JP2003501079A - Nade(p75ntr関連細胞死実行物質)をコードする遺伝子及びその使用 - Google Patents

Nade(p75ntr関連細胞死実行物質)をコードする遺伝子及びその使用

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JP2003501079A
JP2003501079A JP2001502545A JP2001502545A JP2003501079A JP 2003501079 A JP2003501079 A JP 2003501079A JP 2001502545 A JP2001502545 A JP 2001502545A JP 2001502545 A JP2001502545 A JP 2001502545A JP 2003501079 A JP2003501079 A JP 2003501079A
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    • C07K14/475Growth factors; Growth regulators

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ポリペプチドをコードする単離された核酸、及びp75NTR受容体を結合し得る精製された形態の前記ポリペプチドを提供する。本発明は、p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチドを作成する方法を提供する。本発明は、上記ポリペプチドをコードするmRNA分子に特異的にハイブリダイズし得る核酸配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをベクター中に作成する方法、アポトーシス誘導化合物又は阻害化合物を同定する方法、前記ポリペプチドのcDNAライブラリーをスクリーニングする方法、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを切断するカスパーゼ−2及びカスパーゼ−3活性、並びに核DNAの断片化を細胞中に誘導する方法、細胞中のNF−κBの活性化を阻害する方法、神経変性疾患を検出する方法、適切なベクター中に単離されたヒトHGR74タンパク質を作成する方法、p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチドと薬学的に許容されるポリペプチドとを含む薬学的組成物、並びにアポトーシス阻害剤である化合物を同定する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1999年6月7日に出願された米国特許出願第09/327,7
50号の優先権を出願するものであり、その一部継続出願であって、その内容全
体を参考文献として援用する。
【0002】 ここに記載された本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of H
ealth)助成R01−GM55147により助成された。従って、米国政府は本
発明に一定の権利を有している。
【0003】 本出願を通じて、様々な文献が括弧内に引用される。これらの参考文献の書誌
的事項は、明細書の末尾に記載されている。本発明が属する技術分野の水準をよ
り完全に記述するために、これらの文献の開示内容全体を参考文献として援用す
る。
【0004】
【発明の背景】
低親和性ニューロトロフィン受容体(p75NTR)は、神経細胞において、
NGF又は他のニューロトロフィンの刺激により、細胞の生存又は細胞死を媒介
することができる(1、2、3)。p75NTRによって媒介されるシグナル伝
達を解明するために、酵母ツーハイブリッドシステムを用い、ラットのp75 TR ICD(細胞内ドメイン)を標的として使用して、マウス胚cDNAライブ
ラリーのスクリーニングがなされた。陽性クローンが1つ同定され、NADE(
p75 TR ssociated cell eath xecuto
r;p75NTR関連細胞死実行物質)と名付けられた。NADEは、ヒトHG
R74タンパク質に著しい相同性を有し(4)、核外移行シグナル(NES)(
5)とユビキチン化のコンセンサス配列(6)以外には、典型的な生化学的モチ
ーフは有していない。NADEのmRNAは、脳、心臓、及び肺で最も多く発現
されていた。NADEは、インビトロとインビボの両者で、p75NTRICD
に特異的に結合する。NADEをp75NTRとともに発現させると、293T
細胞中に、PARP(ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ)を切断するカス
パーゼ−2とカスパーゼ−3活性及び核DNAの断片化が劇的に誘導されたが、
p75NTRが存在しないと、NADEはアポトーシスを示さず、p75NTR を介したアポトーシスには、NADEの発現が必要であるが、アポトーシスを引
き起こすのには十分でないことを示唆している。さらに、NADEのp75NT ICDへのNGF依存性の動員は、用量依存的に観察され、NADEはNF−
κBの活性化を著しく阻害する。興味深いことに、NADEタンパク質は、タン
パク質分解経路の基質として、ユビキチン化されることが分かっている。総合す
ると、NADEは、p75NTRによって媒介されるアポトーシスに関与するこ
とが同定された最初のシグナルアダプター分子であり、神経原性疾患の発症にお
いて重要な役割を果たしているかもしれない。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする単離さ
れた核酸分子を提供する。
【0006】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを生産する方法であ
って、前記ポリペプチドの生産が可能な適切な条件下で、細菌、植物、昆虫、又
は哺乳類細胞からなる群から選択される宿主細胞を増殖させることを備えた方法
を提供する。
【0007】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードするmRN
A分子に特異的にハイブリダイズし得る核酸配列を有するアンチセンスオリゴヌ
クレオチドを提供する。
【0008】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチドを提供す
る。
【0009】 本発明は、適切なベクター中にp75NTR受容体を結合し得るポリペプチド
を作成する方法であって、(a)p75NTR受容体を結合し得るポリペプチド
をコードする核酸分子を適切なベクター中に挿入することと;(b)適切な宿主
細胞中に、得られた前記ベクターを導入することと;(c)前記導入された宿主
細胞から、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現している細胞を
選択することと;(d)前記選択した細胞を培養して、p75NTR受容体を結
合し得るポリペプチドを産生させることと;(e)産生されたp75NTR受容
体を結合し得るポリペプチドを回収することとを備えた方法を提供する。
【0010】 本発明は、p75NTR受容体とp75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
ドとの結合(ここで、この結合はp75NTR受容体とp75NTR受容体を結
合し得るポリペプチドとの間で複合体を形成する)を阻害し得る化合物を同定す
る方法であって、(a)前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと前
記p75NTR受容体との結合が可能な条件下で、前記化合物を、前記p75 TR 受容体を結合し得るポリペプチドと接触させて、混合物を形成させることと
;(b)p75NTR受容体を工程(a)で得られた前記混合物と接触させるこ
とと;(c)複合体を形成したp75NTR受容体とp75NTR受容体を結合
し得るポリペプチドの量を測定することとを備えた方法を提供する。
【0011】 本発明は、p75NTR受容体とp75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
ドとの結合(ここで、この結合はp75NTR受容体とp75NTR受容体を結
合し得るポリペプチドとの間で複合体を形成する)を阻害し得る化合物を同定す
る方法であって、(a)前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと前
記p75NTR受容体との結合が可能な条件下で、前記化合物を前記p75NT 受容体と接触させて、混合物を形成させることと;(b)前記p75NTR
容体を結合し得るポリペプチドを、工程(a)で得られた前記混合物と接触させ
ることと;(c)複合体を形成したp75NTR受容体とポリペプチドの量を測
定することとを備えた方法を提供する。
【0012】 本発明は、細胞にアポトーシスを誘導させる方法であって、前記細胞中に、p
75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現させることを備えた方法を提
供する。
【0013】 本発明は、対象にアポトーシスを誘導する方法であって、前記対象中に、p7
NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現させることを備えた方法を提供
する。
【0014】 本発明は、ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物中に、p75NTR受容体
を結合し得るポリペプチドを様々なレベルで発現させることの生理的な影響を測
定する方法であって、それぞれ、異なる量の、p75NTR受容体を結合し得る
ポリペプチドを発現している一群のヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を作
成することを備えた方法を提供する。
【0015】 本発明は、対象に細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、アポトーシス
を誘導するのに有効な量の、p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペ
プチドを前記対象に投与することを備えた方法を提供する。 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)対象を適
切な量の前記化合物と接触させることと、(b)前記対象における、p75NT 受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベ
ルを測定することとを備え、前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチド
の遺伝子と前記p75NTRの遺伝子の発現レベルの増加が、前記化合物がアポ
トーシス誘導化合物であることの指標である方法を提供する。
【0016】 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)細胞を、
適切な量の前記化合物と接触させることと、(b)前記細胞における、p75 TR 受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レ
ベルを測定することとを備え、前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
ドとp75NTRの遺伝子の発現レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス誘
導化合物であることの指標である方法を提供する。
【0017】 本発明は、酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内
ドメインを標的として用いて、cDNAライブラリーから、p75NTR受容体
配列を結合し得るポリペプチドの配列をスクリーニングする方法を提供する。
【0018】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRとを
同時発現させることによって、カスパーゼ−2とカスパーゼ−3活性を誘導させ
て、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを切断し、細胞中の核DNAを断片
化する方法を提供する。
【0019】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRとを
用いて、細胞中でのNF−κBの活性化を阻害する方法を提供する。
【0020】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRの発
現レベルを検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する方法を提供す
る。
【0021】 本発明は、ヒトHGR74タンパク質をコードし、DNA分子である単離され
た核酸を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を提供する。
【0022】 本発明は、ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物に、様々なレベルの、ヒト
HGR74タンパク質を発現させたときの生理的な影響を決定する方法であって
、各々が異なる量のヒトHGR74タンパク質を発現している一群のヒト以外の
トランスジェニック哺乳動物を作成することを備えた方法を提供する。
【0023】 本発明は、適切なベクター中に、単離されたヒトHGR74タンパク質を作成
する方法であって、(a)ヒトHGR74タンパク質をコードする核酸分子を適
切なベクタ−に挿入することと、(b)得られたベクタ−を適切な宿主細胞中に
導入することと、(c)前記導入された宿主細胞から、ヒトHGR74タンパク
質を発現している細胞を選択することと、(d)前記選択された細胞を培養して
、ヒトHGR74タンパク質を産生させることと、(e)産生された前記ヒトH
GR74タンパク質を回収することとを備えた方法を提供する。
【0024】 本発明は、対象中の細胞にアポトーシスを誘導する方法であって、アポトーシ
スを誘導するのに有効な量の前記精製されたヒトHGR74タンパク質を前記対
象に投与することを備えた方法を提供する。
【0025】 本発明は、精製されたp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと薬学的
に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。
【0026】 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)対象を適
切な量の前記化合物と接触させることと、(b)前記対象における、ヒトHGR
74タンパク質の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルを測定することと
を備え、前記ヒトHGR74タンパク質の遺伝子と前記p75NTRの遺伝子の
発現レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物であることの指標で
ある方法を提供する。
【0027】 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)細胞を、
適切な量の前記化合物と接触させることと、(b)前記細胞における、ヒトHG
R74の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルを測定することとを備え、
ヒトHGR74タンパク質の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルの増加
が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物であることの指標である方法を提供す
る。
【0028】 本発明は、酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内
ドメインを標的として用いて、ヒトHGR74配列を得るためにcDNAライブ
ラリーをスクリーニングする方法を提供する。
【0029】 本発明は、ヒトHGR74タンパク質とp75NTRを同時発現させることに
よって、カスパーゼ−2とカスパーゼ−3活性を誘導させて、ポリ(ADP−リ
ボース)ポリメラーゼを切断し、細胞中の核DNAを断片化する方法を提供する
【0030】 本発明は、ヒトHGR74タンパク質とp75NTRを用いて、細胞中でのN
F−κBの活性化を阻害する方法を提供する。
【0031】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRの発
現レベルを検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する方法を提供す
る。
【0032】 本発明は、アポトーシス阻害剤であり、p75NTR受容体を結合し得るポリ
ペプチドとp75NTR受容体との特異的な結合を阻害してアポトーシスを抑制
し得る化合物を同定する方法であって、(a)p75NTR受容体を結合し得る
ポリペプチド及びp75NTR受容体を置換し得ることが予め示されている公知
の化合物と、結合したp75NTR受容体とが結合して複合体を形成し得る条件
下で、前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを、複数の化合物と接
触させることと;(b)置換された前記p75NTR受容体を結合し得るポリペ
プチド又は工程(a)で形成された前記複合体を検出することとを備え、置換が
なされることが、前記化合物がp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと
p75NTR受容体との特異的な結合を阻害し得る化合物であることの指標であ
る方法を提供する。
【0033】 本発明は、アポトーシス阻害剤であり、ヒトHGR74タンパク質とp75 TR 受容体との特異的な結合を阻害してアポトーシスを抑制し得る化合物を同定
する方法であって、(a)ヒトHGR74タンパク質及びp75NTR受容体を
置換し得ることが予め示されている公知の化合物と、結合したp75NTR受容
体とが結合して複合体を形成し得る条件下で、前記ヒトHGR74タンパク質を
、複数の化合物と接触させることと;(b)置換されたヒトHGR74タンパク
質又は工程(a)で形成された前記複合体を検出することとを備え、置換がなさ
れることが、前記化合物がヒトHGR74タンパク質とp75NTR受容体との
特異的な結合を阻害し得る化合物であることの指標である方法を提供する。
【0034】 本発明は、ニュートロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名さ
れたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコード
する単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのN末端のアミ
ノ酸1−40が欠失され、該欠失変異体はNADE N(41−124)と命名
され、該NADE N(41−124)がp75NTRの存在下でアポトーシス
を誘導する核酸分子を提供する。
【0035】 本発明は、ニュートロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名さ
れたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコード
する単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC末端のアミ
ノ酸72−124が欠失され、該欠失変異体はNADE N(1−71)と命名
され、該NADE N(1−71)がp75NTRの存在下及びp75NTR
非存在下でアポトーシスを誘導する核酸分子も提供する。
【0036】 本発明は、さらに、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異
体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのN
末端のアミノ酸1−40とC末端のアミノ酸72−124が欠失されており、該
欠失変異体はNADE N(41−71)と命名され、p75NTRの存在下と
p75NTRの非存在下で、NADE N(41−71)がアポトーシスを誘導
する核酸分子を提供する。
【0037】 本発明は、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名
されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコー
ドする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC末端のア
ミノ酸121−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE N(1−1
20)と命名され、p75NTRの存在下で、NADE N(1−120)がア
ポトーシスを誘導する核酸分子を提供する。
【0038】 本発明は、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名
されたp75NTRと結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコードする
単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC末端のアミノ酸
113−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE N(1−112)
と命名され、p75NTRの存在下で、NADE N(1−112)がアポトー
シスを誘導する核酸分子も提供する。
【0039】 本発明は、さらに、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異
体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC
末端のアミノ酸101−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE N
(1−100)と命名され、p75NTRの存在下とp75NTRの非存在下で
、NADE N(1−100)がアポトーシスを誘導する核酸分子も提供する。
【0040】 本発明は、さらに、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの変異をコ
ードする単離された核酸分子であって、点変異によって、野生型NADEポリペ
プチドの99位のアミノ酸AlaがLeuに置換され、該置換変異体ポリペプチ
ドはNADE N(L99A)と命名され、p75NTRの存在下で、該NAD
E N(L99A)がアポトーシスを誘導する核酸分子を提供する。
【0041】
【発明の詳細な記述】
特定のヌクレオチドを示すために、明細書および図面の全体を通じて、以下の
標準的な略号を使用した。
【0042】 C=シトシン A=アデノシン T=チミジン G=グアノシン 本明細書では、アミノ酸残基を以下のように略した。
【0043】 A=アラニン C=システイン D=アスパラギン酸 E=グルタミン酸 F=フェニルアラニン G=グリシン H=ヒスチジン I=イソロイシン K=リジン L=ロイシン M=メチオニン N=アスパラギン P=プロリン Q=グルタミン R=アルギニン S=セリン T=トレオニン V=バリン W=トリプトファン Y=チロシン 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする単離さ
れた核酸分子を提供する。p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコー
ドする上記単離された核酸分子のある態様では、前記単離された核酸はDNA分
子である。p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする上記単離
された核酸分子の別の態様では、前記単離された核酸はcDNA分子である。p
75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする上記単離されたDNA
分子のさらなる態様では、前記単離された核酸はRNA分子である。p75NT 受容体を結合し得るポリペプチドをコードする上記単離された核酸分子のある
態様では、前記単離された核酸はRNA転写のプロモーターに作用可能に連結さ
れている。上記核酸分子のさらに別の態様では、前記単離された核酸分子はニュ
ーロトロフィン関連細胞死実行タンパク質をコードする。上記核酸分子のある態
様では、前記単離された核酸分子は、配列AATTG TCTAC GCATC
CTTAT GGGGG AGCTG TCTAA Cを有する。
【0044】 本明細書で使用する「ポリペプチド」には、ペプチドとタンパク質の両者が含
まれる。「ペプチド」は長さが10アミノ酸残基未満のポリペプチドを意味し、
「タンパク質」は長さが10アミノ酸残基以上のポリペプチドを意味する。本発
明において、前記ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド、又は組換えポ
リペプチド(すなわち、組換えDNA技術によって作成されたもの)であり得、
変異(例えば、点変異、挿入及び欠失変異)に加え、他の共有結合的修飾(例え
ば、グリコシル化及び(ビオチン、ストレプトアビジン、フルオラシン(flu
oracine)、131Iのような放射性同位体による)標識)を含有し得る
。さらに、本組成物は、各々、1以上のポリペプチド(すなわち、それぞれ、単
量体(重合体に結合した単一のポリペプチド)又は多量体(重合体に、又は互い
に結合した2以上のポリペプチド)であり得る)を含有し得る。
【0045】 前記p75NTR受容体は、ニュートロフィンに対して低い親和性を有する低
親和性神経成長因子(NGF)受容体である。p75NTR受容体は、細胞死と
細胞の生存の媒介に関与すると考えられている。
【0046】 「結合し得る」とは、相補的受容体部位(別のタンパク質又は他の種類の分子で
あり得る)を認識し、該部位と相互作用することができるタンパク質分子又は他
のペプチド分子の能力として定義される。
【0047】 本発明のDNA分子には、ポリペプチド類縁体、断片、又は抗原性ポリペプチ
ドの誘導体をコードし、天然に存在する形態とは1以上のアミノ酸残基の同一性
又は位置が異なり(欠失類縁体は、前記タンパク質の全残基より少ない残基を含
有し、置換類縁体は、1以上の残基が他の残基で置換されており、付加類縁体で
は、前記ポリペプチドの末端又は中間部に、1以上のアミノ酸残基が付加されて
いる)、且つ天然に存在する形態と特性の一部又は全部を共有するDNA分子も
含まれる。これらの分子には、選択した哺乳類でない宿主による発現に「好適」
なコドンが組み込まれ;制限エンドヌクレア−ゼ酵素による切断部位が与えられ
;易発現ベクタ−(readily expressed vectors)の
構築を容易にする更なる先頭、末端、又は中間DNA配列が与えられる。
【0048】 本明細書に記載され、且つ本明細書の特許請求の範囲に示されているDNA分
子は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドのアミノ酸配列についての
情報が有用であり、様々な組換え技術によってp75NTR受容体、又はそれら
の断片を結合し得るポリペプチドを大規模に合成するための生成物としても有用
である。前記DNA分子は、新規クロ−ニングベクタ−及び発現ベクタ−、形質
