JP2003340412A - 有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法およびそのための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】有機性廃棄物を嫌気性消化する方法において、
迅速に、高い有機物分解率で、高いガス化率で処理する
方法を提供する。 【解決手段】有機性廃棄物を嫌気性消化する際に、嫌気
性消化槽内の消化汚泥の少なくとも一部を導出し、好気
的に分解した後、再び嫌気性消化槽内に返送・循環して
当該分解処理物を嫌気性再消化する。また、得られた気
相部を回収し燃料とし、得られた液相及び固相部を回収
して有機性肥料とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、家庭、スーパーマ
ーケット、コンビニエントストア、外食産業、食品工場
などから排出される食品廃棄物、家庭の浄化槽・工場等
の廃水処理設備・下水処理場等から排出される有機性汚
泥、畜産排泄物などの生物系有機性廃棄物の嫌気性消化
処理方法及び該方法を実施するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、有機性廃棄物の嫌気性消化処理方
法としては、下水処理場における１段又は２段式嫌気性
消化法が知られている。この直接嫌気性消化処理方法
は、汚泥を半分程度に減量化できる、燃料ガスであ
るメタンが得られる、などといった利点を有するもので
ある。しかし、この直接嫌気性消化方法は、消化速度
が遅い、有機物分解率が悪い、大量の汚泥が発生す
るなどといった問題点があった。

【０００３】これらの問題点を解消するために、「消化
汚泥を主体とする混合液を嫌気性消化リアクターから引
き抜き循環・返送する過程で熱処理し、該混合液の一部
をリアクターから引き抜き循環・返送する系統に汚泥を
濃縮及び／あるいは固液分離する手段を設け、該混合液
を引き抜き循環・返送する系統からさらにその一部の混
合液を分岐し、１２０℃程度の高温に加熱して混合液を
殺菌し、不活性化して嫌気性消化リアクターに再投入す
るという方法」が提案されている（特公平１０−０８５
７８４号公報）。しかし、この方法では、大量の汚泥を
１２０℃程度にまで加温しなければならず、圧力容器も
必要でコストもかかり、エネルギーのロスが大きい等と
いった問題があった。

【０００４】一方、「有機性廃液を、好気性分解微生物
を含む活性汚泥の存在下に好気性処理する方法におい
て、被処理液中のＢＯＤの同化により増殖する汚泥量よ
りも多い量の活性汚泥を好気性処理系から引抜き、引抜
汚泥をオゾン処理したのち前記好気性処理系に導入する
ことを特徴とする有機性廃液の好気性処理方法」が提案
されている（特許第2973761号）が、オゾン発生のため
のエネルギーが大量に必要で、温室効果ガス発生やコス
ト増となる等の問題点がある上、オゾン処理した活性汚
泥を好気性処理するため、エネルギー回収の困難性があ
った。

