JP2003310166A - 食パンのみみを用いた食品の製造方法 - Google Patents
食パンのみみを用いた食品の製造方法Info
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Abstract
さん・パン製造企業であまり使い道もなく捨てられてし
まう食パンのみみを有効利用し、そして大変身させ香り
よく、美味で保存ができ健康的で、商品としての利益率
の高い食品にすること。 【解決手段】新鮮な食パンのみみを同じ位の大きさに細
かく切ることにより加工を容易にし食べやすく、可愛ら
しい形状となる。良質の食用油脂としての加塩バターの
特性と甘味料としての砂糖の特性を活用するため、交互
に何度も加えながら弱火前後で少し時間をかけ丁寧に食
パンのみみを炒りアメ衣で複数層のコーティングをす
る。火を止め、最後にシナモン・バニラエッセンス等の
香料を加え、しばらく炒る。食パンのみみとは別様の小
粒で可愛らしく香り豊かで栄養があり日持の良い健康的
で美味な商品価値のある洋風菓子になる。
Description
り、捨てられたり、飼料になったりしている食パンのみ
み(図2)を食用油脂と甘味料で美味な食品に変える技
術に関する。
のみみ(図2)は人々に好まれず食べ残されやすく、そ
の多くは廃棄処分されている。しかし、料理の研究家、
料理好きな主婦により食パンのみみを素材とする調理が
考案されており、テレビ、雑誌、インターネット等マス
メディアを通して公表もされている。本発明に関連する
従来の技術として、食パンのみみを油で揚げたり、マー
ガリンで炒めたり、オーブンを使って焼いたりしたもの
を、熱いうちに黒砂糖、上白糖又はグラニュー糖、そし
てシナモンパウダーをかけたり、砂糖・水・水アメを加
えて煮たてた糖蜜をからめ、熱いうちにアルミホイル上
に一つ一つ取り出すという技術等がある。一般に「揚げ
菓子」・「かりんとう風」・「かりんとう」と言われ、
家庭でも作られている。その他、食パンのみみは、スナ
ック風菓子、洋風料理への混入、クルトン、パン粉等に
変身している。このように従来の技術では、パンのみみ
に少し手を加え、おいしく食べられる簡単なお菓子にす
る技術までは、当業者に想到されている。しかし、商品
価値の高い食品にするまでの技術は余りにも廉価で人々
に好まれないパンのみみに、その必要性も考えられず、
産業上の効果もないと思われている。そのような固定観
念の結果、パンのみみの多くは廃棄処分になっているの
が現状である。
は、内層(1)の柔らかい白い部分と違い、堅く、口当
たり悪く、パサパサしているため一般に敬遠され捨てら
れている。再利用してかりんとう風のお菓子を作るとい
うレシピは一般に知られて家庭でも作られてはいるが、
一時的な簡単に作るお菓子であり、今日までパン屋さん
や企業では商品として取り組まれていない。豊富にある
食パンのみみの特徴を生かした新たな付加価値をつけて
商品価値の高い食品に加工するという視点・発想の転換
が必要である。
めに人々に好まれない捨てられている食パンのみみを可
愛らしい形状にし、従来のように多くの油を使わず、口
に入れた時の口当たりや、風味を良くするため、溶ける
時に芳香のでる良質の固形の食用油脂と甘く口当たりの
良いアメ衣ができる砂糖の特性を活用し、この食用油脂
と砂糖の量・入れるタイミング・砂糖の溶け具合を注視
してそれぞれを交互に何度も丁寧に炒る。そして火を止
めた後、仕上げにシナモンやバニラエッセンス等の香料
を加えることにより、クッキー格の食感や視感ができ
る。詳細に述べると、第一に新鮮な食パン即ち美味しく
食べられる位の食パンのみみを使うこと、これはまだパ
ンに充分な水分があるため、加熱工程の初期段階にバタ
ーで炒めた時、パンのみみが少量のバターでも、焦げ難
く、ゆっくりバターが浸透していく。砂糖の白い結晶も
