JP2003346883A - 角形電池およびその製造法 - Google Patents
角形電池およびその製造法Info
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Abstract
がセパレータを介して配置され、捲芯部を中心に折り畳
まれ、巻回してなる電極群を備えた角形電池において、
極板の折損や活物質層の剥離・脱落による電池容量の低
下および内部短絡の不良を低減することを目的とする。 【解決手段】 帯状正極板が、巻内周側の面にあり、且
つ少なくとも巻芯に最も近い折り畳み線を含む正極の折
り畳み線を中心とする領域に、斑点状凹部を有する。
Description
て帯状またはフープ状の正極板及び負極板を捲回して構
成され、断面が扁平状の電極群を有する角形電池、及び
その製造法に関するものである。
ス化、ポータブル化に伴い、駆動用電源である電池に対
して小型、軽量、高エネルギー密度化の要望が強まって
いる。高エネルギー密度を有するリチウム二次電池は、
携帯用機器の主力電池として期待され、その潜在的市場
規模も大きい。中でも角形のリチウム二次電池は、機器
の薄型化、及び電源部のデッドスペースを低減すること
から、高容量化、薄型化への取り組みが精力的になされ
ている。例えば、活物質層が形成された極板を圧延し、
極板密度を高める方法、極板の芯材及びセパレータを可
及的に薄くする、或いは電極群の捲芯部あるいは最外周
部におけるセパレータの使用量を減らし、充放電反応に
寄与しない体積を最小化する方法、捲回した電極群を平
板間に挟み込み、加圧・変形させることで電極群の厚さ
を薄くし、この状態で電池容器内へ挿入・収納する方法
等が提案されており、これら方法を組み合わせることが
一般的である。
を参照して説明する。電極群は、高い生産性を得ること
を目的として、断面が楕円状の電極群を構成する第1段
階と、ついで電極群を変形させる第2段階の工程を経て
作製される。第1段階は、捲芯具にセパレータを挟持さ
せた状態でセパレータを捲きつけることで捲芯部を形成
し、帯状またはフープ状の正極板と負極板とをセパレー
タを介した状態でコイル状に捲回することで、断面が楕
円状の電極群を構成する。ついで、第2段階は、先の段
階で得られた電極群を、断面が楕円状の電極群の長軸に
平行な1対の平板間に挟んだ状態のまま加圧し、変形さ
せることで、断面が扁平状の電極群とする工程を実施す
る。得られた電極群は、その要部断面を拡大した図1か
ら明らかなように、セパレータ2を介して帯状またはフ
ープ状の正極板3と負極板4とが折り畳まれるように捲
回された断面構造を有している。
て、平板間に挟まれた電極群への加圧力を高めていく
と、電極群の厚さを薄くできるが、電極群の構成時に、
極板の折損や活物質層の剥離・脱落による不良の発生す
る可能性があった。特に、活物質層の剥離・脱落は、極
板の曲率が小さくなる部位で発生しやすいことから、本
出願人らは、前記不良の対策として、予め帯状またはフ
ープ状の極板の折り畳み線を中心とする所定幅の筋状凹
部を筋状の凸部を有するローラーを回転させながら加圧
して形成することを提案した(特開2000−1004
67号公報)。
た角形電池では、高容量化への指向が強く、極板容量を
高めるために極板に塗布される活物質量を増加させる傾
向にあることから、活物質の充填密度が高くなり、極板
が硬くなってしまう。このため、前記極板に対して前記
公報に記載されたローラーによる加圧を施した場合、極
板の硬度が高いために、極板表面に凹部を均一に形成で
きにくい。また、硬度の上昇に伴い、活物質層の脆化を
招くことから、過度の変形圧力によって活物質層の剥
離、脱落を助長してしまう場合があった。
ものであり、その目的は、極板の折損や活物質層の剥離
・脱落による容量低下や内部短絡を抑制し、信頼性を向
上させた角形電池を得ることにある。
に、電極群の作製工程に着目して検討を行った。その結
果、電極群を加圧・変形させる工程において、図1の捲
芯部5に近い正極板3の最も内周の折り畳み部3aと次
の折り畳み部3b、並びに負極板4の最も内周の折り畳
