JP2003316365A - 制振遮音シート及び制振遮音シートの製造方法 - Google Patents
制振遮音シート及び制振遮音シートの製造方法Info
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- JP2003316365A JP2003316365A JP2002119565A JP2002119565A JP2003316365A JP 2003316365 A JP2003316365 A JP 2003316365A JP 2002119565 A JP2002119565 A JP 2002119565A JP 2002119565 A JP2002119565 A JP 2002119565A JP 2003316365 A JP2003316365 A JP 2003316365A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 制振遮音シートの制振、遮音性能の向上のた
めにシート厚を増大すると、建物への施工において、美
観や設計に影響する可能性がある。このため、シート厚
を増大すること無く、制振、遮音性能を向上できる制振
遮音シートの開発が求められていた。 【解決手段】 アスファルトに5.0〜6.0g/cm
3の高比重の無機系フィラーが混入分散されているアス
ファルト混合材料によってシート状に形成された比重
3.0〜3.5g/cm3の基材2の両面(厚さ方向両
側の面)に、ポリエステル不織布等の表面材3が一体化
されている制振遮音シート1及び製造方法を提供する。
めにシート厚を増大すると、建物への施工において、美
観や設計に影響する可能性がある。このため、シート厚
を増大すること無く、制振、遮音性能を向上できる制振
遮音シートの開発が求められていた。 【解決手段】 アスファルトに5.0〜6.0g/cm
3の高比重の無機系フィラーが混入分散されているアス
ファルト混合材料によってシート状に形成された比重
3.0〜3.5g/cm3の基材2の両面(厚さ方向両
側の面)に、ポリエステル不織布等の表面材3が一体化
されている制振遮音シート1及び製造方法を提供する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制振遮音シートに
関するものであり、特に住宅等の建物の床や壁等に使用
して振動や騒音の伝達を防止する制振遮音シート及び制
振遮音シートの製造方法に関する。
関するものであり、特に住宅等の建物の床や壁等に使用
して振動や騒音の伝達を防止する制振遮音シート及び制
振遮音シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特に住宅等の建物用の制振材料、
遮音材料としては、施工性、搬送性、加工性等に鑑みて
シート状のもの(制振シート(制振機能と遮音機能とを
有するシート)、遮音シート。以下、制振シート及び遮
音シートを「制振遮音シート」と総称する場合がある)
が多用されている。制振シートとしては、床振動吸収
や、床材等の建物躯体を通して伝播する固体伝播音の遮
音(発生防止、伝播防止)を目的として例えば床下地材
として敷き込んで用いられることが多く、遮音材は空気
伝播音の遮音を目的として建物壁中に埋入して用いるこ
とが多い。周知のように、制振材は、固体中を伝播して
きた振動エネルギーを吸収し、一部を摩擦抵抗等による
熱エネルギーとして消滅させることで、振動に伴い発生
する音を低減させるものであり、遮音材は、入射した音
波のエネルギーが透過しにくい材料であり、面密度つま
り単位面積あたりの質量が大きいものほど遮音性能(透
過損失)が大きくなる。これら制振材や遮音材として従
来用いられる制振遮音シートとしては、前記熱可塑性樹
脂、ゴム、アスファルト等の粘結材(バインダー)に、
砂鉄、スラグ、鉄粉等のフィラーを充填材として混入分
散してシート状に加工したものが提供されている。アス
ファルト系制振遮音シートとしては、嵩比重2.0〜
3.0g/cm3程度、径0.8〜0.075mmにわ
たって各粒度域の粒径の粒が存在する広範な粒度分布を
有するフィラーを充填材として用いて、比重2.0〜
3.0g/cm3程度に形成されたものが一般的であ
る。
遮音材料としては、施工性、搬送性、加工性等に鑑みて
シート状のもの(制振シート(制振機能と遮音機能とを
有するシート)、遮音シート。以下、制振シート及び遮
音シートを「制振遮音シート」と総称する場合がある)
が多用されている。制振シートとしては、床振動吸収
や、床材等の建物躯体を通して伝播する固体伝播音の遮
音(発生防止、伝播防止)を目的として例えば床下地材
として敷き込んで用いられることが多く、遮音材は空気
伝播音の遮音を目的として建物壁中に埋入して用いるこ
とが多い。周知のように、制振材は、固体中を伝播して
きた振動エネルギーを吸収し、一部を摩擦抵抗等による
熱エネルギーとして消滅させることで、振動に伴い発生
する音を低減させるものであり、遮音材は、入射した音
波のエネルギーが透過しにくい材料であり、面密度つま
り単位面積あたりの質量が大きいものほど遮音性能(透
過損失)が大きくなる。これら制振材や遮音材として従
来用いられる制振遮音シートとしては、前記熱可塑性樹
脂、ゴム、アスファルト等の粘結材(バインダー)に、
砂鉄、スラグ、鉄粉等のフィラーを充填材として混入分
散してシート状に加工したものが提供されている。アス
ファルト系制振遮音シートとしては、嵩比重2.0〜
3.0g/cm3程度、径0.8〜0.075mmにわ
たって各粒度域の粒径の粒が存在する広範な粒度分布を
有するフィラーを充填材として用いて、比重2.0〜
3.0g/cm3程度に形成されたものが一般的であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、建物
における制振、遮音性能に関する要求が高まってきてお
り、これに対応できる高性能の制振材料、遮音材料の開
発が急務になってきている。これに対応して、制振シー
ト、遮音シートは、厚さ寸法の増大により制振性能や遮
音性能を向上できるが、シート厚の増大は、床や壁の設
計寸法や現場での施工条件に与える影響に鑑みて限界が
あるため、現実的には充分な性能向上を図ることはでき
ない。また、シート厚が増大すると、施工等の際の取り
扱い性、切断等の加工性、柔軟性等が低下するといった
不都合も発生する。
における制振、遮音性能に関する要求が高まってきてお
り、これに対応できる高性能の制振材料、遮音材料の開
発が急務になってきている。これに対応して、制振シー
ト、遮音シートは、厚さ寸法の増大により制振性能や遮
音性能を向上できるが、シート厚の増大は、床や壁の設
計寸法や現場での施工条件に与える影響に鑑みて限界が
あるため、現実的には充分な性能向上を図ることはでき
ない。また、シート厚が増大すると、施工等の際の取り
扱い性、切断等の加工性、柔軟性等が低下するといった
不都合も発生する。
【0004】これに鑑みて、アスファルト等のバインダ
ーに対する充填材の混入量を増大して比重を高め、目的
の面密度を確保することが考えられる。しかしながら、
充填材の混入量が多くなると、シート物性(柔軟性、耐
久性、形状安定性等)が劣化する上、シートとしての製
造上の加工性も低下するといった問題がある。アスファ
ルト系制振遮音シートの場合、アスファルト材料は比重
1.0g/cm3前後のものが一般的であり、フィラー
の混入量が重量比で全体の90%程度を占めるようにな
るため、フィラー量に対するバインダーとしてのアスフ
ァルト材料の量が不足の状態となり、シートとしての柔
軟性等の物性が低下する。アスファルト系制振遮音シー
トの場合、アスファルト材料にフィラーを混合した混合
材料を150〜160℃程度に加熱、軟化させた状態で
混練したものを、ロール成形等によってシート状に加工
して製造することが一般的であるが、フィラー量に対す
るアスファルト材料の量の不足によって塑性変形しにく
くなり(実質的に粘度が上昇する)、アスファルト全体
にフィラーを分散させるまでの混練時間が長くなった
り、アスファルトの混練自体が困難になったり、混練機
からの押し出しやロール成形機等による成形等の加工性
が低下して、例えば成形時に皺が入りやすくなる等の不
都合が生じる。
ーに対する充填材の混入量を増大して比重を高め、目的
の面密度を確保することが考えられる。しかしながら、
充填材の混入量が多くなると、シート物性(柔軟性、耐
久性、形状安定性等)が劣化する上、シートとしての製
造上の加工性も低下するといった問題がある。アスファ
ルト系制振遮音シートの場合、アスファルト材料は比重
1.0g/cm3前後のものが一般的であり、フィラー