パンのみみの水分やバターの乳脂肪や水溶成分と加熱と
ともに次第に溶解し、甘味がバター風味とともに食パン
のみみの気孔内部にゆっくり浸透するためである。その
結果食したときパサつくことなく、しかも、油ぽっくな
く、出来上った時は味に深みがあり上品な口当たりにな
る。この工程により、従来の油ぽっく一元的に甘い「か
りんとう」とは口当たり、後味が違ってくるのである。
第二に食パンのみみの、きめ細かく堅い特徴をむしろ有
効活用するため可能な限り同じ大きさに細かく切る。こ
れは食べやすく調理しやすく視覚の面でも可愛らしくす
るためである。細かく切り、第一で述べた加熱工程の初
期段階を経た食パンのみみをさらにバター、砂糖を交互
に加え丁寧に炒る。この加熱工程の中期段階では、パン
のみみも鍋も高温(130℃〜160℃)になっている
ので、バターも砂糖もすぐ溶解する。良質の食用油脂で
あるバターが溶ける時に風味が最高に出るという特性を
活用しながら甘味料の砂糖溶液が130℃〜160℃で
溶解して作られる「アメ衣」で初期段階のバター風味と
上品な甘味を気孔内部に閉じ込め、「アメ衣」をコーテ
ィング(3)する工程を何度か経ることにより、何層も
のバター風味の「アメ衣」(3)のカリッとした口当た
りとバターによる酸化や劣化を遅らせることができ、合
成保存料を使うことなく密閉容器に保存すれば長期保存
が可能になる。火を止めた後、香料を入れその後もしば
らく木べらで炒ることにより、小粒でパラパラの可愛ら
しい形状で、近年、人々に好まれているキャラメル風味
の手作り洋風菓子となる。パサつき堅い素朴な食パンの
みみは、従来の固定観念で想到するかりんとう風菓子と
は別様の付加価値がつき新しい魅力を引き出した今まで
に食されていない、そしてパン屋さんがパンで作る商品
価値のあるクッキー格の洋風菓子という食品に変わる。
熱器具、外気温度により、加熱量(火力)に差異が生じ
るが、ガス器具会社や調理用語で一般に使われる火力表
現で述べると、加熱工程の初期段階はあくまで目安であ
るが、中火の弱位でスタートする。鍋底の砂糖溶液が1
30℃以上になると黄茶味になり、加熱工程の中期段階
に入る。この工程は溶液をアメ衣ができる130℃〜1
60℃に保持するため弱火位にする。最後の食用油脂と
甘味料になれば後期段階の工程に入り、鍋底の内面温度
を100℃前後に下げ、保持するためほたる火(とろ火
ともいう)の火加減にする。火加減に注意をするだけで
加熱時間は多少かかるが、どこにでもあるフライパン等
の鍋一つと、原材料があればパン屋さんや、家庭で有効
利用するという意義を持って誰にでも美味なクッキー格
お菓子が簡単に作れる。企業で多量に出る場合は、製造
工程をコンピューターで管理ができ、製造方法が単純で
あるため、機械化が容易に考えられる。原材料の食パン
のみみの多くは捨てられている素材なので原価は極めて
廉価であり、商品にした時の利益率は極めて高くなる。
き図面を参照して説明する。新鮮な食パンのみみが必要
十分条件である。しかし、古くても多少の水分がある食
パンのみみであれば、そして乾燥気味の食パンのみみの
場合は霧吹き等で適度の水分を与えれば原材料にはな
る。カリカリに乾燥している場合は、加熱工程の初期段
階での機能が充分に果たされない。即ち、加工し難く、
味の深みは多少不足するが、それなりに美味しく製造す
ることは可能である。食パン1斤を12枚にスライスし
た食パンが一般的にサンドウィッチ用となるが、このサ
ンドウィッチ用のパンのみみの幅(A=1cm位)が最
適である。この場合、内層(1)の白い部分が薄くなり
やすく形状は直方体状になる。食パン1本分の両端にあ
るみみの場合、内層(1)が厚い場合もあるので、立方
体状の形状に可能で、商品価値が上がる。しかし、みみ
の厚さが多種になるマイナス面もあるが、これも可能な