み部4aと次の折り畳み部4bにおいて、極板表面に形
成された凹部に折り曲げに伴う変形応力が集中し、極板
の芯材に破断、損傷を引き起こしてしまうことを確認し
ており、極板(電池)容量の大幅な低下を生ずる原因と
なる。また、極板の折損に至らない場合でも、変形応力
の集中により活物質の剥離・脱落が生じることも確認し
ており、これら剥離・脱落した活物質は、セパレータを
突き破って正負極間での内部短絡を生じせしめ、電池の
信頼性を低下させる原因となる。さらに、これらの不具
合は、負極板より正極板において顕著に生ずることも確
認した。
不具合の発生が正極板に偏在する原因について検討し
た。その結果、アルミニウム箔からなる正極芯材の機械
的強度(引張強度、反復折り曲げ強度)が、銅箔からな
る負極板用芯材の機械的強度に比べて相対的に低いこと
から、正極における芯材の破断が生じ易く、曲率が最も
小さくなる最内周に位置する正極の折り畳み部に不具合
の発生が集中するとの知見を得た。
度が相対的に高いことから、極板の折り畳みに伴う変形
応力が大きくなり、特に極板表面に凹部を設けた構成で
は、この凹部への応力集中が顕著になる。また、上述の
通り正極の曲率は負極の曲率に比べて小さく、正極芯材
の機械的強度が低いことから、正極芯材の変形に活物質
層の変形が追随できないという短所も存在する。そし
て、これらの相互作用により、上記従来の構成では、活
物質層の脱落の発生頻度が高くなるとの知見も得た。
づいてなされたものであり、帯状またはフープ状の正極
板及び負極板がセパレータを介して配置され、捲芯部を
中心に折り畳まれ、巻回してなる電極群を備えた角形電
池であって、前記帯状正極板は、巻内周側の面にあり、
且つ少なくとも巻芯に最も近い折り畳み線を含む正極の
折り畳み線を中心とする領域に、斑点状凹部を有するこ
とを特徴とする。
正極活物質を含む活物質層をアルミニウム芯材上に形成
し、帯状またはフープ状の正極板を得る工程、前記正極
板において、電極群構成時に巻内周側の面にあり、且つ
少なくとも巻芯に最も近い折り畳み線を含む正極板の折
り畳み線を中心とする所定幅の領域に斑点状凹部を形成
する工程、セパレータを介して、前記正極板と帯状また
はフープ状の負極板とを折り畳むように捲回し、断面が
楕円状にある電極群を構成する工程、前記電極群を加
圧、変形させる工程を備えるものである。この製造法に
おいて、斑点状の凹部は、活物質層に所定幅の斑点状凸
部を有する平板状の金型を所定の流量の空気を加圧して
押しつけることによって形成される。得られた前記電極
群は、断面が扁平状に加圧、変形されており、これを電
池容器内に収納し、電解液を注液・含浸させた後、密封
する工程を経て電池が完成される。
側に位置する活物質層に斑点状凹部を形成することで、
折り畳みに伴う活物質層へ応力が分散され、応力集中に
起因する活物質の剥離、脱落が効果的に抑制されるもの
である。また、斑点状凹部の形成によって活物質層の変
形能も向上することから、極板の折損や芯材の破断の発
生も減少される。特に、正極の活物質密度(導電剤や結
着剤等の添加剤を除いた密度)が3000kg/m3以
上である硬い極板であっても、凹部が斑点状に形成さ
れ、凹部の配置が均一化されていることから、極板の折
り畳みに付加される応力は凹部の形成領域に分散され
る。このため、活物質の脱落防止の面で効果的に作用す
るものである。尚、本発明における構成では、正極の表
面に斑点状凹部を形成する構成としているが、同様の凹
部を形成した負極と組み合わせることで、正負極の両方
で活物質の脱落が抑制されるものである。
は折り畳み部を中心として左右それぞれに0.5mm以
上、10mm以下の幅、すなわち総幅が1.0mm以
上、20mm以下にあるのが望ましい。この範囲であれ
ば、極板の巻回時にずれが生じたとしても、確実に斑点
状凹部を折り畳み部に位置させることができ、活物質層
の剥離や脱落の発生を防止することができる。
さに対して20%以上、70%以下が望ましい。斑点状
凹部の深さが20%を下回ると、凹部の形成による効果
が不十分であり、電極群を構成する際に活物質の脱落等
といった不具合を生じてしまう。一方、凹部の深さが7
