JP2003332814A - アンテナを設計する方法および装置 - Google Patents

アンテナを設計する方法および装置

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JP2003332814A
JP2003332814A JP2003059084A JP2003059084A JP2003332814A JP 2003332814 A JP2003332814 A JP 2003332814A JP 2003059084 A JP2003059084 A JP 2003059084A JP 2003059084 A JP2003059084 A JP 2003059084A JP 2003332814 A JP2003332814 A JP 2003332814A
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antenna
conductor
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JP2003059084A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Sakiyama
一幸 崎山
Yasunao Okazaki
安直 岡崎
Michio Okajima
道生 岡嶋
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取り得る形態の多数の組合せの中から、必要
な特性を示す最適なアンテナ形態を適切に見つけ出すこ
とができ、設計者の熟練が不要となるアンテナ設計を提
供する。 【解決手段】 2次元または3次元の解析領域を複数の
要素に区画するステップST1と、解析領域内に含まれ
るアンテナの形態を記述する変数を定義するステップS
T2と、変数を設定することにより、変数によって記述
されるアンテナの形態を設定する行うステップST4
と、ステップST4で決定されたアンテナの形態によっ
て生じる解析領域の電磁界パターンを求めるステップS
T6と、ステップST6において求められた電磁界パタ
ーンに基づいて、アンテナの特性評価を行うステップS
T7とを含み、異なる複数の変数について、ステップS
T4からステップST7までを順次または並列的に実行
することにより、複数の変数の各々によって記述される
形態を有する個々のアンテナの特性評価の結果を得て、
この特性評価の結果に基づいてアンテナの形態を決定す
るアンテナ設計方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波やミリ
波などの電磁波の送受信に用いられるアンテナの設計に
関しており、特に、無線を利用した携帯情報端末や、パ
ーソナルコンピュータのネットワーク(いわゆる無線L
AN)用機器に最適なアンテナの設計に関するものであ
る。また、本発明は、設計されたアンテナを備えた各種
の装置にも関している。
【0002】
【従来の技術】従来より、TV、ラジオなどの分野で
は、映像、画像信号の電磁波を受けるため、あるいは送
るために、各種のアンテナが開発されている。このよう
なアンテナには、例えば、パラボラアンテナ、反射鏡ア
ンテナなどの開口面アンテナや、ダイポールアンテナ、
パッチアンテナなどの線状アンテナや、平面アンテナ、
スロットアンテナなどのアレーアンテナが知られてい
る。
【0003】これらのアンテナについては、指向性、利
得、およびインピーダンスなどのファクタを如何に改善
するかということを主眼とした多くの改良が積み重ねら
れている。アンテナの形態や設置位置は、送受信する電
波の周波数や電波を受ける方向に応じて、上記の指向
性、利得、およびインピーダンスを最適化するように設
計され、定められている。
【0004】このようなアンテナを設計する方法として
は、所定の用途に適合した形態を有すると考えられるア
ンテナを選択した後、そのアンテナの各部のサイズ
(幅、長さ、厚さなどのパラメータ)を少しずつ変更し
ては、アンテナ特性を評価することにより、アンテナ形
態を最適化する手法が採用されている。
【0005】この場合のアンテナ特性の評価には、シュ
ミレーションによって求めた電磁界パターンに基づいて
行われる場合と、形態の異なるアンテナを試作して実際
にアンテナ特性を測定して行う場合がある。このような
アンテナの設計方法は、例えば、特許文献1に記載され
ている。
【0006】
【特許文献1】特開9−51224号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のアンテナ設計方
法によれば、設計パラメータの初期値は、最初に設定す
るアンテナの形態に依存しており、その形態は設計者の
経験に基づいて選択されるため、設計者の熟練度によっ
て設計に必要な時間が長大化したり、あるいは、最適な
形態に到達しない場合があり得る。
【0008】また、従来の設計方法において、シュミレ
ーションや計算によってではなく、現実にアンテナを試
作して特性を評価する場合は、形態の異なるアンテナを
多数施策する必要があるため、設計に要するコストや時
間の負担が大きいという問題もある。
【0009】本発明の主たる目的は、設計者に経験によ
らず、必要なアンテナ特性を発揮するアンテナ形態を決
定することが可能なアンテナの設計方法および設計装置
を提供することにある。
【0010】また、本発明の他の目的は、上記のアンテ
ナの設計方法を実施しながら、アンテナの形態を動的に
変更し得る装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるアンテナの
方法は、2次元または3次元の解析領域内に含まれるア
ンテナの形態を記述する変数を定義するステップ(a)
と、前記変数を設定することにより、前記変数によって
記述されるアンテナの形態を設定する行うステップ
(b)と、前記ステップ(b)で決定されたアンテナの
形態によって生じる前記解析領域の電磁界パターンを求
めるステップ(c)と、前記ステップ(c)において求
められた電磁界パターンに基づいて、前記アンテナの特
性評価を行うステップ(d)とを含み、異なる複数の変
数について、前記ステップ(b)から前記ステップ
(d)までを順次または並列的に実行することにより、
前記複数の変数の各々によって記述される形態を有する
個々のアンテナの特性評価の結果を得て、この特性評価
の結果に基づいてアンテナの形態を決定する。
【0012】好ましい実施形態において、前記ステップ
(a)では、前記解析領域内においてアンテナを形成し
ようとする領域をアレイ状に配置された複数のセルに区
画し、前記複数のセルに割り当てた符号の組を変数とし
て、個々のアンテナの形態を記述する。
【0013】好ましい実施形態において、前記ステップ
(a)では、アンテナを形成しようとする領域をアレイ
状に配置された複数のセルに区画して、各セルにおける
導体の有無をマトリクスで表した変数によりアンテナの
形態を記述する。
【0014】好ましい実施形態において、遺伝子アルゴ
リズムを用いてアンテナの特性が所望範囲に収束するよ
うに前記ステップ(b)から前記ステップ(d)を繰り
返す。
【0015】好ましい実施形態において、前記ステップ
(b)では、アンテナを形成しようとする領域をアレイ
状に配置された複数のセルに区画して、各セルにおける
導体占有率をマトリクスで表した変数によりアンテナの
形態を記述する。
【0016】好ましい実施形態において、ニューラルネ
ットワークを用いてアンテナの特性が所望範囲に収束す
るように前記ステップ(b)から前記ステップ(d)を
繰り返す。
【0017】好ましい実施形態において、前記複数の要
素を有限要素法における有限要素として区画するステッ
プを更に含み、前記ステップ(c)では、有限要素法を
用いて解析領域における電磁界パターンを求める。
【0018】好ましい実施形態において、アンテナ設計
対象領域及びアンテナ設計対象領域を囲む領域全体を前
記有限要素に区画すねステップを更に含み、前記ステッ
プ(a)では、前記アンテナ設計対象領域における有限
要素を前記セルとして変数を定義する。
【0019】本発明による他のアンテナの設計方法は、
アンテナの形態を可変に形成する形態形成手段を定義す
るステップ(a)と、前記形態形成手段を用いてアンテ
ナの形態を規定するための変数を定義するステップ
(b)と、前記ステップ(b)で定義された変数を用い
て前記形態形成手段によりアンテナの形態を形成するス
テップ(c)と、前記ステップ(c)で形成されたアン
テナの特性を測定するステップ(d)と、前記ステップ
(d)において検出されたアンテナの特性が所望範囲に
あるか否かを判別するステップ(e)とを含み、前記ア
ンテナの特性が所望範囲になるまで前記ステップ(c)
から前記ステップ(e)を繰り返す。
【0020】好ましい実施形態において、前記ステップ
(a)では、前記形態形成手段を、アンテナ形成領域に
配置され、互いに分離された複数の導体要素と、各導体
要素間を導通・非導通に切り換えるための接続要素と、
この接続要素を移動させるための移動機構とによって定
義しておき、前記ステップ(c)では、前記移動機構を
制御することにより、前記アンテナの形態を形成する。
【0021】好ましい実施形態において、前記ステップ
(d)では、アンテナの利得、指向性及びインピーダン
スのうち少なくともいずれか1つの特性を測定し、前記
ステップ(e)では、アンテナの利得、指向性及びイン
ピーダンスのうち少なくともいずれか1つの特性のレベ
ルが所望範囲にあるか否かを判別する。
【0022】好ましい実施形態において、前記ステップ
(d)では、外部機器からの信号をも利用してアンテナ
の特性を求める。
【0023】本発明のアンテナの設計方法は、遺伝子ア
ルゴリズムを用いたアンテナの設計方法であって、アン
テナが形成され得る2次元または3次元の空間を複数の
セルに区画し、前記複数のセルにそれぞれ割りあてられ
た数値からなる符合によって個々のアンテナの形態を記
述し、それによってアンテナの形態を符号化するステッ
プ(a)と、前記符号の母集団を設定し、前記母集団を
構成する個々の符号によって記述される形態を有する個
々のアンテナの特性を評価するステップ(b)とを含
み、前記評価の結果に基づいて、前記母集団に対する選
択、交又、および/または突然変異の遺伝的操作を行
い、前記母集団を更新するステップ(c)と、前記ステ
ップ(b)および前記ステップ(c)を繰り返すことに
より、前記評価の所定基準を超える特性を持つアンテナ
の形態を決定する。
【0024】本発明のアンテナの設計装置は、2次元ま
たは3次元の解析領域を複数の要素に区画する手段
(a)と、前記解析領域内に含まれるアンテナの形態を
記述する変数を定義する手段(b)と、前記変数を設定
することにより、前記変数によって記述されるアンテナ
の形態を設定する行う手段(c)と、前記手段(c)で
決定されたアンテナの形態によって生じる前記解析領域
の電磁界パターンを求める手段(d)と、前記手段
(d)において求められた電磁界パターンに基づいて、
前記アンテナの特性評価を行う手段(e)とを備え、異
なる複数の変数について、前記変数の設定から前記アン
テナの特性までの処理を順次または並列的に実行するこ
とにより、前記複数の変数の各々によって記述される形
態を有する個々のアンテナの特性評価の結果を得て、こ
の特性評価の結果に基づいてアンテナの形態を決定す
る。
【0025】本発明の他のアンテナ設計装置は、アンテ
ナが形成され得る2次元または3次元の空間を複数のセ
ルに区画し、前記複数のセルにそれぞれ割りあてられた
数値からなる符合によって個々のアンテナの形態を記述
し、それによってアンテナの形態を符号化する手段
(a)と、前記符号の母集団を設定し、前記母集団を構
成する個々の符号によって記述される形態を有するアン
テナの特性を評価する手段(b)と、前記評価の結果に
基づいて、前記母集団に対する選択、交又、および/ま
たは突然変異の遺伝的操作を行い、前記母集団を更新す
る手段(c)とを備え、前記アンテナの特性の評価と前
記母集団の更新とをを繰り返すことにより、前記評価の
所定基準を超える特性を持つアンテナの形態を決定す
る。
【0026】本発明のコンピュータ・プログラムは、コ
ンピュータに対して、2次元または3次元の解析領域を
複数の要素に区画するステップ(a)と、 前記解析領
域内に含まれるアンテナの形態を記述する変数を定義す
るステップ(b)と、前記変数を設定することにより、
前記変数によって記述されるアンテナの形態を設定する
行うステップ(c)と、前記ステップ(c)で決定され
たアンテナの形態によって生じる前記解析領域の電磁界
パターンを求めるステップ(d)と、前記ステップ
(d)において求められた電磁界パターンに基づいて、
前記アンテナの特性の評価を行うステップ(e)とを実
行させ、更に、異なる複数の変数について、前記ステッ
プ(c)から前記ステップ(e)までを順次または並列
的に実行させることにより、前記複数の変数の各々によ
って記述される形態を有する個々のアンテナの特性の評
価結果を算出させる。
【0027】本発明の他のコンピュータ・プログラム
は、コンピュータに対して、アンテナが形成され得る2
次元または3次元の空間を複数のセルに区画し、前記複
数のセルにそれぞれ割りあてられた数値からなる符合に
よって個々のアンテナの形態を記述し、それによってア
ンテナの形態を符号化するステップ(a)と、前記符号
の母集団を用意し、前記母集団を構成する個々の符号に
よって記述される形態を有するアンテナの特性を評価す
るステップ(b)と、前記評価の結果に基づいて、前記
母集団に対する選択、交又、および/または突然変異の
遺伝的操作を行い、前記母集団を更新するステップ
(c)とを実行させ、更に、前記ステップ(b)および
前記ステップ(c)を繰り返して実行させる。
【0028】本発明の装置は、互いに分離され、各々が
単独ではアンテナとして機能しない複数の導電体要素の
アレイと、前記複数の導電体要素から選択された少なく
とも2つの導電体要素を電磁気的に結合し、結合した複
数の導電体要素を1つのアンテナ要素として機能させる
結合手段と、前記複数の導電体要素を支持する誘電体層
とを備え、前記結合手段は、前記選択された複数の導電
体要素を電気的に接続し得るスイッチング素子を有して
いるアンテナと、前記複数のスイッチング素子を駆動す
る信号を生成する駆動回路と、演算器と、前記演算器に
対して、2次元または3次元の解析領域を複数の要素に
区画するステップ(a)と、 前記解析領域内に含まれ
るアンテナの形態を記述する変数を定義するステップ
(b)と、前記変数を設定することにより、前記変数に
よって記述されるアンテナの形態を設定する行うステッ
プ(c)と、前記ステップ(c)で決定されたアンテナ
の形態によって生じる前記解析領域の電磁界パターンを
求めるステップ(d)と、前記ステップ(d)において
求められた電磁界パターンに基づいて、前記アンテナの
特性の評価を行うステップ(e)とを実行させ、更に、
異なる複数の変数について、前記ステップ(c)から前
記ステップ(e)までを順次または並列的に実行させる
ことにより、前記複数の変数の各々によって記述される
形態を有する個々のアンテナの特性の評価結果を算出さ
せる、コンピュータ・プログラムを格納したメモリとを
備えている。
【0029】
【発明の実施の形態】まず、本発明による設計方法の実
施形態を説明する。
【0030】図41は、本発明によるアンテナの設計方
法の手順の一例を示すフローチャート図である。ここで
は、有限要素法などによる解析を用いたアンテナの設計
方法について説明する。
【0031】まず、ステップST1で、解析領域の全体
を有限要素法による解析を行なうための細かい要素(有
限要素)に分割する。この解析領域は、2次元または3
次元の空間であり、その内部にアンテナが形成される領
域(アンテナ形成領域)を含んでいる。すなわち、本明
細書における「解析領域」とは、アンテナの設計対象領
域のみならず、その周囲の空間領域(又は絶縁体)など
を含む領域である。
【0032】次に、ステップST2で、解析領域のう
ち、アンテナを構成する導体部分が配置され得る領域