限り、大きさをそれなりに切りそろえる。幅(A)や厚
さ(B)に多少のばらつきがあっても火加減に注意すれ
ば、それなりに加工は可能である。パンのみみ(図2)
を図3のように立方体のサイコロ状、又は直方体状に同
一に切りそろえる理由は、均一に加熱でき、食用油脂
(例えば、加塩バター)や甘味料(例えば、砂糖)によ
るアメ衣の膜(3)が平均的にコーティングされやす
く、部分的なこげつきを防ぐことができるためである。
食用油脂として「揮発性脂肪酸」があり可塑性(適度な
柔軟性のある状態)のある固形でのバター温度(10℃
〜15℃位)で、無塩バターより保存性が高く劣化しに
くい加塩バターが最良である。しかし、塩分に問題があ
れば無塩バターに適量の塩分を加えて製造することも可
能である。マーガリンであれば低カロリーとなる。甘味
料として多種あるが、水分を多く含みアメ衣の特性を活
用するには、上白糖が最適である。しかし、その他の甘
味料でも加熱温度の工夫をすれば可能である。バターは
食パンのみみの量の約32重量%位、上白糖は食パンの
みみの量の約64重量%位の割合で下記のように実施す
るが諸事情や好みで割合を増減する事が可能である。加
熱時間は例えば食パンのみみが1斤分(140g位)の
時は30分前後、500g位の時は1時間前後になる。
これは原材料の量と使用する鍋の種類や大きさ、加熱器
具そして外気温の関係で、加熱時間や加熱量(火力)は
微妙に変化する。実施例で使用する鍋は家庭用では
「大」の大きさで、底層の厚いフライパンを使用し、加
熱調理器具は家庭用ガスコンロである。 原材料 新鮮な食パンのみみ450g、上白糖290g、固形の
加塩バター150g、シナモンパウダー少々、バニラセ
ンス少々。 製造方法 1. サンドウィッチ用のみみを1cm幅(A)位に、
大きさをそろえ細かく切っておく。(乾燥しないように
注意する。) 2. フライパンを直前に中火の弱位の火力で30秒位
加熱しておく。 3. 最初に10〜15g位のバターを入れ、溶け出し
たらすぐ食パンのみみを入れ、しばらく(3分位)丁寧
に炒る。 4. 20g位の上白糖を加え、バターでしっとりして
いる食パンのみみ全体にからませる。鍋底がまだ100
℃以下のため溶け難いが食パンのみみに含まれている水
分やバター分と上昇しつつある鍋底の熱により上白糖が
溶け出す。食パンのみみの気孔に浸透させるため上白糖
の白い結晶が見えなくなるまで(2分〜3分位)丁寧に
炒る。 5. スタートして10分〜15分位までは、鍋底の内
面温度は加熱により上昇しつつあるが100℃以下であ
り、この時期が初期段階である。3と4を交互に炒る過
程を1サイクルとして、3サイクル位する。 6. 加熱により鍋底内面温度は100℃を越え食パン
のみみの表面が少しキツネ色に、手で触ると少しカリッ
となってくる。さらに木べらで炒った鍋底の上白糖溶液
がキャラメル色に黄色くなってくる。急いで、火力をそ
れ以上の温度に上げないように少し火力を落とし弱火に
する。この時の鍋底の上白糖溶液の温度は130℃〜1
60℃になっている。この温度にしたのは160℃以上
になると上白糖がカラメル化するのでそれを防ぐためで
ある。この加熱工程の中期段階は唯一細心の注意をしな
ければならない。130℃〜160℃の溶液温度で作ら
れる風味のある「アメ衣」を複数層にするためにも、大
切な段階である。この段階はバターを15g〜20g
位、上白糖は30g〜35g位ずつ加えて炒るのを1サ
イクルとして、6〜7サイクル位を、30分〜35分間
程バター・上白糖の量や入れるタイミングを見ながら、
粘性が強くなり炒り難くなるが食パンのみみが焦げない
速度で木べら2本を使い丁寧に炒るのが望ましい。 7. 炒られている食パンのみみ一粒一粒の表面に「ア
メ衣」とバター油分で、「てかり」がしっかり見られ、
