JP2003306838A - 高機能性ケン縮加工糸の製造方法 - Google Patents

高機能性ケン縮加工糸の製造方法

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JP2003306838A
JP2003306838A JP2002110083A JP2002110083A JP2003306838A JP 2003306838 A JP2003306838 A JP 2003306838A JP 2002110083 A JP2002110083 A JP 2002110083A JP 2002110083 A JP2002110083 A JP 2002110083A JP 2003306838 A JP2003306838 A JP 2003306838A
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crimped
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crimped yarn
twisting
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JP2002110083A
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Toshihiko Kimura
俊彦 木村
Masao Seki
昌夫 関
Kazuo Umeda
和生 梅田
Takeshi Hatano
武 波多野
Kazuhiko Kosuge
一彦 小菅
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Du Pont Toray Co Ltd
Toray Industries Inc
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高機能性繊維の仮撚ケン縮加工糸特性を改善
し、かつ合理的に製造する方法を提供する。 【解決手段】高機能性繊維のマルチフィラメント糸条
に、加撚−脱水分処理−解撚の連続仮撚加工を、下記式
にて実施することを特徴とするケン縮加工糸の製造方
法。 実加撚数(T/m)=(20000〜40000)/D
1/2 ただし D:マルチフィラメント糸条の繊度(dte
x)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱性や耐久性に優
れたアラミド繊維等の高機能性繊維のマルチフィラメン
ト糸条を用いて、高機能性ケン縮加工糸を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高機能繊維糸条を用いて衣料用製
品などを製造する際、ケン縮性を有しない生糸のマルチ
フィラメント糸や紡績糸などの糸形状で、該高機能性繊
維糸条が適用されてきた。
【0003】その結果、衣料用製品として着用した場合
には着心地感が悪く、特にユニホームなどの作業用製品
として着用した場合は、活動しにくいという難点があっ
た。中でも精密部品を取り扱う航空機産業や情報機器産
業あるいは精密機械産業、医療分野で使用される作業用
手袋の用途においては、フィラメント糸使いでは着用手
触りの不快感やフィット性不足から作業性が低下した
り、また紡績糸使いでは毛羽塵が発生するなどの問題が
あった。
【0004】かかる市場の要求に鑑みて、高機能性繊維
のマルチフィラメント糸条を用いて、ケン縮を合理的に
付与する方法について研究・開発がなされたきた。
【0005】例えば、特開平06−280120号公報
では、アラミド繊維糸条をその分解開始温度以上、分解
温度未満(メタ系アラミド繊維の場合390〜460
℃)に加熱した非接触ヒータを用いて仮撚ケン縮加工
し、次いで弛緩熱処理を施すことを特徴とするアラミド
系捲縮加工糸の製造方法が提案されている。
【0006】また、特開2001−248027号公報
では、耐熱性高機能性繊維糸条に特定する撚り係数で加
撚し、乾熱処理により熱セットを行い、次いで解撚を行
なうことを特徴とする耐熱性捲縮糸の製造方法が提案さ
れている。
【0007】しかしながら、前者の提案においては、ア
ラミド繊維糸条を複数本の仮撚スピナーピンにジグザグ
状に通過させて捲縮加工糸を製造する方法であるため、
