JP2003311864A - 複合膜 - Google Patents

複合膜

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JP2003311864A
JP2003311864A JP2002120259A JP2002120259A JP2003311864A JP 2003311864 A JP2003311864 A JP 2003311864A JP 2002120259 A JP2002120259 A JP 2002120259A JP 2002120259 A JP2002120259 A JP 2002120259A JP 2003311864 A JP2003311864 A JP 2003311864A
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fiber
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composite membrane
fibers
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JP2002120259A
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Iori Nakabayashi
伊織 中林
Eiji Fujioka
英治 藤岡
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Du Pont Toray Co Ltd
Toray Industries Inc
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、軽量・高強度で、低温域から高温域
までの幅広い耐熱性を有し、かつガスバリア性に優れ、
長期間の使用に耐えうる複合膜を提供せんとするもので
ある。 【解決手段】ガスバリア性フィルムと繊維布帛が接着剤
を介して積層された複合膜において、該繊維布帛が少な
くとも2層以上積層されてなり、かつ、その少なくとも
1層は15cN/dtex以上の引張強度を有する高強
力繊維を含んでなる繊維布帛であることを特徴とする複
合膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフィルムと繊維布帛
からなる複合膜に関し、特に、大型飛行船または気球等
の宇宙・航空機器の外皮膜として、ガスバリア性に優
れ、成層圏等の高高度での厳しい条件にも形状を安定さ
せて長期間使用することが可能な複合膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境運動の高まりから、ガソリン
等の化石燃料を使用せず、太陽電池や燃料電池等のクリ
ーンなエネルギーを用い電気モータにて稼動する全長1
00m以上の大型飛行船が、物資の輸送手段の一つとし
て脚光を浴びている。また、同じく太陽電池や燃料電池
を搭載し電気モータにて稼動する大型飛行船に、地球環
境測定機器や通信アンテナ等を搭載し地上20km程度
上空の成層圏に打上げて使用することなどが模索されて
いる。
【0003】従来、気球もしくはバルーンの外皮膜はプ
ラスチックフィルムと熱封着を有する低密度ポリエチレ
ン樹脂からなる二重構造の複合膜が主体であり、改良さ
れたものの中には金属含有薄膜層をプラスチックフィル
ムと一体化し樹脂層を設けて形成した複合フィルムなど
があった。
【0004】また、飛行船においては、補強布地の両面
に塩化ビニル系樹脂シートやウレタン系樹脂シート、ネ
オプレン系ゴムなどを積層し、更に内面に複数層のポリ
エステルあるいはポリ塩化ビニリデンなどのフィルムを
接合した多層シートをエンベロープ膜体として船体を構
成し、船体下部に推進機構を備えたゴンドラなどを設け
たものであった。また、飛行船の製作コストを低減させ
るために、強度のある布地を線形に裁断し、縫着して船
体本体の外皮を作り、塩化ビニル樹脂シートやポリエチ
レンフィルムなどのガス不透過性プラスチックシートで
作った一層の内皮を船体本体に挿入して作った飛行船が
提案されている。(特開平2−20495号公報)しか
しながら、前記したプラスチックフィルムと熱封着を有
する低密度ポリエチレン樹脂からなる二重構造の外皮膜
