JP2003326268A - 電気透析用膜構成および応用装置 - Google Patents

電気透析用膜構成および応用装置

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JP2003326268A
JP2003326268A JP2002135329A JP2002135329A JP2003326268A JP 2003326268 A JP2003326268 A JP 2003326268A JP 2002135329 A JP2002135329 A JP 2002135329A JP 2002135329 A JP2002135329 A JP 2002135329A JP 2003326268 A JP2003326268 A JP 2003326268A
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Yasuhiko Fujii
靖彦 藤井
Akihiko Tanioka
明彦 谷岡
Shigeru Itoi
滋 糸井
Norihisa Miyamatsu
徳久 宮松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ユニークな特性を備えた「膜構成」の提供;お
よびこの特性を活用した、水、水溶液などの水系溶液を
対象とする脱塩装置、さらに塩の分解による酸および/
またはアルカリの同時生成装置の提供。 【解決手段】1)電気透析型装置に使用される膜構成で
あり、陽極側のアニオン交換膜、陰極側のカチオン交換
膜、および膜間に存在する金属などの導電物質、よりな
る膜構成。 2)陽極室と陰極室の間に、上記膜構成を一組または一
定の膜間距離を保って複数組配してなる脱塩装置 3)上記膜構成、およびその陽極側外側に塩基生成室、
さらにその陽極側外側に塩供給室;陰極側外側に酸生成
室、さらに陰極側に塩供給室を設けてなる塩から酸およ
び/またはアルカリを生成する装置

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気透析装置に使
用される新規な膜構成およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】最も代表的かつ基本的な電気透析装置と
して、両端に陽極室と陰極室を備え、その間にアニオン
交換膜およびカチオン交換膜を交互に多数配列し、塩化
ナトリウムのような塩類の脱塩、または濃縮を直流電流
を駆動力として行う装置がある。 この装置は、陽極側
にアニオン交換膜、陰極側にカチオン交換膜のある室
(脱塩室)では塩濃度が低下し、陽極側にカチオン交換
膜、陰極側にアニオン交換膜がある室(濃縮室)では、
塩濃度が高まる性質があり、扱い方により塩の濃縮ある
いは脱塩どちらにも機能する。この装置を代表例とする
電気透析の技術は、脱塩、濃縮のみならず反応面で電
解、置換、イオン交換、分解、複分解などに、また応用
面では各種物質の脱塩精製や回収、超純水や機能水の製
造など多岐にわたっており、さらに発展が期待されてい
る。
【0003】この脱塩室に被処理液を送り込み脱塩を行
う場合、脱塩が進行し塩濃度が低下するにつれ、電気抵
抗が上昇し電流が流れ難くなり、脱塩できる塩濃度には
限界があることが広く知られている。この脱塩室内にイ
オン交換体を存在させると、ここに供給される被処理水
の塩濃度が低下しても電導性の低下が回避でき、電気的
にイオン交換体が再生再生状態になる原理とを複合的に
利用して、電気再生式純水製造装置がごく近年実用化段
階に入った。しかしながら、この原理の応用について
は、電気再生式純水製造装置が、厳重な前処理を経て、
不純物や問題イオンは勿論、塩濃度についても著しく下