転換及びトランスフェクトされた原核及び真核宿主細胞、並びにp75NTR
容体又はそれらの部分に結合し得るポリペプチド及び関連産物を発現し得るこの
ような宿主細胞を培養して増殖する新規且つ有用な方法を作成するのに有用であ
る。
【0049】 本発明は、RNA転写のプロモーターに作用可能に連結され、p75NTR
容体を結合し得るポリペプチドをコードする単離された核酸を有するベクターを
提供する。本発明のある態様では、RNA転写のプロモーターに作用可能に連結
され、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする単離された核
酸を有するベクターは、プラスミドである。別の態様では、上記単離された核酸
分子はcDNA分子であって、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを
コードするcDNA分子は、ヒト又はマウスのタンパク質をコードする。さらに
別の態様では、上記単離された核酸分子はcDNA分子であって、前記核酸分子
は図1G−1に示されたアミノ酸配列(配列番号 )を有するp75NTR
容体を結合し得るポリペプチドをコードする。さらなる態様では、上記単離され
た核酸分子はcDNA分子であって、前記核酸分子はp75NTR受容体を結合
し得るポリペプチドをコードする。上記単離された核酸分子がcDNA分子であ
る態様では、前記核酸分子はp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドであ
って、マウス、ラット、又はヒトのタンパク質であるポリペプチドをコードする
。さらに、上記単離された核酸分子がcDNA分子である別の態様では、前記単
離された核酸分子は図1Gー1に示された核酸配列(配列番号 )を有する。
【0050】 本発明のタンパク質を発現するためには、数多くのベクターを使用し得る。こ
れらのベクターには、プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファ
ージベクター、及び当業者に周知の他のウイルスが含まれる。例えば、あるベク
ターのクラスでは、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイ
ルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MM
TV、又はMoMLV)、セムリキ森林ウイルス又はSV40ウイルスのような
動物ウイルス由来のDNA要素が使用される。さらに、染色体中に前記DNAが
安定に組込まれた細胞は、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能とする
1以上のマーカーを導入することによって選択し得る。前記マーカーは、例えば
、栄養要求性宿主に原栄養性を与え、殺生物剤耐性又は銅のような重金属に対す
る耐性を与え得る。前記選択可能なマーカー遺伝子は、発現すべきDNA配列に
直接連結されるか、あるいは同時形質転換によって同じ細胞中に導入され得る。
発現に必要な制御要素は、RNAポリメラーゼを結合するためのプロモーター配
列とリボゾームが結合するための転写開始配列とを含む。mRNAの合成を最適
化するためには、更なる要素も必要であり得る。これらの更なる要素には、スプ
ライシングシグナル、エンハンサー、終結シグナルが含まれ得る。例えば、細菌
の発現ベクターは、lacプロモーターのようなプロモーター、転写開始のため
のシャイン-ダルガルノ配列、及び開始コドンAUGを含む。同様に、真核生物
の発現ベクターは、RNAポリメラーゼIIのための異種又は同種のプロモータ
ー、下流のポリアデニル化シグナル、開始コドンAUG、及びリボゾームを脱離
させるための終始コドンを含む。このようなベクターは、市販のものを購入して
もよく、あるいは本分野において周知の方法(例えば、前に概説したベクターを
構築するための方法)によって、既述の配列から組み立ててもよい。
【0051】 これらのベクターは、本発明のタンパク質を生産するための宿主ベクター系を
作成するために、適切な宿主細胞中に導入してもよい。宿主ベクター系の作成法
は当業者に周知である。
【0052】 核酸分子を細胞中に導入する方法は、当業者に周知である。このような方法に
は、例えば、ウイルスベクターの使用及びリン酸カルシウム共沈澱が含まれる。
【0053】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする核酸分
子を有するベクターを備える宿主細胞を提供する。ある態様では、上記宿主細胞
は、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞からなる群から選択される
【0054】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする前記核酸分子を発
現することができる「適切な宿主細胞」は、前記核酸分子を取り込んで、該核酸
分子によってコードされるp75NTR受容体を結合し得る前記ポリペプチドを
安定に発現することができる任意の細胞である。
【0055】 適切な宿主細胞には、細菌細胞(グラム陽性細胞を含む)、酵母細胞、真菌細
胞、昆虫細胞、及び動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。適切な動物
細胞には、HeLa細胞、Cos細胞、CV1細胞、及び様々な哺乳類の初代細
胞が含まれるが、これらに限定されない。マウスの線維芽細胞NIH−3T3細
胞、CHO細胞、HeLa細胞、Ltk細胞及びCOS細胞を含む多くの哺乳
類細胞を宿主として使用し得るが、これらに限定されない。哺乳類細胞は、リン
酸カルシウム沈澱、電気穿孔、及びマイクロインジェクションのような本分野に
おいて周知の方法によってトランスフェクトし得る。
【0056】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドの生物活性を有する
ポリペプチドを作成する方法であって、該ポリペプチドを作成し得る適切な条件
下で、細菌、植物、昆虫、又は哺乳類細胞からなる群から選択された宿主細胞を
生育させることを備える方法を提供する。p75NTR受容体を結合し得るポリ
ペプチドの生物活性を有するポリペプチドを作成する上記方法の別の態様では、
該方法は、さらに、作成されたポリペプチドの回収することを備える。
【0057】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする前記核
酸分子の配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダイズすることが
できる、少なくとも15の連続するヌクレオチドの単離された核酸分子を提供す
る。p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする前記核酸分子の
配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダイズすることができる、
少なくとも15の連続するヌクレオチドの上記単離された核酸分子のある態様で
は、前記単離された核酸分子はDNA分子である。p75NTR受容体を結合し
得るポリペプチドをコードする前記核酸分子の配列中に含まれるユニークな配列
と特異的にハイブリダイズすることができる、少なくとも15の連続するヌクレ
オチドの上記単離された核酸分子の別の態様では、前記単離された核酸分子はR
NA分子である。
【0058】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする前記核
酸分子に対して相補的である核酸分子の配列中に含まれるユニークな配列と特異
的にハイブリダイズすることができる単離された核酸分子を提供する。ある態様
では、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする前記核酸分子
に対して相補的である上記単離された核酸分子はDNA分子である。別の態様で
は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする前記核酸分子に
対して相補的である核酸分子の配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイ
ブリダイズすることができる核酸分子と特異的にハイブリダイズすることができ
る上記単離された核酸分子はRNA分子である。
【0059】 当業者であれば、p75NTR受容体プラスミドを結合し得るポリペプチド中
にクローニングされたcDNAからユニークな配列を容易に取得し得るであろう
。このようなユニークな配列は、様々な哺乳類のcDNAライブラリー及びゲノ
ムDNA(例えば、マウス、ラット、及びウシ)をスクリーニングして、相同核
酸配列を得るための、及び異なるcDNA組織ライブラリーをスクリーニングし
て前記得られた核酸配列のアイソフォームを得るためのプローブとして使用し得
る。さらに、p75NTR受容体プラスミドを結合し得る前記ポリペプチド中に
クローニングされたcDNAから得られた核酸プローブは、他のヒトの組織cD
NAライブラリーをスクリーニングして、p75NTR受容体を結合し得るポリ
ペプチドをコードする核酸配列のアイソフォームを得るために、及びヒトのゲノ
ムDNAをスクリーニングして、類縁核酸配列を得るためにも使用し得る。前記
相同核酸配列とアイソフォームは、それらがコードするタンパク質を産生するた
めに使用し得る。
【0060】 本明細書で使用する「特異的にハイブリダイズし得る」とは、p75NTR
容体を結合し得るポリペプチドをコードするmRNA分子に結合し得るが、p7
NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードするp75NTR受容体分子
を結合し得るポリペプチドには結合し得ないことを意味する。
【0061】 本発明は、p75NTR受容体分子を結合し得るポリペプチドをコードするm
RNA分子に特異的にハイブリダイズし得る核酸配列を有するアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドを提供する。上記アンチセンスオリゴヌクレオチドのある態様で
は、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、p75NTR受容体を結合し得る
ポリペプチドをコードする単離されたcDNA分子に特異的にハイブリダイズし
得る核酸配列を有する。上記アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の態様では、
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、p75NTR受容体を結合し得るポリ
ペプチドをコードする単離されたRNA分子に特異的にハイブリダイズし得る核
酸配列を有する。
【0062】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチドを提供す
る。ある態様では、上記p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチ
ドは、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする単離された核
酸によってコードされる。ある態様では、p75NTR受容体を結合し得る上記
ポリペプチドは、p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチドの断
片である。別の態様では、p75NTR受容体を結合し得る上記精製されたポリ
ペプチドは、図1G−1に示されたアミノ酸配列(配列番号 )と実質的に同
一のアミノ酸配列を有する。さらなる態様では、p75NTR受容体を結合し得
る上記精製されたポリペプチドは、図1G−1に示されたアミノ酸配列(配列番
)を有する。さらに別の態様では、p75NTR受容体を結合し得る上記
ポリペプチドは、図1G−1に示されたアミノ酸配列(配列番号 )を有する
。さらなる態様では、p75NTR受容体を結合し得る上記ポリペプチドは、p
75NTR受容体を結合し得る脊椎動物のポリペプチドである。p75NTR
容体を結合し得る上記ポリペプチドのある態様では、ニューロトロフィン関連細
胞死実行タンパク質を含む。p75NTR受容体を結合し得る上記ポリペプチド
のさらに別の態様では、NCLRILMGELSNを含む。
【0063】 本明細書で使用する精製されたポリペプチドとは、他のいかなるポリペプチド
も除去されたポリペプチドを意味する。
【0064】 本明細書において使用する図1G−1に示されたアミノ酸配列(配列番号 )と「実質的に同一の」アミノ酸配列を有するp75NTR受容体を結合し得る
ポリペプチドは、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする核
酸によってコードされ、該核酸は、ホメオドメイン領域(前記タンパク質をコー
ドしている領域)が100%同一であるが、非コード領域のヌクレオチドは異な
ってもよい。
【0065】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得る上記ポリペプチドのエピトープに
むけられたモノクローナル抗体を提供する。上記モノクローナル抗体のある態様
では、前記モノクローナル抗体は、p75NTR受容体を結合し得るマウス、ラ
ット、又はヒトポリペプチドに対して誘導される。
【0066】 「抗体」という用語には、例えば、天然に存在する抗体と天然には存在しない
抗体の両者が含まれる。具体的には、「抗体」という用語には、ポリクローナル
及びモノクローナル抗体、並びにそれらの断片が含まれる。さらに、「抗体」と
いう用語には、キメラ抗体、完全な合成抗体、及びそれらの断片が含まれる。必
要に応じて、抗体には、検出可能なマーカーを標識することができる。検出可能
なマーカーには、例えば、放射性又は蛍光マーカーが含まれる。
【0067】 本発明は、図1G−1(配列番号 )に示されたアミノ酸配列を有する精製
されたタンパク質のエピトープにむけられたポリクローナル抗体を提供する。さ
らなる態様では、上記モノクローナル又はポリクローナル抗体は、図1G−1(
配列番号 )に示されたアミノ酸配列を有する、p75NTR受容体を結合し
得るポリペプチドに対して誘導される。
【0068】 ポリクローナル抗体は、本発明の免疫原(例えば、p75NTR受容体を結合
し得る精製された哺乳類のポリペプチドか、p75NTR受容体を結合し得る精
製されたヒトのポリペプチド)を、ウサギ、ラット、ヤギ、マウス又は他の動物
のような宿主動物に注入することによって産生され得る。前記血清は、前記宿主
動物から抽出され、前記免疫原に特異的なポリクローナル抗体を得るためにスク
リーニングされる。ポリクローナル抗体のスクリーニング方法は、Harlow
& Lane,Antibodies:A Laboratory Manu al ,(Cold Spring Harbor Laboratories,
Cold Spring Harbor,NY:1988)に記載されているよ
うに、当業者に周知であって、その内容は、参考文献として、本明細書に組み込
まれる。
【0069】 前記モノクローナル抗体は、例えば、免疫原でマウスを免疫することによって
産生され得る。前記マウスは、免疫原性を示し得る量の上記免疫原を腹腔内に接
種された後、同じような量の該免疫原で追加免疫される。最終追加免疫の数日後
に前記免疫されたマウスから、脾臓を回収し、融合に用いるために該脾臓から細
胞懸濁物を調製する。
【0070】 本発明の実施に際しては、上記抗体は何れも、検出可能な標識で標識し得る。
ある態様では、前記標識された抗体は、精製された被標識抗体である。本発明で
使用する「抗体」という用語には、天然に存在する抗体と天然には存在しない抗
体の両者が含まれるが、これらに限定されない。具体的には、「抗体」という用
語には、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、並びにそれらの結合性断片が
含まれる。さらに、「抗体」という用語には、キメラ抗体、完全な合成抗体、及
びそれらの断片が含まれる。
【0071】 さらに、「抗体」という用語には、キメラ抗体及び完全な合成抗体、並びにそ
れらの断片が含まれる。検出可能な標識として機能する「検出可能な部分」は、
当業者に周知であって、蛍光標識、放射性原子、常磁性イオン、ビオチン、化学
発光標識、又は二次酵素の段階若しくは結合の段階によって、検出され得る標識
が含まれるが、これらに限定されない。前記二次酵素の段階若しくは結合の段階
では、ジゴキシゲニン、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ
、β−ガラクトシダーゼ、フルオレセイン、又はストレプトアビジン/ビオチン
の使用が含まれる。抗体を標識する方法は、本分野において周知である。
【0072】 前記抗体がこのような複合体を形成するかどうかの決定は、当業者に周知の方
法によってなし得る。好ましい態様では、前記決定は、フローサイトメトリー法
によってなされる。
【0073】 前記抗体は、アフィニティークロマトグラフィーで用いられるような不溶性マ
トリックスに結合し得る。本発明で使用する前記固定化されたモノクローナル抗
体と複合体を形成する細胞の単離は、当業者に周知の標準的な方法によってなし
得る。例えば、単離は、固定化抗体を用いるアフィニティークロマトグラフィー
を具備する。
【0074】 あるいは、前記抗体は、遊離の抗体であり得る。この場合、単離は、遊離の標
識された一次抗体又は二次抗体を用いた細胞分別を備え得る。このような細胞分
別法は標準的なものであり、当業者に周知である。
【0075】 前記標識された抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体であり得る。
ある態様では、前記標識された抗体は、精製された被標識抗体である。「抗体」
という用語には、例えば、天然に存在する抗体と天然には存在しない抗体の両者
が含まれる。具体的には、「抗体」という用語には、ポリクローナル及びモノク
ローナル抗体、並びにそれらの断片が含まれる。さらに、「抗体」という用語に
は、キメラ抗体、完全な合成抗体、及びそれらの断片が含まれる。検出可能なマ
ーカーは、例えば、放射性又は蛍光マーカーであり得る。抗体を標識する方法は
、本分野において周知である。
【0076】 本発明は、細胞にアポトーシスを誘導する方法であって、前記細胞中に、p7
NTR受容体を結合し得る上記ポリペプチドを発現させることを備えた方法を
提供する。
【0077】 本発明は、対象にアポトーシスを誘導する方法であって、前記対象中に、p7
NTR受容体を結合し得る上記ポリペプチドを発現させることを備えた方法を
提供する。対象にアポトーシスを誘導する方法のさらなる態様では、前記対象は
ラット、マウス、又はヒトである。
【0078】 本明細書において使用する「対象(subject)」とは、任意の動物又は
人工的に改変された動物を意味する。人工的に改変された動物には、ヒトの免疫
系を有するSCIDマウスが含まれるが、これに限定されない。好ましい態様で
は、前記対象は、ヒトである。
【0079】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする単離さ
れた核酸であって、DNA分子である核酸を含むヒト以外のトランスジェニック
哺乳動物を提供する。上記ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物のある態様で
は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする前記DNAは、
組織特異的な調節要素に作用可能に連結されている。
【0080】 本発明は、ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物に、様々なレベルの、p7
NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現させたときの生理的な影響を決
定する方法であって、各々が、異なる量の、p75NTR受容体を結合し得るポ
リペプチドを発現している一群のヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を作成
することを備えた方法を提供する。
【0081】 本発明は、適切なベクター中に、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
ドを作成する方法であって、(a)p75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
ドをコードする核酸分子を適切なベクタ−に挿入することと、(b)得られたベ
クタ−を適切な宿主細胞中に導入することと、(c)前記導入された宿主細胞か
ら、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現している細胞を選択す
ることと、(d)前記選択された細胞を培養して、p75NTR受容体を結合し
得るポリペプチドを産生させることと、(e)産生された前記p75NTR受容
体を結合し得るポリペプチドを回収することとを備えた方法を提供する。
【0082】 本発明は、対象中の細胞にアポトーシスを誘導する方法であって、アポトーシ
スを誘導するのに有効な量の前記p75NTR受容体を結合し得る精製されたポ
リペプチドを前記対象に投与することを備えた方法を提供する。対象中の細胞に
アポトーシスを誘導する方法であって、アポトーシスを誘導するのに有効な量の
前記p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチドを前記対象に投与
することを備えた上記方法のある態様では、前記対象は哺乳動物である。対象中
の細胞にアポトーシスを誘導する上記方法の別の態様では、前記対象は、マウス
、ラット、又はヒトである。
【0083】 本明細書で使用する「アポトーシス」とは、細胞のプログラムされた細胞死を
意味する。前記プログラムされた細胞死の機序及び効果は、細胞溶解とは異なる
。アポトーシスの効果としては、DNAの断片化及びアポトーシス小体と称され
る膜に結合した小断片へのDNAの崩壊等を観察することができる。
【0084】 本明細書で使用する「対象」とは、任意の動物又は人工的に改変された動物を
意味する。人工的に改変された動物には、ヒトの免疫系を有するSCIDマウス
が含まれるが、これに限定されない。好ましい態様では、前記対象はヒトである
【0085】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチドと薬学的
に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。
【0086】 本発明は、有効量の上記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと薬学
的に許容される担体とを含む薬学的組成物も提供する。本発明において、「有効
量」とは、前記タンパク質が治療に有効であると推定されている疾病又は異常に
罹患している患者に投与したときに有効であり、前記疾病又は異常の減少、軽減
、又は退行をもたらす任意の量の、上記p75NTR受容体を結合し得るポリペ
プチドである。本発明において、「薬学的に許容される担体」は、薬学的組成物
を調合するのに有用な当業者に公知である任意の生理的担体である。
【0087】 ある好ましい態様では、前記薬学的担体は液体であって、前記薬学的組成物は
溶液の形態であり得る。同様に好ましい別の様態では、前記薬学的に許容される
担体は個体であって、前記組成物は粉末又は錠剤の形態である。さらなる態様で
は、前記薬学的担体はゲルであって、前記組成物は坐剤又はクリームの形態であ
る。さらなる態様では、前記化合物は、薬学的に許容される経皮パッチの一部と
して調合され得る。
【0088】 固体の担体には、香料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、賦形剤、流動促進剤(g
lidant)、圧縮補助剤、結合剤、又は錠剤崩壊剤としても作用し得る1以
上の物質が含まれ得る。固体担体はカプセル化物質でもあり得る。粉末では、前
記担体は、細粉化された活性成分と混合されている細粉化された固体である。錠
剤では、前記活性成分は、適切な比率の必要な圧縮特性を有する担体と混合され
、所望の形状とサイズに圧縮される。好ましくは、前記粉末と前記錠剤は、前記
活性成分を99%まで含有する。適切な固体担体には、例えば、リン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デン
プン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドン、低融解ワックス、及びイ
オン交換樹脂が含まれる。
【0089】 液体担体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリクシル剤、及び加
圧された組成物を調製するために用いられる。前記活性成分は、水、有機溶媒、
薬学的に許容されるオイルと脂肪の混合物、又は薬学的に許容されるオイル若し
くは脂肪のような薬学的に許容される液体担体中に、溶解又は懸濁し得る。前記
液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝液、防腐剤、甘味料、香料、懸濁剤、濃縮
剤、色素、粘度調節剤、安定剤、又は浸透圧調節剤のような他の適切な薬学的添
加剤を含有し得る。経口投与及び非経口投与用の液体担体の適切な例には、水(
部分的に上記のような添加物、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシ
メチルセルロースナトリウム溶液を含有する)、アルコール(一価アルコール及
び多価アルコール、例えばグリコールを含む)及びそれらの誘導体、並びにオイ
ル(例えば、ヤシ油とピーナッツ油)が含まれる。非経口投与の場合、前記担体
は、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルのような油状エステルであ
り得る。滅菌された液体担体は、非経口投与用の滅菌された液体形態の組成物に
おいて有用である。加圧された組成物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素
又は他の薬学的に許容される噴射剤であり得る。
【0090】 滅菌溶液又は懸濁液である液体の薬学的組成物は、例えば、筋肉内、くも膜下
腔内、硬膜外、腹腔内又は皮下投与に使用し得る。滅菌溶液は、静脈内にも投与
され得る。前記化合物は、滅菌固体組成物として調製され、投与時に、滅菌水、
滅菌生理食塩水、又は他の適切な注射可能な滅菌媒体を用いて、溶解又は懸濁し
得る。担体は、必要な不活性結合剤、懸濁剤、潤滑剤、香料、甘味料、防腐剤、
色素、及びコーティング剤を含み得る。
【0091】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを有する上記薬学的組成物は、
他の溶質又は懸濁剤(例えば、前記溶液を等張にするのに十分な量の生理食塩水
又はグルコース、胆汁塩、アカシア、ゼラチン、モノオレイン酸ソルビタン、ポ
リソルベート80(エチレンオキサイドと共重合したソルビトールのオレイン酸
エステルとその無水物)等)を含有する滅菌溶液又は懸濁液の形態で、経口投与
され得る。
【0092】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを有する上記薬学的組成物は、
液体又は固体のうち何れの形態の組成物としても、経口投与することが可能であ
る。経口投与に適した組成物には、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、及び粉末のよ
