JP2003311390A - 鋳造物の製造装置 - Google Patents

鋳造物の製造装置

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JP2003311390A
JP2003311390A JP2002119615A JP2002119615A JP2003311390A JP 2003311390 A JP2003311390 A JP 2003311390A JP 2002119615 A JP2002119615 A JP 2002119615A JP 2002119615 A JP2002119615 A JP 2002119615A JP 2003311390 A JP2003311390 A JP 2003311390A
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heat
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heating mechanism
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Yuichi Ienaga
裕一 家永
貞文 ▲吉▼野
Sadafumi Yoshino
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な構成で、溶融物を一方向に確実に凝固さ
せることができ、高品質な鋳造物を得ることを可能にす
る。 【解決手段】鋳型22を加熱する加熱機構36と、前記
鋳型22に接触して吸熱するとともに、前記加熱機構3
6に対して凝固方向と反対方向に移動する冷却機構38
と、前記鋳型22に設けられ、製品部28の鋳型内側面
28bが加熱されることを阻止し、前記鋳型内側面28
bと鋳型外側面28aとを同一温度に維持するための熱
遮蔽部材40とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳型内の溶融物を
一方向に凝固させて鋳造物を製造する鋳造物の製造装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、形状の複雑な製品を精密鋳造
する精密鋳造法として、インベストメント鋳造法が知ら
れている。このインベストメント鋳造法は、ロストワッ
クス法としても知られており、可溶性ろう、または、ポ
リスチレン樹脂等を用いて模型を作製し、この模型の周
囲に耐火物の泥状混合物を浸漬し、耐火物をコーティン
グして乾燥処理する工程を数回から数十回にわたって繰
り返すことにより耐火物を積層させた後、該模型を溶融
流出させ、さらに焼成鋳型として注湯するものである。
【0003】ところで、この種の精密鋳造において、一
方向凝固(方向性凝固)により製品を製造することが行
われている。例えば、ガスタービンエンジンを構成する
タービンロータのブレードのような単結晶合金(例え
ば、Ni基合金単結晶)の温度勾配を適正化し、単結晶
素材の良品率を向上させるためである。
【0004】上記の一方向凝固を行う装置として、例え
ば、米国特許第4,550,764号公報に開示された
装置が知られている。この装置では、図8に示すよう
に、鋳型1がチルプレート2に載置されており、このチ
ルプレート2は、図示しないアクチュエータを介し加熱
機構3に対して昇降可能である。鋳型1には、溶湯注入
口4aからランナ(または、湯道)4bを介してキャビ
ティ5が連通している。加熱機構3は、誘導加熱コイル
6が外装されたサセプタ7と断熱材7aとを備えてお
り、このサセプタ7には、上板8を介して漏斗9が接続
されている。
【0005】このような構成において、鋳型1を載置し
たチルプレート2が上昇し、この鋳型1が加熱室Sに配
置されて加熱機構3の作用下に所定の温度に加熱された
後、漏斗9から前記鋳型1の溶湯注入口4aに鋳造合金
の溶湯が注入される。この溶湯は、ランナ4bを介して
キャビティ5に充填される。その際、鋳型1がチルプレ
