JP2003327859A - フタロシアニン系化合物及びエレクトロルミネッセンス材料 - Google Patents

フタロシアニン系化合物及びエレクトロルミネッセンス材料

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JP2003327859A
JP2003327859A JP2002271340A JP2002271340A JP2003327859A JP 2003327859 A JP2003327859 A JP 2003327859A JP 2002271340 A JP2002271340 A JP 2002271340A JP 2002271340 A JP2002271340 A JP 2002271340A JP 2003327859 A JP2003327859 A JP 2003327859A
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Japan
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phthalocyanine
compound
phthalocyanine compound
organic
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JP2002271340A
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Kiyoshi Ito
伊藤  潔
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機溶剤可溶性の新規フタロシアニン系化合
物及びその用途を提供する。 【解決手段】 新規なフタロシアニン系化合物は、下記
の一般式(1)で表される。 【化1】 (式(1)中、Rは、アルキル基またはアルキルエーテ
ル基を示し、Pc(M)は、フタロシアニン亜鉛錯体ま
たはフタロシアニン銅錯体を示し、nは1〜4の整数を
示す。) 該化合物は青色を呈し、有機溶剤溶解性であるので、染
料等の着色材料として使用できる。また該化合物は赤色
蛍光発光を示すので、有機EL素子の発光層に有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なフタロシア
ニン系化合物に関し、該化合物を含有する青色の着色材
料に関し、該着色材料を高分子有機化合物と組み合わせ
た高分子有機材料に関し、また、該フタロシアニン系化
合物を含有する赤色蛍光発光のエレクトロルミネッセン
ス材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開平7−150068号公報
【0004】有機EL素子は、自己発光型であること、
および応答の速いことから、画像の視認性に優れ、ま
た、動画の表示に適していることから、用途が広まりつ
つあるものである。
【0005】有機EL素子に用いられる有機蛍光体とし
ては、所定の発光色を高輝度で発光し得ることに加え
て、発光層を形成する際に、有機蛍光体を溶解もしくは
分散して、適用のための組成物を得るのが容易であるこ
と等が望まれる。というのは、従来、発光層を形成する
ために使用されてきた有機蛍光体は、トルエンやキシレ
ンのような汎用性の高い有機溶剤に対し、難溶性である
ことが多い。これらの有機溶剤は、適度な乾燥性を有す
るので、塗料化する際には、使用頻度が高く、重要なも
のである。あるいは、従来、使用されてきた有機蛍光体
は、上記のような汎用有機溶剤に難溶性であることに加
えて、結晶性(もしくは凝集性)が高く、ときには昇華
性を有しているので、有機蛍光体の層を形成する成膜方
法としては、有機溶剤に溶解して適用する湿式方式を取
りづらく、真空蒸着法等の乾式方式を取る必要性があ
る。
【0006】湿式方式と乾式方式とを比べた場合、乾式
方式において用いる装置は、複雑で高価であり、真空系
を必要とすることから、連続加工が困難であったり、大
面積への加工を試みる際には、装置を真空系ごと大型化
する必要があるが、湿式方式において用いる装置は、少
なくとも真空系を要しない点で比較的簡易なもので済
み、真空系内への材料の導入や、そこからの排出の手間
もなく、大面積への加工を試みる際にも、真空系ごと大
型化する必要がない等の利点がある。従って、有機EL
素子を広く普及させるためには、湿式法式で有機蛍光体
の成膜を行なうことが有利であり、そのようなプロセス
に適した有機蛍光体を使用することが望まれていた。
【0007】一方、従来、Colour Index番号のPigment
