JP2003310268A - 転写調節配列およびその利用 - Google Patents

転写調節配列およびその利用

Info

Publication number
JP2003310268A
JP2003310268A JP2002121315A JP2002121315A JP2003310268A JP 2003310268 A JP2003310268 A JP 2003310268A JP 2002121315 A JP2002121315 A JP 2002121315A JP 2002121315 A JP2002121315 A JP 2002121315A JP 2003310268 A JP2003310268 A JP 2003310268A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
compound
test compound
binding
transcription
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002121315A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Kurokawa
清 黒川
Toshio Miyata
敏男 宮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2002121315A priority Critical patent/JP2003310268A/ja
Publication of JP2003310268A publication Critical patent/JP2003310268A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写調節DNAを提供することを課題とする。 【解決手段】 MEGSIN遺伝子の上流約4.0kbを含むゲノ
ムDNA領域を単離し、その塩基配列を決定した。また、
このゲノムDNA領域において、転写を正に制御する領域
を特定した。さらに、この領域においてAP-1結合モチー
フが、転写活性を正に調節する活性を示すことを見出し
た。この配列を欠失させたり、または部位特異的変異導
入法によりこの配列に変異を導入すると、転写活性が著
しく低下した。本発明の転写調節DNAは、メサンギウム
細胞特異的な転写制御配列として有用である。また該DN
Aは、MEGSIN遺伝子の発現を制御する転写因子および薬
剤のスクリーニングにも利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子の転写調節
に関与するDNAに関する。本発明のDNAは、遺伝子治療な
どの分野に応用が可能である。
【0002】
【従来の技術】体内の60兆個もの様々な細胞が、本質的
に同一のゲノムDNAを有している。正常な生理学的機能
のために、これらの遺伝子の発現は、細胞系統、および
細胞が受容するシグナルにより厳密に制御されている。
従って、個々の細胞型で特異的に発現している遺伝子を
解明することは極めて重要である。
【0003】メサンギウム(mesangium)は、腎糸球体
の毛細管係蹄の小葉中心部に位置し、各小葉を結びつけ
る芯となる組織である。メサンギウムは糸球体基底膜に
覆われており、毛細管腔とは内皮細胞によって隔てられ
ている細胞(メサンギウム細胞:mesangial cell)と3
層からなる糸球体基底膜の中の内透明層と連続している
無形物質(メサンギウム基質:mesangial matrix)から
構成されている。
【0004】メサンギウム細胞は、腎糸球体の構造およ
び機能の維持に中心的な役割を果たしていることが知ら
れており、また、糸球体腎炎や糸球体硬化症などの糸球
体疾患の発症における主要な要因であると考えられてい
る。そして、メサンギウム細胞は、各種腎炎において障
害の標的となっている。例えば、メサンギウム細胞の増
殖や細胞外メサンギウム基質の蓄積は、末期腎不全の2
大原因である慢性糸球体腎炎および糖尿病性腎症のよう
な種々の糸球体障害を有する患者に糸球体硬化症をもた
らす最初の過程とされている [D.Schlondorff, Kidney
Int., 49, 1583-1585 (1996); R.B. Sterzel and H.D.
Rupprecht, Glomerular mesangial cells. In: Neilso
n, E.G. Couser, W.G. eds., "Immunologic Renal Dise
ases", Philadelphia: Lippincott-Raven, pp595-626
(1997)]。従って、メサンギウム細胞で特異的に発現し
ている遺伝子を見いだし、その発現の調節機構を明らか
にすることは、メサンギウム細胞の生物学的性質の解
明、メサンギウム細胞に関連する疾患の原因の究明、ひ
いては、メサンギウム細胞に関連する疾病の治療、診断
等に有効である。
【0005】ところで、本発明者は、大規模DNA配列決
定およびデータベース解析により、メサンギウム細胞で
特に強く発現する遺伝子として、MEGSINと命名した遺伝
子を単離し、その全塩基配列を決定した。そして、MEGS
INの全長cDNAクローンがコードする380個のアミノ酸か
らなる新規蛋白質(ヒトMEGSIN)の配列を決定した。さ
らに、Swiss Protデータベースを用いてFASTAプログラ
ムによるアミノ酸ホモロジー検索を行ったところ、ヒト
MEGSINが、SERPIN(セリンプロテアーゼインヒビター)
スーパーファミリー [R. Carrell et al., Trends Bioc
hem. Sci., 10,20 (1985); R. Carrell et al., Cold S
pring Harbor Symp. Quant. Biol., 52, 527 (1987);
E. K. O. Kruithof et al., Blood, 86, 4007 (1995);
J. Potempa et al., J. Biol. Chem., 269, 15957 (199
4); E. Remold-O'Donnell, FEBSLett., 315, 105 (199
3)] に属する蛋白質であることを見出した [T. Miyata
etal., J. Clin. Invest., 120, 828-836 (1998);WO99
/15652]。
【0006】ヒトMEGSINは、ヒト繊維芽細胞、平滑筋細
胞、内皮細胞、ケラチノサイトでは発現が弱く、メサン
ギウム細胞で特に強く発現している(即ち、ヒトMEGSIN
遺伝子の発現はメサンギウム細胞に特異性を有する)。
また、IgA腎症患者や糖尿病性腎症患者と健常人とで腎
臓組織中のMEGSINの発現量を比較すると、IgA腎症患者
や糖尿病性腎症患者においてMEGSINが有意に発現量が多
い [D. Suzuki et al., J. Am. Soc. Nephrol. 10, 260
6-2613 (1999);WO00/57189]。また、ラットを用いたメ
サンギウム増殖性糸球体腎炎モデルにおいて、この遺伝
子の発現量の上昇が認められた(WO01/48019)。また、
MEGSINのトランスジェニックマウスでは、メサンギウム
細胞を主体とする著明な細胞増殖、メサンギウム基質の
増生、並びに免疫グロブリンや補体から成る免疫複合体
の沈着亢進が認められ、典型的なメサンギウム増殖性糸
球体腎炎の症状を呈することから、MEGSIN遺伝子の発現
の亢進が、メサンギウム増殖性糸球体腎炎に貢献してい
ると考えられる(WO01/24628)。
【0007】このように、MEGSIN遺伝子の発現は、腎疾
患に深く関与している可能性があることから、MEGSIN遺
伝子の発現制御機構の実態を明らかにし、ヒトMEGSINの
生体内における機能の解明やその変異によって引き起こ
される遺伝性疾患などへの診断、治療に有用な転写制御
配列の提供、あるいは腎メサンギウム細胞に特異的に発
現する転写制御配列を提供することが望まれていた。
【0008】一方、ヒトMEGSINが属するSERPINスーパー
ファミリーは、一次構造上相互に高い相同性を有するこ
とから、進化上共通の祖先蛋白質から分岐したと考えら
れている。すなわち、アミノ酸配列上の変異アミノ酸数
[K. Suzuki et al., Tanpakushitsu Kakusan Koso, 3
4, 949-962 (1989)] や染色体遺伝子構造に基づいて作
製された進化系統樹 [J. J. Bao et al., Biochem., 2
6, 7755 (1987)] の解析の結果、SERPINスーパーファミ
リーは、種々の高等脊椎動物とともに500万年以上にわ
たって進化してきたことが示されている。しかしなが
ら、MEGSIN遺伝子は、糸球体メサンギウム細胞に特異的
に発現するという点で極めて特徴的である。
【0009】また最近、イオンチャンネルや輸送に係わ
る遺伝子が、腎臓に特異的に発現することが報告されて
いる [S. J. Lolait et al., Nature, 357, 336-339 (1
992); Y. Kanai et al., J. Clin. Invest., 93, 397-4
04 (1994); S. Uchida et al., J. Biol. Chem., 268,
3821-3824 (1993); S. Adachi et al., J. Biol. Che
m., 269, 17677-17683(1994); K. Fushimi et al., Nat
ure, 361, 549-552 (1993); G. Gamba et al., J. Bio
l. Chem., 269, 17713-17722 (1994)]。しかしながら、
これらの遺伝子は、尿細管上皮細胞に局在しており、糸
球体メサンギウム細胞では発現していない。従って、ME
GSIN遺伝子の転写制御配列およびMEGSIN遺伝子の転写に
関与する転写因子を解明することにより、細胞型依存的
な遺伝子発現機構に関する重要な情報を得ることができ
る。さらにこのようにして得られた情報は、分子遺伝学
や遺伝子導入における標的細胞にも応用することができ
る。
【0010】本発明者らは、これまでにMEGSIN遺伝子の
転写開始点からその上流域約-1.2kbpの付近の転写活性
に関わるDNA配列について検討している(WO00/4352
8)。しかしながら、本発明においてMEGSIN遺伝子のプ
ロモーター領域中に見出された配列が転写誘導に関与し
ているかは全く示唆されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、転写調節配
列を含むDNAおよびその利用を提供することを課題とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らはMEGSIN遺伝
子の発現調節機構を解明するために、これまで単離され
ていなかったMEGSIN遺伝子の上流(5'側)約 4.0 kbを
含むゲノムDNAの塩基配列を新たに決定した。また本発
明者らは、培養ヒトメサンギウム細胞から調製したmRNA
を用いて、プライマーエクステンション法によりヒトME
GSIN mRNAの転写開始点を決定した。プライマーエクス
テンション法は、転写開始点より下流に存在し、転写さ
れるRNAと相補性を持つような一本鎖DNAをプライマーと
し、5'末端をラベルした後、RNAとハイブリッド形成さ
せ逆転写酵素を用いて転写開始点まで伸長させ、得られ
た断片の大きさにより同じプライマーを用いたゲノムDN
Aのシークエンスのラダーと比較し、転写開始点を決定
する方法である。この方法により本発明者らは、ヒトME
GSIN遺伝子の主要な転写開始点を同定することに成功し
た。
【0013】同定された転写開始点の上流約35bpの部位
にはプロモーター配列であるTATAボックス(TATA box)
が存在し、さらにその上流には、AP-1、oct-1等の転写
制御部位となり得る転写制御配列が存在することが判明
した。この転写制御配列を含むMEGSIN遺伝子の上流域約
4.0 kbの領域を段階的に欠失させたDNAを用いてルシフ
ェラーゼレポーター構築物を作製し、ヒトメサンギウム
細胞および類表皮癌細胞株A431を用いてそれぞれの構築
物のプロモーター活性を測定した。その結果、ヒトMEGS
IN遺伝子の転写開始点から-240〜-72の領域に、転写を
正に制御する配列が存在することを突きとめた。
【0014】転写制御に関与する配列をさらに詳細に同
定するため、-179〜+130から-72〜+130の間で10 bp刻み
にMEGSINプロモーター領域を含むレポーター構築物を作
製し、その転写活性を検討した結果、-121〜+130と-99
〜+130の間で転写活性が激減することが判明した。-121
