JP2003308751A - 開閉器の動作特性監視装置 - Google Patents

開閉器の動作特性監視装置

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JP2003308751A JP2002114726A JP2002114726A JP2003308751A JP 2003308751 A JP2003308751 A JP 2003308751A JP 2002114726 A JP2002114726 A JP 2002114726A JP 2002114726 A JP2002114726 A JP 2002114726A JP 2003308751 A JP2003308751 A JP 2003308751A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開閉器の動作特性に関する異常の予兆を正確
に診断すること。 【解決手段】 投入指令に応答して接点50aが閉じて
投入コイル10が励磁されると、遮断器1の主接点が投
入され、補助b接点30aが開く。このとき、接点50
aが閉じて補助b接点30aが開くまでの時間を第1の
動作時間T1として検出し、遮断器1の主接点が投入動
作を完了して補助a接点40aが閉じたときに、補助b
接点30aが開いて補助a接点40aが閉じるまでの時
間を第2の動作時間T2として測定部6で検出し、各検
出時間T1、T2をそれぞれ温度センサ5の検出温度を
基に診断部7で補正し、補正された動作時間T1、T2
と各動作時間の基準値となる整定値とをそれぞれ比較し
て遮断器1の動作時間の異常の有無を判定部8で判定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開閉器の動作特性
監視装置に係り、特に、主回路を開閉するための遮断
器、断路器の動作特性の異常を診断するに好適な開閉器
の動作特性監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、開閉器の動作特性を監視するに際
しては、例えば、ガス絶縁遮断器(GCB)の開閉動作
時において、指令の発生に伴って投入コイルもしくはト
リップコイルに流れる電流と、可動接触子の位置を示す
補助接点信号とに基づいて、指令発生時から遮断器が実
際に動作を開始するまでの時間とその後動作を完了する
完了時までの時間間隔を監視することによって遮断器の
動作特性の良否を判定することが行われている。この場
合、時間間隔が設定時間よりも長くなったときには遮断
器の動作の不具合として、遮断器に対する保守点検を行
うようにしている。
【0003】例えば、特開平9−120759号公報に
記載されているように、投入コイルもしくはトリップコ
イルに電流が流れたあとに、第1の位置検出器からの信
号が変化するまでの時間や、第1の位置検出器からの信
号が変化したあと、第2の位置検出器からの信号が変化
するまでの時間をそれぞれ測定し、各測定時間が予め設
定された時間よりも長くなったときには、開閉器の動作
特性の不具合として、その開閉器に対する保守点検を行
うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術においては、
開閉器の動作特性に関する時間間隔を測定し、この測定
時間が予め設定された時間よりも長くなったときには、
開閉器の動作特性の不具合として、その開閉器に対する
保守点検を行うようにしているが、このような方法で
は、効率良い予測保全や保守点検を考慮したときには、
異常の予兆を正確に診断するには十分ではない。すなわ
ち、開閉器の動作特性の不具合を判定するための設定時
間を定めるにも、設定時間そのものにバラツキが生じた
のでは、正確な判定を行うことができない。例えば、開
閉器の動作時間には、開閉器の動作間隔、周囲温度、電
源電圧のバラツキが影響を与えることがある。このた
め、開閉器の動作時間に影響を与えるパラメータにした
がって設定時間を定めなければ、開閉器の動作特性の不
具合を正確に判定することはできない。
【0005】本発明の課題は、開閉器の動作特性に関す