0%を越えると、凹部の形成時に活物質層に過大な押圧
力が付加される。このため、活物質層に割れが生じ易
く、活物質層の脱落に繋がることに加え、凹部を形成す
る金型に活物質が付着し、極板容量の減少を招くことか
ら、前記の範囲を外れた凹部の形状は好ましくない。
30°以上120°以下の範囲にあるV字状の点である
ことが好ましい。V字状の断面形状を有する斑点状の凹
部は、鋭角の凸部を有する金型を押し当てることによっ
て形成される。尚、凹部の頂角を30°より小さく設定
した場合には、金型形成の面で困難であり、量産を前提
とする本願発明に係る製造法への適用は好ましくない。
また、120°より大きく設定した場合には、各斑点状
凹部の体積が大きくなり、活物質層の減少を招くことか
ら不適切である。
ピッチは、0.5mm以上、2.0mm以下の範囲が好
ましく、これよりピッチが狭くなると活物質層の脱落が
起き、逆にピッチが広くなると斑点状凹部を形成した効
果が薄れてしまうので不適切である。
て、図面を参照して説明する。
プ状の正極板及び帯状負極板がセパレータを介して配置
され、捲芯部を中心に折り畳まれ、巻回してなる電極群
を備えており、正極板には、巻内周側の面にあり、且つ
少なくとも巻芯に最も近い折り畳み線を含む正極の折り
畳み線を中心とする領域に、斑点状凹部が形成されてい
る。
に図1に示す要部断面の構造を有しており、所定の大き
さに切断された正極板3、負極板4が、セパレータ2を
介して折り畳まれるように巻回された構造となってい
る。
ニウム合金の金属箔からなる芯材に対して両面または片
面に活物質層が形成されており、そして活物質層の所定
位置に斑点状凹部6が形成されている。この斑点状凹部
6は、正極板3の巻芯側端部を示す要部模式を示す図2
から明らかなように、正極板の巻芯側端部から間隔をも
って形成されている。図2には、巻芯側端部から間隔d
1をもって折り畳み部3aが、さらに折り畳み部3aか
ら間隔d2をもって折り畳み部3bが示されており、こ
れら折り畳み部3a、3bは、共に電極群を構成した際
に折り畳まれる部位となる。斑点状凹部6は、折り畳み
部3aを中心とする領域に形成されており、正極板表面
での斑点状凹部6の大きさは直径0.05mmか〜2.
0mmであり、巻回時に凹部6が電極群の巻内周側の面
に位置するように巻回される。
む正極ペーストを芯材に塗着する方法、或いは電解的に
活物質を析出させる方法にて形成され、この活物質層が
形成された芯材をスリットにて所定幅に裁断した後、所
要の長さに切断することで帯状の正極板が作製される。
ープ状の正極板に対して、凹形状に対応する凸形状の突
起が斑点状に形成された金型を、押圧することで形成さ
れる。押圧される部位は、斑点状凹部の形成領域と正極
板の短辺との距離を予め算出し、この距離を一定とする
ことで、正極板の所定位置とされる。本実施形態では、
図2から明らかなように、巻芯側端部から間隔d1をも
って折り畳み部3aを設定しており、この折り畳み部3
aを中心にて斑点状凹部6を形成している。
及びセパレータと組合せ、巻回した際に、巻内周側の面
にあり、且つ少なくとも巻芯に最も近い折り畳み線とな
る部位を求め、さらに正極板の寸法精度、巻回時の位置
ずれ、折り畳み部の形状等といった種々の因子を考慮
し、斑点状凹部の領域幅との兼ね合いにて設定される。
図2に示すように斑点状凹部を、切断された帯状または
フープ状の極板毎に形成する構成では、形成領域を高い
精度で制御することが可能になり、斑点状凹部の領域を
最小化することができ、放電容量の面で有利な効果を奏
する。
て、活物質層の形成後、或いはスリットにて所定幅に切
断した後に、斑点状凹部を形成する工程を実施する事と
しても良い。この工程では、正極板おける斑点状凹部の
形成領域の位置調整を行った後、帯状の正極板長に相当
する間隔で上記金型による押圧を行うことで、一定間隔
で斑点状凹部が形成される。そして、斑点状凹部が連続
的に形成された長尺の正極板を、所定の極板長さに裁断
することで、斑点状凹部が形成された帯状の正極板を得
ることができる。このように、上述の製造法によれば、