げた条件下でようやく実用化に至った経緯からも、純水
製造以外の応用については不可能に近い。広い対象物に
対して応用可能な、低濃度まで脱塩できる技術開発が待
望されている。
【0004】さらにアニオン交換膜とカチオン交換膜を
貼り合わせた構造のバイポーラ膜が開発され、中性塩を
分解して酸とアルカリのを同時製造などに既に一部で市
販されてもいるが、アニオン交換膜とカチオン交換膜の
物性の違いから長期使用に対する懸念が指摘されてい
る。抜本的な改善策が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これ
までにないユニークな特性と可能性を秘めた「膜構成」
の提供することにあり、もう一つの目的は、この膜構成
の特性を上記ニーズにミートさせた装置、具体的には
水、水溶液などの水系溶液を対象とする脱塩または濃縮
装置;塩の分解による酸および/またはアルカリの生成
装置の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電気透析
技術の奥深い可能性に魅せられ、日々研究中のところ、
電気透析装置の陽極側のアニオン交換膜および陰極側の
カチオン交換膜に囲まれた、いわゆる脱塩室において、
両端の電極間に電圧を印加しても、高い電気抵抗のため
ごく僅かの電流しか流れない純水を満たした室内に、ま
ったく偶然にも、金属粒子を収容することにより、大幅
な室間電位の低下とともに顕著な電流増がみられる現象
に遭遇した。解析の結果、この現象は、少なくとも本発
明者らが経験したことのない新しい現象を伴うととも
に、当該分野に新風をもたらすことが期待できる複数の
可能性を秘めた「膜構成」であることが明らかとなり、
さらに応用検討を重ね、遂に本発明に到達した。
【0007】本発明は、こうした経過をふまえて達成さ
れたものであり、その要旨とするところは、両端に陽極
室と陰極室を備えた電気透析型装置に使用される膜構成
であり、1)陽極側のアニオン交換膜、2)陰極側のカ
チオン交換膜、および、3)膜間方向の導通を保って膜
間に存在する、水が浸透ないし通過できる間隙を有す
る、金属系導電物質および/または炭素系導電物質、よ
りなることを特徴とする電気透析用膜構成;および該膜
構成の特性を活用した、脱塩装置、および塩を原料とす
る酸およびアルカリの生成装置に係わる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明について、実施例を引
用しつつ、説明する。図1は、電気透析装置の陽極側の
アニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜に囲まれたい
わゆる脱塩室に導電物質を入れた、本発明膜構成(実施
例1,2および3記載)の特性を、電極間電流と脱塩室
間にかかる電位差(以後「セル間電位差」ということが
ある)との関係で調べたものである。導電物質が存在し
ない比較例と比べ、いずれの本発明膜構成も電導性の向
上は明らかである。
【0009】また、実施例4では、本発明膜構成のこの
ような電導機構を解析する検討を行っており、そのなか
で、脱塩室内を物質移動を伴うイオン電流として流れる
べき電流が、なんと、脱塩室外に取り出した電気回路中
を流れる電流として観察された。これは、本発明膜構成
が、イオン電流が導電体を移動する電子の移動に変換さ
れる機構により、機能を発現していることを示す動かし
難い証拠であり、これは以後説明する応用装置に関係す
る複数の特徴にも密接に関連するものと考えられる。
【0010】なお、処理水の水質の安定化と消費電力量
の低減を目的として、脱塩室に収容されるアニオン交換
体とカチオン交換体に導電性物質を付加してなる電気再
生式純水製造装置(特開平9−24374、特開200