〜-99の間のモチーフを検索したところ、AP-1、oct-1、
Brn-2/TCF-11 等に高スコアの配列が見つかった。当該
配列を含む塩基配列 55bp(-85〜-139)を欠失させたコ
ンストラクトを作製して転写活性を検討した結果、この
55 bpを欠失させたコンストラクト(-85〜-139欠失構築
物)では転写活性が完全に低下した。
【0015】この配列中に含まれるAP-1、oct-1、また
は TCF-11 のうち転写調節に役割を持つ配列を同定する
ため、AP-1、oct-1、または TCF-11 のそれぞれの変異
を含んだコンストラクトを作製し、これらの転写活性を
検討した。その結果、oct-1ミュータントでは転写活性
に変動が見られないのに対し、AP-1ミュータントでは約
50%の転写活性の低下が見られた。さらに、AP-1結合モ
チーフの部分のみを欠失させたコンストラクトについて
同様の検討を行うと、ミュータントと同様に転写活性が
約50%低下することが判明した。このように本発明者ら
は、ヒトMEGSIN遺伝子の転写開始点から上流-120〜-112
に存在するAP-1結合配列 CTGATTCAC を含むDNAは転写活
性を正に制御するために重要な機能を有しており、ヒト
MEGSIN遺伝子の発現制御に本質的な役割を果たすことを
実証した。
【0016】以上のように本発明者らは、MEGSIN遺伝子
のプロモーター領域において転写制御に関与する新たな
DNA配列を同定することに成功した。この配列を含むDNA
を用いれば、例えばメサンギウム細胞など特定の細胞で
外来遺伝子を発現させる発現ベクターを開発することが
可能となる。また、このDNAと転写因子との結合を調節
する化合物のスクリーニングを通して、MEGSIN遺伝子等
の発現を調節する薬剤を得ることもできる。上記のよう
に、MEGSIN遺伝子の発現の亢進はメサンギウム細胞増殖
性の腎症を引き起こすことが知られており、MEGSINの発
現を抑制することができる薬剤は腎疾患に対する医薬と
しての利用が期待される。
【0017】本発明は転写調節配列を含むDNAおよびそ
の利用に関し、より具体的には(1)下記(a)または
(b)に記載のDNA、(a)配列番号:1に記載の塩基
配列のCTGATTCACを含む少なくとも15塩基の連続した塩
基配列を含む単離されたDNA、(b)配列番号:1に記
載の塩基配列のCTGATTCACを含む少なくとも15塩基の連
続した塩基配列において、該CTGATTCAC以外の1または複
数の塩基を置換、欠失、および/または挿入した塩基配
列を含む単離されたDNAであって、転写を正に制御する
活性を有するDNA、(2)(1)に記載のDNAを転写制御
領域に挿入する工程を含む、転写を正に制御する方法、
(3)(1)に記載のDNAを含む転写制御領域から、CTG
ATTCAC配列を欠損させる工程を含む、転写を負に制御す
る方法、(4)(1)に記載のDNAに結合する化合物の
検出方法であって、(a)該DNAを被検化合物と接触さ
せる工程、(b)該DNAと該被検化合物との結合を検出
する工程、を含む方法、(5)(1)に記載のDNAに結
合する化合物のスクリーニング方法であって、(a)該
DNAを被検化合物と接触させる工程、(b)該DNAと該被
検化合物との結合を検出する工程、(c)該DNAと結合
する化合物を選択する工程、を含む方法、(6)(1)
に記載のDNAとAP-1との結合に及ぼす化合物の効果を評
価する方法であって、(a)被検化合物を含む試料の存
在下、該DNAとAP-1を接触させる工程、(b)該DNAと該
AP-1との結合を検出する工程、(c)該結合を、被検化
合物の非存在下における該DNAと該AP-1との結合と比較
することにより、被検化合物の効果を評価する工程、を
含む方法、(7)(1)に記載のDNAとAP-1との結合を
調節する化合物のスクリーニング方法であって、(a)
被検化合物を含む試料の存在下、該DNAとAP-1を接触さ
せる工程、(b)該DNAと該AP-1との結合を検出する工
程、(c)該結合を、被検化合物の非存在下における該
DNAと該AP-1との結合と比較することにより、被検化合
物の効果を評価する工程、(d)該DNAと該AP-1との結
合を調節する化合物を選択する工程、を含む方法、
(8)(1)に記載のDNAの下流に機能的に遺伝子が連
結された組み換えDNA、(9)転写活性に及ぼす被検化
合物の効果を評価する方法であって、(a)被検化合物
を含む試料の存在下、(8)に記載のDNAを発現させる
工程、(b)該発現を検出する工程、(c)該発現を、
被検化合物の非存在下における(8)に記載のDNAの発
現と比較することにより、被検化合物の効果を評価する
工程、を含む方法、(10)転写活性を調節する化合物
をスクリーニングする方法であって、(a)被検化合物
を含む試料の存在下、(8)に記載のDNAを発現させる
工程、(b)該発現を検出する工程、(c)該発現を、
被検化合物の非存在下における(8)に記載のDNAの発
現と比較することにより、被検化合物の効果を評価する
工程、(d)該発現を調節する化合物を選択する工程、
を含む方法、(11)(5)、(7)、または(10)
に記載の方法により選択されうる化合物を含む転写調節
剤、(12)(1)に記載のDNAを有効成分とする転写
調節剤、(13)MEGSIN遺伝子の転写調節剤である、
(11)または(12)に記載の転写調節剤、(14)
(5)、(7)、または(10)に記載の方法により選
択されうる化合物あるいは(1)に記載のDNAを含む、
メサンギウム細胞増殖調節剤、に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、配列番号:1に記載の
塩基配列の少なくとも15塩基の連続した塩基配列を含む
単離されたDNAであって、該連続した塩基配列中にCTGAT
TCAC(配列番号:2)を含むDNAを提供する。本発明者
らは、ヒトMEGSIN遺伝子の転写開始点の上流領域に存在
するCTGATTCAC配列が、下流に連結された遺伝子の転写
を正に制御する活性を有することを見出した。この配列
を含む本発明のDNAは、転写調節エレメントとして有用
である。さらに本発明のDNAは転写因子の結合アッセイ
に有用である。
【0019】本発明のDNAは、天然のDNAまたは合成DNA
であってよい。天然のDNAは、例えばMEGSIN cDNAまたは
MEGSIN遺伝子の上流領域のゲノムDNA断片などをプロー
ブとして、ヒトおよびその他の哺乳動物などのゲノムDN
Aから、ゲノムDNAライブラリーのスクリーニングにより
所得することができる。また、MEGSIN cDNAまたはゲノ
ムDNAの配列を基に作成したプライマーを利用してヒト
や他の動物のゲノムDNAを鋳型にポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)を行うことにより単離することができる。DNA断
片中に存在するMEGSIN遺伝子およびその上流領域のDNA
は、例えば、特開平6-181767号公報や文献(The Journa
l of Immunology 155, 2477-2486 (1995); Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 92, 3561-3565 (1995))に従って取得
することが可能である。合成DNAであれば、例えばホス
ホアミダイド法[Mattencci, M.D. & Caruthers, M. H.
J., Am. Chem. Soc. 103, 3185 (1981)]、またはホス
ファイト・トリエステル法[Hunkapiller, M. et al.,
Nature 310, 105 (1984)]等の核酸の化学合成を用いる
常法に従って製造することができる。本発明のDNAは、
修飾されたヌクレオチドが含まれていてもよい。また本
発明においてDNAには、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAが含
まれる。すなわち本発明は、上記CTGATTCACを含む二本
鎖DNAおよび該二本鎖DNAのいずれか一方の鎖からなる一
本鎖DNAを提供する。二本鎖DNAは、転写因子の結合を検
出したり、プロモーターの一部として用いることができ
る。一本鎖DNAは、例えば三重鎖DNA形成による転写阻害
などにおいて有用である。なお二本鎖DNAは、末端また
はその他の位置に一本鎖部分を有していてもよい。本発
明のDNAは好ましくは二本鎖DNAである。本発明のDNAの
鎖長は、例えば15ヌクレオチド以上、好ましくは20ヌク
レオチド以上、より好ましくは25ヌクレオチド以上、さ
らに好ましく30ヌクレオチド以上である。また本発明の
DNAの鎖長は、例えば3000ヌクレオチド以下、好ましく
は1000ヌクレオチド以下、より好ましくは500ヌクレオ
チド以下、さらに好ましく200ヌクレオチド以下であ
る。
【0020】本発明のDNAとしては、例えば実施例に記
載されているような、ヒトMEGSIN遺伝子の -4021〜+13
0、-2542〜+130、-1874〜+130、-1451〜+130、-1052〜+
130、-834〜+130、-504〜+130、または -240〜+130の塩
基配列を含むDNAなどが挙げられる(数字は転写開始点
を+1、その直前の塩基を-1とした位置を表す;実施例参
照)。また-179〜+130、-169〜+130、-159〜+130、-149
〜+130、-139〜+130、-129〜+130、または -121〜+130
の塩基配列を含むDNAなどが挙げられる。また、本発明
のDNAとしては、MEGSIN遺伝子の転写開始点から下流の
転写される配列を含まないDNAがより好適である。この
ようなDNAは、他の遺伝子または人工的に設計した転写
ユニットと組み合わせて下流の遺伝子の転写を制御する
ために有用である。また、このようなDNAは転写因子結
合アッセイに利用することもできる。具体的には、本発
明のDNAとしては、好ましくはヒトMEGSIN遺伝子の -101
〜+86までの塩基配列を含まない、より好ましくは -103
〜+86までの塩基配列を含まない、より好ましくは -105
〜+86までの塩基配列を含まない、より好ましくは -107
〜+86までの塩基配列を含まない、より好ましくは -109
〜+86までの塩基配列を含まないDNAが挙げられる。
【0021】また、例えば本発明のDNAは、CTGATTCAC
(配列番号:2)を含むDNAであって、配列番号:1に
記載の塩基配列の1番目から 3921番目(-102;転写開
始点からの位置)までの塩基配列中の少なくとも15塩基
の連続した塩基配列からなる単離されたDNAが含まれ
る。さらに好ましくは、本発明のDNAは、CTGATTCAC配列
を含むDNAであって、配列番号:1に記載の塩基配列中
の1番目から3919番目(-104)まで、より好ましくは1
番目から3917番目(-106)まで、より好ましくは1番目
から3915番目(-108)まで、より好ましくは1番目から
3913番目(-110)までの塩基配列の少なくとも15塩基の
連続した塩基配列からなる単離されたDNAである。また
本発明は、これらの配列番号:1の部分配列からなるDN
Aのいずれかまたは両方の末端に他のDNAが結合した組み
換えDNAを提供する。
【0022】また本発明は、配列番号:1に記載の塩基
配列中のCTGATTCACを含む少なくとも15塩基の連続した
塩基配列において、該CTGATTCAC以外の1または複数の塩
基を置換、欠失、および/または挿入した塩基配列を含
む単離されたDNAであって、転写を正に制御する活性を
有するDNAを提供する。このようなDNAとしては、例え
ば、上記本発明の、配列番号:1に記載の塩基配列のCT
GATTCACを含む少なくとも15塩基の連続した塩基配列を
含むDNAにおいて、該CTGATTCAC以外の1または複数の塩
基を置換、欠失、および/または挿入した塩基配列から
なるDNAであって、転写を正に制御する活性を有するDNA
が挙げられる。例えばヒトMEGSIN遺伝子のプロモーター
領域の断片を含むDNAは、そのプロモーター領域のCTGAT
TCAC以外の部分に1または複数の塩基を置換、挿入、お
よび/または欠失することにより配列を改変することが
できる。このようなDNAであって、転写を正に制御する
活性を有するDNAは本発明のDNAに含まれる。例えば本発
明者らは、実施例において、ヒトMEGSIN遺伝子のプロモ
ーター中のCTGATTCAC近傍に位置するoct-1結合配列を改
変(-111〜-110部位)しても、転写活性が維持されるこ
とを示した。また、転写開始点に対して -4021〜-121ま
での領域のDNAを欠失させても、転写活性に有意な影響
を与えなかった。従って、DNAにこれらの配列が含まれ
