多い、早期気道反応(EAR)、後期気道反応(LAR)の原因となる。L
ARからの回復後、メタコリンなどの数日間持続する薬剤に対する後天性気道過
敏症(AHR)が増加している。アレルゲン抗原投与直後に発生するEARは、
IgE−媒介脱顆粒の結果として、ヒト肺マスト細胞によって放出される気管支
収縮剤分子の作用に付随するものである。
【0103】 IgE媒介マスト細胞の脱顆粒は、アレルギー性鼻炎、喘息およびアナフィラ
キシスなどのアレルギー性障害の病因における主要な事象である。アトピー性患
者では、特定のアレルゲンを皮内注射すると、皮膚試験部位でのヒスタミン放出
および脂質メディエータの生成によって特徴付けられる即時型ホイールアンドフ
レア反応が発生する。初期皮膚反応に続き、6〜12時間後に後期皮膚反応が発
生する。この後期アレルギー性皮膚反応は、好酸球および他の炎症細胞(たとえ
ば好中球、単球および好塩基球)による血管周囲の浮腫および細胞浸潤より成る
炎症反応によって特徴付けられる。早期および後期鼻炎または喘息反応などの同
様の二相IgE−依存反応は、特定のアレルゲンによる局所抗原投与の後、アト
ピー性患者の上部および下部気道に発生する。マスト細胞は、血管に対する肺胞
表面に近接して配置されている。マスト細胞は、状態に影響を及ぼし、炎症反応
を促進することによって、肺脈管構造に影響を与えることがある。免疫的または
非免疫的刺激によって活性化されたマスト細胞は、ヒスタミン、中性プロテアー
ゼ、ペルオキシダーゼ、O、PAFおよびエイコサノイド(たとえばLTB4
、LTC4、PGD2、TXA2)およびサイトカイン(たとえばIL−4、I
L−5、TNFa)などの使用済みおよび新たに生成された多数のメディエータ
を脱顆粒化および放出し、これらは肺炎症を媒介する。
【0104】 上記のネズミモデルは、ヒト喘息の主要な特徴を再現している。後期アレルゲ
ン固有肺病は、オボアルブミン(OVA)をアレルゲンとして使用して、正常な
BALB/cマウスにて誘発した。あるプロトコルは、第1日目と第14日目の
i.p.OVAを用いたマウスの免疫化、第14、25、26および27日目の
OVAの鼻腔内投与を含む。第28日目にOVA処置マウスは、アレルゲン誘起
喘息に著しく似ている、以下の事項を含む疾患を示す:(1)全体およびOVA
固有のIgEの循環レベルの上昇、(2)BAL液中のLTB4およびLTC4
の放出の上昇、(3)BAL液および肺柔組織への顕著な好酸球流入、(4)細
気道の粘液閉塞、(5)気管支リンパ節組織における、T−ヘルパー細胞タイプ
2(Th2)サイトカイン(IL−4、IL−5およびIL−13)の発現上昇
およびサイトカイン内Th1の発現低下、(6)気道コンダクタンスの著しく迅
速な低下および対照マウスに比較したメタコリン投与量の増加との動的適合によ
って評価される、肺反応亢進。
【0105】 マウスはIgE媒介アレルギー性気道反応の発生に対しても感受性である。好
酸球の後期流入はこのネズミモデルでも再現され、アレルギー性気道疾患は、以
前に腹膜内でオボアルブミンに感作させたマウスにオボアルブミンを吸入させた
後に発生する。メタコリンまたはアセチルコリン抗原投与に対する気道反応性も
、抗原に対して気道を曝露した後に免疫化マウスにおいて上昇する。
【0106】 アレルゲン誘起気道炎症のマウスモデルでは、気道の好酸球浸潤、粘液放出お
よびメタコリンに対する反応亢進におけるマスト細胞の役割を調査した。小型の
ペプチドHK−Xが、マスト細胞顆粒化および気道の好酸球浸潤を防止するメカ
ニズムによる粘液放出防止の鍵であることがわかった。
【0107】 上述の物質を使用した。マウスは第0日および第14日に、硫酸アルミニウム
カリウム(alum)によって錯化したOVA 0.2μl(100μg)を腹
腔内注射した。第14、25、26および27日に、マウスに正常生理的食塩水
に加えたケタミン(0.44mg/ml)/キシラジン(6.3mg/ml)0
.2ml i.p.によって麻酔をかけた後、第25、26および27日に、0
.05ml正常生理的食塩水にOVA100μgを加えて鼻腔投与した。第28
日の最後の鼻腔抗原投与の24時間後に、肺組織を採取した。対照グループは第
0日および第14日にalumを含む正常生理的食塩水を鼻腔投与し、第14、
25、26および27日にalumを含まない正常生理的食塩水を鼻腔投与した
。OVA誘起喘息に対するHK−Xの効果を評価するために、第25、26およ
び27日の各鼻腔抗原投与の30分前に、HK−X(10μg/ml)を鼻腔投
与した。
【0108】 主幹気管支で左肺を縛った後、右肺を正常生理的食塩水で3階洗浄した。プー
ルしたサンプルの0.05ml分割量による気管支肺胞洗浄(BAL)液細胞は
、血球計算板を使用してカウントし、残りの液は4℃にて200gで10分間遠
心分離した。10%BSAを含む正常生理的食塩水中で細胞ペレットを再懸濁さ
せた後、スライドグラス上にBAL細胞塗沫を作成した。好酸球を着色するため