【０００５】また、「有機性廃水を好気性条件下で処理
するための活性汚泥処理装置において、余剰汚泥を５５
℃より高い温度で好熱菌による微生物処理で可溶化し、
前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を曝気処理装
置に返送する返送経路とを設けた活性汚泥処理装置」が
提案されているが（特許第3048889号）、この方法では
可溶化された処理液を好気条件の曝気処理装置でさらに
無機化するため、二酸化炭素と水が得られるだけであ
り、また後段の曝気処理がエネルギー消費型処理でコス
ト増となり、エネルギー回収も難しい等の問題点があっ
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の実情に鑑みなされたものであって、有機性廃棄物の
嫌気性消化処理方法において、有機性廃棄物中の有機物
を迅速に高い分解率で分解・消化処理することができる
と共にメタンや肥料を効率的に製造することができる、
工業的に有利な有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法およ
び装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【発明を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明によれば、以下の発明が提供され
る。 （１）有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法であって、
（i）有機性廃棄物を嫌気性汚泥の存在下で嫌気的に消
化する工程、（ii）該消化工程で得られる消化若しくは
未消化の有機性廃棄物を含む嫌気性消化処理汚泥の少な
くとも一部を導出し、好気的に分解する工程、（iii）
生成する分解物を前記嫌気性消化工程に循環する工程を
含むことを特徴とする有機性廃棄物の嫌気性消化処理方
法。 （２）好気性分解処理を、酸素含有ガス及び／又は好気
性分解微生物の存在下で行う特徴とする上記（１）に記
載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。 （３）好気性分解処理を、好気性分解微生物が付着・増
殖し得る担体の存在下で行うことを特徴とする上記
（２）に記載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。 （４）好気性分解処理を酸素含有ガスの存在下で好気性
分解微生物が付着・増殖し得る担体に嫌気性消化処理汚
泥を供給しながら行うことを特徴とする上記（２）又は
（３）に記載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。 （５）前記（i）の消化処理工程において生成するメタ
ンを含有する気相部を回収し必要に応じ燃料として利用
することを特徴とする請求項１乃至４何れかに記載の有
機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。 （６）前記（i）の消化処理工程で得られる嫌気性消化
処理汚泥を直接又は固液分離により回収し、その回収物
を、必要に応じ肥料及び／又は肥料の原料として利用す
ることを特徴とする上記（１）乃至（５）何れかに記載
の有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。 （７）有機性廃棄物の嫌気性消化処理装置であって、
（Ｉ）有機性廃棄物を嫌気性消化汚泥の存在下で嫌気的
に消化する装置と、（II）該消化装置で得られる消化若
しくは未消化の有機性廃棄物を含む嫌気性消化処理汚泥
の少なくとも一部を導出する手段と、（III）導出され
た嫌気性消化処理汚泥を好気的に分解する装置と、（I
V）生成する分解物を（Ｉ）の嫌気性消化装置に循環す
る手段とを、備えたことを特徴とする有機性廃棄物の嫌
気性消化処理装置。 （８）上記（III）の装置が、回転円板構造を有するこ
とを特徴とする上記（７）に記載の有機性廃棄物の嫌気
性消化処理装置。 （９）上記（III）の装置が、酸素含有ガス及び／又は
好気性分解微生物の存在下で好気的に分解する手段を有
することを特徴とする請求項７乃至９何れかに記載の有
機性廃棄物の嫌気性消化処理装置。 （１０）上記（III）の装置が、酸素含有ガスの存在下
で好気性分解微生物が付着・増殖し得る担体に嫌気性消
化処理汚泥を供給する手段を有することを特徴とする上
記（７）又は（８）に記載の嫌気性消化処理装置。 （１１）上記（III）の装置に、酸素含有ガス供給装置
を付設したことを特徴とする上記（７）乃至（１１）何
れかに記載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理装置。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴は、従来の有
機性廃棄物の嫌気性消化処理方法の有する、消化速度
が遅い、有機物分解率が悪い、大量の汚泥が発生す
るなどといった問題点を克服するために、嫌気性消化槽
内の消化若しくは未消化の有機性廃棄物を含有する嫌気
性消化処理汚泥の少なくも一部を槽外に導出し、好気性
分解処理条件に付し、好気性分解微生物などによる分解
作用を受けさせ、生成する分解物を再度、嫌気性消化槽
に循環・返送し分解処理する点にある。

【０００９】本発明方法によれば、好気性分解微生物の
分泌するプロテアーゼやアミラーゼなどの酵素により、
導出された嫌気性消化処理汚泥中の微生物の細胞壁、細
胞膜やタンパク質などの高分子有機物の死滅や分解が促
進され、汚泥有機物が可溶化・低分子化する。汚泥有機
物が可溶化・低分子化しているため、嫌気性消化槽内に
返送・循環された後の嫌気性消化工程での有機物からの
メタン及び二酸化炭素への変換反応が効率よく進む。

【００１０】すなわち、従来の直接的嫌気性消化処理法
で、微生物の塊である廃水処理場の余剰汚泥などの有機
性廃棄物中の微生物が死滅しにくいことや分解されにく
いことが有機物分解率の低い主な原因であったが、本発
明方法では嫌気性消化槽内の嫌気性消化処理汚泥の少な
くとも一部を槽外に導出し、酸素含有ガスなどと接触さ
せながら導出した消化処理汚泥に好気性分解微生物によ
る分解作用を受けさせるため、消化処理汚泥中の微生物
の死滅や分解が進んでおり、導出した汚泥を嫌気性消化
槽内に返送循環した後の嫌気性消化処理工程での有機物
からのメタン及び二酸化炭素への変換反応が効率よく進
むのである。