ほどよいキツネ色になり最後1回分のバターと上白糖に
なれば加熱工程の後期段階になる。焔がかろうじて着火
している位小さい火である「ほたる火(=とろ火)」の
温度(鍋底は100℃前後に)まで下げ、残りのバター
を加え芳香をからめながら2分位炒り、最後に残りの上
白糖を加える。食パンのみみ自体の熱とバターの油分や
水分で上白糖の白い結晶が次第になくなるまで(2〜3
分位)ゆっくり炒る。 8. 火を止めシナモンパウダー・バニラエッセンスを
適量少々加え、鍋が少し冷めるまで、時々、木べらでま
ぜ、一粒一粒がパラパラになるようにする。(加熱時間
は50分〜60分位)
業で毎日多量に出るサンドウィッチを作った時の食パン
のみみや、残ってしまう食パンの両端のみみなどを合成
保存料や不健康的な添加物を使うことなく食材のもつ本
来の力を最大限に引き出し、香り豊かで滋養のある日持
ちの良い、口当たり後味の良い美味な洋菓子即ち商品価
値を備えた換金商品にすることができる。世界中の食料
事情や環境保全を考えた時、大切な食物を捨てずに再利
用できることは地球規模で社会に役立つことになる。ま
してパン屋さんが心を込めて焼き上げた食パンの一部で
あるみみを捨てずに再利用し、利益率の高い商品にする
ことが可能となれば、人間としても、職人気質からも、
その満足感は多大となり本発明の意義は大いにある。本
発明は、時間は多少かかるが、バター・砂糖それぞれの
自然の科学的特性を活用しての技術はパンのみみで作る
かりんとうの技術よりも一歩も二歩も創作的に進歩して
おり、当業者にも想到されていない技術と思われる。食
パンのみみを短時間で簡単な工程で作る「かりんとう」
は、美味ではあるが原材料がパンのみみであることがす
ぐわかり、人々の固定観念上、換金商品には、やはり難
しいようである。しかし、本発明の食品は一見、食パン
のみみからできているお菓子とは想像できない位変身し
ており、パン屋さんらしい珍しいお菓子、柔軟な食品の
多い今日適度な堅さは幼児・成長期の子供の顎の生育に
プラスとなり、油ぽっくなく近年好まれているキャラメ
ル風味で歯ごたえがあり大変美味で、小粒で食感が良く
一度食べだしたらやめられない位ついつい食べてしま
う。小粒なので、たくさん食べたような満足感が生まれ
る。携帯に便利、栄養豊富でエネルギー源となる。コー
ヒー、紅茶、日本茶にも合い、老若男女に好まれ、喜ば
れる。食物の安全性、健康志向、リサイクルが求められ
る今日、美味な健康食品であり収益力、換金性のある本
発明は今後、産業上大いに利用できることと思われる。
本発明を多くのパン屋さん、パン製造企業に活用してい
ただくことは、食物を大切にする上でも、自然環境を守
る上でも健康面からも経済的にも、社会に貢献すると思
うのである。
方法によって製造された商品の断面図である。
られる素材の断面図である。
られる素材の外観斜視図である。
5)
り、捨てられたり、飼料になったりしている食パンのみ
み(図2)を食用油脂と甘味料で美味な食品に変える技
術に関する。
のみみ(図2)は人々に好まれず食べ残されやすく、そ
の多くは廃棄処分されている。しかし、料理の研究家、
料理好きな主婦により食パンのみみを素材とする調理が
考案されており、テレビ、雑誌、インターネット等マス
メディアを通して公表もされている。本発明に関連する
従来の技術として、食パンのみみを油で揚げたり、マー
ガリンで炒めたり、オーブンを使って焼いたりしたもの
を、熱いうちに黒砂糖、上白糖又はグラニュー糖、そし
てシナモンパウダーをかけたり、砂糖・水・水アメを加
えて煮たてた糖蜜をからめ、熱いうちにアルミホイル上
に一つ一つ取り出すという技術等がある。一般に「揚げ
菓子」・「かりんとう風」・「かりんとう」と言われ、
家庭でも作られている。その他、食パンのみみは、スナ
ック風菓子、洋風料理への混入、クルトン、パン粉等に