に、乾燥スライドを5〜8分間、Discombeの希釈液(蒸留水中の0.0
5%水性エオシンおよび5%(体積/体積)アセトン)によって着色し、水で0
.5分間すすぎ、0.07メチレンブルーによって2分間対比染色した。
【0109】 BALの後、気管および左肺(上葉および下葉)を採取し、20℃の10%緩
衝ホルマリン溶液中で18時間固定化した。組織を処理し、パラフィン中に包埋
した後、組織を5μmの切片に切断し、上述したようにDiscombe溶液で
染色し、メチレンブルーで対比染色するか、ヘマトキシリンおよびエオシンを用
いて染色した。気道単位面積(2200μm2)当たりの好酸球数は、以前述べ
たように形態計測によって決定した。気道粘液は、各種の染色方法、すなわちメ
チレンブルー、ヘマトキシリンならびにエオシン、ムチカルミン、トルイジンブ
ルー、アルシアンブルーおよびアルシアンブルー/過ヨウ素酸シッフ(PAS)
反応によって確認した。ムチンはムチカルミン溶液で染色した;メタニルイエロ
ー対比染色を採用した。ムチンおよびシアリン酸を多く含む非硫酸化粘液性物質
は、pH4.5のトルイジンブルーを用いて異染的に染色した。酸性ムチンおよ
び硫酸化ムチンは、pH2.5のアルシアンブルーを用いて染色した;ニューク
リアファーストレッド対比染色を使用した。中性および酸性粘液性物質は、pH
2.5のアルシアンブルーおよびPAS反応によって確認した。気道(直径0.
5〜0.8mm)の粘液による閉塞度も、形態計測によって評価した。気道直径
の粘液による閉塞百分率は、0〜+++++の半定量的スケールで分類した。組
織および形態計測分析プロトコル設計は、プロトコル設計がわからないようにさ
れた人々によって実施された。
【0110】 BAL液の粘液糖タンパク質は、前述したようにスロットブロッティングおよ
びPAS染色によって分析した。ニトロセルロース膜(孔径0.2μm;Sch
leicher&Schuell, Keene, ニューハンプシャー州)は
蒸留水、次に正常生理的食塩水で湿らせてから、Minifold II 72
ウェルスロットブロット装置(Schleicher&Schuell)内に配
置した。BAL液サンプル(0.05ml)およびヒト呼吸ムチン糖タンパク質
の原液(2μg/ml)の分割量(0.05〜0.75ml)をニトロセルロー
ス膜上に、水吸引真空によってブロッティングし、粘液糖タンパク質はPAS反
応によって視覚化した。PAS染色を定量化するために、反射率濃度測定を実施
した。画像を取込んで、HP DeskScan IIソフトウェア(Micr
osoft Windows TM バージョン)を用いてScanJet I
Icxスキャナ(Hewlett Packard、パロアルト、カリフォルニ
ア州)によってデジタル化した。本システムは、Image−Pro Plus
、Version 1.1 for Windows TM Software
(Media Cybernetics、シルバースプリング、メリーランド州
)を採用したDellDimension XPS P90コンピュータ(De
ll Corporation、オースティン、テキサス州)に接続した。画像
は、超高解像度グラフィックスモードを装備したDell UltraScan
1 7ESモニタ(1280x1024ピクセル、78.9kHz水平走査周波
数、74−Hz垂直走査周波数)を使用して256グレーレベルスケールで評価
した。BALサンプルのPAS反応度の面積強度は、ヒト呼吸ムチンの標準曲線
と比較して定量化した。
【0111】 OVAによる腹腔内免疫化は、BALB/Cマウスの血液中に検出可能なレベ
ルのOVA固有IgEを生じる。間接ELISAを採用して、OVA固有IgE
血清抗体力価を決定した。ELISAプレート(ICN、コスタメサ、カリフォ
ルニア州)は、pH8.3の0.1M NaHCO緩衝液で希釈したOVA(2
0mg/ml)によってコーティングし、4℃で18時間培養した。3回洗浄し
た後、プレートをpH7.4の1%BSAのPBS溶液を用いて37℃にて2時
間培養した。1%BSA/PBS緩衝液中での血清サンプルの連続希釈液をプレ
ートに加え、4℃で18時間培養した後に、再度洗浄した。ウェルは、5%ヤギ
血清(Gibco−BRL、ゲーサーズバーグ、メリーランド州)/PBS緩衝
液で希釈したHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)結合ラット抗マウ
スIgEモノクローナル抗体(Pharmingen、カリフォルニア州サンデ
ィエゴ)を用いて、室温で2時間培養した。3,3’,5,5’−テトラメチル
ベンジン基質を用いてウェルを発現させ、610nmにて吸収を決定した。各分
析の内部標準物質は、OVA免疫化BALB/Cマウスによるプールされた血清
より構成された。
【0112】 肺機能データは、保護最小有意差法(Statview II、Abacus
Concepts、バークレー、カリフォルニア州)を用いた分散分析(AN
OVA)によって評価した。この方法は複数のt−統計量を使用して、考えられ