る場合、転写活性を失わせることなく、これらの塩基配
列を適宜改変することができる。塩基配列において置
換、欠失、および/または挿入する塩基の数は、適宜調
節することができるが、例えば、対象とするDNA中含ま
れる、配列番号:1に記載の塩基配列のCTGATTCACを含
む15塩基からなる連続した任意の塩基配列中において
は、好ましくは5塩基以下、より好ましくは4塩基以下、
さらに好ましくは3塩基以下、さらに好ましくは2塩基、
最も好ましくは1塩基とすることが好ましい。
【0023】本発明のDNAは、他のDNAと結合していても
よい。他のDNAとしては任意のDNAが挙げられ、例えば種
々のプロモーター配列が含まれる。また、本発明のDNA
の下流(CTGATTCACを含む鎖の3'側)の転写領域に、蛋
白質をコードするDNAなどの遺伝子を連結することがで
きる。また、本発明のDNAは、CTGATTCACを複数コピー含
むDNAが含まれる。例えばCTGATTCACを2コピー、3コピ
ー、またはそれ以上含んでよい。
【0024】本発明のDNAは、このDNAに結合する化合物
を検出するために使用することができる。本発明は、本
発明のDNAに結合する化合物を検出する方法であって、
(a)被検化合物を含む試料を本発明のDNAに接触させ
る工程、および(b)該DNAと該化合物との結合を検出
する工程、を含む方法に関する。また、この検出方法を
利用すれば、本発明のDNAに結合する化合物をスクリー
ニングすることが可能である。すなわち本発明は、本発
明のDNAに結合する化合物をスクリーニングする方法で
あって、(a)被検化合物を含む試料を本発明のDNAに
接触させる工程、(b)該DNAと該化合物との結合を検
出する工程、および(c)該DNAに結合する化合物を選
択する工程、を含む方法に関する。この方法は、特に本
発明のDNAに結合する蛋白質を検出またはスクリーニン
グするために用いられる。本発明のDNAに結合する蛋白
質としては、特に転写因子を挙げることができる。「転
写因子」とは、DNAに直接または間接的に結合して、該D
NAの下流の遺伝子の発現を正または負に調節する蛋白質
を言う。転写因子には、転写に必須の蛋白質および必須
ではないが転写レベルを調節する蛋白質などが含まれ
る。本発明の方法により、上記DNAに結合し転写を制御
する新たな転写因子を単離することができる。上記の検
出およびスクリーニングは、当業者に公知の方法(岡田
博人編,「新細胞工学実験プロトコール」, 秀潤社, 199
3年、田村隆明編,「バイオマニュアルシリーズ5転写因
子研究法」, 羊土社, 1993年、Inouye, C. et al., DNA
Cell Biol., 13, 731-742 (1994) 参照)、例えば、ア
フィニティーカラムを用いた方法、サウスウエスタン
法、フットプリンティング法、EMSA(electrophoretic
mobility shift assay)法、one-hybrid法などにより行
うことができる。また、DNA固定化ビーズ等を用いたプ
ルダウンアッセイ、BIACORE等の表面プラズモン共鳴を
利用した結合測定、あるいは蛍光偏光法測定によるDNA
蛋白質間相互作用解析などにより実施することもでき
る。
【0025】例えばアフィニティーカラム法を用いる場
合は、本発明のDNAをセファロース或いはラテックスビ
ーズに固定化したカラムに、被検試料として核抽出液な
どをかけ、カラムを洗浄後、カラムに固定化したDNAと
同様の配列を有するDNAを用いて結合した蛋白質を溶出
することができる。
【0026】EMSA法(ゲルシフト法とも呼ばれる)で
は、通常数10塩基の2本鎖オリゴヌクレオチドからなる
標識DNAとDNA結合性因子(通常細胞の核抽出液)を反応
させ、核抽出液中に含まれるDNA結合蛋白質をDNAに結合
させる。その後、非変性ポリアクリルアミドゲルを用い
て電気泳動を行うと、蛋白質が結合したDNAの移動度が
未結合のDNAの移動度よりも小さくなるので、これを標
識したDNAを用いて行い、その移動度を検出する方法で
ある。細胞の核抽出液としては、例えば培養ヒトメサン
ギウム細胞の核抽出物を用いることができる。
【0027】具体的には、例えばお互いに完全に相補的
なオリゴヌクレオチドを合成し、ヒートブロック中95℃
5分で一本鎖とし、その後ヒートブロックの電源を切
り、室温に戻るまでそのままにする(一本鎖DNAの2本
鎖化)。例えばMEGALABEL(商標)Kit(Takara酒造社)
を用いて32Pラベルを行い、ProbeQuant(商標)G-50 Mi
cro Columns(Pharmacia社)等により精製する(DNAの
標識)。反応は、例えば 10mM Tris-Cl(pH7.5)、1mM
DTT、1mM EDTA、10% Glycerol、1mM MgCl2、0.15MKCl、
Salmon Sperm DNA(denatured)1μg、およびSalmon Sp
erm DNA(non-denatured)1μgの存在下で、10μgの蛋
白質を含む核抽出液を加え、氷中で15分反応させる。必
要であればここに非標識コンペティターとしてラベルし
ていないDNA(例えば 10pmol)を入れる。ラベルしたDN
Aを加え(例えば約80000cpm相当)、さらに室温で20分
反応させ、4.5%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動す
る。ゲルを乾燥させた後、オートラジオグラフィーによ
りパターンの解析を行う。これにより、プローブに結合
する核蛋白質を確認することができる。
【0028】非標識コンペティターとしては、標識プロ
ーブと同一の配列または他の転写因子結合配列を含むDN
Aを用いることができる。転写因子結合配列としては、
例えば AP-1、AP-2、SP-1、oct-1およびNF-κB等の結合
モチーフを用いることができる。これらのコンペティタ
ーによりバンドシフトが消失すれば、プローブにコンペ
ティターに結合するのと同じ転写因子が結合していたこ
とが示唆される。また、プローブに結合する蛋白質の同
定は、例えばスーパーシフトアッセイにより実施するこ
ともできる。例えば反応液に既知の転写因子に対する抗
体を添加し、スーパーシフトが見られれば、添加した抗
体が結合する転写因子がプローブと共に複合体を形成す
ることが分かる。
【0029】本発明の検出方法は、本発明のDNAが関与
する遺伝子発現の異常の検査および診断に用いることが
可能である。本発明のDNAの変異あるいは転写因子の変
異または発現異常は重篤な遺伝疾患を引き起こすと考え
られることから、本発明のDNAを用いた上記検出方法に
より、これらの検査および診断を行うことができる。す
なわち、被検試料において本発明のDNAに結合する蛋白
質を上記の方法により検出する。検出された本発明のDN
Aに結合する蛋白質の量または構造あるいは本発明のDNA
と該蛋白質との結合に異常があれば、本発明のDNAを介
した遺伝子転写に異常があることが示唆される。この検
査または診断は、特にMEGSIN遺伝子の発現調節の異常の
検査に有効であり、特にMEGSIN遺伝子の発現異常を伴う
腎疾患の検査に適用される。このような疾患には、例え
ばメサンギウム細胞増殖性腎疾患が挙げられる。
【0030】また、本発明のDNAに結合する蛋白質をス
クリーニングするには、例えばサウスウエスタン法を用
いることができる。例えば本発明のDNAに結合する転写
因子等が発現していると予想される細胞(例えばメサン
ギウム細胞など)由来のmRNAからcDNAを調製する。その
後、大腸菌の発現ベクター、例えばλgt11に該cDNAを組
み込んだcDNAライブラリーを作製し、β-ガラクトシダ
ーゼとの融合蛋白質を合成させ、ニトロセルロース膜に
該融合蛋白質を吸着させて、放射性同位元素で標識され
た本発明のDNAをプローブにし、結合活性をもつ融合蛋
白質を合成するファージを検出または選択することがで
きる。
【0031】またフットプリント法を用いれば、本発明
のDNAに結合する蛋白質が結合するDNA配列を特定するこ
とができる。具体的には、放射性同位元素で標識した本
発明のDNAをプローブとし、これを細胞核抽出液などの
被検試料と反応後、DNase Iで消化し、電気泳動するこ
とによって本発明のDNAに結合した蛋白質の結合配列を
同定することができる。
【0032】one-hybrid法を用いる場合は、例えば、本
発明のDNAをレポーター遺伝子の上流に挿入し、酵母等
のゲノム内に組み込むことによりレポーター株を作成す
る。次に、上記のcDNAとGAL4(酵母のDNA結合性転写活
性化因子)の活性化ドメイン(GAL4 AD)のコード領域
とを連結させ、これらの融合蛋白質をコードするような
活性化ドメイン(AD)ライブラリーを作製し、これを前述
のレポーター株に導入する。ADと上記cDNAがコードする
蛋白質とのハイブリッド蛋白質が本発明のDNAに結合す
ることにより転写が活性化され、その効果をレポーター
遺伝子の発現を通じて検出することができる。この方法
においては、本発明のDNAを2コピー、3コピー、または
それ以上タンデムに並べた配列を用いるか、またはCTGA
TTCAC部分が2コピー、3コピー、またはそれ以上含むよ
うなDNAを用いることが好ましい。
【0033】本発明の検出およびスクリーニング方法に
より、本発明のDNAに結合する転写因子を同定または単
離することができる。本発明は、上記本発明の検出方法
またはスクリーニング方法により同定または単離し得る
転写因子を提供する。また、この検出方法により、本発
明のDNAに結合する転写因子の検出および定量が可能で
ある。すなわち、転写因子と本発明のDNAとの複合体を
検出および定量することにより、該転写因子の存在およ
び量を決定することができる。またこの検出により、本
発明のDNAと転写因子との結合性の異常を評価したり、
あるいはゲル電気泳動等を通して該転写因子のサイズを
測定することもできる。また本発明は、上記本発明の検
出方法またはスクリーニング方法により同定または単離
し得るDNA結合蛋白質を含む、本発明のDNAの結合剤を提
供する。これらの結合剤は、その本発明のDNAとの結合
を調整し得る薬剤のスクリーニング等に有用である。
【0034】また上記の検出およびスクリーニングにお
いて、CTGATTCACを欠損させた対照組み換えDNAを用いて
同様の検出を行い、その結果を比較してもよい。すなわ
ち本発明は、本発明のDNAにCTGATTCAC依存的に結合する
化合物の検出方法であって、(a)被検化合物を含む試
料を本発明のCTGATTCACを含むDNAに接触させる工程、
(b)被検化合物を含む試料を、該DNAにおいてCTGATTC
ACが欠損または変異しているDNAに接触させる工程、
(c)工程(a)および(b)において、それぞれのDN
Aと該化合物との結合を検出し、両者の結合を比較する
工程、を含む方法に関する。この方法により、本発明の
DNAとそれに結合する化合物の結合に及ぼすCTGATTCACの
効果を検出することができる。すなわち工程(b)にお
いて検出した結合より、工程(a)で検出した結合の方
が有意に強ければ、この化合物は本発明のDNAにCTGATTC
AC依存的に結合していることが分かる。また本発明は、
本発明のDNAにCTGATTCAC依存的に結合する化合物をスク
リーニングする方法であって、(a)被検化合物を含む
試料を本発明のCTGATTCACを含むDNAに接触させる工程、
(b)被検化合物を含む試料を、該DNAにおいてCTGATTC
ACが欠損または変異しているDNAに接触させる工程、
(c)工程(a)および(b)において、それぞれのDN
Aと該化合物との結合を検出し、両者の結合を比較する
工程、(d)該CTGATTCACが欠損または変異しているDNA
に対する結合と比較して、該CTGATTCACを含むDNAに対し
て有意に強く結合する化合物を選択する工程、を含む方
法に関する。CTGATTCACを欠損させたDNAとしては、例え
ばCTGATTCACを欠失させたり、またはCTGATTCACを他の配
列(例えばCaGAaTCtC;小文字は変異させた塩基)に置
換したDNAなどが挙げられる。あるいは、複数のCTGATTC
ACを含む場合には、そのコピー数が少ないDNAを用いる
こともできる。これらの方法により、CTGATTCACに対し
て特異的に結合する化合物をより確実に選択することが
できる。
【0035】本発明の検出方法を利用すれば、本発明の
DNAと、このDNAに結合する蛋白質との結合に及ぼす被検
化合物の効果を検出したり、あるいはこの結合を調節す
る化合物をスクリーニングすることができる。本発明
は、本発明のDNAとこのDNAに結合する蛋白質との結合に
及ぼす被検化合物の効果を評価する方法であって、
(a)被検化合物を含む試料の存在下、該DNAと該蛋白
質とを接触させる工程、(b)該DNAと該蛋白質との結