1−137856)が提案されているが、これらの提案
は、陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜
に囲まれた室内に、導電性物質を入れるものではある
が、あくまでも主成分であるイオン交換樹脂の機能を補
佐するものとして使用されいるにすぎず、本発明を示唆
するものではない。
【0011】以下本発明について、より具体的かつ詳細
に説明する。本発明膜構成は、両端に陽極室と陰極室を
備えた電気透析型装置に使用される新規な膜構成であ
り、陽極側のアニオン交換膜、陰極側のカチオン交換
膜、および、膜間方向の導通を保って膜間に存在する、
水が浸透ないし通過できる間隙を有する金属系導電物質
および/または炭素系導電物質、よりなることを特徴と
としている。
【0012】ここで、使用できるカチオン交換膜は、イ
オン交換基としてスルホン酸基のような強酸性基を備え
たカチオン交換膜であり、スルホン酸基と共にカルボキ
シル基、ホスホン酸基などの酸性基を合わせ有していて
もよく、一方のアニオン交換膜は、第4級アンモニウム
基のような強塩基性基を備えたアニオン交換膜であり、
これらの強塩基性基と共に第3級アミノ基、第2級アミ
ノ基、第1級アミノ基などの弱塩基性基を有することも
できる。これらのイオン交換膜は、均質膜あるいは不均
質膜であっても、いわゆる炭化水素系膜でもフッ化水素
系膜であっても、さらに繊維などの補強材で補強された
補強膜でも非補強膜であってもよい。
【0013】本発明で使用する導電物質とは、金属およ
び炭素より選ばれる通電できる物質であって、金属また
は炭素そのものよりなる成型物を始め、これらの粒子、
または微粒子を混合することにより通電できる性能を獲
得した、プラスチックス成型物、導電性塗料を塗布され
た成型物、金属箔あるいはメッキにより表面に金属層を
形成された成型物が含まれる。特に金属については使用
条件下で化学的に安定であることが肝要であり、金、白
金、チタン、ジルカロイ、ステンレス鋼などの酸化され
難い金属、あるいは安定な導電性酸化物などの表層を有
する金属成型物を選択して使用することができる。
【0014】本発明膜構成は、イオン交換膜の間に導電
物質を存在せしめたものであるが、この膜間に、必要に
より水または被処理液の導入口および導出口を有し、一
定の膜間距離の室を形成する、室枠を用いることにより
好適に機能を発揮することができる。本発明膜構成の利
用可能な機能は、本膜構成内(膜間)に被処理液を通し
該液の脱塩を行う機能と、水をHとOHに解離しそ
れぞれ陰極側と陽極側に供給する機能(水解機能)があ
り、前者は電気透析装置の脱塩室と同様の使用であり、
被処理液の入り口と出口が必要であり、原則的に既存の
脱塩室室枠を転用して使用できる。後者はバイポーラ膜
とおなじ機能であり、運転開始時点で膜間に水があれ
ば、以後膜面を通して水分の浸透により補給されるの
で、必ずしも水の入り口および出口を設ける必要はない
が、時には気体排出の必要もあり、水の入り口とともに
出口があることは好ましい。
【0015】本発明膜構成に、使用される導電物質が、
粒状物であって、これが膜間に充填されているもの(膜
構成A)がある。粒状物の粒径は、特に脱塩機能を利用
する場合、0.1mm以下では通水性が悪く、また5m
m以上では充填層が粗雑となり安定した性能を発揮し難
くなる虞があり、0.1〜5.0mmが好ましい。一
方、水解現象を利用する場合の好ましい粒径は、0.1
mm以上2mm以下であり、この範囲内で混合使用して
もよい。
【0016】本発明膜構成は、導電物質が、多孔性また
は有穴のシート状物(導電シート)であって、膜間に、
挿入されるか、膜に接合されて存在するもの(膜構成
B)であってもよい。
【0017】導電シートとしては、前記導電物質の薄板