Blue 15 (通称、フタロシアニンブルー)に示される次
の式(2)で表されるフタロシアニン系顔料が知られて
いる。
【0008】
【化2】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】縮合環を骨格とする化
合物は、構造上一般的にスタッキングを起こし易く、分
散液或いは溶液を作製しようとすると、凝集して、分散
あるいは溶解が困難であるため、使用勝手が悪いという
不都合がある。上記式(2)に示される化合物も分散性
の点において問題があるばかりでなく、有機溶剤溶解性
が無く、分散性も悪かった。
【0010】そこで本発明において解決すべき1番目の
課題は、縮合環を骨格とするにもかかわらず、有機溶剤
に対する溶解性あるいは分散性に優れた新規なフタロシ
アニン系化合物を提供することである。
【0011】本発明において解決すべき2番目の課題
は、新規なフタロシアニン系化合物を用い、縮合環を骨
格とするにもかかわらず、有機溶剤に対する溶解性ある
いは分散性に優れた着色材料を提供することである。
【0012】本発明において解決すべき3番目の課題
は、新規なフタロシアニン系化合物を用い、高分子材料
中に容易に溶解あるいは容易に分散されて着色されてな
る高分子有機材料を提供することである。
【0013】本発明において解決すべき4番目の課題
は、新規なフタロシアニン系化合物を用いた有機溶剤に
対する溶解性あるいは分散性に優れたエレクトロルミネ
ッセンス材料を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】発明者は種々検討の結
果、特定のフタロシアニン系化合物が青色を呈し、赤色
蛍光発色することを見出すことにより、上記の各課題を
解決することができた。
【0015】第1の本発明は、前記1番目の課題を解決
するものであり、下記一般式(1)で表されるフタロシ
アニン系化合物に関するものであり、該化合物は有機溶
剤溶解性である。
【0016】
【化3】
【0017】(式(1)中、Rは、アルキル基またはア
ルキルエーテル基を示し、Pc(M)は、フタロシアニ
ン亜鉛錯体またはフタロシアニン銅錯体を示し、nは1
〜4の整数を示す。)
【0018】第1の本発明のさらに具体的なフタロシア
ニン系化合物は、前記一般式(1)で表されるフタロシ
アニン系化合物において、RがRは炭素数が1〜20の
直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基、または、アルキル
エーテル基である化合物が挙げられる。
【0019】第2の本発明は、前記2番目の課題を解決
するものであり、前記一般式(1)で表されるフタロシ
アニン系化合物を使用した着色材料に関するものであ
る。該フタロシアニン系化合物は青色を呈し、有機溶剤
溶解性があるため染料等の着色材料として使用できる。
着色材料としては、前記一般式(1)で表わされるフタ
ロシアニン系化合物の内、1種類のみの特定の化合物、
或いは2種以上の特定の化合物の混合物が使用できる。
該混合物を使用した着色材料は溶剤における溶解性がさ
らに向上する利点がある。
【0020】第3の本発明は、前記3番目の課題を解決
するものであり、前記した本発明の着色材料が高分子有
機化合物と組み合わせられてなる着色している高分子有
機材料に関するものである。前記一般式(1)で表され
るフタロシアニン系化合物を高分子有機物質に含ませる
ことにより、着色している高分子有機材料として利用す
ることができる。例えば、可塑性材料、溶融物、紡糸
液、各種コーティング液、スクリーン印刷用インキ、イ
ンクジェット印刷用インキ、または感熱転写等の非衝撃
印刷用インキ、トナー、または調合物等における染料又
は顔料として利用できる。
【0021】第4の本発明は、前記4番目の課題を解決
するものであり、前記した本発明の着色材料を含有して
なるエレクトロルミネッセンス材料である。前記一般式
(1)で表されるフタロシアニン系化合物は、赤色蛍光
発光するので、エレクトロルミネッセンス材料として有
用である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の前記一般式(1)で表さ
れるフタロシアニン系化合物において、Rは、炭素数が
1〜20、好ましくは6〜20の直鎖もしくは分枝鎖状
のアルキル基、または、アルキルエーテル基である。ア
ルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくは
オクチル基等を好ましい例として挙げることができ、ア
ルキルエーテル基としては、エチレンエーテル基、もし
