JP2003331804A - 蓄電池収納箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 筐体の側板を筐体側板２ｂ，２ｃと内部側板
３，４とからなる二重構造とすることにより内部の温度
上昇を軽減すると共に、鉛蓄電池１を載置する棚板５や
電池固定板６の取り付けを容易にすることができる蓄電
池収納箱を提供する。 【解決手段】 筐体の左右の筐体側板２ｂ，２ｃの内側
に、これらの筐体側板２ｂ，２ｃとの間に隙間を形成し
てほぼ平行に配置された内部側板３，４をそれぞれ取り
付け、これら左右の内部側板３，４に、これらの間に配
置されて鉛蓄電池１を載置するほぼ水平な載置面を備え
た棚板５と、この棚板５に載置される鉛蓄電池１の前方
を横切る電池固定板６とを取り付けた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主に一般家庭等に
蓄電池を設置するための蓄電池収納箱に関する。

【０００２】

【従来の技術】高品質の安定した電力供給を行うために
は、夏期と冬季や昼間と夜間等での電力需要の差を減少
させて負荷平準化を図ることが必要となる。一方、最近
では、一般家庭でも、太陽光等によって発電した電力や
夜間の余剰電力を蓄電池に充電しておき、電力消費のピ
ーク時に放電させることによりクリーンエネルギー利用
や電力使用を平準化することが求められている。

【０００３】上記一般家庭の電力貯蔵用に蓄電池を設置
する場合には、企業や官公庁等の施設に比べて容量が比
較的小さいことから、複数の蓄電池をケースに収納して
一体化したユニット電池をそのまま使用する場合が多
い。しかしながら、これらの蓄電池を屋外に設置する場
合には、風雨を避けるためにキュービクル型の蓄電池収
納箱に収納する必要があり、従来は、一般家庭用には金
属板を筐体状とした簡易な蓄電池収納箱を用いていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、簡易な蓄電
池収納箱は、複数の蓄電池の周囲を１枚の金属板で覆っ
ただけのものであるため、夏期等に直射日光の輻射熱を
受けて内部温度が極めて高温になり、蓄電池の電池性能
に悪影響を及ぼすおそれがあるという問題があった。

【０００５】また、一般家庭用のものであっても、蓄電
池が収納された蓄電池収納箱は相当な重量となるので、
搬入時にはクレーンやフォークリフト等の運搬用車両を
用いなければならず、実際に家庭内で設置場所まで運ぶ
には、台車等を用いて大勢の作業者により作業を行う必
要がある。しかしながら、一般家庭の住宅では、敷地の
前の道路に運搬用車両が入り込めない場合があり、台車
等を用いても、裏庭や集合住宅のベランダ等の奥まった
設置場所まで運ぶことが困難になる場合がある。このた
め、蓄電池とは別個に搬入し、設置場所で簡単に組み立
てることができる蓄電池収納箱を利用したいとする要請
が従来からあった。

【０００６】本発明は、かかる事情に対処するためにな
されたものであり、筐体の側板を二重構造とすることに
より内部の温度上昇を軽減すると共に、蓄電池を載置す
る棚板や電池固定板の取り付けを容易にすることができ
る蓄電池収納箱を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、筐体
の左右両筐体側板の内側に、これらの筐体側板との間に
隙間を形成してほぼ平行に配置された内部側板をそれぞ
れ取り付け、これら左右の内部側板に、これらの間に配
置されて蓄電池を載置するほぼ水平な載置面を備えた棚
板と、この棚板に載置される蓄電池の前方を横切る電池
固定板とを取り付けたことを特徴とする。

【０００８】請求項１の発明によれば、筐体側板の内側
に内部側板が配置されて二重構造となるので、外側の筐
体側板が夏期の直射日光を受けて高温になっても、内部
側板との間の空気層で断熱されることにより、蓄電池が
収納された蓄電池収納箱の内部の温度上昇を抑制するこ
とができるようになる。また、風雨を防ぐための構造が
要求される外側の筐体側板とは別に、内側に内部側板を
取り付けるので、棚板や電池固定板を取り付け易い構造
とすることができ、設置場所で蓄電池を収納する組み立
て作業を容易に行うことができるようになる。しかも、
電池固定板を取り付けることにより、棚板に載置した鉛
蓄電池を確実に支持できるので、この棚板をほぼ水平に
配置し蓄電池の成層化を防止することができるようにな
る。

【０００９】請求項２の発明は、前記内部側板が、棚板
の取り付け位置で上下に分割され、別個に筐体に取り付
け可能となっていることを特徴とする。

【００１０】請求項２の発明によれば、内部側板が分割
されているので、この内部側板と棚板を最下段から順に
取り付けて、各段の棚板を取り付けるごとに上方が空い
た状態で蓄電池を載置することができるので、蓄電池収
納箱の組み立てが容易となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。