などに穴や切れ目を設けたシートがあり、これが金属系
である場合には、その特性に応じ、穴開け加工と同時ま
たは加工後にエンボス加工、引っ張り加工等により開口
部を拡げ、見かけ上の厚みを増すことが可能であり、通
水用空隙も確保できる利点がある。導電物質が繊維また
は線条物である場合には、これらの集合体、またはポリ
オレフィン繊維などとの混用により構成される不織布
(フェルト)、織物、編み布、網などが使用できる。比
較的太めの線条物で形成された網は膜間距離を一定に保
つことのできるスペイサー機能もあり好ましい形態であ
る。さらに導電シートは粒状物あるいは線条物を積層
し、接触部分を焼結等により固定したものであってもよ
い。
【0018】これらの導電シートは膜間に単に挿入され
てもよいが、イオン交換膜が熱可塑性を有する不均質膜
やフッ素系膜である場合には、イオン交換膜と導電シー
トを重ね熱プレスすることにより、導電シートの一部ま
たはほとんどがイオン交換膜内に投錨され接合されて、
一体化させることができる。こうした接合はアニオン交
換膜またはカチオン交換膜の何れかと導電シートとの二
者間の接合であっても、また導電シートを間にした三者
間の接合であっても良い。
【0019】また、本発明膜構成は、アニオン交換およ
びカチオン交換膜の間に、それぞれの膜面に接触または
接合された二枚の導電シート、さらに該シート間に、膜
間およびシート間隔を規定するとともにシート間の電気
的接続と被処理水流路を確保する、導電スペイサーを配
してなるもの(膜構成C)であってもよい。
【0020】ここで導電スペイサーとは、当該分野で広
く使用されているスペイサーに代表される広い開口を有
するネットなどに、上記導電シート間を電気的に接続す
る機能(導通機能)を付与したものであればよく、必ず
しも全体が導電物質で構成されたスペイサーである必要
はない。ステンレスワイヤーあるいは炭素繊維束で構成
されたメッシュフィルターなど構造的にスペイサー機能
を備えているものも使用することもできる。
【0021】さらに本発明膜構成は、陽極側のアニオン
交換膜および陰極側のカチオン交換膜の間に、それぞれ
の膜面に接触または接合され、互いに離れて対峙する二
枚の導電シート、および導電シート間の電気的接続機構
を備えてなる室枠を配してなるもの(膜構成D)であっ
てもよい。
【0022】このケースにおける導電シートとして、打
ち抜き法などにより穴やスリットを設けられた金属シー
トは、室枠とイオン交換膜に加圧されて挟まれた状態に
おいて、面方向への水の浸透が皆無であり、イオン交換
膜とほぼ同様の扱いでもって組み込むことができ、しか
も組み込んだ後は金属板特有の剛直さにより一定の膜間
距離を確保することがでる。この場合の室枠の導通は、
導電シートと接触する部分の一部で、室枠の表裏に繋が
る導電フィルムや金属線を存在させて実現できる。
【0023】本発明膜構成は、たとえ超純水を処理対象
とする場合でも、膜間電気抵抗は低いため、電気透析装
置の脱塩室に比べ、膜間距離を広くすることができる。
したがって本発明膜構成の膜間距離については、原則的
には、狭いものから広いものまで自由に選択できるが、
水解現象を利用する場合には、装置スペイス的にも狭い
方が好ましいため、膜構成Bなどでほとんど膜間距離の
ないものを使用することもできるし、膜構成Dなどで
は、しっかりした導通が得られれば、膜間距離の上限は
実質的に無くなり、膜間には全く障害物のない広い室内
が確保できるなど、特に後述する脱塩用に使用する場合
にはこれまでにない利点が多い。
【0024】本発明には上記膜構成の応用として、陽極
室と陰極室を両端に有し、その間に、上記の膜構成を一
組または一定の膜間距離を保って複数組配し、該膜構成
内を被処理液を供給する脱塩室とし、電極室および/ま