る異常の予兆を正確に診断することができる開閉器の動
作特性監視装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、開閉器の動作時間を検出する動作時間検
出手段と、前記開閉器の動作時間に影響を与えるパラメ
ータの値を検出するパラメータ検出手段と、前記パラメ
ータ検出手段の検出値と前記パラメータの基準値との差
に従って前記動作時間検出手段の検出時間を補正する動
作時間補正手段と、前記開閉器の動作時間の基準値とな
る整定値と前記動作時間補正手段により補正された動作
時間とを比較して前記開閉器の動作時間の異常の有無を
判定する判定手段とを備えてなる開閉器の動作特性監視
装置を構成したものである。
【0007】前記開閉器の動作特性監視装置を構成する
に際しては、前記動作時間検出手段としては、開閉器の
第1の動作時間と第2の動作時間をそれぞれ検出する機
能を有するもので構成することができるとともに、パラ
メータ検出手段としては、開閉器の第1の動作時間と第
2の動作時間にそれぞれ影響を与えるパラメータの値を
検出する機能を有するもの、あるいは開閉器の第1の動
作時間と第2の動作時間に影響を与える複数のパラメー
タの値をそれぞれ検出する機能を有するもので構成する
ことができる。
【0008】また、動作時間補正手段としては、パラメ
ータ検出手段の検出値と前記パラメータの基準値との差
にしたがって前記動作時間検出手段の各検出時間を補正
する機能を有するもの、あるいは前記パラメータ検出手
段の各検出値と前記各パラメータの基準値との差にした
がって前記動作時間検出手段の各検出時間を補正する機
能を有するもので構成することができる。
【0009】さらに、判定手段としては、前記開閉器の
第1の動作時間の基準値となる第1の整定値と前記動作
時間補正手段により補正された第1の動作時間とを比較
するとともに、前記開閉器の第2の動作時間の基準値と
なる第2の整定値と前記動作時間補正手段により補正さ
れた第2の動作時間とを比較して前記開閉器の第1の動
作時間と第2の動作時間の異常の有無を判定する機能を
備えたもので構成することができる。
【0010】前記各開閉器の動作特性監視装置を構成す
るに際しては、以下の要素を付加することができる。
【0011】(1)前記パラメータ検出手段は、前記開
閉器に供給される操作電源の電源電圧を検出する電源電
圧検出手段と、前記開閉器の動作間隔を検出する動作間
隔検出手段または前記開閉器の周囲温度を検出する温度
検出手段のうちいずれか1つを含んでなる。
【0012】(2)前記パラメータ検出手段は、前記開
閉器に供給される操作電源の電源電圧を検出する電源電
圧検出手段と、前記開閉器の動作間隔を検出する動作間
隔検出手段と、前記開閉器の周囲温度を検出する温度検
出手段とを備えてなる。
【0013】(3)前記電源電圧検出手段は、前記開閉
器に供給される操作電源の電源電圧を検出する代わり
に、前記開閉器の投入コイルまたは引き外しコイルに流
れる電流の立ち上がり時間から前記操作電源の電源電圧
を算出する電源電圧算出手段で構成されてなる。
【0014】(4)前記動作時間検出手段は、開閉器の
動作時間として、投入指令が発生してから前記開閉器が
投入動作を開始するまでの第1の動作時間と、前記開閉
器が投入動作を開始してから投入動作を終了するまでの
第2の動作時間を検出し、または引き外し指令が発生し
てから前記開閉器が引き外し動作を開始するまでの第1
の動作時間と、前記開閉器が引き外し動作を開始してか
ら前記開閉器が引き外し動作を終了するまでの第2の動
作時間を検出してなる。
【0015】(5)前記判定手段は、第1の整定値と補
正された第1の動作時間との比較結果と、第2の整定値
と補正された第2の動作時間との比較結果をそれぞれ前
記開閉器の動作回数に従って順次蓄積し、この蓄積結果
を基に前記開閉器の異常の原因を識別してなる。
【0016】(6)前記判定手段は、補正された第1の
動作時間が漸次増加して第1の整定値を越えるととも、
補正された第2の動作時間が漸次増加して第2の整定値
を越えたときには、前記開閉器の異常の原因をグリース
の枯渇または軸摩擦大であると識別し、補正された第1