合を検出する工程、(c)該結合を、被検化合物の非存
在下における該DNAと該蛋白質との結合と比較すること
により、該結合に及ぼす被検化合物の効果を評価する工
程、を含む方法に関する。被検化合物の非存在下に比
べ、存在下における該DNAと該蛋白質との結合レベルが
上昇すれば、該被検化合物は該結合を促進する効果があ
り、該被検化合物存在下における該DNAと該蛋白質との
結合レベルが低下すれば、該被検化合物は該結合を抑制
する効果があると判断される。また、この検出方法を利
用すれば、本発明のDNAと該DNAに結合する蛋白質との結
合を調節する化合物をスクリーニングすることが可能で
ある。すなわち本発明は、本発明のDNAとこのDNAに結合
する蛋白質との結合を調節する化合物をスクリーニング
する方法であって、(a)被検化合物を含む試料の存在
下、該DNAと該蛋白質とを接触させる工程、(b)該DNA
と該蛋白質との結合を検出する工程、(c)該結合を、
被検化合物の非存在下における該DNAと該蛋白質との結
合と比較することにより、該結合に及ぼす被検化合物の
効果を評価する工程、(d)該DNAと該蛋白質との結合
を調節する化合物を選択する工程、を含む方法に関す
る。
【0036】上記の方法で用いられる本発明のDNAに結
合する蛋白質は精製蛋白質であってもよく、あるいは未
精製または粗精製蛋白質であってもよい。例えば細胞の
核抽出物などの形態であってもよい。例えば、HDF(hum
an dermal fibroblast:ヒト皮膚線維芽細胞)、HRE(h
uman renal epithelial cell:ヒト腎上皮細胞)、HMC
(human mesangial cell:ヒトメサンギウム細胞)、He
La、FL、Chang liverまたはA431細胞などのヒト細胞ま
たは哺乳動物細胞の核抽出物またはそこから精製された
蛋白質等を好適に用いることができる。細胞からの核抽
出物の調製は、例えばDignamらの方法に従って行うこと
ができる(Dignam, J.D. et al., Nucl.Acid Res., 11,
1475-1489 (1983))。また、核抽出物からの蛋白質の
分離・精製は、例えば塩析、ゲル濾過、アフィニティー
クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーな
どを含む公知の生化学的手法により実施することができ
る。また、これらの細胞から調製したmRNAを用いて上記
のように本発明のDNAに結合する蛋白質の発現スクリー
ニングを行い、本発明のDNAに結合する蛋白質をコード
する遺伝子をクローニングすることができる。得られた
クローンを大腸菌、酵母、昆虫細胞、または哺乳動物細
胞等で発現させ、組み換え蛋白質を調製することができ
る。こうして得られた組み換え蛋白質を上記本発明の方
法に用いることができる。また、本発明のDNAに結合す
る既知の転写因子を組み換え蛋白質として調製または入
手して用いてもよい。
【0037】本発明のDNAに結合する蛋白質としては、
例えば本発明のDNAにCTGATTCAC依存的に結合する所望の
蛋白質が用いられる。このような蛋白質としてはAP-1が
挙げられる。AP-1(activator protein 1)とは、脊椎
動物の主要な転写因子の1つであり、Junファミリーの
メンバーおよび/またはFosファミリーのメンバーを含む
蛋白質複合体である。Junファミリーのメンバーとして
は、c-Jun、JunB、およびJunDが含まれる。またFosファ
ミリーのメンバーとしては、c-Fos、FosB、Fra1、およ
びFra2が含まれる。JunファミリーおよびFosファミリー
は共に塩基性アミノ酸クラスターおよびロイシンジッパ
ー(bZIP)を含み、ロイシンジッパーを介して形成され
るヘテロまたはホモ二量体はDNAに結合して下流にある
遺伝子の転写を調節する。本発明の方法において用いら
れるAP-1は、構成するJunおよびFosファミリーの異なる
複数種の複合体の混合物であってもよく、特定のFos/Ju
nヘテロダイマーを用いてもよい。本発明において用い
られるAP-1は、好ましくは哺乳動物のAP-1、より好まし
くはヒトAP-1である。
【0038】本発明は、本発明のDNAとAP-1との結合に
及ぼす化合物の効果を評価する方法であって、(a)被
検化合物を含む試料の存在下、該DNAとAP-1を接触させ
る工程、および(b)該DNAと該AP-1との結合を検出す
る工程、(c)該結合を、被検化合物の非存在下におけ
る該DNAと該AP-1との結合と比較することにより、該結
合に及ぼす被検化合物の効果を評価する工程、を含む方
法に関する。被検化合物の非存在下に比べ、存在下にお
ける該DNAとAP-1との結合レベルが上昇すれば、該被検
化合物は該結合を促進する効果があり、該被検化合物存
在下における該DNAとAP-1との結合レベルが低下すれ
ば、該被検化合物は該結合を抑制する効果があると判断
される。本発明のDNAとAP-1との結合を調節することに
より遺伝子の転写を制御することが可能であることか
ら、この検出方法は遺伝子の転写を調節する化合物を検
出するためにも有用である。また本発明は、本発明のDN
AとAP-1との結合を調節する化合物のスクリーニング方
法であって、(a)被検化合物を含む試料の存在下、該
DNAとAP-1を接触させる工程、(b)該DNAと該AP-1との
結合を検出する工程、(c)該結合を、被検化合物の非
存在下における該DNAと該AP-1との結合と比較すること
により、該結合に及ぼす被検化合物の効果を評価する工
程、(d)該DNAと該AP-1との結合を調節する化合物を
選択する工程、を含む方法に関する。このスクリーニン
グ方法も、遺伝子の転写を調節する化合物をスクリーニ
ングするために有用である。AP-1複合体は、細胞内の内
因的な発現により形成されているものであってもよく、
あるいは、例えばFosファミリーおよびJunファミリーの
メンバーをコードする遺伝子を細胞に導入し、この細胞
内で外来的に形成させることができる。
【0039】本発明においてスクリーニングまたは検出
に用いられる被検化合物に特に制限はなく、例えば無機
化合物、有機化合物、天然または合成糖類、ペプチド、
ポリヌクレオチド、蛋白質、天然または合成低分子化合
物、天然または合成高分子化合物、組織または細胞抽出
液、微生物の培養上清、植物、海洋生物由来の天然成分
などが挙げられる。また、遺伝子ライブラリーの発現産
物または発現cDNAライブラリーなどを用いることもでき
る。被検化合物は、本発明のDNAと該DNAに結合する蛋白
質とを接触させる前、同時、または後に適用することが
でき、これらの態様はすべて本発明に含まれる。被検化
合物の適用方法に特に制限はなく、インビトロであれば
反応液に添加することができる。また、細胞を用いた系
でスクリーニングする場合には、細胞の培養液に添加し
たり、あるいは細胞内にトランスフェクションすること
ができる。また、蛋白質などを被検化合物とする場合に
は、該蛋白質をコードする遺伝子を細胞に導入して発現
させてもよい。被検化合物は適宜組成物として適用し得
る。例えば水、生理食塩水、緩衝液、塩、安定剤、保存
剤、懸濁剤などと混合されていてよい。
【0040】被検化合物の非存在下における場合と比
べ、被検化合物の存在下で本発明のDNAとその結合蛋白
質との結合が低下すれば、この化合物は該結合を阻害す
る活性を有する化合物の候補となる。また、被検化合物
により該結合が促進されれば、この化合物は該結合を促
進する化合物の候補となる。これらの化合物は、本発明
のDNAによる転写を調節する薬剤として有用である。
【0041】また、上記の本発明のDNAは、転写を制御
するために用いることができる。本発明は、所望の遺伝
子の転写制御領域中において本発明のDNAを挿入するま
たは取り除く工程を含む、該遺伝子の転写を制御する方
法を提供する。またこの方法には、所望の遺伝子の転写
制御領域中において本発明のDNAを挿入するまたは取り
除く工程を含む、該遺伝子の転写制御が改変された組み
換えDNAの製造方法も含まれる。遺伝子の転写制御領域
とは、遺伝子の転写を制御する配列を含むDNA領域を言
い、一般に遺伝子の転写開始点の上流に存在する。ここ
に、本発明のDNAを挿入するまたは取り除くことによ
り、転写を制御することができる。本発明のDNAは、メ
サンギウム細胞を含む特定の細胞において転写を誘導で
きることから、本発明のDNAを挿入したり、あるいは塩
基置換等により本発明をDNAを構成するように改変する
ことにより腎臓メサンギウム等の組織特異的に外来遺伝
子を発現させることが可能となる。挿入する本発明のDN
Aのコピー数は、1コピーでもよく、あるいは2コピー以
上、例えば3コピーまたはそれ以上挿入してよい。ま
た、対象とする遺伝子の転写制御領域に本発明のDNAが
含まれる場合には、これを欠失させたり、あるいは他の
配列と置換することにより、転写制御を改変することが
できる。この場合、該本発明のDNA中のCTGATTCAC 配列
を欠損させることが好ましい。
【0042】また本発明は、上記本発明のDNAの下流に
機能的に遺伝子が連結された組み換えDNAを提供する。
この組み換えDNAは、該本発明のDNAと該遺伝子が、自然
の状態で結合しているのとは異なる形態で結合されてい
るDNAである。より特定すれば、それらが人為的に自然
の状態で結合しているのとは異なる形態で結合されたDN
Aを言う。組み換えDNAは、例えばDNA断片同士をライゲ
ーションすることにより作製することができる。例えば
制限酵素処理やPCR増幅などで生成したDNA断片をDNAラ
イゲースにより結合させることにより組み換えDNAを製
造することができる。「機能的に連結された」とは、下
流の遺伝子の発現を制御できるように、本発明のDNAが
該遺伝子と連結されていることを言う。下流とは、本発
明のDNAのCTGATTCACを含む鎖の3'側を意味する。連結さ
せる遺伝子に特に制限はないが、例えばヒトおよびその
他の哺乳動物が持つ所望の遺伝子が挙げられる。本発明
のDNAを用いて、例えばMEGSIN以外の所望の遺伝子をMEG
SINと類似した転写制御下で発現させることが可能であ
る。該組み換えDNAは、所望のプロモーターおよびエン
ハンサー配列等を含んでよい。このような組み換えDNA
は転写活性を有しており、適当な細胞において、該機能
的に連結された遺伝子の転写を誘導する。より好ましく
は、本発明の組み換えDNAはCTGATTCACに依存した転写活
性を有する。CTGATTCACに依存した転写活性を有すると
は、CTGATTCACが、下流に連結された遺伝子の転写活性
に寄与することを言い、具体的には、本発明のDNAを含
む組み換えDNAにおいて、CTGATTCACの配列またはその一
部を欠失または変異させた場合に転写活性が有意に低下
することにより、CTGATTCACが転写活性に寄与すること
を確認することができる。欠失および変異のタイプは特
に限定されないが、具体的には、欠失であれば、CTGATT
CACの9塩基またはその一部を欠失させることが挙げられ
る。また、塩基置換による変異であれば、例えばCTGATT
CACの下線部の塩基の1塩基、いずれかの組み合わせの2
塩基、または3塩基の全てを他の塩基に置換することが
挙げられ、具体的にはCaGAaTCtC(小文字は変異させた
塩基)に置換することなどが挙げられる(実施例参
照)。CTGATTCAC配列を複数コピー含むならば、その中
の1つまたは複数(または全部)を欠失または変異させ
た場合に転写活性が有意に低下する場合、この組み換え
DNAはCTGATTCACに依存した転写活性を有すると判断され
る。転写活性は、例えば組み換えDNAを細胞に導入して
測定することができる。例えばヒトメサンギウム細胞
(HMC)等の細胞において転写活性を測定する。本発明
の転写調節DNAを含み、CTGATTCACに依存した転写活性を
示す組み換えDNAは本発明に含まれる。
【0043】このような組み換えDNAとしては、例えば
所望のプロモーターと遺伝子を含む発現ベクターの転写
開始点上流に、CTGATTCACを含む本発明の短いDNA断片
(例えば15〜200 bp程度)を挿入したDNAが挙げられ
る。このようなキメラプロモーターの作製は、当業者が
通常行っている。CTGATTCACを含む短いDNA断片は1コピ
ーのみ導入してもよいし、複数コピー(2コピー以上)
導入してもよい。例えば2、3、または4コピー以上のCTG
ATTCACを含む本発明のDNAを挿入して、より強い転写調
節効果を得ることも可能かも知れない。転写開始点から
直近のCTGATTCAC配列までの間は、例えば30〜200bp、好
ましくは50〜150bp、より好ましくは80〜120bpとする。
この間にはTATAボックス[Groudine, M. et al., Mol.