たは該膜構成間を被処理液に含まれるイオンを受け取る
濃縮室とする、脱塩または塩の濃縮装置が含まれる。
【0025】図2は、実施例5および比較例の結果であ
り、ここでは脱塩室に導電物質を収容した本発明装置
と、導電物質を収容しない電気透析装置との比較を、装
置構成、被処理液の初期電導度、初期電流密度を一致さ
せ、定電圧での通電により実施している。
【0026】この結果からも本発明装置は被処理液中の
電導度が低下しても、遙かに高い電流密度で電流を流せ
る特徴を備えていることが明らかである。この特徴によ
り、本発明装置は特に低電導度即ち塩濃度の低い領域に
おいて、より強力に塩濃度を下げることが可能であり、
図2からもこの傾向が読みとれる。
【0027】本発明装置は特に塩濃度の低い各種水溶
液、乳化液、懸濁液を対象にして、より確実な脱塩を行
うことができる。さらに、前置濾過と軟化処理を前提と
すれば、簡易純水、復水処理、あるいは電気再生式超純
水の前段処理として使用できる可能性を有している。ま
た、本発明装置は貴重なイオンあるいは有害イオンを含
む被処理液から、これらのイオンをより低いリーク率で
もって濃縮/回収できる。
【0028】前記膜構成Dなどの膜構成を使用すると、
スペイサー使用時の狭い間隙から解放され、懸濁物質、
固形物などを含む溶液の処理に利点があり、またたとえ
超純水に近い低い電導度の処理液を対象とする場合で
も、広い膜間距離すなわち巨大な脱塩室を1室のみとす
るシンプルな構造の脱塩装置でもって、時間をかけて脱
塩するなどこれまでとは異なったスタイルの脱塩装置も
考えられる。
【0029】本発明脱塩装置は、上記膜構成間の濃縮室
にも、導電物質またはイオン交換体を収容し、純水また
は低電導度水を濃縮室室液とすることにより、被処理液
に対する脱塩能力を一段と高めた脱塩装置とすることが
できる。すなわちこの装置では、濃縮室の電導性を維持
できるので濃縮室室液の塩濃度を思い切った低濃度にす
ることにより、イオンの逆拡散を阻止し、一段と脱塩レ
ベルを高めることができる。
【0030】本発明膜構成の水解機能を利用した装置と
して、陽極室と陰極室を両端に有し、その間に、上記膜
構成、およびその陽極側外側にカチオン交換膜を加えて
なるアルカリ生成室、さらにその陽極側外側に塩供給室
または陽極室;また該膜構成の陰極側外側にはアニオン
交換膜を加えてなる酸生成室、さらにその陰極側外側に
塩供給室または陰極室、よりなる単位を有する、塩から
酸および/またはアルカリの生成装置がある。
【0031】この装置例として、硫酸ナトリウムを分解
して硫酸と苛性ソーダを同時に製造する場合を実施例6
に示した。ここには、高い電流密度で、しかもいずれも
80%台の高い電流効率で行えることが示されている。
【0032】この装置は、本発明膜構成の水解機能を利
用するもので、バイポーラ膜と同様である。したがっ
て、既にバイポーラ膜を使用して確認された応用分野、
即ち、反応工程で生成する塩や反応副産物として生成す
る塩の再利用、有機酸塩から有機酸の生成、ステンレス
工場でのピックリング廃液からの酸の回収、半導体工場
での有機強塩基TMAH(テトラメチルアンモニウムハ
イドロオキサイド)の精製回収などに使用できる。バイ
ポーラ膜にみられる貼り合せ部分の剥離に起因する耐久
性問題が、本発明には構造的になく、これらの用途分野
において、本発明装置はより安定した性能でより長期間
使用できる利点が期待できる。
【0033】さらに上記本発明生成装置の塩供給室にも
導電物質を充填し、より低電導度の被処理液より塩を捕
捉し酸および/またはアルカリを生成する装置も本発明
に含まれる。
【0034】この装置の塩供給室は室内に導電体を充填
することにより、前述した本発明脱塩装置の脱塩室と同
様、被処理液が低電導度であっても低いセル間電気抵抗