【００１１】本発明の処理対象となる有機性廃棄物に
は、家庭、スーパーマーケット、コンビニエントスト
ア、外食産業、食品工場などから排出される食品廃棄
物、家庭の浄化槽等から発生する浄化槽汚泥、食品工場
・浄化槽・下水処理場等で廃水処理時に発生する、初沈
汚泥と呼ばれるタンパク質、炭水化物、脂質、繊維など
の有機物と水の混合物、余剰汚泥と呼ばれる廃水浄化の
際に増殖した微生物そのもの、食品工場・浄化槽・下水
処理場等で廃水処理後排出される初沈汚泥と余剰汚泥の
混合物である廃水処理汚泥一般が含まれる他、嫌気性消
化した後に排出される消化汚泥、屎尿、畜産排泄物など
の生物系有機性廃棄物が包含される。

【００１２】また、本発明の嫌気性消化汚泥には、例え
ば、酸発酵性微生物やメタン発酵性微生物などの嫌気性
消化微生物を含有する下水汚泥の嫌気性消化に使用され
る通常の嫌気性消化汚泥や、既存の嫌気性消化汚泥を好
気性分解産物に馴致培養したものなどが包含される。

【００１３】ここでいう、酸発酵性微生物とは、嫌気性
消化において有機酸等を生成する微生物を意味し、Bact
eroides sp.、Clostridium sp.、Bacillus sp.、Lactob
acillus sp.等があげられる。メタン発酵性微生物と
は、嫌気性消化においてメタンを生成する微生物を意味
し、Methanosarcina sp.、Methanosaeta sp.、Methanog
eum sp.等があげられる。両者とも従来よく知られてい
るものである。

【００１４】また、本発明でいう、好気性分解微生物と
は、至適温度50〜75℃、酸素の存在する条件で成育でき
る微生物を意味し、細胞外にプロテアーゼやアミラーゼ
などの有機物分解酵素を排出して有機物の分解を促進す
る微生物を意味するもので、その代表的な属としては、
Bacillus等があげられる。

【００１５】以下、本発明方法を具体的に説明する。本
発明方法においては、まず、（i）有機性廃棄物を分別
・破砕し、嫌気性消化処理する。嫌気性消化処理に当た
っては、熱処理や微生物処理などの前処理を行うことが
好ましいが、格別に行わなくても構わない。

【００１６】この嫌気性消化処理工程は、例えば分別破
砕処理された有機性廃棄物を前記した嫌気性消化汚泥と
混合し、含水率50〜99.9%、好ましく90〜99%に調整し、
10〜100℃好ましく30〜40℃の中温発酵かまたは50〜60
℃の高温発酵で嫌気性消化処理させ、メタンを含む消化
ガス（バイオガス）を発生させる。嫌気性消化槽として
は、通常の完全混合型、固定床、流動床、膜分離型など
の方法を使用することができる。この嫌気性消化処理工
程においては、嫌気性消化槽内には空気及び／又は酸素
は供給しない。

【００１７】次に、本発明方法においては、（ii）上記
嫌気性消化処理工程で得られる消化若しくは未消化の有
機性廃棄物を含む嫌気性消化処理汚泥の少なくとも一部
を導出し、これを好気的に分解する。この好気性分解処
理は、通常、酸素含有ガスや酸素含有ガスと好気性分解
微生物が共存する消化処理汚泥分解槽で行なわれる。例
えば、消化処理汚泥分解槽内で、消化処理汚泥と微生物
担体に固定化した好気性分解微生物とを接触させ、反応
温度は10〜100℃好ましくは55〜75℃で好気的に分解さ
せればよい。この場合、消化処理汚泥分解槽内には好気
性雰囲気を維持するために酸素や空気などの酸素含有ガ
スを供給することが望ましい。酸素含有ガスの供給量は
0.01〜１ vvm、好ましくは0.05〜0.2 vvm、酸素の濃度
は1〜100%、好ましくは20〜100%である。嫌気性消化処
理汚泥の導出量は、消化若しくは未消化の有機性廃棄物
を含む嫌気性消化処理汚泥の1〜200%、好ましくは5〜50
%とするのがよい。