の混入量が重量比で全体の90%程度を占めるようにな
るため、フィラー量に対するバインダーとしてのアスフ
ァルト材料の量が不足の状態となり、シートとしての柔
軟性等の物性が低下する。アスファルト系制振遮音シー
トの場合、アスファルト材料にフィラーを混合した混合
材料を150〜160℃程度に加熱、軟化させた状態で
混練したものを、ロール成形等によってシート状に加工
して製造することが一般的であるが、フィラー量に対す
るアスファルト材料の量の不足によって塑性変形しにく
くなり(実質的に粘度が上昇する)、アスファルト全体
にフィラーを分散させるまでの混練時間が長くなった
り、アスファルトの混練自体が困難になったり、混練機
からの押し出しやロール成形機等による成形等の加工性
が低下して、例えば成形時に皺が入りやすくなる等の不
都合が生じる。
【0005】このように、充填材の混入量の増大によっ
ても、シート物性や成形等の加工性の確保の点でシート
比重の増大には限界があるため、事実上、現在住宅用
(床用又は壁用)として提供(市販)されている制振遮
音シートの比重は3.0g/cm3が上限であった。こ
のため、シート物性や成形等の加工性を確保しつつ、
3.0g/cm3を超えるシート比重を実現できる技術
の開発が求められていた。
ても、シート物性や成形等の加工性の確保の点でシート
比重の増大には限界があるため、事実上、現在住宅用
(床用又は壁用)として提供(市販)されている制振遮
音シートの比重は3.0g/cm3が上限であった。こ
のため、シート物性や成形等の加工性を確保しつつ、
3.0g/cm3を超えるシート比重を実現できる技術
の開発が求められていた。
【0006】本発明は、前記問題に鑑みてなされたもの
であり、厚さを増大すること無く、優れた制振遮音性能
を得ることができ、しかも、柔軟性等のシート物性や成
形性等の加工性にも優れ、高い製造効率を確保できる制
振遮音シート及び制振遮音シートの製造方法を提供する
ことを目的とする。
であり、厚さを増大すること無く、優れた制振遮音性能
を得ることができ、しかも、柔軟性等のシート物性や成
形性等の加工性にも優れ、高い製造効率を確保できる制
振遮音シート及び制振遮音シートの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、以下の構成
を、前記課題の解決手段とした。本発明に係る制振遮音
シートは、比重5.0〜6.0g/cm3の無機系フィ
ラーがアスファルトに混入分散されたアスファルト混合
材料によってシート状に形成され、比重3.0〜3.5
g/cm3を有することを特徴とする。請求項2記載の
発明の制振遮音シートは、5.0g/cm3以上の比重
を有し、かつ、粒径150μm以下のものが80重量%
以上を占める無機系フィラーが混入分散されたアスファ
ルト混合材料によってシート状に形成され、3.0g/
cm3以上の比重を有することを特徴とする。請求項3
記載の発明は、請求項2記載の制振遮音シートにおい
て、前記無機系フィラーは、粒径75μm以下のものが
50重量%以上を占める粒度であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載
の制振遮音シートにおいて、前記無機系フィラーが、鉄
又は酸化鉄成分を90重量%以上含有する比重5.0〜
6.0g/cm3の鉄系フィラーであることを特徴とす
る。請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに
記載の制振遮音シートである基材の片面あるいは両面に
表面材が積層されていることを特徴とする。請求項6記
載の発明の制振遮音シートの製造方法は、加熱軟化させ
たアスファルトと、粒径150μm以下のものが80重
量%以上を占める粒度であり比重5.0g/cm3以上
の無機系フィラーとを混練して得たアスファルト混合材
料をシート状に成形して比重3.0g/cm3以上の制
振遮音シートを形成することを特徴とする。請求項7記
載の発明の制振遮音シートの製造方法は、加熱、混練中
のアスファルトに該アスファルトよりも高比重の無機系
フィラーを投入、混練して得たアスファルト混合材料を
シート状に成形する制振遮音シートの製造方法におい
て、前記フィラーを40℃以上に加熱した状態でアスフ
ァルトに投入することを特徴とする。請求項8記載の発
明の制振遮音シートの製造方法は、180℃以上で加
熱、混練中のアスファルトに該アスファルトよりも高比
重の無機系フィラーを投入、混練して得たアスファルト
混合材料をシート状に成形することを特徴とする。
を、前記課題の解決手段とした。本発明に係る制振遮音
シートは、比重5.0〜6.0g/cm3の無機系フィ
ラーがアスファルトに混入分散されたアスファルト混合
材料によってシート状に形成され、比重3.0〜3.5
g/cm3を有することを特徴とする。請求項2記載の
発明の制振遮音シートは、5.0g/cm3以上の比重
を有し、かつ、粒径150μm以下のものが80重量%
以上を占める無機系フィラーが混入分散されたアスファ
ルト混合材料によってシート状に形成され、3.0g/
cm3以上の比重を有することを特徴とする。請求項3
記載の発明は、請求項2記載の制振遮音シートにおい
て、前記無機系フィラーは、粒径75μm以下のものが
50重量%以上を占める粒度であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載
の制振遮音シートにおいて、前記無機系フィラーが、鉄
又は酸化鉄成分を90重量%以上含有する比重5.0〜
6.0g/cm3の鉄系フィラーであることを特徴とす
る。請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに
記載の制振遮音シートである基材の片面あるいは両面に
表面材が積層されていることを特徴とする。請求項6記
載の発明の制振遮音シートの製造方法は、加熱軟化させ
たアスファルトと、粒径150μm以下のものが80重
量%以上を占める粒度であり比重5.0g/cm3以上
の無機系フィラーとを混練して得たアスファルト混合材
料をシート状に成形して比重3.0g/cm3以上の制
振遮音シートを形成することを特徴とする。請求項7記
載の発明の制振遮音シートの製造方法は、加熱、混練中
のアスファルトに該アスファルトよりも高比重の無機系
フィラーを投入、混練して得たアスファルト混合材料を
シート状に成形する制振遮音シートの製造方法におい
て、前記フィラーを40℃以上に加熱した状態でアスフ
ァルトに投入することを特徴とする。請求項8記載の発
明の制振遮音シートの製造方法は、180℃以上で加
熱、混練中のアスファルトに該アスファルトよりも高比
重の無機系フィラーを投入、混練して得たアスファルト
混合材料をシート状に成形することを特徴とする。
【0008】本発明に係る制振遮音シートでは、従来に
比べて比重の大きい無機系フィラー(以下「フィラー」
と略称する場合がある)をバインダーとしてのアスファ
ルトに混入することで、シート厚を増大しなくても制振
遮音性能を充分に確保できる。また、本発明では、シー
ト比重3.0〜3.5g/cm3(但し、請求項1〜4
記載の発明の制振遮音シート自体の比重であり、換言す
れば制振遮音シートを形成しているアスファルト混合材
料の比重。請求項5記載の制振遮音シートでは基材部分
の比重。「シート比重」との記載は以下も同様)を実現
するためのフィラーの混入量を、従来多用されている比
重(真比重)3.0〜5.0g/cm3程度のフィラー
に比べて抑えることができるため、シート物性(柔軟
性、耐久性、形状安定性等)や加工性(押し出し性、ロ
ール成形機による成形性等)の確保が容易であり、低コ
スト化も可能である。
比べて比重の大きい無機系フィラー(以下「フィラー」
と略称する場合がある)をバインダーとしてのアスファ
ルトに混入することで、シート厚を増大しなくても制振
遮音性能を充分に確保できる。また、本発明では、シー
ト比重3.0〜3.5g/cm3(但し、請求項1〜4
記載の発明の制振遮音シート自体の比重であり、換言す
れば制振遮音シートを形成しているアスファルト混合材
料の比重。請求項5記載の制振遮音シートでは基材部分
の比重。「シート比重」との記載は以下も同様)を実現
するためのフィラーの混入量を、従来多用されている比
重(真比重)3.0〜5.0g/cm3程度のフィラー
に比べて抑えることができるため、シート物性(柔軟
性、耐久性、形状安定性等)や加工性(押し出し性、ロ
ール成形機による成形性等)の確保が容易であり、低コ
スト化も可能である。
【0009】また、本発明では、アスファルトに大量の
フィラーを混入することに起因するシート物性や加工性
の低下等の問題を解消して、高比重の制振遮音シートを