は、該外皮膜を構成する材料の引張強度等が弱く、わず
かな外力で外皮膜が破損してしまうため、該外皮膜を用
いて大型の気球等を作成することは困難であった。
【0005】また、前記した補強布地の両面に塩化ビニ
ル系樹脂シートやウレタン系樹脂シート等を積層し、更
に内面に複数層のポリエステルあるいはポリ塩化ビニリ
デンなどのフィルムを接合した多層シートをエンベロー
プ膜体として飛行船の船体を構成したものでは、飛行船
を構成する膜材料の重量が重くなり過ぎるため、該膜材
料からなる飛行船に、輸送物品や通信アンテナ等の機器
を十分搭載して飛行することができないという問題があ
った。
【0006】一方、特開平6−40397号公報によれ
ば、飛行船を補強布地を樹脂加工した繊維シートに弾性
重合体フィルムを積層したエンベロープ膜と、エチレン
・ビニルアルコール共重合体フィルムと弾性重合体フィ
ルムを積層した内膜体の二重膜構造とするものが提案さ
れているものの、飛行船を長期間に渡り使用した際に、
内膜体が破損するなどしてガス抜けが生じた際に、外皮
膜であるエンベロープ膜は、ガス透過性が高いものであ
るため飛行船が急降下する危険性があり、長期間の使用
に耐えるものではない。
【0007】さらには、前記した成層圏に打上げる飛行
船においては、飛行船に地球観測測定機器や通信アンテ
ナ等の通信機器を搭載して、空気の薄い成層圏等の高高
度まで打上げるため、飛行船は十分な浮力を得るためそ
の内部にヘリウムガスを充填し、搭載物をも持ち上げる
ための浮力を得るため全長150mあるいはそれ以上の
大型のものとする必要がある。したがって、該飛行船に
は軽量化が求められ、該飛行船を構成する外皮膜には、
軽量かつ高強度であることが求められる。また、成層圏
等の高高度では、日中は直射日光を受けるため外皮膜の
表面温度が100℃程度の高温となり、また、夜間は−
80℃程度の低温となるため、外皮膜には低温域から高
温域までの幅広い耐熱性も要求される。
【0008】このような要求に対して、特願2001−
334105号公報によれば、軽量・高強度で、ガスバ
リア性に優れ、耐熱性に優れた複合膜が開発されている
ものの、該複合膜は、繊維布帛とガスバリア性フィルム
とをポリエステルエラストマー等の接着剤を用いて複合
化させた複合膜であることから、ガスバリア性フィルム
に傷付き等が発生しやすく、長期間の使用に耐えうるも
のではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、軽量・高強度で、低温域から高温域
までの幅広い耐熱性を有し、かつガスバリア性に優れ、
長期間の使用に耐えうる複合膜を提供せんとするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の複合膜は、フィルムと繊維布帛
が接着剤を介して積層された複合膜において、繊維布帛
が少なくとも2層以上積層されていることを特徴とする
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり、軽
量・高強度で、低温域から高温域までの幅広い耐熱性を
有し、かつガスバリア性に優れ、長期間の使用に耐えう
る複合膜について、鋭意検討し、該複合膜を、ガスバリ
ア性フィルムと繊維布帛が接着剤を介して積層された複
合膜において、該繊維布帛が少なくとも2層以上積層さ
れてなり、かつ、その少なくとも1層は15cN/dt
ex以上の引張強度を有する高強力繊維を含んでなる繊
維布帛としてみたところ、意外にも、かかる課題を一挙
に解決することを究明したものである。
【0012】本発明でいう複合膜とは、ガスバリア性フ
ィルムと繊維布帛を接着剤を介して積層された複合膜に
おいて、該繊維布帛が少なくとも2層以上積層されてな
り、かつ、その少なくとも1層は15cN/dtex以
上の高強力繊維を含んでなる繊維布帛であることが必要
である。繊維布帛を少なくとも2層以上積層すること
で、複合膜を長期間の使用に耐えうるものとすることが
可能となる。複合膜を構成する繊維布帛が1層のみの場
合、複合膜の強度を高くするために、繊維布帛を構成す
る繊維の単位面積あたりの糸本数が多くなり表面が均一
で平滑なものとなるため、フィルムとの積層の際の接着
剤が繊維布帛の繊維の隙間に入り込むことで得られるア
ンカー効果等による接着力が十分得られず、その結果、