【００１２】図１〜図３は本発明の一実施形態を示すも
のであって、図１は蓄電池収納箱の筐体とこの筐体に組
み付ける内部側板と棚板と電池固定板とを示す組み立て
斜視図、図２は蓄電池収納箱の筐体に内部側板と棚板と
電池固定板とを組み付けた状態を示す斜視図、図３は筐
体に内部側板と棚板と電池固定板とを組み付け鉛蓄電池
を収納することにより組み立てを完成した蓄電池収納箱
を示す斜視図である。

【００１３】本実施形態は、図３に示すように、横並び
にした４個の鉛蓄電池１を上下３段に収納する蓄電池収
納箱２について説明する。この蓄電池収納箱２は、金属
板を板金加工により前面のみが開放された筐体に形成
し、この筐体の内部に左右の内部側板３，４と２枚の棚
板５と３本の電池固定板６とを取り付けたものである。

【００１４】図１に示すように、蓄電池収納箱２の筐体
の下端に水平に配置される底板２ａは、鉛蓄電池１を収
納した蓄電池収納箱２全体を支える強度を得るためと、
設置面に溜まった水の侵入を避けるために、各端縁部を
一定幅ずつ下方に折り曲げて板面を少し上方に持ち上げ
た構造を成している。この底板２ａの上面は、左右と後
方の三方が垂直な筐体側板２ｂ，２ｃと背面板２ｄとに
よって囲まれると共に、上方が水平な天板２ｅによって
覆われ、前面のみが開放されている。なお、天板２ｅ
は、前方端縁部をわずかな幅だけ下方に折り曲げて補強
を図っている。これらの底板２ａと筐体側板２ｂ，２ｃ
と背面板２ｄと天板２ｅは、１枚の金属板を折り曲げ、
又は、２枚以上の金属板を折り曲げて組み合わせ、互い
に接する辺を溶接により接合させることにより筐体を形
成している。

【００１５】上記蓄電池収納箱２の筐体の内部に取り付
けられる左右の内部側板３，４は、筐体側板２ｂ，２ｃ
の高さよりもわずかに低く奥行きも十分に短い垂直に配
置される金属板であり、前方と後方の端縁部がそれぞれ
一定幅で互いに向かい合う側とは反対側に折り曲げられ
ている。また、これらの内部側板３，４には、高さ方向
にほぼ三等分するような２箇所の位置に、棚板５を取り
付けるためのスリットからなる取り付け部３ａ，４ａが
それぞれ形成されると共に、これら取り付け部３ａ，４
ａで高さ方向に三等分された垂直な板面のほぼ中央の前
方端部に、電池固定板６の左右の端部を係止させるため
の凸部とスリットとからなる係止部３ｂ，４ｂが形成さ
れている。これらの内部側板３，４の間に取り付けられ
る２枚の棚板５は、水平に配置される左右に長い金属板
であり、前方と後方の端縁部をわずかな幅だけ下方に折
り曲げてチャンネル状又はＣチャンネル状とすることに
より、鉛蓄電池１を載置するための補強を行っている。
また、３本の電池固定板６は、左右に細長い金属板であ
り、取り付けのためにこの左右の両端部を後方に折り曲
げている。

【００１６】左右の内部側板３，４は、図２に示すよう
に、これらの間の上下に配置した２枚の棚板５の左右の
両端部を取り付け部３ａ，４ａに差し込んだ状態で筐体
内の筐体側板２ｂ，２ｃの内側に嵌め込まれ適宜係止さ
れる。従って、筐体側板２ｂ，２ｃと内部側板３，４と
の間には、これら内部側板３，４の前後の端縁部が折り
曲がっていることにより、隙間が形成される。このよう
にして内部側板３，４と棚板５が筐体に取り付けられる
と、これら２段の棚板５と筐体の底板２ａの水平な載置
面に、図３に示すように、鉛蓄電池１が載置される。鉛
蓄電池１は、端子が前方に突出するように横置きにさ
れ、各棚板５や底板２ａ上にそれぞれ横並びに４個ずつ
載置される。そして、各段の鉛蓄電池１の前面には、そ
れぞれ電池固定板６が取り付けられる。３本の電池固定
板６は、折り曲げた左右の両端部を内部側板３，４の係
止部３ｂ，４ｂに上方から嵌め込み係止することにより
前方への移動ができなくなるので、鉛蓄電池１の前面を
塞いで前方への抜け出しを確実に防ぐことができるよう
になる。なお、図２では、電池固定板６の内部側板３，
４への取り付け方を示すために、棚板５に鉛蓄電池１を
載置する前にこの電池固定板６を取り付けた状態を示し
ているが、実際には鉛蓄電池１の載置後に取り付けられ
ることになる。このようにして組み立てが完了した蓄電
池収納箱２は、各鉛蓄電池１の端子の配線を行い、筐体
の前面の開放部に扉を取り付けることにより設置が完了
する。