変身している。このように従来の技術では、パンのみみ
に少し手を加え、おいしく食べられる簡単なお菓子にす
る技術までは、当業者に想到されている。しかし、商品
価値の高い食品にするまでの技術は余りにも廉価で人々
に好まれないパンのみみに、その必要性も考えられず、
産業上の効果もないと思われている。そのような固定観
念の結果、パンのみみの多くは廃棄処分になっているの
が現状である。
は、内層(1)の柔らかい白い部分と違い、堅く、口当
たり悪く、パサパサしているため一般に敬遠され捨てら
れている。再利用してかりんとう風のお菓子を作るとい
うレシピは一般に知られて家庭でも作られてはいるが、
一時的な簡単に作るお菓子であり、今日までパン屋さん
や企業では商品として取り組まれていない。豊富にある
食パンのみみの特徴を生かした新たな付加価値をつけて
商品価値の高い食品に加工するという視点・発想の転換
が必要である。
めに人々に好まれない捨てられている食パンのみみを可
愛らしい形状にし、従来のように多くの油を使わず、口
に入れた時の口当たりや、風味を良くするため、溶ける
時に芳香のでる良質の固形の食用油脂と甘く口当たりの
良いアメ衣ができる砂糖の特性を活用し、この食用油脂
と砂糖の量・入れるタイミング・砂糖の溶け具合を注視
してそれぞれを交互に何度も丁寧に炒る。そして火を止
めた後、仕上げにシナモンやバニラエッセンス等の香料
を加えることにより、クッキー格の食感や視感ができ
る。詳細に述べると、第一に新鮮な食パン即ち美味しく
食べられる位の食パンのみみを使うこと、これはまだパ
ンに充分な水分があるため、加熱工程の初期段階にバタ
ーで炒めた時、パンのみみが少量のバターでも、焦げ難
く、ゆっくりバターが浸透していく。砂糖の白い結晶も
パンのみみの水分やバターの乳脂肪や水溶成分と加熱と
ともに次第に溶解し、甘味がバター風味とともに食パン
のみみの気孔内部にゆっくり浸透するためである。その
結果食したときパサつくことなく、しかも、油ぽっくな
く、出来上った時は味に深みがあり上品な口当たりにな
る。この工程により、従来の油ぽっく一元的に甘い「か
りんとう」とは口当たり、後味が違ってくるのである。
第二に食パンのみみの、きめ細かく堅い特徴をむしろ有
効活用するため可能な限り同じ大きさに細かく切る。こ
れは食べやすく調理しやすく視覚の面でも可愛らしくす
るためである。細かく切り、第一で述べた加熱工程の初
期段階を経た食パンのみみをさらにバター、砂糖を交互
に加え丁寧に炒る。この加熱工程の中期段階では、パン
のみみも鍋も高温(130℃〜160℃)になっている
のでバターも砂糖もすぐ溶解する。良質の食用油脂であ
るバターが溶ける時に風味が最高に出るという特性を活
用しながら甘味料の砂糖溶液が130℃〜160℃で溶
解して作られる「アメ衣」で初期段階のバター風味と上
品な甘味を気孔内部に閉じ込め、「アメ衣」をコーティ
ング(3)する工程を何度か経ることにより、何層もの
バター風味の「アメ衣」(3)のカリッとした口当たり
とバターによる酸化や劣化を遅らせることができ、合成
保存料を使うことなく密閉容器に保存すれば長期保存が
可能になる。火を止めた後、香料を入れその後もしばら
く木べらで炒ることにより、小粒でパラパラの可愛らし
い形状で、近年、人々に好まれているキャラメル風味の
手作り洋風菓子となる。パサつき堅い素朴な食パンのみ
みは、従来の固定観念で想到するかりんとう風菓子とは
別様の付加価値がつき新しい魅力を引き出した今までに
食されていない、そしてパン屋さんがパンで作る商品価
値のあるクッキー格の洋風菓子という食品に変わる。
熱器具、外気温度により、加熱量(火力)に差異が生じ
るが、ガス器具会社や調理用語で一般に使われる火力表
現で述べると、加熱工程の初期段階はあくまで目安であ
るが、中火の弱位でスタートする。鍋底の砂糖溶液が1