うな固体形態と、溶液、シロップ、エリクシル剤、及び懸濁液のような液体形態
とが含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌溶液、エマルジョン、及び懸
濁液が含まれる。
【0093】 投与すべき最適な用量は、当業者によって決定され、使用しているp75NT 受容体を結合し得るポリペプチドを含む当該上記薬学的組成物、調製物の強度
、投与方法、及び病状又は異常の進行度に応じて変化し得る。患者の年齢、体重
、性別、食事、投与時間を含む、治療を受けている当該患者に応じた更なる要素
によっても、用量を調節する必要性が生じるであろう。
【0094】 本明細書において、投与は、当業者に公知の任意の様々な方法を用いて、実施
又は実行し得る。前記投与は、注入、リポソームを介した送達、エアロゾル送達
;局所、経口、経鼻、経肛門、経眼、又は経耳送達によって、静脈内、腹腔内、
くも膜下腔内、リンパ内、筋肉内、病巣内、非経口、硬膜外、皮下に為し得る。
【0095】 p75NTR受容体とp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとの結合
を阻害し得る化合物を同定する方法であって、(a)p75NTR受容体に結合
し得るポリペプチドとp75NTR受容体とが結合して複合体を形成し得る条件
下で、前記化合物を、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと接触させ
ることと;(b)前記p75NTR受容体を、工程(a)で得られた混合物と接
触させることと;(c)形成された複合体、若しくは未結合のp75NTR受容
体、若しくは未結合の前記ポリペプチド、又はこれらのうちの何れかの組み合わ
せの量を測定することとを備えた方法。p75NTR受容体とp75NTRを結
合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態
様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、ニューロトロフィン関
連細胞死実行物質である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し得るポリ
ペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前記
p75NTRを結合し得るポリペプチドは、ヒトHGR74タンパク質である。
p75NTR受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し
得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得る
ポリペプチドは、図1Hに規定されているmusnade3a配列である。p7
NTR受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る
化合物を同定する上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリ
ペプチドは、図1Hに規定されているhunade3a1配列である。p75 TR 受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合
物を同定する上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプ
チドは、図1Hに規定されているhunade3a2配列である。p75NTR 受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合物を
同定する上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチド
は、図1Hに規定されているratnad3a配列である。p75NTR受容体
とp75NTRを結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定す
る上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図
1Hに規定されているratnad3b配列である。p75NTR受容体とp7
NTRを結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する上記
方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに
規定されているmusnade3b配列である。p75NTR受容体とp75 TR を結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する上記方法
のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定
されているhumnade1配列である。p75NTR受容体とp75NTR
結合し得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する上記方法のある
態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されて
いるratnade1配列である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し
得るポリペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様で
は、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されているm
usnade1配列である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し得るポ
リペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前
記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されているhumn
ade2配列である。
【0096】 p75NTR受容体とp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとの結合
であり、p75NTR受容体とp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと
の複合体を形成せしめる結合を阻害し得る化合物を同定する方法であって、(a
)p75NTR受容体に結合し得るポリペプチドとp75NTR受容体とが結合
して複合体を形成し得る条件下で、前記化合物を、p75NTR受容体と接触さ
せることと;(b)前記p75NTR受容体を、工程(a)で得られた混合物と
接触させることと;(c)形成された複合体、若しくは未結合のp75NTR
容体、若しくは未結合の前記ポリペプチド、又はこれらのうちの何れかの組み合
わせの量を測定することとを備えた方法。p75NTR受容体とp75NTR
結合し得るポリペプチドを阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では
、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、ニューロトロフィン関連細胞
死実行タンパク質である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し得るポリ
ペプチドを阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前記p75 TR を結合し得るポリペプチドは、ヒトHGR74タンパク質である。p75 TR 受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドを阻害し得る化合物を同定
する上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、
図1Hに規定されているmusnade3a配列である。p75NTR受容体と
p75NTRを結合し得るポリペプチドを阻害し得る化合物を同定する上記方法
のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定
されているhunade3a1配列である。p75NTR受容体とp75NTR を結合し得るポリペプチドを阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様で
は、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されているh
unade3a2配列である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し得る
ポリペプチドを阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前記p7
NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されているratnad3
a配列である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドを
阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合
し得るポリペプチドは、図1Hに規定されているratnad3b配列である。
p75NTR受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドを阻害し得る化合
物を同定する上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプ
チドは、図1Hに規定されているmusnade3b配列である。p75NTR 受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチドを阻害し得る化合物を同定する
上記方法のある態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1
Hに規定されているhumnade1配列である。p75NTR受容体とp75 NTR を結合し得るポリペプチドを阻害し得る化合物を同定する上記方法のある
態様では、前記p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されて
いるratnade1配列である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し
得るポリペプチドを阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前記
p75NTRを結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されているmusna
de1配列である。p75NTR受容体とp75NTRを結合し得るポリペプチ
ドを阻害し得る化合物を同定する上記方法のある態様では、前記p75NTR
結合し得るポリペプチドは、図1Hに規定されているhumnade2配列であ
る。
【0097】 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)対象を、
適切な量の前記化合物と接触させることと;(b)前記対象中での、p75NT 受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝子とp75NTR受容体の遺伝子の発
現レベルを測定することとを備え、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
ドの遺伝子とp75NTR受容体の遺伝子の発現レベルの増加が、前記化合物が
アポトーシス誘導化合物であることの指標である方法を提供する。アポトーシス
誘導化合物を同定する方法であって、(a)対象を、適切な量の前記化合物と接
触させることと;(b)前記対象中での、p75NTR受容体を結合し得るポリ
ペプチドの遺伝子とp75NTR受容体の遺伝子の発現レベルを測定することと
を備え、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝子とp75NTR 受容体の遺伝子の発現レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物で
あることの指標である上記方法のある態様では、前記対象は哺乳動物である。ア
ポトーシス誘導化合物を同定する上記方法のある態様では、前記哺乳動物の対象
は、マウス、ラット、又はヒトである。
【0098】 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)細胞を、
適切な量の前記化合物と接触させることと;(b)前記細胞中での、p75NT 受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベ
ルを測定することとを備え、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドの遺
伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス
誘導化合物であることの指標である方法を提供する。
【0099】 アポトーシス誘導化合物は、抗体、無機化合物、有機化合物、ペプチド、ペプ
チド類似化合物(peptidomimetic compounds)、ポリ
ペプチド又はタンパク質、一部又は全ての特性を共有する断片又は誘導体(例え
ば、融合タンパク質)であり得(これらに限定されない)、アポトーシスを誘導
する化合物と定義される。前記化合物は、天然に存在するものであって、精製に
よって取得することができ、あるいは、天然に存在しないものであって、合成に
よって取得することができる。
【0100】 本発明は、酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内
ドメインを標的として用いて、cDNAライブラリーから、p75NTR受容体
配列を結合し得るポリペプチドの配列をスクリーニングする方法を提供する。酵
母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内ドメインを標的
として用いて、p75NTR受容体配列を結合し得るポリペプチドを得るために
cDNAライブラリーをスクリーニングする上記方法のある態様では、前記cD
NAライブラリーは、哺乳動物のものである。酵母ツーハイブリッドシステムを
用いて、及びp75NTR細胞内ドメインを標的として用いて、p75NTR
容体を結合し得るポリペプチドを得るためにcDNAライブラリーをスクリーニ
ングする上記方法の別の態様では、前記cDNAライブラリーは哺乳動物のもの
であり、該哺乳動物のcDNAライブラリーは、ラット、マウス、又はヒトのc
DNAライブラリーに由来する。酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及び
p75NTR細胞内ドメインを標的として用いて、p75NTR受容体を結合し
得るポリペプチドを得るためにcDNAライブラリーをスクリーニングする上記
方法のある態様では、前記p75NTR細胞内ドメイン標的は、哺乳動物のもの
である。酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内ドメ
インを標的として用いて、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを得る
ためにcDNAライブラリーをスクリーニングする上記方法のある態様では、前
記p75NTR細胞内ドメイン標的は、ラット、マウス、又はヒトp75NTR 細胞内ドメイン標的である。
【0101】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRとを
同時発現させることによって、カスパーゼ−2とカスパーゼ−3活性を誘導させ
て、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを切断し、細胞中の核DNAを断片
化する方法を提供する。
【0102】 カスパーゼは、プロテアーゼファミリーのメンバーであり、線虫致死遺伝子(
ced−3)の哺乳類における相同物であって、哺乳類のアポトーシスに必要と
される。カスパーゼ−2とカスパーゼ−3のレベルの増加は、アポトーシスと関
連している。カスパーゼは、それらの基質のアスパラギン酸残基を切断するシス
テインアスパルターゼである。カスパーゼを活性化させるには、アスパラギン酸
残基で切断して、活性なヘテロ二量体を形成させる必要がある。
【0103】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRとを
用いて、細胞中でのNF−κBの活性化を阻害する方法を提供する。
【0104】 NF−κBは、外的な刺激によって活性化されて、核に移行し、ここでDNA
を結合し、遺伝子の転写を調節する一次転写因子である。ラットのシュワン細胞
では、p75NTRニューロトロフィン受容体への神経成長因子の結合は、チロ
シンキナーゼ受容体Aの非存在下で、NF−κBの活性化を誘導し、細胞の生存
をもたらす。NF−κBは、細胞表面分子及びサイトカインを含む様々なタンパ
ク質の遺伝子の発現を調節する。
【0105】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRの発
現レベルを検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する方法を提供す
る。p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRの発現レベル
を検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する上記方法のある態様で
は、前記対象は哺乳動物である。p75NTR受容体を結合し得るポリペプチド
とp75NTRの発現レベルを検出することによって、対象の神経変性疾患を検
出する上記方法の別の態様では、前記哺乳動物の対象は、マウス、ラット、又は
ヒトである。
【0106】 本発明は、ヒトHGR74タンパク質をコードし、DNA分子である単離され
た核酸を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を提供する。上記ヒト以
外のトランスジェニック哺乳動物のある態様では、ヒトHGR74タンパク質を
コードする前記DNAは、組織特異的な調節要素に作用可能に連結されている。
【0107】 本発明は、ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物に、様々なレベルの、ヒト
HGR74タンパク質を発現させたときの生理的な影響を決定する方法であって
、各々が異なる量のヒトHGR74タンパク質を発現している一群のヒト以外の
トランスジェニック哺乳動物を作成することを備えた方法を提供する。
【0108】 本発明は、適切なベクター中に、ヒトHGR74タンパク質を作成する方法で
あって、(a)ヒトHGR74タンパク質をコードする核酸分子を適切な発現ベ
クタ−に挿入することと、(b)得られたベクタ−を適切な宿主細胞中に導入す
ることと、(c)ヒトHGR74タンパク質を発現している、前記導入された宿
主細胞を選択することと、(d)前記選択された細胞を培養して、ヒトHGR7
4タンパク質を産生させることと、(e)産生された前記ヒトHGR74タンパ
ク質を回収することとを備えた方法を提供する。
【0109】 本発明は、対象中の細胞にアポトーシスを誘導する方法であって、アポトーシ
スを誘導するのに有効な量の前記精製されたヒトHGR74タンパク質を前記対
象に投与することを備えた方法を提供する。対象中の細胞にアポトーシスを誘導
する方法であって、アポトーシスを誘導するのに有効な量の前記精製されたヒト
HGR74を前記対象に投与することを備えた上記方法のある態様では、前記対
象は哺乳動物である。対象中の細胞にアポトーシスを誘導する上記方法の別の態
様では、前記対象はマウス、ラット、又はヒトである。
【0110】 本発明は、精製されたヒトHGR74タンパク質と薬学的に許容される担体と
を含む薬学的組成物を提供する。
【0111】 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)対象を、
適切な量の前記化合物と接触させることと;(b)前記対象における、ヒトHG
R74タンパク質の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルを測定すること
とを備え、ヒトHGR74タンパク質の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レ
ベルの増加が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物であることの指標である方
法を提供する。アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)対象を
、適切な量の前記化合物と接触させることと;(b)前記対象における、ヒトH
GR74タンパク質の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルを測定するこ
ととを備え、ヒトHGR74タンパク質の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現
レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物であることの指標である
上記方法のある態様では、前記対象は哺乳動物である。アポトーシス誘導化合物
を同定する上記方法のある態様では、前記哺乳動物の対象は、マウス、ラット、
又はヒトである。
【0112】 本発明は、アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、(a)細胞を、
適切な量の前記化合物と接触させることと;(b)前記細胞における、ヒトHG
R74の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルを測定することとを備え、
ヒトHGR74タンパク質の遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルの増加
が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物であることの指標である方法を提供す
る。
【0113】 本発明は、酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内
ドメインを標的として用いて、ヒトHGR74配列を得るためにcDNAライブ
ラリーをスクリーニングする方法を提供する。酵母ツーハイブリッドシステムを
用いて、及びp75NTR細胞内ドメインを標的として用いて、ヒトHGR74
配列を得るためにcDNAライブラリーをスクリーニングする上記方法のある態
様では、前記cDNAライブラリーは哺乳動物のものである。酵母ツーハイブリ
ッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内ドメインを標的として用いて、
cDNAライブラリーからヒトHGR74をスクリーニングする上記方法のある
態様では、前記cDNAライブラリーは、哺乳動物のものであり、前記哺乳動物
のcDNAライブラリーは、ラット、マウス、又はヒトのcDNAライブラリー
に由来する。酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NTR細胞内
ドメインを標的として用いて、ヒトHGR74配列を得るためにcDNAライブ
ラリーをスクリーニングする上記方法の別の態様では、前記p75NTR細胞内
ドメイン標的は、哺乳動物のものである。酵母ツーハイブリッドシステムを用い
て、及びp75NTR細胞内ドメインを標的として用いて、ヒトHGR74配列
を得るためにcDNAライブラリーをスクリーニングする上記方法のある態様で
は、前記p75NTR細胞内ドメイン標的は、ラット、マウス、又はヒトp75 NTR 細胞内ドメイン標的である。
【0114】 本発明は、ヒトHGR74タンパク質とp75NTRを同時発現させることに
よって、カスパーゼ−2とカスパーゼ−3活性を誘導させて、ポリ(ADP−リ
ボース)ポリメラーゼを切断し、細胞中の核DNAを断片化する方法を提供する
【0115】 本発明は、ヒトHGR74タンパク質とp75NTRを用いて、細胞中でのN
F−κBの活性化を阻害する方法を提供する。
【0116】 本発明は、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRの発
現レベルを検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する方法を提供す
る。p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTRの発現レベル
をを検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する上記方法のある態様
では、前記対象は哺乳動物である。p75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
ドとp75NTRの発現レベルを検出することによって、対象の神経変性疾患を
検出する上記方法の別の態様では、前記対象は哺乳動物であり、前記哺乳動物は
ヒトである。
【0117】 本発明は、アポトーシス阻害剤であり、p75NTR受容体を結合し得るポリ
ペプチドとp75NTR受容体との特異的な結合を阻害してアポトーシスを抑制
し得る化合物を同定する方法であって、(a)p75NTR受容体を結合し得る
ポリペプチド及びp75NTR受容体を置換し得ることが予め示されている公知
の化合物と、結合したp75NTR受容体とが結合して複合体を形成し得る条件
下で、前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを、複数の化合物と接
触させることと;(b)置換された前記p75NTR受容体を結合し得るポリペ
プチド又は工程(a)で形成された前記複合体を検出することとを備え、置換が
なされることが、前記化合物がp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと
p75NTR受容体との特異的な結合を阻害し得る化合物であることの指標であ
る方法を提供する。上記方法の別の態様では、p75NTR受容体を結合し得る
ポリペプチドとp75NTR受容体との特異的な結合の阻害がレポーター遺伝子
の転写活性に影響を与える。上記方法のさらなる態様では、置換された前記p7
NTR受容体を結合し得るポリペプチド又は前記複合体は、工程(b)におい
て、工程(a)で前記化合物と接触させる前及び後にレポーター遺伝子の転写活
性を比較することによって検出され、該活性の変化が、前記p75NTR受容体
を結合し得るポリペプチドと前記p75NTR受容体との特異的な結合が阻害さ
れ、且つ前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが置換されることの
指標となる。上記方法のある態様では、前記p75NTR受容体は固相支持体に
結合される。上記方法のさらなる態様では、前記化合物は固相支持体に結合され
る。上記方法のある態様では、前記化合物は、抗体、無機化合物、有機化合物、
ペプチド、ペプチド類似化合物、ポリペプチド又はタンパク質を具備する。上記
方法のある態様では、工程(a)の接触はインビトロで行われる。上記方法のさ
らなる態様では、工程(a)の接触はインビボで行われる。上記方法のある態様
では、工程(a)の接触は酵母細胞中で行われる。上記方法の態様では、工程(