Cell. Biol.,1, 281-288 (1981)]および/またはCAATボ
ックス[Maniatis, T. et al., Science, 236, 1237-12
45 (1987)]が含まれていてよい。好ましくは、上記本
発明の組み換えDNAは、CTGATTCAC配列と転写開始点の間
にTATAボックスを含み、より好ましくはTATAボックスお
よびCAATボックスを含む。
【0044】このような組み換えDNAは、発現ベクター
として極めて有用である。例えばメサンギウム細胞など
特定の細胞で所望の遺伝子を発現させるために、該遺伝
子の上流に、上記で示した本発明のDNAを結合させたベ
クターを構築し、これを標的細胞に導入する。これによ
り、本発明のDNAに従い遺伝子発現を制御することがで
きる。本発明のDNAは特に、腎臓(メサンギウム細胞)
で高率に遺伝子を発現させる活性を有する。従って本発
明のDNAは、腎臓(特にメサンギウム細胞)を標的とし
た発現ベクターの開発に利用できる。このような腎臓特
異的に転写が活性化する組み換えDNAは、例えば、腎臓
疾患の遺伝子治療のためのベクター作製に用いることが
できる。また、本発明のDNAを介した転写を誘導する転
写因子を発現する他の細胞(臓器)においても同様の効
果が期待できる。組み換えベクターの構築や該ベクター
の細胞への導入などの一般的な遺伝子操作は、例えば、
文献(J. Sambrook and D. W. Russell eds., "Molecul
ar cloning: a laboratorymanual", 3rd ed., Cold Spr
ing Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N
Y, 2001)に記載の常法に従って行うことができる。
【0045】本発明の組み換えDNAは、適当なベクター
に組み込まれていてもよい。遺伝子治療を目的とする場
合、用いられるベクターとしては、例えば、レトロウイ
ルス、単純性ヘルペスウイルス、サイトメガロウイル
ス、エプスタイン−バーウイルス、ウシパピローマウイ
ルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、シンドビ
スウイルス、ポックスウイルスなどに由来するベクター
が挙げられる。また、温度感受性リポソーム、血中安定
性リポソーム、カチオニックリポソーム、pH感受性リポ
ソームおよびウイルスのエンベロープ蛋白質を組み込ん
だ再構成リポソームなどのリポソーム製剤、HVJ(セン
ダイウイルス)-リポソーム [T. Nakagawaet al., Drug
Delivery System, 11, 411 (1996)]、VSV(水疱性口内
炎ウイルス)-リポソーム(特開平11-187873号)などの
ウイルスの膜融合能を付与した膜融合リポソーム製剤な
どを用いることもできる。これらのベクターを導入する
対象となる細胞としては、例えば、メサンギウム細胞、
尿細管細胞、マクロファージ、リンパ球、内皮細胞、腫
瘍細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】また、上記の組み換えDNAを用いて、本発
明のDNAの転写活性に及ぼす被検化合物の効果を評価す
ることが可能である。この方法は、(a)被検化合物を
含む試料の存在下、上記本発明の組み換えDNAを発現さ
せる工程、および(b)該発現を検出する工程、(c)
該発現を、被検化合物の非存在下における上記本発明の
組み換えDNAの発現と比較することにより、該転写活性
に及ぼす被検化合物の効果を評価する工程、を含む方法
である。またこの方法を用いて本発明のDNAの転写活性
を調節する化合物をスクリーニングすることができる。
このスクリーニング方法は、(a)被検化合物を含む試
料の存在下、上記本発明の組み換えDNAを発現させる工
程、(b)該発現を検出する工程、(c)該発現を、被
検化合物の非存在下における上記本発明の組み換えDNA
の発現と比較することにより、該転写活性に及ぼす被検
化合物の効果を評価する工程、および(d)該発現を調
節する化合物を選択する工程、を含む方法である。
【0047】具体的には、本発明のDNAを挿入した発現
ベクターを細胞に導入し、本発明のDNAの下流に連結し
た遺伝子を発現させる。被検化合物の存在下で発現ベク
ターからの該遺伝子の発現を検出する。用いられる細胞
としては、例えば、HDF、HRE、HMC、HeLa、FL、Chang l
iverまたはA431細胞などが挙げられる。その他にも、尿
細管細胞、マクロファージ、リンパ球、内皮細胞、腫瘍
細胞などの細胞を用いてもよい。好ましくはメサンギウ
ム細胞が用いられる。スクリーニングに用いられる被検
化合物は、上記と同様に特に制限はなく、例えば無機化
合物、有機化合物、天然または合成糖類、ペプチド、ポ
リヌクレオチド、蛋白質、天然または合成低分子化合
物、天然または合成高分子化合物、組織または細胞抽出
液、微生物の培養上清、植物、海洋生物由来の天然成分
などが挙げられる。また、遺伝子ライブラリーの発現産
物または発現cDNAライブラリーなどを用いることもでき
る。被検化合物を適用するタイミングに制限はない。例
えば細胞系を用いる場合は、被検化合物を含む試料を培
養液等に添加することができる。また、細胞に遺伝子を
導入し、その発現産物を被検化合物としてもよい。被検
化合物により発現レベルが上昇すれば、この化合物は本
発明のDNAの転写活性を上昇させる化合物の候補にな
る。また被検化合物により発現レベルが低下すれば、こ
の化合物は本発明のDNAの転写活性を低下させる化合物
の候補になる。
【0048】一般的には、例えば発光反応や呈色反応な
どにより定量が容易に行える蛋白質をコードする遺伝子
(レポーター遺伝子)を、本発明のDNAの下流に結合
し、これを宿主細胞に導入して呈色反応や発光を検出す
ることにより、プロモーター活性の有無やプロモーター
活性の強弱を判定することができる。被検化合物を含む
試料の存在下でプロモーター活性を検出し、被検化合物
によりプロモーター活性が影響を受けるか、あるいはそ
の程度を測定する。該被検化合物の非存在下における場
合に比べ、プロモーター活性を低下させる化合物は、本
発明のDNAの転写活性を阻害する薬剤として、また、プ
ロモーター活性を上昇させる化合物は、本発明のDNAの
転写活性を促進する薬剤として有用である。また、上記
の検出やスクリーニングにより、本発明のDNAを介して
転写を活性化する転写因子を同定または単離することも
できる。
【0049】また上記の検出やスクリーニングにおい
て、CTGATTCACを欠損させた対照組み換えDNAを用いて同
様の検出を行い、その結果を比較してもよい。すなわち
本発明は、本発明のDNAの転写活性に及ぼす被検化合物
の効果を検出する方法であって、(a)被検化合物を含
む試料の存在下、上記CTGATTCACを含む組み換えDNAを発
現させる工程、(b)被検化合物を含む試料の存在下、
該DNAにおいてCTGATTCACが欠損または変異している組み
換えDNAを発現させる工程、(c)工程(a)および
(b)のそれぞれにおいて、それぞれのDNAの発現を検
出し、該発現を、それぞれにおける被検化合物の非存在
下における該それぞれのDNAの発現と比較することによ
り、該それぞれのDNAの転写活性における被検化合物の
効果を評価する工程、(d)該被検化合物のCTGATTCAC
特異的な効果を検出する工程、を含む方法に関する。ま
た本発明は、本発明のDNAの転写活性を調節する化合物
をスクリーニングする方法であって、(a)被検化合物
を含む試料の存在下、CTGATTCACを含む上記組み換えDNA
を発現させる工程、(b)被検化合物を含む試料の存在
下、該DNAにおいてCTGATTCACが欠損または変異している
組み換えDNAを発現させる工程、(c)工程(a)およ
び(b)のそれぞれにおいて、それぞれのDNAの発現を
検出し、該発現を、それぞれにおける被検化合物の非存
在下における該それぞれのDNAの発現と比較することに
より、該それぞれのDNAの転写活性における被検化合物
の効果を評価する工程、(d)該被検化合物のCTGATTCA
C特異的な効果を検出する工程、(e)CTGATTCAC特異的
に転写を調節する化合物を選択する工程、を含む方法に
関する。すなわち、工程(e)において、CTGATTCACが
欠損または変異しているDNAの発現に与える効果と比較
して、CTGATTCACを含むDNAの発現に対して有意に強い程
度で該発現を調節する化合物を選択することにより、CT
GATTCAC特異的に転写を調節する化合物を得ることがで
きる。工程(c)では、例えば被検化合物の存在下にお
ける発現レベルの非存在下における発現レベルに対する
比(変化倍数)を、CTGATTCACを含むDNAと含まないDNA
において求めることができる。工程(e)において、CT
GATTCACを含むDNAにおける変化倍数が、CTGATTCACを含
まないDNAにおける変化倍数よりも有意に高いような化
合物を選択する。このように選択された化合物で、CTGA
TTCACを含むDNAの発現を低下させる化合物は、本発明の
DNAの発現を低下させる化合物、逆に上昇させる化合物
は、本発明のDNAの発現を上昇させる化合物と判定され
る。CTGATTCACを欠損させたDNAとしては、例えばCTGATT
CACを欠失させたDNA、あるいは他の配列(例えばCaGAaT
CtC;小文字は変異させた塩基)に置換したDNAなどが挙
げられる。あるいは、複数のCTGATTCACを含む場合に
は、そのコピー数が少ないDNAを用いることもできる。
あるいは、別のプロモーターを用いてもよい。これらの
方法により、CTGATTCACに対して特異的に作用する化合
物をより確実に選択することができる。
【0050】本発明のスクリーニング方法により選択さ
れ得る化合物は、転写調節剤(転写促進剤または転写抑
制剤)として有用である。また、本発明は、本発明のDN
A、あるいは、より好ましくは配列番号:1に記載の塩
基配列のCTGATTCACを含む少なくとも15塩基の連続した
塩基配列を含む単離DNAを含む、転写抑制剤を提供す
る。例えば、これらのDNAは、細胞に投与することによ
りデコイ核酸として転写因子の作用を阻害し、転写を抑
制することができる。また、プロモーター領域で三重鎖
構造を形成させれば、転写因子のプロモーターへの結合
を阻害することができる。本発明の転写調節剤は特に、
MEGSIN遺伝子の転写調節剤として有用である。本発明
は、本発明のDNAおよび本発明のスクリーニングにより
選択され得る化合物の転写調節剤としての使用、および
転写調節剤の製造における使用に関する。また本発明
は、本発明のDNAおよび本発明のスクリーニングにより
選択され得る化合物を投与する工程を含む、転写を調節
する方法に関する。本発明の転写調節剤は、メサンギウ
ム細胞の増殖を調節する薬剤となる。すなわちMEGSIN遺
伝子の転写を促進する薬剤は、メサンギウム細胞の増殖
の促進剤となり、MEGSIN遺伝子の転写を抑制する薬剤
は、メサンギウム細胞の増殖の抑制剤となる。MEGSIN遺
伝子は、腎メサンギウム細胞で発現し、その発現の亢進
はメサンギウム細胞を主体とする著明な細胞増殖、メサ
ンギウム基質の増生、並びに免疫グロブリンや補体から
成る免疫複合体の沈着亢進が認められ、典型的なメサン
ギウム増殖性糸球体腎炎の症状を引き起こす(WO01/246
28)。また、MEGSIN発現量がIgA腎症患者や糖尿病性腎
症患者において亢進していることも、MEGSINの発現の亢
進が腎疾患の発症に関与していることを支持する。この
ように、MEGSIN遺伝子の転写を抑制する薬剤は、特にメ
サンギウム細胞増殖性腎疾患に対する医薬として有用で
ある。本発明におけるメサンギウム細胞増殖性腎疾患と
は、腎メサンギウム細胞の増殖とメサンギウム基質の増
生を伴う腎疾患を意味する。このような腎疾患には、た
とえばIgA腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、SLE(systemic
lupus erythematosus)腎症、糖尿病性腎症、あるいはク
リオグロブリン腎症等が含まれる。例えば本発明の転写
抑制剤を投与することにより、これらのメサンギウム細
胞増殖性腎疾患の発症や進展を抑制することも可能であ
ると考えられる。すなわち本発明は、本発明のMEGSIN遺
伝子の転写を抑制する本発明の転写調節剤を有効成分と
する、メサンギウム細胞増殖性腎疾患の予防薬および治
療薬に関する。また本発明は、メサンギウム細胞増殖性
腎疾患の予防薬または治療薬の製造のための本発明の転
写調節剤の使用に関する。
【0051】また一方、ヒトMEGSINはSERPINスーパーフ
ァミリーに属する蛋白質であることから、ヒトMEGSINの
異常は、血液凝固能の亢進による血栓塞栓症または線溶
能の亢進による出血症をきたすおそれもある(鈴木ら、
蛋白質・核酸・酵素, 34巻,949-962 (1989))。このこ
とは、本発明のDNAの転写活性に影響を与える薬剤がこ
れら疾患の発症や抑制に作用する可能性があることを示
唆する。従って、本発明のスクリーニングは、これら疾
患に関連する薬剤を得るためにも有用であり、選択され
うる薬剤は血栓塞栓症および出血症に対する医薬として
の利用も期待される。
【0052】本発明のスクリーニング方法によって選択
された候補化合物は、更に安全性や安定性などを試験し
たうえで、例えばメサンギウム細胞増殖性腎疾患のため
の治療用、および/または予防用医薬組成物の主成分と
することができる。本発明の医薬組成物は、公知の製剤
学的製造法により製剤化して投与することができる。ま