容易に得るために、フィラーとして比重が大きくかつ粒
径が細かいもの(粒径が細かいものに揃っている)を用
いること(請求項2〜4、6)、加熱、混練中のアスフ
ァルトに前記フィラーを40℃以上に加熱した状態で投
入、混練して得たアスファルト混合材料をシート状に成
形する製造方法(請求項7)、180℃以上で加熱、混
練中のアスファルトに無機系フィラーを投入、混練して
得たアスファルト混合材料をシート状に成形する製造方
法(請求項8)が重要である。
フィラーを混入することに起因するシート物性や加工性
の低下等の問題を解消して、高比重の制振遮音シートを
容易に得るために、フィラーとして比重が大きくかつ粒
径が細かいもの(粒径が細かいものに揃っている)を用
いること(請求項2〜4、6)、加熱、混練中のアスフ
ァルトに前記フィラーを40℃以上に加熱した状態で投
入、混練して得たアスファルト混合材料をシート状に成
形する製造方法(請求項7)、180℃以上で加熱、混
練中のアスファルトに無機系フィラーを投入、混練して
得たアスファルト混合材料をシート状に成形する製造方
法(請求項8)が重要である。
【0010】すなわち、請求項2、6記載の発明に係る
フィラー(以下、「本発明に係るフィラー」と称する場
合がある)は、5.0g/cm3以上の比重を有し、か
つ、粒径150μm以下のものが80重量%以上を占め
る無機系フィラーであり、(従来の技術)で説明したフ
ィラーに比べて、比重が大きくかつ粒径が小さい。ここ
で、本発明に係るフィラーは、全ての粒度域の粒子が
5.0g/cm3以上の比重を有するものを指す。この
ようなフィラーが分散混入されたアスファルト混合材料
によって形成された制振遮音シートでは、本発明に係る
フィラーに比べて粒径が大きい従来例のフィラーを用い
て形成された制振遮音シートに比べて、柔軟性、耐久
性、形状安定性等のシート物性が向上する。また、この
ようなフィラーを加熱軟化させたアルファルトと混練し
たアスファルト混合材料の成形によって制振遮音シート
を製造する製造方法では、フィラー粒径が小さいことか
ら実質的にアスファルト混合材料の粘度を低下させるこ
とができ、混練効率の向上(混練時間の短縮等)、加工
性の向上(押し出し性、ロール成形機による成形性等の
向上)といった効果が得られる。これにより、アスファ
ルトへのフィラーの高充填が可能となり、3.0g/c
m3以上の高比重の制振遮音シートの製造を容易に実現
できる。
フィラー(以下、「本発明に係るフィラー」と称する場
合がある)は、5.0g/cm3以上の比重を有し、か
つ、粒径150μm以下のものが80重量%以上を占め
る無機系フィラーであり、(従来の技術)で説明したフ
ィラーに比べて、比重が大きくかつ粒径が小さい。ここ
で、本発明に係るフィラーは、全ての粒度域の粒子が
5.0g/cm3以上の比重を有するものを指す。この
ようなフィラーが分散混入されたアスファルト混合材料
によって形成された制振遮音シートでは、本発明に係る
フィラーに比べて粒径が大きい従来例のフィラーを用い
て形成された制振遮音シートに比べて、柔軟性、耐久
性、形状安定性等のシート物性が向上する。また、この
ようなフィラーを加熱軟化させたアルファルトと混練し
たアスファルト混合材料の成形によって制振遮音シート
を製造する製造方法では、フィラー粒径が小さいことか
ら実質的にアスファルト混合材料の粘度を低下させるこ
とができ、混練効率の向上(混練時間の短縮等)、加工
性の向上(押し出し性、ロール成形機による成形性等の
向上)といった効果が得られる。これにより、アスファ
ルトへのフィラーの高充填が可能となり、3.0g/c
m3以上の高比重の制振遮音シートの製造を容易に実現
できる。
【0011】加熱、混練中のアスファルトに該アスファ
ルトよりも高比重の無機系フィラーを投入、混練して得
たアスファルト混合材料をシート状に成形する制振遮音
シートの製造方法においては、加熱、混練中のアスファ
ルトに前記フィラーを40℃以上に加熱した状態で投
入、混練したり、180℃以上で加熱、混練中のアスフ
ァルトに無機系フィラーを投入、混練することによっ
て、フィラーの投入に起因するアスファルト温度の低下
によるアスファルトの粘性増大を抑制でき、混練安定性
の確保、混練時間の短縮を実現できる。アスファルトの
粘性が増大すれば、当然ながら、混練によるアスファル
ト全体へのフィラーの分散に時間がかかるようになる
が、アスファルトの粘性増大を抑制できれば混練時間を
短縮できる。
ルトよりも高比重の無機系フィラーを投入、混練して得
たアスファルト混合材料をシート状に成形する制振遮音
シートの製造方法においては、加熱、混練中のアスファ
ルトに前記フィラーを40℃以上に加熱した状態で投
入、混練したり、180℃以上で加熱、混練中のアスフ
ァルトに無機系フィラーを投入、混練することによっ
て、フィラーの投入に起因するアスファルト温度の低下
によるアスファルトの粘性増大を抑制でき、混練安定性
の確保、混練時間の短縮を実現できる。アスファルトの
粘性が増大すれば、当然ながら、混練によるアスファル
ト全体へのフィラーの分散に時間がかかるようになる
が、アスファルトの粘性増大を抑制できれば混練時間を
短縮できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明に係る制振遮音シ
ート1を示す斜視図、図2は長尺帯状に成形された制振
遮音シート1を巻いた状態を示す斜視図である。図1に
おいて、制振遮音シート1は、アスファルトに無機系フ
ィラー(以下「フィラー」と略称する場合がある)が混
入分散されているアスファルト混合材料によって形成さ
れているシート状の基材2の両面(厚さ方向両側の面)
に、表面材3が積層状態に一体化されたものである。
を参照して説明する。図1は、本発明に係る制振遮音シ
ート1を示す斜視図、図2は長尺帯状に成形された制振
遮音シート1を巻いた状態を示す斜視図である。図1に
おいて、制振遮音シート1は、アスファルトに無機系フ
ィラー(以下「フィラー」と略称する場合がある)が混
入分散されているアスファルト混合材料によって形成さ
れているシート状の基材2の両面(厚さ方向両側の面)
に、表面材3が積層状態に一体化されたものである。
【0013】基材2は、アスファルト10〜30重量%
(基材2全体に占める重量%)と、フィラー90〜70
重量%(基材2全体に占める重量%)との混合物であ
り、シート比重(基材2の比重)3.0〜3.5g/c
m3に形成される。
(基材2全体に占める重量%)と、フィラー90〜70
重量%(基材2全体に占める重量%)との混合物であ
り、シート比重(基材2の比重)3.0〜3.5g/c
m3に形成される。
【0014】アスファルトとしては、ストレートアスフ
ァルトやブローンアスファルト等が採用可能であるが、
JIS K 2207に制定される防水工事用アスファ
ルト(比重1.0g/cm3前後)が耐久性、防水性、
信頼性等の点で好適である。
ァルトやブローンアスファルト等が採用可能であるが、
JIS K 2207に制定される防水工事用アスファ
ルト(比重1.0g/cm3前後)が耐久性、防水性、
信頼性等の点で好適である。
【0015】フィラーとしては、鉄粉等の金属粉、炭酸
カルシウム粉、セメント粉、岩石粉等、各種採用可能で
あるが、粒径150μm以下のものが80重量%以上を
占める粒度のもので、全ての粒度域において比重(真比
重)5.0g/cm3以上であるものが採用される。さ
らに、フィラーとしては嵩比重3.0g/cm3以上で
あることが好ましい。このようなフィラーであれば、当
然ながら、従来広く用いられている比重(真比重)3.
0〜5.0g/cm3程度のフィラーに比べて高比重で
あるから、従来のフィラーに比べて少ない混入量でシー
ト比重3.0〜3.5g/cm3を実現できるととも
に、従来のフィラーに比べて高比重かつ粒度が細かいも
のであるため、例えば、加熱軟化させたアスファルトと
の混練効率の向上、この混練によって得られたアスファ
ルト混合材料の加工性の向上を実現できる等の利点があ
る。混練効率や加工性の向上の点では、フィラーはより
粒径が細かいものであることが好ましく、粒径150μ
m以下のものが80重量%以上の条件に加えて、さら
に、粒径75μm以下のものが50重量%以上を占める
粒度であることがより好ましい。
カルシウム粉、セメント粉、岩石粉等、各種採用可能で
あるが、粒径150μm以下のものが80重量%以上を
占める粒度のもので、全ての粒度域において比重(真比
重)5.0g/cm3以上であるものが採用される。さ
らに、フィラーとしては嵩比重3.0g/cm3以上で
あることが好ましい。このようなフィラーであれば、当
然ながら、従来広く用いられている比重(真比重)3.