ート2に接触しており、このチルプレート2と接する溶
湯部分から上方向に向かって一方向凝固が開始される。
【0006】次いで、チルプレート2が所定の速度で下
方向に移動することにより、キャビティ5内の溶湯は、
上方向に向かって結晶の成長が推進され、前記キャビテ
ィ5内では、一方向凝固により鋳造物(製品)が製造さ
れる。
【0007】ところが、上記の従来技術では、チルプレ
ート2が下降する際に、鋳型1の外側面1aが放熱され
る一方、この鋳型1の内側面1bには、サセプタ7から
の輻射熱がランナ4b間を通って照射されるため、この
内側面1bの加熱が継続されてしまう。このため、図9
に示すように、キャビティ5内では、同一の高さ位置で
外側面1aと内側面1bとに温度差が発生し、前記外側
面1a側の凝固が速くなっている。
【0008】従って、キャビティ5内では、凝固界面M
が凝固方向(鉛直上方向)に直交する方向(水平方向)
に対して傾斜してしまう。これにより、溶湯の凝固が斜
め方向に進行してしまい、単結晶を形成させるための一
様な界面が発生せず、製品形状によっては新たな結晶が
発生して、単結晶が得られないという問題が指摘されて
いる。さらに、凝固速度が、単結晶として成長する適正
速度よりも速くなって異結晶が生じたり、内側面1b側
の凝固が遅れて多孔質巣やフレックル等の欠陥が発生す
るおそれがある。
【0009】そこで、この種の問題を解決するために、
例えば、特開平9−206918号公報に開示されてい
る装置が提示されている。この装置は、図10に示すよ
うに、冷却プレート10上に鋳型11が載置されてお
り、この鋳型11には、湯道12を介してホッパー13
が連結されている。
【0010】冷却プレート10の中央には、熱シンク1
4が配置されており、この熱シンク14上に放射バッフ
ル15が載置されている。放射バッフル15と同心的に
環状の放射バッフル16が設けられるとともに、前記放
射バッフル16が加熱室17に支持されている。この加
熱室17の内面には、放射熱体18が取り付けられてい
る。
【0011】このような構成において、加熱室17およ
び熱シンク14が下降して、この加熱室17内に鋳型1
1が配置された状態で、ホッパー13に合金溶湯が注入
される。この溶湯は、複数の湯道12を介して各鋳型1
1内に充填され、冷却プレート10に接触する部分から
上方向に向かって一方向凝固が開始される。次に、熱シ
ンク14および加熱室17が持ち上げられることによ
り、鋳型11が下端側から上端側に向かって冷却され
る。
【0012】その際、板状の放射バッフル15は、この
放射バッフル15の下方の空間内に熱が放射されること
を阻止している。特に、放射熱体18の放射が、湯道1
2と各鋳型11相互間の間隙とを通ってこれらの鋳型1
1の内側面に至ることがない。これにより、鋳型11の
外側面と内側面とに互いに同一高さ位置での温度差が発
生することを阻止することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、鋳型11の内部に熱シンク14を挿入す
るため、前記鋳型11の内部に所定の空間部が必要であ
る。従って、鋳型11の形状が制限されてしまい、例え
ば、ランナ部が中央に設けられた部品等の鋳造には適さ
ない。しかも、熱シンク14が用いられるために、装置
全体が相当に大型化するとともに、製造費が高騰し、例
えば、試作品を鋳造する際のように、製品形状が種々変
更される装置に用いることができないという不具合があ
る。
【0014】本発明はこの種の問題を解決するものであ
り、簡単かつ安価な構成で、製品部の外側面と内側面と
の温度差を有効に阻止し、一方向凝固を良好かつ円滑に
行うことが可能な鋳造物の製造装置を提供することを目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鋳造物の製
造装置では、鋳型を構成する製品部の鋳型外側面および
鋳型内側面を含む周面を加熱する加熱機構と、前記鋳型
に接触して吸熱するとともに、該鋳型を前記加熱機構に
対して凝固方向とは反対方向に相対的に移動させること