【００１８】消化処理汚泥に好気性分解微生物の分解作
用を受けさせる他の方法としては、消化処理汚泥中に半
分程度水没して酸素含有ガス中に半分程度さらされた円
板を回転させる方法を用いてもよい。この場合、円板表
面に付着した好気性分解微生物が、消化処理汚泥の分解
を行う。回転円板型装置内での反応温度は10〜100℃好
ましくは55〜75℃で、回転円板の直径は嫌気性消化槽の
規模にもよるが概ね0.1〜10m、好ましくは0.5〜5mであ
る。回転円板の回転数は酸素の供給と関係があるので有
機物負荷により調整する必要があるが、通常0.01〜100
回転／分、望ましくは0.2〜5回転／分である。このよう
な装置としては、通常の廃水処理で使用される従来公知
の回転円板型装置を用いることができる。

【００１９】また、消化処理汚泥に好気性分解微生物の
分解作用を受けさせる更に他の方法としては、酸素含有
ガス雰囲気下で、消化処理汚泥を好気性分解微生物が付
着した微生物担体に滴下し、酸素含有ガスを供給しなが
ら消化処理汚泥と微生物担体に固定化した好気性分解微
生物と接触させ、好気的に分解させてもよい。その時の
反応温度は、10〜100℃好ましくは55〜75℃である。

【００２０】また、この好気性分解処理工程で用いる好
気性分解微生物（汚泥）としては、運転中の消化処理汚
泥分解槽から好気性分解微生物を移植したものや、好気
性分解微生物を含有する下水処理場の活性汚泥やコンポ
ストなどを種微生物としたものなどを利用することがで
きる。この好気性分解汚泥に含有される微生物量は、濃
度が低くても迅速に増殖するので0.01〜20%、望ましく
は1〜5%でよい。好気性分解微生物の付着していない回
転円板等の微生物担体に、始めこれら種微生物を接種
し、その後は好気的な条件で運転すれば、好気的分解微
生物は微生物担体上で増殖し、その後は種微生物を接種
しなくても汚泥分解が効率よく進むようになる。

【００２１】次に、本発明においては、（iii）消化処
理汚泥分解槽により好気的に分解処理された汚泥を、嫌
気性消化槽内に返送・循環し、嫌気的に再消化処理す
る。好気的に分解処理された汚泥を嫌気性消化槽内に返
送・循環する際に、嫌気性消化槽内への酸素含有ガスの
持ち込みは最小限にする必要がある。

【００２２】嫌気性消化微生物としては、前記したよう
に、例えば、酸発酵性微生物やメタン発酵性微生物を含
有する下水汚泥の嫌気性消化に使用される通常の嫌気性
消化汚泥や、既存の嫌気性消化汚泥を好気性分解産物に
馴致培養したもの使用することができる。

【００２３】前記したように、再消化される消化処理汚
泥は、好気性分解微生物の分泌するプロテアーゼやアミ
ラーゼなどの酵素により、消化処理汚泥中の微生物の細
胞壁、細胞膜やタンパク質などの高分子有機物が分解さ
れ、細胞残滓と比較的低分子の有機物の混合物となり、
微生物の死滅や分解が進んでいるため、本発明方法によ
れば、嫌気性消化槽での有機物からのメタン及び二酸化
炭素への変換反応が効率よく進む。

【００２４】本発明方法では、従来の有機性廃棄物の嫌
気的消化法に比べ有機物分解率が向上するため、残滓の
発生量も従来法に比べ減少する。この残滓は、窒素やリ
ンなどの肥料成分を多く含み発酵が進んでいるので、直
接及び／又は固液分離した後その回収物を、そのまま液
体肥料や固形肥料として利用及び／又は肥料の原料とし
て利用すること可能である。好気性分解槽の温度が高い
ので、病原性微生物等の有害微生物の多くが死滅するた
め、有機性肥料の原料として適している。また、消化処
理汚泥分解槽で処理された消化汚泥を嫌気性消化槽内で
再消化した際に発生するメタンを含む消化ガスも、直接
消化されて発生した消化ガスと同様に、気相部として回
収することができ、これらはボイラー燃料、消化ガス発
電、マイクロガスタービンや水素への改質後燃料電池の
燃料として利用することも可能である。

【００２５】次に、本発明方法を好ましく実施するため
の消化処理装置を図面を参照しながら詳述する。図１は
本発明の嫌気性消化処理装置の説明図である。図１にお
いて、１は有機性廃棄物貯留タンク、２は有機性廃棄物
配管、３は嫌気性消化槽、４は消化ガス配管、５は消化
ガス貯留タンク、６は消化処理汚泥導出配管、７は消化
処理汚泥分解槽、８は酸素含有ガス（空気）供給配管、
９はコンプレッサー、１０は好気性分解物配管、１１は
嫌気性分解物配管、１２は固液分離装置、１３は処理液
相部配管、１４は処理液相部貯留タンク、１５は処理固
相部配管、１６は処理固相部貯留タンクを各示す。