を、アンテナ形態の設計対象領域として定義する。この
ステップST1、ST2の処理の具体例を以下に説明す
る。
【0033】まず、図42を参照しながら、第1の具体
例を説明する。
【0034】図42(a)は、平面型アンテナを設計す
る場合の2次元的な「解析領域」の一部を模式的に示し
ている。図42(a)には、4つの導電性部材302a
〜302dを構成要素として含むアンテナ301が示さ
れている。図示されている4つの導電性部材302a〜
302dの各々は、長方形の平面パターンを有している
が、これらの導電性部材302a〜302dの各々の形
状を変化させることにより、アンテナ301に所望の特
性を付与することになる。
【0035】図42(b)に示すように、各導電性部材
302a〜302dが位置する領域をアンテナの形態設
計の対象領域として選択し、この領域を複数のセル30
3に区画する。アンテナの形態設計の対象領域が2次元
であるため、セル303も行および列からなるマトリク
ス状に配列することが好ましい。アンテナの3次元的な
形態を設計する場合は、セル303を3次元的に配列す
ることが好ましい。
【0036】次に、各セル303における導体の有無
を"0"および"1"によってコード化する(コーディン
グ)。図42(b)においてハッチングされたセル30
3には導体が存在し、ハッチングされていないブランク
のセル303には導体が存在しないとすると、図42
(c)に示す数値の組が得られる。この数値の組は、図
42(b)に示す導体の形態に対応する要素xij(xij
は1又は0で、i=M、j=N(M、Nは正の整数))
からなるマトリクスを形成する。本発明による設計方法
では、アンテナの形態を記述する変数として、このよう
なマトリクスを用いる。なお、セル303が3次元的に
配列される場合、マトリクスも3次元化される。
【0037】アンテナの特性は、マトリクス変数に依存
し、この変数を用いた目的関数として表現される。故
に、アンテナ特性を評価し、最適化するための操作にマ
トリクス変数を用いることができる。
【0038】図42(b)および図42(c)には、簡
単化のため、9個の完全なセルが記載されているが、各
形態設計の対象領域は、M×N個のセルに区画されてい
る(M、Nは正の整数)。このため、M行N列のマトリ
クスが変数として用意される。マトリクスの要素に
は、"1"または"0"の数値が与えられるため、マトリク
ス変数の数は、2の(M×N)乗となる。マトリクス変
数に対応するアンテナの形態を考えると、その形態の数
も2の(M×N)乗だけ存在することになるが、その中
には、導体部分に対応するセルが1つも無いパターン
や、対象領域の全てが導体部分に埋め尽くされているパ
ターンも含まれており、アンテナとして正常に動作しな
い形態も存在する。
【0039】以上の説明から明らかなように、図42
(c)に示す数値の組(マトリクス変数)は、図42
(b)に示す導体要素(各々がセルに対応する)の配列
に対応しており、アンテナの形態を符号化(コーディン
グ)したものに相当する。言い換えると、図42(c)
に示す数値の組は、アンテナの形態を表現する符号であ
る。本発明では、この符号を用いてアンテナの形態を記
述するため、多様なアンテナの形態を適切に取り扱うこ
とが可能となる。従来の設計方法では、予め設定された
形態をもつアンテナの特定部分の寸法を変数として目的
関数を作成していたため、記述できるアンテナ形態が極
めて狭い範囲に限定され、数値的な処理のみによって多
様な形態をもつアンテナを取り扱うことができなかっ
た。これに対し、本発明では、2次元または3次元の空
間内で多様なアンテナ形態を記述する変数が用意される
ため、設計者の経験に拘束されない任意の形態を設計プ
ロセスの初期値として選択することが可能になる。
【0040】このように本発明では、アンテナの形態を
記述するために予め大枠が与えられた導体パターンの幅
や長さなどの形態パラメータを変数としてアンテナ特性
を最適化を図る代わりに、上記の符号化によって得られ
る数値の列を用いてアンテナ特性の最適化を図るため、
例えば"001…001…011…"という数値の配列を
用いることにより、遺伝子アルゴリズム(Geneti
c Algorithms)や、極小値を求める急速降
下法などを用いた最適設計が可能になる。
【0041】以下、遺伝子アルゴリズムを用いて本発明
のアンテナ設計を行う場合を説明する。
【0042】遺伝子アルゴリズムとは、「遺伝的アルゴ
リズム」または「遺伝型アルゴリズム」とも呼ばれる学
習的アルゴリズムであり、生物が環境に適応して進化し
てゆく過程を工学的に模倣したアルゴリズムである。
【0043】遺伝子アルゴリズムでは、設計対象のパラ
メータが染色体(Chromosome)と呼ばれる符
合(文字列または数値の組)で表現される。個々の設計
パラメータで規定される形態を備えたアンテナの各々が
「個体(Indivisual)」であり、個体の集団
が母集団(Population)である。初期化され
た母集団に対して、選択(Selection)、交又
(Crosover)、突然変異(Mutaion)な
どの遺伝的操作を繰り返して行う。そして、個々の個体
について目的関数に基づく評価を行っては、次の母集団
の構成を更新する。母集団の中に条件を満たす個体
(解)が存在するなど、所定の条件が満たされたとき、
遺伝子アルゴリズムは終了する。
【0044】遺伝子アルゴリズムにおいて、例えば個体
{1111}および個体{0000}に対して交又の処
理を行うと、個体{1100}および個体{0011}
などが生成される。また、個体{1111}に対して突
然変異の処理を行うと、例えば{1101}が生成され
る。前述した方式でアンテナの形態を数値の列に符号化
すれば、上記のような遺伝型処理を実行することが可能
になる。
【0045】なお、「評価」は、アンテナ特性を公知の
方法で計算した電磁界パターンに基づいて行うこともで
きるし、また、実際にアンテナを作成してアンテナ特性
を測定することよって行うこともできる。遺伝子アルゴ
リズムをアンテナ設計に適用する場合に重要な特注点
は、所望の特性を発揮するアンテナ形態が見つからなか
ったときに行うアンテナ形態の変更(形態記述のための
変数の変更:解の探索)を、上述の選択、交又、突然変
異などの処理によって行うことにある。
【0046】次に、図46を参照しながら、上述した遺
伝子アルゴリズムを説明すると、以下のようになる。
【0047】まず、図46(a)に示すように、多数の
アンテナ形態を含む初期の母集団を選択する。図46
(a)では、4つのアンテナ形態が例示されているが、
実際には、この数よりも多くの形態が初期化された母集
団の要素として選択される。選択の基準は、アンテナの
用途やアンテナが置かれる状況に応じて変化してもよい
し、特に選択の基準を設けず、全くのランダムに形態を
選んでも良い。図では、16行×17列のマトリクスが
示されており、黒い部分が導体部分である。16×17
=272であるため、各アンテナ形態は、「0」または
「1」の数値の272個のシー検すあるいはマトリクス
によって表現される。従って、母集団は、2217個の形
態から適宜に選択された複数の形態を含んでいる。
【0048】次に、母集団に対して交又や突然変異など
の処理を行う。図46(a)に示される個々の形態は、
前述したようにして符号化されているため、交又や突然
変異も数値的な処理によって実行される。図46(b)
に示す例では、交又や突然変異によって、図46(a)
には図示されていなかった形態が形成されている。
【0049】次に、図46(b)に示す形態のアンテナ
の電磁界パターンを求め、アンテナの特性を評価する。
ここでは、指向性が或る規準を超えたアンテナ形態を選
択するものとする。この結果、図46(c)に示す形態
が選択され、新たな母集団を構成する。この後、交又な
どの処理を行い、図46(d)に示すように、新しい形
態を形成し、これらの形態を有するアンテナの評価を行
う。評価の結果、例えば、図46(d)の右側に示す形
態をもつアンテナが最も指向性の高いアンテナの形態と
して選択され得る。
【0050】このような方法によれは、多様な形態の中
から求める形態(解)を見いだすことが可能であり、初
期化された母集団の構成は、設計者の熟練度によらずに
選択され得る。
【0051】以上説明してきた例では、形態設計の対象
領域内においてアンテナの導体部分が存在する領域(黒
いセル)には、論理値“1”を割り当て、導体部分が存
在しない領域(白いセル)には論理値“0”を割り当て
ているが、符号化の方法はこれに限定されない。
【0052】次に、図43を参照しながら、他の符号化
を説明する。
【0053】図43(a)〜(b)は、それぞれ、図4
2(a)〜(b)に対応する図面である。図43(b)
と図42(b)とを比較してわかるように、この例で
は、セル単位で導体部分が存在するか否かが区画され
ず、各セル313における導体部分の占める割合(導体
占有率)がNビットの数値によって符号化される。図4
3(c)は、図43(b)の導体パターンに対応する要
素xij(xijはKビットの変数で、i=M、j=N
(M、Nは正の整数))からなるマトリクスを示してい
る。アンテナの形態を記述するマトリクスを変数とし、
この変数の関数である最適化の目標となる目的関数を定
義することができる。
【0054】図43(a)〜(c)に示される符号化に
よってアンテナの形態を記述する場合、例えば各セルの
導体占有率を重み付けとするニューラルネットワークな
どを用いた最適設計が可能である。この導体占有率は、
具体的には各セルに形成される開口の大きさなどによっ
て実現される。
【0055】なお、導体専有率以外のパラメータを各セ
ルに割り当てることにより、アンテナの形態を記述して
もよい。例えば、各セル内における導体部分の厚さ、導
体部分の向き、導体部分の形状などを可変にし、それの
パラメータを規定する数値を対応するセルに割り当てて
も符号化が可能である。
【0056】以上に例示した方法により、ステップST
1およびステップST2を実行した後、図6に示すステ
ップST3において、必要なアンテナの特性及びそのレ
ベルを定める。この特性とは、アンテナの利得、指向
性、インピーダンスなどである。なお、ステップST3
は、ステップST1よりも前に実行してもよい。
【0057】次に、ステップST4で、形態記述のため
の変数の初期値を、例えば、図42(c)や図43
(c)に示すマトリクスのように決定する。このステッ
プは、遺伝子アルゴリズムでは、「初期化された母集
団」を用意(設定)するステップに相当する。
【0058】ステップST5では、形態記述のための変
数(例えばマトリクス)を参照しながら、対応する要素
(有限要素)の物理特性を規定しているデータベースを
必要に応じて更新する。この物理特性とは、各要素の透
磁率、導体率、誘電率などである。
【0059】ステップST6では、有限要素法を利用し
た電磁界解析を解析領域全体で行なう。基本的には、こ
の電磁界解析は、公知の方法で実行することが可能であ
る。その手順の一例を以下に説明する。
【0060】まず、電磁界の解析の基礎となる方程式
は、マクスウェルの電磁界方程式から導かれ、下記式
(1)により表される。
【0061】 rot[μ]-1・rotE+[σ](δE/δt)+[ε](δ2E/δt2) (1)
【0062】ここで、式(1)において、μは透磁率、
σは導電率、εは誘電率、Eは電界、δは偏微分の演算
子である。また、Eはベクトルであり、μ、σ、εはテ
ンソルである。
【0063】なお、式(1)は、電界Eを変数とする場
合の方程式であるが、磁界Hを変数とする方程式や、電
界E及び磁界Hを変数とする方程式もマクスウェルの電
磁界方程式から導かれる。
【0064】そして、上記式(1)を解析領域の細かい
要素(有限要素)に分割し、各要素において離散的な近
似法でEを近似して(1)をマトリクス式にする。そし
て、これを全要素について重畳することにより、全体マ
トリクス式と呼ばれる下記式(2)を導き出す。
【0065】 [K][E]+[C](δ[E]/δt)+[L](δ2[E]/δt2)+[F(t)]=0 (2)
【0066】そして、式(2)に境界条件を与えること
により、解を算出することができる。ここで、[E]は、
解析領域全体で電界Eを近似するために離散的に仮定し
た未知数を表すベクトルで、[K]は透磁率μのテンソ
ル値やアンテナの形態によって定まる係数ベクトルであ
り、[C]はアンテナのセルの導体率パターンや形態に
よって定まる係数ベクトルであり、[L]は、誘電率ε
のテンソル値やアンテナの形態によって定まる係数ベク
トルである。また、F(t)は、アンテナが受ける電界
(受信用アンテナの場合)や電流(送信用アンテナの場
合)を表す関数である。
【0067】既に説明したように、本発明のアンテナの
形態設計によれば、アンテナの設計対象領域及びその周
囲の空間領域(又は絶縁体)を含む領域を解析領域とす
る。図44は、第1の実施形態の設計方法に用いられる
解析領域を区画した有限要素の一単位における電界Eの
成分を示す図である。図44に示すように、局所座標
(ξ、η、ζ)において各有限要素の各辺における電界
Eの成分は、E1 〜E8 と表すことができる。そし
て、各辺を共有する複数の有限要素間は、同じ電界成分
E1〜E8を有している。したがって、多数の有限要素
について、式(2)から有限要素の個数だけの連立方程
式を作成し、この連立方程式の境界条件を定めて数値解
析により解いていくと、各有限要素の電界成分E1 〜
E8 が求められる。
【0068】なお、式(1)における[μ]、[σ]、
[ε]は、いずれも局所座標(ξ、η、ζ)における9
つの成分をもったテンソルとして表される。
【0069】ここで、アンテナの各セルの導体パターン
や、その周囲の条件が定まると、式(2)における係数
マトリクス[K]、[C]、[L]は定まる。例えば、
図42(b)、(c)に示す例では、導体が形成されて
いるセルの導電率σを1とし、導体が形成されていない
セルや、周囲の空間の導体率を0とすることができる。
また、図43(b)、(c)に示す例では、各セルの導
電率σは、その導体占有率に応じた0から1の間の値を
することができ、周囲の空間における導電率σは0とす
ることができる。このように、初期条件として、解析領
域における導電率σの分布が決定されると、それに応じ
て式(2)における[C]が定まる。同様に、アンテナ
を構成する各セルの材料や、周囲の物質によって各有限
要素の透磁率μや誘電率εが定まるので、式(2)にお
ける係数マトリクス[K]や[L]が定まる。さらに、
アンテナに入力される電波F(t)をある値に仮定す
る。この条件で式(2)を解くと、各有限要素における
電界Eの分布などが求まる。ここでは、電界Eを求める
場合について説明したが、各有限要素の磁界Hを求める
場合にも同様の手順を採ることができる。
【0070】そして、各有限要素の電磁界を総合するこ
とにより、解析領域全体の電磁界パターンが求まる。こ
の電磁界パターンから、アンテナの利得、指向性、イン
ピーダンスなどの、ステップST3で定められた特性の
レベルがわかる。
【0071】なお、アンテナの形態を動的に変化させる
ことができる場合、個々の形態に対するアンテナ特性の
評価を、実測によって行うことも可能である。
【0072】次に、図41に示すステップST7で、解
析の結果得られた特性のレベルが、目標とする特性の所
望のレベルに達するか否かを判定する。この判定結果が
NOのとき、つまり、設計されたアンテナの特性のレベ
ルが所望の範囲に入っていないときには、ステップST
8に進んで、アンテナの形態を記述するための変数(マ
トリクス)を修正する。例えば、図42(b)に示す各
セル303のうち導体を有するセル数を増やしたり、図
43(b)に示す各セル313の導体占有率を変更する
などである。遺伝子アルゴリズムによる場合、選択、交
又、突然変異などの処理を行うことにより、変数の変更
(母集団の更新)を行うことができる。
【0073】そして、アンテナの設計によって得られた
アンテナ特性のレベルが所望の範囲に収束するまでステ
ップST5〜ST7の処理を繰り返し、ステップST7
における判定結果がYESになると、つまり、アンテナ
の特性のレベルが所望の範囲に収束すると、ステップS