の動作時間のみが漸次増加して第1の整定値を越えたと
きには、前記開閉器の異常の原因をグリースの固渋であ
ると識別し、補正された第1の動作時間が急激に増加し
て第1の整定値を越えるととも、補正された第2の動作
時間が急激に増加して第2の整定値を越えたときには、
前記開閉器の異常の原因をかじりであると識別してな
る。
【0017】前記した手段によれば、開閉器の動作時間
に影響を与えるパラメータの検出値とパラメータの基準
値との差にしたがって開閉器の動作時間に関する検出時
間を補正し、補正された検出時間と整定値とを比較して
開閉器の動作時間の異常の有無を判定するようにしたた
め、開閉器の動作特性の異常の予兆を正確に診断するこ
とができる。この場合、パラメータとして、開閉器に供
給される操作電源の電源電圧、開閉器の動作間隔あるい
は開閉器の周囲温度を検出し、各検出値と各基準値との
差にしたがって開閉器の動作時間に関する検出値を補正
することで、開閉器の動作特性に影響を与える開閉器の
動作時間を正確に求めることができる。
【0018】また、開閉器の動作時間として、投入指令
が発生してから開閉器が投入動作を開始するまでの第1
の動作時間と、開閉器が投入動作を開始してから投入動
作を終了するまでの第2の動作時間を検出し、あるいは
引き外し指令が発生してから開閉器が引き外し動作を開
始するまでの第1の動作時間と、開閉器が引き外し動作
を開始してから開閉器が引き外し動作を終了するまでの
第2の動作時間を検出し、各動作時間をパラメータ検出
手段の検出値にしたがって補正し、補正された各動作時
間と各整定値とを比較し、この比較結果を開閉器の動作
回数にしたがって順次蓄積し、蓄積結果を基に開閉器の
異常の原因を識別することで、開閉器の異常の原因をグ
リースの枯渇または軸摩擦大、グリースの固渋あるいは
かじりであると識別することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す
開閉器の動作特性監視装置のブロック構成図である。図
1において、開閉器の動作特性監視装置は、開閉器とし
て、例えば、三相の主回路の開閉を行う遮断器1を対象
とし、この遮断器1の開閉時における異常の有無や異常
の部位の標定などを行うように構成されており、遮断器
1は、例えば、ガス遮断器(GCB)や真空遮断器(V
CB)を用いて構成されている。遮断器1は、投入コイ
ル10、引き外しコイル20、温度センサ5、補助b接
点30a、補助a接点30b、補助a接点40a、補助
b接点40b等を備えて構成されている。
【0020】投入コイル(C)10は、遮断器1の主接
点(図示省略)と連動する補助b接点30a、開路指令
用の接点50aと互いに直列に接続されて直流電源(操
作電源)3の電源端子間に挿入されており、制御装置
(図示省略)からの投入指令に応答して接点50aが閉
じたときに励磁電流が流れるようになっている。投入コ
イル10に励磁電流が流れると、操作器(図示省略)が
駆動されて可動子(図示省略)が投入方向に駆動され、
遮断器1の主接点が投入されるように構成されている。
遮断器1の主接点が投入されたときには補助b接点30
aが開かれ、投入コイル10が非励磁状態となる。この
とき引き外しコイル20と直列に接続された補助a接点
30bが閉じるようになっている。そして投入コイル1
0に流れる励磁電流は、シャント抵抗で構成された変流
器70aによって検出され、この検出電流は測定部6に
供給されるようになっている。
【0021】一方、引き外しコイル(T)20は、遮断
器1の主接点と連動する補助a接点30b、開路指令用
の接点50bと互いに直列に接続されて直流電源3の電
源端子間に挿入されており、制御装置からの引き外し指
令に応答して接点50bが閉じたときには、補助a接点
30bが閉じているので、励磁電流が流れるように構成
されている。引き外しコイル20に励磁電流が流れる
と、操作器が駆動されて可動子が引き外し方向に駆動さ
れ、遮断器1の主接点が引き外されるように構成されて
いる。遮断器1の主接点が引き外されたあとは、補助a
接点30bは開かれる。そして引き外しコイル20を流
れる電流は、シャント抵抗で構成された変流器70bに
よって検出され、この検出電流は測定部6に供給される