【００２６】図１の装置によって本発明方法を実施する
には、まず、有機性廃棄物貯留タンク１から処理対象と
なる有機性廃棄物をその配管２を通して、嫌気性消化槽
３に導入する。

【００２７】この嫌気性消化槽３において、嫌気性消化
汚泥により有機物からメタンと二酸化炭素への分解が進
む。発生したバイオガスは、消化ガス配管４を通って、
消化ガス貯留タンク５に貯留される。この場合の消化ガ
スは、通常CH4:50〜100モル％、CO2:0〜50モル％、H2:0
〜10モル％を含有する。

【００２８】つぎに、嫌気性消化槽３内の嫌気性消化処
理汚泥をその配管６により導出し、消化処理汚泥分解槽
７に導く。この消化処理汚泥分解槽７には、酸素含有ガ
スがコンプレッサー９によりその供給配管８より供給さ
れている。この消化処理汚泥分解槽７で消化処理汚泥を
好気的に分解処理する。

【００２９】前記したようにこの好気性分解処理では、
好気性分解微生物の増殖速度が速く、分解速度も速いた
め、消化処理汚泥分解槽７はその容量を小さくすること
ができる。なお、消化処理汚泥分解槽７には、槽内の汚
泥を撹拌し分解反応を促進させるために、必要に応じ撹
拌装置を具備させてもよい。

【００３０】消化処理汚泥分解槽７で生成する分解物
は、好気性分解物配管１０を通して嫌気性消化槽３に返
送循環される。嫌気性消化槽３は酸素がない嫌気条件に
保たれ、消化処理汚泥分解槽７で生成する分解物は、酸
生成微生物やメタン生成微生物などの働きで、メタン、
二酸化炭素、アンモニアなどに分解処理される。この
時、嫌気性消化の対象となる返送・循環された好気性分
解物は、すでに消化処理汚泥分解槽７で分解処理を受け
ているので、細胞構造などの破壊が進み細胞内の有機物
が可溶化しているので、酸生成微生物やメタン生成微生
物による分解反応を受けやすくなっている。そのため、
本発明においては、従来の有機性廃棄物の嫌気性消化に
見られる、滞留時間が長く、有機物分解率が低いという
問題点が改善され、嫌気性消化槽３をコンパクト化する
ことができる。

【００３１】また、嫌気性消化槽７で得られた嫌気性分
解物は、その配管１１を通って固液分離装置１２に導入
される。固液分離装置１２に導入された消化処理汚泥は
液相部と固相部に分離され、液相部はその配管１３を通
って、処理液相部貯留タンク１４に貯留される。処理液
相部（廃水）は、通常溶存有機物や溶存無機物の濃度の
低いものであり、必要に応じ廃水処理後放流される。固
相部はその配管１５を通って処理固相部貯留タンク１６
に貯留される。固相部は、有機物の分解が十分に行われ
ており、同時にアンモニアやリン酸を多く含むので、そ
のまま有機肥料及び／又は肥料の原料となる。また、含
水率が下がり十分減量化されているので、焼却処分して
もよい。前記固液分離装置１２は、濾過器や遠心分離
機、沈降槽等からなる。

【００３２】また、消化処理汚泥分解槽７で得られる消
化処理汚泥が嫌気性消化槽３内で再消化された際に発生
するメタンを含む消化ガスも、直接消化されて発生した
消化ガスと同様に、消化ガス配管４を通って、消化ガス
貯留タンク５に貯留される。

【００３３】

【発明の効果】本発明は前記のような構成であり、有機
性廃棄物をまず嫌気性消化処理工程に付し、ついで、嫌
気性消化槽内の消化処理汚泥の一部を導出し、この消化
処理を好気的に分解し、その分解物を嫌気性消化処理工
程に返送・循環し、嫌気性再消化したことから、有機性
廃棄物中の有機物は従来の嫌気性消化法と比較し、消化
速度が速く、有機物分解率が高く、同時にメタン化率も
向上する。また、その有機物分解率が高いため、嫌気性
消化後に発生する残滓（処理された固相部）の発生量が
少なくなり、最終的な汚泥処理量が低減される。更に、
本発明によれば、最終的に発生する残滓（処理された固
相部）や処理液にはアンモニアやリン酸が含有されてい
るので、アンモニアやリン酸を多く含む有機性肥料や液
肥を生産することができる。また、本発明の残滓から得
られる有機性肥料は、好気的なコンポスト法によって生
産される有機性肥料に比べ塩分濃度が低いという利点を
有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る有機性廃棄物の嫌気性消化処理装
置の説明図である。