a)の接触は哺乳類細胞中で行われる。上記方法のある態様では、前記p75 TR 受容体を結合し得るポリペプチドは、細胞表面受容体である。上記方法のあ
る態様では、前記細胞表面受容体はp75受容体である。
【0118】 本明細書において使用する「レポーター遺伝子の転写活性」とは、前記レポー
ター遺伝子の発現レベルが、前記シグナル伝達タンパク質及び前記細胞質タンパ
ク質が結合するとき観察されるレベルとは変化し得ることを意味する。前記シグ
ナル伝達タンパク質と前記細胞質タンパク質との間の結合に依存する他の生物機
能を検出することによって、前記化合物を同定することもできる。レポーター遺
伝子の例は多数存在し、本分野において周知であり、ヒスチジン耐性遺伝子、ア
ンピシリン耐性遺伝子、β-ガラクトシダーゼ遺伝子が含まれるが、これらに限
定されない。
【0119】 さらに、前記細胞質タンパク質は、固相支持体に結合してもよい。あるいは、
前記化合物を固相支持体に結合してもよく、抗体、無機化合物、有機化合物、ペ
プチド、ペプチド類似化合物、ポリペプチド、又はタンパク質を有する。
【0120】 前記方法の例は、以下に記載されている。前記細胞質タンパク質と検出可能な
標識に結合された前記化合物との免疫沈降のような直接的な検出方法を用いるこ
とによって、前記シグナル伝達タンパク質と前記細胞質タンパク質との特異的な
結合を阻害し得る化合物を同定することができる。さらに、遺伝子発現のレベル
の増加又は減少を検出するような間接的な検出方法を用いることもできるであろ
う。以下で論述されているように、LexA DNA結合ドメインに融合された
合成ペプチドを構築することができる。適切なレポーター遺伝子を有する適切な
細胞株とともに、L40株中にこれらの構築物を形質転換し得るであろう。その
後、前記レポーター遺伝子の発現レベルを検出することによって、阻害が起こっ
たか否かを検出し得る。当業者であれば、前記レポーター遺伝子の発現レベルを
検出するために、様々な周知の方法、例えば、酵母、哺乳類、又は他の細胞にお
けるツーハイブリッドシステムを使用することができるであろう。
【0121】 さらに、工程(a)の接触は、インビトロ、インビボ、及び適切な細胞(例え
ば酵母細胞又は哺乳類細胞)中で特異的に行い得る。哺乳類細胞の例には、マウ
スの線維芽細胞NIH 3T3、CHO細胞、HeLa細胞、Ltk−細胞、C
os細胞等が含まれるが、これらに限定されない。
【0122】 他の適切な細胞には、原核細胞又は真核細胞、例えば、細菌細胞(グラム陽性
細胞を含む)、真菌細胞、昆虫細胞、及び他の動物細胞が含まれるが、これらに
限定されない。
【0123】 本発明は、アポトーシス阻害剤であり、ヒトHGR74タンパク質とp75 TR 受容体との特異的な結合を阻害してアポトーシスを抑制する化合物を同定す
る方法であって、(a)ヒトHGR74タンパク質及びp75NTR受容体を置
換し得ることが予め示されている公知の化合物と、結合したp75NTR受容体
とが結合して複合体を形成し得る条件下で、前記ヒトHGR74タンパク質を、
複数の化合物と接触させることと;(b)置換されたヒトHGR74タンパク質
又は工程(a)で形成された前記複合体を検出することとを備え、置換がなされ
ることが、前記化合物がヒトHGR74タンパク質とp75NTR受容体との特
異的な結合を阻害し得る化合物であることの指標である方法を提供する。上記方
法のある態様では、ヒトHGR74タンパク質とp75NTR受容体との特異的
な結合の阻害がレポーター遺伝子の転写活性に影響を与える。上記方法のさらな
る態様では、置換された前記ヒトHGR74タンパク質又は前記複合体は、工程
(b)において、工程(a)で前記化合物と接触させる前及び後に、レポーター
遺伝子の転写活性を比較することによって検出され、該活性の変化が、前記ヒト
HGR74タンパク質と前記p75NTR受容体との特異的な結合が阻害され、
且つ前記ヒトHGR74タンパク質が置換されることの指標となる。上記方法の
ある態様では、前記p75NTR受容体は固相支持体に結合される。上記方法の
さらなる態様では、前記化合物は固相支持体に結合される。上記方法のある態様
では、前記化合物は、抗体、無機化合物、有機化合物、ペプチド、ペプチド類似
化合物、ポリペプチド又はタンパク質を具備する。上記方法のある態様では、工
程(a)の接触はインビトロで行われる。上記方法のさらなる態様では、工程(
a)の接触はインビボで行われる。上記方法のある態様では、工程(a)の接触
は酵母細胞中で行われる。上記方法のある態様では、工程(a)の接触は哺乳類
細胞中で行われる。上記方法のある態様では、前記ヒトHGR74タンパク質は
、細胞表面受容体である。上記方法のある態様では、前記細胞表面受容体はp7
5受容体である。
【0124】 本明細書において使用する「レポーター遺伝子の転写活性」とは、前記レポー
ター遺伝子の発現レベルが、前記シグナル伝達タンパク質及び前記細胞質タンパ
ク質が結合するとき観察されるレベルとは変化し得ることを意味する。前記シグ
ナル伝達タンパク質と前記細胞質タンパク質との結合に依存する他の生物機能を
検出することによって、前記化合物を同定することもできる。レポーター遺伝子
の例は多数存在し、本分野において周知であり、ヒスチジン耐性遺伝子、アンピ
シリン耐性遺伝子、β-ガラクトシダーゼ遺伝子が含まれるが、これらに限定さ
れない。
【0125】 さらに、前記細胞質タンパク質は、固相支持体に結合してもよい。前記化合物
を固相支持体に結合してもよく、前記化合物は抗体、無機化合物、有機化合物、
ペプチド、ペプチド類似化合物、ポリペプチド、又はタンパク質を具備する。
【0126】 前記方法の例は、以下に記載されている。前記細胞質タンパク質と検出可能な
標識に結合された前記化合物との免疫沈降のような直接的な検出方法を用いるこ
とによって、前記シグナル伝達タンパク質と前記細胞質タンパク質との特異的な
結合を阻害し得る化合物を同定することができる。さらに、遺伝子の発現レベル
の増加又は減少を検出し得る間接的な検出方法を用いることもできるであろう。
以下で論述されているように、LexA DNA結合ドメインに融合された合成
ペプチドを構築し得る。これらの構築物は、適切なレポーター遺伝子を有する適
切な細胞株とともにL40株の中に形質転換し得る。その後、前記レポーター遺
伝子の発現レベルを検出することによって、阻害が起こったか否かを検出するこ
とができる。当業者であれば、前記レポーター遺伝子の発現レベルを検出するた
めに、様々な周知の方法、例えば、酵母、哺乳類、又は他の細胞におけるツーハ
イブリッドシステムを使用することができるであろう。
【0127】 さらに、工程(a)の接触は、インビトロ、インビボ、及び適切な細胞(例え
ば、酵母細胞又は哺乳類細胞)の中で特異的に行い得る。哺乳類細胞の例には、
マウスの線維芽細胞NIH 3T3、CHO細胞、HeLa細胞、Ltk−細胞
、Cos細胞等が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】 他の適切な細胞には、原核細胞又は真核細胞、例えば、細菌細胞(グラム陽性
細胞を含む)、真菌細胞、昆虫細胞、及び他の動物細胞が含まれるが、これらに
限定されない。
【0129】 以下の物質についての理解を容易にするために、頻繁に現れる幾つかの方法及
び/又は用語がSambrook,et al.,1989に最も詳しく説明さ
れている。
【0130】 本発明は、ニュートロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名さ
れたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコード
する単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのN末端のアミ
ノ酸1−40が欠失され、該欠失変異体はNADE N(41−124)と命名
され、該NADE N(41−124)がp75NTRの存在下でアポトーシス
を誘導する核酸分子を提供する。
【0131】 本発明は、ニュートロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名さ
れたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコード
する単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC末端のアミ
ノ酸72−124が欠失され、該欠失変異体はNADE N(1−71)と命名
され、該NADE N(1−71)がp75NTRの存在下及びp75NTR
非存在下でアポトーシスを誘導する核酸分子も提供する。
【0132】 本発明は、さらに、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異
体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのN
末端のアミノ酸1−40とC末端のアミノ酸72−124が欠失されており、該
欠失変異体はNADE N(41−71)と命名され、p75NTRの存在下と
p75NTRの非存在下で、NADE N(41−71)がアポトーシスを誘導
する核酸分子を提供する。
【0133】 本発明は、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名
されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコー
ドする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC末端のア
ミノ酸121−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE N(1−1
20)と命名され、p75NTRの存在下で、NADE N(1−120)がア
ポトーシスを誘導する核酸分子を提供する。
【0134】 本発明は、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE)と命名
されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異体をコー
ドする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC末端のア
ミノ酸113−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE N(1−1
12)と命名され、p75NTRの存在下で、NADE N(1−112)がア
ポトーシスを誘導する核酸分子も提供する。
【0135】 本発明は、さらに、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異
体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC
末端のアミノ酸101−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE N
(1−100)と命名され、p75NTRの存在下とp75NTRの非存在下で
、NADE N(1−100)がアポトーシスを誘導する核酸分子も提供する。
【0136】 本発明は、さらに、ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの変異をコ
ードする単離された核酸分子であって、点変異によって、野生型NADEポリペ
プチドの99位のアミノ酸AlaがLeuに置換され、該置換変異体ポリペプチ
ドはNADE N(L99A)と命名され、p75NTRの存在下で、該NAD
E N(L99A)がアポトーシスを誘導する核酸分子を提供する。
【0137】 本発明は、以下の実験の詳細を通じて、よりよく理解されるであろう。しかし
ながら、当業者であれば、論述されている具体的な方法と結果は、その後に続く
特許請求の範囲により完全に記載されている本発明を単に例示するものにすぎな
いことが容易に理解できるであろう。
【0138】
【実験の詳細】
結果と考察 p75NTRは最初に単離されたニューロトロフィン受容体であり、TNFR
(tumor nectosis factor receptor)ファミリ
ーのメンバーである(7,8)。しかしながら、その機能的役割及びシグナル伝
達経路の多くはなお不明である(9)。p75NTRICDは、タイプ2細胞死
誘導領域(10)によく保存されているC末端領域を除いては典型的な生化学的
なモチーフを有していないので、p75NTRICD結合タンパク質の存在が想
定されていた。最近、TRAF6がp75NTRを介したシグナル伝達に関与し
ていることが報告された(11)。p75NTRICD結合タンパク質をさらに
同定するために、本発明者らは、ラットのp75NTRICDをターゲットとし
て用いた酵母ツーハイブリッドシステムによって、マウスのcDNAライブラリ
ーをスクリーニングし、陽性クローンのうちの1つがp75NTR関連細胞死実
行物質(p75NTRssociated cell eath xc
utor)、NADEとして同定された。
【0139】 NADEは124アミノ酸残基からなり、計算上の分子量は14,532ダル
トンである。NADEは親水性の酸性タンパク質であり、推定pI値は5.97
である。BLASTサーチによって、NADEは公知のヒトのタンパク質HGR
74(4)と著しい相同性を有し(図1a)、ロイシンリッチ核外移行シグナル
(NES)(5)(図1b)及びユビキチン結合配列(6)(図1c)以外には
有意なモチーフを有していないことが明らかとなった。HGR74は、ヒトの卵
巣の顆粒膜細胞で豊富に発現されるmRNAとして以前に報告されたが、その機
能的役割はなお不明である。NADEのアスパラギンリッチな部位(a.a.3
6−48)を除いたこれら2つのタンパク質の相同性は92.8%であり、それ
故、本発明者らは、HGR74がマウスNADEのヒトにおける相同物であると
結論付ける。
【0140】 ノーザンブロット解析により、NADEのmRNA(1.3kbp)は脳、心
臓、肺を含む幾つかの組織中で最も豊富であることが明らかである(図1d)。
長く感光させることにより、胃、小腸、筋肉にも該mRNAの発現を低いレベル
で検出することができた(データは示していない)。しかし、肝臓では該mRN
Aの発現は全く見られなかった。精巣には、この他に大きなバンド(3.0kb
p)も観察され、これは選択的スプライシング型の存在を示唆している。また、
抗NADE抗体を用いた免疫沈降法により内在性のNADEタンパク質がヒトの
神経芽細胞腫の株細胞、SK−N−MCで確認された(図1e)。興味深いこと
に、SK−N−MC、PC12、PCNA細胞では、ALLNのようなユビキチ
ン阻害剤の存在下でのみNADEタンパク質が検出されたので、NADEがユビ
キチン共役システムによって修飾を受けた後、プロテアソームによって分解され
ることを示唆している。SDS−PAGEにより、NADEの分子量は22kD
aと見積もられており、このサイズは塩基配列から予想される分子量よりもわず
かに大きいようである。しかし、この分子量の差は、低いpI値又はプレニル化
が起こり得る部位での翻訳後修飾によるものかもしれない(図1a)。293T
細胞においてNADEタンパク質を過剰発現させると、100mMのジチオスレ
イトールという還元条件下でのSDS−PAGEにおいて、22kDa、44k
Daの2つのバンドがみられた(図1f)。この問題を明確にするために、2つ
のNADE変異体を構築し、293T細胞中で発現させた。NADEは配列の1
02位と121位にシステイン残基を2つ有するので、本発明者らは、各システ
インをセリン残基に置き換えた。ウェスタンブロット解析によって、muNAD
E(Cys121Ser)の分子量は野生型と同一であることが明らかとなった
のに対して、muNADE(Cys102Ser)では、これより小さい22k
Daの分子量のバンドしかみられなかった(図1g)。これらの結果は、NAD
Eが、Cys102においてジスルフィド結合によりヘテロ二量体を形成して、
44kDaのバンドを与えることを強く示唆する。
【0141】 インビトロで翻訳されたマウスのNADEタンパク質及び大腸菌で発現させた
GST−p75NTR ICD融合タンパク質をインビトロGSTプルダウンア
ッセイに用いた。前記アッセイにおいて、前記NADEタンパク質はGST−p
75NTR ICDに対して強い結合活性を示した(図2a)。インビボでの結
合活性を調べるために、MycでタギングしたNADEとp75NTRを293
T細胞に同時発現させ、免疫共沈降実験に供した。結果は、NADEがインビボ
で完全長のp75NTRにきわめて強く結合し得ること(図2b)を明確に示し
ており、NADEタンパク質が、NGFの用量に依存して、p75NTR IC
Dに結合することが検出された(図2c)。このことは、NADEタンパク質が
p75NTR ICDと相互作用するシグナル伝達タンパク質の候補であること
を示唆している。さらに、本発明者らのマッピング調査により、NADEタンパ
ク質はマウス、ラット、及びヒトの間では同一である細胞死誘導領域(アミノ酸
残基 338−393)と相互作用することが示された(データは示していない
)。TRAF6は保存された膜近傍領域に結合するため(11)、NADEタン
パク質が、TRAF6のp75NTRへの結合を阻害する可能性はないと思われ
る。p75NTRの重合はTNFRファミリーに属する他のメンバーと同様に、
シグナル伝達にとって重要であると推測されている。例えば、TNFRI(12
)、CD40(13)、及びFas(14)は、細胞外ドメインへの各三量体リ
ガンドの結合を通じて三量体を形成する。しかしながら、p75NTRに関して
は、これまでに同様の報告は存在していない(15)。NADEのニ量体がp7
NTRの細胞内ドメインに結合することによって、p75NTRのニ量体が形
成されることはあり得るかもしれない。
【0142】 NADEタンパク質の機能的な役割を調べるために、NADEとp75NTR を293T細胞に共トランスフェクトした。その結果、共トランスフェクトされ
た293T細胞は皿から剥離し、48時間後には凝集することが示された(図3
a)。しかしながら、対照プラスミドDNAをトランスフェクトした293T細
胞は有意な相違を示さなかった(図3a)ので、この形態的な変化がアポトーシ
スによって引き起こされていることを意味する。本発明者らは、さらに、これら
の細胞に対して、TUNELアッセイ(TdT−mediated dUTP−
biotin nick end labeling assay)(16)及
びDNA断片化テストの調査を行った。TUNELアッセイでは、共トランスフ
ェクトした細胞のみで、死滅細胞の顕著な増加が検出され(図3b)、陽性細胞
の割合の値(38%)は、リン酸カルシウム法によるトランスフェクション効率
と一致した。さらに、共トランスフェクトした293T細胞のみで、DNAの断
片化が検出された(図3c)。これらの結果から、本発明者らは、NADEとp
75NTRの同時発現が、293T細胞にアポトーシスを誘導すると結論付ける
【0143】 NADEタンパク質はp75NTRの細胞質領域にリガンド依存的な様式で結
合するが、NGF(100 ng/mL)の存在下では、共トランスフェクトさ
れた293T細胞にNGF依存性の細胞死は明確には検出されず(データは示し
ていない)、NGF非依存性のアポトーシスに下流のシグナルを伝達するための
p75NTRを介した細胞死の機構において、NADEタンパク質が機能してい
るかもしれないことを示唆している。
【0144】 NADEタンパク質の生理学的な機能をさらに調べるために、本発明者らはN
ADE及びp75NTRを共トランスフェクトした293T細胞において、転写
因子カッパB(NF−κB)、カスパーゼ−2、及びカスパーゼ−3の活性を調
べた。NF−κBは外部刺激により活性化されて、核に移行し、ここでDNAを
結合し、遺伝子の転写を調節する。(17)。ラットのシュワン細胞では、NG
Fがp75NTRに結合すると、TrkA非依存的にNF−κBの活性化が誘導
され(18)、細胞の生存をもたらすので、TRAF6はNGFを介したNF−
κBの活性化の成分であるかもしれない(11)。対照的に、NADEタンパク
質の発現は、用量依存的に、NF−κBの活性を著しく抑制するが、この効果は
、NGF依存性であるとともに、p75NTRの発現と顕著には協調いていなか
った(データは示していない)。NADEタンパク質によるNF−κBの抑制だ
けではアポトーシスは誘導され得ないので、このことは、p75NTR/NAD
Eによって誘導されるアポトーシスは、NF−κB活性の抑制にのみ起因するの
ではなく、未知のシグナル分子の制御にも起因することを示唆している。NF−
κBの活性を抑制すると、p75NTRを発現するPC12細胞において細胞死
が増加することが報告されている(19,20)。NADEタンパク質は、NF
−κBの活性をダウンレギュレーションするのに中心的な役割を果たしており、
最終的には、p75NTRを発現する神経細胞にアポトーシスを引き起こすかも
しれない。
【0145】 アポトーシスでは、多くの場合、カスパーゼ−3の活性の上昇が観察された(
21,22,23,24)。このプロテアーゼは、通常は、細胞の細胞質に32
kDaの前駆体として存在しており、血清の回収、Fasの活性化、イオン化に
よる処置、及び様々な薬理学的物質に対して応答してアポトーシスを起こすよう
に、細胞がシグナルを受けたときに、タンパク質分解によって活性化され、20
kDaと10kDaのヘテロニ量体になる(25)。ウェスタンブロット解析に
よって、NADEとp75NTRを共トランスフェクトした293T細胞におい
てのみ、カスパーゼ−2及びカスパーゼ−3が著しくプロセッシングを受けるこ
とが明らかとなった(図3e)。さらに、カスパーゼ−2及びカスパーゼ−3の
両者の基質であるPARP(poly (ADP−ribose) polym
erase)が部分的に切断され、これらのカスパーゼがp75NTR/NAD
Eシグナル伝達によって媒介されるアポトーシスに関与していることを示唆する
【0146】 NADE(図4a)に含まれるNES配列(5)が、タンパク質を核から細胞
質へ移出する能力を有するかどうかを調べるために、本発明者らは、一連のNA
DE変異体を用いて、293T細胞に一過的に発現させた。その結果、NES配
列を有するNADEタンパク質は細胞質領域に局在するが(図4、bの下図、c
及びdの上図)、NES変異を有するNADEタンパク質は核に局在する(図4
、c及びdの下図)ことが示された。これらのデータはNADEタンパク質が核
から細胞質へ移出されること、またプレニル化されたタンパク質として翻訳後修
飾を受けて、p75NTR/NADEの生理的な相互作用を促進し、制御し得る
という仮説を支持する。
【0147】 p75NTRを介したシグナルカスケードは長い間不可解なものであった。し
かし、TNFRファミリーの他のメンバーとは異なり、p75NTRは二機能的
にシグナルを媒介して、アポトーシスを誘導し、阻害し得ることが、最近の増大
する証拠によって示されている(26,27)。本発明者らの結果は、NADE
がp75NTRによって媒介されるアポトーシスのシグナル伝達物質の候補であ
ることを強く支持した。NADEは、p75NTRと協調してアポトーシスを媒
介し得るが、p75NTRによって媒介されるシグナル伝達において、別のエフ
ェクター分子と相互作用するシグナルアダプター分子である可能性がある。さら
に重要なことに、NADEは核外移行シグナル(NES)とユビキチン結合配列
をともに有するので、ユビキチン/プロテアソームによって厳密に制御されて、
別の分子を核から細胞質へ輸送しているのかもしれない。このことは、NADE
が細胞周期に関連するタンパク質のような制御遺伝子のターンオーバーに関して
極めて重要なタンパク質であることを示唆する。生理的条件下での調査をさらに
行うことによって、NADEがp75NTRの発現と共同してアポトーシスを誘
導し得るメカニズムをよりよく理解するための洞察がさらに得られるであろう。
【0148】 方法 酵母ツーハイブリッドシステムにp75NTR関連細胞死実行物質(NADE
)の単離 p75NTR関連タンパク質をコードするcDNAを単離するために、本発明
者ら、Fields及びSongによって最初に開発された酵母ツーハイブリッ
ドシステム(28)を用いた。本発明者らはアミノ酸338−396(p75 TR の膜貫通ドメインからC−末端までの細胞質ドメイン)に相当するラットp
75NTRのcDNAの細胞質ドメインを標的として用いた。PCRを用いて、
LexA DNA結合領域をコードする配列とin−frameになるように、
酵母発現プラスミドpBTM116の中にp75NTRのcDNAの該部位を組
み込んだ(29)。次いで、LexAオペレーターの制御下にあるヒスチジン合
成酵素(HIS3)及びb−ガラクトシダーゼ(lacZ)レポーター遺伝子を
含むL40細胞[a,his3,trp1,leu2,ade2,lys2:(
lexAop)−His3,URA3:(lexAop)−lacZ]の中
に、該プラスミドを導入した(29)。LexAに特異的な抗血清を用いたイム
ノブロッティングによりLexA−p75NTR(338−396)タンパク質
の発現を確認した後、高効率の酢酸リチウム形質転換法(30,31,32)に
より、これらのLexA/p75NTR発現細胞の中に、マウス胚pVP16
cDNAライブラリーを導入した。5×10の形質転換体のスクリーニングか
ら、672個のHisコロニーの最初のセットを同定した。次いで、8個のL
exAオペレーターの制御下にあるlacZレポーター遺伝子を利用して、β−
ガラクトシダーゼ比色定量法(33)によって、これら672個のコロニーをテ
ストし、候補クローンのプールを181個に絞った。トリプトファンを含む培地
で培養することにより、これら181個の候補からLexA/p75NTRをコ
ードするプラスミドを取り出し、LexA/p75NTR、LexA/Ras、
Lex/CD40、LexA/Fas、及びLexA/laminを含むLex
A融合タンパク質を産生する様々なコントロールプラスミドを導入した一群のM
ataタイプの酵母NA87−11A[a,leu2,his3,pho3,p
ho5]系統と交配させた。181個の候補クローン中で、LexA/p75 TR タンパク質と特異的に反応する1つのクローンを更なる解析のために選択し
た。このマウスcDNAクローン番号59は、450塩基のインサートサイズを
有している。p75NTRの発現を伴う細胞死を誘導する能力があるため、本発
明者らはこのタンパク質をNADE (p75NTR結合性細胞死誘導物質(p
75NTRssociated cell eath xecuter
))と名付けた。
【0149】 DNAの構築 NADE cDNAの一部(7−524)と5’−RACEの産物をライゲー
ションさせることにより、完全長のマウスNADE cDNAをpBluesc
riptIIベクターに構築した。完全長のNADE cDNAの終始コドンを
置き換え、5’XhoI部位及び3’BamHI部位を付加するために、PCR
クローニング技術を用いた。pcDNA3.1(−)Myc−HisA(Inv
itrogen)のXhoI−BamHI部位に完全長のNADE cDNAを
挿入することにより、pcDNA3.1(−)Myc−HisA/NADEを構
築した。Jurkat T細胞のcDNAライブラリーを用いて、ヒトのNAD
E cDNAを増幅し、pcDNA3.1(−)Myc−HisAにクローニン
グした。pcDNA3(Invitrogen)のEcoRI部位に、完全長の
ラットp75NTRのcDNAを挿入することにより、pcDNA3/ラットp
75NTRした。増幅したラットp75NTRICD(アミノ酸338−396
)をpGEX4T−1(Pharmacia)に挿入することにより、pGEX
4T−1/ラットp75NTRICDを構築した。PCRによる部位特異的な突
然変異誘発法(29)により、変異体NADE発現プラスミド、pcDNA3.