フィルムと繊維布帛とが剥離しやすくなり複合膜として
形状を保つことが難しくなる。また、複合膜を使用して
いる際に、複合膜が歪み、局所的に応力が集中した際に
は、複合膜の強度を担う繊維布帛が1層のみであるた
め、応力が集中した箇所が破損し、さらには該破損部周
辺に破損が伝搬して複合膜の破損となる可能性が高い。
しかしながら、複合膜を構成する繊維布帛を2層以上積
層することにより、ある1層の繊維布帛の局部に応力集
中が生じ破損した場合にも、ほかの繊維布帛層があるた
めに複合膜の破損を防ぐことが可能となる。
【0013】また、本発明の複合膜の構成としては、ガ
スバリア性フィルムと少なくとも2層以上の繊維布帛を
接着剤を介して積層したものであれば、例えば、繊維布
帛/接着剤/繊維布帛/接着剤/ガスバリア性フィルム
の構成や、繊維布帛/接着剤/ガスバリア性フィルム/
接着剤/繊維布帛の構成等、ガスバリア性フィルムと繊
維布帛の積層構成は、任意のものとすることができる。
好ましくは、複合膜を少なくとも2層以上の繊維布帛を
用いて、かつ、ガスバリア性フィルムを挟み込む積層構
成とすることが好ましい。このような積層構成とするこ
とにより、フィルムに傷付き等が発生することを防止す
ることが可能となる。複合膜を繊維布帛1層のみで構成
した場合は、別にフィルムの保護層を設ける必要があ
り、複合膜の軽量化の妨げとなる。
【0014】本発明でいう繊維布帛としては、繊維を用
いてシート状の布帛としたものであればいずれのもので
も良く、たとえば、3軸布、4軸布等の多軸織布、平織
布、もじり織布、からみ織布など織物や編物、不織布、
網状物、およびハニカム状物等が挙げられる。該繊維布
帛の重量は、複合膜が使用される用途により任意のもの
を使用することが可能であり、例えば飛行船の場合は、
飛行船の大きさ(ガス体積)によりから適宜決定される
が、通常は30〜200g/m2の範囲である。
【0015】また、本発明でいう繊維布帛を構成する繊
維としては、複合膜を構成する2層以上の繊維布帛のう
ち、少なくとも1層に、引張強度15cN/dtex以
上の高強度繊維が含まれるものであれば、天然繊維、あ
るいは合成繊維等いずれものでも良く、好ましくは、該
高強度繊維が、複合膜を構成する繊維布帛の50重量%
以上含まれることが良い。複合膜を構成する繊維布帛の
50重量%未満しか高強度繊維が含まれない場合、複合
膜を高強度とするために、非高強度繊維を大量に使用し
なければならず、複合膜を軽量とすることが困難とな
る。
【0016】本発明で言う高強度繊維としては、アラミ
ド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミッ
ク繊維、ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラ
フェニレンベンゾビスオキサゾール(以下、PBOと略
す)繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ナイロン繊維、
ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、およびポリビニル
アルコール(以下PVAと略す)系繊維から選ばれた少
なくとも1種以上の繊維であることが複合膜の強度を高
くすることが可能となるため良い。さらに好ましくは、
アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、P
BO繊維、全芳香族ポリエステル繊維、およびPVA繊
維から選ばれる少なくとも1種以上の繊維であること
が、軽量で高強度、かつ得られる複合膜が柔軟であると
いう点から良い。また、繊維の破断伸度は15%以下の
ものが、複合膜のフィルムの破損防止の点から良く、好
ましくは、破断伸度10%以下のものが良い。このよう
な繊維としては、アラミド繊維としては東レ・デュポン
(株)製“ケブラー”、あるいは帝人(株)製“テクノ
ーラ”、ポリエチレン繊維としては東洋紡績(株)製
“ダイニーマ”、全芳香族ポリエステル繊維としては
(株)クラレ製“ベクトラン”、PBO繊維としては東
洋紡績(株)製“ザイロン”、あるいはPVA系繊維と
しては(株)クラレ製“クラロン”K−II等が例示でき
る。
【0017】本発明いうガスバリア性フィルムとは、ヘ
リウムガス透過性が600cc/m 2/24hr/0.