【符号の説明】 １．有機性廃棄物貯留タンク ２．有機性廃棄物配管 ３．嫌気性消化槽 ４．消化ガス配管 ５．消化ガス貯留タンク ６．消化処理汚泥導出配管 ７．消化処理汚泥分解槽 ８．酸素含有ガス供給配管 ９．コンプレッサー １０．好気性分解物配管 １１．嫌気性分解物配管 １２．固液分離装置 １３．処理液相部配管 １４．処理液相部貯留タンク １５．処理固相部配管 １６．処理固相部貯留タンク

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法であ
   って、（ｉ）有機性廃棄物を嫌気性消化汚泥の存在下で
   嫌気的に消化する工程、（ii）該消化工程で得られる消
   化若しくは未消化の有機性廃棄物を含む嫌気性消化処理
   汚泥の少なくとも一部を導出し、好気的に分解する工
   程、（iii）生成する分解物を前記嫌気性消化工程に循
   環する工程を含むことを特徴とする有機性廃棄物の嫌気
   性消化処理方法。
2. 【請求項２】 好気性分解処理を、酸素含有ガス及び／
   又は好気性分解微生物の存在下で行う特徴とする請求項
   １に記載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。
3. 【請求項３】 好気性分解処理を、好気性分解微生物が
   付着・増殖し得る担体の存在下で行うことを特徴とする
   請求項２に記載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。
4. 【請求項４】 好気性分解処理を、酸素含有ガスの存在
   下、好気性分解微生物が付着・増殖し得る担体に嫌気性
   消化処理汚泥を供給しながら行うことを特徴とする請求
   項２又は３に記載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理方
   法。
5. 【請求項５】 前記（i）消化処理工程で生成するメタ
   ンを含有する気相部を回収し、必要に応じ燃料として利
   用することを特徴とする請求項１乃至４何れかに記載の
   有機性廃棄物の嫌気性消化処理方法。
6. 【請求項６】 前記（i）消化工程で得られる嫌気性消
   化処理汚泥を直接又は固液分離により回収し、その回収
   物を必要に応じ肥料及び／又は肥料の原料として利用す
   ることを特徴とする請求項１乃至５何れかに記載の有機
   性廃棄物の嫌気性消化処理方法。
7. 【請求項７】 有機性廃棄物の嫌気性消化処理装置であ
   って、（Ｉ）有機性廃棄物を嫌気性消化汚泥の存在下で
   嫌気的に消化する装置と、（II）該消化工程で得られる
   消化若しくは未消化の有機性廃棄物を含む嫌気性消化処
   理汚泥の少なくとも一部を導出する手段と、（III）導
   出された嫌気性消化処理汚泥を好気的に分解する装置
   と、（IV）生成する分解物を（Ｉ）の嫌気性消化装置に
   循環する手段とを、備えたことを特徴とする有機性廃棄
   物の嫌気性消化処理装置。
8. 【請求項８】 上記（III）の装置が、回転円板構造を
   有することを特徴とする請求項７に記載の有機性廃棄物
   の嫌気性消化処理装置。
9. 【請求項９】 上記（III）の装置が、酸素含有ガス及
   び／又は好気性分解微生物の存在下で好気的に分解する
   手段を有することを特徴とする請求項７又は８に記載の
   有機性廃棄物の嫌気性消化処理装置方法。
10. 【請求項１０】 上記（III）の装置が、酸素含有ガス
    の存在下で好気性分解微生物が付着・増殖し得る担体に
    嫌気性消化処理汚泥を供給する手段を有することを特徴
    とする請求項７乃至９何れかに記載の嫌気性消化処理装
    置。
11. 【請求項１１】 上記（III）の装置に、酸素含有ガス
    供給装置を付設したことを特徴とする請求項７乃至１０
    何れかに記載の有機性廃棄物の嫌気性消化処理装置。