により、該鋳型内の前記溶融物を一方向に凝固させる冷
却機構と、前記鋳型に設けられ、該鋳型と前記加熱機構
とを相対的に移動させる際に、前記製品部の前記鋳型内
側面が加熱されることを阻止する熱遮蔽部材とを備えて
いる(請求項1記載の発明)。
【0016】このため、鋳型と加熱機構とが相対的に移
動して前記鋳型を構成する製品部が冷却される際、前記
製品部の鋳型外側面および鋳型内側面に互いに同一位置
での温度差が発生することがない。従って、鋳型内の凝
固界面が一定となり、異結晶やフレックルが発生するこ
とを有効に阻止し、高品質な鋳造物を効率的に得ること
ができる。
【0017】また、加熱機構は、鋳型を囲繞して配設さ
れるとともに、前記鋳型は、湯口部と、前記湯口部から
放射状に設けられる複数のランナ部と、前記各ランナ部
に連結される製品部とを備え、前記熱遮蔽部材は、前記
湯口部から前記ランナ部の少なくとも一部を覆って配置
されている(請求項2記載の発明)。
【0018】これにより、熱遮蔽部材を設置するために
特別な構造を用いる必要がなく、構成が簡素化するとと
もに、経済的である。
【0019】さらに、熱遮蔽部材は、耐熱性布状部材で
ある(請求項3記載の発明)。このため、熱遮蔽部材の
加工性が高くなり、種々の形状や寸法の異なる鋳型にも
容易に対応することが可能になる。従って、汎用性に優
れるとともに、種々の熱遮蔽部材を用意する必要がな
く、経済的である。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態に係る
鋳造物の製造装置20の概略構成説明図であり、図2
は、前記製造装置20の要部分解斜視図である。
【0021】製造装置20は、例えば、タービンロータ
のブレードを鋳造するための鋳型22を備えている。こ
の鋳型22は、湯口部24と、この湯口部24から放射
状に設けられる複数個、例えば、18個のランナ部26
と、前記ランナ部26の下端側に設けられるブレード用
製品部28とを備える。
【0022】各製品部28には、セレクタ30およびス
タータ32が設けられ、前記スタータ32には、円盤状
ベース34が一体的に設けられている。スタータ32
は、溶融金属から結晶核(柱状晶)を生成させる部分で
あり、セレクタ30は、生成した結晶核の中から一つの
結晶を成長させて単結晶とする部分である。
【0023】製造装置20は、鋳型22を構成する各製
品部28の鋳型外側面28aおよび鋳型内側面28bを
含む周面を加熱する加熱機構36と、前記鋳型22に接
触して吸熱するとともに、前記鋳型22を前記加熱機構
36に対して凝固方向(矢印A方向)とは反対方向(矢
印B方向)に移動させることにより、該鋳型22内の溶
融金属を一方向に凝固させる冷却機構38と、前記鋳型
22に設けられる熱遮蔽部材40とを備える。
【0024】加熱機構36は、鋳型22を囲繞して配設
され、高周波コイル42により高周波加熱されるカーボ
ンサセプタ44と断熱材45とを備える。カーボンサセ
プタ44は、略円筒形状に設定されており、その下部に
リング状バッフル46が支持される。カーボンサセプタ
44の内周面には、バッフル46上に支持されてインナ
ーバッフル(熱遮蔽部材)48が挿入される。
【0025】インナーバッフル48は、略円盤状を有し
ており、その内周面48aの直径が、鋳型22を構成す
る円盤状ベース34の直径と同等以下に設定されてい
る。インナーバッフル48は、例えば、グラファイト製
の断熱成形体により構成されている。なお、インナーバ
ッフル48は、断熱効果を有していればよく、例えば、
アルミナ系耐火物を用いて構成することができる。
【0026】カーボンサセプタ44の上部には上板50
が設けられ、この上板50に溶湯供給部52が設けられ
るとともに、この溶湯供給部52は、カバー54を介し
て開閉可能である。カーボンサセプタ44の内部には、
鋳型22を配置するための加熱室55が設けられてい
る。この加熱室55は、真空雰囲気に維持されている。
【0027】冷却機構38は、鋳型22を載置するため
のチルプレート56を備える。このチルプレート56