るすべての2つ1組の比較を評価するもので、同一または異なるペアサイズに適
用できる。もう片方のデータは、組合せ実験の平均+SEとして報告されている
。有意差は、独立平均用のStudentの両側検定について分析された。
【0113】 結果 アレルゲン固有IgEの生成。OVA固有IgE(12.9+0.3U/ml
、n=5)は、第0および14日にOVAおよびalumを腹腔投与したマウス
の血液中および第25、26および27日にOVAを鼻腔投与したマウスの血液
中で、第28日に検出された。これに対して、生理的食塩水ならびにalumに
よる腹腔投与および生理的食塩水(n=6)による鼻腔投与で処置した対照マウ
スでは、抗−OVA IgEは検出されなかった。
【0114】 アレルゲン誘導による気道炎症。アレルゲンによって誘導される気道の炎症を
組織学的に評価するために、肺組織およびBAL液を、28日目に、すなわち、
25日目、26日目および27日目の3回の連続したi.n.OVA投与の最後
から24時間後に得た。光学顕微鏡により、好酸球による気管支間質の顕著な浸
潤が認められた(図8C)。好酸球の気管支上皮粘液層への流入(図9D)およ
びBAL液もまた認められた。
【0115】 OVA感作/投与のマウスにおいては、BAL液細胞の61.0+5.0%(
n=10)が好酸球であり、これと比較して、生理食塩水が投与された対照動物
では0.8+0.3%(n=10)であった(p=0.0001)。
【0116】 気道の粘液閉塞が、OVAを気管支投与した後の免疫化マウスで生じていた(
図10)。下部(図9B)および上部(図9C、9D)の両方の肺気道における
気道粘液放出が別の組織学的染色法により同定された:ムシカルミン染色による
ムチン、トルイジンブルーによる酸性非硫酸化ムコ物質、アルシアンブルーによ
る酸性硫酸化ムコ物質(図10)、およびアルシアンブルー/PAS反応による
中性ムコ物質および酸性ムコ物質。粘液による気道腔閉塞は、下部気道の方が大
きかった。これらの炎症変化は、アルムとともに生理食塩水(図8B)またはO
VA(示さず)のいずれかを用いてi.p.処置されたi.n.生理食塩水投与
の対照動物では見られなかった。
【0117】 HK−X阻害は気道における好酸球浸潤および粘液蓄積を阻止する。HK−X
による炎症阻害は、OVA感作/投与マウスの肺組織への好酸球流入およびBA
L液を顕著に低下させ、そしてこれらの動物における気道粘液放出をも防止した
(図8A、9A、10A)。
【0118】 好酸球浸潤。形態計測分析により、肺間質への好酸球流入が、HK−X処置に
より90%低下した(p<0.006、HK−Xを伴わないOVA処置と比較し
た場合)(図11)。SLO Zileutonは、BAL液における好酸球の
数を82%低下させた(p<0.004、OVA Zileutonと比較した
場合)(図11)。HK−Xで処置されたOVA感作/投与マウスから得られる
BAL液における好酸球の数は0.57+0.11X10と測定され、OVA
免疫化/生理食塩水投与の場合には0.16+0.03X10(対照マウス)
と測定された。Zileutonは、OVA感作/投与マウスのBAL液に回収
された好酸球を89%低下させた(p=0.0128、zileutonを伴わ
ないOVAと比較した場合;データ示さず)。ビヒクル対照(Zileuton
研究用のTrappsolTM)は、OVA感作/投与マウスにおいて認められ
た肺の好酸球浸潤に影響しなかった。
【0119】 粘液蓄積。OVA処置マウスおよび対照マウスの左肺の上部肺葉および下部肺
葉の切片を気道における粘液蓄積について光学顕微鏡で調べた。形態計測分析に
より、生理食塩水で処置された対照マウスの気道の68%は、気道の粘液放出が
認められなかったが、残りは、小さな粘液層が認められただけであった。対照的
に、OVA免疫化/投与マウスは気道の広範囲の粘液閉塞の形態学的な証拠を有
していた。OVA処置マウスの気道の大部分(74%)は粘液による気道腔の少
なくとも30%の閉塞を有していた;これらのマウスの気道の22%は80%以
上の粘液閉塞を有していた。BAL液に回収された粘液糖タンパク質の量を定量
した場合(図12)、気道ムチンにおける7倍の増大が、対照マウスと比較した
場合にOVA処置マウスで明らかにされた(p=0.00001、OVA対生理
食塩水)。HK−X処置により、OVA処置マウスにおける気道粘液放出が阻止
された(図8A、9A、10A)。
【0120】 図8A〜8Cは、肺組織の組織病理学を示し、各動物群における小ペプチド(
HK−X)(n=8)によるOVA誘導マウス喘息の処置の有効性を示している
。図8Aは、HK−X処置マウスの肺の写真であり、気道(AW)および血管(
BV)の構成体の正常な特徴を示している。
【0121】 非常に少数の細胞が気道組織の周辺部(矢印)に位置する(H&E染色、X1
2)。図8Bは、正常な対照として使用された、生理食塩水の注射のみを受けた
マウスの写真である。気道および血管は正常な外見である。少数の細胞が気道組