T9に進んで、適正なアンテナの構造を表す変数(マト
リクス)を出力する。このアンテナの形態を記述するた
めの変数はデータベースに取り込まれて、アンテナを生
産するときの基本的な設計資料となる。
【0074】以上の方法によれば、実際にアンテナの構
造を作り上げなくても、解析のみにより、アンテナの形
態を多種多様に設計することができる。特に、有限要素
法を用いた場合には、アンテナの微細な構造を精度よく
設計することができる。
【0075】また、アルゴリズムとして遺伝子アルゴリ
ズムを用いた場合には、急速降下法のような局所的な最
適解に陥る自体を回避して、迅速に最適解に収束しうる
利点がある。ただし、遺伝子アルゴリズムのみでは、迅
速に最適解に近づくことができても、最適解に確実に収
束するという保証はない。そこで、解析の初期において
は遺伝子アルゴリズムを用いて最適解の見当をつけてか
ら、急速降下法を組み込んだニューラルネットワークを
用いてもよい。本実施形態においては、当初は図42
(b)、(c)に示す0、1パターンのマトリクスを変
数として遺伝子アルゴリズムを用い、大まかなアンテナ
パターンが定まってから、図43(b)、(c)に示す
ように、各セルの導体占有率(重み付け係数)を変化さ
せた、ニューラルネットワークを用いる方法に移行して
もよい。
【0076】なお、本実施形態では、図42(b)に示
すセル103や、図43(b)に示すセル303を、図
43に示す有限要素としている。しかし、有限要素をア
ンテナの構造を定めるためのセルよりも細かく区画して
もよいし、あるいはセルよりも大きく区画してもよい。
ただし、本実施形態のように、有限要素法の解析のため
の有限要素を、アンテナの設計対象領域及びその周囲を
囲む領域に亘って共通に区画することにより、アンテナ
の各部において有限要素法による電磁界の解析が直接行
なわれるので、解析が迅速かつ簡単になる。
【0077】次に、図45を参照しながら、本発明によ
るアンテナの設計方法の他の手順を示す。図45は、こ
の手順を示すフローチャート図である。ここでは、形態
が動的に変化し得るアンテナの設計方法を説明する。
【0078】まず、ステップST11で、アンテナ(デ
バイス)の基本的な構成を定める。ここでいう構成と
は、平面アンテナ、スロットアンテナ、線状アンテナな
どのアンテナの種類と、アンテナを構成する部材の形状
や材料などである。
【0079】次に、ステップST12で、アンテナの形
態を変化させるための具体的な手段を定める。形態を動
的な変化させることが可能なアンテナの具体的な構成に
ついては、後で詳細に説明する。
【0080】ステップST13で、動的に形態が変化す
るアンテナの目標とする特性及びそのレベルを定める。
この特性とは、アンテナの利得,指向性,インピーダン
スなどである。
【0081】そして、ステップST14で、アンテナの
形態を記述するための変数の初期値を決定する。この変
数とは、第1の実施形態と同様に、アレイ状に配置され
たセルの接続関係を記述するマトリックスなどである。
例えば図11(b)に示すようなアンテナの初期の形態
を、要素xijが0か1であるマトリクスを変数として記
述することができる。
【0082】ステップST15で、ステップST14で
記述された形態をもつアンテナを形成する。
【0083】ステップST16で、目標とするアンテナ
の特性,例えばアンテナの利得,指向性,インピーダン
スなどを、各種のセンサを利用して測定する。
【0084】ステップST17で、測定の結果検出され
た特性のレベルが、目標とする特性の所望のレベルに達
するか否かを判定する。この判定結果がNOのとき、つ
まり、設計されたアンテナの特性のレベルが所望の範囲
に入っていないときには、ステップST18に進んで、
アンテナの形態を記述するための変数を修正する。例え
ば、導体パターンを変更するように、形態記述のための
変数であるマトリクスなどを変更する。
【0085】そして、アンテナの設計によって得られた
アンテナの特性のレベルが所望の範囲に収束するまでス
テップST15〜ST17の処理を繰り返して、ステッ
プST17における判定結果がYESになると、つま
り、アンテナの特性のレベルが所望の範囲に収束する
と、ステップST19に進んで、適正なアンテナの構造
を表す変数(マトリクスなど)を出力する。このアンテ
ナの形態を記述するための変数はデータベースに取り込
まれて、アンテナを製造するときの基本的な設計資料と
なる。
【0086】上記のアンテナ設計方法に基づいて設計さ
れるアンテナの形態は、図42(b)または図43
(b)に示されようなパターンを有している。このた
め、アンテナの各部の寸法は、セルの1辺の長さを単位
として規定される。従って、例えば図42(b)に示す
ようなセル単位で導体部分が配列され、必要に応じて選
択された導体部分を電磁的に接続することのできる形態
可変アンテナがあれば、マトリクス変数で記述される形
態をもつアンテナを作製し、そのようなアンテナの特性
を実際に測定することが容易に行われる。
【0087】以上説明してきたことからわかるように、
本発明の設計方法では、アンテナの形態をマトリクス状
に配列された要素の組によって規定している。このた
め、設計されるアンテナの形態は、導体セルを結合した
形態を有している。
【0088】以下、本発明によるアンテナの設計方法に
従って好適に設計されるアンテナを説明する。前述した
ように、本発明のアンテナ設計方法は、アンテナ形成領
域を多数のセルに区画し、複数のセルの組合せによって
アンテナの形態を規定する。このため、アンテナの形態
をセル単位で変更できれば、本発明の設計方法で設計さ
れる形態を有するアンテナを速やかに実現することがで
きる。そこで、本発明の設計方法に適合したアンテナの
構造および動作を以下に詳述する。
【0089】[電流制御型アンテナ]まず、図1(a)
および図1(b)を参照しながら、本発明の設計方法に
好適に設計されるアンテナの基本的な特徴を説明する。
ここでは、「電流制御型」のアンテナについて説明す
る。図1(a)は、形態が固定された電流制御型の平面
アンテナの構造例を示し、図1(b)は、形態の変更が
可能な電流制御型の平面アンテナの構造例を示してい
る。
【0090】なお、本明細書において「電流制御型アン
テナ」とは、電流(電界)分布に着目して、その形態が
設計されるアンテナをいう。電流制御型とは別に、アン
テナには磁流制御型がある。「磁流制御型アンテナ」と
は、磁流(磁界)分布に着目してその形態が設計される
アンテナをいう。
【0091】従来の電流制御型の平面アンテナは、図1
(a)に示すように、誘電体基板201と、誘電体基板
201の上に形成された特定パターンを有する導電体2
02、203とを備えている。この導電体202、20
3は、例えば金属層を誘電体基板1上に堆積した後、そ
の金属層の不要部分を取り除くことによって形成され
る。
【0092】図示されている例では、導電体202の端
部102aが、受信時においては機器への入力信号の入
力ポートとして機能し、送信時においては機器から外部
への出力信号の出力ポートとして機能する。
【0093】上記の従来例では、所望のアンテナ特性が
得られるように導電体パターンが予め設計されており、
導電体202、203の形態は誘電体基板201上で固
定されている。このため、導電体202、203の形態
を変化させることは極めて困難である。
【0094】一方、図1(b)に示す電流制御型の平面
アンテナは、多数の単位セル10を例えば行列状に配列
したセルアレイ構造を有している。各単位セル10は分
離されているが、図1(b)に示していない導通手段に
より、セルアレイ中から選択した単位セルの群を互いに
導通させることにより、アンテナとして機能する形態を
もつ導電体2、3を形成している。
【0095】図1(b)の例では、導通領域Rcoに位置
している単位セルを相互に接続している。一方、セルア
レイから選択しなかった単位セル10の群(非導通領域
Rncにある単位セル群)は、相互に全く導通しないか、
または、ほとんど導通しない状態にある。選択されなか
った単位セル10の群(非導通領域Rncにある単位セル
群)は、誘電体基板上に存在したまま、除去される必要
は無い。これは、孤立した各単位セル10の大きさが、
電磁波の波長に比べて小さいため、アンテナの一部とし
ては実質的に機能しないためです。
【0096】なお、図1(a)に示す例では、導電体2
の端部2aが、受信においては機器への入力信号の入力
ポートとして機能し、送信においては機器から外部への
出力信号の出力ポートとして機能する。
【0097】図1(a)の例は、単位セル10のアレイ
のうち、どの単位セル10を選択するかを決定した後、
選択した単位セル10を導通手段によって電気的に接続
する。本発明の好ましい態様では、ある時点において他
の単位セル10と電気的に接続されなかった単位セル
(非選択の単位セル)10も、除去されず、そのまま、
誘電体基板上に存在している。このため、次には、その
単位セル10を選択して、導通手段によって他の単位セ
ル10と電気的に接続することも行える。
【0098】このように、図1(a)に示すアンテナに
よれば、アンテナとして機能する要素(アンテナ要素)
のパターン(形態)を調整することが可能である。
【0099】一般に、電流制御型アンテナの設計に際し
ては、所望のアンテナ特性に対応する電流パターンが得
られるようにアンテナ要素の形状が決定される。ただ
し、アンテナとして機能するのは導電体パターンだけで
はなく、導電体・誘電体の組み合わせパターンである場
合もある。つまり、最終的には導電体を流れる電流が機
器への入力信号となるとしても、誘電体をも電磁波が通
過し、誘電体の特性が導電体を流れる電流に影響を及ぼ
している。このため、アンテナを構成する要素は、導電
体及び誘電体の双方である。ただし、空気のように極め
て誘電率の小さい物質が導電体間に存在する場合には、
導電体同士が極めて近接していないかぎり、これらの物
質が電磁波に与える影響はほとんど無視しうるので、便
宜上、導電体パターンのみをアンテナ要素のパターンと
して取り扱う。
【0100】以下、図1(a)に示すアンテナと、図1
(b)に示すアンテナとの基本的な相違について、さら
に詳しく説明する。
【0101】図1(a)に示す電流制御型アンテナは、
平面アンテナであるが、平面型か否かに関係なく、アン
テナとして機能する導電体パターン、または導電体と誘
電体との組み合わせパターンは、アンテナが付設される
機器に応じて、ほぼ一義的に定められている。
【0102】一般に、受信する電磁波の向きや周波数帯
に応じて、アンテナとして機能する導電体部分の好まし
い形状は異なる。従って、その導電体部分の形状を動的
に変更(再構成)できないアンテナでは、受信する電磁
波の向きの変化に対応するためには、アンテナの向きを
変化させる必要があった。また、受信する電磁波の周波
数帯が変化する場合には、各周波数帯に対応した複数種
類のアンテナを予め準備しておいて、電磁波の周波数帯
の変化に応じて使用するアンテナをあるアンテナから別
のアンテナに切り換える必要がある。
【0103】これに対し、図1(b)に示す電流制御型
アンテナにおいては、単位セル10のうち、電気的に接
続するものを変更するだけで、多種多様の導電体パター
ンまたは導電体・誘電体の組み合わせパターンを実現す
ることが可能である。
【0104】例えば、室内空間内の携帯情報端末にアン
テナが付設して用いられる場合、最適なアンテナ要素の
形態は、室内空間の広さやその中に配置されている機器
類の種類や大きさなどに依存して変化する。この変化に
応じて、図1(b)に示すセルアレイ中の導通領域Rco
に組み込まれる単位セル10の選択を変更することによ
り、アンテナの形態を規定する導電体パターン(または
導電体・誘電体の組み合わせパターン)を最適なものに
変更することができる。
【0105】[磁流制御型アンテナ]次に、磁流制御型
の平面アンテナを説明する。図2(a)は、形態が固定
された磁流制御型の平面アンテナの構造例を示し、図2
(b)は、形態の変更が可能な磁流制御型の平面アンテ
ナの構造例を示している。
【0106】図2(a)に示す磁流制御型の平面アンテ
ナは、誘電体基板201と、誘電体基板201の上に形
成された導電体205とを有している。導電体205の
端部205aが、受信時においては機器への入力信号の
入力ポートとして機能し、送信時においては機器から外
部への出力信号の出力ポートとして機能する。磁流制御
型の場合、所望のアンテナ特性に対応する磁流が得られ
るように導電体パターンが設計されている。図1(a)
に示すアンテナと同様に、導電体205は連続した金属
層から形成されているため、その形状を変化させること
は困難である。
【0107】一方、図2(b)に示す磁流制御型の平面
アンテナは、多数の単位セル10を例えば行列上に配列
したセルアレイ構造を有している。セルアレイ中の単位
セル群(大容量領域Ricにある単位セル群)を互いに導
通させることにより、所望の形状を有する導電体5を形
成することが容易である。セルアレイから選択しなかっ
た単位セル群(小容量領域Rdcにある単位セル群)は、
全く導通しないか、ほとんど導通しない。導電体5の端
部5aが、受信時においては機器への入力信号の入力ポ
ートとして機能し、送信時においては機器から外部への
出力信号の出力ポートとして機能する。
【0108】なお、「磁流」とは、物理的には存在しな
いが、高周波の電磁界を考える場合には、「電流」に対
応する概念として想定されたものである。時間的に変化
する電界に対する電荷の振動状態を「電流」で表すこと
ができることに対応させて、時間的に変化する磁界に対
する磁荷(又は磁化)の振動状態を「磁流」として把握
することができる。
【0109】図2(b)に示す磁流制御型のアンテナに
おいても、図1(b)に示す電流制御型のアンテナと同
様に、アンテナとして機能する要素(アンテナ要素)の
パターンを容易に変更することができる。ただし、磁流
制御型アンテナにおいては、所望のアンテナ特性に対応
する磁流パターンが得られるようにアンテナ要素のパタ
ーンが調整される。
【0110】磁流制御型アンテナにおいても、アンテナ
として機能するのは導電体パターンだけではなく、導電
体・誘電体の組み合わせパターンでもある。ただし、空
気のように極めて誘電率の小さい物質中に導電体パター
ンがある場合には、これらの物質が電磁波に与える影響
はほとんど無視しうるので、便宜上、導電体パターンの
みをアンテナ要素のパターンとして取り扱う。
【0111】図2(a)に示す磁流制御型アンテナにお
いては、アンテナとして機能する導電体パターン(また
は、導電体と誘電体との組み合わせパターン)は、その
アンテナが付設されている機器に応じてほぼ一義的に定
められている。
【0112】これに対して、図2(b)に示す磁流制御
型アンテナにおいては、多種多様の電磁波の変化に対応
した導電体パターン又は導電体・誘電体の組み合わせパ
ターンが容易に実現できる。例えば、室内空間において
アンテナを携帯情報端末に付設して用いる場合には、室
内空間の広さやその中に配置されている機器類の種類大
きさなどに依存して、最適なアンテナ要素パターンが変
化する。図2(b)に示すセルアレイ中の容量増大領域
Ricに組み込まれる単位セル10の選択を変更すること
により、導電体パターンを最適なパターンに変更するこ
とができる。電流制御型アンテナとの相違点は、最適パ
ターンか否かを判断するパラメータとして、磁流制御型
アンテナでは導電体パターンを流れる磁流を用いる点に
ある。
【0113】一般的に、電流制御型のアンテナは、電界
を励振するように構成され、磁流アンテナは磁界を励振
するように構成されている。しかし、現実には、電界を
励振することは多少磁界をも励振しているし、磁界を励
振することは多少電界をも励振していることになる。し
たがって、1つのアンテナが電流制御型アンテナとも磁
流制御型アンテナともいえる場合があり得る。
【0114】また、電流制御型アンテナにおいては、ア
ンテナ要素を流れる電流の大きさやパターンが定まる
と、それに応じて磁流の大きさやパターンも定まる。逆
に、磁流制御型アンテナにおいては、アンテナ要素を流
れる磁流の大きさやパターンが定まると、それに応じて