を維持できることから、微量の有用物質あるいは有害物
質の除去/回収をかねて資源化することができる。例え
ば、半導体工場における有機強塩基物質テトラメチルア
ンモニウムハイドロキサイド(TMAH)や都市下水中
に含まれる硝酸塩などの回収や再利用が可能である。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明の説明を続ける。以
下の試験は、いずれも実験用電気透析装置ME−O型
(エイエムピーアイオネクス株式会社製)を使用して実
施した。この試験装置の脱塩室および濃縮室用室枠は、
厚さ0.85mm、有効面積50cmであり、スペイ
サーとしてポリオレフィン製斜交ネットが室枠に固定さ
れている。脱塩室、濃縮室および電極室は、いずれも内
容積約1.3リットルの専用タンクと接続され、室液が
マグネットポンプにより循環する機構となっている。イ
オン交換膜は、旭硝子株式会社製のカチオン交換膜CM
Vおよびアニオン交換膜AMVを使用した。
【0036】
【実施例1】脱塩室室枠の斜交ネットを取り除いた室枠
3枚を重ねた合わせたものを新しい室枠とし、この開口
部に、予め切断しておいたステンレス繊維製フェルト
(東京製綱株式会社製、厚さ約3.5mm)をはめ込ん
で、陽極側にアニオン交換膜、陰極側にカチオン交換膜
を配した本発明膜構成を調整した。フェルトの厚さは
室枠の厚み(2.55mm)を超えているが、バルキー
であるため圧縮されて室枠内に納まっている。
【0037】
【実施例2】膜構成の調整 上記膜構成においてステンレス製フェルトの代わりに
電極用炭素繊維織物(日本カーボン株式会社製、厚さ
0.85mm)三枚を使用し、本発明膜構成を調整し
た。
【0038】
【実施例3】膜構成の調整 3枚の脱塩室用室枠を重ね、これに導通を得る目的を兼
ねて、ステンレス線を室枠に付属する斜交ネット間を貫
いて四隅で絡め室枠3枚を一体化したものを新たな室枠
とし、イオン交換膜と接する室枠の開口部全面に、各1
枚づつの50メッシュのステンレス製フィルターメッシ
ュ(厚さ0.05mm)をあてがい、さらに陽極側にア
ニオン交換膜、陰極側にカチオン交換膜を配した本発明
膜構成を調整した。
【0039】
【各膜構成の電導特性】陽極側アニオン交換膜と陰極側
カチオン交換膜との膜間距離がいずれも同じで、導電物
質およびその形状を異にする上記膜構成、および
について、電導特性を調べるために、まず、この膜構成
を中央とし、陽極側に濃縮室室枠を介しカチオン交換膜
を配した濃縮室、さらにその外側に陽極室;陰極側には
濃縮室室枠を介しアニオン交換膜を配した濃縮室、その
外側を陰極室とする構成とした。濃縮室および電極室室
液はタンク部で互いに混合し合うようにした共通の室液
とし、硫酸ナトリウムで電導度を100μS/cmに調節し
た水を循環できるようにし、中央の本発明膜構成の内部
には、脱塩室に通じる通水経路から純水を送り込み、内
部の空気が抜けたところで送水経路を遮断し、さらに膜
構成内の純水の脱塩をより完全にするため、50mAで
1時間通電し、そのまま測定に入る。測定は、電源供給
装置の電圧を調節し、電流値と膜構成間にかかる電位差
の関係を調べ、その結果を図1に示した。なお、本発明
膜構成の比較例として、ポリオレフィン製斜交ネットが
スペイサーとして付いている脱塩室室枠を三枚を重ねた
ものを、測定条件を統一して評価した。膜構成間にかか
る電位差(セル間電位)は、膜構成の外壁、すなわち膜
構成の二枚のイオン交換膜のいずれも外側(濃縮室側)
表面に一端を密着させた白金線をセル外に導き出しデジ
タルボルトメーターで計測した。
【0040】
【実施例4】セル外導通/膜間距離 前記膜構成において、導通目的のステンレス線を使用
しない(すなわち、膜間挿入物としては、膜に接触して