先に述べた極板毎に斑点状凹部を形成する方法に比較し
て、連続的に複数箇所に凹部を形成することができ、極
板の生産性の面で有利な効果を奏する。しかし、極板毎
に斑点状凹部の形成領域の位置合わせを実施していない
ことから、寸法及び形成位置の誤差が発生することを考
慮し、斑点状凹部の形成領域を広めに設定するのが好ま
しい。
面のみに斑点状凹部を形成する構成としたが、前記凹部
に加え、巻外周側の面に前記凹部の裏面側に位置する様
に斑点状凹部を形成する構成としても良い。この構成で
有れば、折り畳み部の巻外周側に付加される活物質層へ
の引張応力が緩和されることから、折り畳みによる活物
質層の割れを防止するという有利な効果を奏するもので
ある。
ニウムまたはアルミニウム合金の金属箔を用いることを
既に述べたが、この金属箔に代えて、ラス加工やエッチ
ング処理が施された金属箔や多孔体を用いても良い。ま
た、前記アルミニウムの金属箔を含む芯材の厚みは10
μm〜60μmの箔が好ましい。正極の芯材上に形成さ
れる活物質層は、正極活物質、結着剤、及び必要に応じ
て導電剤、増粘剤を溶剤に混練分散させたスラリーを塗
着、乾燥、圧延することで作製される。また、塗着によ
る活物質層の形成方法に代えて、活物質を芯材上に電解
析出させることで活物質層を形成する方法を採用しても
よい。何れの方法においても、正極の芯材に形成された
活物質の一部に無地部を設け、この無地部に正極リード
を溶接することで、正極板が完成される。
は、特に限定されるものではないが、例えば、リチウム
イオンをゲストとして受け入れ得るリチウム含有遷移金
属化合物が使用される。例えば、コバルト、マンガン、
ニッケル、クロム、鉄およびバナジウムから選ばれる少
なくとも一種類の金属とリチウムとの複合金属酸化物、
LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiCoxN
i(1-x)O2(0<x<1)、LiCrO2、αLiFe
O2、LiVO2等が好ましい。
きるものであれば特に限定されるものではないが、例え
ば、フッ素系結着剤やアクリルゴム、変性アクリルゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリル系
重合体、ビニル系重合体等を単独、或いは二種類以上の
混合物または共重合体として用いることができる。フッ
素系結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、
フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体やポ
リテトラフルオロエチレン樹脂のディスパージョンが好
ましい。
ができ、導電剤としてはアセチレンブラック、グラファ
イト、炭素繊維等を単独、或いは二種類以上の混合物が
好ましく、増粘剤としてはエチレン−ビニルアルコール
共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロ
ースなどが好ましい。
剤としては、結着剤が溶解可能な溶剤が適切で、有機系
結着剤の場合は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N
−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル
スルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、メチル
エチルケトン等の有機溶剤を単独またはこれらを混合し
た混合溶剤が好ましく、水系結着剤の場合は水や温水が
好ましい。さらに、上記スラリー状合剤の混練分散時
に、各種分散剤、界面活性剤、安定剤等を必要に応じて
添加することも可能である。
のではなく、上記のように混錬分散させたスラリー状合
剤を、例えば、スリットダイコーター、リバースロール
コーター、リップコーター、ブレードコーター、ナイフ
コーター、グラビアコーター、ディップコーター等を用
いて、容易に塗着することができる。また、自然乾燥に
近い乾燥が好ましいが、生産性を考慮すると70℃〜2