電流の大きさやパターンも定まる。言い換えると、電磁
波の送受信によってアンテナ要素に生じる電流又は磁流
のいずれか一方を制御することは、同時に他方をも制御
することになる。したがって、電流又は磁流のいずれを
パラメータとしてアンテナ要素のパターンを制御する方
が、設計上便利であるかによって、アンテナを便宜上、
電流制御型アンテナと磁流制御型アンテナとに分類する
が、両者に本質的な相違はないものとして扱う。
【0115】本発明のアンテナの設計方法によってアン
テナに特定の形態を付与するために導電体部分の形状を
変化させることは、アンテナが付設されている機器が自
動的に行う場合のみならず、ユーザが随時行う場合をも
含むものとする。また、製造者が、図1(b)や図2
(b)に示すような多数の単位セル10からなるセルア
レイを用意し、アンテナが用いられる機器の種類が使用
場所に適合するように、製品の組立時や出荷時にアンテ
ナ要素の形態を柔軟に調整し得る場合もある。
【0116】なお、本発明によって設計されるアンテナ
は、平面アンテナに限られるものではない。例えば、開
口面アンテナや線状アンテナのアンテナ要素のパターン
を制御することもできる。また、図1や図2に示すよう
なアンテナを、開口面アンテナや、線状アンテナや、ス
ロットアンテナの一部として用いることができる。
【0117】以上の説明に用いて各種のアンテナのう
ち、連続的な導体パターンによって形態が規定されるア
ンテナであっても本発明の設計方法を適用して効果を奏
するが、図1(b)や図2(b)に示されるような導体
セルの結合によって形態が規定されるアンテナの方が、
本発明の設計方法に適合している。このため、以下の実
施形態では、図1(b)に記載するタイプのアンテナの
実施形態を詳細に説明する。
【0118】[アンテナの実施形態]以下、本発明の設
計方法によって好適に設計されるアンテナの実施形態を
説明する。
【0119】(第1の実施形態)図3(a)および図3
(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る電
流制御型の平面アンテナの組立前後における斜視図であ
る。
【0120】本実施形態では、まず、図3(a)に示す
ように、裏面に接地導電体板14が設けられている誘電
体基板1を用意し、この基板1の上に複数の導電体要素
12を行および列からなるマトリクス状に配置する。ま
た、本実施形態では、3つの導電体要素12に接近する
マイクロストリップライン11を誘電体基板1の上に設
けている。
【0121】本実施形態における導電体要素12の平面
形状は、いずれも、正方形であり、そのサイズも同一で
ある。図3(a)に示す例では、24個の導電体要素1
2が略正方形の外形を持つ領域内に配列されているが、
導電体要素の配列パターンは、これに限定されない。ま
た、各導電体要素12の形状およびサイズは、1つの誘
電体基板1上において全て等しく設定される必要はな
い。
【0122】各導電体要素12の1辺の長さaは、取り
扱う電磁波の波長よりも小さく設定されている。より具
体的には、例えば100GHz(波長約3mm)付近の
電磁を取り扱う場合、導電体要素12の長さaは、例え
ば1.5mm程度に設定される。一方、導電体要素12
の厚さは、送受信する電磁波の電力やインピーダンス整
合性を満足する十分な厚さに定められている。
【0123】図3(a)に示す状態の導電体要素12
は、相互に分離されており、電気的な接続は形成されて
いない。この段階の誘電体基板1に電磁波を照射して
も、その波長よりも個々の導電体要素12が小さいた
め、電磁波の送受信に必要な電流が導電体要素12のア
レイ中に生じない。このため、図3(a)に示す状態の
個々の導電体要素12は、アンテナとしては機能しな
い。
【0124】これらの導電体要素12を用いてアンテナ
を構成するには、任意の導電体要素12を電磁気的に結
合するための結合手段が必要である。ここでは、図3
(b)に示す例では、この結合手段として、接続要素1
3を用いている。
【0125】接続要素13は、図3(b)に示す例で
は、隣接する2つの導電体要素12にオーバーラップす
る導電体要素12の上に設けられる。この接続要素13
の具体的構造および形成方法については、後に詳しく説
明する。
【0126】電磁波の送受信を行うには、複数の接続要
素13のうち、あるものは、隣接する導電体要素12を
電気的に相互接続し、他のものは、隣接する導電体要素
12同士を電気的に接続しない。例えば、図3(b)に
示すハッチングが施された接続要素13は、隣接する導
電体要素12同士を導通させているが、他の接続要素1
3は、隣接する導電体要素12同士を導通させていな
い。このため、図3(b)の右下方に示すような導電体
パターンが基板1上に形成される。
【0127】このように、本実施形態では、誘電体基板
1上に導電体要素12のアレイを予め形成しておき、そ
の後、導電体要素12のアレイから適切に選択した導電
体要素12を電気的に相互接続することにより、アンテ
ナの少なくとも一部として機能する導電体パターンを形
成する。
【0128】図3(a)に示す例では、平面形状が略正
方形の導電体要素12が行および列からなるマトリクス
状に配列されている。本実施形態のアンテナでは、導電
体要素12の平面形状は正方形に限定されない。例え
ば、図4(a)に示すように、平面形状が正六角形の導
電体要素12のアレイを用いても良い。また、図4
(b)に示す長方形の導電体要素12のアレイや、図4
(c)に示す円形(または楕円形)の導電体要素12の
アレイを採用してもよい。更に、三角形や他の多角形形
状を持った導電体要素を用いることもできる。
【0129】誘電体基板1の上に金属膜を形成した後、
その金属膜を加工することにより、導電体要素12の平
面形状および平面レイアウトを任意に設定することが可
能である。なお、図示されている各導電体要素12の表
面(上面)は、いずれも平坦であるが、表面に凹凸が存
在していも良い。
【0130】1つのアンテナを構成する全ての導電体要
素12が同じ大きさを持つ必要も無い。図5(a)に示
すように、誘電体基板1上の位置に応じて導電体要素1
2のサイズや形状が変化していもよい。
【0131】図5(b)は、入力/出力ポートとして機
能する導電体部材の形状の改良例を示している。このよ
うに、導電体要素12のアレイの内部に、電磁波の波長
程度またはそれ以上のサイズを有する導電体ストリップ
が存在していも良い。
【0132】図5(c)は、大きさおよび平面形状の異
なる導電体要素12が1つの導電体要素アレイ内に混在
している例を示している。この場合も、各導電体要素1
2のサイズ(長方形の場合、長辺の長さ)は、送受信す
る電波の波長よりも短く設定される。
【0133】図6(a)は、導電体要素12の配列方向
が他の例における導電体要素12の配列方向に対して4
5°傾斜した配置例を示している。
【0134】図6(b)は、入力/出力ポートして機能
し得る導電体部ストリップ11が複数設けられている例
を示している。この場合、アンテナに接続されるべき回
路の位置に応じて、適切な位置の導電体ストリップ11
が入力/出力ポートとして選択されることなる。
【0135】図6(c)は、入力/出力ポートとして機
能する導電体部材が誘電体基板1の周辺部ではなく中央
部に位置している例を示している。この配置例では、入
力/出力ポートとして機能する導電体部材は、誘電体基
板内に設けたビアなどを介して外部の回路に接続され
る。
【0136】本実施形態のアンテナでは、導電体要素1
2の配列パターンは任意であり、以上に示す各種の配列
例に限定されない。なお、複数の導電体要素12によっ
て、コプレナー型線路の接地電極を形成しても良い。
【0137】以上のように配置された複数の導電体要素
12のアレイから、任意の導電体要素12を選択し、そ
れらを相互に接続する手段の具体例を以下に説明する。
【0138】第1具体例 まず、図7を参照する。図7に示す例では、接続要素1
3の位置がアクチュエータによって変化させられる。具
体的には、ソレノイドコイルなどのアクチュエータ、ス
イッチ、および電源を備えた制御システム15により、
接続要素13が基板1の主面の法線方向に駆動される。
接続要素13は、隣接する2つの導電体要素12に接触
する第1の位置と、接触しない第2の位置との間で往復
運動することができる。第1の位置における接続要素1
3は、対応する2つの導電体要素12を電気的に接続す
るが、第2の位置における接続要素13は、対応する2
つの導電体要素12を電気的に分離する。複数の導電体
要素12のアレイに対して、制御システム15によって
複数の接続要素13を選択的に移動させることにより、
アンテナ要素の形態を動的に再構成することが可能であ
る。
【0139】なお、接続要素13を動かすアクチュエー
タとしては、ソレノイドコイルを利用したものだけでな
く、圧電を利用したアクチュエータ、静電気によるアク
チュエータ、および形状記憶合金によるアクチュエータ
を用いることもできる。このようなアクチュエータは、
マイクロマシーンを製造する微細加工技術を用いて好適
に作製され得る。上記のアクチュエータは、少なくとも
2つの導電体要素の間の電気的導通/非導通をスイッチ
ングするスイッチング素子として機能している。
【0140】アンテナを備えた装置(例えば携帯端末)
のユーザまたは製造者が制御システム15を用いてアン
テナ要素のパターン(形態または平面レイアウト)を変
更する代わりに、アンテナを備えた装置の内部回路が、
状況に応じてアンテナ要素の形態を動的かつ自動的に変
更することも可能である。
【0141】第2具体例 次に、図8を参照する。図8に示す例では、導電体要素
12を電気的に接続する接続要素13として機能する導
電体片を、導電体要素12のアレイの選択された位置に
のみ配置している。電気的に分離すべき導電体要素12
に対しては、これらとオーバーラップする位置に導電体
片は設けていない。このような導電体片としては、アル
ミニウムなどの金属から形成された短いストリップを用
いることができる。導電体片と導電体要素12との間の
接触は、例えば導電性接着剤を用いて行われ得る。
【0142】この例では、接続要素13の位置は可変で
ないため、導電体要素12の接続パターンは動的に変化
しない。従って、この例では、ユーザがアンテナの形態
を変化させるのは困難であるかもしれない。しかし、図
8の例によれば、アンテナを備えた装置の製造者が、そ
の製造段階において、前記装置の内部回路とアンテナと
を電気的に接続した状態でアンテナ要素の形態を最適化
することできる。アンテナの特性は、それが接続される
回路の特性によっても変化する。このため、アンテナ単
独でアンテナの特性を評価し、その最適な形態を決定す
ることは難しい。一方、従来のアンテナを装置に組み込
み、回路と接続したならば、そのアンテナの特性を評価
することはできるが、アンテナの形態を変更することが
難しい。これに対して、図8の例では、接続要素13の
取り外しが比較的容易に可能である。
【0143】なお、図7および図8では、1つの接続要
素13が2つの導電体要素12にオーバラップしている
が、接続要素13は、3つ以上の導電体要素12にオー
バーラップしていてもよい。
【0144】第3具体例 次に、図9を参照するは、図9に示す例では、隣接する
2つの導電体要素12の間にスイッチングトランジスタ
13aが形成されている。スイッチングトランジスタ1
3aを選択的にオン・オフすることにより、対応する2
つの導電体要素12の間の電気的な接続/非接続状態を
制御することができる。
【0145】図9では、各スイッチングトランジスタ1
3aは、ソースS、ドレインD、およびゲートGを有し
ており、ゲートGの電位を調節することにより、ソース
SとドレインDとの間の電気的導通/非導通をスイッチ
ングすることができる。各スイッチングトランジスタ1
3aは、例えば薄膜トランジスタから形成され、基板1
上に行列上に配置される。このようなスイッチングトラ
ンジスタ13aを選択的に動作するためには、不図示の
駆動回路が用いられる。駆動回路は、複数のスイッチン
グトランジスタ13aの動作を制御し、アンテナ要素の
所望の形態を形成するように、必要な導電体要素12を
選択肢、相互に電気的に接続することができる。
【0146】図9では、わかりやすさのため、トランジ
スタ13aが導電体要素12の上側(電磁波の送受信面
側)に設けられている状態が記載されているが、実際に
は、導電体要素12の下側に形成されることが好まし
い。トランジスタ13aを相互接続する配線がアンテナ
による電磁波の送受信に悪影響を与えないようにするた
めです。
【0147】なお、トランジスタ13aのようなスイッ
チング素子を電圧信号によって制御する代わりに、光信
号によって制御してもよい。その場合、光の照射によっ
て電気的導通/非導通を切り替えるスイッチング素子を
用いることになる。このようなスイッチング素子のアレ
イのうち、適切に選択したスイッチング阻止だけに光を
照射することにより、導電体要素12の接続パターンを
自由に設定するすることが可能になる。
【0148】(第2の実施形態)図10を参照しなが
ら、本発明に好適に用いられるアンテナの第2の実施形
態を説明する。
【0149】図10のアンテナが図8に示すアンテナと
異なっている点は、導電体要素12の上にプラスチック
フィルムなどからなる誘電体膜17が設けられている点
にある。複数の接続要素13のうち、選択された接続要
素13は誘電体膜17を介して導電体要素12に近接し
ているが、非選択の接続要素13は、導電体要素12か
に相対的に離れている。
【0150】図11を参照しながら、図10のアンテナ
の動作を説明する。接続要素13は、誘電体膜17の存
在により、対応する導電体要素12と直接には接触して
いないが、対応す導電体要素12と接続要素13との間
の電気容量が相対的に高い。このため、高周波の電磁界
中では両者の間に変位電流が流れる。この変位電流によ
り、接続要素13を介して隣接する導電体要素2の間に
電流が流れ得る状態となる。また、接続要素13が誘電
体膜17から相対的に離れている場合は、導電体要素1
2と接続要素13との間の電気容量は小さくなるので、
変位電流も小さくなる。したがって、このような位置に
ある接続要素13は、対応する2つの接続要素13同士
を実質的には電気的に接続しない。
【0151】このように、誘電体膜17が導電体要素1
2と接続要素13との間に介在しても、接続要素13を
介して流れる変位電流によって、分離された導電体要素
12を電気的に接続することが可能である。
【0152】図11では、導電体要素12を電気的に接
続するために用いられない接続要素13が、誘電体膜1
2の上方に記載されているが、このように離れた接続要
素13と誘電体膜12との間には、他の誘電体膜が形成
されていも良い。その場合、接続要素13と導電体要素
12との間の距離を可変にすることはできない。このよ
うな構成に代えて、例えば図7に示すようなアクチュエ
ータによって接続要素13を駆動するようにしてもよ
い。このようにすれば、接続要素13の位置を適宜変更
することにより、変位電流が流れる導電体要素12の組
合せを動的に変更することが可能となる。
【0153】また、図8に示すように、誘電体膜17の
うち下方の導電体要素12同士を導通させようとする部
分に選択的に接続要素13を設けることにより、選択し
た導電体要素12を電気的に接続することができる。そ
の場合、アンテナを備えた装置の製造工程において、適
切な形態を有するアンテナ要素を容易に作製することが
可能となる。
【0154】さらに、図9に示すスイッチングトランジ
スタ13aを接続要素13として用いることもできる。
スイッチングトランジスタ13aのオン・オフにより、
導電体要素12同士が導通する状態と、非導通となる状
態とを動的に切り換えることが可能である。
【0155】(第3の実施形態)図12(a)は、それ
ぞれ順に、本発明に好適に用いられるアンテナの第3の
実施形態に係る電流制御型の外観構造を示す斜視図であ
る。図12(b)は、本実施形態のアンテナから、誘電
体基板及び導電体要素を除去した構造を示す斜視図であ
る。
【0156】本実施形態でも、図12(a)に示すよう