た主成分である化合物自体を直接投与することもでき
る。製剤化する場合は、例えば、薬剤として一般的に用
いられる媒体または担体と適宜組み合わせて投与するこ
とができる。
【0053】また、該化合物がDNAによりコードされう
るものであれば、該DNAを遺伝子治療用ベクターに組み
込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。投与は、例
えば、動脈内注射、静脈内注射、鼻腔内投与、気管支内
投与、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、
経口投与、直腸内投与、患部への直接投与などの方法で
行うことができる。投与量は、患者の体重、年齢、健康
度、あるいは投与方法などの条件によって変動するが、
当業者であれば適宜適当な投与量を選択することができ
る。
【0054】すなわち、たとえばメサンギウム増殖性糸
球体腎炎モデル動物(WO01/48019)において、腎炎症状
の緩和効果を、様々な投与量の間で比較することにより
有効濃度が決定される。そして、上記のような各投与ル
ートによって、メサンギウム細胞における投与化合物の
濃度がその有効濃度に達するような投与量を経験的に決
定する。一般的な投与形態においては、有効成分が全身
に分布するものとして、体重1kg当たりの投与量を決定
する。実験動物における薬物動態の解析結果に基づいて
腎移行性が高いと考えられる化合物であれば、投与量を
より低く設定することができる。
【0055】本発明の医薬組成物は、決定された投与量
と投与形態とを考慮して、媒体や担体と配合される。必
要な投与量を達成することができるように有効成分を配
合することは、当業者が通常行っている。本発明による
医薬組成物の投与量は、その有効成分が、体重1kgあた
り通常1μg〜50mg、より一般的には10μg〜10mg(例え
ば10μg〜1mg)とすることができる。また、注射剤の場
合は経口投与の100分の1程度を投与量の目安とするこ
とができる。さらに特殊な製剤設計を施すことにより、
投与量を調整することができる。例えば、本発明の医薬
組成物は、適当な担体に保持することによって徐放化製
剤とすることもできるが、このような製剤においては、
高い血中濃度を維持することができるので、配合量を低
く設定することができる。
【0056】経口投与を行う場合の剤型として、散剤、
顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤、エリキシル剤、懸濁
剤、乳剤およびシロップ剤等があり、適宜選択すること
ができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、
易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施
すことができる。また、口腔内局所投与を行う場合の剤
型として、咀嚼剤、舌下剤、バッカル剤、トローチ剤、
軟膏剤、貼布剤、液剤等があり、適宜選択することがで
きる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩
壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すこ
とができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって制限されるもの
ではない。なお、本明細書に引用された文献は全て本明
細書の一部として組み込まれる。
【0058】[実施例1] ヒトMEGSIN遺伝子の転写制御
領域の単離および転写開始点の同定 BACクローンよりヒトMEGSIN遺伝子の上流域約-4.0kbpま
でのゲノムDNA断片を新たに単離し、転写活性に関わるD
NA配列を特定するためこのゲノムDNA配列を決定した
(配列番号:1)。また、ヒトMEGSIN遺伝子の正確な転
写開始点を決定するため、プライマーエクステンション
法によるMEGSIN mRNAの5'末端の同定を行った。10%ウシ
胎児血清(GIBCO社)、100 IU/mLのペニシリン、100μg
/mLのストレプトマイシンおよび200μg/mLのL-グルタミ
ンを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培
養したヒトメサンギウム細胞(BioWhittaker社)からto
tal RNAを抽出した。T4 ポリヌクレオチドキナーゼを用
い、標識DNAプローブを作成した。即ち、転写開始点の
前後を充分にカバーすると推定される、オリゴヌクレオ
チドプライマー(5'-AGGCTGTCCA AAGGTGCAGC-3'/配列
番号:3)(+67〜+86に対応することが判明した)をDN
A 5'末端標識キット(MEGALABEL(商標):宝酒造)を
用いて、[γ-32P]ATPにより5'末端ラベルした後、反応
生成物をゲル濾過クロマトグラフィー(Sephadex(商
標)G-50:Pharmacia社)により精製し、アイソトープ
標識プライマーとして使用した。
【0059】次に、1×TE、0.25M KCl の存在下で標識
プライマーと培養ヒトメサンギウム細胞から調製した10
μgのtotal RNAを60℃で1時間インキュベートした後、
室温で1時間半放置し、アニーリングさせた。DNA-RNAハ
イブリッドに5×first strand buffer 16μL、0.1M DTT
8μL、2.5M dNTP 8μL、d-H2O 28μLおよび逆転写酵素
(SUPERSCRIPT II(商標):GIBCO BRL社)1μLを加
え、37℃で1時間インキュベートし伸長させた後反応生
成物をエタノール沈殿し、dyeにて溶解して100℃で5分
インキュベートした後、氷上で5分放置し変性させ、あ
らかじめ作成しておいた8%アクリルアミドゲルに添加し
電気泳動を行い、ゲルを乾燥させてオートラジオグラフ
ィーにより分析した。また同時にMEGSINプロモーターを
含むゲノムDNAを同じプライマーによりシークエンス反
応(ΔTth DNA Polymerase SequencingPRO:東洋紡)を
行って泳動を行い比較する事により、MEGSIN mRNAの転
写開始点を決定した(図1)。
【0060】その結果、ヒトMEGSIN遺伝子の第1エキソ
ンは373bpであることが判明した。すなわち、転写開始
点は配列番号:1の4023番目のTであった。また、TATA
ボックス[Groudine, M. et al., Mol. Cell. Biol.,
1, 281-288 (1981)]が、転写開始点の上流約35bpの部
位に存在していた。
【0061】[実施例2] MEGSIN転写制御領域の機能検
定 転写制御領域の検定のため、MEGSIN遺伝子の上流領域
(BamH I-Xba I断片; -4021bp〜+130bp)またはその欠
失変異DNAとルシフェラーゼ遺伝子を結合させたベクタ
ーを作製した。さまざまな欠失変異DNAは、DNA内に存在
する制限酵素サイトの組換えにより、或いはアッセイに
用いる領域を覆うようなプライマー対を設計し、ポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)により調製した。具体的には上
流領域-2542のStu Iサイト、-1874のSac Iサイト、-145
1のPmaC Iサイト、-1052のKpn Iサイトなどで切断し、
必要であればブラントエンドにして下記のルシフェラー
ゼ発現ベクター中にライゲーションにより挿入して作製
した。また、-1052bp以下のコンストラクトについては
これらのコンストラクトを鋳型にPCR法で作製したが、
用いたプライマーは以下の通りである。 -834:5'-TAGGTACCAGGTGTAGGCAACCAACTGG-3'(配列番
号:4) -504:5'-TAGGTACCGCAGTACAAAGAGAAGCCAG-3'(配列番
号:5) -240:5'-TAGGTACCCAGAAGAGTATGTTTTGACC-3'(配列番
号:6) -72:5'-TAGGTACCGATACTATTTTGAAACCTGG-3'(配列番
号:7) 尚、アンチセンスプライマーはすべて以下のプライマー
を用いた。 Antisense:5'-TAGATCGCAGATCTCGAGCCCCTAGAC-3'(配列
番号:8)
【0062】これらのPCR産物はKpn IおよびBgI II(ま
たはXho I)で切断し、ルシフェラーゼ発現ベクター(p
GL3-Basic Vector:Promega社)の同サイトに組み込ん
だ。以上の方法により作成した欠失変異DNAは、それぞ
れMEGSIN遺伝子の -4021〜+130、-2542〜+130、-1874〜
+130、-1451〜+130、-1052〜+130、-834〜+130、-504〜
+130、-240〜+130、-72〜+130である。これらのコンス
トラクトは、トランスフェクション試薬(LipofectAMIN
E PLUS(商標):GIBCO BRL社)を用いて添付の説明書
に従い細胞へ導入した。
【0063】まず、各種欠失変異DNAを組み込んだベク
ターをヒト類表皮癌細胞株A431細胞へ導入し、本プロモ
ーター領域の中でどこの配列が正または負の制御を行う
のかを検討した(図2A)。ベクターを37℃で3時間また
は6時間の条件でトランスフェクションし、37℃で1日ま
たは2日間培養した後、培養液を取り除き細胞をPBSで1
回洗浄し細胞溶解(Cell lysis)バッファーで溶解させ
ライセートを得た。蛍光の発光量は、ルミノメーター
(Lumat LB9507 tube luminometer(商標):Berthold
Technologies社)を用いて直接測定した。コトランスフ
ェクションしたpRL-CMVによる出光力の測定値により除
することにより相対ルシフェラーゼ活性を求めた。
【0064】さらに、実施例1に記載の培養ヒトメサン
ギウム細胞(BioWhittaker社)を使用して同様の検討を
行った(図2B)。その結果、培養ヒトメサンギウム細
胞が示す転写活性のパターンとA431細胞が示す転写活性
のパターンが同様であることが確認できた(図2Aおよ
びB)。また、-4021〜+130より-240〜+130の間のコンス
トラクトでは転写活性に大きな変動はなく、-240〜+130
と-72〜+130の間において転写活性が激減していること
が判明した。これらのことから、培養ヒトメサンギウム
細胞と同様にMEGSINを発現することが知られているA431
細胞においてもMEGSINプロモーターに対して培養ヒトメ
サンギウムと同じ転写制御が行われていることが判明し
た。また、本プロモーター配列において-240〜-72の間
に非常に強力に正の制御を示す転写制御領域が存在する
ことが判明した。
【0065】次に -4021〜+130のコンストラクトを用
い、HUVEC(正常ヒト臍帯静脈内皮細胞)、HDF(正常ヒ
ト皮膚繊維芽細胞)、およびHMC(正常ヒトメサンギウ
ム細胞)、並びに FL(ヒト羊膜由来細胞株)、HeLa
(ヒト子宮内膜由来細胞株)、A431、および Chang Liv
er(ヒト肝癌由来細胞株)にトランスフェクションし、
ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、ヒト正常細
胞においてはHMCにおいて強い転写活性が見られた(図
3A)。また、ヒト由来細胞株においてもA431に比較的
強い転写活性が見られ(図3B)、用いた転写制御領域
は細胞特異性を有することが判明した。
【0066】-179〜+130から-72〜+130の間で10 bp刻み
に短いコンストラクトを作製し、A431細胞を用いて転写
活性を検討した結果、-121〜+130と-99〜+130の間で転
写活性の激減が見られた(図4)。-121〜-99の間のモ
チーフを検索したところ、AP-1、oct-1、TCF-11 等に高
スコアの配列が見つかった(図5)。当該配列を含む塩
基配列約55 bpを欠失させたコンストラクトを作製する
と共に、AP-1、oct-1、または TCF-11 それぞれの変異
を含んだコンストラクトを作製し(図6)、上記と同様
にA431細胞を用いて転写活性を検討した結果、55 bpを
欠失させたコンストラクト(-85〜-139欠失構築物)で
は転写活性が完全に低下した(図7)。また、oct-1ミ
ュータントでは転写活性に変動が見られないのに対し、
AP-1ミュータントでは約50%の転写活性の低下が見られ
た(図7)。さらに、AP-1結合モチーフの部分のみを欠
失させたコンストラクトについてA431細胞を用いて同様
の検討を行うと、ミュータントと同様に約50%の転写活
性の低下が見られた(図8)。
【0067】
【発明の効果】本発明により、メサンギウム細胞に特異
的に発現しているMEGSIN遺伝子のプロモーター由来の転
写調節DNAが提供された。本発明のDNAは、メサンギウム
細胞特異的な遺伝子発現のためのプロモーターの要素と
して利用することができ、例えば、種々の腎疾患の遺伝
子治療への応用が考えられる。また、本発明のDNAを用
いて、該DNAに結合する転写因子などの蛋白質のスクリ
ーニングを行うことも可能である。さらに、該DNAは、M
EGSIN遺伝子の発現を制御する薬剤のスクリーニングに
も利用することができる。