1(−)Myc−HisA/muNADE(Cys102Ser)とpcDNA
3.1(−)Myc−HisA/muNADE(Cys121Ser)を構築し
た。E−セレクチンプロモーター領域(−730−52)のNF−κB結合部位
をpGL3−BasicのSacI−BglII部位に挿入することにより、ル
シフェラーゼレポーターアッセイ用のpELAM−Luを構築した。GFP融合
NADEタンパク質の発現プラスミドを以下のようにして作成した:pEGFP
−N2(Clontech)を鋳型として用いて、プライマー、5”−CTAG
CTAGCATCATGGTGAGCAAGGGCGAG−3”及び5”−CC
GCTCGAGTCTTGTACAGCTCGTCCAT−3”を用いて増幅し
たPCR産物として、GFPのcDNAをNheI−XhoIで切断したpcD
NA3.1−マウスNADEにクローニングした。プライマー5”−ATCCT
CGAGCGATCATGGCCAATGTCCAC−3”(センス鎖)、5”
−ATCGGATCCTCTCAGCTGTAGCTCCCT−3”(アンチセ
ンス鎖)、及び5”−ATCGGATCCGATCTCTCTCATCTCCT
C−3”(アンチセンス鎖)を用いて、Expand high fideli
ty Taq polymerase(Boehringer Mannhei
m)を用いて作成されたXhoI−BamHIで切断したPCR断片を、Xho
I−BamHIで切断したpcDNA3.1−GFPに挿入することにより、欠
失変異体Δ101−124−GFP及びΔ91−124−GFPを構築した。
【0150】 Leu94とLeu97がAlaに置き換わっているL97A−GFP及びL
94、97A−GFPを得るために、変異誘発プライマー (5’−AAAGCTTAGGGAGGCACAGCTGAGAAA−3”、5
”−TTTCTCAGCTGTGCCTCCCTAAGCTTT−3”、5”−
ATCCGGAGAAAGGCTAGGGAGGCACA−3”。及び5”−T
GTGCCTCCCTAGCCTTTCTCCGGAT−3”)を用いた。全て
の構築物において、配列を決定することによって変異を確認した。
【0151】 ノーザンブロット解析 400ngのNADE cDNA断片(nt.5−510)を50μCiの[
α−32P]dCTPでラベルし、プローブとして用いた。マウスの様々な組織
から抽出した全mRNAのうち各々10μgをメンブレンに転写し、expre
ss hybrid buffer(Clontech)を用いて、2時間、6
8℃で、NADEプローブとハイブリダイズさせ、2×SSC、0.05%SD
Sで5回洗浄し、さらに0.1×SSC、0.1%SDSで1回洗浄した。
【0152】 抗体 GST−マウスNADE融合タンパク質をウサギに免疫することにより、抗N
ADEポリクローナル抗体を作成した。前記NADEに特異的な抗体は、抗原を
結合したセファロース4Bによってアフィニティ精製した。ポリクローナル抗ラ
ットp75NTRはM.V.Chao博士から頂いた。抗Mycモノクロ−ン抗
体(9E10)はBIOMOLから購入した。抗カスパーゼ−3ポリクローナル
抗体(H−277)は、Santa Cruz Biotechnologyか
ら購入した。カスパーゼ−2ポリクローナル抗体は、Lloyd A. Gre
ene博士から頂いた。HRP結合抗ウサギIgGは、Bio−Radから購入
した。
【0153】 免疫沈降及びイムノブロッティング 図1eにおいて、150ng/mLのALLN(N−Acetyl−Leu−
Leu−Norleucinal)で処理したSK−N−MC細胞(1×10 )を、0.5mLのRIPA緩衝液中で溶解した。遠心分離(100,000×
g)の上清を、セファロース4Bに結合された抗NADEポリクローナル抗体1
μgと混合し、4℃で4時間インキュベートした。洗浄後、30μLのSDS−
PAGEサンプリング緩衝液でゲルを煮沸し、12.5%のSDS−PAGEに
かけた。抗NADEポリクローナル抗体(2μg/mL)により、イムノブロッ
ティングを行った。図1fでは、トランスフェクトされた各293T細胞から抽
出した10μgの細胞溶解液をイムノブロッティングによりNADEを検出する
ために用いた。
【0154】 293T細胞でのトランスフェクト及びタンパク質発現 図1fで、293T細胞(2×10)に、10μgのpcDNA3.1(−
)Myc−HisA/NADE、pcDNA3.1(−)Myc−HisA/m
uNADE(Cys102Ser)、又はpcDNA3.1(−)Myc−Hi
sA/muNADE(Cys121Ser)をリン酸カルシウム法によりトラン
スフェクトした。図2b、3a、b、c、eでは、293T細胞(2×10
に、20μgのpcDNA3.1(−)Myc−HisA、10μgのpcDN
A3/ラットp75NTR、及び10μgのpcDNA3.1(−)Myc−H
isA、10μgのpcDNA3.1(−)Myc−HisA NADE及び1
0μgのpcDNA3.1(−)Myc−HisA、又は10μgのpcDNA
3.1(−)Myc−HisA/NADE及び10μgのpcDNA3/ラット
p75NTRをトランスフェクトした。図2cでは、血清を除いたDMEM培地
中で、293T細胞(2×10)に10μgのpcDNA3.1(−)Myc
−HisA/NADE及び10μgのpcDNA3/ラットp75NTRをトラ
ンスフェクトした。
【0155】 インビトロ結合アッセイ L−[35S]メチオニンで標識され、インビトロで翻訳したNADEタンパ
ク質5μLを、5μLのGST−ラットp75NTRICD融合タンパク質又は
GST−結合GSH−セファロース4B(Pharmacia)と、100μL
のNETN緩衝液(20mM Tris−HCl pH8.0、100mM N
aCl、1mM EDTA、0.2% NP−40)中で4℃、18時間混合し
た。洗浄後、ゲルを30μLのSDS−PAGEサンプリング緩衝液で煮沸し、
13.5%のSDS−PAGEにかけた。−70℃で16時間フルオログラフィ
ーを行った。
【0156】 インビボ結合アッセイ 図2bでは、トランスフェクトされた293T細胞を1mLのNETN緩衝液
中で溶解し、遠心分離した(100,000μg)。抗Myc抗体が結合された
Protein G セファロース4B(Pharmacia)2μgによって
、4℃で、2時間、上清を免疫沈降した。5回洗浄した後、ゲルを7.5%のS
DS−PAGEにかけ、ウサギの抗p75NTRポリクローナル抗体でウェスタ
ンブロット解析を行った。
【0157】 NGFのライゲーション依存的なNADEのp75NTRとの相互作用 共トランスフェクトの後、様々なNGFを含有するDMEM培地中で細胞をイ
ンキュベートした。12時間後、NADEとp75NTRとの相互作用活性をイ
ンビボ結合アッセイによって調べた。
【0158】 TUNELアッセイ MEBSTAINアポトーシスキットダイレクト(MIC)をTUNELアッ
セイに用いた。前記アッセイは会社のインストラクションに従って行った。染色
した細胞をFACSCalibur フローサイトメーター(Becton D
ickinson)により解析した。
【0159】 DNA断片化アッセイ 350μLの10mM EDTA、0.5% SDS中、室温で10分間、ト
ランスフェクトされた293T細胞を溶解した。100μLの5M NaClを
加えた後、アリコートを4℃で18時間インキュベートし、遠心分離(12,0
00×g)した。1mg/mLのRNアーゼA及び50ng/mLのポロテイナ
ーゼKによって、42℃で、2時間上清を処理した。フェノール・クロロホルム
抽出の後、70%エタノールでDNAを沈殿させ、30μLのHOに溶解させ
た。5μLのサンプルを1.5%アガロースゲル電気泳動にかけた。
【0160】 NF−κB活性の測定 Dual−Luciferase Reporter Assay Syst
em(Promega)をNF−κB活性の測定に用いた。1.5μgのpEL
AM−lucレポータープラスミド、0.1μgのpRL−TK、0.7μgの
pcDNA3ラット/p75NTR、0.3μg又は2.8μgのpcDNA3
.1(−)Myc−HisA/NADE、及び十分量のpcDNA3.1(−)
Myc−His、総DNAを5.1μgにするためのコントロールプラスミドを
、293T細胞(4×10)にトランスフェクトした。トランスフェクトの2
4時間後に、ルシフェラーゼ活性を決定し、pRL−TKの発現レベルに基づい
て標準化した。ルシフェラーゼ活性は、Turner Designs Lum
inometer Model TD20/20(Promega)によって測
定した。
【0161】 共焦点レーザー顕微鏡 リン酸カルシウム沈殿法を用いて、一過性トランスフェクトを行った。カバー
ガラス上の293T細胞(3×10)に、3.0μgのDNAを一過性にトラ
ンスフェクトさせた。12−24時間後に、4%パラホルムアルデヒドで細胞を
固定し、核を可視化するためにTO−PRO−3ヨウ化物(Molocular
Probes, Inc.)で染色した。共焦点レーザー顕微鏡(Carl
Zeiss LSM510)を用いて、GFP融合タンパク質の細胞内分布を調
べた。
【0162】
【参照文献1】 第二シリーズの実験 NGF誘導によるアポトーシスと核因子-κB抑制を誘導するNADEの構造機能分析 概要 低親和性ニュートロフィン(neurotrophin)受容体であるp75NTRは、神経成長
因子(NGF)によって神経細胞のアポトーシスを媒介できる。我々は最近、p75NT
R関連蛋白質、NADE(p75NTR-associated cell death executor)を同定し、そし
てNADE が293T、PC12およびnnr5細胞でNGFに応答し、p75NTRの細胞内ドメイン(
ICD)と結合した後にアポトーシスを誘導することを示した(Mukai等 (2000) J.