くはプロピレンエーテル基が好ましく、具体的には、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル基、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル基、もしくはプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル基等を好ましい例とし
て挙げることができる。
【0023】前記の例も含め、具体的なアルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−
アミル基、i−アミル基、t−アミル基、エチル−n−
プロピル基、エチル−i−プロピル基、n−ヘキシル
基、t−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル
基、4−ヘプチル基、n−オクチル基、2−オクチル
基、4−オクチル基、n−ノニル基、t−ノニル基、2
−ノニル基、3−ノニル基、4−ノニル基、5−ノニル
基、n−デシル基、2−デシル基、3−デシル基、4−
デシル基、5−デシル基、n−ウンデシル基、t−ウン
デシル基、2−ウンデシル基、3−ウンデシル基、4−
ウンデシル基、5−ウンデシル基、6−ウンデシル基、
n−ドデシル基、t−ドデシル基、2−ドデシル基、3
−ドデシル基、4−ドデシル基、5−ドデシル基、6−
ドデシル基、7−ドデシル基、n−トリデシル基、t−
トリデシル基、2−トリデシル基、3−トリデシル基、
4−トリデシル基、5−トリデシル基、6−トリデシル
基、7−トリデシル基、8−トリデシル基、n−テトラ
デシル基、2−テトラデシル基、3−テトラデシル基、
4−テトラデシル基、5−テトラデシル基、6−テトラ
デシル基、7−テトラデシル基、8−テトラデシル基、
9−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、2−ペンタ
デシル基、3−ペンタデシル基、4−ペンタデシル基、
5−ペンタデシル基、6−ペンタデシル基、7−ペンタ
デシル基、8−ペンタデシル基、9−ペンタデシル基、
10−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、2−へキ
サデシル基、3−へキサデシル基、4−へキサデシル
基、5−へキサデシル基、6−へキサデシル基、7−へ
キサデシル基、8−へキサデシル基、9−へキサデシル
基、10−へキサデシル基、11−へキサデシル基、n
−ヘプタデシル基、2−ヘプタデシル基、3−ヘプタデ
シル基、4−ヘプタデシル基、5−ヘプタデシル基、6
−ヘプタデシル基、7−ヘプタデシル基、8−ヘプタデ
シル基、9−ヘプタデシル基、10−ヘプタデシル基、
11−ヘプタデシル基、12−ヘプタデシル基、ステア
リル基、2−オクタデシル基、3−オクタデシル基、4
−オクタデシル基、5−オクタデシル基、6−オクタデ
シル基、7−オクタデシル基、8−オクタデシル基、9
−オクタデシル基、10−オクタデシル基、11−オク
タデシル基、12−オクタデシル基、13−オクタデシ
ル基、n−ノナデシル基、2−ノナデシル基、3−ノナ
デシル基、4−ノナデシル基、5−ノナデシル基、6−
ノナデシル基、7−ノナデシル基、8−ノナデシル基、
9−ノナデシル基、10−ノナデシル基、11−ノナデ
シル基、12−ノナデシル基、13−ノナデシル基、1
4−ノナデシル基、n−エイコシル基、2−エイコシル
基、3−エイコシル基、4−エイコシル基、5−エイコ
シル基、6−エイコシル基、7−エイコシル基、8−エ
イコシル基、9−エイコシル基、10−エイコシル基、
11−エイコシル基、12−エイコシル基、13−エイ
コシル基、14−エイコシル基、もしくは15−エイコ
シル基、等を挙げることができる。
【0024】また、前記の例も含め、具体的なアルキル
エーテル基としては、−OR1 、−R1 −OR2 、−O
1 −OR2 、−R1 −OR2 −OR3 、−OR1 −O
2−OR3 、−R1 −OR2 −OR3 −OR4 (R1
〜R4 はいずれもアルキレン基)のように表示され、も
しくは含有エーテル酸素原子数が4〜10であるアルキ
ルエーテル基において、酸素原子間に連結するアルキレ
ン基が、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチ
レン基、アミレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノ
ニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン
基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレ
ン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデ
シレン基、ノナデシレン基、もしくはエイコシレン基、
等のおのおの独立した炭素数1〜20のアルキレン基で
あり、末端アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、
t−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、t−アミ
ル基、エチル−n−プロピル基、エチル−i−プロピル
基、n−ヘキシル基、t−ヘプチル基、2−ヘプチル
基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、n−オクチル
基、2−オクチル基、4−オクチル基、n−ノニル基、
t−ノニル基、2−ノニル基、3−ノニル基、4−ノニ
ル基、5−ノニル基、n−デシル基、2−デシル基、3
−デシル基、4−デシル基、5−デシル基、n−ウンデ
シル基、t−ウンデシル基、2−ウンデシル基、3−ウ
ンデシル基、4−ウンデシル基、5−ウンデシル基、6
−ウンデシル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、2
−ドデシル基、3−ドデシル基、4−ドデシル基、5−
ドデシル基、6−ドデシル基、7−ドデシル基、n−ト
リデシル基、t−トリデシル基、2−トリデシル基、3
−トリデシル基、4−トリデシル基、5−トリデシル
基、6−トリデシル基、7−トリデシル基、8−トリデ
シル基、n−テトラデシル基、2−テトラデシル基、3
−テトラデシル基、4−テトラデシル基、5−テトラデ
シル基、6−テトラデシル基、7−テトラデシル基、8
−テトラデシル基、9−テトラデシル基、n−ペンタデ
シル基、2−ペンタデシル基、3−ペンタデシル基、4
−ペンタデシル基、5−ペンタデシル基、6−ペンタデ
シル基、7−ペンタデシル基、8−ペンタデシル基、9
−ペンタデシル基、10−ペンタデシル基、n−ヘキサ
デシル基、2−へキサデシル基、3−へキサデシル基、
4−へキサデシル基、5−へキサデシル基、6−へキサ
デシル基、7−へキサデシル基、8−へキサデシル基、
9−へキサデシル基、10−へキサデシル基、11−へ
キサデシル基、n−ヘプタデシル基、2−ヘプタデシル
基、3−ヘプタデシル基、4−ヘプタデシル基、5−ヘ
プタデシル基、6−ヘプタデシル基、7−ヘプタデシル
基、8−ヘプタデシル基、9−ヘプタデシル基、10−
ヘプタデシル基、11−ヘプタデシル基、12−ヘプタ
デシル基、ステアリル基、2−オクタデシル基、3−オ
クタデシル基、4−オクタデシル基、5−オクタデシル
基、6−オクタデシル基、7−オクタデシル基、8−オ
クタデシル基、9−オクタデシル基、10−オクタデシ
ル基、11−オクタデシル基、12−オクタデシル基、
13−オクタデシル基、n−ノナデシル基、2−ノナデ
シル基、3−ノナデシル基、4−ノナデシル基、5−ノ
ナデシル基、6−ノナデシル基、7−ノナデシル基、8
−ノナデシル基、9−ノナデシル基、10−ノナデシル
基、11−ノナデシル基、12−ノナデシル基、13−
ノナデシル基、14−ノナデシル基、n−エイコシル
基、2−エイコシル基、3−エイコシル基、4−エイコ
シル基、5−エイコシル基、6−エイコシル基、7−エ
イコシル基、8−エイコシル基、9−エイコシル基、1
0−エイコシル基、11−エイコシル基、12−エイコ
シル基、13−エイコシル基、14−エイコシル基、も
しくは15−エイコシル基であるようなエーテル官能基
が挙げられる。これらエーテル官能基中に、硫黄や窒素
等のヘテロ原子を含んでも構わない。
【0025】前記一般式(1)で表されるフタロシアニ
ン系化合物は、亜鉛フタロシアニン、もしくは前記式
(2)の銅フタロシアニンをクロロスルホン化してクロ
ロスルホン酸基を導入し、次に、クロロスルホン酸基に
対して4−アミノフタルイミドを反応させて、スルホン
アミド結合を生成させることによりフタルイミドを導入
し、導入されたフタルイミドのイミド部分に、臭化アル
キルもしくは塩化アルキル等のハロゲン化アルキルを反
応させて、アルキル基を導入することにより得ることが
できる。
【0026】あるいは、前記のハロゲン化アルキルをハ
ロゲン化アルキルエーテルに変更することにより、フタ
ルイミドのイミド部分にアルキルエーテル基を導入する
ことができる。
【0027】前記一般式(1)で表されるフタロシアニ
ン系化合物は、乳酸エチル、ジオキサン、シクロヘキサ
ノン、もしくはジクロロエタン等の有機溶剤に対する溶