0〜5.0g/cm3程度のフィラーに比べて高比重で
あるから、従来のフィラーに比べて少ない混入量でシー
ト比重3.0〜3.5g/cm3を実現できるととも
に、従来のフィラーに比べて高比重かつ粒度が細かいも
のであるため、例えば、加熱軟化させたアスファルトと
の混練効率の向上、この混練によって得られたアスファ
ルト混合材料の加工性の向上を実現できる等の利点があ
る。混練効率や加工性の向上の点では、フィラーはより
粒径が細かいものであることが好ましく、粒径150μ
m以下のものが80重量%以上の条件に加えて、さら
に、粒径75μm以下のものが50重量%以上を占める
粒度であることがより好ましい。
【0016】遮音性能の点では、シート比重がより高い
ことが有効であり、前述の粒度を満たしかつより高比重
のフィラーを用いることでより高比重の制振遮音シート
1(詳細には高比重の基材2)が得られるが、径150
μm以下のものが80重量%以上を占める粒度のもの
で、全ての粒度域において比重(真比重)5.0g/c
m3以上、の条件を満たす無機系フィラーとしては、入
手性、コスト等の点で実用的なものは比重(真比重)
6.0g/cm3程度が上限であり、このフィラー比重
の範囲等によって、シート比重も3.5g/cm3程度
が現実的な上限となる。
ことが有効であり、前述の粒度を満たしかつより高比重
のフィラーを用いることでより高比重の制振遮音シート
1(詳細には高比重の基材2)が得られるが、径150
μm以下のものが80重量%以上を占める粒度のもの
で、全ての粒度域において比重(真比重)5.0g/c
m3以上、の条件を満たす無機系フィラーとしては、入
手性、コスト等の点で実用的なものは比重(真比重)
6.0g/cm3程度が上限であり、このフィラー比重
の範囲等によって、シート比重も3.5g/cm3程度
が現実的な上限となる。
【0017】鉄系フィラーは、制振遮音シートの充填材
としての使用実績が多く、所望のシート物性の確保の点
で信頼性が高い点で、本発明に係るフィラーとして好適
であり、粒径150μm以下のものが80重量%以上を
占める粒度、かつ、全ての粒度域において比重(真比
重)5.0g/cm3以上の条件を満たすものが存在す
る。但し、入手性、コスト等の条件を加味した場合、現
実的には、粒径150μm以下のものが80重量%以上
を占める粒度、全ての粒度域において比重(真比重)
5.0〜6.0g/cm3、嵩比重3.0〜3.5g/
cm3、の条件を満たすものが適切である。粒径150
μm以下のものが80重量%以上を占める粒度、全ての
粒度域において比重(真比重)5.0〜6.0g/cm
3、嵩比重3.0〜3.5g/cm3、の条件を満たす鉄
系フィラーは、鉄成分(純鉄成分又は酸化鉄成分の比
率)が90%(重量%)程度或いはそれ以上のものに多
く存在する。また、このように鉄成分の比率が高い鉄系
フィラーであれば、高比重でより粒度の細かいものが容
易に得られる。
としての使用実績が多く、所望のシート物性の確保の点
で信頼性が高い点で、本発明に係るフィラーとして好適
であり、粒径150μm以下のものが80重量%以上を
占める粒度、かつ、全ての粒度域において比重(真比
重)5.0g/cm3以上の条件を満たすものが存在す
る。但し、入手性、コスト等の条件を加味した場合、現
実的には、粒径150μm以下のものが80重量%以上
を占める粒度、全ての粒度域において比重(真比重)
5.0〜6.0g/cm3、嵩比重3.0〜3.5g/
cm3、の条件を満たすものが適切である。粒径150
μm以下のものが80重量%以上を占める粒度、全ての
粒度域において比重(真比重)5.0〜6.0g/cm
3、嵩比重3.0〜3.5g/cm3、の条件を満たす鉄
系フィラーは、鉄成分(純鉄成分又は酸化鉄成分の比
率)が90%(重量%)程度或いはそれ以上のものに多
く存在する。また、このように鉄成分の比率が高い鉄系
フィラーであれば、高比重でより粒度の細かいものが容
易に得られる。
【0018】表1に、上述の粒度、比重(真比重)、嵩
比重を満たす鉄系フィラーの一例について、その成分の
詳細を示す。この表1において、化学成分の数値は重量
%である。
比重を満たす鉄系フィラーの一例について、その成分の
詳細を示す。この表1において、化学成分の数値は重量
%である。
【0019】
【表1】
【0020】表1のフィラーは、比重(真比重)5.5
g/cm3、鉄成分(酸化鉄成分の比率)が90重量%
以上(97.34重量%)、粒径150μm以下のもの
が80重量%以上かつ粒径75μm以下のものが50重
量%以上を占める粒度(粒度分布)を有し、全ての粒度
域において前述の比重(真比重)5.5g/cm3を有
している。嵩比重は3.3g/cm3である。
g/cm3、鉄成分(酸化鉄成分の比率)が90重量%
以上(97.34重量%)、粒径150μm以下のもの
が80重量%以上かつ粒径75μm以下のものが50重
量%以上を占める粒度(粒度分布)を有し、全ての粒度
域において前述の比重(真比重)5.5g/cm3を有
している。嵩比重は3.3g/cm3である。
【0021】表面材3としては、可撓性、柔軟性を有
し、制振遮音シート全体の可撓性、柔軟性を損なわない
ものが採用される。この表面材3は、制振遮音シートの
形状維持等の機能を果たすものであり、その素材として
紙等も採用可能であるが、例えば、引っ張り強度等の強
度確保、基材表面の緩衝材としての機能を果たすものと
して、ポリエステル、ポリエチレン、レーヨン、ガラ
ス、ペットフィルム(ポリエチレンテレフタレートをシ
ート状に成形したもの)等も採用可能であり、特に、引
っ張り強度等の強度、耐久性の確保の点では、ポリエス
テル、ポリエチレン等の不織布が好適である。特に緩衝
材としての機能は、例えば、この制振遮音シートを床に
制振シート(遮音シートとしての機能も兼ねる)として
施工した場合に、フローリング床等への小物体の落下に
よって生じる軽量衝撃音(例えば食器の落下音、椅子の
引きずり音等。500Hz以上の高い周波数帯での衝撃
音)の減衰能力を向上する機能を果たす。この表面材3
の基材2に対する固定は、接着剤を利用することも可能
であるが、基材2のアスファルト自体の粘着性、接着性
を利用できる。なお、住宅用制振遮音材として用いる制
振遮音シート1は、住宅用制振遮音材としての性能が得
られるよう、数mm程度のシート厚で形成される。
し、制振遮音シート全体の可撓性、柔軟性を損なわない
ものが採用される。この表面材3は、制振遮音シートの
形状維持等の機能を果たすものであり、その素材として
紙等も採用可能であるが、例えば、引っ張り強度等の強
度確保、基材表面の緩衝材としての機能を果たすものと
して、ポリエステル、ポリエチレン、レーヨン、ガラ
ス、ペットフィルム(ポリエチレンテレフタレートをシ
ート状に成形したもの)等も採用可能であり、特に、引
っ張り強度等の強度、耐久性の確保の点では、ポリエス
テル、ポリエチレン等の不織布が好適である。特に緩衝
材としての機能は、例えば、この制振遮音シートを床に
制振シート(遮音シートとしての機能も兼ねる)として
施工した場合に、フローリング床等への小物体の落下に
よって生じる軽量衝撃音(例えば食器の落下音、椅子の
引きずり音等。500Hz以上の高い周波数帯での衝撃
音)の減衰能力を向上する機能を果たす。この表面材3
の基材2に対する固定は、接着剤を利用することも可能
であるが、基材2のアスファルト自体の粘着性、接着性
を利用できる。なお、住宅用制振遮音材として用いる制
振遮音シート1は、住宅用制振遮音材としての性能が得
られるよう、数mm程度のシート厚で形成される。
【0022】次に、本発明に係る制振遮音シートの製造
方法(以下、「製造方法」と略称する場合がある)の実
施の形態について、前述の制振遮音シート1の製造に適
用した例を説明する。この製造方法は、まず、加熱、混
練中のアスファルトにフィラーを投入したものを混練機
等で混練してアスファルト中にフィラーが混入分散され
たアスファルト混合材料を形成するとともに、このアス
ファルト混合材料をロール成形機等でシート状に成形す
ることで基材2を形成する。そして、この基材2の両面
に表面材3を積層状態に取り付けることで、制振遮音シ
ート1を形成できる。アスファルトとフィラーとの混
練、ロール成形機等によるアスファルト混合材料の成形
による基材2の形成、形成された基材2への表面材3の
取り付けを連続的に行う製造ラインを構成することも可
能である。フィラーは、制振遮音シート1を構成するフ
ィラーとして、先に説明した条件を満たすものを使用す
る。
方法(以下、「製造方法」と略称する場合がある)の実