00℃の温度で5時間〜10分間乾燥させるのが好まし
い。圧延は、ロールプレス機によって所定の厚みになる
まで、線圧1000〜2000kg/cmで数回圧延を
行うか、線圧を変えて圧延するのが好ましい。
物質、結着剤、必要に応じて導電助剤を有機溶剤に混練
分散させたスラリー状の合剤を塗着、乾燥し、集電体の
他面にも塗着、乾燥した後、圧延して作製される。
加工を施した箔、またはエッチング加工を施した箔から
なり、厚みは10μm〜50μmの範囲が好ましい。負
極活物質としては、特に限定されるものではないが、例
えば、有機高分子化合物(フェノール樹脂、ポリアクリ
ロニトリル、セルロース等)を焼成することにより得ら
れる炭素材料、コークスやピッチを焼成することにより
得られる炭素材料、或いは人造グラファイト、天然グラ
ファイト等を、その形状としては、球状、鱗片状、塊状
のものを用いることができる。結着剤、必要に応じて添
加できる増粘剤としては、正極板と同様の結着剤、増粘
剤を用いることができる。
ることで、折り畳み部における活物質の脱落を防止でき
るものである。
μmのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの微
多孔性ポリオレフイン系樹脂の単層膜あるいは積層膜が
好ましい。
る。尚、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるもの
ではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更
して実施できる。また、本実施例における角形非水電解
液電池は、後述する手順に沿って作製した。
5μmの純アルミニウムからなる箔を用いた。また、正
極の活物質ペーストは、活物質であるLiCoO2、導
電剤としてのカーボンブラック、結着剤としてのポリ四
フッ化エチレン水性ディスパージョンを、それぞれ固形
分の重量比で100:3:10の割合で混合し、作製し
た。得られた活物質ペーストを純アルミニウム箔の両面
に塗着、乾燥し、圧延した後、長さ466mm、幅42
mmの形状に切断した。
突起が斑点状に形成された平板状の金型を押圧し、斑点
状凹部を形成した。斑点状凹部の幅は、折り畳み部を中
心とし、左右それぞれに0.5mm〜10mmとするこ
とで、1.0mm〜20mmの範囲としており、前記範
囲を満たすように金型の幅寸法を設定した。また、斑点
状凹部を形成する際、金型は空気圧によって押圧され
る。金型の押圧条件は、形成する斑点状凹部の形状によ
って異なるが、金型を加圧する空気流量を0.05m3
/min以上に保持し、金型が極板へ付加する押圧力を
0.29MPa以上0.78MPa以下とすることで、
均一な斑点状凹部が得られることを本発明者らは事前に
確認している。本実施例では、幅寸法を変化させた複数
の平板状の金型を作製し、表1に示す条件に金型を押圧
し、斑点状凹部を形成しており、各金型において100
0枚の正極板を作製した。得られた正極板を正極板A〜
正極板Cとする。また、表1に示す条件に金型を押圧し
て同様に比較例の正極板a、正極板bを作製した。
し、これにスチレンブタジエンゴム系結着剤とを重量比
で100:5の割合で混合した負極活物質ペーストを作
製し、これを厚さ10μmの銅箔の両面に塗着、乾燥、
圧延した。得られたフープ状の負極を長さ447m、幅
44mmの形状に切断した後、ニッケル製の負極リード
を溶接し、負極板を得た。尚、本実施例では負極板の表
面に斑点状凹部は形成していない。
板b及び負極板を、ポリエチレン樹脂製微多孔フィルム
からなるセパレータを介して対向配置した後、捲回する
ことで楕円状の電極群を得た。さらに楕円状にある電極
群を、電極群の長軸に平行な1対の平板間に挟置し、楕
円状にある電極群の長側面が略平行となる状態まで加圧
することで、電極群を得た。これら電極群をアルミニウ
ム合金からなるケースに収納した。本実施例では、電極
群の構成時及びケース挿入時に生ずる不良の発生状況を
確認するために、ケースに収納した電極群を取り出し、
斑点状凹部が形成された領域における正極活物質層の状