解性を有している。これに対して、亜鉛フタロシアニン
や前記式(2)の銅フタロシアニンは、これらの有機溶
剤に対する溶解性を有していないので、亜鉛フタロシア
ニンや前記式(2)の銅フタロシアニンに導入されたア
ルキル基、もしくはアルキルエーテル基が有機溶剤に対
する溶解性をもたらすものと考えられる。
【0028】前記一般式(1)で表されるフタロシアニ
ン系化合物は、蛍光発光の効率が優れており、通常の蛍
光着色剤として用いる以外に、有機EL素子の発光層を
構成する有機蛍光体として用いるのに適している。有機
EL素子は、有機蛍光体を、対向する一対の電極間に挟
んで構成したもので、一方の電極から注入された電子
と、他方の電極から注入された正孔が有機蛍光体の層内
で再結合する際に発光するものである。また、本発明の
フタロシアニン系化合物は、溶剤に対する溶解性が優れ
ているので、溶媒に溶解して、適用するのに適した粘度
の組成物を調製し、その組成物を用いて有機EL素子の
発光層を形成するのに適しており、また、形成された発
光層中に、未溶解物が生じることが無く、発光層の均一
性が優れている。
【0029】前記一般式(1)のフタロシアニン系化合
物を、有機EL素子における有機発光体層、もしくは有
機蛍光体を含むべき層に適用するには、必要に応じ、バ
インダ等の他に加えるべき成分と共に、適宜な溶媒で溶
解もしくは分散、より好ましくは溶解して、組成物(溶
液もしくは分散液、より好ましくは分散液である。)を
調製し、適宜な適用方法により、所定の区域内に適用
し、その後、乾燥させることにより行なう。組成物の適
用方法としては、種々の方法を用いることができ、印刷
方式を用いることもできるが、インクジェット法やディ
スペンサ法を用いることが好ましい。
【0030】
【実施例】[実施例1]フタロシアニン系化合物(1)の合成 クロロホルム中、亜鉛フタロシアニン11.59g(2
0mmol)に、氷冷下で攪拌しながら、過剰のクロロ
スルホン酸13.98g(120mmol)を滴下し、
そのまま攪拌した。この操作により導入されるクロロス
ルホン基の量は、反応の温度、時間、もしくはクロロス
ルホン酸の添加量によって調節できるが、本実施例1で
は、室温で5時間反応させて得られた、フタロシアニン
母核1に対しクロロスルホン基の量が1当量〜4当量の
混合物の状態のものについて、次の反応を進めた。
【0031】前記工程で得られた中間体に対し、過剰の
4−アミノフタルイミドを、1時間塩基性水中10℃以
下の低温で反応させた後、溶剤抽出によって未反応の4
−アミノフタルイミドを取り除いて、一晩減圧乾燥させ
た。その結果、求めるフタロシアニン系化合物(1)を
得た。
【0032】得られた化合物(1)は、分子量分布を持
った混合物であるので、正確な元素分析値を得ることが
できない。また、該化合物(1)の融点を測定したとこ
ろ、250〜260℃で分解した。
【0033】化合物(1)の赤外吸収スペクトルを測定
して得たチャートを図1に示す。該赤外吸収スペクトル
によれば、化合物(1)の構造式は次の式(3)で示さ
れる化合物であると決定した。
【0034】
【化4】
【0035】(式中、Pc(Zn)は、この場合、フタ
ロシアニン亜鉛錯体を示し、nは1〜4である。)
【0036】フタロシアニン系化合物(2)の合成 次に、脱水させたテトラヒドロフラン100ml中、水
素化ナトリウムの存在下で、前記のようにして得られた
フタロシアニン系化合物(1)粉末1.78g、臭化ヘ
プチル0.81gを、激しく攪拌しながら15時間加熱
還流して反応させた後、不溶分を濾別し、濾別後、溶剤
を除去し、乾燥させて、暗紫色粉末状のフタロシアニン
系化合物(2)を得た。
【0037】得られたフタロシアニン系化合物(2)の
分解温度は173〜178℃であり、明確な融点は持た
ない。得られたフタロシアニン系化合物(2)は、乳酸
エチル、ジオキサン、シクロヘキサノン、もしくはジク
ロロエタンに対する溶解性を有しており、蛍光極大波長
は705nmであった。フタロシアニン系化合物(2)
の分解温度、溶解性、蛍光極大波長を下記の表1にまと
めて示す。
【0038】フタロシアニン系化合物(2)の赤外吸収
スペクトルを測定して得たチャートを図2に、蛍光スペ
クトルを図3に示す。
【0039】フタロシアニン系化合物(2)の赤外吸収
スペクトルから構造式は次の式(4)で示される化合物
であると決定した。
【0040】
【化5】
【0041】(式中、Pc(Zn)は、この場合、フタ
ロシアニン亜鉛錯体を示し、nは1〜4である。)
【0042】[実施例2]前記実施例1におけるフタロ
シアニン系化合物(2)の合成の際の臭化ヘプチル0.