Biol. Chem. 275,17566-17570)。NADE蛋白質の機能的および構造的特性の知見を
さらに得るために、我々はNADEの広範な変異体分析を実施した。41〜71残基を含
む最小領域のトランケーションは、アポトーシス誘導に十分であったが、このプ
ロアポトーティックなドメインは、アポトーシスをNGF/p75NTR非依存的に仲介す
るようである。これとは対照的に、N末端40残基の削除(41-124)は、いまだNGF
依存的なアポトーシスの誘導能力を保持していた。従って、制御ドメインと呼ば
れるC末端アミノ酸残基(72-112)は、NADEに誘導されるアポトーシスのNGF依存
制御に必須である。さらに、制御ドメインに位置しロイシンに富む核外移行シグ
ナル(NES)配列(残基90-100)にアミノ酸置換をもつ変異体では、核から細胞
質へのNADEの移行、二量体化、p75NTRとの結合、およびNGF依存アポトーシスが
損なわれている。興味深いことには、NADE蛋白質の過剰発現は、293T、PC12、お
よびnnr5細胞のNF-κB活性をNGF非依存的に抑制した。これとは対照的に、点突
然変異体(Cys 121→Ser)はドミナントネガティブな様式でNF-κB活性を賦活化
させる。総括すると、別個のドメインはp75NTRシグナル伝達を仲介するために、
NGF依存的な供給およびアポトーシスなどのNADE機能の制御に関与している。
【0163】 緒論 哺乳動物細胞の多くのタイプは、正常な発生の間に、或いはDNA損傷、成長因
子除去、および発ガン遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の異常発現を含む各種の刺激
に応答して、アポトーシスを受ける(1-3)。これらの様々な試薬により誘導さ
れたアポトーシスは、アポトーシス的な細胞死の制御因子およびエフェクターと
して作用する下流因子の共通のセットにより仲介されるようである。ニューロト
ロフィンはまた、神経細胞の正常な発達の間にアポトーシスを促進することが示
された。Trk受容体を経て仲介される生存の機能とは対照的に、ニュートロフィ
ン誘導アポトーシスは共通のニュートロフィン受容体、p75NTRを経て媒介され、
それはTNF受容体スーパーファミリーのメンバーである(4)。p75NTRのプロアポ
トーティックな役割は、ノックアウトおよびトランスジェニックマウスに加えて
、培養細胞を含む各種の系の結果により支持された(5-7)。しかし、p75NTRに
関与するプロアポトーティックなシグナルの分子機構は、よく特性が調べられて
いない。最近、腫瘍壊死因子受容体関連因子(TRAF)ファミリー蛋白質であるFA
P-1およびジンクフィンガー蛋白質が、p75NTR(ICD)と結合することが報告され
た(8-12)。しかし、それらのどれもがNGF依存的アポトーシスに直接的効果が
なかった。
【0164】 最近、我々は酵母2ハイブリッドスクリーニング(13)により、p75NTR細胞内
ドメイン(ICD)に結合するNADEと名付けられた新規蛋白質を同定した。NADEとp
75NTRの共発現は、293T細胞の細胞死を誘導した。NGF誘導によるNADEのp75NTR(
ICD)への供給は濃度依存的であり、そしてp75NTR/NADE誘導の細胞死はNGFを必
要とするが、BDNF、NT-3、またはNT-4/5を必要としない。同様な結果はまた、PC
12およびnnr5細胞から得られた。NADEは、大型のキャリア蛋白質の核移行の仲介
に必要かつ十分なコンセンサスモチーフである核移行シグナル(NES)を有して
いる(14)。最近、HIV-Rev(15)、PKI(16)およびMAPKK(17)を含む多くの
蛋白質が、それらのNESにより空間的に制御されると報告された。NES仲介の細胞
内輸送システムは、細胞中の蛋白質の細胞内局在を制御する一般的かつ保存され
た機構である。
【0165】 アポトーシス反応を調節する重要な蛋白質の1つはNF-κBであり、それはアポ
トーシスを防ぐか、またはこれに寄与することができる転写因子である。様々な
刺激により誘導されたアポトーシスの際のNF-κB活性化の役割は、いまだ論争中
の課題である;細胞のタイプによってプロアポトーティック(18)およびアンチ
アポトーティック(19,20)な特性の双方を有することが示唆されている。p75NTR
はシュワン(Schwann)細胞(8)でアンチアポトーティックなシグナルとして、
および稀突起膠細胞(oligodendrocytes)(21)でプロアポトーティックなシグ
ナルとして、NGF誘導性のNF-κB活性化を仲介すると報告されている。対照的に
、NF-κB活性の抑制はラット神経鞘腫(schwannoma)細胞株(22)、PC12細胞(
23)または交感神経ニューロン(20)において、NGFに応答した細胞死を誘導す
る。
【0166】 この研究において、我々はマウスNADEの機能的および構造上の特性に関する3
つの論点について分析する。第一に、NADEの変異体分析はNGFに応答する細胞死
のための要件を定義した。第二に、我々はNADEが機能的なNESドメインを含み、
そしてこの配列が自己会合、p75NTRとの結合、および細胞死の誘導を招くことを
示した。最後に、我々はNADEの2つの別個のドメインが293T細胞でNF-κB活性を
抑制したことを示した。
【0167】 実験手順 構築物. NADE(WT)(pcDNA3.1/myc-His (-) A/mNADE WT)は、以前に記載した
ようにして構築された(10)。mNADE欠失変異体のための発現ベクターは、示さ
れたオリゴヌクレオチドペアを使って、mNADEコード配列をPCR増幅し、結果とし
て生じた断片をXhoI/BamHIで消化し、そして生じた断片を、XhoI/BamHI消化した
pcDNA3.1/myc-His (-) A中に組み込んで構築された:N (1-120)のために, FX29
(5'-ATCCTCGAGCGATCATGGCCAATGTCCAC-3') および RB360 (5'- ATCGGATCCGAATTCA
TCATGGTGATC-3'); N (1-112)のために, FX29 および RB336 (5'-ATCGGATCCGTTAG
ACAGCTCCCCCAT-3'); N (1-100)のために, FX29 および RB300 (5'-ATCGGATCCTCT
CAGCTGTAGCTCCCT-3'); N (1-90)のために, FX29 および RB270 (5'-ATCGGATCCGA
TCTCTCTCATCTCCTC- 3'); N (1-71)のために, FX29 および RB213 (5'-ATCGGATCC
GTCATTCATCTGCCTGTT-3'); N (1-60)のために, FX29 および RB180 (5'-ATCGGATC
CGAAGTTAGGGGCAAGTCG-3); NADE (1-20)のために, FX29 および RB60 (5'-ATCGGA
TCCTTCCTGTCCATTCTGCAG-3'); N (41-124)のために, FX121 (5'- ATCCTCGAGACCAT
GCACAACCATAACCACAAC-3') および RB27; N (81-124)のために, FX241 (5'-ATCCT
CGAGACCATGGAAATGTTCATGGAGGAG-3') および RB27; N (101-124)のために, FX301
(5'-ATCCTCGAGACCATGAATTGTCTACGCATCCTT-3') および RB27; N (41-71)のため
に, FX121 および RB213である。
【0168】 mNADEの点突然変異体は、示されたオリゴヌクレオチドペアを使ってmNADEコー
ド配列をPCR増幅し、結果として生じたPCR産物をDpnI消化して構築された: Cis
-121がSerに置換されたN (C121S)のために, F-C121S (5'-ATGATGAATTCTCTCTTATG
CCTGGA- 3') および R-C121C (5'-TCCAGGCATAAGAGAGAATTCATCAT-3'); Leu-99がA
laで置換されたN (L99A) および GFP-N (L99A)のために, F-L99A (5'-AGGGAGCTA
CAGGCGAGAAATTGTCTA-3') および R-L99A (5'-TAGACAATTTCTCGCCTGTAGCTCCCT-3')
; Leu-94, Leu-97 および Leu-99 がAlaで置換された N (L94A, L97A, L99A) お
よび GFP-N (L94A, L97A, L99A)のために, F-L97A (5'- AAAGCTTAGGGAGGCACAGCT
GAGAAA-3'), R-L97A (5'- TTTCTCAGCTGTGCCTCCCTAAGCTTT-3') および F-L97A, L
99A (5'- AGGGAGGCACAGGCGAGAAATTGTCTA-3'), R-L97A, L99A (5'- TAGACAATTTCT
CGCCTGTGCCTCCCT-3') および F-L94A, L97A (5'-ATCCGGAGAAAGGCTAGGGAGGCACA-3
'), R-L94A, L97A (5'- TGTGCCTCCCTAGCCTTTCTCCGGAT-3')である。
【0169】 緑色蛍光蛋白質(GFP)融合mNADE蛋白質ための発現プラスミドは以下のように
作成された: GFP cDNAは、プライマーペア5'-CTAGCTAGCATCATGGTGAGCAAGGGCGAG
-3'および 5'-CCGCTCGAGTCTTGTACAGCTCGTCCAT-3'を使用してpEGFP-N2(クロンテ
ック)からPCR増幅された。産物はNheI-XhoI消化されたpcDNA3.1/myc-His (-) A
/mNADEにクローン化された。グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)融合p75NT
R蛋白質のための発現プラスミドは、以前に記載(22)したように使用された。
【0170】 試薬と抗体.マウス神経成長因子(NGF)はシグマ社から購入した。TO-PRO-3
ヨウ化物はモレキュラープローブ社(Molecular Probes)から購入した。抗-α-
NADE ポリクローナル抗体は以前(10)に記載されたように調整された。
【0171】 細胞培養とトランスフェクション.293T細胞はアメリカンタイプカルチャーコ
レクション(American Type Culture Collection)から取得した; PC12とnnr5
細胞は、L. A. Greene博士(病理部門、コロンビア大学)から供与された。293T
細胞は、10%FBSを添加したDMEM中で維持された。PC12およびnnr5細胞は、10%
馬血清および5%子牛血清を添加したRPMI 1640中で維持された。トランスフェク
ションのために293T細胞(100mm培養皿あたり1.5x106 )は、10%FBSを添加した
DMEM中でリン酸カルシウム法により25μg プラスミドで一時的にトランスフェク
ションされ、そして10時間培養された。血清を追加後に、細胞は100 ng/ml NGF
で36時間処理された。
【0172】 細胞内局在分析.293T細胞は、カバーガラス上にしかれ、そしてGFPを含む構
築物によってトランスフェクションされた。トランスフェクションの24時間後に
、細胞は3.7%パラホルムアルデヒドで固定され、PBSで洗浄され、核を視覚化す
るためにTO-PRO-3ヨウ化物で染色された。典型的な視野の像が、Zeiss LSM 510
共焦点レーザー走査顕微鏡によって捕捉された。
【0173】 In vitro結合分析.試験管内翻訳された[35S]メチオニン標識蛋白質は、TNT
カップルレティキュロサイトライセートシステム(TNT-coupled reticulocyte l
ysate system)(プロメガ社)を使用して産生された。結合分析は以前に記載(
22)のように実施された。
【0174】 アポトーシス分析とDAPI染色.トランスフェクトされた細胞は、PBSで洗浄さ
れ、3.7%パラフォルムアルデヒドで固定され、そして50μg/mlのDAPIで染色さ
れた。蛍光顕微鏡を使用して、最低400細胞中のアポトーシスに特徴的な核形態
を有する細胞数が、個々の試料において計数された。
【0175】 レポーターアッセイ. 293T細胞は6穴プレートに5X104細胞/ウェルの濃度で
播種され、そして0.7μgのpELAM-lucレポータープラスミド(MBLより供与された
)および0.1μgのpRL-TK(プロメガ社)を内部標準として含む5μgのプラスミド
で、リン酸カルシウム法により一時的にトランスフェクトされた。トランスフェ
クションの24時間後に、細胞はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄され、
そして200μlの溶解用緩衝液(デュアル−ルシフェラーゼレポーターアッセイシ
ステム, プロメガ社)中で溶解した。溶解産物(10μl)は、50μlのルシフェラ
ーゼ分析試薬と混合された。ルシフェラーゼ活性は、モデルLB9507 ルミノメー
タで測定された(EG および G Berthold社, ドイツ)。
【0176】 ウエスタンブロット.溶解用緩衝液(20 mM Tris-HCl pH 8.0,100 mM NaCl, 1
mM EDTA, 0.2 % NP-40,1 mM PMSF, 1 mM ベンザミヂン, 50 μg/ml ロイペプチ
ン, 7 μg/ml ペプスタチン A)中で細胞を溶解後に、我々は溶解産物を12.5%SD
S-PAGEゲルで分離した。分離された蛋白質は、そしてPVDF膜(バイオラッド社)
に転写された。膜は室温でブロッキング緩衝液(PBSに10%スキムミルクおよび0
.1%NaN3)によってブロッキングされた。免疫反応性の産物は、ENHANCE ケミル
ミネッセンスシステム(アマシャムファルマシア社)を使用して検出された。
【0177】 結果 アポトーシスにおけるNADE欠失変異体の特性分析。
【0178】 アポトーシスのために必要なNADEの構造特性を調査するために、我々は一連の
NADE欠失変異体を作成した(図5A)。p75NTR/NADEに仲介されるアポトーシスを
分析するために、我々はTUNEL分析に加えてアポトーシスの核形態分析のためにD
API染色を実施した。293T細胞は、100 ng/ml NGFの処理または未処理条件で、p
cDNA3.1myc-His/mNADE (WT)または/およびpcDNA3p75NTRで一時的にトランスフェ
クトされた。NGF処理下、野生型NADEで共トランスフェクトされた細胞は、核の
濃縮および断片化を含むアポトーシスの典型的な形態的特徴を生じた(図6A)。
対照的に、野生型NADEまたはp75NTRでの単独の形質導入体は、コントロールベク
ターによるものと同様の正常な核形態を示した。形態的な基準に基づいてアポト
ーシス細胞が評価された際に、野生型NADEおよびp75NTRで共トランスフェクトさ
れた293T細胞の約45%は、NGFに応答してアポトーシスの形態を示した(図6B)
。同様な結果はTUNEL分析から得られた(データ示さず)。
【0179】 アポトーシスについて役割をもつ領域を同定するために、NADEのトランケーシ
ョン変異体がそれらのアポトーシスを誘導する能力について分析された。図7お
よび表1に示したように、我々はN末端欠失変異体、N(81-124)およびN(101-12
4)がアポトーシス誘導できないことを見出した。しかしながら、N末端の40アミ
ノ酸(N(41-124))の削除は、アポトーシス誘導に影響しなかった。一方で、C
末端欠失変異体、N(1-71)はいまだプロアポトーティックな機能を保持してい
るが、N (1-20)ではそうではなかった。さらに、41から71までの残基(N(41-71
))を含む最小領域のトランケーションが、それ自身によるアポトーシス誘導に
おいて十分であった。
【0180】
【表1】 興味深いことに、p75NTR結合ドメイン(残基81から106)を欠くN(1-71)は、
p75NTR非存在下でさえプロアポトーティック機能を保持していた、ところがp75N
TR非存在下での野生型NADEの発現はアポトーシスを誘導しなかった。同様な結果
は、p75NTRと相互作用できないN(41-71)およびN(1-100)から得られた。これ
とは対照的に、p75NTRと相互作用することができるN(1-120)、N(1-112)、お
よびN(41-124)は、NGF依存のアポトーシスを誘導できる。従って、制御ドメイ
ンと名づけられたC末端アミノ酸残基(72-112)は、NADE誘導アポトーシスのNGF
依存制御に必須である。
【0181】 NADE NESは自己会合、p75NTRとの結合、およびアポトーシスに必要である.我
々の以前の報告において、我々はアミノ酸90-100の間のC末端残基が、HIV REVな
どの他の知られているNESに対する類似性により示されるような、機能的NESモチ
ーフに対応することを見出した(図8A、(13))。我々は、完全なNESを有する
野生型NADEは細胞質に局在するが、しかしGFP-NES変異体(Leu-94→AlaおよびLe
u-97→Ala)は核に留まることを示した。NADE NESが残基81-106のp75NTR結合ド
メインを含む制御ドメインに局在するので、NADE NESはNADEにより誘導されたア
ポトーシスの制御において役割をもつであろう。NADE NESの機能を分析するため
に、我々はNADE NES中の94から99までの残基でロイシンからアラニンへの置換を
有する点突然変異体、N(L99A)、およびN(L94A、L97A、L99A)を作成した(図
5 B)。最初に、これらの変異体での発現および細胞内分布は、293T細胞で増強
された緑色蛍光蛋白質GFP-NADE融合蛋白質を使用して視覚化され、そして蛍光顕
微鏡により監視された。GFP-N(L94A、L97A、L99A)は、核および細胞質の双方
において観察できた(図8B)、ところが野生型NADEおよびN(L99A)は細胞質に
局在していた。これらの結果は、NADEのNESコンセンサス配列が、NADE細胞内局
在の重要な決定因子であることを示唆する。
【0182】 我々は以前、野生型NADEでトランスフェクトされた293T、PC12、およびnnr5細
胞で、2つのバンド(22および44 kDa)が還元条件下のSDS-PAGE(13)により検
出されると報告した。N(1-112)は二量体の形態(データ示さず)として検出で
きるけれども、欠失変異体、N(1-71)は二量体化することができない。次に、
我々はN(L99A)およびN(L94A、L97A、L99A)で一時的にトランスフェクトされ
た293T細胞から調製した、細胞抽出液のイムノブロット分析を実施した(図8C)
。この結果は、還元条件下で野生型NADEおよびNADE L99Aは二量体化するが、N(
L94A、L97A、L99A)は二量体を形成しないことを示しており、このことはNESがN
ADEの自己会合に必要であり、そしてNADEの核移行制御がNADE単量体の相互作用
または解離とリンクしているだろうことを示唆する。NESの重要な疎水性残基の
3つ、Leu 94、Leu 97、およびLeu 99、はNADEのp75NTR結合ドメイン中にあり、
NES変異がNADEとp75NTRの結合にも影響しているだろうことを示唆する。我々は
これらの点突然変異体とp75NTR(ICD)間の結合を評価するために、GST-融合蛋
白質を使用したin vitro結合分析を実施した。図8Dに例示するように、このデー
タはN(L94A、L97A、L99A)がp75NTR(ICD)と結合できないが、N(L99A)はそ
うではないことを示した。さらに、N(L94A、L97A)は、野生型NADEよりずっと
非効率的に、p75NTR(ICD)と会合した(データ示さず)。
【0183】 NESのアポトーシスへの効果を調べるために、我々は、NADEの点突然変異体を
使ってアポトーシス分析を実施した(図8E)。この分析は、N(L99A)がアポト
ーシスを誘導したのに対し、N(L94A、L97A、L99A)がアポトーシスを誘導でき
ないことを示した。さらにN(94A、L97A)もまた、アポトーシスを誘導できない
(データ示さず)。これらの結果は、NADE NESモチーフが、核移行、自己会合、
およびp75NTRとの結合において重要であること、そしてNGF依存のp75NTR/NADE誘