織に見られる(矢印)(H&E染色、X120)。図8Cは、OVA免疫化動物
の写真であり、気道組織における特徴的な好酸球およびT細胞、単球およびマク
ロファージの浸潤(矢印)による著しい影響を示している。気道は粘液および細
胞により塞がれている(矢印)(H&E染色、X120)。
【0122】 図9A〜9Dは、マウスに喘息を誘導させた後に小ペプチド(HKX)で処置
された肺組織の組織病理学を示す。このデータ群は別のマウス群から得られてい
る。マウスモデルにおける喘息の処置におけるHK−X化合物の有効性の組織病
理学的証拠が図示されている。HK−X化合物は、合計で3日間にわたってOV
Aを毎日投与することによって気道粘液分泌を防止する。HK−Xはまた、喘息
の発作発症時の細胞浸潤を低下させる。マウスは、1日目および14日目にOV
Aで静脈注射および鼻腔内投与により免疫化された。25日目、26日目および
27日目に、マウスにはOVAが投与され、あるいは投与の30分前に、マウス
には10μgのHK−Xが鼻腔内に投与された。
【0123】 図9Aは、中サイズの気道(AW)の顕微鏡写真であり、典型的なHK−X処
置マウスの肺を示している。HK−X処置の肺は、OVA処置動物において見ら
れるように、ほとんど病理学的状態を示していない。気道は非常に正常であり、
粘液は腔または上皮細胞表面にほとんど認められないか、または全く認められな
い。気道の実質組織における非常に少量の細胞浸潤が認められる。平滑筋細胞層
は厚さが一様である(H&E染色、X150)。図9Bは、OVA免疫化および
投与マウスの肺の写真であり、ヒトにおける喘息に典型的な特徴を示している:
部分的に塞がった気道(AW)腔(矢印)、気道および血管の間質における細胞
浸潤の優勢な特徴、ならびに血管に伴って見られる末梢の水腫(矢印)(H&E
染色、X75)。図9Cは、喘息マウスの肺の気道の高倍率写真であり、塞がっ
た腔を示している。多数の白血球細胞が気道上皮細胞層の基底領域に存在してい
る(矢印)。多くの好酸球が実質組織に認められ、平滑筋細胞層は厚さが一様で
ない(H&E染色、X150)。図9Dは、喘息マウスの部分的な長さ方向に切
開された肺の写真であり、放出された粘液によって気道腔が広範囲に塞がってい
ることを示している(矢印)。細胞浸潤が、上皮細胞層の領域に非常に接近して
存在する(矢印)。平滑筋細胞層は白血球細胞の浸潤により乱され、小さな肉芽
腫が多くの場合形成されている(H&E染色、X150)。
【0124】 図10A〜10Dは、別のマウス群(n=9)から得られた組織病理学的結果
を示している。HK−X化合物がOVAの免疫化および投与によって粘液細胞の
誘導を妨げ、そして気道における粘液分泌を低下させるというさらなる組織病理
学的および組織化学的な証拠が認められる。喘息発作時に、粘液分泌が増大し、
気道が収縮する。粘液の産生は、粘液細胞が気道に現れることによって明かであ
る。アルシアンブルーを使用して、ムコ物質を発現させる硫酸化グルコサミング
ルカンが染色される。図10Aは、HK−X処置された喘息マウスの肺の写真で
あり、気道(AW)腔が塞がっていないこと、細胞外物質が腔内に存在していな
いことを示している。隣接した血管(BV)もまた見られない。正常な外見は、
細胞浸潤または水腫液がないことを示している(H&E染色、X150)。図1
0Bは、図10Aに見られる同じ気道の連続切片であり、上皮細胞におけるムコ
物質を局在化するためにpH2.4においてアルシアンブルーで染色されている
。少数の陽性細胞が腔内に見られるだけである(矢印)。青色陽性物質の突発性
の薄層が認められる(アルシアンブルーおよびニュートラルレッド染色、X15
0)。図10Cは、OVA免疫化および投与のマウスの肺の写真であり、腔にお
ける収縮した気道および粘液分泌を示している(矢印)。多数の白血球が肺組織
に認められる。その多くは好酸球である(H&E染色、X150)。図10Dは
、図10Cに示されるのと同様な切片であり、収縮した気道におけるムコ物質を
示すためにアルシアンブルーで染色されている。粘液の厚い層が、上皮細胞表面
の近くに付着している(矢印)。より多くの青色陽性細胞がそこに見られる。こ
のことは、粘液細胞のはるかに大きな割合が気道腔に現れていることを示してい
る。粘液で満たされた長さ方向の小さな気道もまたこの切片において見られるこ
とに留意されたい(アルシアンブルー&ニュートラルレッド染色、X150)。
【0125】 図11は、OVA誘導された喘息マウスから回収された肺胞における炎症細胞
の分布を示す。図12は、OVA誘導された喘息マウスの気道における気道閉塞
スコアを示す。図13は、OVA誘導された喘息マウスの気道における白血球の
遊走を示す。図14は、OVA誘導された喘息マウスの肺洗浄から回収された全
細胞を示す。
【0126】 誘導されたII型コラーゲン関節炎のマウスモデル マウスモデルが、誘導されたII型コラーゲン関節炎の組織化学的、X線撮影