設定仮撚数に比べて実仮撚数が低下することや、非接触
ヒータを用いるので実際の糸条表面温度は不明であるこ
と等から、捲縮不足になりやすい問題がある。
【0008】後者の提案においては、設定撚り係数Kの
範囲が低く、また前者と同様に実際の糸条表面温度は不
明であること等から、やはり捲縮不足になりやすい問題
があり解決されていないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はこのよ
うな従来技術の問題点に鑑みて、マルチフィラメント糸
条の水分率と該マルチフィラメント糸条の実表面温度と
実仮撚数に着目し、伸縮性に優れた高機能性ケン縮加工
糸を合理的に製造する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、以下の構成を採用する。すなわち、 (1)高機能性繊維のマルチフィラメント糸条に、加撚
−脱水分処理−解撚の連続仮撚加工を、下記式にて実施
することを特徴とするケン縮加工糸の製造方法。
【0011】実加撚数(T/m)=(20000〜40
000)/D1/2 ただし D:マルチフィラメント糸条の繊度(dte
x) (2)加撚中の糸表面温度が、マルチフィラメント糸条
の熱分解温度以下であることを特徴とする前記(1)に
記載のケン縮加工糸の製造方法。
【0012】(3)用いるマルチフィラメント糸条の水
分率が10%以下であることを特徴とする前記(1)ま
たは(2)に記載のケン縮加工糸の製造方法。
【0013】(4)前記ケン縮加工糸に弛緩熱処理を施
すことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記
載のケン縮加工糸の製造方法。
【0014】(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記
載のケン縮加工糸の製造方法によって得られるS加撚方
向とZ加撚方向の各仮撚ケン縮加工糸を、同一機上で引
き揃え交絡処理を施した後、巻き上げることを特徴とす
るケン縮加工糸の製造方法。
【0015】(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記
載のケン縮加工糸の製造方法によって得られたことを特
徴とするケン縮加工糸。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の高機能性ケン縮加
工糸の製造方法をさらに詳細に説明する。
【0017】まず、本発明に用いる高機能性繊維糸条と
しては、パラ系アラミド繊維もしくはメタ系アラミド繊
維などからなる高機能性繊維糸条であって、優れた耐熱
性や耐久性を兼ね備えた糸物性を有しているものが採用
できる。アラミド繊維にはメタ系アラミド繊維とパラ系
アラミド繊維がある。メタ系アラミド繊維としては、例
えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュ
ポン社製”ノーメックス”)などのメタ系全芳香族ポリ
アミド繊維が挙げられる。パラ系アラミド繊維として
は、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・
デュポン(株)製”ケブラー”)およびコポリパラフェ
ニレン−3,4’−ジフェニ−ルエーテルテレフタルア
ミド繊維(帝人(株)製”テクノーラ”)などのパラ系
芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。
【0018】アラミド繊維の他には、全芳香族ポリエス
テル繊維(クラレ(株)製”ベクトラン”など)、ポリ
パラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(東洋紡
(株)製”ザイロン”など)、ポリベンズイミダゾール
繊維、ポリイミド繊維などの、高機能性繊維が挙げられ
る。
【0019】次に本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造
方法を工程順に説明するならば、高機能性繊維のマルチ
フィラメント糸条に加撚−脱水分処理−解撚を行い、ケ
ン縮加工糸を製造する工程である。
【0020】該高機能性繊維のマルチフィラメント糸条
に実撚T1を施し、次いで実撚糸状態で脱水分処理を施