【００１７】上記構成の蓄電池収納箱２は、一般家庭用
に簡易な構成の筐体を用いているにもかかわらず、左右
の筐体側板２ｂ，２ｃと内部側板３，４とが二重構造と
なって間に隙間が形成されるので、筐体側板２ｂ，２ｃ
が直射日光の輻射熱を受けて高温になったとしても、こ
の熱が直ちに筐体の内部には伝わらず、内部側板３，４
との間の隙間の空気層で断熱される。従って、屋外の蓄
電池収納箱２に夏期等の強い直射日光が照射されても、
筐体の内部の鉛蓄電池１が異常に温度上昇するのを抑制
することができ、これらの鉛蓄電池１の電池性能が高温
により劣化するのを防止できるようになる。また、外側
の筐体は、一般家庭用の簡易な構造であっても、内側に
棚板５や電池固定板６を簡単に取り付けることができる
内部側板３，４を組み付けるので、設置場所での組み立
て作業がやり易くなり、蓄電池収納箱２と鉛蓄電池１を
別個に搬入して作業性の向上を図ることが容易となる。

【００１８】しかも、棚板５に載置された鉛蓄電池１
は、電池固定板６によって落下を確実に防止できるの
で、この棚板５を水平に配置することが可能となる。こ
のため、棚板５を後方ほど低くなるように傾斜させるこ
とにより鉛蓄電池１の前方への落下を防止する場合に比
べ、これらの鉛蓄電池１を蓄電池収納箱２に収容する容
積効率を高めることができるだけでなく、これらの鉛蓄
電池１を水平に載置することにより成層化を防止するこ
ともできるようになる。鉛蓄電池１は、希硫酸の電解液
を使用するので、充放電の繰り返しによって比重の大き
い硫酸が底部に溜まり、上部の硫酸の濃度が低下し易く
なる。そこで、固定した場所に設置して使用する鉛蓄電
池１は、電槽を横置きに載置することにより、電解液の
硫酸の濃度の上下差が少なくなるようにして成層化を防
止することが好ましい。従って、本実施形態の蓄電池収
納箱２では、水平な棚板５に鉛蓄電池１を横置きに載置
することにより、電槽の上下方向の高さを低くできるの
で、この鉛蓄電池１の成層化の防止を図ることができる
ようになる。また、この実施形態では、各鉛蓄電池１の
電槽の狭い方の側面を上下に配置して、端子が上下から
突出するように横置きにしているが、電槽の広い方の側
面が上下となるように配置すれば、この電槽の上下方向
の高さを最低にできるので、さらなる成層化の防止が可
能となる。

【００１９】なお、上記実施形態では、左右の内部側板
３，４がそれぞれ１枚の金属板からなる場合について説
明したが、これらの内部側板３，４を２箇所の取り付け
部３ａ，４ａで上段と中段と下段に３分割することもで
きる。この場合、まず下段の左右の内部側板３，４を取
り付けると共に底板２ａに鉛蓄電池１を載置する。次
に、これらの鉛蓄電池１の上方に一枚目の棚板５を配置
して、この棚板５の両端部を挟むように、下段の内部側
板３，４の上に中段の内部側板３，４を取り付けると共
に、この棚板５に鉛蓄電池１を載置する。そして、これ
らの鉛蓄電池１の上方に二枚目の棚板５を配置して、こ
の棚板５の両端部を挟むように、中段の内部側板３，４
の上に上段の内部側板３，４を取り付けると共に、この
棚板５に鉛蓄電池１を載置する。このようにすれば、上
方の棚板５に邪魔されることなく下段から順に鉛蓄電池
１の収納を行うことができるので、蓄電池収納箱２の組
み立て作業がさらに容易になる。

【００２０】また、上記実施形態では、内部側板３，４
の前後の端縁部を折り曲げて筐体側板２ｂ，２ｃとの間
に隙間を形成する場合について説明したが、この内部側
板３，４は、筐体側板２ｂ，２ｃとの間に間隔を開けて
取り付けられるのであれば、例えば平坦な金属板によっ
て構成されていてもよい。さらに、蓄電池収納箱２の筐
体の構成も、上記実施形態に限定されず、左右に筐体側
板２ｂ，２ｃが配置されたものであれば、どのような構
成であってもよい。また、筐体の前方の開放部は、実施
例のように組み立て後に扉を取り付ける他に、単なる金
属板からなる蓋板を取り付けるだけでもよく、筐体に最
初から扉が取り付けられていてもよい。