的および臨床的な外見に対する本発明の化合物の効果を評価するために使用され
る。
【0127】 自己免疫疾患は、著しい慢性的な病的状態および障害を引き起こす。関節炎は
、その多くの形態で、自己免疫疾患の家系に典型的である。臨床的な領域におい
て、慢性関節リウマチ(RA)は、重篤な関節異形成疾患の最も一般的な形態で
ある。すべての臨床医は、RAが進行性疾患であることを認めている。
【0128】 ネズミCIAに生じる関節炎病巣の組織病理学は、ヒト患者におけるRAの組
織病理学との多数の類似性を有する。従って、ネズミCIAは、RAの潜在的な
治療的処置を研究するために受け入れられるモデルである。
【0129】 材料および方法 マウス:体重が25グラムのDBA/1(2)雄性マウス(Jackson
Laboratories、Bar Harbor、MEまたはB&K Uni
versal、Kent、WA)がこの研究に使用される。このマウス系統は、
異種のII型コラーゲンを注射することによってCIAに対して感受性になる。
ウシコラーゲン(BC)、完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全
フロイントアジュバント(ICFA)はSigma Chemicalから得る
ことができる。免疫化用抗原は0.1M酢酸で処理され、CFAまたはICFA
と配合される。
【0130】 関節炎の誘導 免疫化プロトコル:マウスには、研究期間中、100μgのII型コラーゲン
がCFAにおいて所定間隔で注射される。
【0131】 マウスは関節炎の発症について所定間隔で調べられる。関節炎の推定的な証拠
には、2回の連続した観察での、前肢および/または後肢における少なくとも1
つの指関節の腫大および紅斑が含まれる。
【0132】 関節炎の確認診断 関節の組織学的試験:適切な間隔で屠殺された動物の指関節を取り出し、固定
し、脱灰し、パラフィンに包埋し、切片にして、一般的な細胞特徴および構造的
特徴を観察するために、そして適する場合には、各関節のパンヌスの軟骨マトリ
ックスを検出するために染色する。細胞性の程度および炎症領域を、組織学的な
顕微鏡写真のデジタル化を使用し、上記に記載される面積および点の標準的な計
測技術を適用して定量する。 II型コラーゲンによる免疫感作後の関節変化の発生を検出するため、足指関
節のX線撮影評価を実施する。乳房撮影画像化システムが、この作業のため修飾
されている。コンピュータデジタル化X線写真の分析により、関節の軟組織(パ
ンヌス)の平均面積を決定し、同時に、各X線写真に含まれる内部標準との比較
により、隣接する硬組織の密度の変化を決定する。変化する硬組織の密度及びパ
ンヌスの面積の基線対照として用いるために、同期間にわたり付加的なマウスを
使用し、密度及び面積のデータを比較する。対照マウスと実験マウスの密度及び
面積の差の有意性を、各時点において、対T検定(paired T−test
s)を使用して査定する。
【0133】 関節炎の評価 関節炎の開始について、動物を毎日観察する。各前足への影響の重度を0から
4までのスケールで段階付けすることにより関節炎指数を導出する。スコア化は
、関節周囲の紅斑及び水腫、並びに関節の変形の程度に基づく。一定張力(co
nstant tension)カリパスを用いて、内果から外果までの足根関
節の厚さを測定することにより、後足の腫脹も定量する。
【0134】 実験設計 化合物HK−Xの抗関節炎効果を査定するため、最も適切な輸送メカニズムに
関するヒト患者での経験に基づき、投与経路を選択する。
【0135】 HK−X及びプレドニゾロンの用量:治療レベル外及びおそらく治療レベルで
ある用量のペプチドを、経皮(TC)(吸着)経路及び足への注射の両方により
、限局された部位へ置く。関節内空間への直接的な注射は、あまりに外傷性が強
いため、アーチファクトを作製するには不適である。従って、関節内空間と隣接
するフットパッド(FP)への薬物の注射が、選択された方法論である。対照マ
ウスにも、陽性対照として、プレドニゾロン(実験的及び臨床的な自己免疫疾患
の治療において証明されている強力な抗炎症剤)を注射する。
【0136】 まず、10匹からなる群の各マウス(及び対照)に、50日間、毎日コラーゲ
ンを注射する。3日目及び18日目に、5又は10μg/kgの化合物HK−X
を含む0.1M酢酸溶液1mg/mlをマウスに注射する。50日目に、組織学
的研究のためマウスを放血する。
【0137】 次いで、それぞれ10匹のマウスからなる8個の群(A〜I)を、以下の特定
のプロトコルに従い治療する。
【0138】 群Aは、1°CFA+BC、2°ICFA+BCで免疫感作し、治療は施さな
い(対照)。
【0139】 群Bは、1°CFA+BC、2°ICFA+BCで免疫感作し、2°ICFA
+BCの次の日に、5mg/kgのプレドニゾロンの投与を開始し、20日間続
行する。
【0140】 群Cは、1°CFA+BC、2°ICFA+BCで免疫感作し、2°ICFA
+BCの次の日に、4mg/kg(高用量)の化合物HK−XのTC投与を開始