す。該マルチフィラメント糸条は元来熱可塑性を有しな
いので熱セットすることはできないが、該高機能性繊維
は脱水分処理することにより、撚固定できることが分か
った。そこで、脱水分による撚固定後、実撚T2にて加
撚方向とは逆方向にゼロ解撚することにより、ケン縮加
工糸を製造することができるのである。
【0021】この工程を非連続式で行なうケン縮加工方
法はイタリー式ウーリ加工方法と呼ばれ、連続式で行な
うケン縮加工方法は仮撚式ウーリ加工と呼ばれ、いずれ
かの方法にて実施することができる。しかし、生産性や
製造コストからいえば連続式が優れている。
【0022】非連続式においては、高機能性繊維のマル
チフィラメント糸条に、ダブルツイスターやアップツイ
スターなどのネン糸機にて加撚を施し、得られた加撚糸
条をシリンダーなどに一旦巻き上げ脱水分処理を施し撚
固定するのである。
【0023】脱水分処理の手段としては、乾熱処理、高
圧蒸気処理、マイクロ波処理、遠赤外線処理、等を適用
することができる。脱水分処理後の該加撚糸条を加撚方
向と逆方向にゼロ解撚することにより、仮撚ケン縮性を
有する高機能性ケン縮加工糸を製造することができる。
【0024】一方、連続式においては、高機能性繊維の
マルチフィラメント糸条に、仮撚スピンドル装置を用い
て加撚を施し、その後高温熱処理による脱水分処理を行
い撚固定後、ゼロ解撚することにより、仮撚ケン縮性を
有する高機能ケン縮加工糸を製造することができる。
【0025】脱水分処理における脱水分度合いについて
は、脱水分処理前のマルチフィラメント糸条の水分率に
対して、脱水分直後の水分率は少なくとも20%以上減
少することが好ましいのである。
【0026】なお、水分率の測定方法はJIS法 L1
013に基づく平衡水分率として求めたものである。
【0027】前記高機能性繊維のマルチフィラメント糸
条を用いて、仮撚加工中における実加撚数は次式に示す
範囲とするものである。すなわち、実加撚数(T/m)
=(20000〜40000)/D1/2 である。
【0028】ただし、D:マルチフィラメント糸条の繊
度(dtex)例えば、マルチフィラメント糸条の繊度
200dtexでは1400〜2840T/m、400
dtexでは1000〜2000T/mとなる。
【0029】ここで、実加撚数とは仮撚加撚中において
実際に挿入された撚数であって、一般に設定される機械
条件による仮撚数ではない。特に剛直特性を有する高機
能性繊維糸条に加撚を施すには、フリクション式やベル
トニップ式の加撚装置では撚挿入度合いが低く、スピン
ドル装置を使うことが確実であり好ましい。上記式の上
限範囲を越えると強度低下や毛羽が発生すること、下限
範囲を越えるとケン縮不良となりやすいことなど、上記
範囲内で適宜設定することである。
【0030】なお、実加撚数の測定方法は仮撚加撚中の
該糸条を直接採取し、検撚機にて実測した撚数である。
【0031】本発明の高機能性繊維ケン縮加工糸の製造
方法に用いるマルチフィラメント糸条の水分率は、4〜
10%の範囲が好ましい。通常の連続仮撚加工に用いる
スピンドル装置のスピナーピンに、該マルチフィラメン
ト糸条を1回巻きつけて糸走行させた場合、水分率が1
0%を超えると該ピン上での糸−金摩擦抵抗が高くな
る。特に剛直性の高い高機能性繊維糸条ではフィブリル
化や糸切れを起こし、糸走行不可の問題となる。水分率
が4%未満になると、上記の問題は起こらないが、逆に
低水分率による撚固定性不足がケン縮不良を招くことに
なる。したがって、上記範囲内の水分率を有する該マル
チフィラメント糸条を用いることが好ましいのである。
【0032】なお、上記高機能性繊維フィラメント糸条
の水分率は、空気中の湿度の影響を大きく受けるので、
該フィラメント糸を長期間放置する場合は密封包装な
ど、水分率の管理が重要になる。
【0033】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
において、仮撚加工速度は10〜300m/minの範
囲が好ましい。仮撚加工速度が10m/min未満で
も、糸加工性に問題はないが、生産性が低くコスト高と
なる問題がある。また、仮撚加工速度が300m/mi
nを超える高速では、強度低下やフィブリル化が生じや
すくなるので好ましくない。
【0034】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