【0068】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KUROKAWA, Kiyoshi MIYATA, Toshio <120> Transcription regulatory elements and their use <130> KRK-A0104 <140> <141> <160> 13 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 4230 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 ggatcctggt ggctcccagt ttttattctc aggttttact tttattttat atcttattta 60 taatgattga tagaattgta aatgaaatga ccacaataag ataaactttt aatagtttcc 120 taatcttatt agacttccca ttagcttata cttatttcat gtgttcttat atgtttcaca 180 tacacagaac atattgtttt tttcttaaag acagaattga tacatgctat tgcaacctct 240 gcccgtaaat taaaggcatc cttctaaggg ttcgcacggg ttggaaattt attactccaa 300 aaatagtcag gaaactactc tgagttgaaa gggtttactt ttgtttttga taaggttata 360 tatgggattc tctgtttctc atagaccctt atgagaacag atggactgtg atttttttaa 420 gcagattttg tggggatatt tatgaataag tcaagatagt agccatattg tcttctgact 480 tctaaggata agtttaaaag gatgtagtgg gagacaagcc cagaaatgat caggaaggct 540 tcatggttca aaaaggaaaa aaaaaatcat aggcacccta ggatctattt cagctgcttc 600 tttttttttt taacttttat tttaagttca ggaatacatg tgcaggtttg ttatacaggt 660 aaactgcatg tcggcaggga cgttgtatag agattatttc ctctcttagg taataagcgt 720 acacttgagg ctggagggcg ggagaaggga gaggatcaac tgcttcttat ttgagaaaga 780 cacaacacaa actttctgag tcctactttt ctcatttgta aaatgggaga cttcaactta 840 aataatgtct aaagtttcct ttagcttact atctatctat ctattaataa aggaaaaaat 900 tggatatata tttactttca aggccactga atttgcatat ttaattaaaa ttaaagtgag 960 gatttaagca tcactctgca aatggaagaa tataggtaga ggttttaaag ctcccattta 1020 caaacccaac aataatttta aaggataaga aaatagaggc ttgtaggaaa attagataca 1080 tcatttatat ttaactttgc cactgaaact ggtcaaggta aagcttaata aatttaaagg 1140 tttagaatat ttactttttc atgacaaata atgacattca aaacgtgatg ataaaataat 1200 ttaggaggtg aaatgggacc aattactgca tttctttggg aagttgaaat cctgaggtag 1260 aaagtgaact ttaatttgct tctaaaatta gatttggatt ttgtttagaa aacctccctg 1320 tgtttgttca tgaatctcat agaactaaaa ggtttaacta gaaaaggtag cactgataac 1380 aatagtgatt cttcaagaat tttccattta ttattatgtt ggttggggcc acgacaacgt 1440 gatgaaatga tgtagcacaa ataagtggaa accaacaagg cctcctgcag ttggaattct 1500 gatcagagag atgataggaa gttccgctga ttgcattcat ttaaatgcat aaggacaata 1560 ttatatcatg ttatttattg ccaagtgaaa gctgcgatta ttcatgtcaa aagtaaaaga 1620 gaatcagaag aaggaggagg aattatagca aaaagagaag agagggtaaa tatttacatg 1680 taaacaagag acatagagta actgaattcc tttgtgtcct gcccacagta aaacgacaaa 1740 gaatacatca agaagtaaaa atagacctaa catgcaatca cttagaatga attcacatga 1800 tagaatctgc aattaagcca tggaacttgc cactacaaga ttttcttcaa atagatagat 1860 tagaaaggtt agatttggta aacagagttt atataaaaat ttcaatgtct ggaatttgga 1920 ccaacaaaaa ccatatcaag caaacaaata aaacacaaat gacatcagct tccagggaat 1980 aggtttatat cttttaggat gtgcaaagaa tatccctaat ttggaacatt aagtattccc 2040 aggtcatttc cattttctgg gcactacact aaatctagca ccccttacca tgccctcgcc 2100 attagtattc ggtcaccaaa gaattcttat atcttcagcc taactacaga gctctatgta 2160 accagagttc acagccttct ctactgacac ctcgtgtaat cctgaattaa tccctagtag 2220 tttccttaaa tccctcttca gccctgggta agtgaggaca agagacagta aaatgtaggt 2280 tattacagtt catgtttcct catctatatg catgaactgg caaggccaat ggaaatttgg 2340 attatcattg tatggcaagg gagaataatt aatgtaacac gccagtccac atgactgctt 2400 tcttctcata cttatgtcac tttgggattg gttaattgta aatcaactgt tgcaaacaca 2460 gtagtgggag ggatgtctga gttaatgtga agaagaaaac aatggtgagt agagccttaa 2520 ttatggatga ctcttggtaa ttccaagaag attatccagt atgtgtgtca cgtgggtccc 2580 ttgcctttta cctattgacc atttcaccac ttgaaagtac tttatatcct cagtaggtaa 2640 gaaatagaaa ggatatggga ttcaaaatat tcagcctatg aacactgcaa ttagaatatg 2700 gagaacaggg aatccatttg taggctcatt ttttttttat attaacaaca accttctcct 2760 tcagaaagtt caccacaact gctaaatcaa aattaaattt cagggatttt ctgcaacttt 2820 acttttctct atgattattc tactcataaa caatcatgga ggtgagcaat aactacttta 2880 ttcgattttg gataagttaa caggaccccc ttcttcctgg gaaagaggca aaattgcaca 2940 aaattgagag gcgagcaact gtaagatgat ggtaccttct aattccaata gctttttaca 3000 atagagaacc cagttacttg gataaatgtt ggctgtactt ttgaaaacac tcaggcagaa 3060 ggaccaggct tgcagtcatt tccatgcata gcaggtgaag gtaggtgcaa catacagctc 3120 aacctcatga tgctacggcc agaaactgaa atgtgttttt gcccctgtgt ggcatgttct 3180 gatggcaaag gtgtaggcaa ccaactgggc ccaacctacc tttccctaca cctggtcact 3240 tttcaaagtg caaacccact ttaacaaact ctagcctgta ttataggagg aaggatctgg 3300 gtggtgcaga cgtggctttc cattgccaga tcagaagggt ggaggagagg ctggcaggat 3360 gacaagaatg aatgaacaca ccaagtttca gctcctatct gaagctgctc agttcaggta 3420 agcatttaga gaagccagtt gcaataacta acagggcaaa tgtttctctg gaaaattcca 3480 agccagagaa aattgagaaa aagagggaag gatggaaagc agtacaaaga gaagccagct 3540 caaaaggtta gaggtccaga tgaaaatctg agattggaga atgataaaaa acattgtgtg 3600 agattctatt ttaggtcatt atgctaggga aatttacaca ggatagggtt gaaagaaatt 3660 aggctataag atgagtggca agttgcaata aaatggcacc ctaaactcac caagtcactg 3720 ttgtcactgc tatcttgcct tagttgattt gatgtctagt tagtctattt gtgtgtttct 3780 cacagaagag tatgttttga cccaggctga cagatactgt tgattctgaa atttgttttt 3840 atggttatgt taaaaccatt gtcattataa gaaacagaga tgggaatatt gcctcctgaa 3900 atctgattca catacaaact gaatgaacta cataacaacc accttagtca gatactattt 3960 tgaaacctgg ttcaaaacct aaatgcttat aagattcttg agagacagtg ctgtgctctg 4020 agtcataggg aagccatccc agaagccagg tctactcatc aataagcagc tgcctgtgca 4080 gagtgcaggc tgcacctttg gacagccttt aaaactgaat tctcagaatt ttagaacaaa 4140 tttttgtcta gaaatgctga ctttggttca ttaggtagtg gtaaaacagg ctcccttcga 4200 agctctcctt catcaccttc ctaagtgcat 4230 <210> 2 <211> 9 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 ctgattcac 9 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 3 aggctgtcca aaggtgcagc 20 <210> 4 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 4 taggtaccag gtgtaggcaa ccaactgg 28 <210> 5 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 5 taggtaccgc agtacaaaga gaagccag 28 <210> 6 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 6 taggtaccca gaagagtatg ttttgacc 28 <210> 7 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 7 taggtaccga tactattttg aaacctgg 28 <210> 8 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 8 tagatcgcag atctcgagcc cctagac 27 <210> 9 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 9 tcagaatctc atacaaactg aatgaac 27 <210> 10 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 10 tctgattcac gcacaaactg aatgaac 27 <210> 11 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 11 tctgattcac atacaaactg aagacac 27 <210> 12 <211> 27 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 12 tctgattcac atacaaactg aatgaac 27 <210> 13 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: artificially synthesized sequence <400> 13 tatacaaact gaatgaac 18