し、20日間続行する。
【0141】 群Dは、1°CFA+BC、2°ICFA+BCで免疫感作し、2°ICFA
+BCの次の日に、0.4mg/kg(低用量)の化合物HK−XのTC投与を
開始し、20日間続行する。
【0142】 群Eは、1°CFA+BC、2°ICFA+BCで免疫感作し、2°ICFA
+BCの次の日に、4mg/kg(高用量)の化合物HK−XのTC投与を開始
し、20日間続行する。
【0143】 群Fは、1°CFA+BC、2°ICFA+BCで免疫感作し、2°ICFA
+BCの次の日に、0.4mg/kg(低用量)の化合物HK−XのTC投与を
開始し、20日間続行する。
【0144】 群Gは、1°CFA、2°ICFAで免疫感作し、2°ICFA+BCの次の
日に、10mlのDMSOのTC投与を開始し、20日間続行する(対照)。
【0145】 群Hは、1°CFA、2°ICFAで免疫感作し、2°ICFA+BCの次の
日に、10mlのDMSOのFP投与を開始し、20日間続行する(対照)。
【0146】 群Iは、1°CFA、2°ICFAで免疫感作し、2°ICFA+BCの次の
日に10mlの生理食塩水のFP投与を開始し、20日間続行する(対照)。
【0147】 2°免疫感作の直後及び屠殺の直前に、各群の動物のX線写真を撮影する。屠
殺後、適宜、足を切除し、組織学的検査のため処理する。化合物HK−Xによる
治療は、関節炎の程度を減少させることが見出される。
【0148】 本発明の好ましい実施形態を参照しつつ、本発明を詳細に説明した。しかし、
本明細書及び図面を考慮することにより、当業者が、請求の範囲により定義され
る本発明の本旨及び精神の範囲内で、修飾及び改良を行いうることが理解されよ
う。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物78/80の各種濃度についての毛細管透過性の面積を示すlog用量
−反応曲線である。
【図2】 各種濃度のf−Met−Leu−Pheによる毛細管透過性の抑制についての
用量−反応曲線である。
【図3】 各種濃度の本発明の好ましいペプチドによる毛細管透過性の抑制についての用
量−反応曲線である。
【図4】 更にマスト細胞顆粒消失の抑制を示すアラキドン酸代謝の主要経路の概略図で
ある。
【図5A】 OVA誘発気管支喘息マウスモデルで使用した標準の異なるプロトコルの概略
図である。
【図5B】 OVA誘発気管支喘息マウスモデルで使用した分解の異なるプロトコルの概略
図である。
【図6A】 処置マウス及び対照マウスにおけるOVA誘発喘息を抑制する本発明化合物の
処置の比較組織検査を示す顕微鏡写真である。
【図6B】 処置マウス及び対照マウスにおけるOVA誘発喘息を抑制する本発明化合物の
処置の比較組織検査を示す顕微鏡写真である。
【図6C】 処置マウス及び対照マウスにおけるOVA誘発喘息を抑制する本発明化合物の
処置の比較組織検査を示す顕微鏡写真である。
【図6D】 処置マウス及び対照マウスにおけるOVA誘発喘息を抑制する本発明化合物の
処置の比較組織検査を示す顕微鏡写真である。
【図7】 マウス喘息マデルにおける粘液プラグの形成に対する本発明の治療結果を示す
ヒストグラムである。
【図8A】 喘息を誘発後本発明に従って処置したマウスの肺組織の組織検査を示す。
【図8B】 喘息を誘発後本発明に従って処置したマウスの肺組織の組織検査を示す。
【図8C】 喘息を誘発後本発明に従って処置したマウスの肺組織の組織検査を示す。
【図9A】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第2群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図9B】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第2群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図9C】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第2群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図9D】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第2群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図10A】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第3群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図10B】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第3群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図10C】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第3群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図10D】 喘息を誘発後本発明に従って処置した第3群のマウスの肺組織の組織検査を示