施の形態について、前述の制振遮音シート1の製造に適
用した例を説明する。この製造方法は、まず、加熱、混
練中のアスファルトにフィラーを投入したものを混練機
等で混練してアスファルト中にフィラーが混入分散され
たアスファルト混合材料を形成するとともに、このアス
ファルト混合材料をロール成形機等でシート状に成形す
ることで基材2を形成する。そして、この基材2の両面
に表面材3を積層状態に取り付けることで、制振遮音シ
ート1を形成できる。アスファルトとフィラーとの混
練、ロール成形機等によるアスファルト混合材料の成形
による基材2の形成、形成された基材2への表面材3の
取り付けを連続的に行う製造ラインを構成することも可
能である。フィラーは、制振遮音シート1を構成するフ
ィラーとして、先に説明した条件を満たすものを使用す
る。
【0023】この製造方法では、混練中のアスファルト
に前記フィラーを40℃以上に加熱した状態で投入する
ことが好ましい。フィラーは、重量比で混合材料の大半
を占めるため、加熱したフィラーの投入は、アスファル
ト材料の温度維持の上で非常に有効であり、フィラーの
投入に起因する温度低下に伴うアスファルトの粘性増大
を効果的に防止できる。混練効率の向上の点では投入す
るフィラーの温度は高いほど良いが、混練によって得ら
れたアスファルト混合材料の成形のための冷却時間の短
縮などに鑑みて、40〜80℃が実用的である。また、
3.0g/cm 3以上のシート比重を確保する点では、
アスファルトへのフィラーの投入量が多いため、混練中
のアスファルトに投入するフィラー温度が40℃よりも
低ければ、フィラー投入時のアスファルト温度の低下を
充分に抑制できない。
に前記フィラーを40℃以上に加熱した状態で投入する
ことが好ましい。フィラーは、重量比で混合材料の大半
を占めるため、加熱したフィラーの投入は、アスファル
ト材料の温度維持の上で非常に有効であり、フィラーの
投入に起因する温度低下に伴うアスファルトの粘性増大
を効果的に防止できる。混練効率の向上の点では投入す
るフィラーの温度は高いほど良いが、混練によって得ら
れたアスファルト混合材料の成形のための冷却時間の短
縮などに鑑みて、40〜80℃が実用的である。また、
3.0g/cm 3以上のシート比重を確保する点では、
アスファルトへのフィラーの投入量が多いため、混練中
のアスファルトに投入するフィラー温度が40℃よりも
低ければ、フィラー投入時のアスファルト温度の低下を
充分に抑制できない。
【0024】また、本発明に係る製造方法では、180
℃以上で混練中のアスファルトにフィラーを投入するこ
とによっても、アスファルトの混練安定性、混練時間の
短縮を実現できる。フィラーを投入するアスファルト温
度が180℃であれば、フィラーの投入によってアスフ
ァルト温度の低下が生じても、アスファルト温度の低下
を、温度低下に伴うアスファルトの粘性増大が混練やフ
ィラーの分散に影響しない程度に留めることができる。
フィラーを投入するアスファルト温度は高いほど良い
が、混練によって得られたアスファルト混合材料の成形
のための冷却時間の短縮などに鑑みて、180〜220
℃、より好ましくは180〜200℃が実用的である。
また、3.0g/cm3以上のシート比重を確保する点
ではアスファルトへのフィラーの投入量が多いため、混
練中のアスファルト温度が180℃よりも低ければ、フ
ィラー投入時の温度低下を充分に抑制できない。
℃以上で混練中のアスファルトにフィラーを投入するこ
とによっても、アスファルトの混練安定性、混練時間の
短縮を実現できる。フィラーを投入するアスファルト温
度が180℃であれば、フィラーの投入によってアスフ
ァルト温度の低下が生じても、アスファルト温度の低下
を、温度低下に伴うアスファルトの粘性増大が混練やフ
ィラーの分散に影響しない程度に留めることができる。
フィラーを投入するアスファルト温度は高いほど良い
が、混練によって得られたアスファルト混合材料の成形
のための冷却時間の短縮などに鑑みて、180〜220
℃、より好ましくは180〜200℃が実用的である。
また、3.0g/cm3以上のシート比重を確保する点
ではアスファルトへのフィラーの投入量が多いため、混
練中のアスファルト温度が180℃よりも低ければ、フ
ィラー投入時の温度低下を充分に抑制できない。
【0025】180℃以上で加熱、混練中のアスファル
トへの前記フィラーの投入をフィラーを40℃以上に加
熱した状態で行うことで、より確実にアスファルトの粘
性増大を防止でき、アスファルトとフィラーとの混練の
安定性の向上、アスファルトへのフィラーの混入分散効
率の向上、それによる混練時間の短縮等の利点が一層効
果的、かつ、確実に得られるようになる。
トへの前記フィラーの投入をフィラーを40℃以上に加
熱した状態で行うことで、より確実にアスファルトの粘
性増大を防止でき、アスファルトとフィラーとの混練の
安定性の向上、アスファルトへのフィラーの混入分散効
率の向上、それによる混練時間の短縮等の利点が一層効
果的、かつ、確実に得られるようになる。
【0026】図3、図4は、前記制振遮音シート1を床
下地材として用いた場合を示す。この場合、パーティク
ルボード等から形成された床下地パネル11を、コンク
リートスラブ12上に多数立設した支持脚13上に設置
して多数敷き並べて浮き床を形成し、この浮き床を構成
する床下地パネル11上に制振遮音シート1を敷設して
積層状態にし、さらに、この制振遮音シート1上に多数
の床板14を張って床面を形成する。このようにして構
築した二重床全体に符号15を付す。
下地材として用いた場合を示す。この場合、パーティク
ルボード等から形成された床下地パネル11を、コンク
リートスラブ12上に多数立設した支持脚13上に設置
して多数敷き並べて浮き床を形成し、この浮き床を構成
する床下地パネル11上に制振遮音シート1を敷設して
積層状態にし、さらに、この制振遮音シート1上に多数
の床板14を張って床面を形成する。このようにして構
築した二重床全体に符号15を付す。
【0027】表2は、制振遮音シート1を床下地材とし
て使用した場合の性能評価試験の結果を示す。なお、表
2中のデータは床衝撃音レベル(dB)である。
て使用した場合の性能評価試験の結果を示す。なお、表
2中のデータは床衝撃音レベル(dB)である。
【0028】
【表2】
【0029】この性能評価試験は、JIS A 141
8−1(建築物の現場における床衝撃音レベルの測定方
法)の規定に準拠して行った。測定方法は、図5に示す
ように、実験室16内に、前述の図3、図4に例示した
構成の二重床15(但しコンクリートスラブ厚150m
m)を横方向に構築して、この実験室16内に、前記二
重床15から上側の音源室17と、二重床15から下側
の受音室18とを画成し、音源室17に設置した床衝撃
音発生器19によって二重床15床面(床板14上面)
の数カ所を打撃し、この打撃音を受音室18に設置して
おいたマイクロホン20で集音し、マイクロホン20で
集音された音に対応して指示騒音計21から出力された
集音データをオクターブ分析器22によって分析して、
1/1オクターブバンドの複数の周波数帯のそれぞれに
ついて音圧レベルを記録した。床衝撃音発生器19は、
タッピングマシン(軽量床衝撃音発生器)を搭載してお
り、各種周波数帯の衝撃音を発生出来るため、これによ
り、63〜4000Hzの複数の周波数帯及びAP(オ
ールパス)について音圧レベルを測定した。
8−1(建築物の現場における床衝撃音レベルの測定方
法)の規定に準拠して行った。測定方法は、図5に示す
ように、実験室16内に、前述の図3、図4に例示した
構成の二重床15(但しコンクリートスラブ厚150m
m)を横方向に構築して、この実験室16内に、前記二
重床15から上側の音源室17と、二重床15から下側
の受音室18とを画成し、音源室17に設置した床衝撃
音発生器19によって二重床15床面(床板14上面)
の数カ所を打撃し、この打撃音を受音室18に設置して
おいたマイクロホン20で集音し、マイクロホン20で
集音された音に対応して指示騒音計21から出力された
集音データをオクターブ分析器22によって分析して、
1/1オクターブバンドの複数の周波数帯のそれぞれに
ついて音圧レベルを記録した。床衝撃音発生器19は、
タッピングマシン(軽量床衝撃音発生器)を搭載してお
り、各種周波数帯の衝撃音を発生出来るため、これによ
り、63〜4000Hzの複数の周波数帯及びAP(オ
ールパス)について音圧レベルを測定した。
【0030】試験は、以下の、基準試験、比較例、実施
例の3種類について行った。基準試験は、二重床15に