81gを、臭化デシル1.41gに変更した以外は、前
記実施例1と同様にしてフタロシアニン系化合物を得
た。得られた化合物は、前記一般式(1)におけるRが
−C1021であるフタロシアニン系化合物(3)であっ
た。該フタロシアニン系化合物(3)の分解温度は16
6〜168℃であり、乳酸エチル、ジオキサン、シクロ
ヘキサノン、もしくはジクロロエタンに対する溶解性を
有しており、蛍光極大波長は690nmであった。フタ
ロシアニン系化合物(3)の分解温度、溶解性、蛍光極
大波長を下記の表1にまとめて示す。
【0043】[実施例3]前記実施例1におけるフタロ
シアニン系化合物(2)の合成の際の臭化ヘプチル0.
81gを、塩化メチルオクチルエーテル(シグマアルド
リッチ社製)0.80gに変更した以外は、前記実施例
1と同様に行ってフタロシアニン系化合物を得た。得ら
れた化合物は、前記一般式(1)におけるRが−CH2
O(CH27 CH3 であるフタロシアニン系化合物
(4)であった。該フタロシアニン系化合物(4)の分
解温度は155〜157℃であり、乳酸エチル、ジオキ
サン、シクロヘキサノン、もしくはジクロロエタンに対
する溶解性を有しており、蛍光極大波長は720nmで
あった。フタロシアニン系化合物(4)の分解温度、溶
解性、蛍光極大波長を下記の表1にまとめて示す。
【0044】
【表1】
【0045】溶解性は、乳酸エチル、ジオキサン、シク
ロヘキサノン、もしくはジクロロエタンに対するもので
ある。
【0046】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、新規化合物と
して前記一般式(1)で表されるフタロシアニン系化合
物を提供することができる。該フタロシアニン系化合物
は青色を呈し、また、赤色蛍光発光を示す。
【0047】請求項2の発明によれば、新規化合物とし
て前記一般式(1)で表されるフタロシアニン系化合物
のうち、Rは炭素数が1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状
のアルキル基、または、アルキルエーテル基であるフタ
ロシアニン系化合物を提供することができ、該化合物は
請求項1と同等な効果を示す。
【0048】請求項3の発明によれば、前記一般式
(1)で表されるフタロシアニン系化合物を使用した着
色材料を提供することができる。該フタロシアニン系化
合物は青色を呈し、有機溶剤溶解性があるため染料等の
着色材料として使用できる。
【0049】請求項4の発明によれば、前記一般式
(1)で表されるフタロシアニン系化合物が複数種類の
化合物の混合物である場合、該混合物を使用する着色材
料を提供することができる。該混合物を使用した着色材
料は溶剤における溶解性がさらに向上する利点がある。
【0050】請求項5の発明によれば、本発明の着色材
料が高分子有機化合物と組み合わせられてなる着色して
いる高分子有機材料を提供することができる。
【0051】請求項6の発明によれば、本発明の着色材
料を含有してなるエレクトロルミネッセンス材料を提供
することができる。前記一般式(1)で表されるフタロ
シアニン系化合物は、赤色蛍光発光するので、エレクト
ロルミネッセンス材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】フタロシアニン系化合物(1)の赤外吸収スペ
クトルを測定して得たチャートを示す図である。
【図2】フタロシアニン系化合物(2)の赤外吸収スペ
クトルを測定して得たチャートを示す図である。
【図3】フタロシアニン系化合物(2)の蛍光スペクト
ルを測定して得たチャートを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/14 H05B 33/14 B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるフタロシア
    ニン系化合物。 【化1】 (式(1)中、Rは、アルキル基またはアルキルエーテ
    ル基を示し、Pc(M)は、フタロシアニン亜鉛錯体ま
    たはフタロシアニン銅錯体を示し、nは1〜4の整数を
    示す。)
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で表されるフタロシア
    ニン系化合物において、Rは炭素数が1〜20の直鎖も
    しくは分枝鎖状のアルキル基、または、アルキルエーテ
    ル基である請求項1記載のフタロシアニン系化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のフタロシアニン
    系化合物を使用した着色材料。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のフタロシアニン
    系化合物が、複数種類の化合物の混合物であり、該混合
    物を使用した着色材料。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の着色材料が高分
    子有機化合物と組み合わせられてなる着色している高分
    子有機材料。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載のフタロシアニン
    系化合物を含有してなるエレクトロルミネッセンス材
    料。
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