す。
【図11】 OVA誘発喘息マウスから回収した肺胞中の炎症細胞の分布を示すグラフであ
る。
【図12】 OVA誘発喘息マウスの気道中の気道プラグスコアを示すグラフである。
【図13】 OVA誘発喘息マウスの気道中の白血球遊走を示すグラフである。
【図14】 OVA誘発喘息マウスの肺洗浄から回収した全細胞を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/00 A61P 17/06 17/04 17/16 17/06 19/02 17/16 27/16 19/02 35/00 27/16 37/06 35/00 37/08 37/06 43/00 111 37/08 C07K 5/083 43/00 111 5/103 C07K 5/083 A61K 37/02 5/103 37/40 // C12N 15/09 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 クラゲツト,ジエームズ アメリカ合衆国、ワシントン・98290、ス ノホミツシユ、サウス・イースト、ワンハ ンドレツドアンドサーテイナインス・アベ ニユー・5615 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA20 4C084 AA02 AA19 BA08 BA15 BA16 MA02 NA14 ZA34 ZA59 ZA66 ZA89 ZA96 ZB11 ZB13 4H045 AA10 BA12 BA13 EA22

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物におけるアレルギー反応の治療方法において、該哺
    乳動物に対して、抗アレルギー的に有効量の式f−Met−Leu−Xを有する
    ペプチドであってXがTyr、Tyr−Phe、Phe−PheおよびPhe−
    Tyrからなる群から選択されるものを投与する段階を有することを特徴とする
    方法。
  2. 【請求項2】 前記アレルギーが、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、薬物感受性
    および食物感受性からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記ペプチドとの併用で別の有効成分を投与し、該有効成分
    が抗ロイコトリエン類、β作働薬およびコルチコステロイド類からなる群から
    選択される請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 哺乳動物における皮膚炎症の治療方法において、抗炎症的に
    有効量の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであってXがTyr、Ty
    r−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選択されるも
    のを該哺乳動物に対して投与する段階を有することを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 前記皮膚炎症が、皮膚炎、湿疹、乾癬、接触皮膚炎、日焼け
    および加齢からなる群から選択される請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記ペプチドとの併用で別の有効成分を投与し、該有効成分
    が抗ロイコトリエン類、β作働薬およびコルチコステロイド類からなる群から
    選択される請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 骨関節炎、乾癬性関節炎、狼瘡および脊椎関節炎からなる群
    から選択される関節炎の治療方法において、抗関節炎的に有効量の式f−Met
    −Leu−Xを有するペプチドであってXがTyr、Tyr−Phe、Phe−
    PheおよびPhe−Tyrからなる群から選択されるものを哺乳動物に対して
    投与する段階を有することを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 前記ペプチドとの併用で別の有効成分を投与し、該有効成分
    が抗ロイコトリエン類、β作働薬およびコルチコステロイド類からなる群から
    選択される請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 患者における慢性閉塞性肺疾患の治療方法において、治療上