導アポトーシスのために必要とされることを示した。
【0184】 NADEの過剰発現はNF-κB活性を抑制した.転写因子NF-κBは、細胞タイプによ
ってプロアポトーティック(18)およびアンチアポトーティック(19, 20)双方
の特性を有することが示唆されている。NADE蛋白質のNF-κB活性への影響を調査
するために、我々は293T細胞にpcDNA3.1myc-His (-) A/mNADE (WT)、 pcDNA3p75
NTR、 pELAM-ルシフェラーゼレポーター、および pRL-TK レポーター構築物をト
ランスフェクトした。293T細胞でのp75NTRの過剰発現はNF-κBの若干の活性化を
誘導し、そしてNGF処理はp75NTR存在下でのNF-κB活性を若干増強した(図9A)
。293T細胞でのNF-κBの基礎活性は、野生型mNADEの過剰発現により顕著に減弱
された。NGF処理または未処理条件下でのp75NTRの共トランスフェクションは、
野生型NADEにより誘導されたNF-κB抑制に顕著な変化をもたらさなかった。
【0185】 我々はまたPC12およびnnr5細胞でルシフェラーゼレポーター分析を実施した。
図9Bに示したように、NGFはPC12細胞で約3倍NF-κB活性を賦活化せた。mNADEの
過剰発現は、NGF存在および非存在下の双方でNF-κB活性を抑制した。同様な結
果はまた、trkA受容体を欠くnnr5細胞でも得られた(図9C)。
【0186】 NF-κB活性におけるmNADEの変異分析.さらに我々は、不活性NADE変異体が293
T細胞でのNF-κBのドミナントネガティブ賦活体として機能するかどうかを調査
した(図10)。内在性NADEの発現は、293T、PC12、およびnnr5細胞において抗-
α-NADE抗体により確認された(データ示さず)。293T細胞でNF-κBルシフェラ
ーゼレポータープラスミドと共にNADE変異体、N(1-60)、N(1-120)およびN(
C121S)を導入することは、明らかにルシフェラーゼ活性の6倍(6 toll-fold)
の増加をもたらす。さらにN(C121S)は、PC12およびnnr5細胞においてNGF非存
在下でNF-κB活性を若干賦活化する(データ示さず)。
【0187】 NF-κB抑制のために必要なmNADEの構造特性をマップ化するために、我々は一
連のNADE欠失変異体を使用した。表2に示したように、N末端アミノ酸の削除、す
なわちN(41-124)、N(81-124)、およびN(101-124)はNF-κB抑制能力を存続
させた。N(1-120)、N(1-100)、およびN(1-60)はドミナントネガティブな
賦活体として作用する、ところがN(1-90)は完全な分子に匹敵するレベルでNF-
κB活性を抑制した。これらの結果は、2つの別個のドメインである残基61-90お
よび121-124がNF-κB抑制に寄与していることを示している。
【0188】 考察 最近の受容体関連シグナルトランスデューサーの別クラスの分子の同定は、ど
のようなTNF受容体スーパーファミリーのメンバーが下流のシグナル反応(26)
を開始するかにおける洞察を与えた。デスドメイン(death domain)は、p75NTRと
共にスーパーファミリーに属するTNFR/Fasのリガンドにより引き出される、死シ
グナルの伝達に必須である。TNFRおよびFasのデスドメイン(サブタイプ1)のいく
つかの下流の標的が同定された(27)。それらもまたデスドメイン配列を含んで
いる、このことはMORT1/FADDのようなデスドメインの自己会合を含む、デスドメ
インを有する蛋白質の会合により惹起されるシグナル機構を示している(28)。
しかしながら、DAPキナーゼ、アンキリン および NF-κBのplOO と pl05を含むp
75NTRデスドメイン(サブタイプ2)の機能的な役割はまだ不明瞭である。NMRによ
る構造分析は、p75NTRのデスドメインがリガンド依存的な下流の標的との結合の
潜在的部位を示すであろうことを示唆した(29)。我々は、NADEがNGF依存的にp
75NTRのデスドメインと相互作用し、そしてアポトーシスを誘導すると報告した
(13)。NADE作用機構のいっそうの理解のために、我々はNADE機能に必要な配列
を定義するための変異体分析を実施した。これらの研究は、別個の活性を仲介す
る調整ドメイン(modular domains)から構成されるNADEの詳細な分析を明らか
にした。
【0189】
【表2】 欠失変異体によるマッピングは、NADE機能に必要な領域を説明するために試み
る最初の取り組みであった。図5、6A、6B、7、11および表1に示したように、プ
ロアポトーティックドメインと名付けられた41から71の残基を含む最小領域のト
ランケーションは、それ自体でアポトーシスを誘導するために十分であった、し
かしこれはNGFに依存しない。我々の以前の研究は、293T細胞でp75NTR/NADE誘導
アポトーシスがmNADEのp75NTR(13)との結合後にNGF依存的であったということ
を示したので、NADEはこのプロアポトーティック機能のためにNGF依存的な制御
ドメインを必要とする。欠失変異体のさらなる分析は、プロアポトーティックド
メインおよびp75NTR結合ドメインを保持する変異体が、NGF依存的にアポトーシ
スを誘導することを示した。一方、プロアポトーティックドメインを有するが、
p75NTR結合能がない変異体は、p75NTRが存在せずともアポトーシスを誘導した。
これらの結果は、プロアポトーティックドメインが、NGFに応答するp75NTR結合
ドメインを含む制御ドメインと名づけられたC末端領域により制御されることを
示す。我々は、NGFに応答したNADEのp75NTR(ICD)への供給後に(13)、NADE蛋
白質構造の転換がアポトーシスを下流に媒介する未知のシグナル伝達者に対して
、プロアポトーティックドメインの暴露を惹起するとの仮説を提示する。このプ
ロアポトーティックドメインの下流の標的分子が何であるかを決定するために、
将来的な研究が必要であろう。
【0190】 NADEのリガンド依存的機能に必要な制御ドメインの構造特性をさらに分析する
ために、我々は一連のNADE NES点突然変異体を作成した、というのもNESモチー
フがNADE制御ドメインに位置するからである(図8A、および11)。我々は点突然
変異体、N(L99A)、およびN(L94A、L97A、L99A)を構築した、なぜなら他のNE
Sを有する蛋白質での類似の変異が、核移行を防止すると報告されたからである
(24、25)。この結果は、N(L94A、L97A、L99A)が核移行の効率、p75NTRとの
結合、および自己会合を減弱させることを示しており、これはNADE NESモチーフ
がそれらの機能にきわめて重要であることを示唆する。NESモチーフは、p53の自
己会合のために必要であると報告され、そして細胞内局在およびp53活性の制御
と結び付けられうる(30)。我々は生理的条件下でNADEの核への移行を観察しな
かったが、NADE NESはまたサブロカリゼーションの制御、p75NTRへの供給、およ
びプロアポトーティック活性の誘導に重要であろう。
【0191】 図9、10、および11に示したように、我々のデータはNADEのユニークな特性の1
つが、293T、PC12、およびnnr5細胞のNF-κB活性を抑制する能力であることを示
した。いくつかの可能性によりNADEによるNF-κB/Rel抑制の性質が説明されるだ
ろう。NF-κB/Rel活性化の機構は、詳細に調査された(31)。IKKαおよびIKKβ
によるIκBサブユニットの続いて起きるリン酸化は、IκBをユビキチン-プロテ
オソーム系による特異的なユビキチン化および分解に導く。IκBsの分解は、NF-
κB/Rel活性化および核への移行に必要である。NADEがユビキチン化配列を有し
ているので、それが共通のユビキチン基質として競合することによりNF-κB/Iκ
B複合体活性を調整できるだろう。ドミナントネガティブ様式での分析は、NADE
がNF-κBの定常レベルの再構成を生じさせるサプレッサーとしてNF-κBシグナル
に関与する構成因子であるかもしれないことを示唆する。最近、いくつかの細胞
タイプおよび神経系において、NGFによるNF-κB活性化が報告された(8、18-20
、23)。NGFに応答したp75NTR(ICD)へのNADEの供給は、抑制効果を開放し、そ
してNF-κBの活性化を誘導するだろう。NF-κB/RelまたはIκBがNADEの潜在的な
蛋白質基質であるかどうかの試験は興味深いものとなるであろう。
【0192】 第二シリーズの実験の参照文献
【0193】
【参照文献2】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1A−H NADEのアミノ酸配列及び発現分析。 マウス及びヒトNADE(HGR74)(4)タンパク質のアミノ酸配列の比
較。点を付けた配列はアスパラギンリッチな鎖である。アスタリスクはロイシン
リッチな核外移行シグナル(NES)を示す(5)。黒三角は二量体の形成に不
可欠なシステイン残基を示している。下線部はC末端のプレニル化配列である。
【図1B】 種々のタンパク質におけるロイシンリッチな核外移行シグナル(NES)(5
)の比較。NESのコンセンサス配列には影を付けた。Genbank受付番号
は、cZyxin、X69190;MAPKK、D13700;PKI−a、L
02615;TFIIIA、M85211;RevHIV−1、AF07571
9;RanBP1、L25255;FMRP、L29074;Gle1、U68
475;ヒトNADE、申請中;マウスNADE、申請中。
【図1C】 ユビキチン化シグナルのコンセンサス配列。
【図1D】 NADEのノーザンブロット分析。
【図1E】 SK−N−MCヒト神経芽細胞腫細胞における外因性NADEタンパク質の発
現。ALLNで処理したSK−N−MC細胞溶解物を抗NADE抗体で免疫沈降
し、同抗体によるイムノブロッティングに供する。293T細胞で一過性に発現
させたヒトNADEタンパク質及び未処理のゲルを対照として使用した。重鎖の
バンドは免疫沈降に使用した抗体から得られたものである。
【図1F】 マウスNADEタンパク質A野生型NADEの突然変異分析。293T細胞で
一過性に発現させたmuNADE(Cys102Ser)及びmuNADE(C
ys121Ser)タンパク質を、抗NADE抗体を用いたイムノブロッティン
グによって検出した。トランスフェクションの方法は、材料及び方法に記載され
ている。親ベクターをトランスフェクトした293T細胞から抽出した細胞溶解
物を対照として使用した。
【図1G】 マウスNADE核酸配列、図1G−1(配列番号: )及びヒトタンパク質
HGR74配列の相同性検索及び比較。
【図1H】 マウスNADE、ヒトHGR74タンパク質及びその他の相同なラット、マウ
ス及びヒトのアミノ酸配列の比較。
【図2A】 図2A−C NADEはインビトロ及びインビボでp75NTRに強く結合す
る。 NADEとp75NTRのインビトロ結合アッセイ。インビトロで翻訳された
NADEタンパク質に対して、GST−p75NTRICD融合タンパク質を用
いたGST複合体共沈法(GST−pull down assay)を行った
。GSTを対照として使用した。
【図2B】 NADEとp75NTRのインビボ結合アッセイ。Mycタグを付けたNAD
E及びp75NTRを共トランスフェクトした293T細胞から抽出した細胞溶
解物を抗Myc抗体によって共免疫沈降させ、抗p75NTR抗体によるイムノ
ブロッティングに供した。それぞれのプラスミドと親ベクターをトランスフェク
トした細胞の溶解物を対照として使用した。トランスフェクションの方法は、材
料と方法に記載されている。
【図2C】 NGFライゲーションに依存したNADEとp75NTRとの相互反応。My
cタグを付けたNADEとp75NTRを共トランスフェクトした293T細胞
を、表記の様々な濃度のNGFで処理した。 上図:各試料の抗Myc抗体(IgG1)による免疫沈降物に対して、抗p75 NTR 抗体によるイムノブロッティング分析を行った。中図及び下図は、それぞ
れ、イムノブロッティングによるp75NTR及びNADEタンパク質の発現レ
ベルを示している。抗FLAG抗体(IgG1)の免疫沈降物を対照として使用
した。
【図3A】 図3A−E 293T細胞に対するNADEとp75NTRの共トランスフェ
クションの影響。 それぞれのcDNAによって、NADE及びp75NTRを293T細胞に共
トランスフェクトすることによって生じる形態学的変化を、トランスフェクショ
ンから48時間後に観察した。倍率は200倍である。トランスフェクションの
方法は、材料及び方法に記載されている。
【図3B】 TUNELアッセイ。トランスフェクトした293T細胞をTUNEL法で染
色し、フローサイトメトリーで分析した。示したパーセントは陽性集団のもので
ある。
【図3C】 DNA断片化分析。トランスフェクトした293T細胞のDNAを1.5%ア
ガロースのゲル電気泳動で調べた。
【図3D】 NADEによるNF−κB活性の阻害。トランスフェクトした細胞のNF−κ
B活性は、E−セレクチンプロモータ−ルシフェラーゼ遺伝子を用いたレポータ
ーアッセイによって測定した。トランスフェクションの24時間後に、ルシフェ
ラーゼ活性を測定して、pRL−TK発現レベルに基づいて標準化した。
【図3E】 共トランスフェクトした293T細胞におけるカスパーゼ−2及び3の活性化
とPARPの分解。表記のとおり、各cDNAをトランスフェクトした293T
細胞の細胞抽出物を抗カスパーゼ−2、抗カスパーゼ−3及び抗PARP抗体を
用いたイムノブロッティングによって分析した。α−チューブリンのレベルを対
照として測定した。
【図4A】 図4A−D C末端に保存されたRev様NESは、NADEタンパク質の核
外移行を媒介する。 マウスNADE NESは、C末端内の88−100残基に存在する。マウス
NADEをNADEファミリーのメンバーの相同な配列、並びにHIV Rev
、MAPKK、cZyxin、及びPKI−aのNES配列と共に並べた。
【図4B】 トランスフェクトした293T細胞において、野生型mNADE−GFP及び
対照GFPベクターの細胞内局在を分析した。
【図4C】 GFP融合マウスNADEタンパク質の核外移行に対するNESモチーフ欠失
変異体の影響。NESを有する、又は有さない欠失変異体はいずれも、それぞれ
124の欠失及びΔ91−124を示す。
【図4D】 GFP融合マウスNADEタンパク質の核外移行に対するNESモチーフ内の
点突然変異の影響。残基94及び残基97(LeuからAla)に、1又は2個
のアミノ酸置換を施した。GFP構築物を293T細胞に一過性にトランスフェ
クトした。固定した細胞をTO−PRO−3で染色して核を視覚化し、細胞領域
を表す画像を共焦点レーザー顕微鏡で捕らえた。各構築物につき、1000個以
上の細胞を分析した。
【図5】 NADE変異体の概略図。A、NADEの欠失突然変異体。完全長マウスNA
DEのドメイン構造を上部に示す。アミノ酸番号は前掲のとおりである。すなわ
ち、核外移行シグナル(NES)ドメイン(90−100)及びユビキチン配列
(US)ドメイン(91−112)である。様々なNADE欠失変異体を図解し
て示す。B、mNADEの点突然変異。C末端及びNESの突然変異。野生型N
ADE及び変異体のC末端側半分のドメイン配列の概略図。
【図6A】 293T細胞における、p75NTR/NADE誘導性アポトーシスのNGF
依存性制御。A、293T細胞での形態学的分析。pcDNA3/rat−p7
5NTR又は/及びpcDNA3.1/myc−His(−)A/mNADE(
WT)を用いて、細胞を一過性にトランスフェクトして、10時間培養した。血
清を除去した後、100ng/mLのNGFを添加して、又は添加しないで、細
胞を36時間処理した。細胞を3.7%パラホルムアルデヒドで固定して、核の
形態をDAPI染色で分析した。
【図6B】 293T細胞における、p75NTR/NADE誘導性アポトーシスのNGF
依存性制御。B、DAPI染色によって決定したアポトーシス細胞のパーセント
。各試料中の少なくとも400個の細胞について、蛍光顕微鏡を用いて、アポト
ーシスに典型的な核の形態を有するアポトーシス細胞の数を計数した。示したデ
ータは、別個の4つの実験から得られたアポトーシス細胞のパーセント(平均±
S.D.)である。
【図7】 アポトーシスに関するNADEのマッピング分析。アポトーシスに関するNA
DEの突然変異分析。p75NTRとともに、又はp75NTRなしに表記の構
築物を、293T細胞の中に一過性にトランスフェクトした。細胞を3.7%パ
ラホルムアルデヒドで固定して、核の形態をDAPI染色で分析した。示された
データ(平均±S.D.)は、計数した細胞の総数に対するアポトーシスが生じ
た細胞のパーセントである(n=4)。
【図8A】 NADE NES機能の影響。A、NADE中の保存されたRev様NES。
NADEが、NADEの相同配列、並びにPKIのNES、HIV、Rev、M
DM2及びMAPKKと並置されている。
【図8B】 NADE NES機能の影響。B、293T細胞におけるNES変異体の細胞
内局在分析。GFP−ベクター、GFP−NADE(WT)、GFP−N(L9
9A)及びGFP−N(L94A、L97A、L99A)で細胞をトランスフェ
クトした。To−PRO−3ヨウ素を使用して核を視覚化し、「実験方法」で説
明したように細胞内局在分析を実施した。
【図8C】 NADE NES機能の影響。C、NADEの二量体形成。pcDNA3.1
/myc−His(−)A/mNADE(WT)、pcDNA pcDNA3.
1/myc−His(−)A/N(L99A)、及びpcDNA3.1/myc
−His(−)A/N(L94、L97A、L99A)を用いて、293T細胞
を36時間トランスフェクトした。細胞を溶解緩衝液で溶解して、16,000
gで30分間遠心した。50μMの2−メルカプトエタノール(2−ME)を加
えた、又は加えていないSDS−PAGE試料緩衝液中で、得られた上清を5分
間煮沸し、12.5%SDS−PAGEに供し、抗NADEポリクローナル抗体
によるウェスタンブロットで分析した。
【図8D】 NADE NES機能の影響。D、NADE及びその点突然変異体とp75N
TRとの相互反応。NADE又はそのNES変異体の何れかとともに、p75N
TR細胞質領域(338−396)を含有するGST融合タンパク質を用いて、
突然変異体とp75NTRとの相互反応を測定した。NADE構築物をインビト
ロで翻訳して、[35S]メチオニンで標識した。結合した複合体は材料と方法
で説明したように沈殿させた。
【図8E】 NADE NES機能の影響。E、アポトーシスに対するNESの変異の影響
。表記の構築物をp75NTRと共に293T細胞内に一過性にトランスフェク
トした。3.7%パラホルムアルデヒドで細胞を固定して、核の形態をDAPI
染色で分析した。示されたデータ(平均±S.D.)は、計数した細胞の総数中
のアポトーシが生じた細胞のパーセントである(n=4)。
【図9A】 NADEはNF−κB活性を抑制する。A、NADEの過剰発現によって29
3T細胞中のNF−κBの基底活性が抑制される。Eセレクチン−ルシフェラー
ゼレポーター遺伝子、pRL−TKr、pcDNA3/p75NTR及びpcD
NA3.1myc−His/mNADE WT(0.3、3.0μg)を用いて
、293T細胞を一過性に共トランスフェクトした。トランスフェクションから
12時間後に、無処置のまま細胞を放置するか、又は100ng/mLのNGF
で24時間処理した。ダブルルシフェラーゼレポーターシステムを使用して、ト
ランスフェクション効率に対してルシフェラーゼの値を標準化した。
【図9B】 NADEはNF−κB活性を抑制する。B、E−セレクチン−ルシフェラーゼ
レポータープラスミド、pR−TK、及び野生型NADE発現プラスミド(0.
3、1.0μg)又はベクターのみをPC12細胞にトランスフェクトして、1
00ng/mLのNGFの存在下で24時間培養した。示した値はベクター対照
に対するルシフェラーゼ活性を表しており、3連で実施した実験の平均値(棒線
、S.D.)として示した。
【図9C】 NADEはNF−κB活性を抑制する。C、E−セレクチン−ルシフェラーゼ
レポータープラスミド、pR−TK及び野生型mNADE発現プラスミド(0.