において、脱水分処理の熱処理直後の糸表面温度は、2
00℃以上該高機能性繊維の分解温度以下で実施するこ
とが好ましい。
【0035】該高機能性繊維糸条に加撚固定を充分行う
には、仮撚加撚直後の水分率が好ましくは10%以下、
より好ましくは5%以下になるよう、熱処理温度と時間
を調整することである。
【0036】この脱水分処理のメカニズムは熱処理など
により水分を蒸発させ、絶乾した状態とすることによ
り、繊維分子内の水素結合を再結合させることにより、
撚固定できると推定されている。再結合後は空気中の水
分を吸収し水分率が高くなっても、撚固定性は元に戻ら
ないのである。
【0037】その結果、該高機能性繊維糸条の糸表面温
度が200℃以上分解温度以下に達していることが重要
であり、例えば、非接触ヒータなど処理温度が300℃
以上の設定であっても、熱処理が不十分な場合は、水分
の蒸発が完全に起こらないので、糸表面温度は100℃
以下となる場合もある。また、糸表面の外層温度は高温
に処理されても、内層温度は低くなる場合もある。した
がって、十分な処理時間が必要であることはいうまでも
ない。
【0038】具体的な実糸表面温度として例えば、芳香
族ポリアミド繊維では、200〜430℃の範囲が好ま
しい。
【0039】なお糸条表面温度の測定は、NEC三栄
(株)製赤外放射温度計TH7102WXを用いて、画
像処理した糸表面温度または、ムラテックC.C.S
(株)樋接触糸温度計 TXL−300を用いた測定し
た糸表面温度である。
【0040】また、熱分解点の測定方法は、(株)島津
製作所製の熱分解点測定機DTG−60を用いて、熱天
秤法による重量変化点から求めたものである。
【0041】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
において得られる、単糸の該ケン縮加工糸は強い仮撚残
留トルクを有しているので、編織工程を通過させると通
過性不良や製品の品位を低下させる問題がある。そこ
で、S仮撚ケン縮加工糸とZ仮撚ケン縮加工糸を、同ー
の仮撚機上にて引き揃え、交絡処理を施した後、双糸に
巻き上げ、高機能性ケン縮加工糸を製造することもでき
る。この場合、得られる双糸状の該高機能性ケン縮加工
糸の残留トルクヨリ数はほぼゼロとなり、工程通過性向
上や品位改善につながるのである。
【0042】なお、残留トルクヨリ数は次のように測定
する。
【0043】高機能性ケン縮加工糸に0.11cN/d
texの荷重を吊し、試料を水平方向に取り付け、試長
100cmの両端に印しをつける。試長のほぼ中央に
0.44cNの小荷重を吊したまま、印しを付けた両端
を中央に寄せる。この時、小荷重が回転した数を検撚機
で読みとり、1m当たりの残留トルクヨリ数として、5
回の平均値を算出したものである。
【0044】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
において、該ケン縮加工糸の双糸加工、他のポリエステ
ル、ナイロンなどの合成繊維や、アセテート、レーヨン
などの化学繊維、さらに羊毛、木綿、絹など天然繊維な
どとの混繊加工を施してもよい。混繊加工方法は交絡処
理、合撚、意匠撚糸など常套手段で実施することができ
る。
【0045】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
を図面に示す実施例に基づいてさらに具体的に説明す
る。
【0046】図1に本発明にかかる高機能性ケン縮加工
糸の製造工程の一例を示した。図1において、高機能性
繊維のマルチフィラメント糸1,2を解舒し、フィード
ローラ3,4へ供給する。スピンドル装置7,8のスピ
ナーピンに1回巻きつけて仮撚り加工の加撚を施し、脱
水分処理装置5,6にて撚固定する。仮撚加撚方向は前
記したように、S方向とZ方向とを有し、解撚後デリベ
リーローラ9,10から2糸条を引き揃えた状態で引き
出す。該2糸条を交絡処理ノズル11にて軽交絡処理を
施し、引取ローラ12を介して、巻取りチーズ13に巻
き上げる製造工程である。
【0047】このように、引き揃えた該双糸を交絡処理
して複合糸条に巻き上げる方法や、あるいは該複合糸に
巻き上げることなく、各単糸条を別々に巻き上げること
もできる。さらに、仮撚残留トルクを軽減したり残留伸