に、裏面に接地導電体板14が設けられている誘電体基
板1の上に、平面形状が正方形である導電体要素12が
アレイ状に配置されている。各導電体要素12の1辺の
長さaは取り扱う電磁波の波長よりも小さく、例えば1
00GHz(波長約3mm)付近の信号を取り扱う場
合、導電体要素12の長さaは1.5mm程度である。
また、導電体要素12の厚さは、送受信する電磁波の電
力やインピーダンス整合性を満足する十分な厚さに定め
られている。また、誘電体基板1の上には、3つの導電
体要素12に接近するように、マイクロストリップライ
ン11が設けられている。
【0157】図12(b)に示すように、導電体要素1
2のアレイの下方には、相隣接する2つの導電体要素1
2にオーバーラップする接続要素13が設けられてい
る。なお、接続要素13は、図12(a)では導電体要
素12及び誘電体基板1によって覆われているために現
れていないが、誘電体基板1に形成された凹部中に設け
られている。また、接続要素13の下方には、接続要素
13を上下に駆動するためのアクチュエータ18が取り
付けられている。このアクチュエータ18の種類には、
何種類かがあり、具体的な構造については後に説明す
る。そして、電流を所望の大きさ、パターンに制御(又
は調整)するには、第1の実施形態と同様に、各接続要
素13のうち、あるものは両側の導電体要素12同士を
導通状態にさせ、他のものは両側の導電体要素12同士
を非導通状態にするように制御(又は設定)する。
【0158】なお、本実施形態においても、第2の実施
形態のごとく、接続要素13(又は13’)と導電体要
素12(又は12’)との間に誘電体膜が介在していて
もよい。
【0159】次に、接続要素13による導電体要素12
の導通・非導通の制御(又は調整)の手段に関する具体
例について説明する。ただし、本実施形態においても、
非導通状態とは、信号として利用することができない程
度の微弱な電流が流れている場合も含むものとする。
【0160】第1具体例 図13(a)、(b)は、第3の実施形態の第1具体例
におけるアクチュエータの構造を示す断面図である。同
図に示すように、この具体例では、アクチュエータはソ
レノイドコイル、バネなどによって構成されている。そ
して、スイッチ、電源を配置した回路の制御により、接
続要素13が導電体要素12に接触する状態(図13
(b)参照)と、非接触になる状態(図13(a)参
照)とを切り換えるように構成されている。この例の場
合には、ユーザが直接アンテナ要素のパターンを調整し
たり、内部回路によってアンテナ要素のパターンを適正
なパターンに自動的に制御することが可能である。
【0161】第2具体例 図14(a)、(b)は、第3の実施形態の第2具体例
におけるアクチュエータの構造を示す断面図である。同
図に示すように、この具体例では、アクチュエータは、
支点回りに回動自在のレバー、レバーによって回動可能
に設けられた、接続要素13を支持するための支持棒な
どによって構成されている。そして、スイッチ、電源を
配置した回路の制御により、接続要素13が導電体要素
12に接触する状態(図14(b)参照)と、非接触に
なる状態(図14(a)参照)とを切り換えるように構
成されている。この例の場合には、ユーザが直接アンテ
ナ要素のパターンを調整したり、内部回路によってアン
テナ要素のパターンを適正なパターンに自動的に制御す
ることが可能である。
【0162】第3具体例 図15(a)、(b)は、第3の実施形態の第3具体例
におけるアクチュエータの構造を示す断面図である。同
図に示すように、この具体例では、アクチュエータは、
支点回りに回動自在のレバー、レバーによって回動可能
に設けられた、接続要素13を支持するための支持棒な
どによって構成されている。レバーは、圧電係数が互い
に異なる2つの2つの板を上下に貼り合わせることによ
り形成されている。この場合、電位が流れたときに、上
側の板のよりも下側の板の方が大きく伸びるように材質
が設定されている。したがって、2つの板に電気が流れ
ると、レバーが上側に反ることになる。そして、スイッ
チ、電源を配置した回路の制御により、接続要素13が
導電体要素12に接触する状態(図15(b)参照)
と、非接触になる状態(図15(a)参照)とを切り換
えるように構成されている。この例の場合には、ユーザ
が直接アンテナ要素のパターンを調整したり、内部回路
によってアンテナ要素のパターンを適正な形態に動的か
つ自動的に制御することが可能である。
【0163】(第4の実施形態)図16は、本発明に好
適に用いられるアンテナの第4の実施形態示す斜視図で
ある。
【0164】本実施形態では、図16に示すように、裏
面に接地導電体板14が設けられている誘電体基板1の
上に、平面形状が正方形である導電体要素12がアレイ
状に配置されている。さらに、導電体要素12の上に、
誘電体基板1’と、接続要素13’及びアクチュエータ
18’とが設けられている。さらに、接続要素13’の
上方に、各接続要素13’にオーバーラップする導電体
要素12’が積層されている。アクチュエータ18’に
は、前記第3の実施形態で説明したものを利用すること
ができる。ただし、アクチュエータ18’に代えて、第
1の実施形態で説明した導通・非導通の切り換え機構を
設けることもできる。
【0165】また、第2の実施形態のごとく、接続要素
13(又は13’)と導電体要素12(又は12’)と
の間に誘電体膜が介在していてもよい。
【0166】そして、本実施形態においては、複数の導
電体要素12、12’が配置された複数の層を積み上げ
ておいて、各層の導電体要素12、12’間の電気的な
導通を、積み上げ方向に対してアクチュエータ18’な
どによって制御することができる。よって、本実施形態
のアンテナによって、三次元的な電流分布を実現するこ
とができる。
【0167】なお、前記第1〜第4の実施形態におい
て、導電体要素12や接続要素13、アクチュエータな
どを規則正しく配置した例を示したが、これの配置方法
や、導電体2の形状などは、所望のアンテナ特性を実現
するためには、各特性に応じて変化させることができ
る。
【0168】(第5の実施形態)図17は、本発明に好
適に用いられるアンテナの第5の実施形態を示す分解斜
視図であり、図18は、そのアンテナの概観を示す斜視
図である。第5の実施形態に係るアンテナは、磁流制御
型である。
【0169】図17においては、構造を理解しやすいよ
うに、導電体要素12及びストリップライン11を誘電
体基板1から取り外した状態が示されているが、導電体
要素12及びストリップライン11を誘電体基板1上に
取り付けると、図18に示す構造になる。
【0170】本実施形態では、図18に示すように、裏
面に接地導電体板14が設けられている誘電体基板1の
上に、平面形状が正方形である導電体要素12がアレイ
状に配置されている。また、誘電体基板1の上には、3
つの導電体要素12に接近するように、マイクロストリ
ップライン11が設けられている。各導電体要素12の
1辺の長さaは取り扱う電磁波の波長よりも小さく、例
えば100GHz(波長約3mm)付近の信号を取り扱
う場合、導電体要素12の長さaは1.5mm程度であ
る。また、導電体要素12の厚さは、送受信する電磁波
の電力やインピーダンス整合性を満足する十分な厚さに
定められている。
【0171】導電体要素12の下方には、図17に示す
ように、各導電体要素12と接地導電体板14との間に
介在する誘電体要素20が設けられている。誘電体要素
20は、凹部19とともに誘電体基板1からパターニン
グされたものである。図17には、誘電体要素20とし
て、平面面積が相異なる3種類のものが図示されている
が、本実施形態では、図19(a)、(b)に示すよう
に、平面面積が導電体要素12と同じである第1誘電体
要素20aと、平面面積が導電体要素12よりも狭い第
1誘電体要素20bとがある場合について、どのような
磁流パターンが生じるかについて説明する。
【0172】図19(a)、(b)は、3つの導電体要
素12の下方に3つの第1誘電体要素20aが存在して
いる平面アンテナの断面図及び平面図である。図19
(a)に示すように、各導電体要素12と接地導電体膜
14との間に、大面積の第1誘電体要素20aが介在し
ているので、各導電体要素12と接地導電体膜14との
間には、電気容量が大きいことによって大きな変位電流
が流れる。その結果、図19(b)に示すように、3つ
の導電体要素12を取り囲む磁流が形成される。
【0173】図20(a)、(b)は、3つの導電体要
素12のうち両端の導電体要素12の下方には大面積の
第1誘電体要素20aが存在し、中央の導電体要素12
の下方には小面積の第2誘電体要素20bが存在してい
るアンテナの断面図及び平面図である。同図に示すよう
に、3つの導電体要素12のうち存在している。一般
に、2つの導電体間に、比誘電率が極めて小さい絶縁体
しか介在していない場合には、電気容量の低減によって
2つの導電体間には、小さな変位電流しか流れない。つ
まり、中央の導電体要素12の回りには、ほとんど磁流
が生じないので、両端の導電体要素12の回りに生じる
磁流がつながらない。その結果、図20(b)に示すよ
うに、両端の各導電体要素12のみを取り囲む孤立した
磁流が形成されることになる。
【0174】このようにして、図19(b)、図20
(b)に示すような磁流パターンの制御(又は調整)を
行なうことができる。
【0175】(第6の実施形態)本実施形態の磁流制御
型のアンテナは、図17、図18に示すアンテナとほぼ
同じ構造を有しているが、第5の実施形態の容量絶縁膜
20a、20bに代えて、比較的高い比誘電率ε1を有
する第1誘電体要素21aと、比較的低い比誘電率ε2
を有する第2容量絶縁膜21bとを備えている。
【0176】図21(a)、(b)は、3つの導電体要
素12の下方に3つの第1誘電体要素20aが存在して
いる平面アンテナの断面図及び平面図である。図21
(a)に示すように、各導電体要素12と接地導電体膜
14との間に、高い比誘電率ε1を有する第1誘電体要
素21aが介在しているので、各導電体要素12と接地
導電体膜14との間には、電気容量が大きいことによっ
て大きな変位電流が流れる。その結果、図21(b)に
示すように、3つの導電体要素12を取り囲む磁流が形
成される。
【0177】図22(a)、(b)は、3つの導電体要
素12のうち両端の導電体要素12の下方には高い誘電
率ε1を有する第1誘電体要素21aが存在し、中央の
導電体要素12の下方にはε1よりも低い比誘電率ε2
を有する第2誘電体要素21bが存在しているアンテナ
の断面図及び平面図である。一般に、2つの導電体間
に、比誘電率が極めて小さい絶縁体しか介在していない
場合には、電気容量の低減によって2つの導電体間に
は、小さな変位電流しか流れない。つまり、中央の導電
体要素12の回りには、ほとんど磁流が生じないので、
両端の導電体要素12の回りに生じる磁流がつながらな
い。その結果、図22(b)に示すように、両端の各導
電体要素12のみを取り囲む孤立した磁流が形成される
ことになる。
【0178】このようにして、図21(b)、図22
(b)に示すような磁流パターンの制御(又は調整)を
行なうことができる。
【0179】(第7の実施形態)本実施形態の磁流制御
型のアンテナは、図17、図18とほぼ同じ構造を有し
ているが、第5の実施形態の各誘電体要素20a、20
bに代えて、平均的な比誘電率が高い第1誘電体要素2
3aと、平均的な比誘電率が低い第2誘電体要素23b
とを備えている。第1誘電体要素23a及び第2誘電体
要素23bは、いずれも、高い比誘電率ε1を有する第
1絶縁部22aと、低い比誘電率ε2を有する第2絶縁
部22bとによって構成されている。そして、第1誘電
体要素23aにおいては、第1絶縁部22aの占める割
合が第2絶縁部22bよりも多く、第2誘電体要素23
bにおいては、第2絶縁部22bの占める割合が第1絶
縁部22aよりも多い。
【0180】図23(a)、(b)は、3つの導電体要
素12の下方に3つの第1誘電体要素23aが存在して
いる平面アンテナの断面図及び平面図である。図23
(a)に示すように、各導電体要素12と接地導電体膜
14との間に、平均的な比誘電率が高い第1誘電体要素
23aが介在しているので、各導電体要素12と接地導
電体膜14との間には、電気容量が大きいことによって
大きな変位電流が流れる。その結果、図23(b)に示
すように、3つの導電体要素12を取り囲む磁流が形成
される。
【0181】図24(a)、(b)は、3つの導電体要
素12のうち両端の導電体要素12の下方には平均的な
比誘電率が高い第1誘電体要素23aが存在し、中央の
導電体要素12の下方には平均的な比誘電率が低い第2
誘電体要素23bが存在しているアンテナの断面図及び
平面図である。一般に、2つの導電体間に、比誘電率が
極めて小さい絶縁体しか介在していない場合には、電気
容量の低減によって2つの導電体間には、小さな変位電
流しか流れない。つまり、中央の導電体要素12の回り
には、ほとんど磁流が生じないので、両端の導電体要素
12の回りに生じる磁流がつながらない。その結果、図
24(b)に示すように、両端の各導電体要素12のみ
を取り囲む孤立した磁流が形成されることになる。
【0182】このようにして、図23(b)、図24
(b)に示すような磁流パターンの制御(又は調整)を
行なうことができる。
【0183】(第8の実施形態)本実施形態の磁流制御
型のアンテナは、図17、図18とほぼ同じ構造を有し
ているが、第5の実施形態の各誘電体要素20a、20
bに代えて、面積や比誘電率が均一である誘電体要素2
0のみを備えている。
【0184】図25(a)、(b)は、3つの導電体要
素12がそれぞれ誘電体要素20に接触している平面ア
ンテナの断面図及び平面図である。図25(a)に示す
ように、各導電体要素12と接地導電体膜14との間に
誘電体要素20のみが介在しているので、各導電体要素
12と接地導電体膜14との間には、電気容量が大きい
ことによって大きな変位電流が流れる。その結果、図2
5(a)に示すように、3つの導電体要素12を取り囲
む磁流が形成される。
【0185】図26(a)、(b)は、3つの導電体要
素12のうち両端の導電体要素12は誘電体要素20に
接触しているが、中央の導電体要素12が誘電体要素2
0から離れているアンテナの断面図及び平面図である。
一般に、2つの導電体間に、空気のように比誘電率が極
めて小さい絶縁体が介在している場合には、電気容量の
低減によって2つの導電体間には、小さな変位電流しか
流れない。つまり、中央の導電体要素12の回りには、
ほとんど磁流が生じないので、両端の導電体要素12の
回りに生じる磁流がつながらない。その結果、図26
(b)に示すように、両端の各導電体要素12のみを取
り囲む孤立した磁流が形成されることになる。
【0186】このようにして、図25(b)、図26
(b)に示すような磁流パターンの制御(又は調整)を
行なうことができる。
【0187】なお、本実施形態における導電体要素12
の誘電体要素20との接触・非接触の制御(又は調整)
は、例えば第3の実施形態における各具体例のようなア
クチュエータを利用することにより、容易に実現するこ
とができる。
【0188】[アンテナの構造に関する他の実施形態]
本発明に好適に用いられるアンテナは、平面アンテナだ
けでなく、例えば、パラボラアンテナ、反射鏡アンテナ
などの開口面アンテナや、ダイポールアンテナ、パッチ
アンテナなどの線状アンテナや、スロットアンテナなど
にも適用することができる。
【0189】図27は、本発明をホーンアンテナに適用
した場合の構造例を概略的に示す図である。同図に示す
ように、ホーンアンテナの内面に多数の導電体要素12
をアレイ状に配置しておいて、上述の第1〜第4の実施
形態のように、電流が流れる導電体要素12(同図のハ
ッチング部分)と電流が流れない導電体要素12とを切
り換える制御(又は調整)することにより、多種多様な
電磁波の変化に対応しうる電流制御型のホーンアンテナ
を実現することができる。
【0190】図28は、本発明をスロットアンテナに適
用した場合の構造例を概略的に示す図である。同図に示
すように、スロットアンテナの内面に多数の導電体要素