1mm/atm以下のものであれば、単一素材のフィル
ム、あるいは単一素材のフィルムに金属蒸着、または金
属箔を積層したもの等、いずれのものでも良い。ここで
いうヘリウムガス透過性は、JIS K 6404−1
0に基づいて測定されるものである。このヘリウムガス
透過性が600cc/m2/24hr/0.1mm/a
tmを越えると、本発明の複合膜からなる飛行船内部に
充填されるヘリウムガスが複合膜から漏れる可能性が高
く好ましくない。好ましくは、ガスバリア性フィルム
が、アラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエス
テルフィルム、ナイロンフィルム、ポリフェニレンサル
ファイドフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合
体フィルム又はフッ素フィルムから選ばれる1種以上の
フィルムであることが良い。さらに好ましくは、アラミ
ドフィルム、ポリイミドフィルム、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体フィルム又はフッ素フィルムが良く、
これらはいずれも良好なガスバリア性を有している。こ
れらのフィルムとしては、アラミドフィルムとしては東
レ(株)製”ミクトロン”、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体フィルムとしてはクラレ製”エバール”、フ
ッ素フィルムとしてはデュポン製”テドラー”等が挙げ
られる。また、該ガスバリア性フィルムフィルムは接着
剤との接着性を向上させるために、コロナ放電等の表面
処理を行ったものを用いることも可能である。さらに
は、該ガスバリア性フィルムは、本発明の目的を損なわ
ない程度であれば、異なる単一素材のフィルムを積層し
たものを用いることも可能である。
【0018】本発明の複合膜に用いる接着剤としては、
複合膜に用いるガスバリア性フィルムと繊維布帛とを接
着させることが可能なものであれば、熱硬化性樹脂、あ
るいは熱可塑性樹脂等いずれのものでも良く、好ましく
は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン系樹脂、
エチレン系共重合体樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ
−4−メチル−1ペンテン系樹脂、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体樹脂、ポリエステル系エラストマー、
ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、
オレフィン系エラストマー、およびフッ素系エラストマ
ー等から選ばれる1種以上のものが良く、さらに好まし
くは、接着剤の耐熱性、加工性、および複合膜の柔軟性
の点から、ウレタン樹脂、ポリフェニレンサルファイド
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド
樹脂、およびポリエステル系エラストマーから選ばれる
1種以上のものが良い。特にポリエステル系エラストマ
ーは、低温域から高温域までの幅広い耐熱性を有し、本
発明の複合膜の接着剤として好ましい。
【0019】本発明で使用される接着剤は、本発明の目
的を損なわない程度で、難燃剤、無機もしくは有機フィ
ラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ワ
ックス類、着色剤、または結晶促進剤等の添加剤を含有
しても良い。該添加剤は、単独でも用いても、複数の組
合せで用いても良い。該添加剤としては、公知のものを
使用して良く、例えば、カーボンブラック、チョーク、
石英、アスベスト、長石、雲母、タルク、ケイ酸塩、カ
オリン、二酸化珪素、アルミナ、シリカ、酸化チタン、
マグネシア、マイカ、フラーレン等が挙げられる。
【0020】次に本発明の複合膜を製造する方法につい
て説明する。本発明においては、少なくとも2層以上の
繊維布帛とガスバリア性フィルムを接着剤を用いて積層
し複合して複合膜を作成するが、その複合化方法は、用
いる接着剤の種類に応じて適宜決定される。例えば、複
合化するときに予め接着剤はフィルム化したものを用い
て、繊維布帛、フィルム化した接着剤、およびガスバリ
ア性フィルムを重ね合わせ、接着剤の軟化温度、あるい
は融点以上の温度で熱プレスロール等を使用して熱融着