は、内部に冷却水が供給されて水冷により冷却されてお
り、上面56aには、鋳型22を構成する円盤状ベース
34を配置するための凹部58が形成される。チルプレ
ート56に円盤状ベース34が複数のストッパ(図示せ
ず)を介して取り付けられている。
【0028】チルプレート56には、図示しないアクチ
ュエータに連結された昇降ロッド59が設けられてい
る。この昇降ロッド59が矢印A方向および矢印B方向
に移動することによって、鋳型22が加熱機構36に対
して移動可能である。
【0029】チルプレート56の外周には、カーボンサ
セプタ44と同軸的にリング状の冷却配管64が配設さ
れる。この冷却配管64には、冷却水が循環供給され
る。
【0030】熱遮断部材40は、耐熱性布状部材、例え
ば、アルミナウールやカーボンフェルト等を布状に構成
している。熱遮断部材40は、略リング状に形成されて
おり、鋳型22の湯口部24からランナ部26の上部を
覆って配設されている。なお、熱遮断部材40として
は、加熱温度(例えば、1500℃〜1600℃)に耐
えることができ、形状を維持し得るものであれば、種々
の材質が適用可能である。
【0031】図3に示すように、鋳型外倒面28a側に
は、チルプレート56の上面56aから30mm、60
mm、90mmおよび105mmの高さ位置にそれぞれ
B型熱電対66a、66b、66cおよび66dが接着
されるとともに、鋳型内側面28b側には、60mmお
よび90mmの高さ位置にB型熱電対68aおよび68
bが接着される。60mmおよび90mmの高さ位置
は、製品部28で鋳造されるブレードの翼端および付け
根に対応するものである。
【0032】このように構成される製造装置20の動作
について、以下に説明する。
【0033】まず、図2に示すように、チルプレート5
6の凹部58に鋳型22の円盤状ベース34が配置さ
れ、この円盤状ベース34がストッパ(図示せず)を介
して前記チルプレート56に支持される。鋳型22のラ
ンナ部26には、熱遮蔽部材40が配置される。この熱
遮蔽部材40は、ランナ部26のR部(角部)近傍に至
る位置まで前記ランナ部26上を覆っている。
【0034】そこで、鋳型22を支持したチルプレート
56は、図示しないアクチュエータの作用下に、加熱機
構36内に移動して前記鋳型22が加熱室55に配置さ
れるとともに、前記加熱機構36が駆動される(図1参
照)。このため、カーボンサセプタ44が、高周波コイ
ル42を介して高周波加熱され、このカーボンサセプタ
44から発生する輻射熱により、鋳型22が加熱され
る。
【0035】その際、加熱雰囲気は真空であり、鋳型2
2が1450℃〜1550℃に加熱されて型温度が安定
した後、高周波溶解炉(図示せず)で溶解したニッケル
基耐熱合金が、溶湯供給部52から前記鋳型22の湯口
部24に注湯される。なお、注湯温度は1500℃〜1
600℃である。
【0036】湯口部24に注湯された溶融合金は、複数
のランナ部26から製品部28に充填され、チルプレー
ト56の冷却作用下に、スタータ32に上向きに柱状晶
が発生する。さらに、スタータ32の上方のセレクタ3
0では、多数の柱状晶が導入され、屈曲部位を介し最終
的に1つの結晶が選択的に成長して製品部28内で単結
晶となる。
【0037】鋳型22内で合金温度が安定した後、図示
しないアクチュエータの作用下に、昇降ロッド59が矢
印B方向に移動する。具体的には、鋳型22の引き下げ
速度は、チルプレート56の上面56aから30mmの
高さまでが350mm/hrであり、その後、200m
m/hrである。
【0038】この場合、図1に示すように、鋳型22が
加熱室55に配置されている状態では、カーボンサセプ
タ44から発生する輻射熱により、製品部28の鋳型外
側面28aおよび鋳型内側面28bを含む周面が良好に
加熱される。
【0039】具体的には、鋳型外側面28aは、この鋳
型外側面28aが近接して対向するカーボンサセプタ4
4からの輻射熱により加熱されるとともに、鋳型内側面
28bは、この鋳型内側面28bが離間して対向する前