30℃以上になると黄茶味になり、加熱工程の中期段階
に入る。この工程は溶液をアメ衣ができる130℃〜1
60℃に保持するため弱火位にする。最後の食用油脂と
甘味料になれば後期段階の工程に入り、鍋底の内面温度
を100℃前後に下げ、保持するためほたる火(とろ火
ともいう)の火加減にする。火加減に注意をするだけで
加熱時間は多少かかるが、どこにでもあるフライパン等
の鍋一つと、原材料があればパン屋さんや、家庭で有効
利用するという意義を持って誰にでも美味なクッキー格
お菓子が簡単に作れる。企業で多量に出る場合は、製造
工程をコンピューターで管理ができ、製造方法が単純で
あるため、機械化が容易に考えられる。原材料の食パン
のみみの多くは捨てられている素材なので原価は極めて
廉価であり、商品にした時の利益率は極めて高くなる。
き図面を参照して説明する。新鮮な食パンのみみが必要
十分条件である。しかし、古くても多少の水分がある食
パンのみみであれば、そして乾燥気味の食パンのみみの
場合は霧吹き等で適度の水分を与えれば原材料にはな
る。カリカリに乾燥している場合は、加熱工程の初期段
階での機能が充分に果たされない。即ち、加工し難く、
味の深みは多少不足するが、それなりに美味しく製造す
ることは可能である。食パン1斤を12枚にスライスし
た食パンが一般的にサンドウィッチ用となるが、このサ
ンドウィッチ用のパンのみみの幅(A=1cm位)が最
適である。この場合、内層(1)の白い部分が薄くなり
やすく形状は直方体状になる。食パン1本分の両端にあ
るみみの場合、内層(1)が厚い場合もあるので、立方
体状の形状に可能で、商品価値が上がる。しかし、みみ
の厚さが多種になるマイナス面もあるが、これも可能な
限り、大きさをそれなりに切りそろえる。幅(A)や厚
さ(B)に多少のばらつきがあっても火加減に注意すれ
ば、それなりに加工は可能である。パンのみみ(図2)
を図3のように立方体のサイコロ状、又は直方体状に同
一に切りそろえる理由は、均一に加熱でき、食用油脂
(例えば、加塩バター)や甘味料(例えば、砂糖)によ
るアメ衣の膜(3)が平均的にコーティングされやす
く、部分的なこげつきを防ぐことができるためである。
食用油脂として「揮発性脂肪酸」があり可塑性(適度な
柔軟性のある状態)のある固形でのバター温度(10℃
〜15℃位)で、無塩バターより保存性が高く劣化しに
くい加塩バターが最良である。しかし、塩分に問題があ
れば無塩バターに適量の塩分を加えて製造することも可
能である。マーガリンであれば低カロリーとなる。甘味
料として多種あるが、水分を多く含みアメ衣の特性を活
用するには、上白糖が最適である。しかし、その他の甘
味料でも加熱温度の工夫をすれば可能である。バターは
食パンのみみの量の約32重量%位、上白糖は食パンの
みみの量の約64重量%位の割合で下記のように実施す
るが諸事情や好みで割合を増減する事が可能である。加
熱時間は例えば食パンのみみが1斤分(140g位)の
時は30分前後、500g位の時は1時間前後になる。
これは原材料の量と使用する鍋の種類や大きさ、加熱器
具そして外気温の関係で、加熱時間や加熱量(火力)は
微妙に変化する。実施例で使用する鍋は家庭用では
「大」の大きさで、底層の厚いフライパンを使用し、加
熱調理器具は家庭用ガスコンロである。 原材料 新鮮な食パンのみみ450g、上白糖290g、固形の
加塩バター150g、シナモンパウダー少々、バニラセ
ンス少々。 製造方法 1.サンドウィッチ用のみみを1cm幅(A)位に、大
きさをそろえ細かく切っておく。(乾燥しないように注
意する。) 2.フライパンを直前に中火の弱位の火力で30秒位加
熱しておく。 3.最初に10〜15g位のバターを入れ、溶け出した
らすぐ食パンのみみを入れ、しばらく(3分位)丁寧に