により複合化する熱ラミネーション方式や、接着剤を溶
融状態としたものに繊維布帛、およびフィルムを貼り合
せるメルトラミネーション方式、または液体状の接着剤
をガスバリア性フィルムあるいは繊維布帛にコーティン
グした後にフィルムあるいは繊維布帛を積層してプレス
ロール等でニップして複合化する方式等が例示できる。
【0021】本発明の複合膜の目付は、使用される用途
により適宜決められるが、例えば飛行船用の膜材として
は、300g/m2以下がよい。複合膜の目付が300
g/m2を超える場合、該複合膜を用いて飛行船等を作
成しても、複合膜の重量が重いため成層圏等の上空で飛
行船が十分な浮力を得ることができない。
【0022】また、複合膜の引張強力は500N/cm
以上であることが好ましく、さらに好ましくは、650
N/cm以上であることが良い。ここでいう複合膜の引
張強力は、JIS K 6404−3 ストリップ法に
準拠して測定したものである。複合膜の引張り強力が、
500N/cm未満の場合、飛行船等に搭載する機材等
の重さで複合膜が破断し使用に耐えることができない。
【0023】複合膜の剥離強力は、2N/cm以上であ
ることが好ましい。ここでいう剥離強力は、JIS K
6404−5に準拠して測定したものであり、測定し
た剥離強力の最小値のことである。剥離強力が2N/c
m未満の場合、複合膜を構成するフィルムと繊維布帛等
の各層間の接着力が低く過ぎるため、複合膜の使用中に
積層した各層が剥離して、複合膜としての形状を保つこ
とができなくなる。
【0024】また、本発明の複合膜の最外層の両側、あ
るいは片側には、外部からの引っ掻き傷等を防止する意
味から、クッション層を設けることも可能である。該ク
ッション層としては、ウレタン樹脂等の柔軟性の高いも
のを用いることが好ましい。
【0025】本発明の複合膜は紫外線照射に耐えるた
め、あるいは太陽光の照射により膜材内部が高温となる
ことを防ぐために、より好ましくは複合膜の外側にさら
にもう1層、紫外線防護層、あるいはを光遮断層を設け
ることが好ましい。紫外線防護層あるいは光遮断層の材
料としては、フッ素フィルムやアルミ、銅、銀、金等の
金属箔を貼り合せることや、アルミ、銅、銀、金等の金
属を蒸着することなどが挙げられる。
【0026】上記のとおり、本発明の複合膜は、軽量・
高強度で、ガス透過性が低く、かつ低温から高温までの
幅広い耐熱性を有するため、飛行船や気球等の外皮膜、
あるいはヘリウム等の気体を貯蔵する容器として、長期
間の使用が可能となる。
【0027】本発明の複合膜は装置の関係で一定幅の膜
が製造されるのが普通である。しかし、実際に、例えば
飛行船を製作する場合、複合膜を継ぎ合わさなければな
らない。この継ぎ合わせ方に関し、本発明では、複合膜
2枚の端面を当接し、その当接部の繊維布帛側の面に接
着剤と繊維布帛を複合したものを積層して全体を熱融着
することが好ましい。
【0028】
【実施例】次に、本発明の実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0029】実施例および比較例で作成した複合膜を用
い、以下の方法により特性を評価した。 [重量]既知の面積の複合膜の重量を測定した。 [引張強力]複合膜の引張強力の試験として、室温(2
0℃)下において、JIS K 6404−3 ストリ
ップ法に準拠し、(株)島津製作所製オートグラフAG
−50kNGを用い、サンプル幅30mm、チャック間
距離200mm、引張速度200mm/minの条件で
引張試験を行った。 [剥離強度]JIS K 6404−5に準拠し、
(株)島津製作所製オートグラフAG−50kNGを用
い、サンプル幅25mm、剥離速度100mm/min
の条件で行った。 [破断伸度]引張強力測定時のS−S曲線から破断伸度
を求めた。 [もみ試験]JIS K 6404−6に準拠し、スコ
ットもみ試験機を用い、サンプルサイズ25mm幅×1
00mm長でつかみ間隔15mm、つかみ具移動距離2
0mmで50回往復させた。なお、試験結果は、○:若
干剥離、△:部分的に剥離、×かなりの部分が剥離を示
す。 [耐擦過性]複合膜の耐擦過性評価として、複合膜の両
側を、直径10cm、重量500gの重りを載せた10
cm角の耐水研磨紙(理研コランダム(株)製、タイ
プ:C34P、粒度:P320)を用いて、該研磨紙の
対角線上に5cmの距離を10回往復させて複合膜に傷
を付けた後の複合膜の通気量を、JIS L 1096