記カーボンサセプタ44からの輻射熱によって加熱され
る。これにより、製品部28では、鋳型外側面28aお
よび鋳型内側面28bを含む周面全体が均一な温度に加
熱されている。
【0040】そこで、チルプレート56と一体的に鋳型
22が矢印B方向に移動すると、図4に示すように、こ
の鋳型22の製品部28が、加熱機構36から離脱して
冷却配管64側に移動する。このため、製品部28内で
は、冷却配管64の冷却作用によりチルプレート56側
から上方向に向かって指向性凝固(一方向凝固)が行わ
れ、単結晶が生成されて前記製品部28内でブレードが
製造される。
【0041】その際、カーボンサセプタ44からの輻射
熱が、鋳型22のランナ部26に配置されている熱遮蔽
部材40を介して遮蔽され、製品部28の鋳型内側面2
8bに入熱が惹起されることがない。従って、製品部2
8では、同一高さ位置において鋳型外側面28aと鋳型
内側面28bとの温度差は、単結晶化に重要な凝固過程
の温度域で十分に小さくなっている。これにより、製品
部28内で凝固が斜めに進行して異結晶が生じたり、多
孔質巣等の内部欠陥が発生したりすることがなく、高品
質な鋳造物を効率的に製造することができるという効果
が得られる。
【0042】さらに、熱遮蔽部材40は、アルミナウー
ルやカーボンフェルト等の耐熱性布状部材で構成されて
いる。このため、ハサミ等を使用して容易に裁断するこ
とができ、例えば、製品形状によって鋳型方案が変わっ
た際にも容易に対応することが可能となる。このため、
汎用性に優れるとともに、種類の異なる鋳型22に応じ
て種々の熱遮蔽部材40を用意する必要がなく、極めて
経済的である。
【0043】本実施形態では、具体的に、熱遮蔽部材4
0の有無による鋳型外側面28aと鋳型内側面28bと
の温度差を検出する実験を行った。
【0044】図5は、熱遮蔽部材40を用いずに上記の
鋳造作業を行った際、鋳型22に接着されている熱電対
66a〜66dおよび68a、68bを介してモニタさ
れた各高さ位置における温度を示している。これによ
り、製品部28の鋳型内側面28bが液相温度になった
時点で、鋳型外側面28aは、60mmの位置で30℃
低くなっており、90mmの位置でも約20℃の温度低
下が発生していた。
【0045】これに対して、熱遮蔽部材40を用いる本
実施形態では、図6に示すように、鋳型内側面28bが
液相温度になった時点で、鋳型外側面28aは、60m
mの位置および90mmの位置で、共に5℃程度の温度
差になった。
【0046】従って、本実施形態では、図9に示すよう
な傾斜する凝固界面Mが形成されることがなく、単結晶
を生成させる一様な界面を確実に形成することができ
る。これにより、一方向凝固による単結晶を確実に生成
されることが可能になるという効果が得られる。
【0047】次いで、熱遮蔽部材40を用いない場合と
用いた場合とにおいて、溶湯凝固が終了した後、鋳型2
2から鋳造素材であるブレードを取り出してエッチング
処理を施し、それぞれの結晶形態を観測した。その結果
が、図7に示されている。
【0048】すなわち、熱遮蔽部材40を用いない場合
(比較例1、2)には、18枚のブレード中、8枚(4
4%)に異結晶が発生したのに対し、前記熱遮蔽部材4
0を用いた場合(実施例3〜8)には、18枚のブレー
ド全てに異結晶の発生がなく、良好な単結晶形態が得ら
れた。その後、20回以上の鋳造を行ったところ、熱遮
蔽部材40を設置したときには、異結晶の発生がトータ
ルで3%以下となった。さらに、熱遮蔽部材40を用い
ない場合には、フレックルが多く発生するとともに、多
孔質巣が発生していた。
【0049】ところで、熱遮蔽部材40の外形寸法は、
以下のように設定される。すなわち、鋳型22では、熱
遮蔽部材40により鋳型内側面28bへの輻射が抑えら
れるため、同一高さ位置では、この鋳型内側面28bの
温度が鋳型外側面28aの温度よりも低くなる。そし
て、チルプレート56を介して鋳型22が引き下げられ
るのにつれて、鋳型外側面28aからの放熱が大きくな
り、徐々に温度差が縮まって前記鋳型外側面28aと鋳