12をアレイ状に配置しておいて、上述の第1〜第4の
実施形態のように、電流が流れる導電体要素12(同図
のハッチング部分)と電流が流れない導電体要素12と
を切り換える制御(又は調整)することにより、多種多
様な電磁波の変化に対応しうる電流制御型又は磁流制御
型のスロットアンテナを実現することができる。
【0191】また、八木アンテナのような線状アンテナ
の各導電体部や、曲面を有するパラボナアンテナの曲面
部などの多数の導電体要素をアレイ状に設け、各導電体
制御への電流の流れを制御することにより、多種多様な
電磁波の変化に対応しうる電流制御型のアンテナを実現
することができる。
【0192】[アンテナを備えた装置の実施形態]以
下、本発明によって形態が設計されるアンテナを備えた
装置の実施形態を説明する。以下の各実施形態において
は、アンテナが導通手段として導電体要素の接続を動的
に変更できるスイッチング素子を備えた例について説明
する。
【0193】(第9の実施形態)図29は、本発明によ
って好適に設計されるアンテナを備えた装置の実施形態
を示すブロック回路図である。
【0194】本実施形態の装置は、図29に示すよう
に、前述したアンテナ50と、アンテナ50に接続され
た通信回路61と、アンテナ50の形態を制御する制御
部とを備えている。
【0195】アンテナ50に含まれる不図示の導通手段
を駆動する駆動部51と、アンテナの形態を決定する設
計部53と、駆動部51を制御する形態設計制御部54
と、アンテナに関する情報を格納している記憶部55を
更に備えている。記憶部55が格納するアンテナに関す
る情報は、例えば導電体要素、誘電体要素、接続要素、
誘電体基板などの物理的な大きさ(面積、厚さなど)
や、アンテナ50の形態の初期条件などを含む。
【0196】この装置は、更に、アンテナ50が送受信
する信号のレベルを検出するためのレベル検出部71
と、レベル検出部71で検出された信号のレベルに基づ
いてアンテナ50の指向性を判別するための指向性判別
部72と、検出された信号のレベルから利得を判別する
ための利得判別部73と、検出された信号のレベルから
アンテナ50や通信回路61のインピーダンス整合性を
判別するためのインピーダンス判別部74とを備えてい
る。なお、本明細書における「判別」の語句は、指向
性、利得、インピーダンスに関する物理量を測定するこ
とを含むものとする。
【0197】次に、この装置の動作を説明する。
【0198】まず、形態設計部53は、記憶部55に格
納されている情報に基づいて、アンテナ50の初期の形
態を決定する。この形態設計部53の設計結果に基づ
き、形態設計制御部54は、アンテナ50の形態が設計
通りの形態になるように駆動部51を制御する。駆動部
51は、アンテナ50の各要素が所望のアンテナ形態を
形成するように、導通手段を駆動する。
【0199】アンテナ50は送信用としても受信用とし
ても用いることができるので、アンテナ50の形態の最
適化は、アンテナを送信用として機能させた場合と、ア
ンテナを受信用として機能させた場合との双方において
独立して行なうことが望ましい。
【0200】以下、アンテナ50を送信用アンテナとし
て用いる場合の形態の調整手順について説明する。
【0201】まず、通信回路61がアンテナ50に送信
用の信号を送る。その信号は、レベル検出部71にも入
力される。本実施形態では、通信回路61とアンテナ5
0との間の信号経路中に、高周波信号に対する方向性結
合用の部材を設けている。このため、通信回路61から
アンテナ50に信号が流れても、アンテナ50から通信
回路61に反射される信号が戻らないように調整するこ
とができる。レベル検出部71は、通信回路61からア
ンテナ50に送られる信号のレベルと、アンテナ50で
反射される信号のレベルの双方を検出することができ
る。
【0202】指向性判別部72は、レベル検出部71が
検出した高周波信号のレベルに基づき、送信時における
アンテナ50の指向性が許容範囲にあるか否かを判別す
る。具体的には、アンテナ50の向きによってアンテナ
50から反射される信号のレベルが異なる場合には、各
向きにおける反射信号のレベルの差がある範囲に入って
いれば指向性が許容範囲にあると判別され、ある範囲に
なければ指向性が許容範囲にないと判別される。これに
よって、アンテナ50の送信時の指向性の良否が判別さ
れる。この場合、指向性ができるだけ小さい方が望まし
い場合と、逆に指向性が高い方が望ましい場合とがある
ので、良否を判定する範囲はアンテナが用いられる機器
の種類や用途、受信・送信の別などによって変わりう
る。
【0203】利得判別部73は、通信回路61から送ら
れる送信信号のレベルと、アンテナ50から反射される
信号のレベルとの比が許容範囲にあるか否かなどに基づ
いて、アンテナ50の利得の良否を判別する。一般的に
は、送信信号のレベルと反射信号のレベルとの比ができ
るだけ大きいことが望ましいので、この比がある値以上
であれば、利得が良好であると判定されることになる。
【0204】インピーダンス判別部74は、通信回路6
1から出力される信号と、アンテナ50から反射されて
くる信号とのレベル比が許容範囲にあるか否かなどに基
づいて、通信回路61とアンテナ50との間のインピー
ダンス整合の良否を判別する。一般的には、アンテナ5
0への入力信号に対する反射信号のレベル比が大きいこ
とは、インピーダンス整合が取れていないことを意味す
る。したがって、このレベル比がある値以上であれば、
インピーダンス整合性が良好であると判定することにな
る。
【0205】好ましくは、指向性、利得性、インピーダ
ンス整合性のすべてが良好であると判定されるまで、形
態設計部53においてアンテナの形態の設計をやり直
し、形態設計制御部54および駆動部51を通じてアン
テナ50の形態を動的に再構成する。そして、最終的に
アンテナ50の指向性、利得性、入力インピーダンス整
合性のすべてが良好であると判定されると、その形態に
関する情報(データ)が記憶部55に記憶される。
【0206】なお、指向性、利得性、インピーダンス整
合性の全てが良好と判断されなくともよい場合がある。
指向性を重視し、利得性を無視するモードで、アンテナ
50の形態を最適化する場合もある。
【0207】図30は、アンテナ形態と指向性などとの
関係の一例を示している。図30では、「◎」は特に優
れていることを示し、「○」は優れていることを示して
いる。「△」は、普通であることを示している。例え
ば、図30の直線的にまっすぐ伸びるアンテナ要素をも
つアンテナは、インピーダンスに優れるが、指向性およ
び利得は普通である。
【0208】本実施形態では、記憶部55などに格納さ
れたデータに基づいて、アンテナ50における導電体要
素の結合パターンが、予め設定された複数の種類の形態
を順次とるようにアンテナ50の導通手段を駆動する。
例えば、図30に示す3つの形態を含む複数の形態を順
次アンテナ50において実現する。そして、各形態にお
いて、指向性、利得性、インピーダンス整合性を評価
し、評価結果を記憶部に記憶させる。図30では、評価
結果を「○」や「△」などを符号を使って示している
が、実際には、各パラメータについて数値による評価が
与えられる。こうして得た評価の結果を、アンテナの各
種形態に割り当て、ルックアップテーブルを作成すれ
ば、そのテーブルの中から状況に応じて最適な形態を選
択することが可能となる。
【0209】なお、上記のアンテナパターンは、本発明
の設計方法によって設計された形態から選択されたもの
である。
【0210】図31は、上記の手順を示したフローチャ
ートである。まず、ステップS1で、通信回路が所定信
号の送信を開始する。ステップS2では、アンテナの取
りえる複数の形態にうちから、初期形態として選択され
た形態(N=1番目の形態)をアンテナに付与する。ス
テップS3では、その形態のアンテナからの反射信号を
検出する。ステップS4では、指向性、利得、インピー
ダンスを測定する。ステップS5では、測定によって得
た指向性、利得、インピーダンスの各々値を、N=1の
データとして記憶部に格納する。
【0211】次に、N=2番目の形態として選択した形
態をアンテナに付与した上で、ステップ2〜ステップ5
の動作を繰り返す。同様の動作をN=3番目の形態から
必要な数だけ繰り返すことにより、アンテナが取り得る
形態の全て、または一部について、指向性、利得、イン
ピーダンスの測定結果を得ることができる。
【0212】これらの測定結果は記憶部に格納されてい
るため、状況に応じて好ましい形態を適宜選択すること
ができる。記憶部の内容を表示装置が表示すれば、ユー
ザが表示内容に基づいて、アンテナの形態を選択するこ
とも可能である。また、記憶部の内容に基づいて、アン
テナ制御装置が自動的にアンテナの形態を決定すること
もできる。最適なアンテナの形態を探索するとき、予め
データとして記憶部に格納させれているアンテナの形態
が適宜選択され得る。前述のように、これらのアンテナ
形態は、本発明の設計方法で設計されたものであり、予
め、指向性、利得、インピーダンスに関して、各アンテ
ナ形態ごとに選択の基準になる数値も記録されているこ
とが好ましい。また、候補として選択されたアンテナの
形態に適切なものが見いださなかった場合、本発明の設
計方法に従って形態を最初から設計し直すことも可能で
ある。ただし、そのためには、装置に図41に示すフロ
ーを実行するためのプログラムを内蔵させておく必要が
ある。
【0213】次に、アンテナ50を受信用アンテナとし
て用いる場合の形態の調整手順について説明する。
【0214】外部機器からの信号が送られると、アンテ
ナ50でこの信号を受信し、受信した高周波信号のレベ
ルをレベル検出部71が検出すれる。外部機器として
は、テスト用に特別設計された機器を用いることもでき
るが、他の通信機器も用いられ得る。本実施形態の装置
が形態情報端末などの機器である場合、公共的に流され
ている信号を利用してアンテナ形態の最適化を行うこと
が可能である。
【0215】指向性判別部72は、受信した高周波信号
のレベルに基づき、アンテナ50の受信時にやける指向
性が許容範囲にあるか否かが判別される。具体的には、
アンテナ50の向きによってアンテナ50で受信される
信号のレベルが異なる場合には、各向きにおける受信信
号のレベルの差がある範囲に入っていれば指向性が許容
範囲にあると判別される。逆に、ある範囲になければ指
向性が許容範囲にないと判別される。これによって、ア
ンテナ50の受信時における指向性の良否が判別され
る。この場合にも、指向性ができるだけ小さい方が望ま
しい場合と、逆に指向性が高い方が望ましい場合とがあ
るので、良否を判定する範囲はアンテナが用いられる機
器の種類や用途、受信・送信の別などによって変わりう
る。
【0216】なお、本実施形態の装置が他の通信機器と
アンテナを介して通信する場合、相手方の通信機器のア
ンテナの位置によって、好ましいアンテナ50の形態が
異なる場合がある。目的とする相手方の通信機器におけ
るアンテナから高い指向性で信号を受信するための形態
を選択することができる。
【0217】利得判別部73は、アンテナ50で受信さ
れた信号のS/N比が許容範囲にあるか否かなどに基づ
いて、アンテナ50の利得の良否を判別する。この場
合、S/N比が大きいことが望ましいので、この比があ
る値以上であれば、利得が良好であると判定されること
になる。
【0218】インピーダンス判別部74は、アンテナ5
0で受信された信号のレベルと、その後通信回路61か
ら反射されてくる信号のレベルとの比が許容範囲にある
か否かに基づいて、アンテナ50と通信回路61とのイ
ンピーダンス整合性の良否を判別する。すなわち、アン
テナ50での受信信号と、その後通信回路61から反射
される信号とのレベル比がある値以上であれば、インピ
ーダンス整合性が良好であると判定することになる。
【0219】好ましくは、指向性、利得性、インピーダ
ンス整合性のすべてが良好であると判定されるまでは、
形態設計部53においてアンテナの形態の設計をやり直
し、形態設計制御部54により、駆動部51が再調整さ
れる。最終的にアンテナ50の指向性、利得性、入力イ
ンピーダンス整合性のすべてが良好であると判定される
と、その形態に関する情報(データ)が記憶部55に記
憶される。
【0220】記憶部55には、アンテナ50を受信用と
して用いる場合(待機状態)と、アンテナ50を送信用
として用いる場合とで個別に、アンテナ50の適正な形
態が記憶されているので、アンテナ50の送受信の切り
換え信号に応じて、記憶部55から形態設計部53に取
り出される記憶の内容を切り換えるように修正すること
ができる。
【0221】なお、待機状態における指向性の低いアン
テナ形態を採用しておき、いったん、電波信号を受信し
始めた段階で、その電波信号を発するアンテナからの受
信に適したアンテナ形態を決定し、動的にアンテナ形態
の最適化を行ってもよい。
【0222】本実施形態によると、第1〜第8の実施形
態で示されるような各種アンテナ50の適正な形態を、
そのアンテナ50が使用される環境や、組み込まれる機
器の種類などに応じて動的に決定し、実現することがで
きる。
【0223】(第10の実施形態)図32は、本発明に
よるアンテナを備えた装置の他の実施形態を示すブロッ
ク図である。
【0224】本実施形態の装置は、第9の実施形態の構
成に加えて、各々配置位置が互いに異なる指向性判別用
の複数のプローブ75a、75b、75cを備えてい
る。図32には、3つのプローブ75a〜75bが配置
されている例が示されているが、プローブの数は4つ以
上又は2つだけでもよい。
【0225】本実施形態における形態設計部53、形態
設計制御部54及び記憶部55の動作又は機能は、第9
の実施形態における形態設計部53、形態設計制御部5
4及び記憶部55の動作又は機能と同様である。
【0226】本実施形態においても、利得性やインピー
ダンス整合性は、第9の実施形態について説明したよう
に実行される。以下においては、本実施形態に特徴的な
指向性の判別方法を説明する。
【0227】まず、アンテナ50を送信用アンテナとし
て用いる場合の形態の調整手順について説明する。本実
施形態において、通信回路61からアンテナ50に送信
用の信号(一般には、テスト用に規格化された信号)が
送られ、アンテナ50から外部に信号が送信されると、
各プローブ75a〜75cにより、各配置場所に応じて
強弱が異なる信号がレベル検出部71に入力される。
【0228】そして、指向性判別部72において、高周
波信号のレベルからアンテナ50の送信機能の指向性が
許容範囲にあるか否かが判別される。具体的には、各プ
ローブ75a〜75cによって受信信号のレベルが異な
る場合には、各位置における受信信号のレベルの差があ
る範囲に入っていれば指向性が許容範囲にあると判別さ
れ、ある範囲になければ指向性が許容範囲にないと判別
される。これによって、アンテナ50の送信時の指向性
の良否が判別される。この場合、指向性ができるだけ小
さい方が望ましい場合と、逆に指向性が高い方が望まし
い場合とがあるので、良否を判定する範囲はアンテナが
用いられる機器の種類や用途、受信・送信の別などによ
って変わりうる。
【0229】なお、レベル検出部71において、通信回
路61からアンテナ50に送られる信号のレベルと、各
プローブ75a〜75cで受信された信号のレベルとの
双方を検出して、通信回路からアンテナ50に送られる
信号や、そのアンテナからの反射波をも指向性の良否の
判別に組み入れることができる。
【0230】次に、アンテナ50を受信用アンテナとし
て用いる場合には、プローブ75a〜75cを用いず
に、第9の実施形態と同様に、アンテナ50で受信され
た高周波信号のレベルを用いて、アンテナ50の受信時
の指向性を判別することができる。ただし、プローブ7
5a〜75cで受ける信号も参考的に使用することは可
能である。
【0231】本実施形態では、第9の実施形態の効果に
加えて、現実にプローブ75a〜75cで受信される信
号のレベルに基づいて、送信時におけるアンテナ50の
指向性の良否を判別することができるので、送信時にお
けるアンテナ50の指向性をより適正に調整しうる。
【0232】(第11の実施形態)図33は、本発明に