−6.27.1に準拠して測定した。
【0030】実施例1 フィルムとして、厚み12.5μmのアラミドフィルム
“ミクトロン”(東レ(株)製)を用いた。なお、該
“ミクトロン”には、接着性を高めるため、接着面衣コ
ロナ放電処理を行った。繊維布帛として、繊度220d
texのパラ系アラミド繊維“ケブラー”(東レ・デュ
ポン(株)製)を用い、織密度経方向40本/インチ、
緯方向40本/インチの織組織が平織の織物を用いた。
接着剤として、厚さ30μmの“ハイトレル”4057
(東レ・デュポン(株)製)を用いた。上記“ミクトロ
ン”のヘリウムガス透過性は78cc/m2/24hr
/0.1mm/atmである。そして、繊維布帛、接着
剤、フィルム、接着剤、繊維布帛の順に5層重ね合わ
せ、熱プレスにより複合膜を作成した。
【0031】複合膜の作成条件は、温度110℃で材料
を60分予備加熱した後、熱プレス温度を175℃、プ
レス圧力196N/cm2にて10分間熱プレスした
後、プレス圧力を保持した状態で熱プレス温度を100
℃まで冷却して複合膜を作成した。
【0032】実施例2 フィルムに、目付が13.7g/m2のエチレンビニル
アルコール共重合体フィルム“エバール”((株)クラ
レ製)を用いたほかは、実施例1と同様にして複合膜を
作成した。なお、エチレンビニルアルコール共重合体フ
ィルムのヘリウムガス透過性は32cc/m2/24h
r/0.1mm/atmである。
【0033】実施例3 フィルムに、目付25.6g/m2のフッ素フィルム
“テドラー”(デュポン社製)を用いたほかは、実施例
1と同様にして複合膜を得た。なお、フッ素フィルムの
ヘリウムガス透過性は約581cc/m2/24hr/
0.1mm/atmである。
【0034】比較例1 フィルムとして、厚み12.5μmのアラミドフィルム
“ミクトロン”(東レ(株)製)を用いた。なお、該
“ミクトロン”には、接着性を高めるため、接着面衣コ
ロナ放電処理を行った。繊維布帛として、繊度220d
texのパラ系アラミド繊維“ケブラー”(東レ・デュ
ポン(株)製)を用い、織密度経方向80本/インチ、
緯方向80本/インチの織組織が平織の織物を用いた。
接着剤として、厚さ30μmの“ハイトレル”4057
(東レ・デュポン(株)製)を用いた。そして、フィル
ム、接着剤、繊維布帛の順に3層重ね合わせ、熱プレス
により複合膜を作成した。なお、複合膜の作成条件は、
実施例1と同様にして行った。
【0035】上記した実施例1〜3および比較例1につ
いて、引張強力、剥離強度、破断伸度、もみ試験および
耐擦過性の評価を実施した結果を表1に示す。
【0036】表1に示すとおり、本発明に係る複合膜
は、軽量で高強度で剥離強度が高く、複合膜を擦過させ
た場合にも、フィルムに傷が付かないため、優れたガス
バリア性を保つことが可能となり、長期間の使用に耐え
ることができる。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかなように、実施例1〜3の
ものは、比較例1に比して、軽量で高強度で剥離強度が
高い複合膜であり、かつ、該複合膜を擦過させた場合に
も、フィルムに傷が付かないため、優れたガスバリア性
を保つことが可能となり、長期間の使用に耐えることが
できるものであることがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明の複合膜は、軽量で高強度で、低
温域から高温域までの幅広い耐熱性を有し、かつガスバ
リア性に優れ、さらには、2層以上の繊維布帛によって
ガスバリア性フィルムを挟み込むことにより、複合膜の
使用中にガスバリア性フィルムが破損することが防止で
きる。該複合膜を用いて飛行船等を作成することによ
り、成層圏等の高高度へ上げることが可能となり、かつ
長期間の使用が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 英治 東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号 東レ・デュポン株式会社本社内 Fターム(参考) 3E072 AA04 CA01 3E086 AA23 AD01 BA04 BA15 BA18 BA19 BB20 BB22 BB23 BB41 BB42 BB85 BB90 CA40 4F100 AA36B AA36C AD00B AD00C AD11B AD11C AG00B AG00C AK01A AK04B AK04C