度を多くするため、各単糸条を弛緩熱処理後に巻き上げ
たり、引き揃えた該双糸を交絡処理して複合糸条に巻取
ることもできる。この場合、熱処理は乾熱温度では25
0〜600℃、湿熱温度では100〜150℃が、弛緩
率は0〜16%の範囲が好ましい条件である。
【0048】フィードローラ3,4において、仮撚加撚
張力のバラツキ幅を少なくしたり、フィードローラ糸巻
付きなどを阻止するため、フィードローラ3,4の代わ
りにマグネット式のテンションコンペンセータを使用し
てもかまわない。
【0049】脱水分処理装置5,6において、通常の装
置としては高温乾熱ヒータを使用することであるが、脱
水分効率や糸径方向の均一脱水分効率あるいは安全性な
ど管理面からいえば、非接触型ヒータより接触型ヒータ
のほうが好ましい用い方である。
【0050】スピンドル装置9,10において、施撚方
式にはスピナー式の他に、フリクション式やベルトニッ
プ式があるが、剛直性の高い高機能性繊維では、スピン
ドル式の施撚効果が優れている。
【0051】交絡処理ノズル11において、相反する残
留トルクを有するケン縮加工糸を、引き揃えて軽く絡め
ることを目的としている。該交絡処理ノズルの他には、
流体乱流処理ノズルや空気旋回処理ノズルなどであって
もよいが、交絡型が絡め効果や処理コストが低いなどの
点で優れている。なお、単糸状で巻取った該ケン縮加工
糸と他の合成繊維や天然繊維などのフィラメント糸や紡
績糸とを、撚糸や混繊など複合加工を施してもかまわな
い。
【0052】図2に本発明の高機能性ケン縮加工糸の製
造方法によって得られる、糸形状を例示した。
【0053】該ケン縮加工糸特有のスナールは極めて少
なく、SIN波的ななめらかなケン縮形態の、集合体を
形成し均一な糸筋を有している。
【0054】該高機能性ケン縮加工糸を用いてなる編織
物製品の主な用途は、ソフトな風合いと伸縮性を生か
し、さらに耐熱性や耐久性に優れている特性を有するこ
とから、航空機用の作業用手袋や自衛隊服、消防服、な
どの特殊な作業服、耐切創性が高いことから工事用安全
作業着、警察用防御服、パッチワーク的な使い方のスポ
ーツ衣料等に好適である。
【0055】
【実施例】実施例1 熱分解点537℃、引張切断強度20.3cN/dte
x、繊度420dtex、フィラメント本数267本、
水分率7.5%の東レ・デュポン(株)製ポリパラフェ
ニレンテレフタールアミド(PPTA)繊維フィラメン
ト糸条(”ケブラー”)を用いて、加工速度;70m/
min、糸表面温度;270℃ 、実加撚数;1800
t/m、加撚張力;40g、解撚張力;155gにてS
方向およびZ方向に仮撚加工を行った。なお使用した仮
撚りスピンドル装置は阿波スピンドル(株)製であり、
スピナーピン径1.4φに1回巻き付け走行させた。そ
して、S・Z方向の該ケン縮加工糸を引き揃え、弛緩率
+10%、空気圧力0.4MPにて交絡処理を施し、双
糸状の該高機能性ケン縮加工糸を製造した。
【0056】得られた繊度840dtex、フィラメン
ト数534本の該ケン縮加工糸を10G手袋編機(島精
機(株)製)にて作業用手袋を製造した。該ケン縮加工
糸および作業用手袋を評価した結果を表1に示した。実
施例1において、毛羽発生やフィブリル化などの問題は
全くなく、糸加工性は良好であり、製品における着用感
は柔らかく活動し易いものであった。
【0057】実施例2 熱分解点537℃、引張切断強度21.5cN/dte
x、繊度215dtex、フィラメント本数134本、
水分率7.5%の、東レ・デュポン(株)製ポリパラフ
ェニレンテレフタールアミド(PPTA)繊維フィラメ
ント糸条(”ケブラー”レギュラータイプ)を用いて、
加工速度;135m/min、糸表面温度;250℃
、実加撚数;2200t/m、加撚張力;21g、解
撚張力;82gにてS方向およびZ方向に仮撚加工を行
った。 なお使用した仮撚りスピンドル装置は、実施例
1と同様の阿波スピンドル(株)製のスピナーピン径
1.4φに1回巻き付け走行させた。そして、S・Z方
向の該ケン縮加工糸を引き揃え、弛緩率10%、空気圧
力0.4MPにて交絡処理を施し、双糸状の該高機能性
ケン縮加工糸を製造した。
【0058】得られた繊度430dtex、フィラメン
ト数268本の該ケン縮加工糸を2糸条引き揃えて、繊
度860dtex、フィラメント数536本とし、10