おいて制振遮音シートを省略して試験を行ったものであ
る。比較例、実施例の試験片の制振遮音シートはいずれ
も鉄系フィラーがアスファルトに混入分散されているア
スファルト混合材料によってシート状に形成されている
ものであり、シート厚、フィラーの構成に違いがある。
比較例、実施例の制振遮音シートはいずれもアスファル
ト混合材料によって形成された部分のみであり、表面材
は付けていない。なお、比較例、実施例の制振遮音シー
トを構成するアスファルトは、JISK 2207に制
定される防水工事用アスファルトである。
例の3種類について行った。基準試験は、二重床15に
おいて制振遮音シートを省略して試験を行ったものであ
る。比較例、実施例の試験片の制振遮音シートはいずれ
も鉄系フィラーがアスファルトに混入分散されているア
スファルト混合材料によってシート状に形成されている
ものであり、シート厚、フィラーの構成に違いがある。
比較例、実施例の制振遮音シートはいずれもアスファル
ト混合材料によって形成された部分のみであり、表面材
は付けていない。なお、比較例、実施例の制振遮音シー
トを構成するアスファルトは、JISK 2207に制
定される防水工事用アスファルトである。
【0031】基準試験:制振遮音シート無し
比較例:鉄系フィラーがアスファルトに混入分散されて
いるアスファルト混合材料によってシート状に形成され
ている、比重2.5g/cm3、厚さ6mmの制振遮音
シート。鉄系フィラーは酸化鉄であり、61重量%のF
eO及び30重量%のFe2O3を主成分とし、嵩比重
2.5g/cm3であり、径0.8〜0.075mmに
わたって各粒度域の粒径の粒が存在する広範な粒度分布
を有する。粒度分布は詳細には、径0.8〜0.15m
mが約32%、径150〜105mmが約15.5%、
径105〜0.074mmが約32%、径0.074m
m未満が約20%(%は重量%)である。 実施例:本発明に係る制振遮音シート1の基材部分。鉄
系フィラーがアスファルトに混入分散されたアスファル
ト混合材料によってシート状に形成されている、比重
3.2g/cm3、厚さ6mmの制振遮音シート。鉄系
フィラーは、具体的には、表1の成分構成を有する粒で
あり、比重(真比重)5.5g/cm3、嵩比重3.3
g/cm3、鉄成分90%(97.34重量%)、粒径
150μm以下のものが80重量%以上かつ粒径75μ
m以下のものが50重量%以上を占める粒度(粒度分
布)を有し、全ての粒度域において前述の比重(真比
重)5.5g/cm3を有するものである。
いるアスファルト混合材料によってシート状に形成され
ている、比重2.5g/cm3、厚さ6mmの制振遮音
シート。鉄系フィラーは酸化鉄であり、61重量%のF
eO及び30重量%のFe2O3を主成分とし、嵩比重
2.5g/cm3であり、径0.8〜0.075mmに
わたって各粒度域の粒径の粒が存在する広範な粒度分布
を有する。粒度分布は詳細には、径0.8〜0.15m
mが約32%、径150〜105mmが約15.5%、
径105〜0.074mmが約32%、径0.074m
m未満が約20%(%は重量%)である。 実施例:本発明に係る制振遮音シート1の基材部分。鉄
系フィラーがアスファルトに混入分散されたアスファル
ト混合材料によってシート状に形成されている、比重
3.2g/cm3、厚さ6mmの制振遮音シート。鉄系
フィラーは、具体的には、表1の成分構成を有する粒で
あり、比重(真比重)5.5g/cm3、嵩比重3.3
g/cm3、鉄成分90%(97.34重量%)、粒径
150μm以下のものが80重量%以上かつ粒径75μ
m以下のものが50重量%以上を占める粒度(粒度分
布)を有し、全ての粒度域において前述の比重(真比
重)5.5g/cm3を有するものである。
【0032】表2の結果、比較例と実施例との比較で
は、63Hz周波数帯を除いて他の周波数帯のいずれで
も実施例の方が床衝撃音レベル(dB)が低くなってい
ることが明らかである。このことから、本発明に係る制
振遮音シートでは、同じ厚さ寸法であれば、これまでよ
りも優れた制振、遮音性能が得られ、従来と同等の制
振、遮音性能を確保するには厚さ寸法を薄くできる。し
たがい、例えば、図3、図4の二重床15に適用した場
合、施工する制振、遮音シート1のシート厚を抑えるこ
とができるから、より高い制振、遮音性能を得ようとし
た場合、シート厚の増大によって床板14の施工位置が
上がり床面の位置が高くなってしまう等の不都合を防止
できる。また、比較例、実施例の制振遮音シートの重量
床衝撃音の遮音性能についても試験を行った。重量床衝
撃音の遮音性能はシート比重に因るところが大きく(シ
ート比重が大きいことが有効)、試験の結果でも、実施
例の制振遮音シートの方が比較例に比べて優れた遮音性
能が得られることを確認できた。
は、63Hz周波数帯を除いて他の周波数帯のいずれで
も実施例の方が床衝撃音レベル(dB)が低くなってい
ることが明らかである。このことから、本発明に係る制
振遮音シートでは、同じ厚さ寸法であれば、これまでよ
りも優れた制振、遮音性能が得られ、従来と同等の制
振、遮音性能を確保するには厚さ寸法を薄くできる。し
たがい、例えば、図3、図4の二重床15に適用した場
合、施工する制振、遮音シート1のシート厚を抑えるこ
とができるから、より高い制振、遮音性能を得ようとし
た場合、シート厚の増大によって床板14の施工位置が
上がり床面の位置が高くなってしまう等の不都合を防止
できる。また、比較例、実施例の制振遮音シートの重量
床衝撃音の遮音性能についても試験を行った。重量床衝
撃音の遮音性能はシート比重に因るところが大きく(シ
ート比重が大きいことが有効)、試験の結果でも、実施
例の制振遮音シートの方が比較例に比べて優れた遮音性
能が得られることを確認できた。
【0033】また、実施例の制振遮音シートでは、従来
品と同等の耐久性、形状安定性等のシート物性が得られ
るとともに、従来品よりも優れた柔軟性が得られた(触
感等で明らかな違いが認められた)。図3、図4のよう
な床下地材として制振遮音シート1を用いる場合、床の
形状、寸法、施工位置に存在する障害物の回避等に対応
して、現場などで制振遮音シート1を適宜切断、成形す
ることがあるが、厚さ寸法が小さければ切断作業が容易
であり、寸法合わせの作業性が向上する。また、厚さ寸
法が小さければ、図2のように巻いた場合の巻き径を小
さくでき、搬送性を向上できるといった利点もある。ま
た、この制振遮音シート1では、柔軟性も確保できるの
で、例えば、部分的に隆起部を有する床等に施工する場
合、この制振遮音シート1を敷設する下地の形状に追従
させることが容易であり、浮き上がり等を防止できる。
図2のように帯状の制振遮音シート1は、施工完了時に
余った部分は、巻いた状態で撤去することが多いが、同
等の制振、遮音性能を有するシートに比べて厚さ寸法が
薄く柔軟性が充分に確保されている制振遮音シート1で
あれば、このときの巻き上げ作業も容易に行うことがで
き、撤去作業性を向上できる。
品と同等の耐久性、形状安定性等のシート物性が得られ
るとともに、従来品よりも優れた柔軟性が得られた(触
感等で明らかな違いが認められた)。図3、図4のよう
な床下地材として制振遮音シート1を用いる場合、床の
形状、寸法、施工位置に存在する障害物の回避等に対応
して、現場などで制振遮音シート1を適宜切断、成形す
ることがあるが、厚さ寸法が小さければ切断作業が容易
であり、寸法合わせの作業性が向上する。また、厚さ寸
法が小さければ、図2のように巻いた場合の巻き径を小
さくでき、搬送性を向上できるといった利点もある。ま
た、この制振遮音シート1では、柔軟性も確保できるの
で、例えば、部分的に隆起部を有する床等に施工する場
合、この制振遮音シート1を敷設する下地の形状に追従
させることが容易であり、浮き上がり等を防止できる。
図2のように帯状の制振遮音シート1は、施工完了時に
余った部分は、巻いた状態で撤去することが多いが、同
等の制振、遮音性能を有するシートに比べて厚さ寸法が
薄く柔軟性が充分に確保されている制振遮音シート1で
あれば、このときの巻き上げ作業も容易に行うことがで
き、撤去作業性を向上できる。
【0034】次に、フィラーの違いが、制振遮音シート
の製造(アスファルト混合材料の混練、成形)に与える
影響を検証した。 (製造方法1)150〜160℃に加熱して混練機で混
練中のアスファルトにフィラーを投入して所定時間混練
して得たアスファルト混合材料をロール成形機でシート
状に成形して、前述の実施例の試験片の制振遮音シート
(厚さ6mm)を形成した。フィラーは、前述の通り、
表1の成分構成を有する粒であり、比重(真比重)5.