炒る。 4.20g位の上白糖を加え、バターでしっとりしてい
る食パンのみみ全体にからませる。鍋底がまだ100℃
以下のため溶け難いが食パンのみみに含まれている水分
やバター分と上昇しつつある鍋底の熱により上白糖が溶
け出す。食パンのみみの気孔に浸透させるため上白糖の
白い結晶が見えなくなるまで(2分〜3分位)丁寧に炒
る。 5.スタートして10分〜15分位までは、鍋底の内面
温度は加熱により上昇しつつあるが100℃以下であ
り、この時期が初期段階である。3と4を交互に炒る過
程を1サイクルとして、3サイクル位する。 6.加熱により鍋底内面温度は100℃を越え食パンの
みみの表面が少しキツネ色に、手で触ると少しカリッと
なってくる。さらに木べらで炒った鍋底の上白糖溶液が
キャラメル色に黄色くなってくる。急いで、火力をそれ
以上の温度に上げないように少し火力を落とし弱火にす
る。この時の鍋底の上白糖溶液の温度は130℃〜16
0℃になっている。この温度にしたのは160℃以上に
なると上白糖がカラメル化するのでそれを防ぐためであ
る。この加熱工程の中期段階は唯一細心の注意をしなけ
ればならない。130℃〜160℃の溶液温度で作られ
る風味のある「アメ衣」を複数層にするためにも、大切
な段階である。この段階はバターを15g〜20g位、
上白糖は30g〜35g位ずつ加えて炒るのを1サイク
ルとして、6〜7サイクル位を、30分〜35分間程バ
ター・上白糖の量や入れるタイミングを見ながら、粘性
が強くなり炒り難くなるが食パンのみみが焦げない速度
で木べら2本を使い丁寧に炒るのが望ましい。 7.炒られている食パンのみみ一粒一粒の表面に「アメ
衣」とバター油分で、「てかり」がしっかり見られ、ほ
どよいキツネ色になり最後1回分のバターと上白糖にな
れば加熱工程の後期段階になる。焔がかろうじて着火し
ている位小さい火である「ほたる火(=とろ火)」の温
度(鍋底は100℃前後に)まで下げ、残りのバターを
加え芳香をからめながら2分位炒り、最後に残りの上白
糖を加える。食パンのみみ自体の熱とバターの油分や水
分で上白糖の白い結晶が次第になくなるまで(2〜3分
位)ゆっくり炒る。 8.火を止めシナモンパウダー・バニラエッセンスを適
量少々加え、鍋が少し冷めるまで、時々、木べらでま
ぜ、一粒一粒がパラパラになるようにする。(加熱時間
は50分〜60分位)
業で毎日多量に出るサンドウィッチを作った時の食パン
のみみや、残ってしまう食パンの両端のみみなどを合成
保存料や不健康的な添加物を使うことなく食材のもつ本
来の力を最大限に引き出し、香り豊かで滋養のある日持
ちの良い、口当たり後味の良い美味な洋菓子即ち商品価
値を備えた換金商品にすることができる。世界中の食料
事情や環境保全を考えた時、大切な食物を捨てずに再利
用できることは地球規模で社会に役立つことになる。ま
してパン屋さんが心を込めて焼き上げた食パンの一部で
あるみみを捨てずに再利用し、利益率の高い商品にする
ことが可能となれば、人間としても、職人気質からも、
その満足感は多大となり本発明の意義は大いにある。本
発明は、時間は多少かかるが、バター・砂糖それぞれの
自然の科学的特性を活用しての技術はパンのみみで作る
かりんとうの技術よりも一歩も二歩も創作的に進歩して
おり、当業者にも想到されていない技術と思われる。食
パンのみみを短時間で簡単な工程で作る「かりんとう」
は、美味ではあるが原材料がパンのみみであることがす
ぐわかり、人々の固定観念上、換金商品には、やはり難
しいようである。しかし、本発明の食品は一見、食パン
のみみからできているお菓子とは想像できない位変身し
ており、パン屋さんらしい珍しいお菓子、柔軟な食品の
多い今日適度な堅さは幼児・成長期の子供の顎の生育に
プラスとなり、油ぽっくなく近年好まれているキャラメ
ル風味で歯ごたえがあり大変美味で、小粒で食感が良く