【００２１】また、上記実施形態では、２枚の棚板５を
使用し、底板２ａとこれらの棚板５の上下３段に鉛蓄電
池１を載置する場合について説明したが、この棚板５の
使用枚数や鉛蓄電池１を載置する段数は任意である。例
えば底板２ａのない筐体を用いる場合には、棚板５の枚
数と鉛蓄電池１の段数は一致する。さらに、この棚板５
を上下だけでなく前後方向にも複数段配置することがで
きる。この場合、まず奥側の棚板５に鉛蓄電池１を載置
してから、手前側の棚板５に鉛蓄電池１を載置すること
になる。このように棚板５を前後方向に複数段配置する
場合には、奥側の棚板５ほど少し高い位置にずらして配
置すれば、鉛蓄電池１の端子の配線をやり易くすること
ができる。

【００２２】また、上記実施形態では、鉛蓄電池１を収
納する蓄電池収納箱２について説明したが、その他の非
水電解質系等の任意の蓄電池を収納する蓄電池収納箱に
も同様に実施可能である。

【００２３】

【実施例】低圧電力を契約している需要家の敷地内の屋
外に電力貯蔵設備を設置する実施例について説明する。
この電力貯蔵設備は、蓄電池収納箱に単体重量が１５ｋ
ｇで１０時間率放電容量が３５Ａｈとなる１２Ｖの鉛蓄
電池を２０個収納したものである。従って、総重量は約
４００ｋｇとなり、従来であれば、フォークリフトやク
レーン等の運搬用車両を使用して搬入しなければなら
ず、これらを用いても設置場所への据え付けが困難な場
合には、一旦解体して３人以上の作業者が台車等を利用
して相当の時間と労力を使って設置作業を行う必要があ
った。

【００２４】これに対して、本実施例では、２人の作業
者がまず蓄電池収納箱の筐体だけを敷地内の設置場所に
運び込み、続いて内部側板と棚板と電池固定板を運んで
来て、この内部側板と棚板を筐体に組み付けた。次に、
２０個の鉛蓄電池を順次運び込んで筐体の底板や棚板に
載置して行き、各段の鉛蓄電池の前面に電池固定板を取
り付けると共に端子の配線を行った。そして、扉を運ん
で来て筐体の前面に取り付けることにより設置作業を完
了した。この結果、本実施例の蓄電池収納箱を使用する
ことにより、一般家庭の敷地内の屋外に、２人の作業者
だけで短時間に容易に設置作業を行うことができた。

【００２５】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の蓄電池収納箱によれば、側板が二重構造となるので、
夏期の直射日光等を受けても、筐体の内部の蓄電池が高
温になって電池特性が劣化するというようなことがなく
なる。また、棚板や電池固定板は、内部側板に取り付け
られるので、設置場所での組み立て作業を容易にするこ
とができる。しかも、電池固定板によって鉛蓄電池を確
実に支持するので、棚板をほぼ水平に配置し蓄電池の成
層化を防止することができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示すものであって、蓄電
池収納箱の筐体とこの筐体に組み付ける内部側板と棚板
と電池固定板とを示す組み立て斜視図である。

【図２】本発明の一実施形態を示すものであって、蓄電
池収納箱の筐体に内部側板と棚板と電池固定板とを組み
付けた状態を示す斜視図である。

【図３】本発明の一実施形態を示すものであって、筐体
に内部側板と棚板と電池固定板とを組み付け鉛蓄電池を
収納することにより組み立てを完成した蓄電池収納箱を
示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 鉛蓄電池 ２ 蓄電池収納箱 ２ａ 底板 ２ｂ 筐体側板 ２ｃ 筐体側板 ３ 内部側板 ３ａ 取り付け部 ３ｂ 係止部 ４ 内部側板 ４ａ 取り付け部 ４ｂ 係止部 ５ 棚板 ６ 電池固定板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筐体の左右両筐体側板の内側に、これら
   の筐体側板との間に隙間を形成してほぼ平行に配置され
   た内部側板をそれぞれ取り付け、これら左右の内部側板
   に、これらの間に配置されて蓄電池を載置するほぼ水平
   な載置面を備えた棚板と、この棚板に載置される蓄電池
   の前方を横切る電池固定板とを取り付けたことを特徴と
   する蓄電池収納箱。
2. 【請求項２】 前記内部側板が、棚板の取り付け位置で
   上下に分割され、別個に筐体に取り付け可能となってい
   ることを特徴とする請求項１に記載の蓄電池収納箱。