存在するステンレス製フィルターメッシュ対の間に3枚
の斜交ネットが介在して導通を断った状態の)膜構成を
用い、フィルターメッシュに接続した二本のプラチナ線
をセル外に出す以外、上記と同じ装置構成、同じ測定環
境を用意し、以下のようにして、本発明膜構成の電導機
構に関連する興味深い知見を得た。 プラチナ線を接触させた瞬間、セル間電位の劇的な
低下と、顕著な電流増加がみられ、以後この状態が安定
して継続すること。 二本のプラチナ線の間に入れた電流計で計測する
と、(脱塩室外に取り出した電流回路を流れる)電流
は、なんと、電極間電流値と同じ値であり、しかも電流
/セル間電位の関係は、図1に示した膜構成と全く一
致すること。 セル間隔を拡げても抵抗の増加は殆どない。すなわ
ち、およびにより確認された現象は、本来、脱塩室
内を物質移動を伴うイオン電流として流れるべき電流
が、驚くべきことに、室外に取り出した導電体中を移動
する電子の移動に変換されることを証明するものであ
り、かかる現象が確認されたのは初めてであり、この間
の機構については今後の解明が期待される。
【0041】
【実施例5】3枚の脱塩室用室枠を重ね、導通を得る目
的を兼ねて、室枠に付属する斜交ネット間に炭素繊維の
糸を貫き通した結び目を四隅で造ることにより、3枚の
室枠を一体化した新たな室枠を得た。この室枠の開口部
に、50メッシュのステンレス製フィルターメッシュ
(厚さ0.05mm)をあてがい、陽極側にアニオン交
換膜、陰極側にカチオン交換膜を配した脱塩室(本発明
膜構成)とし、これの陽極側に濃縮室室枠を介しカチオ
ン交換膜を配した濃縮室、さらにその外側に陽極室;陰
極側には濃縮室室枠を介しアニオン交換膜を配した濃縮
室、さらにその外側に陰極室よりなる構成とした。脱イ
オン水で調整した電導度580μS/cmの硫酸ナトリウム
水溶液を、両電極室および濃縮室共通の室液として計2
リットル、脱塩室室液には電導度560μS/cmの硫酸ナ
トリウム水溶液1リットルを用意し、初期電流値が30
0mAになるように電圧を調整し以後定電圧(極間電圧
23.8V)で通電し、所定時間毎に電流、および脱塩
室室液(被処理液)の電導度を測定し、これら結果を図
2に示した。
【0042】
【比較例】炭素繊維およびステンレス製フィルターメッ
シュを使用することなく、実施例6とおなじ装置構成と
し、両極室および濃縮室には電導度570μS/cm、脱塩
室には570μS/cmの硫酸ナトリウム水溶液を使用し、
初期電流値を300mAに調整し以後定電圧(極間電圧
23.7V)で通電し、所定時間毎に電流、および脱塩
室室液の電導度を測定し、結果を図2に加えて示した。
【0043】
【実施例6】枠の厚さ5mmの特製室枠の開口部にステ
ンレス繊維より構成された厚さ約5mmのフェルト(東
京製綱株式会社製)を納め、陽極側にアニオン交換膜、
陰極側にカチオン交換膜を配した本発明膜構成を用意
し、陽極側外側に脱塩室枠を介しカチオン交換膜を配し
たアルカリ生成室、さらにその外側を塩供給室を兼ねた
陽極室とし、陰極側には濃縮室室枠を介しアニオン交換
膜を配した酸生成室、さらにその外側を塩供給室を兼ね
た陰極室とした。塩供給室を兼ねた陽極室および陰極室
には、1モルの硫酸ナトリウム水溶液1リットルを電極
室の送液系を通して、アルカリ生成室には脱イオン水
1.0リットルを脱塩室の送液系統を通して、さらに酸
生成室には脱イオン水1.0リットルを濃縮室の系統を
通してそれぞれ循環しつつ、電極間に1.0アンペアの
電流を75分間流し、この間にアルカリ生成室および酸
生成室に生成された苛性ソーダと硫酸を中和滴定して求
めた。結果は、苛性ソーダ生成量が0.0399当量、
硫酸生成量が0.0376当量であり、電流量から計算
した理論値に対する割合(電流効率)はそれぞれ85.