よるアンテナを備えた装置の更に他の実施形態を示すブ
ロック図である。
【0233】本実施形態においても、形態設計部53、
形態設計制御部54及び記憶部55の動作又は機能は、
第9の実施形態における形態設計部53、形態設計制御
部54及び記憶部55の動作または機能と同様である。
【0234】図33に示すように、本実施形態の装置
は、外部の通信回路62を利用する。すなわち、通信回
路61からの信号をアンテナ50から送信した後、その
送信信号が外部機器のアンテナで受信される。この送信
信号に応じて外部の通信回路62から送られる信号を、
再びアンテナ50で受けて、これをアンテナ50の形態
の調整に利用することができる。
【0235】外部機器の通信回路62は、例えば、電話
をかけることによって送られる時報や天気予報などの情
報を送る回路である。アンテナ50の使用用途によって
は、通信回路62を有するテスト用の特別な外部機器を
用意することもできる。
【0236】本実施形態においては、アンテナ50を送
信用及び受信用として用いる場合の双方について、同時
にその形態の調整を行なうことが可能である。また、ア
ンテナ50を送信用として用いる時には、既に説明した
第9の実施形態の手順で、つまり、外部の通信回路を用
いずに、指向性、利得性、インピーダンス整合性の良否
を判別し、アンテナ50を受信用として用いる場合の
み、外部の通信回路62を利用することもできる。ま
た、本実施形態にお手も、第10の実施形態のごとく、
指向性判定のためのプローブ75a〜75cを配置する
ことができる。
【0237】指向性判別部72において、高周波信号の
レベルからアンテナ50の受信時及び送信時の指向性が
許容範囲にあるか否かが判別される。具体的には、アン
テナ50の向きによって、アンテナ50で受信される信
号のレベルが異なる場合には、各向きにおける受信信号
のレベルの差がある範囲に入っていれば送受信時の指向
性が許容範囲にあると判別され、ある範囲になければ指
向性が許容範囲にないと判別される。これによって、ア
ンテナ50の送受信時における指向性の良否が判別され
る。この場合にも、指向性ができるだけ小さい方が望ま
しい場合と、逆に指向性が高い方が望ましい場合とがあ
るので、良否を判定する範囲はアンテナが用いられる機
器の種類や用途などによって変わりうる。
【0238】また、利得判別部73において、アンテナ
50で受信された信号のS/N比が許容範囲にあるか否
か、あるいは、通信回路61から送信される信号のレベ
ルと、その後アンテナ50で受信された信号とのレベル
比などに基づいて、アンテナ50の利得の良否が判別さ
れる。この場合、S/N比や送信信号のレベルに対する
受信信号のレベルの比が大きいことが望ましいので、こ
れらの比がそれぞれある値以上であれば、利得が良好で
あると判定されることになる。
【0239】さらに、インピーダンス判別部74におい
て、送信時にはアンテナ50から反射されてくる信号の
レベルに基づいて、アンテナ50の送信時のインピーダ
ンス整合性の良否が判定され、アンテナ50で受信され
た後通信回路61から反射されてくる信号のレベルに基
づいて、アンテナ50と通信回路61とのインピーダン
ス整合性の良否が判別される。
【0240】好ましくは、指向性、利得性、インピーダ
ンス整合性のすべてが良好であると判定されるまでは、
形態設計部53においてアンテナの形態の設計をやり直
し、形態設計制御部54および駆動部51により、アン
テナ51の形態が動的に変更される。最終的にアンテナ
50の指向性、利得性、入力インピーダンス整合性のす
べてが良好であると判定されると、その形態に関する情
報(データ)が記憶部55に記憶される。
【0241】(第12の実施形態)図34は、本発明に
よるアンテナを備えた装置の更に他の実施形態を示すブ
ロックである。
【0242】本実施形態においても、形態設計部53、
形態設計制御部54及び記憶部55の動作又は機能は、
第9の実施形態における形態設計制御部54及び記憶部
55の動作又は機能と同様である。
【0243】図34に示すように、本実施形態の装置
は、第11の実施形態におけるレベル検出部71に代え
て、データ分析部76を備えている。本実施形態では、
外部の通信回路62を利用することを前提としている。
通信回路61からの信号をアンテナ50から送信した
後、その信号が外部機器のアンテナで受信される。アン
テナ50から送信した信号に応じて外部の通信回路62
から送られてくるる信号を、再びアンテナ50で受け、
これをアンテナ50の形態の調整に利用する。
【0244】本実施形態における外部機器の通信回路6
2は、例えば、あるテスト信号を受けたときに、それに
応答してデジタル信号を出力する回路である。外部機器
の通信回路62としては、例えば、電話をかけることに
よって送られる時報や天気予報などの情報を送る回路を
利用することもできる。
【0245】第11の実施形態では、送受信信号のレベ
ルに応じてアンテナ50の形態を調整したのに対し、本
実施形態においては、送受信信号のデータ内容を比較す
ることにより、指向性、利得、インピーダンス整合性が
適正範囲にあるか否かを判別する。他の機能は、第11
の実施形態と同じである。本実施形態では、図45のフ
ローチャートにおけるステップST16の代わりに、デ
ータ分析を行い、ステップST17の代わりに、データ
分析の結果得られたデータと送信データとを比較してい
る。
【0246】本実施形態においても、第10の実施形態
のごとく、指向性判別のためのプローブ75a〜75c
を配置することができる。
【0247】(第13の実施形態)図35は、本発明に
よるアンテナを備えた装置の更に他の実施形態を示すブ
ロック図である。
【0248】本実施形態の装置は、第9の実施形態にお
ける駆動部51に代えて、形態機構の作製部56を備え
ている。本実施形態においても、形態設計部53、形態
設計制御部54及び記憶部55の動作又は機能自体は、
第9の実施形態における形態設計部53、形態設計制御
部54及び記憶部55の動作又は機能と同様である。
【0249】本実施形態では、第11の実施形態と同様
の手順で、アンテナ50が受信用/送信用として機能す
る場合のそれぞれにおける指向性、利得、インピーダン
ス整合性などに基づいて、アンテナ50の形態の良否を
判定し、適切なアンテナの形態を決定することができ
る。ただし、本実施形態では、アンテナの使用中にアン
テナの形態を動的に変更することはできず、アンテナを
組みこんだ装置を製造する工程段階でアンテナの形態を
決定することになる。
【0250】なお、本実施形態においても、第10の実
施形態のごとく、指向性判別のためのプローブ75a〜
75cを配置することができる。
【0251】[アンテナモジュール]上記のアンテナを
備えた装置の各実施形態では、図29に示すような駆動
部51や形態設計制御部54などが端末装置などの各種
装置に設けられている。このようなアンテナの形態を決
定するための回路(アンテナの盛業回路)をアンテナと
一体化した部品をアンテナモジュールとして製造し、販
売することも可能である。
【0252】図36は、本発明によるアンテナと、この
アンテナの形態を制御する回路とを一体化したアンテナ
モジュールを示している。このアンテナモジュールは、
集積回路チップのパッケージ80上に本発明のアンテナ
50が固着されたものである。集積回路チップに形成さ
れた回路システムは、図29に示す駆動部51、形態設
計部53、形態設計制御部54、記憶部55、レベル検
出部71、指向性判別部72、利得判別部73、インピ
ーダンス判別部などのアンテナ制御回路を含んでおり、
好ましくは、通信回路61をも含んでいる。
【0253】このようなアンテナモジュールは、図36
に示す形態端末(携帯電話を含む)などの装置90に組
み込まれて使用される。アンテナモジュールを搭載する
装置90や、その装置90の使用環境に応じて、適切な
アンテナの形態は異なる。本発明のアンテナモジュール
によれば、携帯端末の使用状況に応じてアンテナの形態
が最適な形態に自動的に変化する。
【0254】図37(a)は、図36の携帯端末が待ち
受けモードにあるときのアンテナ50の指向性を模式的
に示している。待ち受けモードでは、広い指向性を示す
ようにアンテナ50の形態が設定される。通信の相手を
探索するモードでは、指向性が強い形態をアンテナ50
に与え、かつ、その形態を逐次変更することにより、図
37(b)に示すように、アンテナ50の指向性の強い
方向を変化させる。上記の探索モードでは、相手機から
発せられる電波の発信源方向を見つけ出すと、図37
(c)に示すように、発信源の方向に最も指向性が強く
なる形態をアンテナ50に付与し、電波の送受信を効率
的に行う。
【0255】(第14の実施形態)図38は、本発明の
アンテナが用いられる通信システムの例を示す斜視図で
ある。図38には、ミリ波を利用した通信システムが例
示されている。同図に示すように、基幹光ファイバーラ
イン(Trunk Line O-Fiber)から分岐する多数の光ファ
イバーラインの先端にそれぞれ基地局が設けられてい
る。また、各基地局から各家庭(又はオフィス)にミリ
波による通信を行なうための無線通信網が形成されてい
る。そして、各家庭又はオフィスの無線端末(移動局)
では、ミリ波を用いて、基地局から各家庭又はオフィス
の機器に対する各種メディアの供給や、インターネット
通信や、移動局間の通信などをすることが可能になって
いる。つまり、ミリ波は光に近い波長を有するため、物
体による電波妨害を受けやすい。このため、基地局まで
は光ファイバー網を介して光通信によるデータの送受信
が行なわれ、基地局で光信号と電気信号との間で変換が
行われる。そして、家庭又はオフィスと基地局との間で
は、ミリ波を利用したワイヤレスアクセスが可能とな
る。
【0256】本発明のアンテナは、上記のワイヤレスア
クセスを行う際の送受信に好適に用いられる。システム
の一部においては、基幹光ファイバーラインに直接接続
される基地局と、携帯情報端末や企業内の端末との間
で、本発明のアンテナを介するワイヤレスアクセスが可
能である。
【0257】図39は、図38に示す基地局と、各家庭
やオフィス内の無線端末との間における通信システムの
構成を概略的に示すブロック図である。同図に示す通信
システムは、光ファイバー網(ネットワーク)100を
介して互いに接続される多数の基地局101と、各基地
局101を介して互いに通信を行なうための無線端末1
02とを備えている。各基地局101は、電波の受信、
送信を行なうためのアンテナ装置111と、アンテナ装
置111で受信した電波信号を増幅するなどの機能を有
する受信増幅部112と、アンテナ装置111に増幅し
た高周波信号を送り込むための送信増幅部113と、受
信増幅部112や送信増幅部113に接続される無線送
受信部114と、各デバイスの動作を制御するための制
御部115と、基地局101と光ファイバー網100と
の間の信号を接続するための有線接続部116とを備え
ている。また、無線端末102は、電波の受信、送信を
行なうためのアンテナ装置121と、アンテナ装置12
1で受信した電波信号を増幅するなどの機能を有する受
信増幅部122と、アンテナ装置121に増幅した高周
波信号を送り込むための送信増幅部123と、各デバイ
スの動作を制御するための制御部125とを備えてい
る。
【0258】図40は、基地局101の内部構成をより
詳細に示すブロック回路図である。同図に示すように、
アンテナ装置111は、アンテナ本体111aと、アン
テナ本体111aの送受信を切り換えるためのアンテナ
スイッチ111bとによって構成されている。なお、受
信増幅部112は、フィルタ131と、低雑音アンプ
(LNA)132とを直列に2段ずつ配置して構成され
ている。無線送受信部114には局所増幅器と高周波発
信器との出力を混合して高周波信号を生成するためのミ
クサ134が配置されている。送信増幅器113には、
ドライバアンプ135と、フィルタ136と、ミドルア
ンプ137と、メインアンプ138とが配置されてい
る。有線接続部116は、音声信号を処理するためのベ
ースバンド信号処理部117と、インターフェース部1
18と、光ファイバー網(ネットワーク)100に接続
される交換制御部119とによって構成されている。な
お、図示しないが、光信号と電気信号との間で変換を行
う信号変換装置がインターフェース部118に設けられ
ている。
【0259】本発明のアンテナは、アンテナ本体111
aとして用いられ、例えばスロットアンテナ中の1つの
スロットとして機能する。
【0260】以上の各実施形態では、特に形態が動的に
変化するアンテナに本発明を適用した場合について説明
してきたが、本発明の設計方法は、図1(a)や図2
(a)に示すような形態が固定されたアンテナを設計す
る場合にも適用できる。
【0261】
【発明の効果】本発明によれば、取り得る形態の多数の
組合せの中から、必要な特性を示す最適なアンテナ形態
を適切に見つけ出すことができるため、設計者の経験的
知識に基づいてアンテナの概略形態を選択していた従来
の設計方法では到底得られなかったアンテナ形態を選択
することが可能である。また、設計者の熟練が不要にな
るため、アンテナ設計に必要なコストが低減される。
【0262】また、本発明によれば、上記の設計方法に
よって選択された形態を動的に実現できるアンテナを備
えた装置を提供することができる。このような動的に形
態が変化する場合、通信状況に応じて最適な形態を示す
アンテナを形成することができる。また、このようなア
ンテナを備えた装置を用いることより、種々の形態をも
つアンテナの特性を実際に測定・評価して好ましいアン
テナ形態を選択することが容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、従来の電流制御型の平面アンテナの
構造例を示す平面図であり、(b)は、本発明による電
流制御型の平面アンテナの構造例を示す平面図である。
【図2】(a)は、従来の磁流制御型の平面アンテナの
構造例を示す平面図であり、(b)は、本発明による磁
流制御型の平面アンテナの構造例を示す平面図である。
【図3】(a)は、本発明による平面アンテナの第1の
実施形態における導電体要素12の配列を示す斜視図で
あり、(b)は、その上に接続要素13が配置された状
態のアンテナを示す斜視図である。
【図4】(a)から(c)は、それぞれ、本発明の第1
の実施形態におけるて種々の平面形状を持つ導電体要素
12のアレイを示す平面図である。
【図5】(a)から(c)は、それぞれ、本発明の第1
の実施形態における導電体要素12のアレイの他の配置
例を示す平面図である。
【図6】(a)から(c)は、それぞれ、本発明の第1
の実施形態における導電体要素12のアレイの更に他の
配置例を示す平面図である。
【図7】第1の実施形態における接続要素の第1具体例
示す断面図である。
【図8】第1の実施形態における接続要素の第2具体例
を示す断面図である。
【図9】第1の実施形態における接続要素の第3具体例
を示す断面図である。
【図10】本発明によるアンテナの第2の実施形態を示
す断面図である。
【図11】図10のアンテナにおける電流の流れを示す
断面図である。
【図12】(a)は、本発明によるアンテナの第3の実
施形態の外観構造を示す斜視図であり、(b)は、誘電
体基板及び導電体要素を除去した状態のアンテナを示す
斜視図である。
【図13】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の
アンテナの第3の実施形態における導通手段の第1具体
例を示す断面図である。
【図14】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の
アンテナの第3の実施形態における導通手段の第2具体
例を示す断面図である。
【図15】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の
アンテナの第3の実施形態における導通手段の第3具体
例を示す断面図である。
【図16】本発明によるアンテナの第4の実施形態の外
観構造を示す斜視図である。
【図17】本発明によるアンテナの第5の実施形態の構
造を示す斜視図である。