態を確認し、前記活物質層に割れや脱落等の不良が生じ
た電極群を計数した。電極群における不良発生数を表1
に併せて示す。
部の幅が小さい正極板aは、不良の発生率が高いことを
示している。不良の発生した電極群では、正極活物質層
の割れ、及び活物質の脱落を生じており、その原因が、
斑点状凹部の領域と正極板の折り返し部との位置ずれが
生じ、斑点状凹部の形成領域外に折り返し部が位置する
こと、及び斑点状凹部の幅が正極板の変形度が大なる領
域幅に比べて小さいことも確認している。前者の原因
は、電極群の巻回、加圧変形時に巻きずれに起因するも
のであり、斑点状凹部の幅を1.0mm以上に設定する
ことで巻きずれが生じても、不良の発生を抑制できる。
また、後者の原因も斑点状凹部の幅を拡大することで解
決できることから、斑点状凹部の幅は、折り畳み線を中
心として0.5mm以上、総幅で1.0mm以上にある
のが好ましい。一方、斑点状凹部の幅が30mmにある
正極板bは、正極板Cと同様に不良発生率は小さい。し
かし、斑点状凹部の形成時に高い加圧力が要求されるこ
とから、形成装置の大形化を要求する事に加え、凹部の
形成により活物質量が減少し、容量低下の一因となるこ
とから、斑点状凹部の幅は、折り畳み線を中心として1
0mm以下、総幅で20mm以下が好ましい。
いて検討した。
板に対して、凸形状の突起が斑点状に形成された平板状
の金型を押圧し、斑点状凹部を形成した正極板を作製し
た。斑点状凹部の幅は、正極板Bと同様に折り畳み部を
中心とし、左右それぞれに5mm、総幅10mmとし、
巻内周のみ、或いは巻外周側との両面に形成した。さら
に、形成位置も、最も巻内周が位置する折り畳み部の1
箇所のみ、及び次に位置する折り畳み部の2箇所に形成
した。
り、凹部の深さ、隣接する凹部とのピッチが異なるもの
である。尚、表2において凹部の深さは活物質層の厚み
に対する深さの比率で表している。また、これらの斑点
状凹部は、その形状に応じた金型によって形成してお
り、金型は空気圧によって押圧される。金型の押圧条件
は、斑点状凹部の形状により異なるが、実施例1におけ
る説明の如く金型を加圧する空気流量を0.05m3/
min以上に保持し、金型が極板へ付加する押圧力を
0.29MPa以上0.78MPa以下としている。
一のものを使用しており、上述した正極板と組み合わせ
て楕円形状に巻回した後、長側面が略平行となるように
加圧、変形させて実施例2に係る扁平状の電極群を得
た。
スに収納し、電解液をケース開口部から所定量を注液す
る。電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエ
チルカーボネート(DEC)をモル比で1:3で混合し
た溶媒に溶質として六フッ化リン酸リチウムを1モル/
lの濃度で溶解したものを用いた。注液工程は、ケース
の開口部に先端にゴム製のリングが取り付けたパイプを
差し込み、ケース内の減圧と電解液の注液を繰り返すこ
とで実施した。前記パイプには3方コックが備えてあ
り、一方は真空ポンプに、他方は電解液が入ったポンプ
に接続されている。真空ポンプ側に前記コックを切り替
え、ケース内を減圧状態に保持し、次いでポンプ側にコ
ックを切り替え、電解液をポンプにて供給することで注
液が実施される。注液工程の後、封口板にてケース開口
部を封口し、本実施例に係る角形の電池A〜電池L、比
較例の電池a〜電池dが得られる。
電池dを各々1000個を作製し、設計上の放電容量に
対する実放電容量の比率を測定すると共に、内部短絡、
活物質層の亀裂、及び活物質の脱落等の不良有無を確認
した。その結果を表2に示す。
さは、活物質層の厚さに対して20%以上、70%以下
が望ましい。斑点状凹部の深さが20%を下回ると、凹
部の形成による効果が不十分であり、活物質の脱落等と
いった不良が発生する。一方、凹部の深さが70%を越
えると、凹部の形成圧力が過大になり、活物質層の割
れ、脱落が生じることに加え、凹部を形成する金型に活
物質が付着し、放電容量の低下も生じてしまう。
は、0.5mm以上、2.0mm以下の範囲が好まし
い。ピッチが0.3mmの場合には、活物質の脱落を生