ようになっている。
【0022】また投入コイル10の励磁に伴って遮断器
1の主接点が投入され、遮断器1の投入動作が終了した
ときには補助a接点40aが閉じ、投入動作が終了した
ことを示す信号が測定部6に入力されるようになってい
る。また遮断器1の引き外し動作が終了したときには補
助b接点40bが開かれ、遮断器1の引き外し動作が終
了したことを示す信号が測定部6に入力されるようにな
っている。
【0023】ここで、遮断器1が正常に投入されたとき
には、図2に示すように、投入指令61aに応答して接
点50aが閉じると、可動子はストロク特性60aにし
たがって駆動されることになる。このため、遮断器1の
動作特性を監視するに際しては、可動子のストロク特性
60aは、実際の動きの時間領域測定であり、遮断器1
の動作特性を反映しているといえる。この可動子(可動
部)のストロク特性60aを取得するに際しては、ロー
タリーエンコーダ、ポテンショメータ、レーザ変位計な
どの変位計を用いることができるが、これらの変位計を
遮断器1に実際い取り付けることは困難であり、実用的
ではない。
【0024】そこで、本実施形態においては、可動子の
動作特性を別な方法で取得するに際して、投入指令61
aに応答して接点50aが閉じ、投入コイル10が励磁
されたあと、可動子が実際に動いて補助b接点30aが
開かれるまで時間、すなわち、投入指令が発生してから
開閉器1が投入動作を開始するまでの時間を、第1の動
作時間T1として検出し、遮断器1が投入されたあと補
助a接点30bが閉じるまでの時間、すなわち遮断器1
が投入動作を開始してから投入動作を終了するまでの時
間を、第2の動作時間T2として検出することとしてい
る。この場合、接点50a、補助b接点30a、変流器
70a、測定部60は、遮断器1の動作時間として、遮
断器1の投入動作時における第1の動作時間T1と第2
の動作時間T2をそれぞれ検出する動作時間検出手段と
して構成されている。
【0025】また、遮断器1を引き外すときには、引き
外し指令が発生してから遮断器1が引き外し動作を開始
するまでの時間、すなわち接点50bが閉じたあと補助
a接点30bが開かれるまでの時間を第1の動作時間T
1として検出し、遮断器1が引き外し動作を開始してか
ら遮断器1が引き外し動作を終了するまでの時間、すな
わち補助a接点30bが開かれたあと補助b接点40b
が開かれるまでの時間を第2の動作時間T2として検出
することとしている。この場合、接点50b、補助a接
点30b、補助b接点40a、変流器70b、測定部6
は、遮断器1の引き外し時における動作時間として、第
1の動作時間T1と第2の動作時間T2を検出する動作
時間検出手段として構成されている。
【0026】一方、遮断器1の機械的異常として、グリ
ース枯渇が発生したときには、図3に示すように、第1
の動作時間T1、第2の動作時間T2とも正常時に比べ
て大きくなっており、異常の予兆を捉えていることが確
認できる。しかし、第1の動作時間T1と第2の動作時
間T2をそれぞれ正常時の動作時間と単に比較したので
は、動作時間のバラツキによっては異常の予兆を確実に
検出することができない。
【0027】すなわち、第1の動作時間T1と第2の動
作時間T2は、周囲温度、遮断器1に供給される操作電
源(直流電源3)の電源電圧、遮断器1の動作間隔、例
えば遮断器1が投入動作されたあと次に投入動作される
までの動作間隔によってバラツクことがある。
【0028】そこで、本実施形態においては、第1の動
作時間T1と第2の動作時間T2に影響を与えるパラメ
ータの値として、周囲温度を温度センサ5で検出し、操
作電源(直流電源3)の電源電圧を測定部6で検出し、
遮断器1の動作間隔を測定部6で検出することとしてい
る。この場合、温度センサ5と測定部6は温度検出手段
を構成し、測定部6は、電源電圧検出手段および動作間
隔検出手段を構成することになる。
【0029】ここで、周囲温度と投入時間との関係を測
定したことろ、図4に示すような結果が得られた。図4
から、周囲温度が0℃以下ではグリースの粘性が高くな
るため、周囲温度が0℃以下のときの動作時間は、周囲