3g、1.0μg)、又はベクター単独のみをnnr5細胞にトランスフェクト
して、100ng/mLのNGFの存在下で24時間培養した。示した値はベク
ター対照に対するルシフェラーゼ活性を表しており、3連で実施した実験の平均
値(棒線、S.D.)として示した。
【図10】 293T細胞におけるNADE変異体のNF−κB活性に対するドミナントネ
ガティブ効果。E−セレクチン−ルシフェラーゼレポータープラスミド、pR−
TK、及び表記のNADE変異体発現プラスミド(0.3、1.0、3.0μg
)、又はベクターのみを細胞にトランスフェクトし、24時間インキュベートし
た。示した値はベクター対照に対するルシフェラーゼ活性を表しており、3連で
実施した実験の平均値(棒線、S.D.)として示した。
【図11】 NADE機能的ドメインの図示。完全長マウスNADEのドメイン構造を上部
に示した。アミノ酸番号は前掲のとおりである。すなわち、核外移行シグナルW
ES(90−100)ドメイン及びユビキチン配列(US)(91−112)ド
メインである。アポトーシス誘発ドメインは、41と71の間に位置する。調節
ドメインは、72と112の間に位置し、p75NTR−結合ドメイン(81−
106)を含む。2つの領域(61−90、121−124)が、NF−κBの
抑制に寄与する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/18 C12N 1/19 4C084 C12N 1/15 1/21 4H045 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 A 15/02 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/02 33/566 1/68 33/68 G01N 33/15 C12P 21/08 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A 33/68 15/00 C // C12P 21/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 佐藤 孝明 アメリカ合衆国、ニュージャージー州 07024 フォート・リー、フィフティーン ス・ストリート 1275、アパートメント・ 8ピー Fターム(参考) 2G045 AA25 AA29 AA40 BA14 BB20 BB24 CB01 CB17 CB20 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FA16 FB02 FB03 FB06 FB07 4B024 AA01 AA11 BA43 BA44 BA80 CA04 DA02 EA04 FA02 GA11 HA12 HA15 4B063 QA01 QA18 QQ02 QQ20 QQ79 QR55 QR76 QR77 QR80 QS24 QS25 QS34 4B064 AG01 AG27 AG31 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA91Y AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 BA01 BA08 BA22 BA23 CA23 DC50 NA14 ZB212 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA76 DA86 EA22 EA27 EA50 FA74

Claims (137)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p75NTR受容体と結合し得るポリペプチドをコードする
    単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 請求項1の単離されたDNA分子。
  3. 【請求項3】 請求項2の単離されたcDNA分子。
  4. 【請求項4】 請求項1の単離されたRNA分子。
  5. 【請求項5】 ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質をコードする
    請求項1〜4の単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 AATTG TCTAC GCATC CTTAT GGG
    GG AGCTG TCTAA Cの配列を有する請求項1〜4の単離された核
    酸分子。
  7. 【請求項7】 AATTG TCTAC GCATC CTTAT GGG
    GG AGCTG TCTAA Cの配列を有する請求項5の単離された核酸分
    子。
  8. 【請求項8】 RNA転写のプロモーターに作用可能に連結された請求項1
    の単離された核酸。
  9. 【請求項9】 RNA転写のプロモーターに作用可能に連結された請求項1
    の単離された核酸を有するベクター。
  10. 【請求項10】 前記ベクターがプラスミドである請求項9のベクター。
  11. 【請求項11】 前記核酸分子が、p75NTR受容体を結合し得るヒト又
    はマウスのポリペプチドをコードする請求項3の単離された核酸分子。
  12. 【請求項12】 前記核酸分子が、図1G−1に示された、p75NTR
    容体を結合し得るポリペプチドをコードする請求項11の単離された核酸分子(
    配列番号55)。
  13. 【請求項13】 前記核酸分子が、p75NTR受容体を結合し得るポリペ
    プチドをコードする請求項3の単離された核酸分子。
  14. 【請求項14】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、マウス
    、ラット、又はヒトのタンパク質である請求項9の単離された核酸分子。
  15. 【請求項15】 図1G−1に示された核酸配列(配列番号55)を有する
    請求項3の単離された核酸。
  16. 【請求項16】 請求項1の核酸分子を有するベクターを備えた宿主細胞。
  17. 【請求項17】 前記細胞が、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類
    細胞からなる群から選択される請求項16の宿主細胞。
  18. 【請求項18】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを生産する
    方法であって、前記ポリペプチドの生産が可能な適切な条件下で、請求項17の
    宿主細胞を増殖させることを備えた方法。
  19. 【請求項19】 前記生産されたポリペプチドを回収することをさらに備え
    た請求項18の方法。
  20. 【請求項20】 請求項1の核酸分子の配列中に含まれるユニークな配列と
    特異的にハイブリダイズすることができる、少なくとも15の連続するヌクレオ
    チドの単離された核酸分子。
  21. 【請求項21】 DNA分子である請求項20の単離された核酸。
  22. 【請求項22】 RNA分子である請求項20の単離された核酸。
  23. 【請求項23】 請求項1の核酸分子に対して相補的である核酸分子の配列
    中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダイズすることができる単離さ
    れた核酸分子。
  24. 【請求項24】 DNA分子である請求項23の単離された核酸。
  25. 【請求項25】 RNA分子である請求項23の単離された核酸。
  26. 【請求項26】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードす
    るmRNA分子に特異的にハイブリダイズし得る核酸配列を有するアンチセンス
    オリゴヌクレオチド。
  27. 【請求項27】 請求項3のcDNA分子に特異的にハイブリダイズし得る
    核酸配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  28. 【請求項28】 請求項4のRNA分子に特異的にハイブリダイズし得る核
    酸配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  29. 【請求項29】 p75NTR受容体を結合し得る精製されたポリペプチド
  30. 【請求項30】 請求項1の単離された核酸によってコードされるp75 TR 受容体を結合し得る精製されたポリペプチド。
  31. 【請求項31】 請求項30のp75NTR受容体を結合し得るポリペプチ
    ドの精製されたユニークなポリペプチド断片。
  32. 【請求項32】 図1G−1に示されたアミノ酸配列(配列番号55)と実
    質的に同一のアミノ酸配列を有する請求項30のp75NTR受容体を結合し得
    るポリペプチド。
  33. 【請求項33】 図1G−1に示されたアミノ酸配列(配列番号55)を有
    する請求項30のp75NTR受容体を結合し得るポリペプチド。
  34. 【請求項34】 p75NTR受容体を結合し得る脊椎動物のポリペプチド
    である請求項33のp75NTR受容体を結合し得るポリペプチド。
  35. 【請求項35】 ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質を含む請求
    項29〜34のポリペプチド。
  36. 【請求項36】 NCLRILMGELSNというアミノ酸配列を含む請求
    項29〜34のポリペプチド。
  37. 【請求項37】 NCLRILMGELSNというアミノ酸配列を含む請求
    項35のポリペプチド。
  38. 【請求項38】 p75NTR受容体を結合し得るマウス、ラット、又はヒ
    トのポリペプチドである請求項34のp75NTR受容体を結合し得る脊椎動物
    のポリペプチド。
  39. 【請求項39】 p75NTR受容体を結合し得る請求項35のポリペプチ
    ドのエピトープにむけられたモノクローナル抗体。
  40. 【請求項40】 p75NTR受容体を結合し得るマウス、ラット、又はヒ
    トのポリペプチドにむけられた請求項33のモノクローナル抗体。
  41. 【請求項41】 p75NTR受容体を結合し得る請求項32のポリペプチ
    ドのエピトープにむけられたポリクローナル抗体。
  42. 【請求項42】 p75NTR受容体を結合し得るマウス、ラット、又はヒ
    トのポリペプチドにむけられた請求項41のポリクローナル抗体。
  43. 【請求項43】 細胞にアポトーシスを誘導する方法であって、前記細胞中
    に、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現させることを備えた方
    法。
  44. 【請求項44】 対象にアポトーシスを誘導する方法であって、前記対象中
    に、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現させることを備えた方
    法。
  45. 【請求項45】 前記対象が、ラット、マウス、又はヒトである請求項44
    の方法。
  46. 【請求項46】 請求項2の単離されたDNA分子を含むヒト以外のトラン
    スジェニック哺乳動物。
  47. 【請求項47】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードす
    る前記DNAが組織特異的な調節要素に作用可能に連結されている請求項46の
    ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物。
  48. 【請求項48】 ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物に、様々なレベル
    の、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを発現させたときの生理的な
    影響を決定する方法であって、異なる量の、p75NTR受容体を結合し得るポ
    リペプチドを発現している一群のヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を作成
    することを備えた方法。
  49. 【請求項49】 適切なベクター中に、p75NTR受容体を結合し得るポ
    リペプチドを作成する方法であって、 (a)前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドをコードする核酸分
    子を適切なベクタ−に挿入することと、 (b)得られたベクタ−を適切な宿主細胞中に導入することと、 (c)前記導入された宿主細胞から、前記p75NTR受容体を結合し得るポ
    リペプチドを発現している宿主細胞を選択することと、 (d)前記選択された細胞を培養して、前記p75NTR受容体を結合し得る
    ポリペプチドを産生させることと、 (e)産生された前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドを回収す
    ることとを備えた方法。
  50. 【請求項50】 対象中の細胞にアポトーシスを誘導する方法であって、ア
    ポトーシスを誘導するのに有効な量のp75NTR受容体を結合し得る精製され
    たポリペプチドを前記対象に投与することを備えた方法。
  51. 【請求項51】 前記対象が哺乳動物である請求項50の方法。
  52. 【請求項52】 前記哺乳動物がマウス、ラット、又はヒトである請求項5
    1の方法。
  53. 【請求項53】 請求項32又は33のうち何れか一方のp75NTR受容
    体を結合し得る精製されたポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む薬学
    的組成物。
  54. 【請求項54】 有効量の請求項32又は33のうち何れか一方のp75 TR 受容体を結合し得る精製されたポリペプチドと薬学的に許容される担体とを
    含む薬学的組成物。
  55. 【請求項55】 p75NTR受容体とp75NTR受容体を結合し得るポ
    リペプチドとの結合を阻害し得る化合物を同定する方法であって、 (a)p75NTR受容体に結合し得るポリペプチドとp75NTR受容体と
    が結合して複合体を形成し得る条件下で、前記化合物を、前記p75NTR受容
    体を結合し得るポリペプチドと接触させることと; (b)前記p75NTR受容体を、工程(a)で得られた混合物と接触させる
    ことと; (c)形成された複合体、若しくは未結合のp75NTR受容体、若しくは未
    結合の前記ポリペプチド、又はこれらのうちの何れかの組み合わせの量を測定す
    ることとを備えた方法。
  56. 【請求項56】 p75NTR受容体とp75NTR受容体を結合し得るポ
    リペプチドとの結合(ここで、この結合はp75NTR受容体とp75NTR
    容体を結合し得るポリペプチドとの間で複合体を形成する)を阻害し得る化合物
    を同定する方法であって、 (a)p75NTR受容体に結合し得るポリペプチドとp75NTR受容体と
    が結合して複合体を形成し得る条件下で、前記化合物を、p75NTR受容体と
    接触させることと; (b)前記p75NTR受容体を、工程(a)で得られた混合物と接触させる
    ことと; (c)形成された複合体、若しくは未結合のp75NTR受容体、若しくは未
    結合の前記ポリペプチド、又はこれらのうちの何れかの組み合わせの量を測定す
    ることとを備えた方法。
  57. 【請求項57】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、ニ
    ューロトロフィン関連細胞死実行物質である請求項55又は56の方法。
  58. 【請求項58】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、ヒ
    トHGR74タンパク質である請求項55又は56の方法。
  59. 【請求項59】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているmusnade3a配列である請求項55又は56の方法
  60. 【請求項60】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているhunade3a1配列である請求項55又は56の方法
  61. 【請求項61】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているhunade3a2配列である請求項55又は56の方法
  62. 【請求項62】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているratnad3a配列である請求項55又は56の方法。
  63. 【請求項63】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているratnad3b配列である請求項55又は56の方法。
  64. 【請求項64】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているmusnade3b配列である請求項55又は56の方法
  65. 【請求項65】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているhumnade1配列である請求項55又は56の方法。
  66. 【請求項66】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているratnade1配列である請求項55又は56の方法。
  67. 【請求項67】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているmusnade1配列である請求項55又は56の方法。
  68. 【請求項68】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、図
    1Hに規定されているhumnade2配列である請求項55又は56の方法。
  69. 【請求項69】 アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、 (a)対象を、適切な量の前記化合物と接触させることと; (b)前記対象中での、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝
    子とp75NTR受容体の遺伝子の発現レベルを測定することとを備え、p75 NTR 受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現
    レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物であることの指標である
    方法。
  70. 【請求項70】 前記対象が哺乳動物である請求項69の方法。
  71. 【請求項71】 前記哺乳動物がマウス、ラット、又はヒトである請求項7
    0の方法。
  72. 【請求項72】 アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、 (a)細胞を、適切な量の前記化合物と接触させることと; (b)前記細胞中での、p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝
    子とp75NTRの遺伝子の発現レベルを測定することとを備え、p75NTR 受容体を結合し得るポリペプチドの遺伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベル
    の増加が、前記化合物がアポトーシス誘導化合物であることの指標である方法。
  73. 【請求項73】 酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NT 細胞内ドメインを標的として用いて、cDNAライブラリーから、p75NT 受容体を結合し得るポリペプチドをスクリーニングする方法。
  74. 【請求項74】 前記cDNAライブラリーが哺乳動物のものである請求項
    73の方法。
  75. 【請求項75】 前記哺乳動物のcDNAライブラリーが、ラット、マウス
    、又はヒトのcDNAライブラリーに由来する請求項74の方法。
  76. 【請求項76】 前記p75NTR細胞内ドメイン標的が哺乳動物のもので
    ある請求項73の方法。
  77. 【請求項77】 前記哺乳動物のp75NTR細胞内ドメイン標的が、ラッ
    ト、マウス、又はヒトp75NTR細胞内ドメイン標的である請求項76の方法
  78. 【請求項78】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75 TR とを同時発現させることによって、カスパーゼ−2とカスパーゼ−3活性を
    誘導させて、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを切断し、細胞中の核DN
    Aを断片化する方法。
  79. 【請求項79】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75 TR とを用いて、細胞中でのNF−κBの活性化を阻害する方法。
  80. 【請求項80】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75 TR の発現レベルを検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する方法
  81. 【請求項81】 前記対象が哺乳動物である請求項80の方法。
  82. 【請求項82】 前記哺乳動物がマウス、ラット、又はヒトである請求項8
    1の方法。
  83. 【請求項83】 ヒトHGR74タンパク質をコードし、DNA分子である
    単離された核酸を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物。
  84. 【請求項84】 ヒトHGR74タンパク質をコードする前記DNAが、組
    織特異的な調節要素に作用可能に連結されている請求項83のヒト以外のトラン
    スジェニック哺乳動物。
  85. 【請求項85】 ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物に、様々なレベル
    の、ヒトHGR74を発現させたときの生理的な影響を決定する方法であって、
    異なる量のヒトHGR74タンパク質を発現している一群のヒト以外のトランス
    ジェニック哺乳動物を作成することを備えた方法。
  86. 【請求項86】 適切なベクター中に、ヒトHGR74タンパク質を作成す
    る方法であって、 (a)ヒトHGR74タンパク質をコードする核酸分子を適切なベクタ−に挿
    入することと、 (b)得られたベクタ−を適切な宿主細胞中に導入することと、 (c)ヒトHGR74タンパク質を発現している、前記導入された宿主細胞を
    選択することと、 (d)前記選択された細胞を培養して、ヒトHGR74タンパク質を産生させ
    ることと、 (e)産生された前記ヒトHGR74タンパク質を回収することとを備えた方
    法。
  87. 【請求項87】 対象中の細胞にアポトーシスを誘導する方法であって、ア
    ポトーシスを誘導するのに有効な量の前記精製されたヒトHGR74タンパク質
    を前記対象に投与することを備えた方法。
  88. 【請求項88】 前記対象が哺乳動物である請求項86の方法。
  89. 【請求項89】 前記哺乳動物がマウス、ラット、又はヒトである請求項8
    7の方法。
  90. 【請求項90】 精製されたヒトHGR74タンパク質と薬学的に許容され
    る担体とを含む薬学的組成物。
  91. 【請求項91】 アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、 (a)対象を、適切な量の前記化合物と接触させることと; (b)前記対象における、ヒトHGR74タンパク質の遺伝子とp75NTR の遺伝子の発現レベルを測定することとを備え、ヒトHGR74タンパク質の遺
    伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス
    誘導化合物であることの指標である方法。
  92. 【請求項92】 前記対象が哺乳動物である請求項91の方法。
  93. 【請求項93】 前記哺乳動物がマウス、ラット、又はヒトである請求項9
    2の方法。
  94. 【請求項94】 アポトーシス誘導化合物を同定する方法であって、 (a)細胞を、適切な量の前記化合物と接触させることと; (b)前記細胞における、ヒトHGR74タンパク質の遺伝子とp75NTR の遺伝子の発現レベルを測定することとを備え、ヒトHGR74タンパク質の遺
    伝子とp75NTRの遺伝子の発現レベルの増加が、前記化合物がアポトーシス
    誘導化合物であることの指標である方法。
  95. 【請求項95】 酵母ツーハイブリッドシステムを用いて、及びp75NT 細胞内ドメインを標的として用いて、cDNAライブラリーからヒトHGR7
    4をスクリーニングする方法。
  96. 【請求項96】 前記cDNAライブラリーが哺乳動物のものである請求項
    95の方法。
  97. 【請求項97】 前記哺乳動物のcDNAライブラリーが、ラット、マウス
    、又はヒトのcDNAライブラリーに由来する請求項96の方法。
  98. 【請求項98】 前記p75NTR細胞内ドメイン標的が哺乳動物のもので
    ある請求項95の方法。
  99. 【請求項99】 前記哺乳動物のp75NTR細胞内ドメイン標的が、ラッ
    ト、マウス、又はヒトのp75NTR細胞内ドメイン標的である請求項98の方
    法。
  100. 【請求項100】 ヒトHGR74タンパク質とp75NTRを同時発現さ
    せることによって、カスパーゼ−2とカスパーゼ−3活性を誘導させて、ポリ(
    ADP−リボース)ポリメラーゼを切断し、細胞中の核DNAを断片化する方法
  101. 【請求項101】 ヒトHGR74タンパク質とp75NTRを用いて、細
    胞中でのNF−κBの活性化を阻害する方法。
  102. 【請求項102】 ヒトHGR74タンパク質とp75NTRの発現レベル
    を検出することによって、対象の神経変性疾患を検出する方法。
  103. 【請求項103】 前記対象が哺乳動物である請求項102の方法。
  104. 【請求項104】 前記哺乳動物がヒトである請求項103の方法。
  105. 【請求項105】 アポトーシス阻害剤であり、p75NTR受容体を結合
    し得るポリペプチドとp75NTR受容体との特異的な結合を阻害してアポトー
    シスを抑制し得る化合物を同定する方法であって、 (a)p75NTR受容体を結合し得るポリペプチド及びp75NTR受容体
    を置換し得ることが予め示されている公知の化合物と、結合したp75NTR
    容体とが結合して複合体を形成し得る条件下で、前記p75NTR受容体を結合
    し得るポリペプチドを、複数の化合物と接触させることと; (b)置換された前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチド又は工程
    (a)で形成された前記複合体を検出することとを備え、置換がなされることが
    、前記化合物がp75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75NTR
    容体との特異的な結合を阻害し得る化合物であることの指標である方法。
  106. 【請求項106】 p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドとp75 NTR 受容体との特異的な結合の阻害がレポーター遺伝子の転写活性に影響を与
    える請求項105の方法。
  107. 【請求項107】 置換された前記p75NTR受容体を結合し得るポリペ
    プチド又は前記複合体は、工程(b)において、工程(a)で前記化合物と接触
    させる前及び後にレポーター遺伝子の転写活性を比較することによって検出され
    、該活性の変化が、前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドと前記p
    75NTR受容体との特異的な結合が阻害され、且つ前記p75NTR受容体を
    結合し得るポリペプチドが置換されることの指標となる請求項106の方法。
  108. 【請求項108】 前記p75NTR受容体が固相支持体に結合される請求
    項105の方法。
  109. 【請求項109】 前記化合物が固相支持体に結合される請求項105の方
    法。
  110. 【請求項110】 前記化合物が、抗体、無機化合物、有機化合物、ペプチ
    ド、ペプチド類似化合物、ポリペプチド又はタンパク質を具備する請求項105
    の方法。
  111. 【請求項111】 前記工程(a)の接触がインビトロで行われる請求項1
    05の方法。
  112. 【請求項112】 前記工程(a)の接触がインビボで行われる請求項10
    5の方法。
  113. 【請求項113】 前記工程(a)の接触が酵母細胞中で行われる請求項1
    12の方法。
  114. 【請求項114】 前記工程(a)の接触が哺乳類細胞中で行われる請求項
    112の方法。
  115. 【請求項115】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    細胞表面受容体である請求項105の方法。
  116. 【請求項116】 前記細胞表面受容体がp75受容体である請求項112
    の方法。
  117. 【請求項117】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    ニューロトロフィン関連細胞死実行物質である請求項105の方法。
  118. 【請求項118】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    ヒトHGR74タンパク質である請求項105の方法。
  119. 【請求項119】前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、ニ
    ューロトロフィン関連細胞死実行物質である請求項105の方法。
  120. 【請求項120】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    ヒトHGR74タンパク質である請求項105の方法。
  121. 【請求項121】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているmusnade3a配列である請求項105の方法。
  122. 【請求項122】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているhunade3a1配列である請求項105の方法。
  123. 【請求項123】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているhunade3a2配列である請求項105の方法。
  124. 【請求項124】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているratnad3a配列である請求項105の方法。
  125. 【請求項125】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているratnad3b配列である請求項105の方法。
  126. 【請求項126】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているmusnade3b配列である請求項105の方法。
  127. 【請求項127】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているhumnade1配列である請求項105の方法。
  128. 【請求項128】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているratnade1配列である請求項105の方法。
  129. 【請求項129】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているmusnade1配列である請求項105の方法。
  130. 【請求項130】 前記p75NTR受容体を結合し得るポリペプチドが、
    図1Hに規定されているhumnade2配列である請求項105の方法。
  131. 【請求項131】 ニュートロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
    )と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異
    体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのN
    末端のアミノ酸1−40が欠失され、該欠失変異体はNADE N(41−12
    4)と命名され、該NADE N(41−124)がp75NTRの存在下でア
    ポトーシスを誘導する核酸分子。
  132. 【請求項132】 ニュートロフィン関連細胞死実行タンパク質(NADE
    )と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変異
    体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドのC
    末端のアミノ酸72−124が欠失され、該欠失変異体はNADE N(1−7
    1)と命名され、該NADE N(1−71)がp75NTRの存在下及びp7
    NTRの非存在下でアポトーシスを誘導する核酸分子。
  133. 【請求項133】 ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NAD
    E)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変
    異体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドの
    N末端のアミノ酸1−40とC末端のアミノ酸72−124が欠失されており、
    該欠失変異体はNADE N(41−71)と命名され、p75NTRの存在下
    とp75NTRの非存在下で、該NADE N(41−71)がアポトーシスを
    誘導する核酸分子。
  134. 【請求項134】 ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NAD
    E)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変
    異体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドの
    C末端のアミノ酸121−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE
    N(1−120)と命名され、p75NTRの存在下で、該NADE N(1−
    120)がアポトーシスを誘導する核酸分子。
  135. 【請求項135】 ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NAD
    E)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変
    異体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドの
    C末端のアミノ酸113−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE
    N(1−112)と命名され、p75NTRの存在下で、該NADE N(1−
    112)がアポトーシスを誘導する核酸分子。
  136. 【請求項136】 ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NAD
    E)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの欠失変
    異体をコードする単離された核酸分子であって、野生型NADEポリペプチドの
    C末端のアミノ酸101−124が欠失されており、該欠失変異体はNADE
    N(1−100)と命名され、p75NTRの存在下とp75NTRの非存在下
    で、NADE N(1−100)がアポトーシスを誘導する核酸分子。
  137. 【請求項137】 ニューロトロフィン関連細胞死実行タンパク質(NAD
    E)と命名されたp75NTR受容体と結合し得る野生型ポリペプチドの変異を
    コードする単離された核酸分子であって、点変異によって、野生型NADEポリ
    ペプチドの99位のアミノ酸AlaがLeuに置換され、該置換変異体ポリペプ
    チドはNADE N(L99A)と命名され、p75NTRの存在下で、該NA
    DE N(L99A)がアポトーシスを誘導する核酸分子。
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