じており、逆にピッチが2.5mmになると、凹部の形
成による効果が不十分であり、活物質の脱落等といった
不良が発生する。
構成においても本発明による同様の効果が得られる。
密度への影響を検討した。
CoO2、導電剤であるカーボンブラック、結着剤であ
るポリ四フッ化エチレン水性ディスパージョンを、それ
ぞれ固形分の重量比で100:3:10の割合で混合し
た活物質ペーストを、アルミニウム箔からなる集電体の
両面に塗着、乾燥し、圧延した。この時、圧延率を調整
し、表3に示す活物質密度を有する正極板を作製した。
尚、表3における活物質密度は、導電剤や結着剤の密度
は計算上除外している。
における電池Cと同様の斑点状凹部を正極板に形成し、
電池Cと同等の角形電池を作製した。また、比較例とし
て、斑点状凹部に代えて、筋状の凹部を上記の各正極板
に形成し、他の構成は電池Cと同等にした角形電池も作
製した。前記筋状の凹部は、活物質層に対する深さを電
池Cと同様に40%に設定しており、隣接する凹部の間
隔を1.0mmに設定している。
1000個を作製し、内部短絡、活物質層の亀裂、及び
活物質の脱落等の不良有無を確認した。その結果を表3
に併せて示す。
形成した実施例3に係る電池で有れば、活物質密度が3
000kg/m3以上の硬い極板でも活物質の脱落がな
く均一に凹部を形成できることが確認された。これに対
して比較電池は、活物質密度が2800kg/m3以下
で有れば、活物質の脱落等の不良は認められない。しか
し、3000kg/m3以上になると、均一に筋状の凹
部が形成できないことから、活物質の脱落が生じ易くな
り、信頼性を損ねてしまう。
とする正極板を用いたリチウムイオン二次電池で説明し
たが、本発明はこの正極活物質に限定されるのではな
く、LiNiO2やLiMn2O4などのリチウム含有複
合酸化物を活物質に用いる正極板にも同様に適用でき
る。さらに、有機電解液を用いるリチウムイオン二次電
池だけではなく、ポリマー電解質のような非水電解質を
用いる一次電池や二次電池にも適用できる。
・金属水素化物系においても、ニッケル箔またはニッケ
ル鍍鋼箔からなる芯材の両面または片面に活物質層がペ
ーストを塗着させるか、電解的に析出させる方法によっ
て形成された帯状またはフープ状の極板にも同様に適用
できる。
損や活物質層の剥離・脱落による容量低下や内部短絡に
よる不良を大幅に低減し、角形電池の信頼性を向上させ
ることが可能であり、その工業的価値は大きい。
図
Claims (6)
- 【請求項1】 帯状またはフープ状の正極板及び負極板
がセパレータを介して配置され、捲芯部を中心に折り畳
まれ、巻回してなる電極群を備えた角形電池であって、
前記正極板は、巻内周側の面にあり、且つ少なくとも巻
芯に最も近い折り畳み線を含む正極の折り畳み線を中心
とする領域に、斑点状凹部を有することを特徴とする角
形電池。 - 【請求項2】 前記斑点状凹部の幅が折り畳み線を中心
として左右それぞれ0.5mm以上、10mm以下の範
囲とした請求項1に記載の角形電池。 - 【請求項3】 前記斑点状凹部の深さが活物質層の厚さ
の20%以上、70%以下の範囲とした請求項1に記載
の角形電池。 - 【請求項4】 前記斑点状凹部が30°以上120°以
下の範囲の断面がV字状の点によって形成された請求項
1に記載の角形電池。 - 【請求項5】 前記斑点状凹部の凹部と凹部とのピッチ
が0.5mm以上、2.0mm以下の範囲とした請求項
1に記載の角形電池。 - 【請求項6】 正極活物質を含む活物質層をアルミニウ
ム芯材上に形成し、帯状またはフープ状の正極板を得る
工程、電極群構成時に巻内周側の面にあり、且つ少なく
とも巻芯に最も近い折り畳み線を含む正極板の折り畳み
線を中心とする所定幅の領域に斑点状凹部を形成する工
程、セパレータを介して、前記正極板と帯状またはフー
プ状の負極板とを折り畳むように捲回し、断面が楕円状
にある電極群を構成する工程、前記電極群を加圧、変形
させて扁平状の電極群を得る工程を備える角形電池の製
造法。
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