【図面の簡単な説明】
【図1】プライマーエクステンション法によるMEGSIN転
写開始点の同定結果を示す図である。
【図2】A431細胞(A)およびヒトメサンギウム細胞(H
MC)(B)におけるMEGSINプロモーター領域の欠失変異
体の転写活性パターンを示す図である。-240から-72の
領域に、転写を正に制御する配列が存在する。
【図3】各種正常ヒト(初代培養)細胞(A)およびヒ
ト由来細胞株(B)における -4021〜-130 のコンストラ
クトに含まれる転写制御領域の細胞特異性を示す図であ
る。
【図4】MEGSINプロモーター領域の欠失変異体の転写活
性を示す図である。-121から-99の領域に、転写を正に
制御する配列が存在する。
【図5】MEGSINプロモーターの-121から-99の領域に見
出された転写因子結合配列を示す図である。図中の配列
は、配列番号:1の3893〜3939に相当する。
【図6】MEGSINプロモーターの転写制御領域の構造を示
す図である。図中の配列は、配列番号:1の3761〜4230
に相当する。-85〜-139欠失構築物の欠失領域を図示し
た。また、AP-1、oct-1、およびTCF-11の結合配列を変
異させたときの変異配列を下に示した。
【図7】各種変異体の転写活性を示す図である。
【図8】AP-1結合配列の欠失変異体の転写活性を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 宮田 敏男 神奈川県伊勢原市桜台2丁目16−25 エク セル伊勢原102号 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 BB03 BB20 CB01 CB21 DA12 DA13 DA36 DA77 FB02 FB04 FB07 4B024 AA01 AA11 BA80 CA01 GA27 GA30 HA17 4B063 QA05 QA18 QA20 QQ48 QQ91 QR32 QR90 QS15 QS34 QS40 QX01 4C084 AA13 AA17 MA01 NA13 NA14 ZA812 ZB212

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)または(b)に記載のDNA。 (a)配列番号:1に記載の塩基配列のCTGATTCACを含
    む少なくとも15塩基の連続した塩基配列を含む単離され
    たDNA。 (b)配列番号:1に記載の塩基配列のCTGATTCACを含
    む少なくとも15塩基の連続した塩基配列において、該CT
    GATTCAC以外の1または複数の塩基を置換、欠失、および
    /または挿入した塩基配列を含む単離されたDNAであっ
    て、転写を正に制御する活性を有するDNA。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のDNAを転写制御領域に
    挿入する工程を含む、転写を正に制御する方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のDNAを含む転写制御領
    域から、CTGATTCAC配列を欠損させる工程を含む、転写
    を負に制御する方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のDNAに結合する化合物
    の検出方法であって、(a)該DNAを被検化合物と接触
    させる工程、(b)該DNAと該被検化合物との結合を検
    出する工程、を含む方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のDNAに結合する化合物
    のスクリーニング方法であって、(a)該DNAを被検化
    合物と接触させる工程、(b)該DNAと該被検化合物と
    の結合を検出する工程、(c)該DNAと結合する化合物
    を選択する工程、を含む方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のDNAとAP-1との結合に
    及ぼす化合物の効果を評価する方法であって、(a)被
    検化合物を含む試料の存在下、該DNAとAP-1を接触させ
    る工程、(b)該DNAと該AP-1との結合を検出する工
    程、(c)該結合を、被検化合物の非存在下における該
    DNAと該AP-1との結合と比較することにより、被検化合
    物の効果を評価する工程、を含む方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のDNAとAP-1との結合を
    調節する化合物のスクリーニング方法であって、(a)
    被検化合物を含む試料の存在下、該DNAとAP-1を接触さ
    せる工程、(b)該DNAと該AP-1との結合を検出する工
    程、(c)該結合を、被検化合物の非存在下における該
    DNAと該AP-1との結合と比較することにより、被検化合
    物の効果を評価する工程、(d)該DNAと該AP-1との結
    合を調節する化合物を選択する工程、を含む方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のDNAの下流に機能的に
    遺伝子が連結された組み換えDNA。
  9. 【請求項9】 転写活性に及ぼす被検化合物の効果を評
    価する方法であって、(a)被検化合物を含む試料の存
    在下、請求項8に記載のDNAを発現させる工程、(b)
    該発現を検出する工程、(c)該発現を、被検化合物の
    非存在下における請求項8に記載のDNAの発現と比較す
    ることにより、被検化合物の効果を評価する工程、を含
    む方法。
  10. 【請求項10】 転写活性を調節する化合物をスクリー
    ニングする方法であって、(a)被検化合物を含む試料
    の存在下、請求項8に記載のDNAを発現させる工程、
    (b)該発現を検出する工程、(c)該発現を、被検化
    合物の非存在下における請求項8に記載のDNAの発現と
    比較することにより、被検化合物の効果を評価する工
    程、(d)該発現を調節する化合物を選択する工程、を
    含む方法。
  11. 【請求項11】 請求項5、7、または10に記載の方
    法により選択されうる化合物を含む転写調節剤。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載のDNAを有効成分とす
    る転写調節剤。
  13. 【請求項13】 MEGSIN遺伝子の転写調節剤である、請
    求項11または12に記載の転写調節剤。
  14. 【請求項14】 請求項5、7、または10に記載の方
    法により選択されうる化合物あるいは請求項1に記載の
    DNAを含む、メサンギウム細胞増殖調節剤。
JP2002121315A 2002-04-23 2002-04-23 転写調節配列およびその利用 Pending JP2003310268A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002121315A JP2003310268A (ja) 2002-04-23 2002-04-23 転写調節配列およびその利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002121315A JP2003310268A (ja) 2002-04-23 2002-04-23 転写調節配列およびその利用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003310268A true JP2003310268A (ja) 2003-11-05

Family

ID=29537284

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002121315A Pending JP2003310268A (ja) 2002-04-23 2002-04-23 転写調節配列およびその利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003310268A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kleyn et al. Identification and characterization of the mouse obesity gene tubby: a member of a novel gene family
Frank et al. Differential expression of human replacement and cell cycle dependent H3 histone genes
de la Brousse et al. Molecular and genetic characterization of GABP beta.
JP2001512013A (ja) 前立腺に発現される分泌タンパク質の5’est
JP2001512011A (ja) 組織非特異的分泌タンパク質の5’est
JP2001512015A (ja) 脳における分泌タンパク質の5’est
JP2001512016A (ja) 筋肉およびその他中胚葉組織中で発現される分泌タンパク質の5’est
JP2001269182A (ja) 配列タグおよびコードされたヒトタンパク質
JPH10508188A (ja) 細胞周期調節リプレッサーおよびdnaエレメント
JP2001512012A (ja) 精巣およびその他の組織で発現する分泌タンパク質の5’est
AU713577B2 (en) Neuron-restrictive silencer factor proteins
PT1000149E (pt) 5&#39; ests para proteínas segregadas identificadas a partir de tecidos do cérebro.
JP2002525024A (ja) 種々の組織中で発現される分泌タンパク質の5’est
JP2001512005A (ja) 内胚葉において発現する分泌タンパク質の5’est
Wuarin et al. A ubiquitous CCAAT factor is required for efficient in vitro transcription from the mouse albumin promoter
Cordle et al. NOTES/Insulin Gene Expression in Nonexpressing Cells Appears To Be Regulated by Multiple Distinct Negative-Acting Control Elements
Αmin et al. Genes for Drosophila small heat shock proteins are regulated differently by ecdysterone
JPH08507919A (ja) 化学療法薬に対する感受性に関連する遺伝的サプレッサー因子
AU710551B2 (en) Nucleic acid encoding a nervous tissue sodium channel
JP2003310268A (ja) 転写調節配列およびその利用
Kokura et al. Identity between rat htf and human xbp-1 genes: determination of gene structure, target sequence, and transcription promotion function for HTF
AU769710B2 (en) Megsin promoter
Schiltz Transcriptional studies of the muscle-specific expression of the rabbit muscle phosphofructokinase gene
CA2312697A1 (en) Cadherin-like polypeptides, methods and compositions related thereto
JPH02100680A (ja) ヒト正常細胞由来mdr関連遺伝子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050324

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070904

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071126

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080109