温度が0℃を越えたときよりも長くなっていることが分
かる。
【0030】また、操作電源電圧と投入時間との関係を
測定したところ、図5に示すような結果が得られた。図
5から、操作電源電圧が変動すると、動作時間は30%
程度のバラツキが生じることになる。つまり、これらの
バラツキを考慮して動作時間を補正してやれば正確な動
作時間を求めることができることになる。
【0031】このため、本実施形態においては、温度セ
ンサ5で温度を検出するとともに測定部6で操作電源電
圧を測定し、周囲温度の基準値となる常温、例えば、2
0℃と温度センサ5の検出温度との差にしたがって動作
時間を補正したり、操作電源電圧の基準値(定格電
圧)、例えば、直流100Vと測定部6の検出電圧(電
圧センサの検出電圧)との差にしたがって動作時間を診
断部7で補正することとしている。すなわち、診断部7
は動作時間補正手段として、各パラメータの基準値と各
検出値との差にしたがって動作時間の検出値を補正する
ように構成されている。
【0032】この補正方法としては、検出温度を常温に
換算して補正値を求めることができる。例えば、周囲温
度が−30°のときに得られた投入時間(動作時間)が
20℃よりも長くなっても、この投入時間を20℃の投
入時間に換算して動作時間を算出することができる。
【0033】ただし、温度測定は動作時間測定と必ずし
も同時に図る必要はなく、周囲温度を図る手段が別にあ
れば、温度データだけを使用することも可能である。さ
らに、電源電圧を測定するときにも、電圧を測定する電
圧センサを新たに取付なくても、投入コイル10および
引き外しコイル20に流れる電流の立上り部分の傾きを
算出すれば、電源電圧Vは電流の変化率di/dtと比
例関係にあるため、コイル電流の立上り時間からも操作
電源電圧を推定することができる。
【0034】図6に遮断器1の投入時における操作電源
電圧が異なる場合の投入コイル電流の通電特性を示す。
図6では、操作電源電圧が定格電圧のときには投入コイ
ル10の電流の変化率di/dtは特性90bで示さ
れ、電源電圧が高くなるほど電流の変化率di/dtが
急な特性90aとなり、逆に、電源電圧が低い場合には
変化率di/dtは緩やかで通電時間も長い特性90c
となっている。この特性から分かるように、電源電圧を
測定する電圧センサを備えていなくても、コイルを流れ
る電流の特性から電源電圧を推定することが可能であ
り、事前に動作電源電圧を変化させたときの特性を測定
しておけば、電流特性の算出も容易である。さらに、第
1の動作時間T1と第2の動作時間T2のバラツキの要
因としては、遮断器1が前回動作してから今回動作する
までの動作間隔(インターバル)があり、操作器のグリ
ースが固渋するケースは動作インターバルが長いことが
原因である。そこで、図7に示すように、動作間隔と投
入時間との関係を予め測定し、実際の動作間隔に対応し
た補正係数を投入時間に対して設定し、動作間隔の基準
値と検出された動作間隔との差にしたがって、検出され
た動作時間(第1の動作時間と第2の動作時間)を補正
することで正確な投入時間を求めることができる。
【0035】動作間隔と投入時間との関係は、図7から
分かるように、遮断器1の動作間隔が短いときはグリー
ス固渋のケースは少ないが、動作間隔が長くなると急激
に投入時間が長くなることが分かる。
【0036】以上のように、第1の動作時間T1と第2
の動作時間T2のバラツキの要因である周囲温度、操作
電源電圧、動作間隔を基に動作時間を補正することで、
汎用的で誤差要因の少ない動作時間を算出し、この算出
結果を基に判定部8において、動作時間の基準値となる
整定値と補正された動作時間とを比較して遮断器1の動
作時間の異常の有無を判定し、判定結果を出力すること
としている。すなわち、判定部8は判定手段として構成
されている。
【0037】次に、遮断器1の動作特性を診断するとき
の診断方法を図8のフローチャートにしたがって説明す
る。なお、遮断器1の開閉動作のうち投入動作と引き外
し動作では同じ処理が行われるため、遮断器1の投入動
作における動作特性を診断するときの方法について説明
する。
【0038】まず、遮断器1が投入動作を行うごとに、