AK17A AK21B AK21C AK41A AK41B AK41C AK41G AK43B AK43C AK47A AK47B AK47C AK48A AK48B AK48C AK49A AK49B AK49C AK51G AK56B AK56C AK57A AK57G AK69A AK80B AK80C AL09G BA03 BA10B BA10C BA13 CB00 DA01 DC02B DC02C DC16B DC16C DG01B DG01C DG11B DG11C DG12B DG12C DG13B DG13C DG15B DG15C GB16 GB31 JD02A JJ03 JK01 JK02B JK02C JK14 JL00 JL03 YY00A YY00B YY00C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガスバリア性フィルムと繊維布帛が接着剤
    を介して積層された複合膜において、該繊維布帛が少な
    くとも2層以上積層されてなり、かつ、その少なくとも
    1層は15cN/dtex以上の引張強度を有する高強
    力繊維を含んでなる繊維布帛であることを特徴とする複
    合膜。
  2. 【請求項2】該繊維布帛が、繊維束、織物、編物、不織
    布、網状物及びハニカム状物から選ばれた少なくとも1
    種の組織で構成されたものであることを特徴とする請求
    項1に記載の複合膜。
  3. 【請求項3】該高強力繊維が、アラミド繊維、炭素繊
    維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、ポリエ
    チレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラフェニレンベン
    ゾビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、
    ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、お
    よびポリビニルアルコール系繊維から選ばれた少なくと
    も1種以上の繊維が含まれることを特徴とする請求項1
    または2に記載の複合膜。
  4. 【請求項4】該ガスバリア性フィルムが、JIS K
    6404−10に基づいて測定されるヘリウムガス透過
    性が、600cc/m2/24hr/0.1mm/at
    m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の複合膜。
  5. 【請求項5】該ガスバリア性フィルムが、アラミドフィ
    ルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ナ
    イロンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィル
    ム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、お
    よびフッ素フィルムから選ばれた少なくとも1種からな
    るフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の複合膜。
  6. 【請求項6】該接着剤が、ウレタン樹脂、ポリフェニレ
    ンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
    脂、ポリイミド樹脂、およびポリエステルエラストマー
    から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の複合膜。
  7. 【請求項7】該複合膜が、飛行船、気球等の外皮膜、ま
    たは気体を貯蔵する容器として使用するものであること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015224967A (ja) * 2014-05-28 2015-12-14 東レ・デュポン株式会社 放射線遮蔽複合膜
WO2019039555A1 (ja) * 2017-08-24 2019-02-28 日東電工株式会社 多層フィルム、積層体、積層体の製造方法、及びエアバッグ

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