5g/cm3、嵩比重3.3g/cm3、鉄成分90%
(97.34重量%)、粒径150μm以下のものが8
0重量%以上かつ粒径75μm以下のものが50重量%
以上を占める粒度(粒度分布)を有し、全ての粒度域に
おいて前述の比重(真比重)5.5g/cm3を有する
ものである。また、投入するフィラーの加熱は行わず、
室温(20℃)で一気に投入した。 (製造方法の比較例)アスファルトに投入混練するフィ
ラーとして、前述のJIS A 1418−1(建築物
の現場における床衝撃音レベルの測定方法)の規定に準
拠して行った性能評価試験の比較例に用いたもの、すな
わち、FeOを61重量%、Fe2O3を30重量%を主
成分とし、嵩比重2.5g/cm3、前述と同じ粒度
(粒度分布)を有する酸化鉄フィラーを採用したこと以
外は、製造方法1と同様の条件で、実施例の制振遮音シ
ートと同じ比重3.2g/cm3、厚さ6mmの制振遮
音シートを形成した。
の製造(アスファルト混合材料の混練、成形)に与える
影響を検証した。 (製造方法1)150〜160℃に加熱して混練機で混
練中のアスファルトにフィラーを投入して所定時間混練
して得たアスファルト混合材料をロール成形機でシート
状に成形して、前述の実施例の試験片の制振遮音シート
(厚さ6mm)を形成した。フィラーは、前述の通り、
表1の成分構成を有する粒であり、比重(真比重)5.
5g/cm3、嵩比重3.3g/cm3、鉄成分90%
(97.34重量%)、粒径150μm以下のものが8
0重量%以上かつ粒径75μm以下のものが50重量%
以上を占める粒度(粒度分布)を有し、全ての粒度域に
おいて前述の比重(真比重)5.5g/cm3を有する
ものである。また、投入するフィラーの加熱は行わず、
室温(20℃)で一気に投入した。 (製造方法の比較例)アスファルトに投入混練するフィ
ラーとして、前述のJIS A 1418−1(建築物
の現場における床衝撃音レベルの測定方法)の規定に準
拠して行った性能評価試験の比較例に用いたもの、すな
わち、FeOを61重量%、Fe2O3を30重量%を主
成分とし、嵩比重2.5g/cm3、前述と同じ粒度
(粒度分布)を有する酸化鉄フィラーを採用したこと以
外は、製造方法1と同様の条件で、実施例の制振遮音シ
ートと同じ比重3.2g/cm3、厚さ6mmの制振遮
音シートを形成した。
【0035】製造方法1、比較例の製造方法によって得
られる制振遮音シートについて、それぞれ、フィラーを
投入したアスファルトの混練機での混練時間を変えて制
振遮音シートを作成し、制振遮音シート中のフィラーの
分布を調べた。この結果、製造方法1で得られた制振遮
音シートでは製造方法の比較例で得られた制振遮音シー
トに比べて、フィラーを投入したアスファルトの混練時
間が短くても、フィラーをアスファルト全体に均等分散
できることを確認できた。比較例の製造方法で得られた
制振遮音シートは、柔軟性が悪く、ひび割れを生じやす
い等、シート物性が劣るものであった。また、比較例の
製造方法で形成した制振遮音シートは、ロール成形機に
よる成形性も悪く、シート状にはなっても、厚さのばら
つきが大きいなどの不具合が認められた。一方、製造方
法1で得られた制振遮音シートは、比較例の製造方法で
得られた制振遮音シートに比べて、柔軟性等のシート物
性が充分に確保されている上、厚さ等に所望の寸法が安
定して得られ、皺等の無い滑らかな表面のシートを安定
に形成できるなど、成形性にも優れている。
られる制振遮音シートについて、それぞれ、フィラーを
投入したアスファルトの混練機での混練時間を変えて制
振遮音シートを作成し、制振遮音シート中のフィラーの
分布を調べた。この結果、製造方法1で得られた制振遮
音シートでは製造方法の比較例で得られた制振遮音シー
トに比べて、フィラーを投入したアスファルトの混練時
間が短くても、フィラーをアスファルト全体に均等分散
できることを確認できた。比較例の製造方法で得られた
制振遮音シートは、柔軟性が悪く、ひび割れを生じやす
い等、シート物性が劣るものであった。また、比較例の
製造方法で形成した制振遮音シートは、ロール成形機に
よる成形性も悪く、シート状にはなっても、厚さのばら
つきが大きいなどの不具合が認められた。一方、製造方
法1で得られた制振遮音シートは、比較例の製造方法で
得られた制振遮音シートに比べて、柔軟性等のシート物
性が充分に確保されている上、厚さ等に所望の寸法が安
定して得られ、皺等の無い滑らかな表面のシートを安定
に形成できるなど、成形性にも優れている。
【0036】(i)フィラーを40℃に加熱した状態で
混練中のアスファルトに投入した以外は条件を製造方法
1と同じにして制振遮音シートを作った場合、(ii)混
練機でのアスファルトの混練温度を180℃にした以外
は条件を製造方法1と同じにして制振遮音シートを作っ
た場合、(iii)混練機でのアスファルトの混練を18
0℃で行い、かつ、フィラーを40℃に加熱した状態で
混練中のアスファルトに投入した以外は条件を製造方法
1と同じにして制振遮音シートを作った場合について
も、混練機内でのアスファルト中のフィラーの分散状態
の目視確認等により、フィラー投入後のアスファルトの
混練時間とアスファルト中のフィラーの分布との関係を
検証したところ、製造方法1に比べて、混練中のアスフ
ァルトに投入したフィラーが充分に分散されるまでの混
練時間をさらに短縮できることが確認できた。
混練中のアスファルトに投入した以外は条件を製造方法
1と同じにして制振遮音シートを作った場合、(ii)混
練機でのアスファルトの混練温度を180℃にした以外
は条件を製造方法1と同じにして制振遮音シートを作っ
た場合、(iii)混練機でのアスファルトの混練を18
0℃で行い、かつ、フィラーを40℃に加熱した状態で
混練中のアスファルトに投入した以外は条件を製造方法
1と同じにして制振遮音シートを作った場合について
も、混練機内でのアスファルト中のフィラーの分散状態
の目視確認等により、フィラー投入後のアスファルトの
混練時間とアスファルト中のフィラーの分布との関係を
検証したところ、製造方法1に比べて、混練中のアスフ
ァルトに投入したフィラーが充分に分散されるまでの混
練時間をさらに短縮できることが確認できた。
【0037】図6、図7は、本発明に係る制振遮音シー
トを使用して施工した壁23の一例を示す。図6、図7
に示す制振遮音シート1aの断面構造等は図1に例示し
たものと同じであるが、図2に例示したような長尺帯状
ではなく、一辺が数十cm程度の長方形状(あるいは正
方形状)に切断、成形した点のみが異なる。
トを使用して施工した壁23の一例を示す。図6、図7
に示す制振遮音シート1aの断面構造等は図1に例示し
たものと同じであるが、図2に例示したような長尺帯状
ではなく、一辺が数十cm程度の長方形状(あるいは正
方形状)に切断、成形した点のみが異なる。
【0038】壁23は、コンクリート、断熱材等からな
る壁本体24側面を覆うようにして、長方形状に成形さ
れた制振遮音シート1aを多数、貼り付けるようにして
設置して遮音層を形成し、これら制振遮音シート1aを
外側を覆うようにして施工された石膏ボード等からなる
下地層25の外側に壁紙26を貼付した構成になってい
る。壁23用の制振遮音シートとしては、主として空気
伝播音の遮音性能が要求されるが、ここで要求される遮
音性能は制振遮音シートの面密度に従うので、本発明に
係る制振遮音シートは比重が大きいことから、同じシー
ト厚での比較であれば、従来例の制振遮音シート(本発
明のものに比べて比重が小さい)に比べて空気伝播音の
遮音性能が向上することは明らかである。したがい、壁
23に施工される制振遮音シート1aの厚さ寸法は壁2
3の設計に従うが、本発明に係る制振遮音シート1aで
あれば、厚さ寸法を増大しなくても遮音性能を向上でき
るので、壁23の設計を変更することなく遮音性の向上
を実現でき、この遮音性能によって付加価値の高い住環
境を提供できるといった優れた効果を奏する。また、こ
の壁用の制振遮音シート1aでも、所望の制振遮音性能
に対するシート厚を抑えることができる利点により、長
方形状への切断、成形等が容易であるといった加工上の
利点がある。
る壁本体24側面を覆うようにして、長方形状に成形さ
れた制振遮音シート1aを多数、貼り付けるようにして
設置して遮音層を形成し、これら制振遮音シート1aを
外側を覆うようにして施工された石膏ボード等からなる
下地層25の外側に壁紙26を貼付した構成になってい
る。壁23用の制振遮音シートとしては、主として空気
伝播音の遮音性能が要求されるが、ここで要求される遮
音性能は制振遮音シートの面密度に従うので、本発明に
係る制振遮音シートは比重が大きいことから、同じシー
ト厚での比較であれば、従来例の制振遮音シート(本発
明のものに比べて比重が小さい)に比べて空気伝播音の
遮音性能が向上することは明らかである。したがい、壁
23に施工される制振遮音シート1aの厚さ寸法は壁2