    有効量の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであってXがTyr、Ty
    r−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選択されるも
    のを該患者に対して投与する段階を有することを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 前記ペプチドとの併用で別の有効成分を投与し、該有効成
    分が抗ロイコトリエン類、β作働薬およびコルチコステロイド類からなる群か
    ら選択される請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 患者における慢性炎症性腸疾患の治療方法において、治療
    上有効量の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであってXがTyr、T
    yr−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選択される
    ものを該患者に対して投与する段階を有することを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 前記ペプチドとの併用で別の有効成分を投与し、該有効成
    分が抗ロイコトリエン類、β作働薬およびコルチコステロイド類からなる群か
    ら選択される請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 患者の気道における好酸球浸潤の阻害方法において、気道
    好酸球浸潤阻害上有効量の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであって
    XがTyr、Tyr−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群
    から選択されるものを該患者に対して投与する段階を有することを特徴とする方
    法。
  14. 【請求項14】 患者の気道中への粘液放出の阻害方法において、気道粘液
    放出阻害上有効量の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであってXがT
    yr、Tyr−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選
    択されるものを該患者に対して投与する段階を有することを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】 リンパ球のIgE活性化遮断方法において、IgE活性化
    遮断上有効量の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであってXがTyr
    、Tyr−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選択さ
    れるものと前記リンパ球とを接触させる段階を有することを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 前記リンパ球が、大食球、単核球、好酸球、好中球および
    TNFからなる群から選択される請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 リンパ球の細胞膜を安定化させることでIgE抗原攻撃に
    対する炎症反応亢進への該リンパ球のさらなる関与を防止する方法において、細
    胞安定化上有効量の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであってXがT
    yr、Tyr−Phe、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選
    択されるものと前記リンパ球とを接触させる段階を有することを特徴とする方法
  18. 【請求項18】 前記リンパ球が、大食球、単核球、好酸球、好中球および
    TNFからなる群から選択される請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 T細胞移動の阻害方法において、T細胞移動阻害上有効量
    の式f−Met−Leu−Xを有するペプチドであってXがTyr、Tyr−P
    he、Phe−PheおよびPhe−Tyrからなる群から選択されるものと前
    記T細胞とを接触させる段階を有することを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 前記T細胞がCD4細胞である請求項19に記載の方法
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