型内側面28bとが同一温度になる。
【0050】そこで、鋳型外倒面28aと鋳型内側面2
8bとが同一となる温度が、液相温度よりも高い場合に
は、熱遮蔽部材40の外径を大きくする一方、前記液相
温度よりも低い場合には、前記熱遮蔽部材40の外径を
小さく設定する。また、熱遮蔽部材40の外径の他、鋳
型22の引き下げ速度を調整することにより、液相温度
付近での内外温度差が最小になるように設定することも
できる。
【0051】なお、本実施形態では、冷却機構38を構
成するチルプレート56が、図示しないアクチュエータ
を介して矢印A方向および矢印B方向に移動可能に構成
されているが、これに代えて加熱機構36を移動可能に
構成してもよい。
【0052】
【発明の効果】本発明に係る鋳造物の製造装置では、鋳
型と加熱機構とが相対的に移動して前記鋳型を構成する
製品部が冷却される際、熱遮蔽部材を介して前記製品部
の鋳型内側面が加熱されることを阻止している。このた
め、製品部の鋳型外側面および鋳型内側面に温度差が生
ずることがなく、前記鋳型内の凝固界面が一定となる。
これにより、鋳造物に異結晶やフレックル等が発生する
ことを有効に阻止し、高品質な鋳造物を効率的に得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る鋳造物の製造装置の概
略構成説明図である。
【図2】前記製造装置の要部分解斜視図である。
【図3】前記製造装置を構成する鋳型の熱電対取り付け
位置の説明図である。
【図4】前記製造装置を構成するチルプレートが加熱機
構に対して下降した際の動作説明図である。
【図5】前記熱遮蔽部材を用いない場合の鋳型の各部位
の温度変化説明図である。
【図6】前記熱遮蔽部材を用いた場合の前記鋳型の各部
位の温度変化説明図である。
【図7】前記熱遮蔽部材の有無による各種欠陥の発生率
の説明図である。
【図8】従来技術に係る装置の概略構成説明図である。
【図9】凝固界面が傾斜する際の説明図である。
【図10】別の従来技術に係る装置の概略構成説明図で
ある。
【符号の説明】
20…製造装置 22…鋳型 24…湯口部 26…ランナ部 28…製品部 28a…鋳型外側
面 28b…鋳型内側面 30…セレクタ 32…スタータ 36…加熱機構 38…冷却機構 40…熱遮蔽部材 44…カーボンサセプタ 46…バッフル 48…インナーバッフル 56…チルプレー
ト 64…冷却配管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳型内の溶融物を一方向に凝固させて鋳造
    物を製造する鋳造物の製造装置であって、 前記鋳型を構成する製品部の鋳型外側面および鋳型内側
    面を含む周面を加熱する加熱機構と、 前記鋳型に接触して吸熱するとともに、該鋳型を前記加
    熱機構に対して凝固方向とは反対方向に相対的に移動さ
    せることにより、該鋳型内の前記溶融物を一方向に凝固
    させる冷却機構と、 前記鋳型に設けられ、該鋳型と前記加熱機構とを相対的
    に移動させる際に、前記製品部の前記鋳型内側面が加熱
    されることを阻止する熱遮蔽部材と、 を備えることを特徴とする鋳造物の製造装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造装置において、前記加
    熱機構は、前記鋳型を囲繞して配設されるとともに、 前記鋳型は、湯口部と、前記湯口部から放射状に設けら
    れる複数のランナ部と、前記各ランナ部に連結される前
    記製品部とを備え、 前記熱遮蔽部材は、前記湯口部から前記ランナ部の少な
    くとも一部を覆って配置されることを特徴とする鋳造物
    の製造装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製造装置におい
    て、前記熱遮蔽部材は、耐熱性布状部材であることを特
    徴とする鋳造物の製造装置。
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