5%、80.6%であった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明膜構成は新
規な機構に起因する多くの好ましい特徴を備えており、
これを活用した脱塩装置は、特に低濃度の塩分を含む水
および各種水系溶を対象として強力により徹底した脱塩
ができ、また塩から酸および/アルカリの同時生成装置
においては、膜寿命問題が根底より解決される期待があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明膜構成等の電導特性の測定結果をまとめ
た図。
【図2】本発明脱塩装置および比較例の特性比較結果を
まとめた図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25B 13/00 C02F 1/46 103 15/08 302 C25B 9/00 A (72)発明者 宮松 徳久 静岡県伊東市宇佐美3297番地の488 Fターム(参考) 4D006 GA17 HA47 JA30Z MA13 MA14 PA01 PA02 PA04 PB02 PB08 PB13 4D061 DA02 DA08 DB13 DB18 DC09 DC14 EA09 EB04 EB13 EB22 4K021 BA02 DB12 DB18 DB32 DB36 DB48 DC11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端に陽極室と陰極室を備えた電気透析型
    装置に使用される膜構成であり、1)陽極側のアニオン
    交換膜、2)陰極側のカチオン交換膜、および、3)膜
    間方向の導通を保って膜間に存在する、水が浸透ないし
    通過できる間隙を有する、金属系導電物質および/また
    は炭素系導電物質、よりなることを特徴とする電気透析
    用膜構成。
  2. 【請求項2】膜間に、厚さ一定の仕切により室を形成す
    るとともに、必要に応じ水または被処理溶液の導入口お
    よび導出口を備えた室枠を有してなる請求項1の膜構
    成。
  3. 【請求項3】導電物質が、粒状物であって、膜間に充填
    されて存在してなる請求項1の膜構成。
  4. 【請求項4】導電物質が、多孔性または有穴のシート状
    物(以後、「導電シート」という。)であって、膜間に
    挿入されるか、膜に接合されて存在してなる請求項1の
    膜構成。
  5. 【請求項5】陽極側のアニオン交換膜および陰極側のカ
    チオン交換膜の間に、それぞれの膜面に接触または接合
    された二枚の導電シート、さらに該シート間に、シート
    間隔を規定するとともにシート間の電気的接続と被処理
    水流路を確保する、導電スペイサーを配してなる請求項
    1の膜構成。
  6. 【請求項6】陽極側のアニオン交換膜および陰極側のカ
    チオン交換膜の間に、それぞれの膜面に接触または接合
    され、互いに離れて対峙する二枚の導電シート、および
    該シート間を電気的に接続する機構を備えてなる室枠を
    配してなる請求項1の膜構成。
  7. 【請求項7】陽極室と陰極室を両端に有し、その間に、
    上記膜構成を一組または一定の膜間距離を保って複数組
    配し、該膜構成内を被処理液が通過する脱塩室とし、該
    膜構成間および/または電極室を被処理液に含まれるイ
    オンを受け取る濃縮室とする、脱塩または塩の濃縮装
    置。
  8. 【請求項8】上記膜構成間の濃縮室に、導電物質または
    イオン交換体を収容し、純水または低電導度水を室液と
    して運転する、脱塩精度を高めた請求項7の脱塩装置。
  9. 【請求項9】陽極室と陰極室を両端に有し、その間に、
    上記膜構成、およびその陽極側外側にカチオン交換膜を
    加えてなるアルカリ生成室、さらにその陽極側外側に塩
    供給室または陽極室;また該膜構成の陰極側外側にはア
    ニオン交換膜を加えてなる酸生成室、さらにその陰極側
    外側に塩供給室または陰極室、よりなる単位を有する、
    塩から酸および/またはアルカリの生成装置。
  10. 【請求項10】塩供給室にも導電物質を収容してなる、
    より低濃度の塩含有処理液から酸および/またはアルカ
    リを生成する請求項9の装置。
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