【図18】本発明によるアンテナの第5の実施形態の概
観構造を示す斜視図である。
【図19】(a)は、3つの導電体要素の下方に3つの
第1誘電体要素が存在している平面アンテナの断面図で
あり、(b)は、その平面図である。
【図20】(a)は、3つの導電体要素のうち両端の導
電体要素の下方には大面積の第1誘電体要素が存在し、
中央の導電体要素12の下方には小面積の第2誘電体要
素が存在しているアンテナの断面図であり、(b)は、
その平面図である。
【図21】(a)は、3つの導電体要素の下方に3つの
第1誘電体要素が存在している平面アンテナの断面図で
あり、(b)は、その平面図である。
【図22】(a)は、両端の導電体要素の下方には高い
誘電率ε1を有する第1誘電体要素が存在し、中央の導
電体要素の下方には低い比誘電率ε2を有する第2誘電
体要素が存在しているアンテナの断面図であり、(b)
は、その平面図である。
【図23】(a)は、3つの導電体要素の下方に3つの
第1誘電体要素が存在している平面アンテナの断面図で
あり、(b)は、その平面図である。
【図24】(a)は、両端の導電体要素の下方には平均
的な比誘電率が高い第1誘電体要素が存在し、中央の導
電体要素の下方には平均的な比誘電率が低い第2誘電体
要素が存在しているアンテナの断面図であり、(b)
は、その平面図である。
【図25】(a)は、3つの導電体要素がそれぞれ誘電
体要素に接触している平面アンテナの断面図であり、
(b)は、その平面図である。
【図26】(a)は、両端の導電体要素は誘電体要素に
接触しているが、中央の導電体要素が誘電体要素から離
れているアンテナの断面図であり、(b)は、その平面
図である。
【図27】本発明によるホーンアンテナを示す斜視図で
ある。
【図28】本発明によるスロットアンテナを示す斜視図
である。
【図29】本発明によるアンテナを備えた装置の実施形
態を示すブロック図である。
【図30】アンテナ形態と指向性などとの関係の一例を
示す図である。
【図31】アンテナの形態を変更しながら、アンテナの
指向性/利得/インピーダンスを測定する手順の例を示
したフローチャートである。
【図32】本発明によるアンテナを備えた装置の他の実
施形態を示すブロック図である。
【図33】本発明によるアンテナを備えた装置の更に他
の実施形態を示すブロック図である。
【図34】本発明によるアンテナを備えた装置の更に他
の実施形態を示すブロック図である。
【図35】本発明によるアンテナを備えた装置の更に他
の実施形態を示すブロック図である。
【図36】本発明によるアンテナと、このアンテナの形
態を制御する回路とを一体化したアンテナモジュールの
一例を示す斜視図である。
【図37】(a)から(c)は、アンテナの形態が変化
することによって指向性が変ることを模式的に示す斜視
図である。
【図38】本発明のアンテナが用いられる通信システム
の例を示すブロック図である。
【図39】図38に示す基地局と各家庭やオフィス内の
無線端末との間における通信システムの構成を概略的に
示すブロック図である。
【図40】基地局の内部構成をより詳細に示すブロック
回路図である。
【図41】本発明の設計方法の手順例を示すフローチャ
ートである。
【図42】アンテナの形態をマトリクス変数によって記
述する一例を説明する図面である。
【図43】アンテナの形態をマトリクス変数によって記
述する他の例を説明する図面である。
【図44】電磁界パターンを求める際に好適に用いられ
る有限要素法における有限要素を示す図である。
【図45】本発明の設計方法の他の手順例を示すフロー
チャートである。
【図46】遺伝子アルゴリズムを説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 誘電体基板 10 単位セル 12 導電体要素 13 接続要素 14 接地導電体板 17 誘電体膜 2、3 導電体 2a 導電体2の端部 50 アンテナ 51 駆動部 53 設計部 54 形態設計制御部 55 記憶部 61 通信回路 71 レベル検出部 72 指向性判別部 73 利得判別部 74 インピーダンス判別部
フロントページの続き (72)発明者 岡嶋 道生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5J045 AA01 AA05 AA21 DA10 EA07 HA03 NA01 NA03 5J046 AA03 AA04 AB03 AB13 BA00 BA03

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2次元または3次元の解析領域内に含ま
    れるアンテナの形態を記述する変数を定義するステップ
    (a)と、 前記変数を設定することにより、前記変数によって記述
    されるアンテナの形態を設定する行うステップ(b)
    と、 前記ステップ(b)で決定されたアンテナの形態によっ
    て生じる前記解析領域の電磁界パターンを求めるステッ
    プ(c)と、 前記ステップ(c)において求められた電磁界パターン
    に基づいて、前記アンテナの特性評価を行うステップ
    (d)と、を含み、 異なる複数の変数について、前記ステップ(b)から前
    記ステップ(d)までを順次または並列的に実行するこ
    とにより、前記複数の変数の各々によって記述される形
    態を有する個々のアンテナの特性評価の結果を得て、こ
    の特性評価の結果に基づいてアンテナの形態を決定す
    る、アンテナの設計方法。
  2. 【請求項2】 前記ステップ(a)では、前記解析領域
    内においてアンテナを形成しようとする領域をアレイ状
    に配置された複数のセルに区画し、前記複数のセルに割
    り当てた符号の組を変数として、個々のアンテナの形態
    を記述する請求項1に記載のアンテナの設計方法。
  3. 【請求項3】 前記ステップ(a)では、アンテナを形
    成しようとする領域をアレイ状に配置された複数のセル
    に区画して、各セルにおける導体の有無をマトリクスで
    表した変数によりアンテナの形態を記述する請求項1に
    記載のアンテナの設計方法。
  4. 【請求項4】 遺伝子アルゴリズムを用いてアンテナの
    特性が所望範囲に収束するように前記ステップ(b)か
    ら前記ステップ(d)を繰り返す請求項3に記載のアン
    テナの設計方法。
  5. 【請求項5】 前記ステップ(a)では、アンテナを形
    成しようとする領域をアレイ状に配置された複数のセル
    に区画して、各セルにおける導体占有率をマトリクスで
    表した変数によりアンテナの形態を記述する請求項1に
    記載のアンテナの設計方法。
  6. 【請求項6】 ニューラルネットワークを用いてアンテ
    ナの特性が所望範囲に収束するように前記ステップ
    (b)から前記ステップ(d)を繰り返す請求項5に記
    載のアンテナの設計方法。
  7. 【請求項7】 前記複数の要素を有限要素法における有
    限要素として区画するステップを更に含み、 前記ステップ(c)では、有限要素法を用いて解析領域
    における電磁界パターンを求める請求項1から6のいず
    れかに記載のアンテナの設計方法。
  8. 【請求項8】 アンテナ設計対象領域及びアンテナ設計
    対象領域を囲む領域全体を前記有限要素に区画するステ
    ップを更に含み、 前記ステップ(a)では、前記アンテナ設計対象領域に
    おける有限要素を前記セルとして変数を定義する請求項
    6に記載のアンテナの設計方法。
  9. 【請求項9】 アンテナの形態を可変に形成する形態形
    成手段を定義するステップ(a)と、 前記形態形成手段を用いてアンテナの形態を規定するた
    めの変数を定義するステップ(b)と、 前記ステップ(b)で定義された変数を用いて前記形態
    形成手段によりアンテナの形態を形成するステップ
    (c)と、 前記ステップ(c)で形成されたアンテナの特性を測定
    するステップ(d)と、 前記ステップ(d)において検出されたアンテナの特性
    が所望範囲にあるか否かを判別するステップ(e)とを
    含み、 前記アンテナの特性が所望範囲になるまで前記ステップ
    (c)から前記ステップ(e)を繰り返すことを特徴と
    するアンテナの設計方法。
  10. 【請求項10】 前記ステップ(a)では、前記形態形
    成手段を、アンテナ形成領域に配置され、互いに分離さ
    れた複数の導体要素と、各導体要素間を導通・非導通に
    切り換えるための接続要素と、この接続要素を移動させ
    るための移動機構とによって定義しておき、 前記ステップ(c)では、前記移動機構を制御すること
    により、前記アンテナの形態を形成する請求項9に記載
    のアンテナの設計方法。
  11. 【請求項11】 前記ステップ(d)では、アンテナの
    利得、指向性及びインピーダンスのうち少なくともいず
    れか1つの特性を測定し、 前記ステップ(e)では、アンテナの利得、指向性及び
    インピーダンスのうち少なくともいずれか1つの特性の
    レベルが所望範囲にあるか否かを判別する請求項9また
    は10に記載のアンテナの設計方法。
  12. 【請求項12】 前記ステップ(d)では、外部機器か
    らの信号をも利用してアンテナの特性を求める請求項1
    1に記載のアンテナの設計方法。
  13. 【請求項13】 遺伝子アルゴリズムを用いてアンテナ
    の設計を行う印アンテナの設計法方であって、 アンテナが形成され得る2次元または3次元の空間を複
    数のセルに区画し、前記複数のセルにそれぞれ割りあて
    られた数値からなる符合によって個々のアンテナの形態
    を記述し、それによってアンテナの形態を符号化するス
    テップ(a)と、 前記符号の母集団を設定し、前記母集団を構成する個々
    の符号によって記述される形態を有する個々のアンテナ
    の特性を評価するステップ(b)と、を含み、 前記評価の結果に基づいて、前記母集団に対する選択、
    交又、および/または突然変異の遺伝的操作を行い、前
    記母集団を更新するステップ(c)と、 前記ステップ(b)および前記ステップ(c)を繰り返
    すことにより、前記評価の所定基準を超える特性を持つ
    アンテナの形態を決定する、遺伝子アルゴリズムを用い
    たアンテナの設計方法。
  14. 【請求項14】 2次元または3次元の解析領域を複数
    の要素に区画する手段(a)と、 前記解析領域内に含まれるアンテナの形態を記述する変
    数を定義する手段(b)と、 前記変数を設定することにより、前記変数によって記述
    されるアンテナの形態を設定する行う手段(c)と、 前記手段(c)で決定されたアンテナの形態によって生
    じる前記解析領域の電磁界パターンを求める手段(d)
    と、 前記手段(d)において求められた電磁界パターンに基
    づいて、前記アンテナの特性評価を行う手段(e)と、
    を備え、 異なる複数の変数について、前記変数の設定から前記ア
    ンテナの特性までの処理を順次または並列的に実行する
    ことにより、前記複数の変数の各々によって記述される
    形態を有する個々のアンテナの特性評価の結果を得て、
    この特性評価の結果に基づいてアンテナの形態を決定す
    る、アンテナの設計装置。
  15. 【請求項15】 遺伝子アルゴリズムを用いてアンテナ
    の設計を行うアンテナの設計装置であって、 アンテナが形成され得る2次元または3次元の空間を複
    数のセルに区画し、前記複数のセルにそれぞれ割りあて
    られた数値からなる符合によって個々のアンテナの形態
    を記述し、それによってアンテナの形態を符号化する手
    段(a)と、 前記符号の母集団を設定し、前記母集団を構成する個々
    の符号によって記述される形態を有するアンテナの特性
    を評価する手段(b)と、 前記評価の結果に基づいて、前記母集団に対する選択、
    交又、および/または突然変異の操作を行い、前記母集
    団を更新する手段(c)と、を備え、 前記アンテナの特性の評価と前記母集団の更新とをを繰
    り返すことにより、前記評価の所定基準を超える特性を
    持つアンテナの形態を決定するアンテナの設計装置。
  16. 【請求項16】 コンピュータに対して、2次元または
    3次元の解析領域を複数の要素に区画するステップ
    (a)と、前記解析領域内に含まれるアンテナの形態を
    記述する変数を定義するステップ(b)と、前記変数を
    設定することにより、前記変数によって記述されるアン
    テナの形態を設定する行うステップ(c)と、前記ステ
    ップ(c)で決定されたアンテナの形態によって生じる
    前記解析領域の電磁界パターンを求めるステップ(d)
    と、前記ステップ(d)において求められた電磁界パタ
    ーンに基づいて、前記アンテナの特性の評価を行うステ
    ップ(e)とを実行させ、更に、異なる複数の変数につ
    いて、前記ステップ(c)から前記ステップ(e)まで
    を順次または並列的に実行させることにより、前記複数
    の変数の各々によって記述される形態を有する個々のア
    ンテナの特性の評価結果を算出させる、コンピュータプ
    ログラム。
  17. 【請求項17】 コンピュータに対して、アンテナが形
    成され得る2次元または3次元の空間を複数のセルに区
    画し、前記複数のセルにそれぞれ割りあてられた数値か
    らなる符合によって個々のアンテナの形態を記述し、そ
    れによってアンテナの形態を符号化するステップ(a)
    と、前記符号の母集団を用意し、前記母集団を構成する
    個々の符号によって記述される形態を有するアンテナの
    特性を評価するステップ(b)と、前記評価の結果に基
    づいて、前記母集団に対する選択、交又、および/また
    は突然変異の遺伝的操作を行い、前記母集団を更新する
    ステップ(c)とを実行させ、更に、前記ステップ
    (b)および前記ステップ(c)を繰り返して実行させ
    る、コンピュータプログラム。
  18. 【請求項18】 互いに分離され、各々が単独ではアン
    テナとして機能しない複数の導電体要素のアレイと、前
    記複数の導電体要素から選択された少なくとも2つの導
    電体要素を電磁気的に結合し、結合した複数の導電体要
    素を1つのアンテナ要素として機能させる結合手段と、
    前記複数の導電体要素を支持する誘電体層とを備え、前
    記結合手段は、前記選択された複数の導電体要素を電気
    的に接続し得るスイッチング素子を有しているアンテナ
    と、 前記複数のスイッチング素子を駆動する信号を生成する
    駆動回路と、 演算器と、 前記演算器に対して、2次元または3次元の解析領域を
    複数の要素に区画するステップ(a)と、 前記解析領
    域内に含まれるアンテナの形態を記述する変数を定義す
    るステップ(b)と、前記変数を設定することにより、
    前記変数によって記述されるアンテナの形態を設定する
    行うステップ(c)と、前記ステップ(c)で決定され
    たアンテナの形態によって生じる前記解析領域の電磁界
    パターンを求めるステップ(d)と、前記ステップ
    (d)において求められた電磁界パターンに基づいて、
    前記アンテナの特性の評価を行うステップ(e)とを実
    行させ、更に、異なる複数の変数について、前記ステッ
    プ(c)から前記ステップ(e)までを順次または並列
    的に実行させることにより、前記複数の変数の各々によ
    って記述される形態を有する個々のアンテナの特性の評
    価結果を算出させる、コンピュータ・プログラムを格納
    したメモリと、を備えている装置。
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