投入コイル10、補助b接点30a、接点50a、補助
a接点40aの動作に関する信号および変流器70aの
検出電流、温度センサ5の検出温度が順次測定部6に取
り込まれ、第1の動作時間T1、第2の動作時間T2が
算出されれる(ステップS1)。このあと電気的異常が
あるか否かの判定を行う(ステップS2)。例えば、投
入コイル10に不良が生じたか、あるいは補助b接点3
0a、接点50aに不良が発生したか否かの判定を行
い、いずれかに異常が生じたときには不良個所を修復す
るための処理を行い(ステップS3)、このルーチンで
の処理を終了する。
【0039】一方、電気的異常がないときには、測定異
常があるか否かの判定を行う(ステップS4)。すなわ
ち、変流器70aに異常があるか、温度センサ5に異常
があるか、あるいは時間間隔の測定に異常があるか否か
の判定を行い、異常が生じたときには異常に対処するた
めの処理に移行し(ステップS5)、このルーチンでの
処理を終了する。一方、測定に異常がないときには、検
出された操作電源電圧(直流電源3の電源電圧)と温度
センサ5の検出温度を基に図4、図5の特性にしたがっ
て電源電圧と周囲温度に関する補正係数を求める(ステ
ップS6)。
【0040】さらに動作間隔を検出し、図7に示す特性
を基に動作間隔に関する補正係数を求め(ステップS
7)、電源電圧、周囲温度、動作間隔の補正係数にした
がって第1の動作時間T1と第2の動作時間T2を補正
し、補正された動作時間T1、T2を求める(ステップ
S8)。このあと補正された第1の動作時間T1と第2
の動作時間T2に関してそれぞれ第1の整定値または第
2の整定値と大小の比較判定を行う(ステップS9)。
各動作時間T1、T2がそれぞれ整定値の範囲内にある
ときには、遮断器1の動作時間は正常である旨の判定結
果を出力するとともに、この判定結果を動作回数に関連
づけて蓄積し、このルーチンでの処理を終了する。
【0041】一方、各動作時間T1、T2のうちいずれ
かの動作時間が整定値を超えていると判定されたときに
は、この判定結果にしたがって、機械的異常に関するト
レンド判定を行う(ステップS11)。
【0042】機械的異常のトレンド判定を行うに際して
は、図9(a)に示すように、補正された第1の動作時
間T1が漸次増加して第1の整定値S1を超えるととも
に、補正された第2の動作時間T2が漸次増加して第2
の整定値S2を超えたときには、遮断器1の異常の原因
をグリースの枯渇または軸摩擦大であると識別する(ス
テップS12)。
【0043】また図9(b)に示すように、補正された
第1の動作時間T1のみが漸次増加して第1の整定値S
1を超えたときには、遮断器1の異常の原因をグリース
の固渋であると識別する(ステップS13)。
【0044】一方、図9(c)に示すように、補正され
た第1の動作時間T1が急激に増加して第1の整定値S
1を超えるとともに、補正された第2の動作時間T2が
急激に増加して第2の整定値S2を超えたときには、遮
断器1の異常の原因をかじりであると識別し(ステップ
S14)、各識別結果を出力し、このルーチンでの処理
を終了することになる。
【0045】このように、本実施形態においては、第1
の動作時間T1、第2の動作時間T2を各動作時間に影
響を与えるパラメータである電源電圧、周囲温度、動作
間隔にしたがって補正し、補正された各動作時間と各整
定値とを比較して遮断器1の動作時間の異常の有無を判
定するようにしているため、遮断器1の動作特性に関す
る異常の予兆を正確に診断することができる。
【0046】また異常の予兆を正確に診断することで、
計画的な保守が可能になるとともに遮断器1に関する信
頼性の向上を図ることができる。
【0047】さらに、異常の予兆が診断されたときに
は、機械的異常のトレンド判定を行うことで、グリース
固渋、グリース枯渇、かじりによる異常原因を識別する
ことができる。この場合、点検時および異常検出時にお
ける点検項目を絞り込むことが可能になる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
開閉器の動作時間に影響を与えるパラメータの検出値と
パラメータの基準値との差にしたがって開閉器の動作時