G手袋編機(島精機(株)製)にて作業用手袋を製造し
た。該ケン縮加工糸および作業用手袋を評価した結果
を、同じく表1に示した。実施例2において、毛羽発生
やフィブリル化などの問題は全くなく、糸加工性は良好
であり、製品における着用感は柔らかく活動し易いもの
であった。
【0059】該作業用手袋の重量は402g/m2で切
れ難さを示す切創抵抗は6.3N(ニュートン)であっ
た。一方比較として上記本発明にかかるPPTAケン縮
糸の代わりに市販のポリエステルフィラメントケン縮糸
165dtexフィラメント数48本を6本引き揃え合
計990dtexとした糸条を、前記と全く同様にして
製造した手袋の切れ難さを測定した結果、切創抵抗は
3.1Nであった。
【0060】このように、本発明にかかる糸条を用いた
手袋は、切れ難さにおいても優れていることがわかっ
た。
【0061】切創抵抗(切れ難さ)の測定方法は、IS
O 13997:1999に従い次のように行った。一
定の移動距離で刃が試験片を貫通する(切る)とき、切
れにくい素材ほど重い荷重が必要である。刃に加える荷
重Lにおいて、刃の移動距離20mmで刃が試験片を貫
通するとき、荷重Lを切創抵抗値とする。刃はAmer
ican Safety Razor Co.、品番N
o.88−0121を使用した。測定値はN(=ニュ−
トン)で表し、数値が大きいほど切れにくいことを示
す。
【0062】
【表1】
【0063】比較例1 熱分解点537℃、引張切断強度さ22.1cN/dt
ex、の220dtex、134フィラメント本数、水
分率25%の東レ・デュポン(株)製ポリパラフェニレ
ンテレフタールアミド繊維フィラメント糸条(”ケブラ
ー”)を用いて、実施例2の仮撚加工条件と同一条件に
て糸走行させたが、スピナーピン上での摩擦抵抗が高く
なり、毛羽が多発し仮撚加工性は極めて不良であった。
すなわち、比較例1においては、原糸特性の水分率が高
いので、仮撚加工は不可であった。
【0064】比較例2 熱分解点537℃、引張切断強度さ21.0cN/dt
ex、の220dtex、134フィラメント本数、水
分率39%の東レ・デュポン(株)製ポリパラフェニレ
ンテレフタールアミド繊維フィラメント糸条(”ケブラ
ー”易染色性タイプ )を用いて、実施例2と同一条件
にて仮撚加工条件で糸走行させたが、スピナーピン上に
該フィラメント糸が絡まり、激しくフィブリル化を起こ
して仮撚加工は不可能であった。すなわち、比較例2に
おいては、原糸特性の水分率が高いので、仮撚加工は不
可であった。
【0065】比較例3 熱分解点537℃、引張切断強度さ21.0cN/dt
ex、の222dtex、134フィラメント本数、水
分率38%の東レ・デュポン(株)製ポリパラフェニレ
ンテレフタールアミド繊維フィラメント糸条(”ケブラ
ー”)を用いて、特開2001−248027号公報に
記載された実施例4の製造方法にて、S方向のイタリー
式捲縮糸とZ方向のイタリー式捲縮糸を製造した。各2
糸条引き揃えて、実施例1と同様の作業用手袋を製造し
た。該捲縮糸および作業用手袋を評価した結果を、同じ
く表1に示した。比較例3において、糸の伸縮性はやや
大きいので製品のフィット性は強いが、糸ムラが目立つ
ので編面の品位が不良であった。
【0066】
【発明の効果】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方
法において、連続仮撚加工速度を少なくとも10m/分
以上300m/分以下の範囲にて実施することができ、
従来技術に比べて数倍から数十倍の速さに達する。その
結果、大幅に製造コストを改善することができる。
【0067】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
において、仮撚加工により発生する残留トルクを双糸状
に交絡処理することにより、ほぼゼロとすることができ
る製造方法であり、該ケン縮加工糸を用いることによ
り、編織工程通過性や製品の表面品位を改善することが
できる。
【0068】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
において、用いる高機能性繊維の水分率は、10%以下
の比較的低いレベルであり、長期間の維持管理は容易に
なる。そのため、水分率の経時変化は少なくなり、得ら