3の設計に従うが、本発明に係る制振遮音シート1aで
あれば、厚さ寸法を増大しなくても遮音性能を向上でき
るので、壁23の設計を変更することなく遮音性の向上
を実現でき、この遮音性能によって付加価値の高い住環
境を提供できるといった優れた効果を奏する。また、こ
の壁用の制振遮音シート1aでも、所望の制振遮音性能
に対するシート厚を抑えることができる利点により、長
方形状への切断、成形等が容易であるといった加工上の
利点がある。
【0039】なお、本発明の制振遮音シートの具体的形
状、寸法等は、前述の実施の形態に限定されず、適宜変
更可能である。また、フィラーとアスファルトとの配合
比、フィラーの比重、フィラーの材質、表面材の材質等
は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であ
る。また、制振遮音シート(基材)は、例えば、炭酸カ
ルシウム粉、セメント粉、岩石粉等を無機系フィラーと
して、鉄系フィラー等の高比重フィラーとともにアスフ
ァルトに混入した構成も採用可能である。
状、寸法等は、前述の実施の形態に限定されず、適宜変
更可能である。また、フィラーとアスファルトとの配合
比、フィラーの比重、フィラーの材質、表面材の材質等
は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であ
る。また、制振遮音シート(基材)は、例えば、炭酸カ
ルシウム粉、セメント粉、岩石粉等を無機系フィラーと
して、鉄系フィラー等の高比重フィラーとともにアスフ
ァルトに混入した構成も採用可能である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
同じ厚さ寸法であれば、これまでよりも優れた制振、遮
音性能が得られ、従来と同等の制振、遮音性能を確保す
るには厚さ寸法を薄くできる制振遮音シートが得られ
る。シート厚の増大を抑えられることから切断等の加工
性や、柔軟性等の特性も充分に確保できるといった利点
もある。また、非常に比重の大きいフィラーを用いるた
め、フィラーの混入量が少なくて済み、低コスト化でき
る。さらに、本発明では、比重が大きく、かつ、粒度が
細かいフィラー(請求項2、6では、5.0g/cm3
以上の比重を有し、かつ、粒径150μm以下のものが
80重量%以上を占める無機系フィラー)を用いること
で、比重3.0g/cm3以上の制振遮音シートを得る
べくアスファルトに大量のフィラーを混入しても、フィ
ラーのアスファルト全体への混入分散を確実に行うこと
ができ、優れたシート物性、成形性を確保できる。
同じ厚さ寸法であれば、これまでよりも優れた制振、遮
音性能が得られ、従来と同等の制振、遮音性能を確保す
るには厚さ寸法を薄くできる制振遮音シートが得られ
る。シート厚の増大を抑えられることから切断等の加工
性や、柔軟性等の特性も充分に確保できるといった利点
もある。また、非常に比重の大きいフィラーを用いるた
め、フィラーの混入量が少なくて済み、低コスト化でき
る。さらに、本発明では、比重が大きく、かつ、粒度が
細かいフィラー(請求項2、6では、5.0g/cm3
以上の比重を有し、かつ、粒径150μm以下のものが
80重量%以上を占める無機系フィラー)を用いること
で、比重3.0g/cm3以上の制振遮音シートを得る
べくアスファルトに大量のフィラーを混入しても、フィ
ラーのアスファルト全体への混入分散を確実に行うこと
ができ、優れたシート物性、成形性を確保できる。
【図1】 本発明の制振遮音シートの断面構造を示す拡
大斜視図である。
大斜視図である。
【図2】 図1の制振遮音シートを長尺帯状に成形した
ものを巻き上げた状態を示す斜視図である。
ものを巻き上げた状態を示す斜視図である。
【図3】 図1の制振遮音シートを床下地材に適用した
例を示す斜視図である。
例を示す斜視図である。
【図4】 図3の断面図である。
【図5】 床衝撃音試験の試験方法を示す図であって、
実験室と該実験室内に設置した二重床とを示す断面図で
ある。
実験室と該実験室内に設置した二重床とを示す断面図で
ある。
【図6】 本発明に係る制振遮音シートを適用した壁を
示す断面図である。
示す断面図である。
【図7】 図6の斜視図である。
1,1a…制振遮音シート、2…基材、3…表面材(ポ
リエステル不織布)。
リエステル不織布)。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 加藤 伸一郎
静岡県志太郡大井川町高新田810 静岡瀝
青工業株式会社大井川工場内
Fターム(参考) 2E001 DF02 DG01 FA11 GA24 HE03
JB02
5D061 AA03 AA16 BB01 GG06
Claims (8)
- 【請求項1】 比重5.0〜6.0g/cm3の無機系
フィラーがアスファルトに混入分散されたアスファルト
混合材料によってシート状に形成され、比重3.0〜
3.5g/cm3を有することを特徴とする制振遮音シ
ート。 - 【請求項2】 5.0g/cm3以上の比重を有し、か
つ、粒径150μm以下のものが80重量%以上を占め
る無機系フィラーが混入分散されたアスファルト混合材
料によってシート状に形成され、3.0g/cm3以上
の比重を有することを特徴とする制振遮音シート。 - 【請求項3】 前記無機系フィラーは、粒径75μm以
下のものが50重量%以上を占める粒度であることを特
徴とする請求項2記載の制振遮音シート。 - 【請求項4】 前記無機系フィラーが、鉄又は酸化鉄成
分を90重量%以上含有する比重5.0〜6.0g/c
m3の鉄系フィラーであることを特徴とする請求項1〜
3のいずれかに記載の制振遮音シート。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の制振遮
音シートである基材の片面あるいは両面に表面材が積層
されていることを特徴とする制振遮音シート。 - 【請求項6】 加熱軟化させたアスファルトと、粒径1
50μm以下のものが80重量%以上を占める粒度であ
り比重5.0g/cm3以上の無機系フィラーとを混練
して得たアスファルト混合材料をシート状に成形して比
重3.0g/cm3以上の制振遮音シートを形成するこ
とを特徴とする制振遮音シートの製造方法。 - 【請求項7】 加熱、混練中のアスファルトに該アスフ
ァルトよりも高比重の無機系フィラーを投入、混練して
得たアスファルト混合材料をシート状に成形する制振遮
音シートの製造方法において、前記フィラーを40℃以
上に加熱した状態でアスファルトに投入することを特徴
とする制振遮音シートの製造方法。 - 【請求項8】 180℃以上で加熱、混練中のアスファ
ルトに該アスファルトよりも高比重の無機系フィラーを
投入、混練して得たアスファルト混合材料をシート状に
成形することを特徴とする制振遮音シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002119565A JP2003316365A (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 制振遮音シート及び制振遮音シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002119565A JP2003316365A (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 制振遮音シート及び制振遮音シートの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003316365A true JP2003316365A (ja) | 2003-11-07 |
Family
ID=29536085
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002119565A Pending JP2003316365A (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 制振遮音シート及び制振遮音シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003316365A (ja) |
-
2002
- 2002-04-22 JP JP2002119565A patent/JP2003316365A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050208 |
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050905 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060718 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061114 |