間に関する検出時間を補正し、補正された検出時間と整
定値とを比較して開閉器の動作時間の異常の有無を判定
するようにしたため、開閉器の動作特性の異常の予兆を
正確に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す開閉器の動作特性監
視装置のブロック構成図である。
【図2】遮断器の正常投入時における動作特性図であ
る。
【図3】グリース枯渇時における遮断器の投入動作時の
動作特性図である。
【図4】周囲温度と投入時間との関係を示す特性図であ
る。
【図5】操作電源電圧と投入時間との関係を示す特性図
である。
【図6】時間と投入コイル電流との関係を示す特性図で
ある。
【図7】動作間隔と投入時間との関係を示す特性図であ
る。
【図8】図1に示す装置の作用を説明するためのフロー
チャートである。
【図9】(a)〜(c)は、動作時間と整定値との関係
を示す特性図である。
【符号の説明】
1 遮断器 3 直流電源 5 温度センサ 6 測定部 7 診断部 8 判定部 10 投入コイル 20 引き外しコイル 30a、40b 補助b接点 30b、40a 補助a接点 50a、50b 開路指令用の接点 70a、70b 変流器
フロントページの続き (72)発明者 大野 康則 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 川村 直輝 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所電機システム事業部内 (72)発明者 藤田 康信 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所電機システム事業部内 Fターム(参考) 5G034 AC01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開閉器の動作時間を検出する動作時間検
    出手段と、前記開閉器の動作時間に影響を与えるパラメ
    ータの値を検出するパラメータ検出手段と、前記パラメ
    ータ検出手段の検出値と前記パラメータの基準値との差
    に従って前記動作時間検出手段の検出時間を補正する動
    作時間補正手段と、前記開閉器の動作時間の基準値とな
    る整定値と前記動作時間補正手段により補正された動作
    時間とを比較して前記開閉器の動作時間の異常の有無を
    判定する判定手段とを備えてなる開閉器の動作特性監視
    装置。
  2. 【請求項2】 開閉器の第1の動作時間と第2の動作時
    間をそれぞれ検出する動作時間検出手段と、前記開閉器
    の第1の動作時間と第2の動作時間にそれぞれ影響を与
    えるパラメータの値を検出するパラメータ検出手段と、
    前記パラメータ検出手段の検出値と前記パラメータの基
    準値との差に従って前記動作時間検出手段の各検出時間
    を補正する動作時間補正手段と、前記開閉器の第1の動
    作時間の基準値となる第1の整定値と前記動作時間補正
    手段により補正された第1の動作時間とを比較するとと
    もに、前記開閉器の第2の動作時間の基準値となる第2
    の整定値と前記動作時間補正手段により補正された第2
    の動作時間とを比較して前記開閉器の第1の動作時間と
    第2の動作時間の異常の有無を判定する判定手段とを備
    えてなる開閉器の動作特性監視装置。
  3. 【請求項3】 開閉器の第1の動作時間と第2の動作時
    間をそれぞれ検出する動作時間検出手段と、前記開閉器
    の第1の動作時間と第2の動作時間にそれぞれ影響を与
    える複数のパラメータの値をそれぞれ検出するパラメー
    タ検出手段と、前記パラメータ検出手段の各検出値と前
    記各パラメータの基準値との差に従って前記動作時間検
    出手段の各検出時間を補正する動作時間補正手段と、前
    記開閉器の第1の動作時間の基準値となる第1の整定値
    と前記動作時間補正手段により補正された第1の動作時
    間とを比較するとともに、前記開閉器の第2の動作時間
    の基準値となる第2の整定値と前記動作時間補正手段に