一度食べだしたらやめられない位ついつい食べてしま
う。小粒なので、たくさん食べたような満足感が生まれ
る。携帯に便利、栄養豊富でエネルギー源となる。コー
ヒー、紅茶、日本茶にも合い、老若男女に好まれ、喜ば
れる。食物の安全性、健康志向、リサイクルが求められ
る今日、美味な健康食品であり収益力、換金性のある本
発明は今後、産業上大いに利用できることと思われる。
本発明を多くのパン屋さん、パン製造企業に活用してい
ただくことは、食物を大切にする上でも、自然環境を守
る上でも健康面からも経済的にも、社会に貢献すると思
うのである。
方法によって製造された商品の断面図である。
られる素材の断面図である。
られる素材の外観斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】食パンのみみを、同じ大きさに細かく切
り、食用油脂と甘味料の特性を活用して、食パンのみみ
を食用油脂と甘味料とで繰り返し交互に加えながら丁寧
に炒る加熱工程と火を止めて香料を加え、しばらく炒る
工程を特徴とする食パンのみみを用いた食品の製造方
法。 - 【請求項2】前記加熱工程の初期段階で加熱しながら鍋
底内面温度を100℃前後までで炒ることにより食用油
脂の芳香と甘味料の甘みが食パンのみみの気孔にゆっく
り浸透することを特徴とする請求項1記載の食パンのみ
みを用いた食品の製造方法。 - 【請求項3】前記加熱工程の中期段階では、加熱された
甘味料の溶液を130℃〜160℃に維持し、食パンの
みみの周囲に「アメ衣」を複数層にコーティングするこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の食パンのみみを用
いた食品の製造方法。 - 【請求項4】前記加熱工程の後期段階では、鍋底内面温
度を100℃前後とすることを特徴とする請求項1、2
又は3記載の食パンのみみを用いた食品の製造方法。 - 【請求項5】前記甘味料は食パンのみみの64重量%、
前記食用油脂は食パンのみみの32重量%とすることを
特徴とする請求項1、2、3又は4記載の食パンのみみ
を用いた食品の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002313476A JP3518767B2 (ja) | 2002-02-22 | 2002-09-22 | 食パンのみみを用いた食品の製造方法 |
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JP2002097333 | 2002-02-22 | ||
JP2002-97333 | 2002-02-22 | ||
JP2002313476A JP3518767B2 (ja) | 2002-02-22 | 2002-09-22 | 食パンのみみを用いた食品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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JP3518767B2 JP3518767B2 (ja) | 2004-04-12 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7165277B1 (ja) * | 2022-02-02 | 2022-11-02 | 幾美 相澤 | 食材再利用品及び食材再利用品の製造方法 |
-
2002
- 2002-09-22 JP JP2002313476A patent/JP3518767B2/ja not_active Expired - Lifetime
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