れるケン縮加工糸の品質バラツキを少なくすることがで
きる。
【0069】該高機能性繊維が本来有する耐熱性や難燃
性あるいは耐久性などの、優れた性質を損なうことなく
伸縮性を付与することができる仮撚加工方法である。
【0070】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法
によって得られる該ケン縮加工糸は、従来のイタリー式
仮撚加工により製造されるケン縮加工糸に比べて、強度
が高く切創性に優れた性質を有している。
【0071】また、図2に例示したように、本発明の製
造方法によって得られた、高機能性ケン縮加工糸の糸形
態は、スムースなケン縮形状と均一な糸筋を有している
ので、編織物製品の表面は滑らかで、組織目が明瞭な
「面」を有している。
【0072】また、本発明の製造方法により得られる高
機能性ケン縮加工糸は、該高機能性繊維のマルチフィラ
メント糸の繊度と本数の構成により、ソフトな風合いや
伸縮性などの着用感を、適宜設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高機能性ケン縮加工糸の製造方法に係
る代表工程例を示す図である。
【図2】本発明の製造方法によって得られる高機能性ケ
ン縮加工糸形態例を示す図である。
【符号の説明】
1:高機能性繊維のマルチフィラメント糸 2:高機能性繊維のマルチフィラメント糸 3:フィードローラ 4:フィードローラ 5:脱水分処理装置 6:脱水分処理装置 7:スピンドル装置 8:スピンドル装置 9:デリベリーローラ 10:デリベリーローラ 11:交絡処理ノズル 12:引取ローラ 13:巻取りチーズ
フロントページの続き (72)発明者 関 昌夫 滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株 式会社瀬田工場内 (72)発明者 梅田 和生 滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株 式会社瀬田工場内 (72)発明者 波多野 武 東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号 東レ・デュポン株式会社東京本社内 (72)発明者 小菅 一彦 東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号 東レ・デュポン株式会社東京本社内 Fターム(参考) 4L036 MA04 MA33 PA06 PA18 PA33 PA41 PA46 RA04 UA21 UA30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高機能性繊維のマルチフィラメント糸条
    に、加撚−脱水分処理−解撚の連続仮撚加工を、下記式
    にて実施することを特徴とするケン縮加工糸の製造方
    法。 実加撚数(T/m)=(20000〜40000)/D
    1/2 ただし D:マルチフィラメント糸条の繊度(dte
    x)
  2. 【請求項2】加撚中の糸表面温度が、マルチフィラメン
    ト糸条の熱分解温度以下であることを特徴とする請求項
    1に記載のケン縮加工糸の製造方法。
  3. 【請求項3】用いるマルチフィラメント糸条の水分率が
    10%以下であることを特徴とする請求項1または2に
    記載のケン縮加工糸の製造方法。
  4. 【請求項4】前記ケン縮加工糸に弛緩熱処理を施すこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のケン縮加
    工糸の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれかに記載のケン縮加
    工糸の製造方法によって得られるS加撚方向とZ加撚方
    向の各仮撚ケン縮加工糸を、同一機上で引き揃え交絡処
    理を施した後、巻き上げることを特徴とするケン縮加工
    糸の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のケン縮加
    工糸の製造方法によって得られたことを特徴とするケン
    縮加工糸。
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