    より補正された第2の動作時間とを比較して前記開閉器
    の第1の動作時間と第2の動作時間の異常の有無を判定
    する判定手段とを備えてなる開閉器の動作特性監視装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の開閉器の動作
    特性監視装置において、前記パラメータ検出手段は、前
    記開閉器に供給される操作電源の電源電圧を検出する電
    源電圧検出手段と、前記開閉器の動作間隔を検出する動
    作間隔検出手段または前記開閉器の周囲温度を検出する
    温度検出手段のうちいずれか1つを含むことを特徴とす
    る開閉器の動作特性監視装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の開閉器の動作特性監視
    装置において、前記パラメータ検出手段は、前記開閉器
    に供給される操作電源の電源電圧を検出する電源電圧検
    出手段と、前記開閉器の動作間隔を検出する動作間隔検
    出手段と、前記開閉器の周囲温度を検出する温度検出手
    段とを備えてなることを特徴とする開閉器の動作特性監
    視装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の開閉器の動作
    特性監視装置において、前記電源電圧検出手段は、前記
    開閉器に供給される操作電源の電源電圧を検出する代わ
    りに、前記開閉器の投入コイルまたは引き外しコイルに
    流れる電流の立ち上がり時間から前記操作電源の電源電
    圧を算出する電源電圧算出手段で構成されてなることを
    特徴とする開閉器の動作特性監視装置。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6のう
    ちいずれか1項に記載の開閉器の動作特性監視装置にお
    いて、前記動作時間検出手段は、開閉器の動作時間とし
    て、投入指令が発生してから前記開閉器が投入動作を開
    始するまでの第1の動作時間と、前記開閉器が投入動作
    を開始してから投入動作を終了するまでの第2の動作時
    間を検出し、または引き外し指令が発生してから前記開
    閉器が引き外し動作を開始するまでの第1の動作時間
    と、前記開閉器が引き外し動作を開始してから前記開閉
    器が引き外し動作を終了するまでの第2の動作時間を検
    出してなることを特徴とする開閉器の動作特性監視装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の開閉器の動作特性監視
    装置において、前記判定手段は、第1の整定値と補正さ
    れた第1の動作時間との比較結果と、第2の整定値と補
    正された第2の動作時間との比較結果をそれぞれ前記開
    閉器の動作回数に従って順次蓄積し、この蓄積結果を基
    に前記開閉器の異常の原因を識別してなることを特徴と
    する開閉器の動作特性監視装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の開閉器の動作特性監視
    装置において、前記判定手段は、補正された第1の動作
    時間が漸次増加して第1の整定値を越えるととも、補正
    された第2の動作時間が漸次増加して第2の整定値を越
    えたときには、前記開閉器の異常の原因をグリースの枯
    渇または軸摩擦大であると識別し、補正された第1の動
    作時間のみが漸次増加して第1の整定値を越えたときに
    は、前記開閉器の異常の原因をグリースの固渋であると
    識別し、補正された第1の動作時間が急激に増加して第
    1の整定値を越えるととも、補正された第2の動作時間
    が急激に増加して第2の整定値を越えたときには、前記
    開閉器の異常の原因をかじりであると識別してなること
    を特徴とする開閉器の動作特性監視装置。
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